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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

出勤前のキス

2010年09月30日(Thu) 08:12:45

行ってらっしゃい。
出勤まぎわ、妻は言う。
そして玄関先で、キスをしてくれる。

身にまとうのは、フェミニンなワンピース。
この衣装を着て、なん人の男の相手をしている?
あの肩先を抱いたのは、だれとだれ?
流れる黒髪を撫したのは、どういう男?
てかてか光る肌色のストッキングを脱いだのは、どこの密室?
そして。
いま交わした唇に、なん人の男の唇が重なった?

重なり合わされる唇と。
太ももの奥、深々と含まれる秘せられた処。
代わる代わる出入りする男たちとの、淫らな接点。
心をこめて妻を抱きしめながら。
ほかの男の気配を、ありありと感じている。

え・・・?
怪訝そうに見つめる妻の、上目遣いを。
照れ笑いで、受け流す。
そう。
わたしが背を向けたその瞬間から、妻はわたしだけの女ではなくなる。
きょうはその装いで、だれを惑わすというのだろうか。

会員雑誌 「吸血趣味」

2010年09月29日(Wed) 06:30:32

はじめに
8月のおわりころ。
たいとるは考えついたのですが、肝心の記事が描けませんでした。(^^ゞ
放置するには刺激的すぎるたいとるなので、あとは御想像のままに、ということで。 苦笑



会員雑誌「吸血趣味」

吸血趣味とは、趣味として吸血を嗜むこと―――
飢えたものと与えたがるものとが交叉する、闇の交流。
これは特殊な嗜好に酔い痴れる紳士淑女だけのための、秘められたコミュニティ雑誌です。


ご主人を口説いて、三か月。あこがれの人妻の生き血を、初めて口にした瞬間(とき)―――

純白のハイソックスを真っ赤に染めて―――病んだ欲望に健気にも応えてくれた、ご近所のお嬢さん

卒業記念に、吸血を―――卒業式帰りのまな娘を送り出してくれた、親愛なるご近所さん

家族で奴隷ごっこ―――お嬢さんのハイソックス、奥さんのストッキング、御主人は紳士用の薄手のハイソックス

ライン入りハイソックスを血に染めて―――飢えた唇に散らした、ある少年の青春

セーラー服の襟首に散らした、バラ色のしずく―――わたしの喪失体験


・・・ま、本文は描くまでもないのかな?^^;

単身赴任。

2010年09月28日(Tue) 05:35:59

吸血鬼の棲まう、この街では。
夫たちは顔なじみの近しい吸血鬼のなかから、妻の相手をひとり選ぶ。
彼らが単身赴任や出稼ぎに、街から出ていくと。
吸血鬼たちは入れ代わりに、留守宅にあがりこんで、
まず奥さんを襲って、生き血を愉しんで。
あたかも夫と入れ代わるように、情夫となる。

昼間も出入りをくり返し、子供たちとも顔を合わせるようになり、
懐かれるようにまで、なってくると。
こんどは娘や息子の血まで、欲しがるようになる。
けれどもそのとき、子供たちはすっかりなついてしまっていて。
ためらいもなく、洋服の襟首をくつろげるようになっている。

夫が帰宅するときには、遠慮をするように姿を消して。
帰宅した夫たちもまた、気を利かせるように足早に、赴任先に戻ってゆく。
妻子が表向き、なんの変わりもなく過ごしていることに、一抹の安堵を覚えながら。

小父さん、パパが戻って来ると、来づらくなるんじゃない?
仲良しの小父さんを自分の寝室に迎えた息子はある晩、血を吸わせるまえに尋ねている。
ママのストッキングや姉さんのハイソックスのふくらはぎに、好んで唇を吸いつける男のために。
男もののじゃ、つまんないよね?
そういいながら、真新しい紺のハイソックスを履いた脚を、見せびらかすようにぶら下げて。
男は押し戴くようにして、薄いナイロンのうえから唇を這わせてゆく。
そうでもないさ。こんどはパパを交えて、お食事会をやろうじゃないか。
嘘つけ。お食事するのは、小父さんだけなんだろう?いつもみたいに。
息子のへらず口さえ、愉しみながら。
吸血鬼までもが、案外と。
留守宅のあるじの帰還を、心待ちにしている。


あとがき
単身赴任におもむく前に。
ウマの合う悪友を、妻の相手を選んでゆく夫たち。
でもきっと。そうなる以前から。
妻や娘のことをきっと、ひき逢わせているような感じもします。
単身赴任はひとつのきっかけづくりに過ぎないような。^^;

招待。

2010年09月26日(Sun) 06:01:41

ご存知でしょうか・・・?
吸血鬼はいちど招かれたことのある家いがいには、出入りすることができないって。
そうなんです。
だから、他所の土地から来た家族を巻き込むためには。
一家のだれかを真っ先に、手先に仕立てないとならないのです。
その役回りが、一家の長であるわたしでした。

真っ先に血を吸われて。
それからわたしに、招待させたのです。
招いた客が、妻に絡みついて、押し倒して。白いうなじを吸って。
倒れ込んだ足許に、べつのやつが、這い寄って。
黒のストッキングのうえから、唇を吸いつける。
生き地獄・・・とおもったのは、ほんのさいしょのうちだけでした。
なぜなら、半吸血鬼と化したわたしは。
相棒に分け前をねだるようになっていましたから。

そのうちに、わたしは墓場送りになって。
うちの家族ともっとも親密になったある年配男性の手で、
妻が操を奪われたのは、早くも通夜の晩だったそうです。
目にしないほうが、いいべ。
悲鳴だの暴れるところだの。
なんだかんだいって、きれいごとじゃすまないからな。
さいしょは言い訳がましくさえ聞こえた解説を、洩らしてくれたのは。
「自分のときには、視てしまった」という村の男衆でした。

じぶんの家といえども。
吸血鬼になってしまうと、赤の他人です。
だれかが招き入れてくれるまでは、お邪魔することができません。
庭先の気配に気づいて、家にあげてくれたのは。
ほかでもない、妻でした。
みどりは勉強部屋にいますわ。
あの娘は、貴方のためにとってあるのですよ。
腰巻一枚の妻は、そう言い置くと。
いまは情夫の待つ、夫婦の寝室に消えていきました。

階下の荒々しい息遣いに、ひどく敏感になりながら。
この真夜中に制服姿で待っていた娘を、わたしは押し倒していったのです。
わたしの留守中、父親よりも年配の男衆たちに教え込まれたせいか。
娘の客あしらいは、別人のように手慣れたものでしたが。
その晩まで、たしかに処女だったのは。
スカートの裏に散らした雫と。
頬を伝った涙とが、ありありと証明してくれたのでした。


こんど母さんを連れて来て下さるのは、いつですか?
つぎに来るときには。
喪服のスカートの下に、光沢のもっとてかてかしたやつを履いてきてくれるって。
彼女、約束してくれたのですよ。
兄さんはわたしの弔いに、来れませんでしたが。
近々になったわたしの一周忌には、夫婦そろって来てもらいたいですね。
マサコさんも。キミエちゃんも。
都会ふうの服を初めて血で濡らす快感を。
村を立ち去るときには、忘れられなくなっているでしょうから。

近況報告。

2010年09月26日(Sun) 03:31:20

当地に越してきて、ようやくまる一年になるとしています。
こちらでの暮らしにも、すっかり慣れました。
”村”というと、どうしても閉鎖的な印象を免れないのですが。
こちらのかたがたはさいしょから、とても親切でよくしてくれています。
身なりや言葉遣いも、かなりの人たちが都会風で、洗練されているので。
ゆう子や娘たちも、すぐになじんでいったようです。

でも、村のかたがたのそうした友好的な態度には、じつはうらがあるのです。
ほんとうの狙いは・・・
ゆう子は娘たちの身体に脈打つ、うら若い女の生き血だったのですから。
ええ。
この村のかたがた、大半は吸血鬼なのですよ。

びっくりされましたか?
でも、どうかご安心ください。
さいしょのひと月ほどは、驚くことばかりでしたけれど。
いまではもうすっかり、こちらのやりかたになじんでしまっているのですから。
ドラキュラ映画だと、女のひとって血を吸い尽くされてしまったりするでしょう?
ああした気遣いは、ほとんど要らないのですよ。
だって、そんなふうにしていったら、しまいに村人は死に絶えてしまうじゃないですか。
いちどに獲る血は、ほんの少量。
献血くらいのものなのです。
ゆう子も娘たちも、それとは知らず献血の輪の中に組み込まれていって。
及ばずながらわたしにしても、首筋に痕をつけられちゃっているのですよ。
たいがいは、おばあちゃん相手ですけれど。 笑

都会ふうの服装をたしなんでいるのは。
男の吸血鬼たちが、しょうしょうエッチだからなんです。
真新しいブラウスの襟首に、わざと血をつけてみたりするのは、序の口で。
特に好まれるのは、ストッキングを履いた女性たちの脚なのです。
なまめかしい薄々のナイロンをチリチリにしてしまうまで、
ふくらはぎ全体を舐めるようにして、唇を吸いつけてくるんです。
さすがにさいしょのうちは、ゆう子も娘たちも、戸惑っていましたが。
新学期早々、ものの一週間と経たないうちに。
学校に履いていく黒のストッキングを、一足残らず食べさせるはめになっちゃいましたからね。
さいしょは戸惑っていた娘たちも、いまではすっかり慣れてしまって。
今年は、夏服の期間中娘たちは毎日、黒のストッキングを履いて登校したんですよ。

ゆう子ですか?
ええ、お母さんは真っ先に。手本を見せるしきたりなのですよ。
うちの場合は、娘たちのほうが先になってしまいましたけど。
週に二度くらいなら、だいじょうぶだからって。
村の顔役に招ばれる宴席に、出かけてゆくのです。
あとは、言わぬが花ですね。
吸血鬼がたしなむのは、女の生き血ばかりではないのですから。
明け方。
ストッキングをチリチリにして帰宅してきた妻は、手早く着替えを済ませてしまいます。
わたしはすっかり、寝入ったふりをしているんです。
洗濯機のなかをあさってまで、彼女のスカートがどれくらい濡れているかなんて。
わざわざ確かめるのは、悪趣味でしょうから。
でも、まあ。
お互いさま、と、言っておきましょう。
わたしもいい思いさせてもらっていますから。^^

お父さんやお母さんも、いちど遊びにいらっしゃいませんか?
今年も忙しくて、夏休み取りっぱぐれているんでしょう?
還暦まえのご婦人だったら(そうでなくても)大歓迎だそうですよ。^^
そういえばお父さんも、以前からドラキュラ映画に凝っていましたっけ。

栗拾い 2

2010年09月24日(Fri) 08:09:35

あの・・・栗拾いに行って来ますね。
さすがに妻も、ためらいがちだった。
栗拾い。
いまはまだ、そんな季節ではない。
これはこの土地に長く住まうものだけが識る、隠語なのだった。
一定の年齢を迎えると。少年は一人前になるための”儀式”を経験する。
相手はきまって、地元の既婚女性だった。
妻にもその番が回ってきたとき。
わたしはもちろん、否とはいえない立場。
だってだれもが、いちどは通り抜けてきた道だったから。

そろそろ順子さんにも、”お話”入るからね。
こっそり教えてくれた母の囁きは、わざと聞こえなかったかのように受け流していた。
妻の場合、すこし気の毒だったのは。
都会育ちで、なにも識らずに嫁いできたこと。
なれなきゃいけないから・・・トシ兄さんにお願いしようね。
母はそのときも、兄の名前を早口に囁いていった。
ありもしない出張を口にして、家を幾晩か空けたのは。
それからすぐのことだった。
女あしらいが昔から上手だった兄は、十歳近く年下の妻のことを、うまく手なずけてしまったらしい。
そして、うまく手なずけられてしまったらしい妻は、別人のように和やかになって。
それまで折り合いのぎくしゃくしていた姑とも、軽口をたたくほど意気が合うようになっていた。
姑と示し合わせて、夫に対する秘密をもつことは。
いまの妻なら、罪ではないと知っているはず。

”お話”が入っても。あんたには言わないよ。そういうことになっているからね。
でもきっと、順子さん素直だから、態度に出るだろうね。
態度に出ても、気づかないふりをするんだよ。
母の指摘は、いちいち的確だった。
白昼妻のことを、兄は自宅に招くようになって。
そんな兄の要望に随った日の夜は。
よそ行きのスーツを着替えもせずに、わたしの帰宅を待っていて。
夕餉のあいだもひどく、そわそわ落ち着かないようだった。
スカートをめくりあげて。裏側にしみ込んだ体液をからかってみようかと。
幾度思ってみたことか、知れやしなかった。

そんな妻が。
栗拾いに行く。
きょうは初めて、面と向かって。
あからさまなことを、口にするようになっていた。

わたしはさすがに、ちょっとびっくりした顔になって。
思わず表情に出てしまった想いを、けれども隠そうとせずに。
わざとこともなげに、おだやかに。応えていった。
―――ああ、行ってらっしゃい。先さまにはよろしくね。
栗拾いに連れがいる などと。
口にするはずもない妻に、ついよけいなことを口走っていた。
いまはまだ、秋の入り口。栗などどこにも落ちていないけれど。
女はだれしもが、親しいものに食べさせる栗を、身体の奥に抱いている。

せっかくだから、おめかししていくといいよ。
栗拾いにおめかしなんて。
尻ごみしかける妻の背中を、押すようにして、。
このあいだの法事のとき。
志郎くん、お前の喪服姿をじーっと視ていたぜ?
あのときみたいな、薄い黒のストッキング。ちょっと視てみたい気もするね。^^
あら、いやらしい。
妻は初めて、笑いを口許に含ませた。
そう、その表情のほうがいい。相手のひとに、気に入ってもらうには。
わたしはいつか、芸妓を送り出す女将の気分になっている。
じゃあ、ついでにお墓詣りも済ませて来るわ。
甲斐甲斐しい嫁の表情に立ち戻って、妻はいそいそと、自室に向かう。
黒のストッキングを片足ずつ、通してゆくの気配が。
もの音ひとつしない妻の自室から、伝わってきた。

たくさん拾ってくるんだよ。
玄関に降りて、黒のストッキングにくるんだつま先に、ハイヒールをつっかける妻に。
わたしは念を押すように、そういった。
はい。はい。
男のひとって、いやらしい・・・
ハイヒールを履くためにかがみこんだ横顔に、そう描いてある。
けれどもあたしだって、同じことか。
そんな開き直りが、サバサバとした立ち居振る舞いになって。
では。
ドアを閉めるときには、背筋をぴんと伸ばしていた。

コツコツと響く、ハイヒールの足音が。
ドア越しに遠ざかってゆくのを。
わたしはじいっと、聞き耳を立てている。
わたしだけしか識らなかった身体を、兄に教え込まれて。
その兄の子を、こんどは教えるため。
わが身を娼婦に、やつしてゆく。
裏切りではないのだよ。
ひとりの女をいっしょに愛することは、仲良くなることになるのだよ。
初めての刻を、兄嫁と過ごしたあと。
照れくさそうにそう告げた兄を思い出す。
いよいよ妻をモノにしようとする晩。
気遣って出張先まで電話をくれた兄に。
しずえは太ももが弱いんだ。ストッキングを脱がしながら、舐めてやってくれよ。
ははは・・・
受話器越しかえってきた笑いは、ひどくあっけらかんとしていて。
かつて妻を差し出した兄も。これから妻を差し出す弟も。
声を合わせて、笑っていたっけ。

妻はいまごろ、黒のストッキングをもう、脱いでしまっているだろうか―――
それともわざと破らせて、甥の昂奮をそそりたてているのだろうか―――
妻が他家に嫁に行く。
役目をひとつ果たした不思議な安堵感が。
淫靡な想像とごっちゃになって。
秋空のそらぞらしさから、わたしはいつか視界をそらしていくのだった。

墓場の同居人 ~真夜中の帰宅。~

2010年09月24日(Fri) 07:40:31

真夜中の墓場に、透きとおった夜風が吹きぬけた。

きっかり一時間後だ。それ以上早くても遅くてもいけない。いいね?
あくまでお前に頼むのは、後始末だからね。
俺にそう命じた吸血鬼は、同類をふたりも引きつれて。
じゃあ行くぜ。お前の妻と娘をいただきに。
肩をそびやかして、足音を遠ざけてゆく。

同類のうちひとりは、俺よりもちょっとまえに吸い尽くされた男。
顔見知りのその男は、ちょっとだけ同情したように俺を見ると、
早く来ねぇほうが、いいって。
小声でせかせかと囁くと、すぐにあるじの後を追った。
やつのときには、帰宅が早過ぎたらしい、。
まだ食事を終えていなかった悪魔どもが。
妻や娘を相手に飽食するありさまを。
庭先の窓辺から、見せつけられるしかなかったのだから。

きっかり一時間後。
俺は、かつて我が家と呼んでいた玄関に、佇んでいた。
もう真夜中過ぎなのに、なかの灯りがこうこうと点いたままになっているのは。
住人たちがとっくに、意思を喪失していることの証しだった。
不埒な暴漢どもが立ち去った足音さえ、まだ残っているかのような。
落花狼藉の現場が、足許にあった。

妻はエプロンを腰に巻いたまま。
空色のブラウスの襟首を、真っ赤に濡らしてあお向けになっていて。
娘も制服姿のまま。
濃紺のベストにも、白のブラウスにも。紺色のひもリボンにまでも。
噛まれて撥ねかした紅いしずくを、転々と散らしている。

あたりに着いた血を、たんねんに拭き取って。
倒れた椅子。散らばった食器。
ひとつひとつ、片づけていく。
そう、我が家にはなにも起こらなかった。
なんとか取り繕おうとして。
けれども―――
血の撥ねた服だけは、
そして服の持ち主の喪失感だけは、どうすることもできなかった。

白目を剥いた、女ふたりを。
ねじった身体を、直してやって。
顔を見ないで済むように、うつぶせに寝かせてゆく。
乱れたスカートのすそを、整えながら。
ふだんそんなにじっくりと見つめることのなかった妻のふくらはぎに、目が行った。
片方だけ裂けた、肌色のストッキング。
力づくで食いついて、噛み剥がれたのだと。すぐにわかった。
俺の目つきが変わったのは、そのときだった。

まるでわざとのように、無傷で残されているふくらはぎに。
生えかけた牙を、ズブズブと埋めてゆく。
柔らかくて、しなやかな肉づきに、牙の根元まで埋め込んで。
ちゅうっ。
初めて吸いあげた妻の血は、ひどく暖かだった。

そろそろと這い寄った、娘の足許は。
白のハイソックスに覆われていた。
ひざ下まできっちりと、お行儀よく引き伸ばされたハイソックスは。
今夜の宴のためにおろしたばかりの真新しさで、
飢えた獣の目には、あまりにも目映かった。
両足とも無傷なのは、俺のためのおすそ分け―――?
つごうのよい解釈をするゆとりさえないままに。
俺はみさかいなく、かがみ込んでいって、
娘のふくらはぎに、ハイソックスのうえから。飢えた唇を吸いつけていた。
ちゅーっ・・・
ピチピチとした活力が、喉の奥にまで、満ちていった。

朝―――
なんの前触れもなく帰宅した俺のことを。
家族は無表情に、受け容れている。
妻も娘も。
うなじにくっきりと、どす黒い痣を滲ませたまま。
それすらも気がつかないかのように、朝餉の支度をし、制服に着かえてゆく。
朝ご飯ですよ
のどやかに透きとおる、妻の声は。
なにもなかったころと、寸分の変わりもなかった。
食事を採るのは、ふたりだけ。
俺は部屋の隅で新聞に顔を埋めていて。
食事がおわるころ、思い切って、呟くように。
優子は学校、休ませろ。
ハイソックスは真新しいのに替えて・・・
お前も、そうだな・・・ちょっとおめかししてみたら?
ストッキングは黒が好みだって、あの人言っていたぜ?

女ふたりは、ちょっとたじろいだけれど。
母親は、娘の欠席を告げる電話をするため背中を向けて。
娘は履き古したハイソックスをその場で脱いで、
真新しいのをぞんざいにつま先に通してゆく。
お客さん来る前に・・・パパにも一足吸わせてあげるね。
腰かけたソファのすぐ隣に身を寄せてきて。
娘はわざとのように、真新しいハイソックスのふくらはぎを見せびらかした。
かがみ込んだ鼻先を、真新しいナイロンの微かな芳香がくすぐった。
無表情に立ったまま、妻が黒のストッキングに脚を通してゆくのが。
横目にもひどく、いけぞんざいに映っていた。


あとがき
襲われて血を吸い取られて、倒れて気を失ったまま、こんどは父親・夫に吸われてしまう。
ストッキングやハイソックスごしに吸血を経験して。
妻や娘を狙った吸血鬼どもに、新たな共感を覚えた男は。
そのまま家に棲み込んで。
うら若い女たちの血の管理人として、新たな役割を果たしていく。
どうも今朝のお話は、ちょっぴりダークなのが多いですね。 苦笑

寄り目になるとき。

2010年09月24日(Fri) 06:04:15

ぐちゃっ。
男が昭太の首すじに、食いついたとき。
いやらしくて露骨な音がした。
昭太はわたしよりも、若い。
男ははるかに年上の、ごま塩頭。
きゅううううぅ・・・
ごま塩頭は、這わせた唇に、思いきり力を込めて。
昭太の血を、半ば事務的に抜き取った。

寄り目になって、目を白黒させて。さいごに白目になってしまうと。
ごま塩頭は、昭太の首筋から、唇を離して。
男どうしじゃ、興も湧かねぇ。
手の甲でいいかげんに、口許を拭いながら。
そんな言い草を吐き捨てた。
う、うーん・・・
若い犠牲者はけだるそうに、身を横たえて。
何かを取り戻そうとするかのように、伸ばした手が虚空をまさぐった。

昭太はまるで探検隊のように、うす茶色のハーフパンツの下、真っ白なハイソックスを履いている。
ふん、足許だけは女みたいだの。
ごま塩頭はまんざらでもないように言葉を和らげると、
ひざ下までキリッと引き伸ばされたハイソックスのうえから、むぞうさに唇を吸いつけた。
縦に整然と流れるリブがぐにゃりとねじ曲げられるほど、強い吸いかただった。
吸いつけられた唇の下、眩しいほど真新しいナイロン生地のうえ、赤黒いシミがみるみる広がった。

あんた。女房と、娘と。お袋さんがいるんだな?
畳みかけるように、問いを重ねてくるごま塩頭に。
昭太は素直な少年のように、頷いている。
血を吸っただけで、なんでもわかっちまうんだ。
お袋さんは還暦まえの後家で、女房は生娘のまま嫁に来た。娘は中学にあがったばかり。そうだな?
わしに血を吸われちまった女どもはの。
身持ちの良し悪しまで、ばれちまうのさ。
わかったらあんたにも、とっくり聞かせてやろうほどにの。
昭太はなにも応えずに、放心したようになっていて。
ずり落ちかけたハイソックスのうえから、噛まれたふくらはぎを、
ただ表情を無くして、しきりに撫でまわしている。

ひとりずつ、招ぶんだぞ。
齢の順がええな。
いや、まずは嫁ごからいただくのがすじというもんだな。
嫁姑の仲がよくないのだろ?仲良くできるよう、嫁に仕切らせてやろうや。
ごま塩頭は昭太の肩にいたわるように手を置いて、その肩を小突くようにして起ちあがった。
男が立ち去るのを見送ることもせず、昭太は取り出した携帯を耳に当てている。
頭に押し付けるようにして隠れた携帯のディスプレーには、
奥さんの名前が表示されているのだろう。

昭太はわたしの、年下の友人。
都会からやって来て、先にわたしの越してきたこの村に居を構えたのがつい先月のことだった。
奥さん、呼ばんのかえ?お袋さんともども、遊びにくればええ。
親切ごかしにかけられた、そんな誘いの裏に。
若い女の血を、一滴でも多く獲たいという。
村じゅうの願いがあると知ったのは、つい十五分まえのことだった。
強引に抜き取られた昭太の血液は。
いまごろごま塩頭の男の胃の腑を、ゆったりと和らげているのだろうか。
節子もみどりも、母さんも。おなじようにしてもらわないとね。
呟く昭太の表情は、どこまでも無表情。
このあと彼や家族がどうなるのかは。
わたしは体験として、知ってしまっている。

いまごろハーレムみたいになっている、わたしの自宅。
二階の勉強部屋では、都会の学校の制服を着て。
一階のリビングでは、妻がよそ行きのスーツ姿で。
離れのお茶室では、母が黒の礼服姿のまま。
真っ白なハイソックスや、てかてか光る肌色のストッキング、それに礼装用の黒のパンストを。
情夫の精液に浸しているはずだった。

いいのかい?あんな約束しちまって。
からかうような、わたしの問いに。
けだるそうな笑みが、かえってきた。
あんたもおんなじふうに、しちゃったんだよね?いま愉しいかい?
まあ・・・ね。
交わし合う含み笑いが、いつか共犯者の匂いを強めてゆく。
週末の村はずれの納屋は、きっとにぎやかに盛り上がることだろう。
わたしが村に来た一ヶ月後の歓迎会のときのように。


あとがき
ちょいとダークなテイスト でしょうか? ^^;

仲良くなる儀式。

2010年09月24日(Fri) 05:08:50

さぁ~、奥さん。こっちこっち。^^
緋色のスーツ姿の妻が、手を強引に引かれて、引き立てられて。
きゃー。
つぎの瞬間、藁山のなかに、放り込まれた。
わざっ!
藁くずがそこらじゅうに、舞い散る彼方。
てかてか光るストッキングの脚が、むやみにじたばたと、ばたついていた。

姐さん姐さん・・・あんたも遠慮しなくって、いいんだぜ。^^
そんな伝法な呼ばわりを受けたのは、わたしの母。
黒の礼服姿の母が、ちょっとの怯えをみせてこちらを見返るとき。
ほっそりとした白い首すじが、ツルのような気品をみせた。
きっと。
あらけない男衆の野良着姿が、よけいにそうさせたのだろう。
おなじことだった。
母の身体も悲鳴とともに、藁のなかへと投げ込まれる。

まるでたきぎか、まきざっぽうのようにして。
つぎつぎと藁のなかに投げ込まれ、身を淪(しず)める女たち。
都会ふうの洗練されたスーツ姿に、泥まじりの藁くずは、あまりにも不似合いだった。
黒のストッキングの脚をじたばたさせる、そのうえに。
野良着姿が、折り重なった。
隣に寝かされた妻のほうは。
肌色ストッキングの太ももを、すでに強引に割られてしまっていた。

ええ眺めじゃろー。
傍らに座りこんで、耳もとにささやきかけられる露骨な響き。
かかぁやお袋がやりまんだって、見届けるのは。
ここじゃあ亭主のつとめなんだぞ。
わしだって。のぉ。
のぉ。
意味ありげに相槌を打った、ごま塩頭の相棒は。
自分よりは年若なこの五十男の女房を、きっと手ごめにしたやつなのだろう。

迷い込むようにして、棲みついた村。
そこは自分の女房や娘、それに母親にまで。
夜這いをかけ合うしきたりをもっていた。
自分の女にほかの男が通うことで。
よけいに仲良く、なれるじゃろう?
年配のほうの男がそういうと。
そうそう。
目を細めて、相棒が相槌を打つ。
そいつに妻を手ごめにされながら。
お互いさまなのじゃよ、と、平然と言ってのけている。

あ、あ、あぁ~っ!
納屋のなかから、悲痛な声があがった。
妻のものだった。
ひいいいいいっ。
押し殺すようなすすり泣きが、そのあとに重なった。
二個の女体が深々とうずまる藁のなかから、覗くのは。
ストッキングを剥ぎ取られた二対の脚ばかり。
ずり落ちた薄手のナイロンは引き裂かれ、ふしだらなたるみをみせて。
女たちの堕落を、告げている。

ひー。ひー。
も、もっとォ・・・
女ふたりの反応は、微妙に変化を遂げていた。
ええか?ええじゃろ?ええんじゃろ?
男どもは露骨な返答を求めて、畳みかけるように問いつめて。
問いつめながら。
激しい腰の上下動を、強引なくらいに。
スカートを着けた細腰に、伝えていった。

美津子さん、いけませんッ。
お義母さまだってー。
むしろじゃれあうような、押し問答に。
男どもも、はじめのころの緊張の色を解いている。
おめでとうなあ。
終始わたしに付き添ってくれた、年配男どもは。
よかったのー。これであんたも、晴れて村の一員だわい。
荒っぽくわたしの肩を叩くと。
思い思いに。
藁のなかの女たちに、のしかかっていった。

だんなが視なけりゃ、はじまらんのさ。
どうせなら、いっしょに愉しまんとのぅ。
なにしろ・・・己のかかぁとお袋が、初めてわしらと仲良くなるところなんじゃから。
男どもの言い草は。
たしかに、的を射ているのだった。

栗拾い

2010年09月23日(Thu) 19:28:47

栗拾いに行く。
それは、許された男女が逢瀬を遂げるときの合言葉。
だれもが口にしながら、知らん顔をし合っていて。
うっかり耳にしてしまったときは、聞こえないふりをしながら聞き耳を立てている。


あの子、あなたと栗拾いに行きたいんだって。
そう告げてきたのは、幼いころから姉のように接してきた女(ひと)。
相手の男の子はほかならぬ、夫の兄の長男だった。
男の子はだれもが、数えで十五になると。
女の身体を覚えてゆく。
そんな村では、近しい同士の恋路など。
ごくありふれた、日常風景だった。
そういう齢に、なったのね。
いつまでも、子供だと思っていたけれど。
妾(わたし)は初めて、二十も若い甥のことを、男として値踏みした。


妻のワンピース姿は、いつになく浮き立っていた。
夫婦連れだっての、散歩道。
暑かった陽射しはいつか穏やかに鎮まりかけていて。
憎らしいほど蒼かった空も、秋の深みを帯び始めていた。
向こうから歩いてきたのは、甥の志郎。
すぐ近所に住まう、兄の長男坊だった。
思いがけない邂逅に戸惑った少年は、ちょっと立ち止まって。おずおずとして。
それでも勇気を奮い起したように、こちらに歩みを進めてきた。
傍らにいるわたしなど、目に入らぬほどの性急さで。


なにを目あてにしてきたのかは、妾(わたし)にもすぐにわかった。
予想を裏切らない言葉を、甥は夫の前で、口にした。
あの・・・叔母さん。栗拾いにいきませんか?
上ずった声を、苦笑を押し隠してやり過ごしながら。
まだ、夏ですよ・・・
いいかけた妾をさえぎったのは、ほかならぬ夫。
約束していたの?
からかうような視線に、内心どぎまぎとしたものの。
秋になったら・・・ね。
少年が半歩退いたのを、夫婦どちらもが感じ取っていた。


わたしの脳裏をちらりとかすめたのは、女の姿をした優しい影。
その幻影を柔らかに振り切りながら。
わたしはいまわたしにできる役回りを演じはじめている。
栗拾いなら、秋とは限らないだろう?
未熟な甥っことおなじくらい、わたしの声がつんのめっているのを。
きっと妻はわかっているにちがいない。
でもせっかくだから、行ってみようかしら?
思わせぶりな流し目に、心臓の鼓動が毒々しいほど胸を衝く。

栗ならうちにも、落ちているだろ?
夫は目を細めている。なにもかも、見とおしたように。
ああ・・・そうでしたね。
妾はこんどこそ、深々と頷いていた。
じゃあ今夜は、栗ご飯ね♪
夫とつないでいた手を、脱ぎ捨てるようにすべりおとして。
甥っこの手を、握っていた。
邪魔するなよ~。書斎で調べものしているからな。
そそのかすような、夫の声。
そちらこそ、お邪魔はダメよ。
わたしは心のなかで、夫を冷やかしかえしている。

裏庭にまわってね。よく採れるところ叔母さんよく知っているの。
書斎の窓辺から、階下の声は筒抜けだった。
母屋と生け垣のあいだの、わずかな空間。
真上はわたしがいまいる窓辺だった。
あら、あら。いけない子・・・
性急な手つきに薄着のワンピースの裂ける音が、ここまで届く。
声を忍んだ息遣いがつづき、妻のものらしい呻きがひと声―――
やがていったん落ち着きを取り戻した息遣いは、さっきよりも密に重なり合ってゆく。

栗拾いに行くの?いいわよ。いつでも誘って頂戴ね。
遠い日に、そう頷いてくれた着物姿。
気負った口調を優しく補うような、いたわりと優しさがそこにはあった。
でもね、坊や。
なにかをいうときは、いわれた人の気持ちをちょっとだけ、考えてあげるのよ。
あのときまだ少年だったわたしを見返したあの女(ひと)は。
ちょうど、いまの妻ほどの齢だった。
わたしのまえで栗拾いの誘いをする少年のまえ。
久しぶりに現われた、あの懐かしい幻影。
深みを増した、青空の彼方。
少年のころにかえったまなざしは、恋しいものをなおも追い求めている。


あとがき
年上の女と初体験をした少年は。
いつか自分の妻がおなじ営みをくり返していくようになるのを、容認しないわけにはいきません。
きっとあのときあの女(ひと)も、おなじことを感じていたはず。
心のなかによみがえったあの女(ひと)は。
かつての少年にふたたび、何かを教えてくれるのでしょう。

墓場の同居人 ~初対面の嫁~

2010年09月23日(Thu) 05:09:01

わたしの棲む墓場にも、秋風が漂うようになった。
山の中の風は、九月といえどもうそ寒く、そして透きとおっている。
ひやひやと頬を撫でる風のむこうから、男は戻ってきた。
いつものようにうっそりと、背中をかがめて。

口許についたばら色のしずくの主を聞きたくて。
女房か?
わたしの問いに、男はゆっくりとかぶりを振った。
じゃあ・・・娘か?
目のまえの男は、吸血鬼。
かつてわたしの血を、身体が空っぽになるまで吸い尽くして。
そのうえで、いまでは夜な夜な家長を喪った家に出入りをして、
妻や娘の生き血を順ぐりに味わっている。
じゃあ・・・?
わたしは恐る恐る、問いを重ねた。
嫁だ。
うっそりとした口調が、得意げに。
かすかに上ずっている。

あんたの息子は、できた男だな。
比べられていることが。
誇りなのか。屈辱なのか。
嫁の服で、女装をするのだよ。
なんとか嫁のことを、かばおうとしたんだろ。
けれども嫁のほうで、気がついて。
わが身をさらしてくれたのだよ。
ほら。

指差された傍らに。
いつの間にか佇んでいたのは、ひと組みの男女。
父さん、しばらく。
息子の口辺に浮かぶ笑みは、意外なほどおだやかだった。
引き合わせるのは初めてだよね?
紹介するよ。先月結婚したななみさん―――
初めてまじまじと見つめた白い顔は・・・
そう、妻とうりふたつだった。

ためらい。

2010年09月18日(Sat) 08:16:42

おそろいの制服の足許に。
黒のストッキングの脚たちが、ためらいがちに足踏みをしている。
ねぇ、血を吸わせてあげようよ。黒のストッキング、噛んでみたいんだって。
教室で囁いてきた里美の発案に。
面白そう・・・
行く♪行く♪
って。
仲良しふたりは一も二もなく賛成したはずだけど。
いざ、吸血鬼の男の子たちを、前にすると。
どうしても脚が、すくんでしまうらしい。
いいじゃないの、年下の子たちなんだし。
里美のいうように、目のまえの男の子三人組は、そろって半ズボンにハイソックスの、学年が三つも下の子たちだった。
でも・・・でも・・
う~ん、怖いよ。
あたし、ストッキングの履き替え持って来なかった~。
だいじょうぶ、あたし予備のもってるから♪
仲良しふたりを、なだめながら。
里美は引きすえるように、二対の脚を、ベンチに座らせた。
さっ、仲良くおしゃべりでもしましょ♪
真ん中に座った里美に、両側から抱きすくめられて。
少女ふたりは、顔見合せて黙りこくってしまった。
悪いね。お姉ちゃん。
じゃあ、ごちそうになるね。
男の子たちは、黒のストッキングの足許に、思い思いににじり寄ると。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
むぞうさに唇を、吸いつけてきた。
きゃっ。
だれかがちいさな声で、ひと声叫ぶと。
あとはひたすらに、沈黙―――
ツトムくん、ほんとうにどっかから覗いているのかな。
仲良しのひとりが、思い出したように呟くと。
ハジメさんも、視てるのかしら・・・?
もうひとりが怯えたように、もの問いたげに里美を見た。
視てる視てる♪間違いないよ~。
生け垣の向こう側。
吸血鬼の男の子より、すこし年上の男子たちは。
つめた息をこらえるのに、ひどく苦労をしているようだった。


あとがき
ふぞろいな濃さのストッキングに包まれた、発育のよい太めの脚が。
吸血鬼の男の子たちのまえ、ためらいながらもじもじしている。
そういう情景描きたいのですが。
なかなかうまく、まとまりませんね。
次の機会に、期待しましょう。 苦笑

イヤラシイの、厳禁よっ!

2010年09月18日(Sat) 08:07:20

イヤラシイの、厳禁だからねっ!
清く正しい献血なんだから。
久美はいつも、男っぽい口調でそう言い放つと。
それでもうなじを、くつろげてくれる。
首すじに這う唇の感触だけは、かろうじてガマンできるらしい、。
ちゅうっ・・・
血を吸いあげられるときにはさすがに、ちょっと肩をすくめるのが。
抱きついた掌ごしに、伝わってくるけれど。
怯えている なんてとられることは。
あたしの沽券にかかわるといわんばかりに。
いっさいの同情や言い訳を、いつもかたくななまでに、拒みつづけている。

中学にあがったとき。
初めて目にした久美の、セーラー服姿。
黒のストッキングの脚に欲情して、帰り道に思わず道端の草むらに連れ込んで。
ふくらはぎを噛んで、破っちゃったとき。
ばしいッ!
激しい平手打ちが、まるで熱湯のように。頬を走った。
イヤラシイの、だめだって!
むうっと口をとがらせた久美は、目じりにかすかに涙を滲ませていた。
スカートについた泥を払って立ちあがった後ろ姿。
縦に走った伝線から露出した脛の白さが、ひどく色っぽく映った。
たしかにやらしいの、厳禁だよな・・・
ひりひりする頬に手をやりながら、俺はつくづくそう思った。

あげる。
数日後。
連れだっての学校帰り。
二人きりになると久美は、鞄のなかからだいじそうに、
ビニール袋に包んだ黒っぽい塊を取り出して。
さらにビニール袋の封を切って、
俺の鼻先に、ぶら下げた。
数秒間、沈黙が流れた。
なよなよとふやけたようなその塊が、
あのとき久美が脚に通していた、破けたストッキングだと気づくのに。
それだけの時間が、かかったのだ。
あんたがやったんだよ。
久美は不満そうに、鼻を鳴らした。
イヤラシイの、厳禁なんだからねっ。
言い捨てて立ち去る久美の後ろ姿を見送りながら。
どういうつもりなんだろう―――?
取り残された俺は、くそまじめに反芻していた。

ぶん殴るの、前払いでどう―――?
夏休みの、登校日のことだった。
思い切って、それも唐突に切りだした俺に、
久美は不意打ちをくらったように、黙り込んで。
さきに叩いていいのね?
周りにだれもいないのを、見計らうと。
それこそ目も眩むほどのつよいパンチを、
俺の顔面に炸裂させた。

ゴメン、やり過ぎた―――?
当たり前だ。どうして吸血鬼が鼻血を出すんだよ・・・
俺はそれでも、鼻血を手の甲で拭い取ると。
ベンチに腰かけた久美の足許に、にじり寄って。
真新しい白のハイソックスのうえから、べろを這わせてやった。
ぅ・・・そこまでするの?
こんどは久美が、あわてる番だった。
よだれをたっぷりしみ込まされたハイソックスを。
久美が鞄から取り出したのは、その数日後のことだった。
ちゃんと洗濯したからね。
いったい、どういうつもりだろう―――?
お袋にあいさつをすませると、そそくさと辞去するジーンズのスカート姿を見送りながら。
俺はまたしても、反芻していた。

イヤラシイの、ほんとうにダメなんだからねっ。
秋風を思い切り、頬にあてながら。
久美はツンとそっぽを向いて、風になびく髪を抑えていた。
すっかり長くなった黒髪は。
もうじき仕舞いの夏服に、ひどく鮮やかに映えていた。
濃紺のプリーツスカートの下に履いているのは、白のストッキング地のハイソックス。
ひざ小僧のすぐ下まで引っ張り上げて。
いつものようにきちっと、履きこなしていた。
太めのゴムが鮮やかに、ひざ下を締めつけている。
俺は久美の足許を、見てみないふりをして。
そうっと彼女の、後ろにまわった。

口に含んだうなじは、いつになく暖かだった。
男の子みたいな、生硬な素肌に。
よだれを含んだ唇を、ぬるっと這わせる。
いつものことなのに。
久美はビクッとしたようだった。
尖った歯を、あてがって。
あまり痛くないように、かりりと思い切りよく、噛んでやる。
じわっ・・・と滲んだ血が、ほのかな香りで俺を夢中にさせていた。

ちゅうちゅう・・・ちゅうちゅう・・・
音をあげてむさぼる俺に。
ちょ、ちょっと・・・
さすがに久美は、たまりかねて。
俺の猿臂を、払いのけた。
吸い過ぎだよぅ。
いつも赤らんでいる久美の頬っぺたが、貧血ですこし蒼ざめていた。

わりぃ、わりぃ。
俺はちょっと悪さをしたときそうするように、しきりに頭を掻いて照れ笑いをする。
久美はしばらく、ためらっていたけれど。
意を決したように、近づいてきて。
イヤラシイの、厳禁だけど・・・
ちょっとだけなら、いいよ。
ストッキング地のハイソックスを履いたふくらはぎを、半歩前に差し伸べてきた。

悪りぃな・・・
胸の奥でとぐろを巻いている、せつじつに渇いたものを、なだめたくって。
俺は久美の好意に、すがることにした。
なぞるように撫でたふくらはぎを包む、薄手のハイソックスは。
さらりとした手触りを、伝えてくる。
舌触りのよさを、予感して。ゾクゾクとしてくると。
ほんとに、ヤラシイよね・・・
久美はこっちの気持ちを読み取るようなことを、呟いた。
つかんだ足首の周り、薄いナイロンがしくッと波打った。

ダメじゃない。すぐに噛み破っちゃ。
もっと愉しんでからになさいよ。
みるかげもなく破けたハイソックスを、見おろしながら。
久美はいつものように、口をとがらせる。
気丈なところを、見せようとするようだった。
俺は言われるまま、もう片方の足首を掴まえて。
薄手のナイロンに、しわを走らせていく。
こんどは唇を、念入りに這わせていった・・・
たんねんに、愉しみながら。

ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
蒼ざめた顔いろを、気丈にとりつくろいながら。
やらしいの、厳禁だっていったよね?
はずませ合った息遣いの合い間、久美はまだ説教じみたことを言っている。
俺の女房になれ。そうしたらなにをしたって、OKだろ?
知らない。
久美はそっぽを向きながら、それでも慣れ慣れしく髪をなでる俺の手を、拒もうとしなかった。
そういえば久美の黒髪を撫でるのは、いまが初めてのことだった。



白薄々

太っちょな女学生。

2010年09月18日(Sat) 07:03:44

えっ・・・?えっ・・・?どうしよう・・・
後ずさりをする少女を、さりげなく追い詰めていって。
きみ、覚悟して来たんだろう?此処に。
たたみかけるように、問い尋ねてゆく。

だって・・・だって・・・
太っちょなその女学生は、震えるようにかぶりを振って。
セーラー服の両肩に、おさげ髪を揺らしていた。
いつも学校に履いていく、黒のストッキング。
きょうは、ボクに噛み破らせてくれるために履いてきてくれたんだよね?

そんな・・・そんな・・・
ためらい羞じらう少女は、とうとう生け垣を背にしてしまっていた。
生け垣に突っ込んだら。せっかくのストッキング破けちゃうよ。^^
わざと意地悪にほほ笑むボクに。

意地悪・・・
そう呟く少女はたしかに、こちらの気持ちを見抜いていた。
若い子の、血が欲しいんだ。
ストレートに求めるボクに。彼女は言葉を喪っていた。意志や理性を道づれにして。

もう・・・
口をとがらせる少女の目のまえで。
ちゅ・・・ちゅう~っ。
なん口めかの生き血を、吸いあげてみせた。
破れてずり落ちかけたストッキングごし、わざとのように。

ひどい・・・なぁ。
べつの意味の血も、吸い取られてしまうことも。
白無地のパンティの裏側に秘めた処に滲む疼きが、
きっと彼女に、予感させていることだろう。
いい子だ。
きみはなかなか、勘の良い娘みたいだね。^^
太っちょ女学生?

抱きすくめられた夏服

2010年09月18日(Sat) 06:39:08

窓の外は、薄暗くなりかけていた。
半開きになった、ふすまのむこう。
夏もののセーラー服を着た少女がひとり、白髪の男に組み伏せられている。
空色のえり首に、赤黒いしずくを、転々と光らせて―――

ちぅちぅ。
ちぅちぅ。
男は音を忍ばせて、少女の血を喫っている。
少女は肩をはずませて、男の欲求に応えている。
そのありさまを、いちぶしじゅうを視ることを求められて。
いけない光景なのに。なぜかゾクゾクとした昂りを覚えてしまっているボク。

やがて少女は、起きあがると。
くつろげたセーラー服の胸もとを、ふたたび引き締めて。
空色のリボンを、鏡の前で結い直す。
おいしかった?まだ足りないの?
まだもの欲しげにしている老人をまえに。
少女はためらいもなく、ハイソックスを履いたふくらはぎを差し伸べる。
真新しい真っ白なハイソックスが、遠目にも眩しい。

ひどい・・・なぁ。
言葉ほどには、ひどいと感じていないらしい。
ふくらはぎにべっとりとつけられた赤黒いシミに、少女は大人びた苦笑いを浮かべた。
彼氏、呼ぶね♪
返事も待たず、かわいい唇が、謡うように囁いた。
出て来て、いいよ。
少女が口にしたのは、ボクのなまえ。

だれもが、近しい縁類に、人の生き血を嗜むものを抱える村。
そんななかで、男女が一人前と認められる条件は。
結納を交わした相手を、縁類のところに伴うこと。
真新しい濃紺のセーラー服に、純白のリボンをなびかせた少女を、
はじめて彼のもとに連れていったとき。
板の間をすべる黒のストッキングに包まれたつま先を、盗み見ながら。
すごくもったいない・・・って、おもっていた。

あぁ・・・甘露、甘露。
やっぱり若い子の生き血は、えぇのう。
奈緒ちゃんの血、たっぷりめぐんでもろうたぞ。
老人は下卑た声で、呟きながら。
まだも未練がましく、夏もののセーラー服の胸をさぐっていく。
だ・め・よ。おじ様。
奈緒は老人を軽くひっぱたくと、
行こ。
じぶんから腕をまわして、腕と腕とをからみあわせてくる。
慰めてね。
長袖の制服越し、体温が去りかけた二の腕が、肩に触れた。

なだめるように重ね合わせた、唇と唇―――ー
やがてそれは、もっと深い熱情の交わし合いにすり変わっていって。
草むらを踏みしだいて、めいっぱい暴れたあと。
少女は慣れた手つきで、太ももについた粘液を拭い取っていた。
だいぶ、昂奮してたな・・・?
イタズラっぽく睨(ね)めあげてくる視線が、ひどくくすぐったかった。

初めてハイソックスを、自分の血で濡らしたときのかえり道。
彼女はどの少女ともおなじように、べそをかきながら。
握りしめたボクの手を、決して放そうとしなかった。
太ももの奥から伝い落ちた血を、
履き替えた白のハイソックスにまで滲ませながら歩いた夜道。
彼女は照れくさそうに、言葉少なだったけど。
決して、泣いてはいなかった。
これで―――ユウくんともできるようになったね♪
こんどはあたしが、ユウくんに教える番♪
抱きつくように組んだ腕に、ボクは引きずられるようについていった。

いまでも時折、ふたり連れだって。
すべてを教えてくれたあの老人のところに、忍んでいく。
ボクはいつも、隣室に待たされて。
ふたりきりのようすを、覗くことを許されるだけ。
けれどもそれで、じゅうぶんだった。
帰宅する前の寄り道が、より愉しくなるほどの昂りを。
彼女の「おじ様」は、たっぷりと与えてくれるのだから。


あとがき
久々に寝取られっぽいお話を。^^

早変わりを愉しむ友

2010年09月18日(Sat) 06:12:49

男を抱きたいと、駄々をこねると。
あいつはラインの入ったお洒落なスポーツハイソックスを履いて現われる。
しなやかな太ももを覗かせた短パン姿で、これ見よがしに脚を組んで。

女を抱きたいと、せがんでみると。
こ洒落たワンピースに、黒のストッキング。
頬には薄っすらと、化粧まで刷いて現われる。
キュッと引き締まった足首を、思わせぶりに差し出して。

本物の女を抱きたいと、無理をいうと。
近々奥さんになる女性を、連れてきた。
どうやって言い含めたものか、自分も女に化けて。
邸に来るときはカップルだったものが、女ふたり連れに早変わりまでして。

味の佳い血を全身に宿している、気の利いた人間の悪友は。
俺をいつでも、充たしてくれる。
女学生にも人妻にも。寝取られ亭主にまで、早変わりして。
まるで、変身を愉しむように。

あの世とこの世を往き来して。

2010年09月18日(Sat) 06:05:35

凄腕の女吸血鬼がいた。
吸い取るのは、男の血ばかり。
女の生き血には、興味がないという。
それでわたしは、提携を申し出た。
わたしも彼女に吸われた、ひとりだった。

夫婦ものを、夫婦ながら襲うとき。
彼女はわたしを誘うようになった。
罪滅ぼし?べつにそんなこと考えていないけど。
彼女はわたしを吸い尽くしたことを、べつになんとも思っていないらしかった。

ウットリとした夫が、彼女相手に餌食になって。
そのすぐ傍らで、はやり呆然となった奥さんが、わたしの餌食になってゆく。
そんな光景を、なんどくり広げたことだろう。
あたしたち、気が合うわね。
女はいつのまにか、被害者の家を辞去する時。
二人手をつないで、獲物の巣を背にするようになった。

死なせるのは、よそうよ。
彼女はうんともいいえとも言わなかったが。
わたしの知るかぎり、吸い尽くされたのはわたしが最後のひとりだった。

充たされた血が、彼女の頬を染めるようになったとき。
ねぇ、人間に返ろ。
そんなことが、できるのか・・・?
彼女はわたしの頬に、それはしっとりとしたキスをした。

行こ。
行こう。
ふたり仲良く手をつないで。
いまも、あの公園に出かけてゆく。
かつての仲間が待つ、あの公園に。
獲物を見つけられなかったら、あたしたち夫婦が相手をしてあげる。
そんなおいしい話に、応じるものはすくなくなかったけれど。
淡い酩酊を招くていどの血を吸うだけで。
だれもが言葉少なに礼を告げて、朝霧のかなた去ってゆく。

あの世とこの世を、往き来するような。
そんな境遇の、ふたり。
どちらの世に、舞い戻るときも。
ふたりはいつも、仲良く手をつないで往き来を愉しむ。

ひさしぶりに、いい感じ かな?

2010年09月16日(Thu) 04:45:24

今夜(朝・・・? 笑)のお話は、気分よく描けました。
どれもが珍しく、オススメです。^^
まー、描いて間もないうちだから、そう感じるだけかも・・・ですが。(^^ゞ

純情な母 すれからしのあたし。

2010年09月16日(Thu) 04:43:50

さいしょに襲われたのは、あたしだったけど。
母のほうが、純情だったみたい。
娘は嫁入りを、控えているんです。わたくしが身代りに・・・
意を決したように、わが身を差し出すときも。
まつ毛を震わせて、罪悪感に耐えていた女。(ひと)
そんな純情さを、あいつはとっても悦んだらしい。
パパのいなくなったあと。
独りをかたくなに守ってきた母は、
いまは、あの男に入り浸っている。

あたしはたまに、火遊びしに実家に帰るけど。
そういうとき母は決まって、独りでお墓参りに出かけてゆく。
愛人の浮気を、目にしたくないために。
そして、父に謝りに行くために。
お留守番をしているあいだ。
ピンクのスリップを着たままのあたしを、
あいつはいやというほど、もてあそんで。
けれどもほんとうのお目当ては。
帰宅した母の、黒の礼服姿。
きょうもまた、あたしのスカートのすそを濡らした半透明の粘液を。
黒のストッキングに、なすりつけられちゃうんだね♪

いっしょに行ってあげてもいいかな?

2010年09月16日(Thu) 04:42:45

他所の土地からきたという。
あのひどく陰気な男が。
じつは吸血鬼なのだとわかったとき。
女は決然と、じぶんが犠牲になるといった。

ひと晩、吸血鬼の相手をして。
夜が明けるのを忘れるほど、夢中にさせて。
朝陽の光で、灼き尽くす。
そんな危険の大きい仕事を、
うら若い新婚妻は、顔いろひとつ変えずに、引き受けていた。
若い夫はそんな妻を、ただ黙々と見守るだけだった。

夫のいない夜の家。
開かれたドアから、忍び込んできた男は。
女の首すじに、からみつく。
伸びてくる猿臂を、女はやんわりと斥けて。
それでもツタのように絡みついてくる男の抱擁に。
いつか知らず知らず、ほだされていった。

吸いつく唇。冷たい唾液。
なにもかもが、夫いがいに許したことのない経験。
けれども女は、冷静に。
自分の血液が、夜明けまでもつように。
過不足なく、与えていった。
じらしたり。許したり。
そんなせめぎ合いを、無意識の裡に愉しみながら。

夜が明けた。
ぼうっとなった意識の果て。
一夜かぎりの情夫が、あわてて起きあがって。
もはや手遅れになったことに、絶望と・・・そして安堵の息をつくのを知った。
おまえ・・・おれと心中する気だったのか?
男は息も絶え絶えに、けれども恨みごとひとつ口にせず、女に問うた。
ええ。そうね。いっしょに行ってあげてもいいって思っていたのかも。
女もかすれ声で、男に本音を開いていた。
正気にかえるほどの想いに、はっとなったのは。
男のさいごのひと言だった―――
お前だけは、生きろ。

いまわのきわになるまで、男は女の肌を放さなかった。
己の快楽のためにだけではなく、女を生き返らせてやるために。
血を取り戻した女は、さいごにちょっとだけ、己の血を愉しませてやった。
みずみずしい素肌の舌触り、もろともに。
ありがとう―――
干からびていく男の頬を、涙がひとすじ伝い落ちていく。

あの夜から、なん年も経っていた。
女が肌身離さず身に着けているロケットのなか、秘められているのは。
あの夜の形見となった、一本の牙。
もしどうしても、というのなら。
これを己の素肌に、突き立てるがよい。
おれはすぐにでも、よみがえって。
おまえの傍らに、立つだろうから―――
夫に浮いた噂が立ったとき。
女はひそかに、ロケットの中身を握り締める。


あとがき
女を裏切ると、あとが怖いです。
女に誠を尽くすと、たまには報われることも、あるみたいです。
お気づきの方もおいでかも ですが。
なん年かまえに封切られた、”ノスフェラトゥ”という映画が、モチーフです。

あたしにばかり逢っていると、死んじゃうわよ。

2010年09月16日(Thu) 02:48:01

闇のかなたから、ちぃちぃと虫の音が響いてくる。
ここは、人けのない公園。真夜中の。
早い時間の夜よりも、いちだんと落とされた照明の下。
女はいつものように、白い顔をさらす。
薄いグレーのカーディガンの下は、真っ白なワンピース。それに白いパンプス。
ひざ丈のワンピースの下、すらりと伸びた脛を覆う黒のストッキングが、ひときわなまめかしく際だっていた。

また、来たの・・・?
女は冷やかすように、男を見あげると。
男は黙って、頷きだけを返してゆく。
ふふふ。
女の嗤いは、どこまでも冷ややかだ。
そんなにあたしにばかり逢っていると、死んじゃうわよ。
語尾にすこし滲んだ震えは、もしかするとしんそこからの憐みだったかもしれない。
じゃあ、遠慮なく血をいただくわ。
有無を言わせず、女は男の二の腕をつかんだ。

なにも応えない男のまえ。
女はパンプスのつま先に、ギュッと力を込めて、背伸びをする。
きれいな栗色の髪をした女の丈は、男の肩ほどまでにしかならなかった。
肩までかかる、栗色の髪を揺らしながら。
女は甘えるように、男の上体にしなだれかかる。
足首にかすかに浮いた、ストッキングのしわ―――
ピンと反り立った、格好の良い足首―――
ぐびり・・・ごくり・・・
優雅な挙措に似合わず、女が発する吸血の音は、
ひどく獣じみて、露骨であった。

ふぅ・・・
女はひと息ついて、血に濡れた口許を手の甲で拭う。
その手の甲を、包むように。
男のハンカチが優しく覆った。
壊れものでも、扱うように。
女は男の庇うような手つきを、どこか満足げに見つめていて。
そんなことしたって、ダメよ。あなたのこと放さないんだから。
わざと邪慳に、そう言い放つ。
じゃあね。また明日の晩・・・必ず来てね♪
女はまた背伸びして、男の頬に軽くキッスをした。

よく、つづくわね―――
女は今夜も、男の血で手の甲を拭ってゆく。
恭しく介抱をするように手の甲に巻かれてゆくハンカチを見つめながら、
女はひどくもの憂げだった。
男は女の憂さに誘われるように、はじめて言葉を漏らした。
だって・・・こうして逢ってくれる女(ひと)は、きみだけなんだもの。
ぎょっとした女が見あげる瞳が、ひどくみずみずしく輝いていた。

男の独り住むマンションが、あるじを失ったとき。
しんそこ惜しむものは、どれほどいただろうか。

今夜も女は、こ洒落たワンピースに身を包んで。
深夜の公園に、ヒールの足音を響かせてゆく。
忍び足で、ゆっくりと―――
まばらな照明の彼方、影絵のように薄っすらと浮かぶ人影目ざして。
来てあげたわよ。あなた喉渇いているのでしょう?
女は男をからかうように、見あげた―――
立場が逆転しても、ふたりの関係にあまり変化はないらしい。
細い肩を掴まえてくる男の猿臂に挟まれたまま。
女はワンピースの胸ぐりを、くつろげて。
おろされてくる牙を、しずかに待った。

ふふふ。あなた―――お行儀悪いわね。
そんなだったらまだ、ほかの女の人のまえには出れないわ。
女は自分のハンカチで、ワンピースの胸にしたたらされた紅いシミを、わざとのようにていねいに拭ってゆく。
ほら。痕が残った。どうしてくださるの?
ことさら口をとがらせる女に、男はちょっとだけ済まなさそうに口ごもり、そして笑んだ―――
その意気ね。
女は自分の服を拭ったそのハンカチで、男の口許まで拭ってやると。
じゃあまた明日。必ず来てあげるからね。
あなた、わたし以外の女には、とうぶん逢えないだろうから。

きょうも。
オフィス街を闊歩する美しい女吸血鬼は、犠牲を求める。
愛する男を養うための血を、我が身に取り込むために―――
けれども決して、男に逢わせようとはしないだろう。
じぶんいがいの女を。


あとがき
久しぶりに、自分のなかでグッとくるものが描けました。
えらい時間ですが。 爆

折り目正しい制服姿に加えられた、ひとつの凌辱の風景。

2010年09月14日(Tue) 08:14:00

制服のスカートの足許に映える、あの黒の薄々のストッキングがお目当てで。
ボクの彼女や妹を狙った、あいつにあいつ。
見るからに重たげな制服のスカートの、折り目正しいプリーツをくしゃくしゃにしながら。
おそろいのセーラー服姿が、崩れ落ちてゆく。
おかっぱの黒髪の頭が、ぐらっと揺れて。
ひとり、またひとりと、畳のうえに寝そべって。
胸もとに唇を、這わされてゆく。
セーラー服の襟首に、整然と走る三本の白のラインが。
みるみる、乙女の血潮に、染まっていった。
さいごのお目当ては、黒ストッキングに映える脚。
獣たちは、顔見合せて、にんまり笑んで。
各々の獲物に、おおいかぶさった。
くちゅっ。ちゅうっ。
唾液のはぜる、いやらしい音。
少女たちの足許を涼しげに透きとおらせていた知的で清楚な風情の薄手のナイロンは、
不埒なあしらいをくり返す唇の下、みるみるうちに、ふしだらにたるみ、ねじれていった。
ぴりっ。
屈辱に耐えかねたように薄いナイロンがはじける、かすかな音。
ぱりっ。ブチブチ・・・ッ
音はいっそう、露骨になった。
だいじょうぶだよ。生命は獲らない。ストッキングを破らせてもらうだけ。^^
かけがえのない彼女と妹を賭けものにしたような、ドキドキとした気分。
約束はほんとうに、守られるのだろうか・・・?

エ・モ・ノ♪

2010年09月14日(Tue) 08:02:39

きみの妹さんが、とてもおいしそうに見える。
ふっくらとした白い肌。
すらりと伸びた、白ストッキングの足許。
身体じゅうの、すみずみにまで、
うら若い生き血が、満ち満ちているんだもの。
悪いね、見逃すわけには、いかないんだよ。
だってボク、飢えているんだもの。
そう。
とても明るくて無邪気な娘さんだけど。
いまのボクには、血を採るための獲物にしか映らないんだ。

いまにしてわかる。
きみと同じように。
はじめてこの村に迷い込んできたときに。
ボクや妹にそそがれた、あの妖しい欲望をこめた視線。
きみの妹さん、いくつ?名前はなんていうの?って。
さりげない言葉の裏に潜んだ欲望に、うかつなボクは気づかずにいて。
気づいたときにはもう、ボクは首すじにつけられた傷痕から、血をすっかり抜き取られちゃって。
泣きじゃくる妹が首すじを吸われ、二の腕を噛まれ、太ももをなぶられるありさまを、
ゾクゾクしながら、見守るばかりだったっけ。
あのときもたしか、いまのきみと同じように。
見逃してくれって、頼んだはずだけど。
いまになると、わかるな。
逃げちゃいけないんだって。
生かしたまま放してもらいたかったら。
分け合うつもりじゃなければね。

こんど。
婚約者の治子さんを、村に招ぼうと思っているんだ。
もちろん彼らと、共有するために。
治子さんの気に入りの、グレーのストッキングは。
きっと村の兄弟たちにも、気に入ってもらえるだろうから。

いけないボク。

2010年09月14日(Tue) 07:51:42

こんちはぁ。
若いお姉さんがふたり、開かれた玄関越しに、声かけてきた。
外の光が眩しくて、ぴちぴちとした身体つきが影絵のようにみえた。
おあがりよ。
物憂げに応えるボクに、ふたりは遠慮なくあがりこんできて。
どうしたのー?元気ないよー?
あっ、わかった♪血が足りないのね?^^
あゆみお姉さんは、細い横縞もようのTシャツに、うす茶のショートパンツ。
しなやかな黒のオーバーニーハイソックスを、太ももの半ばまで引っ張り上げている。
ご自慢の茶髪が肩先をそよいでいて、ちょっとうっとりしちゃう。
まどかお姉さんは、グレーのスーツに、白のニットのブラウス姿。
スーツのすそからのぞく足許は、肌色のストッキング。
鮮やかな黒髪をストレートのロングにして、スーツの肩に流していた。

さ、お口あけて~。
あねごはだのあゆみお姉さんは、黒のニーハイの脚をすりつけてきてくれて。
しなやかなナイロン生地のくすぐったい感触に、ボクは思わず唇を這わせちゃっている。
あ~、破っちゃった♪やらしー。
あゆみお姉さんはボクのことを軽くぶつと、まどかお姉さんのほうを振り向いて。
まどかちゃんのストッキングも、愉しいわよ~。
派手にびりびり破っちゃえば?
もう。
いつもオトナな態度のまどかお姉さんは、ふくれながらもソファに腰かけて、
ご自慢の脚を、斜めに流して差し出してきた。
うふっ。我慢できない・・・
くちゅっと吸いつけた唇に、みるみるよだれが浮いてきて。
照れ隠しに、なすりつけてしまっていた。

あんまりおイタしちゃ、ダメよ。これから彼氏に逢うんだから~。
長い黒髪を掻きあげ掻きあげ、まどかお姉さんはストッキングの破けた足許を、しきりにきにしている。
えー、あたしも彼氏に逢うのよ?どうしてくれるー?
あゆみお姉さんはこれ見よがしに、ぴちぴちはずんだ太ももをばたばたさせた。
えいっ、思い切って噛みついちゃえ♪
ボクはお姉さんを、抑えつけて。
ショートパンツとオーバーニーハイソックスの隙間から覗く太ももに、むちゅっと唇を吸いつけちゃった。

おいー、俺の彼女なんだぞ~、手加減しろよなー。
お前なー、未来の兄嫁に失礼だろうがー。
ふすまごし、様子を覗きこんでいるのは、上のお兄さんと下のお兄さん。
大人しいまどかお姉さんの婚約者が上のお兄さんで、
あねご肌のあゆみお姉さんの相手が、下のお兄さん。
うーん、うらやましい。ボクも早くあんな彼女欲しいっ。
でも。
気絶しかかったふたりのうえに、きょうものしかかって。
ショートパンツを、ずり降ろしたり。
スーツのスカートを、たくし上げたり。
ショーツ脱がして、せしめちゃったり。
勃ってきたあそこを、太ももの隙間にねじ込んじゃったり。^^
あー、いけないイタズラを、きょうガマンできなかった・・・

お兄さんたち、ごめんね。
でもボクだけが選ばれて、吸血鬼になっちゃったんだから。
お先にどうぞ・・・ってすすめてくれたお兄さんが、物陰から見守るまえで。
下から睨んできたあゆみさんからも。
とまどうまどかさんからも。
初めてのものをいただいちゃった、いけないボク。


あとがき
お姉さんおふたりが、出し抜けに柏木の妄想世界に飛び込んできました。
どういうお姉さんたちなんだろう?そう思いながらキーを叩いていたら、まるでいつものように。 苦笑
以前描いていた「悪戯坊主」を思い出したので、そのジャンルに入れてみました。

招かれた女学生たち

2010年09月13日(Mon) 08:06:06

都会に着いて三日目。
朝陽が黄色く見えるほど、俺たちは情欲に浸かり抜いていた。

都会の郊外にある、一見閑静なたたずまいの一軒家は、
平穏な家庭の日常生活とうらはらに、どろどろとした情欲のるつぼと化していた。
宿を提供してくれたのは、十数年来俺たちの故郷と交渉をもってきた二十代の男性。
たまたま迷い込んだ村で、俺たちの餌食になって血を吸われ、たぶらかされて。
まだうら若かった母親や妹、それにいまの奥さんまで提供してくれたのだった。
俺たち一行の人数に合わせるために。
すでに結婚した妹まで、婚家に黙って帰宅をさせて、頭数に入れていた。
都会の女たちの、色とりどりのストッキングに染まった脚に。
俺たちが欲情を隠さないわけはなかった。
マザコンの貴宮は、男の母親にべったりくっついて、
黒の礼服姿に、しきりに熱い粘液をなすりつけていたし、
Sっけの強い鬼頭は、家のあるじを引き込んで、
夫のめのまえで若妻の凌辱する愉しみに、うつつを抜かしていた。
俺はといえば、亭主に黙って実家に戻ってきたという女を、
気に入りらしいダイヤ柄の黒ストッキングを穿かせたまま、背後から貫きつづけてやっている。

タカシが訪ねてきたのは、そういうときだった。
女の子を三人、連れてきた。
そろそろ新顔をご用意しないとね。
自慢そうな照れ笑いは、連れてきた女の子たちの質に、自信があるからに違いなかった。
この家のあるじの遠縁で、彼の婚礼のときに引き入れられた青年。
まだ、大学に入るか入らないかの年ごろのはずだった。
当時中学生だった彼は、母親ともども血をあさり取られて以来、俺たちのナカマになっている。
若い女を提供してくれるという、ありがたいナカマ―――
きょう連れてきた少女たちで、いったいなん人になるだろうか。
さいしょに連れてきたのは、父親の経営している会社に勤めるOL。
パパからのプレゼントだよ♪と称したタカシは、
マザコンの貴宮のために、わざわざ母親まで伴なってきた。
つぎに都会に来たときは、高校教師をしていた母親の教え娘たち。
ストッキングやハイソックスを履いた女の子たちの脚に、俺たちが見境なくかぶりつくのを。
嬉しそうに、覗き見していた。
そのつぎが、兄貴の婚約者。
去年の秋予定どおり結婚したふたりは、わざわざ村にまで挨拶に出向いてくれたっけ。

きょう、タカシが連れてきた女の子たちは。
おなじ学校の生徒たちらしい。
おそろいのセーラー服に、黒のストッキング。
夏服に黒のストッキングなんて、履かないのにね・・・
女の子のだれもが、羞ずかしがっていた。
妹と、その友だちなんです。仲良くしてやって下さいね。
好意的な微笑を満面にたたえたタカシは、いつものように大広間の隣室へと消えていく。

とり残された三人の女の子のなかの、頭だったひとりが半歩前に進み出て。
あの・・・血を吸うんですよね?
おずおずとだったけれど、そう尋ねてきたのには、びっくりした。
たいがいが、俺たちの正体を知らないで連れて来られて、
きゃーきゃーあわて騒ぎながら、噛まれていったのに。
上出来だね―――
タカシの母親がいないのをちょっとだけ残念がった貴宮が、怜悧な笑みで目配せをしてきた。

よく知ってるね。聞かされてきたの?
エエ、でも・・・こういう経験初めてだよね?
ふり返った連れのふたりも、もじもじしながら頷いている。
少女たちの初々しいようすが、俺たちの劣情を逆なでした。
そろいもそろって、薄黒いパンスト履いていやがる。
俺は頭だった少女の、むちむちとしたふくらはぎを掴まえると。
ほかのふたりが彼女の仲間に襲いかかるのが同時だった。
ふくらはぎを掴まれた少女は、キャッ!とちいさく叫んだが。
強いて座らされたソファに腰を落ち着けると。
抵抗らしい抵抗をしようとせずに。
なよなよとしたパンストをべろでいたぶられていった。

尻もちをついたまま部屋の隅っこに追い詰められた少女が、真っ先に黒のパンストを引き破られた。
ヒイッ!
さすがに叫び声をこらえ切れなかった少女は、自分の叫び声に怯えるかのように、
身を震わせて恥辱に耐えた。
もうひとりの少女も、べそをかきながら。
じゅうたんの上、展翅板に拡げられた蝶の標本のように手足を抑えつけられて。
首すじを噛まれ、セーラー服のえり首の、白のラインを汚していった。
俺の相手をつとめた、あの頭だった少女は、いちばん冷静だった。
どうぞ。
もの静かに差し出されたのは、まだ唾液に濡らされていないほうの脚。
すまないね。
俺は少女の足首を掴まえると、薄いナイロンに包まれたつま先を、口に含んでいった。
黒のストッキングは、つま先の部分だけが、すこしだけ濃くなっている。
薄っすらと透ける足指には、控えめだったがマニキュアが刷かれていた。
いやらしい・・・です。
さすがに耐えかねたように、少女がつぶやくのと。
その身体がソファから引きずりおろされるとが、同時だった。
露骨に這わせた唇の下。
薄々のナイロンは他愛もなく、裂け目を広げていった。

くちゅっ。にゅるっ。ちゅうううっ。
三人三様に、制服の下に身に着けた黒のストッキングをいたぶり抜かれてゆく。
ストッキングを着けるのは、婦人のたしなみですよ。
きっとそんなふうに教え込まれている、良家の子女たちに違いなかったのに。
知的で清楚な趣の装いが、およそふさわしくないやり口であしらわれてゆくのを。
少女たちははやくも、愉しみはじめていた。
ふしだら・・・ですよね?
ひどーいっ!こんなに破っちゃって・・・
うわぁ。べちょべちょ。
時折あがる声は、どこかくすぐったそうだった。

太ももの奥をまさぐると。
相手の少女の穿いているのが、パンストではなくて。
太もも丈のストッキングなのに気がついた。
これなら履いたままお許しできますよ・・・って。母が教えてくれたんです。
少女は自分がタカシの妹だと名乗った。

鬼頭はね。だんなのまえで奥さんを愉しむ趣味があるんだ。
よかった。あの娘兄の婚約者なんですよ。
うふふ・・・ふふふ・・・
指差された少女は、真っ先に破かれた黒ストッキングの脚を。
部屋の向こうに控える恋人に見せびらかすように、差し向けていた。
あっちの子は、彼氏募集中。
さいしょは怖がっていたみたいだけど。
ほ~ら、もうあんなに仲良くなっちゃって。
処女喪失の順番を彼女に先取りされたのを、ちょっぴり悔しそうにしていたが。
おくれ毛を撫でながら、俺は囁いてやる。
きみをじゅうぶん愉しむのには、まだまだ時間が足りないな。
おじさま。好きよ。
少女は俺の胸に顔を埋め、表情を隠していった。

墓場の同居人 ~妹と姪と~

2010年09月09日(Thu) 08:14:39

墓場で暮らすようになって、もうどれくらい経っただろうか?
俺の血を吸って奴隷にしたあのいやらしい吸血鬼は、
墓参りに訪れた妻と娘を襲っていた。
洋装の礼服姿の妻とセーラー服姿の娘が履いていた、黒のストッキングが目あてだった。
白い脛を薄墨色に染めあげた薄手のナイロンは、オブラアト見たいに他愛なくとろかされて。
俺の見つめるまえ、めりめりと噛み破られ引き剥がれていった・・・

今夜もあいつは、俺の家から戻ってきた。
順ぐりに。我が物顔に。
妻や娘から、うら若い血を抜きとったあと。
唇にしたたる血の所有者は。
いまごろ居間で、ぶっ倒れているのだろう。
脈打つ血潮と入れ替えに注ぎ込まれた半透明の淫らな粘液に、スカートの裏地をたっぷりと濡らしたまま。

ふふふ。
あいつはいやらしく、笑っていた。
妻や娘をモノにしたときに浮かべる独特の嗤いに。
また、スケベなことしてきたな?
俺はあいつの頬を、思い切りつねってやった。
ゆかりから、血を貰って来た。
呼び捨てにされたのは、まだ中学生の下の娘の名前だった。

おそろいのハイソックスでも。
姉と妹でふしぎと味わいがちがうものだな。
ふくらはぎが、ぽちゃぽちゃと柔らかくての。
素晴らしい噛み応えだったぞ。
これ見よがしな自慢話に、不覚にもゾクッときた。
自分が娘を襲っているような錯覚に堕ちたから。
お土産を連れてきた。
味わうがよい。

”お土産”。
俺の家族を餌食にしたあいつが、喉を渇かした俺のために用意した獲物。
それはしばしば、娘の友達だったり、隣の家の奥さんだったり、近所の少年だったりする。
たいがいが、あいつが手なずけたあとの獲物だから。
初心者の俺にも、やすやすと襲うことができるのだった。
きょうの“お土産”は・・・俺の妹だった!

兄さん、気の毒ね。
初美さんったら、あいつの食い物にされちゃってるの!?
妹の言い草はどこまでも容赦なく、露骨だった。
夫の仇敵に嬉々として身を任せている兄嫁にたいして、怒りさえ覚えているようだった。
吸う血に不自由してるんだって?あたしが相手してあげる。
黒地白の水玉もようのワンピースのすそから覗かせたふくらはぎは、
薄手の黒のストッキングに包まれている。
さあ、好きにして・・・

ためらいながら吸いつけた唇に。
脛がこわばるのが、薄手のナイロンごしに伝わって来る。
けれども俺は、本能に引きずられるまま。
妹の足首をつかみ、ひざ小僧を抑えつけていた。
セーラー服に黒ストッキングを履いていた女学生の時分から、ひそかに昂りの対象にしてきた脚が。
いま、目のまえにあるのだから。
這わせた唇はいつか唾液にじゅくじゅくと浸されていて、
ひときわ力づよく、なすりつけてしまっていた。
ちゅうっ・・・

あー、貧血・・・
頭を抑える妹は、それでも気丈にも、まだだいじょうぶ、もう少しならいいよ・・・と、言ってくれた。
好意に応えないわけには、いかなかった。
妹のストッキングはみるみるうちにすりむけて、
白い脛をあさましいほどあからさまに、露出させていった。
ちゅう、ちゅう、ちゅう・・・
あいつはとっくの昔に、姿を消している。
身内の血はなじむだろう?
さいごに耳もとに残した冷やかし文句は、あいつ自身の体験によるものだろう。
吸血鬼になって初めて、自分を吸血鬼にしたやつと分け獲りにしたのは、実の母や妹の生き血だったというから。

初めてまぐわったあとの息遣いの荒さに、妹も女なのだと感じていた。
水玉もようのワンピースのすそが、白い粘液にぐしょぐしょに濡れている。
なじんじゃったね・・・
妹は見透かすようなことを、囁いていた。

こんど来るときは、絢香も連れて来るわね。
ゆかりちゃんよりひとつ下だけど、もうだいぶ娘っぽくなってきたんだよ。
制服に、黒のストッキング履かせてくるから。
あたしのときみたいに、遠慮なく噛み破ってね。
だいじょうぶ。亭主もわかってくれているから
わかってくれている?
思わず足許から顔をあげると、妹の首すじに黒っぽい痣が浮いているのを見た。
そうか。おまえも”お土産”にされちまったんだものな。
うちの血、美味しいみたい♪
妹はまんざらでも、なさそうだった。

つぎの週の週末。
母親に連れられてお墓参りにきた姪は。
俺あいてに、制服のブラウスに血を撥ねかすはめになった。
予告どおり、黒のストッキングを履いていた少女は、洋装の礼服姿の母に手を引かれていた。
ストッキングなるものを履きなれない少女は、しきりに足許を気にしぃしぃ、俺の墓前へと歩みを進める。
どこまで母親に言い含められているのか、お約束どおりの制服姿に、俺は舌なめずりをして待ちうけた。
あいつはとうの昔に、俺の家にしけ込んでいるころだった。
きょうお相手をするのは、学校を早退けする約束をしている上の娘だといっていたっけ。
あのひとに、感謝しないとね。
あたしも旦那も、あいつに血を吸われちゃったけど。
綾香は兄さんのために、残してあるの。
初体験なのよ、あの娘―――

吸血鬼の訪問。

2010年09月09日(Thu) 07:22:27

吸血鬼。連れてきたよ。
えっ?
友達なんだ。
えっ?えっ?
若い女の血を欲しいって言うんだけど、よかったら、どう?
えっ?えっ?えっ?
ママ、怖~いっ!
娘は女房に抱きついて。
う、う~んっ!
気絶しちまった。
あ・・・あたしも・・・気絶するぅ。
こんどは女房が、気絶する番だった。
おい、おい。
あきれ顔の俺に、
血も凍る吸血鬼・・・だってか?
溜め息をつく吸血鬼。
どこ行っても、こういう歓迎なんだよな・・・
ほんとうは人間の女と愉しくお喋りしたかったらしい。
ちょっと寂しそうな横顔に、軽く胸が痛んだ。
けれども同情は、あまり必要ないらしい。
血が凍ったら、おいしくないでしょ。
やつはぶつぶつ言いながらも、あお向けに倒れている女房の首すじににじり寄って。
ちゅうっ・・・
予定どおり、味わいはじめていた。
ちょっとくらいならいいけど。飲(や)りすぎるなよ。
お前もなー。
娘にのしかかる俺に、やつの声がかえってきた。
制服の紐ネクタイって、どうしてこうもほどきにくいんだろう?

女房と吸血鬼

2010年09月07日(Tue) 07:56:12

ぎゃああああ・・・
女房の首っ玉にかじりついた吸血鬼は。
わたしのときと同じように。
いちどぐいいいいっ・・・と、血を抜き取って。
もういちど、噛みついて。
こんどはさいごの一滴まで、むしり取ってしまっていた。

もう少し、お手柔らかに願えなかったものかな?
さいしょのひと噛みは、まぁよいとしても。
わたしの吸うぶんも、もう残っていないのだね?
あー、またやり過ぎちまった・・・
やつは忌々しそうに頭を掻き、ぶつぶつ言いながら、女房にもういちどのしかかっていく。
あお向けになって白目をむいた女房は。
スカートから太ももを覗かて、両脚を開いてあお向けにぶっ倒れていた。
牙をむき出して、首筋にがぶりと食いつくと。
ちゅ~うっ。
機械的なまでに素っ気なく、血を戻してくれたのだった。

さあ、もういいよ。吸いな。
ふらふらと頭をもたげた女房に。
わたしは引き寄せられるように、しなだれかかって。
やつが食いついたのとは反対側の首筋に、生えたばかりの牙を埋める。
ちゅうっ・・・
薄っすらとした目線を、さまよわせながら。
女房はわたしに、血を吸われていった。

ひどいわねえ、あなたたち。
女房はひと息つくと、肩を落として。
もう少しなら、いいわよ。
肌色のストッキングを穿いた脚を、気前よく。
吸血鬼のほうに、差し向けていった。

手荒になったな。
口を拭おうとする相棒に。
わたしは女房のハンカチを渡してやった。
白目をむいてぶっ倒れた女房は。
さっきとおなじように、大股を開いていて。
さっきまでとすこしちがうのは。
ストッキングをむしり取られた太ももには、ねばねばとした半透明の粘液を光らせていることだった。
まわすときには、手伝うぜ。
やつは人のわるい笑みを滲ませて。
朝まで間が無い。あとは夫婦で愉しむんだな。
夜明けまでには、戻って来るのだぞ。
そういいおいて―――娘の勉強部屋へと向かっていった。


あとがき
8月23日 8:10作成 後日加筆

だれかが、視てる・・・

2010年09月07日(Tue) 07:53:30

1.
だれかが、視てる・・・
女は急に身を離すと、低い声でそう囁いた。
そわそわとして周囲のあちこちに目線を散らす彼女の肩を、男はしっかり抱きとめて。
だいじょうぶ。
耳朶に触れるほど間近な唇が、女のおくれ毛をくすぐった。
だいじょうぶ・・・って。
女はまだ、落ち着かないらしい。
それでも、おもむろにハンカチを取り出して。
いま吸われたばかりの首筋を拭うだけの心のゆとりは、まだ持ち合わせていた。
すうっ・・・と撫でつけた真っ白なハンカチは、バラ色のしずくで濡れていた。

男は女と示し合わせるように、自分のハンカチで口許を拭っている。
しずかに。念入りに。
男は女のハンカチを濡らしたのとおなじしずくに、恭しく口づけをした。
女は男のそうした所作を逐一見守っていて。
行こ。
自分から掌を差し出して、男をいざなった。

こと果てて、女が立ち去った後。
傍らの茂みの影に、男はふと目を落とす。
濃紺の小さな布地が一枚、下草に埋もれかけていた。
布地には、白の三本線。
セーラー服の胸あてなのだと、すぐに察しがついた。

2.
笑いさざめく少女たちは、折からの風に流されかけた長い黒髪を抑えながら。
長めのスカートのすそをさばいて、大またの歩みを進めてくる。
唇に含んだ草笛を手放すと、男は三人連れの少女たちを、見るともなしに見守っていた。
胸もとを引き締めるのは、光沢を帯びた青いリボン。
それが、横なぐりの風にはたはたとなびいている。
真ん中を歩く少女はひとりだけ、セーラー服の胸あてをつけていなかった。

互いに手を振り合った、わかれ道。
男は胸あてをなくした少女のまえに、すうっ・・・と現われて。
田んぼのなかの狭い泥道を、遮るともなく遮ってゆく。
けげんそうな少女の目のまえに突き出された、濃紺の布地に。
少女は目を見張っている。
落ちてたぞ。

少女はちょっとだけ、息を詰めて、瞳を張りつめて。
それでもすぐに、態度をあらためると。
ありがと。
いつもの稚なさをこめた小声で、男にお礼を返していた。
怖くないのか?おれが。
矢のように注がれた男の囁きにも、少女は動じない。
だって。お姉ちゃんのお友だちなんでしょ?
てらいのない応えに、こんどは男が黙る番だった。

その晩―――
昼間はまだ暑さの残る陽気なのに。
真夜中ともなると、寝静まった街の空気は涼しげな静寂をたたえていた。
気配を消して佇む男のまえにあらわれたのは、昼間の少女。
こんどは、夏服のセーラーに、濃紺の胸あてをつけていた。
こんばんは。
小首をかしげるようにお辞儀をしかけてくる少女は、口許に姉ゆずりの笑くぼを滲ませている。
今夜はお姉ちゃん、身体の具合悪いんだ。
無邪気な白い指先が胸あてを取り去る、まだ子供っぽい手つきを。
男はどうしたものかと手を出しかねている。
いいんだよ。
少女は木陰から見守って覚えたしぐさを、男に投げた。
両肩に手を置いて、しなれかかるようにして。
目を瞑り、おとがいを仰のける―――

下草の夜露が、思わず尻もちをついた少女のスカートを濡らしていた。
もう。
ふくれ面を作った少女は、スカートのすそについた草混じりの泥をしずかに払い落とすと、
傍らのベンチに、腰かける。
ストッキング、履いてきてあげたよ。いつも学校に履いてくやつだけど。
少女は、夏服のセーラーの下に、黒のストッキングを履いている。
薄墨色のナイロンが涼しげに、少女の脛を蒼白く透きとおらせていた。
お姉ちゃん、いつも勤め帰りのストッキング、あなたに愉しませているんだよね?
今夜はあたしが、お姉ちゃんの代役―――。
男はちょっとだけためらったけれど、本能には勝てなかったらしい。
いつも少女の姉にそうしているように、ストッキングのふくらはぎに唇をなすりつけていた。

お行儀、悪いなぁ・・・
びりびりに破けたストッキングの裂け目から、白い脛をあざやかに覗かせて。
少女は男をからかっていた。
もう少し、吸う・・・?それとも、あっちへ行く?
少女の指す指先は、奥行きのありそうな茂みに向けられていた。

だめっ。
横合いからふたりの間に割り込んだ声は、ちいさくそして鋭かった。
年長者の目線で咎める姉に、
妹は頭に手を置いて、えへへ・・・と照れ笑いを返している。
だってお姉ちゃん、毎晩だと体持たないよ~。
よけいなお世話・・・といわんばかりに、姉娘は吸血鬼の掌を握り締める。
あたしのものよ・・・と、主張するように。
けれども制服姿の少女はニコニコと、ふたりのようすを見比べていた。

だいじょうぶ。あたしがあげるのはショジョの生き血だけなんだから。
お姉ちゃんは心配しないで。
心配しないでもいいか―――少女は心のなかでおもった。
男は女を庇うように抱きしめて。
無理をするなよ。
心からのいたわりで、恋人を包み込んでいた。

3.
おめでとう。おめでとう。
華やかな結婚式だった。
夜勤つづきで昼間はつごうがつかない。
そんな新郎のつごうにあわせて、披露宴もまた夜中からだった。
新婦に花束を渡した、友人代表も。
新婦から花束を受け取った、その母親も。
セーラー服姿の、新婦の妹も。
そろって首すじに、赤黒い痣を滲ませている。
よく注意してみないと、見落とすほどに目だたなく。
ごく身近なものたちだけが、新郎の正体を告げられていた。

向こうから、新郎の母親が、新婦の母親に、感謝のまなざしを送って来る。
新婦の母親は、目もとで笑ってそれに応えた。
おだやかな面ざしの下。
黒のストッキングに滲ませたふくらはぎにも、目だたないほどの痕がふたつ、並んでいた。
挙式を一週間まえに控え、初めて逢った花婿は。
義母となるその女(ひと)とちょっとのあいだだけ二人きりになることを希望した。
永年連れ添った妻が遅れて帰宅して。
真新しい黒のストッキングに伝線を滲ませているのを、
彼女の夫は気づかないふりをして出迎えた。

新郎の新しい父親も。
セーラー服姿の新婦の妹も。
その隣にひかえた、学生服姿の彼氏も。
訳知り顔に、ほほ笑んでいる。
ベッドまでお伴するのは、わたしだけ―――
誇らしげな花嫁は、花婿の掌をしっかりと握りしめていた。
真夜中の二人きりの逢瀬で、そうしていたように・・・


あとがき
8月23日 5:19作成 後日補正

夜まわり

2010年09月06日(Mon) 08:12:00

いやー、ご苦労さん、遅くまで。
いやいや、夜になっても暑いねぇ。
交わし合うねぎらいの声色にも、微妙な土地なまりが温かい。
悪い土地ではないなとケンジは思った。
悪い土地ではないのだろうか?ほんとうに・・・
ここは去年の秋、娘の沙希が嫁いだ村――― 

先月、当地を訪れたときのこと。
村の寄合でどうしても男衆を出さなければならないのに、息子の都合がつかない。
ついては代わりに出席してもらえないか?
そんな文面に誘われて。それがことのはじまりだった。
気がついたら実の娘が、抑えつけた下にいた・・・

お父さん。面白い会があるんだ。いっしょに来なよ。
寄合が型どおりにすんだあと。
先方のお父さんに誘われるまま、入り込んだのは公民館。
塗装の薄茶けた壁と、周囲に生い茂る雑草は。
まるで廃屋のようでさえあったけれど。
内部も予想を裏切らず、十年以上は替えていないような古びた畳が、いちめんに敷き詰められていた。
すでに参会している男衆は、どれも見覚えのある顔。
娘の挙げた祝言に顔を出した、花婿の身内の男性だった。
どれもがそろって、ごま塩頭、禿げ頭。
五十年配のケンジなどはまだまだ、若輩者の部類だった。

そろそろ、始めるべ。
男どもの顔つきが、脂ぎっているのは。
きっと暑さだけのせいでは、なかったはず。
薄暗く照明を落とした部屋に。黙々と入って来る女たち。
だれもが着飾っているらしく、ワンピースやスカートのすそがそよいでいる。
みぃんな、ストッキング穿いてくるんだ。
どれでもよりどりみどり、破っちまったら持ち帰るんだぞ。
耳もとで囁いた、娘婿の父親の声は・・・すでに切羽詰まった昂りを込めていた。

えっ?
事情も分からず、連れて来られて。
けれどもすぐに、場の雰囲気に同化してしまったのは。
あんたは素質があるって、みんなでうわさしとったんじゃ。
あとでそういわれて、照れ笑いを浮かべる羽目になっていた。
めのまえに座ったのは、浴衣姿の女。
だれだかすぐにわかった。
祝言のときケンジの視線を吸い寄せた、花婿の遠縁に当たる若妻だった。

あとは、荒々しい息遣いと、昂りのるつぼ―――
自分の下にいる女は、つぎつぎとかわっていった。
浴衣のすそを、汚してしまうと。
女は平気ですよ・・・と手ぶりで応えて。
近くにあるティッシュボックスに手を伸ばして、さらりと器用に拭っていった。
つぎの女は、水玉もようのワンピース姿。
さっきの女より年上だったが、まだ三十年配というところだろう。
さいしょの女の姉にあたると気づいたとき。
どきりとして。胸を衝かれる衝動に、よけい昂りを増していた。
近親って、昂奮するよな・・・?
娘婿の父がまた、ケンジの傍らで。
冷やかし口調には、なぜかぬくもりも込められているようだった。

まさぐるブラウスの柄に見覚えがあることに、さらにどきりとしたのは、そのすぐあとのこと。
あとから入り込んできたその女は、黄色のスカートに黒のストッキング。
べつの女のうえから起きあがった目のまえで、三つ指を突いたということは。
自由にしてよい・・・というしるし。
だれから教わるともなく教わった、そのルールに。
ケンジはわれを忘れていた。
白地に黒っぽい横しま模様のブラウス姿に、見境もなく飛びかかっていったのだった。
女もまた、従順だった。
しっくりと合わさる腰と腰の擦り合わされる愉悦に、しんそこ酔っているようだった。
おや・・・?このブラウス。
気づいたときにはもう、なんども果てていた。
その瞬間、ぱっと灯りが点けられた。
自分の下で奴隷になった女の着ているブラウスは、結婚前に娘に贈ったプレゼントだった。

さあ、ストッキングも剥いじまえ。
娘婿の父親は。息子の嫁の足首をつかまえると。
実の父親の手でずり降ろされた黒のストッキングは。
こんどは義父の手でびりびりと、破り取られていった。
そういう義父のむたいな仕打ちにも、女は人形のように無表情だった。
あげる。
娘は父親の鼻先に、剥ぎ取られたストッキングをぶら下げた。
無意識に自分の手が伸び、己の情婦となった娘の穿きものを握り締めると。
もうすこし、愉しも。
背中に腕をまわしてくる娘のはだけた胸に、獣のように襲いかかっていった。

ははは。
はははは・・・
夜道に男どもの嗤い声がこだまする。
手をつないでいる女たちは、剥ぎ取られた服を身に着けたまま。
ブラウスを剥ぎ取られた女は、
スカート一枚の上、おっぱいをたぷたぷと揺らしながら。
スカートまで獲られてしまった女は、
ブラとショーツだけの身体を、ビキニに見せかける拙い努力をしながら。
いちばん若い高校生の少女は、
季節外れの冬服を着崩れさせ、ほどかれた三つ編みを中途半端にぶらぶらさせながら。
放心状態で、歩いていた。
だれもが半裸に剥かれた肢体を、誇るように。
心地よげに夜風にさらしてゆく。
いっしょに手をつないでいる実の娘が、時折こちらを媚びるような上目遣いで盗み見るのを。
ケンジは気まり悪げに、視線をはずしていた。
こんどはママや優希、奈々希も連れて来てね♪
愉しげに囁く娘は、完全に堕ちていた。

夏祭りのときには、ご家族そろってどうぞ。
そんな文面を、受取ったとき。
ケンジはむしろ、共犯者の苦笑いを浮かべていた。

どうしてお祭りなのに、制服なの?
不服そうに頬っぺたをふくらます奈々希を、姉の優希がたしなめにかかっていた。
お姉ちゃんの嫁いだの旧家だから、しつけが厳しいんだって。
そういう優希もまた、
夏服に黒のストッキングなんて、初めてだよぉ。
当惑顔になりながら。
制服の濃紺のプリーツスカートの下、薄墨色のナイロンを引きあげていく。

お祭りはおのおののお宅にうかがいます。
女衆はなにをされてもじっと身体を動かさないように。
不思議なお祭りねぇ。
妻と娘たちとが顔を見合わせるのをしり目に、ケンジは夜まわりに抜けだしたのだった。
永年連れ添った妻の和枝が、黒の礼服の下娘のものよりもつややかな黒ストッキングの脚を覗かせているのが。
妙に目に灼きついた。
申し合わせたように脚に通された、黒のストッキング。
今夜は順々に、引き剥がれていくのだから。

夜まわりの集団が、お祭りの一座に化けて。家の敷居をまたいだとたん、強姦魔の集団に早変わりするのを。
どこのお宅も、愉しんでいるようだった。
きゃあ~!
だめぇ~♪
女たちの黄色い声が、隣家にまで洩れていく。
ショッキングだけど、愉しそう。
なにも知らない娘たちはきっと、ウキウキと自分たちの番を待ちうけているに違いない。
組み敷いた礼装を剥ぎ取ると、ケンジもまたその家の主婦のスカートの中身を、どん欲にむさぼっていった。

さあつぎは、お宅の番だね。
ぞくり・・・としたそのときだった。
夜まわりのなかに、さっき紛れ込んだばかりの新顔の若い男。
節夫・・・?節夫じゃないか!
口にした息子の名前に、若い男はびくっと身をこわばらせたけれど。
だいじょうぶだって。
娘婿の父親が、とりなすように。事情を説明してくれるのだった。
このひとも妹さんを、抱いちまったということなんだな。
父さんよりも、先だったみたいだね。
いったん口を開くと、もう息子も悪びれない。
母さんや優希たちが乱れるところ、ボクも魅せてもらいたかったんだ。
しょうがないやつだな。
ははは・・・
あとは周りの男たちの嗤いが、すべてを流してくれた。
きっと彼らもまた、父子でこういう悪さをはたらいているのだろうから。

さあ、お邪魔するべ。
だんなと息子さんは、あちらだよ。
指差された庭先には、部屋の内部を見渡せる窓がしつらえられてある。
じつはね。父さん。
節夫は俯きながら、囁いた。
まどかさんも、連れて来ているんだ。今夜・・・
息子が口にしたのは、未来の花嫁の名前だった。
生娘かどうかたしかめてやるんだって。
相手はもちろん、母さんや優希たちを犯すひと―――
それでいいのか・・・?
発しようとした問いを、ケンジが呑み込んだのは。
息子の昂りに震えた口調に気押されたからだろうか?

落花狼藉だった。
齢の順だといわれて、さいしょに黒のストッキングを破かれたのが、優希。
まだ中学生の奈々希まで、ぴーぴー泣きじゃくりながら、おそろいのパンストを脱がされていった。
数人の男に取り囲まれながら。
妻が相手をしたのは、娘の義父。
姉娘の処女を奪った直後、まだ血を滴らせている一物を、そのまま礼服のスカートの奥へと突っ込まれていった。
奥さん、やらしいな。ガーターストッキングなんか穿いてやがる。
男の挑発に乗るまいと、必死に噛み締める薄い唇が、いつか弛んで、悶えを口にし始めるころ。
なん人めかの相手をする娘たちも、はだけたセーラー服姿のまま、愉しみはじめてしまっていた。

行くぞ。
息子が妹の義父に肩を叩かれて、消えた。
お袋や妹をいちころにしたこいつで、お前ぇのいいなずけを、狂わせてやっからな。
下品な言い草に、息子は催眠術にかけられたように、従順だった。
ケンジはまだ、窓際にへばりついている。
妻と娘ふたりへの凌辱―――いや、訪問客たちへのもてなしが、まだつづいていたのだから。

おはようございます。
翌朝戻って来ると。
ふだんと変わらない妻がにこやかに、朝のあいさつを送って来る。
あ、父さんお早う―――
娘たちの顔つきも、いつもと寸分たがわぬほど、爽やかだった。
いや、お早う。夕べの夜まわり宵ごしになっちゃってさ・・・
ごくろうさまでしたー。
少し寝た方がいいわよ。
わたしたちちょっと、お誘い受けているのでこれから出ますから。
部屋のなかは静かですよ。
そわそわと立ちかける女たちの行く先を訊き質すほど、ケンジはもう野暮ではない。
じゃー、ゆっくり寝ているわ。愉しんできていらっしゃい。
夫の何気ないひと言に、妻ははじめてかすかな狼狽をみせたけれど。
ちらりとイタズラっぽい笑みを交わし合った姉妹を促して。
三人三様、よそ行きのこざっぱりとしたスカートをひるがえして、
女たちは出かけていった。
きっと、心得ているのだろう。
自分たちが行きつく逢い引きの場に。
夫が、父が、ようすを窺いに来ることを。
案外と節夫の恋人のまどかもまた、男どもに手なずけられて。
落ちあう手筈になっているのかもしれなかった。