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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

交錯する交わり。

2020年01月24日(Fri) 05:38:39

若い血を求めてむらがる吸血鬼たちに身をさらして、
わが身をめぐる血潮を捧げることに、えもいわれない歓びを感じる。
仲良しの達也と誘い合わせて、同じ吸血鬼の舌を悦ばせ喉を癒す日常に、保嗣もまた歓びを覚えていた。
濃紺のブレザーに半ズボンの制服姿で肩を並べてうつ伏せになり、
おそろいのハイソックスを順ぐりに咬み破られながら吸血されるとき。
制服を汚すことを悦びながら足許を冒されてゆくことを。
吸血鬼の小父さんの体内で達也の血液といっしょになることを。
ひどく悦ばしく感じた。
ふたりの熱い血が仲良く織り交ざって、小父さんの干からびた血管を潤すようすを、ありありと想像することができたから。

破けたハイソックスを履いたまま下校してきても、母親の安江はなにも言わなかった。
たぶん、ご近所の奥さん仲間から、息子の身になにが起きるのかを聞かされているのだろう。
父もまた、そういう土地だと知りつつ、暮らせなくなった都会を捨ててこの街に身を投じたはずだ。

やがて保嗣は、達也を伴い自宅にもどるようになった。
息子の親友として家に上がり込んでくる若い吸血鬼のことを、安江はさいしょのうち、気味悪そうに遠目に窺うばかりだった。
女の本能は、するどい。
きっと彼が、女としての名誉を汚す行為に関与することを、本能的に悟っていたのだろう。

案の定、達也の手引きで安江を訪れた吸血鬼は、彼女を襲って血を吸い、犯した。
そのありさまを保嗣は、隣室で達也と乱れあいながらのぞき見して、ひたすら昂りつづけていた。
いけない息子だ、と、保嗣はおもった。
けれども、うちでもそうだよと耳打ちしてくる達也に、乳首をまさぐられながら、頷き返してしまってもいた。

躾けに厳しい母親が、保嗣の血を吸った吸血鬼を相手にうろたえながら、
保嗣の穿いている通学用のハイソックスを咬み破ったのと同じ牙に、肌色のストッキングを咬み破られてゆく光景が、ひどく小気味よく網膜を彩った。
やがて理性を奪い尽くされた母親が、あられもなく乱れてしまうありさまに、ゾクゾクしながら見入ってしまっていた。

保嗣は、自分の血を吸った男が母親の生き血に満足することを嬉しく思い、誇りに感じた。
保嗣の血を気に入った吸血鬼の小父さんは、保嗣の母親にも興味を抱いたのだろう。
母親の生き血の味は、きっと小父さんの期待を裏切ることはなかったはず。
――小父さんが母さんの血を気に入ってくれて、嬉しい。
保嗣は自分のうえにのしかかってくる同性の恋人に、そんなふうに熱く囁いていた。

吸血鬼の小父さんが、親友の達也とぼくの血を飲み比べしてくれる。
そしていまは、母さんとぼくの血を、いっしょに味わってくれている。
今ごろ達也が父までも襲って、親子ながら血を愉しんでいるなどとは、さすがに想像が及ばなかったけれど。
幾重にも重なり合う吸血の交わりを、保嗣はとても好ましく感じていた。

独り寝の夜

2020年01月24日(Fri) 05:37:31

独り寝の夜だった。
静かな夜が保嗣に訪れるのは珍しい。
たいがいは。
吸血鬼の小父さんか、最近は達也がしのんできて、
保嗣の身体におおいかぶさり、ひっそりと血を吸い、股間をまさぐり、冒してゆく。
お互い熱気を弾ませ合って、嵐が過ぎ去った後、安らかな眠りに落ちてゆく。

今夜は母の安江が、吸血鬼の小父さんに逢うために、エプロンをはずして出かけていった。
どうやら達也も、訪れないらしい。
まさか保嗣自身の父親と勤務先のオフィスで乱れあっているとは、さすがに思いもよらなかったけれど。

今夜はわが身に脈打つ血液を大切に過ごそう。
明日存分に、愉しんでもらうために――


父の帰りが、遅かった。
いっそ、帰ってこないほうが望ましいとさえ、おもった。
母が浮気に出かけている最中に帰宅してくるというのも、なんだか気の毒な気がした。
もしも自分が父さんの立場だったら――
けれども理性を汚染されてしまった保嗣の脳裏には、妻の浮気さえ悦んでしまう異常な夫の姿しか、思い描くことができなかった。

血が騒ぐのを抑えきれない夜。
明日吸血鬼のために捧げる血液がわが身のうちでうずめくのを、保嗣はけんめいに鎮めようとしていた。

ふたたびオフィス。

2020年01月20日(Mon) 07:30:46

きょうも全員、帰りが早いな・・・
がらんとしたオフィスのなか。
畑川由紀也は、空々しく明るい室内の照明のなか、独り立ち尽くしていた。
独りきりになると。
夕べの”情事”の記憶が、ありありとよみがえってくる。
息子の親友を相手に、息を弾ませ交し合ったあの熱情の交錯は、
やはり”情事”と呼ぶべきものだったのだろう。
齢に似ない手練手管にひかかって、親子ほど離れた齢の差はあっけなく崩れ去り、
理性のたがをやすやすとはずされてしまった。
まるでレ〇プされたあとのような。
けれども、後味の悪い記憶では、本人もびっくりするほど、なかった。
爽やかな敗北感というものがあるということを。
妻を犯されたことで、初めておぼえたけれど。
今回の記憶も、同じ種類の匂いがあった。

ふと振り返ると。
自分を犯した少年が、そこにいた。
夕べと全くおなじように、ひっそりとした雰囲気をたたえて。
濃紺の半ズボンに、おなじ色のハイソックス。
きのうのハイソックスは、たしかねずみ色だった。
色を選べることは、息子の足許からそれとわかってはいたつもりだったが。
きのうとはわざと色違いのハイソックスを履いてきた理由が、彼なりにあるのだろう。
それは由紀也のことを意識してのものではなかったか――?
寒気に似た昂りが、ぞくりと背すじを突き抜けた。

「小父さん、いい?」
ツカツカと革靴の足音を響かせて近寄ってきた少年は、そのまま由紀也の方に腕をまわして、唇を圧しつけてきた。
なんのむだもない、ごく自然なしぐさだった。
由紀也も同じくらいすんなりと、達也と唇を重ね合わせてゆく。
接吻は、長時間続いた。
舌でなぞる歯のすき間から、錆びたような芳香が洩れた。
なんの匂いだか、察しがついたけれど。
由紀也は憑かれたように、その芳香を愉しみだした。
彼の舌は達也の歯茎をなん度も行き来し、ついさっき彼が体験したばかりの交歓の残滓を探りつづけた。
「わかる?」
唇を離すと、達也が笑った。
由紀也も笑った。
「息子の血を、喫ってきたのだね?」
「はい、そのとおり」
会話の内容のおどろおどろしさとは裏腹に、白い歯をみせたその笑いは、爽やかで人懐こくさえあった。
「息子さんの血の香り、いいでしょう?」
「なんのことか、よくわからないな」
「じゃあ、そういうことにしておきましょう」
達也はあっさりと譲ったが、媚びを濃厚に滲ませたしぐさで由紀也にすり寄ることはやめなかった。
「座りたまえ」
「エエ」
向かいのソファを進めたのに、達也が腰かけたのは由紀也のすぐ傍らだった。
「ぼくの”也”と小父さんの”也”――同じ名前なんですよね、ご縁を感じるな」
「ひとの家の息子の血を吸っておいて、あつかましい」
口の利き方が対等になってきたのを感じながらも、由紀也は達也の差し伸べる太ももをさすり始めた。
半ズボンの舌から覗く達也の太ももはツヤツヤとしていて、女の子の膚のように滑らかな手触りがする。
運動部で鍛え抜かれたことは、滑らかな素肌を傷つけることがなく、むしろ輝きを増す結果をもたらしていた。
吸い取った血液が達也の膚の輝きに作用していたのだが、まだそこまでのことを由紀也は知らない。
「手触りの良い肌だ」
「小父さんに触られるのは愉しい」
達也も拒否しなかった。
むしろすり寄るように身を寄せて、太ももを中年男の欲情にゆだねていき、
年端のいかない子供が頑是なくおねだりをするようなしぐさで、彼の口づけをせがんだ。
熱い口づけが、なん度もなん度も交わされた。

「息子の血はお口に合ったかね」
由紀也が訊いた。
達也はそれには答えずに、鞄から紙包みを取り出した。
包みのなかには、ハイソックスが二足入っていた。
どちらも履いたあとのもので、少年の指につままれて、ふやけたようにだらりと床を指してぶら提げられる。
片方はねずみ色の、息子が朝登校するときに履いて出たものだった。
もう片方は濃いグリーンに黄色のラインが入った、達也のユニフォームの一部だった。
こちらも由紀也には見覚えがあった。
息子といっしょに観戦した試合で、達也は短パンの下にこのストッキングを履いていた。
「どちらもヤスくんの血ですよ」
達也はニッと笑う。
「ぼくのストッキングも、ヤスくんに履いてもらったんです」
自分の愛用しているストッキングを保嗣に履いてもらい、ふくらはぎを咬んだのだという。
「そういうことをして、楽しいの?」
真面目な顔をして問う由紀也に、達也は声をあげて笑った。
「やだなあ、小父さん。楽しいに決まってるじゃん。ぼくとヤスくんとがいっしょになった記念に、永久保存するつもりなんだから」
息子の恥ずかしい証拠が、目のまえの少年の手に握られている。
「これをねたに小父さんを脅迫して生き血をねだる――なんて、どう?」
達也の顔は笑っていたが、目にはしんけんな輝きをたたえている。

さっきから達也は、息子のことを「ヤスくん」と呼んでいた。
由紀也はまたひとつ、達也との距離が近まったのを感じた。
「じゃあ、悦んできみの脅迫を受けるとしようか」
由紀也が寛大にもそう告げると、達也は「やったぁ」と、無邪気な声をあげた。

「まだ家に帰らないほうがいいですよ」
達也はいった。
「吸血鬼の小父さんが、和江のところに行っているから」
耳もとに囁いたみそかごとが、由紀也の鼓膜を妖しくくすぐる。
自分の妻を呼び捨てにされたことにも、不愉快を感じない。
それだけ彼との距離が近まったということなのだろう。
いまわしいはずの事実をむしろつごう良く受け止めた彼は、達也を抱きしめながら、こたえた。
「じゃあ、すこしゆっくりしていこうね」
「悦んで♪」
達也は由紀也にしなだれかかるようにして、なん度めかの接吻をねだった。

「ぼくの血を吸いに来たんだろう?」
「小父さん、鋭いな」
達也がわざとらしく由紀也をもち上げた。
「きのう小父さんの血を吸って、ヤスくんの血がどれほど美味しいか、想像がついたんだ。親子の血は似るからね」
「それはなによりだった」
「あと、小父さんの靴下の咬み応えも♪」
達也はウフフと笑った。
「じゃあ、今夜も咬み剥いでもらおうかな。きみが来ると思って、新しいのをおろしてきた」
さりげなくたくし上げられるスラックスから、愛用しているストッキング地のハイソックスに透けた脛を覗かせた。
きょうのハイソックスは、黒だった。
「色違いだね」
「黒は嫌いだったかな?」
そんなことはない、と、達也はつよくかぶりを振った。
「小父さんの靴下の色と合わせようと紺を履いてきたけど、行き違いだったなって思って」
「それは残念なことをした」
由紀也は、いつか達也と示し合わせて同じ色の靴下を履こうとおもった。
「でも、きょうの和江さんも、黒のストッキング穿いてたよ、夫婦でおそろいだね」
達也はこんどは、由紀也の妻のことを和江さんと呼んだ。
そんな濃やかな気遣いにもかかわらず、無邪気に笑う達也が打ち解けた表情と裏腹なおそろしいことを告げるのを、由紀也は聞き流すふりをしようとした。
けれども想像力が彼の努力を突き崩した。
目のまえで神妙に控えているこの息子の親友は、吸血鬼が妻を犯すときの手引きをし、吸血後の後始末までするアシスタントを勤めているという。
「どんなふうにやっていたか・・・きみは視たの」
「うん、ヤスくんといっしょに」
「じゃあ、どんなふうにしたのか、再現してみてくれる・・・?」
由紀也がたくし上げたスラックスを、ひざ下を締めつける口ゴムがみえるまでさらにいちだんとたくし上げると、達也はフフっと笑った。
「じゃあ、するね」
「ウン、どうぞ」
淫らな唾液を帯びた唇が、通勤用に履いた薄手のナイロン生地越しに圧しつけられるのを、由紀也はぞくぞくとしながら見守った。
圧しつけられた唇は、たんねんに唾液をしみ込ませながら、薄いナイロン生地のうえを這いまわり、いびつに波立てて、くしゃくしゃにずり降ろしてゆく。
くるぶしまでずり降ろされた靴下を、由紀也がふたたびひざ下まで引き伸ばすと、達也の唇がふたたび、凌辱をくり返してゆく。
二度、三度とつづけられた前戯のすえ、由紀也のハイソックスは破られた。
「なるほど・・・いやらしいね・・・」
ぽつんと呟く大人の声に、「もっと・・・」とせがむ囁き。「いいよ」と応える呟き。
ふたつの影はひとつになって、じょじょに姿勢を崩してゆく。
ジッパーをおろされて前を割られた半ズボンから、赤黒く逆立った茎をつかみ出すと、由紀也は唇で押し包むように咥え、露骨にしゃぶりはじめた。
「ああああああ・・・」
眉を寄せて呻きながら、達也は由紀也のなかに白熱した粘液を放出した。
親友の父親に対する遠慮は跡形もなく消し飛んで、びゅうびゅうと勢い良く、注ぎ込んでいった。

女子の制服を買ってほしい。

2020年01月20日(Mon) 07:09:32

「女子の制服を買ってほしい」
保嗣からそう打ち明けられて、母親の和江は戸惑った。
「女子の制服なんか買って、どうするの?」
「達也君のために毎日着ていく」
え・・・?
どういうこと?と問う目線のなかに保嗣は、
すでに和江が答えを理解していることを直感した。
「ぼくは、達也君の恋人になる。だからこれから毎日、女子の制服を着て登校するんだ」
思いがけない息子の言葉に、和江は息をのんだ。
息子の通う学校に、そういう生徒がなん人かいることを、和江は知っている。

女子になりたくて、女子の制服を着て通学することを、この街の学校は許容していた。
吸血鬼と同居するこの街で、女子生徒の生き血は不足ぎみである。
ある男子生徒が、自分の彼女の身代わりに彼女の制服で女装して身代わりに咬まれたのが発端らしいが、
それが男子生徒たちの女装熱に火をつけて、彼女の身代わりだけではなく、いろいろな事情から女装する子が増えたのだという。
学校が女装生徒に優しいのには、そんな事情も見え隠れしているらしい。

けれどもそれは、身近な話と聞かされながらも、どこか別世界のことのように、和江は感じていた。
まさか目の前の息子の口から、そのような言葉が発せられるとは、思ってもいなかった。
こちらに越してきたすぐのころから友達付き合いをしている達也という少年が、
息子と男女交際のような関係になっていることも、薄々察していたはずなのに。

「お父さんがなんて仰るかしら」
和江はけんめいに逃げ道を探しているようだった。
けれども保嗣は追いすがるようにして、いった。
「案外、だいじょうぶかも」
「どうして」
「だって父さん、母さんと吸血鬼の小父さんが交際しているの、薄々知っているみたいだもの」
和江は痛いところを突かれた、とおもった。

彼女が吸血鬼に襲われたのは、この街に来て間もないころ、まだひと月と経たないうちのことだった。
脚を咬むのが好きな吸血鬼だった。
首すじを咬まれて貧血を起こし昏倒すると、
穿いていた肌色のストッキングをみるかげもなく咬み破られながら吸血されて、
理性を奪い尽くされた彼女は、夫のいる身であることも忘れ果て、恥を忘れて乱れあってしまった。
それ以来。
手持ちの肌色のストッキングを破り尽くされて、
夫の稼いできた給料のなかから高価な黒のストッキング代を差し引くようになって、
相手の望むまま、毒々しく輝くストッキングを何足愉しませてしまったことだろう?
けれども逢瀬を遂げる日に限って夫の帰りは遅く、ちょうど情夫を送り出し、身づくろいを終え、周囲の痕跡を消し去った直後に、夫の帰宅を迎えるようになっていた。
夫の不在はむしろ彼女にとって都合が良く、吸血鬼に促されるままに情事を重ねていった。
「もしもご主人が途中で帰ってきても、わしを愉しませてくれるかね」
そう囁かれたときにためらいもなく、「もちろんそのつもりです」とこたえてしまったのは、つい昨日のことだった。
息子が咬まれるようになったと知っても、息子を咎めることも、いまは情夫となった吸血鬼を制止することもなく、新しいハイソックスを何足も用意してやるなど協力的に振る舞っているのは、夫に対する後ろめたさからか。
それとも、吸血鬼が息子の血までに気に入ったことに歓びや満足を覚えたためか。

「わかったわ。保嗣の制服のこと、父さんに相談してみましょうね」
和江はそう言わざるを得なかった。
げんにきょうも、息子が下校してくる直前まで、夫を裏切る行為を続けてしまっていて、
息せき切った交歓の残滓が、スカートの奥深く押し隠された秘所の周りに、まだとぐろを巻いている。
まだやり足りない――浅ましいと思いながらも、その想いを振り切れなかった。
和江はソファから起ちあがると、エプロンを外しながら、いった。
「母さん、用事を思い出したから、ちょっと出てくる。制服のことは任せて頂戴」
「いいよ。父さんが戻ってきたら、上手く口裏を合わせておこうね」
物分かりのよい息子は、なにごともなかった都会のあのころのように、爽やかすぎる笑みを返してきた。

一見物分かりの良い息子だったけれど。
そのくせ夫婦の寝室までついてきて、彼女の着替えを見たいとせがんだ。
情事を遂げるまえにおめかしするところを、見せてやるのが習慣になっていた。
彼女はわざと寝室のドアを開けっぱなしにして、息子の好奇の視線をまとわりつかせながらふだん着を脱ぎ、おっぱいをさらしながらブラジャーを真新しいものに取り替え、スリップを取り替えてゆく。
きょうの息子の目線は、好奇心だけのものではないのを和江は感じた。
女性の着替えのお手本を見せるつもりで、余裕たっぷりに彼女は着替えた。
おっぱいをさらす時間を少し長めて、いちばん視良い角度でさらすことも忘れずに。

「制服を女子用にするなら、下着も女の子のものをそろえなくちゃね」
一瞬主婦の声色にもどってついた独り言に息子が露骨に喜色を泛べるのを横目に、
黒のストッキングをひざからスカートの奥へと引き伸ばしていった。
息子も明日から同じしぐさで、女になってゆく――
自分が吸血鬼の情婦となるために装うように、息子も同性の親友の恋人となるために、装ってゆく。
そういえば、息子の彼氏にも、嗜血癖があるらしい。
母子で肩を並べて互いの恋人を取り替え合いながら血液を捧げ抜く。
そんな日も、もしかしたら訪れるのかもしれない。
年頃になってから生じた息子との距離感が、べつの意味で縮まろうとしているのを、和江は直感していた。


あとがき
どこまで続くかわからない、柏木には珍しい同性のシリーズです。
12日掲載の「競技のあとで」以来続いています。
ほぼ同性の絡みしか出てこない。なのに、不思議とすらすらと描けます。

親友の父親。

2020年01月14日(Tue) 08:09:30

畑川くん、ちょっと。
畑川由紀也(40、仮名)を表情を消した上司が呼び止めたのは、その日の夕刻だった。
「息子さんの友だちという人が、きみを訪ねてきているよ」
そう言い捨てて立ち去った上司の陰に隠れていた少年は、由紀也を見てうふふ・・・と笑った。

ふたりはもちろん、面識がある。
達也はしょっちゅう、保嗣の家に遊びに来ていたから。
息子の親友と名乗るこの少年がじつは半吸血鬼で、息子の血を狙っていることを、由紀也は知っている。
都会育ちの畑川家に、周囲の人たちは遠慮がちだったけれど。
吸血鬼社会では畑川家の家族全員の血液をだれが獲るのかは、すでに転居した時点では決められてしまっていた。
もちろん、本人たちの同意もなしに。

達也は息子の保嗣と仲良くなると、友人の一人として家に上がり込むようになり、
やがてその手引きでまず妻の和江が吸血鬼に襲われてたらし込まれてしまったことも、由紀也は視て視ぬふりをしていた。
この街に棲む以上、妻を吸血鬼に襲われて犯されることは、避けては通れない道だった。
家族の血と引き替えに安穏な日常を得ていることに、由紀也は一片の後ろめたさを覚えている。
けれども、都会での暮らしに失敗した彼には――いや、彼の家族全員にとっても――もはや今の安穏さだけが、この世で唯一の居場所になっているのだ。

眼の前に現れた達也は、学校帰りらしく、制服姿だった。
半ズボンにハイソックス――年端もいかない子供の服装だと思い込んでいたけれど。
背丈の伸びた年頃の少年が身にまとうと、こんなことになるのか・・・
由紀也は、ハイソックスに包まれた達也の、女の子のようなしなやかな足許に、ふと欲情をおぼえた。
達也は由紀也の顔色を、気になる男の子の些細な態度の変化を見逃さない女子生徒のような目線で見守りつづけていた。

「どうしたの?まだ仕事中なんだけど」
こうした訪問で、吸血鬼が留守宅に上がり込んでくるタイミングをさりげなく教えてくれることを、由紀也は今までの経験で知っている。
きょうも和江は冒されるのか――
淡い諦念を噛みしめかけると、達也は意外なことをいった。
「きょう伺ったのは、ご挨拶です」
「え?どういうこと?」
「保嗣くんを正式に、ぼくの彼女にすることに決めました」
「えっ」
「明日、保嗣くんの血を吸って、ぼくの奴隷になってもらいます」
息子さんを奴隷にする前に、お父さんに御挨拶に伺ったのです・・・という目の前の少年に、由紀也はいっぺんで理性を奪われた。
いずれはそうなる・・・と、わかってはいたつもりでも。
息子が同性の同級生に彼女にされると宣言されるのは。
魂を抜かれるほどの衝撃だった。

「それはとても迷惑なことだね」
由紀也はわざと傲岸な態度でこたえた。
「きみもよくわかっていると思うけど、保嗣は男の子なんだ。ゆくゆくは彼女ができるものだと思っている。
 なのに、きみも男子だろう?息子を女の子扱いされるのは好ましくないね、先生に相談した方が良いのかな。
 保嗣はうちの跡継ぎなんだし、きみも自重したらどうかね?」
彼のもっともらしい意見を、達也はしゃあしゃあと受け流した。
「きょうはそのお礼に、ぼくが小父さんの相手をしに来てあげたんですよ。上司の人も・・・ほら、帰っちゃったみたいだし」
気がつくと。
勤務先のオフィスにいるのは、由紀也と達也だけになっていた。

ワイシャツの釦を自分から外しはじめた達也の手許を抑えつけて「やめたまえ」といったはずだった。
所がいつの間にか、達也を腰かけていたソファから引きずりおろしてしまっていて、
床のうえで組んづほぐれつをくり返してしまっている。
制服の濃紺の半ズボンを自分の股間から分泌した粘液で濡らしてしまったとき。
息子を犯しているような錯覚を覚えた。
その錯覚が、むしろ由紀也を罪深く刺激した。
彼は女性に対するのと同じような吶喊を、息子の親友であるこの少年に対してくり返していった。

「お掃除、手伝うよ」
達也は気品のある少年の顔つきに戻ると、自分を女として扱った中年男にそういった。
「モップと雑巾はどこ?あ、知ってるわけないよね?ぼく探すから」
そういって達也は素早くモップと雑巾を探してくると、床に散った粘液と血液とを、器用に拭き取っていった。
慣れた手つきだった。
この手で息子の血も拭われたのか。
情事を済ませた後の妻の血も、自宅のフローリングから拭い去られたのか。
この少年が、吸血鬼が和江を犯すときにしばしば立ち会って、アシスタントをしていることも、彼は当の吸血鬼から聞かされていた。

粘液は彼自身のもの。
そして、血液もまた、彼のものだった。
欲望を果たしたあと。
ひと息ついている由紀也にのしかかってきた達也は、首すじに咬みついて由紀也の血を吸った。
由紀也がその場に昏倒すると、スラックスをたくし上げられる感覚を覚えていた。
ふくらはぎを覆う、ストッキング地の濃紺のハイソックスが、淡い毛脛に包まれた中年男の脚を覆っている。
そのうえからまだ稚なさの残る唇が吸いつけられて、舌触りを愉しみ始めるのを自覚すると。
あろうことか彼は、達也が少しでも愉しめるようにと、自分から脚の向きを変えて、応えはじめていったのだ。

貧血になるほど血を吸い取られながらも。
喪われた血の量に、彼は満足を覚えた。
「だいぶ、口に合ったようだね」
「なにしろ、保嗣君のお父さんの血ですからね」
悧巧そうな目の輝きが、いっそう妖しさを増していた。

「いちど、小父さんの靴下を破ってみたかったんです。ストッキングみたいに薄い紳士用の靴下って、初めてだったから」「
「どうだったかね」
「いい感じです。息子さんにも履いてもらいたいです。彼がお父さんの箪笥の抽斗をさぐっても、視て視ぬふりをしてあげてくださいね」
白い歯をみせて笑う少年に、由紀也も笑い返していた。
「気に入ってもらえたのなら、破らせてあげたかいがあるかな。よかったら、もう少し愉しむかね?」
由紀也は用意よく、カバンのなかから穿き替えを取り出しかけている。

引き揚げられたスラックスのすその下。
筋肉の起伏を艶めかしい濃淡に彩ったストッキング地の長靴下が、中年男性の足許を染めている。
笑み崩れた少年の唇が、通勤用の靴下の上を這いまわり、牙で侵して、容赦なく裂け目を拡げてゆくのを、
由紀也はただ、へらへらと笑いながら、嬉し気に見入っていた。
家族で彼の奴隷に堕ちるのも悪くない――
薄れてゆく意識を愉しみながら、彼はさいごまで、口許から笑みを絶やすことはなかった。

授業中。

2020年01月14日(Tue) 07:30:09

授業の最中に、先生の声を遮るように、挙手の手が一本静かに挙げられる。
教師が無表情に目を向けると、達也がいった。
「気分が悪いので、保健室行きます。畑川君に、付き添いをお願いしたいです」
ああどうぞ、と、教師は目で応えると、もうふたりの方への注意を消して、無味乾燥な授業へと戻ってゆく。
「あ、ここで済ませますのでだいじょうぶです」
後を追うように上がった保嗣の声に、教師はもう振り向かなかった。

真後ろの席に座る達也が自分の足許にかがみ込んでくるのが、がたがたという物音でわかった。
保嗣が脚に通しているのは、濃紺のストッキング地のハイソックス。
父親の箪笥の抽斗から、通勤用の靴下を一足、無断で借りてきたのだ。

「保嗣の父さんの履いている靴下、色っぽいよね」
いつだか達也がそういっていた。
紳士ものとは思えないくらいの透明感、光沢。いったいどういう意図で履くのだろう?と、息子の保嗣も感じていた。
指定のハイソックス以外を着用して登校してくる生徒は、意外に多い。
だから教師たちも、彼の足許に気づいても、生徒の異装を咎めようとはしなかった。
そんな保嗣の足許に、達也は欲情したのだ。
そうしたことは管轄外と言いたげな顔つきで無表情な授業を続ける教師の態度をよそに、
咬む者と咬まれる者とは、身を引き寄せ合ってひとつにある。

ずずっ・・・じゅるうっ。
露骨な吸血の音を、クラスメイトのだれもが聞こえないふりをしてくれたけれど。
さすがに保嗣は席を起って、教師にいった。
「やっぱり保健室行きます」

2人が保健室までがまんできないのを、誰もが知っている。
隣は幸い、空き教室だった。
「お掃除はちゃんと済ませておいてね」
教師の声を背後でやり過ごしながら。
床に散らされる真っ赤な血潮と白く濁った粘液のヌメりの生々しさとを予感して、
ふたりは抱き合うように手を取り合って、空き教室へと身を沈めてゆく。

初会。

2020年01月14日(Tue) 07:20:50

授業中の保嗣を空き教室に呼び出した吸血鬼は、きょうは彼のことを咬もうとしなかった。
保嗣を引率してきた教師がへどもどと媚びるような薄哂いを残して立ち去ると、
彼は一歩だけ保嗣のほうへと近寄って、紙包みをその手に手渡した。
吸血鬼はなにも言わなかったが、いつもよりもすこし厳粛な顔つきが、保嗣はなにが起きたのかを察することができた。
「ここで待ちなさい」
そう言い残して吸血鬼は立ち去っていった。

きょうはぼくの代わりに、だれを襲うのだろうか?
両刀使いで知られた彼のことだから、相手が男子生徒とは限らない。
同級生の女子生徒だろうか?それとも隣のクラスの担任を受け持っている女教師だろうか?
よけいな想像は、入れ代わりに開かれる教室の引き戸の音で破られた。
引き戸の向こうには、達也が立っていた。
ひどく顔色が悪かった。

保嗣の足許を彩るのは、達也の履いていた濃いグリーンのスポーツ用ストッキング。
脚のラインに沿って流れるリブはまだ真新しく、教室に射し込む陽の光を受けてツヤツヤとした微かな輝きをよぎらせている。
色白で豊かな肉づきの太ももが、血に飢えた達也の欲情をそそった。
アッと声をあげるいとまもなく、達也の唇は保嗣の太ももに吸いつけられていた。
唇の裏に隠された鋭い牙が、白い皮膚を切り裂いて、奥深く埋め込まれた。
達也の自分にたいする情愛と執着とを自覚しながら、保嗣は親友の吸血行為を受け容れてゆく――

数刻後。
うつ伏せの姿勢のまま、保嗣は呟いた。
「満足できた?」
達也が無言でうなずくのを気配で察すると、また訊いた。
「ぼくの血は美味しい?」
やはり無言の肯定がかえってきた。

自分の履いていたスポーツ用のストッキングを保嗣に履かせて、咬んでゆく。
一種のナルシシズムだろうか?
保嗣にたいする形を変えた執着だろうか?
多分その両方なのだろう。
達也の愛用のストッキングを履いた保嗣に自分の影を重ねて、保嗣の血を吸う。
そうすることで、自分自身の血を吸っているような錯覚に囚われたのだろう。
それと同時に。
装いを変えることで達也に近寄せた保嗣を抱くことで、ふたりの距離感をいっそう縮めようとしたのだろう。

もっと・・・
保嗣はうめいた。
達也の唇が保嗣のむき出しの素肌に這い、再び吸いはじめた。
唇はじょじょに身体の上のほうへと這い進んでいって、
さいごに保嗣の唇をとらえていた。
ふたりはむさぼるように互いの唇を吸い合った。
まるで吸血鬼の兄弟のように。

親友の血。

2020年01月14日(Tue) 07:06:12

「顔色、良くないな」
背後から吸血鬼の声がした。
達也がふり返ると、彼は口許から、まだ吸い取ったばかりの血のりを生々しく滴らせている。
保嗣を襲ってきたのだろう。
「顔色良くなったね、小父さん」
達也はそういって、吸血鬼をからかった。
吸血鬼は乾いた笑い声で、達也の揶揄に応じてゆく。
ふたりの間に流れる気安い空気が、そこにはあった。

「昨日は吸い過ぎだよ」
達也は人間の血を好む同性の恋人をたしなめた。
試合の直後に襲われて、思う存分むしり取られたのだ。
「プレー中の動きが凄く良くてな、つい、試合後のプレイにまで、熱が入ったのだよ」
草むらに引きずり込まれて、濃いグリーンのストッキングの脚をじたばたさせながら、自身も快楽の坩堝に溺れていった記憶が、
小気味よく脳裏によみがえる。

「ちょっと唇を貸せ」
吸血鬼はいった。
接吻をするときのぞんざいな言い草に、達也は従順に応じる。
迫ってくる口許には、まだ保嗣の血の芳香がほのかに漂っていた。
うっ・・・
むせ返るような衝動に、達也はうめいた。
そして、重ね合わされてくる唇を、夢中になって吸い返していた。
圧しあてられた唇を通して、吸い取られていったばかりの保嗣の血が含まされてくるのを、達也は陶然としながら飲み込んでいった。

初めて喫った保嗣の血は、ひどく美味に感じられた。
「今度は、本人から直接もらうと良い――許可は得ているのだろう?」
エエもちろんですよ。
悧巧そうな瞳に艶やかな輝きをよぎらせながらそう応える達也は、すでに別人のように生き返っている。

親友からのプレゼント。

2020年01月14日(Tue) 06:43:45

時おり達也から、吸血鬼を通じてプレゼントがある。
いつも紙製の袋に包まれていて、中を開くとスポーツ用のストッキングが一足、入っている。
達也が部活のときに履いている、試合用の濃いグリーンのストッキング。
口ゴムの近くに鮮やかに引かれた黄色のラインが、人目をひいた。
手渡されるストッキングはほぼ新品に近かったが、いちどや二度は達也の脚に通されたものだった。
達也はプレゼントを受け取ると、吸血鬼のまえでそれを脚に通し、餌食になってゆく。
若い血液をむしり取られてゆきながら、足許になん度も牙を刺し込まれるのを感じる。
チクチクとした程よい痛みが、保嗣のマゾヒスティックな気分に彩りを添えた。

こうして達也の履いていたストッキングをまといながら咬まれていると、
達也といっしょに咬まれているような錯覚を覚える。
それは保嗣にとって、幸福な錯覚だった。

試合の直前とか、吸われ過ぎて貧血を起こしたとき、保嗣は達也のストッキングを引き継いで脚に通し、
身代わりのように吸血鬼に咬まれてゆく。
ぼくといっしょに咬まれたかったのか。
身代わりのぼくを慰めようとしているのか。
それとも本当は、ぼくの身体を通して、自分が咬まれたかったのか。
どれもが本心なのだと思う。

文化部所属の保嗣にとって、グリーンのストッキングを履くことは、運動部の生徒の特権だった。
運動部の生徒しかおおっぴらに履くことのできないグリーンのストッキングを履いて吸血鬼の牙に侵されるとき。
彼は異常な昂りを感じた。
その昂りに身を弾ませながら、彼はひたすら、自身の体内をめぐっている若い血液を、惜しみなく捧げ尽くしていった。
親友のストッキングを身代わりに履いて、足許を辱め抜かれながら。

文化部生徒の献身。

2020年01月12日(Sun) 10:00:46

「ゴメン、明日試合なんだ」
間島達也(17、仮名)は、自分の血を欲しがって現れた吸血鬼を前に、手を合わせた。
「明日だったか――それではしょうがないな」
吸血鬼はあきらめ良く、懇願する少年から目線をはずした。
「すまないね、明日の試合のあとなら、相手するから」
達也は手にしていた紙袋を吸血鬼に押しつけると、足早に立ち去っていった。

「振られちゃったね、小父さん」
穏やかで温かい声色が、背後からあがった。
吸血鬼が振り向くと、そこには達也のクラスメイトの畑川保嗣(17、仮名)がいた。
保嗣は制服姿だった。
濃紺のブレザーに、グレーの半ズボン。その下は半ズボンと同じ色のハイソックスといういでたち。
この街に吸血鬼が現れるようになってから、学校の制服が一新されて、男子もハイソックスを着用するようになっていた。
文化部所属の保嗣の足許は、肉づきがたっぷりとしている。
達也のもつ無駄のないしなやかな筋肉とは違って、女のようなふくよかさをたたえていた。
――この子なら、女子の制服も似合いそうだな。
吸血鬼はふと思った。

「教室、行こうか」
「いや、君の家がいいな」
評判の美人である保嗣の母親を思い浮かべて、吸血鬼はにんまりと笑う。
色白で透き通った皮膚は、母子共通のものだった。
「いやらしいね、小父さん」
保嗣は露骨に顔をしかめたが、いやだとは言わなかった。

「ただいまぁ」
間延びした息子の声色の背後に、黒影のように付き従ってきた男の姿を横目にして、
保嗣の母はただ、おかえりなさい、と返しただけだった。
「あとでお部屋に、お紅茶持って行くわね」

「紅茶が入るのに、数分くらい・・・か」
保嗣の勉強部屋でひとりごちる吸血鬼に、「15分かな」と、さりげなく訂正した。
数学の得意な彼は、こういう訪問に慣れてくると、献血をしながら頭上の壁時計に目をやって、平均時間を測っていたのだ。
自分の体調と提供可能な血液の量、それに一分間あたりに吸い出される血液の量を割り算して、所要時間を計算する。
几帳面なのかもしれないが、その几帳面さはどこかいびつだ――と、吸血鬼はおもった。
もちろん、自分のことは棚にあげて。

「さ、いいよ。十代の男子高校生の生き血、たっぷり愉しんで・・・」
保嗣は腹這いになると、グレーのハイソックスの脚を吸血鬼の前に差し伸べてゆく。
放課後、真新しいハイソックスに履き替えたらしい。
脚のラインを映して微妙なカーブを描く真新しいリブが、ツヤツヤとしている。
うふふふふふっ。
男はくすぐったそうに笑み崩れると、笑みに弛緩した唇を、ハイソックスのうえから擦りつけてゆく。
足許を緩やかに締めつけるしなやかなナイロン生地に、生温かい唾液がおびただしくしみ込んでくるのを、
少年は苦笑いしながら迎え入れた。
達也のやつも、こんなふうにされているんだな――と、吸血鬼のもう一人の恋人のことを思い浮かべながら。

20分後。
保嗣は失血に蒼ざめて、息も絶え絶えになっていた。
ひざ下までぴっちりと引き伸ばされていたハイソックスは半ばずり落ちて、吸い残された血潮に濡れている。
あちこちにつけられた咬み痕は、赤黒い斑点をあやしていて、吸血鬼のしつようさを母親の視線にあますところなくさらけ出している。
息をのんだ母親は、すでに首のつけ根に食い入る牙のために、ひと言も口をきけなくなっていた。
侵入者は、息子のハイソックスだけではなく、自分がいま脚に通している肌色のストッキングまで狙っている――
そうわかっていながら、もうどうすることもできない。
「ヤスくん、視ちゃダメよ・・・」
ひそやかな声を無視して、保嗣は姿勢を崩していく母親から、目線をそらそうとはしなかった。

競技のあとで。

2020年01月12日(Sun) 09:41:23

競技場へ入っていく女学生たちの、グレーのハイソックスに包まれピチピチはずむふくらはぎよりも。
交通整理に熱中するスタッフのお姉さんたちのタイトスカートのすそから覗く、肌色のストッキングの脚たちよりも。
きょうの”彼ら”の興味を惹くのは、グラウンドを駆け回る選手たちの、短パンからむき出しになった脚、脚、脚。
当校のユニフォームは、緑。相手校のそれは、赤。
どちらにも目移りするのは、ユニフォームカラーと同じ色のストッキングに包まれた、筋肉質の脚だった。
脚に咬みつく習性をもつ吸血鬼たちの嗜好に従う相手は、男女を問わなかった。

よく見ると。
選手たちは当校の生徒だということがわかる。
逞しさのなかにもどこか童顔を残した目鼻立ち。
ストッキングに包まれた筋肉も、どこか伸びやかで柔らかそうだ。
それを彼らはすでに、口許の奥に隠した牙で識っている。
行き交う彼我の選手たちへの喝さいをよそに、
スポーツに鍛えた身体をめぐる血潮に飢えた喉が欲望にはぜるのを、彼らはじりじりとしながらこらえている。

「だれがお目当てなんだね?」
間島幸雄(42、仮名)は、傍らの吸血鬼を振り返る。
スラックスの下に履いた通勤用の薄手の長靴下は、すでに彼の餌食になって、
肌の透けるほどの裂け目をつま先まで走らせてしまっている。
軽い貧血を憶えながらも、間島は相棒をからかわずにはいられなかった。
「もちろん、あんたの息子さんさ」
吸血鬼はくぐもった声でそう応えると、にやりと笑った。
間島は露骨に顔をしかめてみせる。
「泥だらけのストッキングにご執心とは思わなかったな」
「いや――履き替えてくるよ、きっと。俺に咬まれるのを予期しているからな」
選手たちのほとんどは、すでにいちどは咬まれた経験を持っている。
そして、自らの足許に注がれた熱い視線を、試合の合間合間に露骨に感じ取っては、スタンドを振り返り、尖った視線を送り返すのだ。
「試合の邪魔はしないでくれ」と言いたげに。

試合後。
間島は連れだって歩く悪友の目が異様にぎらつくのを感じ取った。
向こうから、ユニフォーム姿の息子が歩いてくる。
ジャージに着替えることもなく、短パンから覗く太もももあらわに陽の光に曝して、帰り道を急いでいた。
吸血鬼の予言どおり、少年が脚に通したストッキングは、真新しいリブを陽に当てて、ツヤツヤと輝いていた。
「じゃあな」
吸血鬼は間島に一瞥をくれると、待ちかねたように少年の方へと走ってゆく。

視界の遠くで、少年をつかまえた吸血鬼が性急になにかを囁くのを、
囁きを耳にした少年が、露骨に嫌そうな顔をするのを、
そのくせ促されるままに、近場の物陰へと姿を消してゆくのを、
間島はじいっと見つめ、それからため息をつく。
家にまで行く気だな――と、間島は直感した。
吸血鬼が彼の留守宅を訪れるようになって以来妻は彼に対して優しくなり、
冷え切っていた夫婦の関係に、好転の兆しが訪れている。

競技場の近くにそびえる廃工場の裏庭は、かっこうの場所だった。
すでに先客が何組か、一定の距離を隔てて横たわったり抱きすくめたり、絡み合ったりしていた。
そのなかの半数はチームメイトであるのを見届けると、間島達也(17、仮名)は、男を見あげた。
「なかなか良いプレイだった」
「小父さん、スポーツのことわかるの?」
「いや、全然」
「なんなんだよ」
「フォームがきれいかどうかは、スポーツなど知らなくても、観ればわかる」
なおもなにか言おうとした少年の唇を、吸血鬼の飢えた唇がふさいだ。
長い口づけは、どのカップルにも共通らしい。
すでに横たわっている傍らでも、すこし離れた立ち姿も、秘めやかな沈黙を保っている。

毒気に当てられたような少年の顔つきを面白そうに見守ると、
「横になってもらおうか」と、吸血鬼はいった。
「こう、かい・・・?」
陽の光を吸った草地が、背中に暖かかった。
少年があお向けになると、それを追いかけるように、吸血鬼が覆いかぶさる。
ユニフォームのシャツをたくし上げると、下に着ていたランニングを性急に引きちぎり、乳首に唇を這わせてゆく。
「アッ、ひどいな・・・」
抗議しようとした少年は、ふいに黙った。
そして、長い沈黙が訪れた。

「小父さん、家に来るんだろ。母さんも待ってるよ。おめかしして家にいるからって言ってた。
 欲張りだよね?母さんのストッキングも、咬み剥いじゃうんだろ?
 そのあとなにをしているのかも、ぼくはよく知っているからね。
 今度、いつかは、父さんに言いつけちゃうからね・・・」
小さくなっていく抗議をくすぐったそうにやり過ごしながら、
すでにじゅうぶんに舌触りを楽しんだストッキングをもうひと舐めすると。
擦りつけた唇に隠した牙を、しなやかなふくらはぎの肉づきに、グイッと力を込めて刺し込んでいった。

家族を吸い合う。

2019年12月09日(Mon) 07:14:10

悪友の良太が、吸血鬼に血を吸われて吸血鬼になった。
誰か一人だけ吸血鬼にできる能力を得た良太は、ぼくのことを咬んで吸血鬼にした。
2人で街を徘徊して、だれかを襲って血を吸おうとしたけれど、なかなかよいきっかけを得られなかった。
道行く大人たちはだれもが恐そうだったし、年下の子たちは襲ってはいけないような気がしたのだ。

とうとう咬む相手にあぶれたぼくたちは、途方に暮れながら夕方を迎えた。
良太は、「いっしょにうちに来て、お袋の血を吸わないか」と、ぼくを誘った。
良太のお母さんは顔見知りだったし、友達のお母さんを襲うのはちょっと抵抗があったので、しり込みをしたけれど。
お互い喉の渇きには、あらがうことができなかった。

「先に家に帰って待ってる」
という良太にいわれるままに、門限をとっくに過ぎた時間に、ぼくは良太の家のインタホンを鳴らした。
良太が出てきた。
「親父は今夜は夜勤でいないから」と、ひくい声でいった。
良太のお父さんは、良太が吸血鬼になったのも、お母さんの血を吸いたがっていることも知っていた。
息子に妻の血を吸わせるために、良太がお母さんを襲いたいときには必ず、夜勤を入れて家を空けるのだった。
忍び足で良太の家に上がり込もうとするぼくに、良太は、
「お袋はおれが先に咬んだから、もう気絶しちゃってるよ」と笑った。

良太のお母さんは、リビングであお向けになって倒れていた。
白目を剥いて、大の字になって、首すじに生々しい咬み痕をつけていた。
「よっこらしょっと」
2人で良太のお母さんを抱き上げて、ソファに移した。
ぼくは良太の咬んだ傷口に唇を吸いつけて、良太のお母さんの血を吸った。
人の生き血を吸うのは、初めての経験だった。
初めて味わうたっぷりとしたのど越しに、ぼくはすべてを忘れて夢中になった。
良太はお母さんのひざ小僧を抑えつけて、ふくらはぎをしきりに咬んでいた。
肌色のストッキングをびりびりと咬み破りながら、チュウチュウと音を立ててお母さんの血を吸い取っていた。
ぼくも負けないくらい、チュウチュウと音を立てて、良太のお母さんの血を吸いあげていた。
2人は昔から、良きライバルだった。

「お袋の生き血を、タカシと2人で吸いたかった」
良太は手の甲で血のりを拭いながら、ぼくにそういって笑った。
たいせつにしているものをタカシにあげたかったし、いっしょに歓び合いたかった――良太はそういうのだった。
タカシの前なら、恥ずかしいことをしていても笑われないからね、と、照れくさそうに口にした。
お母さんの血は美味しかったと正直にいうと、「ありがとう」と感謝してくれた。

セックス経験のある女性を獲物にしたときには、セックスもしてしまうのがこの街の吸血鬼の習性だった。
良太もためらうことなく、自分のお母さんにのしかかっていった。
少し意識が戻ってきたお母さんは、自分が息子になにをされているのかもおぼろげにわかりながらも、
ウンウンとうなりながら、スカートの奥にまさぐりを受け容れていった。

「こんどはきみの番だぜ」
良太に促されて、ぼくも良太のお母さんの上にまたがった。
セックスは初めてだったけれど、びっくりするほどスムーズにできたのは。
目のまえで良太がお手本を見せてくれたのと、母子相姦を見せつけられた異常な昂奮のおかげだった。
この晩ぼくは、良太のお母さんで、女の身体を識った。

ひとしきり嵐が過ぎ去ると、良太のお母さんは起き上がって、
「まあまあ、あとの掃除が大変じゃないの」
と言いながら、フローリングに撥ねた血や粘液を、モップ掛けし始めていた。
さっき良太やぼくに犯されながら見せた”女”の顔はきれいにしまい込んで、
きれい好きな主婦の顔つきに戻っていた。
そして、息子とその悪友が自分の血を吸ったことも、犯したことも、ひと言も咎めだてはしなかった。

「こんどはきみの番だぜ」
どこかで訊いたことのある科白を再び耳にしたのは、その三日後のことだった。
良太のお母さんの血は腹持ちが良くて、三日間ぼくたちを飢えさせないでくれたのだ。
けれどももう、限界だった。
そして、道行く人から獲物を選び出すことのできなかったぼくたちは、今度はぼくの家へと脚を向けたのだ。
幸か不幸か、ぼくの母は未亡人だった。

「礼儀正しいんだねえ」
ぼくが精いっぱいの皮肉を口にしたのは、
ひと通りことを済ませてしまった後、良太が父のお仏壇にお線香なんかあげていたから。
2人がかりで襲われた母さんは、左右の首すじから血を流して、
それから肌色のストッキングを穿いた脚にも、あちこち咬み痕をつけられていた。
めくれ上がった花柄のロングスカートのすそには、2人ぶんの精液が、べっとりと粘りついていた。
良太のお母さんを2人で襲ったとき、良太の胸の奥に根差した家族を獲物にする歓びを、なんとなく理解する事が出来た。

三日経ってぼくたちはまた良太の家に行って、良太のお母さんを襲った。
良太のお父さんはやっぱり、夜勤で家にいなかった。
今度はぼくも、良太のお母さんの首すじに咬み痕をつけさせてもらった。
そのときもやっぱり、良太はお母さんの穿いている黒のストッキングをびりびりと咬み破りながら、ふくらはぎを咬んで愉しんでいた。
そういえばぼくの母さんのときも、ねずみ色のストッキングって珍しいと言いながら、母さんの穿いているストッキングを見る影もなく剥ぎ堕としていたっけ。
良太はどうやら、ストッキングマニアらしかった。

それから三日後のこと。
つぎの獲物は、ぼくの妹だった。
良太を家に招んで、2人がかりで母さんを襲っている最中に、妹が下校してきた。
「ただいまー」
のんびりした声を残してまっすぐ勉強部屋へとあがってゆく足音を聞きつけると、
良太は、胸元の咬み痕を気にかけながらも放心状態の母さんのうえから起きあがって、
やおら後を追いかけていった。
二階からキャーという叫び声がしたけれど。
ぼくは目の色を変えて母さんの上にまたがって、
スカートの奥にびゅうびゅうと精液を穿き散らすのに夢中にjなっていた。
高本家の女ふたりは、こうして同時に吸血鬼の餌食になった。
二階の勉強部屋では長女が。
リビングでは奥さんが。
若い2人の吸血鬼の飢えた欲求を、自分たちの身体をめぐる血潮で満足させていた。

母さんが静かになったのを見届けて、二階の勉強部屋へとあがっていくと、
したたかに血を吸い取られた妹は、息も絶え絶えになっていた。
「すまん、やり過ぎた」
良太は恥ずかしそうに、頭を掻いていた。
そして、
「でも、処女の生き血ゲット♪」
といって、ピースサインを送ってきた。
ぼくも、首すじから血を流して喘いでいる妹を横目に、ピースサインを返してやった。

処女の生き血は初めてだったと正直に告げる良太を、
「お口に合ったようで良かった」と、ぼくは祝福してやった。
妹の履いている真っ白なハイソックスのふくらはぎには、赤黒い血がべっとりと着いていた。
ふくらはぎを咬んで血を吸う――そこまでキメないと、気が済まないらしかった。

「きみの母さんは?」
と訊く良太に、「静かになったよ」というと、良太は横たわる妹に毛布をさっと掛けてやると、見に行こうといってくれた。
2人で階下におりると、母さんはまだ意識がないまま、じゅうたんのうえに転がっていた。
「だめだなあ、ちゃんと介抱しないと」
そういいながら良太は、父さんと母さんの寝室に入って布団を敷き、ぼくに手伝わせ、
「よっこらしょっと」
と、母さんのことを布団の上に寝かせた。
そして額に手を当てて母さんの身体の血の無くなり具合を確かめると、
「もうちょっとしたら気がつくよ」
といってくれた。
「それまでいっしょにいてやるといいよ」
と言い残すと、再び二階にあがっていった。
また妹の血を愉しむつもりだろうと思った。
気を利かせて二人きりにしてやろうとは思ったけれど、好奇心がまさって、ぼくは足音を忍ばせて階段をあがった。

案の定彼は、妹を布団に寝かせて、時おり「だいじょうぶ?」と声をかけながら、丁寧に介抱していた。
妹は布団のうえで、かすかに頷いているようだった。
「靴下汚しちゃって、ゴメンね」
という良太に、
「母さんに買い置きしてもらうから、いい」
と、気丈な顔つきでこたえていた。
そして、良太がぬけぬけと、
「この靴下記念にもらうね」
と、自分の脚に手をかけてハイソックスを脱がそうとするのを咎めもせずに、そのまま引き抜かれていった。
そういえば。
母さんの破けたストッキングも、コレクションと称して持ち帰っていたっけと、薄ぼんやりと思い出していた。

お互いに家族の血を吸い合って、ぼくたちは懇親を深めた。
やがて妹は良太の嫁になり、ぼくも当時の同級生と結婚した。
ぼくの妻となった人は、在校生のころから、良太に血を吸われていたから、秘密を共有できる関係だった。
結婚してからも良太に血を吸わせていたので、必然的に2人は不倫の関係になった。
妹は時おり里帰りをして、ぼくに若妻の生き血を愉しませてくれた。
必然的に2人は不倫の関係になった。
兄妹の関係は、近親相姦といって忌まれるのだけれど――そんなことはもう、どうでもよかった。
ぼくは良太の嫁となった妹を抱くことで、2人への愛情を益々深めたし、
良太がぼくの妻を抱くことで、秘密の愉しみを共有する歓びを、さらに深めていった。
お互いにお互いの妻を交換し合う関係に、良太はとても満足している。
ぼくも、すごく満足している。

2019.12.8構想
2019.12.9脱稿

ハイソックス男子の呟き。

2019年10月01日(Tue) 06:48:43

初めて襲われたとき、ぼくは思わず口走っていた。
「死なさずに血を吸うことって、できないんですか!?」
どうしてそんなことを言ったのか、いまでもよくわからない。
けれどもぼくを追い詰めたその男は、それこそしんけんな顔つきで、
「もちろんそうするつもりだ」
といったのだった。
そして、答えの意外さにびっくりしているぼくをつかまえて、首すじを思い切り強く咬んだのだった。

初めての吸血に、うっとりとなってしまったぼくは、
そのままその場に倒れて、足許を舐められるのを心地よく感じながら、気絶した。
高校生にもなって、ぼくは半ズボンにハイソックスのスタイルを好んでいた。
ふとわれに返ったときには、気に入りのチャコールグレーのハイソックスは血に濡れて、あちこち咬み破られていた。
ぼくが露骨に迷惑そうな顔をすると、彼はすまないね、と言ってくれて、
それでもあつかましくも、もう片方の脚にまで、咬みついてきた。
ハイソックスが好きなんだ――そう直感したぼくは、
狙われたほうの足許からずり落ちかけていたハイソックスをとっさにひざ小僧の下まで引き上げて、
好きなだけ咬み破らせてしまっていた。

その日以来、ぼくはその公園で男と、待ち合わせるでもなく待ち合わせるようになった。
足許には、彼を悦ばせるために、色とりどりのハイソックスを、代わる代わる履いてきた。
彼はぼくのコレクションを誉めながら、一足一足、くまなく舐めて愉しんでから、咬み破っていった。
ぼくもまた、惜しげもなく脚をさらして、彼の欲望に応えていった。

彼女ができるとぼくは、まるで恋人同士のように定期的に逢っている吸血鬼のことを打ち明けた。
美奈子さんは面白そうに瞳を輝かせてぼくの話に聞き入って、
貧血になるといけないから、私も寄付しようかな・・・と、言ってくれた。
ふたりを引き合わせると彼は、似合いの彼女だね、といって、ぼくのために慶んでくれて、
それから脚を咬んでもいいという彼女の足許にかがみ込んで、彼女のふくらはぎに咬みついていった。
その日の彼女は、黒のダイヤ柄の、着圧ハイソックスを脚に通していた。
「痛くないように咬んでくれるんですね」
彼女が感心していると、
「礼儀ですから」
と、彼は奥ゆかしくこたえる。
「じゃあもう少し、良いですよ」
と、なおも吸血をすすめる彼女の足許から、
彼は無遠慮にびりびりと、着圧ハイソックスを破り取っていった。

こと果てて、「ごちそうさま」をしたあとに、
「いつもハイソックスなんですか」と問う彼に、
「イエ、ストッキングと半々ですね」と応える彼女。
そのやり取りを面白がって聞いているぼく。
この三人は、きっとうまくいく。ふとそんなふうに感じた。
「今度はストッキング穿いてきますね」
別れ際のひと言に、彼はとても嬉しげだった。

それからは二人連れだって彼のところに遊びに行って、
さいしょにぼく、それから彼女。
いつもその順番に、咬まれていって、
ウットリするほどもうろうとなった目線の先で、吸血鬼に襲われる彼女の姿に陶然となって見入っていた。
ただひとつだけ、気になったのは。
彼が、既婚女性を咬んだ時にはセックスまで遂げてしまうという習性を持っていること。
「結婚したら、ちょっと遠慮しますね」
思慮深い彼女はそういってくれたし、彼も引き留めたりはしなかった。
そして結婚後はぼくだけが、彼にハイソックスを咬み破らせてやる習慣をつづけるようになった。
少し習慣の中身が変わったとしたら、
半ズボンの下に穿いていく靴下が時おり、妻がいちど脚に通したストッキングに変わることだった。
「不倫するわけにいかないけど、気持ちはあるから」と告げた妻の、せめてもの心遣いだった。

その均衡が崩れる日が訪れた。
ぼくが長患いをして、彼のところに行けなくなった時のことだった。
「私行ってくる」
美奈子は意を決したように起ちあがり、
「その気のない人が襲われたらよくないでしょ」
といった。
ストレートな言い方に、言い訳がましさは微塵もなかった。
「彼によろしく」
ぼくはせめてものことと、明るくいって、彼女を見送っていった。

どうしても心配だったぼくがそのあと彼女を尾(つ)けて彼の邸に入り込み、
いちぶしじゅうを見届けてしまったことは、いうまでもなかった。
彼の腕の中、妻はちょっとだけ泣いて、涙を見せまいとしてすぐに指先で拭うと、
彼はその指を唇に持って行って、軽く含んだ。
そしてこんどはいとおしむように、しっかりと妻のことを抱きとめた。
その瞬間、ふたりは本当に結ばれたのだとぼくは感じて、
妻の貞操が喪われたことよりも、むしろ二人の心の絆を慶んでいた。

二人合わせたら、なん足の靴下を、彼に愉しまれてきたことだろう?
まだまだ愉しませてあげようね・・・
夫婦で交し合った笑みに、曇りはない。
ぼくがあとを尾(つ)けたことを咎めもせず、話題にも出さない妻――
二人の間では表向き、妻はいまでも貞淑だということになっている。
たぶんきっと、それが真実なのだと、いまでは思う。
ひとがきいたら、笑うかもしれないけれど。


あとがき
夫の親しい吸血鬼に理解を示す婚約者というのが思い浮かんで、キーをたたいてみましたが、少し散漫になってしまったかも。

母と姉と悪友たちと

2019年09月01日(Sun) 06:04:29

十代の男の子が考えていることといえば――ヤることだけだ。
そんな十代の男の子が三人、女なしで集っているとき。
そのなかのひとりがいった。
――ウチのお袋、未亡人してるんだ。
えっ!?
ほかのふたりは顔見合わせて、言い出しっぺの少年の顔色を窺った。
――みんなで姦(や)っちゃわない?ヒロシの母さん。
――姦っちゃっても、いいの・・・?
男の子たちはすでに、息が荒い。
ヒロシくんはちょっぴり辟易しながらも、いった。
――オレ、お袋が姦られているところ、覗いてみたかったんだ。
――お前は姦らなくても、いいの?
一人がいった。
ほかのやつらはじっと、ヒロシを見る。
――い、いいのかな・・・だって、親子だぜ?
いちばんワルそうなのが、いった。
――俺たちが姦ったあと、かけ合わてやるよ。
ワルのひと言に、ヒロシを含むほかの全員が、瞳を昏く輝かせた。

――あなたたち、どうしたの?
男の子たちのただならぬ雰囲気をそれとさっして、ヒロシの母さんの玉枝は声を尖らせた。
――俺たち、女と姦りたい・・・
一人が切羽詰まったようにつぶやいたのをきっかけに、ほかの全員が玉枝にとびかかった。
抑えつけられた玉枝の服が、一枚一枚、むざんに剥ぎ取られてゆく。
――およしなさい、止しなさいったらっ、こらっ!
ばたつかせる脚を抑えつけたやつが、玉枝の脚を舐めた。
肌色のストッキングに滲むよだれに、ほかのやつらの目も狂っていた。
大人の女を犯すんだ――だれもがそういう目をしていた。
こういうときのチームワークは、抜群だった。
抗う玉枝に、ワルが真っ先に玉枝にのしかかった。
乱されたロングスカートの奥に腰を埋めて、ワルは玉枝を犯した。
――ちょ、ちょっと・・・!ちょっとお!!
群がる少年たちの下で玉枝はなおも咎めつづけていたが、やがてその声も熄(や)んだ。
少年たちはかわるがわる、ヒロシの母親のうえにのしかかって、稚ない欲望を満たした。

ヒロシはさっきから、股間を逆立てて、母親の受難を見守っている。
予想以上の派手な展開に、わずかな罪悪感はきれいに消し飛んでいた。
――お前の母さん、いい身体しているな。
傍らに座ったワルが、ヒロシの股間を握りしめて、いった。
ヒロシは股間をさらに怒張させて、無言でうなずいた。
――約束通り、かけ合わせてやるからな。
ワルの瞳は、昏く輝いていた。
きょうの主役のヒロシ君が、お母さんに挑戦します!
ワルのひと言で、みんなが玉枝の手足を抑えつける。
玉枝の穿いていたストッキングはいたぶり尽くされて、くるぶしまで破れ落ちていたが、
誰かが太ももまで引き上げた。
――ふだんの感じになるべく近いほうが、昂奮するだろ?
ワルがいった。
――お前の母さん、セクシーだなっ。
だれかがからかうのを、ワルが止めた。「大事なとこなんだから」
――ヒロシ、ヒロシったらっ!親子でだめでしょ!こんなことっ。
叫ぶ玉枝をみんなで抑えつけ、ヒロシの応援をしていた。
いちど受け入れてしまうと、玉枝は夢中になって、積極的に腰を振りはじめていた。
狂乱のるつぼのなかで、主婦は娼婦に堕ちていった。

こと果ててしまうと。
――もう、ばかじゃない?あなたたち。
咎める玉枝に、一同形ばかりは神妙だ。
けれども全員が、知ってしまっている。
玉枝のほうだって、一度犯されてしまうともぅ、すっかりノリノリになっていたのを。
つぎ、あなた。ここだから、ね。
二度目の順番がそれとなくできあがると、玉枝は手短かに手ほどきを加えて、
ウンウンとうなりながら、
猛り立つ竿の一本一本に、女の身体の丁寧な扱い方を、教えていったのだ。
息子の番がまわってきても、分け隔てはなかった。
――そう、そう。しっかりね。
やっぱりウン、ウンとうなりながら、びゅうびゅうと撥ね散らかされる白く濁った粘液を、股の奥へとためらいもなく、注ぎ込ませたのだ。
――ふつうは男が教え込むもんだけどな。
そんなことをうそぶいたいちばんのワルも、じつは女の身体を識ったのは、きょうがはじめてだった。
――でもさいしょは、女のひとに教わらないとね。
玉枝のいれた合いの手に、みんな素直に頷いていた。
こんどはいつ来るの?という玉枝の問いで、男の子たちとの愉快なさよならにたどり着いた。
――小母さんありがと、また来るね。
少年たちの目はだれもがキラキラとしていて、
礼儀などかけらも教わっていないはずなのに、
「ヒロシ、ありがとな」と、母親を襲うチャンスをくれた友達を前向きに気遣うのだけは忘れなかった。


帰る道々。
――あのあとどうなるのかな、あの親子。
――ばか、決まってんだろ。
いちばんのワルにたしなめられて、言いかけた少年はエヘヘと笑う。
帰ってゆく彼らの想像を裏切らずに、
母と息子とはふたたび、身体を重ね合わせてゆく。

それからは。
メンバーのだれもが順ぐりに、自分の家族のだれかを紹介していった。
意外にも、真っ先に手本を見せたのは、ワルだった。
ワルのお母さんは風俗の経験もあったから、息子の悪友たちを前に慣れたように服を脱いで、ヒロシの母親以上に適切に手ほどきをしたのだった。
ワルもさすがに、自分の母親の娼婦ぶりを目にするのは初めてで、さいごには息荒く、母子相姦に挑んでいった。
息子の悪友たちに群がられて、つぎつぎと犯されていったお母さんたちのなかには、
夫以外とのセックスに明らかに慣れているのもいれば、
「お父さん以外は初めてなのよ」という純情なのもいた。
そういう身持ちの堅いお母さんのほうが、束縛がほどけたあとの落差もひどかった。
「大人の女性の洋服を剥ぎ取って犯すのが好き」とワルがいうと、
「困った人たちネ」といって、
つぎに待ち合わせをするときには、結婚式帰りのスーツや法事帰りの洋装の喪服を着て、少年たちと交わっていった。
「だんなにばれたら大変だよね?」と囁くワルに、
「うちは共働きで苦しいから、離婚なんてできないの」と笑ってこたえた。
ワルたちはバイト代を出し合って、その夫人には洋服代を渡していた。
案外、そういうところもある連中だった。
だんな達は、自分の妻と息子の悪友たちとの密会に、それとなく気づいていたようだったが、
彼らの間に流れる空気の和やかさを察すると、気づかぬふりを装って、彼らが性体験を重ねるのを見守っていた。
結果的にそのことが、彼らがそれ以上の非行に走ることから救っていた。
そして彼らのなかから、離婚した夫婦は一組も発生しなかった。


布団のうえで玉枝は、裂かれたワンピースをまだ身にまとったまま、熱く熟れた血潮が鎮まるのを待っていた。
きょうの相手は、ワル単独だった。
どうやらヒロシの母さんに真面目にほれ込んでしまったらしいワルは、
ヒロシのいないときにひっそり現れては、家事にいそしむ玉枝の背後に息荒く迫って、
羽交い絞めに抱きすくめるのが習慣になっていた。
十代の男子の性急な欲情に戸惑いながらも、
「女のひとのこぎれいな服を破きながら犯すと昂奮する」と告白したワルのために、
玉枝は気前よく服を破らせ、素肌を熱く貪欲な唇にゆだねていった。
「俺、性欲強すぎるのかな」
「そんなことないわ、十代の男の子だったらふつうでしょ」
「ヒロシもそうなの?」
「いっしょに住んでいるから、お父さんのいないときにはしょっちゅうよ」
「そいつは羨ましいな」
「あなたはお母さんとはしないの?」
「姉貴がいるから、家ではちょっと無理」
「お姉さんに手を出しちゃだめよ」
「いつか姦っちゃいそう」
「嫁入り前の子はだめよ、結婚できなくなっちゃうかもしれないでしょ」
「それはそうか・・・」
仲間のなかでは母親以外に、妹を”紹介”してくれたやつもいる。
世代の近い肌は、よけいに身近に感じられたっけ――
ちょっと考え込んだワルに、玉枝は優しく笑う。
「経験のある女の人だったら、さいしょは無理やりでもなんとかなっちゃう場合もあるけれど、あんまり無理強いはだめよ」
「わかった、気をつける」
「どうせあなたのことだから、もう若い娘さんともやっちゃっているんだろうけど・・・少しは気をつけなさいね」
玉枝はワルの行動をすっかり見抜いていながらも、さりげない忠告にとどめておいた。
「あなたは手だれだから、ヒロシに好きな子ができても、先に姦られちゃいそうね」
そうつけ加えるのも、忘れなかった。
――それでもヒロシもあたしも、許しちゃいそう。
イタズラっぽく笑った瞳が、そう告げていた。
玉枝の留守中あがりこんだ彼らが、ヒロシの姉に迫ってよってたかって姦ってしまい、
母娘で代わる代わる”お得意様”になっているのも、知っている顔つきだった。


「ちょっとあなたたちっ!?なにするつもり!?」
ワルの姉は、弟といっしょで強気だったけれど。
当の弟を含む悪友連中に囲まれて、明らかに度を失っていた。
「若い娘さんはやめときなさいよ」
お袋には、そう注意されていたけれど。
ほかのやつの妹や姉貴、それに彼女まで毒牙にかけてきた手前、俺も提供しなくっちゃ。
そんな自分本位なことを、ワルは本気で考えていた。
仲間を大切にするんだ。本気でそんなことを考えていた。
ヒロシが抑えつけて、ワルが真っ先にのしかかる。
ワルの姉さんの制服のブラウスは年下の少年たちの手で引き裂かれて、
発育のよいふくらはぎを包んでいた紺のハイソックスは、淫らな指に性急にずり下ろされていった。

8年ほどあとのこと――
すっかり美しくなったワルの姉さんの披露宴に、弟とその悪友たちも招かれていた。
「ヒロシのやつ、さいしょから姉貴のことが好きだったらしいんだ」
新郎の席に座るヒロシのタキシード姿を見やりながら、
ビールを注ぎに来たワルが、かつての悪友たちに囁いた。
「あいつ、それとわかっていて自分の嫁の処女を俺たちに捧げたのかな」
「ウン、あいつ、ちょっとマゾっぽかったものね」
だれもが母親を犯される姿を目の当たりにして勃起していたくせに、そこは棚に上げて酒の肴にしてしまうらしい。
ワルを含めだれもが、いまはふつうに仕事に就いていて、地道に汗を流している。
それでも無軌道な性欲はまだまだ健在で、こないだも先月結婚したやつの新居にみんなで遊びに行って、夫婦のベッドで新妻をまわしてしまったりしているのだが――
以前と少しだけ違うのは、本人の了解をあらかじめ取ったうえでの行為だった。
お互いの家族を襲い合った新郎を経由して申し込んでみたら、
花嫁の方が、彼氏にもいえない輪姦願望を告白してきたのだった。

近親相姦で姉の処女をむしり取ったワルは、それからもしばしば姉弟で関係を結んでいたけれど。
ヒロシの本当の気持ちに気づいてからは、手を出すのをやめた。
ふたりがつき合っている間もずっと、ほかの女とのつかの間のストレス発散で紛らわしていた。
純白のウェディングドレスに包まれたヒロシの姉の肉体を、招待されただれもが識っている。
けれどもそれはもう、言わぬが花のことだった。
「初々しい花嫁」というお決まりの誉め言葉に、あそこが真っ黒な新婦はしきりに照れている。

彼らが手にした招待状には、添え書きがあった。
新婚初夜のホテルの部屋にお越しください。新婦がウェディングドレス姿でお待ちしています。
ヒロシはかつての悪友たちに、嫁姑ながら差し出すつもりらしい。

2019.8.8構想

おそろいのライン入りハイソックス。

2019年05月19日(Sun) 06:46:13

ライン入りのスポーツハイソックスが、中高生の間で流行っていたころ。
僕は毎日のように、黒や赤のラインが鮮やかなハイソックスを履いて、学校に通っていた。
彼女の理香も、僕と好みがいっしょだった。
時には示し合わせて同じ柄のハイソックスを履いてきて、
合同の体育の時間には、お互いの短パンの下に履いた同じ柄のハイソックスを見せ合うように、目配せしあって楽しんでいた。

さいしょに咬まれたのは、ぼくのほうだった。
体育会の帰り道、短パン姿のまま下校したのがまずかった。
学校の周囲に出没している吸血鬼のことは、知らないわけじゃなかったけれど――
どこかで、「襲われてもいい」という想いが、もしかすると根差していたのかも。
道端の草むらに引きずり込まれた僕は、ふくらはぎを咬まれて血を吸われ、
お気に入りの赤と黒のラインが入った白のハイソックスを真っ赤に濡らしながら、吸血される快感を埋め込まれていった。

ハイソックスを3足咬み破らせてしまったころにはもう、その行為に夢中になっていて、
同じ経験を理香にも、ぜひさせてあげたいと願っていた。
ぼくの呼び出しにこたえて、放課後校舎の屋上にあがってきた理香は、
さきに吸血された僕が咬み破られたのとおそろいの、紺のラインのハイソックスを履いてきていた。
理香は僕を置き去りにして逃げ去ろうとしたが、校舎の屋上でくり広げられた鬼ごっこは、あっという間に終わっていた。
首すじを咬まれキャーと叫んだ彼女は、白のブラウスにバラ色の飛沫を撥ねかせながら、初めての吸血を受け入れていた。
白のハイソックスを赤黒いまだら模様で濡らした僕をみとめると、
「同じようにしたいのね」と、ちょっとだけ肩を落とした。
成績の良い理香は、察しも良いほうだったのだ。

理香のふくらはぎの一番たっぷりしたあたりに、吸血鬼が咬みついて、
紺のラインのうえに赤黒いシミを広げていくありさまを、僕はただドキドキとしながら、見届けてしまっていた――

それ以来。
僕と理香とはそれまで以上に仲睦まじく、連れ立って学校を行き来するようになった。
周りも認めるカップルは、時折吸血鬼の家に招かれて、ふたりながらの献血を果たした。
おしゃれな理香は、時折ストッキング地のハイソックスを履いてきて、
僕の目の前で臆面もなく咬み破らせて、状況のあまりのなまめかしさに、僕が目の色を変えるのを、面白そうに窺っていた。

やがて理香はハイソックスを履く世代を卒業して、通勤用のスーツの下にストッキングを穿くようになった。
それでも吸血鬼宅への連れ立っての訪問は続いていて、
華燭の点を挙げる前の晩、理香は咬み破かれたストッキングを脱がされて、僕の目の前で大人の女性にさせられた。
未来の花婿の目の前での初体験に、さすがに半べを掻いた理香だったが、
彼の好物だった処女の生き血を10年以上も、目いっぱい与えたことに満足そうだった。
――これからは、奥さんの不倫も愉しもうね。
ニッと笑った白い歯にドキドキしながら、僕は思わず強く肯いてしまっていた。


あとがき
さわやかな青春の記憶は、いつか妖しい大人の恋の日常に埋没していくのかも知れません。
ライン入りのハイソックスが流行したのは、相当昔のことですが、
男女同じような柄のハイソックスを履いての体育の時間に、ユニセックスな妖しさを覚えたのは、柏木だけではなかったはず。^^

10足め。

2019年05月12日(Sun) 09:19:10

吸血鬼に、学校帰りのハイソックスを狙われた。
相手は中年の変態で、脚フェチだった。
彼は半ズボンにハイソックスを履いた少年たちの足許に見境なく咬みついて、
ハイソックスを咬み破りながら血を吸う行為を好んでいた。

走って逃げたけれど、あとを追いかけてきて、街はずれの公園でとうとうつかまえられてしまった。
ふくらはぎに咬みついた男は、ねずみ色のハイソックスを赤黒く血浸しにしながら血を吸い上げて、
貧血でめまいを起こすまで、放そうとはしなかった。
餌食にされた少年は、ハイソックスの脚を両方とも愉しまれてしまった。
そしてさいごには正気を失って、咬み剥がれずり下ろされてゆくハイソックスを、うすぼんやりと見つめていた。

いちど血の味を覚えられてしまうと、二度三度と学校帰りを襲われた。
さいしょの三足は、学校の名誉を汚されるような気がして、罪悪感におびえながら血を吸われた。
つぎの三足は、汚されても良いから愉しませてあげなきゃと思って、厭々ながら咬ませていった。
そのあとの三足は、汚される歓びに目覚めてしまって、自分から足を差し伸べて、破らせてしまっていた。

十足めを破かれたとき。
半ズボンを脱がされて、初めて女として愛された。

ふたりの少年

2019年05月12日(Sun) 08:07:32

学校の近くに吸血鬼が棲んでいて、
下校中の少年たちを襲っては、ハイソックスを履いた脚に咬みついて、血を吸っていた。
人を殺めることはなかったので、少年たちは戸惑いながらも脚を咬まれていったし、
親たちも見て見ぬふりをしていた。
この街は、吸血鬼と平和に暮らしていた。

幼馴染のタケシとヒロシは、一日ちがいで吸血鬼に襲われた。
後からヒロシが襲われた日、ふたりが塾で顔を合わせたとき、
お互いのハイソックスに咬まれた痕と赤黒いシミが浮いているのを確かめ合って、
照れくさそうに笑いあった。

それ以来、ふたりは咬み破らせたハイソックスの数で競争するようになっていた。
「もう、3足も咬み破られちゃった」
「ぼくはきのうで4足めだよ」
吸血鬼は二人を交代で襲ったので、抜きつ抜かれつしていたけれど、
数の少ないほうの少年は差を縮めようとして、
夜になるとわざわざハイソックスを履いて、吸血鬼の潜む公園に出かけて行った。
吸血鬼は「遅いのによく来たね」と少年の頭を撫でて、
貧血になりすぎないかと身体の様子を気にかけながら、
それでもハイソックスの足許にいやらしい舌なめずりをくり返していった。
脚の線に合わせてなだらかに流れるハイソックスのリブが、じょじょに歪められ、いびつに折り曲げられて、
血に濡れながらだらしなくずり落ちてゆくのを、少年たちは面白そうに見おろしていた。

やがて、タケシのほうが一方的に、破かれたハイソックスの数を伸ばした。
なぜなら、ヒロシは血を吸いつくされて、吸血鬼になってしまったから。
自分の血が尽きてしまって、もう血を吸ってもらえなくなったのを残念がるヒロシを、タケシが慰めた。
そして、今度からはぼくの血を吸えよと、親友を誘った。

学年があがると、吸血鬼はひとつ下の子たちを狙うようになった。
自由の身になったタケシは、上級生になってもハイソックスを履き続けて、
喉をからからにして自分の血を欲しがる級友のため、
きょうもハイソックスを濡らしながら、若い血潮をあてがっていった。

再来。

2019年04月23日(Tue) 07:26:46

やあ、こんばんは。
声をかけられた顔をあげた吸血鬼は、驚きと戸惑いをうかべた。
目のまえで無邪気に笑っているのは、半ズボン少年――つい先月まで日常的に血を吸っていた相手だった。

夕暮れ刻の公園で独りで遊んでいたところをつかまえて、首すじを吸い、失神させると、
ふくらはぎを咬んでハイソックスを咬み破りながらの吸血を愉しんだ。
彼が半ズボンの下に履いていた、紺地に白のラインが入ったハイソックスに、目を惹かれたからだった。
以来、2,3日に一度は念波で抗いがたく呼び寄せて、
首すじを咬んだりハイソックスの舌触りを愉しみながらの吸血に耽る日々がつづいた。
ハイソックスのふくらはぎに唇をなすりつけてくる吸血鬼に、
少年は「なんだかやらしいネ」と、彼の意図を見抜いたことを言ったけれど、
彼は少年の足許にいやらしく舌をぬめらせて、ハイソックスをふしだらにずり降ろすことに熱中した。
やがて彼らの関係は、母親の知るところになった。
帰宅してくる少年が、ハイソックスに血をつけていたり、素足のまま戻ってきたりすることに疑念を抱いた彼女は、
夕刻の公園に少年を迎えに行き、吸血の現場を目撃し、自身も難に遭った。
首すじを咬まれた彼女は、息子の前で失神した。
ひざ下丈のスカートの下に穿いていた肌色のストッキングは、
息子のハイソックスと同じあしらいを受けていたぶり抜かれ、ふしだらに剥ぎ降ろされていった。
そして、息子がすでに股間に受け容れてしまっていた一物を、スカートの奥に突き入れられて、
良家の主婦は一瞬にして吸血鬼の奴隷に堕ちていった。

事態を変えたのは、少年の兄だった。
正義の味方のスーパーマンのように現れた彼は、弄ばれる母親と弟のありさまに顔をしかめて、
一撃のもとに吸血鬼をやっつけた。
重い傷を負わされた吸血鬼は追い払われて、もう二度と彼の家族の前に姿を見せぬと誓わされた。

まじめな母と子とをたぶらかしたのは、確かによくなかったと、吸血鬼は恥じた。
彼にしては、珍しいことだった。
この街を離れるか、いっそこのまま飢え死にしてしまおうかと思い詰めたとき、
あの母子が不良の青年たちに道を阻まれているのを見た。
もともと、ひどく治安の悪い街だった。
吸血鬼は最後の力を振り絞って、”気”を投げた。
”気”は青年たちの乗るオートバイのタンクに命中し、誘爆を起こし、燃えあがった。
あわて騒ぐ彼らに襲いかかると、ひとりひとり首すじを咬んで、血を吸った。
心底から悪いやつの血はまずかったが、エネルギーにはなった。
吸血した後、どす黒い液体を吐き散らす吸血鬼を見て、駆け寄って来た少年が訊いた。
「なにをしているの」
こいつらの体にたまった毒を吸い取って、吐き出しているのだと吸血鬼はこたえた。
どうしようもないくらい悪いやつは、体内にこういうどす黒い粘液をため込んでいる。
それをすべて吸い出してしまえば、いちおうの真人間には戻ることができるのだと。

一か月後には彼らのだれもが改心して仕事を持ち、吸血鬼のところにお礼のあいさつに訪れた。
自分の彼女や妹、それに母親といった、”手土産”を持って――
彼らの血を片っ端から吸い取りながら、吸血鬼は、この街にもう少し長居するのも悪くない、と思った。
ほかの街に行っても、どうせ人を襲うわけだし、
相手が真面目な人間だったら、またぞろあの少年と母親のようなことになりかねないのだから――と。

この日もそうした手土産に、ありつくつもりだった。
相手は、かつての不良青年の一人の妹だった。
この種の若い女たちのなかでは、数少ない処女だったから、きょうも彼は舌なめずりをして、彼女の訪れを待ちかねていた。
あらわれた女をしゃぶりつくようにして抱きすくめて、いよいよ首すじに唇を吸いつけようとしたとき、女が苦しげにいった。
――逢うのはこれきりにして。好きな人ができたんです。彼に悪いから、もうここには来たくないんです。
以前なら、四の五の言われようが耳も買わずに、ずぶりと牙を埋め込んで、いうことを聞かせてしまうところだった。
けれども吸血鬼は脱力してしまって、昂ぶりを込めた牙をおずおずと引っ込めていた。
女はごめんなさい!と最敬礼をして、足早に立ち去っていった。

やあ、こんばんは。
あの少年が声をかけてきたのは、そんな失意の時だった。
あたりはそろそろ、闇に包まれようとしていた。
そっちこそ、どうしたんだ?もう遅いんだから、帰んなさい。
ご近所の口うるさい小父さんのようだと思いながら、吸血鬼はいった。
少年はいつものように半ズボン姿で、ねずみ色のハイソックスをひざ小僧のすぐ下まで引き伸ばして履いている。
肉づきのよいふくらはぎが描くなだらかなカーブに、吸血鬼は視線だけを吸いつけた。
「いいんだよ、咬んでも」
え?と、吸血鬼は訊き返した。
「ボクそのために、履いてきてあげたんだから」
このごろは、半ズボンもハイソックスも、流行りではないのだという。
だから学校にも履いて行く機会がないので、小父さんに会いに来るのに久しぶりに履いてきたのだと。
しかし・・・と、吸血鬼はおもった。
俺が少年の脚に唇を吸いつけるときには、欲情にまみれたよだれをたっぷりとしみ込ませてしまうときなのだと。
「わかっているよ、小父さん、やらしいものね」
少年はくすりと笑った。
「ほら、母さんも連れてきたよ」
たしかに――少年の背後には、あのときのご婦人が、奥ゆかしげな物腰で佇んでいる。

すでに彼らの体内から、吸血鬼の毒は抜けきったはずだ。
彼の唾液のもつたぶらかす力は、せいぜい一週間しか、もたないはずだった。
「だいじょうぶですよ、お気遣いなさらなくても――主人にも話してきましたから」
母親もまた、ほほ笑んでいった。
セックスの経験のあるご婦人を襲うとき、人間の男女と同じ交わりを結ぶのがつねだった。
そうすることが、相手のご婦人に対する礼儀なのだと、思い込んでいた。
吸血鬼に襲われていた当時、彼女は自分の夫に自分が受けた不名誉、自分が繰り返した裏切り行為を告げることをためらい、唇をかんでいたはずだった。
どうしても小父さんに血をあげたい――そんな言い張る少年の主張を容れざるを得ないと感じたとき、
彼女の背後にいた夫がいった。
「この子ひとりでは心配だから、きみもついていっておやりなさい。無事に戻ってこれるのなら、それだけで良いから」と。
そして、吸血鬼に逢っているあいだは、この家の主婦だということは忘れていてもかまわないから、と、つけ加えた。

「ほら、遠慮するなって」
少年親しげに笑いかけると、ねずみ色のハイソックスを引き伸ばして、吸血鬼の目のまえに片脚を差し出した。
真新しいハイソックスに流れる太めのリブが、街灯の光を受けてくっきりと浮き上がっている。
なまめかしい妖しさに魅かれるように、吸血鬼は少年の足許にひれ伏すようにしてかがみ込み、唇を塗りつけた。
「やっぱ、やらしいね」
少年が白い歯をみせたときには、ねずみ色のハイソックスは、吸血鬼の淫らな唾液でぐしょ濡れに濡れそぼり、
ふくらはぎにキリッと流れた太めのリブは、ふしだらによじれ、折れ曲がっていた。
街灯に輝く白い太ももや、首すじにまで牙を埋めて、吸血鬼は少年の血をしんそこ美味そうに味わった。

息子が夢見心地な顔つきになってベンチに寝そべってしまうと、こんどは母親の番だった。
「さ、どうぞ、お気の済むように」
そっと差し伸べられたふくらはぎは、ひざ下丈のスカートの下に慎み深く隠されていたが、
肌色のストッキングの丈の長さが、すくなくとも少年のハイソックスよりもあることを示していた。
ご婦人の足許に接吻をするときには、ちょっとだけ控えめに唇を吸いつけたつもりだったが――
吸着させるときに不覚にも洩らしたチュッという音は、間違いなく彼女の耳にも届いていた。
うろたえて戸惑っているのが、唇を通して伝わる彼女の身じろぎでそれと知れたから。
ストッキングの上から這わされた魔性の唇からは、淫らな唾液が分泌されて、
良家の人妻の無防備な素肌を、侵蝕してゆく――
夫人は限りなくうろたえ、恥じらった。
少年が薄眼をあけて見つめる前で押し倒されて、スカートをまくり上げられるときも、
行儀悪く半脱ぎになったストッキングをまだ足許に残しながらのセックスに、
彼女はうろたえ、恥じらいつづけた。

母親と弟が自分の意思で再び吸血鬼の友だちとなったことは、少年の兄を再び激昂させることにはつながらなかった。
むしろ彼は、逆の行動をとった。
彼は弟が血を吸われた翌日の夕暮れ刻に、吸血鬼のいる公園を訪れて、いった。

さいきん、この街から悪いやつがいなくなった。
俺は悪いやつをこらしめることしか考えていなかったが、あんたは自分の能力を善用して、悪いやつをふつうのやつに変えてしまったんだな。
紹介するよ、俺の恋人だ。将来結婚することになっている。
時々連れてきてやるけれど、あんまり失礼な態度を取らないでくれよな。
なにかあったら、彼女から聞いて、ぶん殴りに来るからな。
彼女が気に入ったら、自分で来ることもあるだろう。
忙しい仕事をしているひとだから、貧血にならない程度で手かげんしてくれよ――

そう、正義の味方のスーパーマンは、吸血鬼に自分の恋人を紹介してしまったのだ。
少年の兄の”手土産”に、吸血鬼が満足したのはいうまでもない。
彼の恋人は真面目な女性で、まだ処女だった。
ふたりは結婚前に結ばれたけれど、それからも恋人は自分の意思で、夕暮れの公園にやって来た。
セックス経験のあるご婦人と時間を共にするときに彼がどういうことをするのかを、スーパーマンは知っていたはずなのだが、
どうやら吸血鬼がスーパーマンにぶん殴られたといううわさは聞こえてこなかった。
彼女が黙っていたのか、彼氏が許していたのか――
たぶんその、両方だったのだろう。


あとがき

最初は抵抗しながらも吸血鬼の意のままにされてしまった人たちが、
呪縛が解けたはずの時期になって、もう襲われなくてもよいいはずなのに、
自分を襲っていい思いをしていた相手のことを気づかって、ふたたび訪れて意のままにされてゆく。
こんどはお互いに、気づかい合い、愉しみ合いながら――

どういうわけか、惹かれるプロットです。

寵愛。

2018年11月18日(Sun) 08:34:52

不思議な街だ、と、俊哉はおもった。
田舎街なのに、どこか洗練されていて、透きとおった空気とこぎれいな佇まいとが同居していた。
通っている学校は、男子もハイソックスを履く学校だった。
大多数の少年たちは、私服でも半ズボンに色とりどりのハイソックスを履いていた。
かつて、少年たちがおおっぴらに、女の子みたいな真っ赤なハイソックスを履いていた時代があった――
いつだか父さんが、そんなことを言っていたっけ。
俊哉がそんなことを考えていると、背後からガサガサと複数の足音が近づいて来た。

急な接近にびっくりして顔をあげると、そこには同じクラスの少年が5~6人、俊哉を見おろしていた。
都会から引っ越してきた俊哉を、目の仇のようにしていた少年たちだった。
両親の生まれ故郷というこの街で唯一なじめないのが、彼らだった。
けれども、いつも敵意に満ちた視線を送ってきた彼らの態度が、あきらかにちがった。
頭だったタカシという少年が、俊哉にいった。
「お前、親方に寵愛されているんだって?」
「寵愛」という言葉をこの年代の少年が使うのを、俊哉はこの街に来て初めて知った。
寵愛――・・・って・・・?
問い返す俊哉に、親方のお〇ん〇んを、お〇りの穴に容れられることだよ、と、タカシはかなり露骨な表現を使った。
タカシの態度からは、俊哉と親方の関係を皮肉るというよりも、手っ取り早く意思を疎通したいという思いの方を、より強く感じた。
「そう・・・だけど・・・」
戸惑いながらもはっきりと肯定した俊哉の顔を、タカシはまじまじと視た。
「お前ぇ、えらいな」とだけ、彼はいった。
「だったら俺たち仲間だから」
ぶっきら棒にタカシは告げた。
これから血を吸われに行くんだけど、相手がまだいないんならお前も連れてこうと思ってたんだ。
でも、親方が相手じゃ、邪魔できないな――タカシは口早にそんなことをいうと、
仲間を促して、あっけに取られている俊哉に背中を向けて、立ち去っていった。
少年たちは、ひとり残らず、ハイソックスを履いていた。
この街に棲む吸血鬼が、ハイソックスを履いた男子の脚を好んで咬む――
そんなうわさを移り住んですぐに俊哉は耳にし、それからすぐに、実体験させられていた。

少年たちが”親方”と畏敬をこめて口にした男は、60代のごま塩頭。いつも地下足袋に薄汚れた作業衣姿だった。
もともとは、女の血だけでは満ち足りなかったので、少年たちを埋め合わせに襲っていたのだが、
いまでは少年も、女たちと同じくらい愉しみながら手籠めにするのだ、と、その老人は俊哉に語った。
初めて襲われた日のことだった。

その日俊哉は担任に残されて、遅くなった帰り道を急いでいた。
その前に立ちふさがったのが、親方だった。
避けて通ろうとした俊哉の手首をつかまえると、傍らの公園に強引に引きずり込んだ。
あれよあれよという間に、首すじを咬まれていた。
この街に吸血鬼がいるといううわさがほんとうだったのだと、俊哉は思い知らされた。
シャツをまだらに汚しながら、俊哉は若い生き血をむしり取られた。
親方の目あては、俊哉の履いている濃紺のハイソックスだった。
通学用に指定されているハイソックスはまだ真新しく、街灯に照らされてツヤツヤとした光沢を帯びていた。
舌なめずりしながら足許に唇を近寄せ吸いつけてゆく吸血鬼に、失血で力の抜けた身体は抵抗を忘れていた。
ちゅううっ・・・
口許から洩れる静かな吸血の音の熱っぽさが少年に伝染するのに、そう時間はかからなかった。
俊哉はもう片方の脚も気前よく咬ませ、クスクス笑いながら吸血に応じていった。
別れぎわには、見るかげもなく咬み剥がれたハイソックスを、唯々諾々と足許から抜き取られていった。

母親を連れて来いという親方の要求にも、もちろんこたえた。
素足で返って来た息子を、母親のみずえは咎めることもなく、息子に連れ出されるままに親方の家を訪問していた。
母親はなぜか、すべてを予期したように、よそ行きのスーツで着飾っていた。
その日初めて、少年は男が女を犯すところを目の当たりにした。
裂き散らされたストッキングをまとい残したままの脚が、地下足袋を履いたままの逞しい脚に、絡みついていった。
それが、父親を裏切る行為だということを、少年はなんとなく直感したけれど、
「父さんには黙っているから」
とだけ、母親に告げた。
(だからまたお招ばれしようというのね?)と言いたげにみずえは俊哉を見つめ、
母親を連れてくる代わりに覗くことを黙認すると息子に親方が約束したのまで、見抜いてしまっていた。
見抜いたうえで母親は、親方のところに通っていったし、息子もそのあとをついていった。
母親が都会から持ってきた洋服がすべて破かれてしまうのに、たいした日数はかからなかった。


「だんな、すまんですね。ちょっと寄り道していきますで」
透一郎と肩を並べて歩いていた農夫は、すれ違った学校帰りの少年たちをふり返ると、ニタニタと笑いながら足を止め、
ちょっと会釈を投げて、きびすを返していった。
似たような手合いが数人、少年たちを取り囲むようにして近づいて行くのを、透一郎は見た。
お互いに同数だと確かめ合うと、少年たちはなにも抵抗するそぶりもなく、彼らの意図に従った。
あるものは傍らのベンチに座り込み、あるものは塀に押しつけられるように立ちすくみ、あるものはその場にうつ伏せになって、
むき出された牙に、首すじや胸もとをさらしていった。
半ズボンの下から覗くピチピチとした太ももや、おそろいの紺のハイソックスに包まれたふくらはぎも、例外ではなかった。
紺のハイソックスを履いた少年たちのふくらはぎに、飢えた吸血鬼の唇がもの欲しげに這わされてゆくのを、
透一郎は遠くからじっと見守った。
吸われる彼らのなかに息子がいるような気がした。
吸っている彼らのなかに親方がいるような気がした。
「あっ・・・ちょっと・・・」
口ではたしなめようとしながらも、自分たちに対するしつような吸血を止めさせようとはしない彼らの姿に、息子のそれが二重写しになった。

「息子に手を出すのはやめてくれませんか?」
いちど透一郎は、家族にも黙って、親方のねぐらを訪れていた。
「そのつもりで帰って来たのではないのかえ」
親方は野太い声で応じていたが、透一郎を見る目は息子を見る父親のようないたわりに満ちていた。
「すっかり都会の水になじんじまったようだな」
といいながら、親方は少し待て、と、透一郎にいった。お前の息子をきょうここに招んであるから――と。

父親が物陰に隠れていちぶしじゅうを視ているとはつゆ知らず、
俊哉はいつものようににこやかに親方のねぐらの薄汚れた畳のうえに、通学用のはいハイソックスのつま先を滑らせて、
まるで恋人同士のように口づけを交わすと、
服の上から二の腕や胸、腰周りを撫でまわされながら、なおもディープ・キスをねだっていった。
太ももに思い切り喰いつかれたときには、さすがに声をあげていたが、その声もどことなくくすぐったげで、嬉しげだった。
親方が随喜の声を洩らしながら息子の生き血を吸い取るのを、透一郎は息を詰めて見守っていた。
父親として止めさせることもできたはずだが、あえてそれをしなかったのは、
少年時代の自分と二十年以上まえの親方とが、むつみ合う二人の姿に重なり合っていたためだった。

        ―――――

透一郎の母は、息子に誘い出されるままに親方の餌食になって、熟れた生き血をふんだんに振る舞うはめになっていた。
そして、男女の交わりがどんなものなのかまで、息子に見せつけてしまっていた。
はじめのうちは、自分の意思に反して。それからやがて、自ら肩を慄かせ昂ぶりに夢中になりながら――
母の不始末を知った父は、親方を咎めに出かけていったが、帰宅した時には別人になっていて、
あのひととは家族ぐるみでのおつきあいをすることになったから、とだけ、ふたりに告げていた。
それ以来、学校帰りには体調の許すかぎり、親方の家へと立ち寄った。
両親の血を吸った親方が、自分の血に興味を示すのは当然だ、と、子ども心に思っていた。
おふたりの血がブレンドされたお前の血はとても美味だという奇妙なほめ言葉を、肩を抱かれながらくすぐったく耳にしていた。
そして、結婚相手が決まったらわしに紹介しろ、良い子を産めるかどうか、血の味で確かめるから――といわれるままに、
みずえをねぐらへと連れて行った。

みずえは親から土地のしきたりを言い含められていたので、こういうときにどうすれな良いのかを知っていた。
婚約者である透一郎の手前、形ばかり抗ったのち抱きすくめられて、首すじを咬まれていった。
新調したばかりのブラウスに血が撥ねて、クリーニング代がかかるわねと思ったときにはもう、正気をなくしていた。
こぎれいな訪問着を着崩れさせながら抱きすくめられ生き血を吸い取られてゆく婚約者をまえに、息を詰めて見守る透一郎の視線を怖いと思った。
華燭の典の席上、純白のウェディングドレスに包まれた新妻は、前夜に呼び出されて犯された余韻に股間を深々と疼かせながら、意義深い刻を過ごしていた。

        ―――――

息子が帰ったあと、透一郎は親方を見つめた。
親方は、透一郎が子供のころの目に戻ったと感じた。
透一郎は勤め帰りのスラックスをそろりとたくし上げると、かつて親方に賞玩された足許をさらけ出した。
彼の足許は、ストッキング地の黒の長靴下に染まっていた。
「なまめかしいの」
親方は目を細めた。彼が露骨に示した好色そうな色に、透一郎は満足した。
押しつけられてくる唇の下、なよなよと薄い沓下はふしだらに皺寄せられて、
力を込めて咬み入れられた牙に、ブチッと裂けた。
顔をあげた親方は笑った。透一郎も笑っていた。
透一郎は親方の背中に両腕を回し、親方は刈り込んだ髪の生え際に唇を這わせた。
ワイシャツの襟首を濡らしながら、久しぶりの陶酔に、透一郎はため息をもらした。
身体がバランスを失って、背中に畳を感じながら、靴下一枚だけをまとった下肢をめいっぱい拡げる。
物陰に隠れた妻の視線をありありと感じながら、透一郎はむしろ昂ぶりを覚えていた。
夫の前で抱かれるみずえの歓びも、きっとこんなふうなのだろう――
息子をさえも犯した逸物に狂おしさに息を詰まらせながら、透一郎はふとそう思っていた。


あとがき
思いきり、男物でした。^^;

吸血私娼窟~息子たち~

2018年09月08日(Sat) 06:22:26

ぼくのママを抱いたんだろう?
ツヨシの眼差しはまっすぐだった。
洋司は無言で肯いた。
どうだった?
よかったよ
つい正直に応えてしまってから、しまったと思った。
ああやっぱり・・・と、ツヨシはかなり無念そうな顔をしたから。

きみは自分のママのことを抱かないの?
ツヨシは訊いた。
ボク、視ているだけでじゅうぶんだよ。
ふーん、そんなものなのかな。
感じ方は、人それぞれじゃない?
それはそうだよね。
これからも、ぼくのママを抱くつもりなの?
ツヨシの目つきは、せつじつだった。
どう応えたものかと、洋司はちょっぴり迷った。
迷ったあげく、訊いてしまった。
ツヨシのパパにも迷惑だよね。
洋司の問いは、ちょっとした反撃になった。
ツヨシは洋司から目をそらして、口ごもりながら、いった。
あの人は、ママのことを吸血鬼に譲った人だから。。
そういう言い方は良くないよ。
そうだね、ところで、ぼくがきみのママを抱いたって言ったら、怒られる?
こんどはツヨシの言葉が、洋司への反撃になっていた。
お互い、対抗意識を自覚しないまま、やり取りを深めていた。
ウウン、そんなことないよ。で、どうだったの?
洋司はつとめて事務的に応えた。
ウン、よかった。
ツヨシの答えは、実感がこもっていた。
なら、よかった。
洋司の相づちにも、共感が込められていた。
あっさりしてるんだね。
たいせつな母さんを犯されたんだ。せめて悦んでもらわなくっちゃ。
ツヨシはちょっと考え込んでから、いった。
そういう考え方もあるんだね。勉強になったよ。
勉強って・・・
洋司は笑いかけたが、ツヨシのしんけんな目線に打たれて、それ以上の笑いを引っ込めた。
そしてただ、「視ているだけっていうのも、案外いいよ」とだけ、いった。
そういうものなんだね。
ツヨシは案外、素直だった。
こんど、ぼくもやってみるよ。ガマンできるかどうかわからないけど・・・
そうだね、おススメだから。
そうなんだ。おススメなんだ。
ふたりは初めて、笑いあった。

こんど、うちへおいでよ。うちに来て、ぼくの前でママのことを誘惑してみてよ。
ママが堕ちたら、抱いてもいいから――遠慮しなくていいからさ。
こんどは、視ているだけにするから――

ツヨシの顔を見て、洋司は無邪気に笑い返した。
ウン、ぜひ、行くね。
そして、忘れずにつけ加えた。

ガマンしなくても、いいからね。


9月3日構想 8日脱稿

あとがき
妄想が複数からまり合うと、お互い邪魔し合うわけではないのですが、どれもこれもモノにならなくなって困ります。
ひとつひとつの妄想は、お話にするほどのパワーがないのかもしれません。
ただ、ほんのささいな表現とか言葉とかしぐさとかが、わたしのことを魅了してやまないから、そこから動けなくなるのです。
いまがちょうど、そういうときなのかも。

ハイソックスの記憶

2018年08月07日(Tue) 08:02:44

いけ好かない・・・
まだ少年だったころ、
半ズボンの下に履いたひし形もようのハイソックスの脚を咬まれながら、
ぼくはそう思って歯がみをした。

くそったれ。
バスケ部の部活のあと、体育館で襲われて、
ライン入りのハイソックスの脚を咬まれながら、
ぼくはそう呟いて歯がみをした。

悔しい、ちく生。
新婚初夜のベッドのまえ、
肌の透ける紳士用の長靴下の脚を咬まれながら、
ぼくはそううめいて歯がみをした。

つぎは、部屋の隅で怯えている新婦の番だった。
彼女は、もっともっと誘惑的な、白のストッキングの脚をテカらせていた。


あとがき
成長とともにハイソックスの種類を変えながら、ずっと吸血鬼の相手をしつづける少年。
行き着く先は花嫁の寝取られだった――ということも、案外ちゃんとわかっていたのかも。^^
いつもと同じように口を尖らせながら、純潔を汚される新婦のあで姿から、目が離せなくなるのでしょうか。

吸血鬼の子供の日記

2018年02月11日(Sun) 07:39:08

きょうは、生れて初めて学校に行きました。
吸血鬼の子でも学校に行けるよう、父さんが校長先生に話をしてくれたのです。
教職員会議や生徒会でもその問題が話し合われて、けっきょくぼくは学校に行けることになりました。
父さんはそのあいだに、ずいぶんおいしい思いをしたって言っていましたが、どういう意味だかよくわかりません。

授業中はふつうに勉強をしました。
でも途中で喉が渇いて気分が悪くなったので、手をあげて保健室に連れて行ってもらいました。
保健室には若い女の先生がいたので、すきをみて襲って、血を吸ってひと休みしました。
先生は具合が悪くなって床に転がっていましたが、ぼくは元気になったので、先生のことはほっといて教室に戻りました。
そのあと、担任の和佳奈先生に血を吸いたいってねだったのですが、拒否されてしまいました。

放課後は、新しくできた友だちのマサヤくんとハルタくんとハナヨちゃんといっしょに遊びました。
3人とも、ぼくに一方的に血を吸われて、ノビてしまいました。
ぼくは大人の吸血鬼に手伝ってもらって、3人を吸血鬼の村に運び入れました。
3人が正気づく前に、ぼくは吸血鬼の子供たちを5、6人集めておいて、3人に紹介してあげました。
それから吸血鬼の子供たちで、人間の子供たち3人の血を、代わりばんこに吸い取りました。
とくにハナヨちゃんはかわいかったので、大人気でした。
さいしょのうちは貧血を起こしてべそをかいていましたが、そのうちに慣れてくると仲良くなって、
お姫様ごっこをして遊びました。
きれいなお姫さまがおおぜいの吸血鬼に襲われて血を吸われてしまうという遊びです。
とても楽しかったです。

そのうち、人間の子供のお母さんたちが、心配して迎えに来ました。
吸血鬼の村からは、大人の人も出てきて、お母さんたちを出迎えると、「子どもは来るな」といって、
お母さんたちを家のなかに閉じ込めて、列を作って血を吸いはじめました。
あとでお母さんたちになにをしたのって聞いたら、「仲良くしただけだよ」って言っていました。
みんな、ほんとうは、人間と仲良く暮らしたいのです。
夕方、仕事から帰って来たお父さんたちが怒って村にやってきましたが、
大人の吸血鬼たちとすぐに仲直りをして、お母さんたちが献血に来るときには夫婦で来るって約束していました。

夜になると、担任の和佳奈先生が家庭訪問に来ました。
父さんの運転する車に乗って来た和佳奈先生は、ぐるぐる巻きに縛られていて、さるぐつわまでされていました。
ちょっと変わった家庭訪問でした。
人間の先生は、こんなふうに家庭訪問をするのかな?って思って、ちょっとふしぎな気がしました。
付き添いの教頭先生は、
「きょうは和佳奈先生がわがままを言って、血を吸わせてくれなかったんだってね。ごめんね」
といって、
「和佳奈先生はおわびをしたがっているから、気が済むまで吸うんだよ。
 若い女の生き血ををたっぷり採って、きみも早く大きくなるんだよ」
と、和佳奈先生を縛っているロープをぼくに手渡してくれました。

教頭先生に取り残された和佳奈先生は目に涙をためていやいやをしていたので、
「死んだりしないから大丈夫」といって、安心させてあげました。
和佳奈先生は、教室にいたときと同じく、水色のきれいなワンピースを着ていて、ストッキングをはいていました。
ストッキングは子供や高校生のお姉さんが履いているハイソックスと同じくらい、ぼくの好物です。
ぼくは、さっそく和佳奈先生の脚に咬みついて、肌色のストッキングをブチブチッと破きながら、
和佳奈先生の生き血をたっぷり吸い取ってしまいました。
それからぐったりとなった先生を組み伏せて、こんどは首すじを咬んで、ごくごくのどを鳴らして先生の血を吸いました。
きれいな水色のワンピースの襟首が真っ赤になるのを、先生は困った顔をして見つめていました。

先生にはまだ恋人がいないみたいなので、明日からぼくが恋人になってあげると言ったら、いやそうにしていたので、
そんな顔をするとみんなの前で咬んじゃうぞっていったら、恋人になるって約束してくれました。
明日からは、和佳奈先生はぼくの恋人です。指切りげんまんをして約束したので、まちがいありません。
和佳奈先生は、「担任としてのぎむを果たした」って教頭先生に認めてもらえて、
ふらふらになりながら家に帰っていきました。

学校は居心地が良くて、とても楽しかったです。
あしたは、だれの血を吸おうかな。

異形の影

2018年02月04日(Sun) 06:36:48

秋の夕暮れの、週末のことだった。
息子は塾に行って帰りが遅く、わたしは暑さの残る昼間のけだるさに、つい午睡(うたたね)をしていた。

異変に気づいたのは、まどろみが目覚めにかわるころだった。
隣室で、クチャ・・・クチャ・・・と、妙に生々しい音が洩れてきたからだ。
ドラキュラものかゾンビの映画で生き血を啜っているシーンか、人肉を喰らっているシーンに出てきそうな音だった。
その部屋は和室の居間で、妻が寝ているはずだった。

わたしは恐る恐る部屋を出て、廊下にまわった。
居間へは直接に行けず、いちど廊下に出なければならない間取りだった。
ふらり、と、わたしの目のまえを、異形の影が横切った。
だれ・・・?と思う間もなく、そいつはこちらのほうをふり返った。
居間の前まで出て横目に見た妻はさいごに見たときと同じようにたたみのうえに自堕落に横たわり――
そして、首から血を流していた。
妻の身に起きた異変を見たか見ないかのうちに、異形の影はわたしに取りついて、無防備だった首を咬まれた。
咬まれた痛み以上に、万力で抑えつけるような猿臂の力に、わたしは思わず悲鳴をあげた。
異形の影はわたしの叫びに構わず、首すじに刺し込んだ牙でさらに皮膚を深くえぐり、
ドビュっとほとび出た血を、それは美味そうに啜り取っていった。
さっきまで妻が、同じ目に遭っていたのだ・・・と、こんどはすぐに察することができた。
わたしはたちまち貧血を起こし、その場にくたくたとへたり込んだ。

邪魔者が倒れたのを見て取ると、異形の影は思い直したように回れ右をして、ふたたび妻の入る居間へと戻った。
一瞬だけかいま見た妻の様子は、あきらかに日常と違っていた。
首すじから血を滴らせ、顔色は鉛色だった。
放恣に伸びた両脚は、スカートをまくり上げられて太ももまであらわになり、
その太ももには半透明の粘液が、ヌラヌラと忌まわしくまとわりついていたようだ。
妻はあのとき、息をしていたのだろうか?

昏倒したのは一瞬のことで、失血で不自由になった身体をいざり寄らせるようにして、わたしは居間をのぞき込んだ。
世の亭主ならふつうそうするように、妻を救わねばならない――と思ったからだ。
目のまえに、妻の両方の足の平が見えた。
片方はストッキングを脱がされていて、ふたつの足の平のあいだに、異形のものの腰が見えた。
腰は、スカートをたくし上げられた妻の臀部に深く食い入り、激しい上下動をくり返していた・・・
居間の入り口まで身を運ぶのがやっとで尽きてしまった自分の体力を、わたしは呪わずにはいられなかった。
わたしは居間の前の廊下で横倒しになったまま、妻が犯される様子から視線を放すことができなくなっていた。
彼が欲望を果たして、眠りこけた妻の頬に別れのキッスをしてしまうまで。

彼が身を起こしたとき、その下敷きになっていた妻の顔色は、まえよりも良くなっていた。
抜き取り過ぎた血を戻したのだ――と、わたしは直感した。
あとから親密になった彼から聞いたのだが、抜き取り過ぎたどころではなく、
いちどは一滴余さず吸い尽してしまっていたという。
たまたま通りかかったわたしの血で喉を潤して満足したので、
無用の殺生はしまいと思い直し、もういちど妻のうえにのしかかったのだという。
ちなみに、さいしょの吸血の段階で、すでに妻の貞操は喪われていた。
彼女は唐突な侵入者に生き血を吸われ、性の快楽におぼれながら、
彼が必要とする血液を唯々諾々と提供し続けてしまったのだ。
侵入者は、一家のあるじの肩を親し気に抱き、謝罪とも感謝ともとれる会釈を残し、音もなく立ち去った。

「黙っていて」
妻は必死のまなざしでわたしに訴えた。
そろそろ、息子が帰る刻限だった。
わたしたちはとりあえず、目のまえで起きてしまったことには目をつむり、
状況を隠ぺいするための共犯者同士として行動した。
息子が玄関のドアを開けたてする音が家の中に響いたとき、
妻はいつものように夕餉の支度に台所に立っていて、わたしは別の部屋で消えやらぬ懊悩にまだ悶々としていた。

異形の影の来訪は、その後も続いた。
わたしが居合わせたときにはまず、わたしのほうに現れた。
いつも唐突な現れ方をするので、無防備に首すじを噛まれて、血を抜き取られてしまうのがつねだった。
そのうちにわたしは、そうされる行為に快感を覚えるようになっていた。
思い切り刺し込まれる牙の強引さに。
生き血を激しく抜かれるときの、無重力状態のような頼りなさに。
わたしの血を呑み込む喉が心地よげに鳴る音で、相手の満足感が伝わってくることに――
その後決まって襲われる妻もまた、無抵抗だった。
異形の影が近づくとすすんで身を任せ、相手の欲望に自らをゆだねていった。
失血で身体の動きもままならないわたしは、妻の襲われている現場まではどうにかたどり着くことができたが、
侵入者により凌辱を妨げることができなかったばかりか、むしろいちぶしじゅうを見せつけられてしまうのがつねだった。
わたしは嫉妬のあまり激しく射精し、すべてが終わったあと妻は、廊下に広がった精液を表情を消してぬぐい取っていった。

異形の影の来訪は、決まって息子のいないときだった。
彼の来訪は、しぜんと予感することができるようになった。
妻がいつになく化粧を濃くし、身なりをこぎれいに改めるからだ。
そうすることで、妻が彼の侵入行為を断固拒絶しているわけではないことを、察せざるを得なかった。
出し抜けに背後から羽交い絞めにして、おとがいを仰のけて、首すじにがぶりと咬みついて、
こぼれた滴りが着衣を汚すまで続けられる。
貧血を起こした妻がうつ伏せに倒れ臥してしまうと、もの欲しげに頬を弛めてにじり寄って、
ストッキングを穿いたふくらはぎを舐めはじめるのが、行為の始まりだった。
先に失血したわたしは、横倒しに倒れた廊下からそのようすを、見せつけられるように覗きつづけた。
きちんと穿かれたストッキングの生地が、舌の誘惑に負けるように皺くちゃになり、
ヌラヌラとしたよだれをあやしながら引き破られてゆくのを、ジリジリしながら見守っていた。
「黙っていて」
すべてが終わると妻はきまり切ったようにそう囁いて、ふたりは情事の痕跡を消すことに熱中した。

だいぶあとになってから、聞かされた。
さいしょに咬まれたのは、じつは息子のほうからだったと。
半ズボンを脱がされた息子は、異形の影の腰の勁(つよ)さを一番さいしょに体験させられて、
お母さんにもこういう目に遭ってもらおうよと誘われて、つい気軽にOKしたのだという。
そして、塾には行かずに家にとどまり、わたしとはちがう部屋からいつものぞき見していたのだという。
はじめのころは、母さんが血を吸い尽されないかと心配していたけれど、
父さんが自分の血を吸わせるようになってホッとしたころからは、むしろ愉しんで視ていたという。
その彼は年ごろになると、親密になった異形の影に恋人を引き合わせて、処女の血を愉しませるようになった。
異形の影が自分の恋人に惚れ込んで、望まれてしまうのならかなえてあげようとさえ思っていたほどだったが、
影はむしろ、息子が恋人と順当に結婚するのを望んだ。
そして若い夫婦の同意のもと、わたしたち夫婦と同じ関係を取り結ぶことに成功した。
いまごろはきっと――相応の年齢になるふたりの息子が、親たちの密かな愉しみに魅せられ始めているかもしれない。

幼い兄弟の吸血鬼

2017年08月28日(Mon) 07:17:53

その兄弟と初めて出会ったのは中三のとき。
ふたりが吸血鬼だということは直感でわかったけれど、
自分の血を守るための鬼ごっこは、あっけなくけりがついてしまった。
五歳児くらいの体格しかないふたりは、びっくりするほどの敏捷さでぼくのことを追い詰めていって、
気づいたときにはもう、校庭の片隅で引きずり倒されていて、
ひとりは、ぼくの首すじに。
もうひとりは、ぼくのふくらはぎに。
どちらもギュッと、咬みついてきた。
靴下を履いたまま咬まれたふくらはぎには、
しなやかな感触のするナイロン生地に、生温かい血潮がじわっと沁みた。

「美味しいね」
「うん、美味しいね」
「ひさしぶりに、人間の血にありつくね」
「お兄ちゃん、も少しじっとしててね。喉の渇きがおさまったら放してあげるから」
小さい身体に込められたびっくりするほどの膂力にがんじがらめにされたぼくは、
否応なく、15歳の生き血をむしり取られていった。
そんなことをされたのに。
いつか宿ったマゾな歓びが、ぼくに教え込んでいた。
ふたりの仲の良さ、チームワークの巧みさ、そして、小気味よいほどの飲みっぷりを。

その事件をきっかけに、ぼくたちは兄弟のように仲良くなって、
15歳の若い血を吸わせてやるようになっていた。
喉をカラカラにした二人にせがまれて、母さんのことまで紹介してあげた。
スポーツ用のハイソックスを好んで咬み破りながらぼくの血を吸った弟くんは、
母さんの穿いている肌色のストッキングも、それは嬉しそうにブチブチと音をたてて咬み破っていった。
ぼくの首すじに思い切りよく食いついた兄くんは、
ブラウス越しに母さんのおっぱいを揉みながら、吸い取った血で頬を濡らしていった。
さいしょは戸惑っていた母さんも、じきに血を吸い取られる歓びをわかってくれて。
足しげくやってくる兄弟のことを、親戚の親切な小母さんみたいな感じで迎え入れてくれた。
幼い兄弟の吸血鬼が、
ひとりはブラウス越しにおっぱいを揉みながら、
ひとりはストッキングをブチブチと咬み破きながら、
熟れた人妻の生血に酔い痴れていくのを、
ぼくはゾクゾクと胸をわななかせながら、物陰から見つめつづけていた。
父さんがそうしたことを知ったのは、だいぶあとになってからだけれど。
自分の息子よりも幼い彼らにどう丸め込まれてしまったのか、
母さんと彼らとの関係に、とやかく文句をいうことはとうとうなかった。

数年が経った。
この子たちが食べ盛りになったらどうしよう?
主婦らしい心配を母さんがしてくれたころには、もう心はきまっていた。
結婚相手の佐夜子さんをふたりに会わせたのは、結納を済ませた帰り道。
佐夜子さんはまだ、処女だった。
スーツ姿のまま咬まれて失神した佐夜子さんは、真っ白なブラウスをバラ色に染めながら、
うら若い処女の生血を、食べ盛りなふたりに、惜しげもなく振る舞っていった。
すっかり色気づいた兄くんは、佐夜子さんの穿いていたタイトスカートをたくし上げて、
ショーツのなかに手を入れながら彼女の首すじを吸って、
頬ぺたをバラ色の血潮で濡らしていって、
やっぱり色気づいた弟くんも、佐夜子さんの穿いていたストッキングに目の色変えて、
薄手のナイロン生地に帯びたツヤツヤとした光沢を塗りつぶすように舌を這わせて、
お兄ちゃんに負けないほど、頬ぺたをバラ色の血潮で濡らしていった。

母さんはとっくに、兄弟に犯されていた。
さいしょは母さんの胸をしつこくもんでいた兄くんに。
その翌週は、よそ行きのストッキングをなん足も破らせてあげた弟くんに。
齢の順に、受け容れていった。
ぼくはその様子を物陰から、吸血される母さんを見守るときと同じ視線で視つづけてしまったし、
父さんも、母さんが自分を裏切りつづけるのを知りながら、とやかく文句をいうことはとうとうなかった。

挙式を翌週に控えたある日、
ぼくは佐夜子さんを呼び出して、ぼくが責任を取るからといった。
佐夜子さんは困った顔をしていたけれど、あなたが責任を取ってくれるならといった。
よそ行きのスーツ姿の佐夜子さんを、ぼくはふたりの待つ夜の公園に連れて行って、
処女の生血をたっぷりと吸わせた後、
兄弟がいつも母さんにしかけていく悪戯をしてもいいと、告げていた。
兄くんは、ぼくたちのほうが先でもいいの?って訊きながら。
それでも嬉し気に佐夜子さんのブラウスをはぎ取っていったし、
弟くんは、じゃあお兄ちゃんのお嫁さんを、ぼくたちの女にするからね!って宣言して、
佐夜子さんの穿いているストッキングを、いつもよりいやらしく咬み剥いでいった。

食べ盛りになった兄弟は、こうして飢えることなく実り多い青春を迎えていった。

吸血鬼の下僕。

2017年07月30日(Sun) 05:14:09

ぼくの血を吸っている吸血鬼に。
妹を見初められ、
彼女まで見初められてしまったぼくは、
いつも短パンの下に履いている、スポーツ用ハイソックスの脚を伸ばして、
ツヤツヤとしたリブ編みのナイロン生地のうえから、血に飢えたヒルのような唇を吸いつけられて、
ふたりのまえで、生き血を吸われるお手本を見せてあげる。
若い獲物たちが、吸血鬼をまえにして、
怖がらずに自分のうら若い生き血を吸い取らせてあげることができるよう、
おぜん立てをしてあげるために。
彼を愉しませるために用意した、真新しいナイロン生地のうえ。
みるみる拡がる真っ赤なシミに、ふたりの少女は白い顔を並べて、面白そうに見入っている。

妹の履いていた、ひし形もようのハイソックスも。
彼女の履いていた、通学用の濃紺のハイソックスも。
どちらも、好色な唇をくまなく吸いつけられて、意地汚くよだれをしみ込まされて、
ずるずるとだらしなく引きずりおろされ、見る影もなく咬み剥がれていって、
さいごにつま先から抜き取られ、せしめられてゆく。

年ごろの少女たちの足許を彩るハイソックスは、彼らの絶好の餌食。
きょうもまた、妹の、彼女の履いているハイソックスが、戦利品としてせしめられて、
数多い彼のコレクションのなかに、加えられてゆく。
そんな事実に、マゾの血をドクドクと昂らせてしまうぼく――

恥知らずなぼくのまえ、
妹も、彼女も、さいしょは拗ねながら、さいしょは強がりながら、
眉を逆立て、震わせながら、生き血をチュウチュウと、吸い取られてゆく。
でもやがて、牙の切っ先に含まれた毒に、理性を麻痺させられて。
恥を忘れて、くすくす、へらへらと笑いこけながら。
なん度も首すじに圧しつけられる飢えた唇に、
われとわが身をめぐるうら若い処女の生き血を、惜しげもなく含ませてやって。
抱きすくめる猿臂が、着衣を通してしみ込ませてくるまさぐりに、
きちんとそろえたおひざを、崩してゆく。

お兄ちゃんのばかっ。妹は言った。
さいごまで責任取りなさいよ。彼女は言った。

どちらのことばも、しんけんに受け止めよう。
そう、ぼくは吸血鬼の下僕。
身内の女たちを愛でられることを、たまらなく誇らしいと感じる、忠実な下僕。

ひし形もようのハイソックスを履く妹。

2017年07月24日(Mon) 07:10:47

ひし形もようのハイソックスを履いた脚をバタバタさせながら、
妹が吸血鬼に抑えつけられて、首すじを咬まれてゆく。
発育の良い小麦色の首すじに突き立てられた牙で、クイッと咬まれた瞬間、
小さな唇からアアッ!と声をあげて、妹はバタつかせていた脚を引きつらせた。

きゅう、きゅう・・・ごくん、ごくん・・・
吸血鬼は喉を鳴らして、妹の生き血をむさぼるように飲み耽ってゆく。
「お兄ちゃん!お兄ちゃん!」
ひし形もようのハイソックスの脚を再びバタつかせながら、援けを求める声を聞き流し、
吸血鬼が獲物にかぶりつく有様を、ぼくはばかみたいにボーっと眺めてしまっていた。

部活が終わったあと、練習用の無地のストッキングから、わざわざ新品の試合用のストッキングに履き替えて。
白地に赤のラインの入ったストッキングの上から唇を這わされて、
リブ編みのナイロン生地の舌触りを、くまなく愉しまれたあげく――
むき出された牙で、がぶりとやられてしまう。
いま、ぼくのひざから下を覆っているストッキングは、わざとしみ込まされた血に、真っ赤に濡れて、
ぬらぬらと生温かく、ぼくの足許にへばりついている。

母の生き血を欲しがって、なおもしつこく下校のあとをついて来た吸血鬼は、
通りがかった妹に、目をつけた。
ミニスカートの下に履いたひし形もようのハイソックスに目がくらんで、
しきりにあの子はどこの子だ?とぼくに訊き、
「妹だよ」
言いにくそうにそういうと、それはいたって好都合!とばかりに、妹のあとを尾(つ)けて、家のなかにまであがり込んできたというわけだ。

「お兄ちゃん、この人だれ?」
怪訝そうな妹に。
「あんたの血を吸いに来た」
男はこれ見よがしに牙をむき出して、本性をあらわにする。
えっ?えっ?どういうことっ??
両手で口をふさいで戸惑う妹は、伸びてきた猿臂をかわし、
家じゅうを逃げ回る。
楽しい鬼ごっこの始まりだ。
ひし形もようのハイソックスの脚を追いかけて。
やつはわざと手かげんしながら、妹を追い詰めていって。
さいごに抱きすくめたのは、本人の勉強部屋だった。
「キャーッ!」
身を揉んで振り離そうとするさいごの努力を押し切って、
そのままたたみの上へと、抑えつけてしまったというわけだ。

「助けてっ!助け・・・」
妹はとうとう声を途切らせて、ウーッとうめいて白目をむいた。
男は妹のうえから身を起こし、ククク・・・ッと、意地悪そうに笑う。
これからが、お愉しみタイムなのだ。
やつはそろそろと起こした身体を、こんどは大の字になった足許へとかがみ込ませてゆく。
ひし形もようのハイソックスの舌触りは、いったいどんなふうなのだろう?
這わされた唇から洩れるくちゃッという音が、忌々しいほど嬉しげだった。

う~ん・・・
妹が正気づくのに、たっぷり30分はかかっていた。
そのあいだじゅう、やつはご熱心にも、しつこくも。
ひし形もようのハイソックスのふくらはぎに、くまなく唇を這わせつづけて、
妹の履いている靴下に、いやらしいよだれをなすりつけてゆく。
「エエのう・・・エエのぅ・・・オイ、数雄。きょうの獲物は愉しいのぅ」
やつが恥知らずにもくり返すうわ言に。
ぼくも恥を忘れて聞き入っていて。
気の強い妹が、それとは気づかずに、自分の履いているハイソックスを吸血鬼の意地汚い欲情のまま愉しまれてしまっている風景を、ただぼうっとして、眺めてしまっていた。

ハッとわれにかえった妹は、這わされる舌の感覚に、キッと目線を自分の足許に転じた。
あっ!という表情を泛べると、咎めるようにぼくをにらんで、歯を食いしばって、脚を男の猿臂から引き抜こうとする。
彼女が正気にかえったタイミングは、最悪だった。
まだ失血から回復していない妹は、ひし形もようのハイソックスの舌触りを、愉しませつづけるしか手がなかったのだから。
やがて男はふたたび牙をむいて、妹の強いまなざしをくすぐったそうに受け流しながら、
ひし形もようのナイロン生地ごしに、牙をズブズブと、埋め込んでいった。
アアアアッ・・・
妹は、悲痛な声をあげて、痛そうに眉を寄せる。
けれどもそれはさいしょに咬まれたときよりも、たんなる痛みとは違う感情を滲ませていた。
「痛み」をうわまわったのは、、「羞ずかしさ」。
そして、妹の本能は、正しかった。
やつの術中にひき込まれかけた妹は、なおもしつように足許をいたぶろうとする吸血鬼をまえに、
知らず知らず脚をくねらせて、やつの吸いやすいように、脚の向きを変えてやってしまっている。
身近な人が、洗脳される――
母さんが初めて襲われるのを目にしたときに感じた、あの後ろめたい従属感を。
ぼくは再び、ゾクゾクと。
震えあがってつま先立つほどの歓びを、身体じゅうにみなぎらせていった。

ふくらはぎに、むこう脛に、足首に。
くまなく吸いつけられる唇は、妹の血をたっぷり吸って、
妹はすでに相手の下心をじゅうぶんに察しながらも、
気に入ってもらったひし形もようのハイソックスを愉しませつづけてしまっている。
背後のドアの向こう、母さんが身を忍ばせてきたのにも、気づかずに。

ぼくの耳もとで、母さんが囁いた。
「ゆう子まで、襲わせちゃったの?」
「やつのほうで、勝手に目をつけたんだ」
「相性なのかね・・・」
呟く母さんに、
「相性なんだろうね・・・」
呟きかえすぼく。
気丈な母さんが、やつの気配を察して真新しいストッキングに穿き替えているのを、ぼくは見逃さなかった。
「ゆう子が気絶しちゃったら、あとで母さんの部屋に来るように言って」
言い残した足音が、ぼくの背中に遠ざかってゆく。
抱きすくめられたまな娘が、クスクス、へらへらとくすぐったそうに笑いながら。
自分の身体をめぐるうら若い生き血を、いまは惜しげもなく振る舞い始めたのを見届けたうえで。

年下の男の子に、母さんを寝取られた話。

2017年07月10日(Mon) 05:47:47

この街の学校に転校してきて、
都会の学校では行っていたのと同じ運動部に入って、
きょうが初参加の部活。
ところがそこで割り当てられたのは、小学生くらいの男のことのかけっこだった。
なんでも、部員の一人の弟さんなんだという。
本当は、もう少し入り組んだ関係だったのだが、いまはそこに触れてる余裕はない。

ぼくはもちろん、憤慨した。
だって、都会の学校では部で一番の俊足を誇っていたから。
それが、どうみても三つは年下の子供といっしょに、かけっこをしろといわれたのだから。

ところが、ふたを開けてみると、案外苦戦した。
苦戦どころか――完敗だった。
その子はぼくよりも20メートルも後ろからスタートして、
100メートル走をまだ半ばしか走っていないあたりでぼくのことをつかまえて、
ぼくは彼を振りほどくことができなくなって、グラウンドにねじ伏せられてしまったのだから。
力まかせにのしかかってくるその子――ヨウタくんという名前だった――を払いのけようと四苦八苦しているうちに、
ぼくは首のつけ根のあたりに、鈍痛を感じた。
気づいたら、ヨウタくんはぼくの首すじに、咬みついていたのだった。

チュウチュウ・・・
チュウチュウ・・・
部員全員が見守るなか。
ひとをこばかにしたような音をたてて、ぼくの血はあっけなく、吸い取られていった。

身体の力が抜けるほど血を吸い取ってしまうと、
ヨウタくんはぼくのことをうつ伏せに転がして。
短パンの下、ハイソックスを履いたふくらはぎに、ふたたび唇を吸いつけてくる。
そのころ都会で流行っていた、ライン入りのハイソックス。
こんな田舎の学校の子たちでも、みんな履いているんだ――それがちょっとした驚きだったけれど。
みんなはこの子に咬ませるために履いているんだとわかったのは、もっとずっとあとのことだった。
こいつ、ぼくに恥を掻かせるために、ハイソックスを咬み破ってる。
ぼくは侮辱を感じたけれど、それでもどうすることもできなかった。
彼がぼくのハイソックスを咬み破るのを愉しんでいるのはたしかだった。
けれどもぼくのほうでも、彼にハイソックスを咬み破られるのが、気づいたら苦痛ではなくなっていた。

続きはきみの家でやるから・・・
そう言いかけたヨウタくんを押しとどめたのは、ヨウタくんのことを自分の弟だといった部員だった。
それは今度にしようよ。
おだやかにそう説かれて、ヨウタくんは比較的あっさりと、ぼくの家への訪問をあきらめてくれた。
貧血で頭がくらくらしていたぼくにとっては、ありがたい配慮だった。
けれどもヨウタくんは、ぼくにこう囁くのを忘れなかった。
これからは毎回部活のたんびに、僕とかけっこするんだよ。
それから、ライン入りのハイソックスを咬み破られて、生き血をチュウチュウ吸い取られるんだ。
ハイソックスが真っ赤になるまで、愉しむからね。
それからね。あんまり根をつめて練習しないことだよ。
まだお兄ちゃんの筋肉は柔らかいから、咬み応えがいいからね。
これ以上硬くなっちゃったら、僕、やだよ。
いいかい?運動はね、お兄ちゃんの血が美味しくなるためにやるものなんだ。
だから、だからね。これからは。
僕に美味しい血を吸わせるために、部活をがんばるんだよ。
そんな横暴な言い分に、ぼくは素直に肯いている。

つづきは、きみの家でやりたいな。
つぎの部活のとき。
やっぱりかけっこに負けてしまって、グラウンドに抑えつけられて、血を吸われたぼくは、
ヨウタくんの言いぐさに肯いて、彼のことを家に誘っていた。
その日はヨウタくんのお父さんまで、ぼくといっしょについて来た。
うちの父さんも、喉がカラカラなんだ。
きみの血を分けてあげるって約束したんだ。いいだろ?
年下のはずのヨウタくんは、ぼくの血を吸ってから、ぼくと対等に口を利くようになっていた。

顔色を悪くしたぼくと、ぼくの後ろに控えるもの欲しげな父と子を見た母さんは、
けげんそうな顔をしたけれど、それ以上なにも言わずに、ぼくたちを家にあげてくれた。
吸血鬼をいちど家にあげてしまうと、あとはいつでも入ってこれるようになる。
この街では常識になっているそんなことすら、ぼくたちの家は知らされていなかった。

じゃあさっそく、始めようか。
勉強部屋で3人きりになると。
父と子はお互い目配せし合うと、やおらぼくにのしかかってくる。
ぼくはどうすることもできないで、
ヨウタくんのお父さんに首すじを咬まれ、
ヨウタくんにはハイソックスを咬み破かれてゆく。

あっ。
お茶をもって現れた母さんがひと声叫んで、お盆に載せたお茶とお急須を畳に落とす。
それを合図にするように。
父と子とは同時に起きあがって、母さんのことを前後に挟んで、
ヨウタくんは後ろから母さんのことを羽交い絞めにして、
スカートのうえからお尻を咬んで。
お父さんは「息子さんの血をいただいてるよ。つぎはお母さんの番だよ」って、母さんの役割を教えてあげて、
そのうえで母さんのあごをグイとそむけて首すじをあらわにすると、あっという間にがぶり!と食いついていった。

ヨウタくんはすぐに、ぼくのほうへと戻って来てくれて。
再びぼくの血を吸いはじめると、しきりにお父さんのほうを指さしてくる。
指さしたほうでは、母さんが生き血を吸い取られ、白目を剥いて、
たたみのうえにひざを突いて、それから両手もついてしまって。
四つん這いになったふくらはぎに、ストッキングのうえから、ふくらはぎを咬まれていった。

吸血鬼が大人の女性を襲うとき、相手を犯すのがマナーだということを。
その日ぼくは、ヨウタくんとお父さんから視て教わるはめになった。
白目を剥いてよだれを垂らし、気絶してしまった母さんの上に。
ヨウタくんまでもがのしかかって、自分の女にしてしまった。
きみのパパには、内緒にしといたほうが、やっぱりいいよね?
ヨウタくんの入れ知恵に、ぼくは素直に感謝していた。

ひと月後。
ふとしたスキを突いて、父さんの吸血にも成功したヨウタくんのお父さんは。
それ以来三日に一度は遂げていた母さんとの関係を、父さんに教えてあげて。
父さんも潔く、母さんがヨウタくんやお父さんと交際するのを認めてあげていた。
ぼくはぼくで。
ふたりが白昼代わる代わる母さんを犯す、ポルノなシーンに焦がれてしまい、
母さんに内緒で、のぞき見をつづけるいけない男の子になってしまっていた。

都会から来たことを鼻にかけていた、ごく短い時間。
いまは都会育ちの母さんを気前よく差し出したことを、自慢に思うようになっている。


あとがき
母親とはふつう肉体関係はないはずなのに、
母親を犯されることに性的昂奮をおぼえてしまういけない嗜好のことを、「母親寝取られ」というそうです。
多くの男の子が母親に対して、妻よりも濃厚な感情を抱いているからかもしれないですね。

装う。

2017年06月30日(Fri) 08:06:06

真っ白なハイソックスを履いたふくらはぎを、吸血鬼に咬ませてやると、
まるで服装ごと辱められる、良家の子女になったような気分になる。
姉さんの制服を着て吸血鬼に襲われると、
まるで処女を奪われる女学生になったような気分になる。
母さんのストッキングを穿いて吸血鬼に咬み破らせてやると、
まるで母さんが痴漢に遭ってるような気分になる。
母さんの花柄のスカートを穿いて、股間の奥を侵されると、
しつけに厳しい母さんまで、堕落してしまったような気分になる。

すべてが実現したとき、ぼくは満足げな吸血鬼に囁いている。
家族がいっしょに堕ちてくれるのって、とても嬉しいものなんだね・・・

姉の制服を着せられて 気に入りのハイソックスを脚に通して・・・

2017年06月22日(Thu) 05:32:08

アツシが初めて吸血鬼に出遭ったときは、もう無我夢中だった。
全速力で逃げて、それでも肩をつかまれて、首すじを咬まれていた。
その場で足腰立たなくなるまで血を吸われ、芝生のうえに転がされて。
半ズボンの下、むき出しにしていた太ももを咬まれ、ハイソックスのうえからふくらはぎまで吸われてしまった。
気絶する寸前、ふくらはぎの上でうごめく男の唇が、ハイソックスの舐め心地を楽しんでいるのを、かすかに自覚しただけだった。

次に出くわしたときには、お互い暗黙の約束が出来上がっていた。
アツシは全速力で逃げ、でも公園のなかから抜け出すまえに肩をつかまれて、首すじを咬まれた。
芝生に転がされた後は、ハイソックスのふくらはぎをいやというほど愉しまれ、
よだれまみれにされたハイソックスに、くまなく牙を刺し込まれ、咬み破られていった。

初めて言葉を交わしたのは、やっと三回目のことだった。
「ボクの血、おいしいの?」
思い切って口火を切ると、相手は無言で激しく頷いていた。
「ハイソックス、好きなんだよね?」
恐る恐る問いかけると、やはり激しく頷き返してきた。
「ボクもハイソックス、好きなんだ」
でも、小父さんに破かれるのは、そんなに苦にならない――そう告げると、
男は初めてにんまりと笑いかけてきて、いった。
わしも、きみの足許をイタズラするのが、愉しくて仕方がない――と。
ウフフ、しょうがないなぁ。
アツシは笑いながら相手を咎め、そしていつものように脚をくつろげて、ハイソックスを履いたままふくらはぎを吸わせていった。

何度めか、やはり帰り道に出くわしたとき。
アツシはおずおずと、言い出した。
ねぇ、きょうのハイソックスは見逃してくれない?これ、気に入りのやつなんだ。
白地に茶色と赤のラインが走った、珍しい柄のハイソックスだった。
わかった――
男は手短かにこたえ、それでも少年の足許をねだった。
ウ、ウン・・・でも本当に、咬まないよね・・・?
男は応えずに、性急に足許をねだる。
確約の得られないまま、少年は気に入りのハイソックスを履いた脚を、男にゆだねた。

その日の舐めかたは、いままでになくしつようで、いやらしかった。
あっ・・・あっ・・・あっ・・・!
アツシはいつか、息をはずませ、声を迫らせて、男の劣情に応えはじめていた。
これってやっぱり、いやらしい・・・
ずり落ちかかった気に入りのハイソックスに、よだれをたっぷりと含ませられながら、
アツシは相手の男の熱情が、よだれといっしょに皮膚の奥深くしみ込まされるのを感じた。
破らせちゃおうか?やっぱり、破らせてあげちゃおうか?
足許に迫らせられた唇に惑いながら、アツシは男に尽くす行為を惜しみなくくり返す。
男はとうとう、ハイソックスのうえからは牙を立てないで、アツシとの約束を守った。

ねえ、きょうあたし小父さまと約束してるんだけど。
下校して家に着くなり、姉の涼子がいった。
小父さまとはむろん、アツシの血を吸っているあの小父さまのことだ。
処女の生き血を欲しがる小父さんのために、涼子をだまして公園に連れ出して襲わせたのは、つい先週のことだった。
涼子はアツシのさいしょのときと同じように、全速力で逃げ回り、肩をつかまえられて、
首すじを咬まれてしまっていた。
黒髪を搔きのけられながら悶える姉の姿に思わず発情してしまったのは、いまでも内緒にしている。
涼子もまた、アツシとほとんど交代に公園に出向いて行って、通学用のハイソックスを惜しげもなく咬み破らせる関係になっていた。

それでさ――聞いてる?
姉の話は終わっていなかった。
きょう、あたし、アレなんだよね。具合悪くってさ、気乗りがしないわけ。
弟は男のうちに入らないのか。涼子はしゃあしゃあと、生理で具合が悪いと弟に告げた。
だからさ、身代わりになってくれる?だいたい、あんたがあたしをあんなのに遭わせたのがよくないんだからね。責任取りなさいよ。
言葉の内容がきついわりに心に突き刺さらないのは、涼子が終始ニヤニヤしていて、面白そうにしていたからだろう。
ほんとうに生理で具合が悪いのか?ふとそう思ったけれど、あえて問いただそうとしなかったのは男の知恵というものだろう。
だからさ、あたしの身代わりになって――あたしの制服着て、逢いに行ってやってほしいのよ。

そうなるともう、逆らうことはできなかった。
母親の帰って来てない家のなか、姉貴は自分の制服を箪笥から持ち出して来て乱暴に折りたたみ、畳のうえに置くと、「着なさい」と命令した。
え?え?ボク女の子になるの?
さいしょのうちは目を白黒させていたアツシも、姉の制服におずおずと手を伸ばすと、あとはもう止まらなかった。
釦のつけ方が反対のブラウスを着ているときはまだ、めんどくさいなあとしか思わなかったけど。
紺のプリーツスカートを脚でまたぐようにして引きあげて、腰に巻きつけてしまうと、一気になにかが変わった。
紺のベストをかぶって、赤いリボンを胸元に拡げると、気分はもうすっかり女の子だった。
「ウン、似合う。アツシ女子の制服似合ってるよ」
さいしょはからかい口調だった姉の声色が、本気になっていた。
「あんた、たまに女の子になって小父さまとデートしたら?あたしの服貸してあげるからさ」
そこまで真顔でそういうと、姉はちょっとずるい顔つきになって、弟を視た。
「ところでさ、あいつ制服好きだからね。その格好で出かけていくと、あんたきっと犯されるよ」
え・・・?
姉貴はもう、小父さんで初体験を済ませていたの?
問いたくても問うことのできない問いを胸に抱えて黙りこくる弟を、涼子は面白そうに白い歯をみせ、さあ行きなさい、と促しただけだった。

それ、相性好いじゃない。
自分の部屋に戻ったアツシが、茶色と赤のラインの入ったハイソックスを履いて降りてくると、涼子はいった。
「お気に入りのハイソックス、咬ませてあげるんだ」
良いことだと思うよ。大事な日になるのだから。アツシの気持ちが伝わるんじゃないかな。
涼子は真顔で弟を視た。

想いはすぐに、相手に通じたらしい。
「今度は咬ませてくれるのかな?」
好奇心たっぷりに自分の足許を見つめながら身を寄せてきた吸血鬼に抱き寄せられながら、アツシは無言でうなずいている。
まさぐりの掌が太ももを這い、スカートのなかに這い込んで、股間をとらえる。
姉から借りたショーツのうえからしつようにくり返されるまさぐりに、ショーツが濡れた。
ククク・・・
男は嗤い、いつものように、少年の首すじに咬みついていった。
吸いつけられた唇の熱さに、アツシはうわ言のように、「あぁ・・・っ」と声を洩らす。
半ば開いた唇を、男の唇でふさがれて。
生温かい呼気を一気に喉もとまで吹き込まれ、目が眩んだ。
そこから先は、よく憶えていない。
ブラウスに着いた赤黒いシミを気にかけながら、男の言うなりになってうつ伏せになって。
お気に入りのハイソックスのうえから、唇を吸いつけられる。
この前と負けず劣らずの、しつこい舐めかただった。
破く前に、舌触りをたっぷりと愉しまれたことに、少年は深い満足を覚えた。
それでもことさら迷惑そうに顔をしかめて、「小父さん、きょうはちょっとやらしいよ」とわざとたしなめてみた。
それが相手の男をそそるのだという知恵は、女の知恵のはずだったのに。
いつのまにかそんなものさえ、身についてしまっていた。
脚をばたつかせながら、慕いつけられる唇をどうすることもできなくなって。
さいごには、ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたりに、がぶりと牙を埋められていった。
生温かい血がハイソックスの生地を濡らす感触に、少年は不覚にも射精をくり返していた――
その日、スカートの裏地に精液を吐き散らされながら、股間に男性の一物を食い込まされていった感覚を、アツシは生涯忘れないだろう。
いつか身体の動きを合わせ、女のように悶えながら。
アツシは吸血鬼の性欲に、心の底から応えはじめていったのだった。

お気に入りだったハイソックスは足許から抜き取られて、男のコレクションに加えられた。
大人になったいまでも時折訪れる吸血鬼の邸で、かつてアツシにまとわれた衣類たちが、姉の制服や、近々結婚することになった彼女のスーツに交じって、卑猥な意図で集められたコレクションの一部となって見せびらかされるのを、アツシは心の底から楽しみに感じている。

ある食物連鎖の風景

2017年05月15日(Mon) 07:34:30

学校から戻ると僕は、制服の半ズボンのまま、ハイソックスだけを履き替えて、小父さんの待つ公園に出かけていった。
小父さんは、ちょっとうらぶれた感じのする、サラリーマン。
ぼくの血を吸うために、仕事も早引けをしてくるらしかった。
きょうも小父さんは、ちょっとくたびれたような顔つきの下、同じくらいくたびれたようなネクタイを提げていた。
「ほら、履いてきてやったぜ。小父さんの好きなハイソックス」
僕はいつものように口を尖らせて、ぶっきら棒にそういった。
「どうせ吸うなら、自分の奥さんの血とか吸えばいいじゃん」
毒づく僕に、小父さんはぽつりといった。
「家内はぼくの血を吸った吸血鬼専属になっちゃったんだよ」
ええ~?
それって、まじかわいそうじゃん。
離婚しちゃったの?と訊く僕に、だいじょうぶ、離婚はしてないし夫婦仲もよくなってるから、と小父さんはこたえ、
そのうえで、でも喉をうるおすのはほかでしてくれって言われている、と、教えてくれた。
「ふーん、かわいそうなんだね」
僕の足許にかがみ込んで、ハイソックスをよだれで濡らすのを、僕はいつもより少しだけ長いこと、ガマンしてあげていた。

ハイソックスがずり落ちるまでしつっこく咬み破られながら、僕はふと思いついて、小父さんに提案した。
「今度、姉さんの制服着てきてやろうか?姉さん〇〇学園だから、学校指定のハイソックスを履いて通ってるんだ。
 それもいっしょに、くすねてきてやるから」
小父さんは僕と出会って初めて、活き活きと目を輝かせた。

初めての女装はぎこちなかったけれど。
公園で落ち合ってから別れるまで、さいしょからさいごまで、小父さんは僕のことを女子高生として扱ってくれた。
不思議な満足感を覚えた僕は、時々着てきてやるからって、約束してしまっていた。

制服を黙って借りていることは、姉さんにすぐにばれてしまった。
けれども姉さんは、もうじき卒業だしいいわよって、言ってくれた。
むしろ弟が自分の制服で女装して吸血鬼と逢っているというのが、面白くてならないようだった。

制服のスカートからにょっきり伸びた脚を大の字にして、ずり落ちたハイソックスもそのままに仰向けになっている僕の向こう、
勤め帰りの姉さんはスーツ姿を抱きすくめられ、小父さんに首すじを咬まれていた。
姉さん、処女だったのかな?って。吸血鬼の代わりに心配しながら、
僕は心地よい貧血に身をゆだね、姉さんを救い出す努力を意図的に怠っていた。

「裕子さんの献血、ぼくも認めることにしたよ」
姉婿になる人は、苦笑いしながらそういった。
「でもショックだったなー。処女まで献上する羽目になるとは」って、ただならぬことをさりげない口調でいい流しながら、
それをきき流そうとしている僕を横目に、さらに聞き捨てならないことを口にした。
「代わりに、きみに彼女ができたなら。ぼくに紹介してくれないか?」
首すじに僕と同じ咬み痕をつけたお兄さんに、僕はぶっきら棒に「いいよ」って、答えてしまっていた。