淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
暑中見舞い♪
2014年07月24日(Thu) 21:58:04
すっかり暑さ本番の地方。
ようやく梅雨明けといいながら、かなり蒸し暑くなりつつある地域。
いろんなところにお住いの事とお察しします。
でも共通項は・・・ 暑い!
そんなワケで、ちょっぴり涼しくなるような絵を描いてみました。 ^^
この画像。
以前描いた「四人の妖花たち」をモデルに描いたものです。
吸血鬼に血を吸われて目覚めてしまった若いOLが、自分の弔いに参列した友人を襲って吸血鬼にしてしまい、
さらにその子の弔いに来た残りの二人の親友も、順ぐりに・・・
喪服姿の帰り道を待ち伏せて、血を吸い取ってしまう、というお話です。
これはその実質第一話。「女友だち♪」から。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-480.html
裕美のお通夜に参列した華代が、当の裕美に追い詰められて血を吸われます。
華代の着ているブランドものの喪服を目当てに待ち伏せていた・・・という裕美は、服にもこだわりのある女吸血鬼でした。
この絵を描くときに、どうにも顔がうまくいかなくて・・・
途中経過では、いっそこんなのも、描いてみました。
こちらのほうが前の段階で描いたので、ちょっと脚が太すぎますね。 ^^;
そもそも絵柄がマンガチック過ぎるので、原作を大きく逸脱しておりますが。。。
A^^;
ねっ、駆けっこしよ?
2009年11月15日(Sun) 11:06:09
はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・
ふぅ、ふぅ、ふぅ、ふぅ・・・
肩で息をしている、女学生ふたり。
ひとりは、ブレザー。下級生らしいもうひとりは、セーラー服。
高等部の先輩と駆けっこなんかしたって、絶対負けちゃうのに。
きょうも先輩は、わざわざ中等部まで足を運んできて。
みさとに囁くのだ。
ねっ、駆けっこしよ?
負けたらあたしに、あなたの血を吸わせて頂戴ね。
抱きかかえられた腕のなかから逃れようとするセーラー服姿に、ブレザー姿が追いすがる。
さっき全速力で走って、捕まえられたばかり。
どうしたって、逃げ切れっこないのに。
セーラー服は、必死で逃れようとする。
とうとうブレザー姿は、たまりかねたようにして。
セーラー服姿の少女の三つ編みを引っ張って。頭を抱え込むようにして。
往生際、わるいなぁ~。
咎めることばは、むしろのうのうとしていた。
ス、スカート履きながら走るのって、きつい・・・
あたしだって、スカートだよ?
先輩は涼しい顔をして、身をすくめようとする後輩を見おろした。
駆けっこに負けたら、血を吸わせてくれる約束だったよね?
やだっ!やだっ!やだあ~っ!
少女の絶叫をよそに、まゆみは浅黒い頬に微笑を滲ませながら。
笑み崩れた口許から覗いた牙を、捕まえた女の子の首っ玉に、じわじわと近寄せていく。
だめー!先輩、噛まないでー!!!
まゆみはこれから摂る処女の生き血に陶然となって、みさとの首筋に唇を這わせる。
ねっとりと、撫でるように。
あっ、あっ、あっ・・・
縮みあがったみさとは、動きを止めた。
ぢゅぶ・・・
ひっ。
皮膚を破るいやな音と。
犠牲者の呻く声とが、いっしょだった。
校庭の片隅に、大の字になって倒れた後輩の首筋を、なおもくちゅくちゅとねぶりつづけた。
両方の掌で、みさとの胸をまさぐりながら。
セーラー服ごし、ふっくらとした胸の隆起が手に心地よい。
だってみさとちゃんの血、おいしいんだもん。
応えのかえってこない後輩にことばを投げると、まゆみは人差し指をお行儀悪く口のなかに突っ込んで。
指先に着いた犠牲者の血を、ちゅるりと舐めた。
ね、駆けっこ、しよ?
先輩はきょうも、中等部の教室に現れて。
みさとの腕を、掴まえて。体育館の裏に、連れ込んで。
さきに走らせておいて、あとから追いすがって。
セーラー服の襟首を、手繰り寄せるように掴まえて。
ほ~ら、捕まえた♪
血をくれるよね?負けたんだから・・・って。
うなじをかぶり!
ひいっ・・・
少女が悲鳴をあげると、なおも愉しげに、聞えよがしに音を立てて、
まだ稚ない血潮を飲み耽る。
先輩…お願い・・・手加減・・・してっ。
抑えつけた身もだえさえ、腕に心地よくって。
それがだんだんと、力を喪うと。
その場に押し倒して、なおもしつように、吸血に耽る。
う~ん、こたえられない♪
女王さまはきょうも、女奴隷を支配する。
駆けっこ・・・ですか?
みさとは意を決したように、口許を引き結ぶと。
脱兎の勢いで、走り始める。
タッチの差だった。
・・・あたしの負けね。
まゆみは唇を噛んで、だまって後輩に背を向けた。
人の生き血をご馳走にするようになってから。
すっかり練習を、なまけていた。
いつも毎日が本番だと思っていたから。
だって速くないと、獲物を掴まえられないもの。
だから、弱そうな子に狙いをつけて。
勝つに決まっている駆けっこに、なん度も勝って。
あの子いつのまに、あんなに速くなったんだろう?
あたしにあれだけ、血を吸い取られながら。
あの。
いつもの帰り道の公園の出口の近く。
おずおずとかけられたのは、聞き慣れた声。
さっき自分に勝ったはずの後輩が。
足許に鞄を置いて。
これから私、塾なんです。
脚からでも、いいですか?制服汚すと、困るから。
えっ・・・?
驚くまゆみの前、黒のストッキングに彩られた脚を、
おずおずと半歩、差し伸べていた。
いいの?破けちゃうわよ?
履き替え持ってますから。
いつになくしっかりとした、下級生の声に。
まゆみは静かにほほ笑んで、笑んだままの唇を後輩のふくらはぎになすりつけてゆく。
薄々の黒のストッキングは、他愛ないほどあっけなく、くしゃくしゃによじれていって。
薄墨色のナイロンごし、キュッと引きつった筋肉が、しなやかな隆起をみせた。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
けっきょく首筋も、ねだり取ってしまっていた。
ほら、見て御覧。血なんかついていないでしょう?
襟首に三本走る白線は、襲われる前と寸分たがわぬ純白を保っていた。
たんねんにねぶりまわした唇は、傷口から洩れた血潮を一滴あまさず吸い取っていたから。
かざされた手鏡に、
「先輩、凄い・・・」
みさとはうなじを振り仰がせて。もっと吸ってとおねだりをした。
あの・・・先輩のこと、好きですから。
血が欲しい時には、先輩の家に招んでくださいね。
こんどはかんなちゃんも、連れてきますから。
かんなちゃん、明日がテストだからって。
きょういっしょに来れないのを残念がっていましたから。
洗脳しちゃったとは、信じたくない。
だって、みさとの瞳の輝きは、惚けたもののそれとはかけ離れた強さをたたえていたから。
痛かった?
うぅん、平気です・・・
じゃね。また、明日。
失礼しまぁす。
ちいさく手を振って別れた、影と影。
噛まれたほうの少女はちょっとだけ立ち止まって。
縦に裂けたストッキングを照れくさそうに撫でつけると。
こっちをふり返る先輩に、もういちどきちんとお辞儀をして。
もう、裂け目なんか気にせずに、さっそうとした大またで立ち去って行った。
ねっ、駆けっこしよ?
きょうも先輩は、中等部にやって来る。
はい。お願いします。かんなちゃんも、来る?
行く行くっ♪
きょうは二人とも、真っ白なハイソックスなんだね。
孝子も呼んだから。きっと喜ぶよ。
は~い。
三つ編みの揺れる細い肩を並べたセーラー服姿は、仲睦まじそうにブレザー姿と歩みを合わせた。
あとがき
駆けっこには勝ったけど・・・めでたしめでたし。ということで。^^
処女狩り ~中等部の生徒たち~
2009年11月15日(Sun) 11:01:03
喉、渇いた。
あたしの血、吸う?
う~ん・・・処女じゃないと、ガマンできないっ。
まゆみはきょうも、決然と言い放つと。
中等部行ってくる。
席を立って、教室の外へと身をひるがえした。
早く来なさいよ!
教室のドア越しに声だけ投げ入れて来て、
仲間三人は、しょうがないなぁ・・・って、いいながら。
それでも愉しげな薄笑いを浮かべながら、仲間のあとにつづいてゆく。
きょうつかまえた二人は、新顔だった。
泣きべそかきかき引き立てられてゆくセーラー服姿を、
四人のブレザー姿が取り囲むようにして、体育館裏に連れ込んでゆく。
受け持ちのクラスの生徒を連れ去ろうとする上級生を咎めだてした担任の女教師は、
二人は獲物を掴まえたまま。
もうふたりは先生にまで、迫っていって。
ぎゃあ~っ。
文字どおり、血相変えた先生の血を。
オトナの女性の血って、美味しいね・・・って、口々に。
しばし愉しんでしまっていた。
四人にかわるがわる迫られ血を吸われてしまった女教師は、
へろへろになって尻もちをついている。
足許をしつようにいたぶった孝子のおかげで、肌色のストッキングをちりちりに引きむしられたまま。
高等部の制服を着た女吸血鬼どもが、教え娘たちにむらがるようすを。
いとも愉しげにへらへら笑いこけながら、見守りつづけていた。
さぁ、こっち向きなさい。
ダメよ、逃げようなんて。
せっ・・・先輩っ・・・た、助けてっ。
少女たちの哀願など、聞こえないふりをして。
駆けっこに負けたら、勝った人にごほうびあげるんだよ。
まゆみは得意満面、かわいいほうの女の子の首筋に食いついた。
あ、あ、ああああああっ・・・
休み時間に高等部の生徒に呼び出されたときには、必ず二人以上連れだっていくように。
中等部の女子生徒に、そんなお触れが出たのは。
それからすぐのことだった。
孝子のハイソックス狙い
2009年11月14日(Sat) 10:13:25
あっ・・・うぅん。
セーラー服の襟をゆるめて。
ゆかりは眉を寄せて、悩ましい声を放っている。
久しぶりに着た中等部時代の制服は、ちょっぴり窮屈になっていた。
相手は、孝子。
もの静かなお嬢さんタイプなのに。
下級生の子を狙うときは、だれよりも素早くて。
もともと頭がよくて学校の成績のよかった彼女は、獲物の追い詰めかたにも長けていた。
運動神経ピカいちのまゆみさえ、うなるくらいに。
そんな彼女が好むのは。
クラスメイトの子たちの、ハイソックスに包まれた脚。
お揃いの紺のハイソックスのうえから、つぎつぎに噛みついて。
ふくらはぎの肉の柔らかさから、ハイソックスの持ち主を言いあてる特技を身に着けたのは。
きっと、二度目に襲われるとき引き合わされた、ゆかりや朋子の彼氏たちの影響なのだろう。
四人で血を吸いあって、渇きを癒しにかかるとき。
仲間三人のハイソックスを、だれよりも多く噛み破ったのは、彼女だった。
似合うね。真っ赤なハイソックス。
孝子に呼び止められて、びくりとした朋子。
う・・・うん。
彼氏のために、履いてきたんでしょ~?
怜悧な孝子は、冷ややかでイタズラっぽい顔をして。
素朴に照れる朋子のようなぶきっちょな女の子は、彼女の口撃の絶好の餌食。
あっ、そうなの?これから逢うの?
ほかの子たちまでもが、かしましい反応をあげてきて。
朋子はただ、もじもじするばかり。
真っ先に吸血体験を果たしたくせに。
おぼこ娘然としたどんくささは、まったくかわらないのだった。
いいわよ。見逃してあげる。彼氏に噛ませてあげなさいよ。
孝子は寛大にも、朋子をそのまま行かせようとして。
ホッとして立ち去ろうとした後ろ姿に、いきなり抱きついて。
飛びあがったクラスメイトに、囁きかける。
でもそのあとでいいから・・・あたしにも噛ませてね♪
朋子
2009年11月14日(Sat) 08:54:40
太っちょで、どんくさくて。
高校二年にもなって、彼氏ひとりできない朋子。
ことしの文化祭ももちろん、収穫ゼロだった。
オイ。歩いてくるな、女の子が四人。
ブレザーにチェック柄のスカート、それに紺のハイソックスの制服姿は、
近所の学校に通っている子たちのようだった。
ふたり、別れた・・・
どっちにする?
もちろん、彼氏のできなかったほう。
相棒の男よりも、歯切れがよくないのは。
喉の渇きが、ほんとうに。切羽詰まってきたせいだった。
二人のうち、どっちにする?
ひょうきんな相棒は、こっちのようすを面白そうに窺ってくる。
お前の勝ちだよ。俺は太ったコのほうがいい。
そうだな。そのほうがいっぱい、血も摂れるしな。
からかいながらもあいつ、俺の食欲に同情してくれているらしい。
いっしょに吸血鬼になったのに。
喉の渇きがひどい俺のために、自分の妹を真っ先に襲わせてくれたのも、あいつだった。
丸々としていて、たっぷり血が摂れそうで。
でもそれ以上に、あの人なつこい笑顔に、どことなく心惹かれていた。
ふらり・・・と彼女たちの行く先に迷い出たのは、
たぶん、俺のほうが半歩先だったはず。
俺たちが相手してやろうか?って、ぬけぬけとそんなことがいえるのは。
根の明るいやつの特権だろう。
俺にはとてもそんなゆとりは持てなくて。
朋子という名前のついたそのブレザー姿の女学生を、追い詰めるのに夢中だった。
女の子のほうも、あわてただろうけど。
俺のほうだって、あわをくっていた。
そんなに器用なほうじゃないから。俺。
こういうことは場数だ・・・って、あいつはいうけれど。
絶対そんなもんじゃない。
本心、期待はずれなことに。
吸血鬼になったって、向き不向きはそう変わることがないのだった。
けれどもさすがに、場数は場数であって。
相手の子が面くらってあわてていることだけは、はっきりと認識できて。
唇の先、一本指を立てて。シーッ・・・と、沈黙を促して。
どうやら素直な子だったらしくて。
いともやすやすと、女の子を黙らすことができたのだった。
うなじに着けた唇は、早くもウズウズと、女の血を欲しがっていて。
はぜるほどの息遣いを吹きかけた柔らかい皮膚は、意外なくらいしっとりと艶めいた潤いを帯びていた。
かりり・・・ぐちゅうっ。
皮膚を破ってやったとき。
背中にまわさせた腕には、怯えた力が込められた。
ちゅう、ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
夢中で吸い上げた、女の子の血。
それは身震いするほど、美味かった。
やっぱり、真面目な子なんだな。
処女の生き血にありついたの。いく日ぶりになろうだろう?
ねぇ・・・ねぇ・・・お友だちになろ。
仲良くしよ。あんまり酷くいじめないで。
朋子は俺の腕のなか、怯えながらも、声投げてくる。
このままイッたら、間違いなく。
血を吸い尽くされちゃうって直感したらしい。
来週、映画行かない?見たい映画あるんだ。
文化祭でだれかを誘おうと思ったんだけど、まだだれにも渡してないんだ。
来週・・・って、きみ。
きょう一日、生きていられるつもりなの?
あいつならきっと、そんなことをぬけぬけと口にして。
相手を怯えあがらせて愉しむくらいのゆとりがあるんだろうけど。
酷くさいなまれた食欲が、肉づきのよい身体から摂れた血でようやく和みはじめたばかりのうちは。
まだとても、女の子に戯れかかることも。まして、なぐさめるなんてことも。
とうてい、思いつかないほど、飢えも渇きも、心の焦りからも。解放されていないのだった。
ハイソックス、好きなの?
白いやつも、あるんだよ。
そんなに好きなら、こんど履いてきてあげるから。
だから、仲良くしよ。
どこまで本心なのかわからない慰め言葉の主を、いつの間にかつよく抱きしめていた。
やはり・・・女の子のほうが。状況に慣れるのは速いらしい。
慕われている。そう自覚した少女は、まだ戸惑いを残している俺のまえ。
太ももをゆっくりと、開いていった。
あの子も処女だったけれど。俺もそう、経験は多いほうではない。
ぎこちなく揉み込んでやった昂りの柱は、なかなかうまく、うずまっていかなかった。
隣のあいつは、とうの昔に。
相手の子を、脚ばたつかせるほど、悦ばしちまっているっていうのに。
痛い・・・痛い・・・
朋子のやつ、泣きじゃくりながらも。
腰だけは、逃げようとしないで。
俺の欲望に応じてきた。
淫乱なせいじゃない。
俺の気のすむようにやらせてくれただけなのだろう。
戦利品に、彼女のスカートの奥から抜き取った、真っ赤なパンティと。
見るかげもなく咬み破ってしまった紺のハイソックスと。
するり、するりと、足許から抜き取って。
悪いけど、いただくぜ。
わざと悪ぶって投げつけた言葉に、朋子はもの静かに、「どうぞ」と応えただけだった。
鉛色になった顔が、ほっと安堵に和ませながら。
約束守るから・・・来てね。
ハイソックス、白にしようか?紺がいい?
けんめいな上目遣いに、引き込まれるように。
俺は朋子を抱きしめ、初めて心からのキスを交わす。
血が要るんだろ?
きょうもあいつは、見透かすように。
からかい顔で、俺の顔を覗きこむ。
ああ、だけど・・・どうやらあてができたからな。
ふふふ・・・
あいつは笑っただけだったけれど。
彼女に手渡された携帯が、声に応じるようにぴくりと震えた。
どうやらお出まし・・・だな。
心なしか、からかい顔に浮かぶ嗤いがほろ苦かった。
どっちにする?
いつもの組み合わせで、いいんじゃないのか?
そうだね。
たちの悪いからかい顔に、それでもはっきり書いてある。
―――よかったな。気の合う子ができて。
女の子二人は、公園の出口でバイバイをして。
左と右に、分かれて歩く。
あいつが追いかけるのは、ちょっと気の強そうな黒髪の少女。
気の強い子を堕とすのがいいのさって。きっとあの子にも囁いているんだろうな。
俺はひと足、彼女より先回りをして。行く手に立ちふさがって。
たどる家路を、阻んでやる。
通してくれる?
声をひそめて小首を傾げる太っちょ少女に。
真っ赤なハイソックス、履いてみたいだろう?
彼女のおかげで、ほんの少しだけ。
たちの悪いゆとりというやつを、覚えかけているらしい。
いいわよ・・・
半歩差し出す彼女のふくらはぎは。
真新しい白のハイソックスに輝いていた。
折り目正しいプリーツスカートの後ろ姿。
純白のハイソックスにつけた紅いシミが、とてもよく似合っている。
あとがき
太っちょだのなんだのと、悪態をつきながら。
ネクラ吸血鬼くんは、彼女にぞっこん惚れ込んでいるようですね。^^
処女の血が、吸いたい。
2009年11月14日(Sat) 08:07:43
放課後の体育館裏は、屋内から響いてくるバレー部やバスケ部の、ダン!ダン!とボールの響く音がした。
締め切られた屋内を、うかがうことはできないけれど。
同時に中からも、こちらの様子はわからないのだった。
こんど襲うのは、バレー部の子?それともまたバスケ部にする?
んー、茶道部はもう、飽きたしなぁ。
茶道部の部員は、六人だった。
さっきまでお邪魔していた部室では、部員の全員が制服姿のまま気を喪っている。
ハイソックスの咬み痕さえ残さなければ、自分たちが血を吸われたことさえ、思い出せないでいるはずだった。
運動部の子の血って、なじむんだよね。
スポーツ少女のまゆみが、浅黒い肌をツヤツヤとさせているのは。
早帰りしたバレー部員を、早くもひとり毒牙にかけたおかげだった。
ひとり、ぽつんと佇んでいた孝子が。やおら呟いた。
処女の血が、吸いたい。
ほかの三人が、同時に頷いていた。
じゃ、中等部行こ。
みさとちゃんっ!
かんなちゃんっ!
追い詰められて泣きべそ顔になっているのは、中等部のセーラー服姿。
もう冬服の季節なのに、珍しく暑い日だったからだろう。
ふたりおそろいで、夏用の白のセーラー服で。
しばらく目にしなかった真っ白な長袖が、四方から迫る少女たちにも、眩しく映えた。
―――悪いけど・・・お姉さんたちに血を分けてくれない?
いつも先頭のゆかりが、フフッと笑うと。
―――いいわよ・・・ね?
いつも落ち着いた物腰の孝子も。人のわるそうな頬笑みを浮かべていて。
―――あなたたち駆けっこに負けたんだからね。さっ、いさぎよく・・・ガマンしよっ。
さばさばとしたスポーツ少女のまゆみは、くったくのない白い歯を見せて。
どんくさいと評判の朋子までもが、太めの脚を素早く彼女たちの背後に回り込ませていた。
えっ?えっ?・・・あああっ;;;
首筋、脇腹、二の腕・・・と。
思い思いに食いついてくるブレザー姿に。
セーラー服姿は、呑み込まれていって。
白い袖や襟首に。
紅い飛沫を、光らせてゆく。
あたしの彼氏ね。処女の血を欲しがっているの。
あたしたちのぶんは、ほとんどあげちゃったから。
協力してもらいたいのよね・・・
ずり落ちた白のハイソックスを、ひざ下までぴっちりと伸ばしながら。
みさともかんなも、素直にこくりと頷いている。
あとがき
>処女の血が吸いたい。
>じゃ、中等部行こ。
このくだりが、お話のツボです。(笑)
さっきから立てつづけに描いているこのお話ですが。
どことなく以前描いたやつとプロットが似ているので、とりあえず「四人の妖花たち」のカテゴリに、仲間入りさせておきますね。^^
スカートの色で、相手決めようよ。
2009年11月14日(Sat) 07:50:31
ずっと・・・友だち・・・だよね?
いつも、一緒にいてくれるよ・・・ね?
切れ切れになった声が、哀願するような口調になっていた。
わりと、友だち以上の関係だと思うな。これって。
ゆかりの彼氏は、初めて声を交わしたときと寸分変わらないひょうきんな口調で。
彼女のおでこについた血を、ちゅるりと舐め取ってやった。
もう・・・
ふくれ面をつくりたいのに、くすぐったい。
いっぺんに、ぜんぶ吸っちゃうわけ?
いいや、あとの愉しみに、すこし残しておくからね。
傍らでとうに静かになった朋子は、相手の男の子の貪婪な食欲のまま、まだ生き血を飲まれつづけている。
握り合った掌は、とうに力を喪っていて。
ぞっとするほど、冷たくなりかけていた。
―――・・・
―――・・・
―――。。。
おはよう。
おはよう。
冴えわたった朝空の下。
いつもと変わらない声を、交わし合って。
仲良し四人組はぴかぴかの鞄を手に、お揃いのブレザーの肩を並べていた。
チェック柄のスカートは、赤系青系ふた色から選べるようになっていて。
ちょうど赤が二人、青が二人。
孝子とまゆみは、赤と青。
ゆかりと朋子も、赤と青。
色とりどりのスカートの下、お揃いの紺のハイソックスが、朝陽を受けて。
真新しい鮮やかなリブを、浮き彫りにきわだたせていた。
襲っちゃお。
うん、襲っちゃお。
あたしたちを見捨てた、罰だよね・・・
指きりげんまんをした朋子は、面白い提案をしてきた。
スカートの色で、相手決めようよ・・・って。
血を失くした鉛色の頬を、あどけなくほころばせながら。
喪った血の埋め合わせは、仲良しの血で果たそうとしている。
処女の血じゃないと、あの子たち興味ないんだって。
じゃあ・・・あたしたちで、山分けね♪
いつも先頭を行くゆかりが、後ろからついてくるので。
四人組の足取りは、いつになく遅くって。
遅刻するよー。
孝子が腕時計を見て、遅れがちな二人に声をかけたのが合図だった。
ちょうど公園から、犬の散歩に来ていたさいごの一人が立ち去ったところだった。
ねぇ・・・・
ゆかりは孝子に。
朋子はまゆみに。
切羽詰まった口調で、寄り添っていって。掌を握り締めて。逃げられないようにして。
すうっと近寄せた唇を、迷うことなく相手の首筋に吸いつけていった。
きゃあっ。
青いスカートは、青いスカートに。
赤いスカートは、赤いスカートに。
迫られながら、樹を背に立ちすくんでいった。
ど、どうして・・・っ!?
孝子は怯えながら、ゆかりを見あげたけれど。
ゆかりはものも言わないで、孝子のブラウスの襟首を押し広げていって。
静脈の透けるおっぱいのつけ根を、さらけ出すと。
がぶり!
生え初めたばかりの牙は、生硬な少女の素肌にはむご過ぎた。
あ、アァ―――ッ!
思いきりあげた、叫び声の下。
押し殺すような吸血の音が、ひそやかに洩れてきた。
遠くではスポーツ少女のはずのまゆみが、いつもどんくさいとからかっている朋子を振り切れないで。
つかまえられて、立ちすくみ、
浅黒い首筋に這わされた唇に生気を吸い尽くされていきながら、姿勢を崩していった。
濃い青空の下。
あお向けになって、手足をだらりと伸ばした少女が、ふたり。
制服の肩を並べて、細い肩先に荒い息遣いを、伝えながら。
おなじ制服姿の少女たちに、組み敷かれていって。
生きながら、血を吸い取られていった。
―――・・・
―――。。。
―――。。。
帰ろ。
帰ろ。
また明日ね~っ。
夕陽輝く校門をくぐると。
四人は申し合わせたように、まっすぐ公園に向かう。
さっき追い詰められた樹の下で。
ふたりの少女は、足許に鞄を投げ出して。
もうふたりの少女は、相手の足許にかがみ込んでいって。
化け猫みたいに長い舌を、紺のハイソックスのふくらはぎに、からみつかせる。
おいしい・・・?
愉しいの・・・?
気遣うように声を投げる、立ったままのふたり。
応えを返す間も惜しんで、クラスメイトの制服の一部を汚すことに熱中する、もうふたり。
佇むふたつの影は、じょじょに姿勢を崩していって。
肩を並べながら、背にした樹からすべり落ちるように、尻もちをついて。
まゆみは朋子に、朝駆けっこに負けたのが悔しいな・・・って笑いながら。
孝子はゆかりに、処女のまま血をあげれば良かったね・・・ってうなじをくつろげて。
いいよね?
吸血少女ふたりは、昨日の男の子たちみたいに、相棒と目配せし合って。
それから自分に血をくれる友だちと、そうでないほうの友だちに、感謝と謝罪の視線を交わして。
ちゅうっ。
同時に唇を、吸いつけていった。
ちゅう、ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
飢えたようにむさぼる、熱っぽい音に。
血を持った少女たちは、身じろぎしないで、応えていって。
吸い取られた自分の血が、クラスメイトの頬に散ったのを、面白そうに見つめると。
頬に着いた自分の血を、耽るように舐め取って。
はずみでそうなった・・・かのように。
唇と唇を、合わせていって。
彼氏とスルより、熱いね・・・って。囁きながら。
女の子どうしの口づけを、残り惜しむほどに、交わしつづけて。
血のないほうの少女たちが、おねだりをするそぶりを見せると。
ずり落ちかけた紺のハイソックスを、引き伸ばして。
ふくらはぎに埋められた牙に、くすぐったそうな声を洩らした。
あたりはすっかり、暗くなってしまったというのに。
吸血に耽る悶えと呻きは、おさまることがなかった。
もっと・・・吸いなよ・・・
じゃあ遠慮しないで吸うね。
いやだ。おうちに帰れなくなっちゃう。
帰してあげないもん♪
時折交わされる言葉に、はしゃくぎょうな笑い声さえ交えながら。
吸血の宴は吸い取る血が尽きるまでつづくのだった。
あとがき
>スカートの色で相手を決める
我ながらよく考えつくと、あきれるのですが。(^^ゞ
色違いのスカートを選べる制服って、平成のはじめ頃ですかね。出始めたの。
女子校生の制服と。OLさんの制服と。どちらが先だったのでしょうか。
出回り始めたときにあがった人気の高さ、いまでも憶えています。
・・・って、年ばれますが。(爆)
制服姿の帰り道
2009年11月14日(Sat) 07:16:06
公園の舗道に落ちた紅い木の葉を踏みしめながら。
お揃いの紺のハイソックスを履いた脚が四対、仲睦まじげに歩みを進めてくる。
ひざ丈に履いている子、ちょっぴりずり落ちている子。
すらりとした脚。筋肉質で小麦色の太もも。落ち着いた足取りの脚。太めな脚・・・
女の子たちが連れだって歩くとき。
周囲も気にせずぺちゃくちゃと喋りつづけるのは、
どこでも変わらない光景だった。
そう。こちらの視線にも、気づかずに。
えぇ~~~っ!?いいなぁ・・・
先頭を行く少女が大っきな声はじけさせ、後ろに続く子をふり返る。
小春日和の木洩れ陽をはね返す黒髪が、眩しく揺れた。
女の子たちの話題の中心は、文化祭のときの出逢いらしい。
二番目の子は色白の頬をちょっぴり赫らめながら、
だってぇ~・・・って、口許に手を当ててはにかんでいる。
で?で?なに?孝子もまゆみも経験しちゃったの~っ???
先頭の子はどこまでも、開けっ広げな声を低めようとしなかった。
えへへへへっ。
声に応じて照れ笑いしたのは、まゆみと呼ばれたほうの色の浅黒い少女だった。
ああいう状況で迫られちゃったら、ふつうヤルよねぇ~?
まゆみは共犯者の孝子の脇腹を、ブレザーのうえからつついた。
きゃあっ。感じちゃうっ。
おどける孝子に、四人は声を合わせて笑っていた。
どうやら仲良し四人組のうちふたりは、文化祭を機に処女を卒業したらしい。
処女喪失委員会の人。
は~い・・・
取り残された二人の声は、どことなくしぼんでいた。
あったま来ちゃうなぁ。もぅ。
さっき先頭を歩いていた少女は、連れがひとりになっても、やっぱり半歩まえを歩いていた。
朋子はまだ、あたしの仲間なんだよね?
半歩後ろの少女は相棒の念押しに、強く頷いて。
うーん、なんか、脱力しちゃった・・・
―――男の子の○○って、おっきいんだよね~、あれは見ないとわかんないよね~。
だなんて。ふつう言うかな。
ゆかりは黒髪をゆさゆさ揺らしながら、ふくれ面をさらして歩いている。
処女をなくしたいのなら、俺たちつき合うよ。
えっ?
さっきまで、周囲にはだれもいないはずだった。
下校途中にいつも横切るだだっ広い公園は、いつもしんと静まり返っていて。
子連れのお母さんたちは引きあげて、恋人同士はまだの時間帯なのだろう。
ほんとうに、人っこひとりいないときだってあるくらい、静かな公園だから。
人が近づいていたら、とうに気づいていたはずなのに。
もっともあれほど大きな声で男のことなんか話していたら、やっぱり気づかなかったのかもしれない。
聞いていたの・・・?
ゆかりはさすがにちょっと羞ずかしそうに、前に立ちふさがった男の子たちに上目づかいを送った。
背丈があって、精悍そうな面ざしで。
走ることも暴れることも、その場から十メートルくらい跳ぶことだってできそうなくらい、逞しげで。
それでいて、どこかナゾめいた知的な翳をもっていて・・・
そんな男の子って、ふつう、いる・・・?
目のまえに展開するあまりにもうますぎる話に、ゆかりと朋子は顔見合せる。
だいじょうぶ。ボクたちに、まっかせなさい♪
ふたりのうちでひょうきんそうなほうの青年が、やおらゆかりの肩に慣れ慣れしく手を置こうとした。
だめっ!
思いっきり振り払われて虚を突かれたのか、男の子は傍らの花壇めがけて宙を飛んだ
・・・ように見えた。
あっ!ゴメンッ!
時折がさつになるのだ・・・って、自分のことを悔いたとき。
ゆかりは制服の肩先に背後からのしかかる強い力に、びっくりして振り向いた。
え・・・っ?
さっき跳ね飛ばしたとばかり思った彼が、さっきの意図を果たしていて、
ゆかりの肩を慣れ慣れしく、つかまえている。
ふと見ると、追い詰められて枯れ樹を背にした朋子が、白い顔に怯えをよぎらせて、
三つ編みのおさげを振りながら、けんめいにいやいやをしているのが見えた。
処女を失くしたいって、言っていたよね・・・?
耳もとに吹き込まれた少年の声色には、猫撫で声の優しさがこめられている。
それからあとは、夢中だった。
樹に抑えつけられた朋子の白い首筋に、相手の男の子の紅い唇が吸いつけられたとき。
同時にゆかりも、相手の唇がヒルのようにうなじに這うのを感じた。
生温かい唾液がぬらっとして、とっさに
厭っ!
って、振り払おうとしたけれど。
男の子の腕は力強くて、万力みたいに容赦なく、締めつけてきた。
え・・・・・・?
信じられない光景を目にして、ゆかりは抵抗を忘れた。
朋子が血を吸われている。
吸いつけられた唇から覗いた鋭い犬歯が、うなじにめり込むように喰い込んで。
ほとび出た紅いしずくがみるみる、空色のブラウスを浸していく。
同時に―――
ゆかりは自分の首のつけ根に鈍痛をおぼえ、尖った異物が皮膚を破るのを感じた。
ちゅうっ・・・
じゅるうっ。
先に血をすする音を洩らしたのは、朋子の相手だろうか?それともゆかりのほうだったろうか?
あ・・・あ・・・あ・・・
くらくらとめまいがする。
いつの間にか、尻もちをついていた。
投げ出された鞄が舗道に転がり、開いた口からノートや教科書、付け替えたばかりのストラップが光る携帯がはみ出した。
自分の血が、ブラウスの襟首をぬらぬらと浸すのを感じた。
助けて。助けてっ。た・・・す・・・け・・・
ぐらんと頭が揺れて、男の手が髪の毛をさらさらと優しく撫でつけるのを感じたのがさいごだった。
気がつくと。
ゆかりは朋子とふたり、並べられて。
男の子ふたりは、がん首並べて少女たちの寝姿に見入っていた。
スカートからはみ出た太ももに這わされる好奇の視線を感じて、
やだっ!
ゆかりがキッとなって叫ぶと、
元気なお嬢さんだね。
男の子の齢は、じつはかなりいっているらしいことに、ゆかりは初めて気がついた。
そう、若い子の血で、若返っているんだよ。ボクたち。
吸い取ったばかりの血をあやした口許に、陰気な嗤いが漂った。
わたしの・・・血・・・
辱められたと感じた憤りは、得体の知れない相手に対する恐怖に、再び塗りつぶされた。
きみたちの若さ。もう少し、おすそ分けしてもらおうかな。
男ふたりは目配せし合って、それぞれ正面の少女に向かって、むき出した牙を迫らせてきた。
うっ・・・うっ・・・
傍らで朋子が、悲しそうにしゃくりあげている。
どういうつもりなのだろう。男の子たちは紺のハイソックスのふくらはぎに、唇を這わせている。
しばらくのあいだぬるぬるといたぶると、嬉しそうに牙をむき出して。
女の子たちは、ハイソックスを履いたまま、ふくらはぎを咬まれていった。
旨ぇな。。。
うん。。。
男の子たちは獲物を取り換え逢って、かわるがわる、女の子たちの身体から血を吸い取って。
まるでワインのテイスティングでも、愉しむように。
いくつもつけた傷口から、盗み取るようにして。
ちゅるり、ちゅるりと血を啜り盗ってゆく。
うふっ。やっぱり処女の子は、いいね・・・
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ・・・
唇を吸いつけられた足許からあからさまに洩れる吸血の音に、朋子は
ひっ。
声を呑んで。
ゆかりの掌と触れ合うほどに接した手が、ピクッとふるえた。
とっさにゆかりは、朋子の手の甲を包むように握りしめて。
朋子はすがるように、握り返してくる。
仲良くお手手つないで・・・いいなぁ、友だちって。
朋子を襲っているほうの彼から洩れたからかい口調は、さいごはしんそこ羨ましそうに語尾を濁した。
抜き去られていく体温を確かめ合うように、掌と掌を交わらせながら。
少女ふたりは、吸血に耐えていた。
ほんとうにしつような、吸血だった。
さいしょに咬んだ彼がもういちど、ゆかりの首筋狙って牙をきらめかせたとき。
ゆかりは突然、うっとりとした気分に襲われた。
目のまえできらきらと静かな輝きをたたえている、だれのものとも知れない血。
綺麗・・・
おもわず、呟いていた。
朋子の血だぜ。これ。
そう・・・
舐めてみる?
えっ・・・?
ほら・・・
差し出された口許に、おそるおそる、ゆかりは唇を近寄せた。
ウッ・・・
黒い衝動が衝きあげてきて、いつか夢中で舐め取ってしまっていた。
ゆかり・・・
信じられないという顔をした朋子の、戸惑いの声にも耳を貸さないで。
握り合わされていた二人の掌は、いつか離れている。
うぐ・・・うぐ・・・・んぐぅ。
夢中で交わし合う、初めての口づけは。
女の子の血の味がした。
ゆかりが朋子の血を舐め取ると。
朋子も衝きあげた衝動に、両手で口許を抑えながら。
とうとう我慢できないという切ない顔をして。
自分の相手の男の子の口許についたクラスメイトの血を舐め取っていた。
長いべろを、化け猫みたいに慕わせながら。
スカートの奥に、むぞうさに手を突っ込まれて。
器用な手つきでつま先まですべらされてしまったパンティは。
革靴を履いた少女たちの足許に、まだまとわりついていた。
パンティをおろした途端、男の子たちは。
ふつうの男の子とおなじように、目を輝かせて。
ゆかりは白だね。
とか、
朋子は真っ赤じゃん。おとなしそうな子に限って、大胆だよね~。
とか、
色まであからさまに口にされると、少女たちはさすがに言葉を失った。
脱がされるときは。
い、いやだ・・・っ。
とか、
やらしい・・・っ。
とか、嫌悪もあらわに、口走っていたのに。
興味、ある?触ってもいいんだぜ?
発せられた言葉に、したがうように。
ゆかりはあらわに迫らされたペ○スを、指先で触れていく。
おっかなびっくりの手つきが、かえって面白かったらしい。
手指もろとも、握りしめられて。
きゃっ。って、声あげたとき。
いつも大人しいはずの朋子が、相手の男の子のものを、
まるでバナナをほおばる時みたいに、根元までにゅるんと呑み込むところを見てしまった。
ほら。やんなよ。
さいごまで羞ずかしがって、かぶりを振りつづけていた。
じゃあ、犯すぜ・・・?
彼の囁きには、はっきり頷くことができたけど。
制服を着たまんま。
孝子やまゆみも初Hしたんだっけ。
スカートを穿いたまま。
太もものさらに奥に侵入してくる剄(つよ)く逆立った筋肉の太さを体感しながら。
朋子が立ったまま犯されているのを、面白そうに目で追っている。
さいしょに追い詰められたときとおなじあの樹の下で。
朋子はぶきっちょに、腰を振りながら。
もう、積極的に、男の子のキスに応じていた。
太ももを伝い落ちる血が、ひざ小僧の脇を通り過ぎて。
紺のハイソックスにしみ込んでいった。
スカートのなか、ぐちゃぐちゃじゃん・・・
汚されるって、こういうことなんだ。
下腹の辺りや太ももに、ねばねば這いつく粘液に閉口しながら、
痛みに慣れた身体が、跳ねるように反応し始めるのを。
ゆかりは抑えきれなくなっていた。
遠目に見える朋子は、ハイソックスのうえからふくらはぎを咬みたがっている彼のため。
ずり落ちたハイソックスを、引き伸ばしてやっていた。
ゆかりちゃん、いいポーズだねぇ。愉しくなってきただろう?
自分の血を吸いながら犯しつづける彼は、そういって。
できたばかりの恋人を、からかいながら。
もうなん度目かの吶喊に、身を浸していった。
いったいいつ、終わるのだろう?
血を吸い尽くされちゃうまで、放してもらえそうにないなぁ・・・
そんな深刻な予想なのに。
樹木の下、二人鉛色の顔をして、肩を並べてあお向けになっている姿を。
ゆかりは薄ぼんやりと、想いつづけていた。
あとがき
長くなっちゃいましたね。^^;
読んでくれて、ありがとです。m(__)m
襲われる母娘
2006年12月28日(Thu) 07:53:10
あの・・・どうか。お許しを・・・
恐怖に頬を引きつらせているのは。四十代の母親。
地味な柄のスーツに身を固めた立ち姿は、気品にあふれていて。
どこか良い家の奥さんなのだろう。
取り囲んでいるのは、母親よりもはるかに若い女たち。
とりどりに、妖しい翳を滲ませて。
血が欲しいの。
狙った女ふたりを追い詰めると。
ごく率直に、意図を告げている。
あの、そんな・・・
だいじょうぶ、死なないように、キモチよくしてあげるからっ。
みちると名乗る女は、いとも無邪気な色をうかべて。
それでもいちばんに、迫ってくる。
華代は、若い子がお気に召したらしい。
母親似の目鼻立ちを舌、十代の少女に、ひたすら迫ってゆく。
白のハイソックス。わたしもよく履いたわよ。学校かよっていたときに。
うっとりと思いに耽るように。
まず少女の脚に牙を忍ばせてゆく。
怯えのあまり、声もだせないまま。
少女は血を吸い取られてゆく。
ひっ・・・
身をすくめた母親に、影を重ねていったのは、歌枝子。
お許しくださいね。
いつもの控えめな口調に、どす黒いものを滲ませて。
女のうなじに、唇を這わせる。
飢えている・・・
初体験の女にも、ありありとわかるほど。
はぜる血潮を呑み込む勢いに、くらくら力を喪ってゆく。
裕美が肌色のストッキングの脚にとりついて、おもうさまいたぶりはじめているのは・・・もういうまでもない。
若い子。いいわ・・・
尻もちをついた娘のうなじを吸っているのは、みちる。
さっきから白のハイソックスをくしゃくしゃにたるませながら脚をいたぶっている華代と競うようにして。
はじけるほどに若い、少女の血潮を。仲良く分け合っている。
夜の草むらのなか。
きゅうきゅう。ちゅちゅ・・・っ。
美味しそうな吸血の音が、いつまでもいつまでも、
静かになってだらりと横たわる、哀れな母娘におおいかぶさっていた。
あとがき
前作みたいに良い橋渡し役がいないと。
妖花たちもコワさを発揮するようです。
よってたかって♪ ~連作・四人の妖花たち
2006年12月28日(Thu) 07:44:57
うふっ♪ 美味しい。美味しいわっ。
あっ、ダメよ。裕美ったら。こんないい血を独り占めしちゃ♪
だって~。ひさしぶりなんだもの。処女の生・き・血♪
四人の妖花が、ウキウキと。
まるで花の周りを飛び交う蜜蜂みたいになって。
ひとりの少女を取り囲んで。
めいっぱい、おめかしした服を見せびらかすように。
淫らな舞いを、演じている。
えっ?えっ?
お姉さまたち、吸血鬼なのっ?
円のまん中にいる少女は、怯えのあまり両手で口をふさいでいて。
かろうじて、悲鳴をこらえている
だって・・・きれいなお化粧のしかた、教えてくれるって言うから。
まぁ。うぶなのね。そんな嘘を、信じたの?
いつも控えめな歌枝子まで。
謡うように、あやすように、少女を言葉でいたぶってゆく。
そんな・・・そんな・・・
血を吸われたら、死んじゃうっ。
いいえ。あなた。安心して。
そうかんたんに、死なせないわ。
せっかくものにした処女の血なんですもの。
ひと思いに吸い取るには、もったいないから。
怜悧な華代は、ほっそりとした指で思いきり、少女の肩を抑えつけて。
ひめやかな美声を、耳の奥まで注ぎ込んでいる。
素敵でしょう?お姉さまたち。
フフッ・・・と笑う裕美。
どお?わざわざあなたのために、おしゃれしてきたのよ♪
どこまでもあけっぴろげで、明るいみちる。
妖花たちは、舞うように。
少女の周りをぐるぐると。
かがみ込み、背伸びして。
あちらこちらと、咬みついてゆく。
あっ。いやっ。ああっ。ひっ・・・
ちいさな悲鳴があがるたび。
きゃっきゃとはしゃぐ、女たち。
さー、足伸ばしてごらん。黒のストッキング、いたぶってあげる~
裕美は少女の足許にしゃがみこんで、
お目あての通学用の黒ストッキングのうえから、
たっぷりとしたふくらはぎに指を這わせる
よかったわね~。裕美ったら、ストッキングの専門家なのよ~。
あくまでからかいの口をゆるめない、みちる。
そうねぇ。お姉さんたちもみぃんな。裕美お姉さんに破ってもらったのよ♪
ハデに破いてもらおうね。
華代も、歌枝子も、嬉しそうに頬を輝かせて。
少女の頬から、散った涙を舐め取っている。
ぬるり・・・と、少女の足許に。ピンク色の舌が這わされたとき。
お母さま。
円の中心にいた少女が、ふりあおぐ。
あら、あら。
少女とよく似た面差しをした新来の女。
落ち着いた物腰に、楚々とした足どり。
お姉さまたちに、かわいがっていただいているのね?
そうじゃないの。ふみかの血を、吸おうとしていらっしゃるの。
お母さんの応えは、少女の期待を正反対に裏切って。
あらあら。まぁまぁ。・・・よかったわねぇ。
あなた、処女なんでしょう?自慢してよろしいのよ。たっぷりと吸っていただきなさい。
さすがの妖花たちも。
新来の女には、一目置いているらしい。
さっきまでなれなれしく少女にすり寄っていたとき、崩した相好をあらためて。
ふぞろいに、頭を垂れて。
お世話になっていますわ。いつもいつも。
と、うって変わった礼儀正しさをみせてゆく。
あら。いいのよ。娘の血、お気に召したかしら?
スーツのすそから差し出された脚には、濃紺のストッキング。
まぁ・・・
きれい。
ストッキング・フェチな裕美ならずとも。
オトナの脚線美に、視線が集まる。
ふみかさん。お手本を見せてあげるわ。
こんなふうに、破っていただくのよ。
とりつくろったものをかなぐり捨ててすかさず飛びついたのは、やっぱり裕美♪
いただきまぁ~す。
と、言わんばかりに。
濃紺のストッキングに、早くもふしだらなねじれをつけてゆく。
まぁ。まぁ。お行儀のわるい。
口では軽く、裕美を咎めながらも。
己の脚に唾液をしみ込まされるのを。
ふみかの母は、とめようとしない。
ぶち・・・ちっ。
他愛なく裂けたストッキングを見せびらかすように。
ほら。
差し出された母親の脚を目の当たりに。
少女も覚悟を、きめたらしい。
あの・・・どうぞ。
通学用の黒ストッキングの脚を、おずおずと。
ストッキング好きなお姉さんのほうへと、差し伸べてゆく。
エモノがふたりに、なったわね♪
華代が嬉しそうに、呟くと。
四つの影は、ふたりの女に、思い思いにのしかかってゆく。
あとがき
しばらくごぶさただった、裕美・みちる・華代・歌枝子の女吸血鬼四人組。
暮れのご挨拶にと、まかり越したようです。^^
彼氏のお母さん♪
2006年09月14日(Thu) 06:59:32
「彼氏のお母さん♪」
みちるがウキウキと引き合わせたのは、とてもきれいなおばさまだった。
みちるは、喪服。
私たちも、喪服。
申し合わせたように黒一色の衣裳のなか。
彼氏のお母さんが身に着ける、ワインカラーのブラウスはとても華やいでみえた。
「あら♪わたしも喪服であわせたほうがよかったかしら?」
みちるとはもう、ウマが合っているらしい。
明るい性格のお母さんみたいだ。
「でも靴下は・・・ほら。ちゃんと黒を履いてきましたよ」
えび茶色のロングスカートをたくし上げると、
ぴかぴかの黒のエナメルのハイヒールに、薄墨色のナイロンがほどよく映えて、
キリッとした脚線美を際だたせている。
誰言うともなしに。
美味しそう~・・・
羨ましそうな声色を、くすぐったそうに受け止めて。
じゃあ、召し上がれ。
奥様はじぶんのほうから、傍らのベッドにゆったりと身を沈ませる。
「ね。ね。うまくしつけたね。どうやったのさ?」
みちるを裏に呼んで、裕美が訊く。
「ううん。なんにも・・・」
みちるはかわいく眼をくりくりさせちゃって。
「ちょっぴり血を吸っただけ・・・それでもう、お母さんノリノリになっちゃった♪」
もともと、ノリノリな人みたい。
仲良くなれそうね♪
みんな、口をそろえて歓迎する。
歌枝子は、首筋を。
華代は、胸を。
そして裕美はやっぱり、脚を。
歌枝子が
「失礼しますね」
と、熟練した看護婦が注射を打つみたいにさりげなく牙を滲ませると、
華代はワインカラーのブラウスをくしゃくしゃにしながら胸もとをあらわにしてゆき、
わたしはわたしで、息を詰めて見守るみちるの前、黒のストッキングの足許に唇を吸いつけてゆく。
さすが・・・ブランドものね。感触がちがうわ。
わたしの声が聞えたのか。
奥様は得意気な笑みを滲ませていた。
彼氏とね、別れ話・・・してきたの。
しょんぼりと佇んで涙ぐむみちるを皆で慰めたのが、つい先週のこと。
べつの世界に行っちゃったから・・・
本当はもっと、あなたと暖まっていたかった。
そんなひと言が、効いたのか。
踵を返して、彼氏はふたたび戻ってきてくれた。
肌が蒼くなっても、きみの優しさは変わらないね。
本当は飢えていたのに。
彼氏の顔色を気遣いながら、血を吸い取っていったみちる。
「ゴメンね。痛い・・・?」
「平気だよ。(*^^)v美味しいかい?」
「うん。とっても♪」
ほんのさりげないしぐさから、相手の気遣いまで読み取ってしまうほどの絆は、
冥界とこの世との隔たりすらも越える力を持っているのだろうか?
「母さん、母さん。みちるのことなんだけど・・・」
実家に連れ帰ったみちるの前。
死んだとばかり思っていたらね。ほら、戻ってきてくれたんだ。
ただし、吸血鬼になって・・・ね。
結婚しても、いいだろう?
ちょっと待ってよ!いくらなんでも・・・
いいかけたみちるに注がれたのは、意外なくらい親しみの込められた視線。
あらぁ。吸血鬼なの?昔映画でよく見たわ。
本当に、血を吸えるの?
じゃあ母さんにも、やってみて。
きちんと脚をそろえて真向かいに立って。
うなじをちょっと仰のけて、眼を瞑る。
「母さん、いいの・・・?」
気遣う息子の声もどこ吹く風で。
「あら。意外に痛くないのね。手加減したでしょ?お気に召したらもう少し、召し上がれ♪」
などと、あっけらかんとのたまわって。
息子一人じゃ、負担でしょうから・・・たまには私の血も吸ってくださいね。
いつか後ろに回った息子が肩を抱きとめてやるほどに、身を支えきれなくなっていた。
「肝心の彼氏は、どこにいるの?」
ワインカラーのブラウスに血をしたたらせながら。
華代が目をむいた。
「そうそう。紹介、まだよね?」
二の腕、わき腹と、甘えるように咬みついていった歌枝子も
「早く紹介してよ。・・・男の血も吸いたい」
ところがみちるったら。
だ~めっ。
彼氏はあたし一人のものよ♪
でもすぐそこで。
お母さんが血を吸われているの覗いて、さっきから昂ぶっちゃっているみたいだけど。^^;
あとがき
さやかさんのリクエストにお応えしまして。
哀れな彼氏?を登場させてみました。
・・・って、ほとんどお母さんの一人舞台ですが。^^;
みちるの場合
2006年09月12日(Tue) 07:55:07
うふっ。美味しい。おいしいわ。
左からは、裕美が。
あらー。ワンピース汚しちゃったわ。ごめんね。
右からは、華代が。
色っぽい香水の香りを漂わせながら、わたしのうなじを咬んでくる。
きゅっ。ちゅちゅ・・・っ
そう、さっきから。
かわるがわる、うなじに口をつけてきて。
わたしの血を吸い取っている。
健康優良児・・・と言われた豊かな体。
けれどもふたりの吸血鬼をあいてに、私の血液は足りるのだろうか?
そもそも、家に帰してくれるつもりが、あるのだろうか?
亡くなったはずのふたりが目のまえに現れて。
えっ?えっ?
戸惑ううちに、追い詰められて・・・
何をされているのか気がついたときには、もう服を破られて血を吸い取られている最中だった。
けれども・・・
寂しいの。心細いの。
血が無くなって、頼りない気分なの・・・
唇で触れてくるたび、素肌に伝わってくるそんな想いに負けるように。
わたしは自分のほうから、肌を許し始めていた。
みちる、やっぱり優しいね。
お姉さんみたいに呟く裕美に、夢見心地に頷いて。
きゃっ、ダメ。くすぐったいっ。
やらしいー。そんなとこ。
わたしはいつか、いつものわたしに戻っていて、
スキを見つけて食いついて、まんまと血を抜き取ってゆくふたりに口を尖らせてぶーたれていた。
さー、脱ぎ脱ぎしましょうね。
華代がワンピースの背中のファスナーに手をやって、
ぴーーーっと容赦なく、下に下ろしてしまう。
あッ。ダメッ!
はち切れそうなおっぱいを、はずかしいほど露骨にぷりん、と。さらけ出されたときには、顔が真っ赤になった。
綺麗・・・
うらやましい・・・
同性の目が、値踏みをするように、わたしのおっぱいをじろじろと見つめて。
カレに見られるより、恥ずかしかった・・・
裕美はさりげなく背中に腕をまわしてきて、
ゾクゾクッと走る、戦慄の快感。
女の腕がこんなにキモチよいものだなんて。
裕美だからだったのかも。
なにをするの?って思ったら。
尖った爪を肩先とブラのストラップとのあいだに差し挟んできて・・・
ぶちぶちっ。
と、ストラップを断ってしまった。
ぷるん、と身震いするように。
ブラの束縛から解放された胸が、恥ずかしいほどの白さを薄闇にさらす。
わたし・・・本当はまじめなんだよ・・・
涙ながらに言い募ったけれど。
だ・・・め。
裕美は、許してくれない。
乳首をつまんで。くにゅくにゅともてあそんで。
あ。立ってきた。立ってきた。
正確な処方をする看護婦さんが体の変化を看取るように、
わたしの乳首の恥ずかしい変化を、冷静な目で見つめてくる。
反対の乳首は、華代の指のなか。
同じやり口で玩ばれて、そのうえ
ぬるり・・・
生温かい・・・と思ったら。
口に含まれてしまっている。
オネガイ・・・そこは、咬まないで。
わかったわ。
ふたりは頷き返してきて。
華代は、そのまま胸を。
裕美は、脚元を。
まえにもまして、ねっちりと・・・嬲り始めてゆく。
あっ・・・ああっ。。感じるっ。感じるぅ。
はしたない・・・と思いながら。
乱れてしまった、無人の路上。
石畳を擦る痛みも、恥ずかしさがおおいかくしていた。
黒のストッキングを履いたふくらはぎを、裕美はくまなく舐め始めている。
恥ずかしい。安物のストッキングなのに・・・
けれども裕美はおかまいなく、妖しい情愛さえ滲ませて。
舐めるのを止めようとしない。
おいしいの・・・?
思わず、訊いてしまった。
ウン。みちるが履いてくれるから・・・かな?
そういえば、いつもジーンズばかりで。女らしいおしゃれはほとんどしないわたしだった。
だから喪服を襲ったの?
そうよ♪だってそのほうが、愉しいんだもの。
それは・・・そうね♪
どんなにくしゃくしゃにされてしまっても。
いい服のまま、愉しませてあげちゃいたい。
不思議な衝動が、キケンな遊戯をエスカレートさせてゆく。
わたしも今は、軽く頷いてしまっている。
体のなかから血が抜けていって、
死んじゃうんだ。
そう思ったときだけ、少し泣いた。
裕美はそんなわたしを優しく抱きしめて。
ずっとお友だちで・・・いてくれるよね?
華代も、吸い取ったばかりのわたしの血を口許にきらきらとさせながら。
ぜんぶ吸いたい。残すなんて・・・まるで美味しくなかったみたいで。
そんなの、みちるもイヤでしょう?
軽い含み笑いに滲む冷たさが、女のわたしすらゾクッとさせた。
可哀想・・・ほんとうにゴメンね。
裕美は神妙に謝罪をいいながら。すぐに態度をがらりと変えて。
でも、ダメよ。逃がしてあげない。
こわーい・・・
わたしは両手で口を抑えて。わざと怯えたフリをして。
けっこう、愉しんじゃっている。
あとがき
女友だち二人に生き血を吸い尽くされてしまった三人目の犠牲者、みちるの回想です。
華代の父
2006年09月03日(Sun) 08:04:49
いつの間にか、家族を侵蝕されていた。
亡いはずの上の娘は、知らないうちに帰宅していて。
まず下の娘を。
そして次には、妻を。
仲間のところへと、連れていった。
若い女の生き血を、たっぷりとあてがうために。
無表情な日常が、きょうもまた過ぎてゆく。
妻も下の娘も。
何もなかったように、暮らしている。
妻が勤め先から。娘が学校から帰宅して。
私の帰りは、さらに遅い。
おのおの別々に、夕食を済ませて。
夜も更けたころ。
家には女たちの嬌声が満ちる。
わたしは血のほとんどなくなった身をベッドに横たえて。
妻が解放されて戻ってくるのを待っている。
なにも、知らないことになっているから。
そうしているより、なかったのだ。
階下の茶の間から洩れてくる呻き声は、苦痛よりもいっそうの享楽を。
ふさぎかけた耳の奥まで、伝えてくる。
華代が部屋に、入ってきた。
こういうことは、まれだった。
妻や下の娘の血を譲り渡したことを、悪びれもせずに。
娘はいつも、嬌声をあげる母親や妹を冷ややかに見つめていた。
わたしを見る目も、冷ややかだった。
みちるちゃん、来たでしょ?
ああ。
歌枝子も、来たわね?
ああ。
じゃあ、裕美ちゃんも・・・?
・・・・・・。
詰問口調は、そこまでだった。
娘に私を責めることができようはずもない。
交換条件のように、わが身をあてがってくる年頃の娘たち。
いずれもいちどは、血を吸い尽くされたはずだったが。
皮膚のぬくもりは、本物だった。
けれども彼女たちの皮膚を暖めているのは、妻や娘たちから吸い取った血。
そんなおぞましい事実を忘れたくて、ひたすら淫楽のかぎりを尽くしていった。
華代はちょっと目をそむけ、ため息をついた。
翳りを帯びた面持ちは。
父親のわたしすらはっとするほどに、美しかった。
信じられない言葉が洩れたのは、そのときだった。
じゃ。きょうはわたしが・・・
有無を言わさずブラウスの胸元に手をやった娘は、
ほんのひと呼吸の間に、輝くように白いもろ肌を、惜しげもなくさらけ出している。
どうしてそんな恥ずかしい展開を受け容れてしまったのか、記憶が飛んでいる。
あるのはただ、熱い吐息の応酬だった。
母親似の彫りの深いノーブルな顔だちに、甘い呻吟をよぎらせて。
娘は娼婦のごとく、女になりきっている。
若かったころの妻と興じているような錯覚を、交えながら。
なんのためらいも、罪悪感もおぼえずに。
娘の身体を、ただの男として愉しんでしまった。
ベッドのうえ、身を離すと。
露出した白い肌をこれ以上見られるのを拒むように、一瞬目をそむけて。
つぎの瞬間。
ぱしっ。
頬に痺れるような痛みが走った。
また、来るわ・・・。
伏し目がちにいい置いて華代が出てゆくと。
入れ違いに戻ってきたのは、妻。
元気ね。あの娘達。
苦笑いしながら。
脛に破れ残った肌色のストッキングを、
チャッ、チャッ、と。むしり取るように引き剥いでいる。
思わず肩を引き寄せた妻は、いつもよりずっと従順だった。
あとがき
こういう立場のお父さんを描くのは難しいですね。^^;
守るべきものが妻であるよりも、娘である方が切実でしょうから。
見返りを受けて家族の血を吸わせるのは屈辱なはずなのに。
いつかそうした関係を受け容れてしまっているんですね。
オイオイ・・・とつっこみたくなりますが。
どうやって食いつなぐ? ~連作・四人の妖花たち
2006年09月03日(Sun) 05:56:36
「妹を連れてくるわ」
華代の薄い唇が、きっぱりとそういった。
言ってしまうと。
ノーブルな横顔を、愉しげに翳らせた。
その日の夕暮れ刻だった。
セーラー服の少女は、顔の輪郭が姉と生き写しだった。
姉譲りのノーブルな目鼻立ちにはありありと、怯えをたたえている。
「いい子ね。よく来たわ・・・」
華代は冷酷に、まっ白な夏服の肩を捕まえ、引き寄せる。
引導を渡すのは、きまって裕美だった。
「姉さんのは、私しか味わっていないの。みんなにあなたの魅力、伝えてね」
きゃあ・・・っ
にわかにあがる悲鳴を聞きとがめたものはいなかった。
お行儀わるくて、ごめんね。
みちるはそういいながら。
うつ伏せに倒れ伏した濃紺のプリーツスカートをつまみ上げ、太ももにべろを這わせている。
白のハイソックス。かわいいわね。
裕美は淫らな笑みをじんわりと滲ませて。
たっぷりとしたふくらはぎに、ぬるりと唇を吸いつけた。
「じゃあこんどは私の番・・・か。年増だけど、母でもいいかしら?」
裕美が妖しい笑みを滲ませると。
「裕美のママって、素敵♪」
みちるがつま先立ちせんばかりになってはしゃぎ始めた。
塀ぎわに追い詰められた、柄物のワンピース姿。
場所は、昨日華代の妹が襲われたのといっしょだった。
「こんどはお母さんがここに寝るのよ。石畳・・・ちょっと痛いけど」
正面から迫った裕美は、母親を羽交い絞めにしながら。
にこり、と笑んで。
まず自分の牙を突き刺した。
喉の奥に散った血潮は、懐かしい香りがした。
「さすがに裕美のお母様ね。ストッキングまで隙がないわ」
華代のノーブルな横顔に、発散した情欲の余韻を含ませる。
細い指先についた血を、似合わないお行儀の悪さで口に含みながら。
「片っ端から死なしたら、きりがないわ」
裕美が華代を振り返ると。
そうね。
三人とも、同意の頷きをかえしてきた。
順番こ。ね?
みちるが愉しそうに、もう何度めかになる華代の母を振り返る。
華代の母は、はぎ取られたブラウスからあらわになった胸を掻き抱くようにしながら、さっきから怯えた視線を送りつづけていたけれど。
死なないで済む・・・という安堵感だろうか。
ふらり、と頭を揺らして、もたれかかっていた壁から姿勢をなおも崩れさせた。
まだご馳走してくれるおつもりみたいね。
裕美が、無言の満足を滲ませる。
華代は母親の頭を撫でながら。
「だいじょうぶよ、お母さん。でももう少し愉しませてね」
そういうと、まだ頬の蒼い歌枝子を促して、二人ながらかがみ込んでゆく。
娘を喪って火の消えたようだった歌枝子の家が、めずらしく華やいでいる。
着飾った歌枝子の母親は、高価なネックレスを胸元に輝かせながら。
嬉しげに裕美の相手をつづけていた。
歌枝子の妹は制服姿で、華代の欲求に応じている。
「どんなにおしゃれしたって、お姉さまにはかなわないですよね?」
自分の妹さえクールに襲わせた華代だったが。
姉の歌枝子に似て大人しいたちの妹が気に入ったらしく。
珍しく人なつこそうな微笑を迫らせて。
グレーの地に赤のラインを走らせたチェック柄スカートのうえから両膝を抑えつけながら。
ひざ上までぴっちり引き伸ばされた紺色のハイソックスのうえからふくらはぎに唇をぬめらせた。
まだ血が残っている歌枝子は、のしかかってくるみちるの旺盛な食欲に応えていたが。
やがて、父が戻ってきたらしい。
妻や娘たちの生き血を目当てにやってくる吸血女どもの来訪を知ると、
いつも気を利かせて、家をあけているのだが。
きょうは、帰りが早すぎたらしい。
みちるは歌枝子のうえからさっと起き上がると。
「歌枝子パパ?こっちこっち」
別なお部屋へと、導いていく。
夫婦の寝室から、ベッドのきしむぎしぎしという音が洩れてくると。
歌枝子の母は、諦めたような笑みを一瞬浮かべて、
すぐに笑みをおさめると。
もっとハデに破ってね。
足許に唇を吸いつけてくる裕美を、実の娘のようにいたわりながら。
インポートものの透明なストッキングを、惜しげもなく破らせてゆく。
夜通しかけて・・・ ~連作・四人の妖花たち~
2006年09月03日(Sun) 05:28:17
あれは、みちるを弔う帰り道だった。
死んだはずの裕美が。華代が。そして、みちるまでが。
ひとしく妖しい笑みを浮かべて、こちらへと迫ってくる。
ただならぬ殺気を覚えて。手をあげて制止しようとしたけれど。
そんなものは、ものともせずに。
寄ってたかって、抱きすくめてきた。
きょうの服はね。あなたを弔う喪服なのよ。
そう囁いたときの裕美は、整った顔だちにどす黒い欲情を滲ませていた。
救いを求めようとして、声をあげたけれど。
ふだんは人通りのあるはずの路上には、なぜか人影ひとつ見られなかった。
正面から、みちるの豊かな肢体が迫ってきた。
胸ぐりの深い襟首からは、静脈の透けた実りゆたかなおっぱいが。
思わず引いてしまうほどの勢いで迫ってくる。
左右からは裕美と華代。
裕美は歌枝子の腰まわりを抱きすくめると身をかがめ、足許に唇を這わせてきた。
かすかな唾液が、黒のストッキングに滲むのを感じた。
ちくっ。
ちく、ちくっ。
まるで注射針のように、むぞうさに。
思い思いに刺し込まれた牙。
理性を狂わせるのに、いくらも時間はかからなかった。
道をはずれた草むらのなか。
膝丈まである雑草に覆われた石の階段に腰をおろして。
ようやく、ひと息ついて。
三人が放してくれたのは。
もう逃げたりはしない。
そういう確信を持ったからだろう。
けだるくなった四肢のすみずみまで。
淫らな毒液が、ぐるぐると駆け回っている。
「私も、死ぬの・・・?」
「そうね。できたらずっと、お友だちでいたいから・・・しょうがないよね?」
うん。
そう、頷くしかなかった。
「歌枝子の血って、美味しいね」
みちるが生前とおなじ無邪気さもあらわにして、囁きかけてくる。
「あたしを先に選んだのはね。歌枝子の血はみんなで吸いたかったからだったんですって」
嬉しいでしょう?もっと喜びなさいよ。
まるでそんなふうに、せかしているような口調だった。
「あたしの血、ふたりで山分けされちゃったけど・・・血を抜かれるのってなんかくすぐったい気分よね?
分かるわぁ。いまの歌枝子の気分」
己の血の喪失を、いとも嬉しげに思い出しているようだった。
「歌枝子、処女じゃないわね?」
「ええ。ごめんなさい。処女のほうが、よかったんでしょ?」
思いがけなくすらすらと、受け答えをしてしまっていた。
それがわが身にくわえられた犯罪を追認することになるような気がしたけれど。
ぼうっとなった脳裡は、それでいい・・・と彼女に命じている。
「歌枝子、まじめだから。あなただけは処女かなーって期待してたんだけどな」
みちるが、愉快そうに口を尖らせる。
「ね?誰とヤッたの?あたしの知ってる人?」
三人のなかで性格がいちばん明るく、あけっぴろげなみちる。
相変わらずの態度に、歌枝子はいままでどおりの苦笑で応えた。
「処女喪失といっしょよ。初めで、さ・い・ご♪」
裕美がとどめを刺すように。
歌枝子に引導を渡す。
「うん・・・いいわよ。ちょっと名残惜しいけど。三人でぜんぶ、吸い取っちゃって頂戴ね」
獲物が浮かべる蒼白い笑みに満足したように、三人の女たちはいちように顔を見合わせ頷きあった。
「ストッキング、破るわね」
さっきから裕美は、歌枝子の脚に執着している。
よほど気に入ったらしい。
「ア、あたしも♪」
華代がそれにくわわった。
「じゃ~、あたしは胸。ね?」
諦めたような苦笑いを浮かべながら。
歌枝子がスカートをたくし上げると。
みちるは甘えるようにもたれかかってきた。
「ひと晩かけて、あなたの血を吸い尽くすからね」
ゲームのルールを説明するようにして。
裕美は歌枝子に囁いた。
「好きにして」
ウフフ。くすくす。
時折洩れてくる忍び笑いと、かすかな身じろぎの音。
それも夜が明ける頃には、止んでいた。
遺された肢体が仰のけになったまま。四肢を硬直させていた。
長い黒髪がひとすじ乱れずに梳き直されていたのと、
蒼白くなった頬に浮いた心地よげな笑みが残っているのを。
発見者たちはひどく訝しがっていた。
母娘もろとも~連作・四人の妖花たち
2006年09月03日(Sun) 05:02:26
「ウン。ウン。いいよ・・・」
しきりに頷く後ろ姿は、リクルート・スーツ。
22歳の美鈴はさっきから。
ユリのような白い頬をかすかに揺らしながら。
向かい合わせに迫ってくる若い女がぶつけてくる衝動に耐えている。
時折上体を、ゆらゆらとさせながら。
女が離れると。
美鈴は頬を上気させて、自分より背丈のある女をふり仰いで。
さりげなく、訊いた。
「わたしの血、おいしい?」
と。
女は少女をあやすように、スーツの上から両腕を撫であげて。
口許についたバラ色のしずくを、手の甲でサッと拭っている。
「おいしいわ。ありがと」
「もっと、吸って・・・飢えているんでしょ」
「ばかね。死んじゃうわよ。あんまり私なんかにつきあうと」
「いいから・・・」
美鈴はしつように、女にねだった。
色の薄い茶髪。色素が足りないかというくらいに透きとおった白い肌。
控えめだがかわいい感じの目鼻立ちに、華奢な身体つき。
却って見映えがしないくらい、ほっそりとした脚。
「じゃあ、おことばに甘えて・・・ね♪ストッキング、破ってもいい?」
「エ・・・?いいよ」
女の不思議な要求にためらいもなく、美鈴は黒革のストラップシューズのつま先を差し出した。
圧しつけられた唇の下。
存在感のない薄い肌色のナイロンがくしゃっと歪んで、
ひかえめに帯びた色つやを、妖しくよぎらせる。
ちゅうっ・・・
長い黒髪を振り乱して。
きちんとそろえた足許に、女はヘビのように咬みついてくる。
ストッキングの裂け目がスカートの中にまでしのび込んできて、
太ももを包むほどよい束縛感が、ほろほろとほどけてくるのを心地よく覚えながら。
美鈴はウットリした目線を注ぎつづけた。
ちょっと姿勢を崩しながら。
「ぜんぶ、吸ってもかまわないのよ・・・」
白目が妖しい輝きを帯びはじめている。
「美鈴!美鈴!」
向こうからかけ寄ってくる足音に、ふたりはハッとしてふり向いた。
「お母さん・・・」
痴呆のように弛んだ口許からひと声そう洩らすと、美鈴はもう耐え切れずに、その場にうつ伏してしまっている。
「娘になにをするんです!?アッ・・・血??」
倒れた娘を抱きかかえようとしたのは、えび茶色のスーツ姿の中年女。
よく似た肌の白さに、血のつながりがにじみ出ていた。
「あら。お母さんなんですか?」
背後から取り囲むように並ぶのは、いずれ劣らぬ三対の脚線美。
ハッとするのは、母親の番だった。
太さ長さもとりどりな脚には、申し合わせたように。
肌の透ける薄手の黒のストッキングに、黒のパンプス。そして漆黒のフォーマルスーツ。
「初めまして・・・いつもこうやって娘さんの血をいただいている華代です♪」
ニッと笑った口許には、娘の体から吸い取ったバラ色のしずくがまだ浮いている。
「え・・・?」
あっけにとられ、訝しそうな遠い目線になった母親のスキを突くように。
背後から伸びた手が、早くも両肩を抑えつけていた。
「あっ」
「さぁ。お立ちになって」
「美鈴ちゃんの血が美味しいんだから・・・お母さんのもイケるわよね?」
くすっと笑いかける華代に、三人の女たちは無言で応えた。
抵抗は、あっという間にやんでいた。
切なく喘ぎながら。
もだえて息を弾ませながら。
娘で足りなかった血を、母親は気前よく、振る舞いはじめている。
乱れたスーツのすき間から。
思い思いに刺し込まれてゆく、四対の牙。
「あの。足りますか?わたし大丈夫ですか?」
切れ切れに洩れる言葉は、もう正気のものではない。
裕美は相変わらず、足許に執着していた。
華代もさっきから、もう片方の脚からストッキングを剥ぎ取っていた。
ほかの二人は獲物を両方から抑えつけて、
かわるがわる、首筋につけた傷口に、嬉しそうに笑んだ唇を吸いつけていた。
「美味しいわ。美鈴ちゃんいつも貧血ぎみだったから。ちょっと気になっていたのよね」
囁く華代に頷きながら。
こんどからお勤めには娘といっしょに出かけますわね。
家に戻って着替えても間に合うように。
すこし早く家を出て・・・
うわ言のような誓いの言葉を、四人は聞きもらすまいと息を詰めて聞きほれた。
「ストッキングは、お母さんのほうが上質ね。美鈴も見習うといいわ」
ようやく立てるようになった娘は、蒼白い頬に笑みを滲ませた。
「じゃあ、こんどは期待していて」
顔を見合わせた母娘は、初めてイタズラっぽく笑みを交わし合う。
狭い路地の塀際に、ふたり並んだ母娘。
黒のフォーマルスーツの女たちに囲まれて、かわるがわるうなじを吸われている。
紅い唇に撫でるように吸われるたび。
血を採られた女たちは、照れくさそうに、くすぐったそうに笑みをたたえる。
親密な会釈を交わしあい、ふたりが何事もなかったようにその場を立ち去ると。
「おい。妻と娘に何をしているんだ?」
立ちはだかる男に、女どもは物怖じひとつする様子がない。
「エ・・・?」
「もしかして、美鈴のパパ?」
くすっと笑い合う、白い頬。
「あの。いちどご挨拶するつもりでいたんです。お二人にはいつも、とてもお世話になっているので・・・」
近くの木立ちの、奥まった一隅で。
ズボンを脱いだ男は仰向けになって。
スカートを取り去った太ももに。
薄墨色のガーターが鮮やかなカーブを描いている。
「つぎはあたしの番」
「じゃあ私、その次ねっ?」
女たちは、はしゃぎながら。
・・・男を輪姦していた。
「ときどき奥さんと美鈴。借りるわね?」
男はもう抜け殻のようになりながら。
正気を喪った虚ろな目で、承諾を与えている。
少しばかり、しぶしぶと。
女ともだち♪ その2
2006年08月31日(Thu) 08:01:17
参列者は一列に並んで。
祭壇に歩みを進めてゆく。
膝丈の漆黒のスカートをひらひらと揺らしながら。
まだ暑い季節。タイツを履いている人は少なく、
薄手の黒ストッキングは、白い肌をじんわりと滲ませている
「次は誰を狙うの?」
より取りみどり・・・という目つきで、脚もとの品定めに夢中な裕美に。
華代が蒼い頬に笑みを滲ませている。
「どっちにする?」
最前列に並んで腰かけているのは、親友のみちると歌枝子。
「靴下の薄いほうにする?」
「肌のきれいな子にしようよ」
「みちるに歌枝子の血を吸わせてあげない?」
「それ、面白そう♪」
ふたりの運命は、他愛なく決められた。
えっ?えっ?えっ?
死んだはずのふたりをみくらべながら。
みちるはもう、壁を背にして追い詰められていた。
「血をくれるわね?全部吸われちゃって。切ないの」
「あなたの若~い血♪愉しみだったのよ」
二人に右と左からはさまれて。腕をとられて。
注射針のように、
ちくっ。
ちくっ。
黒のワンピースの胸ぐりに。
髪の毛をかきのけられた首筋に。
同時に牙が突き立てられる。
きゃっ。
悲鳴はちいさく、ちょっとくすぐったそうだった。
薄い靴下、気に入りなんだ。ちょっと舐めさせてね。
もうすこし、あったまりたいな。いいよね?
思い思いに食いついてくるのを拒もうともせずに。
いいわよ。思い切り破ってみて。^^;
あっ。そこはダメ。感じちゃうっ。(><)
いままでみたいに愉しげにじゃれ合いながら。
自分の血を愉しむふたりを相手に、気前よく振る舞いながら。
みちるはじょじょに、頬を蒼ざめさせてゆく・・・
女ともだち♪
2006年08月31日(Thu) 07:51:26
石畳のうえ、ヒールの音をコツコツと響かせて。
連れの友だちとも別れて独りであるく帰り道。
フッと立ちふさがったのは、女の影。
見覚えのある・・・どころか。
さっき献花をしてきた向こう側でほほ笑んでいたはずの遺影が、
リアルに髪を風になびかせている。
「裕美・・・」
そう、死んだはずの裕美が。
いま目のまえで、蒼白い頬に、冷たい笑みをたたえていた。
「参列、ありがと」
にっこりほほ笑むと。
こちらに近づいてきて。
「華代の喪服、一流ブランドのやつだよね」
誤りなく、ブランド名を口にすると。
「気に入りだったんだ~。この服。だから今夜はあなたを選んだの」
「え・・・?」
「見て、この傷・・・吸血鬼に咬まれたの。痛かったわ」
死因は失血死。そう聞いてはいたけれど。
それ以上のことは、ご家族は口を鎖して語ってくれなかった。
「母と妹は血をくれたの。あなたの血も、欲しいわ」
抗う隙さえ、あたえられなかった。
気がついたときには。
しっかりと抱きすくめられていた。
力まかせに、うなじをえぐられていた。
女どうし。それに一対一。
やめさせようとすれば、やめさせられたかもしれない。
ふりほどこうとすれば、逃れることもできたかもしれない。
けれど。
なぜか、力の込めかたが分からなくなって。
ただ闇雲に、もだえるばかりだった。
そのスキに・・・
吸血女は一滴余さず・・・とばかり。
情容赦なく、ひたすら血を吸いあげてゆく。
ちゅー、ちゅー、きゅううぅ・・・っ。
拍子抜けするほど、あっけなく。
ばかみたい・・・と思うほど他愛なく。
血はどんどん、吸い取られていった。
気がつくと。
路をはずれた草むらのなか、二人で抱き合っていた。
裕美は嬉しそうに、体のあちこちに咬みついてきて。
牙を差し込まれるたび。
くすぐったいような痛みが、ちくり、ちくりと胸をさす。
もうどうなってもいいや・・・
そんな気分に、なっていた。
わたしの血、気に入っちゃったみたい。
そんなに美味しいんだったら。
吸い尽くさせてあげても、いいかなっ?
「華代のストッキング、いい感じね。薄くて色っぽいし・・・履き心地はどうなの?」
「エ・・・わりといいのよ。安物だけど」
「そんなことないよ。こだわってるよ。・・・破っちゃって、ごめんね」
「ウウン。どうせ帰り道の心配、しなくてよさそうだし」
「そうだね。そうだよね・・・気の毒だけど、あなたの血。独り占めにしちゃいたいな」
蒼く輝く瞳に魅せられるように。
しぜんとセミロングの髪の毛に手をやって、
うなじを吸いやすいようにと、かきあげてしまっている。
裕美→華代→みちる→歌枝子
2006年08月30日(Wed) 07:12:47
カッ、カッ、カッ、カッ・・・
ヒールの脚が三対、歩みをすすめてゆく。
色は申し合わせたように、黒。
ストッキングの色も、濃淡取り混ぜながら、黒。
そう。ここは永久(とわ)の別れの場。
裕美ちゃん、きれいだったね。かわいそうに。
女たちは口々に、同僚の若い女の死を悼む。
黒い衣裳に包まれた影はしばらく寄り添うように交わるように歩みを連ねていたが、
やがて、三々五々散ってゆく。
カツン、カツン、カツン・・・
ヒールの脚は、きょうは二対。
控えめだがとりどりのデザインをもった黒いワンピースが、
せわしなげに歩みをすすめる。
華代ちゃんまで・・・ねぇ・・・。
女たちは声を忍ばせて。
ついこの間連れだっていた親友の死を惜しんでいる。
見た?
裕美ちゃんときとおんなじで。
首に針で突いたみたいな傷、あったよね?
もうそんなお話、やめましょ。
相方に遮られて。もう一人のほうも黙りこくってしまう。
黒の衣裳は先日の分かれ道まで来ると。
さよならもいわずに右と左に別れていった。
コツ、コツ、コツ・・・
黒のストッキングに包まれた恰好のよいふくらはぎ。
スカートのすそをさばくように、やや大またに歩みを進めてゆく。
女は、ひとり。
薄手のストッキングに透ける白い肌は冷えた空気のなか、
いっそう冴えるように輝いている。
さいしょのときは、真夏。
このまえは、晩夏。
いまはもう、葉が色づきはじめている。
これほどの短いあいだに、とうとう一人になってしまった。
さよならも言わなかったよね。みちる。
女は来た道を振り返り、独り呟いた。
睫毛の長い瞳がハッと見開かれ、
薄く口紅を刷いた唇が、かすかにわなないた。
折から立ち込める霧の彼方。
喪服姿の女の影が三つ、前途を遮るように立ち尽くしている。
「裕美!華代!みちる・・・?」
どうして?死んだはずなのに・・・
ホホ・・・
三人の女たちは、申し合わせたように喪服を着ていて。
蒼白い頬にかすかな笑みをたたえながら。
遺されたはずの歌枝子を取り囲むように立ちはだかった。
ひとりは歌枝子の腕を、もうひとりは肩をつかまえて。
まえに立ったのは、さいしょに死んだはずの裕美だった。
「ぜんぶ、吸われちゃったんだ」
何を?
問い返すまでもない。
生前と変わらぬ美しさをたたえながら。
血の気の失せた素肌だけが異質だった。
「で、それから華代ちゃんからそっくり頂いたのよねー」
イタズラっぽい口調も、もとのまま。
裕美に肩をつかまれた華代もイタズラっぽい笑みで応えて、
ちょっと身をすくめて見せた。
「華代の血はぜんぶ、あたしが独り占め♪」
蒼白い唇は、おしゃべりをやめない。
「それからふたりして。みちるのこと待ち伏せて・・・ご馳走してもらったんだよね?お葬式の帰り道」
「そうそ。そのときは、山分け」
こんどはみちるが、肩をすくめる晩だった。
おいしかった?
ご馳走さま。
とんでもない話題とは裏腹に、女たちはきゃっきゃと無邪気にはしゃいでいる。
本当はあなたの血も、独り占めにしたかったのよ~
もうっ。裕美ったらイヤラシイんだから。
あら、そおだったの?
よく言うわね。華代ちゃんだって・・・私のおっぱい揉みながら、血を吸ってたじゃないの。
さえずる後輩たちを押しとどめて。裕美がいった。
さっ、きょうは仲良く、歌枝子から血をもらいましょ。
ちょっ、ちょっと待って・・・
歌枝子は手をあげて、三人を制止しようとした。
その手を取って、押しやって。裕美は囁いた。
きょうの服はね。あなたを弔う喪服なのよ。
三つの黒い影に押し包まれた喪服姿は、ひと声アッと声をあげて。
身をすくめて立ち尽くして。
じょじょに姿勢を崩していって。
冷たい石畳の上、眠るように身を横たえていった。
美味しかった?
血をあやしたままの口許が、ほほ笑みかける。
うん。
華代はまだ指先にからみついた紅いものを、舌にからめてもてあそんでいる。
私んときも、そうやっていたよね。
お行儀わるい・・・という顔つきをするみちるは、自分の身体から血を抜かれたことにまだ恨めしそうにしている。
さあ、さ。行きましょ。
あなたもこれだけ吸ったら、満足でしょ?
なりたての吸血鬼を引き立てるように、裕美は囁いた。
歌枝子、ごめんね。お墓で待ってるわ。
人目を避けてわき道に消えてゆく影たちを見ていたのは飛び交う鳥たちだけだった。