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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

誰であるかを秘めた貴女へ

2007年04月30日(Mon) 21:10:12

かえさじと 思えどいだく 恋の文(ふみ)

突然の展開に、心ならずもなにも応えることのできなかった私。
だってそれは、禁じられた恋だったから。
それでもせきあげる想いは、ひとつの文をつづっていました。渡すあても、ないままに。
あて先をなくした恋文は、破り捨てることができぬまま。
いつまでもそっと、胸の奥に秘めています。
いまは、遠く離れていても。
貴女が元気なら。そして、幸せならば。私も幸せなのです。
この恋文を、ついに届けることがかなわなくても・・・

行きずりの貴女へ

2007年04月30日(Mon) 21:09:37

決めかねる きみの責めかた 苛めかた

そこの貴女。・・・ご覧になって、しまわれましたね?
吸血鬼の恋は、行きずりにはじまるのですよ。^^
ふとしたすれ違いの一瞬が。紅蓮の焔をゆらめかせて・・・
貴女の理性をとろとろに溶かしてゆくのです。

ときめく街角

2007年04月30日(Mon) 21:09:04

ゆきずりの 脚にときめく 急ぎ道

オフィスや街を闊歩する女性の脚は、高らかなヒールの音を響かせて、きりりと引き締まる脚線を誇示するごとくに歩みを進めるようです。
すれ違う麗人も、瞬時のうちに視界から遠のいてゆく、テンポの速い都会の刻(とき)。
一瞬目を奪われ、胸さわがせて。
それでも数瞬のちにはまた、もとのビジネスモードに戻ってゆく。
働き盛りの男性ならば誰しも、そうした瞬間をよぎらせるのではないでしょうか。

さよなら貴女・・・

2007年04月30日(Mon) 21:08:43

卒業に そっとつぶやく さよなら、と。

だれにもそういう、澄んだ想いに心迫らせた刻があるものですよね。
柄にもなく、無垢だった青年時代に思いをめぐらせてみました。

ちょっとお休みになっている、祥子様の「淑やかな川柳」。
復活を祈りながら、自作の気に入りをこちらに転記してみます。^^

慈善事業 3

2007年04月30日(Mon) 08:08:51

脚ぜんたいを、ぬるりとおおっていたガーターストッキングを、
ハイソックスみたいに、ひざ小僧の下までたるませて。
四角く折り目正しかった襟首を、いびつにゆがめた胸元には。
泥と汗と、かすかな血。
由貴子さんは、はれぼったい目をして。
わざと乱された衣裳のまま、帰宅する。
きょうは、連れもいるようだ。
つづいて入ってきたのは、母。
凌辱されたブラックフォーマルが、ふしだらと裏腹な気品を滲ませているのは。
「年の功かしら?」
振り返った新来の女は、由貴子さんのお母さん。
申し合わせたようにおそろいのブラックフォーマルのすそに、かすかな泥を滲ませて。
破かれた黒ストッキングの脚を、互いに見せ合って。
男のひとって、喪服が好きねぇ。
ウフフ・・・って、笑み合っている。
しょうがないわねぇ、と悪戯っ子にあきれるように。
さいごに入ってきたのは、律子さん。
純白のセーラー服を、やっぱり泥だらけにされて。
母や祖母たちとおそろいの黒ストッキングは、
紙のように他愛なく、破かれている。
まだ、処女なんですよ。
だってあのかたたち・・・処女の血をたいそう好まれますものね。
妻は透きとおった笑みをたたえながら。
律子さんの身づくろいを、息子に手伝わせている。
着替えを持ってきた息子は、母親たちの目を盗んで、
恥らう律子さんの足許から、破けた黒のストッキングをチャッ、チャ・・と剥ぎ取っていった。

御覧になっていたわね?
薄っすらほほ笑む妻に。
息子も私も。おそらくは、この場にいない父さえも。
苦笑をもって、むくいるばかり。
慈善事業。けっきょくは、だれのためなのかしら?
涼やかな声のうそぶきを、聞えなかったように受け流していた。

慈善事業 2

2007年04月30日(Mon) 07:57:12

おや、お宅もですか・・・
エェ。そちらもなんですね。
お隣同士。夫同士。
ひそかな呟きに込められた、濃厚な共感に。
しばし、互いの立場を思いやる。
夜更けて、さ迷い出るように。
ひっそりと出かけてゆく、妻たち。
それを送り出す、夫たち。
妻たちは、まるで申し合わせたように。
ぴかぴかのハイヒールに、黒のストッキング。
夜の闇にコツコツと響く硬質な足音が遠ざかると。
夫ふたりは、互いの目を見て、笑んでいる。
いかがです?どうせ、お寝みにはなれないでしょう?
そうですね・・・あとをつけてみますか。
お互い、悪戯ざかりの少年のように。
おなじことを考えついていた。

村はずれの納屋は、女たちの解放区。
息を忍ばせるようにして、夜道をたどってきた女たちは。
待ち受けていた男どもに、護られるように取り巻かれ。
逞しい猿臂に巻かれながら、スーツやワンピースに着飾った身を淪(しす)ませてゆく。
脱がされるブラウス。
中身ごと、もみくちゃにされるブラジャー。
たくし上げられた紺のスカートから覗く太ももは。
ついぞ見慣れない、ガーターストッキングに区切られている。
妻たちは、背中合わせに立ったまま。
くすくすと笑み合いながら。
あらまぁって、恥じらいながら。
縛めをうけているわけでもないのに、唯々諾々と意のままに随ってゆく。

なかなかやりますね。あいつらも。
お隣のご主人は、妻の情人たちを賛美している。
どうやら負け惜しみだけでは、ないようだ。
ほら、あんなに上手に、家内のおっぱい揉みくちゃにしちまって。
あんなに感じているところ・・・めったに見ることができないのですよ。
うちの妻も・・・感じ始めているらしい。
頬にさしたバラ色をした高潮が。
いつになく生々しく、はずみがついている。

脱がされたハイヒールが、藁の上に転がった。
ストッキングの薄いつま先を、なかば泥にまみれさせて。
女たちは、きゃあきゃあとはしゃぎながら。
戯れかかってくる男どもを、あしらいかねてゆく。
くすぐったそうに身を揉みながら、服を脱がされてゆく奥さんに。
あいつ、あんなに太もも、開いちゃって。
うぅん。なんて、いやらしい・・・
ご主人、いやらしいのは。僕たちのほうかもしれませんよ。
けれどもわたしも、ひとのことなど言えやしない。
由貴子さん、わたしとの夜よりも・・・昂ぶっておいでですよね?

あっ。あいつぅ・・・
お隣のご主人が歯噛みをしたのは。
真っ先に奥さんに挑みかかったのが、大の仲良しだったから?
あっ。妻のほうもいつの間にか、組み敷かれている!
黒光りしているガーターストッキングを穿いたまま。
しなやかな脚をヘビのようにくねらせてゆく、藁のうえ。
はっ、はっ、はあっ・・・
迫るほどの息遣いに、息遣いを重ねてゆく、獣になった男たち。
わたしの妻と、知りながら・・・
彼の奥さんと、知っていながら・・・
ただ本能のまま、おおいかぶさって。
ふざけるように。じゃれ合いながら。
藁の褥を、乱してゆく。
あっ、あっ、あんなに乱れちまって。あんなに奥まで、入れさせちゃって。
ご主人、声が大きいですよ。

妻たちに群がる男どもは。
職場の後輩だったり。
息子の学校の先生だったり。
とにかく誰もが、仲のよい身内や友人。
翌朝になったなら。
おや、いいお天気ですね。
だなんて。
当たり障りのないあいさつを、しかけてくるのだろうか。
お宅の奥さん、おいしかったですよ。ごちそうさま♪
なんて、想いながら・・・

慈善事業

2007年04月30日(Mon) 07:36:00

出かけてくるわ。
夕暮れ刻に妻がそんなふうに囁くときは。
かなり、あやしい。
白い頬に、謎めいたほほ笑みを薄っすらと浮かべて。
嘲るように、気遣うように。
かすかな声を、ホホ・・・と洩らしながら。
何処へ・・・?
と問うわたしに、待ち構えたように返される応えは。
慈善事業。
まだ少女のように初々しく透きとおる頬に、ポッとさしたバラ色が。
すべてを、物語っている。

結婚できない中年の独身者。
遊ぶほどのお金を持たない少年たち。
吸血鬼のもとに血を吸われに出向く妻たちを留められなかった、わたしの同類項。
そうした、夜のパートナーに不自由している男性たちを、慰めるため。
三々五々、家を忍び出て、夜の闇にまぎれ込んでゆく、人妻たち。
そんな人群れのなかに、ほかならぬ妻の影も交じってゆく、妖しい夜。

今夜はお義母さまも、ごいっしょなのですよ。
まるで華やかな夜会にでも出向くように、ウキウキと告げる妻。
あぁそれと。律子さんもお連れするんですよ。
律子さんは、息子の敦夫の婚約者。
女学生って、需要が高いの。ちょっぴり妬けるわ。
そういえば。
ご近所の独身中年氏が、制服姿の息子をつかまえて。
やっぱり若いお嬢さんは、いいねって。
囁かれた敦夫のやつも、くすぐったそうに笑っていたっけ。
姑ともども。息子の未来の花嫁ともども。
顔を並べ、隣り合わせに犯されてゆくというのだろうか・・・

そんなわたしの思惑も、知らぬげに。
白のタイトスカートの下、薄黒いパンストをむぞうさに脚に通していって。
ぐーんと伸びる薄手のナイロンが、白い脛を今夜も妖しく染めてゆく。
娼婦のように手馴れた身づくろいを、
いままで幾晩、見守ってきたことだろう。
バッチリとキメた、かっちりしたデザインの白いスーツ。
妖艶な気品をたたえた、黒のストッキング。
長い黒髪をきりりと結い上げてあらわにした白い首筋を。
まるで鶴のように気高くふりたてて。
薄い唇を真一文字に引き結んで。
ひっそりと出かけてゆく妻。
闇の向こうには、どんな男たちが待ち構えていて。
清楚に装ったスカートの奥、滾りたつ毒液をほとばせてゆくというのだろうか。
あくる朝、何事もなかったように清楚な笑みでわたしを勤めに送り出す妻。
それとなく家のまえを通りかかる、妻を犯した男たち。
ひと晩妻を共有したものたちの、露骨なまでの感謝のまなざしが・・・痛痒い。

密着する罠

2007年04月30日(Mon) 06:04:04

ぴったりと股間に密着した、パンティストッキングの薄い生地に。
芋虫のように勃ったペ○スは、恥ずかしいほど反応する。
掌でなぞるようにたしかめるなめらかな感触に、
敏感になった先端が、じわりじわりと、うるんでいって。
淑女の礼装を、娼婦の小道具へと変貌させる。
薄黒く染められた脚は、女みたいになまめかしくて。
まとわりついてくるナイロンの、しつようなまでのなめらかさに包まれている。
密着する網目模様は、蜘蛛の巣のように狡猾な罠。
あの あえやかな感触で、わが身を縛り、麻痺させて。
ひたぶるに引きずり込まれ、突き堕とされてゆく、本能の世界。
ふるいついてくる傍らの男の、手荒な愛撫にゆだねていって。
吐き散らしあう濁り液に、互いの股間を浸してゆく。
役柄は、互いに女。そして、男・・・

凌辱の間

2007年04月30日(Mon) 05:54:05

「プレイ開始。」
たったひと言の宣言で。
赤いベレー帽の女学生も。
ふさふさウェーブの黒髪の乙女も。
知性や人格とはなんのかかわりもないところで。
凌辱。
という運命に、さらされる。

仲のよいクラスメイトが、隣同士で。
よく似た面差しの姉妹が、あちらのソファとこちらのじゅうたんで。
それぞれべつべつの男に、組み敷かれ、抑えつけられて。
制服の紺のスカートや、チェック柄のプリーツスカートを、
巻き上げられるようにして、すそ乱されて。
お気に入りの白のハイソックスや、ご自慢の洋もののストッキングに。
唾液に汚れた唇を、荒々しく圧しつけられて。
乱されてゆく礼譲に、目をそむけながら。
秘奥に芽生えた妖しい快楽に、
ただひたすらに、身をゆだね心を浸してゆく。

お嬢さん、逃げちゃいけない、仲良くしようぜ。
優等生な日常にはとても不似合いな野卑な文句に。
少女たちは、身を打ち震わせて。
まるで魔法にかかったように。
清楚な衣裳を剥ぎ取られていって。
娼婦のようにフェミニンに輝いたスリップのすき間から。
ぬるりと艶を帯びた裸身をさらけ出して。
身にまとう礼節を、一糸まとわぬまでに略奪にさらしたあと。
さいごにのこった裸身を、抜き身の刀のように、輝かせ。
ひたすら汚辱に、捧げてゆく。

スカートの奥に吐き出される、白く濁った熱い液。
っ!・・・つぅ。
衣裳に撥ねかる汚辱に、眉をひそめた令嬢の、無言のうめき。
ぶり、ぶり、ぶり、ぶり・・・っ、と。
ブラウスを引き裂かれる、押し殺す悲鳴のような音。
闇に支配された一室で。
くり広げられる、いつ果てるともしれぬ異形の宴。
猛禽に肉食い散らされるごとく、泥人形と化してゆく少女たち。

汚辱を受けたその身が、ふたたび白日にさらされるとき。
そこにあるのは、茫然自失した堕ちた女のみじめな姿などではなく。
すきもなく身づくろいして、ひとつの痕跡さえも残さない、
闇におおわれる以前とは、寸分の狂いもない令嬢、淑女。
この世の闇は。この世の白日は。
裏も表も、おなじ面差しをもて、あざ笑い続ける。


あとがき
あらまぁ。すごい文章になっちゃった。^^;

隣室の音

2007年04月29日(Sun) 23:53:38

うなぎの寝床みたいに狭苦しいマンションで。
部屋を真っ暗にして。
かすかに窺う、隣室の気配。
先週引っ越してきたのは、若いOL。
つやつやとした浅黒い頬。振り分けた黒髪から覗く、聡明そうな額。
エキゾチックなまでの、二重まぶた。
どれもが若々しく活き活きとしていて。
その身に巡る血潮の香気が、彼女の周囲に放散するように。
私を魅了し、惹きつけてゆく。

がたがた、がたん。
どうやら、お帰りのようだった。
ふたつ向こうに住むべつのOLは。
よく男を連れて帰宅してくるというのに。
こんどの彼女は、そういうこととは無縁のようだ。
美しいのに、化粧っ気もなく、
つややかな黒髪をサバサバとたなびかせて。
まるで世間の汚れとは、無縁なように、
リズミカルに闊歩するハイヒール。
そんなわけはない。
あの齢で。男を知らないわけはない。
そうは思ってみたものの。
彼女から放散されるのは、あまりにも健全すぎる透きとおった空気だけ。

じゃ、じゃわあーっ。
どうやらシャワーを、浴びているようだ。
夜になると鋭敏さを増すこの耳は。
壁ひとつへだてた向こう側を、あたかも何も遮るものがないかのごとくに聞き分ける。
独り食事をつくっているとき。
テレビのチャンネルを、あてもなくひねっているとき。
インターネットは、仕事用の検索くらいにしか、使っている形跡がない。
壁一枚隔てて、隣り合わせに暮らしている彼女。
もう、なにもかも。行動の癖まですっかり、わが身に添うほどになっている。
え?
そうまでしてまで、どうするつもりなのかって?
知れたことじゃないか。
影を添わせてゆくちに。
いつかほんとうに違和感なく、彼女をじぶんの影のなかへと取り込むことができるのだから。

がたがた。がたん。
どうやら、シャワーを浴びおえたようだ。
バスタオルで、体をくまなく拭っているらしい。
やがて、浴室から出て来て。
それまで着ていたものを、放り込んだ洗濯機をONにして・・・
おや?
うちの洗濯機、タイマーなんか仕掛けていたっけな?
ぐぅん・・・ぐぅん・・・
彼女の部屋の洗濯機は、まだONになっていないのだろうか?
聞えるのは、予定外に回されている、私の部屋の洗濯機の音。

「お待たせ」
え・・・?
ふと顔をあげると。
湯あがりの黒髪をいっそうつややかに輝かせた彼女が、目のまえにいた。
え?え?え?
いつの間にか、ひとつのお部屋になったみたいだね。
太陽のように、ほほ笑むきみ。
さらりと撫でつけた黒髪に、
白いうなじがひときわなまめかしく映えていた。
あんまり痛く、しないでね・・・
そのときだけほんのりと頼りなげに、呟くと。
彼女はほっそりとした指を、灯りのほうへと伸ばしていって。
境界のなくなった世界を、闇に変えていた。

はなればなれ

2007年04月29日(Sun) 23:40:25

いつの間にか・・・のことだった。
単身赴任先から戻るたび。
自宅の雰囲気が、変わってゆく。
あたかも見ず知らずの他人の家庭のように。
じゅうたんの色も。
家具のたたずまいも。
なによりも・・・
妻の顔色。子どもたちのようす。
なにもかもが、そらぞらしく。
まるで他人を遇するような態度で、わたしに接するようになってゆく。

いつの頃から・・・なのだろう?
単身赴任先から戻るたび。
夫の態度が、変わってきた。
まるでよそよそしくって。
はじめからべつべつに暮らしていたひとのように。
メガネの格好も。
スーツの趣味も。
なによりも・・・
ものごとのすすめかたから、たいせつなことを決める順序まで。
なにもかもが、他人事のようで。
まるで、赤の他人のようなそらぞらしさで、わたしたちに接するようになっていった。

一年、二年、そして数年。
あるとき家に戻った夫は。
自宅と思って訪れた家に、ちがう家族が住んでいるのを知った。
あるとき夫と名乗る男の訪問を受けた妻は。
目のまえの男が、夫とは似ても似つかない他人であることを知った。
どこまで遠のいてしまったのだろう?
じぶんの戻る家は。
わたしの迎え入れるべき夫は。
どこにさ迷っていってしまったのだろう?

ひとりでに・・・

2007年04月29日(Sun) 23:34:56

深夜。
真っ暗な寝室で。
PCの電源が、ひとりでについた。
じゎーーーん・・・と響く、かすかな電動音。
かたりかたりかたり・・・
画面に大写しになったのは。
”妖艶なる吸血”という、タイトル名。

描かれてあるとおりに、実行しなさい。

メッセージを目にしたわたしは、黙ってうなずいて。
寝床を出て、ひそひそと着替えをする。
グレーの半ズボンに、薄く透ける紺の長靴下。
そのかっこうで、歩け。と。画面はわたしに命じている。

ひえびえとした夜霧のなか。
ひたひたと歩みをすすめる音に、べつの足音がかさなってくる。
そうしてわたしの影にも。
べつ人影が、おおいかぶさってくる。
朧月夜のなか。
ひとつになった影は、わたしになにかを、囁きつづける。

奥さんを、連れて来い。
もちろん、いますぐに。
別室で寝んでいたはずの妻は。
室内に取って返したわたしを、真夜中には場違いな着飾った姿で。
嫣然とほほ笑んで、出迎える。
ようこそ。
夫婦どちらからともなくかけた声に。
廊下に忍び込んでいた影は、ススッ・・・と歩み寄り、
細くて白い妻のうなじに、いっそう色濃く影を宿してゆく。

お嬢さんは、まだ起きてお出でだね?
ェ・・・・・・?
顔を見合わせる夫婦の頭上。
みしり、みしりと階段のきしむ音。
真っ白なハイソックスのつま先が、玄関前に敷かれたじゅうたんを踏みしめるころ。
影は女学生の後ろ姿を、黒い霧になって圧し包んでゆく。

息子さんは、彼女を迎えに行かれたのだね?
直接庭先に通すよう、携帯メールを打つことだね。
あぁ、そのほうがよさそうだ・・・
わたしは携帯を取り、妻はうつろになった娘を、庭先へといざなってゆく。

描かれてあるとおりに、すべてを実行に移したならば。
PCの電源をこんどこそ、OFFにして。
ゆっくりと・・・お寝みなさい・・・

アッ!何、なさいます・・・?

2007年04月27日(Fri) 11:40:13

アッ!お許しくださいませっ。
なにを・・・なにを、なさいます?
むたいに肩を、つかまえて。
そんな、そんな。どこへお連れになろうというのです?
路地裏ですか?
ひとに、見られたくないのですか?
そのようなこと、妾になさると、おっしゃるのでしょうか?
どうか、どうか、お許しくださいませ。
女に恥を、かかせるなんて。あんまりでございます。
まだ、昼間でございますのに・・・
夜ならつごうがよろしいのか、ですって?
なんという、むたいなことを。
だめです、どうか、お許しを・・・アアッ!!
あっ!・・・痛っ!・・・痛ううぅ・・・

あんまりです。血を吸うなんて。
こんなことして、言うこときかせようなんて。ひきょうだわ。
あぁ、目のまえが、曇ってきた。
めまいが・・・めまいが・・・頭がくらくらします・・・
おやめになって。
わたくしを放して。
このまま何もなさらないで、家に帰してくださいませ・・・
あっ。うっ。
まだ、咬むのですか?
痛い・・・痛い。痛いです・・・っ。
嫌いなんです。こんなこと。
お洋服が、血で汚れますわ。
どうしてくださるの?
だめ・・・あっ、わざとこんなに、したたらせて・・・
ひどい。外を歩けないですわ。
ちょうどいい、ですって?
暗くなるまで、仲良くしよう、ですって?
なんということを、仰るの?
あっ。ごむたいな。
脚まで吸うなんて。
ストッキングが、破けてしまいます。
え・・・すぐには破かない、ですって?
そのあいだ、どうすると仰るの?
だめ・・・そんな・・・恥ずかしい・・・
いたぶるだなんて。
あっ、そんなに乱暴にしたら、よじれてしまいます。
ねじれるところが見たいというの?
変態。赦せないわっ。
あっ、唇つけて、吸っている・・・
だめ・・・だめ・・・赦して。そんなふうに、汚さないで。
あなたにこんなことされるために、穿いて来たわけじゃないのよっ!
ひどいっ!破ったわねっ!?
弁償するですって?そういう問題じゃないわよっ。
女に恥を、かかせておいて。
恥なの・・・?・・・ですって?
どういう・・・意味・・・?
ああっ。いつものめまい・・・
・・・じんじんしてきた。
動けなくなっちゃう。
彼に、いいように、どんどん食べられちゃう。
だめ。力が抜けていく・・・。
愉しいだろう?ですって?
気分がラクになっただろう?ですって?
なに仰るの?
無理やり、こんなところに引きずりこんでおいて。
明日は仕事じゃないんだろう?ですって?
だから少しくらい血を吸ってもいいんだろう、ですって?
ひどい、ひどいわっ。
だめっ。そんなに吸っちゃ。
わたし、おかしくなっちゃう!
あっ。あっ。あっ・・・

花嫁吸血 ~老婆の場合~

2007年04月27日(Fri) 11:04:27

くふふふふうっ・・・
よぅ、参ったのぅ。
よしよし、それほどわらわに、血を啜られとうなったかや。
さればぞんぶんに、愛でてつかわそう。
それ、もそっとこちらへ寄りなされ・・・
そうじゃ、そうじゃ。そう硬くならずに、の。
もそっと、こう。うなじをあげて。
ほほぉ。恥ずかしいかや。
目をつぶっておるわいの。
じゃがの。お隣の婿どのは。
しっかり、御覧になっておるぞえ。
そもじが好んで、処女の生き血を吸わせるところを・・・のぅ・・・
かりり。
きゅうっ・・・。

くふふふ・・・ふふふ。
はや、目を回してしもうたかや?
お若いに、他愛のないことよの・・・
どれ。そもじの血が、まだ口のはたについておるわ。
いつものように、わらわのたもとで拭ってしもうても、よいのじゃが。
きれいなブラウスをお召しでおいでじゃの。
白のブラウスに、赤いまだらはよぅ似合うじゃろうからな。
そぉれ・・・たっぷりと・・・拭ってとらすぞ。
手向かいなさるかや?
おう、おう・・・お元気なことじゃて。
じゃが・・・だめじゃ。ほぅら。
お仕置きに、もっとよけいに拭ってつかわそうぞ。
真っ白なブラウスに、こう・・・こう・・・こんなあんばいに、の。
どうじゃ?婿殿?似合うじゃろう?
そうか、そうか・・・婿殿とは、好みが合いそうじゃ。
わらわのいけない仕打ち、愉しんでくださっておいでのようじゃて。

おや、だいぶ。お加減がわるそうじゃの。
なに?立っておれぬと?
そおか、よいぞ。おニューの白いスーツを、泥まみれにしたいと仰せなのじゃな?
なぁに、じつは。わらわも・・・の。
さっきから、そうさせとうて。
そもじの血をたしなんでおったのよ。
ほれ、ほれ。
すぐ足許は、ぬかるみじゃ。
ここで転んだら・・・
真っ白なスカートのすそが、泥にぬらぬらと、ひたるわいの。
どうじゃ?どうじゃ?まだ倒れぬかや?
ほれ。小突いてくれよう。
おっと・・・
惜しいの。
気丈なお振る舞い。
辛抱強いことじゃの。
じゃが、わらわにすがられては、ちと重たいの。
うふふふふふふ。
泣いておるのか?
仲良しのそもじに泣かれては・・・わらわも切ないの。
仕方ない。も少し、我慢するのじゃぞ。
わらわが若いおなごの血を好むのは。
女学生の時分から、よぅご存知じゃの?
まだまだたっぷりと、味わわせてくださるお心づもりなのじゃろう?
そう、申してくれるなら。
もうちっと、辛抱なされや。
すぐに、そこなる腰かけまでお連れするほどに。
お慈悲じゃぞい。

ほぅれ、はぁはぁと、息をついておいでかの。
かぐわしい。かぐわしいの・・・そもじの息が。
そうやって、苦しそうに、肩はずませて。
もだえて、髪振り乱して、歯を覗かせて。
うぅん。こたえられんわい。
さ、わかっておるの?つぎは脚じゃ。
流れるようなふくらはぎ。たんと、いたぶらせていただこうぞえ。
婿殿、見やれ。
ストッキングも、薄々の白じゃ。
婿殿の、好みかえ?
なに、わらわのために、選んでおったとな?
明日の祝言のために、わざわざおろしたものじゃとな?
よう、教えてたまわった。
されば心して・・・愉しませていただくぞえ。
これ、脚を引っ込めるでない。
恥ずかしがることは、ないのじゃぞ。
どのみち血が無(の)うては、よう手向かいもできまいて・・・

ぬるり・・・ぬるり・・・にゅるん。
うふふふふふっ。
たいそうよい舌触りじゃ。
舶来ものかえ。
よいたしなみじゃの。
思い切り、ねじれさせての。
くしゃくしゃになるまで、いたぶってつかわすぞい。
たまらぬの。たまらぬの。
いたぶるたびにの、ほれ、こうやって。
糸が、とろけてゆくようじゃ。
それ、そうやって。
恥ずかしそうに目をそむけておるそもじの横っ面も。
ぞくぞくするほど、美しいぞ。
くちゅうっ・・・くちゅううっ・・・かりり・・・かりっ。
おっ。破けた・・・
いい感じで、裂け目が伝ってゆくわい。
ほれ、御覧。いい眺めじゃろう?
おや、泣いておるのかや?
わかっておる。嬉し泣きじゃの?
婿殿のまえで、わらわにこれほど可愛がられて。
嬉しうて、たまらんのじゃろう?
よし、よし。のぞみどおり。もっといたぶってつかわそうぞ。
なに、無礼とな?もう厭じゃとな?
心にもないことを、ほざきおって。
遠慮することはない。
わらわの舌づかい、ぞんぶんに愉しむがよかろうぞ。
・・・・・・。
・・・・・・。

さて、婿殿よ。
貴殿の花嫁ご、今宵まであずかって。
生娘のまま、生き血をたんのうさせていただいた。
よぅ、かんにんしてくだされた。
礼を申しますぞえ。
されば、心ばかりのもてなしを、用意させていただきましょうぞ。
え?もちろん、嫁ごの身持ちのことじゃ。
生娘の花、おん目のまえにて、散らしてつかわそうと思うての・・・
わらわの息子ども、三人に。
花嫁ごの白い衣裳を、泥まみれにさせて見とうての。
よいじゃろう?
純潔を汚される、というのも、一興じゃとおもうじゃろ?
それ、それ・・・
逞しい茎じゃ。
みごとなまでに、そそり立っておいでじゃの。
これで・・・明晩。恥らう嫁ごを初めて愉しませるつもりでおったじゃろうが。
しかし、こうやって。樹に縛りつけられておっては。
お気の毒じゃ。どうにも、なるまいのぅ。
いちばんうえは、わらわとおなじ吸血鬼。
荒っぽいのが、好みでの。
若いみめよいおなごをつかまえると。
ぎゅうぎゅうと抑えつけての。愉しげに酔わせてしまうのじゃよ。
つぎの息子は、母ごをわらわに喰らわせてくれた、かわいい養い児。
ねっとりしつこくするのが、得意じゃで。
あやつにかかったおなごは、明け方になるころにはの。
もう、酔っ払ったように、へろへろにされてしまうのじゃ。
末っ子は、悪戯者でな。
ほれ、なんというたか・・・
おなごを縄で縛ったり、蝋燭をしたたらせたりする遊びがあろうの。
あれが大の、好みなのじゃよ。
夕べもここに、となり村の新妻を、夫婦ながら呼びたてての。
ご亭主のまえ、蝋をしたたらせて、したたか愉しんだとか言うておつたわ。
どうじゃ?だれが、好みかの?
択ばせてやろうほどに。
なに、花嫁の処女を進呈するのはそなたじゃからの。
なに?
いやじゃと?
それだけは、赦してくれとな?
はてさて、気前のわるいことじゃわ。
茎はこれほど見事に、勃っておるにの。
上と下とで、申すことが違うようじゃな。
なに?なに・・・
いずれはみたりとも、夜這いさせるとな?
それは、それは。よい心がけ。
じゃからの、今宵をなれ初めに・・・
それでも、厭じゃとな?
ええい、往生際のわるいこと。
わらわが、狂わせてつかわそうぞ。
きゅうっ・・・

どうじゃ?お加減は?
体じゅう、じんじんとして参ったろうが。
嫁ごを、抱かれとうなったろうが?
口にするのが、恥ずかしいかや。
嫁ごに、聞かれとうなかったら。
ほれ、わらわの耳もとに、こっそりと囁いてみやれや。
なに、どうしても・・・?
しぶといのう・・・
まぁよい。
そもじとも、永きえにしじゃ。
仕方ない。望みをかなえて、つかわそうぞ。
それならば・・・
今すぐ、ここで契りやれ。
わらわがいちぶしじゅう、眺めておるほどにな。
若いおなごが初めて犯されるところを見るのが。
わらわはたいそう、気に入りなのじゃ。
さあ、縄を解いてつかわすぞ。
おや、花嫁ご、恥ずかしうて、おもてをそむけておいでじゃわ。
これ、こちらを向きやれ。
の?ほれ。逞しそうな茎じゃろう?
これを、太ももの奥に、埋めていただくのじゃぞ。
エエな?結び合わせるように、根元まで、しっかりとじゃぞ?
ほかの男をかけ合わせるのがわらわの好みじゃというに。
この男・・・頬をつねってくれようぞ。
さ、睦みやれ。この場で。すぐに・・・


あとがき
花嫁の処女を逸した三人の息子たちは、
たぶん老婆の実の息子ではないのでしょう。
けれどもきっと、このあとに。
新婚祝いに、かわるがわる。
新居に夜這いを、かけるのでしょうな。

裏切られて 救われて

2007年04月27日(Fri) 06:38:01

-1-

りぃん。ろぉん・・・
凍えた空気の室内に、うつろに響くインターホン。
地下室の男は一瞬頭上に洩れる明るみに目をやったが。
すぐにまた、顔を俯けてゆく。
りぃん。ろぉん・・・
男はチッと舌打ちをしたけれど。
かまわず、動作をつづけていった。
机のうえ、うつ伏しているのは、若い女。
長い黒髪を、スチール机のうえにふり乱したまま。
合わせた手の甲のうえ、額をぴったりと重ねている。
よし、よし・・・
男は女の髪をいとおしげに撫でつけて。
いとおしげに、頬の輪郭をなぞるように、掌を寄り添わせて。
そのまま、襟首のなかへと、すべり込ませてゆく。
シルクのスリップの向こう側。
ぽちゃぽちゃと柔らかな乳房が掌に心地よい。
まさぐる掌のなか、人肌のぬくもりはいっそう熱を帯びていって、
淫らな血をかきたててゆく。
うふふ・・・ふふ・・・
男は満面の笑み、手中に堕ちた女を、いとおしげに撫でさする。

りぃん。ろぉん・・・
心地よい闇の快楽をさえぎるように。
またも、インターホンが鳴らされた。
玄関に立つ訪客は、どうやらあきらめないらしい。
しつように、追い討ちをかけるようにして、
うるさくないほどの一定間隔をおきながら、
まるでだれかをおだやかに説得するように、
無機質な音を室内に響かせてゆく。
ちっ。
男はまたも、舌打ちをして。
よしよし。いい子で待っておいで。
どうせ、きみの姉さんだろう。
すぐに、追っ払ってくるからね。
口もとの含み笑いは、絶やされることがなかった。

玄関先に現れた女は、妹とよく似た、大きな瞳の持ち主だった。
ウェーブのかかった髪を茶色く染めているところが、
いまだにのこる初々しさをすこしだけ、そこなっていて。
そのぶん、妹よりも大人びたふうを漂わせている。
さぁさ、どうぞ・・・
男はいんぎんに、その若い女を迎え入れ、火の気も人けもないリビングに招じ入れてゆく。
デニムのジャケットの下は、やや不釣合いにフェミニンな白のスカート。
足許を染めるのは、肌の透けるほどに薄い黒のストッキング。
下半分は、わたしの好みだな・・・
男は不埒にも、地味めな女のイデタチに、そんな想いをよぎらせる。

妹を、かえしてください。
女の要求は、きっぱりとしていた。
その瞬間、ほのかに漂わせる色香が、まるでそらぞらしい敵性をよぎらせて。
男は用心深く、凍りついた面持ちのうらに感情を隠しながら。
さぁ。なんのことですかな。
とりあえず、しらばくれてみた。
知っているんです。もうなん日も、妹はこちらにおじゃましているのでしょう?
いえ・・・なんのことだか。
若い女は性急だった。
まさか・・・あやめてしまったわけではありませんね!?
胸ぐらをつかんで揺すりかねないほどの、迫力だった。
「あやめて」という不慣れな言葉づかいのなか。
いだいた疑念の恐ろしさがにじみ出ているのだが。
恐怖は一方で闘志にすりかわって、姉娘の肩先から焔のようなオーラさえ発している。

困った。
こういうストレートな感情は、苦手なのだ。
どうやらしらばくれてみても、はじまらないようですな。
かすかなささやきを洩らすと、
男はやおら身を起こすと、姉娘の足許にかがみこんでゆく。
あっ。
脚をすくめるいとまもない。
女はたちまち、足首をつかまれて。
すくめた足許に、唇を吸いつけられてしまっている。
薄い黒のストッキングのうえ、ねっとりと這わされた唇は。
妖しく光る唾液を滲ませていて。
淫らなものを、素肌の奥にまで秘め込もうとしている。

ぬるり・・・ぬるり・・・
常人ではない力を、素肌うえへと迫らされて。
姉娘は絶句したまま、礼装への仕打ちをどうすることもできなくなってゆく。
うふふふ・・・ふふ。
いいお味の血をお持ちのようだね。噛ませてもらうよ。
女はこわばった顔のまま、知らず知らず頷きをかえしてゆく。
すねからひざ小僧へ・・・。
淡い黒のナイロンの表面に、ちりりと淡い裂け目が滲んでゆく。
うふふふ・・・ふふ。
わかっているのだよ?きみも、淫らな女なのだよね?
彼氏の数も、ひとりやふたりじゃ、ないのだろう?
けれども、ストッキングの色選びは、正解だ。
なによりも、わたし好みだからね。
女学生の頃、制服のスカートの下に着けていたやつだろう?
今でもよぉく。似合っているよ。
わたしにイタズラしてもらいたくって、わざわざタンスの奥から取り出して、履いて来てくれたのだろう?
女はもはや、吸血鬼の手中に堕ちて。
求められるまま、生き血を啜り取られてゆく。

女は頭を抱えて、テーブルに突っ伏していた。
けれども、男の顔は冴えなかった。
取り込んだばかりの若い女の血潮は、渾身の想いをこめて、
男の胃の腑のなか、訴えつづけている。
妹を返して。たったひとりの妹なんです・・・
男の背後に忍び寄ったのは。
頬を蒼白くこわばらせた長い黒髪の少女。

ばかね。姉さん・・・
あたしからこのひとを、取らないで。
口を尖らせる妹に。
姉はかろうじて身を支えながら。
どう説得しようかと、言葉を捜しかねていた。
やっと見つけた恋人なのよ。
姉さん、なにもかも私から取りあげておいて。
そのうえこのひととの仲まで、裂こうというの?
妹の詰問に、姉は言葉を失っていたけれど。
帰って来て。みんな、心配しているから・・・
やっとのことで、そう呟いた。

帰ればいいさ。
男はぽつりと、呟いた。
え?
妹娘は、信じられない、という顔で、恋人を見つめたけれど。
いきなり拉し去ったわたしが悪いのだ。
いちど、ご両親に会ってきて。
ご家族のようすが落ち着いたなら。
はやくここへ、戻っておいで。
女は不承不承だったけれども、男の言葉に素直に頷いている。
それっきり。
女がふたたびこの邸の玄関に立つことは、ついになかった。


-2-

十年以上も、過ぎただろうか。
口許をこわばらせ、
目許はきつく、一点を見据えながら。
急ぎ足をすすめてゆく、ひとりの女。
デニムの上下という地味めな服が。
子どもができてからずっと、身近なものになりきっていた。
三十代の落ち着きに、あのころのはしゃいだ華は影をひそめていたけれど。
かつて吸血鬼の花嫁と見込まれた清楚な面差しだけは、まだ色濃く目鼻に滲んでいる。
娘がかえらなくなって、はや二週間がすぎただろうか。
ご近所に、いいひとができたみたい。
年頃の娘の外泊が珍しくなくなった風潮に惑わされて。
まさかまな娘がくぐった門が、あの邸だとは。
うかつにも、気づかないでいたのだった。
もっとうかつだったと、気づいたのは。
デニムのスカートの下からのぞく、足許の装い。
ストッキングなんか、履いてくるんじゃなかった。
そんな女ぽい感情も、一瞬よぎらせたけれど。
女はすぐに、母親の面持ちにたち戻って。
もはやためらいもなく、十年ぶりに邸の門をくぐっている。
りぃん。ろぉん・・・
あのとき姉が自分を連れ出しに来たときと。
インターホンの音色は、変わっていなかった。

現れた白皙の男は。
あのときと寸分変わらない端正な面差しに。
かすかに血色を滲ませている。
娘から摂った血が、かつての恋人の頬を染めていると気がつくと。
女はき然とした母親の顔をして。
娘を返してください。
きっぱりとした口調に、吸血鬼は一瞬ひるんだようだった。
そそがれる弱々しいまなざしが、女をかえって口ごもらせた。
ごめんなさい。
身勝手、ですよね?わたし・・・
男はなにもいわないで、ゆっくりとかぶりを振っている。

あんたが悪いわけじゃない。
わたしの存在そのものがわるいのだ。
よぅく、わかっているのだよ・・・
けれども、あのときずっときみの帰りを待ちつづけて。
とうとう戻ってくることがないのだと、あきらめて。
それからどれほどの人を牙にかけてきたことか。
わたしの力をもってすれば。
理性的なきみの姉さんさえ、堕とすことだってできたのだよ。
けれども、きみはいっていた。
姉さんはわたしからなにもかも奪ってゆくと。
そういうひとに、きみも代役をお願いして。
身代わりに抱くことはできなかったのだよ。
姉さんは、きみを愛している。だから、危険を冒してきみを救いにきた。
いまきみが、じぶんの娘を救いに来たように。

帰らないわよ。
娘の口調は、きっぱりとしていた。
ぜんぶ、聞いちゃった。そういうことだったのね。
おじさまは、わたしにはなにもおっしゃらなかったけれど。
初めて遭うはずなのに。
わたしを見つめる目が、切なそうだったから。
つい、首筋を許してしまったの。
家にだって、ときどき戻っていたのよ。
ママが家にいないときに・・・
そうして、ほら。
少女は見せびらかすように、ファッションショーのモデルめかして。
くるりとその身をひるがえす。
紺のブレザーに、真っ赤なタイトミニ。
ふくらはぎを彩る濃紺のストッキングは。
いつも白い靴下だった少女の脚を、別人のような大人の女にかえていた。
それはかつて、少女の母親が此処に拉し去られたときの服。
見かけだけじゃないのよ。
このひとに、変えてもらったわけじゃない。
あたし自身で、変わったの。
え?ママったら。なに考えているのよ。
そんなわけないじゃない。
だってこのひと・・・好物は処女の生き血なんだから。

二週間して、娘は家に戻ったけれど。
それでも足しげく、お邸へと足を向けていた。
真夜中に呼び入れられるとき履いて行くストッキングは。
翌朝解き放たれるときには。べつの色に変わっていた。
少女に恋人ができたとき。
恋人は愉しそうに、いっしょにお邸に訪ねていって。
自分の妹や母親さえも、連れて行くようになっていた。

誰かが救ってあげないとね。
あのひと、永遠に浮かばれないじゃない・・・
少女の言い草に、少女の母も。伯母も。
ただ、苦笑を交し合うばかりだった。
すくめた足許には。
濃い目のストッキング越しに目だたなくなっていたけれど。
娘があやしているのとおなじくらいの大きさの古い痣が、まだかすかに滲んでいた。

只今別居中

2007年04月26日(Thu) 08:09:32

ええ、あのひととは、別れるわ。
もう、別居しているの。
顔もみたくないのよ。
いまお逢いしたいのは、あなただけ。
あなたはわたしの血を吸って。
わたしの理性を狂わせてしまったわ。
さぁ、抱いて・・・
夫のまえでは決して見せない、美々しく装ったフェミニンなシルエット。
投げ出された淑女の影に、黒影は遠慮会釈なく、覆いかぶさってゆく。

しどけなく、衣裳を乱して。
あえぎながら。もだえながら。
女は道ならぬ恋に、胸焦がす。
けれども、お隣も、ご近所も。
それぞれの寝室で、寝たふりをしている娘や息子たちも。
みぃんな、知っている。
ふたりは別居中の夫婦だと。
あのひとの顔なんか、見たくないのよ。
女はことさらに、暗闇を要求し、男は黙ってそれにしたがってゆく。
道ならぬ恋に、酔い痴れるの。
安心できるひとと、戯れあうの。
夫が嫉妬しているわ。
そうよ、たっぷり、見せつけてやりたいのよ。


あとがき
昼間は仲が悪くて、別居中の夫婦。
それなのに。
彼女が選んだ暗闇のパートナーは、なんと夫じしんでした。
こういうどんでん返しなお話は、いかがでしょうか?^^
もっとうまくかけたなら。
もっと面白いお話になったかも。(^^ゞ

靴下をずり下げて・・・

2007年04月26日(Thu) 08:05:05

制服の濃紺の半ズボンの下。
ひざ下までぴっちりひきあげていた紺のハイソックスを、ずり下げて。
ほてるほど、飢えた唇を這わされて・・・
ずずっ。じゅるうっ・・・
老婆はほくそ笑みながら。
少年の生き血に酔い痴れる。

つぎの日のこと。
少年が連れてきたのは、セーラー服の少女。
真っ白な夏用セーラー服に、黒の襟章。
三本走った純白のラインが初々しいモノトーン。
黒のプリーツスカートの下、のぞいているひざ小僧は。
薄墨色のストッキングに、なまめかしく染まっている。
老婆は舌なめずりしながら、足許ににじり寄って。
にゅるり・・・にゅるり・・・
恥らう少女の足許に、舌を這わせてゆく。
兄さんが、ついていてあげる。
甘いささやきに、かすかにうなずき返しながら。
オトナっぽい装いに加えられる凌辱を、
ウットリしながら、見守っている。
破っても、いいですよ・・・
少女はそう、囁いたけれど。
母御に知れるじゃろう。
老婆はニタニタ笑みながら。
少女のおさげをかきのけて。
白いうなじに唇を這わせてゆく。
きっちりとしたプリーツスカートの直線を、いびつに乱されながら。
生き血を吸い取られ、淫らにあしらわれてゆく妹に。
兄はドキドキと、胸とどろかせ。
ひそかに、ちゅうっ・・・と、反対側のうなじを吸っている。

そのつぎの日のことだった。
おさげをほどいて、肩先に髪を流した少女は、
清楚な黒のフォーマルスーツに身を包んだ、
じぶんと瓜ふたつの母親を連れてくる。
後ろから忍び寄ってきた息子と。
傍らからしなだれかかってくる娘と。
ふたりにはさまれた女は、老婆にうなじをくわえられて。
肩先に散らした、バラ色のコサアジュに。
困ったかたね・・・とほほ笑んでいる。

えぇの。順番じゃ・・・
老婆はニタニタと、ほくそ笑みながら。
芝生のうえ、母娘、そして少年を転がしていって。
まず、少年の履いている、濃紺のハイソックスを。
母親の目のまえで、辱めてゆく。
きょうの靴下は、ずいぶん薄いのね。
ウットリとした目線のかなた。
息子のふくらはぎの周りを染めるのは。
ストッキング地のハイソックス。
チリチリと滲まされた伝線に。
少年は薄っすらと笑みくずれながら。
ダメだよ、おばさま。
イタズラっぽく、白い歯を輝かせている。
つぎは、どちらの番じゃの?
おそろいの黒ストッキングの足許に。
老婆と少年は、顔を並べて、近寄せて。
どちらがどちらの脚に噛みついたのか。
それは、おぼろな靄のかなた・・・


あとがき
おさげのままだと、ママに噛み痕を見られちゃうわ。
少女はクスリ・・・とイタズラっぽく笑んで、母親をつれてきたのでしょうか。
靴下を破っていただくのは。
そう、お叱りになるお母様が、ごじぶんからストッキングを破らせてから。
母親みずからが許してしまったいけない悪戯を。
緑の芝生の上、
傍らで息子も娘も愉しみはじめてしまう。
そんなお話です。

若妻のころ

2007年04月25日(Wed) 07:27:47

由貴子さんが若妻だったころの一情景です。

その晩帰りが遅くなって。
帰宅した玄関を照らす門灯の輝きの、わずかな変化にそれと察して。
インターホンを鳴らさずに、門をあけて、
足音忍ばせてもぐりこんだ、庭先の闇のなか。
覗き込んだガラス窓の向こうには、案のじょう。
若妻となった由貴子さんのほかに、もうひとつの影。
恋人同士、もしくはごく親しい身内どうしの雰囲気漂う、寄り添った姿。

由貴子さんは、結婚前好んで装った、白一色のワンピースに。
カラフルな花柄のエプロンを着けて。
すっかり主婦になったね。
そんな囁きに、夢見心地にうなずいている。
アッ。ダメだ。乗ったらいけない。悪魔のささやきに。
そんな私の心の叫びは、
長い黒髪のポニーテールを愉しげに揺らす耳もとには届かない。

ヤツは、なれなれしく由貴子さんの肩を、抱き寄せて。
我がもの顔に、接吻を奪う。
ねっとりと、密着する唇と唇が。
せめぎ合うように。
なにかを交し合うように。
かたくかたく、結びついている。
もはや・・柔らかな鎖に結びつけられてしまった、ふたつの影。
唇を離し、向かい合い笑み合う由貴子さんの透きとおった頬は。
夫に隠れて身も心も許している軽い罪悪感という、甘美な毒に輝いていた。

でも・・・
ためらいうつむく由貴子さんは。
体内をめぐる血に織り交ぜられた毒が。
まだ、まわりきっていないのだろうか。
いざ寝室へ・・・と誘う手を軽くこばんで。
台所のまえ、ちょっとのあいだ、立ちすくんでいた。
貞操を守りぬこうとする彼女の努力は、どこまで続くのだろう?
すねを薄っすらと彩るのは。
ひざ小僧まで覗かせた、寸足らずのワンピース。
すらりと伸びる足許をうっすらと彩るのは。
白のワンピースにはやや不似合いな、薄墨色のストッキング。

主人だけに許した肌身を、おのぞみですか?
そんなふしだらなこと・・・主人に叱られてしまいます・・・
夫ひとりに捧げた貞操を、貴方にもお捧げしなければならないのですか?
秘めやかに流れるような、由貴子さんの抗弁に。
余裕たっぷり、いちいちうなずきを与える、黒い影。
由貴子さんはなぜか、白い頬に薄っすらとした笑みを浮かべながら。
エエ、わかりました。
主人にナイショにしていただけるのなら・・
ひと様に、みだりに破かせてはいけないと主人にさとされているのですが。
わたくしの履いているストッキング・・・
破っていただきたくって、さっきからうずうずしておりましたの。

まるで、これ見よがしなように。
由貴子さんは、細い腕を吸血鬼に腕にからみつけるようにして。
ちょっとのあいだ、首筋をゆだねて。
白い肌を、舐めさせている。
青白い静脈の透ける、薄い皮膚のうえ。
チロチロと這い回る、毒蛇の舌。
あっ、いけない・・・ダメだ。そんなことを許してしまっては。
素肌にしみ込まされる毒が。
きみの理性をさいごの一線まで、つき崩してしまうのだから。
けれども、わたしの訴えは届かない。
由貴子さんは足許をさらりと撫でつけて。
薄っすらと、謎めいたほほ笑みをたたえながら。
足許に迫る唇を、挑発するように見おろしている。
黒のストッキングに縁どられた、ふくらはぎの輪郭に。
じょじょに近寄せられてゆく、まがまがしい熱気を帯びた唇に。
足許への誘惑を、ウキウキと見つめる由貴子さんに。
わたしは本気で、嫉妬する。
いけない、ダメだ!わたしの由貴子に、なにをする!?
吸血鬼の横顔が、冷やかすように笑んだのは。
気のせいだったのだろか。

ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・くちゅうっ。
あからさまに波立てられて、くしゃくしゃによじれてゆく黒のストッキング。
淑女の品格を、乱されて。
乱されることに快楽をおぼえる由貴子さんも。
いまは、柏木夫人を辱めている共犯者。
足許の凌辱を愉しむふたりは、申し合わせたように、目線を合わせて、ほほ笑んで。
いかが?若妻の味・・・
ウフフ。美味だね。柏木くんには、すまないが。
わたしの性欲処理女に、なっていただけるというのだね?
アラ、そんな・・・恥ずかしい・・・
我がもの顔に抱き寄せられた、細い肩。
隣室にととのえられた夫婦の褥は、なぜかさいしょから。
こうこうとした灯りの下に、さらされていた。


あとがき
由貴子さんの態度がにわかに積極的になったのは。
きっと・・・覗かれているということに気づいたあたりからだったのでしょう。
あるていど、さいしょから合意のうえでの訪問だったようですが。

彼女の代わりに 公園へ・・・

2007年04月23日(Mon) 06:12:20

やあ。やっぱり、来てくれたんだね。
電話で話したとおり、彼女体調悪いんだ。
いや、いや。だいじょうぶ。きみのせいじゃないってば。
女の子ならだれでもある、定期的な体調不良というやつさ。
どうしても喉が渇いて、ガマンできないようだったら。
ボクでよければ代わりをしようか、って言ったんだけど。
それでもやっぱり、きみは来たんだね。
男の子の血じゃ、ムード出ないだろう?
えっ?寝取った女のダンナや彼氏の血は旨いんだって?
きみもなかなか・・・言うんだね。

さぁ、約束どおり、履いてきたよ。
彼女がいつも履いているハイソックス。
半ズボンなんて。きみと逢うときくらいしか履かないから。
いつも弟のやつを、借りて来ているんだよ。
きっと、きみのことだから・・・弟が彼女のできる歳になったら。
そのうちこんどは、弟がきみのまえで半ズボンを履くようになるんだろうけど。
えっ?よく似合うって?
冷やかさないでよ。
だって・・・男なのに。似合うわけないよね?
ストッキングみたいに薄い、白のハイソックスだなんて。
彼女が、択んでくれたのさ。
きょうのきみとボクだったら、これがいいかなって。
きみがボクのために履いて来てくれたのも、やっぱり彼女のやつなんだろう?
白と黒の、ボーダー柄。
そういうやつ、ボクのまえで履くこと、ないんだけどな・・・
えっ?妬きもちやくと、もっと血が美味しくなるって?
ひどいことを、いうんだねぇ。

さぁ、おいで。
噛んで御覧。ちょっぴり痛くしても、ガマンしてあげるから。
生地が薄いから、すぐ破けちゃうだろうけど。
よかったら。すぐに噛まないで。
たっぷり舐めてみて。
薄い靴下にしみ込んだ、彼女の気配。きみだったら、感じることができるんだろう?
あっ・・・あっ・・・
いつも・・・そんなふうに・・・
彼女に、・・・迫っているんだよね?
だから物堅い彼女も・・・あんなふうに・・・乱れ・・・ちゃうんだね?

遠慮しなくて、いいんだよ。
またお電話、ちょうだいね。
彼女のとこでも、ボクのとこでも。
一人だと心細いっていわれたら、ボクが連れて来てあげる。
きみが彼女を独り占めにしたいときなら。
はっきり教えてね。
彼女の血、気に入ってくれたんだね。
実のところ・・・ボクもまんざら、悪い気はしていないんだ。
もっと、逢わせてあげるから。
もしも彼女がきょうみたいに、具合わるくしていたら。
もちろんボクも、相手をしてあげるけど。
できたら処女の血を、ご馳走したいな。
いつもの黒革のストラップシューズに、女の子の足首をくるんで、
きみに愉しませてやりたいな。
さしたっては、そう。
妹に、真っ白な通学用のハイソックスを履かせて、ここに連れて来てあげようか?
ゴムのすぐ下に、校章の縫いとりのあるやつだよ。
きみ、そういうの、好きだろう?
弟には、まだ彼女できそうにないからね。


あとがき
婚約者の少女の血を吸っている吸血鬼の少年のため、
彼女のハイソックスを履いて、かいがいしく代役をつとめる青年のお話です。
妹さんや弟さんのことも紹介してくれそうな、好意的な青年のようですね。
お母さんのことはもう、紹介済みなのでしょうか?
ストッキング地のハイソックスをねだる少年のこと。
熟女のストッキングに、目をつけないとは思えませんもの。^^

インモラル・バー 初老の紳士

2007年04月23日(Mon) 04:06:56

ひとり、苦い酒をたしなんでいると。
傍らの止まり木に腰をおろしたのは、初老の紳士。
古風にハイカラな背広姿は、むしろひょうひょうとしていて。
ズボンのすその下滲ませた濃紺の透ける靴下が、きりりとした色気を滲ませていた。
失礼、落としものをしてしまいました。
わたしはそう、彼に囁くと。
彼はゆっくりと、うなずいて。
不自然なわたしの動作に、許しを与えてくる。
止まり木の下、わざと落としたライターを手ばやく拾うと、
お洒落なチェック柄のズボンのすそをさらりとめくって、
ふだん隠している牙をむき出しにして、
薄い靴下ごし、ふくらはぎに牙を埋めている。

ちゅうっ・・・っ。きゅきゅきゅうっ。
いつ耳にしても心地よい、吸血の音。
澱んだ血は、深く織り交ざったさまざまな芳香を喉越しに伝えてきて。
紳士の豊かな体験が、そのまま乗り移ってくるようだった。
どうぞ。もっと・・・
イスの上からの囁きは、そんなふうに私を促して。
もう片方の足首が、誘うようにさらりとさし寄せられてくる。
まぁ、やむをえなかったのだろうけど。
すぐに、噛んでしまったね。
こんどはもっと、舌触りを試して御覧。
気に入りの靴下なのでね・・・
紳士の声はどこまでも、落ち着き払ったひくい響きを伝えてくる。
はぜるような渇きが満たされると。
靴下を愉しむゆとりが芽生えてきた。
ごつごつとした筋っぽいふくらはぎの周りを包む薄手のナイロンが。
すべるように心地よい舌触りを帯びていて。
紳士ものとは思えないほどしなやかなコーティングに、しばし私は酔い痴れる。
同性の戯れ・・・ということさえも、忘れ果てて。

ウフフ。キミもなかなか、通のようだね。
ひとしきり。遊戯が済むと。
口許を拭った私を、軽く横目でにらみながら。
紳士はいとも愉しげに、口許に笑みを含ませている。
つぎは、わたしの番のようだね。
紳士は私の首筋に、そうっと唇を近寄せてきた。
度の強いアルコールが漂う、カウンターで。
酌み交わされる血潮と血潮。
濃い血はいっそう濃い血と交わって。
淫らな色を深めあってゆく。

明晩も、来れるかね?
お望みなら、こんどは家内のストッキングを穿いてこようか・・・
うつろに満ちた紳士の声に。
私は深く、うなずいて。
では私も、ふつつかですが。
若いOLの、光沢入りのを穿いてきましょう。
黒で、よろしければ・・・
いいね。それでは私は、今夜とおなじ濃紺にしようか。
夫婦の味比べ。よろしいですね。
いずれこうして、こんなふうに。
仲を深め合って。
靴下の持ち主を、引き合わせあって。
影と影とを重ね合わせていくようになる。
そんな予感を、互いの笑みに交ぜながら。
紳士はひとのわるそうな含み笑いを浮かべてゆく。
ウフフ。きみのほうも、わけありのご様子だね。
ええ。そのOLというのは。
秋に結婚する相手ですから。
処女の生き血を、だれかに召し上がっていただきたくて。
わたしだけでは、もったいないですからね・・・


あとがき
はじめは、老紳士のほうが一方的に妻や娘を進呈してゆく筋書きだったのですが。
キーを叩いているうちに、内容に若干の変化が生じたようすです。^^

吸血披露宴

2007年04月23日(Mon) 03:49:16

あちらは、花婿の妹さん。
地味な礼服の下は、厚手の黒タイツにおおわれているけれど。
あれでなかなか・・・とても柔らかいふくらはぎをお持ちなのだよ。
そのお隣は、花婿のお母さん。
淑やかに装ったイブニングドレスのすその奥。
たくみに身体の線を消しているけれど。
手ごわい凶器のような二本の太もものすき間の奥は。
とても・・・キュッと引き締まっていてね。
じつに、こう・・・愉しめるのだよ。
え?どうして知っているのかって?
隣席に座を占める彼の自慢は、とどまるところを知らないようだ。
それもそのはず。
花婿の実家ばかりではない。
花嫁のお母さんも。兄嫁さんも。
そして、当の花婿や花嫁さえも。
まるで申し合わせたように、首筋に赤黒い痣を滲ませている。
くすくす。ホホホ・・・
いかにもおめでたい席の、談笑が。
妙にそらぞらしいもののように思えてきた。

今夜はとうぜん、花嫁を襲わせていただくのだよ。
そういうしきたりになっているお宅なのでね。
夕べまで、彼女は生娘だった。
けれども、婚家の姑さんが、嫁のふしだらを許す、と仰せになったのでね。
喜んで、ご好意に甘えさせていただいたのだよ。
もちろん、今宵の新床も・・・
花婿さんのご好意で、頂戴できることになっているのだよ。
ついては、きみにもおねだりがあるのだが。
言われずとも、察しはついている。
傍らの妻は、甘い微苦笑を浮かべながら、いちぶしじゅうに耳を傾けている。
オードブルくらいには、なりそうかな?
私の言い草に、妻は、あらいやだわ、って。
表向き、口を尖らせているけれど。
内心まんざらでもないらしく。
さっきからしきりに、脚を組んだりそろえたり。
テーブルの下は、落ち着かないことこのうえない。
わかっているよ。
きょうのためにおろした、真新しい濃い紫のストッキング。
破ってもらいたくって、うずうずしているのだろうね?

だって。
妻はなおも、声をひそめて。
大事なお役目なんでしょう?オードブルって。
そう。
花嫁を襲うまえ。
牙を研ぐために供される、女の素肌。
適度に与えられた血は、吸血鬼の喉を和ませて。
花嫁を惑わせ崩してゆくのに必要な、あの不敵な落ち着きをもたらすのだという。
わたくしたちのときだって・・・母がオードブルになってくれたのですからね。
くすっ、っと浮かべたほほ笑みは。
姪にあたる花嫁と、瓜ふたつに重なり合っていた。

妄想撮影師

2007年04月23日(Mon) 03:11:20

差し出されたのは、一冊のアルバム。
豪奢な装丁のうえ、行書体で書かれたタイトルは。
環境改変計画
いったい、どういうことなのかね?
懇意になったその写真家は。
まあ、御覧になってくださいと言うばかり。
いぶかしげに表紙をめくると。
目に飛び込んできた衝撃的なフレーズが。
私の脳裏を塗り替えていた。

××家 夫人・令嬢凌辱計画

家の名前は、もちろん私の姓。
そして、そこに貼られているのはまさしく、
盛装して、イスに腰掛けた妻。傍らに立つ私と娘。
凛とした品格を滲ませた妻と。
童顔にそこはかとない色香を漂わせはじめた娘と。
いったいなにを、されるというのだろう?
どうぞ、めくってみてください。
緑華堂、と呼ばれるその写真師は。
あくまで慇懃に、私の手を促してゆく。

おそるおそる開いた第一ページ。
ハッと顔をあげる私に、彼は気の小さそうな目鼻をいっそう弱々しく翳らせながら、訊いてきた。
吸血鬼は、お嫌いですか?
好き・・・というものではないまでも。
現実世界とは遠くかけ離れたそうした存在に、ついぞ意識を払ったことのない私。
好き嫌い・・・というよりも。なじみがないといったほうが適切かな。
私がそう応えると。
いずれ、なじみになりますよ。こんなふうにね。
なじみ・・・どころの話ではない。
吸血鬼映画のスチールから取り出してきたような写真。
黒衣の男に抱かれるヒロインは、ほかならぬ妻の利栄子だった。

男は口許に鋭い牙を滲ませて。
牙の切っ先から、吸い取ったばかりの血潮をたらたらとしたたらせていた。
その血潮は、妻の体内を流れていたもの。
見覚えのある、縦のストライプもようのワンピース。
整然と流れるストライプもようの上を、紅いしたたりが点々と滲んでいる。
そう、ナマナマしいほどに・・・
さぁどうぞ。つぎのページを。
言われるまでもない。
ためらいなくひらいた、つぎのページ。
予期したとおり、ヒロインは娘の有里にすげ替わっている。

いまはまだ春先・・・だというのに。
有里は夏用のセーラー服を着て。
襟首に三本走る白ラインに、赤黒いものを滲ませている。
薄暗い室内に、輪郭ばかり浮かび上がった頬に、
にじみ出るような愉悦を秘めながら。
夢見心地に、抱かれてしまっている。
つぎのページを、めくる勇気はおありかな?
緑華堂の、そそるような含み笑いに。
震える指は、意思と離れて。
機械的に、ページを繰ってゆく。

きりりとしたスーツの胸元を乱し、肌をしどけなくあらわにする妻。
濃紺のプリーツスカートを、ひざ上までの靴下があらわになるほどたくし上げてゆく娘。
スカートの裏地に、射精を許す妻。
セーラー服のまえをはだけて、襟首から指を差し入れられる娘。
制服の胸に不自然な起伏がよぎるのを。
むしろ面白そうに見おろしている。
次は・・・そのつぎは・・・

いかがです?
昂奮するね・・・
つい、呟いてしまった声に。
もはや、いささかのためらいもない。
色濃くきざした狂気を見つめ、緑華堂は嬉しげに。
ではこのとおり・・・実行させていただきますよ。
え・・・?
訝しげに問う私に。
すべては私の描いた幻影を、そのまま印画紙に落としたまでのことなのですよ。
奥さんも娘さんも、じっさいにはまだ犯されておりません。
でも・・・
あなたがそれを、望むなら。
かなえて進ぜましょう。そう。今夜にも・・・


あとがき
緑華堂は、だいぶ以前にいちど登場した、不思議な写真師です。
その話では、浮気に走った夫に取り乱す人妻を。
姑の機転で、伴われて。
じぶんもまた、姑とおなじ淪落の道をたどる・・・
たしか、そんなお話だったと記憶しています。
アルバムは、そう、きっと・・・
「凌辱アルバム」という、やっぱりべつのお話から紛れ込んできたもののようです。

フィアンセのハイソックス

2007年04月23日(Mon) 02:52:00

寝取られる とは。
自分の妻や恋人を、自分以外の男に酔わされてしまうこと。
もっとも恥辱であるはずのことが。
いま・・・恥ずかしい愉悦に変わろうとしている。

その男の子は、わたしのうえにまたがって。
年下とは思えないくらい、つよい力でねじ伏せていって。
身動きできないままにうなじに尖った犬歯を刺し入れられて。
ぎゅうぎゅうと、むしり取るようにして。
わたしの血を、抜き取っていった。
牙をぐいっ・・・と、引き抜かれたとき。
わたしはもう、すっかり彼のとりこになっている。

母はわたしを離れに呼びつけると。
きちんと正座をして、いつになく改まった口調で告げていた。
あなたの結婚相手が、決まりました。
学年がひとつ下の、恵子さんです。
でも・・・あちらのお宅の事情で。
嫁ぐまえ、ある経験を済ませなければなりません。
どういう経験か、殿方ならお察しですよね?
そう。
花嫁になった夜から、お婿さんにだけお許しすること。
それをさきに、ほかのひとと済まされることになるのですよ。

ふすまの向こうにひかえていたその少年は。
母に呼び入れられると。
会釈ひとつさえ、抜きにして。
わたしをたたみのうえに抑えつけていた。
それが、許婚の彼氏になるという男。
仇敵になるいぜんに、わたしの主となり、かつまたわたしの讃仰者になっていた。

きみのお母さんはね。
お父さんのところに嫁ぐまえの晩。
ボクの父に、犯されたんだよ。
きみも、お父さんと同じように振舞わなければいけないよ。
恵子さんの純潔を、ボクに捧げてくれるね?
嫌々・・・じゃなくって。
きみは、そうすることがたまらなくって、
フィアンセを犯して欲しいって、ボクに頼み込んで。
ボクは親しいきみに、申し訳ないのに。
やむなく引き受けることになるんだよね?
そんなこと・・・とても口に出してはいえないだろうから。
もしも、わかってくれるなら。
週末ボクと会うときまでに、彼女のハイソックスを一足。
彼女のママからもらってきてくれないか?

街はずれの公園の夕闇には、魔物が巣食うというけれど。
かれは間違いなく、魔物だった。
ボクの目のまえで、彼女の家に電話をかけて。
これから出てこれるかい?血を吸ってあげるからね。
えもいわれない声色に、だれもが従わざるを得なくなってゆく。
半ズボンの脚にまとわれているのは、恵子さんのハイソックス。
彼女にはぴったりなサイズは、かれのすねの途中でとどまっていた。
支配されている。
そんな気分をいっそう濃厚にさせる、彼女の装い・・・

彼は恵子さんを呼び出すと。
そのまま彼女の首筋に噛みついていって。
しっかりつかまえられた腕の中。
恵子さんはうぅんっ・・・ってうめいて、目をつぶって。
ひたすら、耐えるように吸血されてしまうと。
眩暈を起こしたように、ふらふらと。
傍らのベンチに姿勢を崩してしまっている。
ひざ小僧の下。
真っ白なハイソックスに縦に走る太目のリブが、夕陽に映えて。
鮮やかなスジを、浮き上がらせていた。
あいつはそのうえから、臆面もなく唇を吸いつけてゆく。
半ズボンの下にまとわれた恵子さんのハイソックスが、
足首のあたりで、キュッとひきつれていて。
抜き差しならぬ密着感で、あいつの脛を包んでいた。

きゅうっ・・・
恵子さんの血を吸い取られる音が。
わたしの鼓膜に、妖しい彩りをしみ込ませた。
そのときのことだったのだろうか。
啜られることが。抗いがたい快感にかわったのは・・・

どう?すこしは昂奮できた?
気がかりそうに尋ねてくる彼に。
恵子さんの処女も、きみに奪られてしまうんだね?
わざわざ念を押しているのは。
もちろん先にやらせてもらうよ、という返事を耳にしたいから。
わたしはひそかに、囁いている。
こんどは、母のストッキングを履いてみてくれないか?と・・・

あとがき
前作のつづきです。
ヘンな時間のあっぷのせいか、いまいちキーが乗っていないかも?^^;

娘が公園に呼び出されるとき

2007年04月22日(Sun) 15:07:15

夕方、娘さんに電話がかかってきて。
娘さんがだまって出かけようとしたら。
必ず、行き先を訊いてください。
そして、街はずれの公園に・・・という応えがかえってきたら。
どうぞそのまま、送り出してあげてください。

お嫁にいけなくなる公園。
ある齢になると、乙女たちが必ず囁きあうところ。
囁きの主たちは。
そう。きっと、みんな。
・・・体験しているはず。

送り出した娘さんのあとを、黙ってついていくのもいいでしょう。
時には、ご主人や。
もしも娘さんが婚約をしているならば。
婚約相手の青年も、誘い合わせて。
ぜったいに、さとられないように。
あとを、つけてみてください。
そう。
電信柱や曲がり角で、
ほんのすこしだけ、見失うくらいの隔たりをつくって。

娘さんはきっと、振り返ったりはしないでしょう。
ぼうっとのぼせた彼女の胸に、もはやそんなゆとりはないでしょうから。
処女の血を吸われる。
そんな欲求が、呪文のように。
娘さんの身も心も、縛りつけてしまっているのだから。

相手はきっと、公園のすみの暗がりで待ち受けているはず。
こざっぱりとした格好で、子どもみたいに半ズボンを履いているのに。
なぜか、とってもスマートに見えるはず。
半ズボンの下に履いているのは・・・
そう。見覚えのある、娘さんのハイソックスのはず。
あらかじめ、目印に・・・って。
だれかがきっと、彼に手渡しているのでしょう。

初めてのことにはきっと、だれでも臆病になるものだから。
娘さんはお友だちと連れだって、呼び出されていくことでしょう。
だって、お友だちも、それぞれに。
お相手からの呼び出しを、受けているはずだから。
おなじような、半ズボンの男の子たちが。
半ズボンの下には、ライン入り、ボーダー柄、ストッキング地と。
とりどりのハイソックスを履いて。
娘さんやお友だちを、待ち伏せているはず。
それぞれが、それぞれの相手をすぐに見つけて。
娘さんたちも、じぶんの相手がだれだかを、すぐにさとって。
男女べつべつに向かい合った集まりは、
すぐに別れ別れになって。
思い思いのお相手と、思い思いの暗がりに分け入っていくのです。

どうか、勇気を出して。
暗がりの果てまで、覗いてみてごらんなさい。
すこしくらい、生垣から顔を出しても。
お互いに夢中になっているふたりは、きっと気づきはしないでしょうから。
三つ編みのおさげを肩先に揺らしながら。
娘さんがうなじを彼の唇にゆだねても。
けっして、じゃまをしてはなりません。
だいじな、儀式なのですから・・・

娘さんは、肩を抱かれて、ウットリと目を閉じて。
セーラー服の肩先に、ほんのちょっぴり、バラ色のしずくをほとばせて。
ちぅちぅ、ちゅううっ・・・って。
心地よげに、音を立てて、彼に生き血を吸い取られるままになってゆきます。
娘さんの婚約者が、もしも昂ぶりを抑えかねたら。
それとなく、気遣ってあげてください。
きっと彼も、まえもって渡りをつけられて。
彼女がじぶんを裏切るために、こんな夕べを過ごしているなどとは、夢にも思っていないでしょうから。

うなじをつかまれ、咬みつかれて。
わが身を吸血にゆだねるひと刻、ふた刻・・・
やがて娘さんは姿勢をくずし、傍らのベンチに腰を落すでしょう。
それでも、娘さんの血の味を知ってしまった彼は。
ベンチの上でうずくまる娘さんの足許に、にじり寄って、
しつように、唇を吸いつけてゆくことでしょう。
透ける黒のストッキングには、青白く肌を滲ませた伝線を。
真っ白なハイソックスには、ほんのりとしたバラ色のシミを。
遠目にもそれとわかるほどに、滲ませてゆくでしょう。
こと果てて、彼が娘さんを介抱しているあいだに。
皆さんは家に、お引き取りください。
娘さんの帰り道は、なにひとつ気遣いは無用です。
きっと彼が玄関先まで見送ってくれるでしょうから。

娘さんが、戻ってきたら。
さりげなく、出迎えてあげて。
そうして、ずばりと訊いてあげましょう。
お嫁に行けなくなる公園に行ってきたのね?と。
娘さんは、目を見開いて。手を合わせて、なにかを言おうとするでしょうけれど。
みなまで言わせずに、のみ込んでください。
いいわよ、だれにも黙っていてあげるから、って。

つぎの日には、娘さんといっしょに出かけてください。
行き先は・・・彼女がよく知っています。
だって、夕べ血をあげたひとの住処なのだから。
そうして、夕べは娘がお世話になりましたと、ご挨拶を交わしてください。
彼からもきっと、礼儀正しい返辞がかえってくるでしょうから。
そうしたら。
ふつつかですが・・・
ひと言、そう呟いてみてください。
あとは、お齢の順に・・・
そう。噛まれてゆくのです。
まず、あなたから。
娘さんの血がお気に召すのですもの。
あなたの血が、お口に合わないわけは、ありません。
思う存分、振舞ってあげてください。
ぼうっとなったあなたのまなざしに包まれて。
娘さんもまた、忘我の境地に浸るでしょうから。
女ふたりの血を獲た彼は、やがて欲望を抑えきれなくなって。
あなたに、挑みかかることでしょう。
そのときは・・・もちろん。許してさしあげることですね。
きっとご主人とのときよりも・・・愉しむことができるでしょうから。

おふたりの情事は、きっとその場でわかってしまいます。
そのときには、娘さんにそっと囁いてあげてください。
だいじょうぶ。
あなたはまだ、未来の花婿を裏切ってはダメよ。
裏切って抱かれるのではなくて。
愛し合うことを、愉しみ合えるようになるまでは。
賢明なあなたのことですから・・・
ご主人はなにもかも、お察しになっていらっしゃるのでしょう。
あなたの娘婿が、あなたのご主人をまねる日まで。
娘さんの純潔は、安全です。
だって花嫁の純潔は、未来の花婿から彼に譲り渡されるべきものですから。


あとがき
妖しい手引書・・・のようなお話になっちゃいましたね。^^;

郷に入りては・・・

2007年04月22日(Sun) 13:15:04

小さいころから、あたりまえだと思い込んでいた。
ママが吸血鬼のおじさんのお邸に、週末お泊りに行くことを。
行ってくるわねと夕方出かけたママが、つぎの日の朝帰ってくることを。

ママがいない夜。
パパはいっつも、
寂しがるんじゃないよ。ママはきれいになって戻ってくるからね。
って、ボクのことを寝かしつけていた。
くすんだ色のスーツを着て出かけていったママは、
朝になると真っ赤なワンピースをしゃなりしゃなりさせて戻ってきて。
パパの顔を見ると、いつも照れくさそうに笑うのだ。
足許をみると、夕べ履いていた地味なねすみ色のストッキングを、
てかてか光る濃紺のストッキングに履き替えていたりする。
パパもママも、ウキウキしていて、一日じゅう、仲良くしているから。
決して、わるいことではないとばかり思っていた。

兄さんが、ボクの義姉さんになるひとを連れてお邸にいったときも。
義姉さんは堅い感じのする淡いグレーのスーツから、
ドキドキするほど鮮やかなショッキングピンクのワンピースを着込んでかえってきて。
兄さんとふたり、愉しそうに、照れくさそうに、笑い合っていた。
ぴかぴか光る黒革のハンドバックから取り出したのは、義姉さんが夕べ履いていたグレーのストッキング。
ふやけたようにふくらんだ、太もものあたりに。
ちょっぴり赤紫のシミがついていたように見えたのは、
錯覚だったのか、そうではなかったのか。

ところが先週都会から引っ越してきたIくんに、そんな話をしてみると。
そんなバカな・・・って、笑われちゃった。
結婚している女の人や、結婚のきまった女のひとが。
ご主人や彼氏とちがう男のひとの家にいって、ひと晩泊まるなんて、ありえないって。
そんなこと、ないんだよ。村ではみんな、そうしているんだよ。
くわしい話、知っている小父さんがいるんだ。
会わせてあげるよ。
ボクはそういって、Iくんの手を引っ張るようにして、お邸に連れて行った。
閉ざされたドアの向こうでなにがあったのか、聞かなくてもだいたいのことはわかっている。

部屋から出てきたIくんは。
うなじのあたりをカリカリとかゆそうに引っかきながら。
きみの話、わかったよ。そういう世界もあるんだね。
しちゃいけないことだから、よけい愉しいんだね。
ごめんね。ばかにしたりして。
おじさん、こんどはボクの家にも来てくれるってさ。
つぎの週末のことだった。
Iくんのお母さんが、夜中ご主人に見送られて、ひっそりと家から抜け出したのは。

花嫁の夜想曲

2007年04月21日(Sat) 08:25:02

いいのかい?あいつのところに行かなくて。
頬を生気なく蒼ざめさせた少年の呟きに、礼子はおおきな瞳をはりつめて。
はっきりと、かぶりを振っている。
ううん。セイジがいいって言ってくれたから。
礼子の恋人の名を耳にすると、少年ははっとしたように、そのときだけ頬を淡くして。
少女のほうへと歩み寄った。
一瞬重なり合う、影と影。
さっと交わされる軽い接吻のように。
少年は少女の血をすこしだけ吸うと。
つかの間の抱擁から、少女を解放していた。
行ってあげて。きょうはあいつ、ほんとうは寂しいはずだから。
ウン。そうするね。
ハッキリとした輝きをもった瞳に感謝の色を浮かべて、少女は草原の彼方へと駈け去っていった。

ながいながい口づけだった。
セイジは恋人を抱擁から解くと、もういちど、甘えるように、
少女の髪の生えぎわに、接吻を重ねてゆく。
しばしのあいだ、言葉もはさまずに、抱き合いつづけて。
お互いのお互いへのぬくもりをたしかめあような、
すがりつくほどの抱擁を交し合うと。
はじめてセイジは、ほかのひとの名前を口にする。
あいつに、吸わせてやったの?
少女のうなじに、痣のように残るふたつの痕。
乾きかけた傷口には、ほんのちょっぴり紅い残滓が滲んでいた。
なにもいわないで。
少女は表情を見られまいとして、セイジの胸に顔を埋めた。
さらさらとした長い黒髪を、いつまでも撫でながら。
いいんだよ。願ったのは、ボクのほうなのだから。

きょうだいのように、幼いころからいっしょに育ってきた男ともだち。
じぶんの分身のような存在だった彼は、年頃になると、血筋どおりの本性をあらわにし始めた。
そういうならわしなのよ。
訪れてきた彼に血を与えたセイジの母は、息子にさとすように告げている。
処女の血を獲てはじめて、あの子も大人になれるの。
あなたに彼女ができたら、ぜひそうしてあげて。
そうやってお父さんも・・・あの子の父親にわたしを引き合わせたのだから。

おそるおそる囁いた家伝のしきたりに。
少女は夢見るように、うなずいて。
いいわよ。あなたたちのヒロインになってあげる。
でも、あなたも視ていて。逃げちゃダメよ。
ふるえるような、なよやかな声は。
幼い恋人を、しなやかに心地よく縛りつけていた。

・・・痛かった?
はじめて腕のなかにした、年頃の少女。
重みをずっしり受け止めながら。
いまぬくもりをくれたばかりの少女を、少年は固く、抱きしめる。
おそるおそるのぞき込んだ少女の顔は、思いのほか明るくて。
いまじぶんの血を吸ったばかりの少年のことも。
気遣わしげに寄ってきた恋人にも。
かわるがわる、慰めるようなまなざしを投げ返していた。
吸血鬼の少年は、むしろ彼のほうが痛々しげに少女を見つめて。
懐中からハンカチをとり出すと、白い肌に滲むバラ色のしずくを、含ませていった。
少女の血の沁みたハンカチを、あたかも宝物のようにおしいただいて、ふたたび懐中にすると。
こんどは恋人が、少年の所作をまねて、自分のハンカチに少女の血潮を吸わせていった。
忘れないようにしようね。
三つの頭が、それぞれに。かすかにうなずき合っていた。

いずれあの子と、夜明かしするんだろう?
訊いたのは、セイジのほう。
けれども少年は、黙って首を横に振った。
お前がやれよ。
でも、しきたりでは・・・
そう。
祝言のまえの晩までに。
きみはボクに、花嫁とひと晩過ごさせてくれるはずなんだよね?
でもね・・・
それは、やめにしておこうよ。
きみも、あの子も。まっすぐなひとだから・・・
言葉とは裏腹の深い想いが、瞳に哀しい色を帯びさせているのをみとめながら。
もうこれ以上、なにも口にしてはならないのだと、セイジは察していた。

初夜の窓辺。
なかを覗けるように、カーテンはひらかれ、
入ってきてもいいように、窓さえ開かれていたけれど。
少年は外のかすかな冷気に包まれたまま、じいっと耳をふさいでいた。
やがて、こと果てたのだろうか。ほのかな灯りが寝室にともると。
ちょっとだけ、待っていてね。
花嫁が、甘く囁くと。
花婿も、淡く笑みかえしていた。
窓辺にたなびく、幻のような白い影。
幻はやがて、純白のドレスをまとった女となって。
しずかに地面に脚をつけた。
白のストッキングを穿いたつま先が、かすかに寒そうに足取りをすすめて、
うずくまる少年の後ろから近寄ると。
肩にそう・・・っと、手を置いていた。
慰める姉のように。
いたわりに満ちた手づかいで。
少年は電気に触れたように、ビクッと顔をあげると。
もはや少女でなくなったはずの少女は、
いつものように、塵ほどのくもりのない透きとおった笑みを洩らして。
純白のドレスのすそを軽くつまんでひき上げると、
薄手の白のストッキングに透けた脚を、妖しくたおやかにくねらせていた。
破ってくださる・・・わね?
おてんばな少女のようにイタズラっぽく、くすっと笑んだ頬に。
白い影を抱きとめた黒影は、熱い接吻を滲ませてゆく。

からからと枯葉の舞う夜の庭。
あえかな温みを帯びた微風が、淡く吹きすぎてゆく。
地べたをいとわずに舞いつづける、白と黒の影たちは。
あるときは、仔猫がじゃれ合うように。
あるときは、しっとりと溶け合うように。
深い二重唱を重ね合わせてゆく。
初々しい花嫁と、闇夜に棲むものとが奏でる、禁断の夜想曲を。
窓辺の青年は、うっとりと見つめていた。
軽い含み笑いさえ、うかべながら・・・
きみはボクをまっすぐな男だといってくれたけど。
やっぱりこれは、見逃せないよね。
ふたりながら。彼女といっそう仲良くなれた夜だもの。

待って!お願い。逃げないで・・・

2007年04月21日(Sat) 07:38:38

「待って!お願い。逃げないで・・・」
少年の声に、女は思わずハッと振り向いて。
一瞬逃げ足をとめていた。
逃げないで。お願いだから・・・
だれも助けてくれなくて。あなたでもう、七人目なんだ。
助けてほしい・・・
ひとを襲っているくせに、少年の瞳はどこまでも暗くて寂しげな光をみせていた。
夢中で抗っていたときには気がつかなかった、瞳の色。
女はじぶんの置かれている立場も忘れて、瞳と瞳をじいっと合わせていた。

相手はずっと年上の女だった。
結婚しているのだろうか。
髪は茶髪で、パーマをかけていたが、化粧は薄く、
彫りの深い目鼻立ちに、気の強さがにじみ出ている。
淡いモスグリーンのカーディガンに、ベージュのスカート。
さりげなく装った服装はどちらかというと地味で、落ち着いた感じがしたけれど。
ベージュ色のパンプスを履いた脚が震えているのは、夜の寒さのせいばかりではないはずだった。
どんなに気丈な女でも、それは、怖いだろう。
だって相手は、吸血鬼なのだから。
初めて女を見かけたときに感じた気の強さに、そのまま頼れそうな安らぎを覚えたけれど。
脚の震えをみたときに。
やっぱり、怖いんだ。
それがより強い共感にかわってくる。

さんざん追いかけっこをしたあとらしい。
ふたりとも、肩で息をしている。
だってあなた、人の血を吸うんでしょう?
女がはじめて、口を開いた。
けれども、死なせたことはいちどもないよ。
そんなこと、信じられないわ。
お願い。助けて。僕を救って。あなたに逃げられたら、もうだれも通りかからないと思うから。
ムシのよすぎる願いだとは、わかっていた。
どう考えても、聞き入れてもらえるわけはなかったのだ。
ところが女は少年の手をじゃけんにひくと、
とにかく、うちへ来なさいよ。
そういって。
ようやく息をしずめた少年とふたり、とぼとぼと夜道を歩きはじめていた。

窓ががたがたと、異様な音鳴りを帯びている。
恐怖の夜。
街の人たちが、声を潜めて告げあう、そんな夜。
闇の彼方には魔性が棲んでいて、しばしば人をたぶらかすという。
あなたは、魔性の子なの?
女は少年の腕の中、うつろな声で問うている。
ううん。でも・・・そうなのかもしれない。
でも。僕といっしょにいるかぎり、ほかのやつはだれもあなたに手出しをできないんだ。
だって・・・もうあなたの血を吸ってしまったんだもの。
少年は唇を濡らしている女の血を、拭おうとはしなかった。

寂しいんでしょう?
いく度めか、少年がうなじに唇をあててきたとき。
うつろな声色が、それでもはっきりとした響きを帯びている。
女のうえにおおいかぶさっていた影は、びくっと身を揺らして。
なにもこたえずに、女の肌をつよく吸っていた。
いいのよ。なにもいわないで。
いつか母親のように、少年の髪をまさぐりながら。
うつろな声色はなおいっそう、生気を帯びてくる。

ばついちなのよ、わたし。
あのひとと別れて、もう何年になるかしら。
うぅん、未練なんか、とっくにないのよ。
よそで女をつくって、家から出て行ったような男だから。
あなたも・・・他所で女をつかまえて、血を吸うんでしょう?
よその女にも、いまみたいに、こうやって、甘えるんでしょう?
勝手ね。どんな男も。
ごめんよ。慰めてあげ切れない。。。
フフフ・・・
女はじめて、口許をゆるめた。
正直な子。
わたしひとりに付きまとわれて、吸い尽くされちゃっても困るしね。
でもときどき、いらっしゃい。
忘れたりしたら、いやぁよ。

すめばみやこ?

2007年04月21日(Sat) 07:31:06

夜明けの来ない夜はない、といいますが。
はたして、ほんとうなのでしょうか?
夜が明けないまま、この世からさよならしなければならない人だっているというのに。
それでも夜は明ける、というのでしょうか。

そもそも夜は悪、なのでしょうか。
闇のなかでしか生きられない人もいるのなら。
闇を愛することはないのでしょうか。

闇に安らぐ夜もある

そう、呟くことはできないものでしょうか。

妹からの借りもの

2007年04月19日(Thu) 21:31:46

垣根を隔てた向こう側。
お兄ちゃんのセイジは、半ズボンの高等部。
妹のあゆみは、セーラー服の中等部。
兄は寮生活。妹は家からの通学。
たまに学校のなか、兄妹で顔をあわせるたびに、
お兄ちゃんはずんずんと背が伸びてくような気がする。
だんだん大人びていっちゃって、あゆみの手の届かないところに行っちゃうのかな?
いっぽう兄のほうは。そんなことにはぜんぜん疎くて。
妹の白い肌がだんだん透き通っていって、色香を漂わせ始めていることに、
いっこう、気づいているようすはない。

どうしたの?
珍しい呼び出しに、小首をかしげるあゆみをまえに。
うん。ストッキング、破っちまった。
兄貴は情けなさそうに、半ズボンを履いた自分の脚をさし伸ばす。
あら、あら・・・
あゆみがお兄ちゃんの足許を見ると。
濃紺の半ズボンの下、びちっと縦に走るしま模様。
半ズボンの下に黒のストッキングという、男の子の制服としてはあり得ない取り合わせ。
けれども寮制のしかれた学園のなかは、別世界。
こんな制服規定が、しばしば好んで守られているけれど。
どうやら男の子のごつごつとした太ももに、薄いナイロンのストッキングはなかなかなじまないものらしい。

また、暴れたんでしょ?
同情なのか、あきれているのか。
あゆみの口調はどこか妹ばなれして、まるで母親みたいな口調になっている。
こういうときは、どちらが年上だかわからなくなるのだが。
セイジは頭をかきながら。
これからすぐに、部活なんだ。一足、貸してくれないか?
まるでノートや鉛筆を忘れてきたときのように、こともなげな頼みかたをしている。
ウン、。いいよ。ちょっと待ってね。
あゆみは面白そうにクスッ、と笑うと。
生垣に身を寄せるようにして、。
お兄ちゃん、ちょっと通せんぼしていてね。
軽く腰をかがめると、履いているストッキングをためらいもせずに、自分の脚から抜き取ってゆく。
えっ?おい、おい・・・
さすがの兄貴も、焦っている。
いいよ、あたし。素足でも平気だから。
それにあたしも。履き替え、持ち合わせていないのー。
とりあえずこれで代用しておいて。
少女はちっとも騒がず振舞うと、静かな瞳で兄をじいっと見つめている。
手渡された黒いナイロンの塊は、セイジの掌のなか、頼りなく縮こまっていたけれど。
かすかなぬくもりが、しみ込むように残されていた。
いくらなんでも・・・なぁ。
セイジはことさらにガキくさく頭を掻きながら。
それでもよほど困っていたらしく、妹と代わりばんこに生垣に隠れて、ストッキングを脚に通してゆく。

くふふふふふふふっ。
老婆が、まるでいまにもよだれの垂れそうな意地汚い笑みを浮かべて立ちはだかったのは。
妹が立ち去ったすぐあとのこと。
足取りを見られなかったのが、救いだったけれど。
あ。これから部活が・・・って、すり抜けようとしたセイジは軽く肩を抱きとめられていた。
おいしそうな靴下をお召しじゃな。しょうしょう悪戯させていただこうかの。
老婆はところどころ歯の抜けた口を半開きに弛めながら。
いかにも不都合だ、といわんばかりに頬をふくらませた少年行く手を、しっかり遮っている。

ぬるり・・・ぬるり・・・
濃い黒に包まれた足首を。ふくらはぎを。ズボンのすそからのぞいた太ももを。
せり上げるように舐め尽くしてゆく老婆は、時おり随喜の笑みを洩らしながら。
それでも容赦なく、唇を吸いつけ舌を這わせてくる。
お若いのに、ふしだらなこと。おなごの味がするのぅ。
口許からだらしなくよだれをしたたらせながら。老婆はずばりとそう言った。
どっ、どうしてっ?
思わず妹の立ち去った彼方に目をやってしまったセイジをみて。
語るに落ちたようじゃのぅ。
老婆はなおも、だらしのない舌なめずりに相好を崩して、
なれなれしく少年の背中ごし、肩に腕を回してゆく。
え?どこのおなごと、契られた?
すみに置けぬのう。たいそう、妬けるのぅ。
老婆のさぐるような舌をあてられながら。
ぞくぞくと鳥肌立つような閃きが。
素肌になにかを語らせていた。
そぉか。そぉか。よぅ、わかったぞえ。
老婆は毒蛇のように、長い舌をひらめかせながら。
やはり痛いところを、衝いてきた。
妹ごが、おるはずじゃ。いちど、たまわることはできまいかの?
あぁっ、そんな・・・
老婆にたいする拒絶は、うなじに埋め込まれた牙に、封じられていった。

生娘、じゃろうの?
老婆のまなこが、ぎらぎらと。
じぶんの妹に注がれるのを。
セイジはズキズキしながら、うなずいている。
血の喪われた血管が、じゎんじゎんと、ほてるような昂ぶりをおびていて。
目のまえの少女は妹とは別人で、おいしい生き血をたっぷり宿したエモノのように思えてくる。
では・・・しばし独り占めにさせていただくぞい。
分け前はそもじにも、つかわそうほどに。
老婆は言い捨てるようにして、少年から視線を移すと。
それでもあゆみはゆったりほほ笑みながら。
老婆に近寄るように、遠ざかるように、ゆっくりと、脚をはこんでいる。
ストラップシューズにお行儀よくおさまった足の甲が、薄墨色のナイロンにくるまれているのを、
老婆がいとももの欲しげに見つめてくるのをわかっていながら。
まるで誘うように、ゆっくり、ゆっくりと、思わせぶりに歩みをすすめてゆく。
フウッ・・・
老婆は耐えかねたように、獣じみた息遣いをひと息洩らすと。
目にもとまらぬはやさで、少女の足許ににじり寄っていた。

あっ。
思わずすくめた足許に。
老婆は化け猫みたいなナマナマしい息遣いを吹きかけて。
きちんと履かれた黒のストッキングを、しわくちゃに波立てようとする。
いけませんわ。おばさま・・・
戸惑いに揺れる少女の上体は、純白の夏服に包まれていて。
きちんと着こなしたモノトーンの制服に、ポニーテールの黒髪がはげしく揺れる。
整然と足許を遮っていた黒のプリーツスカートを、強引にたくし上げられて。
ヒルのように飢えた唇を、むたいにぎゅうぎゅうとなすりつけられて。
それでも少女は気丈に振舞って、手近な樹にもたれかかったまま。
とうとう、老婆にストッキングを破らせてしまっている。

ちぅちぅ・・・きぅきぅ・・・
ごくり・・・ごくり・・・ごくりん。
いともうまそうに、制服姿の妹から、生き血をむさぼる老婆。
老婆は時おり、うす汚れた着物のたもとで口をぬぐいながら。
甘露・・・甘露・・・
熱に浮かされたようにそう呟きながら。
なおも血を獲ようとして、傷口に唇をねぶりつかせる。
セイジは痺れたようになって、妹の受難を見守るばかり。
あゆみはかわいい唇で、ふしぎな言葉を洩らしていた。
いいんです。いいんです。もっと、もっと、ごゆっくり、召し上がれ。
おかげであたし、あなたのなかで・・・兄とひとつになれるんですもの。
ぐらり。と、なにかがセイジのなかで平衡を喪った。
その瞬間からだった。かれが獣に変わったのは。

じゅうたんのような芝生のうえ。
じゃれ合うように転げまわる老若二個の女体のあいだに割って入って。
老婆のうでのなかから、もぎ取るように妹の身体を奪い取ると。
セーラー服の襟首に手をかけて、たてにあざやかに引き裂いていた。
えっ?
一瞬、信じれらない、という顔をした少女は。
なおも肉薄してくる兄の身体に、剥かれてあらわになった白い肌をしぜんに合わせていって。
兄の衝動に従うまま、丈の長いプリーツスカートをさばいていって。
剥ぎ堕とされたストッキングに彩られた太ももの奥、
逞しい臀部が沈み込んでくるのを。
みずから誘うようにして、受け入れてしまっていた。
う、ふふふふふふふっ・・・クククククッ。
老婆が化鳥めいた哂いを洩らしたのは。
ふたりが身体を抜きあうことができぬほど。ひとつに交わったときだった。

どれほど刻が、経ったのだろう。
濃紺のスーツ姿に寄り添っている、濃い紫のロングのワンピース姿。
くるぶしだけが見え隠れする足許は。
申し合わせたように、ストッキングのように薄い濃紺の靴下。
腕を組んで歩みを進める公園の隅。
待ち構えているのは、古びた着物姿の老婆ひとり。
ウフフ。
一対のカップルはイタズラっぽく笑みあって、並んでベンチに腰かけると。
うずくまる老婆のまえ、すそをちょっとずつ、たくし上げて。
薄手の靴下に走る縦じまもようを、面白そうに見つめている。
夫婦どうぜんに暮らす兄妹を。
老婆はいつまでも、祝福しつづけていた。


あとがき
これは、けさ浮かんだお話だったのですが。
時間がなくて、あっぷできなかったのです。^^;

妹のストッキングをねだる兄。
ひそかな想いを込めて、自分の脚から抜き取る妹。
好色な老婆にとらえられて、妹のストッキングを履いたまま脚をいたぶられる少年。
妹を狙う老婆を見守るうち、いつか淪落の渦に引きずり込まれてゆく兄妹。
そんな構想が捨てがたくて、あっぷしてみたのですが。
いちど情熱をくぐり抜けてしまうと・・・たいそうな凡作になってしまうのですねぇ。A~^;
次回に期待しませう。--;)

母の代役

2007年04月17日(Tue) 07:36:19

ぱしゃん。
取り落としたワイングラスは、軽い音を立てて床のうえ、跡形もなく、飛び散っていた。
お母様、だいじょうぶ?
若い娘は、かすかに身を傾けた母親をかばいながら。
気遣わしげに妻の顔色をうかがう父といっしょになって。
ひと目をはばかるように、身をなでるようにして介抱していた。

お父様が、吸いすぎるからよ。お母様の血を。
娘は口を尖らせて。父を軽くなじっている。
もとより、毒のあるなじりかたではない。
父の吸血癖は、妻も娘も認めるところだったから。
夕べも遅くに。お母様は寝室のなか、美々しく着飾って。
ナイトのようにまえに跪くお父様に向けて、
つやつやと透きとおる肌色のストッキングの脚を、半歩まえに差し伸べていた。
お父様はお母様の脚を、押し戴くようにして。
足の甲に、軽く接吻をくわえると。
そのまま脛へと、せりあげていって。
素肌に滲むほどの熱い接吻を、重ねていった。
お母様は頬を心もち蒼ざめさせながら。
それでも誇るように、背筋をきりっとさせて。
いとおしむようにすり寄せられる唇を。
いたわるように、見つめつづけていた。

こうこうと輝く常夜灯の下。
待ち受ける吸血鬼をまえに、うら若い衣裳をまとうのは。
今宵は、わたしの番。
お母様は家に戻るなり臥せってしまって。
さすがにふた晩つづいての吸血に、お齢が耐えかねたのだろう。
中学を卒業したお祝いに、制服姿で血を吸っていただいてから。
お父様にお仕えするのは、これでいくたびになるのだろう?
生みの娘の血までは、なかなか啜ろうとしないお父様。
それが罪悪感ばかりのせいではなくて。
年頃の輝きを帯び始めた娘への眩しい羞恥とわかるのに。
さして刻はかかからなかった。
お母様とおなじように、つややかなストッキングで脚に彩りを添えて。
奥ゆかしい長めのスカートのすそを、フェミニンに漂わせて。
お父様はナイトのように、わたしの足許に、跪く。

ぬめるような輝きを帯びた、お父様の唇が。
まるで恋人を慕うように、足許に吸いつけられてくる。
あぁ・・・
こんなにも、熱い接吻だったのか。お母様が体験なさったのは。
薄手の靴下を通してしみ込んでくる、かすかな唾液。
ちっとも、きたならしいとは感じない。
熱い湿りが、ストッキングを通して、素肌に滲んでいって。
薄い皮膚に蒼白く浮き出した静脈に、唾液の毒がまぎれ込んでゆく。
苦痛を与えまいとする、妖しい麻酔に、女としての酔いをおぼえながら。
お母様がそうしたように、背筋をキリリとさせて。
かろうじて、身体の平衡をささえている。
きゅうっ・・・
目もくらむような・・・
あぁ、わたくしの、若い血潮が。
お父様を、満たしてゆく。
そう。
吸われているときにお母様が浮かべる、満ち足りた笑みは。
なにもかも捧げる歓びを滲ませていたのか。

まだ、まだ。若いね・・・
そう。お母様みたいに、奥ゆかしくは振舞えませんわ。
でも・・・若い血。すこしは愉しんでいただけたかしら・・・
ぼうっとなってゆく意識の彼方から。
なおもしつようにおおいかぶさってくる影の重みが、
少女を心地よく女に変えてゆく。
リビングのなか、妖しく漂う薄闇が。
濃い闇のなかに、堕ちていって。
熱い吐息がこのうえなく優しく、娘の耳朶に触れてゆく。

ご恩がえし?

2007年04月17日(Tue) 07:21:02

手のなかでもてあそんでいたお洒落な柄の湯呑みを、軽くぽんとほうりながら。
奈津子はフフン・・・と、得意げに。
いつものようにお行儀わるく、鼻を鳴らしている。
誰だったのかな~?やけどになるはずを、助けてあげたのは。
上目遣いに、冷やかすように。
こういう視線が、苦手な蛭田。
だって。
とろ火であぶられているような気がするのだから。
こういうときの奈津子の視線は、とても軽く受け流せるものではない。
かといって。
なにかを約束してしまうと。
もちろん口先だけで許してもらえるほど、甘くはない。
そうかといって。
かんたんな約束であとに引いてくれるわけは、さらにない。
困った・・・
いとも情けない顔つきで、奈津子をみると。
あっはっはっはっは・・・
奈津子は男みたいに豪快な笑い声をたてて、ひょうしにイスから転がり落ちそうになっている。
「見たかったのは、その顔よ」
奈津子は蛭田の頬っぺをぎゅううっとつねりあげると。
う~ん。いい顔。かわいいお顔。
あんたにはその困り果てた情けない顔が、いちばんのお似合いね。
ころころと笑いこける横顔が。
もうこれくらいで、許してあげる。
そう告げているようにみえた。

・・・で。
で・・・?
どんな芸をしてくれるの?
笑いをおさめた奈津子の瞳が帯びるのは、あのにらむようなまっすぐな輝き。
え・・・えっ?
蛭田は身を浮かさんばかりに、ひるんでいる。
だって、さっき、あなたは・・・(許してくれるって)
なんにも言ってないわ。わたし。
キッパリとした奈津子の口調に、蛭田の面持ちはふたたびげっそりと情けないものにかわってゆく。
いかにも奈津子好みな、情けない顔つきに。

丸テーブルの下。
ぐるりと取り囲むのは、若い女たちの脚、脚、脚・・・。
丈の短めな制服のタイトスカートから、にょっきり伸びる、いずれ劣らぬ脚線美。
着まわしができるよう紺とグレーの二色になっているのだが。
あちらの濃紺の下からは、薄い黒のストッキング。
こちらのグレーの下は、薄っすら透きとおるピンク色。
正面の、いかにもたくましい肉づきたっぷりのふくらはぎは、てかてか光る肌色の。
若々しくピチピチと輝くばかりのふくらはぎが、色とりどりのストッキングに包まれている。
な、なんという・・・
この世の天国ではないか。
蛭田はごくりと生唾を呑み込むのだが。
じつはまったく、天国じゃなかったりする。
  噛んだりしたら、だ~めよ。みんなわたしの子分なんだから。
  あなたはおあずけ。指をくわえて見ているの。
  時々テーブルの下覗き込んで、あなたの情けない顔、楽しんであげるから。
色白な奈津子の、ノーブルで、闊達で、優しげでさえある目鼻立ちが。
いかにも得意そうに、意地悪そうに、くしゃくしゃになるのを。
蛭田は哀願するようなまなざしをそそいだけれど。
今回は効き目がなかったらしい。
やけどを救ってあげたのは、だれだったかな~?
頭上に落ちてきた湯呑みを、目にもとまらぬ早業でキャッチしてくれたのは。
間違いなく、この女だった。
さっとひざをすくめて、煮えたぎったコーヒー入りの湯呑みを受け止めて。
いともあでやかな笑顔で。
あぶないあぶない。せっかくの湯呑み、台無しになるところでしたわね。
さすがの女史が、ぐっと言葉に詰まるくらい。
迫力のある笑みだった。

う・う・う・・・
テーブルの下から、蛭田のうめきが聞えてくるようだ。
なぁんて、小気味良い。
われながら鮮やかな快勝に、奈津子はじつに得意げだった。
テーブルを囲んでいるのは、奈津子の後輩の女子社員たち。
上は二十代後半のベテランから、いちばん若いのはおなじ課に配属になった、まだ初々しさの残る三年生。
幹部格の恵理子は、色白の頬、長い黒髪、輝く大きな瞳をめぐらして。
いかにも気の強そうな、意地悪そうな目線を後輩たちにめぐらしている。
(下に面白いご馳走が、いるようね)って。
下から見あげるもの欲しげな観客のまえ、
これ見よがしに、脚を組んだり、セクシーに流したりしているのが。
かすかな肩の揺れで、それとわかるのだ。
わかっているじゃないの。あなた。
奈津子はウフフ・・・と、恵理子を見やると。
ねぇ岬先輩。もういちだん面白いことがあるんでしょ?
エ・・・どんなことですか?
豊かな茶髪をふさふさと揺らしながら、そのすぐ下の後輩の結華がウキウキと目線を浮つかせている。
蹴っちゃお。
恵理子の囁きに。一同はさすがにえっ?と顔を見合わせたけれど。
いいんじゃない?
後輩の提案に真っ先に乗ったのは、奈津子本人だった。
どうする?どうする?
女の子たちは、片寄せあって、顔つき合わせて。
さざめくように意思を交換し合ったけれど。
こたえはもはや、きまっている。
おいしいエモノを、逃す手はない。
せ~のっ・・・

危険な囁きはテーブルの下まで、届かなかったけれど。
女どものよからぬ意図はなんとなく、さすがの蛭田にも察しがついていた。
セクシーで優雅な曲線をもったハイヒールは。
そういうことになると、兇暴な武器に早変わりする。
尖ったつま先も、鋭いヒールも。
いいのかな?いいのかな?そんな、そんな・・・
さっきまで弱々しかった蛭田の目に、一瞬異様な光がよぎった。

片脚をさっと引いて。攻撃直前のかすかな身じろぎが。
アッ!
ちいさな叫び声を真っ先にあげたのは、だれだっただろう?
こちら側を向いている恵理子の気の強そうな顔が、苦痛にキュッとゆがんで、
テーブルのうえ、ばったりと臥せってしまう。
きゃっ。あうぅ・・・
女たちは、つぎつぎと。
ちいさな悲鳴とともに、なぎ倒されるようにして。
ひとり、またひとりと。まろび伏すようにして。
テーブルのうえ、頭をがくりと垂れていった。
奈津子はさすがにテーブルを立って。
ちょっと・・・ねぇ。
困ったように、口尖らせて。
下を覗き込んでいる。
もぅ。
ダメだって、言ってるじゃないの。
テーブルの下に叱声を飛ばしても、もう遅い。
だって・・・蹴られるのヤだもの。
蛭田は悪戯っぽく、得意げに笑いながら。
奈津子の後輩たちの血を、ちょっぴり誇らしげな口許に光らせていて。
スカートの下から、もう三人めのストッキングをはぎ取っていた。


あとがき
人のわるい奈津子とその子分たちのかさにかかった攻撃を危うくかわした、珍しい?ケースです。
それにしても奈津子、ほんとうにやばいときにはさりげなく、蛭田のことを救っているようですね。
後半のあつかいが、いささかひどすぎますが。(苦笑)

つり。

2007年04月17日(Tue) 00:01:27

窓辺からさす陽が、日一日と眩しくなる季節。
桜の花びらはもう去ってしまったけれど。
代わりに芽吹いた初々しい若葉が、人の目にもいっそう鮮やかな昼下がり。
奈津子は真新しいハイヒールの足音も高らかに、重役室への廊下を歩んでいる。
いつかは私も・・・
そんな想いが、ないわけではない。
キリリと伸ばした背筋は、引き締まったプロポーションとつり合って。
高い知性と張りつめた感性を、圧倒的なオーラとして発散しながら。
ひとり、役員室へと足をはこぶ。

アラ。早かったわね。
鳥飼女史は眼鏡の縁をチカリときらめかせて。
にらむようなまっすぐな眼で、奈津子を見た。
まるでわたしの若い頃みたい。
むき出しにした気負いが、よけいに若々しく、彼女の眼に映っている。

どうなさいましたの?
波打つウェーブを肩先に流しながら。
奈津子は切り込むように、問うている。
エ・・・?わたし?
鳥飼女史は、おっとりと。
手の甲に顔を乗せて。ひいでた面差しを心もち傾けて。
若くて美しい部下に、からかうような上目遣いをおくっている。
いつも活発に部屋のなかをうごきまわる女史にしては。
どうも腰を、落ち着け過ぎていた。
女史はちらり、と笑みを洩らして。
ん。ちょっと、釣りをね。楽しんでるの。
え・・・?釣り、ですか?
奈津子が珍しく相手のいうことを真に受けてしまったのは。
相手があいて・・・だったからだろう。
ウフフ。
鳥飼女史は邪気のない笑みを洩らした。
ほんとうに。かわいい子。
今ね。
ええ・・・
なま返事の奈津子に、女史はよどみなく続けている。
じぶんが釣っているつもりで、釣られてしまうやつもいるのよ。
貴女は、釣られるほうではなくて。釣るほうの素質がありそうだから。
きっともうじき・・・釣りを、楽しむことになりそうね。
え?もうじき・・・釣りを・・・?
なんの謎だろう?
ふと考え込んだ奈津子は。つぎの瞬間あやうく飛び上がりそうになっている。
ひざ小僧の下あたり。
ぬらりと生温かく濡れた感触が。
だしぬけにぬめりつけられてきたのだ。
肌色のストッキングが、くしゃくしゃに波立つほどに。しつように。
あ・・・っ。
奈津子が足許を見ようとするのと。
ごめんあそばせ・・・
机のうえの湯呑みを、女史がペン先で小突くのと。
いったいどちらが、早かっただろう?
淹れたてのコーヒーがたっぷり入った湯呑みは、奈津子の足許近くに落下した。
真下にいた蛭田が、転がり落ちた湯呑みをうまくよけたのか。
まともに直撃をくって、全治一週間のやけどを負ったのか。
残念ながら、そこから先は知られていない。


あとがき
久しぶりに出てきたと思ったら・・・(^^ゞ
しょうのない話を描いちゃいました。^^;;;
あっ、作者への湯呑み攻撃は、かんべんですよ~。(笑)

しばらくぶりに外出したら

2007年04月16日(Mon) 07:40:03

先日のこと。
とても綺麗な女のひとに、出会いました。
あっ、もちろん、すれ違っただけなのですが。^^;
なにが綺麗だったか?ですって?
ええもちろん。脚・・・ですよ。^^
けっきょくそこかい。なんて。冷たいこと、仰らずに。^^;;;
今どき珍しい黒の地に鮮やかなグリーン系のワンピース姿。
ちょっぴりミニなすそからは、ひざ小僧がまる見えになっていて。
太ももまでも、半ばくらいまで覗いているのです。^^
しかもその露出度の高い脚を包んでいるのが、スケスケな黒のストッキング。
涼しげといおうか、濃厚といおうか、まるで柏木ワールドから抜け出してきたみたいなのです。
目鼻だちも、地味ながらノーブルで。
ダークな装いに色白な肌がきわだっていました。
うぅ。
あんな女性を連れて回りたいものだなあ。^^
でもここまでの注目度の高い美人をお伴にはべらすのって、ちょっと疲れるかも知れませんねぇ。
実際のところ。
だって、周囲から男ども(含む私?^^;)の視線がじろじろとさりげなくそそがれるわけですから。
ああいうオーラに耐え抜く力量をもつのが、いい女を連れまわす条件なのでしょうな。(勝手に納得)
で、勝手なお話、つくってみました。
やっぱりね、ですって?
やれやれ・・・みな様すべて、お見通しでいらっしゃいますねぇ。A^^;

おや、そちらに佇む美人は、キミの彼女かい?
さすがだね。なかなかイカすねぇ。
えっ?わざとオレ好みの服、着させたんだって?
そこまで気を使うこと、なかったのに。
いえ、いえ。もちろん嬉しいよ。^^
美人はいつ眺めても、心地よいしね。
あら、笑われちゃったじゃないか。初対面からいきなり・・・さ。
え?失礼しました。おわびします、って?
いまどき礼儀正しい娘さんだね。
おやおやキミも、聞かせてくれるね。
当然ですよ、だって?ボクの嫁さんになる女だもの。だって?
そいつはどうも。おめでとう。
きょうここに連れてきたのは。オレに逢わせるため、だって?
末永いお付き合いになるから、だって?
いいのかい?オレの正体、忘れたわけじゃないよね?
昔はずいぶん、キミの血も吸わせてもらったっけ。
お母さんやお姉さんの服を着てもらって。^^
お嬢さん、聞いて驚いちゃ、いけないよ。
オレ、ほんとうは・・・吸血鬼なんですよ。
若い女の血が大好きで。
上品な女性の服も、大好きで。
そんなふうに、スケスケに薄い黒のストッキングに、ふくらはぎの白さを滲ませていただいちゃったりすると。
つい、牙が疼いてしまうんですよ。
えっ?知っいます、って?そううかがったので、着てきたんですって?
おいおい。いいの?ホントに、いいの?^^
じゃあ、さっそく・・・こちらへどうぞ。^^
陽をさえぎるもののない公園の中だけど。
せめてあちらの生垣の向こう側、彼女が恥ずかしがらないで済むように。
いいよね?ちょっとだけなら、キミも妬かずに、目をつぶってくれるよね?
えっ?そのために、連れて来たんだって?
すまないね。恩に着るよ。
おや。まだ言い足りなさそうな顔をしているね。
え・・・
生垣の、こちら側でも構わないですって?
だって、見えちゃうよ。みんなに。
ほら、ほら。もう遠くから。
オレの正体をしっている連中が。ああやって、チラチラと。こっち見てるじゃない。
むき出しの肩をオレに抱かれた美女が、これからいったいどうなるのかって。
え・・・
見られるくらい、どうってことないって?
かえって快感なんだよ、だって?
すごいね。だから、こんな美人をモノにできるんだね。
見せびらかすのが、愉しいんだって。
そうか、そうか。そういうことも、あるのだね。
オヤ、まだもじもじ、しているね。
ちょっとのあいだ、二人きりにしていただいて。
彼女を独り占めにさせていただくわけには、いかないかな?
ほほぅ・・・
そういうことなのか。
キミもこのまま、ここにいたいんだって。
見せるのも、好み。視るのも、好み。・・・そういうわけだったんだね?
じゃあ、形だけでも・・・軽く、縛らせてもらおうかな?
まえにキミのママやお姉さんを襲わせてもらったときみたいに、ね。
・・・。
ほ~ら、視て御覧。
きみの彼氏、ぐるぐる巻きに、縛りつけちゃった。^^
もう、身動き、できまいな?
それじゃあゆっくり、襲わせていただくよ。
目のまえで、彼女の脚を。
スケスケのストッキングごしにいたぶられるのも。
彼女があわてて、ちょっぴり怯えて。しまいに目を回しちゃって。
オレのなすがままの悪戯に、身をゆだねてしまうなんて。
たしかに目にするだけで、キミはとってもドキドキしちゃうんだろうね。
この陽気のなか。
彼女に、わざわざ黒のストッキングを履かせたのも。
カッコウの良い脚にまとわれた黒のストッキングを、破かれてみたかったからなんだね?
いいだろう。
いますぐに。キミの望みどおりに、してあげるからね。
では・・・
いただきま~す♪


あとがき
たんなるおやぢ趣味なお話になっちゃいましたね・・・。(^^ゞ

妄想の断片たち

2007年04月16日(Mon) 06:45:57

明け方、妄想が浮かびました。^^
いつもながら、断片的でした。^^;
断片的過ぎまして、今回はひとつのお話にまとまりそうにありません。--;
どんな妄想だったのか、つれづれに綴ってみようと思います。

さいしょこのお話は、「女装館」という名前でまとめてみようかと思ったのでした。
(一瞬思っただけでしたが・・・笑)
ツタの絡みついた古い洋館で。
着飾った女性が数人、倒れてします。
一滴残らず血を吸い取られた状態で。
異常な猟奇事件は、迷宮入りして終わるのですが。
もっとも異常だったのは、全員が男性であったということです。
そう。
女装した人たちだったのですね。
関係者は、首をかしげるばかり。
けれどもどのご家族も静かな面持ちで、
納得したようになにも告げないで、遺体をひっそりと引き取ってゆきます。

つぎの情景は、もっと異様です。
薄暗がりのなか。
喪服を着た女たちが大勢、向こうからぞろぞろと歩いてくるのです。
脚の長さといい、肉づきといい、不ぞろいなくらいにまちまちな脚。
だれもがスカート丈は長めで、地味な黒のパンプスを履いていて、
ストッキングの薄さだけが、薄闇のなかで強調されています。
(いかにも柏木好みな情景ですね・・・苦笑)
やがてカメラは視点をあげて、女たちを頭上から映します。
薄暗がりのなか、女たちはいちように俯いて、足許を見つめて。
その足許には、ひとりかふたりずつ、黒い影がうずくまっています。
黒ストッキングの脚に魅かれて現れた、吸血鬼たちが。
女たちの脚を抱きかかえるようにして、舐めたり食いついたりしているのでしょう。
黒い喪服の襟首からのぞく白いうなじがうつむくと、
白い部分がじょじょに広がりを見せていきます。
ストッキングを噛み剥がれた脚はもちろんのこと、
衣裳までも堕とされているのでしょうか。
上体が裸身を覗かせ、ワンピースがめりめりと裂けていきます。
整然としていた黒影がにわかな乱れをみせて、白く剥かれて、地上にまろび伏してゆくのです。

第三の場面は、夕暮れ刻の墓地です。
真っ黒な喪服の女が、ピン留めだけした長い黒髪を背中にまっすぐたなびかせていて、
白い頬に微笑を滲ませています。
さっきの無理無体な凌辱現場に居合わせた一人のはずなのですが。
そこにあるのは、どこまでも清らかに透きとおった笑みばかり。
女は、自分の娘らしい少女の両肩を、後ろから抱き止めていて。
そろりと伸ばした手で、少女のおとがいを仰のけていきます。
黒の袖口から覗いた手は、どこまでも白くて、夕陽に映えて輝いています。
まだ童顔を残した少女は、母親に促されるまま、素直に前を仰いでいきます。
目線のさきには、どうやら男性らしい黒い影。
少女の父親のようです。
彼の姿は夕陽のなかのシルエットとなっていて、よく窺うことはできないのですが・・・
どうやらこの墓の主らしく、母娘の来訪を心から喜んでいることが。
無言劇のなかからも、じゅうぶんに窺いとることができます。
少女もまた、母とおなじく清楚な装いをしています。
黒のジャケットにスカート姿。
胸元をおおうブラウスと、脛を包むハイソックスの白さが、よけいにきわだっています。
男は甘えるようにして、少女のうなじに唇を重ねて、
少女はくすぐったそうに、父の所作に応えてゆきます。
母親の頬に浮かんだ笑みは、いっそう甘美に震えて、
まるで自分自身が少女になり代わったように、少女に身体を密着させてゆきます。
一見少女を支配しているようにみえながら、じつは少女にすがっているかのように。
少女はイタズラっぽく笑みながら、そんな母親をかえり見、唇を重ねてくる父親に応えてゆきます。
そろそろとひき上げられたスカートごしに、太ももを吸わせ、ハイソックスのふくらはぎまで吸わせながら。
両親のあいだ、少女は王女様のように得意げに振る舞ってゆくのです。

・・・とまあ、こんな三つの妄想なのですが。
暗示的でしょうか?それとも、たんに脈絡のない妄想でしょうか?
女装した男子になにかを演じさせるのは、そう得意なほうではありません。
まして、血を吸い尽くされて倒れている場面などは、しょうしょうグロだと感じたりもします。
そんなわけで、つい筆が(キーが)とまったのかもしれません。(笑)

第一の場面では。
夫たちは納得ずくで、女装して。血を吸い尽くされていったのでしょうか。
第二の場面に現れる女たちは、そんな夫たちを弔うものたち。
けれどもあと追いで、おなじ運命に襲われます。
女たちはおそらくは唯々諾々と、ないしは従容として、運命に身をゆだねていきます。
第三の場面は、家族の和解の場面でしょうか。
少女の役割は、とても重要だったのでは?と感じます。
以上強引につなげてしまいましたが。A^^;
・・・あんまり愉しく、なかったでしょうか?
じつはこれ、ここまでお読みの方には、とっくにお察しいただけているかもしれないのですが。
こうやって語りながら、じつは立派にひとつのお話にしているつもりなのですよ。^^
それが証拠に、カテゴリ。
ちゃんと”近親”って、なっているでしょ?^^

覗く父子

2007年04月15日(Sun) 07:33:10

ごらん。
パパは苦笑いを浮かべながら、場所を譲ってくれた。
なかの灯りがさしこんでくる覗き窓。
ボクはこわごわと、窓に顔を近づけてみた。
ママはほろ苦い微笑を浮かべながら。
紫色のスーツ姿をくつろげていて。
足許にすり寄ってくる黒い影に。
濃紺のストッキングをつややかにまとったふくらはぎを、ゆだねていた。
気品のある薄っすらとしたナイロンのうえ。
飢えた唇が、這い回っている。
ねぶりつけられたよだれを、かすかに滲ませて。
ぎらつく光沢が、灯りのなか、いっそう冴えて輝いていた。

「イヤラシイお方」
ママはホホホ・・・とくすぐったそうな笑みを洩らして。
傍らにひかえる少女をかえりみている。
「涼子さん、つぎはあなたの番ですよ」
あ、はい。お母様。
涼子さんと呼ばれた少女は、セーラー服の夏服を着ていた。
このあたりでは見かけない制服だった。
白のラインが三本走る襟首も。
袖口のカフスや胸ポケットも。
そして重たそうなプリーツスカートも。
黒一色。
ブラウスの部分だけが、真新しい白。
鮮やかなモノトーンに包まれた少女は、肩にかかる髪の毛をさりげなく背中に追いやるようにして。
ためらいなく、黒のプリーツスカートをたくし上げている。
ひざ小僧から下を、ぴっちり包んだ白のハイソックス。
きみはその脚を、惜しげもなくゆだねてしまうというのかい?

「さ。吸っていただきなさい」
「ハイ。お母様」
さっきから、気になっている。どうしてお母様、なのだろう?
パパはボクの思惑を察したように、囁いた。
あの子はお前のお嫁さんになる子なんだよ。って。
えっ!?
思わず声をあげそうになった。
しーっ。
パパはボクの口を軽くふさいで。
さぁ、見て御覧。いちぶしじゅうを見せてもらえる約束なんだから。
ママが襲われるときと、おなじくらい。
ウキウキとした目線をそそいでゆく。
「ご存知でしょう?処女の生き血が、お好きなんですよ。たっぷり味わっていただきましょうね」
「ハイ」
涼子さんはどこまでも従順に、ママの言いつけどおり、脚をさし伸ばしていって。
真新しいハイソックスのうえから、よだれの浮いた唇をなすりつけられてゆく。

ちゅーっ。
ちゅーっ。
競い合うようにあがる、ふた色の音。
さいしょに、ママが。
それから、涼子さんが。
うなじを吸われて、顔色を蒼白にして。
相ついで、たたみのうえに寝そべってしまう。
うふふふ・・・ふふふ。
黒影は得意そうな含み笑いを浮かべた唇を。
まずは濃紺のストッキングのふくらはぎに。
それから、白のハイソックスのふくらはぎに。
かわるがわる、順ぐりに。
吸いつけて、あてがって。ねぶりまわしてゆく。
あ・・・あ・・・あ。。。
まるで自分が血を吸われているみたいな。そんな感覚。
黒と白との礼装を、しどけなく乱していって。
つややかな黒髪を、かきのけられていって。
涼子さんは少しずつ、白い素肌をさらけ出していって。
輝くような白い肌に、惜しげもなく飢えた唇を圧しつけられていってしまう。
どうしたんだろう?どうしたんだろう?
この、ゾクゾクとした感覚は?
未来の花嫁が襲われて、生き血を吸い取られていくというのに・・・
ウフフ。
含み笑いの主は、パパだった。
ようやく、わかったようだね・・・
キミも、昂ぶっているんだろう?
そう。パパがママを初めてかれに引き合わせたときも。ちょうどそんなふうで。
パパも父さんに、ずいぶん冷やかされたものだからね。

交際相手

2007年04月14日(Sat) 06:47:35

気になる女の子に、ひと言声をかけるのは。
中学生の男の子には、とても勇気の要ることだったりする。
きみの生き血が吸いたい・・・だなんて。

その子はいつもキビキビとしていて。
濃い眉を心もちキッとさせた横顔は、男優りに凛としていて。
同級生の男の子たちは、ただでさえ引いている。
よく見ると。
艶を増した白い肌はうわぐすりのような色香を帯びて。
白のハイソックスに包まれたふくらはぎは、ピチピチとした生気をはらんでいるというのに。

放課後のことだった。
おずおずと呼び止めると。
呼び止められたことよりも。
呼び出される時間の遅さに、彼女はふしんそうに顔を傾げながら。
それでもいつものハッキリとした口調で、
いいわよ。五時にここの教室ね。
あっけないほどストレートに、応諾の返事がかえってきた。
五時ともなると、真冬の教室は冷え冷えとした暗がりに支配されていて、
昼間の騒がしい空間とはまるで別世界のような、薄気味悪い空虚さに支配されている。
用件を告げないで、だれもいない放課後の教室に誘って、
それでも彼女が理由も訊かずに現れたなら。
・・・それはお前が好きだということさ。
悪友の無責任なことはば、どこまで真実なのか。
廊下の向こうからヒタヒタと上履きの足音が近づいてくるのを耳にして。
胸がドキドキ高鳴るのを、どうにも抑えることができないでいた。

そのひとは鮮やかな黒髪を、肩に届かないほどのショートカットにまとめていて。
昼間とおなじ、きりりとした目線で、睨むように見つめてくる。
咎めるつもりで、視ているわけじゃない。彼女のいつもの癖なのだ。
そうはわかっていても・・・
これから口にする言葉を、なんど喉の奥に引っ込めたことだろう。
きみの生き血を吸いたい・・・だなんて。

えっ?
そのひとは怪訝そうに顔を傾けて。
こちらをじいっと見つめてくる。
ことばの意味を、はかりかねたのか。
たんに声が、明瞭にとどかなかったのか。
そのいずれでも、あったのだろう。
けれどもぼくが無言で近寄っていくと、
吸血鬼・・・なの?
いつもに似ない、少女らしい怯えがはしったとき。
ぼくはいつものぼくをかなぐり捨てて。
半吸血鬼という、獣になっていた。

や、やだっ・・・
拒絶の声も。ちいさな悲鳴も。
もう、ぼくの耳には響かない。
とっさに抑えつけた、イスのうえ。
きみは足をばたばたとさせて。
その足すらも、抑えつけられてしまって。
どうすることもできないで、悔しそうに歯噛みしながら、ぼくの所行を睨みつづける。
ひざ下までぴっちりと引き伸ばされた、真っ白なハイソックスをずり降ろすと。
しっかりとした肉づきにおおわれたふくらはぎが、透きとおるほどの白さで目のまえにせまってきた。
薄っすらと透ける青白い静脈に。
ぼくは惹き込まれるように、ドキドキと唇を吸いつけていって。
あとは、もう。忘我のかなた―――。
がりりと噛みついたとき、きみは跳ね上がるように足をあげたけれど。
いつもの逡巡など、かけらも見せないで。
ぼくはふたたび、きみの足許のうわつきを、ぐいとこちらに引き寄せていた。

・・・ひどいじゃないの。
かろうじて涙をこらえた瞳が、責めるようにこちらを見つめている。
ゴメン・・・
気まずい沈黙の一瞬、二瞬。
どうして足を噛んだのよ?
かばうように撫でさする指のあいだに、さっきつけたばかりの赤黒い痕が見え隠れしている。
支配の痕。もうこれで、どんな吸血鬼であっても。きみをむたいに襲うことはできないのだ。
しずかな言葉が、口をついて流れ出る。
きみを、ほかのやつに襲わせたくなかったから。
きみはもうそれ以上なにも言わないで。
ひたひたと上履きの足音を遠ざけていった。

夜。
玄関のほうから、がたがたと時ならぬ、あわただしい物音がした。
母の声が、ぼくの名前を呼んでいる。
「ゆう子さんよ」
部屋まで来た母の目が、キッと責めるように光って見えたのは。
男の子でしょう?覚悟なさい。
そう訓えているように思われた。
白のブラウス、濃紺のベストにおなじ色のプリーツスカート。
いつもの制服の下、しっかりとした肉づきのふくらはぎには、黒のストッキングを通していた。
薄っすらと蒼白く透ける脛には、くろぐろと。
夕方の犯罪の痕跡が、ありありと浮き上がっていた。
隣に付き添うお母さんが。
「ひと晩、ゆう子をお預けします。仲良くしてあげてくださいね」
いつも強気な少女は、母親に寄り添われると娘らしく。
ちょっとうつむき加減にお辞儀をしながら。
くぐもった声色で、よろしくおねがいします、とだけつぶやいていた。

ごあいさつに行ってきますからね。
母は外出着に着替えていて、
そそくさと立ち上がったきみのお母さんを追いかけるように、腰を浮かせた。
父にきちんと、お辞儀をして。
「行ってまいります」
「あぁ、行ってきなさい。気をつけて」
なにを、気をつけろというのだろう?
そんな機転は、その年頃のぼくにはまわらなかった。
母さん、あいさつに行くんだからな。
お前もしっかりやらなきゃだめだぞ。
父はいかめしく、宣告しながらも。
目だけはおだやかに、笑んでいた。
あちらは、父さんとは昔からの仲良しなのだからね。

とうとう、ふたりきりになっていた。
ふだんは足を踏み入れることのない、床の間のある部屋。
きみは座布団のうえ、居心地悪そうに正座をして。
あいかわらず言葉すくなに、うつむいていたけれど。
ほどなく戻ってきたらしい母が玄関先で靴を脱ぐ音が聞えてくると。
心を決めたように、キッとこちらに目をむけて。
血が欲しいんでしょう?
ただひと言、言葉を向けてきた。
ぼくがもじもじとしていると。
恥ずかしいことなんてないわ。あなた、吸血鬼なんでしょう?
血をあげに来たんだから。吸ってくれないと、困るわ。
きみは体を揺するようにしてひざを崩し、脚をななめに流してくる。
黒のストッキングに包まれた脚は、まるで大人の女のひとのように優雅なものを秘めていて。
侵しがたい風情に、それでも指わななかせて。
見下ろすきみの目線をはばかるように。
しっかりとしたふくらはぎに、唇を這わせていった。
いいのよ。そのまま・・・ストッキング破っても。
忍ばせた声の下。とうとうたまらなくなってしまった。
紙のように薄いストッキングは、ぱりぱりと他愛なく裂けてゆく。

クラスではだれもが知っている。
きみとぼくとの関係を。
だから放課後、ふたりそれとなく帰らないでいると。
みんなそれと察したように、そそくさと下校していくのだった。
ハイソックスのうえから、噛みたいんでしょう?
エッチですね・・・
きみは優等生の面持ちを崩さずに。
それでもぼくの不埒なあしらいを、顔しかめながらも、許していく。
赤黒く濡れたハイソックスを、脚から抜き取られるときも。
いつもちょっぴり悔しそうにしていたけれど。
弟を遇する姉のように。
高い目線をくずさなかった。

あるとき、きみが履いてきたのは、白のストッキング地のハイソックス。
薄いピンクに滲んだふくらはぎが、いつも以上になまめかしくって。
教室から人がいなくなる前なのもはばからず、近くにすり寄っていって。
衆目のまえ、足許にかがみ込んでいく。
「やだっ!あなたに噛ませるために履いているわけじゃないのよっ!」
とつぜんの、涙の混じった拒絶。
周りのクラスメイトたちは、なにも聞えなかったふりをして、
どやどやとなだれるようにして、教室から出て行った。
ふたりきりになっても、きみはうつむいて、悔し泣きに泣き濡れている。
ふくらはぎのいちばん肉づきのいいあたりに、かすかに光る唾液の痕を。
ぼくはたいそうきまり悪げに盗み見ていたけれど。
どういうわけか、スッと身を寄り添わせて。
泣きむせぶ彼女の肩を、ギュッと抱きしめてしまっている。
そんな大それたこと、いままでいちども、したことはなかったけれど。
彼女の涙を、誰の目からも押し隠して。包み込んで。
そんなふうにしてしまいたくって。
つい、抱きしめる腕に力がこもっていた。
制服のなか、柔らかい身体が、しっとりとしなだれかかってきて。
いつも き然としていたきみの 支えが崩れてしまったようで。
よけいしっかりと、抱き返していた。
わたしが好きなの?それとも、血が欲しいだけなの?
責める口ぶりに、応えをかえさずに。
ただ、ギュッと、力を込めて。頼りなく震える二の腕を、いつまでもいつまでも撫でさすっていた。
帰ろう。
彼女を引き立てるようにして、立ち上がると。
涙のおさまった瞳が、輝くように見あげてくる。
血を吸わないの?欲しいんでしょ?
え・・・?
さっきはあれほど、厭がっていたのに。
きみはイスに座りなおして。
噛・ま・せ・て・あ・げ・る。
素肌をピンク色に滲ませた、真っ白なハイソックスを。
きゅっ、とひざ下まで、引き上げた。
誘うような、イタズラっぽい流し目をして。

静かな薄明かり

2007年04月14日(Sat) 06:01:23

目が覚める。
しーん・・・と、静まりかえった室内。
その静けさが、むしょうにいとおしいのは。
あと二時間で出勤・・・
そうしたあわただしさをあとにひかえた、つかの間の静けさだから。
そう気がついたのは。
休日の今朝のことだった。

パソコンをつける。
ぶぅーん・・・と、かすかな電動の響き。
かすかな音とはいえ。
これだけで、朝の静寂は破られる。
朝だ。いよいよ朝だ。
もう、夜明けではない。
いとしい静寂を背に。
けさは、なにを描こうかな・・・?(^^)

或少年の手記

2007年04月10日(Tue) 07:47:51

ボクは毎日、吸血鬼のおじさんに少しずつ、血を吸ってもらっています。
いつもあげれる血は、ほんのちょっぴりだけど。
おじさんはとてもうれしそうにして、ボクの血を飲んでいきます。
友だちのいないボクは、学校が終わるといつもの公園に出かけていって、
おじさんと待ち合わせているんです。
半ズボンの下に、おじさんの大好きな長い靴下を履いて。
おじさんはボクのことを公園のすみっこの草むらにつれて行って、
だれにも見られないように、って草むらのなかでボクの血を吸うんです。
さいしょは痛かったけど、今ではウットリしちゃって。とてもいい感じなんです。
傷口がちょっとだけ、ピリピリするけど。

噛むところは、いつも足でした。
いまでは、首すじからも吸ってもらってます。
ハイソックスを履いたまま噛まれちゃうので、血のついたハイソックスはおじさんにあげていました。
何度か会っているうちに、ママのことをつれて来てくれる?って、頼まれて。
ある日の夕方に、ママを公園に連れていきました。
ママはおじさんを見たとたん、とびあがって。
それからふたりで、しばらくのあいだ、鬼ごっこをしていました。
ボクは公園のベンチに腰かけて、ママが捕まって血を吸われちゃうところを見物していました。
おじさんはママの首すじを噛んで、おいしそうに血を吸ってしまいました。
ボクのときよりも、おいしそうでした。
ママはしばらくのあいだ、立ったまま血を吸われていましたが、そのうちがくりと地面にひざをついちゃって、
おじさんに乗っかられちゃったんです。
それからしばらくのあいだ、ふたりは草むらのなかでごろごろ転がっていました。
ふたりの姿は草のかげになっていて、ボクの目からは、草むらがざわざわと、ゆれているだけでした。
近所のおじさんやおばさんが何人か通りかかりました。
でも、様子をおもしろそうにながめながら、何も言わないで通り過ぎていきました。

しばらくするとおじさんが起き上がってきて、
ママの手を引いて、抱き起こしてくれました。
ママのスーツは泥だらけで、白いスーツだったので、よけいに汚れがめだちました。
白いブラウスにも血がはねかっていて、ストッキングはびりびりに破けていました。
首すじにも足にも噛んだあとがありました。
あぁ、ママもボクといっしょになっちゃったんだなあって思うと、ちょっと安心しました。
「ユウヤ、イイ人とお友だちになったのね」
って、ママにほめられました。
「長い靴下、お好きなんですね」って、ママにいわれて、おじさんは珍しく照れた顔をしていました。
それからママはおじさんに、
この子のお父さんはもういないので、わたしに何をしてもどこにもめいわくはかからないのですよ、
っていいました。
どういう意味だったのかよくわからないけれど。
ママはちょっぴりめくれたスカートのすそを、気にしてひきおろしていました。
夕焼けのなか、ボクたち三人は日が暮れるまで、くつろいだ気分になって。
いつまでもにこにこと笑いあっていました。
たまにおじさんが靴下の上から血を吸おうとするので、ちょっぴりくすぐったかったけれど。

それからのことでした。
学校からもどって公園に行くときに、
ママもおめかししてボクといっしょに出かけるようになったのは。


あとがき
血を吸われることが悪いことでもなんでもなくて、
おじさんは嬉しそうにしてくれるしボクもキモチよくなっちゃう。
そう信じて疑わない男の子の手記でした。

隣家のぬくもり

2007年04月08日(Sun) 08:03:07

あちらのお宅は、交換しているんですよね?
なんだかんだといっても、ご家族を救いにいくんじゃなくって。
お互い、愉しみあっていらっしゃるんですね。
そこいくと、ボクなんか、だらしないですよね。
だってあなたに、家族の血を一方的に吸われちゃっているんだもの。

さいしょは女装していたボクが、あなたに襲われたんでしたっけ。
ひとを女装させておいて。
かってのわからない女の服で、がんじがらめにしておいて。
もう、抜けられないほど、キモチよくされちゃって。
でも、知らないうちに・・・さきに家内を変えられちゃっていたんですよね。
おいしかったよ。血だけじゃなくて。
そんなふうにいわれて、どうしてボクは昂奮してしまったのでしょう?

それから、娘たちを。順ぐりに。
息子にまで、女装の愉しみ教えてくれちゃって。
言葉巧みに、婚約者の処女まで、盗み取っちゃって。
いえ、うらやましいんですよ。息子が。
だってボクは、家内の処女をあなたに差し上げられなかったんですもの。

わかっているんです。
あなたがいくら、兇暴に牙をむき出しても。
家族ひとりひとりをつかまえて、柔らかい肌にその牙を突きたてていっても。
スカートをたくし上げて、奥の奥までも侵してしまっても。
ほんとうは、ぬくもりが欲しいんでしょう?
わかるんですよ。
そうしているときのあなたは、とても寂しそうだから。


あとがき
前作ともども、血を吸うほうよりも吸われるほうが上手なお話・・・かな?
こちらのほうは、だいぶまえに描いた「女装の刻」と設定をだぶらせてみました。

隣家の灯り

2007年04月08日(Sun) 07:47:12

寝静まった室内に、じわーんと滲むぬくもりが。
肌に心地よく、まといつく。
人の住まう家に漂う、生活の匂いが。
さっきからオレの鼻を、くすぐっている。
夫婦の寝室。
都合のいいことに、旦那は留守らしい。
奥方はすやすやと、寝息を立てていて。
剥いだネグリジェのすそからは、約束どおり。
グレーのストッキングにつややかに装われた太もも。
うふふふふふっ。
オレはにんまりとほくそ笑んで。
やつの女房の太ももを、ぬるり、ぬるりと舐めまわす。
踏みしだくように、強く、つよく・・・
ぁ。う・・・ん・・・
夢うつつの女房のうえ、またがって。
うなじをがぶり!とやったとき。
キュッとすくんだ立てひざから、
破けたストッキングがずるずるとすべり落ちてゆく。
うふふふ。ふふふふふ・・・
ほどけてゆく、ナイロンのストッキング。
乱れてゆく、豊かな下肢。
おっと、シーツを濡らしちまったな。
旦那にばれないようにね。って。ベッドから起き上がると。
うん。
やつの女房は、小娘みたいに素直だった。
娘の部屋は、となりだな?
うん。
女はどこまでも、童女みたいに素直だった。
かわいがってあげてね。
けだるそうな顔にもどって、ふたたび睡りに堕ちてゆく。

廊下に出た。
ガラス窓ごしにみえるのは、オレの家。
若い女の生き血を求めて、さまよい出てから。
もうなん日、戻ってないだろう?
おや。灯りがついている。
それも、女房の部屋だった。
あっ。もしかして。あの野郎。
亭主がいないわけが、すぐに飲み込めた。

ちきしょう。ひとの女房を寝取りやがって。
まったくすみに、置けない野郎だ。
じぶんのしたことを、棚にあげて。
だったら見てろ。娘も襲ってやるからな。
オレは憤然と、長女の勉強部屋を開け放つ。
くすっ。
頬に、笑くぼを浮かべて。悪戯っぽく、小首をかしげて。
娘はもう、学校の制服姿。
おいおい。用意のいいことだな。
パパがお邪魔してるんでしょ?
仲良くしようね。おじさま。かわいがってね。
女の子の履く長い靴下が好きなんですって?
はい、あいさつがわり・・・
差し出された脚は、真っ白なハイソックスに包まれている。
咬んでもいいけど。濡らしちゃ、ダメよ。
どこかでなにかを濡らして出てきた後ろめたさを押し隠して。
ふん。そいつはムリな相談だな。
オレは臆面もなく、やつの娘のふくらはぎに食いついてゆく。
ハイソックスの下。たっぷりとしたももの肉が、ひどく心地よい。
くちゅっ。ちゅ~っ・・・
吸い上げられる血の音を。少女はうっとりと聞きほれていたけれど。
そのうちバランスを崩して、ふらあっと、のけぞっていた。
ふん。口ほどにもない。
オレはひとりごちて、娘の制服の胸リボンに、ためらいなく手をかけていた。

伸びやかな肢体は、はちきれるほどの生気を秘めて。
オレは体じゅうにみなぎる充足感に心浮き立たせて部屋を出る。
我が家のほうを、うかがうと。
あの野郎。まだ女房といちゃついていやがる。
じゃあ、いっそ。下の娘も・・・
取って返した、長女の勉強部屋の隣室に。
コツ、コツ。
まずは礼儀正しく、ノックをしてやった。
すると後ろのドアがすうっと開いて。
おじさま、こちら。
まだ幼さを残した含み笑いが、納戸の奥へといざなってゆく。
すみにおけない娘だな。
チャコールグレーのプリーツスカートの下。
白のハイソックスは姉のよりも薄くって、
ストッキングみたいに、透けていた。
噛みついても、いいのかね?
思わず声を上ずらせているオレに。
娘はなおもくすっと笑んで。
いいよ・・・
悪戯っぽく小首をかしげたしぐさは、姉とそっくりだった。
うふふふふっ。
含み笑いのまま、圧しつけた唇の下。
薄手のナイロンには、早くも唾液を滲ませてしまっている。

しょうしょうお行儀が、わるかったかな?
白目になった少女を、部屋に連れ戻って、ベッドのなかに放り込んで。
白のハイソックスは、きょうの記念にと脚からそっと抜き取っていた。
廊下に出て、我が家をうかがうと。
女房の部屋の灯りが消えている。
ふん、やつめ。やっとすませたか。
じぶんのしたことを、棚にあげ、
オレはどうしてくれようかと、憤懣やるかたない。
おや、待てよ?たしかに女房の部屋の灯りは消えたけれど・・・
娘の部屋に、灯りがともったぞ。
あ、あいつうぅ・・・

娘は処女のはずだった。
あいつ、あいつめ・・・
オレの娘に手をかけやがって。
あの柔らかくて白い肌を、おまえの汚らしい牙で穢そうっていうのか?
ゆ、ゆ、ゆ、許せんっ・・・!
オレは憤然として、ヤツのお袋の部屋に脚を向けていた。

着物姿のよく似合う、楚々とした古風な美人。
なぜか四十を過ぎた頃から、彼女は齢を取ることを忘れたかのように、
いつも楚々として、凛と背筋を伸ばしている。
おいでになりましたね?
深々と、一礼して。
オレもさすがに、しゅんとなって。おずおずと礼を、かえしている。
たったいままで、このひとの嫁と孫娘を汚してきたというのに。
あの・・・着物を汚さないように願えませんか?
そいつは、ムリな相談だね。
あんたが脱ぐっていうのなら、話は別だがね。
そのような、ごむたいな。殿方に肌身を見せよとおっしゃるのですか?
いや、無理にはすすめないよ。オレだってあんたに、ふしだらになってもらいたいとは思わないんだ。
まぁ、お上手な。
老女はふふふ・・・とほほ笑んで。
息子が、ご厄介をおかけします。
丁寧に、深々と、礼をなげてくる。
ああ、まったくメイワクなことだね。
我ながら・・・説得力のないことだ。
奥様に、恥をとらせてしまいましたね。どうぞ、わたくしを辱めて。憂さを晴らしてくださいませ。
主人も、もうおりませんので。どこにもご迷惑のかからない身でございますから。
奥ゆかしい立ち居振る舞いを、かなぐり捨てて。
女は、着物の下前を大胆にさばいていた。
しっとり落ち着いた着物のすそからあらわれた脚は。
まるで、うわぐすりをほどこした茶器のように。
濃紺のストッキングが、薄っすらと染め上げている。

夜の明けそめた、庭先で。
紅い長襦袢を、あらわにしながら。
襟足に滲んだ泥を恥らう女と、まだ腰を合わせたまま、
交互に、ゆるやかに、揺すりあっている。
着物の下前の奥深く、
びゅうびゅうとほとばしる白く濁ったほとびを。
女はほろ苦く笑みながら、受け止めてゆく。
庭に面した我が家では。
パチリ。カチリ。
妻、長女、次女。そして長男。さらに母・・・と。
部屋の灯りが点いては消える。
あいかわらず、おイタさんね。・・・ふたりとも。
女が優しく咎めているのは、オレのことだろうか?自分の息子のことだろうか?

お話描き描き

2007年04月08日(Sun) 06:25:53

ママ:えっ。なーに?さっきからずっと、パソコンのまえに座っちゃって。
ボク:ウン。小説描いてるの。
ママ:へぇーっ。カズヤったら、小説描くんだ。どれどれ・・・
ボク:アッ!見ちゃダメッ!
ママ:あら。どーして?
ボク:だってぇ・・・(もじもじ)  ((((-_-;)
ママ:いいじゃないのよ。見せなさいよ。ケチなんだからぁ
ボク:だってー。これママのこと描いてるんだもの。
ママ:えぇー?そうなの?だったらなおさら見せなさい!
ボク:・・・えっちな小説なんだよ?
ママ:こら!ますます聞き捨てならないぞ。どれどれ・・・
ボク:やっぱ、恥ずかしいよ。(画面を手でおおう)
ママ:(手を払いのけて)だーめっ。
ボク:お、怒らないでよ・・・?
ママ:どんなあらすじなのよ?
ボク:えぇと、ママがね、エッチな吸血鬼に襲われて・・・
ママ:アラ。面白そう!
ボク:そうかな?
ママ:ほら、続きをしゃべったしゃべった。
ボク:それでね、ボクのまえだったから・・・さいしょのうちは、抵抗するんだけど。
ママ:うんうん
ボク:血を吸い取られていくうちに、だんだんキモチよくなっちゃってさ・・・
ママ:うんうん♪
ボク:とうとう押し倒されて、ストッキングのうえから脚咬まれちゃったりして。
ママ:まぁ、エッチ。
ボク:・・・やっぱり?
ママ:女の子のストッキング破くなんて、エッチじゃない~。
ボク:・・・だよねぇ?(^_^;)
ママ:それからそれから?
ボク:でね・・・こんどは怯えるママのうしろから・・・そうっと忍び寄ってって・・・
ママ:うんうん♪♪
ボク:あっ、そう。かり・・・っ・・・って、咬まれちゃって。
ママ:・・・きゃ。
ボク:ちゅう~っ、って血を吸い取られちゃって。
ママ:あぅぅ。
ボク:しっかりと、しがみつくように、羽交い絞め。^^
ママ:あっ・・・ダメ・・・っ
ボク:そのまま、押し倒されていっちゃって。
ママ:あっ・・・いけない・・・っ
ボク:そうそう。そんなふうに。スカートめくられて、太ももまる出しにされちゃって。
ママ:あっ・・・ひいぃん。
ボク:引きずり倒されて・・・馬乗りにのしかかられて・・・
ママ:・・・・・・。

あぁあ。とうとう気絶しちゃった。
おじさんも、人がわるいね。せっかくボクが自慢のケッサク、解説してたのに。
えっ?結末はおじさんが実演してくれるからって?
えっちだなぁ。もう。
ママの生き血は、おいしいかい?
あんまりそこらじゅうにこぼしたりしないでね。
あとで拭くのが、大変だから。もったいないし。
ほんとに犯しちゃうの?ママのことが好きになっちゃったって?
じゃあボクは、このへんで・・・
えっ、見てなきゃだめだって?
おじさん、ほんとにえっちだなぁ。
じゃ、お手柔らかに、ね?^^

ふたつの顔

2007年04月07日(Sat) 10:13:06

実の娘に、恋をした。
そういうことは、ふつうにはあり得ないことなのだが。
遠い旅をさすらって、家にかえりつくまでに。
十年もの歳月が流れていた。
そのうえわたしは、夜ごと人の血を求めてさまよう吸血鬼。
そうと知りながら結婚してくれた妻は、こころよく迎え入れてくれたけれども。
娘と引き合わせるとき、ちょっと気遣わしげにしていたのは。
しばらく顔をあわせなかった父娘だから・・・というだけの気がかりではなかったはず。
不幸にして、それは現実のものになっていた。
さらさらと流れる、長い黒髪。
濃紺のセーラー服の似合う、奥ゆかしい身のこなし。
母親譲りのノーブルな面差し、そして白い肌。
肌理のこまやかな皮膚に透ける、青白い静脈が。
わたしを呼んでいるような錯覚に。
いつか魂は、私の体を抜け出していた。

ひゅうひゅうと寒風吹きすさぶ、冬の夜。
真っ暗だった娘の部屋に、ちいさな灯りがひっそりと点り、
音を忍ばせて、窓が開かれる。
初めて襲ったときはネグリジェ姿だったけれど。
お客様を迎えるのに・・・と恥じた娘は、それいらい。
昼間のように、服を着けてわたしを待っている。
わたしが、わたしだと、露知らないで。

ピンクのワンピースに、濃紺のベスト。
赤地に黒の縞模様のプリーツスカートに、黒のストッキング。
控えめな服装なのに。
楚々とした風情がいちだんとひきたっている。
さ、おじさま・・・どうぞ。
娘は恥らうように、声を忍ばせて。
長い黒髪を、さらりと背中へと追いやっている。

いいのだろうか。これで、いいのだろうか。
逡巡の刻は、わずかだった。
わたしの唇は、わたしの意図をはなれて、
白いうなじに吸いついて、疼く牙を押し当ててゆく。
しっかり抱きとめた腕の中。
娘はかすかに震えながら。
華奢な身体をいつまでも、こわばらせていた。

父と母とを、裏切って。
誰とも知れない夜の訪いを受け入れて。
忌むべき欲情に応えてゆく。
そんなふしだらな娘にしてしまうことに。
妻への後ろめたさを覚えながら。
それでも、夜の訪いをとどめることができないでいる。
今夜も妻は、夫婦のベッドのうえ、
啜り取られた血潮の多さに色蒼ざめさせて。
正体もなく眠りこけていた。
まな娘が、まがまがしい逢瀬に身を浸しているとも知らないで。

そんな夜が、幾晩訪れたことだろう。
服を汚さないでね。
ちいさな声の願いを、幾度踏みにじってしまったことだろう。
しつけの行き届いた娘は、洗いものをすべて自分ですませていたから、
ブラウスやスカートに滴った血のあとを、父や母に見咎められることはなかったけれど。
ふくらはぎになぞるように這わされた唇に、
なよなよとした黒のストッキングを幾度となく、愛でられ散らされてしまっていた。
それでいながら。
長い靴下が、お好きなんですね?
娘はいつも、わたしと逢うときには。
むざんに引き剥がれると知りながら、黒のストッキングを欠かさず身に着けている。

昼間には、よき父。優しい夫。穏やかな家のあるじ。
夜を迎えると、一変して血を吸うものの翳をよぎらせる。
それを娘に見せまいとする妻は、
早く寝みましょう。
そういって、娘を部屋に引き取らせ、わたしを寝室にいざなってゆく。
わが身に替えても娘を守りたい。
腕の中、力なくうなだれてゆく妻は。
少しずつ、顔色を落としてゆくようだ。
喪いすぎる血の量を恐れて、手心を加えようとすると。
妻は気丈にも身を支えながら。
いいのですよ。ご遠慮なく。
焦点の合わない目線をさ迷わせ、なおも牙をねだるのは。
己の愉悦を追うばかりではないはず。
娘を守らなければ。
母親の一心をそれと察しながらも。
苦い想いで、あざむきつづけていた。
妻が静かになると。
わたしの魂はわたしの身体を抜けてゆき、
その身は夫婦の褥に横たわっていても。
蒼い焔となって燃え熾(さか)る魂は、
娘の部屋の窓辺へと迷ってゆく。

かすかに音をきしませて。
今宵も開かれる、部屋の窓。
娘は珍しく、季節はずれの純白のセーラー服に身を包んでいた。
幾たびとなくねだった衣裳を身につけた娘は。
いいのよ。汚してちょうだい。
なぜかきっぱりとした声色で、近寄ってきて、
いつものように、わたしの両肩に手を置いて、目を瞑る。
心もち仰のけられた、おとがいの下。
薄い皮膚が蒼白い静脈をじわりと浮き上がらせている。
ままよ・・・と思うまでもなく。
じりじりと疼きを帯びた鋭い牙は。
日ごとに色香を帯びてくる素肌に、あらぬ欲情をかきたてていた。

つ、つ・・・っ
紅いすじが、一条。
純白のセーラー服を、伝い落ちてゆく。
姿身に映し出された吸血のありさまに。
娘はうっとりと見とれていて。
鏡に映らないって、嘘なんですね。
しずかな声に、聞き入りながら。
鏡の中の男女は、似合いの好一対。
おとうさん。
え?
ビクッとして、訊きかえすわたしに。
いえ・・・
娘はちょっと、横を向いて。
おとうさん。ごめんなさいって、言おうとしたんです。
そわそわと肩を揺らしながら、呟いていた。
気の毒するね・・・
心の底の謝罪が、口をついて出たとき。
娘は、いいえ、とかぶりを振って。
気に入りの制服なんです。愉しんでくださいね。
ふふっ・・・と。いつものイタズラっぽい笑いにかえっていった。

すべてを、気づかれている。なにもかも。
娘だけではない。
吸血に耐えかねて褥に倒れ臥したはずの妻も、
ベッドわきに置かれたスリッパの位置が変わっていたりしている。
あの晩娘がわざわざ制服を身に着けたのは。
だいじょうぶよ。こそこそしなくても。
そういう意味だったのだろう。

誰もが寝静まったはずの深夜。
足音を忍ばせているのは、わたしだけではないらしい。
訪いを待つ娘だけではなく。
ベッドに倒れたはずの妻も。
そして、いまは娘の夫となった男性も。
互いにこっそり、含み笑いを交し合いながら。
秘められた宴を、心ひそかに愉しんでいる。


あとがき
許されない、禁忌の愛。
結論はちょっと、都合よすぎますかね?^^;

約束を破る少年 守る少年

2007年04月07日(Sat) 07:39:57

きれいなストッキング、履いているんだね。
舐めてみたいんだけど、目をつぶっててくれないか?
ちょっとだけでいいから・・・さ。
迫ってくる不良少年に、陰気な感じのする大人しい母親は
ほんとうに、ちょっとだけ・・・ですよね?
娘には、手をお出しにならないで下さいますね?
なんどもくどいように、念押しをして。
おずおずと尻もちをつくように、ベンチに腰を下ろしていった。
肌色のストッキングの脚に、少年たちは眩しそうな目線をそそぐ。
空色のスーツから覗くひざ小僧は、薄手のナイロンのてかてかとした光沢に包まれていた。
どっちからにする?
思わず顔を見合わせた少年たちは。
ひとりは、ふくらはぎ。
もうひとりは、スカートをちょっぴりたくし上げた太ももへと、
思い思いにかがみ込んでいった。

くちゅっ。きゅうっ・・・
少女の母親は怯えたように身をすくめたが。
あとはなんにも言わないで、ただただ四十間近の人妻の血潮を、飲まれていった。

ぐったりと俯いたまま静かになった母親の傍らで。
少女は約束が違うと泣きむせびながら。
黒のストッキングのひざ小僧を、悪童ふたりにいじくられている。
乱された濃紺のプリーツスカートのすそからは、
ぴちっと走る伝線が、地肌の白さを滲ませている。
きれいな肌、してるんだね・・・
少年たちは、ひそかな息に神妙な声色をひそませたけれど。
すぐにもとの不埒な愉しみに耽りつづけてゆく。
あぁ、だめ。ダメッ・・・
気丈な少女の咎めをよそに、清楚なはずの黒ストッキングは、蜘蛛の巣みたいにびりびりと破かれて、白い素肌をゆがんだ網目模様で彩ってゆく。

ここの公園の名前、知ってる?
もの欲しげな、上目遣いに。
知らないわ。
少女はわざと、そっぽを向いた。
ほんとうは、だれもが知っている公園の別名。
お嫁に行けなくなる公園。
だいじょうぶ。
あいつは、嫁にもらってくれるよ。
ボクたちみたいに、約束破りをしないから。
そんな・・・そんな・・・
少女はうめき声を忍ばせながら。
息荒く迫る少年たちに、制服を脱がされてゆく・・・

あれから、二十年も経つんだね。
腰かけているのは。あのときのベンチ。
ベンチのうえで犯されてしまった想い出は。
もはや遠い追憶の彼方に、甘美に溶けてしまっている。
あのあと、すべてが伝えられてしまったというのに。
約束破りの少年たちに婚約者を犯された青年は、
彼女を見捨てずに、いまでもベンチの傍らに座っていてくれる。
お互い、若気の至りだからね。青春の一ページとして、胸に閉まっておこうよ。
お上手なこと、仰って。
妻は夫の頬を軽くつねっていた。
あのとき、物陰から、犯されるわたしたちのことを、目を凝らして見つめていたと。
いまではそれも、若気の至り・・・
血を吸った少年たちは、いまでも少年のままのなりをして。
今もって密かに囁かれる公園の別名を、名前どおりのものにしている。
あしたの入学式の帰りには、ここを通らなくちゃね。
かすかな翳をよぎらせて呟く夫に、妻もしずかに頷いている。
あなたは、物陰に隠れていてね。
娘とふたり。犯されちゃうから。
あの子が怯えないていどに。うんと抵抗して。場を盛り上げてみようかしら。
もしかすると、母さんだって・・・
なにもかも知った上で、演じていたのかもしれなかった。

浮気妻に捧げる祝福

2007年04月06日(Fri) 13:58:37

妻がちかごろ、装いをかえたのは。
たぶん、そう、きっと。情夫が入れ替わったから。
去年まで、喪服がわりのように着けていた黒のストッキングを脱ぎ捨てて。
春めいた、透明な肌色に履き替えたのもつかの間に。
いまでは小娘みたいに、ひざ上までのハイソックスを嗜んでいる。
うってかわって、色は白。
初々しさ清潔さの裡に。
ある齢の女しか秘めることのない、濃い色香を滲ませている。
さいきん、捨てたものじゃないね、と冷やかすわたしに、
妻は羞じらうように笑んだまま、応えをかえさないでいる。
恋人ができたの。
だなんて。さすがにきみは、口にすることができないのだね?
たとえば娘や息子なら。
きみの浮気に理解を示すかもしれない。
娘は”女”というおなじ人種として。
息子は、かっこうの覗き見の対象として。
けれども夫に対しては。
うわべだけでも誓った貞節・・・
いいのだよ。
自由に振舞うきみが、いっそ刺激的で目映いのだから。
きみが装う貞淑さが、きみ自身の、そしてわたしがかげながらきみの情夫に譲り渡すものの値打ちを、高めているのだから。
夫婦で言葉を交わすことはなくても。
互いに過ごしあった歳月のうちに。
きみはわたしの一部になりきっている。
きみが出かけてゆく愛人に、きみの貞操を。きみ自身とともどもに捧げよう。
ストッキングを愛する彼。
ハイソックス・マニアの彼。
きっと、わたしとも・・・ウマの合う相棒になるはずだから。
少女のようなきみの羞恥心が。
かれらとわたしとを引き合わせることが、ついになかったとしても。
おなじひとりの女性を、心の底から愛したものどうしとして・・・

目のまえの草むらで

2007年04月06日(Fri) 13:46:45

夕暮れ刻の草むらのなか、うごかなくなったふたり。
影どもは勝ち誇ったように、そのうえからおおいかぶさってゆく。
「おれはこっちだ」
「じゃ、ボクは奥さんを・・・」
思い思いに、相手を選んで。
濃紺の制服姿の少女と、うす紫のワンピースを着たその母親は。
呼び交わすようにかすかな悲鳴をあげたけれど。
もはや抗う力は、抜き去られた血液とともに喪われていた。
「う、旨ぇ・・・」
ひとりが野卑な声色を洩らすと、
その相棒も、応えるように、
並べてはぐりあげたスカートの下。
ストッキングに包まれた太ももに、ピチャピチャと舌を鳴らしてゆく。
清冽な処女の血潮が。
濃艶な人妻の生き血が。
競い合うようにあがる音といっしょに、むしり取られるように奪われてゆく。

「素敵なストッキングだね。すこし、悪戯させていただくよ」
少女を抑えつけていた影はそう呟くと、恥らう娘に馬乗りになったまま体の向きを変え、
足首に唇をつけてゆく。
あんまりです・・・あんまりです・・・
少女の声は、震えていたが。
そのなかにゾクゾクとした被虐の歓びが混じるのを。
傍らで組み敷かれている母親は、敏感に聞き分けていた。
「あぁ・・・破けちまった」
男が独りごちるのと。少女がすすり泣きをあげるのと。
母親が、なだめるように娘の手を握るのと。
重なり合った、夕闇のなか。
絵巻は果てしなく、つづけられてゆく。

「奥さんのストッキング、いい舌触りしてるぜ」
「どれどれ・・・」
気を失った娘にすり寄っていた影は一瞬、ところをかえて。
相棒が取り付いているのとはべつのほうの脚に、キュウッと唇を吸いつけた。
「ウン、いける。いけるね・・・」
口数すくなに、せわしなくべろを慕わせながら。
女が耐えている屈辱を逆なでするように、肌色のストッキングを唾液でしたたかに辱めてゆく。
娘の履いているのよりも高価ですべすべとした舌触りのストッキングに、吸血鬼どもは目を輝かせていた。

平倉は妻と娘が吸血鬼の餌食にされてゆくのを、じりじりした顔つきで見守っていた。
犯されてゆく妻。
穢されてゆく娘。
早く、救い出さなくちゃ。
いそいで、なんとかしなくちゃ。
そんな焦りを、いつか愉悦に鈍らせてしまう、残酷なほどに淫靡な絵巻。
きちっとした衣裳もろともに堕とされてゆく妻や娘が交える痴態が、むしょうにいとおしいのは、なぜだろうか?
代わる代わる、ストッキングの脚をいたぶられて。
あしらいのうちに、ナイロンの材質までも、口にされて。
妻や娘の肌の奥底まで味わい愉しみつくされて。
それがどうして、歓びに転化してゆくのだろう?

どうかね?奥さんと娘さんが襲われるシーンは。
肩に手を置いたのは、ふたりを淪落に堕とした張本人。
含み笑いをした口許にはかつて、夫、妻、娘の順に生き血を撥ねかせていた。
えぇ。
曖昧に頷く平倉をニヤニヤと見つめながら。
感謝するよ、きみ。若々しい血液と、脂ののりきった貞操を譲り与えてくれて。
さいしょに吸ったきみの血が。とてもMな香りをもっていたのでね。
あるいは奥さんも?って、探りを入れてみたら。
つい、ふたりの血をひくお嬢さんにまで、魔手を伸ばしてしまったのさ。
わかっているのさ。口に出して言わないまでも。
一家の運命がかわったのを、きみが密かに悦んでいるのを。

入学式の帰り道 ~幼馴染の婚約者~

2007年04月06日(Fri) 12:49:05


四月のはじめには、たのしみな恒例の行事があった。
中学にあがったばかりの女の子たちを襲って、生き血の吸い初めをするのである。
真新しい濃紺のプリーツスカートの下に、初めて身に着ける大人っぽい装い。
年頃になった少女たちの脚もとを、なまめかしくひきたてている制服の一部に、吸血鬼たちが欲情する季節。

女の子たちはたいがい、付き添いの母親といっしょだった。
こういうときはご多分にもれず、母親も新調のスーツで着飾っている。
スーツのすそは長さがまちまちだったし、そこからのぞいている脚の肉づきはなおさらそうだったけれど、どれも例外なく真新しいストッキングで上品に装われていた。
待ち伏せは、朝からだった。
黒い影どもは、日ごろ苦手としている明るみさえもいとわずに、
念入りな品定めに興じるのだった。

朝の光のなか。一組の母娘が通り過ぎるたび。
血に飢えた目たちは、視界に入ってから消え去るまで。
あるものは、眩しげに。
あるものは、もの欲しげに。
じいっと見つめて離さない。
真新しい制服の下、清楚で初々しい彩りをよぎらせる、黒ストッキング。
新調のスーツの下、気品豊かな光沢をよぎらせる、透明なストッキング。
娘のそれは、いちだんと大人びて。
母親のそれは、いっそう艶を帯びる。
薄手のナイロンから透ける脚たちは、吸血鬼どもの目を捉えて離さない。
彼女たちが帰り道をたどるまで。

たいがいの少女は、帰り道で。
そうでない子も自宅に帰りつくと、吸血鬼の訪問を受けていた。
この村の女子中学生はひとりの例外もなく、いちどは吸血鬼のために稚い血潮を散らすしきたりになっているのだ。

帰り道では、付き添いの母親まで襲われてしまう。
むしろ、好餌とされていた。
娘の血を吸うとき、母親の協力は不可欠だたから。
真っ先に、洗脳されなければならなかったのだ。
洗脳された母親たちは、娘のお手本を演じたり、器用に手ほどきをしたり、
汚れた着衣を夫たちの目から隠す役割まで、果たしてくれるのだ。
新入生本人の吸血よりも、彼女たちを征服することのほうが、重視されるくらいだった。
入学式の、帰り道。
母も娘も、真新しい服を、清楚なストッキングを、泥にまみれさせてゆく。


志郎は零次と組んで、道端の叢に隠れていた。
もうじき新入生の女の子たちが、学校から出て来る時分だった。
入学したばかりの女子中学生たちの履いている初々しい黒ストッキングを愉しむために。
さっきから、うら若い少女の血に飢えた喉の奥が、ひきつるばかりになっている。
昼下がり。
息を詰めて熱く見つめる視線の彼方に、人影がふたつ、あらわれた。
来たぜ。
どちらからともなく、ささやき合って。
獲物を逃すまいと、少年たちは身構えた。
あっちもだ。
もうひとりが、つぶやいた。
指さすかなたに・・・また、ふたつ。
どちらの母娘も、新調のスーツに真新しい制服姿。
穏やかな陽射しに包まれた人影たちは、なにを語り合っているのか、睦まじげに寄り添うようにして歩みを進めてくる。

娘たちは、キリッと引き締まった濃紺のセーラー服姿。
襟首に走る三本の白線が、遠目にもあざやかだった。
真新しい制服の胸に真っ白なリボンがそよいでいるのが、まぶしくふたりの眼をとらえる。
まえを歩く娘は、かぼそい身体つきをしていた。
長い髪の毛を三つ編みにして肩まで垂らしているので、細いうなじがすっきりと映る。
薄めのストッキングを身につけているらしく、長めのスカートからのぞいたふくらはぎが、遠目にも青白く透けて見える。

淑やかに歩みを進める足許を、零次は熱っぽい目で追っていた。
柔らかい陽の光をうけて、ストラップシューズをはいたくるぶしが輝いて見える。
「あの娘を襲おう」
零次の言葉に、志郎は気の弱そうな目鼻を神経質にぴくつかせて、あいまいに頷いた。
志郎にはその少女が従妹の紫織だということがわかっていた。
紫織とは、結納を交わした間柄である。
未来の花嫁を、それと知りながら襲いたいという零次。
けれども彼の家の女性はみな、零次の家の男たちに、支配されるしきたりになっている。
自分自身の母親も。
紫織に付き添っている叔母も。
すでになん度も、零次のエジキになっていた。

「あっちの娘も、たっぷり血が獲れそうだぜ?」
紫織の後ろを歩いている少女を指さして、零次の瞳は、酷薄な色を強くひらめかせた。
輝く陽射しのなか、ボーイッシュなくらい生き生きとした少女だった。
三つ編みのおさげを威勢良く揺らしながら、ストラップシューズをぺたぺたさせた歩きぶりは、ひどくリズミカルで、はちきれそうな生気を秘めている。
前を歩くほっそり娘を追い抜きそうな勢いだった。
太ももの肉づきは、長めのプリーツスカートに遮られていたけれど、
むきだしになったひざ小僧から下はまるみえになっていて。
たっぷりとしたふくらはぎが、薄黒いストッキングに包まれている。
ぴちぴちとはりつめたふくらはぎの周りを包んでいるなよなよとしたストッキングが、はち切れそうに見えた。
「まるで、男の子がストッキング履いているみたいだな」
零次の言い草に、なぜか衝動に似たものがじわりと波立った。
ふっくらとした丸顔は、母親譲りらしい。
濃い紫のスーツに身を包んだ彼女の母親は、黒くて長い髪の毛をお嬢さんのように背中に流している。
足許は少女と同様、黒のストッキングで装っていた。
「貞雄のかあちゃんだ。いいかっこしてるなぁ」
零次がいった。
後ろを歩く少女が貞雄の妹の晴美だと、やっと気がついた。
いつも遊びに行っている、幼馴染みの家だった。
母親の生き血は以前から、幾度となく吸っている。
さいしょに襲ったときには貞雄に手伝わせたくらいだから、
貞雄はきょう、母と妹が帰り道を襲われることを知っている。
妹をあいてにするのは、きょうが始めてだった。
それにしても。
制服着せただけで、ずいぶん変わるもんだなあ。
どちらからともなく、つぶやき合っている。
濃紺の制服に包まれた姿は、淡いながらも、別人のような色香を漂わせていたのだ。

後ろのひと組が、まえを歩く母娘に追いついた。
ふたりの少女は、仲良しらしい。
白い顔に笑みがはじけ、親たちも笑顔で会釈を交わしている。
少女たちは、大人の仲間入りをした証拠を見せびらかすように、ストッキングを身に着けた脚をそろえて、色の透け具合を比べあっていた。
いい眺めだなぁ。
あまりの風情に、これからとんでもない不埒をしでかすわが身を忘れて、
少年たちは、しみじみとした調子に一瞬声を落としたが。
「行くぜ?」
零次は相棒の肩をつよく叩いている。

初々しい色香も、さることながら。
獲れそうな血の量に、志郎はワクワクと胸を弾ませていた。
あいてのひとりは、じぶんの許婚だというのに・・・
志郎の体内には、わずかながら血が残されている。
腕を走る青白い血管に脈打っているマゾヒスティックに染まった血を見とおすように。
志郎はじぶんの腕に目をおとし、うなじの傷あとに触れてゆく。


「なっ、なんの御用ですか!?」
引きつった声をあげたのは、紫織の母親だった。
じぶんひとりが咎められたような気がして志郎がひるんだのを横目にして。
零次はよゆうたっぷりだった。
志郎にとっては未来の義母だとしても。
かれにとっては、いちどエモノにした女にすぎないのだ。
「このまえは、ありがとう。あんなにしつっこく、お肌を吸わせていただけるなんてね」
「綺麗なストッキングだなあ。よくお似合いですよお。チョットだけでいいから、おれ達に舐めさせてもらえませんか?」
ヌケヌケと言い募る少年に、親ほどの齢のふたりの母親も、あいた口がふさがらない。
「あなたたち、不良ねっ?」
貞雄の妹が、叫ぶように口にする。
あいつ、妹には言っていないんだな?
志郎は、じぶんも紫織に、きょう訪れる危機をとうとう告げなかったのを思い出した。

零次はずんずんとじぶんのペースを突き進んでいる。
「さあ、まずお母さんがお手本を見せてあげないとね…」
陰湿な笑いを浮かべながら、母親たちに迫っていった。
「ああ…ちょっと、おやめなさい、おやめなさいったら…」
紫織母親のたしなめる声に耳を貸さず、零次は彼女の足許にかがみこんでゆく。
いちど奴隷に堕ちた女。
そういうたいどがありありだった。
とっさにすぼめた膝小僧に割り込むように、零次の腕がからみつく。
慣れた手つきが、スカートの奥までまさぐろうとする。
「アッ、だめッ!!!」
叫び声をかいくぐるように、零次の唇がねちょっ、とストッキングの脚に吸いつけられる。
母親はあわててスーツの裾を抑えたが、肌色のストッキングを履いたふくらはぎに汗臭い唇をなすりつけられてゆくのをどうすることもできなかった。
志郎に、横抱きに抱きすくめられて、身体の自由を奪われていたのだ。
「くふふふふうっ」
志郎の手助けに、下品な含み笑いで応えた零次は、
彼女の義母の足許を、おくめんもなくいたぶりだした。

荒っぽい息遣いの下。
紫織の母親のストッキングは、オブラアトのようにとろかされ、擦り剥けてゆく。
「ひいッ!!」
悔しそうに口許をひん曲げて、辱められてゆく足許から目を逸らせた。
紫織は母親がストッキングを踏みしだかれるようにしてチリチリにされてゆくありさまに、べそをかいていた。
「うひひ、たまんねえ。たまんねぇや・・・」
零次の野卑な声色が、志郎の血を刺激した。
目のまえに迫る紫織の母親のうなじが、うわぐすりをかけたようにとろりとした艶を滲ませている。
知らず知らず、唇を這わせていた。
暖かい体温の皮膚と、その下をめぐるうら若い血潮の脈動に、牙を沈めていった。
「ああッ!!」
悲鳴をひと声あげると、母親は白目になって、身体の重みを志郎の腕のなかにゆだねてしまった。
義母のストッキングをいたぶるチャンスを零次に譲らされながら。
志郎もまた、己の愉しみにふけり始めている。
ちゅう、ちゅーう、くちゅーう…
ひとをこばかにしたような、奇妙な音を立てて。
紫織の母親のうなじと足許から、血潮が勢いよく吸い上げられてゆく。

「おつぎは、そちらのお母さんだね?」
唇に血を含ませたまま、志郎がそう呟くと。
幼馴染みの母親は、ふらふらと舞うように、紫のスーツ姿をそよがせてきた。
差し出された足許に唇を吸いつけたのは、志郎。
黒のストッキングのしなやかな舌触りが、女の品格を感じさせて。
むっちりとしたふくらはぎに、つい力をこめて、
ぐぐ・・・っ、と牙をもぐり込ませていた。
獲物のうなじを荒々しくつかんだ相棒が牙を入れるのが、
女のかすかな身じろぎで伝わってくる。

スーツの肩先を血に染めて、女は総身から力を抜いた。
淡い緑のスーツ姿と、濃い紫のスーツ姿。
ふたつがくたりと力なく、叢のなかに崩折れると。
少年たちはおびえて立ちすくんでいる少女たちを見据えた。
「さーて、つぎはお嬢さんたちの番だ」
零次は紫織のほうへと向きなおる。
強い目線に紫織が脚もとをすくませる。
ぴかぴかの黒い革靴にお行儀よくおさまった足の甲が、薄黒いナイロンの真新しい生地に包まれていた。
おいしそうだ。もったいない。
そんな想いが志郎の胸を、警鐘のようにかけめぐる。
けれども、しきたりを破ることは許されなかった。
身体はひとりでに、貞雄の妹の晴美ほうへと向いている。
制服のプリーツスカートの下、真新しい黒のストッキングに包まれた、はちきれそうな生気を秘めたふくらはぎに。

少年たちは思い思いに、自分が選んだ少女の上体を抑えつけて、ま新しいプリーツスカートの下からのぞいている黒ストッキングの足許にかがみこんでいった。
「あ…」
「ああっ」
少女たちはもう、抵抗する意思を喪っていた。
母親たちを篭絡された瞬間に、支配される意思をかためたらしい。
顔見知りの少年たちが、飢えた唇と熱っぽいべろを容赦なく迫らせてくるのを。
唯々諾々と、受け入れてしまっていた。
少女たちは次々に尻もちをついた。
濃紺のプリーツスカートに泥が撥ねた。
真新しい制服のスカートがくしゃくしゃにたくし上げられて、ストッキングに包まれたひざ小僧があらわになる。
ほとんど同時に、ひざ頭に、ふくらはぎに、飢えた唇が吸いつけられる。
清楚なストッキングに、不潔なよだれが飴色の糸を引いてからみついた。
汚ならしい・・・
晴美はあからさまに眉をしかめ、
紫織はなにも感じまいとするように目をそむけた。
けれどもそれは、吸血鬼たちの目を愉しませただけだった。
張り詰めたナイロンに包まれたふくらはぎが嫌悪に引きつるのを愉しむように、よだれを光らせたべろがねっとりとナイロンの表面を撫でつける。
青白く滲んだ少女の素肌をナイロンストッキングもろともいたぶる愉しみに、かれらはゾクゾクと身を震わせて耽りつづけた。


ひどい。ひどいわ・・・
零次さんはもちろんのこと。志郎さんまで、あんなに晴美に欲情して。
紫織は悔しげに歯噛みをしたけれど。
大人びた装いのうえからねっとりと唇を添わされて。
薄気味悪いよだれをぬらぬらとなすりつけてくる舌に、ストッキングをくしゃくしゃにされていって。
恐怖と屈辱に身をすくめながらも。
刺し入れられてくる牙がもたらす鈍い疼きを伴ったかすかな痛みに、
嫌悪に張り詰めた生硬な緊張をじょじょにときほぐされて、
紅茶の中の砂糖みたいに理性をつき崩されてゆくのを、
もうどうしようもなく受け入れ始めている。
だめ。見ないでっ。
志郎さんが、こっちを見てるっ。
紫織はあわてて、あらわになった太ももをスカートで遮ろうとしたけれど。
荒々しくもむぞうさな零次の腕に振り払われて。
あからさまな陽射しの下、白い肌を惜しげもなくさらけ出されてゆく。

ひどいっ!兄さんの幼馴染なのに。
晴美は身を揉んで、まだ抗っていた。
それでも手馴れた指先は、容赦なく深入りをして、
制服の奥深く秘めていた素肌の奥に侵入してくる。
ムチムチとした胸をはだけられながら、はずされたブラジャーから、初々しい乳房をあらわにしながら。
泥まみれの凌辱が、いつか快感にすり替わってゆくのを、どうすることもできなくなってしまっている。
ちゅうっ・・・
血を吸い上げられた。
けがれのない、処女の血を。
される放題、だったけれども。
強く意識してしまった。母さんの血を吸った唇。
わたしの血と母さんの血が、このひとのなかでひとつになってゆく。
不可思議な愉悦が、強気な理性を妖しい翳でおおってゆく。
そうよ。あたし処女なのよ。・・・もっと吸って!
わけのわからない衝動に包まれながら、のしかかってくる少年の背中に腕を巻いてしまっている。
あきれたような、諦めたような母親の視線を感じながら・・・

穏やかな陽射しのなか。
ふたりの少女は、三つ編みのおさげ髪の頭を仲良く並べて、
おそろいの初々しい黒ストッキングの装いを、むぞうさにあしらわれていった。


あとがき
何年も過去に描いたものを、ぐうぜん見つけました。
未完の状態だったので、かなり加筆しましたが・・・
いつものテイストよりも多少ワイルドなのは。
描いた当時のまだ熱い血を伝えているのでしょうか?
前作とほぼおなじのプロットですが。
どちらがより、妖しく映えているでしょうか。

入学式の帰り道

2007年04月06日(Fri) 11:01:06

闇に棲むものたちにとって、入学式は愉しみな行事のひとつである。
真新しい制服の下。
黒のストッキングに染められた初々しいふくらはぎを目当てにして。
まだ冷気のまじる草むらのなか、なん十分ものあいだ待ちつづけている。
来た、来た・・・
しめしめ・・・と見合わせる顔と顔。
どちらを、狙う?
そんな段取りはすでに、枯れ草で作ったクジを引いて決められている。

狙われる母と娘は、夫の言いつけどおり、ひと気のない草むらの道をわざわざ帰り道に選んで通る。
じぶんたちの身の上に、なにが起こるのか。
あらましのことを聞かされたうえ。
母たちもまた、娘たちの淑徳を辱められまいともくろんでいる。
それは一種の、怖ろしいゲーム。

立ちはだかった、ふたつの影に。
母親は娘のまえに立ちふさがって。
おふたりも・・・いらっしゃるのね。
かすかに噛み締めた唇が、悔しそうに震えている。
せめて、ひとりなら。
わが身ひとつに牙を享けるあいだに、娘だけでも逃れさせることができたのに。
それでも彼女は、気丈にも。
襲うのなら、わたくしを襲ってください。
必死の思いで、目を瞑る。

どうする・・・?
顔見合わせた、不埒な暴漢どもは。
ニヤッ・・・と白い歯をみせて。
場合によっては、娘さんを見逃してあげるから。
その代わり、たっぷりサービスしてもらうからね。
何しろ、きょうのお目当てをあきらめるんだから。
男たちは、子どもみたいにじゃんけんをすると、
ひとりは、母親の首筋に。
もうひとりは、ハイヒールの足許に。
やおら唇を、這わせてゆく。
娘のほうは、すっかり怯えきってしまって。
毒蛇に巻かれるようにして咬まれてゆく母親に。
脚をがくがくさせながら、立ちすくんでいる。
だいじょうぶだよ、お嬢さん。あとで三人で、仲良く遊ぼうね。
そんなふうに声かけられて。
却って縮みあがってしまっている。

ちくり。ちくり・・・
お母さんの肌の奥、刺し込まれた牙に、妖しい疼きを沁み込まされて。
吸い上げられる血潮のなま暖かさが、
じわりじわりと、理性をつき崩してゆく。
あぁ・・・
狂おしい眩暈。洩らされる吐息。
勝負はすぐに、ついていた。
お母さんのストッキングも、なめらかでいいですね。
お嬢さんのやつと比べてみても、よろしいでしょう?
途方もなく不埒なはずの申し出に、彼女はゆっくりと、頷いていた。

母親から、娘へ。
娘から、母親へ。
並べられた二対の足許を。
くろぐろとした若者たちの頭が、代わりばんこに行き交ってゆく。
ベンチに腰かけた女たちは。
似通った面差しに、羞恥と愉悦を滲ませて。
互いの足許に、咎めるような目線を流しては、
困ったわね。メイワクね。
口ではそういいながら。
交し合う目と目の下は、含み笑い。
気品漂うストッキングの脚に、
飢えた唇を、むたいになすりつけられながら。
よだれの浮いたべろに、ふしだらにあしらわれながら。
くすくす。ウフフ・・・
くすぐったそうな笑みを洩らして。
娘の入学を祝う男たちに、惜しげもなく脚をさらしてゆく。


あとがき
入学式の時期ですね。
真新しい制服のお嬢さんもそうですが、付き添いのお母さんの着飾ったイデタチにもつい目が行ってしまう、いけない柏木です。
妻と娘を選ばれてしまったご主人。
どこからか、覗いているのでしょうか・・・

隷属する血

2007年04月06日(Fri) 07:07:28

妻が、浮気している。
まちがいなくそうだと、確信できる。
夜更けになって。誰もが寝静まってから。
家族のだれにも告げずに、いそいそとどこかへ出かけてゆくのだから。黒のジャケットに、フレアスカート。
血のように鮮やかな、ワインカラーのブラウス。
黒のストッキングに透ける脛を、闇に滲ませて・・・。

とうとうガマンならなくなって。
あとをつけてみた。
妻の寝室は、すぐ隣。
ちょっとした物音で、気配を察することができた。
夫婦が別室で寝むようになったのは。いつのころからだったろう。
仕方ないじゃない。
妻はいつも、そっけなく応えるのだが。
互いに仕事を持ち、すれ違いばかりの日常に、
しぶしぶうなずくしかなかった私。

かちゃり。
隣室のドアが開いた。
あきらかに、もの音をたてまいとする気配をともなっていた。
いまいましい。
今夜も、出かける気なのだ。
寝巻きに着替えていなかった私も、腰かけていたベッドから、そうっと立ち上がる。
みしり・・・みしり・・・
寝室のドア越しに、階下におりてゆく足音さえも。
妻はいつになく淑やかに、音を忍ばせていた。

ぎいぃ・・・
玄関のドアが開いた。
テキは早くも、素早い行動に移っている。
まるで脱兎のごとくに、だ。
夕方さりげなくチェックした玄関先には、
ひっそり置かれた黒のエナメルのハイヒールが、
てかてかと物騒に輝いていた。

カラン。カラン。
門の錠が開かれ、そして、おろされる。
しばらくおいて、錠前は私の手で、おなじもの音を立てた。
コツコツ・・・コツコツ・・・
ハイヒールで歩いているとは思えないほどの速足で。
きゃしゃな後ろ姿が闇の彼方に溶けそうになるのを、
私はときに小走りさえ交えながら、追いかけてゆく。
夜霧の冷たさが頬をよぎるのと。
頬の内側からふつふつと熱っぽいものが滾るのと。
熱と冷えとの、すれ違うほどの違和感。

さして長からぬ尾行のすえに、たどり着いたのは。
街はずれにある、大きな古い邸。
ここの主人とは、面識がある。
まさか、あいつと・・・
いつも道で出会うときには、あんなにそ知らぬ顔を決め込んでいたくせに。
怒りに似たものに、心臓を刺し貫かれていた。

邸のまわりを、ぐるぐると。
長いこと、おぼつかない足取りで、窺って。
今ごろ妻は、なにをされているのか?
焦りに似たものに、ジリジリと腹わたをとろ火で灼かれる覚えがした。
ようやく、思い切って。
低い塀に手をかけて。乗り越えて。庭先にまわりこんでいた。
不法侵入だって?やつだって、盗みを犯しているじゃないか。
薄灯りの滲む窓辺に近寄って、窓ガラスごし、中を窺った。
え?
私はぎょっとして、目を疑った。
ひと組の男女が、抱き合っている。
相手の男は、こちら側を向いていて。
女の肩先に、甘えるように唇を吸いつけていた。
女は黒のジャケットをかすかに揺らしながら、男の熱情に応えはじめている。
ひくり、ひくり・・・という身じろぎがうつすのは。
食い入るほどに享ける熱情なのか。
裡から湧きあがる、昂ぶりなのか。

長い口づけのあと。
抱擁から解き放たれた女は、ふふ・・・と軽く含み笑いした。
男は唇のすき間から滲ませた舌で、指先についたものを舐め取っている。
血を吸っている・・・?
かすかな疑念が、頭をもたげたが。
もっとおおきな驚愕が。私の理性を消し飛ばしていた。
見慣れた妻の衣裳の主が、ほかならぬ私の息子だったから。
息子である・・・という感情をのぞけば。
かれの女装は、完璧だった。
やや濃く刷いた化粧の裡に滲ませた母親似の目鼻だちに、
さらに濃厚な愉悦を、滲ませて。
美味しい・・・かい?
息子が息せき切っているのが、失血のせいだと気づくのに。
いくらも時は、かからなかった。
無地のはずの純白のタイつきブラウスに、不規則なバラ色の模様が散らされていたから。

おわったようだね。
邸の息子が、囁くと。
そうみたいだね。
私の息子も、相槌をうつ。
なにが終わったのだろう?問うまでもない。
ドアがしずかに、開かれて。
妻を犯した男が、ガウンをはだけたまま現れた。
さぁ、おいで。
邸のあるじは、じぶんの息子の肩に手を置いて。
息子には、慇懃に、一礼して。
いましばらく・・・お母さんを、お借りしますよ。
ええ。どうぞ。
よどみなく応えた息子は、さらにことばをついでいる。
ドキドキしますね・・・母を、まわされてしまうのですね。
と。

親友に、母親を犯す権利を与えた息子。
さりげなく腕を回してくる男のなかにとりこまれていって。
さっき親友に、そうされていたように。
反対側の首筋に、ヒルのような唇を這わされてゆく。
きゅっ。きゅうううっ・・・
息子の血を吸う主の瞳が、獣じみた輝きを帯びていた。

スカートのすそをひらひらさせたふくらはぎが、
脚線美を誇示するごとく、イスのうえに置かれる。
モデルみたいに、腰に手を当てて、挑発するように、背筋をスッと伸ばしてゆく息子。
慣れきった態度を、主は鑑賞するように目を細め、パイプをくゆらせていたが。
やがって、そろりとにじり寄ると。
ハイヒールを穿いた足の甲を抑えつけ、
ぎらぎら脂ぎった唇を、くるぶしに吸いつけた。
淡い黒のストッキングにに、かすかなしわが走る。
吸いつけたままの唇を、
足首からふくらはぎへ・・・と。
すうっ・・・となぞるように、せり上げてゆく。
淑女が接吻を享けるように。
くすぐったげな含み笑いで見つめる息子。
吸わせる息子。吸う主。
妻のストッキングを、ふたりの男が汚していたぶり抜いてゆく。
隣室で行われているだろう妻本人への凌辱すら。
意識から抜け落ちてしまった、一瞬ニ瞬。

どうぞ、お入りになってください。
落ち着き払った声が、窓の外に向けられたのを。
理性をじわん・・・と麻痺させられたまま。
応えてしまっている。
息子は傍らのベッドのなか。
理性を奪い尽くされたあとだった。
女の衣裳に埋もれたまま、いまはすやすやと静かな寝息を立てている。

ご愁傷さまです。
主は私にイスをすすめると、
目を伏せて、一礼する。
いえ、いえ・・・
なぜか慇懃な礼を返している自分が、いぶかしい。
腰かけているイスは、さっきまで息子がハイヒールの脚を乗せていたもの。
脱ぎ捨てられたハイヒールは、部屋の隅に無造作に転がっていた。
妻にも、ご挨拶させるべきですが。
先刻、あれにいかされてしまったばかりでしてね・・・
いかされてしまった?
訊きかえすまでもない。
私もあなたとおなじ、寝取られ亭主なのですよ。
息子に妻の貞操を、譲り渡してしまったのです。
そのせいだったのか。同情に満ちた、親しげな目づかいは・・・
おなじ男に、妻を寝取られた夫同士。
そして、おなじ女を共有するもの同士。
奥様も、美味でいらっしゃる。
露骨なことばに、
お気に召されたようで、なによりです。
しぜんにそんなことばを、吐いてしまっていた。

こういう晩には、妻を貴方のもとに伺わせるべきでしょうな。
含み笑いする邸のあるじに。
いえ、いえ・・・
しばらく、このままの関係にしておきましょう。
一方的に盗み取られている・・・ということに。
どういうわけか、とても胸がどきどきしているものですから・・・


あとがき
邸の主に、妻と息子を。邸の息子にも、妻や息子を。
そのうえさらに。邸の息子は、生みの母までも牙にかけている。
おぞましく錯そうした構図ですが。
ただひとついえるのは。
主人公の家族が皆、邸の親子に隷属している・・・ということ。
Mの血は、かほどに伝えられ、賞味されているのですね。
あとがきまで、おどろおどろしいことに・・・A^^;

家柄向上術

2007年04月04日(Wed) 08:16:54

婚約、おめでとう。
由貴子さんは、素敵なお嬢さんのようだね。
きっと、好夫を幸せにしてくれるだろう。
きみも、この街に住みつづけるつもりなら。
わかっているだろうね?
うちは代々、あのかたに。妻を捧げる家柄なのだよ。

きみは、憶えているだろう?
母さんが初めて、あのひとに抱かれた夜を。
だってきみはあの晩に。
父さんががいないのを見計らって。
あのひとと母さんとのキューピッド役を買って出たくらいだから。
いや、いや。咎めているわけでは、ないのだよ。
きみがそうしてくれたこと。
ひとりの夫として、とても感謝しているのだから。
この家に生まれたものとして。
いつかは最愛の母さんを、だれかにゆだねなくちゃならないってわかっていたのだから。
きみはあのひとを、父さんの留守宅に引き入れて。
まだ若かった母さんの血を、もてなしてやったのだったね。
そしてそのあと、勢いづくで。
あのひとは、母さんを犯していかれたんだ。
きみは母さんに、子どもは早く寝るように、ってうながされて。
かんじんのところは、目にしていないようだけど。
あのあとあのひとは、夜勤をしていたわたしのところへやって来て。
母さんの脚から剥ぎ取ったストッキングを見せつけていったんだ。
もちろん、お礼申し上げたよ。心から。
これからも、家内をよろしくお願いしますって、頭を下げたんだ。

それからは、きみも良く知っているとおり。
あのひとを、母さんの愛人として、家庭に迎え入れて。
お気の向くまま、お気の済むまで。
母さんのことを、いつくしんでいただいたのだよ。
おかげで母さんは、いまでも齢を感じさせないくらい、若くて、魅力的で。
いまでも父さんは、昂ぶってしまうのだよ。
母さんが襲われて、首筋を吸われたり。
黒のストッキングを引き裂かれて、ずり降ろされてしまったり。
きゃあきゃあはしゃぎながら、スカートの奥を汚されていったり。
そのたびごとに・・・察しはつくよね?
いまきみが、由貴子さんがお誘いを受けるたびに流す白く濁った涙で、独り寝の褥を濡らしたものだよ。

さあ、こんどはいよいよ、きみの番。
そそうのないように、やりたまえ。
わたしは都会で結婚をしたから、
あのかたに母さんの処女を愉しんでいただくことができなかった。
でもきみは、まだ若いし・・・
由貴子さんは、処女だというし。
よかったね。ひとりの男として、祝福するよ。
いまのきみの境遇を。
処女を得るには、自分で犯すのがふつうなのだけど。
人に獲させて、見届ける。
そういう得かたも、あるのだって。
気がついたのは、自分の妻が貞節を汚されたあとだった。

街にはあのひとのファンがおおぜいいるけれど。
みんながみんな、愛する妻をあのひとに捧げているけれど。
ほんとうに、重んじてもらえるのは。
婚約中から、処女の生き血をあてがって。
さいごに、純潔さえも譲り渡してしまうご家庭なのだよ。
我が家もようやく・・・仲間入りできそうだね。


あとがき
おとーさんの、お勧めです
婚約祝いとともに、許婚の処女を吸血鬼に与えなさいって。
すごい家訓ですね・・・

入り組んだ血縁

2007年04月04日(Wed) 08:06:48

午前四時。
まだほの暗い、薄闇のなか。
寝静まっているはずの境家の一隅は、妖しい熱気を帯びていた。
隣家に住まう、高品夫妻と。
隣り合わせの部屋。
それぞれ、相手を取り替えあって。
みだらな吐息を交し合っているのだ。
訪れた側の高品夫人は、ブラックフォーマル。
迎える側の境夫人は、濃い紫のワンピース。
賓客の装ったブラックフォーマルの下の、黒のストッキングも。
ホステスが身にまとうワンピースの下の、濃紺のストッキングも。
ひとしく、夫ならぬ男性の手でむしり取られて、
ふしだらによじれて、
ふやけたように波打って、
かろうじて、脛をおおうばかり。

高品家に残された16歳の姉と14歳の弟は。
ひとつベッドのなか。
弟は、母が犯される想像に昂ぶりながら。
はね上げたチェック柄のプリーツスカートの奥、
白く濁った熱いものを、びゅうびゅうと散らしてしまっていた。

境家の離れでは。
そんな息子や嫁たちに、眉をひそめるはずの舅と姑が。
おなじ部屋にはいるものの。
褥の横たわる妻のうえには、夫いがいの異形の影が、
淫らな吐息もあらわに、我が物顔におおいかぶさっている。
あちらも、お盛んなようですな。
じぶんの妻が、凌辱を受けているというのに。
そうした情況を、夜の訪客にたいする格別の好意と受け止めている夫は、
もの分かりよく、介添え役に徹していて。
精液で裏地を汚した妻のスカートを、取りかたづけたり。
アングルをかえて、記念写真を撮影したり。

ククク・・・
従順な夫を演じる初老の男に、異形の影は愉しげに笑いかけた。
悪友同士、声を合わせての忍び笑いに、いつか妻の含み笑いが重なって行く。
かわいそうなのは、ノリオだね。
夫がそっと、孫の名前を呟いた。
ノリオは14歳。同い年になる隣家の娘と、早くも結納を交わしているのだが。
自宅では、母親が。
隣家では、許婚が。
それぞれ道ならぬ歓びに目ざめて、仰のき、身をしならせているのだった。
夫婦の褥のうえで。
犯される姿勢のまま、妻はおっとりとほほ笑んで。
いえ、いえ。まんざらそうでもないようですのよ。
くすぐったそうな含み笑いは、いっそう濃いものになってゆく。

え?どういうことだね?
問い返す夫から、妻はふと目線を離して。
あら、あら。まぁ・・・粗相をなすって。
夫への礼節を装った礼譲な黒のストッキングが。
ぬらぬらとした精液を、光らせてしまっている。
おや、おや。
妻が犯されているというのに。
夫のまなざしは、いっそう優しさを帯びていた。
ティッシュをニ、三枚取り出すと。
妻の太ももと、結び合わされたままの男の臀部とを。
器用な手つきで、さりげなく、ふき取っていった。

ほら、あなた見て。
窓辺から望めるのは、隣家の庭先。
生垣のかげからのぞく、小さな黒い頭が。
昂ぶりをうつすように、かすかにくゆらいでいる。
視て、愉しんでいるのよ。あの子ったら。
あなたみたいね・・・
さいごのひと言を、ウフフ・・・と含み笑いにくるんで、
くすぐったそうに笑んだ夫に、目交ぜで応えてゆく。

いったい誰に、似たんだろう?
血、ですよね。
そう、妻のいうとおりだろう。
彼はこうして、妻の貞節を吸血鬼に捧げ、
息子もまた、隣家の嫁と引きかえに、その夫に妻を奪わせている。
じぶんが抱くよりもね。彼女が犯されるほうが昂ぶるんです。
改まった口調の、息子の告白に、父親は深くうなずいていた。
あの子も・・・許婚のみどりちゃんが弟さんとしているの。
愉しんでいるのよ。ああやって。
そうなのか。
けれども、もしそうだとすると。
ここで、境家の血統は絶えてしまいますわね。
惜しくはないでしょう?異常な血ですもの。
妻の白い頬は、失血のせいか。それとも、隠された冷血のせいだろうか。
もしも、冷血だったとしても。責めることはできまい。
夫は母屋をもういちど、見やっている。
血統が絶える。
果たして、そうだろうか?
息子の嫁を訪っている隣家の主人が、彼の種だということを。
妻はほんとうに、気づいていないのだろうか。


あとがき
複雑なオチになっちゃいましたね。(^^ゞ
おばあさん世代=五十代後半、お母さん世代=三十代後半、
子ども世代=十代はじめ。そんな設定なのですが。
主人公の初老の男性は、妻とのあいだに境を、隣家の妻とのあいだに高品を生んでいるんですね。
それゆえに、マゾの血は不滅なのです。^^