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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

~このサイトのご紹介~ 魔性の淫楽への招待状

2020年03月22日(Sun) 21:12:01

はじめにお読みください。
一話読み切りのお話がほとんどですが。
吸血鬼ストーリーといっても。
「他では目にすることはまずないでしょう」
そう断言できるほど?変わった世界のお話なので・・・。

カテゴリの解説

2019年08月14日(Wed) 19:11:24

ひと言で吸血鬼ものの短編といっても、それこそいろんなお話が混在していますので。
カテゴリをちょっと、整理しました。
お話に共通のおおまかな設定については冒頭↑の「招待状」に書かれてありますが。
ちょっとだけ、付け加えておきます。

虎口に出戻る。

2018年08月21日(Tue) 07:44:18

命からがら都会の家まで逃げ延びることに成功したのは、わたしと妻だけでした。
その村に出かけていったもの全員が、囚われの身になってしまったのです。
囚われの身というのは、不正確かもしれません。
「囚われた」夫婦3組のなかの1組だった両親からは、手紙と電話で、
自分たちの意思でこの村に転居すると連絡がありました。
おそらく本音でOKしたのだ。ふたりとも、洗脳されてしまったのだ――と、
父の語気からすぐにわかりました。
電話をかけてきた父は、むしろ落ち着いた声で、母さんの浮気を認めてやることにした、と告げたのです。
従妹の嫁いだその村は、吸血鬼の棲む淫らな風習に彩られた土地でした。

都会で挙げられた従妹の披露宴には、新郎側からはほとんど出席者がありませんでした。
田舎のものなのでかえって恥を掻くから遠慮したい・・・という彼らのために、二度目の披露宴が村で挙げられたときのこと。
招かれたのは新婦の両親である伯父夫婦、わたしの両親、そして兄夫婦とわたしたち夫婦の8人でした。
あとから聞いた話では、当初兄夫婦までは招かれる顔ぶれに入っていなかったのですが、
都会の披露宴で兄嫁を見初めた新郎の兄が、とくに加えるようにと希望したというのです。
なにも知らない4組の夫婦は村に招かれ、お座敷での婚礼の席上吸血鬼と化していた村人たちに襲われたのでした。
年輩の男に組み敷かれた妻を救い出すのが、精いっぱいでした。
男は後じさりする妻の足首をつかまえて、ふくらはぎにヌメヌメと唇を這わせようとするところでした。
一瞬唇が吸いついて、すぐにわたしが引き離しました。
男はわたしを押しのけて妻に迫り、なおも首すじを吸おうとしましたが、わたしに蹴られてたじろぐところを危うく救い出したのです。
わたしはともなく、パンプスだった妻がよくあそこまで走れたものだと思います。
ほかの三組の夫婦と違い車で来ていたのが幸いしました。
宿に戻るとすぐにわたしたちは車に乗り込み、都会の自宅をめざしたのです。
男はしつようにあとを追いかけてきて、どうしても奥さんと話をしたい、といいました。
耳も貸さずにアクセルを踏んだのは、いうまでもありません。
都会も間近になったとあるドライブインで休憩をしたとき。
妻の穿いているストッキングに、あの男の粘り気のある唾液が沁みついているのを発見して、
むやみに嫉妬したのを憶えています。

3組の夫婦の転居届は、すべてわたしが手続きを済ませました。
彼らからの要望だったのです。
兄の手紙は、理解に苦しむものでした。
あの都会の披露宴の席で自分の妻が吸血鬼の目に留まり、村での婚礼の席で首尾よく征服されてしまったことを、
むしろ嬉し気に書いて寄越したからです。
父もまたかの地で、複数の男性を交えて痴情に耽る母のことを、むしろほほ笑ましく見守っているという文面でした。
父の手紙には、「私たちに義理立てして、わざわざ再訪する事は無い」と、再三書かれてありました。

ところがどうしたわけか、それからひと月と経たないうちに、
わたしの脳裏にべつの感情が芽生えてきたのです――
やはりほかの親類たちと同じように、あの村に行った方が良いのではないか?と――
父の手紙には、あのとき妻を逸した吸血鬼が、いまだに不遇をかこっていると、ごくひかえめにしたためてありました。

「やっぱりぼくだけ、行ってくるよ」
そう言い出したわたしを、妻は強いて止めようとはしませんでした。
両親が貧血になって身体を壊さないか気になるから・・・という口実に、手向かえる反論を持ち合わせていなかったからかもしれません。
さいしょは一回だけのつもりでした。
わたしは妻を狙った吸血鬼と面会し、身代わりに血液の提供を申し出ました。
男は意外に紳士的でした。
あのようなやり方で突然迫られたら、どんなご婦人でも身の危険を感じて逃げるでしょう、あさはかでした、といい、
わたしの好意を素直に感謝し、くつろげたワイシャツの襟首に尖った歯をあてがって、そっと吸血していったのです。
意外なくらい、ひっそりとした吸血でした。
父は「もうあまり来ないほうがよいのではないか」とわたしをたしなめ、
母は真逆に「こんどは佳代子さんも連れてらっしゃいよ」と、積極的なことをいいました。
連れてきたら犯されてしまうんでしょう?というわたしの問いに、
母はあっさりと「ええそうよ」といい、
でも芳子伯母さんは吸血鬼にモテモテになって若返っちゃってるし、伯父さんもそんな芳子伯母さんに満足しているし、
真菜子さん(兄嫁)はご執心の吸血鬼と夫婦どうぜんに暮らしているけれど、
お兄さんとも一緒に暮らしていて、男どうしもうまくやっているみたいだし・・・と、
やはりわけのわからないことを口走るのでした。

一回だけのつもり、と、書きました。
そうなんです。そのはずがいつの間にか回を重ねて、わずかふた月のあいだに、6回も通い詰めてしまったのです。
妻が思い詰めたように、言いました。
「こんど行くなら、私もいっしょに連れて行って」

あのとき私に迫った方は、不自由しているそうね。
もうちょっとで私に咬みつけたのに、貴方に邪魔されて、果たせなかった。
なのに貴方とはすっかり仲良くなって、打ち解けて下さっているそうね。
それなら私も――もういちど、よそ行きのストッキングを穿いて、あの方の唾液に濡らされてみたいの。

一週間後。
わたしは妻を伴って、あの村に来ていました。
都会の女たちをことごとく呑み込んでゆく、忌まわしい村に。
そのくせ妻を奪われる夫たちを惑乱させて、むしろ奪わせてしまうという、忌まわしい村に。

その晩。
あの婚礼の夜の情景が、再現されました。結論だけは真逆になって。
男にすっかり血を抜かれて手も足も出なくなったわたしのまえで、
妻はあのときと同じ薄茶色のスーツを着て、足許をてかてか光るよそ行きのストッキングに包んでいました。
男の唇は、今度こそあやまたず妻のふくらはぎに吸いついて、這いまわって・・・
なまめかしいストッキングがチリチリになるまで、いたぶり抜いていったのです。
都会の装いもろとも辱められてゆくことに、さいしょのうちこそ悔し気に身をすくめていましたけれども。
妻の態度が打ち解けて、甘くほぐれてゆくのに、時間はかかりませんでした。

いちど逃れたはずの虎口はわたしを捕えつづけて、
結局妻の手を引いて、舞い戻る羽目になってしまったのです。
けれども、後悔はありません。
都会の装いに身を包み、セイジさん、セイジさん・・・と、わざとわたしの名前を呼びながら犯されてゆく妻。
すべてを喪うのと引き換えに得たいまの歓びを、たいせつにしていきたいと願っているのです。


あとがき
妻を襲われかけて危うく難を逃れたのに、なぜか違う結論を観たくなった夫。
都会の装いを着乱れさせ、ストッキングを男の劣情に満ちた唾液で濡らされながら、堕ちてゆく妻。
そこを描きたかっただけなんですけどね。 つい長くなってしまいました。

嫁の浮気帰り

2018年08月21日(Tue) 06:59:48

「お早う。瑤子さんまだ帰ってないの?」
リビングに降りてきたぼくを気づかわしそうに見あげる母は、なぜか紋付を着ていました。
「ウン、まだだよ」
ぼくはつとめて平静に、こたえました。
「かかっているのかねぇ・・・」
思わず露骨なことを口にする母を、「静枝」と父がたしなめます。
「だってねぇ・・・落ち着かないじゃないの」
母の気づかいは、却って気づまりでした。
そう。
妻の瑤子は夕べ、ぼくの親友の良太のアプローチを受けて、浮気に出かけたのです。
「瑤子が良いといったら」といって、ぼくが与えたアプローチのチャンスを、
女たらしで有名だった良太は、逃さずモノにしたのです。
ホテルに出かけていった瑤子は、夕べひと晩家には戻りませんでした。

やがて家の玄関がガタガタと音を立てて、瑤子が帰ってきたのがわかりました。
きっかり6時。
良太と約束した通りの時間でした。
ぼくが妻を貸すと約束した刻限ぎりぎりまで、良太は瑤子のことを弄んだのです。

リビングに顔を出した妻は、ぼくと両親の三人が三人とも起きていることに意外そうに目を見開いて、
それから後ろめたそうに視線をそらします。
「やあ、お帰り。お疲れだったね」
父がフォローのつもりでかけた声にも、瑤子はますます身を固くします。
「さあさあ、シャワー浴びてくると良いですよ」
母の言葉ももちろん、逆効果。
「あの・・・疲れていますので・・・寝(やす)ませていただきますね」
しいて浮かべようとした笑みは中途半端に引きつって、すぐに廊下へと取って返していきました。
きっと、シャワーを浴びてそのまままっすぐ寝室に向かうのでしょう。
「疲れているんですって」
小声で耳打ちしてくる母を父は目でたしなめました。
「ちょっと・・・わたしたちは出かけてくるから」
場を取り繕うようにそういうと、父は母を連れてそそくさと、さっき瑤子が帰って来たばかりの玄関を出ていきました。

遠くからシャワーの音が聞こえました。
シャワーの音が終わると、脱衣所で身づくろいをする気配がして、やがて階段をあがっていきました。
リビングから覗く廊下に一瞬映った瑤子の姿――驚いたことに瑤子は、夕べでかけて行ったときのスーツを着けていました。
うっかり着替えの用意を忘れてシャワーを浴びてしまった・・・と後で聞きましたが、それくらいうろたえていたのでしょう。
わたしは黙って、瑤子のあとを追って夫婦の寝室に入りました。
鍵を閉めるスキを与えずに。

わたしと向き合った瑤子は、洗い髪を波打たせ、白い顔をしていましたが、
わたしが近寄りキスをすると、恐る恐る応じてきました。
いままでの積極的な瑤子にはみられない振る舞いでした。
良太と2人きりの部屋でも、こんなふうにキスに応じたのか――
その場の空気を想像すると、ぼくは欲情を感じて、瑤子をスーツ姿のまま押し倒していったのです。
「良太さんも・・・こうだった」
瑤子の囁きは、良太がキリッとしたスーツ姿のまま弄んだことを告げていました。
ぼくは、その囁きを封じるように瑤子の唇をキスでふさぎ、
夫婦の刻は、いままでになく熱っぽく、過ぎていきました。

お昼近くになって、リビングに降りてゆくと、ちょうど両親が帰ってきました。
わたしたちに気を使う最善の方法は家からいなくなることだ――と決めていて、夫婦で出かけたはよいものの、
行き先に困ってしまい、けっきょくホテルの喫茶室でお茶をして帰って来たというのです。
「夕べのことは忘れさせてやりましたから、もうだいじょうぶ」
ぼくはわざと明るい声で、両親にそう告げました。
「忘れさせたといってもねえ・・・」
母がにこやかにぼくと瑤子とを等分に見比べて言いました。
「瑤子さん、すぐにまた思い出しちゃうわよ」
ホホホ・・・と笑い声を残して台所に向かう母を追って、
「お昼私が作りますから」
と、いつもの主婦の顔に戻った瑤子も台所に向かいます。

残された男2人は、苦笑を交し合うしかありませんでした。
「思い出しちゃうだろうね」
父が気の毒そうにぼくの顔を観ました。
「きっと、そうでしょうね」
ぼくも正直に応えました。
良太のいままでの所行を知っている以上、公平に見てそう観念するしかありませんでした。
妹のときも、兄嫁のときも、良太が飽きるまで二人の関係は続いたからです。
捨てる権利はもっぱら、良太のほうだけにあったのです。
「でも、気持ちよく送り出してやりますよ」
ぼくは胸を張ってこたえました。
良太が手を出すのはいい女ばかり・・・その好みのうちに瑤子が含まれていたことが、
瑤子を弄ばれたのとは別に、なぜかくすぐったいほど嬉しかったのです。

父は穏やかにほほ笑みながら、いいました。
「女はいちど覚えた男の味は、忘れないものだよ――母さんだって、そうだったんだから」


あとがき
幼なじみの悪友に妻を抱かれたあくる朝。
家族仲良く不器用に気づかい合いながら、嫁の朝帰りを出迎える――
あり得ない風景ですが、ちょっと描いてみたくなりました。^^

歳月。

2018年08月20日(Mon) 07:18:35

子供のころ。
真っ白なハイソックスを履いて公園にいたら、吸血鬼に襲われた。
ハイソックスを真っ赤に濡らしながらチュウチュウと吸血されていくうちに、ゾクッときて。
仲良くなった吸血鬼に、毎晩のように逢うようになっていた。

ぼくがハイソックスを脱いで家に帰るのを見とがめた母さんが、夜中にぼくのあとを尾(つ)けてきて、
あっさりと吸血鬼の餌食になった。
あちこち咬み破られてずり落ちたねずみ色のハイソックスをずり上げながら、
肌色のストッキングをびりびりと破かれながら血を吸い取られて、ウットリとなってゆく母さんのことを、
薄ぼんやりと眺めていた。

母さんは、毎晩逢うのはお止しなさい、身体に悪いから。
ふた晩にひと晩は、私が身代わりになるから――と言ってくれた。
母親らしく気遣ってくれたのだけれども。
吸血鬼の恋人にされてしまった後の乱れ髪や、はだけたブラウスから覗く吊り紐の切れたブラジャーについ目が行って、
目のやり場に困っていた。

それ以来。
母さんが貧血を起こしているときは身代わりにぼくが、
母さんの洋服を着て、ねずみ色のストッキングを脚に通して、吸血鬼に逢うようになっていた。

そのころの父さんは、ストッキングみたいに薄いスケスケの紺のハイソックスを穿いて勤めに出ていた。
ぼくは母さんの服を着ないときには、父さんのハイソックスを穿いて吸血鬼に逢っていた。
浮気がばれるのを恐れた母さんは、父さんの帰宅時間を吸血鬼に教えた。
勤め帰りの父さんは、スケスケのハイソックスをびりびりと破かれながら吸血されて、吸血鬼と意気投合してしまった。
うちの家内を紹介してあげると、彼を家にあげてやって、
母さんは父さんとは別のベッドで、ひと晩吸血鬼にかしずく羽目に遭っていた。
おかげで――母さんの浮気は、いまにいたるまでばれていない。

妹が中学にあがって、黒のストッキングを穿くようになったとき。
ぼくは母さんの言いつけで、妹の制服を着て吸血鬼に逢いに行った。
こうしてぼくは、夜だけは人妻になったり女学生になったりして、愉しむようになっていた。
妹が下校途中に襲われたのは、入学してから三か月後、冬服から夏服に切り替わる直前のことだった。
やつにしては、よくガマンしたほうだと思う。
吸い取られた生き血で冬服を濡らしながら、妹はべそを掻きながら、チュウチュウと吸血されて、
うら若い血液を奪われていった。
母さんの血が気に入ったんだもの。妹の血が好みに合わないわけはなかった。

それ以来。
ぼくたち兄妹は、おそろいのセーラー服を着て、連れだって公園に通うようになっていた。

齢の離れた兄さんが、義姉さんを連れてこの街に戻って来たのは、それから数年後のことだった。
ぼくはさっそく、義姉さんの服を着て、吸血鬼に逢った。
義姉さんは、てかてか光るストッキングを好んで穿いていた。
ぼくの脚に通された義姉さんのストッキングは、吸血鬼をいたく魅了した。
いつも以上にびりびりと破かれてしまう光景を、義姉さんが襲われる想像と重ね合わせて、
ぼくはいつも以上に昂ってしまっていた。

家への出入りが自由になっていた吸血鬼は、
父さんの親友という触れ込みで(父さんもそう認めていた)一家の団欒の席に現れて、
兄さんを強い酒でたぶらかすと、その目の前で義姉さんを襲った。
義姉さんが血を吸い取られ、犯されてゆくのを、
兄さんは男の目になって、昂ぶりながら愉しんでいた。
ぼくも男のめになって、昂ぶりながら愉しんでいた。

それ以来。
兄さんは義姉さんが誘いを受けるとこころよく送り出して、
代わりにぼくに義姉さんんの服を着せ、ベッドに引きずり込むようになっていた。

吸血鬼に純潔を汚された妹は、責任を取ってほしいとぼくに迫って、
ぼくと妹は、うちうちに結婚式を挙げていた。

男になったり、女になったり、とてもめまぐるしい日常だけど。
そんな日常を、ぼくはすっかり愉しんでしまっている。

兄さんの娘の由佳が中学にあがるころ、
ぼくは兄さんに、由佳ちゃんの服を着たいと言った。
兄さんよりも義姉さんのほうが、積極的だった。
結婚してから吸血鬼に逢うようになった義姉さんはかねてから、
処女のまま吸血鬼に抱かれる経験をできなかったのを残念がっていた。
処女のうちに血を吸われた妹のことを、羨ましいと言っていた。
兄さんのまえで、「このひとに出会う前に抱かれたかった」なんていうので、
兄さんも微妙にくすぐったそうな顔をして、義姉さんの告白に耳を傾けていた。

由佳ちゃんが吸血鬼に襲われて、高校の卒業祝いのときには女として愛し抜かれてしまったあと。
義姉さんはまな娘におめでとうと言って、由佳ちゃんも照れくさそうに、頷いていた。

それ以来。
ぼくは義姉さんの服を着るのと同じくらいの感覚で、
由佳ちゃんの服を着て、兄さんに逢うようになっていた。

乳色の肌に、網タイツ。

2018年08月17日(Fri) 04:00:31

乳色の肌、栗色の巻き毛、太い眉に大きな瞳。
まるでハーフのような彼女は、体格も良い。
ぼくの若妻、23歳のメイは、デパートに勤めている。

勤め帰りにどこかのレストランで食事をして帰ろうと待ち合わせ、合流したまさにそのとき。
ふら~っと現れた、いびつな黒い翳。
あーっ、なんてことだ・・・
目のまえでにやにやとほくそ笑んでいるのは、ぼくの馴染みの吸血鬼。

ひと月前に初めて襲われて、貧血で家に戻ったぼくを、
メイは心配そうに介抱してくれた。
吸血鬼と共存するこの街では、決して珍しくはないアクシデント。
傷口の血を拭き取りながら、メイはいった。
「だいじょうぶ?でも、これからもきっと襲われるよ。きつかったら、あたしもいっしょに吸われてあげるから」
冗談じゃない。
ぼくは強くかぶりを振った。
人妻を襲うとき、やつらは必ず犯すのだから。

「Hai、セイタ。この子はユゥのワイフかね?可愛いナイスバディだね」
ああ、なんてよけいなことを・・・
目を合わせずにしいて無視しようとしたぼくの意図をまるきり無視して、
やつはしゃあしゃあと、ぼくたち夫婦の間に割り込んできた。
How do you do?
How do you do?
好色なしわがれ声と若い女の張りのある声が、折り重なるように同じ言葉を発する。
やつはほんとうに、英語圏の人間なのか。
ドラキュラというのはてっきり、ドイツ語だとばかり思い込んでいた。(これまた間違い)
なんて素晴らしい、輝くような肌をしているね。いちどユゥのことを噛んでみたいね
――と、やつは得意満面。
セイタの血だけじゃ足りないときなら、私相手するわ
――と、メイはちょっぴり気づかわしげ。
そんなに眉を寄せて、シンコクそうな顔をしないで。
やつは女の子の困った顔つきが、大好物なんだから!

やつがぼくにすり寄って来るときは、100%間違いなく喉が渇いているときだった。
所かまわず人の首すじに食らいつくのがつねなのに、やつはいつになく遠慮をした。
「どこか近場の公園に行こう。ユゥのワイフに恥を掻かせたくないからね」
そして、オレンジ色のミニスカートから覗く、網タイツを穿いたメイのむっちりとした太ももに、もの欲しげな視線をからみつけていった。

十分後。
貧血を起こしたぼくは、公園のベンチに持たれて、ぐったりとなってぶっ倒れていた。
視界の彼方では、首すじを咬まれたメイが、
ちょっと切なげに口を半開きにして、やつのしつような吸血に耐えている。
のしかかってくる男を前にぺたんと尻もちを突き、傾きかけた上半身をかろうじて両腕で支えていたが、
やがてくたりと力を抜いて、芝生のうえに倒れ込んだ。
地面に投げ出された脚を包んだ網タイツは、ところどころ破れて、吸い残された血を滲ませている。

冒されてゆく乳色の肌に、ぼくは不覚にも欲情していた。
最愛の妻をこれから犯されてしまうというのに、ズボンのなかに隠した股間を熱くしていた。
「それでいい、自然な感情だ」
やつはぼくの恥ずべき衝動を肯定すると、ズボンの上に掌を置いて、ギュッと握りしめる。
それからふたたび、夢見心地になってしまったメイに取りついて、豊かな胸もとに咬みつくと、
夫婦のベッドのうえで洩らすあの悩ましい吐息を勝ち取っていた。
結び合わされる唇と唇。
せめぎ合う吐息と吐息。
突っ張る腕。立膝をする網タイツの脚。
むき出しの二の腕にも、網タイツのふくらはぎにも、身体のこわばりを映してしなやかな筋肉が盛りあがる。
やつはメイの発育のよい身体を、思う存分、愉しんでいった――

2人で公園を出るとき。
メイはさすがにべそを掻いていた。
すがって来る身体がひたすらいとおしくて、ギュッと力を込めて、横抱きに抱きしめていた。
豊かな肉づきが確かな手ごたえで、応えてきた。
「家に戻ったら、やり直そうね」
メイの言葉に、ぼくは無言で肯きかえす。
守ってやれなかった後ろめたさと、密かに愉しんでしまった後ろめたさ。
守ることのできなかった申し訳なさと、密かに愉しんでしまった申し訳なさ。
お互いの葛藤は、沈黙のうちに処理することにした。

きっとこのあと、いつもより濃密な夫婦の交わりで、ぼくたちはすべてを忘れようとする。
きっとこのあとも、メイは襲われつづけ、ぼくは愉しみつづけてしまうだろうけど。
日本人の両親を持つメイは、ルックスのとおりの混血だった。
実の父親は吸血鬼だったという。
血が血を呼んだのね、Sorry,Seita.
照れ隠しに発した英語の発音は、やけに正確だった。


あとがき
今夜のヒロインは、ちょっと異色な容貌の持ち主ですね。^^
彼女の日本人離れした容姿と立派な体格とは、なぜかありありと想像することができました。^^

義母のスカート

2018年08月16日(Thu) 08:07:11

妻が言った。
「母のスカート、穿いてみたら良い感じだったので、借りてきちゃった♪」
その時の妻の顔――なぜか白い歯しか思い出すことができないのは、なぜだろう?
女の姿になると、男モードで過ごすときの記憶が、あいまいになるのかもしれない。
妻のいない夜。
”彼”は女の姿となって、”彼女”となる。
結衣は女装子。

結衣の妻は、薄々感づいているようだ。
けれども決してそんなことは、口にしない。
なにかのときに、「人に迷惑かけなければ、たいがいのことは許されるよね?」と、真顔で言った。
あれはもしかすると、そういう意味だったのかもしれない。
そのあと妻は、私は貴方に迷惑かけるけど♪と笑って、はぐらかしてしまったけれど。

結衣には彼氏がいる。
けれどもそういう表現をするのは、妻に悪いと思っている。
でも厳密には、彼氏ではないのかもしれない。
彼は結衣の血を吸うだけで、まだ犯されたことはないのだから。

その男と初めて出逢ったのは、女の姿になって歩いた真夜中の公園だった。
女の生き血を求めてさまよっていた彼は、怯える結衣を追い詰めた。
「見逃してください!」と懇願する結衣に、
「救ってほしい」と彼は呟いた。
聞けば、夜明けまでにだれかの血を吸わないと、灰になってしまうというのだ。
重い事実を聞かされて逡巡したすきに、男は結衣の間近に近寄って、うなじを吸おうとしていた。
結衣は思わず願った。
「お洋服だけは汚さないで!」
男はみじかく「わかった」と応えると、「もう少し首すじをくつろげて」と、結衣に注文した。
結衣が目を瞑っておとがいを仰のけると、男は結衣の首すじを咬んで、血を吸い始めた――
魔法にかけられたみたい。
そう思ったときには男は、結衣の血を吸い終えていた。
「もういいの?」
しぜんと女声になって訊ねる結衣に、男は「ありがとう」とだけ、いった。
それ以来。
結衣は深夜の女装外出のときに男と密会を重ね、
請われるままに、ストッキングを穿いた脚を咬ませることまで許してしまっている。

義母のスカートは、ロング丈の花柄だった。
古風だけれども、よく見るとモダンな柄だと結衣は思った。
いまとむかしは、そんなにへだたっていないのかも知れない・・・結衣はなんとなく、そう思った。
今夜、妻は出張で家にはいない。
そして、義母からもらってきたというスカートがなぜか、妻の出かけた後のリビングの背もたれに、そっと掛けてあった。
自分の留守中に、だれかが身に着けるのを予期しているかのように。

考えすぎに違いない――結衣は自分の胸の奥に沸いたそんな想いを打ち消すように、
伸ばしかけた指先をなん度も引っ込めた。
けれども、義母のスカートをまというという背徳感の誘惑に、打ち勝つことはできなかった。
婦人用の衣装のなまめかしさの前には、結衣はか弱い女に過ぎなかった。
気がつくと、結衣の指先はスカートのウェスト部分をつまみ上げ、
ストッキングをまとった両脚を、スカートのなかへと入れていた。

自前の城のブラウスと合わせて、姿見の前に立つ。
似合っていると、結衣は思った。
もはや、羞ずかしいことをしているという意識は、きれいに消し飛んでいた。
姿見の前、玄関までの廊下。
身に着けたロングスカートをさわさわと波打たせながら、できるだけゆったりと足どりで、歩みを運ぶ。
それだけのことなのに。
結衣の胸は高鳴り、抑えきれないときめきが渦巻いた。

「似合っている」
傍らで声がした。
自分自身の呟きかと思って振り向いたら、男が佇んでいた。
「どうして??」
家に招いたつもりはなかった。
「つい、迷い込んでしまった。許せ」
結衣は顔をあげ、男をまっすぐ見あげて、いった。
「歓迎します――」

いつものように、結衣を仰向けにすると、男は結衣の首すじを咬んだ。
いつもは公園の芝生のうえなのに、今夜は自宅のじゅうたんの上――
お洋服が汚れるのを怖がらないで済むことが、むしろ結衣の気分をくつろげている。

コクコクと音を立てて血を吸い取られてゆきながら、
結衣は吸血鬼に襲われた娘になり切って、陶然として自宅の天井を見あげていた。
吸血鬼が自分の血を愉しんでいるという事実が、抱きしめたいくらい嬉しく感じた。
貧血をものともせずに、結衣は男のためにけなげに応えつづけた。
男は結衣の身に着けた義母のスカートをまさぐり、結衣のお尻をなぞった。
じわっと拡がる淫らなときめきを圧し殺しながら、結衣は耐えた。

ここで横たわって、侵入してきた吸血鬼に淫らな振る舞いを許しているのは、結衣?お義母さま?
それとも妻?
妖しい幻想に怯えながら、結衣は応えつづけてしまっていた。
男は結衣の足許に取りついて、いつものようにふくらははぎを咬み、
クリーム色のストッキングを無造作に咬み剥いでゆく。
彼自身の嗜虐心を満足させるように。
結衣は彼の嗜好を好意的に受け容れて、
表向きは嫌がりながらも、足許の装いに加えられる凌辱を、知らず知らず愉しみはじめてしまっていた。

男が呟いた。
「このスカートは、なにかを知っている・・・」
考え深げなまなざしで、スカートの花柄を見つめる男。
男のまなざしの向こうに、妻や義母がいるのを、結衣は直感した。
「家族には手を出さないで」
結衣の願いを男は容れてくれて、本来なら求められたに違いない要求を、完全に封じ込めることに成功していた。
男は男なりに、結衣を尊重し愛してくれているのだった。
男はもういちど、呟いた。
「このスカートは、なにかを知っている」

その「なにか」を聞いてしまうのは怖い、と、結衣は思った。
そしてなんの脈絡もなく、義母のスカートを夫にゆだねた妻は、いまごろどうしているのだろうか?と思った。
ほかの男に逢っているのかも――という妄想は、さすがにかき消していたけれど。
そうであるほうがむしろフェアなのかも・・・と思い直したりしていた。
愛し合夫婦が違う屋根の下、別々の相手と夜を更かしてゆく。
そんな夜が現実にあったほうが良いのか、良くないのか。
それはまだ、結衣の意識の向こう側の世界に過ぎなかった。

男はふたたび結衣を抱きしめて、こくこくと喉を鳴らして、
結衣の血を美味しそうに飲み耽っていった。

夜明けの路上で獣に出遭ったら

2018年08月14日(Tue) 06:46:15

その吸血鬼は、かなり兇暴なやつだった。
道行く女性を見境なく襲っては生き血を吸い、路上で犯すのがつねだった。
街が吸血鬼に汚染され始めたころのこと、
ようやく吸血鬼どもの判別が、人間のなかでできつつあった。
情のある吸血鬼や、咬まれて半吸血鬼になった者のなかには、
いちどは犠牲者として咬まれながら心を通い合わせるようになった者や、
家族のために忍んで献血を習慣に取り入れる者も出始めていたけれど。
この兇暴な吸血鬼の相手を好んで買って出るものは、さすがにいなかった。

夜明けの路上で、本庄佐恵子(42)はその吸血鬼に追い詰められていた。
若作りの花柄のワンピースに、てかてか光るエナメルのパンプス。
兇暴な吸血鬼の嗜虐心をあおるには、じゅうぶん過ぎるいでたちだった。

袋小路に追い詰められた女は言った。
「こんなおばさんの血なんか吸ったって、美味しくないわよ!!」
投げつけるような罵声だった。
これから凌辱されようとしているのだから、彼女の言動は当然だった。
男はそれでも目の色を変えて、女に取りつこうとした。

手首を取られ、振り放し、
肩をつかまれ、振り放し、
抱きすくめられて、もがいた。

咬もうとして押しつけた唇をかろうじてうなじから引き離そうとしたとき、
のしかかってきた体重を受け止めかねて、
脚がもつれて路上に倒れた。
男は女を抑えつけて、こんどこそ首すじを咬もうとした。
女はとっさに叫んだ。
「けだものの餌食になりたくないっ!!」
男の動きが熄(や)んだ。

男は抑えつけた獲物をまじまじと見つめ、
女は必死のまなざしで睨み返す。
やがて男は抑えつけた腕から力を抜いて、
這いずったまま後ずさりしようとする女を、もうそれ以上追い詰めなかった。

助けを求めて声をあげ走り去る女をしり目に、
男は重い顔をして起ちあがり、去ってゆく。


佐恵子が男とふたたび出遭ったのは、その翌日のことだった。
兇暴な吸血鬼はふたたび女のまえに立ちふさがったが、
瞳の色が暗いのを女は敏感に見て取った。
「どうしたのよ?よほど切羽詰まっているんでしょう?」
女は訝しげに男を視た。
「すこしだけ、解消した」
「どういうことよ」
男は言った――
吸血鬼と共存することを決めた街が、飢えた同族のために作った施設がある。
金に困った女が自分の血を売るための施設。
そこではどんなにがつがつと啖(くら)っても、文句をいうものはいないのだと。
「その人たちだって、怖いはずよ」
男を咎める目線の強さを変えずに、女は言った。
「そうだと思う」
男は言った。
でもそれがわかるのは、われに返ったあとのことなのだ、と。
満たされているときには、人並み程度には行き届く思いやりというものも、
飢えてしまえば見境がなくなる。
吸い取った血潮をあごからしたたり落すとき、時々虚しくなってくるのだ、と。
「あなた、この街に来て間もないの?」
女の問いに、男は素直に肯いていた。

じゃあ、今朝は私が襲われてあげる。
だって、あなたみたいな乱暴な人と通り合わせたほかの女の人がかわいそうだもの。
どうせあなた、私をやり過ごしたところで、きっとまただれかを襲うんでしょう?
それにその施設――知ってるわ。募集かけてもまだあまり人が集まらないって。
うちの主人、市役所なの。
さいごの告白は、小声になっていた。

俺の流儀は心得ているんだな?
好きになさいよ。
声色を陰湿に翳らせる男にむかって、女はうそぶいた。
あんた、やけになったりしてないよな?
余計な心配しないで。
女は薄い唇を噛みしめて男を見あげると、自分から路上に腰を落とし、姿勢を崩していった。

きのうの夜明けと、おなじ体位だった。
でも、きのうは袋小路だったのに、きょうはそこそこ広い道だった。
住宅街の真っただ中。
女は咬まれ、犯された。

まだ薄暗い町並みに人の行き来は少なかったが、まったく途絶えているわけではなかった。
通りかかった新聞配達や早朝勤務のサラリーマン、ごみ捨てに出てきた近所の主婦など、
時折姿を見せるそうした人々は、凌辱される佐恵子を目にしては意図的に視線をそらし、
けれども男どものいくたりかは、歩調を変えずに立ち去るまで、
ふたりの様子から目を離せないでいるものもいた。

男は好んで女の脚からストッキングをむしり取る癖があったが、
息荒く迫って来る男を満足させるため、
女は身に着けているワンピースまで、気前よく引き裂かせていった。

「気が済んだ?」
栗色の髪を振り乱した女が蒼ざめた顔をあげ、男に薄笑いを向けたときにはもう、通学時間帯にかかり始めていて、
路上でくり広げられる痴態に、かなり遠くを歩いていた男子高校生が、目のやり場に困っていた。
市役所勤めだというこの女の亭主もきっと、そろそろ出勤する刻限だろう。
「いいの。あたし浮気してきた帰りだから。悪い奥さんは、罰として兇暴な追い剥ぎに遭ったの」
そういうことにして、と女は言い捨てると、路上から起ちあがった。
裂けたワンピースを繕おうとしたが、無理に押し拡げられた襟首から覗く下着を押し隠しかねていた。
「送る」
男はぶっきら棒にそういうと、女を抱きかかえ、お姫さま抱っこしたまま家の道順を訊いていた。

「ここまでで良いわ。これ以上恥かかさないで」
家の近くまで来ると女は、自分の足で歩くといった。
顔見知りだらけのご近所で、主婦が他の男にお姫さま抱っこでご帰館あそばすわけにはいかなかったから。
男は女をおろすと、女はあとも振り返らずに家の門をくぐった。
ちょうどはち合わせるように、夫らしい中年の男がスーツを着て、玄関のドアを開いた。
派手に裂けたワンピースをまとった妻の凄まじい帰宅姿を、
夫はびっくりりしたような顔をして迎え入れたが、
女がちょっと囁くとこちらを見て、律儀すぎる会釈を送って来た。
「危ないところを助けてもらって、ここまで送ってもらったの」
きっとそんなふうに言い繕ったに違いない。
夫はそれから30分も遅れて出勤していき、
妻は入れ違いに、まだ外にいた男に目配せをして、家のなかへと誘い込んだ。
出勤姿の夫は、すべてを聞かされていたのだろうか?
曲がり角のところで立ち止まり、妻が自宅に吸血鬼を引き入れるところを見届けると、
もういちど、男に対して律儀すぎる会釈を送っていった。


佐恵子が勤めに出るようになったのは、それからすぐのことだった。
勤務先は、夫が担当する吸血鬼保護施設。
血を吸わせてくれる人間にめぐり会えなかった吸血鬼の救済施設であるここには、
数少ない女性が待機していて、来客があるとあてがわれた部屋に客人を案内し、
そこで自分を好きなようにさせるのだった。

だれもが、ガツガツとした客だった。
ふつうの主婦という属性は、ここでは意外なくらい受けが良かった。
待機している女性たちは、夫に内緒で来ているものもいたが、だれもがふつうの主婦だった。
けれども市役所の職員を夫に持った佐恵子は、
「堅い職業のお宅の奥さん」という名目をさらに人気が高く、ご指名が絶えなかった。
「おばさんの血なんか美味しくないでしょう?」
と、さいしょのころからの言いぐさを絶えず口にしていたけれど、
だれもが彼女の熟れた血潮に癒されて、
ついでによそ行きの小ぎれいなスカートの奥のもてなしに満たされて、
良い気分になって施設から出ていくのだった。

あの男も、時折施設に現れた。
「なんだあなた、まだなじみができないの?」
女は男をからかったが、無言で挑みかかって来る男に唇を重ねて応えてやって、
ストッキングを破かれ、ブラウスをはぎ取られていった。
ときには男の気分を引き立てるため、わざわざ路上に出ていって、
衆目のまえ裸身をさらしていった。


女は知っていた。
男は以前のように切羽詰まって来ているわけではなく、自分に逢いに来てくれているのだと。

道行く女性たちが不意打ちに遭うのを予防するために、夫が作った施設。
そこで働く道を択んだのは、おなじ女性の名誉を少しでも守りたかったから。

こんな施設を作った夫への面当てもあったけれど、
夫は快く許してくれて、それまでまるで意に介していなかった妻の健康管理に心を砕くようになっていた。
勤務の最中に差し入れを持ってきたときには折あしく男と真っ最中で、
妻を初めて犯した相手の男っぷりのよさをしたたかに見せつけられる羽目に遭っていたけれど。
特に苦情を言うでもなく、たったひと言「妻をよろしく」と言って立ち去っていった。
そんな夫の態度に、女は伝法にも、ちッと舌打ちをしたけれど。
男は夫の後ろ姿に手を合わせ、拝むように頭を垂れた。

施設が健全にまわり始めると、男は女を身請けするようにして、棲み処のアパートに引き取った。
かねて夫と打ち合わせていたように、女を自分専用の通い妻にするために。
女は、浮気相手と手を切っていた。
詳細はここでは略するが、浮気相手も自分の妻ともども、男に隷属する立場に堕ちていた。
浮気相手の妻は単なる性欲のはけ口としてあしらわれたが、
女は男の本命として長く愛された。
かつて、なん人もの女たちを路上に転がし辱め抜いていった男は、
こうして市役所職員の妻を堕落させたが、
彼女から獲た血潮の暖かさは、逆に男を清めたのかも知れなかった。


あとがき
このお話に登場する施設・登場人物は、すべて架空のものです。

女装子お見合い倶楽部

2018年08月10日(Fri) 07:29:55

どうしても結婚したいと思った。
相手は、男でも良いとさえ思った。
せめて、女の格好をしているのなら。
そんな不純な想いを抱いて訪れた場所――
それは、
「女装子お見合い倶楽部」
という場所だった。

なんの変哲もない雑居ビルの二階に、それはあった。
得体のしれない世界に踏み込むことをためらう気持ちよりも、
嫁さんが欲しいという欲望のほうがまさって、
気がついたらノックをして、部屋の中に入っていた。

応対してくれたのは、穏やかそうな初老の男の人だった。
案外ノーマルな人だな、と、思った。
「いらっしゃい。こちらは初めてですね?どんな方がご希望ですか?」
名前も連絡先も訊かれなかったことに、すこし安堵した。
男の人は、そんなぼくの想いを見透かすように、
「お名前、ご住所、ご職業とかは、ご本人に入って下さればそれでよろしいです」
押しつけがましくない口調だった。
そして、お差支えあるかもしれませんからね、と、当然のようにつけ加えた。

年齢40歳くらいまで。(ぼくの年齢もそれくらい)
女性として日常を送っている人。
学歴、職業は不問。
容姿、スタイルは特に問わないが、古風な感じの人が好み。
独りで生きていける人。

自分で書いていて、かなり偏った手前勝手な条件だなと思った。
「かしこまりました。ご希望に合いそうな方とのアポイントを取らせていただきます」
初老の男性に言われるままに、携帯の番号とメールアドレスだけを教えて、その日は終わった。
アポイントが取れたのは、数日後だった。
仕事中に携帯が鳴ったらどうしようと内心どきどきしていたのを見透かすように、
それは無表情なメールでやって来た。
「お見合い相手のかたをご紹介します。ご都合のよろしい日時は・・・」

名前:ゆう子(仮名)
年齢:39歳
婚歴:未婚
職業:パートタイマー(某企業にて、女子事務員として勤務)
家族:両親と兄夫婦とは別居、日常的な行き来はあり。家族は本人の女装癖を認知している。
性別:男(男性器あり)

住所や電話番号、勤務先、年収・・・そういったものは書かれていなかった。
こちらが明かさなかったのだから、当然と言えば当然だった。
年収くらい情報交換しても良かったかな?という考えは、浮かんだ途端に消えていた。
ほんとうによい人なら、自分が養えばよい、と思った。

初対面の日は、あっという間に来た。
「初めまして・・・」
あらわれたそのひとは、白っぽいワンピースを着ていた。
肩まで伸びた黒髪に、良く似合っていた。
顔や顔の輪郭が少しだけかっちりとしていたけれど、
それは彼女の容姿を損なうものではなかった。
でも、女性のなだらかさとは少しだけ、異質なものがあると感じた。

女のかっこうをした男と、いまお見合いをしている。
その事実に今さらながらがく然となり、それが態度に現れた。
ゆう子さんはそれでも、不快そうな態度を表に出さなかった。
無理なら遠慮しないで、そう仰ってくださいね。
低くて落ち着いた響きのある声だった。
男が女のまねをするような、不自然な猫なで声などではない。
長い時間に身についたものだった。
ぼくは不覚にも、うろたえた。
自分の覚悟のなさが、恥ずかしかった。
気がつくと、いっさいがっさいを、白状していた。

女性にはまるきりもてなくて、結婚願望ばかり高かったこと。
それでもどうしても結婚したくて、女の格好をしていれば男でも良いと思ったこと。
女装の人と面と向かって話すのは初めてで、慣れない状況に戸惑ってしまっていること。

ここまでで、ご遠慮しましょうか――?
ゆう子さんはちょっと寂しげだったが、淡々とした語調で断りやすい雰囲気を作ってくれた。
そのとき自分自身をかなぐり捨てることができた幸運に、いまでも心から感謝している。

ごめんなさい。そうじゃないんです。
でも、初めてなので戸惑ってしまって。
少し、時間を下さい。
できればもう少し、あなたと一緒にいさせてほしいんです。

できればもう少しで良いから、あなたのまとうその落ち着いた空気といっしょにいたい――そんな失礼なことまで、口にしていた。
いつも浮ついていて自分勝手な自分にとって、彼女のまとう空気感が、とても新鮮だったから。
「人助けだと思って」とまで懇願したぼくに、「だいじょうぶですよ」と、ゆう子さんは笑って応えてくれた。

それからなにを話したのか、じつはあまりよく憶えていない。
ゆう子さんの行きつけの喫茶店に行って、おなじ紅茶を飲んで、言葉少なにお互いのことを話したような気がする。
なぜかお互いに聞き役になっていて、そのために会話がしばしば途切れたけれど、
なんとか言葉をつなぎたいという焦りはみじんも感じなかった。
聞いてはいけないようなことまで、聞いてしまっていた。
夜の営みはどうすればよいのですか?とか。
ゆう子さんは静かに笑って、応えてくれた。
初対面の女性に、そんなこと訊いてはいけませんよ、と、優しくたしなめながら。

どんなことをすれば良いかなんて、考えることないと思うんです。
お互い、愛したいように愛すれば良いと思うんです。
でも、私の考えだけをいうのであれば――
もしもあなたを好きになったら、女として愛します。

女として愛します。

そういったときのゆう子さんの目に帯びたものが、ぼくたちのすべてを塗り替えていた。

「男のお嫁さんをもらうから」
思い切って打ち明けたぼくの話に、両親はもちろん驚いたけど。
「陽(ぼくのこと)が良ければ、それでいいんじゃない」と、あっさりと結婚を許可してくれた。
孫の顔だけは見せられない――とわびるぼくに、「孫はあんたとちがって優秀な兄さんや姉さんができの良い孫を作っているから良いよ」と、いつもながらのひどい言葉で、ぼくのことを安心させてくれた。

ゆう子さんは貞操堅固なひとで、いままで異性とも同性とも未経験だといった。
新婚初夜のベッドのうえ。
はからずも40にもなって、ぼくは処女の花嫁を得たのだった。
愛したいように愛すれば良い。
彼女のことばは、いまではぼくの日常になっている。
夜遅く勤めから戻るぼくをねぎらうために、
ゆう子さんは小ぎれいな服を身に着けてぼくを迎え入れて、
夜遅くまで。
朝早くから。
全身に愛をこめて、互いに互いを愛し合っている。


あとがき
珍しく純愛もの?になってしまいました。
(^^)

ハイソックスの記憶

2018年08月07日(Tue) 08:02:44

いけ好かない・・・
まだ少年だったころ、
半ズボンの下に履いたひし形もようのハイソックスの脚を咬まれながら、
ぼくはそう思って歯がみをした。

くそったれ。
バスケ部の部活のあと、体育館で襲われて、
ライン入りのハイソックスの脚を咬まれながら、
ぼくはそう呟いて歯がみをした。

悔しい、ちく生。
新婚初夜のベッドのまえ、
肌の透ける紳士用の長靴下の脚を咬まれながら、
ぼくはそううめいて歯がみをした。

つぎは、部屋の隅で怯えている新婦の番だった。
彼女は、もっともっと誘惑的な、白のストッキングの脚をテカらせていた。


あとがき
成長とともにハイソックスの種類を変えながら、ずっと吸血鬼の相手をしつづける少年。
行き着く先は花嫁の寝取られだった――ということも、案外ちゃんとわかっていたのかも。^^
いつもと同じように口を尖らせながら、純潔を汚される新婦のあで姿から、目が離せなくなるのでしょうか。

親友の愛妻物語~ひとまずの決着~

2018年08月06日(Mon) 08:13:57

おはようございます。柏木です。

明け方から描きつづけた親友物語、「【小話】アウトドア派」に始まり前作までは、一連のお話です。
さいしょは「アウトドア派」の小話だけで終えるつもりだったのですが、
後日談を描きたくなってついずるずると続けてしまいました。 (^^ゞ

今回は吸血鬼ではなく、ふつうに生身の男です。(笑)
吸血シーンも入れようか?と思ったのですが、それなしでもイケそうだったので、あえて入れませんでしたし、
輪姦バージョンも作ろうか?と思ったのですが、あくまでぶれずに行くことにしました。
三人の存在感がかなりリアルに想像できたので、ひとつの矛盾しないお話にしてみたかったのです。

アウトドア派と称する親友に誘われて妻同伴でドライブに行ったら、
親友の正体はアウトドアで女を犯すのが好きなやつで、奥さんを犯されてしまうのですが、
旦那は妖しい歓びに目ざめるわ、奥さんは相手の男と身体の相性がバツグンなのを確かめてしまうわで、
けっきょくヒロインを夫と間男が仲良く共有することで折り合う――という、いつもながらの話ですが、
それぞれ短く分けたのは、描きたい視点が異なったためです。

以下はねたばれになりますので、よければ本編を読んでから御覧下さい。


「だれのため?」では、
夫のためだけに生きたいから、貴男(アウトドアの男)とは結婚できません。
と、アウトドアの男のまえ、奥さんが生真面目に宣言するところを描きました。

夫は、「きょうは、このあたりで・・・」と、
やんわりとこれ以上のプレイの継続の中止を促し、アウトドアの男は素直にそれに従います。

奥さんは怯えたように夫の背中に隠れますが、アウトドアの男は奥さんに、「来週またチャンスを下さい」といって、
あくまで奥さんをモノにしたいという意思表示をします。
夫婦連れだって翌週男の自宅を訪れたのは、彼の意思表示への無言の返答でもあるわけです。
家庭訪問した土曜日はインドアだったから来週は・・・という男に対して、「明日でもOK」と応える奥さん。
粋な応対ですね。
さいしょのドライブの帰りでは夫の隣の後部座席に座っていた妻が、今回は助手席に位置を移している・・・というあたりは、描いている本人が萌えていました。(笑)


「気に入ったところ。」
では、奥さんが男をどのように気に入ったのか?を描きました。
夫に促されてそれ以上の追及をやめたところと、手の甲への接吻です。
時には退くことも、お相手の気を惹くことにつながるのかもしれません。

さいごの一行で、奥さんの心がかなり彼に傾いているところを添えてみました。


「来週の予定。」
では、さいしょの日の帰り道から、帰宅後の夫婦の語らいを描いています。
感情をあらわにした修羅場にせずに、抑えたトーンでお互いの意思を確認し合う。
そんなシーンにしてみました。


「言葉と振る舞い。」
文字通り ですな。^^
言葉ではあくまで貞淑な人妻を装いながら、腰ではしっかり応えちゃってる。(笑)


さいごのまとめが、前作です。
こんどはアウトドアの男目線で描いてみました。
ひとつの行為がひとそれぞれの目線からどう見えるのか?というのは、私にとって永遠のテーマかもしれませんね。

今朝は珍しく、この記事も入れて9つもあっぷしてしまいました。
もしかすると、新記録化もしれません。
ここまで読んで下さった方、ありがとうございました。

親友の愛妻をゲットした幸運な男のひとり言。

2018年08月06日(Mon) 07:49:55

親友の奥さんに、恋をした。
かわいいというよりは、美人。
上品で落ち着いた物腰に、思わずグッと来た。
母と似ている、と、思った。
そうだ――俺はもしかしたら、母を犯したかったのかもしれない。

旦那である親友とは、もうながいつきあいだった。
書斎の人である親友と、アウトドア派の俺とでは、住んでいる世界が違ったけれど、
それでも仲の良いことに、なんの差し障りもなかった。
むしろ、違うからこそ良かったのかもしれないし、いまでも良いと思っている。

なにも知らない善良な男の妻を寝取るのは、少しばかり心苦しかった。
なん度も想い切ろうと思ったけれど、奥さんを見るたびに想いは募り、もうどうにもならなかった。
俺は本来、女に対して臆病なほうではなかった。(そのへんは親友は正反対だった)
彼が結婚したのに俺がまだ独り身でいるのは、たんにいろんな女を愉しみたかったから。
俺がアウトドア派を自称していることを彼は良く知っているけれど、
どんなふうにアウトドア派なのかまでは、まったく知っていなかった。
それで俺は、この夫婦をドライブへと連れ出した。

奥さんは、空色のブラウスに緑のスカート。
爽やかないでたちだったが、アウトドアにはそぐわない服装だった。
この服を着た彼女を、およそ似つかわしくない草むらの中で泥まみれにする想像で。
俺はちょっとだけ、胸を痛めた。
奥さんを愛しているらしい親友に対しても、胸を痛めた。
それでいながら、奥さんをひと目見たとき後戻りできないと考えた。
ほんとうは、後戻り「できない」ではなく、「しない」に過ぎなかったのだけれども。

惨劇?は、ごく短時間で済んだ。
「俺は奥さんに恋をした。悪いがちょっとだけこらえてくれ」
俺は親友をふり返ると手短かにそういって、みぞおちに一発ぶち込んだ。
ついでに唇が切れる程度のパンチを一発お見舞いして、彼を草むらのなかに沈めた。
つぎに草むらに沈むのは、奥さんの番だった。
あっと叫んだ奥さんは、立派なことに、殴り倒された夫のほうへと駆け寄ろうとした。
けれども俺の魂はそのときにはもう、獣の魂と入れ替わってしまっていた。
手足をばたつかせて暴れる奥さんを抑えつけて、想いを遂げてしまったとき。
親友は恨めしそうに俺を睨んでいたけれど、
不覚にも射精をしてしまった痕が股間にしみ込んでしまっているのを、俺はしっかりと見届けていた。
脅かして黙らせる手は、いくらもあった。
けれども俺は、いちばん口走りそうにない言葉を、親友に向かって口走っていた。
――すまないが、もう少しだけ、目をつぶっていてくれ。
俺は奥さんをもう一度犯し、そのいちぶしじゅうを彼は、手出しもせずに見つめつづけていた。

俺が奥さんを放すと、奥さんは目を伏せて、旦那の後ろに隠れた。
もっともな振る舞いだった。
まだセックスに狎れていない新妻の反応はぎこちなかったけれど、
じゅうぶんに相性が良いらしいことを、お互いの身体で確かめ合ってしまっていた。
でも、それとこれとは別だった。
俺は彼女を、じゅうぶん過ぎるほど、怯えさせてしまったのだから。
――きょうはこれくらいで・・・
妻よりもひと足早く我を取り戻した親友は、俺たちふたりの間に立って、そういった。
お互いを取りなすような穏やかな口調だった。
きっと、そうでも言うしかなかったのだろうけれど。
俺は救われたような気になった。
いつもの趣味で、服を破ってしまった奥さんが、まだ恨めしそうな目で俺を見る。
俺はとっさに、できるだけ彼女をこれ以上傷つけないよう言葉を選んで、ふたりを家の玄関まで送ると約束をした。

だまって車から降りていったふたりの後ろ姿を胸にハンドルを握る俺は、
身体の満足を忘れてしまうほどのかなりの後悔を覚えた。
いままでいろんな女とセックスをした。
そのなかには人妻も、結婚を控えた女もいたけれど、きょうのような後悔はなかった。
訴えられても仕方がないと思った。
けれども最悪のことは回避できるだろうとなんとなく思えたのは、
親友の人となりをよく心得ていたからなのか、
それともたんに俺がしたたか者である証しに過ぎなかったのか。
親友は穏やかだが、決して意気地なしではなかった。
意気地なしではなかったけれど、穏やかに事を収めるすべをよく心得ていた。

親友と奥さんが連れだって、ふたたび俺の前に姿をみせたのは、翌週末のことだった。
来てくれる・・・ということは、月曜の夜の電話で親友から聞かされた。
どちらかというと、受話器の背後に気遣いをするような固い声色に、
車を降りた後の夫婦がどういう修羅場を演じたのだろうか?と悪い想像だけが先に立った。
約束どおり二人が家に来たときには、小躍りするほど嬉しかった。
なにしろ、惚れた女が目のまえにいるのだから。
奥さんはいった。
わたしは主人だけのために生きます。だから、貴男とは結婚できません。

いったいどこまで夫婦で話し合ったのだろうか?
たった一度犯されただけの間柄の男のために、夫と離婚する女はそうはいない。
妻としての務めが果たせなかった・・・とか、そんな想いを抱きそうなくらいに真面目なのだろう。
奥さんの真面目さと、かりそめにも結婚まで考えてくれたこととが、素直に嬉しかった。
俺は真面目な女が好きなのだ。
その真面目な女(ひと)に、俺はこうも言わせてしまった。
――主人も愉しめるように抱いてくれるのなら・・・貴男に抱かれてもいい。
本来は、夫の前でほかの男にそんな科白を吐ける女ではなかったはず。
俺がこの女(ひと)のなにかを、塗り替えてしまったのか。
せめてもの礼儀を示そうと、俺は彼女の手を取って、王子が王女にするように、
手の甲に接吻をした。
彼女は意外なくらい優雅にそれを受けてくれて、小声で「ありがとう」と言ってくれた。

それでもこの女(ひと)が、自分らしさを失くしていないことを、俺は数分以内に思い知る。
「いけません!なにをなさるんです!?」
「あなたは・・・あなたは、無作法ですっ!」
「し・・・失礼なっ!」
奥さんはあくまでも気丈に頑張り、あくまでも女の操を守り抜こうとした。
突っ張る腕をへし折って、
抗ううなじを引き寄せて、
こぎれいなワンピースを引き裂いて、
ストッキングをふしだらにずり降ろして、
俺は親友の目のまえで、その愛妻を犯していった。

激しい身じろぎに衣擦れを身体のあちこちに作りながら、
きちんとセットした髪を振り乱しながら、
歯茎を舌で拭われながら、
たくし上げられたワンピースの奥深くを、辱め抜かれていった――

夫を愉しませるため。
そんなふうに割り切った女は、
「主人に抱かれるつもりで貴男に抱かれる」という思い込みを満面に泛べていたが、
やがて互いの身体の相性の良さを否応なく思い出さされて、
夫の前で自分のほうから、腰を激しく振り始めていた。
――すべてあなたのせいなのよ。
声で言わずとも、迎え入れた膣がそう呻いていた。
――わかっているとも。
俺は激しい射精で、女の非難を塗り消していった。

親友の目が、俺に訴えた。
――わたしの妻も、ほかの女と同じようにあしらうのか?
俺の息遣いが、彼に応えた。
――違うね、本気で惚れたんだ。
親友の目が、また注がれた。
――彼女と結婚したいのか?
俺の息遣いが、また応えた。
――違うね、彼女の意思を尊重して、きみの妻のまま犯しつづけるんだ。
親友の目が、なお追ってきた。
――ぼくたちは、共存できるというのか?
俺の息遣いが、さらに応えた。
――それがきみの望みでもあるんだろう?
親友の目に、歓びの色がよぎった。
――そういうことなら・・・妻を愛し抜いてくれ。夫としてお願いする。
俺の息遣いが、なお荒くなる。
――よろこんで、そうさせてもらうとも。
深く深く沈み込んだ一物を受け止めかねて、俺の下で組み敷かれた女(ひと)が、切なげなうめき声を洩らしていた。


結婚は、しなくちゃダメですよ。私が信用できる娘さんを紹介するから。
あなたみたいな立派なモノをお持ちの殿方が独身でいらしたら、周りの人たちが困りますから。
おすすめの子がいるの。逢ってみない?
そういって奥さんが紹介してくれたのは――奥さんの妹だった。

あたしといっしょで、堅物なの。
だから、さいしょはきちんとお付き合いしてみて。
いきなりドライブに誘って犯したりしたら、ダメよ。
そういうと彼女は、イタズラっぽくフフッと笑う。
結婚しても私のことが忘れられなかったら、いつでもいらしてね。
主人といっしょに、待っていますから――

言葉と振る舞い。

2018年08月06日(Mon) 06:53:22

親友に、妻同伴でドライブに誘われて、
だれもいない草むらのなかで妻の貞操をプレゼントする羽目になったあと。
わたしたちは意外にも、円満な交際をつづけている。

毎週週末になると、わたしたち夫婦は連れだって、彼の許へと訪れる。
その日の彼の気分によって、ドライブになったり屋内でのプレイになったりするけれども、
どちらの場合でも必ず、彼はわたしのまえで妻を襲って、服をびりびりに引き裂いてゆく。
妻は彼のことを罵り、目いっぱい抗い、わたしに助けを求めながらも、
さいごは力づくで抱きすくめられ、犯されてゆく。
「ひどい!なんてことなさるの!?」
「だめ、ダメ、ダメッ!・・・」
「あなた、あなたあっ。助けてぇ・・・っ」

最後のひと言は、ぼくのリクエスト。
「そう言われると昂奮する?」って訊かれ、思わず強く頷いてしまった。
「正直でよろしい」
妻はいつものように、フフッと笑った。

いちどモノにされてしまうと。
妻の態度が少しだけ変わる。
それまではわたしだけの貞淑な妻として振る舞って。
女の操をひたすら守り抜こうと努めるのだが。
股間の一物を突きさされてしまうと、「アアーッ!」とひと声叫んで、そこから先は娼婦になる。
娼婦になりながらも、男を罵ることはやめようとしない。
「なんて無作法な!主人の前なのにッ!」
「貴方、視ないで、視ちゃダメッ!」
「く・・・悔しい・・・悔しいッ!」
悶え、呻き、歯がみをしながらも。
妻の股間は相手を受け容れ、応えはじめている。
強引な上下動に支配されながら、
そのうち自らも積極的に腰を振って。
スカートの奥にくり返し突き入れられる一物を、みずから咥え込んでゆく。
息遣いも荒く、大汗を掻きながら、妻は目の前の夫を裏切って、快楽のるつぼへと引きずり込まれてゆくのだった。

言葉で罵りながら、身体で応える。
妻はふたりの男に、同時に礼儀を尽くそうとしている。

来週の予定。

2018年08月06日(Mon) 06:43:01

さいしょのドライブの後、帰宅そうそう妻はいった。
「来週、行くつもりなんでしょ?」
え・・・?問い返そうとするわたしの機先を制するように、妻はいった。
「貴方も、しっかり愉しんでいたみたいだし」
ズボンのなかで昂り過ぎてしまった痕跡に妻はチラと目をやると、なにも気づかなかった顔をして、
「そういうの、恥ずかしがることないから。あのひと、貴方の親友なんでしょ」
そう言い捨てると、妻はさっと髪をひるがえして、そそくさと浴室に向かった。

男まさりな気性の妻だった。
もしも浴室で1人になってそこで泣いたとしても、涙をシャワーできれいさっぱり洗い流すはず。
そのあとは、なにごとも起こらなかった顔をして、いつものように台所に立つのだろう。


いつもどおりにお互い振る舞った夕食のあと、台所を片づけ終わってリビングに戻って来た妻はいった。
「よけいなことは言いっこなし。彼はきちんとした人だとか、守れなくて済まなかったとか、聞きたくない」
尖った口調と怒り顔とをおさめると、彼女はわたしをまっすぐに見て、またいった。
「来週行くの、気が進まない?気が進む?」
「気が進む」のほうに黙って頷くわたしに、妻はなおもいった。
「男らしくないなー。負けを認めなさい負けを。自分の考えをちゃんと口に出して言ってみて」
わたしはこたえた。

来週末――きみが彼に襲われるところを、もういちど見たい。

妻は一瞬目を丸くし、肩をこわばらせたけれど。
すべてをのみ込むように頷くと、いった。
「それでいいわ。あたしも愉しむから」
お茶淹れるわね・・・そういって妻が、髪を揺らして起ちあがるのといっしょに、わたしもトイレに起った。
股間の昂ぶりが収まらなくて。
重症ね・・・心のなかで妻が、フフッと薄笑いする。
このひと、女の操をなんだと思っているのかしら。
いたってノーマルな妻のことだから、きっとそうも言うだろう。
けれどももっと間違いなく、言われそうな囁きがある。

貴方のそういうところ、結婚するころからなんとなくわかっていたの。

気に入ったところ。

2018年08月06日(Mon) 06:20:41

私が彼を気に入った理由(わけ)・・・?
そんなことが気になるの?
妻は意外そうにわたしを見て、「そうねぇ・・・」と頬づえを突きながらちょっとのあいだ考えた。

まずね、さいしょのとき。
貴方が「きょうはこれくらいで」って言ったとき、素直に収めたでしょ?
止め処がなくなる人だったら良くないなあって思ったの。

それからね、二度目のとき。
私が貴方のためだけに生きるって言ったとき、手の甲にキスしてくれたでしょ?
この人、私のことをレディとして扱う気なんだなって思ったわ。

それとね、いまだから言うけれど・・・
さいしょに力づくでされちゃったとき、セックスそのものは貴方よりも上手だったから。

妻はわたしの反応を愉しむように意地わるそうな目をして、フフッと笑った。
どこまでが挑発?どこまでが本音?

そういえば、妻が煙草をくゆらすようになったのは、彼から吸わされてからのことだった。

だれのため?

2018年08月06日(Mon) 05:58:20

アウトドア派を自認する親友に誘われて、妻を伴ってドライブを楽しんだ。
見返りに、妻の肉体を愉しまれてしまうなどとは、つゆ知らず。

犯された後の妻は、目を伏せて、服の裂け目を気にかけながら、わたしの後ろに隠れるようにまわり込んだ。
嫌われちゃったかな?
親友は、ちょっと気づかわし気にわたしと妻とを等分に見比べた。
きょうは、このあたりで・・・
わたしがそういうと、親友は意外に素直に応じてくれた。
帰りは玄関まで、ぼくの車で送ります。
服の裂け目をしきりに気にかけている様子の妻を見ながら、彼はいった。
でも、きょうみたいなチャンス、良かったらまた作ってくれないかな?
彼の目線は、わたしのことを通り越して、まっすぐ妻へと向けられていた。
妻は彼の目線を避けるようにうつむいたまま、かたくなな声でこたえた。
主人と話してから決めます。
小さいけれど、きっぱりとした口調だった。「私の夫はあくまでこのひとですから」と言いたげな目つきをしていた。

翌週の週末。
わたしたち夫婦は、彼の家を訪れた。
開口一番、妻はいった。
私は、このひとのために生きますから。だから――貴男とは結婚できません。
でも、このひとったら・・・変態なのよね?
意地悪そうにわたしをふり返る妻の目は、笑っていた。
このひとも愉しめるように抱いてくれるなら――貴男に抱かれてもいい。
男に注がれる上目遣いの目線に、かすかな媚びを含んでいるのを、わたしは見逃さなかった。


きょうはインドアだったわね。
彼の車の助手席に腰かけた妻は、わたしのほうをかえりみて、イタズラっぽく笑った。
身に着けた花柄のワンピースはみごとなまでに引き裂かれ、豊かなおっぱいがまる見えになっている。
車で玄関まで送ってくれるという彼の言を信じて、思うさま破らせたのだ。
屋外レ〇プに長けた彼にとって、襲ったご婦人の服を引き裂くのは、むしろ礼儀の一部になっているらしい。
まったくもってけしからぬ礼儀作法ではあったけれど。

インドアでも、愉しんでもらえたかしら?
傍らの男を上目づかいで見る妻の薄い唇が、媚びるように笑った。
来週はドライブにしましょう。そういう彼に、
明日でもいいわよ?と、応える妻。
そういえば先週は、わたしと並んで後部座席に座っていたっけな。
わたしは1人の後部座席でそんなことを薄ぼんやりと思っていた。


抱かれる前に、妻は男にいった。
それと、先週のストッキング、返してください!
妻は口をとがらせて男に主張した。
こと果てたのち、放心状態になっていた妻の脚からストッキングを引き抜いて、ポケットにねじ込んだのだ。
彼は、ストッキングフェチだった。
きっとコレクションに加えるんだろうな・・・わたしは淡々と思っていたが、
妻は引き裂かれ汚されたストッキングが他の男の手許にあるのが我慢ならなかったのだ。
男はいった。
あれは戦利品です。
妻は不平そうに鼻を鳴らしたが、もうそれ以上なにも言わなかった。

助手席の妻は、ノーストッキングだった。
だって、男のために、またもやせしめられてしまったから。

あなた~、大変よ~。奥さんのお洋服代とストッキング代、がんばっていっぱい稼いでね~。
妻が内助の功にいっそう精を出しはじめたのは、それからのことだった。

【小話】アウトドア派

2018年08月06日(Mon) 04:13:19

その親友は昔から、口ぐせのように言っていた。
俺、アウトドア派だから。
インドア派のわたしは彼と外で行動することはなかったが、
お互いそんなことでも、仲の良さは変わらなかった。

わたしが結婚してすぐのころ。
俺、アウトドア派だから。こんど、奥さん連れてドライブに行かないか?
明るい性格の彼だったから、見合い結婚の妻は乗り気だった。
わたしもたまには外もいいかなと思った。
ふたりはよろこんで、彼の誘いに応じた。

親友がアウトドア派だということを、つくづく思い知った。
彼はもっぱら外で、女性を襲うのが好みだった。

それ以来。
わたしも妻もアウトドア派に転向して、
週末の彼とのドライブを、楽しみにするようになっていた。

【小話】男の看護婦

2018年08月06日(Mon) 04:07:18

看護婦募集のポスターを見て、その小さな医院を訪れた。
男だけれど、応募して良いかと訊いてみた。
男だけれど、白のストッキングが穿きたいのだと。

先生は言った。
うちが募集しているのは看護婦です。
たとえ男性でも、女性のナース服を着て、白のストッキングを穿いていただきます。
着用するストッキングは薄地のものにかぎるので、すね毛はきれいにしていただきます。

看護婦が増えてから、医院は患者が増えて繁盛した。
みんな、男の看護婦が目あてだった。
医院が繁盛したのは、わたしが働きものだからだと思っている。
夜も看護婦の服を着て、患者ではない来院者の応対をしているのだから。

【小話】女医さん

2018年08月06日(Mon) 04:05:05

都会から、女医さんがやって来て村に棲みついた。
評判の良い女医さんだった。

さっそく、村の男衆が夜這いをかけた。
翌朝、ほかのものが男に尋ねると、
少し妙な顔をしていたが「良いよ」とこたえた。
つぎの夜は別の男衆が夜這いをかけた。
そのつぎの夜も、また別の男衆が。
評判は上々だったが、みんな心持ち妙な顔をして語るのだった。

昼間には女医さんは涼しい顔をして診療をつづけ、
夜には黙って男衆の来訪を受け容れた。
だれもが悦んで患者になり、だれもが悦んで夜這いをかけた。
女医さんは、男だった。

女学生?看護婦?それとも・・・

2018年07月25日(Wed) 05:29:55

その女子生徒は彼のまえで、恐怖に顔を引きつらせ、
両手で口許を抑えて、立ちすくんでいた。

下校途中だったらしい彼女の服装は、紺のベストとグレーのプリーツスカート。
足腰の動揺に合わせて揺らめくスカートのすそからは、
緑のラインが3本入った白のハイソックスに包まれた脚が、革靴に包まれてこわばっている。

彼はかまわずその女子生徒の肩を掴まえ、手前にグイと引き寄せた。
そうはさせじと踏ん張る脚はすぐにくじけて、
あっという間に彼女の身体は彼の猿臂に抱え込まれてしまっていた。
目のまえに迫る健康そうな首すじは心持ち日焼けしていて、
ツヤツヤとした健康そうな皮膚に覆われている。
真っ白なブラウスを汚してしまうだろうな――と思ったときにはもう、
口からむき出した牙で、首すじに喰いついていた。

「ぎゃっ!」と叫んだのか。「わっ!」と叫んだのか。あまりよく憶えていない。
気がついたときには吸い上げる血液のなま温かさを心の底から抱きしめながら、
抵抗を忘れた女子生徒の身体から、生き血を喉を鳴らして飲み耽っていた。
血のない身体は引きつったように苦しく、全身を縛る干からびた血管に締め上げられるようだったが、
少女の身体からもたらされた潤いに打ち解けて、ぐっと柔らかな心地になっていた。

尻もちを突いたかっこうの女子生徒と目が合うと、良く輝く黒い瞳が怯えた。
彼はにんまりと笑い返しながら、心のなかで思った。
――そう、あんたは俺専属の看護婦なのだよ。
白衣の代わりに学校の制服を身に着け、白のストッキングの代わりにライン入りのハイソックスを脚に通した“看護婦”に、彼はなおも無慈悲な牙をひらめかせる。
ハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけてゆくと、女子生徒はあらかじめ予期していたかのように脚を差し伸べて、これから加えられる恥辱を目にするまいと、キュッと目を瞑った。
赤黒く爛れた唇のすき間からよだれをギラギラと滾らせた舌がヌルリと這い出て、ハイソックスの生地になすりつけられる。
しなやかなナイロン生地のしっかりとした舌触りを愉しむようにして、
舌はなん度もしつようになすりつけられ、ヌメヌメと這いまわった。
脚の線に合わせてゆるやかに流れるリブ編みが、いびつによじれた。
そうやって左右の脚を代わる代わるいたぶると、彼は靴下の上から牙を突き立てて、
少女の自尊心にとどめを刺すように、ずぶりと牙を埋めた。
「ああっ・・・」
女子生徒はなん度めか、悲しげなうめきを洩らし、突っ伏して、
いたぶられてゆく自分の足許から目を背けた。
真っ白なナイロン生地にじわじわとバラ色の飛沫を拡げながら、
彼は女子生徒の生き血を美味そうに、なおもチュウチュウと音を立てて吸い取っていった。

ふと気がつくと、腕のなかにいたはずの女子生徒の姿がなかった。
引きかえに与えられた喉の潤みと身体のほぐれとを振り捨てるように彼は起ちあがり、あわてて周囲を見回した。
グレーのプリーツスカートをひるがえして逃げ去る少女の後ろ姿を追い求めたが、それはどこからも得ることができなかった。
彼は半狂乱になって、とある民家の庭先に乱入した。
どうしてその家にしたのかは、記憶にない。
民家の縁側に面したガラス戸は開け放たれていて、なかは真っ暗闇のなか、ひっそりと静まりかえっている。
死の静けさを、彼は直感した。
たたみの部屋の中央にしつらえられた籐椅子から、だれかが起きあがる。
まるで死者が蘇生したかのようだった。
相手は初老の男性だった。
老人はだまって彼に、部屋の奥を指さした。
彼は老人に指さされるまま、部屋の奥を窺った。
薄暗闇のなか、一枚の大きな水彩画が、額縁におさまっている。
その絵の主の少女をみて、彼はあっと声をあげた。
白のブラウスに濃紺のベスト、グレーのスカート。
学校の制服を身に着けた絵のなかの少女は、こちらに目を向けて、悲しげにほほ笑んでいた。
少女の履いている白のハイソックスには、ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたり、ちょうど3本走った緑のラインの上あたりに、赤黒いシミが毒々しくまとわりついている。
「どういうことだ!?」
狼狽してふり返る彼に、老人は言った。
「その子にお逢いなすったね?」

もう、どれくらい前のことになるのやら。
あの子がいなくなってから、わたしの時間は止まってしまった。
学校帰りに吸血鬼に襲われて、家にたどり着くことができなかったのだ。
優しい子だった。
その時分にはもう、校内には吸血鬼がだいぶいたというのに、あの子は分け隔てなく接して、仲良くしようとした。
どうしても喉が渇いたというものには、靴下を脱いで足を咬ませて、血を吸うことを許しさえした。
靴下のうえから噛みたがるものがあると、仕方なさそうにほほ笑みながら、なん足も用意していた気に入りのハイソックスに血を滲ませながら、応えてやっていた。
だが、心無いものがあの子の血を独り占めにしたがって、あの子は家に帰ることができなくなった。
だから時々、出るのだよ。
あんたのように喉をカラカラにして、通りがかりの女の子を見境なく襲うものが街をうろつくと、
あの子は幻になって、ほかの子の身代わりになって咬まれてやるのだ。
どういうわけか、吸い取った血は本物らしく、
あの子を襲ったものはいちように、ひどく満ち足りた顔つきをして、静かに立ち去るのだ。
ちょっぴり後悔の色を浮かべて、もうこんなことをくり返してはいけないのだと自分に言い聞かせてな――ちょうどいまのあんたのように。

彼は少女の絵のまえで、がっくりとうなだれて、たたみに満ちるほどの涙を流していた。
吸い取った血潮の滴りを、その涙で償うように。

「償うつもりはできたのかの?」
そう問いかける老人に、彼は言った。
「どんな魔法をかけたのだ」
「どういうわけだか、わしにもわからんが」
老人はいった。
「あの子を無体に襲った吸血鬼は、真人間に戻ってしまうのだよ」

自前の血液が脈々とめぐる居心地の良さを体感しながら、彼は老人のいうことが正しいと認めざるを得なかった。
「どうしろっていうんだ・・・?」

こんどはあんたが、血を吸われる側にまわるのだ。
あんたが道行く少女や人妻から生き血を吸い取ったように、
通りを徘徊する吸血鬼のまえに立って、こんどはあんたが自分の血を与えるのだ。
そうだな、さしあたりきょうからは、女になって過ごすことだな。
あの子の着ていた制服を着て、明日から学校に通うがよい。
齢?どうでもよいではないか、そんなことは。
服だけではない。部屋もあの子の部屋を使い、あの子になり切って暮らせばよい。
戸籍もそのまま残っているし、学校にも連絡しておこう、あの子が再び登校できると。
食事はばあやが作ってくれるし、クラスにもちゃんと女子生徒としてとけ込めるはずだから。

翌日、彼は老人のいったことが本当だと感じた。
かつらをかぶり、女子の制服を着て、おそるおそる玄関をくぐると、
友だちらしい女子が2、3人、彼を待ち受けていた。
「さと子ちゃん、行こ」
頭だった女の子は、彼のことを「さと子ちゃん」と呼んだ。
たぶん、あの子の名前なのだろう。
それ以来、彼は「さと子ちゃん」になった。
「さと子ちゃんは、おかまちゃんね?」
白い歯をみせて笑う少女の口ぶりに、邪気はなかった。
「いいのよ、うちの学校、そういう子たちが多いから。うちのクラスにも、さと子ちゃん以外に3人いるわ。見分けがつかないと思うけど」
少女の履いている白のハイソックスが、朝陽を照り返して眩しく映った。
白のハイソックスに包まれた脚たちが通学路をたどるのを、
そのなかに自分の脚さえもが含まれているのを、彼は眩しく感じた。

授業を終えて帰ろうとすると、初めて彼を「さと子ちゃん」と呼んだ少女が、気づかわしげな顔つきをして、こちらへやって来た。
「私――きょう初めて吸血鬼さんに血を吸われるの。さと子ちゃんも来てくれない・・・?」

どうしてあたしを?
いつの間にか覚え始めた女言葉で、彼が訊くと、少女はいった。
――この街に越してきてから、一か月になる。吸血鬼のいる学校と聞かされて、怖がってそんな学校に通いたくないと親に言ったけれど、許してもらえなかった。いろいろな事情でふつうの街に棲めなくなったから、この街に来たのだと。その引きかえに、父さんも母さんもお前ももちろん、献血をしなければならないのだと。怖がる私にまわりは優しくて、吸血鬼の相手をすることを無理強いされることはなかったけれど、一か月経った今、父さんも母さんも吸血鬼に血を吸われてしまい、母さんの血を吸っている吸血鬼に血が欲しいとねだられている。でも一人で行くのが怖いの。

じゃあ、あたしが手引きしてあげる。
彼は少女の手を取って、引っ張るようにして連れ出した。
自分のなかでなにかが目覚めたのを彼は感じた。
怯える少女たちを地獄送りにした日々の記憶が、ちょっぴりだけれどもよみがえったのだ。
自分が吸うわけではない。けれども、吸血されるというのはこんなことだと、俺はこの子に教え込んでやることがまだできる――

着いたのは、古びた邸だった。
その邸の門のまえ、少女は怯えたように、白のハイソックスの足許をすくませる。
「大丈夫よ、あたしがついてる」
彼はそういって、少女のまえに立って、訪いも入れずに門の中に入っていった。

「あんたか・・・」
うずくまっていた黒い影は振り向きざま、目あての少女をかばうように立ちはだかる女子生徒をまじまじと見て、信じられないという顔つきでそういった。
お互いに吸血鬼仲間だったから、やつのことはよく知っている。
ふたりで同じ獲物を分け取りしたこともあったし、
二人連れの女学生を襲って、獲物を取り替え合って愉しんだこともある。
悪い記憶を共有する仲間なのだ。
「あたし、さと子です。よろしくね」
一瞬で事態を把握したらしいかつての相棒は、しどろもどろに、
「ああ・・・こちらこそよろしく」
というのが精いっぱいだった。
「この子に介添えをしてほしいって言われたの」
さと子がそういうと、相棒はすぐに納得したようだった。
「さきにあたしのことを咬んで。お手本を見せるの」
「うう・・・わかった」
吸血鬼が吸血鬼の血を吸うのか?と言いたげな相棒の顔を一蹴するように、
「もう吸血鬼じゃないんだから。中学二年の女の子なんだから」
さと子はそう言い張って、履いていた白のハイソックスをひざ小僧の下まで引っ張り上げた。
相棒が、ハイソックスの脚に好んで咬みつくのをよく知っていたから。
「じゃあ、お言葉に甘えるよ」
相棒は少女を襲う吸血鬼の顔に戻ると、さと子の足許に唇を近寄せた。
「きょうの本命」の少女が、ふたりのようすをおどおどと見つめる視線を感じながら、
さと子は足許に尖った異物が刺し込まれ、ハイソックスになま温かなシミが拡がるのを感じた。
「ほんとうに女の子の血だ・・・あんたの血、美味いぜ」
相棒が手の甲で口許を拭うと、さと子は「でしょ?」と得意そうにいった。
「つぎはこの子の番。お手柔らかにね」
さと子は素早い身のこなしで少女の背後にまわり、両肩を抑えつける。
ビクッとすくむ方の怯えが、掌に伝わるのを感じた。
「平気よ。すぐ済むわ。あなたのお母さんだって生きてるでしょ?献血だって思ってあげて」
もじもじさせる足首を相棒がつかまえるのを見おろしながら、さと子は親友を落ち着かせようとして囁きつづけた。

いいこと?
困ったひとにあたし達の若さを恵んであげるの。
あなた、看護婦さんになりたいんでしょう?
看護婦さんは白衣に白のストッキングだけど、
いまのあたし達は学生だから、制服に白のハイソックスなの。
あのひとたちは淋しく飢えているから、
あたし達の着ているお洋服で慰めることもできるのよ。
大人の女のひとが穿いているストッキングとか、
あたし達くらいの年ごろの女の子が履いているハイソックスを、
破いたり汚したりしながら血を吸うのが好きなの。
イヤラシイわよね?ヘンタイだよね?
でも、気にしないで相手してあげるの。
恥かしいのは吸血鬼たちのほうよ。
あたし達は、彼の好みに合わせてあげてるだけだから、ちっとも恥ずかしくないの。
そのうちに、慣れてくるわ。
女子生徒らしい装いを辱めるのと引き換えに、彼ったらキモチよくしてくれるのよ。
あなたのお母さんもきっと、キモチよくしてもらっちゃったから、
娘のあなたにもそんなふうになってもらいたいって思ってらっしゃるの。
だから、毎日学校に着ていく制服姿を辱めさせてあげましょうよ。
これは悪魔の囁きなんかじゃないわ。親友の忠告――

あ~あ。気を失っちゃった。
あとはもう、やりたい放題じゃないの。よかったね。
真っ白なハイソックスに濁った精液がしたたり落ちるくらい、ぶち込んじゃいなさいよ。
あんたの精液、いつも濃くって臭いもきついのよね。
え?先にあたしを・・・ですって?
やらしいなぁ・・・もぅ。
でもあんたに純潔を汚されるのも、それはそれで道理なのかも。
いいよ、じゃあこの子の前で手本見せるから。
夢中になるまで、やめちゃダメだからねっ。


こうしてなん人もの少女がまた、地獄に堕ちた。
さいしょの朝に迎えに来た少女たちは、毎日代わる代わるにあの古屋敷に呼び出されて、処女を奪われた。
それは、皮切りに過ぎなかった。
さと子の手引きで、まだ未経験だったクラスの女子のほぼ全員が、男を識った身体にされてしまったのだ。
初体験を迎えて本能的に怯える少女たちを、さと子はつぎつぎと大人の女にしていった。
経験するまでは、地獄。経験してからは、天国。
ほとんどの少女が、そう感じたに違いない。
大勢の若い血液が供給されたおかげで、通りがかりの女性がいきなり襲われることはほとんどなくなり、生命を落とす例は絶えて聞かれなくなった。


さと子が家に帰ると、見知らぬ少女がじっとこちらを見ていた。
「ずいぶんおおぜいの子たちを、恥知らずにしちゃったんだね」
少女はちょっと、怒っているようだった。
「あなた、やっぱり吸血鬼のほうが向いているわ。償いをさせるために真人間にしたのだけれど、やはり私が人間に戻るわ」
制服は返してね・・・と振り返ったときにはもう、もとの優しい顔になっていた。


男の姿に戻った彼は、再び相棒の棲む古屋敷の前にいた。
傍らに、同年代の若い女性を伴って。
「いいかい?入るよ。きょうは、俺の婚約者を紹介してやろうと思ってね・・・」


※7月21日 9:38構想。
やや唐突なおわり方が気になりますが、ここまでのお話のようです。^^;

ナッシュさんのイラスト

2018年07月25日(Wed) 05:19:27

最近見たナッシュさん(「ナッシュの娼館」主催)のブログで見かけたデッサンがどうにも気になって、ひさびさに絵を描いてみました。
サイズがでかすぎるのでこちらでのあっぷはひかえますが、よかったらコチラを見てやってください。

https://www.pixiv.net/member_illust.php?mode=medium&illust_id=69848511

ちなみに、原画はコチラです。^^
http://nash00mousou.blog.fc2.com/blog-entry-645.html

寄り添う幻 ほほ笑む面影

2018年07月16日(Mon) 16:22:49

ストッキングを穿くだけで 貴婦人になったような気がする
スリップを着けるだけで 淑女になったような気がする
ぼくは男 でも鏡のなかでは女
きょうもレディの幻影が、ぼくに寄り添いそっと囁く

ハイソックスを履くだけで 女学生になったような気がする
リボンをギュッと締めただけで 優等生になったような気がする
ぼくは男 でも鏡のなかでは少女
きょうも女子校生の面影が ぼくに寄り添いそっとほほ笑む

いもうと

2018年07月07日(Sat) 08:23:09

「死んじゃう、死んじゃう・・・」
吸血鬼になった俺に血を吸われるとき、妹はいつもそう呟きつづけていた。
ぐびりぐびりと喉を鳴らして、情け容赦なく血をむしり取ると、
貧血になって体重を預けかかった妹を受け流し、そのままたたみのうえに横たえてゆく。
空色やピンクのハイソックスのしなやかさに引き込まれるように、唇をふくらはぎに吸いつけると、
「イヤ・・・イヤ・・・」とべそを掻きながらも、素直に咬まれていった。

少年時代、もっとも多く吸い取った処女の生き血は、妹のものだった。

卒業式のあと、謝恩会から1人で戻った妹を、
俺は喉をカラカラにしながら待ち受けていた。
立ちすくんだ白のハイソックス姿が眩しくて、気がついたらもう、首すじを咬んでしまっていた。
大人びた晴れ着を汚されまいとした妹は、首すじに密着してくる飢えた唇を、引き離すことができなかった。
それをよいことに、俺は妹のブラウスを引き剥ぎながら、喉を鳴らすのを止めなかった。

叱責する母親の怒声を正座しながら受け流して、傍らの妹をかえりみると、
太ももの奥から垂れた血で白のハイソックスを汚した妹が、
べそを掻き掻きこちらを見ていた。
お前はもう、俺の女だからな――
チラッと送った視線にそんな想いをこめてやると。
――わかってる。
と言いたげな黒い瞳が、まだ憂いを帯びていた。

中学に上がった妹の制服姿は、俺の好餌になっていた。
吸血鬼になってしまった俺が妹を襲うのを、母は見て見ぬふりをするようになった。
俺がさいしょに識った女の身体は、母親のものだった。
父の写真のまえで、なん度も愛し合ってしまうと、
母親はそれ以上もうなにも言わずに、俺が実の妹を犯すのを、見て見ぬふりをしたのだった。

それ以来。
怖いもののなくなった俺は、道行く女子高生や主婦を、手当たり次第に襲っていって、
家に引きずり込んでは生き血を吸い、犯していった。
周囲は体面を気にする旧家や良家ばかりだったので、
俺の悪行は被害者の家族たちによって隠蔽されて、表に出ることはなかった。
ひとつだけ自慢できるとしたら、襲った女のだれひとりとして、本気で愛さない女はいなかったことだろう。
もてあそぶつもりなど毛頭なく、俺は彼女たちに真剣に恋をしていた。
追い詰められた彼女たちは、だれもが迷惑そうに顔をしかめながらもスカートの奥をさらけ出していって、
ときにはしんけんに抱き返して、言葉にならない意思を伝えてくれるものもいた。

妹は美しい女に成長して、やがて結婚が決まった。
母親は、兄妹姦をくり返す俺たちを、正しい道に引き戻そうとしたらしい。
「いつかはそうなることだから」と諭された俺は、やむなく妹の結婚に同意した。
妹ほどのパートナーはついにいなかったので、喪失感は半端ではなくて、
結納のあと帰宅した妹を、スーツ姿のまま押し倒し、
パンストを引き裂いて、ブラジャーをはぎ取って、
熱く滾る粘液をほとび散らしながら、婚約祝いを果たしていった。

妹の結婚相手は、母親の勤め先の上司の息子だった。
母親がその上司とずっと以前から付き合っていたのを、俺はずっと前から知っていた。
生活を支えるのに仕方がなかったとはいえ、母親が許せなかった俺は、
そいつと同じようにして、父親の写真のまえで母親のブラウスをはぎ取ったのだった。
――母娘ともども、親子でものにしてやったのだ。
上司親子のせせら笑いが聞こえるような気がして、
その晩はずっと、母親と妹の寝室を行き来しつづけて、
代わる代わる生き血を吸い取り、抱きすくめていった。

その日から、俺の復讐が始まった。
――母娘ともども、愛してやるよ。
そんなふうにほくそ笑まれた俺は、やつらの女家族を愛することにした。
さいしょに襲ったのは、上司夫婦だった。
母親を犯した相手の血を吸うのはいけすかなかったけれど、足腰立たなくなるまで吸い取ってやって、
へたり込んだ男の前で、その妻を襲った。
これ見よがしにブラウスをはぎ取って、スカートの奥を露骨にまさぐりながら、
辱めるためだけに抱きすくめたこの年配の人妻が、意外に味の良い生き血を持っていて、いい女だということを感じはじめていた。
俺は女に、女の夫と俺の母親との醜聞を告げて、こんどは入れ替わりに俺があんたを愛人にするのだと宣言した。
外聞を憚る夫は黙って夫婦の寝室を後にして、
体面を気にする妻はなすすべもなく俺に身をゆだね、やがて本能の教えるままに、応えはじめてきた。

結婚してからも妹は、よく実家に戻ってきて、
「血が足りないんじゃなくて?」といっては、新妻のワンピース姿をくつろげてくれた。
不倫で奪われた母親と、権力で奪われた妹とを、俺はこうして取り戻していった。
嫁ぎ先の家で、妹と戯れ合っている最中に、だんなが家に戻ってきて、だんなを交えて近親婚を愉しんだり、
女学生の妹が下校してきたときに兄嫁のいけないところを覗いてしまっただんなの妹を引きずり込んで、
初体験を無理強いしてしまったり、
妹の婚家で俺は、やりたい放題に振る舞った。
だんなの妹はなかなか賢い女で、義姉さんの弟さんと結婚したいと言い出して、俺の妻になった。
これ以上ほかの男に抱かれたくないというのなら、じつに賢明な判断だった。
いまでも彼女は、初めて犯されたときの制服に身を包んで、襲われる女学生になり切って、俺を愉しませつづけている。
嫁いだ娘に会いたがる両親は、しばしば俺の新居を訪問した。
もちろん、娘のいないときだった。
義父を別室に待たせながら、俺は義母の礼装をはぎ取って、強姦した。
人妻としての名誉を守りたがる義母は、俺のものになるまえに、必ず抵抗するのを習慣にしていたから。
お互い相性の良さを自覚し合っている義理の母子は、昼下がりの情事を目いっぱい愉しむと、
こざっぱりとした顔になった義母は、サバサバとした口調で義父に、お待たせしましたと礼儀正しい会釈をして、
夫婦仲良く帰っていくのだった。
不思議なことに。
義父は義母が俺を訪問する意図を知り尽くしながらも、彼女の送り迎えを義理堅く果たしつづけている。

「死んじゃう、死んじゃう・・・」
かつての妹のように身を揉んで、俺の腕のなかでたっぷりとした肉感を伝え続ける少女は、
妹そっくりの面差しをして、白い頬に憂いをよぎらせる。
首すじを、胸を、ふくらはぎを。
順ぐりに咬んでいって、弱らせていって。
貧血を起こしてソファにしなだれかかる少女のふくらはぎに喰いついて、ハイソックスを咬み破ってやる。
妹のまな娘は、どうやら俺の種らしい。
俺は父娘姦の愉しみに胸をわくつかせていたし、
送り迎えをしている少女の父親は、娘を吸血鬼に捧げる歓びに、やはり胸をわくつかせているらしい。
「卒業祝いに、犯してやるからな」
隣室に聞こえるような声でつぶやく俺に、少女は「うん」と応えてくる。
やはり隣室に聞こえるように、はっきりとした声色で。


あとがき
「死んじゃう、死んじゃう・・・」という科白。
昔妹を相手に吸血鬼ごっこをしたときに、血を吸われる女を演じた妹が発した言葉です。
吸血鬼ごっこをしていた時分は、妹の血を全部吸い尽してしまっていたのですが、
いまならきっと、こんなふうに、なん度も血を吸いつづけるほうを選ぶでしょう。

街のタウン情報――春山さん宅で『人妻狩り』が行なわれました。

2018年06月28日(Thu) 07:34:34

当村の法事に都会の奥様が招ばれるときに、決まって始まるのが「人妻狩り」です。
6月27日に行われた春山家の法事でも、「人妻狩り」が行われました。
ターゲットは春山家の三男坊のお友だちの奥様という、当村からは遠い関係のご婦人です。
もちろん、当村にこうしたしきたりがあるということは、ご夫婦ともに聞かされていません。

「法事の最中から、『人妻狩りだ』、『人妻狩りだ』・・・と村の方たちが口々にそう呟いているのが聞こえてきました。初めのうちは、なんのことかわかりませんでした。まさかうちの妻が狙われているなどとはつゆ知らず・・・ですね」
そういって苦笑するのは、晴れて奥様を村の男衆たちの性奴隷に捧げて気前の良さをみせた夫の深山さん。
遠縁の法事ということで招かれたこの村で、奥さまの翠さん(36)が、逞しい村の男衆たちの生贄にされるのをみすみす見せつけられる羽目に遭ってしまいました。
「そりゃとてもメイワクでしたよ。どうしてボクの妻がそんなことにならなきゃならないのか?って、抗議もしましたし、やめてほしいとお願いもしました。でも、断り切れなくなっていったんです」
最初はそんなふうに、奥様と村の男衆との性交を拒んだ常識的な深山さんだったのですが・・・
「いまでは後悔していません。妻がヒロインの淫らな宴を実見するという貴重な機会に恵まれたと感謝していますし、妻ともどもこの村への移住を考えています」
深山さんは都会育ちのサラリーマン。もちろん自分の妻をほかの男性たちに提供するしきたりに巻き込まれたのは初めてです。
「妻を愛していましたし、いまでも愛しています」という深山さん。
いったいこのようにひょう変することができたのは、どういうことだったのでしょうか?

「だんなさんを女装させたんですよ。このテを使うと、けっこうな確率で夫婦ともに墜とせます」
というのは、村の長老格の花地アキラさん(58)。
「じつは、わたしもこのテで堕とされちゃった旦那の1人なんですがネ」
アキラさんは、そういって照れ笑いをしました。
そう――ご自身も都会育ちの身でありながら、数年前、奥様を伴われて当村に移住、「人妻狩り」を体験したご主人なのです。
じつはアキラさんも、移住後一週間で奥様ともども堕とされてしまった1人です。
「人妻狩りに遭った奥さんのご主人は、その晩のうちに強制的に女装させられて犯されるんですが、なんだか本当の女にされた気分になって、物凄い昂奮してセックスしてしまいました。男相手に――それも全員が、妻を犯した相手でした。でもそれ以来、女として犯されることにはまってしまったんですね。その晩以来彼らと意気投合しましてね。この村に棲みついて、妻を日常的に提供するようになったのは、自然の成り行きでした。妻も男衆たちにうまいこと言い聞かされてしまって――それ以来、村で夫婦ながら調教を受けることになったんです。家内を最初に犯した長老様とはいまでも夫婦ともどもねんごろなお付き合いですし、身内の奥さん連中も、少しでも若いうちに紹介してあげようと思いました。それで、娘夫婦や弟の一家まで巻き込んだのです」
都会で暮らす身内を紹介して人妻を3人奴隷に堕とした功績?から、アキラさんは都会出身者としては異例の抜擢?長老格に収まっているのです。

アキラさんのお話はあとのお愉しみとしまして――昨夜最愛の奥様を淫らな宴のヒロインとして提供された深山さんの話に戻ります。
アキラさん曰く――
「犯した人妻のご主人は、たいがいそんなふうに、強制的に女装させちゃうんです。女装したご主人は、たったいま奥さんを犯した男衆たちに、女として犯されます。つまり、夫婦で同じペ〇スを体験するんですね。この効果はけっこう絶大です。夫は妻に対して尊敬されるように振る舞うものですが、自分自身まで女にされて犯されてしまうと、そんな薄っぺらい羞恥心というかプライドは、吹っ飛んでしまいます。特に女装に目ざめてしまうご主人の場合だと効果は絶大ですね。いままでなん人もこのテで、ご主人を味方につけています」

村の男衆の逞しい身体に代わる代わる妻を蹂躙されるのを目のまえに、自身も女の姿にされて凌辱されてゆくご主人――嵐が過ぎ去ったあと、ご夫婦は目線も合わさず、声を立てる気力もなく、しばらくは四つん這いの格好のまま、その場に座り込んでいたそうです。

「まず奥様を、別室に連れて行きました。そこではもちろん、乱交パーティーの再開です。ご主人も自分の奥様がなにをされているのか、わかっていらっしゃる。わたしもあえて否定しない。奥さんと仲良くさせてくれてありがとう――くらいは言ったかな。それから、諄々とお説教です。深山さんも、ぼくの話をさいごまで素直に聞いてくれましたよ。それで、こんなふうにお話したんです――」

「いちど打ち解けちゃうと、もう元には戻れない。奥さん男の身体を覚えてしまったからね。ご主人がいくら邪魔したところで、奥さんは男に逢いに行く。ご主人に隠れてでも逢って、抱かれてくる。そんなことで夫婦の間に秘密ができたら、却ってよくないじゃありませんか。観念して交際を認めてあげたほうが、賢明ってもんですよ」

「この時肝心なのが、『わたしも経験者ですから』って言ってあげることです。同じ経験をしたもの同士の共感がここで生まれますからね。あくまで意地を張っていたご主人も、『あなたもそうなんですか』となってしまう。それで、こちらも言うんです。『恥ずかしいけれど、妻が犯されるのを見て昂奮してしまいました。だからもう何年も、この村に棲みついてしまったんです。貴男もここにお住まいになりませんか?奥様の恥も外には洩れませんし、恥ずかしい昂奮もこの村の人たちはわかってくれますからね』――このへんが、まあとどめといったところでしょうか」

「頃合いを見はからって、奥様を連れ戻してきます。相手は皆、気心が知れていますからね。なにしろ、ぼくの妻も『人妻狩り』にかけた連中ですから――それで、夫婦で晴れてご対面です。奥様は全裸の状態で、乱れ髪、あられもない姿です。ちょっとのあいだご夫婦はお互いの視線を避けていらしたのですが、奥様のほうから、思い切って口火を切りました――『私、この方たちの愛人になります。それでもあなたの妻でいさせてもらえませんか?』たいがい女性のほうが度胸が据わっていますから、こんな極限状態でもイニシアチヴをとれるんです」
ご主人はなんと?
「エエ、もの分かりよくなっておられましたよ。ご主人はまだ、女装姿のままなんです。『きみがそうしたいのなら、仕方がないな』って、理解のあるところをお示しになりました。でも、それだけでは済まされません――」
「ぼくね、言ってやったんですよ。『ご主人、さっきの話と違うじゃありませんか?それでは奥様だけが悪者になってしまいます』お2人で仲良く暮らしていくには、ご主人が許すだけでは十分ではないのです」
では、どんなふうに?
「『ぼくの言うとおりに、仰って見て下さい――わたしもきみと同じように女になって、きみを抱いた男たちに抱かれたい。それから、きみがわたしを裏切ってほかの男のものになっていくところも見届けたい。ほかの男と昂り合ってるきみをみていると、ドキドキするんだ』――そう言って御覧なさい」
「奥様は息を詰めて、ご主人がぼくの言った科白をなぞるのを聞いておられました。無理に言わされている感じではなかったですね。ちゃんとした情感がこもっていました。これでOKなのです。そこでその場で、儀式の再開です。奥様もご主人も、いったん別々に身体を洗ってきてもらって、着替えてもらいます。奥様は自分がもってきた喪服を着せられるとき、ひどく恥かしがっていました。服を着るともとの深山夫人の気分に戻りますから、羞恥心が高まるんですね。ぼくたちのつけめもそこにあるんです。そしてご主人はもちろん、女装です。ご主人もまた、喪服を希望されました。仲間うちに服屋がいましてね――たいがいのサイズの婦人服はあつらえてくれるのです。
それでさっそく、女2人――奥様と女になったご主人と――を取り囲んで凌辱パーティーです。夜が明けるまでには、お2人の気持ちはすっかり、変わってしまっていましたよ」

深山さんは記者の取材に応えて言いました。
「さいしょはなんてことをと思ったのですが、朝になるころにはアキラさんへの感謝の念でいっぱいでした。妻もノリノリになってしまって、その日の夜には『もういちどしてもらおうよ』と、大人しい妻のほうから言い出したのです。びっくりしましたけれども、嫉妬と昂奮とで、ズキズキしてしまった自分がいました。それで、妻を連れてアキラさんの家に伺ったのです」
ちょうどアキラさんの奥様は、別の男性との逢瀬に出かけていました。そしてアキラさんはさいしょに翠さんを犯した男性のほか数名に声をかけ、ご夫婦を交えた乱交を再び、朝まで愉しんだということです。

「人妻狩り」が別名「人妻借り」と呼ばれるのは、きっとこうした村の衆とご主人との平和な関係があるからではないでしょうか。

紳士用ハイソックスと光沢ストッキング

2018年06月28日(Thu) 07:02:46

バブルのころ、OLたちは毒々しい光沢を帯びたストッキングを脚に通し、
男たちはストッキング地のハイソックスにくるぶしを染めた。
娘たちは気に入った男ができると躊躇なく処女を捨て、
男たちはそんな若い女たちを物色して、自分の嫁にしていった。

華やかな巷のネオン街の片隅にひっそりと棲みついていた吸血鬼は、
そんな女や男たちが迷い込んでくるバーのなか、自らの餌を物色した。

不思議な趣味だね。
男はそう言って、舌なめずりをくり返す吸血鬼の前、スラックスをたくし上げた。
筋肉質の彼の脛は、なよなよとした薄地のナイロンに青黒く染められていて、
その筋肉のおりなす陰影が、淫らな翳をよぎらせている。
吸血鬼はもういちど舌なめずりをすると、
自分のためにあらわにされた男の足許にかがみ込んで、
薄地の靴下のうえから、これ見よがしに舌をなすりつけてゆく。
透きとおるナイロン生地は繊細なしわを波打たせて、
男は苦笑しながら辱められてゆく自分の足許をじいっと見つめた。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・
意地汚い音を立てながら男の足許は卑猥なよだれに濡れてゆき、
やがて突き立てられた牙に冒されて、薄い靴下はブチブチと鈍い音を立てながら、咬み破られていった。

女はそのかたわらに立ちすくんで、いちぶしじゅうを見守っていた。
緋色のタイトスカートの下は、肌色のストッキングに覆われていて、
薄暗い照明が照り返して、つややかな光沢を放っていた。
高貴にも淫靡にも映る輝きだった。
だらりと長く伸ばした黒髪は、肩先の張った流行のデザインの派手なスーツにしなだれかかり、
普通のOLとは思えないけばけばしい匂いの香水が、女の首すじにまとわりついていた。
男が献血を終えて、ぐったりとなってしまうと、吸血鬼は男の足許から顔をあげ、女を視た。
女は男の婚約者だったが、すでに何年も前に男以外の男性を相手に処女を捧げていた。
後ずさりするスーツ姿を抱きすくめると、吸血鬼は素早く唇を女の首すじに這わせて、カリリと咬んだ。
あっという間の出来事だった。
ちゅー・・・ちゅー・・・
女の生き血はその持ち主の体内から、小気味よい音を響かせて奪われてゆく。
彫りの深い顔だちに泛べる憂いは、若い血を辱められることへの悔い?それとも、喪われてゆく血液への哀惜?
きっとその両方なのだろう。
女は惜しみなく自らの血を捧げると、男の傍らに突っ伏した。
四つん這いになった足許に吸血鬼が這い寄って、さっき婚約者にしたのと同じように、
自分の穿いているストッキングに舌を這わせるのを、唇を噛んで見おろしていた。
吸血鬼は咎めるような女の目もはばからず、女の穿いているストッキングを波打たせ、くしゃくしゃになるまでいたぶり尽し、しまいにがぶりと喰いついて、毒々しい光沢を帯びたナイロン生地を、咬み破っていった。

女に対する行為は、もちろんそれだけでは済まされなかった。
ジャケットを脱がせ、ブラウスとスカートを戦利品にせしめてしまうと、
ブラジャーの吊り紐を引きちぎって、胸をあらわにする。
とっさに抱きかかえる細腕を虐げるように抑えつけて、あらわになった乳首を唇に含んでいった。
失血でわれを忘れた男は、自分の未来の妻と決めた女が吸血鬼の手ごめにされて犯されるのを、
女が夢中になって、腰を振りながら応えてしまってゆくのを、血走った眼で追いつづけていた。

静かになった男の足許からは、濃紺の薄地のハイソックスが引き抜かれ、
放恣に開かれた女の下肢からは、ぎらぎらと輝くストッキングがずり降ろされる。
2足の靴下を丁寧に結び合わせると、吸血鬼はそれをむぞうさにポケットに押し込んで、立ち去った。
夜明けになるとたぶん、我に返った男は起き上がり、女を抱き支えながら家路につくのだろう。
そしてふたたび、このバーのくぐり戸を押し開くのだろう。
もちろん、未来の妻である彼女を連れて。

ウチに棲む女たちは、全員網タイツです。

2018年06月28日(Thu) 06:38:18

ウチに棲んでいる女どもは、全員網タイツですよ。
母に姉、それにわたしの妻の3人です。
3人とも未亡人なので、いつも喪服で暮らしています。
喪服にはふつう、黒のストッキングを合わせます。
でもある時期から、彼女たちは3人とも、黒のストッキングを脱ぎ捨てて、網タイツになってしまったんです。

え?わたしの妻も未亡人というのはおかしい、ですって?
わたし・・・死んでいるんです。吸血鬼に血を吸われて。
表むきは病死になっているのですが、ほんとうは・・・エエ、こうしてちゃんと、生きています。
全部吸い取られた生き血を戻してもらって、半吸血鬼として暮らしているんです。
生き血を戻してもらう代わりに、妻を性奴隷として差し出しました。
妻も納得づくで、夫の仇敵に抱かれています。
毎晩のように抱かれているので、きっと愛されているのでしょう。
自分の妻が魅力的な女性として愛されていることについては、夫としては満足を感じます。

この街が吸血鬼と共存する街とは知らないで。
事業に失敗してすべてを失ったわたしは、夫婦でここに流れてきました。
そして、この街でさらにすべてを喪うことになったのです。
わたしは夜の通りでたまたま遭遇した吸血鬼――実は妻目あてで夫のわたしを待ち伏せていたのですが――に襲われて、
その場で生き血を一滴残らず、吸い取られてしまいました。
彼はわたしの血も美味しかったと言ってくれます。
それは、せっかく捧げた血液ですから、不味いと言われるよりは幸せなことだと感じます。

お通夜の晩、こんどは妻が襲われました。
喪服妻の黒ストッキング姿に、彼が魅せられてしまったからです。
借金取りから逃れて隠れ住んでいる身の上、身内は呼ぶことができませんでした。
それでも周囲のものたちは総出で妻を援けてくれていました。
弔問客を送り出してひとりになった妻のもとへ、彼はやってきました。
夕べわたしの身体から吸い取った血を、口許にあやしたままの姿で――
妻は声をあげ、抗議し、夫を返してと泣き叫び、
しまいに抱きすくめられて、わたしのときと同じように、首すじを咬まれてしまいました。
妻は夫の血を吸い取った男の喉の渇きを紛らわせるため、その身をめぐる血潮を提供させられる羽目に遭ったのです。
失血のあまり目まいを起こし、黒のストッキングのひざ小僧を床に突いてしまうともう、彼の思うままでした。
うつ伏せに横たわる妻の足許に這い寄って、ふくらはぎを、太ももを、足首を、あちこち咬んで血を吸い取っていったのです。
妻がみすみす、ストッキングをブチブチと破られながら吸血されてゆくのを、わたしはありありと記憶しています。
ひつぎの中でもわたしには意識が残っていて、
妻が彼の恋人にされてゆくいちぶしじゅうを、見届ける羽目になりました。
けれども、妻が第二の結婚を遂げるのを見届けることができたのは、いまでは得難い経験だったと感じています。

全身の血を漁り取られたわたしのために、妻は夫を生き返らせてほしいと、新しい愛人に願いました。
犯されてほかの男のモノにされてしまった後も、妻はわたしのことを愛してくれていたのです。
――ご主人が生き返ったら、ご自分の愛妻が吸血鬼相手にむざむざとむさぼられてゆく日常を見せつけられる羽目になるのだが。
彼は妻にそう警告しました。
けれども妻は、いいました。
――私を守ることのできなかった主人に、見せつけてやりたいんです。
妻は、わたしのすべてを心得ていたと感じています。

ふたたび血液を注入されて生き返ることのできたわたしは、彼の申込を受け容れて、妻を彼の愛人として提供することに同意しました。
毎日のように逢いに来て、三日に一度は妻の生き血を吸って、愉しんでゆくのです。
彼は自分が妻に逢いたいと感じたときにやって来るので、わたしの在宅中でも構わずに、我が物顔で妻に接するのです。
そういうときにわたしは、隣室から様子を窺うばかり。
立ち去ることも許されず、妻がわたしの目を気にしぃしぃ抱かれてゆくのを、強制的に見せつけられるのです。
けれども――自分の愛妻がヒロインのポルノビデオを目にすることのできる夫は、まれだと思います。
わたしは、彼が妻を愛し抜いていくことに、感謝の気持ちを感じています。

夫婦ながら奴隷になったわたしたちは、もっと血が欲しいとせがむ彼のため、姉夫婦を招ぶことにしました。
そして、密かにこの街を訪れた姉夫婦もまた、都会の生活を放棄することになるのです。
さきに義兄が生き血を吸われ、それから姉が襲われました。
義兄は薄れゆく意識と戦いながら、迷惑だ・・・迷惑だ・・・と、呟きつづけていました。

義兄と姉の弔いに、両親を招ぶことにしました。
喪服姿でかけつけた母に、彼はぞっこんになりました。
そして驚くべきことに、父に向って母への気持ちを告白し、交際を希望していると告げたのです。
いちぶしじゅうを聞かされた父は、立派でした。
娘も息子も血を吸われ、その血が気に入ったというのなら、きっと家内の血もお気に召すことだろう。
永年連れ添った妻を売り渡す気にはなれないが、きみとの交際を勧めてみよう――と応えたのです。

さいしょのうち母は、息子と娘を牙にかけた吸血鬼など、仇敵ではありませんか・・・と、父の言を肯んじなかったそうです。
けれどもすべてを支配されてしまったことは認めざるを得ず、
くり返される娘の不倫を娘婿に償わなければならないこと、
くり返される嫁の不倫を認めて、わが身で手本を示さなければならないことを自覚して、
自ら夫のために数十年秘めつづけてきた素肌を、忌むべき吸血鬼の毒牙にさらすことを決意したのです。
父が望むなら――と、さいしょは嫌々咬まれていった母でしたが・・・
ひと晩で、堕ちてしまいました。
女の操というのは、あっけないものです。
いえ、たとえ夫のいる身でも、ほかの男に捧げた操は、もうその男のものなのでしょう。
わたしは、女3人が彼の気に入ったことに、満足を感じています。
そのうち2人は血のつながった母や姉であり、もう1人は他ならぬ最愛の妻だからです。

不治の病にかかっていて、余命いくばくもないと宣告されていた父は、自ら望んで吸血鬼に首すじをゆだね、
血液を全部吸い取らせていきました。
けれども彼は、わたしが尊敬している父を、母が愛している夫を、死なせることを好みませんでした。
――きみも息子や婿どうよう、最愛の妻が辱め抜かれるのを愉しむ余生を送るがよい。
重々しくそう告げた吸血鬼の宣告に、父は神妙に聞き入っていました。
そして母のことをふり返ると、淡々と言ったのです。
「今夜からは、喪服の下に彼のお好きな網タイツを穿いておやり」
それ以来――3人の未亡人は、喪服の下に網タイツを穿くようになったのです。

かっちりとした礼装の下、網タイツに毒々しく染められた脚を連ねて、
未亡人たちは吸血鬼の邸を訪れます。
吸血鬼の正体を受けた夫たちは、自分の妻を清楚に装わせて帯同し、すすんでその欲情にゆだねるのです。
吸血鬼は彼一人のときもあれば、3人の女のために3人で待ち受けていることもありました。
いずれも彼の気の置けない仲間たちで、自分の愛するものを躊躇なく委ねることのできる間柄のようでした。
大理石の大広間のうえ、喪服を着崩れさせながら悶え始める女たち――
自宅の畳の上で悶えるその姿とはまたひと味ちがった趣があるのです。

かりに事業が成功していたら、借金が無かったら、この街を訪れることはなかったことでしょう。
けれどもわたしは、この街を訪れたことを後悔していません。
父も、義兄も、きっとそう思っていることでしょう。
もっとも義兄は、さいしょに襲われたあの夜以来、妻を襲われるたびに「迷惑だ、迷惑だ」とくり返していますが・・・

いかがですか?貴男もこの街にいらっしゃいませんか?
なにも知らない奥様を連れて・・・
貴男が奥様ともどもたどられる淪落の通が、貴男にとってもっともふさわしいと、強く感じるこのごろです。

占領された病院長の告白

2018年06月28日(Thu) 03:30:47

ウチの病院の看護婦は全員、網タイツですよ。
軽いイ〇ポなら、口で治せます。
患者さんの御要望に応じて、ふつうのパンストやテカテカ光るやつなどのオプションも用意してます。
え?ふつうのやつもなかなか・・・ですって?
患者さん、イヤラシイですね・・・。^^
案外コアなひとほど、そういう普通ものを好まれるのですよ。

エエもちろん、指名も可能です。
本人の勤務日の問題もありますが、場合によっては強制的に出勤させる場合もあります。
個室の患者様には、1時間単位で看護婦を一名、無料で提供させていただいています。
もちろん、なにをなさってもOKです。
すべて、治療行為の範囲と見なされますから――

家内だけは黒の網タイツです。院長夫人の特権で。
家内をご指名なさるときは、網タイツの色で御認識いただけますよ。
でもどうぞ、お手柔らかに・・・
わたし以外の男を識って、まだ間もない身体ですから。

夜這いと吸血鬼

2018年06月26日(Tue) 06:38:30

彼らがこの村に棲みついたのは、かれこれ数十年もまえのことだった。
いつの間にかひっそりと、村の風景にとけ込むようにして、入り込んできたのだ。
夜になると家々に忍び込んで、彼らは女たちの血を吸った。
けれども最初のうちは、それが吸血行為だとさえ思われていなかった。
この村にはもともと、夜這いの風習があった。
だから女たちはよそ者たちの侵入を、ごく当たり前のように、受け入れていったのだ。

――古くからの村の住人、安東作治の独り言――

最初にやられたのが、仁井田のうちの女房とその娘だったね。
仁井田は出稼ぎに出ていたから、夜這いの衆も入りやすかったんだ。
それと、袴田病院の院長の若奥さんも、多分同じ夜のことだった。
このあたりでは指折りの旧家で外聞を憚っているのか、院長は認めないがね。
でもやつらは3人いたし、仲間がそれぞれ女の生き血にありついてるのに一人だけ我慢するいわれはないからね。

やつらは日をおいて、またひとの家を荒らしにきた。
そのときは仁井田の母娘と、境川の女房だった。
境川のうちが狙われたのは、院長のところがガードが固くなったからだろうね。
だから、別のもんを襲ったんだ。
あの晩境川は風邪をひきこんで、家族にうつすまいと独り寝をしてたんだ。
働き者の女房が朝になっても起きてこないから様子を見に行ったら、
首すじから血を流してへらへら笑っておったものだから、
やっこさんたまげてしまって、ひきこんでいた風邪も吹き飛んでしまったそうな。
それで夜這いに来たよそ者連中が吸血鬼だと知れたんだ。

けれども村の衆はやつらを邪険にはしなかった。
人手の欲しい刈り入れどきになると、手間賃も受け取らず働いてくれておったからな。
だから女たちも分け隔てなくやつらの夜這いを受け入れたのだ。
若い女の生き血さえ吸えれば生命までは取らないことが知れてからは、
女たちのなかには自分から出かけていって、血を吸わせるものまであらわれた。
村の女の心意気を見せるんだといってな。

最初のうちは旦那が出稼ぎに行っている家の女房や後家さんが、もっぱらやつらの相手をしていた。
やがて最初に血を吸われた仁井田の家の亭主が出稼ぎから戻ってきた。
それでも仁井田の女房も娘も、亭主の目を盗んでやつらのねぐらに血を吸われに出かけていって、
吸血鬼相手に乳繰り合うていた。
このあたりでは出稼ぎに行っている間に女房や娘が夜這いを受けんのは暗黙の了解だったし、
旦那が出稼ぎから戻ったあとも女房がほかの男と乳繰り合うのもよくあることだったから、
相手が吸血鬼だということさえ除けば、どこにでもある夜這い話と変わりはなかった。
仁井田の女房の相手はここのしきたりに従って、地酒をもって仁井田のところにあいさつに出向いた。
吸血鬼とくっついた女房衆が、入れ知恵したんだろうね。
まだその時分は、村の男衆とやつらとが言葉を交わすのは、作業場の忙しいなかだけでのことだったからね。
仁井田は持ってこられた酒を飲んだが、もともと酒は弱い男だったからすぐにねぐらに入ってしまい、
あとは女房に酌をさせて夜明けまでいっしょにいさせたそうだ。
どのつまりは仁井田の亭主も女房や娘を吸血鬼の人身御供に出すことを同意したということだ。
そう言えば、その時分から、仁井田の亭主の首すじにも、咬み痕がつけられていたっけな。

それからは、旦那が家にいるのに出かけるもんまであらわれた。
旦那衆もおうようなもんで、夜這いの衆と自分の女房が乳繰り合うのを見て見ぬふりを決め込んでおった。
やつらのしていろことは、このあたりのもんに言わせると、夜這いとさして変わりはないのだよ。

うちの話かね?
ああなにせ、ほかならぬ仁井田の娘がわしの女房なんでな・・・

夕方6時以降の”少女”たち

2018年06月26日(Tue) 05:51:07

「まいちゃん、いる?」
「まいちゃ~んっ」
少女たちのひっそりとした誘い声が、夕澄真衣の家の玄関に響いた。
ギイ・・・と扉が開いて、玄関先に立つ少女たちと同じ制服を着た真衣が、怯えるように顔だけ見せた。
「来て来てっ!怖くないから!」
香坂カオルが手を振って、ひそめた声を励ますように投げてくる。
やがて玄関の扉の影から、白ブラウスの肩が、紺のハイソックスの片脚が、赤とグレーのチェック柄のプリーツスカートに包まれたお尻が見えて、少女の全貌があきらかになる。
ウィッグの黒髪はつややかだったが、その黒髪に囲われた面差しは、少女にしては強い輪郭を持っている。
「わぁ、似合ってる♪」
坂川エリカが両手を握り合わせて小躍りした。
夕澄真衣という名前は、女子の制服を身にまとったこの少年が自分に着けた、女の子の名前。
でもここではあえて、夕澄真衣という少女の名前だけを明かしておく。
玄関のポーチから小走りに折りてきた真衣は、声を潜めてはしゃぐ二人の少女と連れだって、肩を並べて歩き出した。
それまでの怯えはもはやかけらもなく、暑すぎず肌寒くもない初夏の夕暮れの街なみを、風を切るようにして歩みを進めていった。

夕澄真衣は、都会から越してきた男の子。
昔から女の子の服にあこがれを持っていて、親に隠れて女装している。
そういう少年たちの手近にある少女の服といえば、女きょうだいのそれだったりするのだが、真衣には女きょうだいはいなかった。
けれども真衣は、裕福な親からもらう潤沢なおこづかいをやりくりして、少女の服を一着、手に入れていた。
父親は会社の経営者、母親もこの街に来てからは勤めに出ていたので、学校から帰ってから夕食までの間、親の目のない時間を彼女は日常的に持っていた。
来たばかりの見知らぬ街の公園で、少女の服を着て夕涼みをしていると、
いつも人けがないと見定めて入ったはずのこの公園のなか、気配も立てずに少女が二人、
同時にベンチの両側に腰かけてきた。
「女装してるの?似合うね。あなた、3組に入った〇〇〇〇くんでしょ?」
少女の一人、香坂カオルは好奇心たっぷりの目をくりくりさせながら、真衣に訊いた。
「だいじょうぶ。あたしたち味方だから♪」
左側から囁きかけてきた坂川エリカの声は生温かい吐息となって、真衣の耳朶をほてらせた。
「この学校、女の子の服着てる男子って、多いんだよ。3組の女川さんて、じつは男子なの」
「浜口くんや鳥居くんも、よく女装して登校してくるよね」
そんなことをさもふつうのように、おおっぴらに声に出して笑いさざめく女子たちに、真衣は圧倒されたけれど、気がついたときにはもう、三人の少女の会話に興じきっていた。
「あたしの制服貸してあげる。サイズ同じくらいでしょ?予備に一着、お母さんが買ってくれてるのがあるから。学校に持っていくから、それ着て家で待ってて。あたしたち迎えに行くから」
カオルは一方的にそういうと、小指を突き出して真衣の指にからめ、強引に指切りげんまんをした。
翌日、休み時間に手提げバッグの中に入った制服のずっしりとした重みにドキドキしながら真衣は下校してきて、だれもいない部屋のなか、カオルの制服に着かえた。
女の子の、それも同級生の制服を着るという初体験の出来事に指が震えて、ブラウスのボタンをはめるのに、ひどく手間取ってしまった。
着かえが終わって、鏡を見たら、そこにはまごうことなく、少女になった自分がいた。
真衣は感動に震えた。
それから彼女たちが家に訪ねてくるまでのあいだ、どうしていたのかをよく思い出せない。
万が一、受け取らなければならない小包を携えた郵便配達がピンポンを押したりはしないか、
万が一、親たちがなにかのつごうで家に早く戻ってきたりはしないかと、
ドキドキしながら彼女たちが玄関の外から声をかけてくるのを待ち受けていた。

ドアノブをまわし、扉を開くと、そらぞらしい外気が真衣を包んだ。
解放された真衣を祝福するような、さわやかな空気感を感じながら、
真衣は踊るようにして玄関のポーチを降りる。
すぐ目の前には、おなじ制服を着た少女が二人――晴れて自分も、その仲間入りを果たしたのだ。
「行こ」「行こ」
手に手を取り合って、公園をめざす。
その公園が「お嫁に行けなくなる公園」と呼ばれつづけてきたことなど、真衣は知らなかった。

「いいこと?ベンチにはひとりひとり別々に腰かけるの。そうするとね、自分のことをいちばんだと思っている彼が、隣に座るから――あとは、そうね・・・その彼とおしゃべりしたり、とにかく絶対いいことがあるから、彼の言うとおりにするんだよ」
制服を貸してくれたカオルはまるで先生みたいな指図口調で真衣にそういったが、
真衣は自分でもびっくりするほど素直に肯きかえして、指さされたベンチへと足を運んだ。
カオルから借りた制服のブラウスが素肌にしみ込むような心地よい呪縛を伝えてくる。
まるでその呪縛に痺れてしまったように、真衣はこれから起こることをワクワクしながら待ち受けた。

気がつくと、カオルの隣にも、エリカの傍らにも、すっと音もなく、気配も立てず、男性の影が寄り添っていた。
思ったより全然年上――そう思った真衣の隣にも、父親よりももしかすると年上かもしれない男が座っていた。
男はひっそりと、それでもたしかな存在感をもって、真衣を圧倒する。
開かれた口許からは鋭利な牙がひらめき、獣臭い息をはずませながら迫って来る。
真衣は自分でもびっくりするほどもの静かに、柔らかな目線を相手にそそぐだけ。
両肩をつかまれて、ベンチの上に押し倒されて、ひらめく牙は首すじに近寄せられてくる。
じゅるっ。
隣のベンチから、異様な音が洩れた。
ふと見るとエリカがひと足早く咬まれて、首すじから血を流していた。
それからすぐにカオルの首すじからも、咬みつく音がかすかに、ズブッと洩れた。
ビュビュッと撥ねる血が、カオルのブラウスの襟首を染めた。
「やだ――またひとの制服汚すのね」
カオルはひっそりと笑い、相手の行為をこともなげに受け容れていく。
ぼう然と見つめる真衣もまた、首のつけ根に鈍痛が走るのを感じた。

ちゅう・・・ちゅう・・・ちゅう・・・
首すじに吸いつけられた唇が、さっきからもの欲しげにうごめきながら、真衣の血を吸い取ってゆく。
それでも真衣は、身じろぎひとつせずに、男の相手をつづけていた。
真衣のもの慣れないしぐさに、むしろ男は行為を感じたようだ。
吸い取ったばかりの血に濡れた唇を麻衣の唇に重ね合わせて、ファースト・キスを奪うと、
真衣の制服姿をいとおしげにギュッと抱きしめた。
相手の男が自分のことを女の子として扱って、ギュッと抱きしめてくれるのが嬉しくて、
真衣は積極的に相手のキスに応えた。
錆びたような血の匂いが鼻腔を刺したが、怖いとは感じなかった。
むしろ、冷えた男の身体がすがりついてくるのがいとおしくて、自分のぬくもりを分け与えてあげたいとさえ、本気で思っていた。
「すまないね」
「いいえ」
会話はそれだけで十分だった。
男はなん度も真衣にキスをねだり、真衣はそのたびに応えつづけた。

ふたりの少女はブラウスをはだけられていて、はぎ取られたブラジャーの下から、豊かな乳房を思い切りよくさらしている。
カオルのおっぱいはピチピチと引き締まって硬く、
エリカのそれはふんわりと白く輝き、柔らかそうだった。
真衣は彼女たちのおっぱいをきれいだと思った。
彼女たちが本物の少女であることを、羨ましく感じた。
息荒く迫って来る男のまえでおっぱいをさらすことがなにを意味しているかなど、どうでも良いことだった。
可愛いピンク色の乳首たちはもの欲しげな舌先に舐められ、火照った唇に呑み込まれる。
大またに開かれたハイソックスの脚は、たくし上げられたスカートから太ももまであらわにされて、男どもの浅黒く隆起した腰を、股間の奥へと受け容れはじめている。
少女たちが初めてではないことを、真衣は直感した。
そして少女たちの運命を自分も共有していると気づいたときにはもう、平たい胸からぽっちりと隆起している乳首を、しつように舐められてしまっていた。
真衣がその後起きあがったのは、行為のまえの一度きりだった。
「パンツ、脱ぐね」
そういって勢いよく起き上がると、真衣は潔くショーツをひと息に足首まで引き降ろし、男の手にゆだねると、再びベンチのうえに仰向けになった。
嫁入り前まで男のまえにさらしてはいけない部位をあらわにすると、なぜか度胸がついた。
自分でも経験したことがないほど烈しく逆立った一物が股間を冒しにかかったときも、これからどうなるんだろう?という好奇心しか感じなかった。
夕食まえに、それも公園のような野外で、息子が女としていたぶられているなんて知ったら母さん悲しむだろうな――と、チラと思ったけれど。
行為を中止するきっかけにはならなかった。
力まかせに突き入れられた一物が真衣の股間を抉り、抉られた股間は血を流す。
スカートの裏地に血が沁み込むのを感じたときにはさすがにあせって、
「カオル、ゴメンねっ」って、呟いていた。
自分の純潔が喪われるよりも、カオルから借りたスカートが血に濡れることのほうが重要だった。
傍らの少女ふたりはベンチのうえで、スカートのすそから太ももをあらわにして、営みに息をはずませつづけている。
ふたりの黒髪が、腰の上下動に合わせてユサユサと揺れるのをみて、「青春だなあ」とつくづく思った。
ハイソックスの脚を噛みたいとねだられたのに応えてやったり、
お〇ん〇んをしゃぶってみたいとねだられたのに応えて咥えさせてやったり、
これがきみを女にした、ぼくの宝物だよ――といわれて差し出されたものを口に含んで、根もとまで咥えてしまったり、
吐き出された精液を呑み込んでしまったとき、真衣は女になった歓びを感じていた。

これからも、自分は男として暮らしていくはず。家族の手前もあるから。
けれどもあたしはきっと、今夜の出来事を忘れない。
そして、母さんにばれてもきっと、くり返してしまう。
もしかすると母さんまで巻き込んででも、くり返しつづけてしまう。
真衣はふと、傍らで自分といっしょに犯されている少女のどちらかと、将来結婚するのだと直感した。


あとがき
このお話は一週間くらい前、途中まで描いてタイムリミットになり、今朝ほど仕上げたものです。
どこから描き継いだかはナイショですが、当初思い描いていたのより大胆に描けたような気がしています。

夕方6時以降の公園

2018年06月16日(Sat) 19:10:44

薄暗くなった街かどに「夕焼け小焼け」のチャイムが鳴ると、
公園で遊んでいた子どもたちはいっせいに、家路につく。
この街の子供たちは、お行儀が良い。
それもそのはず。
この街では、夕方6時を過ぎると、吸血鬼が出るのだから。

入れ違いに路地を行き交うのは、制服姿の女子中高生たち。
「みなみちゃん、いる?」
「みなみちゃーん」
時ならぬ若い声が、路地裏の一軒家の玄関のまえにひっそりと響く。
二人連れの少女たちは、おそろいの白いカーディガンに、
濃い赤と黒とのチェック柄のプリーツスカート。
革靴のなかにお行儀よく収まった白のハイソックスの脚が、
夕闇のなかで鮮やかに浮き上がる。
友だちの声に応じて玄関を出る少女の姿も同じ制服を着ていて、
セミロングの黒髪を揺らしてポーチを降りてくる。
三対の城のハイソックスの脚たちは、足並みをそろえて公園に向かった。

公園にはそこかしこにベンチがあって、
違う制服の子たちもひそひそ話を交し合いながら、
思い思いのベンチに腰かける。
みなみちゃんと呼ばれた少女も、
ほかの二人の少女とある間隔を取りながら、
それぞれベンチを選び腰を下ろした。

一陣のなま温かい風がひゅう~っと公園のなかを駆け抜けると、
それぞれのベンチのまえにはひとつずつ、
少女たちのまえに黒い影を立ちはだからせた。
「こんばんは」
少女たちはいつもよりちょっと遠慮がちな上目遣いをして、
自分の相手を値踏みするように見あげた。
影たちは思い思いに、
あるものは少女の足許にかがみ込んで、
ハイソックスの内ももに唇をすりつけてゆき、
あるものは少女をベンチのうえに仰向けにして、
うなじに唇を沈めてゆき、
あるももは少女をベンチのうえにうつ伏しにして、
ハイソックスのふくらはぎに唇を這わせてゆく。

ごく・・・っ。
ちゅうっ・・・
きゅううっ・・・

しのびやかな吸血の音がそこかしこであがり、
少女たちはシンとおし静まって、
刺し入れられる牙の痛痒さに歯がみしながら、
献血行為の陶酔に耽ってゆく――

6時以降の公園は、少女たちの秘密の場。
吸血鬼たちは自分のベンチにだれが座るかと胸躍らせながら、
夕刻の一陣の風を待ち焦がれる。