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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

新学期

2005年08月31日(Wed) 18:47:17



指折り数えると、まずまずの収穫だった。
夕べ襲った少女も身持ちの確かな娘のようで、
純潔な血潮のしなやかな喉越しがいまだに心地よかった。
さいきんの女の子は行儀が悪いので、処女の生き血にありつくチャンスはけっこう少ない。
ところもおなじ公園のこのベンチで抑えつけた少女。
振り乱された長い髪の匂いさえもが慕わしかった。
その香りの持ち主が、いまちょうど道の彼方から姿を現す。

白のブラウスにチャコールグレーのスカート。
黒い革靴に、発育のよいふくらはぎには白のハイソックス。
身だしなみのキッチリとしたふだん着姿なのに、吸血鬼は早くも昂奮に喉を引きつらせている。
キッチリとした服装を乱してゆく。
そんなけしからぬ嗜好を理解してくれた彼女は、わざとそんな装いに身を整えて、でかけてきてくれたのだ。

促されたベンチにすぐに腰をおろさずに、少女は彼の前に佇んだ。
「そんなに私の血が欲しいのですか?」
不機嫌そうな、咎める口調。
「エエ、さっきからずっとお待ちしていたんですよ。四時のお約束でしたからね」
几帳面な性格らしく、少女は腕時計に目をやって、眉をしかめた。
五分の遅れはためらいから生まれたのだが。
それでもすまなさそうに、
「ごめんなさい」
礼儀正しく、頭を下げる。
まじめな子なのだな。
フッとよぎる好感は、そのまま少女にも届いたらしい。
心を開きかけたまなざしが、いっしんに注がれる。
それでもやはり、血を吸われるのはしんそこイヤなのだろう。
若代は困ったように立ちすくんでいる。

「もう、これっきりにしてくださいね。私の血、飲み物じゃありませんから」
親に無理強いされて言わされているみたいなぎこちない声色には気づかないふりをして、彼はともかく少女をベンチに座らせる。
「もちろんですよ。あなたがお望みにならないかぎり、私はすぐに手を引きます」
「そうお願いしたいわ」
少女の硬い声をかいくぐるように、吸血鬼はハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけようとする。

二つ折りに折り返された部分にラインが三本、少女のひざ下を引き締めるように横切っている。
少女は手を伸ばして折り返しをめくって、ラインの部分でひざ小僧を覆うようにした。
きっちりとしたラインの入った折り返しは、赤黒くつけられたシミをうまくおおい隠してくれるだろうか。



久しぶりの教室は、堰を切るような喧騒に包まれていた。
女の子ばかりといっても、かえってそうであるがゆえのかしましい世界。
もっともふしだらな女の子は自分たちのグループを作って、男遊びに現を抜かした夏休みを語り興じている。
越水若代のグループは、どちらかというと優等生タイプの少女がそろっていた。
もとクラス委員の清野まゆみは新学期よりも格段に長く伸びた髪の毛をおさげにまとめて、胸元まで垂らしていた。
「あのね・・・絶対ナイショだよ?」
はにかみながら、そういうときのクセで彼女は口許を手でおおいながら話し始めた。
「私この夏休みにとうとう、ヤッっちゃった」
「ええー!?だれと?」
彼女が中学に入ってすぐ親類の梅宮と婚約していることはみんなが知っている。
しかし真面目で淑やかな少女が口にしたのは、べつの若者の名前だった。
「ええっ?だって梅宮さんがいるじゃないの」
「ナイショよ?ナイショよ?絶対黙っていてね・・・」
手を合わせてオネガイしているわりには、愉しそうじゃないの・・・
若代はあくまでも冷淡だった。

まじめなグループだった仲間うちでも、彼氏がみつからなかったのは若代を含めて三人だけだった。
しかし彼女は言ってしまった。
「最後の最後にね・・・」
「若代が?」「うそぉ」
日頃の鉄火な態度を知っているだけに、誰もが本気にしなかった。
ほかの二人などは、若代はそういうほうに走らないだろうとあてこんでいたらしく、ショックを受けたようだ。
こういう信頼は喜ぶべきことなのだろうか?
ちらっとそんなことを思いつつも彼女は
「本当だったら。ウソだと思うなら、紹介してあげようか?」
誰もがほとんど好奇心から、若代の彼氏に会いたがった。



はだけたブラウスの襟首をさらにかきのけるようにして、彼は胸の奥にまで手を差し入れてくる。
その手を、少女の手が上から押さえつける。
「だめ。」
ちょっと血の気をなくした口が開いて、機械的な冷たさで彼女は拒んだ。
いつもそうやって、にやけた申し入れを拒否してきたけれど。
彼女の掌の下でブラジャーの上から巧みに加えられるまさぐりまでも拒みとおすことは、今の若代にはできなくなってしまっている。
吸血鬼の唇はさっきからうなじにべっとりと貼りついて、キュウキュウ音を立てて若代の血を吸いつづけていた。
ハイソックスの片方は半ばずり落ちて、ふしだらにたるんで波を打っている。
彼女のささやかな工夫はむなしく、撥ねた血潮はくるぶしや足の甲にまで散らされていた。
そんなことも、いまの彼女には苦にならない。
もう片方のハイソックスはまだ元通りひざ下までを覆っていたが、ふくらはぎの一番肉づきのよいあたりに赤黒いシミがべっとりと滲ませてしまっている。
イタズラしたいとせがまれて、ハイソックス越しに牙を刺し入れることを許してしまっているのだった。

「もう・・・いいかしら?」
恋人に声をかけられて、吸血鬼は初めて我に返ったように唇を離した。
そして、ためすように彼女の顔色を窺う。
一重まぶたで切れ長な目が、彼を振り返っていた。
頬はさすがに青白く、彼の渇きのために彼女が喪った血の量がかなりになることが容易に分かる。
「やっぱり、もう少しだったら、いいわよ」
少女はじぶんから、うなじにかかる髪の毛を振り払った。
彼がふたたび傷口を吸い始めると、若代は脚ともでくしゃくしゃになったハイソックスに気づいたように苦笑いをする。
「あんまりいっぺんに何足も破いちゃったら、ママにばれるわ。今度逢うときは黒のストッキングでもいいかしら?」
もう逢わない。
そういった気位の高い少女は何処に行ったのだろう?
「衣替えまで、逢わないつもり?」
吸血鬼はたたみかける。
少女はゆっくりとかぶりを振った。
「お友だちがね、あなたに逢いたがっているの。私に彼ができたっていっても信じてくれないのよ」
少女は初めて、白い歯をのぞかせてニッと笑った。
「信じさせてあげてくれる?」

~2005年8月31日掲載~

夏の終り

2005年08月31日(Wed) 13:48:28

露出度いっぱいの服着て街を歩いたり。
新調のビキニで浜辺を歩いたり。
それでもこの夏、声をかけてくる男の子はとうとう現われなかった。
どうして、私ばっかり・・・

越水若代はちょっと、ご機嫌ななめだった。
明日から新学期。
たまっていた雑用を片づけているうちに、夏休みの最終日も終わろうとしている。
さすがにおめかしなんかしているゆとりはなく、空色のTシャツにデニムのスカート、白のハイソックス。
きびきびとした歩き方に、負けず嫌いな性格があらわれていた。
ミッちゃんも、小夜子ちゃんも、彼氏ができた。
沙耶香ちゃんは若代が行ったつぎの週に出かけたおなじ浜辺で知り合った子たちと合コンしていた。
そのあと乱交パーティーみたいになってしまったというが、
なにもないよりはるかにマシだ。
どうして私ばっかり・・・
知らず知らず、プッとふくれっ面になってしまう。
じつは、その怒り顔が彼氏を逃しているかもしれないのだが・・・

腰かけた公園のベンチ。
美智子やユリと待ち合わせをしていた。
ここはちょっといわくつきの公園で、声をかけられて発展したカップルが多いらしい。
けれどもさすがに8月の終わりともなると、やり残した宿題に追われているのか、それらしい男の子すらまれだった。
もう少し都会だったら・・・
もっと生活の乱れた若者がたくさん、たむろしているだろうけれども。
そういうところだとかえって逃げ出してしまうような小心さを、若代自身がもっている。

「?」
ふくらはぎの裏側に、ひやりとしたものを感じる。
さいしょは涼しくなりかけた風のせいだろうと気にとめていなかったが、その冷ややかなものはさっきから、意図を持ったようにハイソックスの向こう側から若代のふくらはぎを舐めつづけていた。
「な、何よ!?」
さすがに声をあげたそのときに、ベンチの下から腕が二本ぬうっと伸びて、若代の脚をつかまえた。
「ひっ・・・」
ぬるぬるとした赤黒い唇がハイソックスの上から押し当てられる。
硬い異物が注射針のようにむぞうさに皮膚を破るのを、若代は覚えた。
「あうぅ・・・っ!」
もう、遅かった。
しがみつくように絡みついた腕のなか。性急に這い回る掌と唇に、まっ白なハイソックスがくしゃくしゃにされてゆく。
じわじわと血を抜き去られてゆくのを、ありありと感じながら、どうすることもできない。
「あっ。ああぁ・・・っ・・・」
頭が、ぼうっとなってきた。
公園に出没する吸血鬼の噂を、今さらながら思い出す。
夜道を行く制服姿の女学生とか、法事帰りのブラックフォーマルのご婦人とか、
どちらかというとそういう地味で上品ななりをした女ばかり狙う・・・という。
彼女たちが脚を通しているハイソックスやストッキングにご執心なのだ。
執拗にあしらわれたハイソックスに、血とも唾液ともつかぬ液体がぬらぬらと重たく沁み込んでいた。

ちゅうちゅう。ちゅうちゅう。
ひそやかな音の連続に耐えかねたようにして、失血で力の抜けた体が平衡を失った。
怪人の体重が足許からせり上がってくるのを感じながら、彼女は横倒しになったまま、目の前をみじかく刈り込まれた芝生が微風に揺れているのをぼんやりと見つめていた。
ぬるりとした唇がうなじに吸いついて、
がりり・・・。
牙がふたたび刺し入れられる。
血潮を引き抜かれる感覚にくらくらめまいを覚えながら、若代はひたすらくり返していた。
どうして私ばっかり・・・



負けず嫌いな彼女としては彼氏なしに新学期を迎えてクラスメイトと顔をあわせるのはガマンならなかったことでしょうけれど・・・

妻を捧げる夫たち

2005年08月30日(Tue) 06:31:37

「とうとう差し出しちゃったよ^^;」
久しぶりに帰京すると、イトコの初夫は照れくさそうにそう囁いた。
「この前海外出張に出たときにさ、お願いしちゃった」
意外にサバサバとした調子だった。
評判の美人を嫁さんにして、愛妻家で知られた彼。
そんな彼が奥さんを吸血鬼にゆだねたというのだ。
それもかなり徹底したことに、吸血鬼に別宅に住まわせてしまっているのだという。
身の回りの面倒から性欲処理にいたるまで、夫婦どうぜんに暮らしているというのだ。
「寂しくないかい?」
と訊く私に、
「最近帰りが真夜中でね。会社とかカプセルホテルに泊まることも多いんだ。土日には帰ってくるから、夫婦の愛に変わりはないぜぇ」
なんとも、あっけらかんとしたものだ。
どちらかというと潔癖な男で、女遊びひとつしない有名な堅物だったのに、四十をすぎるとこうも変わるものなのだろうか。
もちろん親戚でそんなことを知るものはいない。
ごく内輪の連中にさえ、不仲になって一時別居している、なんて言っているそうだ。

週末に逢うときには、奥さんの淫らな遊戯の話題で持ちきりだという。
そういうときにはとりわけ燃えるんだ、と自慢する彼。
時にはカタキ同士であるはずの吸血鬼ヲさえ交えて、夫婦の営みを愉しむのだという。
同年代のはずなのに、面立ちがひどく若返っていた。

すべて捧げる、ということに、いわくいいがたい歓びを感じます。
最愛の人を共有している、みたいな。
彼女のことをボクと同じくらい彼が愛してくれている、というのがむしょうに嬉しくてね。
やめられない関係です。
そんなふうに、告げる彼。
―――令夫人をメカケに差し出したわけだね?
ちょっと刺激的な表現を使ってやると、むしょうに上機嫌になって、不思議なのろけ話?にますます拍車がかかった。

私はといえば。
夫婦の愛が冷めかかってきた結婚十年目。
そろそろ妻にも愛人を・・・と思っていた。
単身赴任がきまったとき、思い切って実行に移した。
信頼できる男性に、妻の誘惑を依頼する。
できれば私とウマが合い、妻とも相性の良さそうな人物がのぞましい。
幸か不幸か。
そんな条件に、このうえなくふさわしい人物が、ごく身近にいる。
母の愛人。それも父公認の。
人の生き血を嗜むという、この世のものではない男。
私の実家に通いつめて口説きつづけ、とうとう母をモノにしたという男。
貞淑な上流夫人だった母は吸血鬼な彼に血を吸い取られて理性を奪われ、自ら望んで貞操を喪った。
以来父の多忙で隙間風のさしかけた夫婦仲はそれまで以上に深まっている。
あてがわれた若妻の生き血に、彼が悪い顔をするわけがなかった。
以来赴任中はずっと、妻の操を彼に盗み取らせている私。

その晩終始ニヤニヤして耳を傾けているだけだった妹婿も、じつは妹のことを寝取らせている。
妹との交際が始まったときにはもう、彼女はセーラー服の襟のすき間からたっぷりと処女の生き血を吸い出されていた。
母を熱愛している彼にとって、母親似だった妹はまたとない獲物だったのだ。
評判の美人で引く手あまただった妹は、吸血鬼に処女を捧げることと結婚後も交際を認めることを条件に、はじめてプロポーズを受け入れた。
披露宴のあと花嫁の純潔をムザムザと吸血鬼に譲る羽目になった彼は、ホテルの部屋の外で待ちぼうけを食わされていた。
そのときうなじのつけ根にどす黒い痣をつけた彼の横顔に奇妙な愉悦の色が滲んでいたのを、私は忘れることができない。

留守宅の妻を盗み取らせている男と、妻を相手の男性の妾として差し出した男。それに花嫁の純潔を譲り渡した男。
なんとかの背比べ、かもしれないが、ありようの違いは夫婦間にある愛情の質にも関係するのだろうか。
いまではごくニコヤカに私を迎えるようになった妻。
彼に抱かれにいくときに自宅をあとにする後ろ姿をいとおしく感じるようになったのは、貞操喪失をすませてすぐのことだった。

あとがき
直接の登場人物はすべて男です。
女性を抜きにしての奥さんの浮気自慢、って案外愉しいものですよ。^^
突極の猥談かもしれません。(笑)

幻覚

2005年08月30日(Tue) 01:06:49

かわるがわる差し出されるハイソックスの脚に、吸血鬼は順繰りに唇を這わせていった。
「あ・・・っ」
「ウウ・・・っ」
少女たちの洩らす低い呻き声が、細めに開かれたドアの向こうから覗いている彼の耳を妖しく突き刺す。
それもそのはず。
右側の長い髪の毛をストレートに肩に流している少女は彼の妹。
その傍らで三つ編みのおさげを揺らしながら愉悦に耐えているのはほかならぬ彼の婚約者だった。
ふたりの少女はなかばはしゃぎながら、飢えた牙にふくらはぎをゆだねて、真っ白なハイソックスにばら色の血潮を惜しげもなく撥ねかしてしまっている。

おそろいの制服姿。
ふたりは仲のよいクラスメイトだった。
妹のほうが、兄の婚約者を誘ったらしい。
やや蒼ざめた頬にせいいっぱいの笑みを浮かべながら、妹のユリは気前よく処女の生き血を振舞ってしまっている。
そしてその雰囲気に圧されるように、許婚の恵美子までもが戸惑いながらも素肌をあらわにしてゆく・・・
いつしかそんな光景を、陶然として眺めてしまっている真沙雄がいた。

ふと、肩に置かれた手に気づく。
ほっそりとした指からは、体温が感じられない。
振り向いた鼻先に、満面に笑みをたたえたユリの蒼い顔があった。
真沙雄はぞっとした。

ユリは心持ち小首をかしげ、兄を横目でみた。
なにか冷静に、兄を観察しているような、目。
「あの子は何を考えているのかわからない。」
そういって、薄気味悪そうにユリを見るものも周囲に少なくない。
けれどもなぜかウマの合う兄妹だった。
「ご覧になっていたのね」
いつもとかわりない冷ややかな目線に、なぜか吸い込まれるようになってしまう彼。

もういちど彼は振り返り、応接間のほうへと目をやった。
しかしそこにはまごうことなく、彼の婚約者も、妹も、じゃれ合うようにして初々しい肢体を吸血鬼と絡めあわせている。
幻覚。
もちろん、そうにちがいない。
妹が吸血鬼とひそかに交際していることを、彼はよく知っていた。
そんな不可思議な雰囲気をたたえる妹はともかくも、
品行方正な学級委員である恵美子までもが吸血鬼と戯れあうはずがない。
しかし、目の前の光景はあくまでリアルに展開している。
恵美子はいつも彼を家に迎えるときにみせる淑やかな笑みをたたえながら、自分の手でスカートをたくし上げ、ふっくらとした太ももを吸血鬼に見せびらかしている。

「兄さん、ゴメンね」
じいっと兄を見つめながら、ユリは言った。
兄の許婚を吸血鬼に引き逢わせてしまったことを詫びているらしい、と、すこし間をおいてやっと得心した。
けれども妹の口調は、あまり済まなさそうな感じではない。
「ねぇ、見て」
促されて視線を応接間に戻すと、彼はアッと声をあげた。

そこにはもはや妹の姿はない。
いまはただひとり、恵美子だけが吸血鬼の相手をしている。
ころころと虚ろな笑い声をたてながら、執拗な唇をうなじに吸いつけられてゆく恵美子・・・
恵美子は、犯されようとしていた・・・

しどけなく制服の襟首をはだけながら、じゅうたんの上に組み敷かれ、抱きすくめられてゆく恵美子。
三つ編みのおさげをはね上げられてスッキリとあらわになった首筋には、血に飢えた唇をヌメヌメと、ヒルのように這わされてしまっている。
あぁ・・・
それだというのにどうして、恵美子はあんなにウットリとした顔をして、あんなふうに口許から白い歯をのぞかせているのだろう?
しくっ。
彼の股間に、妹の手があてがわれる。
「昂ぶってる・・・」
異常な光景に逆立った兄の隆起に、ユリはズボンの上からなぞるように触れてゆく。
さっき、たしかに妹は二人いた。
応接間で戯れるユリと、音もなく彼の傍らに立ったユリ。
どこまでが幻覚で、どこまでが真実なのか。
しかし、セーラー服を徐々に剥ぎ取られ、素肌をあらわにしてゆく婚約者のようすは、もはやただごとではなかった。
濃紺のプリーツスカートの重たいひだはすっかりたくし上げられてしまっている。
わずかに白のスリップが一枚、彼女の太ももをおおっているだけだった。
吸血鬼は長い爪をきらめかせ、スリップの前をスーッと縦に引き裂いた。
「いいよね。兄さん。昂奮できるんですもの」
ユリの掌のなかで、彼自身がいっそうそそり立っている。
「見て見て。恵美ちゃん。純潔を穢されてしまうんだわ・・・こともあろうに兄さんのまえで」
やめろ・・・やめてくれ・・・
カラカラに引きつった彼の喉から、声が洩れることはなかった。
セーラー服の上から我が物顔に蹂躙されてゆく初々しい胸。
懇願はいつか嫉妬と妖しく融けあって、ゾクゾクするような衝動に取って代わっていた。
おれはどうしてこんなときに、歓びを感じるのだろう・・・
そう思ったとき、吸血鬼の逞しい腰がまだスカートを履いている恵美子の太ももの奥へとせり上がり、沈み込んだ。
真っ白なハイソックスを履いたまま、少女はすらりとした脚をギュッと折り曲げる。
お行儀よくひざ下までぴっちりと引き上げられたハイソックスは、荒々しい上下動を繰り返すたびにすこしずつよじれ、ずり落ちていく・・・

愉悦に浸り始めているうら若い女体に冷たく注がれる視線。
親しいクラスメイトで未来の兄嫁。
ユリは憎んでいたのだろうか・・・?
しかし少女の瞳はあくまでも澄んでいて、恵美子の受難を心から祝福するように生気を弾ませていた。

夏休みの日記

2005年08月29日(Mon) 23:11:10

7月×日
同好会があった。きょうは本物の吸血鬼が来るので、新入生は血を吸われることになっている。
新入生は十七人。
わたしもそのなかの一人として、血を吸われちゃった。
首筋に咬みつかれたときの、ずずぅーーん、っていう感じが忘れられなかった。
血を吸われたあとは、みんな制服とかに撥ねた血を洗い落とさないで下校するのが規則になっている。
ハイソックスの子はところどころ血をにじませたまま、ストッキングの子は破れたまんま、履き替えたりしないで下校していった。
セーラー服に血をしたたらせたまま家に戻ると、母さんがそれをみて「よかったわねえ」といって、赤飯を炊いてくれた。
初めて生理になったときもそうやってお祝いしてもらった。
母さんの首すじにも、黒っぽいアザがかすかに浮き上がっている。
ハイソックス越しに私のふくらはぎにつけられたのとおなじ種類のアザ・・・
母さんも経験者。安心していいのかな。

7月▲日
私の血を吸った吸血鬼が家までやって来た。ビックリ。
もっとビックリだったのは、あの日私の履いていた靴下が気に入ったっていうこと。
十七人分、だれがどんなのを履いていたのか、全部覚えているんだって。\(◎o◎)/!
厚い薄いはもちろんのこと、織り目の深さや材質、古び具合までしっかりと味わうなんて、あまりにもマニアックすぎる!
初めて咬まれた記念にとってあるそのときの靴下は、都会の私立中学に通っていたときに毎日履いていた指定のハイソックス。たんすのひきだしから取り出してみると、咬まれたときそのままに、赤黒いシミがじっとりと浮いている。
まだいっぱい持っているので、きょうも履いてあげた。

8月×日
東京から早紀とミチルが遊びに来た。
頼んでおいたハイソックスも、なんと十足も買ってきた。
「ハイこれで一万円ね」とミチル(ひどすぎるー!(>_<))。
でも、これからお願いすることを考えれば、まあいいか。。。

8月◇日
今夜は村祭り。
おそろいの制服で見に行こうよ、って誘った。
早紀とミチルには、制服をもってきてもらっていたのだ。
浴衣を着たがる早紀をなだめすかすのが大変だった。
お祭りはひと晩じゃないからって・・・
久し振りの××(校名)の制服。なつかしかった。
三人肩を並べてハイソックスの脚で連れだってあるいていると、熱~い視線がほうぼうから注がれる。
ふたりとも、そんなことには気づいていないみたい。
風祭クンの家にお呼ばれして、そこで待ち構えていた男の子たちに、三人とも襲われて血を吸われちゃった。
もち、ハイソックスのふくらはぎにも咬みつかれて。
風祭クン、ぎゅうぎゅうとわたしの血を吸いあげるものだから、目が回った。
ほかの二人はもっとだったみたい。
でもさいごのほうではふたりとも結構ノッちゃっていて、ハイソックスに血を撥ねかしながらはしゃいでいたから、まぁ成功かな?

8月○日
夕べも村祭り。
早紀もミチルも専属?のお相手ができた。
お祭りが果ててからも戻ってこなくて、朝になってやっと戻ってきた。
早紀の浴衣にも、ミチルのTシャツにもびっしりと黒っぽいシミやら雑草やらがくっついていたけれど、そんなこと気づきもしないという感じで、ふたりともぼーーーーっとしていた。
服を洗濯してあげるときに気づいたけれど、ふたりの下着にはぬるぬると赤や白の体液がにじんでいた。
早紀のほうのがハデだった。かわいいと、一人じゃすまなかったりするし。^^;
大変だーーー! 疲れるんだよ、なん人も相手するのって。

8月▲日
夕べ二人は夕ご飯が終わるとふらふらとどこかへ出かけてしまい、結局ひと晩もどってこなかった。
「あらあら、おふたりとも藁くずたくさんつけちゃって。野宿でもしてきたの?」
母さん、やめなよ。ミエミエだって・・・

8月×日
お昼にふたりとも都会に帰っていった。
ミチルはいいにくそうに、
「処女じゃないんだー、私。悪いことしちゃった・・・今度おわびに加恵ちゃん連れてくるから」
加恵ちゃん、まだ小学生だよね。(-_-;)
早紀がウキウキと、
「また、会おうね。こんどは秋祭りかな?今度はママのこと連れてくるから」
早紀の彼氏になった吸血鬼、人妻さんも大好物なんだって。^^;

あとがき
なーーんのオチもないお話です。
村に移り住んだ都会育ちの少女が理性をすっかり犯されて、妖しい村祭りにクラスメイトを招待してしまう、というストーリー。
林間?されちゃったらしいお友達も、どうやら洗脳されてしまっているようです。
そういえば、血を吸われて下校してきた娘のために赤飯を炊くお母さんも、相当ヘンですよね~。^^

かえり道

2005年08月28日(Sun) 23:14:05

美智子は両手で口を抑え、縮み上がっていた。
公園を横切っての帰り道。
部活動が遅くなり、近道をしたのがあだになった。
ある時間帯に出没する吸血鬼。
噂ではきいていたけれども、まったく嬉しくない初対面だった。
制服姿にそそられたのだろうか?
そんな。あんまりだ。だって、下校途中だっていうだけなのに。

「美智子?美智子?」
足音が、後ろから駆け寄ってくる。ユリだった。
「ああ、この人ね。だいじょうぶ。友達だから」
ユリはゆっくりとふたりを見比べながら、つぶやくようにそういった。
いつものような、低くて冷たい声色で。
そういってユリは、若い吸血鬼とクラスメイトとを公園のベンチへとうながした。

いつも口数が少なく、目を伏せるようにして話すユリ。
意外に気が強いことを、親しい美智子は知っていた。
(こういうひととも、あなたお友達になれるわけ?)
なにもかもが意外な美智子。
そのまえでユリはこともなげに制服のスカートをたくし上げる。

押しつけられる唇。チリチリと裂け目を広げるストッキング。
そんなようすを騒ぎもしないでじいっと見つめるユリ。
足許にうずくまる吸血鬼が自分の血を吸い取ってゆくありさまを、口許に薄ら笑いさえ浮かべながら冷ややかな目をして観察している。
吸血鬼よりも、クラスメイトの少女のほうがえたいの知れないもののように感じるひととき。
「さぁ、次はあなたの番よ」
ユリは白い目をしてそういった。
「無理にとはいわないけれど、協力してくれる?」
えっ?えっ?そんな・・・っ!!
あれよあれよ・・・という間に、ストッキングを履いたままの脚に刺し込まれてくる牙。
じぃん・・・と響くような疼きが素肌に滲み、美智子も理性を宙に舞わせてしまう。
・・・・・・!
めくるめくひととき。

「泣かしたぁ。」
ユリは吸血鬼にむかって口を尖らせた。
「ひどいじゃないの。大切なお友達なんだから」
ぷっと頬をふくらませるユリに、吸血鬼は決まり悪そうにして身をかがめている。
「いいのよ」
泣いていることさえ、自覚していなかった。
美智子の目線はいつかウットリとなっている。

ベンチに腰かけた女の子たちはいつものように雑談に興じている。
・・・かわるがわるストッキングの脚を吸血鬼に吸われながら、
「もうじき、夏服よねえ」
入学式に黒のストッキングを履いていった名残りで、いまだに毎日のようにストッキングを脚に通しているユリ。
それがお嬢さんのようにとても上品にみえたので、美智子も真似をして、いつもストッキングで通学していた。
それも5月いっぱいまでだろう。
(今夜は二人とも、おそろいのストッキングをチリチリにされてしまっていたが。)
「ハイソックスも好きなんだよ、このひと」
「あまり持ってないのよ・・・こんど買おうかな」
「そうね。よかったら咬ませてあげて」
「若代ちゃん、よく履いているよねぇ」
「こんど連れてきちゃおうか」
さりげない口調のまま、会話はとんでもない方まで発展している。

「さぁ、これ以上はあぶないわ。貴方ももう、ほどほどになさってね」
さっきから美智子の顔色をうかがっていたユリは無理やり、ふたりを引き離す。
引き抜かれた牙の引力がまだ素肌の奥に残っているような残り惜しさを訝しく思いながら、美智子はうながされるまま公園をあとにする。

キイキイと音をきしませながらブランコが揺れている。
慣れてくると、ブランコに座りながら脚をイタズラされても平気になっていた。
「どお?気に入ったかしら、私のお友達」
吸血鬼は答えずに、さっきからキュウキュウとあからさまな音を立てて少女の血を吸い上げている。
さすがのユリもだんだん、顔が蒼ざめてきていた。
「ちょっと。吸い過ぎよ。吸・い・す・ぎ・・・っ」
ふらりと頭を揺らして、ユリはブランコから転げ落ちていた。
うなじにかかる熱い息遣い。
ケモノみたい・・・
うなじのあたりいずぶりと突き刺さる牙に目を回して、ユリは意識を失った。
うつろになったユリのうえで、キイキイと無機質な音をたてながらブランコが揺れつづけている・・・

教訓にならない教訓
悪友にはつねに気を許してはなりませぬ。^^;

妻の自室

2005年08月25日(Thu) 08:38:06

妻の自室。
窓辺にゆらめいた人影が、ガラス戸を透すようにして室内へと侵入する。
「あらぁ」
夢から醒めたような声の妻。顔つきはあべこべに、夢見心地にとろんとなっている。
「お嫁さんの血をいただいてきたよ」
「ズルイ」
妻はむくれたように、口を尖らせる。
「若い子の生き血は・・・なかなか・・・」
「いけ好かない」
これ見よがしに口許を撫でる吸血鬼に妻はむっとしたようだ。
「そういうマネなら、敦夫のほうがウケるわよ」
「これはまた、つれないな・・・」
迫ってくる吸血鬼をさりげなくかわしながら、
「アラ、まだご満足いかなくて?」
「行かない分は姑が介添えするものだろうな」
吸血鬼は性急に息を乱しはじめて、
「若い子の生き血は・・・催淫剤なのだよ」
そういうともう、妻に抱きついてしまっている。
肩にかかる息に戸惑うそぶりをしながら
「あの・・・私、いちおう夫がいるのですよ」
妻の言い草に、吸血鬼はいっそうそそられた様子だった。
「いいではないか・・・」
いつの間にか黒のマントが、小ぎれいに装った妻を覆い隠していく。
・・・・・・。
・・・・・・。

教訓
自分に溺れない度量のあるオトナな女性の浮気は、公認する値打ちがある(ホントかな?^^;)

妻のご機嫌

2005年08月25日(Thu) 07:52:40

このところ、妻はご機嫌がよくない。
いつもそわそわと落ち着かなくしているし、ちょっとしたことでも日頃のつつしみをかなぐり捨てて人に当り散らすのだ。
「母さん、もしかしてアレかなぁ」
息子はそんなフラチなことさえ私に囁くようになった。
それが聞えたか聞えてないのか、妻の罵声は息子にも及ぶ。
「敦夫ッ!?あなたどういう靴下履いているの?」
息子の足許をみると、半ズボンの下にはあきらかに女もののハイソックスを履いている。
さいきん色気づいてきた彼は、平気で姉のハイソックスや母親のストッキングを脚に通して履くようになっていた。
「あぁ、これ?似合うだろ?律子さんのだよ」
婚約者の名前を口にして、恐れ気もなくしゃあしゃあと応える息子の度胸をほめたものだろうか?
「まったく、貴方っていう子は・・・」
あなた、なんとか言って頂戴!というひと言はかろうじて呑み込んだらしい。
妻が情事に耽る前、情夫のために彼女のストッキングを脚に通すこともある私。
血を吸い取られてふらふらになった私の前で、妻はいつも嬉々として婦徳を穢してしまっているのだから。
妻はちょっと胸のあたりを押さえてひと息つくと、
「で、敦夫さん、律子さんとはどうなっているの?」
いつもの「さん」付けに戻ったあたり自制心を取り戻したものか。しかし息子はもっとしゃあしゃあと、
「律子さん?きょうは吸血鬼のおじさんに血を吸われにお邪魔しているはずですよ。お邸に」
「え、え、ええ~っ!!?」
取り戻しかけた自制心をふたたび失った妻。
「だって、処女の生き血を望まれたんです。もちろん喜んでオーケーしたんですよ。我が家の嫁のしきたりではないですか」
ばか丁寧に受け答えする息子に、妻はなにか言い捨てて、二階の自室にこもってしまった。

供血に耽る恋人に新たな魅力を覚えた、という息子。
ほかの男の腕のなかで夢中になって身をそらしている様子が、なんだかたまらない、という。
マガマガしさの色濃く漂うそんな告白に、にやりと頷いてしまう情けない私・・・

夕方。
妻はそうっと自室のドアをひらき、足音を忍ばせて階段を降りてきた。
白い丸顔にはいつもの優しい笑みとゆったりとした物腰がみごとにもどっている。
「ごめんなさいね。このところ。なんだか落ち着かなかったの・・・」
お嬢さんみたいにしおらしく、決まり悪げに許しを乞う妻を、私はいつものように笑って許している。
だって、妻はさっきからえり首を掻き合わせるようにしてウキウキしているのだから。
ちょっと乱れた黒髪。
不規則な水玉模様を散らしたブラウス。
ぴっちり伝線を走らせたストッキング。
スカートの裏地にぬらぬらねばりつけられているであろう白く濁った体液をさえ想像して、私はぞくり、と恥知らずな昂ぶりを覚えている・・・

教訓
奥様がふだんよりイライラしていることはありませんか?
そういうときの特効薬はアレかも。です。
投与が遅れると、よそで「治療」されちゃうかも・・・ですね。ご用心、ご用心。^^

逆らえない私

2005年08月25日(Thu) 07:31:31

「美味しいわ。とっても」
闇の中に浮かび上がる美貌は、小憎らしいほど蠱惑的な笑みをたたえている。
優美で酷薄な感じのする唇に、べっとりと血のりをしたたらせながら。

一見優しそうな色を湛えた瞳が、じいっとうなじのつけ根に注がれている。
自分の牙でつけた傷口を小気味よげに観察しているのだ。
「いい切れ味ね。われながら・・・」
「ゆ、悠紀乃さん・・・」
相手の名前を口にしながらも、どうすることもできない私。
悠紀乃さんはかまわず唇を押しつけてくる。
「うぅん・・・いいわね。とてもいい・・・」
眩暈に似たぐるぐるとしたものを覚えながら、私の唇もひとりでに動きはじめる。まるで催眠術にでもかかったかのように。
「そう・・・それはよかった。気に入ってもらえて嬉しいよ」
「そお?」
悠紀乃さんは上目遣いに私をみて、面白そうに笑う。
「じゃあ、貴方の血を全部、私にプレゼントしてくださる?」
吸いつくされてしまっても構わない。
なぜか素直にそう感じてしまう。
「いいよ、キミがそこまでボクの血にご執心だったらね・・・」
「うぅん。要らない。貴方の命なんか」
ユックリとかぶりを振りながら、獲物を視るときのまっすぐな目で私を見つめる貴女。
「それよりも、奥さんを連れてきて」
逆らえない私。ひとりでにこっくりと頷いてしまっている。
「いいとも。もっと血が欲しいんだね?」
「そうなの。私の彼氏にあげたいの」
「彼氏が、いるの?」
すでにふたりの腰は溶け合うようにひとつになってしまっている。
巧みに身をくねらせながら、悠紀乃さんは私の精液と血液、両方ながら絞り取るようにして吸収していく。
「ええ・・・そうよ。若い女のひとの血を欲しがっているの」
「だとしたら、妻にはどうしても来てもらわないとね」
私はそろそろと携帯電話に手を伸ばしていた。
「貴女の彼氏だったら、妻のお相手として歓迎するよ」

三十分後。
悠紀乃さんは相変わらず、私の上におおいかぶさったままうなじの傷をしゃぶりつづけている。
激しく疼く傷口に柔らかな唇が繰り返しぬめるのが心地よく、陶然となってしまっている私。
傍らには、黒ずくめの男に抱きすくめられたワンピース姿。
見慣れたストラプ柄の肩先に、かすかにバラ色のほとびを散らしながら、妻はさっきから立ちすくんだままでいる。
ちぅちぅ・・・ちぅちぅ・・・
いやらしい音を洩らしながら妻の血を啜る吸血鬼。
「どお?あなた。奥さんの血のお味、ご主人に教えて差し上げて」
悠紀乃さんはおっとりとした優しい声色で、こともなげに冷酷なことを口にする。
妻にとりついた男は言葉もなく、満足げな吐息を震わせるだけ。
「あなた、奥さんが襲われて血を吸われているのよ。とても嬉しいでしょう?」
にこやかな彼女に、私は知らず知らず頷いてしまっている。
「ああ、もちろんだ。彼も気に入ってくれているようだね」
「そうよ、まごまごしていると吸いつくされちゃうかもよ。ご心配でしょう?」
「ああ、とても心配だ。どうせなら何度でも都合をつけて逢わせてやりたいと思っているんだ」
「そうよね。それがいいと思うわ。貴方からも奥さんにそう勧めてご覧にならない?」
「お前、大丈夫かい?」
私の問いかけに妻はかぶりを振って、
「感じる。感じるぅ・・・」
と口走る。
「気持ちいいのかい?」
「エエ、許してくださいね、貴方」
「もちろんだとも。できれば命を助けてもらって、なんども逢ってもらえるといいね」
「エエ、とてもそう感じますわ。貴方がダメって言っても、ナイショで逢っちゃいそうよ」
「いい心がけだね、ぜひそうして差し上げなさい」

「もっと吸ってもいいわよ、ね?」
そう、たたみかける悠紀乃さん。
彼女にこたえるかわりに、
「喉が渇いていらっしゃるんだ。すこしでもよけいに吸わせておあげ」
そう私がいうと、
「嬉しい・・・」
妻は随喜の声を洩らして、白くて細い腕を吸血鬼に背中に自分のほうからまわしてゆく。

悠紀乃さんの満足は、それだけでは尽きないらしい。
満面にイタズラっぽい笑みをたたえながら、私の耳もとに口を寄せると、とってもいやらしく囁いた。
「彼、奥さんとエッチしたがってるわ。いいでしょう?」
えっ?そ、それは・・・
そういいかける私の傷口に彼女は唇を這わせてくる。
「あら。どうして?いいじゃないの」
ちょっと不機嫌に声を尖らせると、悠紀乃さんは傷口をつよく吸った。
逆らえなくなっている私。
「そ、そうだね。妻とは仲良くなってもらいたいし・・・仲良くなるにはそれがいちばんだったね」
「そう、奥さんに勧めてあげて。貴方が言えば奥さんも、リラックスして彼とエッチを愉しめるわよ」
「も、もちろんだとも・・・どうせなら愉しんでもらわなくっちゃね。オイ、聞えているかい?彼に犯されてみたいと思うだろう?」
「エ、エエ。もちろんよ。でも、いいの?」
「ぜひ、そうしていただきなさい。きみが愉しんでくれるのなら、咎めたりしないよ」
「まぁ、嬉しいわ」
妻にのしかかっていた吸血鬼は夫婦のやり取りにとても満足したらしい。おおっぴらな音をたてて妻のワンピースを引き裂きはじめた。
チャッ!チャッ!と、ちいさな悲鳴のように響くたび、妻の胸をおおっていた整然としたストライプ模様はみるみるうちにくしゃくしゃにゆがめられ、妻の胸から剥ぎ取られていく。
もはや抵抗を放棄して、従順に我が身をゆだねてしまっている妻。
豊かな乳房を我が物がおで目の前でわしづかみにしながら、彼はずぶずぶ腰を沈めていって、簡単に妻を狂わせた。

ヘラヘラと笑いこけながら凌辱を受け入れていくありさまをウットリ見守りながら、私はつい口走る。
「似合いのカップルだ。」
「エエ・・・」
悠紀乃さんはいとも嬉しげにもういちど、私のうなじに牙をつきたてた。

重役の妻

2005年08月22日(Mon) 08:28:00

呼び出したのは、ある重役夫人。
鳥飼女史のライバルで、女史とボクとの関係をかぎつけたその重役は、さりげなく取引を迫ってきた。
しかし彼は知らなかった。自分の秘書がボクの牙を愉しんでいることを。
彼女を抱きこんで奥さんを吸血鬼の邸に招待するのは、じつに簡単なことだった。
初対面の重役夫人。名前は康代といっていた。
齢は五十そこそこ、しかしなかなかの美人である。
もと部下の奥さんで、重役が取り上げたという噂は本当なのかもしれない。

「奥さん、つかの間の恋をしてみませんか?」
そんなふうにボクに迫られた康代さんはちょっとだけ表情をこわばらせる。
さすがに重役夫人だけあって、落ち着いた物腰だ。
周囲の状況を見やると、
「どうやら、お断りすることはできないみたいですね・・・」
残念そうに呟いた。
正直に事情を話すボク。
慕っている女性をご主人の脅迫から守るため、という説明に、なぜか深く頷いてくれた。
「お気の毒なので、せめて罪悪感を消して差し上げます。少しのあいだ、目をつぶってください。ちょっとチクリとしますが、予防注射だと思っていただければ」
そういうとボクは夫人の後ろに回りこみ、うなじのつけ根に唇をあてた。
痩せぎすな彼女。
薄い皮膚に滲み込ませるようにして牙をうずめてしまう。
ほろ苦い血潮がほてった喉を鎮めてゆく。

「つかの間の恋」に、康代さんは存分に酔ってくれた。

取引先の女

2005年08月22日(Mon) 07:53:07

「もしかして、ストッキング履いてません?」
取引先で事務をしている坂口美和子は、思ったことをなんでもハッキリ口にする。
それでいて毒がないので、恨まれないタイプである。
四十四才とは思えないくらいの若々しい美貌。そのくせ男が寄りつかないのは、ハッキリし過ぎる性格が災いしているのだろうか。
切れのよい身のこなしの端々に一瞬よぎるセクシャルなものを感じ取る男はどうやら少ないようだ。
ここの職場の目のない男どもに、私は半分は憤りを覚え、半分は安堵している。
そうでもなければ接点の少ない私と彼女とがしばしば夕食を共にするなどということはあり得なかったであろうから。

「ねぇ、ストッキング履いているでしょう?」
ものにこだわらないB型血液の持ち主である彼女。
ハキハキとした口調に毒はない。本当のことを知りたいだけ、というストレートな物腰に、
「履くこともあるよ」
と、つい正直に答えてしまっている私。
「でも、きょうのは立派な紳士用だよ」
「うそぉ。光沢、あり過ぎよ」
そういう彼女を納得させるには、ズボンをたくし上げるしか方法を思いつかなかった。
ひざ下にあらわれた帯のように太いゴムをみて、「ふーん」と頷く彼女。
なんとなくつまらなそうな態度に、
「こんど逢うときには、履いてきてみようか?」
ふだんはめったに口にしない(できない)きわどい軽口が、彼女のまえではどうしてこうも抵抗なく出てしまうのだろう?
「ウフフ、それいいかも」
戸惑うふうもなく、彼女は軽く受け流す。
「でも、光沢、色っぽいね~」
「比べてみようか?」
黄色っぽいスカートからのぞいた彼女の脚も、光沢のつややかな白のストッキングに覆われていた。
「アハハ・・・」
面白そうにはしゃぎながら私の隣に席を移し、脚を合わせてくる彼女。
幸い、ラウンジはがら空きで、客の目を気にする必要はなさそうだった。
不意に迫ってくる香しい呼気に、毒にあてられたような眩暈を覚える。
ふれ合う二人のふくらはぎ。押しつけられる彼女の肉の柔らかさが、薄い靴下を通してありありと伝わってきた。
「どっちがハデかな?^^ウン、やっぱ私の勝ちみたいね」
肩にまわりかかった私の腕をさらりと受け流して素早く向かいの席に戻ると、彼女は得意そうにウフフンと鼻を鳴らす。
ちょっと待ってね、とトイレにたった彼女は、やがて戻ってきて、手にした紙袋を私に突きつける。
「今、履いてみて」
中身はさっきまで彼女が脚に通していた、純白のストッキング。
むっちりとした太ももを覆っていたときそのままに滲む光沢のかたまりが、ぐしゃぐしゃにふやけたままとぐろを巻いている。
「履き替えてきちゃった」
「脱ぎ売り、みたいだね」
「やぁね、もちろんタダよ。そんなもの」
苦笑する私に、
「ねー、早く履いてみてよ」
容赦なく彼女は催促した。こんどは私がトイレに立つ番のようだ。

大柄な彼女のストッキングは、やせ型の私にとってぴったりのサイズだった。
ついさっきまであのむっちりとしたふくらはぎにじかに接していた薄いナイロン。
ほのかに残る彼女の体温が、私の下半身を妖しく包み込んだ。

たくし上げられたズボンから淡いすね毛の浮いた脚をじいっと見つめられるのはさすがに気恥ずかしい。
「ストッキングは女の専売特許。罰としてそれ履いたまま家に帰るのよ」
彼女はイタズラっぽく光る瞳をくりくりとさせて、私のことを軽くにらんだ。
深夜までの残業に戻らなければならない彼女が作ってくれたつかの間のひととき。
別れ際彼女は、毒を含んだ囁きを、甘い呼気とともに耳もとに注ぎ込んできた。
「こんどはホテル、取っておいてね。奥さんにばらすぞって脅かしながら、つきあってあげる」
言うなりさっと身をかわすようにして私から離れ、なにごともなかったかのように私に背中を向けた。
振り返ることのない後ろ姿がカツカツとハイヒールを響かせて、たちまち小さくなってゆく。

このまま、吸血鬼の待つ邸に行ってみよう。
きみは間接的に、彼に咬まれてしまうだろうから。
母や妹や妻を紹介するときにも、たしか彼を相手にそんな遊びに興じたような気がする。
B型の血液、最近縁遠いとぼやいていたっけな。

視る愉しみ

2005年08月21日(Sun) 20:28:00

リンク先のSkssさまが私のサイトをとてもほめて下さいました。(^^)v
http://blog.so-net.ne.jp/skss_shirakawa/2005-08-20
>さらりとしているのに、ぎゅぅっと濃い、そんなお話たちがいます。
身に余るお褒めのことば、厚く御礼申し上げます。m(__)m
リンクで流れてお客様が増えているかもしれない・・・なんて思うとちょっとプレッシャーな今日この頃です。^^;

情事に耽る母親をのぞいてみたい・・・という願望を持つ男の子は意外に多いようです。
では実際に母親と・・・をしたいのか?というと、必ずしもそうではないらしいのですが。
ここに出てくる青年も、そんな一人・・・



「アラ・・・っ?んまぁ・・・っ!もお。」
隣室から洩れるひそやかな声に、洋一郎はドキドキと胸を弾ませている。
ドアの向こう側にいるのは、母。
そして、いっしょにいるのは父親ではない。
週明けになると帰りの遅い父親にかわって母を訪れる男。
正体は吸血鬼なのだと、母からも聞かされている。
前半はドラキュラ映画。
そして後半は・・・もちろん、ポルノ映画となり果てる。
ヒロインは美しく着飾った、母。
どんな母親も、情事のときは息子の目を避けようとする。
だから営みは、洋一郎の部屋の明かりが消えるのを合図にはじまる。
息子がわざと早い時間に消灯して、夫婦の寝室のまえの廊下まで足音を忍ばせてきていることを彼女はどこまで感づいているのだろう?
知られてもいい、洋一郎はそう思っている。
恥知らずな欲望は、すべてに優先した。

鍵のかかっていないドア。
廊下の薄明かりを頼りに、細めにドアをあける彼。
ロマンチックなくらいにトーンを落としたオレンジ色の照明が、熱っぽくもつれあうふたつの肉体を柔らかく照らしていた。
光と影が浮き彫りにする、淫靡極まりない空間。
母はお洒落な柄のプリントワンピースをふしだらに着崩れさせて、身をしならせて呻きつづけている。
ヴァイオリンの顫音(せんおん)のような震えを帯びた声色が、切なげに、執拗なまでに途切れなくつづく。
淫らな翳を帯びたそれは、まといつく蚊の羽音のように、青年を苛立たせた。
ひき上げられたワンピースの裾から大胆にのぞく太もも。
ずり落ちかけた黒のストッキングが淫靡な光沢を放っていた。
母を汚される。遠慮会釈なしに踏みしだかれる。
そんな光景にゾクゾクと全身をかけめぐる、マゾヒスティックな歓び。
父はこんな母を知っているのだろうか?
洋一郎は父を尊敬していたが、母の情事を知りながら決してそれを告げることはない。
彼のなかで、それとこれとは別だった。
両親のいさかいを避けたい、などという殊勝な動機ではもちろんない。
犯される母を見たい。
ただそれだけのために彼は、母とともに父を裏切り続けている。



洋一郎はさ迷い出るようにして、自宅を出る。
歯並びの良い白い歯を口許からのぞかせてのけぞる母の面影が、まだ目の前をチラチラしていた。
自室に戻り独りだけの熱っぽいひと刻を過ごしたあとも、昂ぶりはさめやらない。
彼の足は、いつか清美の家を目指していた。
十三才になる婚約者。
この村の青年が許婚を決めるのは早い。婚約を交わしたとき、彼は高校生、そして清美はまだ十一才だった。
親の決めた相手とはいえ、いつも控えめな大人しい少女のことを気に入っている彼。
深夜の静まりかえった玄関で、場違いに響くベルの音。
清美の祖母があらわれて、すぐに迎え入れてくれた。まるで彼の来訪を予期するかのように。
いつもながらのおくゆかしい着物姿。おっとりとした物腰は、孫娘とおなじだった。
「両親はいませんのよ。清美は・・・離れにおりますわ」
祖母はゆっくりとした口調で、いつも自分が居所にしている場所を告げた。
洋一郎は良家の子弟にふさわしい、よく躾けられた礼儀正しさを表にあらわして、丁寧にお礼を言った。
離れに向かいかける彼に、祖母の声が追ってきた。
「お逢いになるのですか?」
軽い非難と、それ以上に同情を帯びた共感。
はたちそこそこの青年には不似合いなほろ苦い笑みをかえして、彼は庭先におりた。

離れはまだ明るかった。
こうこうとした照明の下、制服姿の清美がいた。
鮮やかな純白のセーラー服に、濃紺の襟章がひときわ映える。
きっちりとアイロンのかかった濃紺のプリーツスカートの下からは、黒のストッキングに清楚に彩られたふくらはぎが控えめにのぞいていた。
青白く浮き上がる少女の肌はいつになく、なまめかしく大人びた風情を漂わせる。
秋冬の通学にしか履かないはずの黒のストッキング。
自分とはべつの目線がさっきから熱く注がれているのに、洋一郎はとっくに気づいている。
離れにいたのは清美だけではなかったのだ。



黒ずくめの服に身を固めたそいつは、頭だけは輝くように見事な白髪をしている。
彼自身もよく血を吸われたことのある、吸血鬼。
幼いころから仲の良い叔父さんのように接してきた男。
じつは母の情夫とは兄弟で、母のことをかわるがわる愛しているということも、彼は知っていた。
忌むべき村のしきたりは、祝言に先だって許婚を吸血鬼にゆだねることを彼に強いている。
彼はためらいなく、許婚の吸血相手に彼を選んだ。

「よろしいか?」
吸血鬼にそう問いかけられて、少女は声を上ずらせた。
「裏切ってるみたい・・・」
「そんなことは考えなくてもよい」
「あ、はい・・・」
はにかむようにしてうつむいた少女の足許に、男はそろそろとにじり寄る。
「いい子だ。安心して我が接吻を愉しむがよい・・・」
押し殺すような、低く静かな声色に、少女は麻痺したように動けなくなる。
ためらうように差し出されたふくらはぎに、吸血鬼は唇をキュッと吸いつけた。
「ア・・・」
かわいい口許から洩れる、声にならない声。
ひときわつよく圧しつけられた唇から、
きゅうっ。
血を吸いあげる音が洩れはじめる。
いやらしい音だ、と洋一郎は思った。

直接肌を接することにはならないのだから・・・
許婚を見初められてしまった洋一郎は叔父さんに、清美の黒ストッキングの脚をねだられた。
もっともらしい言い草だったが、彼は叔父さんの下心をとっくに見抜いている。
少女の清楚な装いをイタズラしたがっているのがありありと伝わってくるのを感じながら、彼は婚約を交わしたその足で清美を連れ出すことをオーケーした。
仲のいい吸血鬼の叔父さんに処女の生き血をプレゼントするために・・・

清美は顔を手で蔽ったまま、足許からあがる吸血の音に身をゆだねている。
少女のふくらはぎの上をヒルのように蠢きながら容赦なく血を吸い上げてゆく唇。
その下でくしゃくしゃになったストッキングは、鮮やかな伝線をひとすじ、涙の痕のようにつま先へと走らせていた。
おなじ黒のストッキングでも、少女のそれはなよなよと頼りなげにみえる。
毒々しい光沢を帯びた母親のそれとはちがって、清楚で知的な風情さえ感じられた。
大人っぽい装いに辱めを受けながら、少女は潔癖そうに眉を震わせている。
しかし、大人しやかな目鼻の翳りのなかに淫らな色が滲んでいるのを洋一郎は見逃さない。
「あぁ・・・」
稚なげな声色にひそむものは、母の嬌声とおなじ種類のものだった。
とめなければ・・・
という意識はまったく、湧いてこない。
離れのガラス戸の向こうで、我知らず淫らな愉しみに夢中になってゆく少女。
それを盗み見てゾクゾクと恥知らずな欲情に慄えつづけた。

―――具合はどうかな?
―――だいじょうぶ。まだ差し上げられますわ。
―――すまないね
―――美味しいですか?私の血。
―――素晴らしい・・・
―――そういってもらえると、嬉しいわ。
少女の体調を気遣う吸血鬼。渇いた喉を少しでも癒してあげたいという少女。
お互いを気遣いながら、熱っぽい息遣いが行き交っていた。
男は女を傷つけまいとし、女は男を愉しませたいと願う。
血は吸われても、洋一郎のために純潔を守ると誓った少女。
しかし、現実に目の前で行なわれている行為は、母がいま自宅で交し合っている淫らな遊戯とおなじくらい濃密な不倫に思える。
それでよいのだ。
父を裏切る母を見て、淫猥な欲情に耽る彼。
いままた彼を裏切ろうとしている稚ない婚約者の戯れを目の当たりにして、おなじ種類の昂ぶりに酔ってしまっている。
ふしだらな愉しみにほてった彼の頬を、更けてきた夜風が冷ややかにかすめるのを覚えた。

―――首筋も、どうぞ・・・
―――では、ご好意に甘えて。
―――洋一郎さんに、すまないわ。
―――スリルがあって、いいだろう。
―――もう!
少女は無邪気に、相手の男の背中を叩いている。

女重役のストッキング

2005年08月19日(Fri) 08:43:00

「蛭田くん、書類できた?」
名前を呼ばれてぎくりとした。
オフィスのドアが開かれ、重役の鳥飼女史が恰幅のよいスーツ姿をみせている。
大またでしっかりとした足どりは、威厳たっぷりだ。
ピンと逆立った眉。頬骨の張ったかっちりとした輪郭の顔。
ウェーブのかかったふさふさとした栗色の髪。
若いころは日本人ばなれした美人だったという評判は嘘ではなさそうだが、怖い上司であることにかわりはない。
「あぁ、はい。ただいま」
ボクは席を立つと書類を持って、強い引力にひきつけられるようにして重役室へと足を進めた。
エナメルのハイヒールをカツカツと軍靴のように響かせて、彼女は昂然と顔をあげて社内の廊下を闊歩する。
スーツを着た後ろ姿は、道々すれ違う男性のエリートサラリーマンと何らかわるところがないようにさえ思える。
しかしボクは知らず知らず目線を落として、濃紺のストッキングにとてもフェミニンに彩られた彼女の足許を盗み見てしまっている。

さすが最年少で役員に抜擢されただけあって、鳥飼女史は選び抜かれたエリートだ。
手厳しくビシビシと、痛いところばかりを突いてくる。
経営に直結するような内容の書類だけにそれは当然すぎることなのだが、あまりにも手厳しい質問の連続に脳みそが焼け焦げそうになった。
と、ボクの脳裡から日常の理性が突然掻き消えた。
「重役、ちょっと・・・」
ボクはソファから立ち上がり、すばやく重役の肘掛け椅子の背後にまわる。
「アラ、どうしたの?」
服に、糸くずが・・・とかいいながら、ボクはブラウスの襟首からわずかにのぞいた女史の首筋に唇を貼りつける。
「あ・・・」
身じろぎする両肩をかるく抑えつけて、ボクは吸いつけた唇に力をこめる。
女史のうなじはちょっぴり、堅かった。

ちゅううううっ・・・
四十代の熟れた血潮がめまぐるしく渦を巻き、ボクの喉を心地よく通り抜ける。
「アー・・・」
鳥飼女史は顔をしかめて、ちょっとのあいだボクの唇に身を預けてしまう。
つい先週からの、おつきあい。
脂ののり切った女史の血は、なかなかのお味だった。

傷口から唇を離すと、女史の態度はうって変わって穏やかになっている。
「じゃあ、わかったわ。ご用件はこのへんで」
マッサージのあとのようにスッキリとした顔つきに、(いつもそういう顔をしていればいいのに)と密かに思うボク。
「重役のお肌、すべすべしていてきれいですね」
「アラ、そぅお?」
心にもないお世辞に声色まで上ずって、女史は小娘みたいにどぎまぎしている。
「もう少し、いいですか?」
「いいわよ。好きなようになさって。でも午後から会議だから、手早く済ませて頂戴ね」
あくまで口調は事務的ながら、女子はボクを誘うようにして、片方の脚をこちらへ伸べてくる。

かっちりとした筋肉質のふくらはぎが、濃紺のストッキングに包まれている。
威厳たっぷりの彼女の足許は、意外なくらいツヤっぽく彩られていた。
青鞜。ブルー・ストッキング。古くから才女のしるしといわれている。
均整のとれたシルエットを馥郁とした大人の色香に包み、さらに濃艶に際だたせているナイロン製のオブラート。
知性と活力とを秘めた肉体がかもし出す躍動的な韻律が、セクシーな薄衣をとおして女史の皮膚からオーラのように発散される。
ボクは臆面もなく淡い光沢を帯びたナイロンの表面に唇を這わせると、重役の脚をお行儀悪く、にゅるにゅるといたぶり始めた。
かちかちの筋肉質のふくらはぎとは対照的に薄手のストッキングはしなやかで、鋼のようにかたくなな筋肉をつるりとなめらかにコーティングしている。
「あら、マァ、くすぐったい」
若いOLたちは、こんなふうに恥知らずにべろをなすりつけてやると、決まってくすぐったそうにきゃあきゃあ声をたててはしゃぐのだが、鳥飼女史はさすがに威厳を保って動じない。

ちゅうっ、ちゅうっ、ぐちゅっ。くちゅううっ・・・

しつっこく、しつっこく、女史のふくらはぎによだれに濡れた唇を吸いつけべろを這わすボク。
日頃の上下関係はもうそこにはなかった。
ストッキングがふしだらにたるんで波を打つのを、女史はどんな顔をして眺めているのだろう?
頭上に注がれる痛いような視線を感じる。
いつの間にか、女史の脚がつま先立っていた。
じわりじわりと滲みこませてしまった毒液に、さしもの鋼の肌も淫らな疼きに耐えられなかったようだ。
「し、しょうがない子ねぇ・・・」
女史が洩らす困惑した声の下。
秘められたセクシーな衣裳を人知れずいたぶり、辱めていった。

咬んだ瞬間。
ストッキングを通してふくらはぎの筋肉がしくっと引きつるのを唇で感じながら、ボクは女史の両足にしっかりと腕をまわして身動きできないように抑えつける。
かさかさに乾いていた唇をぬるぬるとにじみ出る血潮で浸しながら過ごす至福の刻。
こわばった女史の皮膚に牙を埋めて抜き取った血液は、意外なくらい若々しくて、バラ色に輝いていた。
午後の会議には、裂けたストッキングを履き替えないで出席するようおねだりしてみた。
執務にもどりかけた重役はもとのそっけない口調に戻っていたが、かならずそうしますと約束してくれた。

昼休みが終わってオフィスに戻ると、招集された重役のお歴々が、ぞろぞろと会議室に入っていく。
我らが鳥飼女史の姿も当然、そのなかにあった。
足許に目をやると、女史は約束どおり、みごとに伝線させたストッキングをそのまま身につけている。
つややかな濃紺のストッキングに描かれた鋭いストライプ模様が鮮やかに、カチッとしたデザインのスカートの奥へと侵入している風景を、ボクは陶然として見つめる。
ボクと目が合うと女史はちょっと決まり悪げに足許に目をやり、すぐにキリッとした目つきに戻って議場へと消えていった。

出迎え

2005年08月19日(Fri) 06:31:24

昨晩複数の吸血鬼にかわるがわる愛されてきた妻は、きょうも出かけてくるという。
「娼婦してまいりますね」
おっとりとそう告げる妻。
きちんと着こなされたスーツ姿の胸に銀のネックレスが華やかに揺れた。
表には迎えの車まで待っている。
玄関まで送り出すと、車のなかから吸血鬼のひとりが現われた。
面識のない男だった。
「ご主人ですか。初対面ですので、ご挨拶をと」
「それはどうもご丁寧に」
少なくとも表向きは冷ややかな私。
近所の家の窓からいくつもの視線を感じる。
「失礼。すこし血が要りようなのでね」
おもむろに身を寄せてきた彼。不覚にも両肩をつかまれてしまっている。
ちくり・・・と、冷たい牙が侵入するのを感じる。
ちゅちゅう・・・ちゅううう・・・
場所柄もわきまえずに。とつぜんに、血を吸いあげられて。
あぁぁ・・・
ぼうっとかすむ意識の向こうで、彼の唇がにこやかに動いた。
「ありがとう。なかなかの味だ」
目のまえの唇が、私の血で濡れている。
ぬらぬらとした妖しい生気が、私の唇にうわ言を呟かせた。
「血がよく、お似合いですね・・・」
すっかり理性をなくしている私。
「いえいえ」
自分のかけた術にまんまと私がかかってしまったことに満足そうな彼。
「家内の血も、貴方の唇にはよく似合いそうだ」
―――ありがとう。
―――ご主人のご配慮のおかげで、夕べはとても愉しい夜を過ごせました。
―――素晴らしい奥方ですね。毎晩愉しめるお立場が羨ましいですな。

見え透いた社交辞令、だと思いたい。
あるいは、もてあそばれているのか・・・
傍らで妻はしんそこ嬉しそうに笑みをうかべて、そんな私の顔をうかがっている。
なぜかウキウキと、媚びるような上目遣いをして。
きみがそういう表情をするときは、吸血鬼に抱かれてキスを受け入れるときだけだとおもっていたよ・・・

旧題「妻の寵愛」

後朝(きぬぎぬ)

2005年08月18日(Thu) 07:24:24

「ただいまぁ」
放心したような声で妻が戻ってくる。
いつものように、朝帰りだった。
はだけたブラウスのすき間から、黒のスリップがふしだらにのぞいている。
ストラップが肩からはずれかかるくらい着崩れているのも丸見えだったが、妻はあまり気にとめていないようだ。
ふだんきちんとした身なりをしていないとガマンできないはずなのに。
夕べ出かけていったときにはキリッとした折り目正しいスーツ姿だった妻。
いまは、おなじ服とは思えないくらいに乱れた恰好になり果てていた。
不似合いなあしらいに淫らにゆがめられた礼装。
そうしたアンバランスな眺めにひどくゾクゾクしてしまう、恥知らずな私。

子供たちはまだ寝静まっている。
よく見るといつになく子供じみた光をたたえた瞳はどことなく、焦点が合ってない。
吸い取られた血液の見返りに注入された毒液が、まだ体内をぐるぐるかけめぐっているのだろう。
こういう仕打ちは、良家の主婦に取っては耐えがたい屈辱であるはずだ。
罪悪感を麻痺させて、ほどよい愉悦にすり替えてしまう、魔性の液体。
「ほらぁ、見て。ハデに破かれちゃった~^^;」
スカートをたくし上げて、妻は屈託なく笑う。
光沢を滲ませたナイロンの表面をいく筋も走るストライプ模様に目を奪われるひととき。
踏みしだくようにして蹂躙された礼装。
このうえをどれほど執拗に、好色な唇が這い回ったことだろう。
嫉妬に顔色を変える私の様子を、面白そうに窺う妻。
引き上げられたスカートの裾からガーターがチラチラのぞいていた。
「リクエストされちゃったの。穿いたままヤレるからって」
口許のえくぼを意地悪く浮かべて、妻がつづけた。

―――いやらしいのよ、なんども唇吸いつけてきて・・・よだれなすりつけられて・・・
―――夕べはお仲間のかたが三人も、いらしたわ。私目当てだっておっしゃるのよ。応じちゃった。^^;
―――吸血鬼にもお盆ってあるのかしら。ねぇ。
―――かわるがわる、のしかかってきてね、私も、抵抗したのよ、一応は。あなたのこと思い出しながら・・・
―――入れられるたびに、「あなた、ごめんなさい」ってつぶやくの。
    でも硬あ―――いの突っ込まれちゃうと、もう夢中になっちゃって・・・
―――はっきり言って、あなたのより、硬いわ。
    それに、すんごく奥まで入り込んでくるのよ。
    ごめんね、凄く感じちゃった。
―――今夜もお誘い、受けてるの。名誉なことだわ。認められたんですもの・・・
―――精いっぱい、性欲処理してあげなくちゃ。もちろん、伺ってもかまわないわよ、ね?


大人しやかな唇からたくまず洩れてくる、扇情的な言葉。
彼らに言わされているのか。それとも本音なのか。
少なくとも妻が私の反応を愉しんでいるということだけは、まちがいない。

帰省

2005年08月17日(Wed) 04:04:06


帰省ラッシュも一段落、のようですね。
皆さまはいかがお過ごしでしょうか?
こちら柏木の棲み処は田舎にですので、どちらかというとお迎えする側の土地にあたります。
大変でしたよ。エロくて。^^
村の祭りなんて、そのためにやるようなものですからね・・・
若い衆などはたいへんな目の変わりようでした。
もちろん目当ては帰省のときにやって来る、若くてピチピチとした都会のお嬢さんです。
来る顔ぶれは毎年似通っていますので、処女率のほうはご想像にお任せします(?)が、
此処に来るのはこの夏が初めて・・・という方ももちろんいらっしゃいます。
初心者にはベテランが、親身になって付き添います。(笑)
やはり、毛色の違う存在というのは新鮮なものですね~。

妻の身内でもそういう娘さんが来ました。^^
ふだんは自分が主役でないと納得できない妻ですが、こういうときにはそれは嬉しそうにかいがいしく立ち働きます。
ふだんの主婦業はもちろんのこと、夜更けの呼び出し役とか、いろいろとありますので・・・^^
いちばんおいしいお仕事、と妻が口にするのは、なんと

怖がる娘さんをなだめて抑えつける役

なのだそうです。
処女の生き血を吸血鬼に与える行為にとても熱中してしまう・・・と言っております。
吸血現場の納屋から戻ってきた妻は気がかりそうに息を詰めている先方のお母さんに
「ご心配なく、一件落着よ。案外、聞き分けがよかったわ^^v」
とのたもうたものでした。

気の毒な目に遭ったお嬢さんですが、普通の想像では
帰京の時にはご両親に守られるようにして、目を伏せ顔をそむけながらマイカーに乗り込んでいった
とでもなるのでしょうが、意外にも明るいお別れでした。
ウットリした目つきで、「ママといっしょに、また来るね」といって、お相手をした数人の吸血鬼と意味深な目まぜを交し合いながら名残惜しそうに帰って行きました。


帰省客のなかには、時折学校の制服姿のお嬢さんを見かけます。
もちろん、若い吸血鬼どもの目をひくアイテムのひとつです。
夜の誘惑について親から言い含められている娘は、目印に黒のストッキングを履いています。
「この子はだいじょうぶ」
という意味になります。
経験のある娘さんももちろん、黒のストッキングです。
白い夏服との組み合わせはちょっと場違いで目だつので、ひと目でそれとわかります。
村で顔見知りになった娘さんどうしが、お互いそれとわかるのでしょうか、自分の脚を彩る黒ストッキングを見せ合いっこして、笑みを交し合ったりしています。

妻の身内の娘さんも、首都圏の某名門高校の制服を着てお見えになりましたが、ストッキングは履いておらず、お母さんが娘さんにも内緒で持参されていました。
都会育ちの娘さんにそこまで要求するのは酷なので、妻は「連れて来さえしてくれれば」とお願いしたそうです。

初めての夜は、わが家に出入している吸血鬼氏に導いていただきました。
そして翌晩は希望する数人の若者に順繰りと・・・
そういうときには、もちろんお母さんもご一緒です。
若気の至り、ということは。どこにもあることですから。
介添え役の妻までも、勢いあまって襲われちゃったりしたようですが。^^;
もうそのへんは役得だと割り切って、あまり追求しないようにしています。^^;
そういえばあくる朝。顔見知りの学生さんがいく人か、
いつものぶっきら棒な態度とはうって変わって礼儀正しく。朝の挨拶をしてくれましたっけ。


お隣の家には長男の一家が訪ねてきたようです。
次男坊のヒロシさんはまだ独り者で、しばらく逢えないでいた兄嫁さんのことを心待ちにしています。
古い家のことですので、なにがどうなっているのかは庭先から筒抜け、丸見えです。^^
ご一家が到着して出迎えの喧騒が一段落すると、ヒロシさんはもう待ちかねたように、兄嫁さんを別室に引きずりこんでいます。
ご主人は何事もなかったような顔をしてご両親と世間話などをされているのですが、ふすまのすぐ向こうからは
「うぅん・・・・もぅ。いやぁねぇ」
と、奥さんの声が洩れてきます。
隣家のこちらまで悩ましくなるくらいですからもちろんご主人の耳に届いていないわけないのですが、なかなかできた人物のようです。
まだ小さい息子さんはさすがにちょっと落ち着かないそぶりでしたが、あとで叔父さんには裏山に遊びに連れて行ってもらう約束になっているらしく、お母さんがイタズラされていることよりは自分の楽しみがいつ来るのかというほうが関心事のようです。
ヒロシ叔父さんが息子さんにやさしくしているのは多分、将来彼が年頃になったときに彼女か奥さんを紹介してもらう下心なのかもしれないのですが。
わからない・・・というのは恐ろしいことですね・・・


じつのところ、ヒロシさんは甥ごさんとウマが合うようです。
気が済むまで兄嫁さんを犯し抜いたあとは約束どおりまる半日、甥ごさんを連れて山遊びに出かけてゆきました。
もちろん、スッキリした顔つきで(笑)。
お母さんを犯した息子さんと仲良くする・・・というのは、どこかの家族を思わせます^^;。
ですので、ちっとも不自然に思えません。私としては。

夕方になるとご主人のほうはご両親と出かけていきます。
「生娘というわけにはいかないけどねえ」
奥さんをひと晩弟に譲る代わりに、他所の娘さんを用意してくれているようです。
そういうことならご主人も、少しは納得できるかもしれないですね。^^
入れ違いに、ヒロシさんに連れられた息子さんが息を弾ませて戻ってきます。
心ゆくまで遊んだらしくぐっすりと寝入ってしまう隣の部屋から、
叔父さんとお母さんの睦言が。
「トシ坊、兄弟欲しがっていたぞ」
「そお・・・?^^;」


帰りの日。
帰り支度をする直前まで、兄嫁さんはヒロシさんの部屋から出てきませんでした。
兄嫁さんが身支度を始めると。
ヒロシさんは縁側に腰掛けたトシオ君の足許にかがみ込んでいます。
半ズボンの下から紺のハイソックスをずりおろして、ふくらはぎに唇を吸いつけていたのです。
ちゅうちゅうと音をたててヒルみたいに血を吸いあげていくのをじいっと見つめるトシオ君。
ヒロシさんは唇を離すと、もう一方の脚に、こんどはハイソックスの上から唇を吸いつけようとします。
ちょっとイヤそうな顔をするトシオ君に、身支度の済んだお母さんが声をかけます。
「アラ、血を吸ってもらっているの?よかったわねえ」
え?と振り返るスキに、ヒロシさんはそのまま、ハイソックスの上から咬みついています。
「ア――」
低くうめくトシオくんの肩をおだやかにさすりながら奥さんは、
「だいじょうぶ。ヒロシさんは人の血がお入り用なの。ママも差し上げているのよ」
そういいながら奥さんは黒のワンピースの下をむぞうさにめくりあげると、
「ストッキング脱ぐの大変ですから、よろしかったらこのままいかが?^^」
吸いつけられた唇の下で母親の履いているグレーのストッキングがめりめりと裂けてゆくのを見つめるトシオ君の目つきが、なんだかとてもウキウキとしています。
「帰りも車ですから、そんなに目だたないわよ」
奥さん、イタズラっぽいウィンクをしています。

表に回ったらしい皆のなかで、弟に話しかけているらしいご主人の声が聞えました。
「お前も元気だなぁ。早いとこ身を固めろよ」
奥さんをはさんでの、あっけらかんとしたやり取り。
ヒロシさんは今年こそ、身を固めるような気がします。
来年の夏には。赤ちゃんができた兄嫁さんは里帰りができないかもしれませんから・・・

後記
このお話、去年のお盆明けに描いたのですが。
お盆前に思いつけばよかったなあ・・・などと思っていました。
前置きがやや長いのですが。
淫らな風習をさりげなく、描いてみました。
時期的にちょっと早いのですが、再あっぷしておきます。
相変わらず、イケナイお話ですけど。^^;

和やかな日差し 2

2005年08月13日(Sat) 05:29:07

嫉妬と情欲に燃えた日々。
それはひとりの吸血鬼との出逢いから最高潮を迎える。
新たに知った妖しい愉悦のなか、最も寵愛の深かった彼の妻は若い命を落とし、
彼もまた半吸血鬼となり果てた。
半吸血鬼。
人の血を嗜みながらも人として生きつづけ、さいごには血を吸う力を喪って人として死んでいく、という。
もうその気力が尽きはじめているのか、最近めっきり衰えをみせた彼だった。

「きょうはこちらとご一緒しても、いいかしら?」
そういいながらきみは、黒のレエスに包まれた腕を、枯れ木のように痩せこけた彼の腕にからみ合わせる。
ツタのようにからみ合う二本の腕に濃密なえにしを見る思いがして、私の胸は久し振りに軽い嫉妬に波立った。
にわかなほてりを抑えつつ、
「そうしてあげてくれるかね?」
私は言った。
「ありがとう」
目じりをうるませるようにしてせいいっぱい暖かい目線を私に返して、女性としての感謝を衷心から示すきみ。
彼女亡きあと、そうやってきみは妻同然に彼に寄り添い、彼を慰めつづけてきた。
「お嬢さんもお嫁さんもいらっしゃるのに、私が一番だなんていうのよ、このひと」
はしゃいだ口調で、きみは情夫ののろけを口にする。
ぱっと華やぐ表情に、濃密な女の香りを漂わせて。

吸血鬼はそれなりに、妻を喪った彼のことをケアしてくれていた。
彼の娘さんは、すっかり手なずけられてしまっていて。血を吸われる愉しみを覚え込まされて。
夜ごとセーラー服姿を身にまとい、父の寝室に忍び込むようになった。
結婚した息子さんは週末にはお嫁さんをつれて実家に帰り、最愛の奥さんの血を吸わせてやっているという。
「若い血もありがたいのだがね。やっぱり千絵さんの血がなによりなんだよ」
済まなさそうな口ぶりが、満悦を湛えた唇から洩れてくる。

「ストッキングの替えは持ってきたの?」
夫らしい配慮を示したつもりだったが、そんなところで手を抜くきみではない。
「エエ。もちろんよ。きょうは絶対、お誘いかかると思っていたから」
そういって、黒ストッキングの足許を撫でつける。
やがて他愛なく咬み破られる運命にあるストッキングは、あくまで清楚にきみの脚を薄墨色に染めている。
衰えかけた彼の肉体は、もはや多量の血液を必要としていない、という。
採られる血液はほんの申し訳。精を受けるのも身体の奥深くまでは届かず、着衣を濡らすだけだという。
「ご愛嬌なのよ」と、きみは教えてくれた。
「女の衣裳を辱めて愉しむんですって」
そういいながら月に何着も彼のために装って、衣裳をゆだねつづけてきたきみ。
なまめいた不倫の愉しみが、ひととき彼を安らげて、生気を取り戻すという。
これから妻を犯そうとする彼は、冬の陽に照らされる枯れ木のように穏やかに私に深々と頭を下げた。

ハイヒールの足音が遠ざかっていくのを見送って、ひと足はやく私は帰宅する。
妻はむこうに泊まるのだろう。
箪笥の引き出しの奥からこっそりと取り出した、女ものの衣裳。
ちょっと型の古くなった、きみとはサイズのちがうワンピース。
いまは形見となってしまった抜け殻を、遠い日に戻ってそっと抱きしめる。

後記(原題:今晩は)
前回の反省(してるのか?)から今夜は老いらくの恋のような話にしてみました。
若い頃スワッピングをしていた二組の夫婦。
吸血鬼に襲われて片方の夫婦は奥さんが命を落とし、ご主人は半吸血鬼になってしまいます。
遺されたご主人のほうを、主人公は自分の妻を与えることで慰めつづけています。
年老いた夫婦のあいだにはかつてのような生々しい嫉妬もギラギラとした情欲もなく、静かな情愛だけが残されています。
墓参りの帰り、そうした妻にきょうも彼との逢瀬を許す主人公。
その逢瀬もまた、若いころのセックスではなく恐らくは身体を触れ合うていどの「ご愛嬌」。
それでもじゅうぶん、不倫なふたりにとっては満足なんですね。
そして彼もまた、自分の情婦を忘れられないでいます。
かつて愛した女が身につけていた想い出の衣裳を、妻のいない部屋で独りそっと抱きしめる・・・
いつもと少しトーンの違う、ちょっとうら悲しいようなお話になってしまいましたが、いかがでしょうか?

和やかな日差し

2005年08月13日(Sat) 04:54:36

「還暦になったら、もう私も引退ね」
楚々とした、洋装の喪服姿。
歳よりはるかに若くみえるきみは、そういって穏やかに笑う。
「まだまだ、お嬢さんのように初々しいじゃない」
おどける彼も、黒一色の背広を着ている。
外出の時には歳不相応な若作りをして、それがとても似合うきみ。
黒髪に淡く霜が降りるようになっても、きみの肌から瑞々しさはまだ消えない。
「またまた!そんな無理してっ!」
きみははしゃいで、ハンドバックで彼をつついた。
かちっとした黒一色の正装が。
きみのお転婆な動きにあわせて、ひらひらと流れる。
「もう見向きもしてくれないのよねぇ、あなた」
そんなふうに、イタズラっぽくほほ笑みかけながら。
いつまでも老けずにいるきみは、ずっと私の妻でいてくれている。

「きょうはうちのやつのために」
すっかり髪の薄くなった頭から帽子をとって、丁寧に頭を下げる彼。
墓地にさす陽は斜めになって、そろそろ陰りはじめていた。
彼の妻の命日をこうして過ごすようになって、どれほど刻が過ぎたことか。
「引退なんていわれると、私が困るんですよ」
にやりと笑う頬にはまだ生気がいくばくか残されていた。
ウフフ・・・
しっとりとほほ笑むきみ。
以前のとげとげしいばかりに若かったきみにはなかった、穏やかな翳。
かもし出されるえもいわれないムードのなかによぎる、ほろ苦い追憶。
かつて二組の夫婦は、互いの相手をベッドに引き入れあっていた。

がぶり。

2005年08月12日(Fri) 05:57:16

午前四時をまわったころだったろうか。
時ならぬ重苦しい圧迫感で目ざめた私。
着衣を通して迫ってくる胸は、おもいのほか逞しい。
そのまま組み敷かれていって、

がぶり・・・

とやられてしまった。
かすかに鈍い音をたててシーツに飛び散る血の飛沫。
その一片がなま温かく、耳たぶを濡らす。

じゅ、じゅううっ・・・じゅるっ。

よほど渇いているらしい。
いつになくワイルドだ。
むさぼるようにして血を抜き取られると、さすがに頭がくらくらする。
脳裡の底にじいんと滲むような鈍いものを覚えるうちに、
こんどは傍らに寝ている妻のほうへとのしかかる。
闇に浮いた白っぽいネグリジェ姿が、にわかにその身をしならせた。

ずぶっ・・・

牙を刺し込まれる音がしたような錯覚。
しっかりと吸着した唇が首筋のうえをヒルのようにうごめいている。

きゅうっ、きゅうっ・・・ごくり。

もだえながら生き血を吸われる妻。
それなのに私のほうは失血で我を喪ってしてしまい、そのまま妻が凌辱を受け入れてゆくありさまを、不覚にもうっとりと眺めていた。

はだけた胸から身を起こすと、彼は私のほうをかえりみて、軽くあごをしゃくる。

去れ・・・

といわれているのが、五感を通してありありと伝わってくる。
今夜は妻をひとり占めにしたい気分なのだろう。
けだるい身体をひきずるようにして、私は別室に去った。
わざと半開きにしてきたドアの向こうから。
淫らに語尾を震わせた妻の呻き声が、切れ切れに洩れてくる。
撥ねた血をまだ耳たぶにべっとりさせながら、私はきょうもパソコンに向かう。

ひと息

2005年08月12日(Fri) 00:54:20

スケベ心に夜も朝もないとはいいながら、ふつう人の気持ちが昂ぶるのは深夜と相場が決まっています。
男女が営みを愉しむのも、吸血鬼が人妻の生き血を啜るのも(?)、怪人が帰宅途中のOLを襲うのも(??)、ほとんど決まって深夜です。
ところがどういうわけか私のブログの更新は、かなりの場合が早朝です。
仕事が不定期で早起きしたり、吸血鬼と妻のえっちな様子に取り乱して寝そびれたり(?)、といった理由もなくもないのですが、
どういうわけか明け方以降のほうが筆が乗ります。
インスピレーションが浮ぶとディスプレーに向かい、出勤時間に間に合うようにてきとーなところで収めます。(笑)
そのすこしあとにはちょっとテンションの高いマジメな仕事人間に変身・・・
どうも私には二重人格のケがあるようです・・・^^;

門出

2005年08月11日(Thu) 08:43:48

先週挙式した幼馴染みは翌日、新婚旅行へと旅立っていった。
あすかあさってには戻ってくるだろう。

式を挙げたその夜、村の新婦は忙しい。
婚家で内輪の宴が催され、かいがいしくお酌をしてまわらねばならない。
さすがにウェディングドレスは着替えるが、都会風のぱりっとしたスーツ姿は初々しく知的にみえた。
宴席が果てると・・・
新郎はいくたりかの男性を伴って、裏手の納屋に連れてゆく。
そこでは新婦が、スーツ姿のまま待ち受けていた。
選ばれた男たちはその場で、新婦の処女を頂戴することになるのだ。

村に残る初夜権のなごり。
表向き以上に濃密なこうした関係が、村のつきあいをかえって円滑にしている。
細かなもめごとはすぐに折り合いがついたし、たぶんよその村よりも犯罪はよほど少ないはずだ。
夜になると若後家には男があてがわれ、セックスの合わない夫婦は互いに別の相手を得ていく。そんな風習をもつ奇妙な村。

参会の栄に浴したのは四人。吸血鬼と、三人の幼馴染み。
そのうちの一人に私も含まれていた。
いつもよりは少なめで、こじんまりとしているね、と誰かが呟く。
妻のときはすでに挙式前に吸血鬼に処女を捧げていたのだが、それでもこの儀式は型通り行なわれ、そのなかにはきょうの新郎も、ほかの悪友たちも顔をそろえていた。

友人の妻のことであるのであまりあからさまには書きたくないが、新婦の肌は吸いつくようになめらかで、ピチピチとしていた。
やはり新妻はいいなぁ・・・
私のまえに新婦におおいかぶさったやつは、しんから羨ましそうにそう口走る。
そのあいだ新郎は新婦の振る舞いを見届けなければならないことになっている。
実家に納れられた新婦が、主婦としてのさいしょの務めを怠りなく果たすかどうかを見届けるために。
最近は皆度胸がなくなってきていて、きょうの彼も遠慮させて欲しいと申し出て座を立つことを許された。
隣室に控えている彼に、物音は耳にとどくだろう。
「かえって、キツいんじゃないの?」
最初に新婦をモノにしたやつは、私にそう囁いた。
新郎とはとりわけ仲がよく、友人代表で挨拶をさせられていた。
妻を最初に、という話があったことをとても嬉しがっていて、
「挨拶のときによっぽど、『これから新婦の慶子さんから処女をいただけるのかとおもうと今からワクワクしてしまってたまりません』って言いそうになった・・・」
と、こぼしたものだ。
吸血鬼は最後に新婦を犯した。
私たちに先を譲ったのは、妻たちを真っ先に味わったのがほかならぬ彼だったからだろう。
彼は自信たっぷりに、そして最も激しく新婦を狂わせた。

翌朝。
ふたりとも、目を少し赤くしている。
あのあと夜通し、夫婦の愉しみに耽っていたに違いなかった。
嫉妬しながら新婦を責める夫。
すべてを心得させられた新婦のほうは、「感じたりなんかしてないわよ」と弁解しながら身体を開き、きっと懸命に夫の機嫌を取り結ぼうとしたに違いない。

「じゃあ、行って来るよ」「気をつけてね」
納屋のなかで交歓を遂げたメンバーとありきたりの挨拶を交わすと、奥さんのほうが、
「皆さんにいい思い出を作っていただき、感謝しますね」
注がれる視線に特別な感情がこもっていた。
軽く頭をさげた新婦はすぐに感情を消して席を立つと、夫と腕を組んで玄関に向かう。
立ち去ろうとする新婦を二三歩追いかけて、私は彼女の髪に手をやった。
「ついていましたよ」
さりげない親切・・・だったかどうか。
それは一片の藁くずだった。
「いいえ」
かろうじて顔をそむけた彼女の横顔は、あきらかに頬を染めて動揺していた。

吸血鬼同好会

2005年08月11日(Thu) 06:41:13

高校に通う娘は、「吸血鬼同好会」なるものに所属している。
会員は同好会としてはかなり多いほうで、50人くらいいるそうだ。
先日下校してくるなり妻にこういった。
「今日ねー、おじ様がきて、新入生の子がみんな血を吸われちゃった^^v」
「そうなんだぁ」と、のんびり応える妻。
恒例の行事になっているそうだ。
最初はごくありきたりの吸血鬼研究サークルで、吸血鬼の歴史や映画の紹介なんかをしているのだが、一学期がおわる前に全員、夏服を自分の血で汚す体験をして夏休みに入る。
「私、一番慣れてるからって、模範演技させられちゃった・・・^^;」
「そうよねぇ。適役だとおもうわ」と、妻。

みんなの前で首すじに牙を突きたてられて、それでもヘイキな顔で最後まで吸血に応じることができるのは、上級生でも限られた子だけなのだという。
娘は終始解説まで受け持って、
「私がお手本をご覧に入れますので、皆さん同じように応対して下さい。」
「ハイ、牙入ります。^^」
「だいじょうぶ。そんなに痛くないんですよ~。^^だから怖がらないでね!」
「あー、やられちゃった。制服、血で汚されちゃうんです。都合の悪い人・・・いないよね?(^_^メ)」
「されてる最中わからないことがあったら、私か近くの先輩に訊いてください。具合が悪くなったら、保健室に行ってね。(^_^)/~」
万事、ソツなくこなしたんだそうだ・・・
なかには泣いた子もいたそうだが、「そういう子ほど、慣れるとはまっちゃうんだよね。なかなか放してもらおうとしなくって、困るの」と娘。
「ハイソックス、わざと薄いの履いてったんだ。案の定、おじ様大昂奮して、さ・・・」
真っ白なストッキング地のハイソックスには、まるで雨の日に泥を撥ねかしたように点々と、赤黒い飛沫があちこちにへばりついている。
「まぁまぁ」と、大仰に妻。「お父様にも見せてあげなさいよ」。
どきり・・・!
「お父様、聞いてらしたわよ、ね~^^♪」
娘は断りもなく、半開きになったドアを押しのけて、書斎に入ってくる。
「吸血鬼のおじ様に咬まれちゃった。ちゅうちゅう音たてて、おいしそーに私の血を吸ったのよ・・・」
血のついた制服やハイソックスの脚を見せびらかして、面白そうに私の顔色を窺いながら、刺激的な言葉でこと細かにそのときの様子を語る娘。
お前はいつから、そんな娘になってしまったの?
心のなかでそう問いかけたとき、そんな私を知ってか知らずか、娘は台所のほうを振り返って、
「だから、きょうはすご~く、疲れてるの。家事のお手伝いはナ・シ・ねっ?^^;;」

情事の点景

2005年08月10日(Wed) 07:54:09

1.インターネット・カフェ~都会に住むあるサラリーマンの手記から

仕事をさぼって、インターネットカフェに入る。
誰にも知られない非日常なひとときがとても心地よい昼下がり。

「ママが犯されるところを見たいちょっとMな息子さん byジョン」
こういうタイトルをつけると、時折すぐに入ってくる人がいる。
犯罪にはかかわりたくないので、実行することはむろんない。
未成年が出た場合には鄭重にお引取り頂いているし、まれに現われる本気で悩んでいる人にはちょっと慰めの言葉くらいはかけてやり、あまり無神経なやり取りはしないようにしている。
私にとってそれは、あくまでその場限りの愉しみにすぎないのだ。

しょう こんにちは
ジョン こんにちは
しょう 始めまして 大学生です
ジョン こちらこそ^^ 四十代のサラリーマンです
しょう よろしくお願いします

相手は、礼儀正しそうな青年だった。
こういうチャットに参加してくる青年は、もちろんいろんなタイプが入るのだが、意外にいい家の息子さんが多かったりする。
父親はそれなりの地位があり、母親は気位が高く、潔癖で厳しい。
そんななかで、歪んだフラストレーションが増殖していくのだろうか。
きょうの彼も、まさにそんなかんじの青年だった。

ジョン どんな妄想をするのかな?
しょう 妄想じゃなくて
しょう 現実

え?
実際に母親が犯されたところをみたというのは、たいがい作り話である。
しかし、彼の話にはなんとなく、引きこまれるものを感じる。
私はいつになくふらふらと、彼との会話にのめり込んでいった。
来るのはきまって深夜。父親のいないとき。
闇の中で熱っぽく交歓しているところを覗いて昂奮するのだという。
「父は時々夜遅いので」と、彼はいう。そういうときを狙うようにして、逢瀬を遂げているらしい。

しょう 母が乱れるところをみると、正直恥ずかしいくらい興奮するんです・・・
ジョン お父さんに相談しようとは思わないの?
しょう 父には悪いけど、ばれなければいいと思っています。
ジョン しょう君は、お母さんの不倫相手の味方なんだね。
しょう 味方というわけじゃないんですが、会って話ししてても、なんか波長合うんです。父が嫌いなわけじゃないのですが・・・

勤め先の人間で、女たらしのヤツがいるのを思い出した。
同僚と仲良くしながら、ウラではその妻を犯し続けているのである。

しょう 父の帰宅が遅いのが、よく相手に分かるものだと思います。
ジョン お母さんと示し合わせているからじゃないのかな
しょう そうかもしれませんね。あと、信じてもらえないと思いますが
ジョン うん
しょう そのひと、セックスしながら母の血を吸っているみたいなんです
ジョン へぇ。お母さん平気なの?
しょう よけいに興奮する様子なんです

多分作り話だろうと思ったが、明らかに不自然なところと、事実としか思えないような話と、微妙に交じり合っている彼の話に私は時間を忘れていた。

しょう それがね
ジョン ええ
しょう 「あなた・・・あなた・・・」って、母がつぶやくんです。
ジョン お父さんのことを考えているのかな
しょう だけど、それって一番思い出したくないものなんじゃないですか?
ジョン 決めつけるわけには行かないけれど
ジョン ほかの男とのエッチを配偶者に見せたがる女性や、それを見たがるダンナだっているからね
しょう そうなんですか?考えられないですね・・・
ジョン ボクも若い頃はわからなかったね。そもそも最愛の女性をどうしてほかの男に辱められるのが快感なのか・・・
しょう ですよね
ジョン でもそういうキミだって、大切なお母さんが犯されているところに昂奮しているんだろう?

ちょっとのあいだ、沈黙が流れた。
母親を犯される願望を抱く青年と、妻を犯される妄想を持つ中年男性。
なにか、かよい合うものを感じたのは、こちらだけだろうか?
チャットで会話を交わしたある青年は告白した。

もしも将来ボクがお嫁さんをもらい、お嫁さんが理解のある人で、なおかつ適当な相手がいたら、抱かせてしまうかもしれません

と。

しょう ジョンさん、母の不倫 ごらんになりたいですか?
ジョン 見てみたいね でもいいのかな?
しょう ジョンさんだったら、見せてあげてもいいような気がします。

びっくりするくらい簡単に、話はまとまった。
指定された時刻、庭の裏門を開けておくので、そこから忍び込むこと。
お母さんの寝室は一階で、夏場は窓を開けて寝んでいるので、
そこから覗くことができるのだ、という。

しょう 住所、いうね。所番地だけでわかるかな
ジョン 住宅地図で探して行きますよ。
しょう 見つかったらボクの知人だと言って下さい。そうすれば不法侵入にならないでしょ?(笑)
ジョン ご迷惑のかからないように動きますよ^^
しょう じゃあ、住所。
しょう ○○県××市△△町1丁目・・・

私は目を疑った。
まさしく、我が家の住所だったのだ。


2.自宅の庭先

自宅に帰るのにどうしてドキドキ胸を弾ませなければならないのか?
こんなことは新婚時代にもかつてなかったことだった。
息子は、ネット仲間の正体が私であるなどとは思いもよらず、深夜の訪客のために裏口のカギを開けていた。
自宅に盗みにでも入るような不合理な感情と、それと裏返しに沸々とわき上がってくる得体の知れない好奇心。
四十すぎにもなってこういうものに自分をゆだねていいものだろうか?
私は自分の正体を息子に知られないことを祈った。
息子は家のなかから、ふすまを細めに開いて見るようにしている、という。
お互いにおなじ情事を鑑賞し、終わったら互いの顔を見ずに別れる。
そして、再びインターネットで感想を言い合う。
そういう約束になっていた。

勝手の知った我が家の庭。それを知らないうちに荒らされていた・・・
そんな現実を見せつけられるということが、まるで嘘のように思えたが、いま自分の置かれている状況はあまりにも不自然である。
私は足音を忍ばせて茂み伝いに妻の寝室に近づいた。


3.交淫

今夜は徹夜だと言って出かけていった私。
それなのに妻は、情夫を迎えるために門灯をつけていた。
息子もまた、彼と親しく言葉を交わしたのだろうか?自分の母を犯すという、男の意図を知りながら。

男は、もう部屋の中にいるらしい。
ひそひそと言葉を交わすのが、開け放たれたガラス戸越しに洩れてくる。
「息子さん、見ているのかな・・・今夜も」
そんな声が聞えたような気がする。
妻のこたえはよく聞き取れないが、どうやら息子をとりなしているようだった。
息子に見られながら大胆に性を愉しむ・・・いつも淑やかな妻はそんな女ではなかったはずだ。

灯りを消す間もなく、ごそごそと音がし始める。
私は思い切り格好わるく、もぞもぞと壁にへばりつき、そうっと中の様子を窺った。

思ったより二人との距離は近かった。
大胆にせり上げられたワンピースからのぞく妻の太もも。
黒のストッキングに包まれたそれは、まるで娼婦の肉体のように挑発的に輝いている。
妻のほうへとのしかかってくる男の顔に、見覚えがある。
職場の同僚のひとりだった。
そうか、あいつだったのか・・・
不思議に、怒りがわいてこない。
いつも目立たない、虫も殺さないタイプの病身の男だった。

男は片腕をのばし、我が物顔に妻の肩を抱く。
もういっぽうの腕はワンピースのすそにもぐり込み、荒々しくまさぐり入れていく。
はっ。
と、べつの息遣いが聞えたような気がした。
はす向かいのふすまが細くあいている。その彼方に光る眼が、声の主だった。
男も女も、そんなものは眼中にないといわんばかりに、互いに腕を絡み合わせ、身をすりつけ合っている。
着衣のままのプレイ。
貞淑な妻が乱れる有様がいっそうリアルに感じられた。
出ていって止めさせよう、という考えはまったく湧いてこなかった。
息子も案外、おなじ気分でいたのだろう。
激しい嫉妬にみちたふたつの視線に挟まれて、淫靡な遊戯はいっそう激しさをましてゆく。
あっ、ああっ・・・あっ・・・あああ・・・
声を忍ばせて激しく乱れあうふたつの体が、畳にのべられた布団のうえでもつれ合う。
夫婦の褥。見覚えのある柄のシーツがくしゃくしゃになってゆく・・・
かたちばかり抗って、操を守ろうと腕を突っ張る妻。
みえみえの演技にちがいなかったが、か細い筋肉に力を込めて男の逞しい胸から我が身を隔てようとする妻にかいがいしさを覚える。
その腕がはかなく折られ、男の身体が密着すると、
しくっ。
私の下半身が、剛く引き締まり、そそり立っていた。

・・・・・・。

ワンピースを着崩れさせて、妻は男の腕のなかで喘いでいる。
はしたない行為の連続を、私は声もなく魅入られたように硬直したまま見守ってしまっている。
見せつけられる。
そんな快感が私の理性を痺れさせてしまっていたのだ。

四つん這いにさせられて、牝のおめきをあげる妻。
男のいちもつを恥ずかしげもなくくわえ、大胆にしゃぶる妻。
なによりもたまらなかったのは、淫らに歪んだ口許から洩れる私への謝罪だった。
妻は男のモノをしゃぶらされながら、跪くような姿勢を強制されていた。
黒のガーターストッキングはふしだらにたるんで、すねまでずり落ちてしまっている。
そんな恰好のまま、妻は目を瞑り、かぶりを振りながら言い募るのだ。
「あなた・・・あなたァ・・・ごめんなさい。私、とてもイヤラシイ女なの。でも許してね。許してくれるわよね・・・っ・・・」
ああ、許すとも・・・
思わず呟いてしまう私は、情けない夫であったに違いない。

男の唇が妻のうなじに吸いついた。
シーツにぼとぼととしたたり落ちる、赤いしずく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
たしかに彼は血を吸っていた。
たまに血色のよい顔色になって出勤してくる彼。
「病院で射ってもらうカンフル剤が効くんですよ」
静かに微笑んで私にそう答えるのは、きまったように私が残業をした翌日だった。
吸血の音があがるたびに、彼にすがりつくように軽く身をしならせてゆく妻。
「嬉しい・・・」
こうこうと輝く電灯の下。
頬を蒼ざめさせながら、瞳だけが異様に輝いている。

4.ふたたび インターネット・カフェ

しょう 見たよね?^^
ジョン 見たよ。^^;
しょう どうだった?
ジョン ご馳走様。^^
しょう 気に入ってもらえたならすごく嬉しいです。
ジョン 君も、ずっと見ていたの?
しょう 母もストレスが多いので、許してやってほしいです。
ジョン 母さん孝行なんだね。^^
しょう 自分の奥さんが抱かれるのって、どんな気分なんでしょうね。
ジョン 鮮烈 だろうね。
しょう やな感じはしないものなんでしょうか?
ジョン ボクの場合は かな?
しょう よかった。^^
ジョン なにが?
しょう 父さんが、母さんの不倫を気に入ってくれて・・・
ジョン え?
しょう アア、失礼。どういうわけかジョンさんが父みたいに思えたから

それきり、「しょう」君は話題を変えてしまった。
ガラス戸の外とふすまのかげから。
たしかに何度か目が合ったのを感じた。
あいだに情事に耽る妻をはさんで・・・
果たして彼は庭先に訪れた訪問者の正体に気づいたのだろうか?

家での息子の態度に、特に変わった様子はない。
妻も、何事もなかったかのように今までどおり淑やかに振舞っている。
じつは陰で妻のことを食っていた食人鬼の彼も・・・
「しょう」とのチャットはそれからも続いた。メアドを交換し、彼が来そうなときにはそれと報せてくれる。
そういう日はきまって、あの大人しい同僚は私の仕事の進み具合を気遣いにくる。
「今夜も、遅くなりそうだけど・・・君は病院があるんだよね?」
そういうと彼は「すみません。いつも、ご迷惑かけますね・・・」控えめな口調でそういって、丁寧にお辞儀をして退社していく。
ご迷惑。
たしかにそうやってキミは妻の生き血で不健康な体を癒そうとしているのだね?
足音を忍ばせて庭先にまわり、妻の寝室を窺う私。
妻の痴態はさいしょの夜以上に露骨なものになっていた。
私のまえでは決して見せない下着を身につけて、昼間の淑やかさをかなぐり捨てて娼婦のように振舞う妻。
あきらかに、部屋の外から注がれる第三者の視線を意識した態度だった。
「さぁ、私を見て。もっと見て・・・」
そういわんばかりに彼女は髪を振り乱し、浅ましいくらい激しく腰を振り続ける。
情事が果て、彼が玄関を出ると、入れ違いのように何食わぬ顔を繕って帰宅する私。
たぶん。
彼も、彼女も、全員が真相を知っている。
そして誰もが申し合わせたように口をつぐんで、平凡すぎる日常と、異常に満ちた夜とを共有しているのだ。

留守宅の妻

2005年08月07日(Sun) 05:01:50

1  帰宅
単身赴任をしているある夫の手記です。

東京の実家に戻ったのは二ヶ月ぶりのことだった。
「おかえりなさい」
真っ先に玄関で私を迎えてくれたのは、妻でも娘でもない。
いちおう、「母の友人」ということになっていた。
歳もいくつだかよくわからない、不思議なムードを持った年上の男性。
単身赴任が決まったときに、私は彼に頼んで、妻を寝取ってもらったのだった。

ちょっとおくれて、妻が出てくる。
「あらぁ、遅かったのね」
黒のスリップ一枚という、なまめかしい夜の女。
洗い髪が肩先に乱れかかっているのが、夫である私の目にもゾクゾクするほど挑発的だ。
同居していた時分にはストレートだった黒髪を栗色に染めて、毒々しいくらいのパーマをかけた髪。
すっかり彼好みの女にされてしまっているらしい。

夜更けに、夫以外の男性とふたり。
いったいどういう展開になっていたのか、どんな男でも容易に察しがつこうものだった。

「遅かったね・・・」
夕方のはずが深夜になった。
それだけの意味ではないように思える。
「遅カッタワネ。貴方ノ奥サン、モウスッカリ、タラシ込マレチャッタノヨ」
ウキウキした目つきで艶然と微笑む妻のまなざしが、よその女のそれに思えた一瞬だった。

2  来歴
母から知人だと紹介された彼は、ごく最近街に住み着いたらしい。
やはり転勤族の勤め人をしていた父が退職まぎわ、地方駐在の重役として単身しているときに知り合ったという。
男は奇妙な習慣を持っていた。
人の血を吸うのである。
それは殺してしまうほどの量ではなく、せいぜいほんのちょっぴりくらくらするていどのものだった。
彼は母と知り合うとすぐに親しくなり、血を吸い取ってしまったのだった。
母は彼に同情的ですすんで己の血を吸わせるようになり、退任して帰宅した父さえもすぐにたぶらかされてしまっていた。
はたから見ていた私さえ感心してしまうくらいの見事なお手並みだった。

結婚十年経ったとき、
「そろそろ妻にも愛人を」
と思うようになっていた。
同床異夢というやつで、妻のほうでも
「そろそろ浮気、してみようかな」
軽い気分で、そんなことを考えていたらしい。
似たもの夫婦、ということかもしれない。
留守宅の妻をお願いしたい。
そういった私に彼はこともなげに、
「遠慮なく、頂戴するよ」
妻が堕ちたのは、赴任後すぐのことだった。
たったひと月で、貞操を捨てた妻。

3  かわるがわる
シャワーを浴びて居間に戻ると、そこにはもう誰もいなかった。
こうこうと照る照明のむこうに、夫婦の寝室が淡い闇をひろげている。
半ば開いたドアのすき間から中を窺うと、薄闇の彼方に沈むふたつの裸体が濃密にからみ合っていた。
寝乱れたスリップ一枚の妻。
口許から洩れるあえぎを揉み消すように圧しつけられる唇に、思いのほか大胆に身をよじらせている。
熱っぽい応酬をくり返す、唇と唇。
目のやり場に困る私のほうへと伸ばされた腕に、虚をつかれるようにバランスをくずしていた。
闇にうかぶ白い肌。すっかり変えた髪形のせいか、妻とは別人にみえる女。
いつか夢中になった私は、仰のけられた裸体におおいかぶさっていった。

――え?こんなことまで・・・?
――あら、おかしいかしら?
――教え込まれたんだね?あの男に
――言いっこなしよ。そういうの・・・

互いに体温を伝え合いながら、妻と交わすある種の会話。
深夜の客人はいい相方をつとめてくれた。
入れ替わり、立ち代わり・・・
気がつくと、二人して妻を犯しつづけていた。
夫婦の褥を淫らな汗に濡らしながら。

――貴方だって、ノッてるじゃないの。
――ちがう。うまくのせられたんだ。ヤツと君に。

私が果てると妻を抱き寄せ、嫉妬に昂ぶった私に再び妻の体を押しやる彼。
絶妙のタイミングになんども果ててしまった夜。
もう、明け方近いのだろう。カーテンを通して薄い明かりが差し込み始めていた。

いつのまにか、彼は私たちの傍らから姿を消している。
あたりを見回す私の耳に、かすかな声が聞えてきた。
娘の部屋からだった。
「安心して。あの娘はまだ処女のはずだから」
妻の声は、いつになく深い。
「吸血鬼は、処女の生き血がお好きでしょう?」
しっとりと落ち着いたその声色に引き寄せられるように、ふたたび妻を抱きしめていた。

4  娘のフェラチオ
「留美、起きてきていいのよ」
母親の声色にもどった妻。
それに応えるように、廊下の向こうにある娘の部屋から起き上がる物音。
ドアが開くと、ほっそりとした体がそうっと抜け出すようにして廊下に現われた。
長い髪の毛を揺らがせながら。

大人しい性格の娘。
相変わらず無口で、足音さえも忍ばせてこちらに歩みを進めてくる。
「お帰りなさい、お父様」
素肌の白さに、ある種の潤いが漂っている。
制服に隠された胸も、ハイソックスに包まれたふくらはぎも、女らしい丸みのある肉づきを帯びていた。
ちょっと見ない間に、女はこうも変わるものなのか。
制服姿でひっそりと佇む少女をまえに、娼婦のように堕ちた妻に対するのとおなじ感想をもつのはなぜだろう?

濃紺のベストにスカート。白のブラウスにえび茶のネクタイ。
襟元にかすかにバラ色のしずくを散らした娘はけだるげに、うなじのあたりをなでつけている。
「まぁ。また制服を汚したのね?」
娘はしんなりと小首をかしげて、自分がなにをしていたのかをあらわにしない。
よく見ると焦点の合っていない目が、さっきまで己を支配していた快楽から抜け切れないようにまだウットリとしていた。
「エッチ用の制服だから、まあいいか」
妻にそういわれて、初めてにっこりと微笑んだ。私はゾッとした。

「さぁ、いつものようにして御覧なさい。お父様も見ていてくださるから」
何を、「いつものように」するというのだろう?
娘は無表情に背後を振り返り、いつの間にか音もなく控えていた妻の愛人を上目遣いで見つめた。
夢見るようにさ迷うとろけた少女の目線を、あくまで冷淡に受け流す彼。
娘は彼の前に跪くような姿勢を取ると、ズボンのジッパーを下ろした。

や、やめなさい・・・
危うく出かかった声を、妻の手が軽くふさいだ。
娘はためらいもなくかわいい指をあやつるようにして、男のペニスを引き出した。
さっきまで妻の体内に埋め込まれていた、赤黒く膨張したペニス。
醜悪な肉の塊を娘は手に取ってまじまじと見つめ、そしておもむろに口に含んでいく。

くちゅっ。
生々しい音を立てて、口の中で唾液がはじける。
大人しやかな唇におよそ不似合いな肉塊をほおばりながら、
娘は恥らうふうもなく、母を犯したモノをしゃぶり始めていた。
まるでチューインガムをもてあそぶように何気なく、淫らな行為に耽る娘。
「そう、そぅ。そうよ・・・」
妻の目線が狂おしく娘に注がれている。
「もっとしておあげなさい。彼、とっても気持ちよさそうにしているわよ・・・」

絵に描いたような優等生だった娘。
ストレートのロングヘアをつやつやと輝かせ、清楚な制服姿に身を包みながら、
いまは男の欲情を満たすため淫らな行為に耽っている。

「えらいでしょう?あの子。あれだけされて、まだ処女を守っているのよ・・・」
声をふるわせて娘の淫行に見入っている妻は嬉しげにささやき、知らず知らず私は頷いてしまっている。

5  息子の彼女
一泊かぎりの帰京。
高校生の息子は私の在宅中、ずっと勉強部屋にひきこもり、とうとう顔を見せなかった。
母親や妹をゆだねてしまった私に、不快なものを感じているのか?
そんな私のわだかまりを見抜いたように、妻は息子の部屋を見やりながら私に囁いた。
「あの子、照れくさいのよ」
「なにが?」
「貴方と、おなじことをしてしまったばかりなの・・・」
「おなじ、こと?」
「彼女を連れてきて、紹介しちゃったのよ、彼に・・・
 『まだ処女だったんだね』彼、息子のこと感心して、そう言ってたわ」
ミチコさんにはいちど、私も遇っている。
清らかな凛々しささえ漂わせる女学生ぶりだった。
その彼女すら、なぶり抜かれているというのか。
「わざわざ制服姿で、彼に襲われにいらっしゃるの」
毒の在る刺激を含んだ妻の言葉が、鼓膜をくすぐった。
マゾヒステリックな歓びに目ざめてしまった息子。
さぞ、ばつが悪いことだろう・・・
でもそうすることで、キミは我が家の跡取りであることを証明してしまっているのだよ。
同情と共感が、浅ましい安堵とともに胸を満たしていった。


後記
05年8月7日から9日にかけて描き継がれたものをあわせて掲載しました。
あいだに「幼馴染み」「結婚式」「ハイソックス」「黒蜥蜴」(いずれも未掲載)などなどテーマのまったく異なる話がいくつも挿入されているためです。
サブタイトルのうち、3・4の「かわるがわる」「娘のフェラチオ」は当初からついていたのですが。
これほど長く描き継ぐつもりがなかったせいか、単に思いつかなかったのか、ノンタイトルでしたので。バランス上新たにつけました。

息子の恋人

2005年08月06日(Sat) 07:21:37


「こんちはぁ」
明るい声をはじけさせて、少女は私に声をかけてくる。
息子の彼女だった。
お辞儀をした拍子に三つ編みのお下げが白い夏服の胸元に揺れた。
まだ学生さんである。
もう夏休みのはずなのだが。
行儀のいい彼女は昔の高校生のように、よそ行きのときにはいつもちゃんと学校の制服を着ているのだ。
いつも礼儀正しく育ちのよさを感じさせる、初々しい白い肌をもつ少女。

将来のある娘さんなので、名前は仮に庭野律子さんとしておこう。
彼女が息子の婚約者となったのは、まだ小学5,6年生のころだった。
吸血鬼氏に血を吸われるようになったのは、それからのこと。
こざっぱりとしたワンピースに白いハイソックスを履いて、大人しく首筋やふくらはぎを咬まれていったのが、ついこの間のことのようなのに、
今はすっかり娘さんらしくなっている。
通っている女学校の制服はセーラー服。
濃紺の襟章を真っ白なラインが三本横切っているのが、私の目にも眩しかった。
さらに眩しかったのは足許。
黒のストッキングを履いていた。夏服なのに。
白の夏服との意外な取り合わせが、かえって大人びたなまめかしさをひきたてていた。

そこで初めて思い出す。
まえの晩妻を襲いにきた吸血鬼と息子のやり取りを。
たしかあのとき、息子は律子さんとのデートのチャンスを彼に譲ったはずだった。
「きょうはデートかな?」
何気なく声をかける私に、
「えぇ、ちょっと」
少女は言葉をにごらせる。
「ごゆっくり」
屈託のない笑顔をつくって、私は少女をやり過ごす。


階段を昇ってすぐが息子の勉強部屋。
くすくす洩れる忍び笑いに誘われるようにして、私は足音を消していた。
開けっ放しになっているドア。
きちんとしているように見えて、どこか抜けている息子。
彼の半ズボン姿は、私のほうに背中を向けていた。
女の子みたいにきちんと引き伸ばされた真っ白なハイソックスのふくらはぎに、不規則なバラ色の模様が点々と散らされている。
さきに、お手本を見せたのだろうか。
少女の笑みは朝の斜光線のなかで、いっそう初々しく輝いていた。
イタズラっぽく白い歯を見せながらくすぐったそうにウキウキと、彼女は黒ストッキングの脚を前に差し出している。
足許にうずくまる黒マントに包まれた男は、少女のふくらはぎにべっとりと、唇を吸いつけていた。
咬まれてしまっている証拠に、少女のストッキングはひと筋あざやかに伝線を走らせている。
裂け目からのぞく、白い肌。
鋭く伸びた伝線は娘らしい脚の線を映すように微妙なカーブを描いて、濃紺のプリーツスカートの奥まで忍び込んでいた。
ちゅ、ちゅう~っ・・・
いやらしい音をたてて、喉を潤おしはじめている吸血鬼。
小気味よげに見守る息子。
いつかどこかで見たような風景につい見とれている私。

息子がドアをきちんと閉めないのは、どうやら私への気遣いであったらしい・・・


律子さんが帰っていくと、息子をつかまえる。
「いいのかい?あんなにたっぷりご馳走しちゃって」
「彼女の家でもわかっているみたいですよ」
育ちのよい彼は言葉遣いもていねいである。
妻の教育が行き届いているのだろう。
「律子さんが血を吸われているときって、どんな気分な?」
禁断の問いかけかもしれなかった。
「んー。なんかフクザツ、かなぁ・・・」
遠い目をして言葉をきる彼は白い顔をして、
「胸のあたりがゾクゾクして、つい見せてもらってしまうんです」
台本のセリフを読み上げるような口調でそう告げる彼。
私もかつて感じはじめていたのとおなじ想いが、妖しく彼の胸をよぎっているらしい。

夕べの出来事

2005年08月05日(Fri) 08:40:41

夕べはよく眠れませんでした。
妻が、吸血鬼の訪問を受けたからです。
そういうとき、子供たちはしっかりと心得ていて、いつの間にか自分たちの部屋に引き取ってしまいます。
きょうのお目当ては妻ひとりだったらしく、吸血鬼も彼らを引き止めることはしませんでした。
息子のほうとかるく立ち話をしただけ。
そう。
息子も彼女の血を吸ってもらっているのですが、明日のデートの相手を、そのまま彼のお邸に連れていくお話のようでした。
処女の生き血には、目のない彼のことです。
うまうまと、ねだり取られてしまったのでしょう・・・

妻は昼間からご機嫌で、こざっぱりとした服装をしていました。
白のブラウスに花柄のフレアスカート。
夏はどうしてもカジュアルになりがちですが、涼しげで上品な装い。
なるほどこういうことだったのか、と初めて察しがいきました。
「相変わらず、ニブいのねぇ」
妻の揶揄をくすぐったく受け流しながら、どうしてもなまめかしく彩られた彼女の足許に目が行ってしまうのは仕方のない習慣です。

笑みを浮かべる妻の背後から迫っていって、猿臂のなかに抱きすくめて。
彼はおもむろに、うなじに唇を這わせます。
ちゅうううっ・・・
とてもプリミティブな、ロコツな音を立てて、渇いた喉に妻の血潮を流し込んでゆくのです。
私たちが夏の暑さをビールで紛らすのとおなじように、
抱きすくめた妻の身体から絞り取るようにして血を吸い取り己を癒すのです。
金色のネックレスをしたうなじのつけ根に牙を沈められて正気を喪い、
あらぬ方に虚ろな視線をさ迷わせる妻。
潔く?譲った夫婦の寝室で、妻はひと晩玩具のようにいたぶられてしまいます。
それを夫に見せつけるというようなけしからぬ嗜好をそなえた彼でしたが、
夕べは妻を独り占めにしたかったらしく、私はひと晩、宿なしに・・・
先刻いくつもの駄文を憑かれたようにアップしたのは、そういう事情からでした。

明け方
「もぅ」
甘えた声音が聞えてくるとそれを最後に、
ベッドがぎしぎしきしむ音も、妻の嬌声も途絶えました。
じゅじゅうっ・・・
吸血鬼はさいごにひとしきり妻の血を愉しむと、去り際に私のほうを振り返り、
「奥方に救っていただいたよ」
悪戯っぽくウィンクをして我が家をあとにします。
私の手に残されたのは、いたぶられてくしゃくしゃになった一片の薄衣。
妻の脚から引きぬかれた白のストッキングは見るかげもなく咬み破られたうえ、唾液や血のり、それに充分愛された証拠であるねばねばとした体液まであやしています。
それを、自分の脚に通してゆく私――。
穢されつくした淑女の装いはしっくりと肌になじんで、しなやかな締めつけ感が滲むように心地よい。
さっきまでこれを身に着けていた女の素肌の感触が伝わってくるような、淡い陶酔を覚えます。
とても恥ずかしい習慣なのですが、
辱められた妻の衣裳を身に着けると、ゾクゾクするようなマゾヒステリックな歓びにがからだじゅうをかけめぐるのです。

夕べのようなひとときでは、吸血鬼氏は遠慮会釈なしに妻を凌辱して愉しみます。
鋭利な牙と巧みな指とで妻を惑わし生来の潔癖な理性を麻痺させてしまうと、
情け容赦もなく衣裳を引き裂き、淫猥極まりない交尾を繰り返してゆきます。
排泄行為さながらに荒々しくいたぶりながら、性欲を処理するのです。
「せっかく最愛の奥方を提供していただくのだから、たっぷり愉しんで辱め抜くのがキミへの礼儀だネ」
別人のようにサバサバとした表情で、そうささやく彼。
気の置けない職場の友人に話して聞かせたところ、
はたしてそういうものなのでしょうか?
そんな返事が返ってきました。
白状すると、
衣裳をはがれた妻が熱っぽくあしらわれるほどに、私の歓びはいっそう募るのです。
疑問を呈したわが職場の同僚氏もまた、いちど奥さんを襲われてしまってからは私に賛意を表して、この密かな慈善事業のために気前よく奥さんを提供する理解ある夫として振る舞うようになったのですが・・・

クラスメイト

2005年08月05日(Fri) 01:11:05

ゆかり、清美、順子の三人は仲良く連れだって老婆の家に遊びにやって来る。
処女の生き血を好む老婆のために。
老婆は長い靴下を好んでいた。
怯える少女たちを抑えつけ、咬み破って愉しむのだった。
制服のプリーツスカートの下に身に着けた黒のストッキングは、そうした老婆へのプレゼント。
ピンク色のふくらはぎをすうっと薄墨色になまめかしく染めあげている薄手のナイロンに、老婆は欲情もあらわにしてしゃぶりついてくるに違いない。
納得づくの遊戯は少女たちにとって、もう内緒の愉しみになり始めている。

中学にあがる前、初めていっしょに老婆の家を訪ねたときは、
ゆかりと清美は白のハイソックスを履いていた。
まだ幼かった二人にとって、
おニューのハイソックスはせいいっぱいのおしゃれだった。
かわるがわる唇を圧しつけられて、
くすぐったそうにきゃあきゃあはしゃいでいた、卒業式の帰り道。
遅れて現われた順子は、真っ赤なチェック柄のスカートを得意げに引きあげる。
四月から中学に履いていく黒のストッキングを、少し早めにおろしてきたのだ。
差をつけられちゃった~!
悔しがる二人のクラスメイトのまえで、順子は気取ったしぐさでスカートをたくし上げ、
おニューのストッキングを履いた脚を、惜しげもなく老婆にゆだねる。
なよなよとしたストッキングはすぐにくしゃくしゃにされてしまい、苦もなく破かれてしまう。
そのありさまを、面白そうに見つめる順子。
羨ましそうに見守るふたり。

赤黒いシミをちょっぴり滲ませたハイソックス。
ちりちりに破けて裂け目を広げたストッキング。
色とりどりの長靴下を脚に通したまま、
三人は仲良く連れだって帰っていったが、
つぎに老婆のところに行くときには、申し合わせたように黒のストッキングを脚に通している。
肌の透けて見える薄手のやつをわざわざ選んで履いてきたのだ。

私が先・・・
他愛なく言い争いながら、
大好きなお婆さまに生き血を吸われる順番をジャンケンで決めている仲良しの三人組。

母娘

2005年08月05日(Fri) 00:48:08

ふっくらとしたももを引き締めるように、
ひざ下までぴっちりと引き伸ばされたハイソックス。
純白の生地を上下に伸びる太めのリブがかすかなつやを過ぎらせている。
鮮やかな黒のラインが三本、
両脚を結わえる細いロープのように。
ふくらはぎのいちばん肉づきのよいあたりを横切っていた。
そのうえからむたいに圧しつけられる、飢えたしわくちゃの唇。
老婆は少女の下肢をかき抱くようにしながら、
せわしなく意地きたなく、もてあそんでいた。
唇のかげに秘められている冷酷な牙が、
ハイソックスのうえから少女の肌を侵している。
みごとに根元までもぐり込んだ二本の牙。
それがくっきりと肌に浮き出た血管を食い破り、うら若い血潮を吸い上げていく。
厚手のナイロンの柔らかな舌触りと、
その向こう側でピチピチとはずんでいるしなやかなももの肉とを愉しみながら・・・

かたわらで放心し切っている女は、少女の母親。
娘にお手本を示すという大役を果たしたあとの彼女は、
うなじのつけ根をかすかに濡らした血潮を指にすくいつつ、
行儀悪くも、その指先についたものをちゅぱちゅぱと吸っていた。
足許を彩っていたねずみ色のパンティストッキングはみるかげもなく咬み破られて、
娘のハイソックスよりもハデに裂け目を広げて、
ひざ下までずり落ちている。
たっぷりいたぶられてしわくちゃにされたストッキングに走るふしだらな弛みが、
彼女がすでに身も心も堕とされてしまっているのを告げていた。

獲物

2005年08月05日(Fri) 00:33:17

吸血鬼は少女にねっちりとからみついて、
制服のすき間から牙を差し入れては生き血を啜り取ってゆく。
真っ白なブラウス。
濃紺のベストにプリーツスカート。
そんな折り目正しい服装のまま、少女は唯々諾々と吸血鬼の意のままにされていた。
時折切なそうな吐息を洩らしながら。
情けなさそうに苦痛の呻きをかみ殺しながら。
沁み込むように素肌を侵してくる牙を身体のあちこちに埋められて、
生き血を吸い取られてゆく。
それはそれは旨そうに。
我が身をめぐる血潮を味わってゆく吸血鬼。
抱きすくめる腕に力がこもり、
もはや少女は逃れることを諦めていた。

スカートのすそからのぞくふくらはぎからつま先まで、
清楚な黒のストッキングが彼女の脚を包んでいる。
素肌を青白く透きとおらせている大人の装い。
少女の知性と品格をきわだたせるかのように、
しっとりとうるおうような彩りに染め上げられた脚。
しかし少女の質素な意図を裏切るように、
それは淫らな光沢をさえうっすらと滲ませている。
やがて少女は姿勢を崩し、
じゅうたんの上に身を横たえるだろう。
おおいかぶさってくる魔物の好色な腕から解放されるまえに、
どれほどの辱めを経なければならないのだろう?

しかしさっきから、りんご色をした少女の頬は、
いままでとは違うほてりを帯び始めている。
牙に秘められた毒液を血管に注ぎ込まれて、
純潔な深紅の液を、
淫らな色に染められようとしている――・・・

照りつづける公園の街灯の下で

2005年08月03日(Wed) 08:15:21

お願い・・・
お願い。生命まではとらないで。
そうキミは呟き続けた。
もう少し・・・
もう少しだけ、しんぼうして。
そう僕は囁き続ける。

道端に投げ出されたハンドバック。
散らばった携帯電話や口紅。
片方だけ脱げ落ちたハイヒール。
突然の出逢いに、声もなくうろたえるキミ。

なめらかなキミの素肌はとても咬み応えがよくて、
渇きに疼く牙を思いきり根元までもぐりこませてしまっている。
ぬるぬるとほとび出る生温かい血潮は喉の奥へと心地よく伝い落ち、
まるでキミ自身がそうしてくれるように、ボクの胸を和ませる。
奥に秘めた二十代の熱情が、そのまま織り交ざったような血潮。
それを限りなく呑み耽りながら、ボクは君への慕情をいっそうつのらせてゆく。
ブラウスの上から柔らかな胸をまさぐりながら。
スカートの奥へと手を差し入れて、ストッキングの太ももを愉しみながら。
そうやって君の血をゆっくりと吸い取ってゆく、至福の刻――・・・

秋には結婚するんです・・・
とうとうキミは僕にそう告げた。
そうだったんだ。
それならたしかに、死にたくないよね。
でも、キミはそうやって、他の男のものになってしまうんだね。
ごめんなさい。ごめんなさい。
キミはしきりにそう詫びる。
謝ることはないのに。
だって、ボクは今夜が初対面の吸血鬼。
キミにとっては、ただの行きずりの暴漢にすぎないのに。
広やかな情愛のままに、ボクのことさえ愛し始めてしまっているキミ。
ただの生命乞いにしてはあまりにもしんけんなまなざしは、
血管にたっぷりと注ぎ込まれた毒液のせいだけだろうか?
処女のうちでよかった・・・
心からそう呟いているキミ。

彩り鮮やかな花柄のブラウス。
清楚な濃紺のフレアスカート。
フェミニンなデート用の衣裳。
身なりだけでもそれとわかる
いいとこのお嬢さん。
やがて夫となる彼のために装ったのだろうか?
でも今きみは、その衣裳をボクの愉しみのために汚させてしまっている。
夜のエモノを恐怖に陥れるために、わざとしたたらせた血のしずく。
けれどもキミはなぜかほろ苦く微笑んで、
そんなボクの仕打ちを大人しく受け入れていった。
わくわくするような手触りのスリップも
うっとりするほどしなやかなストッキングも
ボクの唇に触れさせて
唾液に濡らされて
まるで蜘蛛の巣みたいに、ちりちりに破らせて。
そんなたちの悪い悪戯をさえ
どうしてキミは許し続けてくれるのだろう

真夜中に逢ったキミ。
ふつうであれば一夜限りの恋人。
だってボクの毒牙にかかった娘は
かなりしばしば一滴あまさず血を吸い取らせてしまうから。
明日も、逢ってくれる。
そんな嘘を、どうしてボクは信じてしまうのだろう?
秋には、ほかの男のものになるはずのキミなのに。