淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
周太の妻
2009年03月29日(Sun) 08:01:00
あまり美しくはない女房は。
結婚して十年経っても、わたし一人しか、識らない身体―――
年にいちど許された、夜這いの夜も。
わたしが出かけた後、訪問客が忍び込んだ形跡はいつもなかった。
そんな女房が、不憫に思えて。
悪友のタカシに、頼みごとをしていた。
妻を堕としてもらえないか?と。
タカシは名うての、女たらしだった。
夜這いの夜といわず、たらした女がどれほどいたか。
筆おろしのときの相手になったのは、他ならぬわたしの母。
母親似の妹も、女学校の制服を着る最後の夜、とうとうモノにされてしまった。
子どもを三人抱える主婦になるまで。
だんなの目を盗みながら。
妹はタカシとの姦通をつづけていた。
目を盗んだはずのだんなが、じつは毎晩こっそり戻ってきて、
視て愉しんでいる――と知ってからは、三人で愉しむようにさえ、なっていた。
いいのか?ほんとに、いいの?
なんども念押しするように、わたしの意向を確かめていたけれど。
タカシは、内心の昂りをかくせないたちだった。
とうとう、ヤッちまったよ。
誘惑を依頼して、たった三日しか経っていないのに。
わざと家をあけた最初の晩。
女房は簡単に、堕ちていた。
悪りぃな、周太。時々通わせてもらうよ。
わたしにもちろん、いなやはなかった。
こう・・・抑えつけたときにね。
顔をキュッと、歪めるんだ。
あんたにすまないって、呟くんだ。
太ももを固くして、おれが指先をまさぐりいれるのを、拒もうとして。
しばらく服のうえから、撫でまわしてやって。
肌の下の血潮がバラ色に輝くようになってから。
おもむろに、キスを奪うんだ。
そうすると。
あの女は、変貌する―――。
こたえられないな。
あんたの女房に、はまってしまったよ。
だからふつかに一夜は、はめさせてくれないか?
中にたっぷり出しても・・・構わないだろう?
識っているのは、彼とわたしだけ。
あまり美しくない目鼻だちが、羞恥にゆがむとき。
どんな女にもみられない妖しい媚態がよぎるのを・・・
貞操喪失ビデオ観賞
2009年03月29日(Sun) 07:46:49
妻の彼氏の家に招ばれて。
あのビデオ、お見せしますよ・・・って、誘われた。
妻が初めて犯されるところを撮ったビデオ。
それはもう、はじまるまえから、昂っていた。
ああ・・・こんなふうに。
妻は抵抗してくれたんだ。
キスを、三回も拒んで。
スカートのすそを、何度も抑えつけて。
さいごにブラウスを引き裂かれ、ブラジャーをはぎ取られて。
泣き叫びながら、ゴールインした。
キュッと引きつった太ももが、ひどく眩しく映っていた。
必死の抵抗は、かち獲るものの値打ちの高さの証し。
チャンスを与えたわたしは、翌朝彼の心からの称賛を勝ち取っていた。
妻の貞潔と、引き換えに―――
ああ・・・こんなふうに。
妻は堕ちていったんだ。
巧みな愛撫に、手なずけられて。
激しい上下動に、狂わされて。
夢中でしがみつきながら、自分のほうから腰を振り始めて。
彼の性欲に、応じはじめていったのだ。
娼婦のあしらいは、女としての値打ちの高さの証し。
永年わたし以外の男を識らなかった身体に、毒液を注入されて、堕とされる。
狂った歓びが、わたしを染めた。
さようなら、妻の貞操。
いらっしゃい、歪んだ日常。
学校に出かける。
2009年03月29日(Sun) 07:44:29
あたしの名前は、ミユキ。
都会からこの村に越してきて、そろそろ半年になる。
ママの様子がヘンになったのは、こっちに来てからひと月くらい経った頃。
毎晩遅くになってから、独りで出かけるようになっていた。
パパも物音をたてないように、足音を忍ばせて。
ママのことを、そっと送り出していた。
ええ~?ヘンなの・・・って思っていたら。
仲良くなった同級生が、こっそり教えてくれた。
村のひとに血を吸われるようになると。
夫はじぶんから、妻を愛人のもとに送り出すようになるんだと。
あたしがすべてを識ってしまった・・・と察した親たちは。
ママの血を吸っている吸血鬼さんを、あたしに紹介してくれた。
それ以来。
彼はあたしがいる時分でも、家に姿を見せるようになっていた。
パパとママはふつうに寝んで。
寝入ってしまったふたりの血を、そのひとが吸うんだって言っていた。
でも、ほんとうは。
だれも寝たりなんかしていない。
夫婦のベッドを譲ったパパは、カメラの腕前がよくなったって、みんなからほめられるようになっていた。
いまも。
夫婦の寝室から、うめき声が洩れてくる―――
制服に着かえたあたしは、フッ・・・とオトナっぽいため息をして。
いつもの白のハイソックスの代わりに、黒のストッキングを取り出した。
薄々のナイロンは、あたしの脚を、ひどくなまめかしく変えてゆく。
決めたんだ。
きょうは、学校に出かける。
ううん。いつもの学校じゃない。
オトナの女性になる方法を教えてくれる学校に。
たたみの上、うつ伏せに寝そべって。
すらりと伸ばした黒ストッキングのふくらはぎを、噛ませてしまう。
制服の一部を破らせる、すこしエッチな行為を許すことで。
すべてが始まる―――そんなふうに、囁かれた。
たよりなげな薄手のナイロンに、男の唾液がしみ込んで。
グッと力を込めた唇のすき間から、鋭利な異物が伸びてくる。
じわり・・・
血がにじむのを感じると、なぜかあたしは、ドキドキする。
ぱちぱちと音をたててはじけてゆく、黒のストッキング。
足許からほぐれてゆくナイロンの感触が、ひどくいやらしかった。
エリート会社妻、集団凌辱 ~都会に戻される夫の告白~
2009年03月29日(Sun) 07:37:05
都会に転勤が決まりますとね。
家族は置いていくように、周囲から言われるんです。
ほとんど、強制みたいなものです。
もちろん、村に棲む吸血鬼のために、血液を供給するためにですよ。
家族も嫌がらずに、残るみたいです。
ええ・・・うちの場合も。
家内にはちゃんと愛人がいますし。
娘の血は処女の生き血ということで、村の皆さまが珍重してくれています。
息子も・・・若い血液の供給減みたいですし。
彼がこちらに住んでいると。
都会から遊びに来るガールフレンドの血も、吸えますからね。
お別れの会で、旦那は歌を歌わされるのですが。
奥さんの隣には必ず、愛人の男性が座ることになっています。
形を変えた祝言なんですな。
もちろん・・・だれもあからさまにそういう言い方をしませんが。
歌はとぎれとぎれに、わざと調子をはずして歌うことになっています。
動揺しているんだ。っていう意思表示です。
なにしろ自分の女房を、日常的に寝取られるわけですからね。
留守宅には、愛人さんが公然と同居するようになります。
うちの場合では。
そのうち折を見て、娘もおなじ立場に立たされることになっています。
ええ・・・高校を卒業するときには、初エッチの相手をお願いしていますからね。
都会で独り過ごす夜―――
それはもう、昂るものですよ。
いまごろどんなふうに、押し倒されているんだろう。
どんな声洩らしながら、腰を振っているんだろうってね。
夜の婦長
2009年03月27日(Fri) 07:34:55
吸血鬼の病院に勤める妻は。
夜勤専門の看護婦。
暗くなると、地味なスーツに着かえをして。
ひっそり送り出す夫を背に、白のストッキングで装った脚を、勤務先に向ける。
背筋をぴんと、張り詰めて。
大またでゆったりとした、足どりで。
夜のナースステーションは、血に飢えた患者たちのたまり場。
そこで襲われる看護婦たちは。
昼間の同僚とは趣を変えた、毒々しい光沢入りの白のストッキングを装っていて。
丈の短いナース服のすそから、太ももまで、さらけ出して。
妖しく輝く薄いナイロンに包んだ脚を、侵されてゆく。
あんたも、見るかね?
患者のひとりは、わたしを誘い出して。
真夜中のナースステーションを、見学させてくれた。
襲われている妻を、旦那に見せつけるという。
趣味の悪い嗜好に、なぜかドキドキと反応してしまったわたしに。
男は嬉しげな笑みを、投げてきて。
わたしは照れくさそうな笑みを、返していた。
木偶(でく)のように累々と横たわる、白衣の天使たちは。
闇の虚空に、視線を迷わせていて。
なにかをつかもうとするように、白い掌を中空に迷わせていて。
職業柄には濃すぎるルージュに縁取った唇を、迷うようにあえがせていて。
そのなかに、妻の姿も交じっていた。
男は、もつれあう男女のなかに紛れ込んでいって、
真っ先に、妻の肩をつかまえると。
ナースキャップを、もぎ取って。
長い黒髪をばさりと、背中に流していった。
大またに開かれた脚。
太ももまでのストッキングは、毒々しい光沢で、足許を彩っていて。
激しい上下動にあわせてゆく腰つきが、
上品な装いを、みごとに裏切っていた。
目のまえにぶら下げられて、見せびらかされた純白のストッキングは。
見るかげもないほど、チリチリにされていて。
男の濁り汁を、まだぬらぬらと光らせていた。
ごちそうさま。
男はくすぐったそうに、笑みくずれていて。
ハデにやったね。
応えるわたしも、照れくさい笑みを隠さそうとしなかった。
傍らに横たわるナース姿は。
首筋にまだ、吸い取られた痕をてらてらと輝かせていて。
わたしは思わず、唇を近寄せて。
男のつけた傷口を、吸っていた。
どんよりとした澱みをもった血が。
ひどく心地よく、喉になじんでいった。
うふふ。
あんたも同類に、堕ちたのだね?
黙って肯きかえしたわたしと、視線をからませて。
男は、愉しげで親しげな笑みを、投げてきた。
そう。
たしかに、親しい間柄。
妻を共有するほどの。
今夜も妻は、夜勤に出かけてゆく。
夜の婦長の責任感を、一身に背負いこんで。
きょうもまた、見ず知らずの吸血鬼に、襲われて。
わが身をめぐる血潮で、患者に癒しを与えるために。
いいやつ
2009年03月27日(Fri) 07:13:59
あいつはとても、いいやつだった。
初対面のおれを、信用してくれて。
生き血をそっくり、吸い取らせてくれたんだから。
けれどもそれは、あまりにもったいなくて。
ぜんぶは抜き取らないで。
ほんのちょっぴりだけ、あいつの体内に血を遺しておいた。
だってそうすれば。
あとあとまで愉しめるって、わかっていたから。
あいつは期待を裏切らないで。
いつもエレガントに装うお母さんと。
女学生の妹さんを。
おれに紹介してくれた。
若い女の生き血を、あてがうために。
心のなかと同じくらい、冷え切った牙と。
すさんだ気分を映したままに、渇いて干からびきった喉を。
家族の血潮で、うるおして。癒してくれた。
半ズボンの下、履いているハイソックスを。
持主の血潮で、彩ってやると。
あいつはちょっぴり、悔しそうに。
けれどもとても、くすぐったそうに。
ハイソックスのラインにしみ込んでゆく赤黒いシミを、
じいっと見つめていた。
同じ血を持っているらしいお母さんは。
スカートのすその下。
てかてか光るストッキングを穿いてくれて。
ちりちりになるまで、噛み破らせてくれた。
息子とおなじように、悔しそうに唇を噛んで。
けれども、まんざらでもない顔をして。
ほっそりとしたうなじまで、差し伸べてくれて。
純白のブラウスにまで、シミをつけさせてくれた。
やっぱりおなじ血をもった妹さんは。
制服のスカートの下。
お兄さんとおそろいのハイソックスを履いてくれて。
真っ赤にしてもかまわないよって、言いながら。
おれのほうへと、惜しげもなく。
すらりとした脚を、差し伸べてくれて。
潔癖そうに、目じりにしわを、寄せたまま。
セーラー服の襟首まで、汚させてくれた。
お母さんは、ご主人のまえ。
妹さんは、お兄さんのまえで。
ほんの形ばかり、嫌がるようすを見せながら。
身体を開いていった。
ブラウスのすき間から、乳房を見え隠れさせながら。
スカートのすそから、太ももをさらけ出しながら。
てかてかのストッキングが。
初々しい真っ白なハイソックスが。
すねからずり落ちていくのを。
お父さんも、あいつも。
ひどく無念そうに。
それでいて。
内心かなり、ドキドキしながら。
いちぶしじゅうを、見守っていた。
おれは、血を吸うことを。
あいつは、血を吸われることを。
しんそこ、愉しんでいる―――
夢見心地
2009年03月27日(Fri) 06:32:08
ちゅー。
あー。
身体の力が、抜けてゆく・・・
ウットリするような。むず痒いような・・・
ちゅう~っ。
あ~っ。
いやらしい。いやらしい。
ツタのように、からみついてくるんだね。
Tシャツのえり首、あまり汚さないでくれよな。
ちゅうぅぅぅlっ。
あぁあぁぁぁぁ・・・
だんだんドキドキしてきた。
だってキミ。ハイソックスが、好きなんだね?
ボクとおなじように。
でも、ボクはただ履くだけの愉しみなのに。
きみは、ハイソックスの脚を噛んで、愉しむんだよね?
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
あっ、あっ、あっ・・・
イヤだ。ほんとに、いやらしいよ・・・
ハイソックスのラインに、赤黒いシミを広げるなんて。
どうしよう。どうしよう。
ママにばれちゃうよ・・・
でも、なんだかドキドキしてきたから。
もっと噛んで御覧。
ボクのハイソックスの舌触り、噛み心地。とても気に入ってくれたみたいだし。
ちゅ―――――
あぁ―――――・・・
ほんとにおいしそうに、ボクの血を吸うんだね。
いいよ。もっと吸わせてあげる。
吸い尽くしちゃっても、かまわないから。
ほんとうは。
ママの血も、狙っているんだろう?
わかっちゃうんだよ。
だって。
もう・・・
キミの仲間に、なりかけているんだもの・・・
いいとも。
今夜、ママに逢わせてあげる。
ママのことを、襲わせてあげる。
もちろんパパには、ナイショでね。
キミとはいい友だちに、なれそうだから。
いいキモチ。
だんだん、気が遠くなってきたよ・・・
弟が、たくさんできた。
2009年03月25日(Wed) 07:10:34
いいわ。弟がたくさんできたって、思うから。
妻は気丈にもそういって、わたしのほうを振り返ると。
草むらのなか、尻もちをついたまま。
周りの男の子たちを、上目遣いに見まわした。
そのうちのひとりが、手を伸べて、妻が起き上がるのを支えてくれた。
泥だらけになった花柄のフレアスカートを、軽く払うと。
振り乱された長い黒髪を、ばさッとむぞうさに、肩先に追いやった。
手を取ってくれた男の子のはだけたシャツを直してやって、ネクタイまで結びなおす。
そのすきに。
フレアスカートの下、ストッキングの裂ける音がした。
ぶちちッ・・・
やだ!
妻はさすがに片脚をあげて、自分のストッキングを破った男の子を、蹴るまねをした。
妻のストッキングを破った男の子はおどけて、蹴られて倒れるふりをする。
ハハハ・・・
若者らしい明るい笑い声だった。
スポーツのあとみたいな、清々しさが。
凌辱の場だということを瞬間、忘れさせた。
いや。
彼らにとっては、たんなるスポーツだったのかも。
輪姦ごっこ。
そんなふうに、呼ばれていた。
いちど手なずけてしまうと、いつでも遊んでくれるようになるんだ。
破り取ったストッキングをひらひらさせながら、悪びれるふうもなく、うそぶいた。
おじさん、悪いね。でもまた奥さんのこと、姦らせてくれるよね?
わたしは思わず、頷いていた。
あなたもだいぶ、愉しんだみたい。
妻の冷やかす視線の先に、恥ずかしいほど勃った股間があった。
あなたにも弟が、おおぜいできたみたいだね。
妻はわたしの手を取って。
すすんで、手近な道へとあがっていった。
あとからぞろぞろと、男の子たちがついてきた。
道行く村人の冷やかすような視線から、妻の凄まじい姿を隠すようにして。
人妻の、午後。
妻はしなをつくって、ポーズを取る。
シャワーを浴びて、小ざっぱりとした洋服に着かえると。
フェミニンな色香にのぼせ上がった男の子たちは、
大人の女性の気品のまえ。
圧倒されるように、もじもじとしていた。
迫ってくる腕たちに、巻かれていきながら。
カーテンの向こう側、主人には内緒よと、妻は囁きつづけている。
お洋服ごと・・・堕として・・・
さいごに洩れた囁きを合図に、男の子たちの制服姿が、妻のワンピース姿に折り重なってゆく。
お宅もとうとう・・・ヤリましたね。
庭先から覗きこんでいると。
垣根ごし声をかけてきたのは、お隣のご主人。
四十年配だったが、ノーブルな奥様が自慢の愛妻家だった。
うちは先月、だったんですよ。
そういえば。
このごろお隣からは夜明けごろまで。
すすり泣きとも忍び笑いともつかない声が洩れてきていて。
だいぶ、お盛んなんだね・・・って、妻とふたり囁き合っていたのだった。
奥さんをあいつらに、食われちゃうと。
やっと、ここの村人として遇されるようになるんっですよ。
うちの場合は・・・まだ娘の番が残っているんですがね。
中学にあがったらすぐに、村長のお邸にお誘いがかかっているものですから・・・
あとがき
けさアップした、「みんなできみの奥さんの血を・・・」の前話のつもりだったのですが。
ちょいと毛色が、変わりました。(^^ゞ
「弟」たちに性教育をする、若妻さん。
ちょっとイケナイ関係ですナ。^^
レディの仲間入り
2009年03月25日(Wed) 06:24:51
ハイソックスを脱ぎ捨てて。
ストッキングを穿くようになって。
レディの仲間入りをしたきみは。
いままでよりも濃い化粧や、大人びた香水の薫りを身にまとって。
ひざ上丈のミニスカートのすそを、羞ずかしそうに抑えながら。
足許に忍ばされてくる、飢えた唇に。
なだらかなふくらはぎのカーヴを、なぞらせていく。
真新しいスーツごし。
まさぐる手の感じる柔肌は。
上品な装いとは裏腹に。
淫らな血潮を、たぎらせてゆく。
振り乱される黒髪が。
ほんのり染まる頬が。
あえぎはじめる、朱の唇が。
男を欲しい・・・と、告げている。
おれは甘えるように、のしかかっていって。
吐息に吐息を、重ね合わせてゆく。
なまぐさいほどの女の芳香を、漂わせながら。
いつまでも口づけを、交わし合って。
半開きになった唇の向こう、歯並びのよさを、舌でなぞっていって。
もうガマンできない、耐えきれない・・・といわんばかりにそらした背中を、抱きすくめ。
とどめを刺すような、ディープ・キス。
チョウの翅(はね)のように、華やかなスカートを、ひざで掻き分けて。
大人びた雰囲気のするストッキングを、溶けたオブラアトみたいにして、ずり降ろしてゆく。
怒張したおれを、迎え入れる太ももの奥が。
周囲の冷気を、忘れさせる―――
みんなできみの奥さんの血を・・・
2009年03月25日(Wed) 06:04:04
血をすっかり、引き抜かれてしまうと。
わたしの上に群がって来た連中が。
なぜか、ひどく親しい友人のように思えてきた。
空っぽになった身体が、ふわふわとして。
わたしはなぜか、思いきり笑いこけていた。
周囲の連中も、いっしょになって。親しみを込めて。
下品なくらい、げらげらと、笑い転げていた。
だれもが口許から、わたしの血をしたたらせながら。
キモチよかっただろう?
話しかけてきたのは、十数年来の悪友だった。
新婚の彼が、やはり新婚のわたしのことを、住みついた田舎街に呼び寄せたのだ。
こんな仕掛けがあるなんて、もちろんおくびにも出さないで。
彼は奥さんといっしょに、其処に棲んでいたし、
わたしも、新妻を伴っていた。
みんな、きみの奥さんの血を、狙っているんだぜ?
悪友は悪友らしく、たちの悪いあの共犯者の笑みを投げてきた。
見逃してくれぇ・・・っていっても、ムリだろうね。
ムリだろうね。
悪友はおうむ返しに、答えてきた。
キミが応えてくれたんだ。
嫁さんもきっと、応えてくれると思うんだけどな。
じゃあ、いい直そうか。
生命だけは、助けてくれぇ・・・って。
一同大きく、頷いていた。
きゃあ~っ。
生命だけは、助けてぇ・・・
妻はおどけた棒読み口調で、悲鳴をあげながら。
狭い部屋を逃げ回る。
三人の村の若者は。
目の色を変えながら、妻に迫っていって。
さいごに、壁ぎわに、追い詰めていって。
がぶり・・・。
白いうなじに、かぶりついていた。
ブラウスに撥ねたバラ色のしぶきが、血に飢えはじめたわたしの目にも、眩しかった。
あっ、うぅん・・・
妻はへなへなと、その場にくず折れて。
あお向けになったたたみの上。
わたしの時よりも欲深に、むさぼり摂られていった。
時おり、きゃっ、きゃっ、と・・・
くすぐったそうな、はしゃいだ声をたてながら。
全員に、漁り摂らせてやるんだって?きみも気前がいいな。
おまえだって、奥さんにそうさせたんだろう?
エヘヘ・・・
やつは悪戯がばれたときの悪童の顔つきに戻っていて。
隣の部屋でおなじようにむさぼられている自分の奥さんのようすを盗み見る。
妻とおなじ姿勢で、あお向けになって。
のしかかられて、脚だけ覗いていて。
黒のストッキングに透ける白い脛が、羞ずかしそうにもじもじしていた。
やっぱり、ね。
そうなると、思ってたよ・・・
ブラウスをはぎ取られた妻は。
その下のブラジャーのストラップさえ、断ち切られて。
若い男たちのまえ、白い素肌をさらしていた。
腰に巻きつけた紺色のスカートのプリーツを、くしゃくしゃに折り曲げながら。
ひざ下まで破れ落ちた肌色のストッキングが、上品だった光沢を淫靡にぎらつかせていた。
エッチだろう?血を吸うのって。
ああ・・・えっちだね。
互いに自分の妻が堕ちてゆくありさまを盗み見ながら。
わたし達は握手を交わしていた。
悪戯が成功したとき、いつもそうしていたように。
絵本についた血
2009年03月25日(Wed) 05:42:44
古い絵本が出てきた。
絵柄も、あきらかに見憶えがあった。
なによりも。
さいごのページについた、赤黒いシミ。
鼻血を出したんだっけな。ちょっと困ったんだよね。
黒っぽくなった点々が、当時の記憶さながらに薄くなっている。
鼻血だと思うかね?
傍らにいた小父さんは、いまではすっかり白髪頭になっていたけれど。
留守がちの父の代わりみたいに、ボクの家庭教師のように寄り添いながら。
いろんなことを、教えてくれた人。
けれどもね。
血液型が、違うんだって。
キミの血と、この本のシミと。
どういうこと?
ボクは思わず、振り向いていた。
鼻血なんかはない。
きみはたしかになん年か前、この本のまえで戸惑っていたんだ。
記憶はすっかり、キミの血もろとも、抜き取ってしまったんだがね・・・
ゆっくり、ゆっくりと・・・
それでもキミは、もの分かりよく。ぜんぶ吸い取らせてくれたんだ。
人ひとり分の血を呑まなければ、生き延びることのかなわぬわが身のために・・・ね。
ほら、御覧。
キミがその時履いていたハイソックス。いまでも大事に持っているんだから。
小父さんの手にぶら下げられたハイソックスは、見憶えのある柄だった。
グレーの地に、赤と青のラインが一本ずつ。
そうだった。気に入っていたのに。いつの間にか、なくなっていたんだっけ。
ふくらはぎのあたりに、かすかな血が滲んでいた。
ボクが小父さんに献身をした、証―――。
そう。それ以来。
ハイソックスに凝るようになったボクは、大学生になるいまになっても、
半ズボンにハイソックスという、子供みたいななりを家ではしているのだった。
記憶をなくしてきたからね。
キミから血を吸うときには。
まだ・・・ボクの身体の中には血があるの?
小父さんは、どこまでに穏やかに笑いながら、応えてくれた。
あるさ。キミ自身が、ほかの人から吸い取った分がね・・・
幼馴染のみどりちゃん。いまでも仲いいだろ?
キミは毎晩、彼女の部屋に忍び込んで。
少しずつ、血を分けてもらっているんだぜ・・・
血をそっくり私にくれたキミは。
まだもの欲しげにしているわたしのことを、家まで連れていって。
ママのことを、紹介してくれた。
いつも上品でお行儀のよいママは、あのころから家でもストッキングを穿いていたっけ。
キミのハイソックスと同じくらい、愉しませていただいたっけ。
なん足か、台無しにしてしまうと。
ママはわたしの渇きを癒やすため。
きみのパパにお願いしてくれて。
家族三人、順ぐりに・・・
私に血を恵んでくれるようになったのだよ。
喉の渇きを覚えはじめたキミは。
そのうち私に、おねだりをするようになって。
さいしょは、グラスから。
そのうちに私といっしょに、獲物を襲うようになって。
分け前を取るようになった。
間接的に私から受け取っていたママの生き血を。
いまではキミ、ご自身の身体から直接いただくようになっているのだね。
ぜんぶ、記憶の彼方、だろう―――?
どす黒い渦が、ボクのことを取り巻いていた。
甘美に柔らかく、温もりを帯びた渦だった。
さあ―――
これから、みどりちゃんのところへ行こう。
こんどは私に、キミのフィアンセの血を恵んでくれる番なのだから―――
処女の生き血にありつくのは、久しぶりだ。
私の好みを分かってくれているキミは。
きょうまで、彼女を処女でいさせてくれたのだね・・・?
家族の下着か服を、身に着けてくるように。
2009年03月22日(Sun) 10:55:59
触らせてあげようか?
いじらせてあげようか?
噛み破らせてあげちゃおうかな?
でも・・・お気に入りのやつなんだよな。きょう履いてきたハイソックス。
やっぱ、やめとこうかな?
学校に履いて行けなくなっちゃうもんね。
えっ?血のシミをつけたまま、学校に通えって?
みんなに見せびらかすんだって?
それはちょっと・・・キケンだなぁ。
脚を差し伸べたり、引っ込めたり。
たくみに相手の気を引きながら。
それでも少年は、笑み崩れながら、押し倒されていった。
肩を抑えつける男の掌に。そうっと自分の掌を重ねていって。
うなじを噛まれた瞬間、その掌をギュッと握り締めていた。
さぁ・・・お目当ての脚を頂戴するよ。
男にそう囁かれたとき。
バラ色のしずくを散らしたおとがいをあげて。
うっとりと夢見心地に、頷きかえしていった。
かげんは、どうかね?
ちょっと、ふらつくみたいだね?
でももうすこしだけ・・・まだ構わないだろう?
ゆっくりしていってくれたまえ。
寄り添うように隣に腰かけている男の、言うなりになって。
少年は首筋を吸われ、二の腕を噛まれて。
半ズボンの下からむき出しの太ももにも、唇這わされていって。
さいごにハイソックスの上にあてられた唇の下。
赤黒いシミがじわりじわりとしみ込んで、広がっていった。
噛まれたハイソックスのまま、学校に行ったのに。
だれにも、咎められなかった。
だれもが、気づいているはずなのに。
下校するとき。
おなじクラスの男子が2人、黙って少年のところにやって来た。
保健室に行こう。
そこであのひとが、待っているから・・・
少年に誘われるまま、クラスメイトたちはあとをついていって。
保健室を出るときには、おそろいの白のハイソックスに、おなじような赤黒いシミをつけていて。
だれのシミがいちばんひどいか、濃いか薄いか、比べまtt合っていた。
家族の女のだれのでもいい。
下着か服を、身に着けて来い。
そういえばきみの母さんは、このあいだの会合のとき。
エッチな黒のストッキングを穿いてきていたね?
男に求められるまま。
真夜中に集まった少年たちは。
ひとりは、横じまもようのTシャツを脱ぎ捨てて。
ママが浮気に出かけるときに身に着けていく、黒のスリップを見せびらかして。
発情したようにすり寄って来た吸血鬼に、うなじを噛まれてしまって。
スリップのレエスもように、血潮を光らせていった。
姉さんの制服の紺のスカートと、紺のハイソックスを履いてきたべつの少年は。
紺なら、目だたないよね?やっぱりバレちゃうかな?って、気にかけながら。
しなやかなナイロン生地ごしに、しっとりと埋められてくる牙に、夢中になっていた。
さいしょに招かれた少年は。
紺色の半ズボンの下、ママの穿いている黒のストッキングを脚に通してきて。
女みたい・・・
クラスメイトの冷やかしに、ちょっと首をすくめていたけれど。
いちばんしつようにまさぐられているのをみた他の少年たちは。
やっぱり俺も、ストッキング履いて来ようかな・・・って、
まじめに顔を、見合わせていた。
身に着けていった服の持ち主が、息子や弟たちとおなじように招かれて。
嬉々として、組み敷かれていって。
したたらされてくる自分の血でブラウスを彩ったのは、それから間もなくのことだった。
おかわり
2009年03月22日(Sun) 10:04:24
目のまえでヨシトくんが、目を白黒させながら。
首筋に吸いつけられた唇を、どうすることもできないで。
ちゅ~っ、って音を立てて、血を吸い取られていった。
おかわりだよ、シュウジ。
吸血鬼のおじさんは、ボクの名前を呼び捨てにすると。
ヨシトくんの血をしたたらせたままの牙を、むき出しにして。
ボクの両肩を抑えつけて、のしかかってきた。
せっかちに突き立てられた牙が、首筋にチクチク感じて、ボクはほんのちょっぴり、粗相をした。
ドキドキするほどの切れ味のする切っ先が、うなじに食い込んで、
さっきのヨシトくんとおなじように、皮膚を破って、生き血を吸い取ってゆく。
ちゅう~っ。
血を吸いあげる音まで、ヨシトくんのときとまったくいっしょだった。
おかわり。おかわり。おかわり・・・
保健室に呼び出された男子三人のなかの、三人め。
きみの血が、いちばん愉しみだったのだよ。^^
おじさんはボクのことを、いやらしい目つきで見つめていて。
そむけた横顔に、舐めるような視線を這わせてくる。
さあ・・・かんじんのお目当てだ。
半ズボンの下。むき出しの太ももを、冷え切った保健室の空気にさらしたまま。
ひざ下までぴっちりと引きあげたハイソックスごし、しつような唇がヌメるのを感じると。
なぜかドキドキしながら、相手し始めていた。
おかわりだよ。シュウジくん。
こんどはおじさんは、やけに丁寧だった。
その日は、いっしょに家に帰ろうって、誘われて。
着いたのは、ボクのうちだった。
ママも姉さんも、おじさんと目を合わせたとたん、意思をなくしたようになっちゃって。
ママも姉さんも、ストッキングやハイソックスのつま先を後ずさりさせて。
だまっておじさんのことを、引き入れていた。
ボクのうなじから引き抜いた牙からは、吸い取ったばかりの血がまだしたたっている。
ソファに腰かけたママは、引きつったようなほほ笑みで応えると。
肌色のストッキングの脚を、だまっておじさんのほうへと差し伸べていた。
姉さんも、しんそこイヤそうなようすを、顔と態度で表明しながら。
ラインの入ったハイソックスのふくらはぎに、唇を吸いつけられていった。
ママのストッキングが、縦にチリチリと裂けるのを。、
姉さんのハイソックスに、赤黒いシミが広がるのを。
ボクはじゅうたんの上、腹這いになったまま。
なぜかくすぐったい微笑を浮かべたまま、見入ってしまっていた。
おかわり、おかわり、おかわり。
一人の血じゃ、足りないんだって。
でも、死なせる気は、ないみたい。
だから・・・数をよけいに用意して。
順番こに、血を吸い取るんだって。
都会から訪ねてきたマサエ叔母さんと従妹のカナちゃんが。
やっぱりママや姉さんとおんなじように、たぶらかされて。
こげ茶のハイソックスや白のタイツのふくらはぎから、
ちゅ~っ、て、音をたてて血を吸い取られるのを。
ボクたちはウキウキとして、覗き込んでいた。
おかわりだよ、シュウジさん。
おじさんは、いつまで経っても老けないみたい。
あのときとおなじ、総白髪の下。ひどく血色のよい赤ら顔を、ツヤツヤと輝かせて。
さっき披露宴を終えたばかりの優子を、押し倒していった。
けんめいにかぶりを振るうなじに、唇を吸いつけて。
ちゅ~っ。
吸い上げる音は、ボクやママや姉さんのときと、まるで変わりがなかった。
いつもより熱っぽく、力を込めているように感じたのは。
きっとボクの心臓にズキズキとわだかまる、マゾヒスティックな疼きのせい。
ツヤツヤと輝く純白のストッキングを、噛み破られてしまうと。
優子はあきらめたように、身体の力を抜いていった。
姉さんのときと、おなじように頼むよ。
おととし結婚した姉さんが。
花嫁衣装に身を包んだまま、おじさんに覆いかぶさられていって。
義兄さんのまえ、羞じらいながら、処女を奪われていったのを。
優子もどこかで、耳にしているはずだった。
ボクの手を握りしめる優子の掌が、その瞬間、痛いほどギュッと、ボクの掌を握りしめてきた。
そろそろ、おかわりだな。
吸血鬼のおじさんは、もとのぞんざいな口調に戻っている。
家族どうぜんに、親しくなっちゃったから。
ベッドのうえで、パパとおなじくらいママと仲良くなっちゃって。
義兄さんのまえで、義兄さんとおなじくらい、アツアツになっちゃって。
いまはまた・・・都会に単身赴任していくボクのことを、優子の傍らで見送ろうとしている。
苦笑いするパパの許しを得て、ママと一年間いっしょに暮らして。
それから別の家の女のひとと、やっぱり一年間いっしょに暮らして。
姉さんの番も、もうじき終わろうとしていた。
子どもの手が離れるころ。
おじさんは順ぐりに、仲良しの男性の家を、訪ねていって。
そこの家の奥さんと、夫婦どうぜんに仲良くなっちゃうんだ。
あのとき保健室でいっしょに襲われた、二人の男子も。
ひとりはおじさんを同居人として迎え入れて。息子の性教育までお願いしていたし。
もうひとりはやっぱり、ボクとおなじように、強制的に単身赴任させられて。
きのうは奥さん。きょうはお嬢さん・・・と、夜伽の順序までメールで教えてもらっていた。
優子はしっかり結び合わせるようにして、おじさんの掌を握りながら。
こんどあなたが戻ってくるときには。もっと上手になっているからね。
男ふたりの顔を面白そうに、見比べていた。
おかわりだよ。お隣さん。
おかわりだよ。お義兄さん。
おかわりだよ。仲良しのボクのお母さん。
でも、おじさん・・・ってば。
ボクにはおかわりは、ないんだよね?
うーむ。
2009年03月21日(Sat) 08:38:12
このごろさっぱり、お話が思い浮かびません。
今月・・・まだふたつしか、あっぷしていません。
ブログデビューした月のあっぷが、四つだったのですが。
あれはたしか・・・月末でしたね。。。(^^ゞ
「紹介」カテゴリをたどっていくと、過去話のなかのおすすめ記事があったりします。
全部読むのはしんどいというかたは、こちらをどうぞ。
まぁ。
ふつう・・・しんどいですよね・・・。^^;
記事数、1600以上もありますから。A^^;
ママの告白
2009年03月08日(Sun) 08:17:01
ねぇ、ユウヤ。
ママはね、悪い女なの。
パパのこと裏切って、ほかの男のひとと逢っているの。
だって、あのひと。
パパにはできない愛し方をするんだもの。
人妻の生き血が好きなんだって。ママの血を吸うのよ、あのひと。
そう、吸血鬼なの・・・
でも、だいじょうぶ。
死なさない・・・んだって。
ママのこと、好きだから。
というか、
ママの生き血が、気に入っちゃったから。
一滴でも多く、せしめるつもりなのよ。
くらくらするの。血を吸われると。
ううん、悪い気分じゃないのよ。
むしろ、ウットリするくらい。
だから、逢うのやめられないのよ。
おめかしして、出かけて行って。
キリッとしたスーツとか、着て行って。
スーツ姿のまま、抱きすくめられて。
うなじを、がぶっと噛まれて。
力強くて、男らしいのよ。彼ったら。
ママは、夢中になって、彼にしがみついて。
ブラウスびしょびしょになるくらい、血をちゅうちゅう吸いあげられて。
それからね、脚を噛まれるの。
ストッキングを履いた上から。
ぱりぱり破くのが、愉しいんだって。
いやらしいわよね・・・
ねぇ。
今夜・・・お誘い受けているんだけど。
ママ・・・体調があまりよくないの。
夕べだって、吸われ過ぎちゃってるし。
あなた、代わりに行って。逢ってあげてくれないかしら?ママの身代わりに。
ママのスーツを着て。タイトスカートの下に、黒のストッキングを穿いて。
羞ずかしかったら、キュロットにハイソックスでも赦してあげるけど。
だいじょうぶ。
あなたの身体には、ママの血が半分は流れているのだから。
それにパパの血だって、半分流れているのだから。
マゾっぽい香りのする、パパの血が。
そうなのよ。
ほんとうはパパったら、気づいているのよ。ママの浮気。
でも・・・昂奮しちゃって、止められないんですって。
世界一のいい女を、彼にプレゼントしている気分なんですって。
ママが彼の腕のなかで、うっとりしていると。
もぅ。ゾクゾクしちゃうんですって。
あなたもいまに・・・きっとそうなるわ。
彼と仲良くなったら。
婚約者の美穂子ちゃん、紹介してあげて。
それから・・・処女のうちに、血を吸わせてあげてね。
あとがき
息子さん、さんざん迷った挙句、けっきょく黒のストッキング穿いて行ったらしいです。^^
肩、重いなぁ・・・
2009年03月04日(Wed) 07:34:50
肩、重いなぁ・・・
一人っきりのオフィスのなか。
まりあはそうっと、ため息をつく。
年度末のハードスケジュールが、折り重なって。
とうとう疲れ果てて早退してしまった、金曜日。
それでも残った仕事が気になって、たまの休みだというのに、きょうも出社してしまっている。
いつも、ご精が出るねぇ。
オフィスのカギを受け取るとき。
年配の守衛さんがかけてくれた気さくな声が、まだしもの救いだった。
パソコンのディスプレーに吸い寄せられるように視線を釘づけにし続けて。
またたく間に過ぎてしまった、数時間。
さすがに、肩がこってきた。
肩、重いなぁ・・・肩、重い、重い・・・
「肩、重いよ」
いつか、それは背後のなにものかへの呼びかけになっていた。
そう。さっきから。
両肩に掌をおいてのしかかってくるのは、誰?
肩、重いッ!
思わず肩に置かれた掌を振り放すようにして、叫んでいた。
“片想い“
落ち着いた低い声色が、かえってきた。
な、何よ・・・?
耳朶をくすぐってくるくだらないだじゃれに憤然として、まりあは振り返ろうとしたけれど。
振り向きかけた首は、意外なくらい力のこもった指先に押し返されて、
無理にグイッとパソコンの画面のほうに向きなおらされていた。
「さあ、お仕事をつづけるんだ。たまっているんだろ?」
吸血鬼は意地悪く、まりあに囁きかける。
「わたしも、たまっているんだがね。もちろん別な意味で・・・」
忍び寄るように延べられた腕が、ミニスカートから覗くまりあの太ももを、すべるように撫ではじめる。
「この寒いのに、ミニスカートか。がんばるね。」
「ちょっと・・・やめてっ!」
まりあの抗議に男は耳を貸さないで、返事の代わりにまさぐる掌にグッと力を込めてきた。
「あなたのために穿いてきたわけじゃ、ないもんっ!」
半分本気で拗ねてみせたら。
どこかで聞いたような科白が、かえってきた。
―――ご精が出るね、まりあくん。
守衛のおじさんのねぎらいとおなじ言葉なのに。
こいつの口から洩れると、どうしてこうも憎ったらしく響くのだろう?
男はますます身を寄り添わせてきて。
首筋にちゅうっ・・・と、キスをした。
;;;;;;;;;
まりあは、あわてた。
相手はなにしろ、吸血鬼なのだ。
いままでなんリットル、血を吸い取られ来たかわからない。
濡らされた下着、破かれたストッキングの枚数は・・・
「年度合計」
パソコンのディスプレーに映し出されたしかつめらしい集計表までが、まりあの眼にはイカガワシイものに映り始めてきた。
ちょっと、ちょっと、ちょっとオ・・・
じたばたと足踏みをするまりあの抵抗を愉しむように。
男はまりあの首筋を唇でなぶりながら、
まさぐる手を太ももにすべらせ、二の腕をなぞり、ブラウスのえり首からブラの内側にまで侵入する。
似合うよ。ミニスカート。
なにを言われたって、もうなぶりものにされているとしか思えない。
男の吐息はますます熱苦しく耳朶を染め、着衣を通してのまさぐりはいっそう妖しく素肌の奥にまで染み込んでくる。
―――あと、尾(つ)けてきたんでしょ!?
心のなかの問いにまで、忍び込むようにして。
―――なに。真冬なのにミニスカートで、恰好のよい脚をさらけ出している女がいるから、だまってあとをついてきたのさ。
くぐもった声色の向こう側、にたにた笑いまでが目に浮かぶようだった。
憎ッたらしい・・・
まりあは悔しそうに歯噛みをし、足踏みをしたけれど。
太ももを撫でくりまわす男の掌の動きは、とめることができない。
太ももからひざ小僧、向い合せに並んだ内太もも、それにひざ下、くるぶし・・・と。
薄手のナイロンごしに、じわあっとしみ込まされてくる愛撫は、すっかり敏感になってしまった女の柔肌には濃すぎる誘惑だった。
強いてパソコンのキーの上にすべらせた指先が、ヒクヒクと震えた。
だ、だ、だめ・・・っ
お仕事に、ならない・・・っ
「手伝ってくださる・・・とでも、おっしゃるのっ?」
あくまで強気なまりあの言葉を、熱い唇がおおっていた。
「吸血鬼は仕事など、しない」
男は威厳たっぷりに、そう応えた。
―――さしあたって手伝えるのは、お前の性欲処理だけだな・・・
男はわざとまりあを苛立たせるようなことを口にしながら、
まりあを椅子から抱き上げて、傍らの会議用テーブルの上へと運んでゆく。
さあ・・・おとなしくするんだ・・・
いや・・・
お仕事が、たまっているの・・・
たまっているのは、性欲。だろう?
違うッ!
激しくかぶりを振ったのに。
うごきにあわせて、男は巧みに唇を重ね合わせてくる。
唇のすき間から洩れてくる熱い男の芳香に、まりあは「いやあっ!」ひと声叫んで、すべての抵抗力を喪っていた。
くちゅ、くちゅ。
くちゅ。くちゅ・・・
せめぎ合う唇と唇が、ひとりでになにかを交わしはじめる。
両腕から力が抜けていくのを、はじめて感じた。
男が余裕たっぷり、まりあの足許にかがみ込んでくる。
足許に這わされた唇が、まりあのグレーのストッキングを意地汚くいたぶってしわくちゃにしてゆくのを覚えながら、
まりあは、じんじんとほてってくる身体をもてあましていた。
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
がやがや・・・がやがや・・・
ふと、気がつくと。
まりあの周囲は喧騒に包まれていた。
あたりを見回すと、そこに繰り広げられているのは、平日のオフィスの風景。
やり手のY課長が、いつものように腕組みして、若手社員たちを叱責している。
しかつめらしい白髪頭のT部長は、やっぱりおなじくらいいかめしそうなR次長を相手に、なにやら込み入った打ち合わせに没頭している。
おなじ課の若手の男の子たちは、いつものようにながら仕事をしながら、談笑している。
いつもとまったく、おなじ風景。
まりあだけが、会議用テーブルのうえ、男を相手にみだれている。
えええええっ!!!
タイムスリップでも、してしまったのか。
それとも週明けになるまで、この場でやりまくっていたのか。
がた、がたがたがた・・・
人がおおぜい、動く気配がして。
皆がこの会議用テーブルに集まってくる。
どうやらミーティングが、はじまるらしい。
ちょ、ちょ、ちょっと・・・っ!
まりあは焦った。
だって、だって。
みんながわたしの寝そべっているところを取り巻くようにして、会議の席に着き始めたのだ。
それでは、会議を始めます。
いつもぶっきらぼうで無表情な総務課長が、議事の進行を始めた。
え、え、えっ、そんな・・・
ばらばらと広げられる書類が指先や脚のつま先にかぶさってくる。
えー、まず営業課から・・・
ええとですね。
さっきまで部下を叱責していたY課長が、部長のまえでは打って変った神妙さで資料をめくりはじめる。
まりあの同僚たちは、上司の態度に気圧されたように黙りこくって、同じくならって資料のページをめくっていく。
だれもがテーブルの上のまりあを無視して、会議に没頭し始めた。
ところが。
ちらり。
同僚のNくんが、こっちを見たようだ。
そういえばさっきから、あのいかめしそうなR次長も、あたしの顔をちらちら窺っている。
書類に手を伸ばすふりをして、あたしの手を握り締めたのは、ほかでもないあこがれのU主任。
それに白髪のT部長までもが、まりあのミニスカートのすそから、さりげなく手を入れてきている!
それで・・・ですね。
けれども・・・ですな。
言葉を交わすたび、伸びてくる手。まさぐりはじめる掌。
つま先を濡らす唾液。
うなじに這わされる唇。
えっ、えっ、えっ・・・!
みるとさっきまでまりあを虐げていたあの憎い男は、中空に漂いながら、
周囲の男たちの無遠慮なまさぐりに侵蝕されていくまりあの様子を、面白そうに眺めている。
そんな!そんな!そんなああぁぁぁぁぁぁぁ・・・っ!
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
――― ・・・ ――― ・・・ ―――
まりあさん?まりあさん?
背中を叩かれて、ハッと起き上がった。
あたりはもう、薄暗い。
背中を叩いてくるのは、あの年配の守衛さん。
ビル内の見回りに立ち寄って、まだ残っているまりあに気づいたらしかった。
ぐっすり眠っていましたよ~。根を詰めすぎなんじゃないの~?
もう遅いから、そろそろうちに帰ったほうがいいですよ~。
善人そのものの守衛さんは、小太りなお腹を揺すぶりながら、では・・・と制帽をちょっとあげて会釈すると、立ち去って行った。
夢だったのか・・・
まりあはパソコンをリセットしようとして、ふたたびディスプレーに向き合った。
作業途中のエクセルファイルを保存して「×」をクリックすると。
四角四面なデータが姿を消して、もうひとつ表示されていたインターネット画面が現れた。
たしか、なにかを検索しようとしてネットにつないだんだっけ。
朝方の記憶が、もうだいぶ遠くにある。
画面を閉じようとして、それが検索画面ではなくなっていることに、まりあは初めて気がついた。
暗黒の画面に表示されたタイトルは、
「妖艶なる吸血」
ありありと、そう表示されていた―――
あとがき
珍しい時間帯のアップです。^^
深夜出勤のみな様。休日出勤なさるみな様。
たまには良い夢を御覧になれますように。
そして・・・あまり無理をなさいませんように・・・。