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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

業務連絡

2006年09月24日(Sun) 08:18:18

唐突ですが。
都合により、更新がしばらく滞ります。
半月か、ひと月ぐらいアップできないかと思います。
楽しみにしてきてくださった方、ゴメンナサイ。m(__)m
代わりに、とっても読みきれないくらいぼーだいな過去ログがございます。
よろしかったら、読み返してみてください。
いただいたコメントへのご返事は、わりとすぐにできますので。

冒頭にある「カテゴリの紹介」のほか、
この記事と同じ「紹介」カテゴリをずーーーーっと下にたどっていくと、管理人おすすめストーリーや再あっぷ解説なんかが出てきます。
よろしければ、ご参考まで。

くれぐれも。ですが。
ここに描いてあるもろもろのざれ言は、あくまで絵空事・ファンタジーです。
現実と区別のつかなくなる方は、閲覧をご遠慮くださいね。

妹に扮して

2006年09月21日(Thu) 07:34:29

ふぁさ・・・
サージの制服を身に着けるとき。
かすかに漂う、改まったかんじのする匂い。
被るタイプのセーラー服が、するりと鼻先をすり抜けるとき。
それは詰襟よりもずっと濃厚な香りをよぎらせた。

しゃらしゃらとしなやかな音をして。
首に巻かれる、ネッカチーフ。
意外に重たかった濃紺のプリーツスカートは、ファスナーとホックだけでなんなく腰に止まってくれた。
足許が、そらぞらしい。
スカートのなかすぅすぅと、空気が無遠慮に、入り込んでくる。
いつもと違う、頼りなさ。
女はいつも、こんなふうに装うのか。
ひざ下まで引き上げたハイソックスは、ごつごつとしたふくらはぎを、
まるで本物の女の子のようにしなやかにくるんでいる。

かえ子が、襲われているらしいの。
あなた、身代わりになって、相手をつかまえてくれる?
声をひそめて不安をあらわにした母に。
面白そうだね。
不敵を装ったつもりなのが。
女の子の制服を着用する。
そう、思い浮かべただけで。
あるべきシナリオが、紅茶の中の角砂糖みたいにずるずると崩れていった。

妹は夜更け、制服姿のままベッドに横たわる、という。
そのまま彼の牙を待って・・・
夢見心地に浸りながら、色蒼ざめるまで、しずかに血を啜らせている、という。
おなじように横たわった、ベッドのうえ。
女の子のベッドで寝るのは、もちろん生まれて初めてだ。
言い知れない昂ぶりが、密かに肩を弾ませる。

現れたのは、濃い霧のような影―――。
そいつはじいっとこちらをうかがって。
正体を見破られまいと、ほんとうの女の子になったみたいに、
きちっと身をすくませる。
やつはじりじりと、喉元におりてきて。
くちゅっ。
と、唇を貼りつけた。
避けなきゃいけない、はずだったのに・・・
そのまま咬まれて、血を吸わせちゃっていた。
ずず・・・じゅるっ。
血を吸い上げるナマナマしい音に慄(ふる)えながら・・・
つい、身を任せてしまっていた。
「ヨウイチロウだね?」
影はくすっ、と含み笑い。
聞き覚えのある声だった。
幼馴染みのあいつには、せがまれるまま、くすねてきた妹の下着や靴下を与えてやったことがあったっけ。
「もうしばらく、辛抱しな」
影はそういうと、両肩を抑えつける掌に力を込めた。

わかっていたよ。部屋に入るまえから・・・ね。
さいしょから、キミの血も欲しかったんだ。
もうすこし、寄付しろよな・・・
勝手な言い草を愉しみながら。
あいつはいく度も、うなじを咬んでくる。
そのたびに。
うぅん・・・。とか。
あぁ・・・っ。とか。
洩らす呻きが知らず知らず、濃いものになってゆく。
いよいよハイソックスのふくらはぎを咬むときに。
愉しませろよ。
言われるままに、強く頷いてしまっていた。
お袋のストッキングもそうやって、イタズラしているんだろう?
ウフフ。わかるかい?
あいつは嬉しそうに呟きかえしてくると、
つねるような痛みを、容赦なくふくらはぎに滲ませてきた。
刺し込まれてくる牙さえも、悦んでいる・・・

貴族の裔(すえ)

2006年09月21日(Thu) 07:04:38

貴男が、妻のお相手ですかな?
いえいえ・・・どうぞお気になさらずに。
わたしの家は、もとは相応の名家だったのですが。
古い家系です。もう枯れかけているのでしょう。
代々、若くして精をなくしてしまうのですよ。
四十にもなると・・・もう妻を悦ばせてやることもできない体になっていて。
妻はずっと、夜の悦びを誰かと分かち合いたく望んでいたのです。

そういう貴男のお家柄も。
私のところとおなじくらい、貴種の家柄でありましたな。
せいぜいお若いうちに、お愉しみになるがよろしい。
今夜も妻を、お願いしますよ。
貴男好みに装いを改めて・・・あちらの奥の、夫婦の寝室で。
さきほどからずっと、ご入来を待ちかねておりますから。
隣の部屋から覗いたりすると、落ち着いて愉しめませんかな?
妻は却ってそのほうが昂ぶる・・・などと言うものですから。
あなたさえ、よろしければ・・・

えっ、どうしてそんなに物分りがよろしいのかとお尋ねかな?
それはね。
私も若いころ、あなたの側に立ったことがあるのですよ。
だからお心が手に取るように、わかるのです。
若かった私に愛する奥方を寝取らせくれていたあのお人も。
きっと秘めた昂ぶりを抑えかねていたのでしょうな。
それを責めることは、誰にもできないはず。
彼もまた、早くに精をなくして。
奥方を悦ばせてあげる方法を持たなくなっていたのですよ。
愛し合っているご夫婦でしたから、なおのこと。
べつの男に捧げることで。
共にできない身体の悦びを、お与えになって。
みずからは心の喜悦を、お選びになられた。
それが・・・あなたのご父君なのですよ。
そう。
奥方の操を頂戴して一年たったころ。
貴男がお生まれになったのです。


あとがき
夫公認で、その妻とベッドをともにする・・・というだけではなくて。
はからずもそれは実父の妻だった・・・というお話です。
とても、歪んでいます・・・。

やらしい双六

2006年09月21日(Thu) 06:52:21

さいころにはね、呪いが込められているのかも。
大人しくて目だたない、ちょっぴり弱虫なお兄ちゃん。
けれどもこういうお話するときは、博士みたいにとっても詳しい。
クラスのがさつな男の子よりも。
家でお兄ちゃんといっしょにいるときのほうが、ずっと愉しい。

すごろく、やらない?
お兄ちゃんが広げたのは、不思議な盤面。
ちょっと見には、読めないくらいに字が細かい。
ルール難しそうだね、って言ったら。
そんなことないよ。
さいころを振って、進んだコマに書いてあるようにするだけだよ。って。
じゃ~、やってみようか。どうせ暇だし♪
まるで無邪気な子供のころに戻ったみたいに、
ふたり顔を並べて双六の盤面を覗き込む。

それはもう、ひとつの世界。
入り組んだコマに書かれた細かい字たちは、狭苦しいコマのひとつひとつにぎっしりと詰め込まれていて。
互いに互いを呼び合い結び合っているように見える。
なにをどう結び合っているのか。
入りたてのわたしには、よくわからないけれど・・・
百鬼夜行って言葉、知ってる?
知ってる知ってる♪
お兄ちゃんの影響で、おなじ学年の子たちより、漢字ことばに詳しい私。
でも・・・
たしかにこの盤面。妖しい・・・っ。

お兄ちゃんより、三コマ進んでいた。
「双六の相手と、キスをする」
えっ?ええっ?
>さいころを振って、進んだコマに書いてあるようにするだけだよ。
お目目をくりくりさせているわたしに、お兄ちゃんがスッと寄り添ってくる。
えっ?えっ?マズイよ。兄妹で・・・
わたしがとても羞ずかしがっていると。
「ルールは変えられないけど・・・そんなに恥ずかしいのなら、脚にしようか?」
う、ウン、せめて・・・
ためらいながら、そっと差し出したふくらはぎ。
ハイソックスの上から吸いついたお兄ちゃんの唇は、
気のせいかじっとりと濡れていた。

「許してくれたお礼に・・・もういちど、してもいいよ」
気がついたら、息を詰めて囁いているわたし。
エ・・・?
お兄ちゃんの声、低く震えていた。
ためらいながらもういちど・・・しっとり吸いついてくる唇。
さっきよりも、うんと濡れていた・・・
知っているんだ。
たまにわたしの箪笥の抽斗開けて・・・
ハイソックス、悪戯しているんでしょう?
痕が残るのよ。白いやつは。

こんどは、お兄ちゃんの番。
さいころの目は「1」
勝負事。いつも弱いよね。
「相手の子の胸のボタンをひとつはずす」
えっ?
とっさに身を引こうとしてけれど。
胸にあてられた両手の指は素早く器用にうごいて。
くつろげられた襟首から入り込んだ空気がそらぞらしくって。
ゾクッ、としちゃった。

つぎは、わたしの番。
「スカートを履いていたらちょっとめくり上げて、片脚を太ももまで見せる」
この双六って・・・なんだか・・・
つぎは、お兄ちゃん。
さいころの目は、「2」
またまた。弱いんだから。
え・・・っ???
「2」ってことは、さっきわたしが止まったところ??
「双六の相手と、キスをする」

唇を合わせた瞬間、しばらく止まっていた。
初めて・・・男のひとの息が、わたしの中に吹き込まれる。
涙を見せたわたしを気遣うように、ちょっとのあいだ寄り添っていてくれた。
びっくりした?
ううん・・・
続き、やろ。
そういいながら。
喉の奥まで沁みこんだ男の匂いが、まだわたしのことをくらくらさせている。

あれ?
さっきわたしが止まったのとおなじコマのはずなのに。
書いてあることが・・・変わっている。
わたしのときはたしか、
「ブラウスを脱ぐ」
だった。
お兄ちゃんが止まるとそれは、
「妹とくっつく」
に、変わっていた。
もうとっくに、間近に寄り添っているのに・・・
それにどうして、兄妹でやっているなんてわかるのだろう?

「胸に触れる」
「ズボンのチャックの中に手を入れる」
「肩に腕をまわして首筋を吸う」
密着度がだんだん、高まってゆく。
ママが戻ってこない夜。
このすごろくは、どこで「あがり」になるのかな?

新聞部の取材♪

2006年09月20日(Wed) 07:49:21

あらわれたのは、童顔を残す女の子三人組み。
そろいの三つ編みのおさげを肩先に揺らしながら、
「学校に壁新聞、貼り出すんです」
「それで、”街の吸血鬼さん”で、コラム作りたいんです」
「取材にご協力、お願いします♪」
口々にそう言って、こちらの都合も聞かないで、
てんでにそこいらのソファに腰かける。
色とりどりのスカートのすそから見え隠れする、ぴちぴちとしたひざ小僧。
発育のよさそうなふくらはぎが、ハイソックスのなか、はち切れそうな張りをみせていた。
ひとりは、黒。ひとりは、こげ茶。もうひとりは、純白。
射し込む柔らかな陽射しを受けて。
太めのリブがツヤツヤとした縦縞となって浮き上がってみえる。
どれ・・・取材のお礼は用意しているのだろうね?

ひとりひとり、押し倒していって。
首筋を咬んで、ブラウスに血をしたたらせて。
スカートをめくって、太ももを咬んで。
女の子たちはきゃっ、きゃっ、と、つま先立ちしてはしゃぎながら。
ハイソックスのふくらはぎを自慢そうに見せびらかしてくる。
とりどりに香りたつ処女の生き血は、とても美味であった。
取材を終えて、おいとまする頃。
真っ赤な頬ぺたはほんの少し、来るときよりも蒼ざめていて。
白い肌の初々しさに、大人の色つやが滲んでいる。

きょうは、あの子。明日は、あの子。昨日は、あの子・・・
家に招んでくれる子は、お母さんやお姉さんを引き合わせてくれる。
色とりどりのプリーツスカートをかすかに揺らしながら、礼儀正しくお辞儀をしてきて。
ハイソックスやストッキングに包まれたふくらはぎに触れると、初めて羞じらいをあらわにする。
きゃっ。あんまりいやらしく、触らないでねっ。
あっ、きょうのはおニューなのよ。
いやん。破けちゃうっ。
芝居がかった声色で乾いた喉をそそるなど。
いつの間に覚えた手管なんだろう?

ママのお仕置き♪

2006年09月19日(Tue) 05:27:56

うそ、おっしゃい。貴方しっかり見てたわね?
えっ。ボク見てないよ。ホントに見ていないってば。
誤魔化したって、だーめっ。ちゃ~んとね。カメラに映っていたのよ。
ドアが開いているのをいいことに。覗いていたでしょ~?
ママと吸血鬼のおじさまが逢っているところ。
え?そんな、そんな・・・
いーのよ、見たって。恥ずかしがらないで本当のことをおっしゃい?
エ・・・?あぁ。見たよ・・・ちょっとだけ。
どこまで御覧になったの?
エ・・・?だから・・・ちょっとだけだって。
ママ服脱がされていたでしょう?
知らないよ、そんなこと。知らないってば。
さ。こっち見なさい。ママの顔よく見て!それでも知らないって平気で言えるの?
んー。脱いでた・・・かな?(^^ゞ
ほ~ら、見てる♪
ごめんよ・・・(口ごもる)
さいごまで、御覧になったの?(怖い顔になる)
えっ?えっ?・・・いや、最後までなんて、とても(もっと口ごもる)
ちゃんと白状なさい。男らしくないわよ。
だいたいあなた・・・おじさまがお帰りになってからママがシャワー浴びてる間。なになさってたの?
えぇ・・・っ?・・・なんのことっ???  ......(((ー_ー;
箪笥の抽斗お開けになって・・・ママのスカートやストッキング・・・悪戯したでしょう?(キッと口を結んで、睨んでいる)
うそ・・・
ほら。正直に白状しないと・・・血を吸ってしまいますよ。
あっ・・・ダメ!・・・きゃっ。(>_<;)
ちゅ、ちゅーーー・・・・・・
(息子の頭を撫でながら)美味しくなったわね。貴方の血。いよいよお年頃かしら♪
あぁ・・・(もう、夢見心地)
さっ。おっしゃい。ママの服、どうしてたのっ?
アッ、だって・・・
スカートを履いて?ストッキングを脚に通して?さぁ、それからどうしたの?
ゴメン。許して・・・オネガイだから(哀願)
(かまわず)言いにくいのなら、ここにあるわ。貴方のお気に入り♪さぁママの前で身に着けて御覧なさい。
かっ、・・・カンベンしてよ~。^^;
(厳しく)ダメです。
やだよー。ママのまえで女の服なんか・・・
早くしないと、もっと血を吸うわよ?貴方明日試験でしょう?
わかったよ。わかったって・・・
(いやいや服を取り替え始める。じっと見つめる由貴子)
思ったより手早いのね。
あっ。(><)
いつも、あなた一人でお留守番のときって・・・(言いかけて黙る)
えっ?どうして・・・っ?
たま~に忘れ物して。戻ってくることだってあるんですよ(小首をかしげ、薄っすらとほほ笑む)
まぁよくお似合いだこと。綺麗よ。あなた。ほんとうに♪
お父さまがお戻りになるまで、そのままの格好でいらっしゃい。着心地よろしいでしょう?
ゴメン、ゴメンよ・・・もうしないから。
い~え。こういうおイタは、治りませんから・・・ね。ムリしないでいいのよ。
たま~にだったら。おお目に見てあげる♪
貴方用のは、こっちの箪笥に入れとくわね。
あぁ。
女装している貴方を見てたら・・・ママもっと血を欲しくなっちゃった。
いいわよね?


あとがき
試験はどーなったのでしょうか?受けずにすんで、ハッピーだったのかな?^^;

ツアーの裏舞台

2006年09月18日(Mon) 21:37:17

村はずれに停車しているのは、空のバス。
なかに誰もいないと、あの青いガラスはどことなく、からの金魚鉢みたいに見える。
「お魚はいつ、連れてくるの?」
顔をあげたのは、年端もいかない少年。
あどけない声色やしぐさとは不似合いに、
吸い取ったばかりの血をたら~り・・・と。
かたわらでうつ伏せになって気絶しているバスガイドさんの脚にしたたらせている。
「おねーさんの血、綺麗だなー」
なんて、生意気なことをほざきながら。
こらこら・・・
さすがに大人の吸血鬼が注意をしている。
あんまり散らかしちゃ、失礼でしょ?お姉さん一生けんめい、あんたの相手してくれたのよ?

少年が言った「お魚」とは・・・もちろんバスの中身のこと。
もしゃもしゃな髪をして太っちょな、いかにもオタクなツアコンが。
「お客さんは、明日だよ。紅葉狩りの第一弾♪」
おっ。
どよめいたのは、子供の吸血鬼ばかりではない。
なりたて吸血鬼の青年などは、またぐらを抑えてよろこんでいる。(ヨロコビスギ)
オタクなツアコンは構わず続ける。
「ご一行様は二十五名さま。だからそちらも巧く、人数調整しといてね」
ああ、はいはい。
頭だった吸血鬼がさもありがたそうに手を合わせると。
さて、ご一同・・・
きっちりたぶらかすには、あるていどの頭数は要りようだし。
といって、あまり多いとお客様もへろへろになっちまう。
多くても十人くらいが適当だと思うが、どうかね?

十人・・・
少ないなぁ。
自分が選に漏れることを心配してか、一同はシンとなってしまう。
オタクなツアコンがとりなすように割って入って。
「まあまあ。明日のはあくまで第一弾ですからね。それと・・・今回はご年配のお客様が多いので、も少し人数しぼってもらったほうが」
ええー??
バスガイドのお姉さんの血を吸っていた少年が、いかにも不満げに口を尖らせる。
きょうはいい目を見たのだから。きっと明日は来れないだろうから。
「ええー?でも・・・」
子供のいうことなど耳も貸さずに。
「できるだけ、手だれの人を選んだほうがいいですよ。紅葉がまだ見ごろのうちにもういちど・・・こんどは娘や嫁を連れてきてもらうよう仕向けなくっちゃならないですから」
ウチもリピーター欲しいし。
坊やも、そっちのほうがいいだろう?

一同はまた、シンと押し黙ってしまったけれど。
さっきの沈黙とは裏腹に。
陽が傾いてようやく濃くなりかけた薄闇のなか。
ひどく愉しげに猥雑な空気が、漂いはじめている。
陰で籤を引くもの。小躍りするもの。
喉が渇いているのを押し隠しながら、己の手だれぶりを証明するためにうんちくを傾けるもの。
ツアーの到着は真っ昼間だが。
もう、そんなことは構っていられない・・・


あとがき
前作「バスの中」で頂戴したさやかさんのコメントをヒントに、描いてみました。
ちょっとワルノリ・・・ですね。^^;

ただいま。

2006年09月18日(Mon) 07:39:43

「ただいま」
家に戻ると、いつものように。
張りのある高い声を、凛と響かせて。
愛妻の由貴子さんは、帰りを告げる。
「はいっ。これ」
迎え出た私の鼻先にぶら下げられたのは。
裂けた肌色のストッキング。
由貴子さんはイタズラっぽく、鼻に小じわを浮かべつつ。
「お土産、ですよ♪」
重さのない薄衣を、サッと手に握らせてゆく。
手に残されたナイロンの切れ端は、ツヤツヤとした光沢を滲ませて。
かつての持ち主が貴婦人だったことを告げている。
お昼ごろ出かけてゆくときに、いそいそと脚に通していったものだろう。
裂け目は縦におおきく、それとは別に、あちこちに。
赤黒い斑点を滲ませた破れを浮かべている。
ああやって、そうなって。こんなふうにされて・・・
妄想ばかりがめまぐるしく、かけめぐる。
早くも手洗いを済ませてきた由貴子さんは、
そんな私の有様を、とても愉しそうに見守っている。
「愉しかったわ♪いっぱい、犯されてしまいました」
淑やかな口調で、とんでもないことを・・・
お行儀、よくないですね。
いつもそのていどに、軽くたしなめたりもするのだが。
由貴子さんは神妙に目を瞑り、顔うつむけて。
スカートのまえ、両手をきれいに重ね合わせて。
「あなた様のご理解のおかげです。由貴子、スッキリいたしました」
くすっ、と笑いかけてくる。
柏木家の令夫人の貞操は、きょうもこのように他愛なく・・・不名誉な愉しみの中投げ込まれてしまっている。

齢相応に。

2006年09月18日(Mon) 07:22:30

嵐の過ぎ去った夫婦の寝室で。
妻は虚ろな無表情で、身づくろいをしている。
剥ぎ取られた衣裳をひとつひとつ、点検して。
破れがないことを確かめると、ふたたび袖を通してゆく。
白のブラウス。黒のタイトスカート。
ちりちりに破けて蜘蛛の巣みたいになった黒のストッキングを目のまえにぶら下げると、苦笑いをして傍らのくず籠に放り込む。
鏡に向かって。手際よく化粧を直して。
髪をサッととかして肩に流すと、初めて私に気がついて。
いかが?
小首をかしげて、笑みを送ってくる。
吸血鬼の寵愛をうけたあと。
妻はいつもそうやって、さりげない刻を取り戻す。

階上からは、かすかに洩れるひめやかな声。
重ねた齢を感じさせないほどの妙なる音色・・・ではあったけれど。
まだ若い頃。
母の口からそうしたものが洩れるのを、まだ潔しとしなかった私だった。
お義母さまも、お若いですね。
じぶんの代わりに娼婦を演じている、おなじ性の持ち主。
同志のような。ライバルのような。
そんな想いが、妻の口辺からは漂ってくる。
でも、ご無理をおかけしないように。
彼の精はわたくしが引き受けて・・・たっぷり頂戴しておきました。
きりりと引き締める口許に。
女の怖い意思を。そして・・・肌身に秘めた疼きを見たような気がする。

みな様。とても気を使ってくださるのですよ。
落ち着いた和装に着替えた母は。
さっきまでわが身に起きたことなど、露ほどもみせないで。
しっとり奥ゆかしく、応接間のソファに身をくつろげる。
由貴子さんは、身にかえてわたくしを守ってくださるし。
あのかたも・・・そう。今では。
下着を濡らしてゆかれるだけだったりするのですよ。
昔はたっぷりと、注いでいただいたものなのですがね。
それでも・・・服におイタをするのは。昔と変わりないかしら。

あら。きょうは調子がお悪かったのかしら。
わたくしも、三回ほどしか・・・
うそおっしゃい。数えていましたよ。
あらっ。ばれてました?
だって、お義母さまのお愉しみを、わたくしが横取りしたみたいですもの。
そんなこと、ないですよ。
わたくし独り求められても・・・もういかほどもお相手いたしかねますからね。
今でもね・・・ブラウスをくしゃくしゃにされるだけでも。心が震えて参りますもの。

互いに間合いを測るように。
気遣いながら。さぐり合いながら。
互いの矜持を侵すまいと、幾重にも秘められた配慮のバリヤにくるんだやり取りを交わしてゆく。
嫁・姑と。
ふたりながら犯していったあの男も。
齢相応の愉しみを・・・ふたりの女たちに墨痕のように残していったのだろう。


あとがき
年かさになった古い恋人にも。
まだ熱情を秘める、熟れた情婦にも。
相応の痕をつけてゆかれるようです。

吸血輪廻

2006年09月18日(Mon) 06:57:18

「あっ。あなたは・・・」
絶句した母親は、年頃のまな娘を身を楯にしてかばうようにして、というよりも。
恐怖のあまり、立ちすくんでいた。
亡き夫が墓場から出てきて。
夫婦ながら血を吸い尽くされた・・・と聞いていた。
目のまえにいるのは、夫の牙にかかったご主人のほうだった。
「娘は・・・見逃して。お願い」
「わかった。お前ひとりで、勘弁してやる」
息を呑んで立ち尽くす黒のワンピースの前から、
母親は恥じてわが身を覆い隠すようにして、道をはずれた茂みの向こうへと消えていった。
洩れてくる吸血の音が喜悦を含んでいることは仕方ないとしても。
ああうぅ・・・
悲しげに響くはずだった呻きが、なぜか余韻に愉悦を滲ませているのを。
娘はしっかりと、耳にしている。

「そうですよ。こんどはお宅の番ですよ」
囁きかけているのは、あのとき襲われた母親だった。
相手は吸血騒ぎで唯一生き残った、あの夫婦の忘れ形見。
「お嫁さんになるひとを。うちの息子に逢わせて欲しいの」
乞われるまま。せがまれるまま。
青年は蒼白い頬に笑みを滲ませて。
たおやかな少女の手を取って、目のまえの黒の礼服姿にその手をゆだねてゆく。
少女はなにもかも、心得ているらしい。
「見ていてね。さいごまで、目を逸らさずに」
恋人を試すような面持ちで、イタズラっぽく笑いかけている。

「ごめんください」
訪いを入れたのは。
申し合わせたように黒の礼服を着込んだ母娘。
母親は三十半ば、娘は十六、七と見えた。
「夫はつい先日、亡くなりました。どなたかに、血をぜんぶ差し上げて」
迎える影法師は通り一遍に、それはお気の毒に、とだけ応えている。
長年のしきたりですから・・・
寂しそうにほほ笑んで娘をかえりみた母親は。
娘が深く頷くのを見届けて。
では、お邪魔いたします。
黒ストッキングのつま先を、ふたり同時に敷居のうえへとすべらせてゆく。
「義母(はは)のすすめで貴方様の奥様を・・・まだお嫁入りまえに主人に頂戴したと伺いました」
そのときの御礼を、いま・・・させていただきます。
さしのべられた二対のふくらはぎは、淑やかになまめかしい薄墨色に染めあげられていた。
清楚な身なりは、男の嗜虐心に火をつけて。
まず、母親。
それから、娘。
順ぐりに、唾液をあやした唇を、ぞんぶんにねばりつけてゆく。
冷たい板の間の上。
母娘の身体から流れたふたすじの血潮が、深い光を湛えて揺らぎながら、ひとつになってゆく。

代々の女たちを取り替えあい、愉しみ合ってきたふたつの家系。
きょうもまた未亡人となったひとりの人妻が、夫の仇敵であるはずの男に、己の操を捧げようとしている。
彼の体内に宿る夫の血に、自らの血潮を交わらせようとして。
夫に愛された身体を相手にゆだねるのは、彼の妻も果たした儀式なのだから。

バスの中

2006年09月18日(Mon) 06:35:08

たんなる紅葉狩りツアーだと聞いていた。
そのバスは突然山のなかで、急停車して。
なかに、いくたりもの黒い影のような男どもが乗り込んできた。
母親たちは子供たちをかばって、すすんでうなじを咬ませ、
咬ませているうちににわかに嬌声をあげると、
さっきまで身を楯にしていた愛息やまな娘を手招きして。
自分のうなじにつけられたのとおなじ痕をつけてもらうようにと言いつけている。

車内の奥は、にわか作りのついたてで仕切られて。
そこには女の客ばかり、ほどよく酔い酔いになった順番に、はだけたブラウスのまま、連れ込まれていった。
優しい腕に、強引に誘われて。
夫や息子を振り返る顔は、ちょっぴり気遣わしげだったけれど。
その裏になにかをこらえかねていることを、夫も息子も察しをつけてしまっている。
妻や娘たちのきゃあきゃあというはしゃぎ声を、
たまたま居合わせた夫や息子たちは耳にするはめになるのだが。
ふしぎなくらい誰ひとり、不平を鳴らすものがいないのだった。
そういえば。
途中で休憩をとるたびに、バスガイドの女の子が男性客を一人一人物陰に引き込んで。
なにを囁いているのか、愉しげに笑んだ唇を耳のあたりに近寄せていたようだ。

さ。お兄さん。分かっているね?
影のひとりが、私に近づき、囁いた。
もちろん。
そう、私が頷くと。
もうひとりがライトブルーのスーツのズボンをたくし上げた。
透けた濃紺のハイソックスが、男にしては色白の肌を染めているのをみとめると。
話のわかる人のようだな。
影たちはかわるがわる、靴下のうえからふくらはぎに牙を滲ませてきた。

あぁ・・・
ほどよい失血が陶酔を誘うころ。
伴ってきた妻も娘も血を吸い取られて。
もう、とっくに奥のついたての向こう側に連れ去られている。
ふたりとも、アウトドアの予定には不似合いなスカート姿。
乱されたスカートのなか、いまごろはストッキングをくしゃくしゃにもてあそばれているころだろうか?
妻や娘のほどではないにせよ。
さっきからしつように、私の脛を染める薄手のナイロンをもてあそんでいる影に、足許をゆだねつづけている。
ふたりの残したハンドバックや手さげを腕で抑えて、どこかにまぎれてしまわないよう確保するのだけは、忘れずに。

車内からまず男性客が、降ろされた。
薄暗いバスのなかからは。
きゃあ・・・ひいぃ。
なまなかなポルノ映画より数段なまなましい嬌声が、甘くかしましく洩れてくる。
車窓にべったりと顔を貼りつけるようにして、なかをのぞき込むもの。
所在なげに草むらに腰かけて、数時間我慢しつづけてきたタバコをくゆらすもの。
やがて、ひとり、ふたりと女どもも降りてきて。
蒼白くなった顔つきにぜいぜいと息を荒くはずませて、夫や父親、息子たちに抱きとめられてゆく。
女たちの衣裳は例外なくそこねられていて。
あるものはブラウスをはぎ取られておっぱいをぷりんとあらわにしているし、
あるものは逆にスカートを奪われて、半ば破れたガーターストッキングを脚に巻きつけるようにして降りてきた。
スカートを奪われたものたちは皆、いちように。
濡れた下着を夫に見られるはめになっていたけれど。
誰もがひどくかしましく、面白そうに。
あんなふうだったのよ。
こんなふうにされちゃったのよ。
バスのなかでの出来事を、家族の男どもに吹聴している。

妻も娘を伴って、降りてきた。
ふたりとも、おそろいに装った黒のストッキングを見るかげも無くむしり取られて。
白い素肌をきれぎれに、露出させてしまっている。
照りつける太陽の下、なまなましいほどに輝いた白い素肌が眩しくて。
声はずませて情事を語る妻から、目をそらしつづけていた。
それでも声だけは、うん・・・うん。と。
まるで、見えない力に引き込まれるように。
熱っぽく相槌を打ちつづけていて。
よかったね、ふたりとも。ツアーはじゅうぶん、愉しめたかね?
そんなことさえ、口にするようになってゆく。
まぁ、パパったら。レディに対して、失礼ね。
破れた黒のストッキングを、帯のように滴り落ちる白い液体でしとどに濡らしながら。
娘までが愛らしく、口を尖らせているのだが。
ふたりの肌に浮いたいくつもの紅い痕。
ああ。これが紅葉なのだな。
そして狩られるのは人・・・のほうだったのだな。
見ず知らずだった誰彼と、虚ろに笑みを交わし合いながら。
納得を覚える私も、密かに下着を濡らしてしまっている。


あとがき
アウトドアの催しにしては。
女性客のいでたちは不似合いにドレッシーだったそうです。
そういえば。
家を出るとき、妻も娘もひどくウキウキとして。
よそ行きの衣裳を着け、いつもより念入りにメイクをしていましたっけ。
もしもそんなご一行のなかに間違って紛れ込んでしまったら。
迷わず、都中下車をおすすめいたします・・・

おしゃべりなタクシードライバー

2006年09月18日(Mon) 05:55:28

どこまで行きなさるだね?
あー。三丁目の小学校の前んとこ・・・ね。
三丁目・・・って言っても。
このへんの三丁目は、都会の街なかの三丁目とはわけが違うからねぇ。
あんたも都会のお方のようだが。
ここンことは、ご存知のようすだね。
三丁目・・・ずーと、山いくつも、越えてくだよ。
よりにも寄ってこの村の駅で降りるのは。
よほどの物好きか、カン違いの人だがね。
料金、しょうしょうかかるけど、よかんべか?
ま。歩いてこうって物好きも、さすがにおらんようだけどね。

ほらほら。見えてきた。
あの石ころが。この世とあちらとの境めだよ。
越えていいだね?
ま。ご婦人づれじゃねから、たいした覚悟も要りようではないがね。
いま、切り通しの向こうから見えてくんの。
三郎のかあちゃんの家だね。
かあちゃんな、三年まえに血ィ吸われて、頭おかしくなって。
家、去(い)んでしもうた。
ところがな。
ひと月経って。戻ってきて。
それからのことよ。
そのうちの子が、四人おるだが。
四人が四人とも、学校の友だちむやみと家に招びたがる。
ま・・・何ものうて、戻ってくるのじゃが。
首の、ほら、このへんに、妙な咬み傷こさえて戻ってくるって評判になった。
うちの子も、下の子があそこの三男坊とおなじ小学校だで。
いちど、遊びにいったんじゃが。やっぱりの・・・
ヤラれてきおった。

それと。
あすこの家。
だんなと、かあちゃんと、中学の娘と。
三人が三人とも、ひと晩で咬まれて人の血さ、吸うようになって。
それからというもの。誰も寄りつかんようになる・・・思うじゃろ?
そこが、あべこべなんじゃ。うちの村。
だんなの兄貴は兄嫁さ連れて。
かあちゃんの甥っこは・・・年の離れた姉がおっての。
都会の人と結婚したんだが。
その甥っこが、彼女さ連れて。
わざわざ、都会からよ。
面白れぇだろ?

そら。あっという間に三丁目だ。
あの小学校。
出るんじゃよ。もちろん、血吸うやからが・・・の。
子供たちが、それはもう愉しそうにじゃれあって。
何しろ、クラスの友だちの中になん人か、おるでの。
家招び合って、お袋さんとか、咬ませておるのよ。
お袋さんがたも。自分とこの子と変わらない年恰好なもんだから。
かわいいかわいいって、ね・・・
年端のいかないがきたちだと、力加減がまだわかってねぇから。さすがに首はあぶねぇだろうって。
脚とか、咬ませてやっているだよ。

そういうわしも。いまでは血ィ吸うほうの仲間入りでさ。
女房が食われちまって。
あんまり旨そうに血ィ吸わせてるの、見つけて。
わしまで頭、おかしくなってしもうて。
その、つい、自分もそん男の連れ合いというのに、咬まれてしもうて。
血が足りなくなると、頭くらくらして、仕事にならんでね。
そいで、隣近所のもんから、血、分けてもらうだよ。
あすこにお住まいのアズマさん。ご存知かね?
だんなさん、都会に仕事だってもう長いこと家空けてるけんど。
いつも身ぎれいにしておって。
スカートに、ストッキングまで着けておって。
もう一年くらいになるかの。
庭先からお邪魔してな。
食うてしもうたんですワ。
いや・・・旨かった。若いおなごですからのぅ。
だんなさんもめったに、戻ってこないものだから。
そりゃもう。あちらのほうだって、独り身みたいに、初々しくって。
でー、女房にゃ内緒で・・・時々ストッキング、破らせてもろうとるんですわい。

優しい人じゃから。
お体のよろしいときなら誰にでも、血さ恵んでくださる。
あんたももしも、此処で血ィ吸われたら。
訪ねていきなさるとエエ。

いや、これほどの山道を。見事な運転でした。
これ、少しですが。受け取ってください。
釣りは要りませんので。や、や。どうかご遠慮なく。
そうですか。
家内がお世話になっているというのは、あなたのことでしたか。
乗りこなすのが、本業とおなじくらいお上手だって伺っていますよ。
今夜の、夜中過ぎでしたら・・・どうぞ夜這いにおいでなさい。
それまでは・・・私も家内とは久しぶりになりますので。ね。

衣裳ケース漁り

2006年09月17日(Sun) 23:58:06

どうやら柏木サンは、ご一家でおでかけになってしまったようだ。
さて・・・
お宅にはいま、どなたもいらっしゃらない。
しめしめ♪
週末お見かけした奥様のイデタチ。お嬢様の制服姿。
いずれもとても、よい眺めでありました。
これからこっそりお邪魔して。
衣裳漁りなど、愉しんでみましょうか。^^
あっ、これを御覧の皆さま。
こういうことは法において、決して許されてはおりませぬ。
どうぞお愉しみはくれぐれも、この場かぎり・・・ということで。^^;

がらり。
おや。無用心なことだ。
玄関のカギが、開いている。
家のなかの匂い・・・というものは。
どこのお宅でも、ちょっと独特なものがありますな。
雑多な生活の匂い・・・と言ってしまえば、それまでなのですが。
ちょっと湿ったような、落ち着きのある。
そして、人肌のぬくみを感じさせるような・・・

あちらが、奥方のお部屋。こちらは、お嬢様のお部屋。
さてさて・・・迷うところだが。まずは年の順・・・かな?^^
立派な桐の箪笥。ですな♪
きっと、お嫁入りのときに、持ってこられたものでしょう。
どれどれ。ギギギ・・・
いちばん下の段は、和服のようですな。
そういえば由貴子さんの和服姿。とんと拝見したことがないのですが。
今年のあのお方の姫はじめ・・・たしか奥方は、和服であられたような。^^
そうではなかったような。^^

いちばん上の段は・・・おっ、あるある。
ストッキングが何足も。束ねて、結ばれて・・・とぐろを巻いていますね。
こちらのツヤツヤしたやつは。
週末のパーティ帰りに往き逢ったとき。脚に透しておいでのやつでしょうか?
触った感じも、サラサラしていますな。
お・・・上げ底になっている。
がたり。
ん。はずれた。。。
奥から出てきたのは。
裂けた肌色のストッキング。
もしかすると。
初めてあのお方とお逢いになったときのもの・・・?
ふつうは、せしめた吸血鬼がそのままコレクションにするものなのですが。
きっと由貴子夫人。
恥ずかしかったのでしょうな。
破かれたストッキングを、そのまま男の手中にされっぱなし・・・という状況は。
それで、あとでおねだりをして。ご返却いただいたのでしょうな。
いかほどの代償を払われたのか・・・想像するだけでウフフ、でございますが。^^
それでも返す・・・ということは。
ただごとでは、ありませぬ。
せしめたものはいつまでも、手許におきたいもの。
それをわざわざお返しになっている・・・ということは。
いつでも此処に来て・・・手に取ることができるから・・・という気安さからなのかも知れませんよ。^^
こういうコレクションを物分りよく吸血鬼が返してくるときは。
ご亭主がたはくれぐれも、ご用心、ご用心。^^

お嬢さんのほうは、いかがかな?
あっ。
車のエンジンの音。
もう、お戻りなのかな?
こんなに早くお帰りなら・・・もっと早くに遊びにくるのだった。
見つかったら、ハリツケ、獄門になりかねない。
くわばら、くわばら・・・

お礼

2006年09月17日(Sun) 23:43:09

↓のように、柏木サンご一家がお出かけになってしまわれたので。
ちょっとのあいだ、ネット落ちしておりました。
そのあいだに、たくさんのコメントを頂戴し、まことに感謝に堪えません。
ほんとうに、突飛なお話ばかりなのに・・・
どのコメントもじつに的確な、的を射たものばかり。
拝見していてズキッとくること。再三でございました。
これからも「柏木ワールド」を、どうぞ心ゆくまでご堪能くださいませ。m(__)m

吸血ピクニック♪

2006年09月15日(Fri) 15:07:27

「ご用意は、よろしいの?」
パソコンのディスプレイから顔をあげると。
妻がにこやかに、笑みかけてくる。
きょうは、週末のピクニック。
けれども彼女のイデタチは、およそアウトドア・・・という感じからはほど遠い。
フェミニンなシルエットのワンピース。
モノトーンな幾何学模様が爽やかに、年より若い素肌を惹きたてている。

短めなすそから覗いた太ももは、薄手の黒のストッキングに白い皮膚をじんわりと滲ませていて。
静脈が鮮やかに、透けている。
蒼白い血管をめぐっているのは、ウキウキとはずむ淫らな血。
早く、吸っていただきたいの。
たっぷりと、吸い取っていただくの。
そうしてそのあとは・・・オトナ同士のお愉しみ♪
ね?週末ですもの・・・
少しくらい乱れてしまっても・・・お赦しくださいますよね?
歯切れのよい呟きが、子供たちに聞かれないほどのひめやかさで。
私の鼓膜を、刺激する。
鼓膜の震えは妖しい疼きを伴って。
脳裡を淫らな極彩色に染めてゆく。

さて。
私はパソコンの電源を切って、立ち上がる。
表向きはいかにも気の進まない様子で。
それでいて、ついウキウキと胸昂ぶらせてしまっている自分がいる。
昂ぶる私。弾む妻。
そんな夫婦を見透かすように。
息子は半ズボンの下、ストッキング地の濃紺のハイソックス。
娘は夏物の白いセーラー服。
いずれも薄い靴下に、肌を妖しく滲ませて。
「待たせてはいけないわ・・・血を吸ってもらいたくって、うずうずしているのよ。あの子達。」
妻は並びの良い白い前歯を輝かせ。
イタズラっぽい笑みを絶やさずにいる。

「あちらではひと晩、泊めていただくとしようか。帰りは運転どころじゃないだろうから」
重々しくそう告げると。
「彼女、誘ったんです。途中で拾ってくれますか」
息子がまじめそうに、訊いてくる。
ああ、もちろん。歓迎するよ。
先方もおおぜい、お待ちかねのようだから・・・
くゆらいだ笑みを互いの神妙な面持ちに押し隠して。
では。行ってまいります・・・
薄暗く鎖された自宅に、錠をおろした。

喪服のすき間

2006年09月15日(Fri) 07:42:47

血を吸い取られて、蒼白くなって、横たわっている私。
その私を弔うために、近親者の多くが一夜を過ごす。
まがまがしい吸血の行なわれた、この部屋で。
十畳はあろうかという、広い畳部屋。
お膳のなかに仕込まれた眠り薬に酔い果てて。
妻も、母も、姉や妹も。
ひとしく喪服姿のまま、正体も無く転がってしまった。

薄暗くなった部屋のなか。
そうっ、っと身を忍び込ませてきたのは。
隣家のご亭主。幼馴染みの悪友ども。いずれも私の血を吸った張本人たちばかり。
どれ、ご馳走になろうか?
儀式のあいだじゅう。
肉づきたっぷりな、妹の脚。
年にも似ずすらりとした母の脚。
黒の礼服のすそから見え隠れする、薄墨色のストッキングに包まれた脚たちを。
よりどりみどり・・・というもの欲しげな目つきで品評していた連中だ。

うふっ。
奥さん。今夜は大役ご苦労さま。失礼しますね♪
抱き寄せたのは、隣家のご亭主。
あのひとも。奥さんを吸血鬼に姦られちゃっているのだから・・・と、ここはちょっぴりガマンしてみる。
じゃあ、オレは妹さんを・・・
どいつもこいつも、眠りこけている家族のうえに、
思い思いにおおいかぶさって。
きゅっ。
くちゅう。
首筋に、ふくらはぎに。
不埒な唇を這わせてゆく。

お母さんの血も、イケるな。
お姉さんも、なかなかだぜ?
妹さん、処女だ~。
お互い獲物を取り替えっこしながら。
眠り続けている私の傍ら、愛する女たちをひとり残らず、食い散らしてゆく。
ワイザツに、フトドキに。あしらわれながら。
それでも女たちは、気づかない。
「ううん・・・」とか、「うぅ~ん・・・」とか。
唸りながら、呻きながら。
眠りこけている。

お母さんのストッキング、薄いね。
奥さんのも、セクシーだぜ?
とても弔っているって感じじゃ、ないよなぁ。
もうすぐ生まれ変わるんだろ?吸血鬼に。
シッ!よせよせ。あんまり調子に乗ると、ご主人だって目を覚ますぜ。
けど、目ぇ覚ましたら・・・こんどはオレたちの女房の番だろう?
じゃ~、ちょっとくらいの悪戯は・・・おお目にみてもらえるかな?
ムリムリ。嫉妬深そうじゃん。あいつ。
どっこい。^^;
くすぐったい声色、物音だけで。
じりじりそそられている私。
必死になってこらえながら、寝たふりをつづけている。

あー。(><)破っちゃった。
こっちもだよ。
バレるかな?^^;
そのときは、そのときさ。
(声をひそめて)犯すの・・・?
それは、あとの愉しみ。どうせなら、あいつが生き返ったあとで愉しもうよ。
うんうん。それ、いいね。賛成♪
暗がりの悪戯は、クライマックスを迎えている。

おもむろに明かりが差し込むころ。
チィチィ・・・
鳥の鳴き声が、木霊のように冷えた空気を切り裂いている。
もぞもぞと体を動かしはじめたのは、母。
あら。眠っちゃったのね。
少し疼くのか、うなじに軽く手をやったけれど。
朝の支度、始めなきゃ。
そそくさと、部屋から立ち去ってゆく、
通り抜けてゆくふすま越し。
ふくらはぎにはしたたかに、ス黒トッキングの裂け目を滲ませている。

うん?
つぎに目ざめたのは、妹。
晴代さん、晴代さん。
妻を揺すって、起こしてやって。
あら・・・寝ちゃったのね。くたびれたのかしら。
妻も何気なく、うなじを軽くひっかいて。
おなじしぐさをする妹のことを、なにも気づかずぼんやり眺めて。
ついでに脚を掻いたとき。
あら。
ストッキング、破けてる。
替えなさいよ。
そうねぇ。新しいの、あったかしら?
やはり起き出した姉と顔を見合わせて。
あら、あたしのも破けてる・・・
困ったわね・・・
悪戯がばれそうになった悪童のように、どうして私がおどおどするのだろう?

ふたたび現れた母は、喪服のうえからかっぽう着をつけていて。
早く起きなさい。きょうも忙しいですよ。
そう言って。
はい。新しいのに履き替えて。
女たちに封を切っていないストッキングを、パッケージごと渡している。
あら、あら。
女たちは苦笑いを交し合って。
やだ!
叫んだのは、姉。
妹が戯れて、わざと裂け目を広げていた。
もう。こんな日にふざけちゃ、ダメよ。

かしましい騒ぎがひとしきり過ぎると。
女たちは思い思いに身をかがめ、
破れたストッキングをその場に脱ぎ捨てて。真新しいストッキングを取り出して。
むぞうさに脚を突っ込んでゆく。


あとがき
ちょっぴり、フキンシンですね。反省です。^^;
ほんとうのお弔いではなくて。吸血鬼になる前祝いのようですが。

喪明け 2

2006年09月15日(Fri) 06:39:38

うふふ・・・うふふ・・・
きらめく燭台の傍ら。
ここは夜更けのリビング・ルーム。
すこしばかり豪奢に。
薔薇の花束を盛りだくさんに、飾りつけて。
キャンドルを三本、くゆらせて。
時折その一本が引き抜かれ、熱いしたたりが白い肌を焦がす夜。

黒の礼服に身を包んだ妻は。
一方からは夫であった私。
もう一方からは、情夫となった彼。
吸血鬼の情夫と。
情夫に血を吸われてしまった夫とは。
いま新たな関係を妻の血潮で祝おうとしている。

左右に挟まれて、迫られて。
アラ、いけませんわ。
と、情夫を押しとどめ。
あなた、他人様のまえで・・・はしたないわ。
と、夫をたしなめて。
片方を抑えようとすると、もうかたほうがちょっかいを出す。
スキなく装ったはずの礼服のすき間を求めて、
ブラウスをまさぐる手。
スカートに這いこむ手。
どちらも鉄火な調子ではね返してはみるのだが。
ああっ。いやぁん。
甘く崩れ始めた声色に。
男たちはここぞとばかり、つけ入ろうとする。

あっ、そこはダメ。
あら、お許しになって・・・
きらめきながら揺れる、イヤリング。
しゃらり・・・と流れる、ネックレス。
ヤツの手が妻の頭を撫しながら。
きちんとセットしてまとめた黒髪を、巧みな手さばきでほどいてゆく。
ゆさっ。
と、揺れた黒髪が。
あっ・・・
という間もなく。
お嬢さんのように、黒のスーツの肩先を。
すべるように、流れてゆく。

太もものうえに手を添えて。
スカートを抑えようとしたけれど。
しつように侵入を試みる手だれな指は、もぞもぞとまさぐりをくり返して。
ひざ下に這わされた不埒な唇は、
黒のストッキングをオブラアトのように、とろかしてしまおうとする。

もう・・・ダメっ。
聞き分けのない子をなだめるように。
ゆるくかぶりを振りながら。
折り目正しいスーツ姿は、ゆっくり姿勢を崩してゆく。
かわるがわるうなじに押し当てられた強烈なキッスに。
じょじょに血潮を奪われて。
ちらちらと降りかかる血潮は、熱い霰となって黒の礼服に散ってゆく。
あぁ。もう。限界かしら・・・
はだけた胸に、二の腕に。
臘のあとを赤く滲ませて。
素肌間近に近寄せられた蝋燭に、
白い肌身を、炙られて。
軽い責めに、酔いながら。
衣裳もろともの凌辱に、甘い愉悦を滲ませる。

ぐら・・・
と揺れた上体を、彼は巧みに支えつつ。
さぁ奥さん。いただくよ・・・
にんまり笑んだ口許にあやした牙を
まるでとどめを刺すように、はだけた胸元に圧しつけてゆく。
ちゅっ、ちゅうっ・・・
あぁ。
妻の血が、吸い上げられてゆく・・・
陶酔と、忘我のひと刻。
そしてつぎに妻の身にふるかかるであろう凌辱は。
わが身をいっそう、妖しい焔で灼きつくすのだろう。


あとがき
夫婦ながら、血を吸われ。
吸血鬼となった夫と共有する、吸血のひと刻。
軽い遊びのように応じてゆく奥さんの挙措を描いてみました。

喪明け

2006年09月15日(Fri) 06:02:22

とうとうご主人、お見えになりませんでしたね。
雨戸のすき間。暁の光が眩しく射し込みはじめたころ。
長いこと、輝美におおいかぶさっていた影がそう呟いた。
ええ・・・。
相手は、夫の血を吸った屍鬼。
夫の親友でありながら。
というよりも、そうであるがゆえに。
僕も、ナカマに加えてくれよ。
むしろ愉しげに身をゆだね、夫は彼に血を吸い取らせていった。

生まれ変わるとき。
はじめて夜の訪いを入れる相手は・・・多くの場合は家族。
今夜がちょうど、そういう夜のはずだった。
あいつが出てきたら、奥さんの血を祝い酒にしなくちゃね。
夫の亡きあと、そういいながら喪服姿にすり寄ってきた彼は、
なかなかのお調子者。
ためらいつつも許してしまった首筋に。
受け容れた牙は、思いのほか熱かった。
そのまま崩れて、操までゆだねてしまった、夫の写真のまえ。
こうなることも、予期していたのか。
写真のなかで、夫は人のよくない笑みを浮かべたような気がした。

さぁ。ご主人が来ないのなら。
男は、本腰を入れたようだった。
輝美さんの血は、そっくりボクのもの・・・かなっ?^^
底抜けに能天気に、にじり寄って。
奥方のうなじをぐい・・・と咥える。
あぁ・・・あなた。
震える声音に誘われるように。
牙がぐぐ・・・っ、と。
喪服姿を侵してゆく。
あなた・・・あなた・・・
じょじょに血を引き抜かれて、頼りなくなってくる身を支えながら。
女は知っている。
雨戸の向こうの人影を。
そしておそらくは、男のほうも。
親友の、視たがる嗜好を察している。
それが、キミの愉しみかたのようだね。
いいだろう。ぞんぶんに、愉しませてもらうよ。
ちゃんとキミの分も、残しておいてあげるからね。^^

音もなく倒れたスーツ姿のうえ。
しつようでナマナマしい吸血の音が、いつまでも続いてゆく・・・


あとがき
ふつうなら蘇えったとたん家族を襲って。
暖かい血潮で喉の渇きをうるおそうとするはずなのに。
あなた・・・あなた・・・という奥さんの呼び声も。
変わった嗜好を持った夫をそそらせるためのお芝居なのかも。
それと察した情夫さんもノリノリで、奥さんの喪服姿にのしかかってゆくのでした。^^

いけませんわ。お許しを・・・
後ずさりする淑やかな喪服姿が迫ってくる影に追い詰められ抱きすくめられてゆく場面。
迫力満点な不倫のシーンに、蘇えったばかりのご主人も。
きっと昂ぶってしまったことでしょう。

表現あれこれ

2006年09月15日(Fri) 04:38:49

ディテールをいかに表現するのかは、作品のシャープさ、まったりさ加減を出す意味ですごく重要なのですが。
ひとつの動作の表現はどうしても限られてくるのも事実です。
つい多用してしまうのですが。
肌に吸いつく唇の、隠微でややナマナマしい感じを表現したいとき。
比喩として「ヒル」を使います。この前はどこかで、「ナメクジ」と言い換えてみました。

黒のストッキングで清楚に装った足許に、かすかによだれを帯びた唇がヒルのように吸いついた。
黒のストッキングで清楚に装った足許に、かすかによだれを帯びた唇がナメクジのように吸いついた。

どちらもお下品ですね。^^; はは。
もちろん、わざと下品な感じを滲ませた表現です。
どちらのほうがぴったりきますか?
ほかにこんな表現は・・・?というのは、ございますか?
あったらぜひ、教えて下さい。参考にさせていただきますので。^^

彼氏のお母さん♪

2006年09月14日(Thu) 06:59:32

「彼氏のお母さん♪」
みちるがウキウキと引き合わせたのは、とてもきれいなおばさまだった。
みちるは、喪服。
私たちも、喪服。
申し合わせたように黒一色の衣裳のなか。
彼氏のお母さんが身に着ける、ワインカラーのブラウスはとても華やいでみえた。
「あら♪わたしも喪服であわせたほうがよかったかしら?」
みちるとはもう、ウマが合っているらしい。
明るい性格のお母さんみたいだ。
「でも靴下は・・・ほら。ちゃんと黒を履いてきましたよ」
えび茶色のロングスカートをたくし上げると、
ぴかぴかの黒のエナメルのハイヒールに、薄墨色のナイロンがほどよく映えて、
キリッとした脚線美を際だたせている。
誰言うともなしに。
美味しそう~・・・
羨ましそうな声色を、くすぐったそうに受け止めて。
じゃあ、召し上がれ。
奥様はじぶんのほうから、傍らのベッドにゆったりと身を沈ませる。

「ね。ね。うまくしつけたね。どうやったのさ?」
みちるを裏に呼んで、裕美が訊く。
「ううん。なんにも・・・」
みちるはかわいく眼をくりくりさせちゃって。
「ちょっぴり血を吸っただけ・・・それでもう、お母さんノリノリになっちゃった♪」
もともと、ノリノリな人みたい。
仲良くなれそうね♪
みんな、口をそろえて歓迎する。

歌枝子は、首筋を。
華代は、胸を。
そして裕美はやっぱり、脚を。
歌枝子が
「失礼しますね」
と、熟練した看護婦が注射を打つみたいにさりげなく牙を滲ませると、
華代はワインカラーのブラウスをくしゃくしゃにしながら胸もとをあらわにしてゆき、
わたしはわたしで、息を詰めて見守るみちるの前、黒のストッキングの足許に唇を吸いつけてゆく。
さすが・・・ブランドものね。感触がちがうわ。
わたしの声が聞えたのか。
奥様は得意気な笑みを滲ませていた。

彼氏とね、別れ話・・・してきたの。
しょんぼりと佇んで涙ぐむみちるを皆で慰めたのが、つい先週のこと。
べつの世界に行っちゃったから・・・
本当はもっと、あなたと暖まっていたかった。
そんなひと言が、効いたのか。
踵を返して、彼氏はふたたび戻ってきてくれた。
肌が蒼くなっても、きみの優しさは変わらないね。
本当は飢えていたのに。
彼氏の顔色を気遣いながら、血を吸い取っていったみちる。
「ゴメンね。痛い・・・?」
「平気だよ。(*^^)v美味しいかい?」
「うん。とっても♪」
ほんのさりげないしぐさから、相手の気遣いまで読み取ってしまうほどの絆は、
冥界とこの世との隔たりすらも越える力を持っているのだろうか?

「母さん、母さん。みちるのことなんだけど・・・」
実家に連れ帰ったみちるの前。
死んだとばかり思っていたらね。ほら、戻ってきてくれたんだ。
ただし、吸血鬼になって・・・ね。
結婚しても、いいだろう?
ちょっと待ってよ!いくらなんでも・・・
いいかけたみちるに注がれたのは、意外なくらい親しみの込められた視線。
あらぁ。吸血鬼なの?昔映画でよく見たわ。
本当に、血を吸えるの?
じゃあ母さんにも、やってみて。
きちんと脚をそろえて真向かいに立って。
うなじをちょっと仰のけて、眼を瞑る。
「母さん、いいの・・・?」
気遣う息子の声もどこ吹く風で。
「あら。意外に痛くないのね。手加減したでしょ?お気に召したらもう少し、召し上がれ♪」
などと、あっけらかんとのたまわって。
息子一人じゃ、負担でしょうから・・・たまには私の血も吸ってくださいね。
いつか後ろに回った息子が肩を抱きとめてやるほどに、身を支えきれなくなっていた。

「肝心の彼氏は、どこにいるの?」
ワインカラーのブラウスに血をしたたらせながら。
華代が目をむいた。
「そうそう。紹介、まだよね?」
二の腕、わき腹と、甘えるように咬みついていった歌枝子も
「早く紹介してよ。・・・男の血も吸いたい」
ところがみちるったら。
だ~めっ。
彼氏はあたし一人のものよ♪
でもすぐそこで。
お母さんが血を吸われているの覗いて、さっきから昂ぶっちゃっているみたいだけど。^^;


あとがき
さやかさんのリクエストにお応えしまして。
哀れな彼氏?を登場させてみました。
・・・って、ほとんどお母さんの一人舞台ですが。^^;

お婆さまと婚約者

2006年09月14日(Thu) 06:39:29

塵一つ無く掃き清められた一室は、表向き荒れ果てた古寺のなかとは思えないくらいぴかぴかとしている。
長い黒髪を楚々と垂らしたベージュ色のカーディガン。
きちんと正座をした白のキュロットスカートのお尻からわずかにのぞくつま先は、ツヤツヤとした肌色のストッキングにくるまれている。
許嫁の彩子はとても落ち着いた物腰で。
みるからに怖ろしげなしわくちゃの老婆と、にこやかに談笑している。

さいしょに襲わせたときには、むろんこうではなかった。
姑となる母の悪趣味で。
わざと突然、遭わせたのだから。
それはもう、大騒ぎだった。
必死で抑える衣裳を一枚一枚、剥ぎ取られ、
肌色のストッキングをぶりぶりと引き裂かれ、
はだけたブラウスのすき間から突っ込んだ手に、乳房をまさぐられ、
まるで犯されるようにして血を啜り取られていった、うら若いOL姿。
思い出すたび、いまでも胸がズキズキとする。

「どうなさったの?」
秋には妻となるそのひとは、面白そうに小首をかしげてこちらのほうを窺っている。
おおよそこちらがなにを想っていたのか、察しをつけた表情だ。
きっと、さぞやしっかり者の奥様になることだろう。
老婆のガマンが、限界に近づいたようだ。
しわくちゃな唇にはさっきから、泡だつよだれを含ませて。
ストッキングの脚もとに早くなすりつけてやろうと、ウズウズしているようだった。
「あ。わたくしもう平気ですわよ。もう慣れてしまいましたから」
あくまで折り目正しい言葉遣いの許嫁は、黒髪を揺らして脚をくつろげた。
こちらのほうがよろしいかしら?
しつらえられたソファに腰かけて。
もうたまらずに這い寄ってくる老婆のまえ、にこやかに笑みながら。
ストッキングの光沢に輝くふくらはぎを流してゆく。

花婿の見ているまえ。
よだれを光らせた唇が、臆面もなく貼りつけられた。
両脚をしっかり捕まえて。
にゅるにゅるといたぶるように、なすりつけてゆく。
凌辱を受けたストッキングは、じりじりとねじれながら、整然とした網目をゆがめてゆく。
「あなた。恥ずかしいので・・・ちょっとはずしていただけませんか?」
女に言われるままに、ふすまの向こうに引き取って。
黒髪の頭がユサッと大きく揺らぐのを、背中で感じ取っている。

ふたたび呼び戻された部屋のなか。
彩子は無表情で、身づくろいをしていた。
脱ぎ捨てられたカーディガン。
はだけてくしゃくしゃにされたブラウス。
太ももまでさらけ出すほどたくし上げられたキュロットスカート。
ひざ下まで破れ落ちたストッキング。
凌辱のあとに似た風情は、初めて襲わせたときそのものだったけれど。
虚ろな瞳の奥には、淫らで妖しい翳が漂っていた。
秋にはいよいよ、祝言かえ。
「はい。村の結婚式場を予約してあります」
応える私も、無表情。
「ぜひお越し下さいね」
彩子が軽く、言葉を添える。
本当は春には挙げるはずだった。
けれども老婆に少しでも処女の生き血をあてがうために。
半年、祝言を延ばしたのだ。
もうこれ以上は・・・待てまいの。
「母や妹も、参りますわ。ぜひ紹介させてくださいね」
結婚式ですから。それは着飾って参りますわよ。
とんでもないことを口にしているというのに。
彩子は悪戯っぽく、ほほ笑んでいる。
「母の相手は・・・あなたにお願いしようかしら」
そう、そのあいだ。
都会育ちの彩子は、ほかの男に純潔を捧げるのだ。

「相手を選んでおいたぞ」
「どなたです?」
「・・・・・・じゃよ」
さも嬉しげに老婆が口にしたのは。
ごく親しい年配の親類のひとりだった。
「あ・・・」
とっさに頭を、抱えてしまう。
あの男なら・・・
きっと妻を・・・むぞうさに狂わせてしまうだろう。
時折連れだって、悪行を共にした間柄。
彼の目のまえで、彼の妻を犯したこともある。
お返しをせねばなるまい。
老婆は無言で、そう呟いている。
生涯の伴侶が夫に見取られながら純潔を捧げる相手。
終始妻の影に寄り添うことになる相手。
裏と表から・・・妻を愉しみ合う相手。
彼ならきっと・・・若い夫婦を和合に導くような。
刺激に満ちた三角関係を実現してくれるだろう。
「よろこんで・・・花嫁の相手として受け容れます」
神妙に頭を下げる私。
さすがにちょっと照れたように、頬を染める許嫁。

視ることで。
私は花嫁の純潔を愉しもう・・・。

柏木ワールドにおける”寝取られ”

2006年09月14日(Thu) 06:13:01

M的な世界を描くジャンルのなかでクローズアップされている?のが「寝取られ小説」という分野です。
主人公の男性が妻や恋人を寝取られることによって昂ぶってしまうという、一種異様な心裡や光景を描いたお話なのですが、
快楽系とか鬼畜系とか、バリエーションがかなり分かれるみたいです。
その全体像を解説するのにはとてもスペースが足りないのですが。
ここでの"NETORARE"は、以下の点を踏まえて描いています。

1.なによりも夫婦の間が強い絆で結ばれていること
どうでもいい女を犯させるのは、なんの感興もありません。
また、普通の不倫に見られるような「心を裏切る」行為や想いも、
夫を交える・・・という路線からははずれるように思います。
互いに愛し合いながら、別の男性を介して性を愉しむ。
もっと露骨に言ってしまえば、
ほかの男の腕のなか、身もだえしながら目配せを送ってくる奥さんとオトナなやり取りを交わし合う・・・というのが理想です。

2.夫と間男氏とがウマが合っていること
ふつうなら仇敵同士になりかねない関係ですが。
ここではおなじ女性を愛するもの同士。
ひとりの女性を表と裏から愛し合い、相互の結びつきを強めてゆくようになります。
生涯の伴侶を共有するわけですから、家族にもっとも近い間柄。というのが基本です。
間男氏はあくまでご主人を立て、ご主人はふたりの交際を尊重する。
「一週間出張なので・・・妻と逢ってやってもらえませんか?」
「それは好都合です。あとはお任せを。退屈させませんよ^^」
「ええ、どうぞよろしくお願いしますね」
こういうやり取りが、基本です。

3.無償の行為であること
奥さんの貞操を譲り渡す見返りに、なにかを求めたりしないこと。
もちろんお金にかえるなど、もってのほか。
お金などでは買えないものを、相手の男性にお捧げするわけですから。
一方的に妻を犯されて・・・自家の令夫人を、娼婦に変えられて・・・それが無上の歓びにつながる。
Mとしてのわきまえ・・・といいましょうか。

4.相手の男性が特定されていること
不特定の男性に輪姦されているところを見たい・・・という欲求もあるようです。
村の黙契に守られて、暗く仕切られた密室のなか、戯れ合う複数の男女。
というノリも捨てがたいですし。
村に来たばかりの夫婦ものが村にとけ込むとき通過儀礼として奥さんを複数の村人に提供する・・・というしきたりなどもあるのですが。
本命?な男性はいちおう一人かな?

きわめて微妙な均衡に成り立っている関係なので、実際にこうした「幸せな三角関係」が成立することはきわめて稀だと思います。
ここでは主に「吸血」という行為を通じて相手の理性を甘美にゆがめさせ、世間的なプライドを取り去ってしまい、
真に目ざめた欲求のままに身をゆだねてゆく・・・というパターンが多いかもしれません。

奥様やお嬢さんを真夜中に誘惑されて。
自分の知らない処に連れ出され、吸血されてしまう。
生き血とともに、身も心も吸い取られてゆくことで。
魂を抜かれたようになった女たちは、
夫ならぬ相手に、身も心も捧げてしまう。
吸血ストーリィにある種不倫の香りが漂うのは、こうした側面からではないでしょうか。
たんに女性を獲物として食い荒らすモンスター的な吸血鬼も多いですし、彼女の個性にまで届くほどの愛し方をするものでも、夫にとっては仇敵であることに変わりはありません。
柏木ワールドに出没する吸血鬼は多くの場合、夫にまで目線を投げかけてゆきます。
それがたとえ、夫の背後にあるその母親や姉妹たちにまで注がれたものだとしても。。。^^

夫のほうが積極的だったりするのも、柏木ワールドのおおきな特徴的です。
妻を狙う吸血鬼に進んで手を貸して、貞操を喪失させてやったりしています。
柏木氏はごく若いうち、婚約中の由貴子さんを吸血鬼に紹介するのですが。
とうとうカミングアウトできないままにお邸に連れてゆき、
ストッキングのふくらはぎに背後から忍び寄る彼のために、由貴子さんの膝小僧を抑えつけちゃったりしていますが。^^;
気になる女性が装われた淑女をかなぐり捨てて、どんなふうに乱れるのか。
その乱れようが悩ましいほど、男は女への愛を新たにしてゆくのです。
愛妻家のなかにこそ、寝取られ願望の持ち主は多いようです。
そういう意味で「隠れた供給」はあるのですが。
妻を寝取ろうとする男性の側の資質は、問われるところでしょうね。

お婆さまの妖力

2006年09月14日(Thu) 05:17:33

その老婆は、大昔から村はずれの荒れ寺に棲みついていて。
ひとの生き血を吸う種族の長(おさ)としておさまっているのだが。
強欲で冷酷、なによりも意地汚なく、かつてはたいそう悪さをしたものだった。
いまではさほどではなくなったのは、村の者たちが吸血鬼と睦まじくなったからだろう。
時折村長や病院長、校長といった、村では頭だった者たちの妻や娘が、
まるでお詣りでもするように恭しく、老婆に仕えにいくという。

おまえももう十三になったのだから。
お婆さまのところへ行かねばならないよ。
それがこのうちでのしきたりなのだから。
その若い身体から・・・
うら若い血をたっぷりと、吸われてくるのだよ。
親たちに言い含められて、送り出されて。
なおも心細そうにしていると。
兄さんがいっしょについてゆく、と言ってくれた。
セーラー服の夏服に、三つ編み姿。
濃紺のプリーツスカートの下には、作法どおり黒のストッキング。
黒革のストラップシューズのなか。
なよなよとしたナイロンが少女の肌をなまめかしく染めているのだが。
そんな風情は本人の注意を引くことは無く、
ただ傍らの兄だけが、勿体なげに盗み見るばかりだった。

破れた障子の扉を、ぎぎぎ・・・ときしませて押し開いて。
お堂のなかは埃っぽくて、中もさだかに見通せないほど薄暗い。
そこだけはきれいに掃き清められた廊下を伝って、さらに奥へとひたひたと足音を忍ばせる。
息を詰めた兄妹のまえ、薄闇の彼方から。
ククク・・・
いやらしい含み笑いが聞えてくると。
少女はもう縮みあがってしまって。
兄の首根っこにすがりついていた。

「さぁ、怖がることはない、もそっと近う寄れ」
老婆はせわしなく、手招きを繰り返す。
あまり控えめにし過ぎていると、しまいに怒り出して兇暴になると察した兄は、
「さ、遠慮なくお婆さまの近くに行こうよ」
つとめて明るく、妹の肩を押していた。
老婆はしわくちゃのあばた面に、ぼうぼうの白髪を逆立てて。
ところどころ歯の抜けた口を、始終くちゃくちゃとさせている。
娘をさらに怯えさせたのは、粗末な着物のそこかしこについているシミのあと。
ところどころ黒っぽく散ったあのシミは、きのうここを訪ねてきたクラスメイトのものだろうか?

「わしが醜いか?」
「い・・・いえ。決してそんな・・・」
「なーに、これでも、の。若い女の血を啜るとたいそう若返るのじゃよ」
おずおずと口を開く娘に、ふるいつかんばかりにしている
「生娘じゃろうの?妹ごの身持ちも、わらわにはすぐわかるのじゃ・・・
  もしも不埒な遊びにうつつを抜かしておったら・・・しかと仕置きをしてくれようぞ」
落ち窪んだ目の奥に蒼白い焔をゆらがせて近寄ってくると、
少女はひっ・・・と兄さんにすがりつく。
「もう、およしください。妹はこんなに怯えているんです」
兄さんは取りすがる妹を抱きかかえ、老婆を遮らんばかりにして抗議した。
「しきたり通り、血は差し上げますから・・・だからそんなに意地悪く虐めないでください」
妹は兄さんの胸に顔を埋めて、怖ろしい眺めから視界をとうにさえぎっていた。
「さきに、私のほうから召し上がっていただきます・・・そんなに飢えていては、とても妹を渡せない」
ズボンのすそをめくると、ストッキング地の長靴下に覆われた脛を、ためらいなく老婆のほうへとさし寄せる。

すまんの。
老婆は短く礼を言うと、
青年のふくらはぎに、むぞうさに唇を塗りつけた。
醜いヒルのように赤黒くふくれあがったしわくちゃな唇がキュウキュウと貼りついて、
兄さんの血を吸い上げてゆく。
妹娘は声を忘れて、兄の受難を見守った。
きゅ、きゅうっ。じゅじゅじゅっ。
意地汚くねぶりつけた唇で、薄い靴下をくしゃくしゃに踏みしだくようにして咬み破りながら。
ひとしきり血を味わうと。
着物の袂で口許を拭って、
「ウウ・・・」
抑えた唸り声は初めよりは、兇暴さをひそめたようだった。
「相変わらず・・・なかなか旨いの。おなごとはまだ、通じてはおらぬようじゃな」
にまにまと卑猥に笑んだ唇が、いつしかしわの消え始めた頬が、早くも艶を帯びてきて。
あまりの変化に、少女は息を呑んで立ち尽くす。
「さて・・・いよいよそもじの番じゃの」
少女は諦めたように目を瞑って。
黒のストッキングを履いた脚を、そっと老婆のほうへと差し出していた。

ククク・・・
足許ににじり寄る、含み笑い。
ねっとりとなすりつけられる、ヒルのような唇。
そのすき間からヌメヌメとあてがわれてくる、チロチロと生暖かい舌。
意地汚いいたぶりを受けて、きちんと履いてきたストッキングがじりじりとねじれてゆくのをありありと感じて、
妹は知らず知らず、兄さんにすがりついていた。
並んで腰かけたソファのうえ。
ふたりはしっかりと抱き合って、かわるがわる侵される吸血を耐えていた。
奪い去られてゆくぬくもりを、わずかずつでも暖めあおうとするように。

いずれ劣らぬ、佳き血をお持ちじゃ。
つぎはいつ、遊びにくるかえ?
エエ、いずれまた。近いうちにからならず、ね?
兄に促され、妹も頬を染めて頷いている。
チリチリに引き裂かれた黒のストッキング。
はからずも滲ませた白い肌を恥じるようにしていたが、
履き替えてはならぬぞえ。
老婆の容赦ない命令に、
やらしいわ。
と、笑み返していた。
注ぎ込まれた毒液が、少女に潔癖な恥じらいをほどよく和ませていて。
「もう少し、お愉しみになるかしら?」
いまは気前よく、いやらしく粘りつく老婆の唇を受け容れていた。

ごめんね。辛かった?
気遣う兄に、気丈に頷いて。
また、参りますわ。冬服になるまえに、ぜひもういちど・・・
よくガマンしたね。いい子だったよ。
兄は影のように寄り添って。
ぴったりと甘えて離れようとしない妹を連れ出した。
「すこし、休ませてください。貴女のお入りになれないお部屋がありましたよね?」
ああ、そうじゃな。ゆっくりしてゆくがよい。
老婆は物分りよく、青年の請いを受け容れた。

がたり。
裏部屋・・・と呼ばれたその部屋は。
小ぎれいに片づいた和室だった。
少女は上目遣い、兄さんのことをじいっ・・・と見つめていて。
その瞳に妖しい艶がよぎるのを、兄は見逃さなかった。
いいの・・・?
ウン。平気。
おずおずと伸びる手がセーラー服の胸元から、リボンをもどかしげに、取り去った。
失血に蒼く透きとおった頬に、初々しい迷いを滲ませながら。
セーラー服の後ろ姿が傾いてゆく。
もうガマンならない・・・
青年が少女を押し倒して、スカートのすそを乱してゆくとき。
ククク・・・
ふすまの陰から見守る眼が、声もなく笑っていた。


あとがき
奇怪な老婆に怯える妹をかばいつつ、兄妹ながら血を啜り取らせていって。
怖い愉悦をともにした妹は、兄に無抵抗で身を任せる。
さいしょから仕組まれた筋書きだったような気がします。
姉や妹、兄嫁や義母に心を惹かれた若者たちは。
しばしばこうして、道ならぬ想いを遂げてゆくようです。
なにかを交わしあった兄妹は、恥じらいながら家の門をくぐるのですが。
迎え入れる両親もすべてを察していて。
よければ今夜から。ひとつ部屋でお寝みなさい。
そういって、赤飯を炊いて成就した想いを祝ったということです。

乱れる女 視る女

2006年09月13日(Wed) 23:03:17

このひとは、ただのカゼ。こちらの患者は、高血圧。
瀉血がすむと、シジマ先生を呼んで。
すぐに処置をと、依頼する。
看護婦に似せた装いはよく見ると、
白衣に白のストッキングだけ。
中身は完璧な、女医である。
長い黒髪を根元から束ねて、細い首筋をきりりとあらわにしたところなどは。
ちょっと見ごたえある風情なのだが。
なにしろこちとらは・・・首根っこをつかまれている。(><)

こんちはぁ。
学校が終わるころ。
病院を訪れるのは、院長の娘・里江子。
結婚記念の海外旅行を両親にプレゼントして、かわりに病院を手伝いにきている。
どんな手伝いを・・・って?
もちろん、院長のアシスタント。
軽く手のひらをそよがせて、おいでおいでをして差し招くと、
スリッパの音をぺたぺたとさせて、素直にこちらにやって来る。

シジマ先生が、感心していたのだぞ。
なにしろ病名をすぐ、当ててしまうんだからな。

オレは彼女のまえ、がきっぽい自慢をする。
それでも彼女はすぐさまへらず口でやり返してくるから、油断ならない。
だってその分、血を吸えるわけでしょ?役得ね。院長先生♪
ばかをいえ。
病人の血は、まずいのだ。
なにしろどんな病原菌をかかえているか、わからないのだからな。
正直なところほとんどは、人に見られないように、吐き捨ててしまうくらいなのだ。
エ・・・?そうなの・・・?
女が顔を曇らせたのは。
オレのことを案じて・・・ではむろんなく。
その汚い血のついたままの牙を埋められる・・・と思ったからなのだろう。
安心しろ。消毒ずみだ。
ちょっぴりムッとしながら、そう応えると。
それなら・・・
うって変わって安堵したようにのべられる首筋に。
スッと牙を忍ばせてゆく。

少女を引き寄せようとする背後から、だしぬけに。
かちゃり。
失礼します。
静かな声とともに現れたのは、シジマ医師。
お嬢様がお相手をするときは。ごいっしょさせていただくように申し付かっておりますので。
ふぅ・・・
興ざめだ。
だが、追っ払おうとして素直に座をはずすようなタマではない。
少女をみると、第三者の存在などは眼中にないという風情。
かまわないわよ。早くすませて。
こちらもスッと感情を消した顔をして。
それでも身を投げかけてくるとき、息遣いを微妙に弾ませている。

注射針のような静けさで、少女の生硬な肌に牙を埋める。
ちゅっ。ちゅちゅう・・・っ
少女の血を吸い上げる音が、空き部屋に満ちるあいだ。
女は終始、能面のように凍りついた面持ちで。
身動きもせず、気配さえも消して。
ベッドの傍らの椅子に腰かけて、痴態の一部始終をみとどけてゆく。
犯すわけでは、決してない。
院長が戻るまで、処女のままでいさせる。
そんな暗黙の了解が、カレとのあいだには交わされていた。
けれども、していることはあきらかに、痴態。
きちっと装った濃紺の制服を乱れさせて、
制服の下に秘めたスリップや、好みに合わせて脚にとおしたストッキングの太ももをあらわにして。
なまの唇をおしつけられて、たんのうされているのだから。

おい。頼むからはずしてくれ。ちょっとのあいだで、かまわないから。
気が散ってかなわない。いくらそう訴えても。
女は無言の拒絶を強く秘め、能面の表情を崩そうとしない。
里江子はいつも。女のほうには目もくれないで、むしろ顔をそむけて吸血に応じている。
ブラのうえからまさぐる指も、ハイソックスをいたぶる掌も拒もうとせずに、
むしろ触れやすいように、いじりやすいように、体の向きを変えてくるのだから。
シジマ看護婦の目を決して厭うていないのは、明らかだ。
むしろ安心した面持ちで、積極的に身を投げかけてくるような気さえする。

じっと見ている女。目線を気にせず呼気を乱す少女。
声もなく耽る熱っぽいまぐわいは、美酒に酔うほどに甘美であるのに。
動と静。対極にありながら。
どこか示し合わせているようにさえ思える、女ふたり。

みちるの場合

2006年09月12日(Tue) 07:55:07

うふっ。美味しい。おいしいわ。
左からは、裕美が。
あらー。ワンピース汚しちゃったわ。ごめんね。
右からは、華代が。
色っぽい香水の香りを漂わせながら、わたしのうなじを咬んでくる。
きゅっ。ちゅちゅ・・・っ
そう、さっきから。
かわるがわる、うなじに口をつけてきて。
わたしの血を吸い取っている。

健康優良児・・・と言われた豊かな体。
けれどもふたりの吸血鬼をあいてに、私の血液は足りるのだろうか?
そもそも、家に帰してくれるつもりが、あるのだろうか?
亡くなったはずのふたりが目のまえに現れて。
えっ?えっ?
戸惑ううちに、追い詰められて・・・
何をされているのか気がついたときには、もう服を破られて血を吸い取られている最中だった。

けれども・・・
寂しいの。心細いの。
血が無くなって、頼りない気分なの・・・
唇で触れてくるたび、素肌に伝わってくるそんな想いに負けるように。
わたしは自分のほうから、肌を許し始めていた。
みちる、やっぱり優しいね。
お姉さんみたいに呟く裕美に、夢見心地に頷いて。

きゃっ、ダメ。くすぐったいっ。
やらしいー。そんなとこ。
わたしはいつか、いつものわたしに戻っていて、
スキを見つけて食いついて、まんまと血を抜き取ってゆくふたりに口を尖らせてぶーたれていた。
さー、脱ぎ脱ぎしましょうね。
華代がワンピースの背中のファスナーに手をやって、
ぴーーーっと容赦なく、下に下ろしてしまう。
あッ。ダメッ!
はち切れそうなおっぱいを、はずかしいほど露骨にぷりん、と。さらけ出されたときには、顔が真っ赤になった。
綺麗・・・
うらやましい・・・
同性の目が、値踏みをするように、わたしのおっぱいをじろじろと見つめて。
カレに見られるより、恥ずかしかった・・・

裕美はさりげなく背中に腕をまわしてきて、
ゾクゾクッと走る、戦慄の快感。
女の腕がこんなにキモチよいものだなんて。
裕美だからだったのかも。
なにをするの?って思ったら。
尖った爪を肩先とブラのストラップとのあいだに差し挟んできて・・・
ぶちぶちっ。
と、ストラップを断ってしまった。
ぷるん、と身震いするように。
ブラの束縛から解放された胸が、恥ずかしいほどの白さを薄闇にさらす。
わたし・・・本当はまじめなんだよ・・・
涙ながらに言い募ったけれど。
だ・・・め。
裕美は、許してくれない。
乳首をつまんで。くにゅくにゅともてあそんで。
あ。立ってきた。立ってきた。
正確な処方をする看護婦さんが体の変化を看取るように、
わたしの乳首の恥ずかしい変化を、冷静な目で見つめてくる。
反対の乳首は、華代の指のなか。
同じやり口で玩ばれて、そのうえ
ぬるり・・・
生温かい・・・と思ったら。
口に含まれてしまっている。
オネガイ・・・そこは、咬まないで。
わかったわ。
ふたりは頷き返してきて。
華代は、そのまま胸を。
裕美は、脚元を。
まえにもまして、ねっちりと・・・嬲り始めてゆく。

あっ・・・ああっ。。感じるっ。感じるぅ。
はしたない・・・と思いながら。
乱れてしまった、無人の路上。
石畳を擦る痛みも、恥ずかしさがおおいかくしていた。
黒のストッキングを履いたふくらはぎを、裕美はくまなく舐め始めている。
恥ずかしい。安物のストッキングなのに・・・
けれども裕美はおかまいなく、妖しい情愛さえ滲ませて。
舐めるのを止めようとしない。
おいしいの・・・?
思わず、訊いてしまった。
ウン。みちるが履いてくれるから・・・かな?
そういえば、いつもジーンズばかりで。女らしいおしゃれはほとんどしないわたしだった。
だから喪服を襲ったの?
そうよ♪だってそのほうが、愉しいんだもの。
それは・・・そうね♪
どんなにくしゃくしゃにされてしまっても。
いい服のまま、愉しませてあげちゃいたい。
不思議な衝動が、キケンな遊戯をエスカレートさせてゆく。

わたしも今は、軽く頷いてしまっている。
体のなかから血が抜けていって、
死んじゃうんだ。
そう思ったときだけ、少し泣いた。
裕美はそんなわたしを優しく抱きしめて。
ずっとお友だちで・・・いてくれるよね?
華代も、吸い取ったばかりのわたしの血を口許にきらきらとさせながら。
ぜんぶ吸いたい。残すなんて・・・まるで美味しくなかったみたいで。
そんなの、みちるもイヤでしょう?
軽い含み笑いに滲む冷たさが、女のわたしすらゾクッとさせた。
可哀想・・・ほんとうにゴメンね。
裕美は神妙に謝罪をいいながら。すぐに態度をがらりと変えて。
でも、ダメよ。逃がしてあげない。
こわーい・・・
わたしは両手で口を抑えて。わざと怯えたフリをして。
けっこう、愉しんじゃっている。

あとがき
女友だち二人に生き血を吸い尽くされてしまった三人目の犠牲者、みちるの回想です。

義姉さんに逢わせて・・・

2006年09月12日(Tue) 07:33:20

もう、ガマンできない。義姉さん連れてきて。
携帯電話に着信した、弟からのメール。
すでに半年まえに、死んだことになっている弟は。
吸血鬼となって村のそこここに徘徊を繰り返している。
せっかくの新婚生活を邪魔したくないからといって、
どこに住んでいるのか、告げようとしなかった。
眠りに就いたところを杭で打つようなまねをするものは、この村にはいないというのに。

呼び出しを受けると。
私は黙って携帯のメッセージを妻に見せて。
妻も黙って頷いて、いそいそと支度にかかる。
化粧をするとき、女はいつもしんけんな顔つきになるのだが。
鏡台に向かって、いつもより濃い目に口紅を刷いているとき。
妻の横顔はいっそう、キリッとした気品を漂わせている。

きょうの服は、茶系の横じまもようのワンピース。
肌色のストッキングのつま先を、ぴかぴかのエナメルのハイヒールに通すとき。
さりげないしぐさに、なぜか息を詰めて見守る私。
オトナっぽい服が、お好きのようね。
たくまずしてか。意図してか。
妻はことさらそそるようなことを、口にする。
悪戯っぽく、笑みながら。

仲良く寄り添うように連れだって。
弟の待つ村はずれの納屋に足を向ける。
ひっそりと立ち並ぶ納屋の一群は、夜更けにだけざわざわと、
声なき淫猥に空気を震わせる。
吸血鬼と、女たちとの逢瀬。
それは生前から結びつけられた夫婦であることも。
道ならぬ不倫の関係であることもあるのだが。
お互い顔をあわせても、あえてそれ以上、ことの成り行きを問わないことが暗黙のルールになっている。
それでも話は知らぬ間に行き渡っていて、
夫婦連れだって此処に来る目的が、
義姉に想いを寄せる弟の望みを遂げさせてやるためだと・・・
誰もがそれと察している。

こんばんは。
やぁ、どうも。またお逢いしましたね。
隣のご主人は、ちょうど立ち去るところだった。
いちばん隅の納屋をちらちらと振り返っているのは。
夫の目を気にする奥さんを納屋に残してきたからなのだろう。
その隣の納屋から注がれる、熱い目線。
半身だけ姿を見せた弟は、着飾った義姉に秋波を送りつづけてくる。

あっ。はあっ・・・あ・・・ぁ・・・ん。
聞いてはならないはずの、聞くに堪えないはずの妻の声。
からみ合うように、すがり合うように。
弾んだ息遣いとともに洩れてくる、ふた色の声。
いったん座をはずしてから、そっと覗き込む視線には、
納屋に埋もれた上体はさだかに見透かせないものの。
乱れたワンピースの裾からにょっきり伸びる妻の脚が
放恣な戯れにくねるありさまが、悩ましく狂おしく、網膜を染めてゆく。

カテゴリの新設について

2006年09月12日(Tue) 06:41:41

シリーズ化している観のある「院長、ご来客です」、
いままではばらばらのカテゴリだったのですが。
(たとえば13歳の娘が出てくるやつは「少女」とか)
連作:院長、ご来客です
のカテゴリーを作りました。
カテゴリ欄の一番最後に出ています。
さいしょにあるのは、「幻想」時代に描いた「絵を描く少年」です。
入院するハメになった吸血鬼と、薄命の少年との交流を描いた、しっとり系なお話です。
看護婦や院長夫人を襲いながらも、院長には頭の上がらない吸血鬼・・・という設定は、早くもこのあたりから確立?されているようです。

院長、ご来客です 4 天下を取ったつもりだが。(^_^;)

2006年09月12日(Tue) 06:34:29

病院の廊下を行き交う、白ストッキングに透けた脚。
すらりと細かったり。ムッチリと太かったり。
ウフフ。^^
きょうから、よりどりみどりだな。
なにしろ、院長はオレさまなのだから。^^
口許引き締めて、真面目な顔して通りかかる看護婦を。
出会いがしらに抱きすくめて。
手近な空き部屋に連れ込んで。
白衣をめくると、白のストッキングに透ける三角形のパンティが。
オレの股間を刺激する。
さぁ、診察だ。診察だ。
雇われ院長さまの、診察でござい。

女たちはみないちように、諦めきった顔をして。
表向き、ちょっとだけ抗って、
あとは期待に弾んだ胸もとを、ゆっくりあらわにしてくれる。
ベッドのうえ、立て膝をした脚をなかば開いて。
ひざ下まで引き剥かれたストッキングをひらひらさせている。
ふとももにはべっとりと・・・征服の証しが。
きょうで何人、征服したかな?
済ましたかおでアチラを歩いているあのおばさん看護婦も、
さっきは信じられないくらいねちっこく、もだえてくれたっけな。^^

シジマ看護婦がいらっしゃいました。
取り次いでくれたのは、いつもの接待用美人看護婦。
あのひとは苦手なのだと、顔にありありと書いてある。
聞きなれない名前だな。そんな看護婦、いたっけな?
気配を消してオレの目をくらませるなぞ、なかなかのもの。
どれ、わざわざこちらに飛び込んでくるのなら。
そのお手並みをとくと拝見してやろう。
白衣の裾をめくりながら・・・^^

ぽん。
院長席の机のうえに。
女が手投げ弾のように放り出したのは。
辞表。
えっ。(・0・)
だめだめっ。
部屋の隅から接待用美人看護婦が、小さく鋭く、かぶりをふって合図してくる。
えっ。どうしてよ。
たしかに美人だ。もったいない。それもオレ好みな、清楚な美人。
そんな問題じゃないんです。
えっ、だからどうしてよ。
たっぷり血をいただいたこの女とは。
テレパシーみたいに目線だけで通じ合う。
院長のお留守中・・・ここの治療はぜんぶ、シジマ看護婦が任されているんです。
えっ?ええっ?聞いとらんぞ。そんな話。
そもそも院長はこのオレ・・・といいかけたら。
テキは攻撃に打って出た。
「処置を頼んだ看護婦は戻ってこない。処方をするはずの薬剤師はふらふらといなくなる。受付の女の子はうわの空・・・こんな病院、聞いたことがありません。とてもじゃないですが病院の運営はできかねますので、きょうかぎりで辞めさせていただくんです」
おいおい、大きく出るじゃないか。お前一人くらいいなくたって、こっちは困らないんだぞー!
・・・と。思い切り言ってやろうと思ったら。
おずおずと進み出たのは、接待用美人看護婦。
「あの。。。こちらの診療、先生の瀉血で治りきらない患者さんは・・・みんなシジマさんが診てくださっていたんです」
へ?
「瀉血では治らない患者さんが、ほとんどなんです・・・」
申し訳なさそうに俯いているはずの顔が、にやにや笑いを隠しきれなくなっている。
陰の女王様は、勝ち誇ったような面持ちで。
「こんなカッコウしていても。医師免許もっていますのよ」
ツンと上向いた高い鼻が、小憎らしいほどひきたっている。
お、おーーーいっ・・・

「院長の命令ですから。看護婦を襲うなとまではいいません。襲われたがっているコも、中にはいるようですし」
ちらっ目線を投げられた接待用美人看護婦は、てへへ・・・と照れ笑い。
「でも、襲うのは一日三人まで。当番表作りましたから・・・ローテーション上この順序にしてくださらないと」
ははぁ。
突きつけられた当番表をながめると。
あの看護婦も、この看護婦も。
まだ襲ってないなかでも、気になる看護婦はすべて、網羅されてある。
一見地味で目だたない、そのくせむしょうに好みに合って、すごーく気になるアノ看護婦まで含まれているのには、正直恐れ入った。
「全員、私のほうからいい含めてあります。すべて承諾済みですから、そのなかで遠慮なく」
そのなかで・・・なるほどね・・・
気の毒そうに目線を投げかけてくる接待用美人看護婦と、仕方なさそうに目配せし合う。
なんだか白亜の病棟が、おおきな監獄のように思えてきたのだが。
「パラダイスでしょ?」
追い打ちをかけるように、声が降ってくる。
こいつはどうして、いちいちオレの先回りをできるんだろう?
「残念ですが・・・そのなかに、わたくしは入っておりませんの。わたくしが倒れたら、病院運営ができなくなりますものね」
はい・・・はい。(-_-;)

吸いつくされた恋人

2006年09月11日(Mon) 08:01:58

あなたがだらしないからよっ。
女はそういって、険悪な目つきで迫ってきて。
ボクのうなじに、力まかせに。
生え初めた牙を突き立ててくる。

あなたがついていながら。
一滴残らず、吸い取られてしまったのよ。
それで、こんな体にされてしまったのよ。
公園でのデートのとき。
ベンチで憩うふたりのまえに、にわかに現れた黒い影。
そいつは、立ちすくんでいるボクの目のまえで
羽織っていた黒マントのなかに、彼女を取り込んで。
あれよあれよ・・・という間に、牙をうなじに埋めていた。

ちくしょう!ちくしょう!ちくしょう!
女は付き合っていた頃には口にしたこともないくらい
口汚く罵詈雑言のかぎりを尽くしながら。
首といわず、肩といわず、めくらめっぽう牙を突き立ててくるのだが。
ワイシャツに散った血はほんの少量で、振るわれた暴力にいかほども応えていない。
きちんと装ったスーツ姿とは不似合いな暴力のはて。
はぁはぁ・・・と息を弾ませて。
どうしてこんなに、下手なんだろう?
もとから向上心の強い女。
めいっぱい力を出して、見返りに獲られたものの乏しさが、彼女をしんそこ打ちのめしている。
ボクは彼女の耳たぶに口を近寄せて、囁いてやった。
だって、血がないんだもの。
え?
びっくりしたようにふり向く彼女。
きみに逢うちょっと前にね。彼に出遭って・・・ぜんぶ進呈させられちゃったんだ。
ボクの分だけじゃ足りなくて、それでキミを・・・望まれて。
操られていたからね。頷くしかなかったよ。
まだ血を吸うことのできないボクにとって。
彼がきみの首筋に牙を埋めて、美味しそうに吸い取ってゆく横顔が、とても綺麗にみえて。
それだけで、なんかズキズキしてきちゃったんだ。
あたかも自分で、きみの血を吸っているような気分だった。
こんなボクを、軽蔑するかい?

彼女は深い瞳でこちらのほうをじいっと見つめて・・・
いきなり身を寄せて、キスをせがんできた。
あたし。カッコわるくなかったかしら?
いいや。とても素敵だったよ。
美味しく吸ってもらえて。よかったね。
抱き合い抱き返す、腕と腕。
ほんとはね。血・・・すこし残っているのよ。あなたに、飲ませてあげたくて。
彼に頼んで、残しておいてもらったの。
処女のまま、死んじゃったから・・・処女の生き血よ。
あおのけたうなじに蒼白く透ける静脈が、喉の奥まで疼かせてくる。


あとがき
恋人を吸血鬼に吸い殺されてしまった男。
けれどもそれ以前に、かれもまた吸血されていて。
まだ血を吸うことのできない彼のまえ。
抱きすくめられ血を吸い取られてゆく恋人を見ることで、本能の歓びを満たしてゆく。
ふたりながら襲った吸血鬼のなかで、恋人たちの血は熱く交わりあっていったのでしょうか。

似て非なるもの

2006年09月10日(Sun) 18:43:39

どういう分野でもそうですが。
表向きの嗜好と裏側に根ざすものとは、相当な隔たりを持っていることがあります。

たとえば。
女装・・・を例にとると。
女になりたい・・・というそもそもな願望がある人。
たんに女ものの衣裳を身に着けてみたい人。
前者のなかには当然、本来の同性である男性との性交渉に肯定的な人も見受けられます。
後者に根ざすものは、やはり女性に対する憧憬、でしょうか。

奥様寝取られ・・・を例にとると。
複数の見知らぬ男性に蹂躙させたい人。
モノのように扱われることに、無上の快楽を見出されるようです。
信頼のおける男性に愛する妻をゆだねたい人。
嫉妬の奥に根ざす妖しい愉悦のようなものを追及したいタイプに多いかもしれません。
どちらも日常の妻とはかけ離れた、牝としての妻を目の当たりにすることで、「落差の快楽」に浸りたいという共通項はあるようですが。
前者にはもしかすると、奥様への愛情と表裏の憎悪のようなものがあるのでは・・・という気もしないではありません。
後者は・・・どうなのでしょうか。自分では妻を満たしきれない・・・という自信のなさの表れ・・・と片付けるには、深すぎるものを感じます。

母親寝取られ・・・を例にとると。
母親とは本来性交渉はないはずなので、寝取られ・・・というのも妙ですが、感情において上記の寝取られと似た要素があるのは否定できません。
どちらの場合も凌辱の対象になる奥様なり母親なりに対して、深い愛情を注いでいる場合がほとんどです。
真っ二つに意見が分かれるのが。
自分でも母親を犯したいか?という点です。
犯したい という人と。
物陰からこっそり覗いていたい、という人と。
これは性格的に大胆か臆病か・・・というよりも、本質的な違いが秘められているような気がします。
前者からは、最も身近な異性である母親に対する、異性としての欲望を。
後者からは、誰かに絶対的に支配されたい・・・という衝動を。
ウラに見出すのは、私だけでしょうか?
私だけかも・・・ですね。^^;

感覚的なあて推量に過ぎませんけれど、
いずれの場合も、前者の方がセックスそのものに、即物的な関心を抱いているのにたいして、
後者のほうはもっと隠微な、得体の知れない底の深さを覚えます。
だからどちらかがもう片方に対して劣っている、とか、より歪んでいる、とか、そういう次元の問題ではないと思いますが。
ともあれ一見おなじジャンルの”特殊な性欲”も、ウラを返すと正体はまちまち・・・ということだけはいえるのではないでしょうか?

・・・って、この問題。
いつも深く描こうとして、いつも失敗するんですよねぇ。^^;

獲物にされた母娘

2006年09月10日(Sun) 17:40:05

逃げる少女に抱きつくようにして。
追いすがった。
押さえつけたベンチのうえ。
とうとううなじを咬んでしまった。
あー・・・
少女はたちまち目を回し、
それでもまだ正気を保っているらしく、
懸命にいやいやを繰り返す。
奪い取った血液の見返りに。
つけた傷口から、容赦なく毒液を滲ませてゆく。
少しずつ。少しずつ。
少女の抗いは、ゆるくけだるげになってゆく。

夏用の薄いセーラー服ごしに、少女の肢体から抗う力が去るのを覚えると。
秘めた欲望をあらわにしたい欲求にかられてしまった。
濃紺のプリーツスカートの下。
初々しい足首を涼しげに彩るのは、ストッキングのように薄い純白のハイソックス。
清潔な活力と。ゾクッとするような大人びた色香とが。
発育の良いふくらはぎを、妖しい彩りに染めている。

すまないね。きみの履いている靴下、ちょっと悪戯させてもらうよ。
不埒な呟きをなんとか拒絶しようと、
少女はまだ、いやいやを続けていたけれど。
かまわずスカートの上から太ももを抑えつけて。
もうしまりのなくなっている唇を、ひざ小僧のすぐ下に、したい寄らせてしまっていた。
薄手のナイロンのしっとりとした感触は、たちまち不埒な唾液に濡れた。
臆面もなく這わされる唇に、頭上から啜り泣きが洩れてくる。
すまないね。すまないね。
泣きじゃくる少女をなだめながら。
意外にしっかりとしたナイロンの舌触りの向こう側。
男の子みたいに生硬な肌が、
いたぶる唇を跳ね返すばかりにぴちぴちとはずんでいた。

きゃあ・・・っ
遠くに聞える、かすかな悲鳴。
思わずハッと、顔を見合わせる。
行ってみよう。
ふたり、どちらから言い出すともなく、あわただしく姿勢を起こした。
少女はずり落ちかけたハイソックスを、すす・・・っとひき上げるのを忘れない。

駆け寄ってゆくと、
草むらにうずもれかけた女性の半身に、
少女はちいさな悲鳴を洩らす。
「ママ・・・」
少女とよく似た面差しの女。
脂の乗り切った獲物・・・
そうとしか受け止められなかったのは、しょせんは私が獣だからか。

懸命に抗うワンピース姿にとりついているのは、見憶えのある老婆。
見憶えある・・・どころではなかった。
まだ真人間だったわが身から。
血を一滴あまさず吸い取ってしまった、呪うべき吸血魔。
うふふぅ。すべっこい靴下じゃ・・・
肌色のストッキングを穿いた女の足許に、
老婆はよだれに濡れた唇を臆面もなくねばりつかせている。
すでに毒液を注ぎこまれてしまったらしい痕を、うなじにくっきりと滲ませながら。
女は衣裳を辱められることを厭うように、
なおもはかない抵抗を試みる。
そんな抗いを嘲るように。
老婆はしつように、女の足許をいたぶりつづける。
少女の見ている目の前で・・・

女が諦めたように身を沈めると。
少女もまた、ふらふらと力を喪って、すぐ傍らに倒れ臥す。
うふふぅ・・・この子の靴下も。旨そうじゃ。
でかしたぞ、と、褒められて。
素直に歓んでしまっている己がいる。
すらりとした、母親の脛。
肉づきたっぷりな、娘の脛。
本人たちの意図とかかわりなく。
いずれ劣らぬ魅力を秘めて、
飢えた目線の前、惜しげもなくさらけ出してしまっている。
ぴちぴちとした血潮を秘めたふくらはぎに、
らんらんと眼を輝かせて。
あごをがくがくと震わせて。
思い思い、獲物を選んでにじり寄って。
恥知らずなべろをふたたび、這わせてゆく。
母娘ふたりながら、伸べられた脚もとに、
ふたりの飢えた吸血魔がとりついてゆく。
ぶちっ。
ぶちち・・・っ。
どちらの靴下が、さきに裂かれたのか。
夢中になっている私にも、わからない。

吸血に身を浸してしまった母娘は。
意識も朧に霞みながら・・・
早くも供血の愉しみを感じはじめてしまっている。
獲物を取り替えあって。
うなじを、二の腕を、太ももを、ふくらはぎを・・・
かわるがわる、咬んで、比べあって。
なめらかな薄手のナイロンの居心地よさに、
いっそうしつっこく、べろを這わせてゆく。
少女は苦痛に眉を寄せながら。
初々しいうなじを老婆にがぶりとやられてしまって。
キュウッ・・・キュウッ・・・
いやらしい音を響かせながら、ひたすら血潮をむさぼられている。


お邪魔します。
玄関先に立つ、一対の母娘。
靴下、愉しんでいただきにあがりました。
少女は、無言。
けれどもひざ下を帯のように取り巻いたナイロンハイソックスのゴムは、
ふくらはぎのうっとりするような輪郭に、鮮やかに初々しく、つややかに映えている。
母親らしく、少女を促すワンピース姿。
すそからにじみ出る脚は、薄墨色のナイロンになまめかしく彩られている。

まずは、理性を奪ってつかわそう。
老婆はそう嘯くと、まず母親を座らせて。
後ろから抱きつくように、うなじに唇を這わせていた。
お前ぇも、早く、やれ。
せかされるように。
少女の足許に、唇をにじり寄せてゆく。
ちょっとすくめた足許に、否応なく唇をねぶりつかせて。
履き替え、持って来てますから。
目をつぶりながら暗誦する無表情まで、見透かすことができるようだった。

あとがき
このところ続いている、「落穂拾い」の一品です。
6月27日にあっぷした「愛する弟に」と同じくらいのころに描かれたものです。
どういうオチにしようか思いつけなくなってうだうだと描いた挙句、廃案に・・・というところでしょうか。
多少加筆しましたが。
オチは相変わらず、見つかりませんでした。^^;
仕事に出かける時間が迫ると、往々にして幻と化したお話が生まれがちです。^^;

都会から来た夫婦

2006年09月10日(Sun) 17:05:20

あれからどうなったのか、記憶がさだかではない。
首すじに、口をあてがわれて。
ぐぐ・・・っ、となにかを、もぐり込まされて。
心地よい痛みとともに、すっと意識が遠くなっていた。
軽い眩暈がほどよい快感を帯びて、まだまとわりついている。
周囲は、オレンジ色の薄暗闇。
どうやら、家路をたどる途中らしい。
じゃああの男とは、すぐにその場で別れたのだな。
そう納得するしか、なさそうだった。
家のドアが、開いたままになっている。
どうしたんだろう?無用心な。
そう思いながら、いつものように靴を脱ぎ、家にあがった。
誰もいないのだろうか。
家のなかは、奇妙に静まり返っている。
妻も娘も、どこへ行ったのだろう?
おぉい・・・
しぜんと声の音量が落ちている。

あら。お戻りになられたんですね。
背後からにこやかに近づいてくるのは、サトミだった。
娘のクラスメイトの母親である。
打ち解けた笑みをたたえながら。物腰柔らかに、近寄ってくる。
サトミとは、通りいっぺんの関係ではない。
つい先日、こちらが転居してきたばかりだというのに。
女は目に見えないものに引き寄せられるように、
さりげなくスッと寄り添ってきて。
気がついたら、ベッドのなかだった。

そんな関係になってから。
私の在宅のときには、決して姿を見せないはずの女。
どうしてきみがここにいるんだ?
口をついてでてくる疑問を封じるように。
行きましょう。ここではなんですから。
まったくだ。家のなかで二人でいたら、ややこしいことになる。
いっしょに家から出ようとすると。
女は器用に身をすり寄せてきて。
いつの間にか、腕を組んでいる。
「・・・ぁ・・・」
別室から、呻き声のようなものが洩れたような気がしたけれど。
ふり向くいとまも与えずに、
さ。早く。
女は気づかないのだろうか。
私を引き立てるようにして、表に出ていた。

どこをどうやって歩いてきたものか。
ここは女の家だった。
ご主人は?
そんな問いすらも
いいのよ。
軽く受け流されてしまった。
愉しみましょ。
女は慣れた手つきでジャケットを脱ぎ、ブラウスの襟首をくつろげて。
自分のほうから、身を開いてゆく。
丈の短い白のスカートのすそから、ほんのわずか。
ガーターの止め具が覗いている。
ぞく・・・っ。ときた・・・
喉がカラカラに、渇いていた。
そう思ったとたん、我を失っていた。

あ・・・っ。はぁん・・・
媚態を含んだ、女の呻き。
先刻どこかでおなじような声色を、耳にしたような気がするけれど。
もうそんなことはどうでもよかった。
乱れたスカートの奥。
熱くほてった其処はもう、男の昂ぶりを奥まで迎え入れて。
あふれるばかりの精液を吸い込んでいた。
離れようにも、離れられない。
ねっちり絡みつく闇のなか。
いま少し。もう少し・・・
肌を吸いつかせて、倦むことがなかった。

突然さした、眩い光。
視界が定まって、部屋に入ってきたのが彼女の夫だと察して。
慄っ、とした。
修羅場は避けて通りたい。
ムシがいいって?そう言いなさんな。
そんな想いは、だれにもあるだろう?
けれども、どうも様子が違っていた。
夫です。・・・あなた。こちら、先日越してみえられた羽場さんよ。
女はあくまで、落ち着き払っている。
あぁ、どうぞ。お気遣いなく。
夫と呼ばれた男性は、見るからに気の良さそうな男だった。
半裸に剥かれた己の妻と。やはり半裸の男とが、夫婦のベッドで戯れあっていたというのに。
解せない思いで、いっぱいになる。
ご不審はごもっともですが。
彼のほうも、妻に負けず劣らず、落ち着き払っている。
あなた、妻に血を吸われましたね?
え?
我にかえって見回すと、服のあちこちにべたべたと赤いものが付着している。
さぁ、あなたも。
サトミは夫のまえ、私の肩になれなれしく・・・腕をまわしてくる。
ツタのように絡みついた腕を、とっさにふりほどこうとしたけれど。
女は信じられないほどつよい力で、引き寄せてきた。
なまの匂いを含んだ素肌が、ぐっと近づいていた。
口許がわなわなと震えを帯びて、前歯をむき出しにしていた。
自分の犬歯が信じられないくらい、尖っている。
かえって好都合・・・どうしてそんなふうに思えたのだろう?
思う間もなく、女の肩先に、ガッ・・・と食い入れてしまっている。
背後から、夫君の目線が穏やかに注がれるのを感じながら。

吸い取った血は、どんよりと澱んでいて。
どこかで味わったような芳香を伴っていた。
それは喉にはじけて。胃袋へと伝い落ちていって。
さいごに胃袋を、カッとほてらせた。
強い酒を飲んだときのような陶酔が、全身を痺れさせている。
旨い・・・でしょう?
夫君の言葉にためらいもなく、素直に頷いてしまっていた。
いま少し、お過ごしなさい。
どうしてこんなに、寛容なのだろう?
理性の問いかけは、そこまでだった。
これ幸いと、サトミを組み敷いて。
突き上げる衝動のまま、こんどはうなじを襲っていた。

どお?
ブラウスを濡らしながら、艶然とほほ笑むサトミ。
人ではない・・・
ゾクッと背すじが凍りついた。
けれども、身のうちに甘く澱んだ彼女の血液は、ひどくゆったりと胃袋に満ちていて、
えもいわれぬ安堵と歓びをもたらしてくれている。
吸い取った血に、支配されている・・・・・・。
そんな錯覚をすらおぼえるほどの、陶酔感。
こうやって、人妻の血を吸える体になったのよ。感謝していただけるわよね?
しかし・・・
ためらう私に、女は艶然とほほ笑みかける。

目のまえにむぞうさに投げ出された新聞紙の日付を何気なく目に留めて。
すべてをさとってしまった。
首筋になにかをもぐり込まされて、記憶が消えたとき。
それから、ふと我に返って。家に戻って。
この女がやって来て。女の家に招かれて。
濡れ場を旦那に見られて・・・
さいごの記憶から、遠く隔たった日付。
蒼白くなった素肌と、鼓動のない空虚な胸の奥とが、それ以上にすべてをわからせてくれた。

もうお一人。人妻の血を召し上がれ。
女は悪戯っぽくほほ笑みながら、夫に電気を消すように求めた。
ふたたび暗くなった部屋のなか。
独り、取り残されて。
カラカラに渇いていた喉は、少しばかりあてがわれた血のおかげで、
却ってさらなる潤いを求めている。

がちゃ・・・
ドアが開いた。
差し込む外の光を背に受けて、女のシルエットが浮き彫りになる。
ほどよく均整の取れた肢体に目線を這わせていくと、
女は自分から歩み寄ってきて。
男がなにを求めるのか、あらかじめ言い含められていたのだろう。
ちょっと、ためらっていたけれど。
すぐに、ブラウスの襟首をくつろげていた。
ふたつの影は互いを引き合うように、たちまちひとつに結びついていた。
どろり・・・
流れた赤いしずくが、帯のように。
ブラウスの襟元に忍び込んでいく。
つい欲情のおもむくまま、ぐいぐいとむさぼっていた。
ぱちり
突然さした、眩い光。
さっきの濡れ場を再現されるような、軽い不快感。
そんなものはしかし、すぐに消し飛んでいる。
寄り添っていたのは、ほかならぬ自分の妻だった。
え・・・っ?
イケるでしょう?
夫君が、さっきとかわらぬ笑みをたたえながら、近づいてくる。
サトミも、夫の後ろにつづいていた。
こうなるまでに、しょうしょう時間がかかったのですよ。
奥様、貞淑だったのですねぇ。なかなか堕ちていただけなくて。
でももう、だいじょうぶ。お嬢様ともども、こころよく供血の承諾をいただきました。

そうだったのですか・・・
体じゅうに、いな胸のなかいっぱいに漂う虚脱感。
妻は私のまえ、嬉々として夫君に抱かれ、サトミに抱かれ、
ブラウスに血が撥ねるのも構わずに、己が血潮を振る舞いつづける。
どうしたの、あなた?ノリがわるいわよ。
もともとあなたの浮気が発端なんですからね。
でも愉しいわ。
もっと自分に正直になって、愉しみましょ。

ああ、血を吸われているんだね。
血を吸い取られていくことが、キモチよくなってしまったんだね。
すべてをスッ・・・と引き抜かれてゆくような、虚ろな愉悦。
いちど目ざめてしまったならば。
もう、抜け出すことはできないのだね。
よく、似合っているよ。
白のブラウスに、吸い残されたきみの血が。
彼の腕のなかにいる、きみの妖しい微笑みが。
まゆみのことも、たらし込んでいただけたのだね?
じゃあ夫婦で、あとどれだけ愉しんでも、咎めるものはいないのだね?
それならば・・・

自分の女房を犯されたり血を吸われたりなんて、気分のいいものではないはずなのですが。
・・・実行に移してみると、まんざらでもないものですね。
とくに貴方のような。女性に行き届いた気遣いのできる人がお相手ですと。
不器用な承諾に、夫君は顔を和ませて。
時折奥様を頂戴にあがりたいのですが。
もちろん、どうぞ。よろこんで・・・
言葉の強さが、増している。

村にお見えになって、いかほどですか?
え?先週来られたばかり・・・ですって?
奥方の身に、なにかふしんなことは起きていませんか?
そうですか・・・お気づきになっていらっしゃらないのかも。
もしも本当に、まだでしたら。
さあ、こんどは貴方の番ですよ。^^
私とおなじように・・・
この村の風習にしたがって、気前のよい夫になっていただけますな?

家族の血液型

2006年09月10日(Sun) 16:38:33


優しいご主人は、O型。
しっかりものの奥さんは、A型。
そして娘は、B型。
話が合わないって?
そうかな。じつはオレ、Bなんだけど。(^^ゞ
初めて奥さんを閨に誘った晩。
ご主人は嫉妬にズキズキ胸はずませながら隣室から窺い、
奥さんは口を尖らせて、うわべだけの非難を口にし続けていた。

初めてだったみたいだね。ご主人いがいの人。
初々しくって、昂奮しちゃった。
美味しかったよ。とってもね。
お礼に子宝を仕込んでおいたから・・・
それが現実になろうとは。
三人三様に胸弾ませていたあの晩には、思いもよらないことだった。

きみがあのとき注がなかったなら。
寝取られるのは妻だけですんだのにな。
学校帰りに娘を寄り道させる。
そう約束を交わしたあと。ご主人はそういって、想いを苦笑に紛らわせている。

見たい?見たくない?
娘さんの初夜・・・
貴方はうちで待っててください。わたしが介添えしますから。
いい出したのは、奥さんのほうだった。

母と娘を並べて犯す。
誰でもいちどは夢見る所行。^^
まさか、現実のものになろうとは♪
しかも、娘はオレの胤。
じつの娘との相姦になる・・・
いっしょに暮らしているわけではないうえに。
娘は母親に、生き写し。
ほんとうは奥さん、結婚前だったらご主人にオネガイして。
貴女の処女まで、欲しかったのだよ。
それがいま、娘の身のうえで、実現する・・・
抗うセーラー服を抑えつけて。
一枚、一枚、衣裳を剥いでやって。
取り乱す少女を収めたのは、
母親が自分からブラウスを取り去ったためだった。
さすがにお母さん、度胸が据わっているね。
娘のまえでひとしきり戯れて。
事の次第に我をなくした娘にもういちど、のしかかって・・・
生娘の生硬な反応は、打てば応える母親の対応とはうらはらに。
とおりいっぺんで、型通り。
痛かったのか、辛かったのか。
シーツに滲んだ涙が、とても初々しかった。


ただいまぁ。
娘が家に、帰ってきた。
少し、疲れた顔をしていた。
付き添っていた妻は、その疲れすら気ぶりにも現わさなかったけれど。
きっと約束させられたのだろう。
裂かれた黒のストッキングをそのまま身に着けていて、
鮮やかな伝線が、きりっと装うスーツの奥まで忍び込ませてしまっていた。
「どうだった?」
思わず口をついて出た言葉。
娘は予期していたように
「ううん。別にぃ・・・」
さりげなくかわしたときの横顔は、あのときの妻そっくりだった。

「行ってまいりました」
鄭重に頭をさげる妻。
娘のまえで淑女をかなぐり捨てたことを恥じるように。
「ご苦労さま」
わざと乾いた声で、ねぎらって。
こういうことはありがちなのだと、娘に伝えたくて。
その気持ちが伝わったのか、気を取り直した妻は。
今夜は赤飯ね・・・
一瞬湛えた心の潤みを巧みに隠し、
あなたも手伝いなさいね
娘をせきたてて、台所に立ってゆく。


あとがき
ちょっと中途半端ですね。^^;
要翻案・・・でしょうか。

兄嫁

2006年09月10日(Sun) 15:27:28

ここは母屋からすこし離れた、納屋のなか。
傾きかけた満月の光は、奥のほうまで差し込んでくる。
月明かりに包まれているのは、黒の礼服に身をやつした女。
洗練された都会風のデザインに、侵しがたい気品を漂わせて。
さすがに男は長いこと、ためらっていたけれど。
突き上げる欲求には、逆らえなかったらしい。
わずかな身じろぎに男の意図を察すると、
女は諦めたように目を瞑り、着飾ったその身を惜しげもなく藁のうえに横たえた。

甘えるように・・・
女の肩にしがみついて。
シフォンに透けた細い二の腕は、蒼白い艶を妖しく放っている。
なおも甘えるように。すがりつくようにして。
差し出された白いうなじに、むき出された牙が縫いつけるように埋め込まれる。
ア・・・
女は軽く、おとがいを仰のけて。
かすかにその身をしならせる。
じゅっ。くちゅう・・・っ。
生々しい吸血の音に怯えながらも。
早くも毒液に酔わされはじめて・・・
女はいつか、わが身をゆだねきっている。

ひとしきり、血を吸い取ると。
男はまだ童顔ののこる頬に愉悦を滲ませながら。
「義姉さん・・・」
と、相手の女を呼んでいた。
「雅恵・・・って呼んでも、よろしいんですよ」
もう夫のいない身ですから。
女は寂しそうに、つけ加える。
「カズヒコさんのことも、貴方の仕業なの?」
軽い詰問口調に、男はひどくうろたえたらしい。
「違う!決して・・・兄さんをやったりはしない」
強く否定はしたけれど。
「こういうことになるのなら。できれば僕の手で吸ってあげたかった」
心から敬愛していた兄のカズヒコは、彼が墓のなかにいるうちに、
誰かに吸い尽くされて、生命を落としていた。
「でも・・・義姉さんがおなじ目に遭うのは・・・たまらなかったんだ」
30過ぎても浮いた話ひとつなく、独身を通していた彼。
「義姉さんのことがどうしても気になって・・・忘れられなくって。
 それでとうとうこの齢さ」
さいごのひと言にこめられた自嘲は、義姉の耳に届いたのだろうか。
「ごめんなさい」
言葉を途切らせ、口ごもりながら。
真情を告げられて。
女はただ、謝罪を口にするしかなかった。

「体のなかが、燃えてきたわ」
雅恵は両腕で、わが身をかき抱くようにしながら囁いた。
牙に含まれた毒が、雅恵を蝕みはじめている。
「さぁ・・・もぅお好きになさってください」
女は自分から、ブラウスの胸を引き締めていたリボンをほどき始めている。

あぁ・・・あぁ・・・
うう・・・ん。ひ・・・っ。
切れ切れに洩れてくる、ふた色の呻き。
呼び交わし応え合う二重唱は、甘美な調べとなって狭い空間に満ちていた。
がさがさという藁くずの耳ざわりな伴奏も、ふたりの気を散らすことはなかった。
初めてひとつになった、一対の男女。
今夜がさいしょだったらしい男の、ぎこちなかった動きも、
やがてかすかなもだえを見せる女の肢体にしなやかに重なり合ってゆき、陶酔のままに刻が過ぎようとしていた。

おいっ!
納屋の外から届いた時ならぬ声に、ふたりはビクッと身をすくませた。
見咎められた・・・というだけならば。
相手によっては開き直って襲ってしまうほどの力を、少なくとも男のほうは持ち合わせていたのだが。
なによりも聞き覚えのあるその声色は、ただそれだけで二人を畏怖させてしまっている。
なぜならそれは、ふたりが敬愛し慕っていた兄そのひとのものだったから。
「雅恵に・・・お前、何をした?」
兄の声は、尖っている。
応えるまでもない。
返事もまたず、鉄拳が弟の頬を打った。
あなた!やめて!
起き上がって夫を制しようとする雅恵を荒々しくふりほどいて、
カズヒコは倒れた弟に馬乗りになった。
手加減のない鉄拳がいく度も、振りおろされた。

はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・
打たれたほうも。打ったほうも。
荒々しく息を弾ませている。
傍らにいた雅恵は、すがるものさえ見出せないまま、静かに泣き伏していた。
「悪かった」
さきに謝ったのは。意外にも兄のほうだった。
「そんな。兄さんがわびるなんて」
ふたりの男は向かい合って、互いの想いを胸に突っ伏したままでいる。

いつから、雅恵に惚れたんだ?
ずっと前からだよ。本当に、ずっと前・・・
兄さんが彼女を初めて家に連れてきただろ?
あのときの服まで、いまでも忘れていないよ。
濃紺のスーツに、黒のストッキング。
都会の人だなって、思った。
僕はずっと、田舎育ちだったから。
東京の大学に進んだ兄さんが、とても眩しかった。
それで、ずっと独りでいつづけたんだな?
ああ・・・。誰にも迷惑、かけたくなかったんだけどな。
どうしたの?兄さん?
・・・俺は恥ずかしい。
どうして?
お前たちがまぐわっているのを見て・・・昂奮してしまった。
え?
血を吸うところからね。さいしょから、見ていたんだよ。
止めようとすれば、止められたはずなのに。
俺の身体は、金縛りにあったように、動かなかった。
いよいよ雅恵が喪服の裾を乱したときには、
ほら、この通り・・・
指さした兄のズボンは、濡れを帯びていた。

莫迦なものたちよ。
にわかに声がしたのは、そのときだった。
三人は驚いてあたりを見回したが、
声はあざ笑うように、手の届かない虚空の闇から響いてくる。
無駄なことに精力を使いおって。
血が要りようだったのだろう?
だとしたら、吸血を専一にすればよかったものを。
もう、ダメだ。
明日の夜を迎えたかったら。
その女の血を、ふたりして・・・余さず吸い取ってしまうことだ。
それが、屍鬼というもののさだめ・・・言われずとも、察しておろうが。
それきり声は、とだえていた。
雅恵は真っ青になって、ふたりを見比べている。

口許から滲むのは、不自然なほどに長く鋭い犬歯。
兄も弟も・・・すでにこの世のものではなくなっている。
いいですよ。
ふたりして、愉しい夜を迎えて下さい。
雅恵は礼服のジャケットを取り去った。
ノースリーブのブラウス姿に、白い二の腕が流れるように目映ゆかった。
素肌に絡みつく獣の目線を感じながら。
首筋は、夫に咬ませてあげたい。
じっと見つめる目線にたじろいだように弟が頷くと。
妻は夫の前、はだけたブラウスをためらいもせず引き裂いて、
熟した乳房を誇示するように、さらけ出している。

初めて味わう、人の生き血。
それもほかならぬ、いとしい妻の血潮。
吸いすぎてはならない・・・お前は生きなければならない・・・
そんな理性に逆らって、カズヒコは喉の疼きをこらえきれなくなっている。
藁のうえに組み敷いた妻の身体は今更ながらに華奢で、
永く吸血に耐えられる身体ではないことを・・・吸血鬼としての本能で嗅ぎ取っていたけれど。
唇は彼の意思を裏切って・・・
深く抉った傷口のうえ、ひくひくと震えながら。
せわしなく、絶えることなく・・・血をむさぼっている。

「やらしい・・・」
腕の中で、妻が呟き、軽く舌打ちをする。
べつの衝撃が妻の身に差し入れられたのが、彼の体にも伝わった。
どうやら脚を、咬まれたらしい。
ショウジのやつ・・・
兄は苦笑いを浮かべる。
弟が時折、兄嫁の箪笥の抽斗からストッキングを失敬しているのを、彼は抜け目なくかぎつけていた。
夫婦のなりわいを始めた兄と兄嫁に、始めのうちこそ身を引いていた彼だったが、
黒のストッキングに染めあげられたふくらはぎは、こらえ切れないほど魅惑的だったのだろう。
「いいよ。いっしょに吸っちまおう」
弟への言葉はすでに、吸血鬼仲間としてのものだった。

跪いた姿勢のままで。
吸血魔どもは、前と後ろから挟むようにして、女に迫っていた。
狙いをつけたのは、左右のうなじ。
最も新鮮な血液をめぐらせている、太い血管。
通過儀礼として。
それを断たれることによって、女もまた蘇えりを迎えるのである。
女は髪を振り乱して。
頬には薄っすらと、撥ねた血潮を輝かせて。
まだ活き活きとした潤いを湛えた唇は、虚ろな声を洩らしていた。
どうぞ・・・
あとはウットリとして・・・眠るように目を瞑るだけ。
月は早くも、母屋の軒先に淪(しず)もうとしている。

連れだって歩く、三人の男女。
真ん中に挟まれているのは、黒のスーツ姿の女。
夫は「雅恵」と。
義弟は「雅恵義姉さん」と。
名前を加えて呼ぶようになったのは。
ふたりの仲を兄が喜んで受け容れるようになってから。
あの夜の納屋での出来事も。
今では、愉しい想い出となっている。
生前と変わらぬ生気を帯びた彼らは、互いの身に少しだけ遺された血を互いに啜りあいながら。
きょうも、獲物の到来を待っている。
母と妹を呼ぶわ。
きっと私と味が似ててよ。
母もまだ若いし・・・若いうちに、貴方たちに吸わせてあげたいわ。
ショウジさんにも気に入ると思いますよ。
いつもは若い人がお好みのようだけど。(笑)
だって。
私が亡くなった・・・と報せがいきましたから。
きっとふたりとも、黒のストッキング履いてくるはずですから。

院長、ご来客です 3

2006年09月08日(Fri) 07:38:43

おや、虫歯のようだね。
う~ん、やっぱり今のうちに、抜いちゃったほうがいいんじゃないの?
歯を抜けと、自分のほうから決していわない医者。
こちらから「抜きます」といわせれば、責任逃れができるつもりでいるのだろうか?
だいいち、オレは吸血鬼。
野郎、こともあろうにオレの犬歯が虫歯だとぬかしやがった。

やつとは長い間柄なのだが。
診察を受けるときにはこれでも、患者として神妙にしているつもり。
けれども、もー!ガマンならねぇ。
ここはひとつ、がらりと態度を変えてやろう。
おいおい。冗談はたいがいにしてくれよな。
オレの犬歯が虫歯だと?ふざけるのもたいがいにするんだな。
いっそお前の女房で、歯を研いでみせようか?

やつはにまっっ・・・とほほ笑んで。
失礼、誤診だったようだね。
歯茎の炎症・・・ということにしておこうかね。
本当は艶笑・・・のほうがお好みなんだろうがね。
気分を害されたおわびに・・・といってはなんだけど。
娘を紹介するよ。
まだ襲ったことは、ないだろう?

目を白黒させているオレの前。
胸元のリボンをきちんと結わえた、セーラー服姿の少女が、
夏服の眩しい白さも鮮やかに。
濃紺のプリーツスカートを、静かに奥ゆかしくさばきながら。
いまどきめずらしい、楚々とした歩みを進めてくる。
脚にはお約束どおり、黒のストッキング。
半袖からむき出しの、ぴちぴちとした二の腕とは別人のような、
大人びた艶を滲ませている。

娘の里江子。よろしくな。
・・・齢はじぶんで言うのだよ。それで、承諾したことになるのだから。
医師は娘の肩を軽く、いとおしむように撫でると。
じゃあ私は失礼するよ。回診があるのでね。
そういい置いて、診察室から消えた。
扉の外で、かちゃりという音がして。
きっと「午後休診」の札でもぶら下げたのだろう。
いつも接待用の看護婦をおれにつけてくれるときにするように。

診察用の椅子に腰をおろして。
すらりとした脚を、軽く斜めに流して。
長い長いおさげ髪をツヤツヤと光らせて。
少女は黒い瞳で、じいいっと見つめてくる。
父親にも母親にも、あまり似ていない、シンプルで真っすぐな目鼻だち。
おじさん、吸血鬼なんですって?
初めて口にする科白も、やけにストレートだった。
処女の血が、お好きなんでしょう?だったらあまり、やらしいことはしないですよね?
単刀直入。
わかった、わかった・・・
ストレートに気を詰めてくる女は、どうにも疲れる。
早いとこ料理して、おもりをして、寝かしつけちまおう。
なんて思っていると。
パパ、制服一着、よけいに買ってくれちゃった。
少女はやおら立ちあがり、オレのまえにすたすたと寄ってきて。
ちょっと振り仰いだ姿勢になって、そのまま目を閉じた。

父さんに教わったのかい?
ううん。母に・・・
声はさすがに、震えを帯びていた。

どきどきとした息遣いを伝えてかすかに上下している、少女の皮膚。
なめらかで、男の子みたいに生硬な肌に・・・
オレは珍しく、ためらいながら唇を這わせる。
きゃっ。
少女のガマンも、そこまでだった。
相手が取り乱すとつい、昂ぶってしまう。
いけない性格ね・・・
いつだったかともにしたベッドのなか、少女の母はそう囁いたが。
もうなにもかも、どうでもよくなって。
少女の肌に、欲情していた。

ちゅ、ちゅう・・・っ。
いつの間にかむさぼり始めていたバラ色の体液。
少女は軽く息を弾ませながら、
それでも気丈なことに、まだ立ったまま。
姿勢を崩すまいとしている。
それでもその身をピンと支えた気力もじょじょに張りを喪って・・・
追い詰めたベッドの傍ら、尻もちをついてしまった。
わさっ・・・とそよぐ、重たげなプリーツスカート。
たくし上げようとするのを止める手が、力なくだらりと垂れ下がる。
もう、オレの術中だ。
息を乱し、手をわななかせながら。
少女のスカートをまくり上げ、禁じられた領域に手を忍ばせる。
ストッキングに包まれた太ももは、思いのほか温かだった。

里江子。といったっけな?
ちょっと気丈で、強そうな感じがする。
なんにしても。
両親がいつくしんでつけたであろう名前のはず。
さすがのオレも、そうした情愛のまえには神妙にならざるを得ない。
かつて・・・ここの患者だった薄命の少年と。
つかの間、和やかな刻をともにしたとき。
かれの真心は今でも、オレのなかの獣の心を、不思議な呪縛で封じている。
眠ってしまうと、無邪気なものだ。
まだ中学生くらいだろうか?
大人びた色香を滲ませながら、それでも童顔を残した少女。
すまないね。
柄にもなくひと言、わびを囁くと。
おれは少女の足許に、不埒な唇を這わせてゆく。

いまごろ父と母は、飛行機のなかよ。
オレの腕に抱きすくめられたまま。
少女は不思議なことを、呟いた。
え・・・・・・?
母がお目あてだったのかな?
でもね。結婚二十年なんだって。
それで、海外旅行、プレゼントしたの。
もう一ヶ月、戻らないわ。
病院?それはあなたがなんとかしてくれるだろう・・・って。
父が言っていたわ。よほど信頼されているのね。
わたし、お手伝いしますから。
看護婦さんの履いている白のストッキング。
まだわたしには、似合わないかな?

イタズラっぽく、くすりと笑う少女の息が、耳たぶにかかる。
たまには二人きりにしてあげようね。
年、いいそびれちゃった。あたし13よ。
やっぱり緊張、していたんだね。
そういいながら、潤んだ瞳でオレを見あげて。
キスだけなら、してもいいよ。初めてだけど・・・
どうやらオレの完敗らしい。


あとがき
結末を考えないでキー叩いていたのですが。^^;
不思議なお話になってしまいました。^^;
どっかあらがあっても、目をつぶっててくださいね。^^;;;

深夜の待ち合わせ

2006年09月07日(Thu) 08:04:34

がーん。がーん・・・
古びた柱時計が重々しく、十時を告げた。
洋実とかず子は顔を見合わせて。
ちょっとそこまで、出てきます。約束があるので・・・
息子はちょっと改まった口調で、両親にそう告げて。
妻を促してそそくさと立ちかける。
ああ。そうかね。気をつけて行っておいで。
父親は新聞に目を落としたまま何気なくそう応え、
母親は無言で頷いた。
深夜の十時。
ふつう約束をするような刻限ではないのだが。
木曜の夜にはたいがいそうやって、闇に消えてゆく息子夫婦を、
さして不審がらずに見送ってゆく。

かず子さん、眼鏡置いていったよ。
母親がほくそ笑むと。
父親も度の強い眼鏡をはずし、初めて新聞から目を離した。

村はずれの納屋に通じる道は、意外に明るい。
昔は一寸先も見えない真っ暗闇だったのが。
近年は電灯が整備されていて、ほの暗いなかでもすれ違う人の顔はおぼろげながら、窺える。
あら。ご近所の奥さんね。
あちらは、はす向かいのお嬢さん。
戻ってくる女たちは例外なく、スカートの下に身に着けたストッキングが破けていた。
あんなふうにされちゃうのかしら。
着飾った婚礼帰りのミセスの女性が、スーツの下を見るかげもなくちりちりにされたまま家路を辿るのを横目に見て。
妻はちょっとだけ、不服そうに呟いた。

なん軒かある、納屋のうち。
教えられたのは、真ん中の一軒だった。
左も右も、妖しの声が洩れてくる。
さいしょのうちこそ脚すくませた妻だったが。
いまでは臆面もなく、
こんばんは。
ひと声かけて、藁の敷かれた中にハイヒールの脚を踏み入れてゆく。

ヒロちゃん、いつも悪いな。
そういって出迎えたのは。
三人とも同じ年頃の、独身の吸血鬼。
嫁をとった青年たちは、ここで幼馴染みに花嫁を引き合わせるしきたりになっている。
じゃ。おれは失礼するよ。
覗いていくかい?
そうだね。気になるから。
もう。
奥さんは迷惑そうに、ちょっぴり口を尖らすけれど。
本気で怒っているわけでは、むろんない。
ナイショにできないのだったら・・・思い切って、乱れちゃおうかしら。
夫の悪友たちを見返ると・・・みんな人のよくないにやにや笑いを返してくる。
人妻ですから。いちおう、抵抗しますね?

差し込んでくる月明かりが。
淫靡な風景を、妖しい輪郭で縁どってゆく。

幼馴染みの純情

2006年09月07日(Thu) 07:11:11

ほら、サッカーのときの靴下。履いてきてやったよ。お前狙ってたんだろう?
ボクは姉貴のハイソックス、失敬してきたんだ。
ちょっと恥ずかしいけど、ママのストッキング・・・ズボンの下だけどさ。
半ズボンの子は、そのまま脚をさし寄せて。
長ズボンの子は、ズボンのすそをたくし上げて。
男の子たちはつぎつぎに、長い靴下のふくらはぎを、
吸血鬼の友人にあてがってゆく。
遠目に見ると、仲良くベンチに腰かけた三人が、笑い興じているばかり。
吸血鬼の男の子は黒子のようにしゃがみ込んで、
順ぐりに脚をつかまえて、ひざ下を吸っている。

十年ちょっと、経ったころ。
公園のたたずまいは、少しも変わっていない。
彼女、紹介するよ。美人だろ?
照れくさそうに、恋人を紹介して。
よく心得ているらしい恋人は、ベンチにハンドバックを置くと、
ドラキュラ映画のヒロインさながら、満月を見あげるようにして、
おとがいを静かに仰のける。
その瞬間。
背中にたなびくふさふさとした長い茶髪が、かすかに揺れた。

これ、女房。去年の秋に、もらったんだ。
仕事で遠くになっちゃって・・・処女じゃなくって、ゴメンな。
もう一人の男も、もじもじと。
ちょっとおデブだけどな・・・そういって、遠慮がちに身を引くと。
ばかね。そのほうがこちらの方の都合がいいんじゃなくて?
着飾った新妻は、しっかり者らしく。
夫の背中をちょっと小突いていた。

ほんとうに、恥ずかしいんだけど・・・
幼馴染みのまえ、シンプルな柄のワンピースをたなびかせ、
薄紫の口紅を刷いた唇をかみ締めて、
ためらいがちに、うなじをそらす。
似合っているよ。
とりなすように、そう囁くと。
両の二の腕をギュッと抑えて、
恋人どうしのように、抱き寄せる。
こんな趣味持ってちゃ、いつまでたっても。彼女も嫁さんもできないよね?
低く艶を帯びた、ユニセックスな声色が。
ちょっと寂しそうに、囁いた。

・・・さん?
後ろから控えめに、自分の名前を呼ばれて。
あきらかに、女の声だったのに。
ためらう間もなく、女の姿のまま、ふり向いてしまった。
顔見知りだったその女は、大きく目を見開いて。
ワンピースの肩先にコサアジュのように散らされた、バラ色のしたたりすら見届けてしまっている。
ああ。やっぱり。
ため息まじりの、抑えたトーンの声色に。
見られたくなかったよ・・・
男はもっと、ひくい声になっている。

変わった嗜好をひた隠しにして。
男は恋人をつくることもなく。
終生現われることのないかもしれない恋人の身代わりに、
わが身を女の装いで彩って、親友に血を与えつづけた。
見られたくなかったし、巻き込みたくもなかったよ。
女にかける声にはまぎれもなく、忍んでいた真情がこめられている。
人目を忍んで女の衣裳をたしなみつづけてきた男は、
初めて臆することなく、女装姿をじっと見つめる目線に応えていた。
白い頬。豊かな黒髪。女はちょっと、値踏みするように彼を見つめて。
やがて、鮮やかなルージュを刷いた唇が、おもむろに開かれる。
今はまだ、わからないけれど。理解してあげる。
あなたと同じように、このひとにしてあげればいいのね?
え・・・っ。
異性からは遠ざかっていても、決して鈍感ではない彼は。
近寄りあおうとするふたりのあいだに、とっさに割って入っていた。

わかっているの?僕がなにをしようとしているのかを。
ええ・・・・・・わたしでは、不足ですか?
交わしあう男女の目線がにわかな熱を帯びてきたのを見届けると。
きょうは俺、遠慮しておくよ。
親友は、ひどく満足そうに、去っていった。
祝言までは、たっぷり時間を取れよ。それで冷める愛情じゃなさそうだから。
言い置かれた言葉に照れながら。
差し向かいになった唇は、ためらいながら、ゆっくりと。
さいごには、結び合わされるように、しっかりと。
満月の下、重ねあわされてゆく。

交錯する思慕

2006年09月07日(Thu) 01:07:10

その日妹のゆかりがまとっていたのは。
ショッキングピンクのブラウスに。
黒地に真っ赤なバラをあしらった、花柄のロングスカート。
どこかで見覚えのある、柄だった。
わかるかな?
母と生き写しの面差しが、悪戯っぽくほほ笑んでいる。
母さんの服。こないだ家に帰った時に、もらったの。
もう若い服を着ることはないだろうから・・・ですって。
ねぇ、きょうのわたし。母さんそっくりに見えるかしら?
そういえばいつになく結った長い髪も。
あのころの母の好んだ髪型だった。
兄さんのために着たのよ。これ。
ゆかりは謎をかけるように、妖しい含み笑いを滲ませる。

その服には、秘されたほろ苦い想い出がある。
高校生のころだった。
母に恋する。
言葉でいうほど、きれいごとではなかったかもしれない。
お出かけ前に綺麗に装い化粧した母。
ショッキングピンクのブラウスについむらむらとなって。
気がついたら畳のうえに、押し倒していた。
懸命に抗った母。
とうとう肌身を許すことはなかったけれど。
私が好きなの?女のひとに関心があるの?
母さんだから・・・
短いやりとりの末。
母は身を離すと。
控えめに、けれどきっぱりとした口調で。
でも、あなたの想いに応えることはできないわ。
あなたを生んだ女、なんですから。
それ以来。
着衣にこっそりと手を出す私の悪事に、母は表立って小言をいわなくなった。

どう・・・?
ショッキングピンクのブラウスがいま、激しく息づいていた。
ブラウスごしに熟れた乳房の存在を、掌にしっかりと確かめながら。
離れがたいほどに濃密に重ね合わせてゆく、唇と唇―――
母とよく似た面差しが。
いま私の腕のなか、蕩けたようにほほ笑んでいる。
納得・・・した?
身づくろいしながら問いかけてくるゆかり。
サッと髪を払うしぐさまで、母そっくりな女になっていた。
妹に初めて迫ったのは。大学生のころ。
中学にあがったばかりの初々しいセーラー服が気になって。
母のいない家のなか。戯れながら犯していた。
あのときの母と違って。
首筋に唇を這わされると、ためらいもなく初めての男として私を迎え入れていた。
母は気づいていたようだ。
けれどもそのときも、なにも口にはしなかった。
その関係はゆかりが結婚してからも、絶えることがない。

もうすっかり、日が暮れていた。
ひき上げなくっちゃ。ダンナが戻ってくるまえに。
そそくさとジャケットを羽織ろうとする私を、ゆかりはゆるやかに引きとめた。
あのひとのことなら、だいじょうぶ。
訝しそうに見あげる私に。
びっくりするかも。
三十代の人妻は一瞬、童女の顔にかえっていた。
いまごろ母さんと、しているはずよ。だから帰りは遅いわ。

ばれていたの。ずいぶん前に。
だからあのひと、子供は作らないんだって。
別れる・・・って、言わなかったの。不思議だったけど。
母さんがね。責任取るって。すすんであのひとに逢ったのよ。
私の不行き届きですって。三つ指突いて。
父さんの写真のまえで、契ったそうよ。
あのひと、帰ってきてね。
色香に魅せられた。セイイチくんに、怨まれるだろうね、って。
たったひと言、そういってたわ。

産み落とした自分には、決して肌を許そうとしなかった母だった。
妹との密事も、心のなかでは決して許してはいなかったはず。
けれども。もう断つことのできないものを感じたのだろう。
四十に手の届くころになっても、独身を通して。
人妻になった今でも妹を犯しつづけるその裏に、自分への思慕が秘められていると察すると。
娘婿の怒りを鎮めるため、おそらくなんのためらいもなく、自らの身を投げ出した。
許されなかった、自らにも許さなかった、その関係。
自ら生(な)したものとの交わりだけは決してわが身に許すことなく、
ただ娘婿の怒りを鎮め、兄妹の密時に許しを獲るために。
婿を通して操を息子に捧げたのだろう。


あとがき
少しわかりにくいお話かもしれませんが。
母への思慕のあまり、母の面影を宿す実の妹と交わる男。
息子には決して肌を許さなかった母親は、
娘夫婦が破局に向かおうとするのをとどめるべく、初めて夫ならぬ身に肌を許す。
じかに肌身を交えることはなかったけれど。
娘を通して。婿を通して。
母と息子は交わっている。
そういう構図を描こうとしたお話です。
前作緑華堂とたぶんおなじ日の朝に描きかけたお話です。

写真館の主

2006年09月07日(Thu) 00:56:33

ご覧になってくださる?
もう何ヶ月も言葉を交わしていない妻。
とつぜん話しかけてきたのがきかっけで、久しぶりに訪れた彼女の寝室。
そう。夫婦で寝室を共にしたのは、去年のあの日がさいごだった。

差し出されたのは、数葉の写真。
つやつやとした表面に輝く白っぽい絵柄に、いやな胸騒ぎがした。
口許をきっと結んで、張りつめた面持ちの妻。
そのまえで不覚にも、一枚一枚を、声もなく見入ってしまっていた。
見慣れた外出用のスーツに身を包んだ、妻の写真。
どれもが、日常ではついぞ見かけることのない蟲惑的な笑みをたたえている。
俯いた面差しに、翳のある笑みをたたえたもの。
組んだ脚をすらりと流して。しどけなくソファに横たわって。スカートをたくし上げているもの。
たくし上げられたスカートから覗かせた太ももは。
ついぞ見たことのないような、てかてかと光るストッキングの光沢に包まれていた。

さらに扇情的な一枚では。
もろ肌脱いだ妻が。
スカートから下はそのままに。
じいっとこちらに笑みかけている。
すこしすさんだ誘惑を漂わせたその笑みは、勿論私に、ではなくて。
ファインダーの主に向けられたものにちがいない。
惜しげもなくさらされた豊かな胸は、妻ではないべつの女のもののように、よそよそしい輝きにつつまれていた。

これは・・・?
写真屋さんにお願いしたの。お義父様やお義母様もよくご存知の、緑華堂さんよ。
だいじょうぶですよ。これ以上の関係ではありませんから。
冷ややかな声でそこまでいうと。
―――あなたにそれ以上、言われる筋合いはありませんことよ。
皮肉に歪んだ笑みは、あきらかにそう告げていた。
律義者で通っていた私が、たったいちど犯した、男女のあやまち。
それを妻は、決して許すことはない。
いずれわたくしも。それなりの男性をみつけたら。好きなようにさせていただきますわ。
そう口走ったときから、ふたりは夫婦ではなくなっている。

撮った写真は、必ずお見せします。撮り損じも含めて。
けれどもあなたはその内容に、一切の苦情をつつしんでくださいね。
あまりにも一方的な、妻の言い分。
それを唯々諾々と受けざるを得ない、ふがいない私。
同居している両親は、そんな妻の意図を知ってか知らずか。
妻が写真館に出かけてゆくときにはいつも、
ひきこもった邸の奥から音も立てずに現れて。
いってらっしゃい。
ごく尋常に声をかけ、妻のことを送り出す・・・という。
妻もまた、私以上に冷ややかな交流しかもたない父や母に、
そのときだけは鄭重に礼を返して、家をあとにするのだった。
すべては私が勤めに出ているあいだの出来事。
勤めから戻るころには、もう。
妻はいつもの彫像のような無表情に立ち返って、
隙なく並べられた夕餉の膳を整えている。

「撮り損じも含めて」
隠し事は、いたしません・・・そういう意味だと、思い込んでいた。
しかしどうやらそれは、すこし思惑違いだったようである。
カメラマン、という職業は、様々なアングル、構図、それにおなじ方向からでも幾枚も撮影し、ようやく一枚会心のものを得る、という。
その言葉を実感するはめになったのだ。
相当な枚数の写真に目を通すのはたいへんな労力だった。
それにもまして。
視界を遮られた撮り損じ。
奇妙な恰好をした被写体。
それらひとつひとつが謎めいた符合のように。
妄想をいたずらに深く、かたどってゆくようになったのだ。

密かに手渡される写真は、いっそう濃艶さを増してゆく。
緑華堂は、ブラウスを脱がせるのが好みらしい。
あられもないポーズに身をゆだねた妻。
あたかもバレリーナが舞うように。
むっちりとしたむき出しの二の腕を、まるで白い蛇のように妖しくくねらせて。
あるときはソファに。あるときは畳のうえに。
またあるときは、庭先に。
彩り豊かな装いを、半ばだけまといながら。
時として、その身に泥が撥ねるのもいとわず横たえている。
紅葉の散りばめられた庭は、たしかに緑華堂のギャラリーからその一端を垣間見ることができた。

妻と緑華堂とのあいだには、ほんとうに何もないのだろうか?
さいごに差し出されるのはいつも、その日に撮られたいちばん大胆なポーズのもの。
それは決まって、ほかのものより大判にプリントされていた。
ある晩渡されたのは、荒々しく半裸に剥かれた・・・という風情の写真。
乱れた髪。放心したような、虚ろな眼。
うなじや胸にまで撥ねた、泥。
手にあやされたねばねばとした液状のものは、何だったのか?
私の思惑を見透かして、詮索をあざ笑うように。
写真のなかの妻は小首をかしげ、小気味よげな笑みをたたえている。
見せつけるように間近に流された脚線美からは、ストッキングが半ばまで引きおろされていた。

大変です。奥様が急に倒れられて・・・
緑華堂からかかってきた電話が急を告げたのは、週末のこと。
その時分には私が在宅のときも、逢引は重ねられていた。
逢引。そう。私のなかではそうとしか、いいようがなかった。
いくのかね?
白皙の頬をわずかに紅潮させた父は、口調だけはあいかわらず冷ややかだった。
万一のときは。家にいれるわけにはいきませんよ。
いちぶしじゅうを知っているらしい母は、世間体を気にしてか、そんな冷酷なことを口にした。

薄い敷布団に横たえられた妻は、彫像のように整った顔をしていた。
いつもより蒼白い肌をしている以外は、生きているときそのままの姿。
密葬は人目に触れないように、ごくわずかの立会いで行なわれた。
すべては、変事のあった緑華堂の奥まった一角で営まれた。
あきらかに変死であったのに。その筋への届出がされた形跡もなく。
なにかを言おうとする私を、父は頑なにかぶりを振って、沈黙を強いていた。
こざっぱりとしたワンピースに包まれた妻の華奢な身体がひつぎに納められると。
父は母をかえりみて、ふしぎな言葉を口にする。
来週はお前、こちらに寄らせていただきなさい。
母は驚いたふうもなく、むしろ予期していたかのように。深い頷きを返している。

その日から。
母は毎日のように着飾って、緑華堂に出かけていった。
ある日は改まった和装に身を包み、
ある日はあのとき身にまとっていた黒衣の礼装を着けていた。
帰りはいつも遅く、ときには深夜になることもあったけれど。
父はいやな顔ひとつせず、そうした母をいたわるように迎え入れていた。

つぎの週末のことだった。
母に招ばれて、住まっている離れを訪れた。
珍しく彩りのある洋装を身に着けた母。
紅蓮の焔、と見まごうほどの真っ赤なブラウス。
かすかな艶を帯びた、漆黒のロングスカート。
若さとはほど遠かったはずの母のたたずまいは、
思わず声をあげたくなるほどの風情をたたえている。
差し出されたのは、数葉の写真。
紙の古さからみて、ここ数日で緑華堂が撮ったものではないようだった。
一枚目を目にして、驚愕が声になるのをとめることができなかった。
花鳥模様の和服を着た母は、写真のなかで若さを誇るように艶然と笑んでいる。
若々しく豊かな頬は、遠い少年の日の記憶を呼び覚まさせた。
まさに、妻の年頃の母である。
しかしそのあでやかな風情と面差しとは裏腹に。
はだけた着物からは、むき出しの肩と二の腕が。
ぬらぬらとした輝きを帯びた肌を見事なまでに露わにしていたのだ。

若いころの写真ですよ。
母は落ち着き払った声色を崩さない。
どれも。これも。
肌の一部をしどけなくさらした母。
惜しげもなく、かえって誇らしげに露出させた肌が、なめらかに輝いている。
あのころの写真技術で、よくここまでの艶を忠実に残せたものだ。
賞賛をおぼえるほどの出来であった。
妖しい絵柄も。口許に浮いた笑みも。
あの妻の写真と不思議なほどに符合している。
肌をあらわにした写真。あのひともお持ちだったわね。
母は息子の嫁を、他人行儀にそう呼んでいた。
あれを見たとき、すぐにわかったんです。
ああ、緑華堂さんのものにされてしまったのだわって。
操に手をかけるとき。あのひとはモデルの女性の襟首をくつろげて。
そういう写真を撮るんですよ。
だからもう、ダメだと思いました。
どうして言わなかったか・・・ですって?
そりゃ、女どうしですからね。
人のわるそうな含み笑い。母のなかにも、たしかに「女」は息づいていた。

ハッと気がついた。
もろ肌をあらわにした妻が緑華堂と契っていた・・・としたら。
母自身は、どうなるのだ?
混乱する私を見透かすように。
あらあなた。血の巡りが悪いこと。
ホホ・・・
冷ややかな声が、チクチクと。
張りつめた神経を、心地よくくすぐった。

代々の嫁の務めなのですよ。
私はお義母さんに連れられて。
初めて緑華堂さんにお伺いしたの。
子供が大きくなって、手が離れるようになってからね。
へんな男の人と浮気しないように・・・って。
あらかじめ浮気相手を決めておくなんて。
気が利いているんだか、不自由なんだか。
不自由・・・
そういいかけて。初めて母は苦笑を滲ませた。

あのひとがお嫁に来るときも。
声、かけられたんですよ。緑華堂さんに。
生娘のうちに、連れてくることはできまいか、って。
それはまぁ、あまりにも。・・・ねえ。
それにもう、こんな風習は私の代で終わりにしましょうって。
ほんとうは、そうお願いしていたの。
でも。
あなたが不始末を、しでかして。
あのひと、好きにさせてもらいますって、そう言ったでしょ?
それでね。お手伝いしたのよ。あのひとの浮気を・・・ね。
ごめんなさいね。悪い母親ですよね?
でもあのときには、そんな知恵しか浮ばなかったのですよ。

泥・・・ですって?
モノクロ写真だから、わからないだけ。
あれは、血なのよ。
あのかたは。私たちの家系の血を、とても愛していらっしゃるの。
貴方のお嫁さんに興味をもったのも。
うちの家系を愛しているから・・・
とても、悦んでおいででしたよ。

せわしなく写真をめくる手がとまる。
母の写真のなかに、なぜか一葉。
あきらかに最近撮ったであろう、鮮やかなカラー写真。
空気の色さえ身近に映るそのなかで。
漆黒のドレスに輝く飛沫は、たしかに赤黒く。
黒のストッキングは、ひざ下までずり降ろされている。
いつかどこかで、似たような絵柄のものを目にしたはずだ・・・
そう思いつつ、もう一葉めくると。
・・・どうして気がつかなかったのだろう?
はだけたスリップを、くしゃくしゃにして。
裂かれた衣裳を、シーツがわりにして。
緑華堂と肌を交わらせているのは、まぎれもなく妻だった。
今ごろ、お気づきになったの?
ぜんぶお見せする・・・わたくしたしかに、そう申し上げたはずですのに。
こちらを見ている妻は、まるで生けるが如く、
嘲っているのか。悦んでいるのか。
案外、わたしの愚かさを、いとおしんでいたものか。
口許に秘めた微笑の意味は、おそらく一生かかっても・・・解くことはできない。

あとがき
これも、「落穂拾い」です。^^;
下書きメモの前後関係から、8月7日か8日のあいだに描かれたもののようです。
最後まで描ききれずに時間切れ・・・となったようですが。
すこし加筆しましたら、どうにかモノになりました。
(なったのかな?^^;)
若奥さん、じつはどこかで生きているのでは・・・と思うのは、私だけでしょうか?

夫婦ながら

2006年09月06日(Wed) 07:37:09

思うさま私の血を抜き取ると。
ごちそうさま。すみませんでした。
男はあくまで、礼儀正しかった。
血液と引き換えに体内に注ぎ込まれたのは、濃密な媚薬。
奥さんの血を吸われるなんて、気味のいいものではないでしょうからな。
彼なりの、配慮なのだろうか?
ぐらぐらと渦巻く眩暈に酔いながら。
奥方の貞操を申し受けたい。
不埒極まりない申し出に、不可解なほどすんなりと。
心からの快諾を与えてしまっている。
私への礼儀正しさとはかけ離れて、
怯えて立ちすくむ妻を見すえる目はまがまがしく、
劣情もあらわによだれをしたたらせてのしかかっていったのだ。

褥のうえに、組み敷かれて。
華やかな柄のワンピースを乱されて。
がぶりとうなじに食いつかれて。
きゃっ!
ひと声叫ぶと、
それまで抗っていたむき出しの二の腕は、力なくだらりとベッドの下に垂れていた。

ずずっ・・・ぐちゅうっ・・・
ナマナマしい音をたてて生き血をむさぼられてゆきながら。
妻はいつか、苦痛以外のものを歪めた目鼻に滲ませていた。
乱れたワンピースのすそからのぞいた太ももには、
滲むような妖しい光沢に包まれた、肌色のパンティストッキング。
意地汚い振る舞いと裏腹の気品が、惨劇をいっそうきわだたせている。

あ・・・あ・・・あ・・・
悶える声は、いつしか艶を帯びていて。
妻はあきらかに、悩乱している。
頭を抱え、かぶりを振って。
襲いかかる妄念を払いのけようとして。
着飾った衣裳の裏側に、邪念を忍び込まされてゆく。
虚しい抗いが、かえって悩乱を深めるように。
取り乱す肢体は、いつか淫らに舞い乱れていた。

けっして感じてはならない。けっして見入ってはならない。
お互いの思いとは裏腹に。
妻は衣裳を乱し、理性を崩れさせ。
喪われてゆく名誉をかえりみず、放恣に身体をひらいてゆく。


あとがき
これも、未あっぷ作品です。
何も浮ばないので、蔵出しに走っていますね。^^;
5月7日くらいに描いたものですが、一部加筆しました。

深夜のお出かけ

2006年09月06日(Wed) 07:21:27

コツコツと、ドアをノックする音。
もう、真夜中をまわっていた。
ここは私の書斎―――。
音の主は、とっくに床に就いたはずの妻。
よほど音を忍ばせて着替えたものか。
さいごに見たときの寝巻き姿は、黒一色のスーツに変わっている。
あでやかに刷いた口紅のあいだから、
行ってまいりますわね。
ひくく落ち着いた声色に秘められた、淫らなものが鼓膜をくすぐった。
行き先はもう、聞くまでもないのだが。
妻のいでたちは非の打ちどころのない、貞淑な貴婦人の姿。
見とれてしまった夫の視線を満足そうに受け止めて。
妻は得意げに、ふふっ・・・と笑んで。
黒のストッキングをまとったふくらはぎを、これ見よがしにくねらせる。
清楚に透きとおるなまめかしい薄手のナイロンが、肌を蒼白く浮かび上がらせていた。
たったひと言。
破っていただきに。
そう囁いて。
挑発するようにじいっと注がれる、上目遣い。

刃のような鋭さをさりげなくかわして、
子供たちは、もう寝たの?
エエ、ぐっすり。
お互い、共犯者の含み笑いを交わし合っていた。
軽く抱き合って。口づけをかわして。
かすかによぎる吐息にむせ返るのを取りつくろって。
それでも妻はすべてを見透かしたように。
くすっ。
と、紅のすき間から白い歯をのぞかせる。

足音を忍ばせて玄関に向かうとき。
取り澄ました黒い影はもう寸分の隙もなく。
私に夫であることを主張させないほどのよそよそしさを帯びはじめていた。
ぴかぴかに黒光りするエナメルのハイヒールにつま先を差し込むと。
妻は私のほうを振り返り、ほっそりとした手を差し伸べて。
私は貴婦人に応対するようにその手を取って。
その手の甲に、かるく唇を押し当てる。
そう。契約書に捺印するような入念さで。
冷え性な妻。
肌の冷たさは刻限の遅さのせいばかりではない。
薄い皮膚をへだてた向こう側をめぐる暖かい血潮を吸い取られて。
見返りに、熱い淫楽と淫らな舞いに酔い痴れて。
冷えた体温をすこしほてらせて、戻ってくるのだろう。
そう。
子供たちが起き出すまでに。


あとがき
これも前作にひき続き、幻の未あっぷ作品となったお話です。
メモには3月17日(22日) となっています。
17日に描いて、22日に手直ししたのでしょうか。

伝書鳩

2006年09月06日(Wed) 07:19:33

奥さんへの手紙、ことづけてもよろしいかな?
彼はにんまり笑んでそういうと、封をしていない手紙を私に手渡す。
さっきまで酔わされていた余韻がまだくすぶっている、狂った脳裡。
私はよろこんでお受けしましょう、そういって、妻への恋文をうけとった。
なかを改めなくってもよろしいのかね?御主人としてはさぞや、きがかりでしょうから。
たたみかけるような彼の声色に。
つい震える指を封筒のなかに差し入れてしまっている。

妻から彼へ。
彼から妻へ。
行きつ戻りつする、秘密の手紙。
運ぶのは私。その目のまえで文面に目を走らせて、
興じ入る、それぞれの受取人。
目にすることはいっさい、許されない。
密書であり艶書であることは、三人とも承知のうえのことだった。
手紙のなかみはあからさま。
人の行き来はひそやかに。
目に触れることの許されない共有された世界が豊かに深くなってゆくのが、
彼や彼女の顔色や声色で、いやというほど察しがつく。
そんな地獄をとても甘苦しく愉しんでしまっている、とても恥ずかしい私。

あなた。彼にお手紙書いたの。持って行ってくださるわよね?
今夜も妻はそういって、ふたりだけだったころにはけっして見せたことのない艶然とした笑みをたたえている。


あとがき
「幻想」から「妖艶」に移行する過渡期に描いたお話が、いくつかあっぷされないまま、残っていました。
おのお話は、そのひとつ。

ふる・まーく♪

2006年09月05日(Tue) 23:14:09

いやあ、やりましたね♪
今朝は新作のお話を三つ、あっぷしたのですが。
そのどれにもコメをつけていただけました。
えっ!ええ~~っ!? きゃあきゃあって。(^^ゞ
思わずはしゃいでしまいました。
こういう経験、たぶん初めてだと思います。^^
思い入れ豊かで的確なコメをくださった淑女の方々に、あつく御礼申し上げます。m(__)m

夜にあっぷしたものは、いずれも去年の5~6月。
「吸血幻想」時代初期の書き込みです。
根幹をなす部分をエッセイ風に描いたものですが、
舌足らずな部分が多くて。
それでちょっとまえにあっぷをした「間男・・・」は描きなおしてみたのです。
けれどたいがい、そういうのって、うまくいかなかったりするんですね。--;
で、今回は原形のまま載せてみました。

フェチでオタクな吸血鬼

2006年09月05日(Tue) 07:56:43

ああ、いらっしゃい。
奥さんさっきまで、ここにいたんですよ。
黒縁メガネのずれをぶきっちょに直しながら、
あいつはきょうもさえないようすで玄関にあらわれた。
妻に相手をさせてから、もう半年が過ぎようとしている。

昔なじみのあいつは、フェチでオタクな独身男。
四十も間近になるのに、まだこれといった縁談も起こらない。
無理もなかった。
吸血癖のある男のところに、だれも好き好んで嫁に来ようという女はいなかった。
さいしょは、お袋のストッキングに手を出していた。
縁側にぶら下がっている洗濯物を、狙うのだ。
よそでやれば、立派な犯罪なのに。
母は笑って、許していた。
まったくあの子ときたら、困ったねぇ。と、笑いながら。
けれどもおれははっきりと、感づいてしまっていた。
うなじにくっきり浮いた赤い斑点と、ワンピースの柄に隠れたほとびの痕を。

妻のときも。
あいつはもじもじと言いにくそうに。
昨日奥さんが穿いていたストッキング・・・素敵だったね。
あの光沢とか、薄さとか・・・
ね。ものは相談なんだけど。
あのストッキング、ひと晩貸してくれないかな?
洗って返す約束だった。
さいしょのうちは、たしかにそうしていて。
なに食わぬ顔をして、返してもらったやつを洗濯機のなかにほうり込んでおいたのだ。

はいっ、これ。
妻が差し出したのは、洗いあげた黒のストッキング。
なににお使いになっているのかしら?
イタズラっぽく笑う妻も、まだ本当の意図に気づいていたわけじゃない。
自分の服を、だれがどんなふうにイタズラしているのかなって。
ちょっと、面白そうだったから。
あとでそんなふうに呟いたときには。
妻はうなじに母とおなじ痕をつけられてしまったあとだった。

脚に通してね。そのまま夜寝るんだってさ。
まぁ、いやらしい。
妻は大仰に、両手で口をおおったけれど。
洗ったやつがお好きだなんて。案外潔癖なのかしら。
そういいながら、もう一足。
あの人の好きそうなやつ。
おとといお買い物の帰りにすれ違ったとき、目の色変わっていたわよ。
ひとの足許、じいっと見ちゃって。^^

はじめのうちこそ。
貸したものは必ず戻ってきたけれど。
そのうちに、なかなか返してもらえなくなってきた。
ストッキングだけだったのが、
じょじょにエスカレートしていって。
ブラやパンティ、挙句の果てはワンピースやスーツ一式。
しまいには、衣裳の持ち主までひと晩じゅう戻ってこなかったりする。

できれば、昼間。
おれがいないときにしてくれよ。
・・・夫婦の時間も、いるからさ。
あいつはへどもど、もじもじしてしまって。
悪かった。謝るよ。
もう、気の毒なくらいに、落ち込んじまっている。
そんなに謝らなくっても、いいんだよ。
とりなすように、そういうと。
いままでどおり、来させるようにするからさ。
妻がどんなふうに抱かれるのか、こんど覗かせてもらおうかな?
アラ、悪いわね。でも嬉しいわ。
妻のほうが、ずっと度胸が据わっていて。
てらいもなく、素直に感謝をしてくれた。(フクザツ・・・)
きょうも妻は、鼻唄まじりにハンドバックを手にとって。
そんなあいつのところへと、
行ってきま~す。
明るい声を残して、出かけていったものだった。

あいつの部屋は、いまや女の衣裳で満たされている。
あのカーディガンも。あのブラウスも。
おや、あのスカートも。
さいきん、どうも見ないと思ったら・・・
こいつがぜんぶ、せしめていたのか。
ごめんよ。ぜんぶもらいものだぜ?
わかっているって。^^;
どの服にも、ちょっぴりと。
赤黒いシミが浮いているのが、ご愛嬌。
このしわは、最近ついたものだね?
散らかった畳のうえ。
着飾った妻は、どんなふうにして転がされたのか?
あらぬ想像に、なにかがむっくりと逆立った。

これはね。初めて襲っちゃったときのブラウスなんだ。
ほら、血の付き方が違うだろ?
こっちはね。こないだ結婚式に穿いて行ったっていうストッキング。
さすが珠代さん、お洒落だね。
それから、これこれ。
見覚えあるかい?珠代さんが女子校生のときのセーラー服。
スカート丈が膝丈でさ。
おれ、これくらいが好みだったんだ。
お値打ちものだと思うんだけどね。

妻の衣裳自慢に興じるあいつを前に、
ちょっとイタズラ心が芽生えてきた。
あいつのかわりに、その服着てみてやろうか?
思わず口走ってしまうと。
ウン。
今まで見たこともないくらいに、にっこりと。
あいつは初めて、満面の笑みで応えてきた。

あとがき
ストッキング・フェチな男が妻を堕として、
また一足、また一着・・・と。
妻の衣裳をせしめてゆく。
そんなあいつの意図を知りながら。
きょうも着飾って出かけてゆく妻。
魅かれます。ちょっとコアですが・・・。^^;

音と気配と

2006年09月05日(Tue) 07:31:47

じゃら・・・
胸にかけた真珠のネックレスが、かすかに揺れた。
ぉ・・・。
喉でこらえた呻きが、廊下の外まで届いて。
聞き耳立てている鼓膜を震わせた。
濃い柄のワンピース姿をふらりとさせて、母はくたりと姿勢を崩す。
倒れこんだテーブルの向こう側。
ズズ・・・ッ。
啜る音だけが、ひそかにあがる。
ふたたび顔をあげたあいつの口許は、バラ色の飛沫をしたたか、散らしていた。
不健康な赤黒さ・・・ではなくて。
ナマナマしい、鮮紅色。
それに母の若さを見るべきなのか。
秘めた淫ら心を読み取るべきなのか・・・
ふしだらに乱れたワンピースの裾を、やつは得意気にたくし上げると、
黒のレエスのスリップを引き出して。
スリップの持ち主の血潮を、そっと拭った。

お母様・・・
妻の由貴子は、蒼ざめた顔をして。
ひと足、母に近づこうとしたけれど。
立ちふさがる黒い影に、ハッと身を固くする。
二歩、三歩・・・
とうとう、追い詰められてしまった。
華奢な身体つきを、ガラス戸に圧しつけられて。
レースのカーテンに半ばが埋もれる。

ぐら・・・っ。
ポニーテールの黒髪が、不自然に揺れた。
あぁ・・・
甘美な絶望を密かな吐息にかえて。
毒蛇の牙に、うなじを咬ませていた。
流れるように長い、ポニーテール。
ムチのように、しなやかに。
音もたてずに揺らしつづけながら。
きゅ、きゅう・・・っ。
押し殺すような音とともに吸われる、うら若い血・・・。

妻は胸に両手をあてがって。
恐怖に耐えているのか。
なにかを懇願しているのか。
ひたすら、いっしんに天井を振り仰いだかっこうのまま。
しずかに音を立てて血を啜る男の相手をつづけてゆく。
倒れて静かになった母の傍らに、その身を淪(しず)めてしまうまで・・・

並んで倒れた、嫁と姑。
うつ伏したふくらはぎは、色とりどりのストッキングに淡く彩られて。
部屋に差し込む微光を受けて、妖しく輝いている。
ぬるり。
ぬるり。
かわるがわる這わされる、不埒な唇に。
なよなよとした薄手のナイロンは、フラチにあしらわれる。

すす・・・っ。
ワンピースの裾から。
タイトスカートの下から。
かわるがわる差し入れられる、枯れ木のような細い腕が。
衣裳の柄を隆起させ、波立たせながら。
奥に秘めた部位を、じんわりと責めたてて。
じょじょに、昂ぶらせてゆく。
ア・・・。
どちらのあげた声だろうか?
裡にゆらいだほむらを消し止めることは、
いかなる淑女にとっても、至難のこと。

ずりっ。
ふたりの傍らのテーブルが、露骨にずれる。
どうやらきょうも、先に手本を示すのは母のほうらしい。

あとがき
姑が嫁に対して模範を示して。
そうした姑の態度に、嫁は内心安堵を覚えつつ、
夫ならぬ相手に身をゆだねてゆく。
そんなふうに、見せかけて。
じつは若い嫁の血を、あとの愉しみに取っておくんですね。きっと。^^;

浮気は、ダ・メ・よ♪

2006年09月05日(Tue) 07:08:45

月曜日は、本命の吸血鬼さま。なにしろ週の最初ですからね。
火曜日は、お隣のご主人。奥様獲られて、お気の毒なの。
水曜日は、あなたの上司。内助の功を強調するわ。
木曜日は、そうね。いっそお義父さまにしようかしら。たま~に、孝行してるんですよ♪
わたしの父は、金曜かな?
それとも金曜は本命さんのために、あけておこうかな?
ああ。そうだわ。父にはお昼に来てもらいますね。
平日の昼間のほうが、あなたも気を使わなくていいでしょ?
えっ?あなた?
そうねぇ・・・
いつでもよろしいですのよ。身体の開いているときだったら。
でもね。
浮気は、ダ・メ・よ♪
私はよくても、あなたはダ~メ。^^
その代わり、いっぱい報告してあげるから。
嫉妬で昂ぶってくださるわよね?
お隣のご主人のときなら、覗いてもいいわよ。
見せたがる人みたいですから・・・
夫が見てるわ。
・・・って。こんど囁いてみようかしら。

あとがき
前作のさやかさんのコメで、思わず触発されちゃった。(^^ゞ
いつものように、夫を挑発して愉しむ由貴子さんでした。^^;

間男についての独白

2006年09月04日(Mon) 07:58:39

間男というものに、奇妙な親近感を覚える。
ひとりの女性・・・それも最愛の妻を通した、裏表の関係。
夫婦の愛や信頼とは別次元にある、性の闇。
その存在を否定することは、よほど相性の良い夫婦に限られてしまうであろう。
身体の芯にも等しい急所を、別の男性に握られれば。
誰でも心平かには、いられないはずである。
はたして妻の背後に、自分とはべつの男性の存在を許容できるものだろうか?

ただの不倫なら、それは裏切り行為に過ぎない。
そうしたものには、嫌悪の情こそあれ、それ以上のものは感じない。
あるのは目をそむけ合った夫婦関係だけである。
ここでいう間男は、愛し合い信じ合う夫婦のあいだに介在する異性。
彼は妻のことを、私の真裏から。
私とおなじくらい等距離に見つめつづける存在。
もしもそうした共存が許されるのであれば、まさに限りなく家族に近い関係のはず。
セックスのうえでは、彼も妻の配偶者なのだから。
もしも語り合うことが許されるのなら。
経験と寛容を兼ね備えた、ウマの合う人物であるのなら。
身体だけの浮気。
好いのではないだろうか?
心のすき間を埋めるため、ひとときのふしだらな場を許すのも。
乾いた日常から妻を解放して、かりそめのロマンスに酔わせるのも。
もちろん相手の男性の値打ちしだいで、その質は大きく左右されてしまうはずなのだが。
もしも妻の不倫というものを。
表と裏から覗き合えるのであれば・・・
同性のあいだにも、セックス・パートナーという関係が成り立つことを、心のどこかで信じはじめている。


あとがき
昨年の五月三十一日に、これと同趣旨の文章を描きました。
ちょっと違っているのは、妻がもともと貞淑であることを強調した点。
貞淑であればあるほど、捧げられる貞操は貴重なものだろう・・・と感じて描きすすんだのですが。
かりに娼婦のように多くの男性を経験した女性でも。
最愛の妻でさえあれば・・・その操は気高いものだろうと思い直して、描きなおしてみました。
※以前のものは、昨年あっぷした日付で再あっぷしておきます。

隠れ里に棲む母娘

2006年09月04日(Mon) 07:31:29

隠れ里のように山深い、とあるさびしい村でのできごとである。
木枯しのふきすさぶ夜、一人の旅人が村はずれの家の門前に佇んだ。
古びたその家に住まうのは、三十をすこし過ぎたばかりの母親と、若い娘。
夫と息子は商用で、ながく家をあけていた。
無用心だわ。
旅人を暖かく迎え入れようとした母親を娘はたしなめたけれど。
若いながらもいく度となく苦境に立った経験を持つ母親は、
困ったかたには親切にするものよ。
逆に娘をたしなめて、旅人を家に招き入れたのだった。

朽廃しかかった造作だったが、家のなかの手入れは行き届いていて。
そまつだが居心地のよい部屋には、暖炉が赤々と燃えていた。
男は黒のマントを身にまとい、ひどく蒼ざめた顔をしている。
母親は親切に男を暖炉の間近に招き、ふたり分のお夜食を三人に分けてともにしたのだった。
山里に似合わない、ノーブルな目鼻立ち。
娘も母親似の、清浄な白い肌をしていた。
言葉少ななやり取りと、奥ゆかしい挙措。
かつて貴族だった彼らは、身を落としても矜持を捨てずにいたのだった。
男のまがまがしい目つきに真っ先に気づいたのは、娘のほう。
時折咎めるような、怪訝そうな目線で男の視線をはね返しては。
お行儀悪い。目つきがよくありませんよ。
目ざとく察した母親に、たしなめられていた。
可愛いお嬢さんだ。年はおいくつかな。
旅人の問いに、娘は怯えながらも、
え?十三歳です・・・
何気なく、応えてしまった。
男は満足げに頷きながら。
これまた母娘に劣らない、鄭重な物腰を装っている。
気品の漂う薄い唇の裏で。
血に飢えた牙がズキズキと疼かせながら。
男のなかでは。
目当ての娘が齢を素直に応えた・・・ということは。
どうぞ私の血で喉の渇きを鎮めてください。
そう申し出たにひとしいことだった。

夜更け。
誰もが寝静まると。
男はベッドから起き出していた。
まず、少女の番だった。
緊張から解き放たれて、すやすやと安らかな寝息を立てている少女。
未知の男との夕餉はそれほどまでに堅苦しいものだったのだろうか。
かすかに上下する胸のうえに手をあてがって。
喉笛に食いつこうとしたその瞬間。
ぎゃっ。
声を抑えるのが、精いっぱいだった。
少女の胸にはアクセサリーの十字架が、輝いていた。
かすかによろめきながら、かろうじて。
少女の部屋をさまよい出ると。
こんどは、母親の寝室のまえに佇んでいた。
迷惑をかけたくなかったが・・・
吸血鬼はそっと呟いた。
行きずりの旅人に信じられないほどのもてなしをしてくれた女に対しては、
すこしの同情を覚えたのだろうか?
それもまた、つかの間のこと。
突き上げる衝動は、男に慈悲を忘れさせた。
ぎぃ・・・
かすかにきしむ、寝室のドア。
黒い影が消えるとすぐに。
きゃあ・・・っ。
たったひと声。あとは静寂。
ズズ・・・じゅるうっ。
なにかを啜る物音だけが、細く長く、明け方までつづいたのだった。

朝餉を済ませると、旅人は家をたった。
嵐は夜のうちに止んで、もはや家にとどまるいわれがなくなったのだ。
母親はいつも以上に口数少なく、男とおなじくらい蒼ざめた顔をして。
顔色の悪い母親を案じる娘を横目に、そそくさと給仕を済ませ、
男を送り出していった。
娘が学校に出かけてゆくと、
ウウッ・・・
獣じみた苦悶の呻きに身をかがめ、
血が欲しい・・・
初めて自覚するまがまがしい衝動を、必死になってこらえていた。

ひと晩おけばよい。
今夜、母親は娘を襲う。
そして母娘ながら、わが同胞に属することになる。
そのつぎの夜、舞い戻って。あの家を訪ねてゆけば。
ふたりはすすんでわが身を引き入れて。
貞淑なその身を、その美しさにふさわしい淫楽にゆだねることだろう。
そのときこそは。
体内に残された血潮を、一滴あまさず奪い尽くしてしまおう・・・と。
不覚にも。
頭上に迫る断崖のうえから落ちてくる岩盤に、気づくのを忘れていた。

父さん、気づいたよ。
ふと我にかえって見回すと。
山小屋のなか、煮立った鍋がシュウシュウと湯気をたてている。
や、よかった。気がつかれたか。
少年の声に振り返った父親が、近寄ってきて。
慇懃な手つきで、頭の包帯をかえてくれる。
あの母親の血を吸っておかなければ。
血は一滴も、出なかったはず。
一夜の収穫がわが身の正体を隠蔽し得たことが、
吸血鬼に、悪辣な安堵を与えている。
半ズボンからむき出しになった少年の膝小僧が、すぐ目の前だった。
つやつやと輝く素肌からにじみ出る若々しさに、
ついくらくらとなりそうになるのを、けんめいにこらえていた。
包帯についた血が、まさか愛する妻のものだとは。
少年の父親は夢にも思っていない。
頭に衝撃を受けてから、ひと晩が早くも過ぎていた。

母さん、どうしたの?
うずくまる母親を案じた娘を傍らに、
母親は黙って身を起こして、娘を見返った。
きゃっ。
少女は怯えを隠さずに飛びのいて、両手で口許をおおっていた。
母の口許からは、不似合いなほどに伸びた犬歯が
冷たい輝きを帯びている。
ひっ。
ちぢみ上がる少女を、獣のような素早さで。
壁ぎわに追い詰めて、捕まえて。
柔らかく白いうなじに、毒蛇のように咬みついた。
縫いつけるように奥深く埋め込まれた牙は。
まな娘の蒼白い静脈を正確に断ち切ってしまっている。
じんわりと洩れてくるうら若いバラ色の液体を。
女は無我夢中で、啜りはじめる。
ぎゅうぎゅうと、床に抑えつけるようにして。
少女の血をむさぼる女吸血鬼。
しずかになった少女の身から流れ出た血は、
赤黒い輝きを揺らがせながら。
冷たい床のうえ、音もたてずに広がってゆく。

母さん。
ミナ・・・
愛する女たちの骸にすがりつく、父と少年。
傍らに佇む黒衣の男は、悲しい結末を、さすがにいたましげに見おろしていたが。
まだ、終わってはいないのだ。
ふと呟きを洩らしていた。
聞きとがめたのは、少年のほう。
どういうことだい?
女たちの身体から、血はまだ、尽くされていない。
生き返らせる方法は残されているのだ。
父と子は顔を見合わせて。
相手がただ人ではないことを察すると。
どうすればよろしいのですか?
慇懃さを忘れずに尋ねかけたのは、父親のほうだった。
父親の血を娘の身体に。
息子の血を母の体内に。
血の繋がったもの同士、血を交わらせれば・・・
ふたりは人間として生き返る。
果たして、ほんとうなのだろうか・・・?
苦労知らずの貴族の出である父親は。
相手の意図を疑うことなく、処置を彼にゆだねようと約束した。
騙されたことが不幸だったのか、幸せだったのか。
想いは、本人しだいであろう。

女たちの傍らに横たわる父と子に。
年の順におおいかぶさって。
父親の首筋と。
息子の太ももと。
かわるがわる、牙を埋める。
すべすべとした少年の肌に牙を突き立てるとき。
欲情を覚えてついしたたらせてしまった唾液の熱さに、
少年はちょっとだけ、訝しそうに顔をあげたけれど。
有無を言わさず身じろぎを封じられたまま、とうとう彼も若い血潮を飲まれていった。
吸い出した血潮は約束どおり、
父の分は、娘に。息子のそれは、母親に。
少しずつ、注ぎまれていった。
女たちの頬にバラ色の血の気がさしたとき。
かわりに蒼ざめはてた父と子は、それでも歓喜と安堵の吐息にむせんだのだった。

今夜は、奥方の番のようだな。
夕餉が終りに近づくと。
黒衣の男は、そう呟いた。
御意・・・
父親は慇懃に座をはずすと、
母親はきらめくような優雅な笑みで、夫を見送った。
かつて栄華のなかにあったときのドレスを身にまとい、
夫にも許したことのないドレスの裾を男にゆだね。
肌をかすかに滲ませた、つややかなタイツに包んだ脛を、あらわにされて。
つつましく恥じらいながら。
飢えた唇がタイツのうえからあてがわれるのを、伏し目がちに見守っている。
いたわり合うように触れ合いつづけるふたつの影が。
にわかに姿勢を崩して、ベッドのうえに折り重なると。
今宵はわたしの妻であることを忘れるがよい。
夕餉のまえに洩らした言いつけに、妻が忠実に振る舞うのを。
熱っぽくせり上がる息を抑えながら、いちぶしじゅうを見守っている。
父さん、寝れないの?
起き出してきた息子の半ズボンの下。
ふくらはぎを覆っている長靴下は、母親のタイツとおなじように赤黒い沁みに浸されている。

夕べは、ミナが相手をしていた。
初々しい吐息を、はずませて。
はだけられた純白のブラウスの奥に、初々しい肌をきらめかせながら。
すでに純潔を喪ったとは信じられないほどの清らかさだった。
男はミナのうなじを咬みながら、薄っすらと笑みつづけながら、
節くれだった指先で、ピンク色の乳首をもてあそんでいる。
学校に通うときに脚に通す、清楚な黒のストッキングは、
いまはむざんに咬み破られて。ふしだらに脱ぎ捨てられて。
ベッドの下に、垂れ下がっていた。
あぁ・・・。
絶望からか。陶酔からか。
少年の洩らした呻きは、甘美に妖しく震えている。

あすの晩は、マリさんを連れておいで。
父親が口にするのは、少年の許婚の名。
純潔な血を、愉しませて差し上げたいからね・・・
いつも寡黙で、理性的な声色が。
そのときだけは、かすかな震えを帯びていた。
そうだね。マリさんの血なら、喜んでもらえるね。
ためらいも覚えずに頷く少年も。
あえかなる宴を思い描いて。
父に劣らない昂ぶりを、抑えかねている。


あとがき
三十年くらい前に実在した少女向けの吸血鬼漫画を翻案しました。
稚拙な絵とストーリーが、そこはかとないエロスを漂わせておりまして、
トラウマ的な影響をもった作品です。
とくに吸血鬼となった母親が少女のうなじに咬みつくシーンは、稚拙な絵ばかりのなかでは出色のもので、ちょっと目にしたこともないほどの名画でした。
不可解だったのは、一夜の宿を求めた吸血鬼が、真っ先に狙った少女の襲撃に失敗したあとしつように追いかけようともせずに、母親の血だけに満足してあっさりと立ち去っていることです。
原作では、吸血鬼になった哀れな母娘は、夫や兄に止めを刺されてしまいます。
悲劇的な結末は、子供向けの漫画では必然だったのでしょうけれど、
どうもそのあたりが昔から納得がいかなくて。
帰り道に怪我をした吸血鬼を偶然父子が助ける・・・という後半部分にすり変えてみました。
どちらの結末がよろしいものか、読者に判断をゆだねます。

カテゴリ追加のご案内

2006年09月03日(Sun) 08:24:57

短期間で急激に増えてしまった「四人の妖花たち」。
最初に血を吸われた女の子が、自分を弔うために喪服を着てきた友達の血を吸って、
吸血鬼仲間にしてしまって。
こんどはふたりがかりで、その子を弔いに来たべつの子を襲っちゃう。
そんなふうにして、順ぐりに。
仲良し四人組が四人ながら、吸血鬼になってしまった。そんなストーリーです。
さいしょは「成人女子」に組み入れていたのですが。
これだけ増えたのだから・・・と。
カテゴリを独立させました。
こうやってヘタにカテゴライズすると、作品がぱったり途絶えたりもするんですがね。(^^ゞ

ヘンな事件が増えていますね。
犯罪には愛情もいたわりもない、無理解と無同情と、獣のような暴力があるだけです。
最近のニュースは、見ているだけで気持ち悪くなりますね。
ここにかいてある落書きみたいなバカっ話は、あくまであり得ない世界のつくりものですから。
現実世界とはなんの関係もありません。
冒頭にも書いておりますが、現実と妄想の区別のつかなくなる人は、閲覧をご遠慮くださいね。

純潔を捧げる家

2006年09月03日(Sun) 08:19:24

村には、処女のまま花嫁を迎えて、しかるべきときに吸血鬼に譲り渡す家がある。
かと思えば、
祝言をあげるまえに、婚約者を処女のまま捧げる家もある。
その場合はもちろん、花嫁の純潔もあきらめなければならない。
長い間のしきたりで。
自分がどちらのほうになるのかを、たいがいの男の子はお母さんに聞かされている。
あなたのお嫁さんは、ある男性と契ってからうちにみえられるのですよ。
そんなふうに告げられたら・・・?
未来の花嫁が処女の生き血を吸われて、純潔までも汚されてしまうのを、みすみす横目で見ていなければならないのだ。

多くの場合、花嫁の相手は前もって決められていて。
それはごく身近な男性だったりする。
幼馴染みだったりとか。母の愛人だったりとか。
母親が嫁入り前に純潔を捧げた相手の息子だったりとか。
少年同士のときには、ふたりはごく仲良くなっていて。
とくに吸血鬼の少年のほうが、花嫁を譲ってくれる少年を護ってやる立場に立ったりするようだ。
お礼に家からこっそり拝借してきた母や姉のスリップやストッキングを。
見せびらかしながら、手渡してやる。
そういう家では、女の子たちも「済ませてしまう」しきたりだから。
姉たちもまた、自室に忍び込んで箪笥の抽斗を開け閉めしてゆく弟のことを、見て見ぬふりをしていたりする。
引き換えに、一時の戯れに汚されたものを返されて
それをこっそり、洗濯機のなかに放り込んでおく・・・
いつか渡される下着は、許婚のものにすり変わっていって。
さいごには、下着の持ち主じしんが、汚されてゆく。
ドキドキしながら覗き込む、花婿の視線を浴びながら。