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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

東京レンタル妻について。^^

2008年06月29日(Sun) 21:47:54

久しぶりに、ストーリー性のあるやつを描いた気分です。(^^ゞ
夕べまでは、なあんにも浮かんでこなかったのですよ。
単身赴任の留守宅を守る専業主婦が、やはり単身赴任の男性の性欲を充たす・・・
そんな結びつきが、あちこちに・・・ってプロットは、以前から描いてみたいとは思っていたのですが。

このごろ、雨がうっとうしいですね。
それで、雨をしのつかせてみて。
ガソリンが値上がりして、みんな困っている・・・というのが頭にあったので、
そのあたりをさりげなく描き入れて。
女の生活感を出すために、うらぶれたアーケード街と古ぼけたアパートを用意して。
第一話では、パソコンディスプレーに知らず知らず操られてゆく妖しさを、
第二話では、別れの朝にいつもの問いを発しなかった女と向かい合う切なさを、
ほんの少し、滲ませてみました。
戻ってきた自分の留守宅で、おなじ恋模様が展開しているというどんでん返し、いかがでしたでしょうか?
気分の赴くままイイカゲンに打ち込んでいる・・・と申しましても。
けっこうこれでいて、いろいろ考えながら描いているんですよ。(笑)

もっとも、登場人物の名前である、シンヤも、冬美も、マサトも、
全員打っている間に思いついたのですが。(^^ゞ
名前の由来?
そのへんはまあ、あるようなないような・・・(笑)

「東京レンタル妻」というタイトルは、第一話を描き進んでいるあいだに思い浮かんだのですが、
改めて読み返すと、いかにもふしだらで、昭和時代の安っぽいポルノ映画みたいですなあ。^^;
まぁ、そのへんが作者の想像力の限界・・・ということで。(^^ゞ

このお話、アップの時刻を見ればわかるように、
とんでもない時間に描いています。
午前三時過ぎ頃に目がさめまして、突如として描き始めたのです。
第二話のほうが、わりと時間を食いまして。
一時間くらい、かかっているんですね。(^^ゞ
そしてそのあと、いつものようにスッキリとした顔をして、仕事に出かけた私。^^

東京レンタル妻 2

2008年06月29日(Sun) 04:55:19

地方から出てきて、あれよあれよという間に三ヶ月が過ぎた。
時の流れは、都会のほうが速いのだろうか?
マサトは疲れた目で、巷の灯りを見あげていた。
照らし出された闇は、微雨に濡れている。
微細な雨粒の点々が、粉雪が舞うように闇にきらめき、落ちてゆく。
こんばんは。
別のだれかに投げられた声だとばかり思っていたのに。
声はなんども、彼のほうへと向けられた。
こんばんは。
振り向くと、そこには傘を差した若い女性。
若い・・・といっても、もう二十代ではないだろう。
落ち着いた髪形や服装、それに物腰が、女がミセスだと告げている。
白無地のタイつきブラウスに、地味めなチェック柄のひざ丈スカート。
白のミュールを突っかけた足首を、透きとおるようなストッキングが包んでいた。
女は地味な身なりながら、そこはかとない気品と色香を漂わせている。
純白のブラウスの胸許は、ふんわりと結ばれたタイが、ユリの花びらのように華やかに飾っていたし、
黒い髪をアップにした首すじは、すっきりとあらわになって、凛とした趣を添えている。
なによりも。
流れるような脚線を染めるストッキングの光沢が、マサトの目を狂おしく焦がしている。
うっとりするほどの、熟した女の色香が、そこにあった。

どうかなさいまして?
じぶんのイデタチに無遠慮に注がれた視線に、女はくすり、と笑った。
えへへ・・・
マサトも決まり悪げに、ほほ笑んだ。
男女の同意は、すぐに結びつきに変えられていた。
激しくなった雨脚を避けるようにして、駅前のアーケードをくぐり抜け、
アーケードが切れたところが、女の住処だった。
駅前の商店街の果て。
照明こそ切れていないものの、寂寞がそこはかとなく漂っている。
かつては買い物客の主婦たちであふれたスーパーマーケットは、がらんどうの空き地になっていて、
近所のものと思われる古ぼけた自動車が2、3台、無造作に停められていた。
ずらりと並んだシャッターは、すでに永いこと鎖されつづけているらしく。
ところどころ赤さびて、うらぶれていた。

女が足を止めたのは、貧しげなアパート。
屋根だけの階段を、先に立ってあがってゆくのを、
マサトはぼうぜんと眺めていたけれど。
どうぞ、おあがりになって。
こちらを振り向いた女に言われるまま、あとにつづいた。
目のまえで歩みをすすめていく女の足首は、ストッキングのところどころに、泥が撥ねていた。
足許、濡れているよ。
ばたんと閉められた玄関のなか。
そこにいるのが、かの女と自分だけだと見てとると。
マサトはおずおずと、切り出した。
あら・・・
女は顔をしかめて、「破けているわ」
たしかに、女の云うとおり。
かなりはっきりとした裂け目が、つま先からひざ小僧まで、つつっと伸びている。
ストッキングの光沢を断ち切ってしまっている伝線は、ところどころ間延びした横糸を引きつらせていて、
まるで破れた蜘蛛の巣のような、妖しい輝きに濡れていた。
黒い衝動が、マサトと、そして女とを、引き倒した。

「いけない人ですね」
女はふふっと、笑んでいる。
黒っぽいズボンを、けだるい手つきで元に戻すと。
マサトはわれにかえって、女を視た。
はだけたブラウス。ストラップを断たれたブラジャー。
ぷりんとはじけるような若々しい乳房は、青白い静脈が透けてみえた。
脱がされたスカートを椅子の背もたれに添わせると、
まだ穿いたままのガーターストッキングの破れを、品定めするように点検してゆく。
開いた股のすき間からかすかに覗かせた黒い茂みに、雨粒のようなしたたりを光らせたまま。
「これだけは、弁償してもらうわね」
女の差し出した脚を包むストッキングには、ふたすじ、三筋・・・と、縦の裂け目が滲んでいる。
開き直った気分になった。
「じゃあ・・・」
マサトは云うなりに、女のひざ小僧に飛びついて。
ピリッ・・・
かけた掌の下、ストッキングが新たな裂け目を滲ませる。
女はちょっと身じろぎして、もうそれ以上破らせまいとして脚をすぼめたが、
マサトは強いてかの女の太ももを抑えつけた。
キュッとこわばった足首から、すぐに抗いの力が去った。
ぴりっ・・・ぴり・・・っ・・・ぱりぱり・・・っ!
身に着けた礼装がかすかな音をたててはじけ散るのを、
女はほろ苦く笑いながら、じいっと見おろしている。

「気が済んだ?」
女はあざ笑うように、マサトを舐めるように見つめて、
「あげるわよ」
散らされたナイロンの切れ端を、気前よく彼の手先へと投げてやった。
解けた髪の毛を、むぞうさに撫でつけて。
結い直すのをやめて、ばらりと肩先に流してみると。
お嬢さんのような若々しさが、むっとするほど息苦しく、マサトの鼻先をよぎっていった。
去りかけた衝動がふつふつと、マサトの理性を塗り替えていった。

朝―――。
また、来てね。
女はまだ、エプロンをしていた。
夫婦のように、ふつうに起きて。
顔を洗っているあいだ、女はまるで妻のように、朝食の支度をして。
パンの焼ける匂いに、カチャカチャと触れ合う、複数の食器。
それは妻とともに自宅に置き忘れてきた風景そのものだった。
劣情にまみれた夜の片鱗は、すでにどこにも残されていない。
女は昨晩初めて逢ったときのままに、黒髪をアップにして、きりきりと立ち働いて。
男のため、給仕をすると。
まるで妻が夫を送り出すようなかいがいしさで、仕事に向かうマサトを玄関まで送り出した。
今夜は何時に、戻られますか?
留守にしている夫に、かの女はいつもそう問うていたのだろう。
ことさらおなじ口調をつくって、投げかけられた問いに。
「できれば、早くに―――」
マサトは口ごもりながら、応えている。
妻への罪悪感は、どこにもなかった。
これだけ離れているむこうとこちら。
それとこれとは、別の問題―――頭がひとりでに、そういう割り切り方をしていたのだった。

仕事がひけると、マサトはまっすぐに、女の家に足を向けた。
主人は単身赴任で、もう三年も経っている。
ひと月かふた月にいちど、戻ってくるかどうか。
わたしも勤めに出ているので、子どもは近所に住む母親に預けている。
だから週末だけは、来ないでね。
せめて母子でいっしょに過ごすのは、そのときしかないのだから。
マサトにはじゅうぶん過ぎる申し出だった。

一年が過ぎた。
かの女の夫とは、とうぜんながらいつも入れ違いで。
とうとういちども、顔を合わせずにすんでしまった。
まるで、時間差輪姦ね。
女は乱れた黒髪を直しながら、つい朝までいた夫に求められたのだと、マサトに告げるのだった。
たしかに。
ひとりの女を、複数の男が、入れ替わり立ち代わり犯してゆく―――
場をおなじくする、という以外では。
女にひとりを守らせない、網の目のように入り組んだ関係。
かの女の夫が知らないあいだに、いつの間にか構築された、濃い関係だった。
札幌に帰るんだ。
そう告げたとき。
女はふふふ・・・と、笑っただけだった。
その晩も、泊まって。
黒髪をほどいた女を、布団の上押し倒すようにして。
夜通し、まぐわいつづけて。
朝になると、女は髪をアップに戻して。
男のために、朝餉を用意して。
玄関を出るときだけは、いつもと違っていた。
今夜は何時に、戻られますか・・・?
聞きなれた言葉を、かの女が発しなかったとき。
マサトは初めて、ひとつの別れを実感した。

久しぶりのわが家だった。
飛行機に乗らないと帰れないへだたりが、マサトを留守宅から遠ざけていた。
久しぶりに見る、そこそこの都会であるはずの街並みが。
ひどくさびれたものに映った。
引越しの荷物は、明日届くはずだ。
明日は大変だぞ―――
そんなことを思い浮かべながら、家族への手土産だけを手に、マサトは家路をたどる。
子どもはお義母さんのところに、預けている―――
妻がくれた携帯メールには、そうかかれてあった。
久しぶりの、ふたりだけの夜。
すでに慣れきってしまったはずの女でも。まんざらではない気分だった。
空き家が目だってきた古びたマンションの、ところどころには。
まるで歯が抜けたように、こんな時間でも、灯りのついていない窓がいくつもあった。
カンカンと音を立てて階段を登ってゆくと。
気のせいか、自室のほうから声が洩れてきたようだった。
ドアをためしてみると、施錠されていない扉は、なんなく開いた。
ポケットから鍵を取り出す手間がはぶけたな。
そんなことを考えながら、
ただいま・・・と云おうとした途端、彼は声をひそめてしまった。

ああ・・・ああ・・・あああぁぁ・・・っ。
あらぬ声が、いちばん奥の部屋のふすまの向こうから洩れてくる。
そこは、夫婦の寝室のはずだった。
硬直した足を、忍び足に入れ替えて。
マサトはそう・・・っと、ふすまを細めに開いた。
覗き込んだ瞳が凍りつき、やがてじわじわと焔を帯びる。
見慣れたベーズリー柄のワンピース姿の妻は。
裂き散らされた紫色のストッキングを、足許にひらひらまつわりつかせながら。
狂おしく、しがみつくように迫ってくる見知らぬ男と、しっかりと腰を結び合わせたまま、
しつような上下動に、動きを合わせている。
惑いきった口許に、しつっこくくり返される口づけに。
夢見心地にうっとりとなりながら。
別れの刻を、引き伸ばしすぎて。
逢瀬の長さを忘れてしまったのだろう。
ズボンのなかの一物が、はち切れそうになるほど、昂ぶりながら。
マサトはなぜか、妻を責める気にはなれなかった。
気を利かせて、立ち去る気にも、なれずにいた。
侵入者が、さいごにひときわつよく、気を入れると。
ぼとぼととほとび散らされた精液の濃さに、気もそぞろになりかけていた。

逃げるように足早に、ちかくの喫茶店を目ざしながら。
今夜の営みは、長くなりそうだ・・・
マサトは腕時計の針を気にしながら、ひとりごちている。
ズボンのなかの昂ぶりは、いっこうにおさまりそうになかった。


あとがき
「1」とたぶらせてみました。^^
1のご主人の奥さんが、こちらの前半のヒロインなのです。
後半の情事、おまけにするつもりでしたが。
つい、気合が入ってしまいました。(^^ゞ
奥さんの情事を覗いて昂ぶるご主人って、描いていてとても愉しいんですもの。(#^.^#)

東京レンタル妻

2008年06月29日(Sun) 03:50:43

単身赴任も、三年が過ぎた。
週末だからといって、東京の家に毎週帰宅しているわけではない。
車で半日も飛ばせば帰れるとはいうものの、
毎週毎週そんな移動を繰り返していれば、
たまの休みにも疲れが取れないし、ガソリン代だってばかにならないのだ。
独りで過ごす週末の夜―――。
夕食をすませると家族におやすみの電話をかけたあと。
受話器を置いても、空ろな夜はまだ目のまえに広がっている。
シンヤはほっとため息をついて、いつものようにパソコンの電源を入れる。
ネットの散策は、おカネのいらない暇つぶしだった。

・・・?
あらわれたディスプレーが、じんわりとした曇りを帯びている。
おや?もうネットにつながったのか?
シンヤの目のまえに現れたのは、サイトの一画面。
毒々しいほど濃い紫に、金の文字でこう書かれていた。
「あなた自身と向かい合ったことは、ありますか?真実を知る占い」
占いだって?ばかばかしい。あれは女のやるものだ。
画面を消そうと、マウスを動かしたつもりだった。
ところがマウスも、マウスを軽く握った手も、
まるで意思をなくしたかのようにすらすらと動いて、
―ENTER―
のボタンをクリックしていたのだ。

「―――ようこそ 秘密の占いの園へ―――」
ふん。子どもだましのくせに、もったいぶったことを。
シンヤは内心閉口しながら、乗りかかった船とばかりにつぎのページをクリックしている。
「いまから100の質問をします。思ったまま、とっさに感じたままをクリックしていってください」
100だって?かんべんしてくれよ・・・
ため息をつきながら。
それでもマウスを握った手の動きはとまらない。
カチ、カチ、カチ・・・
たった独りの部屋のなか。
パソコンに引き入れられるようにして、無機質な音だけが響いた。

ほとんどが、ごくありきたりのつまらない質問だった。
性別、年代、家族の人数、血液型・・・
いい加減退屈してきたところで、目に飛び込んできたのは。
唐突なくらい、不自然な質問。

「奥さんのすべてを知りたいと思いますか? Yes/No 」

思わずYesにクリックがいった。

「奥さんの過去のすべてまで、知りたいと思いますか?」

―――そういえば冬美は、処女じゃなかった・・・
新婚初夜のベッドのうえ、あまりにスムーズにことを終えた彼は、
新妻の過去の存在に気づかざるを得なかった。
どうしたの?
幸せいっぱいな顔つきで、ウキウキと彼の顔を覗き込んでくる花嫁に。
とっさに「おいしかった」とこたえ、「ばか」と軽くひっぱたかれたあの夜。
幸せがひとつの終着点を迎えたことを、ほろ苦く感じたものだった。
彼はとうぜんのように、 Yesをくりっくする。

「奥さんは、ほかの男性と浮気をしていますか もしくは、浮気をしていると思いますか」

とっさに判断に迷った。
冬美は専業主婦。これといった趣味もない。
子どもの友だちのお母さんグループ以外外部との接触を、ほとんどもたない女だった。
けれども、独身のころの冬美は、きらびやかなOL。
だれよりも、おなじ会社でなん年も彼女を見つづけてきた彼じしんが知っていた。
男のうわさこそなかったものの、彼女に言い寄る男性社員は、ひとりやふたりではなかったはず。
なかには妻子ある役員クラスまで、それとなく泊まりのゴルフに誘ったりもしていたのだが。
すれ違っただけでもつい振り向いてしまうほどの美貌の持ち主だった冬美は、男嫌いで通っていて。
シンヤとの電撃的な婚約発表に、だれもがのけぞるほどにびっくりしたものだった。
追憶からさめた彼は、画面がまだ止まっているのに気がつく。
えい、ままよ―――
おもしろそうなほうに、いってやれ。
Yesをクリックしていた。

「奥さん、浮気をしているのですね?^^ 気になりますか?」

やけになれなれしい質問だった。
シンヤはもちろん、Yesをクリックする。

「浮気をしている奥さん。ほかの男に抱かれているのを覗いてみたい・・・なんて思われますか?」
えっ!?
背すじにぞくりとしたものが走るのを覚えた。
それは戦慄のようにまがまがしいものだったが、
同時にいままで覗いてみたこともない日常を超えた得体の知れないものを伴っていた。
ひらめきにも似た衝動のままに、シンヤはYesをクリックしていた。

一瞬真っ暗になった画面が、ふたたび明るさを取り戻した。
けれどもそれは、霧が立ち込めるような不鮮明さを伴っていて、
さいしょはなんの映像だか、判然としないほどだった。
霧の彼方にうごめいているのが、ふたつの人影だとわかるのに、数分を要した。
影の主は互いに聞き取りにくい声を交し合い、もつれるように重なり合っていた。
一人は、男。もういっぽうは、女だった。
男は黒っぽいズボンをひざまでおろして、上半身は、裸。
女のほうはブラウスをはだけ、黒いスカートを腰までたくし上げられている。
エッチなイメージ絵なのだろうと思った。
けれどもそんな冷めた思いは、一瞬にして打ち砕かれる。
女の着ている服に、見覚えがあった。
はだけたブラウスは、白とチャコールグレーのボーダー柄。
結婚記念日に妻に買ったのと、おなじデザインだった。
なによりも。
おっぱいを覗かせながら脱げかかったブラジャーの濃い柄は。
夫だからこそ、識っているはずのもの。
妻らしき女性に絡み合っているのは、見覚えのない年配の男。
男の腰が深々と吶喊をくり返し、
女の太ももは、それに応えるように、激しく上下動してゆく。
腰までたくし上げられた、黒のスカート。
ひざまでずり降ろされた、黒のストッキング。
漆黒の衣装のすき間からむき出しになった太ももの白さが、いっそう鮮やかに浮き上がっていて。
不覚にも男の劣情が、彼の網膜を狂わせてしまっている。
そう。
それはまさしく、妻の浮気の現場だったのだ。

朝―――。
けだるい身体をふとんから引きずり出すようにして。
シンヤは起き上がった。
頭上には、夜どおし開けっ放しになっていたガラス窓から、眩しい陽射しが降り注いでいる。
まるで二日酔いのように、頭の奥がじんじんする。
悪い夢を見たようだった。
いや、まさしく、悪夢だった。
悪夢は鮮烈に、シンヤの脳裏に刻み付けられている。
狂おしいほどの、リアリティとともに。
パソコンのディスプレーのなか、絡み合う男女の影が、まだ目のまえにちらちらしていた。
その晩シンヤは、迷うことなく、パソコンのスイッチを入れていた。

アドレスは忘れていたが、履歴に残っているはずだ・・・
そんなふうに身構えていると、唐突に画面の色が、濃い紫に変わった。
毒々しい紫のうえ、はっきりと刻み付けられた金文字で。
「週末の誘惑」
とだけ、描かれている。
悪夢がふたたび、眼前にあらわれる。
まるでそれが初期画面であったかのように、すんなりと。

「奥さんが犯されている―――そんな妄想に慄(ふる)える夜はありませんか?」
「はい」
「もしもそんなとき、あなたは奥さんを制止しますか?」
「いいえ」
「物陰からこっそり覗くほうを選びますか?」
「はい」
もはや完全に、パソコンとの会話になっていた。
「では、リプレイに入ります」
画面はふたたび、濃い霧に包まれ、すぐにそれは闇の彼方の映像に直結する。

ううん。・・・ううん・・・ああっ。
ディスプレーのなか、身をくねらせてもだえるのは、まぎれもなく妻。
今夜の服は、やはり見覚えのある水色のブラウス姿。
紺と白の水玉もようのロングスカートを腰までまくりあげられたかっこうで、
パンティをするすると足首までずりおろされてしまっていた。
冬美・・・冬美・・・おまえいつからいったい・・・?
画面のなかの妻はなにも応えずに、ただひたすら、男への奉仕に耽っている。
後ろから抱きすくめられた裸体を、あられもなくしならせて。
汗ばんだロングヘアをユサユサと揺らしながら、応えてゆく妻。
淑やかで堅実な主婦の仮面をかなぐり捨てた女は、夫婦のベッドのうえ、
黒のガーターストッキング一枚になって、ただの牝と化していた。
バックを犯された太ももは、豊かな肉づきを悦楽に震わせながら。
薄いストッキングをよぎる毒々しい光沢に、滲むように染まっている。

「奥さんは、お宅で淋しくお留守番ですね?」
「はい」
「男なしの生活・・・それは熟れきった身体には、地獄のような日常です」
「はい」
「貴方はそんな奥さんを、放置しておくわけにはいきませんね?」
「はい」
「東京には、異性の相手をもたない単身赴任の男性が、うようよしています」
「当会では、そうした淋しい男性に、留守宅を守る淋しい主婦をご紹介しています」
「結ばれたカップルは、すでに数百組。」
「そう。数百組の男女が、今夜も不倫の床に身を淪(しず)めているのです」
「夜の営みは、男女にとって最良の癒しの場」
「もしも貴方が寛大な夫となることができるのなら、奥様を秘密の花園にご招待いたします」
「遠い単身赴任先にお勤めの貴方。想像すること、視ることで昂ぶることができるのなら」
「当会は責任を持って、奥様のための最良のパートナーを用意いたします」

「貴方は最愛の奥様を、無償で差し出すことができますか?」
「はい」

クリックする手が震えたのは、むしろ昂ぶりのせいだった。

ああっ、うう・・・・ん。ひいっ・・・
洩れてくるよがり声は、パソコンのディスプレーで耳にしたのと、まったくおなじだった。
男の手口も、なぞるようにおなじだった。
白昼のわが家―――。
パソコンの指定した時間に、妻にも告げずにあがり込んで。
まるでよその家に覗きに侵入するようなスリルに、足音を忍ばせた彼は、息苦しさを覚えている。
息苦しさは、夫婦の寝室を覗き込んだとき、動悸がするほど激しくなった。
妻が、乱れている。
平凡な主婦の顔も、しつけに厳しい母親の仮面さえ、忘れ果てて。
ただの牝になって、情事に耽っている。
そして彼自身も・・・
体面だの外聞だのをかなぐり捨てた、ただのオスに変わろうとしている。

東京レンタル妻。
都会の闇のなか、日常に忍び込んだネットのつながりは。
血の絆よりも濃く、
独りの男と、淋しい女とを結びつけているという。


あとがき
ネット遊びは、ほどほどに。^^
あっ、私もですね・・・。(^^ゞ

棘あればこそ 美しく・・・

2008年06月25日(Wed) 07:49:07

棘のないバラは、美しくない―――
それが彼の言い草だった。
うかつにもひとごとだとばかり思い込んで、聞き流していたわたしは。
とうとう、思い知らされてしまった。

立派な奥さんだ。さいごまで、抵抗していた。
スカートの奥を、下半身の牙で貫いてやったとき、初めて身体の力を抜いた。
気を許したらさいご、すみずみまで、汚されて。
しんそこ、わしの支配を受け容れることになるのだよ。
得意げな男の言い草に。
たいしたウデだね。おめでとう。
わたしはほろ苦い笑みを浮かべながら、祝福するしかなかった。
辱め抜かれた一夜、妻は心の底から、他人の情婦に堕ちていた。

彼の頬には、平手打ちのかすかな痕。
むき出しの二の腕にも、わき腹にも。
身体じゅうのそこかしこに、妻の抗いのあとをとどめている。
護ろうとした貞節の証しを見る思いがして。
知らず知らず、男の傷に触れていた。
ふふふ・・・
いい味だった。
拒まれれば拒まれるほど。
手に入れたときの味は、格別なのだ。

奥さんかね?
もちろんきみのことを、待ち焦がれているよ。
夫婦の寝室で。
きみたちは変わらず、愛し合う夫婦。
わしはふたりの間に分け入って、踏みしだくようにして、きみの妻を奪い取る。
スリルに満ちた夜―――。
きみと刺激を、分かち合いたい。
どうかね?
棘のあるバラは、美しいと思うだろう?

若妻の情景

2008年06月25日(Wed) 07:41:41

ドアのすき間ごし。
襲われる妻は、柳眉を逆立てて。
ああっ、ああっ・・・と、もだえながら。
背後から迫って羽交い絞めにしてくる黒い影を、どうすることもできなくなって。
白くて豊かに肉づいたうなじに、飢えた牙を埋め込まれてしまっている。
赤黒く膨れた唇は、ヒルのようにしつように吸いついていて。
力がこもるたび、血を抜かれるせつなさに。
妻はまつ毛をピリピリと、震わせながら。
うら若いエキスを、吸い取られてゆく。

めでるように撫でまわすどす黒い掌に。
パーマをかけた栗色の髪を、荒々しく乱されて。
足許にはヘアピンが、イヤリングが、ブローチが。
わたしの妻だと証だてる装身具が、ぱらぱらと落とされていった。
髪の毛を荒々しくつかまれて。
ぐいと二の腕を引かれて。
かぶりつかれた肩先に、バラ色のしずくを散らしながら。
ああっ、ああっ、ああ・・・っ
屈辱にもだえるしぐささえもが、なまめかしい女の匂いを漂わせる。

失血のあまり、身体の力を抜いた妻は、
ずるずと、姿勢を崩して。
肌色のストッキングのひざを、じゅうたんに突いてしまって。
そのままおおいかぶさってきた男のなすがまま、
大の字に寝そべらされて。
裏返しにされた蝶の標本は、羅紗織りのじゅうたんというあでやかな展翅板のうえ、
たんねんに用心深く、広げられていって。
服のうえから身体の線をなぞるように沁み込まされた、入念なまさぐりに。
はじめて妙なる反応に、背中をのけぞらせた。

感じている。
感じてしまっている・・・
身体を折ることで、無言の告白をしてしまった美しい獲物は。
男の腕の中、我が物顔に抱きすくめられて。
唇を吸われ、うなじを撫でられ、脚を絡み合わされて。
丸太ん棒のように逞しい毛むくじゃらのの脚に嬲られるまま、
優雅で気品ある透明なストッキングが、ふしだらに波うちはじめる。

飢えた唇のたくみな蹂躙に。
妻の脚を気品で染めるストッキングが、裂け目を広げる。
屈辱に耐えかねたように、素肌をガードする役目を放棄した。
貪欲な唇から、無防備な素肌をへだてるには。
あまりにもなよやか過ぎ、なまめかし過ぎたナイロンの皮膜。
ちりちりと剥けてゆくことで、女の妖しいなまめかしさを放散し、
かえって男の欲情をそそっていた。

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
じゅうたんのうえ。
不覚にも、女としてのつとめを演じ始めてしまった妻は。
醜く逆立った赤黒い塊を、
スカートに隠れた太ももの奥、深々と受け容れてしまっている。
ばたつく脚は、引き裂かれて脱げかかったストッキングを、まだひらひらさせていた。
夫の同意のうえ、侵入者は家庭に迎え入れられて。
ノーマルな日常が、一夜にして突き崩される。

ボクのお願い。

2008年06月25日(Wed) 06:47:34

頼むよ。お願いだよ。
ママやエリカの血を吸うのは、もうやめにしてくれよ。
ふたりともすっかり、蒼い顔になっちゃったし。
パパだって、きっといい気はしてないと思うよ。
代わりにボクの血を、あげるから。
吸い尽くしちゃっても、かまわないんだから。
家族でいちばんできのよくないのが、ボクなんだし・・・
男の子じゃ、若い女の身代わりなんて、つとまらないのかな?

坊や、いい子だね。
きみができのわるい子だなんて、だれも思ってやしないさ。
だってこうして、私のために、
慣れない女もののストッキングを履いて、
わざわざ夜中に、勉強部屋を抜け出して。
私に逢いに来てくれるのだから。
うん。似合う。きみの脚には黒のストッキングが、とても映えるようだね。
かわいい・・・っていうよりか。オトナっぽく見えるよね。
こんどから、学校に行くときも。
ズボンの下に履いていくといいかもしれないね。
どうかね?こうやって太ももを、イジイジされると。
薄いナイロンの疼きが、皮膚の奥まで伝わってくるだろ?
隠したって、ダメだ。ほ~ら、顔色に出てる。^^
ママもエリカも、メイワクだなんて、思ってやしないさ。
ふたり連れだって、ウキウキしながらやって来て。
私が先・・・って、じゃんけんやくじ引きをして。
かわりばんこに、先を争うように。
ストッキングの脚を、私に差し出してくるのだよ。
ふたりがおうちに戻ってきたら、きみも安心するのだろう?

夕暮れどきになると、ふたりともふらふらと家を出て行っちゃって、
夜遅く、ぼーっとした顔つきをして帰ってくるんだ。
ただいまーっていう声も、どことなくしおれていて。
スカートの下に履いたパンストが、ちりちりに破けちゃっていて。
見ないようにしているんだけど、つい盗み見ちゃう・・・
ツヤツヤてかったパンストが裂け目を広げて、じかの素肌をむき出しているのを見ていると。
ボクもなんだか、むらむらしてきちゃうんだよ。

ほ~ら、御覧。
きみもすっかり、私の魔法に堕ちてしまっているのだよ。
ほら、もっとこっちに寄りな。
すべっこいパンスト、履いてきたんだね。
お望みどおり、たっぷりいたぶって進ぜよう。
履いているうえから、すりすりされると。
どうかね?気持ちいいだろ?
お礼に少しくらい、舐めたり噛んだりしたって、かまわないだろ?
えっ、厭だって?破けちゃうって?
きみのパンストだから、つい破ってみたくなるのだよ。
ママやエリカにも、おんなじことを言って、破かせていただいているのだがね。

あっ、ダメッ!噛んじゃダメだよっ。
い、痛・・・・・・っ。

うふふふふっ。
佳い血をしているね。
きみの身体にも、ママやエリカとおなじ血が流れているんだね。
たっぷりと、吸い取らせてもらうから。
そのまま大人しく、じっとしているんだぜ。
声なんか立てたら、いけないよ。
どうだね?たまらなくなってきたのではないかね?
本当はきみ、ママやエリカを、襲ってもらいたいのだろう?
そんなこと思っちゃいけない・・・って、思い込みながら。
ふたりが悩ましく眉をひそめながら、ストッキングを破られていく妄想で、
つい、ドキドキしちゃっているんだろう?
白状しな。
感じていますって。
ママやエリカを、襲って欲しいんだって。

あ・・・あ・・・
ちっとも思っていないさ。
そんないけないことなんか。
でもおじさんが、どうしてもふたりの血を吸いたいって言うんだったら。
パパにナイショで、見て見ぬふりをしててあげてもいい・・・

うふふふ。
もうひと押しのようだね?^^
いっそきみを苦しめないために。
きみにまったく気づかれないように、ふたりを襲うことだってできるんだぜ。
ママのことは、きみが学校に行っているあいだに。
エリカのほうは、塾の帰り道に。
こっそり逢って、思いを遂げることだって、かんたんにできるのだから。
破けたパンストが、そんなに気になるのなら。
きみには見せずにしまおうか?

イヤだ!そんなのはもっとダメ!

じゃあ、お言い。
ママやエリカを、襲って・・・って。

・・・ママやエリカの血を、ごちそうしてあげる。
ボクの目のまえで。

よろしい。
すぐにも望みを、かなえてつかわそう。
うふふふふっ。
ほら、きみの携帯で、いますぐふたりを呼び出すんだ。

もしもし?
ママ?
エリカも家にいるの?
いますぐ公園に来て欲しいんだけど。
そう・・・いつもみたいに、ストッキング履いて。
色はね、エリカは学校に履いていく黒のストッキング。
きのう履いていたみたいな、脚の透けるような薄いやつ。
ママは肌色で、てかてか光って、いかにも穿いていますってかんじのやつ。
うん。そう・・・すぐ来て。もう待てないから。



ふたりがかわりばんこに、襲われて。
ベンチのうえに、抑えつけられて。
脚ばたつかせながら、唇を迫らせられて。
生き血をちゅうちゅうと、旨そうに、吸い取られちゃっていく。

ママなんか、小娘みたいにきゃあきゃあはしゃぎながら。
ボクの目のまえだというのに、
てかてか光るパンストの脚をさらけ出して。
いいように、ちりちりに剥かれていっちゃっている。
ママの脚の輪郭を、縁取るみたいに。
毒々しい光沢が、うねるように流れている。
あんなイヤラシイものを穿いて、見せびらかして。
ママはイケナイ愉しみに、ふけり始めている。
こんなふうに、大胆に。あんなふうに、あけっ広げに。
ボクやパパにも触れさせないパンストの脚を。
ママは気前よく、おじさんにごちそうしちゃっている。

エリカもエリカで。
ママが襲われているあいだ、助けようともしないで。
手持ち無沙汰に、隣のベンチに腰かけて。
黒のパンストのすねのあたりを引っ張ったりして。
ぷーっとふくれながら、ママが終わるのを待っている。
ママが噛まれた肩先から、ちゅうちゅう音を立てて血を吸い取られてゆくのを。
ウキウキした目つきで、見守って。
それから、そろそろと這い寄ってくるあいつのほうに。
そーっと脚を、差し伸べてゆく。

ワクワクしながら。ズキズキしながら。
植え込みの陰から覗きつづけるボク。
家で待ってるって言っていたパパも。
ほんとうはどうやら、悪い気はしていないみたい。
どこでどうやって、ボクの居場所を知ったのか。
携帯メールには、ちゃんと書いてあった。
ママやエリカの帰り道は、おまえがちゃんとエスコートするんだぞって。
とても愉しい帰り道になりそうだね。
三人で、連れだって。
破けたパンスト脚を、ちらちら盗み見ながら家路をたどるのは。


あとがき
うーん。
ここんとこちょっと、少年づいています。(^^ゞ
興味があちらこちらに飛びますが、いちど飛びつくとしばらく続くことがあるみたいです。

あなたの愛妻、お幾らですか?^^

2008年06月24日(Tue) 07:40:58

5000円?それでいいの?
ああ・・・どうぞ。
握らされた皺くちゃの札と引き換えに、ルームキーを渡す汚い手。
ふたつの影は一瞬重なり合って、すぐにそ知らぬ顔で、分かれてゆく。
閉ざされたドアの向こう側。
廊下に残った男は落ち着きなく歩き回って。
やがて我慢しかねたように、扉に耳を当ててゆく。
「あ、うぅ~ん・・・」
聞こえよがしに洩れてくる声に、廊下の男は身をかがめるようにして耐えている。

「見たかね・・・?」
「ええ・・・」
呟きに応えるわたしに、男は目深にかぶった帽子もそのままに、
問いかけてきた。
「あなたの奥さんは、おいくら?」
わざとのように取り出した財布を、押しのけるようにして。
「お金は、要りません」
食うに困って売り渡すわけではない・・・
気負いと昂ぶりにほてったわたしの顔を、男は感心したように見つめて。
「じゃあ、あなたの奥さんを選ぼう」
お金では買えないほど、愛しているのだね?
男は短く言い捨てると、妻の控えている部屋めがけて歩みを進める。
ルームキーは、まだわたしの掌のなかにあるのに。
鎖されていたはずのドアを、男はなんなく開いていた。
「いただくよ」
振り向いた顔は、親しげに笑んでいて。
口許から滲むようにむき出された鋭利な牙を二本、チカリと怜悧にきらめかせた。
ドア越しにみえるダブルベッドのうえ。
横たえられた妻は、初夜の花嫁のように、従順で。
純白に包まれた花嫁と打って変わって、妖艶な黒のスリップ姿。
おなじ色のストッキングを吊ったガーターが、ひどく淫らでふしだらに映る。

「見ないで」
「ああ、見ないとも」
破られるに決まっている約束事を、交わしながら。
わざと半開きにしたドアは、とうとうさいごまで鎖されることはない。
容赦なく刺し入れられた牙は、白い肌の奥深く埋められて。
ぐいぐいと強引に、妻の血潮を、理性もろとも引き抜いてゆく。
狂わされた妻は、娼婦と化して。
夫のまえ、あられもない戯れに、身をゆだね切ってゆく。
くねる腕。あえぐ腰。
洩らされる生々しい吐息に、昂ぶりに震える乳房。
反った足首に透ける薄いストッキングは。
令夫人の脚を、淫らに塗り替えていた。

「奥さんをただで譲っちゃうなんて。気前いいんだな」
振り向くと、自分の妻をたった5000円で売り渡した男が、にんまりとほくそ笑んでいる。
「見物させてもらうよ。いい眺めだな」
「見物料をとりたいね・・・」
ぶすっと呟いたわたしに、男は謡うように囁いてきた。
どうして女房をたった5000円で売り渡したのかって?
わざと安い値をつけたのだよ。
今夜の恥辱を、悦びに変えるためにね。
だからわざわざ、皺くちゃなお札をもらったんだ。
この札は、額縁に入れて。わたしの書斎に飾っておくのだよ。
あんたもなにか、譲り受けるといい。
いま奥さんが身に着けている、淫らな汗のしみこんだスリップなんか、極上だね。
もしもあいつが記念にするって、譲ってくれないのなら。
剃られたあそこの毛・・・というのも、オツなものかね。

夜明けとともにさまよい出た邸を、ふりかえることもなく。
わたしたち夫婦は、言葉も交わさずに家路についた。
なにも知らない子どもたちは、仲直りした両親を喜んで迎え入れることだろう。
そう。行き先には、かつてのなごやかな家庭が待っている。
わたしは胸ポケットに手を当てる。
奥深くしまい込んだ、剃られた恥毛。
夫婦のベッドのうえ。
妻は初々しい羞じらいに肌を染め、ためらいなく牝の本性をあらわにする。

洗脳家族

2008年06月24日(Tue) 06:49:58

階段を登ってゆく女の足取りを、カメラが舐めるように追いかけてゆく。
女が一見して主婦と判るのは。
地味なスカート、腰に巻いたエプロン、それに無地の肌色のストッキングという、ごくありふれた服装のせい。
階段を昇り詰めた脚は、踊り場を折れ曲がって、廊下をすたすたと歩いていき、
突き当たりの部屋をノックする。
息子の勉強部屋らしい。
「ケンイチ、入るわよ」
ドアが開くと同時に、画面も明るくなって。
踏み入れた足許を、クリアに照らし出す。
ふくらはぎの透きとおらせた肌色のストッキングに、鮮やかな伝線が。
縦にツツ・・・ッと、鮮やかなカーブを描いていた。
「お客様よ。ケンイチ」
母親の声は、おっとりと落ち着いていた。
「あっ、約束どおり来たんだね?」
向かっていた机から顔をあげカメラの主に笑いかける顔は、すでに童顔から離れようとしている。
椅子をくるりと回すと、初めて腰から下がカメラに映った。
紺色の半ズボンからのぞくひざ小僧が、眩しくあらわになっていて。
ひざから下は、薄手のハイソックスが、微妙な光沢を放っていて、
少年の足許には不似合いなくらいなまめかしい。

「ずいぶん薄い靴下履いているんだね。お宅の息子さん」
観客の男の囁きに、ビデオの主は応えない。

カメラはふたたび、女の脚に釘づけになる。
肌色のストッキングの裂け目ごし、ふくらはぎのいちばん肉づきのいいあたり。

「こたえられないねぇ」
男の観客がまた、ひとりごちる。

アップになったふくらはぎには、よく見ると。
赤黒い斑点がふたつ、綺麗に並んでいて。
やがて・・・はじけるようにして。
紅いしたたりを滲ませてきた。
女も少年も、足許の変化に気がつかないらしい。
したたりはつつっと脚の線を伝い落ちて、畳の上にまでしたたり落ちる。
母親と向かい合わせになったかっこうで。
少年は訪問客のほうに向けて、自分の脚を見せびらかす。
画面に乱暴に割り込んできた脚は、女のそれのように、薄手のナイロンに肌の白さを滲ませていた。
「ほら。パパのたんすから、持ち出してきちゃった」
(「ああ、お父さんのやつなのか」男の観客のつぶやきがした)
イタズラっぽく笑いをはじけさせた少年は、一転して声をひっそりと落としていって。
「じゃあママ、あとはボクが面倒見るから」と、
もとの通り椅子に腰かけて、脚を組む。
カメラが一瞬揺れ、入れ替わりに現れた白髪頭の男性が、そろそろと這いつくばるようにして。
その足許に、にじり寄った。
カメラは、母親の手に移ったらしい。
少年のつま先から足首、ふくらはぎ、それからむき出しになったひざ小僧まで。
女らしい几帳面さで、たんねんに映し出された。
そのときだった。
白髪頭が、少年の足許に唇を吸いつけたのは。

なめらかな光沢滲ませたナイロンごし。
ナメクジのようにぬるぬると這い回る唇は、淫靡な意図を秘めていて。
薄い生地の表面に、ふしだらなしわを波立ててゆく。
「くすぐったいや・・・」
少年は口ごもり、カメラの主は無言のまま。
ふくらはぎに吸いついた唇に、ひときわ力が込められると。
唇の真下で靴下が裂けて、ピッと縦にはじけてゆく。
青白い脛が、じょじょにあらわにされていった。

つぎは、姉さんの番なんだね?
尻もちをついたまま、少年はうつろな声で呟いた。
だらしなくずり下ろされたハイソックスをもてあそぶ指先が、
ひどく覚束なく、悩ましい。
カメラは少年の部屋から出て行って、男の背中を追いかける。
男がめざしたのは、すぐ隣の似たような部屋。
ノックもなしに開かれたドア越しに、制服姿の少女がひとり。
黒髪もつややかなおさげを肩先に揺らしながら、独り勉強に熱中している。
白のラインを三本、整然と流したセーラー服の襟首ごしに。
大人びた低い声が、振り向きもせずに洩れてきた。
「早く済まして。勉強中だから」
抑揚ぬきの棒読みだった。
白髪頭は少女の足許を求めて、勉強机のなかにもぐり込んでゆく。

濃紺のプリーツスカートの丈は長めだった。
さっきよりは視界のとれない画面のなか。
少女の履いている黒のストッキングが薄っすらとふくらはぎを染めているのが、
かろうじて見て取れた。
臆面もなく這いついた唇に。少女はちょっと、横顔をゆがめたけれど。
相変わらず無心に、ノートにペンを走らせている。
ぬるり・・・ぬるり・・・

黒ストッキングの脚に淫靡に這い回る唇と。
表情を消して、勉強机に向かう横顔と。
交互に映し出されている映像に。
「たまらないなあ・・・」
男の観客は、またひとりごちている。

きゅうっ。
そんな音が洩れるほど。
男の吸いつきは、性急だった。
きゅうっ、きゅうっ、きゅうっ・・・
異様に耳障りな音を洩らしながら、少女の生き血が吸い取られてゆく。
カメラはそのあいだ、微動だにせずに。
娘の足許に加えられる凌辱を、女らしい几帳面なカメラワークで映し出してゆく。

「お邪魔したね」
顔色のわるさを気遣う訪客に、あいさつひとつ返さずに。
少女はセーラー服の襟首を傾けながら。
それでも、初めから何事も起きなかったように、無言のまま。
相変わらずノートにペンを走らせている。

カメラは低いテーブルのうえ、置きっぱなしになっているらしい。
「あっ、お許しください・・・」
ストッキングを履き替えた女は、薄墨色に染めた下肢をキュッと引きつらせて。
背後から抱き寄せてくる男の思うままになるまいとして。
ちょっとのあいだ、畳の上で足を踏ん張ったけれど。
長いマントに巻かれるようになって。
見る見る足許を、よろけさせてゆく。
倒れた女に覆いかぶさるとき。
マントの裏地の紅さが、ちらりと映った。

性急に吸いつけられる唇の下。
女もののストッキングはよだれをあやし、ねじれ、裂け目を滲ませて。
やがてみるかげもなく、ちりちりに破れ堕ちてゆく・・・

「いい眺めだったよ。ありがとう」
男の観客は感謝を述べ、妻らしい女が表情を消して持ってきたお盆から、ティーカップを受け取った。
「きみもやりたまえ」
観客に促されるまま、カップを受け取ったビデオの主は、ようやく始めて口を開いた。
―――わたしも初めてこれを見せられたとき、おなじように感謝したんだよ。
「ふぅん。そうなのか。わかるような気もするね」
男の観客はカチャカチャと無機質な音を立てて、スプーンをかきまわす。
「お嬢さん、無事なお体なのかい?」
ふと尋ねた口調に、微妙な語尾の震えがあった。
―――だいじょうぶ。娘はまだ処女。ただしその母親のほうは・・・
声の主は一瞬、遠い目になったらしい。
真正面から見つめる女は、目を見張って。
自分がその屈辱を受けたかのように、唇を噛んだ。
―――仕方ないのですよ。
まわりっぱなしになった画面のなか、半裸に向かれた母親が、さっきまでのつつしみをかなぐり捨てて、メスにかえってよがり狂っている。
妻の痴態を横目に、ビデオの主はあくまで抑揚を抑えた声だった。
―――男を知っている身体は、娼婦に堕とされてしまうのがルールなのです。
彼らにも、性欲がありますからね・・・
自分の妻を犯されながら、かばうような口調だった。
男はそうやって、表情を秘めたまま。
吸血鬼の劣情に妻の肉体を提供しつづけているのだろうか。
―――乙女は純潔のまま、処女の生き血を捧げつづけるのです。べつの相手が現れるまで。
「べつの、あいて・・・?」
童女のようにたどたどしい、女の声に重ね合わせるように。
―――そう。べつのあいて。たとえばわたしの息子の彼女、とか。
「息子さんの恋人まで??」
あなたは犠牲にしたのですか?
もの問いたげなまなざしに、そうとんがることはないのですよ、と、男はあくまでも穏やかな声色を崩さない。

お宅の息子さんが、うちの娘を見初めてくだすって。近々結納のはこびと聞きました。
おめでとうございます。わたしはすでにこの世のものではなくなっているので、出席できませんが。
娘の晴れ姿を、どこかから見守るつもりでおります。
息子はたぶん、嬉々として。
自分の血を供したように、恋人のことも襲わせてしまうでしょう。
洗脳された家族にとって、恋人がその一員にくわわるには。
そうすることが、最良の通過儀礼なのですから。
ええもちろん。
あの男は、永遠の若さを獲るために。
乙女ふたりを、いましばらくは。生娘のまま、とめおくことでしょう。
けれども、うちの息子の恋人も。
お宅の息子さんの未来の花嫁も。
いずれは・・・純潔をかれのために差し出すはず。
うちの息子と、おなじように。
あなたがたの息子さんも、ためらいなくその道を選ぶでしょう。
どうして・・・?ですって?
薄々、お察しになられてはおりませんか?
吸血鬼は、いちど迎え入れられた家庭には、いつなんどきでも、お邪魔することが出来るのですよ。
わたしも、真っ先に血を抜かれた身体。
恋人のたっての願いを、心優しい息子さんは、聞き入れてくださいました。
お宅のご家庭も、うちとおなじふうになるのですよ。
魔性の習慣に染められて。
そう、わたしの手で。
いま、この場で・・・

戻れぬお散歩 2

2008年06月23日(Mon) 22:40:36

どす黒い劣情を、ぶつけるようにして。
ママのうなじを食い破ったボクは。
ごくごくごくごくと、おいしそうに喉を鳴らして。
しっとりと生気うるおう素肌から、生き血を吸い取っていった。
ママはそんな浅ましいやり口のホクを、かるくとがめただけで。
力づくで抱きすくめて血を啜るボクの頭を。
終始、優しく撫でつづけていた。

さあ、これからどこに連れて行ってくれるの?
掛け布団を取り去ったママは、てっきりネグリジェ姿だとばかり思っていたのに。
真っ白なスーツに身を固めていて、ボクをびっくりさせた。
足許を彩る薄々なストッキングは。
透きとおった光沢を足許にきらめかせていて。
流した栗色の髪が、麗しいという言葉そのものに、肩に波打っていて。
貴婦人という表現が服を着て歩いているような優雅な足取りを、
あの呪われた邸へと向けてくれた。

ボクたちを迎え入れた吸血鬼のおじさんは、舌なめずりせんばかりにしていて。
さあ・・・ゆるりとしていきなされ。
なんて、言っちゃって。
いかにももの欲しげな形相をして、来たばかりのママを、引き留めにかかっている。
ううぅ・・・。
あの透ける足首を、モノにされちゃうなんて。
ひきつれひとつない真新しいストッキングを、パリパリに噛み破られちゃうなんて。
悔しいな。もったいないな・・・
言いたげなボクを見透かすようにして。
これ見よがしに、ママを抱きすくめていって。
あらわになったママの肩先にボクがつけた傷口に、ぬるりと唇を這わせていった。

ううっ・・・
噛まれた瞬間、さすがにママは頬を引きつらせたけれど。
そのまま気高く、飢えた牙を肌身の奥深く受け容れていって。
啜られるままに、熱い血潮を振舞ってゆく。
心の奥底の波だちを、みごとに抑えて。
少なくともボクの目には、いつものようにもの静かに。

ちゅうちゅう。。。
きゅうきゅう・。。
ママの血液が、刻一刻と体内から喪われてゆく静かな物音に、おののきながら。
それでもゾクゾクとした昂ぶりを、抑えきれないで。
ズボンのうえからあてがった掌は。揉みしごいたものからほとび出た乳液で、
ぬるぬるにまみれていった。

ママはさいごまで、気高く振舞って。
劣情あらわに襲い掛かってくる吸血鬼にもわけ隔てない礼節をみせて。
それでも足許を染めるままの礼装は。
踏みにじられるように、くしゃくしゃに辱められてゆくのだった。
ボクの脚の周りで、幾度もくり返されたリハーサル。
それが今、目のまえで成就を遂げて。
ご褒美に、これから毎晩見せてやろう。
ママの生命までは奪わないであげるから。
こっそり囁かれた毒液に、ボクはにっこりと頷いていた。

さすがはお母さんだ。
おいしい生き血をしていなさるね。
露骨なほめ言葉に、ママは薄っすらと微笑んで。
どうかお手柔らかに、願いますね。
あの子の生き血は、すっかり召し上がってしまったのですね。
いけないひと。
うちの人が、悲しみますわ・・・
けれども、それほど気に入っていただけたのならば。
差し上げたかいも、あったというもの。
薄い靴下、お好きなのですね・・・
ママはうつろな声色で、そう呟くと。
透きとおったストッキングの脚を、そろそろと差し伸べていった。
赤黒いじゅうたんの上、白い脚がヘビのように、のたうちながら。
淡いナイロンの包装を、ゆるゆると噛み剥がれてゆく。
ボクのはいてやった薄い靴下よりも、ずっとなよやかで。
舌触りも、すべっこくって。
なかに包まれたゆったりとしたふくらはぎも、噛みごたえがよくって。
男は夢中になりながら、ママをモノにしていってしまう。

お父様には、内緒ですよ。
お邸の門を出ると。きりっとした主婦の顔に戻ったママは。
とうとう毛すじほども、いやらしいそぶりを見せずじまいだったけど。
ふくよかに笑んだ頬を照らす月明かりは、いつもよりグッと、濃い色に映っていた。


あとがき
吸血鬼のおじさんと仲良くなった少年が、みずからの血を吸い尽くさせて。
ストッキングを履いたママの脚まで狙わせてしまう。
何回描いても、愉しいぷろっとです。^^

禁じられた裏山

2008年06月23日(Mon) 21:34:36

近づくんじゃないぞ。あそこは魔物の棲む処なのだから・・・
言い伝えられている小高い丘は。
少年の住む家の、すぐ裏側にそびえていて。
小ぶりな姿に似合わない、鬱蒼とした木立ちに埋もれるように、横たわって。
街なかにあるとは思えない静寂に、いつも不機嫌そうに包まれていた。
きょうは、ご機嫌だな。
齢よりも老いてみえる父親は。
日焼けをした赤ら顔をしわくちゃにして、眼を細めて裏山の頂を見つめている。
え・・・?いつもと変わらないじゃないか。
口を尖らせる息子には、眼もくれず。
お前にはまだ、わかるまい。あのお山の気持ちなぞ。
吐き捨てるような声色に、少年はむき出しの反撥をあわらにして。
ぷっとふくれた頬に、精いっぱいの拗ねを滲ませていた。

夕暮れ刻―――。
まるで紅鮭のように横たわる、色づいたうろこ雲の下。
裏山はいちめん、もえたつ紅葉のように、染まっている。
もちろん今は、夏。
紅い光源は、むしろ茂った木立ちの根元から発しているようにさえみえた。
おお。来なすったな。
しわがれた声で父親が迎え入れたのは。
真っ白な夏もののセーラー服姿の少女。
三つ編みのおさげ髪を、心もちほつれさせて。
だれとも目を合わせたくない―――そう言いたげに、かたくなに顔を伏せていた。
近所に住むその少女とは、いつも顔を合わせながら、
目礼ひとつ投げるでもなく、まして言葉を交わすことなどまったくなかったけれど。
いまどき珍しいほど楚々と漂わせる大人びた風情が、
どこか懐かしく、少年の目の奥を染めていた。
黒のストッキングを履いた足許に、目をやると。
父親はすべてを察したように、節くれだった指で奥の間を指差して。
しばらく、休んで行きなさるがよい。
珍しく、やさしい声色をくぐもらせていた。

あくる日―――。
決して、行くんじゃねぇぞ。
父親はいつになく厳しい目つきで、念を押すようにして。
出かける息子を玄関まで送り出していった。
わかってるって。
少年がうるさそうに手を振ると。
彼はなにもいわないで、息子の後姿を見送った。
門を出ると、いつも足を向ける学校とは正反対に向きを変えて、
まっすぐに、歩みを進めていった。
ついぞ踏み入れたことのない、禁じられた裏山への細道だった。

ふう・・・
苔むした石段は、古びてふぞろいにがん首そろえていて。
来るものを拒むように、誘うように、ひっそりとうずくまっている。
灼けるほどの陽射しは、朝から鋭利な輝きをもって、
見あげてくるものに容赦なく、乾いた熱気を浴びせかけてくる。
ちょっとだけ逡巡した足首が、おそるおそる、そしてはっきりと前に伸ばされて、
一段一段、踏みしめるように。
あと戻りできない探訪に、分け入ってゆく。
濃紺の半ズボンの下には、ひざ小僧まである黒の長靴下。
てかてかと光る薄手のナイロンは、脛を蒼白く透きとおらせている。

石段はいくらもいかないうちに尽きていて。
ななめに折れ曲がった坂道の向こう、古びたお堂がたたずんでいた。
ひざまで埋まるほどの草むらのなか、足を止めた少年は。
ふとそのままの姿勢で固まって。
一瞬足許を見おろしかけて。
すぐにまた、キッと正面に向き直っている。
足首に添えられた人の指のようなものは。
その先端を、人間ばなれするほど、尖らせている。

分かっていて、参ったのだな?
ぎこちない頷きに、足許にうずくまる影は得心がいったようだった。
噛んでも、よいのだな?
好きにしろよ・・・
精いっぱいの強がりに口を尖らせて。
薄い靴下に染めたふくらはぎを、ピンと伸ばしている。

ちゅちゅ・・・っ。じゅるうっ。
露骨なほど生々しい音とともに。
血潮を抜かれるたび、傷口にしみ込む妖しい疼き。
きのうの夕方、あの少女も。
みずからの足許を染めていた黒のストッキングを、チリチリに噛み破られながら。
おなじ陶酔に、身を浸したのだろうか。

あの娘を、連れて来い。
おそろいで、黒の長い靴下を履いて。
わしのまえに、現れるがよい。
順ぐりに・・・ほのかな裂け目を、滲ませてくれようほどに・・・
くくくくくっ。
さいごの含み笑いは、もう言葉にはなりきらなかった。

いいのか?
決めたんだ。
息子の声のいさぎよさに、父親は苦笑いを交えただけだった。
寄り添うように肩を並べる若い男女を、いとおしげに見比べると。
好きにするがよい。
ぶっきら棒に背を向けた父親に、あくまで彼らしい祝福を感じ取って。
少年はもういちど、恋人の手を握り締める。
じゃあ・・・お散歩に行ってくるよ。
わざとらしい息子の声に、父親はもう応えようとしなかった。

あたりは涼風たち込める、もう落葉の季節。
かさかさに乾いた枯葉を踏みしめながら。
妖しさを滲ませる互いの足音だけを耳にして。
黒の透ける靴下に足許を染めたひと組の男女は。
枯れ草の彼方へと吸い込まれていった。

紳士ものの透ける靴下

2008年06月23日(Mon) 07:37:30

三つほど、おなじようなお話がつづきました。
紳士用のナイロンハイソックスに脛を透けさせた少年が真夜中にさまよって。
自分の身近な女性たちを吸血鬼の牙に近づけてしまう。
気に入りのプロットなんですな。(^^ゞ
登場するナイロンハイソックスは、陽気がよくなったいまごろですと、ごくまれに見かけることがあります。
婦人もののストッキングよりも、なぜか毒々しいほどの光沢をもっています。
あのつややかさは、何に由来するものでしょうか・・・

真夜中の教室で教わること

2008年06月23日(Mon) 07:33:58

彼と約束をしたのは、学校の裏門。
待ち合わせた彼女を連れて、門をくぐるとき。
裏口入学だね・・・って、彼女はくすっと笑っていた。
彼女はいつもとまったく変わりなく、
真夜中だというのに、学校の制服をそつなく着こなしている。
濃紺のプリーツスカートをひるがえして、
さ、急ご。待たせちゃうよ、って。
その微笑みが穢れをしらずにいられるのは、今夜かぎりのことなのに。

濃紺のプリーツスカートの下、彼女が身に着けているのは、黒のストッキング。
おなじ色の半ズボンの下、ボクが履いているのは、父さんからもらった薄地のビジネスソックス。
半ズボンなんて、この齢じゃ恥ずかしいよね?
念を押すように彼女に訊いたのは、今夜で何度めのことだろう?
そのたびきまって、彼女はおうむ返しに。
薄いハイソックス、オトナっぽいね。わたしとおそろい?
って、いいながら。
さりげなく黒のストッキングを履いた自分の脚を、ふざけたように、すり合わせてくる。
透けるほど薄いナイロン越し。触れ合わせたふくらはぎは。
昂ぶる血潮を疼かせて、生々しすぎる息遣いを伝え合った。

履いて御覧。
父さんに促されて引っ張り上げたとき。
ひざ丈までぐーんと伸びて、ちょっとびっくりしたんだっけ。
母さんは公認女装だねって、笑いながら。
どうせ半ズボンを履いて行くのなら、女の子みたいにハイソックスを履いていきなさい。
それなら、ストッキングみたいに見えるわよ、って、面白がっていた。
さいしょにボクがお手本を見せて、彼女の前で噛まれていって。
薄いハイソックスを、こともなげに噛み破らせちゃう。
そしたら彼女もリラックスして、黒のストッキングの足首を、差し伸べて。
怖がりもせず、彼に吸わせていくだろうって。
レディをエスコートするのよ。さいごまで、責任もってね。
ボクを送り出すとき囁いた母さんの顔は、
一瞬、厳しい色を滲ませた。

さいしょに教室に招び入れられたのは、ボクひとり。
彼はいつものように、ボクの脚をさらけ出させると。
濃紺のナイロンに包まれたふくらはぎを、舌でなぞるように、いたぶっていって。
毒々しい光沢を塗りつぶすように、唾液でぬらぬらにしてしまうと。
さあ、仰向けになって。
冷然と言い放ち、ふくらはぎにがぶりと牙を突き立ててくる。
ちゅうっ・・・
暖かい血を抜かれる感触が、うっとりするだなんて。
昼間、ここに集うクラスメイトに話したら、ばかにされることはうけあいだけど。
けれどもほんとうに、キモチイイ・・・
白目を剥いてへろへろになったボクは、廊下にごろりと転がされて。
あわてて立ち上がったときには、教室のドアは彼女を飲み込んで、拒絶するようにぴしゃりと閉ざされる。
鍵がかかっていないから、中に入ることはできるのに。
ボクはあえてそうしないで。
廊下の灯に照らされた足許を見つめている。
投げ出すようにしたつま先は、
ジューシィに輝くボクの血潮を映すように、
いつになく艶かしい赤紫に染まっている。
そう・・・ドアが閉められてしまっても。
教室の広い窓からは、いちぶしじゅうが透けてみえる・・・

班ごとに寄せ合わされた机と机のあいだ。
少しずつずらされて作られた、ささやかな空間に、
彼女は独り、自分の椅子に腰掛けて。
黒のストッキングで清楚に装った足許に。
かがみ込んできた男が加える不名誉を。
だまって唇噛んで、見つめつづけている、

さいしょの夜は、学校で過ごしたい。
そう願った彼女。
さいごまで席についたままだったら、きみたちの勝ち。
けれども私のまえでだらしなくなってしまったら、
今夜こそ、お前の彼女を私の花嫁に選んでしまおう。
そんあ賭けのような約束に。
ふたり、熱した頬を並べて、無言で頷いていた。
負けることが決まっている賭けは、筋書き通りの展開。
しばらくはじいっと身をすくめて、吸血に耐えていた彼女も。
さすがに刻を重ねると、失血にあえぎはじめて。
とうとうひざをゆるめて、顔を俯けて。肩を落として。
じょじょに姿勢を崩して、ずるずると椅子からすべり落ちていった。

ぎしぎし・・・
古びた床を、きしませながら。
ストッキングをずり落とした太ももに、
純潔だった血潮が、花を散らせた。

待った?
教室から出てきた彼女は、ことさらいつもどおりをとりつくろって。
ううん。行こうか。
はずんだ息を無理矢理抑えつけたボクも、ことさらいつもどおりに頷き返している。
けれども。
ほつれかけたおさげ髪。
すその乱れたスカート。
ソックスとおなじ丈になるまでずり落ちた、黒のストッキング。
なにもかもが、ふたりの意図を裏切っていた。

学校の裏門を、通り抜けるとき。
ボクはいきなり、彼女の両肩に手を置いて。
かかえた腕を思い切り折るようにして。
彼女との距離を、いっきょに縮めた。
夏用のセーラー服の薄い生地ごしに感じたきみの肌は、熱くほてっていて。
さっきの惨劇の余韻を、じゅうぶんすぎるほど残していたけれど。
すがりついてくる切なさいとしさを、伝えあいながら。
ボクたちははじめての、くちづけを重ねる―――

そういえば彼ったら、キスしなかったよね。
口ほどにもなく、あわてん坊さんだったんだね。
ほつれた三つ編みをほどいて、肩までかかる髪をもてあそびながら。
彼女は肩を揺すって笑いこける。
そこまで笑うことはないのに―――
でもボクもいつか、無理に声を合わせていった。
ほんとうに、あわてん坊さんだね。
こんど逢ったら、キスも許してあげようね。
うん・・・
彼女は手にした鞄を見つめるように、うつむいて。
汚れちゃったけど。お嫁さんにしてくれる?
瞳の輝きは、澄みすぎた月影だけのせいだろうか?

真夜中にデート

2008年06月23日(Mon) 07:05:34

真夜中に彼女に電話をかけて。
招び出してしまった公園は。
そこかしこに、淡いグリーンの照明が灯っていて、
昼間とはちがう明るさで、じゅうたんのような芝生を浮き彫りにしている。

待ったぁ?
のどかでおおらかな声をした彼女は。
リクエストどおりの、セーラー服姿。
夏ものの真っ白な制服は。
夜の透き通った空気に映えて、昼間以上に清楚に映る。
真っ白な胸元に咲いた深紅のリボンは、灯りを照り返した輝きを滲ませていて。
濃紺色の襟首には、白のラインが三本、鮮やかに走っていた。

行こうか。
こくりと頷いた彼女は、三つ編みのおさげを揺らして、大またでボクのほうに歩いてきて。
昼間とは打って変わって、大胆に。
ボクのわきの下に、むき出しの腕を回してきた。
ヘビのようにするりと忍び入れられてきた彼女の腕は。
Tシャツ越しに、くすぐったい気配をすりつけてきて。
やはり紺の地に白のラインを巻いた半そでが、ボクの二の腕にすりつくのを。
ちょっと決まり悪げに、視線をそらす。

だって、デートだもん。
かしげた小首を、甘えるように。
ボクの肩先にもたれかけてきたときに。
夜風に薫る黒髪が、汗ばんだなまめかしさをよぎらせてくる。
行こうね。
肩の重みを心地よく受け止めながら。
行こうね。
こんどはボクが、言う番だった。

白のラインも鮮やかな肩先に、三つ編みのおさげを揺らしながら。
ボーイッシュな大またで、制服のスカートをさばいてゆく。
ゆさゆさと揺れる濃紺のプリーツスカートの下は、黒のストッキング。
薄地のナイロン越し、白く透けた向こうずねを。
淡いグリーンの街灯を照り返す、なまめかしい光沢が染める妖しさに。
まぶしいね。
思わずもらしてしまった言葉に。
いつも、学校に履いていくやつだよ?
むしろけげんそうに、小首をかしげてきた。

終電車の出てしまった駅舎は、まだ煌々とした照明に照らし出されている。
人っこひとりいない無人駅は。
防犯用に―――と、夜どおし周囲を照らしている。
がらんどうの改札口を、彼女の手を引いて通り抜けると。
銀色をした照明に照らし出された木製のベンチにも、
年輪が浮き彫りになったこげ茶の柱にも。
朝、いっしょに登校するときとはパラレルな妖しさが、すみずみまで行き渡っていた。。

到着・・・かね?
駅舎のかげ、フフッ・・・と滲まされた笑みに、
ボクはびくり、と、振り返って。
彼女も礼儀正しく、「こんばんわ」とおさげ髪を揺らしている。
今宵もおふたりの、イキの良い血をいただけるようだね?
影の主は、人の生き血で世を永らえる、異形のひとー――。
ふたりながら魅入られてしまった晩。
ふたりの親たちは、しきたりなんだよとむしろ祝福してくれた。

あの夜のことが、影絵のようにリプレイされる。
制服のスカートをひるがえして、夜の公園を逃げ惑う彼女。
愉しい鬼ごっこは、万事彼の計算どおりで、
振り乱した三つ編みは、古い樹を背中にして動きをとめた。
ボクはいの一番に血を抜かれて、ぬかるみのなかで腹ばいになってしまって。
手の届きそうで届かない近さで、ボクの血をあやした牙が、彼女に向けられていって。
がぶり!噛まれた瞬間、彼女はひどく痛そうに、顔をしかめていたっけ。
落とした鞄からばらばらと零れ落ちた教科書や学用品―――。
転がった万年筆は、金の縁取りを静かに照り返していて、
持ち主の受難のいちぶしじゅうを、見届けていた。
体じゅう、からっぽになるまで血を抜かれたボクは。
からになったワインボトルのように、転がされたまま。
ジュッ!と散らされたうら若い血潮が、襟首の白のラインを染めるのを。
なぜかドキドキしながら、見守っていた。

スカートのプリーツをくずすように。
その場に尻もちをついてしまった彼女の足許に。
男はしつように、唇を吸いつけていって。
黒のストッキングが、お似合いだね。ひそかに狙っていたのだよ―――
ボクに告げるともなく、彼女に囁くともなく、そんな不埒なことを呟くと。
圧しつけた唇の下、素肌の滲んだ薄いナイロンを、ぱりぱりと音たてて、噛み破っていった。

村のしきたりなんだよ。いい人に出遭えたね。
父は優しい笑みを滲ませながら、村のしきたりとやらを語ってくれた。
ふたりでいるところを、襲われたら。
さいごまで、彼女をかばいつづけて。
時には彼女を、真夜中の散歩に、誘い出して。
さいしょにきみが、お手本をみせて。
いさぎよく振舞うのだよ。
夜の客人は、すこしは怖ろしいけれど。
けっしてきみを、粗略にはあつかわないはずだから。

小学校のころの半ズボンを取り出して。
すこし小さくなったウェストにがまんしながら、ぴったりと履いて。
靴下はどれにしようか・・・?って、迷っていたら。
いつの間にか傍らにひかえていた母が。
長いのがいいね。
素肌を吸うのは、礼儀正しいあのかたは遠慮なさるだろうから―――。
美代姉ちゃんのストッキングでも、履いていく?
イタズラっぽく戯れる母に、真顔になった父が。
さいしょからそれは、きついんじゃないのか?
そういって手渡してくれた、勤めのときのビジネスソックスは。
ひざ下まで伸びる、ほどよい丈で。
女もののストッキングみたいに、薄くって。
ツヤツヤとしたなめらかな光沢が、くすぐったいほど毒々しかった。

お手本、見せてやるよ。
用意していった言葉に、彼女は無邪気に笑いをはじけさせて。
やぁねえ・・・って、口を尖らせる。
くらくらになるまで吸われないと、ボクがかっこつかないじゃないか・・・
本音を軽く、しまい込んで。
ボクはいさぎよく、ストッキングみたいに薄い濃紺のハイソックスを履いた革靴の脚を。
彼のほうへと、差し伸べてゆく。

引力に・・・吸い込まれてしまうように。
頭がスッとなったボクは、いつの間にか尻もちをついていて。
泥まみれになった半ズボンを気にしながら。
足許からチュウチュウと洩れてくる吸血の音に、夢中になって聞き入っていた。
ひざ下を引き締めていた束縛感が、じょじょにほぐれていって。
こわばったように脛に貼りついていた薄いソックスは、みるかげもなくなるほど、ちりちりに剥かれていった。
白い脛をあらわにして、ずり降ろされてしまったとき。
噛み破られた薄手のナイロンとおなじくらい、ボクもだらしなくへたりこんでしまっていた。

つぎは、あんたの番だね・・・?
男の眼が、獣のような焔を帯びて。
彼女の履いている黒のストッキングのつま先に向けられる。
黒の革製のストラップシューズのなか、お行儀よくおさまった足首は。
ノーブルな淡いナイロンに、ぴったりとくるまれていて。
ボクの眼にも、いともおいしそうに輝いている。
ぬるりと染めた淡い薄墨色のナイロンを密着させたまま。
彼女は脚を、差し伸べてゆく。

今夜の彼女は、きりっと背すじを伸ばして。
凛と装ったセーラー服を、夜風になびかせて。
街灯にあざやかに浮かび上がらせた清楚な白い頬を、ミステリアスに微笑ませて。
己の血をめあてに待ち受けていた影を相手に、もの怖じひとつしないで、対峙した。
シャワー浴びてきちゃった。
行き詰った雰囲気を、ぶち壊すように。
明るい声を、はじけさせると。
ひと言―――。
噛んで。
息を詰めた声で、囁くと。
いさぎよく、黒のストッキングの脚を見せびらかしてゆく。

ちゅうちゅう・・・
ちゅうちゅう・・・
破れ堕ちた黒のストッキングを、ひざ下までずり下ろされて。
脚の線から剥がれて浮きあがった礼装の抜け殻を、ひらひらとまつわりつかせながら。
きみも、制服のプリーツスカートのお尻を、ボクとおなじように、泥まみれにさせてしまっている。
泥んこ遊びだなんて・・・この齢にやるものじゃないよね。
頬っぺたにまで、泥撥ねかして。
きみは薄っすらと、白い歯を滲ませる。
歯並びのよい白い前歯が、なぜかひどくなまなましいもののように思えて、
彼女の顔から目をそらして、
それでも堕とされた足許から、視線を逃すことはできなかった。

もう。。。あんまり見ないでよ。
テレて、頭を掻きながら。
彼女はなおも、ストッキングの脚をもてなしつづけようとする。
凌辱され抜いた足首やふくらはぎから、注意をそらすようにして。
ボクのまえ、臆面もなく、制服のスカートをはぐりあげたのだ。
重たいプリーツスカートが視線をさえぎっていた太ももは。
まだ堕とされていないナイロンにくるまれていて。
それでもふたすじ、みすじ、奥まで裂け目の広がった伝線が、
太ももの奥にまで、忍び込んでいた。
そこまでは・・・あぁ、そこだけは・・・
ボクの想像を、容易に見破った吸血鬼は。
うふふふふっ。
くすぐったそうに、にんまりと笑んでいて。
いつかはきっと、そうしようね。
けれどもいまは、彼女の身体から処女の生き血を獲るほうが先―――
そう、一滴でも多く、むしり取ってやる。

黒のナイロンストッキングのうえから、太もものうえを戯れる男の唇に、
ボクは発情したように、眼をぎらつかせていて。
彼女の掌が、たしなめるようにボクの拳を覆ったのにも、気がつかないほどだった。
どうかね?きみも血を吸い取られてゆくような気分だろう?
男の言い草に、知らず知らず頷いていて、
こんどはボクの番―――。
ふくらはぎをゆったりと流れる濃紺の光沢を、いまいちど生々しいいたぶりにゆだねていった。

戻れぬお散歩

2008年06月23日(Mon) 06:04:04

眠くない。眠れない。
ベッドのなかからはね起きたボクは。
いつものハーフパンツに、黒の長靴下を履いて。
今夜もこっそりと、真夜中のお散歩に出かける。
足音を忍ばせた廊下から、ママの寝室を窺うと。
安らかな寝息が聞こえてくる。
ボクはちょっとだけ立ち止まって、心のなかでママにおやすみを言って。
夕方、ぴかぴかに磨いた革靴を履いて、外に出た。
脚に通した長靴下は、ひざ小僧の下までぐーんと伸びて。
ストッキングみたいに薄い生地は、ひっそりとした夜の照明に染められて。
恥ずかしいくらい、てかっている。

この季節でも、真夜中になると。
表通りは、肩を抱きたくなるくらいに肌寒い。
高原の夜風には毒が入っているのよと、そういえばママが教えてくれたっけ。
夜風が冷たいのも、ほてらせた頬にはほどよいことも。
アスファルトに転がった葉っぱや木の枝が、けっこう耳ざわりなことも。
ナイショで識ってしまったのは。
つい、このあいだのことだった。

ひたひたと、足音を忍ばせて。
通り過ぎる街角は、いつもとちがった景色。
たどり着いた学校の門の前、
ボクは何気なく、もういちど来た道を振り返って。
それから木立ちの茂る校庭に、足を踏み入れた。

気がつくと。
蚊がぶんぶんと、うなっている。
うるさそうに腕で払いのけて、がさがさと下草を足で鳴らして。
かゆい・・・
思わず立ち止まって、ひざ小僧の下を引っ掻いていた。
ひざ下をぴっちり引き締めるゴムの、ちょうど真上のあたりだった。
コアなところから、吸うんだな。
ボクの血を嗅ぎつけるくらいだから。
蚊のほうも、もしかしたらコアなのかもしれない。
ゴムの真下ばかりではなく。
ふくらはぎや向う脛のあちこちまで、
痒さが血潮を誘い込むように疼かせている。

あ・・・
ただならぬ気配に、顔見あげると。
男はいつものように、黒いマントを羽織ったまま。
凝然と立ち尽くして、ボクの首筋を見つめている。
エモノを狙う、けだものの目―――
魅入られてしまったボクは、彼とのつきあいを、ママにもナイショにしてしまっている。

お邸のなかは、静かで、がらんとしていて。
煌々と照らすシャンデリアだけが、
そらぞらしいほど澄んだ灯りを滲ませている。
ボクはおじさんに後ろから抱きすくめられたまま。
うなじのつけ根をえぐられた痕が疼くのを。
静かに指で、なぞっている。

放心状態になったのを、見定めて。
長靴下のボクの足許に、かがみ込んできて。
なめらかな肌触りのする薄いナイロンごし、
ふうっ・・・と、化け猫みたいに生温かい息を、吹きかけてくる。
いいんだぜ、噛んでも。
ボクは精いっぱいの強がりを言って。
おじさんはそれに応えて、フフッと笑う。
きみ、忘れてやいないかい―――?
え・・・?
十三番めの夜なんだぜ?今夜・・・
あ・・・

十三回、おじさんと逢うと。
もう、元の世界には戻れない。
初めて逢ったとき、おじさんはたしかにそう囁いていた。
けれども夢中になってしまっていたボクは。
うなじを抱かれるがまま、引き寄せられていって。
引力でりんごが落ちるのとおなじくらい自然ななり行きで。
ボクの体内をめぐる暖かい血液を、
吸いつけられた飢えた唇に、まっすぐに応えるようにして。
捧げ抜いてしまっていた。

いい子だね。すぐに楽にしてあげるからね。
ゆっくりと抜き取られてゆく、血のぬくもりも。
頬蒼ざめさせたボクには、ちっとも惜しくなんかない。
ごくりごくりと喉を鳴らして、愉しそうにボクの血を吸い取っていきながら。
頭を撫でてあやしてくれるのが、むしょうに心地よい。
長靴下のうえ、舐めるようにくまなくあてがわれた唇は。
淡くてかった薄手のナイロンをとろかすようにして、
見る影もなくちりちりに、剥ぎ堕としていったけれど。
ボクはくすぐったそうに、ヘラヘラと笑いながら。
差し出した脚を、おじさんのなぶるがままにゆだねきってしまっている。

明け方までには、すべての血を抜いてあげる。
それからきみは、何事もなかったような顔をして、家にお帰り。
ビーカーのなかに、夕方きみとおなじ年ごろの若い女から抜いた血がある。
それを飲んで、渇きをしずめて。
一日何気なく過ごしたら。
ママが眠ったのを見計らって、枕元にお立ち。
あとはもう、本能のおもむくがまま―――。
思う存分、吸い取ったら。
その夜のうちに、ここへ連れて来るんだ。
親切なきみのことだから、ママの生き血を独り占めにしたりはしないだろうからね。
ママの穿いてくるストッキングは、きみの長靴下よりも薄くって、
セクシィな彩りに、脛を透きとおらせているんだろうね。
そうしてうら若い肌に秘めたバラ色の血潮は、
きみのと味がよく似ていて、とてもおいしくいただけるんだろうね。

ブログ拍手♪

2008年06月22日(Sun) 10:34:56

いやはや。
おとといは、拍手を四つもい頂戴しましたよ。^^
4日に史上初めて四ついただきましたってご報告したばかりなのですが。
コメを書き込むのが抵抗あっても、こんなふうにレスポンスがあると、やっぱり張り切りますよね。
今回拍手を頂戴したのは↓の四つの記事です。^^

~このサイトのご紹介~ 魔性の淫楽への招待状
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-5.html
なぜか断トツの人気を誇る?18拍手を獲得♪
うちのサイトのあらましは、ここの説明でいちおう網羅しています。

結婚指輪のコレクション
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1439.html
無機質に輝きながら転がる結婚指輪たち。
そのひとつひとつは、道ならぬ情事の証し・・・
夫たちの手を通して持ち主に返されると、異形の日常が始まります。

制服の下は、黒タイツ
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1439.html
召された少女たちは、おそろいの黒タイツの脚を捧げて・・・
柏木ワールドでは珍しいタイツものです。^^

触手に支配された街
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1447.html
このごろ少し、怪人ものにはまりました。(^^ゞ
吸血怪人に若い女の血をあてがうため、妻と娘を犠牲にする父親。
触手に巻かれてゆく女たちは、こんどは息子の手でおなじ儀式を。
母と姉とを捧げることで、息子もまた怪人のしもべとなってゆく。

・・・こう描いてみると、歪んでいますね。どれもこれも・・・。A^^;

お見合い相手は、男の子

2008年06月22日(Sun) 08:47:03


朝早くから桃園邸からは、女のよがり声がする。
若夫婦でもないのに、仲のいいことだね。
隣家の老夫婦は、いつものことに顔しかめながら。
しかつめらしい齢かっこうに似合わないさばけた笑みを交し合う。
けれども舞台裏は、もっと異様な光景。
登校する息子を送り出した桃園夫人は、夫婦のベッドの上、エプロン一枚というキワどい姿で声あげてよがっているのだが。
当のご主人は、傍らで大の字に寝そべっていて。
バックを深々とえぐられちゃっている奥さんのようすに、目を細めて見入っている。
初老の侵入者は、銀髪振り乱して、奥さんのうえに乗っかって。
ベッドが底抜けするほどぎしぎしと、音をきしませながら。
ダンナの披露してくれたプレゼントを、むさぼり食っているのだった。

ご苦労さん。いい眺めだったよ。
冷やかす夫に、奥さんはぷっとふくれてみせる。
まだ、エプロンをつけたまま。
けれども、お前も愉しんだんだろう?って、図星を指されてしまうと、
小娘みたいに決まり悪そうにもじもじとして、素直にこくりと頷いてしまっているのだから。
きっと・・・よほど身体の相性が合ってしまっているのだろう。
じゃあ・・・と立ち去りかけた吸血鬼に、
「もう行っちゃうの?」
奥さんはたっぷりと、名残惜しげだったけれど。
「お見合いがあるのでね」
男はにべもなく言い捨てると、脱ぎ捨てられたスリップで、口許を濡らす血潮を拭い取った。
「ええー!?もうっ!」
駄々をこねはじめそうになった奥方を、たった一言で黙らせるのは、ダンナにもできない芸当だったが。
「お見合い相手は、イキのいい男の子だよ」
男がやっぱりぼそりというと、女は男の背中を軽く引っぱたいている。
叩きかたに毒がないのは、相手が女じゃなかったからだろう。
「息子さんの血、おいしいね。いい子に育ったものだ。またいただきにあがるよ」
吸血鬼はぼそりと告げると、帽子を取って立ち上がった。
玄関先まで送り出す亭主に、ぼそぼそと礼を言っているらしい。
小声でよく聞き取れないが、慇懃な語調でそれと知れた。

「お前の負担を減らしたいんだとさ」
ことさら冷えた声をつくった夫は、しどけないなりをした妻のことを見おろした。
けだるそうに身づくろいをする妻は、振り乱した髪を指でまさぐりながら。
破かれたストッキングをくずかごに放り込もうとして、だんなに横取りされている。
蒼ざめた頬から、彼女の失血がなみたいていのものでないことがわかるのだが。
それでいながらウキウキと若やいだ身のこなしは、腰の奥に注ぎ込まれた魔性の精液のなせるわざなのだろう。
度を過ぎると健康を害し、ときには生命にかかわるという、吸血プレイ。
妻も夫も、危険を秘めた遊戯にうつつを抜かし、年頃になった息子もいまでは母親の情事を覗き、代償として自らの血も母親の情夫に与えるようになっていた。
そんな家庭が、この街には。
人知れずなん軒も、立ち並んでいる。


「アッ!何するんだっ!?いけないッ!やだッ!」
勉強部屋から元気な声がはじけてくるのを、
両親は眼をそむけ合ったまま、息を詰めて聞き入っている。
ああ―――ッ!
ひと声叫ぶと、あとは静寂―――
そそくさと立ちかけた母親を、夫はだまって引きとめた。
ぐいと引かれて姿勢を崩したスカートのすそに、荒々しい手が入り込む。
「あッ!ちょっと・・・」
意味のある言葉は、そこまでだった。
肌色のパンストがびりびりと引き破かれ、
女は観念したように目を瞑り、尖った息遣いを甘く弛ませていった。

「旨かった。なかなかの味だな」
侵入者はバラ色に濡れた唇を、まだ小指でねぶりつづけている。
その手つきがひどくいやらしく、卑猥なものに親たちには映った。
どうやら、お気に召されたご様子ですな。
父親の太い首周りの一角には、ふたつ並んだ赤黒い痕。
かすかに散らされた血のりにも、注ぎ込まれた毒が織り交ぜられている。
開け放たれたふすまの向こう側。
この家の跡取り息子である少年は、せんべい布団のうえ、うつろな眼をして腹ばいになっている。
半ズボン姿は齢不相応だったけれど、
薄手の黒のハイソックスに包まれた脚線はしなやかなカーブを帯びていて、
下半身だけ見れば女の子の脚といっても差し支えないほどだった。
ただし・・・ストッキングのように薄い生地のハイソックスは伝線して、鮮やかな縦じまもようを描いている。

どうぞ、お紅茶入りました。
髪を結い直したお母さんは、ティーカップの音をカチャカチャと響かせながらお盆を持ってきて。
男2人の座るテーブルに順々にカップを置くと、
息子の寝転んでいる隣室にもお盆を持っていって、
母親らしい気遣いを込めた声色で、「飲める?」と枕元に置いてやっている。

「あす、息子さんとお見合いをさせていただく」
男の申し入れは、一方的なものだった。
受話器をおいた父親は、厳粛な顔をして、妻と息子をふり返って。
―――名誉なことに、あの方はわが家を選ばれた。しきたりどおり、振舞うように。
とだけ言うと、当日の服選びを妻に任せて、さっさと寝室に引き取っていった。
ことさら声を落ち着けた母親は、ごく事務的に、
箪笥のなかに、デニムの半ズボン、それから上は白のTシャツに・・・と、息子の着る服を指定していく。
「ちょっと怖いけど・・・危なくはないですからね。少しくらい抵抗してもいいから、さいごはさきさまのなさりたいようにお相手してあげてね」
ちょっと怖いけど・・・と呟く母親の横顔に、なまめいたものが一瞬よぎるのを。
もう年頃になっていた息子は、ありありと見取っていた。
戻ってきた父親は、手にぶら下げた紳士用のハイソックスを、息子に手渡してやる。
明日はこれを穿きなさい。
手渡された靴下が女の子の穿くストッキングみたいに薄いのを見て、少年はちょっと照れたような顔をした。

う、ふ、ふ、ふ、ふ・・・
寝そべる少年の下肢に、かがみ込んで。
男はなぞるように、少年のふくらはぎを撫でさする。
ゾクッ、としたらしい。
少年は親たちに分からないように、ちょっぴり肩を震わせた。
ずり落ちかけたハイソックスのゴムに手をかけると、
引き剥がすようにして、するり、するり・・・と、脚から抜き取っていった。
じかに外気にさらされた脚をすくめると。
少年はけだるそうに立ち上がって、こんどはソファに腰かけた母親の足許にかがみ込んでゆく。
緑のスカートのなか、おずおずと差し入れられる不慣れな手に、
母親は腰を軽く揺すって動きを合わせ、
脚に着けていた黒のパンストを、ひき下ろされるままに脱ぎ取らせていった。
父親はいちぶしじゅうを、見て見ぬふりをして、
新聞紙の向こう側で表情を隠していた。

緑のスカートの下、まばゆく白い脛からわざと目をそらして。
少年は母親の脚から抜き取ったストッキングをぶら下げて、まじまじと見入っている。
脚の形を残して膨らみを帯びたストッキングは、向こう側が透けるほど薄かった。
夕べ、なんども練習したらしい。
少年は覚束ない手つきのまま、ストッキングのつま先をたぐり寄せ、
おずおずと自分のつま先に合わせていって、ぐいと引き伸ばす。
一糸まとわぬ下半身を、そうして女の彩りに装ってしまうと。
もとどおり、デニムの半ズボンを身に着ける。
肩先や胸に血の撥ねたTシャツは、そのままだった。
「行ってくるね」
「ああ、気をつけて・・・」
新聞紙の向こうから、声がした。
内心照れくさいんだな・・・少年は子どもばなれした笑みを、ひっそりと浮かべた。
手にした携帯のディスプレイには、ねぎらいの言葉。
「おめでとう。よくがんばったね」
これからは、パパやママの、仲間なんだね。
秘密をともにして、愉悦に耽る仲間どうし―――
少年は首筋につけられた痕をさらりと撫でつけると。
下半身だけ女の子になった脚を、ことさら大またに踏み出して。
玄関を出て行こうとする主のあとに、つき従がっていった。


あとがき
ある限られたご家庭では、男の子が年頃になると、
親たちの遊び相手である吸血鬼と、こんな”お見合い”をするみたいです。

触手に支配された街

2008年06月18日(Wed) 07:56:08

住民のほとんどが洗脳されて、吸血怪人に支配されてしまった街の話です。

「お引き合わせしましょう。妻と娘です。さあ、どうぞ。若い女の血を、ぞんぶんに絞り取ってください」
男はそういうと、怯える母娘を引き立てるようにして。
「さあ、おもてなしをするのだ」と、強要している。
母娘が怯えるのも、無理は無い。
初めて目にする怪人は、自分の背丈よりも体長の長い、大きなヒルのような身体つきをしていたのだから。
全身にヌメヌメとした粘液を光らせながら、すがりあう母娘を壁際に追い詰めてゆくのを。
男はフフフ・・・と、たちの悪そうな含み笑いで見守っていた。
まず母親が、折り目正しく装った和服の襟首に、触手を這い込まされた。
両手で口許をおおう娘の目のまえで。
ちゅーっ。
奇妙に機械的な音とともに、血液が抜き取られてゆく。
透明なチューブ状の吸血管を、母親の血が赤黒く充たしてゆくありさまに。
娘はその場にへなへなと、へたり込んでしまっていた。
白目を剥いて倒れ臥した母親の向こう側。
つぎはお前の番だ!
指差された触手は、ふくらみを帯びた胸元に突きつけられる。
タートルネックのセーターごしに、ズブリと突き刺さる吸血管に。
きゃあ―――っ!
少女は絶叫して、のけぞって。
けれどもやっぱり母親とおなじ経緯で、赤黒い血液を抜かれていった。

ふむふむ。
吸血管の先端にこびり着いた血液を、口に含んでいきながら。
やはり生娘の血は佳いのう・・・
父親の背丈よりもある大ヒルは、なおも物欲しげに少女にすり寄っていって。
真っ白なハイソックスのふくらはぎに、触手をにゅるにゅると巻きつけていく。
ひざ小僧の下、きりっと引き伸ばされたハイソックスは、みるみるくしゃくしゃに波打っていって。
セーターにしみ込んだのとおなじ赤黒い痕を、じわじわと広げていった。

ママ・・・。カオリお姉ちゃん。
つぎつぎと生き血を吸い取られてゆく光景を、窓越しに目の当たりにして。
マサル少年は、急いで玄関に回りこんでゆく。
とうてい間に合わないとわかっていながらも。
けなげにも、ふたりを救い出そうとしたのだった。
ママーッ!?お姉ちゃーんっ!
声張り上げて叫んだ玄関先。
けれども部屋の奥はシンと静まり返っていて。
マサル少年は、惨劇の起きた部屋のまん中に立ち尽くして、ぼうぜんとなっていた。
三人とも、影も形もなかったのだった。

どこだろう?
隣室に立ち去ろうとしたとき。
シューッ。シューッ・・・
押し殺すような音が、畳のうえを這い回るのに、少年は気がつかなかった。
薄暗い室内。
ねずみ色のハイソックスの足許に、少年の背後に、触手が忍び寄っていく。

あああああっ・・・
気がついたときには、もう遅かった。
少年の脚にしなやかに巻きつけられた触手は、じわじわと血を吸い出してゆく。
血に濡れたハイソックスのうえ、触手は少年の血の色を滲ませていて。
触手の活き活きとした彩りとは裏腹に、半ズボンの太ももはどす黒い紫に変色していた。
助けて。殺さないで・・・
けんめいの命乞いを、触手の主は寛大にも聞き届ける。
よかろう。その代わり、今夜はお前が母親と姉を連れ出してくるのだ。

ひたひた・・・ひたひた・・・
夜道を並んで歩く、三対の脚。
まぶたに別人のような翳りを帯びた少年は、先頭に立って。
母と姉をうながしてゆく。
たどり着いたのは、街はずれの沼。
三人の人影が水面に映ると。
それまで死んだように静かだった沼は、にわかにざわざわと波立ちはじめた。
さあ。おあがりよ。ママとお姉ちゃんを連れてきてやったから。
大蛇のように鎌首をもたげた触手たちは。
沼辺のベンチに腰かけた脚たちに、そろりそろりと迫ってゆく。
さいしょに、少年の脚が。
ハイソックスに血のりを滲ませた。

少年がうつろな目になって、失神すると。
ずり落ちて尻もちをついたすぐ隣。
制服姿の姉が、黒のストッキングの脚を触手にゆだねてゆく。
うふふふ・・・ふふ・・・
くすぐったそうな含み笑いを、うつろに響かせながら。
足許に加えられる凌辱を、愉しげに見おろしている。
巻きついてくる触手が、脛を蒼白く透きとおらせている黒ストッキングをくしゃくしゃにしていって。
しまいにブチブチと音をたててはじけさせてゆくと。
脚の白さを切れ切れに滲ませた下肢を、草地にじかに横たえて。
セーラー服のわき腹に。
白のラインも鮮やかな首周りに。
折り目正しいプリーツをくしゃくしゃに折り曲げたスカート越しに。
ヌルヌルと這い寄ってくる触手に、わが身をゆだねていった。

母親のほうは、さっきから。
紫のタイトスカートの下、肌色のスッキングの脚を狙われて。
唇噛みながら、足許に加えられる辱めから、視線を離せなくなっている。
巻きつけられた触手の下。
かすかな光沢を帯びた肌色のストッキングは。
ねじれ、ゆがんで、裂けていって。噛み剥がれ、堕ちてゆく。
ああ・・・
絶望のうめき声を、なぜか甘美に震えさせて。
まな娘と脚を並べて倒れ臥す。
キュウキュウ・・・キュウキュウ・・・
あからさまな吸血の音が、倒れた三人の人影におおいかぶさっていって。
闇がすべてを、支配してゆく。

数年後。
こんど、結婚する人だよ。
すでに大人びた翳をもった青年は。
かつて母や娘を生贄にしたように。
未来の花嫁を、沼地に伴っている。
ええっ?どういうことっ!?
怯えきった白タイツの脚は、立ちすくんだまま動けなくなっている。
ボクの友だち。
生娘の生き血が、好物なんだ。
ごちそうしてあげてくれるよね?
いつものように優しく語りかけてくる恋人の声色が、かえって怖ろしくくぐもっていた。

恋人に抑えつけられたか細い肩は。
これから加えられるしつような吸血に耐えられるのだろうか?
草地に怯える足許には、すでに触手がにじり寄っていて。
初々しいふくらはぎをまえに、もの欲しげにとぐろを巻いている。
さあ・・・破って御覧。
女のコの履いているタイツ・・・お好みなんだろう?
マサルは少年のころのように、声震わせて。
触手を恋人の脚に、巻きつけてゆく。
アア―――ッ!
魂切るような叫びを残して、髪振り乱した恋人が草地に倒れ臥すと。
少年は翳らせたまつ毛を、いっそうもの憂げにひそませながら。
手にしたヒルを、透きとおるうなじに貼りつけてゆく。
ううっ・・・
まつ毛を震わせて気を喪った恋人を。
軽く抱き寄せて。額に接吻をして。
首筋に貼りついたヒルが、みるみる赤黒く、醜く膨らんでゆくありさまを。
うつろに笑いながら、見守っていた。

迫られて・・・

2008年06月18日(Wed) 06:40:27

はだけたブラウス。あえぐ胸。
ぬるりと輝く乳房。
蒼白い静脈の透ける皮膚をめあてに、恋人に唇迫らせてゆく暴漢に。
縛られたボクは、なにもできないで。
そのうえ不覚にも、ズボンのなか密かに昂ぶりを疼かせていた。

吸いつけられる唇に、激しくかぶりを振って。
下品に舐めてくる舌に、眉をひそませまつ毛を震わせて。
ワナワナと震える肩。キュッと引きつるふくらはぎ。
けれどもとうとう・・・唇にひときわ力が込められて。
隠された牙が、肌の奥深くうずめられる。
アッ、まぶたをキュッと閉じてしまった。
アッ、二の腕をあんなに引きつらせて。
アッ、唇のすき間から、どろりと赤黒いしたたりが・・・
あっ、あっ、あっ・・・
・・・・・・。

あたしの血、おいしい?
そう。お口に合って、よかったわ。
えっ?脚を吸いたい・・・ですって?
じゃあ、ストッキング脱ぐわね。
え・・・穿いたままで、いたぶりたいですって?
もう。いやらしいわね・・・
無邪気にくすくすと、笑いながら。
縛られたボクの目のまえで。
彼女は脚を組んで、素足のように薄い透きとおったストッキングの脚を。
劣情にみちた唇に、惜しげもなくさらしてゆく。
厭っ。破けちゃう。
くすぐったげな拒絶の言葉の下。
唇を圧しつけられた真下にひとすじ、裂け目が涙の痕のように伝い降りてゆく。
清楚で気品に満ちていた足許は、みるみるうちに。
手馴れたいたぶりに、さらされて。おおっぴらに、舐め抜かれて。
薄々のストッキングは他愛なく噛みしだかれて、くしゃくしゃになって堕ちてゆく。

うふ、うふ、ふふふ・・・
着崩したブラウスを、ぬかるみにまみれさせながら。
腰までせり上げられたスカートの腰を、激しく上下に振りながら。
きみは男の、相手をしてゆく。
ボクからきみを勝ち獲た男は。
謙虚にもボクに第一の座を認めてくれて。
その代わり毎晩寝取らせろ・・・と。
法外な要求に、ボクは嬉々として頷いてしまっている。

泥の撥ねたストッキングは、むざんに噛み破られて。ひざ下までずり落ちていて。
ふしだらな弛みが、淫靡にくねる脚のうごきに合わせて、波打っている。
さっきまで淑女だったきみは。
裏側に秘めた娼婦の本性をさらけ出して。
はしたなく四つん這いの姿勢になって、お尻を突き出して。
未来の花婿であるボクのまえ、
もっと・・・もっと・・・
いやらしいおねだりをくり返す。

いちばんおいしいところを、譲り渡してしまったはずなのに。
処女を喪う痛みを精いっぱい滲ませたきみの横顔を。
永遠の記憶としてとどめながら。
犯すのも愉しいが。視るのもオツなものだろう?
悪魔のささやきに激しく頷きながら、彼女の掌を握り締める。
握り返してくる掌は、意外なくらいつよい力がこもっていて。
放さないわよ。一生・・・
無言の力で、訴えかけてくる。
放さない。別れない。
あなた。ずっと・・・わたしの恥ずかしいところを見守っていて。
うん。きれいだよ。きみ。ドキドキするな・・・
う、ふ、ふ。いやなひと。もっと昂ぶらせてあげるわね。
処女の生き血と花嫁の貞潔を捧げた、記念すべき夜。
ボクと彼女は、最良のパートナーを得る。

淑やかだった妻

2008年06月18日(Wed) 01:28:06

淑やかで、貞節で。
万事において、控えめで。
目だたずひっそりと生きてきた妻は。
いまはわたしの傍らで。
羞ずかしそうに伏し目になりながら。
視線だけはチラチラと、こちらのようすを抜け目なくうかがっている。
真夜中をとうにすぎた刻限なのに。
夫婦の寝室には、こうこうと照明が灯っていて。
わたしを抑えつけている魔性のものは。
吸い取ったばかりの血潮を、もとの持ち主の胸元にしたたらせていた。

奥さんの生き血は、旨かった。
最愛の夫の血もプレゼントしたいという、たっての願いを聞き届けて。
いまこうして、お前の血を啖らっている。
いかがかね?
われわれは仲良く、共存できると思うかね?
思うとも・・・
不意に口をついて出てきた、肯定のことばに戸惑いながら。
唇震わせながら、うつろな言葉をつづってゆく。
私たち夫婦の血潮は、きみの牙に似合っている・・・と。
すべてを啜り取ってしまって欲しい・・・と。
不覚にも洩らした応えは。
傷口の奥深くすり込まれた疼きが、いわせたもののはず。
けれども妻はその瞬間、ぱっと顔色をバラ色に輝かせて。
小娘みたいに、はしゃぎきっている。

ではわたくしも、相伴しますわね。
解かれた長い黒髪を、頭の後ろで抑えながら。
妻は唇を突き出すようにして、かがみこんできて。
男のつけた噛み痕を、なぞるようにして。
魔性の接吻を、重ねてくる。
ちゅうっ・・・
吸い取られたのは、わたしの血?それとも妻の情夫の唾液?
はぜる音も生々しく、なにもかも吸い込まれてゆく吸引力にうっとりとなりながら。
無重力状態に身をゆだねてしまっているわたし。
引き抜かれてゆく血潮の流れが、虚しく傷口を通過してゆく、くすぐったい感触に。
ぼうっと頬を蒼ざめさせながら。
信じられないほどつよい力で抑えつけてくる妻の細腕に、己の腕を絡み合わせていた。

観ているのよ。あなたは。観ているだけなのよ。
妻は呪文のように、唱えながら。
いままでの淑女振りをかなぐり捨てて。
淡い黒のストッキングに染めたふくらはぎを、惜しげもなく。
情夫の唇に、あてがってゆく。
娼婦のようにくねる脚は、薄いナイロンの光沢に、メタリックな輝きを放ちながら。
夫婦のベッドのうえ、ヘビのようにのたうった。
くすぐったい。ひどく、くすぶったい。
ころころと笑いこけるうつろな声の下。
ちりちりと裂け目を広げてゆく薄手のナイロンごし、
柔肌の白さを滲ませながら。
放恣に開ききった太もものすき間。
不埒で淫らな侵入を、女になりきって、受け容れてしまってゆく。

ひと組の夫婦が、一夜を越えると。
淫らな娼婦と、恥知らずの夫。
一線を越えた奴隷たちは、夜ごとの訪客のまえ。
いとも嬉しげに、ひれ伏してゆく。

漆黒の制服

2008年06月18日(Wed) 01:00:34

漆黒のワンピースに、おなじ黒に塗りつぶされたようなボレロを羽織って。
ひざ丈のすそから覗く、すらりとした足許は。
肌を蒼白く透きとおらせた黒のストッキングが、清楚に染める。
淑やかな黒。気品漂う黒。うっとりするほどの黒。
そして・・・淫らな妖しさを秘めた黒。
夫を弔うための喪服は、いまは不倫妻の制服と化して。
真夜中の路上。
不つり合いにぴかぴか光るエナメルのハイヒールの足音を、響かせてゆく。
ツタの絡まる古い邸に待ち受ける情夫は、つい数日前、夫の生き血を吸い取った男。
いまは・・・その妻のうら若い血潮に、牙を彩る。
嬉しげに吸いついてくる唇に、惜しげもなく柔肌をさらし、
黒一色の衣装に映える透きとおった肌は。
うわぐすりのような艶を、妖艶に帯びてゆく。

足許を薄っすらと染める、淡い薄墨色の礼装は。
むたいに圧しつけられた、劣情みなぎる唇の下。
繊細で強靭な網目模様が、猥褻きわまりない凌辱にさらされてゆく。
不埒な唇のぬめりから、感じやすく無防備な皮膚をガードするには。
あまりにもなよやか過ぎる、黒のストッキング。
やがて・・・不埒な劣情に耐えかねたように、はじけ散り、
緩やかな束縛から、奔放な下肢を解き放ってしまう。

招き寄せられたベッドのうえ。
眉を寄せて。うめき声を洩らして。
はしたなく腰を振って。恥を忘れてもだえてゆく。
夫の仇敵を愉しませる代償に。
よみがえらされた夫は、長年連れ添った愛する妻が娼婦と化して。
己の仇敵と戯れるのを、目の当たりにする。
すべてが秘められる、夜―――。

単独だった足音が。
今宵はふた色、交互に絡み合い、夜道に響く。
この世のものでは無くなったはずの夫は、その愛妻を伴って。
若い女の血潮を啜るという。
禁断の愉悦を共有することになった悪友のため。
愛妻を饗するべく、夜道をたどる。
漆黒の制服。
それは夫婦の捧げる礼節と。それとは裏腹の、隷従のしるし―――


あとがき
まだいちどもやったことがないのですが。
「トラックバックテーマ」というのがあるんですね。
今回のテーマは、ずばりど真ん中!
「あなたの制服は、どんなのですか?」
http://blog.fc2.com/trackbacks/blog-entry-519.html
ですって。(笑)
ついワルノリして、描いてみましたが。^^
さすがにとらっくばっくする気には、なれませんでした。
内容。趣旨とはかけ離れて、コアですね。^^;
反省。

制服の下は、黒タイツ

2008年06月18日(Wed) 00:12:25

密室に招かれた少女たちは、おそろいのセーラー服に、黒のタイツ。
三つ編みのおさげが揺れるすっきりとした首まわりに、清楚な雰囲気を漂わせて。
部屋に入るのを、ためらって。
互いに道を、譲り合っていたけれど。
頭だった少女が、
出席番号順よ。
ほかのふたりにそう囁くと。
先頭に立って、黒タイツの脚を伸ばす。
見るからに優等生な面差しを、きりりと引き締めて。
か細い体つきのすみずみに、生気をみなぎらせて。
ツカツカと、部屋のもっとも奥まった祭壇に足を向ける。

人の気配ひとつないはずの部屋に。
いつしかふわり・・・と、影法師のように佇む男。
ゆらゆらとした手つきで、まるで催眠術にかけるように。
3人の少女を、いざなってゆく。
祭壇のうえ、腰を下ろしたソファの下。
流れるような脚線が、しなやかなタイツに包まれて。
か細い脚。
すらりとした格好のよい脚。
ピチピチとした生気にはち切れんばかりの、むっちり脚。
三者三様の脚たちが、おそろいの黒のタイツにかすかな光沢を含ませて。
しっとりと落ち着いて、ななめに流れている。
お行儀よくストラップシューズに収まった、キュッと締まった足首と。
スカートにおおわれたひざの上、きちんと重ねあわされた手の甲の白さ。
初々しいイデタチに、まとわりついた影は、人知れずため息を洩らしている。

さあ。差し出すが良い。
お前たちは、わたしのしもべ・・・
少女たちは、みないちように。
白い顔から感情を消したまま、
そろそろと、黒タイツの脚を伸べてゆく。

ギュッと掴まれた足首に。
かすかな力みを滲ませて。
ちゅうっ・・・と吸いつけられる、唇。
ぬるり・・・と這う、舌。
舐め痕をヌラヌラと伝うよだれが、上品に装われた足許を、不規則に光らせはじめていった。
優等生らしいさいしょの少女は、どこまでも毅然としていたが。
すらりとした脚の持ち主も、時おりちらちらと、イタズラっぽい笑みを洩らしていたけれど。
三人めの、むっちり脚の持ち主は。
そばかすの浮いた人の良さそうな丸顔に、羞恥の色をはっきり浮かべて、
ちょっぴり、涙ぐんでいた。
脚の震えに少女の心の翳りをみた男は、唾液を光らせた舌を、いっそうふるいつけていって。
これ見よがしに、少女の脚をもてあそぶ。
いちばんさいしょに噛みつかれ、牙を埋められたのも。この少女の番だった。

ずるずる・・・ばたり。
順ぐりに音響かせて。
少女たちは、ひとり、またひとり・・・と。
血を吸い取られ、眩暈に額を押さえて、
ソファからずり落ちて、尻もちをついてゆく。
うつぶせに寝そべったふくらはぎは、噛み破られたタイツのたるみをふしだらに浮かべて。
さらにしつように、いたぶられるままになってゆく。

夜明け前。
3人の少女は、なにごともなかったように。
入ってきたときと寸分変わらない、礼儀正しいしぐさで。
ひとりひとり、部屋の奥に向かって、一礼をして。
それぞれの家路を、たどってゆく。
セーラー服の襟首には、バラ色のしたたりをあやした白のライン。
長めのプリーツスカートの下には、裂け目を滲ませた黒のタイツ。

つぎの晩。
3人現れた少女の顔ぶれは、ひとりをのぞいて新顔である。
昨日あれほど泣いた、あのそばかす顔の少女は。
ものなれた無表情をつくろって。
ほかの2人に手本を示すため、
スカートを大胆にたくし上げ、脚をあらわにしていった。
昨晩よりもグッと薄い、肌の透ける黒ストッキングの脚に。
唾液に濡れた唇が吸いつけられるのを。
ふたりのクラスメイトは、うっとりとして。息をひそめて。
チリチリと裂け目が広がるありさまを、じいっと見つめつづけていた。

かわるがわる、黒タイツを破られていって。
きゃあきゃあとくすぐったげな声はじけさせて。
それからさらに、奥の間に招き入れられてゆく。
もっとも奥まった秘密の小部屋は、少女が女になる部屋―――。
破れ堕ちたストッキングを、たいぎそうに引き伸ばしながら。
バラ色のしたたりが伝い落ちた太ももを、さすがに羞ずかしげに、さりげなく隠してゆく。

ひとクラスの女子全員が、黒タイツを破られるころ。
制服は白の夏服に変わる。
清楚なおさげ髪を肩先に揺らす、穢れを知らないはずの乙女たち。
けれども彼女たちの足許から。
軽快な夏服とは不つり合いに重苦しいタイツが取り去られることはない。
登下校をくり返す、黒タイツの脚たちは。
途中古びた邸に寄り道をして。
ふたたび出てくるときには、だれもがいちように。
足許の装いに、裂け目を滲ませている。
だれもが含み笑いの奥に押し隠す、薄闇の彼方の秘密。
黒のタイツは乙女たちを、大人の女に塗り替えてゆく。

濃い関係 2

2008年06月16日(Mon) 07:51:05

こちら、娘の彼氏です。
それからこちらは、彼氏のお父さん。
彼氏のお父さんは、うちの家内の彼氏でもあるんですよ。
えっ、よくわからない・・・って?
ええ。そうなんです。
あちらのご両親が、ごあいさつに見えたのがご縁になって。
家内と、できてしまったんです。
お恥ずかしい。
でもね。うまくいっているんですよ。
わたしはトシだし。家内を満足させてやれないのに。
代わりにあちらのお父さんが、家内をなぐさめてくれるんですから。
もちろん・・・ご自分もたっぷりと愉しまれておいでですが・・・。
わたしのほうも。まだそこそこに、スケベ心がありまして。
覗いて、愉しんでしまっていたりするんですがね。(^^ゞ
ええ、ふたりの熱~いところ、見せつけられているんですよ。

彼氏のほうは、プレイボーイですから。
いまから、浮気宣言しているんですよ。
家から出て、いけない外遊びをしても。
妻を満足させていれば、問題は起こらないって、豪語しているんですから。
若いのに、頼もしいですな。
留守中の娘のことは、お父さんがめんどうを見てくれるらしいです。
若い嫁を・・・っていうのは、そそられますな。
それになによりも、お母さん似ですからな。^^って。
そうとう、惚れられちまっているようですよ。うちの家内。
さすがにちょっと、困り抜いて。
苗字を変えさせましょうか?って、申し上げたら。
それには及びません。
あなたの奥さんとして、犯しつづけたいのですよ・・って。
なかなか、ツウでいらっしゃるようです。

息子さん、どこに忍んで行くのかって?
いくつか、アテはあるらしいのですが。
少ーし、困ったこともございます。
時々、ねぇ。
あの親子、うちに忍び込んできて。
相手を取り替えあっているのですよ。

怪人に襲われて ~カップル洗脳~

2008年06月16日(Mon) 07:38:03

やめてくれ・・・やめてくれ・・・
彼女だけは、見逃してくれ。
身体じゅうの血液を、抜かれてしまったはずなのに。
なぜか意識がありつづけている己を、わたしは呪っていた。
デート帰りを、襲われて。
彼女がちょっとした用を足しに、公園のベンチを離れたとき。
背後に隠れていた黒い影は、わたしの両肩を羽交い絞めにして。
ものも言わせず、首筋に突き立てた牙で。
ぬるりぬるりと、血を吸い取っていったのだった。
戻ってきた彼女を待ち受けていたのは。
たちのわるい、鬼ごっこ。
肌色のストッキングの脚をすくませた恋人は、
とっさにわたしに取りすがったのを。
逃げろ!おれにかまわずに・・・
そうつぶやくのが、やっとだった。

覚束ない逃げ足の行き先は、たくみに封じられていって。
彼女は古い樹に背中を添わせて、立ちすくむばかり。
真っ赤なミニスカートから覗いた太ももは、怯えてこわばっていたけれど。
街灯に照らし出されたストッキングの光沢が、まばゆく妖しく、豊かな脚線をよぎっていた。
ククク・・・
黒い影は、彼女のまえに立ちはだかると。
怖ろしい誘惑を、口にした。
お前が逃げてしまえば、この男の血をそっくりいただくまでさ。
けれどもお前がここにとどまって。
ほんの少し、わしの相手をするのなら。
たぶんそれだけで・・・必要な血は確保できる。
明日からいままでどおり、仲の良いカップルでいられるのだが・・・ね。

彼女は惑った視線で、かぶりを振るようにして。
逃げ道と、わたしのほうとを、等分にうかがって。
もっとも恋人らしい選択をした。
目をつむって・・・そのまま立ち尽くしたのだった。
男はよしよし・・・と、彼女の肩をあやすように抱きすくめていって・・・
うなじのつけ根に、顔を埋め込んだ。
噛まれた瞬間。
眉をつり上げ、瞼をキュッととざしながら。
かすかに開いた唇から洩れる白い歯並びが。
薄闇にくっきりと、浮かび上がっていた。

はぁ、はぁ、はぁ・・・
ベンチの隣に座らせられた彼女が、肩で息をしている息遣いが。
寄りかかりあった肩先に、せつせつと伝わってくる。
男はなおも、しつように。
彼女の生き血を欲しがっていて。
ハイヒールの足首を、抑えつけて。
淑やかに伸びたふくらはぎに、唇をべっとりと、這わせていって。
光沢を滲ませた肌色のストッキングを、ブチブチと噛み破っていった。
身を震わせたすすり泣きが、いつか随喜のもだえに変わるのを。
寄りかかりあった肩先に、残酷なほど忠実に伝わってきた。

よいか。
お前たちは、わしが支配する。
週に三回、おまえは恋人を差し出すのだ。
そのうちいちどは、必ず一人で来させるのだ。
あとの二回は、おまえ自身が女を連れてきて。
おまえの女が、わしの意のままになるところを。
とっくりと視て、愉しむがよい。

よろこんで・・・
うつろな声で、わたしが応えると。
よろこんで、血を差し上げます。
彼女もよどみなく、あとにつづいた。
ひさしぶりの処女の生き血。たんのうしたぞ・・・
影のくぐもった声色に。
女はくすぐったそうに、ふふっ・・・と笑み返して。
お気に召しましたか?とだけ、応えていた。

公園へ向かう足取りが。
彼女は軽く、わたしは重い。
木立ちの奥の、人目につかないところまで、引き込まれて。
樹に縛られたわたしの前、彼女は襲われ、若い生き血を啜られる。
穢れを知らない身体の奥深く秘められた清冽な血潮は、
噛まれた首筋から、ズルズル、ちゅちゅうっ・・・と。
ふざけているような、人を食ったような。
他愛ない音とともに吸い取られてゆく。
ああぁ・・・
引きつったようなうめき声をあげながら、彼女が姿勢を崩していくと。
尻もちをついた足許に、にじり寄っていって。
ストッキングの足許を、いたぶるのだった。
飢えた男の、なまの唇を這わされながら。
しばらくのあいだ、彼女はわたしのほうからも、自分の足許からも、目をそらしつづけているのだが。
ひとしきり、刻が経って。理性が去ってしまうと。
噛みしごかれてしまったストッキングの脚を見おろしながら。
わたしのほうを、かえりみて。
ころころと愉しげに、笑い声を洩らすのだった。

じゃあ、今夜はここで・・・
週に一度は付き添い禁止となる夜。
薄闇の彼方に溶けてゆく彼女の後姿を、
むしろ恍惚として、見送っていた。
ミニのワンピースから覗いたむっちりとした太ももは。
さぞかしたっぷりと、おいしい血をめぐらせているにちがいない。
そういえば。
ストッキングの色も、とりどりに工夫をこらしているらしいのは。
たんにファッションを愉しむだけでなく。
わたしの目を愉しませるだけでもなく。
よだれをたっぷりとなすりつけられ、噛みしごかれてゆく歓びに。
きっと、めざめてしまったからだろう。

付き添い禁止のある晩に。
わたしは、約束を破ってしまった。
その日の約束の場所は、あろうことか彼女の自宅。
庭先に、忍び込んで。背伸びをして。
そこで覗いた光景は、信じがたいものだった。
彼女は、部屋の隅っこに尻もちをついている。
きっと、壁に圧しつけられて。立ったまま、血を吸われて。
そのままずるずると、姿勢を崩していったのだろう。
うつろな視線の行き先は、物陰に隠れてよく見えなかったけれど。
がたん。
出し抜けな音に、目のまえのひじかけ椅子がひっくり返ると。
宴の全貌が、あらわになった。
窓越しに吸血鬼の相手をしているのは、彼女の母親。
白のブラウスの胸をはだけて、濃紺のスカートのすそは、太ももまでさらけ出して。
破れ堕ちた肌色のストッキングがずり落ちた脛は、
愉悦に満ちた上下動に、踊っている。
隣室には、無表情で紅茶を啜る、彼女の父親。
ふすま一枚へだてた向こう側で、なにが起きているのか気づかないはずはない。
よく視ると、手先の震えを伝えたカップから滴り落ちた熱湯が。
ズボンの上にぼたぼたと、痕をつけていた。

わたし処女だから、代わりに母がお相手しているのよ。
わたしの血がおいしいから、きっと母の血もいい味がするんだろうって。
父に頼み込んで、そのうち父のほうからも、妻を襲ってくれって、頼み込まれて。
それで・・・母が犯されているの。
つぎは、あなたの妹さんの番かしら。
わたしがうまーく、誘い出してあげる。
女子学生の黒のストッキング。関心あるみたいなのよ、彼ったら。
あの子が襲われちゃったあとは。
彼のお邸に、連れて行ってね。
初めて犯されちゃうところ・・・あなただって、見たいでしょ?


あとがき
桜草さまへ。
>噛みしごかれる
初めて、使ってみました。^^

結婚指輪のコレクション

2008年06月16日(Mon) 06:46:51

これが、Y部長。こちらが、T課長のやつ。
それとこっちが、新婚のU係長の。
オフィスの隅っこの席で、いつもくすぶっているあの男は。
人もまばらになった残業帰り、わたしのことをふと呼び止めて。
面白いコレクションがあるんだ。キミにだけ、見せてやろうか?って。
いつものさえない低い声で、誘いをかけてきた。
その代わり、ぜったいにナイショだよ・・・って。
この男にしては珍しく、イタズラっぽい含み笑いつきのお誘いだった。

男が机のうえに、並べたのは。
鈍い輝きを放つ、指輪たち。
一見して、結婚指輪とわかるそれらを。
チャリン、チャリンとむぞうさに転がして。
机のうえに、ひつつづつ。並べていった。
ぜんぶで、五つ。
オリンピックのマークが作れるね。
たちのよくない、冗談だった。

おい、おい。大事なものだろ?持ち主に返さなくっていいのかい?
部長も課長も、奥さんに怒られちまうぜ?
わたしの指摘が見当はずれなのだと、すぐにわかった。
だい、じょー、ぶ♪
男は低い笑い声をたてると、
こっそりわたしの耳もとに、囁いてきた。
これ、奥さんのやつなんだよ・・・って。

ベッドをともにした人妻さんの薬指から、抜き取ってくるんだよ。
指輪をはずすとき。
手の甲に、指先に。撫でるようなキスをしながら。
ゆっくりと、抜いてゆくと。
みんな・・・文句ひとつ、いわないで。
ドキドキ期待に胸を弾ませて、小娘みたいにうっとりと、俺のことを見るんだよ。
そう。媚びるような、上目遣いで。^^
きみ、ボクがいつも薄い靴下を履いてくるって、笑っていたっけ?
昨日履いていたのは、そのまえの晩に逢った部長の奥さんのやつなんだぜ。

シンプルなシルバーの指輪に、金の縁取りのある指輪。
課長のやつは、意外に凝った彫りがあしらわれていた。
若々しい肩を並べて、あれこれ選び抜いたこともあったはずの指輪が。
こうも惜しげもなく、持ち主の手を離れてしまうようになるのだろうか。
そんな思いに囚われながら、ふと目に留まった指輪がひとつ。
まるで感電でもしたような衝撃が、全身を痺れさせていた。

男がもてあそぶ指輪のなかにある指輪のひとつに。
まちがいなく見覚えのあるリングを見出した。
自分の指に、おなじ指輪があるのをたしかめると。
彼はさっきからチラリチラリと意味ありげに這わせてきた視線を。
いっそう意味深に翳らせてきた。
これ。きみの奥さんの。
それから・・・(と、ズボンを軽くたくし上げて)、
今朝きみを送り出すとき、奥さんこんな色のストッキング履いていなかったかね?
そろりと差し出された足首が。
つややかな薄黒いナイロンに、妖しい翳りに染まっていた。

どうだい?黒光りして。色っぽいだろ?
奥さん、きみのまえでも、こんなツヤツヤしたストッキングを履くのかい?
えっ?黒だなんて珍しい・・・って、思ったんだって?
ふふふ。
はなっから、俺にくれるつもりだったのさ。
妻のストッキングが、まるでさらしもののように、男の足首に巻きついているのを。
目を離すことができなくなっていると。
男はさらに、たたみかけてくる。
今夜は徹夜の、残業だって?
いつもいつも、ご苦労だね。^^
じゃあ俺は・・・残業のつづきは、きみの家でやらせてもらうよ。
明日も・・・奥さんのストッキングを履いてきて、かまわないかな?
どうかな?似合うかな?これ。
できれば同じやつをもう一足、失敬したいところだね。
それと。
この指輪・・・よかったらきみから奥さんに返してあげてくれないか?
黙って、渡すだけで。
どういうことだか、伝わるはずだから。

午前二時。
やつはもう、わたしの家を出たのだろうか?
今夜はダブル・ヘッダーなんだ。
出張中のU係長の奥さんからも、お誘いがあるのでね・・・
得意げにうそぶいていた横顔が、憎ったらしく目に浮かぶ。
掌のうえの指輪は、冷ややかな輝きをたたえながら。
意外に重たい感触を、そっと伝えてくるのだった。

ほら。
手渡された指輪に、妻はびっくりしたようにわたしをふり仰いで。
わたしがそれ以上、なにも言わないのをみてとると。
ありがとうございます。
声くぐもらせて、謝罪するように。
深々と頭を垂れたのだった。
真夜中だというのに。
妻だった女は、昼間みたいに着飾っている。
いわれたんです。
あなた好みの女に、作り変えてやる・・・って。
さらりと脱ぎ捨てたワンピースの下は、黒い下着に黒のストッキング。
脱がせてちょうだい。
そして、会社に身に着けていってくださらない?
すがりついてきた胸に顔をうずめて。
女はいっそう、声くぐもらせた。
波打つ黒髪を撫でながら。
先客にもおなじやつを、もうお渡ししたのだね?
もうっ・・・・・・。
妻は私を軽く引っぱたいて・・・
あとは、男と女の夜だった。

似合うね。薄い靴下。
それはU係長の奥さんの?それともうちのやつからせしめたほう?
ふたりきりになったとき。
オフィスの隅っこの席まで、ぶらぶら歩いていって。
いつものように、やつの薄い靴下をからかうと。
うまくいったようだね?
男はもっともらしく、囁きかけてくる。
お互いに・・・だろう?
ひじで軽く、小突いてやると。
いつも陰気な男にはめずらしく、大仰にもろ手をあげておどけてきた。
U係長、あしたまで出張だろ?
見せつけるやつがいないと、張り合いがないからね。
夕べ脱がした妻のストッキングは、たしかにこんな感じの妖しい光沢に包まれていた。

それから一週間。
男の掌のなかにあった指輪は、すべてもとの持ち主に返されたという。
もちろん、ご主人経由で・・・

新しいリンクサイトさまのご紹介

2008年06月16日(Mon) 05:49:41

お気づきのかたもいらっしゃることかと思いますが。
新しいリンクサイト様が、お一方。^^
「舞方雅人の趣味の世界」
http://masatomaikata.blog55.fc2.com/
リンクをいただいてから、じつはお客様が凄く増えたのですよ。(^^)
うちのマイナーさかげんがばれるので、数は内緒にしておきますが(笑)、
リンクをいただいた昨日が一日の訪問者数としてはもしかすると最多かもしれません。
(りんくをいただいたのが夕方だった・・・というのは、さらにナイショ 笑)

悪堕ち・・・というと、ぴんとくるでしょうか?
吸血鬼の例にたとえると、
襲われて血を吸われてしまった被害者が、吸血鬼に洗脳されてべつの人間を襲ってしまう。
それもかな~りあくどい策謀をめぐらしまして、
かつての家族や恋人を追い詰めてゆく・・・みたいなジャンルです。
舞方様のところに行かれますと、こんな異形の世界を愉しむことができます。

それにしても。
舞方様の世界からうちを覗かれるお客様。
うちみたいなやつでも、いいんでしょうか?(^^;)
ツウな舞方様に見出していただけて、すごく嬉しいのですが、
くい足りなかったら、ゴメンナサイ・・・
SSがショート・ストーリーを意味することすら、
思いつくのに数秒かかった・・・。(^^ゞ
なんて。「ナイショ」どころのさわぎじゃなくって、もう極秘事項だったりして。(大笑)

そうそう。
舞方様は、ものすごく博識だったりするんですよ。
ちょっと見ただけでも軍事知識やら歴史物語まで、ジャンルがじつに広いんです。
カシワギも、勉強しなきゃ。
( ..)φメモメモ

ううーむ。(-_-;)

2008年06月14日(Sat) 22:50:56

そうか。今朝あっぷをした「クリーニング」は、きのう思いついたんだっけ。
てっきりきょう思い浮かんで、すぐさまアップしたものだと思い込んでいましたよ。
そうとうキテますね・・・。(^^ゞ
とにかくなんだか、忙しいんですワ。
でもなぜか。忙しいときに限って、お話が浮かぶ。^^;
だいたいいちばん忙しい朝方が、「お話銀座」だったりするくらいですから。ねぇ。
A^^;

3周年♪

2008年06月14日(Sat) 08:22:43

そういえば、先月のおわりで、三周年だったんですね。うち。
すっかり、忘れていました。(^^ゞ

昨日の二つのお話(「妻 由貴子のささやき」「凌辱の魔力」)は、ひさびさに。
するりと抜けるように、ほとんど推敲なしであっぷしたものです。^^
こういうときって、とてもキモチよく描けますね。
今あっぷした「クリーニング」も、原案はきのう思いつきました。
時間切れで、文章にしたのは今朝になりましたが。
ほんとうは今朝も、もうひとつふたつ、描きたい気分なのですが。^^
これからすぐに、出なくちゃいけません。--;
あとは、またのお楽しみということで・・・

クリーニング ~耳の遠い夫~

2008年06月14日(Sat) 08:00:16

黒い服は、目だつのよ。
女は怨ずるような上目遣いをして、男を見あげる。
スカートのうえ、まともにほとび散ったのは。
情夫がはじけさせた、劣情の残滓。
ぬらぬらと光り粘りついた精液よりも、はるかに多くの量を。
満ち足りた女体は、すその乱れたスカートから覗く太ももの奥に。
恥を忘れて、飲み込んでいた。

そのへんに引っかけて、干しておけばいいじゃないか。
男はせせら笑うように、女の顔も見ずにこたえる。
ばか。耳は遠くたって、目は見えるのよ。
女が口を尖らせて、こっち向いてよと小突いてくると。
やおら女をねじ伏せて、強引に唇を重ねてくる。
厭。厭。イヤッ!
女の抵抗は、半ば本気らしかったが。
しだいしだいに、力が抜けていって。
さいごには、背中に回した腕と過剰な腰のうごきだけで。
激しいやり取りを、かわしてゆく。

だんな、家にいるんだろ?
いいの。あのひと、耳が遠いから。
齢の離れた夫のいる書斎は、廊下を挟んだはす向かい。
さすがに隣室では・・・と、寝室を避けて。
もっと狭苦しい小部屋で、用を足したのだった。
目は、見えるんですからね・・・
女がまだ、スカートに付着した白いシミにこだわっていると。
貸せ。おれがクリーニングに持っていってやる。
男はまるで、山賊が身ぐるみ剥ぐようにして、女を素っ裸にしてしまうと。
なおも飽き足らないのか、もういちど女をじゅうたんの上に押し倒していった。

齢を深めた夫には。
この季節でも、夕風はそこそこ肌寒いようだった。
あれから、幾日経っただろうか。
散歩帰りの夫を、出迎えると。
いつもきちんと分けた白髪を風に乱して、
頬を赤くして、横を向いてけたたましく咳き込んだ。
ほら。クリーニング、できていたぞ。
手渡された服は、夫の背広。
季節の変わり目にありがちの、かさばる荷物は。
買い物帰りに受け取るにはちょっとたいぎで、
つい、一日伸ばしにしてしまっていた。

小柄な見かけとは、不似合いに。
夫は大きな荷物を苦にしない男だった。
いったい何着、クリーニングに出していたのだろう?
箪笥の前、ひとりきりになって、整理をしていると。
積み重ねられた何着もの冬物の背広のいちばん下に。
意味ありげに横たえられた、女もののスーツ。
別の機会、別の人物によって出された服が、夫のとってきた服のなかにあるのをみて。
しばしのあいだ、へたり込んだように、絶句していた。

預り証は、夫は持っていないはず。
それはまだ、彼女にも返されず、そのまま情夫の手の中にあるはずだった。
顔見知りのクリーニング店の店主が、ことのついでにと渡したのだろうか。
そう、きっとそうに違いない。
はぜるような胸の動悸を抑えながら。
妻を呼ぶ夫の、いつもと変わらない声色に。
「はーい。」と、いつもと変わらない声で応えていた。

情夫は好んで、着衣のまま女を犯した。
女の服を汚すことに、快感を覚えるらしかった。
顔にふりかけられた、生温かい粘液を。
そのままブラウスの胸元にほとばされていって、
女は、顔以上に、いやがって。
激しくかぶりを振って、いやいやをしたけれど。
抜き身の一物を、なすりつけられるようにして。
べっとりと、しみ込まされてしまっていた。
こんどこそ、ばれるわよ・・・
女はいつになく、声をひそめていたけれど。
男のほうは、わざとのように。はっきりとした声で。
おまえの服には、おれの精液が似合うんだ。
抗議の言葉は、強引なキスにおしつぶされていた。

耳が聞こえないというのは、本当なんだな?
ええ。
まさか、おれが来ているときだけ聞こえている・・・なんてことは、ないだろうな?
ええ・・・
男がクリーニングに出してくれた服のことが、どうしても気になって。
さりげなく、水を向けてみたのだが。
こういうときには、よい相談相手ではなかったらしい。
なにかの思い過ごしだろう・・・
無関心に冷めた声が、かえってきただけだった。

密会のときの服を、そのまま男にゆだねるようになって。
きょうのブラウスで、なん着めなのだろうか?
そんなことすら、わからなくなるほどに。
女は夫に隠れての密事に耽り、
耳の遠い夫のいるおなじ屋根の下、情夫のために着替えた服を、汚されてゆく。
引き抜いたばかりの一物を。男はスカートの裏地に巻きつけて、揉みしごいて。
どろどろと濁った精液を指ですくって、女の唇のすき間に、塗り込んでゆく。
・・・!?
びくっとした。
背後から視線を感じる。
男を振り放すようにして、ふり向くと、小部屋には不釣合いなほど大きな本棚が、
なにごともないように、うっそりとたたずんでいるだけだった。
背表紙に金文字が目だつ夫の蔵書は、
もうなん十年も読まれていないかのように。
なおさら無表情に、整然と居並んでいる。

これかい?
男が本棚の窓ガラスをひらいて取り出したのは。
夫婦で並んで撮った写真。
まだ白髪のすくない夫は、目を細めて。
妻の肩をさりげなく、抱き寄せていた。
小さな写真立てを、もてあそぶようにくるくるとまわしながら。
男はいっそう、たちのわるい遊びを思いついたらしい。
写真のまえで・・・どうだい?
拒絶を許さぬ、誘いだった。

いつもより、乱れてしまった。
写真の夫は、視線など持っていないはずなのに。
夫じしんに視られた?そんな錯覚から、女はいつも以上にもだえ、狂っていた。
身に着けたスリップが、びっしょり汗になるほどに。
シャワー浴びなきゃ・・・ね。
やっと身を離してくれた男に、媚びるような目を向ける。

妻の情事のさいちゅうに。夫は散歩に、出て行った。
「ちょっと・・・出かけてくるよ」
それがいつもの、口癖だった。
ドア越しに、遠慮がちにかけられた声に。
「はぁい。気を、つけてー」
耳の遠い夫と受け応えするときに、いつもそうするように。
ことさら大きな声で、応えていたけれど。
男に迫られて、のっぴきならない姿勢を強いられている真っ最中。
ドアを開けるような人ではない。
そうわかっていても。
ひどく、ろうばいしてしまっていた。
このままドアが開いたら、取り返しのつかぬことになる。
なみたいていではないくらいに、ろうばいしているくせに。
しっくり合わさった腰と腰は、どこまでも本能に忠実だった。
場違いな夫の声に、かえって反応を深めて、
せめぎ合いは、よけいに熱をくわえていた。
そそられ、じらされ、惑わされて・・・
声思い切り、震わせて。
もっと、もっと・・・と、おねだりしていた。
浅ましい・・・
そんな思いと。
だんながいなくなる。堂々と愉しもう。
そんな気持ちと。
どちらも、ほんとうの自分・・・
男はそんな女の想いになど、かかわりなく。
いつもの濃やかな手と指と、唇とペ○スとで。
女を狂わせることに、余念がない。

きょうは、ブラウスとスカート、ですね?
男は自身がまるでクリーニング屋のように。
汚した女の服を、本人のまえ、広げていって。
シミの場所と汚れ具合とを、いちいち指で見せつけていった。
自分でクリーニングに持っていくのは、恥ずかしかろう。
おれが代わりに、出しといてやる。
クリーニング店の店主が、服の持ち主を知っているのなら。
夫以外の男性が持っていくことで、どれほど誤魔化せるというのだろう?
身を離したあとの女は、冷え冷えとした疑念を、胸の奥によどませる。

「戻ったよ」
散歩好きの夫は、きょうも一時間以上、出歩いていた。
夕暮れ刻の風は、身体にさわるかもしれないのに。
頼んだ買い物も、律儀にぜんぶ、すましてくれていた。
ついでに足伸ばして、クリーニングも取ってきたよ。
ぶら下げられた包みには、密会のときのブラウスとスカート。
「ありがと。助かりますわ」
若くて愛想の良い妻の顔をした女は、手渡された服を嬉しそうに押し戴く。
腕の良いクリーニング屋らしく、ブラウスにも、スカートにも、シミひとつ残されていなかった。
箪笥のなかに入れる前、ハンガーのまま部屋のなかにぶら下げる。
もうひとりの彼女じしんが、其処にいるように。
ブラウスも、スカートも、かすかに揺れながら、こちらを視おろしていた。

夕ご飯は、さんまですよ。
書斎のドア越しにかけた声に、好物のなまえを聞いた夫は上機嫌そうに応じると。
手ぬぐいを片手にぶら下げて、まるで銭湯にでも行くように、浴室に足を向けた。
ふう・・・。
夫のあとを、見送ると。
女の手は、机のいちばん上の引き出しにかけられる。
ためらいがちに開かれた、底の浅い引き出しに。
平たく伸ばされた、透明のビニール袋。
袋のなか、くしゃくしゃに折り重ねられているのは、女もののストッキング。
おととい、彼がさいごに訪ねてきたとき。
彼女が穿いていたものとおなじななめ模様の柄をみとめると。
ふふっ。
白目の多い瞳が、うるむように笑んでいた。

男が出したクリーニングを、いつも夫が、受け出してくる。
先週のワンピースも。そのまえの礼服も。
おととい履いていた、夫の気に入りのえび茶のスカートも。
きっと、夫が持ち帰るにちがいない。
ふたりの男のあいだに交わされた黙契が、どんなものなのだかは。
想像して愉しむだけで・・・いまは済ませておこう。

ななめ模様のストッキングのうえから、なぞるように押し当てられた、男の舌。
そのあとを、名残りを追うようにして。
這わされていったであろう、夫の唇。
枯れ切ったとばかり思い込んでいた、濃い情念を。
今夜はひさしぶりに、ともに交し合ってみようか。
ビニール袋のなか、あのときのしたたりがまだ糸を引いているような錯覚に囚われたとき。
「おーい、あがったぞ・・・」
風景とは別種ののどかな声が、リビングから聞こえてきた。

凌辱の魔力 2

2008年06月14日(Sat) 06:59:17

ぎし、ぎし、ぎし、ぎし・・・
母の寝室のベッドは、まだきしみつづけている。
3人の共犯者どもは、かわるがわる。
抵抗する意思を喪った女体のうえにまたがって。
己の欲情を、遂げてゆく。
黒のスリップのすそから滲まされた母の太ももは。
ひざ下までずり下ろされた黒のストッキングの翳りからあらわにされていて。
齢から想像することができないほど、白かった。

いい体だね。ご馳走さん。
お礼はわたしにたいしてではなくて。
写真のなかにおさまった父にであった。
裏返しにされていた写真立てが、はじめて母のほうへと向き直るとき。
母はさすがにちょっとだけ、表情をこわばらせて、
けれども目をそらさずに、写真になった父を見つめて。
謝罪するように深々と、頭を垂れてゆく。
頭を垂れながら、肩から落ちたスリップの吊り紐を直すしぐさが。
なぜだかひどく、ふしだらに映った。

さすがに神妙な顔つきの3人は。
それでもすぐ、本性をあらわにしていって。
どうせなら。だんなの前で、再婚の報告をしたらどうかね?
頭のうながすがまま、写真立ての置かれたテーブルのまん前に。
ほかの2人は女を引き立てていって。
スリップ一枚の身体を、じゅうたんの上にねじ伏せてゆく。

じゅうたんのうえ、びゅうびゅうとほとび散る液体が。
母の心のなかまで染め替えるのに。
さして時間は、かからなかった。
妻のときと、おなじように。
表情を変えた母は。
息子と嫁の見つめるまえ。
獣たちの突き出した一物を。
淑やかに刷いた口紅に縁取られた薄い唇をひらいて。
かなり慣れたようすの受け口で、順繰りにくわえ込んでいった。

床に長く伸びた、脱ぎ捨てられた黒のストッキングを、妻は片手でつまんで、拾い上げて。
あなた、穿いてみる?
上目遣いで、促されていた。
おそるおそる手にしたストッキングは。
凌辱される妻の傍らで脚に通したもののように。
毒々しい光沢のぎらつきはなかったけれど。
却って・・・”堕とされた”という実感を、増幅させてくれる。
ストッキングに残った母の熱い体温が、わたしの脚を包み込んだとき。
なぜか・・・熱い涙がしたたり落ちていた。

お見事な腕前ですね。
いいや、それほどでも・・・
お若いだけじゃなくて、いいお体。
相性がよかったんでしょうね。
まぁ・・・
ずんずん突き上げて差し上げますよ。^^
ユリ子さん、あなたに感謝なさったでしょう?
そりゃ、とうぜんですよ。
ときどきでいいから・・・来て。
エエ、よろこんで。^^
和気あいあいな言葉のやり取りは。
なぜか無機質な響きをもっていて。
よどみなく澄んだ声色をした母の物腰も。
作りつけたように、儀礼的なものだった。

きょうは素敵なお友達を紹介してくれて、ありがとう。
あなたは罰として、そのストッキング穿いたまま、お戻りなさい。
首筋や足首を、獣どもの飢えた接吻にゆだねながら。
娼婦に堕ちた初老の女は、
白髪交じりのロングヘアを時おりうるさげにかきあげながら。
服のすき間から差しいられてくる手や指に、
くすぐったそうにころころと、笑いこけている。

お部屋に通されるまえにね。
いつもブラウスを破かれちゃうの。
あら、お義母さま。愛されていらっしゃる証拠だわ。
このあいだミチヒコさんといっしょにいるときは。
お庭でスーツを泥んこにされちゃった。
いつになく会話のはずむ、嫁と姑は。
ふたりながら着崩れした衣装と、乱された髪形を、
薄笑いして見比べながら。
ちらちらこちらの反応を、うかがっている。
堕とされちゃいましたね。わたしたち。
う・ふ・ふ・ふ・ふ。
交わされる笑みは、あきらかにこちらに向けられたものだった。

もうひとりいれば、お一方に女ひとり行き渡りますわね?
かつて母親だった女は、かつて妻だった女を見返って。
あなた、生んで差し上げなさいよ。どなたの精でもいいじゃないの。
でもその時分には、わたくしのほうがお役御免になっているわね。
小気味よげに、うそぶくと。
ご結婚を控えた、ミチヒコさんの妹さんがいらっしゃるじゃないの。
口紅に毒でも塗り込まれているのか、
女たちの悪だくみは、とどまるところがない。

行ってまいりますね。
あぁ、気をつけて・・・
こんなやり取りを交わすようになって、どれほどの刻が過ぎたのだろう?
はじめてセーラー服を着ることになった娘は。
お祖母さまに見せてさしあげましょうね。
ママのすすめに、素直にうなずいて。
さいしょのときには、さすがにべそをかいて、わたしにはただいまひとつ、言わないで。
勉強部屋に、閉じこもっていたけれど。
いまはママとおそろいの黒のストッキングに脚を染めて、誇らしげに、見せびらかしてくる。
娘のストッキングも、脚に通したのか?ですって?
ははは・・・それはご想像に、おまかせしますよ。

凌辱の魔力

2008年06月13日(Fri) 07:41:21

~はじめに~
多少、ばいおれんすかも。です。^^;


ゆ、ユリ子ッ!
あ、あなたあっ!!
わたしたち夫婦と彼ら三人との出逢いは、そんな感じだった。
一人は撮影係、一人は妻を後ろから羽交い絞めにし、もう一人が服を剥いでゆく。
ビリッ!ビリッ!ブチチーッ!
密室のなか、ブラウスの裂ける悲鳴のような音が、泣き叫ぶ声と交錯した。
うへへへへっ。奥さん、いい身体しているね。
くじ引きで一等を引き当てた男は、舌なめずりせんばかりにして、
おっぱい丸出しになった妻に襲いかかった。
そう・・・妻の貞節をかち獲る順番は、たあいのないくじ引きで決められたのだ。

身に着けるものは、スカート一枚。
むき出しの上半身は、か弱い筋肉を精いっぱい張り詰めさせて抗いつづけていたが。
逞しく隆起した暴漢の上体を無防備にされた豊かな胸から隔てようとしていた腕が折れるように屈すると、
あとは・・・しぜんのなりゆきだった。
濃紺のスカートにおおわれながら浮き彫りになったしなやかな太ももが、
スカートの奥にまで侵入しせり上がってくる丸太ん棒のような太ももに、
ためらいながらも動きを合わせてゆくのを。
ずり落ちたストッキングがふしだらな裂け目を滲ませて、淫靡な光沢に染まるのを。
目の当たりにしながら、視線をはずすことができなくなっていった。

淑女の衣装を剥がれて生身のメスになり果てて。
むき出しのおっぱいをたぷんたぷんと揺らしながら、バックを許して、腰を振って。
セットを解いた長い黒髪を振り乱しながら、夫のまえでしゃぶり始めて。
あお向けになった男のうえ、自分からまたがって、
頭のうえで、髪を抑えながら、奥深くまで挿入されるよう、細腰を深く沈めていって。
仰のけられたおとがいから、乱れた吐息が洩れるあいだ。
肩までかかる黒髪が、それ自体が生き物のように、ユサユサと揺れつづけた。
川の字に横たわって。
まえと後ろから、順ぐりに、犯され抜いて。
顔面にかがみ込んでくる男の一物を、指でつまんで口に入れて。
乱れる妻は恥を忘れ、不覚にも股間をどろどろにしてしまったわたしも、理性を飛ばしていた。

リリリリリン・・・
ふたりきりの自宅に、電話の呼び出し音が無機質に鳴り響く。
「・・・はい。」
受話器をとった妻は、くぐもるような低い声で、応対して。
「わかりました。すぐに伺います」
振り返った視線ですべてを察したわたしは。
「気をつけて」
そういうしかなかった。
見送りさえ拒んだ妻は、ドアの向こう側で玄関を閉める音だけを残したまま。
明け方になるまで、戻ってこなかった。

まんじりともせずに、明かした一夜。
真っ暗闇が群青色を帯びるころになって。
人目を忍ぶようなハイヒールの足音が。
コツコツと無表情な響きを近づけてくる。
玄関で出迎えた妻は、薄桃色のスーツ姿。
どうやら向こうで穿き替えてきたらしいストッキングは、真新しい光沢を滲ませていたけれど。
ボタンをぜんぶ留めたジャケットの奥に隠された、釦の飛んだブラウスと。
梳ききれずに振り乱された長い髪が。
行き先でなにが起きたのかを、告げていた。

思わずぐいと引いた妻の腕を。
よろけるのもかまわずに、浴室まで連れて行って。
剥ぎ取るようにして、服を脱がせると。
まだ汗ばんでいる肌の、そこかしこに。
くまなくキスの雨を降らせていって。
ゆったりとけむる湯気のなか。
素手に石鹸の泡をこんもりと盛って。
身体のすみずみまで、洗い流してやった。
劣情滲ませた唇になんども含まれたであろう乳首も。
怒張しきった一物で、幾度も貫かれたであろう股間の茂みも。
湯あがりの身体のまま、リビングに引き込んで。
羽織ったガウンの帯を、解き放って。
一糸まとわぬ妻の裸体をみるのは、意外なことにひさしぶりだった。
そう・・・そのままじゅうたんの上、寝転がって。
出勤まえの限られた時間を、汗と昂ぶりに充たしてゆく。

くる日も、くる日も。
白昼ですら、電話の呼び出し音が鳴った。
そのたびに。
受話器を取った妻は、無表情にこくりとうなずいて。
地味なスーツに身を包んで、出かけていった。
ときには自宅さえもが、獣どもの”宴”の場となった。
狂った宴は、わたしが帰宅する時分まで、終わらなくて。
家のなかで人の気配はするのに、インターホンに応じなかった。
隣近所の目をはばかって。
そのまま室内にあがると。
奥の寝室から、妻はひとり髪振り乱して。
裂けたスリップ一枚の姿で、出迎えて。
妻に代わっておかえりを言うにやけた男どもは。
手んでに、わたしの背広を脱がせて、いすに縛りつけて。
狂宴のつづきに、耽りはじめるのだった。
背広一着、だめにしなくて済んだよな。
親しみのこもった、あざけりの声。
ぬるぬると生温かい粘液で、太ももを濡らしてしまったわたしを見て。
はじめて、男どもがわたしを裸にしたわけをさとっていた。

すまないね。おれたちも、奥さんなしではいられない体になっちまったんだ。
頭だった男は、ぼそりとつぶやいて。わたしの顔を覗き込む。
暗い瞳のなかにあったのは。
獣欲のたぎりだけだったのだろうか。
深く沈んだとび色の瞳は、暗鬱に澱んでいて。
どの男たちも、なぜかひどく打ちしおれて。
全裸のままベッドのうえで仰向けになったままの妻を、残り惜しげに見返りながら、去っていった。

「”ご主人も来ない?”・・・って。」
冷ややかに差し出された受話器を受け取ると。
もう・・・やめにしてくれませんか?
夫として言わなければならないひと言を。
わたしはまたも、飲み込んでしまっていた。
喜んで伺いましょう。いま、すぐに。
電話を切ったわたしのために。
妻は表情を消したまま、会社に着て行く背広を用意していた。

コツコツと響くハイヒールの足音に。
自分の足音を添わせていって。
いつの間にか、恋人同士のころのように、腕を組んでいた。
淡い香水の香りが、ツンと鼻をつく。
獣どもの荒っぽい歓迎のために、きりりといちぶのスキもなく装った妻。
たっぷりとしたふくらはぎは、時おりよぎる街灯に照らし出されて。
黒のストッキングの表面に、毒々しい光沢を滲ませる。
着いたわよ。
妻がさし示したのは、路傍の草むら。
ここで私たち、襲われるのよ。
ウキウキとした声色が、いつになくはずんでいた。
遠くの灯りを背にして、影絵のような顔からは。
滲まされた表情をさだかには見とれなかったけれど。
笑んでいる。
凄烈に、笑んでいる。
それだけははっきりと、窺い取ることができた。

家並みからはずれた草地は、ひざまで隠れるほどに草ぼうぼうで。
そのまん中までわたしを引き込んだ妻の腕は、意外なほど力がこもっていた。
がさ・・・がさ・・・がさ・・・
どうやら先に着いてひそんでいたらしい、三つの影が。
周りから、わたしたち夫婦を取り囲む。

う、ふ、ふ、ふ、ふ・・・
通り過ぎた車のヘッドライトを一瞬浴びた妻の顔は。
鮮やかに刷いた化粧が、気味悪いほど映えて。
半開きにした薄い唇からのぞいた前歯が、淫蕩な輝きを放っていた。

まるで隠れんぼでも、するように。
妻は両手を頭に載せて、その場にしゃがみ込んでいて。
男どもは、妻の肩にまたがらんばかりに、近寄って。
ぶっかけ大会だ。ご主人も、参加するだろう?
いやおうなく、背広のズボンを脱がされて。
妻の前、一物をさらけ出されていた。
いきなり冷気に触れた一物は。
縮こまるどころか、熱々に昂ぶっていて。
けれどもそれより早く、隣の男が妻の髪飾りに向けて。
ねばねばとした濁り汁を、どろりとほとばせ始めていた。

長い黒髪を結い上げた、髪飾りに。
スーツのジャケットの襟に。
しゃがみこんだスカートに。
三色・・・いやわたしまで入れて四色の濁液が。
妻の装いを、辱めてゆく。
服への凌辱を、決定づけるように。
頭の男は、妻のブラウスの胸に、じぶんの魔羅を圧しつけて。
薄い生地の向こう側まで透けるほど、じゅぶっとはぜる音が聞こえるくらいに。
べっとりと、なすりつけていた。

頭を小突かれて。
その場に、まろばされて。
ダンナは、サービスする側だよな?
促されるまま、手足が勝手に動くように。
妻の腕を、抑えつけている。
長々と地べたに伸びた腕は。
だらりと意思を喪っていたが。
草地に埋もれた手首だけは、掴まえたわたしの掌のなか、
キュッと引きつるような緊張を残している。

ユサ、ユサ・・・
がさ、がさ・・・
草を掻き分ける耳ざわりな音が、身じろぎのたびにこだまする。
太ももまでのストッキングを、かすかな灯りに滲ませながら。
はぜるような呼気と呼気が、熱っぽくせめぎ合う、
無言の営み。
挿入を受けるたび。
妻の身じろぎが、手首を通して、伝わってきて。
そのたびに。
まるで自身で妻を犯しているような歓びが、稲妻のように閃いた。
背中を押された・・・とおもったときには。
もう、妻の上に馬乗りになっていた。

思う存分、妻の体内に精液を放射すると。
おなじ穴に汁をそそぎ込んだ連中は。
賞賛するような無言のどよめきと。
音をたてない祝福の拍手とを送ってきた。
四匹の獣は、餌を分け合うように。息の合った共犯者のように。
かわるがわる。入れ替わり、立ち代り。
エモノをむさぼり尽くしていった。
その輪のなかに、入れられて。
混濁した精液に、随喜のすすり泣きをあげる女体に。
ためらいひとつ、感じないで。
わたしも、怒張したものを、割り込ませてしまっていた。

ふたたび通りに出てきたときには。
着崩れしたジャケットに、はだけたブラウス。
釦をぜんぶ飛ばしたブラウスは、無防備なおっぱいが泥だらけになっているのをさらけ出していて。
黒のスカートのすそも、ぴかぴかだったハイヒールにも。
泥のかたまりが付着している。
太ももまでのストッキングは、片方だけになっていて。
もう片方をせしめた男は、妻の足型を残したその片割れを、
わたしのまえ、見せびらかすようにして、ぶら下げている。

髪振り乱した妻は、別人のようにだらしなく、へらへらと笑いこけながら。
裂けたストッキングのふくらはぎを撫で回す男に、くすぐったそうな嬌声を投げている。
おどけて足踏みするふくらはぎから、ピリッ、、ピリッ・・・と、ストッキングを擦り剥かれていって。
もうっ。
けたたましく洩らした声を、早起きの家は聞きつけたかもしれなかった。
ストッキングの片方と、ストラップの切れたブラジャーと。
精液まみれになったパンティと。
三つながら、仲良く分け取りにされて。
脚にのこしたほうのストッキングは、ダンナのぶんだね・・・と。
頭はにんまりと、笑いかけてくる。
このまま、夫婦ながら。
着崩れした、半裸の装いで帰宅するのか。
スリルあるだろ?
頭のささやきに、わたしも妻も、イタズラっぽく笑みかえしてしまっている。

ジリリリリリン・・・
土曜日の夕暮れ刻。
わが家の電話機は、いつものように鳴り響く。
いつものように濃い化粧をした妻は。
薄っすらとわたしのほうを、振り向いて。
こんどは、お義母さまもお連れしましょうよ。
あのお若さで未亡人だなんて、もったいないわ・・・
魔性を帯びた囁きを、毒液のように流し込んでくる。