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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

~このサイトのご紹介~ 魔性の淫楽への招待状

2020年03月22日(Sun) 21:12:01

はじめにお読みください。
一話読み切りのお話がほとんどですが。
吸血鬼ストーリーといっても。
「他では目にすることはまずないでしょう」
そう断言できるほど?変わった世界のお話なので・・・。

カテゴリの解説

2019年08月14日(Wed) 19:11:24

ひと言で吸血鬼ものの短編といっても、それこそいろんなお話が混在していますので。
カテゴリをちょっと、整理しました。
お話に共通のおおまかな設定については冒頭↑の「招待状」に書かれてありますが。
ちょっとだけ、付け加えておきます。

喪服フェチ

2017年02月15日(Wed) 08:11:18

わたしの血を吸った男は、喪服フェチだった。
彼は、妻に喪服を着せたいというそれだけのため、その場でわたしの血を吸い尽す。
男の血にはフェチを感じないらしく、ごくごく事務的な、吸いかただった。
ギャーと叫んで倒れたわたしの意識は、その後も継続を強いられた。
お通夜の晩、だれもいなくなったその席で、男は妻に迫って、喪服姿を掻き抱く。
アアーッ!と叫んで倒れ伏した妻は、黒のストッキングをブチブチ咬み破られながら、ふくらはぎまで侵されていった。

その場で犯された妻は、そのまま吸血鬼の愛人に。
墓場送りになったわたしは、吸血鬼に血を吸い尽されたもののつねとして、吸血鬼として生き返る。
吸血鬼になった夫と、夫の血を吸った男の情婦になった妻。
男はわたしに妻を抱かせ、自分もわたしの目の前で、妻を相手に欲望を果たす。

しまったな。よけいなことをした。仲間を増やすのは、どうにも損だ。
男はそう愚痴りながら、わたしの同僚の妻をさらってきた。
同僚の妻は、わたしの法事のためにと、喪服姿でお寺に来ていて・・・それが運の尽きだったのだ。
なにも亭主が死ななくても、喪服を着るのは勝手だろう?
男は同僚の妻の首すじを噛んで、足許にも咬みついた。
苦痛と屈辱に震える女を目のまえに、
「抱いてもいいぞ。本当は、この女のことが気になっていたんだろう?」
男は文字通り、悪魔のささやきを口にする。
「いいのよ、あなた。想いを遂げても――」
吸血鬼の情婦になり切ってしまった妻まで、わたしのことをそそのかす。

思いを遂げたわたしのかたわらで。
ロープをぐるぐる巻きにされた同僚は、見せつけられた凌辱を目の当たりに、恥知らずな射精をくり返してしまっている。
どうやら、わたしも同僚も、隠れた喪服フェチだったらしい。
同好の男三人は、ふたりの人妻を交えて、その後も仲良くつき合いつづけた。

娘の彼氏。

2017年02月15日(Wed) 08:02:02

娘の彼氏は、気の毒だ。
彼女が吸血鬼にとりつかれてしまったばっかりに、
三日にいちどは、吸血鬼のお邸に娘を送り迎えする羽目になっている。
けれどもそんな屈辱的な状況に、彼があえて甘んじてしまっているのは、
庭先からのぞき見することを許された室内の光景に、いけない昂ぶりを覚えてしまったから。

処女の生き血を好む吸血鬼のために、
彼は娘と一線を越えることを、禁じられている。
ガマンをつづける彼が報われることは、たぶんない。
いずれ・・・よそで適当な処女を見繕うことができたあかつきには、
娘の純潔は、吸血鬼の手でむしり取られてしまうだろうから。
いや、たぶん。いや、きっと。
彼のガマンは、報われるのだ。
未来の花嫁の処女喪失シーンを、吸血鬼と共有することで。
わたしも彼の気持ちを、じゅうぶんに汲むことができている。
人にはいえない、マゾヒスティックな歓びに目ざめた同士なのだから。

娘も献血。

2017年02月15日(Wed) 07:49:02

娘が学校から、帰ってきた。
ただいまぁ・・・という張りのある声が、満ちた血潮を連想させる。
わたしも、半吸血鬼になってしまったのか。
おそらくそれくらいの貢献は、とっくに果たしているはずだ。
廊下に響くばたばたとがさつな足音が、このリビングへと近づいてくる。
両親が不埒な愉しみに耽ってしまっている、忌むべき空間に。
ドアが開かれた。

・・・・・・。
目を見張る娘。
そこには、すでに見慣れてしまった光景。
わたしは首すじから血を滴らせ、足許に伝線を走らせ、恥知らずな射精にじゅうたんを濡らしてしまっている。
妻も首すじから滴らせた血潮にワンピースを濡らし、伝線したストッキングを片方だけ穿いて、
わたし以外の男の侵入を股間に受け容れてしまっている。
靴下フェチな吸血鬼が、白いハイソックスを履いた娘の発育のよいふくらはぎに、目を留めないわけはない。
わるいね、ご主人。娘さんもいただくよ。
あれよあれよという間に、娘は学校帰りの制服姿を、抱きすくめられてゆく。
潔癖そうにひそめた眉をピリピリと震わせながら、娘もまた両親と同じように、首すじを噛まれていった。

ちゅうっ・・・
忌まわしい吸血の音が、薄暗いリビングに、陰気に響いた。
白のブラウスに血を撥ねかしながら、娘は目つきをトロンとさせて、男の吸血行為に身をゆだねる。
じゅうたんにひざを突いて四つん這いになってしまうと、
眩暈を起こした娘を男は嬉し気に見つめ、ハイソックスのふくらはぎに、唇を這わせていった。

脱がされた薄手の紳士用ハイソックスが、じゅうたんのうえにとぐろを巻いた。
脱がされた肌色のストッキングが、ふしだらにふやけたまま、そのうえに折り重なった。
真っ赤に濡れた白のハイソックスが、さらにそのうえに・・・
男は増えたコレクションを手に、我が家をあとにする。
務めを終えたわたしたちは、互いに目を背け合いながら、
何ごともなかったかのように身づくろいを済ませて、日常にもどっていった。

夫婦で献血。

2017年02月15日(Wed) 07:37:24

あはぁ~・・・うんめぇ。
男はうつ伏せになったわたしの足許から唇を離すと、うわごとのようにそう呟いた。
男の好みに合わせて穿いていた、スケスケに薄い長靴下には、くまなくよだれがしみ込まされて、
いくつもの咬み痕と伝線を走らせている。
脳天がけだるい感じ・・・でも決して不快ではなくなった無重力状態に漂いながら、
わたしはつぎの状況を克明に想像してしまう。そしてその想像は、狂うことがなかった。

ご主人、悪いね。今夜も奥さんと仲良くさせてもらうよ。
男はそう言うと、傍らのソファに腰かけて、痴態に似た吸血行為のいちぶしじゅうを見守っていた妻のほうへと振り返る。
クククククッ・・・
くぐもった嗤いに怯えた表情を浮かべた妻は、すがるような目線をこちらに向けてきたが。
血を抜かれてしまった身体は、もういうことを聞かない。
妻はわたしの見つめる前で背中越しに抱きすくめられ、羽交い絞めにされて、
首すじをがぶり!とやられてしまった。
素肌に吸いついた好色な唇は、ギラギラと劣情をたぎらせて、熟れた血潮をひたすら旨そうに吸いあげつづける。――
やがて妻は目つきをトロンとさせて、その場に突っ伏してしまった。

うふふふふっ。すべっこい靴下を穿いていなさる。
妻の穿いている肌色のストッキングに舌を這わせながら、男は満悦の笑みを浮かべ、
薄手のナイロン生地をなおもいたぶりつづける。
妻の身に着けた礼装をむざむざと辱められてゆく光景を目の当たりに、
ジリジリとした嫉妬がとろ火のようにわたしの胸を焦がしていった。

ご婦人を相手の吸血行為のあとは、濃密なセックスと相場が決まっている。
そして妻も、例外ではなかった。
嫉妬はどす黒い刺激になって、わたしは恥知らずにも、激しい射精をくり返してしまっていた。
そして妻は、そんなわたしを横目に窺いながら、これ見よがしな媚態を、あらわにしてしまっていた・・・

ちょっぴり解説。 (今朝もずいぶん、進みました。 汗)

2017年02月12日(Sun) 07:48:59

このあいだあっぷをしたかいせつが評判がよろしかったので、性懲りもなくまた書いてみます。

「むかし話」
古い民話調で公認寝取らせ話を、描いてみようと思い、キーを叩きました。
今回のキーワードは、
「勝手に通え」
ですね。ココが真っ先に思い浮かんで、制作に踏み切りました。
だいたいいつもこんなふうに、何気ない言葉のきれっぱしが創作のきっかけになることが多いんです。


「卒業間近の、仲良し三人組」
ちょっぴりぬるい、学園吸血物語です。(1月26日構想)
冒頭に、実際にキーを叩いた日付までコピペしてしまったのに今頃気づき、さっと消したのはナイショです。
(^^ゞ
楽しそうに血を吸われに行く女の子たちと、
さっきまでえらそうにまくしたてていたのに、別人のように怯えながら吸血鬼の餌食になってしまう女教師の対比を描きたかったみたいです(のかな?)
あと、4月から制服がとりどりに変わるというところも。
彼女たちが高校に進学した後は、吸血鬼としては「三度おいしい」はず。
ほんとうは。
別々の学校に進学していく三人のちょっぴり寂しい心境まで書き込めれば、そこそこいいお話になったはずなのですが・・・


「真冬のデート」
さっきまで寝床のなかにいて、ふと思い浮かんだ情景をそのまま文章にしました。
こういう流れで創作すると、出来はともかくあっぷしたあとの後味はとてもよろしゅうございます。^^
道行く人の目を気にして、履き替えたストッキングは破かないでと頼む彼女の願いを聞き入れて、
二足目は舐めるだけの寸止めにする男に、わずかな思いやりを読み取ってくれれば幸いです。
相手は親ほど齢の離れた吸血鬼なのですが、
さいごの「抱っこ」があるから、彼女も心を許すのでしょうね。


「寸止め。」
一転して、寝取られ話です。
「寸止め」という言葉。
前作でヒロインの女学生が履き替えた二足目のストッキングを吸血鬼が破らなかったシーンで使おうと思ったのですが、
どういうわけか使いそびれまして、創作のヒントになるようなそうした痕跡が消えたのでした。(笑)
スカートのなかで終わらせるのと、深く芯に突き入れてまでし遂げてしまうのとでは、やっぱり雲泥の差がありますね。
男にとっても、女にとっても。
亭主の粋な計らいに感謝のできる情婦と妻だからこそあり得る、亭主の粋な計らいでもあるようです。
も少しコミカルなタッチにすれば、なおよかったか?
どのみちこの程度のお話だったか? 苦笑


「母娘」
しょーもない前作を描いた直後とは思われないほど、一転して構想が変わりました。
ちょっとしみじみなトーンになりましたが、
娘の突きつけた「父さんのこと忘れないでくれるなら」というセリフは、後段になって本人に返ってくるんですね。
「じきに慣れるわよ」で娘が納得してしまうシーンも、自分で描いていてちょっとドキリといたしました。
^^;


「父親の独り言。 ~小悪魔 後日譚~」
3日ほど前に描いていたら出かける間際になっていて、途中でばたばたとPCを閉じたのでした。
あらかた書き終えてはいたんですが。
それを今朝、多少ニュアンスを変えてあっぷしました。

お話の冒頭にも描きましたが、先日あっぷをした「小悪魔」の後日譚です。
ヒロインの吸血少女はまず息子の血を吸って、
それから女の生き血に飢えた自分の父親に、彼の母親を取り持ちます。
こういうときに、息子と妻を吸われた男性はどういうふうになるのだろう?というのが気になってしまうのですが、
いつも通りの展開・・・ということで。

昔流行っていたストッキング地の長靴下がこのお話にも登場しますが、
家族の血を吸った男との和解のしるしに咬ませてやるシーンは、こちらのお話にも出ています。
「両刀使い。」(2016.2.4あっぷ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3261.html

前作のほうが、ホモセクシュアルな展開になっています。
この手の靴下はほぼ絶滅してしまっていますが、
海外のサイトを見ると、その種の嗜好の持ち主を購入のターゲットにしているみたいです。やれやれ・・・
本来は、そういうことではなかったはずなのですが。。。


「互いに互いを~地方赴任者のお愉しみパーティー~」
ひと月前の下書き時点でのタイトルは、「互いに互いを」までだったのですが、
書き上げたときにタイトルの後段を思いつきました。まんまですが。 (笑)
吸血鬼の棲む街に赴任した人たちは、全員家族ぐるみで血を吸われてしまうのですが、
そうなるに至る過程で、こんなふうに皆さん、楽しく足を引っ張り合っているんですね。
サラリーマンの縮図です。(違)

今朝あっぷをした5作のうち、「真冬のデート」「寸止め」「母娘」は今朝のオリジナル、その他は過日に描いたものの翻案 ということでした。
では。

互いに互いを  ~地方赴任者たちの、お愉しみパーティー~

2017年02月12日(Sun) 07:19:02

きょうは、新規に転入してきた社員夫婦を招いての、ホームパーティー。
つきあいの良い事務所長宅は地元の旧家を改造した広大なお邸で、
こういう集まりにはうってつけだ。
招かれた夫婦は、わたしよりも10歳くらい後輩の、三十代後半。
娘が一人いて、いまは転入したばかりの私立中学で、授業を受けている時分だろう。

集まったのは総勢、十数人もいるだろうか。
一同親し気に笑いさざめいてはいるものの――
なかなかどうして、この宴には裏がある。
そもそもこんなパーティーを企画するようになったのは、いつのころからか。
じつは転入者のだれもがくぐり抜ける通過儀礼なのだとわかるのは、すべてが終わったあとのこと。
げんに半年前の、わたしのときがそうだった。

この街の人たちね、吸血鬼と共存しているんですよ。
ここに来る以前から顔見知りだった同僚が、ふとそう囁くと。
一同は一瞬押し黙り、突然部屋の明かりが薄暗くなった。
首のつけ根に鈍痛を感じ、眩暈を起こして。
振り返ると隣にいた見慣れない地元の老人が、吸い取ったばかりのわたしの血を、口許にしたたらせていた。
次は妻の番だった。
失血に眩暈を起こしたわたしは、その場に尻もちを突いて、動けなくなっていた。
老人は猿(ましら)のようなすばしこさで、向かいに座っていた妻に襲いかかった。
キャッと叫んで飛びのこうとした妻は、
あろうことか左右にいたわたしの同僚二人に抑えつけられて、
わたしと同じ経緯で老人に頭を掴まれ、首すじをがぶりとやられてしまっていた。
半死半生になったわたしは、ただ抜け殻同然となってソファに横たわり、
脚を吸われた妻がストッキングを咬み破かれながら、むざむざと血を吸い取られてゆくのを、見守っているよりなかった。
そのあとは――落花狼藉である。
わたしたち夫婦を堕落させることに協力した同僚たちは、てんでに妻の上に群がって、欲望を成就させていったのだった。
相手がわたしの同僚と知った妻はけんめいに抗ったが、だれもが隙だらけの装いのなかに指を差し入れていって、かわるがわる、想いを遂げていった。
「けっこう手こずったね」
みんなは顔を見合わせて笑った。
お互いの健闘をたたえ合うような、妻の頑強さを賞賛するような、たぶん両方の意味でのくったくのない笑い。
「そう悔しがるなって。つぎに転入者が来たときには、あんたもいい想いできるんだから」
同僚の慰めは、共犯者の誘惑だった。
さいごはわたし自身が妻に覆いかぶさって、妖しく昂った熱情を、いままでになく激しく突き入れていた。
そうすることで目のまえの落花狼藉を認めてしまったわたしは、
留守宅に交代で妻を訪ねてくる同僚たちをそれ以上咎めることもなく、
夢中になってしまったことを全身で告白してしまった妻は、
わたしの態度をいいことに、それまでの貞淑妻の仮面をかなぐりすてて、日がな情痴に耽るのだった。

笑いさざめく口、口、口――
それらの口はどれもが、妻の素肌を這った口。
彼らの妻たちも数人、顔を並べていたが、それはきょうのヒロインが凌辱されている間手持無沙汰な順番待ちの解消要員。
そのなかにはむろん、妻の姿も含まれている。
一座の男たち全員の奴隷に堕ちた妻がいる。
同僚の妻たちも皆、同席している男性すべてを識っていた。わたしのことも、よく識っていた。

この街がまだ山間の寒村だったころ、夜這いの風習があったという。
だから、吸血鬼がなじみやすかったのさ。
だれかがそんなことを言っていたが、きっとそうなのだろう。
彼ら地元の者たちは彼ら同士で、互いの妻と親睦を深め合っているという。
わたしたちが同じ風習を平和裏に真似て、何が悪いというのだろう?

きょうの主賓は、地元の長老格のひとりだった。
彼は、ストッキングを穿いた都会育ちの女たちの脚を好んで辱めようとする。
その場に居合わせる都会妻たちの、ひとりを除く全員が、彼にストッキングを咬み破かれていた。
一座の男性の、やはりひとりを除く大半は、妻を最初の餌食に献上する羽目になっていたし、
あの日わたしの隣に腰かけたのも、この男だった。
彼の唇はいままでになん度、わたしたち夫婦の血をあやしたのだろう?
いまとなっては、そんな勘定は意味をなさないくらい、彼の唇はわたしたち一家の血潮をなじませてしまっている。――娘を含めて。
あの晩の出来事は、わたしたち夫婦のなかでも塗り替えられて、
わたしのほうからあの男に、妻の貞操を奪って欲しいと懇願したことになっていた。

なにも知らない初顔の奥さんは、亭主に言われるままによそ行きのスーツをきっちりと着込んできていて。
ライトイエローのタイトスカートの下からは、白のストッキングに透けたふくらはぎを、
それとは意識することなく、ジューシーに見せびらかしている。
部屋の照明を照り返してじんわりと光沢を滲ませているストッキングが、
あと数刻でむざんに咬み破られるなど、
きっと、夢にも思っていないはず。

笑いさざめく口、口、口――
それらの口がほんの一瞬、いっせいに閉ざさるとき。
あの老人は亭主にひと言囁いて・・・
そして部屋の灯りが突然、薄暗くなった。


追記
ひと月ほど前に創作、今朝改稿。

父親の独り言。 ~小悪魔 後日譚~

2017年02月12日(Sun) 07:00:58

先日あっぷした、コチラのお話の後日譚です。
「小悪魔」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3395.html

この街に移り住んで、まだ半月足らず。
そのあいだに妻と息子は、街に棲み着く吸血鬼の手にかかって堕落させられ、その身をめぐる血液を、彼らの好餌にされていた。
わたしが大けがをしたと偽って連れ出され、その道すがら。
妻は男に、息子はその彼の娘の牙にかかって、血を啜り取られてしまったのだ。
大けがをしたのはわたしではなくて、妻と息子のほうだった。
もとより、咬まれた傷はさほどのものではない。
けれども、そのささやかな傷口からそそぎ込まれた毒液は、
彼らの理性を痺れさせて血潮を淫らな色に変え、
ふたりを淪落の蟻地獄へと、引きずり込んでいったのだった。

「あなたの奥さん、うちのパパと浮気しているみたい」
オフィスに訪ねてきたその少女は、白い目でわたしを見、唐突にそんなことを呟いていた。
長い長い黒髪の間に、一見素直そうな、大きな黒い瞳。
上品で齢以上に大人びた紺のワンピースに、白のハイソックス。
お行儀よくきちんと折り返したハイソックスの脛をきちんとそろえ、つぶらな瞳でわたしを見ていたが、
その視線は冷たく、なにかを見通そうとしているようだった。
「おじさん、うちのパパに血をあげてくれませんか」
「何を言っているんだきみは?わけのわからないことを言わずに家に帰りなさい」

いちどはそういって、峻拒してみたものの。
すでに妻も息子も奴隷になってしまったのは、白昼こっそりと帰宅したときに、たっぷり見せつけられてしまっていた。
妻はよそ行きのスーツにわざわざ着替えて、ブラウスを引き裂かれ、おっぱいをまる見えにさせながら、ひたすら首すじを吸われていたし、
息子はおどおどと、少女の言うなりになって、紺のハイソックスのふくらはぎを、じわじわと冒されてゆく。
少女だけがわたしの気配を察して、察しながらも気づかないふりをして、
そして、気づかないふりをしてあげているのよと言いたげに、ご丁寧になん度もこちらをチラチラ盗み見ながら、
息子の履いているハイソックスを、容赦なく咬み破っていったのだった。
父親のほうは、こちらのことなど眼中になく、肌色のストッキングを穿いた妻の脚に夢中になっていて、
ストッキングがしわくちゃになるほど、べろをねぶりつけさせたあげく、ブチブチと咬み破っていって、
喘ぐ妻はすっかり言いなりにされてしまっていて、ベッドのうえにあお向けに転がされると、
ストッキングを自分から片方脱いで、スカートの奥に秘めた股間を、男の侵入にゆだねていった。

「小父さんも、持っているでしょ?ストッキングみたいに薄い、紳士ものの長靴下。
あれを穿いて、パパに破らせてあげてほしいの」
ふたたび現れた少女は、やはり無表情の白い目でこちらのことを睨(ね)めあげてきて。
「降参のしるし」
そういって、クスリと笑う。
「でもね、悦んで。うちのクラスの転校生のママは、みんなパパの餌食になったけど。
あのひとがあんなに熱心につづいているの、奥さんだけだよ」
ほかの人妻たちはみんな、仲間の禿げ親父どもに分け与えちゃった・・・
黒髪の少女は、自分の母親くらいの女性たちの運命を、こともなげにそう片づけたのだ。

週に、3,4回くらいかな。
奥さんのこと、連れ歩いているの。
いつもエッチってわけじゃ、ないみたい。
大人のつきあいのことだから、詳しいことはわかんないけど。
でもね。ずうっといっしょにいるあいだ、お話ばかりしていることもあるんだって。
だんなの顔をつぶしちゃいけない。お宅の家の名誉と秘密は必ず守るって、あのひとにしては態度が殊勝なんだよね。

あくまで上から目線の少女の言いぐさは、自分の父親のことさえ「あのひと」と突き放しながらも、
そんな「あのひと」が妻にかなり真剣なことまで、淡々と伝えてきたのだった。
「降参のしるし、穿いてきてくれる?」
少女はとどめを刺すようにそういうと、黒い瞳でじいっとこちらを見返してきた。


じわり。
わたしのふくらはぎに、男の唇が吸いついたとき。
薄いナイロン生地のうえから感じる唇の熱っぽさに、どきりとした。
このひとはほんとうに、妻に執心なのだと、しんそこ実感した。
這わされた唇は容易に離されることはなく、すぐに咬もうとはしないでゆっくりと、わたしの足許をくまなく這いまわった。
ヒルのように貪欲で、妖しい唇だった。
この唇が、妻の唇を奪ったのか。
この唇が、妻の柔肌を這ったのか。
あらぬ想像が胸の奥を駆けめぐり、わたしの体内をめぐる血潮をまがまがしく染めた。
そんな想いを吸い取った血潮から感じ取ったらしい。
いつの間にか咬みついていた男は顔をあげ、わたしの顔を覗き込む。
「恥じることはありません。貴男は善い行いをなさっている」
わたしが虚ろに肯くと、男はそのままわたしの首すじに咬みついた。
ちゅうっ。
吸いあげられる血潮が、支配するされるものの体内から引き抜かれ、支配するものの喉の奥へと収められてゆく。
この牙が、息子の首すじを噛んだのか。
この牙が、息子の理性まで狂わせたのか。
吸血行為は、共同作業なのだ。セックスと同じくらいの意味で。
目ざめてしまった快感に耐えながら。
わたしはシーツがくしゃくしゃになるほど握りしめ、男の吸血にあえいでいた。
「私の胃の腑には、奥さまやご令息の血潮も満ちているんです。
家族三人仲良く、成仏なさってくださいね」
成仏という言葉はどうやら、堕落という言葉と同義語らしいと自覚しながら。
わたしは小声で「お願いします」と、呟いていた。
男がもういちど、わたしの足許にかがみ込んで。
薄地の長靴下を、思うさま咬み破ったとき。
身体の芯を突き抜けるような開放感が突き抜けて、自分が堕落したことを受け容れていた。

母娘

2017年02月12日(Sun) 06:48:46

母娘ふたり暮らしの家だった。
先に血を吸われたのは、母親のほうだった。
だいじょうぶ?母さんまで死んじゃ、ヤだよ・・・
母親似の大きな瞳を張りつめて案じる娘に、
死なされるわけじゃないみたいだから、だいじょうぶだよ。
母親は気丈に、そう応えた。

つきあいが深まるにつれ、娘は母親の情夫と顔見知りになった。
母親が男を、家に入れるようになったから。
知ってるよね?
母親は何気なく、娘に訊いた。
知ってるって、なにを・・・?
訝し気に訊き返した娘は、母親の問いの真意をすぐにさとった。
父さんのこと忘れないでくれるなら、いいよ・・・
娘はちょっとだけなにかをこらえるような顔をして、そうこたえた。
吸血鬼が娘のことを襲ったのは、それから数日経った頃だった。

どうなっちゃうのかな。
結婚を控えていた娘は、吸血鬼の求愛を受けて、戸惑っていた。
悪いよね?ゼッタイ、彼に悪いよね?
母親は、娘の恋人が薄々状況を知っていることに、気づいていた。
彼はきっと、娘の過ちで心を変えたりしないだろう――そう確信した彼女はこたえた。
彼氏のことを忘れないでいられるなら、いいんじゃないかな?
背中を押された娘はその晩、花婿ならぬ身に、愛し抜かれていった。

難しいんだね。
娘の問いに、母親はなにが?と促した。
父さんのこと忘れないでいても、できちゃうんだね。
言いたいことを知り抜いていた母親は、そっと答えた。
じきに慣れるわよ。
そっか。
娘は食べかけたパンにもうひと塗り、甘いジャムを塗りつけていった。

寸止め。

2017年02月12日(Sun) 06:35:35

いいな?寸止め・・・だぞ。
わかってる。もちろん、寸止め、だ。
男ふたりはまるで合言葉のように、寸止めと念を押し合って、
ひとりは部屋を出て、ひとりは部屋に残って、人待ち顔にソファに背中をもたれさせる。
入れ違いのように入って来たのは、この家の主婦。そして、さっき部屋を出ていった男の妻だった。

いけすかない。
男の妻は口を尖らせて男を睨み、
けれども伸びてくる猿臂を避けようともせずに、そのまま抱きすくめられてゆく。
親友の妻の首すじに牙を突き立てたとき。
男は初めて、本性をあらわにした。

あぁ~っ・・・
血を吸い取られてゆく女のか細い声に満足するかのように、
男は女をギュッと、抱きしめる。
この街に出没する吸血鬼は、血を吸った相手は必ず犯すという。
男もその例外では、なかったはず。
吸血鬼になってしまった親友に、「お前の奥さんの血が欲しい」と告白された男は、善意の持ち主だった。
「でも妻は、ほかの男には抱かれたくないと思う」
そんなふうに妻の身を案じる男に、親友は言った。
「約束する。必ず寸止めにするから」
スカートのなかにペ〇スを突っ込むまでは、赦してくれ。
そのまま吐き散らかして、太ももを濡らすまでなら、ガマンしてもらえるだろうか?と。
妻には言い含めておく、と、善意の夫は言った。

目のまえでくり広げられているのは、明らかに愛し合う男女の痴態。
善意の夫は隣室から息をつめて、情事に耽る妻と親友とを見つめつづける。

一時間後。
寸止め、だったよな?
ああもちろん、寸止めだ。
男ふたりは念を押し合うように言葉を交わし、
夫は気絶した妻をお姫様抱っこして、夫婦の寝室に連れ戻る。
我に返った妻は、今夜も強調するのだろう。
エエもちろん、寸止めだったわよ・・・と。

真冬のデート

2017年02月12日(Sun) 06:24:17

やっぱり、いやらしいよぅ。
セーラー服の少女は天を仰ぎながら、ため息交じりにそう言った。
けれども、足許にかがみ込んできた吸血鬼が、黒のストッキングのうえから唇を吸いつけてくるのを、それ以上咎めようとはしなかった。
色白の頬に、ルージュを刷いていないのにまっかな唇が、齢不相応になまめかしい。
細い眉毛を、ちょっとだけ悔しそうに逆立てて。
よだれに濡れた唇が、クチュッと音をたてて薄地のナイロン越しに圧しつけられてくるのを、
ベンチの座席の端をギュッと握りしめて、目をつぶってこらえた。

あー・・・
眩暈をこらえながら。
少女は上半身を頼りなさそうにぐらぐらと揺らつかせていた。
黒のストッキングは両脚とも、派手な裂け目を走らせてしまっている。
男はよほど、少女の履いているストッキングに執着しているらしい。
それでもまだ、好色な舌を擦りつけるのをやめようとせずに、薄地のナイロン生地をふしだらに皺寄せてゆく。
いよいよ少女の身体がバランスを喪った瞬間――
おっと。
目にもとまらぬ素早さで男は身を起こし、少女の傍らに座り込んでその身を受け止めた。
分厚い掌にがさつな手つきで髪を撫でられながら。
少女は口を尖らせて、「ばか」と言った。

連れだってたどる家路。
少女の足許はふたたび、真新しいストッキングで、隙なく染められている。
貧血が収まるまでベンチで横になっている間。
舐めるのはいいよ。でも、破かないで。
ちょっと切なげな顔をした少女の願いを容れて、男はチロチロと舌を這わせつづけていた。
はた目にはわからないけれど。
知的な墨色をした薄地のナイロン生地には、男の好色なよだれがたっぷりと、しみ込まされている。

家の玄関のまえで、男はコートの襟を立てたまま、言った。
じゃあね。
うん。
少女は濡れた瞳で、男を見あげる。
男はそんな少女のか細い肩を、優しく優しく抱きしめる。
黒マントの吸血鬼が、獲物を包み込んでしまうように、身体と身体を寄り添わせて。
少女はこの時を待っていたかのように、幸せそうにほほ笑んで、男に身をゆだねた。
木枯らしが控えめに吹き抜けるなか、ふたりはじっと佇んで、しばらくのあいだ、そうしていた。娘の帰りを待っている家族の立ち居振る舞いが、気配となって外に伝わってくる。
それはは、外でのふたりのようすを知りながら、わざと知らぬふりをしているかのようだった。

おいしかった。
男がぬけぬけと言うと、
女は白い目で男を睨みあげ、もういちど「ばか」と、言った。
けれども、玄関のドアを開けるときもういちどだけ振り向いた少女の目は、「またね」と本音を呟いている。

卒業間近の、仲良し三人組

2017年02月09日(Thu) 07:37:02

「ハイソックスに、血がついてるわよ。」
「おはよう」といいながら教室に入って来たまり子に、マミちゃんが冷やかすように声を投げた。
「ウフフ。だって、ウチ出たところで吸われてきたんだもん」
まり子はいたずらっぽく笑い、友だちを誘惑にかかる。
「校舎の裏にね、いま来てるの。あなたたちも、吸われてみない?」
「おもしろそうだね」
仲良しのマミちゃんとカナちゃんが、さっそく同調する。
幸い、三人の席は教室の後ろのほう。
「こら!待ちなさい!」
担任の京子先生の叱声を背に、三人はばたばたと教室を抜け出していった。

「もうじき卒業だからね、記念に小父さんに吸ってもらいたいんだって」
まり子はしゃあしゃあと、そんな嘘をついた。
相手の吸血鬼は三人。こちらの女の子たちも、三人。
まり子の相手以外の二人は、どっちの子を取ろうか?と、お互い探り合いの視線を交し合い、
等分に女の子たちの発育のよい身体つきに視線をからみつかせて、もの欲しげな目つきで値踏みを始めている。
いざ吸血鬼を目のまえにすると、女の子たちはすっかり、怖気づいてしまっていたけれど。
三人対三人・・・もう逃げられないと観念したらしい。
気丈なマミちゃんのほうが先に、「どっから吸うの?」と訊いてきた。
「まり子のハイソックスに血がついているのを見ただろう?」
異性のよさそうなマミちゃんを気に入ったらしい六兵衛は、さっきまでまり子の血を吸っていた甚太を見やった。
まり子の血を吸った甚太は、吸い取ったばかりのまり子の血を、まだ口許に散らしている。
「じゃあ、あたしこの小父さんにする」
マミちゃんは思い切りよくそう宣言すると、六兵衛に近寄って強引に腕を組んだ。。
「みんなね、三月に卒業したら、別れ別れなの。着る制服も、べつべつなんだよ。
 マミちゃんは、セーラー服。カナちゃんはブレザー。
ほら、よく見かけるでしょ。ワンポイントのついた濃いグレーのハイソックスの学校だよ。
自動的にカナちゃんの血をゲットできることになった治平は、こけた頬を引きつらせるようにして、ククク・・・と笑う。

「こら!こんなところでなにしてるのっ!?」
京子先生がやっと追いついて三人のことを見つけたときには、女の子は三人が三人とも夢中になってしまっていた。
だれもが、白のブラウスをはだけてブラジャーの吊り紐までさらけ出し、胸を揉まれながら血を吸いあげられている。
少女たちは皆、目線を宙に迷わせ、口許からよだれを垂らしながら、気前のよい献血に励んでいたのだった。
「誰なんですか?あなたたちはっ!うちの生徒に、なにをしているの?」
いちばん気前のよかったマミちゃんの首すじから顔をあげた六兵衛が、京子先生を見返した。
京子先生の気丈な叱声は、すぐに熄(や)んだ。

「お願い・・・お願い・・・放して・・・放してください・・・っ」
京子先生は弱々しく抗議しながらも、群がら詰まって来る三人の吸血鬼を、どうすることもできないでいる。
ひとりは京子先生の首すじを、ひとりは手首を、三人めはふくらはぎに、もの欲しげな唇を擦りつけて、
女教師の生き血を夢中になって、吸いあげていた。
教え娘たちとおなじように、はだけたブラウスからはブラジャーの肩ひもが覗いていて。
ロングスカートをまさぐり上げられてあらわになった太ももは、薄茶のストッキングになまめかしく染められている。
早くもひとりが、京子先生の太ももを、好色な唇で冒しはじめていた。
まだ童顔の生徒三人の目の前で、京子先生のストッキングはブチブチと悲鳴に似た音をたてて、むざんに咬み破られてゆく。
「あたし、4月から黒のストッキング履くんだけど――きょうの先生みたいにされちゃうのかなあ」
マミちゃんはのんびりとそういって、まり子のほうを振り返る。
「そうだねー。いい眺めだねー。そこはかとなく、いやらしいし」
マミちゃんの履いていた白いハイソックスは、ストッキングのようにスケスケで、
六兵衛さんのいやらしい舌にいたぶられたあげく、縦にツツッと鮮やかな裂け目を走らせてしまっていた。
「や~ら~し~い~~~♪」
まり子は冷やかすように、照れるマミちゃんの横顔を、言葉でいたぶってゆく。
「やだっ!もうっ!」
マミちゃんは照れ隠しに、まり子のことを力任せにどやしつけた。

むかし話~鬼と新妻

2017年02月09日(Thu) 07:23:38

昔々、ある村に、凄腕の吸血鬼が棲んでいた。
かつては村人たちを吸い殺し、屍体を寺の山門の梁にぶら提げてさらしものにしたというが、真偽のほどは定かではない。
いまでも人妻や娘をかどわかしては血を吸い、生娘はそのまま家に帰したが、
人妻やすでに男を識っている女は、夜もすがら愛し抜かれて骨抜きにされ、夢見心地で家路をたどったそうな。
生娘が無傷で返されるのは、鬼が生娘の生き血を好むからだと言われていて、
その証拠にいちど吸われた娘はなん度でも、鬼に誘い出されて、村はずれにある鬼の棲み処に自分から出向いていくようになるのだった。

作治は去年、隣村から嫁をもらったばかりだった。
嫁の齢は19、鬼がこれに目をつけぬはずはない。
鬼は作治の新妻をなん度か狙ったものの、
それが白昼だったためか、女にのぼせあがって手元が狂ったものか、まだ想いを遂げ切れないでいた。
けれども鬼が嫁を汚してしまうのは時間の問題と、だれもが観念していた。
どうやら鬼は、いつにもまして真剣なようだったから。
嫁の不行儀をしつけるのは姑の役割であったけれど、
その姑にしてからが鬼にモノにされていて、もう長いご縁もあるものだから、
下手をすると姑が嫁を村のしきたりになじませるために、作治の嫁を連れ出しかねないふうだった。

作治は身体の弱い男だった。
鬼を退治して嫁を守るなど、思いもよらず(作治に限らず、そんなことのできる男はいなかった)、
とうとう思いかねて鬼の棲み処を訪ねていった。
作治は鬼に頭を下げて、自分の嫁を襲わないでくれと願ったが、
鬼はあべこべに言ったものだった。
お前の嫁に惚れてしもうた。いちどで良いから想いを遂げさせてくれまいか。
旧家の跡取りだった作治は自尊心の強い男だったので、憤然としてそれを断り、家に一歩も近寄るなと言ったものだった。
その翌日、鬼は作治の嫁をつかまえて、ひと晩かけてたっぷりと、愛し抜いたものだった。

数日後。
病弱な作治の財産を狙っていた近場の悪党どもが、こぞって何者かにひねりつぶされたと、村の者たちは噂した。

さらに数日後。
作治がふたたび、鬼の棲み処を訪ねてきた。
お前のおかげでわしの嫁は、めろめろになってしもうた。
夜な夜なお前を恋しがって、夜の営みもままならぬ。
勝手に通え。
そのかわり、わしがおらぬ昼間の間だけぢゃぞ。

そして一年後。
鬼に惑った作治の嫁は、作治と鬼とに代わる代わる愛されて、
それでも立派に作治の跡取りをもうけていた。
鬼は種なしだったので、女を犯してもその家の血すじを乱すことはしなかったのだ。
作治の家は裕福だったので、嫁は子供を下女に任せて自由に昼間は出歩いて、鬼の棲み処を訪ねていった。
「勝手に通え」と突き放したはずの作治は、嫁の後をひっそりと尾(つ)けていって。
行先を確かめるだけでは済まさずに、鬼が嫁を愛し抜いて行く様を、やはりひっそりと、見届けていくという。
見栄っ張りな作治の、さいきんの言いぐさは
「うちの嫁は身持ちが固くて、鬼に迫られても三月は操を守った」とか、
「鬼のやつ、たいがいの家の嫁はすぐに手なずけてしまうのに、
うちの嫁に限ってはそうはいかず、のぼせあがったあまりに、想いを遂げるまでになん度も仕損じたそうな」
とか抜かしてをるそうな。
きっと。
作治の跡取りが成人して嫁を迎えたあかつきには。
姑だけではなくて義父までも、鬼が跡取りの嫁の密(みそ)か夫(お)となるよう、そそのかしていくのだろう。

ちょっぴり解説。

2017年02月09日(Thu) 06:34:49

コメをいただいたのでいい気になって、あっぷした新作についてちょっとだけ。

「小悪魔」
当ブログに女吸血鬼が出現するときは、なんの前触れもなく唐突に出てくるんです。
この2年くらいは、下書きをしてからあっぷする場合が大半なのですが、
(以前はほぼ全編、入力画面にベタ打ち)
先月の女吸血鬼さんも、今朝の彼女も、下書きするのを許してくれませんでした。

同級生は吸血鬼。そして、自分のパパに僕の母さんの血を吸わせるために、僕に迫って来た――
そんなストーリーです。
同級生の男の子がMな歓びを識ってしまったのを確認するように、オトナでもなかなかできないあるロコツな儀式を行います。
そんな情景も、さらっと描いてみました。

冒頭の、「長い長い黒髪で・・・」は、とある実在の文学作品の一節に想を得て描いてみました。


「顔見知りの少女。」
じつはこのお話、1月26日にできあがっていたのです。手元のメモを見ると。
たぶん、描いているうちに仕事に出る間際になってしまって、それであっぷを見送ったのだと思います。
ほかにもいくつとなく、途中まで描いて放りっぱなしになったものが・・・ (/_・;)
いちど手を離してしまうと、なかなかあとがつづかないものなんですよ。

自分が履いているハイソックスに執着して足許にかがみ込んでくる年上の男を、「バッカみたい」と蔑むように見おろして。
それでも好き放題によだれまみれにさせておいて。
さいごにピシャリ!と平手打ち。
気の強い彼女ですが、案外優しい面もあるのかも。
潔癖なはずなのにガマンして、結局男の好きにさせてしまっているし、
貧血でふらふらになるほど、血を吸い取らせてやってもいるんです。

顔見知りの少女。

2017年02月09日(Thu) 06:25:57

女の子のハイソックスをイタズラしたいなんて・・・あなた相当、ヘンタイね。
優奈は白い目で、俺を見つめた。
血に飢えた喉がはぜるように、目の前の少女の生き血を求めていた。
いいわよ。咬ませてあげる。あたしのでよかったら――あんたみたいなヘンタイ、相手にする女の子なんていないだろうから。
ぞんざいに投げ出された、紺ハイソの脚に。
俺は無我夢中で、むしゃぶりついていた。
大人を軽蔑したい少女の仕掛けた、稚拙な罠にわざとはまって。

濃紺のハイソックスのうえから、舌をロコツに這わせると。
しなやかなナイロン生地の向こう側、しっかりと発育したふくらはぎの生硬さが伝わってくる。
強気な少女のふくらはぎは、意固地な剛(つよ)さを秘めていた。

どお?楽しい?
優奈の声が値踏みをするように、頭のうえから降りそそいでくる。
愉しいし、ありがたい。それから、小気味よい。
続けざまに、思い浮かんだ言葉をつなげると。少女はいった。
小気味よい、だけ、賛成。
大人をばかにし切った声――
あと、嬉しい。
不意に口をついて出たつづきに、少女は不意打ちを食ったように、すこし黙って。それから、いった。
ヘンタイ・・・

濃紺のハイソックスを履いた脚はそれでも引っ込められることはなく、
ピチャピチャと音をたててねぶりつく俺のワイルドな欲情に曝されるまま、よだれまみれになってゆく。

こんどはいつ逢うの?
くるぶしまでずり落ちたハイソックスをもう一度ひざ小僧のすぐ下まで引っ張り上げながら、優奈は訊いた。
また、逢ってくれるの?
もちろんよ。あなた、モテないだろうから。
こちらをふり返る頬が、失血に蒼ざめ透きとおっている。
少女から獲た血の量は、上気した頬でじゅうぶん、実感できていた。
さっきまで。あれほどカサカサに干からびていたのに――
けっこうなダメージだったはず。
じっさい少女は、自分のダメージを素直にあらわにするように、腰かけた椅子からずり落ちて、すとんと尻もちをついた。
すこしは遠慮しなさいよ。
悪りぃ。きょうのところは、無理だった。
謝る俺に、
モテないもんね。
女は念を押すようにそういって、フフッと笑う。
大人びたその冷笑に、なぜか報いてやりたくて。
俺は少女の肩を引き寄せ――唇を吸っていた。
強烈なビンタが、お返しで飛んできた。
これで、おあいこにしてあげる。じゃあまた、金曜ね。
自分のつごうを一方的に押しつけると。
少女は起ちあがり、こちらに背を向けて歩み去る。
いちども、ふり返らずに――

こんなことをほざいたら、たちまちぶっ飛ばされるだろうけど。
貧血を起こしたよろけ気味の足どりだけが、ちょっとだけ痛々しかった。

小悪魔

2017年02月09日(Thu) 06:08:09

長い長い黒髪で首を締められたら、どんな気分になるかわかりますか?

そんな一節。どこかの本で読んだはず。
その子のことを初めて見かけたときに、どうしてそんな言葉が思い浮かんだのか。いまでもよくは、わからない。
「そんなこと感じたの。あなた、直感が鋭いわね。女の子みたい」
あとになって僕の話を聞いた彼女は、そういってクスッと笑った――

僕が彼女に初めて会ったのは――もういいや、リサという本名で書いてしまおう――この街に越してきて10日ほど経ったある日のことだった。
「大変です。ご主人が大けがをされました」
父さんよりもずっと年上のその律儀そうな白髪頭の男が僕の家を訪れて、母さんにそう告げたのだ。
リサはその男の娘だといって、あとについて来たのだった。
不機嫌そうな怒り顔で、へどもどとあいさつをした僕には返事すらしないで、睨み返してきた。
おでこがまる見えになるほどひっつめたポニーテールの長い長い黒髪は、真っ白なカーディガンになまめかしく映えていた。
まだ、年ごろというには入り口の年代のはずなのに。
まだ、同じクラスの子として出会って、2週間もたっていないのに。

「早く行こ」
よそ行きのスーツに着替えるのに時間を取られた母さんと、先導役のはずの自分の父親を置いて、
リサは僕の手を取って、いきなり駆け出した。
つんのめりそうになりながらも、僕は必死であとを追った。
彼女の握力は強く、振り放すこともできないままに。
母さんの姿が見えなくなるほど走ったあと、さすがに息を切らしたリサは、「こっち」とみじかく告げると、
道を外れた生垣の向こうへと、僕のことをいざなった。
いきなり押し倒されて尻もちをつかされた僕は、「なっ、なにを・・・!?」って言ったきり、二の句をつぐことができなくなっていた。
首のつけ根のあたりに彼女の歯を感じて、身動きできなくなっていたのだ。
長い長いポニーテールは、こういうふうに使うのだと言いたげに僕の首に素早く巻かれ、
窒息しそうになった僕は、じたばたしながら結局どうすることもできずに、そのまま首を噛まれていった――

「吸血鬼だったの?きみ・・・」
無言の哂いで応えるリサの頬は、僕から吸い取った血を、まだぬらぬらさせていた。
「うちのパパに、あなたのママを襲うチャンスをあげてくれる?」
否応なしのお願いだった。
「ちょっとのあいだ、ここから覗いているだけでいいんだから」
え?
イタズラっぽく輝く黒い瞳にそそのかされるようにして、生垣の向こうの道に目をやると。
そこで母さんがたったまま、リサの父さんに噛まれているところだった。
さっき僕が、リサに噛まれていたのと、おなじように。
強く横抱きにされた母さんは、どうすることもできずに目を白黒させながら、首すじを嚙まれつづけて、
チューチュー音をたてて、血を吸われている真っ最中だった。
チャコールグレーのジャケットの肩先に、真っ白なブラウスに、吸い取られた血が点々と散っているのが、
ドキドキするほど・・・なまめかしかった。
なんで、「なまめかしい」なんて、感じてしまうんだろう?
訝しく思う僕の首すじに、リサはまたも嚙みついてきた。
「だれかが血を吸われているのを見ていると、こっちも欲しくなっちゃうんだから」
って、言いながら。
彼女はつねるような痛みを無遠慮にねじ込んできて、容赦なく僕の身体から血を吸い取っていった。

「すまないですね」
太い樹を背に追い詰められた母さんは、足許にかがみ込んでくる男をまえに、やっぱりどうすることもできないで、
しっかりとした肉づきのふくらはぎに、唇を吸いつけられてしまっていた。
脚に履いていた肌色のストッキングが、くしゃっと引きつれて、みるみるうちに破けていった。
貧血を起こした母さんがその場に尻もちをついてしまうと、リサは僕を引きずり出すようにして生垣から通りのほうへ引返して、
仰向けに倒れた母さんのすぐ傍らに僕のことを引き据えると、こんどは足許に噛みついてきた。
噛み破られたハイソックスに滲んだ血が、生温かく拡がった。
母さんの隣で僕が、リサにハイソックスの脚を噛まれていって。
僕の隣で母さんが、リサの父さんに肌色のストッキングをびりびりと破かれていって。
「こっち行きましょ」
リサは僕のことを引きずり回すようにして母さんの傍らから離すのと、
リサの父さんがまるで獣が獲物を漁るようにして、母さんのブラウスの胸を押し拡げるのとが、同時だった――

「うふ。お〇ん〇ん、勃ってるよね。たいがいの子が、そうなんだ。男の子って、面白いね」
半ズボンのうえからあてがった手をそのままベルトにかけて、僕の腰周りを引き剥ぐと、
リサは遠慮会釈なく、僕のペ〇スを咥えていった。
ためらいなどかけらもない、慣れたやり口だった。
まだ稚なげな唇が僕のペ〇スを呑み込んで、舌先が挑発するように、先端を刺激する。
思わず不覚にも。
びゅびゅびゅっっ・・・と、吐き出してしまった。彼女の口のなかで。
「行儀悪いね」
リサはしんそこ怒った顔つきで僕を睨み、それでもゴクゴクと呑み込んでしまった。
「ほら、あんたのママも、愉しんでいるわよ」
指さす方向でくり広げられる情景を、目にしたくはなかったけれど、やっぱり目を向けてしまった。
向けた目はそのままクギづけになって、唖然とした僕の横顔を面白そうに眺める視線に応えることさえ忘れていた・・・

「洋太のパパ、大好き!」
自宅のソファでくつろいだ父さんに、ソファの後ろからリサが抱きついたのは、その数日後の土曜日のこと。
僕と同じ経緯で、父さんはあの長い長いポニーテールの黒髪を、まんまと巻きつけられてしまって。
窒息寸前まで追い込まれながら、首すじを噛まれていった。
「お前、母さんを誘い出して噛ませたんだって?」
そう訊いてくる父さんの目は、怒っていなかった。
お互いにお互いの首すじにつけられた、同じサイズの歯形を見つめ合いながら。
「まあ、仕方ないか」と、うつろに笑い合ってしまっていた。
さっき、リサの父さんに連れ出された母さんは、夫婦のベッドに押し倒されて、切ない吐息を吐きつづけている。
気前よく咬み破らせてしまったストッキングは、早くも片方、脱がされていて。
花柄のフレアスカートは、齢不相応に逞しい腰の侵入を受けるままにくしゃくしゃにされて、
それを父さんはドア越しに、眩しそうに見つめている。
「よそで話しちゃ、ダメだぞ。父さんと母さんの不名誉になるからな」
目を白黒させながら、母さんの浮気現場から目を離せなくなっている父さんのことを冷やかすように、リサは言った。
「だいじょうぶよ。うちのクラスの転校生のお母さんは、みんなうちのパパが食っているから」

それ以来。
リサのパパと母さんの交際が、半ば公然と始まった。
「うちのパパ、あなたのママが気に入ったみたい。
 2日に一度は連れ歩いているわ。
 ほかの子のママよりも回数多いし、逢っている時間も長いみたい」
ひとをこばかにしたようにフフッと哂うリサは、つぎの瞬間悩ましい目つきで、僕に迫る――
「あなたもあたしに、噛まれてくれるわよ・・・ね・・・?」

いやはや。

2017年01月24日(Tue) 07:46:08

いくつ描いたっけ?
ほとんど、今朝思い浮かんだお話ばかりです。
一話だけ、昨日の朝描いてちょっと直したのがありますが。
こういう朝も、ありますね。
ああ、きょうも、すとれすの多そうな一日になりそうです。。。


お話のかいせつを、すこしだけ。(あっぷした順です)
「ケーキ屋の娘」
学校帰りの制服の上からエプロンをした少女が、お母さんのお店をかいがいしく手伝ううちに、店には異様な老婆が現れて・・・
先日女吸血鬼を描いてほしいというリクエストがあったのが頭に残ったのか、お話のすじ書き同様まったくだしぬけに出現しました。
(汗)

「タウン情報 町営スポーツ施設・・・」
夕べネットサーフィン(死語)していたら、バレーボール用のオーバーニーソックスのページが目に留まりまして。
それがかすかに、記憶に残っていたみたいです。

「タウン情報 ひっそりと広まる女装熱」
冒頭のお父さんのひと言は、以前から思い浮かんでいて、ぜひ作品化しようと思っていたのです。
女装者が認知され、ふつうに暮らせたり恋愛できたりする世の中は、柏木のなかではひとつの理想です。


「サッちゃんと母親と」
まんまなタイトルですね。
気になる女の子が体育館で吸血されたのを、ゾクゾクしながら視てしまった少年のお話です。
自分も血を吸われ、お母さんまで吸われてしまうのは、ここではお約束のようですな。

「純白のドレスの追憶」
昨日朝のメモに、ただ一行。
「ヨーロッパ宮廷の白いドレス」。
これ以外ひと言も描けずに放置しました。(笑)
でも、こういうのが描きたかったのです。
ウィーンかロンドンあたりの上流貴族の社交界をイメージしました。
ケーキ屋さんに現れた女吸血鬼はみすぼらしい老婆でしたが、
こちらは妖艶な貴族令嬢として血を吸われ、そのままの若さを保っているようです。

ほかにきのうの朝のめもにいわく、
「娘が同級生を自分と父親のために家に招待する」
作品化できそうにありませんので、メモだけ載せておきますね。
(^▽^;)

純白のドレスの追憶

2017年01月24日(Tue) 07:35:52

もう、大昔のことだけれど。
あたしが青春時代を過ごしたのは、ヨーロッパの某国の宮廷社会。
そこではね、処女の子は純白のドレスを着て、社交界デビューするの。
あたしもそうしたなかの、ひとりだった。
子爵令嬢だったのよ。
母はとても美人で、宮廷でも浮き名を流したひとだったから。
あたしが深窓でそだれられているうちから、まだあたしのことを見もしない殿方がわれもわれもと、求婚を殺到させたの。
それで、17でデビューすることになったのよ。
父はきれいに着飾ったあたしのことを、遠くから心配そうに見つめていたわ。
きっと、娘に悪い虫がつきやしないかと、気になったのね。
でも、結果はもっと、悪い虫がついてしまったの。

そう。
初めて人前で、細い肩をまる見えにさせて、
そらぞらしい外気と、騒々しい喧騒と、昂るようなシャンデリアの眩きの下、
あたしは夢中になってた。
いつの間にか黒い影が傍らから寄り添って、周囲の視界からあたしのことを遮っていったのも、うかつにも気づかずにいた。
それは、処女がもっとも忌むべき相手だったわ。吸血鬼だったの。
たしかに、そう――伯爵と名乗っていらしたわ。
そのかたはあたしを、廊下に呼び出して。廊下の隅の小部屋に引き入れて。
ドキドキするような冷たい瞳を輝かせて、
お互いの瞳を吸い取るように見つめ合って、
顔と顔とを、近寄せあっていた。
その瞬間まで、若い殿方と思っていたその人が、じつは老いさらばえた老人だとわかったときには、
唇と唇とが、触れ合いそうなほど顔を近寄せあっていた。
唇で受け止めようとした唇は、あたしの肩先に這わされて、
チクリ――と、冷たい感触を、あたしの薄い皮膚に滲ませてきた。
ググッと突き入れられる疼痛と、それに応じるようにあふれ出る鮮血のぬくもり――
あたしはそのまま陶然となって、生き血を吸い取らせてしまっていたの。

きっと、気前の良い子だと思ったことでしょう。
その夜その小部屋から出ることのできぬまま、
あたしは身体じゅうの血を、一滴あまさず、そのかたに差し上げてしまったの。
冷たく横たわるあたしを目にして嘆いた両親は、その翌晩にはもう、
あたしと、あたしの血を吸ったあの方との毒牙にかかって、こちらの世界に移り住んでくれていた。
ね?わかるでしょ。
この病はね、伝染するの。
あなたもあたしを視てしまったということは――もう伝染(うつ)っちゃっているわね。

え?ヨーロッパの宮廷に憧れるんですって?
純白のドレスにも憧れるんですって?
もっとそのころのことを教えてほしい。勉強したい、ですって?
そうね。あなたもいま、純白のドレスを着ているものね。
かわいいわ。あなた。ドレスもとっても、よく似合っている。
でも、ダメよ。見逃してあげることはできないわ。気の毒だけど。
あなた、ここであたしに血を吸われて、肌を透きとおらせてしまなければいけないのだから。
そうよ。一滴余さず、味わってあげる。

若いひとの生き血にありつけるのって、なん十年ぶりかしら。
そう、あなたのお父様・お母様のお若いころ以来だわ。
そのころはまだ、ストッキングを穿いた若いお嬢さんが、ふつうにいらしたけれど。
いまの若いひとって、ストッキング穿かないのね。つまらない。
でも、正装するときにはさすがに、脚に通すことになっているようね。
あとであなたが気を喪ったら。
純白のドレスのすそを、腰まで引きずりあげて、
ピンク色に透きとおる脚から、純白のストッキングを咬み破いてあげる。
びりびり、ブチブチ・・・ッて、思い切り見苦しく。はしたなく。ふしだらに!
ウフフ。
そんな仕打ちを受けてもあなた、気づかないのよ。もう、気づけないのよ。
だって。
そのときにはもう、あたしの奴隷になって、白目を剥いて気絶しちゃっているんだもの。
でも・・・そこは選ばせてあげてもいいかな。あなた、かわいいから♪
正気のまま生き血を吸い取られ、花嫁衣裳を辱めてもらいたい?
そんなふうにして、生きながら血を吸い取られて、あたしの奴隷に堕ちていきたい?
それも、楽しそうね。そうね、きっと楽しいわ。
結婚を控えているから、やめてください、ですって?
甘いわ、あなた。
だから、妬ましいの。だから、憎らしいの。
あたしだって。あたしだって。17で吸われたのよ。
恋の楽しみも、キスの快楽も知らないで。
だからあなたにも、そうしてあげる。
ね?あなたの若さで、あたしのことを慰めて。
たったひと晩で、かまわないから。
つぎの日の夜は、あなたのお通夜になるわ。
みんな黒のストッキングを穿いて、若くして亡くなったあなたのことを悼むの。
どう?嬉しい想像でしょ?いまから、ゾクゾクするでしょ?あたしに血を吸い取られたくって、たまらなくなって。
じゃあ、そろそろいただくわ。
美味しく、美味しく、いただくわ。
怨むなら、百年以上まえにあたしのことを襲ったあのひとのことを怨んで。
あたしは、あなたに恋しただけ。
だから、あなたの若い血を、身体じゅうに宿してあげる。
人生初めてのキスを、女のあたしから・・・・・・。

ちゅうっ。

――目が覚めたとき、枕元に置かれた手鏡に映した私の首のつけ根に、赤黒い歯型がありありとついていた。
きょうは、お見合いの日。
ああ、血が欲しい。うら若い女の血が欲しい。
きょうのお見合いの相手には、きれいなお母様と年頃の妹さんがいるという。
どこにお連れすればいいの?
命令してください。お姉さま・・・

サッちゃんと母親と。

2017年01月24日(Tue) 07:07:45

幸田貴志は公園で、吸血鬼に遭遇した。
走って逃げれば、逃げられなかったわけではない。
その吸血鬼は脚が悪く、貴志の脚力なら、振り切って逃げることができるはずだった。
けれども彼は半ズボンに紺のハイソックスの制服姿を、ベンチから起たせようとはしなかった。
じいっと見つめる目と、目。
相手はゆっくりと、近づいてきた。
逃げないんだね?
男は訊いた。
父親よりもずっと年上の、白髪の男だった。
貴志が逃げなかったのは、男に見覚えがあったからだった。
そしてその時のことが、どうしても気になったからだった。

体育館の倉庫で、サッちゃんの血を吸っていた人だよね?
ああ・・・そうだが。
見られていたんだな、と、男は呟いた。
夢中になって吸っていたからな。不意を打てば、きみは彼女を救えたかもしれなかったぜ。
貴志はかぶりを振った。
でも、サッちゃんは逃げるつもりがなかったみたいだから。
押し倒された少女の顔は、吸血鬼の肩に隠れて見えなかったけれど、
甘いうめき声は、いつものサッちゃんからは想像のつかないものだった。
ただ、立膝をした真っ白のハイソックスのふくらはぎが、ひどく鮮やかに網膜にしみ込んだ。
わざわざそのためにおニューをおろしたらしいハイソックスは、眩しい白さに輝いていたが、
ところどころ血が撥ねて、丁寧に咬まれたらしい痕は、特に毒々しく染まっていた。

だから、わしの愉しみを邪魔しないでいてくれたのだな。
そういうことになっちゃうね。
貴志はちょっと、悔しそうだった。
サッちゃんが好きなんだね?
問いには答えずに、貴史は訊いた。
サッちゃんの血を、吸い尽すつもりなの?
そんなつもりはない。それに彼女はもう、半吸血鬼になっちゃったからな。
え・・・
さすがに貴志の顔色が変わった。
ぢゃが、人の生き血を吸えば、真人間に戻れる。
サッちゃんは、僕の血を吸ってくれるかな・・・
たぶんね。
わしがそう仕向けるさ・・・と、吸血鬼は顔で答えた。
じゃあ、小父さんに吸われても構わないや。
貴志は紺のハイソックスの脚を、黙って吸血鬼のほうに差し伸べる。
サッちゃんが血を吸われるところをいつも覗いていた貴志は、
いつも彼女が学校に履いて行く真っ白なハイソックスを咬ませてしまっているのを知ってしまっていた。
すまないね。
吸血鬼は貴志の足許にかがみ込み、ハイソックスのうえから飢えた唇を吸いつけた。
サッちゃんのハイソックスを破り、素肌を咬んだのと同じ牙が、
自分のハイソックスも咬み破り、鈍い疼痛を滲ませてくるのを、貴志は感じた。

約一時間後。
貴志は蒼ざめた顔をして、家路をたどる。
連れの男はさっきまで吸い取っていた貴志の血を、まだ口許にしたたらせていた。
すれ違っていく通行人たちは、それと気づいていながらも、見て見ぬふりをしてやり過ごしていく。
この街では、吸血鬼たちは存在を認知され、昼日中から堂々と闊歩しているのだった。

息子さんが具合を悪くしていたのでね。お連れしたのですよ。
玄関に出てきた貴志の母親は、来客の正体をひと目で知って、蒼ざめたけれど。
蒼ざめた息子がそれでも穏やかな表情をしているのを見て取って、すぐに決意を固めたらしい。
「どうぞ」とひと言だけ言って、男が敷居をまたぐのを許していた。
吸血鬼は、肌色のストッキングに包まれた貴志の母親の足許から、もの欲しげな視線をはずそうとしなかった。
畳部屋に寝かされた貴志は、わざと開かれたふすまのすき間から、
リビングに押し倒された母親がストッキングを破られながら犯されていくのを、ドキドキしながら見守った。
凌辱される母親の姿を目にしたことでもたらされた昂ぶりが、貴志の血の気をじゅうぶん取り戻していたけれど。
あのとき、白のハイソックスの脚を切なそうに足ずりしながら血を吸われるサッちゃんを助けなかったのと同じように、
母親がストッキングを片方だけ穿いた脚をゆらゆらさせながら腰を振って応じていくのを、複雑な視線を送りながら見つめ続けていた。

タウン情報 吸血鬼を受け容れた街に新現象――ひっそりと広まる女装熱

2017年01月24日(Tue) 06:57:19

「来週から、女子の制服を着て学校に行きなさい」
高校二年生のとき、岸村裕美さん(仮名)は父親からそう言い渡され、面食らった。
翌日母親に付き添われて町内の制服販売店に行って採寸してもらい、
数日後にはできあがったばかりの女子の制服を着用して登校するようになったという。
受け入れ側の学校は、事前に父兄からの届出を受理しており、担任を通じて周知もされていたため、
同級生をはじめとした学校関係者は、女子の制服を着用した裕美さんを違和感なく受け容れたという。
「うちの学校の制服はブレザーだったので、まだ違和感は少なかったと思います。
 セーラー服の学校の子は、登校初日の緊張感がハンパじゃなかったみたいですよ。
 でも、私のときも、スカートの下がスースーして、慣れるのに何日もかかりました」
裕美さんは、笑いながらそう語る。

女子の制服を着用して登校する男子生徒は、同校ではそれほど珍しくないという。
街は数年前から吸血鬼と共存を開始しており、女性の家族や知人の身代わりとなるために女装をする男性が増えたためである。
市内に三店舗ある制服販売店にもこうした現象は認知されており、男子生徒が女子用制服の採寸をするための試着コーナーを設けているところもある。
制服販売店を経営して30年になる「尾釜制服店」の店主(55)は、
「数年前、それまで売れ残っていた大きい子用の制服の在庫が一掃されて大助かりだったのですが、
その後も注文が相次ぎ、問屋さんにも事情は話せず困りました」
と笑う。

斜陽化著しかった呉服店も、息を吹き返しつつある。
「この数年、成人式のお振袖を着たいという男性が目だっています。特に赤や紫など、普段は着られない色が好まれているようです」
創業百二十年以上という「須木物和装店」の店主(70)も、そういって目を細める。
「いまの若い人は、いいですね。私のころには考えられなかったことです」
レンタルよりも買取が圧倒的に多いのは式後に恋人の吸血鬼に振り袖姿を披露し、血を吸ってもらうからと言われているが、
日常も好んで婦人物の和服に身を包む男性が増えるなど、
「家族の身代わりに吸血されるため」という本来の意図を越えたかかわり方をするケースも増えてきたようだ。

最初に取材した裕美さんは言う。
「私は男女どちらでもありそうな名前だったので不自由していませんが、明らかに男の名前という人は、名前を変えちゃう人もいるようですよ」
最初は「息子を生んだはずなのに」と嘆いたという両親は、自身も吸血を体験してからは裕美さんの立場に理解を示すようになり、
誕生日には婦人物のスーツをプレゼントされることもあるという。
市内の企業にOLとして勤務する裕美さんは、近々市内に住む20代の男性とお見合いをする。
「いまでも正式な場での着付けは、母に見てもらっているんですよ」
と恥じらう裕美さん。良縁に恵まれることを記者も願っている。

タウン情報 町営のスポーツ施設、服装規定を大幅に改訂。

2017年01月24日(Tue) 06:29:37

町営ゴルフ場の「地水カントリークラブ」は、創立以来初めて服装規定を改訂すると発表した。
内容は、男女ともにハイソックスもしくはストッキングを着用するというもの。
先日来吸血鬼に解放された同ゴルフ場には、プレー中にも多数の吸血鬼が出没するようになり、
被害を受けるプレー客が続出するようになった。
若い人が好んで襲われる傾向が高いほか、同ゴルフ場では被害者の服装に共通点があることを発見。
ハイソックスを着用したプレーヤーがほぼ全員襲われるという結果が出た。
失血でプレー中に調子を崩すケースが相次いだことを理由に、スコアの公平性の観点から、
プレーをするものは全員、ハイソックスの着用が義務づけられた。
「これで健全で公平なプレーが期待できます」と、同ゴルフ場の支配人(50)はほほ笑む。
最近は、男性客のあいだでもストッキングを着用してプレーする客が増えたという。
女性が好んで襲われることを警戒した夫たちが女装をして妻を守ろうとしたというのがきっかけというが、
「ひそかな願望の成就」として利用されるケースも少なくないらしく、
「そういうお客様はことのほかご機嫌でお帰りになります」(同)と、
町内では一風変わった風景が目になじみつつあるようだ。

去る18日、町立体育館で行なわれた中学校対抗のバレーボール大会では、
同じ理由から選手は全員オーバーニーソックスの着用が義務づけられた。
当日は会場側の制止が功を奏し、全試合とも貧血を起こす選手もなく、滞りなく実施されたが、
試合後選手は全員、吸血行為に応じたという。
「あくまで生徒さんの自発的な献血行為と聞いています」(体育館関係者)というのが公式見解で、
父兄を含め被害届はいっさい、出されていないという。
「実はうちの息子も参加していましてね。つきあっている彼女とおそろいのオーバーニーソックスを着用して献血したんですよ」
上記の体育館関係者は、そう明かす。
試合後の献血行為は、きわめて友好裡な雰囲気で行われているようだ。

「このごろ、白のソックスが目だって売れなくなりました」
体育館併設の売店では、黒地のオーバーニーソックスの販売が倍増し、白地のものは半減したという。
もっとも、咬まれた後の履き替え用に買われるケースも多く、
「血のシミをみせびらかしたい」というコアな需要も生まれてきたことから、ニーズは一様ではないらしい。
今後の成り行きが注目される。

ケーキ屋の娘 (女吸血鬼)

2017年01月24日(Tue) 06:01:48

平日の午後のケーキ店の店頭は、いつものように客がまばらだった。
水川貴代美(50、仮名)はきょうも、閉店の時間を気にしながら、
「きょうの売上はいまいちね」と、心のなかで呟いていた。
娘の千代(14、仮名)は、学校帰り。
制服のうえにエプロンをつけて、いつものようにかいがいしく母親の手伝いをしていた。
三角頭巾といっしょにかすかに揺れる黒髪が、子供ばなれしたつややかさに輝いていた。
「人手がふたりも、いらなかったわね」
貴代美は心のなかで、もういちど呟いた。
定期試験は、再来週のはず。
これなら試験勉強でもさせてやればよかった・・・などと思っていると。
不意の来客は黒い影をおおいかぶせるようにして、ショーウィンドー越しに母娘を見つめていた。
もの欲しげな舌なめずりは、母親の視界に入らなかったけれど。
殺気を帯びた雰囲気は、ガラス窓を通してひしひしと伝わってきて、
貴代美は思わず店外に目を向けた。

客人は自分の母親よりもよほど齢のいった老婆だった。
身に帯びたみすぼらしい着物には、ところどころ、赤黒いシミが点々と散っている。
そのシミの正体を貴代美は、ひと目で察していた。
この街は、吸血鬼と同居しているのだった。

「いらっしゃい。ケーキをお求めですか?」
貴代美は通りいっぺんの笑顔を見せて、客人に近づいた。
娘と客人とをへだてるように、わざわざ大まわりをするようにして。
「甘いものは好きだから、ケーキもいいのだけれど」
老婆は思ったよりも上品な声色で母親にこたえ、目はいっしんに、娘のほうへと注がれている。
娘の千代は出来たてのケーキをショーケースに移している最中で、作業に夢中になってこちらを振り向かなかった。
老婆は「イチゴのショートケーキを」と頼むのと同じ気軽な口調で、いった。
「あのお嬢さんの生き血が欲しいわ」

あの・・・あの・・・
貴代美は立ち尽くし、口ごもる。
14年間精魂尽して育ててきた娘だった。
もちろん、彼らが思ったよりも友好的なことは、知っている。
自分の身体で、知っている。
けれども、娘だけはなんとか、そういう体験をさせずに済ませて、いずれは都会の大学にでも進学させようと考えていた。
「お気の毒だけれど」
老婆は貴代美の未練な態度にとどめを刺すように強い口調でいった。
「この街からは逃げれないわ」
思ってよりも意地悪な目つきではないのが、かろうじて救いだった。
けれども老婆の瞳はギラギラと異様に光り、若い女の生き血にしんそこ飢えているのがありありと伝わってくる。
こんな獣じみた欲望のまえに、初心な娘をさらせるものか――貴代美は屹(きっ)と、老婆を睨んだ。
老婆の視線が、ふと和らいだ。
「ごめんなさいね」
間合いをはずされた貴代美が絶句するあいだ、老婆は謡うようによどみなく、呟きをつづけてゆく。

男のひとに吸われるよりも、よくはなくって?
皆さん、処女の生き血は貴重だから、むやみと辱めたりしないけれど。
その点は、しつけが行き届いていますからね。
でもそうはいっても、年頃の娘に男の身体がのしかかるんですよ。
お母さんだって、気が気じゃないでしょう?
その点私ならだいじょうぶ。
あなたの血の味だって、いかほどのものか、知っているし。
だからこうして、訪ねてきているんだし。
あんまり怖くしないから。
千代ちゃん怖がらせたら、可愛そうだものね?
小さいころから、優しい子だったものね?
だから私が本性見せたら、怖がって気絶しちゃうものね?
安心して。
私だって若い子の生き血を口に含んだら、どんな気分になるかわからないけど。
これだけは、約束してあげる。
あの子の生き血を、たんねんに美味しく、味わってあげるから――

老婆の囁きは微妙な周波を伴って、貴代美の鼓膜を圧してゆく。
いけない、術中にはまってしまう・・・そう感じたときにはもう、手遅れだった。
囁きの声は痺れ薬のように鼓膜にしみ込んで脳幹に伝わり、
貴代美の理性のありったけを、麻痺させてしまった。

母親は残された意識を振り絞って、訴える。
「せめて、私が身代わりに――」
「ありがとう」
老婆は貴代美を引き寄せて、首すじを咬んだ。
かすかな疼痛と淡い眩暈が、貴代美を襲った。
お店の床を踏みしめる足許が、ぐらぐらと揺れる。
「でもね」
老婆は貴代美の変化を愉しむように顔を覗き込みながら、いった。
「きょうは、若いお嬢さんじゃないとだめなの」
わかってくれる?老婆の顔には、懇願の色があった。
その場にうずくまった貴代美は、かすかに肯くと、眩暈を振り払うように勢いよく起ちあがった。

「千代ちゃん、こっちに来てぇ」
母親は声を張りあげて、娘を喚(よ)んだ。
「はぁい」
控えめで穏やかないつもの声で、千代は母親の声に振り向いた。
張りのある若やいだ声色に、みずみずしい黒髪。
それに、活きの良い血潮をたっぷりと含んだ、白くて細い首すじ――
貴代美はふと、自分自身も渇きを覚えた。

「こちらのお婆さまがね、喉がからからでいらっしゃるの。
 あなたの生き血を吸いにいらしたの。
 きょうはお店のほうはいいから、ちょっとの間家に戻って、あなたお相手してあげて」
さっきまでの必死の抵抗はどこへやら、貴代美は嬉々として娘にそう言いつけた。
千代の顔色はサッと蒼ざめ、老婆を見た。
みすぼらしく薄汚れた浅黄色の着物は、襟足に点々と赤黒いシミを散らしている。
そのシミの正体をひと目で察した処女は、怯えて立ちすくむ。
「だいじょうぶ。怖くはないの。あなたもしっかり、体験するのよ」
母親の見当はずれな励ましに、娘は健気に肯くと、エプロンをはずして二人の女に背を向ける。
通用口の向こうは、住居になっていた。
そこへ戻って応接する、ということなのだろう。

「こんにちはぁ、ハイ、ショートケーキを4つですね?」
働き盛りのはずんだ声が、店頭から伝わってきた。
いつもの和やかな声に、これからまな娘が血を吸われるという悲壮感は、欠片も感じられない。
「あなた、処女?」
老婆の問いに、大きな瞳がまっすぐに応えた。
「ホホホ。頼もしいわね」
手の甲を軽くあてた口許には、バラ色のしずくが散っている。
さっき吸い取られた母親の血が、老婆の頬を濡らしているのだ。
「お母さんもね、よく識ってるの。だから安心してね」
それで若い娘が安心して首すじを吸わせるのかと疑問に思うようなことを口にしつつ、
老婆はもの欲しげな表情もあらわに、千代に迫ってきた。
「あ・・・あのっ・・・」
切羽詰まった声は、おおいかぶさってくる老婆に圧倒されて、消え入るように震えた。
カサカサに乾き色褪せた唇が、真っ白なハイソックスを履いた千代のふくらはぎに、ねっとりと這わされた。

飢えた牙が素肌を食い破り、深々と埋め込まれるのを感じ、千代は眩暈を起こしてその場に崩れた。
カサカサな唇を濡らす自分の血が、ハイソックスの生地に生温かく、じんわりとしみ込んでゆく。
足元を抑えつけて喉を鳴らす老婆が、ひと口ひと口、丁寧に血を啜り取り、
千代の生き血をそれは美味しそうに味わっているのを、彼女は感じた。

30分後――
カナカナカナ・・・と、秋の虫が虚ろな鳴き声を響かせている。
真っ白なハイソックスを赤黒いシミでしたたかに濡らしたまま、
千代は自分の勉強部屋で大の字になって、白目を剥いて口を半開きにしていた。
意識はかろうじて保っていたが、理性は宙に浮いている。
首すじにも深々と、二本の牙を埋められた痕がくっきりとつけられ、
周りには吸い残された血のりが、チラチラと輝いている。
脚は両方とも、ご丁寧にあちこちと咬まれていたし、
そのあと押し倒されて、首すじを咬まれたのも、おぼろげに憶えている。
ゴクリゴクリと、それは美味しそうに、老婆は彼女の生き血を飲み耽っていった。
なんだか素敵――
思わず頬をほてらせて、相手をしてしまっていた。
その頬のほてりがじょじょに冷めていき、身体の芯が冷たくなってきても、
少女は自分の身に秘めた若い血液を啜り取らせる行為を、やめられなくなっていた。

もっと・・・とせがむ少女をなだめすかして、
「また今度ね」
老婆はそういって、立ち去っていった。
襟足に撥ねた血を、ヌラヌラと光らせたまま。
お婆さまのお着物を、汚してしまってごめんなさい。
いつものように控えめな声で詫びる少女の髪を撫で、老婆はいった。
「そうね。あなたのしたこと、とても無作法だわ。こんどお仕置きをしてあげなくちゃね」
「は・・・ハイ。いつでもお仕置きしてください」
「じゃあ、また今度ね。指切り」
老婆の差し出した枯れ木のような小指に、少女はみずみずしい指をからめてゆく。

指切り げんまん うそついたら 針千本 飲~ます♪

お婆さまが飲むのは、針なんかじゃないわ。
あたしの血を美味しく飲んでくれて、ありがとう――
翳りゆく視界のなか、吸血鬼の影がぼやけてゆく。
少女の理性は、昏く堕ちていった。


あとがき
女吸血鬼のリクエストを受けたせいか、女吸血鬼が描けてしまいました。 (^^ゞ
もっと短くまとめるつもりだったのですが、
最近になく情景の細部までもが脳裏に浮かんできまして、収拾がつかなくなったのでした。(笑)

柏木のところに出没する女吸血鬼は、多くの場合みすぼらしい老婆なんですよ。
このお話では比較的上品ですが、ふだんは下品で卑猥で、アブないやつなのです。 ^^;

見返り。

2017年01月11日(Wed) 08:06:45

吸血鬼に、妻の血を吸わせることを余儀なくされたとき。
家を訪ねてきた妻の吸血相手は、手土産に現ナマを、携えてきた。
わたしは言った。
「妻に売春をさせる気はない。なにも受け取らないよ」
彼女と同等の見返りなんて、わたしにとってこの世にあるはずがないのだから・・・って。
男は感に堪えたようにわたしを見ると、
「せめて、寝酒だけは受け取ってほしい。苦痛に感じるのなら、少しは気分がまぎれるだろうから」

毒を含んだ甘美な酒は、妻とわたしの頭のなかを、ほんの少しだけすり替えてくれた。
「なによりの見返りだったよ」
妻が初めて襲われて2、3日経って、ふたたび喉をカラカラにして彼がやって来ると、
わたしはそういって彼を快く迎え入れていた。

情夫つきの婚約者

2017年01月11日(Wed) 07:59:22

お見合いの席で、彼女は言った。
「私、もう処女じゃないんです。
ちゃんと男がいるんです。
結婚してもたぶん、その人とのお付き合いを続けると思います。
そんな女と、結婚したいとは思いませんよね?
この縁談。できれば貴男のほうから、お断りになってください」
お見合い写真に添えられた佐知子という彼女の名前は、
清楚な面差しをたたえる顔写真と良くマッチしていたけれど。
彼女の告げた穏やかならざる告白もまた、容貌との落差とは裏腹に、
その繊細な目鼻立ちと不思議にしっくりと重なっていた。
僕は言った。
「もしかして、お相手の男性は吸血鬼ではないですか?」
彼女は驚きに、目を見開いた。
ふつうの人には見えないといわれる首すじの咬み痕が、僕にははっきりと見えたのだから。

「友だちに、吸血鬼がいるんです。
子供のころから面白半分に血を吸わせてやっていて、
“お前が結婚するときには、お嫁さん紹介してくれ。できれば処女の生き血を吸いたいな”
なんて、言われているんです。
友だちの嫁さんのほとんどは、あいつの餌食になっているんですよ。
だから僕もたぶん、あいつにやられちゃうんだろうなあと思っていて、
それでつい、結婚が遅れてしまっているんです。
ああ、でも、もしも僕たちが結婚したら、貴女の彼氏と、僕の友だちと、吸血鬼同士で競争になっちゃいますね」
「だいじょうぶだと思います。あの人たち、仲間どうしでけんかはしないことになっているみたいだから」
よどみなくそう応える彼女に、僕は同じ種類のマイノリティ同士が感じるような共感を覚えた。
お相手の吸血鬼氏に、逢わせてもらえませんか・・・?という僕の問いに、彼女はちょっと嬉しそうに頷き返した。

想像した通り、彼女のお相手は、彼女のお父さんよりも年上の、老紳士だった。
初対面のときの彼女がみせた穏やかな雰囲気が、彼女を支配している男の気配をそれとなく、にじませていたのだ。
老紳士を前に、僕は自分でも思いがけないことを口にした。
「SМが本当に好きという人は、パートナーに縄をかけるときも丁寧に縛るそうですね」
思わず口を突いて出たそんなぶしつけな言葉を、紳士は穏やかに受け止めてくれた。
「あなたは適切な表現をよくご存知ですね」
私どもはSМはやりませんが、吸血行為というのは、それに近いものなのかもしれません。
もちろん、栄養の摂取という切実な部分もあるけれど。
私たちはしばしば、純粋な愉しみとして、パートナーの血を吸いますからね。
紳士はそうつけ加えた。
たしかにそうだろう。彼らはSで、僕らはMだ。
そして、SとMとは、またとない取り合わせで、ウマが合う。
僕はつづけて言った。
「彼女が一生独身でいることを、貴男は望んでいらっしゃるのですか」
「そんなことはない。彼女には、ぜひ幸せな結婚をしてほしいと望んでいる。
 けれども彼女のほうが、頑として拒んでいるんだ。
 私との関係が知れてしまって、それで平気でいる夫はいないだろうと。
 彼女のお母さんは、離婚歴があるんだ。
 お母さんもわしに血を恵んでくれていて、それが最初のご夫君にばれてしまったのでね。
 いまのご主人は、わしらにも理解のあるお人だから、ご主人もわしと仲良くしてくださるのだよ」
母親にできることが、娘さんにも可能だと良いのだが・・・
吸血鬼という陰にこもった役柄とは裏腹に、少なくとも表向きだけは地震を肯定的に生きているようにみえたその老人は、
初めて悩ましい表情を泛べた。
まるで、まな娘の行く末を案じる年老いた父親のように、僕の目には映った。
相手は吸血鬼で、僕自身もその身に血を宿した人間。
なのに相手は獣にはならずに、こうして会話が成立している。
このひとは、僕の友だちと同じ種類の存在だ。僕ははっきりと、そう感じた。
「ほかの吸血鬼と対象が被った場合、どうしているのですか」
紳士はにっこり笑って言った。
「わしらは仲間うちでは争わない。代わりばんこにやるよ」

彼女とは、輪姦の場で知り合ったらしい。
詳しくは話してくれなかったが、用心深い良家の娘がふと見せた隙に巧みにつけ入って、
初心だったころの佐知子さんのことを、仲間数人で分かち合ったらしい。
それでもそのなかでは、彼がまっさきに彼女のスカートの中に手を入れたのだ、と、誇らしげに語り、
彼女は紳士の隣で、そんな子供じみた自慢話を、くすぐったそうな含み笑いを泛べて聞いている。
初体験の記憶から、悪しき感情はすべて消し去ることができているのだろう。
図に乗った彼は、さいしょに娘をいただいて、それから母親を狙ったのだという。
「だって、娘の血が旨ければ、当然母親にも興味を持つものだろう?」
紳士の大真面目な言いぐさに、僕は思わず吹き出してしまったが、そんな非礼を紳士は笑って受け流してくれる。
「でも、ご主人はそんな関係を許してくれなかったんですね?」
「そうだったね。本当に残念だった。相手の女を離婚させてしまうのは、吸血鬼としては失格なのだ」
そんな理屈、初めて聞いた。
けれども彼がその離婚を心から悔いているのは、態度を見てわかった。
「ま、いまのご主人にめぐり会えて彼女は幸せになったのだから、それはそれでよいとしているし・・・」
紳士はちょっと含み笑いをして、それから言った。
「もっと嬉しかったのは、前のご主人が前非を悔いて、わしのところにやって来て、再婚相手を紹介してくれたことかな」
前妻を幸せにしてくれたお礼と、わしと後悔をさせたおわびをしたいから、喉が渇いたときにはうちに来てくれと誘われたというのだ。
「もちろん、ありがたく頂戴した。ご主人のまえでね」
佐知子さんがさすがに、「かわいそうだわ、お父さん」と言うと(そう、彼女の実の父親のことなのだから)
「そんなことはない。わしが新しい奥方がはしたない声をあげるまで放さなかったら、
ファインプレーだとほめて下さったんだぞ」
老吸血鬼は、娘より若い佐知子さんに向かって、まるで子供が意地を張るような態度で言い張ったけれど。
さりげなく使われた敬語にも、妻を二人までも寝取った相手に対する敬意と親しみが滲んでいた。
それにしても、「前非」なのだな、と、僕は思った。
「あのときは逆らってしまって、悪かったね」
佐知子さんのお父さんは、そんなふうに言って、前妻を征服した彼の旧悪を、自分の前非にすり替えていったのだろうか。
彼の老吸血鬼に対する態度が、僕の未来と重なったような気がした。
僕は覚悟を決めて、口を開いた。
もっともそんな構えをする以前に、言葉のほうがなにかに引き寄せられるように、するすると出た。

「彼女との結婚を望んでいます。
彼女は貴男との交際を続けることを希望していますが、僕はかなえてあげようと思います。
貴男が信用できる男性だと感じたからです。
僕の新妻を支配する権利を、貴男に差し上げます。
未来の坂上夫人の純潔を勝ち得た男性に対して、敬意を払いたいのです」
感に堪えたような佐知子さんの視線を頬に感じながら、僕はつづけた。
「でも、お願いがあるんです。僕には子供のころから血を吸わせている親しい友だちがいます。
 たぶん彼も、僕の妻となる女性の血を欲しがると思います。
 佐知子さんに彼を近づけることを、許してください。
 貴女にも――僕の幼なじみのことを、好きになってもらいたい」
「きみは友だち思いなんだね」
老紳士は目を細めた。
「きみのお友だちの身になれば、いまのきみの言葉がどれほど嬉しいことか・・・同じ吸血鬼として、きみの態度に感謝する」
彼は自分自身の独占欲よりも、同族の幸せを優先する男らしい。
吸血鬼になる前には、彼自身自分の血を吸った相手に、妻を差し出したのではないか?ふとそんな想像が、頭をよぎる。
「わしより若いとなると、食欲も旺盛だぞ。だいじょうぶかな?」
老紳士はまな娘をからかう老父のような目をして、彼女にいった。
「セックスもタフかも知れない・・・」
そう言いかけてあわてて口をふさいだ彼女を前に、男ふたりは声を合わせて笑った。
「どうやらきみとは、仲良くやっていけそうだ」
紳士は僕の肩に手を置いた。
「私もそう感じます・・・それともうひとつだけ」
「なんなりと、言ってごらん」
「彼女のことを、まだ処女だと思いたいのです。
僕の婚約者の佐知子さんを、改めて貴男に紹介します。
彼女の夫として、僕は佐知子さんが坂上家に入る資格があるかどうか、知りたいと思っている。
だから、血を吸うことで彼女の身持ちを確かめて欲しいのです。
佐知子さんが処女だと言ってくださったら、私は貴男に処女の生き血を差し上げたことになります。
そして――僕の未来の花嫁の純潔を、改めて貴男に差し上げたいのです。
吸血鬼の理解者として、最良の贈り物を差し上げたいので。
それから、同じことを僕の友だちにもしてあげるつもりでいるんです」
「きみはなかなか、友だち思いなんだな」
紳士は目をしばたいた。
「その友だちのなかに、どうやらわしも入れてもらっているみたいだね」
もちろんですよ、と、僕はいった。


紳士の棲む街で挙げられた僕たちの婚儀は、盛大なものになった。
もちろん、淫らな意味で。
新婦は新郎のまえ、おおぜいの吸血鬼のために純白のウェディングドレスを精液に浸す羽目になったし、
もの慣れた新婦の母親はもちろんのこと、
もの慣れない新郎の母親までもが、永年守ってきたはずの貞操を、婚礼の引き出物がわりに蹂躙されてしまった。
もっともの慣れないはずの僕の父が意外に泰然としていて、
「よく見ておきなさい。
しっかり者のお母さんのお行儀の悪いところなんて、なかなか見れないんだから」
なんて、僕に耳打ちすると、母が新しい恋人に夢中になれるように、自身は悠然と座を起っていったのだ。
花嫁を寝取られるというある意味最悪の災難を悦びに変換出来る能力は、父の遺伝かも知れないと、初めて思った。
じつは前の晩、あらかじめ呼び寄せられた僕の両親は、次々と紳士の毒牙にかかって献血を強いられていた。
彼の持つ毒液の魔力も相まって、彼と意気投合することのできた父は、その最愛の妻の貞操を、こころよく譲り渡していた。
“免疫”を喪失した母もまた、きゃあきゃあと小娘にたいにはしゃぎながら、しっとりと装った黒留袖を、露骨にたくし上げられてゆく。

父の勤め先の人たちも、なかなかだった。
妻以外の女性に手を出す特権を持てるのは、自分の妻を差し出した男性だけ・・・というルールがすぐに行きわたると、
彼らのうちなん人かは、同伴の夫人が晴れ着姿を着崩れさせて祝いの舞を乱れ舞うことに即座に同意してしまった。
夫たちの同意をいいことに、身持ちの正しい奥方も、そうでない奥方も、いちように手荒にあしらわれ、
首すじを咬まれたあげく、犯されていった。
三人も立て続けに経験してしまうと、たいがいの人妻たちはひと声悩ましいうめきを洩らし、悲鳴を喜悦の嬌声に変えていった。

父の上司と同僚は、かねて母に目をつけていたらしい。
自分の妻の貞操と引き替えに、父が見ている目のまえで、黒留袖を着た母を羽交い絞めにして、襟足から卑猥な掌を差し入れてゆく。
父は、「ごゆっくりどうぞ」と声をかけて、妻の受難を許容する雅量をみせていた。
その場限りというのは怖いもの。
参列者に伴われた良家の夫人の実に半数以上が貞操を喪失し、
その見返りを受けた夫たちは意中の女性の晴れ着をはぎ取り、淫らな祝い酒に酔い痴れていったのだった。

佐知子さんの実父さんも、参列していた。
彼はいまの奥さんのことも紳士に譲り渡していたので、淫らな宴への参列資格はじゅうぶんにあったのだが、あえてそうした輪からは遠ざかっていた。
見返りを求めない態度に、むしろ潔さが漂っている。
「奥さんを二人も、あのひとに差し出したそうですね」
僕が称賛のまなざしを向けると、彼からも同じ種類の視線が返されてきた。
「きみだって、自分のお嫁さんの純潔を、なん度も捧げているそうじゃないか。
こんど、うちの春代もそんなふうにして、彼らにもてなすことにしてみるよ」
彼の足許では、黄色の着物を着込んだいまの奥さんがみんなに転がされていて、
着物の下をはね上げられて豊かな太ももをあらわにしている真っ最中だった。


あとがき
きのうの朝おもいついたお話を、読み直してあっぷしました。
さいしょはタイトル通り佐知子さんがヒロインなのですが、
後半になると花婿のお母さんや佐知子さんのお父さんが大活躍?してしまいました。
(^^ゞ
とくに佐知子さんのお父さんは、べつにお話を創ってみたい気がしています。
期待せずにお待ちください。^^

ちょっぴり解説。

2017年01月10日(Tue) 06:43:13

「母さんは、賢夫人と呼ばれている。」
堅実な専業主婦が、吸血鬼に血を吸われる日常になじんでいって、
相手の吸血鬼の欲望を満たしながらも、自分の身体にも過度な負担がかからないように、
「過不足なく」、己の血液を摂取させる。
そんなしっかり者の奥さんを描きたくなってキーを叩きました。
「あとのお掃除が大変」のくだりは描きながら思いついたのですが、いかにもしっかり者ぽくなって気に入ったところです。

妻が初めて犯された後、夫が彼女のことを許し、交際を認めてやるシーンは、いつも不自然にならないか気にしているのですが、今回は比較的うまくいったと自画自賛しています。
血を吸う音にさえ好意をこめるほど執心されてしまっては、夫としても手の施しようがなかったのかもしれませんが。


「村に帰る。」
自分の血を欲しがっている吸血鬼の村に帰って、相手から手放しの歓迎を受けた少女が、
照れ隠しに「貧血起こしたら、学校行かなくてもいいんだよね?」と相手に訊く場面がさいしょにイメージに浮かんで、作品化しました。
さいしょのとき、「夏なのに」と渋る娘にハイソックスを履かせたのは、たぶんお母さんです。
都会育ちらしい彼女はすっかり村になじんで、都会にいるころから夫の郷里でのバカンスを、しっかり愉しんでいたふしが感じられます。

ヒロインの少女は、都会の学校では浮いた存在で、もしかするといじめに遭っていたのかもしれません。
建前だけご立派な日常よりも、たとえ相手が吸血鬼でも思いやりをもった相手のほうが居心地がよい――彼女はきっと、そんな風に感じたのでしょう。


「法事の手伝い」
このプロットは、なん度描いても飽きません。 (笑)
ブラックフォーマルが好きだからかも知れませぬ。^^
さいしょは、いっしょに村に越してきた近所の主婦といっしょに吸われ、並べて犯されるシーンを描きたくて始めたのですが、
お話としてまとまりそうだと思ったのは、さいごの義父のくだりです。
生れた子供はだれの子でも分け隔てなく育てる、とは言いながら。
彼女はやっぱり、その家の子にこだわったようです。
義父の子でも夫の子でも、この家の子であることに変わりはない――
そう割り切った彼女は、薄々は父親との関係を察しているらしい夫の、それとなくの協力もあって、
義父との愛人関係に積極的に応じていくようになります。

しきたりを越えたところでも密会してしまうことで、彼女は一種の開放感も味わったはず。
そんなところも、描いてみたいところでした。

法事の手伝い

2017年01月10日(Tue) 06:16:42

「いっしょに行きましょ。法事のお手伝い」
お隣の敏子さんは、そういってひっそりと笑う。
「そうね。ごいっしょしましょ」
声がウキウキと昂るのを抑えることができないのは、ちょっとはしたないかな?と、自分で思う。
洋装のブラックフォーマルのスカートのすそをひるがえして、夫のところに舞い戻ると、私は言った。
「法事のお手伝いに行ってきますね」
「ああ、気をつけて。皆さんによろしくね」
夫はいつものように、優しく穏やかに送り出してくれた。

法事の手伝い――それはこの村では、卑猥な意味が隠されている。
そこに集まるのは、村に棲み着いている吸血鬼たち。
手伝いと称して呼び集められる私たちの役目は、彼らの餌食になることだったから。

「黒のパンスト、お好きみたいね」
二度目の手伝いのとき、連れだって歩いた敏子さんは、そう呟いた。
敏子さんに言われるまでもなく、肌の透ける黒のストッキングに染まったお互いの脚を、私たちはどちらからそうするともなく、見比べ合っていた。
敏子さんの脚は、すらりとしてきれいだった。
「ただ太い。とにかく太い」
そういって卑下する私を、敏子さんはむしろ羨ましがった。
「だけど、いっぱい吸ってもらえるじゃないの」

夫同士が、同じ勤め先。
同じ時期に転勤で、この村に来た。
そして同じ日に、法事の手伝いにかり出されて、
同じ部屋で男たちに取り囲まれて、めいめい違う相手に、首すじを咬まれていった。
その場で姿勢を崩し、ひざ小僧を突いてしまうと、負け。
狭い畳部屋にふたり並べられて、代わる代わるのしかかってくる相手に、犯されてしまった。
お互い、片脚だけ脱がされた黒のストッキングを、ひざ小僧の下までずり降ろされたまま、
脚をばたつかせながら、決して侵入を許してはいけない男の体の一部に、股間をえぐられていった。

「きょうのことは、内証にしておいてやるよ」
男たちは恩着せがましくそういうと、それでも裂けたブラウスや脱ぎ捨てられたストッキングを拾い集めてくれた。
着せてくれるのかと思ったら、めいめい嬉しそうにせしめて、持ち帰られてしまった。
敏子さんにも、私にも、一人ずつ男性がついて、家まで送ってくれた。
乱れ髪に、ジャケットを羽織っただけの、おっぱいまでもがまる見えの上半身。
スカートの下は、みじめなくらいに白く映えた、むき出しのふくらはぎ。
黒革のパンプスに、ノーストッキングのつま先がごつごつと居心地悪く収まっていた。
夫は私の様子を見ると、すべてを察した顔になって。
自分の妻を犯した相手にお礼を言って、私のことを引き取ってくれた。
夫はなにも言わないままに、今度法事の手伝いをいわれてどうしても厭だったら断りなさい、と、言ってくれた。

家族ぐるみで村にとけ込むのが仕事の一環――そう聞かされてきた私にとって、頼まれごとを断るという選択肢は、あり得なかった。
三日後に再び法事の手伝いがあったとき、私は夫には告げずに、出向いていった。
新調した洋装のブラックフォーマルのお金は、私を家まで送ってくれた彼が、持ってくれた。
初めて私に迫り、私を犯した人だった。
私に夫以外の身体を体験する歓びを、教え込んでしまった男だった。

敏子さんとは幸い、ウマが合った。
そのせいか、法事の手伝いのときには、いっしょに組まされることが多かった。
私たちはいつも、同じ部屋に呼びこまれ、男たちに迫られて、血を吸われ、犯されていった。
破られると知っていながら、私たちは真新しい黒のストッキングを脚に通して、出かけていった。
男たちのために馳走するつもりで穿いて行ったのだろう?って、仮に夫に責められても、私はきっと頷き返してしまっただろう。
それくらい・・・男たちの息遣いの渦に巻かれることに、なじんでしまっていた。

乱交の渦の中でも、相性というものはやはりあるらしい。
いつか、敏子さんにも私にも、現れる確率の高い男性がなん人か、できるようになっていた。
そのなかに、私を初めて犯したあの人が含まれていることを、なんとなく居心地よく感じてしまっていて。
そう感じてしまっている自分に気づいて、どきりとすることがよくあった。

ここは夫の生まれ故郷だった。
故郷をきらって都会に出た夫は、不景気のあおりを受けて、結局故郷に頼ることになった。
それで、いまの勤め先に落ち着いたのだ。
だから、私と交わる男たちのなかで、夫と昔から顔なじみだという人は、なん人もいた。
「マサルのとこのお嫁さんだろ?うわさにはきいていたけど、別嬪さんだな。あそこの具合もいいんだって?」
彼らは親しみを込めた口調でさりげなく、それでもしっかりと露骨なことを口にして、
私に一物を咥えさせたり、はしたないことを言わせたりするのだった。
主人のよりも大きいわあ。もっとヤッてえ・・・イカされたいのっ。とか。
みんな顔なじみだから、気安く交わることができる。そんな雰囲気がここにはあった。
まったくのよそ者だった敏子さんさえ、私と同じように仲良くなっていた。
ふたりはお互いに、礼服のスカートの裏地に、複数の男たちからほとばされた粘液を光らせながら、家路についた。

ガマンできなかったのは、息子が私の痴態を見たがることだった。
さいしょのときから、私とは別に寺に呼び出されていて。
敏子さんと並べられて犯されるのを目にした息子は、どうやら病みつきになってしまったらしい。
それ以来、母さんのことが心配だといっては寺に来、私が血を吸われたり侵されたりするのを、半ズボンの股間を抑えながら見守っているという。
夫と同じように、この子もまた、村の人の血が脈打っているのだ。

お寺の本堂の薄暗がりで、折り重なってくる男たちのなかに、義父の姿もあった。
義父は好んで私と逢いたがる男たちのかなに、含まれていた。
さいしょの時も、なん人めかの相手が義父だった。
「うちの嫁だから、順番は遠慮したのだ」
あるとき問い詰めると、義父は悪びれもせず、そう応えたものだった。
けれどもそのじつ、私にご執心だというのは、たぶん私のうぬぼれではないはず。
夫のいない夜、義父は私にお酒の相手をさせて、ついでにベッドの上でのお相手も、強いてくる。
義母は若いころから村の長老に気に入られていて、家を空ける夜が多かった。
だからお前は、わしを親だと思って、孝行しなければならない――そんなしかつめらしい言いぐさを言い訳にしなければならないほど、義父は不器用な男だった。
その不器用さにほだされて、私は親孝行に応じることにした。
どういうわけかそういう晩に限って、夫は夜勤だと言って、家を空けていたから、私たちの逢瀬は気軽に遂げられることが可能だった。
村のしきたりを離れた家のなかという狭い空間で、
義父と私は身体の関係を重ねていった。
義父は必ず、私の中に子種をそそぎ込んでゆく。
もしかするとあいつ(夫)は、俺の子じゃないかもしれないからな――
そんなことはない。あなたたちはそっくりよ。
義父の胸の中での私のつぶやきを、たぶん義父は知らないでいる。

この村では、だれの子をはらむかわからない。
けれども、いちど宿したお子は、大切に育てなければならない。
この村は、子供を愛する土地柄だった。
義父の子ならいい。そう私は思う。
この家の子であることに、変わりはないのだから・・・と。

村に帰る。

2017年01月10日(Tue) 05:32:34

パパのふるさとだというその村に初めて行ったのは、中学2年の夏だった。
都会の家に帰るとき、あたしは貧血でめまいを起こしていた。
だって、その村には吸血鬼がいたから・・・

村の人たちは、吸血鬼と仲良く住んでいて、お互い助け合っている感じだった。
同じクラスでもいがみ合っている都会とは、ぜんぜん違う雰囲気だった。
なにがどこにあるのかもいちいち人に聞かないとわからない、勝手の違うところだったけど。
終始あたしは、気分良く過ごすことができた。最近こんなに気分がよかったのは、いつだっただろう?って思うくらいに。

ただ、その人と会うときだけは、災難だった。
首すじを咬まれるのを怖がったあたしに、パパの幼なじみだというその小父さんは、優しかった。
たたみの上にうつ伏せになってごらん。悪いけど、ハイソックスをイタズラするのだけは、目をつぶってくれるかな?
小父さんはあたしをなだめて寝かしつけてしまうと、ハイソックスを履いたふくらはぎに、にゅるりと舌を這わせてきた。
夏なのにどうしてハイソックスなの?ってママに訊いても、笑って答えてくれなかったけれど。
その日あたしがハイソックスを履いたのは小父さんのリクエストをママが好意的にかなえたのだと、そのとき知った。

チュウチュウと血を吸いあげられる音を聞いているうちに、眠たくなってきて。
あたしはついウトウトと、してしまった。
吸血鬼といっしょにいるときにウトウトしちゃいけないんだって、そのときには知らなかった。
気がついたときには、制服のスカートは履いていたけれど、パンツはしっかり脱がされていて、
おっぱいをまる出しにしたまま、あたしは小父さんとひとつになっていた。
経験したことのない痛みを、太ももの奥にジンジンと感じながら。
あんまり乱暴にしないでって、あたしは心から懇願していた。

都会に戻って新学期が始まって、あたしはますます学校がいやになった。
そんなとき。
ママがひっそりと、囁いてきた。

パパのふるさとにいたあの小父さまが、もういちどまーちゃんに逢いたがってるの。

あたしは瞬間的に、こっくりとうなずいていた。
ママはたたみかけるように、あたしに訊いた。

ずっと行きっきりになっちゃっても、まゆみは耐えられる?

だいじょうぶ。今よりはいい。
あたしはそう、答えていた。なんのためらいもなく。
あの村に棲んだらあたし、いつでも小父さまに血を吸わせてあげられるんだよね?
小父さま、あたしの血を気に入ってくれたんだよね?
だれかに肯定されたい――そんな思いがこみ上げてきた。
ママはそんなあたしを優しく抱きしめて、言った。
あのひとね。まあちゃんのすべてが好きなんだって。きっとそうなんだよ。だから本性を、すぐにさらけ出したんだよ。
村には、ママが仲良くしている男の人がなん人かいるらしい。
昼間っからキスしてるの、視ちゃったもの。
パパも薄々知っているみたいだけど、それでもお引越しに反対しないのは、
男の人たちがママのことを、真面目に好いているからなんだって。
小父さまもきっと、真面目につき合ってくれるに違いない。

葉っぱが色づいてきたころ、パパは村役場に転職して、あたしたち一家は村に引っ越した。

ひさびさに逢った小父さまは、あたしを見ると嬉しそうに目を細め、
人目もはばからずにいつも逢っていた裏の納屋へと、あたしのことを連れ出した。
貧血になるのはヤだよ。
あたしはわざとむくれてみせて、
貧血になるくらい、かわいがってあげるよ。
小父さまはからかうように、そう応じた。
貧血のときは、学校行かなくてもいいんだって?
ここなら友だちも、すぐできるさ。まあちゃんみたいないい子だったら特にね。
小父さまはどこまでも、親切だった。
さあ、あたしも小父さまが望んでいることを、してあげなくちゃいけない。
これだけは好きだった都会の学校の制服を身に着けた身体に、
あたしは小父さまの逞しい腕を、巻きつけられるままになっていった。

母さんは、賢夫人と呼ばれている。

2017年01月10日(Tue) 04:49:09

【賢夫人】
けんふじん。
しっかりした、賢い夫人。

朝。
父さんの寝室とは別の部屋から出てきた母さんは、みじかく「おはよう」というと、
朝ご飯の支度をするため、すぐに台所に立ってゆく。
紫とグリーンのしま模様のタートルネックのセーターを着て、ジーンズのすそからは白とねずみ色のしま模様のソックスが覗いている。
たしか夕べ、客人の泊まるあの部屋に入っていくときは、よそ行きのライトブルーのスーツに、ふんわりとしたタイのついた真っ白なブラウスを着て、
脚にはチャコールグレーのストッキングを穿いていたっけ。
ほとんど前後不覚、モーローとなった記憶なのに、なぜだか母さんの服装だけは、しっかり憶えている。
セミロングの黒髪は寝ぐせとはちがう乱れ方をしていたけれど、それを指摘するのはやめておいた。
以前同じ愚を犯したとき、「よけいなことを言うんじゃないの!」って、こっぴどくドヤされたから――

そう。
あの部屋に半月ほど前から滞在しているのは、父さんの親しい知人だと名乗る男。
歓迎をしたその晩に、彼の正体が吸血鬼だということを、身をもって思い知らされていた。
男ふたりからしたたかに血を吸い取って、ふらふらにしてしまうと。
不意の来客のためにわざわざ着替えたよそ行きのスーツ姿のまま、
立ちすくんだまま両手で口を抑えて、かろうじて悲鳴をこらえていた母さんのことを、彼は自分の寝室に引っ張り込んだ。
その後母さんがなにをされたのか――とてもひと言では、言いきれない。
這うようにして追いかけた部屋のまえ、ドアを半開きにすることまでは、かろうじてできたけれど、
父さんも僕も、そこから一歩たりとも、中に入ることはできなかった。
そのかわり、まるで返り討ちにでも遭うように。
部屋の中で遂げられた彼のお愉しみのいちぶしじゅうを、
息子も夫も、瞼の裏に灼(や)きつける羽目になったのだ。

あれよあれよという間に抱きすくめられて、首すじをガブリ!とやられてしまった母さんは、
あっという間にいちころだった。
気絶してうつ伏せに倒れた足許に男は這い寄って、母さんの脚を吸っていた。
肉づきのよいふくらはぎから、肌色のストッキングを咬み剥がれてゆくありさまを、父さんも僕も、息をつめて見守るだけだった。
そのあと男は、はぁはぁ息をはずませながら、まるで飢餓に苛まれた者がやっとご馳走にありつくような顔つきをして、
母さんの身に着けていたブラウスをはぎ取り、スカートをたくし上げて、コトに及んでいったのだ。
そんなこと――エッチなビデオのなかだけのことだと、思い込んでいたはずなのに。
こうこうと照り渡る灯りの下で、母さんの身の上にあからさまにおおいかぶさっていったのだ。
ひざ下まで脱がされたパンストを片脚だけ穿いたまま、
母さんはひと晩じゅう、男を相手に強制された浮気に夢中になっていった――

「家庭が崩壊するかと思ったわ」
大きな瞳で見つめられると、息子の僕ですらどきりとする。
けれどもそんなことには全然無自覚な母さんは、すぐに目線を転じて彼を見た。
「ところかまわず襲うのだけは、やめてくださいね。お部屋が汚れると、あとのお掃除がたいへんなの」
自分の血を吸った吸血鬼を相手にこともなげにそう言ってのける母さんは、すっかり主婦の顔に戻っていた。

初めての夜のあと、開けっ放しになった夫婦の寝室から、それとなく漏れてくる気配と声に、
失血で空っぽになりかけた頭のなかで、知覚と理性とを総動員させて、僕は全神経を集中させていた。
母さんは父さんのまえ、正座して俯いて、時々ハンカチで目許を拭っていたけれど。
父さんにいろいろと囁かれると、「わかった。じゃあ申し訳ないけどそうするわ」と言って・・・
あとは、父さんに肩を引き寄せられるままになっていた。
吸血鬼とのセックスは凝視してしまった僕だったけれど、ふたりのそのあとのことは視るのを遠慮して、スッと二階に上がっていくだけの理性を取り戻していた。
どうやら僕の家庭は崩壊しないで済むらしいことに、ひどく安堵を覚えながら、眠りに落ちていった。
父さんが、すべてを許すのと引き替えに、
母さんが当分うちに滞在するという吸血鬼の相手をすることを承諾したのを、二人の態度からあとで知った。

初めはもちろん、しぶしぶだった。
貧血で気絶してしまうことも、しょっちゅうだった。
けれども僕たちに対する男の態度は終始一貫友好的で、
寝室で母さんと接する時ですら、おおむね紳士的な態度を貫いていた。
もちろん、セックスの最中は、昂奮のあまり母さんのことを必要以上に虐げてしまうことはあったけれど・・・
気絶した母さんの身体にのしかかって、よそ行きのブラウスやワンピースにバラ色のしずくを撥ねかせながら母さんを襲っているときも。
流れる血潮を惜しむように、素肌の隅々にまで唇を這わせて、それは美味しそうに吸い取っていた。
もちろんそれは、母さんの素肌を愉しみたいという、卑猥な欲求の表れでもあったはずだけれど。
母さんの血を吸いあげるチュウチュウという音にさえ、好意がこもっているようにさえ聞こえた。
忌まわしいはずの音にさえ好意を感じることができたのは。
メインディッシュである母さんが襲われるまえ、僕たち親子が相手をして、したたかに血を吸い取られて理性を奪われてしまうせいもあったのだろうけれど。
正気の時でさえ、彼と気分よく接することができたのは。
きっと、そうした力ずく以外のなにかを、僕たちが感じることができるようになっていたから。

男ふたりは、彼の渇きを補完するため、母さんよりも先に血を吸われた。
僕たちがぶっ倒れてしまったあと、さいごに母さんのことを寝室にひき込んで、じっくりと料理してしまうのだ。
そのうちに母さんも、コツを覚えてしまったらしい。
毎晩気絶していたはずの母さんは、さいごまで目を開けたまま、男の相手を果たすようになった。
気絶したまま犯されてしまっていたのも、自覚しながらのセックスになっていったということでもあるけれど――
そういう生々しい表現を、息子の立場でしてしまうのはちょっと気が引ける程度には、僕の理性はまだ残されている。

自分の喪う血液の量が、なんとなくわかるようになった・・・あるとき洩らした母さんの呟きは、本音だったかもしれない。
相手が満足するだけの量の血を与えたうえで、自分の受けるダメージも限られるように。
彼女は自分の体内をめぐる血液を、相手に過不足なく摂取させることができるようになった。
それだけ、吸血鬼のあしらいに長けてしまった――ということなのだろう。
彼女は僕たちに栄養のバランスのとれた朝ご飯や晩ご飯を用意するように、彼にも好物を惜しげもなく愉しませることができるようになっていった。
相変わらず、よそ行きのスーツやワンピースを身に着けて、気前よくはぎ取らせてやりながら。
彼女はどこまでも堅実な主婦であり、賢夫人としての評判を崩すまいと振る舞ったのだ。

評判の賢夫人とうたわれた母さんは、家族と彼しかいないわが家でも、立派に賢夫人を演じつづけた。

「将来結婚するときには、母さんのような人を嫁にしなさい」
最近父さんは、そんなことをよく口にする。
たまたまそれを耳にした母さんは、「いやぁよぉ、そんなこと言ったら」と、柄にもなく照れていたけれど。
どうやら父さんにとって、それは本音らしかった。
「よかったら、父さんがいい娘を紹介してやろうか?」
思わず頷いていた僕は、明日お見合いをする。
きっと・・・我が家の秘密を知った家のお嬢さんで、我が家に棲み着いた客人をもてなすすべも、それとなくわきまえているのだろう。
彼女が提供できるのは、彼にとって究極の好物である、処女の生き血。
婚約期間は、見合い結婚としては異例なくらい、長引くに違いない。
そしてその娘が、晴れて僕の花嫁になったとき。
僕はきっと、言い含めてしまうのだろう。
「相手が満足するまで、お相手するように」
って――

武家の妻女の密通譚

2017年01月07日(Sat) 07:26:45

千丈(ちじょう)藩の若い家老である屋良瀬平太夫の妻女田鶴女(たづめ)が、使用人の甚助と太兵衛によって犯された。
田鶴女は恥辱のあまり自害を試みたが、夫の平太夫はそれを止めた。
田鶴女は手練れの年配男である両名にたらし込まれてしまい、以後は平太夫の目を盗んで両名を密会に及ぶようになった。
しかしこれは夫平太夫の内意であり、妻女は夫の内意を汲んで心ならずも武家の妻女の貞操を身分卑しき両名の自由にさせたのである。
平太夫は幼時より、両名のものと衆道(しゅどう、男色)の契りを結んでおり、
同じ藩の息女であった田鶴女との祝言の後は、新妻の肉体を両名に譲り渡す密約を交わしていた。
甚助と太兵衛の両名は、平太夫がお城に出仕した後を見はからい、田鶴女を納屋に誘い出すと、ためらう田鶴女から懐剣を奪い狼藉に及んだ。
武家の子女として厳しい訓育を受けた田鶴女であったが、その厳しい束縛を受任し続けてきた反動からか、
その初々しい肢体にあらゆる手練手管をしみ込まされるや、婦女として覚え込んではならない快楽にめざめてしまい、
ついに武家の妻女としての自制心を喪うに至った。
数か月を経ずして田鶴女は、夫の在宅中にも納屋への誘いに従うようになった。
夫が書見をしているすぐ向かいにある納屋で、両名による寵愛を代わる代わる、ないしは同時に受け容れ、婚家である屋良瀬家の家名を辱めた。
平太夫の母は存命であったが、嫁が使用人たちとくり返し冒す不義密通を咎めようとはしなかった。
自身も両名のものに凌辱を受け、これを日常的に受け容れてしまっていたため、嫁の不行儀を責めることができなかったのである。
嫁と姑はしばしば、平太夫の在宅にもかかわらず、自邸の納屋でいっしょに犯された。
甚助と太兵衛は「枕を並べて討ち死にでございますなあ」とからかいつつも、二人の婦女を愛してはばからず、
平太夫もまた、視て視ぬふりをして、身分ちがいの情交を妨げようとはしなかった。
すでに嗣子平之進を得ていたためである。

その後、御一新により武家は零落、屋良瀬家もその例外ではなかった。
しかし、暇を出された甚助と太兵衛はその後もかつての主家に出入りして、一家の糊口を養うに資を貢いだのである。
主家の零落とは反して、詳細を発揮した彼らは十分、裕福になっていたためである。
やがて平太夫は早世、平之進が家を嗣いだ。
とはいえ、すでに屋良瀬家には嗣ぐべき資産もなく、田鶴女は太兵衛に再嫁した。
甚助は妻帯していたが、太兵衛は長く寡夫だったためである。
太兵衛の「太」の一字は、先代の平太夫(早世した平太夫の父)から授かったものだったが、
彼は代々の主君の妻女の貞節を汚し、なおかつ若夫人であった田鶴女さえもその夫の死後にありがたく拝領したという仕儀となった。
太兵衛は田鶴女の夫となったものの、彼女を独占しようとはせず、甚助が田鶴女の肉体を目あてに家に通ってくるのを許した。
もともと両名は若いころより、互いの女房のもとに通い合い、通じ合っていた間柄であった。
御一新後も互いに事業を興した両名は仲の良い朋輩で、裕福になった後もこのように睦まじく暮らしたのである。

平太夫の忘れ形見である平之進は、太兵衛に養われて成長した。
母の田鶴女は太兵衛の家に入ったが、平之進はその後も屋良瀬の姓を捨てず、父のあとを継いだのである。
田鶴女の若いころからの素行からして、平之進の出生についても一応疑われるべきである。
しかし、田鶴女は息子について、「父上に生き写しです」と強弁をくり返していたし、強いて彼女の主張を覆そうと試みるものはなかった。
おそらく彼女の言い分は正しいのである。
平之進は祖母や母の不義密通の濡れ場を見て育ち、その影響は自らが旧主の息女幸姫(さちひめ)を娶った折露顕する。
彼は「親には孝養を尽くすもの、これは当家のしきたりである」と新妻に言い含め、甚助・太兵衛の両名に、初夜の新床を汚すことを許したからである。
花嫁は老いさらばえて節くれだった指でその玉の肌を冒され、
恥辱に歯を食いしばりながらも身分ちがいの一物を代わる代わる受け容れてゆき、忍耐強い婦女であることを自らの行いによって立証する。
卑賎の生れである両名は、ついには殿様の姫君とまで乳繰り合う栄誉に浴し、長く屋良瀬の家と行き来を続けたと伝えられている。


あとがき
しかつめらしい文言を使用してお話を描くと、不思議なエロさが漂いますね。 ^^;