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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

えー。(^^ゞ

2007年12月30日(Sun) 10:20:42

とめどがないですね。けさは。(笑)
どういうわけか。
12月は毎年、盛り上がるんです。
去年の108話というのは(煩悩の数字ですね・・・ 笑)、
さすがにやり過ぎでしたけど。(^^ゞ
夏よりも冬。深夜よりも明け方に萌えを感じる不思議なワタシ。(・_・;)
でも、そろそろさすがに。
押し迫った年の瀬の現実に、直面しなければなりません。
いつもながら、不ぞろいなお話ばかりですが。
今年も一年、柏木のたわごとにつきあっていただいた皆々さま。
ほんとうに、ありがとうございました。m(__)m

終業式の帰り道

2007年12月30日(Sun) 10:15:33

終業式が終わると、みんな三々五々、教室をあとにする。
思い思いに散っていった女学生たちは、やがてそれとなく、人影とつかずはなれずになって。
昼もひっそりと街灯をともす邸宅や、明るいうちから静過ぎる公園、
はては街はずれの廃屋や、納屋のような、知的な制服からはおよそ想像も及ばないようなところにまで、歩みを進めてゆく。

あら、いやだぁ・・・
もうっ!えっち♪
納屋のあちこちからあがる、くすぐったそうな声。
がさがさという藁の音もかしましく、足許がさだまらないようだ。
リョウはその日も、相手がなく。
友だちもみんな、どこかの女の子と渡りをつけてしまっていて。
ただ独りぼっちで、途方にくれていた。
いつも、こうなんだよな・・・
きっとこのまま、彼女もできず、結婚だってできないにちがいない。

忍び笑いが洩れてくる納屋に背を向けて、まっすぐ歩みを路に向けたとき。
くすっ。
かすかな笑み声が、横っ面を通りすぎる。
え・・・?
思わず振り向いた向こうには、折り目正しく着こなした制服姿。
ブレザーの下には、飾りけのない濃紺のジャンパースカート。
襟元を引き締める紺色のリボンも、ごく目だたないひも状のやつだった。
けれどもきちんとそろえたその子の脚は、薄手の黒のストッキングに彩られていて。
伸びやかな脛がジューシィに、じんわりと透けていた。
相手がいないの?お兄さん。
ことさら小首をかしげて、ツインテールの髪を肩で揺らしている。
ほっといてくれ・・・
ぷいとそっぽを向いて、通りすぎようとした。
え?
女の子は意外そうな声を洩らして、もう泣きべそをかいている。
せっかく来てあげたのに。
あ・・・泣くなよ。泣くな。
女が泣くのは、どうにも苦手だ。
思わず触れた肩の、小刻みな震えが。
少年の指先を伝って、胸まで届いている。

公園の芝生は枯れていて、真新しい制服にはふさわしくない褥だったけれども。
頬っぺたに、スカートに、枯れ柴をつけたまま。
女の子は照れくさそうに、ほほ笑みつづけている。
いいの・・・?
ウン。破っちゃって。
ぬるりと吸いつけた唇の下。
しなやかなナイロンの舌触りが、心地よかった。
黒のストッキングはなよなよと頼りなくよじれていて。
ぱりり・・・
あっけないほど他愛なく、薄っすらと裂け目を滲ませていた。
ウフフ。もお。
エッチねぇ・・・
柔らかにほほ笑んだ女の子は、できたばかりの彼氏が破壊欲もあらわに足許にとりついて、
薄いストッキングをびりびりと破いていくのを、いつまでも愉しげに見おろしている。

行きずりの恋。
唐突な出逢い。
そんなまぐれは、そうそう訪れはしないけれど。
人知れず戯れあうふたりの無邪気な声は、くすぐったそうにからみ合って、
どこまでも青い空のかなたに、吸い込まれていった。

駅で待つ女

2007年12月30日(Sun) 09:56:47

駅のホームで待つきみは。
いかにも手持ち無沙汰に、柱に寄りかかっていて。
黒のハンドバックを、ぶらぶらと、
それは自堕落に、もてあそんでいた。
オレがうっそりと、姿を見せると。
あら。
みちがえるほど表情を、活き活きとさせて。
足取りさえも、浮き立つばかり。
まっすぐとこちらへ、歩みを進めてくる。
きみの足許を彩るのは。
薄墨色のストッキング。
礼節と知性とをたたえながら。
流れるような脚線美を、淫らに染める。

ホテルに行こう。
アラ、まだ早いのに・・・
早くなど、あるものか。
もうとっくに、陽は暮れている。
さあ・・・
引き立てるような強引さに。
きみは苦笑いひとつ、チラとよぎらせて。
仕方ないわね、って、いいながら。
オレのわきの下に、するりと腕を忍び込ませる。

女の名は、まりあ。
いつも、とつぜん現れて。
あくる朝には、夢のように去ってゆく。
見知らぬ街の、見知らぬ通り。
いつもなんの前触れもなく。
ずっとあなたを待っていたのよ・・・と言わんばかりに、姿を見せる。
ほんとうに久しぶりに、現れたのに。
傍らのまりあは、活き活きと笑いさざめいて。
きのうもきょうも。あしたもあさっても。
ずっと居続けてくれているかのように、ヒールの音を響かせてゆく。

逢う瀬

2007年12月30日(Sun) 09:47:20

かげんは、いかがかな?
はい。よろしゅうございます。
上におおいかぶさっているのは、吸血鬼。
下で仰向けになっているのは、妻。
シックなスーツのすそを、ふり乱して。
スカートの奥深くまで、忍び込まされてしまっている。
おそらくは、もう・・・結び合わされているはず。
男は女の返事を聞いて、くすぐったそうに笑みを滲ませて。
そのまま臀部を、沈み込ませていって。
妻を狂わせた。

起き上がった妻のうなじを、もういちど吸って。
めくりあげたスカートの裏地で、まだぬらぬらとしている一物を、思い切りしごいて。
それでも飽き足らずに、肌色のストッキングの足許に、
飢えた唇をねっとりと這わせていって。
ぴりり・・・
ストッキングが裂け目を滲ませると。
女の耳元に、囁いている。
今度来るときは、ダンナに黙って来い。
女は応えるかわりに、ディープなキスを交わしてゆく。

パパのつぶやき スクールストッキングを履いた姪 5

2007年12月30日(Sun) 09:07:42

えっ?礼子をレイジくんのとこに行かせるって?
しょうがないな。結婚したときからの約束だったからな。
でも・・・あの子怖がらないか?
だいじょうぶだって。よくわきまえていますから・・・って。
私が初めて血をあげたときも、怖くはありませんでしたから・・・って?
献血・・・だよな?そうだよね?
べつだん、いやらしいことするわけじゃないんだよな?
でもあいつ。いや、レイジくんのことだけど。
いくら、たった一人の姉さんが嫁いでゆくのが淋しいからって。
いくら、もののはずみだったからって。
披露宴の前の晩に、きみの部屋に忍び込んで、
いっさいがっさい、奪ってしまったのは。
いまでもちょっと、許せないなあ。
礼子はあんなことには、ならないだろうね?
彼氏もいるんだろう?大事な身体だからね。
制服に、黒のストッキングを履いて行くんだって?
なにも、そんなにしてまで・・・
えっ?
血を吸われるのは最高の儀礼だから、正装するのが適切だって?
うーん。もったいない。もったいないな。
入学式のとき。あの子の足許、見たかい?
オトナの脚、そのものだったぜ?
あいつ、いやレイジくんのことだが。
いやらしい気分を起こしたりは、しないだろうね?
だいじょうぶ。あたしがついていますから・・・って?
ああ、信じている。信じているよ・・・

えっ?多佳子が血を吸われちゃったって?
しょうがないな。齢の順って約束だったからな。
べそかいて、帰ってきたって?
いいんです。声かけたりなさらないで・・・って・
さいしょの日はさすがに決まり悪いでしょうから・・・って。
おまえ、いつもながらのん気だね。
まあ・・・おまえののん気さに、救われているような気もするね。
そうでなかったら。
おまえが時おり、わたしの留守にレイジくんのとこに出かけてゆくなんて、
とてもじゃないけど、ガマンできなかっただろうから。
多佳子もあれを、履いていくのか?
あれ・・・って。黒のストッキングだよ。
あいつ、いや、レイジくんのことだが。
娘たちと会うときは、黒のストッキングを履いて来いって言っているんだって?
すこし、いやらしい気がしないかい?
え。いやらしくない。
女学生に許された、品位のある制服の一部だって?
それはたしかに、そうだろうけど・・・

ええっ?多佳子がレイジくんに、犯されたって?
あの子、嬉しそうに報告に来たんですよ。って?
かなり痛かったけど、叔父様優しくしてくれたんですって。だって?
おいおい・・・
嫁入り前の、それもまだ女学生じゃないか。
叔父姪で結婚できるわけでもあるまいに。
しょうがないお転婆娘だな。
これも・・・もののはずみってやつなのかい?
レイジくんに、ひと言言っておかなくちゃ、いけないんじゃないか?
多佳子も多佳子だ。
あんないやらしい、黒のストッキングなんか履いていくから、こんなふうになるんだ。
え?違いますって?
あの子のせいいっぱいのおめかしなのよ、って。
たしかに・・・いまどきの子のけばけばしい服は、見るに耐えないからね。
品位と知性が、劣情を妨げるもとになるから・・・制服がいちばんいいんだって?
それにしても。
その制服姿を、汚されてしまったのだろう?
えっ、しばらく様子を見るのが賢明だって?
おまえ、ほんとうにのん気だね・・・
しかたがない。おまえがそこまで言うのなら。
本人が、それでいいと言うのなら。
しばらく様子を見ることにしようか。
でも。
様子を見ているあいだ、わたしは娘が犯されつづけるのを認めることになるんだよな?

えええっ!?礼子まで犯されてしまったって?
結婚を控えた身体だろう?
どうしてそんな、無用心なことを!
えっ?多佳子が手引きを?
まさか。。。そんな。
うーん。しかし・・・
そういうことが、あるものなんだな。
えっ、お祝いしてあげてください、って?
なにを祝えというのだね?
娘の処女喪失を?
一人前の女になった証しじゃありませんか、って?
おまえもそういえば、弟さんのおかげで一人前になったクチだよな?
母親に関心のある殿方なら、娘に気が行くのはもっともだって?
そういうものなのかな・・・好みに合ってしまったのかな・・・
血が呼び合っている?
そういうことなのかな・・・そういうこともあるのかもしれないな・・・
これからは母娘代わる代わる、お出かけしますって?
うーん・・・
で・・・代わりばんこに、破かれてくるのかね?あのいやらしいストッキングというやつを。
あぁあ。ほんとうに・・・イヤラシイ。

おくてだったお姉ちゃん スクールストッキングを履いた姪 4

2007年12月30日(Sun) 08:47:56

あたしも高校の制服、ひさしぶりに着ちゃおうかな♪
礼子お姉ちゃんはそいう言って、お茶目にウフフ・・・と笑っている。
いつも大学に行くときは、大人っぽいスーツできりっとキメて。
そんなお姉ちゃんがうらやましくて。眩しくて。
惜しげもなく化粧を落として、スーツを脱いで。
着替えたブレザーの制服姿は、二年まえよりもずっと、オトナっぽくなっている。

いつもこんなふうに、学校帰りの女の子たちをたぶらかしているんでしょう?
悪い叔父様・・・
あたしたちはふたり、おそろいに結った三つ編みのおさげを肩先に揺らしながら。
叔父様をからかいながら、黒のストッキングを履いた脚を見せびらかす。
いいね。やっぱり若い子は薄いやつを履かなくちゃ。
上機嫌な叔父様のまえ。
代わる代わる、黒ストッキングの脚を、差し出して。
きゃっ、やらしいわ・・・
いけすかない。
口では憎らしくぶーたれながら、スカートのすそからさらした脛を、差し出したり引っ込めたり。
きゃーっ。
お姉ちゃんは引っ込めようとした脚を、素早くつかまえられて。
くすぐったそうに、うつ伏して。
ちょっと大げさに、のけぞって。
わざと長々と吸わせちゃっている。
よーし、あたしも負けるもんか。
お姉ちゃんの履いているのは、透け透けに薄くって。
光沢つやつやのサポートタイプ。
いいなあ、色っぽくて。
ちょっと濃いめのあたしのやつは、なよなよもろいウーリータイプ。
叔父様のべろが、かすめるたびに。
少しずつ、少しずつ、だらしなくよじれていって。
もう・・・っ。学校に履いて行けないじゃない。
わざとケッペキそうに、眉をしかめて口を尖らせると、
そんなあたしのふくれ面が気に入ったらしくって。
くちゅくちゅ、ぐにゅぐにゅ・・・って。
しつっこく、しつっこく、ストッキングごしにいたぶってくる。

さあ、吸血タイムのはじまり、はじまり。
年の順に、しようかな。まずお姉ちゃんから。
あらー♪
お姉ちゃんは余裕たっぷり、長く伸ばした髪の毛を、軽く引っ張りながら、
足許に吸いついてくる唇を、よけるでもなく、差し出すでもなく、さりげなく身構える。
そう。お姉ちゃんは中学に上がったときから、叔父様の相手をしている。
光沢つやつやの、オトナっぽい黒のストッキング。
叔父様のなすりつけるべろも、あたしのときよりエッチにみえる。
すこしだけ、嫉妬・・・
あーっ、血を吸われちゃうっ。
脚をすくめてあげた、はしゃぎ声の下。
ちゅうっ・・・
エッチな音が洩れてくる。
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ・・・
小気味良い音をたてて吸い上げられてゆく、お姉ちゃんの血。
うん。もお・・・っ
ぱりぱりと裂けたサポートタイプのストッキングは、破れ方まで色っぽい。
いつも大学に履いていく肌色のやつは、もっとツヤツヤが目だっていて。
あたしも履いてみたい・・・って言ったけど。
だめ~♪子供にはまだ早いわ・・・ですって。
来年は、恋人と結婚を控えているお姉ちゃん。
どんなに色っぽく装っても、装いすぎることはないみたい。

さあ、多佳子の番だよ・・・って、耳打ちされて。
場数を踏んでいないあたしは、どうしたらいいんだろう?ってぼうっとなって。
わけもわからないまま、抱き寄せられて。
うなじをちゅうちゅう、吸われちゃって。
くらあっ・・・って、仰向けになってしまうと。
叔父様は初めて、黒ストッキングの足許にべろをぬらつかせる。

ふたりながら、血を吸われて。
生き血の味と、ストッキングの舌触りと、両方たっぷり愉しまれて。
もー。困っちゃうよね。
ふたりおさげ髪の肩を並べて玄関を出ようとすると。
叔父様の手がまた、後ろから伸びてきて。
ぬるり。ぴちゃっ。
お姉ちゃんのうなじを、とってもお下品になぶってゆく。
ああ・・・ん。
お姉ちゃん、感じちゃったみたいに、眉をゆるめて。
叔父様になぶられるまま、首筋を吸わせちゃって。
そのままくたくたと、廊下に尻もちをついていた。
血を吸われ終わったお姉ちゃんが、ブラウスについたシミを気にしながら、
久しぶりに結った三つ編みのおさげを手持ち無沙汰になぶっている傍らで。
あたしもうなじを、ちゅうちゅうとやられちゃっている。
もう・・・貧血になっちゃうよ。
おなじ言葉を洩らしながら泣きべそをかいていたのは、ほんの少しまえのこと。
いまでは叔父様が弟みたいに幼くみえる。

そんな叔父様が、あるときあたしを犯した。
犯されちゃった・・・
お嫁に行くまでしないはずだったのに。
ママに、なんて言えばいいんだろう?
さすがにお風呂には、一人で入った。
あんなに大きいモノを飲み込んだあたしのそこは、
生えそめた繁みのなか、取り澄ましたように唇をぴったりと閉じている。
なぞるように、タオルをあてがうと。
ぬるり・・・と、淡い疼きがなまなましく滲んだ。

こんちはぁ・・・
夜が明けるとすぐに訪ねていった叔父様の家。
さすがに決まり悪くて、まともに顔が見つめられない。
叔父様はそんなあたしを愉しそうに眺めまわして。
さあ、しようか?昨日はいい子だったね。って。
あたしの肩を、もう抱いている。
無言のまま、立ち上がって。
黒ストッキングのつま先が目ざしたのは、隣の畳部屋。
用意のいい叔父様のことだから。
そこにはきっとお布団が、敷かれているんだろう。

紺のプリーツスカートを、腰までたくし上げられて。
太ももまでのストッキングのゴムが見えるまで、さらけ出された脚。
横倒しになった姿見に映るあたしの有様は、
まるでエッチな映画のヒロインみたい。
ひざ上からつま先までは、薄っすらとなまめかしい薄墨色の装い。
さらけ出された太ももは、恥ずかしいほど眩しくて。
あたしは知らず知らず、目をそむけてしまっている。

頼みがある。
え・・・?なあに?
お姉ちゃんを、犯したい。
えっ?まだしてないの?
ああ。彼氏がいたからな。先に頂くのは悪いかな・・・って。
でも。どうやらオレ・・・歯止めがきかなくなったみたい。
うん。もう。ほかの女の相談なら、よそでやってよ。
邪慳にそういってしまおうかと思ったけれど。
あたしはべつのことを、口走っている。
面白そう。協力するね♪

ぼうっとなった視界のかなた。
お姉ちゃんは純白のスーツを着崩れさせて。
はだけたブラウスの胸元から、牙を深々と差し込まれていた。
胸に散ったバラ色のしずくは、清らかなきらめきをたたえていて。
ブラウスの持ち主が、たった今まで処女だったと告げているよう。
真っ白なスカートは、折り目正しいプリーツが、くしゃくしゃに折れ曲がっている。
いつもきっちりとしているお姉ちゃん。
取り返しがつかないくらいに乱れちゃったみたい。
うふふ・・・いいないいな♪
あたしも初めてのとき、あんなふうだったのかな。
両手で頬杖突いて見守るかなた。
あたしはウキウキと、お姉ちゃんの彼氏のようすを窺っている。
びっくりしちゃった。ケンイチさんまで手伝ってくれるなんて。
え・・・?そお?
未来の花婿殿は、ひどく言葉少なにかしこまっていて。
それでも時おりぴくぴく震える拳には、ヤキモチと昂奮が代わる代わるめぐっているみたい。
あたしはそうっと、彼のとなりを離れていって。
さいごにいちどだけ、振り向いて。
あえいでいるお姉ちゃんに、ひそかな祝福を送っている。
よかったね。お姉ちゃん。
あたしよりも、あとだったけど。
最愛の彼氏の前で、ちゃーんと、オトナの女になれたんだね。
結婚式には、黒のストッキング履いて行くね。
きょうの悦びを、思い出せるように・・・

スクールストッキングを履いた姪 3

2007年12月30日(Sun) 08:19:08

はじめて襲われちゃったとき。
多佳子が履いていたのは、真っ白な無地のハイソックス。
まだ・・・入学前ですからね。
玄関まで見送ってくれたママは、愉しそうにほほ笑んで。
なにも知らなかったあたしは、お気に入りのチェック柄のプリーツスカートをひるがえして。
行ってきまぁす!
それは元気よく、家をあとにした。

入学祝をしてあげよう。
いつもなついている叔父様に、お誘いを受けて。
ちょぴりデート気分で、ウキウキしていたあたし。
血が欲しいんですって?えー。痛くないの?
お洋服、汚さないでね。
まだ子供だったあたしは、無邪気に笑って、うなじを傾げて。
ふくらはぎを噛んでみたい・・・って、おねだりされて。
叔父様に言われるがまま、白のハイソックスの脚を差し伸べていった。
突き立てられる鋭い牙に、エッチな毒液を沁み込まされるなんて、夢にも思わないで。

かりり。きゅうっ・・・
人をこばかにしたような、あからさまな音だった。
ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
勢いよく吸い出される感覚に、思わずぞくっと震えあがって。
すこしねじれたハイソックスの真っ白な生地に、バラ色のシミが広がってゆくのを、
おっかなびっくり、見おろしていた。

吸わせまいとすくめた身体を、抱きすくめられて。
こんどはうなじを、噛まれている。
旨い。旨いよ・・・多佳子。
抱かれた肩ごしに囁いてくる叔父様に。
あたしはただ、激しくかぶりを振って、いやいやをするばかり。
貧血になっちゃうよ。貧血になっちゃうよ。
息詰まるほど熱い胸のなか、泣きべそをかいていた。
叔父様はそんなあたしをあやしながら、
うなじを伝い落ちてゆく血を、指に絡め取って。
いといしそうに、舐めつづけていた。

ハイソックス、好きなの?
えっ、いま履いているやつ、欲しいって?
だーめ!恥ずかしいっ。
けれども、痺れた身体はいうことを聞かなくて。
しわくちゃになったプリーツスカートの下、あたしはハイソックスをずるずるとずり降ろされてゆく。

ほら。見て御覧。
目のまえにぶら下げられたハイソックスは、ふくらんだ脚の型をかすかに残していて。
ふたつ、綺麗につけられた破れ目の周りには、赤黒いシミがくっきりとついている。
お姉ちゃんのも、持っているんだぜ?
そう。お姉ちゃんは中学にあがったとき。
真新しい制服を着て、叔父様の家を訪ねていって。
ママに付き添われて、べそをかきながら帰ってきたんだっけ。
あのときひざ下まで引き伸ばされていた白の靴下は。
たしかに両方とも、紅いシミが滲んでいた。
もう片方も、したいんでしょ?いいよ・・・
まだ噛まれていないほうの脚を、差し伸べると。
叔父様はいやらしく、ウフフ・・・と笑って。
お姉ちゃんもそんなふうにして、もう片方の脚を噛ませてくれたんだよ。
やだ・・・姉妹でおんなじことしてるだなんて。
プッとふくれたあたしの横顔を、上目遣いでちらちら窺いながら。
叔父様は濡れた唇を吸いつけてきて、ハイソックスをぬるぬると濡らしていった。

ただいまぁ。
ぼうっとなったあたしが、家に戻ってくると。
ママはさりげなく、迎えてくれて。
素足のあたしに、真新しいハイソックスを出してくれた。
今夜はムリしないでいいのよ。
ムリ・・・?
ふしぎそうに首をかしげるあたしを見て、ママはけらけらと笑っているだけだった。

真夜中のこと。
まだ、頭のすみがじんじんする。
よく眠れなくって、ベッドを出た。
叔父様に身体じゅうを嘗め尽くされる夢を見たなんて、ママにも姉さんにも言えやしない。
足音を忍ばせて、鏡のあるお部屋に行って。
噛まれたうなじを、じいっと見つめる。
どす黒い痣は、かすかになっていた。
週明け、学校なんだろ?ばれないようにやらなきゃな、って。
叔父様はわざと軽く噛んでくれていた。
半日もすれば、素肌に吸い込まれるように消えうせているに違いない。

ことり。
物音がしたようだった。
カチャ・・・玄関の扉の開く音、そして、とざされる音。
え・・・?
こわごわと覗き込んだガラス窓のかなた。
紺色の制服を着た後ろ姿が、足早に遠ざかってゆく。
お姉ちゃん?
いつも学校に履いて行く黒のストッキングが、ひどくつややかに見えた。
玄関から戻ってきたママは。
あら、起きてたの?寝てらっしゃい。
今夜はあなたの代わりに、お姉ちゃんが行ってくれたから。
え・・・?
夜もね、欲しがるのよ。お招ばれされるのよ。
あなたはきのうが、初めてだったから。
叔父様も気にして、わざと誘わなかったのよ。
あんまりいっぺんに吸ったら、あなたのびちゃうでしょう?
ママはくすくすと愉しそうに忍び笑いをすると、
パパには、ナイショ。早く寝なさい。
最後のひと言だけは、母親に戻っていたけれど。
パパには、ナイショ。
あれは、きっと・・・
一人前の女どうしのやり取りだったに違いない。

ただいまー。
お姉ちゃんが家に戻ってきたのは。
パパがゴルフの打ちっぱなしに出かけてしまったのと入れ違い。
鼻唄交じりに、革靴を脱いで。
長めの制服のスカートから一瞬さらけ出された黒ストッキングの太ももには、
たてにひとすじ、かすかに滲んだ薄い裂け目。
ふふふ。見た?
目ざとくあたしの顔色を見たお姉ちゃんは、
うふふ。
ちょっと得意そうに、黒ストッキングの脚を見せびらかす。
叔父様ね。
薄い靴下が好きみたい。
いやらしいんだよ。あなたも気をつけなさいね。ほら・・・って。
見せつけられた太ももには、まだぬらぬらとしたよだれが光っている。

叔父様の家にうかがったのは、つぎの週末のことだった。
こんちはぁ。
決まり悪げに響かせた声に、叔父様はのっそりと顔を出して。
おっ、薄い靴下、履いてきたな?
ひどくうれしげに、薄黒く染まったあたしの足許を見つめている。
舐めるような視線。
ああ・・・また、食べられちゃう♪
あたしはなにをされるのか知りながら、ぴかぴか光る廊下に、黒ストッキングのつま先をすべらせてゆく。

スクールストッキングを履いた姪 2

2007年12月30日(Sun) 01:08:04

おっ、薄い靴下履いて来たな?
多佳子が通学用の黒のストッキングを履いてくると、叔父さまはいつも機嫌がいい。
夏服の白セーラーの下、濃紺のプリーツスカートに黒のストッキング。
ボトムばかり、濃いなあ・・・って思うけど。
年上の、それも大人の男性がご機嫌になるのは。
そう、悪い気のするものではない。
多佳子はほらほら・・・っておどけながら、おてんば娘よろしく脚を突き出して。
薄黒く染まった脛を見せびらかす。

高校にあがって、ストッキングを履くようになったら。
叔父様のところに遊びに行って、血を吸わせてあげてちょうだい。
首筋だと、目だつから。さいしょは脚を噛んでもらいなさい。
合格発表をもらったとき、ママはそういって、叔父様の正体を教えてくれた。
貧血になっちゃうよ。貧血になっちゃうよ・・・
初めて襲われて、ブラウスをびしょ濡れにしてしまったとき。
怖がってべそをかいていたのが、いまは遠い昔に思えてくる。
さっ、噛んで・・・
じゅうたんのうえ、腹ばいに寝そべって。
ピンと突き出したふくらはぎの周り、薄手のナイロンのゆるい束縛感が、じわり・・・と改めて滲んでくる。

うふふふふっ。
叔父様はくすぐったそうに、いやらしい含み笑いをしながら。
多佳子の足許に、かがみ込んでくる。
フッ・・・と走る呼気のなま温かさがオトナの男を意識させる、いけない瞬間。
やぁだ、多佳子、まだ処女なんだよ?って、口を尖らせたら。
夢中になってとびついてきたことがあったっけ。

強そうな脚だな。
叔父様は、いい気なことを言う。
だってー。
かけっこ、速いんだろ?
そうよ。叔父様があんまりいやらしいと、走って逃げちゃうわよ。
そうはいかない。
叔父様は、黒く染まった多佳子の足首をギュッとつかまえて。
すかさずぬるり・・・と、べろを這わせてきた。

ナイロンごし、ゆっくりとよぎってゆく、なまなましいぬめり。
うぅん。いやだぁ・・・
半分、おどけて。半分、本気で。
多佳子はうっとうしそうに、かぶりを振ってみせる。
そう、邪慳にするなよ。って。
叔父様はもういちど、上塗りするように。
ぬるり・・・ぬるり・・・
オトナっぽい装いのうえから、べろをぬらぬらと、よぎらせてくる。
なぞるように。くすぐるように。
なんども、なんども、舐めてきて。
そのたびに薄手のナイロンは頼りなげに、波うちいびつによじれてゆく。
あん・・・だめぇ。
かすかな吐息が、甘さを帯びているのを。
叔父様、きっと気づいているはず。
けれども、まだまだ子供あつかい。
ほら、ほら、ほ~ら。濡れてくる・・・
濡れてしまうのは、ふくらはぎだけじゃなくって・・・
もう・・・

振り返ると、叔父様の顔が目のまえにあった。
眼の色を変えて、多佳子のうなじを狙っている。
いいよ。明日は学校、お休みだし。
まぶたを閉じて、もういちど、うつ伏せて。
セーラーの肩におおいかぶさってくる両腕に、されるがままになって。
熱い息、うなじに降りかかる。
あっ・・・
かりり・・・
首のつけ根のあたり、鈍い疼きをうずめ込まれて。
多佳子はギュッと、こぶしを握る。
そうでもしないと、くすぐったくって。
笑いこけてしまいそうだから。
こんなとき、笑っちゃダメ。
また子供だって、バカにされちゃう。
グッと食いしばる歯茎のすき間から、いつか妖しく洩れる吐息はなに?

あー。
身体の力が、抜けてゆく・・・
多佳子の身体は、いつか裏返されて。
古びた天井の木目模様は、間近に滲んだ男の唇にさえぎられる。
うっ・・・
唇のうえ、重なり合ってくる唇は。
獣のように熱い息を吹き込んでくる。

いやだ。うっとうしい・・・生臭いっ。
身をすくめる多佳子を、叔父様はあやすように撫であげながら。
ぐいぐい・・・ぐいぐいと。
男の匂いを吹き込んでくる。
う・・・う・・・うう・・っ
うめきつづけるうち。ふと気がつくと。
叔父様は多佳子のことをギュッと抱きすくめている。
すがりつくような、心細さで。
叔父様が血を吸いたがるのは、喉が渇いているせいではない。
きっと、さびしいから。ぬくもりが欲しいから。
多佳子が血を吸われるのを怖がらないのは。
黒のストッキングのまま、すすんで脚を差し出すのは。
そんな想いに、気づいたから。

少女は男にみちびかれて女になり、
女は、いつまでも甘ったれな男を、甘えさせてゆく。
どれほど歳が、へだたっていても。
女はいつも、母か姉のよう。
男はいつも、幼な児のよう。

髑髏の歯

2007年12月29日(Sat) 23:23:07

はじめに
ちょっぴりほらぁ・・・かもですよ。(^^)

薄暗い部屋のまん中だけが、まるでスポットライトのように明るく照らされている。
向かい合わせに腰かけているのは、若い一組のカップルと、年齢不詳の女。
長い長い黒髪をストレートに垂らし、乳色をした胸もとを大胆に覗かせている紺のロングドレスを、まるで十二単のように着こなしている。
女が掌のなかでもてあそんでいるのは、干からびた髑髏。
若い男女が怖れげもなく接しているのは、女が”髑髏占い”という看板をかかげていたからだろう。
ごらんなさい。
女は髑髏を差し向けて、うつろな眼窩をふたりの正面に向けた。
この眼が、あなたがたの真実を見抜きます。
そして、この歯が・・・
言うなり女は髑髏の歯を二本引き抜いて、
あなたがたの真実に触れてゆきます。
女はやおら立ち上がると、まず男の、そして女の首筋に、手にした歯を一本ずつあてがっていった。
ああっ・・・
ううう・・・っ
どちらともなく、悲鳴をあげると。
ふたりは身体の力が抜けたように、へなへなとその場に倒れ臥した。
ほほ・・・
女はドレスの袖で笑みを隠すと、容赦ない目つきで倒れたふたりを眺めおろす。
この髑髏はね。かわいい息子のものなのさ。
お前たちの若い血を、息子のために恵んでもらうぞ。
女は手にした歯をもてあそびながら、ふたりの身体のあちこちにぎゅう・・・っと、あてがってゆく。
鬼気迫るほほ笑みの下。
男の首筋。胸元。ズボンを軽くひき下ろした股間。
女の頬。うなじ。胸。ふくらはぎを突き刺したとき。肌色のストッキングがぴりりと破れた。

こっちだよ、こっち。
若い男は薄ら笑いをしながら、少女を招き寄せた。
あのときのカップルの片割れが連れてきたのは、家庭教師の教え娘。
おさげにした黒髪の下は、化粧けのない血色のよい頬。
浅黒い健康そうな少女のぴちぴちとした生気を、女は眩しげに見つめていたけれど。
手伝ってもらいますよ。
男のほうにさしずがましい口調を浴びせると。
男は機械仕掛けの人形のように、少女の後ろに立って両肩を押さえつける。
え・・・?
訝しげに男をふり返る少女の頬に、戦慄が走った。
うなじに押しつけられたのは、髑髏から引き抜かれた歯。
しらじらと妖しく光る臼歯は、力まかせにぐりぐりと、生硬な皮膚をえぐるように圧しつけられてくる。
あ、あ、ああぁ・・・っ!
苦しげにゆがんだ少女の顔を、男は小気味よさそうに見おろしている。

ねぇ、こっち。こっち。
カップルの女のほうが連れてきたのは、どうやら友だちらしい。
けれども友だちの彼女のほうは、こういう場が苦手らしく、入り口のところでいつまでももじもじと立ちすくんでいる。
さぁ、ルミちゃん。早くってば!
女はじれったそうに、ルミちゃんと呼んだ友だちを引き入れて、無理強いに椅子に座らせる。
あら、あら。
黒髪の女は余裕たっぷり。長い長い黒髪をそれはつややかに輝かせて。目の前の女の秘めた生気にうっとりと見ほれている。
お名前は・・・ルミ、と仰るのね?年齢は?
あ、はい・・・19歳です。
処女・・・ですね?
女の直截な問いに、ルミはちょっとためらっていたけれど、思い切ったように、そうですと答えていた。
ルミの答えに、じゅうぶん満足したらしい。
女は髑髏をもてあそびながら、歯を一本、また引き抜いた。

ぼう然と佇むカップルは。
まだ、首筋に血をあやしたままだった。
わかったね。これでもう、お前たちは妾(わたし)の奴隷なのだよ。
これからは、若い男女を一人ずつ、連れてくるのだ。
よく御覧。
この歯の一本一本、すべてに、今夜お前たちにしたように、若い膚をあてがうんだ。
そうしてすべての歯に、若い膚が触れたとき。
息子はめでたく、よみがえるのだよ。
男女は無表情に、頷いている。
目元をかすかに、蒼白く染めながら。

目のまえの友だちが、そんなふうにして自分の生き血をひさいでいるなど。
ルミは夢にも思わない。
引き抜かれた歯をまえに、怪訝そうにしていると、
後ろから、リョウコが背中を押してくる。
え?え?何するのよ?
思わずルミが後ろを振り向くと。
女は手にした歯を、やおら差し向けて。
ルミの首筋をかすめ、リョウコのほうへと迫らせていった。
まず、お前が手本を見せるのだ!
びっくりするような大声だった。
縮みあがっているルミのまえ、リョウコのうなじに歯が圧しつけられる。
きゃああああっ・・・
リョウコは柳眉を逆立てて、圧しつけられた歯を取り除けようともがいたが、
女はリョウコに抱きついて、歯をますます深く沈ませてゆく。
ノースリーブのワンピースからのぞいた二の腕に、ロングドレスの女の腕がツタのようにねっちりと絡みついた。
あ、あ、あ・・・
リョウコのうなじから、血が赤黒く、したたり始める。
逆立った眉はぴりぴりとナーバスに震え、苦痛に引きつった唇は、噛み締めた犬歯に血を滲ませた。
それも、一瞬のこと。
うう・・・っ。
リョウコはフッと身体の力を抜くと、へらへらっと笑い声をあげて、その場に尻もちをついていた。

ククク・・・
女は老婆のような含み笑いを浮かべて、なおもリョウコに迫って、服の上から身体のあちこちに歯を押しつけてゆく。
さいごに胸元深く、突き刺すように押しつけた歯を引き抜くと。
薄っすらとした灯火の下、鋭利な糸切り歯が先端に薄っすらと紅いしずくを光らせている。
女はそれをいとおしげに撫でつけると。
恐怖ですくみあがっているルミの目のまえに、歯を見せつけた。
あ、あ、あわわわっ・・・
震え声は、意味のある言葉になりきらない。
どうやら「そんなことはもうやめて」と、言いたいらしい。
女は娘くらいの齢かっこうの若い女の真意に、ゆるくかぶりを振って応えると。
この髑髏はね。かわいい息子のものなのさ。
歯の一本一本に、若い血を含ませてやると。息子はよみがえることができるのさ。
お嬢さん、哀れな母親の力になってくれますね?
ルミは半べそをかきながら、夢中になって、強くかぶりを振った。
あら。
若い女の行動は、女をいたく失望させたらしい。
彫りの深い目鼻にたちまち邪悪な妍を滲ませると。
それでは、お前の友だちから、血を絞り尽くしてくれようか。
女は髑髏の口のなかに手を突っ込んで、一番奥の歯を引き抜くと、
うつ伏せになったリョウコの身体を邪慳に捕まえるて、もういちど歯を首筋にあてがってゆく。
やめて!やめて!お願いだから・・・
ルミの願いに耳も貸さないで、女がリョウコの首筋に歯を圧しつけると。
リョウコはうぅん・・・と、けだるげに声を洩らし、われにかえったように目覚めていた。

お目覚めのようだね。
女が毒々しい囁きを、リョウコの耳元に吹きかけると。
リョウコは無表情な眼で、ルミを見つめた。
針で突き通すような容赦のない眼に、ルミはすくみあがった。
手伝うのだよ。あれはわたしの獲物なのだから。
リョウコは牝豹のように素早く立ち上がると、ルミに襲いかかった。
ルミの身体をねじりあげると、力まかせに頭を傾げさせ、白い首筋を女のほうに差し向けている。
あくまで女の命令に忠実なのだ。
う・・・う・・・うう・・・っ。
観念したように眼を瞑ったルミのまつ毛が、ぴりぴりとおびえを含んで震えつづける。

ホホホ・・・
高飛車に甲高い笑い声。それは女のものではない。
十重二十重にまかれた束縛をだしぬけにとかれて、ルミの身体が床に投げ出された。
なにがおきたのか?
女もリョウコも、部屋のすみの一点を、憎らしげに凝視している。
凝視のかなたから浮き彫りになるように現れたのは、和服姿の老婆だった。
ククク・・・
ほつれた白髪。しわくちゃの顔。
着崩れした着物は薄汚れていて、よく見ると不規則な斑点が赤黒くそこかしこに撥ねている。
うぅ。なにしに来た!?
女は下品なうなり声で、老婆を迎えた。
うめぇことを、しおって。
木乃伊のように干からびた唇は、あざけりを含んで女に報いた。
えー、においじゃあ。
においにつられて、さまよいきてしもうたのよ。
相伴にあずかりとうての。
え?かまわんじゃろ。そなたの飽いたあとならば。
残りはわらわが、全身からむしり取ってくれようぞ。
くくくくく・・・っ。
老婆は身の毛もよだつようなことを口にしながら、いかにももの欲しげにルミの肢体を舐めるように窺っている。
ええ!うっとうしいわ!去(い)ね!去ねっ!
女はロングドレスの腕を邪慳に振るって、まるで結界を張るように老婆にむかって通せんぼをした。
そのしぐさはひどく依怙地で、子供っぽくさえあったけれど、恐怖に我を忘れたルミにとっては笑うどころのさわぎではない。
ルミにとってありがたいことに、女の張った結界は、強力だったようだ。
老婆は苦しげにもがき、袂でなにかを振り払うようにして、後ずさりを始めたのだ。
玄関まで後ずさった老婆は憎々しげに女を睨み、捨て台詞のように言い捨てた。
外で待っとる。女の帰りを襲うには、わらわの勝手じゃろからの!
吠えるように言い捨てると、老婆はサッと玄関から出て行った。

つかの間の安堵が、ルミを和らげる。
その隙につけ入るように、女はルミの傍らに素早く寄り添った。
こわばった頬をなぞるように撫でながら。
聞いたかえ?あの婆は妾の姉なのじゃ。
さもしい姉じゃ。
いちど眼をつけた獲物は、なかなかようあきらめぬ。
だがのう。ひと晩明かせば、そんなこと・・・煙のように忘れてしまうのよ。
なにしろ、すご腕だからね。
べつの獲物に夢中になっているんだ。
どうだね?ひと晩ここで、かくまってやろうか?
あの婆にかかったら、ほんとうに身体じゅうの血を舐め尽されてしまうのだぞ。
それが好みなら、留めはせぬが。
妾もどうやら、そなたに嫌われておるようじゃから・・・のう。
今宵の夜伽は、リョウコに頼もう。
家のなかではリョウコが、そとではそなたが。
肌蒼ざめるまで、血を吸い尽くされる。
それもまた、愉しかろうが。
女の言い草に、ルミは蒼くなってけんめいにかぶりを振る。
ほう・・・?では、ここで夜明かしをするのかや?
血に飢えた歯が、幾本もあるこの家で・・・
いいのかや?
ルミはしずかに、頷いている。

びろうどのように艶を帯びた皮膚。
白すぎもせず、浅黒くもない。ほのかな血色を滲ませた、ぴちぴちとはずむような肌。
非の打ち所もないうなじをさらした女は、まつ毛をぴりぴり震わせながら、息を潜めようとけんめいになっている。
うふふふふっ。
かわいいのう。
女は朱唇に愉悦を滲ませて。いちばん大きな臼歯をより抜いて、女の皮膚にあてがってゆく。
ぎゅうっ・・・
力まかせに圧しつけられた臼歯は、しなやかな皮膚にしっくりと密着して。
すき間からじわじわとバラ色の血潮を滲ませ、したたらせてゆく。

うふふふ・・・ふふふ・・・
はだけたブラウスと、たくし上げられたスカートを身にまとったまま。
ルミはくすぐったそうに、笑いこけている。
半裸に剥かれた若い肢体の上に覆いかぶさるのは、逞しい青年。
干からびた髑髏は若い女の血を吸い取って、生身の男に変じていた。
傍らに転がっているのは、やはり半裸に剥かれたリョウコ。
白目になって気絶していた。
六ぺんも犯されて、悶絶してしまったのだ。
恋人も、納得ずくだったらしい。
よみがえったとき。その場に居合わせた女たちは、だれかれ構わず犯されるのだという。
黒髪の女も、引き裂かれた青のロングドレスから、輝くばかりの裸体を覗かせながら。
息子の精液のついた指先を、チュッと音を立ててしごいている。
さいごに襲われたのは、ルミ。
ただひとり処女だった女は、どうやらほんとうに青年の愛を勝ち得てしまったらしい。
あと2本。血を吸っていない歯があるんでしたよね?
若い女・・・って、いくつまで許されるの?
え?若くなくてもいいの?
じゃあ・・・母と妹を紹介してあげる。
あしたの晩。かならずここに連れてくるわ。
わたしの結婚祝いに、ふたりの血を引き出物にしてもらうの。
どう・・・?いいアイディアじゃなくて?
ホホホ・・・
女はころころと、昏黒の虚空に乾いた笑み声を響かせている。

女房の血を吸ってみたら・・・

2007年12月28日(Fri) 07:39:20

うっ。
喉を衝く、どす黒い衝動のまま。
俺は女のうなじを噛んでいた。
きつく抱きすくめた腕のなか、女は力のかぎりもがいていたが。
ぎゅうぎゅうとむしり奪られてゆく血の多さに目を回して。
すぐに、おとなしくなっていた。

かたわらでほくそ笑んでいるのは、しわくちゃな老婆。
いかにも意地悪げな、人のわるい笑みを、しわだらけの顔に滲ませて。
俺が人妻の血をむさぼるありさまに、見とれている。
ふびんじゃの。
女房の体しか知らんで、わらわに血を吸い尽くされるとは。
さいごの一滴を、俺の体から吸い上げるとき。
老婆はたしかに、そう呟いた。
血を吸うものは、吸われるものの身持ちまでさとるという。
女の身持ちを確かめるため、
吸血鬼にされた俺が真っ先に選んだ相手は、十なん年か連れ添った女房だった。

うっ・・・
どうじゃえ?
人のわるいにやにや笑いが、耳元に迫ってきた。
また噛まれるのか・・・と思ったくらい、間近にきて。
俺の顔色をまじまじと、いやらしそうに窺っている。
応えを返しかねている俺から、ぐったりとなった女体を奪い取ると。
どれ。
って、俺のつけたのと反対側の首筋に、唇とべろを這わせていった。

ククク・・・
あざけるような笑いに、応えるすべもない。
浮気、しておるな。それも、ひとりや二人ではあるまいて。
俺は頭のてっぺんから脚のつま先まで火照るような気分になって、
黙って老婆から女房を奪い返している。
この女。この女。
ごくごく・・・ごくごく・・・
もう、見境なく、喫っていた。
手加減しやれ。
揶揄する声が、ぴりぴり逆立った俺の神経をさらに逆撫でする。

うふぅ・・・
ひと息に、飲んで、呑んで。
女房は相手の正体を知ることもなく、眠りほうけている。
どうやら朝の陽を、生きて目にすることができそうじゃの。
老婆はまだ、にやにや笑いを消さない。
まだ、飲み足りないかや?
薄汚れた着物のたもとを振り上げるように、老婆が指し示すのは。
娘の勉強部屋。

ふふふ・・・ふふ。
くすぐったそうなくすくす笑いを、しいたげるように。
布団の上、転げまわる娘を抑えつけて。
ぎゅうぎゅうと、生き血を吸い取ってゆく。
おイタの罰だ。
嫁入りまえのくせに、もう六人も相手してやがる。
闇のなか、ツヤツヤ光る柔肌に、
何度も何度も、牙を突き立て、引き抜いて。
そのたびに娘は、きゃあきゃあとはしゃぎ声を立てている。

もう・・・だってぇ。
ママが誘うんだよ。あたしの彼氏と寝てみない?って。
ふと、気がつくと。
娘が着ているのは、ネグリジェではない。
胸元に輝く、漆黒のリボン。
ひざの周りを重たげに流れるのは、濃紺のプリーツ。
パパ、セーラー服好きなんでしょう?
だからこうして、待っていたのよ♪
長い黒髪を解き放った娘は、挑発するようにしなをつくる。

罰だ。罰だ。
俺はひたすらそううめきながら。
それでもどういうわけか、
わけのわからないほど、昂ぶってしまって・・・
淫らな母娘に、罰を与えつづけてゆく。
妖しく染まった血潮の味に、いつか酔いしれてゆきながら。

淫ら部屋

2007年12月28日(Fri) 07:14:29

夜更けの我が家は、淫ら部屋。
帰宅が深夜になった日には。
とても、まともには入り込めない。
いつもは妻の叱正と、ぶーたれる娘の声とが満ちあふれ、
掃除機の音。洗濯機の音。騒がしいテレビ番組の殺風景な雑音が。
月の澄んだ夜空の下、いっさいが静まり返って。
ひたすら秘めたひそひそ声と。
こらえきれないあえぎ声とが。
雨戸ごし、切れ切れに洩れてくる。
夜這いを仕掛けてくる吸血鬼どもの正体は。
はす向かいの好々爺のご隠居や、
お隣のお人よしの寝取られ亭主どの。
示し合わせたように、代わる代わる。
今夜は上のお嬢さん。
じゃあ私は奥さんを頂戴しようか。
末っ子娘の○子ちゃん。このごろ色気づいてきたよね・・・?
今夜は相手を交換しようか。
面白いね。そうしよう。
ご近所の垣根ごし、そんなやり取りが囁かれる。
淫ら部屋。淫ら部屋。
あえぐ妻も。
恥らう娘も。
淫ら部屋。淫ら部屋。
雨戸におおわれた闇は、何気ない日常を妖しく変える。
淫ら妻。淫ら令嬢。
そして覗いている亭主の私も、つい淫ら・・・


あとがき
あ~。(><)
朝からまったく、なに描いているんだろう?(笑)

あっぷ。あっぷ。あっぷ。・・・。

2007年12月26日(Wed) 07:11:30

あっ、これは・・・
女房の目を盗んで開く、エッチな画面。
とあるサイトの片隅の。
「着衣のエロス 秘められた人妻の柔肌!」
とかいう、陳腐なタイトルのページ。
タイトルはともかくとして。
ダークグリーンのスーツに身を固めて、小首を思わせぶりにちょいと傾げた女の画像。
よく輝く大きな瞳。彫りの深く、それでいて奥ゆかしさをよぎらせた目鼻だち。
頭の後ろにきりりとひっ詰めて、ポニーテールを背中に垂らした黒い髪。
それになによりも、新調したばかりの深緑のスーツ。
どれひとつとっても、女房じしんではないか。
いったいどうしてこんな・・・っ。
自分の妻がエロサイトの画像のひとつになっていたら。
どんな亭主だって、動転するだろう。
けれどもじっさい、よく撮れている。
楚々とした風情は、いつも見慣れた妻ばなれしているし、
きもちほつれた黒髪は、きっとわざとの演出だろう。
ふだん滲ませるよどんだ疲れの色さえもが、どこか悩ましげなフェロモンを漂わせていた。

写真はどれも、着衣姿。
どれも、これも、一枚の例外もなく、しわひとつ見せない着衣姿。
いったいこんな写真のどこに欲情するというのだろう?

そう思い込んでいるあなた。まだまだ、シロウトですね・・・

撮ったやつのそんな呟きさえ、聞えてくるようで。
なんの変哲もない画像の数々に、オレは却って視線を浮わつかせて。
狂おしい妄想を、ぐるぐるめまぐるしく、かけめぐらしはじめている。
オレは画像の一枚一枚を、隠しフォルダに保存してからサイトを閉じた。
右クリックで落としてゆく手がかすかに震えたのを、笑えるものはいないはず。

翌日のこと。
オレは女房が寝入るのを待ち構えて、あのサイトを開いていた。
「着衣のエロス 秘められた人妻の柔肌!」
陳腐なタイトルは、そのままで。
けれども早くもパート2が、できあがっている。
画像なかの女房は、ゆったりと思わせぶりに笑んでいて。
熟女のゆとりを、婉然とただよわせていた。
その笑みの下、ほっそりとした指たちがまさぐるのは、ブラウスの襟首。
あっ。
胸をはだけている。それも、自分から・・・
画像は別の機会に撮られたらしい。
純白のブラウスは、きのうといっしょだったけれど。
ジャケットはなく、腰に着けた紺のスカートは、すそをしどけなく乱していて。
フローリングにぺたりとしりもちをついたまま、
脛を一対、見るものの面前にさらけ出している。
ふだんは脚に通すのを見たこともない薄い黒のストッキングが。
見慣れたむっちり脚を、じわりと淫らな色に染めあげている。
オレはまたしても、画像の一枚一枚を落としてゆく。
震える手に、昂ぶりを込めながら。

そのまたつぎの晩。
女房は頭が痛いといって、久しぶりの夜の誘いを振り切って、寝てしまった。
オレは昂ぶるものを抑えかね、独りパソコンのまえに向かっている。
ひらいたページは、一新されていて。
淡いブルーのブライトな背景が一転して、毒々しい濃い紫に変えられている。
目指すところは、そのページのほんの片隅。ごく目だたない小さな画像のバナー。
小首を傾げたポーズに、はっとして。
あわててクリックしたのは、ついおとといの晩のこと。
けれどもそのページは、どこにも見つからない。
「着衣のエロス 秘められた人妻の柔肌!」
どこだ?どこだ?どこだ・・・?
ページのあちこちをクリックして。それらすべてが徒労となって。
ふととあるページを開いてみると。
ムードたっぷりな字体が、すべてを物語っていた。
「人妻 開花」
ああ・・・
まぶたを羞ずかしげに、キュッと閉じて。
そむけた横顔に、さりげない愉悦を滲ませて。
スリップ一枚の女房は。
見たこともないガーター・ストッキングの脚を、おおまたにひらいていて。
薄墨色になまめかしく染めあげられた脛と。
あらわに輝く太ももと。
鮮やかなコントラストを横切るガーターの、ツヤを帯びたてかりと。
包み込んだ貞操を、あらわな輪郭にかたどるタイトなパンティは。
ぎらぎらとした紫色を、誇示するように輝いていた。

つぎの夜も。またつぎの夜も。
日替わりになってゆく女房を。
日を追うごとに大胆に肢体をさらけ出す女房を。
オレは狂おしく、追いかけていた。
アップしているヤツは、いったいどんなやつなんだろう?
まるでオレが見ていることを知っているかのように。
見ているオレを、あざけるかのように。
これ見よがしに、女房の挑発画像を新調してゆく。
決定的な数葉が載ったのは。
週末の夜のことだった。
「人妻 堕ちる」
そんなバナーを、震える手でクリックすると。
そこは見慣れた、リビング・ルーム。
ペルシャ風のじゅうたんに、こげ茶のソファー。
木目もようのテーブルの上には、アンチークなランプ。
まさに、この部屋ではないか・・・
オレは慄として、あたりを見回した。
間違えようもない。
テーブルの木目さえ、ぴったりと一致している。
その木目もようのうえ、女房はだれかに組み敷かれていて、
黒一色のフォーマルウェアから、おっぱいをまる見えにされている。
悩ましい面差し。キュッと閉じられたまぶた。
かすかな震えさえ伝わってくるような、ナーバスな長いまつ毛。
静脈の透けるほど白い肌は、漆黒の衣装に映えて、エロチックなコントラスト。
ああ、そう。二枚目があった・・・

二枚目こそ。見ものだった。
揉みくちゃにされたブラウスと。
腰までたくし上げられたスカートと。
ガーターに区切られた上と下。
なまめかしい気品漂わせる薄手のナイロンと。
眩しいほどに目を吸いつける白い臀部と。
黒のレエスのパンティから、かすかにはみ出た体毛と。
ああ・・・もうこのへんで、やめておこう。
けれども、クリックする指は、もうさいごの一枚を求めていた。

ああ。
決定的だった。
ここは我が家の、台所。
裸体をじかにおおっているエプロンは、妻好みのストライプもよう。
エプロン一枚に、黒のガーター・ストッキング一枚。
身に着けているのは、ただそれだけで。
あくまで貴婦人らしさを主張するナイロン・ストッキングの下肢は、それでも本能のおもむくまま、。
裸エプロンの奔放さそのままに、放恣に開かれていて。
はっきりと沈み込んだ男の腰は、きっと女房の奥の奥までまさぐり抜いてしまっているはず。
ある一定の深度と角度とが、あらぬ想像をたしかなものにした。
びゅうびゅうと・・・注がれてしまっているのだろうか。
女房のやつ、あんなにキモチよさそうに、口許ゆるませちまって・・・
気がつくと、オレの手はズボンのなかをさぐっていた。

御覧になったわね?
部屋のすみから投げかけられる声に。
ぎくりとして、振り向くと。
ブラックフォーマルに、黒のストッキング姿の妻は、薄っすらとほほ笑みながら、歩みをこちらへ進めてくる。
しずしずと、楚々とした透明感をたたえた脛を進ませてきて。
娼婦に、堕ちてしまいました。
深々と、頭をたれる。
いつもきりりと結い上げている黒髪は、すこしすさんだほつれを見せていて。
つややかな輝きが、かえってふしだらなものを増幅させているようだった。
思わず飛びかかって、剥ぎ取る衣装の下。
画像そのままのレエスのスリップと、ガーター・ストッキングに。
理屈ぬきで、欲情している。
びゅうびゅうとほとばしらせたのは、ほんとうに久しぶりのことだったけれども。
この女はどれほど頻繁に、おなじ色をした液体をそそがれつづけているのだろう?
つづきが、見たいね・・・
囁くオレに。
うん。見てね♪
女房は初めて安堵したように、こんどこそ淫靡な娼婦となって挑みかかってきた。
あのひととは、別れない。こっそり盗んでさらすのが、好きなんだって。
そんな勝手な言い草に、憤慨よりも劣情のほうがまさった夜。
顔だけは、隠せよな。アブナイだろ・・・
だから、愉しいのよ。
女房のほつれ髪を震わせてへらへらと笑う女房が、むしょうにいとおしくって。
あいつとどっちが、いいんだ?
いっそうの力をこめて、抱いている・・・


あとがき
やっぱ顔出しだけは、やばいと思いますけど・・・。(^^;)

奥さんの写真、撮らせてもらえますか?

2007年12月26日(Wed) 06:25:27

奥さんの写真、撮らせてもらえますか?
写真館の主、緑華堂にそう囁かれたら。
すべてがおしまい。。。
一日妻を行かせると。
見返りに撮った写真をまるごとくれるのだが。
あ~、やっぱり姦られちまった。
どこのご主人も、洩らすため息はおなじ。

どうです?結婚十周年のお祝いに。
わざわざ女房のまえで、そんな囁きすることはないだろう?
その瞬間オレはぎくりとして。
しわくちゃな老人顔をした緑華堂のことを、思わずにらみつけてしまったが、
時すでに遅し。
女房はウキウキと乗り気になって。
スーツ新調したのよ。ばっちり撮ってもらわなくっちゃ。
あなた。いいわよね?

奥さん仲間のあいだで、噂になっていないはずがない。
あそこの写真館は人妻を迎え入れると、スタジオは淫ら部屋に早変わりするのだと。
おい。おい・・・
それとなくたしなめようとするオレを尻目に。
女房殿はウキウキとして、真新しいサテンのスーツの袖を通してゆく。
足許を彩るのは、ついぞ見かけないぎらぎら光る黒のストッキング。
お前、そんなやつ持っていたっけ?
口にするいとまもないほどに。
女房は得意そうに、言ったものだ。
気合い、入れなきゃ♪綺麗に撮ってもらいたいし。
ほ~ら、見て♪
無邪気にブラウスはだけて見せつけられたのは、
ぴかぴか光る黒のスリップ。
じわりと浮いたシルクの光沢が、むっちりとしたおっぱいを、妖しい輝きで包んでいた。

ほら、ほら。ほ~ら♪
三時間後、戻ってきた女房は。
まるでオレを挑発するように。
一枚、一枚、写真を見せびらかしてくる。
無関心を、装いながら。
けれどもそんなポーズはすぐに見抜かれていて。
いつか、女房と額をあわせるほどにして。
トランプのカードみたいにもったいぶってめくられてゆく一葉一葉に、見入ってゆく。

さいしょはただの、着衣姿。
思わせぶりなポーズは、自分からとったのだという。
どお?決まってる?
女房の得意そうな呟きが、いつになく腹立たしい。
そのうちいつか、セミ・ヌードにかわっていって。
ブラウスの襟首が、ちょっとはだけたり。
スカートを気持ち、たくしあげたり。
鼻から上がわざとカットされている立ち姿は。
ぎらぎらとしたストッキングの光沢を、娼婦のように滲ませていて。
笑んだ口許も得意げに。
スリルたっぷりの遊戯を愉しんでいる。

ねー、ここからが本番よ。
ホンバン・・・どういう意味で使っているんだよ?
咎める視線を、心地よげに受け流しつつ。
トランプのカードはまた一枚、めくられてゆく。
ブラウスの釦を、ぜんぶはずして。
ストッキングを、ひざまでおろして。
いやいや、片脚は完全に、脱いじゃって。
片方の脚だけ、ハイソックス丈ほどに、淫らに濡れるように足許を彩っていて。
たるんだナイロンが、はだけられたブラウスが。すそのめくれあがったスカートが。
ふしだらな雰囲気をよけい、ひきたてている。
あげくの果ては・・・
おおまた開き。
縛り。
ろうそく責め。
さいごはもう、お定まり。
髪振り乱しての、ベッド・イン。
さいごの一枚。
男の裸体が、おおいかぶさっていた。
しわくちゃな老人顔のふだんとは似ても似つかない、若い身体。
これは、だれ・・・?
恐る恐る、たずねると。
写真師さんよ、と、とうぜんのような答えがかえってくる。

ほっほ。奥様、いいノリでしたぞ。
目のまえの写真師は、どう見ても好々爺にしか映らない。
こんな爺さんが、赤ら顔をして迫ってくるのを。
女どもはどうして、避けようとしないのだろう?
手ずから淹れたコーヒーカップを三つ。
カチャカチャ響く器の音が、妙なリフレインを呼んでいる。
傍らの女房とふたり、顔見合わせて、カップを手にとって。
女房はオレの、オレは女房の。うなじのあたりにどす黒い痕を盗み見ている。
そこから理性とともに吸い出されていった血液は。
ひと刻、目のまえの写真師の臓腑を暖めたはず。

ごりやくはね。三日ともたんのですよ。
緑華堂は、なんとも申し訳なさげにつぶやいた。
せっかくあんなにもてなしてくれたのにねえ・・・
悲しげにうつむく風情に、引き込まれるように。
あなた、いいわよ・・・ね?
女房は有無を言わせぬ態度で、オレに同意を求めると。
さ・・・どうぞ。
って。
黒のストッキングの脚を、スーツのすそからさらけ出してゆく。
あ~あ・・・オレのまえでまで、そうするの?
口にしかけた抗議は、声にならない。
女房の足許にかがみ込んだ老写真師の唇が、ヒルみたいにぬめるのを。
オレは息を詰めて、見守るばかり。
つけられたうなじの痕を、じんじんと疼かせながら・・・
女房のやつ、余裕しゃくしゃくに。
ふんぱつして、あちらのブランドもの買ったんですよ。
破くまえに、たっぷり愉しんでくださいね。
ころころと笑いこける声だけは、少女のように無邪気だった。

堕とされてゆく。堕とされてゆく。

2007年12月23日(Sun) 07:34:43

堕とされてゆく。堕とされてゆく。
キリッと装われた礼装に。
およそ不似合いな荒縄を、ぐるぐる巻きにされていって。
白いうなじにあてがわれるのは、血に飢えた唇。
たんねんに。たんねんに。
笑みを含んだ唇は。
触れて、吸いついて、這い回って。
妻の素肌を、狂わせてゆく。
思惑どおりに、悩ましい色に染まった人妻を。
やつはむさぼるように、啖ってゆく。
生き血を吸い取り、衣装を乱して、引き裂いて。
己の奴隷として、支配してゆく。
妻はきりりと眉を逆立てて。
形ばかりの抵抗を試みるけれど。
プロのまさぐりのまえにはなすすべもなく、
堕ちてしまう。堕ちてしまう。
すべては、一場の夢―――
そう割り切るのだよ・・・と、ヤツは囁いた。
囁きながら。
きみの奥さん、いい体しているよね。
そんなふうに、わたしを挑発することも忘れない。
堕ちてゆく。堕ちてゆく。
そんな妻を見るのが。
専業主婦の日常とはかけ離れた妻を、ふすまのあいだからのぞき見るのが。
いつか、ヤツを迎えるときの慣わしとなっていた。
便利な奥さんだぜ。もの分かりのいいダンナだぜ。
ヤツがそんなふうに、うそぶいたとしても。
軽いあざけりにさえ、巧みに親しみをこめてゆく、にくい男。
きみとは、奥さんをとおしてつながっているんだよ。
きっと、ウマが合うんだろうね・・・
そう、きっと。そう・・・
踏みしだくように妻を辱め抜いてゆくきみは、絶好のパートナー。


あとがき
またまたなんだか・・・ですなぁ。(^^;)

夕べのかたは、大きかったですね。

2007年12月23日(Sun) 07:07:58

お義母さま、長いのね。
由貴子さん、若いのね。
閉ざされたふすまのまえ。
妻は、姑のことを。
母は、嫁のことを。
ちょっとうらめしそうに、つぶやいている。
吸血鬼の定宿と化した我が家。
彼らは夜更け、ひっそりと訪れて。
妻や母の血を吸い、交接を遂げてゆく。

夕べのかたは、大きかったですね。
まるで世間話でもしかけるように、さりげない口ぶりの母は。
眉ひとつ動かさずに、おっとりと嫁に声かける。
いやですわ、お義母さま。わたくし、わかりませんでした。
くすくす笑いながら受け応えする妻は、
しとやかさをとりつくろって口許を手でおおう。
あら。おわかりにならなかったの?由貴子さんは見聞が広いようね。
モット大キイヤツヲ、ドチラデ体験サレタノカシラ
母はそう言いたげにしながら、私のほうをふり返る。
ヨシオさん。いけませんよ。気をつけてあげなくちゃ。
ぼやぼやしていらたら、由貴子さんがふしだらになってしまいますよ。
あら。
妻はくすくす笑いをおさめきれない・・・という風情で。
わたくし・・・この家の嫁として、お義母さまについてゆくだけですわ。
まぁ、まぁ・・・
さすがの母も、笑いこけて。
夕べの余韻まで、ただよわせはじめる。
居合わせた父は、目のやり場に困る私に苦笑いを投げてきて。
おなじ立場の男ふたり、笑いさざめく互いの妻に、苦笑をもって報いるばかり。
和やかな朝餉。
もういくたび、こんな朝を迎えたことだろう?

化粧落とし、持ってきて。

2007年12月22日(Sat) 09:02:57

1.
困ってるんです。
ほんとうに、困り果てているようすが、かわいくて。
事情を聞くと、おやすい御用。
だいじな書類を、シュレッダーしちゃったんだって。
そういうのをごまかすのは、大の得意という蛭田くん。
さっそくうまくとりつくろってあげて。
感謝、感謝の女の子を、さりげなくいつもの別室に連れ込んで。
あたりに人がいないのを見計らって、やおら本性さらけ出す。

きゃあっ。怖い・・・怖いです・・・
女の子はもう、半泣きで。
ひたすらかぶりを振って、いやいやをして。胸の前に手を合わせて。
ごめんなさい。そういうの、ダメなんです。お願いですから、見逃してください。
髪震わせてひたすら哀願するようすが、なおさら初々しくって。
ごめんね。きみ。でもボクももう、あとに引けないや。
正体を知ってしまった以上、きみもボクも、ひとつ運命になるしかないのさ。
蛭田くんはドキドキ、わくわく胸わななかせながら。
女の子の肩を捕まえて。
ちょっとだけ痛いけど・・・さいしょのうちだけだから。ガマンするんだよ。
そむけられた顔。キュッと閉じられたまぶた。がくがく震える、白ストッキングの脚。
どれもこれもが、いとおしくって。
つい、股間を昂ぶらせちゃって。
なだめ言葉ももどかしく、
かりり・・・
彼女のうなじを、噛んでいる。

やだっ。やだっ。お嫁にいけなくなっちゃう・・・
いまさら、なんて古風な子なんだろう。
思い切り抱きしめた腕のなか。
女の子はいっそう硬く、身をすくませる。
吸い取られてしまう血の量を、なんとかそんなことで加減できると思っているのだろうか?
涙声の下をくぐり抜けるようにして吸い出した血は、まぎれもなく処女の味。
いまどきほんとうに、珍しい。
こないだエジキにしたのは、すんでのこと蹴られそうになった奈津子の妹分ども。
テーブルの下、追いこめられて。
せぇの、せっ!で、ハイヒールで蹴られそうになって。
一発逆転、モノにしてはみたものの。
なんと処女率、0%・・・
さすがは奈津子の妹分・・・って、感心するわけないだろう?
だからなおさら、はぜるほど渇いた喉に。
この子の血潮は心地よかった。

ひどい。ひどい。
ブラウスに撥ねた血を、悔しそうにハンカチで拭おうとして。
ぺたりと腰かけた椅子の下
透きとおるほど薄いストッキングを穿いた足許に、かがみ込んでいって。
白のストッキングが光沢をよぎらせて、初々しく輝くひざ小僧のまわり。
よだれたっぷりのべろを垂らして、思いっきりねぶりつく。
ああ!もう・・・やめて・・・っ!
この子、なかなか酔わないな。
酔わせて、ふらふらにして、くたりと倒れ臥してからが、お愉しみ。^^
白のフレアスカートのすそ、もみくちゃにして。
スカートの奥まで、味わってしまおう。
いやまてよ・・・いちどで尽くすのは、もったいないかな?

くらっ。
めまいがした。
女の子が・・・ではなくて、めまいの主は、蛭田。
一瞬のこと。ぐらーんと、身体が傾いていって。
さいごに意識したのは、おでこを床で、したたかに打ったこと。
・・・・・・。
・・・・・・。
かわいいわね。いつもいつも。
初々しい髪型の下。
スッと冷めた頬に、じわりと笑みを滲ませるのは。
かつてこの会社に、秘書としてもぐり込んでいた女。
たおやかなその身をめぐる血潮に秘められた毒を、消し去りかねている女。
白鳥秘書・・・自らの名を社員の記憶から消し去ったのは、彼女自身。

2.
ふーん。
理科の先生が、ビーカーのなかの化学反応でも見るような目をして。
じっと顔を見つめてくる。
意識が戻って、美貌の主に、いきなりそんなことをされたなら。
どんな男の子だって、どぎまぎしてしまうことだろう。
ましてそれが蛭田ときた日には。
をろをろ、そわそわ・・・って。
うろたえきっているようすに、顔を覗き込んだ女も、かたわらに控える女も、
くすくす、げらげら、つつしみなんかかなぐり捨てて笑い転げている。
理科の先生は、ひさしぶりに見る知的な美貌をいっそう輝かせていて。
髪の毛をちょっと、茶色く染めて。
見慣れない金ぶちメガネの奥、あの魅惑的な瞳を、きらきらと輝かせて。
少年のような好奇心を、あらわにする。

気付け薬は、いらないようね。
岬さん、もういいのよ?
理科の先生は、かいがいしく胸をはだけた奈津子を制すると。
あなたの血は、この子なんかにもったいないから。
って。
きらきらとした知性を吹っ飛ばして、もういちど笑い転げた。
当社きってのキャリアレディにして、史上最年少の女性重役。
女史と呼ばれ畏れられる鳥飼さんが、こんなにもあけっぴろげに笑いをはじけさせるのは。
たぶん、このふたりの前だけだろう。

久しぶりの美貌に、陶然となりながらも。
どうしてこんなに、笑われなくっちゃならないのか。
蛭田には、どうしても、ぴんとこない。
そりゃ、ボクはみっともないキャラですよ。
だけど、だけど、いきなりそんなに笑うなんて・・・
内心じくじくしている蛭田の顔色を察すると。
女史はその思いを一発で吹き飛ばす妙案を持っていた。
岬さん、鏡持ってきて。
まだ、くすくす笑い崩れながら。
女史は奈津子の持ってきた化粧直し用の鏡を蛭田に向けた。
それは、ドラキュラに突きつけた十字架ほどの効果があった。
ぎゃああああっ・・・
蛭田の絶叫に、女たちはもういちど、爆笑をはじけさせた。

これが・・・ボクの・・・顔?
鏡に映っているのは、まぎれもなく女の顔。
それも、どこかで見た覚えのある美女の顔。
たしかこのひと・・・うちの会社で秘書やっていたような。
かわいい子。ちょっとイタズラ、してあげる。
遠くなった意識のかなた。
まるで鼓膜を毒液に浸されるような、甘美に濡れた、ねっとりとした声。
いまごろになって、じんじんとよみがえってきた・・・
巧みに刷かれた化粧は、なつかしくもあるその女(ひと)の面貌を
たしかにうり二つに再現ようとしていたけれど。
けれどもごつごつとした顔の輪郭と。
くっきり太い濃い眉毛は。
巧妙なメイクそのものを、裏切っている。
だれの血を吸ったんだか、よぅくわかったわね?
女史のささやきに、がっくりと。蛭田ははっきり肩を落とす。
困った女の子を助けてあげるのは、見あげたことだけど。
見返りを要求したら、そこですべてが終わるのよ。わかった?
まるで母親のようにさとされる傍らで、
奈津子はまだ、くっ、くっ、と、笑いの余韻をこらえかねている。


岬さん、化粧落とし取ってくれる?
あぁ、やっと開放されるんだ・・・
顔の皮膚から空気をさまたげる、ごつごつとこわばった化粧が、いまさらながらうっとうしい。
ファンデーションなるものの正体は、これなのか。
女の装いの裏側。
まるで手品の種をみせられたよう。
これはたしかに、苦しいや。
化粧直しのさいちゅうの女を襲うのだけは、やめとこう・・・
そんな殊勝な決意をしたときに。
女史は透きとおった頬に、意地のわるい微笑をじんわり滲ませる。
岬さん、そこの基礎化粧品も、お願い。

そおら、できあがり。
鏡のなかの自分は、もっと”美しく”されている。
おいおい・・・みんなでそこまでなぶるの?
蛭田が泣きを入れようとすると、女史はすかさず彼の心を読んでいて。
あら。感謝してもらいたいくらいだわ。ねぇ、岬さん。このひと、きれいでしょ?
ウン。
奈津子までもが、おおまじめに頷きかえしている。
よく見ると・・・鏡のなかの自分の貌は、女史とうり二つの輝きを帯びている。
はい、メガネ。
女史愛用の銀ぶちメガネをかけると、できあがり。
即席女史の、できあがりね。
奈津子がおどけると、さすがに女史は「こら」と奈津子をたしなめたけど。
すこしくらい、私たちのイタズラにも付き合ってもらわなくちゃね。
こっち来なさい。
囚われの蛭田。そこにはもう自由はない。

悪いようには、しないから。
女史のことばをいっしんに信じて。
信じて信じきっているうちに。
これ、私が若いころ着ていた服なのよ。
髪型、もうちょっとアップにしたほうが、女史に似ますわよ。
女ふたりは、蝶ちょが花と戯れるよう。
蛭田の周りを、ひとまわりふたまわりして。
サナギを蝶に、変えてゆく。

ニッと、笑ってみる。
ツンと、取り澄ましてみる。
きりりと、頬を引き締めてみる。
どう見ても、女史の顔。
それも若いころの、いっそう輝いた女史の顔。
すばらしい・・・って、奈津子がほめたのは。
蛭田の顔では、もちろんなくて。女史の腕前そのものに過ぎなかったけど。
それくらいに見栄えのする化粧だった。
男子社員をね。こうやって別会社に、女性秘書として送り込んだこともあるのよ。私。
女史はちょっぴり得意げに笑いながら。
でもこれは、禁じ手。いまのわたしなら、そんな姑息なことはやらないわ。
でも若いころって、自分の腕や才能を、なにかにつけて愉しみたくなるものなのよね。
女史はちょっと悩ましげに、長いまつ毛を震わせる。
この悩み・・・あなたになら、分かるでしょ?
そんなふうに見つめられて。
奈津子はうっとりと、頷きかえしている。

コツコツ・・・カツカツ・・・
宴会ではたしかに、女装して芸をやったこともある。
なによりも、女に身を寄り添わせるうちに。
女の身体から、生き血を盗み取ってゆくうちに。
たいがいのことは、わきまえ身に着けるようになった男。
ふつうならけつまずいてしまうような、かかとの高いハイヒールも。
蛭田は苦もなく、穿きこなしている。
まるで女史そのものになったように、カツンカツンとヒールの音を響かせて。
闊歩するのは、オフィスの廊下。
ばれるかばれないか、賭けてみようよ。
女史が奈津子をつっつくと。
ばれないと思うけど・・・じゃあ私ばれるほうに賭けますわね。
どこまでも可愛い、娘分だった。

いつものオフィスに顔を出しても。
それが蛭田だと気づかない周囲の連中は。
よどんで疲れきった空気のなか、いつもと変わりなくお仕事に励んでいる。
あの間々田にしてからが、ワイシャツ一枚のたくましい胸を突き出すようにして、伸びなんかしちゃって。
新来の”女”になんか、目もくれないで、お堅く構えきっている。
コツコツ、ツカツカ・・・
得意になって歩き回るオフィス。
さすがに周囲の連中も、異分子の存在に注意を払い始める。

オイ、あれ・・・だれだ?
さぁ。でも美人だな。
間々田んとこの、クライアントだろう。
いや、ちがうって。そうだったらあいつがちゃんとお世話するもん。
じゃー、いったい・・・?
女史の娘じゃないか?そっくりじゃん。
あっ!そういえば。
身のこなしや歩き方まで、似ているぜ。
ご本人にしちゃ、若すぎるもんな。
だれか、声かけてみろよ。
えー、だって・・・
女史とはかかわりたいような、かかわりたくないような。
しかけてみたいような、しっぺ返しが怖いような。
男子社員のあいだに漂う、ためらいの空気。

蛭田は内心、得意である。
女史の仮面をつけたまま。
みんなのまえ、ストッキングの脚をさらして歩き回る、いつものオフィス。
けれどもさすがに、おなじ課のAが前に進み出てきて、
あの・・・って、ためらいがちに声かけてきたときは、びっくりした。
さすがに声までは、変えられていない。
ちょっと顔をしかめてみせて。
相手が失望と安堵を同時に滲ませて見送る視線を感じながら。
落ち着き払って、オフィスをあとにする。

よくできました。
役員室のなか。女史はぱちぱちと軽く手を叩いて。
蛭田の労をねぎらった。
もう。早く落としてくださいよ。
そうね。
じゃ、岬さん。化粧落とし持ってきて。
それと・・・そこのファンデーションと、口紅と・・・
ええええええっ!?
真顔になって指示をつづける女史のまえ。
蛭田はほんとうに、女の子みたいにすくみあがった。

きょうはもう、お仕事あがりにしていいでしょ?
(どうせたいした仕事があるわけじゃなし)
女史の顔には、そう書いてある。
早退届、出しておきました。
奈津子の処置も、ソツがない。
じゃあこれから、ホテル行きましょ。
特等席、とっておいたわ。
そこでふたりで、このまんまの格好で。
いつものように、遊ぶのよ。
出張先(むこう)で写真術、覚えてきたの。
さっそく試してみたいものだわ。
若いときは、自分のウデや才能を、なにかにつけて愉しみたくなるものね・・・
ふふっ、と得意げに笑う女史のまえ。
奈津子は示し合わせたように、笑み返す。
賭けに負けた奈津子は、蛭田とのプレイの撮影権を女史に譲り渡したらしい。
女史と乱れているみたいで・・・昂奮できそうですわ。
相手が蛭田くんでも。
くすっと笑って、可愛く肩をすくめる奈津子を。
女史はじつの娘のようにいとおしげに見つめている。

ホテルのロビーに降り立ったのは。
きりりとしたスーツに装った、三人の女。
母娘らしいひと組と。娘のほうと同年代のOLふうの美人。
はた目にはきっと、そう映ったことだろう。
ラウンジの窓ごしに、アップル・ティーを啜る女は。
ウキウキとエレベーターの向こうへと消えて行く三人の影を目で追いかけて。
また・・・やられてしまいましたわね。
わたくしも、覗いてみたいくらだいだわ。
心の中で、そっとつぶやいている。
秘めている妍が、いつになく和らいでいて。
女はおだやかに笑みながら、カップをもてあそぶ。
体内の血に、猛毒を秘めた女。
あの子に血を吸われると毒の濃度が下がるみたい。
ふふふ。
また、愉しませてね。蛭田くん。
女はティー・カップごし、三人を見送ると。
さいごのひと口を飲み干して。
つやつやと輝く光沢入りのストッキングの脚を、退屈そうに組みなおした。

寝取られ川柳

2007年12月21日(Fri) 07:40:09

参ります いってらっしゃい さりげなく
悔しいね もったいないねと こぼしつつ
ドア開き 妻を浮気に 送り出す
パンストの てかりも濃くて なまめいて
スカートの すそひるがえし ドアを出る
行く先は にくい男の 待つ褥

じりじりと 朝の帰りを 待ちわびる
いまごろは 何されてるか 妬ける刻
ひっそりと 主なき服を 抱きしめる
残された 妻のパンスト 艶を帯び
たまりかね 身体に通す 妻下着
写メールに ごちそうさま♪と 書いてあり
おめでとう 返すメールに 愛を込め

るんるんと 鼻唄交じりに ただいま♪と
どうだった? 聞きかねるまえ 語り出す
よかったよー♪ おいしい体験 またさせて♪
浮気妻 ぜひそう呼んでと せがまれて
食べさせた 妻の操は 帰らない
だれの腕 まさぐられても いとし妻


あとがき
なんだかなぁ・・・。(^^;)

娘には、もう逢わないで

2007年12月18日(Tue) 07:14:05

娘の血を吸うのは、やめてくださいっ!
目のまえの女は、ノーブルな目鼻だちに柳眉を逆立てている。
地味な薄茶色のスーツに、純白のブラウス。
やや、とうがたってはいるものの。
惹きつけられた面差しは、母親譲りなのだと実感するほどに。
オレはすっかり、魅了された。

目のまえの男が、吸血鬼で。
お目当てにする生き血が処女のものばかりではない・・・って気がついたときには。
お母さんはもう、オレの腕のなか。
じわりと滲ませてやった痕は、吸い残した血潮をまだあやしている。
さすが、マユミちゃんのお母さん。
おいしい血を、宿しているのだね。
いかにも魔物っぽい、言い草に。
お母さんは目じりにまで、恐怖を滲ませて。
うっ、うう・・・っ。
呻きながら、後ずさりをするけれど。
もう・・・遅いって。^^
ぐるぐる巻きに、縛りつけて。
部屋の隅っこに、転がして。
さぁ。お愉しみの、はじまり、はじまり。
娘さんのハイソックスは、愉しかったけど。
お母さんのストッキングは、もっと面白そうだね。^^
フラチなよだれを、ぬらぬらさせて。
オレは肌色のストッキングを履いたお母さんのふくらはぎに、唇を吸いつけてゆく。
すべすべとした舌触りのナイロンが、しわくちゃに波うつほどに・・・

ママのこと、襲ったの!?
マユミは、母親譲りの柳眉を逆立てて。
オレのことを詰問したけれど。
そうじゃないよ。ご自分から、いらしたんだよ。
だって・・・縛ったそうじゃないの。
自分から縛ってくれって、頼み込んできたんだよ。
初めてだから、取り乱すといけないから・・・って。
見え透いたウソに、マユミはぷっとふくれたけれど。
ママのより、あたしのほうが美味しいわよね?って。
いままであれほどイヤがっていた唇に、自分のほうから素肌を押しつけてきた。
ちゅう・・・っ。
うん。旨い。やっぱり若い子は、いいなあ。
陶然となったオレのまえ。
娘は思い切り良くスカートのすそをさばいて。
いつもハイソックスを履いている脚を包んでいるのは。
てかてかとよく光る、黒のストッキング。
いいこと?あたしだって、オトナなんですからね。
声がかすかに、ひきつったのは。
笑み崩れてゆるんだ唇が、薄手のナイロンをむたいに波立ててしまったから。

娘にはもう逢わないで。
ママのことばっかり、ズルイ!
間に挟まれたオレは、困惑しきりのていをよそおって。
いまでは公園の隅っこのベンチで。
ふたり、仲良く脚を並べて。
熟したふくらはぎと、ぴちぴちとした太ももと。
代わる代わる、ストッキングを波だててゆく。

姦られちゃったね。母さんも。まゆみも。
食べさせちゃっているね。ママも。姉さんも。
そんなささやきが、植え込みの向こうから聞こえてくる。
妻と娘を。
母と姉を。
ふたりながら、エジキにされてしまった、哀れむべき男たちは。
けれども自分の不幸を悲しんではいない。
息子のほうなんかは。
彼女ができたら、真っ先に紹介しないとね。
処女かどうか、ためしてもらうんだ。
なんて。
殊勝なことを、口にしている。
夫も息子も。
ひそかにこうやって、覗き見するのを愉しんでいるけれど。
愉しませているのは、女たちもいっしょかも。
ふたり、イタズラっぽい笑みを交し合いながら。
ほら。お父さん。見ているわよ。
あいつ~、エッチだなぁ。
なんて。聞こえないように、囁きあいながら。
つややかに装った脚から、惜しげもなくストッキングを破り取らせちゃっているのだから。

紳士用靴下の輝き・・・?

2007年12月18日(Tue) 06:34:03

前作、ちょっとコアでしょうか?それとも興ざめでしょうか?
女性が紳士用の靴下を穿くなんて。

さいきんはめったに目にすることはありませんが。
紳士用靴下にも、ストッキング地のものがあるのです。
なん種類か、出回っているようですが。
なかには光沢入りのものまであります。
かなり毒々しい濃いぎらつきを持っていて。
女ものよりも、なまめかしかも?なのです。

前作ではそうしたアイテムそのものよりも。
妻が夫のものを身に着けて、ほかの男にイタズラされる。
そういう倒錯的な世界を、ちょっと覗いてみたかったのです。
・・・って、やっぱり思い切りヘンじゃん。(--;)

ストッキング地の靴下。
陽気が良くなれば。
運がよければ、目にすることができるかも。
ともあれ、道行く殿方の、ズボンのすそにご注目あれ。^^
やっぱヘン?^^;

↓これはおまけです。
紳士用でしょうか?婦人ものでしょうか?

kirei???

紳士用の靴下を穿いて 2

2007年12月18日(Tue) 06:15:14

言葉少なに、出かけてゆく妻は。
今夜は濃紺のストッキング姿。
きりりと装った漆黒のスーツのすそからにょっきり伸びた脚に、
あまりにもなまめかしくて、挑発的な輝きを添えている。

この真夜中に。
行く先も告げずに、出かけてゆくというのに。
わたしは寒さに肩をすくめながら、妻を玄関先まで見送っている。
街灯をよぎらせて、蒼く彩られた彼女の脚は、メタリックな輝きをよぎらせて。
娼婦の足取りを、家を出てすぐの曲がり角に消してゆく。

二、三時間もしたころだろう。
がたり・・・と玄関の開く音。
子供たちが目覚めないように、足音忍ばせて、玄関に出ると。
出かけるとき、きちんとセットしていた黒髪を、肩まで振り乱して。
妻はへらへらと、笑いこけている。
うなじにつけられた、綺麗に並んだふたつの痕が。
まだ、吸い残した血潮をチラチラさせている。
唾液交じりの血潮は、ひどくなまめかしく輝いていた。
堕とされた女は、ストッキングをふしだらによじれさせて。
破けたすき間から覗く白い脛は、目のやり場に困ってしまう。

シャワー浴びるわね。
むぞうさに脱ぎ捨てたスカートのすそには、情事のなごり。
ぬらぬらと光る粘液に、我知らず唇をつけてしまうと。
妻はふふっ・・・と、得意そうに笑んで。
あなたのよりも・・・濃かったわよ。
ひめやかな囁きが、くすぐったく鼓膜を震わせた。

今夜。
妻が穿いていったのは、わたしの靴下。
ストッキング地のハイソックスは、女ものよりも濃い光沢を滲ませて。
送り出した足取りは、いつもより妖しい輝きを帯びていた。
わたしの想いも、濃いのだよ・・・
そんなメッセージ。彼には伝わっただろうか?

かえってきた妻は。
いつもよりも濃い微笑を滲ませて。
彼の気持ち・・・ですって。
そう、囁いて、破けた靴下の脚を見せびらかした。
妻のふくらはぎをガードしていたわたしの靴下は、
むたいにもてあそばれ、ねぶり抜かれて。
貴方の好意を、愛している。
ホモセクシャルなほどの、濃密な熱情が。
妻の足許をじわじわと染めているかのようだった。

わたしの家から、彼の邸へ。
彼の邸から、わたしの家へ。
足しげく行き来する女は、互いの男のメッセージを託して。
伝書鳩のように、行き来する。
着飾った衣装。
堕とされた衣装。
往きと帰りでは、うらはらな装いを。
真夜中の道、きょうもひそかに愉しみながら。

紳士用の靴下を穿いて

2007年12月18日(Tue) 06:01:43

ぬるり・・・ぬるり・・・
男の舌が、唇が。
なぞるように、足許を濡らしてくる。
わたしは冷たいフローリングのうえ、うつ伏せになって。
ただひたすら、薄い靴下に彩ったふくらはぎを、ねぶりまわされてゆく。
主人の靴下なのよ。ストッキングみたいに薄いでしょ?
わたしの言い草に、男はすこし驚いたみたいだったけど。
きみの脚を、ご主人がガードしているみたいだね。
くすっ・・・と、人のわるそうな笑みが、ふくらはぎをよぎった。

ではこの肌を、ぞんぶんに愛でてやろう。
ご主人の靴下、もろともに・・・
ウフフ。
笑み崩れて吸いつく唇に。
うふふ・・・
わたしも笑って、応えてしまっている。
主人の愛用している、ストッキング地のハイソックスは。
まるで、女もののストッキングみたいになまめかしい。
どぎつい光沢を、妖しいほどに滲ませていて。
薄いナイロンのなめらかな舌触りを、よけいにつのらせているよう。
主人もろとも、たぶらかされてしまうのね・・・
そう。
彼と逢いに出かけるわたしに、この靴下を穿かせたのは。
ほかでもない、主人だった。

わたしの気持ち。
自分の靴下を、取りだして、わたしのまえ、差し出しながら。
主人はたったひと言、つぶやいて。あとの想いは、言外に滲ませて。
あたりの冷気に寒そうに肩をすくめながら、送り出してくれた。
ミニスカートの下、わたしの肌を染めて妖しく輝く靴下は。
主人の目には、どんなふうに映ったことだろう?
さあ、堕として。
とろけるほど、舐め尽くして。
くしゃくしゃに、引きずりおろして。
ちりちりに、噛み破って。

思うさま辱められた薄手のナイロンを、ぼうぜんと脚に着けたままのわたしに。
私の気持ちだ。
どこかでつぶやかれたのとおなじことばを、彼は囁く。
スカートの奥深く隠されたまま、身体の芯が、ズキズキと滾っていた。
破けた靴下を穿いたまま。
わたしは素肌を寒々と滲ませた脚で、真夜中の家路をたどる。
そんなわたしを、主人は待ち望んでいるはず。

がたり。
子供たちに気づかれまいと、音を潜めたはずのドアは。
思い切り耳障りな音を響かせた。
玄関先まで迎えてくれた主人は
彼に歯を当てられた自分の靴下を目の当たりにして。
ひと言みじかく、つぶやいた。
やられてきたね・・・?って。
その声色は、ちょっと震えていて、とても嬉しそうだった。
そうよ。やられてきたのよ。
ほかの男の、奴隷になってきたの。
そのひとは、わたしの生き血を、たっぷり吸い取って。
わたしをひと晩、酔わせてくれるの。
あなた、いいわね?いいわよね?
彼と・・・乱れてしまっても。
激しい名残りを、服に残して、家に帰ってきても。
この家と、あなたの名誉を汚してしまっても。
あなた・・・わたしのことを、咎めないで。
精液をぬらぬらさせたスカートのすそに、
引き破かれたストッキングに、
振り乱したままの黒髪に、
昂ぶって・・・

あ~あ。襲われちゃいましたね。^^; 目のまえで・・・ 2

2007年12月18日(Tue) 05:04:50

ほらほら。こっちに来るよ。
真っ赤なスーツに、肌色のストッキング。
ぴかぴか光る、白のエナメルのハイヒール。
どうやら、あんた好みだな。
人妻らしいぜ?
薬指に、指輪をしているかな。
足音忍ばせて、やつのそばに舞い戻ると。
今夜の獲物の、いちぶしじゅうを。
耳元にそっと、ささやいてやる。
薬指に、女のしているのとおなじ指輪を光らせながら。

ささ・・・っ、と。女のまえに、立ちはだかって。
女は恐怖に、両手で口を抑えて、すくみあがって。
きゃーっ。
悲鳴をあげて、逃げまわる。
”影”は女の後い姿に、抱きつくようにして。羽交い絞めにして。
素早くうなじを、噛んでしまう。
あぁぁぁ・・・っ。
女は悩ましい声、わざとのように洩らしていて。
そのまま力づくに、無人の駐車場へと引きずり込まれていった。
硬いコンクリートのうえ、腕と腕との、せめぎ合い。
けれどもさいしょに噛まれたのが、致命傷。
いやもちろん、ほんとうに死なせるわけではないのだけれど。
どうやら、いちころになっちまったらしい。
いや、いや、いや、いやぁん。
妻は激しくかぶりを振って、いやいやをくり返すけれど。
卑猥な舌に、うなじを舐められ、
押し広げられた襟首から、胸を吸われ、
ストッキングの上、なぞるように脚線美をめでられて。
ついにあえなく、”陥落”・・・

真っ赤なフレアスカートは、真夜中に咲く大輪の花。
ガーターフリーのストッキングを穿いたまま。
妻は惜しげもなく、夜の冷気に素肌をさらし、
小気味よいほどのいさぎよさで、飢えた吸血鬼の凌辱に身を任せる。
あぅ、あぅ、あぅ・・・っ。
私のときよりも、激しい声に。
じわりと逆立つものを、抑えかねながら。
あーあ、また襲われちゃいましたね。
妻の血は、お気に召しましたかな?
ほら、お前も、もっとサービスしてあげなさい。
ブラウスの釦をはずすのに、手を貸しながら。
うらめしそうな妻の上目遣いを、くすぐったく受け流す。

どうも、お世話になりました。
いいえ、こちらこそ、ご馳走様。
ほつれた髪。乱れた着衣。
どうみても、ふつうの状態じゃなのに。
妻はさいごまで、礼儀正しく振舞った。
けれども草むらのなかでの振舞いは、とてもワイルドで。
はだけた服からちらちらこぼれる白い肌は。
まだ、淫らな熱情の名残を色濃くみせている。
"妻"が"女"に還るとき。
それは、他人とのものであっても、目映くて。
きちんとセットされた、よそよそしい髪型よりも。
肩までかかる乱れ髪のほうが、なまめかしく、いとおしい。

あ~あ。襲われちゃいましたね。^^; 目のまえで・・・

2007年12月18日(Tue) 04:46:56

コツコツコツコツ・・・
夜道に響く、ハイヒールの音に。
”影”は敏感に、聞き耳をたてた。
伸びやかな足取りは、一定のテンポを保っていて。
小気味良い大またで歩みを進めてくるのだが。
歩みの主は、夢にも思っていないはず。
あと数秒で、吸血鬼に襲われてしまうなんて。

紺のジャケットに、同じ色のタイトスカート。
歩みにまかせて揺れる黒髪は、ツヤツヤと輝いていて。
むっちり肉のついた太ももは、淡い黒のストッキングに染まっていて。
街灯を照り返して、黒光りしている。
一見、きびきびとしたキャリアウーマンだったが。
左手の薬指に光る指輪の輝きを、”影”は見落としていなかった。
今夜の獲物は、人妻のようだな。
”影”は私に、にんまり笑う。
今夜も気の毒なご主人が、またひとり・・・
さして気の毒がっていない証拠に、うふふふふっ・・・と洩らす含み笑いが得意そう。
じゃな。ここで見ていろよ。
”影”は私の肩をぽんと叩いて、サッと素早く身を翻す。

夜の散歩道で出くわした彼は、私が男だと知って、いささか興を減じたらしかったが。
着ている服のセンスに免じて、あくまで私を女としてあつかった。
そう。私は夜の女装者。
妻のタンスの抽斗から失敬してきたパンストを、むぞうさにちりちりにしながら。
なかなかいいご趣味だ。と。
軽い含み笑いに、意気投合するのは早かった。
それからは。
彼に命じられるまま、道行く女性が襲われるのを覗く日々。
私の血が気に入ったのか、もはや体内に残された血はわずか。
からからになりつつある私の身体を気づかって。
女を酔わせてしまうと、分け前に与かるのがつねだった。
あんたには、長生きしてもらわないとな。
吸血鬼にとって、人間の友だちはとても貴重なものらしい。

さいしょに目のまえで襲われたのは。
勤め帰りらしい、白のスーツの女。
目のまえに立ちふさがった黒い影に、アッと悲鳴を呑み込んで。
ハイヒールのかけっこは、数秒とつづかなかった。
そのまま、路上に押し伏せられて。
じたばたと暴れる脚によぎるストッキングの光沢が、やけになまめかしく映ったのは。
そう。女がすぐに酔わされてしまったからだった。
いちど首筋を噛まれると。どんな女でも、大人しくなってしまう。
ぐったりと、顔うつむけて。
荒い息遣いは、いつかなまめいた喘ぎにかわっている。

今夜は、寒い。
なにしろ、息が白いのだ。
それでも宿るべき家のないらしい影男は、女の生き血でその身を暖めるしかすべを識らない。
サッと身を翻した”影”は、定石どおり、女の行く手にたちふさがった。
女の白い顔が街灯に照らされて、彫りの深い目鼻だちに、驚愕の色がうかぶのが、ここからもありありと窺えた。
あれっ、なにをなさいます!
女の声はひくく、落ち着いたトーンをもっていたが。
さすがに怯えを、かくせない。
カッカッカッカッ・・・
逃げ去ろうとするヒールの音は、すぐにやんだ。
女の後ろから抱きついた”影”は、素早くうなじを吸っている。
きゃっ。
身をすくめた女の上体に、”影”の羽織った黒いマントがおおいかぶさる。
ちゅーっ・・・
あーあ。一巻の終わり。
女はそのまま、道端の草むらのなかへと拉し去られて。
がさがさ。がさがさ。
卑猥な葉ずれが、やけに耳につく。

うふふふふっ。
満足げな随喜の呻きを洩らしながら。
やつがふたたび草むらから現れたとき。
口許にべったりとついたバラ色の残滓が、街灯にテラテラと輝きを放った。
なかなか、活きのいい血だったぞ。お前もやりな。
”影”はご親切にも、私の手をとって、踏みしだかれた雑草の奥へと引き込んだ。
女は仰向けに倒れたまま、草むらのなかに身を沈め、脚だけ覗かせている。
黒のストッキングには、びちーっと伝線が走っていて。
はずんだ息に、愉悦の名残を漂わせている。
さ、遠慮なく吸いなよ。
ああ、遠慮はしませんよ。
なにしろこいつは、私の女房なのだから。
え?
”影”はちょっとびっくりしたような顔をしたけれど。
ウフフ。
じゃあますます好都合だな。たっぷりやんな。

行為の最中になって。
ようやく私の正体を知った女は。
もう・・・
口を尖らせながらも、身体の動きを合わせてくる。
お邪魔さま♪
やつは、気を遣ったつもりなのだろうか?
私が終わるまで、低く口笛を吹きながら。
さりげなくあたりを見張りつづけている。

ふたたび草むらから出てくると。
街灯を眩しそうに目を細めた妻は、ちょっと恥ずかしそうに、スーツについた泥を払っている。
こんどはふたりで、歩くんだな。
夫婦ながら、愉しんでやるから。
”影”のからかい口調に、妻は口を尖らせて。
もう・・・イヤですわ。
咎める小声が、くすぐったそうに震えていた。
草むらのなか、ふたりして妻の脚を抑えつけて。
びりびりと破き取ってしまったストッキングは、片方ずつ男どもの手のなかにある。
こんどは、うっすらテカテカの肌色にしようかしら。
主人の好み、なんですよ?
よろしいわね・・・?
妻は私を優しくにらむと。
スカートのすそについた、ぬるぬると光る粘液を。
これ見よがしに、ぬぐい取った。

うわさの回覧板

2007年12月17日(Mon) 08:08:37

え!え!え!は、破局ぅ~っ!?
キミカのあげるとん狂な声に、シュンイチはちょっとヘキエキしながら。
何そんなに、ビックリしてるんだよ?
耳を両手でふさぎながらそういった。
キミかが手にしているのは、このごろユッコがはまりはじめた回覧板。
訳知りの人にだけ回す、タウン情報なのだという。
だれ言い出すとのなく、
「うわさの回覧板」
そんなふうに、呼ばれるようになっていた。

だってー。あの夫婦おしどり夫婦で有名だったじゃん。
だ・か・ら。
姉の早とちりを指摘しようと、シュンイチは耳に口許を近づけた。
え・え・そうなの?なーんだ。
キミカは打って変わって気の抜けたような声になって、ソファにどすんと腰かけた。
なーんだ、って。
姉の現金な変化にまたまたヘキエキしながら、シュンイチが囁き続けたのは。
ふたりは別れていない。
体面上別れたフリをしているだけだ。
だって・・・いつも夜更けに夫婦連れだって、あのお邸にお邪魔しているんだもの。
ふふふふふっ。
キミカが不穏な含み笑いをする。
うちの両親も・・・破局させてみようか?


あとがき
続編。あるのかな?ないのかな?^^;
うまくいかなかったら、このまましらばくれてしまおうか。
あまり見ている人、いなさそうだし。ここ。(ナイショのつぶやき)

ストッキング鑑定

2007年12月17日(Mon) 07:15:43

1.
えっ?あてちゃうの?すごいっ。
妙子が、声をはずませたのは。
夫の連れてきた客人の特技が、思いも寄らないものだったから。
脚に触れただけで、穿いているストッキングのブランドまで当ててしまうというのだ。
ばっかだな・・・
そんな妙子のことを、夫は冷ややかな目で見つめている。
目を、キラキラさせちゃって。
両手を合わせて、拝むみたいなポーズまでして。
他人ごとなら、そんなふうにするくせに。
オレとエッチをするときは。
ストッキング穿いたままヤるなんて、邪道。とか、抜かして。
おかげでオレは、このごろ抜けないんだ~!
心の中でそんなふうに叫んでいるこのご主人も、かなりの変人にはちがいない。

じゃ~、さっそくためしてみて♪
妙子はためらいもなく、黒ストッキングの脚を差し出した。
では・・・ちょっぴり失礼。
ええ。やってみて。・・・あなた、いいでしょ?
ルンルンとはしゃいでいる妻に、夫はうんと言わざるを得なかった。
舌と唇で触れますので・・・しょうしょうのごしんぼうを。
男はいいざま、有無を言わさずに妙子の足首を抑えつけた。
きゃっ。
頭上から聞こえてきたのは、くすぐったそうなはしゃぎ声。
さいしょのひと舐めにさらされたふくらはぎは、ナイロンの薄い生地に、じわりとした唾液を滲ませている。
どお?わかった?
頭上の声は、まだはしゃいでいる。
ええ。。いますこし。

夫はあくまで冷ややかに、小娘みたいにはしゃぐ妻のようすを、遠くから窺っている。
遠くから見物するに限るわい。
心のなかで、ため息をつくと。
そっと自分の首筋に触れてみる。
夕べ咬まれた痕が、まだじんじんと痺れるような疼きを含んでいた。

あっ!ゃだ・・・っ
妻の声が初めて、切迫を帯びた。
男は妙子の脚をつかまえて、はなさない。
はなさないどころか。
そのままちゅうちゅうと音を立てて、黒ストッキングのふくらはぎを舐めつづけているのだ。
ぬらぬら光る唾液が、ここからもよく見える。
男がひときわつよく唇を這わせると。
あぁぁぁぁぁ・・・
妙子は白目をむいて、ソファーのうえに横倒しになった。
しつように吸いつけられた唇の下。
ストッキングの伝線がちりちりと広がって、脚の線に沿って鮮やかなカーヴを描いていた。

ふふふ。
いい奥さんだ。
ブランドは国産の・・・・・・だな?
男はよく売れているブランド名を口にすると、むぞうさにスカートをめくりあげて。
ゴムの部分についたブランド名をみとめて、自分の見解の正しさを確認する。
どうやら、当ててしまったようだね。
ブランデーグラスを片手に部屋にあらわれたダンナと、含み笑いを交し合う。
口許についた血を拭って、血の着いた指先をさらにねぶって。
ワインの味見でもするように、細い目になって。
ウン。さすがは若奥様。美味だね。
なんて、訳知り顔でつぶやいている。
しちまうのか?
ああ。かまわないかね?
かまわなくはないが・・・遠くから見物させてもらうかな。
おふたりに、乾杯♪
夫は祝杯をあげるようにグラスを軽く差し上げると、そのままサッと背中を向けた。
いただきまぁ~す♪
吸血鬼が浮ついた声をもらして、女房のうなじに食いつくのを、背中ごしくすぐったく感じながら。

ブラウスをはだけられた女房は、夕方になるまで目覚めないだろう。
目覚めるころには、そう。べつの種類の女になっているはず。
”娼婦”という名の、べつの種類の女。
身体じゅうの血を、舐め尽されちゃって。
肌をすみずみまで、くまなく吸われちゃって。
熟れた三十代の手管は、吸血鬼の性欲まで満足させるはず。
夕方、女房が目を覚ましたら。
いい月夜だね。今夜はふたりでお寝みって、言ってやろう。
ぬらぬら光る粘液がスカートの裏地を濡らしているのを、見て見ぬふりをしてやったら。
蒼白い顔に、いつものようなイタズラっぽい笑みを浮かべるだろうか?



あー。貧血♪
妙子は軽く額に手を添えて、
めまいをこらえるそぶりをした。
理恵はあわてて、傾いた妙子の身体を抱き取った。
細身の女は意外なくらいずっしりとした重さを秘めていて、
間近に漂う香水と体臭のほのかな芳香が、むせかえるほどの女を感じさせる。
きれいな肌。
同性愛の嗜好はないけれど。
女のきれいな肌をみると、すりすりしてしまいたくなるのが理恵の性分だった。

吸血鬼さんに、襲わせてみたくなるわ。
趣味で描いている吸血鬼もののネット小説が、さいきんリアルな臨場感を帯びはじめているのは。
知り合いの吸血鬼に自分の血を吸わせて、小説を実演してしまっているから・・・
そんなこと、夫はむろん夢にも思っていないはず。
自分の血を吸わせるだけじゃ、足りなくって。
田舎から出てきたばかりの友達とか。
夢にも思っていない夫の母親とか、
もうなん人も、周囲の女性を”彼”に引き逢わせて、血を吸わせてしまっている。
「みんなキモチよさそうだね」って、夫になにげなく言われたときは、さすがにどきりとしたのは。
ちょっと状況的に、気が気じゃなかったせいもある。
なにしろ。
夫の帰宅時間を忘れた吸血鬼が帰りそびれて、真っ暗にした隣室にひそんでいて。
エモノにしちゃった理恵の友だちの首筋を、まだ未練がましく舐め舐めしていたのだから。
夫はそんなつぶやきをすぐに忘れたような顔をして、日常の話題にもどっていった。
いったいどこまで、察しをつけているのだろうか。
たまに酔っ払ったみたいに、ヘンなこと口走るところがかわいいんだけどな。
理恵は人知れず、にやにや笑いを含ませている。

妙子は、新顔のパートさん。
年代も近いせいか、おなじパート社員の理恵とは、すぐに息が合って。
すぐお隣で、仕事をしている。
このごろ妙に顔色が悪いのは。
月のものかな?って、思っていたけれど。
お~や、おや♪
このひと、どこで知り合ったんだろう?
蒼い顔の正体をすぐに察した理恵は、眠りこける横顔にうっとり見入ってしまっている。
白いうなじの一角。
長く伸ばした髪の毛の生え際に、ほんの目だたぬくらいぽっちりとついた痕。
それが蚊に刺されたあとなんかじゃないことは、理恵だからこそわかるというものだった。

あ。目が覚めた?もうみんな帰っちゃったわよ。
周りを見回すと、こうこうと灯ったオフィスの照明の下、残っているのは理恵とふたりきり。
仕事が片付いていようといまいと、パート社員はいつも定時に帰されるのだが。
今夜にかぎって、どういうわけか。
みんな申し合わせたように、定時で退社してしまっている。
あたし、ようすをみているようにってみんなに言われたの。
理恵はハキハキとそういうと、妙子の身体にかけていた毛布やら額にあてていたタオルやらを手早く片づけて。
だいじょーぶぅ?
理恵はことさら気遣わしげに、妙子の顔を覗き込む。
うーん、うちにヘンなお客さん来るんだよね~。
妙子はさりげなく、ウワついた声をすべらせた。
ヘンなお客さん?
そうなの。ヘンなんだよ~。女の人の穿いているスッキングのこと詳しくて、ちょっと触っただけでブランド当てちゃうの。
(口やべろで触っているのは、ナイショ)
妙子は理恵に気づかれないように、ちらりと人のわるい笑みを浮かべた。
えー。コアだねぇ。なんだかやらしい。
ううん。ううん。やらしくなんか、ないよ。ただ、熟練しているんだって。
熟練、ねぇ・・・
理恵は心のなかで、ほくそ笑む。
手近な女をひっかけて、エモノにさせちゃおうっていうわけね?
おなじことを考えたり実行に移したりしてきた経験が、妙子のさりげない言葉のウラを、敏感に嗅ぎ取っていた。
いいや。ひっかかっちゃえ。
理恵は大胆にも、一歩足を踏み出してみる。
ナイロンハイソックスじゃ、だめ?いま穿いているやつ、試してもらっちゃおうかな?
理恵の穿いているのは、ストッキング地のハイソックス。
ひざ小僧のすぐ下をぴっちりと締めつけている太めのゴムが、むき出しの白い皮膚と薄っすらとなまめかしく染まった脛をと鮮やかにきりわけている。
見せびらかすようにくねらせたふくらはぎを、てかてか光る濃厚な光沢がぎらりとよぎった。

そういうわけで、お連れしました。こちら理恵さん。会社の同僚のOLさんです。
あ 既婚者ですから、ヘンな誘惑しちゃ、ダメですよ。
妙子の解説は、とても愉しい。
既婚者にヘンな誘惑するのが趣味のくせに。
引き合わされた男は、むろん初対面だった。
そこまでだぶらないわよねぇ。
オフィスを出るとき、念のために”彼”に送った携帯メール。
お友だちが吸血鬼さん紹介してくれるんの。味わってもらってきますね♪
って。
すこし挑発的に、描いてみた。
嫌われなきゃいいけど。
あいつも、夫も、おとなしそうな顔をしているくせに。
きっと、きっと、独占欲が強いのだ。

ほほー。珍しい光沢ですね。
足許を舐めるように見回されて。
なぜか手の内がばればれになるような気恥ずかしさを覚えていた。
ちょっと失礼。
男が足首を、抑えると。
いつの間にか後ろにまわった妙子が、そっとさりげなく肩を抑える。
ちょっとの辛抱ですよ。ちくっとします・・・
まるで予防注射みたいだわ。
薄手のナイロンごしにぬるぬるとねぶりつけられるべろの感触に、素肌に軽い疼きを覚えながら。
理恵はなされるがまま、ハイソックスの足許をいたぶらせてしまっている。

くねーっとよじれたナイロンは、そこかしこに唾液を沁み込まされていた。
珍しいブランドですね。
お分かりになりますの?
ええ。これ、紳士用でしょう?
アラ、そうなの?
妙子までが意外そうに、愛人と声を合わせていた。
うん。男物。
びっくり♪
でしょー?薄いし、こんなにてかるんだもん。
見せびらかすように、両脚をピンと伸ばして。
光沢を穿いているように、じわりとてかるハイソックスを見せつけていた。
男ものかー。でもなんだかよけいに、いやらしいなぁ。
ダンナのやつを、借りてきたの?
ううん。自分用に買ったのよ。教えてくれる人がいて。
そうなんだー。ぜんぜんわからなかったよ。
吸血鬼は、詳細な解説を加えることを忘れない。
伸びない生地ですね。
婦人ものでこういう生地を使用しているものはあまり多くありません。
張りつめたナイロンの舌触りが、大変に美味ですぞ。
まぁ、いやらしい・・・ 理恵がそんなふうに洩らすのにも気を止めずに。
ご主人公認で、穿いておいでなのですか?
いーえー。亭主にもナイショで買ったんですから。
そうですか。ご主人が穿かせているとしたら、ちょっと愉しかったんですがね・・・
吸血鬼は意味ありげにつぶやくと、
まだ、ブランドを申し上げておりませんでしたな。
いま少し、お調べさせてください・・・
いいわよ。
理恵がもういちど、脚をさし伸ばして。
魔性の唇があわや触れようというときに。
ぼん・にゅい♪
だしぬけに、イタズラっぽい声が隣室から洩れた。
ぎょっとした男女が目にしたのは、ふたりが見知っていなくて、理恵が見知っている吸血鬼。
おととしの夏、犯されちゃってから。
夫の目を盗んで、血をあげたりスカートの奥までまさぐらせちゃったりしている、陰のパートナー。
ど、どなたぁ?
この家の主婦らしく、非難をこめたまなざしを、理恵は横目で制すると。
おぉ。
男のほうは、さすがに相手の正体に気づいたらしい。
敵ではない。
たがいのまなざしが、そう告げあっていた。
エモノを取替え合おうかね?
新来の吸血鬼のいうがままに。
男はじぶんの愛人であるこの家の主婦を押しやるようにして。
妙子の首筋に彼が咬みついて、ひと声「きゃー♪」とはしゃいだ声をあげさせると。
では・・・ご存分に。
度胸の据わった理恵のまえ、ハイソックスの脚をもういちど吸いはじめている。
薄手のナイロン越し、素肌をちゅうちゅうと吸われながら。
たまにはべつの牙も、愉しそうね・・・
こんどはあたしが、牙のブランド当てちゃおうかしら。
スカートを剥ぎ取られた隣の女が、ストッキングのガーターをさらけ出すのを、
まるで姿見でも見るように感じながら。
理恵もまた、幾何学模様の緑のスカートを、剥ぎ取らせちゃっている。

みんな、愉しそうだね・・・
どこまで知っているのかわからない夫の声が、忘我の昂ぶりのなかリフレインしていた。


あとがき
紳士用のナイロンハイソックスを、ご婦人に穿かせてみました。
ダンナが穿かせているとしたら、ちょっと愉しい。
吸血鬼が想像したのは、どんな状況だったでしょうか。
ちょっと思いついたのは。
妻の生き血を吸わせた夫が、ストッキングの持ち合わせがないという妻のために、自分用の靴下を履かせた・・・みたいな感じですが。
もう少し、ひねくれて。
濃い想像をたくましくしてみたいところです。^^

アンクレット

2007年12月16日(Sun) 15:39:54

びっくりしました。
ウィキで「寝取られ」って引いてみましたら。
フランスには三種類の寝取られがあるんだそうです。
  コキュ 浮気されていることを知らない
  コルナール 浮気されて、激怒している
  コルネット 浮気されていることを知っていても、泰然自若としている
だそうです。
>微妙な言い分け方があること自体、フランスの寝取られ文化の豊饒さをあらわしているといえよう
という説明は、ちょっと笑えましたけど。^^;

それよりも。
もっとびっくりしました。
>女性が右足首にアンクレットを付けているのは、「夫公認(または夫推奨)の浮気妻」の目印とされる
なんですと。(。。;)
アンクレットは起源が奴隷につける足輪だそうで、「夫(または恋人)の所有物」の暗喩であるとか。
こちらには、
>右足首に付けている場合、「浮気相手募集中」という意味になる。
と出ていました。
「あたし浮気したいの~♪」にしても、「ダンナがOKしてくれてるの(*^^)v」
知らないで発するシグナルとしては、キケンそのもの。^^;
アンクレットをご愛用のかたは、ご用心、ご用心。^^;;;

学園の恥ですわっ!

2007年12月16日(Sun) 10:27:26

遅くなっちゃった。早く帰ろう・・・
中森いずみは、紺の制服姿。
夕暮れ刻が過ぎようとしている公園は、もう薄暗くなりかけていて。
昼間では考えられないくらい、不気味な空間に早変わりしようとしている。
いずみの履いている真っ白なハイソックスは、なだらかに流れる太めのリブを弱くなった陽射しに浮き彫りにさせていて。
きりっと引き締まったふくらはぎを、いっそうひきたてている。
せかせかとすすめた足取りが、ふと立ち止まった。

だれかが、あとをつけてくる。
雲の隙間から一瞬覗いた太陽が、背後からの追跡者の影を長く路上に引き伸ばして、
男の格好をしたその影は、いずみの足許までおおいつくした。
きゃーっ。

ねぇねぇ。
脇っちょから顔を覗かせて。
姉のキミカが、にらみ顔で、さぐりを入れてくる。
これって・・・あんたじゃない?
キミカが手にしているのは、ご町内のお知らせ回覧板。
「このごろ夕方の公園に、吸血鬼が出没しています。
 先日も蘭優女子学園高等部一年の女子学生が、下校途中に襲われました。
 さいわいケガはたいしたことはありませんでしたが、処女のかたは十分お気をつけください。
 また、小さなお子さんは吸血の対象ではありませんが、
 目撃することは教育上よろしくないので、遅くまで遊ばせないでください。」
へんなの。
シュンイチが唖然として町内会報を読み返そうとすると。
あっはっは!ひっかかった!
姉貴は紺のハイソックスを履いた格好の良い脚をばたばたさせて笑いころげた。
これ、ユッコが勝手にでっち上げたのよ~。わかる人にだけ、まわすんだって。
はぁ。
ユッコは姉貴と同級の吸血鬼。
やっぱり吸血鬼なお父さんといっしょに、それはそれはムードたっぷりな古いお邸で暮らしている。
人の血をもらわないと、灰になっちゃうの。
いつもそんなふうに涙ぐんでは、同情してくれた人のうなじをくわえて生き血をごくごくと飲み耽るのだ。
そんなユッコのエジキにされて。
自分もまた、半吸血鬼になってしまったシュンイチが見返りに得たものは。
姉貴のバージン。
そう。
よく見ると、
弟の顔覗き込んだ姉の制服姿はちょっと着崩れしていて、
ほどけた髪の毛が、いい感じにしどけなく肩先に乱れていたり、
ブラウスがはだけて、ブラのレエスが覗いていたり、
ずり落ちたハイソックスから覗いたふくらはぎに、まだ紅いものを滲ませた噛み痕がついていたりする。

ぷは~っ。おいしい・・・
いつもひっそりと、いるのかいないのかわからないくらい大人しいはずのユッコは。
ソファーにどすんと腰をおろして。
吸い取ったばかりの血を、むぞうさにハンカチで拭き取った。
血を吸った直後は、こんなふうにけっこう、日ごろの慎み深さをかなぐり捨ててしまったりするのだが。
そんな本性をかいま見るには、自分の血と引き換えでなければならないらしい。
ソファーの足許に転がっているのは、おなじ学校のかほりだった。
やだー。吸いすぎだよー。
色白の頬を恨めしげにふくれさせながら。
血を吸った相手を見上げる上目遣いは、けっこううれしそうだったりする。
だってー。おいしいんだもの。あなたの血。
日ごろはキミカのようなスポーツ少女の血しかたしなまないユッコなのに。
どうやらこの文化部出身の少女だけは、べつらしい。
か、帰るわね・・・
落ちていた鞄を拾って立ち去りかける少女の肩を捕まえて。
だーめっ。もっと吸うの♪
きゃー♪
つかまえた女の子も。つかまえられた女の子も。
黄色い声あげて、はしゃぎまわっている。
踊るようによろけた足許、白のハイソックスにルージュのしずくがしたたり落ちた。

いつもおなじ制服だと、飽きると思って。
チェック柄のスカートの下、かほりが履いてきたのは、真っ白なハイソックス。
学校指定のハイソックスは紺だったけれど。
血の色は、紅いから。やっぱり白のほうが、散らしがいがあるなあ・・・
って、ユッコがつぶやくのを耳にすると。
家に帰ると白いのに穿き替えて、意外にすらりとしたふくらはぎを、血に飢えた少女のまえにさらけ出すのだった。
うーん、よくわかるねぇ。そう。あたしこのごろ、白にはまっているの。

ね・・・?
まるで恋人どうしみたいに、手をつないで。
ユッコとシュンイチとは、夕暮れ時の公園に向かう。
向こうの入り口からは、鞄をたずさえた同じ年恰好の少女がひとり。
自分たちとは違う紺の制服のスカートの下、白のハイソックスの脚で歩みを進めてくる。
通っちゃダメっていっているのに。それでも通り抜けようとするんだね。
くすっと笑った口許からは、純情そうな顔だちには不似合いな鋭い犬歯。
じゃ~、通せんぼしてくるね。
おなじような牙を滲ませたシュンイチは、いつも体育で1を取っているとは思えないほどの素早さで、女の子のあとを追いかけてゆく。
つ~かまえた~♪
腕をねじりあげながら引っ張ってこられた少女は、半べそをかいていたけれど。
ユッコが少女をまともに見つめて、しずかな視線で凝視をすると。
ふらふらと意思を失ったようになって、ベンチに腰かけて。
どうぞ・・・って。白のハイソックスを履いた脚を、ふたりの前差し出してゆく。

もう~!
ふたりでこそこそ、何やってんのよっ!?
キミカの雷が落ちたのは、とうぜんのこと。
カンのいいキミカの弟のくせをして。どうしてこうも要領が悪いのか?
うっとりとなった女の子からせしめた血のついたハイソックスを、ユッコと山分けにして。
片方だけ、ぶら下げて帰ると。
姉貴にだけは見つからないように、いつものどこかに隠したはずなのに。
秘密の場所そのものが、とっくの昔にばればれになっていたりする。
あたー。
顔をしかめたって、もう遅い。
きょうからエッチは、一週間おあずけよっ。
ぷんぷん怒ったキミカは、紺のハイソックスの脚をおおまたにして。
弟のコレクションの、なんだかわからない本の山をまたいでいった。

エッチ一週間おあずけの刑だって・・・
情けなさそうにうなだれるシュンイチに、ユッコはくすりとほほ笑んで。
じゃあ・・・わたしとする?
え・・・?
思わず見あげた少女の面差しは、陽射しの影になっていて。
少女がいつも漂わせている物憂げな翳を、いっそう濃いものにしている。
あ・・・あ・・・
思わず喉が、引きつりそうになった。
ふらふらと、彼女のまえ。顔を近寄せると。
少女は唇を突き出すようにして、目を瞑る。
長いまつ毛を、かすかに震わせながら。
思わず、抱きしめそうになったとき。
意外に強い人差し指が、おでこに突き立って、ふたりのあいだをさえぎった。
人差し指の主は、ユッコじしんだった。
だ・め。
はっきりと見開かれた冷めた瞳が、ツンととり澄ましていた。

もう・・・
からかわれただけじゃん。
シュンイチはうなだれた頭をいっそううなだれさせて。
真昼間の公園を横切っていく。
肌寒い木枯しだけに包まれて、血の少ない身体がいっそう頼りなく思えたとき。
あっ、シュンちゃんだ~!
能天気な声がふたつもみっつも、背後からあがった。
手を振って走ってくるのは、紺の制服の女の子たち。
他校のコと話すのは。
おおっぴらに見られると、他校の男子にも自分の学校の男子にも風当たりがつよかったりするのだが。
女の子たちには、そんな遠慮は関係ないらしい。
ねぇねぇ、こっちこっち♪
花のように笑いさざめきながら、ウキウキとした声でシュンイチをつかまえると。
公園のすみのベンチに連れていく。
あたし、ここっ。あっ、まん中取った!ズルイっ!
はじけるはしゃぎ声に、ヘキエキしたシュンイチは。
きみたち、だれ・・・?
いいかけたときには、女の子たちのまえ、ひざまずかされていて。
ツヤツヤと輝くひざ小僧の下、きっちりと引き伸ばされた白のハイソックスが、
陽の光をうけて、ツヤツヤと輝いている。
左側のコは、ながれるような脚線美。
まん中のコは、ちょっと太めのしっかりタイプ。
右側のコは、すらりと格好のよい脚で、さらにカッコウよく足組みをしている。
いずれ劣らぬぴちぴちとした生気にみちたふくらはぎが、シュンイチの犬歯をズキズキ疼かせる。
ね♪噛んで噛んでっ。
女の子たちは、はしゃぎきっている。
ウキウキと、順番のくじ引きまで始めちゃっている。
じゃあ・・・
ぎらりと滲ませた犬歯の鋭さに、少女たちはきゃーっと悲鳴をあげた。
ハイソックスの生地のしっかりとした感触の向こう側。
処女たちの生硬な肉の心地よい噛み応えに、シュンイチは夢中になった。
華やかでくすぐったげな声はじける下。
白のハイソックスには、不規則なまだら模様を散らされていく。

学園の恥ですわっ!
堅野京子は腕組みをして。
もじもじ決まり悪そうにしている女の子たちを、しかりつけている。
男っぽく大またに開いた脚には、おなじ白のハイソックス。
どの子のハイソックスにも、校名の頭文字を飾り文字にあしらった刺繍が入っていたけれど。
怒っている京子いがいのどの子のハイソックスも、だらしなくずり落ちているばかりではなく、
「R」の飾り文字まで、バラ色の飛まつで濡れている。
制服を汚すなんて。それも他校の男子に汚させるなんて。
学園の恥ですわっ!
京子はもういちど、声張りあげて、叫んでいる。

おい。話しあるんだけど。
ケンアクそうな顔つきは、一見してこの連中がよからぬ意図を抱いていることを告げている。
え・・・ボクに・・・?
シュンイチはいつもの、うっそり顔で。
言われるままに、公園に連れて行かれる。
他校の女子に手を出すんじゃねえ。
凶暴そうな男子生徒たちの顔には、ありありとそう書いてある。
彼らは京子の親衛隊。
京子に命令されて派遣された”刺客”だったのだ。
はぁ・・・こまったな・・・いえ。いちおうおつきあいはするんですよ・・・
しょんぼり肩を落としたシュンイチの目が人知れず、異様な輝きをよぎらせたのを。
不幸にして、だれも気づいたものはいなかった。

あ・・・仲良くしような。こんどオレの彼女紹介するからさ。
妹が中等部にいるんだ。まだガキみたいだけど、面倒みてくれる?
若いコじゃないと、口に合わないかなあ。ストッキング穿いたママの脚なら、ご馳走できるんだけどな。
だれもかれもが、打って変わって。
シュンイチの望むがままの発言ばかり、繰り返している。
え、え、ええーっ???
仰け反らんばかりにして驚く京子の背後に、うっそりとした影が音もなく佇んだ。
きゃ・・・
首筋に貼りついた、灼けるような鈍痛に、京子はとっさに顔をしかめた。
抗おうとしても、背後の影は両肩をつかまえて、放さない。
は・・・放して。
だめ。
背後の影は、まだ幼さの残る男の子の声だったけれど。
応えるためにいったん放した唇を、もういちどねっとりと首筋に這わせてくる。
素肌に毛虫を這わされるようなゾクゾクした感触が、
思ってもみなかった快感に変わるのを。
京子はどうすることも、できなくなっていた。
突き刺さった牙が、甘い痛みを伝えてきて。
抜き取られてゆく血の量が、相手が自分の血を気に入ったことを伝えてきて。
がたがた震える足首が、もの欲しげに足許にそそがれる視線の強さを伝えてくる。
だめ・・・このまま吸われちゃったら・・・倒れるっ。
京子は自分が処女であることを、いまさらのように思い出した。
倒れたら・・・倒れたら・・・
こいつのイタズラに、白のハイソックスを穢される。
校名の縫い取りを、自分の血で染めてしまうことになる。
そんなの、嫌っ。
学園の・・・学園の・・・恥ですわっ・・・

・・・・・・。
・・・・・・。
もう、夕暮れ刻をすぎていた。
女の子の履くハイソックス、好きなの?
あ・・・いいよ。こっちも噛んでみて。
うん。ちょっと痛いけど。ガマンするから・・・
薄闇のむこう。声だけが、洩れてくる。
もうっ。何やってんだか。
ふくれ面をしているのは、キミカ。
まぁまぁ。吸血鬼として一人前になったってことだから。祝ってあげなきゃ。
とりなしているのは、ユッコ。
効果なかったみたいだね~。エッチ一週間おあずけの刑。
べつのコと、ヤッちゃうだけじゃん。
ユッコの冷ややかな揶揄に突き刺されたみたいに肩をすくめたキミカは、
今夜、あいつの部屋に行くから。
声色だけが、強がっていた。
お姉ちゃん、負けちゃったねぇ。
もう・・・慰めてほしいよー。
いつも気の強いキミカがさすがにしおしおとなって、寄り添ってくると。
ユッコはどこまでも優雅に、おおよしよしって、頭をなでなでして。
お部屋にたずねていくんなら。今夜は白のハイソックスがいいよ。あいつこのごろ、ハマっちゃってるみたいだから。
薄闇の向こうは、すでにもっと濃い情熱が支配し始めているらしかったけれど。
ユッコの声は、どこまでものびやかで、能天気だった。

花嫁と 弟と

2007年12月16日(Sun) 08:41:47

朝だよ。もう起きようよ。
けだるいまどろみからさめると、そこはホテルのベッド。
百合子はにこやかに私を見おろしながら、ほほ笑んでいる。
シャワーを浴びたあとらしく、頭にタオルをぐるぐる巻いていて、
その下は、夕べまでとおなじ、透きとおるように白い頬。
きのうまでは、恋人。
そして、夕べ私の妻となったひと。
けれどもそれより先に、憎たらしい弟の愛人になってしまったひと。

きのう、挙式をあげたこのホテルで、一泊して。
初夜の部屋に、入り込んできた弟は。
吸血鬼の本性むき出しに、百合子に襲いかかっていって。
制止するいとまもあらばこそ、うなじにがぶりと噛みついていた。
服に血を撥ねかして。目を回して。
振り乱された長い黒髪は、純白のシーツの上散らばるように広がった。
兄さん、悪いね。
弟はせっぱ詰まった目をして、迫ってきて。
重なり合った身体は、ギュッと強く抱きすくめられていて。
首のつけ根に滲む鈍痛に、不覚にもなにもかもを忘れていた。

分け合おうよ。
ボクは一生、吸血鬼で。日陰で生きていかなくちゃならないから。
恋愛も、結婚も、できない立場だから。
兄さんのお嫁さんと、思い切り仲良くしたい。
百合子は夢見心地の瞳を輝かせて。
かわいそうなのねって、同情して。
私はそんな百合子に、弟を慰めてやってくれと促していた。

薄暗く照明を落とした、ベッドのうえ。
シーツを乱し、百合子を狂わせているのは、私ではない。
ほんらいは。花嫁の純潔を勝ち得るのは、私であるはずなのに。
弟のぎこちない腰の動きの下、新妻は秘所に紅いものを滲ませていった。
きりりと装ったスーツ姿のそこかしこから。
白い柔肌をあらわにさらけ出して。
ゆるやかにかぶりを振りながら、堕ちてゆく。酔ってゆく。
義姉さん・・・処女だったんだね。
ごめんね、兄さん。
血を吸っているときは、言うことを聞かせる算段しか頭になくて。
処女の生き血だって、気がつかなかった。
義姉さんとの初夜は、もっとじっくり愉しむつもりだったのに。
あっけなく、散らしちゃったね。
ふたたび傷口にねぶりつけた唇は、すすり泣くようにつよく吸いはじめている。

いけないやつだな。
いけない子ねぇ。
ふたり、くすくす笑いながら。
泣き笑いしている弟をからかっていた。
お姉さん、処女だったのよ~。ケンイチさんに、あげるつもりだったのに~。
冗談ごかしに背中をひっぱたかれながら。
花嫁の処女を奪った男は、甘えるようにのしかかっていく。
ツインベッドのうえ、三人折り重なるようにして、居場所を変えて。
花嫁を代わる代わる、かわいがる。
そんな夜は、とても短かった。

さあ、あなたも早く、シャワー浴びて。
汗落としたほうが、気分いいわよ。
百合子はすっかり、女房になりきっていて。
まるで母親のように、寝ぼけまなこの私を、口やかましくせきたてる。
いい?人前に出るときは、照れたりしないでね。
シンジさんと顔あわせても、ぶったりしちゃダメよ。
わかってるって・・・
苦笑しながらシャワールームに向かう私のことを。
さらさら流れる黒髪のあいだ、優しい笑み顔が見送っている。

おめでとう。
きのうはどうも。
お疲れさま。
・・・疲れたの?^^
華やいだ声が飛び交うロビーで。
きらびやかな華燭の典の記憶がよみがえる。
弟はちょっと決まり悪げに、みんなからすこし離れてこちらを見送っている。
ホテルを出ると、まっすぐ空港に向かう。
タクシーに乗り込むとき、荷物を持ってくれた弟に。
こいつぅ。
思わず頬を、つねってやる。
百合子もイタズラっぽい瞳を輝かせて。
肩そびやかし、ヒールのつま先立てて、背伸びして。
悪い子しちゃ、ダメよ~。
なんて。だれにも聞かれない声で、耳元に囁いている。
ふたりの間のなれなれしい接近は。
肉親どうしとなったものに許されたもの・・・とだけ、周囲に映ったはず。

ふたりきりで、楽しんできてね。
戻ってきたら、ときどきボクのことも交ぜてね。
義姉さんのなかにそそぐのは。兄さんとおなじやつだから。
どちらの子ができたって、いっしょだね。
勝手なことをいいながら。すがるように百合子を見送る弟が、ふとあわれに思えて。
私はイタズラっぽく、妻をふり返ると。
ほっそりとした掌を取り上げて、弟に投げキッスを送らせた。
代わる代わる新妻を抱いた夜。
それは、兄弟のなかで忘れられない想い出となるのだろう。

ああ。わかりました。わかりましたから・・・

2007年12月16日(Sun) 06:58:06

ああ。わかりました。わかりましたから・・・
妻はゆるく呻きながらかぶりを振ると。
うなじを噛もうとのしかかってきたDさんと、
妻の抵抗を封じようと両肩をつかまえていた私とを。
しょうがない人たちですね・・・
ため息混じりに、顔を見比べる。
すまないね・・・
唐突な凌辱に、後ろめたい気分を隠せなかった私に。
いいのよ。相手がこのかたじゃ、ね・・・
妻はふふふ・・・と、微笑んで。
いいのね?
そういってもういちど、私のほうをふり返ると。
さ・・・どうぞ。
Dさんのまえ、目を瞑っておとがいを仰のける。

いただきまぁす。
Dさんは舌なめずりをせんばかりに妻のうなじにふるいつくと。
かりり。
容赦なく、牙を突き立ててゆく。
じゅっ。
少量の血液が、鈍い音をたててほとび散って。
ストライプ柄のブラウスを、赤黒く染めた。
血潮の紅さに秘められた、妻の熱情と生命力が。
ちらちらと、しずかな輝きをたたえていた。
かさかさに乾いた鉛色の唇が、飛び散る血のりを舐めとって。
ヒルのようにいやらしく、白い素肌のうえ、ヌメヌメと這い回る。

う、う・・・っ。
苦痛からか。屈辱からか。
妻は目を閉じたまま、まつ毛を震わせる。
軽い痛みと、妖しい疼きが・・・彼女を狂わせようとしている。
ちゅーっ・・・
聞こえよがしな吸血の音に。
われ知らず昂ぶってしまった私は。
不覚にも股間をぬらぬらと湿らせてしまっていた。
妻が征服されてゆく刻が。
刻一刻、しずかに流れつづけてゆく。
虚しく吸い出されてゆく、妻の血潮のぬくもりとともに。

Dさんは、遠方の人。
妻の妹婿と、ネットで意気投合した結果。
遠縁の結婚式にかこつけて、誘い出して。
夫婦ながら、生き血を吸って、服従を誓わせた。
ためらいもなく、奥さんを組み敷いて。凌辱してしまったという。
凄腕のDさんは、見ず知らずの結婚式にも忍び込んで。
新郎と意気投合して、新婦を酔い酔いにしてしまって。
だらしなく打ち解けてしまった新郎を、ロープでぐるぐる巻きにして。
はしゃぎ切っている新婦を、新床に放り込んで。
花嫁の純潔を、うまうまと頂戴してしまって。
あくる朝には、妻の妹と、その姑とを。
ホテルのロビーの床にまろばせて。
ふたりの夫と、行きかう人々の目も気にせずに。
公然と、辱め抜いたということだった。
それ以来、妻の妹が気に入ったDさんは、都会にくるたびに、夜の接待をさせていたのだが。
彼女と同じ血を持つ私の妻にまで、魔手を伸ばしてきたのだった。

ああ・・・うぅんん・・・
意思を迷わせた妻のうめきは、えもいわれぬ程に悩ましい。
Dさんは望みどおり、想いを遂げて。
くちゃくちゃと、いやらしい音をしのばせながら。
ひとしきり、妻の血を吸い取ると。
吸い取った血潮を口許から、たらーりとしたたらせて。
ストライプ柄のブラウスに、わざとバラ色の点々をにじませてゆく。
やだ・・・
鮮やかに刷いた口紅のすき間から、白い歯を覗かせて。
妻は酔ったように、艶然と。
恥ずかしそうに、頬をほんのりと染めていた。
いいお味だ。妹さんと、負けず劣らず・・・だね。
あちらのほうが若いから・・・わたしの血なんか、お笑いぐさなんでしょう?
妻が口を尖らせて、ぶーたれると。
お味がよろしいと、申し上げている。
男は強圧的に、妻を組み敷いて。
いまいちど、傷口をつよく吸う。
あううぅぅん・・・っ。
いつも気丈に振舞う妻の姿は、もうそこにはない。
血を征服されて、味を愉しまれて。
一滴でも多く捧げ抜こうとする女がいるばかり。

あなた。このかた・・・凄腕よ。
ほんとうに・・・犯されちゃってもいいのかしら?
イタズラっぽく笑みを浮かべた妻は。
汚されたブラウスの襟元を、細い指でなぶりながら。
もう・・・私の肯定を期待する悪女の微笑をたたえている。
唇を、わななかせながら。
なにかに、とり憑かれたように。
私は思わず、口走っている。
ひと晩、私の妻であることをお忘れなさい・・・と。

新床・・・と、あえてそう呼ぶべきなのだろうか。
夫婦の寝室は、凌辱の現場と化している。
寝乱れたシーツの上。
血の着いたブラウスを、剥ぎ取られて。
黒のスカートは、着けたまま腰周りまでたくし上げられて。
太ももを横切るガーターと、透きとおるほどの白さをもった太ももを、あらわにさらけ出している。
薄っすらとした黒のストッキングに縁どられた脚は、いまだ気品をたたえていたが。
あえかによぎるつややかな光沢に淫らに染まり、
淑女を娼婦に変えようとしている。

ストラップの切れたブラジャーを、他愛もなく取り去って。
なまめかしいストッキングを、ふしだらに剥ぎ堕として。
どろどろとした精液を、シーツにぼとぼとと、ほとばせる。
妻を穢した忌まわしい粘液は。
私のそれよりも、いちだんと濃密で。
それがどれほどそそぎ込まれ、妻を狂わせていったのか。
容易に察しが、つくほどだった。

はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・
のしかかってくる逞しい肉体に、妻は肩で息をしながら相手をつづける。
素肌をぴったりと、密着させて。
腰のうごきを、ひとつに重ね合わせて。
切なげに、息はずませながら、深夜のロマンスに耽りつづける。
私は傍らに尻もちをついたまま、
形ばかり、ぐるぐる巻きにされたロープがほどけかかっているのも、気づかずに。
目のまえの凌辱を、妨げようともせずに。
不覚にも、ただの男として、たんのうしてしまっている。

闇が薄っすらと、明るみを滲ませて。
長いはずの夜を、瞬く間に終わらせようとしている。
はずされた結婚指輪は、部屋の隅っこに転がっていて。
たわむれに噛み破られたストッキングは、とうの昔に脱ぎ捨てられて。
寝乱れたベッドのきわ、床まで流れ落ちるように垂れ下がっている。
二足、愉しまれてしまった。
穿き替えられたストッキングは、いちだんとテカリが濃くて。
まだ片方穿かれた脚周りを、メタリックな輝きで、ぎらぎらと染めあげていた。
もう片方のストッキングは・・・忌まわしいことに、Dさん自身が脚に通して。
寸足らずに、引き伸ばされて。
ひざ小僧の上、逞しい太ももを隠しきれずにいたけれど。
妻とおなじ色に染まったふくらはぎは。
ひどく艶めいて、私の網膜を彩っていた。

かりそめの縛めから抜け出していた私は、脱ぎ捨てられたほうのストッキングを手にとって。
そろそろと、自分の脚に通してゆく。
つま先の縫い目を、足の爪に含ませるようにして。
足首が、ふくらはぎが、なまめかしい色に包まれてゆく。
たった今まで、私だけの妻だった女の体温が、まだかすかに残っていた。
嫉妬の苛だちを、なだめるように。
妖しい疼きを、そそのかすように。
なよやかな触感は、皮膚の奥深く沁み透って。
ドクドクと狂おしく脈打つ血潮を、マゾヒステリックな色に染めあげる。

そのままそうして、奥さんのストッキングを穿いていたまえ。
ついでに、そう・・・スリップも、愉しむといい。
ほかにはなにも、身に着けないで。
下着女装に身をやつしたまま。
きょう一日、ここで独りで過ごすのだ。
私はこれで、失礼するが。
もちろん奥さんは、お連れするよ。
わたしの新しい愛人として・・・ね。
あちらこちらのお宅に、お邪魔して。
わたしの愛人なのだと、お披露目してくるのだから。

どうかね?お加減のほうは?
なに。とても爽快。それは何より。
では、一日しんぼうできるね?
奥さんの帰りを、待てるね?
行き先・・・だって?
野暮なことを、お訊ねだね。
まあ・・・いいだろう。
きみはもう、わたしの奴隷なのだから。
奴隷はご主人様の居所を、いつもわきまえていなくちゃな。
きみの友人知人、近在の家にはすべて顔を出すよ。
どこに行けば良いかは、奥さんがすべて心得ているのだろう?
それからさいごに、妹さんのお宅にお邪魔して。
姉妹ながら、なぶり抜くのさ。
時おり、電話をかけさせよう。
もちろん、私が後ろから犯しているさいちゅうに。
夜になったら、家に帰してあげよう。
あのひとの夫が、家に戻ってきたら。
夫のまえでかわいがる約束になっているからね。
その代わり・・・帰宅の姿は見ものだよ。
お召し物をしたたか、愉しませてもらうのだから。
髪はほつれて、頬は蒼ざめて。
ブラウス引き裂いて、おっぱいをまる見えにさせて。
折り目正しかったプリーツスカートのすそは、精液をぬらぬら光らせて。
ストッキングも破けて、きれいなストライプ模様を描いてあげる。
どうかね・・・?とても悦ばしいとは、思わないかね?
寝取られ亭主ならではの愉しみを、一日たっぷり味わえるのだから・・・


あとがき
たいぶ以前に描いた「Dさんのこと」の後日譚です。^^

あり地獄みたいに、引きずり込まれちゃうんだって。

2007年12月14日(Fri) 07:28:24

あの泥沼は、蟻地獄みたいなんだぜ?
同級生のリョウイチくんは。こっそり自慢げに、ボクに囁いてきた。
ふだんは、砂地だろう?
でも、時々ほんとうに、大きなぬかるみみたいになるんだよ。
そんなところを見ていると。
みすぼらしくて下品なかんじの婆さんが現れて。
そいつが、吸血婆さんなんだ。
逃げようとしても、逃げ切れなくって。
大人でも、かなわなくって。
あり地獄みたいに、引きずり込まれちゃうんだって。

えへへへへへっ。
リョウイチくんの警告を、もっとまじめに聞くんだった。
ボクはハイソックスの足許を、泥まみれにして。
沼のなかで、足をとられてうごけなくなっていた。
かわいい子じゃのお。
わらわに血をくだされや。
喉、渇いておるでの。
お婆さんは、ボクの肩をつかんで、引き寄せると。
有無を言わさずに、かさかさした唇を、おしつけてきた。
ちくっ。
注射をされたときみたいなかすかな痛みに、くらっとなって。
ついよろよろと、よろめくと。
お婆さまは、ボクのことを突き飛ばして。
ボクは泥沼のまん中で、四つんばいになっていた。
ほほほ。これだけ汚れてしまえば、あきらめもつくじゃろうて。
ほくそ笑んだ唇が、もういちど、首筋に吸いついてきて。
ごくり・・・ごくり・・・ごくり・・・
こんどは情け容赦なく、ボクの身体から血を抜いていった。

ホホホ・・・
脱がされたハイソックスを、目のまえにぶらさげて。
これ見よがしに、見せびらかされて。
頼りなく縮こまったねずみ色のハイソックスは、まだ泥にまみれたままだった。
これは泥じゃが。
こんど逢うたら、こんなふうに。
そもじの血を、散らしてみたいものじゃの。
それから、母ごも連れてまいれ。
母子ふたり、仲良くわらわに啖らわれるのじゃ。
さ・・・いつ逢うか、わらわと約束をするのじゃ。
約束すれば、家に帰してつかわすぞえ。
母ごを連れて参るときは・・・せいぜいおめかしさせてくることじゃ。

まるであり地獄みたいに、引きずり込まれちゃうんだって。
リョウイチくんの声が、もういちどリフレインしてきたのは。
連れてきたママが、ボクの目のまえで。
深緑色をしたスーツを着たまま、抱きすくめられて。
肌色のストッキングを穿いた脚を、お婆さまに噛まれてしまったときだった。
これだけ汚してしまえば、あきらめがつくじゃろう?
いつかどこかで聞いた文句を、ボクはもういちど耳にする。
ママは、ころころと笑いこけながら。
まぁ。いやらしいですわね・・・とか、含み笑いしながら。
自分から、脚を差し伸べて。
ハイソックスのふくらはぎに、吸い取られた血をぬらぬらさせているボクのまえ、
くすぐったそうに、はしゃぎ声たてながら。
肌色のストッキングに、赤黒い血を浸していった。

わるいやつだな。
パパは苦笑いを浮かべながら。
ママの生き血を吸わせちゃったボクの頭を、軽く小突いただけだった。
パパのいない夜。
お婆さまは、夜な夜なボクのうちにやってきて。
真夜中、おめかししたママを、それは愉しそうにいたぶるようになっていた。

まるであり地獄みたいに、引きずり込まれちゃうんだって。
リョウイチくんの声が、また耳の奥でこだまする。
妹です。
紹介するボクの目のまえで。
紺色の制服を着たえりちゃんは。
ボクとよく似た面差しに、初々しいツヤをよぎらせながら。
まだ穿きなれない黒のストッキングに、蒼白い脛を透きとおらせて。
お婆さまのまえ、きちんと礼儀正しくお辞儀をする。
お下げ髪が肩先に揺れるのを。
お婆さまはうれしそうに細めた眼を、値踏みをするように抜け目なく光らせていた。
生娘じゃろうの。
血走った眼をしてボクに訊くお婆さまを、中学にあがったばかりのえりちゃんは、目をくりくりさせながら見つめている。
ちくしょう。もったいない。
あの、黒のストッキングの脚を咬ませちゃうのか・・・
どんなふうに、悔しがっても。妨げようとしても。
お婆さまは、えりちゃんを、ボクに断りなくモノにしてしまうだろう。
悩んだボクに、引導を渡したのは、ママ。
女のひとにとっては、愉しいことなのよ。
あなたが介添えすれば、あの娘も悦ぶわ。

それでは・・・遠慮のういただくぞえ。
老婆のもの欲しげな舌なめずりのまえ。
えりちゃんは目をくりくりさせて。
「どうぞ」と、無邪気に笑って。
黒ストッキングの脚を惜しげもなく、差し伸べた。

あり地獄みたいに、引きずり込まれちゃうんだって。
リョウイチくんの声が、間近にあった。
白一色のスーツに身を包んだ、未来の花嫁は。
磁器のようにぬるりと光る、なめらかな白い首筋に。
およそ不似合いな、あからさまな噛み痕を、赤黒く滲ませていた。
初めて老婆に襲われた夜。
それこそ、夢見るようにうっとりと。
お婆さまの着物姿のなか、巻き込まれていって。
しっかり抱える薄汚れた服の袂に、純潔な血を散らしたのだった。

今夜の訪客は、お婆さまだけではない。
お婆さまを、お迎えすると。
百合絵さんは、うっとりとなって。
まるで恋人にキスを許すように、首筋を吸わせていった。
悦ぶがよい。今宵はそもじの嫁ごに、婿を連れてきたぞえ。
いちど汚してしまえば、あきらめもつくじゃろう?
懐かしい言い草に、ボクは不覚にも、血を騒がせてしまった。
お婆さまは、憎たらしい笑みをいっぱいに咲かせて、
ボクの未来の花嫁をさきにいただきたいという男を引き合わせてくれた。
ほかでもないリョウイチくんだった。
ほんとうに、蟻地獄だったね。
そうだろう?でも、愉しいだろう?
ぐるぐる巻きに縛られたボクのまえ。
剥いだ衣装の下、こぼれる素肌に、たくみなまさぐりを滲ませて。
百合絵さんは百合絵さんでなくなってゆく。
ぴったり合わされた唇と唇に。
ボクは浮ついた震え声で、おめでとう、と祝福を送っている。
いいね?いただくよ。
ウン。ほんとうはずっと昔から。
キミにボクのお嫁さんを汚してもらいたかったのかも。
思わぬことを口走るボクに。
リョウイチくんは、ウフフ・・・って、含み笑いをして。
純白のスカートの奥、腰を沈めて。
ボクの花嫁を、娼婦に変える。


あとがき
きょうのはかなり、こあですねぇ。(^^ゞ
世の中には、泥フェチというのがありまして。
泥まみれになった洋装・・・とかが、好まれることがあるみたいです。^^
不似合いなコントラストが、昂ぶりをもたらすのでしょうか。
涼子さんとリョウイチくん。じつは姉弟だったりして。(笑)

泥沼浴

2007年12月14日(Fri) 07:01:32

ねぇねぇ、あの沼・・・憶えている?
えっ?
涼子の指差す向こうには、たしかに広い泥沼が広がっている。
あんなところに沼なんか、あったかしら?
美沙恵がふしんそうに、道の端に目をやると。
沼は黒々とした水面に、ぬかるみのような粘着質の輝きをよぎらせていた。
えーっ!?忘れちゃったの?あんなに愉しそうに遊んだのに。
涼子はパンプスを穿いたまま、沼にむけてまっすぐ足を向けた。
あっ、汚れるわよっ。
母親みたいに注意の声を飛ばしながら。
美沙恵は、自分はハイヒールを脱いで、石畳のうえを追いかけようとしたけれど。
だめ、だめ。
涼子は美沙恵にもういちど靴を穿くようにいうと、
自分から先にたって、泥沼のなか、ためらいもなくパンプスの脚を踏み入れた。
ばしゃっ!
泥が撥ねて、光沢を滲ませた肌色のストッキングのふくらはぎに、ねばねばと光った。
あっ!
美沙恵も涼子に引きずり込まれるようにして。
ハイヒールの足許を、泥だらけにしていた。
ねっ。泥浴びしようよ。
まるで悪い子のように。
どちらがどちらを引っ張ったのか、わからないままに。
着飾った女の影ふたつ、泥沼のなかにしぶきをあげた。
もう・・・っ。
頬に撥ねた泥を、涼子は拭ってくれたけれど。
そういう涼子の手がすでに泥だらけだったから。
泥が広がっただけだった。
どーするのよー。
だって。もう結婚式済んじゃったし。
瑤子は今夜で処女を捨てるのか。
ふつうとはかけ離れた状況が、美沙恵に大胆なことを言わせていた。
うーん。そうね。
ナオキくん、女遊びしていたから、うまく飼いならされちゃうんだろうね。
涼子はぬかるみに腰を降ろして、
ライトグリーンのタイトスカートのすそを、茶色く浸してしまうと。
美沙恵のことも、ぐいっと引き寄せて。
えび茶色のタイトスカートに、びしゃっと泥を撥ねかせている。
クリーニングに出さなきゃ。
どうせクリーニングに出すんだったら、いいよね~?
涼子は片手で泥をすくって、美沙恵の着ている空色のブラウスに、ぱしゃっとかけた。
やったな!もう!
こんどは美沙恵が、涼子の花柄のブラウスに、泥を散らした。
青空の下。
きゃっ、きゃっ、と、たわむれる声がはじけて。
ふたりの女は、頭から泥をかぶっている。

ハンガーには、ふた組のジャケットとブラウス。
ライトグリーンとえび茶のスカートは、横倒しになったちゃぶ台の脚にむぞうさにひっかかっている。
どの装いも、晴れ晴れとした色づかいに不似合いに、泥まみれになっていた。
ねぇ。
涼子は仰向けになったまま。
傍らに寝そべる親友を、うつろに見つめた。
見てよ。あれ。まるでレイプされちゃったあとみたい。
ええ~?まるで経験あるみたいじゃないのー。
美沙恵はうつぶせたまま、ひんやりとした畳の感触に、湯あがりの胸をさらしている。
ふたり、スリップ一枚になったまま。
小気味よく肌をさらして、まとわりついた湯気を散らしているのだ。
お行儀のよいセットをはずしてさばさばと解き放った洗い髪が、むしょうに心地よかった。
レイプの経験?
電灯の下。涼子の頬が、蒼白くうつる。
ある・・・って言ったら、どお?
え・・・ほんと・・・?
うふふ。
涼子は小悪魔のように、肩をすくめて笑った。
あなたも・・・してみたい・・・?
え・・・まさか。
でもね・・・いったんこの村に入ると。
涼子が耳元に、唇を寄せてきた。
ルージュを吐いた唇は、女の美沙恵ですらドキドキしてしまうほどに、セクシィだった。
あとを続ける涼子の囁きが、耳の奥をくすぐった。
いったんこの村に入った女はね。みんなレイプされちゃうのよ。
えっ?そうなの?
彼氏には、黙っていてあげる。
じっと押し黙った涼子が、すっかりくらくなった室外を窺うと。
裏口に二、三人。庭には、数人。
そして、玄関にはどやどやと、多数の人の気配。
りぃん。ろぉん・・・
ほぉら、来た。
鈍く滲んだインターホンに、涼子ははしゃいだように声をあげると。
二十人はいるよ。美沙恵、ひと晩でこなせるかしら?
うふふふふっ。
スリップ一枚で立ち上がった女は、素足にガーターストッキングをすばやく通すと。
あいつら、都会の女がもの珍しいのよ。
あなたもストッキング穿くのよ。
服は、だめになったけど。
せめてそれくらいは、サービスしてあげようよ。
夜這いのときには、勝負下着で応えなくっちゃ。
だいじょうぶ。
いまごろ瑤子も、新床で。
村の男たちの相手をしているころだから♪
ナオキくん、この村好みの趣味持ってたのね。

吸血沼

2007年12月14日(Fri) 06:47:17

その沼のほとりには、しばしば老婆の影が出没して。
よだれを泡だてた口許に、にたにたと小意地のわるい笑みを含ませながら。
若い女を、沼に追い落として。
ぬかるみに足を取られた女たちは、はしたなく取り乱して、
服を泥だらけにしながら、血を吸い取られていくという。

ふだんはその沼は、砂地のように乾いているという。
だから道行くだれもが、ほとんど沼に気を取られない。
沼のほとりの道は、村の住人にとっては通らなくてはならない道で、
だれもが必ず、週にいちどは足を運ぶというほどだった。
涼子はいつものように、学校帰りの制服姿。
足許を覆う白のハイソックスは、丈の長いスカートの奥まで引き伸ばされていて、
ちょっと見には白のタイツのように見えたけれど。
たてに走る太めのリブが、陽射しを照り返してツヤツヤと光っていて。
脚の線を映した微妙なカーブを描いて、折り目正しいなまめかしさをよぎらせていた。
右手は木立ち。左手は沼。
きょうの吸血沼は、濁ったぬかるみを、うわぐすりのようにぬらぬらと光らせている。

きゃっ。
思わず小声をあげて立ちすくんだ目のまえに。
とつぜん現れたみすぼらしい老婆の姿が、行く手に立ちふさがっていた。
老婆はにたにたと、人のわるそうな笑みをうかべながら。
きれいなおなごじゃ。わらわに生き血をくだされや。
にたにたとほくそ笑みながら、にじり寄ってくるのだった。
やっ、やだ・・・っ。
涼子は老婆の正体を親からきかされていて。
道端に沼が見えたら、一目散に逃げるのだよ。
そんなふうに、訓えられていたけれど。
ついうっかりと、傍らの沼の広がりを、見落としていたのだった。

ばちゃ、ばちゃ、ばちゃ・・・
もう、なりふりなんか、かまっていられない。
少女は息せき切って、逃げ回る。
けれども齢に似ずにすばやい老婆を振り切ることはできなくて、
じりじり沼辺に、追い詰められていった。
あっ、やだ・・・
ハッと気づいたときには、もう沼の端。
黒の革靴に撥ねた泥が、どろどろと茶色くまとわりついてくる。
やだっ!やだっ!寄らないで・・・
涼子の願いもむなしく、老婆はにたにた笑いをおさめはしない。
うふふふふっ。綺麗な靴と靴下をお召しじゃの。
たっぷり泥に、まみれさせてくれようぞ。
紺色のベストを着た涼子の肩に手をかけると、
そおら・・・っ。
気合を込めて、沼のなかへと追いやった。
ばしゃっ!!
泥が飛まつとなって、少女の頭まで撥ねあがる。
ああっ。
立ちすくむ涼子の足許は、もうぬかるみにはまっていて。
ひざ小僧の真下までぴっちり伸ばしたハイソックスも。
よくアイロンのきいた紺のプリーツスカートも。
ヘドロのようなぬかるみをぬらつかせて、びしょびしょになって汚されていた。
ほ。ほ。ほ。ようお似合いじゃわ。
小ぎれいな服を汚すのは、なんとも小気味のよいものじゃて。
老婆はじぶんの着物のすそが泥にまみれるのもかまわずに、沼に足を踏み入れてきて。
涼子の傍らに、寄り添うように影を重ねる。
生臭い息遣いが、間近に迫って。
素肌を侵されるのを予感した少女は、ハッと身を硬くした。
う、ふ、ふ・・・きれいはお肌をしておるのう。
やっぱり若いおなごの人肌は、こたえられんわ。
ブラウスの釦を二つ三つはずして、胸のふくらみをまさぐられながら。
少女は目を瞑り、強くかぶりを振っていやいやをするけれど。
老婆は許そうとせず、よけいにまさぐりを深めるのだった。

さあ・・・生き血を吸ってつかわすぞえ。
うれしいじゃろ。ほんとうは、うれしいのじゃろ?
うれしいと、言うてみよ。言わぬか。言わぬのなら、この沼ん中に、蹴込んでくれようぞ。
老婆の脅しに屈した涼子は、ちいさな涙声で、やっとの想いで。
生き血を、吸って・・・
ささやいていた。
ケケケケケ・・・
老婆は意地の悪い昂ぶりを声に含ませながら。
涼子のうなじに、これ見よがしに。
黄ばんだ犬歯を突き立ててゆく。
あああ・・・っ!
ぐったりとなった涼子は、老婆の腕のなか。
もう、いいように血を含まれてゆきながら。
それでもゆるくかぶりを振りながら、いやいやをし続けている。
温(ぬく)い。温い。ぬくといのお・・・
子守唄を唄うように。ひとりごちながら。
しくしく泣きむせぶ両肩を、あやすように撫でながら。
老婆はしばし、少女の生き血に酔いしれていたけれど。
やがて
そおれ・・・っ
ひと声、気合いを込めて。
少女を泥沼のただなかに、追いやっていた。

さっきまで着ていた制服が。
泥だらけになったまま、ハンガーにかけられている。
薄暗い壁に、まるでさらしものになったように。
目覚めた涼子はぼんやりと、制服についた泥を見つめていたが。
身に着けているものが、スリップ一枚だけなのに気づくと、
羞ずかしさに、ひくくうめいた。

なにをされて、しまったのだろう。
あのあと、まっすぐ老婆の棲み処に連れていかれて。
泥だらけの制服姿を、村の者たちにさらけ出すように、
わざと遠回りをして、歩かされた。
泣きべそをかいている涼子から、村人は表向き目をそむけながら。
それでもチラチラ盗み見る好奇の視線を、感じないわけにはいかなかった。
棲み処に着くと、老婆は少女を突き飛ばして。
古びたたたみの上に、四つんばいにさせて。
泥の着いたハイソックスを履いたまま、ふくらはぎをすみずみまで、なぶりものにされたのだった。
えへ、えへ、えへ・・・
随喜のうめきを、あげながら。
生温かいよだれがハイソックスにしみ込んでくるのを。
涼子は悔しげに頬を引きつらせながら、耐えつづけなければならなかった。

老婆に握らされた受話器の向こう、取り乱した母親は、すぐに来る、と言ってくれたけど。
涼子はふたたび、沼の端に連れていかれて。
愉しげに待ち伏せる老婆に、口をふさがれつづけていた。
指図どおり装った黒の礼服姿を、娘とおなじように泥まみれにされながら。
うなじにからみつくようにして迫ってくる老婆の唇を、こばみかねて。
母親は柳眉を逆だてて、生き血を吸われていった。
白い脛が清楚に透ける黒のストッキングに、
およそ不似合いな茶色い泥をねばりつけられて。
母親もまた、泥沼のただなかに、引きずり込まれていった。
汚穢にみちた輝きを、礼服のそこかしこに、どろどろと滲ませながら。

部屋のむこうから、声がする。
女のうめき声のようだった。
見慣れた我が家が、別の家のように映る。
そう。
老婆に占領された家。
そこは、涼子の家であって、涼子の家ではない。
スリップ一枚の姿のまま、たちあがると。
洩れてくる声をたよりに、廊下をさまよった。
じんじんと響く妖しい疼きが、うなじをほてらせている。
喉がすっかり渇いているのは、血を舐め尽されてしまったせいなのか。
ふと通りすぎた姿見のまえ。
鉛色をした自分の顔に、慄っ、電流のような痺れを覚えた。

母の寝室から、覗いているのは。
放恣に開ききった、一対の脚。
片方の脚は、眩しいほどの肌の白さをさらけ出していて、
もう片方の脚は、黒のストッキングをまだ履いたままになっていて、
それでもひざ下までだらしなくずり落ちたストッキングは、たてにひとすじ、鮮やかな裂け目を走らせている。
はぁ、はぁ、はぁ・・・
母のそれとは思えない、荒々しい息遣い。
老婆はそんな母の上、自分も着物のすそを乱しながら。
堕とされた礼服のすき間から覗いた柔肌に、ぴったり唇を這わせている。
しっくりと合わさった腰と腰は、まがまがしく寄り添いあったまま、
別人のように取り乱した母親は、老婆の思いどおりに、礼服を堕とされてゆく・・・

あれからなん年、経っただろう。
都会の大学にあがって。そのまま住み着いた都会で、オフィスレディになって。
恋人ができて、結婚をして。
それでもやむにやまれぬものが、涼子を田園風景へと誘い込む。
田舎のがたがた道を飛ばす車のハンドルを握って、
隣には、夫の妹が小洒落たブランドもののスカーフをたなびかせ、
後ろの席には、夫の母が。
折り目正しく装ったスーツのすそから、光沢入りのストッキングの脚を覗かせている。
ここからは、歩きませんか?景色がいいので・・・
みじかく告げる涼子の言うままに。
女たちはそうねぇ・・・たまには田舎もいいわね、って声交し合いながら、
なんの疑念もなく、パンプスの脚を泥道に踏み入れる。
申し合わせたように装った、都会の雰囲気漂う光沢入りのストッキングの足許に。
涼子は人知れず、ほくそ笑む。
道端には、ついぞ目にすることのなかったあの泥沼が、
茶色く濁った水面を、ぬらぬらと光らせている。

たまには田舎もいいわね・・・
母親がうつろな声を娘に向ける。
そうね。またいっしょに来ようね。パパやセイジさんにはナイショでね。
娘も惚けたような、含み笑い。
泥の撥ねたままの足許を、気にかけるふうもなく。
堕とされた衣装のすき間から、輝くような柔肌を滲ませながら。
涼子と老婆に伴われて、あのまがまがしい棲み処への道を、だどってゆく。
母親が低くハミングする唄は、どこか聞き覚えのある唄。
あの日のたそがれ刻。
黒の礼服を堕とされた母も、たしかにおなじ唄を口ずさんでいた。

靴のコレクション

2007年12月12日(Wed) 07:13:56

女はどうしてこうも、靴が好きなんだろう。
うちの女房にしてからが。
バーゲン行ったら、気に入ったのがあったのよ。
とかなんとかいいながら。いつの間にか、しこたま買い込んでいる。
なにかの拍子に靴箱を開いたら。
家にはいったいなん人女がいるのかと思うほどの、靴、靴、靴・・・
普段用に履き古した地味な茶色のパンプスに、
優美な曲線を描いた銀色のミュール。
その隣に鎮座しているのは、黒のエナメルのハイヒール。
すぐ下の段には、軍靴のように力強そうなロングブーツ。
隅っこには、無地でも鮮やかな紫色のハイヒールが、ツヤツヤ光っている。

いったいどういうときに、どんな靴を履いていくのか。
もしかすると、買っただけで使っていない「たんすのこやし」みたいなやつもあるのかも。
けれどもほとんどの靴が、ヒールにかすかな泥をつけていて。
どれもこれも、そのときそのときで、使い回ししているようだった。
女房の穿いている靴になど、いちいち注意を払うことはなかったけれど。
それからは。つい、気になって。
いっしょに出かけるとき。
いそいそと独り、外出していくとき。
つい、観察する癖が、身についた。
おや。ハイヒールだなんて、珍しいね。
何気なく、口をすべらせると。
やだわ。どこ見てるのよって。妻はがらにもなく、照れ隠しをした。

町内会とか、子供の学校とかに出かけるときは、履き古しの茶色いパンプス。
お友だちの家に行ってくるの。
そういうときは、銀のミュール。
夫婦で出かける木枯しの日には、「寒いから」といって、ロングブーツ。
紫のハイヒールだけは、使い道がわからなかった。
妻が留守のとき、靴箱をあけると。
靴の裏は、真っ白だった。
妻がいそいそとハイヒールで出かけていった日に、こっそり覗いてみると。
なぜかその靴だけが、なくなっていた。

どうしたのー?
自分で靴を磨くだなんて。
靴の手入れなど、女房任せにしていたけれど。
靴箱のなかを覗きたさに、自分の革靴にサッとブラシをかけていた。
紫のハイヒールは、やっぱり所定の場所に鎮座している。
いったいどこへ、行ってきたのか。
いったいなにに、使われたのか。
ふと傍らを見ると。
帰宅してきた妻が脱ぎ捨てた、黒のエナメルのハイヒール。
黒には黒が合うのよって。
昼過ぎに出かけていったときには、たしか黒のストッキングだったはず。
けれども今、るんるんと鼻歌交じりに夕餉をこしらえている妻の足許は。
履いているのかいないのかわからないほど地味な、肌色のストッキング。

いったいなにが、起きているのか?
とうぜん湧いてくるはずの怒りや疑いのかわりに。
ズキズキとした昂ぶりが満ちてきたのは、いったいどういうわけだろう?

100人め♪

2007年12月12日(Wed) 06:22:41

1.
うーん、悔しい。
悔しすぎるっ。
目のまえで婚約者を、いただかれてしまうなんてっ。(><)
でも、もう時すでに遅し。
相手は生身の人間ではなかったから。
俺の首筋につけた痕は、じんじんと妖しい疼きを響かせて。
べつだんこんなふうに、ロープでぐるぐる巻きにされていなくったって、
ヤツのしたい放題を止めだてすることなど、できなかっただろうから。
夕子さんは、ヤツの腕のなか、真っ白なスーツ姿をもみくちゃにされて。
きゃあっ!やだっ!嫌ッ!やめてええ・・・っ!
声を限りに、叫んではいるものの。
ちょっとふざけた調子ではしゃぎきってしまっているのは。
やっぱり首筋に滲まされた、咬み痕のせい。
ふたつ綺麗に並んだ傷口にちょっぴり滲んでいる血は、ヤツの大好物である処女の血潮。

悪いね。お嫁さんを、頂戴するよ。
うふふ・・・ふふふ・・・
うん。硬い。硬いね・・・
やっぱり処女は、いいなあ・・・
勝手なことを、ほざきながら。
ヤツは夕子さんのブラウスをもみくちゃにして。
むぞうさに、えり首を押し広げて。
白い素肌をあらわにすると、舌なめずりして唇を這わせた。
きゃあっ、きゃあっ、タカヒコさん。助けてェ・・・
夕子さんは身を揉んで厭がっていたけれど。
白い横顔をよぎるのは、くすぐったそうなイタズラ笑い。
そうしてそのまま。はしゃいだまま。
スカートのすそをむぞうさに、乱されてゆく。

ふうっ。一丁あがり♪
すこし手こずったが、いい体しているよ。
きみの嫁さんで、記念すべき100人めだ。
知らないうちに散らしていた涙を、ヤツはていねいに拭ってくれた。
もう・・・これっきりにしておくれよ。花嫁を襲うのは。
100人って・・・きりがいいじゃないか。
ヤツの股間にぬらぬら光る血しおから目をそむけながら、
やっとの想いでそういうと。
莫迦だな。お前・・・
こんな愉しみ、やめられるわけないじゃないか。
100人めをそこまで特別扱いしたりしたら。
54人めや67人めのやつに、なんて言い訳すればいいんだい?
だいじょうぶ。
だれもかれも、今ごろ幸せ夫婦になっているから。
人のわるい笑みを、絶やさずに。
やつはひと言ご馳走様・・・って、つぶやいて。
憎たらしい後姿を見ることは、もう二度となかった。

2.
もう来ていたの?おじさん。
勉強部屋のドアが開いて。
部屋の主の少年が、戻ってきた。
もう暑い季節でもないのに、半ズボン。
えっ?おかしいかな。ボクからみると夏に長ズボンはいている大人のほうがずっとすごいよ。
小首をかしげるようすが、女の子みたいに初々しい。
半ズボンからのぞいたツヤツヤ光る太ももは、女の子みたいに初々しくって。
オレは時おり、舐めたり咬んだりさせてもらっている。
おじさん。血が欲しいんだね。ボクの血でよかったら、飲みなよ。って。
少年はどこまでも親切に、オレをもてなしてくれる。

ヘンだよね~?
彼がいつになく、照れているのは。
ひざ下までぴっちり引き伸ばして穿いている、薄手の白のハイソックス。
ストッキングみたいに薄い靴下は。どうやら彼女のやつを借りてきたものらしい。
いちど、穿いてみたかったんだ。
ストッキングを穿く勇気は、まだないけれど。
ハイソックスなら、男の子だって穿くしね。
でも・・・その薄さ。ふつうじゃない。そんな言葉を気づかれないように呑み込むと。
彼は思い切ったように、切り出した。
きょうね。まみちゃんが来るんだよ。
いつもみたいに、咬んであげてね。
そう。
まみちゃんは、この子の恋人で。幼馴染みの女の子。
仲良くなると、ごくしぜんに紹介してくれて。
処女の血が好物なんだって。
そんな紹介に、まみちゃんは目をくりくりさせながら。
怯えもせずに、惜しげもなく。
真っ白なタイツの脚を、ご馳走してくれたんだっけ。

おじさん。
お願いがあるんだけど・・・
いつになくせっぱつまった感じの少年の口調に。
なあに?
オレは気さくに、相槌をうつと。
きょう、まみちゃんのことを犯してくれる?
おじさん、処女を犯すのも、好きなんだよね?
ふたりで、相談したんだけど。
やっぱりさいしょは、慣れている人のほうが怖くない・・・っていうから。
だから、一番仲良しのおじさんに、させてあげる。
パパのときは、ちょうど100人めだったんだって?
まみちゃんは、なん人めになるのかな?
ごめん・・・忘れた。(^^;)
人数のことなんか、とうに忘れてしまったくらい。
どれほどの処女の血を吸い、犯してきたことか。
でも。自分でやらないでいいの?
オレなんかに姦らせちゃって、かまわないの?
ウン。やっぱりおじさん、犯してよ。ボク、となりの部屋から見ているから。
よ~し、わかった。いい趣向だ。
おじさんも、昂奮してきたぞ。
まずキミのことを、ロープでぐるぐる巻きにしちゃうんだぞ。
ウン、いいよ。縛ってみて。
少年は素直にオレのなすがままになって、ロープを巻かれていきながら。
縛られるのって、なんだかドキドキするね。って。
こちらがどきりとするようなことを、口にする。

きゃあっ。きゃあっ。痛~いっ。
ママのときよりも、ずっと明るいトーンの悲鳴だった。
まみちゃんは、とても楽しそうに、オレに部屋じゅう追いかけまわされて。
彼の目のまえで、両肩をつかまれて。
ぎゅーっと、肩を押さえつけられて。
たたみにひざ小僧をついていた。
やだっ。やだっ。たかしー。たすけてーっ。
まみちゃんは、必死になってかぶりをふって。
それでも、シンコクさなんか、かけらもない。
真っ白なプリーツスカートを、めくりあげて。
黒のひざ上までの靴下の脚を、押し広げて。
靴下の生地の黒さによけいひきたつ白い太ももに、淫らな粘液を、どろりとしたたらせると。
急にひんやりと、押し黙って。
スカートのなかでショーツを裂かれる音を耳にすると、観念したように目を瞑った。
ぎゅう、ぎゅう、ぎゅう。
う~ん、やっぱり処女はイイな・・・
横目に映るタカシの脚は。
決まり悪そうに、もじもじとうごめいていて。
まみちゃん愛用の薄々の靴下のなか、薄っすらとしたピンク色に染まっている。
ごめんよ、たかし。
でも、パパのときよりも、聞き分けが良かったね。


あとがき
いまどきの男の子は、恋人やお嫁さんの処女性に昔の男みたいな執着をもたないそうですが。
まさか・・・こんな感じではないでしょうね。(^^;)

シャイなのかしら

2007年12月12日(Wed) 05:52:33

あら、おかしいわねえ。
朝餉の支度に台所に立っていた妻が、ふと声を洩らす。
指先についているのは、バラ色のしずく。
今しがた手をあてがって引っ掻いていたうなじのあたりには、かすかな擦り傷のような痕。
どうしたの?
わたしが声をかけると。
うん・・・なんでもないけど。ほら。
差し出された指先についた血は、ちらちらとした艶を帯びていて。
ひどく神秘的な輝きを秘めている。
蚊に刺されたの?
さあ・・・
妻は謎めいた微笑をたたえて、
蚊にしては、ちょっと大きかったかも。
そういいかけて、にわかに口をつぐんでいる。
聞かなかったことにして頂戴ね。
取り澄ました横顔には、そんなふうに書いてある。
うん。そうだね。
首筋のあたりの疼くようなかゆみを、わたしも指先で紛らせながら。
うかつに口をすべらせると。
シャイなのかしら。なにもいわないで立ち去るなんて。
すこしくらい、上の空でも。朝餉の支度は整うものらしい。
カチャカチャとお皿の音を立てながら運ばれてくるティー・カップ。
ふたり向かい合って、無言のままカップを傾けて。
今夜は遅くなるよ。
”彼”が来たら、言ってみるといい。
淋しいから、お話し相手になって・・・って。
ウフフ。いいの?
お話し相手以上の関係に、なっちゃうわよ。
だいじょうぶ。気に入らない展開になったら、ものでも投げて追い払うから。
そお?
妻は疑わしそうに、からかうようにわたしを見ると。
そろそろ、お時間よ。
いつものように、わたしをうながしている。

夜。
ものを投げるどころか。
物音ひとつ、立たなかった。

冬の夜明けは遅いはずなのに。
どういうわけか、けさにかぎって。
いつもより早く感じたものだ。
アラ。いつお戻りになっていらしたの?
妻はいつに変わらぬようすで、小首を傾げてほほ笑みかける。
う~ん、かなり遅くなっちゃってね。
なにやら少し、カゼっぽいのは。
夜通し縁側で過ごしたせいに、ちがいない。
あら、あなた。お顔の色がよくないわ。
きょうはお休みをもらって、家でゆっくりしていらしたら?
わたくし?ちょっと人に逢わないといけなくなったの。
留守にしても、いいかしら。
あのひと、シャイだから。
でも、そのうちに・・・きちんと挨拶してもらいましょうね。
妻は軽くハミングしながら、薄ぼんやりとしているわたしの前、
黒のストッキングをむぞうさに、脚に通していった。

奥様は社長秘書

2007年12月12日(Wed) 05:39:04

人のやりくりが、つきかねる・・・
社長はきょうも、頭を抱えて。
考えあぐねたように、私の顔を見る。
そうだ。きみ、奥さんに手伝いをお願いすることはできないか?
せっぱ詰まった口ぶりに。
家内に、なにか手伝えることなんかあるんですか?
うっかり、口をすべらせていた。
社長はなぜか、意味ありげなかんじの笑みを一瞬よぎらせたあと。
まじめな口調に、すぐに戻って。
  当面は、簡単な事務とお茶汲み。それだけでも助かる。
  なぁに。人はどんなにいても、使い道があるのさ。
痩せぎすな体を揺らして笑う社長の、蒼白い細面に。
ふっと自堕落なものがよぎるのが気になったけれど。
すぐに、言った言葉を忘れたかのように。
二、三の新入りの部下に、手短に命令をくだしていた。
長い白髪を、銀色の輝きがよぎるのを。
なにかの予感のように、見つめていると。
  さあ、お仕事お仕事。
ここに入って長いという菜村と華木が、私を小突いて仕事をせかせる。

ふたりとも。
奥さんもここに勤めていて、階上の事務室で働いているのだが。
外回りの営業にかかりきりの私たちは、ついぞ階上に足を運んだことがない。
それでも帰りのはやいときには。
どちらの奥さんも社の玄関のまえでにこやかに夫の帰社を待っていて。
仲睦まじげに家路をだどるのを、よく見かけたものだった。
  家内が働きに出るとすると、きみたちの奥さんにお世話になるのかな。
  そうだね・・・まぁ、そういうことになるのかな。
菜村はなぜか、あいまいに語尾を濁したけれど。
若い華木のほうは、ひどく嬉しげにして。
  端沢さんの奥さんだったら、うちのやつと同年代ですよね?
ひどく嬉しげにしていた。
  えらく嬉しそうだね
って、冷やかすと。
  ええ・・・話し相手ができると思って。
なぜかやっぱり、語尾を濁した。

夫婦そろって出社した朝は。
少ない従業員のほぼ全員が出揃って。
拍手で妻を、職場に迎えてくれた。
  お名前は?華絵さんていうの?華麗の華に、絵のように美しいの絵、ですね?
社長は珍しく、下手な冗談を言って皆を笑わせたあと。
  じゃあ、華絵さんのめんどうは、冴子さんとミチルさんが見てあげて。
すぐにいつもの、命令口調になっていた。

妻が二人の女性に連れられて階上に姿を消すと、
  ここではね。奥さん社員は下の名前で呼ばれるんだよ。
  嫌な感じは、しないかい?もしも嫌なら、社長はすぐに改めてくれるよ。
菜村の気づかいは無用のことだった。
おなじ苗字の人間がふたりもいたら、どちらかの呼び方を変えなければならないだろうから。

妻の初出勤は、半日でおわった。
  きみの奥さん、専業主婦だったんだろ?
  さいしょのお勤めは、疲れるだろうからね。
  明日からは本格的に、ばしばし行くよ。
社長は珍しく思いやり深げな面持ちで、私の顔を覗き込んだ。

わが社の社員は、社長も入れて十人そこそこの、こじんまりした中小企業。
雨の日や寒い日の外回りは、ちょっとしんどいけれど。
さほど厳しい仕事でもないのに、給与はかなり、優遇されていた。
それでも社員が黙って辞めていって、補充がつかなくなるのは。
いったいどういう、わけだろう?
辞めていった社員のことは、だれも口にしないのだが。
いっしょに働いている奥さんもろとも抜けられるのは、きついといえばきつかった。
いまでは長い勤めをしているのは、親しい同僚の菜村と華木の二人くらいで。
ほかの社員は私とおなじくらいか、私よりあとから入ってきたものばかり。
  腹を割って話せるのは、きみ以外では小野木くらいのものかな?
なにかのときに、菜村がそう口にしたのは。
私より一ヶ月早く中途入社した男の名前だった。

そんな小野木が。あるとき顔色をかえて。
奥さんの手を引いて、階上から降りてきた。
  端沢さん。こんなところは辞めたほうがいい。あんたも奥さん、出社しているんだろう?
小野木の口調はひどく切迫していたけれど。
それ以上のことはなにも語らずに、顔をハンカチで隠している奥さんの腕を引っ張るようにして。
あわただしく外に通じる玄関を開けた。
それっきり、小野木の姿をみたものはいない。
いや、一週間ほど経ってから。
小野木らしい男を外回りの途中で見かけたのだが。
ちょっと会釈したら怪訝そうな顔で黙って通り過ぎたので。
もしかすると、人違いだったのかもしれない。

きょう、なにかあったの?
妻に小野木のことを尋ねてみると。
意外なこたえが、かえってきた。
  小野木さん?ああ、お子さんのいらっしゃるお家ね。
  でも、なんにもしらないの。
  菜村さんと華木さんの奥さんとはよくおしゃべりするんだけど、
  あちらの奥さんはいつも個室に引きこもっていたもの。
個室?
  ええ、そうよ。それぞれ個室に引き取ってお仕事するの。
  でもお二人はお仕事の合間にロビーに出てきて、いっしょにお茶したりするのよ。
  愉しいわね・・・って。
え?
仕事が楽しいだなんて。どんなに楽な仕事についていても、ついぞ感じたことがなかった。
妻は、まずいことを言った、というふうに、不自然に口をつぐんでしまう。
会社に対する疑念が湧いたのは、そのときのことだった。

このごろ、能率があがらないようだね。
菜村がちょっと気遣わしげに私の顔を覗き込む。
  あんたとおなじくらいに入った小野木さんも、辞めちゃったから。
  ちょっと不安になったのかな?
私は洗いざらい話してしまおうと思ったが。
もしかするとずっと辞めないでいるこの二人は、特別な立場なのかもしれない。
階上の小部屋では、いったいなにが起きているのか。
私は夫として、まずそれを知らなければならなかったのだが。
菜村は、そんな私の顔を見通すようにして。
  来なさい。
ひくくみじかい声で、私を階上にいざなった。
  きみが見たいのは、ここのことだろう?
狭い廊下をくねくねと折れ曲がっていくうちに。
私はふと、不安になった。
この先にある小部屋には、間違いなく妻がいる。
けれども、いま妻に逢ってはならないような。
そんな予感がきざしたからだ。
  連れていくのは、きみの奥さんのところじゃない。ここだよ。
指さされたドアについた名札には。
  冴子
とだけ、書かれている。

コンコン。
ドアを軽くノックすると。
なかの人の気配は、ふと静まったものの。
ふたたびそれまでと同じように、ドア越しの人いきれが伝わってきた。
入ってもいい・・・そういうことなのか。
けれども菜村は用心深く、ドアを細めにそっと開くと。
さあ、どうぞ・・・というように、私のことを手招きする。
中には入らずに。ここから御覧なさい。
ひくい声色が、かすかな震えを帯びている。

暗い廊下から覗き込んだ室内は、カーテンを閉め照明を落としてあった。
目が慣れるのに、さして時間はかからなかったが。
状況を理解するのには、時間がいった。
社長がこちらを、向いていた。
ぎくりとしたが、こちらに気づかないものか。
ただ一心に、腕の中の女を抱きすくめている。
黒のロングドレスを着た女は、かきあげた黒髪の下、首筋だけが透きとおるように輝いていて。
肌の白さが、ひきたっていた。
男は女のうなじに唇を当てて、唇の周りには、バラ色の飛沫。
え?
いぶかしい状況に、目を細めると。
抱き合う男女は、踊るようにくるりと向きを変えて、黒のドレスは社長の後姿に重なり合った。
女は男の肩に、おとがいを仰のけられて。
ノーブルな面差しに、甘美な苦痛を滲ませている。
ショートカットの髪がほつれて頬にかかるのが、ひどく淫らな感じがした。
  行こう。
菜村は顔色もかえず、自分の妻と社長とを、ドアの向こう側へと追いやった。
きみの奥さんの番は、三時からだ。
もういちどここに、来るかね・・・?
妻のいる個室には。
やっぱり「華絵」と、下の名前だけがかけられているのだろうか・・・

銀色に輝く総白髪の下、豊かな血色を滲ませて。
社長はきょうも、活き活きと執務に励む。
くだす命令は、的確そのもの。
部下に対する思いやりも、忘れない。
まず、理想の上司といっていいだろう。
  端沢くん。端沢くん。
むだ口の嫌いな社長が、私の名前を二度も呼ぶ。
  きみの奥さん、仕事できるね。きょうから社長秘書に格上げしたよ。
  奥さんにあやかって、きみにもがんばってもらわんとな。
ぽんと肩を叩かれて、照れくさそうに笑い返して。
私はさっと一礼して、仕事に戻る。
初老男の皮膚を輝かせているのは、私の妻の血。
きょうの業務は、三十分ほど前に終わっていたから。
いまごろ妻は、けだるげに。
あの暗い個室で、ほつれた髪をつくろっているのだろうか。

今夜彼の喉をうるおすのは、菜村の奥さんの血だろうか?
若い華木夫人のところにも、声のかかるチャンスは多いという。
社長にほめられた私が席に戻ると。
華木がそっと寄ってきて。
  奥さんどうし、ライバルになっちゃいましたね。
  若い女の血は、回春剤だというんですよ。
  だからああやって、毎日女の生き血を召し上がるんです。
  女が気に入ると、秘書に抜擢されます。
  辞めていった連中は、そこまでたどり着けなくって。
  トラブルになりかかると、社長は夫婦もろとも記憶を消してしまうんです。
  知ってます?社長秘書の仕事って。
  夜の接待にも、同行するんですよ。
  社長のお仲間が、集まって。
  お互いの知り合いの女性を取り換えあうというんです。
  わたしも・・・時々同行を求められますが。
  あなたがわたしとおなじように愉しめるタイプの人で、よかったですよ。
ウキウキと語る若い同僚の横顔は、吸血鬼とおなじように蒼白く輝いている。

ボクの日記

2007年12月10日(Mon) 07:33:00

○月×日
きょうは、ママのところに吸血鬼のおじさんが遊びに来ました。
いつも、ママの血を吸っている近所のおじさんです。
おじさんが家にくると、ママはわざとびっくりしたように声をあげて、
家じゅう逃げ回って、おじさんと鬼ごっこをします。
さいごにどこかの部屋に追い詰められて、捕まえられて。
首筋を、かまれちゃうんです。
まるで、チューをしているみたいに、エッチなながめです。
ボクは、ママのそんなところを見るのが大好きなので、
いつもこっそりと、のぞいてしまいます。
ばれると、あとでしかられますが、きょうはだいじょうぶでした。
おじさんは、ママを捕まえると、畳の上に転がして、スカートをめくります。
とっても、やらしいと思います。
スカートをめくったあと、なにをするかというと、ママのパンストを破くんです。
ママはいつも、てかてか光る肌色のパンストをはいているんですが、
びりびりに破かれちゃうと、なんだかすごくエッチなながめがします。
おじさんはそれを、いつもだいじそうに持って帰ります。
いちどだけ、おじさんにお願いして、こっそり分けてもらったことがあります。
片方だけだったけど、なよなよしていて、ちょっといやらしい感じがしました。
パンストを破ってしまうと、パンツ一枚になったママのまたのあたりにチューをして、
ここから先は、だんながいいっていったらな、とか言っています。
ママは、言わせるわって言っていました。
このあたりは、大人の話みたいなので、ボクにはよくわかりませんでした。

×月△日
パパは、ママとおじさんが仲良くしているのを、よく知っています。
おじさんがママの血を吸うのも、パパがお願いしてそうしてもらっているんだって、言っています。
どこまでホントなのか、わからないです。
今夜は、パパがおじさんを家に呼んで、ママを抱いてもらうんだって言っていました。
ボクも小さい頃は、ママに抱っこしてもらっていたので、吸血鬼のおじさんは、甘えんぼなんだと思います。
ママはうきうきとして、おめかしして、パパはそんなママを、苦笑いして見ていました。
いつもより化粧が濃かったので、よその女のひとみたいでした。
きれいだねっていったら、大人をからかうんじゃありませんって、しかられちゃいました。
お約束の時間になると、パパはみんなで寝たふりをするんだっていいました。
そうじゃないと、ママが恥ずかしがるからって。
どうしてなのかなあ。
いつもママとおじさんの鬼ごっこ、のぞいているんだけど。
抱いてもらうのは、今夜が初めてなんだそうです。
だからいまは、みんなで寝たふりをしています。
この日記を書き終わったら、パパにはナイショでようすを見に行こうと思います。
ママ、いつもみたいに、スカートめくられて、
てかてか光るストッキングを、破かれちゃうのかな。
どんなふうにやるのか、見に行くのが今から楽しみです。

気合い、入っちゃうなあ

2007年12月10日(Mon) 07:25:44

気合い、入っちゃうなあ
朝早くから起きて、きりきりと働く妻は。
家じゅうを、きれいに片づけて。
ざっと掃除機までかけて。
私や子供たちの夕食に、天ぷらまで揚げて。
さいごの目配りにまで、余念がない。
夕方になって。
さあ。そろそろ・・・ね。
ちらりと私に、意味ありげな流し目をくれて。
服を着替えて、鏡台に向かう。
ほんの一瞬だったけれど。
いつにない流し目が、ひどく色っぽかった。
ふたたび部屋から姿を見せたとき。
きりりと装うブラックフォーマルは、専業主婦を貴婦人に変えていた。
喪服にしては場違いだったのは。
いつもより濃い化粧と。
光の当たり具合でてかりをよぎらせる黒のストッキング。
そう。
今夜は妻の貞操を弔う夜。

子供たちまで、ウキウキとはしゃぎながら。
母さん、今夜はきれいだね♪
なんて、母親のことをからかうのだが。
いつもなら頭ごなしに叱りつけるはずの妻は。
やんわりと、照れ笑いをして。
ダメよ、大人をからかっちゃ。
優しくたしなめるばかりだった。

吸血鬼に、抱かれちゃうんだね。
布団のなかで、どんなことするのかな。
えっ?パパとしか、したことがないんだって?
パパにしか許さなかったこと、吸血鬼の小父さんに、させちゃうの?
どんなこと、するんだろう。
気になる。気になる・・・
上の息子はさすがに照れて、言葉少なになっていたけれど。
下の娘のほうは、興味津々、お目々をくりくりさせちゃっている。

さあ、お見えになるよ。
みんな、寝たふりをするんだぞ。
私の命令一下、子供たちは勉強部屋に退散した。
ふたりきりになると。
何を話してよいのか、ちょっと迷った。
喪服が、花嫁衣裳になるなんて・・・ね。
そうだね。今夜のきみは、いちだんときれいだよ。
ほかのやつに譲ってしまうのが、悔しいくらいにね。
すぐに、済ませるわ。
あのひとがいなくなったら。わたしを抱いてね。
だいじょうぶですよ。いちばん好きなのは、貴方だけ。
妻はきらきらとしたまなざしで、私に感謝の言葉をくれた。
あくる朝からの暮らしでも、ほっとできるように・・・
けれども抜け目なく、こんな文句も忘れない。
きっと・・・体のほうは。感じちゃうと思うけど♪
ふだんは交わすことの少なくなった男女の会話に、ふたりとも視線をそらしあって。
なぜか決まり悪げに、もじもじしてしまっている。

今夜は、見ないでね。恥ずかしいから・・・
つぎからは、覗いてもいいの?
もう。いやらしいわね。
笑いにすべてを押し隠して。
妻は隣室に入っていく。
庭先には、すでにだれかの気配。
夜這いを受ける寝室は、雨戸を一枚はずしてある。
私は・・・濃いウイスキーグラスを片手に、書斎にこもる。
子供たちが部屋を抜け出して、廊下を抜き足差し足してゆくのを耳にしながら。

窓辺の情事

2007年12月10日(Mon) 07:15:50

組んず、ほぐれつ。
花柄のワンピースを着た妻は。
ふだんよりもグッと若々しく見えた。
とくに、今のように。
男にねじ伏せられて、衣装をくしゃくしゃにしながら、もだえている。
そんなようすであれば、なおのことだった。
男は有無を言わせず、女の首筋に唇をあてがって。
ねっとりと這わされた唇と、清楚にひきたつうなじのすき間から。
きぅ・・・
奇妙な音が、洩れてきた。
瞬間、妻は白い目になって。
抵抗の動作を、緩慢にする。

きぅ・・・きぅ・・・きぅ・・・
相手の男は、ごま塩頭の年配者。
私の父くらいの年齢だろうか。
それが、娘くらいの年恰好の妻のうえにまたがって。
ひたすら、若い肌を吸いつづけてゆく。
止めようにも、止められない。
足に根が生えたように、私は庭先から一歩も動けずにいて。
なかの様子を、うかがうばかり。

うふふふふっ。
男が唇を放すと、妻はぐったりと身体の力を抜いて、
男の腕に、身をゆだねてゆく。
ぽたり・・・ぽたり・・・
バラ色のしたたりが、ワンピースの胸を濡らした。
え・・・
血を吸い取られた妻は、惚けたようになっていて。
ただ男ののぞむまま。
着飾った衣装をだらしなく汚されるままになっている。
血を吸うのも。
犯すのと変わらない、淫行なのだな。
そうわかったとき。
侵入者は、妻の唇を求めていた。
妻はさすがに顔をしかめて。
ほんのすこしのあいだ、いやいやをしていたけれど。
わきの下や乳房の周りを、くすぐるように愛撫されると。
ゆらりと態度を、やわらげた。
ワンピースごしのまさぐりが、効いたのか。
いつもきりっとしている彼女とは、別人のように。
へらへらと気の抜けたような笑いをこぼしながら。
男に唇を許して。
熱い接吻を、長々と交し合って。
そろそろと足許ににじり寄る男のまえ、
放恣に脚を開ききって。
光沢のてかてかした肌色のストッキングの太ももに、
赤黒いべろを這わされて。
よだれをべっとりと、なすりつけられて。
惜しげもなく、破かせていく。

初エッチは、いつするの?
夢見心地の上目遣いは。
齢不相応の相手に、うっとりと向けられてゆく。
そうだな。
後ろから、手を伸ばして。
ワンピースの襟首から、我がもの顔に
ひとの女房の胸を、あからさまにまさぐりながら。
ダンナが良いって言ってくれたな。
妻の瞳に、強い力が宿った。
庭先にまで、はっきりと聞こえるほど。
ひときわ、きりりとした声で。
言わせるわ。
そう、告げたのだった。

一時間後。
何食わぬ顔で帰宅した私が、妻とどんなやり取りを交わしたのか。
いまとなっては、記憶が定かではない。

朝の風景

2007年12月10日(Mon) 06:57:35

不思議な村だった。
家族を連れて赴任して、はや三ヶ月。
そのあいだに、家族のだれもが首筋に痕をもっている。
ある朝目覚めたとき。
ふと、首のあたりが痛いなあ・・・と。
鏡を見たら、赤黒い痣のようなものが浮いていた。
あら、早いのね。
台所で働いていた妻は、お皿を拭きながら。
こちらを振り返りもせずに声をかけてきた。
アップにした髪の生え際まで、あらわにして。
どきりとするほど白い首筋には、私とおなじ、赤黒い痕。
学校、遅れちゃう。
お茶の間にばたばたと現れた子供たちは、制服のままあわただしく朝食をすませ、
行ってきまァす・・・
声だけ残して、飛び出していったけど。
刈り上げた息子の首のあたりにも。
おさげの揺れる娘のうなじにも。
おそろいのようにつけられた痕。
明るくなったでしょ?子供たち。
お友だちができたみたいよ。
薄っすらと謎めいた笑みを滲ませる妻は、
いつもと違うしんなりとした立ち居振る舞い。
きょう、あなたのお留守にお客様がお見えになるの。
お帰り、遅くなるかしら?
滲んだ笑みにエロチックなものを予感しながら。
うん・・・じゃあ少しゆっくりしてくるかな。
声が軽く上ずっていたのを、妻は気づいていただろうか。

出勤するとき。
見送ってくれた妻は、いつもより濃い化粧を刷いている。
きょう迎え入れる異性の客は。
妻にとって、それほど特別な相手なのだろうか。
思わぬなまめかしさをよぎらされて。
出がけなのに。
昂ぶりを抑えるのに、苦労した。

初めて吸血鬼に血を吸われた、あくる朝。
定かではなくなった記憶を確かなものにするために。
会社を早退けした私は、我が家の庭先に足音を忍ばせる。

人形(ひとがた)を彫る老婆 2

2007年12月09日(Sun) 07:45:45

村で生まれ育った俺にとっては。
村のおきてが、この世の常識だとばかり思い込んでいた。
あの古びた家に親父がお袋を連れ出すのは。
其処に棲むお婆さまに、女の生き血を吸わせるためだと知っていたけれど。
そうすることが、我が家のしきたりなのだと聞かされれば。
他所行きの服を着崩したまま、昼ころまでぼんやりしているお袋を見かけたとき、
お疲れさん。愉しかった?
そんなふうに声かけるのも。
ああ、悪いけど今夜も家をあけるからね。
そんなこたえが返ってくるのも。
当然のことだとばかり、思っていた。

どうやら村の外では違うようだ、と気づいたときには。
祝言間近になったさよのことを、やっぱりお婆さまの家に連れて行っていた。
さよが苦しげに髪振り乱して、お婆さまにうなじをくわえられるのを。
なぜかドキドキしながら、見守っていた。
そもじがするまえに、ほかのものにさせるのだ。
はらんでしもうたら・・・そもじの子として育てるのじゃぞ。
犯され損、はらまし得。
そんな言葉さえ、ある村だった。

車で一時間ほどもかかる隣町から。
その男が深夜、ドライブに来るようになったころには。
俺は中学にあがった娘のうなじをお婆さまにくわえさせて、たんまり褒美にあずかっていた。
新しい女を引き入れて、お婆さまに血を吸わせると。
ひと晩、どこの家の娘でも人妻でも、自由にできるのだった。
俺は幼馴染の家の扉を叩いて、
まえから目をつけていた都会育ちの嫁を、だんなの前で組み敷いていったものだった。
情事の余韻に浸りながら。
それでも俺はお婆さまの家を訪ねて行って。
わずかに残った血を与えるために、自分の首筋を吸わせてやった。
若妻を襲ってきたの?
ほくそ笑むお婆さまは。
俺が訪ねていった女のことも、とうの昔にモノにしている。
旨い血じゃ。今夜はとりわけ、旨いぞえ。
これからは、どこぞの若妻や娘を犯してから、ここに来やれ。
どんなに勝手な言い草でも。
お婆さまの言葉は、絶対だった。

首筋を押さえて表に出ると。
がさり。
草むらをかき分ける足音が、母屋の庭先から洩れてきた。
パシャッ。
かすかな機械の音と、フラッシュのひらめきに。
だれが来てなにをしているのか、俺はすぐに察しをつけていた。
おや、女装の兄さんだね?
俺はつとめて人がよさげに近寄った。
なるたけ耳ざわりのよい声を出したつもりでも。
後ろめたい遊びに夢中になっていた男には、ショックだったらしい。
いいんだいいんだ。女装はべつに、犯罪じゃない。
けっこう、似合っているじゃないか。
そういってやるつもりの声色が、男をすこし、和ませたようだった。
できればその格好で、離れに顔を出してやりなよ。
黒のストッキングは、お婆さまの好物だからね。

男は案の定、お婆さまにたぶらかされた。
けれども、さすがに都会の男は頭がよかった。
自分の人形を作らせないために。
あとからあとから、若い女を連れてきて。
お婆さまに血をあてがいつづけたのだった。
さいしょに連れてきた、とうのたった女は、自分の母親だったらしい。
つぎに連れてきたのが、妹。
それから、妹の友だちと、その母親。
芋づる・・・というのだろう。
だれもがいちどお婆さまにうなじを噛まれてしまうと、あとはもううっとりとなって。
自分からふらふらとさ迷い歩いてきては、すすんでうなじをくわえられてしまうのだ。

男は帰りには必ずうちにやって来て。
血の着いたブラウスやスカートを、預けに来た。
何しろ、うちはクリーニング屋だったから。
どこの娘が、どこの奥さんが、お婆さまの相手をしたのかも。
村の男どもが決まり悪げに、女ものの服を持ち込むことで、すべてわかってしまうのだった。
若菜ちゃん、学校に来なかっただろ?
娘の同級生のことを、そんなふうに話題にするたびに。
やらしいなあ、もう。
娘は愉しげに、口を尖らせる。

人形を、作らせないつもりなのかい?
俺は男に訊いてやった。
うーん、どうなんですかね。作らせてあげてもいいような気もするのですがね。
言いにくそうに、そう告げた。
俺に、悪い感情を持っていないようだった。
ふつうなら。
悪の道に誘い込んだ俺とは、気まずい関係になるはずなのに。
愉しい道に、引き込んでくれたね。
そういって、こんどはいいなずけを堕とす相談を持ちかけてきた。

ごらん。
俺が指し示したのは、サイドボードのうえの人形たち。
娘をモノにさせてやった見返りに落とした、あの幼馴染の嫁の人形もそこにある。
上手下手の差はあるものの。
村ではだれもが、人形づくりの心得がある。
お婆さまは、魂を抜いて人形を作るけれど。
俺たちのあいだでは、ひと晩寝るだけで、じゅうぶん魂を引っこ抜いたことになるのだった。
そうして、モノにした女たちの人形を作りつづけて、見せびらかしあって、
卑猥な自慢話に時を過ごすのがつねなのだ。
田舎のことだから。家どうしの行き来もさかんなのだが。
たまたま俺の家に立ち寄って、思いもかけず。
自分の妻や娘に似せた人形を見かけるやつもいる。
そんなときでも、うろたえないで。
おやぁ、気づかなかった。いつ姦ったんだい?
こともなげに返すのが、礼儀だった。
このまえうちに訪ねてきた本家の坊ちゃんは。さすがにできた人柄で。
来月嫁に来る村の看板娘の人形を見つけて、たいそう驚いていたけれど。
すっかりなじまれてしまっているんですね。
うちの嫁になってからも、よろしくお願いします、と言ってくれた。
もちろん遠慮なく、嫁入り前の身体を、俺はいただきつづけている。

ずいぶん、モノにしたんですね。
男は人形のまえにしゃがみこんで、しんそこ感心したように眺めている。
まぁ。まぁ。
お茶を出しに来た女房は。
また悪いことの相談ですね?
苦笑しながらも、嫁入り前の都会娘の受難には、気を遣わないらしい。
格別俺たちを咎めもせずに、
ヤるときは、私も呼んでね。都会娘が姦られるところ、見てみたい。
そう抜かして、台所に戻っていった。
男は苦笑して、俺の女房を見送りながら。
やっぱり生娘のうちにくわえさせるのが礼儀ですよね?
どうやらようやく、村のしきたりに通じるようになったらしい。
やつの首筋についた痕の赤黒さは、もうすっかり色濃くなっている。

振り乱される黒髪に。
くしゃくしゃにされてゆく、ピンクのスーツ姿。
立てひざをしたふくらはぎは、恐怖にキュッと引き締まって。
黒ストッキングのなかで引きつった筋肉が、いっそうなまめかしい。
畳のうえ、抑えつけられた若い女は、ほかの女どもとおなじように。
柳眉を逆立てながら、お婆さまにうなじをくわえられてゆく。
隣には、がたがた震えながらも昂ぶっているあいつ。
俺はからかうように、背中を撫でてやったのだが。
ふとあてがったズボンの股間は、じっとり、ぬらぬらと濡れていた。
じゅうぶん、村の男になれるよ・・・
俺は男の目のまえで、許婚のスカートをめくり上げて、
恥らう女の唇を、汗臭い唇でふさいでやった。
太ももまでのストッキングは、ツヤツヤと輝いていて。
お婆さまでなくとも、思い切りねぶり抜いて引き剥いでやりたくなる。
品性を喪うさまは、着衣ごと辱めることでよけい引き立つのだと。
親父は俺に、教えてくれた。

初めて女を知ったのは、仲間うちでお袋をまわした納屋のなか。
女房を女にしたのは、初めて俺の血を吸った叔父だった。
そうやって、順ぐり順ぐりに。
めぐっていくのだよ。
もっともあんたは・・・一方的に抱かれるほうが、昂ぶるようすだがね。
ぺたんと座り込んだ男は、自分の股間に手を這わせながら。
着飾った未来の花嫁が泥だらけにされて、俺たちの奴隷に堕ちてゆくのを愉しんでいる。
隣の部屋では、あいつのお袋が。
階上では、あいつの妹が。
いろんなやつらに、迫られて。
おんなじように、スカートを着けたまま。
ストッキングやハイソックスを穿いたまま。
大股を開いて、埋められたり引っこ抜かれたりしつづけている。

人形(ひとがた)を彫る老婆

2007年12月09日(Sun) 07:09:49

ストレスを解消してくれるのが、睡眠です。
けれどもストレスがあまりにつのると、そうした眠りすらも妨げられることがあります。
そんな夜。
わたしはいつも、ドライブに出ます。
ちょっと風変わりな、ドライブです。
納戸に、母の箪笥があります。
スーツやワンピース、礼服にいたるまで、色とりどりの服が、そこに納められています。
それをわたしは身に着けて、寝静まった家族に気づかれないようにでかけるのです。
フェミニンなブラウスの、胸や肩先をさらさらと流れる感触や、
ひざのあたりにまとわりつく、スカートのすそのたよりない感覚。
それに、太ももをぴちっと締めつける薄手のストッキングのほどよい密着感。
そうしたもろもろがわたしを包み、まるで別世界に拉し去られるような気分になるのです。

その夜も、わたしはよく眠れませんでした。
明日は、日曜日。
多少の無理をしても、仕事にはかかわりがありません。
午前二時。
眼の覚めたわたしは、ためらいもなくベッドから起き上がり、納戸に足を忍ばせます。
かすかにきしみながら開かれた抽斗(ひきだし)の中。
母の衣装がいく揃いとなく、きちんと行儀よく折り畳まれています。
震える指先が選んだのは、黒の礼服でした。
わたしは抽斗のなかから母の礼服をそっと持ち出すと、いったん部屋に取って返します。
もちろん、着替えて”変身”するために。

黒一色の礼服に、黒のストッキング。
ぴかぴか光るエナメルのハイヒールだけは、自前です。
コツコツとヒールの足音を響かせて駐車場に向かうとき。
一歩一歩、歩みを進めることにさえ、ドキドキと胸が高鳴ります。
ぶるるるるん・・・
ときならぬエンジン音に驚いた猫が、ヘッドライトの限られた視界をすばやくよぎって消えていきます。
ごと、ごと・・・
砂利を噛むタイヤの音を気にしながら、深夜のドライブが始まるのです。

あてもなく車を走らせるうち。
いつか、峠道を越えてしまいました。
ときおり選ぶこのコースの先は、ほんとうは行ってはいけない村があるのです。
母に訊いても、理由は教えてもらえません。
とにかく、近寄らないでね。
そういうと、あとはぴたりと押し黙ってしまうのです。
なんでも、人形創りがさかんだと聞いているのですが。
それ以上のことは、わたしも知りませんでした。
けれどもこの村の辺りは、まるで隠れ里のように孤立していて、
人目を忍んでドライブを愉しむわたしにとって、絶好のスポットでした。
携えたデジタルカメラで、人目を気にせずにフラッシュを焚いて、
フェミニンな正装を着けた後ろ姿や、ストッキングに透ける自分の脚を撮るのです。

車を停めたのは、とある廃屋の前。
このあいだぐうぜん見つけたスポットです。
ほかの家並みから離れた一軒家でした。
からまるツタに埋もれるようにうずくまった平屋建ては、傾きかけた軒や破れたガラス窓をさらしながら、ひっそりとしています。
お邪魔します。
小声で囁くと、木霊がかえってきそうな静けさでした。
あたりのたけの短い雑草を踏みしめて、庭先に回ります。
もとは瀟洒な洋館だったらしく、しゃれたベンチがしつらえられていました。
携えてきた小型の三脚を据えて。
足を組んだり、折り曲げたり。
女のようにくねくねとしたポーズを、フラッシュが一瞬浮き彫りにします。
ほんとうに、女になったようなひと刻が過ぎていきます。

おや、女装の兄さんだね?
だしぬけにかけられた声に、わたしは飛び上がらんばかりにびっくりしました。
ふり返ると、いつの間に入り込んできたのでしょうか、
ラフなジャージ姿の中年の男性が、人のよさそうな笑いを浮かべていました。
なんと返事をしてよいものやら、ただもじもじとしてしまったのですが。
男はそんなわたしに、かえって照れくさそうに会釈を投げてきます。
すまん、すまん。邪魔したね。ここはだれも住んでいないから、好きに使うといいよ。
困ったことがあったら、あちらの離れに婆さんが住んでいるから、声かけてみな。
それだけ言うと、男は決まり悪げに首のあたりを掻き掻き来た道を戻っていきました。
まえに、ここで朝を迎えてしまったとき。
遠くからじーっと見つめている人影があったのです。
そのときの人だったのでしょうか。
ともあれ、危害も加えられず、咎められもせずに立ち去ってくれたのは、ありがたいかぎりでした。

そうそうに撮影を切り上げて、車に戻りました。
運転席に落ち着くと、ほっと一息。
時計を見ると、もう五時をまわっていました。
家に帰り着くころには、朝になっています。
どこで男の服に着替えようかと考えながらキーをまわすと、エンジンがかかりません。
寒くなると、エンジンのかかりが悪くなるのですが。
何度ためしても、プシン、プシンと、頼りない音がするばかり。
困ってしまいました。
業者に来てもらうにも、連絡の方法がありません。
ここは、携帯電話も通話できない場所なのです。
そうだ、と思いました。
男が教えてくれた家をたずねよう。
そこで電話を借りて、連絡すればいい。
さっきはびっくりさせられましたが、このときばかりは男に感謝する思いでした。
それにしても。
いまの女の格好では、とても人前に出ることはできません。
私は持ってきた男もののセーターにジャケット、スラックスを取り出しました。
ところが、なにをかん違いしたのでしょうか。
スラックスだと思い込んで持ち出してきたのは、夏もののハーフパンツだったのです。
ハーフパンツも、そろそろ違和感のある季節です。
そのうえ脚に穿いているのは、肌の透けて見える黒のストッキングでした。
ふとまさぐり当てたのは。
妹の箪笥の抽斗から内緒で借りてきたハイソックス。
黒のハイソックスはストッキング地で、ちょっと薄手でしたが、ストッキングよりはまだましです。
紳士用でも薄い靴下はあるんだと自分に言い聞かせて、思い切って車外に出ました。

離れに住んでいる老人は、どうやら朝の早い人のようです。
まだ早いのに、もう灯りが点っていました。
離れは、洒落たかんじのする母屋とはちがって、古びた日本風の一軒家で、やっぱり平屋でした。
こちらも母屋と似たり寄ったりのうらぶれようで、
戸板は外れ、障子は破れていて、すきま風だけでカゼを引くのでは、というていたらくです。
わたしはちょっとためらいましたが、ほかの民家は遠く、灯りが洩れてくるようすもありません。
思い切って、ドアを叩きました。
この古い家には、インターホンすらなかったのです。
ごめんください。車がえんこしちゃいまして・・・
婆さんの耳が遠くなかったのは、幸いでした。
やがて奥からしずかな足音がして、ギイ・・・と引き戸がきしむ音がしました。
面と向かった老婆は、枯れ木のように痩せこけた和服姿。
ちょっと赤ら顔で、ふさふさとした白髪をしていました。
疑わしげなまなこでじろじろ眺められたのは、仕方のないことでした。
女もののナイロンハイソックスの足許を舐めるように見まわされたときは、つい脚をひきたくなるほどでした。
老婆はまるで品定めをするようにわたしを眺めまわすと、得心がいったように頷いて、おあがんなさい、としわがれ声でつぶやきました。

車が動かなくなったとな?
遠方から来て・・・さぞや難儀じゃろうて。
人を呼ぶにも、まだ早すぎる。朝になるまで、ゆっくりしていくがよい。
棒読みでもするように抑揚のない声は、さびれたような静けさをもっています。
お言葉に甘えて、すこし休ませてもらうことにしました。
老婆が立ち去るとゆとりができたせいか、わたしは部屋を眺めまわしていました。
外れた戸板、破れた障子・・・
確かにすきま風は冷たく、ふだんなら凍える思いをしたことでしょうけれど。
さっきまで初冬のいちばん寒い夜更け刻に屋外にいて、しかも女ものの薄着で通していたのにくらべれば、はるかにくつろげる感じでした。
しつらえられた調度はすくなく、年代ものの黒ずんだ箪笥がふたつ、つくねんと置かれているだけでした。
箪笥のうえには、なにやらこけしのような人形が数体、佇むように置かれています。
そういえば、人形で有名な村だったっけな。
わたしは人形を見ようと箪笥に近寄りました。
人形たちはいちようにこちらを向いていて、はっきりこちらを見返してくるようでした。
一体一体まじまじと見てみると、思いのほか真に迫った造形です。
こけしの台座の部分は没個性的な円柱でしたが、その上の顔はあきらかにだれかに似せて描かれているようです。
めがねをかけた、分別盛りの壮年の男。
奥さんのように寄り添う別の一体は、人のよさげな丸顔に、落ち着いた笑みを浮かべています。
すぐ隣は、女学生くらいの少女。
髪の毛はわざわざそれと似せた黒糸を撚り合わせて、三つ編みのおさげをたくみに表現しています。
面差しは奥さん人形とうり二つで、まるで生き写しのようでした。
お逃げなさい。お逃げなさい。
え・・・?
どこかで声が、したようです。
耳を澄ますと、もうなにも聞こえません。
ちょっと離れたところに佇む一対の人形が、なぜかわたしを諭すように見つめています。
そういえば。
真ん中の一対も。
隅っこの家族らしい四体組みも。
どれも、これも、こちらを向いて、視線をわたしのほうへと集中させているのです。
まん前の一対に、なぜか目が行きました。
男のほうは、どこかで見覚えがありました。
けれども、それがだれなのか思い出せません。
思い出せないまま、ふと訪れた睡魔が、わたしをその場に横たえてゆきました。

ふと気がついたとき。
まだ、夜は明けていないようでした。
案外、それほどの時間が経過したわけではなかったのかもしれません。
眠りから覚めたのは、足首をギュッと握られているような違和感が、ひたひたと伝わってきたからです。
え?
たしかに、わたしはだれかに足首を畳の上に抑えつけられていました。
だれ・・・?
ふり返ろうとすると、身体が妙にけだるくて、いうことをききません。
どうにか首を振り向けると、視界のすみに古びた着物のたもとが映りました。
さっきの老婆のものでした。
とっさに、ふりほどこうと身をよじったのですが。
老人とは思えないほどの力でした。
ものもいわないで私の脚を抑えつけた老婆の顔がふくらはぎの真上にあるのを、気配で感じました。
ぬるり・・・
なま温かい感触が、ハイソックスの上からふくらはぎを撫でます。
這わされてきたものは意外に柔らかく、ヒルみたいにねっとりとしています。
そいつがストッキング地のハイソックスごしに、物欲しげに舐めくりまわしてくるのです。
時おりぬるりと洩れてくるのは、舌なめずりでしょうか。
まるで薄い靴下の舌触りを愉しむようにして、くり返しくり返し、なぶりつづけました。
あ、あ、あ・・・
わたしは声をたてることもできないままに、ただ老婆の行為を許しつづけるしかなかったのです。
かりっ。
ふくらはぎの一角に、硬くて鋭い異物がもぐり込んできたとき。
わたしは思わずキャッ・・・と、叫び声をあげていました。

うふふふ・・・うふふふふう・・・っ。
化け猫みたいになま温かい吐息を、首筋の周りをよぎらせながら。
老婆はしわくちゃの唇を突き出すようにして、わたしのうなじに幾度も幾度も這わせてきます。
ただ・・・這わせているわけではなくて。
首筋につけた傷口から、血を啜りとってゆくのです。
ズズ・・・ずずず・・・じゅるうっ。
不気味な音を立てながら、老婆はさも旨そうにわたしの血を吸い取っていったのです。
逃がさん。逃がさんぞ・・・
まるで男が女を抱きすくめるように、しつように。
老婆はわたしの肩を抱き、腕を抑え、手指を握り締めてきます。
わたしは、厭わしくて、厭わしくて、ひたすらかぶりを振りつづけて拒絶の意思をしめしたのですが。
老婆にはいっかな、通じません。
さっきいたぶられた足許からは、咬み破られたハイソックスが、ちりちりに引き剥かれてだらしなくずり落ちています。
そもじが履いておる靴下は、妹ごのものじゃな?
はじめて意味のある言葉をつづった老婆の声は、いやらしい欲情に満ちていました。
図星をさされてわたしが答えに窮していると。
よい、よい。言わんでもよいのじゃ。
老婆は吸い取った血をわたしの服の上にわざとしたたらせながら起き上がると、
人のわるそうな笑みをうかべて、箪笥の上を指し示しました。
人形のおいてある箪笥・・・そこにはもう一体、新しい人形が増えていました。
まだ削りかけで、彩色も施されてはいませんでしたが。
それは明らかに、わたし自身の人形だったのです。

人の生き血を頂戴するときにの。
礼のしるしに、ひとがたを刻んでやるのよ。
ひとがたを刻みながら、夜な夜な忍んでいって・・・
夜な夜な、呼び寄せて・・・
さいごにすっかり、魂を抜いてしまうのじゃよ。
魂が抜けきったとき、ひとがたはできあがる。
ぜんぶで十三体。
どれもこれも、たっぷり味あわせてもろうた。
いまは夜の街に徘徊して・・・よそのものの血を漁り取って暮らしているのよ。
昼間はあたりまえの顔をして、仕事に精出したり学校で勉強したりしておるがの。
そもじも・・・そういうひとがたになりたいかや?
なりたくない。
そんな返事を、老婆は受けつけてくれるのでしょうか?
ほくそ笑む老婆の口許が、危難を前に身じろぎひとつしなくなったわたしのうなじを求めて、
またあの生臭い息を吹きかけてきました。

目が覚めると。
まだ、夜はつづいていました。
細めに開いたふすまの向こう。
中年の女が、老婆と向かい合わせになって。抱きすくめられていて。
ブラウスをはだけて、おとがいを仰のけています。
うふふふふっ。
老婆は得意げにほくそ笑みながら。
女の背中に腕を回し、うなじにねっとりと唇を這わせゆきます。
畳のうえ、力の抜けた女の身体を柔らかにねじ伏せてしまうと。
ひときわつよく、首のつけ根にがぶりと食いつきました。
女のかすかな身じろぎで、それとわかりました。
うう・・・うう・・・ううう・・・っ
苦悶の声は、どこか愉悦を漂わせ、くすぐったそうに震えています。
目のまえで。
女の着けている紺のスカートのすそがひろがって、肌色のストッキングの脚が大きく広がりました。
ふくらはぎの真ん中に鮮やかに走った裂け目が、
よじれる脚のうごきに合わせた薄いナイロンのかすかなたるみが、
ひどくなまめかしく、ふしだらによじれ歪んでいきました。
ふと、ふり返ると。
いちばん前にあった一対の人形の女のほうが。
ひどくきらきらとしたまなざしを、ふすまの向こうへと注いでいるように見えました。
その人形は、女の分身だったのでしょうか。

薄ぼんやりとなったわたしの前。
老婆はいぎたなく姿勢を崩し、卑猥な鼻歌をうなりながら、
人形に朱を入れていきます。
ほぅら、綺麗じゃろう?
筆先には、さっき女から吸い取った血が浸されていて。
それがスッと刷かれた跡は、端正な唇になっています。
元に戻された傍らの、見覚えのある一体は、そう。あのとき廃屋の前でわたしに声をかけたジャージ姿の中年男の顔でした。
首のあたりを掻きながら帰っていったのは。
わざわざ血を吸われるために、家を抜け出してきたものとみえます。
どうじゃ。こんなふうにの。一体一体、入念にこしらえてゆくのじゃぞ。
見よ。
老婆の指先の向こう。
ちゃぶ台のうえ、ひとつだけ立っている作りかけの人形。
その貌は、あきらかにわたしの目鼻立ちをもっていたのです。

あの靴下は、妹ごのものじゃろう?
そうすると、車のなかには、母ごの衣装もお持ちじゃろう?
出してくるのじゃ、いますぐに。
なに。恥ずかしがるには及ばない。
そもじが着て、母ごや妹ごになりかわって。
衣装をなぶらせてくれれば、それでよいのじゃ。

老婆に求められるまま。
わたしは車のなかに置いてきた母の礼服を持ち出して。
老婆のために、着てやりました。
それは・・・もう。
くしゃくしゃになるほど、辱められながら。
わたしは老婆に生き血を啖らい取られていったのです。

どうしたの?どこ行ってたのよ?
朝がた家に戻ると、母は半狂乱になって、わたしを責めました。
わたしの朝帰りを察していない母ではないはずなのに・・・といぶかったわたしは、
じつは知らないうちに、もう三日間も経っていたと聞かされて、唖然としました。
もともと放浪癖があって、学生のころはよく突然泊まりの旅行に出たりしていたのですが。
さすがに会社勤めをするようになってからは、家を黙って何日もあけるなどということは、たえてなくなっていたのです。
会社には・・・病気だって届けておいたけど。
もしかして、あなた・・・”村”に行ったわけじゃないでしょうね?
わたしの沈黙を肯定ととって、母はますます蒼ざめていったのです。

それからは、毎晩のように。
わたしは深夜のドライブを愉しむようになりました。
夜更けに、起き出して。
母の箪笥の抽斗から、黒の礼服を取り出して。
ブラウスの袖を通して。スカートをひざ小僧の周りひらひらさせて。
黒のストッキングを、スッと脚に通して、ずりずりと引きあげて。
ふと顔をあわせると、そこには母の姿。
いつも後ろにまとめた髪を肩までおろして、
化粧も、いつもより濃く刷いて。
身に着けているのは、若いころの訪問着。
肌色のストッキングは、いつもよりどぎつい光沢をよぎらせて。
老婆を悦ばすための、けんめいな若作りを。
そしてあの物欲しげな唇をだらしなくゆるめて、母のうなじに近寄せていって。
貪婪な夜食に耽る夜。

そうじゃ。そうじゃ。通ってくるのじゃぞ。
毎晩毎晩、遊びにくるのじゃぞ。
そうして、身体のすみずみまで、わらわに生き血を舐め尽されて。
魂が抜けたら、人形のできあがりじゃ。
もしも人形を作られたくなかったら。
家族の女を、連れて来い。
順ぐりに啖ろうていって。
わらわが満ち足りれば、そもじらの魂を抜くまでもないからの。
そうじゃな。四人もおれば。こと足りようか。
どうじゃ?用立てできるかの?

自ら逢うことを望んで、ひと晩で老婆の欲情に屈した母は。
それからも、わたしの夜のドライブに同行するようになりました。
ふたり、ストッキングに染めた脚を並べて。
たたみに伸べたふくらはぎを、老婆の欲情にゆだねていくのです。
いつか、夜家を出る人影のなかに、妹も交じるようになりました。
さいしょに破かれたのが自分のナイロンハイソックスだと知ると。
お兄さん、ひどい。
プッと頬ふくらませて、怒ったのもつかの間のこと。
若いおなごは久しぶりじゃ。
老婆のだらしない唇をみずみずしい肩先に這わされると。
じわり・・・と目色をうるませて。
そのままその場に突っ伏して。
いつも学校に履いて行く真っ白なハイソックスに、ばら色の飛まつをしみ込まされてしまいました。

お友だちも、連れて行きたいわ。
途中で、妹のクラスメイトのお宅のまえに一時停止すると。
妹のクラスメイトと、そのお母さんが乗り込んできます。
おそろいのチェック柄のスカートを履いたひざ小僧を並べて、くすくす笑い合っているのを。
母親たちは、身に着けているストッキングの目映い光沢をお互い見せびらかすようにして、
意味深な笑みをこめた流し目を交し合っています。
こんどは、ハルミさんも連れて行かなくちゃ。
妹が口にするのは、春に挙式予定の婚約者の名前。
そう・・・まだ生娘のうちに、あのしわくちゃな唇を体験させてしまうのは。
ちょっと、気の引けるところです。
どうして?といえば。
村の男どものいくたりかは、老婆に魂を抜かれて夜さ迷い歩く血吸いびとになってしまっているのですが。
うっとりとしてそのまま寝入ってしまったりすると。
夜這いをかけてくる・・・そう聞いているものですから。

文也の彼女

2007年12月09日(Sun) 05:17:59

こんちはぁ
さわやかな高い声とともに姿を現したのは。
長い黒髪のつややかな美少女。
白いニットのセーターに、青のジーンズ。
クラブ活動の帰りだろうか。重たそうな鞄をじゅうたんの上に置き、風のあたった髪をさっとかきのけるようにして整える。
飾りけのない服装ときびきびとした身のこなしとが、はずむような活気と初々しさとを等分に発散していたけれど、
本人ばかりは、自分の放つそんな色香にちっとも気づいていない。
十代とは、きっとそういうものなのだろう。
ドア越しにかけられた声にびっくりしたように、良作は読みさしの本から顔をあげた。
もう~、こんなに天気いいのに、家でくすぶっているの?
くすっと笑う彼女は、健康美あふれる小麦色。
男子のくせに蒼白い顔の良作よりも、ずっとずっと活気に満ちている。
すみませんねぇ、優子さん。いつも良作がお世話になって・・・
奥から出てきた良作の母にも、優子の受け応えは清々しい。
いいえ~。こちらこそ。
くすっと笑って肩をすくめると。
ほんとに、ねぇ・・・
意味ありげな短い言葉を残すと、再び奥へいそいそと戻ってゆく。
お茶を出しに・・・というそぶりだったけれど。
じっさいに彼女がお茶を口にするのは・・・もうすこしあとになるだろう。

はい。お約束どおりね。
黒髪を揺らしながら、優子は畳の上に正座して、ちょっとだけうつむいた。
茶の間の隣が、勉強部屋になっている。
冬の陽射しは弱々しく、縁側までしか届かない。
しょうがないよね。吸血鬼なんだもんね。
優子は弟をかばうみたいな心遣いをみせながら、ブラウスのボタンを二つ三つはずしてゆく。
ほら、吸ってもいいんだよ。
良作はつい引き寄せられるようにして。
くつろげられた胸元を、覗き込むようにしてかがみ込んだ。
ぷりぷりとはずむようなおっぱいが、まだめいっぱいとはいえないほどのふくらみを帯びていて、
薄く柔らかい皮膚にゆったりとコーティングされている。
小麦色の頬は、夏の陽焼けのなごりだろうか。
意外なほどに白い素肌はどきっとするほどなまめかしく、かすかに蒼白く浮き上がった静脈が、干からびた喉をズキズキと疼かせる。
柳村、悪りぃ。
少年は少女を苗字で呼び捨てにすると、彼女の両肩をセーターの上から捕まえて、
くつろげられたブラウスのすき間に顔を圧しつけるようにした。
かりり・・・
注射針を突き刺されたみたいなかすかな痛みに、優子はちょっとだけ顔をしかめた。

ちゅう~っ。
優子の血を吸い上げる音が、露骨なほどに部屋から洩れた。
母親がお茶を持ってくるタイミングは、もっとあとになるだろう。
無我夢中の刻が過ぎると。
良作は顔を上げて、優子に見られないように口許についた血のりをぬぐった。
初めて襲ったとき、自分の血を見て目を回した優子のうろたえようを、彼は忘れていないのだ。
どお?
優子は良作の気遣いを知ってか知らずか、大きな瞳でまっすぐに彼を見あげてくる。
うん・・・
少年はあいまいに受け流しながら、どうしようかとちょっとためらって、それでもやっぱり口にした。
また、文也とやった?
えー!?わかるの?
彼氏の名前を耳にすると、優子の声はむしろあっけらかんと、明るくはじけた。
初エッチは、良作に襲われる前だったが。
大人の味を嗅ぎ分けた良作は、すぐにそれと察しながら。
自分の獲物が処女ではなかったことに不平を鳴らしたりはしなかった。
むしろ、相手が仲良しの文也だと聞くと、よけいにすまなさそうな顔をしたものだった。
二度めに優子が良作のまえに現れたとき。
ヘイキだよ~。文也にもあなたに血をあげるって宣言しちゃったから。
まるで学校帰りの喫茶店でコーヒーでもおごるような気安さで、彼女は良作の吸血に応えることを承知したのだった。
血を吸わせるだけだったら、浮気にならないよね?
どうやらそんなふうに、言いくるめたらしい。
だから、あたしのこと押し倒しても。エッチなことはしないでね。文也に悪いから・・・
そんなふうに、ちゃんと釘をさすことも忘れなかった。

いいんだよ、もっと吸っても。
畳のうえの優子は、いつになく声をはずませている。
カーテンのない窓ガラスはぴかぴかに磨かれていて、野趣のある庭の景色が透きとおるほど目にしみたけれど。
彼女は外からまる見えの状況を気にしているのか、さっきからちらちらと視線を窓に投げている。
閉めようか?
良作が囁くと、
ううん・・・いい。かえって昂奮しそう。
口にしてみて、自分でくすくす笑っていた。
じゃ、もう少し・・・
良作はふたたびはぜてきた渇きを我慢できなくなっている。
ブラウスの襟首を押し広げようとしたとき、ボタンがひとつ外れて畳にはねた。

ねぇ。
冷え冷えとした部屋のなか、優子の声がうつろに響く。
エッチ、しないの?
え・・・?
良作は人知れず、胸をわくつかせる。
なにかが自分のなかで、ヒョウのように敏捷に跳ねあがるのを覚えた。
たんに、びくびくしているのか。
それとも、男としての衝動なのか。
はかりかねるほどどす黒いものが、毒がまわるようにめまぐるしく、吸い取った血でうるおいを帯びた血管を、じわじわと浸してきた。
良作は、女を知らなかった。
だって・・・文也に悪りぃだろう?
良作に組み敷かれた下、少女はゆっくりとかぶりを振る。
大きな瞳で、少年の眼を捕らえてはなさないままに。
彼女はだまって、ジーンズをおろした。
ばりっと裂けるようにしてジッパーが左右に分かれ、腰周りが、太ももが、そしてすねまでがあらわになってゆく。
良作は、息を呑んだ。
ジーンズの内側に隠されていた脚は、なまめかしい黒のストッキングに彩られている。
レエス柄のゴムが、ほどよい肉づきをした白い太ももを鮮やかに横切って、あらわになった腰周りの肌の白さが、よけいに眩しい。
太ももから上のむき出しの目映さとは、裏腹に。
薄手のナイロンに染めあげられたひざ小僧やすねは、いままでの優子からは想像できないほどの妖しいなまめかしさを漂わせている。
一枚の薄いナイロンが、少女を女に変えていた。

脱がして。
女に命じられるまま。
ショッキングピンクのパンティと腰骨のあいだに指をすべらせて。
震える手で、ずり降ろそうとした。
ぎこちない手の動きに、うまく脱がせることができずにいると、
彼女の細い指先が彼の指といっしょになって、パンティのすき間に入り込んできて。
ぴちっ。
前後を結ぶ細い紐を、思い切りよく断ち切ってしまっている。

おもわずしなだれかかり、添わせた上体は。
柔らかく、そして熱くほてっていて。
はずんだ胸のドキドキが、そのまま直に良作の胸と鼓動を合わせた。
手探り、指探り。
からみ合い、もつれ合い。
逆立って、挑んできて。はずして、引き当てて。突き入れようとして、そらされて。
ぎこちない動きがふたつ、さいごに息を合わせて重なり合った。
・・・・・・。
・・・・・・。
冬の陽射しはもう、縁側から庭先へと去っている。

文也、外から視ていたの?
ずばりと訊かれて優子はとっさに首をすくめたけれど。
また、しようね♪
ちょっとだけ恥ずかしそうに黒髪をかきのけると、もういつもの無邪気で活発な少女に戻っている。
お互いナイショ・・・ってことに、しとこうね。
そのほうが文也も、愉しいみたい♪

お見合いパーティー

2007年12月06日(Thu) 07:19:33

シャンデリアきらめく、ゴージャスな一室に。
ドレスアップした男女が群れ集う、お見合いパーティー。
美藤貴晴は、そのなかでひときわ目立ついけめんの美男子。
カツイセタオは、まったくさえないうっそり男。
それなのにどういうわけか仲がよいのは、本人たちも首をかしげるばかり。

目だたない小さな扉の向こう側には、ちょっと一服できるようなソファがしつらえられていて。
意外にくたびれる立食パーティーの席では、なかなか重宝されてしかるべきなのに。
その存在を知っているのは、なぜかこの二人だけ。
気に入りの女性ができると、そっと手を引いて。
あとはもう、お愉しみのまま・・・
とはいったものの。
ふたりの愉しみ方は、かなり違っている。
なにしろ貴晴はふつうの健康に人間なのだが、
セタオのほうは、吸血鬼だったのだから。

「ほら」
貴晴が得意げに見せびらかしたハンカチには、紅いシミがじんわりと。
セタオがおずおずと取り出したハンカチにも、おなじような色のシミがどんよりと。
貴晴のそれは、首尾よくいただいた女が、処女だった証し。
セタオのほうは、血を吸い取った首筋をぬぐった名残り。
「ふうーん」
セタオは感心したように、貴晴の”戦果”をみとめたけれど。
「いったいどうやったら、そんなに簡単に処女を落とせるんだよう」
ほんとうに切なさそうな声になったのには、貴晴もぷっと吹き出してしまった。
「ははは。ウデの違いだよ」
ますます得意げに鼻うごめかす悪友に、セタオはますますげんなりとする。
気安い間柄だったから。
イカツイヘタオだの、カッタルイネタオだのと呼ばれても、ちっとも頭にこないのだが。
いちばん頭にくることは・・・
「お前、ほんとうは結婚しているんだよな?」
ソウイウ立場デコンナトコニ美男ヅラヲサラスナヨ・・・
どうしたって、そういってやりたくなる。
「ばらすなよ~。あとが怖いぜ」
ちぇっ。
この男には、なにかと頭があがらない。
よほどの優越感をもっているのか、信頼されきっているのか、はたまたなめきっているのか。
美人の奥さんを結婚前に貸してくれて、血を吸わせてくれたりとか、
名門校に通っている妹やその友だちを紹介してくれたりとか、
吸血鬼のくせに、なにかと、なにかと・・・頭が上がらないのである。
どうしてこういうやつに、処女の嫁さんが来るのだろうか?
腕のなか、うっとりとなった貴晴の婚約者の透きとおるような肌を見つめながら。
現れる女、血をかすめ取った女。
どんなに純情そうな顔をしていても、初々しいぎこちなさを漂わせていても。
だれもかれもが、経験者だった。
生まれたときから経験ずみなんて女、いるわけないのにな・・・
吸血鬼のくせに、処女に出逢えない。
さえないセタオにしても、シンコクな悩みだった。

紳士協定だぜ?
ニヤニヤと趣味のわるい笑みを浮かべていたあいつの顔が、今でも目に浮かぶ。
友だちを裏切ることができない性格をよく知っている彼は、
未来の花嫁の処女の生き血まで、悪友に与えながら。
新婚初夜まで義理堅く、とうとうそれ以上のことをできなかったセタオから彼女を取り返すと、
さいしょの約束どおりしっかりと、処女をゲットしてしまっている。
お前も、処女の嫁さんができるといいなぁ。
冷酷なからかい口調は、その実半分は思いやり深い本音だったりする。
義理堅いのは彼のほうもいっしょで、あれほど女好きなくせをして、自分の嫁になる女には、新婚初夜まで指一本触れなかったくらいなのだ。
セタオが処女の生き血を吸うチャンスを、ひと晩でもよけいに与えてやろうとして。
けれども、せっかく紹介してやった妹やその友だちも、そちらのほうはしっかり”卒業”してしまっていた。
そうそう。
お友だちの、いくたりかは。
かれ自身が毒牙にかけていたりしたのだが。
吸血鬼の牙となじくらい、手ごわい毒牙に。

いけねぇ。いけねぇ。
めずらしく貴晴が、頭を抱えるようにしてこっちに逃げもどってくる。
あのタイプは、苦手~。
顔にそう、書いてある。
これほど手だれな男でも、かなりしばしば逃げ帰ってくるものだ・・・ということは。
長いつきあいでそれとなく、わかるようになっていた。
ウマが合わないと、どうしようもないものなんだな。
腹の中でそんなふうに納得しながら。
どう苦手なんだよ?
目で合図をすると、
まー、話してみな。
もうそれ以上、あんな女にかかわりたくないと言いたげにして。
貴晴は別の方向、きらきらした衣装につつまれたはしゃいだ集団のほうへとほこ先をかえた。
あきらめのよさが、つぎの成功を生むのだよ。
いつもの勝手な言いぐさだが。
それがしばしばほんとうの成功を生むのを、セタオはいやというほど見せつけられている。

そんな貴晴が三舎を避けたのは。
上背のある、凛々しいかんじのする美人。
ほっそりとした白い首筋が、軽くウェーブのかかった黒髪に映えて、いっそうなまめかしい。
さほど濃く刷いているふうもない化粧はかえってノーブルで、唇も地の紅さでひきたっていた。
純白のスーツに、黒のストッキング。
ぞくり、とした。
ほどよい肉づきのふくらはぎが、絶妙なカーブを描いていて。
黒、というよりも透明といったほうがふさわしい色合いの薄っすらとしたナイロンの彩りは、
脚の白さを滲ませて、脚線美の輪郭をくっきりときわだてている。
破ってみたい。
どす黒い衝動が、ぐるぐると渦巻いた。
あ、あ、あ・・・
あとは渦に巻かれる小舟のようだった。
どう口説いたものか、さっぱり記憶にない。
セタオの誘いにのって、女はぴんと張った背筋をいっそう伸ばして、
ぴかぴか光るエナメルのハイヒールのつま先を、例の小部屋へと向けていた。

おお・・・
笑うなかれ、セタオの目には、涙が宿っている。
とうとう掘り当てた、処女の泉。
口許のしずくを拭う手ももどかしく、彼はふたたび傷口に唇を寄せた。
もっと吸いたい、というよりも。
ただ、純白の衣装にしみをつけたくなかったから。
征服された女はただ、這わされる唇の妖しい疼きに身をまかせながら、
うぅ・・・っ、とうめき、細い眉をひそめるばかり。

うまくいったわね。
挙式は、今年のうちだってさ。気の早いやつだな。
貴晴はつけた煙草をガラスの灰皿にさすと、女の唇を吸おうとした。
タバコくさいのは、厭。
女は軽く拒みながら、それでもけっきょくは強引なキッスに積極的な返しをしている。
いい女だな。
品定めをするようにあごに手をやって、おとがいを仰のけると。
いけすかない。
女はかわいくなく、あかんべぇをした。
ほんとうは、あいつにはお前をくっつけたかったんだけどな。
あたしじゃやだ・・・って、いうんだもん。
ショジョじゃないから・・・なんて。どういうつもりなのかしら?
女はちょっと不平そうに口を尖らせたけれど、
でもあたし、まだ結婚するつもりないんだしー。
もっとお兄様とエッチを愉しみたいしー。
わざとかわいく小首をかしげて。
秀麗な目鼻にふふっとよぎらせた笑みは、兄とうり二つに見えた。

絶対、ナイショだよ。
妹にはあらかじめ、くぎをさされていた。
あの子、女学校に入るまえは、男の子だったんだ。
どうしても、女の子になりたいって、手術をして。
でもね、あたしの友だちのどの子よりも、女らしかった。
ほら、ドラマに出てくるみたいに。
しぐさも、落ち着いていて。
性格も控えめで、潔癖で、しおらしくって。
でも、性格が優しいのって、まえの性別のせいだと思うんだけどな。
たしかに・・・
妻や妹のしたたかさに接している貴晴にしてみれば、むしろそちらのほうが好ましくって。
結婚してもう何年もたつのに、いまだに女という女の尻を追いかけまわしている。
どちらが幸せなのか・・・
貴晴は吸いさしの煙草をとると、ふうっと勢いよく紫煙を吐き出した。

知っているよ。
すぐに、わかったよ。
独りで、悩みつづけさせるわけにいかないから。
さりげなく、聞いてやったんだ。
でもいまは・・・本物の女だから。
オレが、女にしてやったんだから。
世界じゅう、どこを探しても見つからないような、最高の女だよ。
悪い虫がつかなくて、よかった、よかった。
冗談まじりに語る悪友は、いまは別人のような頼もしさを漂わせている。

養女契約

2007年12月04日(Tue) 07:09:02


一週間だけ、娘を養女にとってくれます?
ベッドのなかで、裸身をからめながら。
七瀬夫人は容易ならぬことを口にした。
ほぉ。
男はベッドのなかでも黒のマントをまだ羽織ったまま、
それでもマントのすぐ下は、あからさまな裸身である。
抜き身の刀のように鋭敏な、研ぎ澄まされた肢体。
そのすみずみにまで、血色がいきわたることは。
ただ、人の生き血を吸い取ったときだけ。

あの人ったら。
わたしのときには、やすやすと誘惑させたくせに。
奈々子のときにはしぶるんですのよ。
ころころと笑いながら、夫人は夫公認で情夫に血を吸わせているいまの情況を愉しんでしまっている。
ことり・・・と、かすかな音が隣室から洩れてきた。
そこに七瀬の存在を嗅ぎ取って。
彼はいまいちど、荒々しく夫人を組み敷いた。

熱情の果ては、やわらかな倦怠が訪れる。
男は女をかき抱いたまま、
わかった。来週奈々子を来させるように。
情婦にみじかく、命じている。


なーんだか、なぁ。
奈々子は道端の石っころをけ飛ばしながら、
言われたお邸をさがしている。
  一週間、あのひとの家から学校に通うのよ。
  まるまる学校休むわけにはいかないけど。
  2,3日通ったら、あとはもう休んじゃいなさい。
  そうじゃないと、身体がもたないわよ。
ママの言い草も、言い草だった。
腕から重たそうに提げているのは、衣類の詰まった大きなバッグ。
もう片方の腕には、学校に行くときの皮製の鞄。
もう。カッコ悪いったら、ありゃしない。
ほとんどがにまたになって、よたよたと歩きながら。
中学にあがったばかりの小娘は、ぶつくさいいながら吸血鬼の家をさがしている。
奈々子、13歳。
母親が吸血鬼とつきあっていることも。
自分が血を吸われることも。
ようっく、心得ているのだが。
この緊張感のなさは、我が家に侵入した吸血鬼がそれほどまでになじんでしまったからなのか。
それとも、本人の性格なのか。

こんちはぁ。
施錠されていない門をくぐると、古びたドアごしに奈々子は声をはずませた。
背の高いドア、奈々子の手がかろうじて届くほどの高さに、
ライオンだか魔人だかの奇怪な顔をあしらったノッカーが、重々しく奈々子を見おろしている。
よく、来たね。
不意に後ろから肩を叩かれて。
きゃっ。
さすがに奈々子は、縮みあがった。
すまない、すまない。こんなに早く来るとは思っていなかったんでね。
おじさま、だいじょうぶ?
奈々子が心配したのは、まだ陽の高いなか、黒衣のままの家のあるじがわが身をさらしていたからだ。
太陽の光で灰になるって?あはは。平気だよ。
なにしろこれから、若いお嬢さんの生き血をたっぷり頂戴できるのだからね。
ククク・・・
いやらしい含み笑いに、奈々子は初めて胸震わせながら。
それでも、あたしだって負けないわよ、という顔つきで、
上背のある白髪交じりの吸血鬼と対峙していた。


あ・・・
さすがに、ドキドキしちゃった。
部屋にあがるなり、ベッドのうえに押し倒されて。
とっさに身をすくめて、こばもうとしたけれど。
男はすばやく唇をうなじに当てて、もうねっとりと、吸いつけてしまっている。
ナマナマしく這い回る唇にかすかにあやされた唾液が、ぬるぬると生温かくって。
ひどくけがらわしい、ケモノじみたものを感じさせる。
やだ・・・やだ・・・
いきなり・・・だなんて。
奈々子が抗議しようと口を開いたとき。
ぐぐ・・・っ。
吸いつけられた唇の裏に隠されていた尖った異物が、奈々子の皮膚を侵していた。
痛ーっ。
ベッドのうえ、奈々子の白い太ももが、制服の紺のスカートからダイタンにはみ出している。


行ってきまぁす。
勝手の知れないお邸から抜け出すと。
見慣れた通学路がひろがっていて、そこから先は、いままでとなにひとつ変わらない日常。
けれども放課後まっすぐ帰宅して服を着替えると。
奈々子はこの家の養女になりきることになる。
あてがわれたのは、メイドさんの着るような黒のワンピースに、真っ白なエプロン。
台所に立って、自分の食べるお食事だけをいそいそと用意して。
独りぼっちの夕食を済ませると。
椅子の下、フッと人の気配をかんじる。
はっとしたときには、もう遅い。
黒のオーバーニーソックスを履いた足首を、男は早くもギュッと握り締めていて。
背後からねっとりと、ふくらはぎにべろを当ててくるのだった。
もう。
奈々子はぷんとふくれて、口を尖らせて。
脚を内股にしながら、くすぐったいのをガマンしている。
ガマンを、ガマンし切れなくなると。
そのままくたりと、冷たいフローリングのうえに、ひざ小僧を突いてしまうのだ。
ちぅちぅ・・・
ちぅちぅ・・・
あとはただ、若い血潮を啜る音。
うれしそうに、ぴちゃぴちゃと音を立てながら。
男は情婦の娘のピチピチとした肢体を、服の上から愉しんでいる。

その週は、登校したのは二日間だけ。
あとは、男の家にいた。
昼間はそれでも、勉強の時間。
男は博学で、学校の勉強よりもはるかに程度の高いことを教えてくれるのだが。
奈々子には、半分も理解できなかった。
”授業”はさまざまな教科があった。
音楽では秘密の地下室にしつらえられていたパイプオルガンを弾かされたし、
歴史では、ヨーロッパの吸血鬼のことを学ばされた。
古典の授業だといって、長い巻物を取り出してきて、ミミズの這ったような字を見せつけられたときは。
もう、だめーっ。
さすがに閉口したけれど。
そんなふうに授業をボイコットすると。
すぐに罰ゲームが、待っている。
制服姿のまま、畳のうえに腹ばいにさせられると。
真っ白なハイソックスのふくらはぎに、飢えた唇をおもむろに、おろしてくるのだった。

やだあ。もう。
吸血鬼のおじさまは、長い靴下がお好きらしい。
そういえば、彼を迎え入れるとき、ママはいつもおしゃれな光沢入りのストッキングを履いていたっけ。
学校に行けなくなったら、制服の下に履くように・・・って。
ママは黒のストッキングを何足か持たしてくれたけど。
お徳用 五足組 480円・・・って。
節約し過ぎじゃない?
けれども薄手のストッキングをとおして、少女の初々しい脛が淡く滲んだようすは、とてもオトナっぽくなまめかしくて。
薄いナイロンごし、なまの唇を這わされると、
ついドキドキと、不必要に胸をはずませてしまうのだった。


庭の掃除をしていると、フェンス越し、聞きなれた声がふってきた。
思ったよりも、元気そうじゃない。
久しぶりに訪れたママは。
それでも、お邸にあがろうとはしないで。
はい、これ。今夜使うといいわよ。って。
ぶあいそな紙包みを手渡してくれた。
部屋に戻って、あけてみると。
中から出てきたのは、封の切っていないインポートもののストッキング。
今夜・・・?
パッケージをあけてみると。
それは、太ももまでのストッキングだった。
いままでの安物よりも、グッと薄手で。
かすかな光沢さえ、きらめいている。
ママがいつも、はいているやつだ。
それも、パパがいないとき。吸血鬼さんをおうちに招ぶときに履いているストッキング。
うーん。
奈々子は独りベッドのうえ、考え込んでしまっている。


どお・・・?
似合うよ。
噛み破っちゃうまえに、たっぷり愉しんでね。

いまは、吸血鬼のおじさまのあしらい方を、すっかりわきまえてしまった少女は。
女学校の制服の、紺のスカートの下。
不似合いなくらいオトナっぽいストッキングで、おじさまを誘惑しちゃっている。
ねっとりと這わされる唇も、いまはもう怖くない。
むしょうに、くすぐったくて。ドキドキさせられて。
パンティストッキングとパンティと、二重にガードされたたいせつな処は、
スカートの裏側、無防備にむき出しになっている。

いいよ、抱いても・・・
犯して。
スカートの奥に、そそり立つ剛い肉を侵入させられたとき。
許婚どうしのユウイチくんの顔が、スッとよぎっていった。


お世話になりました。
奈々子はお行儀よく、脚をそろえて。
きちんとお辞儀をした。
こんなお辞儀は、よそでも家でも、いままでしたことがなかったのに。
おじさまには、なぜか自然にそういう態度になってしまうのは。
そう、きっと。
彼が、あたしを女にしてくれたひとだから。
眩しい朝の太陽の下。
吸われたばかりのふくらはぎは。
きちんと引き伸ばされたハイソックスに、あからさまな痕をしみつけていたけれど。
ひとに見られたって、かまわないから。
おじさまの求めに、明け方まで応じつづけた少女は、自分でそれを履いて帰ると主張していた。
こんど来るときは、お友達を連れてきてあげるから。
少女は軽く手を振って、なにごともなかったかのように家路をたどる。

芋づる・・・

2007年12月03日(Mon) 07:19:46

公園を歩いていくと。
約束どおり、ユウくんは藤棚の下のベンチに腰かけて待っていた。
もうだいぶ、寒くなったのに。
ユウくんも、ボクも、まだ半ズボンを履いている。
子供は寒さに強いのだろうか?大人が弱いだけだろうか?
どちらにしても。夏に大人たちが長ズボンをはいているのが、ボクにはふしぎでならなかった。
あんな暑いもの。どうして夏に履けるんだろう?って。
そんなボクを横目で見ながら。
ユウくんはボクに、囁いてきた。
約束しようよ。冬じゅう半ズボンを履きつづけるって。
ウン。いいよ。ユウくんもね。
指きり、げんまん。
暑いときに寒くなってからの約束なんか、するものじゃないのかも。
でもボクは、後悔していなかった。

待った?
息せき切って駈けて来たボクに、ユウくんは笑ってかぶりを振ってくれた。
でも、きっと。
ずっと待っていたに違いない。
履いてきてくれた?
ユウくんの声はすこし上ずって、言葉がみじかくなっている。
すこしいらいらしてきたときの、クセなのだ。
ボクは答えのかわりに、ねずみ色のハイソックスの脚を、見せびらかすように前に突き出した。
学校が終わったらさ。いつもの公園で待っているから。
あの、ねずみ色の長靴下を履いてきて。
ユウくんは、靴下が好きらしい。
だれそれは、真っ赤なハイソックスを履いてきた。
誰々はいつも黒いやつだ。
そんなこと、どうだっていいじゃないか。
そうあしらってしまうには、ユウくんは大人しすぎ、感じやすすぎたから。
ボクは黙って、聞き役になってあげている。

いいなぁ・・・
ユウくんは舌なめずりするように、ボクのふくらはぎに触って、
ハイソックスの上から、なんども手をすりつけてくる。
ずり落ちちゃうよ。
脛の周りをすれる感覚が、妙にくすぐったくて。
でも、そんなことをあからさまに言うのを、なぜかためらってしまって。
そういうのが、やっとだった。
そうすると、ユウくんは、いきなりボクに抱きついてきて。
身動きもできないくらい強い力で、横から抱きつかれて。
そのまんま、汗臭い唇をボクの首筋に押しつけてきた。
アッ、何するの?
あわてたボクは、とっさにユウくんの腕をふりほどこうとしたけれど。
生臭い口臭がつんとよぎったかな・・・と思ったときにはもう、
うなじのつけ根に、鈍い痛みをしみ込まされてしまっている。

ちゅ・・・っ。ちゅちゅ・・・っ。ズズズ・・・
奇妙な音をたてて、ボクの血が吸い上げられてゆく。
え?え?え?
きみ、吸血鬼だったの・・・?
とうとう、腕をふりほどくことができないまま。
ボクはそのままの姿勢で、血を吸い取られちゃって。
気がついたら、ふらふらになって、ベンチのそばに四つんばいになってしまっていた。
うふふ・・・気分はどう?
ユウくんは落ち着きたっぷり、ボクのことを獲物みたいに見回して。
じゃあ、ハイソックスもイタズラさせてね。
くすっ・・・と、いつもの無邪気な笑いを浮かべると。
笑いを滲ませたままの唇を、ハイソックスのふくらはぎに吸いつけてきた。
ちゅうっ。

あ・・・あ・・・あ・・・
逃げないと。やめさせないと。
なんど、そう思ったかわからなかった。
けれどもボクの手足は、しびれたようにいうことをきかなくなっていて。
そのスキに、ユウくんはボクの血をいいように、ちゅうちゅう、ちゅうちゅう、音を洩らしながら吸い取ってしまった。
殺さないで。死なさないで・・・
必死に念じるボクの気持ちは、啜られる血を通して、ユウくんにも伝わったらしい。
おいしいよ。愉しいよ。決して死なせたりなんか、しないから。
もう少し、もうちょっとだけ、愉しませて。
うん・・・ウン。わかった。ボクの血、そんなにおいしいの?
だったらいいよ。もっと、吸って・・・

見て御覧。
だいぶ吸われちゃった・・・
ぼんやりと、そんなふうに思っていると。
ユウくんはボクをベンチに座らせてくれて。
足許がよく、見えるようにしてくれた。
ほら。どうだい・・・?
だらしなくずり落ちたねずみ色のハイソックスが、ボクの血を赤黒く滲ませている。
もうすこし、いいよね・・・?
やめさせる気力のなくなったボクは。
ユウくんにねぶられるまま、破けたハイソックスをもてあそばれていった。

どれほど刻が流れただろう・・・
ユウくんはようやく、ボクを放してくれて。
おうちに帰ろ。
そういうと。
ハイソックス、破けちゃったね。ボクのと交換しよ。
ユウくんは、真っ赤なハイソックスを履いている。
よほど、気に入っているらしくって。
女の子みたいだ。
そんなふうにクラスの男の子に、からかわれることもあったのに。
そ知らぬ顔をして、毎日のように履いてきていた。
ユウくんは、ひざ下まで引き伸ばされたハイソックスを、むぞうさにくしゃくしゃにしながらずり降ろしていって。
ボクの目の前に、ぶら下げた。
かわりに、キミのをもらうからね。
そういえば。
時々クラスの男の子が。
ユウくんみたいに真っ赤なハイソックスを履いて、ぼうっとした顔をして、歩いているのを見かけたっけ。
ボクは、脱がされるままになって。
ユウくんが目をつけていたらしいハイソックスを、まんまとせしめられてしまっていた。
ありがとう。大事にするね。
こんどは、青のラインが入っているやつ、履いてきてね。
ウン。約束ね。
指きり、げんまん。
バイバイをするときは・・・いつもの友だちに戻っていた。

真っ赤なハイソックスを履いて家まで帰るのは、ちょっと恥ずかしかったけど。
幸い、秋の終わりは陽が短くて。
だれもがボクの足許なんかに目を留めないくらい、薄暗くなっていた。
それでもママの目だけは、ごまかせない。
そう思って、観念して、インタホンを鳴らしたのに。
玄関に出てきたママはボクの足許に目を留めて、ちょっとびっくりしたみたいだったけど。
もうそれ以上、なにもいわないで。家に迎え入れてくれた。

だいじょうぶ?毎日来なくて、いいんだよ。
ウン。だいじょうぶ。キミは痛くなく噛んでくれるから。
いたわり言葉と、うらはらに。
だらしなくずり落ちたハイソックスを、もういちど引き伸ばすと、
ユウくんはまた、唇を吸いつけてきた。
ハイソックスの舌触りが、愉しいの?
ぬるぬるとよだれをしみ込ませてくるユウくんのやり口を、見おろしていると。
恥ずかしそうに、だまってうなずいている。
ママが三足そろえて買ってきてくれたライン入りのハイソックスは。
たった三日で全滅した。
毎日履いていって、ユウくんに見せてあげたから。
これからは、週に二日でいいからさ。
そうだ。水曜日と土曜日にしよう。
水曜日は、午前授業だし。土曜日は、はお休みだし。
きみのハイソックスを、時間をかけて愉しめるからね。
ウン。いいね。
いつの間にかユウくんの舌がすり込んでくる疼きに慣れてしまったボクは、
声震わせて、うなずいている。
じゃ、つぎの土曜日は、どれを履いてきてあげようか?

それ、お姉ちゃんのやつじゃない?
登校まぎわ、靴まで履いてしまったボクの足許を見咎めたママは、さすがにちょっと声をけわしくする。
真っ白なハイソックスは、姉さんがいつも学校に履いていくやつだった。
サイズがすこし、ボクには長めで。
ひざ小僧までかかったのが、目を引いたらしい。
太めのリブに、学校名のイニシャルが飾り文字になったワンポイントが洒落ていて。
前から気になっていたけれど。
おなじことを考えていたらしいユウくんが。
お姉さんのを、履いて来いよ。
そんな、悪魔の囁きで誘惑したのだった。
ちょうど制服に着替えた姉さんが顔を出して、ふたりのやり取りをすぐに察したらしかった。
あら、いいんだよ。あたしがあげたやつだから。
思いがけず、助け舟を出してくれた。
ほんとうは・・・姉さんがいない部屋に忍び込んで、タンスの引き出しから黙って借りてきたんだけど。
いいの?
さぐるような目をするママに。姉さんはウン・・・と、うなずいて。
サイズもぴったりだね。欲しかったら、いつでもあたしに言うんだよ。
上背のある姉さんのおさげ髪が、ボクの目の上で優しく揺れていた。

うふふ・・・ふふふ・・・
いつもの藤棚の下で。
ベンチに腰かけたボクは。
女の子みたいに、内またになっていて。
きちんと引き伸ばした姉さんのハイソックスを、すねの周りでいたぶられている。
ユウくんは、まるで姉さんじしんをいたぶるみたいに。
べろを突き出し、よだれをぬらりとなすりつけて、
唇をべっとりと、ヒルみたいに這わせてきて、
流れるような太めのリブを、くしゃくしゃにねじれさせてゆく。
いやらしいわね。あなた達。
聞き覚えのある声に、びくっと顔をあげると。
姉さんの細面が、言葉とうらはらに笑っている。
制服姿の姉さんは、いつもよりちょっと大人びてみえた。
濃紺のプリーツスカートの下、タイツみたいに覆っているのは。
ボクとおそろいの、白のハイソックス。
ユウくんね?弟がいつもお世話様。
ハイソックスが、好きなのね?
じゃあ、あたしのも舐めてみる?

え?え?え?
姉さんは、いつものように余裕たっぷりの優しい笑みを浮かべたまま。
ボクの隣に腰をおろして、ハイソックスの脚をユウくんのほうへと差し伸べる。
いいの・・・?
目を輝かせたユウくんは。
さっきボクにしたのと、おなじやり口で。
姉さんのハイソックスを、もういたぶり始めていた。
あら・・・やらしい。
姉さんはちょっとだけ、メイワクそうに顔をしかめたけれど。
太めのリブがぐにゅぐにゅにねじれていくのを、くすぐったそうに、愉しそうに見つめている。
姉さんの足許をきりっと引き締めていたハイソックスが。
隣に伸べたボクの脛からずり落ちかかっているハイソックスとおなじように。
じりじりとずり降ろされて、くしゃくしゃになってゆく。
あっ、噛んだ・・・
そのときだけ。
姉さんは痛そうにキュッと眉を寄せて。
ちょっとだけ、肩を揺らした。
ボクはとっさに、姉さんが倒れないようにと、セーラー服の両肩に手を回していた。
はたから見れば。
脚を吸う吸血鬼の悪友に手を貸して、姉の血を吸わせているようだったかも。

愉しかったね。
おもしろかったね。
姉弟、肩を並べて。
半ズボンとスカートの下、おそろいの白のハイソックスがずり落ちたまま。
ユウくんの家へと、ついてゆく。
もっと吸いたい。いいでしょ?
おねだりされるまま。
ユウくんの家の玄関に、姉さんはセーラー服姿をくぐらせた。
きゃっ。
ひと声だけだった。
姉さんの首筋に噛みついたユウくんは。
映画に出てくる吸血鬼みたいに、姉さんを抱きすくめて。
ズズズ・・・じゅるうっ。
音をたてて、生き血を吸い取ってゆく。
ボクは隣の部屋から、痺れたように、身じろぎひとつできなくなっていて。
ボクとおなじ血をもつ姉さんが味わわれているのを、
なぜか胸をワクワクはずませながら、見入ってしまっている。
暗くなっちゃったから。だれにもわからないよね?
セーラー服の襟首に撥ねた血を、たしかめながら。
鏡のなかの姉さんは、イタズラッぽくほほ笑んでいる。

お帰りなさい。
ママはしずかな声で、ボクたちを出迎えた。
いらっしゃい。お食事はそのあとよ。
きちんと正座した畳部屋。
叱られるときは、いつもこうだった。
内心なにをいわれるかと、ビクビクしていると。
あの子・・・あなたたちを殺めるつもりはないようね。
ママは怒っていなかった。

さいしょは、心配したのよ。お父さんと。
貴方が真っ先に、血を吸われて帰ってきたでしょう?
ふつうはね。
血を吸い尽くされて。吸血鬼にされちゃって。
ユウくんとふたりして、ママや姉さんを襲うものなのよ。
そうやって、芋づる式に、仲間を増やしていくの。
血を吸うひとが、一家のなかでどんどん増えていくと。
血をあげるほうの人も、耐え切れなくなって。
やっぱり吸血鬼に、なっちゃうものなのよ。
ユウくんとつきあって、どれくらいになる?
もう、ひと月やそこらじゃ、ないでしょう?
それでも血を吸い尽くされないのは。
ユウくんがあなた達に優しいからなんだね。
息子が血を吸われ、娘まで血を吸われたのに。
ママはちっとも、怒っていない。
だって、ママも若いころ・・・パパに連れてっていただいたのよ。
吸血鬼のお邸に。
処女の生き血を、お好きですからね。
あなたも・・・お嫁入りまで、たいせつに取っておくといいわ。
ママは、許してくれている。
安堵したボクは、おずおずと切り出してしまっている。
水曜日、ユウくんに逢うんだけど。
ママの靴下、貸してくれない?

え?ほんと?
藤棚の下、ユウくんは目を輝かせた。
姉さんは制服のスカートの下、黒のストッキングを履いて、
ボクまで半ズボンの下、ママからもらったストッキングを履いている。
どう?オトナっぽいでしょ?
入学式や卒業式のときくらいしか、履いて行かない黒ストッキングの脚を、
姉さんは自慢げに、見せびらかして。
ボクもおずおずと、肌色のストッキングを履いた脚を差し出してゆく。
男の子が履くには、薄すぎるよね?
道々、とても恥ずかしかった。
肌色のストッキングは、色は目だたなかったけど。
あからさまな陽射しの下、てかてかとした光沢が、脚の輪郭を縁取るようにてかっている。
道行く人は、ボクをさりげなく振り返って。
そのたび足許にまとわりつく視線が、じかに舐められるようにそらぞらしくて。
姉さんといっしょに、どこ行くのかな?
近所のおじさんに、そう声かけられたときは、真っ赤になって、うつむいてしまっていた。

ママの靴下まで、ねだるの?
ほんとうは、いつもあなたが盗み見ているチョコレート色のハイソックスがお目当てなんでしょうけれど。
やっぱり、さいしょが肝心ですからね。
オトナらしく、振舞わないとね。
肌色のストッキング、貸してあげる。
いちど、履いただけだから。新品どうぜんだけど。
ママの気配、彼はちゃんと察するかしら?
どう?素敵な罰ゲームでしょう?
きっと、半ズボンにも、似合うわよ。

夢中にふるいつけられてきたユウくんの舌は、いつになく熱っぽくて。
ママをほんとうに襲ってみるみたいに、荒々しく。
薄々のナイロンをちりちりに破いてしまっていた。

あうっ・・・
ふすまの向こうから、声。
噛まれたぁ。
ボクと姉さんは、顔見合わせて。
そう・・・っと、居間のほうを窺ってみる。
ソファに腰かけたママは、黒一色のスーツに、肌の透けて見える黒のストッキング。
脛を蒼白く、じわりと透きとおらせたつま先を、キュッと引きつらせて。
背丈の足りないユウくんは、腰かけたママにすり寄るように、
首を抱き寄せて、うなじを噛んでいた。
ちゅ、ちゅ、ちゅう~っ。
あ、あ、あ・・・吸われちゃう。ママが生き血を、吸われちゃう・・・
なまめかしい黒のストッキングも。
きっと面白そうに、いたぶって。
さいごにちりちりに、破いちゃうんだろうか。
物陰から覗き込んでいたボクは、思わず爪先立ちになっている。
ふくらはぎを包んでいるのは、ママのお気に入りのチョコレート色のハイソックス。
しっとりと暖かく足許を包むハイソックスは、きりっとしなやかで、それでいてなまめかしかった。


あとがき
えらーく、長くなっちゃいました。(^^ゞ
ユウくんがお友だちに優しく接して、決して死なせようとしなかったのは。
ママやお姉さんを紹介してもらうためだったのかも。^^
たぶん、そのあとは・・彼女とかお嫁さんなんかも、紹介してもらうつもりなのでしょう。
やっぱり芋づる・・・ですな。^^;

噛ませたりいたぶらせたりするために、今度履いて来るハイソックスの品定めをする少年たち。
とか、
並んでベンチで腰かけて、おそろいのハイソックスの脚をいたぶられる姉と弟。
とか、
ムシのよいおねだりをする坊やに、自分のストッキングを履かせて街を歩かせるママ。
とか。
ちょっとこだわりなキャラクターに仕上げたつもりなのですが。^^

夜這い夜話

2007年12月03日(Mon) 06:03:09

りぃん・・・ろぉん・・・
我が家のインターホンが時ならぬ来客を告げたのは、真夜中。
週明けに備え、そろそろ寝もうか、と思った時分のことである。
けげんに思い玄関先に出て行くと、立っていたのはお隣のご主人。
わたしよりも十歳以上年上の彼はもう白髪交じりの頭をしていて、
それでもある大会社の重役という風格を、それとなく漂わせている。
おや。どうされましたか?こんな時間に・・・
内心の予期をあえて口にせず訊ねると。
案の定のこたえが、かえってきた。
いえ。お見えになっていらっしゃるんですよ。お客様が。
こんな夜更けに・・・ふつうの客ではあり得ない。
そうすると彼は、意味ありげにこう付け加える。
妻に御用の、お客様が・・・ね。
と。

妻を夜這われている。
口には笑みさえ浮かべながら、そう告げる彼は。
首筋にくっきりと噛み痕を浮かべるようになってから、もう何年にもなる。
なるほど。奥さん、お相手の真っ最中・・・というわけですな?
わたしもそれ以上露骨な言葉はつつしんで。
彼を家にあげた。

夫婦ながら血を吸われつづけた彼は、嗜血癖をもっている。
半吸血鬼、というやつなのだ。
彼らは吸血鬼とちがって、普通の人間として暮らし、普通に齢をとり、死んでゆく。
けれどもそのあいだはずっと、時おり取り憑かれたように、他人の生き血を求めるのである。
彼を家にあげた。
と、書いた。
訪ねてきたご近所の人を、家にあげる。
当たり前のことのようで、じつは重大な行為なのである。
吸血鬼は、招かれた家にしか、あがることができないのだ。
だから、家にあげる・・・ということは。
うちのものの血を吸ってもかまわない。
そういう、無言の意思表示になり得るのだ。
わたしのすぐ背後。いつの間にか出てきた妻は。
真っ白なスーツに着替えて、いつになく取り澄ましている。

こんどはわたしが、家から出てゆく番なのか?
否。である。
なにしろ・・・彼はダンナのまえでこれ見よがしに奥さんを抱きすくめて。
もだえる被害者から血を啜り取るのが好みなのだから。
寒い思いをしないで、いいじゃないですか。
薄っすらと笑う妻の背後。
そろり・・・と伸びた猿臂が、ブラウスの襟足に、ヘビのように巻きついてゆく。

殺害目的の吸血ではない。
お隣の奥さんを押し倒しているのも。
いま、わたしの目の前で、妻を征服しているのも。
ひとしく、慕わしげに素肌を吸い、昂ぶる柔肌をあやすようにあしらってゆく。
細めにあけたふすま越し。
見守るわたしまでもが、ひどく昂ぶりを覚えて・・・
真っ白なスカートのすそが、しどけなく乱されるのを愉しんでしまっている。

川柳

2007年12月03日(Mon) 00:53:53

嫁さんを 拝借したいと ねだられて
困ったな あいつはオレしか 知らないんだ
なぁに ただ・・・ 仲良くなりたい だけなのさ
襲わせて。 一回だけで いいからさ・・・
じわじわと 渦巻く妄想 誘い水
お前だけ・・・ ほかのやつには ナイショだぜ?
わかってる 悪いようには しないから
信じきり ひと晩貸したが 運の尽き

あがり込む 夜更けの客に 妻けげん
にやにやと ゆるんだ笑みに 察しよく
くらくらと したたか呑んで 夢うつつ
目の前で ひざ崩す妻 服はだけ
はぁはぁと 吐息重ねて 耽り抜き

ごめんなさい 姦られちゃったわと こともなげ
破かれた パンストみたいに 堕とされて
むき出しの 太ももに散る 他人の精
乱れ髪 弾む素肌に 渦を巻く
いきわたる 色香眩しき 姦られ妻
すごいわね 肩で息して ほめちぎる
息荒く はずむ余韻に 肌を染め

朝までは 彼のものよと 主張され
寝室を いそいそ譲り 覗き見る 
女房を 我が物顔に 掻き抱かれ
ご馳走さん 朝のあいさつ さりげなく

よかったよ こんどはいつ?と ねだられて
一度きりの 約束いつか 反故になり
週末に 通っておいでと 約束し
夜這い来る 客は仲間を 連れてきた
ええっ?待てよ お前ひとりの はずだけど
美人妻 仲良く愛でよう みんなして
順番は 私が決めると 妻平然
ひと晩じゅう 眠れぬ夜と なり果てる

ブログ拍手♪

2007年12月02日(Sun) 21:27:18

なんとなんと。
ちょっとのあいだ、目を離していたら。
昨日は三回、拍手をいただきました。(*^^)v
過去最多のタイ記録です。(*^^)v
時間帯がおなじなので、もしかするとおなじ方かもしれませんが。(^_-)-☆
ありがとうございます♪

独り語りの「「時と場合によっては」」。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1230.html
かぎかっこ二つは、微妙ですかね?^^;
時と場合によっては、恋人や奥さんの肌を吸血鬼に吸わせてしまっても・・・
みたいな”語り”です。^^

「携帯で合図♪」は、なんと二拍手となりました。^-^
ちょっと明るい林間もの♪でございます。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1128.html

「淫乱妻と夫に言われないために」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1126.html
相手かまわず・・・は淫乱ではしたない。
相手によっては・・・なら、夫のために守り抜いた価値あるものを捧げる行為。
いけしゃあしゃあと語る由貴子さん。
私の傍らで、得意げにほほ笑んでいる?^^;

履いてきてくれた?

2007年12月01日(Sat) 07:52:41

履いてきてくれた?
おずおずと話しかけてきたその子のまえ。
ボクはだまってズボンをたくし上げてやる。
わあ!いいなぁ。
目を輝かせてた彼は、立ったままのボクにおかまいなく。
ハイソックスのふくらはぎにむしゃぶりついてきた。
ゴメン。やらせてね。
許しを請うのも、そこそこに。
彼におねだりされた、ねずみ色のハイソックスの上、
唇を、舌を、ねぶりつけてくる。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・って。音まで洩らしながら。
生温かい唾液に濡れたハイソックスが、脛の周りをよじれていった。

穿いてきてくれた?
あのころとおなじように。
おずおずと切り出してきたきみは。
スーツの似合う、美青年。
しょうのないやつだな・・・
苦笑いするボクも、紺のスーツのズボンを引きあげて。
ひざ下までぴっちりとおおっているのは、
ストッキング地の濃紺のハイソックス。
大人になるまで履いちゃいけないって、パパに言われていたんだけれど。
どうしてなのかは、教えてくれなかった。
ひざ小僧の下、キュッと引き締めるゴムの密着感。
薄っすらと透けるナイロンの、かすかにずれる感触。
しなやかな肌触りの下、彼に啜られるべき血潮が、妖しい彩りに染まってゆく。

フフフ・・・
濡れるような紅い唇を、圧しつけられて。
薄手のナイロンを、くしゃくしゃにされていって。
さいごにぴちっ・・・と。
鋭い裂け目を滲ませてゆく。
わかっているんだよ。
ボクはたんなる、オードブルだよね?
色気づいたきみは、ボクのママや妹に手を出したように。
ボクの傍らでいま微笑んでいる、未来の花嫁まで、狙っている。
透きとおるような白い頬に滲ませた微笑は、どこか挑発的で。
彼女はボクに代わって、すっとふくらはぎを差し伸べる。
ワインカラーのスカートの下。
すらりとしたふくらはぎは、薄墨色のナイロンにきりっと引き締められていて。
スキひとつない装いに、ふしだらに吸いついた唇も。
おそるおそるのように、じわじわと這ってゆく。
あ・・・ら・・・
ぴちっと走る伝線は。
ボクのハイソックスに走らされたのとおなじくらい。
ひどくミステリアスな、輝きを秘めていた。
ちょっとのあいだ、失礼しますね。
彼女は彼に手を引かれるまま、
ベッドのしつらえられた別室へと、連れていかれる。
そこでなにをされてしまうのか・・・
だいじょうぶ。
彼は、処女の生き血が好みなんだ。
じぶんにそう言い聞かせながらも、
あやしくなった視線を、わざと半開きにしたドアの向こう側へと泳がせている。
ベッドがほんらいの使われ方をするのは・・・
そう、きっと。
挙式直前に誘われたときになるんだろうね。