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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

~このサイトのご紹介~ 魔性の淫楽への招待状

2026年03月22日(Sun) 21:12:01

はじめにお読みください。
一話読み切りのお話がほとんどですが。
吸血鬼ストーリーといっても。
「他では目にすることはまずないでしょう」
そう断言できるほど?変わった世界のお話なので・・・。

【付記】
弊ブログに登場する人物・団体はすべて架空のものであり、実在するかもしれない人物・団体とは何の関係もありません。
(2018.2.12念のため追加しました)

カテゴリの解説

2025年08月14日(Thu) 19:11:24

ひと言で吸血鬼ものの短編といっても、それこそいろんなお話が混在していますので。
カテゴリをちょっと、整理しました。
お話に共通のおおまかな設定については冒頭↑の「招待状」に書かれてありますが。
ちょっとだけ、付け加えておきます。

≪紹介≫未亡人婦長と吸血鬼の恋 いちおうの完結

2019年08月18日(Sun) 07:14:38

このところずっと、ひとつのプロットで描いていました。
5月23日にあっぷした「看護婦ですから。」を皮切りに3か月続いた、「未亡人婦長と吸血鬼の恋」ですが、
ここでいちおうの完結にしようと思います。

夫を亡くした婦長さんが出勤途中に吸血鬼に生き血をねだられて、律儀にも帰り道で待ち合わせて応じてゆく。
それを見つめる夫の霊は、ふたりの仲を嫉妬しつつも許してゆく。
そんなお話でしたが、娘が出てきたり、息子の嫁が出てきたり、かなり手広い話になってしまいました。
死後も意識があって、吸血鬼の情夫を妻が無防備に受け入れてゆくのを見守るだけの夫というシチュが、かなり気に入っていたので・・・

ほんとうは、夫の生前から交際していた浮気相手の妻たちが堕ちていって吸血鬼の血液供給者にされてしまう話とか、
処女の血をささげ続けた婦長の娘さんに求婚者が現れて、
それでも彼女との結婚を熱望するあまり、吸血鬼に未来の花嫁の純潔を与えたり、結婚後の不倫関係も認めたりしてしまう話とかも、少し描きためてはいたのですが。。
それらはいずれ近いうちに――ということにしておきましょう。

一連のお話は、途中の割り込みなしで、えんえんと続いておりますので、よろしければ三か月前の記事に戻って最初からお愉しみいただけると嬉しいです。
(^^)

このごろ。

2019年06月28日(Fri) 06:49:20

善良な紳士が吸血鬼と分け隔てなく接し、
熟れた人妻や初々しい生娘の生き血を欲しがる彼らのことを、
自分の家庭に招き入れてしまう。

とか、

しっかり者の妻が、夫の招き入れた吸血鬼に気丈に接し、
善意の献血に応じていって、男女の関係を強いられて。
最初は厭々ながらお相手を務め、長年守り抜いた貞操を捧げた挙句、
やがて夫の理解と相手の熱意に背中を押されほだされて、
時には夢中になって娼婦のように堕ちてしまう。

とか、

結婚前の生娘が、婚約者のすすめるままに吸血鬼の抱擁に身をゆだね、
処女の生き血を惜しげもなく吸い取らせ、
挙式の前夜純潔まで散らしてしまう。

とか、

新婚妻を狙われた若い夫が吸血鬼に友情を示して、
淫乱な過去を持つ気の強い妻を自分から引き合わせ、
目覚めてしまった新妻の不倫の恋を成就させる手引きをしてしまう。

みたいな、
折り目正しい一家が一人また一人と堕ちていって、
うわべは品行方正な日常を守りながらも、
時には娼婦となり、NTRな夫に悦んで成り下がってゆく――
という展開のストーリー。

昨今は同じようなものばかり描いていますが、
どういうわけか指がひとりでにキーをすべるようにして、止めることができないでいます。
いまのお話、どこまで続くかわかりませんが――
いましばらく、お愉しみのほどを。^^

放送の途中ですが・・・ネット記事から:「新郎が花嫁の不倫を結婚披露宴で暴露」

2019年06月23日(Sun) 09:12:02

長々と描いてきたお話をちょっと中断して(本気の中断にならなければよいが・・・)、昨日見つけた気になる記事をご披露しますね。

「新郎が花嫁の不倫を結婚披露宴で暴露」
ttps://joshi-spa.jp/921269

内容はリンクに譲りますが、この花嫁は勤め先の上司と不倫していて、半同棲状態だった新郎との新居にまで引き入れていたそうです。
新郎がこれに気付いたのが挙式間際のことで――笑えない話ですね。。。

長年連れ添った妻や花嫁の不倫を薄々察しながらも関係を許し、自らも昂りを感じてしまう。
・・・というのがいま描いているお話のおおすじなのですが、
にもかかわらずなぜか、真逆の対応となったこの記事を読んで感じた爽快感?はなんなのでしょう?
もちろんこんなドロドロはないに越したことはないのですが、
たぶんこれが新郎の取り得る最善の対応だったのだろうと思います。
妻の婚外交際を認めることなどありえないという大多数の男性であれば、
こんな状態は生き地獄以外のなにものでもないですからね。
横着な上司殿やパートナーをしれっと裏切りつづけた花嫁の末路は悲惨なのですが、そりゃそうだよねえと思ってしまいます。

え?柏木の描いている話とどこが違うのかって?
・・・ぜんぜん違うではないですか。(^^)
まだまだこの世界のお話を、読み足りていないごようすですね。。(^^)

――というわけで、ちょっとまともなことを描いたすぐあとは、またまた異常な世界に逆戻りしようと思います。はい。

ぼくはハムレットになれない

2019年06月20日(Thu) 07:09:33

華恵さんをこの家に連れてきてはいけません。
私、いまは父さん以外の男のひととつきあってるの。
その人は吸血鬼で、いつでもこの家に出入りできてしまうの。
私が、その人を家にあげたからよ。

加代子も血を吸われるようになって――
でも心配しないで。
あの子も私も、すすんでそういうふうになったんだから。
私はあのひとになん度も血を吸い取らせてあげて、
その時の態度であのひとの人柄を見極めて、
それから、あのひとを家に上げるまえに加代子の考えを聞いて、
加代子はその時、ぜひ逢ってみたい、私も献血に協力するって言ってくれたの。

襲われるといっても・・・みだりに犯されてしまうわけではないのよ。
あのひと、処女の生き血がお好きだから。
だからあの子はまだ安心なの。

でも、華恵さんの場合は、そうはいかないわ。
だって、処女ではない女のひとの血を吸うとき、あの人は必ず、エッチなことをしてしまうんだから。
どういう意味か、もう大人なんだからわかるわよね・・・?


ここしばらく、両親の家に帰っていなかった。
父さんがいなくなってから、我が家は火が消えたようになって、
生前は優しすぎて影が薄かった父さんの存在感が、実は大きなものだったのだと、いやがうえにも思い知らされていた。
結婚してそろそろ1年になる妻の華恵を連れて実家に帰ると、その時だけはほんの少しだけ座が華やぐのだけれど。
辞去したあとの実家にふたたび辛気臭い空気が漂い始めるのを、予感しないわけにはいかなかった。

それが、先日一人で実家に行くと、母さんがぼくを陰に呼んで、そんなことを口にしたのだ。
吸血鬼がどうのなんて、たわごとにしか聞こえなかったけれど。
母さんに交際相手ができた――
息子としては、複雑な気分だった。
加代子は同じ女同士で、まだ恋愛を知らない娘らしい浮ついた気分から、むしろ母親に彼氏ができたことをうきうきはしゃいで受け止めているようだったけれど、
ぼくにはちょっと、難しかった。
ハムレットの心境とは、こういうことをいうのだろうか?
たしかに母親の情夫など、吸血鬼みたいな存在かもしれない。


その人と初めて目が合ったとき、開け放たれたふすまの向こうから、その人は慇懃に会釈を投げてきた。
ぼくも、引き込まれるようにして、彼に劣らず丁寧な会釈を返していた。
母親を日常的に犯している男。
そして、いつかはぼくの妻の華恵さえもモノにしかねない、危険な男。
そうと知りつつも、どうしてあんなに穏やかな初対面を迎えることができたのか、いまでもよくわからない。
けれども、近い将来華恵が彼に生き血を吸われ、
彼の手で犯され堕とされてしまうであろうことを、
夫としてありありと予感してしまったことは、間違いなかった。


家に戻ると華恵が、黒い瞳をイタズラっぽく輝かせて、白い歯をみせた。
「結婚して一年経ったら、浮気しても良いっていっていたよね?」
そう――容姿に優れた彼女はいつも周囲に男を侍らせていて、ぼくには遠い存在だった。
ぼくもまた、父親ゆずりの地味な男だったから。
そんなぼくが彼女に向かっておずおずと、結婚を前提にした交際を申し込んだとき、彼女は言ったのだった。
「私、結婚しても男友だちとは付き合うタイプの女だよ?
 それでも信じてくれる?
 たまにあなたのことを裏切るかもしれないけれど、大人になって許してくれる?
 もしも許してくれるのなら・・・
 私、心の底ではずっと、あなたの妻でいられるような気がするの」
――それを条件に、ぼくたちは結婚した。

事実彼女には過去に複数の恋人がいて、
そのうち少なくとも二人とは、結婚後も同時並行の形で付き合っていた。
たぶん、肉体関係を伴うお付き合いだった。
だから、「一年たったら浮気を認める」というぼくとの約束は、別の意味でさいしょから反故になっていた。
ぼくが反故にしたいと願うのとは、正反対の意味で。
時には朝帰りになる飲み会の途中に、ホテルでの休息を挟んでいたとしても、なんの不思議もなかったけれど。
魅惑的な彼女にぞっこんだったぼくは、彼女が居心地の良いように、寛大な夫でいつづけることを決めていた。


そういえば。
母さんにも昔、交際相手がいたっけ。
学校から早退してきたときに、お仏間からはぁはぁという声が漏れてきて、
細目に開けたふすまの向こうで、母さんがあお向けになって男のひとに組み敷かれていて、
だらしなくはだけたブラウスの襟元から、おっぱいをまる見えにさせているのを、
ぼくはびっくりして声もなく、ただ見つめつづけてしまっていた。
日頃厳しい母さんの、そんなふしだらなところを目にするとは思いもよらなかったから。

「いつもきちんとしなさい」
「もっと男らしく、しゃきっとなさい」
「男なんだから、言いたいことはちゃんと言いなさい」

そんなふうに躾けられてきたぼくにとって、
母さんのふしだらな寝姿に、ギャップを感じるしかなかったけれど、
そのギャップは決して居心地の悪いものなどではなくて、
むしろぼくは、母さんの浮気現場を、ワクワク、ずきずきしながら、のぞき見してしまっていた。

早退してのぞき見をくり返すぼくのことを、少なくとも2人いた情夫さんたちは、それとなく察していたみたいだけれど。
父さんに告げまいとしたぼくと、だれかに情事を見せつけたいという情夫さんたちとの利害は案外一致していて、
お互い知らんぷりをしながら、
片方は母さんのスカートの奥に腰を迫らせて、
もう片方は厳しいはずの母親の、ふしだらな不貞シーンに胸を焦がしていた。


ハムレットは母親が父王の弟と再婚したことに我慢がならなかったけれど。
ぼくはハムレットにはなれないのだと、ふと思った。
かりに振られた役柄が、父王のほうだとしても。
自分の立場とお妃と、生命までも。すべて弟に奪われてしまうというその役柄を、
もとのお芝居の趣旨とは裏腹に、歓びを含んで演じ切ってしまいそうだった。
男としては、情けない心情だと思ったけれど。
「もっと男らしくなさい」
母さんの戒めが、いまさらのように胸に響いた。
「男なら言いたいことをはっきり言いなさい」
そう叱られつづけたぼくが、初めて母さんに
「やっと言いたいことを言えたのね」と褒められたのは。
皮肉にも、その人を華恵の交際相手として、悦んで受け入れると確言したときだった。


華恵が仕事に就いているうちは、徹夜の飲み会もふつうにあったけれど。
仕事を辞めて家に入ったら、そういうこともなくなるかもしれないと思っていた。
けれども仕事を辞めてからも、徹夜の飲み会はしばしばあって、
そのたびごとにぼくは、独りきりの、熱っぽい妄想の闇に包まれた夜を過ごすのだった。
華恵は帰宅途中に、きっとホテルを経由している。
その証拠に、自宅からいそいそと出かけていくときに脚に通していたはずのストッキングが、微妙に色違いになっていた。
そんなこと、華恵にいちいち指摘することは、とうとうなかったけれど。
色違いのストッキングを脚に通して何食わぬ顔をして帰宅する専業主婦を、
家で胸をずきずきうずかせながら待ちわびていたことは・・・いまなら告白できるだろう。
案外と。
色違いのストッキングを脚に通して何食わぬ顔をして帰宅する華恵のことを、
からかう余裕さえ、いまならあるかもしれない。

名もないホテルで遂げる、不倫のベッドのうえで。
主婦として装いを、不倫の床の上で惜しげもなく、情夫に破り取らせているのだろうか?
いったいどんなふうに服を脱がされ、どんなふうに髪を振り乱し、
ゆるみ切った口許から白い歯を覗かせ、まつ毛をピリピリと震わせながら、
あらぬことを口走っているのだろうか?
「主人に悪いわ、不貞になっちゃうわ」
人妻らしい抗いの言葉はきっと、夫のために操を守るためではなく、
むしろ情夫をそそらせるために口にされているはず――
そこではきっと、やはり情夫をそそらせるため、
ぼくの名前まで口走られてしまっているに違いない――
母さんのときと同じ昂奮が、ぼくを支配し始めていたのだ。


父さんの一周忌は、少し遅れてとり行われた。
「私たちにあてつけたのかしら」
初めての結婚記念日とさして変わらない日取りを告げられた華恵は、少しだけ不平そうにして、整った顔立ちに険を滲ませたが、あえて姑に逆らおうとはしなかった。
母さんの賢母ぶりと、(一見)潔癖で厳しい生活態度に、一目おいていたからだ。

その日母さんはお寺の隅にぼくを呼んで、このあいだと同じことをぼくにいった。
「四十九日のときには、法事のあとで家で一席もうけたけれど。
 きょうは華恵さんを家に連れてきてはいけません。まっすぐお帰りになるのよ。
 言ったでしょ?うちには吸血鬼がいるのよ。
 私たちは良いけれど、華恵さんまで血を吸われてしまうわ。
 男なんだから、わかるでしょう?
 それは夫として、避けなければいけないことよ」
その日母さんは、黒一色の喪服を着ていた。
その様子は息子の目からも、亡くしたばかりの夫を弔う、貞淑な未亡人そのものに映った。
けれども妹の加代子からは、聞かされていた。

――母さんたらね、喪服脱いじゃったの。
   どういうことか、お兄さんならわかるでしょ?
   そう、恋人ができたの。
   その恋人って、吸血鬼なの。
   母さんは看護婦だから、血を吸う相手にこと欠いているそのひとをうちに連れてきて、
   いつも脚や首すじを咬ませて、お仕事の延長みたいな顔をして、輸血をしているのよ。
   いつもは大概、肌色のふつうのやつなんだけれど。
   ふつうのやつのほうが、彼の好みに合うんだって。
   かえってそういうほうが、エッチだと思うけど。
   え?わからない?お兄さん鈍いわね・・・

――母さんたらね、白のストッキングを愉しませちゃっていることもあるのよ。
   ウン、現役の看護婦として、いつも病院で穿いているやつよ。
   やっていることが輸血なわけだし、
   お仕事の責任感は強いらしいから、見習わなくちゃいけないかもだけどね。

――そうそう、喪服を脱いだ母さんがこのごろ黒のストッキングを穿くのは、
   父さんを弔うためなんかじゃないわ。
   そのひとを悦ばせるためだったりするの。
   きょうの喪服姿だって、法事から帰ったらすぐに、あの人に襲わせてしまうつもりよ。
   喪服の未亡人を征服するのって、男のひとがすきそうだから――
   いま穿いているストッキング。
   あと1時間も経ったらにはびりびりに破かれて、みるかげもなくなっているはずよ。
   あたしがいま履いているハイソックスも、同じように咬み破られて、
   吸い取られた血で濡らされちゃうんだけどね。
   あたしこのごろ、制服で相手してるんだ。
   処女の血が好きなんだって。ちょっぴりだけど、ドラキュラ映画のヒロイン気分よ。

妹はさいごに自分の境遇をそう付け加えて、イタズラっぽくウィンクした。
母さんの情事をのぞき見して焦がれた日々の記憶が、ありありとよみがえってきた・・・

「ご実家にごあいさつに伺ってお線香あげていきましょうよ」
なにも知らない華恵に言われるままにぼくは、法事のあとは家に顔を出すよと、母さんの意図とは裏腹なことを二人に告げていた。
「一年たったら浮気を認める」
結婚前のその約束は、いまぼくの意思で果たされようとしている――
華恵の一方的な思惑で、すでに果たされてしまっている約束だけれど。


息子の嫁がむざむざと吸血鬼の餌食になることを心配しているのか。
喪服の情事があと延ばしになったことを残念がっているのか。
母さんのしかめ面は、どちらからきているのだろう?
ふとそんなことを思い浮かべながら、ぼくたちは順々にお線香をあげ、
それから飲み物の置かれたテーブルに着いた。
一席もうけるはずではなかったから、なんの用意もなかったけれど、
おしるしばかりの、あり合わせのビールで乾杯することにしたのだ。
酒好きな華恵は、これが目当てで敷居の高い実家にすすんで足を向けたのだ。

華恵はこの日ばかりは、日ごろの浮気症をおくびにも出さず、ひたすら従順な長男の嫁を演じ切るつもりのようだった。
気持ちの切り替えの早いひとで、「きょうはこれ」と決めたら徹底的にそれに専念する集中力を持っていた。
だから職場でもやり手で通っていて、いまでも華恵を懐かしむ人たちから声がかかるのも無理もないというほどだった。

背後から視線を感じてふと振り返ると、そこには父さんの写真立てが置かれていた。
母さんの部屋にいつも立てられているものだった。
この日のために、特に持ち出してきたのだろうか。
ぼくには、父さんがぼくのほうを見て、笑っているような気がした。
父さんの呟きが、幻聴のように耳に響く。

――しょうのないやつだな、華恵さんをこの家にあげてしまって。
   どうなっても、もう知らないぞ。
   でも、お前はお前で、そういうことを愉しんでしまいそうだね。
   やはり・・・血は争えないということのようだね?

父さんは生前から、母さんの浮気を知っていたのだろうか?
そうだとしても許してしまいそうな気弱な優しさを、父さんは持っているように感じた。
そして華恵に唯一いまでも褒められる「優しい人」という評判は、父親譲りなのだということも、よくわきまえてしまっていた。
華恵が日常的にくり返している浮気を通して・・・
気弱な優しさなのか。
淫らな優しさなのか。
譲られているぼくにも、よくわからなかった。

早くもほろ酔いになった華恵は、制服姿の義妹をつかまえて、いった。
「加代子さんがどんな彼氏を連れてくるか、今から楽しみ」
年長の女が年下の女の気負いをからかうときの目になっていた。
けれどもそこにいくばくかの本音が含まれていることを、夫であるぼくは察している。
そう、加代子のだんなが目ぼしい男だったら、義妹に隠れて愉しんでも良いかも――彼女は間違いなくそう考えているのだ。
過去になん人もの男の愛撫を受けた好色な肌が、清楚な黒のストッキングに淫らに透けているのを横目にしながら、
ぼくは夫らしからぬ想像に、人知れず胸を高鳴らせる。
はたしてぼくの将来の義弟は、義理の姉の熟れた肉体に酔い痴れる特権を得るのだろうか?

「あなたたち、結婚一周年になるのね」
乾杯のあと、母さんは思い出したようにそういって、すすんでグラスを挙げた。
「じゃあもういちど、乾杯。こんな席でなんだけど」
3杯のビールと1杯のオレンジジュースとが、コップを交えて音を立てた。
ひと息に飲み干したあと。
華恵がいつになく酔いをつのらせて、寄り目になっているのに気がついた。
大酒をくらったあと、情夫たちとの逢瀬をひと晩じゅう愉しむほどの女である。
このていどの振舞い酒で、酔いつぶれるような女ではないはずだった。
しかも、みんなで分け合うたった一本のビールで、そんなことになるわけがない。
母さんの目が意地悪そうに、そんな嫁の醜態に注がれている。
薬が入っている・・・?
ぼくは母さんが看護婦だったのを、改めて思い出した。

そういうぼくの身体にも、変化が起きていた。
身体じゅうの血管がほてったように熱くなり、血液がぐるぐるととぐろを巻くように全身をめぐるのを、ありありと感じる。
母さんのことだから、夫婦ながら生き血を吸い取られるという苦痛や屈辱を、少しでも和らげるために一服盛ってくれたのだろう。
そうだった、この家には吸血鬼がいたんだ。
そしてぼくたち夫婦の血は、その男の欲望のために充てられる。
男のぼくでさえ、例外ではないのだ。
だってぼくの血は、真面目で優しい父さんと、気丈で男あしらいに長けた母さんから受け継いだ血。
なによりも、彼が気に入っている加代子の血と同じ味がするはずだから。
目の前で、華恵が姿勢を崩して、座布団の上に覆いかぶさるようにくたりと倒れた。
ぼくもそれにならうように、あお向けにぶっ倒れていた。


くちゃ、くちゃ。じゅるうっ。
人をくったような耳障りな音にわれにかえると、
身体の上に重しが乗っかっているのを感じた。
それが母さんの情夫であることは、さすがに鈍いぼくでも、いちいち説明されないでもそれと察しがついていた。
彼はぼくの首すじに食いついて、ワイシャツの襟首を濡らしながら、旨そうに血を啜りあげていた。
「初めまして、ではなかったね。このあいだ独りで家にいらしたときにお目にかかった」
初めての昂奮が過ぎ去るのを待ちかねるように、男はぼくに話しかけた。
切羽詰まった欲情を何とかするため、まずぼくの血を吸って気分を和らげ、言葉つきまで和らいだのを見定めてから話しかけてきたようだった。
組み敷かれた下から見上げる瞳が若やいでいるのは、ぼくから吸い取った血液のせい――
目を合わせたその男は、口許をぼくから吸い取った血で、濡らしていた。

「きみの血は、母さんやカコちゃんの血と同じ味がする」
わざわざ加代子のことを、母さんと同じように「カコちゃん」などとなれなれしく呼ぶことで、
彼は彼なりの親近感と、ぼくの母さんや加代子との距離感の近さとを、同時に示してきた。
「喉が渇いた時にね、
 通りかかったお母さんにお願いをして、
 勤め帰りに待ち合わせて献血していただいたのがなれ初めです。
 それ以来、貴方のご家族の生き血は、私の喉を嬉しく潤してくれている」
「母や妹の血が、気に入っていると仰るのですか?」
ぼくは知らず知らず、敬語になっていた。
いままでの母さんの情夫たちと表向き顔を合わせたときと、同じように。
母親を支配されたということは、父親に近い存在になったということだ。
そしていまの彼と母さんとの関係を、父さんが許している以上、彼のことを父親に誓い存在として認めないわけにはいかなかった。
彼はぼくの問いに肯いてくれて、ぼくはその肯きを嬉しいことだと感じていた。
「だとすると、ぼくの血もお好みに合ったということでしょうか」
「そういうことです」
「お口に合って、なによりです」
ぼくは思わず、そう応えていた。
「あなたはそう言ってくださる方だと、思っていた」
彼はいった。
「お母さんは、あの子は悔しがるから、息子夫婦を襲うのはやめてほしい――と願っていた。
 けれども私は違うと感じた。
 きみに関する目利きに限っては、どうやら私の勝ちのようだね」
「どうやらそのようですね」
ぼくの首すじにつけた傷口に唇を近寄せて、彼は再びぼくの血を吸ったけれど。
ぼくは抗いもせずに、彼の行為を受け入れていた。
自分の血が喉を鳴らして飲まれてゆくことに、むしろ満足を感じていた。
ぼくは、恋人からの初めてのキスを受け入れる少女のように、彼の吸血をくり返し受け入れた。
そして、母さんから受け継いだ血液が旨そうに摂取されてゆくことを、くすぐったく感じた。
母さんは、ぼくたちに食事を用意してくれる代わりに、
自分の情夫のためには、息子夫婦の生き血という食事を、用意していたことになる。

「母は所帯持ちの良い主婦でした。
 いまでも貴男のことを賢明にもてなしているということですね」
「そのとおりです。彼女は看護婦としても、きっと優秀です。
 この重症患者に、輸血を過不足なく施してくれていますからね」
彼はそう答えると、ぼくの血をさらにもうひと啜りした。
軽い貧血を起こして眩暈を感じながらも、ぼくは彼の行為をやめさせようとは思わなかった。
彼がほんとうに、ぼくの血を気に入っているのだと感じたから。

「ほんとうなら、今のぼくはハムレットのような立場のはずですが。
 ぼくはハムレットのように、父の仇を取るタイプではないようですね。
 むしろ、父から王冠とお妃を奪った叔父と和解して、ふたりの再婚を祝ってしまうタイプのような気がします。
 父もまた、自分の妃に邪心を抱く弟の本望を好意的に遂げさせるようなタイプだったと思います。
 生前に逢ってもらえなくて残念でしたが・・・
 でも降霊術とやらで、貴男は父とも交流しているそうですね。
 彼が生きているうちに貴男に逢って、父王のような立場にたたされたとしても、
 きっと殺されることはなかったと思います。
 あくまで寛大に振る舞って、貴男を妃の愛人として迎え入れてしまったことでしょう」
「ハムレットも立派な王子だけれど」
かれはいった。
「きみも、わきまえのよくできた素晴らしい王子様のようだね。
 もしもきみがハムレットで、叔父がオフィーリアを欲したら、
 悦んで未来の花嫁を誘惑させたのではないだろうか?」
「オフィーリアはそこに倒れています」
ぼくは華恵のほうを見やった。

華恵の身に着けた高価な喪服は、まだ乱されていなかったが。
倒れた拍子にスカートのすそが乱れたのが、まだそのままになっていた。
黒のストッキングに包まれたひざ小僧が、薄手のナイロン生地になまめかしく透けていて、
貞淑な未亡人というよりも淫乱な娼婦のフェロモンがにじみ出ているようだった。
淑やかであるべき装いさえも、刺激的なたたずまいに変えてしまう。
そんなところを、母さんも察したようだった。
「若い人はこれだから、困るわね」
母さんはそんなふうに苦笑して、座をはずしていく。
若い人はこれだから困るわ。
華恵さんは男を、性急に引き寄せてしまう。
(実際には気絶しているだけだけれど)
そしてこの子まで、奥さんの貞操をあっさりと親友に譲り渡してしまう。
(強奪同然にされているだけなのだけれど)
きっと母さんは、そんなふうに言いたかったに違いない。
母さんが座をはずしたのはきっと、初めての刻を迎える嫁のために、自分のお愉しみは少しばかり先延ばししてもよいつもりになったのだろう。
それとも、自分と似て気性が強く、従順ではない嫁の醜態を目にすることを、小気味よく感じているのだろうか?
「そんなことないわよ」
あとで母さんは、ぼくにそういった。
「あなたたちまで仲間になってくれるのが、じつは嬉しくってならなかったの」
嫁の受難を肯定的に受け入れたことで、ぼくもまた、母の「仲間」の一員になっていた。

「おふたりはきょうで、新婚1周年になるそうだね。
 おめでとう。
 わしもきみたちの夫婦仲を、祝わせていただくよ」
そう囁きかけてくる男には、好色なものが漂っている。
どういう祝いかたをするのか、同じ男であるぼくには、はっきりと察しがついていた。
夫としては避けねばならないあしらいを、同じ男として許してやろうと思っていた。

口許を弛めて華恵に咬みつこうとする男を引き留めるようにして、ぼくはさすがに胸騒ぎを覚えて、口走っていた。
「ぼくは・・・華恵を奪われてしまうのですか?
 彼女の生命は保証していただけるのですか?
 ぼくは華恵と離婚して、正式に華恵をお譲りしなければならないのですか?」
ちょっとだけ切実さをにじませたぼくをなだめるように、彼は答えてくれた。
「お察しのとおり、ぼくはきみの見ているまえで華恵を征服して、きみから奪うつもりだ。
 だんなに見せつけながら人妻をものにするのが好みなのでね。
 ご主人としてはわしの趣味は迷惑きわまりないものだろうけれど。
 けれどもそれ以外は、いままでどおりにするがよい。
 わしはお母さんや妹さん、それに華恵を支配するが、きみを排除するつもりはない。
 きみのお父さんから昭代を寝取ったのと同じように、
 きみの嫁である華恵をこれ見よがしに寝取ることが、わしにとっての悦びだからだ」
そう。
父さんが生きていたとしても、この男は確実に母さんのことを寝取ったに違いない。
そして父さんも、そうなることを歓迎はしないまでも、決して拒みはしないだろうことを、ぼくはなんとなく感じた。

ぼくの血を吸い取った男はさっきから、ぼくの妻のことを「華恵」と、はっきり呼び捨てにしている。
ぼくの妻であるはずの華恵をわざと呼び捨てにすることで、彼が華恵の新たな主人となることを宣言しているのだと、すぐにわかった。
そして、ぼくがその意思に好意的に報いなければならないことも。
父さんが最愛の妻である母さんをこのひとに捧げたときの潔さ、気前の良さを、ぼくも息子として示すことが、この家の長男の、きっと務めなのだろう――

ぼくは震える声で、華恵を貴男の愛人として受け容れますとこたえた。
ハムレットにも父王にもなれないぼくは、
自身の新妻に対してあからさまに向けられた邪まな好意を少しでもにおだやかに受け入れようと、一生懸命になっていた。
「ぼくの、最愛の、華恵を。貴男の欲望のためにお捧げします」
やっとの思いで伝えようとしたことを伝えきったとき。
ぼくは最愛の妻をみずから売り渡したことよりも、
理解ある若い夫としてもっと格好よく振る舞うことができなかったことのほうを残念がっていた。
たどたどしく途切れ途切れな声色になってしまったことを悔やむぼくをとりなすように、
彼は優しい目をしてこたえてくれた。
「きみの心づくしのご好意を、遠慮なくお受けしよう。奥さんを吸血鬼として、男として、愉しませていただく」
そう宣言すると彼は、華恵のほうに近寄り、横倒しになった顔にかがみ込むと、おでこに優しくキッスをした。
それから足許ににじり寄り、まくれあがったスカートをさらに少しだけたくし上げて、
黒のストッキングのふくらはぎを冒すように、ゆっくりと唇を吸いつけた。
悪魔の唇だと、ぼくは思った――

華恵の穿いている黒のストッキングが、淫らな唾液に濡らされる。
もの欲しげな舌なめずりの下。
淡い墨色のナイロン生地に光るよだれはじょじょに拡がっていって、
かすかな皴を波打たせ、引き攣れを走らせる。
そしてなん度めか這わされた唇の下で、ブチチ・・・ッと微かな音をたてて、ストッキングに裂けめが走った。
華恵の素肌に飢えた牙が食い込んで、生き血を啜りはじめたのだ。
ちゅう・・・ちゅう・・・
ひっそりとした音をたてながら。
華恵の血は、ストッキングのうえからヒルのようにうごめく唇の奥へと、飲み込まれてゆく。
吸血がすすむにつれて。
蒼白い素肌を滲ませたストッキングの伝線がつま先までじりじりと延びていくのを、ぼくはじりじりしながら見守った。
足許に装われた礼装、吸血鬼の不埒な舌触りを満足させながら辱められてゆくのを。
上品な装いがこれからぼくの妻の愛人になろうとする男を満足させ、悦ばせるのを。
服の上からまさぐりを受ける華恵の肉体が、受けたまさぐりに本能的にこたえはじめて、ゆるやかにうごめき始めるのを。
男の唇が華恵の唇をとらえ、ふたつの唇が合わさって、交互に吸い合い、なにかを交わしはじめるのを。
初めて母さんの浮気現場に遭遇したときのように、ぼくは息をつめて見守りつづけてしまっていた。
夜通しの飲み会の帰りには、いつも色ちがいのストッキングを穿いて帰宅してくる華恵。
けれども、家から穿いていったストッキングを、こんなふうにセクシィにもてあそばれたことは、なん回あったことだろう?

甘えるように抱きすくめてくる男に対して、華恵も媚びるようにすがりついてゆく。
掌と掌がせめぎ合い、抗いながらもさすり合う。
やがて男の掌に力が籠められ、漆黒のブラウスを引き裂いた。
その下から露わになった黒のレエスのスリップもまた引き裂かれ、
同じく装われた黒のブラジャーの吊り紐も、引きちぎられた。
さすがにわれにかえり目を見開いた華恵は、
自分を襲おうとしているのが、姑の愛人であることを確かめると、びっくりしたようにこちらを振り返る。
そして、すでに首すじから血を滲ませたぼくと目線を絡めると、あきらめたようにフフ・・・と笑った。
「ワイシャツ汚しちゃって、そんなじゃうちに帰れないじゃない」
華恵は、飢えた吸血鬼の唇を首すじに這わされながら、それを妨げようともせずにぼくにいった。
「今夜は泊っていくから、いいじゃないか。きみのブラウスも、破けちゃったし」
「ひと晩じゅう・・・か。
 長い夜になるわね。
 あなたにとっても、私にとっても。
 嫁と姑で、代わる代わる味比べしてもらおうというのね?」
「夫として息子として、かなり妬けるけれどね」
「母と妻とを同時に犯されるのって、どういう気分?」
「複雑な気分だけど・・・いや、ぼくなりに愉しんででしまっているのかも」
恥ずかしいことだけど・・・とつけ加えるぼくに、「そんなことないわ」と、華恵はいった。
「私はむしろあなたの、そういう性癖で救われる。あなたのお嫁さんのまま、このひとに抱かれるわね」
「ぜひそうして欲しい。彼ともその線で、話が付いたところだ」
「聞こえていたわよ(笑)」
夫婦の会話がつづいているあいだずっと、男は華恵に咬みつこうとはせずに、華恵の白い首すじを舐めつづけていた。
華恵の素肌を愉しみたかっただけだと、あとで言っていたけれど。
明らかに、首すじを咬んで血を吸うのを遠慮して、夫婦の会話を妨げまいとしてくれていた。

「あたしも、義母(かあ)さんみたいにされちゃうのね?あなたはそれで良いのね?」
罪悪感を打ち消すための念押しだった。
「いままでと、同じことじゃないかな」
ぼくは弱弱しくこたえた。
「そうね、いままでと同じね。それでいいのね?」
後半は、夫の目の前で交わした口づけの相手へのものだった。
そして自分の情夫になろうとする男がうなずくと、
もういちど夫目の前での口づけを、こんどはゆっくりと見せつけるようにして、愉しんだ。
すき間なく結びつけられる、二対の唇。
それは、長年の恋人同士の口づけのように、息の合った口づけだった。
心から妬けてきたぼくは、思わず口走る。
「おめでとう。ふたりの関係を、ぼくは夫として歓迎するよ」
こんどは精いっぱい、かっこよくキメたつもりだった。
じじつあとで、華恵は「あのときのあなた、今までで一番カッコよかった」と言ってくれた。
妻を犯される刻を迎えるとき。
さいしょはたしかに、どんなご主人でもたどたどしいのだ・・・
彼があとで語った言い草だ。
でも、奥さんとのやり取りは、さすがだったね。よくできたご夫婦だ。
いままでなん人もの人妻を夫の前で寝取ってきた男に負けっぷりを褒められるのは、決して不名誉なことではないと、その時思った。

そういう語らいの間にも、彼女の喪服は辱め尽くされて、裂け目を拡げ、白い肌を大胆に露出させつづけていった。
「かっこ悪いわ」
腰までたくし上げられた喪服のスカートに気がついて彼女が顔をしかめると、
「いまのきみには、似合いのポーズだ」と、男は華恵をからかった。
「もう・・・」
華恵は甘く口をとがらせてながらも、
今まで迎え入れてきた、ぼくを含めた男たちにそうしたように、
細くて白いかいなを、男の背中にまわしていった。

男の顔が華恵の喉元に埋められて、華恵は「ああ・・・」と呻いた。
決して、痛みだけのものではない声色だった。
ちゅー・・・
吸い上げる血潮の音に苦笑しながらも、華恵は男の行為を許してゆく。
自分を組み敷いている男の背中を撫でる手つきのやさしさが、それを証明していた。
「このひときっと、男としても最高よ」
たくましい腰に秘所のありかをさぐりあてられたとき、華恵はぼくに向かってそういった。
「ぼくからの、結婚記念日の贈り物――受け取ってくれるかな」
「ありがたく、受け取るわ」
そういって華恵が目を瞑ったつぎの瞬間、
男の一物が華恵の奥深くに突き刺さるのを、ぼくは感じた。
ぼく自身が犯されているような、不思議な感覚。
それは決して不快なものではなく、ぼく自身のエクスタシイにまで、結びつくものだった。

こうして華恵は、ぼくの妻でありながら、彼の所有物になった。
裂けた喪服の隙間から、白い肌をあられもなく露出させて。
大胆に、セクシィに。ときには下品にさえなって、
夫であるぼくの目の前で、私はこの人の愛人になったのよといわんばかりに、
思う存分乱れ抜いた。
優雅なウェーブのかかった髪を振り乱し、
鮮やかな紅を刷いた唇を弛ませて、歯並びの良い白い歯をのぞかせて、
長いまつ毛を神経質にピリピリさせながら、
「不貞になっちゃうわ・・・主人に悪いわ…あなた、あなたぁ・・・」
「主人のより大きいわ・・・ほかのどんな男のモノよりイイわ・・・もっと、もっと苛め抜いてぇ・・・」
と、あらぬことを口走っていた。
傍らのぼくを意識して、聞こえよがしにあの人を誉め、ぼくをこき下ろして・・・
そしてこれ見よがしに。痴態を繰り広げた。
新床のオフィーリアを譲り渡したぼくは、じゅうたんの上、股間にほとぶ白い粘液をひたすら吐き散らかしてしまっていた。
華恵が気絶すると、つぎは母さんの晩だった。
彼女は気絶した嫁の隣に引きずり出されて、嫁と同じ経緯で首筋を咬まれ、衣装を裂かれて犯されてゆく。
礼装に身を包んだ未亡人は、礼儀知らずにあしらわれ、恥を忘れて痴態に耽る――

嫁と姑は、こんなふうにしてひと晩じゅう愛されて、
ぼくは嫉妬のエクスタシイになん度もたどり着き、
加代子は母と義姉の痴態から、なにかを学び取っていった。


あくる日の朝。
一着しか持ち合わせていなかった喪服を裂き散らされてしまった華恵は、姑の喪服を借りて帰宅した。
彼女の姑は、情夫を悦ばせるために、喪服をなん着も持っていたから。
帰り道はあぶなっかしかったので、母さんがタクシーを手配してくれた。
それでよかったのだ。
なにしろ女所帯の家には、もう父さんの衣類もほとんど残されておらず、
ワイシャツを濡らしてしまったぼくまでも、妹の服に着替えてざるを得なかったのだ。
「この齢でカコちゃんの制服を着れるなんて、よかったじゃない」
華恵にからかわれながらも、ボタンが反対に着いたブラウスの襟首にリボンを巻いて、妻と同じ丈のスカートをひざの周りに揺らしながら、ちょっとだけ得意になっていた。
「いまのあなたは、男じゃないから、妻を寝取られた夫にはなりようがないわね。
 お母さんと義理のお姉さんの恥知らずなふるまいで、
 カコちゃんといっしょに性教育のお勉強をしたお嬢さんというところかしら?」

夕べべそをかきながら、妻を寝取られていった若い夫は、
いまではすっかり妻の情夫に心服していて、
いつでもうちに遊びに来てほしいと、お別れの握手まで交わすようになっていた。
タクシーの運転手さんはふしぎそうにぼくを見たが、それ以上なにも言わずハンドルを握りなおした。

いまでもぼくは、最愛の妻を支配されてつづけている。
けれどもそのことになんの後ろめたさも、罪悪感も感じていない。
恥知らずに浮気に出かけていく妻を、恥を忘れてにこやかに送り出して、
独り残った家のなか、いまごろ妻がどんなふうにされているのか?と妄想を膨らませ愉しんでいる、いけない夫になりさがっている。
そして、愛妻を犯されることを歓ぶ夫になりさがったことを、むしろ嬉しく感じている。

≪画像紹介≫ストッキングの脚に咬みついて吸血。

2019年05月15日(Wed) 07:23:17

こういう画像、案外珍しいのです。
https://www.deviantart.com/yoo890/art/28-771204749

ちょっとご無沙汰になりました。

2019年05月10日(Fri) 06:43:53

ちょっとご無沙汰になりました。
かろうじて棲息はしているのですが、お話がなかなかまとまりません。

それにしても、元号が代わるまでつづくとは思っていませんでした。
これからも、どうぞよろしくお願いします。

前3作。

2019年04月28日(Sun) 07:21:08

なんとなく同じ構想で、短文を三つ、描いてみました。
さいしょの一編は、昨日の朝思い浮かんだものです。

シチュエーションは重なっているような、微妙に食い違っているような。
そんなお話を連続して描くことが、よくあります。

同じ家族の身に起こったことかもしれない。
べつべつの家族の話かもしれない。
解釈はどちらでもよいと思います。

若妻の母の訪問。

2019年04月18日(Thu) 07:58:57

おばあちゃんになる前に、抱かれに来ました。
そういってにこやかにほほ笑むのは、あの若妻さんのお母さん。
傍らで肩をすくめる若妻さんと、同じ色合いのほほ笑みだった。
血は争えない、母娘なのだとだれもが思った。
そして、娘の魅力は母親譲りなのだと、だれもが認めないわけにはいかなかった。

「うば桜でごめんね」という娘に、「こら」と軽く咎めると、お母さんはこちらのほうをふり返って、いった。
もうあと少しで、還暦なのですよ。
この齢で主人以外の殿方とお付き合いするなんて、思ってもいませんでした。
お母さんの意図は、だれもが承知している。
妊娠した若妻さんの身代わりを、これから勤めてくれるというのだった。

わざわざ選んで着込んできたという純白のスーツは、とても奥ゆかしく、男どもの目に映えた。
しとやかにまとわれたストッキングに、だれもが目を輝かせた。
行儀よく正座をしたひざ小僧は、きめ細かく織りなすナイロン生地の、淡い光沢に包まれていた。
正座をしたときひざ小僧が覗く丈のスカートを、このご婦人は一着だけ持ち合わせていて、
わざわざそのために、きょうの装いを択んだのだった。

2時間後。
乱れ髪になり、よそ行きのスーツを着崩れさせながらも、
お母さんは鶴のようにしゃんと背すじを伸ばして、お気が済みましたか?と訊いて来た。
そしてだれもがまちまちな顔で肯くと、「ふつつかでした」と丁寧に頭をさげた。

主人には、だまっていてくださいね。
傷つくとかわいそうだから――
娘の手伝いという名目で、時折当地に伺います。
もちろんそのためもあるものですから、二六時中というわけにはまいりませんけれど、
出来る限りのお相手をいたしますから、そのあいだ娘は見逃してあげてくださいね。

だれもが表情を改め、少年のように神妙に頷き返していた。
どこまでも奥ゆかしい、心優しいお母さんだった。

2時間もかかってしまいました。

2019年04月17日(Wed) 07:48:40

前二作は、起き抜けにひらめいたものです。
さいしょはS夫人がヒロインのはずだったのですが、
婚約者である怜子が他の男とのセックスに耽る光景に主人公が昂るシーンにはまってしまい、
ふたつのお話になりました。

上品な婚約者が裏の顔を見せて、未来の花婿のまえで情事に耽る。
それも、結納のときの礼装姿のまま男に弄ばれる。
そんなシーンに、なぜかひどく惹かれてしまったからです。

いつものパターンで?婚約者と情夫との関係を許し、むしろ理解と協力を惜しまない寛大な夫。
けれども彼にも、いいことがあったようです。
義母となったS夫人が娘の不倫を知ったことをきっかけに、
プラトニックに終わりそうだったS夫人との関係が燃えあがり、
かつてS夫人とヒロシとの不倫をかげながら許した夫の無言の承諾のうちにふたりは結ばれます。

夫ふたりは、妻の不倫に昂って。
ヒロシは近親相姦に近い関係を、母娘との間に愉しみつづけて、
妻たちも、それぞれ婚外交渉の歓びに身を浸す。
だれもが不幸せにならない結論です。

今月はお話がよく浮かびます。

2019年03月29日(Fri) 06:46:02

前作で、今月あっぷした記事の数は37となりました。
月別のアーカイブを見ればわかるのですが、
2011年8月の39あっぷ、2011年1月の63あっぷ以来の数字です。
きっと、すとれすがマックス!なのでしょう。(笑)

30以上の記事をあっぷするのが稀・・・ということは、毎日更新することはほとんどないということになります。
このブログが発足した当初は、ほぼ毎日更新していましたし、1日に数話あっぷする日も少なくありませんでした。
(最多あっぷ記録は、2006年12月の108あっぷ)
それがいつのころかくずれてしまいました。

ココに登場する異形の世界は、かなり小さいころから妄想しつづけてきたものです。
文章として具現化したいという想いが募ってきて、
「描きたい」気分が噴出してきたアウトプットの場として作りました。
もともと無理して「1日1話!」なんて決めていたわけではなく、
「描きたいときに描く」
「やめたくなったらやめる」
というスタンスを続けてきたためか、少なくなることはあっても途切れることはありませんでした。

時折、「そろそろたねぎれかなあ」と思うときがあります。
描き切ったと感じたら、いつでもやめてかまわないと思います。
有害な記事を無用に垂れ流している行為かもしれないから。
けれども、イメージが噴出する限りは、まだもう少し、続けていこうと思っています。

前作「時空を超えた男」 かいせつ

2019年03月15日(Fri) 07:14:58

前作は、明け方布団のなかでまどろんでいるときに泛んだお話です。
さいごのオチはやや強引にみえるかもしれませんが、すでにその時点で確定していました。
強引になってしまったのは、たぶん柏木の筆力のなさですね。^^;

よく読むと、冒頭部分ではきのうきょう知り合ったような書かれ方をしているのに、
末尾になると実は子供のころからの関係になっています。
時空のねじれで微妙に状況がずれているのか、たんなる穴ぼこなのかは、描いた本人にもよくわかりません。(笑)
吸血鬼との同居を許してしまう下町というのも、いったいここはどこの村なのだろう?というくらい不思議です。
もっとも、ある時期からウグイス色の電車は、地方の近郊でも使用されるようになったので、
そこは地方の近郊で古くからある街と解釈してもいいのだと思います。

もっとも大きなツッコミどころは、(以下はネタバレになりますが)、
譲一の親が譲一自身になるところです。
現代から数十年前にタイムスリップした譲一は、そこで自分と同じ年恰好の青年と出逢います。
すでに血を吸われ始めていた譲一は、その時点ではもう立派な?吸血鬼になっていて、
助けてくれようとする青年の血を吸ってしまいます。
けれども青年は寛大にも、いっしょに住もうと言って、彼女と二人で暮らしているアパートに譲一を招き入れます。
青年の期待通り?譲一は青年の彼女である君枝さんを無理強いに襲おうとはしませんでした。

君枝さんを初めて咬んだときの状況は、たぶんにふたりの演出なのでしょう。
帰りをわざと遅らせる彼氏。譲一の習性を知りながらハイソックスの脚を見せつける彼女。
それでもふたりが一線を越えようとしないのは、彼氏さんにたいする思いやりの部分なのだと思います。
譲一の習性を知って彼女の血を吸わせるタカシ。恋人の意向を酌んでわが身を同居人の欲望にさらす彼女。
ふたりの好意を受け止め、どこまでもフェアに振る舞おうとする譲一。
お互いがお互いに安心をしているからこそ成り立つ関係です。

タカシがいっしょに暮している恋人と肉体関係を結んでいないのは、譲一に処女の血を愉しませるためだけではありませんでした。
そもそも譲一と出会う前から、そういう関係ですからね。
ふたりは実の兄妹だった・・・という伏線を、ここで張ってみました。
お互い惹かれ合いながらも、結ばれて子供を作ってしまうことには、遺伝学上のためらいがあった というわけです。
それでも子供が欲しかった二人は、譲一に子どもの父親になってもらう という選択をします。
このお話は、ただの”NTR"ではないのかもしれません。
君枝さんが大きくなった息子をふたたび連れてきて譲一に引き合わせることで、
お話はつぎのステージへと進みます。
少年の血を吸っている譲一と、母親の知人相手に自分の血を吸わせている少年とは、同一人物なのです。
それって矛盾じゃないというツッコミはとうぜんありだと思いますが、柏木はなぜか矛盾を感じません。
やがてふたりは、華恵をまえにして入れ替わっていきます。
若い譲一と入れ替わって華恵の主となる、齢を取った吸血鬼バージョンの譲一が行き着く先は、案外ふつうの人間に回帰する道なのかもしれません。
そこをさりげなく、本文のなかに入れ込んでみました。

不思議なお話でしたが、1時間半ほどかけて、一気に描き上げてしまいました。
矛盾に満ちているのに、ここまで柏木を引っ張ってくれたお話。
不思議な引力を感じています。

さいごにファッションについて。
君枝さんのファッションは、かなり具体的に描き込みましたが、80年代に爆発的に流行ったものです。
濃紺と緑のチェック柄のスカートに(もちろんほかのタイプのスカートも多々ありました)、透ける紺のハイソックス。
ひどく印象に残っています。
タカシが穿いていたストッキング地の紺のハイソックスは、いまでは絶滅危惧種ですが、当時のサラリーマンの間で流行っていました。
男もののほうがなぜか色つやが良く、ゴムの部分もしっかりとした帯のように太いタイプでした。

最多記録?

2019年03月10日(Sun) 08:51:56

たぶん、このブログのいままでの長い歴史のなかで、1日に生まれたお話の数がいちばん多いときで8つだったと思います。
2006年くらいのことで、大昔です。
もっともあのころ描いていたのは、読み切りのお話のなかでも比較的長編だったので、字数でいえば比較にならないでしょうねえ・・・

きょうはやけに、興が乗ります。^^;

姑ばなし。

2019年03月03日(Sun) 09:12:08

このごろ、姑が出てくるお話が多いです。^^;
年輩のきちんとした感じのする気丈なご婦人が、吸血鬼に迫られて堕ちてゆく。
でも完全に人格が崩壊してエロエロになってしまうのではなくて、
ちゃんと本人のプライドもこだわりも、いくばくか残っている。
そのうえでなお、夫ならぬ身に迫られたり、夫たちの好奇の視線を浴びながら営みに耽ってしまったり、
そこそこ奥ゆかしさの残された情事というのが、わたしの好みです。

嫁の乱行を止める立場、という意味では、姑は夫と同じくらい、場合によってはそれ以上に大きな障害となるべき立場。
それが鉄壁の備えを崩されて、嫁もろとも堕ちてしまう・・・というのは、ひとつの家庭の終着点のような気がします。

前作について

2019年03月03日(Sun) 08:49:27

最初の襲われた経緯はよくわからないけれども、
おそらくは都会の生活ができなくなったご夫婦(さいしょは婚約中)が、吸血鬼の棲む街に納得づくで移り住んできたのでしょう。

夫婦ながら咬まれた後。
生命を奪われる危険がないと知ると、処女の生き血を少しでも多く吸わせるために、婚期を遅らせて。
いちどは望まれた純潔を、夫のためにと守り通して、
新婚旅行先に「亡命」する誘惑を振り切って、吸血鬼に支配される日常に戻っていって、
セックス経験のあるご婦人は例外なく犯されるという掟に従い、新妻を差し出して、
嫁の不倫に気づいた姑は、いちどは嫁を咎めるものの、
”体験”を強いられた後は聞く耳をもって、
それでも子供は息子の子を・・・という姑の望みをかなえるために、吸血鬼は期限付きで射精を自粛。
嫁の身代わりにと貞操を差し出した姑に、自分から差し出した日を貞操喪失記念日と決めて。
姑の目論見通り息子の血を引く娘と息子が生まれると、
娘は彼氏の承諾つきで吸血鬼に処女を与えて、
息子は彼女の血を吸わせ、純潔まで譲り渡す・・・

どこまでも互いを気づかう、らせん階段。

過去話2題 すこし調子に乗って・・・(笑)

2019年03月01日(Fri) 08:07:33

過去話をさらにさかのぼっていたら、自分で言うのもなんですが、けっこうおもしろいお話が出てきます。
そのうちの、もうふたつだけ。。^^;

「妄想の断片たち」
ひとつのお話として完成できなかった、まだ妄想段階のシーンが三つ、描かれています。
三者はつながるのか、つながらないのか。
つなげるとしたら、どうつながっていくのか。
うまくお話が組みあがらないときには、こんなのもありなのかなあと改めて思います。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-945.html

「ふたつの顔」
吸血鬼としてさ迷って、10年ぶりにたどり着いたわが家。
そこでは妻も娘も、暖かく迎え入れてくれたけれど。
妻はなにかを予感し、夫はこらえきることができず、そして娘は・・・
だれもが優しい人たちだなあという奇妙な安ど感を覚えるようなお話です。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-934.html

どちらも、12年近く昔に描いたお話です。

過去話2題

2019年03月01日(Fri) 07:57:56

今朝はどうも、お話がうまくまとまりません。
実像が薄っすらとぼやけている感じで。

ですので(というわけでもありませんが)、たまたま視ていた過去話がそこそこよかったので、紹介してみます。
いずれも10年以上前にあっぷしたお話です。
久しぶりに読んだのに、たしかに描いたという記憶があるところが不思議です。(笑)

「ストッキング、伝線しtるね。」
30代人妻のストッキングを代わる代わる破いて行く、夫と息子。
ある晩息子に誘い出された公園は、ヒロインに新たな役割を求めます。
さいごのオチは、少しわかりにくいかも。^^;
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1089.html


「母の代役」
吸血鬼のパパは、ママの生き血を吸っている。
けれどもパパの欲求は、ママ一人では受け止めることができなくて・・・
娘目線から描いた、吸血鬼譚です。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-949.html


どちらもストッキングが、重要な役割を果たしていますね。
(^^)

≪紹介≫非公開記事となって埋もれていたお話。 その2

2019年02月21日(Thu) 06:35:05

効率の悪い話ですが・・・。(^^ゞ
もうひとつ、同じようなお話を見つけてしまいました。
前記事で紹介したお話は、弊ブログには珍しく夜の刻限のあっぷでしたが、
今回のものは朝の8時。
書き上げたは良いけれど、仕事に出かける時間が迫って、うっかり操作を間違えたものと想像します。
このお話の前編らしきお話が、保存時刻の約20分まえにあっぷされています。
そうすると、本作の制作時間も約20分。
即興で描いたので短いのですが、このお話も描いたののをなんとなく憶えています。


題して、「夏祭り帰り」。
初体験の名残りで内またになった娘たち。
化粧がすっかり派手になった奥さん。
弟の婚約者は派手に裂けたストッキングをまだ脚にまとっていて、家まで穿いて帰ると言って恋人を困らせている。
淫らな村祭りから一夜明けて、都会に帰る家族の風景です。

http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1815.html
作品番号は、1815。
まだまだ若いですな。。
ちなみに前記事は、3703です。
あっぷされた記事数がこの数字より若干少ないのは、前記事で描いたように、描きかけで挫折してしまったお話が若干存在するためです。

「お話を1000話まではあっぷをして、”千夜一夜物語”にしたい」と思っていたのは、遠い日のことでした。 (笑)

≪紹介≫非公開記事となって埋もれていたお話。

2019年02月21日(Thu) 06:17:28

過去記事のデータを見直していたら、ひとつ「非公開」のままになっている記事を見つけました。
日付は2009年11月30日。10年近く前のものです。
当時はほぼ全作を入力フォームに直接打ってそのままあっぷしていました。
たまさか行き詰まって途中で挫折して、非公開のまま埋もれたものもなくはないのですが、
読み返してみたら、ちゃんと一編のお話として成立していますし、
10年近くも前に描いたのに、描いた記憶も薄っすらと残っています。
どうして非公開にしてしまったのか?はやった本人にとっても謎ですが、誤操作だったのかもしれません。
せっかくなので、公開化しました。

ブログのトップにあげることも考えたのですが、「いつ描いたのか」も記録の一部と感じますので、
あえてあっぷの日付通りのところにあげておきます。
とはいえ、それでは確実にだれの目にも触れずに埋もれてしまいますので、リンクだけは貼っておきます。

http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1933.html

タイトルは、「ひっそり迫る。」。

まだ性の歓びに目ざめていない、年端もいかない少年が、都会から移り住んできた人妻に迫り、生き血を吸い取ってゆく。
親しくなった土地の者にそそのかされたその人妻のご主人は、
穴をあけられた障子ごしにいちぶしじゅうをのぞき見して、ひそかな昂ぶりを覚えてしまう。
少年の手がワンピースの奥へとそろそろと伸びて、静かになった奥さんの足許からストッキングを抜き取ってゆくところまで。

そんな感じのお話です。^^

やれやれ。

2019年02月12日(Tue) 07:42:49

ヘンな時間に目が覚めて、きのうあたりから思い浮かんでいたお話が書けそうな気がしてキーを叩きはじめて、
気がついたらもうこんな時間。
とても二度寝はできません。(苦笑)
せっかくなんで、描いたお話みっつのかいせつなどを、描いてみます。

≪人妻ふたり≫

狙った人妻を落とすため、夫を味方に引き込もうとして吸血する手口はいつもながらですが。
血を吸われた夫は、同僚に妻を日常的に寝取られていて、その状況を受け入れています。
そして、自分の妻に惚れてしまったという吸血鬼の望みも、好意的にかなえてしまいます。
ほんのちょっとだけ、間男よりも夫である自分を尊重してくれたことが、案外嬉しかったのかもしれません。

狙われた人妻はなかなかしたたかで、浮気相手の奥さんを黙らせようとして、一計を案じます。
夫はその片棒を担いで、見事?先方の奥さんを篭絡。
堅物で知られたその奥さんは、夫以外の身体を識ってしまったためか、それまでの夫婦生活が虚しかったからか、
自分の夫が奥さんを寝取った代償と称して、相手を受け入れていきます。
さりげなく小ぎれいに装い、
さりげなく愛情表現を口にする――「お宅に戻りにくい夜は、うちで休んでいってほしい」
どちらかというと、こういう風情で不貞をくり返す貞淑妻に、惹かれます。^^


≪親友の未亡人≫

これは、二度寝しようとして布団に戻ったとたんにひらめきました。(笑)
親友の死後の再婚ですから寝取りとは違いますが、前夫の写真のまえでのエッチは、寝取り要素があるかもです。^^
案外こういう展開を、前夫さんも望んでいたのかも。^^
自分の死後の妻のことを気づかって、妻の再婚相手を探すご主人は、意外にいそうな気がします。
でも、自分のまえで将来を誓ってもらおうという方は、あまりいらっしゃらないでしょうけれど。
ところが今度はどんでん返しで、妻と前夫の実家のある村が風習を持っていて、
女装趣味で奥手の主人公をいともかんたんに巻き込んでしまいます。

夫婦ながら女として愛されるふたり。
さいごのフィニッシュをキメるころには、それまで聞き取れなかった方言がわかるようになっている。
情を交わせ合うことができるようになって初めて、お互いを理解できるようになったというのを表現してみました。


≪母を法事に連れ出す。≫

このお話を描いた後、気になったのは、主人公のお母さんです。
都会の未亡人が洋装のブラックフォーマル姿で襲われて、黒のストッキングを引き裂かれて犯される。
なん度かいても、そそられます。^^
さっそく、キーを叩きつづけました。

前夫が嫉妬するから女の姿で墓参をするというのが、さいしょに浮かんだイメージです。^^
駅頭の表現は、そのあとすぐに浮かびました。
隠れて続けてきた女装がどうせばお母さんにれてしまうのなら、初手からショッキングなご対面を果たして見せようと思いました。
でも、なんのためにそんなことをするの?と感じながらキーを叩いていたら、美奈子さんが教えてくれました。

母親を目あてにしていたお舅さんが、礼儀正しく振る舞う彼女を前に、表むき慇懃に挨拶を返す――
なにを考えているのかちゃんと心得ている息子の目線から見ると、妙に淫らなものがよぎります。
嫁と嫁の叔父とか、彼自身を目あてにしている親友のお父さんとか、
一連の顔合わせシーンは、キーを叩きながら思いつきました。

母、妻、それに夫――
三人が三人ながら、洋装のブラックフォーマルに身を包み、黒のストッキングの脚をくねらせながら、
淫らな宴の渦に巻き込まれていきます。
お互いの恥部をさらけ出し合うことで、却ってスッキリする場合も、あるのかもしれません。

貞淑な賢夫人でとおっていたお母さん。
どうしてどうして、初めて目の当たりにする息子の女装姿にも動じることなく、
初めて体験する乱交パーティーの場にも平然と応じてしまいます。
亡夫にちゃんと謝罪をして罪滅ぼしする行儀の良さも、素敵です。

主人公の女装さんは、まだまだ自分は女として未熟だと悟りますが、
このお嫁さんとお姑さん、それに村の衆たちに磨かれれば、きっと魅力的な熟女に成長することでしょうね。

上位の者があとから酔わされる。

2019年01月31日(Thu) 08:14:52

ものの順序として。
上位の者があとから酔わされるお話が、かなり好きです。

さきに娘や息子が襲われて、あとから母親が襲われる。
吸血されることに夢中になった娘や息子が、ハイソックスを咬み破らせてしまうのを目の当たりにして、
潔癖なお母さんは激怒します。
けれどもさすがのお母さんも、吸血鬼にはかないません。
たちまちねじ伏せられてしまい、
長い靴下を好む吸血鬼の卑猥な唇を、ストッキングを穿いた脚に吸いつけられてしまいます。
息子や娘のまえで、ストッキングをびりびり破かれながら吸血されるお母さん。
ある意味、お手本を見せてしまいます。

さらに上位が、お父さんです。
男女は平等ですから、上下というよりは吸血鬼との距離感かもしれません。
でも、たいがいのご家庭ではいまなお、一家の長といえばお父さんの役割のようですね。
このごろはほとんど見かけなくなりましたが、かつてビジネスマンの間では、ストッキング地のハイソックスが流行していました。
ただのおっさんでは芸がないので、ちょっとユニセックスなものを身に着けさせてみたくなります。
かくして、お父さんまでもが働き盛りの血を吸い取られ、めでたく?陥落してしまいます。
もう少し発展家のお父さんですと、体調を崩した奥さんの身代わりに、女装して吸血鬼の相手をします。
妻の服を身に着けて、自分も女になり切って犯されてしまいます。
妻が犯される想像と二重写しになって、得も言われぬ快楽に身を浸すことになります。
ある意味、幸せな出逢いかもしれません。(笑)

若夫婦の場合だと、お姑さんも絶好の餌食です。
嫁の不倫をやめさせようとして、あべこべに犯されてしまったりします。
あげくの果ては、永年連れ添ったお舅さんにも知られてしまうのですが、
お舅さんは意外にも温厚な紳士で、息子の嫁や自分の妻の情夫にも、寛大に接します。
お姑さんも、嬉し恥かしの五十路の浮気に耽るようになりますが、夫婦の関係は続きますし、むしろ深まります。
吸血鬼が、人妻のまま、彼女たちを愛そうとするからです。
いかがわしいことをやめさせようとしながら、ミイラ取りがミイラになる。
そんなところに萌えのポイントがあるのかもしれないですね。

ブログ拍手♪

2019年01月16日(Wed) 23:56:56

ちょっとこちらから目を話しているあいだに、ちょっと前に14もの拍手を頂戴しました。
とても嬉しかったです。(#^^#)
たぶん、以前から目を通しておられたものに、まとめて印をつけられたのかな?と想像していますが、
テーマ的にかなりはっきりとした共通性がみられ、少しずきッときました。
カテゴリは「少年のころ」が多いのですが、ほとんどがハイソックスのお話なんです。
私のなかでもいくつか気に入っているお話がありますので、少しだけ紹介してみます。

「スポーツハイソの時代」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3015.html
同じクラブに所属する男子数名が、色とりどりのライン入りハイソックスの脚を並べて、
学校に出没する吸血鬼に咬ませてゆくお話です。
個人的に気に入っているのは、キャプテンが堕ちてからその風潮が部員たちの間により素早く浸透するようになったというくだり。

さいごに大人になってからの主人公が、若い声たちが行き交う体育館を眺めて回想にふけるシーンがあります。
何気なく描いたのですが、いまでも記憶に残っています。


「デニムの半ズボンに、スポーツ用ストッキング」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2505.html
自宅に侵入してきた吸血鬼に、「あいにくだけどこの家には女の子がいないんだ」と言いながら、すすんで血を吸わせようとする少年。
強いられているはずの吸血を、むしろ自分を襲っているやつよりも愉しんじゃっている感じが漂います。
このお話、拍手の少ない当サイトにありながら、じつに11もの拍手をいただいています。


「少年少女のハイソックス」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2472.html
吸血鬼を歓迎する学校に行った主人公が、あてがわれた教室にいた男女の生徒たちの色とりどりのハイソックスの脚を狙うお話です。
男の子が女子と同じようにハイソックスを履いていたのは、じっさいには1970年代ころのことですから、いまとなっては大昔のことですね。
時折ネットを見ていると、ごくまれにですが当時の画像に出くわします。
男の子たちが、女子が履くようなライン入りのハイソックスを堂々と履きこなしている時代。
ついこの間のようでありながら、遠い昔の別世界です。


「素っ裸に、ハイソックス」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2342.html
生き血を吸い取られ、妻や娘までモノにされてしまった男が、吸血鬼になって、別の家に侵入して、
その家の夫をたぶらかし、妻や娘も餌食にする・・・限りなく続いてゆく食物連鎖。


「少女の履く、白のハイソックス~入学式帰り~」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2295.html
「もしもママの血で、足りなかったら。真由香の血を吸っても、いいからね。」
目のまえで母親の生き血を吸っている吸血鬼にそんなふうに声をかけてしまう、心優しい少女のお話。


「初体験のハイソックス 初体験の黒ストッキング」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2266.html
十三夜かけて、家族全員の生き血を吸い取ってしまうという残忍な吸血鬼。
けれどもその家の少女は彼に心優しく接して、家族はだれひとり血が尽きることがなかった――そんなお話です。


14のお話は、古いものでは2010年のものまであります。
ほとんどがハイソックスもの、カテゴリでいうと「少年のころ」にあたります。
いずれもが、昭和の香りがほんのり漂うお話です。
おひまなかたは、ひととき御覧になっていってくださいね。
(^_-)-☆

「逆」単身赴任――街の体験を再現する夫たち

2019年01月06日(Sun) 09:26:25

「オ、岩瀬くんか。久しぶりだね」
E市の事務所に着任すると、真っ先に声をかけてきたのは嘉藤だった。
「あ、どうもお久しぶりです。お元気そうですね」
ありきたりの返事を返す岩瀬に、嘉藤は周囲に聞こえないように耳打ちをした。
「前任地での出来事を会社で話すのは、ご法度だからな」
わかってますよ・・・と、岩瀬は苦笑いしながら応じた。

お互いにとって前任地は、夫婦の歴史を塗り替える場所だった。
吸血鬼の棲む街に赴任させられたものたちは、夫人の帯同が義務づけられていた。
当地での業務はほとんどなく、夫たちは労せずして高給を手にすることができた。
その代わり、同伴した妻や娘たちは、その地に棲む吸血鬼の毒牙にかかり、彼らの愛人に加えられていったのだ。

岩瀬の赴任は、嘉藤よりだいぶあとだった。
都会で借財を重ね、その追求から逃れるためにこの会社に入社し、吸血村への赴任を希望した。
妻も同意の上だった。
妻を吸血鬼に襲われて犯されてしまうのは、もちろん歓迎すべからざる境遇であったけれど、
もはや岩瀬にそれ以外の選択肢は残されていなかったのだ。
先輩にあたる嘉藤もきっと、なにか都会にいられない事情を抱えた立場だったのだろう。
借金は会社が肩代わりして返済してくれたので、このほど晴れて都会住まいを再開することのできた岩瀬だったが、
はたして嘉藤はどうなのだろうか。

嘉藤はその美しい熟妻を、あの街に残してきていた。
7人もいるという愛人たちが、嘉藤夫人との別離を惜しみ、嘉藤が彼らの思いに好意的に応えた――ときいていた。
いまでも嘉藤は週末ごとにあの街に戻っていたが、「2回に1回は見守り係さ」と、苦笑いしながら告白した。
帰宅した夫は、吸血鬼どもが自分に代わり妻とくり広げる熱々のラブ・シーンをたっぷり見せつけられてひと晩を過ごすのだという。
「いい齢をして男を7人も作りやがって」
嘉藤は心許した岩瀬にそう毒づいたが、
「俺の女房は魅力的だから、男が7人もいるんだぜ」
と、自慢しているようにさえ岩瀬の耳に響いた。

岩瀬の妻、紗栄子もまた、街に棲みついてすぐ、吸血鬼の来訪を受けていた。
出勤していった後の岩瀬家は、ほかの都会住まいだったサラリーマンの家庭同様、吸血鬼のハーレムと化していた。
ひとりの吸血鬼だけに奉仕することが決まった人妻以外は、月に1回、「ご開帳」と呼ばれる儀式を体験した。
その晩は、どこのだれが通ってきても受け容れるという儀式で、それをきっかけに愛人を増やす人妻も多かった。
すでに吸血鬼に妻を寝取られた夫たちにも、「ご開帳」への参加は許されていたから、
そういう夜に夫たちは、来訪する男どもの行列のなかに、勤め先の同僚の姿を見出すことも珍しくなかった。
「あいつ、うちの女房に関心あったんだな」
そんな新たな”発見”が、翌日からの夫たちの関係を変えた。
それまで高飛車な態度だった上役が、妻を抱いた若い部下に和やかに接するようになったり。
同僚どうしで公然と妻を交換し合ったり。
いちど抱いた若い部下の奥さんが忘れられなくなって、そんな上司の想いを察した部下が家に夕食に誘ったり。
奇妙なことに、妻を共有した経験をきっかけに、関係が良くなるのがつねだった。
岩瀬の妻である紗栄子と嘉藤の関係もそうだった。
自室で仰のけられた妻の裸体に覆いかぶさろうとする嘉藤は、岩瀬と目が合うときまり悪げに笑った。
けれども、そのあとの行為はどの男のそれよりも激しかった。
愛妻のうえにのしかかる上司。息をはずませてそれに応じる紗栄子。
ふたりの組み合わせに、岩瀬は不覚にも射精をこらえきることができなかった。
以来嘉藤は、岩瀬家に足しげく通うようになった。
「うちにお客が来ていてね」
それが嘉藤の口癖だった。
年輩だったが評判の美人だった嘉藤の妻のもとには吸血鬼たちが足しげく通いつめて、
夫の嘉藤は彼らに遠慮をして帰宅を遅らせるのが常だったのだ。
吸血鬼に妻を犯されているあいだ、嘉藤は部下の家に招かれて、その若妻を抱きすくめる――
「まるで食物連鎖ですね」という岩瀬に、「そう言うなヨ」と嘉藤は満足げに目を細めていた。


「嘉藤さん、今夜いっしょに夕食いかがですか?妻も会いたがっていますし」
岩瀬が嘉藤にそう持ちかけたのは、再会の翌日のことだった。
「まだ引越しで落ち着かないんじゃないのか?」という嘉藤に、
「お逢いした方が気分が落ち着くと、紗栄子が言っていました」と伝えた。
嘉藤はもちろん、よろこんで応じた。
「酔いつぶそうか?それとも、ロープでぐるぐる巻きか?」
嘉藤の問いに、「ロープ、用意してあります」と応えながら、岩瀬は以前と同じ呟きを口にした――まるで食物連鎖ですよね?と。

久々に顔を合わせた岩瀬夫人の歓待に、嘉藤はしたたかに満足した。
部下を縛ってしまうと、エプロンを着けたままの紗栄子を後ろから羽交い絞めにして、吸血鬼みたいに首すじを吸った。
「あぁあ・・・っ」
紗栄子が柳眉を逆立てて、嘉藤に応じた。
初めて咬まれて以来、首すじを吸われると感じてしまうのが、紗栄子の習性になっていた。
目のまえでは、縛られた岩瀬が目を充血させてこちらを見ている。
「亭主の前で感じちゃっていいのか?」
と、紗栄子を責めながら、スカートのなかに手を入れて、秘所をグイグイとまさぐり続けた。
紗栄子の身体から力が抜けて、たたみの上にひざを突いてしまうと、力まかせに押し倒した。
パンストを半脱ぎにしたまま犯すと、岩瀬が特に昂奮するのを、嘉藤はよく心得ていた。
嘉藤の虐げるように激しいセックスに、岩瀬夫人も、岩瀬じしんも、したたかに感じつづけてしまっていた。
ここは吸血鬼のいない都会の一隅だったが、マンションの室内では、あの街と同じ光景が再現されていった。


それ以来、岩瀬夫妻と嘉藤の交流が再開した。
「今夜どう?」と嘉藤が誘うと、岩瀬は必ず応じた。
紗栄子は専業主婦だったので、いつでも都合を合せることができた。
初めての夜は娘2人の寝静まった深夜だったが、
「もう娘たちも年ごろなので、夜よりは昼間のほうが気を使わなくて良いです」
と、紗栄子は母親らしい気遣いをみせた。
嘉藤と岩瀬は業務上もコンビを組んでいたので、出張・直帰の名目で、事務所をそうそうにあとにすると、岩瀬のマンションへと直行した。
どうしても夜になるときは、あらかじめ指定したホテルに紗栄子が待っていた。
よそ行きのスーツ姿に息荒くのしかかってゆく嘉藤の背中を、岩瀬はいつも昂った眼で見つめつづけていた。


「紗栄子が、街に帰ります」
岩瀬の告白に、嘉藤は眉をあげた。
以前から紗栄子に執心だった吸血鬼が、どうしても戻ってきてほしいとラブ・コールを送って来たというのだ。
愛人の意向が夫のそれに優先するのは、つねのことだった。
そして紗栄子が一番気にかけたのは、夫のことではなく嘉藤のことだと、岩瀬は告げた。
「そう・・・それは寂しくなるね」
しんみりとなった嘉藤を慰めるように、岩瀬がいった。
「娘たちは当面、こちらに残ります。学校がありますからね。急には移れないんですよ」
街での赴任期間中、図らずも手にした高給で裕福になった岩瀬は、このマンションも持ち家になっていたし、娘たちは名門校に入学させていた。
姉妹はそれぞれ別の学校に通っていた。
上の娘はブレザーで、下の娘はセーラー服だという。
そう言えば、真昼に岩瀬のマンションで情事の真っ最中に、下の娘が急に帰ってきたことがあったのを、嘉藤は思い出した。
白と紺のセーラー服の夏服に、白のハイソックスの足許が眩しかった。
嘉藤の表情が動くのを読み取るように、岩瀬がいった。
「紗栄子の留守中は、娘たちに相手をさせます。紗栄子もそのつもりです」


岩瀬の上の娘を犯したのは、紗栄子が街に戻ったわずか一週間後のことだった。
下の娘を父親が連れ出した後、勉強を教えるという名目で姉娘の勉強部屋に入るとき、嘉藤はさすがに胸が震えた。
なにも知らない姉娘はにこやかに嘉藤を迎え入れ、机に向かう少女の傍ら、嘉藤はベッドに腰かけてよいと言われた。
折り返しのある深緑のハイソックスが、嘉藤の目を眩しく射た。
約束どおり、数学の問題を三問、解いてやった。
理系だった嘉藤には、ぞうさのないことだった。
少女は健康そうな白い歯をみせて、嘉藤にいった。
「教えてくれたお礼をしなくちゃいけませんよね?」
え?と首をかしげる嘉藤に、少女はちょっとだけ羞じらいをみせた。
「教えてくれたお礼が教えてもらうことになるって、母から聞いています」
回りくどい表現を、なんとか舌を噛まずに伝えようとする少女の口ぶりは、意図を裏切ってたどたどしかった。
「聞いているのか?」
「嘉藤の小父さんを悦ばせてあげてって・・・」
口ごもる少女を、これ以上しゃべらせるべきではないと嘉藤は感じた。
少女の手を引くと、思いのほか素直に立ち上がり、ベッドに座る嘉藤の隣に腰を下ろした。
力を込めてシーツの上に押し倒した少女の胸を、制服のブラウスの上から揉みはじめると、
彼女は、唇から生暖かい吐息を洩らした。
ピリピリと神経質にまつ毛を震わせる横顔が、紗栄子に似ていると思った。
嘉藤は少女の横顔に顔を近寄せていって、唇を奪った。
ピンク色をした唇をこじ開けて吸った少女の吐息は、唇の色と同じ色をしていると思った。
脱がされたパンツをハイソックスを履いたままの足首に絡みつかせながら、少女は初めての痛みに耐えた。
きちんとひざ下まで引き伸ばされたハイソックスが、切なげな足摺りとともに、弛んでずり落ちていった。

知っていたんです。
お父さまが小父さまを連れて帰ると夜は、いつも早くに寝かされるけど。
部屋まで聞こえてくるお母さまの声がふつうじゃなくって、怖くなって覗いちゃったんです。
お父さまが縛られているのを見て、小父さまはほんとうは強盗なの?って思いました。
仲良しの小父さまにだまされて、お父さまは縛られお母さまは襲われているのかな?って思いました。
でも小父さまとお母さまとは、息がすごく合っているような気がしました。
それからお母さまにお父さまから電話がかかって来て、どこかに呼ばれていくのを何度も見ました。
そのたびにお母さまは綺麗なお洋服でおめかしをして、あたしたちを残してウキウキと出かけていきました。
なにか楽しいことがあるのだろうか?と思っていたら、夜遅く帰って来たお母さまのストッキングが破けていました。
よく見ると、髪もちょっと乱れていて、ブラウスは着崩れていました。
あれはぜんぶ、小父さまの仕業だったんですね?

妹にも手を出すんですか?
良いですよ、あたしお姉さんだから、妹が怖がらないよう手引きしてあげます。
出来るお手伝いがあったら、いつでも申しつけてくださいね・・・

たどたどしく洩れる声色のすべてを聞き取ると、嘉藤は再び欲情を覚えて、
制服のスカートの奥にもういちど、強く逆立った一物を突き立てていった。
少女は目をキュッと瞑り、のけぞりながら歯を食いしばった。
声を洩らすまいとしているのがわかったから、声をあげるまで犯しつづけた。
「ァ・・・」
思わず洩らした小声に悔しそうな顔をする少女に、「声、あげたね?」と囁くと、
「イヤだ、小父さま・・・」と目をむいた。
抗議をしようとする口許を、唇を圧しつけて塞いでやると、少女は初めて、応えてきた。

岩瀬が再び街への転勤の辞令をもらったとき、嘉藤も同時に街に戻っていた。
嘉藤の妻の和香子は、すでに特定の彼氏を作っていたが、
今後も彼氏の来訪を自由に認めるという条件で、夫との同居を受け容れた。
なん人もの男たちとの交流を経て、性格もセックスもいちばん相性の良い一人を決めたのだ。
もっとも浮気性な和香子は、かつての恋人たちとも、時折夜を共にするので、
嘉藤は妻の多忙な日常に、再び振り回されるようになっていた。
和香子が自宅で彼氏といっしょに過ごす日は、嘉藤は自宅を明け渡して、岩瀬の家を訪ねた。
岩瀬の妻の紗栄子も多忙な日常を再開させていたので、いつも逢えるとは限らなかったが、
姉娘につづいて妹娘も犯していた嘉藤が、女に不自由することはなかった。
岩瀬はいつも、妻の情事に同行をさせられていた。
送り迎えはもちろん、吸血鬼の毒牙にかかる妻のありさまを見せつけられるという大任を仰せつかることもしばしばだった。

街を経験した夫たちは、他所の土地に赴任しても街の世界を再現してお互いの妻をむさぼり合い、
街に戻って来たあともまた、犯し犯される日常を愉しみつづけていった。

世を去ったはずなのに。

2019年01月04日(Fri) 10:39:28

貴方が世を去ったあとですね、とても面白いことになっているんですよ。
ふつうの人なら目くじら立てるような話なんですが、ほかでもない話好きの貴方なら、きっと面白がると思うんですよ。
ねえ、ちょっと耳を傾けてみませんか、ちょっとだけ、ご覧になってみるのもおススメですよ。

闇の彼方から聞こえてくる声に、わたしはふと目を覚ました。
おかしいな持病が高じて寿命が尽きたはずなのに、なぜ意識があるのだろう?
目を開けると、そこは真っ白な世界だった。
白い壁に包まれた狭い部屋。わたしが数年ぶりに生き返ったのは、そんな場所だった。
果たして実在する場所かどうかもわからない。
そこでは走馬灯のように、わたしがこの世からいなくなってからの映像が、映し出されていったのだった。

息子が大学を出て就職した。
かなりの大企業だったのに、すぐに退職して地方の街に移り住んだ。
いったいどうしたことかと思えば、上司の紹介でお見合いをした相手と結婚するためだということだった。
それならなおさら会社に残るべきだったのではないか?と思ったのだが、
傍らの声がそうでもなかったのです、と、教えてくれた。
その街はその企業の創業者の故郷で、若い人が少なくなっているから、移り住んでくれる人を社内で強く募集しているのだと。
いずれにしても、息子は若くてきれいな嫁をもらって、のどかな土地で自足した生活を得たようだった。

別の声が、さらに横から口を出した。
特ダネ情報です!奥さんが再婚されます。相手は吸血鬼です。
――えっ?それって、どういうこと?

その吸血鬼氏は、息子さんのお嫁さんの彼氏です。
結婚前から彼女やそのお母さんの血を吸っていて、どちらとも初体験をしているつわものです。
――そりゃ、たしかにつわものだね。。

吸血鬼氏は婚礼の席で、奥さんを見初めてしまいました。そして、つごうのよいことに未亡人だと知ってしまったのです。
息子さんが紹介したんです。
吸血鬼氏は、着飾って婚礼に出席された新郎の母親を、ホテルの室内で強姦しました。
黒留袖の帯をほどいて、まる裸にしてひと晩じゅうやりまくったのです。
――おお!なんということだ!

ふつうの奥さんなら、そのひと晩で、ご主人との思い出を一生ぶん、きれいに忘れてしまうほど強烈なのですが、
貴方の奥さんは気丈で意志の強い人です。婦徳を辱めたことについて謝罪を求められました。
吸血鬼氏は、紳士的に振る舞いました。潔く謝罪したのです。
奥さんはその謝罪を受け入れ、血液が不足しているのであれば献血に応じてもよいと仰いました。
――すこし寛大過ぎはしまいか?

そうですね、ちょっと謝っただけでOKしてしまうなんて、やっぱりご主人のことは忘れたのかもしれません。
ですが、何度も襲われるうちにほだされてきてしまいまして、とうとう吸血鬼氏の求婚をお受けになられたのです。
おめでとうございます。
――おめでとうと言われると悪い気はしないが、ちっと情けない気もするね。

吸血鬼氏は喪服が好きで、奥さんには逢瀬の時に喪服を着てくるようにとおねだりしました。
奥さんは彼の希望を好意的にかなえてあげました。
だから奥さんが毎日喪服を着ているのは、決して貴方を弔うためばかりではなく、彼氏を悦ばせるためでもあるのですよ。
――喪服姿はたしかにわたしもそそられる。わからん気もしないではないが・・・苦笑

きょう、奥さんはいままでのお宅を出て、吸血鬼氏の棲み処に移られます。
お!でも感心ですね。ちゃんとあなたのお仏壇に、手を合わせていらっしゃる。
――律儀でまじめな女なのだよ。

妻:とうとう貴方以外の男性のところに嫁ぐことになりました。
  けれども貴方の菩提を弔うことも忘れません。その条件で、あのひとのものになることにしました。
  貴方のことを思って喪服を身に着け、あのひとを悦ばせるために脱がされてゆきます。
  どうかこの愚かな未亡人のふしだらを、許してくださいね。
――許すとも!許すとも!

妻:アラ、貴方のお写真がちょっとだけ笑ったような。
  貴方もともと助平でいらっしゃいましたからね。
  わたしたちが愛し合うところを御覧になって、悦にいっていらっしゃるかもしれませんね。
  いやらしいひと。

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる ~月田家の場合~ きまぐれなかいせつ6

2018年10月30日(Tue) 08:08:42

長々と綴って来たこのシリーズも、ここでいちおうの完結です。
完結という気がしないというかた、それはたぶん、気のせいです。(笑)
ほんとうは、月田氏と月田夫人とお父ちゃんとの、まったりとした三角関係な日常をもう少しねっちりと描いたり、
まゆみが校庭の真ん中で校内のみんなが見つめる中で処女を喪失したり、
そのまえに、練習台にされてしまった心優しいお嬢さんである霧川朋子が、「齢の順だ」と理不尽な選択をされて、
やはりお似合いなくらいお人好しのお兄ちゃんに見守られながら、お父ちゃんに純潔を散らされていったり、
きっとそんな場面が必要なのだとは思うのですが――いまはそれを描く力がありません。

さいごの数編は、≪番外編≫とあるとおり、かなり不ぞろいです。
ナギの日記に対する月田父娘の反応とか、公演で襲われた善良な霧川朋子のその後とか、
不倫のときに着ていくお洋服を買いあさるようになった月田夫人とか、
それぞればらばらに語られます。

たぶんこのあたりで、妄想の闇が薄らいでしまったのかもしれません。
さいごの作品の二行は、あまりにも尻切れトンボだったお話の末尾として、さきほど付け足したものです。
違和感がなく読まれると良いと思います。

長々とお付き合いいただいたみな様、どうもありがとうございました。

追記
このお話はあまりにも長いので、お話のすじのころあいをみて、あっぷを一段落させてあります。
そして、あっぷした日のさいごの記事を毎回、「きまぐれなかいせつ」にしてあります。
描きたかったことなどなどは、こちらの「きまぐれなかいせつ」にまとめてありますので、
ネタバレがあってもよいというかたはコチラだけ読んでいただいても、意味は通じるかもしれません。
(通じないかもしれません 笑)
本編と合わせて、お愉しみください。^^

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ きまぐれなかいせつ5

2018年10月28日(Sun) 23:59:27

月田家の崩壊物語も、このあたりで一段落の気配です。
妻も娘も、吸われてしまいましたからね。!(^^)!
ですんで、お話の内容も、やや散漫になっているかもしれません。
じゅうぶん濃いですって?^^
そう言ってくださる方がおひとりでもいらっしゃれば、この連載は成功♪ということにしたいと思います。

まゆみは母の不倫を知り、母はまゆみが献血を始めたことを知り、
互いに知っていることを自覚し合いながらも、うわべは平穏な日常を過ごしつづける・・・というのが、メインのすじ書きになります。
合い間に、例のダメ教師がナギにやっつけられたりとか、ナギの稚拙な言葉遣いの日記がどうにもホラーであるとか、そんな脱線をしながら・・・ですが。

このお話、あと若干の番外編がありますので、さいごにそれを載せてお茶を濁そうと思います。
濁った粘液をたっぷりと股間に注ぎ込まれた母娘に、祝意を表しながら。^^

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ きまぐれなかいせつ4

2018年10月27日(Sat) 11:00:32

ちょっと日があいてしまいましたが、本編のクライマックス?であるところの、ヒロインのまゆみが血なし父娘に咬まれるシーンです。
(^^)
いつもよりすこしだけ、しつような咬み方(とくに父ちゃん)になってしまいました。^^; まゆみちゃんごめんなさい。(^人^)

唐突に登場する担任の春田ですが、ダメ教師の典型のような人として描きました。
学校教師の若妻が吸血鬼に犯されるシーンもあってよいはずなのですが、ココはどうにも筆が進みませんで、存在していません。
読者諸賢は、てきとうに想像してくださいますように。^^
どちらかというと、旧校舎でナギが年上のお姉ちゃんを手玉に取るくだりのほうが、個人的にははるかに魅かれますね。^^
吸い取られた春田の血は、ナギの卑劣な千変万化のために役だっただけでした。(笑)

ここでナギは初めてまゆみに、自分は本当は死んでいるのだと打ち明けます。
もしかするとナギは、生前の最後の姿のまま齢をとり、じつはまゆみと同年代の女の子だったのかもしれません。
いずれにしても、彼女のまゆみにたいする愛着と憎悪とは、すくすくと年頃の娘に育った女子への羨望と反感があるのだと思います。
まゆみの血を得ることで、自分自身もまた、年ごろの女の子になれるのでは・・・みたいな。
父親に襲われるのとどっちがいい?と選ばせてみたりとか、かけっこの終盤戦で甘えてみたりとか、
同性愛的な愛着を感じさせる部分もあります。
どちらにしても、ナギのまゆみに対する感情は、ひと筋縄ではいかないように感じます。

血を吸い尽されたまゆみが一転して笑いこけてしまい、ナギと仲良くなるシーンは、すこし唐突だったでしょうか?
すっかり洗脳されてしまったまゆみは、以後はナギの姉代わりのような存在になってゆくのです。

付記
いま現在、16・17話が表示されていません。「ちゅうがくせい」という単語がひっかかっているようです。(どうしてこんな単語が?)
でも、本文をちょっと見ても、それがどこにあるのか発見できません。
よって、当面はこのままとなります。
このくだり、お手数ですが、弊ブログのミラーサイトがありますので、コチラで御覧になってください。
m(__)m

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ 15 まゆみの担任
http://aoi17.seesaa.net/article/462409874.html

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ 16 旧校舎の教室にて
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≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ 17 血なし鬼の父、まゆみを咬む
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≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  ~月田家の場合~ 9 少女ふたり

2018年10月22日(Mon) 07:23:03


逃れるように立ち去った家の前からすこし歩くと、横なぐりの風の向こうに、ちいさな人影がまゆみと差し向かいに佇んでいた。
自分よりずっと年下のその少女は、こちらが気まずくなるくらい、長いことひっそりと押し黙っていた。
「なぁに?あたしに何か用!?」
我ながらいやになるくらい、苛立った声をしていた。
少女は白のブラウスに真っ赤な吊りスカート、背中には赤いランドセルを背負っていた。
自分がとっくの昔に卒業したはずの服装だった。相手は、年端も行かない子供だった。
それだというのに、この苛立ちはなんだろう?
ずっと年下のこの子に、あたしは気圧されている、なんて、意地でも思いたくなかった。
少女は齢に似合わない冷ややかな態度で、にやりと笑った。
およそかわいらしさのない、昏く獣じみた笑いかただった。
棒立ちになったセーラー服姿にゆっくりと歩み寄り、すれ違いざまにふたりだけに聞こえる声でいった。
「あたし、お姉ちゃんの父さんと母さんの秘密知ってる」
砂ぼこりを含んだ横風に真っ赤なスカートをたなびかせて、少女はそのまますれ違っていった。おなじ横風に紺のスカートを吹きさらし、ぼう然と立ち尽くしたセーラー服姿を置き去りにして。


ナギが、真っ赤なスカートのすそをつまんでつまらなそうにぶらぶらと歩いていると、道の向こうからうっそりとした人影が近づいてきた。
どうやら、自分のことを待ち構えていたらしい、と、ナギは本能で感じた。
彼女は埃まじりの風の彼方を見通そうと目を細めた。血を吸える相手なら、年寄りでも男でもよかった。
土地のものならたいして抗いもしないで首すじを噛ませてくれることを少女は知っていた。
けれども彼女はすぐに、がっかりした顔をして「なんだ、父ちゃんか」といった。
肩を怒らせた父親がそこにいた。
「あの娘になに話した?」
手かげん抜きの詰問だった。
「父ちゃん、へんだね」
父親の怒り声にも、少女は動じなかった。
「いっぱい吸ったあとなんでしょ?あの小母ちゃんの血」
少女は黙って、父親に手首を片方差し出した。
ふたつ並んだ咬み痕が、どす黒い痣になって、少女の手首に滲んでいた。
父親は娘の手首を両手で掴まえると、性急に唇を押し当てた。
男は分厚い唇を咬み痕に這わせると、つよく吸った。
じゅるうっ・・・と、汚ならしい音があがった。
少女は白い顔をして、父親の狂態を見つめていた。
「どこの家さ、上がり込んだ?」
父親の問いに、少女はこたえなかった。
「どこだっていいじゃん」
少女は父親をからかうように笑った。
血の出がおさまった傷口から男が紅いしずくを舐め取ると、少女はいった。
「あたしも、あのお姉ちゃんの血を吸いたい」

秘密

≪長編≫ 田舎町の吸血父娘、都会からの転入家族を崩壊させる  きまぐれなかいせつ(7話まで)

2018年10月22日(Mon) 06:42:53

■アイテムについて
冒頭に出てくる紳士用のストッキング地の長靴下は、バブル期ごろまではごくふつうのサラリーマンが、ごくふつうに着用していました。
履いていたのは中堅以上のかたが中心だったので、その世代が職場からいなくなりつつあるこんにちでは、ほとんど見かけることがなくなりました。
次世代に受け継がれなかったアイテムとなってしまったのは、ご婦人受けがよろしくなかったことが考えられます。
筆者もある時期ふつうに着用していたことがあるのですが、電車の中で向かいの席に座っている女子高生二人組が、柏木の足許をチラチラ盗み見しながら、「あれってストッキング?」「きれい~」と、冷やかすような低い声で露骨に品評していました。
リアルでも、同僚の女性が他の男性に「なんであんなの履いてるの?ヘンだよ」と言っていました。
この種の靴下を愛用していた人たちが、ストッキングやハイソックスに対する嗜好、ひいては女装願望などを、どのていど抱いていたかは知る由もありません。
ただ、この種の長靴下のリアルな愛好者の名誉のためにいえば、乏しい身近な経験では、愛用者は厳格な性格の方が多かったように思います。

■都会からの転入家族
ここで語られる一家は、なんらかの理由で都会から転入してきています。
直接は、人事担当者の勧めに従っての転勤――となるのですが、どうやら訳ありのようです。
借金がかさんだか、うらみをかって都会に居続けることができなかったか、ふつうであれば会社を辞めて夜逃げでもしなければならない状況が想定されます。
ところがこの会社は、そうした社員でもかくまい通してくれるようです。
もちろん、創立者が生まれ故郷である吸血村に奉仕するため、血液を供給できる社員を家族ごと放り込んでいるという環境あっての話なのですが。
このプロットは、田舎の好色な吸血鬼の手にかかる都会の家族をテーマにしたどのお話でも共通のものですが、吸われる側にある程度の同意感情があるということで、家族もろとも吸血鬼の手にかかるというテーマから、悲惨さを除去する装置になっています。

■年端もいかない少女の吸血鬼
ナギというヒロインは、謎めいた少女です。
大の大人の血を吸うのに、気づかれないように背後から忍び寄って、持ってきた椅子の上で背伸びをしながら首すじを咬む――みたいな、稚拙な手口で月田氏を篭絡します。
自分の手の内に入った月田氏を、月田夫人目あてのお父ちゃんに紹介し、家まで連れて行かせたりとか、かなり思い切ったことをこともなげにやってしまうような、幼稚な残酷さの持ち主のようです。
後段で、ナギの寂しさが描かれますが、そこでは彼女のゆがんだ過去が明らかとなり、利己的な考えをそうと意識しないで抱きつづける心中が語られます。

■村に所在する都会の会社という装置
冒頭で、主人公の月田氏と向かい合わせの席で村の長老に吸血される同僚が登場します。
一貫して「黒沓下の男」と表現されるように、この場面だけのいわゆる「ちょい役」のようです。(目下のところ)
彼の役割は、ややまわりくどく語られるその前歴をとおして、月田氏がたどるであろう近未来を暗示させることにあります。
法事の手伝いという名目で駆り集められ、ほかの家の主婦もろとも、黒一色の礼装を汚された黒沓下夫人。
夫人を犯したその足で、夫の勤務先を訪れ、夫にまで薄黒い靴下を履かせて脚に咬みつくという、コアな長老氏。
大仰な誓約書にサインをさせられて、妻を寝取られることを承認してしまう黒沓下氏。
お話の本筋ではないため凝縮して描いてありますが、このご夫婦だけで、一篇のお話を描ける内容になっています。

■吸血される社員に寛容な勤務先
訳ありの社員だけが集められるこの事務所は、吸血される社員やその家族に対して寛容です。
自身が吸血されたり、妻や娘を犯されてしまう同僚たちは、別の意味での自分自身だからです。
自分の娘よりも年下の少女によって寝取られ願望を植えつけられ、家に残してきた妻の様子をのぞき見したい欲求にかられる月田氏に、職場はすすんで臨時休暇を与えます。
彼を侵蝕されつつある家庭に帰宅させる行為はきっと、彼をこころよく送り出した同僚のだれもが経験したものなのでしょう。
そこで得たものが、月田氏をもこの土地に根づかせるのに有効だからそうするのでしょうが、同時に、もしかすると初めて妻を襲われたころの記憶を月田氏の行動にに求める同僚たちの視線も、意識してもよいのかもしれません。
理解ある職場を得たことで、月田氏は律儀で勤勉なサラリーマンの日常から一歩踏み出して、吸血鬼に妻を襲われることに快感を見出す変態性を、なんの障礙もなく開花させていくのです。