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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

いつの間にか

2008年07月31日(Thu) 06:53:52

記事の数が、1500を超えていましたよ。(^0^)
ほんとうは1499のときに気がついたのですが。
”魔”が通りすぎてわれにかえったあとには、忘れていました。
つづきものもありますし、こんなふうな独り言もつぶやいていますので。
厳密にいうと、記事の数イコールお話の数ではないのですが。
(独り言を集めた「紹介」が、きのう現在で204件になっています)
まぁ、記念ということで。^^

三年と二ヶ月で1500というのは、多いのか少ないのか。
一日ふたつはあっぷしないまでも、ひとつということはない・・・という頻度、ですねぇ。(^^ゞ
読みきれなかったあなた。
それは、あなたのせいではございませんよ。
作者の頭のネジが数本はずれているのが、悪いのです。(笑)

カテゴリ別にみますと、
ま~、みごとにばらけていますこと。(・・;)
10とか20とかいうのが、ごろごろひしめいていますね。
無計画の証しです。(^^ゞ
一番お気に入りでなおかつロングランな「まりあのお部屋」が60話。
さいしょこれをメインでいくかなと思っていた「妻由貴子の情事」と、ほぼ並んでいます。
圧倒的に多いのは「人妻」の249件。
それに「近親」「ご近所」「少女」がつづきます。
このあたりが100件を超えています。
昨日久しぶりに近親ぽいのを描きましたが、こちらはここのとこちょっとご無沙汰かな?
私のなかの濃い部分がどのへんにあるのか、参考になるようなならないようなデータ紹介でした。
(^^ゞ
ではでは

嫁と 妻と

2008年07月30日(Wed) 07:46:20

息子の嫁を、襲わせてくれ。
あんただって、じつは下心があるんだろ?
こっちの気持ちを、いつさとったのか。
影はわたしの胸の奥を、淫らな毒液で浸していった。

なあーに、びびることはない。
真夜中にオレは、おまえの家に忍び込んでいく。
嫁はきっと、遅くまで。
着飾ったまま、オレを待ち受けているはずだ。
決して声を、たてないで。
物陰から、覗いているがいい。
息子が戻ってきてるって?
どうってことはない。
オレの番が済んだら、あとはお前におこぼれをくれてやる。

男の言うがまま、わたしは嫁の由香里が襲われている部屋のまえ。
まるで見張り番をするように、廊下でずっと、たちつづけていた。

さあ、どうぞ。
あんたの嫁は、美味だったぜ?
影はうっそりと、意地悪そうな含み笑いを浮かべながら。
のっそりと部屋から出てくると。
わたしは入れ違いに、部屋に入り込んでいて。
着崩れしたワンピースから見え隠れする白い肌に、
まるで獣のように、襲いかかっていた。

うふふふ・・・ふふ・・・
われにかえると、隣室から笑み声が。
ふすまの隙間から覗いた光景に、アッと息を呑んでいた。
和服姿の妻が、畳のうえにまろばされて。
さっき嫁を食い散らしていった影の下敷きになって。
びろうどのような肌を、襟首のすき間から覗かせてしまっていたのだから。

妻が侵されている。
妻が辱められている。
なのに・・・
わたしはいっそう、昂ぶりをおぼえていて。
息子が寝ているおなじ屋根の下。
嫁を組み敷いて、力なく開かれた股間に、びゅうびゅうと精をほとばせていた。

許してやろう。
妻のことも。影のことも。
なにしろこの齢で、これだけ若い女を征服することができたのだから。
なにものにもかえがたい、若い肢体。
そう、たとえ。
相手が近親であっても・・・
家内が抗いながら犯されている隣室で、わたしは嫁を征服しつづけていた。

ふと見ると。
妻の上にいるのは、息子。
母さんをモノにした。
母さんを、犯しちゃった。
ずっと母さんと姦りたかったんだ。
あらぬことばに、頷きながら。
妻はいっそう、襟首をくつろげていく。
いけない!と思ったときには。
嫁の腕が伸びてきて。
わたしを放すまいと、ヘビのように巻きつけてきた。

かわるがわる。
影は、妻と嫁とを、犯していって。
かわるがわる。
息子も、嫁と交わり、母親である妻をも辱めてゆく。
かわるがわる。
かわるがわる。
かわるがわる・・・
わたしたちは一夜にして、堕ちていた。

母娘ながら と 嫁姑ながら

2008年07月30日(Wed) 07:03:47

親子丼って、いいますよね?
そう。
母親も娘も喰っちまうこと。^^
味比べ・・・だなんて品の悪いことも、呟きたくなってしまうような、いけない趣味です。^^;
ふつーはだんなに黙っていい思い・・・となるはずなのですが。
柏木、どうしてもこのシチュエーションのおとーさんのことが、妙に気になってしまうのです。
知らぬが花・・・っていうのが、ふつーのスタイルなのですが。
もしも知ってしまっても、修羅場っていうのはヤなものですから。

柏木ワールドですと。
その実おとーさんも、ドアの隙間や物陰から、こっそり覗いて愉しんじゃっていたりするんですね。
案外おとーさんのほうから、誘惑の依頼があったりして。
舌なめずりしながら夜這いをかけてくる男のことを、庭先から引き入れてやったりしているケースも。
禁断の扉を開いてしまったご家族のまえには、愉悦の楽園が広がります。^^

こういう場合。
おとーさんの立場で、妻と娘を喰われちゃう。
というのと。
息子の立場で、ママとお姉さん(または妹)を食べられちゃう。
というのと。
ふた通りの愉しみかた?があるはずなんですが。
寝取られ好きな貴方なら、どちらをお選びになりますか?

娘のまえではさすがにかっこつけたいかな?
という向きでしたら、後者でしょうか。
ママを支配される・・・っていうのは。
自分の全存在を支配されちゃうのに等しい仕打ちだと思うんですよね。
尊属を堕とす。
ということも。
かなり禁忌性が高いような気がします。
いっぽうで。
寝取り相手が、たとえば娘の恋人とかだったとしたら。
娘婿に、永年連れ添った愛妻まで吸い取られてしまう・・・というのも。
なかなかオツな感じがします。^^
いや、一家の長としては。
ここは男らしく責任をもって?家族を堕としてあげましょうか。^^
貴方なら。
娘を堕としてから、妻に挑ませる?
それとも歳の順で、奥さんから・・・?


もうひとつの組み合わせは。
嫁姑ながら・・・というやつです。
女どうしが血のつながっていない・・・という点で、いままでのパターンとは若干違います。
吸血鬼ものの場合、生き血の味も、だいぶ違うでしょうな。^^
だいいち、状況次第では、かな~りシビアなライバル同士となりますから。
お互い張り合って、競い合うようにして柔肌をさらけ出しあっちゃう。
なんて。
エッチな眺めも期待できそうです。^^
嫁の乱行を止めようとした姑までが巻き込まれて、
○子さんは、いやらしいんだから・・・
とか、口尖らせながら。
男に手を引かれるまま、奥ゆかしい和服姿をベッドのなかに引きずり込まれてゆく。
とか。
禁忌性という面では、お姑さんを堕とすほうが、萌えを覚えてしまいます。^^

この場合。
被害者役の男性になるとしたら、お舅さん?それとも、息子さん?
妻と嫁を犯される
というよりも。
母と妻をふたりながら差し出してしまう。
というほうが。
柏木的には、圧倒的に萌えるのですが。
みな様のばあいには・・・いかがでしょうか?^^

そうそう。
昨日、「スリップのコレクション」というのに、拍手を頂戴しました。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1308.html
奥さんの貞操を夫のまえでしょうしょう手荒に拝借していく・・・というお話のなか。
母娘二人ながら、父と息子のまえで頂戴してしまった。
みたいなくだりがあるのですが。
嫁姑も入れるんだったなあ・・・と、あとになってから思っています。(笑)
あ。やり口はしょうしょう手荒なんですが。
目のまえでせしめられてしまった奥さんのスリップが公園でさらされるのを。
皆さんゾクゾクとして、愉しんでおいでです。^^

真夜中の誘惑

2008年07月30日(Wed) 06:16:30

手足をだらりと伸ばした妻は。
淡いブルーのネグリジェ一枚の姿を外気にさらしたまま。
土気色の顔をして、目を瞑っている。
首筋には、ふたつ綺麗に並んだ傷あと。
吸い残された血潮が、たらたらとしたたり落ちて。
まだ、バラ色の輝きを放っている。

ぎくり、とした。
夢というにはあまりにも、リアルな幻覚。
けれども目のまえに繰り広げられる光景は。
いまの幻覚そのものだった。
幸いなことに。
客人のまえさらされた妻の素肌は、まだ生気に満ちている。

キュウ・・・キュウ・・・ごくん。
絶え間なく洩れてくるのは、妻の生き血を啜る音。
意識も切れ切れな妻は、しっとりと眉をひそめて。
かすかな苦痛に耐えている。
長いまつ毛を、ナーヴァスにピリピリと震わせながら。

妻のうえにおおいかぶさった男は。
首筋につけた傷口から、牙を引き抜くと。
血に濡れたままの唇を、むぞうさに妻の唇に重ね合わせてゆく。
失血にあえぐ口許を、ふさがれて。
さいしょはいやいやをするように、激しくかぶりを振っていたけれど。
やがて男の貪婪なむさぼりと、動きをひとつにしていった。

どちらが、求めているのか。
どちらが、むさぼっているのか。
判別のつかないほどの、せめぎあい。
求め合う唇と唇とは。
互いに熱い息遣いを交し合い、伝え合う。

放恣に伸びきった肢体を横目に眺めながら。
男はゆったりと、わたしに語りかけてくる。
どんなに物堅い女でも、唇を許すと意外に他愛なく、堕ちてしまうのさ・・・と。
きょうはこれで、満足した。
奥さんとも、貴方とも、仲良くなれたのだからな。

だいぶ、愉しんだようだね。
ふたりの熱い仲を、苦笑しながらも認めてやると。
男は安堵したように、はじめて打ち解けた笑みを向けてきて。
安心しな。奥さんを殺めたりは、決してしないから。
代わりに奥さんの血液に、ちょいと淫らな毒液をたらし込んでおいた。
真夜中、奥さんが着飾って紅茶をすすり始めたら。
ご主人、寝たふりをしてやってもらえないかな。
ひっそりとそう、囁きかけてきたのだった。

妻が真夜中に、紅茶をすすっている。
昼間のように、着飾って。
髪をきりりと、結い上げて。
真珠のネックレスで飾った首筋には、どす黒い痕がふたつ。
いつの間にか忍び込んできたどす黒い霧は。
妻のことを、座っているソファごと包み込んで。
両肩を横抱きにしながら振り向いたその男は、
いつものように、薄暗い笑みをこちらに送ってくる。

首筋を噛まれて。
鋭利な牙を、柔肌の裏側まで、しっくりと受け容れて。
鮮やかに口紅を刷いた薄い唇から、白い歯をにじませて。
まつ毛をナーヴァスに、ピリピリと震わせながら。
手はゆっくりと、ワンピースのすそを引き上げてゆく。
白い脛をなまめかしく透きとおらせた黒のストッキングごし。
脂ぎった唇が、ねっとりと吸いつけられてゆく。
礼装のうえからのまさぐりに。
妻はえもいわれない、悩ましげな色をよぎらせて。
荒々しくむさぼりつけられる唇に。
這いまわる舌に。
欲情たぎる粘液を、ぬめりつけられて。
足許を包む薄いナイロンを、いびつにゆがめられて。
女はそれでも、満足そうに。
ころころと、くすぐったそうな笑い声を洩らしながら。
男の術中に、堕ちてゆく・・・

毎晩・・・では身体が持つまい。
週にふた晩で、かまわない。
奥さんを真夜中、デートにお連れするよ。
わたしも、妻も。
無表情な白面のまま。
男の言うなりに、頷いていた。

十三回、落としてしまうと。
女はほんとうに、堕ちてしまう。
さいしょの十二回は、夢中にすぎるから。
十二回めには、警告を発してあげよう。
きみがちゃんと、思い出すように・・・
男はどこまでも、礼儀正しかった。

十二回めだよ。
つぎは、金曜の夜だね。
男がそう囁いたとき。
口許からしたたる妻の血が、持ち主のブラウスに、たらたらと落ちた。
妻のブラウスには、きみに散らされるバラ色のしたたりが似合うようだ。
薄々のストッキングの微妙な舌触りも、きみには気に入ってもらえたようだね。
とうとう、家内に祝言をあげさせるはめになっちゃったね。
考え抜いたわたしの科白を、男はくすぐったそうに、受け流した。

花嫁衣裳には、どれを選ぶ?
わたしの問いに男が用意した答えは、漆黒の礼服。
奥さんの貞潔を、いっしょに弔ってあげたいのでね。
おごそかに言い放つ男の視線は。
ごわごわと重苦しい礼服のすその下、
蒼白く滲んだ脛にぴったりと密着した薄墨色のストッキングの足許に、
舐めるように注がれている。
いかめしい礼服のなかの、もっともなまめかしい部分。
妻はその夜も、いっそう薄いストッキングで、足許を彩るのだろうか。

真夜中の草むらは、ざわざわと耳ざわりな音を立てている。
風もないのに。
聞くものも、わたしだけなのに。
丈の高い雑草の合い間から片方だけ覗いた、妻の脚は。
薄墨色のストッキングを、ひざの下までずり降ろされていて。
くしゃくしゃにたるんだ足首のあたりまで、
したたり落ちる白く濁った粘液を、ぬらぬらと光らせてしまっていた。

おめでとう。
ありがとう。
交し合う、ひそやかな祝福に。
妻は小娘のように顔赤らめて。
男はひっそりと、薄暗い笑みをかえしてくる。
なれなれしく肩にまわされた腕に、力を込めて。
男は妻の頬に接吻を重ね、
いまいちど、草むらのなかに押し倒していった。

ほんとうですのよ。
真夜中に、お散歩して。
転んじゃったんですよ。
明け方、わたしのあとに家に戻ってきた妻は。
しらじらしい言い訳に、口ごもりながら。
もじもじと決まり悪そうに、小さくなっていた。

わたしは妻の足許に、寝そべって。
淫らな伝線をいく筋も滲ませた黒のストッキングを。
ぴりぴりと音を立てて、裂き取ってゆく。
奥さんの貞潔を、ごいっしょに弔ってさしあげましょう。
開かれた股間に、腰を沈めるまぎわ。
男が呟いた魔性の囁きを。
幾度も幾度も、反芻しながら。

ノンサポートタイプのストッキング

2008年07月26日(Sat) 07:52:16

平成になったころから、ストッキングのなかではすっかり主役の座を占めているサポートタイプストッキング。
けれどもいまだに細々と、ノンサポートタイプのものも、
スーパーの売り場の片隅とかで、安価で売られていたりする。
締めつけ感のほとんどない、やわやわで頼りない肌触りが。
ストッキングが昔、高貴な女の象徴だった時代を思い出させるようで。
肌をすれる微かな感触さえも、奥ゆかしく思えたりする。
懐かしい憧れの女(ひと)や、かつて若かりしころの母に。
ふたたびめぐり逢ったような。
そんな錯覚の落ちるのは、なぜ・・・?

乱交の雑木林 ~エリート会社妻 集団凌辱譚~

2008年07月26日(Sat) 07:48:04

いつも質素な、フォーマルウェアなのに。
ストッキングだって、格別ブランドものを脚に通していくわけでもないのに。
なによりも・・すでに若いといわれる齢ではないはずなのに。
かならずお声のかかる妻。
拒む風情が、なんともいえないのさ。
村にきてから、わたしと妻を共有するようになった土地の有力者の爺様は。
狒々のような好色そうな赤ら顔をほころばせて。
いつもわたしに、ささやくのだった。
お嬢さんもつれてきてくださると、助かるね。
なにしろ村には、若い娘の血が少ないものでね。
そんなことはない。
どこからも、ここからも。
さまざまな係累をたどって、ここには若い女たちが群れ集う。
けれどもそんな女たちにすら、見向きもせずに。
狒々爺様は、わたしの妻を口説きにかかる。
薄々のストッキングは、男のいやらしい舌なめずりにさらされると。
恥辱に耐えかねるようにして、
はかなくはじけ散ってしまう。
ちりちりと伸びた伝線に、妻は悔しげに眉をひそめるのだが。
すでに・・・観念しきっているのだろう。
そのまま男のまえに、惜しげもなく脚をさらして。
気品のある装いに加えられる凌辱を、甘受していた。
すぐにほつれを見せるナイロンが。
まるで堕ちたがっている娼婦のようだと。
狒々爺様は開けっぴろげな言い草だった。
彼の言い草も、いわれのないことではないらしい。
処女のまま血を吸われるだけの娘のかたわらで。
悩ましく、眉を寄せながら。
礼装を草だらけにして、乱れ果ててゆく妻。
すべてがおわり、家路をたどるとき。
娘とわたしのまえ、謝罪するように深々と頭を垂れて。
そむけるようにした頬に輝くものは、なに?
そろそろ、あの刻限がめぐってくる。
学校が終わったはずなのに、制服に着替えた娘。
夏服には重たすぎるはずの黒のストッキングが、なぜかしっくりと足許に映えている。
そして、妻も。
夏には暑苦しいはずの黒ずくめの礼服に、今朝も身を包んでいるけれど。
薄々のストッキングの足許は、ひどく涼しげで、なまめかしくて。
どうしていつも、喪服なの?ですって?
貞操を弔っているのですよ。
薄っすらとほほ笑む横顔は、魔性の輝きを秘めている。


あとがき
前作でちょこっと顔を出した部長夫人とその令嬢の存在感があまりにも印象的だったので(当社比)、
ついつけたりを、作ってしまいました。(^^ゞ

朝餉のまえに  ~エリート会社妻、集団凌辱~

2008年07月26日(Sat) 07:33:38

目がさめた。
枕もとの時計は、午前三時。
さっきチリリ・・・と、かすかに目覚ましが鳴ったのだ。
わたしは独り寝のベッドからそろりと身を起こして。
ちょっとのあいだ、家のなかの気配をさぐるように、耳を澄ませた。
足音を忍ばせて、着替えて、家を出ると。
すこしでも早く家から遠ざかろうと、足を速めた。

目ざしたのは、街はずれの雑木林。
モダンな街並みと対照的に、山深いこの村の木立ちは濃い。
丘のうねりをひとつまたぐと、まるで山奥にいるかのような密度をもっていた。
涼しい風がさわやかに頬を吹きすぎたけれど。
ずきずきと熱く昂ぶった心のほてりまで冷ますことはなかった。
よう。
朝霧の向こう。
男は手を挙げて、こちらに応えてきた。
約束どおり、来たね?
家族ともども、この村に赴任して。
初めて親しくなった男。
ワインを商っている彼は、陽焼けした白髭だらけの顔をほころばせていた。
昨日のことだった。
きょうは早く、店を閉めるよ、あしたの朝早いんでね。
思わせぶりな、ひと言に。
なにかある・・・そう感じたわたしは。
けげんそうに小首を傾げて、男のつぎの言葉を待ち受けた。

エリート会社のご家族がさ。
真夜中に着飾っておおぜいで連れだってきて、
ストッキングの脚を、舐めさせてくれるのさ。
都会そだちの奥さんやお嬢さんがたは、
みんなブランドもののストッキング履いているんだね。

たしかに彼らのあいだでは。
わたしの勤める会社は、エリート会社と呼ばれている。

知性や教養がいくらあっても・・・
なに、こぎれいなおべべを一枚剥いだら・・・
やることは、皆おなじさ。
うそぶく男は、そういいながら。
あんたの奥さんにも、招集がかかっているはずだぜ?
じゃましない・・・って、誓うなら。
どこでヤルか、教えてやってもいいよ。

男の誘いに、引き込まれるように。
わたしは強く、頷いていた。

遠くから、ぞろぞろ、ぞろぞろ、足音もたてないで。
色とりどりのスーツに、ワンピース。
なかには制服姿の女学生まで、ちらほら垣間見えている。
上背のあるすらりとした、頭だった女性は、
黒一色のスーツで身を固めていて。
もう、白髪の交じる齢格好なのに。
足許を染める薄墨色のストッキングは。
凛としたなまめかしさをたたえていた。
傍らに寄り添う、娘とおぼしき女学生は。
彼女と瓜二つの目鼻をもっていて。
初々しい脛にしっとりと映えた黒のストッキングが。
母親と申し合わせたような気品に足許を染めていた。

部長の奥さんと、娘さんだったよな?
酒屋のささやきに、わたしは黙って頷いている。

どれが、あんたの奥さんかね?
ベーズリー柄のロングスカートから、足の甲だけを覗かせて。
濃紺のストッキングの脚を、よけいに目だたせている、落ち着いた風情の人妻。
ピンクとグリーンのしましまもようのワンピースに、肌色のストッキングの脚をサンダルにつっかけている若い奥さん。
あ・・・
ラベンダー色のスカートに、純白のブラウス姿に、一瞬目が釘づけになったとき。
ほぉら、わかった・・・
酒屋はそういわんばかりに、わたしの顔を覗き込んで。

あんたの奥さんを一発で見分けたら、手伝ってくれるんだぞ。

いなやを言わせぬ勢いでそう口走ると。
女たちの群れのほうへと小走りに駆けていった。
いつのまにか。
四方から、女たちの人影を取り囲むように。
その数倍ほどの無言の人影が、朝霧の彼方から。
ひっそりと、浮かび上がっていた。

後ろ手に、羽交い絞めにして。
ブラウスを、引き裂いて。
ロングスカートの女たちは、脱がされて。
ひざ丈より短いスカートを着けたものたちは、着けたまま。
身をよじらせて、いやいやをして。
飢えた唇を、うなじに吸いつけられて。
ストッキングの足許にまで、べろを這わされてゆく。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・
くちゅっ。
ひそやかにあがる、いやらしい音は。
唾液のはぜる音。切れ切れな悲鳴。
女たちの足許を彩る、しっとりとした薄手のナイロンは。
無作法な唇、野卑な舌に、なぶり抜かれて。
つややかな光沢を、よだれのぬめりに塗りつぶされてゆく。

さながら、乱交パーティだった。
すぐ隣では、課長の奥さんがあお向けにされて。
その足許では、若手社員の新婚妻が四つん這いになって。
むき出した太ももの周り、引き裂かれたストッキングをひらひらさせたまま。
放恣に脚を開いて、敏感になった秘部を、抉られ愉しまれてゆく。
獣の群れに身を投じたあの男も。
いまははぁはぁと、荒い息迫らせて。
組み敷かれた妻は、高価な純白のブラウスに、バラ色の血潮を花びらのように散らしながら。
夢見心地に、うっとりとなって。
新調したばかりのラベンダー色のスカートを、腰までたくし上げられてしまっている。
家から穿いて来た薄々の黒のストッキングは。
赤黒い舌に、これ見よがしに舐め抜かれて。
物欲しげなまさぐりに、いびつにゆがめられながら。
ブチブチと音を立てて、引き裂かれていった。

やっぱり当たり・・・だな。
あんたの奥さん、だったんだな。
じゃあ遠慮なく、犯すぜ。
お近づきの証しに・・・な。

衣裳を乱した妻は、戸惑うようなまなざしを流してきたけれど。
姦っちゃいたい。
込められた想いを、見せつけられてしまったような気がして。
己の素肌を男の胸から隔てようとした細腕を、ぐいとねじあげて。

どうぞ。お召し上がりください。

余裕たっぷりに、口にできたのは。
いまでも、上出来だったとおもっている。

ありがとう。

男はくすぐったそうに、わたしの囁きに応じると。
くしゃくしゃになったラベンダー色のスカートの奥、そのまま腰を、せりあげていって。
ずぶずぶ・・・ぐいっ・・・と。
臀部を沈み込ませて。
妻を狂わせた。

引き裂かれたブラウスの袖に、雑草の葉っぱをくっつけながら。
無器用にしがみついてゆく妻の腕を。
情夫の背中に、巻きつけてやった。

すっかり明るくなっていた。
女たちは、思い思い、三々五々。
まだ気のすまないものだけを、その場に残して、
口数もなく、家路をたどりはじめていた。
だれもが例外なく。
ブラウスを剥ぎ取られ、
ロングスカートは、脱がされて。
ひざ丈より短いスカートは、着けたまま。
剥ぎ堕とされたストッキングに、裂け目を滲ませた脚を、さらけ出していた。

おや。

声をかけてきたのは。
向かいの席の同年輩の同僚だった。
ぴったりと身体を寄り添わせている奥さんは。
優雅なウェーブのかかった髪を振り乱して、
草の葉っぱと泥にまみれたワンピースの胸を、引き裂かれて。
おっぱいをぷるんと、あらわにしていた。
思いのほか淡いピンク色をしていた乳首に、つい目が行ったけれど。
だれも、咎めるものは、いなかった。
吊り紐の切れたブラジャーをぶら提げた同僚は。
照れくさそうに、笑いながら。
奥さんですね?
わたしの妻を、指差した。
お互いの妻の、堕とされた姿を目の当たりにさらしながら。
それでもなぜか、ふだんのように、礼儀正しく、
視線を合わせ、丁重に会釈をして。

では、のちほど会社で・・・
きょうも忙しくなりそうだね。

さりげないやり取りを、交し合っていく。
わたしたちだけではなく。
堕とされた女に付き添った男たちは。
だれもが何事もなかったような会釈を交わしあいながら。
別れ別れに、家路をたどる。

ふたりきりになったとき。
こんどはどこのブランドのストッキング、穿いていくんだね?
わたしの問いに、妻は照れくさそうに顔をそむけて。
もう・・・
軽くお尻を、引っぱたかれた。
家にもどったら。
朝餉よりもまえに。
妻を押し倒してしまおう。
そうでもしないと。
とても今日は、仕事にならないだろうから。


あとがき
似たようなプロットのお話をふたつ。
かたや怪人モード。かたや吸血鬼モードでした。^^

凌辱の森

2008年07月26日(Sat) 06:47:42

夜の闇が、しらじらと明けてきた。
夏場とはいえ、高原の森に漂う透明な空気は涼やかで。
日中の濁った蒸し暑さとは、同じ場所とは思えないほど。
朝霧にけぶる彼方から。
人影が足音もなく浮かび上がり、じょじょにこちらに近づいてくる。
二人、三人、・・・五人、六人・・・
ぜんぶで一ダースほどの人影の一番後ろから姿を現したのは、異形の怪人。
両腕から垂れ下がる触手をぶらぶらさせながら、
のしのしと無造作な足取りをこちらに向けてくる。
その時分には、前のほうの人の列は、ひとりひとり見分けがつくほど近まってきて。
先頭を歩くのは、妻。
半歩遅れて歩みを進めるのは、妹。
すこし遅れて母までもが、二列に並んだ黒い影に、付き添われるように、取り囲まれるように、
おなじ歩みを進めてくる。
怪人の尖った頭が、しなる触手が。
冷酷そうな口許が。
紅く生々しく濡れているのは、彼女たちの身体をめぐっていた血潮。

「コノアタリデヨカロウ」
葬列のように無言の一行を、機械的な声がひきとどめた。
怪人の発したものだった。
まず、先頭を歩いていた妻が。
無表情に、一同のほうへと向き直る。
紺と白のボーダー柄のシャツに、濃紺のスカート。
ほとんど暗い色調の装いに、白っぽいストッキングを穿いた脚が、鮮やかに浮き上がっている。
怪人は、死刑執行人が振り下ろす鎌のように、妻の胸元に吸血管を振りかざして。
ぶすり・・・
ものの見事に、突き刺していた。
ひっ・・・
ひと声、かすかなうめき声を発しただけで。
黒ずくめの連中に両肩を抑えられた妻は。
立ったまま硬直し、透明なチューブ状の吸血管を、赤黒く充たしていった。

紅く染まった吸血管のカーブが、うねうねとしなる以外、すべてのうごきが停止していた。
制止したシルエットからにじみ出るのは、むしり取るほどの荒々しい貪婪さ。
妻は力なく、ひざを折ると。
丈のある下草にくたくたと身を沈めていった。
つぎは、妹の番だった。
純白のセーラー服の下に着けている、濃紺のスカートに黒のストッキングが。
下肢の輪郭を重たげにしていたけれど。
セーラー服の胸に突き刺さった吸血管は、うら若い血を容赦なく吸い上げる。
触手の一端が、細い首に巻きついて、妹は稚なさの残った目鼻を苦しげに歪める。
首に巻きついた触手の先端は、白い線が三本走った襟首ごしに、ぬるりと這い込んで。
純白のセーラー服の内側から、不自然な隆起を見え隠れさせた。
控えめな胸に、貪婪なまさぐり。
妹はせめて、両腕を掴まれている母親のほうだけは見るまいと。
キュッと目を瞑り、顔を背けつづけている。
もういっぽうの触手は、黒のストッキングの足許に巻きついて。
肌の透けるほど薄いナイロンに、ぬらりと光る粘液を沁み込ませていきながら。
じわじわとゆがめ、しわ寄せてゆく。
ぶちち・・・っ。
とうとう耐えかねたように、ストッキングが裂けてしまうと。
ぐいいっ・・・
力を込めて引き抜かれた吸血管からは。
赤黒い血のりがぽたぽたと、草地に垂れてゆく。

濃紺のプリーツスカートを草地に埋めて尻もちをついた妹の向こう。
黒のブラックフォーマルに身を固めた母は。
軽く頬を引きつらせていたものの。
それでも気丈に、怪人の吸血管を、黒のブラウス越し深々と受け止めていた。
三人三様、熱情を秘めた血潮が、透明で無機質の吸血管を、かわるがわる充たしてゆく。
クククククククク・・・
獣じみた随喜の声をあげながら。
母の生き血を吸い終わった怪人は、娘や嫁の隣で尻もちをついた母の足許に、なおも執着して。
黒のストッキングごし、粘液にまみれた触手を、心地よげに巻きつけてゆく。

三人の背後に忍び寄る黒い影どもは。
てんでに、ブラウスやセーラー服に手をかけて。
びりびりっ・・・ブチブチッ・・・
おおっぴらな音をたてて、むぞうさに引き裂いてゆく。
ぁ・・・
女たちは、むき出しになった両肩を、心細げに二の腕で掻き抱いて。
あらわな胸を隠そうとする努力もむなしく、両手を引きはがれ、ブラジャーの吊り紐を断たれていった。

転がされた草地のうえ。
裂かれたストッキングを巻きつけたまま。
三対の下肢は、立てひざをし、ふくらはぎの筋肉をキュッと緊張させて。
しまいに太ももに、淫靡な血潮をめぐらせながら。
一人・・・ふたり・・・
のしかかってくる黒影どもと、夫婦どうぜんの契りを交し合ってゆく。
怪人は独りたたずみながら。
随喜にくねる女たちの脚に、時おり触手をからめていって。
脚の線から浮き上がり、ずるずるとずり落ちてゆく薄いストッキングを、
たくみに裂き取り、引き剥いでゆく。

さいごに、女たちをうつぶせに抑えつけた黒影どもの促すままに。
さいしょに、母。
それから、妻、
さいごに、妹。
順ぐりに、お尻のうえから、腰を合わせていって。
逞しい臀部を、沈み込ませて。
狂わせていった。

いい眺めだな。
しじまのかなたから、声がした。
女たちのきゃあきゃあという、はしゃぎ声に似た悲鳴が、一瞬遠のいた。
そうですね・・・
声のしたほうを、振り返りもせずに。
ぼそりと応えた声色が、昂ぶりを秘めている。
そっけなく抑えた声色からそれを聞き取ったらしい背後の声の主は。
母さん、いちばん長いね。
標的に選ばれただけでも、えらいと思ったんだがね。
おなじ種類の昂ぶりに、声色を震わせながら。
自分の妻が異形のものに征服され、ぶきっちょにしがみつきながら、じょじょに応えはじめてゆくのを。
ひどく満足げに、窺っている。
漆黒のスカートからはみ出した、純白のスリップ。
制服のプリーツスカートからあらわになった、むき出しの太もも。
似通った血の味は、怪人をひどく満足させたらしく。
母のときだけが、ひどく長かった。
佐恵子さんは、一番人気のようだね。
そう・・・新婚数ヶ月の若妻は、堕とされた草むらのうえ、大胆なポーズをとりながら。
黒影どもを相手に、腰を激しく振っていた。
あからさまで聞こえよがしな声を、あげながら。
美加はまだ、かわいそうだったかな。
だいじょうぶ・・・あいつらが濡らしているのは、太ももだけだから。
いまにしんそこ、思い知らされるだろうがね。
さて・・・そろそろ戻ろうか。
女たちに気づかれないように、寝たふりをしないとな。
わたしは声のするほうを、振り向きもしないで。
背後の声が去ってからも。
ただひたすら、静かに進行してゆく饗宴に、酔いしれていた。
堕とされてゆく日常―――。
妻はきっと、なに食わぬ顔で、朝餉の支度をするに違いない。

インモラル・バー

2008年07月23日(Wed) 06:51:10


夜の十時を回ると、この店ではショータイムが始まる。
今夜の出し物は、女四人のボーカルらしい。
やや素人めいた声の重なり合いが、こういう場ではかえって新鮮に響く。
色とりどりのワンピースに、おそろいの黒のストッキング。
メインに謡う真っ赤なワンピースの女は、若妻らしい。
髪型も雰囲気も、どことなくしっとりと落ち着いている。
その隣、袖なしの空色のワンピースの子は、いちばん若い。
もしかしたらまだ、はたち前かもしれない。
隣で謡う若妻の栗色に染めた髪とは好対照に、黒々としたおさげ髪が初々しい。
ふたりの背後は、やや年かさの女性たち。
バックダンサーのように巧みな手ぶりをする女性は、
どことなく若妻ふうの赤ワンピの女とよく似ている。
齢不相応なてかてか光るダークブルーのワンピースが、かえってひどく色っぽい。
その隣、濃い紫の服の女は、いちばん若い子と瓜ふたつ。
どちらかというと正統派な謡いかたで、背すじもしゃんと伸ばしていた。
声も振り付けもややふぞろいなのに、そこがかえって、視線をそそる。
高く透きとおった声色だけは、いずれ劣らないほど、観客を魅了しつづけていた。

ショータイムがひけると、舞台のうえから降りてきた女たちは、めいめいべつべつのボックスに入り込んでいって、
細かいやり取りまでは、店内の薄暗さに埋もれてよくわからないけれど。
お酌をしたり、会話に興じたり。
果てはワンピースのすそに手を伸ばされて、嬌声を上げたりしている。
そう、お店のホステスと、兼任なのだ。
ねぇ。どうするの?
傍らの女が、イタズラっぽい顔と甘えた声で、わき腹を小突いてくる。
肩をむき出しにした袖なしワンピースからは、しなやかに伸びた二の腕が。
開けっぴろげにボトルを取り上げ、ろくに水で割らずに濃い酒をマドラーでかき回す。
女のしぐさと、むっちりとした肉づきに、惹かれるように。
スカートの奥に手を這わせ、首筋に唇をあてがっていく。
あ・・・
女の唇から、かすかな悲鳴が洩れた。
向こう側の肩を、身動きできないほどつよく抱きすくめたまま。
さっきから疼きつづけていた犬歯をむき出して、女の首筋にあてがっていった。
シンガーたちの降りたボックスでも、おなじ行為が広がっている。
ソファのうえで、逆立ちせんばかりになって。
ワンピースのすそから、ばあっと太ももをばたつかせたのは。
案外いちばん年配のシンガーだったかもしれない。


午後11時。
アルバイトが、おわった。
軽い酩酊。かすかな陶酔。
軽い酩酊は、客に飲まされたお酒のせいだろうか。
けれども陶酔のほうは・・・
そう。あきらかに、失血によるもの。
足取りを励まして家路をたどるうち、それらをどこまで、身体の奥に隠すことができるのだろう?

吸血バーなのよ。ここ。
初対面のマダムは、ちょっと耳ざわりで毒々しい声で、わたしを遠ざけようとしたけれど。
わたしがはっきりかぶりを振ると、
地味なスーツを着てきたわたしのいでたちを、すみからすみまで点検するように見回して、
しょうがないね・・・というように、肩をすくめて見せたのだった。

今夜は三回も、指名された。
顔なじみの客が複数できて、首筋に這わされる唇の熱っぽさにも、濃さが加わっていた。
こら、こら。新人さんなのよ、このひと。
あんまり苛めちゃ、ダメよ。
マダムが機転を利かして間に入ってくれなかったら、
三人目のあの濃厚なキスを、耐え抜くことはできなかっただろう。
わたし・・・夫のいる身だというのに。
肩の出る真っ赤なドレスなんか着て、
すその短いドレスから、青いストッキングの脚を、太ももまでさらけ出しちゃって。
いまのわたしを同級生や近所の奥さんがみたら、きっと仰天するだろう。
タバコの匂いの染みついた服は、派手めに引いたアイラインもろとも、
店を出るときに脱ぎ去ってしまって。
光沢をてかてかさせた青のストッキングも、地味な肌色のものに取り替えてしまうのだけど。
真っ赤なチョーカーだけは、首に巻いていこう。

おかえり。
玄関まで无か入れてくれた夫は、眠い眼をこすりながら。
チョーカーの裏に隠した傷は、彼の視線からそれていた。
靴をきちんとそろえ、バッグ片手にリビングに向かう。
ふう。くたびれちゃった。
今夜ははにもしてあげられないわよ。夜のおつとめも・・・
それを言外に滲ませても、淹れたてのコーヒーまで持ってきてくれる、優しい夫。
ある晩いちど、真っ赤なドレスのまま戻ったとき。
息荒く、押し倒されてしまっていた。
下着検査だ。おまえ、浮気してきたな・・・?
あらぬ言葉に、声震わせながら。
わたしの首周りからむしり取ったチョーカーの下を見て。
まだ血潮を滲ませた傷口のうえ、夫は熱い唇を重ねてきた。
帰宅のときのチョーカーは、もう取り去ってしまってもかわまないのかもしれない。

今夜、母が堕ちたの。
そう・・・
みなさんおいしいって、召し上がってゆかれたわ。
わたしの家の血・・・みなさんのお口に合うみたい。
スリップ一枚のわたしは、バッグの奥にしまいこんでいた紙包みを、夫に渡す。
小刻みに震える指は、昂ぶりのせい?
ていねいに開かれた紙包みのなかからは、裂け目もあらわな黒のストッキング。
ところどころ染みついている持ち主の血が、灯りの下で不自然な澱みをかすかに浮かび上がらせている。

みゆきちゃんには黒のストッキング、まだ早かったかしら。
彼女は夫の、妹さん。
処女の血を欲しいと、なじみのお客にせがまれて。
早い時間にちょっとだけ、手伝いに来てもらっていた。
制服のプリーツスカートが、お客の目にも新鮮に映ったらしい。
目の色を変えて迫るお客に、みゆきさんはべそをかきながら。
それでもけなげに、足許から目をそむけつづけていた。
昔の女子高生は、みんな黒のストッキング履いていたからね。
さりげなくわたしをかばってくれた夫。
兄妹のあいだ、どうやってなだめきったものか。
みゆきさんは時々、制服姿で夕方の部に顔を出すようになっていた。
ええ、もちろん、未成年ですから。
たまーに、だけど。

お義母さまも、お連れしますわ。
四人そろうと・・・カルテットになるの。
どういうこと?
四人とも、歌上手でしょ?
おなじ合唱団で、歌っているくらいだもの。
それを夜の部で・・・演(や)るのよ。
ひとりだけ仲間はずれなんて、お義母さまに悪いし。
なによりも。
上品なお義母さまを、堕としてみたいのよ。わたし。
ああ・・・そうしてあげてくれ。
みゆきの血が皆さんの口に合うくらいなら。
母もまだ若いうちなら、すこしは愉しんでいただけるだろうから。
夫はなぜか、声を昂ぶらせて。
わたしを抱きすくめる腕に、いっそう力がこもった。


バーの生演奏は、ひどく評判がいいらしい。
このごろ入った女ばかりのカルテットが、とくに人気を集めていた。
歌のうまいホステスが四人ひと組みになって、オールドナンバーをしっとりと聴かせてくれる。
ちょっと不ぞろいな歌調が、かえって素人くささを漂わせていて。
そのあとの宴を、いっそう盛り上げているのだった。
聞くところによると、赤いドレスのよく似合う栗色の髪の女は、若妻だそうだ。
隣で謡ういちばん若い子は、若妻の夫の妹、つまり小姑というやつだ。
背後で謡う二人の女は、その母親たち。

だんなさんが見たら、腰を抜かすでしょうな。
隣の見知らぬ客が、声をかけてきた。
うん。そうですよね・・・
わたしはちょっと言いよどんで、
案外だんなが誘い込んだのかもしれないですよ。
くすっと笑って、グラスをチン・・・と、鳴らしあう。
だとしたら、だんなはたいしたお人だ。
見知らぬ客は、白髪も少なくなった頭をつるりと撫でながら。

昔は私も、愉しんだものですよ。
一人で愉しむのも、なんだから。
家内を連れてきたこともあるんですよ。
そうすると、飲み代が浮くのでね。
ええ。三回顔出したら、もう抜けられません。
そのまま家内も、ここのウェイトレスを勤めるようになりました。
お店の女の人は、首筋を噛まれて、血を吸われるんですな。
家内ももちろん、血を吸われちまいました。
首筋からしたたる血が、見慣れた柄のブラウスにしたたっていって・・・きれいでしたねぇ。
そのあと、脚も噛まれていましたっけ。
地味ーな紺のスカートの下、なんでもないごくふつうの肌色のパンスト履いていたんですが。
目のまえでほかの客が、家内のふくらはぎに噛みついて、パンストまで噛み破ったとき。
なぜだかもう・・・ゾクゾクしちまいました。
恥ずかしい話ですが。
あなたなら、わかっていただけそうですな?いや、きっとおわかりでしょう。

家内のやつ、しばらくここでウェイトレスをしていましたが。
なじみになった客と、とうとう結婚しちまいました。
えっ?独りになっちゃったのかって?
いえいえ。
結婚といっても、この店内かぎり有効・・・ってやつでしてね。
私の苗字のまま、犯し抜かれちまったんです。
新婚初夜には、しっかり朝までつき合わされましたよ。
お店じゅうの客に、祝福を受けるんです。
愉しかったな。あのころは。
家内もわたしも、まだ若かった。
家内のやつ、しっかり淫乱に、しつけられちゃいましてね。
昼間はごくふつうの主婦の顔しながら、ここに来ると、人格が入れ替わっちまうんです。
その落差が、愉しくて。
わたしもときどき、家内のことを指名したんですよ。
でももう、さすがに・・・引退しちまいましたから。
わたしがここに足を向けることも、めっきりなくなりました。

ホステスといわずに、ことさらウェイトレスと言葉を強めて言うのが、どこかほほ笑ましかった。
父子ほども、いやもっとそれ以上に離れた世代。
女の操はいまよりずっと、重く扱われていたことだろう。
帰ろうとする客を、わたしは軽く引き止めて。
今夜・・・秘密の結婚式があるのですよ。
あなたのことも、お招きしましょう。
いえ・・・招待する権利を、私持っているものですから。
閉店後の密室でのカルテット・・・お聴きになってみませんか?

性格がうつる?

2008年07月23日(Wed) 05:51:52

ただいまー。
女房が家に戻ってきたのは、朝の5時。
よく眠れたー?
う~ん、不眠症・・・
あらー。困ったわねー。私が家にいたらうるさいと思ったのにー。
しばし夫婦のあいだでは、声だけのやり取りがつづく。
そのあいだ女房は、化粧を直したり服を取り替えたり。
夜通し起きていたくせに、ちゃんと勤めには出るつもりらしい。

亭主として、さすがにひと言、言っておかなければならないことがある。
朝帰りのことじゃない。
朝帰りのほうは。。。深く咎めないことにしている。
わたしはツカツカと、女房の声のするリビングに出向いていって、
わざとぶっきらぼうな声を、ドア越しに投げた。
女房の眼を見ないようにして。

きのうの夕方。
公園の駐車場で、カーセックスしてたろ?
目だつよ、あれ。

奇声がもどってきた。

あーっ!

女房のやつ、のけぞるようにして頭を抱えて、
どうして見られちゃったのよ!?って言わんばかりに、梳いたばかりの髪をくしゃくしゃにしてしまう。
しかし、テキもさるもの、あっけらかんと。
だってー。このひととの仲は、みんな知ってるんだもん。
突拍子もない返しが、とんできた。
このひと?このひと・・・って・・・
リビングに入ると女房の浮気相手が、どっかりとソファに腰を下ろして鎮座ましましていた。

夕べは、どうも・・・
さすがに先方も、決まり悪げ、言葉少なげだ。
むしろ女房よりも、まともな話が通じるのかもしれない。
ほどほどにしてくださいよー。
はぁ、すみません・・・
いえ、こいつの血ばっかり飲んでいたら、きっと性格悪くなりますからね。
いや、それは・・・
男はちょっと、口ごもると。
だいじょうぶだと思います。
あなたやあなたのお母上からいただいた血で、中和してありますから。
あー。
そうだった。
一年前の、きょうだった。
母がこいつのため、父に断って黒のストッキングを穿いたのは。
お気の毒なかたに、献血をしてまいります・・・
そういって出かけていっったのを、ついきのうのことのように、覚えている。
女房の血だけでは飽き足らなくなった彼が、母に目をつけたのだ。
法事のときに穿いていた薄い黒のストッキングに、目がくらんだらしかった。
結婚して初めて朝帰りしたという母の足許は。
いまの女房とおなじように、ストッキングをちりちりに剥かれていて。
遅かったね。父はひと言、そう囁いて。
いまでも時おり真夜中に出かけてゆく母を、そっと送り出しているらしかった。

首のつけ根のあたりが、じんじんしてくる。
久しく吸われていない傷口が、痒い。
こいつに血を吸われたのは、いちどだけ。
それも、女房を紹介させる目的で。
けれどもあのとき埋め込まれた毒は、わたしを奇妙な愉悦にとり憑かせてしまっている。
こういう儀式を受け入れることをさいごまで肯んじないで、しらふのまま母を送り出した父は、つくづく偉いと思う。

ああ、それからね。
こいつの血を吸いすぎると、淫乱になりますからね。
腹立たしげに、わたしが言うと。
男は初めて兇暴な色をまなこに浮かべて。
すでに・・・なっている。
派手なワンピースから通勤用のスーツに着替えたばかりの妻を、
力ずくで抱きすくめていた。

高々とお姫様抱っこされた女房は、
ちょっとのあいだ、脚をはでにばたつかせていたが。
悪あがきをしてもしょうがないと、さとったらしい。
すぐにやつの胸の中で大人しくなって。
そのまま、夫婦のベッドに放り込まれてゆく。
あーあ。
わたしは大仰にため息をつくと、寝室のドアを閉めあとの展開をドアの彼方へと追いやった。
朝帰りの女房は、やはり欠勤するつもりらしい。


あとがき
こういうのほほんとしたご主人ばかりだと、世の中平和なのかも。^^

わたしのしもべになるのなら、ストッキングの脚を吸わせてあげる。

2008年07月22日(Tue) 09:10:41

大きな黒い瞳が、じいいっと覗き込んでいる。
ふうーん。
ストッキングの好きな吸血鬼・・・ねぇ。
女は、からかうようなすまし顔。
開けっぴろげな声で、男の正体をずばり言い当てている。
それで・・・私の血が欲しいわけっ?
思わず頷いてしまう男に、フンフンと頷き返しながら。
ばっかじゃないのぉ?
あなたの大好物の処女の生き血です。どうぞ吸い取ってください・・・なんて。
本気でお願いする女の子なんか、いるかしら?
戸惑う男の周りを、ぐるぐる、ぐるぐる、歩き回りながら。
女は時おり、男を意地悪く小突いている。

困っておいでのご様子ですね。お坊ちゃま?
もういちど、じいいっと。
視線を合わせまいとする男の顔を覗きこむと。
ちょっと値踏みをするように、小首をかしげて考えていたが。
吸わせてあげようか?
びくり、と男が反応すると。
うっそーっ!
興ざめするほど耳ざわりな、高い声で押し返す。
でも・・・
どうしようー、かなーっ?
手にぶら提げたショルダーバックを、頭の上からかざしながら、
女は長い髪をなびかせて、歩き回る。
長くて格好の良い脚を、これ見よがしに、さらけ出して。

じゃあ、こうしましょう。
これからずっと、永遠に。わたしの奴隷になる?
お約束できたら、血を吸わせてあげる。
どう?
お約束できる?
ストッキングの脚、好きなんでしょ?
懇願する女の子を、つかまえて。
首筋を噛んで。
それからたっぷりと、ストッキングの脚をいたぶりたいんでしょ?
顔に書いてあるものね。
わたしのしもべになるのなら、ストッキングの脚を吸わせてあげる。
さあ・・・どうする?
わたしのしもべになる?
それとも、なにも見なかった聞かなかったことにする?
いまならまだ、後戻りできるわよ。
そー。(にんまり)
じゃ、げんまんね♪

女は長い髪をさらりと背中に流して、首筋をあらわにした。
白くてほっそりとした首筋が、陽に輝いて、なまめかしく浮き上がっていた。
気強い光を込めた大きな瞳が、にわかに幼女めいた稚なさをみせた。
お願い!あなたの好物の処女の生き血。好きなだけ吸い取ってくださいっ。
女は手を合わせて、男を伏し拝んでいる。
がぶり・・・
青い生地のブラウスいちめんに縦横に走るチェーンもようの上。
じわじわと、バラ色の縁取りが折り重なっていった。
仰向けになって放恣に伸びた、脚。
ところどころ裂け目を滲ませた黒のストッキングの足許に。
男はひざまずいて、接吻をする。
なにが起きたのかを、ささやくように。
バラ色のしずくが数滴、太ももの間に散らされていた。

・・・それがいまの、妻なのですよ。(笑)


あとがき
さいごのオチ、ダメっすか?(^^ゞ

母娘に迫る

2008年07月18日(Fri) 07:43:46

ひどーい♪
娘は口許を両手でおおって。
お行儀わるいわ。
妻もあからさまに、眉をしかめていたけれど。
堕とされてしまった女たちは。
娘とおなじ年恰好の女吸血鬼たちをあいてに。
いずれ劣らぬ白い肌を、飢えた唇の前、惜しげもなくさらしていった。

ねー♪、ひどいよ、ねー?
娘が上目遣いに、母親を振り返ると。
あたしのだって、こうなのよー。
母親は苦笑いして、ストッキングを穿いた脚を差し出した。
ふたりの足許をなまめかしく染めている、おそろいの黒のストッキングは。
いく筋もの裂け目を走らせていて。
白い脛をじんわりと、滲ませていた。

男の子たちが、待ってるの。
今夜はいっしょに行ってくれるわよね?
吸血鬼の女の子たちに、せがまれるまま。
妻も娘も、いそいそと立ちあがって。
じゃあ、お父さんの戻ってこないうちに、出かけましょ
なんて、申し合わせてしまっている。

やーん・・・
男の子たちを、まえにしても。
娘も、その母親も。
さっきみたいに、愉しそうに。
突き立てられてくる牙を、許してしまうのだろうか?
わたしは不覚にも。股間をぞくぞくと、昂ぶらせながら。
目のまえにぶら下げられた洗濯物に、目を落としつづけている。
一足は、肌色。
もう一足は、黒。
ちりちり破かれたストッキングは、理性を喪った抜け殻のように。
ただうつろにぶらぶらと、持ち主が去った後も揺れつづけている。

母娘と女吸血鬼たち

2008年07月18日(Fri) 07:31:38

堕としちゃった?
堕ちちゃった♪
う・ふ・ふ・・・
見合わせた顔が似通った顔つきなのは。
きっとふたりが、ふたごだから。
ふたごの吸血鬼は、今夜も自分とおなじ年恰好の女の子に狙いをつけて。
お母さんもろとも、ちゅうちゅう生き血を吸い上げちゃってる。

おいしい?
ウン、イケるぅ。
指先についた血を、お互いに舐めあって。
味、似てるよね?
ウン、そっくり♪
やっぱり、母娘だもんね。
そうだよね。
って、仲良く声交し合っていた。
姉妹ながら、襲われて。
血を一滴残らず吸い尽くされちゃったとき。
ふたりのうえにまたがっていた男の子たちも、そんなふうにしていたっけ。

ねぇ、取り替えない?エ・モ・ノ♪
いいよ~。
涼しい顔して、取り替えあった獲物に、牙を埋めていって。
口許をべっとりと濡らしながら。
思い思いに、飲みふけってゆく。

あなたの高校、制服あるの?
素敵~!着てみて♪
襲われちゃった子は、ワンピースに血のりを光らせたまま。
吸われた首筋から血を滴らせたまま。
えっ?えっ?
って、戸惑いながら。
女の子たちにせがまれるまま、セーラー服に袖を通してゆく。
黒のストッキング履くんだ~。
いいなあ。オトナっぽくて♪
そお?似合う?イケてるかなっ!?
女の子は、おニューのワンピースを汚されたのも忘れて、すっかり気をよくして。
制服のまま、襲ってもいいよ♪
なんて。
自分から、畳にうつぶせになっている。

あっ、やだ~。
ストッキング、破けちゃうよ~。
脚をじたばたさせて、ふざけながら。
ん~、だめっ。逃がさないっ!
足首抑えつけられちゃって。
どうせ破くんだったら。そのまえに、うんと舐めて。愉しんで・・・
そのあと、ちりちりに破いちゃって・・・
なんだか女の子に、レイプされてるみたい♪
ひそめた声色を、震わせながら。
制服のなかのいちばんなまめかしい一部に、ふらちなイタズラを許しはじめちゃっている。

おいしかった。
ウン。おいしかった♪
パンストだったら、ママも穿いているわよ。
てかてか光って、いやらしいやつ。
娘のひと言に、ママはちょっぴり口尖らせて。
なによ~、せっかく穿き替えてあげたのに。
さっきまで穿いていたじみな肌色のやつを、指先でつまんで、
ぶらーんと垂らして。
こんなにおイタしちゃって~。
口では咎めながら、足許に吸いつけられてくる唇たちに。
光沢をてかてかさせた真新しいストッキングのふくらはぎを、
気前よく差し出しちゃっていた。
首筋からしたたる血を、娘にくすぐったそうに舐めとられながら。

だーめよ。だぁーめっ♪
スカートのすそ抑えて、内股になって。
脚をもじもじさせて。
お行儀わるく、べろまで這わせてくる娘たちに、苦笑いを浮かべながら。
まな娘の血に染めた口許を、圧しつけられて。
チクチク迫らされた牙に、くすぐったそうに、うなずいて。
ブチブチッ・・・パリパリ・・・ッ
かすかな音とともに、ナイロンの生地がほつれてゆくのを。
面白そうに、見おろしている。

お嬢さんは、制服の黒のストッキング。
お母さんは、てかてか光る色とりどりのストッキング。
夜な夜な、忍び込んでくる吸血鬼たちのため。
女ふたりは今夜も、服の品定めを愉しみ合っている。

東京レンタル妻 6 ジーンズを脱ぎ捨てて

2008年07月18日(Fri) 06:53:30

おまえの奥さん、脚きれいだろ。
悪友に小突かれたわき腹が、妙にくすぐったかった。
こいつが妻の脚を、見たことがあるわけがない。
だって妻はいつも、カジュアルなジーンズ姿。
けれどもヤツは逢うたびに。
妻の脚はきれいだと言い張るのだ。
実際、目にしたことはないらしい。
気になって問い詰めたら、かえって得意そうに言われたものだ。
ジーンズだろうがスラックスだろうが。
おれは透視できるのさ・・・と。
たしかに。
ケンヤの奥さんも。ノリオのところの娘も。
いつもパンツスタイルなのでわからなかったけれども。
じっさい、脚はきれいだった。
どうして知っているのかって?
悪友はオレに、おこぼれをよこしてくれたのだから。

なんにもお返し、できないぜ?
いいんだいいんだ。貸し借りだけじゃないだろう?
ケンヤの新妻を裸に剥いたときも。
ノリオの娘をつかまえてきて、珍しく穿いてきたスカートをめくりあげてやったときも。
ヤツはおうように構えていた。
それにしても・・・奥さんの脚はぜったい、きれいだろうな。
女どもがいなくなってから、そう囁くのを、決して忘れなかった。

子どもが大きくなってから、すっかり女っ気をなくしてしまった妻。
顔はいつもすっぴんで、長いだけの髪の毛は、くしけずってさえいないかのように、ちりちりで。
いつもぶつぶつ小言を言いながら、そのくせ家事だけはてきぱきとこなしている。
女なんだってこと、忘れちまったんじゃないかな・・・
淋しそうにオレがぼやくと(そもそもこういう道に深入りしてしまったのは、妻がつれないせいなのだ)、
やつはおうように、相槌を打って。
奥さんが若いころみたいに、ばりっとしたスーツ着込んで、てかてか光るストッキング穿いて。
そういうの、もういちど見てみたいだろう?
毒液のような囁きを、オレの耳の奥にしみ込ませてきたのは。
ちょうどオレの単身赴任が決まる頃だった。

見たい。見たい!ぜったい、見たい!
オレはばかみたいに、言い募って。
思わず口を、すべらせちまった。
いや、きっと。無意識のうち、わざとそうしたんだろう。
あいつをもういちど、ストッキングを穿くおしゃれな女に変えてくれ。
変えてくれたらご褒美に、夜あいつをお前の家に行かせてやるから。
恐ろしい取引は、瞬時にまとまっていた。

ただいまぁ。
お帰りなさーい!
今夜もオレの帰宅を迎える妻の声は、若々しく響いた。
肩先を流れる長い黒髪はツヤツヤと輝いていて、ゆったりと優雅にウェーブしている。
母さんこのごろ、若返ったよね?
けげんそうな息子が首かしげるのを完全に無視して。
はいお土産・・・と、妻好みの名物を手渡したりなんかしている。
あらー!素敵♪
スリッパを穿いた妻の脚は、なまめかしい黒のストッキングに薄っすらと染まっていて。
これだけは以前と変わらないボーイッシュな身のこなしに、
スカートのすそを荒っぽく、ひざの周りにゆらゆらさせている。
―――あの子が二階に引き取ったら・・・愉しみましょ♪
いけない囁きを洩らしながら浮かべる笑み顔は、あのころのようにイタズラっぽい。
今夜の激しい営みの果て、戯れに破らせてくれる黒のストッキングは。
どんなになまめかしく、あの白い下肢を縁取るのだろう?

けれどももちろん。
オレは約束を、護っていた。
むしろ嬉々として、加担していた。
妻がオレのために穿いてくれたのとおなじ、黒のストッキングを。
オレの留守中、妻はヤツのために脚に通していて。
息子が寝たあと、近所に住むヤツの住処に、ひっそりと出かけて行って。
明け方近くには、ちがう色のストッキングを穿いているという。
それをオレに教えてくれたべつの悪友も。
単身赴任のときには、美人で評判の奥さんを、やつのためにわざわざ東京に残していったという。
きれいに堕としたら、抱かせてやる。
たしかにそういう順序のはずだったのに。
やつは最初っから、おいしい獲物にありついたらしい。
堕とせなかったらお前に悪いよな・・・って、ちょっと焦ったんだぜ。
なにしろ堅い奥さんだったからな。
やつがこっそり洩らしてきたのは、いまの関係になってからだいぶ経ってからのことだった。

今夜の週末、どうするう?
いつもヤツから来るメールに。
破っちゃって。
たったひと言、返信する夜。
妻はいまごろ、ひっそりと。
口許に笑み滲ませながら、黒のストッキングに脚を通しているはずだ。
オレはあらぬ妄想に惑いながら。
独り寝の床の上、ひそかに熱く、昂ぶっている。


あとがき
仲の良い悪友に、妻を堕とさせる―――。
面白すぎる賭け・・・ですよね?^^;

怪人に追い詰められて

2008年07月18日(Fri) 06:32:03

あの怪人さん、あんたの奥さんに執心やな。
傍らの同僚は関西弁で、わたしにそっと、囁いてくる。
夜更けの道。
息せき切って逃走をはかる妻は、時おり後ろを振り返りながら。
家の方角へと足を速める。
薄暗い街灯の下。
白のブラウスだけが鮮やかに浮き上がっていた。

声をひそめた同僚も。
夫であるこのわたしですらも。
邪魔が入らないように、見守るだけの立場。
わたしとほぼ同年輩であるらしいその男は、
言葉のなまりから関西出身としか、わからない。
レオタードのように全身に密着する戦闘服からは。
顔かたちはもちろんのこと、体格以外のいかなる情報も与えてくれないのだった。

もうどれほど、走ったことだろう?
運動神経の鈍かった妻が、こんなに長く走れるということを。
怪人のアシスタントに身を落としてから、初めて知ったわたし。
どこまでもつづく高い塀に仕切られた迷路のなかを。
妻は紺のスカートをひるがえして、懸命に駆けつづける。
白のブラウスが浮き立った上半身とは対照的に。
足許は、暗い。
それが身に着けている黒のストッキングのせいだと気づくのに、そう時間はかからなかった。
月明かりと切れかかった街灯だけが頭上を支配する薄明のなか。
ただ、白のブラウスだけが、浮き上がって。
ブラウスだけが一枚、自らの意思でひらひらとなびいているようにさえ映る、
とても静かな光景―――。

とうとう、追い詰められてしまった。
袋小路になった無表情な壁を背に、妻は怯えて立ちすくんでいる。
内股になった両脚が、黒のストッキングに薄っすらと染まっているのが。
はじめてあからさまに、目に入った。
まんまと獲物を追い詰めた怪人は、甲殻類みたいにごつごつとした皮膚に鎧われていて。
威嚇するように触手をぶるんぶるんと振り回しながら。
その場にへたり込みそうになっている獲物をまえに、じりじりと距離を詰めてゆく。
ゆるく旋回する触手が発する鈍いうなりが、あたかも催眠術のように。
妻から抵抗の意思を奪っていった。

わざと一回だけ、逃げ切らせてやったのさ。
あるとき怪人は得意げに、こっそりそんなことを教えてくれた。
もしかすると、逃げ切れるかもしれない―――
そううい希望があれば、人は必死に逃げるもの。
だれだって、あらぬ辱めを受けたいなどとは、思わないからな。
毎週、木曜の夜。おなじ時間帯。
勤め帰りの妻を襲う受難は、定例と化していた。
怪人ものの特撮ドラマで、さいしょに襲われて血を吸われてしまう、無名のヒロイン。
妻の役柄は、まさにそれだった。
激しくかぶりを振って、いやいやをする女は。
からみつけられた触手に、くるくると全身を回転させながら、巻かれていって。
ぬるぬるとした粘液に光る触手に、着衣を乱されながら。
ブラウスの襟首に、ぐさりと吸血管を突き立てられてゆく。
「ああああああっ!」
たまぎる絶叫に、怪人はグフフフフフ・・・と、得意げな笑い声を重ねていって。
透明に輝く吸血管を、妻の血液で満たしていった。

ふふふ。一件落着やね。
同僚の男はわざとらしくぞんざいに肩をすくめて。
お役目ご苦労さん、ご同輩。
やけに親しげに、肩を叩いてきた。
さいごまで、見届けていくんやろ。
わしはこのへんで、おしまいや。
男は小手をかざして別れの会釈をすると。
ひっそりと足音を忍ばせながら、家路をたどっていった。
なぜかちょっぴりだけ、淋しげに。
きっとあいつも、わたしと同じように。
家族の生き血を、やつらに狙われているのだろう。
わたしはそう、直感した。
ふだんは深い身の上話は、お互いの間で厳禁されていた。
同僚のあいつに、今夜の犠牲者がだれなのかが告げられたのは、ほんとうに珍しい例外だった。
「今夜の獲物は、こいつの妻だ!」
せせら笑う怪人は、ほんとうに愉しそうだった。
わたしもくすぐったそうな顔をして、びっくりしたようすの同僚を窺っていた。

黒の網タイツにブーツを履いた彼の後ろ姿は、足取り速く去って行った。
それは、まるで悪役レスラーのコスチュームのようにこっけいだったが。
おなじなりをしたわたしが、口にできることではない。
さっきから。
太ももを締めつける網タイツの触感が。
まるで呪縛のように、皮膚の奥にまで食い入ってきて。
あらぬ高ぶりを、さそっているのだった。
目のまえで妻が、異形のものに生き血を吸い取られているというのに。
さいしょの夜。
ふつうのなりをしていたわたしは、縛られたまま。
触手に巻かれた妻が、生き血を吸い取られて狂わされてゆくありさまを見せつけられていた。
あのとき両腕に食い入ったロープと、いま身に着けている網タイツと。
なにがどれほど、違うのだろう?

”饗宴”は、最高潮に達していた。
白のブラウスのあちこちを、ほとばされた持ち主の鮮血で光らせながら。
妻はあえぎを深めていった。
不規則に散らされた赤黒い水玉もようが、じょじょに広がって。
そのうちブラウスの地の色が深紅と思えるほどに、染め抜いてしまうのだろう。
触手の片方は、おっぱいが浮き上がるほどつよく、ブラウスに包まれた上体を締めつけていて。
もう一方の触手は、黒のストッキングの足許を狙っていた。
エレガントな足許にしつように巻きつけられた触手は、
ぬるりぬるりと粘液を光らせながら。
ふらちな悪戯を、しつっこくくり返し、塗り重ねていって。
薄手のストッキングを蕩かすように、ぬめり尽くしていって。
しまいにブチブチと、音をたてながら。
薄々の装いを、他愛なくはじけさせてしまっている。
うなじに突き刺された吸血管を、自分の血で赤黒く満たしてゆきながら。
妻は恍惚となって、みずから血を捧げつづけている。
旨い・・・旨んまい・・・
怪人のささやきに、かすかに頷いて。
引き抜かれた吸血管を、手にとって。
自分の手で、胸元にあてがって、ブラウス越しにぐさりと突き刺していた。

ホホホホホ・・・
優雅な笑い声をころころと響かせながら。
自分の手で着衣を持ち主の血潮に染め抜いてゆく妻は。
破れ堕ちたストッキングから、むき出しにした太ももを、
街灯の下、惜しげもなくさらけ出したまま。
むたいな狼藉を、愉しみはじめている。
這いずり、転げまわったあげく、追い詰められた袋小路から抜け出した影は、
近くの川っぺりの土手までもつれあっていって。
きゃーっ!ははは・・・
あけっぴろげな声は、夜のしじまを突き破って。
ふたつの影は、からみ合いながら、土手の下に落ちていった。
背の高い草むらに見え隠れする光景を、わたしは固唾を飲んで、見届ける。
せり合わされた腰と腰が、狂った闇に沈むのを。

朝―――
早くしないと、遅刻よ~。
妻はお気に入りのストライプもようのエプロン姿。
いつものようにせかせかと、朝餉の支度に余念がない。
夕べの惨劇など、微塵も見られないほど、日常に溶け込んでいた。
ほら、あなたも。なにをぼやぼやしているの?電車に間に合わなくなりますよ。
軽く睨んだ視線を投げた後、反応をうかがうのももどかしく、そそくさと台所に戻ってゆく。
肩まで伸びた黒髪の合い間からちらと覗いた紅い痕だけが。
夕べの出来事が真実だと告げていて。
わたしはぞくりとして、現実から引き戻された。

制服姿の娘がばたばたと、玄関からあわただしく出て行こうとする。
ほんとうに遅刻寸前らしかった。
黒革のストラップシューズに、黒のストッキング。
母親似に内股をした脚つきが、一瞬とまって、
真新しく硬質に輝いた靴のすき間から覗いた脚の甲が、肌の透ける靴下ごしに、なまめかしく浮き上がるのが見えた。
娘が出て行ってしまって、喧騒が静寂に一瞬戻ると。
妻はゆっくりと後ろから近づいてきて。
わたしの想いを見通すように、囁きかける。
黒のストッキングが似合うようになりましたね。あの娘。
そろそろ怪人さんに、紹介してあげなくちゃね。
処女のうちに、血をあげないと。
怪人さん、きっとむくれてしまうわよ。
今夜はあの子、部活で遅いの。
半休、とっていらっしゃるんでしょう?
いつものように・・・ね。
着替えのコスチュームは、いつもの引き出しにちゃんと用意してありますから・・・


あとがき
どうしても夫をからませたがる、悪趣味な柏木です。(^^ゞ
昼間は日常を暮らしている家族なのに、
真夜中になると、襲われるヒロインと、襲う怪人の側に立つしもべに立場を変えています。
追われる妻。追い詰める夫。
愉しい鬼ごっこだと思います。^^

私んとこよりもはるかに妖しい怪人が出没する、舞方さんのブログでは。
みごと、三年連続アップを達成されたようです。
お祝い代わりに、こんなものをあっぷしてみました。
お祝いにならんか・・・?(笑)

ブログ拍手♪♪♪

2008年07月17日(Thu) 23:52:51

いや、びっくり。
ブログ拍手がなんと!1361件も入っていたんですよ!
ついでにブログ拍手の管理欄がぶっ壊れて、見れなくなっていましたよ。(^^;)
昨日も31件入っていましたが。
おかしいなあ。
夕べ見たときにはそんなになかったはずなんだけどなあ。
お友だちのサイトさんを拝見したら、よそさまでも同じような現象が。
・・・って、要するにトラブルじゃん(爆)
凄く人気が出たのかと思ってびっくりしました。
(なわけないですよねぇ。A^^;)

アジサイだけが視ていた

2008年07月15日(Tue) 07:20:30

咲き乱れるアジサイのかなたにたたずむふたつの人影は。
最近優しくなった妻と、見知らぬ男。
互いにひたと、見つめあって。
交し合うまなざしに込められた熱情のまま、ふたつの影をひとつにしてゆく。
接吻―――とみえた情愛の表現は。
彼女の唇を通り越して。
雨上がりの陽射しのなか、柔らかに輝くうなじに降りた。
這わされた朱の唇が、ちょっとだけ妻のうなじをねぶり抜いたとき。
じわり・・・と覚えた昂ぶりは、何?
抱き寄せた肩に、そのまま力をグッと込めて。
男は妻の柔肌を、静かに侵してゆく。
ひととき。数刻―――。
時間の流れがとまったような数分間。
放された唇からしたたるバラ色のしずくがブラウスに散らされるのを。
魔法にかけられた女は、うっとりとした含み笑いで、にらみ返す。
男は妻の唇を激しく奪い、妻はそれに応えての熱っぽいもだえをのぞかせる。
あてがわれる唇は。
ブラウスのうえから、胸を。
スカートごしに、お尻を。
ストッキングの周りから、脚を。
順ぐりに、なぶり抜いていって。
身に着けた礼装もろとも、堕としてゆく。
草地にまろばされたフェミニンな装いは。
白い素肌を、じょじょににじませていって・・・
さらけ出された太ももは、破れ堕ちたストッキングを脛までたるませながら。
沈み込まされた逞しい臀部に支配されるがまま、
淫らな舞踏に耽ってゆく。
白昼の密会―――。
彼女がさいきんみせる優しさは、おそらくしんからのものなのだろう。
その裏側の秘密まで詮索するのは・・・
わたしだけに許された、禁断の愉悦。


あとがき
どなたかこのお話に似合うようなアジサイの画像などお持ちではいらっしゃいませんか?^^

ママのお仕置き

2008年07月14日(Mon) 10:37:59

あらー。
珍しくいい子で、お勉強していらっしゃるのね?
女の子のカッコウも、していらっしゃらないし。
でも・・・
(息子の服をいぢりまわしながら)
ズボンの下に、薄い靴下履いてらしたりとか。
Tシャツの下に、女の子のスリップ着てらしたりとか。
ほんとうに、していないのかしら?
おやおや、感心。
ほんとうに、なんにもしていらっしゃらないのね。
えっ?今週は試験ですって?
まるで予防線を張られちゃったみたいね。
ママのリクエストを断る口実になさっていらっしゃるわけでは、ないわよね?
じゃあ、いらっしゃい。
ふたりで、お姉ちゃんのお部屋に行きましょ。
お姉ちゃん、ちょうど出かけているの。夕方まで戻ってこないわ。
今ならナイショで、お洋服いじり放題なんですよ。
え?四日後に試験だからダメ!ですって?
うそおっしゃい。三日後でしょう?
きょうはなん曜日だったかしら。
直前のカン違いは、命取りになりますよ。
ええ。もちろんお勉強はしっかりなさってね。
そして必ず、いい成績をとって頂戴。
でないとお父様に、お叱りを受けてしまうわ。
でも・・・ママも。若い子の血を吸いたいモードなのよ。
あなたに女の子になってもらって、襲っちゃうの♪
わかってくださるわよね?(怖い顔になる)

さぁ、好きにしていいのよ。
ママが許可してあげる。
お姉ちゃんの箪笥の抽斗、今なら開け放題よ~。
まずは下着を、選びましょうね♪
パンティは、青がいいかしら。
それと、スリップはやっぱり白?
あの子最近は、オトナっぽい黒なんかも、試しているみたいよ。
ほら、こんなにセクシーなやつも♪
どうしてあなた、知っているのよ!?
ダメじゃないの。ママのいないところで、おイタをしたらっ。
じゃあ罰として、きょうは黒ね♪
ブラウスはどれにする?
え・・・こっちのTシャツでいい・・・ですって?
遠慮しないの♪
男女共用のやつじゃないの。これ。
ちっとも色っぽくないわ。
はい。じゃー、これ。
付き合っている男の子と美術館に行くとき着てった、白のブラウス。
ふわふわのフリルが、ついているわ。
少女マンガの主人公になった気分でしょ?
下はとうぜん、スカートよね?
それ以外の選択は、ママの前であり得ないわよね?
どう思う~?
このタイトスカート。
こんなに深いスリットが入っているのよ。
ああ・・・あなたにスリットなんていっても、わからないわよね。
切れ目のことよ。
あら。ご存知だった?
・・・どうしてそんなことに、お詳しいのかしら?(ふたたび怖い眼)
真っ赤なタイトスカート。履いてみたいわよ・・・ね?(もっと怖い眼)
ストッキングは、なに色にする?
えっ、気が進まない?この期に及んで遠慮したって、だれも同情しないわよ。
さあ、選んだ選んだ。(^^)/
黒がいい?それとも、肌色?
あらー。あの子ったら。
ゴールドラメの黒なんか、いつの間に買ったのかしら。
じゃああなた、きょうはこれになさい。
えっ、ハデですって?恥ずかしい、ですって?
うるさいわね。ちゃんとママの命令を聞くのよ。
ほ~ら、そうそう。つま先をきちんと合わせて。ぐーんと引き伸ばして。
むらの出ないように穿くのよ。
・・・慣れていらっしゃるのね。(軽く睨む)
今週はママに隠れて、なん足穿いたのかしら。
そうよね。
お勉強でイライラすると、いろんなことをしたくなっちゃうのよね。
あの抽斗のなかだけは、いつでも自由にしてもらってかまいませんからね。
うーん・・・
(ゴールドラメのストッキングの脚をなぞりながら)
どう?感じる・・・?バカね。
(微妙に笑う)

うふふふふっ。で・き・あ・が・り♪
お似合いお似合い♪
ママ、血を吸いたくなってきちゃった♪
(長い黒髪を背中の後ろにすべらせて、息子の肩を抱き寄せる)
えっ、だめ!ですって?いまさらなにを・・・
(陶然となって、押し倒してゆく)
ちゅう~。ちゅう~。ちゅう~・・・っ
・・・・・・。
・・・・・・。

ほほほほほっ。
ご馳走様♪(息子の額を軽く小突く)
やっぱり若い子の生き血は、いいわね。
かわいい顔して、寝ちゃった♪
このままお姉ちゃんのお部屋で、寝かせておこうかしら?
お気に入りのブラウスに、血をつけちゃって。
お姉ちゃん、怒るわよ~♪
さて・・・と。気分も落ち着いたことだし。
早く晩ご飯の支度、しなくちゃね。
目がさめるまで、ゆっくり寝ているといいわ。
どうせ今夜は夜遅くまで、追い込みの試験勉強でしょ。
がんばるのよ。
じゃね♪


あとがき
「ママのお仕置き」で検索すると、すでに三つリストアップされてまいります。^^
でもこれくらいでは、まだまだ独立のカテゴリにならないんですよ。
記事数が1000以上になってしまった柏木ワールドでは・・・。

ずるいです。

2008年07月13日(Sun) 12:36:52

ずるいです。
女の鋭い声に、足許に這わせようとした唇が動きをとめた。
ここは美容院。
巻かれた白布の下から覗いたワンピースは。
ひざ小僧から下を、てかてか光る肌色のストッキングの脚をさらけ出していて。
店内に入り込んできたその男は、なまめかしい足許にふと目を留めて・・・気がついたときにはかがみ込んで、にじり寄っていた。
もういちど、おそるおそる。
唇を、近寄せてみる。
ずるいです。
足許に迫る呼気で気配を感じたものか。
声がふたたび、男の胸を鞭打った。

わたし、動けないんです。
動けないひとから、うむを言わさずものを獲るのは、ひどいと思います。
頭上から振り下ろされる、まっすぐな声に。
男は仕方なさそうに、近寄せた唇を、遠ざけた。
肌色のストッキングを、ほんの少し濡らしただけで。
お話はあとでかならず、承りますから。
女の声は、あくまで凛と響いている。

急ぎます。すぐに帰りますから。
セットしたての髪を確かめるのも、そこそこに。
女はあわただしく、席を立つ。
自分の血を目当てにしているらしい吸血鬼は、おとなしく奥の部屋に控えているらしい。
身動きできない状態の女の脚を、唇でなぞるのをあきらめて。
ばか律儀にも、待ち続けているという。
血を吸われるだなんて。
そんなこと・・・大人しく受け入れるすじあいなんか、ありませんから。
つっかけたパンプスの足許ももどかしく、女が店を出ようとすると。
ほかのだれにも見えない影が、店の玄関と女とのあいだにたちはだかった。
とうてい逃げられないな・・・
女は男をちょっと睨んで、でもそれ以上見苦しく、抵抗はしなかった。

ああ・・・いけませんわね。
こんどはわたくしのほうが、ずるかったかしら?
謝罪します。
そのしるしに・・・さぁ、好きにして頂戴。
女はもとどおり、椅子に腰かけて。
格好の良い脚線を、飢えた唇のまえ。大胆ににさらしてゆく。
ためらいながら這わされた唇は。
てかてか光る肌色のナイロンの表面を、唾液でねっとりと濡らしてしまうと。
もう、とめどもないような息遣いで、かぶりついていった。
脚の周りをゆるく束縛しているナイロンが、じょじょにほぐれてゆく感触に。
女はちょっとだけ、眉をしかめつづけていた。

若い美容師がさりげなく手渡してくれたストッキングの履き換えを、断って。
いいわ。このまま帰るわ。
だんなに見せつけてやるの。
美容院の出迎えに、こんな男を差し向けるなんて。
ついでにあなた・・・帰り道のボディーガードについてきて頂戴。
あなたの女が通りがかりのやつに笑われるの、ほっておいたりはしないでしょう?
ぶじに家に着いて、だんながいなかったら。
あたしを自由にしてもいいわよ。
あなた一流の、やり口で。
知らん顔だなんて、赦さない。
ぜったい手ひどく、見せつけてやるんだから。


あとがき
お~、怖っ!^^;
だんなさんが差し向けた吸血鬼も。
奥さんの気の強さには、たじたじだったかも。

れびゅう:「狙われた女学生 ママも義姉さんも、私を狙ってる!」

2008年07月13日(Sun) 11:03:57

断片的な記憶なのですが。
かつてこんなシーンを観たような観なかったような。
そう・・・テレビドラマの一場面と思し召せ。
都会に降りてきた吸血鬼が、若い女の血を求めてさ迷うお話です。
まずは、第一の犠牲者である若妻さんを襲うシーンです。
どうやらご主人とは、古い知り合いかなにかのようです。
旅先で助けてもらった・・・という関係だったかもしれません。
ともかく若いご主人はいんぎんに、客人である総白髪の男をにこやかに迎え入れます。
男は黒いマントを羽織り冷え冷えとしたタキシード姿。
クラシックな吸血鬼そのもののいでたちは、現代家庭の雰囲気にとってもなじみません。
けれどもだんなさんも、奥さんも、そんなことには気づきもしないようです。
遠いところからようこそ、とか、お料理すぐに作りますね、とか、
とにかく普通に和気あいあいな雰囲気です。

奥さんは色が黒く、髪は栗色。
笑うと顔がくしゃくしゃになるタイプで、
お世辞にも、そんなに器量よしではありません。
若さと人なつこさが魅力・・・といった感じの女性です。
さいごに襲われるヒロインのほうにカネをかけすぎたのか?とかんぐってしまうほどですが、
第一の犠牲者というやつは、そんなに目だってはいけないものです。
たいていは華のない、どこにでもいそうな感じの女性が選ばれます。
けれどもその、どこにでもいそうな雰囲気が、曲者なのです。
なまじ絶世の美女が登場するよりも、はるかに現実感を漂わせてくれるからなのです。
死なせちゃうのはもったいないな・・・柏木なんかはいつもそう感じるのですが。
このドラマでは、どうやら洗脳して手先に使うみたいです。
ヒロインの美少女の周囲の人間が、みんな吸血鬼になって・・・みたいなお話。
女の子向けの「こわい話」としては、ひところかなりありがちだったようです。

若妻さんは、黄色っぽい袖なしのブラウスに、腰には今どきでないエプロンをつけていて、
長いだけの髪の毛は軽く梳いただけで、肩まで流しています。
だんなが座をはずして2人きりになったとき、
吸血鬼はさりげなく若妻に寄り添って、
髪の毛のほつれを直してやるような手つきで、長い髪をかきわけて首筋をあらわにすると、
おもむろに、がぶり・・・と噛みつきます。
異様に紅い唇を、さいしょはスローモーに、そう・・・っと首筋に近寄せていって、
ガブリ!のところだけはやたらと速いです。
「痛ッ!」
奥さんは飛び上がって男を引き離そうとし、
男は奥さんを抱き寄せて、首根っこをつかまえて、ひたすら啜りはじめます。
じゅるじゅる・・・じゅるじゅる・・・
フライパンがぶら下がり洗い上げた食器が並んだ台所に響く、
血液を吸い取るナマナマしい音―――。
急調子で金属的なBGM。
吸血鬼好きには、うっとりとしてしまう光景です。
若妻さんには、悪いですが。(笑)

抱きすくめられ身もだえする後ろ姿に、もうひとつの影が近寄ります。
ご主人です。
すでに、洗脳されちゃってるんですね。
ニヤリと照れくさそうに笑うと、奥さんの肩を優しく抱いて、
「だいじょうぶ」
「え・・・?」
けげんそうに訊きかえす奥さんが振り向くと、熱いキスをしてやります。
「あ・・・あ・・・」
わけがわからないままの夫婦のキスに、奥さんのうめきはどことなく嬉しそうな甘えを滲ませます。
夫婦がキスをしているあいだ。
いったん奥さんを放した吸血鬼はそろそろと足許にかがみ込んでいって、
スリッパを履いた足首をつかまえると。
ひざ下丈のデニムのスカートをたくし上げて、ふくらはぎにガブリ。
ヒッ!
ふたたび引きつった声をあげる奥さんを、ご主人の接吻がふさいでいきます。
吸いつけられた唇の下、肌色のストッキングが大きく裂けてゆくのが、ひどくエロチックです。
女らしい清楚な衣裳を堕とされることで、貞淑な人妻の堕落を暗喩したものでしょうか。

夫婦が唇を放すと、奥さんは怯えた眼でご主人を見あげ、
それからさっきから吸われつづけている足許を見おろします。
ご主人が奥さんに、ささやきます。
「だいじょうぶ、見るんじゃない」
奥さんはふたたびご主人のほうをふり返り、もういちど接吻を重ねていきます。
もっと・・・もっと・・・
洩れてくる奥さんの声は、幻聴でしょうか?
キスをねだっているのか。血を吸われる快感に目ざめてしまったのか。
おそらくきっと、両方なのでしょう。
カメラは寄り添う二人と若妻の脚を狙ってうずくまる吸血鬼を映し出して、
奥さんはご主人にしなだれかかるように、ずるずると姿勢を崩していきます。

つぎの場面は、リビングに移っています。
画面の切り替えは、よけいなところを適切に省略できるので、つごうがよろしいです。
おそらくそのあいだに、ぐったりとなった奥さんを、だんなと吸血鬼がふたりがかりでこちらに担ぎ込んだのでしょう。
協力的なご主人です。
そういえば料理・・・って言っていましたが。
今夜の献立は、若妻の生き血。
最高のもてなしには、ちがいありませんな。^^
奥さんが眼を開くと、真っ赤な絨毯のうえあお向けになっていて。
すぐ上には、にんまり笑う唇。そして、牙。
お約束どおり、ひっ・・・とうろたえた声をあげ、両手を口で抑えます。
しばらく視線を合わせているうちに、女の眼は力を喪いうつろになって。
ゆっくりと降りてくる牙のまえ、胸元をくつろげたままゆだねてしまいます。
圧迫するように這わされてゆく、魔性の唇。そして、柔肌に埋め込まれてゆく、鋭利な牙。
ごくっ・・・じゅるっ・・・ズズズ・・・ッ
ナマナマしい吸血の音を耳にしながら、ご主人は鼻歌交じりにワインのボトルを開け、自分用に注いでいます。
脚の高いグラスをもうひとつ取り上げて、注ごうとしますが。
ふと思い止って、そちらは空のまま持って行きます。
足を向ける先、奥さんと客人が折り重なっています。

チン・・・
グラスを軽く、鳴らしあって。
男ふたりは向き合ったまま、グラスの中身を飲み干します。
吸血鬼のグラスに注がれているのは、たぶん奥さんの生き血なのでしょう。
寝そべっていた奥さんは絨毯のうえから起き上がって、緩慢な動作で乱れた髪の毛を手で梳いて、
身づくろいをしながらこちらを窺っています。
手についた血に、ビクッとしますが。
紅く染まった指先を、思わず唇に持っていってしまったりしています。
男ふたりがこちらに歩み寄ってくると。
奥さんはあわてたように立ち上がって、壁ぎわに追い詰められてしまいますが。
「気分はどう?もう少し愉しんでおかないか・・・?」
ご主人にすすめられるまま、ふたたび足許にかがみ込まれてしまいます。
ごくっ・・・ごくっ・・・ごくっ・・・
血を飲まれる音だけが聞こえるなか、奥さんは目を見張り、戸惑い、やがて陶然となって目を瞑り、
そして壁を背にしたまま、姿勢を崩していきます。

立て膝をしたまま気を喪った若妻をバックに、男は絨毯に沁みた血を指先ですくい取って、舐めています。
意地汚いムードが流れます。
奥さんのふくらはぎの周りを破れ落ちているストッキングが、かなりエッチなのですが。
男はむぞうさに、奥さんのストッキングを破り取り、口許を拭ってしまいます。

チン・・・
ふたたび鳴らされたワイングラスは、三つ。
どうやら笑みを含んだ奥さんの唇を浸しているのも、生き血入りのワインらしいです。
採られた自分の生き血を、旨そうに喉を鳴らして飲む女―――。
照れくさそうにほほ笑んだ奥さんは、上目遣いで吸血鬼を見あげ、
夫のまえだというのに自分から身を投げかけていって、ねじ伏せられていきます。

どうやら本当のヒロインは、このご主人の妹のようです。
妹は母親といっしょに、家に現れます。
どうやら兄と義姉の招きで、新居に遊びに来たようです。
キリリと結った、長い三つ編み。
広いおでこに、色の白い頬。深い瞳。
吸血鬼もののヒロインの要件をすべて充たしたような容姿です。
お約束どおり、濃紺のセーラー服を着ています。
そしてやっぱりお約束どおり、処女なんでしょうな。^^
妹娘は兄をさがして、誰もいないリビングに足を踏み込みます。
所在なげにソファに腰をかけ、足許が湿っていたものか、はっと立ち上がり、そしてしゃがみ込んで・・・
どうやら義姉がしたたらせた血潮の痕に感づいたようです。
たいがいヒロインのほうが、カンが鋭いんですね。^^;
絨毯のうえに手を当てて、指でなぞって・・・指先についた紅い痕にハッとなったとき。
遠くから女の悲鳴が。
母親が襲われた声でした。

リビングとは離れた部屋のようです。
年配のお母さんも、高雅な雰囲気があって、鼻筋の通ったなかなかの美人です。
それが着物姿のまま畳の上に横たわり、うなじから血を流しています。
背後から迫った男が首筋に唇を吸いつけると。
いま一度「ひいいいっ・・・」と呻いて、そのまま気を喪います。
赤黒い血のしたたりが、和服の襟首にすべり込むシーンが、ワンショット。

蒼白い頬でほくそ笑んでいるのは、どうやら息子と示し合わせているらしいお母さん。
さっきと面代わりしてしまっているのは、きっと息子どうよう洗脳されてしまったからなのでしょう。
さっきの和服は、濃い紫のイブニングドレスに早代わりしています。
頭の上に巻いていた長い黒髪も、ふさふさと妖しくとぐろを巻くように、肩先に流れています。
お嫁さんとふたり、向かい合って。
お互いの首筋の傷に、指先を這わせて。
指先ついた血を、舐めあっています。
どことなく卑猥な雰囲気に、満ちています。
吸血鬼はどうしても、処女の生き血にご執心のようです。
ご主人がまぁまぁ・・・と、なだめながら。
無人の1階で、皆の人影を求めて部屋から部屋へ立ち惑っている妹の姿を、
吹き抜け階段のうえから窺っています。

結末がどうなったのか、記憶にありません。
常識的なドラマでしたら、可憐な妹があわや・・・というところで救いの手が差し伸べられて、
吸血鬼は灰になって朝空を漂い、家族はみなわれに返って、取り戻せない悪夢の記憶に首をかしげている・・・という展開になるのでしょう。
最美の女優が毒牙にかかるのとかからないのとでは、お話のインパクトが違ってきます。
憶えていない・・・ということは。平凡なほうの結末だったのでしょうか?
ひと口でも、啜らせてやれば。
吸血鬼の成仏の仕方も、ちがうような気がします。
おっと・・・異国の客人に、成仏は変ですか?(笑)
けれどもいっぽうで、柏木の奔放な妄想は、ことの実否を乗り越えて、駆け巡ります。(苦笑)
どういう妥協を見出し得たものか。
この家族が吸血鬼と和解して、かくまってやって。
夜な夜な、処女の臥所や夫婦の寝室、未亡人のベッドに、妖しい影が迫っていって。
こんどの獲物は、誰・・・?
なんて、囁き合っている。
知人という知人、美人の奥さんや年頃の娘さんのいる家に、片っ端から招待状を書いている。
そんな妄想も、捨てきれないでいるのです。

えっ?
なんていうドラマなの?ですって?
さあ・・・。(^^ゞ
もしかしたら柏木が妄想のなかで創りあげた、架空のドラマかもしれないですな。^^

奥さんのすべて、教えてくれる?

2008年07月11日(Fri) 07:50:59

奥さんの血液型を、知りたいな。
え?口でいっても、わからないね。
血液型というのものは、じかにこの舌で味わって識るものだから。
ちゅう、ちゅう・・・ごくり。
ウン。ご主人のおおせのとおり、間違いなくO型。
優しいお人柄のようだけど。失礼ながらちょっと大味だね。^^

奥さんのパンティの色を知りたいな。
え?秘密だって?
ご主人も、知らないんだって?
だからなおさら、知りたいんじゃないか。
ほら、自分の手で、スカートを捲って御覧。
そうそう・・・ひざのあたりで、いちど止めて。
黒のストッキングの太ももって、なんていイヤラシイ眺めなんだろうね。^^
はい。もうちょっと。上まで引き上げて・・・
白・・・ですか。
いいご返事。ですな。^^
こんどお目にかかるときには、ラメ入りのショッキングピンクなんてどうかね?

奥さんのストッキングの舌触りを知りたいな。
え?箪笥の中なら、あさってかまわないから・・・だって?
水くさいなぁ。
持ち主が脚にまとって、目のまえでさらけ出しているんだぜ。
べつの意味での「お水」。感じさせてくれるよね?
ほら、観てみなよ。
奥さんうわべは、いやいやをしているけれど。
内心は・・・オレの舌を、欲しがっているんだぜ。
ぬるり・・・ぬるり・・・
ああ・・・たまらんな。
いや。奥さんのことも、ご主人のことも、侮辱するつもりはないんだよ。
ただ・・・奥さんの美を、この場で分かち合いたいだけ。

奥さんの素肌を、拝見したいな。
もう・・・問答無用だよ。
たまらないんだ。
奥さんのあえぎ声も、聞きたいな。
ついでに奥さんとオレとの、身体の相性も。^^
いいよね?いいよね?片目をつぶって、くれるよね・・・?
・・・・・・。
・・・・・・。
ああ。
そんなに泣くなよ。
口許がかすかに、笑っているんだぜ。
でもその愉しみ、ご主人にはだまっておいてあげるね。
ああ。
そんなに悔しがるなよ。
わかっているって。
ほら。股間が昂ぶっているの、見えちまったんだぜ?
もちろん奥さんには、ナイショにしておくからね。
たまにはこんなイタズラも、悪くはないだろ?
ほんとうはご主人と”兄弟”になりたくって。
しちゃったのかもしれないな。


あとがき
くろす様のところのお話。
美貌のキャビンアテンダントに迫って堕としていくお話なんですが。
http://taka7ino.blog67.fc2.com/blog-entry-207.html
自分の手でアテンダントの制服のスカートを捲らせて、
濃紺のストッキングの脚をなぞっていくんですね。^^
思わず萌えちゃいました。(^^ゞ
それに想を得て・・・
くろす様、無断転用になってはいませんよね?^^;

昂ぶるご主人のまえで、奥さんを”開花”させる。
男の夢かもしれないですな。^^
あ・・・実行にうつしちゃ、ダメですよ。(笑)

小話

2008年07月10日(Thu) 06:04:59

どこかで読んだ小話に、こんなのがありました。
舞台は現代ではなかったと思います。

兵士に取られた男が留守宅の妻を心配して、貞操帯をつけさせた。
鍵は、いちばん信用の置ける親友にたくした。
ところが隊列に加わってすぐに、親友が追いかけてきた。
「オイ、この鍵あかないぞ」

小話はここまででおしまいです。
じゅ~ぶん、笑えるのですが。
柏木ワールドだと、夫からの返事がくわわります。
「あ、ゴメン。こっちだった。あと、よろしくね♪」
または
「それ、きみの奥さんのやつ・・・」(お前の妻のはどこ行った?)

・・・・・・。
どちらもそれなりに、濃いかもです。^^
ふつうの反応ですと、たとえば
「け、決闘だ~~~!」
ですな。
でも、こういう常識的なセンだけは、柏木ワールドにはないんですよねぇ。(-_-;)

ブログ拍手♪♪♪

2008年07月09日(Wed) 06:11:31

ひさしぶりに、ブログ拍手のご紹介です。
昨日はなんと3連続!で、「東京レンタル妻 3・4・5」に拍手を頂戴しました。
家戻ってきてPCひらいて、思わず
やったーっ! (^^)/
って気分でしたよ。
おなじ時間帯に入っていましたので、おなじ人が三つ投票してくれたのでしょうか。
もしかするとあのひとかな・・・?
って、わかったようなわからないような。^^

コメントももちろんですが。
拍手を頂戴できますと、非常にやる気がわいてきます。
ああ、知らん顔されてるわけじゃないんだなあって。
どんなことでも、自分を認めてもらえるのって、やっぱり嬉しいものですね。(#^.^#)

このごろ拍手を頂戴することが多くなりました。
無言の支持をくださっている皆様。
すべてをご紹介できなくて、ごめんなさい。
また拍手してね♪

妻たちの宴  ~かいせつのようなもの~

2008年07月08日(Tue) 07:15:30

嫁と姑を2人ながら堕としちゃうのって、なかなかいいですよね。^^
ほんらいはライバル同士の関係の2人が、おなじ男を相手にして。
いちぶのすきもなく装ったはずの礼装のすき間から、
いずれ劣らぬ白い柔肌を、ちらちらと覗かせて。
切ないあえぎ声を洩らしながら。女としての本能をむき出しにして。
かわるがわる、抱かれてゆく。
さいしょは、拒みながら。
そのうち、おねだりするようになって。
齢の順だね・・・なんて、男は女たちをからかいながら。
かわりばんこに這わせた唇の下、黒の薄々のストッキングの舌触りを比べっこしたりして。
じらしながら、衣裳もろとも、堕としてゆく。

妻たちの装いも、たいせつな要素です。
未亡人の喪服にしても。
勤めに出るときの、スーツにしても。
きりりと装われた凛とした衣裳は、女の社会的なステータスそのものです。
喪服を堕とされてしまうことで。
未亡人は貞淑であることを忘れ、
礼装を辱められてしまうことで。
貴婦人は夫への貞潔を放棄します。
剥ぎ取られた衣裳のすき間から、淫靡な柔肌を覗かせるようにして。
淑女の仮面を剥ぎ取られ、淫婦の本性をあらわにさらけ出していくようになるのです。

女2人を堕とすという、単にそこまでのお話でもじゅうぶんに納得できるのですが。(笑)
どうしても家族の男性を介在させてしまう、いけない私です。^^
嫁と姑、といいますと。
間に見え隠れするのは、どうしても夫の存在。
それに姑の夫だって、健在かもしれません。
夫にしてみれば、妻と母親を。
父親にしてみれば、妻と嫁を。
同時にひとりの男に征服されてしまうのですから。
自分自身の人生で築きあげてきた大切なもののほとんどを、
侵され蹂躙されてしまうようなものですね。
働いてためたお金で購ったこぎれいな礼装もろとも。
愛し合ってきた女体を蹂躙され、汚され、共有させられてしまう。
かの女たちを洗脳されてしまうということは、
自分自身をも、根こそぎ支配されてしまうのと、きっと同義のものになるのでしょう。

普通には敵意しか流れないはずの間柄に。
妖しい体験を共有するもの同士の共感をおおいかぶせてしまうと。
さらにいちだんと、濃い世界になります。
そう・・・男たちもまた、洗脳されてしまうのです。
たぶん、苦痛を感じさせないために。
妻や母親、娘たちよりも、いち早く。
新婚の家庭に悪友を引き込んで、血に飢えた欲望のままうら若い生き血を吸い取らせてしまう夫たち。
妻の密夫と示し合わせて、母親までも毒牙にかけて堕としてしまう息子たち。
すでに通じてしまっている妻と相談ずくで、まな娘の純潔を嬉々として踏みにじらせてしまう、父親たち。
ただの男にかえって、家族の女性たちの受難を見守る彼らの瞳は、狂った愉悦が支配しています。
近親の女性の肉体を通して支配を受け入れ、むしろ愉しんでしまうというのは、
現実にはまずあり得ない設定でしょうけれど。
侵すもの犯されるものが背徳的な体験を交えることで同時に昂ぶってしまう。
仇敵のはずが、おなじ欲求を表裏から味わうことで近しい関係を結んでしまう。
柏木ワールドが不思議といわれるゆえんでしょうか?

服従の愉悦  ~喪服妻たちの宴~

2008年07月08日(Tue) 06:48:25

氏名・年齢 古宮マサキ 32歳
職業     会社員
性格     温和で優しい。ややMの気あり。
家族構成  妻・ひろ子 28歳  母・百合恵 54歳
備考     妻は気が強いが、夫想いで夫婦仲は良好。
        母親は古風で気丈な性格。堕とすにはやや時間を要するか。

よみがえらせたその男は。
若い女の血を提供するように・・・と、要求されるがままに。
妻を誘い出してきましょう。
そう呟いて、深夜の店からさまよい出て行った。
雨脚のつよくなった夜明け前、ひとりの若い女を連れて戻ってきたとき。
一座は無言の賞賛に包まれる。
いちぶの隙もなく装った喪服姿の女は、立ったままの姿勢で。
まるで、輪姦を受けるように。
かわるがわる、抱きすくめられていって。
血に餓えた唇を、ヒルのように這わされてゆく。
夫は妻の受難を見守りながら。
服従の愉悦に目ざめたのだろうか。
しなやかに装ったスラックスのうえから、ゆるやかな自慰を加えてゆく。

立っていられなくなった女は。
ふらふらと、カウンターの止まり木に腰かけて。
ぬるりとした薄墨色に染めた脚を、無防備にさらしていた。
キュッと引き締まった足首。
ほどよく肉づいた、ふくらはぎ。
濃淡織り交ぜてなまめかしく包むナイロンの包装が、
淡い光沢を交えて、流れるような脚線美をガードしていた。
脂ののった女の素肌を護るには、か弱すぎ妖しすぎるガードだった。
あえぎ声を、かいくぐるようにして。
夫が裂け目をつけたのとは反対側の脚をとらえると。
女はこれ以上の恥辱を受けまいと、必死に脚をくねらせる。
ヘビのようにゆるやかにくねる脚は、いっそう妖しさを滲ませて。
ワクワクと吸いつけられる唇の下。
しなやかな抵抗をあきらめないでいた。

う、ふ、ふ・・・
お前はお前の宝を、私に捧げるのだ。
そう、すすんでみずから。後ろから、羽交い絞めにして。
お前が味わったのより、数段濃いやり口で。
女の装いを堕としてやろう。
唇の下。たあいなく弛められたナイロンが。
ふしだらに妖しいしわを波立てていって。
くしゃくしゃに堕ちてゆくまで。
熱っぽい接吻に、女の脚を引き寄せつづけていた。

夜な夜な、かわるがわる。夜這ってやろう。
お前の妻を、誘惑するために。
さいしょに堕としたやつが、お前の妻をかち獲るのだ。
主を選ぶのは、女にまかせよう。
夫を裏切るパートナーは、じぶんの意思で選ぶものだから。
男は従順に頷いて。
妻は堕とされた衣裳を、むしろ愉しみながら。
日常の待つ家へと、立ち去っていった。

かわるがわる、テイスティングを愉しんだ連中は。
男とその妻に、無言の感謝のまなざしを投げかけて、見送っていく。
お前らにも分け前を、愉しませてやるからな。
洗脳するには、複数の吸血鬼の牙が要る。
集められた男たちは、いずれもその妻や娘を、私のエジキにされていた。
家族の女性に向けられたわが寵愛を悦ぶがいい。
私の言い草に、男どもは迷惑そうに眉をひそめ、
けれどもいつも言いなりになって、夫婦の寝室や娘の勉強部屋のドアの隙間から。
いちぶしじゅうを、窺っていた。

「お義母さま。わたくしを祝福してください。今夜はわたくしの結婚式なの」
ひろ子は私に後ろ抱きをされながら。
首すじを伝い落ちるバラ色の血が、
喪服のすき間に着込んだ真っ白なブラウスを染めるのもいとわずに。
白髪交じりの髪をほつれさせ、屈辱にわななく姑に。
むしろ悦ばしげに、よどみなく。
これからあなたの息子を、裏切るのよ・・・
小気味よげに、告げていた。

婚礼の引き出物は、姑の貞操。
並べられた喪服姿のうえ、男どもはかわるがわる、のしかかっていって。
ふたつの女体は、本能のままの吶喊を、
いともやわらかに、受け入れてゆく。
犯されるまえ。
首すじをがぶりとやられたお義母さんは。
たちまち、牙の愉悦に感じてしまって。
惑乱しながら、漆黒のブラウスを持ち主の血で彩ることを願いつづけた。
日ごろたしなんでいた、嫁のものよりも淡い黒のストッキングを。
ためらいもせずに、噛み破らせてしまうと。
あとは、自然の摂理のおもむくまま。
すでに愉しみはじめた嫁の若い肉体の傍らに身を伸べて。
かわるがわるの凌辱のまえ、守り抜いてきた貞潔を。
惜しげもなく、散らしていった。

お前の生き血を、吸い尽くして。
お前の妻の生き血も、たっぷりと愉しんで。
お前の母親の生き血すら、飲み味わって。
妻も、母親さえも。
礼装をまとった身を、堕とされて。
まがまがしい排泄行為のはけ口に利用されてゆく。
どうかね?服従を受ける愉しみは・・・
わかっているとも。
その心配そうな面持ちは、
母上のお身体を、気遣っているのだね?
安心するがよい。じゅうぶん気遣って、血を採っているのだから。
さすがは、きみの母上だ。
きみの生き血とおなじ薫りを湛えたお身体は、しっとりとよく潤っていて。
無上の悦びを、私に提供してくれた。
お前の妻は、お前の子どもを生むだろう。
けれどもそれは、お前の血のつながったものではない。
私がお前になりかわって、はらませてやるのだから。
けれどもお前の血も、どこかで伝えていかなくては。
吸血鬼の好む芳香を秘めた一族の血を。
そうさな。
さしあたっては、お前の母上に。
私の精で、はらませてあげようか・・・?


あとがき
すこし、まがまがしいです・・・(笑)

七夕の夜

2008年07月08日(Tue) 06:00:50

ああ・・・やっぱりダメだった。
あのひとがいなくなって、三か月。
今夜は愛し合う女と男が年に一度だけ、出逢える日だというのに。
手の届かない世界に旅立ってしまった夫は、今夜も夢枕に立たなかった。
窓の外を見ると、雨―――。
ひろ子はネグリジェ一枚の身体を上向けると、フッとため息をついた。

―――?
部屋の片隅で、物音がしたようだった。
思わず耳を澄ませると、しばらくしてふたたび、ごとり・・・。
だれかが外から、雨戸に手をかけているらしい。
慄っ、とした。
いまは夜中の三時。
ふつうの人間が出歩く刻限ではない。
縮みあがった女がもういちど耳を澄ませると。
庭先の人影のつぶやきは、意味のある言葉になっていた。
ひろ子・・・ひろ子・・・
彼女の名を呼ぶその声に、懐かしい響きを聞き取って。
無気味な状況への怯えも忘れて、女は涙をしたたらせた。
待ちに待った夫の声―――。
もういないはずの人の声が、どうして耳に届くのか。
常識的すぎる疑問は、彼女にとって無意味だった。

ごとり・・・ごとり・・・
外から雨戸をためす音に。
中から閂(かんぬき)を外す音が重なった。
這うようにして縁側からあがりこんできた人影に。
マサキ・・・
女は口許を覆い隠して、むせび泣いていた。

愛する夫の口の端から覗いているのは、かすかにきらめく牙。
けれども女は怖れ気もなく、ふり仰いで。
吸血鬼になっちゃったの?
ああ。若い女の血が欲しくて、ここまで忍んできたんだ。
いいよ。わたしの血でよかったら。吸って・・・
目を瞑った女の肩を抱きかけて、男は自ら強いるようにかぶりを振る。
どうして?
訝しそうな上目遣いに。
まだ、慣れていないんだ。お前を死なせるわけにはいかない。
首筋を噛むことに躊躇しているかつての夫に。
もう・・・いつまでたっても、優しいんだから。
拗ねて夫を小突く妻は、いままでどおりの夫婦の会話にまだ涙した。
庭に出てきてくれる?喪服を着て・・・
わかった。待ってね。消えちゃったらダメよ。
男の言うなりに、女はいそいそと身支度を整える。
漆黒のスカートの下、格好のよいふくらはぎに通した黒のストッキングは、
いつものよりグッと薄く、素肌を透きとおらせていた。

縁側に腰かけて。
ふくらはぎを狙う牙のまえ、黒のストッキングの脚を惜しげもなく差し出して。
熱っぽく吸いつけられた唇に、ひろ子は陶然となって。
礼装の一部が本能のままに蹂躙されてゆくありさまを、
面白そうに、見おろしていた。

出かけよう。
え・・・?こんな時間に?
血を欲しがっているの。オレだけじゃないんだ。
すまなさそうに口ごもる夫は。
自分の血を吸った吸血鬼が、彼の生命を断たなかったのと引き換えに。
その妻の生き血を要求している・・・と、告げていた。
死んじゃうわ・・・
はじめて怯えをみせた妻に。
だいじょうぶ。オレがついているから。やつらはきみを死なせない。
でも・・・無理にとはいわないよ。
きみを仲間に加えてしまうのに、オレはまだ少し迷っている。
立ち去りかけた夫の肩に、こんどは妻がすがりついていた。

ストッキングが、破けているわ。
まだ躊躇を残した妻に。夫は自ら噛んだ脚の線をなぞりながら。
ちょうどいい破け具合だ。色っぽいよ。
もぅ。
夫の悪ふざけに口を尖らせながら、ひろ子はショルダーバックを振りあげている。
雨なのに、傘もさしていないのに。
なぜか、服が濡れることはなかった。
水気を含んだ夜風が、頬に心地よいばかり・・・

酔客たちの立ち去った盛り場は。
消え残ったネオンもうらぶれていて。
初めて見る明け方の巷の風景を、ひろ子は珍しそうに見回した。
その片隅の、暗がりに。
ほんのりひとつだけ灯された照明だけが。
其処にバーがあるのを、ひっそりと知らせていた。
ギィ・・・
夫がおもむろにドアを開いたとき。
いよいよ・・・
ひろ子は身を固くして、夫の影にかくれるように、店内に入っていった。
いつの間にか、黒のブラウスのひじを夫に支えられながら。

店内は、薄暗がりが支配する、異形の場。
こちらから奥までまっすぐに伸びたカウンターは、
すみずみまできれいに拭かれ、ぴかぴかになっている。
よほどきれい好きな店主なのだろう。
床さえもが、たった今しがた、ワックスかけをしたように。
鏡のように、女の足許を映し出していた。
カウンターの彼方にわだかまっていた一陣の闇が、むくむくと身を起こして。
鎌首もたげた蛇のように、女を見据えたとき。
さすがに女は身がまえるようにして、夫に寄り添っていた。
夫は妻の肩を優しく抱いて、むしろのびやかに、影たちのほうへと足を向ける。
紹介しよう、家内のひろ子。齢は28、いまは漆黒の未亡人さ。
ふふっ・・・と笑う夫は、
まるでつれてきた獲物を、自慢しているよう。
けれどもかりに、夫が吸血鬼の本能のままに、
かつての妻をまんまと家から誘い出したに過ぎなかったとしても。
ひろ子はじゅうぶん、満足だった。
ほほぅ。これはお美しい。さすがに古宮さんご自慢の奥様ですな。
影のなかでも頭だったものが、ほかの連中を従えて、
長身の背すじをぐっとそらせた。
このかたが、オレの血を全部吸い取っちゃったんだよ。
あ。だいじょうぶ。
きみのことは、手加減するよう頼んであるから。
いつにも似ない、そつのなさだった。
日常家ではのんびりとしていて、キビキビとした妻の尻に敷かれている夫とは、別人のよう。
ひろ子は引き合わされるがままに、恐る恐る会釈を返し、手の甲に接吻を受けた。
ではー――
おもむろに、引き寄せられて。
背後に回った夫は、ためらう妻の背中を押すように、両肩を支えている。
目のまえの薄い唇が、みるみる弛んで。
その両端から、ちょうど夫が生やしたのとおなじような牙を、チカリと覗かせた。
銀色のきらめきは、ふしぎなときめきを秘めていて。
ひろ子はうっとりと見つめながら、抱き寄せられて。
身を重ね合わせられたせつな、うなじを噛まれていた。

あ・・・あ・・・あ・・・
ちゅう~っ。
夫に聞こえよがしに、わざと音を立てて。
ひろ子の生き血が、吸い上げられてゆく。
夫は妻が襲われるさまを、昂ぶった瞳で見つめつづけて。
礼装に身を包んだ未亡人が、堕ちてゆくのを、
あまさず見届けるつもりらしい。
ふらふらとよろけかかったひろ子を、抱きとめる腕の向こう側。
黒の礼服に映える乳色の首すじに。
バラ色のしずくがひとすじ、涙の痕のように伝い落ちてゆく。
夫の生き血をあまさず吸い尽くした男は、
その妻の生き血をも、むさぼりはじめている。

さあ、次はきみ。そのつぎは、あんた。
まるでワインのテイスティングのように。
つぎからつぎへと、相手を代えさせられて。
よろける足許も覚束ない妻は。
はらはらと見守る夫のまえ、かわるがわる吸いつけられる唇に、うなじを許していって。
数人の吸血鬼は、まるで回し飲みを愉しむように。
マサキの妻を、味わっていった。
ふんわりとリボンを締めた胸許も。
きりりと結わえられた、黒髪も。
裂け目をひとすじ伝い落とした、黒のストッキングの脚も。
蹂躙をまぬかれることは、できなかった。
男の影に取り巻かれた美しい獲物は。
その場に倒れ臥すことも、許されず。
ひんぱんにパートナーの入れ替わる淫靡な舞踏に、
われとわが身をゆだね果てて。
鏡のように磨きあげられた床に、バラ色のしずくを散らしてゆく。

はぁ、はぁ、はぁ・・・
失血のあまり、肩で息をしながら。
やっとのこと、身を横たえることのできた安堵感に。
ひろ子は、浸りきりながら。
なおもしつように、足許に唇をねぶりつけようとする影のひとつから逃れようとして。
けだるそうに、脚をくねらせていた。
淡い照明に光沢をよぎらせた黒のストッキングは。
夫を弔うための礼装・・・という用途を越えて。
妖しい濃度のなまめかしさに、白い脛を透きとおらせていて。
薄々の衣裳に引き込まれるようにして寄り添ってくる、
欲情にたぎる脂ぎった唇を、ヒルのように這わされてゆく。

いかが?
未亡人の脚を彩る、黒のストッキングの味わいは?
ひろ子の二の腕を、なぞるように優しく撫でながら。
夫は仲間の吸血鬼を、促している。
ぬらりとした薄墨色に女の脚を染めている薄手のナイロンが、
牙が通り過ぎるたび、ぱちぱちとかすかな音をたててはじけてゆく。
広がってゆく裂け目から洩れる白い脛に、
男どもは夢中になって、競うように唇を吸いつけてきた。
夫を弔う礼装に、踏みしだかれるように凌辱を受けながら。
女はいつか、若い身空で忘れかけていた官能を取り戻しかけている。

馳走になった。
白皙の男は、長身の背すじをぴんと伸ばして。
あくまで紳士的に、礼を述べていた。
男の背後の影たちも、男の態度にへだたりなく。
視線を避けあっている若夫婦に、慇懃な謝意を無言のうちにそそいできた。
さあ、お発ちなさい。夜があけるまえに・・・
男に促されるまま、開かれた扉の向こう。
はや闇の去りかけた街なみが、広がっていた。

かかとの折れたハイヒールを、ぶら下げて。
ショルダーバックを肩から提げて。
夫に手を引かれるまま、放心状態で店を出た。
薄いストッキング一枚の足の裏に。
ごつごつと硬いアスファルトを、じかに感じながら。
堕とされてしまった歓びに目ざめた女は、
耳の奥に残る囁きを、繰り返しよみがえらせている。

夜な夜な、相手をかえて。
きみの奥さんを、誘惑に伺う。
だれかがはっきりと、主と定まるまで。
夜這いの絶えることはない。
奥さん。ご主人以外のだれかをお選びなさい。
そしてそのものの、奴隷となりなさい。
毎晩奥さんを覗いているであろうご主人のまえ、
このひとの支配を受け入れます、永遠に服従しますと、誓いなさい。
貴女はこの男の妻のまま、犯されつづけ、辱め抜かれるのです。

謝罪するように上目遣いをする妻に。
夫はイタズラっぽく、笑いかけて。
さあ・・・だれがきみを、堕とすのかな?
まるでゲームのなりゆきを、愉しむようだった。
輪姦にも似た吸血を体験してしまった妻の肌には、
無数に遺された、牙の痕。
その痕跡のひとつひとつに、沁み込まされた毒が、
とぐろを巻くように、疼きをあやしている。
そうね。幾晩あなたのために、ガマンしようかしら?
妻もまた、ショルダーバックをぶらぶらさせながら。
挑発的な視線を、夫に投げ返していた。
そろそろ、六時。
出勤してゆく、背広姿。
散歩を楽しむ、ラフなかっこう。
ちらほらと出てきた人影をまえに、
破けた黒ストッキングの脚を、ためらいもなくさらしながら。
女はこれ見よがしに、腕を組んで、家路をたどる。

・・・?
ふと、目ざめてみれば、そこは独り寝のベッドのうえ。
開け放たれた窓からは、すでにあからさまに明るい青空が広がっている。
夕べの雨が、うそのようだった。
いつの間にか、就寝のときのままのネグリジェ姿に戻っていた。
うそみたい。
いまのは、夢?
戸惑いは一瞬のこと、
ひろ子さん、まだですか?
朝食の食卓を整えようとしている義母の咎める声が、
ひろ子を日常に、引き戻していた。
はぁい。
女ふたりの住まいには、大きすぎる声を投げ返して。
ひろ子はばたばたと、部屋を出ていく。
お勤めに遅れますよ。
無防備なネグリジェ姿を、いちぶの隙もない礼服姿が出迎えた。
息子がいなくなってから喪服を脱ぐことのなくなった義母は、
きょうも漆黒の洋装だった。
勤めに出てゆく嫁が色鮮やかなスーツを装うのも、うらやましいとは感じないようだった。
す、すみません・・・
鏡のまえ、口紅を塗りながら。
ひろ子はふと、鏡のなかの自分と顔を見合わせる。
一瞬こわばった薄い唇が、ふふふ・・・とゆるく笑んでいた。
やっぱり、来てくれていたんだね。
うなじの一角にかすかに滲んだ、黒っぽい痣のような痕。
すべてを引き抜かれてしまうような快楽の坩堝が、ありありとよみがえった。
女は秘められた傷口を軽く撫でながら。
きっとどこかからこちらを窺っているにちがいない人に、語りかけている。
こんどはお義母さまも、誘ってあげようね。
まだお若いうちに、あの愉しみに目ざめさせてあげようよ。
そういえばお義母さま、わたしよりも薄いストッキングをお召しになるのね、。

東京レンタル妻 5

2008年07月06日(Sun) 10:25:20

チョンガー(単身赴任者)がいて。その留守宅があって。
独り寝をする男と女があって。
もしも条件が折り合うのなら。
どうして婚外交際が成り立たずにいるだろうか?

片村が赴任してきたときに。
入れ違いに転出していった、あの男。
齢よりも老けたかんじのする、さえない彼は。
片村にそっと、囁いたのだった。
よく御覧なさい。
これがうちの事務所の職員住所録。
最近は個人情報とやらがやかましいから、
門外不出で職員にも配布されないけれど。
庶務課のあんたなら、いつでも見ることができるはず。
これを見て、なにか気がつきませんか・・・?
そう。
単身赴任者のマンションの近所には、かならず一軒か二軒。
べつの単身者の留守宅があるんですよ。
広い都会の中で、どうしてここまで一致するんですかね?
いや・・・単なる偶然の一致かもしれませんが。

変わったことを言うやつだ。
ひと言でそう、片づけてしまっていた。
たしかに男の指摘はもっともだったが。
だからそれが、なんだというのだろう?
ふつうは通り一遍、そこまでの話で。
赴任先に慣れ、その場の忙しさに取り紛れるうちに。
前任者のことなど、じょじょに忘れていくはずなのだったが。
そこから先が、いつものように通り一遍には片づかなかった。

申し訳ないんですがね。
時おりわたしの留守宅に、届け物をしてほしいのですよ。
週に一度、社内便がありますよね?
ちょうどあなたのマンションとうちとは近所だから・・・
郵便代を節約したくてね。

ひどくみみっちい、要求だった。
迷惑極まりない頼みごとにも、思われた。
たしかに男の住まいは、通勤の通り道にあたる。
―――なに。留守だったらポストに放り込んでおいてくれればいいんですよ。
男がこともなげに言ったにせよ、他人の家と接触を持たなければならないのは、
とくべつ非社交的なわけではない片村といえども、おっくうな話だった。
けれども、そんな思いはさいしょだけのことだった。
男はいよいよ赴任する前日に、
―――むさくるしいところなんですが・・・
と恐縮しながら、片村を自宅の夕食に誘った。
二階建てで庭つきの一軒家。
それは、サラリーマンの夢でもあるのだが。
どうため込んだのか、まだ四十前のその男は、すでにそれを保有していた。
(これじゃあ、単身になるのもわかるよなぁ)
鈍くてさえない男の印象とは、裏腹に。
家は新しく、室内も整理がゆき届いていて。
おまけに男の妻も、夫婦でつり合いがとれないくらい、快活な美人だった。
華絵という名前のとおり、華やかで絵になる女だった。
彼女の魅力は、置物のような美しさではなかった。
しま模様のTシャツの肩に、洗いざらした黒い髪をむぞうさに流しただけの。
お客様を迎えるには地味すぎるほど、ごくありきたりのふだん着だったけれど。
態度や語調、しぐさにまで、性的ともいえる魅力が滲んでいた。
きびきびとした身のこなしは小気味よく、
お膳を整え、お酒のボトルを持ち出し、つぎはグラス・・・と、
びっくりするほどよく立ち働くのだ。
スリムな身体にぴったり合ったタイトなジーンズ姿を、惹かれるように見つめていると。
男はそれと察したように、
―――ね?いいお尻しているでしょう?
家のなかではひどくくつろいで、屈託なげにしていた彼は。
めずらしく露骨な冗談を口にした。
(い・・・いやいや。)
とっさに言葉尻を合わせることができないほど、うろたえてしまったのは。
じじつ、華絵の挙措がそれほどセクシィに、彼の網膜を支配してしまったからだった。

じゃあ、よろしくお願いしますよ。
なにを、お願いされたのだろう?
玄関先まで見送られたとき。
男は妻に気づかれぬよう、意味ありげに片目をつむってみせた。
ああ・・・そうか。毎週のお届け物があるんだったな。
そう気づいたのは、まだ部屋のなかが片づいていないマンションに足を向けてからのことだった。
ほどよくまわったアルコールにほてった胸の奥。
彼のなかで、気づまりな頼まれごとが、日常を彩るささやかな愉しみに、
にわかに変貌を遂げていた。

インターホンを鳴らすとき。
いつも気後れしてしまっている。
やはりそこは、会社の同僚の留守宅である。
近所の目も、気になった。
時には、インターホンを鳴らさずに、ポストに放り込んでしまおうかと思うときもあった。
けれども社内便で送り届けられる荷物は、
なにが入っているのか、けっこうな大きさで。
重たくかさばる・・・というほどの量ではないにせよ、
折りたたんだ新聞がどうにか入るくらいのスペースしかないポストには、
どうやっても、はさみ込むことができなかった。

はぁい。
インターホンを通して響いてくるはずんだ声は。
かん高く張り詰めたトーンのなかに、適度な潤いを含んでいて。
ひと声耳にするだけで、日々の雑然とした疲労感がぬぐわれるような気分だった。
タイトなジーンズがお気に入りなのか、
それとも服装にはかまわないほうなのか、
華絵はいつも、Tシャツの肩に長い髪をむぞうさに流しただけのかっこうで。
玄関越し、彼から荷物を受け取るのだった。
―――いつも、すみません。
いえいえ、たいした用じゃありませんから。
―――ご迷惑、かけますねぇ。
そんなありきたりの、あいさつ程度の会話だったが。
たったひと言添えられる会釈だけで、片村はじゅうぶん報われた気分になるのだった。

ある日のことだった。
華絵が心ばかりのご馳走をしたいといってきた。
どきり!とはずんだ胸の裡を、押し隠すようにして。
いえいえ、そんな!お気遣いなく・・・
片村はへどもどと応対したのだが。
夫が気にしているんです。
後任者だというだけの片村さんのことを、私用でお使い立てしてしまっているので。
週末夫が帰ってくるので、よかったら向こうで手に入れた地酒でも・・・と言いつかっているんですが。
そういえば男とは、赴任して以来いちども言葉を交わしていなかった。
異動になってから、もう、2,3ヶ月は、経っていた。
片村への頼みごとを忘れていない証拠に、
毎週金曜日の社内便には必ず、片村あての自分の荷物を入れてきているくらいなのに。
華絵と別れてから、ふと気がついた。
男にその気があるのなら、どうして片村に直接申し出てこないのだろう?

約束の土曜の夜。
片村は真新しいポロシャツに、やはり新調したばかりのスラックスをはいて、華絵の家を訪れた。
さいごに家で会ったとき、男はごくくつろいだ格好をしていた。
妻の華絵も、服装にはかまわない人だった。
オレも、ラフなかっこうでいいのかな?
ちょっと迷いながら、それでもジャケットを羽織っていた。
午後七時半。
陽気のよくなったこのごろでも、そろそろ暗くなってくる時分だった。
夕食には、すこしおそ過ぎる刻限だったが、
―――主人が昼間、出ておりまして。
華絵は申し訳なさそうに、深々とお辞儀をしていた。
ひざの上で軽く重ね合わせた両手が、ひどく奥ゆかしく見えたのを、
片村はなんとなく、思い出した。
ご主人がお出かけじゃ、よくないですね。まさか、ツーショットというわけにもいかないでしょうし。
しょうしょう悪乗りした言い方は、華絵にはうまく通じなかったらしい。
どぎまぎしたのは、片村のほうだけだった。

いつものように、インターホンを鳴らすと。
はぁい・・・
夫の帰宅を迎えたせいか、いつになくはずんだ華絵の声が、大きく聞こえた。
玄関から門までの短い距離を。
束ねた髪を背中に揺らしながら、小走りに駈けてきた華絵は、
珍しく、スカートを着けていた。
いつもより濃い化粧は、夫のためのものだろうか。
鮮やかに刷かれた口紅が漂わせる女の色香が、むせ返るほどだった。
―――今晩は、ようこそいらっしゃいませ。
女はいつものように、礼儀正しく親しみを込めた語調をはずませて。
―――さ、中へ・・・
まえに通されたときとおなじように、片村の先に立ちキビキビと玄関に足を向けた。

室内の灯りがはじめて、華絵の衣装に色を添えた。
眩しいほど鮮やかなオレンジ色のブラウスは、
夏ものらしい生地の薄さに、スリップの肩ひもが透けてみえた。
青い花柄のロングスカートは、ツヤを帯びた生地をしていて、
歩みを進めるごと、腰の揺れに合わせてゆらゆらとそよいだ。
脚は脛から下しか見えなかったが、
張りのあるふくらはぎを黒のストッキングが薄々に染めていて、
片村はなぜかどきりと胸を衝かれる思いがした。

もうしわけございません。
じゅうたんの上、華絵は洋間に不似合いな正座をして。
三つ指突かんばかりにして、黒髪の頭をさげていた。
―――主人、用事がすまなくなりまして。今夜は戻れない・・・というのです。
―――おわびのご連絡を・・・とも思ったのですが。ぜひ寄ってもらえ・・・と主人に言われまして。
―――ですからどうか、今夜はくつろいでお過ごしくださいませ。
え?え?え?
片村はのけぞるほどに、驚いた。
それはないだろ、という戸惑いのすぐあとに。
かえってそのほうが、くつろげる・・・
無意識の安堵が、戸惑いを塗り替えていた。
三ヶ月も口を利いていない、気心の知れないあの男と、
いまさらどんな話題があるというのだろう?
―――わたくしでよろしければ、お酒のお相手をいたしますよ。
小首をかしげるようすも人なつこく、口許に笑くぼを浮かべて女は言った。
(じゃあ、せっかくですから・・・)
片村が促すと、女は嬉しそうに立ち上がり、一礼すると台所に向かった。
いつになくツヤツヤと輝いた黒髪が、ブラウスの肩をサラサラと流れていた。

時間が経つのは、あっという間だった。
快活な華絵の話題は、尽きることがなく、
さいしょは決まり悪げに居住まいを正していた片村も、
しだいしだいに話しにのめり込んでいた。
プライベートの知人ひとりいない、赴任先の夜。
こんなに楽しいと思えたことは、ついぞなかった。
未知の若い女性の、気の利いた会話とうまい料理。そして、酒。
なにもかもが、満ち足りていた。
はじめから、ウマの合う間柄だったのか。
女が合わせるのが、巧みだったのか。
時計をみると、とっくに真夜中を過ぎていた。
―――あら・・・すっかりお引止めしてしまって。
片村の指摘まで、時間のことなど意識になかったらしい。
ほどよい酔い心地に頬を淡く染めた女が、ちょっとあわてたように立ち上がると、
そろそろ潮時・・・と、片村もジャケットを手にソファから腰を上げた。
しっくりときた座り心地が、ほんのすこし名残り惜しい。
―――あの・・・
女の声が、改まっている。
―――よければお泊りに、なっていかれませんか?もう遅いことですし・・・
え・・・?
首をかしげる片村に、女はもう一声、言葉を添えた。
―――わたくしでよろしければ、お相手させていただきます。
意を決したような棒読み口調。
けれども言葉の意味は、さいしょのひと言よりもはるかに通りがよかった。
羞ずかしそうに視線を俯けた女の手を取り、肩に腕を回して。
おとがいに指を添え、ぐいと仰のける。
観念したように目を瞑った女が、軽く突き出した唇は。
潤んだような光をたたえていた。

腕のなか、思ったよりも華奢な身体つきが、頼りなく力を抜いて。
平衡を失ったふたつの影は、その場に折り重なるように崩れ落ちた。
ペルシャ絨毯の複雑な文様のうえ。
放恣に伸ばされた脚が、ヘビのように妖しくくねる。
じょじょにたくし上げられてゆく、青のロングスカートから。
格好のよいふくらはぎが、ぬるりとなまめかしく、さらけ出されていった。
脛の白さを淡く滲ませた黒のストッキングが、脚のくねりに合わせるように。
ぬめるようにツヤツヤとした輝きを、よぎらせた。

おはようございます。
女の声で目がさめると、そこは夫婦の寝室だった。
いつものように、長い黒髪をぞんざいに肩に流した華絵が、
にこやかに、会釈を投げてきた。
夕べの過ちなどみじんも感じさせない、屈託のなさだった。
あでやかに刷かれた化粧は、あとかたもなくて、
すがすがしいほどの素顔をさらして、日常の家事に戻ってゆく。
青のワンピースを軽やかになびかせた後ろ姿を、片村は無意識に追いかけていって。
台所の入り口で、女の肩をつかまえた。
女はビクッと身をこわばらせたが。
強引に唇を奪ってゆく男に、いつか積極的に応じはじめていた。

唇を放して。
そむけたはずの華絵の視線の彼方。
ソファの背もたれに、夕べ脱ぎ捨てられた黒のストッキングが、
帯のように長々と、垂れ下がっている。
女が初めて、羞じらいの色をみせ、
ほんのすこし、体重をのしかけただけで。
あらがいひとつ、みせることなく。堕ちていった。

飾り気のない・・・と思い込んでいたはずの女は。
スカートのときには、ストッキングをたしなむようだった。
羞じらいながら、いやいやをするのを無理強いして。
青のワンピースを、腰まではぐりあげてやると。
無地の肌色のストッキングは、毒々しいほどの艶を秘めていた。
つややかな気品をたたえた礼装は。
大胆に這わされる唇と舌に、なよなよと頼りなく、いたぶり尽くされるようにして、
ふしだらなひきつれを、走らせてゆく。
ぴりっ・・・
かすかな音をたてて、薄いナイロンの生地がはじけてしまうと。
男の不手際を、かばうように。女は軽く、かぶりを振って。
破って頂戴。
はっきりとした声色で、男の理性を奪っていた。

剥ぎ取るようにはだけられたワンピースが。
あらわになった肩先が。
ストラップを断たれたブラジャーが。
はち切れそうな量感をもった、おっぱいが。
くしゃくしゃにずり降ろされてゆくストッキングが。
羞じらいを含んだ腰つきの奥、濡れそぼった秘毛が。
つま先まですべり降ろされ、男の手で部屋の隅に投げ捨てられたショーツが。
圧倒されるくらい大胆な、積極的に享楽をむさぼる上下動が。
すべてが、ふたりの日常を塗り替えていった。
夫のいない週末。
片村が女の許を訪ねていくようになったのは、ごくしぜんな成り行きだった。

月曜日の出勤は、憂鬱である。
愉しい土日をはさんだ分、先週のやり残された仕事の記憶が、
白々と味気なく、よみがえってくる。
朝っぱらから忙しいのは、どこの部署もその帳尻あわせに走り始めているせいだろうか。
気が抜けるひまがないほどの忙しさが一段落したのは、もう夕方が間近になったころだった。
「片村さん、お電話です」
受話器を取った女性が告げた名前に、どきりとした。
華絵の夫からのものだった。
(もしもし?)
声が意識的に、身構えている。
けれども男は、なにも報らされていないらしく。
―――やぁ、しばらくでした。いつも頼みごとばかりで、すみません。
ひたすら恐縮しきっているようだった。
(いえ、いえ。おかげでこちらは、愉しい想い・・・)
不埒な言い草を押し隠して、片村はごく事務的に、どうしましたか?と訊いていた。

男がふたたび電話をよこしたのは、夜だった。
ちょっとびっくりしたのは。
片村の家や携帯にではなく。自宅にかけると言い出したことだった。
彼の希望どおり、華絵のいる男の留守宅に顔を出したとき。
ごく手短かに用件を告げられた女は、気がかりそうに片村の顔を覗き込んだ。
眉を寄せた上目遣いの憂い顔が、ひどくいとおしくて。
片村は恋人のように、キスを重ねる。
―――だいじょうぶ。ばれやしないって。
肩を抱き締めた腕が、もうこの女のすみずみまで知っているのだというばかりに。
力のこもり方、密着のし方の濃さまでも、つい先週までとは異なっていた。
リリリリリン・・・
鳴り響く電話機の音に、華絵は肩をすくめ、片村は頬をこわばらせる。

こんばんは。
ふたりとも、おそろいで・・・
華絵のやつ、たまには貴方を家にあげてくれていますか?
いやいや、仲良くやってくれているのが、いちばんなんですよ。
そうじゃないと、届け物もお願いしにくくなりますからね。
なにがどうなっているだなんて、詮索するのは野暮な話ですな。
もっともわたしは、こういう状況を、むしろ愉しんでしまうほうなのですが。
まえに、言ったでしょう?
単身赴任者のマンションと、べつの単身者の留守宅が、近所にある・・・って。
あれはね。
わざと、組み合わせてあるんですよ。
どうなっても、よろしいようにって。
需要と供給・・・というではありませんか。
単身赴任者というのは、淋しいものですな。
おなじように、留守宅に残される奥さんも、淋しかったりするのですな。
おなじ淋しいどうし。波長を合わせることが出来るのなら。
あとは、言わぬが花。見ぬが花・・・
そういうわけには、まいりませんか?
そうそう。
ひとつ、おわびを申し上げなければ・・・
わたしは庶務の部署が長いので、なにかと話が耳に入ってくるのですが。
貴方の留守宅のちかくに、若い独身のサラリーマンが棲みついたようですね。
それも足しげく、貴方の留守宅にお邪魔しているとか。
どこのだれだか、すぐにおわかりになるはずですよ。
今どき、個人情報がやかましいっていったって。
よその事務所の住所録を見る方法なんか、いくらでもあるはずですからね。

毒をそそぎ込まれたような言葉だった。
妻が・・・。まさか、妻が・・・。
片村はめまいがするほどの衝撃を受けていた。
想像のなか。
子育てに、家事に、パート勤めに。
日常まみれになって、女であることさえ忘れてしまっていたような妻が。
想像のなか、夜の蝶のように、濃く化粧を刷いて。
着古したあの地味なカーディガンを脱ぎ捨てて。
夫の知らない服を着て。別人ように、装って。
あだっぽく笑いながら、未知の男の帰宅を迎え入れている。
子育てに、家事に、パート勤めに。
埋め尽くされた時間のすき間を、よりあわせるように、工面して。
得られた刻を、秘めつづけていた欲情のままに、燃焼させている―――
―――そういうことだったのか。
帰宅の頻度が落ちた夫のことを、とくべつ疑うふうもなく。
交通費も、ばかにならないわよね、って。
ひどくおだやかに受け止めていた妻。
けれども妻を憎む理由は、いまの片村には思いつかない。
妻のもとに通ってくる若い男のことを、どうこう言える立場でもない。
毎週のように妻を犯しているその男は、片村の分身のようなものだった。
親しみや共感を感じこそすれ。
そう・・・
なにがどうなっているかを詮索するなんて、まったく野暮な話だった。
妻の不倫をなげくよりも、いま目のまえの快楽を手にするほうが、先。
だまって添えられた白い手を、彼は堅く握り返している。
受話器のなかの声は、まだよどむことなくつづいていた。

わたしの家の近所には、同僚の留守宅はありません。
都会とちがって、融通が利かないのですよ。
けれどもね。世の中、よくしたもので・・・
一方的に盗み取られてしまっている。
そんな状況を愉しめる種類の夫も、たまさか居合わせるものなのですよ。
さあ、どうぞ、ご遠慮なく。
妻の貞操を、召し上がってください。
もしも、お差支えがなかったら。
受話器はこのまま、放り投げていただいて。
あなたの飽食ぶりを聞きながら、わたしも愉しませていただきたいものですな。
ひょっとして。
もしもあなたに、わたしと同じ嗜好があるならば。
着飾った奥様が、いまごろどこかのだれかに犯されているのを思い浮かべながら・・・でしたら。
興をいっそう、添えることになるかもしれませんね・・・

振り返ると、片村の情婦に堕ちた人妻は。
そわそわと落ち着かなく、視線を泳がせていて。
けれども彼女のみせるためらいとは、裏腹に。
シックなはずの装いは、服ほんらいの意図以上の色香を。
挑発的に、滲ませている。
独身のころ、勤めに出ていたときに着ていたものだろうか。
黒のシンプルなジャケットの下は、モノトーンのボーダー柄のブラウス。
しま模様の太さは、まちまちで。
胸の辺りの高さだけひときわ太いしま模様が走っていて。
突き出たおっぱいの形のよさ、柔らかさを。
いっそう、引き立てているようだった。
ひざ上丈の、真っ白なタイトスカート。
下肢を包んでいるのは、淫靡に輝く、黒のストッキング。
清楚と淫靡が同居した、モノトーンの鮮やかさ。
若向けの衣装から、素肌をちらちらと覗かせながら。
女はためらいがちに、後ずさりを始めていた。
片村は女をぐいと引き寄せると。
力任せに、絨毯のうえにまろばせて。
受話器のころがったまん前で。
黒のストッキングをブチブチッ・・・と引き破って。
はだけたブラウスのすき間からねじ込んだ手は、
艶を帯びた黒のスリップを、引き裂く音も荒々しく、
チャッ・・・チャッ・・・
もだえる身体から、剥ぎ取っていった。


単身赴任の夫たちがいて。
その留守宅に残る、妻たちがいて。
互いが互いの影を、重ね合わせるとき。
人はそれを、”不倫”と見なす。
けれども、なかにはもっと、クールな関係もあるらしい。
せめぎ合う欲求の需要と供給の関係を、ごくスマートに割り切って。
しとやかな人妻は、男と寄り添って。
自らを情婦にかえてゆく。
ときには妻を犯される立場に立たされた夫さえもが。
情欲の坩堝(るつぼ)に、巻かれていって。
重ねられる不貞に、日常を超えた昂ぶりに狂ってゆく。
東京レンタル妻。
其処に登録を受けた妻たちは。
今宵も独り寝の寂しさを、ひっそりと埋め合わせてゆく。


あとがき
単身赴任者の奥さんを、企業ぐるみでここに登録していいる。
あり得ない設定・・・ですよね?^^

家族ぐるみ

2008年07月05日(Sat) 15:55:59

きゅうっ。じゅるじゅるっ・・・
隣の部屋から、いやな音が聞こえてきた。
恐る恐る、そうっ・・・とふすまを細めに開けると。
深緑色のスーツを着た母さんが、台所に倒れ込んでいて。
うなじにとりついた小さな影が、ひっそりと音を洩らしながら。
母さんの生き血を吸っているところだった。
影の主は、はす向かいに越してきたマサヤくん。
ママの事が気に入った・・・って、言ってたけれど。
まさかこんなふうに、気に入っていただなんて。
そうとも知らずにボクは、マサヤくんとお父さんとを。
だれにも断りなしに、家に招き入れてしまっていた。

休日の家には、みんながいるはず。
けれども父さんの書斎も。姉さんの勉強部屋からも。
人の気配が伝わってこない。
そらぞらしいほど明るい屋外とは対照的に。
家じゅうひっそりと、無気味に薄暗い沈黙に支配されていた。

向こう側のドアが、がらりと開いて。
顔を覗かせたのは、マサヤくんのお父さん。
「なんだ。ここにいたのか」
「ウン。パパのほうは、うまくいった?」
「ああ・・・ご主人もお嬢さんも、黙らせた」
うふふふふっ。
マサヤくんはいつものように無邪気に笑って。
もういちど、母さんの首すじに牙を埋めてゆく。

待って・・・
身の危険もかえりみず、台所に一歩踏み込んでしまった。
ふたりの吸血鬼は同時に振り向いて、
不吉な目つきでこちらへとにじり寄ってくる。
ボクよりずっと年下のマサヤくんは。
素早くボクの背後に回りこんでいて。
退路を断たれたボクは、黙って立ち尽くしたまま。
ハイソックスを履いたふくらはぎに手を伸ばしてくるマサヤくんになされるがまま、
唇を吸いつけられてしまっていた。

きゅうっ・・・
身体じゅうのぬくもりを、引き抜かれるような心地がして。
めまいを起こしたボクは、ふらふらと倒れこんで。
気がつくと母さんの隣に、並べられて。
親子かわるがわるの吸血を、受けていた。
身体のあちこちに刺し込まれてくる牙は、チクチクとうっとうしかったけれど。
思ったほど痛くなかった。

悪いね。ユウ兄ちゃん。
マサヤくんは、ボクの顔を覗き込んで。
甘えるように、うなじにつけた傷口を吸って。
ボクがくらくらとなって、静かになってしまうと。
ボクの履いているライン入りのハイソックスと。
母さんの履いている肌色のストッキングと。
替わりばんこに噛み比べをしているのだった。
うふふ。どんどん破けていくね・・・
昏い愉しみに耽るマサヤくんを、やめさせることもできないで。
けんめいに身じろぎしようとしていると。
いつの間にか、母さんの手が。
ボクの手の甲を抑えるように、覆いかけてきた。
血の気のなくなった掌は、ひどく冷たかったけれど。
おっとりと手に手を重ねるしぐさは、じゅうぶんに優しい心遣いに満ちていて。
ボクはほっとしながらも、切なくなって。
じぃん・・・と、涙が滲んできた。

マサヤくんのお父さんは、ボクの首筋にかがみ込んできて。
がぶり・・・と、容赦なく食いつくと。
ごくごくごくごく・・・
思い切りつよい力で、ボクの血を飲み味わうと。
坊ちゃん、いい子だ。きみは強い子だね。
まるで小さな子をあやすように、頭を撫でてくれた。
ボクの家族の血が、気に入ったんだね?
ああ。よくわかるね。
かまわないから、もっと吸って・・・
どうしてそんなことを、言ってしまったのだろう?
けれどもマサヤくんのお父さんは、ボクの頭を抱くようにして。
聞き分けのいい子だ。きみの父さんも母さんも、もちろん姉さんも。だれも死なせない。
その代わり・・・ときどきこうやって、私たちと仲良くしてもらいたいのだよ。
ウン・・・と頷いて、ふと気がつくと。
あたりはもう、夕闇が迫っていた。

今夜の夕食は、栄養たっぷりのご馳走だった。
エプロン姿の母さんは、ボクの好物の焼肉を、てんこ盛りに振舞って。
いっぱいおあがり。今夜は大変よ。
にこやかに、ほほ笑んでくれる。
これから始まる夜の儀式のため。
父さんは箪笥の抽斗の奥から、若い頃履いていた紺色の薄いハイソックスを取り出してきて。
母さんのストッキングほど、薄くはないよね?って。
ちょっぴり照れくさそうにしながら、スラックスをたくし上げて。
ひざ小僧のすぐ下まで、キュッと引き伸ばしていった。
姉さんは、夏ものの制服の下、黒の薄々のストッキングを履いていて。
黒のストッキングなんて、入学式以来だよ。って。
やっぱり照れくさそうにして。
オトナっぽく染まったふくらはぎを、見慣れないものでも見るような目で、見おろしている。

さあて・・・と。
隣の部屋にひっそりと控えていたマサヤくんとお父さんが現れると。
母さんはエプロンを脱ごうとした手をとめられて。
そのままで襲ってあげる・・・って、マサヤくんに後ろから抱きつかれて。
紺のスカートのうえから、お尻を噛まれちゃっている。
母さんの生き血を吸い取っちゃうと。
マサヤくんは、父さんのこともソファから引きずり降ろすようにして。
可愛い犬歯を父さんの首筋につきたてて。
チュウチュウ、チュウチュウ、一人前の音を立てて吸い上げてゆく。
どっちが薄いか、噛み比べてみるね。
父さんのスラックスを引きあげて。
母さんのスカートまで、たくし上げて。
さいしょに父さんの。
それから、母さんの。
ふくらはぎに、ぴったりと唇を吸いつけていって。
薄い靴下にピリピリと裂け目を滲ませてゆく。

マサヤくんのお父さんは、さいしょに姉さんににじり寄って。
セーラー服の襟首から覗いた胸元に、かぶりつくようにして。
ちゅうちゅう、ちゅうちゅう、いやらしい音を洩らしながら。
ショジョの生き血・・・だね?って振り返るマサヤくんに、ウィンクをかえして。
姉さんは抵抗ひとつしないまま、身体を傾けていく。
「ほら、お姉さんの黒のストッキングも、おあがりよ」
マサヤくんのお父さんは、姉さんのオトナっぽい装いを気前よく譲ると。
とうとうボクのほうに、にじり寄ってきて。
姉さんのときとおなじように、うなじに唇を吸いつけてきた。
ぴったりとあてがわれた唇は、濡れていて。かすかに生温かくって。
父さんや母さん、姉さんの体温をあやしたまま、ボクのぬくもりまで抜き出そうとしている。

ああ・・・
食べちゃ、ダメ・・・
ボクは目を瞑り、いやいやをしながら。
けれども血液をむしり取られる心地よさに、じーんと痺れちゃっていた。
姉さんから借りた、緑色のハイソックスは。
ボクのひざ小僧までかかるほど丈が長かった。
マサヤくんは、ボクの脚から姉さんのハイソックスを噛み剥いでしまうと。
ね?ユウ兄さん、彼女いるんだよね?まだ、ショジョだよね?
こんど・・・ボクのパパのために、連れてきてよ。
ていのいいおねだりに、半ば陶然となりながら。
ウン、必ずそうするよ。
若くて活きのいい血は、喜んでもらえるだろうからね・・・って。
なぜかゾクゾク昂ぶりながら。
週末彼女を誘い出して、マサヤくんのお父さんに処女の生き血を吸わせる約束まで、しちゃっている。


あとがき
小さな子どもの吸血鬼が大人の血を吸って。
老獪なその父親が、子どもたちの血を吸って。
息子の彼女まで誘惑する・・・大好きなぷろっとです。^^

夫の仇敵

2008年07月05日(Sat) 15:00:13

わしはあんたのご主人の血を吸い尽くした男。
あんたはわしを、憎まなければならない。
男の呟きに、女は軽くいやいやをして。

いまさらなにを仰るの?
ことばたくみに、わたしに近づいて。
夫のお友達だというお言葉を、真に受けて。
迫られるまま、生き血を捧げる関係になって。
いまさらあなたが夫の仇敵だといわれても。
どうやって、あなたを憎めと仰るの?

黒の喪服は、亡夫を弔うための装い。
けれども一見清楚な服は、男の劣情をそそらせて。
迫られるまま女は、黒一色の装いのすき間から、白い素肌を覗かせて。
目もくらむほどの情欲に、のけぞるほどに、耽り込んでしまっている。
男の正体が吸血鬼だと知っても。
夫の不自然な死と結びつける想像力さえ失って。
みずから首すじを与え、生き血を捧げてしまっていた。

いまさら憎めなどといわれても。憎めない・・・
あなたはわたくしの、ただひとりのひと。
かりそめにあなたの牙が、夫の血に濡れたとしても。
いまのわたくしには、どうでもいいことなの。
主人の血が役に立って、よかったわ。
そうとしか、思えない。感じることができない。
そうよ。わたくしは亡き夫を裏切った、わるい女。
けれども想いのままに生きる、幸せな女・・・

女の切なる訴えは、熱い抱擁とともに受け入れられた。
女は喪服姿の身を、仏間に横たえた。
畳の上、まっすぐに伸ばした黒のストッキングを履いた脚は。
卑猥な指と唇と舌に、いたぶり抜かれて。
ぶちぶちと音を立てて、噛み破られていく。
血のしたたった漆黒のブラウスも、みるかげもなく、引き裂かれて。
その下で、バストをガードしていた黒のレエスのブラジャーも。
ストラップをはじけさせて、おっぱいをまる見えにさらけ出してしまっていた。
女は熱い吐息とともに、牝になって。
夫の写真のまえ、とうとう操までも、許してしまった。

お見事。
頭上に落ちた、聞き覚えのある声と。乾いた拍手の音に。
未亡人は顔をあげ、目を疑った。
生前のままの夫は、ふすまの隙間から顔を覗かせて。
己の生命を奪った吸血鬼と、未亡人になった妻とを祝福している。
やっと、モノにさせていただいたよ。
ああ、ものの見事にやられたね。たいしたウデだ。
夫は静かに、ほほ笑んで。
打ちのめされて四つん這いになっている妻を、優しく抱き起こす。

わたしは吸血鬼になって、よみがえった。
すべてこちらの先生の、ご好意によるものだ。
夫であるわたしの生命を奪った男を、愛してしまう。
お前はしんそこ、あの先生に心を奪われてしまったのだね。
わたしは人としての生命を奪われ、お前の操まで奪われた。
けれどももしかすると・・・わたし自らがすすんで血を差し上げて。しもべとなって。
お前のことさえ、喜んで譲り渡したのかもしれないね。
おまえがはじめて仏壇のまえに追い詰められて。
喪服姿のまま、生き血を吸い取られてしまったとき。
陰から覗いていたわたしは、独り昂ぶってしまっていたのだよ。
こんな夫だが・・・許してもらえるかね?

男は女を引き据えて。
淫婦の生き血は、味わい深いぞ。
ひと言、そっと囁くと。
女のうなじをぐいと仰のける。
本能の赴くまま、夫は妻の肩を抱きすくめ、生えかけたばかりの牙を、食い込ませていった。
ああぁぁ・・・
随喜の声、洩らしながら。
女はさっき成就されたばかりの凌辱劇を、リプレイする。
ずずずずず・・・っ。
生き血を啜る音も生々しく、臥せった女におおいかぶさって。
夫は淫らに染まった妻の生き血を飲み耽る。

妻は夜ごと、相手を変えて。
きりりと清楚に装った喪服姿を乱してゆく。
わたくし一人の血では、足りそうにありませんね。
カズヤが家に遊びにきたら。
ミツコさんの血を、いただけるといいですね・・・
全身から血をあさり取られ、転げまわりながら。
淫らな女は息子の嫁さえ、毒牙にかけようとしている。

インモラル・バー

2008年07月05日(Sat) 12:58:37

薄暗いダンススペースに流れるのは、淫靡なブルース。
男女はぴったりと、寄り添いあって。
甘美な調べに、身を任せている。
妻は見知らぬ男性と。
身体をぴったりと、くっつけ合って。
それは、危険なほどの接近、接触。
時おり交わされるキスは、儀礼の度を過ぎたものだったけれども。
ふたりのあいだに流れるものをせき止めるべき立場の私。
嫁の不貞を責めるべき母。
そのどちらもが。
状況をわくわくしながら、見守っている。

相手の男性は。
妻によほどの、ご執心らしい。
真っ赤なドレス姿をかき寄せて。
むき出しの肩に、両手を添わせて。
息もつけぬくらいに、密着している。
その息苦しさに、応えるように。
女は大胆なスリットからむき出した、黒のストッキングの太ももを。
挑発的にちらちらと、覗かせながら。
妻もまた・・・男の求めに応じてゆく。
まさぐられる背中、肩、そして胸。
淫靡なリズムに乗りながら。
ふたりはそこかしこへと、位置を移して。
わたしたち母子から、つかず、はなれず。
やがていつの間にか、視界からはずれるほど隔たって。
すいっ・・・と、奥の個室へとすべり込んでいく。

ドア一枚向こう側。
妻はただのむき出しの牝に戻っていて。
男に乗っかられるまま、ドレスを剥ぎ取られて。
あのなめらかな皮膚に包まれた伸びやかな肢体を、あらわにしているはず。
母はわたしに寄り添って。
齢ばなれした若々しさを保ったしなやかな腕を、ぬるりとわきの下にすべり込ませてくる。
いいの・・・?
いいのよ。
ふふ・・・っ、と笑んだ口許に。
わたしは引き込まれるように、唇を吸いつけて。
ふと父のほうを盗み見ると。
ブランデーグラス片手に、カウンターの隅っこに腰かけた父は。
こちらを視るともなく、窺っている。
ちょうど今しがた。
わたしが嫁の姿を追いかけていたのと、おなじまなざしが。
ひどくくすぐったく、全身を痺れさせている。

お父様も、よろしいって許してくださったわ。
さあ・・・わたくしたちも。あちらの扉にまいりましょう。
母とわたしは、恋人同士のように腕を組んで。
楚々とした青のロングドレスの歩みに、寄り添ってゆく。
時おり見え隠れする足許は。
濃い紫のストッキングに包まれていて。
ツヤツヤとしたナイロンの向こう側。
青白い静脈の浮いた脛が、どきりとするほどの色香を秘めている。

ドアの中といわず。
ここで・・・どう?
わたしが指差したのは、ダンススペースの片隅の。
だれにでも視られる、ただの床のうえ。
ふふふ。
母は相変わらず奥ゆかしい微笑みを絶やさずに。
じゃあ・・・お父様のまえで、乱れて御覧にいれましょうね。
かしげた小首に、唇の奥に秘めた牙が疼きだす。
しっかりとした噛み応えに、かすかな身じろぎ。
母の生き血は暖かくて、どんよりと妖しい澱みを秘めていた。
その澱みに込められた熱情に。
思わず昂ぶってしまって。
青いロングドレスの貴婦人は。
床に抑えつけられたまま、その場で息子の凌辱を受ける。

カラカラカラン・・・
父の転がすブランデーグラスには。
いったいなにが、入っていたのだろう?
嫉妬を冷ます氷?昂ぶりを助長するリキュール?
あのひと。もう齢だからって。
じぶんで姦る愉しみではなくて、視るほうに専念するんですって。
身体の奥にまで粗相をしたわたしの額を軽く小突いて。
母は薄っすらと笑みながら。
ことさらにつくろった露骨な痴態に、ふたたび舞い戻ってゆく。
妻が娼婦となった夜。
その姑も、娼婦に堕ちていた。

たがいに相手を取り替えあって。
母と息子。父と娘。兄と妹。
禁じられたはずの関係を、血潮の濃さが呼び合うように、影を重ね合っていって。
ゆるやかな調べに合わせて、重ねられる舞踏。
視る愉しみ。犯す愉しみ。
どちらもが、深い歓びを紡ぎだして。
濃すぎる血潮の渦巻く夜。
宴はまだ、始まったばかり・・・

婚約者の純潔をほかの男性に捧げたい願望を秘めている、結婚間近の若い男性のかた

2008年07月05日(Sat) 10:07:06

嫁入り前のあやまち という 禁断の木の実を。
貴方ご自身の手引きで、よその男性に与えてみたい・・・
そんな衝動に駆られることはありませんか?
わたしの体験が、あなたの手引きになるのなら。
ほんのいっとき、少しだけ・・・
お耳に入れて差し上げましょうか?

吸血鬼の魔の手から。
未来の花嫁を護る手段を講じるよりも。
むしろその妖しい誘惑にゆだねてしまおうという、危険な選択肢を。
震える手つきで、引き当ててしまって。
生き血を吸い取られたぶらかされた恋人は。
夜ごと、魔性の呼び声に耳を澄まし、その招きに応えはじめて。
穢れを知らなかった柔肌を、餓えた牙のまえ、惜しげもなくさらしていって。
月明かりに透きとおる白い肌に、バラ色のしたたりをあやしてゆく。

彼女がきみの誘惑に堕ちたなら。
わたしの未来の花嫁の純潔を。
わが家の名誉ともども差し出そう。
真夜中の祭壇のまえ、誓いを立てたその夜のうち。
遠い呼び声に目覚めた彼女は、わたしと入れ替わりに祭壇のまえにあらわれて。
純白のドレス姿を、後ろから抱きすくめられてしまった。
肩先に突き立てられた牙は、濃いしたたりを純白のドレスに散らし、
か弱げなうめき声もろともに。
彼女は飲血魔の奴隷に堕ちた。

さらさらと流れる黒髪を、我が物顔に撫でながら。
男はわたしの未来の花嫁に、影を重ねていって。
指先についた血のりで、眠れる頬をなぞりながら。
みずからつけた無気味なメイクに、得心がいったようにほくそ笑んで。
物陰からいちぶしじゅうを見守るわたしの目のまえで。
彼女のうなじに、牙を埋めた。

ごくり・・・ごくり・・・
しずかに啜られる生き血が、男の喉を無気味に鳴らす。
ひと嚥(の)みされるたび、華奢な身体をしならせて。
彼女は無意識に、悩ましげなもだえをみせる。
けれども男は冷酷なまでに、冷静に。
処女の生き血に、飲み耽っている。
ごくり・・・ごくり・・・
刻一刻と喪われてゆく血液は。
彼女の理性もろともに、吸い取られていった。

初めての衝撃から彼女がわれにかえったとき。
脚をいたぶりたい・・・という。
彼の不埒な要求に、迫られるままに。
劇場のカーテンが開くように、ゆっくりと。
重たいドレスのすそを、ひきあげていった。

純白のストッキングに包まれた、しなやかな脚は。
血色のよいピチピチとした素肌を、初々しく透きとおらせている。
男は、花園を踏みしだくようにして。
忌むべき唇を、むぞうさに吸いつけて。
ひきつれひとつない、真新しいストッキングを。
ふしだらな弛みに、波立ててゆく。
かすかに眉を寄せ、不快そうにかぶりを振りながら。
彼女は足許の装いを乱されることを嫌ったけれど。
厭わしさを滲ませた頬を、上目遣いに愉しみながら。
薄いピンク色に透けるふくらはぎの周り、唾液の光るナマの唇で、なぞっていった。

薄いナイロンは、凌辱に耐えかねたように。
ブチッ・・・ブチチッ・・・ブチブチブチッ・・・
かすかな音をたてて、はじけていって。
縦の裂け目を、つつっ・・・と走らせて。
みるみる広がった伝線から、素肌の白さを滲ませてゆく。
ああ・・・
征服されてしまう、わたしの宝。
汚されてしまう、無垢なる処女地。
ドレスの肩先に、血潮を散らせ、
ストッキングに唾液をあやした乙女は。
のしかかってくる獣のまえ、悩ましげにかぶりを振りながら。
それでも男女の慣わしを知るがごとく、
両脚を左右に、ゆっくりと開いてゆく。
まるでコンパスのように、ぎこちなく。

なにもかもを手中にした男は、ごちそうにありつく直前。いちどだけこちらを振り返って。
にんまりとした笑みを送ってきた。

首尾よく堕ちた。
いただくぜ。

無言のうちに響くぞんざいな声に。

おめでとう。
きみの牙には、彼女の血がよく似合うようだね。

わたしはほろ苦い笑みを浮かべながら、しずかに頷いて。
花嫁の貞操を汚す許諾を与えている。
さらり、さらり・・・
裂き堕とされる衣装は、散らされた花びらのように彼女を包み、
あえぎ、取り乱し、わななきながら。
衣装を散らす愉しみに耽る彼のため。
彼が破りやすいよう、かすかな身じろぎをつづけてゆく。
丸太ん棒のように太い、毛むくじゃらの脛が。
ストッキング一枚へだてた向こう側からすり寄らされて。
ふしだらにずるずると堕ちてゆく、純白のストッキング。
それは彼女じしんの礼譲そのもののように、
堕とされ、歪められ、引き剥がされてゆく。
彼女はひと息、胸をくつろげるようにため息すると。
わざとこちらには、目をそむけて、じぶんのほうから。
ずり落ちたストッキングの脚を、不器用に絡みつけていった。
逞しい筋肉の隆起を持った腰が、おもむろにせり上がって。
ぐいっと沈み込んだ腰の下、彼女は狂わされてゆく。
奥深く秘められ守り抜かれてきた潔い処を、踏みしだいかれて。
キュッととざされたまぶたから、ひとすじの涙を滲ませながら。
初めての舞踏を、淫靡な腰つきに導かれるままに。
うごきをひとつに、合わせてゆく。

ああ・・・汚されてゆく。汚されてゆく。
清楚な衣装もろとも堕とされた花嫁は。
わたしのものでありながら、わたしだけのものではなくなってゆく。
輝かしかるべき、新婚生活は。
目に見えぬ支配を受けつづける運命におかれてしまった。
そう。
かれはわたしから彼女を引き離すことなく、
彼女をわたしの花嫁のまま、奪い尽くそうともくろんでいる。
○○夫人兼わしの愛人。
そして、性欲のはけ口。
荒々しい腰捌きの下、強姦される花嫁に。
わたしは胸わななかせながら、ウィンクを投げる。
交接をくり返す腰と腰は、互いに馴れ合い、ほどよくかみ合ってゆき。
和合・・・ということばそのままに、飼いならされてゆく。
後ろから交尾されて。
汚らわしい精液に、ドレスのすそをまみれさせながら。
排泄されるがまま、魔性の毒液をそそぎ込まれてゆく。

奥の奥まで支配をうけた花嫁は。
婚礼の儀式の祭壇のまえでも。
宴の真っ只中でも。
そして、初夜の床のうえでさえも。
かれの凌辱を、嬉々として受け容れるはず。
わたしの一家を支配しつづける彼にとって。
かち獲た純潔は、なん人めなのだろう?
兄嫁も、母さえも。
嫁入りまえに、未来の花婿のまえ、純潔を散らされていた。
父も兄も、むしろ誇らしげに。
花嫁の凌辱を受け容れていって。
いま・・・わたしの番を迎えている。

いかがでしょう?
あの方を、生涯の主として受け容れますか?
今夜、この祭壇のまえ。
初々しく清楚な貴方の恋人を、ここに拉し去ってきて。
花嫁の貞操という、片道切符に、はさみを入れて。
異形の世界に、身をおいて御覧になりませんか?
たった一言、つぶやけばよろしいのです。
わたしの花嫁を、誘惑してください・・・と。
そう。貴方の後ろに控えているあの方に・・・

処女破り合宿

2008年07月05日(Sat) 08:54:16

古びた廃校の玄関に、大きく張り出された看板には。
「探検部合宿」
墨くろぐろと、そう書かれている。

行クゾ?

人影もないのに、声がして。
ユウイチはひとり、起き上がる。

オレノ言ウトオリ、歩クンダゼ。

声に命じられるまま、ユウイチは靴を履き、ふらふらと玄関をさまよい出る。
黒地に縦の白ラインの入った、スポーツタイプのハーフパンツの下、
筋肉質のふくらはぎをひざ下までいおおっているのは、黒のハイソックス。
太めのリブが、門灯にかすかに透けて。
足取りのまま、つやをよぎらせる。
まだ明け方の闇が、残るなか。
覚束ない足取りは、村の地形をたった一日で覚えてしまったかのように。
迷うことなく、裏山に踏み入れてゆく。


サア、ココデオ前ヲ縛ルゾ。
声がした方角を、見回すと。
一本の古い樹が、射し込んできた陽の光に、かさかさの木肌をさらしていた。
気配がする。
透明な空気をさえぎる、一陣の気配。
そいつはユウイチの後ろに回りこんで。
グイッと羽交い絞めにすると、ぐるぐる、ぐるぐる、ロープを巻いてゆく。
薄手のTシャツのうえ、巻かれたロープが食い込んで。
アンダーシャツさえ透かせて、乳首までもが浮きあがった。

ココデ待ッテロ。
イマ、オ前ノ彼女ヲ連レテクルカラ。

ユウイチは独り、縛られたまま。
魂が惚けてしまったように、無表情で頷いている。


暗い林のなか、
薄闇に織りなす斜光線の彼方から。
きゃっ、きゃっ、・・・と。
ふざけたような、はしゃいだような。
若い娘の声が、じょじょに近づいてくる。
人のよげなおかめ顔に、エレガントな二重まぶたの大きな瞳。
長い黒髪を、肩に揺らして。
華奢な腕を、真横に振って。
いかにも走るのが下手っぴいな内またで、駈けてくる。
後ろから、彼女の髪をつかむばかりにして追いかけてくるのは。
甲殻類のようにいかついなりをした、異形の人影。
極端に狭い眉間。冷酷そうな細いまなこ。
とげとげしい触覚。
逞しく筋肉を隆起させた腕は、先端が触手となっていて。
いまにも彼女をつかまえようとする。

とっさに、振り払って。
立ち止まって、どちらに逃げようか、戸惑って。
一本の樹の周りを、ぐるぐるとまわって。
通せんぼしたり、足踏みしたり、はち合わせたり。飛びのいたり。
時には口に手を当てて。
飛びのきざまに、みじかい叫びをあげて。
くすぐったそうにはじける声は、怖ろしいはずの鬼ごっこを愉しんでいるかのようだった。

とうとうつかまえられてしまったのは。
彼氏が縛られている樹のまん前で。
向かい合わせに生えた樹に、背中をべったりと貼りつけて。
「どうして彼のまえに来ちゃうわけッ!?」
いよいよ受ける恥辱が、彼の目のまえだと知った娘は、
ひどく羞じらって、いやいやをした。
ウ、フ、フフフフフフ・・・ッ
くぐもる笑いを含ませながら。
怪人はユウイチの恋人に触手を巻きつけていって。
縞々もようのTシャツのうえ、格好のよい乳房が浮き上がるくらい。
彼女の上体をぎゅうううっ・・・と、締め上げてゆく。

「やっ、やめろ!やめろぉ・・・!」
さすがにユウイチは、制止の声を投げるのだが。
ぴちぴちと活きのよい、おいしそうな獲物に夢中になっている怪人は、
もとよりどこ吹く風で、うけ流して。
ねっとりとした粘液をヌラヌラと光らせた触手を、娘の身体に這わせてゆく。
デニムのロングスカートも。
てかてか光る、肌色のパンティストッキングも。
触手のヌラヌラを、塗りたくられて。
じりじりとしわ寄せられ、着崩れしてゆく。
「やだっ。厭あああぁ―――ッ!」
少女は絶叫とともに、身もだえをする。
スニーカーから覗いたくるぶしの周り、
陽を受けて滲んだ薄いナイロンの光沢が、ブチブチブチッ・・・と、裂けてゆくのを。
ユウイチは目を見張って、見張った目を、そむけようとして。
身もだえしながらも、視線を離すことができなかった。

怪人の口許から突き出された、透明な吸血管が。
彼女のしなやかな首すじに、突き立てられて。
ぐいいいっ・・・
みるみる深々と、柔らかい皮膚を突き破っていた。
透明な管のなか、バラ色の液体が、ぬるりぬるりと、抜き取られて。
たちまち吸血管を、活き活きと染めた。
キュウウウウッ・・・
押し殺すような吸血の音に。
彼氏も彼女も、失神するほどにふるえあがって。
ひざ小僧をがくがくさせて、昂ぶりに耐えている。

いったん引き抜いた吸血管を、縞々もようのTシャツごしに、
胸許深く、ずぶりと食い込ませると。
Tシャツのうえ、赤黒く広がったシミが、縞々もようを塗りつぶしてゆく。
グフフフフフッ。コレカラガヲ愉シミナノサ。
怪人は下品な笑いを滲ませながら。
立ったまま触手に巻かれた娘の、デニムのスカートをめくり上げてゆく。
「あ・・・あ・・・あ・・・」
ユウイチが見守るまえ。
怪人は股間から、どす黒く光る生殖器をまる出しにして。
あらわにされた彼女の腰周りを包んでいる、柔らかなナイロンストッキングと白いパンティを。
むぞうさに破り、裂き落としていった。
ダメだ、ダメだ、やめろおおっ・・・
ユウイチの抗議も懇願もむなしく、
グロテスクに巨大な生殖器が。
彼女の股間を、えぐってゆく。
もの慣れた腰つきで、迫っていって。
隆起した筋肉が。キュウッと引き締まる。
「きゃあああああああっ・・・」
ほとばしる絶叫は。
それを初めて耳にした昨日と、変わらなかった。


「痛いッ!痛いッ!痛いよおっ!」
樹を背に、立ちんぼうになったまま。
娘は叫びながら、くすぐったそうに頬をゆるめて。
切迫した言葉とは、裏腹に。
くすくす笑いをこらえ切れなくなっている。
お行儀悪くたくし上げられた、デニムのロングスカートごし。
ずぶりと埋められた異形の肉塊が。
娘をひどく、はしゃがせていて。
ピチピチはずむ身じろぎに。
波打つ長い黒髪が、うごきをひとつに重ねていった。
目のまえで恋人を凌辱されているユウイチまでもが。
う~ん、う~ん。ちく生。ちっく生っ!
なんて、口走りながら。
不覚にも、ハーフパンツの股間を濡らしてしまっている。

ドウカネ?恋人ヲ姦ラレル気分トイウノハ。
うーん、やっぱり、悔しいよぅ。
ソウカ、ソウカ。ソイツハ気ノ毒シタナ。
怪人は、ユウイチの頭を撫でながら。
ダガコノ女ハモウ、オレナシデハイラレヌ身体ニナッタノダ。
芝居気たっぷりに、くやしさ滲ませ目をそむける少年に。
這い寄るように、影を重ねていって。
そむけたうなじに、吸血管を突き刺して。
キュウウウウウッ・・・
彼女にそうしたのと、おなじように。
透明な吸血管を、紅い血液で充たしてゆく。
あー。ひでぇや・・・
失血の苦痛に、天を仰ぎながら。
自分の血でいっそう精力を滲ませた怪人が、ふたたび彼女に迫るのを。
視まいとしながら、視てしまっている。
きゃあ―――っ。
振り絞るような絶叫を、ひどく心地よげに吐きながら。
乱れたスカートのすその奥から。
汗ばんだTシャツの襟首から。
娘はふたたび、うら若い生き血を、全身からむしり取られてゆく。

昨日の朝のことだった。
まだ正気だった娘は、べそをかきながら。
長い黒髪を振り乱して。
ねっとりと巻きつく触手に、抱きこまれていって。
青のチェック柄のスカートの奥、初めて受け容れる生殖器に戸惑いながら。
恋人の目のまえで、処女を奪われた。
バラ色の血潮が、太ももに滴り、伝い落ちて。
白のライン入りのハイソックスに色濃く滲むのを。
まえの晩、すでに洗脳されてしまった少年は、
悔しそうに歯を食いしばりながらも。
うっとりとした目つきで、追いかけていた。
もういちど・・・して。
うわ言のようにつぶやく少女に。少年も深く、頷いて。
ハイソックスとさようならをした脚を染めるのは、肌色のストッキング。
大人びた装いを、ふたたび触手に汚されるのを。
きのうよりもいちだんと濃くなった愉悦のなか、視る愉しみに耽ってしまった。

さきに男の子の血を吸って。
洗脳した彼氏に、彼女を連れ出させて。
本性もあらわに、襲いかかって。
男の子を縛りつけた目のまえ、彼女をたくみに追い詰めていって。
彼氏の目のまえで、生き血を吸って、凌辱する。
洗脳された女の子は、つぎの日の朝を迎えると。
陽射しもあらわに、素肌をさらしながら。
凌辱のようすを、リプレイして。
グロテスクな魔物の愛人になる儀式を、神妙な面持ちで、受け容れる。

おいしかった?
旨カッタサ。
よろこんでもらえて、嬉しいよ。
ゴ馳走サマ。
いつでも彼女を、犯しにおいで。
都会の家によんであげるからさ。
ママや妹のことも、襲わせてあげるから。
ククククク・・・ッ
ひとりの少女を通して仲良くなった少年と怪人は。
かわるがわる、少女を犯しながら。
永く友情の契りを結び合う。
もう、イヤだわ。ふたりとも・・・
少女はへらへらと笑いこけながら。
重なり合う影に支配されるがまま。
草地のうえ、じゃれ合い転げまわりながら。
Tシャツを泥まみれにしていった。


みぃん。みぃん・・・
頭上に降り注ぐ蝉の声が、かしましい。
今年も夏が、やってきた。
少女たちが大人になる、いけない季節。
一年先輩になったユウイチは。
なにも知らない新入生の引率者。
ユウイチのサポート役をつとめる恋人は、
吸血怪人の愛人をかけもちしていて。
うら若い生き血をたっぷりと、怪人たちに提供している。
血が足りない・・・怪人どもがおめくのを。
仲間を連れてくるから・・・って、なだめすかして。
わが身をめぐる以上の血液を供給するために。
今年も夏合宿に来ているのだった。

彼女と手分けをして、男子部員を誘い出して。
全員、一夜のうちに、楽にさせていた。
気の抜けたようにぼう然と立ち尽くす、童顔の少年たちは。
女子部員たちが、河原の向こうから歩み寄ってくるのをみとめると。
オーイ、だいじょうぶか?
あっけらかんと叫びながら、駆け寄っていく。

黒のTシャツに、デニムのスカート。
真っ白のタンクトップに、薄茶のショートパンツ。
花柄のブラウスに、紺のタイトスカート。
仲良し三人組の女の子たちは、長い髪を振り振り、
ユリの花のように白い頬や、小麦色に焼けた健康な二の腕に、
あちこち泥を、撥ねかせていて。
さらけ出した眩しい太ももに、紅いしずくを伝い落としたまま。
すねまでずり落ちた、ハイソックス。
ちりちりに破けた、ストッキング。
体験の痕もあらわに、それでも屈託なく手を振りながら。
「姦られちゃったよー」
「痛かったー」
「それ以上に、貧血ぅ・・・」
口々に、声はじけさせながら。
あっけらかんと、恋人たちの腕に抱かれてゆく。

血を提供するのは、かまわないけど。視るのはやだなぁ・・・って。
口々に言っていた男の子たちは。
怪人たちの待ち受ける雑木林に、女の子たちを見送ったあと。
視ナイノハ、モッタイナイゼ・・・
先輩の言に、催眠術にかかったように、頷いて。
女の子だけで連れ込まれた雑木林の出来事を。
こっそり覗き見したあとで。
なに食わぬ顔をして。
みんな、遅いなあ・・・
なんて、もっともらしく。
口々に言い合いながら。
さっき見てきた情景に、胸を焦がしているのだった。

追いかけっこの末、つぎつぎと捕まえられて。
三人仲良く並べられて。
刺し込まれた吸血管を、紅い生き血で充たしていって。
太ももさらけ出して純潔を奪われていった、衝撃のシーン。
探検部のほんとうの探検が。
女の子の秘奥であることを。
彼らは身をもって、知ったのだった。

一日遅れで到着した、部員八人は。
男女四組の、恋人どうし。
バイバーイ!
さきに体験をすませた女の子たちが手を振って見送ると。
これから起こる出来事を、知ってか知らずか。
みんな、小手をかざして応えてくる。
ひと足はやく洗脳された、男の子たちは。
目のまえで恋人たちを品定めされて。
オ前ハココデ、待ッテイルノダ。
怪人たちに、命じられるまま。
思い思いの木の幹に、縛りつけられてゆく。
イイネ?彼女ノ後ヲ追イカケテモ。
囁く怪人に、うっとりと頷きながら。
長い髪をそよがせる恋人の後ろ姿を、イタズラっぽく見送ってゆく。
背後に迫る触手に抱きすくめられてゆくのを、ゾクゾク昂ぶりながら、目を離せないでいく。

東京レンタル妻 4

2008年07月05日(Sat) 04:25:17

会社の同僚の妻の顔というのは、意外に知らないものです。

いいもの、見せてやろうか?
仕事の合い間、同期のGがそっと差し出したのは。
「御優待券 4名様かぎり」
ただそう書かれただけの、一枚の紙切れ。
それがさも貴重品であるかのように、もったいぶって見せたのは。
紙片の隅っこに印字された、
桃色企画 ○○の文字。
知る人ぞ知る人妻売春サロンの名前なのだと。
ふだんそういう場所とは縁のない私ですら、知っているほどに。
知る人ぞ知る、禁断の花園。
わたしはおそるおそる、差し出された紙片を受け取った。
まるで、魂を売り渡すような禁忌の思いをいだきながら。

就業後の会社をそれとなく抜け出して、
気心知れた仕事仲間の四人と連れだって。
たどり着いたのは、みすぼらしい一軒家。
遅い時間―――そう、三次会もひけたあとの、もちろん午前何時という刻限に。
玄関わきだけは、こうこうと灯りが点いていて。
優待券を出しだした同期のあいつは、ものなれているらしい。
無遠慮に、がらりと引き戸を開け放って。
うっそりとした声で、
四名。
とだけ、告げている。

玄関脇は、オールナイトの映画館のようにうらぶれた薄暗い電灯の下。
白髪頭の老婆がひとり、背中を丸めてうたたねしていて。
連れの声で目ざめたはずなのに、いかにもずっとまえから目を開けていたかのように。
まるっきり無色の如才なさで。
奥の三番目の部屋ね。
これまたいかにももの慣れた、ぞんざいな語調でかえしてきた。

いいか。順番だぞ。
でも真っ先は、オレできまりだな。
この女射止めるのに、えらい苦労をしたのだから。
男はくぐもった声のまま、「御優待券」と引き換えに渡された顔写真を、
さもだいじそうに、見せびらかした。
いい女だな・・・
ごくりと生唾を呑み込んだのは。
おなじ課の三つうえの先輩だった。
感度のよさそうな腰してるじゃないの。
いつもはす向かいの席で居眠りしている万年窓ぎわの年配の次長は、
やけに通ぶったことを口走る。
えへへへへ・・・
得意げに笑う同期のあいつに、さいごの一人、入社三年目の若い社員は。
たったひとこと。
いいですね。おっぱいでかそうじゃないですか。

どれもが、当たり。
それを知っているわたしは、さすがに昂ぶりを抑えきれなくなっていて。
ごめん。オレやっぱり帰るわ。
と、あっさりほかの三人に順番を譲り渡している。
ほんとにいいのか?
ライバルがひとりいなくなることに、嬉しさを隠せなくなった同期のあいつは。
じゃー、ほかの三人で、くじ引きな・・・と。
あらかじめ用意していたありあわせのマッチ棒をかざして。
一本だけ、途中で折れている。
それをひいたやつが・・・って。
やっぱり得意げに仕切っている。

のがれるように、売春宿をあとにして。
ひたひたとたどる家路のかなたには。
妻は待っていない。
見せびらかされた写真の主が妻だとは。
だれもがきっと、気づいていないはず・・・
悶々とすごす、独り寝の夜は。
もしかすると妻と過ごす夜よりも、濃い昂ぶりを伴っていたかもしれなかった。

翌朝―――
おはよう。
ああ、おはよう。
だれもかれもが、くぐもった声をして。
夕べの余韻を隠しきれないで居る。
朝いちばんの仕事のせわしさが一段落をした、
ちょっとけだるげな空気のなか。
わだかまる会話に、つい耳を傾けてしまう。
いい女だったなあ。
あの腰さばきは、最高だったね。
うわさにたがわぬ名器だな。
来週の金曜、また出番らしいぜ。
おい、優待券、ゲットしておいてくれよな。
ささくれだつほど、刺激的な言葉の切れ端が。
鼓膜をびりびりと震わせてきて。
そういえば、来週の金曜日。
妻はクラス会だといっていたっけ・・・
どうにも昂ぶってたまらない股間のようすを、周りにさとられまいとして。
懸命にしかつめらしい顔つきを、とりつくろっている。

人知れず、レンタルされている妻は。
それと走らず、わたしの会社の同僚たちと、まぐわって。
かれらと兄弟になってしまったことを、半分は後悔しながらも。
かれらの賞賛が、なぜかわがことのように。
鼓膜をくすぐったく、震わせている。
妻のいない夜―――。
それはあらぬ想像に胸くすぐられる、眠れない昂ぶりに満ちた闇。

東京レンタル妻 3

2008年07月04日(Fri) 07:44:08

もしも。
あなたの奥さんが、あなたの知らないところで。
なん人もの見知らぬ男たちに、レンタルされていて。
バツグンの人気を誇っていたとしたら。
あなたは怒りを覚えますか?
(ソレガフツウノ感覚デショウガ)
それとも、ひそかな誇りを覚えますか・・・?

いつもすれ違いの日常は。
ダブルインカムという、ていのいい言葉とは裏腹に。
ひどく索漠とした、砂を噛むほどの味気なさ。
男も女も、そうとは感じながら。
いちど手にしたステータスを手放すことは、容易でなくて。
お互い差し伸べあうはずだった手と手を引っ込めあうほどに。
己じしんに執着してゆく。
相手と自分と、どちらがたいせつなのか。
結ばれたすぐのころ、こたえは決まっていた。
おなじこたえを、いまでも迷わずに返せるのか?
女はためらいもなく、首を縦に振っているのに。
妻を目のまえにした男は、わずかな逡巡を覚えている。

妻の帰りが遅い。
そんなことは、日常茶飯事。
子どものいない夫婦のあいだで、それはたいして苦になることはない。
煩雑な日常の、いやというほど濃い人いきれのなかに暮らしていると。
無表情で空虚な無人の空間が、
なぜかむしょうに恋しくなるときもある。

フッ・・・と、よぎった、まがまがしい空想に。
男はふらりと立ちあがって。
覚束ない足取りで、妻の部屋へとさまよいこんだ。
ふだん、ひとりのときに入ることのまずない空間は。
よそよそしい警戒感を帯びて、彼を迎え入れていた。

スケスケの衣装を着て。
踊り子のように、あだっぽく。淫靡な手振り脚構えで。
周囲に群がるおおぜいの男どもと、戯れあって。
嫣然と微笑みながら、若い頃さながらに振舞う妻―――。

妄想を打ち消そうとするように、
男が垣間見た舞台裏は。
いともそっけない、無機質の空間。
モノトーンの家具がひしめき合う四畳半。
いちだんと奥まったスペースに、どっしりと鎮座する古びた箪笥。
それだけが、そらぞらしい現代的な雰囲気を否定するように。
木目のかすかに浮いた地肌を、てかてかと光らせている。

そう・・・っと手を伸ばし。なんども引っ込めて。
こわごわと開かれた抽斗の奥。
きちんと折りたたまれた下着は、いつも見慣れたそっけない白無地で。
ほっとした手つきが、下着のうえを。
触れてはいけないもののまえ、ためらうように。
さわさわと揺れた。
その指先の、かすかな過ちに。
はらり・・・と落ちた白下着のあとを追いかけた視線が。
はたと戸惑ったように、箪笥の奥に釘づけになる。

ぬるりととぐろを巻いたヘビのように。
しんなりとした光沢を放っている、見慣れない衣装。
つまんだ手指の先から、引き出されたのは。
ついぞ目にしたこともない、黒のガーターストッキング。
幾度も脚に通された形跡を、かすかに走るひきつれに残していて。
疑いの目が、ぎらぎらと狂おしく輝きを帯びてきた。

むさぼるように、掘り起こす手は。
かすかな震えを帯びていたけれど。
わななく手指の節々に、奇妙な熱っぽささえ帯びながら。
作業はとまることなく、見慣れぬ衣装たちをかい出してゆく。
濃い紫の、ラメ入りのパンティ。
毒々しい艶を帯びた、レエスつきのスリップ。
夫婦のベッドのうえ、妻が身に着けるところをいちどたりとも見た覚えのないものが。
ごっそりと、ひと山。ふた山。
隣の抽斗からは、見慣れぬ筆跡の手紙。
淫靡で露骨な文字のつづられたそのなかに。
男は食い入るように、没入する。

地味で華のない、家事ひとすじ、仕事ひとすじ・・・に見えた妻。
いまその隠れた素顔を、ありありとさらけ出して。
ついぞ見慣れぬ蠱惑的な笑み。
少女のように、無邪気に。
淫婦のように、ねっとりと。
けれどもそのまなざしは、男ひとりを追いかけている。

ねぇ、わたし。ほかの男でも感じているのよ。
ほら、こんなに乱れて。人目をはばからず、よがり狂って。
でも、愛しているのは、あなただけ。
そんなわたしを・・・あなたは許すことができるのかしら?
挑むような目つきに、たたえられた輝きに。
男はぼう然と、尻もちをついたまま。
背後で何度も鳴りつづけるインターホンが、妻の帰宅を告げるのにも。
応えることができないでいた。


あとがき
ご好評いただいた「東京レンタル妻」の続編です。
いままでのお話とはちがう登場人物なので、番外編にしようかと思ったのですが。
なぜかこれらのお話はすべて「番外編」のような気がしまして、
あえて「3」にしてみました。
あ・・・こんな話を真に受けて。
奥さんのたんすのひきだしなんて、あさっちゃダメですってば。(笑)