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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

母さんを、死なさないで・・・

2010年01月28日(Thu) 08:08:59

母さんを・・・母さんを、死なせないで。
尻もちをついたボクは、失血のおかげで動けない。
動けないボクのまえ、ボクの血を吸った吸血鬼は、エプロン姿の母さんを掴まえて、
うなじを噛んで、見なれた黄緑のカーディガンを、真っ赤に染めた。
母さんは目をまわして、その場に倒れ込んで。
吸血鬼の小父さんは、それでも母さんのことを放さないで、首筋を吸いつづけた。
ボクが悲鳴をあげてお願いしたのは、そのときだった。

いい子だな、ボクは。
その代わり・・・小父さんによけいに血をくれなくっちゃいけないぜ?
吸血鬼の小父さんは、ボクの返事も待たないで。
咬まれた首筋をおさえたまま転がっているボクの足許に、もういちどにじり寄ってきて。
ねずみ色のハイソックスのうえから、脚を咬んできた。
うう・・・っ。
しゃくりあげて、泣きべそをかきながら。
吸い上げられる血が傷口を通り抜けてゆくときの、あのくすぐったい感覚が、いつかボクを夢中にさせていた。

もっと咬んでも・・・いいんだよ。
ずり落ちかけたハイソックスを、引きあげて。
どうやら長い靴下が好きらしい小父さんのために。
もう片方の脚も、ハイソックスのうえから咬ませてあげていた。
ボクの血、おいしい?
ああ。きみの母さんの血もね。
ふたりとも、死んじゃうの?
そんなことはない。美味しい血の持ち主は、長く生かしておくことにしているから。
ありがとね。それならもう少し、吸ってもいいよ。
では、ご厚意に甘えて―――
男同士のキスって、どうしてあんなに奇妙な感じなんだろう?

小父さんはもういちど、母さんにのしかかる。
こんどは首筋じゃなくって、足許だった。
こんどは「やめて」って、お願いしなかった。
すっきり伸びた母さんの足許の、肌色のストッキングがお目当てだって、
ボクにはもう、よくわかっていたから。

ふたりとも、よくしてくれたな。
こんどまた、訪ねてくるから。
そのときには母子して、わしの奴隷になるがよい。
母さんが大人しく頭を下げてOKしてくれたとき。
ボクはなぜだか、ホッとしていた。

今夜は母さんのストッキング、履いてみない?
黒一色のスーツに、薄墨色のストッキングを装って。
母さんはいつもより、濃い化粧をしている。
お姉ちゃんのセーラー服も、内緒で着せてあげるから。
その代わりタツヤも、お化粧しなくちゃね。
いつも大人しい母さんは、めずらしく小娘みたいにはしゃいでいて。
いやおうなく、ボクの顔を刷いてゆく。
粉っぽいファンデーションを、しつこいほど頬っぺたにしみ込まされて。
口紅を塗られるときだけは、ちょっとうっとりした。

こんどはお姉ちゃんも、巻き込んじゃおうね。
小父さま、処女の生き血をいちばん悦ぶだろうから。
母さんの言い草に、こくりと頷いていたボク。
そしたら姉さんも、ボクがセーラー服着るの許してくれるよね?
ひざ上まで伸びる姉さんの白いハイソックス。
こんど姉さんに見せびらかしてみたいな。って。

でもパパだけは、仲間はずれなんだよね?
自分の奥さんや娘が血を吸われるなんて、やだもんね。
母さんは薄っすらとほほ笑んで。うっとりするような声でこういった。
なに言ってるの?
タツヤもママや姉さんが襲われると、ドキドキするだろう?
それは、父さんの血なのだよ。きっと。
だってあのかたをうちに呼び入れたのは、ほかならぬ父さんなんだもの。


あとがき
もともと母さんを死なせるつもりなんて、だれにもなかったようですね。^^

だれもが、表情を消したまま。

2010年01月28日(Thu) 07:56:36

漆黒のスーツをまとった、母。
純白のワンピースを装った、婚約者。
まだセーラー服姿の、妹。

三者三様、なぜか表情を消したまま。
わたしの傍らをすり抜けて、引きずり込まれるようにして、隣室に姿を消してゆく。
あとをついてゆくと。
そこには黒衣の影法師。
女たちは無表情のまま、おとがいを仰のけて。
襟首をくつろげて。
順ぐりに、首筋を差し出して。
牙を埋められてゆく。
優しく、強引に、熱く―――

白いうなじにひとすじしたたる、深紅のしずく。
女たちはお互いに、愛でるように隣の女のうなじに指すべらせて。
指先についたしずくを、唇に突っ込んで。
チュッ・・・と、舐める。
うふふふふ。
交わし合う笑みに秘められた、淫らな欲情。
わたしのことなど、てんで無視して。
思い思い、その場に身を横たえる。

黒のスーツをまとった母は、諦めたようにうつ伏せに。
純白のワンピースの未来の花嫁は、羞じ入るように横向きに。
濃紺のセーラー服姿の妹は、なにかを受け容れるようにあお向けに。
母親の足許を染めるのは、黒のストッキング。
婚約者のそれは、光沢がかった純白。
妹の足許を眩しくしているのは、真っ白なハイソックス。
男はにんまりと笑んだ口許を、いっそう笑み崩れさせて。
齢の順に、咬んでゆく。
ぴりり。ぱりり。ぶちぶち・・・っ
なだらかな脚線の周り、はじけてゆく薄いナイロンが。
わたしの目を狂おしく染める。

どれだけ年が、経ったことか。
和装の紋付に身を固めた母。
紫のスーツ姿の妻。
淡いピンクのスーツも華やかな妹。
やっとセーラー服を着なれた娘。
おしゃまなアンサンブルでおめかしした姪。
それに、半ズボン姿の息子。

白足袋の母。
黒ストッキングの妻。
肌色のストッキングの妹。
ラインの入った白のハイソックスの娘。
フリルつきの白のハイソックスの姪。
ねずみ色のハイソックスの息子。

若い母親たちは、それぞれの娘を促して。
お手本をとばかりに、足許にかがみ込んでくる影に、自分のストッキングを破らせて。
おなじ相手に、まな娘の白のハイソックスに、ばら色のシミを滲ませてゆく。
しっかりものの息子は、母や妹たちを守るのだと、自分から真っ先に咬まれていって。
ずり落ちかけたねずみ色のハイソックスを、赤紫に染めていた。
紋付を着た母は。家紋を己の血で穢すのをきらって、
それでも襟足に忍ばされた牙に、思う様うなじを咬ませていって。
さいごは目を覆うばかりの、輪姦。

みんないい眺めだね。
傍らに寄り添ってきた息子は、生えかけた牙を指で撫でながら。
ボクもはやく彼女を作って、みんなにご馳走しないとね。
父親譲りの妖しい翳に、横顔を浸している。

もうひとりの俺

2010年01月28日(Thu) 07:40:30

真夜中の自室のなか。
ふと目ざめると、いましも牙を迫らせてくる、異形の影。
とっさに脚ばたつかせ、腕振りほどいて。立ちあがって。
ドアを開けて外に逃れようとした。
開いたドアの向こう側に、もう一匹の翳をみとめたとき。
俺は仰天し、声を失った。
そこに佇んでいたのは、もうひとりの俺。
そいつはへらへらと笑いながら、俺のことを押し倒して。
スラックスをたくし上げ、薄いナイロンに染まった脛をさらけ出して。
見ろ。こいつは女の下着が好物なのだ。
いとも愉快げに、へらへらと笑い崩れながら。
己で己の恥を曝してゆく。

びりびり裂かれたワイシャツの下には、女もののスリップ。
脱がされたスラックスに隠されていたのは、太ももを横切るガーター。
な?こいつは変態なのさ。変態の血って、案外旨いんだよな?
相棒をそそのかし、うながして。
俺は身動きもならず、組み敷かれていって。
二対の牙を、首筋と脚とに、食い入らされていった。
股間をひどく、逆立てながら。

さあ、これでお前も仲間だ。
早く家族の居間に案内するんだ。
オレたちはなにしろ、血に飢えている・・・
もうひとりの自分に、そそのかされ、促されて。
ひっそりと出た自室。
もはやまとうものは、女もののスリップに、黒のガーターストッキング。

居間はまだ灯りが点っていて。
その灯りの下、スーツ姿のお袋は、驚いたように立ち上がって。
逃れようにも、男三人が相手では、無理だった。
ましてそのうちふたりは、彼女の息子の顔をした吸血鬼。
ひとりは首筋。もうひとりは足許。
俺は背後からお袋に抱きついて。
血を抜かれるにつれて抵抗を弱める身体を、密かに愉しんでいた。

つぎの獲物は、妹。
勉強部屋に点った灯りの下。
セーラー服姿が、逃げまどう。
静かになった女学生に、にじり寄って。
真っ白なハイソックスの足許を、意地汚くなぶりものにする侵入者。
もう一人の俺は、首筋につけた傷口を指し示して。
さぁ、おまえもやるんだ。と。
俺を促しそそのかして。
吸った傷口に浮いたバラ色のしずくは、たちまち俺を虜にした。

もういちど、お袋のところに行って来るよ。
そう言い捨てて降りて行った階下の居間。
肩をはずませセイセイと息を荒げるお袋にのしかかって。
首筋を吸いながら、股間を浅ましく逆立てていった。

すぐ傍らに引きずってこられた妹は。
ハイソックスを真っ赤に染めていて。
その血のいくらかは、太ももの上から垂れ落ちてきたもの。
なぁんだ。俺も参加したかったな。
意外に乾いた声の俺は、もうひとりの俺に笑いかけて。
もうひとりの俺はにんまりほくそ笑みながら。
いいものだぞ。自分の妹って。先は越されちゃったけどな。
獲物の交換に、応じてくれた。

女ふたりに、男三匹。
入れ代わり、たちかわり。
己のものにして、他人の所有にゆだねる。
共有することが、新たな契りをむすぶことだと。
交わり交わらせることが、新たな関係を築くことだと。
お互いの黙契のなか、息を熱しつづけてゆく。
夜明けまでは、まだ長い。


あとがき
もうひとりの俺は、襲いたい俺。
ほんとうの俺は、襲われたい俺。
けれどももうひとりのほうの俺は、じつは襲わせたがってもいる。
どちらもほんとうの、俺。
どちらも歪みきった、俺。

Blood Game

2010年01月28日(Thu) 06:55:33

ルールは、ごくシンプル。
参加できるのは、いちど吸血鬼に血を吸われて半吸血鬼になった、少年少女。
お互い追いかけ回し合って。
交代で血を吸い合って。
じぶんが吸った血よりも、吸われた血のほうが多くなって。
とうとう一滴残らず吸い尽くされちゃうと、ゲームオーバー。

血が足りなくなってきたって、仲良しの同情を惹いて、ワナにはめてみたり。
交換条件に友だちを紹介し合ってみたり。
三人くらい仲間を組んで、一人の子を襲ってみたり。
大人顔負けの、虚々実々の駆け引きを。
ね。こうしようよ。その代わり・・・
順番は守ろうね。って。
あどけない顔を真顔にして、ギブアンドテイクを重ねてゆく。

血の無くなった子には、罰ゲームが待っている。
そう。家族のだれかを巻き込むこと。
家族に血をせがんで、吸わせてもらって。そのうえで仲間に引き込むのだ。
なるべく年若なほうが悦ばれるのは、しぜんのなりゆき。
だから妹のいる男の子なんか、絶好の餌食になって。
真っ先に、血を失くすはめに遭う。

そんなふうに。いろんな駆け引きがあるけれど。
どこでどう勘定を間違うものか、さいごにはだれもが血を失くしてしまう。
だって仲間うちには一匹、ほんものの吸血鬼が交じっているから。
大人たちもそれを承知で、自分の息子や娘たちを、ゲームに参加させる。
子供が真っ先に血を失くしてしまうと。
やっぱりうちの血は、美味しいのね。
母親も父親も、親切な小母さんや気前の良い小父さんになって。
娘の血をぜんぶ吸った男の子に抱かれてみたり。
息子の血を吸い尽くした女の子に、幻惑されてみたり。

真犯人の吸血鬼は。
そんな男女に、ほんのちょっぴりずつ、血を戻してやる。
よみがえった男女はなにごとも起きなかったかのように、日常生活に戻っていって。
夜だけひっそりと、その子の訪問を受け入れてゆく。
そんな村が、またひとつ。
人知れずひっそりと、栄えを取り戻してゆく。

お祝い休暇

2010年01月28日(Thu) 06:17:21

なん日間か、お休みをいただきます。身内で祝いごとができたので。
時々いるんです。
ある日とつぜんそんな挨拶をして、一週間くらい休みを取るものが。
その実心の動揺をかくせない感じで。
でも何が起きたの?って訊けないような雰囲気で。

じっさいほんとうに、都会に出かけていくんです。
この村に連れてきた都会育ちの家族を置いて。
そうして2~3日ほどは、戻ってこないんです。
でもじつは、お祝い事があるのは、村にある自宅のほうなんですな。
婚礼ですよ。それもそのひとの奥さんの。
どういうことか、わかりますよね?
奥さんが村の男性とできちゃって、同棲を始めるんです。
そのあいだご亭主は、黙認のしるしに家をわざと空けるんです。

留守中のあいだ?
ええ、相手の男は奥さんを、完全にわがものにしちゃうんです。
村はずれの納屋に連れ込んで、仲間うちでまわしちゃったりとか。
真っ昼間の庭先で犯しまくって、まわりじゅうの家に集まった見物人にご披露しちゃったりとか。
はたまたスカート一枚、おっぱいまる出しの姿で連れ出して、街じゅう連れ歩いたりとか。
そんなことされたらどんな女だって、それが当たり前って思うようになっちゃう。
都会育ちの人ほど、そういう免疫ないですからな。

だんなの帰る場所がないだろうって?
そこはご心配なく。
ええ。だんなが戻ってきたときには、すっかりもとのさやにおさまっているんです。
男はちょくちょく、訪ねてくるのですが。
地酒ぶら下げていって、だんなと仲良く酒飲んだりして、酔いつぶしてみたりして。
だんなが酔いつぶれたあとは、奥さんとこれまた仲良く一戦です。^^
だんなのほうだって、黙ってやしません。(笑)
酔いつぶれたふりをして覗いてみたり。
奥さんが乱れ切っちゃうと、どさくさまぎれに参加したり。
それはまぁ、かしましいものです。
慣れちゃうとね。なんでもありになっちゃうんですよ。

ええ、いまのあなたも。
わたしの話を聞いて、内心同様してますよね?
でも安心して、お出かけなさい。きっと悪いようにはならないから。
ああ、そうそう。
留守中はわたしも、お留守のお宅にお邪魔しますよ。^^
誘いがかかっているものだから。山分けにしようって。
あなたも無条件で差し出せば。そのうちいい目にありつけますよ。
あいつは気前の良い男ですから。
なに。
あなたが留守宅を譲り渡すお相手は、うちの家内がぞっこん入れ込んだあの男なのですから。

村の恋占い

2010年01月23日(Sat) 08:08:36

奥さん同伴で、この村に着任すると。
だれもが引かされる、「村の恋占い」。
なぁに、これ?
あらあらあらあら・・・
上役の奥さんも。同僚の奥さんも。
若手の新妻さんも。
だれもが小娘みたいに、照れ笑いしている。
それが自分の運命を決めるだなんて、夢にも思わずに。

淫らな貴女はひとりの男では満足できない女。
夜ごと相手を取り替えて、恋に憂き身をやつすひと。

そんなくじを引きてた、同僚の奥さんのところは。
村の男衆が入れ代わり立ち代わり、毎日のように訪れる。
ひところ夜勤の増えた同僚は。
いまは夜勤を避けている。
どうも、気になっちゃって。(^^ゞ
恥ずかしそうに、頭を掻いていた彼。
どうにも、目が離せなくって。(^^ゞ
いまではむしろ、愉しげに語る。


奔放な貴女は、娼婦のように。
おおぜいの男を相手に、チョウのように舞い狂う。

そんなくじを引き当てたのは、いちばん若い新妻さん。
あいつ、俺が眠ったと思い込んで、すぐにベッドから抜け出すんですよ。
ひっそり囁いた後輩は。きっとそのあとをついていっているのだろう。
夫婦別々に目指すのは、村はずれにたたずむ納屋。
いみじくも、「まわされ小屋」なんて、呼ばれているらしい。


虚栄心あらわな貴女は、多くのものを得る。
そしてそれを、親しい人に見せびらかさずにはいられない。

この齢で、お三方もおつき合いしているんですよ。
赴任してからベッドに呼ばれる仲になった上役の奥さんは。
男と寝るときいつもご主人に同席させているという。
きょうも?って、恐る恐る見まわした部屋。
貴方だけは、ナイショなんですよ。^^;
そのささやきに、ぞくりとした。

うちの家内が引いたくじ?
ええ・・・もちろん引きあてましたとも。

仮定的な貴女は、ひとりの男を守る女。
献身的に、尽くすひと。

ホッとしたか・・・ですって?
さぁ・・・どんなものですかね。
お隣に住むのは、ごま塩頭のばついちさん。
わたしを送り出すと家内は、エプロン締めたまま、お隣さんにお邪魔して。
ご飯の用意、お掃除、洗濯。
一家の主婦のように、かいがいしく面倒をみてあげて。
一家の主婦みたいに、布団のなかまでお邪魔する。
わたしが休みの日には、
ご飯の用意、お掃除、洗濯。
男ふたりを前にして、かいがいしく立ち働いて。
どちらが、お先?
小首をかしげて、順番を訊く。
口数の少ない年上の彼は。
今夜は女ひでりなので・・・って、亭主のわたしより先に済ませるのだろうか。
それともおいしい想いは、あとに取っておくのだろうか。

里奈ちゃん 気になる受付嬢

2010年01月13日(Wed) 08:10:21

はじめて受付嬢としてカウンターにたったとき。
里奈ちゃんは、まだやっとはたちそこそこだった。
受付嬢のいる場所は、ボクにとっては憩いの場。
頭株のお姉さんはもちろんのこと、だれもがボクの正体を知っている。
ゃだよぉこいつ、ひとの血を吸うんだから~って、憎まれ口をたたきながら。
誰もが黒タイツの脚を、立ったまま噛ませてくれる。

里奈ちゃんはまだ初めてだよね?
怖いお兄さんだから、近寄っちゃダメよ。
いっしょに組んでいた弘江さんはそういって、里奈ちゃんをカウンターから出すと、
彼女ひとりに接客させて、自分はたったまま、ミニに履きこなしたスカートから、黒タイツの太ももを覗かせてくれた。

えっ?えっ?この人血を吸うんですか?
里奈ちゃんは目を丸くして、姉貴分の弘江さんに尋ねていた。
ボクが立ち去ったあとも、かなり熱心に聞き入っているのを背中に感じながら。
こんど里奈ちゃんと当たった時には・・・って、勝手に予定を組んでいた。

ね。ね。喉渇いているんだ。
きょう、だれかの血を吸わないと。
ボク、灰になっちゃうんだ。
見え透いた嘘だって、誰もが知っているはずなのに。
里奈ちゃんはひと息呼吸を詰めると。
じゃあわたしが・・・って、彼氏のいる先輩に代わって休憩室に入ってくれた。
男子禁制のはずの休憩室。
そこはボクにとって、吸血室だったりする。

脚から吸うんですよね?
里奈ちゃんはどういうわけか、いつも黒のストッキングを履いている。
お姉さんたちみたいなタイツじゃなくって、肌がうっすらと透けて見える、薄々のやつ。
薄々のナイロンに包まれた彼女の脚は、折れそうなくらいほっそりしていて、
噛んでもだいじょうぶ?訊いてみたくなるほどの頼りなさ。
里奈ちゃん自身が、地味な目鼻、控えめな声の持ち主で。
受付嬢にしてはちっとも華がないせいだったかもしれない。

それなのに。ああ、それなのに。
黒のストッキングの太ももに、むたいにかぶりついてしまったボク。
スカートのうえ、夢中で唇を吸いつけるボクの頭のうえ。
里奈ちゃんが啜り泣いている気配が、伝わってきたけれど。
ほんとうにお腹をすかせていたボクは、もうそれどころじゃなくって。
初めて味わう若い子の血に、
ぱりぱりと他愛なく破けていく薄手のナイロンの舌触りに、
すっかり夢中になっていた。

もう片方の脚も、いいよ。
恐る恐る見あげると。
里奈ちゃんはにこにこ笑っている。
目じりに涙のあとが残っていたけれど。
パンストだから。片方破かれちゃうと、もう履けないんだもの。って。
脚を投げ出すようにして、差し出してくれた。

さいごに里奈ちゃんに逢った夜。
それはボクの転勤間近。もうここのカウンターに立ち寄るのは最後という日だった。
頭株のお姉さんが黒のタイツの噛み痕を気にしぃしぃカウンターに戻ると。
じゃあこんどは私ねって、こともなげに頷くと。
いっしょに休憩室に入ってくれた。
ひざ小僧を並べて腰かける彼女のうえ。
ボクは頭を横に乗せて、ほどよいたかさ、はずんだ太ももに心地よくゆだねていって。
ついうとうとと、まどろんでいた。
イタズラ、しないの?って。訊きながら。
このあと彼氏とのデートなんだ。
顔にそう書いてあった。
恥かかせちゃ、いけないな。
ボクは喉の上までわくついてきた欲望を押し隠して、
またこんどねって彼女から離れていた。
里奈ちゃんがほっとしたような、心残りなような、ふしぎな表情でボクを見送るのを、
気づかないふりをして。

数年経って、あのオフィスもずいぶん人が変わったけれど。
里奈ちゃんは今はベテランの一人として。
いまでもカウンターに立っているって。風のうわさで耳にした。
彼氏とはもう、別れちゃったのだろうか?
いつも履いていた黒のストッキングは、いまでも履いているのだろうか?
寒々とした都会のからっ風のなか。
なつかしいぬくもりが、ふっと頬を撫でていった。

男子生徒たちの証言。

2010年01月12日(Tue) 00:29:55

運動部の部員は、いつも定員ぎりぎり。
だからいつも、試合に出れない。
だって、ボクたちは順ぐりに、吸血鬼のおじさんの相手をしているから。
このクラブ。
とっくの昔にスポーツハイソックスの愛好クラブになっているって、だれもが気づきはじめている。



青いハイソックスを脚に通して登校するときは。
いつもどきどきしている。
だって。
学校にたどり着くまえに、襲われて。
ソックスを血に染めてうっとりしちゃっているはずだから。



毎月ボクが買うハイソックス代と。
毎月ママが買うストッキング代と。
どちらが多いか計算して、悦に入っているパパ。
仲良しのおじさんは、きょうもボクの脚から抜き取ったハイソックスを広げて、
咬んだ痕を確認して、やっぱり悦に入っている。
バラ色のシミつきの穴のあいたソックスやストッキングは、隣の部屋にいっぱい積み重なっているはず。


仲良しのおじさんは、ハイソックスのうえからボクの脚を噛んで。
暖かい血を、おいしそうに吸い取って。
ボクの脚から抜き取ったハイソックスをぶら下げて、立ち去ってゆく。
くったりとなったボクは、家に帰ると。
しつようにボクの家を狙うおじさんを、引き入れて。
いっしょになって、ママを襲う。
このごろは、襲われるよりも、襲うほうが愉しめるようになってきた。
ママの穿いているストッキングの破けかたは、ボクのやつよりもずっとハデだから。



体調最悪。
なのに勃然とわきあがる、歪んだ世界の数々。

女子生徒たちの証言。

2010年01月12日(Tue) 00:21:14

あたしが高校を卒業してからは、セーラー服はもっぱら父が着ています。



母の喪服を脱がせた男はいつも、犯した女の履いていたストッキングを、戦利品のようにしてスラックスの下に履いている。
いまはときどき、あたしのハイソックスも履くようになった。



独り寝の母の寝室で、お勉強を教わるようになった兄。
ときどきあたしのベッドの上でおさらいをしていくようになったのは、まだ母には内緒。



あたしの通う女子校に、ひとりだけ男子生徒がいる。
あたしが学校をさぼるとき。
うりふたつの双子の弟が替え玉を引き受けてくれて、あたしの制服着て登校してゆくから。



あとがき
おなじ家庭の話だとは・・・思いたくない。(笑)

ブログ拍手♪(22.1.7)

2010年01月07日(Thu) 22:51:04

きょういただいたブログ拍手は、「試合のあと 4」でした。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1538.html

もしかすると今朝あっぷした「きょうの部活は、中止」の「あとがき」からたどっていってくれたのかもしれません。
やっぱり描くべきだな。あとがき。(^^)

柏木の好みは「2」だと描いたのですが、拍手をいただいたのは「4」。
もういちど、読み直してみました。
仕事まえに慌ただしくクロージングした形跡ありありの、舌足らずなところがありますが。
うーん、案外深いぞ。4。
ラストシーンがしみじみとしていたところまでは、じつは憶えていなかったというのは内緒。(^^ゞ
よく見たら拍手の数は合計で、4。
ハイレベルですな。うちとしては・・・

重ね履き。^^

2010年01月07日(Thu) 07:39:31

ほら、たまにいるでしょ?
ストッキングのうえに、ハイソックスを重ね履きするひと。
あれ、二度美味しいんだよねー。

さいしょにね。
足許に迫って、おねだりをして。(・人・)
OKもらえたら、まずハイソックスをずり降ろして。
ストッキングだけのふくらはぎにして。
そのうえから、なぞるように、唇這わせて。
チュッ、チュッ、って。音洩らしながら、愉しんで。
ぱりぱりぱりっ・・・って、破っちゃって。

それから、ハイソックスを引き伸ばして、
そうっと、元に戻していって。
こんどはハイソックスのうえから、噛んじゃうんだ。^^
ストッキングは、薄々の黒。
ハイソックスは、太めのリブタイプの白。
折り返し部分にラインがあったら、なおうれしいかな♪

もしもきみの彼女や妹さんが寒がりで、重ね履きをよくするひとだったら。
寄り道に、誘ってくれないかな?
いつもの公園で、待っているから。

きょうの部活は、中止 その2

2010年01月07日(Thu) 07:35:05

ただいま。
おかえりー。
あれっ、かあさんは?
いま吸血鬼のおじさんに、冒されてるよ・・・
えー!
こないだ試合したチームの子のお父さんたちが部員の血を吸いに学校に来て、ついでにお母さんの血までおねだりされたんだ。
よし。じゃあ今夜は父さんのおごりでビフテキ食いに行こう。(^^)/
キミは紅いシミのついたハイソックス履いたまま。
ママは破けたストッキング穿いたまま。
途中でそそられてママを草むらに誘いこんだら、ダメだぞ。^^


あとがき
パパの帰宅風景ですが・・・だんだん焦点が、ずれてきましたね。(-_-;)

きょうの部活は、中止。

2010年01月07日(Thu) 05:43:55

はい、きょうの部活は中止。
部員全員献血活動に協力すること。
背番号順に並んで、その場にうつぶせ。

ええー!?
聞いてないぞお・・・
なんの罰ゲームだあ?
ユニフォームのソックス履かせるために集めたのかよー。
部員たちは不平たらたらだったが、それでもおそろいのライン入りのリブハイソックスをひざまで伸ばして整列をすると。
三々五々、その場にうつ伏してゆく。

お相手は、先日負けた吸血鬼チームの選手のお父さんたち。
おなじポジションの子が相手をするように。
相手チームの選手には、キミたちの彼女の血をあげたから。
キミたちの血を欲しいというお父さんたちの要望にも、応えなくちゃな。

顧問の先生の話が終わらないうちから。
あちらから、こちらから。
ちゅうちゅうと熱っぽく洩れてくる、吸血の音。


あとがき
だいぶ以前になりますが、2008年の夏ころに描いた「試合のあと」の後日譚のようです。
出来レースで負けた、吸血鬼チーム相手の親善試合のあと。
先週の彼女たちが、相手チームの子たちに襲われちゃうお話です。
当時のカテゴリが「少女」なので、いちおう「少女」に分類しました。
このテのノリのものは支持率がほとんど皆無なのですが。(笑)
どうしても描かないと調子が出ないので。(^^ゞ

過去のものはこちら。↓
柏木の好みは二番目・・・かな?^^
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1508.html
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1509.html
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1537.html
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1538.html

携帯実況メール

2010年01月05日(Tue) 08:02:26

いまホテルの部屋のなか。ふたりきりになったら、奥さんそわそわしてる。初体験妻って、かわいいね。

なかなかスキを見せてくれない。早く襲いたいなー♪

後ろを見せたらすぐ抱きつくからね。あと五分以内に

背後から忍び寄って、いきなり抱きすくめて首すじを噛んだ。いちころだったよ。^^

たっぷりごちそうになってます。やっぱり熟女の生き血はいいなぁ。奥さんの血液型って、A型?

奥さんサービス精神旺盛だね。黒のストッキングの脚も噛んでいいんだってさ。遠慮なくいただくね。^^

血を吸い終わった。これから犯す。

一発め終了。ご主人しか識らなかったみたいだね。ごちそうさまでした。^^

二発め終了。奥さんノリノリ。^^

三発めもおいしくいただきました。^^ 印にスカートの裏側にオレの精液なすりつけておくから、あとで見てね。

こんどはだんなにナイショで、娘を連れてくるってさ。お父さんもOKだよね?^^

お嬢さんは制服に白のハイソックスで、お願いしまーす♪母と娘で、靴下の味比べ。愉しみにしてるからね♪

もう迎えにきていいヨ。^^ 奥さんしっかり身づくろい完了。スカートの裏側だけは、確認するように。では、またね。^^v


あとがき
だんな様の返信も入れればよかった?(笑)

男ずれのした新妻

2010年01月04日(Mon) 08:23:02

どうだい?いまの旦那と愉しんでるかい?
セックスは毎晩?で、平均と最高はなん回?
舞子、淫乱だからな~。童貞の亭主なんかかんたんにたぶらかしてるんだろ?
夫のまえでさえも。
無遠慮に浴びせかけられる、昔なじみの男たちの揶揄。

もう~っ、なに言ってんのよっ!
うちのユウちゃんまじめなんだからっ。そんなこと言わないでっ (><)
舞子はむくれて、うるさそうに男どもを追い払う。
悪気のない証拠に、男どもはなんなく追い払われて。
どうも。って。頭掻き掻き御主人に会釈をして。
あとはよろしくどうぞって。
すごすご引き下がって行く。

悪い気起こさないでね。わるいひとたちじゃ、ないんだから。
すがるような目は、もう夫だけのものになった女だけが持つ輝きを帯びていた。
心だけは、あなたのもの。
素直すぎるほどすっきりとした素顔には、そう描かれてある。

ねえ、エッチしない?
ここで、やらない?みんな見ているだろうけど。
あたしたちがどれだけ仲いいか、見せつけてやるのよ。
女は思いついたように、そういうと。
水玉もようのワンピースのすそをたくし上げて、
黒のストッキングの太ももに、夫の手を招き入れた。
そうすることで。
自分の男がどれだけ昂るのかも、知り尽くしていた。

ああっ、イクゥ・・・ユウジ、最高っ!
わざとのようにあげる声色に。
若い夫はかんたんに引き寄せられて。
ずんずんずんずんと、若さにまかせた吶喊をくり返す。
雑木林の向こうからの、好奇の視線を感じながら。

ねぇ、あいつらと、どんなセックス愉しんでたの?
うん、訊くだけじゃなくって。
・・・覗いてみたいな。
イタズラっぽい囁きをする夫に。
妻はイタズラっぽく応えている。
そお?じゃあ~、浮気しちゃおっかなっ?
しちゃえしちゃえ。^^
そそのかす夫に、その気になる妻。
似合いのカップルは、枯れ草を払いながら起きあがる。
さりげなくワンピースのお尻にすべらされた手を、払いのけると。
もうっ。
舞子はまた、口をとがらせている。

じゃあこんどは、俺の番ね。
そのつぎにお邪魔するのは、僕かな?
男たちは、まるで昔からの親友のように、親しげに。
若い夫と、言葉を交わしてゆく。
ホテルさがそうか?
いいですよ、ここでも。
夫が指し示したのは、公園の隅っこにうずくまる背の低い植え込みの奥。
いいね~。あおかんするなんて。
これからユウジのかみさんと、あおかんするぞー!
さいしょのやつなんか、公園じゅうに聞こえるような大声で、叫んでいた。

おいおい~。そいつはまずいよ。
いいですいいです。いいんです。
あなたがたがついていれば、怖いものなしなんでしょう?
そですか?じゃあ遠慮なく。^^
舞子の輪姦大会、始まりっ!
エッチな新妻見たいもの、集合っ!
ボクは最愛の新妻を、みんなに捧げますー!
亭主の宣言には、いちばん拍手が集まっていた。

仲よさげに。
ひとり、またひとりと、新妻を犯しにむらがる男たち。
お礼にこんど、俺の家内襲わせてあげるね。^^
そんなことを言い出すやつもいて。
こいつ、そういう趣味あるんだ。いつも俺たちもお世話になっているんだぜ。
そんなふうにちゃちゃをいれるやつもいて。
和気あいあいとした輪姦だった。
だって。
ひとりの女を共有するくらい近い関係は、考えられないのだから。

ワンピース、泥だらけになっちゃったね。
いいよ、このまま、腕組んで歩こう。
ついでに買い物も、済ませちゃおうよ。
すっかり大胆になった亭主を、舞子は頼もしそうに見あげて。
ユウジ、大好きっ!
甘えるようなしぐさで、腕を組む。


あとがき
えっ?今朝こんな記事見かけなかった・・・ですって?
だって、描き切らなかったんですもの。(^^ゞ
でもちょいと直しただけで、あっぷしちゃいました。
こういうお転婆な女性。
たまにはいいでしょ?^^

花婿調教。

2010年01月04日(Mon) 07:59:36

花嫁のウェディングドレス姿を、いただくには。
まずお婿さんを支配下においてしまうのが手っ取り早いんだ。
そう親父にきかされた俺は。
いよいよ結婚を控えたという幼馴染の血を吸って。
お前の嫁が欲しい。処女の生き血が欲しい・・・って。
くり返しくり返し、おねだりをして。
とうとう、うんと言わせてしまった。

縛りつけて転がした花婿に。
怯える花嫁は、べそをかきながら。
それでも強引に奪った接吻に。
初めて嗅がされた男の匂いを感じ取っていた。
さいしょは、へきえき。
二度めは、どきどき。
さいごは、夢中。
花嫁は淑女をかなぐり捨てて。
花婿の目のまえ。俺の腕のなか。女になる―――。

いいところを見られて、よかったな。
はい。とてもいい記念になりました。
幼馴染はもう、俺の奴隷。
その新妻は、もちろん俺の奴隷。
お前のものは、俺のもの。俺のものは、俺のもの。
お前の女は、俺のもの。俺の女は、お前の新妻。
いいね?
はい。とても嬉しいです。
わたしがいても、いなくても。
一日必ずいちどは、妻を犯しにいらしてください。
調教された花婿は、しんそこ嬉しげに俺に隷従を誓っている。

隷従した花婿のまえ。
花嫁は無表情で俺に手の甲を与え、首筋を与え、唇を許して、
純白のストッキングに包まれた脚をねだったときは。
なぜか唇のときよりも、羞じらいを浮かべていた。
花婿の目のまえで引き裂いたストッキングを、投げ与えると。
やつは嬉しげに、それをポケットにしまい込む。

あしたの晩、このひとのところに訪ねていっても、いい?
おずおずと訊く花嫁に。
夫が羞じらいの色をみせながら、頷くと。
じゃあね。
花嫁は軽く手を振って。これ見よがしに俺と腕を組む。
いつまでもあなたが、いちばんよ。
そう声をかけられたのは、だんなのほう。
それでよろしい。
あくまでも名義上の夫は、あいつ。
そして俺は、あいつの妻を辱め抜く。
それで、いいね?

しきだりどおり  ~花婿に訓える新妻~

2010年01月04日(Mon) 07:51:37

しきたりどおり、十代で結納を交わして。
しきたりどおり、女学生の制服姿の婚約者を、吸血鬼のお邸に伴って。
しきたりどおり、其処で処女の生き血を、振る舞わせて。
彼女はしきたりを越えて、彼と密会を重ねるようになって。
それもきっと・・・しきたりのなかでのことだったのだと。あとで知ることになる。
義母と呼ぶべきひとに、今夜まゆ子をお邸にお連れしてくださいといわれたときに。

しきたりどおり、まゆ子は純白のスーツ姿で出かけていって。
しきたりどおり、わたしは隣室に控えていて。
しきたりどおり、細めに開かれたドア越しに。
未来の花嫁が別の男性に処女を捧げるありさまを。
いちぶしじゅうを、見届けさせられた。

秋に予定されていた祝言は、春に延び、秋になった。
それほどに吸血鬼様が花嫁をお気に召したのだと。
まゆ子さんのご両親はもちろんのこと、うちの親たちさえも。
口をそろえて、悦んでいた。

しきたりどおり、婚儀は厳粛に執り行われて。
しきたりどおり、花婿は新床に忍んで来た間男どのに譲り渡して。
しきたりどおり、真夜中の闖入客は、初夜の床を乱していった。
もの音が止んで。身づくろいする気配まで、落ち着いて。
それからようやく、わたしは花婿の立場に戻っている。
部屋を出るとき、いちぶのスキもなく装われた純白のスーツ姿。
どんなふうに、乱されて。どんなふうに、剥ぎ取られていったのか。
いちぶしじゅうを観ていたことは、新郎新婦の暗黙の了解になっている。

はだけたブラウスに、乱れ髪―――。
そんな風情を、想像したのに。
わずかのあいだに、巧みに身づくろいを済ませたまゆ子さんは。
ピンクのスーツに、着かえていた。
どうぞよろしく、お願い申しあげます。今夜から・・・

しきたりどおり、花嫁は三つ指を突いて。
しきたりどおり、わたしは彼女の手を取って。その手の甲に、接吻をして。
しきたりどおり、ブラウスの襟首に手を忍ばせる。
なにもかも識ってしまった身体に触れることに、ほんの少しの躊躇を覚えると。
どうしてそれが伝わったものか、女は入り口で逡巡する手指を、胸の奥へといざなった。
初めて触れる乳房は、ブラジャー越しにだったけれども。
ぷよぷよとした半熟卵のような柔らかさが、掌いちめんにしみ込んできた。
あとはもう、われを忘れる世界―――

こんなふうに、あの男にまさぐられたのか?
言わないで。
こんなふうに、あの男と乱れたのか?
いわないで。
こんなふうに、あの男に男を味わわされたのか?
い・・・わ・・・な・・・い・・・でっ。

巧みな誘導に負けたのは。男として、恥ずべきことだったのだろうか?
控えめに開かれた太もものあいだに、割り込んでいって。
逆立つものを、強引に押しつけて。
ぶきっちょな挿入を、呑み込むようにして。
するりと迎え入れられた、居心地のよい処。
そこをいくたび、荒らされたのか?
そんな想像に、つい昂って。
裡に秘めつづけていたどろどろの粘液を、思うさま吐き散らしてしまっていた。

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
純白のストッキングを穿いたままの太ももに。
どろりとした粘液がほとび散っている。
薄手のナイロンごし透けてみえるピンク色の肌が、ジューシィに輝いていて。
ついむらむらとなって、粘液のついていないふくらはぎに、唇を吸いつける。
ナイロンの舌触りを味わうように。唾液をすみずみにまで、しみ込ませていって。
むしょうに破きたくなって。衝動のままにストッキングを引き裂いていた。

引き裂いたストッキングで、後ろ手に縛って。
素っ裸にひん剥いた裸体に、真っ白なヴェールだけをかぶせてやって。
フラッシュをなん度も焚いて。
これをあしたから、玄関に貼り出しておくからなって、囁いて。無理矢理頷きを求めて。
なん度も、なん度も。犯しつづけていった。

翌朝。
新居の玄関まえを通りすぎる人々は。
見て見ぬふりをしている。
門柱にたかだかと掲げられた、花嫁の裸体の写真。
つぎの晩から。
夜這いに訪れる若者が、ひきもきらない。
若者だけではなく。
お向かいのご隠居。
はす向かいの中年独身男性。
果てはわたしの父や弟たちまでも。
夫婦の寝室のドアを、ノックしてくる。

さ。お入りになって。
嵐の通りすぎたあと。
決まってそれは、午前二時を過ぎたころ。
装いを改めた新妻は。
夕べは、グレーのスーツ。そのまえは、花柄のワンピース。
そして義父を迎え入れた直後の今夜は、漆黒のフォーマルスーツ。
薄墨色のナイロンに染まったつま先を、わたしはしぜんと口に含んでいった。
お好きになさって。
抗うことで。悶えることで。
手だれになっていた新妻は。
あくまで淑やかに振る舞いながら。
わたしに歓びのすべてを、訓え込んでゆく。


あとがき
男ずれした新妻と初夜をともにする花婿を描いてみました。^^

そおいえば。(初夜権その後)

2010年01月04日(Mon) 07:27:48

初夜権を行使された男性の密かな昂り・・・ていうのは、こちらではわりとメジャーな?モチーフなのですが。
花嫁を賞味されちゃったあとの「夫婦の初夜」って描いていないんですよね。(^^ゞ
もの慣れた花嫁 っていうのも、かなり愉しそうなのですが。^^
どうも花嫁という役柄は、淑やかな羞じらいをもっていたほうがよりそそられるものを感じます。
えっ?欲張り過ぎですって?(笑)

夫婦になってしまうとね。
うちの由貴子さんなどは、しょっちゅう挑発してくるんですよ。 言葉で。^^;

イイ感じ ですな。^^; (さっそく拍手×2)

2010年01月03日(Sun) 23:20:03

「振袖姿の未来の花嫁を、御挨拶に伴う時。」が、あっぷそうそうに2拍手をいただきました。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1957.html

主人公の妹は、犯されてしまう主人公の婚約者の身代わりに処女の生き血を提供する新たな対象として、ちょい役で出すつもりだったのですが、
処女は食われちゃうわお兄ちゃんのお相手をしちゃうわ、活躍しています。
ちょっとやり過ぎだったかな?(^^ゞ って思ったのですが。
案外そこがよろしかったりして。

妹娘は兄を密かに想っていたのか。
あるいは普段から顔を合わせている義姉になるひとと張り合いたくて、ちょっと背伸びをしただけなのか?
謎です。(笑)
妹も花嫁も食われてしまったお兄ちゃん。なに想う?^^
あくまでしきたりだと、淡々と割り切っていたりして。^^;

―――付記―――
今回のヒロインは、秘色のお振袖というお正月っぽい装いでお出ましでしたが。
季節がら、きりりとした和装の女性もこの時期にはたまーに登場させています。
過去にお正月に描いたそれらしいお話には、こんなのがあります。

「ひとりひとり・・・呼び入れて。」(2006年1月)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-151.html
妻、妹、叔母、母親・・・と。
ひとりひとり呼び入れて、犯していくんです。
ある読者のかたに、「おせち料理みたいですね♪」とおほめをちょうだいしたことがあります。^^

「姫はじめは、お振袖♪」(2007年1月)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-754.html
婚約者の由貴子さんはお振袖に身を包み、未来の夫に淑やかにごあいさつをします。
「行ってまいりますね。ま・わ・さ・れ・に♪」

・・・。そろそろ悪乗りも、これくらいにしておきますね。(^^ゞ

こぎれいな少年は、決してはずれくじではない。

2010年01月02日(Sat) 08:33:51

すまないね。
女の子の頭数が、どうにもそろわなくって。
代わりにこぎれいな、男の子を用意したんだ。
はずれくじだって、怒らないでくれるかな?
招待を受けた宴の主は、そういって。
集合場所に指定されたお宅の二階の勉強部屋を、あてがってくれた。

乾いた喉。干からびた唇。
はぜるほど飢えを訴えつづける、胃袋。
それらを充たすためなら、相手は男でも女でもよかった。
どうやらそのお宅の跡取り息子らしいその坊やは。
薄いピンクのワイシャツに、襟首にラインの入ったVネックの白のベスト。
白の半ズボンを履いた下は、やはり真っ白なハイソックスが、ひざ下を覆っている。
神経質そうな色白の頬や太ももは、さらにいっそう白かった。
女に生れなかったのが、もったいないほどに。

はじめましての挨拶も、そこそこに。
俺はさっそく、食事にとりかかろうとして。
坊やを引き寄せて、太ももに唇を這わせてゆく。
あの・・・
ためらいがちの声色に、ふとふり仰ぐゆとりが、かろうじて残されていた。
ああ、きみは血を吸われるの、初めてなんだね?

やっぱりはずれくじだって、思われちゃいますよね?
せめて女の子みたいなかっこうをしたら?って、母に言われたんですけど。
妹の制服は、どうしてもサイズが合わなくって。
母のを借りるのも、恥ずかしくって。
こんななりでは、つまらなかったかな?
日ごろは引っ込み思案らしい少年がいつになく饒舌なのは。
生きながら血を吸われることへの恐怖の裏返しなのだと。
すぐに察しがついた。

だいじょうぶ。すぐ済むから。
おじさん、喉が渇いているんだ。
俺は少年の問いには答えずに、
イスに座った姿勢のままの少年の、うなじにがぶりと食いついていた。
ひっ。
たくまずして洩らした呻きに、触発されて。
向こう側の二の腕を、ギュウッと強く抱きすくめながら。
ごくごくごくごく・・・って、勢いよく。
ひさしぶりにありついた活きの良い血潮に、むせ返っていた。
少年は身を固くして、目を瞑って。
真っ白なベストを赤黒く濡らしながら。
俺の欲求に応えてくれた。

力の抜けた身体が、俺にしなだれかかってきて。
腕のなかの重みが、にわかにずっしりとした手ごたえを伝えてくると。
ふははははははは・・・
いつもの癖になっている、冷酷な笑み声をあらわにして。
ハイソックスの脚を引っ張るようにして、
坊やを畳に寝そべらせていった。

はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・
気の毒にまだ、意識が残っているらしい。
それとも畳に頭をぶつけたときに、われにかえったのだろうか?
薄目をあけて見あげてくるのを、これ見よがしに。
吸い取ったばかりの血を、ピンクのワイシャツと白のベストのうえにほとび散らせてやった。
ど・・・どうぞ。
よほどしつけの行き届いた家らしい。
少年はわざわざ、ずり落ちかけたハイソックスを、ひざ下までぴっちりと伸ばしてくれた。

ちゅう~っ。
ちゅう~っ。
ちゅううううっ・・・
白のベストのうえから、肩先に。二の腕に。
半ズボンのお尻にも。むき出しの太ももにも。
突き立てた牙を、ふくらはぎにまで、迫らせていって。
白のハイソックスを履いたまま、ずぶりと沈み込ませていった。
佳い舌触りの靴下、履いているんだね?
不埒な訪問客のそんな褒め言葉に、悦びを覚える少年もいないだろうけれど。
うれ・・・しい・・・です。
少年は力んだ口調で、そうこたえてきた。

なかなか感心な子だ。
心にもないことを、口にするものだな。
よほど親のしつけが良かったらしい。
生命だけは、助けてやるからな。もう少し、ガマンするんだぞ。
俺は少年の頭を撫でながら、なん度めかのガブリを、少年の首筋にしみ込ませた。
いえ。そんなことないです。心から、そう思っています。
え?
組み敷かれた下、女の子みたいに長い少年の睫毛が、薄っすらとした涙を光らせていた。

さいしょに、言いましたよね?はずれくじじゃないですかって。
でもおじさんは、ボクの血を愉しんでくれていますから。
男の子用のハイソックスに、こんなに夢中になってくれるだなんて、思いもしなかったですから。
やだったんです。
両親からもらった大切な血を、ただ食欲だけでっていうのは。
母にそういったら、今日訪ねてくるお客さまは親切なかただとうかがっていますからって。
でもおじさん、よほど飢えていたんだね?
さいごに滲ませた笑みは、明らかに親しみが込められていた。

さいしょはおじさんがとげとげしかったから、
怖くて声も出なかったんです。
だんだん気遣いしてくれるのがわかったから、
しぜんに笑うことができたんだと思うんです。
家を出るとき少年は、狂った宴の坩堝になった我が家を、ちらと見た。
昏い窓ガラスの彼方、彼の母親が、妹が。淪落の渦に巻き込まれている。
けれども少年の目は、冷ややかなほど静かで。
まるでそれがとうぜんの行事かなにかのように心得はじめているようだった。
血の撥ねた服は、濃紺のブレザーに押し隠していたけれど。
半ズボンの下にょっきりと伸びた脚には、
不規則な赤黒い水玉もようを交えた白のハイソックスを、そのまま履いていた。
まるでこれ見よがしに、だれかに見せびらかしたいというように。

はずれくじじゃない証拠を、見せてあげますよ。
少年が俺を案内したのは、彼女の家だった。
ボクも、血を吸うことができるんですよね?
ほんとうは彼女の血を、最初に吸ってあげたいんだけど。
そこはおじさんに、譲らなくちゃね。
いつも学校に履いていく白のハイソックスは、
きっとボクのやつよりも、美味しいはずだから。
彼女のお母さん、未亡人しているんだけど。
黒のスカートの下に履いている黒のストッキング。
とても、おいしそうなんですよ。^^
ボク、きょうはそっちをいただいても、いいですか?

振袖姿の未来の花嫁を、御挨拶に伴う時。

2010年01月02日(Sat) 08:00:03

ごあいさつにうかがった、ゆう子さんのお宅では。
お母様がわざわざ着物に着替えられていて。
ゆう子さんなどはもちろん、お振袖。
赤白の鮮やかな彩りが、つい眩しくて。
いつになく目をそむけると。
お母様はべつのことをお察しになったように。
大役、御苦労さまですね。
わたしのことを、ねぎらってくれた。

アップに結った黒髪の下。
きりりとした襟足のすき間。
首すじに浮いた、古傷が。
いけないことでは、ないのですよ。
そんなふうに、告げているようだった。
ふと留めたわたしの目線をとがめるように。
あら。
痕を抑えながら、小娘のように羞じらっていた。
おなじ痕を、まな娘の真っ白なうなじに留めるという。
きょうは晴れの儀式の日。

よく、来なさった。
御老体は改まった身なりのわたしたちを、迎え入れると。
抱き寄せんばかりにして、歓待してくれた。
振る舞われた酒は、喉越しにどろりと濃くまつわりついて。
ほどよい眠りに、誘うよう。
傍らに敷かれた座布団のうえ。
ゆう子さんも化粧をよく刷いた目許を、ほんのり心地よげに染めていた。

では、味見と参ろうかの。
御老体は早くも、腰を浮かしている。
あ・・・そうですわね。
お酒も時間も過ごしてしまったことに、はっと気づいたように。
ゆう子さんはいまいちど、身づくろいを整えようとする。
わたしは未来の花嫁の後ろにまわって、
三つ編みに編んだ黒髪をぐるぐると巻いた頭の後ろに手をかけて。
お母様に手ずから訓えられたように、
ゆう子さんの髪を、解いてゆく。
震える手指にからまった、しんなりと輝く黒髪が。
意思を持った生き物のように。
だらりと肩先に、流れてゆく。

その場でむたいに抱き寄せるほど。
無体な振る舞いには、及ばぬもの。
御老体は目でわたしに退席を促すと。
そのおなじ目で、隣室にいてよいと告げていた。
おっとりと小首をかしげるように会釈を投げてくるゆう子さんの挙措は。
すこし取り澄まして、他人行儀なそぶりをみせた。

細めに開かれた、ふすまの間。
赤と白の振袖に巻かれたしなやかな肢体が。
齢に似ず思いのほか逞しい、
毛むくじゃらの腕に荒々しく抱きすくめられる。
なにかが、しくっ・・・と。
ズボンのなかで、逆立つのを。
わたしはけんめいに、こらえていた。

圧しつけられた唇は。
ひび割れだらけで、かさかさに乾いていて。
あてがわれた素肌の瑞々しさと、ひどく不似合いに映るのは。
もとより嫉妬のせいだけではないはず。
なすりつけられるように。
しつように。しつように。
初々しい柔肌を、這いまわって。
あとに染みついた唾液が、白磁のうえのうわぐすりのように光らせていった。

ひときわつよく咬んだとき。
ゆう子さんはアッと声を洩らして。
洩らした声を、恥じるように。
うろたえたように、口を噤んだ。
未来の花婿がそばにいながら、遂げる密会。
嫁入り前の生娘には、あってはならないはずのこと。
こくり・・・こくり・・・と、喉を鳴らして。
うら若い生き血を、飲まれていきながら。
耐えるように俯けた瞼を縁取る長い睫毛を、ピリピリとナーヴァスに震わせていた。

たらり。ぼとぼとっ。
振袖を彩る、鮮やかな赤の文様は。
ほとぶ血潮を、まぎらせるためだったのだろうか?
そう、疑ってしまうほど。
ゆう子さんがほとばせたバラ色のしずくは。
折り目正しい装いを、しっとりと妖しく染めてゆく。
引き抜かれた牙の下。
吸い取られたばかりの血潮が、したたって。
あお向けになった胸もとを、色鮮やかに彩ってしまうのを。
白い頬をゆったりと笑ませて、ちらと目線を這わせるのだった。

男は振袖の襟首に手をかけて。
腑わけをするようにずりずりと、無遠慮に。
女の衣装を、剥いでゆく。
生娘であった証拠を、心ゆくまで味わったあと。
ぞんぶんに啜り摂った清冽な血潮の主を、
汚してゆく。

汚していただくのが、礼儀なのですよ。
婦徳を辱め抜かれることが、歓びなのですよ。
見守りながら、昂ることができるのならば。
貴男は初めて、わたくしどもの身内と認めていただけるのです。
お母様の訓えは、どこからどこまでも、的を射ていた。
ズボンを濡らしてしまった昂りの痕をどうしようかと、考えないでもなかったけれど。
いまはただ、白い目鼻立ちに浮かんだ苦痛と羞恥とが。
ふしだらな愉悦に変化してゆくありさまを。
ただ、ただ、息を詰めて見守るばかり。

せい子さんはね。
女学校の制服で伺ったんですって。
終わったあとも、血が出つづけて。
紺色のプリーツスカートのすそから、太ももを伝って。
真っ白なハイソックスを履いていたんですって。
彼氏も目のやり場に困ったらしいのよ。
口を衝いて出てくる過激なことばと裏腹に。
ゆう子さんの声色は、どこまでもしずかで、おだやかだった。

わたくし、そこまで露骨な振る舞いは厭だと申し上げたのです。
ですから・・・きょうはお振袖に。
でもどうしたって、血だってわかってしまいますよね?
きちんと身づくろいをすませた襟首にも、長いたもとにまでも。
点々と散った、狼藉の痕。
手を取らせていただきますよ。お嬢様。
犯す直前、男が囁いたことばを、口真似をすると。
それまで平静を保ってきた外貌が、にわかに羞恥を帯びていた。
手の甲に這わせた接吻を、かすかな唾液が沁み入るほどに。
永く永く、とどめつづける。

中学にあがったころから結ばされていた、ふたりの行く末。
初めて血を与えるときも。
制服姿のゆう子さんと連れだって訪(おとな)いを入れたのもわたしだった。
そのまま十年ちかくも、味わいつづけられて。
そのたびに、送り迎えをしてあげて。
やがてゆう子さんは、わたしに黙って逢うようになった。
逢いつづけて、しばらくして。
御老体はわざわざ紋付を着て、わたしの母に挨拶に来た。
年が明けたらぜひ、おふたりで御挨拶に見えられるように・・・と。

処女の生き血は、もう御入り用ではありませんの?
すぐにそれと察した母は、優雅に微笑して。
表向き人払いされた夫や息子に、聞かれてはならない話題に入っていた。
味見ははやいほうが、よろしいでの。
薄っすらと笑んだ御老体のまえ。
いつも厳しかった母がにわかに見せた羞じらいは、なんだったのだろう?

入れ代わりに、初枝さんをいただこうか。
”御挨拶”が済んだ、つぎの週に。
こんどはお母様が、お連れになるとよい。
介添えを、願おうほどに。
いつになく朱の目だつ唇が、よどみなくそう告げる。
ゆう子さんの柔肌を這い生き血を吸った、おなじ唇が。
こんどはわたしの妹を、求めている。
中学にあがったばかりの、無邪気にはしゃぐセーラー服姿が。
ぬめりを帯びた御老体の唇と、想像のなかで重なって。
思わず不覚にも、失禁を覚えてしまっていた。

祝言のあと。
当然のように花嫁に迫り、みずから白無垢を剥ぎ取って。
我が物顔に横抱きにしてゆく御老体と。
羞じらいもかなぐりすてて、不義に耽る花嫁と。
似合いのふたりを、ふたりきりにして、新床を背にすると。
お兄ちゃん。
ひっそりとした囁き声が、鼓膜をひんやりと浸している。

お嫁さんを、自由にされちゃう代わり。
今夜は何をしても、いいんでしょ?
あとでお義母さまのところにも、おうかがいするんでしょ?
あたし、なんでも知っているんだから。
そのまえに・・・
クスッと笑んだ口許から、並びの良い白い歯をイタズラっぽく覗かせて。
セーラー服の少女は、プリーツスカートのすそをちらりと引きあげる。
いつも履いている真っ白なハイソックスを。
先週真っ赤に濡らしながら、
母に付き添われながら、べそをかきながら、たどった家路。
今夜妹の足許を染める、黒のストッキングが。
大人の女としてのお相手をするの。
そんな気負いを、滲ませていた。