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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夜想曲 ~勤め帰りの夫と吸血鬼の対話~

2017年03月21日(Tue) 01:31:55

だんな:ただいまぁ・・・おや、家のなかが真っ暗だ。
吸血鬼:お帰りなさい。^^
だんな:なんだ、あんた来てたのか。食事は済んだの?
吸血鬼:ああ、奥さんからたっぷりと、頂戴した。

よく見ると吸血鬼の口許からは、吸い取ったばかりの妻の血がしたたり落ちている。
その足許には、手足を不自然にくねらせ、あお向けに倒れた妻。白目を剥いて気絶している。
大の字になった脚は、ストッキングを片方脱がされている。
片脚だけ残ったストッキングは吸血鬼の咬み痕を太ももに残し派手に裂け、
乱れたスカートのすそは、白く濁った半透明の粘液で、しとどに濡れている。

だんな:やれ、やれ。ずいぶんとハデにやりなさったね。
吸血鬼:ああ、景気よく暴れてくれたからね。ご馳走さん。
だんな:ところで娘は、まだ帰ってきていないようだね。
吸血鬼:留守電に、終電になるって入っていたよ。
だんな:だとするともうすぐか・・・こんな有様を見せたくないな。
吸血鬼:わしに任せなさい。(意味ありげににんまりと笑う)
だんな:「まかせなさい」じゃなくて、「咬ませなさい」の間違いだろう?(露骨に嫌な顔をする)
吸血鬼:何でもよいから、あと始末を早くね。
だんな:娘は女子大に行く時、ピンクのスーツだったよ。あんたの好きなグレーのストッキング穿いてな。
吸血鬼:う、ふ、ふ。そいつは愉しみ。^^
だんな:さっさと出ていけ。おとといお出で。
吸血鬼:おお怖。お嬢さんのほうは、ブラウスが汚れないよう手際よく咬んでやるからな。
だんな:娘のほうは、よろしくね。気絶したら介抱して。ちゃんと身体を洗って、、寝かしつけてくださいよ。
吸血鬼:お互いに・・・ね♪

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~「ぼくたちは、彼らのロマンスの受け皿なんです。」吸血鬼と交渉を持つ少女を花嫁に迎える夫たち

2017年03月21日(Tue) 00:53:19

成村ちさよさん(29、仮名)は、中学二年のときに吸血鬼との初体験をして以来、十数年にわたって交際をつづけた。
処女を捧げたのは高校の卒業式前夜、「卒業祝い」と称してセーラー服のまま抱かれたという。
以来十年以上の関係になる吸血鬼とは、一生を誓い合った関係だったが、彼はほかの女性からの採血行為もしており、すれ違いが続くのも事実。
やはり結婚相手は人間から選ぶとお互いに決めて、白羽の矢が立ったのが、高瀬元晴さん(27、仮名)だった。
おくての元晴さんは、新婚当時から花嫁が処女ではなかったことに気づかなかったという。
不審を感じたのは、ちさよさんの勤め帰りがいつも遅いことと、朝の出勤の時とストッキングの色が違うときが多いことだった。
「よく破けちゃうのよ」と笑って打ち消したちさよさんだったが、やがて勤め帰りの公園で彼氏と逢引きを重ねているところを夫に目撃されてしまう。
「びっくりしましたね。街灯がこうこうと照っている真下なのに、男にのしかかられた妻がスーツのすそを乱して脚を開いているんですから。でも、その場で事を荒立てることができなくて、妻には声をかけずにその場を立ち去りました」
ちさよさんが帰宅したのは、それから1時間も後のことだったという。
「その1時間、どんなことをしていたのか?って、想像が頭のなかをかけめぐってしまいましてね」
その夜の夫婦の営みは、別人のように長かったんです――元晴さんは恥ずかしそうに苦笑しつつそう告白する。
「さすがにびっくりしました。でも、裏切られたという思いは、意外なくらいありませんでした」と語る元晴さん。
じつはちさよさんの処女を勝ち得た吸血鬼は元晴さんが兄と慕う男性だったからだという。
「兄貴にとってもちさよは大切な人、そのちさよの夫が私で良いのか?って逆に感じてしまいましたね。それで、二人きりで逢ったんです」
そこで「兄貴」は初めて元晴さんの血も吸い、二人の関係は「とても親密になった」という。

嫁の「乱行」をもっとも糺すべき立場にあるはずの元晴さんの母親もまた、吸血鬼を恋人に持つ人妻の一人。
「父も、母が愛人の吸血鬼とデートに出かけるのを、おだやかに送り出しています」という元晴さんは、「そういう家庭環境は、妻と兄貴との関係を受け容れる素地になった」という。
少女の純潔を勝ち得たあと、その嫁ぎ先にまで心を配る吸血鬼。その想いを大切にしようとする少女とその夫たち――
その裏には吸血鬼が複数の人間を吸血の対象にしなければならないという事情が横たわる。
愛する女性の健康に留意して、相手を増やそうとする吸血鬼。
パートナーの配慮に感謝しながらも、別の女性と逢瀬を遂げている彼のことを想う孤独な刻をしのばざるを得ない女性たち。
そうした気遣いの重なり合いが、彼女たちに人間の伴侶を選ぶという結論を与えたのだ。
吸血された彼女たちを花嫁に迎える夫たちもまた、吸血鬼と日常を共にする両親や兄や兄嫁、姉たちを見て育つという家庭環境で成長してきた人々。
「私が受け皿になることができてよかったです」
きょうもちさよさんは彼と逢っている――そう語る元晴さんの顔に、曇りはない。

未来の花嫁が、嫁入り前に吸血鬼に襲われること、処女を奪われること、その後も関係を結ばれてしまうこと。
そうしたことに夫である自分自身が甘んじること。
吸血鬼と共存する家庭環境に育った夫たちが禁断の関係の受け皿になることで、周囲のだれもが納得を得ている一例といえるだろうか。


追記
記者は三か月後、結婚を来年に控えた婚約者を伴い街を再訪した。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~少年のころから親しい父子に、婚約者の純潔を――半吸血鬼となった青年の選択

2017年03月21日(Tue) 00:40:07

庄司悦治さん(29、仮名)が半吸血鬼になったのは、まだ学生時代のことだった。
「男の子目あてに学校に出入りしている吸血鬼たちがいたんです。部活のときに履いているライン入りのハイソックスが彼らの目をひいたらしくって。
卒業前にはチームメイト全員が咬まれちゃっていました。運動部の部員は体力があるから、学校でも率先して献血に励むよう指導されていたんです」
と語る。相手は学校周辺に住居を構える、40~50代の男性たちだった。
「父より年上の人たちでしたね。でも全員、夫婦で献血歴があるんです。
ご存知だと思いますが、セックス経験のある女性が咬まれると、性関係も結ばされます。
だから、もっとあからさまに言ってしまうと、夫婦ながら咬まれた上に奥さんを日常的に、お相手の吸血鬼に犯されている人たちなんですよね。
でも、それを彼らは嬉しそうに語るんです」
さいしょのうちこそ違和感を覚えたものの、咬まれる機会を重ねるうちに「血を吸われるのが愉しくなっちゃった」。
「そのうち彼らに、同情を感じるようになったんです。たしかに彼らはぼくたちの血を吸ったり咬んで愉しんでいるけれど、そのまえには奥さんを襲われちゃっているんだよなって。だからぼくたちも気持ちをこめて相手をしてあげるようになっていました」

なかには同性愛に目ざめてしまったものもいたという。
「短パンにハイソックスを履いた脚を見ているうちに見境がつかなくなったって言うんですけど、どうなんでしょうね。ぼくは太っちょでしたから、ダメでした。血液を大量に摂れるので、彼らの開く吸血パーティーにはしょっちゅう招ばれましたが」
悦治さんは笑って当時を回想する。

卒業後も関係の続いた吸血鬼の一人に、古雅芙美夫さん(58、仮名)がいた。
長男の武治さん(32、同)も半吸血鬼になっていて、父子ともども妻の生き血をほかの吸血鬼に与えているという
「同情しちゃいましてね。奥さん取られている間は寂しいだろうなって。たぶん、ぼくの血を一番吸ったのは彼らだと思っています」
奥さんが浮気に出かけた留守宅に招かれて、奥さんの服を着て抱かれながら血を吸われたこともあるという。
「同性愛ではありませんでしたが、近い感情は持っていたかもしれません」
と、悦治さんは告白する。

将来お嫁さんをもらったら、真っ先に彼らに紹介して犯してもらおう――と思いつづけている中、降ってわいたように縁談が。
お相手は、親同士が同じ勤務先というご縁の定村貴和子さん。(25、仮名)――いまの庄司夫人ある。
「そのときにはぼくも、半吸血鬼にされてしまっていましたから・・・彼女が処女かどうか、味わって試してみようと思ったんです。『あとはお二人で』と言われて二人きりになるとすぐに、彼女の足許にかがみ込んで、ふくらはぎを咬んじゃったんです」
当時貴和子さんは22歳。
肌色のストキングに包まれた初々しいふくらはぎに夢中になって、ひたすら血を吸い取ってしまったという。
「さぞかしびっくりしたことだろうと思うんですが、彼女は声もたてずにそのまま脚を差し伸べて、吸わせてくれたんです」
ストッキングに裂け目が拡がり脛を露出させてしまってもなお、われに返ることなく飲み耽り、よそ行きの礼装をくしゃくしゃにしていったという。
「びっくりしました。でも、親からも、もしかしたらそうかもって聞かされていたので」
いまは悦治さんの妻となっている貴和子さんはそう明かす。
「不思議と怖くはありませんでした。ご縁だったのでしょうか。ただ、貧血を起こして身体が斜めになったとき、吸うのをやめて抱き支えてくれたんです。それで、この人でもいいのかな・・・と」
さいごのくだりはどうやら、おのろけのようだった。

お店の人の目があるからしきりに気にする貴和子さんを、悦治さんは庭園に誘った。
「お勘定を済ませる彼を待っている間、破けたストッキングを穿いたまま、足許がスースーするのを感じて、お店の人に気づかれないかとヒヤヒヤしていました」
と、貴和子さんは笑う。むしろ庭園のほうが人目がなくて、おおっぴらに脚を咬ませてしまっていたという。
二人の相性はよく、縁談はとんとん拍子に進展。交際一年で挙式にこぎつけた。
当時悦治さん25歳、貴和子さん21歳の春だった。

結婚が決まったとき、悦治さんが真っ先に報告したのが、古雅家の親子である芙美夫さんと武治さん。
武治さんも当時新婚だった妻を、自分の血を吸った吸血鬼にはもちろん、実父にも吸わせ始めていた時分だという。
お世話になってきた人たちに、きみがまだ処女のうちに血を吸ってもらいたい――そんな悦治さんの申し出を、貴和子さんは戸惑いながらも応じた。
「さすがにびっくりしました。けれどもそのころにはもう、父も母も、庄司の両親を通じてこの街の吸血鬼の方たちを紹介されてしまっていましたから・・・進んで状況を受け容れる気になっていました。じょじょに外堀を埋められて、慣らされてしまったのでしょうね」
結納を交わしたその足で二人は古雅家を訪問し、その場で体験させられてしまったという。

「悦くんの婚約者がせっかく貴重な処女の生き血を下さるというので、父子で楽しみに待っていたんですよ。さいしょはなん度かに分けて彼女の血を吸って愉しむつもりだったんですが・・・」
悦治さんとは兄弟のように育ったという武治さんは、ちょっとだけ語尾を濁す。
「もののはずみとはいいながらね」と、悦治さんもまた、遠慮しがちに貴和子さんの横顔を窺う。
それもそのはず、体験させられたのは吸血行為だけではなかったからである。
セックス経験のある婦人がほぼ例外なく、自分の血を吸った相手から性的関係を結ぶのは習慣として定着しつつあるものの、
処女がみだりに犯されることは禁じられており、未来の花婿が希望した場合に限られている。
貧血に蒼ざめた顔をしかめ、身をよじりながら吸血に耐える貴和子さんを目のまえに悦治さんは、「本能がゾクゾクと騒ぐのをこらえきれなくなった」という。
貴和子さんのブラウスを吸い取った血潮で濡らしながら、しきりに乱れたスカートのすそから覗く太ももを窺う芙美夫さんに、悦治さんはためらいなく、未来の花嫁のスカートのすそをあずけていった。
「はっとしたときには、もう遅かったのです。主人が私の着ていたブラウスの釦をすべて外してしまっていたのです。だからもう、身体の隅々まで、お父さんの掌がすべり込んできて・・・」
本能の赴くままに頬をほてらせていたのは、どうやら悦治さん一人ではなかったようだ。

肌色のストッキングを片脚だけ脱いだまま犯されてゆく貴和子さん。
「容赦なかったです。モノにされたって、直感しました。それくらい痛かったし、あからさまでした」
立て続けに三回突かれたと洩らす貴和子さん。しかしその語調にはなぜか誇りのようなものさえ感じられる。
初めての痛みが去らないうちに、こんどは武治さんが貴和子さんにのしかかっていった。
「自分の嫁の純潔も父に差し出していたので、今回も二番目で良いと感じていました。悦治さんよりも先で嬉しかったかも。もちろん、すまない気持ちもちょっとはありましたけど・・・花嫁の純潔をほかの男に食われちゃうのって、結構悪くない体験なんですよ。それを悦くんに経験させてあげることができたのは、とてもよかったし、我々父子を選んでくれたのが何よりうれしかった」と、武治さんは当時を語る。

花婿である悦治さんは、貴和子さんにとって三人目の男性に甘んじることを余儀なくされた。
「自分の親しい男性に婚約者の血を吸わせるとき、どちらが彼女の純潔を勝ち得るかをあらかじめ決めておくケースは多いんです。でも、うちみたいにどちらとも決めかねてなり行きに任せちゃう場合もあるし、決めておいても予定通りにならないこともある」と、悦治さんは語る。
「そのときのムードがすべてですね」と呟く悦治さんに、貴和子さんは「成り行き任せって無責任ですね」と指摘しながらも、夫の選択自体には不満はないという。
「お相手がよかったんですね。ふつうの関係じゃない、主人の血をいちばん吸った親子ですから。行きずりの相手に処女を奪われる娘さんも多い中、夫にとって重要な存在である男性たちとたいせつな刻を過ごすことができたのは、夫にとっても私にとっても貴重な経験でした」と結論づけた。
「時々、夫を交えて輪姦パーティーをやるんですよ。あのときを再現しようって」と、貴和子さんは悪戯っぽく笑う。

未来の花嫁の純潔を親しい知人にゆだねた経験は、生真面目一方だった悦治さんの人生観も変えた。
街の青年会のリーダーを務める悦治さん。
「婚約者の身持ちを確かめるため、新婚生活を豊かに深めるため、未来の花嫁の初体験を信頼できる知人男性に」
そんな悦治さんの呼びかけに応えて、すすんで婚約者を連れてきた後輩もいるという。
親しい後輩に希望された場合には、婚約者の処女破りにも積極的に応じているという悦治さん。
すでに今年だけでも、結婚を控えた3人の若い女性を陥落させている。
「婚約者の処女喪失体験を共有するという体験で、同性同士の親密な関係がいっそう深まる」と説く悦治さん。
結婚を来年に控えた記者自身もまた、悦治さんの誘いを受けたことを告白しておく。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~兄の好意で兄嫁をゲット。義弟への献血と輪姦に耐えた、気丈な主婦

2017年03月21日(Tue) 00:23:34

市内に住むサラリーマンの原埜靖幸さん(28、仮名)も半吸血鬼の一人である。
先年、兄の定幸さん(32、仮名)の許可を得て兄嫁の血を吸ったときの体験を明かしてくれた。
半吸血鬼になった理由は、「同じクラスに吸血鬼の同級生がいて、面白半分に自分の血を吸わせていたら病みつきになった」というもの。
自分の血を吸って半吸血鬼にした幼なじみに自身の母親や妹を紹介した頃には、すでに兄の定幸さんは都会の大学を出て市外の女性と結婚していた。
「兄が里帰りしたときのことなんです。通りすがりの吸血鬼に、兄が血を吸われちゃいましてね。真相をいえば、ただの通りすがりではなくて、例の幼なじみですです。里帰りした兄について来た兄嫁の華代さんが狙われちゃったので、まずその夫を・・・というわけです」
都会育ちの華代さんの洗練されたファッションが、吸血鬼の目を惹いたのだと靖幸さんはいう。
週末には近在の荒れ寺に一家で出向いて献血奉仕をしている原埜家の一員として、華代さんもデビューを迫られた。

吸血のしきたりは外部に洩らさないというのが、この街の不文律。
妻の口を封じる必要に迫られ渋々OKを出した定幸さんは、「妻のパートナーにはぜひ弟を」という条件を出した。
「身内なら、あまり酷いことはしないと踏んだんです。せめてもの護身術ですかね。でも果たして相手が身内でよかったのかどうか・・・いまが円満に過ごせていますので、うちの場合はまあ良かったとしているんですよ」
とは、結果的に妻と弟との交際を許した定幸さんの弁。
さっそく夫の両親や靖幸さんに伴われた華代さんは、義父母がそれぞれのパートナーを相手に献血を始めるなか、はじめて義理の弟の抱擁を受けた。

既婚女性に対する吸血行為はセックスを伴うのが常識なのを、華代さんも夫からそれとなく聞かされて、薄々知っていた。
「それでもいいの?」って訊き返そうとして、やはりあからさまには訊き返すことができなかったと、華代さんは言う。
でも、淡々としきたりを語る定幸さんの態度から、弟の靖幸さんを信じ切っているし、しきたり通りのことが義弟との間にあっても黙認するということだろうと思うことにした。
「そこは身内ですもの。皆まで語らせるのは酷なことだってありますものね」
妻への愛情としきたりとの板挟みにあった定幸さんを、華代さんはそういってかばう。
「相手が身内であれば家の体面も保てるから、夫も安心。若さを持て余していた靖幸さんも、気になる兄嫁を抱けて満足。私も逞しい靖幸さんとの不倫を愉しめてラッキー。添う割り切ることにしたんです」
小声でそう打ち明けた華代さんも、なかなか隅にはおけないようだ。

当日は、洋装のブラックフォーマルで参加したという華代さん。
「若い同士じゃないですか。やっぱりドキドキしてしまいますよね。そのうち靖幸さんも、ガマンできなくなっちゃって・・・」
いまでもそのときのドキドキ感が去らないらしい華代さんは、恥じらいながら当時のことを明かす。
夫からは、街で流行している「血なし病」の治療と聞かされていた。弟もその病気にかかって苦しんでいるから、救ってやってほしい、と夫から頼まれたのだ。
素肌をじかに咬まれて血を吸われるということに、本能的な警戒心を感じたものの、「義理の弟を救う」という使命感をふるいたたせて寺に向かったという。
「けれども、いざというときにはやっぱり、身体がすくみました。夫に対して申し訳ないと・・・そこを靖幸さんがうまくリードしてくださったんです」
ふくらはぎを咬まれたときに破れたパンストを片脚だけ脱いだ華代さんは、羞恥心と罪悪感にかられつつも、遠慮会釈なくスカートの奥に腰を擦りつけてくる靖幸さんに迫られるまま、夫の前ですこしずつ脚を開いていった。

夫の定幸さんはその光景を、さいごまで見届けたという。
妻が初めて献血行為を体験するときには、夫が付き添いさいごまで見届けることが義務づけられているという。
明るくなったらその種の話題を家族でするもしないもその家の判断に任せることになっていたし、定幸さんはむしろ日中はその話題は封印するつもりだった。
しかしそうだとしても、一度は必ずあからさまに見届けることで、両者の関係の成就を確かめ合わなければならないのだ。
「やっぱり、なんともいえない気分でしたね。自分で言い出したこととはいえ、妻が目のまえで弟を相手に、そういう行為に熱中してしまうわけですから」
熱中してしまったのですか?といういささかぶしつけな記者の問いに、華代さんは恥じらいながらも「はい」と、はっきりこたえてくれた。

兄嫁の貞操をゲットするという幸運に恵まれた靖幸さんは、
「やっぱりドキドキでしたよ。相手は兄貴のお嫁さんですからね。でも、いちど抱いちゃうとあとはもう、欲望の渦で・・・」
と笑う。
組んずほぐれつするうち男と女として打ち解けあってしまった二人に、もう怖いものはなかった。
華代さんは夫以外の男性を初めて識ってしまったその場で、ほかの吸血鬼たちの輪姦も進んで受け入れ、一夜にして娼婦となり果ててしまったという。

輪姦のメンバーの中には、華代さんを見初めて靖幸さんの兄の血を吸った地元の吸血鬼も含まれていた。
「しつこかったんで、すぐわかりました」と、華代さんは苦笑する。
もともとは、華代さんにご執心だったのは靖幸さんの幼なじみのほうなので、靖幸さんはむしろふたりの媒介役を買って出たまでだったのが、いつか義姉・義弟間の熱愛に変わっていたのだ。
もとより兄弟同然に育ち、自分の血を昔から吸っていた幼なじみのことだったから、かち得たばかりの兄嫁の貞操をすすんで分かち合ったのは言うまでもない。
「たぶんぼくが嫁をもらうときにも、彼に堕としてもらうつもりでいます。彼とはほんとうに、近しい関係でいたいので」
兄嫁を共有する悪友を思う靖幸さんの笑顔に、屈託はない。
もともと華代さんが堕ちた原因を作った幼なじみ氏もまた、この都会育ちの若妻のお相手の一人として、同家に迎えられている。

めでたく?結ばれた妻と弟を、先に帰宅した夫の定幸さんは寛大に迎えた。
「二人が帰って来た時、どんなふうに声をかけようかと、ちょっと悩みました」定幸さんは当時のことを思い出して、まるでその時に戻ったかのような困り笑いを泛べる。
「でも、案ずるより生むがやすしでした。妻は帰りに商店街に寄り道をして、バーゲンセールでたくさん買い物をして戻ってきたのです。弟は体よく荷物持ちをやらされて・・・かなりハードな体験だったはずなのに、帰宅したときにはもう、すっかり主婦の顔に戻っていました。女は強いですね」
定幸さんは「身内同士なんだし、仲良くしてもらってかまわないから」と二人の交際を認め、
自身が在宅していない時には弟との情交を自由に許しているという。
「喉が渇いた、血が欲しい――といわれると、どうしても譲らないわけにはいかないですよね?兄弟ですから」
淡々と笑う定幸さんに、どす黒い憎悪や嫉妬の影はない。
嫁を堕とされる歓びに、夫として目ざめてしまった――と語るときにみせた、はにかむような微笑が印象的だった。
身内に吸血鬼を抱えた一家が道徳観の喪失と引き替えに得た、ひとつの正解と言えるかもしれない。

吸血鬼の棲む街☆コミュニティ情報 ~夫人の生き血を吸わせた学校教諭

2017年03月21日(Tue) 00:04:21

公立中学校の教諭を勤める永村和生さん(48、仮名)は、市が吸血鬼の受入れ政策を打ち出した当初から、吸血鬼の校内受入れに積極的に対応してきた。
「率先垂範」を教育のモットーとする永村さんはその手始めとして、夫人の和代さん(46、同)を親しくなった吸血鬼のA氏に紹介、
永年連れ添った妻の生き血を惜しげもなく吸い取らせてしまっている。
「いきなりの求愛でびっくりしました」
と、今では笑顔で語る和代さんも、襲われた最初は「恐怖の渦」だったと回想する。
まだ三十代だったころの若い血をゴクゴクと呑み込まれた浅ましい音は、いまでも鼓膜に残っているという。
「きっと喉渇いていたんだなあ・・・って思ったときにはもう、レ〇プされたあとでした。ことのついでに、そういうこともするんですよね。仲良くなりたい一心でそうしたって言われましたが、単にエッチなことなさりたかっただけだと思っているんですよ」
告白される体験の生々しさとは裏腹に、和代さんの口調はなめらかで軽い。
「考えてみたら、あと一週間で四十歳というタイミングでした。少しでも若いうちに、主人はあのひとに私の血を吸わせたかったんだと思います」
さいしょはかたくなだった和代さんも、その場で男女の関係を結んだ相手にほだされるままに交際を継続、いまでは夫も認めるステディな関係に。
「主人とあの方と、お互いが尊重し合っていることが長い良いおつきあいにつながった」と、夫人は語る。

永村さん自身は、夫人の貞操と引き替えに「永年の夢だった」という半吸血鬼になっている。
半吸血鬼とは、吸血鬼に血を吸われることで吸血鬼同様の嗜血癖を身に着けてしまった人のこと。
多くは、夫婦ともに吸血された夫のほうが罹患し、半吸血鬼となる。
吸血鬼となる以前と変わりのない日常を継続するので、はた目にはそれとわからないという特徴がある。
妻の生き血を目あてに自宅に侵入してくる訪客とも、仲良く獲物を分け合う習性をもつといわれている。
「うちの場合は、まったくそうですね。昼はあの方、夜は夫・・・両方かけもちで相手をするので、よく貧血になるんですよ」
和代さんは笑って語る。
「本人は血を吸い尽されて半吸血鬼、妻も血を吸われて犯されて・・・って、一方的にやられ放題なんですけどね」と、永村さんは笑う。
その満ち足りた笑いからは、言葉通りの「一方的」な受難ではなかったことが窺われる。

「私は半吸血鬼ですから、死んだりお弔いをしたりというおおげさな手続きを踏まないで、人間を卒業しました。戸籍も職業もありますから、日常生活も、まったくいままでどおりです。でも、いままでと違うのは、世間体を気にしたりしないで気になった教え娘を誘惑していることですかね」と笑う。

父兄の評判も、上々である。
在学中に娘を襲われたという父兄のひとりは、
「面倒見のよい先生。性教育のほうも面倒見られてしまったけれど、娘を疵(きず)ものにされたといって文句を言いたいとは思わない」
と明かす。
「この街に棲んでいる限り、いつかは吸血鬼に襲われます。むしろ担任の先生など身近な大人に上手に引き入れてもらったほうが、親としては安心なんですよ」
そんな永村さんがもっとも好む血は、今でもやはり妻の和代さんのものだという。
「吸血鬼になり替わって、べつの愛し方を見つけることができました」
晴れ晴れと笑うご夫婦を見ていると、吸血鬼に襲われることが必ずしも悲劇につながるとは限らないことを実感させられる。

家族ぐるみの濃い関係。 ~同級生が母さんを そのパパが妹を~

2017年02月21日(Tue) 07:15:29

同級生のナオヤくんに血を吸われ始めて半月経った頃。
きみの家に招(よ)んでとせがまれて。
家に着く前に僕のハイソックスを血だらけにしてしまったナオヤくんは、
びっくりして立ちすくむ母さんの首すじに腕を巻きつけて、咬みついていた。
その場で尻もちをついた母さんは、
ナオヤくんに脚を咬まれて、穿いていた肌色のストッキングを咬み破られていった。

ハイソックス、いっぱい買い置きしとこうね。
母さんは自分のことをモノにしちゃったナオヤくんのほうはわざと見ないで、
僕にそんなふうに告げることで、明日からの服従を誓ったのだった。

きみの母さんを、ウチのパパに逢わせたいんだ。
ナオヤくんにせがまれるまま、僕は父さんが出張に行く予定を彼に伝えて、
妹が寝入ったころを見計らって、
僕たち母子はナオヤくんとお父さんのナオジさんとを、家に招いてあげていた。
子供は視ないほうがいいよ。
ナオヤくんに諭されるまま、夫婦の寝室に引きずり込まれた母さんのことは気にしないで、
僕は新調したばかりのライン入りのハイソックスを履いた脚を、ナオヤくんに咬ませてあげていた。

ナオジさんは、ロリコンだった。
母さんのことをモノにしただけでは満足せずに、僕の妹にまで、目をつけていた。
まだ中学にあがるまえなのに。
妹の奈緒美のことを小父さんに目をつけられてしまったことが、なぜか楽しくて。
僕は父さんのいない日を、ナオヤくんにまたも教えてしまっていた。
べそを掻きながら血を吸われた奈緒美をなだめるために、
小父さんはお祝いのケーキを用意してくれていて。
機嫌を直してケーキにぱくついた奈緒美の履いているハイソックスに、もういちど舌を這わせていった。

奈緒美が小父さんにお嫁入りしたのは、それからたった三日後のことだった。

子供は視ないほうがいいよ。
母さんのときにはそういって僕のことを遮ったナオヤくんは。
その日は自分のパパが奈緒美の穿いているよそ行きのスカートをめくりあげるのを、
息をつめて見つめていた。
パパとの昔からの約束。
ボクがお嫁さんをもらうときには、先に抱かせるってことになっているから。
そういってナオヤくんは、奈緒美に対して責任を取ると告げてくれた。

十数年の刻がすぎた。
母さんとナオジさんとの仲は、意外にも父さんがすんなりと認めてくれて。
そういう楽しい会には、父さんのことも呼びなさい、って言われて。
ナオヤくん親子に心からの奉仕をする母さんのことを、
僕たち父子はふすまのすき間から、息をつめて見守る日常がやってきていた。
僕の結婚が決まったとき。
わがことのように悦んでくれたのは、ナオヤくんだった。
僕が結婚するときには、先にやらせてあげるって、約束をしていたから。

奈緒美のときに・・・もっと楽しめればよかったんだね。
ナオヤくんは僕と2人きりのとき、こっそりとそう呟いた。
まだあのころは幼かったから、パパが奈緒美を犯すのが、ちょっと以上に悔しかったんだ。
僕もナオヤくんに、告げていた。
もうすっかり大人だけど、きみが晴美さんを犯すのは、ちょっと以上に悔しいんだぜ。

首すじから血をしたたらせ、息せき切って。
はだけたブラウスのすき間から、切れたブラジャーの吊り紐と、初々しく輝くピンク色の乳首を覗かせながら。
晴美さんは僕の目の前で、ナオヤくんに犯されていった。
僕たち新婚夫婦が、吸血鬼の親子に服従を誓う、記念すべき夜だった。
自分のお嫁さんの純潔を、パパに譲ってしまったナオヤくん。
こんどは僕の花嫁から、純潔をむしり取っていくんだね。
処女をゲットするのは、楽しいかい?
相手が幼なじみの花嫁だと、さらに格別だっていうんだろう?
でも僕は、きみに彼女の純潔を捧げるのが、たまらなく慶ばしい気分なんだ。
わかってくれるかな?
でも、半分はわかっているよね?
奈緒美がきみのパパに犯された夜。
きみだって、あそこを力いっぱい、逆立てていたんだから。

娘の彼氏。

2017年02月15日(Wed) 08:02:02

娘の彼氏は、気の毒だ。
彼女が吸血鬼にとりつかれてしまったばっかりに、
三日にいちどは、吸血鬼のお邸に娘を送り迎えする羽目になっている。
けれどもそんな屈辱的な状況に、彼があえて甘んじてしまっているのは、
庭先からのぞき見することを許された室内の光景に、いけない昂ぶりを覚えてしまったから。

処女の生き血を好む吸血鬼のために、
彼は娘と一線を越えることを、禁じられている。
ガマンをつづける彼が報われることは、たぶんない。
いずれ・・・よそで適当な処女を見繕うことができたあかつきには、
娘の純潔は、吸血鬼の手でむしり取られてしまうだろうから。
いや、たぶん。いや、きっと。
彼のガマンは、報われるのだ。
未来の花嫁の処女喪失シーンを、吸血鬼と共有することで。
わたしも彼の気持ちを、じゅうぶんに汲むことができている。
人にはいえない、マゾヒスティックな歓びに目ざめた同士なのだから。

娘も献血。

2017年02月15日(Wed) 07:49:02

娘が学校から、帰ってきた。
ただいまぁ・・・という張りのある声が、満ちた血潮を連想させる。
わたしも、半吸血鬼になってしまったのか。
おそらくそれくらいの貢献は、とっくに果たしているはずだ。
廊下に響くばたばたとがさつな足音が、このリビングへと近づいてくる。
両親が不埒な愉しみに耽ってしまっている、忌むべき空間に。
ドアが開かれた。

・・・・・・。
目を見張る娘。
そこには、すでに見慣れてしまった光景。
わたしは首すじから血を滴らせ、足許に伝線を走らせ、恥知らずな射精にじゅうたんを濡らしてしまっている。
妻も首すじから滴らせた血潮にワンピースを濡らし、伝線したストッキングを片方だけ穿いて、
わたし以外の男の侵入を股間に受け容れてしまっている。
靴下フェチな吸血鬼が、白いハイソックスを履いた娘の発育のよいふくらはぎに、目を留めないわけはない。
わるいね、ご主人。娘さんもいただくよ。
あれよあれよという間に、娘は学校帰りの制服姿を、抱きすくめられてゆく。
潔癖そうにひそめた眉をピリピリと震わせながら、娘もまた両親と同じように、首すじを噛まれていった。

ちゅうっ・・・
忌まわしい吸血の音が、薄暗いリビングに、陰気に響いた。
白のブラウスに血を撥ねかしながら、娘は目つきをトロンとさせて、男の吸血行為に身をゆだねる。
じゅうたんにひざを突いて四つん這いになってしまうと、
眩暈を起こした娘を男は嬉し気に見つめ、ハイソックスのふくらはぎに、唇を這わせていった。

脱がされた薄手の紳士用ハイソックスが、じゅうたんのうえにとぐろを巻いた。
脱がされた肌色のストッキングが、ふしだらにふやけたまま、そのうえに折り重なった。
真っ赤に濡れた白のハイソックスが、さらにそのうえに・・・
男は増えたコレクションを手に、我が家をあとにする。
務めを終えたわたしたちは、互いに目を背け合いながら、
何ごともなかったかのように身づくろいを済ませて、日常にもどっていった。

夫婦で献血。

2017年02月15日(Wed) 07:37:24

あはぁ~・・・うんめぇ。
男はうつ伏せになったわたしの足許から唇を離すと、うわごとのようにそう呟いた。
男の好みに合わせて穿いていた、スケスケに薄い長靴下には、くまなくよだれがしみ込まされて、
いくつもの咬み痕と伝線を走らせている。
脳天がけだるい感じ・・・でも決して不快ではなくなった無重力状態に漂いながら、
わたしはつぎの状況を克明に想像してしまう。そしてその想像は、狂うことがなかった。

ご主人、悪いね。今夜も奥さんと仲良くさせてもらうよ。
男はそう言うと、傍らのソファに腰かけて、痴態に似た吸血行為のいちぶしじゅうを見守っていた妻のほうへと振り返る。
クククククッ・・・
くぐもった嗤いに怯えた表情を浮かべた妻は、すがるような目線をこちらに向けてきたが。
血を抜かれてしまった身体は、もういうことを聞かない。
妻はわたしの見つめる前で背中越しに抱きすくめられ、羽交い絞めにされて、
首すじをがぶり!とやられてしまった。
素肌に吸いついた好色な唇は、ギラギラと劣情をたぎらせて、熟れた血潮をひたすら旨そうに吸いあげつづける。――
やがて妻は目つきをトロンとさせて、その場に突っ伏してしまった。

うふふふふっ。すべっこい靴下を穿いていなさる。
妻の穿いている肌色のストッキングに舌を這わせながら、男は満悦の笑みを浮かべ、
薄手のナイロン生地をなおもいたぶりつづける。
妻の身に着けた礼装をむざむざと辱められてゆく光景を目の当たりに、
ジリジリとした嫉妬がとろ火のようにわたしの胸を焦がしていった。

ご婦人を相手の吸血行為のあとは、濃密なセックスと相場が決まっている。
そして妻も、例外ではなかった。
嫉妬はどす黒い刺激になって、わたしは恥知らずにも、激しい射精をくり返してしまっていた。
そして妻は、そんなわたしを横目に窺いながら、これ見よがしな媚態を、あらわにしてしまっていた・・・

母さんは、賢夫人と呼ばれている。

2017年01月10日(Tue) 04:49:09

【賢夫人】
けんふじん。
しっかりした、賢い夫人。

朝。
父さんの寝室とは別の部屋から出てきた母さんは、みじかく「おはよう」というと、
朝ご飯の支度をするため、すぐに台所に立ってゆく。
紫とグリーンのしま模様のタートルネックのセーターを着て、ジーンズのすそからは白とねずみ色のしま模様のソックスが覗いている。
たしか夕べ、客人の泊まるあの部屋に入っていくときは、よそ行きのライトブルーのスーツに、ふんわりとしたタイのついた真っ白なブラウスを着て、
脚にはチャコールグレーのストッキングを穿いていたっけ。
ほとんど前後不覚、モーローとなった記憶なのに、なぜだか母さんの服装だけは、しっかり憶えている。
セミロングの黒髪は寝ぐせとはちがう乱れ方をしていたけれど、それを指摘するのはやめておいた。
以前同じ愚を犯したとき、「よけいなことを言うんじゃないの!」って、こっぴどくドヤされたから――

そう。
あの部屋に半月ほど前から滞在しているのは、父さんの親しい知人だと名乗る男。
歓迎をしたその晩に、彼の正体が吸血鬼だということを、身をもって思い知らされていた。
男ふたりからしたたかに血を吸い取って、ふらふらにしてしまうと。
不意の来客のためにわざわざ着替えたよそ行きのスーツ姿のまま、
立ちすくんだまま両手で口を抑えて、かろうじて悲鳴をこらえていた母さんのことを、彼は自分の寝室に引っ張り込んだ。
その後母さんがなにをされたのか――とてもひと言では、言いきれない。
這うようにして追いかけた部屋のまえ、ドアを半開きにすることまでは、かろうじてできたけれど、
父さんも僕も、そこから一歩たりとも、中に入ることはできなかった。
そのかわり、まるで返り討ちにでも遭うように。
部屋の中で遂げられた彼のお愉しみのいちぶしじゅうを、
息子も夫も、瞼の裏に灼(や)きつける羽目になったのだ。

あれよあれよという間に抱きすくめられて、首すじをガブリ!とやられてしまった母さんは、
あっという間にいちころだった。
気絶してうつ伏せに倒れた足許に男は這い寄って、母さんの脚を吸っていた。
肉づきのよいふくらはぎから、肌色のストッキングを咬み剥がれてゆくありさまを、父さんも僕も、息をつめて見守るだけだった。
そのあと男は、はぁはぁ息をはずませながら、まるで飢餓に苛まれた者がやっとご馳走にありつくような顔つきをして、
母さんの身に着けていたブラウスをはぎ取り、スカートをたくし上げて、コトに及んでいったのだ。
そんなこと――エッチなビデオのなかだけのことだと、思い込んでいたはずなのに。
こうこうと照り渡る灯りの下で、母さんの身の上にあからさまにおおいかぶさっていったのだ。
ひざ下まで脱がされたパンストを片脚だけ穿いたまま、
母さんはひと晩じゅう、男を相手に強制された浮気に夢中になっていった――

「家庭が崩壊するかと思ったわ」
大きな瞳で見つめられると、息子の僕ですらどきりとする。
けれどもそんなことには全然無自覚な母さんは、すぐに目線を転じて彼を見た。
「ところかまわず襲うのだけは、やめてくださいね。お部屋が汚れると、あとのお掃除がたいへんなの」
自分の血を吸った吸血鬼を相手にこともなげにそう言ってのける母さんは、すっかり主婦の顔に戻っていた。

初めての夜のあと、開けっ放しになった夫婦の寝室から、それとなく漏れてくる気配と声に、
失血で空っぽになりかけた頭のなかで、知覚と理性とを総動員させて、僕は全神経を集中させていた。
母さんは父さんのまえ、正座して俯いて、時々ハンカチで目許を拭っていたけれど。
父さんにいろいろと囁かれると、「わかった。じゃあ申し訳ないけどそうするわ」と言って・・・
あとは、父さんに肩を引き寄せられるままになっていた。
吸血鬼とのセックスは凝視してしまった僕だったけれど、ふたりのそのあとのことは視るのを遠慮して、スッと二階に上がっていくだけの理性を取り戻していた。
どうやら僕の家庭は崩壊しないで済むらしいことに、ひどく安堵を覚えながら、眠りに落ちていった。
父さんが、すべてを許すのと引き替えに、
母さんが当分うちに滞在するという吸血鬼の相手をすることを承諾したのを、二人の態度からあとで知った。

初めはもちろん、しぶしぶだった。
貧血で気絶してしまうことも、しょっちゅうだった。
けれども僕たちに対する男の態度は終始一貫友好的で、
寝室で母さんと接する時ですら、おおむね紳士的な態度を貫いていた。
もちろん、セックスの最中は、昂奮のあまり母さんのことを必要以上に虐げてしまうことはあったけれど・・・
気絶した母さんの身体にのしかかって、よそ行きのブラウスやワンピースにバラ色のしずくを撥ねかせながら母さんを襲っているときも。
流れる血潮を惜しむように、素肌の隅々にまで唇を這わせて、それは美味しそうに吸い取っていた。
もちろんそれは、母さんの素肌を愉しみたいという、卑猥な欲求の表れでもあったはずだけれど。
母さんの血を吸いあげるチュウチュウという音にさえ、好意がこもっているようにさえ聞こえた。
忌まわしいはずの音にさえ好意を感じることができたのは。
メインディッシュである母さんが襲われるまえ、僕たち親子が相手をして、したたかに血を吸い取られて理性を奪われてしまうせいもあったのだろうけれど。
正気の時でさえ、彼と気分よく接することができたのは。
きっと、そうした力ずく以外のなにかを、僕たちが感じることができるようになっていたから。

男ふたりは、彼の渇きを補完するため、母さんよりも先に血を吸われた。
僕たちがぶっ倒れてしまったあと、さいごに母さんのことを寝室にひき込んで、じっくりと料理してしまうのだ。
そのうちに母さんも、コツを覚えてしまったらしい。
毎晩気絶していたはずの母さんは、さいごまで目を開けたまま、男の相手を果たすようになった。
気絶したまま犯されてしまっていたのも、自覚しながらのセックスになっていったということでもあるけれど――
そういう生々しい表現を、息子の立場でしてしまうのはちょっと気が引ける程度には、僕の理性はまだ残されている。

自分の喪う血液の量が、なんとなくわかるようになった・・・あるとき洩らした母さんの呟きは、本音だったかもしれない。
相手が満足するだけの量の血を与えたうえで、自分の受けるダメージも限られるように。
彼女は自分の体内をめぐる血液を、相手に過不足なく摂取させることができるようになった。
それだけ、吸血鬼のあしらいに長けてしまった――ということなのだろう。
彼女は僕たちに栄養のバランスのとれた朝ご飯や晩ご飯を用意するように、彼にも好物を惜しげもなく愉しませることができるようになっていった。
相変わらず、よそ行きのスーツやワンピースを身に着けて、気前よくはぎ取らせてやりながら。
彼女はどこまでも堅実な主婦であり、賢夫人としての評判を崩すまいと振る舞ったのだ。

評判の賢夫人とうたわれた母さんは、家族と彼しかいないわが家でも、立派に賢夫人を演じつづけた。

「将来結婚するときには、母さんのような人を嫁にしなさい」
最近父さんは、そんなことをよく口にする。
たまたまそれを耳にした母さんは、「いやぁよぉ、そんなこと言ったら」と、柄にもなく照れていたけれど。
どうやら父さんにとって、それは本音らしかった。
「よかったら、父さんがいい娘を紹介してやろうか?」
思わず頷いていた僕は、明日お見合いをする。
きっと・・・我が家の秘密を知った家のお嬢さんで、我が家に棲み着いた客人をもてなすすべも、それとなくわきまえているのだろう。
彼女が提供できるのは、彼にとって究極の好物である、処女の生き血。
婚約期間は、見合い結婚としては異例なくらい、長引くに違いない。
そしてその娘が、晴れて僕の花嫁になったとき。
僕はきっと、言い含めてしまうのだろう。
「相手が満足するまで、お相手するように」
って――

美味しすぎる残念賞

2017年01月04日(Wed) 06:42:27

夜道をパタパタと駈け去る足音がきこえた。
足音の主の後ろ姿を見送る男は、追いかけることもできず、立っていることもおぼつかないようすで、
薄ぼんやりと佇んで、その後ろ姿を見送っていた。

逃げられちゃったね。

イタズラっぽい声が、男の背後でクスッと笑う。
振り向くとそこには、真冬には珍しい半ズボン姿の少年。
首すじには、彼がつけた咬み痕が、まだくっきりと浮いている。
「我慢し過ぎたみたいだ」
男が本来の能力を発揮できなかったのは、人から血を吸い取るという行為を、遠慮し過ぎたためらしい。
「ぼくのせいかな」
「そうかもね」
「じゃあ、お礼をしなくちゃね。今夜のヒロインに逃げられちゃった残念賞をあげるから」
少年はこともなげにそういうと、「ついてきて」とだけ、みじかくいった。
「そのまえに」
後ろにまわり込んだ吸血鬼が自分の足許にかがみ込むのを気配で察すると、
少年は傍らの電柱に身体をもたれかけ、ハイソックスを履いた脚をピンと伸ばした。
ねっとりと吸いつけられる唇に力が込められて、
口の両端から覗いた牙が、しなやかなナイロン生地ごしにズブリと刺し込まれるのを、少年は感じた。

ドアの開かれた家のなかは、暖かだった。
「連れてきちゃった」
少年の背後にいるのが吸血鬼と知りながら、お母さんは、やはり首すじに咬み痕をつけられてしまっている。
「まあ、まあ」
お母さんはまるで少年の友だちを家にあげるような気やすさで、男をリビングへと招き入れた。
「あれ、いらしたの?」
少年の妹が、ギョッとしたように男を見つめ、そして兄のことを軽く睨んだ。
「おや、みえられたの?」
少年の父は、困ったような笑みを泛べ、それでも起ちあがると男を手招きして、自分の座っていたソファをすすめた。

「んもう!おニューのハイソックスおろした日に限って、来るんだからっ」
少女は案内した自分の勉強部屋のすみに追い詰められながら、男に首すじを差し伸べていた。
抱きすくめられて圧しつけられた唇から、チュウッという音が露骨に響いた。
半開きになったドアの向こう、お兄ちゃんが息をつめて、妹の受難を見守っている。
いけない趣味だ、と、少女は思ったけれど。
あえてドアを閉めることも、悲鳴をこらえることもしなかった。
「ああああああっ・・・」
息のはぜる音を交えながら、少女の呻きは随喜の色を深めていった。

「お父さん、たばこ買いに行っちゃった」
いつの間にかよそ行きのワンピースに着替えたお母さんに、吸血鬼はものも言わずに迫っていって。
リビングの外の廊下から覗いている視線を意識しながらも、お母さんは首すじに吸いつけられてくる唇を、避けようとはしなかった。
さっき、まな娘の生き血を吸い取ったばかりの唇が熱く押し当てられるのを、お母さんは息をはずませて受けとめる。
男は、お母さん以上に息を荒げて、迫ってきた。
数分後。
じゅうたんの上にうつ伏せになって倒れたお母さんに男が馬乗りになって、スカートの奥に熱情こめてなにかを発散してゆくのを、
少年はやはり、息をつめて見守りつづけていた。
半ズボンの股間がテントのように張りつめているのを見たものは、だれもいない。


「逃げたらダメだって、彼に言われた」
ぶっきら棒にそう呟いて、男を睨むように見つめたのは、あの日後ろ姿をみせた少女。
傍らにいる少年は、やはり半ズボン姿で、少女をかばうように佇んでいた。
四人家族全員の血液を吸い取って、すっかり精力を取り戻した男は、自信満々、雪辱戦を挑もうとしていた。
「まさか、あのときのわしの失敗を取り替えそうとして、この娘とつきあうようになったわけじゃあるまいな?」
念を押すような口調で間抜けな質問をする男を、少年は軽く笑っていなした。
「でも、あのときのことが話題になったのがきっかけになったのは、確かだよ。感謝のしるしに、こうして連れてきてやったんだからね」
「あたしも、咬まれてみたくなった」
少女の声色には、少年に教え込まれた通りを棒読みするようなぎごちなさがあった。
「残念賞だけじゃなくって、優勝も獲得できちゃったようだね」
少年はあくまでも、父親よりも年上のその男をからかうことをやめようとしない。

数分後。
じゅうたんのように綺麗に刈りそろえられた芝生のうえ、少女は仰向けに倒れていた。
首すじにはまだ、男のしつような唇が貼りつけられている。
キュウキュウと露骨な音をたてて、少女の血が吸い取られてゆくのを、少年は愉しそうに見守った。
「この子の血、美味しい?」
「処女だな、この子は」
「ウフフ。気に入ってくれて、よかった」
少年は満足そうに白い歯をみせ、爽やかに笑う。
好んで人をつかまえて血を吸う本能を備えてしまった男と。
好んで身内を逢わせ、血を吸わせる歓びに目ざめてしまった少年。
少年の目の前で愉悦をあらわにすることを覚えてしまった少女は、ふたりを少しでも愉しませようと、悩ましいうめき声を洩らしつづける。

姫はじめ。

2017年01月02日(Mon) 06:09:14

訪客を報せるインターホンに出た嫁の初美が戻ってくると、おずおずとしながら訪客の来意を告げた。
「あの・・・姫はじめだそうです」
「あら。あら」
とにこやかに応じるのは、なん十年も連れ添ったわたしの妻。
「なん人いらしたの」
妻の問いに、嫁は答える。
「3、4人いらしているみたいです」
「まあ、まあ」
妻は面白そうに相槌を打って、腰かけていたソファからそそくさと起ちあがる。
「じゃあ、女性軍みんなで、お相手しなくちゃね」
そうして妻は、わたしや息子、居合わせた妹夫婦までも見回して。
「吸血鬼さんが、大勢いらしたわよ。姫はじめをなさりたいそうよ。うちのおなご衆、総動員ですよ」

あがり込んできたのは、だれもが顔見知り。
それは隣のご主人だったり、息子の幼なじみだったり、彼らの妻の交際相手だったりする。
そしてひとりとして、自分の妻を吸われていないものはいない。
幸いにして家族全員がその身に血液を宿しているわたしたちの義務は、彼らのために女の生き血を提供すること。
わたしたちは素知らぬ顔をしてリビングに戻り、女たちは全員、隣室の客間にかしこまって、男たちを出迎える。

きゃあ・・・。
あれえ・・・っ。
女たちの短い悲鳴は、聞こえなかったふりをするのがルール。
自分の妻の声を聞かされる男どもはいたたまれなくなり、一人また一人と、自室へと消えてゆく。
都会から新年のあいさつに来た娘婿は、宿泊のためにあてがった二階に上がりかけ、
ちょっとだけためらってから戻って来て、
吸血の行われている部屋のまえに立つと、ひっそりとふすまを細目に開ける。
この街に生まれ育ったわけでもないのに、もの分かりのいい男だった。

注意してみると、娘婿とは反対側のふすまも、そっと細目に開いている。
ふすまの裏側では、立膝でしゃがみこんでいる息子が、ジリジリとした視線をそそぎ込んでいる。
息子の視線の彼方にあるのは、さっきまで小さくなってしゃちこばっていた新妻の初美。
去年の秋に、結婚したばかりだった。
この街で祝言をあげれば、娶った妻はたちまち吸血鬼の餌食になって、あげくの果ては寝取られてしまう。
そんなしきたりを知りながらも、この街での挙式を選択した息子。
他所から嫁いでいた女の血で、幼なじみたちの喉の渇きを助けてやりたい。
そんな殊勝な言葉の裏に、寝取られる歓びに目ざめてしまったものの“渇き”を感じてしまったのは。
父親のわたしが、そうした嗜好を息子と共有していたからだろう。
遺伝をもたらしてしまったのかと悩むわたしに、心優しい嫁は健気に、息子やわたしたちの嗜好を受け容れると囁いてくれた。
もしかすると妻同様、不倫の愉しみに目ざめてしまっただけかもしれなかったけれど。
いまは息子同様、妻たちには頭が上がらないでいる。
獲物を取り換え合って、情痴に耽る吸血鬼の下にいるのは、母親や新妻、それに妹――
こんな状況に感じることができるのは、いまはこの街では羨望を呼ぶ徳目になりつつあった。

「終わりましたよ」
何事も起こらなかったような顔をして、部屋から出てきた妻は。
ほつれた髪をさりげなく整えて、家事に戻っていく。
いずれも妻同様、スカートの裏を濡らした娘と嫁とを公平に指図して、
今夜のお雑煮の用意に、取りかかっていった。

なだれ込む「彼ら」。

2016年08月09日(Tue) 00:58:45

家の外には、多数の吸血鬼たちがうごめき、われわれの様子を窺っている。
それをだれもが警戒していたのだけれど――
さいしょに狙われたのは、妹だった。
縁側に出ていた妹は、わずかのスキを突かれて彼らの餌食になった。
廊下でのたうちながら血を吸われて、気づいて駆けつけたときにはもう、彼らは去ったあとだった。

ピンクの浴衣に着かえた妹は、その夜ひっそりと家を出た。
「あなた、未華子さんが家にいないわ」
妹の姿が見えないことに妻があわてて、わたしのところに駆けつけた。
わたしはすぐに、妹のあとを追った。

ピンクの浴衣の後ろ姿が見えたとき。
妹の周囲には何匹もの吸血鬼が、すでに徘徊を始めていた。
「妹を返してほしい」
わたしは言った。
「もちろんそうするつもりだ。だが条件がある。家に入れてくれ」
「それは困る。妻や母まで襲うつもりなのか」
「もちろんだ。妹さんの相手はこの男が、あんたの相手はわしがする。お母さんの血を吸うのはこの男だ
 そうだ、奥さんの血もわしがいただく」
「そんなことまで決めているのか」
「我々は仲が好い。獲物は分かち合うことにしている。だが、さいしょに咬む相手だけは決め合っているのだ」
「そんな勝手なことは許さない」
「だが・・・見てくれ。妹さんはもう、我々と仲良くなりはじめているぞ」
男に促されて傍らを見ると、妹は吸血鬼どもに取り込まれて、ひたすらうっとりとなっている。
ひとりは妹の首すじを、ひとりはピンクの浴衣の襟足から胸もとを、
もうひとりは手の甲から、ほかのひとりは足許を・・・
一瞬みせたスキを突かれて、わたしも首すじに疼痛を覚えていた――

「なかに入れてあげようよ」
玄関までたどり着いたとき、妹は蒼い顔をあげて、わたしにそう訴えた。
「そんな・・・」
「いいの」
妹は問答無用とばかりに、玄関をからりと開ける。
妹を抱きかかえるようにして玄関に入ったわたしは、彼らの侵入を妨げようとしたが、
彼らはいっせいに、家のなかへとなだれ込んできた。

ああッ・・・!
仏間から聞こえるのは、母の悲鳴。
予告したあの男が、いまごろ母を咬んでいるのか。
妹もまた、浴衣の袖を振り振り、数匹で群がる男どもの餌食に、若い血を散らしてゆく。

妻の手を引いて夫婦の寝室に逃れたけれど、そこがわたしたちにとっての修羅場になった。
「あなた、あなた、なんなの?この人たち」
わたしは手を振って彼らを阻止しようとしたが、多勢に無勢だった。
さっきわたしの血を吸った男が、妻に迫って首すじに牙を突き立てる。
ほかのやつらは左右からわたしに迫り、腕といわず脚といわず、食いついて来る。
あ――ッ!
ひときわ強い悲鳴が、わたしの鼓膜をつんざいた。妻の声だった。

わたし自身も、むざんな吸血に身をさらしながら。
その場にうずくまった妻が頭を抱えて、ムザムザと生き血を吸い取られてゆくのを、見せつけられていった――

夜は深い。
その晩ひと晩じゅう、わたしたち家族全員は、芋虫のように身を転がしながら、彼らの欲望に身をさらし、
死なされはしなかったものの、ひたすら全身の血を舐め尽されていったのだった――


あとがき
縁側に出ていた妹が、まっさきに血を吸われた。
一人でお祭りに出かけた妹を追いかけて家に出ると、わたしまで食われてしまった。
そいつらはしつこくわたしたちにつきまとい、家の中にまで入ってきた。
母も妻も、食われてしまった。
じわじわと痛痒い食われた痕をひっ掻きながら、妻はこぼす。
――この夏はほんとうに、蚊が多いわねぇ。

おあとがよろしいようで。^^

一体感。

2016年08月04日(Thu) 06:41:11

ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・
いつもながら彼は、豪快な音をたてて。
わたしの生き血を、飲み耽ってゆく。

首すじに牙を突き立てて。
両肩を、ギュッと抱きすくめられて。
身じろぎひとつできないほどに、がんじがらめにされながら。
わたしは体内をめぐる血液を、グイグイと力強く、抜き取られてゆく。
彼は支配欲もあらわに、わたしをがんじがらめにし、
わたしは彼の支配欲をそのまま受け入れて、わが身を心地よくゆだねていく。

気が向けば。
半ズボンからむき出しになった太ももにも。
ガブリ!と派手に、喰いついて来る。
いっそ小気味がよいくらいの咬みっぷり。飲みっぷり。
そんなふうに彼のわたしに対する仕打ちを、肯定的に感じるようになったのは。
たぶんわたしのなかに・・・人知れず嗜血癖が芽生えてきてしまったためだろう。


実際に、人の生き血を吸ったことは、ほとんどない。
首すじについた、吸い残された血を指先で拭って、
自分で自分の血を、チュッと唇に含んだくらいはあるけれど。

でも――なんとなく彼の気持ちが、わかるような気がする。
ねっとりと充実した、暖かいバラ色の液体を。
頬に撥ねかし口に含み、喉に流し込み、胃の腑にわだかまらせる歓びを。

人の生き血は、吸わないけれど。
彼にもっと血を吸わせてやりたい・・・そんな気持ちはとても強い。
だから、多少の貧血をいとわずに、彼に逢いに出かけてしまう。
家族に隠れてさえも。
けれどもそのうちに、そんなことをする必要はなくなってきた。
若い女の血を吸いたい。
そんな彼の願いをかなえるために、わたしは妹を逢わせてしまった。


ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・
白目をむいて気絶した妹の、足許にとりついて。
着ている制服を汚すまいと、彼はもっぱら妹の脚に唇を吸いつける。
履いているなハイソックスを脱がそうともせずに、ふくらはぎに咬みついて。
真っ白なハイソックスが真っ赤になるほど、彼が飲み耽るのを見届けたとき――
あの充足感は、なんなんだろう?
まるで自分自身が吸血鬼で、やっと活きの良い血にありつけたような、
そんな充足感が、身体のすみずみにまで行きわたる。

気がついたときには、気絶からわれに返った妹を助け起こして、
これからこの人に毎晩血を吸ってもらうんだよ・・・って、納得させていた。

わたしの血と、妹の血と。
それだけでも足りなさそうな彼をまえに。
妹は囁いたのだった。
――母さんの血も、吸わせてあげようよ。


ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・
白目をむいて放心した母のうえにのしかかって。
彼女のご自慢のワンピースに、持ち主の血をふんだんに撥ねかしながら。
咬みついた首すじのうえ、彼はいつも以上にせわしなく唇をうごめかせてゆく。
母の生き血を吸いあげる勢いの良さが、どうしてかむしょうに、小気味よく耳をくすぐる。
――よかった。母さんの血も、気に入ったみたいだね。
飼いはじめたペットが餌を勢いよく食べるのを見てほっとしたときの妹を思い出す。
いまも同じ顔つきで、目を細めて満足そうに。
自分の血を美味しいと言ってくれた男が母を生き餌(え)にする有様を、見守っている。
控えめだった妹の、べつの顔を見たような気持になったけれど。
いっぽうで。
共犯者の連帯感を、安堵とともに噛みしめていた。
母が咬まれて、生き血を吸い取られていくという、シリアスな状況のはずなのに。
そう。
まさに共犯者だった。
抵抗する母の手足の動きが、じょじょに緩慢になってゆくのを、
妹とふたり、肩を並べて見入っていて。
妹なんかは小声で、がんばれ、がんばるんだ吸血鬼さん・・・って、
自分の母親を組み敷いて血を吸う男の肩をもっていたくらいだから。

気がついたときには、気絶からわれに返った母は妹を助け起こされていて、

母さんも捨てたもんじゃないんだね。
これからはこの人に毎晩血を吸ってもらうようがんばらなくちゃね

・・・と、気丈な納得ぶりを、まだ立ち去らないでいる情夫の耳に届けるように、そういった。
自慢のワンピース、着れなくなっちゃったから。記念にあなたにあげるわね。
血の撥ねたワンピースを、初めて襲われた相手に渡す行為は。
相手のすべてを受け容れることを意味していた。
ワンピースの肩先に撥ねたのは、母の血潮だったけれど。
すそをどっぷりと濡らす、生温かい半透明の粘液には、
母も息子も娘も、気づかないふりをしつづけていた。

母のワンピースをもらえる彼が羨ましいと、半分は嫉妬を覚えたけれど。
母のワンピースをあげたいと、もう半分は私自身も熱烈に思っていて、
まるで私じしんが受け取ったかのようなうれしさを覚えてしまったのは。
私が彼になり、私が母になり切っていたからなのかもしれない。
そういえば妹のときも。
私じしんが妹の制服を着て襲われているような――奇妙な一体感が、そこにはあった。


わたしの血と、妹の血と。母の血と。
それだけでも足りなさそうな彼をまえに。
妹は囁いたのだった。
――真由子さん、襲わせてあげようよ。まだ処女なんでしょ?

婚約者の真由子は、会社勤めのOLで。
ふっくらとした豊かな肢体の持ち主だった。
もちろん、彼の相手として、なん度夢想したかわからない。
だって、彼女の豊かな肢体をめぐる血潮が、彼の気に入らないはずはないのだから。
妹のそそのかしに、われを忘れたわたしは、翌日真由子を、いつもの公園に呼び出していた。

目と目を見つめ合った瞬間から。
真由子は相手の正体を察したらしい。
ちょっと顔を蒼ざめさせて。
わたしの首すじにつけられた咬み痕に、目を見張って。
ものも言わずに、駆け出した。
はじめから勝ち負けの決まっている鬼ごっこを、
わたしはどちらにも手を貸さず、佇んだまま見守っていた。

彼は獲物がわたしの婚約者だと知りながら、
獣が獲物を掴まえるような荒々しさで、
後ろから追いついた真由子の肩を引き寄せたのも。
勤め帰りのスーツ姿を引きずり倒して、泥まみれにさせたのも、
わざと粗っぽく、牙を叩きつけるようにして、彼女の首すじをガブリとやって、
真っ白なブラウスにバラ色のしずくをふりかけたのも。
脚をじたばたさせて彼女が抗い、その抵抗を力ずくで抑えつけていったのも。
チュウチュウとあからさまな音を立てて真由子の血が吸われ、
音が深まるにつれ、脚のじたばたが弱まっていったのも。
妹のハイソックスをみるかげもなく咬み破ったように、
真由子の履いているテカテカとした肌色のストッキングも、
むぞうさにブチブチと、咬み剥がれてしまうのも。
わたしはまるで自分がしているかの錯覚をおぼえながら、
ゾクゾクとした昂ぶりもあらわに、
妹や母をも汚した男が、わたしの婚約者を征服していくいちぶしじゅうを、見守っていた。

ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・
真由子の血を、彼が旨そうに飲んでくれているのを。
ああよかったと感じているわたしがいた。
彼が活きの良い血液にありつけたことを、ああよかったとだけ感じていた。
まるで自分自身が、血で満たされた吸血鬼のように。
彼が彼の胃の腑を、わたしの未来の花嫁の血で満たしてゆくのを、
ひどくうれしく感じていた。

彼女が生命を落とすことはない。
だって、彼は若い女の生き血を継続的に欲していたから。
くり返し突き入れられた牙は、彼女の理性を見る見るうちに麻痺させていって。
彼女はぼーっとなって、
奪われるまま、生き血を飲み耽られていった。
自分の身体をめぐる血液が、相手の男の渇きを満たしていくのを、
ただただぼう然として、寄り添いつづけていた。

白目をむいて仰向けにぶっ倒れ、満天の空をうつろな目で仰ぐ真由子を。
わたしはあろうことか、彼が真由子の血を吸いやすいようにと手助けをしてやっていて。
勤め帰りのジャケットのうえから、彼女の両肩を抑えつづけていた。
ブラウスをはぎ取られ、ブラジャーをむしり取られて、
乳首を含まれ、ぞんぶんに舐められて。
でも、彼女の裸体をまだ目にしたことのないわたしは。
まるで、自分自身が彼女を犯そうとしている気分になって、
彼の所業を妨げもせず、視つづけていた。
彼と手を組んで、ふたりがかりで彼女をねじ伏せようとしていた。

ストッキングを片方だけ脱がされて。
彼女はふたたび、足摺りをくり返していた。
初めて受け容れる男の肉に、恐怖と期待とを滲ませながら。
受け容れなければならない男の肉が、婚約者のそれではなくて、
そうしたことを、婚約者自身が望んでいて、
自分自身さえもが、血を吸われてしまった以上は・・・と、
あきらめと観念と無念さと、ひそかに感じはじめた好奇心を秘めながら。
彼女はゆっくりと、自分から脚を開いてゆく――

突き入れられたものが引き抜かれる瞬間、彼女はすすり泣き交じりの吐息を洩らし、
それから言った。
ケンくん、ゴメン・・・っ。
きっと感じてしまったのだろう。
彼はそんな真由子になおものしかかって、
草の褥のうえで、なん度もなん度も彼女を犯し、辱め抜いてゆく。

婚約者の純潔が散った夜。
わたしも、わたし自身の「初夜」を過ごした。
彼女のうえにおおいかぶさる吸血鬼は、もうひとりのわたし。
わたしは今、自分の血を共有する男といっしょになって彼女を犯し、血を抜き取ってゆく。
妹や母さえも、そうしたように・・・


あとがき
昨日から構想し、やっと書き上げました。
頭のなかでわだかまっていた二作があっぷできて、すこし安堵。

ご夫君の勤務中に犯された奥方は、意外に冷静である。

2016年08月04日(Thu) 05:54:49

下校してきた娘たちのハイソックスは真っ白なままで、
いつもみたいに血のりを赤黒く撥ねかしたりはしていなかった。
あのひと律儀なんだなあと、幸恵は思う。
明日はふたりともテストだから襲わないでねってお願いをしたら。
娘たちのことを見逃してくれたようだった。
さすがに母親の私は、その埋め合わせとばかりに、
朝っぱらから襲われて、たっぷりと血を吸われてしまったけれど。

夫の生き血も、気に入ったらしい。
まだ吸い足りないから居場所を教えろというので、勤務先を教えてやった。
夫も仕事中に、娘たちの埋め合わせを果たしてやったに違いない。

初めて襲われたときにはびっくりしたけれど、すぐに慣れた。
夫婦ながら、襲われて。
先に咬まれた夫の目のまえで、それは美味しそうに吸血されて、
鼻息荒く押し倒されたにはもう、すっかりその気になっていた。
どさくさまぎれ?ことのついで?
そんなふうには思ったけれど。
パンストをむしり取られてあらわにされた股間に、
猛り狂った肉棒というもうひとつの太い牙を突き入れられた瞬間、
夫の目のまえだというのに、恥も外聞もなく、おおっぴらに叫んでしまっていた。
ずずんと肉薄された衝撃は、最後に残った理性のひとかけらまで吹き飛ばして、
つづきをおねだりされた幸恵は、自分から促すようにして、
夫の目の届かない隣室へと、引きずり込まれていったのだった。

それからは。
父親よりもはるかに年配の老爺を相手に、春をひさぐ日常――
熟れた人妻の肉体に、老爺は鼻息荒くむしゃぶりついてきた。
かりにその場に夫が居合わせても見境なく、
むしろ見せつけるのを愉しむかのように鼻息荒く、おおいかぶさってきて。
スカートを荒々しくたくし上げ、パンストをむぞうさにむしり取って、
はしたないほど熱した肉棒を、股間に割り込ませて来るのだった。
そんなとき、プライドの高かったはずの夫は、ただおとなしく、
気まずそうに目を背けたり、気を利かせたように座をはずしたり・・・
さいしょはふがいないひとと思っていたけれど。
その場から立ち去ったように見せかけて、
物陰からじっとりと幸恵の痴態を覗く視線にきづくころにはもう、
――夫も夫なりに、愉しんでいるのだ。
そう理解して。
いまでは真昼間から、ご近所にまる聞こえになるくらいおおっぴらに、
・・・よがり狂ってしまっていた。

娘たちの血を吸いたがるので、ふたりの登下校の刻限や道順を教えてやったり、
あの子たちも吸われはじめたのよって、夫の機嫌の良いときを見計らって伝えたり、
いろいろ便宜をはかってきた。
魚心あれば水心なのか。
ほんとうに体調が良くない時とか。
大事な行事を控えているときとか。
血を吸われながら家族のそんな情報を伝えてやると、
律儀に襲うのを控えてくれるようになっていた。

家族みたいなもんじゃからのぉ
老爺はそんなふうに幸恵の耳もとで囁いたが、
案外本気でそう感じてくれているのかもしれない。
たしかに、「家族みたいなもん」には、ちがいはないのだ。
なにしろ、老爺も体内に、自分や娘と同じ血を宿しているうえに、
幸恵自身は、夫にしか許していないできたことさえ、許してしまっているのだから・・・

初めて血を吸われたときには、あまりにも多量の血を漁られて、
目をまわしてその場で昏倒してしまったけれど。
血に飢えた相手のまえで気絶してしまうというのは、
自分の血を残らず飲まれてしまってもよいという意思表示ととられかねない
・・・と、老爺から教わったとき。
相手は命の恩人かもしれないと思ってしまった。
セックス経験のある女性は、その場で凌辱を免れないときいていたし、
老爺が案の定、ブラウスのえり首から手を突っ込んで、胸をまさぐりはじめたときも、
案外と惜しげもなく、夫しか識らない身体を開いてしまっていた。
さいごのほうでは――不覚にも、息をはずませて応えてしまっていたっけな。
たまの浮気もいいなぁ・・・と。
血に濡れたブラウスをまといながらぼう然と、そんなことまで思っていたっけ。

今朝もまた・・・襲われてしまったけれど。
思うさま血を漁り取られたり。
お洋服に派手に血を撥ねかされ、しまいにはぎ取られてしまったり。
ストッキングをブチブチ破かれながら辱めを受けたり。
そんなことがむしょうに――小気味よくさえ思えるようになっていた。


夫が戻ってきた。私は出かけてゆく。
そう、あの薄汚い老爺に抱かれるために、小ぎれいに装って。

お呼ばれしちゃった。献血してくるから、ひと晩帰れないわ。
あの子たち。明日はテストだから、かまわないであげてね。
え?あなたも吸われちゃったの?どうりで蒼い顔なさっているわね。
私も朝いちど吸われちゃったけど。
知ってる?あのひとの精液を飲ませてもらうと、恢復早いのよ。
こんどあなたも、試させてもらうといいわ。

精液――その言葉を耳にすると、夫は獣になっていた。
荒々しく自分の妻を押し倒し、ワンピースを引き裂き、ブラジャーをむしり取ると、
乳首を我が物顔に口に含んで、チュウチュウとやり始めた――まるで吸血鬼みたいに。
あなた、二階には娘たちがいるのよ。
そういって、たしなめようとしたけれど。
階段の上の人の気配は、いちどは踊り場ごしに玄関へと目線を注いできて、
すぐに二人顔を見合わせて、引っ込んでいく。
まったくっ、もうっ。
じれったそうに足摺りをしたふくらはぎからは。
破れ落ちたストッキングがじりじりと弛みを深めてゆく。

わかりやすいひと。
嫉妬に引火した性欲もあらわに迫ってくる夫の吐息が、
まるで新婚のころのように、熱っぽい。
――だんなさんとも仲良うまぐわうのじゃぞ。
老爺はニタニタと笑いながら、そういっていた。
ごめんなさいね。お約束の時間に間に合わないわ。
そうだ。その代わり今夜は夫に車を出してもらって、送り迎えをしてもらおう。
浮気妻を、浮気相手のところに送り届けて。
息をひそめて、お家で大人しく待機してもらって。
そのうえ、半裸に剥かれた着衣の乱れを、ご近所さまの目にさらさぬように。
また車で、迎えに来てもらおう。
迎えに来た夫には、ちょっとだけ待ちぼうけをしてもらって。
そのあいだ、夫の待たされている部屋に聞こえるように、
おおっぴらに声、あげちゃおう。


あとがき
前作を描いてすぐに構想が始まったのですが、どういうわけか完成はいまごろに。
頭のなかでわだかまっているお話がうまくモノにならないと、どうにもスッキリしないものです。

勤務中の夫君は、ご機嫌斜めである。

2016年07月24日(Sun) 08:32:29

「また君か!ひとの仕事中に、いったいなにをしに来たというんだね!?」
勤務先のオフィスにまでのこのこと現れた老爺をみて、長谷幸雄は思わず声を荒げた。
けれども彼は、自分の投げた質問が愚問だと、改めて感じていた。
そう、この忌々しい老爺が口許からよだれを垂らしながら現れるときは――血を吸いたがっているのだ。
老爺は案の定、喉をひくひくさせながら、こたえた。
「へぇ、あんたさんの血を吸いに、うかがいやした」
「勤務中なんだ。遠慮してくれないか」
ニベもなく応えたつもりが、語尾が震えている。
「へえ、でもあんたさんしか、血を下さるアテがないもんで」
子供たちは今頃学校か・・・
老爺のために血液を提供する相手として、真っ先に家族を思い浮かべてしまったことに、
幸雄は内心、舌打ちをする。
「奥様からはさっき、いただきやした。へぇ・・・たっぷりと」
幸恵が・・・そうか・・・
こいつらが女の血を吸うとき、相手の女がセックス経験者の場合には、たっぷり犯していくという現実を、ふと思い出す。
老爺のニタニタ笑いが、実に忌々しかった。
想像のなかで、妻の幸恵が自宅のリビングで、蒼い顔をしてひっくり返っている。
忌むべき訪客のためにわざわざ着替えたワンピースには、したたかに血を撥ねかしていて。
むしり取られたストッキングを、片脚だけに残していて。
むき出しになった太ももには、淫らな粘液をぬらぬらさせていて――
あらぬ想像に股間に昂ぶりを覚えてしまうのは。
それは絶対に、あってはならない、恥ずべき事・・・
老爺は幸雄の心中を完全に見透かしているらしく、
勃った股間を覆うズボンの不自然な引きつれを、面白そうに窺っている。
チラチラと送られてくる同僚の盗み見の視線が、焦りと屈辱とを倍加した。
「ハセさん、あっちの打ち合わせテーブル、きょうは空いてるよ」
同僚の小塚がなにげなく、オフィスの隅のパーテーションに仕切られた一角を目で指した。
「きょうは」ということは、いつもは満室だったりするからだ。
打ち合わせテーブルは、このオフィスに勤める社員たちが、
男女を問わず血を吸いに来る地元の老爺や老婆たちを迎える場になっていた。
幸雄は忌々し気に、周囲に聞こえるような舌打ちをわざとすると、席を立った。

「まったく・・・あんたらは人の血をなんだと思っているんだね!?」
言葉とは裏腹に、血に飢えた老爺に脛を吸わせるため、幸雄はスラックスのすそをたくし上げている。
履いているハイソックスの口ゴムがあらわになるまで引き上げられたスラックスのすき間から、むき出しのひざ小僧が覗くと。
老爺は声にならない嘆声を洩らした。
幸雄の脛は薄地の濃紺のハイソックスが透きとおり、
淡い地毛の浮いた素肌を、女もののストッキングのように染めあげている。

ウフフ。だんな、どうしてなんでしょうねぇ。
都会の殿方が脚に通すこのテの靴下、どうしてこんなになまめかしいんでしょうねぇ。
男ものなのに、どうしてこんなにわざとらしく、テカテカ光ってるんでしょうねぇ。
老爺は嬉し気に、頬ずりせんばかりに幸雄の脚に顔を近寄せる。
とっさによけようとした脚を、足首を掴まれて抑えつけられると。
つぎの瞬間、生温かいものがふくらはぎに沁みついた。
老爺は早くも、薄地のハイソックスのうえから唇を這わせ、舌をチロチロと滲ませてきていた。
先刻妻の素肌を濡らしたに違いない淫らな唾液が、ハイソックスのうえからじっとりとしみ込んできて、
好奇心もあらわな舌が、薄いナイロン生地の舌触りを愉しみはじめていた。

あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・
気がついたら、イスからずり落ちて尻もちをついていた。
咬み破られたハイソックスはじりじりと裂け目を拡げて、しっかり掴まえた老爺の掌の下、くしゃくしゃにされてずり落ちかけていた。
でも、それどころではなかった。
老爺は恐るべき勢いで、幸雄の血を吸いあげ続けている。
頭からスーッと血の気が引いていくのが、いやでもわかった。
こんなふうに、こんなふうに、幸恵のやつも・・・
体じゅうの血液を引き抜かれる恐怖を覚えながらも、
幸雄の脳裏からは犯されて放心している妻の想像が去らないでいた。
気がついたら失禁していたけれど、
スラックスにしみ込んだ生温かい異臭など、気にしている場合ではないようだった。

全部・・・吸い取る気なのか・・・
そうだ、幸雄がいなくなればもう、老爺と幸恵を遮る邪魔者はいなくなる。
老爺は真っ昼間から長谷の家を訪ねていって、おおっぴらに幸恵を犯すのだろう。
くらくらと眩んだ視界をかいくぐって、組み伏せた幸雄のうえにのしかかってきた老爺が息をはずませていた。

でぇじょうぶですぜ、だんな。
あんたを殺めるつもりなんぞ、これっぽっちもありゃしない。
その代わり、幸恵をあっしの自由にさせてくだせぇ。
だんなは優しいから、絶対見て見ぬふりをしてくれるって、幸恵も言ってくれてますんでねぇ。
老爺は幸雄の耳もとでそう囁くと、夫婦の血潮に濡れた牙を幸雄の首すじにあてがって、
そのままずぶりと突き入れてきた。
アーッ!
初めて幸恵が犯された夜。
老爺の忌むべき剛肉を股間に突き入れられた瞬間、妻が同じ叫び声をあげたのを。
いまさらながらに、思い出した。
血に濡れた老爺の唇が、幸雄の唇に迫ってくる。
幸雄はたまらなくなって、唇を重ねてくる老爺に、応えていった。
――しまいには、夢中になって、自分から唇を重ねていった。
妻の素肌にしつように這わされる、忌々しいはずの老爺の唇が。
結び合わされたように密着させられた幸雄の唇に、異常なくらいしっくりとなじんでいった。

あお向けの姿勢から、腹這いに転がったのは。
老爺にふくらはぎをねだられたから。
薄い靴下を履いた幸雄のふくらはぎをいたぶりたいと、そう願われて。
幸雄はなぜか、老爺の願いを好意的にかなえたい気分になっていて。
吸いつけられた唇が、薄いナイロン生地をいたぶり抜くのが、妙に小気味よくなってきて。
もっと・・・もっと・・・。
そう呟きながら。
けれども老爺が恥知らずなやり口で、幸雄の靴下を破ってしまうと。
「あんた、いい加減にしなさいよっ!」
と、弱々しい怒声をあげていた。

「いけないだろう、そんなこと!」
「ひとの靴下を破くのが、そんなに面白いのかね!?」
「まったくっ。あんたは本当に恥知らずだなっ!」
思いつく限りの叱声をあげながら。
あんたの靴下を破くのは、むしょうに愉しい。
そんなことを囁いて来る老爺のために、もう一足履き替えてやろうかとまで、思っていた。

老爺との浮気に出かけた妻が。
破けたストッキングのまま帰宅してきたのを咎めると。
とても言いにくそうに、言っていた。

だってこれ、穿き替えで持っていったやつなのよ。
二足とも、だめにしちゃったのよ。

咬まれた痕は、咬まれた者同士にしか、見えないらしい。

2016年06月30日(Thu) 07:48:12

初めて咬まれた夜のこと。
家に帰った僕を迎えたのは、父さんだった。
その時初めて、父さんの首すじについた咬み痕に、僕は気がついた。
父さんも僕の首すじにつけられた咬み痕に、じーっと見入っていた。
咬まれた痕は、咬まれたもの同士にしか見えないということを。
僕はその時、初めて知った。

父さんは半ズボンを履いた僕の足許に目をおろして。
真っ白なハイソックスにべっとりと着いた血のりをみとめると。
母さんが帰る前に、脱いでいなさい。父さんは母さんをこれから迎えに行くから。
これは二人だけの秘密・・・ということを言外に滲ませて、
あとはいつものような仏頂面に戻って、ジャケットを羽織って家から出ていった。
この街に棲みついて、まだいくらも経っていないころ。
妻を襲われたくない夫たちは、夜道を歩く妻のエスコートを必ずすることになっていた。
いつものようににぎやかな雰囲気をまき散らしながら居間に戻って来た母さんは、
僕の首すじの咬み痕に気がつかなかった。

翌朝、出勤時間を早めた父さんは、僕と一緒に家を出た。
家が遠くなって、誰にも聞かれないのを見はからって、父さんは言った。
ほんとうは、父さんが母さんのことを連れていかなくちゃいけないんだけど、さすがにちょっとなあ・・・
じゃ、僕がするから。
生き血を欲しがる吸血鬼に母親を引き合わせるという行為を、
自分でもびっくりするくらい気軽に、引き受けてしまっていた。

気分が悪くなっちゃって。
いま、フジノさんのお宅にいるんだ。
電話に出た母さんは、僕のついた嘘を真に受けて、
敷居の高い家みたいだから、ちゃんとスーツ着て迎えに来てね。
息子のそんな風変わりな要求を、なんの疑いも抱かずに承知した。
僕を迎えに来た母さんは、いつもより半オクターブは高いよそ行きの声になって、
自分の血を吸おうとしている小父さんに礼儀正しいお辞儀をして。
黄色いスカートの下からにょっきり覗く肉づきのよいふくらはぎを、
そうとは自覚せずに見せびらかしていた。
脚に通してきた真新しいストッキングを、咬み破られるために穿いてきたのだとわかったときにはもう、
その場に押し倒されて、首すじを咬まれて、
僕のときよりもいちだんと速いペースで、生き血をチュウチュウ吸い取られてしまっていた。

もう~、どうして母さんにあんな嘘をつくのよっ。
言葉は叱っていたけれど、声色はもう、怒ってはいなかった。
女の人が穿いているストッキングを咬み破るのが大好きな小父さんに迫られた母さんは、
肉づきたっぷりなふくらはぎに、もの欲しげな唇を吸いつけられて。
ぱりぱり、ブチブチ、かすかな音を立てながら。
小父さんのために穿いて来たおニューのストッキングを、惜しげもなく咬み破らせてしまっていた。
そのまま、“征服”されていった母さんのことを、僕はずっと忘れない。
ふすまが細めに開いた隣室から、犯されてゆく母さんのことを、父さんが熱っぽく見つめていたことも――

ええーっ!?ケイくんのウソつきっ。
言葉は怒っていたけど、声色は決して、怨んではいなかった。
それから数年後のことだった。
僕が婚約者の綾香さんを、小父さんに紹介してしまったのは。
母さんのときとおんなじ経緯で、綾香さんは首すじを咬まれ、
スーツのジャケットをバラ色の血潮でびしょ濡れにさせて、
てかてか光るストッキングを、惜しげもなく咬み破らせていった。
その場で犯されてしまったのさえ、母さんのときといっしょだった。
嫁と姑、ふたりながらモノにしてしまった小父さんは。
父さんと僕のまえ、得意げに笑いながら。
妻をみすみす寝取らせる父親と、
婚約者をムザムザと汚されるその息子とを目のまえに。
スーツに着飾った女ふたりを、代わる代わるに犯していった。

第六感。

2016年05月14日(Sat) 09:55:24

吸血鬼の棲むこの街に足を踏み入れて、
だれが人で、だれが吸血鬼なのか疑心暗鬼だった、最初の一週間。
勤務先でふと目の合ったあの男に、わたしはなぜか血が騒いだ。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
やつに吸い取られてしまうのだと、血液自体が反応したみたいな、そんなまがまがしい予感だった。
予感は果たして、的中した。

慣れ初めて三日目に。
家族を紹介するために、自宅に招いたとき。
初めて目線を合わせた妻は、なぜか血が騒いだという。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
ヤツに吸い取られてしまうのだと直感したのはきっと、女のカンだったに違いない。

勉強部屋から降りてきた息子までも。
初めて目線を合わせた彼に、なぜか血が騒いだという。
身体じゅうの血液が、ざわざわと。
きっと――あの男にとってわたしの血すじは、なにかの縁があったのだろう。
初めて逢瀬を遂げたとき。
息子はつきあっている彼女を紹介すると約束をした。
ちょうどわたしが、初めて吸われたお礼に妻を紹介すると誓ったように――

サークルの合宿から戻った娘は、さいごに彼と対面をした。
すでに、両親も弟も、吸われたあとのことだった。
初めて目線を合わせた彼に、娘も血を騒がせていた。
身体じゅうの血液を、ざわざわと。
夏季休暇のさなかだというのに、娘は彼のために制服を着ようと決意していた。
初めて抱かれるのも、きっとこのひと――
すでに親の決めた婚約者がいたにもかかわらず、娘はそう直感したという。

いまでは――
だれもがなにごともなかったように、いままで通りの日常を過ごしている。
妻はわたしが出勤した後に、いそいそと着飾って浮気に出かけ、
娘は婚約者にも公認させたうえで、学校帰りに寄り道をしていく。
男に抱かれることに目覚めてしまった息子は、彼女を食われたことを誇りに思っていたし、
わたしさえもが勤務先ちゅうに、外商と称して彼の邸を訪れて、抱かれてゆく――
妻や娘、息子の未来の花嫁、それに息子さえをも抉った肉の牙で、股間を侵されながら・・・

意識の変容。 2

2016年04月23日(Sat) 17:19:23

勤め帰りの道ばたで。
わたしは初めて吸血鬼に襲われて、身体じゅうの生き血を、吸い取られてしまっていた。
血管が空っぽになって、初めてわかる彼らの気持ち。
きっと・・・こんな四十男の血でさえも。
とても美味しく頂戴したのだろうって。
不思議なくらい、ひしひしと身に沁みて、実感していた。

わたしの血を吸い取った吸血鬼は。
ずっと年配の、みすぼらしい男だった。
わたしの身体から抜き取ったばかりの血潮を、口許から滴らせて。
それを行儀悪く、手の甲で拭っていった。
手の甲に着いた血を、なおも意地汚く、旨そうに舐め取って。
はじめて得心がいったように、フーッと重い溜息をついた。

少しは愉しんでもらえたのかな。
闇夜のなか、うつろに響くわたしの声に。
あぁもちろんだ。たんと、たんのうした。礼を言うよ。
男は案外と、人懐こい親しみを見せてくる。
力づくでわたしのことを抑えつけて、
情け容赦なくうなじを抉ったときの強引さが、なりをひそめたのは。
味わい尽したわたしの血から得た、ぬくもりのおかげなのだという。

わたしはもう、死んじゃっているのかな?
滑稽な質問だと承知しながら、そう訊いたのは。
ちっともそんな実感がわかなかったから。
抑えつけられて――力づくで、血を抜き取られて――その場に尻もちをついたまま、吸い尽されていって――でも意識はずうっと、連続していたから。

そうさな。半吸血鬼ってとこかな。
男は目を細めながら、わたしをまともに見つめてくる。
どういうことでしょう?
大概の場合はな、おれたちは寸止めにするんだ。
血を吸った相手をみんな吸血鬼にしちまうとさ、競争相手が増えるから。
だから、あんたは人間のままさ。
でも、血の足りない身体にされちまったから。
血を欲しがるやつらの気持ちはわかる。
だからこんどは、俺たちの仲間になって。
血を欲しがる俺たちのために、むしょうに血を与えたくなってくるんだ。
そうそう。
ちょっとなら、血を吸うことだってできちまう。
この街に来て間もないね?あんた。
でも、いちど血を吸われたら、もうこの街の人間さ。
好きなだけ他人を襲って、血を吸うがいい。
なんなら、わしの女房を貸してやろうか?
齢の差婚だから、あんたとそう変わらん年恰好をしているぞ。

自分で血を吸いたい というよりも。
いまのわたしの本能は。
渇くものに血を与えたい。 そんな気持ちのほうが、強かった。
そう、この男のいうように。
血を欲しがる男のために、むしょうに血を吸わせてやりたくなってきたのだ。

もうじゅうぶんに、喉は潤ったのかね?
わたしは彼に、訊いていた。
わたしの血を吸い取った、本来なら仇敵と呼ぶべきはずの彼に。

そうさな。まだまだ足らんな。なにしろ、禁欲が長かったからねえ。
このごろはすっかり、よそ者がこの街に越してくることがなかったもんでな。
厚かましいお願いだと百も承知でいうのだが。
あんた、奥さんと娘さんといっしょに、暮らしているね?
よかったら。あんたの奥さんと娘さんを、紹介してくれんかな。
若い女の生き血がわしらの好物じゃということは。
向こうの世界でも、知れておるぢゃろ・・・?
あんたはこのまま、わしを家に連れ帰って。
そう――家ン中に入れてくれさえすればいい。
あとはわしが、うまくやるから。
あんたは家族を売ったことにはならないのだから。
あんたがこれからすることは、崇高な使命。
自分の血を吸い取った、本来仇敵どうぜんのわしに、
ご家族のうら若い、貴重な血をあてがいたくてすることなのだから。

さいごのひと言に、免罪符を見出したような気がして。
わたしは気もそぞろに、長い道草を終えることにした。
これから帰宅する。
新しい友だちを、伴って。
妻と娘の生き血を欲しがっている新しい友だちを、伴って。

ほんとうは・・・あんたじゃなくって、
もともとあんたの嫁と娘が目当てだったのさ。
男はあっさりと白状したけれど。
むしろその正直さが、嬉しかった。
それはそうだろう。
脂の乗り切った、四十前の人妻の血と。
まだ処女であるはずの、十代の若い娘の血とが。
彼の欲望を満足させるために、提供されることになるのだから――

かまわないですよ と、わたしはこたえた。
いまのわたしは、あなたに満足してもらうために
妻と娘の血を吸わせてやることしか、もう頭にないのだから。
ふたりの生き血が、あなたの気に入るとうれしい と。
異常な願望を、本音を込めて語ることは。
異常な歓びを生み出すものだと。その時初めて知った。


ひいいいいっ。
わたしの目のまえで。
来客にお茶を出そうとして後ろを向いた妻は。
わずかな隙を突かれて、男に背後をとられていた。
いきなり首すじを咬まれた妻は。
目を剥いて抗って。
抗う手をわたしに静かに抑えられて。
この街のことはうすうす気づいていた彼女だったから、
わたしの首すじに、自分がつけられているのとおなじ咬み痕を見出すと。
すぐにあきらめたように、身体の力を抜いていた。

ちゅうちゅう・・・ちゅうちゅう・・・
妻の生き血を吸い取ってゆく、生々しい音が。
男の卑猥で性急な喉鳴りが。
わたしの鼓膜を、妖しく浸す。
未練がましくすり足をしながら、吸血に耐える妻。
そのすり足さえもが、じょじょに緩慢になって。
やがて、動きを止めて、静かになる。
すべたがわたしのときと、まったく同じ経緯。
やつは妻の着ているブラウスに、吸い取った血潮をわざとぼとぼととほとび散らせて。
口許についた妻の血を、妻のスカートをめくってあらわにしたスリップのすそで、拭き取って。
これは俺の獲物なのだと言わんばかりに、わたしに満面の笑みを、投げてきた。
わたしはさっき夜道で放ったのと同じ、うつろな声で、応えている。
おめでとう――と。

肌色のストッキングを穿いた妻の脚を、男は意地汚く舐めつづける。
クチャクチャ、ピチャピチャと、下品な音をたてながら。
スケスケのパンストって、都会っぽくてエエなあ。
そんなふうにひとりごちる男の顔つきは、みるからにただの、スケベ爺いだった。
けれどもわたしは、卑猥にあしらわれる妻の様子に、
不覚にも目線を釘づけにしてしまっていて。
男をやめさせようとは、夢にも思っていなかった。

欲情まみれの唇をぶつけるように這わされて、
妻の穿いているストッキングは、みるみるうちに咬み剥がれてゆく。
スカートの奥に、手を入れられて。
みすぼらしくチリチリにされたパンティストッキングを、ずりずりと引きずり降ろされて。
せしめたパンストをポケットに無造作に押し込むと。
なんだったら、あとは座をはずしてもらってもかまわんですよ。
男は言外に、立ち去れと告げていた。

そのまま立ち去るのが、平均点。
強いてその場にとどまって、みすみす妻を汚されるのを目の当たりにして。
昂ぶりのあまり失禁してしまうのが、平均以上。
立ち去ったとみせて、その実隣の部屋からのぞき見をして、
彼が妻を相手に欲望の限りを吐き散らした後、黙々と後片付けをするのが、満点。
わたしの行動は、満点だといってもらえた。
あと始末を気にしたのは。もうじき娘が、塾から戻ってくる刻限だったから。

妻はさすがに、わたしと目を合わせようとはしなかった。
なにしろ、気持ちはこばんでも、身体が反応してしまうのはどうしようもなくって。
吸血鬼相手にあらわにしてしまった、そのどうしようもない反応を、
わたしが昂ぶりもあらわに見届けてしまったことを、彼女は意識していたから。
娘のまえに状況を隠ぺいする役割が、彼女に理性を取り戻させた。


ひどいっ!ひどいっ!やめてえっ。
娘は抱きすくめられた猿臂の中、目いっぱいの抗議を尽くしたけれど。
男を翻意させることは、ついにできなかった。
さいごに首すじをがぶりとやられると。
ああーッ!!
断末魔のような声をあげて、そのまま白目になっていた。
あお向けになって、だらりと伸びた両手両足に、己を重ね合わせていった男は。
ちゅうちゅう、ちゅうちゅうと音を立てて、
妻のときよりも貪欲に、生き血を啜り取ってゆく。

娘の受難を無念そうに見つめる妻は。
半分は無念さから。半分は嫉妬から、眉をしかめていて。
その傍らで妻を窺いながら、娘の受難に昂るわたしは。
妻や娘のうら若い血液で、干からびた血管を潤してゆく男を、
知らず知らず、同種族のものとして、満足そうなまなざしで見守ってゆく。

けれどもね。
妻は血を吸い取られ、犯されてしまったのに。
そこには歓びしか、感じることができなかった。
娘の場合は、処女を奪われることなく、血を愉しまれているだけなのに。
どうしてこうも、むしょうに腹が立ってくるのだろう?
無念そうな娘の歯ぎしりが。声にならないうめき声が。
むやみとわたしの心を、苛んでゆく――

娘のハイソックスも、むざんに弄ばれていった。
気絶した娘の髪を撫でつけながら、妻はうつろに呟いている。
学校のハイソックス、買いだめしておかなくちゃね。
彼女は彼女なりに、主婦らしい気遣いで、吸血鬼に仕えようとし始めていた。


道すがら、行きずりの吸血鬼に血を吸われ、
その吸血鬼と、意気投合をして、
妻と娘とを、引き合わせて、
自宅にひき込んだ、本来仇敵だったはずのその男が、
妻や娘がその身に宿すのうら若い血に酔い痴れるのを、
限りない満足を憶えて、見届けてゆく。
空っぽになった血管が、むやみと疼く夜。
彼らが欲する血潮を、今夜もわたしは与えようとして、
妻も娘も、俯き恥じらいながら、その欲望に屈してゆく――

意識の変容。

2016年04月23日(Sat) 14:00:48

あッ、何するんだっ!?
こらっ・・・やめ・・・っ

ちゅうちゅう。

死にたくないんだ。家族だっているんだ。
頼む・・頼むから・・・っ。

ちゅうちゅう。

貧血程度で、見逃してくれるのか?
ぼくが死にたくないように、きみだって死にたくないんだよね?
生命を助けてくれるのなら、つつしんでお礼はしなくちゃね。

ちゅうちゅう。

ぼくの血なら、よろこんで吸わせてあげるけど。
家族には、手を出さないでくれ給え。

ちゅうちゅう。

この街には、吸血鬼がおおぜいいるんだってね。
いつかはぼくの家族も、だれかに吸われちゃうのかな。今夜のぼくみたいに・・・
知らないやつに襲われるくらいなら、きみのほうがまだいいのかな・・・

ちゅうちゅう。

いや、きみになら、家族を紹介してあげてもいいのかも。
家内は36歳。娘は14歳。娘はたぶん、ボーイフレンドはまだだと思うけど。
やっぱり処女の血のほうがいいのかい?

ちゅうちゅう。

どうかお願いだから・・・ぼくの家族を襲ってくれない・・・?
これから、家に連れ帰ってあげるから。
住み込んで。ふたりとも、寝取ってくれ給え・・・

旨い。

2016年03月30日(Wed) 08:05:23

旨い。

失血で倒れ伏したわたしの首すじにもういちどかがみ込んできて、男はわたしの血を吸った。
男のあんたの血ですら、旨い。
きちんとした生活態度の賜物だ。
男の称賛は、本心からのものらしい。

気絶寸前まで吸われて再び床に転がったわたしを放り出すと、
男はまたも妻のほうへとにじり寄る。
どうすることもできないまま、妻は再び血を吸われていった。
薄いピンクのブラウスを、バラ色の血潮でしっとりと湿らせながら。

奥さんの血も、上質だ。
男は称賛をやめない。
それからすぐに、傍らに倒れ伏している娘の制服姿に這い寄って、
紺のハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけると、ちゅーっ、と、吸った。
どうすることもできないまま、娘も再び血を吸われていった。
むき出しの太ももに、紅いしずくを景気よく撥ねかせながら。

娘さんの血も、素晴らしい。
処女だね?真面目ないい子だ。
それに、とっても優しい。
わしを相手に惜しげもなく、若い血をめぐんでくださるんだから。
娘はプイッとそっぽを向いたが、頬に滲みはじめた愉悦は、隠しきれていなかった。


すまないが、奥さんをいただくよ。
男は背中でそういって。
妻のブラウスをはぎ取ると、むき出しになったおっぱいのはざ間に、顔を埋めた。

旨い。旨い。とっても、旨い。

・・・・・・
・・・・・・

そんなに美味しいっていわれちゃあ、ねえ。
妻はまんざらでもなさそうだ。
これだけ美味しいっていわれちゃあ、な。
わたしもまんざらではない気分だった。

美味しい、とてもありがたい、そう感謝しながら血を吸われちゃうと。
も少し飲ませようという気に、ついなってしまうのは。
やつが血液と引き換えに血管に注入した毒液のせいだとわかっていながら。

もう少しくらいなら、いいわよねえ。
そうだねえ。
わたしたち夫婦は満足そうに目をつむり、
娘も表面上は嫌そうな顔をとりつくろいながら、もう片方のハイソックスを、惜しげもなく咬み破らせてゆく。

旨いと言われたら、やっぱりうれしいもの・・・ですよね??

好ましくない状況。

2016年02月04日(Thu) 04:27:24

いつも勤め先まで、わたしの血を吸いに来るその男は。
きょうにかぎって、朝現れた。
吸血鬼のくせに、夜も昼もないものか――そんな問いは、このさい愚問のうちに属するのだろう。
彼らは血に飢えないかぎり、街の人たちとおなじように暮らしていた。

出勤前のことだった。
玄関のあたりから、あわただしい雰囲気が伝わってきて。
まだエプロンをしていた妻が招き入れたのは、あの男だった。

すいません。喉乾いて、ガマンできなくなっちゃって・・・

正直すぎる言いぐさだが、どこか憎めないのが彼らの特徴・・・いや特技かもしれなかった。
わたしは、しょうがないんですね・・・とかいいながら。
ソファに腰かけて、目をつぶってやる。
足許ににじり寄って来た男は、わたしのスラックスのすそを引き上げて。
彼の好みに合わせて穿いた、ストッキング地の靴下のうえから、にゅるっと唇を這わせて来る。

ちゅーっ・・・と、血を吸いあげられて。
頭をふらつかせ、ソファに横倒しになってしまうと。
わたしに代わって会社に病欠の連絡をした妻は、いつの間にかエプロンをはずしていた。

エプロンのままでも、よかったのに。

男はそういいながらも、妻の背後に回り、首すじを咬んだ。

う・・・っ。

羽交い絞めにされて立ちすくみ、顔をしかめながら吸血に耐える妻。
吸い取った血潮に頬を染めた男の横顔が、好色そうににやけていた。

男が朝から訪ねてくるとき。
それは夫たちにとって、まことに好ましくない状況。
その場に倒れ込んだ妻は、ストッキングを咬み破かれながらふくらはぎをなん度も咬まれ、
じゅうたんの上、横倒しになってしまうと。
ソファのうえで横倒しになった私の目のまえで、切なげなうめきをあげる。

朝からポルノは、ないだろう?
やんわりとたしなめるわたしに、男はしゃあしゃあと、返してくる。
朝からポルノ。いいご家庭だね・・・

ああ。まったくだよ。

貧血にラリッた頭を抱えながら。
それでも妻のようすから、目が離せない。
半裸に剥かれながら犯されて、身もだえをくり返す妻は。
男の腕のなか、すっかり飼いならされてしまっていた。

両刀遣い。

2016年02月04日(Thu) 04:15:17

この街に棲む吸血鬼は、首すじと同じくらい好んで脚を咬む――そうと初めて知ったとき。
息子はサッカーストッキングの脚を咬まれ、
娘は通学用の紺のハイソックスの脚を吸われ、
妻までもが、薄手のストッキングを1ダースも破かれていた。

わたしに隠れて吸われていることに、皆罪悪感を持っていたらしい。
生命の保証と引き換えに自由に血を吸わせ、互いに共存する――
そんなルールを知らされたわたしは、
同意と和解のしるしに、自分から咬まれてくれと妻からせがまれていた。

長い靴下を履いた脚を咬みたがるようだから。
彼の好みに合わせて穿いた、ストッキング地のハイソックス。
濃紺の薄い生地に透けた脛は、紳士ものにしてはなまめかしい光沢に包まれていた。

腹ばいになったわたしの足許にかがみ込み、スラックスを引き上げて――
咬まれる前にいやというほど舐められた。
薄手のナイロン生地の舌触りを、あきらかに愉しんでいた。

血を吸われたあと・・・犯されてしまうの。
妻のしどろもどろの告白に、あいまいに頷いてしまっていたわたしは――
やみつきになるのだ――と、痛感することになる。

靴下の舌触りをくまなく愉しんだあと、男はいった。
ほんとうは、あんたのこともお目当てだったのさ・・・

男は、両刀遣いだった。

変♪態♪吸血鬼さんっ♪

2016年01月31日(Sun) 07:18:12

変♪態♪吸血鬼さんっ♪
みすぼらしく薄汚れたコート姿が目をあげると。
そこにはブレザーの制服姿の女の子。
イタズラっぽく笑う口許から、キュートな白い歯が覗く。
幸いこの子は、まだ犬歯が伸びていない。
暖かな人間の血を宿した少女だ。
顔見知りの少女はお顔を横倒しにして、不景気そうな吸血鬼の顔を覗き込んでくる。
喉、渇いているんでしょ~?って、誘惑してくる。

黒のストッキング、履いてきちゃった♪
少女は、薄黒いストッキングでなまめかしく染めた健康そうな太っちょな脚を、吸血鬼に見せびらかした。
真新しい黒革のストラップシューズが、街灯を照り返して、硬質な輝きを放つ。
いつもみたいに、ふくらはぎを咬んで破きたいんでしょ?
露骨な表現で図星を突きまくって顔を寄せてくる少女に、吸血鬼は閉口したように顔をしかめてみせる。
そうだ、俺様は吸血鬼なのだ。もう少し怖れなさい――そんなたしなめるようなしかつめらしい表情に、少女はぷっと噴き出した。
早くしないと、帰っちゃうわよ~。
サッと身を引くそぶりを見せた少女につられて、男はベンチから身を起こしてしまう。
ほら、ほら、引っかかった引っかかった♪
少女は小躍りしながら、なおも吸血鬼をからかいつづけた。

どこで襲う~?あっちの雑木林行こうか・・・
愉し気にはずむ声が遠ざかると――
起ちあがった吸血鬼の隣に座って、新聞に顔を埋めていたもうひとりの中年男が、
新聞を斜めに降ろして、正面に立った人影をふり仰ぐ。

よう。
ちょっといばった声だった。
声は男の子だったが、
さっきの子と同じブレザータイプの女子の制服。
へっへっへっ、びっくりした?
自分の女装姿にびっくりして、ほんのちょっとだけ表情を動かした吸血鬼をまえに、
彼は得意げにその場でくるりと回り、身にまとう自校の女子生徒の制服を見せびらかした。
彼女から借りたんだ。

いっつも手加減してくれて、ありがとな。
彼女が顔色悪くなるまえに、寸止めで血を吸うの我慢してるだろ?
でもさ、彼女がたいはデカいくせに、意外にか細いんだぜ。
おまけにあの性格だろ?弱みを見せたくないっつうか・・・
だから多少気分悪くても、ガマンするわけね。彼女は彼女なりに。
んで、きょうの授業中、とうとう貧血でぶっ倒れちゃった。
早引けして帰った家に見舞いに行ったらさ。
あんたと約束してるから・・・っつうわけ。
バカたれ、寝てろ!っていったけど、あんたのことが心配でしょうがないわけよ。
だから思い切ってこの優輝様が、女装を奮発したってわけ。
少しは感謝しろよな。

吸血鬼にせがまれるまま生き血を提供したがる彼女の身代わりに、
わざわざ彼女の制服着て女装までしてやって来たんだぜ・・・
要約するとそういうことらしいが、本人のウキウキとした態度は、口ぶりを見事に裏切っている。

あんまり男くさいと、ヤだろうからさ。
下着からハイソックスまで、ぜんぶ彼女のおさがり。
あんた、匂いに敏感なんだろ?
ブラもパンツもハイソックスも、あの子にちょっとだけ着けてもらったんだからな。
ちょっぴり寸足らずな紺のハイソックスの脚を、自慢げに見せびらかすと。
吸血鬼は、そこまでさせてすまないね・・・と、われながら従順そのものの態度で、拡げていた新聞紙を折りたたんだ。

さっ、行こ♪
男の子にしては白い顔をあげて、人なつこくニッと笑うと。
異性の恋人同士みたいにわざわざ腕まで組んで、立ち去ってゆく。


こんにちは。
三人不景気そうに雁首を並べていた、さいごの一人の顔をあげさせたのは、柔らかな声の持ち主だった。
ふたりとも、しっかりしてきたわねぇ。
落ち着いた物腰で、おとがいを和らげた彼女は、さっきの男女の母親とは見えないほどに若やいでいた。
なんだ、お前か。
なんだ・・・は、ごあいさつじゃない。
吸血鬼になった夫の隣に腰をおろした彼女は、ホホホ・・・と笑って見せた。

彼女は自分が身に着けた衣装ひとつひとつを指さして、吸血鬼を少しずつ、そそりたててゆく。
よそ行きのスーツ?
真珠のネックレス?
美容院に行ってきちんとウェーブをかけた栗色の髪?
おひざが見えるくらいの、あなた好みの丈のこげ茶のスカート?
リボンをふんわりさせた、真っ白なブラウス?――これって、血が撥ねたら目だつわね・・・
いつもよりヒールの高いパンプスに、てかてか光る紺のストッキング?
男のひとって、ストッキング好きなのね。
いつもお得意様に、破らせてあげてるのよ――
さいごのひと言が、ずっと無表情をとりつくろいつづけている男に、ビクリと身じろぎさせた。
自分以外の男たちと密会を続けているという、妻のさりげない告白に。
つい想像力を、かきたれられてしまったようだ。

女は謡うように、なおもつづける。
でも、よかったじゃない。奥さん若返ったし。
あたし、セックスってあんまり好きじゃなかったの。
そんなことしなくても、信じている男(ひと)は信じられるし。
子供が生まれたら、もうしなくていいと思っていた。
でもね。
あなたの血を吸い尽した人たちが、教えてくれた――
いまではセックスは愉しいし、おしゃれをすると気分も引き立つわ。
さっ、帰りましょう。あなたの家に。
今夜はたっぷり、サービスするわよ。
あなた、吸血鬼になったら人妻狙いになったんですって?いやらしいわね。
あたしよりも魅力的な人妻さん、なん人もいらっしゃるんですんってね。妬けるわ~。

かつての妻に、腕を引っ張られて。
男はしぶしぶのように、起ちあがる。
女はかつて恋人同士だったころの気分に、すっかり舞い戻っているらしい。
亭主の腕にかじりつくように自分の腕を回して、影を重ねるように寄り添ってゆく。
セックスも、まえよりか上手になったわよ。
教えてくれる男(ひと)たちが、大勢いるから♪
あたし、意外にモテるんだよ~。

女はいつまでも、夫に甘えつづけていた。

墓場から舞い戻る。

2016年01月30日(Sat) 11:05:42

1.
いったいどれほどの時間が、暗黒のなかで流れていったのだろう?
一瞬のような、永遠のような時間を泳ぎ渡ったあと、わたしは目をあけた。
あたりは見知らぬ風景が、夜の闇の中に埋没している。
よく見ると周囲に佇むものはどれも、墓石ばかりだった・・・


2.
差し出された指先が、わたしの唇をべとーっとなぞる。
指先についているのは、まだぬくもりを帯びた人間の血。
わたしはそれを、夢中で啜っていた。
吸血鬼になってしまった――
いまある意識とさいごに意識があったときのかすかな記憶とが、
信じがたいようなそういう結論を、容易に導き出す。
たしか勤め帰りの路上で男に抱きすくめられ、首すじに食い入るような疼痛が走った・・・記憶はそこで、途切れていた。
自分の指先に夢中でしゃぶりつくわたしの様子に、指先の持ち主はフフフ・・・と嗤う。
いやな笑いかたをする。
わたしがそう思って目をあげると、男はいった。
旨いかね?
無言でうなずくわたしに、男はいった。
あんたの奥さんの血だ。さっき吸い取って来たばかりだ。
とどめを刺すような、強い口調だった。
旨いだろ?
念を押され、不覚にも頷いていた。
死んだのか・・・?
わたしの問いに、男はにんまりと笑みながら、ゆっくりとかぶりを振った。
ひと思いに死なすには、惜しいからな。
なん度かに分けて、美味しくいただくさ。
そうそう。
俺たちは女を襲うときはたいがい、犯す。
あんたの奥さんも例外じゃない。
息を止め表情を凍らせたわたしに、男はなおも囁いた。
好い締まり具合だったよ――


3.
喪服の女というのは、そそられるもんだな。
足許の、あの薄黒いスケスケのパンストも、たまらないよな。
奥さんが喪服着ているうちに、勝負つけようと思ってね。
ここに弔いにきたときに襲ったのが、三日まえだ。
あんたの時と同じように、路上に引き倒して首すじを咬んでやった。
きれいな脚をしているから、舐めまわしてやった。
ストッキングの舌触りが良い感じだから、これ以上は見逃してやるといったら、
次に逢うときもストッキング穿いてきます・・・ってさ。嬉しかったねえ。
あんまりかわいいことをいうものだから、そのまま石畳のうえに抑えつけて、ショーツをむしり取ってやったのさ。
今夜は初めて、お宅にお招ばれした。
出歩いているときに服を破かれるのはたまらないって言うんだ。
俺は正反対の意味で、たまらんのだがね・・・
まあ、あんたの奥さんに恥をかかせるのもなんだから、いうことをきいてやった。
用心深い女だ。娘は他所に預けていたな。ちょっと期待していたんだけどな。
ああ、もちろん否応なくベッド・インさ。
夫婦のベッドの上で、たっぷりと愉しんできた。
家のなかというのは、暖かくていいな。
またしばしば、お邪魔することにしたよ。
娘が学校に行っている間ならいいといってくれたが・・・
いちど俺を家にあげてしまうと、じつはいつでも気の向いたときに出入りできるんだな。
あの女はまだ、気づいていないようだけど――


4.
まだ血が欲しいかね?
男は訊いた。
これほどの話を聞かされながらも、わたしは喉の渇きに抗えなかった。
不覚にも頷くと、男は俺の頬を舐めろといった。
月明かりの下差し向けられた頬は、妻の血潮でべっとりと濡れていた。

妻を犯し、生き血を吸った男から。
ついさっきまで妻の体内に流れていた暖かい血潮を与えられる――
屈辱的な関係ではあったものの、舐め取った血潮のたっぷりとした味わいが、わたしの心を和ませていた。
空っぽになったわたしの血管のなか、妻の血潮が寄り添うようにめぐりはじめるのを、心地よく感じていた。

ククク・・・
男はいやらしく笑った。
こんどはも少したっぷりと、おすそ分けをしてやるよ。
週末、娘さんを連れて、墓参りに来るそうだから――


5.
いやっ!いやっ!いやあっ!!
泣き叫ぶ娘の声が、耳をつんざくなか。
男はセーラー服の胸をまさぐりながら、娘のうなじを咥えつづけた。
悲鳴がやんで、娘の身体から抵抗の力が抜けるのに、さほど時間はかからなかった。
胸元を引き締める真っ白なタイに、バラ色のしずくを転々と散らしながら、
娘は無念そうに、目をつむる。
清楚な制服姿を抑えつけた男は、娘の血を啜りはじめた。
ジュルジュルと、汚らしい音を洩らしながら。

娘の危難を救おうとした妻は、すぐに別の吸血鬼によって引き分けられた。
妻もまた、娘に輪をかけて露骨な劣情にあしらわれていった。
娘が初めて咬まれた瞬間、声をあげたときには、早くも喪服姿をまさぐられ、スカートのすそをたくし上げられていた。
卑猥な指が喪服のうえから這いまわり、悔し気にうつむく妻。
しかしすでにもう、抵抗の意思を喪っていた。
相手の男は、第一の男よりさらに、老いさらばえていた。
梳ったようすのない白髪を振り乱しながら妻の足許に唇をしゃぶりつけると、
はうっ。
ひと声洩らすと、黒のストッキングごしに青白く透けるふくらはぎに、食いついていった。
ストッキングがぱりぱりと裂けて、拡がった裂け目は皮膚を露出させながら、スカートの奥へともぐり込む。
あー・・・
顔をしかめて耐える妻の口許が、いびつな甘苦しさをみせたのは。
いつになく濃く刷いた口紅のせいだけだろうか?
妻は石畳に抑えつけられたまま、ブラウスを引き裂かれ、ブラジャーをはぎ取られ、
はみ出した豊かな乳房をもみくちゃにされ、乳首を逆立てていった。

力なく横たわる妻のうなじに唇を近寄せて、わたしは妻の血を吸っていた。
二人の男がケケケ・・・と下品に笑うのをしり目に、ひたすら喉の渇きを紛らわせる行為に熱中していた。
彼らの言うなりになっていくことに、もはや悔しさを感じていなかった。
仲間ができたことを、彼らなりに歓迎していることを直感していたから。
妻がぐったりとなってしまうと、つぎは娘の番だった。
お父さん、だめっ。近寄らないでっ。
父として接すればいいのか、吸血鬼と見なして忌むべきなのか、娘は明らかに戸惑っていたが。
母親のひと声が、すべてを変えた。
理恵ちゃん。お父さんの言うとおりになさい。
わたしが埋まっていたはずの墓石にもたれながら、娘は恐怖と諦めから、瞼をキュッと瞑った。

お父さん、サイテー。
落ち着きはらった娘の声を頭の上にやり過ごし、わたしは娘の内ももを咬んで、ストッキングを咬み破いていた。
セーラー服の襟首に、血潮を点々と光らせながら。
娘は三人の吸血鬼を相手に、処女の生き血を気前よく振る舞い始めている。
あんたのとこの娘さん、えらいな。
第二の男が、娘の唇を奪った後、わたしにいった。
ご両親に似て、賢いたちだということさ。
第一の男が、セーラー服の襟首から手を差し入れて胸を揉みながら、相棒に応える。
わたしはただ、すまない・・・すまない・・・と、だれに向かってともなく呟きながら、
それでもまだ、娘の足許から黒のストッキングを咬み剥ぐ行為に耽りつづけていた。
またお父さんに買ってもらえばいいわよ・・・ね?
妻は、セーラー服の両肩を羽交い絞めにしながら、そういってまな娘の顔を覗き込む。
娘は戸惑いながらも、ハキハキとした気性のままに、はっきりと頷き返していた。


6.
その日から。
わたしは晴れて、自宅に戻った。
墓場をうろつく吸血鬼ではなく、真人間に戻ったということだ。
若い女の生き血を欲しがる吸血鬼たちに、妻や娘の血を自由に吸わせる権利を、引き換えにして。
幸い・・・死亡届は出されていなかったので、数日間の失踪から無事戻ったというていをとりつくろうことができた。
喪われたはずの血液も、半分は取り戻すことができた。
それは、妻と娘から補われたものだった。
わたしのなかで息づく、女の血は――
新たなものを目覚めさせてくれた。

わたしの血を余さず吸った、あの男は。
わたしの血を「あまり旨くなかった」といって、挑発した。
わたしの妻の血さえ、ほとんど吸い尽したあの男は。
私の妻の血を「いいとこB級だな」といって、ぞんざいにけなした。
B級の血の持ち主は、娼婦の扱いを受けるという。
妻は日ごとに相手を変えて、毎日のように呼び出しに応じてゆく。
生き血を吸い取られる昂奮と、夫を裏切るエクスタシーの餌食となるために。
けれどもそんな妻を、わたしは視て見ぬふりをして、送り出す。
わたしのなかに息づく淫らな血潮が、そう命じるから――

娘の格付けは、まだ先のことになるらしい。
きっとそれは、高校を卒業する前までには、遂げられてしまうだろうけど。


あとがき
冗長になってしまいました。。
 (^^ゞ
以前描いたこのお話の系統ですね。。。
 (一一;)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3074.html
この記事のリンクをたどると、同じようなお話が出てきます。
 (^-^)

交流。

2016年01月30日(Sat) 06:55:10

放課後の、だれもいない教室で。
そいつはうずくまるようにして、僕を待っていた。
僕は体操着の短パンの下、鮮やかな赤のラインが入ったハイソックスを、きっちり履いていて。
男はまるでそれが目当てだったように、僕の足許にすり寄ってくる。
ふくらはぎを咬んで血を吸う習性を持つ男は、週に2,3度はそんな献血を強いてくる。
生きるためだよね。仕方ないんだよね。
僕は僕自身にそう言い聞かせながら、
男が卑猥な舌づかいで、僕の履いているハイソックスをくしゃくしゃにしてゆくのを、黙って見おろしていた。

男から欲情が去り、僕の脳裏に貧血がわだかまると。
僕はうつろな声色で、訊いてみた。
彼女の血を吸わせてやろうか――?
若い女の子の血が、欲しいんだろ?
どうせみんな血を吸われちゃうんだったら。
彼女には僕と同じやつに、咬まれてもらいたいんだ。

不思議な感情だったけど。
せめてそうすることで、根こそぎ奪われかねない彼女との絆を、保っていたかった。

やつは舌なめずりをしながら、こう答えた。
嬉しいね。安心しな。
俺は彼女を、お前の彼女のまま抱いてやるさ。
純潔も俺に、譲るんだよ。お前の目のまえで、ぐちゃぐちゃに犯してやるからさ。
でもそれは、お前の彼女だから姦りたくなるんだ。
彼女が俺の好みのタイプじゃなくてもね。
お前の彼女を、モノにできたら。
お前との距離がもう一歩、近づくような気がするんでね。

冷酷だが不思議な愛情のこもった科白――
僕はだまって、聞き流した。
返事をするにはあまりにも、心臓がドキドキ、バクバクしてしまったから。

男は続けた。
だがね。
俺はもう少し、強欲になりたいね。
お前の彼女を抱く前に、妹さんを連れてこい。
びーびー泣いたって、容赦はしない。
無理やり抑えつけて、か細い身体から摂れる生き血を、ぎゅうぎゅうむしり取ってやる。
どうしてそんな仕打ちをするのかって?
妹さんなら――あんたと同じ血を身体のなかにたっぷり宿しているからさ。

酷たらしさしか表に出てこない愛情を。
僕はまっすぐに受け止めて、応えてやる。
いいね。
どっちもきみに、支配してもらいたいよ。
ついでに母さんのことも、お願いしていいかな?
嫁の不倫や娘の不始末に、姑や母親は手厳しいものだから。
早めに手なづけといたほうが、いいと思うけど・・・

男は僕のハイソックスを真っ赤に濡らしながら、
お前のお袋の穿いているパンストも、チリチリに咬み散らかしてやると約束してくれた。

一週間後。
すべてを知った父さんは、憔悴しきった顔をして、僕の勉強部屋に現れた。
感謝するよ。
私がする勇気のなかったことを、お前は全部やってくれたから。
そう言って父さんは、一週間くらい失踪して、家に戻ってこなかった。
それは、男が母さんを支配するのに必要な時間だった。
失踪する前の父さんの首すじには、僕がつけられたそれよりも古い咬み痕が、ありありと滲んでいた。
ふたつ並んだ痕の間隔は――たぶんぼくのつけられたそれと、一致するはずだった。

教え込まれて。

2015年12月10日(Thu) 06:16:33

息子のけんじが、初めて性の歓びを教えられた相手は、男だった。
父親よりもずっと年上のその男に、芝生のうえに組み敷かれていって。
ご自慢のサッカーストッキング以外、すべてを脱ぎ去った身を陽射しの下に曝しながら、
セイセイとあえぎ声を洩らしていた。

男がつぎに狙いを定めたのは、わたしの妻だった。
息子が手引きをして、男の夜這いを許したのだ。
スカートの奥をまさぐられてしまった妻は、
肌色のパンストをむしり取られて、
不覚にも濡らしたショーツをつま先まで降ろされて、
奥さん、濡れてるね・・・って、からかわれながら。
スカートの裏地を、どろどろとした淫らな粘液に染められていった。

男は息子をそそのかして、
母さんから女の愉しさを教わるとよい・・・と、背中を押した。
すっかり買いなさられてしまった妻は、男の命じるままに、
黒のパンストを脚に通して、息子を誘惑した。
毛脛を荒々しく摺り寄せられて、肌色のパンストをしわくちゃにたるませていったように、
重ね合わされてくるサッカーストッキングのしなやかなふくらはぎに、
黒のストッキングの脚を、巻きつけていった。

息子が初体験を覚えたときも。
妻がわたし以外の男を初めて識ったときも。
そして息子が、母親を相手に筆おろしを遂げたときも。
わたしは男に、「おめでとう」と囁いていた。
遠い若い日。
わたしの股を初めて割ったのは、あの男だったから。

12月9日 7:54脱稿。

夕餉。

2015年06月27日(Sat) 10:14:39

三日にいちど。
彼はそんなふうに、決めているらしかった。

戸締りの不要なくらい平和な日常の漂うこの街で。
夕暮れ間近の刻限になると、施錠してない玄関の引き戸が、ガラリと音を立てる。

すまないね。馳走になるぞ。
男の声はしわがれて、くぐもっている。
我が家を訪れるときには、老いさらばえた銀髪で。
けだるく目を瞑った妻と娘を背に立ち去っていくときには、憎らしいほど若さをみなぎらせていて。
いったいこの男がいくつなのかは、生身の人間であるわたしには、わかりようもなかった。

はい、はい・・・
妻がスリッパの音を響かせて玄関に出迎えに行く。
わたしのもとには、淹れたての一杯の紅茶。
どうぞ、娘は二階の部屋です。
廊下から響いてくる妻の声は、渇いた吸血鬼に娘の居所を教えていた。

真っ赤なチェック柄のプリーツスカートを穿いた娘は。
空色のブラウスの襟元をくつろげて。
勉強机のすぐ傍らに、おとなしく仰向けになった。
どうぞ・・・とだけ呟いて、そのまま目を瞑る。
まつ毛をかすかに、震わせながら――
男は牙をむき出しにして、娘のうなじにかぶりついた。
アッ・・・とひと声、ちいさな叫びをあげただけで。
娘は黙りこくったまま、キュッと口許を引き締める。

ごく・・・ごく・・・ごく・・・
血を飲み耽る露骨な音に、けだるげに眉をひそめながら、
心細げに立て膝になった脚が、交互にすり足をくり返す。
たっぷりとしたふくらはぎを包む真っ白なハイソックスが、父親の目にも眩しく映る。

ひとしきり娘の血を吸い取ると。
男は顔をあげ、周囲を窺うと。
ぐったりとなった娘の身体をうつ伏せにひっくり返して。
白のハイソックスのふくらはぎに、そのまま唇を吸いつけてゆく。
ひときわ力を籠められた口許に、かすかなバラ色のほとびが散った。

周囲を窺っていたやつの目と、目が合ったとき。
不覚にも、かすかにうなずいていた。
首すじににつけられた疼きが、わたしにそう仕向けたのだ。
わたしは居所を失くしたように、階下に下りてゆく。

リビングで出迎えた妻は、ちょっとだけ緊張をした面持ちで。
――わたくしも、お相手しますね・・・
とだけ、囁いた。
いつの間にか着替えた、よそ行きのワンピース姿。
わたしは、「たばこを買いに言ってくる」としか、言うことができなかった。

娘の血を飲み耽る吸血鬼をまえに、妻は勉強部屋の敷居のまえで三つ指ついて。
ここからはわたくしが・・・とでも、言っているのだろう。
ふたりは階下に、降りて来て。
庭に面したお茶の間で、第二の饗応が始まる。
抱きすくめられた妻は、吸い上げられた自分の血で、情事の相手がゴクゴクと喉を鳴らすのに身震いしながら。
引き抜かれた牙から滴る血潮で、真新しいワンピースをむざむざと汚されてしまう。
白のハイソックスを汚した唇は、肌色のストッキングも欲していた。
ぬめりつけられるなまの唇を、苦々しげに受け容れながら。
娘にはまだ訪れないもうひとつの欲求に、身を固くしていた。

五回・・・六回・・・七回・・・八回・・・
若かったころ。
何よりも代えがたかった忘我の刹那を、べつの男に与える妻に。
わたしは窓ガラス越し、息を押し殺して――恥ずべき昂ぶりに身をゆだねていた。

別れぎわ。
男は妻に、囁いていた。
ご主人が風邪を引くといけないからね。
妻も素直に、頷いていた――


あとがき
2~3日前にふと浮かんだお話ですが。
ちょいと彫りが浅かったような・・・ 苦笑

妻と娘を同伴される。

2015年03月30日(Mon) 07:28:55

4~5日旅行に出るから、奥さんを貸してほしい。
我が家に出入りをする吸血鬼氏から、そんなお願いを唐突にされていた。
できれば上のお嬢さんと三女さんも借りたいな。
男はヌケヌケと、そんなことまでお願いしてくる。
それでも頷いてしまっているどうしようもないわたし。
情ないことに、ドキドキしながら、よろこんで・・・とか応えてしまっていた。

吸血鬼が旅行に出るときには、生き血を提供するための同伴者が必要になる。
もちろん旅先で狙い目を探すのも手なのだが、リスクが大きいうえに良い相手にめぐり合えるという保証もない。
だから、供血相手に事欠かない地元で、調達していくのである。
同伴された既婚女性は、夫を裏切る行為を要求される。
そう、言わずと知れた、セックスのサービスである。
けれどもこの街では、そんなことは常識の部類に属する。
吸血鬼と仲良く共存しているこの街で、吸血鬼が家族の生き血目当てに自宅に訪問をくり返すのは普通の出来事だった。
そうした訪問客ののために妻や娘を犯されてしまうのは日常茶飯事だったので、
だれもが恥ずかしがらずに、家族の近状を周囲に伝えあったりしているくらいだった。
家族がみんな同行するんだって?そりゃ寂しいね。
ちょうど俺も出張だから、うちの女房貸してやろうか?
そんな寛大な申し出をしてくれる知人も、一人ならずいる始末である。

招待されたのは、妻と長女と三女。
きっとかわるがわる首すじを咬まれ、血を吸われてしまうのだろう。
けれども彼女らは、けっこうウキウキと旅支度に没頭していて、着ていく服選びに余念がない。
こないだの結婚記念日に買ってくれたワンピース、着ていくわね~。だなんて。
夫以外の男との同伴旅行に、夫からのプレゼントを着ていくくらいなのだから。

ひとり自宅に残ったのは、この春高校に進学する次女。
彼女は決意を秘めて家に残って。
夜なのに真新しい制服を着て、ひっそりとわたしの待つ寝室に忍び込む―――

おいしいほうが、まだいいよ。

2015年03月03日(Tue) 08:08:30

意識が戻ったのは、娘が血を吸われた直後だった。
娘はソファに横たわり、目を見開いて。
自分の血を吸った男が真っ赤に濡れた頬を手拭いで無造作に拭うのを、ぼんやりと眺めていた。
真っ赤に濡れた制服の白のブラウスが、痛々しい。
けれども本人はさほど苦にしていないらしく、男に促されるとソファに座り直して、足許ににじり寄ってくる男のまえに、白のハイソックスを履いた脚を、自分から差し伸べてゆく。
妻はもう、意識を取り戻していたが、身動きできないほど血を吸い取られてしまったらしく、わたしの傍らにへたり込んだままだった。
「いけない・・・」と声をあげて娘を制しようとしたけれど。
それ以上手出しすることもできないで。
真っ白なハイソックスが赤黒いシミで染まるのを、ただぼんやりと見守っているだけだった。
夫婦で。娘を守ることができないままに・・・白のハイソックスに赤黒いシミが拡がってゆくのを、ただ薄ぼんやりと眺めていた。

娘が男に訊いた。
「あたしの血、おいしいの?」
男は黙って、頷いた。
「処女の生き血だもんな」
ははは・・・娘は棒読み口調で笑うと。
「でも、おいしいほうが、まだいいよ」といった。
男は顔をあげ、娘と見つめ合って。
それから始めて、神妙なことを口にした。
「血をくれて、ありがとな」
娘はかぶりを振って、「もっと吸う?」といいながら、もう片方の脚も差し伸べていった。
妻のワンピースのすそから覗く太ももに、ストッキングの伝線がいくすじも走っている。
娘はきっと、母親の応接ぶりを見習ったのだろう。
ずり落ちかけたハイソックスをわざわざきちんと引き伸ばして、脚を差し伸べていった。

「おいしいほうが、まだいいか」
ぼう然と呟くわたし。
「それはそうかも、しれないわね」
咬まれた首すじを抑える妻とふたりで、顔を見つめ合った。
「父さんの血だけじゃ、足りなかったんだね。残念」
「あたしの血だけでも、足りなかったみたい」
「命を助けてくれるだけ、まだいいじゃん」
娘がソファから、声を投げてきた。
「あい済まんことです」
わたしたちの血で頬を染めながら、男が言った。
四人は初めて、顔を和らげて―――状況を受け容れてゆく。

娘がくたりと姿勢を崩し、へばってしまうと。
「だんなさん、済まないねえ」
男は妻の手を引っ張って、別室にいざなおうとする。
「武士の情けで、向こうの部屋で」
隣室で妻の貞操が喪われる・・・せめて潔く散らしたいな・・・
ふと口を突いて出てきたのは。
「夫として、見届けます」
「羞ずかしいわ」
「かまわないから」
「それじゃあ・・・」

わたしに背中を向ける妻。
ワンピースのジッパーを、思い切りよく下ろしたわたし。
気絶した娘と視界を隔てるため、テーブルのこちら側に、自ら身を横たえる妻。
白い膚に食い込んだ紫色のブラジャーのストラップが、ひどく目に沁みる。
華麗な第二幕が、おもむろに幕を開いていった・・・