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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

広がる汚点

2008年09月28日(Sun) 07:23:45

教室のすみに、追い詰めて。
制服姿の女生徒を、おなじ制服の女生徒ふたりが、襲っている。
口許を、吸い取った血でヌラヌラ光らせて。
それでもまだ、飢えた唇を、かわるがわるうなじに吸いつけてゆく。
やっぱり生き血は、若い子に限るよね♪
ひとりが言えば、
朱美、朱美の血・・・たまんないよ~。
もうひとりも、随喜に身体を震わせている。
朱美と呼ばれた女生徒は、息も絶え絶えに、立っている気力さえ喪いかけながら。
それでも気丈に、黒のストッキングの脚を踏ん張って。
背中を壁にもたれかけさせて。
どうにか立ちつづけているのだった。

おいしい・・・
イキがいい・・・
とんでもないことを、口走りながら。
自分の血を啖ってゆく同級生を、止めさせることもできないまま。
少女の意識は、昏(くら)く堕ちていった。

気がついたときには。
ひとりの少女が、顔色を覗き込んでいて。
もうひとりは、どこかに携帯電話をかけようとしていた。
だいじょーぶ?
さっきまで親友だった少女は、軽く小首をかしげて気遣う目色をみせて。
けれどもすぐに、
いまから気絶しちゃ、ダメよ。もっと血を吸うんだから。
・・・小悪魔に、舞い戻っている。

携帯電話の少女は、チッと舌打ちをして、電源を切って、またかけ直して。
いないの?
つながらないんだよ・・・
美恵ちゃんは?放課後いつも補習受けてるじゃん。
あの子まじめだから、きっと処女だよ。
そうだねー。ちょうど補習終わった頃だよねー。
じゃ、かけてみる。
朱美のほうに、イタズラっぽく笑いかけて、おどけて舌を出している。

弟がね、黒のストッキングを履いたお姉さんの脚に飢えているの。
これからつきあってもらわなくちゃ♪
わたしたちはね・・・あなたを誘惑しに来ただけ。
いただいた血は、ほんの役得だから~。
無責任な声の響きに、朱美は慄とした。

さあ・・・行くのよ。歩けるでしょ?
先生と行き会っても、ちゃんと口裏合わせてね。
クラスメイトに脅されるまま。
朱美はふらふらと、立ち上がった。
おや、松枝に佐俣に石田。遅いじゃないか。
たまたま行き会った顔見知りの男の先生も、
松枝がちょっとごまかしたら、それ以上追求しないでスルーしてしまった。

弟がね。吸血鬼になっちゃったの。
それでわたし、学校から家にもどったら、押し倒されて。
首筋から血を吸われて、貧血になっちゃって。
気絶しているうちに、黒のストッキング履いたまま脚を噛まれちゃったのよ。
そのまま、吸い尽くされちゃって・・・
そのあとが、まり子の番だったよね?
ウン・・・
携帯電話の少女はちょっとはにかみながら、口ごもった。
あたしがうちに誘ってー。
おなじ手口でやらせちゃったのー。
黒のストッキング、噛まれてチリチリになっていくの、とってもいい眺めだったよ♪
もうっ。
まり子は相棒のことを軽くひじで小突いて、羞ずかしがる。
スカートのすそに隠れたひざ小僧が、ちょっと内股になっているのは。
その刻のことを思い出して、血を抜き取られるときに感じた愉悦を思い出してしまったからだった。
あなたも・・・キモチいいこと、しよ?
睨むような上目遣いに、朱美は逆らう意思を奪われている。

やだっ、やだあっ!やめてえっ!!
新たに招び出されたまじめな同級生の美恵は、黒のストッキングの脚をばたつかせながら、
三人がかりで、椅子に縛りつけられていった。
ほら、ほぉら。ほ~ら・・・イキのよさそうな脚だよ?
って。
姉は弟のまえ、クラスメイトの脚をつかみあげて。
飢えた視線に、ぞんぶんにさらしていく。
血の気のない顔をした少年は。
弱々しげな口許に、妖しい笑みを浮かべると。
姉とおなじ年かっこうの少女の足許ににじり寄って。
抵抗するうちに少しねじれたストッキングを直してやるように、ふくらはぎをなぞりながら、
唇をゆっくりと、近寄せていって。
息を呑む少女たちの目のまえで。
ちゅっ!
かすかな音をたてて、黒のストッキングをしわ寄らせた。
キュッととざされた美恵の瞼から、涙があふれ、頬を伝った。

吸い尽くされる直前にね。
犯されちゃうんだよ~。
第一号は、お姉ちゃんだったんだよね~?
第二号になったまり子が、冷やかすように覗き込むのを。
少年はまるきり無視して、目のまえの少女の生き血に夢中になっている。
彼女に、ぞっこん・・・みたい。
ウフフ・・・
きょうはじめて血を吸われたばかりの朱美までもが、長い髪の毛をしんなりと手で梳きながら、
足許に滲んだストッキングの伝線を、面白そうに見おろしている。

ぴちっ。
かすかな音をたてて、ストッキングが裂けた。
つ、つー・・・と、涙の痕のような伝線が、白い脛を滲ませると。
たまんない~♪
まり子がしんそこたまらなそうな顔をして、切なげな息を洩らした。

こんどはまり子の姉さん、連れてくる?
OLさんなんでしょ?いつもお勤めのとき、ストッキング履いていくんだよね?
姉貴はもう、処女じゃないかもー。
ないかもー・・・って。心当たりあるのあ?
わかんないけどー。
じゃ~、早く連れてきて、弟に試させてよ。
ウン、わかった。こんどだまして呼び出すね。
朱美は、一人っ子だったよね?
だれか、心当たりいないの?
梨恵先生は、どう・・・?
新卒だし~。まだ希望あるかも・・・
明日部活だよ。そのあとうちに招んでみようか・・・?
う、ふ、ふ、ふ・・・
少女たちの悪だくみは、際限なく広がってゆく。

伝染・伝線。

2008年09月28日(Sun) 06:43:20

もう10月になるというのに、陽射しがじわじわと暑かった。
主婦の金子昌代(38歳・仮名)はその日も、早い時間に買い物に出ていた。
行きつけのスーパーマーケットは夕方の客が多く、夫の帰りは早かった。
暑さには比較的耐性のある昌代は、買い物を客の少ない早めに済ますことにしていたのだった。
足許にかげろうがたつほどの暑さに、昌代はさすがに素足で来るべきだったとくやんでいた。
薄手のストッキングは、さすがに涼しくなった風を通すものの。
やっぱり脚いちめんをなにかにおおわれ束縛されているのは、
さすがにちょっと暑苦しい気分がした。

目のまえで、着物姿の老女がひとり、よろめいた・・・ような気がした。
あわてて抱きとめた・・・ものだろうか。
案外、老女のほうからぬるりと寄り添ってきたような気もする。
どちらにしても、よろけかかってきた老女を抱きとめるかっこうになった。
より正確には、抱きすくめられていた・・・
ちゅうっ。
かさかさに乾いた唇が、うなじに吸いついてきたとき。
唇のすき間から生々しい唾液が洩れるのを感じていた。

電信柱を背に、尻もちをついていた。
ほほぅ。この暑いのに関心に・・・履きものをきちんとお召しじゃの。
口許から、さっき吸い取ったばかりの昌代の血を滴らせながら。
老女はほくそ笑みながら、女の脚をいたぶっていた。
ふふ・・・もうひと口、よろしいの?
もうそれ以上は、女の意思を確かめようともせずに。
くちゅっ。
老婆の唇が薄い肌色のストッキングのうえ、唾をはぜていた。

           ――――――――

薄ぼんやりとした足どりで、昌代は街をふらふらと歩いていた。
通りかかったのは近所の若い主婦、桜井美鈴(27歳・仮名)だった。
つい最近都会から引っ越して来たばかりの、新婚の奥さんだった。
あら、奥様・・・
かけた声が、喉の奥に引っ付いているようだった。
昌代の発した異様な声に、美鈴はいぶかしそうに首を傾げたが、
すらりとしたワンピース姿に、昌代はためらいもなく影を重ね合わせてゆく。
あうううっ!
いきなりおおいかぶさってきた重みに、コンクリートの塀に背中を圧しつけられて。
美鈴は痛そうにうめいた。
ククク・・・
耳もとをよぎったのは、さっき老女が昌代の鼓膜に含ませたのとおなじ色合いをした含み笑い。
ほっそりとした白いうなじに重ねあわされた昌代の唇は、異様に紅く輝いていた。
ひいいいいぃっ!
唇に込められた吸引力に、美鈴はもういちど、ちいさく悲鳴をあげた。

           ――――――――

ストライプの柄がしなやかに流れる、白地のワンピース。
吸い取られた血の名残りを襟首に滲ませたまま、
美鈴は俯きがちに家路をたどっていた。
ふと・・・喉を軽く手で抑えると。
お隣のお宅の玄関先に、目を向けた。
暑さのあまり開けっ放しになった玄関の奥。
若い人影が、揺れていた。

ごめんくださーい。
のどかな声で訪(おとな)いを入れた若妻の声に、
はーい。
応えを返してきたのは、主婦の松原瑞枝(41・仮名)だった。
あら、お加減わるそうね。暑いですものねぇ。
瑞枝の気遣いなど頓着なく、
息子さん、いらっしゃる?
切羽詰った語調を、美鈴はけんめいに飲み込んでいた。
ええ、いますわよ。タカシ?お隣の若奥さんのご指名よ~。
声の返ってきた階上にあがっていく足許に、瑞枝は格段注意を払わなかった。
ストライプ柄のワンピースからひざまで覗いた脚には、
ストッキングの伝線がふた筋。
血を滲ませた噛み痕が、ふたつ。
あのあと物影に引き込まれて、若妻の生き血は近所の主婦と老女とに啜られていたのだったが。
おどけた口調の主は、気づいていなかった。

お母さん、お忙しいのね。
ぼんやりと呟く美鈴を背に、松原タカシ(17・仮名)はせわしなく本棚に視線をうろつかせている。
用ってなに?
のんびりとした少年の背中に。切羽詰った声が向けられた。
こっち向いてくれる?
どうしたの?おばさん・・・
いぶかしそうに振り向いたタカシの顔つきが、ほんの少し弛んでいた。
仰のけられたおとがいの下。
束ねた長い黒髪をかすかに揺らしながら。
若妻は少年の血を、飲み耽っていた。

           ――――――――

半ズボンを、ひざまで降ろさせて。
むき出された初々しい茎を、容のよい唇のまえにあてがって。
バラ色に濡れた唇に含まれたとき。
ぁ・・・。
少年は恍惚として、うめいていた。
喉が渇いたら・・・お母様を呼ぶといいわ。
ニッ・・・と笑んだ若妻の頬には、吸い取ったばかりの血潮がまだちらちらと輝いている。

母さん・・・?
気の抜けたような息子の声に、瑞枝は気がかりそうに階段を上がってきた。
あれきり美鈴は、あいさつもそこそこにふらふらと出て行ってしまうし、
息子は部屋から出てこない。
なにがあったのか、さっきから気になっていたのだ。
踏みしめた床が、かすかにきしむ。
床をきしませながら歩み寄ってくる足音さえが、
接近してくる獲物が帯びる豊かな重み――これから獲られる血の量を想像させた。
さっきから・・・ひどく喉が・・・からからに。

たたみには、赤黒いしずく。
ふすまにも、おなじ色のシミ。
柱を背にした女は、うつろな目をしながら。
息子に噛まれたうなじに触れた指先を、そのまま口に持っていっていた。
ちゅっ!
いやらしい音がした。
わたしは・・・血を欲している・・・

息子はさっきから。
黒のタイトスカートを、ひざ上までたくし上げて。
ストッキングの上から、ふくらはぎを吸いつづけていた。
瑞枝は好んで、黒のストッキングを履いていた。
その上から・・・ストッキングを脱がせようともせずに。
血を求めて、しゃぶりついているのだった。
脱がされるのと。そのまま吸われるのと。
どっちのほうが、やらしいかしら・・・
女は空っぽにになった意識をむなしくめぐらせながら。
ストッキング越し、しつように圧しつけられてくる唇の端から洩れてくる鋭利な感覚を、
知らず知らず、愉しみはじめている。
さっき彼女のうなじを侵した、鋭利な歯。
もっとわたしの血で、染めて御覧―――。
女は息子の唇に、ふくらはぎをさし寄せるようにして。
稚拙にねぶりつけられた唇の下。
ナイロンの生地に白く滲んでいく裂け目を、へらへら笑いながら、見つめていた。

           ――――――――

ただいまー。
娘の松原さゆり(14・仮名)が学校から戻ってきたのは、不幸にしてその約1時間後だった。
汗ばんだセーラー服の冬服。はずんだ息。肩先を揺れる、おさげ髪。
ひざ小僧のあたりをゆらゆら揺れる濃紺のプリーツスカートの下は、
大人びた薄墨色のストッキングに染め上げられていて。
女の肉づきを秘めはじめた脚まわりを、くっきりときわだたせている。
校則厳しいんだからー。
部活のあとも、帰りはストッキング履いて帰れなんて先生言うのよ。
さえずるような声を、いつも家事の片手間に横っ面で聞き流す瑞枝だったが。
きょうだけは、ようすが違っていた。
さゆりちゃん、ちょっと・・・
え?待ってよ。いまストッキング脱ぐから。
脱ぐ前に、ちょっと・・・
なんだか切羽詰った声色だった。
さゆりはいぶかしそうに、制服姿のまま、招ばれるままに洋間に向った。

待ってたよ。
兄貴の顔色が、ひどく悪かった。
そういえば、母さんの顔色も、ふつうじゃない。
足早に迫ってきた兄貴が、スカートの足許にかがみ込んできた。
あっ!やらしいッ!
兄貴が仕掛けてくるいやらしいいたずらには、慣れっこになっている。
いつもこうやって、スカートを撥ね退けて、パンティの色がどうだとか言い出すんだから。
素早く飛びのいた・・・はずの足首を、兄貴はギュッと握り締めている。
あ・・・ダメッ!
黒のストッキングも、どうやら兄貴の好物らしい。
そこまでは、さゆりも格別異状を覚えなかった。
唇をなすりつけ、吸いつけられたとき、はじめていつもと違うとさとった。
だって・・・母さんまでが後ろにまわって、兄貴の手助けをはじめたのだから。

いやーん。やめてぇ!ふたりとも・・・
少女の声は、一瞬にしてかき消えた。
背後の人影が、セーラー服のすき間から、少女の肩先に食いついて。
足許の人影は、黒のストッキングのふくらはぎに、歯をむき出して噛みついてきたからだ。
二人に挟まれるようにして、少女はくたりと身体を折った。

           ――――――――

もう・・・
おさげ髪を片手で所在なげにいじくりながら。
少女は口を尖らせている。
チリチリに引きむしられた黒のストッキングは、たよりなくずり落ちて。
あちこち裂け、ねじれたようなひきつれをいびつに浮き上がらせている。
タカシがね・・・ストッキングを履いた女のひとの脚を噛みたがってるの。
母さんも、いつもの黒いやつ破らせちゃったから・・・
あなたも協力しなさい。
母親の、いうなりになって。
さゆりは、無表情になって。
こくりと、頷いていた。
学校帰りじゃないと、みんなストッキング脱いじゃうからね。
美緒ちゃんだったら、まだ部活で学校に残っているかな・・・

           ――――――――

夕べの瑞枝は、すごかった。
子どもたちが珍しく早くに寝入ってしまうと。
積極的に、誘ってきたのだ。
あの子たちだって、もう年頃なのよ。
夜の営みを、そんなことを口実に拒みつづけてきた妻。
熟れた身体は、自制心を失うほどにほてっていた。
そのあとのことは、よく覚えていない。
けれども妻から引き受けた頼みごとは、終業時までにやってしまわなけれなばらない。
おい、まりあくん―――。
顔を上げた拍子に覗いたおとがいの一角に、かすかに滲んだ赤黒い痕。
けれどもそんなものに気づいたものは、だれもいなかった。

お話って、なんですか?
輝くような白いおとがいに笑みをたたえながら。
きびきびとした口調には、柔らかな親しみが込められている。
可愛まりあ(24歳・仮名)は、松原の会社に勤めるOLだった。
短大の英文科を出た彼女は優秀で、上司からも同僚からも頼りにされるベテランだが。
芳紀24歳という若さは、男の多いこの職場ではいろいろな意味で貴重だった。
とくに、いまの松原にとっては・・・
ちょっとのあいだ、目をつぶってくれるかね?
え?こうですか・・・?
なにも疑念をもたないまりあは、少女のような素直さで美しい目をとじた。
お目目をぱっちりさせているほうが、よけいかわいいのだが。
けれども松原の不埒な意図には、そのまなざしが障害になるのだった。

松原は素早く、ふたりをへだてたテーブルの下に身体をすべり込ませた。
がたり・・・と椅子が不自然な音を立てたけれど、構っていられなかった。
肌色のストッキングに包まれたつやつやと血色のよい脛が、
さっきから松原の渇きをよけいにそそっていた。
ためらいなく、足首をつかまえていた。
きゃっ!
頭上からほとばしる声も、耳には入らなかった。
薄手のストッキングは、脚の輪郭を淡い光沢で包んでいる。
薄々のナイロン生地のうえから、唇を這わせたとき。
思いのほか頼りない舌触りが、サリサリと唇にしみ込んでいた。

           ――――――――

もうー。課長ったらっ。
小声で叱声を洩らすまりあの息遣いが、いまは妖しく震えている。
きょうは、早帰りデー。
もう・・・ほとんどみんな、帰ってしまっていた。
そうでなくても、事務所から離れている打ち合わせ室に注意を向けるものは、ほとんどいなかった。
もう方っぽも、いいかな・・・?
いやらしい。
まりあは咄嗟にひざをすぼめたけれど、
もう脚を引こうとはしなかった。
ピンクのタイトスカートに、手が伸びて。
さりげなく軽くたくし上げ、むき出しになった太ももに指が軽く触れる。
軽く触れたはずの指が、にわかに力を込め、しつようにまさぐり始める。
あ、あ・・・ッ。
不覚にもはしたない声を洩らしながら、
ストッキングの裂け目の上、ヒルのようにうごめく唇に。
バラ色の血潮を、含み取られてゆく。
むさぼるような、荒々しさ。
ひそやかに抑制された、息遣い。
時おりはぜる、唾液の音―――。
まりあは夢見心地になって、すべてを受け入れ始めている。

           ――――――――

息子がね。
ストッキングを履いた女のひとの脚を、噛みたがっているんだ。
今夜・・・相手してくれるよね?
エエ・・・
口許に、ほころぶような笑みをたたえながら。
まりあはいつもの快活なOLの顔に戻っていた。


あとがき
血を吸われた女が、べつの人間の血を吸って、さらにその人が・・・というストーリーを描いてみたかったのですが。
ちょっと・・・せわしない展開ですね。(^^ゞ

薄い靴下

2008年09月25日(Thu) 07:21:50

今夜、泊めてくれないか?
ミチオのやつ、さっきから生唾飲み込んでいて。
勢い込んで、なにをいいだすのかと思ったら。
治子は冷たく澄んだ声で、そくざに「だ~め!」と返している。
ふたりは、おなじ学校の同級生。
婚約の早いこの村では、将来を約束した間柄だった。
だから・・・さ。
このごろ色気づいてきたらしいミチオは、なおも治子のほうへと身を寄せてくる。
はずんだ息が妙に動物くさく、治子は露骨に顔をしかめた。
だめなものは、だ~めっ!今夜はね、吸血鬼のおじさまが来るの。
「吸血鬼」ときいて、ミチオははじめてげんなりとした顔になった。
いるのかよ、そんなもの・・・と言い返すには、この村の子たちはいろいろと知りすぎている。
そう。
結納を交わしたその晩に、治子は初めて吸血鬼に血を吸い取られていたのだった。

帰りぎわになっても、ミチオは未練たっぷりだった。
ちぇっ。今夜こそ、童貞を捨ててやろうと思ったのに。
ストレートな言い草に、治子はさすがにプッと吹き出して、
ますますダメじゃん~、とか言いながら、ミチオの履いているスラックスのすそを軽くたくし上げた。
ミチオの履いている紺の靴下は長く、すねをぴったりと覆っていて、ひざ小僧の下まで隠れている。
こうゆうのじゃなくって・・・もっと薄いのがいいな。
キミのパパが穿いているような、ストッキングみたいに薄いやつ。
少女の口から呪文を唱えるように流れた言葉に、ミチオははっとなって、初めて大人しくなっている。
この村では・・・
あのテの靴下を履く男が凄く多い。
彼の父親が薄い靴下を穿きだしたのは。
ミチオのママが、治子の父親と真夜中に逢うようになってからだった。
そう。
ミチオのパパは、「寝取られクン」だったのだ。
この村に限ってのならわしだったが。
「理解のある」夫たちは、きれいに透けた足首を、ズボンの裾から覗かせていた。

ミチオも見ていく?って、水を向けられて。
素直に頷くほど、人間はできていない。
けれども、生垣越しに覗いてしまった光景は、
太陽が真上から降り注ぐ時分になってさえも、
ミチオの脳裏を離れないのだった。
その黒い影は、白一色のワンピースを着た治子のことをひき寄せて、
ぴったりと身体を密着させると、うそのように従順になった治子のおとがいを仰のけて。
意外なくらいほっそりとした、白い首筋を。侵すようにして咬んだのだった。
あー、まだゾクゾクしている。
ズボンのなかでさっきから何度も勃ってしまっている自分自身をどうやって鎮めたものか、
ミチオは途方にくれていた。

いいでしょー?
妹の佳代子は、制服姿のまま。
黒のストッキングを履いた脚をぐーんと伸ばして、兄貴に見せびらかしている。
発育のよいふくらはぎを、淡い墨色のナイロンがなまめかしく染めあげていて、
まるで別人のように大人びた、女の脚がそこにあった。
兄妹の関係を通り越してしまいそうな衝動にかられながら、
ミチオは指をくわえんばかりにして妹の足許を覗き込んでいる。
ほ~ら、きっと治子お姉さんも、いまごろこんなの穿いて彼氏さんに逢っているころだよ。
妹の指摘は、図星だった。
あたしもねー、だれかに咬んでもらおうかな♪
妹はさっきから挑発するように、兄貴のことを横目で見ている。
内心の嫉妬を押し隠そうとしてやっきになっている兄貴のことが、面白くてしかたないらしい。
ね♪薄い靴下穿いて来てって、治子さんに言われなかった?
耳朶をくすぐるささやきにぎょっとなって、ミチオが妹を見返すと。
あっ、怖い顔しないしない・・治子さんが怖がるよ~。
なんて、兄貴をからかいながら。黒のストッキングを履いた自分の足許をもういちど見おろして。
あたしのストッキング、貸してあげようか?
えっ・・・?
う~ん。じかに咬まれるのは、怖いけど。
あたしも間接的に、咬まれてみたい♪
少女の白い横顔が、月の光に染まるのを。
兄の静かな視線が追っている。
まとわりついてくる視線をうるさそうにはねのけて、
佳代子は「うそー!」って、ごまかしていた。

パパがね、最近薄い靴下履くようになったのよ。
治子はいつになくしょんぼりとして、細い肩をすぼめていた。
そう・・・そいつはおめでとう。
さらりと流したミチオの頬を、ぎゅ~っとつねりながら。
少女は「もうっ!」って、ふくれていた。
どうやらね。お相手はお宅の奥さんといっしょ・・・
どきりとするような囁きに、ミチオはちょっとのあいだ、硬直した。
ミチオのママは、独身のじぶんから吸血鬼とつきあっていて。
その吸血鬼のたくらみで、彼女は治子の父親とも、逢引を重ねるようになって。
パパはふたりの愛人が仲良く交互に家を訪れるのを、
泰然として、迎え入れているのだった。
そして、こんどは。
ミチオのママを寝取っていたはずの治子の父親までが、
自分の妻をおなじ吸血鬼にプレゼントするようになったという。
なんだか・・・ややこしいね・・・
うん。
彼氏と彼女の背中を、秋風が空ろにかけ抜けていった。

学校、遅れちまうよ。
パジャマのままのミチオは、食べかけのパンをくわえながら、ぶつくさと文句をいっている。
そそくさと自室に着替えに戻ると。
ぴたりと足を止めていた。
重ねられた下着のいちばん上に載っている靴下が、妙に量感がない。
ぶら下げてみると、向こう側まで透けて見えるような薄い靴下。
ママ?靴下、パパのと間違えているよ~。
一分でも早く家を出たいミチオは、音を上げるような声を出した。
間違えていないわよ。
意外にひっそりとした母親の声に、ミチオはびくりと振り向いた。
父親はまだ夜勤から戻っていないし、妹はとっくに登校してしまっている。
ふたりだけの家―――。
ママは花柄のワンピースの足許をそっと出して、
夕べ、また逢ってきちゃった♪
こげ茶色のストッキングには、ねじれたような伝線が走っている。
短かめのワンピースの奥にまで這い込んでいるストッキングの裂け目を、ミチオはうっとりと目で追っていた。
きょうは学校、休みなさい。
治子さんを連れて、行かなくちゃならないところがあるはずよ。
小首をかしげ意味ありげに含み笑いする母親のまえ。
少年は手にした薄い靴下を、おずおずと脚に通してゆく。
似合うわよ♪
息子を送り出す母親は、男っぽく乱暴に、息子の肩をどやしつけていた。

あー・・・ くろす様の「花盗人」閉鎖

2008年09月24日(Wed) 07:46:50

くろす様の「花盗人」が、いつの間にか閉鎖になっていました。(T0T)
いまごろ気づいてどうする?というくらい、たぶんかなり以前に。
リンクは気分が落ち着いてから、外します。

真っ黒な背景の上、展開されるのは。
見事に咲き誇る花々の、色鮮やかな画像と。
暗闇にもだえる女たちをリアルに映し出す、華麗な文章と。
あたかもストーリーの世界そのままの実写を思わせるほど、タイムリーにチョイスされた淫ら絵と。
三者が一体となって交わっていた、異形の空間。
とても気に入っていたのです。
どういうご事情があったのか分かりませんが、ひと言・・・

ありがとうございました。

さようなら、はさびしいので・・・

「またどこかでお目にかかりましょう」

と申し上げておきます。
もはや、届くかどうかもわかりませんが・・・

8月ころから忙しくなって、こちらに入る時間も限られてきて。
お話が浮かんだときだけ、やおら電源を入れて、書きなぐって。
よそ様にお伺いする時間は、ほとんど取れませんでした。
すべて、いいわけですね。
黙っていると、好きな人、素敵な人。いつの間にかいなくなってしまうのは。
ネットも現実もおなじなのかもしれません。

くろす様。どうかお幸せに。

挑発する少女

2008年09月24日(Wed) 07:22:59

キッ・・・と、軽くブレーキを踏んで。
車が止まったのは、とある邸のまえ。
助手席に座っていた妻の華枝は、艶然とほほ笑んで。
行って参りますわね・・・運転席の夫に、軽く投げキッスをした。
栗色に染めた長い巻き毛を、若作りな水玉もようのブラウスの肩に揺らしながら。
彼氏によろしくね。
もの慣れた受け応えは、軽い愉悦さえ含んでいた。
もぅ・・・
華枝は夫を優しく睨んで、すぐに目を後部座席に転じると。
お行儀よく座っている三つ編みの少女に、
いい子で学校に行ってらっしゃい。
そのときだけは、母親の顔に戻っていた。
氷のように無表情に、少女が頷くと。
じゃあ・・・ね。
女は男にイタズラっぽい一瞥を投げると、ショルダーバッグをひるがえして邸の玄関に向った。

石畳に響く、ハイヒールの音。
編みたい角ふくらはぎに走るバックシーム。娼婦のような脚。
そう・・・妻を待ち構えるあの扉の向こう側。華枝は娼婦に変えられる。
水玉もようのワンピース姿が扉の奥に吸い込まれてゆくのを、二対の瞳が追っていた。
華枝を迎え入れたものの姿は、とうとう窺い見ることができなかった。

行っちゃったね。ママ。
ぞんざいで、冷ややかな口調だった。
少女はそれまで取り繕っていたお行儀よさを、ちょっとだけ崩して。
両膝の上に載せていた手を背もたれに伸ばし、脚を組んでいた。
背もたれを枕に、二三度けだるそうにかぶりを振ると。
家に帰ろ。学校はやめだわ。
まるでお抱えの運転手にものを言うお嬢様のように、父親に告げていた。

光沢がかった紺色のリボンを解いて。
三つ編みに縛っていた長い黒髪を、ばさっと肩に流して。
リボンをぞんざいに、じゅうたんに投げる。
黒のストッキングの脚を片方だけ、テーブルに載せて。
ソファに腰かけた父親のまえ、ほんのちょっとだけ制服のスカートをたくし上げる。
流れるようなふくらはぎの輪郭が。
窓ガラスの向こうから射す陽射しに照らされて。
うっすらとしたてかりに、包まれている。
父親はごくり・・・と、生唾を呑み込んで。
目の色が、本性そのままの色に変わっていた。

まだ稚なげな足首を、捕まえて。ギュッ・・・と、力を込めて、抑えつけて。
少女はけだるそうに、足許を見おろすと。
父親に聞こえないように、フン・・・と鼻を鳴らしていた。
ストッキング越し、おしつけられてきた唇は。
あやした唾液をぬるぬると、素肌にしみ込ませてきた。

いまごろママも・・・されちゃっているよね?
ストッキングのバックシームが、よじれるくらいに。
呟く少女の声の下。
ふくらはぎをなぞる唇が、なおもしつように、黒のストッキングを凌辱しつづけている。
唇の下、鮮やかに走った裂け目はいびつにねじれながら、
制服のスカートの奥深くにまで、侵入している。
黒い衝動が、そのまま二人を押し倒した。

犯しちゃ、ダメよ・・・
わたしの処女は、おあずけなんでしょ?
わかっている・・・と言わんばかりに。
男は女の口許を手で抑え、掌を素早く唇にすり替えていた。
あ・・・っ。
スカートの奥までの侵入をまだ許したことのない少女にとって。
口づけだけでも、じゅうぶんに刺激的だった。

華枝の相手の男性も、女もののストッキングに目がなかった。
セクシィに装われた網タイツを、見逃すはずはないだろう。
エレガントで肉感的な脚を、しなかやなロープのようにぐるぐる巻きにした妖しい束縛を。
妻の情夫はどのように解いてゆくのだろう?
初めて手渡された、妻の脚から抜き取ったという黒のストッキングは。
見るかげもないほどちりちりに伝線を滲ませていて。
彼の愛妻が堕ちたようすを、いやというほど見せつけてくれた。

貞淑な主婦を一夜にして堕落させてしまったその彼ですら。
すべてを支配することはできなかった。
妻を初めて堕とした男は、ほかにいたのだから。
まだ若妻だった妻は、その男に生き血を吸い取られ、
うら若い血潮とともに理性を引き抜かれるまま、その夫のまえ、奴隷となっていた。
夫婦ながら理性を奪われた夫は、妻が嬉々として脚を開いてゆくのを、
ただの男として、たんのうしていた。
妻の愛人となった男は、ほどなく己の妻を吸血鬼に差し出す羽目に陥っていた。

パパは二重に、支配されているのね。
浴室の、熱いシャワーのなか。
とぐろを巻いた長い黒髪に、お湯をぬるりとしたたらせながら。
少女はなおも、父親を挑発しつづけている。
ママの生き血を、あのひとに吸われて。
そのママを、べつのおじさまに誘惑されて。
パパもおじさまも、あのひとに自分の奥さんを差し出して・・・
おどろおどろしいストーリーを。
少女はかわいい声で、呪文のように呟いている。
父親の掌が、身体を洗ってやると称して。
彼女の二の腕をかすり、肩を抑え、首すじをすべってゆく。
う、ふ、ふ、ふ。くすぐったぁい!
ふざけた口調は、もとの十代の少女に戻っていた。

このひと、私の彼氏。
えっ・・・?
ぎょっとする両親のまえ、少女が促したのは。
同級生らしい、みるからに大人しい少年だった。
まだ、早いんじゃ・・・
いいかける母親を、ぴたりと制して。
いいわよ・・・ね?
父親を見あげる目づかいは、すでに女の目になっていた。
少年は、まるで催眠術にかかったようなうつろな声で、父親に話しかけていた。
絢華さんよりも、年下の妹がいます。
母は三年前から、未亡人しているんです。

セィセィと、声はずませて。
絢華は父親の腕に抱かれていた。
フリルのついたピンク色のブラウスを、はだけて。
ちらちら覗く乳首を、飢えた唇に含ませて。
腰までめくりあげられた、真っ赤なチェック柄のプリーツスカートから、
真っ白な太ももを、これ見よがしに滲ませて。
ひざ上まで引っ張りあげられた、薄っすらとした濃い紫の長靴下は。
しなやかな筋肉の、かすかな引きつりを浮き上がらせていた。

椅子もろとも、ぐるぐる巻きにされた少年は。
ドアの向こう側。恋人が征服されてゆくありさまに、酔い痴れて。
ふしだらな空間にほんの片脚だけ、踏み入れて。
ズボンを脱いであらわになった太ももには、ひとすじ、透明なしたたりを這わせていて。
男ものにしてはやけに薄いハイソックスに、したたりが滲むのにも気づかないでいた。

ホホホ・・・
いちぶしじゅうを見届けた女は。
栗色に染めた巻き毛を、娼婦のようにゆらゆらさせながら。
ベーズリー柄のワンピース姿を、黒い影に抱きすくめられて。
噛まれたうなじに散ったバラ色のしたたりが、ネックレスや服の襟首を浸すのも気に留めないで。
自分の身体をすべり落ちた男の影が、
黒のストッキングのふくらはぎにツヤツヤとよぎる光沢を侵すのを。
けだるそうに、かわしながら。
かたわらのティーカップを手に、中身を美味しそうに、喉に流し込んだ。

こまった人ね。
母娘ながら、処女を奪って。
奪った女を、ほかの男に抱かせて。
ほかのおうちの方たちまで、巻き込んじゃって・・・
女がかえりみた傍らには。
魂を抜かれた少年の母と妹とが。
くすくす笑いながら、お互いのうなじに触れていって。
指先についたばら色のしずくを、かわるがわる舐めあっていた。

脚を侵される

2008年09月17日(Wed) 06:39:46

血の抜けた身体が、夜風に心地よい。
今夜は妻を、襲いに行こう。
晩(おそ)い夏休みのさい中だった。
何者とも知れない黒い影が、わが身に覆いかぶさってきたのは。
妻はだれにも告げずに、わたしを弔い、裏山の一角に埋めた。
そうすればわたしが蘇生するのだと、”影”にそそのかされていたから。

たった二日間、顔を合わせなかっただけなのに。
妻はとても血色がよく、若やいで見えた。
それはつまり、わたしがとげた変容の裏返しでもあったのだが。
ひと目をはばかりながらわたしを家にあげた妻は、
ためらいなくブラウスの釦を外していって。
うら若い血のめぐるうなじを、噛ませてくれた。
口伝えに流れ込んできたみずみずしい生気を含んだ液体は。
冷え切ったわたしを、みるみるよみがえらせてくれた。
だれもがわたしを、いままでのわたしだと思い込むだろう、
だって私、あなががこうなったことをだれにも話してないのだから。
妻はひそひそ声で囁きながら、釦をひとつずつ元
にもどしていった。

わたしの血を吸ったもののところへ、お前を連れて行く。
生唾をごくりと呑み込んだあと。
わたしはひと息に、用件を告げていた。
彼女は大きな瞳を輝かせ、まつ毛を震わせながら、わたしを見つめ、
皆さんで私を、召し上がるのね?
食べ物にされてしまうわが身をいとおしむように、掌でもう片方の二の腕を撫でつづけていた。
新しい兄弟に、最愛のものをプレゼントするのだよ。
なぜかよどみなく、囁いた言葉に。
彼女は黙って、頷いていた。

どこから噛みつかれちゃうのかしら?
あなたのように、やっぱり首筋?
え・・・脚に噛みつきたいんですって?
じゃあ、ストッキングは脱がなくちゃね。
脱がないで・・・って。
破けちゃうじゃない。
履いたまま、噛ませちゃうの?
なんだか、首筋よりもエッチだね。
いやらしい・・・
彼女はゆっくりと身をかがめていって、
指先で、なぞるようにして。
足首から、ふくらはぎ、そしてスカートから覗いたひざ小僧へと。
つつ・・・っと、いとおしそうに撫でつけていた。

黒のストッキングがいいの?
肌の透けるような、薄いやつが・・・?
そのひと、とってもいやらしいわね。
私におねだりしているあなたも、同罪よ。
妻はイタズラっぽい含み笑いを漂わせながら。
それでも真新しいストッキングのパッケージを切って、
さらりと脚に、通していった。
つま先からくるぶしを呑み込んだ女もののストッキングは。
ひざ下、太もも・・・と、ぐーんと引き伸ばされていって。
なまめかしい薄手のナイロンが脛を蒼白く、透きとおらせていった。
ひきつれていないか、ねじれていないかと。
念入りに点検を済ませると。
出かけましょう。
黒革のショルダーバックを手に提げて、早くも席を起っていた。

外の風は、肌寒かった。
ふたり、人目を避けるように、身を寄せ合って。
夜の街並み、ひと言も交わさずに、歩みを進めていった。
ところどころ、煌々と輝く街灯からは。
かすかに身を遠ざけながら。
灯りに滲み浮かび上がる黒のストッキングの脚は。
娼婦のように毒々しい光沢を、かすかに滲ませていた。
清楚な装いの足許を、侵食するようにして。

連れて来てやったぜ。
恩着せがましく、かけた声に。
わたしの抱いている、相手に対する気安さを滲ませると。
のっそりと立ちはだかった白髪頭のまえ、
妻は端正に、一礼した。
―――の家内でございます。主人がいつも・・・
会社の上司に対するような礼儀正しさが、なぜだかひどくこそばゆかった。

足許にかがみ込んできた黒影に求められるまま、
妻は水玉もようのプリーツスカートを、ほんのちょっとだけたくし上げて。
蒼白い肌をなまめかしく浮き上がらせた黒ストッキングの脚を、
惜しげもなく、さらけ出してゆく。
唾液に濡れた唇が。
ぴちゃ・・・
かすかな音を洩らして吸いついたとき。
抱き支えた両腕のなか。
華奢な身体を、引き下がらせようとして。
細い肩を、がたがたと震わせていた。

あら、いやらしいわ・・・
血を吸おうとするそぶりもなく。
黒のストッキングの脚を、男が舐めつづけるのを軽く咎めると。
わたしの腕にがんじがらめにされた女の脚を、
男はなおもいたぶるように。
これ見よがしに、舌を這わせてきた。
いけないひとたち。
白目を滲ませてふり返る顔は。
それでもかすかに、笑みを含んでいた。
ぴちゃぴちゃと、いやらしい音を洩らしながら。
身に着けた礼装は、かすかによじれながら、淫らな唾液を沁み込まされてゆく。

脚を、犯されているみたい。
しっとりとした呟きを、封じるように。
わたしは妻の髪を撫でながら、口づけを交わす。
含んだ唇は、マシュマロのように柔らかく、
そして、思いのほか濡れていた。
思い切り呑み込んでしまった、訴えかけるような吐息は。
ひどくせつじつで、焔のように熱かった。
そのあいだ。
男はいやらしい舌をふるい、唇を吸いつけて。
ストッキングを履いた妻の脚を、いたぶりつづけていたのだった。

頂戴しよう。
男はひと言、そう呟くと。
薄墨色の向こう側、むっちりと透けるふくらはぎの、いちばん肉づきのいいあたりに。
唇を這わせ、ひときわつよく、吸いつけて。
きゃっ・・・
洩らしかけた声を必死にこらえている足許を、両腕で抱きかかえていって。
這わせた唇の下、薄手のナイロンに裂け目を滲ませていった。
上下にちりちりと滲んだ伝線は。
ピチッ・・・と、思いがけない速さで、スカートの奥にまで忍び込んで。
ヒルのように赤黒く膨れあがった唇が、かすかにうごめくたび。
裂け目を広げ、目をそむけたくなるほどに白い脛を、あざやかに露出させてゆく。

もう片方・・・
とっさに引いた足首を、
ハイヒールもろとも、捕まえて。
男はなおも貪欲に、唇を這わせてゆく。
女は時おり、脚をくねらせて。
無意識のうち、男が吸いやすいように、脚の角度を変えていた。
礼装を引き破られていく足許から、目をそむけて。
まるで、レイプされているみたい。
予感を含んだ妻の声に、わたしはぞく・・・っと、理性を痺れさせている。
はぁ・・・はぁ・・・
切なく上下する両肩から伝わるものは。
失血のあえぎだけではなくて。
幾分かの陶酔を秘めていた。
掌の下、ブラウス越しに伝わってくる妻の昂ぶりが、
いつかわたしにも、伝染してきたようだった。

破けちゃっ・・・た。
こと果ててのち。
妻は空ろな声で、ひくく呟くと。
男ふたりに、見せつけるようにして。
伝線に彩られた脚を、指先でなぞってゆく。
むざんに裂け目を広げた黒のストッキングは、
女の脛に、まだからみついていて。
男はなぜか、むしょうにそれを欲しがっていた。
わが身をめぐる血潮の新たな持ち主となった男に、ねだられるまま。
殿方のまえで、脱げと仰るの?
咎める声に、せせら笑いで応えながら。
眺めも、ご馳走のうちなのだよ・・・
重苦しいはずの屈辱を、たくみに軽い失笑にかえていった。

うら若い血を、啜られて。
スカートのすそを、バラ色に彩られて。
つややかなストッキングを、思うさま辱められて。
破けたストッキングまでねだり取られた女は。
誇らかに、羞じらいながら。
もとのとおり、夫のわきの下に腕を通してくる。
足許には、地味な肌色のストッキング。
むたいな凌辱の痕が、紅い点々になって、
そこかしこに、遺されていた。
おやすみなさい、お二人さん。
吸血鬼は妻の血潮を口許にあやしたまま、
それでもちょっぴり残り惜しげに、淋しげに。
だれも待っていないじぶん独りのねぐらへと、戻っていった。

週にいちど。できれば二回。
奥さんの体調が、最優先だけどね・・・
遠慮がちに回数を求める男のため。
夫婦連れだって、週に二度、三度・・・
人目を避けた深夜の街。
シックな衣裳を闇にまぎれさせてゆく。
男のために、手抜きのない装いは。
そのたびに、紅いしたたりに浸されていって。
妻はほろ苦い笑みで咎めながらも。
血のついたブラウスやスカート、それにスリップまでも。
男のまえで、与えていった。

今夜も、いいわね・・・?
いつか、わたしのいない夜にも遂げられるようになった逢瀬を。
わたしはほろ苦い笑みで、許してしまっていた。
夜な夜な、ひっそりと出かけていって。
身に着けたストッキングを破られて、戻ってくる妻。
ある晩は、肌色。
つぎの夜は、黒・・・。
足許を彩る、色とりどりの装いは。
夜の通い通の足許を、妖しい彩りに染めていた。

はじめての夜。
履いていった真新しいストッキングは、値の張るものだったらしくて。
高かったのよ、これ。
笑う妻に。
戯れのように、一万円札を握らせて。
安物でも、さしつかえないですよ。
時々誘い出している女学生は、
いつも学校に行くときに履いている二足三百八十円のやつですからね。
細かな額まで口にする吸血鬼に。
妻はあははは・・・と、打ち解けた笑いをはじけさせたものだった。

奮発しすぎたかしら?
送り出すわたしを、ふり返って。
今夜も足許を、高価なストッキングで彩る妻。
いいや、よく似合っているよ。
あいつに破かせるのが、もったいないくらいだ。
わたしの言い草に。
う、ふ、ふ・・・
妻は黒のストッキングの見せびらかすようにして、
ちょっぴりスカートをたくし上げて、脚をくねらせてみせる。
少しだけ色褪せて、蒼ざめた頬は。
無理してでも、逢いたいの。
きっぱりとそう、告げているようだった。

真夜中に、誘い出されて。
ふたりきりで、逢って。
もの欲しげな唇に、なぞられるまま。
肌を薄っすらと染める薄墨色のナイロンを、かすかによじれさせながら。
清楚な礼装には不似合いな、不埒な唾液をなすりつけられ、
ふしだらにもてあそばれる。
吸血にともなう、みだらなおこないは。
みずみずしい皮膚に、淫らな毒液を侵食させてゆく。
身の自由を奪われ、衣裳を辱められ、生き血を吸い取られていって。
そんな身分に堕ちた女がたどるのは。お定まりの淪落の道―――。
しぜんな流れに、逆らえるはずもなく。
妻はある晩、あの男への想いをわたしに告げた。

妻を連れ出すことよりも。
一人で行かせることが多くなっていって。
もうひと月も、送り出す専門かな?って思っていたが。
今夜はわたしもスラックスの下、ストッキングのように薄い長靴下を脚に通している。
すっかり涼しくなったはずの夜風が。
肌寒くしみ込んでこないほどの昂ぶり―――。
そう。今宵は列席者が三人だけの。妻の結婚式。

黒のストッキングに足許を彩った花嫁は。
漆黒の衣裳で、貞操の喪を弔いながら。
シックな衣裳に隠した禁断の肌を。
情夫のまえ、惜しげもなくさらけ出してゆく。
ほどかれたリボン。
はだけた白い胸。
振り乱されて床に広がった、ウェーブのかかった長い髪。
はねあげられた黒のスカートは。
折り目正しいプリーツを、容赦なく折り曲げていて。
太ももまであらわになった足許には。
男の唇が、貪婪に這いまわる。
脚を侵されながら。
女はじれったそうに、ひくくうめいて。
熱く昏い昂ぶりを、はぜる吐息に変えていた。

舌と唇の侵食が、
太ももの上にまで、達したとき。
妻の穿いているのが、レエスの縁取りのついたガーターストッキングだと、初めて知った。
日常見慣れない、毒々しい衣裳を。
娼婦のように着こなすようになっていた妻。
わたしの目つきに、すべてを察して。
照れくさそうに、視線をそむけると。
うなじには赤黒い痕がふたつ。
吸い取られたばかりの血を、まだ生々しく滲ませていた。
そっと、唇を這わせてやると。
うら若い血が、淫らな香りを含んでいて。
ブラウス越し、感じる胸元は。
淫らな予感に、はずんでいる。

これから、犯されるのよ・・・
あなただけしか識らない女じゃ、なくなるのよ。
貞淑妻が、娼婦になる。記念すべき夜。
わたしは、人もあろうに妻の情夫と共謀して。
礼装に秘められた貞潔をむさぼらせてしまおうとしている。
第二の結婚。おめでとう・・・
ひそひそ声で耳たぶに囁きかけると。
妻はかぶりを振るだけだった。

いよいよ、犯されてしまったとき。
妻は少しだけ、涙ぐんだ。
ごめんなさい。
謝罪の声を、唇で封印すると。
むせ返るほど熱い吐息が、べつなことを呟いていた。
あとは、お二人で・・・
妻に聞こえるように、わたしは男に告げている。
それを合図に。
わが身を隔てようと突っ張っていた腕が、だらりと床に横たえられて。
必死ですぼめようとしていた太ももは、ゆっくりと開かれていった。
ドアを閉める背中越し、
あ、あんっ・・・
狎れきった女の声色が、耳を刺した。

わたししか識らず、貞淑だった妻は。
いまは床のうえ、乱れた衣裳もかまわずに。
犬ころのように、情夫と戯れあう。
ひざ下までずり落ちた黒のストッキングは。
たたえていたはずの礼節を、影ほどもとどめずに。
ふしだらなたるみ、妖しい裂け目に彩られて。
時おり気まぐれに引っ張り上げられては。
劣情に満ちた唇のいたぶりにさらされていた。
けれども、きっと。
一夜明ければ。
ドアから出てくる妻は、きっと礼儀正しく、深々と一礼して。
もとのように、折り目正しく装って。
長い黒髪を、きりりと結い上げて。
落ち着いた物腰と、淑やかなしぐさ。
恥じらいを捨てて乱れたことなど、おくびにも出さないで。
時おり感謝に満ちた瞳を輝かせて、わたしのことを仰ぎ見るのだろう。

礼節を辱め抜かれることが。
いまは最大の好意の証し。
わたしの血を吸い尽くし、妻を征服した、仇敵は。
いまは兄弟よりも親しい、無二の友―――。


あとがき
人妻に、目をつけて。
まず夫を、たぶらかして。仲間に引き入れて。
夫に乞われるままドアを開けた妻は、血を与えることに慣れて。
やがて、夫に連れ出されてくる。
まわりくどい手口ですが、夫婦ながら侵食されています。
ひっそりと、息荒く。

禁断のしきたり

2008年09月15日(Mon) 08:13:17

だれ禁じることもできない、永く秘められたしきたりは。
うら若い生娘の生き血を、人の血を欲するものたちに、饗しつづけてきた。
嗜血癖のある若者たちは。
定められたしきたりの命ずるままに。
彼らの幼馴染みを、語らって。
その許婚を、連れ出させるのだった。

約束の場所は、村はずれの古い荒れ寺。
肩を並べて、あるく女(ひと)は。
いつになく改まった、学校の制服姿。
ふだんは三つ編みにしてキリキリと結い上げる長い黒髪を。
今夜にかぎっては、セーラー服の襟首に流れるように垂らしていた。
黒革のストラップシューズに、肌の透ける黒のストッキング。
ぴかぴかに磨かれた靴の、硬質な輝きと。
なよなよとはかなげな薄手のナイロンに。
折り目正しく染め上げられた脚は、素肌の地の色をなまめかしく滲ませて。
だれの目にも、うっとりするほど大人びて見えた。

長い靴下が、好きなんだってさ。
軽い口調を装って、彼女にそう告げたけれど。
内心はとても、おだやかではいられない。
あいつは耳もとで、こっそり囁いたのだ。
ひろ子さんがいつも学校に履いて行く、あのスケスケの黒のストッキング。
いいなあ。破ってみたいなあ。

体育の時間が、はじまるまえに。
あいつはいつも、オレを校舎の裏に引き入れて。
ライン入りのハイソックスを履いた脚を、噛ませてくれっておねだりをして。
そのたびに貧血で目を回して、体育館から保健室送りになるのだった。
だからあいつが、ちらちらと。
ひろ子さんの足許を盗み見るのは、察していたけれど。
よりにもよって、目のまえで・・・なんて。
時おりため息つきながら、半歩遅れて歩みを進めるひろ子さんを見返って。
ついでに薄黒く染まった大人びた脚を、もったいない・・・っ!って舌打ちしながら、盗み見る。

どうしたの?
いつになくねちねちとした視線に、さすがのひろ子さんも気づいたらしい。
これから起こることを、ぜんぶ告げてしまおうか?
そんな誘惑を、飲み込みながら。
ただ・・・村のしきたりどおり、あいつに血を吸わせてやってくれ。
それしか言えないオレだった。
うちの親どもは、もちろんのこと。
ひろ子さんの両親も。許婚のオレさえも、納得させて。
今夜・・・あいつはひろ子さんの生き血に酔い痴れる。

連れて来たぜ?
わざとぶっきら棒に、言葉を投げると。
あいつはひどく、照れくさそうに。
悪りぃな・・・って。
ふだんは決して口にしない言葉を、つぶやいた。
あいつも緊張しているんだ。
そう、気がつくと。
なぜか打ち解けた気分になって。
すぐ、始めようぜ?って。オレのほうから言い出していた。

しきたりだからね。
ウン、わかってる。
ひろ子さんは、大きな樹に背もたれしながら。
セーラー服の胸に、ロープをぐるぐる巻かれていった。
縛りを免れた胸許のスカーフが、夜の微風にひらひらと流れた。
無言のふたりのあいだ。
真っ白なスカーフが、まるでわざとのように、静かに舞いつづけた。

じゃあ、はじめるよ。
好きに、しろよ・・・
ひろ子さんと向かい合わせに、木に縛られたオレは。
ちょっぴり目をそむけながら、そういいかけて。
あやうく忘れるところだった、しきたりどおりの科白を口にしている。
ひろ子の純血を、お捧げします・・・・と。
つつしんで、お受けします。
あいつもしきたりどおり、鄭重な礼をかえしてきて。
その瞬間、オレたちは幼馴染みでも許婚どうしでも、なくなっていた。
血を宿すもの。血を欲するもの。
此処には、そのふた通りの人種しか存在しなかった。

月影に白く透けるように、
ひろ子さんの首すじは、ひどくほっそりと頼りなげに映る。
男は身を近寄せていって、
真っ白な夏用のセーラー服の両肩に手を置いて。
そっと、うなじを唇で触れてゆく。
ちゅっ。
かすかな音。唾のはぜる音。
びくっ・・・と、したのは。
ひろ子さんばかりでは、なかったはず。
身をすくめ、顔をこわばらせて。
閉じた瞼。ピリピリ震えるまつ毛。
薄闇のなかとは思えないほど、鮮明に。
オレの網膜を支配した。

唇を離すとき。
牙が引き抜かれるときの、かすかな身じろぎに。
なぜか股間が、ズキズキとした。
ひろ子さんは、まだ痛そうに。
そむけた横顔を、キュッとしかめていて。
かすかにヒクヒクと引きつる頬の下。
ばら色のしずくが、ひとすじ―――。
静かにしたたり落ちてゆく。
そのしたたりが、真っ白なセーラー服に沁み込むまえに。
男はハンケチを取り出して、
ぎゅう・・・っ、と、拭い取っていた。

まだ、吸うの・・・?
少女の問いに、男はしずかに頷いた。
どこから、吸うの・・・?
少女の頬に、怯えが走っていた。
男は答えのかわりに、アイロンのきいたプリーツスカートごし、
少女の足許に、そろそろとかがみ込んでいって、
黒のストッキングのふくらはぎを、なぞるように触れてゆく。
見おろした横顔に、サッと嫌悪の翳がさした。
やらしいよ・・・
秘めた声色が、かすかな昂ぶりを含んでいる。

男はこちらを、ふり返り、オレはしずかに頷いている。
少女はあきらめたように、かすかにかぶりを振って。
ちょっとだけ、脚をもじもじとさせて。
ひと言、どうぞ・・・と、呟いていた。

濡れた唇が、薄黒いナイロンごし、ぴったりと吸いついて。
ヒルのようにしつっこく、這い回ってゆく。
時おりぬめる、赤黒い舌が。
大人びた装いをいたぶるのを。
遠目にもいやらしく、炙られるような昂ぶりをそそってくる。
劣情にさらされた礼装に。
少女は唇を噛んでいたけれど。
自分たちや親たちが承諾したしきたりの遂行が、いったいどういうものなのかを察したらしく。
オレの目を意識して、半ばは尻ごみしながら。
課せられた務めを、気にかけて。
舐められるほうの脚を、半歩前に差し伸べて。
かわるがわる、いたぶりにさらしていった。

帰り道。
脚のほうが、いやらしいね。
首すじよりも・・・?
うん。だって・・・
見おろす足許は、むざんなまでに裂け目を滲ませたナイロンが。
いびつなひきつれのすき間から、乳色の肌をさらけ出している。

これからも・・・脚を吸わせるの?
黒のストッキングを、噛み破られちゃうの?
許婚の問いに、だまって頷いて。
そっと抱き寄せた鼻先に。
いままで意識しなかった女くささにむせ返った。
甘く暖かい、黒髪のかすかな匂い。
いきなり襲った衝動。
初めての口づけに、少女はちょっとだけ抗ったけれど。
せめぎ合うように唇を合わせつづけるあいだ。
なまなましい女の香りに、夢中になっていた。

週にふた晩、逢うという。
事前に伝えられたその夜を。
オレは後ろから尾けていって。
けれども、皆までは見届けることができなかった。
ひろ子さんは、こちらに背を向けたまま、
開かれた扉の奥に吸い込まれていったから。
とざされるドア越し、セーラー服の襟に走る純白のラインが。
なぜかひどく目に沁みた。

翌朝、いっしょに学校に行くときには。
いつもの気丈で快活な少女に戻っていて。
放課後、連れだって家路をたどるとき。
不思議な笑みを滲ませて。
脛を覆う薄いナイロンを、軽く引っ張って。
今夜また、破かれちゃうのよ・・・って。
こともなげに、笑いながら。
バイバイ・・・って、軽く手を振って、別れてゆく。

うつ伏したふくらはぎに、くまなく舌を這わされながら。
劣情に満ちたよだれを、大人びた礼装に不似合いになすりつけられていきながら。
少女は白い頬を、無表情に透きとおらせて。
薄いナイロン越し、男のなまの劣情を沁み込まされていく。
さらさらと肌の周りをよぎるストッキングのよじれが、
無防備な皮膚の奥深く、じわりと淫靡に沁み込んでいって。
ある晩少女は、わが家の玄関先にたたずんで。
いっしょに来て・・・
囁くように、告げるのだ。

草むらのうえ、ぎこちなく、荒々しく。
半裸の若者に組み敷かれたセーラー服姿。
プリーツをぐしゃくしゃに折り曲げて。
たくし上げられたスカートから。
太ももよぎる、レエスのついたゴムまでさらけ出して。
いつも学校に履いていくやつじゃないのよ・・・って。
だれに告げるともなく、呟いた少女は。
オレの目を意識的に避けながら。
ゆっくりと、脚を開いていった。

腰が三回、激しくうごいた。
太ももに散った紅いしたたりは。
あの夜のものと同じくらい、清冽だった。
ふたたび立ち上がったとき。
女になった少女は、オレのほうへともたれかかってきて。
ずっしりとした熟した身体を、力いっぱい、抱きとめていた。
帰る。
俯いた少女の肩を抱きながら。
オレはあいつを、ぶんなぐってやるつもりだったのに。
なぜか―――。
ありがとう。これからも仲良くな。
信じられない言葉が、口をついていた。
オレの嫁になる女は、きっとその呟きを耳にしたはずなのに。
いいとも悪いとも、口にしないで。
しずかな足取りで、家路をたどった。

あげる。
別れぎわ。
少女は破けた黒のストッキングを片方脱いで、
むぞうさにぶら提げて、オレに手渡してくれた。
さよならっ!
決まり悪げに、ひと声投げて。
駆け足に、セーラー服の襟を揺らして、後ろ姿を遠ざけてゆく。
夜が明ければ。
気丈で明るい少女に戻っているはずのひと。
一点も曇りのない笑みの裏を探ろうとするオレに。
きっといつものように、愉しげに笑い返してくるのだろう。

似合いの不倫相手

2008年09月15日(Mon) 06:58:18

気位の高そうな奥様ですね。
ご苦労されているんでしょ?
今夜、うま~く、手なずけて御覧に入れますよ。
気高いかんじのする女を汚すのは、こたえられない歓びですな。^^
征服してあげますよ。ご主人の目のまえで・・・

お優しそうな奥さんですね。
いきなり襲っちゃったら、きっと泣かれちゃいますよね?
え?強引に迫ったほうが、結果がよろしい・・・ですって?
うわ!ごめん・・・ (>_<)
股間が痛くなってきた。

なにしろ、好奇心ありありでさ。
吸血鬼だってきいただけで、あたしも吸われてみたい・・・だって。
うまく酔わせてみせてくれる?
やたらと、要求高いから。
ムードたっぷりにやらないと、しらけちゃうぜ?^^

なっ・・・なにをなさるの・・・っ!?あなた・・・っ!
高雅な顔だちを、ピリピリとさせて。
引き裂かれたブラウスに、思い切り眉をひそめて。
部屋のすみに転がったぴかぴかのハイヒールを、悔しそうに見つめて。
ずり降ろされたストッキングを、脛の周りにふしだらによじれさせながら。
驕慢な女は組み敷かれ、辱められ、昂ぶりにのぼりつめてゆく。
支配することが好きなはずなのに。
隷従する歓びに、目ざめていって。
いつか・・・身も心も、奥底まで、飼い慣らされてしまってゆく。

主人には・・・絶対内緒にしてくださいね?
いまにも泣きそうなお姫さまは。
古風にもハンカチの端を噛んで、洩れるうめきをこらえながら。
じりじりと迫られて、姿勢をくずしていった。
太ももまでのストッキングに、白く濁った粘液をぬらぬらと光らせながら。
腰の動きだけは、夫婦の営み以上に大胆になってゆく。

もう~。だんなの前で姦るだなんて・・・
好奇心たっぷりの女は、初めてだという縛りさえも、面白そうに。
挑発に輝く瞳を、チラチラと夫のほうに送りながら、ウキウキと縄を巻かれていって。
着崩れたスーツのすき間から、白く輝く肌をきわどくさらけ出しながら。
てかてか光る透明のパンティストッキングを思い切り引き裂かれていって。
短かめのタイトスカートの奥、未知の男にまさぐられるまま。
熱い熱情をびゅうびゅうとそそぎ込まれてゆく。

昂ぶる・・・ねぇ。たまんないねえ。
秘蔵の持ちものを、支配されちまうのって。
あ~あ、汚染されちゃった。汚されて、染められちゃった。
心のなかまで、メロメロにされちまった・・・
うちのやつまで・・・スカートの裏地ぬらぬらにしちまって。
あのスカート、結婚記念日に買ってやった高いやつなのに~。
もの好きな亭主どもは、さも悔しそうに。苛立たしそうに。
口々に、愛妻の凌辱相手を罵りながら。
気高い令夫人の装いを汚されてゆ娼婦ぶりから、目を離せなくなってゆく。
淫らに更ける、秋の夜。
熱く濃い闇が、爛れた男女を今宵も包む。


あとがき
前作の既婚者バージョンです。
キャラはうり二つなのですが、たぶん別々の女性です。
前作の女たちは、意外にも。
「ほかの男はお呼びでない」ってタイプのような気がしますので。

似合いの相手

2008年09月15日(Mon) 06:42:23

あのコのストッキング、いちばんテカって見映えがするな。
でも、性格悪そうだぜ~?
思いっきり罵られながら・・・生き血を吸ってみたい。
いけすかないやつ!オレはあっちの優しそうな子がいいな。
じゃ~、私は残る一人か。でも・・・残り物に福ありだね。い・ち・ば・ん美人♪

「イヤッ!イヤッ!何てことするのよッ!」
気丈なあの娘は、思いっきり相手を非難しながら。
ブラウスを剥ぎ取られて、テカテカのストッキングを破かれて。
それでも激しい口調と同じくらい、急調子に。
腰の動きを、ひとつにしちゃっている。

「お願い・・・怖くしないで。痛くしないで」
癒し顔のその子は、めそめそとべそをかきながら。
それでも男に乞われるまま、ロングスカートをたくし上げて。
真新しい肌色のストッキングの脚を、さらけ出して。
よだれをぬめらせたべろを、這わされてしまっている。
キュッと閉じた瞼に、かすかに涙を滲ませながら。
それでも居心地よさそうに、相手の意のままになってゆく。

「面白い~。アートだね」
壁ぎわまで迫られた、三人めのコは、
秀でた目鼻だちを、ワクワクと輝かせて。
自分の穿いているストッキングに男が描いた伝線のカーブを、
しんそこ面白そうに、観察している。
ねー、もっとやってみて。
いろんなの持ってるから。
リクエストしてくれたら、穿いてきてあげるよ。

三人三様、見つけた似合いの相手に。しんそこ耽り込んでいって。
くすくす笑いながら。
脚ばたつかせながら。
きゃっ、きゃっ、と。はしゃぎながら。
長い長い秋の夜が、更けてゆく。

黒の網タイツを穿いて。

2008年09月11日(Thu) 07:25:41

遊び好きな女みたいに。
今宵は黒の網タイツを穿いて。
その下には念入りに、透明なラメ入りのストッキングを重ね穿きして。
ちょっとでもよけいに、毒々しい下地で、彩ってみた。
だって、金曜の夜までは。
上は、喪服と決まっているんですもの。
せめて靴下くらいは、おしゃれをしなきゃ。

吸血鬼と賭けをした主人は。
わたし一人を遺して、生き血をそっくり進呈してしまった。
吸血鬼になってよみがえるまでのあいだ。
未亡人になったわたしを、あのひとに誘惑させるため。
タイムリミットまでに、堕とせるか。
それまで妻が、ガマンし切れるかどうか。
いちど、ためしてみたかったんですって。

殿方は、いつも勝手。
それならわたしも、夫の好みに合わせなくちゃ。
うわべは夫を弔う喪服でも。
スカートのなかには、艶めいたガーターをした太ももを隠して。
足許は、これ見よがしな網タイツ。
これで・・・そそられない殿方は、いらっしゃらないはず。

息子や娘には、今宵もだまって家を出よう。
年頃になったあの子たちは、いわれないでもあとをついてくるだろうから。
このあいだまで、わたしの主人だったあのひとも。
密かにどこかから、熱い視線をそそいでいるはず。
こんなおいしいシーン。見逃すなんてありえない。

いつもの待ち合わせのベンチには。
今宵もこうこうと、月の光が宿る。
まるで、スポットライトのように。
娼婦を演じるわたしを、照らし出すために・・・

夏の終わり

2008年09月11日(Thu) 07:12:49

この夏は、貴男のお好きな黒のストッキングで通しました。
かっちりとした黒一色の礼服に、真白く刷いた化粧映えのする横顔。
喪服にしては濃すぎる紅が、薄くノーブルな唇を彩っている。
足許を染める、薄墨色のストッキングは。
ゆるいカーブを描く脚線美を、かっちりとした輪郭でひきたてていて。
女はこれ見よがしに、ハイヒールの脚を組んだり伸ばしたりしているのだった。

男の唇が、紅いのは。
おなじ紅さに、女の首筋を彩ったから。
鶴のように気品をたたえた細長のうなじは。
かすかな飛沫を散らしていて、
胸元の白さをくっきり縁取る襟首が、ほんの少し赤黒く侵されていた。

影が、影に寄り添いあって。
交わされる濃厚な口づけに。
女は男の胸に当てた腕を突っ張って、身を離して。
もう息ができないわ・・・と言いたげに、けだるそうにかぶりを振った。
男の上体が、甘えるように。
ベンチに腰かけた下肢に、そろそろとかがみ込んで行く。
アラ、いけませんわ・・・
女は素早くスカートのひざに手を置いて、薄墨色の太ももを隠そうとしたけれど。
一瞬早く、スカートのすそを奪われていた。

ほほ・・・ほほほ・・・
腰までたくし上げられた漆黒のスカートを、なおも手で抑えながら。
女はくすぐったそうに、含み笑いを洩らしていた。
じれったそうにくねる脚の周りを。
黒のストッキングがふしだらにねじれ、唾液に濡らされてゆく。
ぱりぱり・・・・ぴりり。
かすかな音を裂けてはじけたナイロンは。
破れた蜘蛛の巣のように、ふしだらな裂け目を滲ませて、
白い太ももを目が痛いほどに露出させた。

ふふふ・・・
ほほほ・・・
からみ合う含み笑いを、二人に間近な木陰から。
昂ぶりながら、鼓膜に流し込まれていって。
いつから、ばれていたのだろう?
生き血を吸われたがっている女がいます。
未亡人なんです。
だれに遠慮も、いりません。
襲ってやってみてください。
手引きしますから。
なん年もまえから、自分とおなじ姓を名乗るようになったその女は。
深夜の訪客に、貪欲に求められるまま。
惜しげもなく、まがまがしい饗応に応じていった。

今晩、あなたを裏切るわ。
いまでも律儀に、浮気の予告をする女。
漆黒のブラウスのタイを、胸元にきりりと引き締めて。
いっしょに玄関を出てすぐ、別れると。
もう・・・別の女になりきっていた。

秋の発色

2008年09月11日(Thu) 06:49:42

とある待合所で一服していたとき。
薄めの黒ハイソかな?って、思ったら。
ふくらはぎを青白く染めているナイロンの生地は、心地よげにぐーんと伸びていて。
スカートからちょっぴり覗いたひざ小僧まで、きれいにくるんでいました。
伸びやかな脚に、発色のよろしい黒のストッキングは、とても似合います。
そういう季節に、なってきたのですねぇ。^^

”お告げ”

2008年09月08日(Mon) 20:12:54

男の子は、15になると。
村の老婆のところに行って。
”お告げ”を受けるという。
それはきちんと折りたたまれた紙に、墨で描かれていて。
老婆はたち悪そうに、ほくそ笑みながら、手渡すのだという。
そうして男の子が手渡された紙を恐る恐る開くのを、口許に袂をあてて、
くすくす笑いながら、窺うのだという。

”お告げ”は、たった二行。
おなじ年かっこうの少女の名前と。
謎めいた、ひと言。
たとえばきょうお邸を訪れた少年の与えられた紙には、こんなふうに書かれていた。

  眉村真紀 
  やられる。

たいがいの男の子の”お告げ”には。
「やる」とは書かれずに、「やられる」と書いてあるという。

どひゃー。
ミツオは正直、ぶったまげていた。
いちばん気になる同級生の名前が、書かれてあって。
こともあろうに、「やられる」だなんて。
真紀はぷっくりとした丸顔で。
白い肌によく映える、ハッキリとした黒い瞳と長い黒髪を持っていた。

「やられる」って、書いてあるからには。
姦られちゃうのだ。目のまえで。
「やる」を引いた男の子は、その女の子のことを手ごめにして。
「やられる」を引いた子は、そのようすを物陰から見届ける。
そして、「やられる」ところを見届けた子が、その少女の婿になる。
「やる」を引いた男の子は、ずっと独身でいるかわり。
少女が人妻になってからも、自由に呼び出す特権を持ちつづける。

当たっちゃったよ。
悪友のナオキは、ひどく嬉しげに。
おまえには、なんだって打ち明けるんだから。
って、言いながら。
老婆の”お告げ”を見せびらかしてくる。

  眉村真紀
  やる。

って。
たしかに墨くろぐろと、そう書かれてあった。
ミツオはだまって、自分の”お告げ”を差し出して。
外れくじだよ・・・って。ぼそっと呟いていた。
ナオキは好きになった女の子の名前まで、ミツオに教えてくれていた。
それがふたりの”お告げ”に書かれた名前の持ち主なのだと。
お互いに、分かり合っていた。
外れくじなんかじゃ、ないって。
ナオキはぷっとふくれて、ミツオをにらみつけていた。
わかったよ。言いすぎた。
ミツオはぼそっと、呟いて。
大事にするから・・・。
そうつけ加えたとき。
ナオキは初めて、安堵したように頬を和らげた。


きゃあ~っ!だ・・・れ・・・か・・・っ。
ジリジリとする、一瞬、二瞬。
少女の叫び声は、ざわざわ揺れる草むらにさえぎられて。
聞き届けているのは、ナオキとミツオ。ふたりだけ。
制服姿の真紀は、濃紺のプリーツスカートのすそを泥に浸しながら。
黒のタイツの脛にまで、やっぱり泥水をよぎらせて。
尻もちをついてしまっていた。
そうしてナオキの欲望のおもむくままに、スカートをせり上げられていって。
太ももまでのタイツのゴムを、さらけ出していった。

あん、あん、あん、あん・・・っ!
叫び声はいつか、切れ切れなうめき声に。
うめき声はそのうちに、馴れ合った甘え声に変わってゆく。
こと果てて。
あちこち泥の撥ねかった様子を、見詰め合って。
お互いがお互いの泥を、拭いあっていた。
あげる。
脱ぎ捨てたタイツの片割れを、少女はむぞうさにつまみ上げる。
指先から垂れ下がった黒い帯は。
大人びたお嬢さんの装いとして、しなやかな脚を包んでいたときとは、様変わりして。
ふやけたようになって、縮こまっていた。

親友の許婚の処女を奪った男は、もういちど少女を抱き締めて。
熱いキッスを、奪い取ると。
ものも言わないで、草むらを掻き分けて姿を消した。
あとに、しょんぼりと佇む少女が残された。

足音を立てまいとして、身動きひとつしないでじいっと佇んでいたはずなのに。
少女は正確に、こちらに歩みを向けてきて。
ミツオのまえに、立っていた。
よく澄んだ瞳で、一時間前まで気安く名前を呼び捨てにしていた同級生のことを見つめると。
家まで送って。
制服を濡らした少女は、ちょっとだけ俯いて。
震える声を、上ずらせている。
これ、あげるから・・・
差し出された黒タイツの片割れを。
だまってポケットのなかに、ねじ込んで。
少年は未来の花嫁の手を取った。

ふたりで少女を犯した夜。
ひとりは、「やる」ことで。
もうひとりは、「やられる」ことで。
少女との初夜を、ともにする。
そんな二人組みが、きょうも村のなかひっそりと契りを交わす。

ブログ拍手

2008年09月08日(Mon) 07:35:20

今月になって初めて、拍手をいただきました。

「照りつづける公園の街灯の下で」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-183.html

昔のやつに拍手をいただくと、とても嬉しいです。(*^^)v
作品番号が、古いでしょ?
これ、三年前のなつ、ここができる前にあっぷしたやつなんですよ。
もうじき人妻になるお嬢さんを、ぶきっちょにモノにしていく吸血鬼の呟きです。

見つけてくれて。読んでくれて。拍手までしてくれた人。
どうやって、リンクにたどり着かれたのでしょうか。
ありがとうございます♪

子孫

2008年09月08日(Mon) 07:31:02

もう、子ども生まなくていいよね?
いつも大人しい妻が、珍しくそんなことを口走った。
長男と長女は、元気に育っていた。
ひっそりと呟いた妻に、わたしが頷くと。
妻は長いあいだ交際を続けていた吸血鬼の邸に行って、
初めて肌を許したのだった。

もうひとりだけ、生んでもいい?
遠慮がちに問いかけた妻に、わたしが頷くと。
彼女はびっくりするほどすんなりと、男の子を産み落とした。
男の子は、みるみる大きくなって。おませになって。
中学に入ったばかりの姉を犯し、
兄の連れてきた婚約者まで、女にしてしまっていた。

わたしたち夫婦は、若くして祖父母になった。
吸血鬼の息子が娘との近親婚のすえ子を生ませ、
わが跡取り息子を名義上の父にして、嫁にまで跡継ぎをもうけていたから。

ごく控えめな態度で、それでもしんけんに子孫を欲していた彼。
わたしの一家のものよりほかに、だれ知ることのないままに。
その希いが、ひっそりとかなえられてゆく。


あとがき
ひさしぶりに、とっさに頭に浮かんだものをあっぷしてみたら。
そっけないほど、ダークなお話に・・・(苦笑)

ほそく。

2008年09月01日(Mon) 19:39:43

読者のみなさまには、とっくにお気づきでしょうけれど。
前作「きょうだい」は、すこし前に描いた「仲良しの三人組」の後日談です。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1515.html
赤ぶち眼鏡のぽっちゃり顔の子は、だれよりも薄いストッキングを履いてきて。
大人びたなまめかしさに脚を染めてきた・・・
このコのストッキングだけ薄いの、ど~してかな~?^^
って、気になって。
気になりついでに、続編を描いてみました。
今朝ほどあっぷして、時間切れになったあと、末尾の変更を思いついて。
さきほど直し(てゆうか、ついか♪)を入れてみました。
どうしても赤ぶち眼鏡を、いまいちど強調したくって。^^
全体のバランスがくずれて、蛇足になっていないことを祈るばかりです。(笑)

きょうだい

2008年09月01日(Mon) 07:52:44

彼女ができたらさ、処女の生き血を吸わせてやるよ。
村の男の子のなかには、吸血鬼の一家と親しくつきあっている家の子がなん人もいる。
うちもそうした一軒で。
どこの家のだれとつきあうのかも、子どものときから決まっている。
相手の男の子とは、かならずウマが合って。
将来花嫁になってくれる子のことを、おなじように見初める・・・という。
ほんとうに、あつらえたように、ぴったりと。
好みと好みが、重なり合うという。

計算上は、五世帯くらいで。
吸血鬼のご夫婦と、子どもふたりを養えるという。
そういえば。
お向かいの若い奥さんは、白髪をふさふささせた吸血鬼のおじさんと、年中デートを愉しんでいる。
ご主人も、おじさんとは仲良しらしくって。
迎えに現れたおじさんと、いつもにこやかに言葉を交わしては。
着飾った奥さんのことを、楽しそうに送り出していた。
うちの母さんも。
帰ってくるところ、見ちゃダメよ・・・って、いいながら。
娘のように楚々とした装いで、夜更けどこかへ出かけてゆく。
父さんはそんな母さんを苦笑いして見守りながら。
母さんもおめかしすると、すみに置けないねって、からかっている。
そんなふうに、なるのだろうか?
そんなふうに、なることが。
村では一人前のオトナになるための通過儀礼だって、教わっていた。

ボクの彼女の相手をするはずの男の子は、志緒(しお)という名前の色白の子で。
冷ややかな笑みの似合う整った顔だちに、
どこか子どもばなれした、淋しそうな翳を持っていた。
仲良しの友だち二人と、その彼女たちと、連れだって。
おそろいの白いセーラー服を着た女の子たちは、履き慣れない黒のストッキングの脚を、お互い見せ合いっこしながら。
男の子たちは、そのすぐ後ろに、やや距離を置いて。
いつになく言葉少なに、道端で抜き取ったススキの穂を所在なげに振り回しながら。
志緒くんの家へと、足を向けていた。

シオにシズオ。よく似た名前だね。
初めて引き合わされた志緒くんは。
もの静かにみえて、いったん口をひらくとせかせかと喋る子だった。
女の子みたいに白い肌に、時おり淋しそうな翳を浮かべながら。
けれども精いっぱいの笑みを浮かべて、ボクのほうへと身を寄せてきた。
互いに緊張しているんだ・・・って、分かり合って。
声を合わせて、笑い合ってから。
ふたりはいちどきに、打ち解けていた。
別れぎわ、村でのお約束どおり、ボクは志緒くんに囁いていた。
―――彼女ができたらさ、処女の生き血を吸わせてやるよ。
きょうは、その約束を果たす日・・・。

志緒くんの家の玄関のまえにたたずむと。
女の子たちはちょっとだけこちらを振り返って、
軽く手を振ると。
迎え入れられた玄関のドアの向こうへと、あっけなく呑み込まれていった。
紺色をしたセーラー服の襟首が、ひとつふたつと消えてゆくのを。
ボクたちは声もなく、見守っていて。
ばたん・・・と、扉が閉ざされると。
たまんないなぁ・・・
だれ言い出すともなく、口々に呟いて。
だまって、家の塀を乗り越えて、裏庭に回り込んでいた。

観るんじゃなかった・・・
口々に、そういいながら。
相手選びをじゃんけんで決めようとする男の子たちに、腹を立てて。
思い思いに迫られて、押し倒されてゆく制服姿に、舌打ちをして。
少年たちの紅い唇に咥えられるようにして、噛まれてゆくのを。
・・・ゾクゾクしながら、見守っていた。
少女たちの脚を、用心深く隠している制服のスカートが。
ぴちっとアイロンのきいたプリーツを、くしゃくしゃに折り曲げながら。
黒のストッキングに染まった脚を、なまめかしくのぞかせていった。

赤ぶち眼鏡に、ぽっちゃり顔。
ボクのお嫁さんになってくれるはずの、喜代美ちゃんは。
眼鏡を鼻さきから、落っことしそうになりながら。
重ねられたざぶとんの上。
リボンを解かれたセーラー服の胸元が、すこしだけはだけていて。
レースの入ったスリップを、ちょっぴりちらちらさせていた。
黒ストッキングのふくらはぎに、唇を迫らせてくる志緒くんに。
いやいやをしながら、脚をさりげなく、へだてようとしたけれど。
圧しつけられた紅い唇は、意外なくらいに濡れていた。
しずかに、熱っぽく。すうっ・・・と、なぞられていって。
意思を失ってぐったりとなった脚に、噛みつくようなつよさで唇をもういちど吸いつけると。
ゆっくりと、牙を沈めていった。
ぴち・・・っ。
彼女の脚を染める薄手のナイロンが、かすかな音をたててはじけた。
涙の痕のように、縦に走った裂け目は、みるみる広がっていって、
スカートの奥にまで、忍び込んでゆく。
大人びた装いを、子どもっぽくあしらわれて。
礼節・・・とか。知性・・・とか。
そんなものを滲ませているのだと思い込んでいた薄手のストッキングは。
みるみる、淫靡なカーヴを描いてゆく。

どうしてあんなに薄いやつ、わざわざ履いて来たんだろう?
ボクがじりじりするほどに、薄手のストッキングは妖しくねじれていって。
いつも見慣れた初々しい脛に、なまめかしい翳りをよぎらせてゆく。
隣で襲われているそばかす顔の千穂さんも。
美人で評判のマミちゃんも。
タイツみたいに肌の透けないやつを履いている。
ふたりとも、白い顔をいっそう白く透きとおらせて。
左右にはっきりと、かぶりを振りながら。
吸血の苦痛に懸命に耐えていた。

せっかくお相手するのだから、愉しんでいただかなくっちゃね。
シズオさん、喜代美をよろしくね。
喜代美さんのお母さんは、家から娘を送り出すとき。
迎えにいったボクのまえ、もの静かな声色で、そう告げたのだった。
薄々のストッキングに透ける脚に決まり悪そうにとまどう娘を、おだやかにさとすようにして。
娘の足許に、しゃがみこむと。
真新しいストッキングに伝線がないか、点検するようにして。
白い脛をぬるりとなまめかしく滲ませた脚を、さらりとなぞっていた。

喜代美がお行儀悪くしても、嫌いにならないであげてね。
にこやかにほほ笑んだお母さんに、へどもどと、どんなあいさつを返したんだっけ。
喜代美さんは、ほかの女の子たちと同じように。
歯を食いしばって、声を洩らすのをこらえていて。
ストッキングを噛み破られているあいだじゅう、羞ずかしそうに両手で顔を覆っていた。
唾液のはぜる、唇に。
くまなく脚を、吸われていって。
ストッキングをよだれまみれにされながら。
さりげなく、志緒くんが吸いやすいうように、脚の向きを変えてゆく。
清楚な黒のストッキングは、くしゃくしゃにたるんで、ずり落ちていって。
怯えた脛の白さが、よけいにきわだっていた。
太ももまで、なぞられて。
くすぐったそうに、とうとう声を洩らしてしまって。
あ・・・っ!って両手で口をふさいで。
もういちど、襲われて。押し倒されて。
うなじをちゅうちゅう、吸われちゃっている。
やだ・・・
洩らした声は、そのままくすくす笑いになっていって。
ふふ・・・ふふふ・・・あははははっ。
くすぐったそうにばたつかせた脚線から、ふやけたように浮きあがった黒のストッキングが。
ふしだらにずるずると、堕ちてゆく。
喜美代がお行儀わるくしても、嫌いにならないであげてね。
お母さんの声がもういちど、ボクの鼓膜によみがえってきた。

ほてった頬に、風はむしろ心地よかった。
お互い顔をそむけ合って。
家から出てきた彼女たちにも、そ知らぬ顔をして。
ちらっと振り返りざま、けしからぬガキどもを、ひとにらみして。
てへへへ・・・
照れるとただの、子どもに見えた。
女の子たちは、さりげなく。
それぞれの恋人のわきの下へ、腕をすべり込ませていて。
いままでにない大胆なしぐさに、戸惑いながら。
ボクたちは無言で、別れていく。

姦られちゃったよ・・・
照れくさそうに頭をかくのは、親友のユウイチ。
向こうから彼女といっしょに、歩いてきて。
ふと見ると。
黒のストッキングが、ハイソックスくらいの丈になるまで、たるんでずり落ちていて。
短かめのスカートから覗く太ももに、かすかにバラ色の血が、滲んでいる。
マミちゃん美人だからねー。いちばん乗りだと思ってたよ。
ひとのことだと、気軽に返せるものだ。
そういえばこのあいだ、そばかす顔の千穂ちゃんを連れ歩いていたマサルのやつも、こぼしていたっけ。
―――もの堅い女だと思っていたんだけどな・・・って。

とうとう、さいごの1人になっちゃったね。
ぽっちゃり顔に、団子鼻。
赤ぶち眼鏡の少女はちょっぴりフクザツそうに、寄り添い合って立ち去ってゆくふたりの影を追っている。
それだけ、気にしてくれているんだよな?
え・・・ええ。
でも・・・しきたりだもんな。
う・・・うん・・・
じゃあ、今夜。家から抜けてこられる?
う・・・ウン。

初めて襲われたときとおなじ、清楚な白の制服に。
重たそうな濃紺の、アイロンのきいたプリーツスカート。
真新しい黒のストッキングは、グッと薄さを増していて。
素足に縁どりをきわだたせているように見えた。
ストラップシューズのなか、お行儀よく収まった足の甲に。
おもわず接吻を重ねたくなる衝動を、こらえかねて。
玄関先に座り込んで、靴を履き終えた少女の足許に、かがみ込んで。
お母さんのまえだったけど・・・思い通りにしてしまった。
まあ。
母娘は、顔見合わせて、ほほ笑んで。
よかったね・・・
無言のやり取りを、重ねていた。

シズオにいさん。
初めて襲う女の子は、にいさんの彼女がいいな。
小さいころから、ずっと言いつづけてきた志緒くんに。
未来の花嫁を捧げる日。
祝言は・・・ずっと先のことだけど。
今夜はボクたちにとって、ほんとうの祝言。
村では「裏祝言」と言い習わされた、記念すべき夜。
早足になって手を引いた喜代美さんの掌は、しっとりと冷たく湿っていた。

眼鏡。持ってて。
玄関のベルを、鳴らすまえ。
喜代美さんは、いちどだけ振り向いて。
赤ぶち眼鏡を、手渡した。
持ってて。なにもかも、おわるまで・・・
黙って頷くボクのに、不自然にほほ笑んで。
三つ編みのおさげを、ほとんど力まかせにほどいていって、
セーラー服の襟首に、さらりと垂らす。
眼鏡をはずした喜代美さんは、見知らぬ少女のように、目鼻を透きとおらせて。
娼婦してくる・・・
想いを秘めた声色低く、ささやいて。
そのまま玄関のドアの向こう側へと、呑み込まれる。
夜が明けるまえ。
玄関から足音忍ばせて、彼女が出てきたとき。
両手でそっと、この眼鏡をかけ直してやろう。
ボクはいそいそと、ほかのふたりがしたように。
庭先にまわって、息をひそめる。
雨戸のあいた志緒くんの部屋は、きっとガラス窓もわざと半開きになっているはず。
見ていてね。しっかりと。
部屋のなかの二人のささやきが、声にならないまま庭先に洩れてきた。