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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

女装校生のための 安全な通学のための手引き ~吸血鬼の出没する街編~

2017年07月31日(Mon) 06:19:14

1. 女装校生になりたいという希望を、親に告げる。
親御さんの許可は、さいしょの関門です。
真摯に説得して親御さんの理解を得、女装校生としての一歩を踏み出します。

2. 女装校生にふさわしい服を買いそろえる。
中高生の立場では予算に限りがありますから、親御さんにそろえてもらいます。
通学用の制服・私服、お出かけ用の服、それにふだん着も女の子用のものをそろえます。

3. すすんで集団登校に参加する。
なによりも気恥ずかしいのが、みんなに視られること。
けれどもそれは、避けては通れない道です。
集団登校に参加して、身近な生徒・児童たちに自分の置かれた立場を態度で示しましょう。

4. からかわれても、へこたれない。
付き添いのお母さん方のよそよそしい態度。
周囲の女子の白い目。
それに、男子のからかいに屈しないこと。
特に年下の男子は天敵です。
「おかまだぁ」と露骨に言われても、笑ってスルーできるようになりましょう。
いずれ、彼らのうちの何割かは、あなたと同じ道をたどります。
お手本を見せるつもりで接しましょう。
集団登校では横断歩道の誘導などの役割をすすんで引き受けるのも良いでしょう。
一週間も経つと、周囲の目も自然になじんできます。

5. 吸血鬼に遭遇したら、進んで応接を引き受ける。
街には若い生き血を求めて、吸血鬼が出没します。
もしも集団登校の列が吸血鬼に遭遇したら、すすんで応接するようにします。
あなたのおかげで見逃してもらえた女子には、感謝されるはず。
吸血鬼と接するときは、礼儀正しく潔癖な女の子として振る舞い、誇りを忘れないこと。
この街の吸血鬼は、心優しい魂の持ち主なので、
ひとしきり乱暴狼藉をして欲求を満たした後は、紳士としての気遣いを示してくれます。

気高く振る舞えば、慇懃な気遣いがかえってくるもの。
レディとして、上手におつきあいをしましょう。
彼らは女の子の気をひくために、悪戯をしかけてきます。
吸い取ったばかりの血をわざとブラウスにしたたらせたり、
ハイソックスのふくらはぎによだれをたっぷりとなすりつけて、あげくの果てに咬み破って愉しんだりします。
服を汚されたら可愛く眉をひそめ、顔をしかめて、軽い抗議を示しましょう。
彼らは女の子の迷惑そうなそぶりに、いっそうそそられます。
あまり意地悪が過ぎたときには、泣きまねで応えます。
きっと、家まで送り届けてくれるでしょう。

6. それでもいっしょにいた女子を求められてしまったときは・・・
吸血を迫られた不運な彼女といっしょにいてあげて、相手の気が済むまで血を吸わせてあげます。
彼女が初体験で怖がっている場合には、先に咬まれてお手本を見せてあげましょう。
複数の女の子を同時に襲うとき、彼は代わりばんこに血を吸う習性があります。
あなたの次には彼女、彼女のつぎにはあなたです。
彼女が「吸血されるのも悪くないな」と思うことができるよう、愉しげに振る舞いましょう。

おなじ吸血鬼に襲われたもの同士は、独特の連帯感や共犯意識をもつことになります。
彼女とは深いおつきあいができるかも。
帰り道を待ち合わせて、ふたりで登下校する関係になります。
並んでベンチに腰かけて。
代わる代わる首すじを咬まれて。
おそろいの色のハイソックスを履いた脚を並べて、恥じらいながらもくまなく咬ませてあげて、
うら若い血潮でバラ色のシミを、たっぷりとつけてもらいましょう。
どっちのシミが派手かしら?なんて言葉を交わせるようになったら、
彼女は心の底まで理解し合えるいちばんの親友、そして恋人になってくれるはず。

7. ドキドキの初体験。そしてさいごは、「男」らしく。
吸血鬼は処女の生き血を好みます。
それと同じくらい、女の子とはもっとエッチな体験をしたがります。
進級や卒業は、ひとつの節目。
新たに入学してくる女の子たちと入れ替わりに、処女を卒業することになります。
初めて犯されるときも、彼女と一緒♪
さいしょにあなたが。それから彼女が。
同じ腕に抱かれて、夢中になって。
親御さんに買ってもらったスカートの裏地を、
親御さんにはナイショの儀式の証しで、真っ赤に濡らします。
ワクワク、ドキドキの初体験。
そして、嫉妬にズキズキ胸を疼かせながら、彼女が犯されるのを見届けましょう。

さいごは「男」らしく、責任を取ります。
あなたは吸血鬼の過ちの責任を肩代わりして、彼女と結婚の約束を交わします。
それからも、ずっと・・・
吸血鬼に抱かれる彼女を目の当たりに、
支配される幸せ、嫉妬のときめき、そして辱められる歓びを深めてゆくのです。

女子生徒5人の人間模様。

2017年07月09日(Sun) 08:46:05

グレーのスカートに、紺のハイソックス。
おそろいの制服を着た女子生徒が5人、内緒話の輪を作っている。

あの5人、どういう関係かわかるかい?
親友のヒロシが、傍らから声をかけてきた。
知っている顔は2人くらい。
2人とも同級生の女子だったから。

高尾みなみに眉川直子だろ?
そうこたえるぼくに、ヒロシはただならぬことを言った。

2人の隣にいるのは、彼氏だよ。

彼氏・・・?
だって、女子の制服着てるじゃないか。

とっさにそう言いかえそうとして、それが愚問であることにすぐに気がつく。
そう。この学校では、男子生徒も女子の制服を着用することがよくあるのだ。
そうしたことに理解のある学校として定評のある、この学校。
けれども、そうした理由だけで女装する生徒ばかりではない。
女子の制服を着た男子ふたりの首すじには、かすかな赤い斑点がふたつ――
吸血鬼の欲望の痕に、違いなかった。

この学校は、吸血鬼も受け容れているんだ。彼らにも生きる権利を認めているからね。
生徒の中にも。父兄のなかにも。そうした人はいるわけだし。
女子生徒の若い生き血目あてに入り込んでくる、ご近所のエッチな小父さんとかまで、受け容れちゃっているんだから。

そう。ヒロシの言うとおりだった。

あの2人のことは、よく知ってるよ。
高尾も眉川も、彼氏に誘われて吸血されたんだ。
それからもう一人いる女子は、眉川の彼氏の妹だ。
たしか、学年はひとつ下だったかな。
もちろん、彼女も吸血されてる。
高尾はまだ処女だけど、眉川は卒業しちゃったんじゃないかな。
吸血鬼に襲われるまえから、彼氏とできちゃっていたからね。
だから、初吸血のときに姦られちゃったらしいよ。彼氏の前で。
彼氏は俺の親友で、本人が言うんだから間違いないよ。
けっこう昂奮するんだって。ちょっと信じられないけど、案外そういうものかもしれないね。
それで眉川の彼氏は、彼女の恋敵に処女の生き血をプレゼントするために、妹まで紹介しちゃった、っていうわけ。

高尾の彼氏もね、
高尾が自分の血を吸った吸血鬼に抱かれて血を吸い取られるのを見ていると、ドキドキしちゃうっていうんだ。
むろん彼は、高尾の初体験は自分で・・・って、ふつうに考えているはずだけど。
もしかしたら、眉川のときみたいに、吸血鬼に姦られるのを視るのも楽しいかなって。
高尾とできたらそうするつもりだし、
初体験を許しちゃうのも・・・案外・・・なんて、言っていたな。
もしかすると、半分以上本気かも。

眉川の彼氏って、その吸血鬼と仲いいの?自分の彼女を犯されちゃったのに?
ああ、二人仲良く、学校帰りに遊びに行ってるくらいだからな。
高尾の彼氏も、彼女の純潔をあげちゃうかもって思うくらい、仲いいの?
そうらしいね。高尾も「どっちがいいかな??」って、マジで迷ってるみたい。

不思議だ。じつに不思議な関係だ。
ぼくはぼう然として、ぶつぶつ独り言をつぶやいてしまう。
そんなぼくのようすをみて、ヒロシはたしなめるように言った。

だってここでは、それが普通なんだから。
むしろ、信用できる相手に彼女の血を吸ってもらったほうが、安心できるんじゃないかな。
相手の吸血鬼にしたって、自分の女だったら、真剣に守ってくれるだろうしね。
ここのシステム、俺はけっこう納得してるんだけどね。

さあ行こうぜ。
ヒロシはぼくのまえに立ち、ぼくを先導するように、まっすぐと歩きはじめる
――グレーのスカートをそよがせながら。
運動部で鍛えたふくらはぎの、しっかりした筋肉は、女子用の紺のハイソックスにしなやかに包まれていて、
男が女子の制服を着ている というよりも。
ボーイッシュな女子が、か弱い男子を引っ張って行っているようにさえ見える。

おい、待て。待てったら・・・!
そういうぼくも、早足になって。
グレーのスカートに紺のハイソックスの格好を、もはや恥じることなく人目にさらしていった。

女子の制服を着て。
自分の彼女の身代わりに吸血されて。
首すじに埋められた牙のもたらす毒液に、それまでの常識や倫理観を麻痺させられて。
彼女を呼び寄せて、血を吸わせる。
彼女が処女だったら、しばらくのあいだは処女の生き血だけを愉しまれて。
すでに彼女とエッチな関係になっていたなら、相手の吸血鬼もまた、そのエッチな関係の輪のなかに入ってもらう。
そんな学園生活にとけ込みつつあることに、ぼく自身、むしょうに小気味よさを感じはじめてしまっている。

わたしはおかま。

2017年04月20日(Thu) 05:35:28

わたしはおかま。
女の人が穿くストッキングが大好きで、
それがきっかけで、こんなふうになった。
わたしはおかま。
醜いおかま。
分は心得ているから、お出かけするのはいつも真夜中。
こんなふうだから、結婚もあきらめて、もう四十過ぎになるけれど、決して後悔してない。
真夜中に出歩くわたしは、もうひとりのわたし。
女の姿をしているわたしと、ほんとうのわたしは、寄り添うようにして、
ふたりきりの真夜中のデートを愉しんでいる。

そんなわたしの目の前に、黒い影が立ちはだかった。
ビクッとしたわたし。
逃げようとするわたし。
でも、おぼつかない足取りを強いるハイヒールは、わたしの動きを封じていた。
うしろから抱きすくめられて首すじを咬まれたとき、相手の正体をやっと察した。
そういえばこの街では、夜は吸血鬼が出没するのだと、薄ぼんやりと思い出していた。
その夜のわたしのお相手は、わたしの血をたいそう美味しそうに、チューチュー音をたてて吸い取っていった。

目まいを起こしてわたしがその場にうずくまると、
男はそれでもしばらくの間、わたしの血を美味しそうにチュウチュウとやって、
それからおもむろに、わたしのスカートをたくし上げ、太ももにまで咬みついてくる。
わたしは思わず、願っていた。
やめて。やめて。このストッキング高いのよ・・・
男の唇が容赦なく、わたしの足許に吸いつけられる。
這わされた舌が、それはしつっこく、わたしの足許をねぶり抜いて、
それからおもむろに、囁いてきた。
あんたの穿いてるストッキング、いい舌触りだな。

もう少し舐めさせてくれという男の願いに、わたしは無言でコクリと肯いていた。
貧血でけだるくなったというのも、もちろんあったけど、
かたちは違っても、男がわたしの足許に魅せられていると、わたしのなかの女心が囁いたから。
そして近場のベンチに腰かけて、貧血にあえぐ上背を、背もたれにしなだれかけながら、
男の求めるまま、薄々のストッキングを穿いたふくらはぎを、好きなように吸わせてしまっていた。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・くちゃ・・・くちゃ・・・
情けない音にしどろもどろになりながら、男がむしょうにわたしの脚を咬みたがっているのが伝わってきて、
どうしても咬みたいの?って訊いていた。
薄いナイロン生地越しにしつように這わされてくる相手の舌先から、わたしが抱えているのと同じコアな欲求を感じたから。
男は恥も外聞もなく、せわしない舌づかいで応えてきた。
でも、やっぱりストッキングを破かれるのは気が進まなくて、わたしは切り札を使うことにした。
男だって、気づいてる・・・?
おそるおそるの問いかけに、男はいった。
あんたが女のかっこうをしている限り、俺にとってはレディだから。
それ・・・わたしがいちばん聞きたかった言葉。
じゃあいいわ、咬ませてあげる。
わたしの唇は、しぜんに動いていた。

クフフ・・・ククク・・・
含み笑いの下、わたしの穿いているストッキングがむざんに破かれていくのを見おろしながら。
わたしは思わず、呟いている。

いやらしい。

すまないね。
男はそういいながらも、ストッキングを咬み破る行為に熱中しつづけて、
わたしはただ、本物の女のように恥じらいながら、男の行為を許しつづけた。

それ以来。
わたしの夜道歩きは、頻度を増した。
三日にいちどくらいにするんだよ。
男の言いぐさにもかかわらず、毎晩のように、真新しいストッキングを脚に通して、
男の欲求に応えつづけた。
血を吸われるのも、ストッキングを咬み破かれるのも、さいしょは気が進まなかったけれど、
尽くしたい一心の女心が、わたしの心のなかを塗り替えていった。
男は毎晩尽そうとするわたしのことを気遣って、血を吸う量を加減してくれた。
わたしは男の気遣いに応えるために、毎晩真新しいストッキングを穿きつづけた。
穿き古しでもかまわないのだぞ。
男はそういって気遣ってくれたけど。
女の心意気ですからね・・・と囁き返すと、嬉し気にニマリと笑って、なめらかなナイロン生地の舌触りを愉しみつづけた。
せっかく穿いてきたんですもの。気の済むように愉しんでくださいね。
わたしたちはいつか、心を通わせ合っていた。
化粧が上手になり、しぐさも女らしくなって、
気づいたときにはもう――夜だけは完璧なレディに生まれ変わっていた。

わたしはおかま。
醜かったおかま。
それがいまでは、昼間街を歩けば人も振り返るほどの、魅惑的なレディになっている。
血を吸わせ、コアな欲求に応えつづけたお礼にと、吸血鬼がわたしにかけてくれた魔法。
わたしは今夜も、最高の装いで、彼をもてなすために出かけてゆく。

悪妻のささやき

2017年03月01日(Wed) 07:58:49

あたしたち、お似合いの夫婦だと思わない?
女装趣味の夫に、吸血鬼に寝取られた妻――

あのひとに、貴男の生き血をそっくり、分けてあげてほしいの。
だいじなものをあげるのは、最高の愛情表現だから。
そうよ。貴男はあのひとと、愛し合うの。女と男になって。
最愛の妻の貞操をプレゼントした相手だもの。
たいせつな血だって、惜しげもなく吸わせてあげられるわよね?
それでも貴男は、死なないわ。
恥かしい趣味の持ち主の貴男――
ずうっと生きて、あのひとに抱かれるあたしを、見つめつづけてほしいから。

あのひとね。
黒のストッキングを履いた脚を咬みたがるの。
だからあたし、なん足も咬み破らせてあげたの。
もう1ダースにも、なったかしら?
でもあのひとのお仲間は、おおぜいいらっしゃるんですって。
あたしひとりの血だけでは、足りないんですって。
だからね、あたし考えたの――

貴男が吸血鬼に遭って、血を吸い尽されて死んだって、
嘘の報せを皆さんにお伝えするの。
皆さん、悲しみながら、お式に参列してくださるでしょう。
そう、黒の喪服の下、あのなまめかしい黒のストッキングに脚を通して。
あのひとたちの大好物の、黒のストッキングの脚たちが、
お寺の本堂を埋め尽くすわけ。
黒のストッキングを履いた脚を、吸血鬼に咬ませるための集いだなんて、つゆ知らずに。

偽りの弔いの場は、すぐにあの人たちの狩り場になる。
貴男も参列するのよ。
周りにばれないよう、女の弔問客になって。
女の喪服を着て、自分のおそうしきに参列するの。
其処で貴男は、”貴女”になるの。


さあ、下準備を愉しみましょう♪
貴女をご希望通り、婦人服店に連れてってあげるから♪
そこで試着室に貴女を閉じ込めて、
一着の喪服といっしょに、置き去りにしてあげる。
アラ とっても似合うわよ♪
あたし必ず、そういってあげるから。
嘲り交じりの称賛にも、貴女は勃起するのでしょうね。
婦人ものの喪服に秘めた胸震わせて。

あたしの情夫は、咬み上手。
あなただって、いちころよ。
自分の妻を汚した男に、貴女も征服されちゃうの。
黒のストッキングをパリパリと咬み破られて、
恥にまみれたよだれで、たっぷり礼装を辱められながら、
貴女も堕ちてしまうのよ。
オホホ。あなたったら。
喪服のなかを、ほてらせているのね?
まぁ、なんて恥知らず。
奥さんに強制的に女の服を着せられて。
あなた、昂奮なんか、しちゃっているのね。

そうよ。
あたしのときと、おなじように
貴女も羞じらいながら、ショーツをおろすの。
男らしく(笑)、いさぎよく 貴女も貞操を差し出すのよ
あたしがためらいもなく、そうしたみたいに。
そうね、お式の当日は
あなた、ガーターストッキングを履くといいわ。
あたしがいつも、あのひとのために履いているのと、同じブランドを。
舌触りがとっても、よろしいそうよ。
貴女はあたしと同じストッキングを脚に通して、あのひとに辱められてゆくの。
あたしを汚した同じお〇ん〇んで、弄ばれてしまうのよ。
そして、あのひとの好きな黒のストッキングを脚に通したままの姿で、
辱めを受け容れさせられてしまうのよ。

安心してね
着せるのも脱がすのも、あたしが手伝ってあげるから。
あなた、ワンピースの後ろのチャック、上げ下げすることできないでしょ。
安心してね
あなたが堕ちるときには
お義母さまも
妹の沙織さんも
姪の加奈ちゃんも、いっしょだから。
あたしはもの分かりの良い伯母さまになって
あなたや皆さんの、記念撮影をしてあげる。
加奈ちゃんのお父様の富男さんが、奥様の痴態に昂奮してるところも、
シャッターチャンス逃さず撮らなくちゃね。


お式が済んで、みんな奴隷に堕ちたなら
あなたと一緒に奴隷になるわ
あたしが操を捧げたあのひとに、夫婦一緒にかしづくの。
こんなあたしの悪だくみを許してくれて、
協力までしてくれるあなたが夫で、あたしとっても嬉しいの。


あとがき
前作の翻案です。
この倒錯し過ぎたプロット、けっこう気に入りました。
さいごの一節でわかるように、この奥さんはご主人にぞっこんなのですよ。^^

喪服選び。

2017年02月28日(Tue) 06:50:25

ねぇねぇ、いろんなのがあるわよ。
婦人服店の一角、それもブラックフォーマルのコーナーで、妻はウキウキしながら服選びを始める。
自分の服ではない。
夫であるわたしに、婦人もののブラックフォーマルスーツを買おうとしているのだ。

あなた、こんなのどうかしら?ブラウスにフリルがついているわよ。
それとも、こういうシンプルなのも、初めてならいいかな。
あっ、これもいいかも。腕が透けててセクシーよ。

片手間を装い、おざなりにウンウンと肯きながら、実は熱っぽい目線で服たちを見比べているわたし。
わたしの女装趣味に、妻はとても寛大だ。
女の服になじんだのは。
親しい友人である吸血鬼が妻の血を欲しがるのを抑えるために、
女の服を着て彼の相手をしたのがきっかけだった。

けっきょくわたし一人の血では足りずに、妻を襲われ征服されてしまったいま。
わたしたち夫婦は、夫婦そろって女の服を着て、彼の家へと足を向ける。
おそろいのストッキングを穿いたつま先を、若い血潮をふんだんに欲する男の家へと向ける。

そんな彼が、ひとつの提案をした。
わたしが血を吸い尽されてしまったと、わたしの身内全員に告げることを。
お式にはみなさん、黒のストッキング穿いてくるわよね?
妻が意味深なことを呟いて、自分の情夫を軽く睨んだ。
この街ではしばしばくり広げられる、吸血鬼たちのカーニバル。
偽装された弔いの場は、すぐに彼らの狩り場に変わる。

あなたも、参列しなくっちゃ。
でも、あなただってばれたらいけないわ。
女の喪服を着て、自分のおそうしきに参列するのよ。
そんなきわどい思いつきに妻は夢中になり、妻の愛人もまた、渋るわたしの背中を押した。
面白そうじゃないか、やって見せてよ。

この婦人服店に来る男性客は、意外に多い。
わたしのような寛大な夫たちが、多く住む街だから。
男性用の試着室へと妻に伴われ、狭い試着室のなか、真新しい喪服といっしょに置き去りにされる。
ワンピースの脱ぎ着は、どうしても背中に手が届かなくって、妻に手伝ってもらった。
漆黒のブラジャー、漆黒のスリップ、漆黒のショーツ。
そして、深い深い黒一色のワンピースにボレロ。
足許はもちろん、薄墨色のストッキング。

女の服を着た夫をまえに、妻は無邪気にはしゃぎながら。

いいわあ。いいわあ。とっても似合う♪
このカッコであなた、吸血されるのよ。
あのひとの牙は強烈よ。あなた、いちころで参っちゃうはずよ。

わたしの記憶では。
咬まれて、いちころに参っちゃって、妻まで紹介してしまったのは、わたしのほうのはず。
でも、そんな順番は、いまではもう、どうでもいい。
偽りの弔いの席には、兄夫婦も妹夫婦も呼んである。
もちろん、彼らのあいだの年ごろになりかけた娘たちも来るだろう。
それに、この女にとっては目の上のこぶである、自分の姑もそのひとりのはず。
しつけに厳しかった気丈な母が、全身から血をむしり取られて淫らに堕ちる光景を、わたしは目にすることになるのか。
あらぬ妄想がつぎからつぎへとわいて出て、黒の喪服に包まれたわが身は、妖しくほてり始めてくるのだった。

お見合い相手。

2017年02月23日(Thu) 08:03:09

そのひとをひと目見て、
グッと引き込まれるような、引力を感じた。
若い女性と接することで、そういう気分になったのは、ぼくにとっては初めてのこと。
栗色のロングヘアに包まれた、かっちりとした輪郭の細面。
細いけれども秀でた眉の下、大きな瞳が魅力的に輝いていた。
けれどもぼくを一瞬にしてひき込んだのは、そういう表むきの美しさだけではなかった。
なにか得体のしれない、独特のかもし出す雰囲気が、
寄り添うほどの親近感をもって、しなやかに柔らかく、迫って来たのだ。
さいしょの数秒だけで、このひとと結婚しても良いかな?と思えたのは。
その場がお見合いの席で、その女性――里美さんが当のお見合い相手であった以上、
これほど幸せな瞬間はなかったことになる。

父の知人のえらい人という仲人夫婦も、先方のご両親も、
どうやら頭のあがらない相手らしい仲人に、終始気を使いつづけた両親も退席して、
ふたりきりになっている――と気づいたのは、話がはずんで二時間ほども経った頃のことだった。
「もういいでしょう、私の秘密をお話しますね」
しっとりと落ち着いた口調で、里美さんはそう切り出した。
その秘密とは、もしも結婚を考えてくれるのなら、そのまえに話さなければアンフェアになることで、
ふつうなら、じゅうぶん結婚の障害になり得ることでもあるという。
危うく里美さんにひと目惚れしかかったことが、彼女に通じたというのか。
いや、それだけでは、きっとないはず。
秘密というのは、自分にとって重要な存在になるかもしれない相手と認めて、初めて打ち明けるべきもののはず。

「私、トランスジェンダーなんです」
はっきりとした口調で、さりげなく綴られた告白。
気後れすることのない語調を吐いたそのひとは、まっすぐな瞳で、ぼくのことを見つめ返してくる。
トランスジェンダー。
かつてこの女(ひと)は、男性だったという事実――
「そんなふうには、とても見えません」
思わず口走ったぼくは、坂道を転げ落ちるように言いつのろうとした。
もしもあなたがそうだとしても、そんなことはなんの障害にもならないこと。
両親がどういうか、そこだけはちょっとだけ気がかりだったけれど、
何よりも自分たちがもってきた、ほぼ無理やりの縁談だったはず。
仮に反対があったとしても、押し切るつもりがあるということ。
そのうえ、なによりも・・・
ぼくの言いたいことを彼女はさえぎるように、さらに口調を強めていた。
「もうひとつあるんです」

吸血鬼の存在って、信じますか?
いえ、ムリにお信じにならなくてもいいんです。
私、吸血鬼に血をあげつづけているんです。
相手は親よりも年上の男性・・・私、そのひとのために、女になったんです。
でも彼は、おおぜいの女性を相手にしないと、生きのびられない。
そして私は、私をたった一人と思ってくれる男性と、添い遂げたいと望んでいる・・・
どうすればいいんでしょう?私。

言いたくないことを口にせざるを得なかった人のもつ、
寂しく、恥ずかしく、後ろめたい想いをめいっぱいよぎらせて、
里美さんは身をよじらせるほどに顔つきを翳らせ、うつむいた。

あの、ひとこといいですか・・・?
こんどはぼくが、打ち明ける番だった。

ぼく、女装趣味があるんです。
物心ついたころから、女のひとの服を身に着けたいという願望があって、
母のスカートを内緒で履いているところを見つかって、物凄く叱られて、それがトラウマになって。
それでも、女装することをやめられなくって。
思い詰めた両親は、ぼくを結婚させることで、そういう世界から断ち切ろうとしているんです。
でもたぶん、ぼくにはそれができない・・・

「わかりますよ」
里美さんはもとの落ち着いたほほ笑みを取り戻し、ぼくのことを見つめている。
そして彼女は、悪魔のような囁きを、ぼくの耳の奥にこびりつかせたのだ。

――もしもこんな私とご縁を続けてくださるつもりがあるのなら。もういちど、逢っていただけませんか?
・・・・・・こんどは女の服を着て。

「まあ、素敵」
長身の里美さんは、ぼくとさして変わらない高さの目線で、柔らかな瞳を輝かせた。
服の選択にはポリシーがあったけど、メイクにはあまり自信がないぼくのことを、包み込むような優しい視線。
「女どうしとしても、お友だちになれそう」
そういう彼女とは、服の好みも似ていたのかも。
楚々とした立ち姿の里美さんは、ワインからのボウタイブラウスに、紺のロングスカート。
人前に女装姿をさらすのが初めてのぼくは、純白のボウタイブラウスに、ライトイエローのタイトスカート。
申し合せたように脚に通した黒のストッキングのつま先を並べて、行く先は仲人夫妻のお邸だった。

案に相違して、仲人夫妻は不在だった。
代わりにその邸で待ち受けていたのは、里美さんの血を吸っているという吸血鬼――
案に相違して、ごく穏やかなジェントルマンだった。
「映画に出てくるような化け物を連想していましたか?」
ご期待に添えなくてすみません、と、老紳士は快活に笑った。

ぼくの女装姿は、あるべき女性の理想像だった。
じゅうたんのうえにあお向けになって。
首すじに、そのひとの唇を受け容れたとき。
ぼくの胸の奥に棲みつづけていた理想の女性は、彼のものになっていた。
そして、女としてのぼくを捧げることに、ぼくはぼくなりの歓びをひたひたと感じていて、
そんなぼくのようすを、里美さんは目を潤ませて見つめつづけていた――

彼女と結婚します。
婚約期間は、1年――
ちょっと長いかもしれませんが、理由はわかりますよね?
貴男に、里美さんの血を処女のまま、長く愉しませてあげたいから。
そしてぼく自身も、ぼくの婚約者が貴男と密会をつづけることを、愉しんでしまいたいから・・・

婚礼の席で。
母も、姉も、妹たちも、吸血鬼の小父さまの縁類たちに、淫らなお祝いをされていった。
そうなるまえに。
母も、姉も、妹たちも、順ぐりに。
里美さんをモノにした小父さまの毒牙にかかって征服され、堕とされていたから、
父も、妹の彼氏たちも、姉婿までもが。
その状況を受け容れて、ただの男として、愉しんでいた。

幸せのるつぼ。
婚礼の最初は、タキシードだったぼくは。
お召し替えのときに、里美さんとおなじ純白のウェディングドレスに着替えていて。
誓いのキスのあと、衆目の見つめる中、里美さんと代わる代わるに、小父さまの熱い唇を首すじに受け止めていったのだった。

タウン情報 吸血鬼を受け容れた街に新現象――ひっそりと広まる女装熱

2017年01月24日(Tue) 06:57:19

「来週から、女子の制服を着て学校に行きなさい」
高校二年生のとき、岸村裕美さん(仮名)は父親からそう言い渡され、面食らった。
翌日母親に付き添われて町内の制服販売店に行って採寸してもらい、
数日後にはできあがったばかりの女子の制服を着用して登校するようになったという。
受け入れ側の学校は、事前に父兄からの届出を受理しており、担任を通じて周知もされていたため、
同級生をはじめとした学校関係者は、女子の制服を着用した裕美さんを違和感なく受け容れたという。
「うちの学校の制服はブレザーだったので、まだ違和感は少なかったと思います。
 セーラー服の学校の子は、登校初日の緊張感がハンパじゃなかったみたいですよ。
 でも、私のときも、スカートの下がスースーして、慣れるのに何日もかかりました」
裕美さんは、笑いながらそう語る。

女子の制服を着用して登校する男子生徒は、同校ではそれほど珍しくないという。
街は数年前から吸血鬼と共存を開始しており、女性の家族や知人の身代わりとなるために女装をする男性が増えたためである。
市内に三店舗ある制服販売店にもこうした現象は認知されており、男子生徒が女子用制服の採寸をするための試着コーナーを設けているところもある。
制服販売店を経営して30年になる「尾釜制服店」の店主(55)は、
「数年前、それまで売れ残っていた大きい子用の制服の在庫が一掃されて大助かりだったのですが、
その後も注文が相次ぎ、問屋さんにも事情は話せず困りました」
と笑う。

斜陽化著しかった呉服店も、息を吹き返しつつある。
「この数年、成人式のお振袖を着たいという男性が目だっています。特に赤や紫など、普段は着られない色が好まれているようです」
創業百二十年以上という「須木物和装店」の店主(70)も、そういって目を細める。
「いまの若い人は、いいですね。私のころには考えられなかったことです」
レンタルよりも買取が圧倒的に多いのは式後に恋人の吸血鬼に振り袖姿を披露し、血を吸ってもらうからと言われているが、
日常も好んで婦人物の和服に身を包む男性が増えるなど、
「家族の身代わりに吸血されるため」という本来の意図を越えたかかわり方をするケースも増えてきたようだ。

最初に取材した裕美さんは言う。
「私は男女どちらでもありそうな名前だったので不自由していませんが、明らかに男の名前という人は、名前を変えちゃう人もいるようですよ」
最初は「息子を生んだはずなのに」と嘆いたという両親は、自身も吸血を体験してからは裕美さんの立場に理解を示すようになり、
誕生日には婦人物のスーツをプレゼントされることもあるという。
市内の企業にOLとして勤務する裕美さんは、近々市内に住む20代の男性とお見合いをする。
「いまでも正式な場での着付けは、母に見てもらっているんですよ」
と恥じらう裕美さん。良縁に恵まれることを記者も願っている。

女装OLとして献血。

2016年12月06日(Tue) 07:47:01

出勤前には毎朝シャワーを浴びて、肌に念入りにみがきをかける。
まるで恋人に逢いに行く女のように、念入りに。
ボタンの向きがいつもと逆のブラウスを着込んで、穿きなれないスカートを腰に巻きつけて。
薄々のストッキングのしなやかな肌触りを脚ぜんたいに帯びていく。
短い髪の頭にロングヘアのウィッグをかぶり、妻の手で施される念入りな化粧に目を瞑り、
さいごに真っ赤なルージュを引く。

どうみたって男かも知れないけれど。
後ろ姿は少なくとも、立派なOL。
こんなふうにして、勤め先では男子社員が交代で、OLとして勤務している。
そんな日は、重役室に呼びこまれて、一日じゅう、来客として訪れる吸血鬼を相手に、身をゆだねていく。
首すじを咬まれ、スリップ越しに身体をなぞられ、股間に一物を受け容れさせられたりさえしてしまいながら。
一日を、吸血鬼に襲われるOLとして、演じ抜く。

その夜は。
自分の血を吸った男を家に招び入れて。
夜の客人の相手をつとめるのは、妻の役目。
まるで結婚式にお呼ばれをしたときみたいに着飾った妻は目の前で、
ドラキュラ映画のヒロインを演じる。
ストッキングを片脚だけ脱がされて、
もう片方もひざ下までずり降ろされたストッキングの脚をばたつかせながら。
貧血でもうろうとなった夫のまえ、妻は不倫の情事に耽ってゆく。

ほんとうのお目当ては人妻の生き血なのだと知りながら。
それでも男たちは、目ざめてしまった女装の罠から、逃れることができない。
きょうもまた。
わたしは妻に見送られながら、ロングヘアのウィッグを外気になびかせて、通勤路をたどっていく――

成長、もしくは忌むべき連鎖

2016年11月27日(Sun) 08:32:22

「こんにちは。入ってもいいですか?」
硝子戸の向こうから、男の子の声がした。
「ああ、どうぞ」
仲間の一人が、声にこたえる。
声にこたえて、硝子戸がガラリと開いて、その向こうから制服姿の少年が3人、ぞろぞろと入ってきた。
紺のブレザーに半ズボン、同じ色のハイソックス――地元中学の生徒たちが、
折からの寒気に頬を赤くして、部屋にあがってくる。
「ようこそ、きょうの身体の具合は?」
仲間の問いにこたえて、先頭の一人がいった。
「絶好調です!」
それはなにより――部屋にいた三人は顔を見合わせ、笑みを交し合う。
三人が三人ながら、そろいもそろって顔色を蒼くした吸血鬼だった。

一人ずつ相手を選んで、相手の男の子を畳部屋に寝そべらせ、まろばせてゆくと。
あるものは男子にしては白い首すじに、
あるものは半ズボンのすそから覗いた太ももに、
あるものは紺のハイソックスを履いたふくらはぎに、
飢えた唇を吸いつけてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ずずっ・・・じゅるっ。
ごく、ごく、ごく、ごく・・・
三人三様の音をたてながら、ひたすら飢えにまかせて、若い血潮を味わっていった。
少年たちは慣れているのか、欲情にまみれて迫ってくる年上の男たちから目をそらしながらも、
無抵抗に身体の力を抜いて、訪れる陶酔に身を任せてゆく。

「おっと、少し吸い過ぎたかな」
少年のひとりが起きあがりざまよろけると、吸血鬼たちはとっさにその少年をかばうように手を差し伸べる。
真智くんの血は、美味しいからねえ。
微妙なほめ言葉に、それでも真智君と呼ばれた少年は照れ笑いを泛べる。
吸血する側も、される側も、ふだんは顔見知り同士の、小さな街。
血を吸う側は少年たちの親たちとも交流がある。
親たちは彼らの所行を見て見ぬふりをすることで、彼らの生存を間接的に手助けしているし、
容赦されていることを知っている吸血鬼たちは、感謝をこめて少年たちの首すじに牙を埋める。
調子に乗って多少吸い過ぎてしまうことはあっても、悪意をぶつけるような襲いかたは決してしない。
まして、死なせてしまうことなどもない。
だから少年たちは安心して、近所の家に遊びに行くような気軽さで、彼らの棲みかとなっている小屋を訪れるのだ。

彼らは学年が進むと、吸血鬼がほんとうに欲しがっているのが女子の血であることを悟ってゆく。
「ぼくはこれから、女子の制服を着て学校に行く」
息子がそう親に告げると、親はなにが起きているかを言外に察して、
地元の制服専門店で、女子の制服をしつらえる。
少年たちの通う学校は男子校だったけれど、かなり以前から女子の制服も制定されていた。

男子校のはずなのに、女子の制服を着ているものが半分を占める、不思議な私立校。
スカートに半ズボンのちがいはあっても、例外なく紺のハイソックスに包まれた足許は、男女の区別がつかないほどだ。
男の子たちはやがて、そのほとんどが、自分の意思で女子の制服を選択するようになって、
放課後、吸血鬼の待ち受ける小屋へと足を運んでゆく。
「ぼくが襲われているのか、ほかの女の子が襲われているのか、時々わかんなくなることがある」
ある少年は、そういった。
事実彼らはそのうちに彼女ができると、それぞれ彼女を伴って、ふたたび小屋を訪れるようになる。
「制服汚されたら、困るんですけど」
男子生徒に伴われた女子生徒たちは、だれもがはにかみながらそういうと、
イタズラっぽく笑いながら、紺のハイソックスの脚を、飢えた唇のまえに差し伸べてゆく。
一時間ほどもすると。
女の子たちは白い顔をして彼氏に連れ出され、そして恋人に囁くのだ。
「こんどはストッキング穿いた脚を咬みたいんだって。いっしょに来てくれるよね?」
優しく睨みあげる女の子の目線をくすぐったそうに受け流して、
でも少年たちは彼女の意向に逆らうことができなくなってゆく。

これを成長と呼ぶのだろうか。たんに忌むべき連鎖と片づけるべきなのだろうか。
きょうもまた、いろいろな想いを抱えた生徒たちが、古びた小屋へと連れだってゆく。

母さんは夜汽車に乗って

2016年11月24日(Thu) 05:55:20

母さんは夜汽車に乗って、吸血鬼に抱かれに行く。
そんな夜、父さんはぼくに、母さんの喪服を着せて、いっしょに寝(やす)む。
ぼくは女になり切って、父さんの相手をする。
母さんになり切りながら、吸血鬼に抱かれる母さんのことを想像し、
ぼくは父さんの昂ぶりに、波長を合わせていく。
きっと父さんも同じ想いなのが、素肌をすり合わせることで、伝わってくる。

きっと将来、ぼくのお嫁さんも、吸血鬼のいるあの村に、連れて行くことになるはず。
未来の花嫁が吸血鬼に処女を捧げる寝室のすぐ隣で、
ぼくはやっぱり彼女の服を着て、だれかに犯されていくのだろう。
そんな想像に、むしろ歓びを感じてしまう。いけないぼく――

男と浮気妻

2016年10月23日(Sun) 17:59:53

性には淡泊なほうだった。
30過ぎで結婚して、2年ほど経つけれど、セックスの回数はどんどん疎遠になっていって、
妻も内心の不満を抑えつつも、子供をあきらめかけているようだった。
そんなわたしが、こともあろうに、”男”にハマってしまった。
相手は取引先の、年齢不詳の男。
たまたま出張先で同室に泊まり合わせて、いっしょに酒を飲んで部屋に戻って、気がついたら抱かれていた。
その晩ひと晩のあいだに、わたしはすっかり作り変えられてしまっていた――

来る夜も来る夜も、彼との激しい情事なしに帰宅することはなかった。
そして疲れ果てたわたしは、妻を抱くこともなく眠りをむさぼった。
そんなあるとき、彼からのおねだり――奥さんの服を着て、逢ってくれないか?
わたしが小柄で、妻と同じくらいの背格好であることは、彼はとっくに知っている。
もちろん、ふたつ返事でOKした。

わたしが狙ったのは、季節外れの夏物の服。
クリーニングして戻しておけば、たぶん気づかれないだろう。
というよりも。
そんな配慮以前に、わたしは彼に尽くすことに夢中になって、後先考えることなく行動に移してしまっていた。

純白のボウタイブラウスに薄紫のタイトスカート、肌色のストッキングを身に着けたわたしに、
男はいつも以上に息荒く、のしかかってくる。
初めて気がついた。
妻になり切って犯される。
男の要求している趣向は、まさにそういうことなのだ。
わたしはいままでにないエクスタシーに喘ぎながら、女になり切って、朝まで辱め抜かれていった。
別れぎわ、男は言った。こんどは奥さんを連れて来い。
いつにない命令形に、強引にされる快感さえ覚えたわたしは、奴隷になった女のように、頷いていた。

無断外泊をしたわたしに、妻は目を尖らせた。相手の女に会わせて頂戴。渡りに船とはこのことだった。
わたしはさっそく男と連絡を取って、奥深い森のに隠れたその住処へと、妻を伴って訪問した。
すでになん度も訪れたことのあるその家は、わたしにとっては勝手知ったる場所だったが。
妻はもとより不案内で、勢い込んで来たのはよかったけれどと、きょろきょろと滑稽なまでにあたりのようすを窺っていた。
そんな妻を男と二人きりにすると、わたしはいちぶしじゅうを隣室で見届けていった。
すでに男を識ってしまったわたしにとって、もはや彼がすべてと思えるほどだったから。
セックスの対象ではなくなった妻が抱きすくめられるのは、思ったほどの痛痒さえ、伴わなかった。

妻がよそ行きのスーツを着崩れさせて、いともあっけなく陥落して、アヘアヘとだらしなく乱れてしまうのを、
わたしはしらっと眺めていたが――そこでふたたび、変化が起こった。
男の腕に抱かれているのは、わたし・・・?
そんな想いが兆したとき。
わたしのなかで、彼の腕のなかにある妻とわたし自身とが、瞬時に入れ代わっていた。

脱げかかったストッキングをひらひらさせながら、大胆に脚を開いて応じてゆく妻は、わたし自身。
もっと・・・もっと・・・そうせがむ妻の喘ぎは、わたしの声。
妻の痴態とわたしの願望とは、ぴったりひとつに重なっていった。

男が立ち去ったあと。
乱れた着衣をわたしの前でごまかしようもなくなった妻に、わたしは獣と化して飛びかかっていた。
男はわたしたちを、車で送り届けてくれて――その晩ひと晩じゅう、わたしたち夫婦は、いままでにないセックスに入りびたりになっていった。

男がスッとわたしの前から姿を消したのは、それから間もなくのことだった。
けれども妻はひそかに、男と逢いつづけているらしい。
わたしの留守中には男と逢瀬を愉しんで。
わたしが戻ってくると、セクシィに着飾って、夫婦の営みに応じてゆく。
ひところ男にはまったわたしは、いまは浮気妻に乗り換えていた。
浮気帰りの妻が、男と交し合った汗の匂いをぷんぷんさせながら、夫婦のベッドで大の字になるそのうえに、
わたしは鼻息荒く、のしかかる。
妻に子供が授かったのは、それからいくらもしない頃だった――

お見合いの条件。

2016年10月21日(Fri) 07:29:50

じつはわたし、女装者なんです。
職場にも、離れて暮らす家族にも、内緒なんですが。
オフのときにはいつも、女性の恰好をしています。
性対象は女性だけですよ・・・たぶん。
でもね。
結婚しても、女装はやめられないと思うんです。
夫婦なのに女ふたりの外見で出歩く夫婦なんて・・・おかしいでしょう?
そういうのがどうしても耐えられない・・・というのなら、
どうかこのお話はなかったことにしてください。

女装がお好きなんですね。かまわないじゃないですか。
私は気にしませんよ。家にいるときくらい、リラックスなさればいいと思います。
あなたとは服のサイズが近そうだから、着れる服が合ったら貸してあげてもいいですよ。
では、私の事情も話しますね。
じつは私、つき合ってる人がいるんです。
相手は結婚している方で・・・でもセックスの相性がよくって、結婚しても別れられそうにありません。
あなたの留守中にその人に逢いに行ったり、時には家にいるときでも出かけてしまうかもしれません。
結婚したばかりなのに日常的に浮気されるなんて耐えられない・・・というのなら、
どうかこのお話はなかったことにしてください。

このお二人は、結局いっしょになったようです。
奥さんはご主人に見送られて浮気に出かけていって。
そんなときでもご主人は、女の姿で見送ったり、送り迎えをしてあげたり。
そのうちに、奥さんの浮気相手に、ご主人のパリッとしたスーツ姿が目に留まって、
夫婦ながらひとりの男性に愛されるようになって。
いまでは二人連れだって、女ふたりでその男性のところに心ウキウキと通う週末を過ごしているということです。


あとがき
こんなカップルがいてもいいかな・・・と思い、描いてみました。

交際それぞれ

2016年10月11日(Tue) 07:59:52

麻利絵ちゃんは、すでに経験者。
彼氏と初エッチしたあと、彼氏の悪友の吸血鬼のところに連れていかれて、血を吸われちゃったそうです。
ほんとうは、エッチのまえに血を吸わせるものだって、彼氏怒られていたけれど。
そのあと、吸血鬼はセックスをしたことのある子の血を吸うときには、エッチもしちゃうって聞かされて。
彼氏の前で、エッチまでされちゃったみたい。
一日でふたりの経験しちゃって、いいのかなーって、麻利絵ちゃん言ってたけど。
そのわりにあんまりシンコクそうじゃなかったのは、
麻利絵ちゃんが犯されるのを見た彼氏が昂奮しちゃって、
それからも二人がしているところを見たがって、すすんでふたりを逢せるようになったからなんだって。


百合香ちゃんはつき合っている男の子はいるけれど、エッチはまだ未経験。
やっぱり怖いって言っていたら、彼氏がセックスの話題を明るく話してくれて。
「さいしょは痛いけど、あとからだんだん、キモチよくなるんだよ」って、教えてくれて。
なんのことかと思ってついて行ったら、其処には吸血鬼が待ち構えていて。
百合香ちゃん、ガブリッ!って、咬まれちゃったんだって。
でも、百合香ちゃんはそれから、咬まれるのにはまっちゃって。
また逢わせて・・・って、彼氏にお願いしているんだって。
彼氏が逢わせてくれたのは、彼氏の叔父さんで、処女の生き血を欲しがっていたらしくって。
それからというもの、週に1~2回の割合で、叔父さんのところに連れて行ってもらってるんだって。
彼氏に連れて行ってもらうのは週1か2だけれど、
それ以外に2、3回こっそり叔父さんと逢っているのは、まだ彼氏にはナイショにしているらしい。

結衣ちゃんは、うちの女学校に女装して通学している、おませさん。
制服が大好きで、うちは女学校なのに30倍の競争率を越えて入学を許可されたんだって。
うちの学校に棲みついている吸血鬼さんも、制服が大好きで・・・同じ趣味で、気が合っちゃったみたい。
だから結衣ちゃんは、いつも吸血鬼の小父さんの好みに合わせて、紺のハイソックスを履いてきて、
「あなたに愉しんでもらうために履いてきたの。咬み破られても泣かないからね」って、お約束しているんだって。
咬み破ってもらったハイソックスは、その場で脱がされちゃうんだけど。
脱がされたハイソックスが1ダースになったら、今度はつき合っている同級生の若菜ちゃんを、紹介してあげるんだって。
おそろいの制服で、おそろいの紺ハイソの脚を、順ぐりに咬ませてあげるのが夢なんだって。
結衣ちゃん、若菜ちゃんのことよろしくね。しっかり、導いてあげてね。
そして二人で愉しく妖しく、堕ちるんだよ~っ☆

某男子校の学校案内より。

2016年10月05日(Wed) 07:57:52

【女子制服の着用について】
当校では、情操教育の一環として女子の制服の着用を認めています。
希望者には指定のセーラー服もしくはブレザーを頒布しています。
入学段階から女子の制服を着用して登校する生徒は、全体の約1割程度ですが、
学年によってばらつきはあるものの、卒業時にはほぼ半々になっています。
そのために、当校は共学校と誤解されることもあるようです。
キャンパスライフは自由を旨としており、詰襟の男子生徒と女子の制服を着用した生徒との疑似的な男女交際も盛んです。
自由な気風の中で、生徒たちはマイノリティへの共感や自由の中の責任といったことを学んでいきます。

【地域との連携~血液提供を目的とした、吸血鬼の受け入れについて】
当校の所在する〇〇市は、「吸血鬼と人間の共存」を目指しています。
そのため、当校も市の方針に従って、若い血を求めてさまよう吸血鬼の来校を、積極的に受け容れています。
来校した吸血鬼には、生徒や父兄、教職員に対する吸血を行う権利を付与しております。
吸血鬼に対する献血行為に協力することは、入学許可の必須条件となっておりますので、ご注意ください。
献血行為に協力する義務を有するのは、生徒本人及びその家族を含みます。
ご子息の入学が決定次第、ご本人様及び父兄の方々全員に、誓約書の提出をお願いしております。

なお、この種の来校者は、女性に対する吸血を好む習性があります。
生徒のお母様、姉妹のかたの来校を、極力歓迎します。
女子の制服着用を希望する生徒は、特に好んで吸血される傾向にありますので、体調管理にご留意をお願いします。

男子生徒を対象に吸血する場合も、来校者が好んで脚を咬む習性をもつことに対応し、男子生徒の制服は季節を問わず半ズボンを指定しております。
ハイソックスの着用が義務づけられていますが、婦人用ストッキングの着用も可とします。
靴下を着用したまま吸血されるケースが多々発生しますが、通学用のハイソックスは校内の購買でも頒布しますので、ご活用ください。

PTAの会合でも、随時、来校者に対する歓迎行事が開催されることがあります。
保護者(特にお母様)の協力が必須となります。ご理解ください。
PTAの会合にご出席の際は、スカート・ストッキングの着用が奨励されております。ご協力ください。
生徒の姉妹の参加が歓迎されるのはもちろんのこと、お父様、ご兄弟の方々の婦人服(女子制服)着用によるご参加も歓迎しています。

結衣の通学路

2016年10月04日(Tue) 07:52:28

朝からヘンな気分にさせられちゃって、もぅぅっ・・・
制服姿の結衣は勉強机に頬杖を突きながら、
さっきから足許にかがみ込んでいる吸血鬼を見おろし、にらみつける。
尖った視線がよけいにうれしいらしくって。
男は結衣の足許に忍ばせる唇を、余計せわしなくうごめかせた。
唾液のたっぷり浮いた舌でなぞられた紺のハイソックスは、だらしなく脛の半ばまでずり降ろされて。
あぐぅ・・・
と嚙みついてくる牙に、裂け目を拡げた。

あぁぁぁぁ・・・っ
結衣はマジな声になって、椅子から転がり落ちるように、畳に横倒しになってゆく。
くくく・・・
それが思うつぼだったらしい。男は、こんどは結衣の上体にのしかかった。
肩までかかる黒髪を掻きのけて、首すじをたんねんに噛んでゆくのだ。
あっ・・・あっ・・・あっ・・・
声をあげてあえぎながら、結衣は思う――きょうは学校休もう。

ホラ、遅刻するぞ。
男は貧血と眩暈に立ち眩む結衣を引きたてるようにして、玄関に向かわせる。
台所からは、結衣の母親の声。
ほら、結衣ちゃん、遅れるわよ。早く学校行きなさい!
当たり前の日常の、当たり前の母の𠮟り言葉。
でも母は知っている。
結衣がほんとうは男の子で、学校公認で女子の制服を着て通学していることを。
吸血鬼が宿るこの家で、結衣がすでに大人の女になって、同性の彼氏を裏切りつづけていることを。
今朝も結衣といっしょに学校に行こうと誘いに来た彼氏が、物陰に隠れて、
結衣の吸血シーンを、息をつめ昂ぶりながら見守りつづけていたことも。

学校をさぼって、きのうで三日。そうだ、きょうは学校行かなきゃ。ノリくんが心配する。
結衣にとって学校の価値は、彼氏のノリくんとイコールだった。
数学は苦手でも、そういう方程式だけは得意である。

家を出たとき、吸血鬼はもう追いかけてこなかった。
きっといまごろ、ママを襲っているころだろう。
あ いけない。
結衣は一瞬、立ち止まる。
だって・・・咬まれてよだれで濡らされたハイソックス、そのまま履いてきちゃったから。
でも・・・もう行かなきゃ。遅刻しちゃう。

よう、待ったぞ。きょうも休みかよって思っていた。
そういって寄って来たのは、彼氏のノリくんだった。
ノリくんとはまだ、セックスしてない。本人も童貞だって、照れずにそう告げていた。
いつか・・・ノリくんに教えてあげよう。あたしが吸血鬼のおっさんから教わったセックスを。
渦巻く想いを笑顔の裏側に押し込めて。結衣はにっこりと笑み返す。
ウン、行こっ。
勢い良く踏み出した紺のハイソックスの足許を、彼氏がチラチラ盗み見るのをくすぐったく感じながら。
結衣はわざとらしいほどら明るい話題で、通学路を華やがせていった。

真夜中のデート

2016年09月12日(Mon) 07:53:54

街に出没する吸血鬼は、夜な夜な乙女の生き血を求め歩く。
狙われた彼女の身代わりに、彼女の制服を着て夜歩くボクは
たちまち彼の、餌食になった。
女装に目ざめたのは、はるか前――
彼女にはいえない願望を、人知れず遂げたボクは、
乙女を襲いたいという彼の願望を、半分だけかなえてしまっていた。

彼は幸いにも、ボクを男と気づきながら。
血を吸い終わる最後まで、ボクを女の子として扱ってくれた。

それ以後は、感謝の気持ちさえこめて、彼に血を吸わせる日々――
きみの彼女を襲いたい。
いつの間にか魅入られてしまったボクは、
そんな彼のいけない願望を、ついにかなえてあげてしまう。

ボクの目のまえ、抱きすくめられて。
セーラー服のえり首の、三本走った白のラインをバラ色のしずくに浸しながら、
彼女はうっとりと、吸い取られてゆく。
その姿をうっとりと見つめるボク。
そんなボクのことを彼は、下僕としてではなく親友として遇してくれた。

きょうもボクたちは、真夜中のデートを愉しんでいる。
いつしか彼女のスカートの奥までむさぼるようになった彼は、
ためらう彼女を、花嫁修業なのだといって騙し、
たかぶるボクは、上手になってからお嫁に来てねといって背中を押した。

彼女がセックスされてしまうのをのぞき見するのは、
彼女とセックスするのと同じくらい、昂ることができるのだと知ってしまったボクは、
おそろいのセーラーの襟首並べて、
おそろいの紺のハイソックスのふくらはぎを吸わせて、
同じようにスカートをたくし上げられ、股間を侵されて、
互いに互いの痴態を見つめ合って・・・
いつしか真夜中のデートを、やめることができなくなっていく――

ぼくの純潔。 名門校のハイソックス

2016年09月03日(Sat) 06:12:13

公園に足を踏み入れた途端、しまったと思った。
この刻限だと、ここには間違いなく、吸血鬼の小父さんがぼくを待っている。
若い血潮を吸い取りたいと、喉をカラカラにひからびさせて。
気に入ってもらえたぼくの制服姿もきっと、彼の期待値のなかに含まれているのだろう。
それはもちろん、かまわない。
だって、そのためにここに、やって来たのだから。
ところが、なんと不覚だったことか、今夜にかぎって脚を通してきたのが、
大事にしている某有名校の指定もののハイソックスだったのだ。
ネットでン千円でせり落とした値段もさることながら、入手そのものが難しい品物で、
特別のときじゃないと履けない代物。もちろん、咬み破らせてしまうわけには、いかなかった。

でも、すでに公園の入り口を通り抜けてしまった後のこと。
いままでになん足、小父さんにハイソックスを履いたまま脚を吸わせて、咬み破らせてしまったことだろう?

おや、きょうはいつになく、おどおどしているね?
ぼくの怯えたようすが好ましかったのか、小父さんは我が物顔に、ぼくのことを引き寄せて、首すじを吸った。
鋭利な牙が、首のつけ根にチカリと咬み入れられてくる。
皮膚をじわじわと冒される感覚に、ぼくはゾクゾクしながら佇みつづけた。

ひとしきり、血を吸わせてあげると、ぼくはおずおずと切り出した。
  お願いがあるんだ。きょうのハイソックスは破かないで。
  めったに手に入らない、名門の女子高の指定ものなんだ。
本物の小娘みたいに手を合わさんばかりにして懇願するぼくに、吸血鬼は寛大だった。
寛大というか、同好のものの目になって、訊いてきた。
  へえ、どこの学校のやつだね?よく見せてくれないか?
ぼくはいつものようにベンチに腰かけて、そっと脚を差し伸べる。
視線を集中させられた足許が、微妙にくすぐったい。
  んふぅ・・・なるほど。学校名の頭文字がワンポイントになってるんだね。
  これはたしかに、気になる靴下だね。いくらしたんだい?
ネットで落とすのがたいへんだったこと、すんでのところ制限時間ぎりぎりでせり落としたことなどを、
ぼくも同好者の言葉で、彼に伝えていた。
彼もまた、それをくすぐったそうに、耳を傾けてくれている。

破かない代わりに、たっぷり舐めさせてあげることにした。
いつもより念入りに、しつように、彼は舌を這わせてくる。
名門女子校のハイソックスは、誇らしげな学校名のイニシャルの縫い取りもろとも、
唾液をたっぷりなすりつけられ、しみこまされて、
ふさわしくないあしらいに耐えかねるように、くしゃくしゃになってずり落ちてゆく。

凌辱される女学生――そんな言葉がふと、頭に浮かんでいた。
もちろん――名門校のハイソックスを履いたままの脚は左右に割られ、
ひどく熱っぽいやり口で、ぼくは股間を侵されていった。
お互い、よほど昂奮したときじゃないと、ここまでたどり着かないはずなのに。
その夜にかぎって、二度も三度も、ぼくの貞操はむさぼられていった。
ぼくもまた、名門校の女学生になり切って。
彼に加えられる凌辱を受け止めて、身体のすみずみにまで、恥ずかしい快感をいきわたらせていた。

三足落札したら、一足だけ破らせてあげる。
そう約束するぼくに。
この学校の子をひとり襲って、学校の購買で買わせよう。
たしか、近場にあるんだよな?
そうすればきみ、なん足でも履けるぞ。
小父さんはたちの悪そうなにたにたとした笑みを泛べながら、いけない約束をし返してきた。

ぼくの純潔。

2016年08月29日(Mon) 07:38:55

セーラー服で女装して、夜の街を歩くぼくのことを。
その吸血鬼は、女の子として扱ってくれた。
だからぼくも魅入られた少女みたいに大人しく、血を吸わせてやった。

首すじを咬んでセーラー服を汚してはいけないと、
吸血鬼はぼくをベンチに腰かけさせて、
短いスカートからはみ出た太ももを咬んできた。
熱く押しつけられた唇の下。
初めて咬み入れられた牙は、ぼくの肌に執着した。

「本物の女の子みたいに柔らかな太ももじゃなくて、ゴメンね」
そういって謝るぼくに。
「こういうかっちりとした太ももも、悪くない」――男はそんなふうに応えながら、
女の子にしては筋肉質な脚に、強引に牙を咬み入れて、
ひと啜り、ふた啜り、ぼくの血を啜って、
ひと言、美味い――と言ってくれた。
ぼくよりもずっと年配の吸血鬼。
いったい、なん人の女の子のことを、咬んできたのだろう?
きみの血は、美味しいよ――彼はなん度も、くり返してくれた。

ハイソックスのふくらはぎも、ねだられた。
夕べやそのまえに襲った女の子たちにも、きっとそうしているんだろう。
ハイソックスをずり降ろそうとすると、履いたまま咬みたいんだとねだられた。
えっ?えっ?
たじろぐぼくに、お構いなく、彼は早くもぼくの足許にかがみ込んで、ハイソックスの脚を舐めはじめた。
しっかりとしたナイロン生地の舌触りを、愉しむようにして。

ハイソックスは好きだから、何足も持っているけどさ。
これ買うの、けっこう勇気要るんだよ。
妹のを買うような顔してさ。手に汗握りながら、はずんだ呼吸を押し隠しながら、買うんだよ。

言葉では、嫌だ嫌だとくり返しながら。
紺ハイソの足許に舌なめずりをくり返す吸血鬼のために、
もっと吸いやすいようにと、脚の角度を変えてやっていた。
ハイソックスを咬み破りたいというおねだりの裏に、
いかがわしいいやらしさと、心地よい屈辱感を自覚したぼくは、
彼の望みのままに、いさぎよく?気前よく?ハイソックスを咬み破らせてしまっていた。


それ以来。
彼とぼくとは、深夜にあの公園で、待ち合わせるようになっていた。
偽もの娘じゃ、がっかりだろう?
そういってからかうぼくに、
そうやって女の子のカッコして、若い血をめぐんでくれるだけで嬉しいのさ――男はそう応えてくれた。

血をご馳走することに慣れてくると、首すじからも吸わせてあげられるようになっていた。
えり首をまったく汚さずに、彼は血を吸うことができたけれど。
ほんとうは・・・セーラー服に血を滴らせながら女の子の血を吸うのが好みらしくって。
思い切って――かなえてあげた。
きれいにクリーニングして返すことを条件に。

しつような吸血を受けたあと、連れ出されたトイレの鏡に映ったぼくは、
まさにレイプされたあとの女学生。
真っ白な夏服のセーラーに、バラ色のほとびがあんなに似合うなんて、思わなかった。

セーラー服を脱ぎ与えると、素肌のままの上半身を、初めて彼に抱かれていた。
擦り合わされた肌は、ぞっとするほど冷たくて。
貧血でくらくらしているはずのぼくは、もっと吸いなよ・・・吸って頂戴・・・って。
彼に、おねだりをくり返していた。
その晩もお約束通り、ハイソックスの脚を咬まれてしまったけれど。
ぼくの履いている紺ハイソに執着してねっちりとかじりつく牙が、いつにも増していやらしかった。


そろそろ秋だね。夏服も終わりだね。
そう呟くぼくの唇に。
さっきまで首すじから血を吸い取っていた唇が、重ねられてきた。
ふとしたもののはずみ・・・?にしては、やけに長くてしつようだった。
丈の短いプリーツスカートを、せり上げられて。
やはり丈足らずの紺ハイソの脚を、めいっぱい突っ張って。
パンツを穿いていない股間に、ぼくは初めてのものを、受け容れていた。
まるで・・・女の子みたいに・・・熱っぽく・・・
それは、二度、三度とくり返されて、
それに、二度、三度と応じてしまっていた。
まるで純潔を捧げる乙女のように。
まるで少女を大人に変える男のように。
ふたりは熱っぽく、まぐわっていった。

不純異性交遊なんて、嘘だね。
純粋にあげたいから、差し出すんだね。
そういうぼくの首すじを、彼はまだ、ねっちりとしつように舐めつづけていて。
それが、ひどく幸せに感じられて。
つい、重大な約束をしてしまっている。
ぼくに彼女ができたらさ、紹介してあげるから。
その子が処女かどうか、確かめて。
もしもその子が処女だったら。
本物の女の子の処女の生き血を、たっぷりと飲ませてあげる。
彼女と小父さんとの相性がよかったら。
結婚する前に、先に姦らせてあげようか。
女の子のあしらい方のお手本を、ぼくも見せてもらいたいから――

ぼくの”純潔”を捧げた夜――
静かな涼しい風が、火照った肌にやさしく通り過ぎていった。

身代わりのはずが。  ~女装する夫~

2015年12月14日(Mon) 07:56:46

頬や額やおとがいに、ファンデーションをくまなく塗りこめて。
まぶたには色濃いアイシャドウ。
仕上げに濃いルージュをサッと刷く。
妻から教わった、覚えたてのメイクは、まだまだつたなかったが。
肩先をそわそわとかすめるウィッグの髪に囲まれた顔だちは、
男の輪郭をかなり消すことに成功していた。

鏡台の前から起ちあがると。
身にまとったワンピースがふぁさっと揺れた。
丈の短めなワンピースのすそから入り込む外気のそらぞらしさが、
薄手のストッキングに包まれた太ももにまで、伝わってくる。

行ってらっしゃい。
かけられた声に振り向くと。
ドアの向こうに佇む妻が、貴志の女装姿を見つめていた。
貴志は無言で腰を折り、妻に会釈を返してゆく。
しぐさのほうは――かなり女になり切っていた。

幾晩も。
立場が逆だった。
真夜中、家を抜け出して。
吸血鬼に血を吸われに出かける、着飾った妻――
それをむざむざと見送っていたころの悔しさは、もう貴志の意識の中にはない。
首のつけ根につけられた咬み痕が、むず痒く疼いていた。


吸血鬼の支配下になりつつあるこの街で。
娘が血を吸われ、妻までもが血を吸われた。
処女の生き血を好む彼らの嗜好のために、娘の純潔こそまだ無事だったけれど、
既婚の女性はことごとく、吸血鬼に襲われると犯されていった。
貴志の妻もまた、例外ではなかった――

さいしょは屈辱にふるえ、仕返しを誓った貴志だったが。
やがてそれが不可能になると知ったころには、
妻も娘も、身体じゅうの血を舐め尽されようとしていた。
彼女たちの生命を救うには、方法はひとつしかなかった。
彼自身も、血を吸われてしまうこと。
提供する血の量を増やすことだけが、生き残るための道だった。

好んで脚に咬みつく吸血鬼のために。
娘も妻も、ハイソックスやストッキングを咬み破られて帰ってくる。
貴志は愛用していたストッキング地の長靴下を履いて、吸血鬼のもとを訪ねていった。

あなたの好みに少しは合いますかね・・・
皮肉のように口にした言葉を真に受けて。
吸血鬼はむしろ感激して、彼を部屋の奥へといざなった。
そうして、ソファにうつ伏せになるように貴志に求めると。
スラックスを性急にたくし上げて、濃紺に染まった貴志のふくらはぎにしゃぶりついてきた。
ほの暗い照明の下。
紳士用の長靴下は、妖しい光沢に包まれていて。
薄い靴下ごしに這わせた舌を、貴志のふくらはぎに迫らせた。
ドキドキした。
その瞬間、チクチクとした牙が二本、ずぶりと貴志のふくらはぎに埋め込まれた。

42歳の働き盛りの血液は、吸血鬼をいたく魅了した。
男は貴志の脚にとりついて、彼の生き血を吸い、また吸った。
母乳を求める赤ん坊のように、性急でしつようだった。
半熟卵の黄身を吸い出すように、血潮を吸い上げられてゆきながら。
貴志はどうして妻や娘がこの男の手中に堕ちたのかをさとった。
さとったときにはもう、遅かった。
彼は吸血鬼に求められるまま、靴下の舌触りをくまなく愉しませ、なん度もなん度も咬み破らせてしまっていた。
そのうえで。
妻を犯した一物をさえ、彼は受け容れざるを得なくなっていった。
こんなに猛々しいものが、妻の股間に埋め込まれたのか――
貴志は狭苦しいソファのうえで身をのけ反らせ、いつか悩ましいうめき声さえ、洩らしていた。
あとから尾(つ)けてきた妻が、ドアの向こうに佇んでいて、
不覚にもあらわにしてしまった媚態を逐一見られてしまっているのを気配で感じながら、
もう・・・どうすることもできなくなっていった。


妻と娘の血を守るため、身代わりになる。
そんな大義名分が、貴志の行動を支えていた。
彼は勤務先にまでやってきた吸血鬼のために別室を用意して、いつも気前よくスラックスのすそをたくし上げていった。
濃紺や漆黒の、薄手のナイロン生地になまめかしく染めたふくらはぎを、同性の情夫に愉しませるために――


あなた、みつえの制服着てってちょうだい。
きょうは具合悪そうなのよ・・・
妻の誘いは、悪魔の囁きだった。
父親のひょう変を、最初は娘らしい潔癖さで嫌悪した娘のみつえは、やがて両親に協力的になった。
貧血が治らずに学校を休まなければならないのに彼からの呼び出しがきたときには、
娘をかばうため父親が、身代わりに娘の制服を着て学校に脚を向けた。
リブ編みのハイソックスは丈足らずだったけれども。
彼は娘のハイソックスを目いっぱい引き伸ばして、吸血鬼を応接したし、
吸血鬼もまた、女子高生の制服を着た貴志のことを、あくまでも女学生として扱った。
お嬢さん、生き血をたっぷりといただくよ・・・そう呟きながら、欲情もあらわな唇を、通学用のハイソックスのうえから吸いつけていくことで。


丈の短いワンピースで女装した貴志が向かったのは、公園だった。
こうこうと輝く照明の下。
黒い影がひっそりと、佇んでいた。
奥さんだね?
ひとのわるいやつだ、と、貴志は思った。
貴志だと知っていながら、妻と勘違いをしたふりをしている。
だんなの目を盗んで、家を抜け出してきたんだね?
男はなおも、言いつのる。
助平な女だ。淫乱な女だ。
男はさらに、言いつのる。
それでもわしに、ストッキングを破かれたくて、また来たのだな。
貴志は意を決して、女になり切った。
エエ、弓枝です。
そうなんです。主人を裏切って、貴男に逢いに来ました。
仰る通り、淫乱なんです。
弓枝は淫乱な、いけない妻です。
貴志さんの妻なのに。夫を裏切るのが愉しいんです・・・

クックックッ。
男は忍びやかに嗤うと、貴志の両肩を抱きすくめようとした。
イヤッ!!
反射的に声をあげて、飛びのこうとしたけれど。
力強い猿臂に、たちまち圧倒されてしまっていた。
ああ・・・っ。
女だ。女になり切っている。自分のなかの女が、目覚めてしまった。
貴志は実感した。
けれどももう、どうすることもできなかった。
ああ・・・っ、あなたあっ。
どこかに夫であり男である自分自身の目が、いまの女の姿をした自分のことを、暗闇の向こうから見つめているような気がする。
男である貴志は、女になり切った貴志を、嫉妬の目で見つめている。
嫉妬は甘美な陶酔を呼び、幻の貴志はスラックスの股間に手をあてがって、自慰に耽りだしていた。
そうよ、あなた嫉妬するのよ。あたし、このひとに抱かれちゃうのよ。
あなたの奥さん、犯されちゃうのよ。
あたし、声をあげて、悶えちゃう。
悶えて、悶えて、悶え抜いて、感じちゃっているのを見せつけてあげる。
そうよ。あなたの男としての愉しみは。
あたしが犯されるのを視ながら、自慰をすることで満たされるのよ。

貴志のなかで目覚めた”女“は、いちど語りはじめた言葉を語り止めようとはしなかった。
さいきん、妻は警戒している。
自分よりも、娘よりも、貴志の出番のほうが多いのだ。
妻が女として、自分に嫉妬していることに。
貴志は奇妙な誇りを覚えた。

夫が万一、血を吸い尽されてしまったら。
未亡人の装いで、黒のストッキングを破らせてしまおう。
今やそんなことくらいしか頭にないはずの妻が、むしょうにいとおしい。
首すじに食いついた唇が、傷口につよく押し当てられて。
貴志の温かい血を、ぬるり、ぬるり、と、抜き取ってゆく。
おぞましかったはずの感覚が、いまはゾクゾクとつま先立ちしたくなるほどの歓びを帯びていた。
もっと、吸って・・・もっと、吸って・・・ああ、素敵。吸い尽しちゃって・・・っ。
抱きすくめられた猿臂の力強さが、心地よい。
女の感覚として、歓ばしい。
男が貴志の失血ぶりを察しつつ、加減しながら血を吸っていることさえ忘れて、
彼は忘我の中で、叫んでいた。
貴男になら・・・あたしのたいせつなもの、全部あげちゃうわ・・・っ。


あとがき
初めは気が進まないながら、妻や娘の身代わりに血を吸われるようになった男が、
女の身なりをして吸血鬼の応接をくり返すうちに目覚めてしまう。
けっこう好きなパターンなんです。^^;

女子出勤。

2015年11月26日(Thu) 07:56:55

うちの会社の事務所には、お得意様の吸血鬼が出入りする。
彼らが来る時には、当番が決まっていて。
いつも当番に当たったOLが、お相手をする。

彼らの目当ては、勤務中の女の子たちの首すじ、生き血、パンスト破りにお〇んこ。
社内恋愛中のAくんなどは、
ついたてひとつ隔てた向こう側の打ち合わせテーブルのうえ、半裸に剥かれた彼女がひーひー言わされるのを、
こっそり聞いては愉しんでいたりする。
そう、吸血鬼を歓迎しない社員は、ひとりもいないのだ。

女の子は数人いるけれど、順繰りにパンストを咬み破られて血を吸い取られると、
だれもが貧血になって、女子社員が全員欠勤となる日が来る。
そんな日には男子社員が当番になって、OL服を着て、吸血鬼のお相手をする。
スカートの下、パンスト一枚の足許はやけにすーすーするし、
ぼやぼやしていると風邪をひく。
それでも、女子社員の身代わり役に、欠員は生じない。
むしろだれもがウキウキとして、女子のブラウスに腕を通し、
男子専用のウェストサイズで新規購入されたタイトスカートを腰に巻きつける。

そんな女装の男子社員たちに、吸血鬼たちは女子として接していく。
首すじに飢えた唇を近寄せて。
ロングのウィッグを、そっと掻きのけて。
ずぶり!と牙を刺し込んでいって。
ツワモノになると、まくりあげたスカートの奥に、そそり立った一物まで挿し込んでいって。
もの慣れた代役たちが洩らす吐息は、さながら本物の女子社員のよう・・・とさえ、噂されている。

心の中に、女心を忍び込ませた代役たちは、息をつめて、ドキドキしながら、
迫る吸血鬼の目のまえに、パンストのふくらはぎをさらして、
ヒルのような唇を這わされて、咬み破らせてゆく。

きょうもまた、メイクの仕方にも慣れた代役たちが、ウキウキとしながらヒールの脚を並べてゆく。

吸血女装倶楽部。  ~早朝は公園に登校~

2015年10月21日(Wed) 07:32:50

お出かけするときは、軽くルージュだけを引く。
それでじゅうぶん、気分がひきたつし。
だいたい、品行方正な女子生徒というものは、そんなに厚化粧をするわけじゃない。
胸元のリボンをふんわりとさせて。
ミニスカートのすそを、ゆらゆら揺らして。
近くの公園まで、きょうも登校。
時計を見ると、午前五時。
季節柄・・・あたりはまだ、真っ暗。
どうしてこんな時間に、それも「公園に登校」するの?って?
だってわたしは、男の子だから。
公園には、わたしの血をほしがっている吸血鬼が待っているから――

いつものベンチに、お行儀よく腰をおろして。
プリーツスカートをわざとのように、拡げてみせる。
足許は、薄闇にも映える真っ白なハイソックス。
「制服は汚さない」
恩着せがましくそういいながら、ひとの首すじにかぶりつき、
血を撥ねかさないように入念に、ちゅるちゅる吸って。
ひとが薄ぼんやりとなってしまうと、お目当ての足許にやおらかがみ込んでくる。
そう――
やつのお目当ては、ひざ小僧の真下までぴっちりと引き伸ばされた白のハイソックス。

このハイソックスが真っ赤になるまで、吸っていいよ――
それは、わたしがやつの前で許されている、唯一の意思表示。
襲われて血を吸われているときだけ、わたしは本物の女学生になっている。

きょうもやつは、わたしの足許にかがみ込んで来て。
生臭い吐息を、しなやかなナイロン生地ごしに、お行儀悪く吹きかけてくる。
「どうしてそんなに、ハイソックスに執着するの」
ふふ・・・
やつはほくそ笑んで、わたしを見あげる。
「凛々しさと、若さ・・・かな」
そう呟いてふたたび、やつは自分の作業に没頭する。
わたしのハイソックスに。よだれをたっぷりとしみこませるという、いけない作業に。
やつの唾液に、じわじわと侵されながら。
わたしは独り、呟いている。

凛々しさ ね。

それなら、男子のわたしが履いたって、いいわけだ。
わたしを取り囲むブラウスが。ベストが。スカートが。
ふんわりと暖かに、わたしの身体を包み込む。

許された女装に、心がほっと和むとき。
わたしは脚を自分から差し伸べて、やつに言う。

このハイソックスが真っ赤になるまで、可愛がってね――

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仲良し家族?

2015年09月03日(Thu) 07:33:43

父さんは、吸血鬼の小父さんと仲良くなって、
自分の血をぜんぶ、あげちゃっていた。
そして吸血鬼になって、いまでは母さんの生き血を、小父さんと分け取りにして、毎晩愉しんじゃっている。

兄さんは、婚約者の華絵さんを小父さんに紹介して。
まだ処女のうちに・・・って、襲わせちゃっていた。
夜中に呼び出されて、ウットリしながら血を吸われる華絵さんのことを、毎晩覗き見して愉しんじゃっている。

ボクは、華絵さんからもらったセーラー服で女装をして。
毎晩下校する女子生徒を装って、夜道をたどる。
小父さんはボクのことをあくまで女学生として扱ってくれて、毎晩女生徒レイプごっこを愉しんじゃっている。


あとがき
いちばんヘンタイさんなのは、だれでしょう? 笑

6時。

2015年02月15日(Sun) 08:01:20

目が覚めて、枕元の時計をみたら、朝の6時。
きょうは日曜。
もっと寝ていたってかまわない。
起きあがってカーテンをあけると、夜の闇が薄蒼いあけぼのの縁取りを帯びていた。
あたしは迷わず制服に、着替えていた。
学校がある日でもないのに。

ドアの外は、寒気に支配されている。
黒のストッキングの足許にも、容赦なくそれは肉薄してくる。
柔らかで薄いストッキングは、意外なくらい有効に、あのゆるっとした束縛感で、寒気を遮ってくれる。
あたしは肩をすぼめて、駐車場へと脚を向ける。
肩をすぼめるのは、人目を避けたいからなのか。たんに寒いからなのか。
たぶんきっと、その両方なのだろう。

まだ黒ずんでいる街なみは、全体が群青色に変わった空の下、まだ眠っているようだった。
通りかかる人もまれな、表通り。
たまさか行き過ぎるウォーキングの人も、黒や紺の防寒着を厳しく着込んで、俯きながら、寡黙に通り過ぎてゆく。
女子高生にしては背たけのある、ひと目みればそれとわかる女装姿に、関心を示すものはいない。
こちらも努めて、通り合わせた人たちに関心を投げずに、スルーしていく。

わざわざ遠出してまで来るほどの意味はない、なんの変哲のない街なみに、ただ埋没しながら。
ウィッグの髪をユサユサ揺らし、
胸のリボンをそよがせて。
穿きなれたスカートを、ふぁさふぁさとさばきながら。
黒のストッキングに染まった脚を、外気にさらしつづける。

無言のうちにすぎるそのひと刻は、満ち足りた瞬間。
夜よりも明るみがあるはずのこの時間帯は、
写真写りがひどく悪くて、
あとに残るものなど、ほとんど撮れないのだけれど。
そんなことは、さほどの問題でもない。
ひとしきり歩いて気が済むと、
あたしは脚を止め、来た道を引き返す。
今朝の登校は、これでおしまい。
本物の学校に登校するわけでは、もちろんない。
そんな日が、来るはずもない。

家に戻ると、窓の外はすっかり明るい。
きょうも一日が始まる。
そして、あっという間に、終わっていく。


あとがき
とある女装者のつぶやきです。^^

札付きの義父 ~緊縛家族~

2014年06月24日(Tue) 07:58:13

知人の紹介で、見合いをした。
見合い相手の女性は、色が浅黒く、目じりのハッキリとした美人。
派手な柄をしたスーツがよく似合っているのと同じくらいに、しょうしょう品がないのが気になったけれど・・・
なによりもその発散するフェロモンの虜になってしまっていた。

気がついたらもう、披露宴だった。

父親が札付きであることも、
彼女がその札付きである実の父親とも付き合っていて、週に2回は寝ていることも、なんの苦にもならなかった。

新婚妻に外泊をおねだりされては、送り出す日常。
けれども父親のしつけがよいのか、夫の休日には彼女は必ず家に戻っていて、いつも夫婦で一緒に過ごしていた。

父親が、自分の情婦にしてしまった娘を婿に譲ることのできた本当のわけに気づいたのは、ほんの偶然からだった。
そう、結納の席ではじめて顔を合わせた母に、ひと目惚れしていたのだった。
父がいなくなってから数年たった母は、齢相応よりは若くみえた。
母親は、嫁の不義の相手と知りながら・・・いともかんたんに、堕ちていった。

送られてくるのは、妻と母の緊縛写真。
義父には、そういう趣味があるようだった。
けれどもわたしは、送られてくるたびそれらの写真に目を輝かせていた。
義父と同じ趣味に歓びを見出す自分を、認めないわけにはいかなかかった。

きっちりと結わえられたローブを、見覚えのあるよそ行きスーツに食い込ませながら。
歯を食いしばっている横顔。
恨みがましく見あげる上目づかい・・・
女たちのふだんは見せないそんな表情に、ついうかうかと引き込まれてしまって・・・
しきりに自慰をくり返しているわたしがいた。

あんた、女装するんだって?
受話器を通して囁く義父の声色は。
わたしのなかの”女”を目覚めさせるに、じゅうぶんだった。
母や、実の娘である妻までが堕ちていった理由が、あの声色を耳にした瞬間、どうりで・・・と思えてしまっていたから。
つぎの日わたしは、会社を休んで義父のところへ出かけていって。
好みの喪服姿で、荒縄をギュウギュウと四肢に食い込まされていた・・・
このおなじ縄に・・・妻も母も、巻き込まれていったのか。
息詰まるほどの圧迫感に耐えながら、わたしはなぜかその荒縄にさえ、親近感を抱いていた。

男とは初めてなんだが・・・案外と締まりのいいものなんだな。
半裸に剥かれて放心状態のわたしのかたわらで。
タバコをくゆらせる横顔は、ちょっとびっくりした表情をよぎらせていた。
あんた、時々付き合ってくれ。雅恵には俺から話しとくから。
義父の言うなりにこっくりとうなずくしぐさが、我ながら女のように従順だった。

それ以来―――
お誘いは、わたしのところにも舞い込むようになっていた。
むしろ、女ふたりが置き去りにされたかのようだった。
長女はともかくとして、待望の長男がわたしの子であったのは。
きっと、身をもってそういう機会を作ることができたからなのだ・・・と、いまでも思う。


いまでも結婚当時とおなじくらい、円満で堕落にまみれた日常が、ごく穏やかに、過ぎてゆく。

すっかりおばあちゃんになった母は、それでも義父との付き合いをつづけていて。
膚と膚とをすり合わせるのを生きがいにしていたし。

人妻フェロモン満々の妻も、実の父と寝るのを楽しみにしている。
男ふたりを相手にしても、旺盛な性欲にはますます磨きがかかるようだった。
いずれ息子の相手もするのだ・・・と、妙なところで張り切っている。

こうしているわたしも、スカートをはくたびに。
その奥深く食い込まされてくる肉棒の疼きに、脚の震えをかくせないし。

じつの祖父に抱かれる歓びを知ってしまった娘さえ、セーラー服姿で祖父の家の門をくぐっているという。
卒業祝いに処女喪失を・・という妻の希望は、もっと早くにかなえられて。
じゃあ卒業祝いは縄遊びね・・・という第二希望も、もっと早くにかなえられて。
わたしの画像のコレクションも、妻の顰蹙をよそに増えていった。
娘が母娘丼の味を知るのも、きっと卒業式よりよほど前になりそうだ。


あとがき
近親相関・不倫公認・女装・同性愛・・・いけない話が一気呵成にデキてしまいました。
^^;

13回めの逢う瀬 ~女子学生・奈子の冒険~

2014年05月23日(Fri) 23:38:18

遅いなあ、小父様ったら。
奈子は独り呟きながら、公園のベンチのあたりをうろうろしていた。
浅い春の日は、まだ短かい。
まだ六時まえだというのに、そろそろ陽が翳りはじめていた―――

愛用の薄茶のカーディガンは、いつ小父様が来てもいいように、脱いでいた。
ブラウス一枚の胸もとに、陽が翳るにしたがって増してくる冷気が、そらぞらしいほど肌寒くなる。
どうして寒い思いをしてまで、ブラウス一枚なのか?
小父様にいつ襲われても、いいようにするためだ。
そう、奈子は小父様に襲われるために、待ち合わせている。
小父様は、真っ白な制服のブラウスに、吸い取った生き血をチラッと撥ねかすのがお好き。
かつては恐怖に蒼ざめるばかりだったホラーなやり口に、小父様独特のお洒落心を見出すようになったのは、いつのころからだっただろう?
公園で待ち合わせている小父様とは・・・街に出没する吸血鬼のことだった。


奈子は、高校二年生。
初めて襲われたのは、一年生の夏休みが終わるころだった。
この公園で独り、来るあてがない男の子を待ちぼうけているときに、小父様がやってきたのだった。
初めて経験したキスは、首すじに喰い入ってくる牙。しかし、その牙の鋭利な切れ味に、もともとマゾッ気のあった奈子は、いっぺんで参ってしまったのだった。

小父様、いいよ。もっと噛んで・・・
奈子の思いがけない囁きに、小父様はちょっとびっくりしていたけれど―――奈子の望み通りに、首すじをなん度も噛んでくれていた。
真っ白なブラウスを、撥ねた血でびしょびしょに濡らしながら―――
ママにばれちゃうよ。
紅いまだら模様をにじませたブラウスに、困った顔をした奈子をなだめすかして。
だいじょうぶ。小父様がいっしょについて行って、お母様に謝ってあげよう、と。
小父様は親切にも、奈子にそういって―――その日は人妻の生き血をさえ、モノにしてしまったのだった。
以来奈子のママは、まな娘の共犯者になって。
吸血鬼の小父様が濡らしてしまうための奈子のブラウスや、咬み破って愉しむためのハイソックスを、いつも余計に用意してくれていて。
娘が日常的に吸血を受ける愉しみを、かげながらサポートしてくれているのだった。

そう。奈子のブラウスやハイソックスは、小父様のために用意したおもてなし。
きょうもハデに噛んでもらって、小父様に愉しんでいただくの。
ブラウスの襟首に這い込む冷気に首をすくめながら、奈子は身体の芯をほてらせて、小父様を待ちわびていた。

shukushou50 140430奈子 IMG_1018 大河津分水の桜X80


早かったな。
遅かったじゃない。
あらわれた小父様と正反対のことを言って、ふたりは声を合わせて笑っていた。
嘘、嘘。
口をとがらせる奈子に、小父様は含み笑いで応えていた。
5時半の約束だぞ
えっ?だってもう・・・あれ・・・?
奈子の腕時計の針は、5時25分を指していた。
待ち合わせの約束時間を早めにカン違いするほど、奈子は血を吸われたくってウズウズしている・・・というわけだね?
冷やかす小父様にひと言も言いかえすことができなくって。
奈子は、「もう」って、もう一度口をとがらせただけだった。

さて・・・と。さっそくいただこうか。
ウフフ。と洩らした含み笑いは。
男の切実な渇きが、まざまざと伝えて来て。
怖いけど・・・いいよ。
奈子はひっそりとした声色で、応えてゆく。
ベンチに腰かけた奈子は、おとがいを気持ち仰のけて、目を瞑る―――
小父様が隣に腰を降ろしてきて、奈子の肩に腕を回した。まるで、恋人同士のように。
獣じみた呼気が肩先の髪をかすかにそよがせ、うなじに熱く降りかかる。
欲しがってる。欲しがってるぅ・・・
奈子は胸を震わせながら、わが身を覆い隠さんばかりにしてのしかかってくる猿臂に、自分から身を擦りつけていった。

にゅるっ。
小父様の唇は柔らかで、熱い。
ぬるぬると生温かい唾液が、とてもいやらしい。
もっと・・・もっと奈子の首すじを愉しんで。
うわ言のような震え声が、惚けたように半開きになった口許からこぼれ落ちた。
それに応えるように。
カリリ・・・
鋭利な牙が力まかせに、喰い入ってきた!
奈子は思わず、悲鳴をあげて、目を見開いた。
目のまえに。
満開の桜がいっぱいに、ひろがった。
遠慮会釈なく、奈子のひそかな悲鳴など、おかまいなしに。
小父様はゴクゴクと、喉を鳴らして。奈子の血潮を、啜り取ってゆく。
強引に奪われる感覚が、脳天まで響くようなどす黒い歓喜で奈子を貫き、痺れさせた。
あーっ、血を吸われちゃう。生き血を吸い取られちゃう・・・っ。
くずおれそうになる身体をがっちりと支えてくれる腕に身をゆだねながら、奈子はなん度もなん度も、うめきつづけた。

shukushou75 140430奈子 IMG_0990 大河津分水の桜X70


ふと―――
スカートのなかに、小父様の掌を感じた。
それは奈子のショーツの周りから、たいせつな秘所を、くまなくまさぐりつづけていた。
さすがにショーツのなかにまでは、手を入れてこなかったけれど。
うら若い娘から血を吸い取っているとき、昂ぶりのあまり・・・ということで片づけてしまうには、あまりにも露骨でしつようなやり口だった。
吸血の愉悦のあまり・・・お互いに気づかないふりをしていたけれど。
奈子は黙ってまさぐりを受けつづけ、ひそかに股間を熱く濡らし始めてゆくのだった。

小父様は奈子の身体を、求めている―――そう実感するようになったのは、逢瀬を重ねてどれくらい経ってからだろうか?
奈子の体調を考えて、小父様が奈子の生き血を求めてくるのは、月に1~2回だった。
その間合いの長さを待ちきれなくなって、奈子のほうから小父様にもっと逢う頻度を増やして・・・とおねだりをしたのは、年明けになってからだった。
冬服を汚すのをためらう小父様は、奈子のブレザーやカーディガンを脱がせて、ブラウス一枚のうえから、奈子の首すじを狙うのだった。
あまり頻繁に逢っては寒かろう?
秋から冬へと季節が移ってくるにつれ、寒そうにブラウス姿をさらす奈子を気遣う小父様に、
寒くても平気。奈子、強いから。
奈子は言下に、そう応えていた。

小父様は、処女の生き血が好みだった。
初めて逢ったとき、もうなにが起きていてもおかしくない年頃の奈子が処女だということを、吸い取った血の味で識って。
小父様の寵愛は、そのとき決まったかのようだった。
処女じゃない子はね、お仕置きに、その場で犯して、あげく生き血を一滴残らず吸い取ってしまうのだよ。
しばらくは処女でいなさい・・・そういうつもりで小父様は、奈子をそんなふうに、脅かしていた。
たしかにこの街では、年になん人か、年頃の少女が姿を消すといわれている。
奈子は小父様の言い草を、無邪気に信じていた。
怖い・・・怖いっ!血を吸われるぅ、血を吸い取られちゃうっ・・・って、いつも小声で囁きながら、自分と小父様の双方を、声色で昂ぶらせるようになっていた。

13回逢えば、生き血を全部、吸い尽されてしまう。
それ以前でも、処女を奪われてしまえば、その場で生き血を一滴残らず吸い取られてしまう。
小父様から聞かされているそんな生態が、一線を超えるという行為に走ることを、彼女に躊躇させていた。
奈子はスカートのすそをつかみながら、スカートの奥を指で穢してゆく小父様の誘惑に、耐えつづけた。

こんどは、いつにする?
別れ際、囁きかけてくる小父様に。
あしたにしよう。
蒼ざめた頬を輝かせて、奈子は囁きかえしていた。
あした?早過ぎはしないか?
そんなことない。奈子は強い子だから。
その明日が13回めになることを、奈子も、小父様も、ちゃんとわかっていた。

翌日―――
クラスメイトと別れた奈子は、いちど家に戻ってブラウスを着替えハイソックスを履きかえると、いつものように公園に向かった。
小父様に襲ってもらうときは、真新しい制服に着替えるのが奈子の習慣だった。
いつものように送り出してくれるママにバイバイをして、制服のスカートのすそを夕風にひるがえして、いつもの公園に向かう。
見慣れた街路樹。通いなれた通学路。
これがこの道を歩く、さいごかもしれなかった。
けれども奈子に、悔いはなかった。
あたしが血を全部吸い尽されて、冷たくなって公園に横たわっていたら。
パパもママも、きっと悲しむことだろう。
けれどもその代わり、奈子の熱情を秘めた血潮は、さいごの一滴まで、小父様のものになる。
奈子は小父様のなかで、永遠に生き続ける―――

いつもより遅い時間に待ち合わせたので、あたりはすでに薄暗かった。
小父様、どこ?
問うまでもなかった。点りはじめた公園の照明のかなたに、彼女のもうひとつの生命である人影が、こちらに正対していたから。
おいで。
言われるままに、奈子は小父様の胸に身体を投げかけた。
背中にしっかりとまわる、逞しい腕―――
この腕がほどかれる前に、あたしはたぶん、意識をなくしてしまっている―――
不思議と、恐怖はなかった。
奈子はいつものようにおとがいを軽く仰のけて、目を瞑る。
咬まれた瞬間、いちど瞑った目を、思わず見開いた。
きょうは、特別な日―――
その日を彩る桜の花びらが、奈子の視界いちめんに、広がっていた。

140430奈子 IMG_1029 大河津分水の桜11X70

二日続きの吸血なのに、意外なくらい、身体も意識もしゃんとしていた。
尻もちをつくようにしてベンチに腰かけた奈子は、ハイソックスの脚にいやらしく舌なめずりをしながらよだれをしみ込ませてくる小父様に、にこやかに応じていって。
小父様がふくらはぎのあちこちを吸いやすいように、時おり脚の向きを変えてやったりすらしていた。
ハイソックスを両方とも咬み破られてしまうと。
スカートのなかに、いやらしい掌が、さ迷い込んできた。
ショーツのうえからまさぐる掌は、あきらかに欲情している。
パパ、ママ、自慢していいと思うよ。パパとママからもらった奈子の生き血は、なん百年も生きながらえてきた吸血鬼の小父様のお口に合っているんだから・・・
ぼうっとなってくる理性に歯止めをかけようとけんめいになりながら、奈子は身体が傾いてくるのをどうしようもなくなっていった。

頭を埋めた草地は、若草のむっとするような匂いに満ちていた。
鼻腔に流れ込む草の匂いにむせ返りながら、奈子はブラウスにほとび散らされてゆく血潮にうっとりと見入っていた。
指先をすべらせると、バラ色の血潮がかすかに指を染めた。
自分の血に染まった指を、奈子は咥えてみた。
ツンと鼻を衝く芳香に、奈子はうっとりとした。
血を全部吸い取られちゃったら、吸血鬼になるのかしら?
薄ぼんやりとそんなことを考えたけれど、やはり恐怖は感じなかった。
むしろ、
犯されてしまう。
そのことのほうにこそ、注意力のすべてが集中しているといえた。
恐怖も、昂奮も、期待も、ドキドキ感も。
ブラウスをまさぐる掌が、いっそう荒々しくなって―――小父様は奈子のブラウスを剥ぎ取っていった。
あ、あ、あ・・・
そらぞらしい冷気が、むき出しになった肩を、二の腕を、侵蝕していく。
けれども初々しい昂ぶりを帯びた素肌はカッカと火照っていて、そんなものはものともしてないようだった。
あれだけ血を吸われちゃったのに・・・あたしったら元気!
どうして元気なの?それは奈子が、いやらしいから・・・?
思わず奈子は顔を真っ赤にして、自分のことを上から抑えつけている小父様を見あげた。
瞬間、ディープ・キッスが降ってきた。

初めて・・・かも・・・っ。
いつも首すじを咬まれるだけだった。
それが、唇と唇とを真正面から重ね合わせて、吸われている。いや、お互いに吸い合っている!
さいしょは錆くさい血の香りしかしなかった。
けれども、せめぎ合う唇と唇とは、べつの芳香をかもし出していた。
淫らなエキス―――だれに教わったわけでもないのに、そんな表現が奈子の脳裏に浮かんだ。
奈子は自分もスカートの奥へと手をやると、自分の手でショーツを足首まで引きずりおろしていた。
脛の途中までずり堕ちたハイソックスを引っ張りあげる余裕も与えられずに、ふたたび組み伏せられた奈子は、股間に剄(つよ)く逆立った熱い肉茎が迫って来るのを感じた。

ああ~、犯されるっっ。奈子、犯されちゃうっ。
血を吸われて死ぬ覚悟をしてきたはずなのに、犯されるという事実の前に奈子は立ちすくみ、縮みあがってしまっていた。
愉しむとか、応えるとか、そんな心の余裕はもう、どこにもなかった。
ただひたすら、小父様の背中にしがみついたまま―――
痛い。すっごく!痛いっ!
なん度も股間をえぐられていった。
ずぶずぶ と。
埋め込まれたり。引き抜かれたり。
そのたびに。
スカートの裏に、血が撥ねるのを感じていて。
太ももはもう、居心地の悪いほど、汗と血潮と、小父様の情熱の体液とで、どろどろになっていた。
はぁ、はぁ、はぁ・・・
血を吸われるよりも、よっぽどたいへん!
奈子はなん度も声をあげかけて、そのたびに小父様にディープ・キッスの口止めをされて。
激しくかぶりを振りながら、けっきょくのところなにもできないままに、ただ股間のせめぎ合いだけで、小父様に応じるばかりだった。

はぁはぁ。。。
ふぅふぅ。。。
100メートル全力疾走?いや、300メートルかも知れない。
草地に横たわる奈子は、剥ぎ取られたブラウスを胸にかけられた格好のまま、しばらくは強い眩暈を消せないでいた。
どうだね?一人前の女になった気分は?
顔を覗き込んでくる吸血鬼に。
奈子はひと言、

ばか。

と応じていった。
汚されちゃった・・・疲労と虚脱感とが、そんな屈辱的な敗北感につながりかけるのを。
奈子のなかでかま首をもたげたマゾッ気が、すかさず打ち消していた。
小父様、愉しめた?
白い歯をみせる奈子に、
言わせるな。
小父様はもういちど、奈子の唇をふさぎにかかった。
愉しかったら・・・もっと汚して。
奈子のひと言は、小父様の情念を決定的に燃え上がらせていた。

小父様、奈子を心ゆくまで犯して。
それから奈子の生き血を、一滴残らず吸い取って。
奈子はかまわないから。それでも嬉しいから・・・

事果てて起ちあがった奈子のまえに、満開の桜が咲き誇っていた。
綺麗―――
照明に照らされた桜は、妖しさをさえ秘めながら、だれ観る人もない公園の一隅で、ひっそりと華やかに咲き誇っている。
奈子のようだね。
小父様が後ろから、奈子の肩を抱いてくる。
そうだね・・・
てらいもなにもなく、奈子は素直に、うなずいていた。
さあ小父様、奈子を咬んで。
奈子の生き血を、気の済むまで愉しんで・・・・・・

shukushou50 140430奈子 IMG_1071 大河津分水の桜X70




数か月後。
おなじ公園に現れた奈子は、新調したばかりのピンクのワンピに身を包んでいた。
こんばんは、エッチな小父様。
こんばんは、いやらしいお嬢さん。
ふたりは以前と同じように、逢瀬を重ねつづけていた。
奈子はもう、死んじゃったんだ。死んじゃったら、どんなことも羞ずかしくないだろう?
小父様に囁かれてから。
奈子は小父様の望むことを、なんでもしてしまっていた。
小父様に咬み破られた真っ白なハイソックスに、血を撥ねかしたまま登下校したり。
授業時間中に呼び出しを受けて、奥の秘密の教室で吸血とセックスのレッスンを受講したり。
奈子の体調がいまいちなとき用に、お友だちをなん人か、紹介してあげちゃったり。
小父様を家に招(よ)んで、ママとふたりで母娘丼を実現させてあげたのは、さすがにパパには内緒になっている。

まったくもうっ、死んじゃったなんて、嘘でしょう?
おや、ばれたかね?
小父様は痛くも痒くもない、と言いたげに、奈子にからかい口調で応じてくる。
奈子に恥ずかしいこと、いっぱいさせたくて、嘘ついたんでしょう?
そこまでわかっておれば、合格点だな。ちゃんと高校も、卒業できるだろう。
んもうっ!
小父様の肩をひっぱたいておいて、奈子はひとりごちていた。
大好きだよ、小父様。
死んでいても死んでいなくても、小父様の望むこと、奈子はなんでもしちゃうんだから。
そういえばママも、あたしと同じ日に初めて咬まれたのに。
もちろん処女じゃなかったから、セックスまでされちゃったのに、ふつーに生きてるものねえ・・・
いまごろ気づいたことがたまらなくおかしくなって。
いぶかしげに顔を覗き込んでくる小父様を尻目に、奈子はきゃっきゃ、きゃっきゃとはしゃぎ笑いをつづけるのだった。
2014.05.02原案 


あとがき
いつも当ブログにお越しいただいている女装子「奈子」さんをモデルに、小説を描いてみました。
末尾にそう描くまで、柏木さん、彼女できたの~?なんて勘違いしてくれる人が一人でもいらしたら、この企画は成功♪(*^^)vということで。
(^^)

熟成 ~美味になってゆく血~

2014年05月06日(Tue) 09:13:15

悪かった。ありがとう。恩に着る。

肩で息をしている恵太郎に、男は云った。
冷たい声色は生来のものらしかったが、声の響きには真実味が伴っている。
恵太郎はなにか言おうとしたが、声にならず、ただゼーゼーと荒い息を洩らすだけだった。
男の口許には、さっきまで吸いつづけていた恵太郎の血が、生々しく散っている。
夕方の散歩道を襲った男の正体は、吸血鬼だった。

そういうものが出没するとは、聞いていたけれど―――

恵太郎がそのうわさを軽視したのは、半分は本気にしなかったからでもあるが、半分は男が襲うのはもっぱら女の子だと聞いていたからだった。
唯一の失策はといえば―――ショートパンツにサッカーストッキングを履いていた恵太郎の服装にあったのかもしれない。
スポーツ音痴な彼がサッカーストッキングなんかを履くのは―――たんにハイソックスが好きだったから。
どうやらその好みは、不幸にも男と共通してしまったらしい。
男は、通学途中の女子学生にしばしばそうする・・・といわれるように、恵太郎のふくらはぎに噛みつくと、真っ白なサッカーストッキングにバラ色のしずくを散らしながら、生き血を啜ったのだった。

こっち側もいいかい?

さいしょに咬まれた首すじと、そのあと食いつかれたふくらはぎの傷を抑える少年に、男がしつようにも、もう片方の脚をねだったとき。
恵太郎はおずおずとだが、まだ咬まれていないほうのふくらはぎを、吸血鬼のほうへと差し伸べてやっていた。
たるんでずり落ちかけたサッカーストッキングを、わざわざ引き伸ばしたうえで。
ふたたび吸いついてくる唇が、しなやかなナイロンの舌触りを愉しんでいるのをありありと感じながら、
くまなく舌を這わせて来る吸血鬼が吸いやすいように、時おり脚の向きを変えてやっていた。

すまないな。ありがとう。恩に着る。
おかげで・・・今夜かぎりで死なずとも済みそうだ。

男は、本心から感謝を伝えているようだった。
ようやく心のゆとりを少しだけ取り戻した恵太郎は、訊いた。

女の血しか吸わないんじゃなかったの?

男はにんまりと笑みながら、余裕たっぷりに答えていた。

そうだね。ふだんはね。でも、死ぬか生きるかというときに、そんなぜいたくは言っていられない。
それにあんたの血、男にしちゃ案外と、いい味だったぜ?



恵太郎がその男と”再会”を遂げたのは、それから数年後のことだった。
刻限は真夜中―――家族が寝静まったのを見計らって、家を出てきたときだった。
夕方の習慣だった散歩を、どうしてそんな時間まで繰り下げたのか。
恵太郎はそのとき、釦が反対についているブレザーにブラウス、真っ赤なミニスカートの下には、真っ白なハイソックスを履いていた。

不思議だな。

抑えつけた少年からひとしきり生き血を吸い取ったあと。
男はふと漏らした。
数年まえのときも、少年が苦情を訴えず、吸血事件がおおごとにならなかったのは。
男がいつも真剣だから―――なのかもしれない。
あのときは生命の危機にさらされていたし、いまは少年の血の味の変化を、まじめにいぶかしがっている。

どういうこと?

恐怖も忘れて、少年は訊ねた。

きみの血、ますますいい味になっている。

恵太郎は、ふと納得がいくような気になった。
女の子に近づけば近づくほど、血の味が彼の気に入るようになるのだ―――と。
むしょうにハイソックスを履きたがっていたあのころ、彼のその素質は、明らかになりかけていた。
そして今―――人にはいえないコアな趣味に夢中になってしまった彼のなかで、”女”の部分は明らかに影を濃くしている。

小父さん、ハイソックスが好きなんだね。

ああ、汚しちまって、わるかったな。

いいんだ―――小父さんなりに、愉しんでくれてるみたいだから。

恵太郎は尻もちをついたまま、女の子がそうするように、はぐれあがったスカートを直しつけると。
たるんでずり落ちた白のハイソックスを、ひざ小僧の下まで引っ張りあげて―――ひと言、洩らしていた。

せっかく履いてきたんだから、気の済むまで愉しんで。

足許に擦りつけられてくる唇の熱さを実感しながら。
恵太郎はこれからの秘密の散歩に、心強い連れができかけているのを、予感していた。

郁夫ちゃん、遊ぼ。

2014年01月29日(Wed) 07:54:16

あなた、なにかに憑(つ)かれてるんじゃない?
妻の貴和子に言われて、郁夫は怪訝そうに妻を見返した。
この写真、ヘンだよ・・・
貴和子が指し示したPC画像―――それはほかならぬ、郁夫自身の女装した姿が写されたものだった。
決して視られてはいけないものを、妻に見つかってしまった。
浮気現場の証拠写真などよりも、はるかに恥ずかしいものだった。

「女装なんて、浮気されるよりも恥ずかしい」
面と向かって、そう言われたこともある。
それは結婚してしばらく経って、十代のころから続けていた女装趣味がばれたときの妻の言葉だった。
言葉の棘の鋭さに苦悶する彼の心境などお構いなしに、妻はたたみかけるように言ったのだった。
「全部捨てるわよ。いいよね?」
通販サイトのページをクリックするのに二時間もためらった挙句買った、初めての婦人もののスーツ。
初めての外出のとき、ドキドキしながら身に着けたウィッグ。
思い入れのある品々は、目にするのも忌まわしい汚物として、妻の無同情な手によって葬られていった。


そのときのことを”初犯”と呼ぶのであれば、いまはもう”累犯”と呼ばれてしまうのだろう。
「まだそんなことしているの!」
妻の絶叫は、ほぼ絶望に等しい本音を帯びていた。

あなた、子供なん人いるか、わかってる?
子供がいくつになったのか、自覚してる?
絵里だって、美優だって、お父さんがそんなことしてるなんて聞いたら、どう思う?
あの子たちと同年代の服着てるんだよ?

そう、郁夫のはまり込んでしまった趣味の対象ほとんどは、セーラー服女装といわれれる、女子中高生の制服にあったのだ。
このまま家庭崩壊まで、突っ走るのか。
どす黒い矢が心臓に突き刺さり、奥の奥までえぐり抜いていくような感覚に、郁夫は声にならないうめき声をあげる。

ところが数秒して、妻の目の動きが止まっていた。
「あなた、なにかに憑かれてない・・・・・・?」
PC画像を見つめる瞳には、疑念と恐怖が渦巻いていた。

もう責めないから、ありのままを言ってちょうだい。
女装していると、どこがいいの?
いや、いちいち否定したりしないから、思ったままを言ってちょうだい。
書くほうが伝えやすい?ボールペン持ってこようか?

矢継ぎ早の詰問に、郁夫はもうなにも話したくない・・・と、胸のふさがる思いだったけれど。
妻は強いて彼にボールペンを持たせて、書くようにと言った。
抵抗あるのはわかるけど・・・一家のあるじとしての義務だと思ってちょうだい。
気がつくと妻は正座していて、大真面目に彼のことを見つめていた。

だれか優しいお姉さんのような人が、いっしょに寄り添ってくれるような感覚。

どれほど時間がかかったのか、自分でも定かではない。
しいて書いたのが、この一行だった。

妻はいままでのように気味悪がるのではなく、夫の書いた一行を、じーっと見て、なんども読み返しているようだった。

あのさ、思うんだけど。

もうこれ以上、なぶりものにするのはよしてくれ・・・
そう思った郁夫の想いとは、まるでちがうことを妻は口にした。

ここに写ってるの、ほんとうにあなたなの?
あたし、思うんだけど―――
これって、その「優しいお姉さん」そのものなんじゃない?


貴和子の祖父は、地元の大きな神社の神主だった。
会ったのは結婚の時と、ひ孫が生まれた時に一度ずつ、会わせに行ったときだけだった。
その男が、あのときよりも長く白くなった顎鬚を垂らして、いま郁夫のまえにいる。
齢はとうに、八十を過ぎているだろう。
これで四回目になる訪問のいずれもが、いかにも神主らしい、真っ白な衣冠束帯姿であった。
眉毛はまぶたに垂れ下がるほど太く、それが男の表情をよりいっそうわからないものにしていた。

あなたも知っているでしょう?うちの祖父、憑きもの落としができるの。
あなた行って、お祓いしてもらってきてください。

お願いですから・・・妻の言をむげにするという選択肢は、すでに存在していなかった。

人に向かって口にするのはもとより、ボールペンで描いてさえ恥ずかしさを覚える、その感覚。
だれか優しいお姉さんが、寄り添ってくれている という感覚。
それはしかし、女性の服装で街の夜昼を徘徊する愉しみを覚えた彼にとっては、なくてはならないものだった。
そのひとはいつも、彼に触れるばかりの距離感で、影のように寄り添ってくれていて。
なにかを話しかけたり、励ましたり、慰めたりしてくれていて。
おかげで、いままでのいろいろなこと―――会社の上司につまらないことを言われたりとか、仕事上のつまらない齟齬とか、家族との些細ないさかいとか―――ひとつひとつは取るに足らないいろんなストレスの集積が、たまりたまって自分の心と体を蝕むのを、確実に和らげてくれていた。
―――だいじょうぶ。だいじょうぶ。わたしがついているから。
「優しいお姉さん」はいつも声にならない声でそう囁いて、郁夫のことを励まし続けてくれていた。
それは母にも妻にもない、彼の全てを赦し包んでくれる、蜜のように甘く寛容な優しさだった。

「お祓いをしてもらう」ということは、その「優しいお姉さんとお別れをする」ということに直結するのだと。
宗教にうとい郁夫にも、すぐにわかった。
それは嫌だ。どうしても気がすすまない。
何度も繰り返し拒んだ郁夫に対して、しかし主導権を握っているのは明かに貴和子のほうだった。
女装をしている、ということは、夫婦の間でそれくらい、決定的な力関係を生んでしまっていた。

家族のことを、考えないの?
いつまでもそんなことをやっていて、本当に許されると思っているの?
自分の義務を果たしてください。

秘密の画像を発見したそのときと同じ剣幕に立ち戻って、妻はたたみかけるようにそういって。
さいごにぽつりと、言ったのだった。

あなたのしていることって、その「優しいお姉さん」とやらと浮気しているのと、同じじゃないの。

ひとりで妻の祖父のもとに向かう道々、なんど思ったことだろう。
お別れしたくない。
何度も自分のことを救ってくれたお姉さんを、退治などしたくない。
家庭と職場との板挟みで悩む、たった独りの道を迷いつづける彼にとってのさいごの慰めまで不当に奪われようとしていることに、どうしても納得することなど、できなかったけれど。
夫であり父親であること。
社会のなかで生きていくためのそうしたよりどころを失わないためには、彼のまえに敷かれた道は、すでにひとつしか残されていないのだった。

現れた貴和子の祖父は、孫娘からすべてを伝えられているのだろう。
十数年ぶりの面会に、どうあいさつをしたものかと戸惑う彼を、有無を言わせず社殿の奥へと促していた。
神主というよりも仙人のような白髪と白髯の持ち主は、しばらくのあいだ、孫娘の夫のことをじーっと見つめた。
なにかを見通すかのような、冷徹な視線だと思った。
妻の無同情な目と、似ているようでもあり、まるきりちがうようでもあった。

あの・・・郁夫はおずおずと、問いかけた。
なにかに憑かれていると、あなたもお考えですか?
男はしずかに口を開いた。
呟くような、表情のない声色だった。
憑いているともいえるし、そうでないともいえる。

自分に寄り添う慕わしい影とは、本当に妻のいうように、浮気のようないかがわしい関係なのか?
そうしたものを慰めとして抱きつづけることは、家族に対する犯罪行為なのか?
もしもそれを失ってしまったとき、自分はいったいどうなるのか?なにをよりどころにしていけばいいのか?

訊きたいことは、いろいろあった。
神主といえば、宗教人だろう。
人の心の悩みを解決するのだって、役割じゃないのだろうか?

けれどもそうした郁夫の想いなど無縁なように、彼はさらに奥の間へと彼を促し、正座をさせた。
有無を言わさず、「悪魔祓い」をするというのだろう。

「お祓い」は、ものの数分でおわった。
まるで、おまじないのような、他愛なさだった。
「帰んなさい」
ぶっきら棒にそういわれたとき、神主はお祓いをするのをやめたのだろうか?と思ったくらいだった。
「たぶん、だいじょうぶだろう、と、貴和子に伝えんさい」
男は訪いをいれたときと寸分変わらないそっけなさで、郁夫にそういった。
「たぶん、な」
部屋を出ていく時、ちょっとだけ振り返って、神主はそうつけ加えると、郁夫のことを玄関まで見送るでもなく、自分のねぐらへとひきあげていった。


神主の霊験は、あらたかだったのだろうか?
郁夫の女装熱は、すっかり冷めていた。
ひた隠しにしていたセーラー服を妻が捨てると宣言したときも、出勤前のネクタイ結びに熱中しながら、なんの感興もなく頷くだけだった。
彼が女装をすることも絶えて無くなり、家庭にはうわべだけにせよ、平穏が戻った。
仕事は順調とも不景気ともいえないままに、ただ淡々と進行していって、
子供たちは結婚して独立し、彼は定年を迎え、そして夫婦で退職金を分け合って、離婚した。


いったいなにが、残ったのだろう?
あてもなく散策に出かけた公園の前は、柔らかな陽射しに包まれていた。
妻は分与された財産を老人ホームに入金して、ホームで作った仲間の中心になって、第二の人生を生き生きと過ごしているという。
娘たちは孫の顔を見せにお祖母ちゃんのいるホームを訪れることはあっても、郁夫が独り棲んでいる自分たちの実家であるはずの家には、近寄らなかった。
きっと、妻からすべてを聞かされているのだろう。
子どもたちにはなにも言わない。それが夫婦の間の約束だったはずなのだが。
彼らとはもう二度と、顔を合わせることはないのだろう。
自分には、もうなにもない。
家族の望む通りの平凡なサラリーマン人生を波風なく通り過ぎて、残されたものは独りきりの生活と、古い物たちに囲まれた日々。
あのお祓いは、けっきょく妻に利用されたというだけのことだったのか?
妻にとってのみ都合のよい後半生を、夫婦が過ごすために、彼はたいせつな宝物を失った。

浮気された。
彼の胸をもっとも強く突き刺したはずの妻の嘆きは、おそらく、愛情の裏返しとしての嫉妬などではなく、自分の夫が彼女のなかに女としての値打ちを認めなかったことへの怨嗟にすぎなかったのだろう。

たしかに、体裁のよいだけの月日は過ぎた。
そして、さいごまで夫を愛することができなかった女は、老いさらばえた身をそむけて去って行き、自分の幸せだけを追いかけて、いまは彼とは別の世界で暮らしている。
気がつくと、公園の入り口の手前で、郁夫は立ち止っていた。
公園のまえの通りは、細道だった。
周囲にあるのは、数十年まえと変わらない、あるいは郁夫がまだ若い頃から変わらない、昭和のたたずまい。
ふと彼は、だれかの聞き慣れた声を耳にしたような気がした。
「郁夫ちゃん、遊ぼ」
その声には柔らかなぬくもりがこもっていて、切ないほどの優しさと甘えたくなるような深い響きを帯びていた。
「ずっと離れていたね。でももういいんだよ。よくガマンしたね。えらかったね。だから、いっしょに遊ぼ」
塀の向こうに伸びた道は、行き止まりのはず。
その塀の陰から姿を現したのは、濃紺の襟首に三本のラインの走る、古風なセーラー服姿。
三つ編みに結わえた黒髪を肩先に揺らした彼女は、白いおとがいを輝かせ、無邪気な笑みを湛えている。
「郁夫ちゃん、遊ぼ」
少女の微笑みに郁夫はゆっくりと頷くと、白く乾いた道を、少女の佇むほうへと、しっかりとした足取りで近寄っていった。

【三千回記念作品】 昏い白昼夢 ~母と娘の妖しい午後~

2013年12月08日(Sun) 09:14:01

黒い人影が、まるで白昼夢のように。
木枯らしの舞う街かどに、ひたひたとした歩みを刻んでゆく。
男が目ざすのは、かつての親友の家。
齢の離れたその男は、こちらがたいしたことをしてやったわけでもないのに、命を助けられた、としきりに恩に着て、
いつでも来てもらって構わない。
彼はそう言ってくれた。
けれども男は、つねに遠慮し続けていた。
気持ちは嬉しいが、わしがあんたの家に行くということは、どういうことなのか分かっているだろう?
分っているからこそ・・・ですよ。
男はゆっくりとかぶりを振って、彼の切望を振り切った。
けなげにそう応えた男の貌には、それでも家族を心から愛する者の色合いが、濃くにじみ出ていたから。

いまは・・・そんな悠長なことは言っていられない。
ひたすらに、渇いてしまっていた。男を援けるものは、この街にはまったく、居合わせなかった。
男の命を救うことのできるのは、人の身体に脈打つ血潮だけ―――それもきょうの、夜のとばりが降りるまえに相当の量を摂らなければ死に至るという、切羽詰まったものだったから。

なんども通りすぎた道だった。
なんどこの通りを、逡巡しては行き来して、そして通り過ぎていったことだろう?
親友の家族の血をねだるという行為は、それくらいに彼のなかでは禁忌だったのだ。
―――とくに同意も経験もないもののそれは・・・

彼の意思に反して、
彼の足はその家の門前に立ち止り、
彼の指はその家のインターホンを押していた。
表札には「神代 隆 澄江 麻美」と、そこに住むものの名前が記されてあった。

りぃん・ろぉん・・・

切羽詰まった身とはかけ離れたのどかな音が、遠くから聞こえてくるような気がした。

はぁい、どなた?

インターホン越しの女の声は伸びやかで、やはりのどかな響きをもっていた。
まだ晩ご飯の支度には早い、昼下がりというにはやや晩(おそ)い刻限だった。


玄関のポーチに姿をみせたのは、飾り気のないジーンズ姿の、四十半ばの主婦だった。
闊達な人柄のしっかり者だと聞いていた。
化粧気のない顔つきに、力のこもった瞳。活き活きとした表情。
玄関先まで歩みを進める足取りの、キビキビとした身のこなし。
それらは男の求めてやまない活力を秘めたものだった。

「主人の会社のかたですの?初めてお目にかかりますわね?いつも主人がお世話になっています」
神妙なお辞儀さえもが、キリッとしたものだった。
「お手紙を預かっております」
やや古びた紙に走り書きされた筆跡が間違いなく夫のものだと認めて、主婦はその文面に目を走らせた。
女の顔つきからさっきまでのリラックスした陽気さが消え、男を見る目が身構えるような妍のあるものに変わっていた。
「お話はたしかに、伺っておりますが・・・」
けれども主婦の顔には、まだかすかな逡巡が残されていた。
―――どうしても、今なのでしょうか・・・?
そう問いたげな、戸惑いの視線がそこにあった。
携帯の着信音がした。
「失礼」
女はエプロンのポケットにむぞうさに突っ込まれた携帯を取り出すと、すぐにそれを耳に当てて・・・とっさに、日常の態度に戻っていた。
「ああ、あなた?はい・・・はい・・・ええ・・・いらしてます。わかりました。じゃあそうするわね」
キビキビとした切り口上は、この女の身上らしい。男はその態度にさえ自分がいま欲している活力を見出す思いで、惚れ惚れと眺めまわしていた。
「主人から電話でした。あなたのことを、どうかよろしく・・・って。おあがりください。いくらなんでも、ここではなんですから・・・」
女は門におりた錠を開け、玄関のなかへ男を招き入れるために、少しためらいながら男に背中を向けた。

十分ほどもしただろうか?
よそ行きのスーツに着替えた女は、ふたたび男のまえに姿を見せた。
こんな格好で、よろしいですか?
そう言いたげな目色を読み取って、男は鷹揚に頷いた。
活発な主婦であるこの女が、こういうものを着ることは、めったにないようなのが、どことなくぎくしゃくとした着こなしに、見て取れた。
女は夫の意を汲んで、自分に馳走をしようとしている―――彼女の意図が伝わっただけで、彼にはじゅうぶんだった。

「ごあいさつが遅れました。神代澄江、と申します」
女は腰を下ろすと、畳に指をついて、神妙なお辞儀をした。
「わたしどもはこういうものですので、名前は秘することになっています。あえて名乗りませんが、かりに清雄・・・とでもお呼び下さい。私のことはとうに、お耳に入っていたようですね?」
「主人からうかがって、よく存じ上げております。本日は、どうぞお手柔らかにお願いいたします」
出された座布団のうえに無言で端座している男をまえに、澄江はちょっとのあいだ戸惑った。
このあとどうすればよいかまで、聞かされていなかったからである。
澄江はちょっとのあいだ、あたりをきょろきょろと見まわした。
雑に積み重ねられた座布団や、その場に脱ぎ捨てられた衣類。不必要に中身の伸びたボックスティッシュ。
お客を迎えるには、部屋はあまりにも雑然としているように、澄江は感じた。
ガラス窓からは、庭に佇む古びたラティスと、それから格子の嵌った隣家の窓が目に入った。
女は障子戸を締めて、外界からの視界を断った。
むやみと気遣いする必要は、なさそうだった。
男は女の動きに合わせるように、背後から影のように寄り添うと、スーツのジャケットの上から肩を掴まえていた。
あ・・・
女が声を呑むすきに、男は女の着ているジャケットを脱がしにかかった。
無抵抗な上半身から取り去られたジャケットは、部屋の隅に重なっている、脱ぎ捨てられた衣類の上に投げかけられた。
ブラウス一枚になった上体を寒そうに抱え込むと、澄江は言った。
「お手柔らかにお願いしますね」
いつもの澄江には似ず、気弱な声色になっていた。
男は応えるかわりに、女のうなじのつけ根に唇を吸いつけると、つよく吸った。
這わされたくちびるのすき間から覗いた鋭利な牙が、チカリと残忍に輝いた。


一時間後。
神代麻美は黒い鞄をぶら提げて、家路をたどっていた。
無表情な街かどの風景に、白のラインが鮮やかに三本走る黒のセーラー服姿は、しっくりととけ込んでいる。
黒のストッキングを履いた脚を投げ出すように、彼女はずんすんと歩みを進めてゆく。
いつものように大またの、活き活きとした足取りだった。
女の子にしては活発過ぎるその足取りは、小気味よくリズミカルで、薄墨色のナイロン生地に淡く染められたふくらはぎには活き活きとした生気がみなぎっている。

「ただいまー。帰ったよー。」

131207 01 なにも知らずに帰宅した娘。

開けっ放しの玄関から麻美はいつものように声を投げた。
しかしいつも返ってくるはずの元気な母の声は聞こえてこなかった。
出かけているのか?
しかし鍵も掛けずに買い物へ行くような人ではないはず…
そう思いつつ、麻美は何故か胸騒ぎを覚えていた。
とりあえず階上の自室へ行こうと、階段を上がりドアノブへ手を掛けたその時だった。

「おかえり…」

突然背後から消え入るようなかすれた声を掛けられて、麻美ははでに飛び上がった。

「ちょっともうー!いたのー!?びっくりさせないでよー!」

安堵しつつ向けた視線の先には表情も虚ろでひどく顔色の悪い母親がいた。
え?なに?風邪でもひい…
歩み寄りながら、そう言いかけたところで初めて、母の後ろに同じく顔色の悪い長身の男が立っていることに麻美は気が付いた。

父親ではない男が、平然とした顔で我が家の中にいる。
その異様ともいえる光景に混乱し、何一つ言葉も出せずにいる娘をよそに、母がひっそりと口を開く。

「この方にね、あなたを紹介したのよ。」
「えっ、どういうこと?」
「処女の生き血は、それはそれは格別なんですって…。あなた、まだ処女だよね?」
「どうしたのよっ、急にそんなこと・・・処女に決まってるじゃない!」
時ならぬ母親の言葉に、麻美はしどろもどろになりながらも、気強く応えた。
でも待って。処女の血って、どういうこと?
疑惑と共に浮かんだ自問の応えは、母親の口からかえってきた。
「だったら娘を是非…きっと気に入ってもらえますわ…って。」

処女?生き血…?え…?なにを言っているの……?
一体なにが起こっているのか、全く理解できない。
すでに闇に呑まれつつある部屋に音もなく佇む、見知らぬ男と狂った母。
底知れない恐怖と身の危険を感じ、やっと動こうとした時にはもう遅かった。

男は麻美の両肩を掴まえると、白い3本ラインの走る黒いセーラーカラーから覗く白い首筋に牙を突き立てていた。
あいさつ抜きの、唐突な行為だった。

「ぁぐっ!!」

チクリと突き刺す痛痒さが、妙に身体じゅうに響いて、麻美は眉をキュッとひそめた。
首のつけ根のあたりにもぐり込んだその尖った異物は、ぐいぐいと麻美の皮膚を圧迫して突き破り、なま温かい血潮がじわっ…とほとび出るのがわかった。
圧しつけられた唇が、湧いた血潮をチュウ…ッと吸い上げるのを感じて、麻美は飛び上がった。
けれどもしっかりと抱きすくめられた両腕に動きを阻まれて、彼女は立ちすくんだまま血を吸われた。
表情を消した母親は、義務の履行を確認するような感情を取り去った目で、娘が生き血を吸われるのを見守っている。

じゅるっ。じゅるっ。じゅるっ。
汚らしくも忌まわしい音だった。
音が続くとともに麻美の血はじわじわと身体から抜き取られていった。
自分の家であって自分の家ではないような気がした。
周囲にあるのは見慣れた廊下。柱に天井。すぐ目の前には、ドアを開け放ったままのあたしのお部屋・・・それなのに彼女は行動を束縛されて、母の介添えのもと、見知らぬ男に生き血を吸い取られてゆく。
麻美は立ちすくんだまま、全身から力が抜けていくのを感じた。
手から滑り落ちた黒革のカバンが、鈍い音をたてて床に転がった。
男が首筋から口を離すと、支えを失った麻美はその場に尻もちをついてしまった。


…どれほど経っただろうか?
男の口元は暗がりでも分かるぐらいにヌラヌラと麻美の血液で紅く染まっている。

この人、私の首筋に噛みついて血を吸ったんだ…
普通じゃない…まるで……吸血鬼…

息も絶え絶えに母へ視線を投げかけると、母親はうっとりとした表情でこちらを見つめている。
その首筋には、赤黒い二つの噛み傷があった。
噛み傷の周りには、赤黒い血のりがべっとりとこびりつき、そのいくらかは、ブラウスに赤い斑点を散らしている。
母さんがブラウスにスカートだなんて。
いつもとっくりセーターにジーンズの格好しか目にしない母親に妙な違和感を覚えたのは、起伏のなくなった表情と語調のせいばかりではなかった。
吸血鬼に血を吸われるために、わざわざおめかししたの?
けれども麻美に、そんな問いを母に投げている余裕はなかった。
男は、まだ血を吸い足りないらしかった。
尻もちを突いていったん彼女の視界から離れた血塗られた牙が、すぐ目の前に迫っていた。

嫌…いや…と首を横に振りながら、痺れた手足を必死に動かして後ずさる。
しかし男は、彼女のけんめいな努力をあざ笑うように―――いや、あとで語ったところでは、彼女の怯えを救おうとして微笑を投げただけだったのだが―――ゆったりとした動きで麻美に迫った。
通学用の黒のストッキングを履いたの麻美の足元に屈み込むと、夕闇を纏ったように薄黒に染まった脚へと、唇をゆっくりと近付けてゆく。


ひんやりとした床のうえ。
薄々のストッキングを通して、フローリングの床の硬さが、あさみの足の裏を冷やかに浸していた。
薄笑いを泛べた唇が、不埒な意図をただよわせて足許に近寄せられるのがわかっていながら、床に抑えつけられた足首を、どうすることもできなかった。

厭…いや…よして…
母さん、このひとを、やめさせて…

しきりとかぶりを振って懇願をくり返す麻美の努力もむなしく、男の唇はストッキングごしに唇を擦りつけてきた。

待って。

澄江が初めて、相棒の男に言葉を投げた。
けれども彼女が口にしたのは、麻美の期待とは裏腹のことだった。

「娘が怯えておりますわ。初対面なんですから、すこしは手加減なさってくださいな。それに…ストッキングを破っていただくまえには、わたくしのほうが先のはずですわ―――母親として、お手本を見せないと…」

母さんが、あんな薄笑いを泛べるなんて。
ましてスカートのすそをたくし上げて、太ももをちらつかせて男を誘うなんて。
うそー、あり得ないっ。

そんな麻美の心の叫びを知ってか知らずか、澄江はいつになくゆったりとほほ笑んで、つづけた。
「怖がらなくていいのよ、麻美。このかたは父さんの命の恩人なの。だからわたしたちが、ご恩返しをしなくちゃならないのよ。ほんとうはすぐにお礼をしたかったのだけど…それはあなたが年ごろになってからのほうがいいと思ったの。でもそろそろ危ないわ。悪い男の子に誘惑されて、間違いがあってからでは、遅いからね」
「安心なさい。この子はたしかに処女だった。佳い血の味をしている。さすがにあんたのお嬢さんだな」
澄江は憤然といった。
「処女に決まっているじゃないですか!うちの子はまじめなんですから!失礼しちゃうわ」
このへんはいつもの母だと、麻美は思った。けれども、、そのあとがいけなかった。
「娘の血がお口に合ったようで、よかったわ。せっかく吸っていただくんですから、やっぱりおいしいほうがいいに決まってますよね?」
えー、そんな。母さん、なに言ってるの?血を吸われちゃったんだよ、あたしたち・・・
けれども澄江の声色には、よどみがなかった。
「でもストッキングを破られるなんていやらしいこと、この子は慣れていないのですよ。わたくしがお手本を見せて、そのあとにしてください」
澄江は薄茶のフレアスカートから覗く自分の脚を、吸血鬼の目の前に、ゆっくりと差し伸べてゆく。
床を這いながらゆっくりと足許ににじり寄ってくる吸血鬼を前に、さすがの母も息を詰めて男の様子を見守った。
「ストッキングなんか…めったに穿かないんですよ」
噛まれる直前、澄江の口許から洩れた声は、すこしだけ震えていた。

男の唇が、母親の足許に臆面もなく、なすりつけられる。
ちゅう…っ。
唾液のはぜるいやらしい音が、母の耳にも娘の耳にも響いた。
いちど吸いつけられた唇は、すぐには牙を噛み入れようとはせずに、しばらくのあいだふくらはぎを撫でるようにして、這いまわった。
ぬらぬらとした唾液に濡れた唇が、脚の輪郭を撫でるように上下する。
そのたびに、きちんとまとわれた薄手のストッキングは、ふしだらに波立ってゆく。

母さん、ダメだよ。そんなことさせちゃっ。父さんになんて、言い訳するの?
男の吸血行為がどうやらいやらしい意図を帯びていることが、麻美にもわかった。
けれども母さんは、男の唇を足許に受けながらも、ふふん…と得意そうに笑みを泛べただけだった。
自分の穿いているストッキングの舌触りを愉しまれているというのに、男がそうやって彼女の装いを愉しんでいることが却って誇らしい…そんなふうに受け取っているようにさえみえた。
母さんは慣れない手つきでスカートのすそに手をやって、しきりにスカートをたくし上げては、男に太ももまで吸わせてしまっている。
そして、信じられないことさえ、つぶやくのだった。
「二足めだと、すこしは慣れるものですね。さっきはもう無我夢中だったから、知らないうちにびりびりに破かれちゃったものねえ…」

男の唇にひときわ力がこもり、母の履いている肌色のストッキングを、ぶちり!と破いた。
ぱりっ。ぱりぱり…っ。
薄手のストッキングはみるみる裂け目を拡げて、他愛なく破れ落ちてゆく。
母さんはそんな情景さえも、愉しそうな薄笑いをしながら見おろしているだけ。
両脚とも、かわるがわる、ストッキングをむしり取られてしまうと。
澄江はその場に、崩れ落ちた。
いつの間にか壁を背もたれにしていた彼女の身体は、そのまままっすぐに降下して、フローリングのうえに尻もちをついていた。
どうやらつぎは、麻美の番のようだった。


男は四つん這いの姿勢のまま、麻美のほうへと迫ってくる。
だめ…だめ…こっち来ないでっ。
麻美は必死になってかぶりを振った。

131207 02 足許に迫る唇。


高校にあがって初めて脚に通した黒のストッキング。
ぐーんと伸びる薄手のナイロン生地が自分の足許を大人の色に染めるのに目を見張ったのは、つい数ケ月まえのことだったはず。
以来オトナっぽい装いが気に入った麻美は、家のなかでもストッキングを履いていて、麻美はいつもよそ行きだねって、母さんによくからかわれたものだった。
それなのに…それなのに…
なまめかしく染まった彼女の脚は、いまは欲情に満ちた吸血鬼の忌むべき注目に、さらされてしまっているのだった。

こういう評価は…うれしく…ない…っ。
失血で身じろぎがやっとの麻美の脚を、吸血鬼はいともやすやすと掴まえると。
大根を引っこ抜くようにむぞうさに、彼女の脚を引きずった。
あ…!
あわてる麻美は、はだけたスカートに手を当てて、あらわになった太ももを男の視線から隠すのが精いっぱいだった。
男の唇が、ストッキングを履いたままのふくらはぎに吸いつけられた。

母さんと…おんなじように、されちゃうっ。

くちゅっ。

ふくらはぎに唇が吸いつくひそやかな音が、淫靡な湿りを帯びた。

きゃっ。

麻美はちいさく叫んだが、男はかまわずに、生温かく濡れた唇を、ふくらはぎからひざ小僧へと、せり上げてくる。
強引に這わされた唇の下、なよなよとした薄手のナイロンが波打ちながらよじれていった。
粘っこいよだれを、じわじわとしみ込まされながら。

「麻美、よかったわねえ。母さんと同じように、やられちゃうのよ。ほら」
母親はむしろ誇らしげに、自分の足許を見せびらかす。
母さんの脚にまとわれた肌色のパンストが、見るかげもなくチリチリに、剥ぎおとされていた。
夕闇のモノトーンのなかに淪(お)ちようとする風景のなか。
ふしだらに堕落させられた礼装のありさまが、あさみの網膜を狂おしく彩った。

あ、あ、あ…

いつの間にか。
黒のストッキングをくまなく、舐め尽くされていった。
いやだ、こんないやらしいことさせちゃ、いけない・・・
麻美はさいごに残された理性を振り絞って、その場を逃れようともがいた。
「どこへ行こうというのだ?」
男のくぐもった声が、麻美の動きを支配した。
え…。
そうだ。血を吸い取られて惚けてしまった母親を家に残して、いったいどこへ行けるというのだろう…?
「ここにいなさい」
男の命じるまま、あさみはおずおずと頷きかえしてゆく。
少女が抵抗の意思を放棄したと見て取ると、男は初めて同情の潤いを、目じりに光らせた。
「すまないね。ほんとうはここには来たくなかったのだ。来るべきじゃ、なかったのだ」
男の呟きに、母さんが同調した。
「このかたね、死んじゃうところだったんですって。きょうじゅうにだれかの血を吸わないと。ぎりぎりまで、ガマンなさっていたのよ。わたしたち、良いことをしているのよ。お役にたってよかったのよ」
自分に言い聞かせるような語調だった。

ぴちゃ…ぴちゃ…

熱っぽく圧しつけられ這わされる唇が、たっぷり含んだよだれを、なすりつけてくる。
さっきまで同じ制服を着、おそろいの黒ストッキングで足許を染めていたクラスメート達は、いまごろ家でなにをしているころだろう?
難しかった数学の授業のおさらい?晩御飯の支度のお手伝い?
それなのにあたしは、みんなと同じ制服を辱められて、堕ちていこうとしている…
奈々美にちより、それに初子。
みんな、みんなをあたしは、裏切ってしまおうとしている…
抵抗しないということさえもが、男の不埒なやり口に手を貸すことにつながるのだ。
処女らしい潔癖さが、彼女の罪悪感をより色濃いものにしてしまおうとしていた。

けれどもそんな想いとは裏腹に、息荒く制服姿を組み敷いて胸元のリボンをほどきにかかっている男の手を、もはやさえぎることはできなくなってしまっている。

あっ…あっ…また首すじを咬むの?血を吸い取られてしまうの?
けんめいにいやいやをする小首を抑えつけられて。
首のつけ根のあたりに、尖った異物が否応なく刺し込まれてくるのを、麻美はどうすることもできなかった。

ちゅう~っ。

圧し殺すようにつづく吸血の音が、昏く細く、そして深く…麻美の鼓膜を震わせた。

131207 03 生き血を吸い取られて、ぐったり・・・


暖かな血潮が男の唇を濡らし、喉の奥へと含み込まれてゆく…
いつか身体じゅうを支配し始めた無重力状態に身を漂わせながら、あさみは不覚にも、悩乱していた。
いけない…いけない…血を吸われちゃうなんて。
あしたは、苦手な英語の授業がある。宿題もやらなきゃいけないんだっけ。
それにそもそも、麻美の血は、飲み物なんかじゃないのよ。
まして、こんないやらしい吸われかたをするなんて。
いままで真面目に暮らしていたのは、なんのため…?
でも、このキモチよさはなんなの?
身体が溶けちゃいそう…こんな気分に浸ってる場合じゃ、ないはずなのに…
母さんも、このキモチよさを、あさみに教えてくれたがったの…?

旨めぇ。旨めぇ…お前の血は、じつにエエな…
さっきまで麻美の嫌悪の感情を尖らせていたはずの男の下卑た語調が、いやに違和感なく鼓膜に吸い込まれてゆく。

そうよ、あたしはこの小父さまに、血を吸ってもらいたかったんだわ。
だから母さんにお願いして、紹介していただいたの。
処女の生き血を、味わってもらいたくって。
母さんは進んでご自分の生き血を、この小父さまにプレゼントして。
あたしのことも、紹介してくれて。
ストッキングの破らせかたまで、お手本を見せてくれて…
女学生の制服を辱めたいという小父さまのお気持ち、とってもわかる。
おねがい!…もっと麻美を、辱めて。
襟首の白のラインも、真っ赤に濡らしちゃって…
麻美のすべてを、差し出すから…

いつの間にか寄り添ってきた母親が、麻美の制服の二の腕をあやすように撫でさするのに、頷きかえすと。
母親はころころと哂いながら、自分で自分の首すじを撫でた。
吸い取られた血のついた指先が、こんどは麻美の首すじを這った。
その指に自分の噛み痕を撫でられながら。
足許にかがみ込んだ男が、黒のストッキングの脚をさっきからいたぶり抜くのを、男が唇を当てやすいように、脚の角度を変えて、応じはじめていた。
しつように圧しつけられた唇に、一層力がこもって・・・牙がググッと、沈み込んでくる。
なよなよとしたストッキングが恥辱にたまりかねたように、パチパチと音を立ててはじけた。
ストッキングの裂け目が拡がって、足許に帯びたゆるやかな束縛感がじょじょにほぐれてゆくのを―――
あさみもまた、ヘラヘラと哂いながら、愉しみはじめている。
理性を崩したあさみは、どこまでも昏く、堕ちていった…


無償で、わたしたちの血を差し上げるとおっしゃるのね?
きみたちの血を金銭ずくで差し出すほうが、無礼というものだろう?
そうね。それはそうだわ。
生命は保証されてるし、しょうしょうの貧血で済む程度のことだから…よろしく頼むよ。
わかりました。任せてくださいね。麻美もだいじょうぶ。仲良くなれたみたいだから。
それはよかった。あの子のことも気がかりだったんだ。しっかり頼むね。

父さんと母さんの会話。
そういえば何年かまえ、父さんはだれかに命を救われたって言っていたっけ。でも恩返しをしようとしても、受け取ってくれないって。
それならば…あたしたちが恩返しをするのは当然だ。
だって、父さんがいなかったら、あたしたちだって生きて行けたかどうか、わからないんだから。

麻美は吐息を胸の奥に収めると、ひと息深呼吸をして、それからドアを開けた。
おはよう~。
よくできました。いつもの屈託のない朝のあいさつ。
夕べはよく眠れたー?
台所からは、いつもと同じ調子の澄江の雑駁な声。
うんー、くたびれちゃってたから、ぐっすり。
そう。お疲れさんねー。きょう学校いけそう?
そのつもりだけど、うーん、どうかな…っ?
ムリしないでいいのよ。英語のテスト?いいじゃない、そんなもの。あとで取り返せば済むんだから。
珍しく澄江は、物分かりがいい。
そうねー。じゃあ母さん、あたし具合悪いからって、先生に電話入れといてー。

父さんにはナイショよ。
あの晩吸血鬼が立ち去ったあと。
母さんは麻美の腕を掴まえて、しんけんな目つきでそういった。
あなたも見てたでしょう?母さんがあのひとに、なにをされたのか。
あんなことは、だんな様としか、してはいけないことなのよ。
なにも視なかったことにして頂戴。
あのひとたちは、処女の生き血がお好きだから。
処女の操には、むやみと手を出さないの。
でも結婚してセックスを覚えた女には、容赦しないの。
むしろ、そのまま構いつけない方が失礼だと思っていらして…ルールなんだと、こっちがわきまえるしか、ないみたい。
なん回もされたけど…父さんのことが忘れられなかった。
忘れた方が楽だよ…って、教えてもらったけど。そんなの、母さんらしくないものね。ははは。
でももう大丈夫よ。あなたもそのうちに、していただきなさい。
齢が違い過ぎるし、結婚することはできないだろうけど。
ひと晩ふた晩お嫁にしてもらうのは、悪いことじゃないからね。
母さん、応援してるから。


父さんはどこまで、知っているのだろう?
案外全てを察しながら、なにも知らないふりを、つづけるつもりなんだろうか?
夫婦の息の合ったやり取りを目にしていると、何だかそんな気がしてくる。
わかった。それくらい、だいじなひとだということなんだね。
麻美も協力するから…

麻美は黒革の鞄を手に取っていた。
中身は下校してから、替えられていなかったけれど。
鞄を手にして玄関に向かう娘を、母親はたしなめた。
「おやおや、休むんじゃなかったの?」
「学校は休むけど~。黒のストッキング足りなくなりそうだから、スーパーで買ってくる~」
よくできました。あっけらかんとした声色で。
ははは。
母さんの笑い声が後から追いかけてきて、玄関までついてきてくれる。
なにを言いたいのか、すぐに察したらしかった。
父親のいるお茶の間のほうからも、和やかな空気が伝わってくる。
破かれちゃうのは嫌だけど…お愉しみなんだから、破かせてあげなくちゃね。
小声で娘がそういうと。
ついでに母さんのも買って来て。
母さんは一万円札を、握らせてくれた。
そんなに?
そんなに…よ♪
ウン、わかった♪

靴を履いて起ちあがろうとしたときに。
「血がまだついてるよ」
母さんは優しく、首すじを拭ってくれた。

131207 04 小父さまに破ってもらうストッキング、買って来なくちゃ。02




あとがき
「妖艶なる吸血」は、今回をもちまして3000回目の記事掲載となります。
皆さまのお支えがあってのことと、この場を借りまして深く感謝いたします。
なお、今回のお話はモデルとして出演いただいた神代あさみさんとのコラボレーション作品です。
ヒロインの麻美が初めて咬まれるあたりが、彼女に描いてもらった部分です。わかるかな?^^

吸血、寝取られ、近親相姦、女装、同性愛・・・
その他もろもろのマガマガしさを織り交ぜながら、「妖艶なる吸血」はまだまだつづきそうです。
どうぞ今後とも、暖かく見守ってやってください。

というわけで、いつになく改まったあとがきでした。
(^^)
2013/12/8 09:14:01 脱稿
同日 22:00 あっぷ

幼馴染の息子。

2013年10月27日(Sun) 08:27:53

「あの・・・男子の血でも、いいんですか?」
やって来たのは、十代の男子。
がたいは大きいけれど、身体ぜんたいの雰囲気はふわあっと弛んだ感じ。
色白で大福もちみたいな四角い顔のまん中に、小心そうにちまちまと整った目鼻が寄せ集まっている。
顔だちは、親父の沼尻そっくりだった。
美形というわけではなかったけれど、おおらかそうな人柄が、顔つきや態度のすみずみにまで、にじみ出ている。
ゆったりとした・・・というよりは、のろまな印象の動作。
律義な・・・というよりは、おどおどとした言葉づかい。
太り気味の身体つきは、お袋譲りの白い皮膚に蔽われていて、
半そでのワイシャツから覗いた二の腕も。
濃紺の半ズボンからむき出しになった太ももも。
ひざ小僧の真下までぴっちりと引き伸ばしたハイソックスに包まれたふくらはぎも。
むっちりとした、噛みごたえのようさそうな柔らかい筋肉を帯びている。

親父の沼尻は、幼馴染だった。
吸血鬼と人間とが共存するこの街で、おなじ学校に通っていて。
俺が喉をカラカラに渇かすと、「しょうがねーな」って言いながら。
サッカー用のストッキングに包まれた、丸太ん棒みたいにごつごつとした脚を、気前よく差し伸べてくれた。
試合を控えたときなどは、「ちょっとだけ待ってくれよな」と2時間ほど待たされて。
靴下気違いと陰口叩かれた俺のために、泥だらけになったストッキングをわざわざ履き替えて、
待ち合わせの公園まで、試合に疲れた足を運んでくれた。
武骨なカーブを描くサッカー用ストッキングの縦じまに、昂ぶりを覚えながら食いつくと。
鎧のような筋肉の歯ごたえに、思わず「硬てぇ・・・」とか、勝手なことを洩らしていた。

沼尻のお袋の首っ玉にも飛びついたことがあったし、彼女ができたときにも、連れてきてくれた。
それがいまのあいつの、女房だった。
結婚とほとんど同時に都会に出た沼尻が、年ごろになった子供たちを連れて戻ってくると。
相も変わらず喉をカラカラにしている俺を見かねて、「うちのトシヤなら」って、自分の息子を差し向けてくれた。
それが、自分の親父の幼馴染の吸血鬼だという俺の前でおどおどしている、この太っちょな少年だった。
自分の跡取り息子の血を吸わせるなんて、ひどい親だと思うかもしれないが。
この街の平和はそういうことで成り立っていたのだから、だれもが多かれ少なかれ手を染めていることだった。
むしろ周りの者たちは、沼尻のしたことを、「相変わらず仲好いんだね」と片手間に口にしただけだった。


「べつにそんなに、身構えるこたぁ、ない。ふつうにしてりゃ、すぐ済ませるさ」
びくびくしているトシヤに、俺は余裕綽々と応えていた。
「ふつうに・・・って、言われても・・・」
落ち着きを失くしている少年に、俺は仕方なく、そこの机についてきょうのおさらいでもしたらどうだ、とすすめた。
勉強は、できるほうだときいている。
少年は学生鞄から教科書とノートを取り出すと、不承不承だったけれども大人しく自習をはじめた。
家でも従順な息子に、ちがいなかった。
長時間身の入らない勉強に時間を費やさせるのは気の毒だったので、俺もそうそうに、俺の役目を果たすことにした。
机に向かっている少年の後ろから迫って、肩を抱き、反対側の首すじに、髪の毛のすき間から指を添わせる。
ビクッとして身をこわばらせた少年を、そのまま身動きも赦さずに・・・首すじに咬みついた。

あう・・・っ!
さいしょのひと咬みは、とてもたいせつなのだ。
それで苦痛しか感じないのと、ウットリしてしまうのとでは、あとあとあとに違いが出てくる。
咬む側の技量にもよるが、咬まれるほうの資質の問題でもある。
―――どうやらこの子には、素質がありそうだった。
俺は、ひさびさにありつく若い子の生き血に夢中になって、少年の肩にむしゃぶりつくと。
ピチピチとした活きの良い血液を、チューッと音を立てて、勢いよく吸い上げていた。

こわばる四肢が力をなくして、身構えた姿勢がじょじょに崩れてゆく。
眩暈にクラクラとしたらしいトシヤは、頭を抱え、しきりに弱々しいうなり声を洩らして、
血を吸われるのを厭うように緩慢に身体を揺らしながら、机のうえに突っ伏していた。
俺は机といすのあいだにもぐり込むようにかがみ込んで、
半ズボンのすそからむき出した、少年の太ももを牙で狙った。
男の子にしてはきめ細かい皮膚が、ツヤツヤとした輝くような白さを滲ませている。
吸いつけた唇の下でしなやかな肌が弾み、その下に秘められた血管をめぐるかすかな脈動が俺をワクワクとさせた。
静かに埋め込んだ牙に、意識の遠のきかけた少年が、ふたたびうめき声をあげた。

「すみません・・・ちょっと横になっても、いいですか?」
トシヤに言われるまでもなく、俺はすぐ傍らのソファに、少年を導いた。
ソファを蔽っている深紅の布には、もういく人の血潮が沁み込んでいるのだろう?
そのなかにはかれの両親のそれさえ織り交ざっているのだと、まだ教えるには早そうだった。
俺は少年をうつ伏せに寝かせると、濃紺のハイソックスを履いた足許に、容赦なく牙をきらめかせる。
「すまないね、きみ。ちょっと悪戯させてもらうからね。きみ達が学校に履いていくハイソックス、お目当てにしてたんでね」
「あ・・・はい・・・」
あらかじめ親から言い含められていたのか、少年はけだるそうに身じろぎをしただけだった。
すらりと伸びたふくらはぎに沿うように、リブ柄のハイソックスの縦じまが、ゆったりとしたカーブを描いている。
しっとりと落ち着いた濃紺。
真新しい生地は、かすかな光沢をよぎらせていた。
しなやかなナイロン生地のうえから、俺はむぞうさに唇を圧しつけると。
ヒルのようにぬるぬると這わせていって、粘っこいよだれをじわじわと、しみ込ませてゆく。
少年のふくらはぎの筋肉が嫌悪にこわばるのを、靴下ごしに唇で感じながら。
俺はふたたび、餓えた牙をハイソックスのうえから突きたてていった。
侵した皮膚のすき間からあふれ出る血潮に、ぞんぶんにい唇を浸して。
歓喜にむせ込んだ喉を、心地よくゴクゴクと鳴らしていった。



それ以来、トシヤは週に2回、俺に血を吸われにやって来た。
色白のおどおどとした顔立ちに、躊躇と遠慮とを滲ませながら。
勉強もあれば、部活もある。そのあいだに時間を工面して、逢いに来る。
それから数時間はきつい貧血で立てないほどになるような行為に時間を割くのは、決して容易なことではない筈だった。
けれども彼は、親から厳しく言われているのか、指定した日時をたがえることはなかった。

「ごめんなさい。きょうは、履き古しなんです。いいですか?」
遠慮がちな上目遣いの目線をビクビクさせながら、トシヤは俺の機嫌を窺ってくる。
「学校の購買にも在庫がなくって。きょう、母が新しいのを買いに行ってくれてるんですけど、間に合いそうもなくって」
おずおずとした言い訳をしながら、本能的な後ずさりだけはつい出てしまう少年を。
俺はいつものように、肩を掴まえて抑えつけてゆく。
「たまにはいいじゃないか。履き古しも意外に味があるもんだぜ」
「なんか、マニアですね・・・」
トシヤは珍しくちょっと笑って、白い歯をみせた。
「うふふふふふっ。きょうもたっぷりと、よだれをしみ込ませてやるからな」
ソファに腰をくつろげたトシヤは、黙って俺のほうへと、肉づきのよいふくらはぎを差し伸べてくる。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・くちゃ・・・くちゅうっ。
シンと静まり返った二人きりの部屋のなか。
露骨な舌なめずりだけが、少年の足許にまつわりつく。
「ああ・・・もぅ」
トシヤはたまりかねたように、声を洩らした。
「噛んで下さい。どうぞ、僕のハイソックス、噛み破っちゃってください!」
制服の一部を辱められるのが、とても愉しいんです・・・と、少年は告白した。
「よろしい。望みどおりにしてやろう。きみが俺に頼み込んできたから、してやるんだからな」
「ハイ、もちろん小父さんは悪くありません。僕ヘンタイだから、お願いしちゃったんです・・・」
らちもない問答の交わされるなか、少年の履いているハイソックスは好色な唇や舌にいたぶられ、よだれに浸され、縦じまをいびつにねじれさせ、しまいにびりびりと破かれてゆく・・・

「あの・・・」
俺に組み伏せられてうなじを抉られながら。
トシヤはおずおずと、口を開いた。
「こんど・・・妹の制服着てきてあげましょうか・・・?」
え・・・?
俺は訝しそうにトシヤを見る。
トシヤの妹の香奈枝は、兄と同じ学校に通っている。
ブレザーは男子と同じく濃紺だったが、スカートはグレーだった。
後ろから男女を見分けるには、半ズボンの濃紺とスカートのグレートが目印になっていた。
濃紺のハイソックスは、男女共通・・・
彼の提案に俺は、「面白そうだね」と応えて、笑んだ口許をそのまま彼の首すじに圧しつけた。
アアアアア・・・ッ!いつもの悲鳴が、広い洋間につんざいた。


「ヘンですか?ヘン・・・ですよね?」
トシヤは戸惑いながら、洋間にあがり込んでくる。
腰から下にはいつもと違うグレーのスカートがユサッとそよいで、
ハイソックスはいつものよりも、すこしだけ寸足らずだった。
「よく妹さんが貸してくれたな」
「彼女には、ちゃんと言いましたから・・・」
俯いて口ごもっているのは、女子の制服を着ている自分が部屋の姿見に映ったのから目線をはずしたいかららしかった。
俺はにんまりと笑うと、トシヤの手を引いて、姿見のまえに連れていった。
「あっ、それは・・・っ。こ、困りますっ!」
さいきんにしては珍しくうろたえるのが面白くって、俺はわざわざ、やつを姿見の正面に立たせてやった。
「ほら、まっすぐ前を視るんだ」
しきりにかぶりを振って恥ずかしがるトシヤも、俺の命令には逆らわない。
おずおずと顔をあげ、まっすぐと自分の女学生姿に目を注いでいった。
「どうだね?似合うだろう?妹さんの制服。きみはいま、香奈枝になったんだ」
「あ、はい・・・そうですね・・・」
俺に応える声色が心持ち、トーンを和らげてきた。
「言って御覧。”お願いします。香奈枝の血を吸ってください・・・”」
「お願いします。香奈枝の血を吸ってください・・・」
少年は言われたとおり、復唱した。
すっかり香奈枝の口調になっていた。ひとりでに、あとのセリフがトシヤの口をついた。
「兄貴の血より、きっと美味しいとおもいますから」
いつになくキッパリとした語調が、香奈枝そのものだった。
姿見のまえ、俺はトシヤの・・・いや香奈枝の首すじに食いついていた。


いつになく激しい行為のあと。
トシヤはぼう然として、あちこち赤黒いシミをつけてしまったブラウスを、しきりに拭っていた。
ずり落ちた丈足らずのハイソックスを引っ張りあげては、噛み痕の数を確かめて。
「こんなに噛んで・・・いつもよりしつこかったですね」
口を尖らせながらも、俺にされるがままにハイソックスを片方ずつ、足許から引き抜かれていった。

香奈枝のやつ、吸血鬼に逢うのが怖いらしいんです。
だから僕がいくら勧めても、いっしょに来ようとしないんです。
それなら香奈枝の身代わりに、僕が咬まれてきてやるからって。
そういったら、制服を貸してくれたんです。
でもやっぱり、このかっこで道を歩くの、恥ずかしかったなあ・・・

俺はトシヤの後ろに回って、両方の肩に体重を乗せた。
「重たい・・・」
うめくトシヤに、俺は言った。「きみから獲た血で、重くなったのさ」。
「こんどから、香奈枝の制服を着て登校するといい」
少年はビクリと身を震わせたが、なにも答えようとはしなかった。

翌日の夕方のことだった。
俺を訪ねてきたべつの少年から、トシヤが女子の制服を着て登校してきたことを聞かされたのは。
その少年は、俺にしたたか血を吸われて喘ぎながら、うわ言みたいに上ずった声で教えてくれたが。
決してトシヤをこばかにしたふうは、どこにもなかった。
この学校では・・・必ずしも珍しいことではなかったから。


つぎの指定日に、トシヤは香奈枝を連れてきた。
どういうやり取りがあったのか?
毎日兄妹連れだって、女子の制服で登校する。
女々しい兄をからかって香奈枝が要求したことを。
トシヤはすんなりと受け入れて、その週一週間は、女子として学校に通いつづけた。
その代わり―――僕といっしょに、小父さんのところに行こう。
あくまで吸血体験を勧めつづける兄に、妹はもうかぶりを振ろうとはしなかった。

ぴちゃ、ぴちゃ・・・
くちゅ、くちゅう・・・っ。
兄妹並んで、うつ伏せになって。
おそろいのハイソックスに包まれた二対の足許に、餓えた唇を順ぐりに這わせてゆく。
唇で吸われ、べろを這わされて。
真新しいナイロン生地に濡れたよだれをたっぷりと浸されて。
足許をキリリと引き締める縦じまを、ぐねぐねといびつに歪められて。
そのつど、少年も、少女も、それは迷惑そうに眉を吊り上げ、目許を昏くして。
齢の順に皮膚を破られ、生き血を吸い取られてゆく・・・

父も母も、たどった道を。
さいしょに兄が。
その兄に引き込まれて、妹までもが。
制服姿を辱められながら、理性を侵蝕されてゆく。
「子供たちのハイソックスに、夢中になっていらっしゃるのね」
ふたりの母親が口を尖らせて、俺の裸の胸のなかで抗議をしたのは、夕べのことだったろうか。
「あんたのパンストも、愉しくってしょうがないな」
俺はお返しに、女の足許で裂け目を拡げている肌色のパンストに、もういちど露骨なべろをふるいつけてやった。

嵐が過ぎ去ると、平静な理性が戻ってくるのだが。
嵐の真っ最中には、あられもなく乱れ果てる、母、息子、娘・・・
彼らはどこまで、知っているのだろう?
最愛の家族が、人が変わったように淫靡に身をよじるのを、沼尻のやつが勤務を抜け出してしばしば覗きにくるのを。
「しょーがねぇな」
遠い昔、サッカー用のストッキングを引き上げて、ふくらはぎを咬ませてくれた幼馴染は。
いまでも時おり、奥さんといい勝負のスケスケの薄い長靴下を穿いて、ごつごつとした筋肉質の足許に、俺の牙を受け容れてゆく。
家族と同じ歓びを、共有するために・・・・・・


あとがき
えらく長くなっちゃいました。
所用時間、一時間半。A^^;
どうも駄作が多くて、いけませんな。。

斜めに降り注ぐ夕陽のなかで 03

2013年06月30日(Sun) 21:32:48

えっ・・・ほ、本当・・・だったんですかっ・・・?
京極初子は色を喪って、さほど広くない校庭の片隅に追い詰められていた。
夏ものの白のセーラーに、濃紺のスカート。スカートのすそから伸びた脚は、薄黒のストッキングという服装だった。
ふくらはぎにぴっちりと密着した薄手のナイロンは、白い脛を妖しいなまめかしさで染めている。
初子を追い詰めた黒衣の男の視線は、その足許にいっしんに注がれていた。
ククク・・・ッ いい色の靴下を穿いているんだね。
じっくり咬み破って、愉しんで差し上げよう。

えっ・・・?えっ・・・?えっ・・・?
初子は恐怖の叫びをこらえる口許を、両手で覆っていた。
それはしかし、初子を追い詰めた吸血鬼にとっては、むしろ好都合なことだった。

初子

立ちすくむ黒のストッキングの足許にかがみ込むと、男は容赦なく、初子のふくらはぎに、飢えた牙を突き立てた。
牙に含まれた毒は、獲物の理性を、いともあっけなく奪い取ってしまうだろう。

ちゅ、ちゅ~っ・・・
生き血を吸い上げる音が、人影ひとつない校庭に、低く淫らに響き渡った。


みだれ髪を直しながら、初子は薄ぼんやりとした視線を、自分の足許に注いでいた。
―――聞いていたんです。奈子さんから。
思い切ったように切り出した様子を、男はこともなげに、受け流してゆく。
この廃校には、まだ女学生が通ってくるのだな。
ごめんなさい、偽物で。
そういう初子も、奈子とおなじ女装子だった。
偽物じゃない。
男の声色は、断固としていた。
あんたは大事なストッキングを、俺の愉しみのために咬み破らせてくれた。
すまない想いと感謝の気持ちを、お伝えしておく。
言いぐさはあくまでぶっきら棒だったが、それが無器用な彼の持ち味なのだと察すると、初子はそれ以上男を追及するのをやめた。
ごめんなさいね。奈子さんみたいに若くなくって。
そんなことはない。
男が自分の身体から吸い取った血に満足し、なおも欲情を覚えていることを、初子はすぐに察した。
なぜこんなことに、歓びを覚えるのだろう・・・?
初子は自分で自分の態度を訝りながらも、「穿き替え、持って来ているんですよ」といった。

しつような愛撫にさらされて蜘蛛の巣のように裂き散らされたストッキングは脱ぎ捨てられて、草地にとぐろを巻いた。
真新しいストッキングの封が切られ、初子の脛に引き上げられ、ふたたび不埒な唇を這わされて、チリチリに裂かれてゆく。
初子はそのあいだじゅう、くすくす、くすくすと、くすぐったそうな笑いをこらえかねているようだった。


From奈子 to初子
初子さん、こんばんは~
奈子です。お仕事いつも、大へんですね!
きょうはね、びっくりするようなことをお知らせします。
〇〇港に面した高台に、廃校があるのを発見しました!
ふだんは使われていないらしくって、奈子が行ったときには、人は誰もいませんでした。
夕陽のなかでの撮影、とても楽しかったですよ~。

でもね、初子さんはもしかしたら、来ない方がいいかも?
吸血鬼ものがお好きな初子さんなら信じてくれると思うんだけど、
この廃校ね、吸血鬼が出るんです。
廃校だと知らなくて女学生の血を吸いたさにここに来た吸血鬼が、そのまま棲みついているんですよ~。こわ~いっ。
でももし、血を吸われてもいい・・・って思うんなら、ぜひいらしてくださいね。
ここだけの話だけど。
じつは奈子も、吸血鬼さんに、血を吸われちゃいました。ポッ

吸血鬼さんは秘密厳守で、あたしたちの味方になってくれるヒトみたいです。
あたしはさっそく、お友達になりました。
ちょっと貧血になったけど、あたしが回復するまで付き添ってくれて。
それは紳士的な応対でしたよ。
脚フェチさんなのも、気が合ったところかな。
お気に入りの紺ハイソ、咬み破らせてあげちゃいました。 テレテレ
初子さんも、お気に入りの黒スト一足台無しにする価値は、じゅうぶんあるかも。
でも、奈子の彼氏ですので、誘惑だけはしないでくださいねっ。

では~




半日経った、夕暮れ刻―――
海に面したその柵ぎわに佇む女学生姿は、すっかり見慣れた背格好をしていた。
黒のストッキングを穿いた革靴が、ひと足ひと足、足許の下草をよけるようにして校舎に近づいてくる。
吸血鬼さん・・・?
奈子は待ち人の名前を、ひっそりと口にする。

校舎の昇降口

背後に忽然と現れた黒影に、奈子は振り向きもしないで、両手を胸に重ね合わせていた。
いつもあたしのこと、驚かすんだから・・・っ。
息を詰めて怖がる奈子のようすに、男はククク・・・と、いつものような嗤いを洩らしただけだった。
さいしょのときには侮辱としか受け取れなかったその嗤いが、じつは親愛の情の表現なのだと、もう奈子にはわかっている。

初子さん、来たの・・・?
ああ、来たよ。
襲ったの・・・?
ああ、ありがたく頂戴したよ。
恋人の受難をきかされた乙女のように、奈子の心は震えた。
初子さんの血、美味しかった?
ああ、美味しかった。
男の言いぐさが初めて過去形になったことで、奈子の胸に不吉なものがきざしたが、
男はそれと気づいたらしく、すぐに言った。
ちゃんと約束どおり、お家に帰してやったよ。
お礼に黒のストッキング、2足せしめさせてくれた。
男が奈子の鼻先にぶら提げた、戦利品。
それは白い脛をなまめかしく彩っていたとは思えないほどみるかげもなく裂け目を拡げ、ふやけたように初子の脚の輪郭をまだ残していた。
初子さんの脚、綺麗だったでしょ?
奈子の胸のなかに、軽い嫉妬がよぎった。
いまは、あんたのことしか目に入らない。
初子さんにも、そういったの?
もちろん、目のまえの獲物が、俺のすべてだからな。
男はどこまでも、正直だった。
もぅ。
奈子は黒のストッキングに染まった自分の足許を、忌々しそうに見おろした。
それは初子と示し合わせて穿いてきた、おそろいのブランドのストッキングだった。
どうしてこんな不埒なやつのために、わざわざ黒のストッキングなど穿いてきたのだろう?
心のなかで軽く舌打ちをしながら、けれども奈子は、男が足許にかがみ込んでくるのを、止めようとはしなかった。
なま温かい唾液が、奈子の足許を弱々しく包む薄いナイロン生地に、じわじわとしみ込んできた。

奈子は目を瞑って男の行為を許していたが、男の舌がひざ小僧のすぐ下まで迫ってくると、ふと呟いた。
夕暮れの海を見ながら、血を吸われたい・・・
男は今にも奈子の足許に食いつこうとしていたが、むき出した牙をかろうじて収めて起ちあがった。
そうして、奈子の背中に腕を回し、肩を抱きながら、ふたり並んで海の見える柵のほうへと、さほど広くはない校庭を横切っていった。

海を背にしてこちらを振り向いた奈子は、夕陽のなかで影絵のようだった。
軽くウェーブした茶髪が、濃紺の襟首に流れた。
白のラインが三本走る、昔ながらのセーラー服は、地元の中学校のものだろうか?
この街に来て日の浅い吸血鬼には、そこまでの知識はなかった。
どちらにしても、この学校は、廃校―――
そして目のまえの恋人は、その廃校に通学する女学生だった。

柵の前02

逆光になった黒ストッキングの足許は、タイツを穿いているように真っ黒に見えたが、
陽に照らされたふくらはぎは薄手のナイロン生地に、かすかな光沢さえ反射させている。
男は惹きよせられるように、奈子の足許に唇を這わせていた。
初子とおそろいのストッキング・・・だね?
わかる・・・?
ああ、舌触りがいっしょだ。
さすがに・・・通ね。
奈子はわざと舌打ちしてみせたけれど、内心男のフェチぶりに少なからず感心していた。
足許にまとわりつく舌や唇のいやらしい感触から目をそむけるようにそっぽを向きながらも、良家の子女の装いだった黒のストッキングを、男の卑猥ないたぶりに惜しげもなくゆだねていった。
本当はこんなの厭なんだけど・・・貴男だから許してあげる。
恩着せがましくそう口にするのも、忘れずに。

不意に、ぱりり・・・と音を立てて、足許を包むナイロン生地がほつれるのがわかった。
なよなよと頼りない薄手のナイロン生地の感触が、ふくらはぎから剥がれ落ちてゆく。
足許をほどよく締めつけるゆるやかな束縛感が、じょじょにほぐれてゆくのを感じながら、奈子は日常が甘美に崩壊してゆくときの小気味よい解放感を感じていた。

いいわ、その調子、もっと咬んで。もっとハデに破っちゃって・・・

目のまえで貶められてゆくのは、自分だけではない。
草地にあお向けに倒れ臥した自分の傍らで、同時に初子も堕ちてゆくような錯覚に陥りながら、奈子は放心したように呟きをくり返してゆく。
もっと咬んで、もっと辱しめて・・・

彼のなかで、初子さんとあたしの血が、いっしょになる―――。
奈子の頬は、無邪気な少女と変わらない笑みを湛えていた。



初子です。

もう吸血鬼さんから、聞いたかな?
初子も、初体験済ませてきました。^^;
ちょっぴり貧血気味ですが、まだまだ元気っ☆
撮影も手伝ってもらい、さきほど日記にアップしてみました。
もちろん、吸血鬼さんとのイキサツは、伏せてありますヨ。^^
あとで遊びに来てくださいね☆(*^^)v
血を吸われちゃうのはちょっぴり怖かったけど、奈子さんが言うように紳士的なかただったので、さいごのほうはしっかり愉しんじゃっていたカモ?
^^;
どんどん発展していく自分が、怖いです。。。
おそろいのストッキング、時間差で破かれちゃいましたね。
夕方になって、いまごろ奈子さんが襲われているのかな・・・っておもったら、なんだかゾクゾクしちゃいました。

なかなかお逢いできないけれど、おなじ吸血鬼さんに生き血の味比べをしてもらって、またひとつ奈子さんとの距離感が近づいたような気がしています。
いまごろあたしたちの血が、彼のなかで仲良く織り交ざっているんですね・・・
ちょっぴりブキミ。でもなんとなく、というか、むしょうにウレしいです。
ときどき、彼に逢いにあの廃校に登校してもいいですか?
奈子さんの彼氏さんを誘惑したりはしませんので☆
なによりも・・・奈子さんと同級生になりたいので。

さてさて、おイタなおたよりがまた、長くなってしまいました。。
明日もお仕事です。
早く寝ないと~
今夜はお互い、佳き夢が訪れそうですね☆

ではでは。