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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

悪戯坊主 8

2005年11月27日(Sun) 08:12:12

「ただいまぁ」
妻の声だ。
なにか重たいものをどさっとおろす音といっしょに、
はあぁ、とため息がもれるのが聞える。
また襲われてきたのか?
どうも、そうではないらしい。
どさり、どさり・・・
あとからあとから玄関先に積まれる荷物。
とても妻一人で運べる量ではない。
出迎えた私に挨拶したのは、妻ではなく、あの悪戯ぼうずだった。

あれ以来、妻はぼうずと仲が良い。
よく連れだって食事に行ったり、(どんな食事だろう)
スポーツセンターに行ったり、(どんな運動なのだろう)
とにかくそれと称しては出かけている。
吸血鬼に相談しても、にやにやとするばかり・・・

「お買い物のときにね、よくお願いするの。きょうのバーゲン、助かっちゃった」
たしかにね・・・
いくつも積まれた大きなダンボールをあきれたように見やる私に、
「安いものよ。これでストレス解消できるんだから」
妻はニコニコと上機嫌である。
「とても助かるの。彼がいるとね、用心棒兼荷物持ちになるから」
そうやってイタズラっぽく少年を見あげる妻。
いつだかの披露宴のテーブルの下で妻の脚にむしゃぶりついていたころはまだ年端もいかない子供だったのが、今では妻の背丈を越えている。
にきびの浮いた顔にちょっと照れくさそうな笑いを浮かべながら、おどおどと私に挨拶を返してくる。
二人の仲はもう黙認なのだが・・・
そんなさきから、妻はとんでもないことを口にする。
「お礼にね、凌辱させてあげたりしてるのよ。ねえ?」
おいおい・・・
戸惑う私。
相槌を求められて困り果てている少年。

「さぁ~、ご褒美よ。気の済むようにして頂戴」
いったん奥の部屋に引き取った妻は、真新しいストッキングに穿き替えてきた。
白のストッキングごしに、ピンク色に輝くふくらはぎがとてもジューシィに映えている。
少年は困ったように私にちょっと頭をさげるそぶりをすると、もうあとは目のくらんだようになって妻の足許にかがみ込んでいる。
足首をつかまれ、清楚に装ったふくらはぎにチュッと唇を圧しつけられる妻。
かるく目を閉じて、
「うぅん・・・」
とかすかな声を洩らしている。
きょうの舐めは甘いわね・・・とでも言わんばかりの軽さ。
「どお?さらりとしていて、いい感じでしょ?」
もう、今や夢中になってストッキングの脚にしゃぶりついてくる少年に、妻は優しげな目線を注ぎかけている。
結婚前に襲われてストッキングの脚を咬まれるとき、妻はもっと切なげで、怯えの色を漂わせていた。
そんな切迫感とはほど遠い、のどかなゆとりは、相手が年下で、長年見知った親戚の息子だからだろう。
あるいは、脂ののり切った人妻の余裕としたたかさだろうか・・・
「あら、あら。いけない子ねぇ」
ことさら迷惑そうな声色をつくって、妻は眉をひそめる。
足許にくわえられた狼藉で、ストッキングがちりちりに破けている。
「もぅ。どうしましょ」
血迷った少年はひざ小僧をつかまえて、妻を放そうとしない。
「あなた、ご免遊ばせ」
妻は軽くウィンクすると、少年を促して庭に出た。
いいからいいから・・・
少年をなだめるように、抱きかかえるようにして、庭先の茂みに身を沈めてゆく妻。
しょうのないやつだ・・・
そう独りごちて、私は書斎に戻ってゆく。
ここから先は、夫といえども目のやり場に困るのだ。


あとがき
顔見知りの少年にすすんで脚を差し伸べて、ストッキングを凌辱させる。
それも、とても余裕たっぷりに、にこやかに。
若いころ吸血鬼と演じた切々たる濡れ場とはまったく趣を異にしているのは、妻の成長ゆえでしょうか・・・

お遊び

2005年11月26日(Sat) 08:06:49

初めて出逢った女のひとと、いつも必ず愉しむゲーム。
鬼ごっこに力くらべ。
どちらも勝つのはボクにきまっているのだけれど。
女のひとはボクを見ると、
はじめはビックリして。
声をあげて逃げ出して。
ソファを乗り越えちゃったりして。
あられもなく脚をさらけ出して。
着飾った年頃のお姉さんが取り乱すのは、見ていてとても愉しい。
しだいしだいに追い詰めていって。
どこかでぐいっと肩をつかまえ、引き寄せる。

ボクにつかまえられたお姉さんは、激しくかぶりを振って。
胸元に迫らせてゆく牙を避けようと腕を突っ張って。
とにかく、仲良くしてよとおねだりするボクを拒もうとする。
遠のこうとする力と。
近づこうとする力と。
せっぱ詰まった一瞬、一瞬。
ボクはそれでもじりじりと迫っていって。
とうとう華奢な身体を抱きすくめてしまう。

怯えにひきつった喉元に。
静脈のきれいに浮いた首すじに。
はだけたブラウスからのぞいた乳色の胸に。
ボクは順ぐりに唇を吸いつけて、
ヒルのようにぬめぬめと這わせてゆく。
虫唾の走るような悲鳴を鼓膜の奥で愉しみながら。

ちくり・・・
牙を突き入れるときの、小気味よさ。
ぐいぐいと皮膚の奥へと押し込むようにして
じゅうっ。
口のなかにはじける、若い血潮のほとび。
うぅん。
旨いよ。お姉さん。とっても旨い・・・
もう、放したくなくなっちゃうくらいに。

そうこうするうちにお姉さんは、
くたびれたようにぐったりとなって、
意外に手ごたえのある体重をボクにゆだねてくる。
その幾分の一かを頂戴するために、
ボクは自慢の牙の切っ先を撫でつける。
さぁ、こんどはどこを愉しもうか・・・

着飾った衣裳のうえに持ち主の血潮を散らしながら。
独り愉しむ饗宴。
お姉さん、処女だったんだね。
だいじに味わうね。
明日はすこし貧血だけど、かんべんしてね。
そう呟きながら愉しむ、色鮮やかないでたち。
鬼ごっこと力比べに勝ったご褒美を、
ボクはたっぷりお姉さんからせしめてゆく。


あとがき
お嬢さんには恐怖の刻でも、
吸血鬼な彼に取っては、忘我のとき。
襲う行為は彼にとっては、初対面のお姉さんと仲良くなるための遊戯・・・というわけです。
御礼に彼女の血管に注ぎ込まれた毒液は彼女の理性をほどよく酔わせて、
目ざめたときには本当に仲良くなっていたりします。

罰として・・・

2005年11月25日(Fri) 07:40:09


深夜。
誰もが寝静まったはずの家のなか。
がちゃり。
音を忍ばせて、ドアのノブがまわる。
漆黒の闇に閉ざされていた納戸に、薄暗い廊下の灯りが差し込んだ。
入ってきたのはこの家の息子、美佐緒。
母の箪笥のまえに立つと、
がたり。
ごとり。
そうっと抽斗を開け閉めする音が、ひとしきりつづいた。
美佐緒が手にしているのは、ベーズリ柄のワンピース。
それに、黒のスリップと、同じ色のストッキング。
よほど慣れているらしい。
薄暗いなかでスリップを体に巻きつけるようにして通してゆき、
その上からワンピースをふわりとかぶり、
さいごに黒のストッキングのつま先を合わせると、
するすると引き上げていった。
細長い棒のように縮こまった衣類がぐーんと伸びて、
淡い脛毛を覆い隠してゆく。
初めはハイソックスとおなじくらいのひざ下丈まで。
それからおもむろに、太ももへと引き伸ばされる。
しなやかな肌触りが、冷えた肌にしんなりと吸いつくように覆った。

薄黒いナイロンに少年の脚がじんわりとおおわれてゆくのを、ドア越しに別の眼が見ていた。
ぱちり。
唐突に点けられた照明に、驚愕の表情を浮かべる少年の、あらぬ姿が浮かび上がる。
照明のスイッチを入れたのは、母親の志津だった。
母親の容赦ない視線に耐えかねたように、美佐緒は目をそむけた。
「まあ、いい恰好。よぅく、お似合いね」
冷ややかな口調に、新たにこみ上げてくる罪悪感が胸をチクチクと蝕むように苛んだ。
「いつからそんなことを覚えたのかしら。薄暗い中でお上手ね」
母の声は、あくまでも静かだ。
「困った趣味に凝っているのね。罰として・・・」


どうやら今夜は、エモノに行きはぐれたようだ。
コツコツと足音を響かせて、吸血鬼は深夜の公園を徘徊していた。
デート中のカップルや勤め帰りのOL。情事ために行き交う人妻。
そうした人々も、もう現われるはずのない刻限。
ズボンの下にまとっている濃紺のストッキングは、夕べ襲った人妻からまきあげたものなのだが。
明晩脚に通す新しい沓下を手に入れるわけにはいかなさそうだ。
―――しょうしょう、冷えてきたな・・・
マントのえりをそばだてて、吸血鬼は邸に戻ろうとした。

おや?
ベンチに座る人影がある。
どうやら、女のようだ。
ショートカットの髪をした、ワンピース姿の女。
逆光になってよくわかないが、ストッキングは彼の好みどおりの濃い目のものらしい。
そう、っとうしろにまわり込む。
落ち着いた色合いの、ベーズリ柄のワンピース。
深夜に夫と諍った人妻が、帰るあてもなくここまで来たものだろうか?
よしよし。
淋しいのなら、わしが相手をしてつかわそう。
吸血鬼は、口許からのぞいた牙をすうっ、と撫でた。
音もなく女の背後に忍び寄り、ベンチの下へと身をかがめる。
足首をつかまえてしまえば、女はもう逃げられない。
ストッキングに包まれたカッコウのよいふくらはぎをめぐるなまめかしい血の気配に、もうゾクゾクとした胸の昂ぶりを抑えられなくなっている。
古風な色合いをしたベーズリ柄のワンピースにも、惹かれるものを覚えていた。
びっくりさせるつもりはなかったのだが。
ケモノじみた素早さで、女の足首をぐっ!とつかまえてしまっていた。

あっ。
ベンチの上から洩れる驚愕の声。
吸血鬼はかまわず、ふくらはぎに牙をくい込ませる。
しなやかなストッキングの感触を唇に心地よく感じながら、
ずるっ・・・
じゅるっ・・・
あからさまな音をたてて、血を呑み込んでゆく。


「女だとおもったが」
静まりかえった公園にこうこうと照りわたる街灯の下、吸血鬼は相手を見おろしている。
女の姿をした少年は、怯えきっていた。
華奢な体格。優しげで気品のある面差し。
これでしょうしょうの化粧をほどこし髪の毛を伸ばせば、昼間でも女と間違えるかもしれない。
女のひとの服にあこがれて。恥ずかしくて口に出すことができないで。
心の焦がれるままに、母親の服に手を出して。見つかって。
罰としてそのままの恰好で家から出された、という。
「夜が明ける頃にもどっていらっしゃい。鍵をあけてあげる」
そういう母の言葉を背に、少年は抗おうともしないで家を出た。
口ごたえひとつしたことのない大人しいたちではあるのだけれど。
女の姿のまま夜の街を歩く。
そんな情景にえもいわれず惹かれてしまったのも確かだった。

「ストッキングを、破ってしまったね」
ひりひりとする傷口の周りは、辺りの冷気を遮ってくれていたストッキングの破れでいっそうそらぞらしいかんじがする。
「おじさんも、ストッキングが好きなの?」
見あげてくる少年に、吸血鬼はおや、という顔をした。
「だって薄い靴下、履いてるし」


うふふ・・・ふふふ・・・
少年は含み笑いをしながら、黒のストッキングの脚を吸血鬼にゆだねている。
咬み剥がれてちりちりになって破れ堕ちてゆくありさまが、妖しく網膜を彩った。
くすぐったい。くすぐったいよぅ・・・
もうたまらない、というように、少年はベンチのうえで身をのけぞらせていた。
悪戯を愉しむような少年の身にまとわれた、ベーズリ柄のワンピース。
吸血鬼はしんそこいとおしそうに、少年の肩を抱き、しっかりと抱きすくめている。
ぐぐっ・・・
うなじに食い込んでくる牙が切ないほどに欲情していた。
―――母さんと、逢わせてくれる?
そんな吸血鬼のおねだりに、少年はなんの抵抗もなく頷いてしまっている。


東の空がしらじらとしてきた。
少年の家の玄関のまえ。
母は約束どおり鍵を開けて、少年をなかに入れてくれた。
そして今は、ベッドのうえで吸血鬼にうなじを咬まれている。
ちゅう・・・ちゅうう・・・っ
母の血が吸い取られてゆく音が、むしょうに小気味よかった。
朝から小ぎれいに装っていた母。
白のブラウスは爛れたように、バラ色のしずくをしたたらせ、
黒のフレアスカートはしどけなくすそを乱して、黒のストッキングに彩られた太ももをさらけ出している。
罰だよ、罰・・・
ボクにあんなお仕置きをしたんだから。
こんどは母さんが罰を受ける番なんだよ。
恨んでも憎んでもいないのだけれど。
むしろ母さんのことが大好きなんだけど。
戯れ合うようなたちのわるい悪戯心が、むくむくと頭をもたげ、少年に罪悪感を忘れさせていた。
―――息子さんと、おそろいだね。
夢見心地になった母親を揶揄しながら、吸血鬼は黒のストッキングを履いた志津のふくらはぎに唇を這わせてゆく。
卑猥に這った唇の下。
ぴちっ。
はじけるように広がる伝線が、つつっとつま先まで延びてゆく。
そんな様子を、志津は目をとろんとさせて面白そうに見つめ、へらへらと笑いながら吸血鬼の相手をつづけてゆく。
母さんが、母さんが・・・
血を吸い取られ、征服されてゆく。
少年の目は、いつか熱く血走っていた。


ぽん、と静かに肩に置かれた手に、びくっと振り返った。
父が、白い歯を見せている。
声もない少年に、
「いい眺め・・・だろう?」
そういいながら、自らもまた妻の痴態を眺めている。
嫉妬でも昂ぶりでもなく、
むしょうにいとおしげな眼だと少年はおもった。
「ほら、見て御覧」
父に促されるようにして、少年はふたたび窓辺に近寄る。
はだけたブラウスからのぞいた乳色の肌が眩しい。
黒のストッキングはとうに、ちりちりに咬み剥がれて、ひざ下までずり落ちている。
マントを脱いだ吸血鬼は、母と腰をひとつに合わせて、
夫婦のベッドの上、淫靡な舞踏をくり広げている。
年端のいかない少年に、その意味はまだ半ばしか伝わらなかったものの。
父は今、母のたいせつな処を夜の訪客に許している。
それだけはたしかにわかっていた。

まだお前が生れるまえにね。
母さんと小父さんとは恋人同士だったんだ。
え?もちろん、父さんと結婚したあとのことだよ。
女はね。
結婚したからって、恋をするものなのだよ。
お前が生れるとき、母さんの体を気遣って、彼は身を引いていったんだ。
さぁ、もう朝だ。そろそろ顔を洗いに行こう。
母さんきっとそのうちに、何食わぬ顔をして部屋から出てきて、朝食の支度を始めるだろうから。
そういうとき絶対に、冷やかすようなことは言わないことだぜ?


あとがき
女装した少年が、それと気づかない吸血鬼に襲われる。
けれどもじつは少年が身に帯びていたワンピース、ともに逢瀬を愉しんだ少年の母の想い出の服だったんですね。
焼け棒っ杭に火がついてしまったお母さん。
これからどうなってしまうのでしょうか・・・?^^

悪戯坊主 7 ~親戚のつどい~

2005年11月24日(Thu) 07:42:19

悪戯坊主は、親戚の集まりがあると必ず顔を出す。
なぜって、そこには脂の乗り切ったおばさまや、年頃のお姉さまたちがなん人も集まるのだから。
披露宴とかで知り合って仲良くなったヒロコおばさまなんかは、小僧の顔を見かけると、
「こっちこっち」と手招きをして、ちょっと別室で一服してくれたりする。
おいしい生き血をたっぷりめぐんでもらうと、小僧は口をぬぐって先に部屋から出ていき、
ヒロコおばさまは破れたストッキングを履き替えてからもどってゆく。

「あらぁ、皆さんしばらくです」
照美おばさまの声だ。
おばさまはにぎにぎしくあいそを振りまきながら、みんなのいる部屋へ脚を踏み入れる。
黒ストッキングなかのつま先が、青白くなまめかしく透けていた。
あとからショルダーバックをさげてきたねずみ色のスーツ姿は、娘の美紗子姉さんだ。
ストッキングも、スーツの色に合わせてねずみ色だった。
ピンク色のふくらはぎがストッキングの色合いで、きれいな赤紫に見えた。
「あらぁ、悪戯小僧ったら。だれから血をもらったの?もう口のはた汚しちゃって」
おばさまはそういいながらも、
「坊やのために、新しいの履いてきたよ。召し上がる?」
そういって、娘を促して座を立っていく。
美紗子姉さんの婚約者のサダオ兄さんも居合わせたけれど、苦笑いして見送るだけ。
評判の美人だった美紗子姉さんを射止めて、秋にはイトコ婚をする予定になっている。
「まだあいつ、女のことは知らないんだよねえ」
念押しするようにべつの従兄弟に確かめたのは逆効果。
「そりゃ~、わからないよ。誰かさんだって、初体験は何歳だったっけ?」
「オイオイ、おどかすなよ」
「ヘイキかどうか、ためしてみないと。あとで母さんも相手してくるわ」
サダオ兄さんのお母さんは、とても心配そうに嫁のあとを見送っている。
(ためすって何を?)
そんな息子の視線に気づくようすもないくらい、気もそぞろになっていた。
賑々しい身内の喧騒を背にして、小僧は女ふたりが待つ別室にむかう。

「さぁ、どうぞ召し上がれ」
用意のいいことに、ふたりの女はもううつ伏せになっている。
どちらにしようかな・・・
小僧は胸をドキドキさせて、かっこうのよい二対の脚を見比べる。
とても幸せな瞬間だけど。
ここで選択をまちがうと、あとが気まずくなったりする。
そうだ、ここはおばさまに恥をかかせないようにしよう。
黒のストッキングのふくらはぎに、くちゅっとよだれをすりつけられて。
ローションみたいにぬるぬると、お肌にすりこんでゆく。
照美おばさんは満足そうにニマッと娘をみて笑う。
しょうがないわね・・・
美紗子姉さんは困ったように笑い返している。

照美おばさんの黒ストッキングは、ちょっとごつごつした舌触り。
美紗子姉さんのねずみ色のストッキングは、なよなよ、しんなりしていた。
どちらもハデに、破いちゃった。
破かれるときふたりとも、
「マァ・・・」とか、「あらぁ」とか、ため息みたいな声をして。
血を吸いあげるときにはもう、しぃんと黙りこくっていた。
照美おばさんのねっとりした血もよかったけれど。
やっぱり美紗子姉さんの血のほうが、新鮮でおいしかった。

数年後。
久しぶりに会った照美おばさんは、白髪が増えていた。
「ゴメンね、坊や。もうわたし引退だわよ」
困ったように、淋しそうにほほ笑む照美おばさん。
「でももう、坊やなんて呼べないわね。すっかり学生さんらしくなっちゃって」
そういってしばらくのあいだ、すっかり青年になった小僧のことを、眩しそうにみつめていた。
美紗子姉さんはもうサダオ兄さんのお嫁さんになっていて、六歳と五歳の子持ちのお母さんになっている。
ちょっぴり太ったみたいだけれど、まえより化粧もきれいになって、お肌も黒い髪の毛も、とてもツヤツヤしている。
子供も手がかからなくなっておしゃれができるようになったわとご機嫌そうな、千鳥格子のスーツ姿。
彼を認めると、「あらぁ、すっかり大きくなっちゃって」
やっぱり子供あつかいだ。
声変わりして、女を知っても、年の差までは縮まらない。
ふたりの子供はなぜか小僧になついていて、遊び疲れて寝静まるまで、小僧を相手にはしゃぎきっていた。
寝かすのが目的で相手してやったんだけど。
子供の相手は疲れるなぁ・・・
「子供のこと押しつけちゃって、ゴメンネ。お礼しなくちゃね」
そういいながら、当然のように別室に立ってくれた。
「もう、おばさんになっちゃったら関心なくなっちゃったかな~?」
否定なんかゆるさない強い態度に、やっぱおばさんしてるなあ、と苦笑いして、小僧は彼女のお尻を追っかけた。
肌色のストッキングの向こう側。
むっちり肉のついたふくらはぎを走る青白い静脈が、彼をくらくらさせている。

いいのかい?
悪友な従兄弟に耳打ちされるサダオ兄さん。
「あいつ、もう女を知ってる年頃だぜ?」
いいのいいの。
サダオ兄さんは人のわるいニヤニヤ笑いを浮かべながら、
そのつもりで連れてきたんだから。あとで一緒に、のぞきに行こうか?


あとがき
「おあとがよろしいようで」な終わり方をしてしまいました。^^;
ちょっと年上の憧れの的みたいな親戚のお姉さんって、いますよね。
下世話な話が花を咲かせる身内の寄り合いを背に、そんなひととの逢う瀬を愉しむ風景を描いてみました。
そういうひとが結婚してしまうときはちょっぴり淋しかったりして。
でも、当然自分の年では、手が届かない・・・
なん年かして再会すると、すっかりおばさんになっていてちょっぴり失望したりなんかして。
でも、少女のときの初々しさと引き換えに、色香が増していたりするんですね。
なりたて青年にそこまでの魅力の変化が感じ取れるかどうかは別として。(笑)

初体験のときに姉さんに、
「誰でも犯していいわけじゃないのよ。初めて犯されることには深い意味があるのよ」
そう教わった悪戯小僧。
子供のころから血を吸っているせいか、あいてはたいがい年上なのですが、
エッチの対象が既婚者に限られているのは姉さんが教えてくれたせいなのかも。
前回では愛妻由貴子を犯されて、ちょっと心おだやかでない柏木でした。^^;

絵を描く少年

2005年11月23日(Wed) 13:13:53


何てこった。
ベッドに横たわりながら、吸血鬼は心の中で舌打ちをしている。
ここは病院のなか。
それも、相部屋である。
具合が悪くなった、と思ったときにはもう意識を失っていて、
気がついたら病院にいた。
吸血鬼が病におちるか・・・
それも、見知らぬ土地で。
つくづく、やきがまわったものだ。
不幸中の幸いに、院長は知人だった。
あり難いことに、奥さんを頂戴したこともある。
もっとも勤務医の彼は、ここには妻を伴っていないようだが。

さいしょ個室病棟に入れられた彼は、
検温や点滴にくる看護婦を手当たり次第に襲って血を吸い、犯していた。
それは困るよ、と院長は渋面をつくって、
彼のことを四人部屋に移してしまった。
さすがの彼も、これでは手も足も出なかった。
なにしろ、ひとりではベッドを五歩と離れることのできない重症だったから。

さすがにそれだけでは「治療」に差し支えるだろうといって、
一日三回、彼のベッドはついたてで仕切られた。
事情を言い含められたベテランの看護婦が数名、交代で彼に血を与える。
そろいもそろってごつごつとした無骨な脚に、もっさりとした白タイツというもてなしに閉口しながら、
もっと若い子は都合がつかないのかと院長に直訴したのだったが・・・


相部屋の三人のうち、一人は重症と診断されて、もっと大きな病院に転院した。
もう一人は、あるとき突然運び出されて、数時間後布団がきれいに片づけられていた。
退院したのか、死んでしまったのか。
誰も口を開いてくれなかった。
ひとり残ったのは、となりのベッドの十代なかばくらいの少年だった。
少年は口数もすくなく、しじゅう蒼い顔をして、終日横になっていた。
気分がよい時には、スケッチブックを抱くようにして、いつもなにかを描いていた。
「なにを描いているのだ?」
退屈まぎれにふと声をかけてみると少年は、顔色には不似合いなくらいに人懐こい微笑をかえしてくる。
人からいつも忌まれる彼にとって、すがりたくなるほど美しい微笑だった。
少年はちょっとの間ためらっていたが、やがて黙ってスケッチブックを差し出した。
ベッドに横たわって顔をしかめる男が描かれていた。
走り書きにちかいデッサンだったけれども、秀逸な筆づかいだった。
「なかなかのものだな」
数百年前、ひところ仲良くしていたレンブラントという男のことを、吸血鬼はフッと思い出していた。
「ありがとう」
少年の声がぱっと無邪気にはじけた。
世間の濁りとは無縁な声色だった。
そして、兇悪なかれへの警戒心さえも、みじんも含まれていない。
時折ふたりを隔てるとばりのなかで、どんな「治療」がなされているのか、こいつは気がついていないのだろうか。
「これ、おじさんを描いたんだよ」
えっ?
吸血鬼は虚をつかれたように、きょとんとしている。
あっはっは。
ごめんね。描くものがどうしても思い浮かばなくて。
たしかに。
ベッドのうえで思い浮かぶ画題など、知れたものだろう。
そんなことさえ察することができなくなったくらいに鈍磨した己の神経を咎める以前に、彼は絵のなかの彼自身をじいっと見つめた。
疲れた顔をしていやがる。
ちょっと、みじめになった。
しかし、大雑把なようで精細なタッチの中には、まごうことなく彼への同情が込められている。
ふん、この子は体がよくなっても襲えんな・・・
そんなブッソウなことを考えながらスケッチブックをめくっていくと、
いろいろな絵が出てきた。
病院の建物、窓辺に訪れるらしい鳥や蝶、田舎の風景、
躍動するバレーボールの情景は、学校のスポーツ大会なのだろうか。
ふと手を止めたページには、若い女性の肖像が描かれていた。
穏やかな目鼻立ちに、気品のある控えめな微笑があった。
「姉さんなんだ」
少年はいった。
両親は亡くなり、母代わりになってくれているという。
そういえば、少年に面会者が訪れるときには、用心深く帳がおろされていた。
相手が女であるのは、とばりのすき間からのぞく足許がパンプスを履いていることから知れている。
帳のあるなしはこのさいどうでもよかったのだが、
この少年のたったひとりの家族となると。
これも襲えんな・・・
ブッソウな妄想は、このさい頭から追っ払うしかないようだった。

「おじさん、吸血鬼なんでしょ?」
こっちの気分を見透かすように、少年は悪戯っぽく笑っている。
「姉さんのこと襲っちゃ、ダメだよ。証拠にボク、血を吸っているところを描いちゃうからね」
ふたりは、声を合わせて笑った。


「きれいな夕陽だね」
少年の声にまどろみからさめた吸血鬼は、いわれるままに窓辺に目を移していた。
夕陽が、灼けつくようなさいごの一片を雲に映して、いままさに姿を消そうとしているところだった。
「ほんとうはボク、油絵をやりたいんだ」
少年はいった。
「でも、ここには絵の具、ないからね。せめてデッサンだけでも書きためて・・・」
「退院したら、気にいったやつから油絵にするのだな」
吸血鬼は珍しく能弁に相槌をうっている。
少年の姉という、あの肖像も油絵になるのだろうか。
想像のなかで、デッサンに鮮やかな色彩が重なる。
この子のことだ。きっと色づかいもさばけているにちがいない。
少年はまだ、夕陽を見ていた。
そして、謡うような口調でつぶやいていた。
「消えるときには、こんなふうに。
 みんなが息をのむように輝いて、そうして消えていきたいな」
まるで老人みたいなことを言うやつだ。
吸血鬼がなにかいおうとすると、少年はこういった。
「ボク、退院することができないんだよ」


病室を移れといわれた吸血鬼は、しぶしぶ頷くしかなかった。
足腰立つようになるまでは、院長のいうなりになるしかない体なのだ。
ちくしょう、憶えていろよ。お前の妻をまた自由にもてあそんでやるのだからな。
やはりブッソウなことを思い描きながら、彼はまた個室に移されていった。
隣のベッドの少年は、診察だとかいって居所を空にしている。
お別れをいえなかったのが少しばかり、心残りだった。
個室での待遇は、まずまずであった。
応対に訪れたのは珍しく若い看護婦。
白のストッキングもツヤツヤとした光沢に彩られていた。
「当院きっての、接待用の看護婦だよ。せいぜい楽しんでくれたまえ」
どこか嘲る口調をのこして院長が出てゆくと、
吸血鬼は久しぶりに胸を躍らせて、
白衣の胸をくつろげさせてぷよぷよとした乳房をもてあそんだり、
流れるようなふくらはぎを白のストッキングのうえから唇をすうっと這わせたり、
素肌を通して彼の唾液に含まれた毒が血管に沁み込んでゆくまで彼女をあやしつづけていって、
フッと迷わせた目線に毒液の効き目をみとめると、おもむろに抱きすくめ、うなじを咬んでいった。


うふふぅ・・・
砂地に恵みの雨が降ったような刻を過ごして人心地がつくと、
吸血鬼はまたあの少年のことを思いだした。
きのうの朝早く診察のためにベッドを出た少年は、いつもより顔色が悪そうだった。
診察の結果はどうだったのだろうか。
退院できない。
そんな言葉も気になった。
いつか、弟を気遣うような気分になっていた。
こういう気分は、最近にはないことだった。
手土産ひとつないのを気にしながら、彼は少年の病室を訪れた。
少年のベッドはきれいに片づけられていて、
シーツを取り去られた無機質なマットが三つ折りにされていた。
「やっぱりここかね」
やってきた院長は、少年が死んだと彼に告げた。


個室の天井が、涙に滲んでいる。
いままでも。
血を吸っているうちに、心を通わせあったものもいた。
そういうものたちと別れるときに、いく度となく流してきたのとおなじ種類の涙だった。
一滴の血も、吸ったわけではなかったのに。

少年は日々、自分の死を見つめつつ、デッサンの筆をとっていた。
油絵をやりたいといいながら。
そんなささやかな望みのかなう日が永久に訪れることのないのも知りながら。
せめてこの世に生きていた証しを残そうと、想いのすべてを一本の筆にたくしたのだろう。

あの日の夕陽のように、息をのむように輝いて消えていきたい。

そう希いながら、少年の魂は音もたてずにこの世から飛び去った。
この世には、醜いものだけが居残るのだろうか。
そう、オレはまだまだ、ずっと独りで生き続けなければならないのだ。
「ちょっと、こたえたようだね」
いつの間にか、院長がベッドの傍らにいる。
「彼、あんたが吸血鬼だって気づいていたんだな」
―――想像したよりずっと人間ぽくて、優しい人だね。
あるとき彼は院長に、そう言ったという。
「お前が優しい人種にはとうてい思えないが」
揶揄するはずの口調が、いつもより湿りを帯びている。
「本当に優しい人は、冷酷な人間も心優しくするのだろうよ」
やっとの想いで、吸血鬼はいい返す。
ほほぅ。
院長は珍しく、感心したようだった。
「彼の遺志なんだが」
いつの間にか、看護婦が点滴の用意をしている。
「輸血をするよ。あんたに血をやって欲しい・・・そう頼まれたのでね」
主を失った少年の血が、透明なパックに赤黒く澱んでいる。
腕に貼りつけられたチューブを通して、まだ冷え切っていない熱情が彼の肌に伝わってくる。
この血を享ける資格が、オレにはあるのか?
知らず知らず、腕を引っ込めたくなってくる。
お前が死んでゆくときに不埒な愉しみに耽っていたこのオレに・・・
オレはこの世の害毒なんだぞ。
重苦しい眩暈の彼方で、少年の幻が浮び、そんな彼に静かにかぶりを振っていた。
少年の血は、病のせいでいつもよりもすぐに冷えてしまう彼の血管を暖かく満たしてゆく。
まどろみかけた意識の彼方で、少年がなにかを言っていた。
人の生命を取らないでね。みんな懸命に生きているんだからね。
無慙なオレが、どうしてこうも涙を流して頷いてしまっているんだろう?
体の芯に、にわかにパッと火がともるような感覚が訪れる。
吸血鬼は病が去るのを直感した。


「あの子のデッサンを、油絵にしていただけませんか?」
目のまえには、あのスケッチブックが置かれている。
語らいのきっかけになった絵たちが、あの日のままに紙の上にあった。
少年の描いた彼の隣に、彼が描いた少年の顔が笑んでいる。
「貸してみろ」
そういって戯れに描いたタッチに、少年は「すごい」と目を輝かせていた。
悪事のために覚えた技術。
タッチは、少年の筆づかいと瓜ふたつに似せてあった。

依頼主は、少年の姉だった。
「あの子を、元気な顔にしてくださって・・・」
少年の若者らしくない蒼白い面差しが気に食わなくて、
絵のなかだけでも、ちょっと気力をみなぎらせてやった。
「こういう、活発な子だったんです」
学校を出て働いているという少年の姉は、看病疲れのやつれも見せずに若々しい。
独りで生きていかなければならない彼女にとって、涙のための休息も許されないようだ。
「こう申し上げてはなんですが・・・」
姉はちょっとのあいだ言いよどんだが、
「私の血を絵の具代わりにしていただいてもけっこうです。・・・こう見えても丈夫なたちなので・・・」


―――こうなることまで見通していたのか。
腕のなかに、少年の姉がいた。
脱ぎ捨てられたブラウスは、血が撥ねないようにと遠くにきちんとたたまれていた。
ブラウスの主は白いスリップに血潮をあやして、夢見ごこちに目線を惑わせている。
できるだけ苦痛を感じさせないようにと、あの若い看護婦のときのように、咬みつくまえに念入りにあやしていた。
撫でるように肌を吸い、唾液にまぎれた毒液を、素肌と、素肌の奥に脈打つ血管に沁みこませ、理性を適度に喪わせてゆく。
肌を吸おうとする彼のために、少年の姉は、地味なものばかりの持ち合わせから、なるべく肌の透けるストッキングを選んで脚に通してくれた。
安物のストッキングだな。
足許に唇を這わせながら、つい値踏みをしてしまったが。
あらゆる痛みに敏感になっている胸に、彼女の心遣いがよけいに沁み入ってくる。
差し出される若い肉体に欲情のほむらをかきたてているはずが、
きゃしゃな体いっぱいに秘められた寂しさをかき消してやるのに懸命になっている自分がいた。
―――オレは吸血鬼なんですよ?
そういう彼に、
―――でも、あの子のお友だちですから。
そうこたえて微笑む彼女。
ふつうの人間と分け隔てをしようとしない目線は、弟とおなじだった。

狭いアパートの一室。
散らばる絵の具や絵筆のむこうに、描きあげたばかりの油絵がふたつ、並んでいる。
ひとつは少年の最高傑作だった、姉の肖像。
もうひとつは、彼が描いた少年自身の顔。
ふたつの絵は心持ち、まぐわうふたりとは別のほうに向けられている。

独りで生きていきます。
あの子もそうだったに違いないと思いますから。
誰かをあっと言わせて消えてゆくような才能は、私にはありません。
名もない女として、この世を終りとうございます。

さいごに語りかけてきたそんな言葉をかみ締めて、
彼は街を離れた。
妻を呼んでやろうか?
院長は悪戯っぽくそう申し出てくれたけれど、そんな気分にはとてもなれなかった。
アパートの部屋のまえで彼女と別れて。
彼女はいつものようにショルダーバックを引っかけて、勤めにでかけていく。
見送る後ろ姿に、悲しみや屈託は、みじんもなかった。
もともと明るい姉弟だったのだ。
誰にも覚られない胸の奥で、彼女は弟との対話をずっと続けてゆくにしても。
それは明るい明日を生きるための糧として。
少年の魂も案外、あの暗く仕切った部屋にもどってきて、
姉が愛されるさまをひそかにデッサンしていったかもしれなかった。

悪戯坊主 6

2005年11月22日(Tue) 12:06:49

声変わりして色気づいた悪戯坊主が、愛妻由貴子に迫ります。


従妹夫婦が、訪ねてきた。
「あら、お子さんたちは?」
と訊く妻に、
「もう親とは一緒に出たがらないのですよ」
従妹が答えた。
「そおー」
そういう妻は、なぜか残念そうにしている。
「じつはね、他聞を憚ることなのですが・・・」
教師をしている従妹の夫は、銀縁の眼鏡を神経質に光らせながら、ちょっとのあいだ口ごもる。
後を引き取って、従妹がいった。
「息子のやつ、お姉ちゃんをお嫁にしちゃったんですぅ・・・」
恥ずかしそうにちょっとテレながら、むしろ母親のほうがあっけらかんとしていた。

「そういうわけで、お宅の息子さんとうちの娘との縁談はなかったことに・・・」
そういうご主人に、まあ本人同士も知らないことですから、と表向き穏やかに受け答えする私に、従妹はまだ悪戯っぽい表情を消していない。
「お姉ちゃんのあとに狙っているの、じつは私なんですって」
「あらー」
由貴子が面白そうに、話に乗っている。
従妹の悪戯っぽい顔のまま、
「私を犯したら、つぎは由貴子さんなんですって」
「あら、まあっ」
妻はさすがに声をあげたが、どこか嬉しそうな様子だ。
おいおい・・・
まさか、ヘンなことにはなるまいね?


柏木由貴子さん?
帰り道に呼び止められて、由貴子は後ろを振り返った。
一瞬見違えるくらい、坊主は青年の顔になっている。
じつはね・・・
口ごもりながら青年は、荒い息をはずませる。
母さんのこと、犯しちゃったんだ。
「ええー?」
ホントにヤッちゃったんだあ・・・
そんな顔をして、妻はまじまじと青年を見つめた。
「小母さん、覚えているよね?母さんから言われてるでしょ?つぎは小母さんの番だって」

由貴子は蒼ざめた顔のまま、木に縛りつけられている。
「お、大人をからかうもんじゃないわよっ」
そんなお叱りもくすぐったそうに受け流して、
小僧は妻に迫ってゆく。
花柄のワンピースの上からくい込むロープが、むちっとした人妻の肉づきを浮き彫りにしていた。
エナメルのハイヒールにグレーのストッキングの脚は大人らしい節度と品格を漂わせていたが、そんなものは小僧を欲情させこそすれ、なんの抑止にも役立たない。
そもそもいく度となくエジキにしてきた装いだった。

「小母さん、いい眺めだよ。ロープがとても似合うね」
そういいながら、よだれをしたたらせんばかりにして、
小僧は一歩、一歩、妻へとにじり寄っていく。
ひいっ。
息を呑んだ妻が目をそむけると、
これ見よがしに首筋にキスをして、
ちゅうっ・・・
生き血を吸い始めている。
「ああぁ・・・」
怯えるような眼をする妻と、ニヤニヤしているニキビ面。
両者の関係は完全に逆転していた。
小僧は花柄のワンピースの襟元に手をやって、
びりり・・・
思うさま、引き裂いていた。

着衣をくちゃくちゃにされながら、欲情のままに犯されてゆく妻。
傍らで見守る私は、従妹にしっかりと手をつかまれていた。
私を行かせまいとする従妹は、耳もとにそうっと囁く。
「思ったよりも似合いの二人になりそうね・・・」
従妹の脚は、引き裂かれた黒のストッキングに妖しく彩られていた。
いままた妻の脚から、グレーのストッキングがおなじように堕とされてゆく。

おたより

2005年11月22日(Tue) 09:57:55


「痛くないの・・・?」
妻に、訊いていた。
ベッドのうえで裸体をしならせる妻。
その白い肢体のあちこちに、ふたつずつ並んだ牙の痕。
あるものは黒いあざのようになって、肌理濃やかな肌に翳をおとし、
あるものはまだ真っ赤にただれて、吸い残された血潮をてらてらと光らせている。
「とてもホラーでしょう?」
妻は穏やかに笑って、私の顔と血のりの輝きを見比べる。

じわん、じわん、って。
焦らされるみたいな感じなの・・・
でも、それがとても快感で、ついあのひとに肌を許してしまうんですよ・・・
そう囁きかける妻の甘く柔らかな声色が耳朶を通して鼓膜を妖しくふるわせる。
私はもう、一種異様な昂ぶりにゾクゾクと身を震わせて、荒々しく妻に挑みかかっている。
虐げるようにして遂げた交接。
妻はそんな私に、満ち足りたような笑みをかえしてくる。

「行ってきますわね。今夜も・・・」
ストッキングに包まれたつま先をハイヒールにおさめて、
妻は今夜も吸血鬼の待つ邸へと出かけてゆく。


覚えのないキスマーク。
じんわり滲んだ紫色の痕は、女の夫の唇の形をしている。
「ふふふ」
吸血鬼はほくそ笑んでいる。
「ご主人からのメッセージをお預りしてきたようだね」
「なんのことかしら・・・?」
組み敷かれた下で、強く注がれてくる愛人の視線を女は軽く受け流す。
ふたりのあいだに、うなじにつけられたキスマークが、他の男の愛撫を妨げるように浮かび上がっている。
血に飢えた唇は、夫の残した痕跡さえもおおいかくすようにして、
女の肌に吸いつけられた。
「あうっ・・・」
顔をそむけて、快楽に酔い痴れる人妻。
きつく抱きすくめた腕のなか、しなやかにくねる悶えが心地よく、ねじ伏せるようにして身を迫らせてゆく。
男の逸物は股間をえぐり、白熱した体液を思うさま放射しつづけていた。


「おかえり」
帰宅した女を、薄暗がりのなかの夫の声が迎えた。
「アラ、まだ起きてたの?」
「眠れなかったんだ」
「あら・・・まぁ」
夫が自分のことを気にかけていることを心地よげな声色で受け止めて。
しかし闇の向こうから伸びてきた腕は彼女の腰をつかまえて、
荒々しくベッドの上に引きずり倒していた。
熱っぽくあてがわれてくる唇。
ああ・・・
唇を重ね合わせ、激しく吸い合って。
先刻の情事の余韻を残した呼気にねっとりとした媚びを含ませて、夫のなかに注ぎいれてゆく。
「抱かれて・・・きたね?」
「ご想像に、まかせるわ」
そういう女は、男の肩に腕をまわしている。
吸血鬼よりも彫りの深い筋肉質な胸に、いつもの夫のクセを思い出しながら、まるでツタのように夫の身体に自分の身体を巻きつけていった。
「まだ、着ているの?」
「ちりちりにされたけど」
フフッと笑んだ口許。
たしかに、ふたりを隔てる着衣はどこか不連続で、きれぎれになまの素肌を感じさせている。
「じつは血を差し上げただけじゃなくって・・・辱め抜かれてきたのよ。貴方、悔しがっていただけるかしら・・・?」
趣味のよくない問いかけに応えるように、そそりたつものが彼女の秘奥に食い込んできた。

ひとつ、ふたつ・・・
部屋は明るくなっている。
さっきから傍らで、引き裂かれた女ものの衣裳をまさぐっている夫。
ところどころ黒い痕を残したワンピースを、
みるかげもなく咬み破られて蜘蛛の巣のようになったストッキングを、
さっきからそうやっていじくりまわして、
咬まれた痕を勘定している。
はげしいまぐわいのあと、女の皮膚は淫らな血潮がまだ渦巻いている。
「本当は、仲良しなのね。貴方たち」

逢ったこともないヤツと。
それも、妻を犯しているヤツと。
どうして仲良しなの?
そう問いかける夫。
でも、妾は知っている。
妾の身体につけられたお互いの痕跡をそうやって確かめあって。
かわるがわるに妾を抱いている貴方たち。
じつはとても通い合っていることを、妾は身体をとおして分かってしまっている。

悪戯坊主 5

2005年11月21日(Mon) 07:08:12

秋は結婚式のシーズンなのかな?
でも、ジューン・ブライドっていうのはたしか春ころだったっけ。
ボク、小さいからよくわかんない。

披露宴のテーブルの下は、とっても愉しい。^^v
だって、いろんな柄や色のストッキングを履いた脚があちらこちらににょっきりと。
人目も気にしないで脚を組んだり伸ばしたり。
それはそれは、とってもいい眺めなんだもの。
お部屋に入るときに、お目当てのお姉さんやおばさまを見つけておく。
親切でものわかりのよさそうな、なによりもきれいなスカートやストッキングを履いている女の人を。

いの一番にもぐり込んだのは、柏木のおじさんのテーブル。
きょうは娘さん、来ていないみたいだな。
こないだ履いていた、ストッキングみたいに薄手の白のハイソックス、期待していたんだけどなあ。
おじさんの履いている靴下も、なんだか薄そうだな。
黒のズボンをそうっと、たくし上げて。
男ものにしてはめずらしく、ぐーんと長くて。
紺色をしたナイロンの生地をとおして肌が透けて見える。
いいや、咬んじゃえ。^^
ぎゅうっ、と咬んでみたら、おじさんはちょっと痛そうに脚をすくめる。
痛い?ごめんね。でもボクもう放さないからね。^^
ちゅ、ちゅう~っ。
ウン。でも男の血はいまいちだな。
お腹いっぱいになっていいけど。
ゴメンね。つぎは由貴子おばさんにイタズラするからね・・・(^^;)

隣の由貴子おばさん、ボクの気配に勘づいたみたい。^^;
ダメだよ。席を立ったりしちゃ。
あ、おじさんの手がおばさんのひざ小僧抑えてる。
逃げようとするのをとめてくれたのかな?
だったらありがとね。^^v
いつもみたいに口を
くちゅうっ・・・
て、吸いつける。
おばさん、イヤがって脚、よじってる。
逃げちゃダメだよ。逃がさないよ。
みんなの前だし。はしたなく振る舞えないんだったよね?
それに、こないだの結婚式のときだって、おニューのストッキングを気前よく破らせてくれたじゃない。
もう、きのうきょうの仲じゃないんだから~。
薄いベージュのストッキング、しなしなしていて、いい舐め心地。
少ぉし、よじれさせちゃおう。
足首つかまえて、動けなくして。
さらさらしたナイロンのうえから、お嬢さんみたいに白いお肌にべろをねっちょりとあててゆく。
さぁてと。
じゃ~、ちょっとだけ、お味見を。^^
ちくっ・・・
きゅっ。きゅううぅっ。
うう。美味しい。とても美味しいぞ。
もっと吸っちゃえ。
おじさん、も少しだけ、おばさんの脚抑えててね。^^
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅううっ。
おばさん、もうちょっとのガマンだよ。^^
貧血にならないくらいで手加減してあげるからね~。

このテーブル、ちょっと騒々しくなってきたぞ。
どうやら、頭の硬い分からず屋が多いみたい。
蹴られたりしたら、痛いしね。^^;
さっさと抜け出そう。
こんどは新婦側のテーブルに。^^
どぉれにしようかな・・・
あちらは若い娘さん。
肌色のストッキングを履いたあちらの脚はふっくらしている。
向こうは年配のご婦人。
薄い紫のストッキングなんて珍しいけど、ちょっとお洒落な感じがする。
目移りして仕方ないけど。
順ぐりにいただくことにして・・・と。

おや。
こちらの脚はしっかりした肉がついていて。
とっても咬み心地がよさそう。^^
おまけに黒のスケスケのストッキングなんか穿いちゃって。
子供心にも、いい眺めだなぁ。うっとり。
どこの、なんていう人なんだろう?
仲良くなったら、おうちに遊びに行きたいし。
どれどれ・・・
引出物の袋のなかに、名前の書いたカードが入っているぞ。
「舟橋理恵」、だって。
理恵さん、か。おばさまかな?それとも娘さん?
テーブルクロスからちょっと覗いて・・・
落ち着いた感じだなぁ。この人たぶん、結婚しているな。
でもふくらはぎからにじみ出るものが、なんだかとっても若っぽいね。
よし、じゃ~、これにしよっと。^^
ふくらはぎに飛びついたら理恵おばさん、ちょっとびっくりしたみたいにのぞき込んできた。
無邪気な笑顔でごまかして、ピース! ^^v
ダメよ、イタズラしちゃ。だって・・・
でも、イタズラするもんね。^^
理恵さんの足首つかまえて、
あ、逃げちゃダメ!
逃げられないように、ぎゅっと足首、にぎりしめて。
ぶちゅっ。
あは・・・やっちゃった。^^;
ボクのよだれが、ヌラッとついてる・・・
でも、いいぞお。
ヌルッと舐めた、この感触。
とてもなめらかで、いい感じ。
親戚の結婚式だから。
がんばって高いやつ、穿いてきたんだろうな。
よぅし、もっと舐めちゃえ。
ちゅるっ。にゅるん。
あ。おいしい。
ゴメンね、おばさん。
え?おばさんじゃないでしょ?理恵さんでしょ?だって。
とっても、いい人だなぁ。
ストッキングの脚、イタズラしても怒らないみたい。
じゃ~、理恵さん、もうちょっと、イタズラさせてね。^^
ちゅ、ちゅうっ。くちゅうぅ・・・
いい舐め心地だなぁ。破くのもったいないなぁ。
でも、喉渇いちゃった。
ゴメンネ。
かりっ・・・
う、硬い・・・でも、いい歯ごたえだね。
かりっ、カリリ。ググ・・・ッ
あっ。やっちゃった。とうとうやっちゃった。
理恵さん、見て見て。^^
ストッキング、きれいに破けてるよ。エッチな眺めだね。^^
さぁ、血を吸うぞう。遠慮、しないんだぞう。^^
ちゅ、ちゅう~っ。
うう・・・旨い・・・美味しい血だ。
あとの人のが要らなくなるくらい。理恵さん、ノビちゃうかな~?^^
ダメ。もうちょっと。ちょっとだけだから。
こっちの脚も、咬ませてね。ご主人にはナイショだよ~。^^;

茶室のなかで ~吸血鬼邸に娘を伴った母親~

2005年11月21日(Mon) 06:25:41

薄暗い玄関をくぐるとき、ああしまった、と、嘉恵子は思った。
ストッキングの履き替えを持ってこなかったのだ。
娘の分は、たしか自分で用意をしたのに。
―――スカートとストッキングを着用するように。
そう指定されたとき、このお邸の息子さんにどんなふうなあしらいを受けるのかをあらまし聞かされた。
―――血を吸う部位は首すじや胸もと。それから脚です。おみ脚を咬まれるときには、どうかストッキングを履いたまま咬ませてやっていただきたい。
そんな風変わりな申し出の陰に、淫らな意図を察したのは言うまでもなかったのだが・・・
やっぱり、気持ちにゆとりがなくなっているのだろう。
吸血鬼に娘を差し出すわけだから、些細な粗相をしたからといって彼女を責めることはできない。

傍らの娘が意外なくらい落ち着いているのが、嘉恵子にとって救いだった。
―――明日、血を吸われに行くのよ。母さんもついていくから。
そう告げたときにも。
え?と不得要領に小首をかしげたものの、厭がる顔ひとつしないでゆっくりとうなずいただけだった。
しかし。
制服の下に身に着けたストッキングに薄墨色になまめかしく映える娘のふくらはぎを盗み見て、みすみすこの子を・・・そう思うといまだに無念さがどうしようもなくこみあげてくる。

現われた少年の父親は、思いのほか慇懃で、紳士的な挙措の持ち主だった。
彼はふたりに丁寧な礼を言うと、まず母親の嘉恵子だけを離れの茶室に招じ入れたのだ。
古風に瀟洒な造りのお茶室にしつらえられた狭い入口を、彼は自らの手で開いて、さらに奥の障子の向こうに声をかけた。
「お母様をお連れしたよ。お前が気の毒で血をくださりにわざわざ見えられたのだから、あんまり失礼なことをするんじゃないぞ」
さとすような口調だった。
そういえば娘だけではなく、自分にとっても素肌を咬まれて血を吸われるなどということは初体験だったのだ。
今更ながら気がついて、人妻の嘉恵子はちょっとどきどきした。

以前、親戚の家に遊びに行ったときのことだった。
男の子のいるその家では、特撮もののテレビドラマがつけっぱなしになっていた。
ちょうど吸血怪人が犠牲者の女性を襲っているところだった。
どうやら母娘らしい女性たちは恐怖に髪を振り乱し、引きちぎられたブラウスから胸元をあらわにしながら身をよじっている。
グロテスクな姿をした怪人は透明な吸血牙を持っていた。
怪人は、女性たちの胸もとに順繰りに吸血牙を突き刺した。
女たちは、耳ざわりな悲鳴をあげて絶句する。
そのたびに、透明な管が、吸い取られた血液で赤黒くなった。
一人が声を失って倒れると、怪人は牙を引き抜いて、もう一人の胸もとへと突き立てる。
なんの情緒もなく機械的に突き刺され引き抜かれる牙の動きは冷酷そのものであったが、
その情景は子供向けのドラマとは思えないくらいリアルで、どこか淫靡な雰囲気に包まれていた。
あんなふうにされるのだろうか?
嘉恵子の胸に、怖ろしい予感がどす黒く渦巻いた。

茶室のなかの空気は、ひんやりと落ち着いている。
案の外、少年は大人しそうな瞳を輝かせて、静かにこちらを見つめてくる。
嘉恵子は、さっきまでの野蛮な想像を消していた。
無言のうちに、茶器に盛られたお濃茶が差し出される。
ちょうど自分が入ってくるのに合わせて点てたものらしい。
神経を昂ぶらせているであろう彼女を少しでも落ち着かせようとする配慮だと気がつくと、
それが彼の稚拙な手管だと思いながらも、過度の嫌悪や警戒がじょじょに解けてゆくのを覚えた。
こんなところでお点前をしようとは・・・
心のなかで苦笑いをしながら、嘉恵子は少年の相手をしてゆく。

茶室には場違いだったが、傍らには籐椅子が置かれていた。
少年は無言で、籐椅子を見た。どうやらそこに座れ、ということらしい。
籐椅子はぎしぎしと軽くきしむような音をたてたが、思いのほか心地よかった。
脚がつま先ゆったり伸びて、くつろいだ姿勢になる。
それが彼の狙いなのだと、座ってみて初めて気がついた。
―――娘もここに、座らせられるのだな。
そう思うと、少年がちょっと憎らしくなった。
「お願いがあるの」
嘉恵子は口をひらいた。
「小母さんの血を、なるべくたくさん飲んで欲しいの。あの子、参っちゃったらかわいそうだから」
じっと見つめた少年の顔が、不意に涙に崩れていた。

「すみません」
俯く少年。
ああ、やっぱりこの子はあのテレビドラマとは違う・・・
そう感じて、嘉恵子の胸ににわかに別の感情が湧いていた。
気の毒に。
そう思うと、彼女は自分のほうからタイトスカートをたくし上げて、ふくらはぎを差し伸べている。
淡いグレーのストッキングが、わずかに洩れてくる陽の光を受けて、妖しい光沢を帯びていた。
「咬んで御覧」
嘉恵子は少年をうながした。

ぬるり・・・
意外にも、牙を突き刺す痛みはすぐに訪れなかった。
ストッキングを通して押しつけられるなまの唇を感じて、嘉恵子は戸惑いをかくせない。
たとえ衣類の上からとはいえ、夫以外の男性に肌を吸われるのは、考えてみれば初めてだったのだ。
たっぷりと唾液を含んだ唇はヌメヌメとヒルのように這いまわり、ぬるぬるしたものをストッキングになすりつけるようにしてくる。
愉しんでいる・・・
そう感じるのに、時間はかからなかった。
ヒッ、と声をたてそうになって。
それでも脚を抑えつけてくる冷たい掌の力の強さに声も動きも封じられている。
「ストッキングが、お好きなんですね?」
つとめて平静に、彼女は少年に訊いた。
無言の頷きを感じる。
素直な子。
そう思えてくると、彼女の声色は優しさを帯びた。
「どうぞ、お好きになさって頂戴。でも、あの子は小母さんみたいに気が強くないから、あんまりいじめないであげてね」
そういうと。
少年はにわかに、動きを止めた。
足許に目をやると、素直そうな瞳がじいっと見あげてくる。
「もう少しだけ・・・いいですか?」
そんなに、いちいちことわらないでも・・・
そう思いながら、
「いいわよ。好きなだけイタズラして御覧なさい」
そういう意味じゃなくて・・・
少年はそう言いたげにかぶりをふった。
「もう少しだけ・・・ご一緒にいて欲しいんです」
熱を帯びた唇がもういちど、慕い寄るようにして吸いつけられる。

畳のうえに仰向けになって、うなじを咬ませてやった。
量を、お採りなさい・・・
そういって嘉恵子は、ちゅうちゅうと露骨な音に包まれる吸血に、すすんでわが身をゆだねた。
娘をかばうため。
もちろんそのためにゆだねたわが身のはずだったが。
少年に対する哀憐の情が、知らず知らず加わっていた。
血に飢えた自分の本能をさらけ出すことを許されない少年の限られた場を、せめて自分の血で癒してやりたい。
母の本能に似たものが、にわかにこみ上げてきて。
そんな想いを抑え切れなくなっていたのだ。
くらくらとした眩暈をおぼえはじめたころ、こんどは少年に促されてうつ伏せになった。
ふくらはぎを咬みたい・・・
そう口にさせない前にうつ伏したのは、なにかに支配されたせいなのか、それとも心が通じたためなのか。
ふくらはぎの周りをゆるく束縛する薄手のナイロンがぱちぱちと音をたててはじけてゆくのを、面白そうに耳にしていた。
いつか少年と一緒にイタズラを愉しみはじめていた彼女は、身に着けた礼装をすすんで彼の稚ないいたぶりにゆだねていたのだ。

狭い茶室の薄暗い空間。
人の視線を遮るその限られた世界のなかで、少年は初めて自分自身をさらけ出す。
引っ込み思案な心の裡に秘めた熱情を、もっと。もっと・・・そんなふうにうながしながら、少女の母親はいちばんたいせつなことを訊き出そうとしている。
娘に逢わせるまえ。自らの血潮と引き換えにしてでも、訊いておきたいことを。
なによりも彼女をほっとさせたのは。
大胆になった少年が、もう誰はばかることもなく娘への思いのたけを口にしてくれたことだった。
自分の娘がこの子にとって、たんなる慰み道具や食べ物ではなかったことを知って初めて、彼女は実感する。
―――あの娘の血は、吸われなければならない。
と。
あの娘をよろしくね。あんまりいじめないでね。あの娘に好かれるといいね。小母さん、応援してるわよ・・・

やっと放してもらって、家人に介抱されながら庭におりたとき、のぼせかかった面に眩しすぎる太陽の光がふりかかった。


あとがき
昨日アップした「同級生」の異聞です。
怪人まがいの想像をして出逢った少年は、思いのほか純情で。
忌まわしい吸血の場への招待が、娘への恋心からくるものだと知ると、お母さんは安心したようです。
安心するほうも安心するほうなのですが・・・(^_^;)
お父さんになんて言い訳するのでしょうね・・・

同級生

2005年11月20日(Sun) 07:16:18

白茶けた陽だまりのなかを、ひと組の母娘が歩いてゆく。
ふたりともスカートをつけて、その下にストッキングを履いている。
母親は花柄のブラウスに、紺のタイトスカート。
足許を彩るのは、淡いグレーのストッキング。
娘は標準服と呼ばれる濃紺の制服に、黒のスクールストッキング。
ふたりはほとんど言葉も交わさずに、娘のクラスメイトの家へと向かってゆく。
なにを話す・・・というのだろう?
これからお邪魔するお宅の息子さんに娘の生き血を吸わせに行く母親として。
同級生の男子に血を吸われに行く娘として。

つくづく情けない・・・
そんな想いが、母親のなかにあった。
地域のしきたりは、転勤族である彼女の一家にも適用された。
どうしても断りきることができないで、先方に望まれるままに承諾してしまったことへの悔いが、いまでも彼女の心の奥にわだかまっている。
お父さんに事情を話すとき、つい涙がこぼれてしまった。
格別好きだというわけでもない男に、娘に対する汚らわしい欲望を遂げさせなければならないのだから。

どうしてなのかしら。
少女は少女で、相手の気持ちをはかりかねている。
おなじクラスのあの少年とは、とくに親しくしていたわけではない。
快活で友だちの多い彼女と無口で目だたない彼とは、むしろ遠い関係だった。
たまたま毎日同じ教室に通っている、というだけの関係。
―――○○家の息子さん、同級生なんだって?あなたをぜひにと望まれているの・・・
そういう母の言葉が、とても意外であった。
どうして私なんだろう?
そんな疑問が、今でも消えない。
私のことを好きだったのだろうか?
ふだんの少年のそぶりからは、そんなようすはうかがえなかったのだが。
好きだとしたら、私のどんなところが・・・?
そんな思いが、彼女をまだ当惑させつづけている。
困惑を隠さない母親の前ではつとめて明るく振る舞って、「だいじょうぶだよ、大人しい子みたいだし」とこたえた彼女だったのだが。
歩みを進めるたびに、履き慣れない黒のストッキングがしなしなと微妙にずれる感触を覚える。
特別なときにしか脚に通すことがないストッキングを履いたのは、おとといの終業式だった。
それを見て発情した・・・だけなのだろうか?
それとも、たんに飢えをみたすだけのために、彼女を欲したのか?
だとしたら、あまりにもさびしすぎる・・・

このあたりの有力者の家らしく、少年の住む家は古びてはいたものの宏壮なものだった。
薄暗い玄関をくぐると、母親はあらわれたこの家の主人に丁寧に挨拶をした。
先方がなにをいったのか、少女にはよく聞き取れない。
―――ご無理を申し上げたのにお嬢さんをお連れ頂いて恐縮です。
まず、そんなふうなやり取りだったに違いない。
母親いじょうに慇懃な態度から、容易に察することができた。
ふたりは靴を脱ぎ、薄い靴下一枚のつま先を板の間に踏み入れた。
母娘ともに、薄手のストッキングを着用のうえお越し願いたい。
それが先方からの希望だった。
暖かい外気に比べて、冷え冷えと広がる廊下のフローリングは氷のように冷たかった。

息子がいるのは本人の勉強部屋ではなくて、奥の茶室だった。
―――すみませんねぇ、こんないいお嬢さんを。
―――いいえ。きょうのお招きのこと、娘も、これの父親もたいそう喜んでおりますので。
儀礼上そう答えなければならなかったのだが、母親の声は思いのほかおだやかで、なぜか少女は安堵を感じた。

―――本人が恥ずかしがっていて、どうしても出てこないので。
そういう父親は、まず少女の母だけを茶室に招じ入れた。
庭先にしつらえられたにじり口と呼ばれる小さな入口から、身をかがめて中に入ってゆくのを、母の背中が見えなくなるまで視線で追っている。
「息子が無理を申しまして、本当にご迷惑をかけます」
ぽつりと呟いたのは、先方のお母さんだった。
地味な黒のワンピースを着た痩せ身の女性はちょっとかさかさとした肌をしていたが、若い頃は美しかったとじゅうぶん想像できた。
そういえば少年の顔立ちもどことなく、こういう端正なつくりをしている。
「恥じているんですよ、あの子。若い娘さんをお誘いするのにこんなやり方しか思いつけなくて。だから、恥ずかしくて、こっちにくることもできないんです」
そういうお母さんの足許にも、赤黒い痣のようなものが浮いていた。

三十分ほどもして。
母親はやっと、茶室から姿を現した。
下男がそろえ直してくれていた履き物をつっかけて入口から姿をみせるとき、母は少しよろけた。
もしかすると失血のせいだったのかもしれない。
「だいじょうぶですよ」
ちょっと蒼い顔をしながらも、母親はあくまで気丈である。
「思ったほど、怖いかたではないようよ。」
肩を上下させて息をはずませているその態度が、言葉を裏切っているように思えたが、少女はあえて娘を落ち着かせようとする母の言葉を信じることにした。
あなたに嫌われていないか、ってとても気にかけていたわ・・・
「申し訳ありません」
それまで少女とはずまない会話の相手をしていたお母さんが、膝を折るように頭をさげて、ちょっとふらついている母親の手を取るようにして母屋に招じ入れてゆく。
「ああ、だいじょうぶですから・・・」
そう答える母親の足許で、グレーのストッキングがむざんに裂けているのが痛々しかった。
・・・うっかりしていたわ。替えをもってくるんでしたね・・・
・・・私のでよろしければ・・・
・・・では、ご好意に甘えますね・・・
つとめて平静を装ったそんなやり取り。
母のふくらはぎにつけられた、ふたつ並んだちいさな傷跡。
まだちょっぴり血を滲ませているその痕に、少年はどんなふうに唇をつけていたのだろうか。

茶室のなかは、薄暗かった。
少年はいつもとかわらない様子であった。
まじめなかんじだが、とても無口で陰気そうな顔。
半年以上おなじクラスで過ごしたとはとても思えないくらい、彼の記憶は乏しかった。
ただ、校舎のどこかで誰かがヤモリをつかまえてきて、すんでのことあとで踏ん潰されてしまうところ、体育の授業でだれもいなくなった教室に独りのこった彼がそっと逃がしてやるところを目撃したくらいだった。
「ごめん・・・」
少年は、暗い表情をいっそう暗くして、少女の顔を見まいとするように頭をさげた。
畳のうえには、場違いなことに籐椅子が置かれている。
そこに母も、座ったのか。
少女は言われるまでもなく、その籐椅子に腰かけた。
母親の体温が、まだ残っているような気がした。
少年がそろそろと、黒のストッキングを履いた足許に這い寄ってくる。
口を近寄せてきたときに、
「いいわよ」
少女はひと言そういって、目を閉じた。

ぬるり。
思いのほかなま温かい唇に、
「きゃっ」
少女は不覚にも、声をあげてしまった。
しかし少年はそういうことに慣れているようだった。
彼女が身動きできないようにしっかりと脚を抑えつけて、
ぬるり。ぬるり。
べろをなすりつけてくる。
唇のすき間から現われた舌までも、ねっとりとした唾液を分泌しながら、
まるで軟体動物のようにナマナマしく清楚な薄墨色のふくらはぎを這いまわる。
「う、うっ・・・」
少女の顔が、屈辱にゆがんだ。
母も、こんなふうにされたのだろうか?
なよなよと頼りないかんじのするスクールストッキングは、少年のなすりつけてくるべろにいたぶられるままに、
みるみるうちによじれてくしゃくしゃになってゆく。
ちくっ。
注射針を刺し込まれるときのような、かすかに鈍い痛み。
「―――っ・・・!」
少女の悲鳴は、声にならない。
ちゅ、ちゅうっ・・・
彼は、少女の血を吸いはじめていた。
ちゅう~っ・・・
少年は、ノッてきたらしい。
唇も、舌も、歓ぶように傷口の上を跳ね踊っていた。
ヒルのようにどん欲な唇をひたすらすりつけるようにして、少女の脚を責めさいなみつづけるのだ。

じわっ・・・
と、少女の瞼が涙にうるんだ。
「う、ううっ・・・」
押し殺すような声を忍ばせて、泣きむせんでしまっている。
情けなかった。
母から伝えられた、大切な血。
それをこんなふうにしてむぞうさに、辱められるようにしてむさぼり採られてしまうというのだろうか。
不意に、少年の唇が少女の足許から離れた。
どう声をかけてよいのかためらうような気配を頬に感じたが、いちど乱れてしまった気分を少女は立て直すことができない。
少年の掌が、ひざの上に置かれた少女の手を包んだ。
ひやりとした、冷たい掌だった。
「ゴメン・・・」
つい、夢中になってしまって・・・きみのお母さんにあれほど注意されていたのに。
少年の口から、はじめて耳にする長い言葉だった。
見ると、少年の瞳も、涙に濡れている。
―――勧善懲悪のお芝居だったら、ボクはさしずめ征伐されて、灰にされているだろうね。
快活な貴女にどうしても声をかけられなくて。気後ればかりが先にたってしまった。
だからといって、こんな卑怯な手を使うのは、よくないことだよね。
少女は気づいていた。
うつむいてばかりいた少年が、いまはひたと彼女を見つめ、ひたむきな目線をいっしんに注ぎかけてきていることを。

とても寂しくて・・・心細いんです。

さいごにそう呟いた少年の頬が、いつもよりずっと秀でてみえた。
若い娘さんに抱きついて、着衣を乱し血を吸っているときだけ、安らぎを感じる。
いたぶる衣裳のしなやかな触感と、啜り取る血潮の暖かさだけが、彼の心を真に満たすことができる。
そんな忌むべき嗜好に堕ちた男の相手をしてくれるのは、いままで肉親ばかりだった。
週に一度は処女の生き血を欲する体。
いまは中学にあがったばかりの妹だけが相手をしてくれている・・・
ぽつりぽつりと呟く少年の掌を、少女は力をこめて握り返す。
「そんなに卑下しないで。」
少女はもう、泣いていなかった。

畳のうえにじかに身体を横たえて、
「襲っていいわよ。血をあげる」
少女はみじかく、そうささやいた。
しんなりとふくらはぎを包んでいるストッキングのうえから、よだれを含んでぬるぬるとした唇がふたたび押し当てられた。
薄いナイロンの生地をとおして、なまの唇がヒルのように這いまわるのを感じる。
ぬるり・・・ぬるり・・・
少女の素肌に念入りに、唾液をすりこむようにして。
なま温かい唇が、そして舌が・・・
清楚に装われた礼装のうえから臆面もなくあてがわれてくる。
しかし少女はもう取り乱したりはしなかった。
忌むべき血を宿す寂しい少年がせつじつにぬくもりを求めてくるのが、ありありと伝わってきたから。
さっきまでとはうって変わって、むしろすすんで少年の欲望に応えてゆく。
少女らしい潔癖さにぴりぴりと神経をさか立てて、まつ毛をふるえさせていたというのに。

ふくらはぎ、足首。そしてつま先までも口のなかに含まれて。
それでも少女は、さっきまでひたすら忌んでいた不埒な行為をすすんで受け容れてゆく。
求められるままに。
仰向けになって、肉のたっぷりついた太ももに牙を許す。
甘えるようにすがりつく少年の口許から牙が二本、にじみ出るようにニュッとのぞいて、ストッキング越しに素肌を侵してくる。
しっとりとした潤いを帯びた皮膚を根元まで深々と冒されながら。
少女は彼の牙の切れ味のよさに小気味よさを覚えている。
じわじわと吸いだされる血液に精いっぱいの想いをたくして、少女は息荒く迫ってくる少年と、息遣いをともにしていた。
制服の一部を踏みしだかれるのもいとわずに。
太ももの周りに張りつめていた緩やかな束縛がじょじょにほぐれてゆく。
もう、単なる同じクラスの男の子ではなかった。
ふたりを遮っていた世間的な遠慮は、素肌と唇を隔てていたストッキングが引き剥がれるようにして、他愛なく消え果ててゆく。
いまは恋人のように優しく抱き締めてくる少年の腕のなか、
彼女もまた、そっと彼の背中に腕をまわしている。
ほんとうに、おずおずとではあったけれども。
うなじをずぶずぶと冒されて。
暖かい血潮をひと口、またひと口と抜き去られてゆくにつれ、意識がぼうっとかすんでくる。
そんなことすら、幸せに思えてくるひと刻・・・
ストッキングの伝線は、もうつま先まで延びていた。


あとがき
さいきんやけに冗長になっているような・・・--;
反省です。
大人びた感じのするストッキングの脚をいたぶられるのは、潔癖な年頃の少女にとって耐え難い侮辱だったのですが。
受け容れかねていた行為の裏に、引っ込み思案な少年の抱いた気後れと切々とした寂しさを見出して。
たとえそれが忌むべき恥ずかしい行為だったとしてもすすんで受け容れてしまう。
そんなお話を描きたくて。

悪戯坊主 4

2005年11月19日(Sat) 07:21:54

幼馴染みのYが、結婚をした。
披露宴は都会の一流ホテル。
もちろん私も妻を伴って出席した。
新郎新婦が退場したあと、席を立とうとすると、
「もぉ」
妻が、口を尖らせる。
「見て頂戴。これ・・・」
ほっそりとした指が指し示す彼女のふくらはぎのまわりで、グレーのストッキングがチリチリに引き破られている。
ところどころにつけられた、小さな咬み痕。
破れ落ちたグレーのストッキングを濡らしている血のりは、紫がかってみえた。
そういえば、小学校にあがったばかりの親戚の悪戯坊主が、テーブルの下にもぐり込んできていたっけ。
なにをされているのかおおよその察しはついていたものの、場所柄はしたない声をたてるわけにもいかず、じっとガマンしていた、というのだ。
「子供にしてはおませさんだな。なかなか色っぽい眺めだねぇ」
私がからかうと妻は「もうっ!」といって、半ば本気で怒っていた。

新郎新婦や仲人と軽く挨拶を交わし合う人の列をすり抜けるように、妻はそそくさとトイレに駆け込んだ。
ストッキングを履き替えて出てきた妻は、やっと気分が落ち着いたようだ。
今度逢ったらとっちめてやる、といきまく妻に
「まぁ、キミに目をつけるくらいだから、彼もなかなかお目が高いよ」
と、私はなだめにかかった。
その子のお母さんは私の従妹だった。
寛大なご主人は美しい従妹を吸血鬼と共有して、彼女はご主人とのあいだに上のお嬢さんを生んだあと、浮気の産物として吸血鬼の坊やを生んでいる。
妻がふと、立ち止まった。
誰かが妻のスーツのすそを引っぱっている。
振り返ると、さっきの小僧だった。
「おばちゃん、きれいだね」
小僧はまぶしそうに、妻をうっとりと見上げていた。
向こうを見ると、小僧のお母さんが懇願するように手を合わせ、「お願いー」といいたげな目線を妻に対して送っている。
「しょうがないわねぇ」
妻はそういいながら、小僧に引っ張られるようにして傍らの「親族控え室」に消えていった。
カチャリと中から鍵がかけられてから、出てきたときにはあたりの人ごみは散っていて、つぎの婚礼に出席する見知らぬ顔ばかりになっていた。
小僧のお母さんはお姉ちゃんを連れて傍らにいたけれど、おたがい挨拶に困ってしまい、私は二人を残してロビーにむかっていた。
ロビーにある売店で、つれあいが粗相をして破ってしまったものですから・・・と妙な言い訳をしながら、妻のためにストッキングを求めている。


あとがき
ぜんぜん別なお話を描くつもりだったのですが。
すすっと忍び込んできて、居座られてしまいました。--;
なかなかあつかましいキャラですね。(笑)

お約束

2005年11月19日(Sat) 07:02:02

今夜も彼は夜霧のように、ふわりと邸のなかに入り込んできた。
「喉が渇いた。若い女の血を・・・。奥さんをお借りできるかね?」
耳もとをよぎる呼気が、ぞっとするほど冷たい。
そうとう飢えているらしい。
こういうときは、長い夜になるのだ。
「困った男だな」
私はそう苦笑しながらも、妻を呼んだ。

「はぁい・・・」
遠く階上から声がして、ぱたぱたと降りてくる足音がした。
伝わってくる足取りは軽い。
足音の主の浮き立った気分と少ない血の量とを思い描くと、危うさがいっそう募ってきた。
「お呼びですか?」
現われた由貴子はゆったりとした青いワンピースに、束ねていない黒髪を両肩にさらりと流している。
切れ込むように深いワンピースの胸ぐりから、湯上がりのほてりを残したバラ色の肌が大胆にのぞいていた。
「アラ・・・」
状況をすぐに察したらしい。
妻は一瞬口許にニッと笑みを浮かべて、あわててそれをかき消した。
「・・・お相手を、頼むよ」
感情を消してそう妻に告げる私。
「ア・・・ハイ」
初めての夜にそうしたように、不得要領に頷く妻。
来訪を予期していたのだろうか。
丈の長いワンピースからわずかにのぞいた足首が、なよやかなナイロンにコーティングされてなまめかしい薄墨色に染まっている。

「では、お約束を」
由貴子はきちんと口許を引き締めて、改まった口調をつくる。
薄墨色の両足をきちんとそろえ、私の前できちんといずまいを正した。
そして、両手を前で組み合わせ、眼をつむって暗誦するように

「由貴子は旦那様のいいつけに従って、つつしんでお客様のお相手をさせていただきます」
「由貴子は喉の渇いた吸血鬼さんに血液をさしあげますが、本当はとても気が進みません」
「由貴子はそれでも、お客様のいいなりになって、ひと晩誠意を込めてお仕えいたします」
「由貴子は旦那様以外の男性に抱かれても、決して快感を覚えたりはいたしません」
「由貴子はいやいやお相手するのですから、求められる以上にイケナイコトを愉しんだりは決していたしません」
「由貴子は当家の主婦として、柏木家の名誉を傷つけないように振舞いたいと思います」

そこまで言ってしまうと、暗誦の宿題をぜんぶきちんといえた子供のように、由貴子はホッとした顔をして、笑み崩れた。
気づかれないうちに近寄ってきた吸血鬼が、彼女の両肩をうしろからそっと抑えて、うなじに唇を吸いつける。
「あうううっ・・・」
泣きだしそうなくらいに顔を思い切り引きつらせて、
きゅうっ・・・
食い入る牙に血潮を吸い出されてしまっている。
かんたんに動揺させられてしまった妻に、吸血鬼はにんまりと笑んだ口許から牙をのぞかせながら、
「うまく言えたご褒美だよ」
そういって、まるで自分の恋人のように、長い黒髪をさらさらと撫でた。
吸血鬼は悪戯っぽく私にウィンクをすると、初めてのあの夜のように、妻を横から抱きすくめて、扉の向こうへと消えていった。

はううううッ・・・
かすかに洩れてくる、うめき声。
身体にからみついてくるような妖しい声色に、嫉妬に弾んだ胸が灼け焦がれてくる。
約束は、今夜も守られないようだ。


あとがき
「初めてのあの夜」というのは、結納をすませたあとで、彼女が吸血鬼に処女を捧げたあの晩のことです。
婚約者の由貴子さんは吸血鬼に抱きかかえられるようにして自室に消え、壁ひとつ隔てた手の届かない向こうから、ひと晩じゅう悩ましいうめき声で私のことを悩乱させたのでした。

婚約者と妹と

2005年11月19日(Sat) 01:51:32

婚約者の美佐代さんは、近くの女学校に通っている。
最近は同じ学校に通う妹のまゆみといっしょに通学している。
連れだって歩く黒ストッキングの脚を見たくて、友人をそそのかし、いっしょにあとをついていった。
友人は、妹の婚約者である。
陽の光を受けた脚は、ストッキングのなかで青白く輝くように、白い素肌を透けさせている。
ボクはしばしのあいだウットリと、二対の脚を眺めていた。
すると。
二人のまえに立ちふさがる影があった。
吸血鬼の少年たちだった。
少年、といっても、ふたりよりもやや年下の、中学くらいの子たちだった。
少年は、二人づれだった。
意外にも、二人の少女は少年たちと打ち解けている。
いつも無口で淑やかに振舞う美佐代さんまでが、頬をはじけさせ、白い歯を見せて談笑していた。
え?という疑惑。むらむらと逆立つ、淡い嫉妬。

まゆみも美佐代さんも、並んで黒ストッキングのすねを少年たちに見せびらかすように差し向けている。
不意に少年たちはふたりの前にかがみ込んだ。
美佐代さんのキュッとしまった足首にも。
まゆみのちょっと太めなふくらはぎにも。
ほぼ同時に
キュウッ、
と、音をたてて、唾液を光らせた唇が吸いついたのだ。
年下の男の子の大胆な物腰にびっくりしたのは、むしろボクのほうだった。
美佐代さんは、ナイトに足許の接吻を許す王女さまみたいに取り澄まして、少年のしぐさを見守っている。
少年は、美佐代さんの履いている黒のストッキングをぐにゅぐにゅと下品にねぶりまわしていた。
知的な気品をたたえていたストッキングはみるみるうちにふしだらにねじれて、くしゃくしゃにされてゆく。
まゆみの足許も、おなじことだった。
友人のヒロキまで、息を詰めて、なぶり抜かれる自分の婚約者の足許に見入ってしまっている。
きゃっ。
少女たちがちいさく声をあげた。
二人のストッキングは、遠目にもわかるほど、大きな裂け目を走らせていた。
「破けたぁ」
「もぅ・・・」
口を尖らせながらの抗議は、しかしどこか狎れ切った悪戯心を感じさせる。
本気で怒っているわけではない証拠に、ふたりはなおもなすりつけられてくる唇を、涼しい顔をして受け流していた。

やがて少年たちは思い思いのパートナーを選ぶと、婚約者と妹とをそれぞれにいざなって道をそれてゆく。
あたりはいちめんの、雑木林だった。
背の高い下草の陰にまずまゆみの、それから美佐江さんの姿が隠れると、
ボクたちはもう息せき切って、雑木林のほうへと駈けていった。
思わず声をかけようとしたボクを、ヒロキがとめた。
「し―――っ」
声をかけてどうなるというのだろう?
女の子たちは思い思いの姿勢をとって、もう黒のストッキングを脱がされてしまっている。
本当はあそこは、ボクとヒロキのいる場所だったはずなのだが・・・。
「ふたりとも初めて、みたいだね」
ヒロキの囁きが、毒をもったトゲみたいに、ボクの胸に突き刺さった。
折り目正しいプリーツを幾重にも折り曲げて、濃紺のスカートには濡れた落ち葉が貼りついている。
しどけなくたくし上げられたスカートからあらわになった太ももの白さが眩しい。
まゆみも、美佐代さんも、破けたストッキングをまだ脚にまとわりつかせていたけれど、ちりちりになったストッキングは白い素肌をまる見えにさせてしまっていた。
太ももからふくらはぎへと伝い落ちてゆく、ひとすじの赤い帯。
それが少年たちに吸い取られた血潮ではなく、秘所から流れ出たものだということは、許婚を穢されたふたりの男にも、むごいほど明瞭に察することができる。


登校する気になれないで家に引き返すと、母の寝室から声がした。
あうぅ・・・っ
そんなうめき声にハッとして足音を忍ばせる。
母が吸血鬼のおじさんと情事を重ねていることは、ボクもよく知っている。
そのことを、父はどこまで気づいているのだろう。
父のことを尊敬していながらも、自分のほうから告げる気にはなれない。
気の毒だ・・・という思いもないわけではなかったが、
母の情事を覗き見る、という密かな愉しみの誘惑からのがれることができなかったのだ。
そうっ、と母の寝室のドアに手をかけると、ドアは音もなく開いていた。
ベッドのうえ。
朝の陽が差し込むなか、しどけなく衣裳を乱した母が、吸血鬼の黒衣の下にいた。
いつも深夜にのぞくときよりもはるかにあからさまに、白い素肌をのぞかせて。
ブラウスをはだけ、むしり取られたブラジャーはストラップが切れているらしい。
黒のスカートは、さっき美佐代さんやまゆみがされていたように、ぐうっと腰までたくし上げられてしまっている。
同じだ・・・誰もかも。
ことの善悪はともあれ、そういう思いがひたひたとボクの胸を包んだ。
慶ばしいことではないにせよ。
それはボクに、なにかを諦めさせている。

ぽん、と、肩に手を置かれ、ボクはびくっとして振り向いた。
父が、静かに微笑んでいる。
「母さんのこと、見ていたんだろう?」
父は言った。
無言で頷くボクに、父は優しく、
「どうだね?母さん、とっても綺麗だろう?」
そういった。
「父さんは、ヘイキなの?」
ふふふ・・・
父は低く笑って、
「まだお前の齢ではわからないだろうね」
そういって、自分の妻がはしたない声を洩らしながら凌辱を愉しむありさまに淡々と目をやっている。
一見涼しげでそっけなくさえ映った白目がかすかに充血していた。
「美佐代さんやまゆみに会ったかね?」
「会ったよ・・・てゆうか」
口ごもるボクを追っかけるように、
「見たんだろう?」
「ウン」
「ラッキー、だったね」
意外な言葉にえ?と首をかしげると、
「父さんは、初めて母さんが男のひとに犯されるところ、見ることができなかったからねぇ。見とどけておけばよかったと、あとで後悔したよ」
「そんな・・・」
「キミはけさ、とてもいい勉強をしたようだね。きょうは学校はいいから、もういちどもどって、二人の様子を見てくるといい。どうみたって半日は、相手をさせられるだろうから・・・邪魔にならないように見るんだぞ」

雑木林に通じる道には、ヒロキが先に来て、ボクのことを待っていた。
「お袋が家にいてさ、まゆみちゃんは人気者なんだから、くれぐれも無粋なことはするなってさ」
どうやらヒロキの母さんも、吸血鬼の毒にやられてしまっているらしかった。

ヒロキがまゆみを、ボクが美佐代さんを、目だたない道を通ってそれぞれの家まで送り届けたときには、もうお昼をすぎていた。


あとがき
まとまりのないお話になってしまいましたが。
村の旧家では、跡継ぎ息子の許婚者を特定の吸血鬼にゆだねるしきたりがあるようです。
お相手は母親の愛人であったり、その息子であったりします。
この場合は、後者のようです。
ひとりの吸血鬼が嫁も姑も食べてしまう・・・というのも乙ですが、
親同士、息子同士で妻を共有する・・・というのもかなりコアな関係です。
跡継ぎ息子たちは、許婚者たちに対する吸血少年たちの誘惑を妨げることを許されず、みすみす処女を進呈させられてしまいます。
許婚者の処女をつつがなく?奪われると、相手の少年たちに自分の許婚の純潔を穢してもらったお礼を伝えて許婚者との交際を認め、祝言を挙げるまで自由に交接させるしきたりだったと伝わっています。
(真偽は不明・・・ですが・・・)

吸血ごっこ

2005年11月18日(Fri) 16:06:20

その子と初めて会ったのは、父の郷里に引っ越してすぐのころだった。
ボクは小学校四年生、姉さんは六年生。
親類の小父さんに連れられてきたその子はボクより学年がひとつ下だった。
「お父さんとお母さん、ちょっと小父さんと出かけてくるから、その子をお願いね」
母の言葉になんの疑念もなく、ボクたちは頷いていた。

なにで遊ぶ?
年の離れたもの同士、共通の遊びを見つけることは難しかった。
だからいちばん小さいその子のいうなりに遊ぶしかないようだった。
いま考えると、年下の子に気をつかったというよりも、
年上のはずのボクたちのほうが、いつのまにか彼のペースにはまり込んでいたような気がする。
ボール投げや鬼ごっこ、それも狭い室内では他愛のないじゃれあいにしかならなくて、
大きい子たちのほうがすぐに飽きてしまった。
そんなとき、ふとその子が言い出した。
「吸血ごっこ、やりたいなあ」
子供っぽいごっこ遊びだなあと思った。
彼が吸血鬼の役をやり、ボクたちは襲われる子供の役。
内心げんなりしたけれど、姉さんはじゃあそうしようかな、と賛成した。

「じゃあまずお姉ちゃんからね」
その子はそういうと姉さんのほうへと這い寄っていった。
姉さんはちょっとだけ逃げるふりをしようかとしたけれど、
なぜだかすぐにつかまえられてしまっていた。
―――手かげんしたのか、本当につかまえられてしまったのか―――
そんなふうに思っているうちに、男の子は姉さんの首のつけ根のあたりに口をつけて、ちゅうちゅうと血を吸うまねをし始めた。
「う、ううぅんっ」
姉さんは芝居っ気たっぷりに目をまわしたふりをして、その場にうつ伏せに倒れていた。
倒れた姉さんのうえにのしかかって、なおもことさらちゅうちゅうと血を吸うまねに興じると。
彼はボクのほうを振り返る。
「じゃ~、つぎはシゲ兄さんの番だぞ」
そういってその子は、両手をあげて襲いかかってきた。
短かい両腕をいっぱいにボクの身体に巻きつけて、姉さんとおなじように首のつけ根のあたりに口をつけてくる。
きゅううっ・・・

―――!
男の子の歯はとてもとがっていて、それが本当に首の皮ふに突き刺さる。
ボクはびっくりして声をあげていた。
「うっ・・・ううぅんっ!」
男の子は慣れたかんじでボクの皮ふを破ると、ちゅうちゅう、ちゅうちゅう、音を立てて、本当に血を吸い始めたのだ。
逃げようとしたけれど、身体に巻きついた腕は思ったよりもずっと強くて、抜け出すことができない。
くらあっとめまいがしてうつ伏せに倒れると、もう身動きできなくなっていた。
彼はもういちど、姉さんのほうへと這い寄って、ハイソックスの上から姉さんのふくらはぎにかみついた。
姉さんのはいている白いハイソックスに、みるみる真っ赤な血がにじんでゆく。
「きゃあぁ」
姉さんは声をあげたけれど、なぜかちっとも痛そうではなくて、
くすぐったそうな、ふざけるみたいな笑い声になっていた。
「もっと、もっと。してもいいよ」
いつもボクとふざけるときみたいに、姉さんは白い歯を見せて、もう片方の足もかませちゃっている。

「どう?楽しいでしょ?吸血ごっこ」
半ズボンの足もとにかがみ込んできたその子はそういうと、
やっぱり姉さんのときと同じように、ねずみ色のハイソックスのうえから唇をつよく押しつけてくる。
チクッとする痛みがさっきよりくすぐったくて、ボクも姉さんみたいにけらけらと笑いころげてしまっていた。


あとがき
父さんの郷里は吸血鬼の里だったようですね。
小父さんと出かけたのも、たぶん夫婦で血を吸われるためだったようです。
子供たちは子供どうしで・・・
そんな取り決めをしていたのかどうか。
村にきたばかりの姉弟は、それからもずっとその子と仲良く遊んだそうです。

交際

2005年11月17日(Thu) 07:57:00

彼女が吸血鬼と初めて出逢ったのは、夜の公園。
ハイヒールで逃げ惑って。
とうとうつかまえられて。
うなじをがぶりとやられたときの恐怖は、いまでもありありと残っている。
ブラウスをしとどに血で濡らして。
ぎゅうぎゅうと絞り取るようにして生き血を吸い取られていた。
それからは引き込まれるように、
ついつい出逢いを重ねてしまっていた。
怖ろしいばかり・・・ではなかったから。
おそるおそるにしても。
つとめて礼儀正しく接してみると、それ以上の礼節が返ってきた。
理性の残っているときには紳士のように振る舞い、
血を吸うときも彼女の意向や体調を重んじてくれた。
乱れた衣装が人目に触れないように、さりげなく整えてくれたり、
寒い夜には、薄着に気を遣ってコートをかけてくれたりもした。
お礼・・・とはいえないまでも。
ストッキングの脚が好みらしい彼のために、
逢いにゆくときは必ず、真新しいものを脚に通すようになっていた。
吸血鬼は彼女の礼儀に応えるように、
しっとりと柔らかいふくらはぎをコーティングしている薄いつややかなナイロンを念入りにいたぶって、
とろかすようにチリチリにしてしまうのだが。
一方的に襲われて。肌を侵され、生き血を吸い取られてゆく関係。
それなのに、まるで恋人どうしのようであった。
彼に理性のあるときは、連れだって美術館に行くこともあった。
知的な語らいの半ばで、理性を喪いかけて。
そんな時彼女は、自分から彼をいざなって、
人目のないところで身をゆだねていた。

そんなとき、女に恋人ができた。
医者の卵だった。
結婚相手としては理想的な相手。
彼女は結婚を思いつめ、吸血鬼に告白した。
女を草地に組み伏せて。
いつになく荒々しく牙を突き立てながら。
―――男を連れて来い。血を吸わせてくれたら考えてやる。
そう、女に約束させていた。

やってきた婚約者は、明るくさっぱりとしていて、てらいのない男だった。
「初めまして」
そういって、屈託なく白い歯をみせる。
「貴方が吸血鬼さんかな?思ったよりか紳士のようですね」
初対面から友達になってしまうような性格を、わけへだてなくおもてにあらわして、語りかけてきた。
―――血が要りようでしたら、どうぞ遠慮なく。
男がそう言うと、吸血鬼は腕を伸ばして男を抱きすくめた。
激しい吸い方に、女は初めてのときを思い出した。
ふたりの間に割って入るようにして、
―――お願い、お願い。このひとを死なせないで!
ヒステリックに泣きじゃくりながら、吸血鬼にそう訴えていた。
にわかに、死の抱擁は解かれていた。
「じゅうぶんにわかった。その男と一緒になるがよい」
遊び人だが、実のある男。彼女を未来の花嫁とするほどに、偽りのない愛情を注いでいる。
牙にしたたる血潮が、痛々しいほどありありと、それを教えてくれていた。
吸血鬼のくやしげな表情なかに哀しい色が滲むのを、女は見逃すことができなかった。
愛情と哀憐と。
板ばさみになりかけた女が戸惑いの色をみせたとき。
「いいじゃないか」
声の主は、若い婚約者だった。
「ときどき、招んであげようよ。貴方、彼女の生命を奪るつもり、はなからななったんだろう?」

結婚するまで、彼女は通い道を変えることがなかった。
彼に買ってもらったの。
新調のスーツを見せびらかしながら、
つよく刺し込まれてくる牙に濡れるほどの想いを捧げてゆく。
「ボクは遊び人だから。処女はなん人も抱いてきたよ」
そんなことまであっけらかんと口にする婚約者の男。
―――ひとりの女で満足できない・・・
率直にそう告げながら、
―――だからキミも、あるていど好きにしてくれてかまわないからね。
そういう状況を、むしろ積極的に愉しんでいるようだった。
「キミの処女をどちらが獲るか、ふたりで競ってみようかな?」
子供っぽいくらいにイタズラな彼に、彼女も苦笑をかえすばかりだった。
どちらが先にモノにしたものであろうか、
純白のウェディング・ドレスに包まれた彼女の身体は、もう女の身体になっている。

春の公園。
彼女をはさんで連れだって散策をしながら、
若い開業医は間男に話しかけている。
「子供は正真正銘、ボク自身の子供がほしいからね。
 そこらへんはうまくやってよね。
 彼女のおなかが大きくなったら、
 輸血用のパックをもってきてあげようか?
 それとも、若い看護婦さんを紹介してあげたほうがいいのかな?」

ガマン比べ

2005年11月16日(Wed) 07:10:18

週一回は必ず妻の血を吸いに現われる吸血鬼。
「若い女の血が欲しいんだ。奥さん借りるよ」
あっけらかんとそう言い放って、妻に迫ってゆく。
「若い」といわれてか、妻は満更でもなさそうに、
避けたほうがいいのかしら?
そんなふうにちらちらと私のほうへと流し目をしながらも、
彼の腕のなかに身をゆだねていってしまう。

「まぁ、ひどいわね」
ブラウスに真っ赤なあとをつけられて、妻はそれでも幼い子供のイタズラを咎めるように優しくにらむだけ。
ストッキングはもうとっくに、ぴちっと伝線を走らせてしまっている。
ブラウスの上から胸を。
スカートの奥に入り込んだ腕に貞操までもまさぐりにゆだねながら、
妻はあきらめたように、つぶやいた。
「ガマンできなくなっちゃった・・・ようね」
どちらが?
といいたくなる私に先手を打つように。
「ね、ちょっとだけ。貴方、ガマンしてくださるわよね?」
妻はイタズラっぽく、笑んでいる。
「あたし、こんなことしたくないのよ。
 でも、貴方が望まれるばっかりに、
 仕方なく御意にそっているだけなのよ。
 もちろん、快感なんて感じないわ。ガマンして、凌辱されるだけ。
 だから貴方も、私が抱かれるの、ガマンしてちょうだいね。
 ガマン比べよ。」
そういって、奥の寝室に引きこまれてゆく。
う、う~ん。
微妙な感情を胸に、ふすまの向こうに消えてゆく妻を見送る私。
彼にとっては淫らな肉をこすり合わせるだけの戯れでも、
私にとっては、かけがえのない妻の貞操を犠牲に饗するのである。

どこがガマン比べ、なんだろうか。
さいしょのうちこそけんめいに歯を食いしばって。気丈にも、抗って。
けれどもそんな耐える風情に却ってそそられたのか、
なおも劣情をぶつけてくる吸血鬼にほだされるように。
あでやかに口紅を刷いた妻の口は大きく開かれて、
歯並びのよい白い歯は、歓びに輝いているようにみえる。
「あああ・・・っ」
「オオオウ・・・ッ」
堅実な主婦の仮面をかなぐり捨てて。
吸い込む息とともに発する獣じみたおらび。
ふたつの腰はとっくにからまりあって、
はげしい動きをともにしている。
夫である私自身も、
あぶられるような嫉妬にあおられるように、下半身を焦がれさせ、
不覚にも、いつか下着を濡らしてしまっている。
ガマン比べはどうやら、引き分けらしい。

辱められる歓び~奥さんの証言(洗脳後)~

2005年11月14日(Mon) 07:58:32

帰宅したときのことですかぁ?
もちろん、びっくりしましたよ。それは、もう。
だって娘たちがふたりとも、とてもいい眺めなアングルをさらして、殿方のことをお迎えしているのですもの。
きつ~い縄目がセーラー服に食い込んで。
ちょっと痛そうに、でもとても心地よさそうにしているんですもの。
殿方がどういうかたで、妾になにをお望みになっていらっしゃるか。
それはもちろん、すぐに察しがつきましたわ。
女、ですものね。

それにしても、人のわるいイタズラをお考えになったものです。
娘たちは存分にあしらわれて。
目のまえの殿方がお気に召された証拠に、足許にきれいな血が伝い落ちておりましたの。
りっぱに、処女を捧げたのね。
そう思うとますます、娘たちがいじらしく思えてしまったのですよ。
お嫁入りをするまえに、それはもうたっぷりと処女の生き血を振舞ったことも、あとでわかりました。
そうでなくてはならないですよね?
年頃の娘さんがどなたも、結婚前にいともあっさりと捨てるようになってしまったいまでは、
処女はとても貴重なものですからねぇ
彼はとても礼儀正しくって。
娘たちをどんなふうにして誘惑しモノにしていったのかを逐一、妾にお教えくださいましたの。
そのやり口はあまりにも巧みで、ふつつかな娘たちをとても丁寧に扱っていただけたようなので、つい妾のほうからも
娘たちを導いてくださって、ありがとうございました。
三つ指突くような気分でそう、御礼を申し上げたのですよ。

妾のことですか?
まぁまぁ。
娘たちの純潔に比べれば、まるでお笑いぐさではありませんか。
エエ、とてもはしたないことなのですけれど。
じつは妾のほうから、お願いしたのですよ。
おなじ夜、おなじ処で貴方に出逢いながら、妾だけ無事ではすまされませんもの。
娘たちにも合わせる顔がありませんからっ、て。その・・・レイプをおねだりいたしましたの。
そうしたらあの方はとっても察しがおよろしくて。
妾に恥ずかしいことを言わせまいと思われたのか、いきなり飛びかかってこられましたの。

ああっ!お許しくださいませ 

って、思わず口にしてしまいましたわ。
そのように取り澄まして振舞うほうが、あの方の欲情をよけいに昂ぶらせてさしあげることができるように思いましたから。
案の定あのかたは、強引に妾の首すじに、熱い唇をあててきましたの。
この白くて柔らかいお肌は、上のお嬢さんそっくりだね・・・そんなふうに仰りながら、
妾のほうへと迫ってまいりましたのよ。

夫のこと?
そうね。もちろん頭に浮んだわ。ごめんあそばせ、ってところかしら。
それまで夫以外の男性は存じませんでしたの。
けれども、妾にはなぜか、この場で操を奪われることで、夫が妾を責めるような気がいたしませんでしたの。
それで、せい一杯あの方に抗うことで、夫への義理を果たそうと思いましたの。
はからずも、ですが、そうすることであの方に獲させようとする操の値打ちが少しでも高いものになったようで。
妾、ちょっと嬉しかったわ。

あの方は妾の身体を、よそ行きのスーツの上からくまなく撫でまわすと、
ストッキングを履いた足許にまで唇を這わせてまいりましたの。
正直申し上げて妾、すこしホッといたしましたわ。
そのとき履いていたのは、くたびれて汗ばんだようなものではなくて、真新しいものでしたから。
たまたま帰り道でなにかに引っかけてストッキングを破いてしまって。
ですから、あのとき身に着けておりましたのは、まだ真新しいものでしたの。
ふぅ、恥をかかないでよかったわ・・・そんなこと思っているうちに。
あの方、それはそれは、いやらしく。薄手のストッキングのうえからくまなくべろをヌメらせてきて・・・
お菓子をくるむオブラアトみたいに、めろめろにとろけさせてしまっておりましたの。
よく見ると娘たちも、ストッキングやハイソックスをみるかげもなくされてしまっていて。
堕とされた・・・とてもそんな感じがいたしましたわ。
ふだんきちんとした身なりをしていることを知っているものですから、
よけいに、そんなふうに思えてしまったのですよ。

あぁ、妾もこんなふうになっちゃうのかな・・・
そう思うとなんだかスッキリと吹っ切れてしまって。
いやらしい言葉をささやきかけていらっしゃるあの方にすなおにこっくりと頷いてしまって。
思い切りよく、スーツのすそをお預けしてしまったのですわ。

娘たちの仇敵に組み敷かれていきながら、
身に装う衣裳をふしだらに乱されてゆきながら、
妾はもう、夢みたようにウットリとなって、吸血鬼映画のヒロインを演じ続けていましたの・・・ちょっと淫らに・・・ですけれど。
貫かれた瞬間ですか?
まぁ、あなたもはしたないことをお尋ねになるのね。
えぇ、もう、催眠術にかけられちゃったみたいになって。
ひたすら、味わってしまいましたのよ。そう、むさぼるように、はしたなく。
主人とはもうここしばらく、なんにもありませんでしたからね。
まるで干し草に火がつくように、って申しますけれど。
たとえてみれば、そんな感じだったでしょうか。
娘たちを征服した肉の塊は、それはそれは美味しくって。
身持ちの堅いあの娘たちがどうして不覚を取ってしまったのか、
身体のしんから納得してしまいましたの。

今ですか?
ほら、御覧あそばせ。
妹がお姉ちゃんを、面白そうに笑いながら、柱に縛りつけておりますのよ。
お姉ちゃんのほうも今ではすっかり慣れっこになっちゃって。
まぁまぁ、ふたりで笑いながら、愉しんでいるようね。
もっときつく縛ってよ・・・これくらいで、いいかな?・・うぅん、たまんない。ぎゅうっとくる感じで、胸がキュンキュンしてきちゃう・・・
あの娘ったら、妾のことを縛りつけるのも、好きなのですよ。
お母さん、なるべく小ぎれいな服着てねっ、て。
そう、おねだりされていますの。
末恐ろしいことですわ。(笑)
でも、せっかくですものね。
リクエストにお応えして、今宵も気を入れて演じて御覧にいれますわ。凌辱される令夫人の役を。
夫もうちうちに、隣の部屋から愉しんでくれているようですから・・・

屈辱  奥さんの証言~洗脳前~

2005年11月14日(Mon) 07:51:57

家にもどったときのわたくしが、どれほど驚愕を覚えたか。
それはとても、言葉に尽くせるものではございません。
娘たちがふたりながら、
柱に縛りつけられて、気もそぞろになっている光景。
おそらくはいつ思い出しても、身の毛のよだつ思いを味わうことでしょう。
セーラー服に食い込んだ縄目が痛そうで、
どうしてこのようなたちの悪い悪戯を・・・と怒りがわいて、
すぐにもあの忌々しい縄を断ち切ってやりたい思いにかられたものでした。
うなじや足許にしたたり続けている血潮が、ふたりが受けたむごい仕打ちを想像させて、
私の憤りは倍化していたのです。
とくに足許を伝い落ちてゆく血潮は、なにか重大なことを告げるように、
音もなく無気味な輝きをたたえながら、したたりおちてゆくではありませんか。
私はアッと声を洩らして、娘たちに訪れた突然の悲運にただぼう然となってしまったのです。

そんなわたくしをあの男は憎らしい笑みをにやにやと浮かべて見守ると、
おもむろに自分の所業を得々と語り始めたのです。
わたくしがどれほど色を失い、激怒したか、おおよその察しはつくだろうと思います。
そして、不覚をとった娘たちに対するふがいなさも、
娘たちを守りきることのできなかった自分のうかつさまでも、
ギリギリと胸をしめつけたのでした。
自分から縛られていった・・・ですって?
どこの世界にそんなことをして、襲って下さいと願う娘さんがいるものですか。
私にはとても、信じられませんでした。
それまで起こったことも。
そのあと起こってしまったことも。

男は私に迫ってきて、
なんと、私の首に食いつきました。
うなじの傷はこうしてつけられたのか。
そうわかったときにはもう、彼の両腕が私の身体をとらえていました。
つけられた傷口の上をうごめく唇の無気味なナマナマしさに、
まるで素肌に毛虫を這わされているような嫌悪感を感じながら。
いくら抗っても小揺るぎもしない体の下敷きになって、
私はなすすべもなく、行きながら血を吸い取られていったのです。
吸いつけられた唇は、あきらかに吸血行為を歓んでいました。
嫁入り前の娘たちの操を食い荒らした男。
娘たちの操の仇敵を歓ばせていることがとても腹立たしく、
わたくしは自由にならない身体をいたずらにばたつかせて、
かえっていっそう彼の嗜虐心をあおってしまったのでした。

ああっ、お許しくださいませ

とっさにそう、口にしてしまいました。べつに男に対する敬意からではなく、
じぶんの品位を守りたいがためにさいごまで、私は野卑な言葉づかいを控えていたのです。
そんな気持ちでさいごまで貫き通した折り目正しい言葉遣いが、かえって彼を刺激したなどとは思いも及ばずに。

あの男、下品にも、脚にまで唇をあててまいりました。
ストッキングを履いたまま。
私は身動きもならず、相手の思うままにふくらはぎをなぶり抜かれてしまったのです。
上品な礼装に加えられる屈辱的な仕打ちは、とてもこたえました。
かえって素肌にそうされるよりも恥ずかしく、情けなく、
わたくしは非難と拒絶の言葉を彼に浴びせかけ、たいそうあらがったのですが、
とうとう他愛なくちりちりに裂き散らされてしまうまで、
わたくしの身に着けていた礼装に対して彼が汚らしい劣情をなすりつけてくるのを
とうとうやめさせることはかなわなかったのです。

主人の体面に泥を塗らない。
そういう彼の約束に、かけらほどの安堵を覚えたのは事実でございます。
なにしろ、名流婦人として名の通っておりましたわたくしとしましたら、
このようなはしたないことが表ざたになることがどれほど自分や娘たちの体面をそこなうか、
そのことで世間に顔向けできなくなるのかを痛感しておりましたから。

それだというのに。
ああ、わたくしとしましたことが・・・
ストッキングを咬み剥がれ、ブラウスを引き裂かれ、ブラジャーをむしり取られてゆくうちに。
久しく忘れていた牝の律動に、いつか身をゆだね始めてしまっておりました。
これではいけない・・・
そう思いながらも。
あいつは卑怯にもそんなわたくしの態度の変化につけ込むように、
ますます巧みに、揉み入れてくるようなまさぐりを礼装のすき間から侵入させてまいりました。
そうして衣裳をみるかげもなくちりちりにされてしまうと。
もうそこには私のよって立つべきよすがはなにひとつ、残されていなかったのです。
きっと娘たちにもそうしたように。
あいつは私のなかへと、おもむろに入ってきました。
なれたやり口でした。
娘に対しても、そう振舞ったのですか?
そんな咎めの言葉を人知れず飲み込みながら。
あなた、ごめんなさい・・・っ。
汚辱にまみれた男の体の一部を、とうとう私は突き入れられてしまったのでした。
それはそれは荒々しい、嵐のような振る舞いでした。
けれどもその果てには、技巧を越えた濃やかなものを感じてしまったのも確かでした。
女の操を踏みしだかれながら。
私は不覚にも、心からの歓びを覚えてしまったのです。
頭で思う無念と屈辱とはまるで別人であるもののように。
ストッキングを剥かれた私の下肢は、リズミカルに小気味良い舞踏にいつか興じつづけていったのでした。
そしてこれ以上はもうとても、恥ずかしくてここには語りつくすことができないのです・・・

娘の純潔・妻の貞操 ~ご主人の回想~

2005年11月14日(Mon) 06:58:37

先日アップしたお話の続きです。
両親の留守宅に忍び込んだ吸血鬼。
二人のお嬢さんを家の柱に縛りつけて、ふたりながら吸血したうえに処女を奪ってしまいました。
そのうえあとから帰宅してきたお母さんまでもが犠牲に・・・
そんなお話の後編です。
「生娘&生娘」→「ママも。^^」→「&ご主人」と続いています

帰宅途中の街角で出逢った吸血鬼。
どういうわけかすっかり意気投合してしまって。
気がついたらうかつにも、自分の血を一滴あまさず、
気前よく、ヤツに進呈してしまっていた。
よっぽど口に合ったらしく、満足そうに笑んだヤツの笑顔が憎たらしいほど輝いている。
まぁ、いいか。ずいぶん旨そうに飲んでくれたしな。
ていねいに、傷口に口をつけて。
支配されているという帰属心に、自棄的な開放感が心地よく重ね合わせられてきた。
寝しなに綿布団をかけられたような満ち足りた気分で、つぎの言葉を待ち受ける。
なにを言われても、許してやることが快感につながりそうな気がして。

貴方も、貴方のご家族も気に入りました。
お嬢様がたをりっぱな一人前の女にして、
そのうえで、奥様の無聊をお慰めしたいのです・・・

遠まわしなことをいうヤツだった。
いちおうの遠慮を払ったのだというけれど・・・
要は、娘も女房も襲って、血を吸って犯したいっていうのだろう?
体じゅうの血液を喪いながら生きているという現状に、ヤツのただならぬ好意をおぼえながら、
半ばやけになって、私はつい、つづけてしまっている。
好きにしなよ。
その代わり、誰にも迷惑はかけるなよ。
・・・メイワクはどうしたって、かかるのだが・・・
妻や娘を共有することで、ヤツは私と一体になりたがっている・・・
そんなところに、奥深い好意を感じて。
胸の奥深くから湧き上がってくる妖しい妄想が、私の理性を狂わせてしまっていた。

ビデオはすっかり、たんのうしていた。
セーラー服のまま縛られて、順繰りに血を吸われ、処女の血を辱められるようにして吸い取られてゆく娘たち・・・
いつものように気位高く振舞いながら、とうとう肌に唇を這わされて、
奴隷に堕とされていってしまう、スーツ姿の妻。
娘たちの身体から吸い取った血に赤黒く膨れ上がった唇が、
妻の着ているブラウスのすき間から忍び込み、素肌に吸着して。
ヒルみたいに蠢きながら血を吸い取ってゆくときの
キュウキュウという人をこばかにしたような音が、
なぜかひどくリズミカルで心地よく鼓膜を妖しく震わせる。
あぁ、こいつにとっては、
気位高い妻も、控えめに淑やかな姉娘も、ハキハキとして潔癖な妹娘も、
単なるエモノなのだな。愉しんでいるのだな。
そして、とてもおいしく味わっているのだな。
そう思うと、まるで自身が吸血鬼になり果てたかのような、たとえようもない喜悦が突き上げてくるのだった。

何食わぬ顔で帰宅すると、
最近は日常の事務的なやり取りばかりになっていた妻も、
日頃は口をきくこともすくなくなっていた娘たちも、
別人みたいににこやかに私を出迎えた。

しんそこ感謝しきっているようすの妻。
妻と共有するイタズラがむしょうに愉しい、といった娘たち。
昏く堕とされた日常。
スリリングな不貞に、夫のまえで耽る妻。
無邪気な笑いをはじけさせながら、互いの身体にロープを巻きつけあう娘たち。
うわべの平和が支配する薄暗い邸のなか、
不道徳にもつれ合う赤い糸が、家族間の倫理感覚のすき間に深々と侵入し、なかからつき崩してゆく。
その赤い糸は、妻や娘たち、そして私自身の身体から吸い上げられてゆく血潮の色だったにちがいなかった。

救って・・・

2005年11月14日(Mon) 06:12:42

がんじがらめに縛られた目のまえで・・・
妻は吸血鬼に抱きすくめられて、咬まれてしまっていた。
あいつは妻のうなじに唇を這わせて、
ワンピースの上から胸をまさぐりながら、
ちゅうちゅう音を立てて、
それは旨そうに妻の血を吸い取ってゆく。
年端もいかない少年のくせに。
戸締まりをきちんとしたわが家に侵入して。
いちばんの妨げになりそうな夫を縛って。
物音に気づいて別室から脚を踏み入れたその妻を後ろから・・・
少年ばなれした、周到さ。
吸い取った血の量まで測っているかのような、冷静さ。

ふたりに近寄ろうとするたびに、
しなやかで強靭なロープはきゅうんきゅうんとしなるように、
私の体に食い込んで、
強い拘束を見せつけるばかり。
こうしているあいだにも、妻の身体からは刻一刻と、血液が喪われてゆくのだ。
誰か、誰か・・・
妻を救ってくれ。
隣家の人に、通りがかりの通行人に。
いまここにいない私や妻の両親に。
そして思いつくあらゆるかぎりの人たちに、
心の中から切実にそう訴えかける私。

そんな訴えを目のまえの吸血鬼にさえ投げかけたとき。
彼はそれに応じるかのように、ちらとこちらを見返してきた。
―――どうしてもというのなら、血をやってもいいから。せめて献血程度にしてくれないか?
―――せめて、死なせたりはしないでくれ。
お互いに視線を交えて。
彼の目線は困惑したように、恥じるようにうつむき加減になっている。
私がどんなに妻を愛しているか。
それだけは彼に伝わったような気がした。
―――わかったよ。
視線でそう応えると、彼は妻を放そうとして、
それからあべこべに、こんどは胸元に食いついている。
ひどいじゃないか!おいっ!
そう身もだえする私のまえで、
鉛色になりかけた妻の肌はみるみるもとのバラ色へと甦ってゆく。
血を戻してくれたのだ。そう気づくのに、さして時間はかからなかった。

妻はうっすらと目を開いて、
―――あら、もういいの?許してくださるの?
さっきから彼女自身の身を苛んで生き血を吸い続けていた男にそういった。
―――ママがこんなふうにされて血を全部吸い取られちゃったとき、ボクはとても悲しくて、切なかった。
少年の声色に戻った吸血鬼はぽつりと、そう呟いていた。
頼りなげに、決まり悪そうに、居心地悪そうに、もじもじし始めている。
―――だからほかのやつもおんなじ目にあわせてやろうと・・・でもおじさんも今、おなじ気分なんだね。
自身も吸血鬼にされて。
それ以来、母親とおなじ年恰好の女たちを襲い続けているという少年。
―――いいのよ、坊や。
妻は優しく、語りかけた。
―――淋しかったんだね。いいのよ。おいしかった?私の血。
まるで娘の友達が遊びに来たときに振舞ったおやつの味を尋ねるように、
少年の顔をのぞきこんでいた。

その晩以来。
週にいちどは必ず我が家を訪れるようになった少年は、
私のまえで妻を襲うようになっていた。
妻はきゃっきゃとはしゃぎながら部屋じゅうを逃げ回り、
さいごに足をとめて、伸ばされた彼の腕をうしろから巻きつけられてしまう。
甘えるようにうなじに吸いつく唇を、
縛られた私はまのあたりにすることになる。
―――こういうふうにしておかないと、私を救い出す義務を怠ったことになっちゃうでしょ?
妻のいうことは、もっともだった。
見慣れたワンピースのすそにわずかに血潮を撥ねかせながら、
ストッキングを穿いたままふくらはぎを咬ませている妻。
恋人のような。母親のような。
戯れあい、抱き締めあって。
そして、じぶんのほうからしどけなく、ブラウスの胸元をくつろげてゆく。
なれなれしく妻に寄り添った少年の手もいつのまにか、ワンピースの裾から太ももの奥へと忍び込んで、
夫の目の届かない処をまさぐり始めていた。
妻は、他愛なく笑いこけながら。
剥ぎ堕とされた衣裳を褥がわりにして。
惜しげもなく素肌をさらし、少年に操を奪わせていった。

どうしてなのだろう?
どうしてこういうときに昂ぶってしまうのだろう?
目のまえで妻を犯している少年も、じょじょに血液を吸い取られてゆく母を見て、
不思議な昂ぶりを覚えていた、と私に告白した。
おじさん。不思議だよね?昂奮しちゃうんだよ。ああいうときって。
ママがあぶないイタズラ、されてるっていうのにね。ヘンだよね。
でももしかして、おじさんも・・・?

うなじに深々と。
いまは私も、妻とおなじ傷口をもっている。
まるで子供同士悪戯をしかけてくるように、むぞうさに。彼は私の血を愉しんでいった。
ずきずきとした疼きが全身をかけめぐり、
理性も倫理観もきれいさっぱり忘却させられるひと刻―――。
妻は私の目の前で抱かれ、
忘我の愉悦に浸り、一刹那の不倫に身を焦がす。
三人三様に焦がれあい、更けていく夜。
妻はどうやら救われるよりも、救うほうを選んだらしい。

なぜか

2005年11月11日(Fri) 06:10:17

なぜか急に、ぼろぼろと涙がこぼれてきた。
そのまま机につっぷして涙を流し続けていると、
いつも私を冷たくあしらっていた彼女はちょっとのあいだこちらをうかがって、
ドアの鍵をしめて誰も来れないようにしてくれた。
そうして、こちらに寄ってきて。
ちょっとだけ、つきあってあげようか?
そんな申し出に、強く強く頷いてしまっている。

女のひとを抱き締めてキスしたら、治るんじゃないの?
そんな彼女の上目遣いは、あくまで冷たい白目をみせていた。
形どおりに寄り添って、しっかりと抱きあう、肩と肩。
初めて交わすくちづけは、とても甘酸っぱい香りがした。

衣服を通してぬくもりが伝わりあうころ、
心に秘めた想いを込めて、彼女を堅く、抱き締めていた。
男をあしらうすべを知った彼女の挙措がふと止まり、
華奢な体重をそうっと、預けてくる。

なんだかこちらが甘えているみたい。

やはり冷たい声色で呟く語尾が、かすかにふるえている。


あとがき
いささか中途半端な出来栄えですが。
ウソからでたまこと、みたいなものを描いてみたくて。
補足を書いている事自体、ぼろ出まくりですね・・・^^;
たとえ身体で男は知っていても。
心からの抱擁に身をゆだねたのは、彼女にとってこのときが初めてだったのかも知れません。

代役

2005年11月11日(Fri) 06:00:09

下校の時に寄り道したり。
こちらから家に訪ねていったり。
そうやってつきあっている女学生の少女。
「ゴメン、きょうは体調不良なの。堪忍してね」
そうやって、手を合わせられた。
仕方がないか。困ったなぁ。
そんな顔をしていると。
「お母さん、お母さん」
少女は家の奥にかけこんでいった。
そうして自分の母親を引き立てるようにして連れてくると、
「代わりに彼の面倒見てあげてくれる?」
やっぱり両手を合わせてお願いしている。
お母さんはどことなく少女に似た、無邪気な顔立ちをしたひとだった。

いちばん奥まったお茶室に、ちょっとのあいだ待たされて。
やがてお母さんは黒のスーツ姿で現われて。
「じゃあ、わたしが代わりにお相手するわね。若い子の血ほどおいしくないけど、かんにんね」
立場は目上でも。これからひと刻、あなたの奴隷になるのだ・・・と。
正座をして深々と、私に頭をさげた。
頭を下げていただくような者じゃないです。
戸惑いながらそういいつつも、
目線はじっと、スーツのすそからちょっぴりのぞく、
黒ストッキングに透けたひざ小僧を舐めていた。
お母さんの履いているストッキングは、
引き締まった脛にぴっちりと包んでいて、
娘のそれよりもつややかに彩っていた。

腹ばいになったお母さんのふくらはぎに唇を吸いつけて。
いつも彼女の娘にしているみたいにちゅうちゅうと。
お母さんの履いているストッキングはとてもいい舌触りがして、
ちょっぴりいつもよりも意地きたなく、
よだれの浮いたべろをなすりつけている。
ちりちりになったストッキングを足許にまつわりつかせながら、
お母さんは毒がまわってきたのだろうか、悩ましそうに寝返りを打つ。
仰のけられた首すじに、きゅうっと這わせた唇に、
なめらかな肌がいとおしい温もりにつつまれている。
少女よりもしっかりとした肉づきに、
熟した血潮が息づいていた。

きゅうううぅぅっ。
吸い出す生き血は、オトナの香り。
無我夢中に、酔い痴れて。
思わずぴったりと、身を添わせてゆくと、
お母さんは落ち着いたしぐさで、背中に腕をまわしてくる。
「なさりたいんでしょう?いつもあの子には、ガマンしてくれてるみたいね」
薄っすらと目を開いて、そういって。
自分のほうから、太ももを開いてくれた。
ひとつになろうとする間際、ちょっとせっぱ詰まった声色で
「お約束してくれる?あの娘を、死なせたりしないでね」
心からつよく頷きながら、彼女の唇を奪っていた。

さかりたつ男性自身をしっくりと受け容れて。
かたく握りあった掌をお互い握り返すような、
ひとつに合わさった腰の、上下動。
男を安らげるすべをじゅうぶんに心得たあしらいに、
さっきからびゅうびゅうと、漏らしてはならない懊悩の塊りを噴出させつづけてしまっている。
いつか。
獣じみた毒々しい性欲は薄れていって、
母に甘える幼な子のように、華奢な体にすがりついていた。

眩しい存在

2005年11月10日(Thu) 08:14:33

そこそこの美人で、勉強ができて、しっかりしていて。
クラスではいつも学級委員の優等生。
全校生徒の注目を浴びて、それを苦にすることもなく学園を闊歩する。
そんな感じの少女が、どんな学校にも一人くらいはいたものです。

おなじ制服を着、おなじ黒のストッキングを履いていても、
そういう子の身に着けているものはちがった材質でできているのでは、
と思わせるような、近寄りがたい気品がありました。
前作の「彼」が気負けしているのは、
そのあたりの気後れからだと思います。

彼女のほうから話しかけなかったら。
多分彼のほうから襲いかかる勇気?はなかったかもしれません。
ところがクラスメイトが襲われるに及んで、彼女は黙っていられなくなります。
真正面から相対して。
あいてを獣としてではなく、あくまで同級生――それも一人の男の子として接して、
おなじ高さの目線で、会話をして。
首尾よく謝罪を勝ちとると、彼の欲求にさえ応えてやる。
どのみちそれは、誰にも抑えることのできないものなのだから。
ほんとうは毒液で少女たちを酔わせてしまうはずなのに。
彼が恵理子を酔わせるどころか、恵理子の血の温もりが彼のなかを浸してゆくのです。
彼のことをどこまで愛しているのか?
それはうかがい知ることができませんが。
無垢なわが身をさらしてまで救おうとするのは、はたしてたんなる博愛精神からだけでしょうか?
どこか彼女の振る舞いには、office編の鳥飼女史を思わせるものがありますね。

この作品、よくみると犠牲者は四人、いるのです。
二人の上級生と、クラスメイトの由美江ちゃん。
以前「やられキャラ」のお話を描いて、
冒頭にキャーとひと声あげてやられてしまう悲しげな脇役の魅力について語りましたが、
ほとんど存在を感じさせないこの三人も、個人的には気になる存在です。
どんなに怯えて、咬まれていったことか。
お友達と並んで、おそろいの黒ストッキングを、
順繰りに、むぞうさになぶられてゆく屈辱。
血を吸いあげられるときのウットリ感。
じょじょに血の気が失せていく感覚。
この娘たちの親がこのシーンをみたら、
どんなに切ない気分になっただろうか。
未来のお婿さんがもしもここに出てくるようなちょっぴりMな人たちならば。
どんな妖しい気分を愉しんだだろうか。
などなどと。
イケナイ嗜好ですね。我ながら・・・

優等生

2005年11月10日(Thu) 07:25:47

放課後の校門で待ち構え、気に入りの女の子を誘惑する。
きのうは連れだって下校する上級生をふたり、
いつもの公園に誘い込んで、手篭めにしてしまっていた。
かわるがわるうなじを吸って、正気を喪わせてしまうと。
お目あての黒のストッキングをイタズラしようとして足許ににじり寄り、
にんまり笑んだ唇を、清楚な薄墨色に染まった足首に近寄せる。
くちゅくちゅ、にゅるにゅると
上品な装いにおよそ似つかわしくなく下品にあしらい抜いて、
さいごにチリチリになるほど、破いてしまう。
それぞれ少しずつ違った唇のすべり具合や舐めごこちを愉しみながら。
ノーストッキングで下校していく子は彼に襲われたあとなのだと、
みんなが示し合わせたように黙り込み、見送ってゆく。

おそろいの黒のストッキングを脚から引き抜いて、
家に持ち帰り、コレクションに加えて悦に入る。
我ながら、悪趣味だけれど。やめることのできない、孤独な愉しみ。
よく見ると、背の高いほうの子のものよりも、
小柄でお洒落な子の履いていたもののほうが光沢がつやつやしていていた。
お洒落な子は、ストッキングにまで凝っているのだなあ。
手にしたエモノをしげしげと点検しながら、ニマニマと。
ストッキングの主が、持ち去られたじぶんの衣類がどんないたぶりを受けているかを知ったら、
羞恥と屈辱に、きっと顔を赤らめることだろう。

そんなある日。
彼はその日も、誰が出てくるかとワクワクしていた。
出てきたのは同級生の新藤恵理子だった。
本がたくさん入っているらしい黒の通学鞄を抱えている。
運動は不得手のようだったが、クラス一の秀才で、
学級委員をしている、絵に書いたような優等生。
色白の頬はすっぴんだったけれど。
肩先に揺れるおさげの黒髪によく映えて、かえって清楚な輝きが際だっていた。
ごくり、と生唾を呑み込みながら。
何とはなしに発散されている優等生のオーラを感じ、とっさに歩みにためらいが出る。
彼女ははっきり、こちらを見ていた。

恵理子のほうからツカツカとこちらに寄ってくると、
「先週、尾藤さんを襲ったでしょ?イヤがる子を連れ出すのは、よくないわ」
キッとした調子に、いつものノリをくじかれていた。
「悪かった」
とっさに、謝ってしまう。
「正直ね。そういうところは、感心なんだけどな」
恵理子は男のようにふふんと笑いながら、容赦なく、追い打ちをかけてくる。
「ちゃんと本人にも、謝りなさいよね」
「ウン」
なま返事。あれだけのことをしでかして。いまさらどうやって口をきいたらいいのだろうか?
「明日の朝いち。私がついてってあげるから」
クラスのトラブルを解決しようとする学級委員としての自負からか、
恵理子はいつになく頬を紅潮させている。
どうやら、逃げ場は無いらしい。
わかったよ・・・
つとめてぶっきら棒に、けれども気圧されて吐き出した返事は自分で驚くほどはっきりしている。
感心したような目線が、なぜかくすぐったく感じたとき。
「じゃあ、きょうはあたしがつきあってあげる」
そういって、お下げ髪をひるがえし、
あ然としている彼を尻目に自分のほうから公園に脚を進めてゆく。

少女の調子に気圧されながらも、こうしてあとをついてゆくうちに、
目はしぜんとストッキングの脚に吸いつけられていた。
しっとりと落ち着いた色合いの黒ストッキング。
薄手のナイロンは恵理子の足許をもなまめかしく染めて、
滲むように浮かび上がる青白い肌の美しさをきわだたせている。
おなじ制服を着ていても、こうも違うものだろうか。
彼女のイデタチは、優等生にふさわしい知性と気品にあふれている。

ほどよい草地に脚を踏み入れると恵理子はこちらを振り向いて、
「どんなふうに襲ったの?由美江ちゃんのこと」
あくまで冷静に、そう尋ねてくる。
「うまくいえないけど・・・」
彼が口ごもると、
「いいわよ、やりたいようにやってみて」
そういうと少女はいさぎよく鞄を置いて、傍らのベンチに腰かけた。
いつも手の届かない存在であった優等生への気後れに、
胸の奥からドクドクと突き上げてくる衝動がまさった。
「ちょっと汚くするけど、ごめんよ」
彼はそういうと、彼女の足許に跪くようにして、
いつものように足許に唇を寄せていった。

くちゅっ。
白い脛を淑やかに滲ませた長靴下の表面に、いつもより多めに唾液が散った。
恵理子の脚は細くて、まだあまり女らしい肉づきに恵まれていない。
履いている黒のストッキングもごくありきたりのもので、
学校の購買でまとめ売りしているものにちがいない。
なよなよとしたナイロン製の薄い靴下は、
彼の唇のうごきにあわせて、早くも整然とした網目模様を引きつらせはじめている。
「そうしていると、愉しいわけ?靴下、汚れるわね」
冷たく澄んだ声が、彼の頭上にふり注いだ。
「ゴメン」
「いいわよ。続けて」
六時限目の音楽の時間は、実技の試験だった。
そのときの先生の、「はいその次」という、そっけない口調を思い出す。
彼はふたたび、黒ストッキングを履いた恵理子の脚に唇をすべらせた。
ストッキングを「靴下」というほどに、彼女は脚の装いには無とんちゃくなのだろう。
ちょっともったいないなと思いながら、それが恵理子なのだと感じた。
さやさやとしたかすかな衣擦れに、彼女のプライベートな日常に形になりきらない想像をめぐらせながら、
いつか彼は夢中になって、ストッキングを咬み破ってしまっていた。
薄くて弱い生地に、ぱちぱちと裂け目が広がって、
青白い脛を露出させる。
刺し込んだ牙に帯びた毒液を、素肌にすりこむように忍び込ませてゆく。
すこしでも苦痛をやわらげてやろうという、奇妙な心遣いと。
妖しい疼きに我を忘れさせてやろうという、不埒な下心と。
いったいどちらが、強かったのだろう?
「ひどいわねぇ」
女の子らしい非難が、しずかで低い叱声になっていた。
凛と澄み渡った声色が、却って彼を刺激した。
彼はやおら恵理子にとびかかると、ベンチから引きずりおろすようにして、草地にまろばせてしまっている。
セーラー服の襟首からのぞく、白いうなじ。
あてがった唇の下、恵理子の素肌はなめらかだった。
ぐぐっ。ぎゅうっ・・・。
いつものように強引に牙を突きたてて、にじみ出る血潮を舐めつづける。
そのあいだ彼女は草地の上に仰向けになって、手足をだらりと伸ばしたまま彼のなすがままにされていた。
毒液は効いたのだろうか?
彼には自信がなかった。
ただ、身体のすみずみにまで満ちてきた恵理子の血が、おだやかな温もりになって、
すすけだっていた胸の裡をひたひたと鎮めてゆくのを感じるばかりだった。

破れ落ちたストッキングをねだると恵理子は、
「この場で脱げっていうの?」
いつものケンのある目に戻っている。
びくっと身をすくませるた少年を尻目に、少女はちかくの女子トイレに入っていった。
なかなか、出てこなかった。
ふたたび現われた恵理子はすっかり身づくろいをすませている。
手にした黒い塊を彼に押しつけるようにして手渡した。
他愛なく破かれたなまめかしい装いは、彼の掌に小さくちぢれきっている。
「もう、いいかしら」
そういうと彼女は返事も待たずに彼を取り残してさっさと歩み去ってゆく。
セーラー服についていた草切れはひとつ残らず取り除けられて、
わずかに草露の湿りだけが狼藉のなごりをとどめていた。
草地の彼方に待たせてあった迎えの車に乗り込んでゆく革靴の脚は、
ノーストッキングのままむき出しのふくらはぎを輝かせていた。

父親の呟き 2

2005年11月09日(Wed) 06:23:19

夕方、妻と嫁は連れだって、出かけてゆきました。
二人そろって、間男どのの招待を受けたのです。
二対並んで歩みをすすめる足許は、
夕陽を照り返すストッキングの光沢にいちだんとなまめかしく彩られていました。
嫁は以前から、てかてかと光るストッキングを好んで身に着けていましたが、
妻が彼女と競うように足許に気を配るようになったのは、
吸血鬼に女の操を捧げたあとのことでした。

「いい眺めだねえ」
私の傍らでふたりを見送っていた息子が、呟きます。
彼の目線も、ふたりの足許に、熱く注がれていたのでした。
息子の目線が、妻の足許に・・・
妖しい予感に胸騒がせながら、
私は二人が曲がり角の向こうに姿を消すまで見送っていました。

「母さんは父さんに嫁いだときに、処女のままお嫁にきたの?」
息子は以前よりも、遠慮のないことを訊いてきます。
お互いの妻の愛人をともにすることで、
男としての距離が縮まったのかも知れません。
私は即座に肯定しました。
まだ私が若い時分には、ふつうのまじめな娘たちは、
処女のままお嫁に行くのが当たり前だったのです。
いいなあ・・・
素直に羨望する息子に。
「×子さんは、どうだったんだ?」
私も臆面もなく、問い返していました。
「ボクのまえで、処女を卒業したんです」
「え・・・?」
結納のあとお邸を訪れて報告をすませ、
そのおりに婚約者の処女を望まれたのだ、と彼は告げました。

もちろん、オーケーしましたよ。
毎晩のように処女の生き血をくれていた娘を、
私は彼から取り上げてしまったわけですからね。
あのときの×子の服を憶えていますか?
白一色のスーツでしたよね。
純白のブラウスに血をしたたらされて、
彼女、私のまえで、彼に抱かれていったんです。
処女を喪う瞬間、かるくのけぞるのをみたときは、正直たまらなかったなぁ。

そう語る息子は決して卑屈でも、不幸せそうでもなく、
むしろ愉しかった遊戯を心地よく思い返すように、
低く落ち着いた、そしてうっとりとした声色をしていました。
あるいは花嫁の処女をかち獲るよりも、
ほかの男性に目のまえで、婚約者の純潔を散らされる儀式のほうが、
はるかに刺激のつよい通過儀礼だったことでしょう。
わたしがこのとき、妻がまだ処女のうちに彼の知遇を得ることができなかったことが、なぜかとても残念なように思えたのでした。

お帰りなさい。^^

2005年11月08日(Tue) 20:07:42

おかえり。
おや、なにをそんなに驚いているのかな?
いちど私を家に招いたうえは、
私がまりあの血を欲しいときなら、いつでもこの家に入り込むことができるのだよ。
さぁ、こっちをお向き。
ダメだ。いま、すぐにだよ。
だって、渇いた私をこれほどまでに、きみは待たせてしまったのだからね。
つぐないは、たっぷりしていただかないとね。
さあ、うなじを仰のけて。
そう・・・
がぶり・・・。
ちゅ、ちゅう~っ。
ごくり。

ウフフ。^^
どうだね?
なんと小気味のよい切れ味だろう?私の牙は。
このすべすべとしたお肌と、とても相性が合うらしいのだよ。
きみのお肌はとてもねっちりと、私の牙に寄り添ってくるようだしね。
いちど食い入れてやると、
もう逃がさないぞっといわんばかりに、
牙が抜けなくなるのだよ。

さぁてと。
足許も、イタズラさせていただくよ。
夕べはかわいい処女をふたり、それにお母さんまで頂戴した。
けれども、まりあの血は。
また格別なお味だからね。
ほどよく練れた若い女の味わいを、
ひと晩たっぷり、たんのうさせていただくよ。
おや。
後ずさりをするんだね。
いまさら・・・どうしたのかな?
ウフフ。
可愛いね、きみは。
わざと私の好みにあわせて黒のストッキングに履き替えてくれるというわけか。
じゃ~、すこしのあいだだけ、待ってあげよう。
うふふん。
自転車で戻ってきたら、脚が張ってかなわないって?
そんなもの。
私に咬まれたらいちどきに忘れてしまうだろうよ。

東京のホテルでも、そうして私にご馳走してくれたんだったっけ。
あのときのストッキングもなかなかのお味だったけれど。
やはり、黒は格別だね。
お肌が透けて、いっそうなまめかしく映えるからね。
そうやってきみはうまいこと、
今夜も私を挑発しようとしているのだね。

さぁ、ベッドに横になって。
ふくらはぎをお出し。
ククク・・・
いつ見ても、ぴちぴちとしたふくらはぎをしているねえ。
薄いストッキングが、はちきれそうなくらいだよ。
こうやって、脚の輪郭にそって、
す、すううーーーっと、撫でつけていると、
えもいわれぬ心地よさを覚えるね。
しなやかな薄手のナイロンと、ぴちぴちはずんだお肉とがじつにマッチしているのだからね。
さぁてと。
心の用意はいいかな?
咬むよ・・・・・・。
ぴちーーーーーっ・・・。

どうだね?
ずいぶんと色っぽく、破いてしまったよ。
姿見に映っているのが見えるかな?
なかなか綺麗な裂け具合だろう?
おや、これは困った。
下の牙までがむくむくと・・・
ひと晩、慰めてくださるお約束だったよ、ね・・・?^^
どうやら相性のよろしいのは、
きみのお肌と牙だけではないようだ。
なにしろね。
いちど食い入れてやると、
もう逃がさないぞっといわんばかりに、
なかなか抜けなくなってしまうのだよ。


あとがき
さいごがちょっと、ロコツでしたかね・・・
こういう時間のアップは珍しいような気がするのですが。
なんとなくその気になって、一気に描きあげてしまいました。^^

&ご主人

2005年11月08日(Tue) 08:04:46

親愛なる○○殿。

昨晩夜19時半から24時にかけまして。
奥様とおふたりのお嬢様、お三方ながらつつがなく貞操を喪失されましたこと、
ここに謹んでご報告させていただきます。
貴方様にはこの件につき必ずご許容賜わりたく、なおかつ貴殿の体面にも瑕なきように取り計らいたく、
悪辣なる吸血鬼に脅迫を受けてやむなく御令嬢・御令室との交際を許したた態を取り繕うべく、
御拝眉のおりにご披露する証拠の品々などをご用意させていただいております。
本日はそのおりの経緯についてかんたんに、ご報告させていただきます。

お嬢様お二方は、まだ奥様がご帰宅まえに頂戴いたしました。
お二方とも、喉をからからに渇かせていた私めにいたく同情くださり、
お身体いっぱいにめぐる血潮を、望みのままに振舞ってくださるとご快諾いただきました。
お宅の柱に自らお身体を添わされて、我が身を縛るようにとのお申し越し。
物慣れない不束さから取り乱したりなどして、ご迷惑をおかけしては、とのお心遣いもありがたく、
もったいなくも制服姿に縄をかけさせていただきました。
うら若い身体に食い込む縄目のようすはつぶさに別添のビデオにおさめさせていただきましたので、どうぞご笑覧くださるようお願い申し上げます。
貴方様もよくご存知の飢えた牙をむき出して、
柔らかいお肌にかわるがわる刺し入れたときの歓びは、もうたとえようもないものでございました。
おふたりとも、処女にふさわしい恥じらいと、潔癖な気丈さをもって接してくださり、吸血の痛みを見事に耐え抜かれたのでした。
姉君は奥様譲りの控えめなしとやかさで、妹君はご主人譲りの気性のよさを立派にお示しなられながら、
みずみずしい肌もあらわに尽くしてくださり、ついには清浄に保たれた純潔をも首尾よく頂戴することができたのでした。

奥様がご帰宅になられたのは、お二人が意識を失われたすぐあとのことでした。
あるいは、お察しのよろしい奥様のことですから、
私めが欲望の限りを遂げるころを見計らってご帰宅のタイミングをはかられたのやも知れませぬ。
縛られたまま意識を迷わされておいでのお嬢様がたのありさまに、
さすがに驚かれたご様子でしたが、
事態をお察しになるとすぐさまに、
娘たちを導いてくださりお礼を申し上げます
と言われ、忝くもそのたおやかなお身体を冷たい床にすすんで伸べられて、
スカートのすそをいさぎよく、私めにお預けになられたのです。
こうして奥様の貞操をも、ごく自然ななりゆきとして頂戴することができた次第でございます。
もとよりそれ以前に麗しくめぐる生き血のほうも、
お嬢様お二方では足りない分を補われるかのようにして、
ふんだんにお振る舞いいただいたことは申すまでもございません。

このように、お美しい奥様、お嬢様をお三方ながら頂戴できましたのも、
ほかならぬ貴方様のご配慮、お心づくしの賜物と感謝いたしております。
お三方ともつつがなく、私めの奴隷とさせていただきましたが、
もとよりそのことで貴方様がこれら麗しき女性がたから家長としての尊敬を失うということはくれぐれもないように配慮いたしたつもりでございます。
きちんと、洗脳しておきましたので。
少なくとも表だって、ご日常のなにかが変化する、といったことはなかろうか、とお察し申し上げます。
奥様も、お嬢様も、貴方様への尊敬の念を新たにして接してこられるであろうことはもちろんのこと、
貴方様が社会的な体面を損なう虞れもまた、まったくないのでございます。
ただ折々にお宅に伺うたび、かわるがわるお相手をいただき、
あるときは貴方様の娘婿となり、
またあるときは貴方様に成り代わり、夫同然の務めを奥様に対して衷心より果たしてまいるまででございます。
なるべくはお留守の折を、と存じますが、万が一ご在宅のおりも、
あるいは夫権を冒し、風紀を乱すこともあろうかと存じます。
すべて女性がたもお察しの上振舞われることでありましょうから、
ご懸念なく私めをお迎えいただくよう、改めてお願い申し上げます。

吸血鬼より


あとがき
なんか冗長なだけになっちゃいましたね。^^;
辛抱強く?ここまで読んでいただき、感謝申し上げます。

ママも。^^

2005年11月08日(Tue) 07:37:53

やぁ、お帰りなさい。
おや、おや。ちょっとびっくりなさっておいでのようですね。
だいじょうぶ。
たったいま、お嬢様がたの生き血を分けていただいたところなのですよ。
しょうしょうたっぷりと血をいただいたので、
今しばらくは、お休みになられたほうがよろしいかと。
ちょっぴり、顔色がお悪いようですが。
生命には別状、ございませんので。
えぇ、ええ。ご立派でしたよ。お二人とも。
とても気丈に、振舞っておいででした。
こうして縛りつけられておいでなのも、
暴れたりしたらはしたないですからと、
ご自分から望んでこのようになられたのですよ。
ご心配でしょうから、結論から申し上げるようですが。
お嫁入りのほうもつつがなく、お済ましになられました。
さすがにちょっと、痛そうにしておいででしたけれども。
さいごには歓んでいただけたようですよ。^^
ビデオもご用意してありますので。
のちほど、落ち着かれましたら、お楽しみになられますよう・・・

おや、昂奮なさっておいでのご様子。
それはそうでしょうね。
ご令嬢がおふたりながら、めでたくお嫁入りを果たされたわけですからね。
とても嬉しいご気分でしょう?
おめでとうございます。
おふたりとも、処女でいらっしゃいましたよ。
身持ちのよろしいばっかりに、よけいに愉しむことができました。
ご馳走になりました。
吸血鬼は、処女の生き血を何よりも、重宝するものですからね。
これもお母様の、日ごろの教育のたまものでしょうな。
さて、このままの恰好ではしょうしょうお気の毒ですから、
せめて縄は解いてさしあげましょうか。
そのあいだに、お母様も、ご用意をぬかりなく。^^
え?なんの用意かとお尋ねですか?
とっくに、お察しのはずではありませんか。
貴女の貞操も、頂戴するのですよ。^^
記念すべき今宵のうちにね。

ご用意はお済みですか?
おや、まだなにもなされていらっしゃらない。
けれどもその、お勤め帰りのスーツ姿も、なかなか捨てたものではありませんな。
もしお差し支えなかったら、そのままのお姿でもよろしいのですよ。
(いやらしいことをおっしゃらないでください)
いえ、いえ。
決してそのような。
ご婦人の礼装ほど、わたくしめの淫ら心をそそるものはございませんので、ね。
どのように振舞われるお心積もりでいらっしゃいますか?
心静かに、板の間にお身体を寛げになりますか?
それとも、いきなりワイルドに襲いかかって御覧にいれましょうか?
どちらともお決まりでない。
それも、一興。^^

そぉら、もう抱きすくめてしまった。
(ああっ。お許しくださいませ)
なんの。なんの。お許しを頂戴するのは、私めのほうですから。
お母さんはあまり、運動神経がおよろしくありませんね。
下のお嬢さんのスポーツ好きは、お父上譲りかな?
そういえば、このつやつやとした白いお肌は、
上のお嬢様とそっくりでいらっしゃいますね。
すこし、舐めさせていただきますよ。
もはや、拒まれることはございませんね?
お嬢様だって、とても気前よく、舐めさせてくださいましたから。
あとでおふたりを、お叱りになったりなさいませぬように。
お母様のご意向を、とても気にかけておいででしたから。
じきに、お嬢様がたが不覚をとったわけを、
貴女にもしっかり体験していただくことになりますからね。

いえいえ、どうかご安心を。
ご夫君とは親しくしておりますので。
彼の体面に傷をつけるようなことはいたしたくございません。
ただこの場かぎりということで。
お身体を流れる血をしょうしょうと、
女の操を内緒で頂戴できれば、
お嬢様がたの介抱をお手伝い申し上げたうえで、
黙ってこの場を立ち去りますので。

そうそう。
なかなかの賢夫人、とうかがっておりましたが。
それが賢明な選択というものですよ。
では遠慮なく。
首すじを、がぶり・・・と。
ううん。
お綺麗な血をしていらっしゃいますな。
思わず、惹きつけられてしまいます。
お味のほうも。
さすがはお母様。
お嬢様がたの血が美味しかったのは、母親譲りだったのですね。
よぅく、わかりました。
きっと、お腰のすき間の味わいも、よろしいのでございましょうね。
おや、これははしたないことを申しました。

足許も、悪戯させていただきますよ。
よぅく、御覧ください。
お二方からも、綺麗に装ったおみ脚を私めにお恵みいただいているのですよ。
いまさら、躊躇われることはありませんね?
ほほぅ、これは珍しい。
グレーのストッキングですか。
お洒落で、とてもよろしいと思いますよ。
光沢もなかなか淫らな感じがして。
さすがにお嬢様がたよりもいちだんと、風情を添えられておいでですね。
なにやらとても、そそられてまいります・・・
舌触りなど、試してみてもよろしいですね?
ちゅるん。
うう・・・
どうやら本格的に、そそられてきたようですね。
破っちゃいますよ。
がぶ。
ぶちぶち・・・っ。
ハデに、裂けてしまいましたね。
いい眺めですよ。^^
よだれをなすりつけたくなるくらい。
よろしいですよね?
麗しのおみ脚に、たっぷりと・・・
にゅるり。ぬるぬる。
おや、だらしなくたるんできて。
おまけに、あぶくが浮いていますね。
ほら、お嬢様がたも、破らせてくださっておいででしょう?
おふたりとも、とても親切に接してくださいましたよ。
制服姿を辱められるなど、初めてのことでしたでしょうに。
おふたりとも、うろたえたり取り乱されたりなさらずに、
ためらいなく私めの唇を愉しませてくださったのです。
お母様も、お手本をご披露しないとね。

さぁ、そろそろお召し物を脱いでいただきましょうか・・・
なに、お気になさらずとも。
お嬢様がた、気を失っておいでですから、
多少お声をおあげになっても、お気づきにはなりますまい。
さっきから、ブラウスのうえからおっぱいを、揉みくちゃにしてしまっております失礼を、どうかお許しあれ。
もうそろそろ、ガマンできなくなってきておりますのでね。
床の上、ちょっと冷たいですが。
すやすや寝息をたてていらっしゃるお嬢様のお隣で、
軽く不倫の愉しみなど耽られますよう・・・
おふたりをここまで育てあげられた貴女への、
心ばかりのお礼ですので・・・

ああ、やはりここも。
とても、温かいのですね。
ご夫君がおくつろぎになっていらっしゃる空間を、
とくと味あわせていただきますよ。
奥の奥まで・・・

生娘&生娘

2005年11月08日(Tue) 06:39:45

お姉ちゃんは、色白でぽっちゃり。
妹さんは、健康に浅黒くて細身。
それでもこうして並んでみると、やっぱりどことなく似ているものだね。
いやいや、じつによい眺めですよ。^^
とくにこうして、ちがう種類のセーラー服を着て、
向かい合わせに縛って差し上げたりしているとね。
女学生の制服に縄が食い込んでいるところなんて、
見ているだけで、とってもぞくぞくしてしまうのだよ。
そうやって鏡みたいに向き合って、
お互いどんなふうにされていくのか、
よぅく見届け合うのだよ。ふたりとも。

どぉれ。一枚、記念写真などはいかが?
おや、お姉ちゃんはお顔をそむけるんだね。
妹さんは、はっきりとこちらを見返してくるのだね。
(どうせ、パパやママを脅すときに使うだけなんでしょう?)
ははは。
気の強い妹さんだ。
きみは、なかなかしっかりしているのだね。
そう。その通り。
あとできみにも、記念にさしあげようかな?

お二人とも、おさげの黒髪がかわいいね。
とても初々しくって、かえってそそられてしまうのだよ。
とくにお姉ちゃんは、三つ編みなんだね。
きちょうめんに、きっちりと結いあげているんだね。
どれどれ、ちょっといじらせて御覧。
ほほぅ、見事なものだ。
いいねぇ、こういう風情。ちょっと昔っぽくて。
いきなりこうして、こんなふうに、
ぎゅうっと、引っぱられたりしたら、どんな気分かね?
おやおや。
べそをかいているのかい?
すまなかったね。
まだその気になっていないのに手荒にしたから、
気分をこわしてしまったのだね。
よしよし。
いまにもっといい気分にしてあげるから、
愉しみにしているのだよ。

妹さんも、綺麗な髪の毛をしているね。
セーラー服の肩先まで、さらりと流れて。
とてもいい感じがするよ。
おそろいの三つ編みだったら、もっと面白かったかな。
でも、実際そうやってみたりすると、
意外に変化がなさすぎたりもするのだけれどね。
(お姉ちゃんといっしょは、イヤなんです)
ほほぅ。
きみはとてもはきはきしていて、しっかりしたお嬢さんなんだね。
きっと気性も、さっぱりしているんだろう。
今夜おじさんがちょっといけない悪戯をしても、
きみならさらりと流してくれてしまいそうだね。
(おじさま、助平ね)
おやぁ。
また、そんな憎らしいことを。
どれ。
ちょっとこっちをむいて御覧。
ぱちぃん!
平手打ちの、お仕置きだ。
さあさあ、顔をよく見せるんだ。
そうしておいて。
ぐぐっ・・・
うふふん。
キスは初めてのようだね、お嬢さん。
まぁ、きみのことだから、
お姉ちゃんより早くすませることができて、
ちょっとは気分がよかったかな?

もう、いい時間になってきたね。
ママが戻ってこないうちに、
本格的にご馳走にありつくとしようかな。
私がなにを好みか、もうわかっているね?
そう。
処女の生き血。
ふたりながら、まだ生娘なんだろう?
なぁに、それくらい。ひと目見れば察しがつくのだよ。^^
夜な夜な処女の生き血を求めてさまようこの身としては、
それはとても大切な嗅覚なのでね。
(ふたりの身体をかわるがわる、制服の上からゆるくまさぐりながら、)
いいねぇ。こうしていると。
おじさまは、気配をぞくぞくと感じるのだよ。
ごわごわとした堅苦しい制服を透して、きみ達の素肌がぴちぴちとはずんでいるのを。
そして、初々しく弾む素肌の下を、処女の生き血がゆたゆたとめぐるのを。
いまからたっぷり、味わってさしあげよう。
なぁに。心配することはないのだよ。
きみ達のお父さんとは大の仲良しなのだから、
お嬢さんがたを死なせて彼を悲しませるようなことは、私もしたくないのでね。
だからきみ達も聞き分けよく、
大人しく私のすることに協力してくれなくてはいけないよ。

まず年の順に、お姉ちゃんのほうからいただこうかな?
お姉ちゃんは、泣き虫なのだね。
もう、泣いてる。
さっき髪の毛を引っぱったのが、そんなに痛かったのかな?
すまない、すまない。
少ぅし、辛抱するのだよ。
きみのほうがお姉さんなのだから、
きちんと振舞って、妹さんにお手本を見せないとね。
またそんなに、心配そうな顔をして。
だいじょうぶ。すぐ、済むからね。
痛くないように、優しく咬んであげるから。
さて、どこに咬みつこうかな。^^
また、目をそむけるのだね?
じろじろ見られるのが、そんなに恥ずかしいのかい?
よしよし。
じゃあ、定番どおり、首すじにしようかな。
さぁ、うなじを仰のけて御覧。
こちらを見ないほうがいいね。
むき出しの牙なんて目に入ったら、
優しいきみは、もっと怯えてしまうだろう?
さぁ、目を閉じて。
どぉれ、・・・・・・。
がぶっ。・・・・・・。
きゅううっ。・・・・・・。
ちゅるり。
旨い。^^
イケるね・・・なかなかのお味だ。
すぐに放したくなくなってしまうなあ。
もうひと口、許してくれるね?
きゅうぅん。きゅう~っ。きゅうぅぅぅぅぅっ。
うぅん。
きみは泣き虫だけど、
とても優しいお嬢さんなんだね。
震えながらもこうやって、
喉がからからになった私に、血を飲ませてくれるのだから。
それに。
とても、柔らかいお肌をしているのだね。
いい咬み心地だ。
今宵はもう少しいじめてあげるから、
このまま大人しく、こうして縛られたまま、
妹さんの番が済むのを待っているのだよ。

さぁて、お待たせ。
こんどはいよいよ、キミの番だ。
ほほぅ。いい子だ。
じいっと、見返してくるのだね。
気の強いお嬢さんも、おじさまは嫌いではないのだよ。
いじめがいがあるからねぇ。
さぁてと。
どこに咬みついてあげようか?
おやおや。なかなか見栄っ張りなことをいうのだね。
お姉ちゃんとおなじところじゃイヤなのかい?
じゃあすこし変わったところ。
セーラー服のすき間から、
わき腹あたりに食いついてあげようかな。
ガマン、できるね?
すこしお行儀わるいけど、
スリップのうえからでも、かまわないだろう?
じゃあ、ごめんあそばせ。^^
ずずっ・・・
ちゅるっ。
うぅん。
こたえられないね。
さすが、活発そうなお嬢さんだけあって、
健康な血液を、しているのだね。
あー、たまらん。たまらんね・・・
喉が、ずきずきしてきたよ。
もうすこし、いただくよ。もうとても、ガマンならないからね・・・
やっぱりうなじも、咬ませていただこうかな。
う~ん、とてもしなやかで、
しっかりとした肉づきをしているんだね。
くちゅっ・・・キュウキュウ・・・ッ
ウフフ。
美味しい。
とても美味しいね。
それにこうやってがぶがぶ頂戴できると、
私もとても、うるおうのだよ。
う~ん、だるそうに首振りながら。
気丈にも、まだ我を失っていないのだね。
いい心がけだ。
お礼に足許にも、たっぷりイタズラしてあげようかね。
黒のストッキング、履いてきたのだね。
お姉ちゃんはハイソックスなのに、
わざとそうして、オトナっぽく装ってきたのだね。
上から咬んでみても、かまわないかな?
破けるところが見たくって。
え?
そうするとどんないいことがあるのかな、だって?^^
きみは、本当に、はっきりものをいう子だねぇ。
なに、白状するときみのことを、ちょっといじめてみたいだけなのだけれど。
ふたりながら、愉しんでみたくてね。
ストッキングって、とても上品な見かけをしているけれど。
見ようによっては、ちょっとイヤラシイところがあると思わないかね?
それに破くといっそう、イヤラシクみえたりするのだよ。
ちょっとばかり、見てみたいと思わないかね?
ほほぅ、いさぎよい。
自分のほうから、脚を差し出してくれるのだね?
じゃあ、咬むよ。^^
あぁ、しなやかな筋肉だ。
なよなよとしたオブラートみたいに薄いナイロンに、
とてもゆるやかにコーティングされて、
じつにいい舌触りをしているね。
あ、あ、それに・・・
キミのお肌は、とても咬み心地がいいのだね。
ごく、ごく、ごくり。
うぅん。イケるぅ。^^
ほぉら。ほら、ほら。
つ、つうっ・・・・・・と。
他愛なく、破けてしまったね。
シャープな伝線がとても綺麗に、走っていくね。
もっと脚を、くねらせて御覧。
ほら、スカートの中にまで伸びていく。
どうだね?なかなかいい眺めだろう?

おや。
すこし、具合がわるくなってきたのかな。
きみ、さっきから顔が蒼いぜ。
いけないお嬢さんだね。愉しみすぎると、身体をこわしてしまうよ。
じゃあ、そろそろしまいにしようね。
濃紺のプリーツスカートをめくって、
ぴちぴちとした太ももの間に、
すこしのあいだ、お邪魔させていただくよ。
いいだろう?
もうわたしの宝物が、さっきからヒクヒクとさかんにうごめき始めているのだよ。
きみはなかなかおませさんのようだから、
お姉ちゃんよりも先に、済ませてしまおうね。
さあ、細い身体に我が身を迫らせて。
ぎゅぎゅぎゅう・・・っ・・・と。
う~ん・・・すこし、硬いようだね。^^
あふっ・・・・・・。
ああ、温かい。
きみのなかは、と・・・って・・・も。よく弾むなぁ。
するっと、抜き出して。
太ももを伝い落ちてゆく血が、白いお肌にとても綺麗に映えるね。
この血はとても貴重だから。
きみのハンカチでよく拭い取っておくからね。
お父様やお母様にも、見ていただこうね。
おや。さすがに少し、痛んだかな?
ちょっと内股になっているね。^^

さぁ、つぎはお姉ちゃんの番だね。
妹さんに負けないように、がんばろうね。
まず、ハイソックスのふくらはぎからご馳走になろうかな。
おじさんは、女の子の履いている長い靴下がとても好みなのだよ。
さぁてと。
ちゅうっ、と、唇吸いつけて。
うぅん。
なかなかしっかりとした舌触りだね。
あまりハデに破けないけれど。
綺麗だと思うよ。
真っ白なハイソックスにバラ色の血が撥ねるのって。
妹さんのセーラー服を御覧。
わき腹、咬みついたあとが、ちょっぴり滲んでいるだろう?
処女の生き血って、白い服にとても映えるのだよ。
処女の記念に、きみの血もちょっぴり、撥ねかせてみようよね。
じゃあ。
覚悟は、いいね?
さっくりと、咬みつくからね。
かりり・・・
きゅうっ。
ちゅう~っ。
・・・・・・。
偉いね。もう、泣かなくなったようだね。
ちょっとはおじさまの趣味に、慣れてくれたみたいだね。嬉しいよ。
ご褒美に、もう片方の脚も咬んであげようね。
ぐぐ・・・っ。
ほぉら、濡れてきた。^^
綺麗だね、きみの血も。
白のハイソックスに綺麗に散って。
とても、見映えがするね。
今夜の記念にハイソックスを片方、
おじさまに頂戴しようかな。
それからもう片方は、大事にとっておくといいね。
だってもうじき、きみは処女じゃなくなるのだから。

もう、怖くはないだろう?
妹さんのを見ているしね。
どんなふうにされるのか、おおよそわかるだろうから。
きみはすこし臆病みたいだから、
こうやって気を遣って、妹さんから賞味したのだよ。
さぁ、よく御覧。
そそり立っているだろう?
だれでも、お嫁さんになったら、
男のひとからこういうものを差し入れられるのだよ。
ママだって、パパにそうしてもらったわけだからね。
どうしても怖かったら、目をつぶっておいで。
おや、本当に、目を閉じてしまった。
でもだいじょうぶ。
妹さんが、しっかりと見届けてくれるみたいだよ。
お姉ちゃんの処女喪失。
おそろいの濃紺のプリーツスカート、くしゃくしゃになるまでたくし上げて。
セーラー服の、白のラインも鮮やかな襟章に手をかけて。
両肩を抑えつけるように強く、抱きすくめて。
じゃあ、いただくよ。
ぐぐっ・・・

仲良く・・・

2005年11月07日(Mon) 08:39:39

―――お母さんとも、仲良くなりたいね
そういってママの生き血をせがむ吸血鬼のおじさんのために。
ママを連れて訪れた、夕暮れのお邸。
ボクが庭に出たときに。
キャッとひと声、ママの悲鳴がする。
見慣れた花柄のワンピースにおおいかぶさる、黒衣の吸血鬼。
ちゅうちゅう・・・
きゅうきゅう・・・
ママはすっかり目を回して、
若い女の生き血を、どんどん吸い上げられちゃっている。
しまいにうっとりとなってゆくのを、
ボクはなぜかドキドキしながら見つめていた。

血を吸われ終わると。
ママはうなじを軽く抑えながら。
ふつつかでした。
そういって、いつものように礼儀正しくあいさつしている。
これからも、息子をお願いしますね。
お願いするって、なにを?
って思いながら。
ママが吸血鬼のおじさんと仲良くなってくれたのが嬉しくて。

ママはハイヒールを脚につっかけながら
かならずまたお邪魔しますね
そういってまた、礼儀正しくあいさつをした。
ていねいに腰をかがめる足許で、
肌色のストッキングがくもの巣みたいに破けている。
おねだりされるままに、
ストッキングはいたまま脚を咬ませて、
破らせてあげたあとだった。
なんだかその眺めがとってもふしだらで。
子供のボクの目にも、そんなふうに映った。

それからしばらくのあいだ。
ママはボクが学校にいっているときに、
おじさんに会いにいっていたらしかった。
あなたの代役してきてあげているのよ。
そういっていたけれど。
本当はなにをされていたのか、
それがわかったのは高校にあがったころだった。

父親の呟き

2005年11月07日(Mon) 08:29:38

息子と結婚する以前から、嫁は吸血鬼とつきあっていました。
私たち夫婦と同居するようになってからも、
吸血鬼は嫁とつきあいつづけていて、
しばしば家に忍び込んできては、嫁とふしだらに戯れていきました。
そしてこんどは妻に目をつけて・・・
嫁が手引きをして、妻は堕とされてしまいました。
悪い嫁だと思います。

そうしたら。
ある晩別室で妻が組み敷かれている最中に。
嫁は小ぎれいなイデタチをして私のまえにあらわれて。
お義母さまが愉しんじゃっているつぐないに・・・
と、私のまえで服を脱いだのです。
いけない嫁だと思います。

そんな私たちの関係を知りながら。
息子はそれを見て見ぬふりをしています。
目をそむけている、というよりも。
むしろ、積極的に「見て」いるのです。
おかしな息子です。

息子は私に言いました。
「父さん、見るのも愉しいものですよ」
そうしてさらに悪戯っぽく、
「母さんが犯されるところも、とてもいい眺めだと思います」
妻は以前よりも若返って。
嫁も所帯じみたりしないで、娘のようにあでやかで。
たまに夜の訪客にふたり連れだって誘われて。
寝室使われて廊下でふるえながら。
ふるえは寒さばかりのせいではなくて。
母さん、なかなかやるね。×子さんこそ・・・
などと、息弾ませながら愉しむ、嫉妬な会話。
嫁と姑、ふたりながら畳のうえにまろばされているのを
とってもマガマガしく思い浮かべながら。
奇妙な家族だと思います。

妻の血を吸う屍鬼

2005年11月07日(Mon) 06:46:33

「すまないね」
口許に、さっき私から吸い取ったばかりの血をまだてらてらと光らせながら。
ヤツはしんみりとお礼を言った。
両親ともども吸い殺されて。
ヤツの家は死に絶えている。
そんなヤツが哀れに思えて。
ねだられるままに、私の血を譲り渡してやった。
そして、妻をも・・・

傍らに控えている妻は、
まず渡しのほうをふり返り、赦しを乞うように目線を潤ませて。
それからヤツに丁寧に一礼すると、
何かに耐えるようにぴったりと、まぶたを閉じる。
ヤツは持っていたハンカチで、
口許についた私の血をさらりと拭い取ると、
まだ渇いている唇をおもむろに、妻のうなじに近寄せた。

素肌に唇が触れ、
唇に秘められた牙がちくりと皮膚に刺し込まれる。
うぅん・・・
妻はひくくうめいて。
すこしだけ痛そうに、眉をひそめる。
きゅうっ。きゅうううっ・・・
静かに、けれどもとてもナマナマしい音をたてて・・・
妻の体内から血液が引き抜かれ、
じょじょにヤツの喉を充たしてゆく。
裡に秘めた貴いものが、ただの物質となって。
瞬間移動をつづけてゆく。
それはたんに食欲を満たすだけの行為ではない。
獲られる血が私のものではなく、妻のそれであるとき、
彼の表情はとても淫靡に輝いている。
冷えた板の間に妻を抑えつける掌にこめられた卑猥な情熱は、
ブラウスを通して妻の素肌に届いているのだろうか?
そんな欲情を知ってか知らずか、
ひたすら身をくねらせて、吸血の妖しい苦痛に悶える妻。
苦痛に耐えるようにみえて。それは彼女にとって、ひどく甘美なひと刻――。
あたかも男女の営みのように恍惚とした面持ちで。
忘我の刻を過ごしてゆく。

うら若い血潮をこくり、こくりと喉を鳴らして、
さも旨そうに、満足そうに、ヤツは味わいはじめている。
ひとの女房をつかまえて。淫らな毒液を吹き込んでゆく。
皮膚に染み透る毒液に支配された妻は、うつろな目になって、
求められるまま、スカートをたくし上げて。
もはや恥らうふうもなく、ふくらはぎや太ももまでも、ヤツの牙にゆだねてゆく。

薄手の黒のストッキングがなまめかしく染めあげた、女の肌。
くしゃくしゃになるほどいたぶるようすに、
初めのころこそ目をそむけていたけれど。
淫靡に歪むナイロンの皮膜は、夫である私をさえ、ただの男として欲情させてしまっている。
アラ。イケマセンワ。イヤラシイ・・・
妻はことさら眉をしかめて、折々文句をさしはさみながら。
それでも唯々諾々と、不埒な唇のまえ、ストッキングの脚を惜しげもなくさらしてゆく。
チリチリに破かれて、剥ぎ落とされて。
夫の目にも眩しい白い脛が、大胆にむき出しになっていて。
清楚な礼譲を示していた淑女の装いは、
挑発的に歪んだ不規則な裂け目をひろげてゆき、
淫らに輝く白い肌に、妖しい彩りをよぎらせてゆく。
妻が、娼婦に堕ちてゆく。
まがまがしい予感が、わき上がる。
えもいわれぬ愉悦をさえ、伴って・・・

マイナーな色のストッキング

2005年11月05日(Sat) 22:55:05

気がついてみたらこのところ、グレーのストッキングづいていますね。^^;
とくに理由があるわけではないのですが・・・
あまり見かけないのですが、好きな色なんです。昔から。
そういえば、母が昔よく履いていました。^^;
当時はどちらかというと、若いお姉さんがよそ行きの時に履く、というイメージだったと思うのですが、
清楚で上品な色だと思います。
ただ、合う服合わない服がかなり分かれるような気はしますけど・・・
それが、はやらなくなった原因かも。
灰色なんて、やぼったいよ~、という声も聞えてきそうですが。
なに、はやらなくなればどんな色でも、やぼったく見えるものですよ。^^

以前夢のお話で、チョコレート色のストッキングの話をしましたが。
あの色も、絶えてみかけませんね。タイツとかではあるようですが。
ほかに、濃い紫、なんていうのもありました。
これも大昔ですが、かなり年配のおばさまが履いているのを見かけまして、
そのおばさまが上品な感じのかただったせいもあるのですが、いまだに脳裡の彼方を漂っています。^^
どんな色でも、ぴちっと決まると、とても鮮やかな印象を残すものですね。

ほかにみかけない色としてはネイビー、かな。
このブログのどこかにも書いた覚えがありますが、
青鞜(せいとう)、とかブルー・ストッキングとかいうと、
閨秀(けいしゅう)、つまりインテリ女性を意味していたんですよね。^^
鳥飼女史も、穿いていたっけな。(笑)
いまでも青いストッキングを穿いている女性に、コーヒーの割引をする喫茶店があるそうですよ。^^
でもこの色って、グレーよりもずっと、合う合わないが分かれそうですね~。
今若いコのあいだでは、紺ハイソが流行っていますけど。
男の柏木の目からみても、服と合ってないよな~、という組み合わせも少なくありません。^^;

濃紺といえば。
昭和五十年代の後半だったと思いますが、
ネイビーのショートストッキングが流行ったときがありまして。
ねこもしゃくしも、ひざから下をネイビーの透けたナイロンで覆い、その上には紺と緑のチェック柄のスカートなんかを履いていました。
アレも、好きでした。^^
わりとカジュアルなんですが、なまめかしくて。
御覧になっていらっしゃるかたで、いまでもお持ちの方なんていらっしゃいますか?^^

これはちょっと変り種ですが。
一回だけ、濃い緑のショートストッキングを見かけました。
近所の商店街で買い物をしているおばさまが何気なく履いていたのですが、ちょっとピーマンみたいな色で。(笑)
でもとてもグッとくるような色合いでした。^^
あれからずいぶんたったのに、いまだに覚えているくらいですから・・・

このブログによく出てくる白のショートストッキングも少数派ですね。
ブーツの下に履いていて、隠れている場合もあるようですが。
ネイビーのショートストッキングが流行る何年か前、(年がばれそうですね・・・^^;)十代の女の子中心に流行っていました。
その後、十年くらいまえにいちどだけ、ぱっと流行って、すぐすたれてしまいました。
ひざ下でぴっちりはりつめた白い帯のようなゴムがひときわ鮮やかで、これまたググッとそそられていました。^^;
ハイソックスのもつかわいらしさと、ストッキングのもつ大人びた妖しさと、両方備えていたような気がします。
そんな特長が、十代の少女たちにとてもマッチしていたような・・・

ストッキング、といいながら、ショートストッキングの話ばかりになってしまいましたが・・・^^;
脱線ついでにもうひとつ。
小学生高学年の子がハイソックスを履いているシーンがあちこちに登場します。
これもごく一時的な流行だったのですが、小学校高学年の男の子がハイソックスを好んで履いた時期があったのです。
色は紺、グレー、白とさまざまで、ラインが入っているものもありました。
ひと頃はハイソックスそのものが、最近の紺ハイソ流行以前はほとんど絶滅状態で、
男性雑誌に出てくる女の子が珍しくハイソ履いていると思ったら、サッカーのストッキングだった、なんてこともありました。

そのときそのときで流行りすたりはありますが。
記憶の中の断片として鮮明にのこったものは、アルバムのなかの写真のように切り取られて保存され、何度も執拗なまでに(笑)リフレーンされるようですね。

従姉

2005年11月05日(Sat) 20:31:35

グレーのハイソックスを履いたボクのふくらはぎに、吸血鬼のおじさんはさっきから、牙を埋め込んでいた。
すべてに慣れてしまったボクにとって、ちゅうちゅうと旨そうに血を吸われるのは、決して悪い気分ではない。
少しだけ、くらくらと眩暈がするのを覚えながら、ボクは彼をそそるようなことを口にしてしまっていた。
「週末、いとこのお姉さんが遊びに来るんだけど・・・」

薄いピンクのスーツに白のブラウス。
ゆったりとウェーブした黒髪に、乳色の肌。健康そうな歯並びの良い歯。
薄手のグレーのストッキングに、白のパンプス。
はたちを過ぎたか過ぎないかの従姉の夕子さんは、とてもきれいで、まともに見つめることがなかなかできないでいた。
いっしょに街はずれの公園に散歩に行くといったボクに、ママは、
「あんまりあぶない所に行っちゃダメよ」
といいながら、ちょっと顔をしかめていた。

忽然として現われた黒衣の男に、お姉さんはふるえあがって、
きゃああっ!と、叫び声をあげた。
お姉さん、怖いっ。
そういいながら、ボクは夕子姉さんさんの腰にしがみついて・・・逃げられないように抑えつけていた。
「あっ!うう・・・」
かすかな身じろぎと呻き声とで、吸血鬼が夕子姉さんのうなじに、ぐいっと牙を埋めたのがわかった。
キュウキュウ・・・くちゅうっ。
聞き慣れた血を吸うときのナマナマしい音が、綺麗に着飾った夕子姉さんにおおいかぶさる。
やがてお姉さんはくたくたと、その場にしゃがみこんでしまっていた。

吸血鬼のおじさんは、お姉さんを縁側に腰かけさせて、グレーのストッキングの上からふくらはぎを舐めている。
お姉さんは息も絶え絶え、心持ち仰のけた顔をふらふらさせて、喘ぎながら、おじさんのやり口に眉をひそめていた。
失礼なやり口に抗議をしたくても、もう思うように体が動かなくなっているらしくって。
とても悔しそうに、おじさんがストッキングの脚をにゅるにゅると汚らしくいたぶりつづけるのを見つめつづけていた。
その目つきがいっそう気に入ったらしくって。
おじさんはさぁ御覧、とばかりにいっそう、意地汚く、夕子姉さんのストッキングを辱めていくのだった。

血を吸い取られたあとの傷口は赤くはれあがって、吸い残した血潮がまだてらてらと光っている。
ボクはさりげなく白いうなじに触れてゆき、
ちゅるっ。
ちょっとだけ口に含んだ夕子姉さんの血は、錆びたようなつぅんとした香りに包まれていた。

ぱりぱりっ。つつつぅー。
ふくらはぎに、ストッキングの伝線が走る。
夕子姉さんがとてもイヤそうに顔をくもらせるのを、吸血鬼のおじさんはとても嬉しそうにうかがっていた。
―――さぁ、こっちへおいで。
吸血鬼のおじさんは、まえにママを連れて行った植え込みの陰に、夕子姉さんを引きずりこんでいく。
怯えたような白い顔に、おじさんの銀髪がワサワサと乱れかかった。
たくし上げられた薄いピンクのスカートから、かっこうのいい脚がにょっきりと伸び、草むらに横たえられる。
破けたグレーのストッキングが、夕子姉さんの脚を、まだひざ上まできれいに染めていた。
ツヤツヤとした感じが、ひどくなまめかしい。
姉さんの白い脚が。
くすぐったそうに。むず痒そうに。ヘビみたいにくねるたび、
ストッキングはだらしなく、ずるずるとずり落ちてしまった。
オトナっぽい感じのするストッキングが。
きれいな脚の輪郭から、たるんで。浮き上がって。
みるかげもなく、くしゃくしゃになってゆく。
子供心にも、とてもふしだらに映るそんなありさまを。
ボクは息をこらして、あまさず見つめつづけてしまっている。

姉さんがお勤めの引けると毎週のように公園に出かけるようになったのは、それからのことだった。

数年後。
叔父さんが亡くなったあと、夕子姉さんはさと子叔母さんとふたりで帰郷してきた。
お墓参りに訪れたふたりは、そろって薄黒いストッキングを履いている。
ところもおなじ、公園の東屋で。
夕子姉さんは破けたストッキングに白い肌を滲ませながら、ボクのほうへと近寄ってくる。
「見ちゃ、ダメよ。見ても、忘れてちょうだいね」
東屋のなか、叔母さんの白い肌がはだけた黒のワンピースになまめかしく映えていた。
そのうえにおおいかぶさっている黒い影が、なにをしているのか、むくむくとうごめいているのが見える。
さと子叔母さんはその黒い影の下で、ちょっとつらそうに、でもどこかキモチよさそうに、顔をしかめていた。
ちょうどあのときの姉さんと、おなじ顔つきになっていた。

夕子姉さんはもう、血を吸われたあとだった。
白いうなじにふたつ、咬まれた痕がどす黒く、刻印されている。
おなじものを、さと子叔母さんもつけられちゃったに違いない。
「お父様もいらっしゃらないんですもの。すこしでも若くて、きれいなうちに・・・逢わせてあげたかったのよ」
そう口にする夕子姉さんの頬に乱れかかった髪の毛はちょっぴり栗色に染められていて。
夜の巷の女みたいに、すさんで見えた。

つぎの日。
吸血鬼のおじさんは、叔母さんだけを誘って、お邸に連れて行った。
きっと、夕子姉さんみたいに洗脳してしまうつもりなのだろう。
一人残ったお姉さんは、あの公園へとボクを誘った。
白のブラウスに、千鳥格子のスーツ。
黒のパンプスを履いた脚は、あのときとおなじ、グレーのストッキングに包まれている。
ストッキングには、いままでになくツヤツヤとした光沢がじんわろと滲んでいた。

小さい頃から憧れていた、優雅な二重まぶた。
目じりにすこししわが浮いていたけれど、夕子姉さんはまだ独身だった。
「母もわたしも、あのかたに食われつづけるんだわ」
すこしもイヤそうでなく、姉さんは言った。
「責任、取ってくれるわね?」
うかつなことに。
それが従姉からのプロポーズだと、すぐには気がつけないでいた。
従姉弟でも結婚できるということは、本を読んで知っていたのだけれど・・・。
なん年もまえ。
吸血鬼のおじさんと示し合わせた悪戯は、ほかならぬボクの花嫁を犯す儀式だったのだ。


あとがき
少年の回想という形を取ろう、と思ったのですが。
ちょっと平板にながれてしまいましたね。(^_^;)

あとがき 2
再あっぷ後、すこし直してみました。^^;

オフの午後

2005年11月05日(Sat) 14:28:03

シルクのブラウスの光沢に濡れた血潮を輝かせながら、大きな瞳が食い入るようにして見あげてくる。
その目線の強さから蛭田が目をそらそうとすると、女はいった。
「殺すくらい血をむさぼるつもりなら、早いとこ吸い尽くすことよ・・・冷めて香りが落ちないうちにね」
きつく抱き締めた腕のなかで、鳥飼女史は自分がひどく蒼ざめていることをすらあざ笑うようにして口許を弛める。

ひっ!
飛び起きた周囲には、散らかり放題の見慣れた自室の風景が広がっている。
夢か・・・
胸の中でふたたび甦る女史の目線の凄烈さにぞうっとなりながら、西陽のさしはじめた窓にカーテンをひいた。
「まぁ、まぁ。ずいぶんと散らかっていることね」
夢の中でしたのと同じ声にぎくりとして振り向くと、
開けっ放しになっていたドアの向こう側に、ほかならぬ鳥飼女史の姿があった。
逆光のなかにいる彼女は、まるで後光がさしたように見える。
いったいどちらがこの世のものならぬ身なのか、といぶかるくらい、彼女のオーラは強烈だった。
「どうしたの?まるで化け物でも出たみたいな顔して。2,3日会社に出てこないから、心配して様子見に来てあげたんじゃないの」
それは、どうも・・・まるで中学生のようにへどもどしながら、座布団を探していると、
女史は早くも、そこらへんに押しやられて形の変わってしまっている座布団をとりあげて、埃を払っている。
眩しいような真っ白のジャケットにショートパンツという、いつもよりはカジュアルなイデタチが、サバサバと小気味良い挙措にぴったりしていた。
まるで掃きだめに鶴だ・・・
そこらじゅうに本やら紙くずやら古新聞やらが散乱している部屋に、ばりっとした身なりの女史はいかにも不釣合いだった。

「貴方の食欲と、私の体力と。どちらが長つづきするかしら?」
「え・・・?」
「わかっているくせに。慈善事業に来てあげたのよ。さ、こっち来なさい」
いうなり女史はもうブラウスの襟首をくつろげてしまっている。

ふらふらと惑うように・・・
女史を、古ぼけた畳のうえに押し倒してしまっていた。
仰のけられたうなじに遠慮会釈なく、牙を突きたてて。
臆面もなくちゅうちゅうとロコツな音をたてて血を吸いあげる。
こんな経験は、初めてだ。もちろん。
いいのだろうか?本当にいいのだろうか?
そう思いながら、すすんでエモノになってくれた女の身体を締めつける抱擁にいっそう強く力を込めてしまっている。
「あ・・・う」
女史が背中をしならせて呻いた。
ダメ。ダメ。もうちょっとだけ、ボクの奴隷になるんだ。
むらむらと湧きあがる支配欲のおもむくままに、素肌に這わせた唇にいっそう力をこめてゆく。
もう、下半身まで、すっかり元気になってしまっていた。
ズボンはいつのまにか、脱ぎ捨てている。
素足にこすれてくる、ストッキングに包まれたしなやかなふくらはぎが、ワクワクするほど魅惑的だ。
薄手のナイロンの向こう側とこちら側とで、男女の皮膚が擦れ合い、いつか求め合っている。
と―――。

「ハイ。それまで」
業務さながら、冷たく響く女史の声に思わずハッとした蛭田は、
根元まで埋め込んでいた牙をとっさに引き抜いて、
はだけかかった豊かな胸の上からがばと上体を起こしてしまった。
前には、しらっとした女史の整った白い顔がある。
女史はやれやれといわんばかりにたいぎそうに起き上がりながら、
「ちょっとは手加減しなさいな」
衣裳についた畳くずをわざとらしくぱたぱたと払い落とすと、
もうそそくさと、立ち上がっている。
傷口から少しばかり滲んだ血もそのままに。
エモノにつけた傷口や、流れ出た血潮ほど、彼の征服欲を満たすものは本来ないはずなのに。
女史の肌に滲んだ血液はとても鉄分が多そうで、いったん身を離してしまうととてもよそよそしいものに映った。
たった今まで自分のものだったはずの肉体が、ひどく遠くに思える瞬間。
やはり女史は、遠いんだな・・・
下半身裸になった自分が、ひどく惨めに思えた。

ところが。
女史の目線はまだ、じいっと彼のある部分に注がれている。
蛭田はゾッとした。
というのも、女史の冷ややかな視線のさきにあったのは、まだ逞しく肥えたままでいる彼の逸物であったのだ。
「困ったわね」
女史は軽くため息をつくと、
信じられないことに。
そそりたつものをむぞうさにつまんで、自分の口のなかに導いていく。
えっ!!!?
蛭田がひるむスキも与えずに。
柔らかくてぬるりと湿った唇が。
自分自身を包み込むようにして、二度、三度と通過する。
じつに適切な、そして過不足のないもの慣れたぬめり具合に、たちまちこらえ切れなくなって。
ヴュッ!!
かれはしてはならないものを自ら噴出してしまっている。
じゅじゅっ。ずるっ。
いったい、どちらが吸血鬼なのだろう・・・?
下半身にとぐろを巻くように滾っていた淫らな汁を、女史はにこりともしないで、あまさず口に含み、飲み込んでいった。
「これで心身ともに健康になったわね。じゃあ、明日からちゃんと出勤するのよ」
ことさら事務的に言い捨てて、女史は出て行こうとした。
蛭田のなかでぐるぐるととぐろを巻いていたどす黒い妄想がスッと晴れて、
霧が晴れたあとの渓谷の空気のような、冴え冴えとしたものが脳裡に行き渡る。

「貴女が・・・」
蛭田はつい、口にする。
―――え?
振り返る女史に、彼は呟いていた。
「貴女が、近いか遠いのか、わからない」
女史はちょっと黙って。しかしフフン、とわずかに鼻を鳴らしただけだった。
「行くわよ。車を待たせてあるの」
「お、送ります」
あわてて立ち上がる彼をじろりと見つめた彼女はしかし、つよくかぶりを振っていた。
「主人に挨拶するつもり?」
夕暮れ迫るなか、凍りついたようになった蛭田を残して、カツカツと硬質なヒールの音が遠ざかってゆく。

暖かい下着

2005年11月05日(Sat) 13:04:00

寒くなってきた。
それでもまりあはスケスケの、かな~り挑発的なイデタチをしていたりする。
どうしてカゼを引かないかというと、それはもともと体が強いせいもあるのだが、
(だから吸血鬼に襲われたくらいじゃへこたれなかったりもするのだが、)
秘密は暖か下着。
どんなものかはここでは立ち入らないこととして・・・
そんなふうに、保温とお洒落と、いいとこどりをして。
道行く男どもの視線を一身にクギづけにしていたりして。
ルンルン気分で歩く街角。

と―――。
なにかが上から、
ばさっ。
と、降ってきた。
ああ、これは・・・っ!
なじみのある、黒マントの感触に、まりあはゾッとする。
なっ、なによ~っ。こいつを惹きつけちゃったわけえっ!?
もがこうとしたけれどもう遅い。^^
しっかりとはがいじめにされちゃって。
「うっ、ううん・・・っ」
気を失ったまりあがつぎに目ざめたのは、吸血鬼のお邸だった。

ざざっ。ざざああっ。
ドアの向こうで、音がする。
シャワー浴びてるんだ、あいつぅ。
あたしを犯すまえに、身体をきれいに磨いたんだぞって、得意そうに自慢するのが目に見えていた。
ど、どうしよう・・・
と周囲を見回したけれど。
とうてい逃れられようもないように、ガラス窓には鉄格子。
きゃあ~!囚われのお姫様じゃん。
もちろんここでのお話では吸血鬼を退治する白馬の騎士が現われる、なんてことはなくって。
お姫様は血を吸い取られて陶酔の境地をさまようことになるのは、ご存知のとおり。^^
そのとき、まりあはハッと気がついた。
暖かい下着はけっして、セクシーなものではなかったのです。

囚われのお姫様は音もなく、素早く。
垂らされたロープにすがってのぼり始めるかわりに、
ささっと服を脱いで下着を取ると、ショルダーバックのなかにしまいこんで。
素肌にじかに、服を着直したのでした。^^
まぁいいや。ちょっとさぶいけど・・・
震えは肌寒さのせいか、それともこれから我が身に受け容れるふた色の牙を予感してのものだったか。
やがて、扉が音もなく開かれる。

「ようこそ、まりあ」
「よ、ようこそって、ねぇ、あなた・・・」
自分から望んで来た覚えはない。
おとといも、交際中の彼氏のお母さんに初対面したばかり。
お茶とお花が趣味のお母さん、
まりあがこんなに淫らな趣味をもっているなんて、夢にも思っていないだろう。
近寄ってくる化生の身は、すうっと半透明で、よくうかがえない。
しかしそれでも、吸血鬼の身体が熱くほてって欲情しているのは、ありありとよくわかる。
「血を吸ってもらいたくって、ここまできたのだろう?」
意地悪ッ!
そういいかけたまりあのまえに、鋭い牙がむき出しになった。
冷ややかなきらめきに一瞬見とれるうちに、
それはまりあのうなじに引き込まれるように、
すうっ、と近寄って。
ちくっ。
かすかな痛みとともに突き立てられると、吸い込まれるように素肌の奥へと押し込まれた。
「あ、う・・・っ。うう・・・っ」
苦しげな呻きをあげるとヤツはますます図に乗って。
ちゅ、ちゅうううっ・・・
ひとしきり生き血を吸い上げると。
「まりあの血は、えっちな色をしてるな。ほぉら、よく御覧」
そういうと、吸い取ったばかりの血を
たら~り、たら~り、とスケスケな服にしたたらせてゆく。
「あ、あっ・・・!いやあっ!」
ちいさな叫びが耳に心地よかったらしい。
ヤツはにんまり笑みを浮かべると、
「さいきんの女どもは寒がって、肌のみえないタイツばかりになってきたが、まりあはどうしてこうも誘惑上手なのだろうね」
そういいながら、
スケスケのグレーのストッキングにつつまれたふくらはぎにべろをヌルヌルと慕い寄せてくる。
「ううっ」
屈辱に歪むまりあの顔色をなめるようにうかがって。
ちゅぷっ。
わざといやらしい音をたてて、ストッキングごしに肌をいたぶりはじめる。
肌にぴったり密着しているストッキングが、くしゃくしゃになるくらい、荒っぽく。
「う、ううっ・・・」
思わず身をのけぞらせたまりあ。
ノリノリになりかけている自分を、もうとめられなくなっている。
彼氏に悪いかな~
と思ったそのせつな、
吸血鬼はまりあの履いているストッキングの表面に牙をよぎらせて、
ぱりぱりっ・・・
と伝線させた。
「あうううっ!」
非難の声にいっそうそそられた吸血鬼、
異様な唸りをあげてまりあにとびかかると、
さっきつけた傷口のうえにもういちど、
ぐちゅっ。
と、イヤらしく唇をあてがいながら、
下肢から伸びた、もうひとつの逞しい牙で、たいせつな処をまさぐりはじめる。
―――ああっ。
まりあもいまは、下着のない衣裳の下に侵入してくる指先に、ぴくん、ぴくんと、とっても敏感に反応し始めてしまっている。
ブラウスと素肌の間に当然あるべき下着がないのをかぎつけた掌は、一瞬動きをとめたが、
かえってよけいに欲情をひきたてられたらしくって。
いっそう荒々しく素肌をなぶり、愉しみはじめたのだ。
あああっ・・・メスになってゆく・・・っ
理性が音を立てて崩れていった。
ごめんね、彼氏。^^;
忘我の刻にひたりながら。
どうしようもない上下動に身をゆだねながら。
まりあはもう、もうおもいっきり正直に、
あたりはばからず淫らな声をあげつづけていた。


おとぎ話の教訓みたいなあとがき。^^
お母さんにまで会うほどの彼氏がいるお嬢様へ。
立場をわきまえずに道行く人をあまり挑発すると、とんでもない魔物に襲われてしまことがあるのですよ。
いつも慎み深く行動するようにいたしましょうね。^^

お駄賃

2005年11月04日(Fri) 11:13:00

オフィスの廊下を闊歩する、ハイヒール姿。
ペンシルストライプの濃紺のスカート。
大胆なまでににょっきりと伸びた、グレーのストッキングに包まれた脚。
蛭田はズキッと胸を弾ませて、どこの部署のOLかと、ひそかにあとをつけた。
OLはそんな蛭田に気づかないのか、振り向きもせずに、カツカツとハイヒールを響かせる。
あの、ちょっと・・・
そう声をかけて、OLに抱きつくのはそう難しいことではない。
あたりから人影さえ途切れれば・・・
そんなフオンなことまで思い浮かべていると、OLは長く垂らした髪の毛をなびかせながら、隅っこの狭い通路をぐいっと曲がった。
ひとつ曲がると、人の気配がにわかに薄れ、廊下には赤いじゅうたんが敷かれている。
あれ?ここは・・・
蛭田が思う間もなく、女は振り向いた。
なんと鳥飼女史だった。
なにもかも見透かした、鋭く厳しい視線が蛭田をたちまち射すくませてしまう。
「あら、役員室になんの御用?」
女史の声はいつものように低く、冷たく澄み透っている。
「あ、いやいや・・・」
しどろもどろの蛭田に追い討ちをかけるようにして、
「あとで部屋に来なさい。ちょっとお話があるの」

こういうときはもちろん、ちょっと淫らな吸血の場などは展開されない。
そこには強烈な叱責の場があるばかりだった。
いくら怒られ慣れたとはいえ。
女史の鋭い舌鋒は、小気味良い、ではすまされないほどのものがある。
あのミスも。この手違いも。
どうしてこの人はなにもかもお見通しなのだろう。
精緻に組まれた論理構造に、彼の犯したミスや不埒な失態がスキもなく組み込まれ、
すべてが一体になって、まるで赤鬼のこん棒のように、情容赦なく打ち下ろされる。
ははぁ、たまらん・・・
もはやウワついた気分はあとかたもなく消し飛んで、
彼が悄然と役員室をあとにしたときは、もう夕方六時を回っていた。

早帰りの夜、オフィスはもうがらんとしていて、フロアの遠くで全然別の部署の人間が二三人、雑談しているにすぎなかった。
「おやぁ、珍しく熱心じゃないの。早帰りの日に遅くまで」
冷やかすような女の声に振り向くと、声の主は人の悪そうな笑みをニッと浮かべていた。
三課の奈津子だった。
もう制服を脱いで、黒っぽいスーツに濃いエンジ色のブラウスが映えている。
「その顔はまた、女史にこっぴどくやられたな~。真っ正直な顔だこと」
オホホホ・・・
ひとしきりさも愉快そうに笑いこけると、女はショルダーバックを手に、
「どうせ予定なんかないんでしょ?一杯付きあってあげようか」

奈津子は、呑んべえである。
まごまごしていると、男の蛭田のほうがやられてしまう。
入社年次もふたつ上な彼女は場数もそうとう踏んでいて、男関係も含めてどれだけの世界と経験を持っているのか、見当もつかない。
ぜったい自分のサイフはあけない主義な奈津子はそのかわり、シャンパン、カクテルと、高いものばかり指定する。
彼女と付きあっているといつもあとのお勘定が気になってしまう蛭田であったが、思い切りやっつけられたあとの自棄な心境もてつだって、
もうどうにもなれとばかり、自分もふだん飲みつけない高い洋酒をひっかけていた。
語るほどに、酔うほどに。
行き先はけっきょく、ホテルだった。

その晩の奈津子は、めいっぱい、淫靡だった。
名門企業に勤める良家の子女、などという枠はジャケットといっしょに脱ぎ捨てて、
フェミニンなスリップのすそからガーターストッキングに装った脚をあらわにのぞかせて、しなやかに柔らかい牝の肢体を蛭田のまえに投げ出した。
メタリックなまでに輝く光沢を帯びた脚はヘビのように蛭田の下肢に巻きついて、あっというまに彼を異常な昂ぶりに導いてしまっている。
喉許に牙をあてがわれ。血を吸い取られ。
お互いの敏感な処を確かめあうように、掌を這わせ、揉みしだき、
身体を巻きつけあい、乱れあって。
熱っぽい吐息だけがただ声もなく、交叉し合う。
下肢の昂ぶりにまかせて秘部を抉るようにずずん、ずんと貫かれ。
奈津子はひと晩、賞賛の呻き声をあげつづけた。

「先日のお礼返し、遅くなってしまって」
奈津子はリボンをつけた紙包みを女史に渡した。
中身は訊かないでも、わかっている。
―――私愛用の、勝負ストッキングですよ。
いつも恐縮しきってばかりいた小娘の、ちょっと挑むような目線を、
女史は却って心地よく感じながら
「そう、ありがと」
今度は女史が、彼女のブランドを身に着ける番らしい。
目論見どおり進行したらしい夕べの筋書きを心のなかで軽く反芻し、
そして読み終わった書類をくずカゴに捨てるようにして意識の外に追いやった。

あとがき
タイトル、わかりにくいですね。^^;
前回は奈津子との逢瀬のとき、奈津子が身に着けていた女史お気に入りのストッキングに感づいた蛭田が、夜明けのオフィスで待ち続けていた女史のもとに忍んでゆく、というストーリーでした。
女の部下から男を取ってしまったかっこうになった女史が、こんどはわざと仕向けて奈津子だけとの夜をプレゼントしてやった、みたいなニュアンスのつもりだったのですが。
前回は奈津子を利用したようになってしまい、ちょっとアンフェアだったかなあ、と薄々感じていた女史。
いつまでも借りをかかえているような気分になるのは自分にとって好ましくないと思ってこんな小細工をこらしたようです。^^

人妻さん

2005年11月04日(Fri) 10:33:50

現われた彼女はごく地味な服装だったけれど。
それがしっくりととても板についていて。
似合いすぎるほど、似合っていた。
あまりの風情になぜかしんみりとした気分になって、
私は思わず、呟いていた。
すまないね・・・
いまから自分を襲おうとしている男が口にする意外な科白に、
女はちょっと、戸惑っていた。

親友の妻だった女。
それがいつかぎくしゃくとした関係になって、とうとう別居。
そんななか、行き合わせて。
ふとしたはずみに、こういう関係になった。
女は乱された衣裳を抱きかかえるようにして、
そそくさと立ち去っていった、つかの間の逢瀬。

抱き締めるたびに女のなかの頑ななものが、
すこしずつとろけてほころびてゆくのを覚えはじめたころ。
彼女はもとの夫と和解して、またいっしょに住むようになった。
もう逢うのはやめようと。
私のほうから切り出したのだが。
いいよ、逢ってやってよ。もとにもどれたのはお前のおかげなのだから。
そう言ってくれたのは、親友の方だった。

待ち合わせの夕方の公園。
その日の私はちょっとというか、かなり落ち込んでいた。
そんな私を見透かすように、
やってきた彼女はいつもの挑発的な服ではなくて、
黒っぽい地味なアンサンブル。
もしかして、気を遣ってくれた?
そういう私にはこたえずに、
自分のほうからすいっと近寄ってきて、夫婦のように寄り添いながら。
今夜は何処で、わたしを抱くの?
そういって私を見上げる彼女。

淑やかに映える黒のストッキングの脚を見せびらかすように、
彼女は雑木林の暗がりへとまっすぐに、歩みを進める。
上品な礼装もろとも辱めてやりたい。
親友への思いとはまた別に、ムラムラと沸きあがってくる、こらえきれない劣情。
そんな私をそそのかすように、
ほどよく奥まった木々のなか。
彼女は振り向き、清楚なブラウスの胸元をほんのすこし、くつろげる。

抱きすくめた彼女の肢体は、とても熱っぽくはずんでいた。
さやさやと揺れるしなやかな衣裳は、
貴方ノタメニ装ッテキタノヨ・・・
たしかにそう、告げていた。
薄手のストッキングごし、情愛のこもった唇をたっぷりとあてがって。
ぬるぬるとした熱情を、熟れた素肌に沁み透らせてゆく。
親友の妻はあっさりと、私のあやつる魔術に酔わされて、
幸せそうにウットリと目線を迷わせて、私の胸に身を沈めた。
喉越しに熱い血潮の豊かなうねりを覚えながら、
たっぷりと熟れた肢体の衣裳をまさぐって。
貴女の心遣いをしんから愉しみ抜く夕べ―――。

あとがき
女性が装うということは、心のなかにあるものを逢う人に発信するメッセージなのでは・・・?
なんてことを思い浮かべながら、描いてみました。
女性の背景は、描いているうちになんとなくつくってしまったのですが。
かなり屈折した背景ですね。
もっと大事に使うべきキャラだったのでしょうか・・・

悪戯坊主 3

2005年11月04日(Fri) 09:36:49

中学にあがって、セーラー服を着るようになった姉貴は、ずっと大人びて、年がよほど離れたような感じがした。
ボクが中学にあがったとき、姉貴はもう高校に通っていた。
制服はブレザーで、もっと洗練された感じになっていた。
背丈もぐんと伸びたし、目だたないように服の下に隠された胸のふくらみも、ぐっと女らしくなっている。
女への欲情に目ざめたのは、誰のせいだろう?
いつもボクが血を吸いたがるときにストッキングを破らせてくれたママのせいだろうか?
大人っぽい制服につられたようにふだん着る服も変わっていった姉貴のせいだろうか?
わかっているんだけど。
いちばんよくないのはボク自身だってことは。

姉貴は昔みたいに、ボクがせがむと血をくれた。
制服姿をおねだりしても、
ちょっとイヤそうにしながらも、勉強部屋の畳の上に寝そべってくれた。
セーラー服の襟についた白のラインや、
ブレザーによく合うチェック柄のスカートのすそに血を撥ねかせちゃったりしたときも。
クリーニングに出さなくちゃ。
ぶつぶついいながら、姉貴はボクに尽くしてくれる。

うつ伏せになった足許に這い寄って。
ハイソックスの脚に咬みついて。
でも、ハイソックスの中に包み込まれたふくらはぎはとっても柔らかで、
すこしずつ、女の潤いというのだろうか、
身体のなかの芯の部分から、いままでと違う魅力がにじみ出てくるような感じがした。
べつの女になってゆく。
それが幸せなことなのかどうか、わからないままに、ボクは姉貴の血をむさぼっていた。
そんなふうに感じるようになってからだろう。
食欲以外の衝動が、ボクを微妙に突き動かすようになったのは。

あるとき下校してきた姉貴に激しく迫って。
キスを奪ってしまった。
おくてな姉貴。
初めてだったらしくって。
しばらく息遣いも荒く、ちょっと青い顔をしながら息を切らしていた。
ボクも、初めて喉の奥に流れ込んできた女の匂いにむせ返って。
とても姉貴の顔色にまで気が回らないでいた。

そのつぎの日だった。
同級生の着ているセーラー服が気になっていたボクのために、
姉貴はいつものように、中学の時の制服を着て、部屋にやってきた。
スカートの下には、いつもみたいなハイソックスじゃなくて、
黒のストッキングを履いていた。
終業式とか、卒業式とか。
特別なときにしか履かなかったストッキングはとても目新しくて、
姉貴がママのように大人の女性になったような感じがした。
「いいよ、咬んでも」
といって、黒ストッキングの脚をさし伸ばす姉貴。
つるつるとした薄手のナイロンの下で、白い肌が滲むように浮かび上がる。
ストッキングを履いた姉貴のふくらはぎはいつもより凄く色っぽく、女の血潮を秘めていた。
とたんに欲情して、
子供のころとはまったく別な感情がむらむらと沸きあがってきて。
思うさまイヤらしくねぶりまわして。
さいごにかりりと牙を突きたてて。
ぐちゅうっ、ってイヤラシイ音を立てて、血を吸い出してしまった。

ごくり。
姉貴の血を喉の奥まで流し込み、思うさまのみ込んで。
満たされた食欲の向こう側に、
なにかわけのわからない、どす黒い色をしたヘビのようなやつが、
むくむくととぐろを巻いているのを感じはじめたころ。
姉貴は、さいきんとても悩ましくなってきた二重まぶたも重たげにうつむいていた。
いままで、服汚されたといってはプッと頬ふくらませてむくれていたお姉ちゃんとはべつの女に見えた。
ねぇ・・・
姉貴は口を開いた。

女の子を犯したことはあるの?
いつも大人しい姉貴の大胆な発言。
ボクはちょっとびっくりして、というか気圧されて。
口ごもっていると。
どうやらまだらしいということをすぐに見抜かれたらしい。
姉貴は珍しくボクのことをじいっと見つめて、
誰でも犯していいわけじゃないのよ。
初めて犯されるのって、深い意味があるのよ。
姉貴はそう言って。
ちょっと口をにごして。
あたしのことも、きっとそのうち犯してしまうんでしょう?
おそるおそるのように、ボクの顔をうかがった。

みすみす好きな男の子ができてから、あなたの手篭めになるのはガマンできないの。
そういいながら。
姉貴はセーラー服のまま、ボクの下にいた。
長い爪でパンティを切り裂いて、
姉貴の大切に秘めてきた潔い処と、ボクの×××とのあいだに、
さえぎるものはなにもなくなっていた。
大人っぽくて上品な黒のストッキングさえ、
とうに破かれて、ハイソックスみたいにひざ下までずり落ちていた。
どうすればよいのかもよくわからないうちに、
衝動のままに姉貴のうえに身を沈めてしまったボク。
突き入れる瞬間。
姉貴はとてもつらそうに目を閉じて。
こういうときに、女は涙を流すものなのよ。
ボクにそう訓えるように、切なげに顔をそむけて。
畳に涙をしたたらせた。
ごめんな、姉貴。
でも、大好きだよ・・・


あとがき
うって変わって、声変わりしてます。^^
それにしても。
とんでもないお話が、とんでもない結末に・・・^^;
でもなんとなくこの坊主、気に入ったので。
子供バージョンで時々顔を出すかも。^^

悪戯坊主 2

2005年11月04日(Fri) 09:01:56

喉が渇いちゃった。
いつもそういってせがむと血をくれる担任の先生も、
きょうは病気でお休み。
(きのうすいすぎたのかも・・・^^;)
代わりに来たのは男の先生だった。
じゃあ、お姉ちゃんのところへ行こうかな。
まてよ。
お姉ちゃん、朝登校するとき、いってたっけ。
「きょうのハイソックスはおニューなんだから、教室来ちゃダメよ」
って。
うーーーん。でも・・・
喉渇いた。
いいや、行っちゃえ。^^v

上級生の教室は、雰囲気が違う。
通りかかる女の子も、大人みたいに背丈もあるし、とってもお姉さんに見える。
教室の入口でもじもじしていると、
お姉ちゃん、ボクを見つけて。
困ったような顔をして。
お話していたお友達のアヤカちゃんをほっぽってこっちへ来て。
「やっぱり来たのね」
と、口を尖らせる。

校舎の裏手は、雑草が茂っていて。
人もあんまり通らない。
「早くすませてよ」
そういうと。
お姉ちゃんは、ハイソックスをずり下ろして
ふくらはぎを咬ませてくれた。
ちくりと牙を刺し込むと、ちょっと痛そうに足をすくめて。
けれども、ちゅ、ちゅーっ、って吸い出したお姉ちゃんの血は、
とても暖かくて美味しかった。
いつもごめんねぇ
そういうボクに
「じぎょう始まるから、早く帰りなさいよ」
と言い置いて、お姉ちゃんは教室に戻っていった。
元どおり引き伸ばしたおニューのハイソックスに、ちょっぴり血を滲ませて。