淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
手はじめに。
2010年07月29日(Thu) 07:58:18
ハイソックスくらいなら、履いてきてやってもいいよ。
血を吸って手なずけた少年たちに。
女装してくれないか?って、せがんでみると。
たいがいの子はそのあたりで、折り合ってくれる。
スポーツをやっている子でもないかぎり。
実際ハイソックスなど持っていはしまいから。
お姉さんのやつを、だまって借りて履いてくる。
そのうちに。
はまる子は、ママのワンピースに手を出したり、
もじもじと化粧道具を差し出す子も出てくるようになる。
あくまで親切に。あれこれ教えてやって。
一人前の”女”にしたててやるころには。
衣装の持ち主たちも、俺の手ごめになっている。
照れくさそうに、頭を掻きながら。
母や姉たちが理性もろとも、血を吸い取られてゆくのを見守る少年たち。
ウン、きみたちは立派に、俺の悪友がつとまっているのだよ。^^
ママの服で。
2010年07月29日(Thu) 07:41:34
女にもてないんだ・・・
頭を抱えるその悪友は、吸血鬼。
ボクはママの服を着て女装して、相手をしてあげた。
ママになり切って、襲われてあげたんだけど。
度重なるうちに。
悪友はママを欲しがるようになっていて。
数ヵ月後。
パパとも仲良くなった彼は、晴れてママの愛人となっていた。
嘘から出たまこと。
いつもしつけに厳しいはずのママが。
今夜もウットリとした顔つきになって、彼に誘い出されていく。
ボクはパパとふたり、面白そうに覗き見て。
こっそり足音を忍ばせて、あとをついていった。
夫婦の足許 4 ~順序。~
2010年07月29日(Thu) 07:25:08
定期的に我が家を訪れ、一家全員の血を吸っていくあの男。
襲う順序まで、一定のルールがあるらしい。
さいしょに襲われるのは、わたし。
無表情に首筋に唇を這わせて来、皮膚を破り、血を啜る。
じゅうたんのうえ、組み伏せられ、抑えつけられて。
なまの唇で、首筋を吸われるとき。
男どうしといえど、昂りを覚えるのはなぜ?
気絶寸前まで吸われたあと。
半開きのドア越しに洩れるのは、妻の悲鳴。そして、喘ぎ―――
血の気の失せた身体を引きずって覗き込む、夫婦の寝室で。
ワンピース姿の妻は、大股を広げたまま、気絶している。
ストッキングに走る、帯のように太い伝線が。
脚に吸いつけられた唇の愛撫の執拗さを、秘めていた。
白目を剥いてあお向けになった妻の横顔は。
いつも妖しい愉悦を滲ませていて。
ひざ下までずり降ろされたストッキングには。
ぬらぬらとした透明な粘液が、しずかな光をたたえている。
荒れ狂った情欲を、見せつけるようにして。
お邪魔しますよ。
いらっしゃい。
手短かに交わしたことばのあと。
”男”はすぐに、事務的に。
わたしの首筋に唇を吸いつける。
抜き取られる血のぬくもりが。
不思議な陶酔をもたらす刻―――
女もののストッキングが、好きなんだな?
ああ。
照れ笑いをする、その”男”に、
さりげなく、スラックスのすそをたくし上げてやる。
ストッキング地の靴下に目を輝かせて。
男は足許に、にじり寄る。
どれほど熱い口づけが、妻の足許を襲うのか。
その日わたしは、初めて知った。
ああぁ・・・
ドア越しの悲鳴は、きょうもあからさまな愉悦を含んでいる。
紳士用の薄手の長靴下に走る、帯のような伝線を。
うつろな気分で撫でさすりながら。
妻のストッキングがぱちぱちとはじける、かすかな音を。
薄っすらと笑いながら、聴き入っていた。
吸血鬼にあてがわれた一家の運命について。
2010年07月27日(Tue) 08:16:10
吸血鬼の家の男の子が、色気づくと。
近在の一家をあてがわれる。彼が成長するために。
その家はたいがい、彼の友人の一家。
まずさいしょに、友人を手篭めにして、血を吸って。
ぞんぶんにたぶらかしてしまうと、お母さんを連れて来させる。
友達のハイソックスのふくらはぎにすりつけた唇を。
お母さんのストッキングにすりつけていって。
ほどよく血に酔い痴れるころ。
友達はすでに、半吸血鬼と化している。
ママの血を吸わせてもらったら?
そそのかされるまま。
友達が実母の血を吸うようになると。
こんどは自分の父親を、連れてきて。
親父、いまやもめなんだ。お前のママの血を吸わせてやってくれないか?
男三人の相手をするうちに。
熟れた人妻は、吸血鬼の寡夫の相手を、進んで引き受けるようになる。
なぜなら男の妻は、彼ら夫婦の血を吸ったべつの吸血鬼に、囚われていると知ったから。
緩慢な、食物連鎖―――
人間の友だちは、半吸血鬼としての本能のまま。
妹を襲い、悪友に紹介し。
未来の花嫁さえ引き逢わせ、襲わせる。
それがこの家の、輪廻。
はじめからしまいまで、手出しもせずに見守る父親は。
かつて、妻を寝取った男に、嫁入り前の血を吸わせてやった過去を持っている。
あとがき
なんのことか、わかりにくいですね。 笑
友達の婚約者の血を吸って、犯して。
その夫婦が子をなすと、自分の息子と組んで、ひとりひとりモノにしてゆく。
しまいにはかつて処女を奪った女とも復縁―――
ちょっとダークなはずなのですが。
ご主人が血を吸うものたちの協力者の側に回ると、少し色違いになりますな。^^
夫婦の足許 3 ~妻の立場。~
2010年07月27日(Tue) 08:01:09
やだ~ッ!ストッキング破かれちゃう~っ!
私が部屋じゅう、逃げまどいながら。主人に援けをもとめても。
主人はグラス片手に、苦笑いしているばかり。
こういうのが、いいんだって。
あのひとからそんなふうに、囁かれても。
男のひとのそういう性癖、夢にも思っていなかった。
愛妻家に限るんだってさ。^^
あのひとの言い草は、きっと嘘。
けれども酔いつぶされて、目が覚めて。
びりびりに破かれたストッキングに、気がついて。
夫の苦笑いは、どこかでしんそこ愉しんじゃっているようすだった。
部屋の隅っこに、追い詰められて。
あのひとに脚をつかまれてしまうと。
嫌っ、嫌っ、嫌っ。
ほんとうに、半泣きになりながら。
それでも拒もうとする両手は、主人の手に抑えられてしまっていて。
履き替えた黒のストッキングは、ひざ小僧の下、
なすりつけられてくる唾液に濡れて、しわくちゃにされていった。
いいの?いいの?あなた、ほんとうにいいの?
泣き濡れた目で見あげる、主人の顔は。
あの昂りを秘めたひきつり笑いを、まだ絶やしていない。
ほどほどに開いた太もものあいだ。
あのひとは無遠慮に、入り込んできて。
邸にあがったとき、手の甲にキスをしてくれた紳士の面影は、
飢えたけだもののそれに、きれいにすり替わっていた。
うふふ…ふふ…ふふふ…
くすぐったい含み笑いを、洩らしながら。
目のまえで縛られた主人の、私を見る目が怖い。
愉しんじゃっているんだもの。
でもね、貴方。
これを聞いたら、もっと昂ってくれるかしら。
彼にストッキングを破られるのは。
これでもう一ダースになるんだっていうことを。
あとがき
いつの世も、女は怖いです。
あ、男の歪んだ欲情も…? 笑
夫婦の足許 2 ~夫の立場~
2010年07月27日(Tue) 07:53:58
酔いつぶされたのは。あくまで予定の行動。
どうせ血をやらなければならない相手なら。
そうするしか、ないんだろうから…
濃紺のストッキング地の靴下だって。
あんたの好みに合わせてやったんだぜ?
ただ…
女房の肌色のパンスト破かれるのは、ちょっと抵抗あったかな。
グラス傾ける女房の横顔と。
あんたに噛み破かれるだろう肌色ストッキングのふくらはぎと。
等分に盗み見ちまっていたっけ。
気がついたとき。
女房のやつ。
蜘蛛の巣みたいに噛み破られたストッキングの脚、ばたばたさせながら、笑いこけてるし。
俺の靴下が破けているのまで、笑っていやがった。
このひとよほど飢えていたのね。だって。
失礼なっ。
夫婦の足許
2010年07月27日(Tue) 07:49:44
酔いつぶしちゃった夫婦者。
見ろよ、だんなのほうはストッキングみたいな靴下履いているぜ?
スラックスのすそを、引きあげて。
いちおう、試してみるか。
ちゅるっ。
ウン。悪くない。
でもやっぱり。
ワンピース姿の奥さんの、肌色ストッキングのほうに気が行くな~。
あぁたまらない。さぁ、寝入っているうちに・・・
かりり…
あーあ。びりびりに破けちまった。
やっぱりこちらのほうが、いいお味だね。^^
だんなのほうも…靴下の舌触りだけは合格かな?
紹介された熟女
2010年07月27日(Tue) 07:29:56
大学教授を夫にもつ淑美夫人は、54歳。
ある日とつぜん、齢不相応な真っ赤なタイトミニを穿いて街を闊歩したときには、
周囲のものは驚きに目を見張ったものだった。
わけを知っているものたちは、口辺に嬉しげで悪戯な笑みをよぎらせ、すぐに消していった。
篤志家でもある彼女やその夫のことを、ふよういに侮辱したくなかったからだ。
齢不相応なタイトミニを穿く。
それはこの街では、言外のルール化しているならわし。
吸血鬼に柔肌をゆだねるようになった婦人たちは。
淑やかな衣装をかなぐり捨てて、いちどは人目をひく姿をしてみせる…という。
そう。
四十路も半ばになるわたしの妻が。
オフホワイトのタイトミニをまとった腰をしならせながら、街を歩いたのは。
つい、先月のことだった。
この街で篤志家と称せられるのは。
街に棲みついた吸血鬼たちに、わが身や家族の生き血を与えるようになった者。
妻の相手は、息子の友人、そしてその父親だった。
お礼に。女性をひとり、紹介するよ。
わたしよりもやや年長の、その父親は。
後ろめたさに目を伏せながら。自分の姉という女の名を告げた。
それが、淑美夫人だった。
ようこそ、おいでになりました。
玄関先で三つ指ついて、礼儀正しくお辞儀をする淑美夫人は。
まさしく、教授夫人にふさわしい礼節をたたえていて。
主人、留守ですの。
そのもの慣れたいいかたは、すでに完全に調教され尽くしてしまっていることを思わせた。
妻もいまごろ、わたしが留守にした自宅のなかで。
だれかにきっと、囁いているのだろう。
主人、留守ですの…
血に飢えた喉は、それを抑えようとする理性とは裏腹に。
目のまえの女体が宿す、熟れた血潮を欲している。
女は目ざとく、わたしの様子をみとめると。
どうぞ…
小声で呟いて、真っ白なフレアスカートからひざ小僧を覗かせた脚を、差し出してきた。
いきなり首すじに噛みつくのは、どうかな…
慣れていないと思わぬ怪我をさせることもあるし、
それに初対面のご婦人の素肌に、じかに噛みつくというのはいかがなものか。
さいしょは着衣越しに噛むのが、礼儀とされているんだよ。
淑美夫人を紹介してくれた男~妻の情夫でもある~は、そういうと。
奥さんのときも…、と言いかけて。
失礼。香奈枝さんの脚は、いつも舌触りのよいストッキングにまとわれているのだね。
妻の名前を慣れ慣れしく口にするその態度に、なぜか怒りや屈辱とは裏腹なものを覚えていた。
目のまえに差し出された、教授夫人の足許は。
黒のストッキングが薄っすらと、染めていた。
わななく唇を、近寄せて。
親しげな笑みの見守るなか、這わせてしまっている。
教授夫人のストッキングは、ざらざらとした舌触りがした。
主人もうじき、戻りますの。
どうか、ごあいさつをしていってくださいね。
私…それまでのあいだこのストッキング穿いていますから。
スカートの奥にまで這い込んだ伝線は。
わたしが欲情のあまり、つけた痕。
穿いたまま…できるでしょう?
スカートをたくし上げさらけ出した太ももを、鮮やかに横切るガーターを見せびらかして。
女はじゅうたんの上、仰向けになる。
濃厚な香水交じりの声色は、語尾をかすかに震えさせていて。
高価なものらしいブラウスごし、柔らかな乳房がぷるぷると昂っていた。
そのとき手触りがまだ、掌をじんじんとさせていた。
お帰りなさい。
あ…お邪魔しています。
ああ、いらっしゃい。
教授は蓄えた白い口髭で、表情を隠していて。
さいごにイタズラッぽく、こちらをふり返る。
家内がだいぶ、お世話になったようですね。
平静を取り繕うことになれてきたわたしは、
自分でも訝しいほど軽々と、こんな返しで応じている。
エエ、どうか先生も、ぜひうちへお越しください…
初夜の廃屋
2010年07月22日(Thu) 08:14:08
忘れられない光景だった。
制服ごしにしか視たことのない、ユカのおっぱいを。
男は我が物顔に、揉みしだいている。
そうされることを、予期しながら。
ユカは思い切りよく、制服を脱いで。
ブラジャーにまで手をかけようとして。
どうしたことだろう?
ユウタは自分から、彼女の肩先に、手をかけて。
ブラジャーのストラップを、解いてゆく。
そうして、じぶんの一番仲良しの悪友に、
未来の花嫁の素肌を見せびらかしていったのだ。
上半身は、裸。
下半身は、まだ制服に包まれている。
かえってエッチかも♪
どうやら自分の知らないところでもの慣れてしまったらしいことに、
多少のいら立ちをおぼえながら。
それでも未来の花嫁が不埒な逢い引きを遂げてゆくありさまから。
視線を遠ざけることができなかった。
ふたつの身体が、バランスを失って。
ひかれたせんべい布団のうえに、まろび臥していって。
そんなこと、いけないはずなのに。
自分のまえで、赦しちゃっている。
ユウタ、ごめんね。でもあたし、ガマンできないっ!
今夜ひと晩、ここにいても・・・いいよね?
じいっと見つめる瞳に、逆らうすべはなかった。
制服のスカートの裾から、黒のストッキングにつつまれたひざ小僧が見え隠れしている。
発育のよいふくらはぎが、ジューシィに輝いている。
薄々のナイロンを、はち切れそうにさせながら。
あっ、あっ、あっ・・・
いよいよ切迫してきた、彼女の息に。
ユウタも息を、詰まらせていって。
ふすま越しとは思えないくらい、近いへだたりに、
辟易しながらも、座をはずすことができずにいた。
足がしびれたよ。
背中が痛いわ。
朝帰りの制服姿を、早起きな村の人たちは、見て見ぬふりを決め込んでくれている。
泥、ついてるぜ。
頬に撥ねた泥をハンカチで拭ってもらうと。
彼女ははじめて、感情の昂りを面ざしにみせた。
きょうは学校、休もうな。
履き替えた三つ折りソックスのくるぶしにまで、
ふくらはぎを伝い落ちる血が、したたりおちてきていた。
あとがき
けさも、すとれすは満開みたいです。--;
廃屋の男女
2010年07月22日(Thu) 08:01:34
どこまで許してるの?
あたしは、胸を触るとこまで。エツコは?
脚触るのだけ、オッケーなんだけど。
ストッキング履いたままじゃないとダメよって言ってある。
ふ~ん・・・
かえってそっちのほうが、やらしいかもね。
セーラー服の細い肩を並べて、ふたりの少女が入って行くのは、村はずれの廃屋。
待ちうけている吸血鬼二人組は、兄弟だった。
早く済ませてね。きょうはお手伝いを頼まれてるの。
ユカはさばさばと言いながら、手早く制服のリボンに手をかけた。
あたしも、ユカといっしょに帰るから。
エツコは口ごもりながら、同級生ほどは思い切りのよくない態度で、
それでもいっしょに並んで、おそろいの黒のストッキングのふくらはぎを、うつ伏せていった。
うふっ、いただきます。
兄弟は目配せし合って、それぞれの相手の少女にのしかかってゆく。
ちゅっ。
くちゅうっ。
黒のストッキングごし、吸いつけられる唇に。
少女たちは顔見合せて、唇を噛んでいる。
白い脛を薄っすらと滲ませた、透きとおるほど薄いナイロンは。
清楚で知的な風情を、よだれに濡らされていきながら。
むたいないたぶりをまえに、皺くちゃになっていく。
あっ、もう・・・っ
ユカが怒ったように声をあげたのは。
薄手のストッキングにつつっ・・・と伝線が走ったときだった。
少女たちの装いにほころびを作ってしまうと。
男どもはただの悪童に、変わっていった。
自分から脱いだセーラー服の上衣は、部屋の隅にきちんと畳まれていて。
着けたブラジャーの下にまで這いこんでくる指に、
ユカは困ったような照れ笑いを、同級生に投げていた。
うぅ。いいおっぱいしているな。
吸血鬼の兄貴は、ユカのおっぱいに夢中らしい。
これできるだけで、吸血鬼になれてよかったよ。
弟のほうは、エツコの黒ストッキングにまだ、執着している。
もうっ、いい加減にしてツ!
エツコがさっきから鋭い叱声を投げているのに。
却って愉しげに、少女の脚をいたぶりつづけているのだった。
嬉しいな。ショウジの彼女に、こんな悪戯できるなんて。
彼氏の名前を口にした吸血鬼に、エツコはちょっとだけ口をつぐんで。
それ、言いっこなし。
相手の少年の頬に、手を当てるまねをした。
制服のスカートの奥にまで、手を突っ込まれて。
太ももの付け根の、敏感な処にまで、指を這わされて。
こみあげてくる昂りを、しいて抑えながら。
ねぇ、ショウジのこと、好きなの?
試しに訊いてみた問いに、力強い頷きがかえってきた。
大事な友達の彼女に、そうやって手を出すわけ?
仲良しだからよけい、そうしたいんだ。
男の言い草を、どこまで理解できたものか。
優等生のエツコにも、自信がなかった。
またね。
じゃあね。
男の子ふたりと、女の子ふたりは、手を振りながら、別れていく。
ふつうに学級活動をした後のように。
少女たちは、制服のスカートの奥やブラジャーの下にまで沁み込まされた疼きを、
夕涼みの風に吹き飛ばしながら、わざと取り繕ったサバサバとした態度で、
じゃあねっ!
男の子みたいに威勢のいい声で、別れを告げる。
友達の姿が曲がり角に消えると。
エツコは息を詰めて、すたすたと歩き出した。
悪りぃな、ショウジ。
いいんだよ。
悪友どうしは、はにかんだような笑いを、交わし合う。
裸電球が細々と点る、廃屋のなか。
人間の男女は、学校の制服姿。
同年代の吸血鬼は、墓場から出てきたときの経帷子。
隣でもおなじような光景が、繰り広げられているらしい。
ユウタのやつ、だいじょうぶかな。
今夜ユカのやつ、初めてブラジャーをはずすんだって。
三人がいちように窺った、ふすま越し。
うふふふ・・・ふふふ・・・
含み笑いだけが、響いてきた。
じゃあこっちも、始めるか。
促したのは、未来の花婿のほうだった。
じゃあ・・・いただきまぁ~す。
おどけた調子で抱きついてきた吸血鬼に。
少女は、みんなやらしいっ!って、しかめ面を作っていた。
こんなふうに、いつも触っちゃっているんだぜぇ。
親友のまえ、親友の彼女の制服のスカートのすそをつかんで。
スカートの奥にまで、指を忍び込ませていって。
太ももの微妙なあたりまで、まさぐっていく。
少女は彼氏にはしたないところを見せまいと、
昂って来る息をいっしょうけんめい、こらえていて。
ポッと上気した頬の初々しさに、どちらの少年も夢中になっている。
黒のストッキングに染まって大人びてみえる脚が、微妙なくねりをみせるのを。
未来の花婿はいけないものを視るように、さりげなく盗み見をしてしまっていた。
ユカ、識っちゃったのかな・・・?
なにを?
いわせるの?
ききたい。^^
男のひとの・・・味をさ。
うふふふっ。そうかも・・・ね。
きみも、識りたい?^^
彼とは祝言まで、いけないことになっているんだろ?
男がなにをいいたいのか、結婚を約した男女にもすぐに通じていた。
処女の生き血、今夜で吸いおさめにするんだな?
男たちは少女を、視るともなく視た。
少女は品定めをするように、男ふたりを等分に見返して。
ひと息溜め息をすると、おもむろに口を開いた。
あたし今夜、残ってもいい・・・?
苗字はきみの苗字に。でも分け前は、平等に・・・だね?
覗いてもいいかな?
エエ、覗いていてちょうだい。あたしにとってもたいせつなひと刻だから。
エツコ、やらしいぞ。
気まり悪げに苦笑する、彼女を前にして。
悪友同士は、ひじでお互いをつつき合っている。
すれ違った女学生
2010年07月22日(Thu) 07:16:04
道端で行き逢った、制服姿の少女。
いつものように礼儀正しくお辞儀をして、すれ違って行った。
口許についた血が、彼女の母親のものだなんて。
あの娘は夢にも、おもうまい。
彼女の母親を、いま襲って来たばかり。
娘の血も、きっと旨いに違いない。
見なれた濃紺のセーラー服姿の、スカートのすそから覗いたふくらはぎが。
なまめかしい黒のストッキングに染まっていたのを。
男は脳裏に刻みつけた。
お話があるのよ。
母親に呼ばれた少女はひとり、床の間のある部屋に入って行った。
仲良くしていただかなければならない殿方が、いらっしゃるの。
いえ、ミチオさん以外に ですよ。
どういうこと?ですって。
あなたにはまだ、我が家のしきたりをきちんと訓えていなかったわね。
お嫁入りまえに、身持ちの正しさを証明するために。
うちの女たちは代々、生娘の生き血を味わっていただいているの。
さっき、すれ違ったでしょ?あのかたに・・・
こんどの週末、連れていって下さるわ。ミチオさんが、貴女のエスコート役になって。
処女の生き血を吸わせる?
そのひとのところへは、夫となるひとが同伴してくれる?
あまりにも突飛な話に、少女は恐怖するよりも。
むしろ、不思議な心地を覚えていた。
週末まで、お待ちになれないんですって。
母親は、制服姿の娘をまえに。
口ごもりながら、そう告げた。
母さんが番をしてあげるから。あなたお相手なさい。
そそくさと言い捨てるようにして。
着物の裾を翻していく母は。
襟足に赤黒いシミを、滲ませていた。
娘の負担を少しでも軽くしようとして。
お笑いぐさにしか、なりませんね・・・?
着物の裾を、乱すとき。
お父さん、ごめんなさい。
母はきっと、そう呟いたはず。
うふふふふっ、えへへへへえっ・・・
男はさっきまでと打って変った、下卑た態度で。
制服姿の娘の、足許ににじり寄る。
ミチオさんに気取られてはなりません。だから、首すじだけは咬まないでね。
母親の言いつけを、彼なりに、守ろうとしているというのだろうか。
薄墨色のナイロンに、薄っすらと染められた脛は。
男に節度を求めるには、あまりにもなまめかし過ぎたようだった。
涙も凍るほど、縮みあがって。
少女は恐る恐る、男の相手をはじめている。
ただ唯々諾々と、されるままにされていく。
そんなぎこちない相手の仕方に過ぎなかったけれど。
抵抗しない。ただそれだけで。
男を発情させるには、じゅうぶんだったらしい。
黒ストッキングのうえから押しあてられた唇は。
ぬらぬらとした唾液を、少女の足許に光らせていって。
むたいになすりつけられるべろが、
少女の礼装をふしだらに、ねじれさせていった。
あぁ~っ・・・
血を吸い取られてゆく少女の悲鳴をよそに、
母親は無表情に、夕餉の食器を並べている。
度胸がついたようだな。
伴なった少女に、男は無遠慮な声を投げてきた。
こくりと頷く横顔は。
いままで見たことがないほど、大人びていた。
少年は同い年のはずの少女の手を取って、
ぶきっちょな手つきで、許婚の掌を男に握らせていった。
手加減してやっておくれ。頼むからね。
気弱そうな色白の頬に、こわばった微笑を浮かべながら。
少年はそれでも、覗き見してよい、という特別の権利を。
ためらいながらも行使するつもりでいるようだった。
ふすま越し。
あお向けになった少女は、表情を消して。
白くてほっそりとしたうなじに、唇をつけられていった。
ちゅうっ・・・
静かな吸血の音に。少年はひそやかな昂りを覚えはじめて。
そんな自分に、驚きを禁じえないでいる。
ちゅっ・・・
制服のスカートの足許に。
男の唇がふたたび、這ったとき。
少年はぞくり・・・と、股間がこわばるのを感じていた。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
冷酷なまでにしずかな、吸血の音が。
あたりの静寂を、猥褻なものに塗りかえてゆく。
こんにちは。
母にお逢いにいらしたのですか?
少女はおさげ髪を、振りながら。
すれ違った来訪者に、声をかけた。
少女のつれの少年も。
あとで彼女のことも、行かせますね。
男に親しげに、声をなげていて。
侵すものと侵されるものとは、照れたような笑みを交わし合う。
礼儀正しい会釈を投げて、立ち去る少女の足許を。
男はじいっと、見つめている。
帰宅してきた少女を襲うとき。
あの黒のストッキングをどんなふうに噛み破ってしまおうかと、舌なめずりをしながら。
一夜の差。
2010年07月22日(Thu) 06:54:16
妻は強姦され、母まで操を奪われた。
一夜明けて。
嫁と姑は、嬉々として。
苦笑いを浮かべる夫たちを横目に、
共犯者同士のくすくす笑いを交わし合いながら。
今夜お相手をする順番を、くじ引きしている。
あとがき
ジャンルは「短文。」にしようかとおもいました。(^^ゞ
負けないわ。
2010年07月21日(Wed) 05:55:03
ふつうよりちょっとだけ幸せだった女の子が、
ふつうよりもよほど不幸せな境遇になったとき。
運命はふたつに、別れるらしい。
けれどもその子は、強い子だった。
裕福な家の一人娘に生まれ、育って。
しつけの厳しい親は彼女を、大人しいけれどもシンの強い子に育てていた。
あたかもこれから来るであろう困難に用意をさせたかのように、十六の齢まで育て上げて。
かれらはひっそりと、彼女の前から姿を消した。
どこにいても目だたないその少女は、
もとより友だちも、ほとんどいなくて。
親たちにすり寄ってくる追従者も、
遺産目当てに現れた親類と称する男女も、
世知辛い借金取りさえも訪れなくなった、がらんどうの大きな邸で。
たった独りの少女は、ひとりの男を迎えていた。
ほんの行きずりの、一夜の宿に困った男。
しいていうのなら、すこしだけ変わった性癖の持ち主で。
人の生き血を吸って暮らしている、吸血鬼と呼ばれる男だった。
初めて噛まれて、
息を詰めたまま、応じていって。
引き離されて初めて見たその男の顔は、絶望的な蒼さから救われかけていた。
少女は自分の血を散らした頬にも、その血を滴らせた口許にも臆せずに。
気が済んだ?
気遣われていると察した男は、ひどくうろたえていた。
いっしょに、住も。
そのことがなにを意味しているのか、識らない齢ごろではなかったはずなのに。
少女はむしろ、愉快げに。
見ず知らずだった男に、一室をあてがった。
だってあなた、表に出ていったら、かならずだれかの血を吸うのでしょう?
迷惑がられるわ、きっと。
私があなたを、閉じ込めてあげる―――
わしを囲いものにするとは、たいした娘だな。
おまえを支配して奴隷に堕とすくらい、わけのないことなのだぞ。
けれども、一宿一飯の恩義というものを、さすがのわしも心得ておる。
娘、お前を奴隷の境涯には堕とすまい。
対等なつきあいとやらを、してやろう。
吸い取る血も、そんなに多くは必要ない。手加減してやるからな。
なんなら小遣いを、はずんでやってもよいのだぞ。
お小遣いなんて、いらないわ。
わたし、ここでじゅうぶんやっていけますもの。
たとえあなたがわたしに、もっとむたいなことをはたらいても。
わたし淫売娘では、ないですから。
そうね、でもお食事代と、汚したお洋服だけは弁償してもらおうかしら?
見かけによらず存外、つよい娘なのだな。気に入った。
では遠慮なく、血をご馳走になるぞ。
なに、わしだってむやみやたらと、女を手ごめにするわけではない。
淑女には淑女の、生娘には生娘の、あしらいようがあるからな。
では遠慮なく、お前の血を吸って、こぎれいなおべべもたんと汚してつかわそう。
どうぞ、ご遠慮なく。でも試験の前の日だけは、許してね。
幸い着替えをもっているから、明日の試験も出られるわ。
血の撥ねたセーラー服のあちこちを、点検しながら。
噛まれたふくらはぎにべっとりと血のついた、真っ白だったハイソックスを脱ぎ捨てて。
少女は顔色もかえずに、もの欲しげにしている吸血鬼の鼻先に、
脱いだハイソックスを見せびらかすようにして、手渡していった。
小柄な体で、わしをどこまで養えるかの?
からかうようにうそぶいた男に、少女は言った。
負けないわ。
風変わりな日常が、さりげなく過ぎていった。
少女はいままでどおり、学校に通って。
独りきりの日常を、淡々と暮らしていって。
部屋が暗くなるころ、自室からひっそりと抜け出してきた黒い影に。
こざっぱりとした服を着て、相手をしてやって。
毎回のように濡らされるカーディガンやスカート、噛み破られたハイソックスを、
苦笑しながら、脱ぎ捨てて。
もの欲しげにこちらを窺う吸血鬼に、惜しげもなく与えていった。
女の子の服が、好きなのね?
私のでよかったら、好きにして。
気が向いたら、制服を着て。
黒のストッキングを履いてあげるから。
相手の服を血で汚し、怯えさせて愉しむ習慣を、
こんどは男が恥じ入る番だった。
ほんとに汚されたくない服のときは、言うのだぞ。
照れ隠しにうそぶく男に、少女は言った。
だいじょうぶ。
少女を好きだという少年が、あらわれた。
邸に訪ねてきたその少年に、少女はいった。
悪いけれど、あきらめて。
あたしもう、お婿さんどうぜんのひとがいるの。
少年は愕然としたけれど、事情を聴きだすと一歩も退いてはならないとおもったらしい。
暗くなるまで、家にいさせて。
ボクその男と、話をつけるから。
今すぐ出ていってもらうか、仲良くできるのか、ふたりで相談したいから。
少女は言った。
三人よ。
ごめんなさい。フクザツなことはわたし、ダメなのよ。
少女の目線は、まっすぐだった。
以前よりちょっとだけ蒼くなった頬に、透きとおった笑みを浮かべながら。
少女は初めてだった同年代の男の子の求愛を斥けた。
わたしは彼と、別れない。
ボクも彼と、仲良くなれそうなんだ。
口ごもりながらそう告げる少年に。
あたし、あなたのことヘンだとは思わない。
でも―――フクザツなこと、ダメなんだ私。
少年は言った。
けれどもボクも、あきらめないよ。
数年の歳月が過ぎた。
男は邸に棲みついていて。
少年も時折、通ってきて。
少女はそのどちらをも、静かにほほ笑んで迎え入れる。
あまりにも蒼い顔になった少女のため。
身代わりにきみの服を着て、彼の相手をしたい。
含羞を交えて少年が申し出たときも。
ゆっくりとかぶりを、振っていた。
いつもより少しだけ、優しい目になって。
出ていったほうが、いいのかね・・・?
棲みつく男が、時折り遠慮がちに、
ボク、もう来ないほうがいいのかな・・・
通ってくる少年が、時折り自信なげに、
そんなふうに呟くときも。
少女は謡うように、はずんだ声で応えている。
いっしょにいてね。いつまでも・・・
あとがき
少女が大人の女になったとき。
ふたりの男をふたりながら、受け容れることができるようになるのでしょうか。
もしそうなるとしても、少女は淡々と、自分を運命にゆだねるのでしょう。
よそ目には、まがまがしい関係であっても。
無責任な世間の目は、彼女の心に食い入らないだろうから。
嫁と姑。
2010年07月20日(Tue) 07:03:37
言葉巧みに呼び寄せられた妻は、
ブラウスをはだけ、ストッキングを引き裂かれて帰宅してきた。
奥さんは、いい身体をしているね。
男は悪びれずにそういって、わたしは不可思議な昂りに震えながら、応えていった。
嫁の受けた不名誉に憤慨し、抗議に赴いた母は。
胸もとを引き締めていたリボンをほどかれたまま、スカートなしで帰ってきた。
お母さんも、いい身体をしているね。
男は悪びれずにそういって、父もわたしも彼におめでとうを告げていた。
苦笑を交える夫たちをしり目に、
女ふたりは、きょうのお当番はどちら?って。
愉しげに笑いを交わし合って、くじを引いている。
母の嫁入り。
2010年07月20日(Tue) 06:57:02
おばあちゃん、みたいなものでしょうね・・・
父の言い草に、男はゆっくりとかぶりを振った。
妻をものにし、いままた母までも毒牙にかけた男は。
わたしたちに屈辱を強いながら。
どこかで慰めも、もたらそうとしている。
楚々とした風情が、たまらないのですよ。
夫婦のベッドにむぞうさに投げ込まれ、ひと晩じゅう凌辱のかぎりを尽くされた妻は。
いまは白目を剥いたまま、あお向けになって静かになっている。
大奥様にも、そろそろ静かになっていただきましょうか?
男の含み笑いに、仕方ありませんね・・・父はいつものように、寛大な夫として振る舞っている。
永年連れ添った妻が、無理強いに強いられて、畳のうえにはじめて操を散らしたとき。
縛られた父は、視ることを強いられていた。
泣くことは、ないのだよ。
泣きじゃくりながら犯される母を、なだめながら。
忘れてしまいなさい。
忘れることが、できなければ。
むしろ、愉しんでしまいなさい。
そんな練れた言葉を、父の口から聞こうとは。
強がりに、口にしたのだろうか。
屈辱をあらわにしたくないばかりでは、なさそうだったが。
そこから先は、息子のわたしの知るところではなかった。
おや、きょうはお出かけにならないのですね?
男は冷やかすように、父を見て。
父はくすぐったそうに、肯定の頷きをかえしていく。
ありのままをおっしゃい。
イタズラっぽい夫の声色に、母は顔を赫らめている。
あなたは来ないで。
さすがにわたしのことを、遮る母は。
瑶子さんの介抱、してあげるんですよ。
取ってつけたように、そんな言い訳を口にする。
ふふふ・・・
喪服姿って、いいですね。
両親の部屋から、そんな声が洩れて来る。
いまごろ母は、喪服のスカートをたくしあげられて。
うら若ささえ秘めた、楚々とした黒靴下の脚を。
なぞるようにねぶりつけられる唇に、ためらいながらもゆだねていっているのだろうか。
あとがき
三連休のときには、すっかりお休みで。
連休明けに、四連発。
われながらみごとなまでに、正直な反応です。(^^ゞ
選択肢。
2010年07月20日(Tue) 06:47:07
やだーッ!えっち・・・
妻の非難は、男ふたりに等分に向けられている。
夫のまえで自分を犯そうとする、情夫にも。
それを目の当たりにして、昂りはじめているわたしにも。
こういう関係になって、どれくらいになるのだろう?
男はわたしたちの日常に、ひっそりと入り込んできて。
いつの間にか侵蝕を広げていって、すべてを塗り替えてしまっていた。
たぶらかされた若夫婦は、
妻はうら若い血潮を好んで男に啜らせて。
夫は初めておぼえる異形の昂りに、男への服従を誓っていった。
箱入り娘で、嫁に来て。
苦労しらずの、良家の若妻となって。
いつも淑やかで、控えめな妻が。
そのときだけは、別人のようになる。
花柄のワンピースを、腰までたくし上げられて。
背後からずぶずぶと、侵されながら。
逆立ちするほどそそりたった、夫以外の一物を。
根元までずっぽりと、受け容れていって。
腰のうごきを、ひとつに合わせていく。
あっ、いやらしい。そんなとこ・・・
イヤだ。主人のよりも、大きいじゃない・・・
あ~、イッちゃう。イッちゃうっ!
そんな言葉、
わたしとのベッドのうえでは、ついぞ口にしなかったはず。
夫婦のベッドのうえ。
脱げかかった肌色のストッキングの脚を、ばたつかせて。
やがて大きく押し拡げられた脚のすき間に、浅黒く逞しい臀部を、沈み込まされてゆく。
そんな恥辱以外のなにものでもないことを。
わたしはいつから、恥知らずにも見つめるようになったのか。
そういえば。
嫁の乱行を留めるはずの、彼女の姑は。
黒の礼服を、着崩れさせたまま。
隣室であお向けになったまま、気絶しているはず。
男を受け容れる、大またを開いた姿勢のまま。
戯れに剥ぎ堕とされた、黒のストッキングは。
帯のように太くなった裂け目を、スカートの奥にまで走らせていて。
つい先日まで夫にしか許していなかった白い肌を、あられもなく露出させている。
父は永年連れ添った妻があきらめたように目を瞑ると、
なにも視なかったていにして、外套片手に出かけていった。
視さえしなければ、
そこにいるのは、昔どおりの貞淑な妻。
視てしまえば。
そこでほほ笑んでいるのは、妖艶な娼婦と化した、ひとりの女。
いずれの選択が、賢明なのだろうか―――?
妻の嫁入り。
2010年07月20日(Tue) 06:22:10
週にいちどと約束された、献血が。
三日にあげず、行なわれるようになって。
いままた、日課になりかけている。
献血当番ですの。
妻は蒼白い頬に、微笑を滲ませて。
含羞をよぎらせて、出かけていく。
きょうも黒のストッキングで、足許を染めながら。
清楚なはずの薄墨色のナイロンが。
いつか。。。淫らな彩りを交えるようになったのは、いつのころからだったろう?
そんなにしていると、死んでしまうよ。
いくら先方が気を使って、手加減してくだすっているにしても。
そう。男の言い草では、妻の身体から摂取する血液量は、ごく微量なものになっているという。
貴方や奥さんに、同情しているわけではありません。
血の濃さがなくなると、味が落ちるからですよ。
男はわざと、そっけない声をつくっていたが。
じつは妻を気遣っている…痛いほどこちらに伝わって来るのは。
わたしの最愛の女(ひと)を、同時にかれも愛しはじめたということが。
男ふたりのあいだに、共感として流れるようになったからなのか―――
忌むべきはずの関係を、わたしは肯定的に抱きとめる気になっていた。
はじめて、妻の身代わりとして訪れたとき。
妻が彼のために、黒のストッキングを装うのを知っていたわたしは。
せめてすこしでも、彼の好みに合わせてやろうと。
紳士用の、薄々の靴下を履いて行った。
敵意のないという意思表示には、なったようだ。
くまなく唇を押しあてられた薄手のナイロンは、ばちばちとかすかな音をたてながら。
まるでオブラアトのように他愛なく、裂け目を広げていった。
あなた・・・
妻のいないときに、帰宅して。
咬み破られた長靴下を、素知らぬ顔をして洗濯機に放り込んで。
半日経った翌朝のこと。
妻はわたしの来訪を、洗濯機の中身で知ったらしい。
かれは約束通り、わたしの行動を黙っていたはずだから。
きのうの靴下、記念に取っておきます。嬉しかったわ。
おなじ牙を体験したもの同士のほほ笑みが、そこにあった―――
お嫁に行かないか?
え・・・?
わたしの呟きに、ビクッとふり返る妻。
苗字はわたしの苗字のままでいい・・・って、彼言ってくれているんだ。
そういう複雑な関係は、面倒だろうか?
でも・・・きみを喪いたくない。そういう想いでいっぱいなんだ。
さいごのひと言は、さすがに口にする勇気がなくて、じっと見据えた目線に込める。
妻はさいしょはいぶかしげに、そしてしんけんにわたしを見返してきて。
さいごに、こくりと頷いていた。
感情を消そうという必死の努力を、ありありと滲んでくる安堵の情が、裏切っていた。
伏せられて置かれた妻の掌のうえに。
かさかさに干からびた彼の掌を、重ねていって。
おめでとう。
いい餌を、獲られたね。
おめでとう。
いい情婦に、おなりなさい。
ふたりに等分に、声をかける。
引き出物は、情婦となる女の、夫の血。
わたしはスラックスのまま、その場にうつ伏せになっていく。
夫の血を吸い、その妻の血を吸う。
もうろうとなったわたしのまえ、うろたえたその妻は、
初めて操を喪うというおぞましい体験に打ち震え、
戸惑いながら、部屋の隅っこに追い詰められて。
軽くいやいやをしながら、うなじを咬まれてゆく―――
献血、だね。
そうね・・・
そっと差し伸べられた掌を、つよく握り返してやると。
彼女は決心がついたように、自分から掌をほどいていった。
はぁ、はぁ、はぁ・・・
いままで目にしたどんなラヴ・シーンよりも。
より鮮明に網膜に刻みつけられた、妻の媚態。
貞操を弔うと称してまとわれた、漆黒の礼服は。
みるみる着崩れしていって。
四つん這いにされた今は、スカート一枚を残すだけになっていて。
あらわに露出したおっぱいを、たぷんたぷんと揺らしながら。
そのスカートをさえ、腰までまくりあげられて。
ずり落ちたストッキングの太もものあいだ、
逞しく逆立てられたものを、ずぶずぶと突っ込まれてしまっていて。
主人のよりも、大きいわぁ・・・って。
イヤだ。恥ずかしいっ。感じちゃう!・・・って。
もう少し、あとちょっとだけ・・・貴方の前で見せつけさせてくださいね・・・って。
情婦への服従を誓う、はしたない声まで、洩らしつづけているのだった。
記憶はなによりの、贈りもののようだね?
別れ際わたしが口にした言葉に、男はくすぐったそうに照れ笑いを浮かべる。
その夜一夜、妻のことは花嫁として、男の住居に残していった。
吸い尽くされてしまっても、おかしくない状況をつくってやることで。
全幅の信頼を、かれに捧げたのだ。
翌朝。
戻ってきた妻は。
村のみんなに、視られていた。
寝乱れた髪に、胸のはだけたブラウス。
ひざ下までずり落ちた、黒のストッキングに、
太ももを伝い落ちる、どろどろとした粘液を。
出勤途中。
毎朝すれ違うその男は、いつもの卑屈さと打って変って、明るい笑いを眩しくたたえていた。
ごちそうさま。奥さんいい身体、しているねぇ。
あっけらかんとした、感謝の声に。
わたしもかるがると、応じている。
喉渇いたり、やりたくなったりしたら。いつでも声かけてくださいね・・・と。
あとがき
寝取らせる男って、突飛な想像かもですが。
いやらしいですよね。やっぱり・・・
妻の代役。
2010年07月20日(Tue) 05:50:09
献血当番に行ってまいります。
妻の口からこのことばを聞くようになって、どれほどになるだろう?
この土地に移り住んでまだ、いくらもたたないというのに。
わたしたち夫婦は、異形の風習をしみ込まされていた。
村はずれに棲むある特定の人々の嗜好に、女家族の血を与えるという。
きょうも、献血当番なの。
華奢な身体つきの妻は、蒼い頬に薄っすらとした笑みをたたえながら。
きょうも、黒のストッキングを脚に通してゆく。
このごろすぐに、お当番なのよね。。。
はからずも洩らした、ため息交じりの呟きに。
ある疑念がふつふつと、わいてきた。
そういえばこのごろは、妻が出かける頻度が増えている。
週にいちどの約束だったのに。
このごろは、三日にあげず出かけていくではないか。
コツコツとノックをした、その古びた住宅は。
都会ふうに洗練された妻の装いには、およそ不似合いなほどみすぼらしい。
この一軒家に棲む、わたしよりも年上の独身男が。
妻の肌に唇を這わせるなど。
それこそもってのほかの想像だったのだが。
男は道で逢うたび、ひどくおどおどとしていて。
卑屈なまでに、謝罪交じりの会釈を投げてくるのだった。
きょうの献血当番は、うちだったね。
どうしてもぶっきらぼうになってしまう声色をさえ、男は黙々と受け容れてくる。
半ば軽蔑に似たものが、わたしの鼻先をよぎっていった。
妻の具合が、わるくてね。
今回の餌は、わたしなのだよ。
男の血など、好みではないだろうが・・・我慢してもらうよりなさそうだね。
皮肉を交えて響く、うつろな声に。
男はそれでも表情を消して、頷いてくる。
脚から咬むんだって?
忌まわしい想像に、語尾がふるえた。
妻はいつも、気に入りの黒のストッキングを脚に通していった。
帰宅するときには必ずといっていいほど、裂けたストッキングをそのまま履いていた。
ときには、ノーストッキングのときさえあった。
なにをされたのか。
どれほどされたのか。
その想像が、異様な昂りを招くのを。
わたしはわたし自身に、禁じることができなくなっている。
直接素肌に唇をあてるのは失礼だから・・・って、そう仰るのよ。
妻は確かにそういったけれど。
でも・・・女もののストッキングもお好きなのかも。
つけ加えられた呟きが、わたしの想像をさらに刺激していた。
引きあげたスラックスの下。わたしの脛を染めているのは、
紳士用とはいえ、ストッキング地の薄さのナイロンだった。
すこしだけ、あんたの好みに合わせてみたよ。
さりげない態度に、男は感じ入ったように、いつもにも増して慇懃な会釈を投げてきた。
すみませんね・・・
男はちょっと、たまりかねたように呟くと。
それでもすうっ・・・と、わたしの足許ににじり寄ってきて。
深々と腰かけたソファに、のしかかってくる重みが加わった。
チクッと刺されるような疼痛に、わたしは軽いうめきを洩らしている。
かすかな傷みよりも。
這わされた唇が薄いナイロンごしに伝えてくる熱情が。
わたしに、われを忘れさせていた。
ごく、ごく、ごく、ごく・・・
咬む気配。啜る音。
すべてが欲情に、満ちている。
ひざ下をゆるやかに締めつける、薄いナイロンの束縛は。
甘えるようなひと咬みごとに、ほころびを滲ませていって。
ぱりぱりぱり・・・ッ
他愛なく咬み破られ、ずり落ちてゆく。
妻も、こんなふうにされているのか・・・
えもいわれぬゾクッとした快感が、身体の芯を通り抜けた。
男の唇にたぎるのは、あきらかな劣情。
そしてわたしはその劣情が妻にのしかかるのを、受け容れようとしている―――
ちゅううううっ。
咬むものと咬ませるものとの、共同行為。
わたしはぼうっとなった頭をゆるく振りながら、
会社に欠勤の連絡を入れている。
酔い心地に似た快感を、居心地良く感じながら。
献血当番を決めているのはね。
ほかならぬ、奥さんご自身なのですよ。
男のいうことを、わたしは信じる気になっている。
あまり頻繁だと、生命にかかわらないかね?
わたしの懸念を、かれもが共有していることを。
受けとめた顔つきと声色が肯定していた。
いい方法があるのですよ。
奥さんの生命も別状なく、なおかつわたしも満足できる方法が。
ここでなにが起こるのか、あなたが一切問わないのなら。
わたしはひと言、呟きかえしている。
問わないよ・・・
献血当番なんですの。
妻はきょうも、羞じらいを含みながら。
わたしにそっと、囁いていく。
足許を染めるのは、妻のお気に入りの黒ストッキング。
このごろ薄さに比例したなまめかしさを、いっそうきわだたせているようだ。
ひきつれひとつない、真新しいストッキングの足許を盗み見るようにして。
安物だと、うちが恥をかくからね。
まぁ。
冷やかしだと受取った妻は、わたしの頬をかるく抓る。
妻が出かけたあと。
わたしがいつも、会社に欠勤の連絡を入れて。
妻よりひと足遅れて、おなじ場所を目ざすのを。
彼女はどこまで、気づいているのだろう?
いまは吸血鬼の情婦となった、わたしの令夫人は。
古びた畳のうえ、きょうもすらりとした脚を伸べていって。
あのなまめかしい黒ストッキングの脚に、飢えた唇を吸いつけられて。
白い脛を淑やかに染める薄いナイロンを、しわくちゃにされていって。
ひざ下まで破れ堕ちたストッキングを、脚に残したまま。
割りこまれた股の奥。
あの狂おしい吶喊に、いままでわたしだけのため淑やかに秘めてきた操を
劣情のぬかるみに、ためらいもなく浸していくのだろうか。
かれにいちどだけ許した、ふくらはぎには。
まだ、妖しい疼きが宿されている―――
あとがき
もう少し濃く描きたかったのは。
男同士の吸血で、夫が性的昂奮に目ざめるところ。
譲り渡された妻の、情夫と夫とのあいだで心揺らすところ。
まだまだですね。
次回に期待をしましょう。^^
授業中の吸血風景。
2010年07月16日(Fri) 07:45:44
アッ、なにすんだよッ。
ひどいじゃないか。こんなところで咬むなんて。
みんな見ているんだぜ?
いくら親の代からの関係だからって。
きみに、ボクの血を吸う権利があるからって。
痛い・・・痛い・・・
こんなところで、血を吸うなよっ。
あ・・・あ・・・あ・・・
キモチ・・・イイ。
エッ、マダ吸イタイッテ?
イイトモ。遠慮ナク飲メヨ。
喉渇イテルンダロ?
少シクライ気分悪クナッテモ、イインダカラサ。
オイシイカイ?
イイヤ。ボクノホウハ・・・気ニシナイデ。キモチイイカラ。
アッ、イヤラシイネ。マタ、すらっくすノ裾引キアゲチャッタリシテ。
靴下、キミ好ミノ薄イヤツ履イテキタカラ、好キナダケ愉シンデネ。
舐メ心地、イイミタイダネ。
舐メラレ心地モ、ナカナカナダケド。ウフフフフッ。
アッ、伝線ガ・・・
ヒドイナー。コンナニ他愛ナク破ッチャウナンテ。
イヤラシイ眺メダネ。
デモ、キミニツケラレタノナラ嬉シイヨ。
モット派手ニ破ッテ御覧。
午後ノ授業カラハ、キミガ噛ミヤスイヨウニ半ずぼんニ履キ替エテアゲルカラ。
長イ靴下。真新シイヤツ履イテキテ、ヨカッタヨ・・・
服屋の女房 ~女房に、喪服を着せて連れてこい~
2010年07月14日(Wed) 08:00:23
女房に、喪服を着せて連れて来い。
喪服のブラウスがびっしょり濡れるくらい、血を吸ってやるから。
お前は服屋なんだから。
きっと、喪服ですらセンスがあるんだろう。
たっぷり愉しんでやるよ・・・
やつのいうままに、連れていった妻は。
半開きになったドアの向こう側。
ベッドサイドに佇んで。
抱きすくめられて、首筋を咬まれていった。
さすがに服屋の女房だ。
喪服といえども、お洒落だな。
ベッドに抑えつけた妻に、息荒くのしかかりながら。
やつは妻の衣装を乱してゆく。
折り目正しい礼装は、乱されることでかえってふしだらさを増幅させるもの。
まして・・・黒一色の服地のすき間からあらわにこぼれる白い肌は。
舌なめずりするほど、おいしそうに映えていた。
さいしょは表情も硬く、重ね合わせた両手をきつく握りしめたままだった妻は。
やがてためらいがちに、相手を始めて。
さいごにははしたなく、堕ちていった。。。
はぁはぁはぁ・・・
ふぅふぅふぅ・・・
荒い吐息が、ふた色になるころ。
昼日中からはじまった、夫公認の情事は、限度を忘れて。
もう。夕陽が翳りはじめている―――
俺の女房に、ならないか?
キケンな囁きに。
妻は顔をそむけながら。
いいえ。
そのときだけは、はっきりとしていた。
あのひとの妻のまま、犯されつづけます。
鋭いナイフに胸をえぐられるように。
わたしはその場に、座り込んでいる。
あとがき
奥さんに。
自分のあつらえた服を着せて。
ほかの男に、襲わせる。
装いもろとも。
奥さんの肉体を、愉しませてしまう。
そんな趣向は、いかがですか・・・?
アーガイル柄のハイソックス。
2010年07月14日(Wed) 07:42:00
喉、渇いているんだろ?
わかる・・・?^^;
ひと目見りゃな。おまえは正直者だから。
ははは。^^;
ほら、遠慮なく飲めよ。(かがみ込んでくる友人に、スラックスをひきあげてやる)
うふふふふっ。お前いつもお洒落だね。アーガイル柄か。。。
ぐずぐず言わないで、早く噛めって。
ウン、じゃあ遠慮なく。^^
がぶり・・・
ちゅうっ・・・
ちゅ―――・・・
くちゅっ。
はあぁ。
気が済んだか?
おかげさまで。^^
脱がせるんだろ?
いや・・・靴下のお持ち帰りは、女子だけ。^^
なぁんだ。
でもお前のだけは、特別♪
勝手にしろよ。
彼女とおそろいか?順子きょうも履いてたよな。おまえのとおなじ柄のやつ。
チェックしてるねー。^^;
スカートだから目だつよな。
ハイソックスが好きな男の子は、さりげなくスラックスで隠すのさ。^^
舌触りは、彼女のやつのほうがいいけどな。
えっ!?どきっ!!!
冗談冗談。^^
でも・・・一部は事実?
うふふふふふっ。ご賢察にお任せします。^^
もう少し・・・噛んでもらおうかな・・・?^^; とても正気じゃいられないっ(〉_〈)
こんどは彼女のやつ、貸してもらえよ。俺からも話しといてやるから。
そうしてもらおう・・・かな?そのほうが話しやすそうだし。
じゃ~、こんどは舌触りのいいやつを・・・ね。
指きり♪げんまん♪ね♪
ふだんどおりに話すひと。 ~そろばんもようのハイソックス~
2010年07月14日(Wed) 07:17:03
待った?
こちらに歩み寄って来る順子は、緑のセーターに紺のスカート。
革靴の脚には、ひし形もようの柄のハイソックスを履いている。
いぃや。行こうか。。。
啓太は、詰襟の学生服。
着かえてくると言っていちど帰宅した順子と待ち合わせていたのだった。
女子の制服は、汚されちゃうからね・・・
首をすくめてフフッ・・・と笑う順子に、啓太は苦笑いをするばかり。
約束の場所には、”彼”はさきに来て待っていた。
喉渇いているのかなぁ。
順子はこっそりと、啓太に囁いた。
ウン・・・
あいまいに頷いた啓太だったが、すでに心臓がどっくんどっくんと、音を鳴り響かせている。
どういうわけか。
彼女が血を吸われるところを目にすると。
心臓の鼓動がひどく昂ってしまうのだった。
やぁ、お帰り。
”彼”は表向き、おだやかな初老の紳士だった。
ふたりは礼儀正しく会釈を返すと、すすめられるままにベンチに腰かけた。
ほほぅ。おしゃれな靴下を履いているんだね?
ひし形もようのハイソックスを、順子は気に入っていて、なん足も持っているようだった。
「そろばんもよう」と啓太が時折ふざけて表現するときには。
おまえ、数学得意だもんな。
つまらない冗談に、順子はいつも啓太を優しくにらみ返していた。
きょうはなん時に、おうちに帰してくれるのかな?
順子は臆面もなく、飢えた吸血鬼のまえハイソックスの脚をぶらぶらさせる。
そろばんもようが真っ赤に塗りつぶされるまで・・・かな?
”彼”はふう・・・っと、吐息を洩らす。
化け猫みたいな、なま温かな息が。
ハイソックスの生地ごし、順子のふくらはぎにふりかかった。
あの・・・お手柔らかにね、くれぐれも。
俺たち自分のほうからこうやって、小父さんに血をあげに来ているんだからさ・・・
同情を求めるように、啓太が言った。
分かっているさ。
老紳士はどこまでも、おだやかである。
じゃあまず、彼女のほうから・・・
さきに足首をつかんでふくらはぎを引き寄せたのは、やはり彼女のほうからだった。
それでね。今日かえされたテストのことなんだけど。
委員会の××がさぁ。○○とけんかしてたんだけど。
あー、あそこのケーキ屋おいしいよねぇ。
順子はどこまでも、くったくがない。
傍から聞いていたら、ただのクラスメイトの会話にしか聞こえなかっただろう。
足許に噛みついた吸血鬼が、ひし形もようのハイソックスを血に染めながら、食らいついているというのに。
隣に座っている啓太でさえ、時折気遣わしそうに彼女の足許を見やるのに。
順子は血を吸われているあいだ、とうとういちども足許に目線を落とさなかった。
さぁ、つぎはあんたの番だ。
”彼”は啓太のスラックスを引き上げる。
約束どおり履いてきた白のハイソックスに、目を細めて。
満足そうに、なぞるようにふくらはぎを撫であげると。
ぞくっ。
啓太は縮みあがって、足許をこわばらせる。
だいじょうぶ、だいじょうぶ。
隣から順子がなだめるように、彼氏の肩を抑えていた。
ちゅっ、ちゅっ、ちゅっ・・・
血を吸い上げる音さえもが、そそのかしているようだった。
ひと口吸われるたびに、啓太はガクガクと身体を震わせて。
昂奮していることをめいっぱい、吸血鬼と彼女とに視られてしまっている。
ばっかねぇ。
彼女はぷっと噴き出して、啓太の背中を叩いていた。
するり・・・するり・・・
血に濡れた二足のハイソックスを、
さいしょに啓太、それから順子の順番に、足許から抜き取ると。
”彼”は大事そうに、ポケットのなかにしまい込んだ。
家に帰ってから、また悪戯するんでしょ?
順子の冷やかしにさえ、素直に頷いている。
どんなふうに、もてあそばれるんだ?
まるで順子自身が彼の知らない場所でいたぶりをうけるように。
嫉妬に満ちた啓太の目は、ポケットにしまわれていく「そろばんもよう」のハイソックスを見つめている。
帰ろ。
促したのは、順子のほうだった。
ふたりは黙りがちに、吸血鬼の立ち去ったのとは反対側の出口を目ざした。
彼は裸足だったが、彼女はハイソックスの履き替えを用意している。
ねずみ色に赤のラインが二本、入っている。
こんどはこれ、履いてってあげようかな~。
順子は鼻歌交じり。
けれども啓太はいまだ去らぬ昂奮と衝動に、うまい受け応えさえできなかった。
感度、いいんだね。。。
別れぎわ、順子はそっと囁いた。
ウン、どうやらそうらしい。
羞ずかしげに俯く啓太の背中を、順子はどーん!と、男みたいにどやしつけた。
そういうやつって、やらしいんだぞ~!
啓太は照れ笑いをするしかない。
いつか。
あのひとはわたしのことを、求めるとおもう。
たぶん。
あなたよりもさきに、あのひとのことを、わたし経験することになるとおもう。
しょうがないよね。
しきたりなんだし。
ママも、あなたのお母さんも。
そうして女になっていったんだもんね。
約束して。
そのときになったら、エスコートするのはあなたなんだよ。
初めての経験、さいしょからさいごまで、見届けるのって。
男のひとにしたら、しんどいかな?きついかな?
でも・・・あなたにしか、お願いできないから。
パパじゃあ・・・いくらなんでも恥ずかしいからね。
もしもOKだったら。
返事は要らない。
わたしにキスをして。
目をつぶった順子は、上向けた唇に彼の唇がためらいがちに触れてくるのを感じた。
思いのほか熱い唇は、やがてたまりかねたようにおおいかぶさってきて。
お互いせめぎ合うように、吸い合って。
はじめてのくちづけを、お互い熱烈に交わし合ってゆく。
啓太と順子。
いい夫婦になるだろうな。きっと。
失血で足許をふらつかせるふたりの家路を見守る男は。
しみじみとした小声で、呟いている。
ポケットから大事そうに、そっと取り出した二足の靴下は。
ふたりの足許から失敬したときのまま、
若い体温をまだ、宿している。
あとがき
「ひし形もよう」だの「そろばんもよう」だのって、描いていますが。
正しくは、「アーガイル柄」というのだそうです。
家族の証言。
2010年07月14日(Wed) 06:47:34
初めて襲われたときは。
怖くてぴーぴー泣きながら血を吸い取られちゃったっけ。
夫の前で、つい取り乱してしまいました。
女房が襲われるときは・・・不覚でしたけど、ゾクゾクしちまいましてね・・・
でも、みんな。
いまは貴男のことが、大好きですよ。
寝入った夫に、キスをして。
2010年07月11日(Sun) 08:03:56
寝入った夫に、キスをして。
眠りこんじゃったのを、確かめてから。
わたしはそっと、ベッドを離れる。
ネグリジェの下には、黒のストッキング。
そんなかっこうで、寝室から廊下に出て。
めざすのは、まだ灯りの点る息子の勉強部屋。
まるで吸血鬼に招ばれる乙女のように。
いい齢をしたはずのわたしは、ふらふらとさまよい出てしまう。
そんなわたしを、息子は荒々しく引き込んで。
汗臭い息を吹きかけながら、わたしに迫って来る。
熟れた桃のようなおっぱいを、力まかせに揉みしだいて。
もう片方の手は、はやくもショーツのなかに忍び込んでくる。
わたしはネグリジェを、脱ぎ棄てて。
ショーツとブラと、ストッキングだけの身体になって。
汗ばんだひと刻を、息子と重ね合わせてゆく。
ホックをはずされ、はち切れそうな胸からはじけたブラジャー。
畳に擦れて、裂け目の入るストッキング。
ショーツは痕跡を消すための後処理にも、役に立つ。
それらの装身具はすべて、息子のための贈りもの。
下着が好きな息子の餌食にするため、
わたしは勝負下着を身に着けた。
うふふ・・・ふふふ・・・
つい洩らしてしまう、くすぐったい含み笑い。
イカしてくれるのは、手慣れた夫のはずなのに。
不器用な息子の愛撫のほうが、より深いところまで、しみ込んでくる。
壁一枚へだてた、向こう側。
妻を息子に寝取られていることを知ってか知らずか、
夫は寝返りを、打っている。
あとがき
11日8:03:56作成。
一時的に、31日0時00分でアゲてみます。
好機
21日 06:03、もとの時刻に戻します。
帰宅前に、飲みに行って。
2010年07月11日(Sun) 07:56:01
夕べはね。
帰宅前に軽く飲みに行ったのですよ。
なぜなら「あの方」が、自宅を訪れる夜だったから。
ええ、もちろん。妻や娘の生き血を目あてにね。
それで・・・気を利かせて座をはずそうとしたのです。
そうしたら・・・思わぬ悪酔いになってしまいまして。(^^ゞ
まだ頭とお腹が痛いです。
もちろん。
「あの方」は「あの方」なりに、気を利かせてくださって。
見せつけられる愉しみというやつを、とっておいてくれていて。
わたしの帰りをわざわざお待ちになっていたものですから。
目にしたくない風景を、見る羽目に。。。
それが案外、頭痛と腹痛の原因かも。^^
あとがき
これも8日に作ったお話です。
帰宅をしたら、メールをおくれ。
2010年07月11日(Sun) 07:54:53
帰宅をしたら、メールをおくれ。
それからきみは、押し入れに隠れて。
寝室で行われるパントマイムを、愉しむのだよ。
逃げてはいけない。視ることだ。
視て愉しめるほどの男なら。
きみと俺とは、いままでとはべつの関係を築けるだろうから。
奥さんは、こざっぱりとしたワンピース。
お嬢さんは、いつも通学するときの、ブレザーの制服。
奥さんは、白のアミアミのガーターストッキング。
お嬢さんは、いつも学校に履いていく、紺のハイソックス。
プレーンなストッキングの脚ばかり見慣れたきみには、奥さんの足許はけばけばしく映るだろうか。
チェック柄のプリーツスカートの揺れる下、ツヤツヤ輝く紺のハイソックスは、きみの目にも初々しく映るのだろう。
どちらもね。
味比べしてやるよ。目のまえで。
そう。それこそ、たっぷり愉しみながら・・・
わざわざ俺好みに作り変えてしまった、きみのご家族。
清楚な装いの下には、不似合いに高価なランジェリー。
それが男を愉しませるために身に着けられたものだと、だれでも容易に察しがつこうもの。
こんなふうになるまでは。
奥さんは、清楚で物静かなひと。
お嬢さんは・・・礼儀正しい優等生。
けれどもね。そういう性格は全く変わっていないのだよ。少なくとも表向きは。
そうであるからこそ、俺の訪れを気にかけて。
今夜もため息しているのだから。
嫌悪とためらいの混じった、あのひそめた眉がたまらない・
さあ、今夜はどんなふうにいたぶってみようか。
きみが視ているとなると、ますます気合いが入るものだね。
長い夜になりそうだ。
覚悟は、いいかい・・・?
あとがき
このお話はもう少し以前(8日ころ?)に作ったのです。
ゆえあって、いまごろの掲載ということで。^^
悔しがる理由(わけ)
2010年07月11日(Sun) 07:49:49
く、悔しー!
勤め帰りの妻が、スーツを泥だらけにして。
玄関先で、地団駄を踏んだ。
首筋にはくっきりと、噛んだ痕。
あいつだ。
俺は自分の首のつけ根のあたりを、そっと撫でまわす。
妻のとまったくおなじ間隔につけられた痕が、まだかすかな疼痛を伴なっていた。
妻が悔しがっているのは、意外にも。
吸血鬼に襲われたということ自体ではないらしい。
タイトスカートのすそからはみ出した太ももを吸われたときに。
ストッキングの舌触りがいまいちだって呟かれたのが、むしょうに気分を害したらしい。
あいつ~。言い当てやがって。
だってこれ、バーゲン品だったんだもん。
つぎの日。
勤めに出かけていく妻は。
思いっきり気合いを入れていて。
得意先で契約を取るときいつも着ていく、白無地に金ボタンのスーツで装っていて。
ひざ上がなん㎝もまる見えなタイトスカートの下は、
てかてか光る、高そうなパンストを穿いていた。
うふふふふん。
妻は満足げに、鼻を鳴らす。
貴方、悔しいでしょう・・・?
白ヘビのように妖しく浮き上がる、妻の脚には。
欲情のあまりむしり取られたパンストが、ふやけたように浮き上がっていた。
明日さ・・・
え・・・?
黒いの、穿いて行ってもいいかな?
えっ。
俺が絶句したのは。
黒のストッキングを穿いて深夜、あの公園を出歩くものは。
犯されてもかまわない。
そういうことになっているのを、知っていたから。
妻も明らかに、ルールを聞かされている。
近くまで戻ってきたら携帯するから。迎えにくるんだよ。
深夜。
夜の芝生を真昼のように明るく照らす街灯の下を。
さすがに妻は、嫌がって。
抱きすくめられた腕のなか。
ひどく満足そうに、熱い吐息を洩らしていた。
さすがにきみの奥さんだ。好い味してるね。
夫たるもの。こういうときに頷いてはいけないものだ。そう自分に言い聞かせながら。
しきりに、頷き返してしまっていた。
週一は、黒のストッキング穿かせますから。
でも・・・黒じゃない夜でも、気が向いたら襲っていただいてよろしいですよ。
それよりも。
一杯、飲み直しませんか。
灯りのついた、わたしの家で―――
吸血鬼も、妻も。くすぐったそうに頷いている。
つぶやき。
2010年07月08日(Thu) 08:06:55
すとれすが、悲鳴をあげて、駆け抜けてゆく―――
「その場かぎり」と、「永いご縁」
2010年07月08日(Thu) 08:00:46
「その場かぎり」の場合は、吸血鬼は肉欲と食欲を満足させるだけ。
村に迷い込んできたハイカーとか、組まれたバスツアーの客などが、そうした標的にされがちである。
たまさか都会の家族を交えた祝言の席でも。
多くの祝い客が、こうした趣向で毒牙にかかる。
「永いご縁」は、多くの場合。
村に棲みつくことによって、結ばれる。
たいがいは、親から子へ、姑から嫁へと受け継がれる形を取る。
迷い込んだハイカーでも。
奥さんを自由にされる歓びに、夫が目ざめてしまったりすると。
「永いご縁」に、早変わりする。
いちどきりのはずのバスツアーが、なん度も訪問をくり返すようになって。
娘や息子、息子の嫁まで交えるようになったりすると。
これも「永いご縁」と、称されるようになる。
この村に事務所を置く都会の会社では。
責任者から平社員にいたるまで。
令夫人や令嬢を、自由にされてしまう。
そのまま記憶を消されて転任してしまうものは、「その場かぎり」
村に棲みついて常駐を果たすものは、「永いご縁」。
貴方はどちらを、お選びになりますか―――?
あとがき
旅の恥はかき捨て・・・というのは、やはりいけないことですよね? 笑
家柄 ~ある村の報告文~
2010年07月08日(Thu) 07:54:02
もっとも気高い家柄の家では。
妻は娶る前、娘は生娘のうちに、「あの方」に捧げられる。
男の子は許婚を連れて邸を訪れ、目のまえで「あの方」に堕としていただく通過儀礼を課せられている。
つぎに気高い家では。
子女が手のかからなくなるまで育て上げたあとから。
その家の主婦の操が、提供される。
こうした家では、花嫁の純潔は花婿のものとなるが。
永年自分のみに忠実であった妻が飼い慣らされてしまうという快楽を体験することになる。
たまさか都会から流れ込んでくる家の多くは。
どうしても後者に属するだろう。
しかし、まだ性体験を済ませていない子女を捧げることは任意であるし、
「つぎに気高い家」でも、花婿や両親の、あるいは「あの方」の希望によっては、
家格上昇もあり得るのである。
やらしいよ。やらしいよ。・・・ ~二人の純潔を堕とした男~
2010年07月08日(Thu) 07:46:38
うー、やらしいよ。絶対、やらしいよ。
制服のプリーツスカートが揺れる下。
白のハイソックスの足許に、
血に飢えた者の不埒な唇を受けながら。
中学にあがったばかりの娘は、半べそになって。
それでも脚を退けようとせずに、
真新しい白いナイロン生地を、真っ赤に染めていった。
ごくっ。きゅううっ・・・
あお向けにされた制服姿にのしかかる、容赦ない吸血の音。
かすかにくねる脚が、淫靡なリズムを奏ではじめる。
娘の表情は、見えない。
うなじを咬まれ、おとがいを仰のけられてしまっているから。
遠い昔。
娘と生き写しに似た面ざしをした少女がひとり。
やらしい・・・です。やらしい・・・ですっ。
悔しげに、啜り泣きながら。
濃紺のセーラー服の胸もとに、白いタイを揺らしていた。
ユリの花びらのようにふんわりとしたタイは、
穢されようとする純潔を知ってか知らずか、
小刻みに震えながら、ばら色のしずくを散らされていった。
正座の姿勢を崩していったひざ小僧は、黒のストッキングに染められていて。
情け容赦なく吸いつけられた、唇の下。
薄っすらと透きとおる、なよなよとしたナイロンは。
ぱりぱりと他愛なく、噛み剥がされてゆく。
ごくり・・・ごくり・・・ごくり・・・
少女の恐怖心をあおるように、聞えよがしな吸血の音。
男はきょうの獲物を心の底からものにすべく、
貪婪な食欲を満たしていった。
少女はやがて、わたしと結ばれて。
やがてわたしの娘の、母となった―――
ふたりの少女の純潔を堕としたのですね?
それも・・・ご自身の身体で、犯すことなく。
娘の婿は、ワイングラスを片手に取って。
どんなドラマよりも映画よりもグッとくるシーンに惹きつけられていた。
じぶんの妻が、母娘ながら。
吸血鬼の寵愛を受ける、栄誉の褥を。
彼が首筋に、わたしがつけられたのとおなじ痕を浮かべるようになったのは。
娘へのプロポーズと引き換えだった。
娘とわたしたちの関係を知りながら結婚の途を択んだ彼の、勇気をたたえてやりたい。
秘密を守るため、彼はその母や兄嫁の貞操さえ、犠牲に供していったのだから―――
”妖艶なる紳士の会”
わたしたちの存在を知る、ごく限られたものたちは。
血縁地縁で結ばれたこの人の輪のことを、そう呼んでいる。
―――所要時間約十分―――
あとがき
時間を競うわけではないのですが。(^^ゞ
こんなお話さっきまで、ぜんぜん頭に浮かばなかったんですけどねー。
狡い大人の言い訳?
2010年07月07日(Wed) 07:43:54
寝取られではないのだよ。寝取らせているんだよ。
寝取らせは、崇高な奉仕の精神なんだよ。
父のそんな言い草を、狡い大人のいいわけだと思っていた。
ずっとそう、思い込んでいた。
けれども父に伴われて出かけていく母は。
よそ行きのスーツに、ひきつれひとつないストッキング姿。
好んで装っているようで。
愉しげな含み笑いは、大人の色香を秘めていて。
明けがた、やはり父に付き添われて家に戻ってくるときは。
素足になったふくらはぎに、白く濁った粘液をぬらぬらしたたらせているのが、なまなましかった。
視てはならないものを視てしまったような、罪悪感のなかに。
なぜか心奪われるときめきを、覚えたわたしは。
さらなる罪悪感に駆り立てられていた。
それからなん年、経ったのだろう?
そんなわたしも、いつか同じ行為に目ざめていった。
しげ子さんを紹介するなら、早いほうがいいよ。なるべくなら処女のうちが―――
云いさした父は、途中で言葉を飲み込んだけれど。
いまではわたしの一家にまといつく黒影の主の正体を、察してしまっているわたし。
彼はまず、父を襲って、首筋に痕を残して。
そんな父はためらいもなく、十なん年連れ添った最愛の妻を、彼に引き合わせていた。
血に飢えた唇を、若い女の生き血で濡らすために。
寝取らせは、奉仕なのだよ―――
母を愛していればいるほど、その行為はきっと値打ちのあるものなのだろう。
しげ子さんを伴って、初めてお邸にあがるとき。
父は愛用しているハイソックスを、そっとわたしに手渡した。
ぬらりとした光沢は、紳士用のそれとは思えなかったけれど。
わたしはためらいもなく、ぴっちりひざ下まで、引き伸ばしていく。
これから献血に行くの。しげ子さんもどう?
母はさりげなく立ち上がり、父も無言のすすめをまなざしで送る。
しげ子さんは戸惑いながら、これから姑と呼ぶべきひとの、あとに従う。
いかがでした?
エエ、お母様。
言葉を濁す未来の嫁に。母は意地悪く問いを深める。
この子にも、きかせてやってちょうだい。
しばらくためらったあと。
・・・宜しい感じです。
照れ隠しにあてがった掌が、うなじにつけられた痕を隠していた。
寝取らせなんだよ。奉仕の気持ちだよ。
父の諭す声が、いまでは救いに聞こえる日々。
すぐ隣に肩を並べるしげ子さんは、こざっぱりとしたワンピース姿。
肌色ストッキングのふくらはぎに唇近寄せてくる男への戸惑いを、まだ捨てきれなくて。
わたしに寄り添って、ギュッと痛いほど、掌を握りしめてくる。
ヌルヌルと吸いつけられた、不埒な唇が。
きょうもチリチリと、未来の花嫁の装いに、辱めをくわえていった。
あとがき
ストッキングを破かれる=肌を許す
この方程式は、短絡的?
ボクは女の子。
2010年07月05日(Mon) 07:57:02
娘たちを、連れてきましたよ。
深夜の公園に、ママがボクと姉さんを連れて。
そこにたむろしているお兄さんたちに、初めて引き合わされたとき。
ボクはとっても、ドキドキしていた。
だって。
「娘」として、紹介されたんだもの。
姉さんが中学のときの制服を、着せられて。
ほんのりとだけど、お化粧までしてもらって。
姉さんが高校に履いて行く白のハイソックスは。
まだ成長期のボクには、サイズが大きめで。
脛をすっぽり包むばかりか、ひざの半ばまで覆っていた。
真夜中に。
ボクにはだまって、ママと姉さんは連れだって出かけていく。
パパも、ふたりがどこに出かけていくのか、それとなく察しているらしいのに。
ボクにだけは、教えてもらえない。
姉さんと一緒に行きたい。
なんどもせがんだボクに、ママがやっと口を開いてくれたのは。
ふたりの留守中ボクが、姉さんの箪笥の抽斗をあけて、
姉さんの服を着ておなっているところを、見つけられてしまったから。
そういう悪い子には、お仕置きをしなければいけませんね。
口ではきついことを、言いながら。
ママの声色は、むしろ嬉しそうだった。
お姉ちゃんの制服貸してあげようか?セーラー服だからね♪
姉さんまで意外なくらいはしゃいでくれて、
初めてのボクに、セーラー服の被りかたを教えてくれていた。
そのかわり。
公園に着いたら・・・あたしたちと一緒に吸血鬼のお兄さんに血を吸わせてあげるのよ。
えっ!?
びっくりしたボクのことを、
もう逃がさない。
姉さんの瞳は、ひどく嬉しげに輝いていた。
我が家の血筋を絶やさないようにしてくれよ。
パパはボクたちを、引きとめるつもりはないらしい。
昔はパパも通っていたの。
ママがあとで、こっそり教えてくれた。
くちゅっ。
ちゅう・・・っ
ママや姉さんの足許に、にじり寄って。
思い思いに唇を這わせる、お兄さんたち。
キャッ!いやだ・・・
姉さんはボクとお揃いのセーラー服を着て、
白のラインに縁取られた襟首のすき間から、だれかにうなじを侵されていた。
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ・・・
ひそやかで熱っぽい、吸血の音。
お兄さんたちはすぐに、ボクが男の子であるのを看破ったけれど。
それでもあくまで「女の子」として、扱ってくれた。
ママや姉さんと並んで、草むらにうつ伏せにされて。
白のハイソックスのふくらはぎを、たっぷり吸われてしまったから。
こんどは、姉さんみたいに黒のストッキング履いてこようかな?
そういうボクに。
ずっと付き添ってくれた年上のお兄さんは。
キミ、ママのワンピースも似合いそうだね。
半ばからかい口調だったけど。
ボクをたくみに、そそのかせていた。
自前のハイソックスを、買ってもらえるようになって。
自前のストッキングまで、もつようになって。
薄い靴下に執着するようになったボクは。
いつもお兄さんたちに、女の子の格好で、苛めてもらうために。
真夜中の道を、ドキドキ昂りながら、歩みを進めていった。
姉さんからもらったお古のストラップシューズにくるんだ、黒のストッキングの脚を。
ひざ丈の制服のスカートから、思い切りさらけ出して。
そよぐ夜風が、スカートのなかに忍び込んで、
太ももをよそよそしく撫でるのを。
十代の血潮が沸きたつほどに、昂奮していた。
許婚の治子さんを、その場所に呼びだしたのは。
親たちの決めた結納を終えてすぐのころだった。
先方の親御さんたちも、すべて事情を心得ている。
知らぬは本人ばかりらしい。
ボクは治子さんに、メールを打って。
真夜中の公園に、呼びだした。
ちょっと変わった服装していくけれど。びっくりしないでね。って書いて。
きゃあーっ!
悲鳴をあげる、治子さんを。
いつもボクに付き添ってくれる、あのお兄さんは、がっちりと抱きすくめて。
セーラー服の襟首から覗く、白い胸に。
がぶり!
思い切りよく、食いついて行った。
ヒュウ―――!
だれかが冷やかすように、奇声をあげた。
ボクもほかのみんなと同じように、奇声に応じた。
ひゅー。ひゅー。ひゅー。
ボクの婚約者が、処女の生き血を吸われているぅ。
奇声の祝福のなか。
理性を奪われた治子さんは、もううっとりとなっちゃって。
ひたすらお兄さんに、尽くすみたいに。
もっと吸って、もっと・・・って、
おねだりまで、はじめちゃって。
貧血に頬を蒼ざめさせながら。
とうとう白のハイソックスのふくらはぎまで、噛ませちゃっていた。
行こ。
行こ。
ふたり、連れだって。
今夜も公園通いに出かけるふたり。
黒のストッキング、似合うね。
治子さんは、じぶんのやつをボクに貸したことが、とっても嬉しいらしい。
ちょっとサイズの小さめな黒のストッキングは。
いつもよりもキュッと、ボクの太ももを締めつけていて。
それがむしょうに、心地よい。
今夜だけ、どうして太もも丈のストッキングなの?
治子さんは、まだ訝しげだった。
ボクがいつも以上にウキウキしているのも、やっぱり訝しいらしかった。
それは、ウキウキもするさ。
今夜はボクの血を初めて吸ってくれたあのお兄さんに、治子さんの純潔をプレゼントする記念すべき夜なのだから。
キミ・・・治子が犯されるとき、やっぱり黒ストッキング履いたままのほうが、いいだろう?
お兄さんの言い草に、ボクは素直にウンと頷いていた。
大事な時に、いつも話してくれないのよね~。
寝そべった草むらの隣り。
治子さんは四つん這いのかっこうで。
制服のスカートを腰までたくし上げられて。
べつのだれかの吶喊に。
ひぃーっ!って威勢よく、叫んでいた。
あとがき
前作のぷろっとで、ちょっと悪乗りを・・・。(^^ゞ
新婦の父。
2010年07月05日(Mon) 07:33:10
注意:やや同性嗜好が入っています。
台所の隅っこで。
長女の光江が、べそを掻いて。
妻の房代が、慰めている。
なにがあったのかは、おおよそ察しがついていた。
次女のまどかは、知らん顔をして、まだ食卓についている。
ましてわたしが、間に入るのは。
たとえ父娘の間柄でも、いかにも気まずい雰囲気だった。
制服姿の長女の足許は。
目いっぱい引き伸ばして履いた白の靴下に、紅いまだらもようを残していた。
今夜から、光江を連れていきますね。
わたくし一人では、とても身体がもちませんから・・・
妻がそう言って、起ちあがると。
背後の廊下で、制服姿の娘が身づくろいをする気配が伝わってきた。
本人がそれでいいのなら・・・
曖昧に言葉を濁し、なにも知らぬ顔をして送り出す。
情けない父親。そう言われかねない対応なのに。
この街ではどういうわけか、理解ある寛大なご主人という評価にすり替わってゆく。
街に棲みついた吸血鬼のうち。
若い男の吸血鬼ばかりがたむろする、夕暮れ刻の公園。
妻が長女を連れだしたのは、そんなスポット。
しばらく経って妻に付き添われて戻ってきた娘は。
台所の隅で、べそを掻いていた。
目いっぱい引き伸ばした、白の靴下を真っ赤に染めて。
小声で何かを囁きつづけるその母親の足許も。
黒のストッキングに鮮やかな伝線を走らせていた。
まどかは、中学にあがったら、連れて行きます。
相手をするのは人妻だけでじゅうぶん。そういう不文律だったのに。
妻がどういうわけか、娘たちを引っ張り出すのは。
深夜にたむろする狼たちのなかに。
長女の許婚者の姿があったから。
あのひとを飢えさせちゃいけない。
そういう想いと。
あのひとはなん人、他所のお宅の娘さんを手篭めにしていることか。
そういう想いと。
どちらの想いが、まさったのだろう?
下の娘まで、巻き込むことはなかったのに。
お姉ちゃんといっしょがいい。
母の誘いを受けたまどかは、きっぱりとそう言いきったという。
済ませてきました。
妻も長女も、うつむいていた。
その儀式が草むらのなかで行なわれたことは。
妻のワンピースや娘の制服の、あちこちに。
草の切れ端が、まとわりついていたから。
ひざ周りや袖など、手の及ぶところだけはさすがに、取りのけていたけれど。
転げまわってきたことは、あちこちに付着した泥が、物語っていた。
相手は・・・コウジロウくんではないのだね?
震える声での問いに、強い確信を込めていた。
そのあいだ、コウジロウさんのお相手は、わたくしがつとめさせていただきました。
娘の不始末を、おわびしなければなりませんからね。
ホテルを借り切った披露宴は、盛大だった。
どうしても借り切る必要があったのは。
身内のもの以外には見せたくないほどの、盛り上がりかただったから。
新郎の母親も、妹も。
黒留袖と振袖姿のまま、ホールのじゅうたんのまん中に、寝かされて。
つぎつぎと、祝い客の歓待に応じていたし。
新婦の母親は。
肌色のストッキングを好んだ男の子たちの希望を受けて、きょうも洋服姿で相手をしている。
パパ、コウジロウさんがごあいさつだって。
息を弾ませて歩み寄ってきた次女の足許は。
いつもの白いハイソックスを、太ももから伝い落ちる血で紅く染めていた。
花婿さんに、姦られちゃったぁ。
あっけらかんとした照れ笑いに、ほろ苦く応えながら。
ついてきたコウジロウくんの神妙なあいさつを丁重に受けていた。
妻を犯し、長女を娶り、そのうえ次女の純潔までも汚した男。
けれどもわたしのなかに、なぜか怒りや嫉妬はなかった。
家族の女たちを通して、かれはわたしにもっとも近いところにいる男―――
紳士用で、すまないね。
しきたりどおりかがみ込んできた彼のまえ。
たくし上げたスラックスからむき出しにした脛は。
薄いストッキング地の長靴下に染まっている。
お父さん、これ履いてってくださる?
ぬらりとした光沢の浮いた、その靴下を妻に差し出されて。
気味悪げに受取ったわたしのことを。
妻は強いまなざしで見あげていた。
そろそろころあいですよ。良い加減いっしょになりましょう。
ひっそりとした囁きに、頷いて。
初めて脚に通した、薄い生地のハイソックス。
案外肌触りがいいんだね。
お似合いよ。
妻の揶揄が、なぜか快く胸を衝いた。
吸いつけられた唇に。
薄い靴下はなよなよとよじれて、しわくちゃになってゆく。
妻のストッキングも。娘たちのそれも。
こんなふうにされていったのか・・・
刺し込まれた牙が、玉子の黄身を突っつくように。
じわっと生温かいしずくを吸い取って行くのを。
わたしはじいっと、見つめている。
もっと早くに、してもらうんだったね。
わたしは努めて平静を装いながら。
これからも妻や娘を犯すであろう男のまえ、
もう片方の脚も、差し伸べていく。
長女の独白
2010年07月05日(Mon) 06:48:39
その子はいつも、私が黒のストッキングを履いて行くと。
真っ先に進み出て、私をベンチに座らせて。
だれよりも先に、脚を噛んできた。
未来の夫を含めた、だれより先に。
さいしょのうちは、怖くって。
べそをかいたときも、あったけど。
みんな、順番なのよ。
いつも付き添ってくれる母に、諭されるまま。
未来の夫が、苦笑交じりに見守るなか。
私はその子に、黒のストッキングを破らせていった。
血を吸われると。
頭がぼうっ・・・となって。
ストッキングに走る裂け目が、みるみる広がって帯みたいになってゆくのを。
いつか、面白そうに見つめるほどになっていた。
おおぜいの唇を、吸いつけられて。
ひざ小僧がまる出しになるほどに、露出してしまった脛を。
夜風がよそよそしく、通りすぎた。
さいしょは、黒のストッキングが目当てなのだと、思い込んでいた。
母のストッキングに欲情しているときも、よくあったから。
それに。その子は未来の夫のお友だち。
悪いお友だちだけど・・・ふたりはひどく仲が良かったから。
けれどもそのうちに、その子がはっきり私を意識しているのだと。
胸もとに吸いつく唇が。
血を吸い上げる勢いが。
言葉よりもあからさまに、伝えてきた。
ストッキングを脱がされるようになって。
あの子が持ち帰る私のストッキングが、一ダースにもなったころ。
お嫁入り、するんだよ。今夜―――
あすは卒業式という晩に。
未来の夫に、囁かれたとき。
とうぜん彼が、相手をしてくれるのだと思い込んでいた。
草むらに、寝かされて。
彼が私の両肩を軽く抑えたとき。
すべてを察した。
頭上でニヤニヤ笑いを浮かべていたのは、ほかならぬその子だったから。
たちのよくない、ニヤニヤ笑い。
その裏に、決まり悪さを不器っちょに押し隠しているのだと、すぐに察しがついていた。
だってあの子―――
私や彼よりも、五つも年下だったから。
私は余裕たっぷりに、お姉さんのほほ笑みで応えると。
ちょっっぴりだけ、制服のスカートをたくし上げて見せた。
その晩履いて行ったのは、いつものようなパンストじゃなくて。
太もも丈のストッキング。
履いたままできるでしょ?
母はさすがに、経験豊かだった。
すぐ傍らの、草むらのざわつきは。
母が自ら、身を淪(しず)めた処―――。
私も母のまねをするんだ。
大人になるとき。
私は彼を安心させようと、大きく深呼吸して見せた。
あとがき
前作のつづきです。
今夜は娘たちを、連れてきましたよ。 ~真夜中の公園~
2010年07月05日(Mon) 05:10:24
真夜中の公園は。
夜眠れないものたちが集まる場。
その夜も。
いくたりもの同種の獣たちが、言葉少なにより集まって来て。
己の牙を撫でながら。
互いの牙を撫でながら。
憐れみ合うようにして、首筋を見せ合い、ふくらはぎをさらけ出して。
乏しい血潮を、吸い合うのだった。
がさがさっ。
下草を踏みしめる足音に、俺たちはいっせいに振り向いた。
佇んでいるのは丸顔で色白の、初老の婦人。
だれかと思えば。
婚約者の光江の母親だった。
こんばんは、小母さん。
いくたりかのものたちが、親しげに会釈の声を洩らすのは。
このひとがしばしば、こぎれいに装って。
この真夜中の公園という、物騒な場にあらわれて。
ほほ笑みながら、血を恵んでくれるからだった。
今夜も。
花柄のワンピースに、白のパンプス。
こうこうと照り渡る街灯に、照らされて。
どうやら真新しいものらしい肌色のストッキングが、ツヤツヤとなまめかしい光沢をよぎらせている。
今夜は娘たちも、連れてきましたの。よろしくね。
もの柔らかな声色に、俺はどきりと胸のうちを波立たせる。
長女の光江は、十七歳。
次女のまどかは、十三歳。
それぞれ通っている学校の制服姿。
光江は黒のストッキングに脛をなまめかしく染めていて。
まどかの脛には、真っ白なハイソックスが眩しかった。
齢相応の、足許の装いも。
母親のチェックを経たものだろう。
いつも母親が、明け方帰宅してくるとき。
ストッキングを穿いた脚をむざんに噛み破られてしまっているのを。
娘たちもそれとなく、気づいているはず。
面ざしの良く似た姉妹は、白い頬を羞ずかしげな上気にはずませて。
互いの脚を、見比べ合って。目交ぜして。
―――どうぞ、お手柔らかに・・・
光江が姉妹を代表するかのように、お行儀よく頭を垂れる。
周囲のだれもが、光江の立場を知っている。
お母さんはとりなすように、俺を見て。
妬きもち妬いたら、いけませんよ。
貴方もだれかの妹さんや彼女から、血を分けてもらっているんですからね。
お母さんの声色は、あくまでおだやかで優しかった。
コウジロウくん、悪いね。
ごちそうになるね。
連中も、いつもとちがって神妙な顔つきをして。
それでも姉妹を逃がすまいと、取り囲むようにして迫っていく。
まえを遮られ、退路を断たれた、哀れな姉妹。
けれどもふたりとも、こういうもてなしには慣れているらしい。
あんまり痛く、しないでね。
やらしいのは、いやぁよ。
母親譲りの、柔らかい声をひそませて。
ひざ小僧の下にかがみ込んでくる唇たちを、吸いつけられるままに、吸いつけられていって。
ふらちないたぶりを受けるふくらはぎの周り。
薄黒のストッキングや真っ白なハイソックスを、皺くちゃにされてしまうのだった。
ちゅうっ。
ちゅうううっ・・・
姉娘の足許からあがる吸血の音が、妹へのそれよりもしつように響いたのは。
たぶん・・・気のせいなのだろう。
セーラー服の妹は、白のラインが三本走る襟首ごしに、うなじを侵されて。
ブレザータイプの姉は、ブラウスをみるみる紅いシミで汚していった。
さあ、どうぞ。
いくたりもの唇から、ふらちな洗礼を受けて、いたぶり抜かれた足許は。
薄黒のストッキングは、鮮やかなカーヴを描く伝線を、スカートの奥にまで走らせて。
真っ白なハイソックスは、まだらもようのバラ色に染められる。
あなたたちはもう、お帰りなさい。早くお父様を安心させてさしあげるのよ。
寝入ったふりを決め込んでいる、彼女の夫は。
たぶん眠れない煩悶に酔い痴れているのだろう。
名残惜しげに見送るものたちと。
小手をかざしてさよならを告げる娘たち。
妹娘にご執心のあいつは、家までエスコートするといって、
ひっそりと一団から離れていった。
送り狼にならないかな。
なりゃしねぇよ。
だれかの呟きを、だれかが言下に否定する。
たぶんきっと、ほんとうに帰り道を心配しての行ないなのだと、だれもが本音でわかっていた。
さ、ごゆっくり召しあがれ。
娘たちを、帰してしまうと。
あなたがいちばんさいしょね?
お母さんは、穏やかなほほ笑みを絶やさずに、俺を見た。
とうとうただひとり姉妹のどちらも襲わなかったのを、好もしく思ってくれたらしい。
ひざ丈のワンピースのすそを、たくし上げて。
肌色のストッキングの太ももを、だれよりも先に吸わせてくれた。
あぁ・・・
ほどよい失血に、さすがのお母さんも、陶酔の色をにじませると。
あとはだれもが、無言になって。
思い思いに、のしかかっていった。
女を犯すとき。
順番がすんなりと決まるのは。
お互いの家族を呼び寄せて、襲い合うという。
忌わしくも愉しい遊びに興じあうほどの間柄だからなのだろう。
案外俺たち、デリケートなんだぜ?
仲間に入れられたすぐのころ。
俺の血を始めて吸い取ったあいつがそう呟くのに、
しんそこ俺が頷いたのは。
ぴったり息の合うほどに、その晩犠牲に供された母娘を襲うものたちが。
整然としたルールのままに、つぎつぎと。
熱くたっぷりとした欲望を、成就させていったから。
そのときの母娘は。
ほかならぬ俺の、お袋と妹だった。
もぅ、気が済んだ?
ワンピースのあちこちに、草きれをつけたまま。
お母さんはひざを払って、起き上がる。
肌色のストッキングは片方だけ脱がされて、俺のポケットに入っていて。
もう片方も、みるかげもなく噛み破られて。ずり下ろされて。
ハイソックスみたいな丈になっていた。
ごちそうさまでした。
だれもが神妙に頭を垂れるころ。
朝陽がもう、目のまえだった。
公園の入口に佇む人影が、気遣わしげにこちらを窺っている。
どうやらお母さんのエスコートは、そのひとにまかせれば良いらしい。
もうじき父親になるひとに。
俺は遠目に、会釈をする。
母親になるひとに投げかけるべきではない種類の好意を投げている俺のことを。
そのひとは決して、咎めようとしない。
呟くような送る声に、時折り振り返り丁寧に会釈をかえしながら。
お母さんは夫の佇むほうへと、立ち去ってゆく。
さあ、もう夜が明ける。
お互い、仮の姿に戻らなければ。
あとがき
吸血鬼の男の子たちに、自分たちの血をあてがうために。
真夜中の公園に現れた母娘。
母親は、肌色のストッキング。
姉娘は、薄い黒のストッキング。
妹娘は、真っ白なハイソックス。
それぞれに装った足許を、吸われていく・・・という風景。
貴方なら、どのご婦人を狙いますか?^^
姉娘が、襲う側にたつ主人公の婚約者という設定、好い・・・わけはないですね?^^;
ブログ拍手♪
2010年07月04日(Sun) 09:23:54
コアなやつに、一票をいただきました。^^
「報告依頼」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-711.html単身赴任の決まった夫が、信頼できる知人に自分の妻を寝取らせるお話です。
夫の手記、妻からのメール、相手の男性からのメールを交えながら、いろんな目線から描いてみました。
引かれる内容だよな―絶対に・・・と思いながら。 笑
奥さんからのメールをうんと短くしたのは、わざとです。
お互い報告義務があるんですが、さすがに奥さんの側からはいいにくいだろうな・・・ということで。^^
お愉しみいただけたら、幸いです。A^^;
ハイソックス・デート
2010年07月04日(Sun) 09:19:10
我瀬さんですね?
高宮さんですね?
それらしい人だと、ひと目でわかった。
直接面会するのは、初めてだったのだが。
場所は日曜日の、人けのない公園。
街はずれにあるその公園はだだっ広く、緑の豊かなスポットだった。
「ハイソックス愛好者掲示板」
そんなタイトルに惹かれ、ROMしていたのだが。
そのうち家族に隠れて撮るようになったセルフ画像をアップするようになり、
やがてメールを交わし合うようになり、
家が比較的近いことがわかって、きょうは初めてリアルにお目にかかった、というわけだ。
十歳以上の齢の違いに気後れする気分もないではなかったが、
ネットの世界で知り合った正体不明の人物とリアルに逢うという危険な行為?に、
なぜかわたしは躊躇なく、OKの返事を返していた。
お互い、ハイソックス履いてきましょう。
人目のない公園知っているんです。
おおっぴらにハイソックス脚でお散歩できるんです。
スカートが抵抗あるようなら、ハーフパンツでもかまいません。
それからハイソックスは、なん足か替えのあるやつがいいかな。
あんまりレアなやつじゃないほうが、汚す心配もないし。気軽に野外デート愉しめますよ^^
彼のお誘いには、心動かされるものを感じていた。
さやさやと吹き過ぎる風が、半ズボンの足許に心地よい。
ストッキング地のハイソックスだと、風が気持ちいいでしょ?
我瀬さんは、こちらの心中を見透かしたことをいう。
わたしの履いている濃紺の透ける長靴下は、紳士用だったけれど。
我瀬さんは必ずしも、レディスものにこだわっているわけではないらしい。
ハイソックスというアイテムのもつユニセックスな魅力が、そうさせるのだろう。
そういう彼は、真っ赤なチェック柄のミニスカートに、真新しい白のハイソックス。
ふつうのまじめな中高生の女の子が学校に行くときに履いている、スクールハイソックスというやつだった。
掲示板でもしばしば、PCのディスプレーを通して眺めているものだった。
ハイソックスを履いているという弾んだ嬉しさが、素直に伝わって来るような画像たちだった。
風に吹かれるままけだるげに頭を振る木々は、
昇りかけた陽を浴びて豊かな葉をギラギラと輝いていた。
きょうも、暑い一日になりそうだった。
さらけ出した太ももと、透ける靴下一枚の脛に、
吹き過ぎる風が、いやというほど心地よい。
ね?いい気分でしょう?
我瀬さんは本物の女の子のように、身体を擦り寄せてくる。
いつかわたしたちは肩を抱き合うようにして、傍らのベンチにくずれ込むように腰かけていた。
我瀬さんはわたしのひざの上に、白のハイソックスの脚をもたせかけてくる。
なれなれしい態度だとも、男同士でヘンだとも、思わなかったのは。
だれも視ていないとはいえハイソックス姿を白昼公然とさらしているという、特異な状況だったからだろう。
わたしは彼の脚を、ハイソックスのうえからなぞるように、撫でていった。
キス、してみませんか―――?
誘いかけてきたのは、ほんとうに我瀬さんのほうからだったろうか?
わたしたちはしばらくのあいだ、刻を忘れて陶然と、異常な行為に酔っていた。
そのときだった。
ひっそりと伸びてきたものが、わたしの脚にからみついたのは。
そいつはぬらっとしたヒルのような感触で、
ストッキング地のハイソックスごしに、ぬるぬると這いついてきた。
不思議な快感だった。
我瀬さんはそんな状況の変化を知ってか知らずか、吸い合った唇を離そうとしない。
そのつぎの変化は、もっと強烈だった。
生温かいその軟体動物のようなものがふたつに割れ、すき間からふたつの突起が皮膚を突いてきた。
尖った異物が皮膚を侵し、ずぶ・・・っと埋め込まれると。
わたしは思わず衝かれたように、身体をしならせていた。
う、う―――んっ・・・
だいじょうぶ。だいじょうぶですよ・・・
我瀬さんはどこまでも、もの柔らかだった。
こんどはボクの、番ですね・・・
さ、おいで。
ベンチの下にもぐり込んでいた黒い人影を、呼びよせると。
さっきわたしの血を浸した唇を、こんどは白いハイソックスのふくらはぎに、すすんでなすりつけられていく。
くちゅうっ。
つよく吸う音がして、我瀬さんのハイソックスに紅いシミが広がった。
咬まれる瞬間ちょっとだけ痛そうに眉をしかめたものの、我瀬さんは冷静そのもの。
侵される足許にむしろうっとりと目線を迷わせて、吸血されるのを愉しむように、
ちゅーっ、と吸い取られていった。
綺麗に破けていますね。
ストッキング地だと、伝線するから・・・妖しい眺めになりますね。
我瀬さんの言うとおり。
陽を浴びて淡い光沢を滲ませた濃紺のナイロン生地の表面に。
じわっと滲むような伝線が、たてに鮮やかに走っていた。
脚の線に沿うように、微妙なカーブを描きながら・・・
色っぽい眺めですね。もう片方にも、どうですか?
我瀬さんにすすめられるままに、再びかがみ込んできた異形のものをまえに、
まだ咬まれていないほうのふくらはぎを、差し伸べて。
ずり落ちかけたハイソックスを、引っ張り上げてやっていた。
ボクのリブハイソックスも真っ赤になると、すこしは妖しいでしょ?^^
恋人のように身を寄せかけてくる我瀬さんも、咬み破らせてしまったハイソックスを引っ張り上げた。
そう、わたしたちはもう、共犯の間柄―――
リブハイソックスにしみ込んだシミも。ナイロンハイソックスの伝線も。
確かに、妖しい魅力をたたえていた。
惜しげもなく・・・て感じですね。
高宮さん、やっぱりいい人だなぁ。
腹ばいに寝そべった芝生のうえ。
異形のものはさっきから、ずうっとわたしの足許を侵しつづけている。
ストッキング地のハイソックスはみるかげもなく破れ、たるみ、しわくちゃにされて。
けれどもそうされることになぜか、マゾヒスティックな歓びをさえ、感じはじめてしまっていた。
失血で、頭がぼうっとなっていた。
大したことないですよ、という我瀬さんも。
わたしの足許に、唇を這わせてきた。
いい舌ざわりですね。
きめの細かさも婦人用にひけをとらないし。
なによりもこの光沢が、たまりませんね。
さすがにハイソックス愛好者らしく、足首、くるぶし、足の甲、それにふくらはぎへ・・・と、
くまなく舐めてくる舌が、間違いなく。
ナイロンの触感を心から、愉しんでいた。
わたしも呻くように、呟いている。
愉しんでいただけるなら、好いですよ―――
御覧ください。
我瀬さんの指差したのは、池の向こう側のベンチ。
カップルがひと組、三人組の吸血鬼に襲われていた。
彼氏まで、うっとりとなってしまっていて。
Tシャツを真っ赤に濡らしながら、スラックスのすそをひざまで引き上げて。
スラックスの下に履いている黒のダイヤ柄のハイソックスを、襲撃者たちに愉しませていた。
ダイヤ柄のハイソックス、きっと彼女のものでしょうね。
男でも、似合うんですよ。あの柄は・・・
白く滲んだ彼氏の脛のまわりを、数々の唇にいたぶられたダイヤ柄がふしだらな歪みをたたえてずり落とされていくのがみえた。
彼女のほうは、さっきから。
真っ赤なアミアミのオーバーニーソックスの脚を、投げ出すようにして。
彼氏と張りあうように、脚を並べて。
牙で侵されるまま、きゃあきゃあと声をあげて、はしゃいでいる。
きっと彼氏が、彼女のハイソックスを隠れて履くようになって。
彼女じしんまで、巻き込んじゃったんでしょうね。
我瀬さんは真っ赤に染められたハイソックスを脱ぎ捨てて、
黒のナイロンハイソックスをひざの上まで引きあげている。
これ、母のやつなんですよ。
ええ、もちろん。
母も彼に、ハイソックス破かせちゃっているんですよ。(^^ゞ
淡い光沢を滲ませた黒のオーバーニー。
彼のお母さんは、おいくつくらいなのだろうか?
父にはさすがに、ナイショにしているみたいだけど。
秘密が愉しいうちは、いいんだけど。
そのうち苦痛になってくるでしょう?
苦痛になる前には、父も誘ったほうがいいのかな?って、思いはじめているんですよ。
濃い誘惑が衝きあげてきたのは、そのときだった。
こんどは、妻のストッキングを履いてきてみようかな・・・
わたしの呟きを、聞いてか聞かないでか、我瀬さんは相変わらず朗らかに、笑みつづけているのだった。
同好のひと
2010年07月03日(Sat) 06:52:14
少年が男に、心を許したのは。
初めて公園で襲われたときのこと。
たまたまその晩履いていた、レアもののハイソックスを。
わけを話したら、見逃してくれたからだった。
いい齢になった男の子が、ハイソックスを履くなんて。
尖った声の母親に、大人しい彼ははむかえなくって。
人目を忍ぶハイソックスでのお散歩は、いつも夜。
その晩穿いていたアミアミのハイソックスは、ちょっとレトロなレアものだった。
ひと思いに、首筋から血を吸われ、
昏倒した暗がりで。
男はハイソックスのふくらはぎに、唇を這わせてきた。
噛み破られちゃう。
少年は男の不埒な意図を察すると。
おもわず小声で、頼み込んでいた。
噛むのはやめて。。。このハイソックス、レアものなんだ。
血を吸うのは、かまわないから。。。
男は驚いたように少年を見、そしてすぐに吸いつけた唇を離していた。
ハイソックスが好きなんだね?
無言でうなずく少年も、逆に訊きかえしていた。
おじさんも、ハイソックス好きなの?
噛み破るのが、好きなんだね?
いいよ。吸うだけだったら、吸わせてあげる。
異形の存在とはいえ、初めて得た同好のひとに。
少年は寛大に振る舞って。
男も紳士として応えていく。
くちゅくちゅといやらしく吸いつけていった唇は、
アミアミのハイソックスを皺くちゃにずり降ろしていったけれど。
とうとう噛み破ることは、しなかった。
噛み破られたくないレアもののハイソックスを、見逃してもらって。
お礼に脚を差し出して。
たいせつなソックスを、舌で辱めさせてあげる。
少年にとっては精いっぱいの、信頼の証しだった。
約束するよ。また逢ってあげる。
真夜中は、怖いから。エスコートしてくれるかい?
白のハイソックスなら、なん足も持っているんだ。
ふつうのまじめな女の子が学校行くときに履いている、無地のやつって。おじさん好きかい?
頷いた年上の親友が、生唾を飲み込むのを。
聡明な少年は、聞き洩らさなかった。
それからのことだった。
人目のない公園を。
ふたつの影が、往き来して。
ひとりはベンチに腰かけて。
もうひとりはその前に、かがみ込んで。
くすくす・・・くすくす・・・
ベンチの少年がくすぐったそうに洩らす含み笑いに。
男は応えるように、舌を下品になすりつけていくようになったのは。
あとがき
前作のつづきです。
ハイソックスが好きな少年にとって、レアものは破かれたくないはず。
そこに理解を示してくれて、少数派の自分の立場に立ってくれた男は、
少年にとっては無二の親友に思えたことでしょう。
たとえ相手が、年配の吸血鬼だったとしても。。。
侵される息子、その母。
2010年07月03日(Sat) 06:28:18
おそくなって、ごめんね。
おそるおそる近寄って来る少年の足許は。
半ズボンに、ひざ下までの真っ白なハイソックス。
同年代の子はあまり履かない革靴に、ソックスの白さがきわだっている。
ボクの血、欲しいんだろ?
おそるおそるにしても。
どうやらこういう逢瀬に慣れているらしく、少年の行動は大胆だった。
男が腰かけるベンチの傍ら、芝生のうえにうつ伏せになって。
ハイソックスのふくらはぎを、惜しげもなくさらけ出す。
掴まれた二の腕の周り。
しましまもようのTシャツが、ギュッとしわ寄せられて。
首筋にひっそりと食い込んでくる牙に、少年はけだるげに眉をひそめる。
ちゅうっ・・・
ごくん。
おいしそうな飲血の音に、整った目鼻立ちがじょじょに弛みと媚びを広げていった。
きょうは、喉が渇いているんだ。
立ち直るまでしんどいだろうけど、たっぷり頂戴するよ。
男の囁きに、うっとりと頷きながら。
ウン。いっぱい飲んで・・・
少年の声は、昂りにかすれていた。
くすぐったいっ。
ハイソックスのふくらはぎに、這うように吸いつけられた唇に。
小娘みたいに羞じらい脚をすくめてながら。
しなやかなナイロン生地に、じわっと滲んでくるなま温かい感触を。
愉しみはじめていた。
発育の好いふくらはぎを包む真っ白なハイソックスを、
バラ色のシミに、惜しげもなく浸していった。
少年が眠りに就いたころ。
あたりを窺うようにして、年配の婦人が近づいてきた。
ベーズリ柄のワンピースの下。
薄茶色のパンプスにくるまれた足首に、肌色のストッキングがなまめかしく映えている。
眠ってしまいましたの?
気遣わしげに息子を見やる母親に。
安心しなさい。30分もすればしぜんと、目ざめるだろう。
医師のように冷静な口ぶりに。
婦人はベンチに腰かけて、足許をくつろげる。
さっきまで腰かけてきたベンチのまえ、跪くようにして。
男は女のふくらはぎを、なぞっていって。
しまいに耐えかねたように、彼女の息子の血を吸った唇を。
肌色ストッキングのふくらはぎに、ひと思いに吸いつけていた。
傍らに倒れ臥した少年が、ハイソックスを真っ赤に彩った唇に。
少年の母親は、ストッキングをチリチリにむしり取られていった。
ほろ苦い笑みを、たたえながら。
おいしいですか・・・?
訊くゆとりさえ、漂わせていた。
すまないね。
いいえ・・・
芝生にくるまれるようにして。
息子のすぐ隣にあお向けになって。
女はのど笛に食いついてくる牙を、待ち受ける。
己を襲う災厄は、飲血だけではないと知りながら。
この子、目を覚まさないかしら・・・?
女はなおも、気にかけている。
ワンピースのすそをせり上げてゆく男の、意のままになりながら。
息子の傍らで犯す過ちを、しきりに恥じている。
ガーターストッキング、穿いてきたのだね?
お恥ずかしいわ。
穿いたまま、したいということだね?
もう・・・言わせないで。
最初に逢ったころは、いつもパンストだったっけ。
脱がせるまでには、だいぶお時間が要ったっけね。
羞じらう女を、からかうように。
いけない思い出話を囁いてゆく。
鼓膜を侵す毒液に、
女はくすぐったそうに、目を瞑る。
静かな声と、裏腹に。
男の息は、荒かった。
そそり立つ股間の一物を。
ショーツを剥ぎ取った女の陰部にあてがって。
ぐりぐりぐりっ・・・
めり込ませていった。
人どおりのたえた、真夜中の公園。照り渡る街頭の下で。
昼間よりも鮮やかな芝生のうえ。
ひっそりとした凌辱に身を淪(しず)める良家の母子。
よほどに気に入った血なのだろう。
しずかになった二体のからだに、代わる代わる。
ヒルのように貪欲な唇を。
盗み取るように、這わせつづける。
学校帰りの逢い曳き
2010年07月02日(Fri) 08:07:17
細めに開いた、ふすま越し。
ボクの婚約者の里美さんは、学校帰りの制服姿。
あたりを気遣いながら、見まわして。
入ってくるところ、だれにも見られなかったかしら?
相手の男に、すがるように訊いている。
おっ、薄い靴下履いてきたな?
ボクたちの親くらいの年かっこうのその男は。
里美さんの問いには答えずに。
濃紺のプリーツスカートの下、脛を蒼白く染める薄々の黒ストッキングが気になるようだった。
大人の女になりかけた少女が、初めて脚に通す礼装を。
少女は羞じらいながら、男の目線に曝してゆく。
どお?似合う?
似合うとも。
どれくらい?
破いてみたいくらいに・・・ね。
まあ、いやらしい。
そんなかけ合いを、まるで合い言葉のように交わし合う仲。
婚約者に隠れて密会をするふたりのことを、
しきたりに従って結びつけたのは、ほかならぬボク自身―――
嫁入りまえの娘は、身持ちのよさの証しを立てるため。
夫になる男性に付き添われて、年配男性の吸血鬼にゆだねられる。
そんなしきたりに、ボクたちは息詰まる緊張をかんじながら、したがっていった。
はじめのうちは、戸惑いながら。
眉をひそめて、首筋を噛まれていって。
濡れたまつ毛をピリピリ神経質に震わせながら、許していったひと。
黒のストッキングの脚に、唇を這わされたときには。
首筋から吸血されるより、忌まわしげにかぶりを振っていた。
破けたストッキングのまま、ボクに付き添われて家路をたどるとき。
べそをかいていたそのひとは。
あんまりいやらしいことは、なさらないでくださいね。
そう哀願したのは、二度目の逢瀬がさいごだった。
公認されたのは、いちどきりでも。
多くの娘たちが、まるで洗脳されるように。
恋人にだまって、吸血相手と逢うようになる。
ボクの未来の花嫁も、そんなしきたりの例外ではなく、
背徳の道を歩み始めるようになっていた。
彼にはナイショ、ですよ・・・
息を詰めながら、頬を上気させていて。
男の促すまま、みずからたたみのうえに、寝そべっていって。
なまめかしい薄墨色に染めたふくらはぎを、男の唇にゆだねていった。
ちゅうっ・・・
ひそやかに湿った、吸血の音とともに。
なよやかな礼装はぱりぱりとかすかな音とともに、はじけていって。
広がる裂け目から、白いふくらはぎを、じょじょに露出させてゆく。
スカートの奥、男に手を突っ込まれて。
脱がされるままに、黒のストッキングを脚から抜き取られてゆくのを。
女はぼう然として、許していく。
彼にはナイショ、ですよ・・・
さっきとおなじ、つぶやきを。
幾度も口許から、洩らしながら。
あとがき
婚約者に隠れて、他所の男に逢って。
学校帰りの制服姿のまま、差し伸べた足許から。
黒のストッキングを惜しげもなく裂き取らせてしまう、女学生。
しきたりとはいえ、いちど引き合わされた年配の男性に。
さいごにはきっと、純潔までもむしり取られてゆくのでしょう。
婚約者の彼に覗かれて。
危ない予感を、いつか彼もが愉しみはじめていることを。
彼女はどこまで意識していることでしょうか?
洗脳された妻。
2010年07月02日(Fri) 07:54:58
わたしの勤める事務所がおかれたその村は。
創立者である会長の、生まれ故郷だときいている。
一見のどかな山里で。ほんとうになにもないところなのだけれども。
だれもが妻や娘同伴で赴任を命じられるこの土地には。
永く・・・吸血鬼たちが棲まっている。
血に飢えた者たちと、そうでない者たちとが。
平和裏に共存するためには。
多くの善意のものたちの血が、流された。
人の生き血を欲しがるものたちに、社員の妻や娘を片っ端からあてがうことで。
平和裏な均衡が、保たれているのだった。
ふつうであれば。
家族を毒牙にかけられたものとのあいだに、悶着の一つも起こるはずなのだが。
短い試用期間の間に、特殊な方法による採血検査や社員同士の内偵などで。
特殊な属性を探りだされたものだけが。
妻同伴の勤務を命じられることになっているらしく、
ほんとうに・・・なにも困ったことは起こらずに。
村の日常は平和裏に、つづいているのだった。
こんや、お呼ばれしているの。
妻の留美子は、そういって。
挑発するような目線を、投げてくる。
夜のお呼ばれ。
それがなにを意味するのかを知ったのは。
赴任そうそうのことだった。
あの晩―――
泣きじゃくりながら生き血を吸われ、
バラ色に染められたワンピースを剥ぎ取られながら貞操を奪われていった若妻は。
すっかり吸血鬼たちの娼婦になり果てていた。
きみのところも、大変だねぇ。新婚そうそうに来るなんて。
でもうちだって、家内と娘両方とも、お呼ばれするんだよ。
そんなふうに、そっとささやいていったT次長が浮かべるほろ苦い笑いは、
歪んだ愉悦を、含んでいた。
妻がほんとうに、堕ちるまで。
一週間と、かからなかった。
ひとりきりの夜勤のとき、ひっそりと帰宅して。
かつて夫婦の寝室だったその薄暗い密室で、
白く浮き上がる妻の華奢な身体が、舞うありさまを。
ゾクゾクと心昂ぶらせながら、窓ごしに見守るのだった。
スラックスを庭先の草露に湿らせながら。
わたしよりもはるかに逞しい筋肉をの持ち主たちが、
つぎつぎと、華奢な肢体におおいかぶさって。
虐げるように抑えつける、布団のうえ。
ほっそりとした腕や脚が。
吸いつくように、ねっとりと。
じぶんのほうからからみついていったのだった。
してくれるわよね?車で送り迎え。
帰り道だって、あぶないでしょう?
妻はわたしを挑発するように、こちらを覗き込んでくる。
さいきんパーマをかけたばかりの髪をひっぱりながら。
村に来たときには、ストレートのロングの黒髪が、自慢だった。
けばけばしく波打つ髪形も。栗色に染めた色も。
きっと情夫の好みなのだろう。
そういえばスカート丈も、ひざ小僧丸出しの短かい丈のものばかりになっていた。
逢い曳きの場所は、村はずれの納屋。
車で行けば、ものの数分とかからない場所。
わざわざ夫婦の車で乗り付けたのは。
相手の男にそう、求められたからだろう。
待っててね。すこし時間かかるけど。
白のスーツに着飾った妻は。
いつもよりも濃い化粧を刷いた白い頬に、ふしだらな笑みをよぎらせてゆく。
あなた、だらしないわね。このまま私を行かせちゃうわけ?
そう言いたげに、振り向いて。
わざとらしい投げキッスをしてくると。
腰を振り振り、男どもの待つ納屋のなかへと、ハイヒールの脚を踏み入れてゆく。
まだあからさまな明るさをもった夕陽に映えて。
肌色のストッキングのふくらはぎを、てかてかと光らせながら。
私を行かせちゃう。が。
私をイカセちゃう。になるまでに。
どれほどの刻が、必要だというのだろう?
男どもは、三々五々、集まって。
なかにはわたしの車のフロントグラスを叩きながら。
だんなさん、悪いね。愉しませてもらうね。
礼儀正しくもそう声をかけてくるものさえ、いるありさまだった。
納屋から聞こえてくるのは。
女の悲鳴。
服の裂ける音。
獣たちの随喜の呻き。
そして―――
感じてしまった女だけが放つことのできる、あの妙なる悶え。
車、出して頂戴。
女はくわえ煙草を口にしたまま、助手席の背中を目いっぱい押し倒して。
裂けたストッキングをまだ脚に通したままのつま先を、ダッシュボードの上に乗せた。
わたしさえもが嗜むことのない、ほろ苦い紫煙のすさんだ香りが。
狭い車内に充満した。
舐めてくれない?私の脚。
妻の挑発は、まだつづいている。
てかてか光る肌色のストッキングを、好んで脚に通すようになったのは。
男に襲われる習慣が、身についてからのことだった。
縦にびちっと裂けたストッキングは、破られる前の光沢を、まだそこかしこによぎらせていて。
女が淑女であった名残を、とどめているかのようだった。
おそるおそる、唇を沿わせていったふくらはぎは、
意外なくらいに、冷え切っていた。
失血のもたらす冷えだと気づくまえ。
たっぷりとしみ込まされた精液の、ツンとした異臭が鼻腔に満ちた。
妻を侵し、狂わせた粘液を、妻のストッキングから舐め取るという。
屈辱的な行為に、不覚にもしばし熱中してしまったわたし。
いい根性ね。
女は冷たく言い放つと。
作った声色を戸惑うように揺るがせて。
孕むのは・・・貴方の児にしたいものだわ。
消え入るような声色は、語尾をかすかに震わせていた。
夜の帳がすっかりおちた、村はずれ。
お約束があるの。真夜中にもういちど・・・
せかし口調にもどった妻は。
片方脱いだストッキングを、そっとわたしに押しやるのだった。
久しぶりに・・・
2010年07月01日(Thu) 00:27:18
素敵なリンク先を、見つけました。
と、申しましても。
無精ものの柏木のこと、じつは舞方さまの「舞方雅人の趣味の世界」の紹介記事で知ったのです。(^^ゞ
http://masatomaikata.blog55.fc2.com/blog-entry-2022.htmlお目の高い舞方様に、心より感謝します。
新しいリンクサイトさまのお名前は。
「少し夜語り」
http://blogester.blog134.fc2.com/悪堕ち小説のサイト様なのですが、透徹した文章からはどこかひっそりとした独特の趣きを感じます。
6月に立ちあがった新進のサイトさま、これからのご発展が楽しみです。
>白桃の句さま
唐突な訪問をこころよく受け容れていただき、ありがとうございました。
勝手にリンクしてしまい恐縮です。(^^ゞ
これからもよろしくお願い致します。