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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

おかめ顔の妻

2007年09月30日(Sun) 23:14:39

ノーブルな美人さんだね。
そういう人もいるけれど。
ちっとも美人ではない、おかめ顔の妻は。
どうにも誘惑に弱いたち。
  狙われちゃってるみたい。
そんなことを言いながら。
怯えた顔して寄り添ってきながら。
下がった目じり。
ゆるんだまゆ毛。
薄っすら開いた唇は、どこか淫蕩に光る白い歯を覗かせている。
おずおず・・・と。
きみは、誘いにノッてゆく。
  ごめんなさい。出かけてきます。
深夜目ざめた枕元には、震えた筆跡の書き置きひとつ。
着信シグナルが点滅する携帯を開いてみると、
  襲われちゃう~。
だいじょうぶか、って返信をしたら。
  血を吸われちゃった~。
どこか愉しげな雰囲気を漂わせて。
  ゴメン。帰り遅れるね。ゆ・る・し・て♪
ゆ・る・す。とは。さすがにレスをかえさない。
あくる朝。
さすがに気まずそうに、おずおずと戻ってきたきみは。
いつもより熱いコーヒーを淹れてくれている。
  たまに逢いに行っても・・・いいかしら?
好きにするさ・・・のひと言に。
きみは無邪気にホッと胸を撫で下ろしているけれど。
ほんとうは、気づいているのかい?
ボクがとっくに、彼とは意気投合しちゃっていて。
夕べのお誘いも、ボクのほうから頼み込んだことで。
妻に逢わせる代わり・・・裏の木戸を開けておいて・・・っておねだりしていて。
きみがうなじを吸われて眉をしかめるところを。
薄っすら透きとおる、いつもの黒のストッキングを破かれるところを。
わなわな昂ぶりながら、覗き見していただなんて。
行ってらっしゃい。愉しんでおいで。
ボクもあとから・・・昂ぶりに行くから。


あとがき
たま~に話が思い浮かぶ時って、
どうしてこうもフラチなほうに行っちゃうんでしょうねぇ。
困ったものです。われながら・・・

出勤前の風景

2007年09月28日(Fri) 07:05:59

ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
あ・・・ダメ。
きゅっ、きゅっ、きゅうっ・・・
きゃっ。いやん・・・
ちぅちぅ・・・ちぅちぅ・・・
あはっ。い、け、な、い・・・
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅう~っ。
ああぁぁぁぁぁ・・・っ。

妻も娘も。母までも・・・
それぞれの寝室に、影を迎えて。
声忍ばせて浸る、妖しい刻―――。
いつもの淑やかさをかなぐり捨てて。
礼装や制服に装った肢体をくねらせている。
娼婦のように脚を淫らに広げられて。
ひざ下までずり降ろされた靴下の弛みは、ふしだらな影となって微かな灯りに滲んでいる。

夜が明けたらいつものように、
なに食わぬ顔をして、起き出してきて。
  アラ。けさはお早いんでしたよね。
  きゃっ。学校、遅れちゃうっ。
  いい娘さんが、はしたないですよ。
所帯持ちのよい主婦。無邪気な女学生。理性的な女家長。
そうした姿に戻るのだろう。
うなじに滲んだかすかな痕に、時おり心地よげに指をよぎらせながら。

出がけにもういちど、鏡を見て。
目のくまが、不自然でないか。
昂ぶった充血は、もう引いただろうか。
いまいちど、見回して。
ふとかえりみる窓際に。
陰干しされたハイソックスが一足。ストッキングが二足。
ふくらはぎのいちばんたっぷりしたあたりが、さりげないカーブを帯びたハイソックスには、
取れない血のりが薄っすらと、ふたつ開いた穴ぼこに滲んでいて。
おなじように脚線美のなごりを滲ませた、薄いピンクと薄い黒のナイロンは。
狭い空間のなかひっそりと揺れていて。
あからさまに広がった裂け目が、ふしだらな情事を物語っている。


あとがき
名残り・・・というものは。
密かな妄想を、狂おしく押し広げる効果を持つようです。

くり返されて こじ開けられて

2007年09月28日(Fri) 06:45:20

壁に押しつけられるようにして。
婚約者はセーラー服をくしゃくしゃにされながら、
息をひそめ、眉をしかめていた。
くり返し、くり返し・・・
うなじに吸いついてくる唇を、厭うようにかぶりを振りながら。
白い肌にくっきり浮いたふたつの痕には、若々しい赤い血潮をてらてらと輝かせている。
しつように吸われつづけた傷口は。
女の血と、男の唾液を光らせて。
ただ一方的に、血潮を盗み取られてゆく。
透きとおるような美酒に男は酔い、
見返りに注ぎ込んでゆく毒液は、少女を酔わせてゆく。

こじ開けるような口づけに。
少女はキュッと眉をしかめ、悔しそうな色を滲ませながら。
それでも応えはじめてしまっている。
われ知らず、ほのかな熱情をこめながら。
禁じられた所作を、二度、三度と重ねるうちに。
熱情の焔は、無垢な頬にまで。
妖しいゆらめきをよぎらせてゆく。
あぁそれでも・・・
飛び出していって、彼女を救うことは許されないのだ。
ほのかに苦笑いをして撫でさする、首筋の痕は。
花嫁となる身に加えられたものとおなじ疼きがしみ込んでいた。

公園のベンチに彼女が伴ったのは。
よく似た面差しをもつ、年配の女。
女はちょっと戸惑ったように、現れた男に会釈を返して。
それでも娘にすべてを言い含められていたのだろう。
さりげなくスカートのすそを、たくし上げている。
男は差し出された手の甲と。陽の光を滲ませた頬に、熱っぽくキスを重ねていって。
それからよぎる風のようにさりげなく、唇をさえ奪ってゆく。
ほんのいちどのキスで、小娘みたいに頬を染めて。
女はさぁ・・・と、男に脚をさし伸ばす。
黒のストッキングに包まれたふくらはぎは、ゆったりとふくよかな輝きを秘めていた。

うふふふ・・・
ほほほ・・・
女たちの含み笑いが、ここまで洩れてくる。
間近にくり広げられる、いやらしい悪戯に。
女たちは競うようにして、ストッキングに染めた脚をさし伸ばす。
男は臆面もなく、女どもの足許に唇を這わせ、
薄い礼装をぱりぱりとはじけさせてゆく。
鮮やかに走らされた裂け目は、流れるような脚線美のうえを、
うっとりとするほどふしだらなカーヴを描いていた。
少女は頬を染めて、酔っている。
未来の花聟の嫉妬に満ちた視線を、ありありと感じながら。
草むらに身を淪(しず)ませた母親が、
ざわざわと穂先を揺らすのを。
首筋を撫でながら、うっとりしながら窺っている。
処女の生き血に飽いた男がつぎに求めるであろう彼女の純潔。
いいですね・・・?
問いかけるように向けられた視線に、知らず知らず応えているのは。
皮膚の奥に埋められた疼きに支配されたせい。
そう、きっと・・・理性を喪ってしまったせい。
まっとうな理性を、まだ喪っていないのなら。
婚約者が純潔を散らす処を、どうしてワクワクと見守ることができようか?

喪服に網タイツ

2007年09月26日(Wed) 07:09:02

喪服に網タイツなんて、フキンシンよね?
でもあなただったら、許してくださるわよね?
あなたの血は、たったひと晩で吸い尽くされちゃったけど。
わたしのほうは、もう一週間・・・啜られっぱなし♪
いっぱいじらされて。気を持たされて。
困った顔にやにや覗き込まれながら、なぶり抜かれちゃって。
すみからすみまでじっくりと、愉しまれちゃっているのよ。
さいしょのうちは、抵抗したけど。
あの人ったら、抵抗されるのまでお見通しで、気に入りで。
わたしが網タイツ女になっちゃうのも、
それまで履いていた無地の黒ストッキング、ぜんぶ破られちゃったからなのよ。
今夜、さいごの一足を履いて。
破かれて・・・たぶん初めて、犯される。
でも・・・許してくださるわよね?
知っているのよ。
あなたったら、あの人のお仲間にされちゃって。
ほんとうは、わたしのところに彼と代わりばんこに忍んできてるって。
今夜はほんとうは、あなたの番。
けれどもきっと、あなたのことだから。
あの人に今夜の床を、お譲りになるんでしょう?
夫婦でスルよりも、愉しそうだから・・・って。
それをきっと・・・お部屋のどこかから、覗き見なさるのね?
いやらしいわね。ほんとうに。
あのひとが、お部屋に侵入してきたら。
どんなふうに、抗おうかしら。
貞淑でいさせて。主人にわるいわ・・・って。懇願して。
スカートめくられて、喪服着たまま姦られちゃうまで。
う~んと悩ましく、もだえてあげる。
あ・な・た・の・た・め・に♪


あとがき
これも書き損じの復活です。20日ころ思いついたやつです。
やらしい未亡人、気に入りです♪
あっ、もちろん、少し間が抜けていてお人よしなご主人のほうも。^^

過ぎ去った嵐

2007年09月26日(Wed) 07:04:05

息が止まるほど、びっくりした。
夜中に目が覚めると、自分のうえにだれかがのしかかっている。
ネグリジェの襟首を濡らしているのが血だということがわかるのに、ちょっとだけ時間が要った。
そしてそのすきに、千沙子のうえにのしかかる影は、首筋に唇をぴったりと密着させて。
ぐいぐいぐい・・・っ、と喉を鳴らして。
思うさま、千沙子の生き血を啜ったのだった。
力づよく抱きすくめられた腕のなか。
身動きひとつできないままに、血液を吸い取られてゆくのを。
痺れたようになって身体の力が抜けてゆくのを、どうすることもできなかった。
そのままめまいを起こして気絶してしまった千沙子には、あとの記憶がない。

ふた晩め。
夕べの失血が、まださめやらない。
夫は今夜も、夜勤だった。
目ざめたとき、すでに自分のうえを占拠していた黒影は、吸い取った血潮をネグリジェに滴らせている。
ひっ。
息を呑む千沙子に、はじめて洩らした声は、「シイッ!」という、制止だった。
影の主が男で、それがお隣のご主人なのだと、はじめて千沙子は知った。
ベッドの上、抑えつけられるままになって。
ひとしきり、吸血の刻を過ごしてしまうと。
女は眩暈のなか、支配を受け始めている。
血が欲しくてがまんができず、忍んでしまったこと。
自分の妻が与えてくれる血には、限界があること。
男の手短かなことばを耳にするうちに、女の心に変化が忍び入る。
いまは・・・吸血されてしまったことさえもが・・・心地よい。
名残惜しげに身を離してゆく男を、自分のほうから引き寄せて。
いまいちど、うなじを吸わせてしまっている。
血を吸われる・・・という。身の毛もよだつような、異形の行為だというのに。
夫婦のベッドのうえ、ほかの男ともだえる夜・・・
自分でも信じられないような、酔ったようなひと刻だった。

あしたの晩、出てこれますか・・・?
男の言うがまま、千沙子は寝静まった夫の傍らから身を起こすと。
物音もたてずに着替えを済ませ、夜の街へとさ迷い出る。
真っ白なスーツは夜目にも鮮やかに、闇に透けた。
待ち合わせの公園は、人っ子一人見当たらず、彼を見つけ出すのは容易だった。
寄り添いながら腰かけたベンチの上、まるで接吻を交わすような熱っぽさで、男は女のうなじを吸った。
あぁ。。。
悩ましい秘め声に、男のほうも悩乱を深めながら。
いけない。こんなことくり返していては、いけない。
男は自分に言い聞かせるようにして。
奥さん。うなじを吸うのは今夜かぎりにしましょう。
貴女に情を移しては、ご主人にうらまれてしまうから。
情を移す・・・
ことばのもつあからさまなものに、女はじわん、と胸を響かせる。
代わりに・・・と求められたのは脚だった。
ストッキングのうえから押し当てられた唇はなおも熱っぽく、女の素肌をさぐりつづける。

闇に溶けるような、漆黒の衣裳。
千沙子は黒一色の礼装に身を包み、今夜も公園に足音を忍ばせる。
薄手のナイロン越しに、舐めるような夜の冷気をよぎらせて。
見て・・・黒のストッキングよ。貴男お好きかしら・・・?
震えを帯びた忍び声に、男も吐息を震わせていた。
熱っぽいまさぐりの下。
気品を漂わせた薄でのナイロンは、くしゃくしゃにされて、破かれて。
やがてふしだらにしわ寄せられて、ずり落ちてゆく。

お前達、なにをしている!?
にわかな叱声にふたりが身をこわばらせたのは、一週間も経った夜。
懐中電灯の主は、千沙子の夫だった。
男は言い訳もあきらめて、うなだれるばかりだった。
今夜はここでお別れしましょう。
誰にも言わないから、病院で血清を受けてください。
夫はじぶんの勤める病院に男を伴って、
密かに輸入されていた吸血病の血清を、男に投与した。
男の吸血癖はおさまり、街にはふたたび静かな夜が訪れる。

なにひとつ、変わっていなかった。
男は忍んでくるし、夫はそれを覗いている。
ひっそりとかかってくる、待ち合わせのアポイント。
あるときは、いままでどおり公園で。
ときには、あちらのお宅にお呼ばれして。
夜勤のときには、着飾ったまま夫婦の寝室に彼を迎えている。
吸血の魔は、去ったはずなのに。
いちど、肌を触れ合わせてしまった男女は、もう元には戻れない。
血を吸っていた唇は、いまでもそのときとおなじくらい熱っぽく素肌を這い、
いくたびか、噛み破ることを許したストッキングは、今宵もふしだらに引き裂かれてゆく。
鋭利な牙の代わりに、肉の牙がスカートの奥に忍び込み、淑女の静謐を乱してゆく。
今夜は遅いから・・・
そう告げて出かけていったはずの夫は、いつの間にか帰宅していて。
息弾ませて、吸血鬼に襲われるヒロインを演ずる妻を見守っている。


あとがき
下書きをしたのは、24日ころみたいです。^^;
ねたがないので、書き損じをよみがえらせてみました。^^;;;

吸血鬼に襲われながらも命永らえたヒロインは。
吸血されていた刻のことを、どのように想い起こすのでしょうか・・・?
肌をすり合わせてしまった体験は。
魔が去っても残るようです。
女の肌の奥に秘められた魔性・・・
吸血鬼より、怖いかも。^^

雨脚の彼方

2007年09月26日(Wed) 06:53:44

ぱたぱたぱたぱた・・・
雨脚が、早まったらしい。
狭い窓から覗いた空は、気味悪いほどの鉛色。
蒼ざめた頬と、けだるい重さをかかえながら。
姫原はよろめくようにして、廊下を歩いてゆく。
「今夜、戻るんだが」
そう電話をかけたのは、妻の愛人宅。
単身赴任が決まってから、妻の遥子はほとんど入り浸るように彼の家に出入りし、彼もまた姫原家に交ってくる。
「おや、急なお帰りなのだね。今夜は遥子と約束があるのだが。キャンセルしてお宅に帰そうか?」
こちらのスケジュールに合わせてくれる気遣いと、「遥子」と呼び捨てにされるほどわがものにされきっている事実と。
姫原は苦笑しながら彼の好意を断った。
「では・・・今宵も辱め抜いてつかわそうかの」
おどろおどろしい言い草に。
「たっぷり可愛がってやってくださいね」
慣れきった交際相手に、明るく返しながら。
どこかでじわん・・・と、嫉妬がにじむ。

案の定、妻は戻っていなかった。
ついでに娘の姿も消えていた。
いまごろどこでなにを・・・?
心配は無用、と知りながら。
どこの屋根の下、もだえているのか。
ふたつの影の宿り家(が)を、熱くなったまなじりが求めている。

相手の男が吸血鬼だとわかったときには、もうすでに血を吸い取られたあとだった。
男は口許から、たったいま吸い取った姫原の血をしたたらせながら。
単身赴任、おめでとう。
ほくそ笑むように、囁いてくる。
あとに残るご家族の身が、気になるのだろう?
妻の遥子は、39歳。ひとり娘の素子は17歳。
ひとりは女盛り。もうひとりは、お年頃。
心配にならないわけはなかったけれど、妻はこの街にとどまると言い張った。
屍鬼が跳梁すると知りながら、この街に。
だれか気になる男でもできたのか?
さぁ・・・
けだるげにそむけた横顔に、蒼白いものをよぎらせて。
彼女の首筋にふと目を転じると。
そこにはありありとにじんだ、ふたつの痕。
気がついたのは、襲われたふた晩あとのことだった。
あれは、わたしなのだよ。
奥さんをモノにしたあと、きみのことを襲ったわけさ。
安心して、任地に趣くことができるようにと思ってね。
安心など、できるものか。
半ば憤りながらうそぶいたはずなのに。
胸の奥にじわん・・・と響いたのは。
えも言われない妖しげな疼き・・・
感じる・・・だろう?
いつのまにか両肩を、やつに抑えられていて。
差し込まれてくる牙を、断ることはできなくなっていた。
きょう、お宅にお招きいただけまいか?
お互い秘めたままでは、なにかと後ろめたかろうからね。
言われるままに、男を我が家に招待したときには。
もう・・・痺れがすべてを彼から奪ってしまっていた。

ちょっとだけ、遅れてくるがよい。
ふたりで、洋間におるから。
覗き見するのも、見て見ぬふりをするのも、随意になさるがよい。
十分遅れて来い・・・そういわれて。
じっさいには玄関先にたどり着くまでの逡巡が、二十分もの遅刻を生んでいる。
ちゅ、ちゅう・・・っ。
ドア越しに洩れてくる吸血の音が。
男が欲望を成就させたこと、妻が歓んでそれを受け入れたことを。
饒舌すぎるほどに、ものがたっていた。

黒のワンピースを、しわ寄せながら。
ソファにもたれかかったまま、うなじを吸われる妻。
心もちしかめた眉が、キュッと引き締められた口許が。
どこか淫蕩な翳りを帯びている。
丈の短いワンピースから大胆に覗いた太ももは。
薄黒いパンティストッキングに、なまめかしく染めあげられている。
白い脛をじわりとにじませるナイロンのうえ。
男の唇が、もの欲しげになすりつけられるのを見て、
姫原は恥ずかしいほどの発情を覚えていた。

静かに、熱っぽく・・・
真昼の情事はしんねりとつづけられてゆく。
止めようとすれば、止められたのに。
妻はこちらの気配を、ありありと感づいていたのに。
妻は挑発し続け、夫は覗きつづけていた。
互いに肌をすり合わせることのないままに。
視られること、覗くことが。
互いに互いを魅きつけあってゆく。

あすの朝は、娘ごだな。
ひとしきり、愛撫を済ませると。
身づくろいをしながら、つぎの要求を突きつけてくる。
わかりました。公園に伴いましょう。
妻は無表情に声を響かせて。
よろしいですよね・・・と、夫のほうをかえりみる。
いいだろう・・・
かすれた声ににじませたかすかな欲情を、妻は気づいたようだったが。
それでよろしいのですよ。
そう言わんばかりに。
制服姿が、よろしいわね?
連れてゆく娘の衣裳にまで、念を押してくる。

夜明けまえの公園は、人通りも絶えていて。
木陰から窺う彼方、妻は娘をベンチに腰かけさせていて。
吸血鬼の背中越し、両肩を抱かれた娘は、細い眉をピンと逆立てている。
制服のスカートから覗いたひざ小僧が、眩しいほどに白い。
ふくらはぎを包んでいる白のハイソックスには、早くもバラ色のほとびをにじませていて、
すこしたるんで、ずり落ちていた。
妻のときも、そうだった。
長い靴下が、お好きみたいよ。いやらしいわね・・・
くぐもった妻の声が、いまだに耳の奥にわだかまっていた。

ぴちっと張りつめた、柔らかそうなハイソックスと。
しっとりと染める薄手のパンティストッキングと。
留守宅では代わりばんこに、男の唇にもてあそばれてゆく。
蝕まれてゆく淑女の理性。
想像しながら独り過ごす、懊悩の夜。
けれども半吸血鬼と化した姫原は、遠く離れた自宅にまで魂を飛ばしていた。
ありありと。
目に映るのは、情夫の腕の中もだえる妻、そして娘―――・・・

がたがたっ。
ときならぬ玄関先の物音に、姫原ははっとわれに返った。
ただいまぁ・・・
ふた色ひびく、女たちの声。
じりじりと胸を焦がす熱情が、鎌首をもたげて。
彼は足早に、玄関へと向かった。
ほつれた髪。蒼ざめた頬。
のろのろとした緩慢な立ち居振る舞い。
スカートの下、ストッキングの伝線があざやかに描くカーブ。
ハイソックスに滲む、赤黒い痕。
それらすべてが、彼の網膜を彩って。
さいしょに妻の。そして娘のうなじに。
まがまがしさをよぎらせた唇をあてがってゆく。
筋張った妻のうなじからもたらされた血潮は思いのほか甘く熟して、
ほかの男に彩られた色香を紛々と漂わせている。
娘の血潮は、いまだ処女の清冽さを喪っていなかったが。
いくぶんふしだらな香りをよぎらせるのは。
重ねられてきた素肌のまさぐりのせいだろうか。
まぁ。まぁ・・・
妻はころころと、笑いこけて。
娘の制服を乱してゆく夫のありさまを、興深げに見守りつづけていた。


あとがき
ごぶさたです~。
どうも出だしのお話は、いつもながらコアです。
不健全なので、軽く読み飛ばしてくださいね。
あっ、もうここまで読んじゃいましたか。(^^ゞ
ご愁傷様。
手遅れだったようですね。
ここのお宅のご主人みたいに。^^

好意と反撥 ~車椅子の少女~

2007年09月19日(Wed) 11:47:55


帰ろ帰ろ。
やばいよね・・・
でも、どうする・・・?一人になっちゃうよ。
だってー・・・
私、パス。
いいよね。しょうがないよね。あわてて逃げてきたんだもんね。
制服姿の女生徒が数人、肩を並べて、ひそひそ声で。
夕暮れせまる公園の入り口から、逃れるようにこそこそ立ち去ってゆく。
直美はいやな予感がして。
彼女たちとは正反対に、公園のなかへ入っていった。
やっぱり・・・
佇む黒い影のまえには、車椅子の少女が一人―――。
待って!
あとさきかえりみず、叫び声をあげて。
少女と影のあいだに、たちはだかっていた。
「歩けない子を襲うなんて、ひきょうだわ」
尖った視線をまともにうけて、影の主は決まり悪げに一瞬顔を背けていた。
思ったより幼い影は、同級生の虹原だった。
相手の正体を知ると、少女は怒りをよけいに逆立てている。
クラスメイトってどういう意味か、知ってる?
おなじクラスのお友だち・・・っていう意味なのよ?
友だちが弱い子を襲うの?
詰る言葉になすすべもなく、少年は言われるままになっていた。
もう、いいじゃないの・・・
背中ごしにたしなめるのは、親友の優子。
夏山登山で傷めた足は、まだ痛々しい包帯に巻かれている。
けれども直美の声は、まだ昂奮から覚めやらない。
そんなに女の子の首を噛みたいのなら、代わりに私を襲って頂戴。
そのひと言が、きっかけだった。
うっそりと身をすくめていた少年は、やおら顔を振り仰いで。
いつもひっそりとしている瞳には、別人のように獣じみたものをらんらんと輝かせている。
少女の猛々しい声が、とぎれた。
ツカツカと歩み寄ってくる少年に、両肩をつかまえられて。
ァ・・・と洩らした声もつかの間、首を噛まれてぐったりとしなだれかかっていた。
したたる血が、純白のセーラー服の胸にどろりとひとすじ、伝い落ちている。
車椅子の少女は、親友の受難を無言のまま、見守っていた。
しずかなようすは、いつもとかわらない。
気を失った少女をベンチにもたれさせると、もとの決まり悪げな顔つきに戻った少年は、そのままそそくさと立ち去ろうとした。
わたしの血も、吸ってくださいな。
鈴を振るような、静かな声に。
少年の背中がびくりと震えた。
車椅子のうえ、背すじを伸ばした少女は身構えるふうもなく、おっとりとほほ笑んでいる。
気おされるほどの、静かな笑みに。少年はふと押し黙っていた。
直美にだけかわいそうな思い、させられないもの。
三つ編みのおさげを掻きのけた首筋は、弱い夕陽に照らされていて、
しなやかに初々しく輝いていた。
喉が渇いているの?
それとも、淋しいの?
姉のような、いたわりに満ちた声。
少年はあとの問いのほうに、幼な児のように頷いている。

こんど逢うときは、制服汚さないであげてね。
傷口をハンカチで拭いながら、優子はあくまでもの静かだった。
なにごともなかったように、動じない物腰に。
かえって少年のほうが、動揺している。
家まで送るよ。
いいえ、この子が目ざめたら、いっしょに帰るから。
だけど・・・せめて明るい場所まで、送らせてもらえない?
ううん・・・いいの。
優子はとうに、察している。
親友が目ざめたら、気まずい沈黙がくることも。
そしていくら遠慮しても、少年は人知れず、少女たちが立ち去るのを見届けるだろうことも。


おそろいのこげ茶色のハイソックスを履いた少女たちが三人、
並んでベンチに腰かけて。
くすぐったそうに、足許にかがみ込んでくる少年のしぐさを見守っている。
くすくす・・・ウフフ。
少年は女の子たちの脚に、順ぐりに唇を吸いつけていった。
ハイソックスの太めのリブは、脚の輪郭に沿って整然とゆるやかに流れていたが、
ねぶりつけられる唇の下、じりじりとお行儀悪くねじれていった。
そんなありさまも、女の子たちの目を愉しませているらしい。
よだれの光った唇を、かわりばんこに、ひときわつよく吸いつけられて。
こげ茶色のハイソックスに、かすかなシミがにじんでゆくのを、
ひどく面白そうに、眺めていた。

どこの学校かしら?不思議な子たちね。
優子はおっとりと呟いて、車椅子を押している直美を振り返った。
「知らないわ」
直美はブスッと、そっけない。
憎らしい男の子。
身をもって守ろうとしたけなげな気持ちを、こともなげに踏みにじられた。
そんな気分が素直な頬に、色濃くにじんでいるのをみて。
優子はそれでも、なにも気づかないふりをして。
―――あの子、まだ渇いているわ。
たった一言で、クラスメイトを呪縛にかけてしまっている。
迫る夕闇のなか、影絵のようなパントマイム。
少年の影は、まず立ち姿の少女に重なり合って。
相手の少女は、ツンと取り澄まして、怒ったようにいちどは少年を突き放したが、
軽く押し合う腕と腕は、いつのまにかからまり合って。
影をひとつに、重ねてゆく。
少女はふらふらとよろけると、影の相方に抱き取られて、しばらく息をはずませていた。
やがて、ふらりと気を失って。
かばわれながら、抱きかかえられるようにしてベンチに寝そべると。
少年の影は、車椅子の少女のうなじに、甘えるように接してゆく。

見て。スカート履けるようになったのよ。
優子はちょっぴり、自慢げに。
スカートの足許を見せびらかした。
ひざから下を蔽っているのは、黒のストッキング。
肌の透けてみえるほどの薄さのなかで、脛の白さがじんわりとなまめかしくにじんでいた。
包帯の取れた少女の脚は華奢で、か弱げに見えたけれど。
あなたのために、履いてきたのよ。
そんな呟きを耳にして、少年は電気をあてられたように身を震わせる。
いつもいっしょの直美は、知らん顔をして。
ふたりから、すこし離れて。
木立ちの枝を仰ぎ見るふりをして、歩き回っていた。

もったいなくって、噛めないよ。
少年は後ろめたそうに、俯いていたけれど。
やっぱり本能には、逆らえなくて。
少女のふくらはぎに、甘えるように唇をつけていった。
薄い靴下ごしに素肌をさぐる、ぬるりとした舌やなまの唇に。
やらしいわねぇ・・・
優子はいつものようにおっとりと、ほのかな含み笑いを浮かべながら。
ストッキングににじんだ裂け目を眺めている。
あとで、直美の脚も吸ってあげて。
あの子が履いている白のハイソックス、お気に入りのやつなんだけど。
噛まれちゃうかな・・・って、こぼしていたわよ。
あの子もほんとうは・・・あなたのことを好きなのよ。


行っちゃうの?
いつになく気遣わしげな上目遣いで、直美は少年を見あげている。
噂がたつとね。いつまでもひとつ土地にいられないんだよ。僕。
男の子にしては控えめすぎる低い声が、それでもよどみなく流れてくる。
独りで生きていかなければいけない。
そんな宿命を、受け止めて。
嗜血癖という呪わしい習性を、しんそこ後ろめたく思いながらも。
時には本能にわが身を任せて、時には獲物になってくれた相手へのいたわりをこめてゆく。
案外、しっかりしているんだ。
気がついたのは、ごく最近だった。
こんなに背たけが、あっただろうか?
別人を見るような少女の瞳が、ひっそりとした翳りをにじませてゆく。
制服のスカートの下は、かすかに紅い飛沫を散らした白のハイソックス。
こんなに早く、お別れなんて・・・もっと破らせてあげれば、よかったね。
涙を含んだ声色を、少年はわざと横っ面で聞き流した。
初めて襲われたときも。
体の平衡を失いながら、かすかに残っていた記憶。
少年はわが身で彼女をかばうように、渾身の力で支えてくれて。
ベンチに横たえる手つきには、いたわるような優しさに満ちていた。
教えてくれたのは、優子だった。
恥を掻かせるつもりなんか、ないのよ。ただ、淋しいだけなのよ。
おなじひとが、好きなんだ。
初めて親友と分かち合う、おなじ想い。
あのときはわたしが、木の枝を仰いでいたけれど。
いまは優子が、公園の泉の周りで、ひとり車椅子をめぐらしている。

じゃあ、行くよ。
ほんとうに、もう逢えないの・・・?
せつじつな目に、はじめて応えてくれた。
切なくからみ合う、視線と視線。
忘れるんだよ。ボクのことは・・・
忘れられるわけ、ないじゃない・・・
でもきみは、明るいあしたを生きなくちゃいけない。
独りを慰めてあげたかったのに。
励ますような視線に、かえって支えられていた。
さようなら。
いつか、また・・・
どちらからともなく、かけ合った声に。
離れたところからも、声が追ってくる。
はっとした。
かえりみたふたりの視線の彼方。
優子が知らず知らず、車椅子から立ち上がっていた。
ほっそりとした立ち姿は、しなやかにシンのつよさをにじませていて。
また、逢えるよ。きっと、逢えるって。
遠くからそんなエールを、送ってくるかのようだった。

そっけない少女

2007年09月19日(Wed) 08:28:51

いつも淡々としている女子生徒だった。
むぞうさに振り分けた黒髪を左右にキュッと束ねて、
およそ色気を感じさせない小ぶりのメガネの奥には、そっけない冷めた瞳。
きっちり引き結んだ、血の気の乏しい唇。
しいて言えば肌の色が透きとおるほど白く、髪の毛のハッキリした黒さに映えて、少女らしいなまめかしさを感じさせた。

おなじクラブの彼女とは。
図書館のテーブルを隔てた間柄。
クラスではいるのかいないのかわからないほど無口な女(ひと)は。
蛭田のことなどてんで無視していたのだが。
あるときふたりきりで、図書館で調べものをしているときに。
ふと漏らした知識の集積に。
彼女はやおら深い関心と、意外な賞賛さえももたらしてくれた。
いつも人にほめられたことのない蛭田にとって。
それは慈雨のように、貴重なものだった。

それでもふたりの関係は、それ以上発展することがなかった。
時おり人のいないとき。
彼女は蛭田の披瀝する知識の園をかいま見たがって、
鋭い問いを発することはあったけれど。
どこまでいっても、テーブルひとつ隔てた関係。
ほとんどだれも知らないことなのだが。
彼女はもう、親の決めた相手と婚約さえ交わしていたのだから。

珍しく、彼女が家に招んでくれた。
初めてあがった家は、そっけないほど清潔で。
色気を感じさせない彼女の風情そのままに、簡素なたたずまいをしていた。
家人はだれも、いないようだった。
彼女は自分でお茶を淹れると、ふたつ並べたお茶碗を蛭田のほうに差し向けようとはしなかった。
「蛭田くん、吸血鬼なんでしょ?」
え・・・・・・?
どうしてそれを、知っているのだ?
ごく限られた人しか知らないはずの秘密。
度の強い小ぶりなメガネの奥、そっけない瞳はいつになく強い輝きを秘めていた。

うん・・・そうだけど・・・
一方的に、秘密をしゃべらされて。
蛭田はひどく、屈辱的な気分になった。
決して人には知られたくない、恥ずべき習性。
親からも、決して人様にさとられるなと訓えられていたというのに。
目のまえのこの小娘は、どうしてそれを知ったというのだろう?
蛭田の顔をよぎった暗い翳りを、少女は値踏みするように観察していたが。
生唾をごくり、と飲みこんで。
ひと呼吸おくと、きっぱりとした口調になっていた。
「わたしの血でよかったら・・・吸ってもいいのよ」
えっ。
大人になったあとの蛭田なら、少女に手玉に取られている・・・そう感じたかもしれなかったけれど。
はぜるほど渇いた喉は、目のまえにうつ伏せに伸べられた誘惑に、抗するすべを知らなかった。

古びた畳のうえ。
伸べられたふくらはぎは、意外なくらいかっこうがよくて。
珍しく履いていた黒のストッキングが、彼女の白い脛をいっそうなまめかしく透きとおらせている。
「早くすませて」
少女はいつものそっけなさのまま、みじかく言った。
「彼には・・・内緒なんだから」
声に支配されるように。
蛭田は身を起こし、そろそろとにじり寄って。
もうガマンできない・・・というように、
ストッキングのうえから吸いつけた唇は、性急な音をたてていた。

よほどうろたえていたのだろう。
妹や、妹の友だちを捕まえたときなどは。
よだれをたっぷり含んだぬるぬるとした唇を、ぞんぶんに圧しつけて。
薄い靴下の感覚を、それこそしつように愉しみつづけてしまうはずなのに。
ものの二、三回もねぶりつけた唇の下。
薄手のストッキングは、早くもチリチリとした伝線を走らせてしまっている。
ぶちぶちっ・・・と、ストッキングのはじけるかすかな音を耳にしたとき。
少女が目じりに湿りを滲ませたのを、有頂天な彼は気にも留めていなかった。

そっけなくもてなされたふくらはぎは、思いのほか柔らかだった。
血潮の熱さに酔いながら。
清冽な芳香が、少女の身の清さをつたえてくる。
どれほど毒液を、そそぎ込んでしまったことか。
蛭田はじぶんの毒液に酔うように、少女の肢体に己の身をからみ合わせていって。
「あっ」
ちいさく叫んだ唇を、飢えた唇をしゃぶりつけるようにして、蔽ってしまった。
抗いは、ほんのしばらくのことだった。
アイロンのきいた制服のプリーツスカートは、くしゃくしゃにせりあげられて。
さらけ出された太ももは、軽く左右に開かれて。
初めて迎え入れる男の腰がぐいぐいと力まかせに沈み込んでくるのを、
さいごまでピンと張りつめたまま、受けいれていた。

「す、すまない・・・」
彼女には、婚約者がいたんだった。
今さらながら思い出した彼は、吹きすぎた衝動がひたすら、呪わしかった。
ストラップの切れたブラジャーを、押し隠すように身づくろいすると。
彼女は、無言のまま、白い目でかれを睨めあげて。
ぱしぃん!
頬に走った平手打ちが、電光のような鋭さをよぎらせた。
「これでおあいこに、しておくわ」
だれにもしゃべっちゃ、ダメよ。
白目の多い少女の瞳が、無言のうちに命じていた。
女の肌の感触が、まだ手足のすみずみにまで、残っている。
呪わしい、といいながら。
そのいっぽうで、せめぎ合った余韻がたまらなく心地よかった。
少女が目をかすかに紅く腫らしているのに、気がつくと。
いとおしく肩を抱いてやりたくなったけれど。
どんないたわりも、言い訳も。いっさい受けまいという彼女の雰囲気に気おされて。
蛭田は悄然として、部屋を出た。
玄関を通り過ぎたときも、見送りに出てくる気配はついになかった。

ドアが閉まる音が、室内に響くと。
少女は束ねた髪のほつれを気にして、なんどか撫でつけて。
それでもうまくまとまらないと知るや、思い切ってリボンを解いた。
ばさっ・・・と肩にかかる長い髪は、ツヤツヤとした輝きを帯びていて。
いつもの少女とは別人のようななまめかしさを漂わせる。
「見たでしょ?出ていらっしゃい」
そっけない声色に応じて、隣室に初めて人の気配が立った。
気配の主は、未来の花婿。
校内随一とうたわれた秀才は、蒼白い病的な翳をもっていた。
「自分から言い出したことだからね。蛭田くんを恨んじゃだめよ」
感情を消した声に、だまって頷くと。
少女は無口の禁を破ったように、口数を増やしている。
「女の子が初めて犯されるとこ、見たかったんだよね?」
「自分の未来の花嫁が、痛そうにしているの、覗いてみたかったんだよね?」
「自分でスルよりも、よかったの?」
病気だよね、オレ・・・
男が初めて、密やかな声を漏らしたとき。
女の平手打ちが、男の頬をとらえていた。
蛭田のときは、一回だったのが。
二度、三度。
想いの深さが音の激しさになって、数を重ねていった。
「あしたまで、ダメよ。それまでわたし、蛭田の女でいるんだから」
少女の憎まれ口に、青年は目をむいていた。
整った蒼白い面貌に、初めて走る激情。
「あっ」
少女の声がひと声、部屋の外まで洩れていた。

残暑お見舞い申し上げます。
そっけないありきたりの添え書きが、ほんの二、三行。
毎年蛭田のもとにくるその葉書は、夫の姓に変わっていて。
いつも連名で、添え書きは女文字だけとは限らなかった。
「どうぞご自愛ください」
ごく当たり前に記されたきまり文句に、
いつもひやりとしたものが、胸を撫でる。
卒業してから、二度と逢っていない少女。
そしておそらく、二度と逢うことのないであろう女。
差出人の名前は、ふたり並んで、さらに増えて。
幸せな結婚をしているんだね・・・
ホッとゆるめた目じりに、なぜか潤いが沁みていた。
仰いだ窓辺には、あのときとおなじくらい深い色の空―――


あとがき
office編でおなじみの蛭田くんの、遠い日の想い出話でした。
ちょっといけない火遊びでしたが。
どうやら丸く収まったようで・・・ (^_^;)

交換し合って

2007年09月19日(Wed) 08:27:34

近所の公園に連れ出した姉さんを
ヨウくんは、ベンチに座らせて。
制服のスカートの下、淑やかに染まった黒のストッキングのうえから、唇を吸いつけて。
あいさつぬきに、姉さんの血を吸い上げていた。
首筋だと、めだつからね。
もっともらしいいいわけに。
脚だって・・・目だつわよ
縦につつっと青白く延びた、鮮やかな伝線を。
姉さんは恨めしげに見おろしていた。
もっと・・・いいだろ?
いちど破かせてしまうと、大胆になるのだろうか?
それともほんとうに、彼の牙に酔ってしまったのだろうか?
姉さんはもうそれ以上、文句らしい文句を口にしないで、
ヨウくんの求めるまま、黒ストッキングの脚にイタズラされて。
思うがままに、引き破らせて。
弟の目にも眩しい白い脛を、思いきりよくさらけ出してしまっている。
けっきょくうなじも、噛ませちゃって。
濃紺のセーラー服の襟首を、三本流れる白線に、
バラ色のしずくを、ほんのちょっぴり染みさせながら。
お母さんの血も、吸わせてあげちゃおうか?
まじめに相談してくる姉さんに、ボクもヨウくんも、思わず顔を見合わせている。

これでいいんだよね?
顔を見合わせた姉さんは。
おいしそうねぇ・・・
肩を並べて、いっしょになって。面白そうに、覗き見している。
クローゼットのまえ、うつ伏せに倒れたワンピース姿の足許に。
ヨウくんはうれしそうに、むしゃぶりついていて。
いつもママがよそ行きのときに履いている肌色のストッキングを、きれいに破いてしまっている。
上品でオトナっぽいつやつやとした光沢が。ふしだらに破けたナイロンのうえを。
まだもとどおりに、よぎっていた。
困った子たちねぇ・・・
ママはほつれた髪を、撫でつけながら。
ちょっぴり照れくさそうに、笑っていた。
たまに遊びに、いらっしゃい。
いつもボクがお友だちを連れてきたときと同じように。
ママはヨウくんにも、笑いかけている。
シズオといっしょに来たら・・・内緒でストッキング、破らせてあげるからね。
ボクがいるときだけ・・・って。ボクが妬きもちやくって、知っていたの?
けれども、目のまえでママのストッキングを破かれるのって・・・やっぱり妬けちゃうよね。

いい思いするの、ボクだけじゃ悪いよね?
ウキウキと歩みを連ねた帰り道。
ヨウくんは、思い切りよく、半ズボンの下をあらわに差し出した。
姉さんのハイソックス、黙ってもらってきちゃった。
きみ、いつも・・・もの欲しそうにして、姉さんの脚を盗み見ているだろう?
高校生のお姉さんが通学用に履いている、紺色のハイソックスが。
ヨウくんの足許で、陽に濡れて輝いていた。
ハイソックスに縦に走る太目のリブが、陽の光をツヤツヤと照り返していて、
姉弟の脚が、二重写しに重なってくる。
ボクは思わず、こみあげちゃって。
差し出されたふくらはぎに、唇を吸いつけていった。
痛たたたたっ。
おおげさに声をあげたヨウくんは、くしゃくしゃにたるんだハイソックスを、たいぎそうに引きあげて。
ハイソックスの足をみせびらかすように、女の子みたいにくねらせて。
さらりと抜き取ったハイソックスをぶら下げて、ボクに手渡してくれていた。
これでお互いにお互いを支配したことになるんだね。
流れる血を傷口からすくいとった指を、むぞうさに口に突っ込んで。
もういちど撫でつけた指を、こんどはボクの口許に持ってくる。
初めて味わったヨウくんの血は、ちょっぴりほろ苦く錆くさかった。

うふふふふっ。
セーラー服のすき間から、すべすべとした肌を覗かせて。
ヨウくんのお姉さんは、勉強机のまえ、きょうもうるわしい含み笑い。
合わさったひざ小僧のまわりで、ボクのために身につけた柔らかなストッキングが、
かすかなしわを、よぎらせている。
破っても・・・いい?
悪い子・・・だね。
そういいながら、気前よく。
びりびりと、ストッキングを破らせてくれている。
ハデに、破いちゃったね・・・
くもの巣みたいに破けた薄手の黒ストッキングの裂け目から。
お姉さんの白い脛が、誘うような妖しさで透けている。
大人の男女だったら・・・これからどんなことをするんだろう?
どす黒い渦が、薄っすらと。
ボクたちふたりの間をかすめてゆく。
首筋も、噛ませてね・・・
あんまり痛くしちゃ、イヤよ。
うわずったかすれ声に、お姉さんも声震わせながら。
肩に流れたロングへアを、もどかしそうに掻きのけている。
キュッと引き締まった首筋は、どきりとするほど暖かくって。
知らず知らず、制服ごしに、柔らかい身体をギュッと抱きしめてしまっている。
息の届きあうほどの間近さで、お姉さんはまつ毛をピリピリと、震わせていた。
いまごろヨウくんはボクの家で、ママや姉さんを襲っているだろうか?
じんわり喉にしみ込んだヨウくんのお姉さんの血が、嫉妬にはぜるボクの胸を、火照るほどにあおりたて、やがてほどよく和ませていた。

こちら、婚約者のマサコさん。
オレの彼女の、ミナエ。よろしくね。
ボクの未来の花嫁のマサコさんは、純白のスーツに、ヨウくん好みの透明なストッキング。
ヨウくんの彼女のミナエさんは、さばさば伸ばしたロングヘアの下、しなやかそうな首筋を秘めていた。
じゃ・・・
ふたり、恋人を取り替えあって。
隣り合わせのべつべつの部屋にこもりきる。
ふたつの部屋は、カーテンだけで仕切られていて、
マサコさんがきりりと装ったスーツ姿をもろくもはだけられてしまうのも。
ミナエさんがジーンズを脱いで、黒のガーターの太ももで挑発するのも。
マサコさんが透明なストッキングを破かれて、ふしだらにずりおろされてしまうのも。
ミナエさんが自分からパンティを脱いで、太もものすき間に逆立ったボクの持ち物を迎え入れてしまうのも。
お互い、自分の恋人と、恋人にのしかかるそのパートナーを盗み見しながら。
よけい昂ぶって、親友の女を穢しあう。
ママや姉さんを交換したように、
いつまでも仲良しの、ふたり組み。

魔人形

2007年09月18日(Tue) 06:55:49

その人形は、ちょうど文庫本の背中とおなじくらいの背たけをして、
いつも本棚のうえ、ひっそりとみんなを見下ろしていた。
父がどこかの旅行に行ったときに買って来た・・・
それだけは記憶にあるけれど。
どこから買われてきたのか。
だれのために買ったものなのか。
そもそも、いつから家にあるものなのか。
だれにも答えることができなかった。

その人形は、立ち姿の男の子。
ぱっちりとした瞳に、秀でた眉。
色は白く、頬は心もちピンクに染まって血色がよい。
彫りの深い目鼻はどことなくエキゾチックで、
もしかすると西アジアとか、東欧とか、あちらのほうの顔にもみえた。
紺のジャケットにフリルのついた白のシャツ。
ジャケットとおなじ色の半ズボンに、ハイソックス。
ハイソックスはストッキングみたいに薄手で、
色白の脚に映えてツヤツヤと不思議な輝きを帯びていた。
ちょっと見には、昔の日本の小学生のスタイルに見えないこともなかったけれど。
少年の齢はもっと大人びて見える。
十七歳くらいだろうか?
棚の上の少年の存在に気づいたボクは、自分よりちょっと年上を勝手に思い描いていた。

夜更けのことだった。
時ならぬ寝苦しさに目ざめたボクは、水を飲みに台所に足を忍ばせて。
ごくりと喉を鳴らしたすぐあとに。
どこかの部屋からくぐもるような声が洩れるのを耳にした。
なんだかいやな予感がして。
ふと見あげたリビングの本棚のうえ、少年の像がかき消えていた。
だれかが部屋に持ち去ったのだろうか?
どうも落ち着かない気分だった。

翌朝起きてくると、ママはいつになく蒼い顔をして。
早くお出かけなさい、学校に遅れるわよ。
いつになく不機嫌そうに、そういって。
しきりに掻いている首筋には、蚊に食われたみたいな痕を紅く滲ませていた。
つぎの朝は、パパの様子が変だった。
どうにも夕べの酒が抜けないな・・・
きのうのママとおなじように、首のあたりをしきりと掻きながら、
それでも背広を着て勤めに出かけていった。

食事のあと、何気なく紙ナプキンを捨てたゴミ箱のなか。
ママのストッキングが捨てられていた。
むき出しになったままむぞうさに放り込まれた肌色のストッキングは、
狭いゴミ箱のなか、ヘビの抜けがらのように、いびつにくねりながら。
細長く曲がりくねった透明な姿を、かすかな光沢に輝いていた。
見てはならないものを見たような気がして。
ママのほうをちらっと窺うと。
なにも気づかないようすのママは、虚ろな目であらぬ方をみていた。
視線の彼方が、本棚の上に向けられていて。
ああ、あった。
いつの間に、戻ってきたのだろう?
少年の人形は、いつものようにお行儀よく、立ち姿のままだった。

あ・・・うぅ・・・んっ。
階段を昇りきったときだった。
夜更けに目を醒ましたボクは、いつものように水を飲んだ後。
部屋に戻ろうとして、灯りもつけずに階段をきしませていた。
頭上から洩れてくる声は、姉さんの部屋からのものだった。
いつもボーイッシュな姉さんの声だとは、ちょっと気がつかないくらいだった。
几帳面な姉さんにしては、めずらしく。
ドアが半開きになっている。
なかの闇を透かすように、覗き込むと。
暗さに慣れた視界に浮き上がったのは、見覚えのある花柄のロングスカート。
けれどもそれは、くしゃくしゃになるほどたくし上げられていて。
窓辺から入り込む月の灯りに浮き上がった白い脚には、
昼間みたいに、ストッキングまで穿いていた。
穿いている・・・とわかったのは。
それがふくらはぎのあたりで、みるかげもなく破けていたから。
姉さんのうえに、だれかが影になっておおいかぶさっている。
影の主は、こちらに背中を向けていて。
なで肩の背中ごし、顔をゆがめている姉さんは、
眉をひそめながらも、口許にはひどく心地よげなものを漂わせている。
見てはならないものを、見てしまった。
そんな思いがして、姉さんが想い人と逢っている現場を、そ知らぬ顔をして通り抜ける。
こちらに向けられた影の主の脚は、ストッキングのように薄いハイソックスを履いていて。
脛をおおう黒っぽいナイロンは、妖しい光沢を帯びていた。

鮮烈な光景がさめやらぬまま、まんじりともせずに朝が来た。
姉さんは具合がよくないといって、朝食におりて来なかった。
困った子ねぇ。
そういうときもあるさ。
ママとパパの何気ないやり取りのなか、深い意味が隠されているような気がしたのは・・・たぶん気が立っているからだろう。
子ども部屋のある二階の廊下に置かれた屑篭のなか。
肌色のヘビがくねっているのが、ちらと目に入ったけれど。
もう、なにも気にするまいと、通り抜けている。

遠くの街にある高等学校に進んだのは、それから間もなくのことだった。
体に気をつけてね。
ボクを送り出してくれたママは、このごろ顔色がわるかった。
いつもきびきびと、大またで部屋を歩きまわるボーイッシュな姉さんも、
このごろしっとりと女らしく、落ち着いたように見えたけど。
たまにどことなく、肌をやつれさせているような気がする。
転居先のアパートで、荷物を開くと、
段ボール箱の隅っこに、まるで隠れていたように顔を出したのは。
本棚の上の少年の人形。
だれが入れてくれたのか・・・わからなかったけれど。
さっき別れてきたママや姉さんとはうらはらに。
少年の頬は前にもまして輝いているように見えた。

学校に慣れ、友だちもそれなりにできたけれど。
都会の暮らしは、どことなく息苦しくて。
ストレスという名の心の澱が、少しずつボクの胸の奥をそそけ立たせていた。
毎晩が、寝苦しかった。
その夜も、へんな夢にうなされて。
浅くなった睡眠からふと意識を浮き上がらせると。
頬に触れている冷たい指の感触に、はっとなった。
しーっ。
ボクとおなじくらいの年恰好の少年が。
目のまえで、唇に一本、指を当てて。
黙っていろ・・・というように、イタズラっぽくウィンクをする。
その男の子は、痺れたように動かないボクの手足のあちこちに、かがみ込んできて。
そっと唇をあててくるのが、ひめやかな気配とかすかな唾液に濡れた柔らかい感覚とでそれとわかった。
いったいなにを、しているの?
なんども問いかけそうになっては、口ごもって。
そのうちボクは、心地よい眠りに落ちていった。

夢のなかで、ママと姉さんが、あでやかに着飾っていて。
紺色の服を着た少年が、ふたりのあいだを行き交っていた。
さぁ、どうぞ・・・
差し出される足首に、軽く接吻をして。
かわるがわる、うなじにも唇を重ねてゆく。
そのたびに、ふたりはウッ・・・と、声を洩らして。
軽く、のけぞるようなしぐさをするのだが。
いとも心地よげな色を、目もとをよぎらせて。
少年のイタズラを、愉しげに咎めるばかり。
女ふたりが、少しずつ頬の色を透きとおらせていって。
入れ替わりに少年の肌は、より活き活きとした輝きを帯びてゆく。

目が、覚めた・・・?
ふたたび、ささやきを耳にしたのは。
おなじ夜のあいだのことだったのだろうか?
ふふふ・・・
きみとはずっと、友だちだったから。
今夜はボクが、慰めてあげる。
少年は、絵に描いたような彫りの深い目鼻に、せいいっぱいの親しさを滲ませて。
ボクの脚を、吸いたまえ。
差し出されたふくらはぎは、ストッキングのように薄い靴下で、
ひざ下までぴったり包まれている。
うっ・・・
からからになった喉が、はぜるようにして。
少年のふくらはぎを求めていった。
唇の下、薄いナイロンの舌触りが、すべすべと心地よくって。
ボクは思わず、甘えるように。
少年の脚に、噛みついてしまっていた。
甘くどんよりとした液体が、ぬるぬると心地よく喉の奥をうるませてくる感触に。
ボクは初めて、何か月ぶりかの心地よい眠りに落ちた。

目を醒まして御覧。
今夜もボクのまぶたのうえ、そっとあてがわれる冷たい指。
開いた目のまえには、着飾った女性があでやかにほほ笑んでいる。
上品な光沢のある、純白のブラウス。
しっとり落ち着いた、えび茶のスカート。
ひざの上までのぞいた脚は、惚れ惚れするほど発色のよい黒のストッキングに、脛の白さを滲ませている。
あでやかなよそ行きの服も。
栗色の髪を頭のうえでぐるぐる巻きに巻いた、髪型も。
ママ・・・
びっくりするくらい、よく似ていたけれど。
幻のように滲んだ視界にある影の主は、あの少年だった。
  好きにしていいんだよ。ママの代わりを、演じてあげるから。
囁く声に、誘惑されるまま。
ボクは彼の後ろにまわって、ブラウスの襟首に手を差し入れる。
かすかな胸の隆起は、少年のものだったけれど。
指に吸いつくような肌の滑らかさは・・・男の子ばなれしている。
  きみのママの血が、通っているんだもの。
見透かしたように呟く少年は、頬を冷たく滲ませていた。
・・・っ。
不吉な想いに、とらわれると。
  だいじょうぶ。
  手加減してあげているからね。
  あしたの夜は・・・姉さんのスーツを着てきてあげようか?
  ふたりからも。きみをよろしくって、言いつかっているからね。
ふふふふふ・・・
含み笑いが、ちょっぴり憎らしく思えたのは。
ママや姉さんの肌を、好きにしている嫉妬からか。
押し倒してはぎ取った着衣の下。
輝く素肌は、ママや姉さん譲りだった。

こんどはきみの靴下を、履いてみたいな。
ストッキングみたいにすべすべしていて、とても履き心地がよさそうなんだもの。
履いてみるかい?
どうしようか・・・
思いのままに、ふるまえば。
悪魔と契約することになるのでは?というかすかな危惧がよぎったけれど。
少年はイタズラっぽく笑み返して、じぶんのひざ下に手をやると、
身につけていた長靴下をこともなげに、するするとひきおろしてゆく。
じゅうたんの上、長く伸びた薄い靴下は、女もののストッキングのようで。
いつか屑篭に捨てられていた、ママのストッキングを思い出していた。
男の子の靴下なのに。
ボクはなぜか、ごくりと生唾を呑み込んで。
かすかに震える指先で、つま先を探っていた。
脛のうえ、ぐーんと伸びる長靴下は、まるで魔法みたいにボクの脚を変えてゆく。
女みたいだね・・・
襲ってやろうか?
くすっ、と笑んだ少年は、初めて口許からちらりと牙をにじませた。
めくるめく眩暈に襲われて。
それから先は、よく憶えていない。
こんどはきみのママのストッキングを持ってきてやるよ。
かすかな囁きが鼓膜の奥に残ったのが錯覚ではなかったということを。
翌晩、身をもって思い知らされた。

見覚えのある黒地に花柄のワンピースをまえに、ボクは息を呑んでいた。
御覧。肩先にちょっぴり、シミがついているだろ?
ママの血だよ。おいしく頂戴したんだ。
今夜はきみが、ママになるんだよ。
ストッキングも黒なら、男の子が履いてもおかしくないだろう?
言われるままに初めて袖を通した、女もののワンピース。
さらさらと流れる感触が、素肌の上をなまめかしく通り過ぎると。
ボクは女に、なっている。
ツヤツヤと輝く、黒のストッキングが。
濃やかな呪縛にボクを堕とした。

今夜も、来るの?
ああ、約束してあるからね。きょうはなん人、遊びに来るの?
えーっと、ボクと、○○と、△△・・・かな?
いいね。四人もいれば、満足してもらえるよ。
夜更けになってから、クラスメイトの男子がボクのアパートを訪れるようになったのは。
それからすぐのことだった。
闇にまぎれた来訪者たちは、ハーフパンツや半ズボンの下。
紳士用の薄手のハイソックスは、父親の箪笥から忍び取ったものだろうか?
それが手に入らない子たちは、黒のストッキングを履いている。
黒なら・・・男が履いてもヘンじゃないよね?
言い訳じみた照れ笑いをしながら差し出すつま先は、ひどく男の子ばなれしたなまめかしさに染まっていた。
慣れている子は、すっかり女の服をひとそろい、身につけてくることもある。
灯りを消して。うつ伏せのまま、待ち受けて。
ぁ・・・
傍らのクラスメイトがくぐもった声を忍ばせると。
次か、そのつぎか・・・と、胸をわくわくさせている。
なかには、お互いに襲い合いっこを愉しむ子たちもいるのだが。
互いに互いの血を、交換できる関係になったのだろう。
キミの血、おいしいね・・・
そう告げてやると、おなじ血をもった姉や妹を連れて、家を訪ねあうこともあるらしい。
そう。
つぎに襲われるのは・・・きみがこっそり身につけている服の持ち主なのだよ。
教えてあげなくても、だれもが察しをつけているらしい。
こんどは彼女を、連れてくるよ。
血潮を滴らせる唇に、囁き返すクラスメイトが。
ボクはちょっぴり、うらやましかった。

服装検査

2007年09月17日(Mon) 07:44:00

老  婆   どれどれ、スカート丈はひざまであるかの?
女生徒A   やだぁ、おばさま。ちゃんと校則守ってますってば!
女生徒B   スカートめくらないでくださいな。いけすかない。
女生徒C   あの・・・ちょっとだけ短いんだけど・・・見逃してくれるかな?
老  婆   どーれどれ。お。そもじだけ短いの。このままじゃと、愉しいお仕置きがまっているぞえ。
女生徒C   あっ、あっ、おばさま・・・いじめないで・・・(めそめそし始める)
老  婆   うふふふふふうっ。そういうしおらしいところがかわゆいて。
女生徒A   おばさま、スカート丈だけじゃないんでしょ~?
女生徒B   そうよ。おばさまのために新しいやつおろしたんだからー。
       (見て見て・・・といわんばかりに黒ストッキングを履いた脚を見せびらかす)
老  婆   ほほぅ。(目を細めて女の子たちの脚を見比べる)
女生徒A   いやらしい。
女生徒B   いけすかない。
女生徒C   (無言で決まりわるそうに、もじもじしている)
老  婆   うふふふふっ。そもじのがいちばん薄くて旨そうじゃ。
       (女生徒Aのふくらはぎを、ぺろりと舐める)
女生徒A   きゃっ!(思わずつま先立ちして)いきなりやめてくださいっ!
老  婆   なに。どうということはない。いますこし、許せ。
       (じわじわと舐めつづけ、女生徒Aのストッキングをしわ寄せる)
女生徒A   や、破けちゃいます・・・
老  婆   (にんまり笑んで)それが狙いじゃ。
女生徒A   (気の強そうな頬をそむけて、足許から目をそらす)
       (女生徒Aのストッキング、いびつにねじれて、裂ける)
女生徒A   もぅ・・・
       (目がとろんとなって、その場に尻もちをつく。老婆の口許に血がしたたる)
老  婆   綺麗じゃろう?そもじの血だぞえ・・・
       (女生徒Aと交わす、妖しいキス。女生徒A、ふらふらと倒れる)
老  婆   そーれ・・・そもじも、されたいのじゃろ?
       (女生徒Bの脚をつかまえる)
女生徒B   あっ、あっ、ヌラヌラするうっ。(過剰なまでに身もだえする)
老  婆   ふむふむ。いまどきのサポートタイプじゃな?母ごに黙って借りてきたのかえ?
       (意地悪く笑って睨(ね)めあげる)
女生徒B   もうっ!知らないッ!
老  婆   ふふふふふっ。むくれたところも、かわゆいぞえ。
       (女生徒Bの脚を、これ見よがしに舐め上げる)
女生徒B   Aちゃんばっかりほめて。ほんとうはキモチいいくせにぃ・・・
老  婆   図星じゃ、図星・・・(ひたすら舐めて、女生徒Bのストッキングを噛み破ってしまう)
女生徒B   きゃっ・・・
       (白目をむいて倒れる)
老  婆   (女生徒Bににじり寄って、スカートをめくる)スリップも、いい感じじゃのう。
       (血のついた唇を、スリップで拭うと、目を細めて)真っ白なスリップに、バラ色の血・・・いい眺めよのう)
女生徒C   ひっ・・・(声を呑んで、後ずさり)
老  婆   (倒れた二体のセーラー服姿を見つめて)うふふふふっ。(満足げな笑い)
老  婆   さて・・・と。さいごのお愉しみは、そもじのようじゃな(女生徒Cを睨む)
女生徒C   あ・・・あ・・・(歯の根が合わない)
老  婆   どーれ、どこまで校則違反、しておるかの?
女生徒C   ご、ごめんなさいっ!
       (女生徒Cの哀願には耳も貸さずに、遠慮会釈なくスカートをめくりあげる)
老  婆   ほ、ほー。いまどき流行りのひざ上までの靴下ではないか。
       (スカートのなかをじろじろ見つめて)
老  婆   太ももを横切るゴム、なんともいえんのう。
女生徒C   キャー、恥ずかしい・・・(両手で顔を蔽う)
老  婆   なに、恥ずかしがることはない。
       (むき出しの太ももを、ぺろりと舐めて)
老  婆   ふむふむ・・・健康そうなよいお肌をしておるな。
女生徒C   あの・・・それって、服装検査じゃないです。
老  婆   まぁ、よいではないか(女生徒Cの脚を舐めつづける)
女生徒C   あっ、あっ、あ・・・っ
         老婆、靴下の上からといわず、素肌といわず、舐めまくっている。
老  婆   う~ん、良いお味じゃ・・・(陶然)
女生徒C   だ、だめです、おばさま・・・(ひざを曲げて、姿勢をくずしてゆく)
老  婆   はじめはタイツかと思ったぞえ。肌を隠しおって、許せんと思うておったが。
女生徒C   そんなこと仰ると、こんどはラメ入りのやつを履いてきちゃいますよ。
老  婆    ええ度胸じゃ。つぎは必ず、そうするのじゃぞ。貧血覚悟で・・・のぅ。
        (女生徒C、ぐったり倒れる)
老  婆    (女生徒Cの血をあやした唇を、指でなぞりながら)ククク・・・
        (満足げにほくそ笑む)
老  婆   ふふふ。みんな寝てしもうた。ほんとうの愉しみは、これからじゃて。
       どーれ、どの娘も綺麗なおみ脚をしておるわ。靴下のなかで、ぴちぴちはずんでおるようじゃ。
       順繰りに噛んで、ストッキングもろともいたぶってくれようぞ。
       わらわの服装検査は、厳しいぞえ・・・
        (もの欲しげに唇を指でなぞる)

背後を見返ると、ほんとうの服装検査係らしい女教師がやはり倒れている。
クリーム色のスーツの裾からにょっきり覗いた脚は開ききっていて、
肌色のストッキングはもちろん、ちりちりにひきむしられてしまっている。

老  婆   きょうは先生よりも教え子のほうが、いいお点を取りそうじゃな。
       (眠りこけている女生徒Aの脚を、おもむろにねぶりはじめる)


―――幕―――

あとがき
校則の服装規定に「靴下は、華美にならないこと」ってありませんでしたか?
「華美な靴下って、どんなのをいうんだろう?」と、昔から疑問でした。
女生徒Cの履いているオーバーニーはダメなんでしょうか?
ルーズソックスは、華美になるんでしょうか?(学校によって”解釈”も違いそうですが・・・)
ラメ入りや網タイツは、まず当確でだめそうですな。^^

高原の想い出 ~未亡人と令嬢~

2007年09月16日(Sun) 14:54:32

去りかけた夏。
夕闇に翳る山荘は、もう目の届くところにひっそり佇んでいる。
「あそこに着けば、お父さまに会えるんですよ」
志津子は風にそよいだ後れ毛をかきのけながら、
娘たちをかえり見る。
互いに似通った色白の瓜実顔の輪郭が、血の濃さを感じさせる。
細いけれども、くっきりと濃い眉毛。
二重まぶたに縁どられた黒い瞳が憂いの色を帯びているのは・・・このさい仕方がなかったろう。
なにしろ彼らは夫を父を、亡くしたばかりなのだから。

「お父さまに会う」
それはなにを、意味するのだろう?
最愛の夫を亡くした母が、せがむようにして。
「お父さまに、会いたいでしょう?」
しきりにそう問いかけるのを。
姉娘は持ち前の優しさと聡明さから、相槌をうち、
妹娘はただ無邪気に、頷いていた。
代々男当主が若死にを遂げる家系。
遺されたのは、女たちばかりだった。

母娘そろって長い黒髪を。
母は後ろに束ねて結い上げて、首筋をすっきりあらわに見せていて。
姉娘はそのまま肩先にさらりと流していて。
妹娘は三つ編みのおさげにして垂らしている。
母は四十代の女ざかりの身を、黒ずくめの礼装におし包み、
姉娘もまた、黒地のセーラー服を喪服のように着こなしていた。
あまりに若すぎて喪服の用意すらなかった妹娘だけは、ひとり青のチェック柄のプリーツスカート姿だった。
もの思わしげな母親の目線はそのまま娘たちの足許にうつった。
スカートの下を彩るのは、申し合わせたように黒のストッキング。
折からの陽気から、肌の透ける薄さに染められている。
涼しげに透きとおる薄手のナイロンのなか、娘たちの白い脛がなまめかしく透けていた。
妹娘だけは、おなじストッキング地でもふくらはぎだけを包むハイソックス。
むき出しのひざ小僧が、健康そうにピチピチと輝いている。
透けるなまめかしさのなかにあるふくらはぎが、じわりとした色気を漂わせているのだが。
稚なさのなかに秘めた大人びた彩りを、まだ本人だけが気づいていない。

目ざす山荘は、見晴らしの良い丘陵地帯のはずれに佇んでいた。
いましも暮れてゆく夕陽のなかで、逆行に翳っている。
舗装道路は、とうに尽きていた。
がた、がた、がた、がた・・・
感情を消した面持ちの運転手がハンドルを駆る古びたセダンが、でこぼこの砂利道のうえ振動を伝えていた。

ようこそ、おいでなさいませ。
別荘の管理人という老女は、上背のある痩身を古風なロングドレスに包んでいて、
淑やかな挙措は、電話口で耳にした声色そのままに気品にあふれていた。
運転手とは、夫婦であるらしい。
ほとんど聞きとれないほどの言葉のやり取りで、すべての意思が通じるのは、
永年連れ添ってきたゆえのたまものだろうか。
おだやかに老いた一対の男女を見る志津子の目が、どことなく羨望をよぎらせる。
部屋のなかは、燭台だけが灯されていて、薄暗かった。
頭上に吊り下がるシャンデリアは、きらめきを伴うことなくひっそりとしている。
「”宴”は真夜中でございますよ、奥様」
老女の声はどことなくもの慣れていて、志津子は気おされるような気がした。
「それまでのあいだに、お着替えになりますか?」
「いえ・・・」
老女は言葉すくなな母親に隠れるようにしている少女たちを見やると、
それまでの控えめな物腰とは裏腹な値踏みするような目でじろじろ観察した。
黒髪をさわやかに振り分けた広い額から、黒のストッキングの足許まで、見つめるまなこが舐めるように物欲しげだった。
「それぞれお部屋をお取りしてありますの。ご案内いたしますね」
老女は言い捨てると、もう志津子の返事を待たずに背中を向けた。
吹き抜けになった客間を、らせんの階段が二階へと導いている。
焔がしずかにゆらめく燭台が、四つの影を先導してゆく。

通された部屋は、小ぢんまりとしてはいたが気分のよい居間だった。
老女は志津子をそこに置き去りにすると、娘たちを隣室に案内した。
わぁ、きれい・・・
妹娘の無邪気な声が、廊下ごしに洩れてくる。
花に飾られたささやかなバルコニーからは、暮れてゆく夕焼けが、さいごの光芒を黄金色に放っていた。
夜の帳がおりたら、なにが起きるのだろう?
そして、ふたたび明るくなったとき。
朝の景色はどのように映るのだろう?
まさか、ふたたび窓ごしの風景を楽しむことができなくなる・・・ということだけはないだろうが。

夕餉はそれぞれの部屋で、あてがわれた。
シャンデリアのある客間では、”宴”の用意がされているのだろうか。
老女の手になる料理だろうか。
肉入りのシチュウも、香草を巧みにしみ込ませたステーキも絶品だった。
しっかり食べるのよ。
娘たちに言い聞かせるまでもなく。
なにも知らない発育ざかりの娘たちは、ツヤツヤした黒髪を揺らしながら、思いがけないごちそうに大喜びだった。
三人で夕餉をおえたあと。
老女は娘たちを隣室に引き取らせて。
どうぞ、おくつろぎあそばせ・・・
あくまでもていねいな物腰で、囚われ人たちをそれぞれの部屋に鄭重に閉じ込めた。
都会からの長い道のり。
けれども疲れは、覚えなかった。
すっかり闇に包まれたバルコニーの彼方を見通すように、ひたと見すえる瞳が黒い輝きをたたえていた。

・・・どうぞ。
いつの間に、まどろんでいたのだろう。
頭上の声に目を醒ますと、あたりは真っ暗で。
開かれた扉ごし、觸台の焔のゆらめきに、
意外に彫りの深い老女の顔が、無気味に浮き上がっている。
志津子は臆する風もなく、サッと身を起こすと。
すこしのあいだ、身づくろいの刻を請うていた。
脱ぎ捨てていたジャケットの袖を通し、すこし引きつれのみえたストッキングを換えると。
喪服には不似合いな黒光りのするハイヒールに、薄墨色に染まるつま先を収めた。
清楚に装われた足許を、じいっと見おろして。
なにかを自分にいい聞かせるように、目を瞑って、俯いて。
それはらキッと目をあげると、
  どうぞ、お導きくださいませ。
静かに佇んでいた老女を、じぶんのほうから促していた。

らせん階段の足許は、こうこうと輝くシャンデリア。
娘たちは、まだ招かれていないらしく。
きらびやかに照らし出された無人のフロアは、どこか無気味にそらぞらしかった。
コツコツと静かに靴音を響かせながら、客間をそのまま通り抜けると。
開かれた玄関の向こう側には、透きとおる夜の冷気。
山の端はかすかに明るんで、なだらかな稜線がほの見えている。
頭上の月はまだこうこうと輝いていて、
折り目正しい礼装の輪郭を、冷たい光で縁どっている。
頬をよぎる心地よい微風に、ほつれた後れ毛をかきのけると。
こんもりと茂る植え込みの影から、ゆらりとよろめくように現れる人影。
あなた・・・
ほほ笑んだ口許に刷かれた紅は、いままでになくあでやかに輝いている。
寄り添うふたつの影を背に、老女は表情を消したまま、燭台の灯を消した。

抱きすくめられた腕のなか。
首筋につけられた痕が、じんじんと疼いている。
初めて噛みいれられた牙の痛みは、ほんのつかの間のことだった。
じぶんからさらけ出したうなじは、月の光に照らし出されて妖しく輝いていて。
さ迷い出てきた影は、挽き込まれるように、有無を言わさず近寄ってきて。
口許からむき出した牙で、そのまま志津子の首筋をえぐっていた。
ごくっ・・・ズズズ・・・っ
血を啜る、生々しい音も。
ぼうっとなるほどに性急な吸われ心地も。
彼女を陶然とさせこそすれ、恐怖に我を忘れさせることはなかった。
吸いつけられた唇を通して、暖かい血液が干からびた喉に移動してゆくのを。
どれほど心地よく、思っただろうか?
姿こそ、変わり果てたとはいえ。
じぶんを腕のなかに抱き締めるひとは、かつて彼女の夫だったのだから。

来てしまったのだな。
懐かしい第一声は、あきらめ口調だったけれども。
ぞんぶんに獲た美酒にうるおって、心地よげな響きを漂わせた。
こうしなかったら・・・お目にかかれないのですもの。
女は恋人どうしだったころのようにウキウキと、男を見あげる。
こびるような上目遣いを向けられた男の頬は、吸い取った生き血をまだてらてらと光らせていたけれど。
征服された歓びに満ちた女の眼には、それは決しておぞましい光景ではなかった。
飛び散る飛沫の鋭さすらが、彼が彼女を性急に求めた証しだったのだから。

”宴”がはじまりますよ・・・
あの子達まで、連れてきたのか?
だってそれが・・・お約束ですもの・・・
ちらりと笑んだ妻の口許を、男は咎めるように見つめたけれど。
夫の咎めをはめかえすほどのまなざしのつよさに、しずかに目線を逸らしてゆく。

生前かれは、自分の生家を訪れることはなかった。
妻や娘を近づけたくない。目にも触れさせたくない。
いったん村に入れてしまえば。魔手が及ぶのは確実だったのだから。
死の間際にさえ、実家には挨拶抜きにしてくれ・・・そう言い遺したはずなのに。
未亡人となってすぐ、妻は実家と取引をしていた。
あのひとにもういちど、逢わせて欲しい。
そのためには、たいがいのことは呑むのだから・・・と。
狂気じみた望みを、夫の縁類どもに口走ったのは。
彼らの裏に隠された魔性のものを。
すぐさま、感じ取ることができたから。

シャンデリアの下。
ふたりのお姫様は、互いに互いを見せ合うように、向かい合わせにされたまま。
折り目正しい服装をしどけなく乱されて。
唇を吸われ、乳房を含まれている。
  さぁ、いうことをお聞き。おまえは一夜、わしのものになるのだから。
慇懃な態度の運転手という仮面を振り捨てた男は、
肩までかかる姉娘の黒髪を掻きのけて、枯れ果てた頬とは裏腹にナマナマしいぬめりを帯びた唇をヒルのように吸いつけていた。
黒の制服の襟首に鮮やかに走る白のラインが、持ち主の血潮をかすかにあやして、
胸元に垂れた純白のリボンにまで散っている。
少女は息を弾ませて、がちがちに固くなっていて。
抱きすくめられた腕のなか、制服姿を縮みあがらせている。
  いい子だねぇ。男のひとは怖いだろうから、妾(わらわ)が面倒みてつかわすぞえ。
銀髪振り乱した老婆は、ケモノじみた荒々しさで妹娘のうなじを食い破っていて。
怯える小娘の両肩を捕まえて、ブラウスをはだけて。
襟首のすき間から、かわいい乳房をぽろりとはだけさせて。
ピンと張りつめた乳首を、ヌルヌル、ヌルヌル、意地悪ないたぶりでなぶり抜いている。
プリーツスカートのすそを乱した妹娘におおいかぶさるロングドレスだけが、物腰柔らかな老女のままだった。

ずるずる・・・じゅるじゅる・・・
汚い音をたてて啜られる、生娘たちの生き血
眉をひそめて、まつ毛を震わせて、細い肩を小刻みにガタガタわななかせながら。
深紅のじゅうたんのうえ、抑えつけられた姿勢のまま。
令嬢たちはわが身をめぐる純潔な血潮で、
じゅうたんの紅さをより深く塗り込めて。
清楚な礼装すらも、彩ってゆく。
はだけられた素肌のうえ、悦びに震える唇は。
折り目正しい装いを辱めるため、吸い取ったばかりの血を、わざとしたたらせているのだった。

ちぅちぅ・・・きぅきぅ・・・
娘たちの血を啜る音が、いちだんと濃さを滲ませるころ。
身をよじったり。腕を突っ張ったり。
切れ長の目じりから涙をたらたらとしたたらせたり。
そんな否定的な物腰は、影を潜めていて。
わざと撥ねかる血潮が、セーラー服やブラウスを汚すのを。
きゃっ、きゃっ・・・と、はしゃいだ声で咎めながら。
スカートの奥までまさぐろうとする手を、くすぐったそうに振り払いながら。
それでも吸いつけられてくる劣情に満ちた唇に、ストッキングの脚を逆なでにされてしまっていた。
姉娘は、いつも学校に履いてゆく黒のストッキング。
妹娘は、「似合わないよね」と恥らいながらの濃紺のストッキング。
きらめくシャンデリアの下。
いずれ劣らぬ脚線美は薄地のナイロンの濡れるような光沢に縁どられて、
昼間の稚なさ初々しさとは裏腹な、女の色に染まっている。
令嬢たちの足許には、およそふさわしくないなまの唇。
そいつはヒルのようにしつようにヌメリついて、ぬるぬるはぜるよだれをねばりつけてゆく。
ヘビのようにくねる脚に、メタリックによぎる光沢は。
少女たちの足許を、まるで娼婦のようにふしだらに彩っている。
気品あふれるストッキングは、いまやふしだらによじれたるみながら、用途に似合わぬあしらいを甘受していた。

いかが?愉しんでいただけてよ。
娘たちの痴態を見やりながら、志津子は誇らしげに夫を見返る。
仕方ないよな・・・
夫は無念さを滲ませながら。
それでも清楚な装いからはだけられた素肌の輝きから、目を離せなくなっていた。
瞳をよぎるケモノじみた輝きに、ただの男の劣情をみとめた妻は。
  よろしければ・・・よろしいのよ・・・
  なにもかも、お忘れになって。
  ただの男に、なってちょうだい。
謎かけを愉しむ口許が、濃く塗り込められたルージュに輝いている。

いつの間にか、下の娘が己の下にいた。
踏みしだいてしまった、真っ赤なチェック柄のプリーツスカートの奥。
少女は白い頬をピンク色に染めて、薄っすらと笑みをたたえて、父親を見あげている。
初めて自分を征服した男としての目は。
新婚初夜のときの妻そのままの面差しだった。
呆けたような笑みには、迷いも嫌悪もみられない。
剥ぎおろされた濃紺のストッキングを、足首にたるませたまま。
うふふ・・・ふふふ・・・
狂ったような吶喊に、くすぐったげに身をゆだねてしまっている。
擦れ合うむき出しの太ももにヌルヌルまとわりついているのは。
少女が純潔を喪った証し。
その粘液のいくばくかは、たったいま己が吐き出した白く濁った熱湯のはず。
織り交ざるふた色の粘液を、太ももにねばりつけたまま。
少女は痴呆のように笑い、じぶんから唇を重ねてくる。
逆立った男の一物を、稚拙な手つきでこねくりまわして、
まだあどけなさの残る口許に、そのまま含んでゆく。
ずっぽりと根元まで含まれた、唇の奥。
不器用に絡みつけてくる舌に、不覚にも発情して。
思うさますべてを、吐き出してしまっていた。

あどけない口許を、ほころばせて。
  お姉ちゃん、もうまいっちゃったみたいだね。
イタズラっぽく囁かれた、傍らで。
姉娘は、引き裂かれたセーラー服から胸を露出させたまま。
たくし上げられた濃紺のプリーツスカートから、太ももを放恣にさらけ出している。
礼譲の彩りで足許を染めていた黒のストッキングは、みるかげもなく引き裂かれて、
それでもまだ少女の脛を、残り香のように彩っている。
ふしだらに浮いた不規則な裂け目からこぼれる白い皮膚が、
かえって劣情をもよおさせて。
すでにふた色の精液が、スカートの奥にほとび散らされている。

白目を剥いて仰向けになった姉娘のうえに、もうあの不埒な暴漢の影はない。
娘にふしだらな教えを垂れたご褒美に。
いまは最愛の妻の貞操を踏み散らしているのだ。
すこし離れたじゅうたんの上。
ぎこちなかった喪服姿の舞いは、いまや頂点に達している。
漆黒のスカートの奥秘められていた、黒のストッキングの太ももは。
淫靡な光沢をぎらぎらと滲ませて。
劣情たぎる唇を、ヌメヌメと這わされて。
とうに、貴婦人としてのたしなみを喪わされている。
オブラアトがとろけるように。
辱めに、耐えかねたように。
いやらしく這い回る唇の下。
妻の素肌から暴漢の劣情をへだてていた薄手のナイロンは、ブチブチとなまめいた音をたててはじけていった。
つつっとたてに走る裂け目が、妻の足許をふしだらに染めるのを。
夫はただの男として、目を輝かせて見入ってしまっている。

われに返った姉娘も。いつか傍らに寄り添ってきて、
  お母様・・・おきれいね。
童女のようにうつろな声色に、隠しようもない愉悦をこめて。
夫や娘たちのまえ、ぞんぶんに脚をくねらせ身をよじらせて痴態に耽る母の姿に。
女のしての先達をみとめたらしい。
  外に行って・・・ほかの男のひととも仲良くするわ。
妹とふたり、示し合わせたように笑みを交し合って。
それぞれに、身体を拭いあい、ストッキングを取り替えて。
姉は裂かれた上衣を置き去りに、スリップ一枚の胸を外気にさらして。
妹も姉に負けじとブラウスを脱ぎ捨てて、まだ可愛らしい乳房を、ぷるんとさらけ出して。
濃紺と真っ赤なチェック柄のスカートだけは、そのままに、
真新しい黒と濃紺のストッキングに足許を染め上げて。
どこからともなく現れた逞しい影たちの待つ屋外に、連れだって歩みを進めてゆく。

生まれて初めてだった。
野合・・・というのを目にするのは。
妻も、ふたりの娘も。
草むらのなか、礼装に泥を撥ねかせながら。
まるで鬼ごっこでも、楽しむように。
キャッ、キャッ・・・いやぁ・・・っ。って。
声はじけさせて。
逃げ惑っては、捕まえられて。押し倒されて。
スカートをめくりあげられて、犯されてゆく。
すでに陽のあがった草原のなか、
淫らな光景はいっそうあからさまに、彼の網膜を狂おしく昂ぶらせる。

いつか傍らに戻ってきた妻は。
夫の手を、もう離すまいと握り締めながら。
  末永いお付き合いになるんですもの。
  仲良くしなくちゃね。
さも愉快げに、愉しみ耽る娘たちを、眺めやっていた。
  どうして来たんだ?どうしてみんなで狂ってしまったんだ?
  おれはお前たちを、ここに近づけたくなかったのに。
夫は精いっぱいの思いを、妻にぶつけたけれど。
妻は軽く受け流して、目線だけは、ひたと夫と真向かいにして。
  だってこうしなければ、お目にかかれないんだもの。
  そのためには、すべてを・・・
  そうあの子たちの未来を変えてしまうことだって、ためらわない。
ギュッと握られた掌に、いっそうの力が込められていた。
そう。
女は夫を取り戻すため。すべてを捨てに来たのだった。
これから先。
妻はどれほど多くの男たちに抱かれるのだろう?
どれほど多くの男たちを、娘婿に、そして自分の婿とするのだろう?
その身のかぎりの血を、吸い取られて。
都会仕立ての装いを、あぜ道や草むらに裂き散らされて。
あなたといっしょだから、耐えられる。
それがすべての、歓び。
だからあなたも、愉しんで・・・
握り締めた掌。寄り添いあう、むき出しの腕。
いつか、どちらからともなく、その身を草むらにうずめていった。

あくる朝。
まだ明け方だった。
夕べは我が家の、喪失記念日。
妻の貞節も。娘たちの純潔も。
それ以上に、この家の秩序という秩序が、すべて喪われ棄て去られた、記念すべき日。
表向きだけ残された礼節と気品は、あくまでうわべだけのもの。
妻も娘も、いずれ都会の我が家に戻って行って。
なにごともなかったような日常を、明け暮れさせるはず。
けれども月にいく度となく、この山荘にやってきて。
淫らな一夜を、愉しむはず。
高原では短い夏は、朝の風にも涼しいものを含みはじめた。
夕べをかぎりに喪服を脱ぎ捨てた妻は、モノトーンのワンピース。
足許を彩るストッキングは、もとの肌色に戻っていたけれど。
淫靡に透きとおる光沢が、ひそかに足許を染めている。
  その脚は、だれに食べさせるのかい?
戯れに聞いてみたら、未知の男性の名前がかえってきた。
  あの子たちも・・・ほら。
指し示された庭さきには。
丈の高い草むらから、脚だけがにょっきりと覗いている。
発育のよいふくらはぎは、妹娘だろうか?
すっかりお気に召したオトナっぽい濃紺のストッキングに包まれた、まだ稚なさの残る脚線が。
却ってミスマッチな妖しさをよぎらせている。
  あちらでも・・・お盛んよ。
ささやかに植え込まれた木立ちの彼方、見え隠れするのは。
ママのおさがりのブラックフォーマルの下、黒のストッキングを見せびらかすようにしている姉娘。
  おとなしかったあの子が、ねぇ・・・
血は争えないのよ・・・妻はそういいたいらしい。
淑やかだった妻も、いまは別の男に肌を穢され、礼装を劣情にまみれさせた女。
恥じらいながらひきあげた漆黒のスカートから覗いたのが、白い太ももを横切るガーターストッキングなのを見届けると。
  あなたは、どうなさるの?
  玄関さきで、わたしを犯す?
  それとも客間に人を招いて・・・わたしが犯されるを御覧になる?
思わず見おろした妻の足許。
ハイヒールのふくらはぎを包む整然とした薄手のナイロンは、つややかな光沢をよぎらせている。
このあとなまめかしいストッキングを破るのは、誰・・・?


あとがき
真夏の暑さの記憶というものは、気候が変わるといがいに速く消えてゆくものでしょうか。
この母娘のような、鮮烈に記憶にのこる体験でもないかぎり。
亡き夫と再会を果たすため、まな娘たちをも生贄に供した女。
わたしの幸せこそが第一。
あまりにも身勝手な思考かもしれませんが。
彼女をとがめだてする資格のある人は、果たしてどれほどいらっしゃることでしょうか?

スクールストッキングを履いた姪

2007年09月15日(Sat) 07:35:41

おっ!薄い靴下履いてきたな?
叔父の冷やかし口調に多佳子は「いやらしい」と、ふくれっ面で応えながらも。
制服のスカートの下、黒のストッキングごしに透ける脛の白さを、自分でも物珍しそうに見おろしていた。

いつも叔父のところに来る時は、肌の透けない黒のタイツにしていた。
  高校に進んだら、叔父さまのところに遊びに行ってあげてね。
  首筋だと、目だつから。さいしょは脚を咬んでもらいなさい。
そう訓えてくれたのは、ママだった。
パパと結婚する前、このひとの姉だったころ。
吸血鬼になってしまった弟のため。
ママはいつも制服のスカートを履いた足許を、叔父の目のまえでくつろげていたという。
タイツの上からだったら、脚を吸われてもあまり苦にならなかった。
吸いつく唇のいやらしさも、厚手の生地がそこそこさえぎってくれたし、
丈夫であまりひどく破けることはないから、帰り道の心配も無用だった。
けれどもタイツを三足ほど、だめにしたときに。
  きょうはこれ、履いていってあげてくれる?ママのお古だけど・・・
差し出されたストッキングのパッケージは、ちょっと日焼けしていて、
古風な髪形をしたセーラー服姿の少女が、透きとおるような微笑を奥ゆかしくにじませていた。
なよなよと薄いストッキングを破らずに脚に通すため、いつになくこわごわと引っぱりあげるのを。
ママは傍らから含み笑いを浮かべながら、見守っていた。

早く済ませてよね。きょうは塾なんだから。
進学を目指す生徒にとって、一年生のうちから塾通いは必須だったから。
足許にむぞうさに投げ出された黒革の鞄の中身は、半分は塾の副読本だったりする。
多佳子はじゅうたんのうえ、ためらいもなく寝そべると。
薄墨色に染まったふくらはぎを誇示するように、つま先までピンと伸ばした。
じゃあ、遠慮なくイタズラさせていただくよ。
ふだんは適度な落ち着きを持っているはずの叔父の声色が、多佳子の頭のうえ、熱い湿りにくぐもって響いた。
ぬるり・・・
音もなく這わされる唇のおぞましさに、さいしょのときは涙ぐんだものだった。
いまでももちろん、かすかにゾッとするのだが。
叔父が自分の脚を吸いやすいように、時おり脚の向きを変えてやるくらいには、この風変わりなあしらいに慣れはじめている。
それでも、薄手のストッキングごしの唇が、いつになくナマナマしくて。
多佳子はちょっと、肩をすくめた。

あちこち吸いつけられてくる唇に、動きをあわせて。
少女は踊るように、脚の角度をかえ、くねらせてゆく。
ふくらはぎから向こう脛、足首・・・と。
つま先まで口に含まれたときには、危うく声をあげそうになったけれど。
玄関先で履き替えたばかりのストッキングは、すべすべとした少女の肌の周りをさらさらとよじれてゆく。
薄手の黒のナイロンがどれほどふしだらにねじれているのか、叔父がどんなに血走った目でそれを見つめているのか、多佳子はまだ気づいていない。
脛やひざ小僧をさらりと軽やかな感触で包むナイロン製のオブラアトが、どれほど叔父を愉しませているか・・・だなんて。

ちゅうちゅう・・・ちゅうちゅう・・・
きょうの叔父は、いつもよりハデに音を立てて多佳子の脚を吸いながら。
けれどもなかなか、噛みつこうとしなかった。
  噛まないんだね。
じれったそうに、多佳子が呟くと、
  すぐに噛んだら、もったいないからね・・・
叔父は悪びれもせずに、姪っ子の装いを愉しんでしまっていることを告げていた。
  さぁ・・・
背中をせり上がってくる逞しい胸の下、セーラー服の襟がめくれあがる。
耳たぶにかかる熱っぽい呼気が、うなじを狙っていた。
少女はひと言、「いいよ・・・」と呟いて。
ずぶずぶとうずまってくる鋭い牙に、柔らかい肌を疼かせていた。

力の抜けた身体を、ソファに横たえて。
多佳子はけだるげに、かぶりを振りつづけている。
乱されたプリーツスカートの下、身に着けているパンティストッキングもろとも、脚をいたぶられていた。
やめて・・・もうやめて・・・
ねちっこく這い回る唇が、黒のストッキングをよだれまみれにしてしまっている。
いやというほどじらされた揚句、口の端からはみ出した牙が薄手のナイロンをぷつっとはじけさせたとき。
少女はほぅ・・・っと、息をついた。
引き抜かれてゆく処女の生き血の、清冽な芳香。
酔い痴れている・・・そんな表現がぴったりくるくらい、
這わされた唇によぎる劣情を、感じずにはいられなかった。

もぅ・・・
姪からせしめた黒ストッキングを、本人の目のまえでぶら下げて。
見せびらかして、悦に入って。
叔父の悪趣味に、多佳子は少女の潔癖さをあらわにして目をそむけている。
  男のひとに逢いにいくときは・・・必ず履き替えを持って行くんですよ。
出がけに囁かれた言葉の、裏の意味。
女学生のたしなみ・・・を忘れまいとして。
ストッキングを脱がされた脚の白さを隠すように、履き替えたあとの太ももは、制服のスカートの中お行儀よく仕舞い込んでいた。
ママも、そんなふうだったんだよ。
とまでは、さすがの彼も口にしなかったけれど。
失血に頬を蒼ざめさせて、いまにもふらふらと倒れこみそうな少女のか弱さが、
彼の内側をジンジンと刺激し始めている。
悪いな。姉貴・・・
ふとした呟きを聞き取ろうとして、少女が耳を澄ませたとき。
男は少女を、押し倒している。

姪も叔父もなかった。
じゅうたんのうえ、制服のスカートは整然と流れるプリーツをくしゃくしゃに乱していって。
太ももまでのストッキングは、ひざ小僧の上あたりまで、ずり落ちて。
口ゴムのあたりをべつの種類の体液で濡らしていた。
白い太ももと薄墨色の脛の間を帯のように鮮やかに横切るゴムが、白く濁った体液をぬらつかせるのを。
少女はうつろな眼で、見おろしている。
オトナになっちゃった・・・ね。
多佳子はうつろに、呟くと。
塾、休むわ。もうすこしゆっくりしてって、いいでしょ?
離れがたそうに胸をすり合わせてくる叔父を、上目遣いでにらんでいた。


あとがき
おやおや。描いているうちに、お話ができましたね。めでたしめでたし。^^

ハーフパンツ・ショートパンツ

2007年09月15日(Sat) 06:23:39

パンツルックといっても、太ももまで外気にさらすショートパンツには、
それはそれで、そそられるものがあります。
健康美というよりは、ややか弱げで不健全?な美を追求する柏木としては、
どうしても第二志望以下に落ちちゃうんですが。(^^ゞ
脚をすらりと魅せる・・・という点で、ひとつのすぐれたアイテムだという点は、否定できないと思います。
魔力・・・というほどの妖しさは、感じませんが。(笑)

露出度の高いぶん、色のついたストッキング穿くと、スカート以上にダイタンだったりして。^^
ハイソックスでひざ下をすっきり魅せたたたずまいも萌えを感じますますし、
最近流行りのオーバーニーソックスも、すごく相性がいいと思います。
好きなんだ・・・>オーバーニー。 (*^^)v

ハーフパンツは、男女とも身につけるアイテムですが、
あまりユニセックスな感じがしないのはなぜでしょう?
私は、あまり履きません。
大の男が毛脛を見せて歩く、というのがどうにも見苦しい感じがするので。
男でも脛を見せるものを履くのなら、せめてハイソックスで毛深い脛をおおうくらいのスタイルが、市民権を得る余地があってもいいとおもうんですが。
じっさいそうしている男性を目にすることは、ほとんどありません。
男性がハイソックスを履く、というのは、特定のスポーツをする場合以外考えられなくなっているからでしょうか?
あっ、もちろん。
他人様がどんなスタイルでいても、文句をつける筋合いはありませんよね?^^;
表現の自由は、誰にでも保証されているものですから・・・

ウーリータイプ

2007年09月15日(Sat) 06:04:12

お話が浮かばなくて、ごめんなさい。

サポートタイプのストッキングが世に出たのは、1980年代後半くらいだったでしょうか?
それ以前のものはウーリータイプと呼ばれているようです。
サポートタイプのように肌にぴったり密着しないので、
身じろぎにあわせてじわりとずれたりよじれたりします。
それが独特な感触・・・といえるのかどうか。
もろくて破れやすく、はかない感じがしました。
サポートタイプがしなやかで強くて美しいいまどきの女性とするならば、
ウーリータイプは奥ゆかしくか弱げな古風なご婦人を思わせるものがあります。

その昔、「スクールストッキング」なるものがたいていのデパートやスーパー、洋品店にも置いてありまして。
パッケージの多くは、セーラー服姿のお嬢さんがにっこりほほ笑んでいる、みたいな絵柄で、「中高生専用」なんて書かれてありました。
一部のマニアのあいだでは、いまだに垂涎の的だったりもするのですが。
なんのことはない、ごくふつうのウーリータイプのストッキングでした。
いまもたまに店頭で目にするウーリータイプと、ほとんど変わらないと思います。
(むしろブランドの差のほうが大きいかも)
数少なくなったとはいえ、セーラー服や昔ながらのジャンパースカートはいまでも健在ですし、
ウーリータイプのストッキングも探せばたしかに存在はするのですが・・・
あの奥ゆかしい女学生たちは、いまは店頭で見かけることのない「スクールストッキング」とともに、どこかへ歩み去ってしまったのでしょうか?

あっ、いまどきなコたちも、もちろんキュートでかわいいんですがね。(^^)

スカートの魔力

2007年09月15日(Sat) 05:54:22

どうもここんとこ、キーが進みませぬ。
才能が枯渇したのかな?(^^:)
パンツルックが増えたなか。
先日街を歩いていたら、珍しくスカート姿の三人連れ。
ひとりは紺、ひとりはグレー、もうひとりは幾何学模様のスカートを、
このごろ涼しさを帯びてきた風になびかせていました。
やっぱりイイですねぇ。女性のスカート姿。^^
女も男も脚を見せないかっこでは、世の中味気なくなります。(笑)
スカートは女性を女にする・・・とまではいわないけれど。
(言っているけれど)
なにか、魔力めいたものを秘めているような気がします。

まして忘れられているのは、ストッキングの魔力。
あれだけ脚をきれいにみせるアイテムはないと思うのだけど。
生足ばかりなのは、決して暑さのせいばかりではないと思います。
いい加減涼しくなっても、履かない人は履かないですし。(--;)
皆さん、どうしてストッキング履かないんでしょう?

世間で「きれいな脚」といわれると、どうしてもスレンダーな・・・という形容詞がつくようですが。
柏木的には、もうちょっと肉づきしっかりなほうが萌えたりします。
ゆったり流れるふくらはぎ。優雅ですよねぇ。^^
ましてかすかな光沢がじわりと脛をよぎっている・・・なんて情景を見た日には、(以下略)な気分になってしまいます。
あっ、これ以上発展させると、なに描いているんだかわかんなくなりますね。(^_^;)
結論 みなさんスカートを履きましょう。
ついでに、ストッキングも・・・

送り迎え

2007年09月13日(Thu) 07:42:17

砂利道のうえで静かな走行をさせるのは、むつかしい。
がたがた・・・ごとごと・・・
タイヤの下、石ころどもの触れ合う音が、深夜の路上にこだまする。
妻は押し黙ったまま、前方に広がるうつろな闇をじっと見つめていた。
たどり着いたのは、一軒の古びた邸。
妻はいつものように、無言でスッと身を寄せてくる。
暗い車内。
影を寄り添わせるようにして、互いに互いの上体を抱きあって、
恋人のようなキスを交わす。
ついぞ忘れかけていた習慣が復活したのは、
妻をこの邸に送り迎えするようになってから。

運転席を降りて、妻の側のドアを開けてやる。
手を伸ばして、シートから立ち上がろうとするのを手助けしてやる。
「覗いていく?」
くすっと笑う妻に、
「ばか」
苦笑をかえすと、
「じゃ」
軽く手を振って、ひとり邸の門へと消えていった。
すり抜けていった腕の感触が、掌のなか、まだ残っている。

迎えにくるのは、夜明けまえ。
まだだれもが寝静まっているころ、
わたしの車はふたたび、砂利道の上音を忍ばせて徐行する。
門前に佇む影は、ふたつ。
妻はわたしのほうに、愉しげに手を振って、
もうひとつの影は、しずかに会釈を投げてくる。
送り出したときとおなじように、助手席のドアを開けてやると。
傍らの影は妻の手を取って、手の甲に接吻をした。
接吻。
古風にそう呼んだほうがふさわしいほど、濃密な動作で。
お世話になりました。
さきに言葉をかけるのは、いつもわたし。
馳走になった。
ふさふさとした銀髪をなびかせながら、影はゆうぜんと消えてゆく。
「帰ろ」
よそ行きのワンピースのすそから覗く足許を、なまめかしく染めている黒のストッキングが。
ぴちっと鮮やかな裂け目をひとすじ、にじませていた。

つぎの晩。
助手席に座る娘は、いつになく制服姿である。
いつも、ふだん着よりはちょっといい服を着て。
プリーツスカートにハイソックス、ストラップシューズという基本は、崩さずに。
たしかにセーラー服姿でも。
その基本は崩れない。
「もうじき夏服、おしまいだし」
決まり悪げにいいわけめいた短い言葉。
それいがいは、いっさい口を開こうとしなかった。
前に広がる闇を見つめる瞳はよく輝いて、とても母親似に映る。
うら若さを漂わせた母親と、ぴちぴちと初々しい娘を、
かわりばんこに送り迎えする。
ひとりを所望されたあと、もうひとりの手引きを断ることはできなかった。
いまはウキウキとして。
今夜のご指名は、どちらかな?
いやぁね・・・
女ふたりは苦笑しながら、どちらかがもういっぽうの身づくろいを手伝っている。

キキッ・・・
ブレーキのきしむ音。
娘はちょっとおおげさに上体を揺らすと、
揺れたはずみ・・・というふうをつくろって。
わたしのほうへと、身を投げてきた。
妻のときと、おなじように・・・
こんなことは、初めてだった。
息はずませた口許が、スッと近寄ってきて。
重ねられてきた唇は、かすかに濡れて、大人の熱を帯びていた。
熱く濡れたキス―――
いったいどうしたのか、娘は説明も与えずに、いつものようにじぶんでドアを開けている。

妻はまだ、起きていた。
「あの子、あなたにキスしなかった?」
唐突な質問に、
えっ?
思わず口許に手をやるわたしに、
「やっぱりね」
くすっと笑った妻は、指でわたしの唇をなぞりながら。
「忘れないでね、あの子のキス。今夜あの子は、女になるのだから」

別れぎわにキスをするのは。
あなたを愛している。抱かれているときでも、忘れない。
だからわたしが愉しんでしまっても、咎めないで・・・
そんな黙契が含まれている・・・ということを。
言葉も交わすことなく通じ合ってしまっているのは。
夫婦の長い時間がそうさせるのだろうか。
娘が不意に投げかけてきたファースト・キスは初々しく、
いつまでもわたしの口許に、なごりを漂わせている。
そんなようすを目にしながら。
よかったじゃない。今夜はあたしのキスはいらないわね。
ちょっと妬きもちをやくように、それでもからかい口調のままの妻。
お迎えは、あたしが行くわね。
あなたに行かせたら。
あたしのときみたいに、根掘り葉掘り訊きそうだから。

瑠奈ちゃんの彼氏

2007年09月09日(Sun) 07:28:24

とても昂奮した。
すっごく、昂奮した。
だって。
将来ボクのお嫁さんになる瑠奈ちゃんが。
吸血鬼に生き血を吸い取られちゃったんだもの。

さいごまで見届ける自信はあるかい?
仲良しの小父さんに、そう訊かれて。
もちろん、だいじょうぶさ。って。口では強がってみたけれど。
ほんとうは、もぅ。
ドキドキ、ドキドキ・・・
ほんとうに、ドキドキしちゃって。
瑠奈ちゃんがじっさいに、マンションの玄関で。
午前三時なんていう、とんでもない時間に、待ち合わせに応じて。
ひっそり佇んでいるのを視たときなんか。
ぶるぶる震えてきちゃったんだ。

はじめて瑠奈ちゃんが、小父さんのお邸に招ばれて。
制服姿を、襲われちゃったときだって。
ボクは物陰から、ぶるぶる、ぶるぶる、震えながら。
いちぶしじゅうを、見つめていたっけ。
あのときは。
前もって小父さんが、ボクの血を吸ってくれて。
ボクはふらふらになったまま、
瑠奈ちゃんの血が美味しければ嬉しいな・・・だなんて。
アブノーマルな気分に浸りきったまま。
ちゅうちゅう、ちゅうちゅう、
瑠奈ちゃんの血が、音を立てて引き抜かれてゆくのを、
もう、夢見心地になって、見守っているだけだった。
小父さんが、黒のストッキングを履いた瑠奈ちゃんの脚に噛みついて。
肌の透けて見える薄々のストッキングが、チリチリ破けていくのを視て。
とても・・・とても・・・ドキドキした。
オトナっぽい彩りに染まった脚が、妖しくくねるたび。
真面目な少女の殻に、ひとりでにひびが入ってゆくような気がしたから。

さいごまで見届ける自信はあるかい?
小父さんにそう訊かれたのは。そのあとのこと。
まじめな瑠奈ちゃんが、毒々しいサテンのブラウスや、ラメ入りの靴下を履いて。
いけない誘いに、待ち合わせをして。
公園の泥にまみれながら、ラメ入り靴下の脚をくねらせるところ。
ぜひ覗きたい・・・って。おねだりしちゃったから。
そのときも、ボクは小父さんに血を吸われて。
抱きすくめられて、ウットリしちゃっていたんだけど。

若い子たちの血は、いいねぇ・・・
小父さんは、瑠奈ちゃんのマンションの前、車を停めると。
ボクたちふたりの血を吸い取った唇を、心地よさげに撫でながら。
待っていた瑠奈ちゃんを、助手席に乗せた。
後部座席に隠れて、息をひそめているあいだ。
ふたりもほとんど、言葉を交わさなかった。
沈黙が、かえってドキドキな気分を引き立てていって。
公園に着いて、車のドアが開くと。
入り込んできた冷気に、よけいにゾクゾクと肌をあわ立てていた。

じゅうたんみたいな、緑の芝生。
眩しいほどの街燈に照らされて、まるで人工芝みたいに、あざやかだった。
そのうえでくねる、ラメ入り靴下のふくらはぎ。
短めのスカートは、ふだん見えない太ももまでも、むき出しにさらけ出しちゃっていて。
にょっきりと伸びた健康そうな脚が、思いっ切り開かれて。
ぐねぐねとくねり、ぬるぬると這い回る。
思ったよりも数倍、刺激的な光景に。
ボクは我を忘れて、時も忘れて。
いつまでも、じいいっ・・・と、見入ってしまっていた。

瑠奈ちゃんを、マンションのまえで降ろしてしまうと。
吸血鬼の小父さんは、はじめてボクのほうを振り返って。
よくガマンできたね。ごほうびに、うなじを噛んであげよう。
じらり、とむき出した牙には、まだ瑠奈ちゃんの血がしたたっていた。
ドキドキしながら、うなじを噛まれて。唇で吸われて。
そう、さっきまで瑠奈ちゃんの肌に密着していた唇が。熱いほてりをそのままに。
ボクの首筋を、這っている。
ひたすら、目を瞑って。息を詰めて。
瑠奈ちゃんの血がめぐる小父さんの血管に、ボクの血を流し込んでゆく。
ふたり仲良く、絡み合うように・・・
息をはずませながら、差し出した脚には。
薄々の濃紺のハイソックス。
ママのやつなんだ・・・
かすれた声で、囁くと。
小父さんはいとも心地よげに、ママの素肌に触れるようにして、ハイソックスごしに唇をすべらせてきた。

嫁も姑も・・・
いい味比べだね。
小父さんはときどき、いやらしいことをいうけれど。
無感覚になってしまったんだろうか?
いけない子になってしまったんだろうか?
そんな揶揄さえ、心地よい。
だらしなくずり落ちたハイソックスを、ひざ小僧の下まで引きあげると。
初めてのとき、瑠奈ちゃんの足許を走ったのとおなじ伝線が。
ボクの素肌を浮き上がらせている。
おいしかった?瑠奈ちゃんの血。ボクの血・・・
おじさんは、くすぐったそうに、ウフフ・・・と笑って。
また明日も、遊びに来るんだよ。
そうだ。ふたり仲良く、邸に顔を出すとよい。
週末には、きみのうちにお邪魔して。
いよいよお母さんも・・・ご馳走になろうかな?
まるで稲妻みたいに、ゾクゾクゾクッと走る衝動は。
瞬時でボクを、いけない子に変えてしまっていた。


あとがき
さきほどあっぷした、「ラメ入り靴下を履いて・・・」の続きです。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1162.html
ママもエジキに、なっちゃうんですね。^^
そのつぎは、瑠奈ちゃんの純潔・・・かな?
いつもながらの流れで、すみませぬ。^^;

今夜は何をしても、かまわないのよ。

2007年09月09日(Sun) 06:22:08

魔法を演じる、マジシャンのように。
白い腕を、妖しく振るいながら。
ぱさり。ぱさり。
シーツの上に舞うように落ちてゆく、色とりどりの薄手の衣類。
細長く展べられたナイロンは、そのまま女の脚型になっている。
さいごに投げ出されたのは、細いロープ。目隠し、さるぐつわ・・・
散らばったもろもろの小道具を見おろして。
ふふっ・・・と笑んだ口許が。
いつに似ない濡れるようなルージュにきらめいている。
今夜は何をしても、かまわないのよ。
相手を振り返るそぶりは、ひどく余裕たっぷりだ。

スーツ姿の上から、ロープをぐるぐる巻きにされていって。
目隠しに、さるぐつわ。
気品ある面差しを、そうしたもろもろのもので覆い隠されて。
女はちょっと、不満そうに眉をひそめたが。
お前の目線は、怖いからな・・・
男の囁きに、ふふん・・・と相槌を打っている。
食い入るような目が怖いときと、愉しいとき。
男の気分によって、反応はそれぞれらしい。

明るい照明の下、じいいっと見つめる抗議の目線をはね返して、
覆いかぶさってきて、奪われるような凌辱をされたこともあるけれど。
怜悧にみえる黒影は、ほんとうは臆病な生き物らしかった。
なにも見えまい?なにもわかるまい?
それ、ビデオをまわすよ。
ファインダーのまえ、思うさま狂うがいい。
女の目線を逃れて大胆に響く声色に。
白い横顔が酔ったように頷いていた。

ぬるり・・・ぬるり・・・
ストッキングごし、ふくらはぎに這わされてくる唇が。
いつもよりいっそうぬめりを帯びて、熱っぽくしつようになすりつけられる。
女の気品を塗りつぶすように、そいつは臆面もなく、ヒルのように這い回る。
いじましい。
女は舌打ちをして、歯がゆげに抗議を洩らすけれど。
影にはそんな様子さえ、好もしく映るらしい。
返事のかわりに、いっそう力をこめて。
女の脚を吸うのだった。
スカートの奥に侵入した唇は。
太ももを撫でるように、舐めまわして。
かすかに光沢を帯びた女のなまめかしい装いを。
まるで凌辱するように、もてあそんでゆく。

もぅ・・・
なん足めになるだろう?
すべすべとした肌を、ナイロンごしに撫でられて。
誇り高い薄手のナイロンの装いが、卑猥なまさぐりに耐えかねたように、
ビチビチとふしだらな伝線を広げると。
男は履きかえるよう命令した。
手さぐりでつま先を探りあて、たくみに脚を通してゆくと。
ふたたびあてがわれる卑猥な唇に。
いじましい。
女は何度めか、舌打ちをする。
ストッキングの舌触りが、ヌメヌメと這わせる唇に心地よいのか。
まるで味比べをするように、たんねんに。
下品になすりつけられてくる、獣じみた唇、そして舌。
女はいつものプライドをかなぐり捨てて。
隷属するように、それでいて母のような余裕の笑みを洩らしながら。
男の欲情に、唯々諾々としたがってゆく。

破れ果てたストッキングは、床に散らばされていて。
モノトーンの床を、花びらのように彩っていた。
さいごに択ばれたのは、黒のガーターストッキング。
穿いたまま・・・姦れるな。
そんなささやきに応えるように、誘うようにくねらせた脚を。
影はいっそう熱っぽく、辱めていって。
はじめてひざを割って、腰を沈ませて。
臀部をいっそうまぐわいに慕い寄らせていった。
あぁ・・・
はじめて洩れる、随喜のうめき。
熱と翳りを帯びた女の声色は。
あるときははしたなく、声高に叫び、
あるときはねっとりと、ひくくうめいて、
反復する淫らな調べは夜明けまで、絶えることがなかった。


あとがき
今夜は何をしてもかまわない・・・
そんなふうに、囁かれたら。
どんな男性でも、きっとズキズキしてしまうはず。
心の臓を、ドクドクと轟かせて。
干からびかけた血管に、冷え切っていた血潮を滾らせて。
血の気のなくなった白面にも、かつての精悍な”男”がよみがえるはず。

たとえはた目には、いじましい欲望と映っても。
許されること。受け容れられることで。
はじめて心癒されることもあるのです。

ラメ入りの靴下を履いて・・・

2007年09月09日(Sun) 06:01:18

新学期がはじまってまのなくのこと。
竹河瑠奈は学校帰りにお邸に呼び出された。
白の夏服に、濃紺のプリーツスカートというお約束なイデタチで、吸血鬼に襲われて。
処女の生き血を、吸い取られてしまった。
足許を染める薄々の黒ストッキングに、チリチリに伝線を滲ませて。

腕を抱えるポーズをとると。
いまでもあのときの感覚が、よみがえってくる。
瑠奈を抱きすくめたときの、軽く抗うあの感覚が。
ひと口ひと口、啜るにつれて。
少女は腕のなか、じょじょに力を抜いていって。
さいごに折り目正しい制服姿をずるずると、畳のうえにまろばせていった・・・

待ち合わせたのは、深夜のマンション。
少女は真っ赤なチェック柄のミニスカートを履いて、人目を避けるように、おそるおそる。
玄関のまえに、たたずんでいた。
足許を彩っているのは、いつもの白のハイソックスでも、黒無地のストッキングでもない。
黒のラメ入りの、オーバーニーソックスが、ギラギラと毒々しい輝きを放っていた。
少女が気恥ずかしそうに足許をすくめているのも。
足許を彩る、けばけばしいほどの装飾のせいだったにちがいない。
真面目っ子を絵に描いたような瑠奈にとって。
着なれたふだんの服とはあまりにもちがう、身に着けた色の派手さに、
われながら、おどおどしているようだった。
キキィ・・・
黒い車が一台、通りかかって。
少女を拾いあげるようにして、助手席に引きこんだ。
傍らの助手席から伝わってくる、はずんだ息遣い。
今夜の獲物の手ごたえに、吸血鬼はハンドルごし、フフッ・・・とほくそ笑んでいる。

十分ほども、走っただろうか。
ここは住宅街のはずれにある公園。
夜なおこうこうと明るく照らす街燈の下、
緑の芝生がまるで敷きつめられたカーペットのように広がっている。
ここに来るんだ。
男に命じられるまま、瑠奈は歩みを進めていった。
さ・・・ここだ。
さし示されたコンクリートの床のうえ。
少女はきちんと脚をそろえて、吸血鬼のまえ、おとがいを仰のけた。

かりり・・・
ちゅうっ・・・
音が洩れた、と感じたのは。錯覚だろうか。
ひそやかな、音にならない音に支配されるまま。
少女は生き血を、吸い取られてゆく。
ずるずると、姿勢を崩していった地べたのうえ。
ギラギラ光るラメに包まれたふくらはぎが、蛇のようにくねりはじめる。

あっ、あっ、あぁ・・・・・・っ。
こんどはあきらかに、声が洩れはじめている。
かすれた声の、震える語尾に。
ヒクヒクと秘められた、愉悦の響き。
サテンのブラウスを、はだけていって。
首筋に這わせた唇を、そのまま胸元まで移動させて。
ゆるやかなカーヴを帯びたおっぱいを、じりじりとまさぐりながら。
男は少女をあやすように、生き血を吸い取ってゆく。
あぁ・・・あぁ・・・あぁ・・・
少女は目を寄せ眉をひそめて。
愉悦に耐えかねたように、いっそう脚をくねらせてゆく。
蛇のような妖しいくねりは、毒々しい光沢に包まれて。
いっそう眩ゆく、くねってゆく。
清楚な黒のストッキングに包まれていた初々しいふくらはぎは、
いまは悪い少女みたいに、お行儀わるく淫らなくねりを愉しんでいた。

送っていった車の助手席から。
少女が朦朧となって、立ち去ると。
影はふふ・・・っと、ほくそ笑みながら、後ろ姿を見送って。
ドアが閉ざされると、はじめて後部座席を振り返る。
視たかね?坊や。
お望みどおりに、狂わせてやったぞ。
彼女がちょい悪少女になって、ラメ入りの靴下を履いた脚をくねらせるのを視たいって。
おとなしく、さいごまで見届けたごほうびに。
きみのうなじも、噛んでやるよ。
さぁ、おいで・・・
おや、ずいぶん薄々のハイソックスを履いているんだね。
ジューシーなピンク色のふくらはぎ、男の子にはもったいないかと思っていたんだが。
濃紺の薄々で、染めるなんて。
きみもなかなか、すみにおけないね。
せっかくだから。脚も愉しませていただこうかな?


あとがき
さいごに出てきた男の子は、瑠奈ちゃんの恋人でしょうか?それとも稚ない婚約者?
気になる彼女が血を吸われながら身もだえして、ラメ入り靴下の脚をくねらせるところを視たいなんて。
コアですねぇ・・・。^^

妻の服を着る男

2007年09月07日(Fri) 07:18:17

家に戻ると、妻はいつものようにワンピースのうえエプロンをつけて、台所に立っていた。
白地に黒の水玉模様のワンピースを、さわりさわりと揺らしながら。
スリッパを履いた足には、肌色のストッキングがツヤツヤと輝いていて、
いつも身ぎれいにしている妻には、つい欲情を覚えてしまう。

どうもようすが、ヘンだった。
妻のようで、妻ではない。
身のこなしの若々しさも。
軽くハミングするハスキーな声の高さも。
あきらかに、妻のものではない。
あんたは、だれだ?
思わずあげた声に、振り向いたのは。
妻とはまったくの、別人だった。
気に入りのワンピースに縁どられた輪郭だけが、妻。
きらきら輝く黒い瞳は、蟲惑的に見えながら、
どこかユニセックスな輝きを秘めている。
名乗らずとも、よく知っている。
わたしが出入りをしている吸血鬼の邸に住まう、半吸血鬼の青年だった。
  似合うでしょう?
イタズラっぽく笑う目が、女のようになまめいている。
  ボクの母も、こんなふうにして。吸血鬼に寝取られちゃったんですよ。
  父は苦笑いして、あまりとやかくはいいませんでしたが・・・大人物だと思いました。尊敬してます。
  貴方も・・・父のようになっていただけますね?
わたしはひと言・・・そう、かすれた声で。

  似合うよ。

それですべてが、始まった。

青年が立ち去ったあと。
なにも知らない妻はフフフ・・・と、笑んでいる。
  びっくりしたでしょ?
  女のひとの服、着てみたいんです・・・って、言うのよあの子。
  美形だから・・・似合うかな?って。
  いつものお洋服、貸してあげちゃった。
彼が明日、遊びに来る・・・といっても。妻はなんの疑念も抱かないようだった。

翌日の夕方。
青年は約束どおり、あらわれた。
着飾った妻は、艶然と彼を迎え入れた。
わたしは途中で席を立ち、三十分ほど戻らないと告げた。
三十分のあいだに、妻は生き血を吸われ、そのままじゅうたんの上にまろばされて。
・・・なにもかも、奪われていた。
二時間ほどして、居間に戻ると。
身づくろいを済ませた妻は、なにごともなかったような顔をして。
  おかえりなさい。遅かったわね。
さりげないふうをとりつくろった声色が、ちょっとだけドキドキ震えている。
  じゃ、ボクはこれで・・・
  おや。いいのかい?
  ええ、またお邪魔しますから・・・
親しげに送り出す彼の足許が、黒の薄い靴下に透けている。
そういえば。
出迎えるときには黒のストッキングだった妻は。
いまはてかてか光る肌色に穿き替えている。
  やるねぇ。
思わず彼のお尻を、軽く叩くと。
なにも応えない横顔に、照れ笑いが滲んでいた。

それからひと月あまり。
彼が訪れることはなかったけれど。
わたしはとうに、気づいている。
彼が「お邪魔」するのは。必ずわたしが留守にしているときなのだと。
  あしたの晩は、泊まりになるよ。
  あら、そお・・・?
妻の口調は何気なく、ちらりとした昂ぶりを押し隠している。
まえもって、不在の予定を告げる夫。
ふつうにどこにでもあるはずの行為が・・・どこかで妖しさをよぎらすのは。
日常の裏側に、魔がしっかりと棲みつくようになってから。
女装の似合う彼。
今夜は妻の、どの服を着るのだろう?
似合うね。イカすね・・・って。
お邸でふたり、写真を覗き込んでいるということは。
妻もたぶん、そう、きっと・・・夢にも思っていないはず。

淋しくて、悲しくて、通って・・・

2007年09月06日(Thu) 11:35:18

あいつがこの世からいなくなったとき。
俺は、淋しくて。悲しくて。
遺された奥さんと娘や息子の住んでいる家に、毎日のように通っていた。
あいつの写真のまえで、奥さんを襲って血を吸い、
娘さんのセーラー服を持ち主の血で彩っていった。

父親似の顔だちをした息子さんは、気分のいい若者で。
そんな俺を許してくれて。
ふすまの陰から覗いて、独り愉しんでいた。
奥さんを犯して、お嬢さんの純潔をいただくときは。
息子さんは、あいつ譲りの細い眉毛をひそませて。
それでもさいごまで視ながら、昂ぶりつづけていた。

息子さんは婚約者ができると、わざわざ俺の家まで連れて来て。
処女の生き血をご馳走してくれた。
娘ができて、中学にあがったら。やっぱり襲わせてあげようね・・・と。
お嫁さんはイタズラっぽく笑いながら、
息子さんもくすぐったそうにほほ笑みながら。
未来の花嫁は、ストッキングをひざまでずり下ろし、
未来の亭主は、恋人のスカートのなか、俺の手をみちびき入れて。
嫁入り前の無垢な身体を、明け渡してくれたのだ。

たぶんボクが、いちばん早く・・・天国とやらに行くんだね。
あるとき息子さんは、いつになく蒼ざめた頬を、せいいっぱいほほ笑ませながら。
俺とお嫁さんとに、語りかけていた。
ボクが天国に行ってしまったら。
キミは黒のフォーマルを身にまとい、
肌の透けるなまめかしい黒のストッキングを脚に通して、
このひとを迎えてやるんだよ。
母さんも、姉さんも、そうしてきたのだから。
それから娘には、制服のスカートの下。
キミとおそろいの黒ストッキングで装わせて。
このひとを愉しませてやるんだよ。
そういうと、俺の無二の親友は、ちょっぴり名残のほほ笑みを滲ませて。
永久に、目を瞑る―――

俺はまた・・・哀しまなければならないのか。
淋しがらねばならないのか。
きみの愛する妻や娘を手ごめにしても。
この寂しさは、拭えないはず。
そんな俺だと知ればこそ。
奥さんも、お嬢さんも。
淋しい俺の牙を、肌身の奥に秘めた血潮で、暖めようとしてくれるにしても・・・


あとがき
これも以前描きかけて、あっぷしそびれたお話です。
描きかけの記録には、7月11日となっています。
あのころは、どんなお話、描いていたっけ?

気になる少女のお邸通い

2007年09月06日(Thu) 11:09:29

  サトコって女の子、ここに来てないですか?
邸のあるじは、マサオ少年のいっしょうけんめいな目色に苦笑しながら、
  困ったね。急に言われても、どの子のことだかわからないよ。
  年頃の娘は、わたしのところにはおおぜい訪ねてくるのだから。
  話してみて御覧。どんな子なのだね?そのサトコという子は?
訊きかえされた少年は。
  うーんと、えーっと。
いざとなると、細かいことは口にのぼってこないもの。
たいせつな、あの子のことを。
マサオ少年は、思い出し、思い出し、語るのだった。
  髪の毛の長さは、肩くらい。
  背たけは160センチ、体重はわかんないけど、やせっぽちで。
  頬っぺに、そばかすがあって。
  色はそんなに、白くなくて。
  趣味は読書、性格はおとなしくって。引っ込み思案で、ぐずぐずしてて。

  わかった。わかった。
邸のあるじは、目のまえのハエでも追っ払うみたいに、手を振って。
けれどもいっしょうけんめいな少年が、ちょっとばかりかわいらしくなって。
  あの子のことだな?先月からお友だちに誘われて、来るようになったんだ。
  明け方、ご家族にも黙って訪ねてくるのだから。きみもさぞかし、気になるんだろうね。
  安心しな。処女だよ。あの子は。
  ところで・・・
  わざわざ怖いのをガマンして、きみがここに来るということは。
  彼女のお邸通いを、やめさせたいということなのだね?
ずばりといわれて、大人しいマサオ少年は、つい口ごもってしまったけれど。
すぐにきっぱり、言ってのけた。
  ウ・・・ウン。そうなんです。じつは彼女、ボクの婚約者なんです。
  どうかお願いだから、返してください。血を吸い尽くしちゃったり、しないでほしいんです。
  おじさんのエモノを取り上げちゃって、悪いんだけど。
吸血鬼のおじさんは、クスッと笑った。
  そうだね。きみの気持ちは、よくわかるよ。
返してあげたいのは、やまやまだけど。
  わたしも、若い娘の生き血を吸わないと、生きていくことができないのだよ。
  どこのおうちでも、きみみたいに言ってきて。
  わたしがいちいち、望みをかなえていたら。
  きっと三日と経たずに、わたしは干からびてしまうんじゃないかな?
うーん・・・マサオ少年は、考え込んでしまった。
たしかに、おじさんの言うとおり。
でも、だからといって、あのかわいらしいサトコちゃんが、ムザムザと毒牙にかかってゆくのを、みすみす見ているわけにはいかないじゃないか。
  きみも、悩んでいるね・・・
吸血鬼のおじさんは、考え深そうに、少年の顔を覗き込む。
映画に出てくるような毒々しさは、みじんもなくて。
どちらかというと、親切な近所のおじさんみたいに、親身にみえた。
  わたしもきみのことが、好きになったよ。
  きみに恥をかかせるつもりもないし、婚約者の処女を守ろうとする心がけは、みあげたものだ。
  じゃあ、こうしようじゃないか。
  ほんのちょっとだけ、きみの血を吸わせてくれないか?
  じつはきみの恋人は、今夜もわたしを訪ねてくるのだ。
  彼女がわたしに抱かれそうになって、どうしてもガマンできなかったら。
  隣の部屋から出ておいで。
  ほんとうはね。
  きみのいいなずけの純潔を、今夜いただくつもりでいたんだ。
  月にひとりは、処女を抱くと決めているのでね。
  さいきん、処女の女の子がなかなか手に入らなくって。
  もう、数百年間。月に一人以上は、抱いてきたというのに。
せっかくのペースが、くずれてしまうかもしれないのだよ。
  今月は、あしたでもう月がかわるというのに。
  じつはまだ、処女を抱いていないのでね。
  本心をいうと。
できれば・・・きみの恋人に、想いを遂げさせてもらいたいのだが・・・ね。

ひっそりと静まった邸の奥。
マサオ少年は、息をひそめて、かくれていて。
隣の部屋にあらわれるというサトコのことを、いまかいまかと待っていた。
やがて、ギィ・・・ときしんだ扉の向こうから。
制服のジャンパースカートを着たサトコが、あらわれた。
いつも白いハイソックスを履いている脚を、今夜にかぎって肌の透けて見える黒のストッキングが、薄っすらと染めている。
今夜が特別な夜だと、いわんばかりに。
まだ童顔の残るそばかすの浮いた頬を、かすかに染めているのは。
きっと、恥ずかしいからなのだろう。
ボクにも黙って、こんなところにきて。
おじさんに、処女を捧げちゃうなんて。
ボクまでなんだか・・・ドキドキしてきたぞ。
さっきおじさんに噛まれた痕が、にわかにじわじわ疼いてきて。
すこし、妙な気分になってきちゃった。
  こんばんは。おじさま。
  あぁ、こんばんは。よく来たね。
  マサオさんに、悪くって・・・
ちょっと伏せた目が、ほんとうに申し訳なさそうだった。
  婚約者のことだね?気にすることはない。
  きみはわたしに、たぶらかされてしまったのだから。
吸血鬼のおじさんは、サトコの髪を、我がもの顔に撫であげている。
さっきあれほど、ボクの言い分を尊重してくれたはずなのに。
あっ、サトコの肩を、つかまえた。
あっ、襟首を、おし広げられちゃった。
あっ、うなじを吸いはじめてる・・・
サトコちゃん、目をうっとりとさせて、気持ちよさそう。
あっ、ふらついた。
あっ、抱きかかえられて、ベッドのなかに放り込まれた。
あっ、あっ、あっ・・・

あくる朝。
朝日の昇る、すこし前。
サトコの残していったジャンパースカートを、吸血鬼のおじさんはためつすがめつ、満足そうに見つめている。
肩先には、血を吸ったときのしずくが。
スカートの裏地には、処女だった証しのしたたりが・・・
どうかね?
処女喪失の記念にせしめた戦利品を、見せびらかされて。
それでもマサオは、声もなく。
ズキズキ胸をときめかせながら、恋人の制服をさぐりつづけていた。

サトコちゃんは、ひっそりと迎えに来たお母さんに、ふだん着に着替えさせられて。
ちょっぴり、べそをかきながら、帰っていった。
けれどもきっと、家に帰ったら、しっかり涙を拭いて。
朝になって、学校で会うときには、すっかりもとに戻っていて。
いつもと寸分たがわずおてんば娘を演じているに違いない。

  見せびらかされちゃった。
照れくさそうに戻ってきたマサオ少年を、お母さんは優しくほほ笑んで、迎え入れて。
  やっぱりねぇ。そうなると思ったわ。
  パパもそうやって、わたしがお邸にいく晩に、先回りしてたけど。
  あなたとおんなじふうに、なっちゃったんだから。
  視るのも、愉しい?
  女の子は、されるほうがキモチいいのよ。
  彼のまえでされちゃうのって、とってもドキドキするものよ。
  こんどはいつのお誘いか、サトコちゃんのお母さんに聞いてあげるわ。
  そうしたら、あなたもきっと、ついてゆくのよ。
  あの子に気づかれないように・・・ね。
息子を冷やかすように、あやすように、そう囁くと。
お母さんはさいごのひと言を、飲み込んでいる。
―――後ろからパパが歩いてくるの、わたしとっくに気づいていたんだけど・・・

あとがき
古い記録によりますれば。
このお話、8月の3日に思い浮かんだそうです。
まだ練れていないままに、あっぷをしそびれまして。
そのうちにいつの間にか、埋没してしまっておりました。(^^ゞ
たまたま落穂ひろいをしているときに、発見して。
書きかえたうえ、あっぷしてみたのですが。
どこかですでに、あっぷしていたり、していないですよね?^^;
どんなお話をあっぷしたのか、いちいち憶えていなかったりしますので。^^;;;

ウソから出たまこと

2007年09月06日(Thu) 09:46:14

ゴメンよ。
見逃してあげたいのは、やまやまなんだけど。
こんやのうちに、だれかの血を吸わないと。
オレ、灰になっちゃうんだ・・・
決して死なせや、しないから。すぐにすむから・・・
ほんのちょっとのあいだだけ、目をつむっていてくれないかい?

おなじ年恰好をした少年の、くぐもった懇願の声に。
暗闇に追い詰められた少女は、いわれたとおり、目を閉じた。
首筋は、怖いから・・・目だたないところにして。
目を閉じたまま呟く少女に、笑いかけて。
少年は立ちすくむ彼女のまえにかがみ込んで。
制服のスカートをたくし上げると、
黒のストッキングのうえから、太ももに唇を吸いつける。
きゃっ・・・
思わぬほどの不埒さに、すべての行為が終わるまで。
少女はただ声を忍ばせ、身をすくめていた。

無防備な素肌には、たっぷりと毒液をしみ込ませたはずなのに。
ほかの女の子たちは、だれもがだれも。
ゆったりと目線を泳がせて、妖しい愉悦のほほ笑みを浮かべたのに。
少女はなぜか、めそめそと涙ぐんでいる。
女が泣くのは、嫌いだ。
いつも血を吸っている妹がたまに泣くと、ついひっぱたいてしまうことだってあるのに。
少年は珍しく、戸惑って。
どうしたの?痛かった?つらかった?
目を伏せる少女の顔を、覗き込もうとしている。

少女は羞ずかしさに顔を掌で覆い隠しながら。
切れ切れに洩らすには。
気を悪くなさらないでね。
父や母から受け継いだ血が、辱められるような気がしたのだ、と。
吸い取って、喉にほとび散って、いまは胃の腑を和ませている温かい血潮は。
ほかのだれにも感じられない清冽さを秘めていた。

ほんとうは。
灰になど、なることはない。
いつもそうやって、少女たちの同情を誘って。
木陰に連れ込んで、想いを遂げているだけ。
けれどもこんかいだけは。
そんな種明かしは、固く封印してしまおう。
いつもなら、そのまま振り捨てて足早に立ち去るのに。
少年は少女の家が見える近くまで、独りにせずについていった。

来る晩も、来る晩も。
少女は少年を餓えさせまいとして、訪れて。
制服のスカートを、ためらいもなくひきあげて。
太ももまでのストッキングをずり降ろして。
少年のなまの唇を、許している。
恋人になった女を、かれは二度と裏切ろうとしなかった。

夜風のかすかによぎる公園を。
きょうもふたつの影が、そぞろ歩いている。
肌を蒼ざめさせた少女は、わずかに残った血を、少年に啜らせて。
量はけっして、足りていないはずなのに。
わずかなひとしずくに、少年は心から満ち足りている。

妻と息子と

2007年09月05日(Wed) 07:40:44

もう、どれくらいになるのだろうか?
妻を吸血鬼に寝取らせるようになってから。
さいしょに狙われたのは、彼自身。
酔い酔いにされて。
妻を要求されて。
・・・というよりも、気がついたときにはじぶんから、すすんで引き合わせてしまっていた。
いまでは情事のためにウキウキと身づくろいする妻を、車で送り迎えする日常。
省吾はチッ、と舌を鳴らして、からになった車の助手席を振り返る。
赤信号の合い間に、さりげなく手をやると。
さっきまで座っていた妻の体温が、座席のシートにまだ残っていた。
いまごろ、あの赤いじゅうたんの上にねじ伏せられて。
心地よいぬくもりを、奪い取られている最中だろうか?
あくる朝には、頬を蒼ざめさせて。
こわごわ触れる素肌からは、ぬくもりをほとんど感じ取ることができなかった。

おかえり。
出迎えた息子は、蒼白い顔をしていた。
もともと血色のあまり良いほうではない彼が。
血を吸われているふしもないのに顔蒼ざめさせているのは。
そう、きっと・・・
両親連れだってのドライブの真の意図を、それとなく察しているからなのだろう。

頭のなかを、どす黒いものが。
まだぐるぐると、渦巻いている。
  歓迎するよ。
やつはたしかに、そういって。
  見返りに、きみにもいい思いをさせてやらなきゃな。
研ぎ澄まされた牙を、うなじに当てられていて。
恥ずかしいことに、少年のような昂ぶりに抗しきれずに。
じっと見つめている妻のまえ、われ知らず息をはずませてしまっていた。

吸血鬼はさらに優しく、妻の両肩をつかまえて。
  あんたも、するんだろう?
抑えかねた息の下、はぜるほどに衝きあげてくる情欲を見透かされたように。
我がもの顔に、妻をあしらって。
おとがいをぐいと仰のけて。こちらに向かせた。
白磁のように、なめらかな素肌。
半吸血鬼に堕ちていたかれは、みずから妻のうなじを噛んでいた。

焦点の合わない、とろりとした目線になった妻が。
淑やかに、形ばかりの一礼をして。
さりげなく肩を抱かれながら、ドアの向こう側に姿を消すと。
いま、味わったばかりの熟れた血潮の余韻を。
もういちど、反芻しているのだった。
吸血鬼の意図に、もののみごとに引っかかった己に舌打ちをしながら。

出迎えた息子は、もう年頃になるのに。
小学校の入学式みたいに、濃紺の半ズボンにおなじ色のハイソックス。
ハイソックスは、真新しいものらしい。
あざやかに走る太目のリブは、室内の灯りを照り返して、ツヤツヤとしたストライプもようを浮かべている。
さっき妻のうなじを襲った時の、じりじりとした感覚が。
またどす黒く、はぜてくる・・・

あっ。
後ろから羽交い絞めにされた息子は、びっくりしたように声をあげたが。
すぐに口をつぐんで、身じろぎをとめる。
それをいいことに、もう見境なく、勉強部屋に連れ込んで。
投げ込んだベッドの上、乱れた足許に。
ハイソックスのうえから、食い入るように唇を這わせてしまっていた。
首筋をもとめてせり上がってゆく省吾に組み敷かれて。
噛み破られたハイソックスは、だらしなくひざ下からずり落ちていった。

母さんのななめ模様のハイソックス、履いてあげようか?
気づかっているのか?母親の着衣を身につけてみたいのか?
息子の真意を測りかねながら。
省吾は煙草に火をつける。
時をへだてて重なり合った母子の血潮の芳香に、ほろ苦くくゆらぐ煙の匂いが重なった。
息子は、どこまで知っているのだろう?
ななめ模様のハイソックス。
それは自分の母親が初めてやつに襲われたとき、脚に通していたもの。
じたばた暴れるふくらはぎに、つややかな光沢をよぎらせながら。
しどけなくずり落ちていった艶めかしいナイロンのつやが、いまだに脳裏をはなれない。

見つからなかったよ。ななめ模様のハイソックス。
かわりに・・・どう?
いつの間にか姿を消した息子が、ふたたび目のまえに現れたとき。
省吾は、わが目を疑った。
目のまえにいるのは、まだ恋人だったころの妻。
そう、見まごうほど。
息子の女装は板についていて。
母ゆずりのノーブルな目鼻だちに、きりりと装ったオフィススーツがしっくりと似合っている。
襲っても、いいよ・・・
目のまえの少年の声も、からからに乾いていた。

どれほどの刻が、過ぎたのだろう?
あたりはもう、明るくなっていた。
放恣に開ききった少年の脚を、いま彩っているのは。
省吾がこのごろ好んで履いている、紳士ものの濃紺のハイソックス。
ぜひに・・・とせがまれて履かせてやったストッキング地の靴下は。
少女のようにつるつるとしたふくらはぎを、つやつやとなまめかしく染めている。

がた、がた。
いけない。妻が帰ってきた。
省吾は息子を促して。
あたりを手早く、片づけると。
二日酔いのようにくらくらする頭をかかえながら、
ひとり、玄関に向かった。
お迎えがなくて、さぞかし不機嫌だろうな。
ちらりとよぎらせた思いとは裏腹に。
妻は輝いてみえた。
朝まで耽った歓びの余韻が、白い頬にあさましいほど浮き上がっている。
ちょうどオレも、こんな顔をしているのか。
異様な愉しみに、一夜を過ごしたあと。
けれどもそこには、一点の翳りも感じなかった。

輝く面差しとは、裏腹に。
妻の着衣は、凄まじかった。
髪の毛はほつれ放題、
ブラウスは引き裂かれて、胸を大きくはだけていた。
やつがお目当てにしていた、黒のストッキングは。
いくすじも、ストライプ模様を滲ませていて。
肌の白さが淫靡に際だって、じわりと浮き上がっている。
  たしかに、送り届けたぞ。
  奥さんに恥をかかせるわけには、いかないからね。
妻を犯した男が、低く笑み声を漏らす。
いつもは着衣を乱した妻を車に乗せるのは、省吾の役割だったのだが。
親切心だけで、そうしたわけではないのは、すぐに察しがついていた。
やつは息子の姿をみとめると、にんまり笑んで、
勉強部屋への逃げ道を断つように、素早く歩みを進めたのだ。

息子さんかね?
お母さんに良く似ているね。
しばらくのあいだ、お預かりしても、よろしいね?
応えも待たず、もう息子の手を引いていた。
待て・・・!
省吾の声をさえぎったのは、妻。
  もう、寝みましょう・・・
しっとりと落ち着いた声には、抗いようがなかったのだ。

御存知・・・なのでしょう?
あのひと。女なんですよね?
むき出しの胸を、ゆるくまさぐりながら。
謡うような声色は、胸の奥までしみ込んできた。
男になって、わたくしを犯しているときも。
お肌の扱いが、ちがうんですもの。
あたし、申し上げたんです。
息子のことも、愛してください・・・と。

迷いに満ちた、一夜がたり。
ある晩は、妻が貞操を捧げ、
ある晩は、息子が妻に扮して、一夜の愉しみを献ずる。
送り迎えをくり返す男は。
あるときは、窓越しに。
あるときは、間近にかいま見て。
密かな昂ぶりにふけり、
時には妻と、時には妻に扮した少年と。
あらぬ愉しみに耽ったという。

色っぽい靴下を、履いているんだね。^^

2007年09月05日(Wed) 06:00:48

色っぽい靴下を履いているんだね。
え・・・?
男はうそぶき、女は肩をすくめる。
女は今さら気づいたように、じぶんの足許に目をやって。
ちょっと恥ずかしそうに、ストッキングの脚をすくめていた。
タイトスカートの下。
白のストッキングが、じわりとした光沢をよぎらせている。

きみの脚が色っぽいだなんて。
ひと言も言っていないんだぜ?
男はイタズラっぽく、女をからかうような顔をして。
女はまぁ・・・と男を軽く睨んで、ズボンのうえからひざ小僧を軽くつねっている。
どうしたい・・・っていうの?
わかっているだろ?
会社の同僚と、共同購入で買い求めたストッキングは。
聞き慣れないブランドだったけれど。
だれともなく、脚に通すようになって。
そして順ぐりに、男に別室に招ばれていった。

きょうはA村さんも、H沢さんも、お休みなのね。
女がちらりと、怨ずるようにつぶやくと。
そういうわけじゃないんだよ。
わざとぶきっちょを装った裏に、本音が垣間見えている。
いけすかない。
女は男を軽く睨んで。
けれども自分から、別室に足を向けていた。
だれもいなくなった、深夜のオフィス。
ドアを閉じてしまうと、男は女の足許にかがみ込んで。
さぁ、服装検査、服装検査。
ひどく嬉しげに、タイトスカートの裾をめくりはじめている。

ちゅ・・・っ。
唾液のはぜる、かすかな音。
ぬるり・・・
舌のぬめる、ひそかな気配。
ストッキングを穿いたままのひざ下を。
なぞるように密着してくる唇は。
ぬるぬるとよだれに濡れて生温かく、
ヒルみたいな気味悪さで、女の足許を這ってゆく。
いけすかない。
女は口に出して、男を非難しながらも。
オブラアトみたいに剥ぎ堕とされてゆく薄手のナイロンを、
もう、どうすることもできなくなってゆく。

はからずもふたり同時に、片隅のソファに、目をやって。
つぎに目線を合わせたときには。
うふふふふっ。
低い含み笑いを、浮かべあった。
じーん。
無人の室内では、電灯のかすかな音さえも耳をつく。
あはっ・・・
時ならぬなまめいた声が、かすかな音たちを消してしまうまで。

あとなん回、来れるかしら?

2007年09月05日(Wed) 05:59:54

目が覚めた。
あたりはまだ暗い。
時計をみると、午前四時をまわったところ。
さっきから。
首のつけ根が、じぃん・・・と疼いている。
女はおもむろにベッドから身を起こすと、手早く身支度を整える。
高校に通っていたときに着ていた、白のブラウス。濃紺のベストにスカート。
脚には、黒のストッキング。
長い黒髪をおおざっぱに後ろに束ね、化粧もせずに。
薄墨色に包まれたつま先を、黒革のストラップシューズにさし入れる。
ギイィ・・・
無表情な鉄の扉の向こうには、まだ暑さの残る日中とは裏腹な冷気が、濃い闇のなかにある街をおし包んでいる。

じんじんと疼く首筋が、彼女の意思を引っぱるように。
かすかにキュッ、キュ・・・と鳴るストラップシューズの歩みを急がせる。
人けのない公園の片隅に、ひっそりと佇む東屋には。
すでに彼女よりも背たけのある黒い影が、待ちかねたように立っていた。
待った・・・?
囁く柔らかい声に応えようともしない性急さが。
女学生に扮した身を、強引に引き寄せる。
疼く傷口のうえに重ねられる、強引なまでの接吻に。
女は長いまつ毛を震わせていた。

独り暮らしの女には、夜明けに家を抜け出すことは造作もないことだったけれど。
来る日も、来る日も。
そんな逢瀬がつづいていて。
生き血を啜り取られている・・・
はっきりそう、自覚しているというのに。
公園通いをやめることは、できなくなっている。
女の顔色は、日増しに悪くなって、
周囲のものたちも、気にするようになって。
休んでもいいよ。
上司は無表情に、長期休暇届に判を突いていた。

日増しに、体内の血液が減少している。
生命力も、衰えている。
そんな感覚に慄えながらも。
女は男の求めを拒むことなく、ストラップシューズの歩みを公園に向けていた。
許されるはずがない。
強引な求めを、ただひたすらに。
耐えつづけていたけれど。

もうそろそろ、お別れね。あとなん回、来れるかしら?

ふと口にした、囁きに。
彼女を強引に押しつぶしていた影は、ハッとなって。
乱暴に抱き締めた女の身体を、いとおしげに撫でつづけている。
いつまでも、いつまでも・・・
その日をさかいに、男の誘惑はふっつりと絶えた。

ふと、目が覚めると。午前四時。
けさは久しぶりに、うなじがじんじんと疼いている。
女は顔色の戻った頬に、ちらりとなまめかしい生気を漂わせて。
いつものように、いそいそと。
女の装いを整えてゆく。

父兄会

2007年09月04日(Tue) 07:37:57

新学期が始まると、なぜか恒例のように開かれる父兄会。
平日に行われるそれに集うのは、いつもお母さんばかり。
もう夏も終わり・・・というころになると。
スカートの下の生足も、いつか薄っすらとしたストッキングにコーティングされはじめていって。
とくに父兄会にやってくるお母さんがたは。
そろいもそろって、真新しいストッキングを脚に通してくる。
まるで子どもに制服規定を守らせるような熱心さで。
色とりどりのストッキングを、競うように装ってくるのだった。

あら、あら。まぁ~っ。
いたるところで、再会のあいさつと、夏休みの話題に花が咲く。
かしましい光景は、隅っこに隠れている影たちを、オーラのように圧倒するほどだったのだが。
一堂に集められた、体育館。
扉の影や、楽屋裏。体育用具置き場の物陰、と。
影どもはさっきから、値踏みをするように、広場のようすをうかがっている。

一年生のお母さんがたは、黒のストッキングが多いようだ。
照りつける舗道のうえでは、まだまだ場違いな色なのに。
きょうにかぎってやたらと目だつのは。
そう、もちろん。暗号だったりする。
ーーー今夜初メテ、主人トハ別ノ人ニ抱カレルンデスノ。
密かな決意表明を、足許の彩りで示す人妻たち。
シックで淫靡。
そんな風情を盗み見ている、上級生のお母さん方は。
やはり場違いに映る濃紺のストッキングの脚を、
夏ものの淡色なワンピースの裾から、誇示するようににょっきりさせている。
ーーーアラ、ワタクシ。ソンナ境地ハトックニ卒業シテオリマスノヨ。
幾度となく、娼婦に堕ちて。
しっかりと、経験を積んでいるのだと。
足許によぎる光沢さえも、これ見よがしだったりする。
今年で卒業・・・という生徒を抱えたお母さん方は。
もっと余裕しゃくしゃくで。
ちょっと見には違和感のない肌色のストッキングだったりするのだが。
どぎつい光沢をさりげなく、シックなスカートの下に輝かせていたりする。
もうこれくらいになると、わざわざ色をかえて主張するまでもなく。
ーーーイツデモOKナンデスヨ。私達・・・
おっとり構えた横顔に、余裕の風情を漂わせている。

三々五々、散ってゆくお母さん方は。
ふたり、三人の組になって。
発展家のお母さんは、たったひとりで。
息子の教室や、目だたない廊下の暗がりに、歩みをすすめていって。
黒や濃紺、肌色のストッキングのふくらはぎを。
闇から覗く飢えた唇に舐めさせはじめてゆく。
時おり示し合わせた生徒たちが。
じぶんの母たちが、いかに女として振舞うかを見届けにくることなども、とうに承知で。
工作室の節くれだった広い机のうえ。
これ見よがしに、放恣に脚を開ききっていたりする。

母さん、後ろ・・・
家にもどった母と子は。
さすがに言葉すくなになりながら。
背中についたかすかな泥や、インクのシミを。
息子にさりげなく指摘されると。
めずらしくあわてたように、身づくろいをはじめたりする。

仲の良い精神科医

2007年09月04日(Tue) 07:24:02

その先生は、いつもすこし眼が寄っていて。
悪い顔色に、渋面を浮かべている。
齢のころは、四十をいくらか出たくらいのはずなのに。
もっとずっと老けてみえるのは。
重々しく鈍重な話しかたと、なによりもウッソリとした暗い雰囲気。
そんな人が、案外精神科の先生だったりする。

M島という苗字のその先生は。
珍しくオレを招き入れると、いつものクセで俯きながら頭をかき上げて。
きれいに分けていた髪型を、惜しげもなくくしゃくしゃに乱してしまっている。
どれほどたくさんの本を、読みこなしているのか。
この先生は、ゾッとするほどの物識りだ。
ふだんはほとんど人と口を利かないくせに、
ごくごくまれに、オレを招き入れると。
飽きもせずになん時間も、語りつづけるのだ。
ま。古今東西で悪事を働いてきたオレだもの。
たいていの話題には、ついていけたりもするのだが。
  きみは、被虐性嗜好をどうお感じになりますか?
唐突な質問に。
  そう・・・少なくとも、笑いものにすべき種類のものではないかな。
オレは、きいたふうなこたえを返している。
  そうですか。
先生は、ホッとしたように、肩で息をすると。
  そういう患者にもっとも適切に接するには、本人の気分になってみることが大切だとおもうのですが、いかが?
  ああたしかに、それに越したことはなかろうな。
うっかり口をすべらせたオレを。先生は食い入るように見入ってきて。
ちょっぴり引きたくなったオレに、毒液のような言葉を吹き込んできた。
  コンヤ、自宅ニオ招キシマス。
  ソコデアナタハ、私ノ妻ヲ襲ウノデス・・・

先生の家は、街はずれの一軒屋。
遅い帰りを出迎えた奥さんは、心躍るほど、美人だった。
こんな冴えない男に、どうしてこんなあでやかな蝶が・・・
そう思うのはこのさい、恩人に対して失礼であろう。
オレは奥さんに誘われるまま。
先生を独り置き去りに、夫婦の寝室に入り込む。
  薄いストッキングが、お好みなのですよね?
どっきりするほどの脚線美に通された墨色のナイロンは。
じつにぴったり、密着している。
ドアの向こうから注がれる、悩み深い視線。
この奥さん、初めてじゃないな。
唇の下に秘められた密かな脈動に、オレは直感する。
けれども旦那のまえは、さすがに始めてらしい。
これ見よがしにくねらせた脚の、かすかな震え。
つくりつけたポーズのすき間に、かすかな本音をかいま見るとき。
オレは・・・語る言葉を忘れている。

ぎしぎしぎしぎし・・・
乱れるシーツのうえ、思い切り乱れてはみたものの。
先生、ドア越しでなにやら、こと細かなメモをとっている。
落ち着かねーな。
そんな感想は、このさいとってもフラチなのだろう。
研究対象にされるのは、決して気分のよいものではないけれど。
オレの下にまろび伏せるこの肌のほてりは・・・
研究が今晩かぎりで終了にならないことを、オレに切望させている。

歩きまわって。

2007年09月04日(Tue) 07:07:15

深夜のナースステーションは、オレの重要な栄養供給源。
院長にひと声、耳打ちすると。
その夜の詰所の人数は、定員の倍になったりする。
いつもは3~4人たむろするばかりの、ささやかなスペースに。
今夜はかなりの人影が。
目印は、薄手の白ストッキング。
襲われたい看護婦は、白衣の足許にてかてかとした光沢をよぎらせていたりする。
ウチはもとより、志願制だから。
強制はないのだ・・・といいつつも。
かねて目をつけていたコが、薄手のストッキングを履いていたりすると。
内心ラッキ~♪、と舞い上がってしまっていたりする。
通常の夜番の看護婦たちが、出払ってしまうと。
きゃっ。きゃあ。あううっ・・・
なやましい声。のけぞる気配が。
しずかな灯りの下、浮き彫りになる。

興が乗ると、手近な空き病室に連れ込んで。
ベッドに転がしてみたりすることもある。
というか、つねに転がしていたりもする。^^;
ちょっとびっくりしたのは。
来月皮膚科のH先生と結婚を控えたM看護婦が。
ツヤツヤ透きとおる、白のストッキングを履いていたこと。
もちろん別室に、連れ込んで。
純白の上衣を、そろそろと脱がせていって。
皮膚科の検診に及んだのは、いうまでもない。
そういえば。
施錠していないドアの隙間から。
嫉妬深い目線がチラチラとなやましく、
オレの腕のなかでもだえる女に注がれていたような気もするが。

ここでの仕上げはもちろん、院長夫人。
こういう晩は、夫が病院からひき上げると入れ違いに。
ばっちりとおめかしして、あらわれて。
モノトーンな病院の白い壁には場ちがいな、色鮮やかなワンピース姿をひらひらさせる。
待ち合わせ場所は、病棟の片隅の空きベッド。
  いちおうは、抵抗するんですよ。
女は優しくほほ笑んで、一発オレに平手打ちをかませる。
  では、つつしんで・・・
じんじんとする頬の疼きをかかえながら。
オレは奥さんに迫っていって。
色鮮やかなワンピースを、彼女の身体の周り、くしゃくしゃに乱してゆく。

ひき上げた・・・と、思わせながら。
ドア越しにかいま見てくる、嫉妬深い視線。
オレが立ち去るのと入れ違いに。
視線の主は、情事の余韻さめやらぬワンピース姿を、
いまいちど、乱れたシーツのうえに押し倒していったりする。
背後で気配を、感じながら。
オレはさいごに待ち受ける女の影を、思い描いている。
病院のすぐ隣。院長の邸の子ども部屋。
晩ご飯のおわったあと、ふたたびセーラー服に着替えた彼女は。
ベッドのうえ、ちょこんと腰かけていて。
オレの来訪を、手持ち無沙汰にまっているはず。
所在なげに、ぶらぶらさせている脚を包むのは。
ひざ上までのハイソックス?
それとも黒のストッキング?