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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

【コラボ作品】―――被害に遭った女子生徒の父親の告白―――  娘・香奈はこうして”生き餌”とされた。

2014年09月03日(Wed) 23:32:15

こんばんは。柏木劇場へ、ようこそ――― ^^
・・・って、なんだか場末の安っぽい見世物小屋みたいですね。^^;

それはさておき。

先日、文字通り”衝撃の邂逅”を遂げた「霧夜の狩人」さまの作画が、某所でますます冴えわたっております。
このたび幸いにもご厚意を得て、
 「邂逅―――吸血5夜目 晴美――― 」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3080.html
をあっぷしえたのは、いまだに記憶に鮮烈なところでありますが、同兄の別作品にも、文章を入れさせていただきました。
(*^^)v
某所でのあっぷは、8月24日。コチラでのアップが一週間以上も遅延したのは、ひとえに管理人の怠慢によるものです。
こうご容赦。

でもですねぇ。アチラのほうがはるかに、視聴率高いんですよね・・・
コチラで「霧夜の狩人」さまのファンが生まれるかどうか、はなはだ心もとないのですが。あえて遅ればせながらの一石を投じてみます。

では、はじまり、はじまり・・・

【ご注意】
画像は大きく表示されます。
画像をクリックしていただいて別画面で御覧になることをおススメ致します。



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実写版:邂逅

2014年08月24日(Sun) 23:19:32

前作・邂逅にちなみまして、実写版?を作ってみました。
どんなふうにして作ったかは、ご想像に任せるとして・・・

それにしてもほんとに、このごろビジュアルに頼っているなあ・・・
もっともたんなる画像ではなくて、お話にはしてあるんですけどね。^^;

小説が紙芝居に化けたような感じでしょうかね? ^^;

ともあれまずは、はじまり、はじまり・・・




基本、前作とは独立した作品です。^^;
しいて言えば制服のルックスくらいしか、似ておりません。^^;
まったり系なのトコロだけでも柏木流だと言っていただければ、それで大いに満足であります。
(^^)

【コラボ作品】 邂逅―――吸血5夜目 晴美―――

2014年08月23日(Sat) 13:21:56

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【コラボ作品】 邂逅―――吸血5夜目 晴美――― 誕生の経緯

2014年08月23日(Sat) 13:16:59

【はじめに】
こないだね。
pixivにアカウントを作ってみたのよ。(身のほど知らずに・・・ ^^;)
載せたのはおもにココで描いたような絵たちなんですけれど。
そしたらね。
すご~くそそられる、一群の絵たちが、いたのです。
セーラー服を着た女学生が、闇夜のなかで吸血鬼に襲われて、つぎつぎと血を吸われてゆくの。
おうかがいして、作者のかたに訊ねてみたら。
「殺生は嫌いです」とのこと。
そうすると・・・共存路線? ^^
なんて考えつつも、お互いにコメのやりとりをしていたら。
8月7日にここに載せた、「頼むから」のビジュアル版に、反応してくださって。
仰るではありませんか。

お名前と私の投稿イラストへの感想の表現力の高さから、
そうじゃないかなぁと思っていましたが。
やっぱり「妖艶なる吸血」の作者先生ですね。
さっき久々にそちらに行って、同じ短編がありました。
(原文どおり)

ええ~っ?私って、有名人?(^^;)  (違)
きけば、小説はふだんあまり読まないかたなのに、私んとこには「たまに、チョクチョク」見えられていたのだとか。
「どうも私んとこのテイストと似ているなあと思っていました」と申し上げましたら、

私の投稿イラストには「柏木文学」の影響を多分に受けてるので、
まあ、自然と似てしまいますな ^^;
(これまた、原文どおり)

という、なんとも頼もしいご回答。

いや、名画なんですよ。これがじつに!
セーラー服の女学生が吸血されているという画題を持つ絵って、意外にないんですよ。
それを差し引きしても、迫られる少女たちの迫真の表情とか、
生き血を吸い取られてゆくときの、無念そうな顔つきとか、
だんだんと快感を注入されて、表情に微妙な翳りを帯びてくるところとか、
じつによく描けているんです。
吸血鬼氏が、〇スフェラトゥみたいな血の気の失せたスキンヘッドというのが、またよろしい。
(^^)

それで、思い切ってお願いしてみました。
貴男の絵に詞書をつけさせてもらえませんか?

快諾をいただけました! \(^o^)/

と、いうわけで。
いままで類例を見ない、名画&柏木ワールドのコラボ作品が生まれることとなりました。

あ。

ずいぶんと、長くなってしまいましたね。 (^^ゞ
本編は、記事を改めて掲載します。

ちなみにこの作品は、pxivにおける小生のサイトに同じ内容のものが掲載されています。
おひまでしたら、探してみてくだされ。^^

吸血鬼のいる村

2010年03月21日(Sun) 23:58:22

~はじめに~

舞方雅人様といえば、こちらにお越しの皆さまはよくご存知かと思います。
そう。先日も2000作めの記事で御紹介した、2005年7月以来毎日記事をアップされている驚異のSS作家さんです。
その舞方さまが、当ブログのために、書きおろしのSSをお送りくださいました。
舞方様、まことにありがとうございます。m(__)m

柏木ワールドまんまなたいとるですが、柏木ワールドにも舞方ワールドにも通じる美学があふれています。
どうぞさいごまで、お愉しみくださいませ。
では、はじまり、はじまり。



「静かなところね。空気が美味しい」
駅から一歩外へ出たところで、結花(ゆか)は深呼吸してそう言った。
「何にもないところだけどね」
ボクはちょっと恥ずかしくなる。
そう。
ここはひなびた農村。
観光名所があるわけでも、温泉が近くにあるわけでもない。
本当に何もないところなのだ。
だから街に暮らしているボクが普段はこんなところへ来ることはない。
今日は特別。
父さんと母さんに結花を紹介する日。
将来を誓い合ったボクの妻になる人を両親に紹介するんだ。

「ちょっと遠いけど、散歩がてら歩こうか」
「いいわ」
ボクは自宅に向かって歩き始める。
すぐに結花がボクの腕に自分の腕を絡めてきた。
「結花・・・」
「恥ずかしい?」
上目遣いでいたずらっぽくボクを見る結花。
「ちょっとだけ」
「いいじゃない。私、こうして歩くの好きよ」
ボクだって嫌いじゃない。
だからそのまま歩いていく。
道の両側には畑が広がっている。
午後の早い時間だから、農作業の人もいる。
ちょっと照れくさいけど、まあいいか。

両側に畑が広がる細い道。
バスは一時間に一本あるかないか。
山間なので畑もそう広いものじゃない。
隔絶された小さな村。
そこがボクの生まれた村だった。

「やっぱりお年を召した方が多いね。若い人はみんな街へ行っちゃうのかな」
さすがにずっと腕を組んで歩くのはつらくなったのか、いつしか結花はボクの手を掴んでいた。
「そうだなぁ・・・いや・・・若い人が少なかったような気もする・・・」
言われてみると、若い男の人は少なかったような・・・
今畑で働いている人たちも、みんな中年以上の男性ばかりだ。
結花の言うとおり、若い男はボクみたいに街へ出ているのかもしれない。
「女性の方がいないね。こういう農作業は家族でやるものかと思ってた」
「ん? 言われてみればそうだな。女の人がいないな」
なんだろう・・・
この村に年取った女の人っていたっけか?

「ねえ、ター君。まさかこの村で暮らすなんて言わないよね? ご両親に私を紹介するだけだよね?」
農作業をさせられる自分を想像したのか、結花が心配そうに訊いてくる。
「大丈夫だよ。ボクは今の会社を辞めるつもりはないし、君だってそうだろう?」
「うん。今の仕事好きだから、できるだけ辞めたくない。子供ができたら別だけど・・・」
そのことは以前から話している。
仕事の好きな結花は、当面共稼ぎをすることにしているのだ。
「こんな田舎じゃ何もないしね。父と母に結花を紹介してそれで終わりだよ。明日は山向こうの温泉にでも行くとしよう」
「賛成。ところで私の格好、変じゃないかしら?」
紺のタイトスカートのスーツを心配そうに見下ろす結花。
おしゃれをするよりも清潔感を出したほうがいいと考え、ビジネススーツを着てきたらしい。
ナチュラルベージュのストッキングが結花の綺麗な脚を飾っていた。
「大丈夫だよ。ボクだってスーツなんだし。でも、なんだか会社の同僚が仕事でいっしょに来たみたいだな」
「うふふ・・・それもそうね」
結花がホッとしたように笑っていた。

「ただいま」
ガラガラと扉を開ける。
古い家なので無駄に広い。
玄関先には父さんの使う農機具が無造作に置かれていた。
「はーい」
奥のほうから若い女性の声がする。
母さんの声だ。
なんだかホッとする。
やっぱり家に帰ってきたという気がするものなんだなぁ。

「どなた?」
パタパタと足音を立ててやってくる母さん。
タバコのにおいがぷんとする。
やっぱりタバコを吸っているんだ。
昔から母さんはタバコが好きだったっけ。

「母さん、ただいま」
「まあ、貴志(たかし)。ごめんなさい、もっと遅い時間かと思っていたわ」
タバコを吹かしながら玄関に現れた母さんは、ボクの姿を見て驚いていた。
ちゃんと時間は言っておいたはずなのに。
まあ、いつも母さんはぼんやりとしたところがあるから、無理もないのかもしれない。
姿を現した母さんは以前とまったく変わりがないようだった。
胸元の開いたブラウスを着て、かなり短いスカートを穿き、ストッキングを穿いている。
爪にはマニキュアをして目元にはアイシャドウ、唇には真っ赤なルージュを塗っていた。
どこかへ出かけるというのではなく、これがいつもの母なのだ。

「は、はじめまして。浅生(あさい)結花といいます。よろしくお願いします」
「まあ、あなたが貴志の彼女なのね。いらっしゃい。どうぞ上がって」
やさしく笑みを浮かべる母さん。
ボクは結花を先導するように靴を脱いで家に入る。
結花はなんだか先ほどとはうって変わって、おどおどしたような感じで付いてきた。

ボクは以前自分が使っていた部屋に行く。
もちろん結花もいっしょだ。
母さんには父さんの事を聞いたが、やっぱり夜に来るものだと思い込んでいたらしく、農作業に出ているとのことだった。
本当はさっさと挨拶を済ませておきたかったが、いないのでは仕方がない。
母さんも父さんを呼びにいくつもりはないらしく、お茶を用意すると言って部屋を出て行った。

「はあ・・・驚いたぁ。ねえ、ター君、あの方本当にター君のお母様なの? どう見たってお姉様って感じじゃない?」
「ははは・・・母は昔から若く見られる人なんだよ。ボクを生んだ頃からほとんど変わってないんじゃないかな。もういい加減あんな派手な格好はやめればいいのにね」
「信じられない。どう見たって30代前半よ。失礼だけどおいくつなの?」
結花はよほど母の格好が若々しいのが気になったんだろう。
「もう50過ぎだよ。当たり前だろ。ボクだってもう27なんだから」
「信じられないわ。お化粧のせいかしら・・・」
首をかしげている結花。
まあ、母親が若く見られるってのは悪くないけどね。

「ゆっくりしていってちょうだいね。父さんも夕方には戻るはずだから」
母さんが茶を持って来てくれる。
「ちゃんと午後には着くって言っておいたのに・・・」
「ごめんね。母さんのミスだわ。あ、結花さんはタバコは吸う?」
「あ、私は吸いません。どうもタバコは苦手でして」
結花が申し訳なさそうに母さんに言う。
さっきから煙そうにしているのだ。
母さんも気がついてくれればいいのに。
「そう? 美味しいのにね。まあいいわ。何もないところだけどゆっくりしてて。あとでいいことがあると思うから」
「いいこと?」
「そう、いいことよ。おとなしくしてなさい。スーツ姿の結花さんにムラムラしたからって、襲ったりしたらだめよ」
「ばっ! か、母さん!」
俺がびっくりして何も言えない隙に、母さんは笑いながら出て行った。
なんなんだ、まったく・・・

結局ボクたちは手持ち無沙汰のまま時間を過ごすことになる。
結花と他愛もない話をしたりしていたけど、お互いに普段と違う環境にいるせいか、会話もあまり弾まない。
自然と無言で部屋にあった本などを読んで過ごすしかなかった。
「ねえ・・・ちょっと見て」
することがないせいか、窓の外を見ていた結花がボクを呼ぶ。
「どうしたの?」
なんとなく億劫で、立ち上がるのを躊躇する。
「いいから見て。ちょっと変じゃない?」
「変?」
なんだか不安そうな表情の結花に、ボクは腰を上げて窓のそばへ行った。
「どうしたの?」
「あの人・・・さっきからトラクターを動かさずにこっちのほうをじっと見ているような気がするの。変じゃない?」
「ん?」
結花の示すほうには、畑の中に一台のトラクターが停車していた。
その運転席には初老の人物が座っていたが、確かにこの家のほうを見ているような気がする。
「ね? 言ったとおりでしょ?」
「うん、まあ・・・でも、農作業の休憩中かもしれないし・・・」
「でもずっとよ。変じゃない?」
結花はとっくに休憩中という考えは排除しているのだろう。
でもなぁ・・・
農家の作業なんてよく知らないし・・・
あれはあれで大事なことかもしれないしなぁ・・・
「なんだかここを見張っているみたい。私たちが窓から逃げ出さないように・・・」
「ぷっ」
ボクは思わず吹き出した。
「なんだいそれ? ボクたちを見張ってどうするのさ。考えすぎだよ、結花」
ボクは窓から離れて座りなおす。
「でも・・・」
結花は納得しない様子だけど、だいたいボクたちを見張ってどうするというのさ。
ボクたちはただ実家に戻ってきただけなんだし、見張る理由なんて・・・
ああ、もしかしたらボクが女の人を連れてきたというので、気になって見ているのかもしれないな。
きっとそうだ。
うん。

ドアがいきなり開けられる。
ボクと結花は驚いてドアのほうを見た。
そこには父さんが立っていた。
結花から見れば、ちょっとくたびれた感じの中年男性に見えるかもしれない。
「父さん」
「貴志」
思わず懐かしくなったボクだったけど、父さんは険しい顔をしてボクをにらんでいる。
どうしたのかな?
あんまり早く来たから農作業が途中になっちゃったのかな?
「父さん、彼女が・・・」
「そんなことはいい」
ボクが結花を紹介しようとしたのを途中でさえぎる父さん。
いったいどうしたんだろう。

「貴志。なぜ帰ってきたんだ。すぐに彼女を連れて街へ戻れ!」
「えっ?」
「あれほど二度とここには来るな、街で一生暮らせと言っておいたのを忘れたのか? 早く出て行くんだ! 手遅れにならないうちに!」
「と、父さん・・・」
ものすごい剣幕で怒っている父さん。
二度と来るな・・・?
そんなこと言われていた・・・?
「この娘もあのお方に捧げるつもりか? この娘と一緒になりたいんなら早く出て行くんだ!」
あのお方?
あのお方?
あのお方・・・?
何かがぐるぐると頭の中を回る。
何か・・・
何かをボクは忘れている・・・
いったい何を・・・?

「あ、あの、はじめまして。私、浅生結花と申します。貴志さんとは・・・」
ボクと父さんが何か変な雰囲気なのを察したのか、結花が自己紹介する。
「挨拶などいいから、早く逃げるんだ!」
「あら、どこへ逃げるというのかしら?」
父さんの後ろから冷たい声が聞こえてきた。
「母さん・・・」
「聡子(さとこ)・・・」
部屋に入ってきた母さんはタバコを咥えて、なんだか冷たい笑みを浮かべていた。
「私があのお方の下に行っている間に何の悪巧み? そんなことをして私に触れられなくなってもいいのかしら?」
「ああ・・・聡子・・・聡子様・・・俺はそんなつもりは・・・」
急にがくがくと震えだしてへたり込む父さん。
いったいどういう・・・
母さんの目・・・
赤い・・・
「うふふふ・・・そうよねぇ。お前は私の脚が好きなんだものねぇ」
いやらしく笑って父さんにタバコの煙を吹きかける母さん。
ああ・・・
なんていやらしいんだろう・・・
「ああ・・・そうです。聡子様の脚が・・・このストッキングに包まれた脚が大好きなんです」
すがりつくように母さんの脚にしがみつく父さん。
父さんと母さんってこんな感じだったっけ・・・?
「うふふ・・・あっちでおとなしくしてなさい。いろいろと終わったら、私の脚を存分に舐めさせてあげる」
「ああ・・・聡子様・・・あそこも踏んでくれますか?」
上目遣いで母さんを見つめる父さん。
「うふふ・・・いいわ。今日は足コキもしてあげる」
「ああ・・・ありがとうございます。聡子様」
「じゃ、いい子だからあっちへ行ってなさい」
「はい。聡子様」
そそくさと出て行く父さん。
ボクには何がなんだかさっぱりわからなかった。

「うふふ・・・結花さん、この村へようこそ。さあ、いらっしゃい。今日からあなたのご主人様となるお方がお待ちかねよ」
「えっ? 私の?」
いきなりそう言われ、驚いている結花。
ご主人様ってどういうことなんだ?
「母さん、いったいどういうことなんだ? いったい結花をどうするつもりなんだ!」
ボクは思わず結花を背後にかばう。
変だ・・・
何かが変だ・・・

「うふふふふ・・・」
笑い出す母さん。
一口タバコを吸い、煙を吐いて言葉を続ける。
「よくやったわ、貴志。私の指示通りに街で素敵な女性を見つけてきたわね。あのお方も彼女ならきっとお喜びになられるわ」
「指示通りって何だ! あのお方っていったい誰なんだ!」
「あのお方はあのお方よ。この村の支配者様。そして私のご主人様」
「母さん・・・」
何を言っているんだ?
母さんは父さんの妻じゃないのか?
「うふふふ・・・忘れるように言ったからすべて忘れちゃったのね。でも、もういいの。お前の役目は終わり。お前は立派に役目を果たしたわ」
「役目って・・・役目ってなんだよ・・・」
ボクの頭の中で渦巻いていたものがだんだんはっきりしてくる。
ボクは・・・
ボクは・・・結花を・・・

「お前の役目は新たな女性を村に連れてくること。あのお方の新たなしもべとなる女性をね。お前はその役目を立派に果たしたわ。あとは父さんといっしょにこの村のために働きなさい。ちゃんと働けば、結花さんの脚ぐらいは触らせてもらえるかもよ。あははははは」
高らかに笑う母さん。
思い出した・・・
全部思い出した・・・
ボクは・・・
ボクは餌だったんだ・・・
この村に新たな女性を連れてくるための餌だったんだ・・・

いつのころかこの村にやってきた吸血鬼。
そいつは村の女性を虜にして、この村を支配した。
吸血鬼に襲われた女性はみな、男には抗いがたい魔の魅力を持たされる。
その魔の魅力で男たちを骨抜きにし、奴隷のように扱うのだ。
母さんもボクが子供の頃に吸血鬼に襲われて・・・
それ以来吸血鬼の言いなりになるようになってしまったんだ。
母さんは歳を取らないままに父さんを魔の魅力でもてあそび、ボクには暗示をかけてその生活が普通のことだと思わせた。
そして大学進学にあわせて何もかもを忘れさせて街へと放出し、餌として女性を連れてくるよう仕向けられたのだ。
ボクはそれと気付かないままに、結花を吸血鬼のいけにえに差し出そうとしていたんだ。

「だ・・・だめだ! 行かせない! 結花は行かせない!」
ボクは必死で結花をかばう。
「ふふふ・・・バカな子ねぇ。もう遅いのよ。さあ、結花さん、いらっしゃい」
「はい・・・」
「えっ?」
ボクは背後で結花が返事をしたのに驚いた。
思わず振り向いたボクは、結花がうつろな目でふらふらと歩き出すのを目の当たりにした。
「結花!」
手を伸ばして結花を掴もうとしたボクだったが、母さんの目が赤く輝くと、急速に視界が暗くなる。
そしてそのままボクは意識を失ったのだった。

                   ******

「ター君・・・ター君」
ボクの名を呼ぶ声がする。
深い闇の中から引き戻されるような感じで、ボクは目が覚めた。
「ああ、気が付いた? よかった・・・」
目を開けたボクの目の前には、かがみこんで覗きこんでいる結花の顔があった。
なんだろう・・・
どこかいつもと違う結花の顔だ・・・
「結花・・・あっ」
ボクはすぐに身を起こす。
こんなことをしていられない。
すぐにこの村から逃げなくちゃ・・・
「結花。よかった。無事だったんだね? 急いで支度するんだ! ここから逃げよう!」
ボクは結花の両肩をつかんでそう言った。

「ふふっ」
すると結花は小さく笑い、ボクの手をすり抜けるように離れていく。
そして向かい側にある椅子に座ると、すらりとした脚を組んだ。
あれ?
どうして素足なんだろう・・・
確かナチュラルベージュのストッキングを穿いていたはずなのに・・・
「どうして逃げなくちゃならないの?」
「えっ? どうしてって・・・」
この村には・・・
「私はいやよ。私はもうこの村の女なの。今日からはこの村に住むわ」
「結花・・・」
ボクは言葉を失った。
わかってしまったのだ。
結花は・・・結花はもう・・・
「結花・・・君はもう・・・」
「うふふふ・・・」
妖しく笑う結花。
よく見ると、ここへ来たときは付けていなかったアイシャドウや真っ赤な口紅なんかも付けている。
先ほど感じた違和感はそのせいだったんだ・・・
「ええ、そうよ。私はもうあのお方のもの。あのお方の洗礼を受けたのよ」
「結花・・・」
「うふふ・・・あのお方は私の脚を気に入ってくださったの。じっくりと舐めて愛撫してくれて、それからチュウチュウって太ももから血を吸ってくださったわ。とっても気持ちよかった。ストッキングがツツツッて伝線していったとき、ああ、愛されているんだって感じたの」
そのときのことを思い出したのか、結花はうっとりとした表情を浮かべている。
ボクは絶望感に打ちひしがれた。

「ねえ、ター君」
「なに?」
「あのお方のものになってしまった私は嫌い?」
ニヤニヤと笑っている結花。
ああ・・・
この笑み・・・
赤くなってしまった目・・・
とても逆らえるものじゃない。
これが吸血鬼によって与えられてしまった魔の魅力なんだ・・・
ボクは結花の問いかけに、首を振るしかできなかった。

「よかった。ター君ならわかってくれると思ったの。あの両親の血を引いているんですものね。ター君なら立派なマゾ奴隷になれるわ」
結花はポケットからタバコを取り出すと、口に咥えて火を点ける。
ボクは驚いた。
結花はタバコが大嫌いだったはずなのに・・・
これも吸血鬼のせいなのか?
「結花・・・タバコも吸うのかい?」
「ん? ああこれ? ええ、あなたのお義母様に教えていただいたの。あのお方はタバコを吸う女性が好きなんですって。吸ってみたけど美味しいのねぇ。好きになっちゃったわ」
細い指でタバコをはさみ、美味しそうに煙を吐き出す結花。
その姿はとても美しい。
「結花・・・」
「だめよ、ター君。今日からは私のことは結花様って呼ぶの。あなたはもう私の奴隷なんだから」
奴隷・・・
ああ・・・
なんてことだろう・・・
結花の赤い目で見つめられたらもう逆らえない。
なんて甘美な言葉だろう。
ボクはもう結花の奴隷にされてしまったんだ・・・

「結花・・・様」
「ふふふ・・・これであなたは私のもの。私の奴隷になったのよ。これからは私があなたを支配してあげる」
満足そうにボクを見る結花。
ああ・・・そうだ。
ボクはもう結花の奴隷。
結花様のものなんだ。
「ねえ、貴志。あなたはどこがいい? お口? 胸がいい? それともこの脚かしら?」
組んだ脚をぶらぶらさせる結花。
ああ・・・どうしよう・・・胸もいいけど・・・やっぱり・・・
「脚・・・脚でお願いします」
ボクは結花様の前で頭を下げる。
「うふふ・・・やっぱりね。いいわ。これからあなたが触れることができるのは私の脚だけ。それ以外はあのお方のものよ。いいわね」
見せ付けるようにつま先を前に出してくる結花。
ボクは思わず何度もうなずいていた。
「どう? 触りたい? それとも舐めたいのかしら?」
「ああ・・・舐めさせて・・・舐めさせてください、結花様」
「うふふ・・・いいわ。ちょっと待ちなさい」
ボクの舌先が触ろうかというあたりで、スッとつま先を引っ込めてしまう結花様。
バッグの中から新しいストッキングを出して穿いていく。
滑らかな結花様の脚がつややかなナイロンに覆われていく。
ボクはただそれを見ているだけで、股間が硬くなっていくのを止められなかった。

                    ******

この日からボクは結花様の奴隷となった。
そして父さんといっしょに村で農業をやっている。

結花様はあのお方のしもべの一人となった。
そしてときどき母さんとともにあのお方に血を吸われに行っている。
あのお方の趣味のせいか、結花様も母さん同様に派手な化粧をしてタバコを吸うようになっていた。

結花様の身も心もあのお方のもの。
ボクはときどき結花様のお許しのあるときだけ、結花様のおみ脚を舐めさせてもらっている。
多くはあのお方に血を吸われに行ったときで、太ももから伝線したストッキングのままつま先を舐めさせてもらうのだ。
そして、結花様の機嫌がよいときは、そのままボクの固くなったモノを脚でこすってもらうことができる。
ナイロンに包まれた結花様の脚でこすられると、ボクのものはあっという間に白濁液を出してしまうので、いつも結花様に笑われる。
それがとても気持ちよかった。

もうボクはこの村から離れることはできない。
次の餌はまた誰か別の男が選ばれるだろう。
ボクはこのまま一生をこの村で過ごすのだ。
父さんと同様に、いつまでも若いままの結花様のそばで一人だけ年老いていく。
そしてボクが死んだとき、結花様は晴れてあのお方のもとへ行くのだ。
でも、それまではボクのそばにいてくれる。
ボクはそれだけで満足だった。

END

黒と白と赤

2008年08月18日(Mon) 00:04:15

~柏木からのごあいさつ~

はじめにひと言、お断りをば。
このお話は、当ブログの管理者・柏木の描いたものではございません。
かねてリンクをお願いしている、舞方雅人さまが私んトコのために、描きおろしてくださったお話です。
本家の柏木がびっくりするほど、ウチの世界になじんでおりますので。
くれぐれも、お間違えなきよう・・・。^^
まさに端倪すべからざる味わいですゾ。^^
それでは、はじまり。はじまり。

「黒と白と赤」

「ん・・・あ・・・ん・・・」切なげな吐息が漏れる。「うふふ・・・感じているのね? 可愛いわぁ」少し厚地の真っ白なタイツの上をピンク色の舌が生き物のように這っていく。舌先がつんつんと触れるたびに、相手の躰がぴくっと震える。夫の愛撫とはまったく違う感覚に戸惑いを感じているのだろう。可愛い人・・・獲物にしておくにはもったいない。口元に鈍く輝く牙をむき出しにして、柔らかい太ももに突き立てる。「ん・・・」吐息がさらに切なげになり、躰がじょじょに弛緩する。つつつと真っ白なタイツが伝線し、一筋赤い血が垂れる。流れ込む甘い血潮をたっぷりと味わうと、女はおもむろに顔を上げた。美しくも妖艶な表情で口の周りについた血をぺろりと舌で舐め取っていく。血こそ彼女の生きる糧。美しい獲物から美味しい血を味わうことこそ最高の愉悦。彼女はこの瞬間に満足していた。

くったりと壁に寄りかかり座り込んでいる美しい女性。漆黒のレオタードと見事なコントラストをなす真っ白いタイツが片方だけ伝線し、少しだけ赤茶けた血がにじんでいる。何が起こったのかすら理解できていないようなうっとりとした表情を浮かべ、目の前のもう一人の女性を見上げていた。彼女を見下ろしているもう一人の女性も、彼女と同じように漆黒のレオタードを身に纏い、白いタイツを穿いている。わずかな照明しかないうす暗いホールの中、周囲に設置されたバーとミラーがここがバレエの練習場であることを示していた。

「うふふ・・・どう? 気持ちよかったでしょ?」かがみこみ、耳元でそうささやく美女一人。彼女がこの練習場でバレエを教えているのはこの街では有名な事実。海を渡った彼の地から来た彼女にとって、長いこと慣れ親しんだバレエを教えるのは造作もないこと。この地では珍しい金色の髪も青い目も、バレエではとても素敵なアクセントになる。お気に入りの黒いレオタードと白のタイツに身を包めば、そこは彼女の世界になった。

「は・・・い・・・」まるで夢の中での出来事のようなうっとりとした表情で答える女性。彼女の教室にバレエを教わりに来たときから、すでに彼女は目をつけられていた。幼き日々にやっていたバレエを、再びやるようになったのは愛する夫のため。大好きな夫に少しでも喜んでもらおうと、美しい躰をより美しくするためにこの教室にやってきたのだ。そこがまさか人外の者の世界だとは露知らず。

「あなたのこと・・・すごく気に入ったの。私のものになりなさい」優しく耳元で語り掛けるバレエの先生の言葉。何も考えることなく彼女はこくんとうなずいていた。それがどのような意味を持つのか、そんなことはどうでもいい。とろけるような愛撫と太ももに感じた小さな痛み、それに続く甘美な感覚は彼女の思考をいとも簡単に奪ってしまう。薄れ行く意識の中で、彼女は先生の姿がなぜか鏡に映っていないことがふしぎだった。

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「ごめんなさい。疲れているの」そう言って夫を拒むようになったのはここ数日のこと。結婚してまだ一年ほどしか経っていない若い夫にとって、その返事はあまりにも残酷だろう。でも、言いつけは守らなくてはならない。そうしないとすべてを失ってしまうから。失うのは耐えられない。だから・・・しばらくの間は耐えてもらうしかないの。

「ごめんなさい。疲れているの」物憂げな表情でそう言った妻。前から色白だった妻は、ここ最近さらに色が白くなったと夫は感じる。それに比して口紅を塗られた唇がとても赤い。ぬめるような赤い唇を、時折舌で舐めていることに妻は気がついているのだろうか?そして、それを見るたびに夫は心がかき乱され、あそこを硬く勃起させてしまうことに気がついているのだろうか・・・

「あなたのために美しくなるからね」そう言ってバレエを習い始めた妻。金髪の美しい外国の女性が開いているバレエ教室。妻以外にも中学生や高校生の少女たち、場合によっては熟年女性も健康のためと称して習いに行っているという。

夫が気になったのはちょっとした噂。バレエを習っている女性のうちの幾人かが時折貧血を起こすという。バレエは見た目よりハードな運動だ。だから熱心に練習すればそんなこともあるのだろう。だが、健康で一度も貧血を起こさなかった少女でさえ、頻繁に貧血を起こすようになるというのはちょっと異常ではないのだろうか?

妻は言葉どおり美しくなった。適度に引き締まったプロポーションは美の芸術の域にまで達しようかというぐらい。一緒に街を歩けば道行く男たちが振り返る。それはとても誇らしいことではあるものの、どこか男を不安にさせるものでもあった。

仕事から帰ってくると、カーテンを引いた薄暗い部屋で横になっている妻。夫が訊くと、このところ多少貧血気味だという。太陽がまぶしいので外には出たくないらしい。でも、バレエの練習のある日はうきうきとして出かけていく。練習は夜だし、夜になると心が浮き立つのだそうだ。だが、本当にバレエに行っているのだろうかと夫は思う誰かと浮気をしているのではないだろうか・・・だから拒否をするのではないだろうか・・・

いそいそと出かける支度をしている妻。新しい白いタイツをパッケージから出している。最近は毎回のように新しいタイツを用意しているらしい。そんなにすぐにだめになってしまうものなのだろうか。

今晩こそは・・・夫は妻の行動を確かめるべく後を追う。バレエに行っている妻を確認して安心したいため。それだけのために夫は妻の後を追う。以前も美しかった妻は、今ではもっと美しい。その後姿を見ているだけでも、夫の胸はざわめくのだ。お預けを食らっていた仕返しに、今ここで襲ってやろうか。そんなことすら考えさせられる。

妻がやってきたのは一軒の住宅。入り口にはバレエ教室の看板が立っている。この家の地下室がホールになっているとのこと。同じ時間帯の生徒たちなのか、若い女性たちが何人か入っていく。その中に妻の姿も混じっていた。

夫はホッとする。妻はちゃんとバレエを習いに来ていたのだ。このまま家に帰って夕食を取ればいい。だが、夫の足は動かなかった。

妻の帰りは22時ごろ。以前は21時過ぎには帰ってきていた。近々バレエの発表会があるという。そのために居残り練習しているのよと笑っていた妻。だが、本当にそうなのか?疑念を抱いてしまうと確かめずにはいられない。夫はその場を立ち去れなかった。

レッスンが終わったらしい。三々五々と入り口から女性たちが出て行く。思い思いの方向に足を向けながら、友人たちに名残惜しそうに手を振っている。夫は待った。妻が出てくるのを待った。だが、妻は出てこない。五分が経ち、十分が経っても妻は出てはこなかった。

夫はいても立ってもいられない。足がついその家に向かう。もしかしたら妻は別の出口から出て行ってしまったのではないか?もうあの家にはいなくて、どこかで男と会っているのでは?そう思うと止められない。確認だけ。いるかどうかの確認だけ。それだけできればいい。夫はついに家の前まで進み出た。

呼び鈴が鳴る。思わず笑みが浮かんでしまう。やっと来たようね・・・彼女の牙のために伝線してしまった白いタイツから顔を上げ、うっとりとしている女の耳元にささやいた。「あなたのご主人が来たようよ」その言葉に、女の顔にも笑みが浮かんだ。

誰も出てこない。家の中は電気も消えている。やはり妻はもういないのか?どうしよう・・・ためらったのは一瞬だけ。夫はドアノブを回してみる。鍵がかかっていればあきらめただろう。だが、ドアノブはするりとまわり、音もなく開いていく。まるで家の中に入って来いとでも言うかのように。

夫は自分の躰をするりと入り込ませ、背後でドアを閉じる。暗がりに目が慣れると、広い玄関からは廊下がつながり、地下への階段がわきにある。「すみません。誰か居ませんか?」呼びかけてみても返事はない。悪いこととは知りつつも、夫は靴を脱ぎ、一歩を中に踏み入れた。

「あ・・・ん・・・」いつもとは違う感触。自分の躰が冷えていく。しばらくぶりに味わう感触だ。気持ちいい・・・いつもはこの感触を与えている。でも今日は受け取っているのだ。さあ、早くいらっしゃい。あなたの奥さんがどうなったのかを教えてあげる。とても素敵な吸いっぷりよ。唇に指を這わせ、舌先で指先を舐めていく。しばらくぶりの感触に、彼女自身も酔いしれていた。

一段一段恐る恐る足を進める。自分は何をやっているのだろうという疑問がないわけじゃない。だけど彼自身もうどうにもならないのだ。目に見えぬ力が彼を呼んでいる。そうとでも考えないとおかしいぐらい。ふかふかの絨毯に包まれた階段。足音はしない。それにしても、本当に誰もいないのだろうか・・・

地下にあったのは二つのとびら。一つは更衣室とプレートがついている。そしてもう一つは・・・夫はそちらのドアの取っ手をグッと握り締めた。

夫は思わず声を上げそうになる。ドアの隙間から覗き込んだ彼の目に、ホールの中の二人の女性の姿が映ったのだ。片方は金髪で肩までの髪の少し背の高い女性。もう片方は背中までの黒いつややかな髪の女性。後姿だけど間違いない。あれは妻だ。夫はそう確信した。

二人の女性はともに黒いレオタードと白いタイツを穿いている。薄暗い中で妻は先生であるはずの金髪女性の前にひざまずき、何かをしているようだった。何をしているのだろう。
夫は目を凝らす。そして息を飲んだ。

妻の舌が先生の白いタイツの上を這っている。両手でいとしそうに抱きしめた太ももに、ピンク色の舌をぬめぬめと這わせている。白いタイツはところどころ伝線し、一部が赤く染まっていた。

まるで夫が見ているのを知っているかのように、妻は少し角度を変え、先生の白いタイツを愛撫する。唾液で湿った白いタイツに、いとしそうに指を這わす。そしてそっと口付けまでしてるのだ。

「うふふふ・・・どうかしら、私の血の味は?」妖しい笑みを浮かべ、先生が妻に問う。「はい。とっても美味しいです」妻が白いタイツから口を離すと、新たに伝線した白いタイツに血がにじむ。

妻が先生の血を吸っている。そんな衝撃的な事実を目の当たりにしながら、夫は股間をたぎらせていた。普段の妻とはまったく違う妖艶な妻の姿に、欲情を禁じえなかったのだ。

「ほら、あなたのご主人が来ているわ。あなたを見て興奮しているわよ」「はい、知ってました」二人が入り口の方を向く。そこから覗いている夫に妻がふっと笑みを漏らす。「あなた。今はまだ入っちゃダメよ。そこで覗いているだけにしてね」

夫は何かを言いかける。ドアを開けて中へ入りたい衝動に駆られてしまう。だがそれは叶わない。なぜなら彼の躰はもう彼の自由にはならなかったから。妻の目が赤く輝き、夫の自由を奪ってしまったのだ。

「ごめんなさい。でも安心して。今晩一晩だけの辛抱よ。私は明日には生まれ変わる」見たこともない妖艶な笑みで唇に指を這わせる妻。真っ赤な唇が濡れたように光っていた。「見て、あなた。もうほとんど鏡に映らなくなったわ。私も先生の仲間になったの」妻の言葉に夫は驚いた。ホールの壁に広がっている鏡に二人の姿が映ってないのだ。「今までごめんなさい。変化し終わるまでダメって言われてたの。ねえ、あなた知ってた? 血ってすごく美味しいのよ。それに一人一人味が違うの。あなたの血の味はどんなかしら」そう言った妻の目は欲望に濡れていた。

「うふふ・・・よかったわねご主人」金髪の先生が髪をかき上げる。「彼女、とってもあなたを愛しているんですって。だからあなたが死ぬまでは一緒にいるそうよ」くすりと笑う先生。「血を吸われながらのセックスは最高よ。一度味わったらもうやめられないわ」「うふふ・・・今日はダメだけど、明日になったらしてあげるね。あなた」夫は言葉も出ない。だが、すでにその言葉どおりであろうことは肌で感じ取っていた。

「うふふ・・・でも時々は外で血を吸うのは許してね。あなたの血はきっと美味しいと思うけど、いつも同じ味じゃ飽きちゃうでしょ」「心配はいらないわ。あなたの思うとおりにしなさい。彼はもうあなたの虜。あなたの言うがままに生きるしかないわ」ああ、そのとおりだと夫は思う。黒いレオタードと白いタイツ姿で笑みを浮かべている妻に、彼は心の底から惚れ直していたのだ。これからも妻のためだけに生きるのだ。彼の血がすべてなくなり、妻が別の男を虜にするまでは。夫はそれで満足だった。

END

~柏木によるあとがき~
いかがでしたでしょうか?
タイツに包まれたふくらはぎから吸血する・・・という最初のシーン。
まるで鮮明な動画を見るような臨場感が漂っていますね。
ここでグイッとお話の世界に引きずり込まれた読者のかたも多いと思います。
女ふたりの交し合う息遣いさえ耳もとに届きそうな、ねっとりとしたからみ合い。
あなたが死ぬまでは一緒にいる・・・という、ちょっぴりブラックなオチ。
いつも同じ味じゃ、飽きちゃうでしょ・・・という、こともなげな浮気心。
ストーリーそのものは、ごくシンプルで、わかりやすい設定で。
それでいて、状況描写・心裡描写を濃くする手法。
文章のはしばしから芬々と漂う、妖しい色香。
ついに本家が、のっとられたかな?(^^;)
柏木もがんばって、描きま~す♪
舞方さま、今回はまことにありがとうございました。m(__)m