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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

大宴会場の老人会。

2010年11月30日(Tue) 07:07:32

ホテルの大宴会場の広い扉が、あけ放たれた。
中からはむんむんとした熱気とともに、がやがやとした喧騒。
着飾った女たちが、いっせいに、ロビーになだれ込んできた。
乱れた髪を、つくろって。キリッと装ったスーツを、着崩れさせながら。

互いに視線をそらし合って、妻の戻りを待つ夫たちは。
いっせいにロビーのソファから腰をあげて、
自分の妻をとわれがちに、さがし求める。
セットされた栗色の髪を、くしゃくしゃにされていたり。
真新しいブラウスをはだけて、おっぱいをまる出しにしていたり。
スカートのすその下、女たちの脚線美をなまめかしく彩っていたストッキングは、
ひとりの例外もなく、引き裂かれたりねじれたりしている。

ゴメン、つづきがあるの。先帰ってね~。
凄まじい姿とは裏腹に、妻たちの声は明るい。
わかったわかった。ご苦労さん。
あきらかに凌辱の痕をただよわせる妻を軽く抱き、おでこにキッスをして、ふたたび送り出す夫たちも。
どちらかというと、あっけらかんとしている。
爺さん、よろしく~。
なかには妻を犯した爺さまに、遠くから手を振る若い夫さえなん人かいた。

老人会会場
お隣の結婚式とおなじくらい、大きく張り出された案内看板には。
だれがいたずらしたものか、「淫らな」という文字が。
ちいさくボールペンで書き加えられていた。
今月の当番の若妻は、十六人。
恩恵にあずかる老人たちも、おなじ数。
頭数をそろえて行なわれる、敬老の儀式は。
だれ口にするともなく、淫らなサービスを伴なっている。

はいっ。
手渡されたガーターストッキングは、みるかげもなく引き破かれて。
肌色の薄い生地に滲む光沢だけが、妻の脚にまとわれていたときのなごりをとどめていた。
なにも知らずに、都会から嫁いできた妻は。
初めての結婚記念日を、隣家のご隠居と祝う羽目になっていた。
ピンクのスーツを着崩れさせたまま、涙ぐむ妻を。
慰め言い聞かせ、たぶらかしたのは、実の母。
だれもが通る道なのだからと、言い含められて。
つぎの日からは、あいさつさえも帰ってこなかった行きずりに、
だれもが親しげに声をかけてくれるようになっていた。
身内として迎えられたと実感した妻は。
あのときのピンクのスーツに、グレーのストッキングのいでたちで。
隣家の爺さまに教えを請いに訪問をくり返していった。

妻から渡されたストッキングをぶら下げて、
間抜けな顔をして見送る、妻の後ろ姿。
背筋を伸ばして、ハイヒールの音響かせて。
バックシームの浮いた黒のストッキングの脚が、ふたたび老人に抱き取られ、
卑猥な舌を、這わされてゆく。
ホテルのロビーいちめんに、繰り広げられる、淫らな情事。
フロントのクロークも、女性の係員も。
見慣れた光景に、だれひとり騒ぎ立てることはない。
両脚を大きく広げて、よがる妻の面ざしに。
勃ちかけたズボンのなかを、必死で鎮めようと、むなしい努力。
今夜の夫婦の営みは、とっても長くなりそうだ。

老人会の愉しみ。

2010年11月30日(Tue) 06:51:20

老人会に集められる若妻たちは。申し合わせたようにして。
ワンピースやスーツに着飾って出かけてゆく。
黒や肌色、青やピンク。
色とりどりのストッキングに染められた脚が、
ふだん履きのうす茶のパンプスや銀のミュール、てかてかしたエナメルの黒のハイヒールを履いて、
公民館の玄関へと消えてゆく。
たたみの大広間の宴会場は、パラダイス。
老人たちは、思い思いに相手を選んで。
若妻たちをひざに載せたり、のしかかったり。
慣れ慣れしくべったりと寄り添いながら、ひと刻を過ごす。
さすがに大勢のまえ、裸は見せられないだろうと。
個室も用意されていて、
その気になった男女は、父娘ほどの齢の差も気にせずに、
手を取り合って、消えてゆく。

根井のおじいちゃん、お盛んね。
八十すぎの爺さまが、孫娘の同級生にあたる新婚そうそうの若妻を連れ去ると。
座のなかではまだ若い、ごま塩頭の小父さまに。
三十妻が誘いをかける。
息子の友だちの奥さんという関係に、ちょっとだけ感じていた後ろめたさを、
小父さまはいともかんたんに、かなぐり捨てて。
差し伸べられた手の甲に、強引なキッスを圧しつける。

むんむんとした熱情充ちる、狭い小部屋で。
若妻たちは、身体じゅうを撫でくりまわされながら。
ひと刻、凌辱タイムの愉しみに耽る。
夫たち公認の、禁断の場。
お昼のつづきを、しましょうよ。
自宅に戻った妻たちが、着飾って。
夜ひっそりと、出かけてゆくのを。
夫たちはやはりひっそりと、送り出してゆく。

スカート丈。

2010年11月30日(Tue) 06:30:10

妻がひっそりと、出かけてゆくとき。
スカートの丈で、相手がわかる。
足首しか見えないロングスカートの下、黒のストッキングに染めたくるぶしを覗かせて。
ふつうの何でもないひざ丈スカートに肌色ストッキングのいでたちに、妙にいやらしさを醸し出して。
太ももまる見えにして、チェック柄のミニを穿くときは、さすがにちょっぴり気恥かしげに。
驚いたのは。
ショートパンツみたいな丈のマイクロミニに、紺のガーターストッキングのときが。
わたしの父親よりもはるかに年上の、村はずれに棲む八十代の爺さまだったと知ったとき。
帰宅した妻を、抱き寄せて。
たわむれに触れたお尻が、びっくりするほど濡れていた。

妻のビデオを撮る男。 2

2010年11月29日(Mon) 08:04:13

画面のなかの妻は。
まとった花柄のワンピースの肩先に、血を撥ねかして。
はぁはぁと喘ぎながら、男の傍らに横たえられていた。
男の唇の両端には、鋭利な牙が生えていて。
そのどちらの側の牙からも、吸い取ったばかりの妻の血が、したたり落ちている。
乱れ髪を整えようと、掻き除ける手は、せわしなかったけれど。
こげ茶色のストッキングを穿いた足許に美味しそうにかぶりつく唇を、さえぎろうとはしていない。

「この段階なら、奥さんを救えたかもね」
撮影者のコメントに、反論したのは本人だった。
「だめ、もう手遅れよ。いちど噛まれちゃったら、もういちころだったもの」
画面のなかの妻は、もう惜しげもなく、肌をさらして。
うら若い生き血を、望まれるままに吸い取らせていくのだった。

抵抗はほとんど、無意識だったという。
胸にかかる猿臂から逃れようとして、却って強く抱かれてしまう様子。
わざとのように、ワンピースのうえにほとばされる血に、悔しげに頬を引きつらせる様子。
足許に這わされた唇が、ストッキングをくしゃくしゃにするのを、眉をひそめて見おろす様子。
どれもが、絵になっていた。
きれいね。
傍らの妻は、まるでひとごとのように、
画面のなかわが身に襲いかかった受難の光景を、いまは愉しげに見つめている。

この、すぐあとよ。
迫られちゃったの、求愛されちゃったの。
あなた、ごめんなさいね。
頬に薄っすらと滲ませる、淫らな笑み。
スカートのうえ、行儀よく重ね合わされた妻の掌のうえ。
わたしも掌を、重ねていった。

あん、あん、あんっ!
牝犬のように、転げ回りじゃれ合いながら。
獣のような凌辱を、いつか淫らな交歓にかえていって。
妻はワンピースを着たまま、お尻をまる出しにして。
ずぶずぶと後ろから、突っ込まれてしまっている。
なんどもなんどんも許してしまう、その光景に・・・
あなた、粗相しちゃったのね?
たしなめてくる理性的な声色に、ほんとうに失禁してしまっていた。

たまに。たまになら。。。よろしいですか?
奥さんのストッキングを、いまみたいにくしゃくしゃにしてしまっても。
囁いてくる、男の声に。
いいですよ。音を立てて、破っても。
そのときは、わたしも同席しますから。
なんならこれからでも、妻さえよければ・・・
撮影者のきみも。。。遠慮しないでいいからね。
どうせこのあときみも、役得にあずかったんだろう?


あとがき
知人の奥さんを、吸血鬼を交えたビデオ撮りに引き込んで。
撮影者も、しっかり役得にあずかってしまう。
知人は撮影者の悪友で、もともと示し合わせていて。
吸血鬼には、妻の生き血を。監督にはヒロインの肉体を。
分け獲りさせて、愉しんでしまう。
いけないプロット ですね。^^

妻のビデオを撮る男。

2010年11月29日(Mon) 07:50:06

よう。
コーヒーカップを片手にドアを開けたのは、この邸のアツヒコだった。
気分はどうだい?
目の前に置かれたコーヒーカップを、ソファから起きあがって取ろうとしたが。
まだ、手を伸ばせる状態ではない。
ふらふらとした頭を抱えて、ふたたびソファに身体を埋めてしまっていた。
まだ、よくないようだな。
アツヒコは気の毒そうに俺のようすをみると、
はい。あ~ん、ってわけには、いかないな。
愉快そうに、笑ってみせた。
夕べの記憶がまざまざと、やっとよみがえってきた。
アツヒコの首筋にも、夕べ俺がつけられたのとおなじ、紅い痕がふたつ。
綺麗に並んで、つけられていた。

久しぶりに一杯、どうかな?
本職のビデオ撮りが一本あがると、アツヒコは上機嫌で自宅に人を招くのだった。
いつも礼儀正しくきちんとお辞儀をして出迎えてくれる美人の奥さんが、今夜にかぎっていないのが。
ちょっと不思議な感じがしたが、
女ぬきのほうがいいときだって、あるだろう?
酒さえあれば、お前は満足なんだものな。と言いたげに、
アツヒコは性急に、俺を家にあげたのだった。
それからあとのことは、薄ぼんやりとしか、憶えていない。
もうひとり、人があらわれて。
そいつが俺のすぐ隣に腰かけて、
二人掛けには少したらないソファだったので、窮屈そうにしていると、
やおらしなだれかかるように、身をすり寄らせてきて。
首のつけ根に鈍い痛みが走ったのは、その直後のことだった―――

今回撮ったやつ、見せてやるよ。
本職じゃあなくってね、非公開なんだ。
うちのやつが、ヒロインなんでね。
美人の奥さんは、彼が折々撮影するAVものの女優だったと、まことしやかにいうやつがいたけれど。
やつにかぎって、あの奥さんにかぎって、それはない。
美人でグラマーだったが、いまどきちょっと珍しいくらい礼儀正しく古風な女性だったから。
それが―――ビデオの俎上にあがったという。
俺はびっくりして、そんなもの観ていいのか?という顔になった。

―――人妻淑子が、淑やかに堕ちる刻―――
冒頭のタイトルからして、刺激的だった。
半開きになった、雨戸ごし。
バラの花の咲き乱れる庭が、背景になっていた。
季節はまだ、夏前のことだろう
間違いなく、この邸の庭の景色だった。
撮影者は、薄暗い畳部屋にいるらしい。
それがちょうど、この部屋になるはずだった。
アツヒコの奥さんの淑子さんは、見知らぬ男と向き合って立っていて。
雨戸のレールのうえ、柱に抑えつけられるようにして、両肩を掴まれて。
あうッ!
うなじに唇を吸いつけられた瞬間、悲鳴をあげた。
細身の身体を、キュッとしならせて。
驚いたことに。
淑子さんの首すじに唇を這わせたその男は。
ごく、ごく、ごく・・・と、喉を鳴らして。
淑子さんの血を、飲んでいた。

二度目だよ。これは。
さいしょのときには、リビングじゅうを逃げ回ってね。
往生するまで、だいぶんん手間がかかってね。
そのときのようすも、撮影したのだけれど。
本人がうんといわないから、組み込んでいないのだ。
もっと、観るかい―――?
俺は熱に浮かされたように、頷いてしまっていた。

さいしょからさいごまで、淑子さんの吸血シーン。
いや、さいごのワンショットは、もっと性的にまぐわうところだった。
よその男の精液に濡れたスリップが、たくし上げられたスカートからはみ出していて。
そんなはしたないなりを、羞じらいながら。
ブラ一枚に剥かれた胸を、さらけ出したかっこうで。
淑子さんは何度も、犯されていった。
ひざ小僧の下までずり落ちたストッキングを、ひどくふしだらにたるませながら・・・

次回予告のタイトルに、俺は思わずグッときた。
―――亭主公認の、強制堕落 真知子の真実―――
そこにあるのは、女房の名前だったから。
いま奥さんのこと、想像したよね?
悪友の浮かべたたちの悪い笑いは、いい被写体を見つけたときのものだった。

一ヶ月後―――
クランク・アップしたよ。
無表情にそう告げるアツヒコは、さいしょからさいごまで。
女房がそんな風に扱われたなどと、夫の俺には気ぶりもみせず、
変化のない日常は表向きのこと、女房はみごとに、堕とされていた。
観るだろう?ご夫婦で。
にんまりと笑う、悪友に。
俺は照れ笑いでごまかすしかなかった。

あっ、あっ、あっ・・・
いきなり、刺激的なシーンだった。
バラの花柄のワンピースを着た女房が、いきなり”あいつ”に迫られて。
引き抜かれた牙は、女房の血で染まっていた。
何度も何度も、しつっこいくらい。
”あいつ”は女房の首筋に唇を這わせ、噛んだり吸ったりをくり返してゆく。
そういえば最近、あのワンピースを見かけなくなっていた。
あれほど血をほとばせてしまったら、たしかに人前では、もう着れないだろう。
久しぶりにお気に入りのワンピースをまとった女房は。
俺の隣で、ちょっぴり羞ずかしそうに、笑んでいて。
胸元や肩先に点々と残る赤黒い痕を、いまは気にかけるようすもない。

メロドラマ仕立てに、なっていた。
>36歳、専業主婦。会社社長を父に持ち、いまも貞淑な人妻―――
>思ってもみない相手と、恋に堕ち。
>平和な日常を、すすんで侵蝕させていった・・・
平凡な主婦になり下がっていた女房が、いつの間にか若やいだ艶を取り戻していた。
>さいしょに襲われたときには、強引だった。
>けれども、ワイルドに血を撥ねかして迫って来るその獣じみた強引さに
>女はいつか、魅かれるようになっていた。
画面のなか、きらきらと瞳を輝かせた妻は。
結婚記念日に買った、黒のスーツに装っていた。
>夫に隠れて、造った刻。
>生命の輝きを秘めた、まだうら若さを帯びた血液を
>彼女は惜しげもなく、殺人鬼に与えてゆく―――
もっと、もっと・・・
画面のなかで、せがむ女。
肌色のストッキングごし、あてがわれた唇が。
ぬめぬめといやらしく、這いまわる。
破って・・・ちょうだい・・・
女房の声に、こたえるように。
ふくらはぎに吸いつけられた唇の下。ストッキングに裂け目が走る。
脚線美に密着した薄手のナイロンが、めろめろになって噛み剥がれてゆくありさまに、
俺は不覚にも、勃ってしまうのをこらえることができなかった。

つづきはいまから、クランク・インするよ。
タイトルはこちら。
―――夫以外の男を知ってしまった・・・真知子―――
女の操。まだだいじに、とってあるの。
あなたから、プレゼントしてあげてね。
わざと意地悪に笑んだ女房は、黒のストッキングの脚を見せびらかすように組み直した。

覚悟はできているよね?ボクもお相伴にあずかるから。
女房を犯すと宣言した悪友は、それは嬉しげだった。
ヒロインとそう言う関係になる監督さんって、ときにはいるだろうけど。
ずっと昔から、きみの奥さんのこと狙っていたんだ。
う、ふ、ふ、ふ。
得意げな含み笑いに、俺はただ苦笑をかえすだけ。

絵の中の女(ひと)

2010年11月29日(Mon) 06:48:21

―――
ばあさん座りをしているきみの足許に。
あいつは唇を、這わせていった。
それはそれは、旨そうに。
墨色に染まるきみの脚を。
ストッキングをよだれで濡らしながら、舐めまわしていった。
あいつの好みに合わせた装いが。
他愛なくびりびりと、脚から裂き取られてゆくありさまを。
きみは静かに見おろして―――
愉しんでしまえるようになったのだね?
―――

アラ、絵を描いていらっしゃるの?
湯気のたったコーヒーカップをふたつ乗せたお盆を、
妻の優里子は傍らのテーブルにそっと置いた。
お盆の上でコーヒーカップが、カチャカチャと心地よい音を響かせる。
いかが―――?
絵筆を握る、わたしのために。
頬に触れるほど近く、差し出されたコーヒーカップ。
鼻先にくゆらぐほろ苦い香りに、
わたしは思わず、ほほ笑んでいる。
はい。あ~んっ。
熱いコーヒーを、こんなふうにして飲ませるのは。
かんたんなようで、よほど行きがあっていないとやけどをする。
器用に唇に含ませてくれた妻は、わたしのキャンバスを覗き込んだ。

あら~・・・
画題はおおよそ、見当がついていたらしい。
身に覚えのある光景を、ありかりと再現されて。
優里子は、小娘のように羞じらっている。
キャンパスのうえ、さらさらと流した水彩画。
タイトスカートのすそから覗く、ふくらはぎの描写が、
ひどくリアルだと、口許に手を当てて羞じらっている。
それはそれは、愉しげに。

あいつ、今夜も来るのだろう?
ご連絡、あったのかしら?
穏やかな面ざしにさりげなく走る、心地よい緊張が。
整った目鼻だちを、ほどよく引き締めた。
そうだね。なんとなくそんな気がする。
さっき、連絡があったのよ。
てっきりあなたにも、あったのかと思ったわ。
あなたたち、よほど気持ちが通じているのね。

おそろいのように。
首のつけ根につけられた痕。
わたしが痕をつけられた、そのつぎの日に。
薄ぼんやりとなっているわたしのまえで。
あいつは優里子の生き血を、吸い取っていった―――
そのありさまを絵にしたのが、さいしょだった。
つぎの夜訪れたその男は、ひどくその絵を気に入って。
あんた、よほど奥さんを愛しているんだな。
寂しい想いは、させないから。
ほんのしばらく、おれのくだらない欲望に、付き合ってくれまいか?
あいつの声はどこか寂しげで、
わたしは思わず、彼の横顔をまじまじと見つめていた。

くだらない―――そんな言い方はよそうよ。
最愛の妻の、かけがえのない血に触れるのなら。
ああ、わるかった。
あいつは素直にわたしにわびると、
もう少しだけ・・・と。目で懇願し、
わたしは妻を、目で促していた。
ストッキングが、お好きなんですか?
性急に圧しつけられた唇が、薄いナイロンの装いを穢すのを。
妻は唇を噛んで、耐えている。

ひとしきり、行為がすんだあと。
走り書きに描いたデッサンに、男は少年のように照れくさげな顔をした。
足許に辱めを受けながら、不快げにひそめた眉が、
同調の翳りをみせたのは。
男がわたしの絵と妻の足許とを、等分に。
賞賛のまなこをむけたあとだった。

きょうはどんな絵を、描くのかしら・・・?
コーヒーカップを手にする妻と、向い合せにキャンパスを置きながら。
わたしはすぐに画想を練ると、おもむろに絵筆を走らせる。
できあがるまでが、愉しみね。
妻はいつものように、ゆうゆうと。
コーヒーカップを口許に運ぶ。
カップは三つ、要ったかしら?
でも彼が飲むコーヒーは、紅い飲みものですものね。
しずかに笑う妻が、薄い唇から白い歯をこぼれさせた。

拝見しても、いいかしら?
絵が出来上がったころ合いを、みはからって。
着かえてきた妻は、わたしの隣に腰かける。
気に入りの紫のスーツに、ワインカラーのブラウスを。
今夜は彼のために、濡らすつもりなのだね?
おなじ衣装を着た妻が、キャンバスのうえ、悩ましげに眉を顰めていた。

あら、あら。
いいのかしら―――?
トーンのあがった、妻の声。
はしたないわ、というように。
白珠のような葉をみせた唇を、とっさに手で抑えると。
似合いのふたりだと、思うけど・・・ちょっぴり妬けるな。
衣装をしどけなく着崩れさせた、キャンバスのうえの妻にのしかかるのは。
得意げに笑んだ、黒衣のあいつ―――
たくし上げられたスカートを、腰周りに巻きつけたまま。
太もも丈のストッキングが、ゴムがあらわになるほど、さらけ出された脚。
紫のスカートと、薄墨色のストッキングにはさまれて、いっそう白さをきわだたせた豊かな太ももが、
男の腰に、割られている。
春画と紙一重だわ。
妻は困ったように笑いながら、それでも芸術ね、そう付け加えるのを忘れなかった。
絵のなかの自分の股間を割る男の逞しい腰のリアルさに、
しんそこ羞じらう、白い頬。

描いた絵には、さいごに数行、詩を書きつける。
わたしは描いた。妻のまえで―――

―――
おなじ女性を愛するきみへ。
きょうはわたしのいちばん大切な宝物を、きみのために捧げます。
夫の目を盗んでまで、また逢ってみたいって、
彼女がそう思えるほど。
きみは巧みに、愛するのだろうね。
ちょっと妬きもちをやく夫&きみの忠実な悪友より
―――

翌朝。
べつの部屋から起き出してきたわたしのまえ。
持ち去られた絵の代わり、
ぬるりとした艶を帯びた、黒のストッキングが。
持ち主の足形を残したまま、キャンパスにかけられていた。
お礼のつもりなのだね?
妻の情夫となって立ち去った男に、今さら届くはずのない問いを、あけ放たれた窓に投げて。
夫婦の寝室のドア越しに、妻の目ざめを感じると。
わたしはそそくさと、彼の贈りものをポケットにしまい込む。

まだ出逢って二度目の晩に。
あのひとの穏やかな笑みを、たいせつにしたいから―――
いつになく神妙に呟いた彼は。
妻を奪い去るよりも、共有する道を択んでいた。
狙った女の夫であるわたしに苦痛を感じさせまいと、さきにわたしの血を吸い取っておいて。
男の血は、好みじゃないんだけどな。
わざと恩着せがましく笑うあいつは、ひどく愉しげだった。

登校前なのにっ。 ~スクールストッキングを履いた姪 外伝

2010年11月28日(Sun) 08:03:52

喜美恵ちゃん、まだいますか?
顔を出したのは、妻の弟。
もう、学校行っちゃいました?
語尾がちょっとだけ、切羽詰まっているのは。
それだけ娘に、ご執心なのだろう。

いるわよー。
奥の居間から、娘が応える。
そのままばたばたと、出てくる足音。
もう~、これから学校なんだよ。
口をとがらせる娘に、母親はもの分かりよく受話器を取って。
娘の体調がわるいので・・・
遅刻の連絡を、かけていた。

セーラー服の袖のホックを外しはじめた娘に、
義弟は、待ち切れなかったらしい。
さ、こっち行こ。
娘の背中に手をやって、あちらの部屋へと促してゆく。
背中を走る白のラインが、父親の目にもひどく眩しくみえた。
黒のストッキングの脚が、とまどうように、ふすまの向こうへと消えてゆく。

そのまま。そのまま。
ふすま越しの義弟の声は、制服を脱ぐ必要はない、といっているようだった。
いけないことだが、ちらりと覗いてしまった。
押し広げられたセーラー服の襟首。
襟首を走る白のラインに鼻を当てんばかりにして。
義弟は娘のうなじを吸っていた。

立てひざをした、黒のストッキングの脚。
ひざ小僧を白く滲ませて。
薄黒いナイロン生地が、発育のよいふくらはぎの周りを、じょじょによじれていく。
あっ、あっ・・・
娘はすでに、忘我のなか。

すっきりしたー。
はしたないこと、言わないの。お父さんのまえでしょう?
さすがに妻に、たしなめられて。
えへへ・・
頭を掻き掻き、玄関に向かう。
学校を休むつもりは、なかったらしい。
ストッキングの伝線を気にかけながら。
遅刻の理由、わかってもらえるでしょう?
ふつうなら、なんとか取り繕うはずなのに。
朝ストッキングを伝線させて登校してくる女生徒は。
どこか自慢げに、ふるまうという。
近親相姦がはびこるこの村では。
朝の情事は決して、不祥事扱いされないのだった。

握り合った掌

2010年11月28日(Sun) 07:51:49

久しぶりに表れた”彼”は、蒼い顔をしていた。
だいぶん、女ひでりのようだね。
わたしが冷やかすように言葉を投げると、ニッと笑った。
いやらしい感じのする、照れ笑いだった。
さて・・・と。早く奥さんの血をいただいて、すっきりするかな。
妻の生き血を吸いにきた男のため、わたしは奥に向かって妻を呼ぶ。

ああ、いらっしゃい。
あわただしく出てきた妻は、着かえたばかりらしい。
ヒョウ柄のワンピースの下は、黒のストッキング。
あらかじめ妻には別個に連絡をしたのか。
リビングの気配で、それと察したのか。
ソファに座った”彼”の隣に、妻は腰かけた。
あたりをはばかるような、目配りをしながら。

ここ、いいかね・・・?
ワンピースのすそからのぞく妻の脚を、”彼”はつるりと撫ぜた。
ごつごつと節くれだった掌を密着させて、なぞるように。
見た目よりもしつような撫ぜかたに、透明な黒のストッキングがかすかに波打った。
白い脛をじんわりと滲ませた薄手のナイロンがふしだらな歪みをみせるのを、
妻もわたしも、見守っている。

いけすかない。
妻は口をとがらせたけれど。
お好きなように・・・
そういうように、目を伏せただけだった。
あなた、手を握ってくださる・・・?
差し伸べられた妻の手を、わたしはしっかりと握りしめた。
”彼”は身を屈めて、妻の足許ににじり寄る。
くちゅっ。
吸いつけられた唇が、かすかな音を立てて、ストッキングの表面に唾液をはぜた。
妻の掌が、わたしの掌のなかで、かすかにふるえた。

くちゅ・・・くちゅ・・・くちゅ・・・
指先で器用に、妻のふくらはぎをなぞりながら。
男はストッキングの舌触りを愉しむように、たんねんに唾液をこすりつけてゆく。
辱めを、徹底するようなやり口だった。
ぬるり、ぬるりとあてがわれる唇に、妻が眉をひそめ、ハンカチを口許にあてがって表情を隠している。
それでも、凌辱されてゆく足許から、目を離そうとはしなかった。
握り合わせた掌から、力は去らない。

ぱりり。
かすかな音をたてて、ストッキングがはじけた。
ワンピースのすその奥にまで、伝線がつ、つー・・・っと、広がってゆく。
ちゅうっ。
男の唇が鳴り、喉が鳴った。
”彼”は喉を鳴らしながら、妻の血を嚥(の)んでゆく。
わたしの掌のなか、妻の細い掌が、心細げにふるえていた。
ほっそりとした掌から、血のぬくもりが引いていくようだった。

すっかり血の気の引いた妻は、それでもわたしの掌を離さない。
むしろわたしにすがるように、眉をひそめたまま、ワンピースの身体をソファに淪(しず)めていった。
悪いね。
ワンピースをはだけて、ブラジャーをはぎ取って。
乳首をさんざん舐め抜いた揚句、”彼”は顔を起して、わたしに言った。
どうぞ、遠慮なく。
いつものようにわたしは、棒読み口調で応えてやる。

うふふふふふっ。
妻の乳房のあいだに顔を埋めて、太もものすき間に臀部を沈ませる。
ふしだらにずり落ちたストッキングを、足許にたるませたまま、
妻の脚が立て膝をして、衝撃に耐えた。
ぐい、ぐい、ぐい・・・と。
腰を迫らせて。
男は妻を、狂わせた。

ソファのうえで、理性を喪いかけながら。
妻はわたしの掌を、放さない。
わたしも時おり、すがるような妻の掌を、ギュッと握り返してやっていた。
ぎし、ぎし、ぎし・・・
ソファのきしむ音だけが、昼さがりのリビングに響き渡る。

ごちそうさま。
”彼”は、来たときとおなじように、親しげな笑みを投げてきた。
ほら。
投げ渡されたのは、妻の脚から抜き取られた、黒のストッキング。
あちこちに、噛み痕がつけられていた。
”彼”は、もう片方のストッキングを、だいじそうにポケットに押し込んだ。
戻った棲み処できっと、吸血仲間に見せびらかして、自慢をするのだろう。
目の前で、そうされたこともあったから。
都会の奥さんをひとり、モノにしちまった。こちらの奥さんなんだ。都会妻は、いいやつ穿いているんだな。
ふやけたようになっているナイロン生地を嗅ぐまねをして。
奥さん、いい身体しているね。
賞賛するように、わたしをふり返ったものだった。

まるで、紅茶を一杯ごちそうになった、というほどの軽い手ぶりで。
妻の肩を、なれなれしく抱きしめて。
それからすぐに、スッと座を起ってゆく。
あとは夫婦で、よろしくな。
彼の声を背に、まだわたしの掌を握り締めている妻を、
わたしはそのまま、床に押し倒していった。
触れあう腰にまだねばりついている、彼の粘液が。
わたしをいっそうの昂りに、導いていった。

奥さんのストッキング、もう一足いただけないか?
きょうもわたしの携帯に、”彼”からのそんなメールが入る。
エエ、どうぞご遠慮なく。愉しみに待っています。
わたしはいつものように、メールを返信した。
わたしのしぐさと、息を詰めて見守る妻は。
イタズラっぽい笑みを投げたわたしに、あきらめたようなホッとしたような微笑で、応えてきた。

単身赴任者が昇給する場合。

2010年11月27日(Sat) 19:39:02

うちの人事は、行き届いている。
ある日とつぜん、給料があがるのだ。
給与計算が違うのでは―――?
そういう照会をしたとしよう。
返事は直接、社内メールでかえってくる。
説明抜きの、画像だけ。
たいがいは、数枚の組み写真になっていて。
どれもが、自分の妻や娘の痴態だったりする。
相手の男は、在宅していたころの上司だったり。同僚だったり。
社員慰労の見返りとしての昇給なのだと、夫は悟る羽目になる。
血液検査。心理テスト。その他もろもろのメンタルケアと称する福利厚生は。
社員ひとりひとりの属性を、悪魔的なまでに把握しているらしかった。

顔見知りの方が信用も置けるし、秘密厳守でいけますからね。
隣席の後輩は、したり顔で。
新婚三か月の奥さんに、婚約時代から上司との交際を勧めていた・・・って打ち明けてきた。
なにしろわたしのPCの画面見ちゃったから。
自分だけナイショにするのは悪い・・・とおもったのだろう。
彼ともどこかで行き違うと。
わたしが彼の留守宅に通うか。
彼がわたしの娘の家庭教師を勤めるか。
きっとそういう関係に、なるのだろう。

妻がひそかに、加入しているのは。
社員限定の、交際クラブ。
赴任直後に、人事からの斡旋を受けて。
いまでは姑の目を盗み、毎日のように通い詰めている。
具体的には、会員制風俗店でのアルバイトだった。
もちろんわたしは、なにも知らないことになっている。
送られてきたメールのいくつかは。
きっとそういう機会に撮られたのだろう。
ことが露顕し咎めようとした姑が、自分も嫁と連れだっていそいそとよそ行きの服の袖を通すようになったとは。
まさか・・・うちのことではないだろう?

隣の課の同期の彼は、頭を掻き掻きこっ恥ずかしそうに。
どうやら、交際成立みたいです・・・ってこっそり伝えにきてくれた。
男性会員は、やもめ暮らしの長い重役クラス。
グレードの高い男性との交際をもとめる、お見合いサロンに参加していた。
気が合えば、お食事はもちろん、個人秘書として雇用されたり。
その秘書業務のなかに、お触りOKやらパンスト破りのオプションが入っていたり。
だんなのサインがあれば、ベッド・インだってありだという。
同期の彼。ミス××年入社だった奥さんを、きっとあのころから見初められていたに違いない。
赴任中だけの、割り切ったつきあいは。
時として夫の諒解のもと、単身赴任解消後も継続することがあるという。

昇給の件は、ことわった。
女房の操を、まるで売春のようにお金に換える気にならなかったから。
近くに住まう、単身赴任者の留守宅も、何軒か紹介されたけれど。
わたしはそれさえも、ことわりつづけている。
代わりに手にしたのは、平日でも行使可能な、帰宅の権利。
犯される妻を覗いている瞬間、どういうストレスも吹っ飛んでしまうのだから。

奥さん、いまシャワーだよ。^^

2010年11月27日(Sat) 19:19:26

ただいまぁ。
単身赴任先から戻ってくると。
いつも笑顔で迎えてくれる妻のかわりに。
出迎えてくれたのは、間男氏。
彼との仲は、お互い認め合っている間柄。
遠く離れて住んでいる間。
夫がわりの相談相手やボディーガードは、どうしたって必要だろうから。
奥さん、いまシャワーだよ。^^
コーラでも飲む?
間男氏は、下戸である。

わたしは彼のコーラを断って、冷蔵庫の缶ビールをとりあげた。
そうそう。覗いてみるかい?^^
間男氏が、にやにやしている。
女と男が一室にいて。
女がシャワーを、浴びるのは。
情事の前後と相場はきまっていたけれど。
わたしは念のため、きいてみた。
シャワー中の妻をかね?それとも、あがってきた妻のことを?
よくお察しだね。^^
間男氏は、一枚上手。

がんばれよっ。
わたしは悪友の肩を、どやしつけて。
さっそく隣室に、音もなく移動する。
赴任先から持ち帰った手荷物と。
飲みさしの缶ビールを、わざとリビングに置き去りにして。

女房をはさんで。

2010年11月27日(Sat) 18:57:08

喉渇いているんだろ?
かみさん連れて来てやったぞ~。
狭苦しいマンションの一室に、連れ込んだ女房は。
結婚式帰りの、スーツ姿。
着飾った洋装を、洋服フェチなあの野郎はおお悦びで迎え入れる。
じゃあ、山分けといこうか♪
あの野郎、すっかりわかっていやがる。

中学のころ。
体内の半分以上の血と、真っ赤なシミを作って噛み破られたスポーツ用ハイソックスと引き換えに。
血の吸い方を教えてくれたやつ。
それでもどういうわけか、女房のまえでは本性を出せずにいて、
一人で女房を襲う勇気がないものだから。
あの野郎を巻き込んでみたくなったのだ。

あッ!やだッ!!やめてようっ。
女房のやつ、身を揉んで嫌がったけれど。
それがポーズだということは、見え透いている。
前と後ろから、サンドイッチのように。
肩先を掴まえ、わき腹を抱きすくめて。
俺たちは女の首すじに、噛みついていった。
きゃあ~っ。

パンスト噛み破るの、お前好きだったよな?
あの野郎、露骨に嬉しそうな顔つきで。
口許に洩らしたよだれを手の甲で拭いやがった。
いや~ん、ダメッ!
脚をじたばたさせて暴れる女房を、ふたりして抑えつけて。
薄々のナイロンごし、ヌメヌメと這わされるいやらしい唇。
その唇のすき間から、チロチロ覗いた卑猥な舌。
てかてかとした光沢をよぎらせたパンストは、みるみるうちに喰い剥かれていった。

ひとしきり、”儀式”が済むと。
三人は半裸になって、はぁはぁと肩で息をしていた。
セックスはスポーツだからな。
ひとの女房を掴まえて、いいようにあしらっておいて。
ヌケヌケというものだ。
女房のパンスト破かれるの、今週は三足だったな~。
俺は照れ隠しに、苦笑して見せたけど。
いんや、五足。
あの野郎、掌を広げて、五本の指を突き立てて見せた。

裏切りモノ~っ!
憤慨する女房に、欲情に火がついた俺たちは。
ふたたび思い思いに、のしかかっていった。
スーツ・・・新調してちょうだいね。。。
いよいよ身体を開いて、狂っちゃう間際。
女房はしたたかにも、おねだりをねだり取っていった。

なんの問題も、ありゃしない。
週に二回、俺に隠れて逢うくらい。
新婚初夜のベッドのうえ。
ひざ上までの純白のストッキングに、処女の証しを滲ませた妻に。
じゃあオレが、二人めね♪
鼻歌交じりで、のしかかったやつ。
まだ若かった新妻の、あのころの羞じらいは、
やがて、あばずれ女みたいな迫力に変わっていったけれど。
妻を共有する歓びは、決して色あせることはないだろう。

瑠美香の場合 ~ 差し伸べられた、黒タイツの脚~

2010年11月27日(Sat) 09:42:59

同級生の瑠美香を初めて襲ったのは、だれもいない教室でのこと。
ものも言わずにやおら迫っていった俺のことを、
セーラー服姿の瑠美香は、怯えたように見あげていた。
瑠美香を相手に選んだのは、体格が良くて血がたくさん摂れそうだったから。
けれどもいつの間にか、俺のほうが背丈が伸びていた。
あいつに背丈で負けていたのが、ずっとコンプレックスだったのに。
そうしてあいつは、いつの間にか。
眩しいほど、美しい少女になっていた。

瑠美香はそれとなく、親から聞いていたらしい。
この村に吸血鬼がいて、年ごろの娘を襲うらしいと。
そして俺も、そうした仲間の一人らしいと。
さすがに首すじを狙われたときには、俺の胸を押し返すようにして、
両手をぐぐっ・・・と、詰襟の制服ごしに突っ張って来たけれど。
意外なくらい、抵抗は弱かった。
怖かったんだ。あとでそう言っていたのは、
気丈な瑠美香にしてもきっと本音だったにちがいない。
初めて噛んだ首すじは、思いのほかに柔らかかった。

ほんのちょっぴりだったけど。
真新しいセーラー服の胸もとに血が撥ねて、
襟首を走る三本の白線にシミを滲ませたのを。
瑠美香はしきりに、気にかけていた。
制服につけられたシミを、瑠美香が気にしているすきに。
左の首すじから引き抜いた牙を、右の首すじにあてがって。
セーラー服の胸あてをはずして、見えかけたおっぱいのつけ根に忍ばせて。
上衣をまくりあげて、スリップ越しにわき腹を狙って。
さいごに、濃紺のプリーツスカートのすそから伸びた、発育の良い脚を撫でながら。
黒タイツのうえから、ふくらはぎに、かぶりついていった。
唾液の撥ねた、タイツの生地は。
むっちりとした噛みごたえのするふくらはぎに、吸いつくように密着していて。
唇の下、くすぐったいほどしなやかだった。

えぐっ。えぐっ・・・
頭のうえで、少女のすすり泣きが漏れてきた。
あ~、やり過ぎちまった。おまえ、きょうが初めてだったんだよな?
俺はあわてて立ちあがると、逆に少女を椅子に腰かけさせて。
しばらくのあいだ、顔を覆って泣き臥す瑠美香に寄り添って。
だまって背中を、さすりつづけていた。
恐怖と屈辱とがごっちゃになっているのが。
制服越しに撫でた震える肩から、ありありと伝わってくる。
ごめんな。
しぜんとそんな言葉が、唇を衝いていた。

泣きやんだ少女は、それでも気丈に顔をあげて。
血を飲まないと、死んじゃうんだよね?
覗き込むように、俺の顔をまじまじと見る。
けんめいな視線を、まともに受けとめて。
俺はしずかに、頷いていた。
そう、それならいいの。
少女はなぜか、安堵の表情をよぎらせる。
我が身に降りかかった凌辱に、一抹の正義を見出したらしい。

週に一回。いや、十日にいっぺんでもいい。
俺がけんめいに、つぎの機会を欲したのは。
いちどかぎりにしたくないという想いが、ほんとうのところ強かったのだろう。
制服に撥ねた血と、伝線したタイツの脚とを気にかけながら。
少女は身震いをして、かぶりを振りそうになったけれど。
死んじゃうんだよね?
たしかめるような口調で、けれども俺のほうを見る勇気はなかったらしく。
タイツの上を鮮やかに走る伝線が、白い脛を浮き上がらせているのを、じいっと見つめていた。
ちょっとのあいだ、小首をかしげて。瑠美香は考え込んでいたけれど。
さいごに、意を決したように。
こっちの脚も、噛みたいんでしょ?
まだ無傷だったほうの脚を、少女はおずおずと、差し伸べてくれた。

逢える・・・?
ためらいがちなちいさな声が、携帯の向こうから伝わってきたのは。
まだ、その日のうちの、浅い夜のことだった。
瑠美香を襲ったのは、夕暮れ刻。
それから家に戻って、すぐの時分のことだった。
ああ、いいけど・・・
ちょうど俺は、公園の入口に立っていた。
瑠美香だけでは、気の毒だから。
ほかの獲物を得て、飲み溜めをしようか。そんなことを考えている矢先のことだった。
彼女のダメージを気にするあまり、
いっぱい噛んだわりに、俺が瑠美香から獲た血は少量だったのだ。

えへへ・・・
吹き抜ける秋風に、制服のスカートをたなびかせて。
瑠美香はイタズラっぽそうに、照れ笑いを浮かべる。
胸もとに着いた血の痕で、襟首の三本線は、ほのかに消えかかっていた。
伝線した黒タイツは、さすがに履き替えていて。
彼女のお気に入りのライン入りの白のハイソックスが、
革靴の足許を、引き締めている。

母さんに話したら、今夜のご飯はお赤飯だって♪
でも、ちょっとだけ叱られちゃった♪
あなた、うろたえたでしょ?って。
もっと吸ってもらってきなさい。母さんのときにはセーラー服をもっと派手に汚したものよ。ですって。
あなた、教えてくれなかったけど。
真っ赤になったリボンを、彼氏になるひとにあげるルールになっているんですって?
たっぷり汚してね。見るたびに、あたしのことが忘れられなくなるくらい。
だから、ほかの女のひとには、なるべく逢わないでくれるかな。
毎日、逢ってあげるから。
週に一回くらいなら、靴下のうえから噛んでもいいよ。
真っ白なハイソックスの生地が、街灯を照り返して、妖しいほどに輝いていた。

まろばされた芝生のうえ。
瑠美香は制服に撥ねる血に、きゃあきゃあとはしゃぎ声をあげながら。
もっと噛んで。もっと噛んで。
謡うように、俺への愛を誓っている。

病室にて。

2010年11月25日(Thu) 07:05:01

あんたの病院。看護婦はなん人いるんだ?
ぞんざいな問いを投げてくる、年老いた患者をまえに。
わたしは五人、とかろうじて応える。
噛まれたばかりの首すじを抑えながら。

さいしょに、婦長をよこすことだな。
その方がお互い、やりやすかろう。
男はすでに、わたしを共犯者と決めつけていたけれど。
どうやら・・・逆らうことは不可能なようだった。

数日後。
二人部屋の病室の、あいたほうのベッドの手すりには。
幾対もの白のストッキングが、ぶら下げられている。
濃淡もサイズもとりどりな長さのストッキングの持ち主たちは。
きょうもなに食わぬ顔をして、勤務に励んでいる。

お前んとこの婦長は、いやらしいな。
いちばん右側につるされたストッキングは、毒々しいほどの光沢をテカテカと光らせている。
若い看護婦はさすがに、イキがええ。
しつように噛まれた痕を残したストッキングはひときわ長く、かつあちこちに伝線を走らせていた。
そよそよと揺らぐストッキングは、日々くり返されてきた男の食事の、生き証人なのか?

お前、看護婦は五人・・・といったが。
わしはもうふたりくらいおらんと、看護婦がいなくなるぞっていったが。
六人めが、いたのだな。
あれはあんたの、娘だろう?
そう。
きのうはじめて、看護婦に扮した娘を病室に行かせたわたし―――
娘は長い髪の毛で、妻からもわたしからも、首すじの痕を隠し通していた。

時おり娘さんにも、看護婦の役をやらせるといい。
あともうひとりは―――もったいなくも奥方・・・ということだね?
男はイタズラッぽく、ウィンクを投げてきた。
たまには気分を変えて、肌色のストッキングもいいだろう?
口辺に滲ませたわたしの笑みは、すっかり共犯者のものとなり果てている。

週明け。
男はきっと、口にするのだろう。
赤黒いシミをつけた、肌色のストッキングを指差しながら。
奥さんは、健康体だね。
週に二回は、イケるだろう。
ついでにあちらのほうも、おいしく頂戴したよ。
だいじょうぶ。
嫁入りまえのあんたのお嬢さんと、いちばん若い看護婦には、まだ手を出していないから。
処女の生き血は、貴重だからな・・・

堕ちる家族。

2010年11月24日(Wed) 08:11:02

娘はね、こんなふうなんです。
わたしよりも半年早くこの村に赴任した、同僚のかれは。
ちょっと苦笑いしながら、勉強部屋を覗かせてくれた。
セーラー服の少女の後ろ姿が、ちょっとだけ小首を傾げたまま。
うなじを誰かに、吸わせていた。
家内はね。こんなふうなんです。
さらに苦笑を濃くしながら、覗かせてくれた夫婦の寝室では。
ブラジャーにちょっぴり血を撥ねかせた奥さんが、
ガーターストッキング一枚に剥かれた脚を、あらわにして。
その脚をじたばたさせながら、犯されていた。

今にお宅も、こんなふうになりますよ。
もしよろしければ、ボクが手引きをしてあげましょうか?
とてもとても・・・と遠慮をしてから、半月後。
家族はみごとなまでに、堕ちていた。

それまで清楚なワンピースしか着なかった妻は、
いまは情夫さん好みの、派手な衣装を身にまとい、
慣れ慣れしく腕を組み、連れ立って街を歩く。
ホテル経由で帰宅して、
伝線したままのストッキングの脚を、これ見よがしに見せつけられて。
どう・・・?
イタズラっぽい含み笑いに、苦笑いで応えてゆく。

わたし好みの服装で装うときは・・・
そう、逢瀬の場は、村はずれの納屋か、道ばたの草むら。
清楚な衣装を泥だらけにして、小娘みたいにはしゃぐ妻。
はしたない・・・そういって眉をひそめていた母さえも。
このごろは姑の立場を忘れ果て、父までもうまいこと、いいくるめてしまって。
黒の礼服の裏地を、精液でどろどろにされてしまっている。

中学にあがったら、優希にも経験させてあげないとね。
夫婦のベッドのうえ。乱れ髪を肩先に流して。
妻は、太ももに粘りついた、わたしのものではない粘液を、器用に指ですくい、もてあそんでいる。

オンリーさんとして暮らす妻。 ~まき子の場合~

2010年11月24日(Wed) 07:54:10

1.
まき子は、観念していた。
自宅のなかとはいえ、おいつめられてしまった部屋の隅。
相手の男は、父ほどの年かっこうの、五十がらみの男。
五分刈りに刈り込んだ白髪の下、陽に灼けた赤銅色の頬は、異様なまでにてかてかと光っている。
人の生き血を吸うものは、肌の輝きが違う。
まさかと思っていた、地元の老女の言い草が、いまさらながらまき子の脳裏をよぎっていった。

さぁ・・・
男は招くように、猿臂をのばして来る。
血を欲しがっている。
ぞくり・・・と、女は恐怖した。
生き血を吸われるなどというおぞましいことは、想像したこともないし、もちろん経験もなかった。
この村では、そういうことがある。
そう聞かされた時にも、実感は伴わなかった。
けれども目の前の男は、明白に、彼女の血液を欲している。

見逃して・・・ってお願いしても、だめ・・・?
女の問いかけに、男はむしろ悲しげにかぶりを振る。
自分の意志ではどうにもならぬ。そう告げているようだった。
せめて、殺さないでってお願いすることはできるかな・・・?
けんめいに明るく振る舞おうとする自分が、われながら哀れに思える。
けれども男は、わが意を得たり、というように。
目を細め、別人のように相好を崩して、応えたものだった。
奥さん、あんた賢いね。人間ができている。
男はやおら、まき子の頭を掴むと荒々しくおとがいを仰のけて、首っ玉にがぶりと食いついていた。
じゅうっ・・・
ワンピースに撥ねる鮮血が、花柄模様を浸すのを。
女はちょっとだけ、もったいないと感じていた。


2.
たまに、逢ってくれるな・・・?
男の言い分に、いなやはなかった。
女は黙って、頷いた。
だんなには、なにも言わないでいいからな。
いったいなにを言えというのだろう?
まぁ、話しても構わぬが。
ぬけぬけと、仰いますこと。
口にする勇気のない言葉の抗いを、女は胸の中で反芻しながら。
まるきりべつのことを、いった。
お洋服、汚れちゃったわね。
男はひどくすまなさそうに、ワンピースのあちこちに血を撥ねかした女の、凄まじいなりを見渡した。
台無しにしちまったな。こんど新しいのを、買ってやる。
買って済む問題なのか?けれども女はそれにも、黙って頷いてしまっている。

じゃからもう少し・・・すまんな。
男は居ずまいを改めると。
女のひざ小僧に、手を伸ばしてきた。
まき子は、黒のストッキングを穿いている。
白い脛の透けてみえる薄々のナイロンのうえから、なまの唇がむたいに圧しつけられてきた。
あっ、ひどいッ!
女の抗弁には、耳を貸さないで。
男はひたすら、ストッキングの脚を唇でいたぶりつづけていった。
太ももを狙って、ワンピースのすそまで、たくし上げて・・・

3.
幻影がぐるぐると、まき子の脳裏の奥で、とぐろを巻いていた。
初めて襲われた四畳半の納戸のようす。
カーテンにも畳にも、まき子の撥ねかした血が赤黒く、光っている。
足許の血だまりを見つめるのは、ほかならぬ夫の洋一郎。
会社帰りのスーツのまま、妻の撥ねかした血だまりを、じいっと見おろしていて。
後ろから現われたあの男に、なれなれしく肩を叩かれると、
苦笑いをしながら、握手を交わしてゆく。
そういえば。
あの男を夫が初めて招いたのは、ついこのあいだのことだった。

家に招んじゃ、なんねぇ。
この村のことをあらいざらい、話してくれた老女は、たしかにそういっていた。
招ばれたもんじゃないと、だまって家にあがりこむことはできぬからのぅ。


4.
毎晩来るつもり?
女は恐怖しながら、男に訊いていた。
あたりの刺すような冷気を素肌にあてまいとして、はぎ取られたブラウスを胸に当てながら。
背中や肩先にしみ込んでくる冷えた空気は、女を責めるように、容赦なく皮膚にしみ込んでくる。
長い時間は、いられない。
ここは、村はずれの納屋だった。

だんなの目を気にせずに、あんたも愉しめるだろうからな。
わらの上、スーツ姿の女を組み敷いておいて。
冷酷な雰囲気のする唇から発せられた男の言い草は、どこまでもあからさまだった。
私が・・・愉しんでいる・・・ですって?
訊き返すまでもなく、男の剛(つよ)い一物が、女の柔らかな股間を貫いていった。
たっぷり返してやるぞい。
嘲るような文句とともに。
びゅうびゅうと放埓に注がれる濁った粘液を感じていた。

なぁに、週にいちどがせいぜいだよ。
え?
忘我の一瞬のあと。
女はさいしょの問いを、忘れかけていた。
飢えているからな。この食欲を毎晩ぶつけられたら、命がいくつあっても足りないだろう?
男の言い草は、もっともだった。
けれどもな。そのうち毎晩来る。
え・・・?
量をむさぼる必要がなくなったら、お前のことを毎晩愉しみに・・・な。
週にいちど、あからさまにむさぼられるのと。少量を、毎晩吸いに来られるのと。
どちらがいいのだろう・・・?
女は薄ぼんやりと、反芻していた。

男の性欲が、ふたたび頂点に達したらしい。
だめ・・・家に帰して・・・
女の抗弁は、分厚く荒々しい唇に、ふさがれた。

ひざ上まで剥ぎ降ろされたストッキングが、
女の脚の動きに合わせて、
ずるずるとふしだらに、ずり落ちていった。

5.
畳部屋のリビングに、あお向けにされながら。
女が着ていたのは、真っ赤なワンピース。
夫が買ってくれたワンピースを、血だらけにされて、脱がされて。
そのうちに、自分で脱ぐようになっていた。
いままでの清楚なワンピースを脱ぎ棄てて、
男から与えられた派手な衣装に袖を通す。
そうすることが、娼婦になることを意味するのだと。
女はとうに、わきまえていた。
毎日のように色を替えるストッキングも、男に破らせるためにまとうようなものだった。
夫の知らないうちに。
女は、衣装もろとも支配を受けるようになっている。

巻きつけられて来る猿臂に、形ばかり抗いながら。
首筋に圧しつけられてくる分厚い唇を、避けようともせずに受け容れる。
若い女の血は、えぇのう。
白髪頭を覆いかぶせてきながら、男はあからさまに目を細め、女の血を愛でてゆく。
ふ、ふ、ふ・・・
顔をもたげて、唇を半開きにして。
いま吸い取ったばかりの女の血を、真紅のワンピースの胸にしたたらせる。
やだ・・・
女がけだるげに、眉をひそめる。
抗おうとした両腕を、畳のうえに抑えつけて。
男はなおも。
ぼと・・・ぼと・・・ぼと・・・
情婦の身にまとう衣装を、熱い血潮で、染めていった。

女の持ち合わせる衣装のほとんどが、男の買った派手な服にすり替わるころ。
男は公然と、女を村のあちこちに、連れ歩くようになっていた。

6.
都会育ちの女で、この村に棲みつくものは。
特定の相手をもつもの。
不特定のものの相手をする女。
そのふた通りに、わかれるらしい。
どうやら自分は前者なのだと、女は自覚しはじめていた。
だいいち、これほど頻繁に訪ねてこられては。
ほかの男の相手をする余裕など、あるはずもない。
それこそ、「命がいくつあっても足りない」だろうから。

特定の相手をもつことに、女はなんとなしに、名誉のようなものを感じていた。
浮気しちゃ、ダメよ・・・って、いいたいけれど。
あたしだって、主人に求められる晩もあるし。
あなただって、あたしの血だけじゃ、足りないんでしょう?
目いっぱいに開いた股ぐらに、活きの良いしぶきを享けながら。
女は男の髪を、まるで母親のように優しく撫でていた。


7.
その日も真っ昼間から、犯されていた。
夫はいまごろ、勤め先で事務仕事に励んでいる時分だろうか?
生活費をつくり出す夫に、それを浪費する妻。
男の手なぐさみに破られるストッキングは、週になん足にもなっているのに。
夫はまったく、気づいていないのだろうか?
軽蔑してもいいのだろうか?
それとも・・・恥入るのは、自分・・・?
女は反芻しながら、ずり落ちてくるストッキングをたくし上げようと、むだな努力をくり返していた。

もうじき、夜ね。
暮れかけた空を窓辺に観ながら。
女はなおも、男の一物を口に含みつづけている。
掴まれた髪が、ギュッと痛い。
はたからみたら、どんなふうに見えるだろう?とおもうほど、
あからさまな、隷従の姿―――

夜になると、夫が戻ってくる。
けれどもそれが、なんだというのだろう?
夕餉の支度は、とうに放棄している。
帰りの遅い夫は、それでも文句ひとついわないで、外食ですますようになっていた。
先にシャワーを浴びて、昼さがりの愉しみの痕跡を消して。
ひととおり、夫婦の営みが済んで、夫が寝入ってしまうと。
女はスーツに着替え、そそくさと家を出る。
そうして夜明け前には、かならず帰宅する。
そうしないと、伝線したストッキングの脚を視られるはめになるから。

夜だけの夫婦―――
それ以外の時間は、人目を忍んで時間を盗むようにして。
男のために、捧げていた。


8.
だれかが、帰って来たようだった。
玄関先に、人の立つ気配。
しまった―――
女のなかに、急に理性が戻ってきた。
夫の手前をとりつくろうために、男をはねのけようとした。
けれども男の厚くたくましい胸は、壁のように女の腕を拒んでいる。
え?え?え・・・?
狼狽する女を、畳のうえにしっかりと抑えつけて。
男はさいごの吶喊を、股ぐらに衝(つ)き込んでくる。
あ・・・・ぁ・・・あっ。
不覚にも、声をあげてしまっていた。

ふすま越しにたった人影の反応は、意外なほどしずかだった。
じいっと見おろして来るのを、ありありと感じる。
ただならぬ感情が、立つ人の心を渦巻いているのさえ、ありありと伝わってくる。
けれども人影は、ふすまの明け放たれた部屋のなかに入ってこようとはしなかった。
着ているワンピースはこのごろには珍しく、夫が結婚記念日に買ってくれたもの。
そのワンピースを、くしゃくしゃに踏みしだきながら。
男はぞんざいな声を、背後の人影に投げていた。
「すまねぇな。」
人影は、軽く手をあげて応えたようだった。
そして意外なくらい、あっさりと・・・背を向けて玄関へと歩み去ってゆく。

う、ふ、ふ、ふ。
もう一発、果たさせてもらうぞ。
白髪男がにんまりと笑うのに、女もつられて笑み返していた。


9.
オンリーさんにしてもらっているんだね?
夫の問いに、女はうつろに頷いている。
女がまとうのは、黒の礼服。
キリッと装った、タイつきのブラウスの下。
けれども女はスカートを、着けていない。
むき出しになった下肢を、黒のガーター・ストッキングが、ぬらりとした艶で、くるんでいる。
村に来るまでは、脚に通したことのなかった、娼婦の装いを、女がたしなむようになったのは。
夫の認知を受けて、公然と、白髪男の意に従うようになってから。
きょうはスカートなしで、歩いて来い。
男の言うなりになって、女ははしたない姿のまま、夫に送りだされてゆく。

あくまで、献血ですからね。
言い張る女に、夫はひどく寛容だった。
さきさまに、よろしくね。
想い存分、吸わせてあげなさい。。。


あとがき
長いだけですな~。 笑

窓の外へ 首だけを・・・

2010年11月24日(Wed) 06:19:09

吸血鬼は、いちど招かれた家でないと、入ることができないという。
かれは欲望に負けながらも、家族だけは守ろうと考えていた―――



窓の彼方は、深い闇。
その闇のさらに彼方に、気配を感じるとき―――
わたしは音を立てずに窓を開き、首を突き出してみる。
暖かな呼気が耳たぶを包み、両腕ががっしりと、わたしの肩を抱きすくめる。
すまねぇな。いつも・・・
声の主は、取引先の老爺。
彼の唇は、柔らかだった。
男とは思えないほど。あの齢とも思えないほど。
ぬらぬらとした唾液を、こすりつけながら。
うなじの皮膚を、探っていって。
口の両端から滲みでるように、尖った異物が皮膚を刺す。
どうぞ。
そういうように、かすかに頷くと。
男はわたしの首すじを、がぶりと噛んだ。

数刻―――
老爺は口を拭いながら、去っていった。
失血に陶然となったわたしを残して―――
家にあげちゃ、なんねぇ。家族にも累が及ぶからの。
そう、教えてくれたひとがいた。
どうしても血を吸われたくなったなら。外に出かけるか。家族の目が気になるならば。
窓を開いて、首だけ外に出せばよい。
招いたことには、なんねぇからな・・・

いつしか、家族の知るところになっていた。
けれども、彼らの反応は、教え込まれたように穏やかだった。
婦人会で、お誘いを受けてるの。
妻が言いにくそうに俯きながら、そう囁いた。
お相手するように―――って。あなた、意味お分かりになるかしら。
友だちがさ、都会の彼女紹介してくれっていうんだよ。
息子が愉しそうに、そう語る。
順番決めといたほうがいいわよ。
訳知り顔に、応じる妻。
私はまだ、なにも識らないけれど―――
そう付け加えるのを、忘れずに。

一週間後。
婦人会に、行ってきますね。
スーツを着込んで、ふだんは履かない、肌色のストッキングまで脚に通して。
そそくさと、玄関先に向かう妻。
言いにくそうなそぶりは、少しだけ、ウキウキとしたものに塗り替えられている。
また汚しちゃったよ・・・
部活のときのハイソックスに、赤黒いシミを滲ませて。
息子が聞えよがしに、舌打ちをする。
おなじシミを、こないだカズちゃんのにもつけられちゃってさ・・・
妻はくすぐったそうに、息子の言い草に応じるともなく応じている。

わたし経由と、婦人会経由と、
妻に執心だったあの男は、ふた通りに手をまわしていた。
初めてモノにしたあとも、しばらくのあいだは独り占めにしていたくらいだった。
けれどもいまは、妻の意思で。
体調のすぐれない日以外は昼間から、公民館に詰めている。
そこを訪れるものは、しんそこ飢えを覚えた者たち―――
だれかれ問わず受け容れることを承諾した婦人たちは、その建物の一隅に、一室を得るという。
もの分かりのよい夫たちは、其処でなにが起こったかを、妻に質すことは決してない。

たまには窓からっていうのも、悪くないよね?
血を吸う習慣を覚えた息子は、わたしを窓辺に呼び出して。
彼女のものだという濃紺のハイソックスの脚を、爪先立てて。
わたしのうなじを抱きすくめる。
スカートだけは、外ではよしなさいよ・・・
奥で縫物をしていた妻は、くすぐったそうに息子に声を投げてきた。

創れるとき 創れないとき

2010年11月22日(Mon) 11:33:52

きょうは、お話ではありません。 (^^ゞ

朝起きるでしょ?
たいがいPCつけるときって、妄想の欠片くらいは浮かんでいるんですね。
それで、ネットにつないで、いろんなページを出して。
ここでたいがい、勝負決まるんですよ。
ブログの入力画面に注目がいって、やおら打ち込みはじめるときと。
べつのページにいって、それからおもむろにって考えるときと。
後者の場合のように、すこしでも寄り道をしますと。
まず絶対といっていいほど、お話はできあがりません。
たいがいそういうときって、浮かんだ妄想じたいも弱かったりするのですが。
ふつうならあっぷまではいけるかな?というくらいのパワーを、その朝の妄想が帯びているばあいでも、
べつのページ見ちゃうと、まずあっぷには至りません。
どうしてもあきらめきれなくって、ワードかなにか起ちあげてメモる場合もあるのですが。
まず、お話にできたためしがありません。
とくにここ、一、二年は。
そうなんです。
とにかく遮二無二、ストレートにアップに集中しないと、お話はできあがらないのです。
それくらいに自分をつき動かすほどの、段違いのパワーを持っているときなんですね。
妄想がお話に化けるのは。

このごろの妄想は、パワーが弱いことが多いような気がします。
うーん、すらんぷなのか、そろそろ今度こそ、妄想の泉が涸れかけているのやら。
”魔”の囁き とふだん呼び習わしているものの囁き声が遠のいたり薄らいだりすることは、
はたして自分にとっていいことなんでしょうかね・・・

真夜中の登校

2010年11月17日(Wed) 06:50:38

おや、お出かけかい?
玄関に出てきた母さんは、寝間着姿。
これから、学校かい?
ちょっとだけ、けげんそうな顔になったのも、無理はない。
だってもう、真夜中なのだから。
濃紺のブレザーにおなじ色の半ズボン、ハイソックスという服装は。
夜中には寒い季節になっていた。
それじゃあ、寒くないかい?姉さんのストッキング穿いてお行き。
母さんは、そういうけれど。
さすがにちょっと、それはためらわれて、ボクは首を横に振っていた。
まあ・・・いいか。
母さんはそっと、ふすまを閉めた。

半ズボンの下むき出しになった太ももに、秋も終わりの夜の冷気が肌寒い。
校門をくぐると、いちばん隅の校舎には、ひっそりと電灯が点されていた。
よう、お前も?
気軽に肩を叩いてきたのは、同級生のケンイチだった。
おそろいのハイソックス姿 なんて。
まるで女子学生みたいだなって、言い合いながら。
どやどやと、狭い小部屋へと入っていく。

指定された小部屋は、教室の半分くらいの作りの古い部屋。
ハイソックスの脛を並べて、ふたりで待っていると、
がら・・・
ためらうように開かれた、小部屋のドア。
どうした?はやく入れよー。
ボクたちに呼ばれたシゲルは、思いきったように身体をすべり込ませるようにして入ってきた。
ええっ。
声にならない、驚きの声。
へへ。早田の制服、借りてきちゃった。(^^ゞ
自他共に認める彼女の制服は、シゲルの身体にはちょっと寸足らずで。
いつも本人が来ているときよりも、スカート丈がグッと短くなっていた。
いちど穿いてみたかったんだ。ひざ上までのやつって。
なかば照れながら、あいつはマットな黒の長靴下におおわれた脛を、見せびらかす。
さいごの一人、志郎がやってきたのは、それから十五分ほどたってから。
十五分のためらいを見せたのは。
都会育ちの妹の制服のせいだった。
○○校って、名門だもんなー。
まるで、彼氏と彼女ふた組みって感じじゃん。
男の子四人で、ふざけていると。
やがて小部屋の外に、黒い影がいくつも立った。

ハイソックスのふくらはぎに、牙を深々と埋められて。
ボクは夢うつつのなかを、漂っている。
きいたことがある。
仲良しの吸血鬼に、自分の女の家族を紹介するとき。
身代りに、そのひとの服を着て、いちどは襲われることになっているって。
そういえば、母さん出がけに、言っていたっけ。
姉さんのストッキング、穿いていかないか?って。
隣町の高校に通う姉さんは、セーラー服にいつも黒のストッキングを履いている。
ボクにももしかして・・・似合うのかな?
傍らで女子用の制服に血を撥ねかして、はしゃぎながら血を吸われているクラスメイトたちが、ちょっとだけ眩しく映った。


あとがき
どうもヘンな少年ものばかりで、すみませぬ。(^^ゞ
真夜中の登校 のはずが。
真夜中の投稿 になりかけていました。
もうそろそろ、朝ですね~。
それにしても朝、寒いわ~。

おくてな少女。

2010年11月16日(Tue) 08:25:30

はじめはあんなに、おっかながっていたくせに。
セーラー服の肩掴まえて、抑えつけて。
首すじをちゅうちゅう、吸いつづけているあいだ。
ずうっと、ぴーぴー泣いてたくせに。
そのうちだんだん、仲良くなって。
親に隠れて、逢いに来てくれるようになって。
ストッキングが好きだって、こっそりと打ち明けたら。
いつも学校に履いていく、黒のストッキングで染めてきた脚に。
ずきん!と、心を波打たせた。
破っちゃ、やだよ・・・って、いいながら。
それでもふよういに破られたストッキングの脚を、恨めしそうに見おろす横顔が可愛くて。
そうっと頬に、触れるように。
キスをなぞらせていった、下校途中。
笑いさざめく、朝陽の下に。
俺の出番は、まだ来ない。
きょうの帰り道。
彼女はまた、あのお気に入りの黄色いハイソックスを履いて現われるのだろうか?

交流試合

2010年11月16日(Tue) 07:56:50

ぁー!
ううぅ・・・
時おり切れ切れに、うめき声をあげながら。
声がわりしたばかりの少年たちは、じぶんの親たちほどの男に、組み伏せられている。
踏み荒らされたグラウンドの片隅で。
泥だらけになって横たわる脚たちが、蠢いていた。
もの憂げに、縦ひざになり、地べたに投げ出され。
鮮やかなブルーのスポーツ用ストッキングに、撥ねた泥が。
真新しいナイロン生地と、好対照をなしている。
ずり落ちかけたストッキングを、引き伸ばすもの。
もどかしく地面のうえをなぞる掌を、うえから抑えつけられるもの。
だれもが上に、ひとりずつ。
べつの色のユニフォームの男が、おおいかぶさっていて。
ひとしく首すじを、吸われつづけていた。

試合のあと。
吸血鬼のチームは、人間の相手チームの選手たちから供血を受ける。
そんな決まりを、都会のチームの子たちはもちろん、聞かされていない。
田舎の中学のチームと対戦すると連れて来られたグラウンドで、
待っていたのは、四十五十になるかというベテランたちで。
試合の代わり、グラウンドいっぱいに演じられたのは。
血を吸うものと吸われるものとが交える、恐怖の鬼ごっこ。
ひとり、またひとりと、掴まえられて、押し倒されて。
その場で生き血を、吸い取られていった。

ね、仲直りしようよ。頼むからさ。
失血のすすんだ、迫った声色を。
大人たちはわざとのように、受け流して。
若い子の血はやっぱり、いいね。
男どうしじゃ、つまらないだろうけど。もう少し、つきあってもらうからな。
ユニフォームを脱がせて、胸もとにまで喰いついてくるのだった。

じつは、うちの学校、廃校になっちゃってね。
みんな、血を吸われちまったんだ。
親子ともども・・・ね。
一部のれんちゅうは、生き残ることを許されて。
家族で交代に、血を吸いに来るお客さんの相手をしているし。
俺みたいに、家族ぐるみで血を吸い取られちゃったところは。
親類や知人を頼って、こうして人を集めているんだ。
もうすこし、血が集まれば。
生徒たちも、登校できるようになって。
学校、再開できるんだけどな。
きみ、うちの学校の再開に、協力してもらえないかな。
来週の練習試合、母さんや妹さんに、応援にきてもらうわけにはいかないの?
お父さんには、俺からうまく話をつけるから―――

都会から毎週、バスがなん台もやってきて。
中学校の隣の、大きな宿舎に停車して。
真新しいスポーツ用ストッキングの少年たち。
付き添いのお母さんたちは、申し合わせたように、
スカートの下にツヤツヤとした薄々のストッキングを穿いていて。
お兄ちゃんのすぐ横の、三つ編みやポニーテールの少女たちは。
濃紺やチェック柄のプリーツスカートの下、真っ白なハイソックスで柔らかそうなふくらはぎをくるんでいた。
お父さんたちまでもが。
スラックスの下、ストッキング地のハイソックスにくるぶしを染めていたりして。
今夜のすき焼きパーティを、楽しみにしている・・・なんて、村の男と親しげに言葉を交わし合っている。
話相手の、年上の男どもが。
妻や娘、息子たちの血で、唇を浸すのを楽しみにしていると知りながら・・・


あとがき
どうも・・・いけない方向にばかり、走っています。(^^ゞ
さいわいこのカテゴリは、視聴率低そうですが。(^^ゞ

どうして、そんなに速く走れるの!?

2010年11月16日(Tue) 07:39:23

どうして、そんなに、速く走れるの!?
翔太はおもわず、訊いていた。
吸血鬼の腕のなか、叫ぶような声で。

ここは夜の校庭。
昼間だったら、運動部に入っている翔太にすれば、ホームグラウンドだった。
手前を遮るライバルたちを巧みにかわし、ゴールを狙う名選手といわれたのに。
男はいままでグラウンドで出会っただれよりも、速く巧みに彼のことを追い詰めていったのだ。
息せき切った、肩先に。
男は呼吸ひとつ乱さずに、応えている。

きみの走りは、テクニックだね。
でも私のは、本能なのだよ―――
今晩、だれかの血を吸わないと・・・灰になっちまうところだったのでね。
すまないが、ちょっとのあいだだけ、静かにしていてくれないか。
すぐに、すませてしまうから―――

男が肩先に唇を這わせ、血を吸い取っていくのを、
翔太はどうすることもできず、目を瞑って耐えた。
負けたよ、もう。きみの好きにしな・・・というように。
潔いのだね。
男が感心したように、ふたたび翔太に話しかけたとき。
少年はまだ、正気だった。

ぜんぶ吸い取るわけじゃ、ないみたいだね。
すこし、落ち着いた声になっていた。
そんなにたくさんは、要らないのだよ。
もう、気が済んだ?そろそろ行くぜ。
わざと突き離すようにいうと、男はゆっくりとかぶりを振る。
もうちょっとだけ、付き合ってくれないか。
しょうがないなぁ・・・
いっしょに走ったあとのふしぎな連帯感が、翔太を無抵抗にしていた。
男は自分のふくらはぎを狙っている。
本能的にそう感じると。
ずり落ちかけたブルーのストッキングを、くるぶしまでずり降ろす。

あぁ、ちょっと・・・悪いけど。
男は言いにくそうに、口ごもる。
どうしたの?
応える代わり、男はそろそろと手をやって。
少年の穿いているブルーのストッキングをぴっちりとひざ下まで引き伸ばす。
そのまま有無を言わせず、分厚いリブタイプのナイロン生地のうえから、少年の脚に噛みついた。
否応なく、ずるずると音をたてて血を啜られながら。
少年は所在なげに、地面から引き抜いた雑草を、息を吹きかけて飛ばしていった。

なんとなく、だけど。
いやらしい・・・なぁ・・・
濃い紫に染まったストッキングを、けだるそうに脱ぎ捨てると。
少年はたちがあって、傍らのベンチに腰かける。
悪かったね。
いいんだよ。
不平そうに口をとがらせながらも、
なおも足許に唇を擦りつけてくる男を、拒もうとはしなかった。

はい、お小遣い。
封筒に入ったお札を手渡されたときだけ、ちょっと嫌な顔をする。
潔癖な子だな。
男は内心、そうおもいながら、受取ってくれ、と、返されそうになった封筒をおし戻す。
ストッキング、一足いくらするんだい?
そうだね。二千円くらいかな。
翔太は思い切り、ふっかけてみた。
じゅうぶん足りるよ。
男の言い草どおり、一万円札が二枚、入っている。
こんなに、悪いから。
ふだん手にしたことのない金額に、戸惑っているようだった。

このなかに、くれた血のお礼は入っていないから。
売血なんて、嫌だろう?
あくまできみの血は、好意でもらったものだと思っているからね。
そう。
少年はまだ、お金をもらうということにこだわっているようだったが。
ああ、でも待てよ・・・
思いなおしたように、顔をあげると、
十回までは、小父さんに逢っても死なないってことだよね?
すこし明るい声になっていた。
足りなくなったら、言うがいい。
わかったよ。たまに、よそのチームのやつも履いてきてやるから。
もの分かりよく、応じながら。
翔太はなおも、呟いている。
でも小父さん、やっぱりなんだかいやらしいね。
引き締まった筋肉を覆うストッキングごし、ゆっくりぬめる唇が。
しなやかに流れる縦じまのリブを、グネグネと歪めていった。

めぐりめぐって

2010年11月15日(Mon) 08:19:05

和服姿の母を。
お茶室の畳のうえ、組み敷いて血を啜るのは。
隣家の少年―――
母子以上に齢の離れたどうしなのに。
血を吸うもの吸わせるもの仲は、ぴったりと呼吸を合わせていた。

制服姿の娘を。
勉強部屋の壁ぎわに、追い詰めて。
セーラー服の襟首を汚したやつは。
二十近く年上の、従兄―――
若い子の血にありつくのは、久しぶりですなぁ。
そんな言い草に、親たちも本人も。
なぜか深々と肯定の頷きで応えていた。

漆黒の礼服に身を包んだ妻を。
法事の席、はなれた小部屋で凌辱したのは。
近所に住む、白髪頭の老人―――
ご迷惑でしょうが、しきたりですので。
夫婦の契りを、結ばせて頂きますよ。
困惑のていをつくろう妻に、わたしは盃をあげて。
おめでとう―――祝福してやった。
帰る道々。
黒のスカートの裏になすりつけられた粘液を、妻はしきりに気にかけていた。

母の相手の少年は、スポーツ用のハイソックスにいつも赤黒いシミをつけていて。
制服好きな従兄は、真夜中どこへともなく出かけていく妻を、嬉しげに送り出す。
白髪の老人はその昔、祝言をひかえた許嫁を、村はずれの邸に連れて行って。
黒のストッキングが破けたまま、べそを掻き掻き家路をたどる少女を、
なだめながら、連れ帰ったという。
すべてがめくるめく、妖しい絆。
絆にがんじがらめになりながら。
さりげない日常が、きょうも始まろうとしている―――


あとがき
いよいよ週明けですね。
みなさんきょうも、がんまりませう。^^;

女装の友

2010年11月15日(Mon) 08:11:08

セーラー服の肩先に、そっと手を置いたのは。
いつの間にか後ろから迫ってきた、妖しい影―――
そのまま抱きすくめられて、うなじを吸われてしまっていた。
  だいじょうぶ。汚したりしないから。
男はあくまでも、わたしの制服にまで、気を使っていた。

美味しいね。きみ、制服がとても似合うんだね。
わたしが男の子だと、さいしょから察していたらしい。
妹の服を無断で拝借して、夜な夜なたどる散歩道。
いつから彼に、視られていたのだろう?
いつから彼に、狙われていたのだろう?

血を吸われることへの恐怖よりも。
女装がばれてしまう。
その気恥ずかしさのほうが、先に立つことを。
男は黙っていても、察してくれていた。
  だいじょうぶ。そのまま女装をつづけるといい。
  きみの趣味を辱めるものは、いなくなるのだから―――
男はにんまりとして、わたしを見る。
もの欲しげに這わされる、足許への視線。
わたしは黒のストッキングのふくらはぎを、求められるままに差し伸べていた。
取引成立の証しのように・・・

引き剥いだストッキングを、だいじぞうに持ち帰った彼は。
別れぎわ、耳もとにそっと、ささやいていった。
こんどは母さんの、ワンピースを着ておいで。
いつもきみの母さんが穿いている、紺のストッキングが似合うやつを。
約束どおり、週末の夜。
母の気に入りの水玉もようのワンピースを着て佇んだわたし。
咬み剥がれてゆくストッキングが、みるみるたるんでずり落ちていって。
もの欲しげな唇の下、くしゃくしゃに辱められてゆくのを。
小気味よく見守っていたわたし。

台所のほうから洩れて来る、呻き声―――
日ごろしっかりものと評された母のものとは、思えなかった。
黒の礼服を着崩れさせて、白い素肌をちらちらさせて。
ひざ下までずり降ろされたストッキングには、男の吐き散らした熱情を、ぬらぬらとしみ込まされていた。
勉強部屋にこもった妹は。
うなじにつけられた痕を、かわいい指でまさぐりながら。
白のハイソックスに撥ねた赤黒いシミを、しきりに気にかけているようだった。

母は父を、どうたぶらかしたものか。
それからしばしば、真夜中のお出かけを愉しむようになった。
父はどういうわけか、そんな母を。むしろ愉しげに、送り出していた。
やぁだ、お兄ちゃんたら。あたしの制服着ないでよっ。
わたしの肩を、どやしつけながら。
それでも着替えを、手伝ってくれるようになっていた。
気をつけて行きなさいよ。
兄妹、おそろいのセーラー服で真夜中の登校に出かけるわたしたちを。
父はむしろ面白そうに、目を細めて見送ってくれる。

それからなん年、経ったことだろう?
そろそろきみも、男らしくならなきゃね。
若い女の子に、どんどんアピールしていって、ちゃんとお嫁さんをもらわなくちゃな。
けれども男が、わたしの女装をとがめたことは、いちどもない。
周囲の女たちに咎められることも、たえてない。
半開きにされたドアの向こう側、
夫婦のベッドのうえから洩れて来る、呻き声に。
わたしは胸焦がしながら―――
妻の気に入りの、濃い紫のスーツをまとう歓びを隠しきれない。

いつごろ聞き知ったものかは、はや記憶のかなた。
この街に棲む吸血鬼が。
目あての女を堕とすまえ。
その男家族を狙って、身代りに獲物の女の服を着させる趣味があるということを。

妻の亡霊

2010年11月14日(Sun) 09:24:13

夜な夜なあらわれるのは、妻の亡霊。
生きているときそのままに美しく、ひつぎの中にいれてやった気に入りのスーツ姿で現れて。
わたしの首すじに唇を吸いつけ、血を吸ってゆく。
一週間まえ、血液を吸い尽くされたなきがらになって発見された妻。
蒼ざめた頬には、あのときとおなじほほ笑みが刻まれていた。

妻の血を吸ったのは、わたしの幼馴染み。
ずっと彼女のことを想っていたという彼は、知らず知らずわたしたちの寝室に忍び込むようになっていて。
そのうち妻は、わたしに内緒で男と逢うようになっていた。
すべてを打ち明けてくれたのは、亡霊になってからのことだった。
浮気じゃなかったのよ。ただ、血を吸わせてあげただけ。
ひめやかなゆとりを含んだ声色は、それもきっと真実なのだろうとわたしに思い込ませてしまう。

けれどもきっと、浮気だったのだろう。
血を吸われるときのこの快感は、なににも替えがたいほどで。
ウットリとした淫らな陶酔が、わたしの理性を痺れさせる。
妻の死後、タンスの引き出しから見つかったのは。
大量の伝線したストッキング、それになん着もの血のしみ込んだブラウス。
吸血という行為は、襲われる側までもが愉しむことができるのだと。
いまにして、思い知る。
妻の身体から、うら若い血を一滴あまさず吸い取ったあいつの唇が、ひどく妬ましくなる。

あなた、吸血鬼になったら。
妹さんを襲って差し上げたら?
身内の血は、舌になじむものなのよ。
わたしは・・・まゆみの血を吸ってきますから。
娘の勉強部屋に消えた妻。
闇に閉ざされた部屋からは、くすぐったそうな若い娘の含み笑い。
わたしが血をあげた、あのひとに。
こんど、お義母さまを襲わせて差し上げたいわ。
すこしでも、お若いうちに。
あの厳しいかたが悶える姿。貴方だって、御覧になりたいでしょう?
妻の囁きが狂おしく、血に渇きはじめた理性を溶かしてゆく―――

おー、やっちょる。やっちょる。^^

2010年11月14日(Sun) 08:48:48

帰宅するなり見せつけられたのは、女房のやつの浮気現場。
相手は俺の、悪友だった。
ふたりの仲は、とっくの昔にばればれで。
おー、やっちょる。やっちょる。^^
昼間っから、ようやるワ。^^;
半開きのドアから、夫婦の寝室を覗き込んで。
くんずほぐれつを愉しんじまっている俺がいた。

娘の勉強部屋は、すぐ隣。
堅く閉ざされたドアの向こうから、不機嫌なオーラが染み出している。
ノックもせずに、中に入っていくと。
娘がケンのある目で、俺を見た。
セーラー服姿の娘は、もう子供じゃない。
俺は強引に引き寄せて、畳のうえに押し倒そうとした。
やだー、父娘でやばいよぉ。
不機嫌を装った声色の語尾が、どこか甘えを含んでいる。
だいじょうぶ。血つながってないから。^^
そういう問題じゃないじゃん。
三人いる子供のなかで、この娘だけはあいつの子。
交えてくる脚のいやらしさは、親父ゆずりに違いなかった。

納屋で目ざめた朝

2010年11月13日(Sat) 08:22:59

目が覚めたら、そこは納屋だった。
夕べの記憶がけだるげに、眠っていた脳裏から頭を擡(もた)げる。
そう。わたしは夕方から男に連れられて、この納屋のなかへと連れ込まれて。
スーツを着たまま、藁の山へと投げ込まれていった・・・

手足や背中。
いや、身体のあちこちが。
擦り痕と疼痛を滲ませていた。
あれからどれだけ、乱れていたのだろう。
薄ぼんやりとした意識の向こうに、いまでも家で眠り呆けているであろう夫の姿を垣間見た。
あわててその姿を意識の外に追いやったわたしは、締めつけられるような体感をいまさらながら自覚する。
黒光りした逞しい筋肉に鎧(よろ)われた、丸太ん棒のような腕が。
わたしのことをぎゅうっと、抱きすくめていた。
腕の主はまだ、ぐうぐういびきをかいて、眠りこけていた。

あぅ・・・
かるいうめきを洩らして、わたしはかすかに身をゆする。
甘えるような、しなだれかかるような、自分の演じるしぐさに内心ぎくりとしてから、
もう何か月になるのだろうか。
わたしの身じろぎが、男に伝わると。
男はいつものように、反射的にビクッと身体を敏感に反応させて。
覚めきらない視線を四方に投げた。
おぅ・・・
低くくぐもった声色が、いまだ昨晩の満ち足りた熱情の名残りをとどめている。

いけない。もう八時よ。
男はぼうぜんと、わたしの声に聞き入っている。
満身で、わたしの言い草を、肯定的に受け止めていた。
ああ、そろそろ出ねぇとな。
五分刈りのごま塩頭をがりがりと引っ掻きながら、男はわたしを促して、自分も起ちあがった。
いちど起つと、男の目ざめは敏捷だった。
そこらじゅうに散らばったわたしの衣装や装身具を、ひとつひとつていねいに拾い上げてゆく。
しわくちゃになったブラウスに、藁のなかに埋もれかかったネックレス。
吊り紐の切れたブラジャーや、スリットの裂けかかったタイトスカートを拾われるのまで、
わたしは羞恥を忘れぼう然と、眺めている。
スカートのすそには、夕べ男が吐き散らかした劣情の残滓が、まだぬらぬらと光っていた。
男の束縛から解き放たれた裸形の上半身に、いまさらながら朝の冷気が沁み入ってきた。

ほつれた髪を、けだるくとりつくろいながら。
つぎつぎに差し出される衣装を手にとって、
ブラウスの袖を通し、スカートを腰に巻きつける。
吊り紐の切れたブラジャーは、もの欲しげな顔の男に、投げるようにしてくれてやった。
いつも、すまねぇな。
男は悪びれず、わたしのブラジャーを受取ると。
わざと意地汚い手つきで拡げていって、舐めたりかぶってみたりしている。
ラブホテルとは違って、シャワーも鏡もない納屋のなか。
化粧直しは、あきらめなければならなかった。
目ざめた時から身につけていたのは、伝線したまま脚にまとわりついていたストッキングだけ。
履き替えようとハンドバックに伸ばした手を、男の掌がさえぎった。
そのまま歩け。そう言いたいらしかった。

納屋を出ると、朝の光が眩しく、ふたりの姿をつつんだ。
きょうは暖かになりそうだな。
口数のすくない男に、わたしは無言の頷きで応じていた。
撫でつけた髪と、襲われる前に脱いだジャケットとが、かろうじてわたしの体面を保っていたけれど。
派手に裂けた肌色のストッキングは、泥の撥ねたふくらはぎにまとわれたまま。
わたしの身に起こったことを、正直すぎるほど暴露している。
さぁ、行(え)ぐぞ。
男は田舎ことばをまる出しにして、わたしの手を引いた。

おはようごぜぇます。遅いお帰りだねぇ。
野良着姿ですれ違った隣家の老女が、気さくな声をかけてくる。
やぁ、都会の奥さん。いつもながら、おきれいですな。
近所のご主人は麦わら帽子に軽く手をやって、いつものように礼儀正しく会釈を投げてくる。
や、や、内緒内緒。お似合いだねぇ。
散歩帰りの爺さまは、でっぷり肥えた腹をジャージのうえからさすりながら。
もの分かりの良すぎるような、いかにも好色そうな、そんなてかてかとした笑いで見送ってくれた。
わたしの情事は、公然の秘密。
裂けたストッキングをわざと替えさせなかったのも。
ほつれた乱れ髪を見せつけるように、朝まで眠りこけていたのも。
都会育ちの人妻をものにしたのだと、男が誇りたいがための指図だった。

家の玄関が、みえてきた。
さすがに男も、遠慮をしたように。
じゃ、ここで失礼するけぇ。
決まり悪げに、口ごもりながら。
だんなさんに、よろしくのぅ。
口辺に浮かんだ嗤いは、好色なものに満ちていた。
決められたしきたりどおり、わたしは丁寧に会釈を返して。
夕べは、ありがとうございました。
男に深々と、頭を垂れた。
この土地で。
夫いがいの男にひと晩愛されることは、名誉なこととされていたから。

お帰りー。
玄関越しに響く、リビングからの声。
いつもののどやかな声で、夫はわたしを迎え入れてくれた。
着崩れをしたスーツ姿に、ちらと目をやると。
胸元のはだけたブラウスや、ほつれた髪、それに裂けたストッキングまで一瞬で見取っていって。
けれどもあとは、わたしの瞳だけを視て。
お疲れさん。ちょっとは愉しめた?
声色はどこまでも、のどやかだった。

夫の生まれ故郷は、都会しか知らなかったわたしには思いもよらない片田舎だった。
辺鄙なところだから・・・と、めったによりつかなかったこの村を。
わたしたちが棲み処と定めるようになったのは。
都会の不景気が、夫にリストラを強いたからだった。
家から仕事先まで、すべてを世話してくれたのは、やもめ暮らしの長い姑だった。
逆らうこともできずに、慣れない田舎暮らしに入ったのが、ちょうど去年のいまごろだった。

はじめて、あの男の訪問を受けたのは。
夫が数日、家を留守にしたさいしょの晩のことだった。
親しい親戚づきあいをしている、という夫の言を、わたしはうたがわなかった。
長いこと、寄りつこうとしなかった郷里のことを、夫が語ることはほとんどなかったのに。
好いかっこして、おもてなしするんだぞ。スーツとかワンピースとか。
それから、ストッキングは必須だね。
夫はからかうように、わたしに指図をすると。
いつものように飄々と、家から出かけていった。
その晩。
横倒しになったちゃぶ台と畳に転がった食器を横目に見ながら。
わたしは手向かいできない男の膂力のまえ、無理強いに身体を開かされていった。
裂け目を広げたストッキングのゆるやかな束縛が、じりじりとほどけてゆくのを覚えながら。
姑はひと晩じゅう、自室から出てこようとしなかった。

夫以外の男を識らない身体に、吐き散らかされた粘液が。
そのまま、わたしの理性を痺れさせ淫らなものに堕としてしまうのに。
三晩とかからなかった。
ふたたび帰宅した夫を迎えたとき。
わたしは別の種類の女になっていた。
帰宅後の夫は素知らぬ顔で、いつものように優しくわたしに接してくれたけれど。
姑はこっそりと、笑みをわたしに忍ばせてくれた。
三晩め。
わくわくする気分を抑えかねていたわたしのまえに。
姑が用意してくれた晩ご飯は、お赤飯だった。
おめでとう。これで晴れて村の女になれたわね。
時折姑が、行き先も告げずおめかしをして出かけるわけを、わたしは初めて察したのだった。
ひと晩部屋ごもりを決め込む姑を見送ると、
わたしはウキウキと髪を整えて、お気に入りのイヤリングをつけていた。
髪をほどかれ、イヤリングを飛ばされるとわかっているのに。

男は、夫よりはるかに年配で。
もう、五十をとうに越えているはず。
さいしょは、夫の姉婿だと称していたけれど。
夫の姉は、べつの家に嫁いでいる。
おそらくは、遠い昔の秘事を、遠まわしに告げたにすぎないのだろう。
齢の差は、体力の差を示すことはなく。
むしろその道の巧みさだけを、わたしに、そして夫にさえ、見せつけていた。
まぐわうふたりの様子を。
ふすまのすき間から注がれる夫の視線が、しつように追いかけて来るのを。
わたしも男も、ありありと感じていた。
そういう忌むべき性癖すらも、いつかわたしは涼しげに受けとめるようになっていた。
今夜も、お出かけになるの?
男の腕が恋しくなったとき。
わたしは誘うような言葉と視線を、夫に投げるようになっていた。

姑が、わたしだけに・・・と、こっそりと打ち明けてくれたのは。
わたしが誘いに応じ、迎える夫のさりげなさが板についてきた頃だった。
あのひとね。あの子のほんとうの父親なのよ。
あの子が家を出て、あの子の弟がこの家を継いだのは、そういうわけだったの。
ひとの家に、自分の子をつくったくせに。あのひとには子供がなくて。
あとが絶えるしかないの。あのひとの家。
だから貴女は、あのひとの子を産んでも構わないのよ。
あのひとにしてみれば、息子の嫁を抱いているだけのことだから。
なにもかも覚ったような笑みを残して、姑は足音も立てずに部屋から消えた。
どうして、察することができたのだろう?
わたしのなか、新たな生命がひっそりと宿ったのを。


あとがき
村の因習を、ひっそりと描いてみました。
めずらしく、描くのに一時間くらいかかりました。
このごろちょっと、ご無沙汰でしたからね~ 苦笑

あぶれちゃった吸血鬼 ~善意の父と子~

2010年11月04日(Thu) 08:11:52

―――また、若い女にあぶれちゃったんだ。小父さん要領悪いね。
ハヤオは自転車を降りると、ベンチに腰かけて頭を抱えている男に駆け寄った。

男は、初老の紳士。
真っ黒のスーツのうえに、いかにもそれらしく、黒のマントまで羽織っている。
マントの裏地の真紅が、薄暗くなりかけたこの時分でさえも鮮やかだ。
―――あー、坊やか。。。
精いっぱいの苦笑いも、どこか寂しそうだ。
―――坊やはないだろ、もうじき中学にあがるんだから!あんまり子供あつかいするなよな。
ハヤオはあくまで、ため口だった。
相手は自分よりずっとずっと年上で、そのうえ吸血鬼なのに。
―――ドジばかり踏んで、若い女にあぶれるからだよ。ボクにまでため口なんかたたかれるの。
あくまでも、へらずぐちを絶やさない。

ハヤオは都会育ちの少年で、この村に来てまだ一カ月と経っていない。
それでも引っ越してくるとすぐに、地元のスポーツクラブに入っていて、
明るく物おじしない性格から、周りの子供たちの人気者になっていた。
この村に吸血鬼が棲んでいること。村の人たちと平和に共存していること。
手頃な女のひとに頼んで、時々血を吸わせてもらっていること。
相手が結婚していたり恋人がいたりしても、夫や彼氏もとやかく口出しをしたりはしないこと。
齢よりも少しおませなハヤオは、そんなことまで識っている。

少年はハーフパンツの下、スポーツ用のハイソックスを履いている。
鮮やかなブルーに、白のラインが二本、ふくらはぎのいちばん肉づきのあるあたりをきりりと引き締めていた。
吸血鬼の小父さんが、若い女のひとをつかまえると。
好んでふくらはぎに噛みついて、ストッキングやハイソックスを破ったり赤黒いシミをつけたりするという、いけない趣味をもっていることまで、少年は心得ていた。
―――ほら、早く吸いなよ。小父さん女のひとのストッキングとかハイソックス、好きなんだろう?
うん?
小父さんはびくっと、頭をもたげた。
―――ボクのハイソックスじゃ、つまんないだろうけど。わざわざ練習の後、履き換えてきてやったんだぜ?
恩着せがましく、からかうように。
少年は、ハイソックスの脚を見せびらかした。
照りつける夕陽に、縦のリブがツヤツヤと浮き彫りになっている。
練習の時泥だらけになったやつは、きっとあのバッグのなかに忍ばせてあるのだろう。
小父さんはガマンできない、というように、差し出されたハイソックスの足許に、すうっと手を伸ばした。

やらしい・・・なぁ。
けだるそうに、かぶりを振りながら。
少年は、伸ばした髪をうるさげに掻き除けた。
ずり落ちかけたハイソックスを、もういちど引き伸ばすと。
白のラインに、赤黒いシミがべっとりとしみ込んでいる。
ちぇっ、食欲だけは、旺盛なんだから。
家に帰さないぞ・・・
小父さんの言い草が、嘘だとわかっているらしい。
うなじに吸いつけられて来る唇を、少年は避けようとしなかった。
柔らかい皮膚に、鋭利な牙がずぶりと埋められて。
玉子の黄身を吸い出すように、チュウチュウと音を立てて。
飢えた吸血鬼は、少年の生き血に酔い痴れる。

おい、ハヤオ。だいじょうぶか?
大人の男の声に、ハヤオははっと頭をあげた。
―――あ、父さん・・・
公園の入り口から声をかけてきた男に、少年の声はあくまで無邪気だった。
息子のほうが気難しい年代になると、仲の遠くなりがちな年代のはずなのに。
どうやら打ちとけ合っている父子らしい。
なぁんだ、また悪戯してたのか。
吸血鬼に血を吸わせている少年の、血の撥ねたTシャツをつかまえながら。
父親のタカヒロは、ひどくのん気な言葉づかいをつかっている。
ばれたらママに、叱られるぞ~。
―――大丈夫だい。着替えならちゃんと、用意してきたからね。
少年も負けずに、言い返している。
大きな鞄のなかにはきっと、着替えがひとそろい、用意されているのだろう。
さいごに血に濡れたハイソックスも、練習の時の泥だらけのやつに履き替えていくのだろうか。
だんなさん、すまないね。
くぐもった声に戻りかけた吸血鬼に、お父さんはなおもおだやかだった。
こいつの血、お口に合いますか?
ああ、とっても佳い血だね。
じゃあわたしも少しだけ、協力させてもらいますよ。まだ喉渇いているんでしょう?
息子の顔いろと、吸血鬼の顔いろを見比べたらしい。
明日は試験だろ?おまえ。
タカヒロは父親の顔に戻ると、こんどは自分の番とばかり、スラックスのすそをひきあげた。
濃紺のストッキング地の靴下は丈が長く、ひざ下までじんわりと、淡い脛毛のふくらはぎを染めていた。

父さん、意外に平気そうだね。
ずり落ちた泥だらけのハイソックスを引きあげ引きあげしながら、息子は父親の脚に歩調を合わせようとしている。
どうってことないさ。
スラックスの裾から見え隠れする靴下は、真新しいものに変えられていた。
派手に伝線したやつを、むぞうさに屑かごに放り込むと。
かねて用意の新品に、スッと脚を通していったのだ。
でもそのうちに、ママや京子にばれるよな。
ウン、そうだね―――
少年はこっくりとうなずいたが、ちょっと考え深げな顔つきになった。
考え込むと、童顔のなかに大人びた翳りがみえてくる、
父さん―――?
うん・・・?
ママや京子姉ちゃんを、小父さんに紹介しちゃ、ダメかな・・・
じつはね。父さんもそれを考えはじめていたのさ。
父親もいつか、息子の共犯の顔つきになっていた。

姉さん、早く早く。
時折脚の襲い姉のために立ち止まっては、手招きをくり返す弟に。
中学三年になる京子は、舌打ちしながら、ついて行った。
まるで、鬼ごっこでもしているみたい。
姉に捕まるまいとするように。
姉との距離が縮まると、小憎たらしい弟ははぱっと走りだすのだ。
真っ白な夏もののセーラー服が、夕闇せまる公園に眩しかった。
ここって、暗くなったら来ちゃいけない公園だってきいたけど・・・
京子はふと、不安そうにあたりに視線をめぐらした。
ウン、そうだよ。吸血鬼が出るんだって。
弟はあくまでも無邪気に、白い歯を見せる。
ボクも、吸血鬼になっちゃったんだ。お姉ちゃん、血を吸わせてよ~。
わざと怪物めかして、両手をあげて迫って来る弟に。
バッカねぇ。いい加減になさいよ。
言いかけた声が、ふと途切れていた。
だれ・・・?
自分の背丈を覆い尽くすような人の陰に、少女は生唾を呑み込んだ。
きゃーっ!!!

母さん、今夜は気合いを入れて用意を頼むよ。
タカヒロは客人に、ウイスキーのグラスを渡しながら。
妻のしず江に上機嫌な声を投げた。
いきなりお客さまなんか連れて来て・・・
しず江は急な来客にあわただしく、エプロンを着けはじめる。
貴方、エプロン妻って好きだったんだよな?
夫が客人にそんな話をしかけるのが、耳についたけど。
しず江はいそいそと、台所に向かっていった。
ああ、黒のストッキングも好みですな。
エプロンの下は、紫のブラウスに緑のスカート。
ひざ丈のスカートの下には、黒の薄々のストッキング。
出先から電話をくれた夫は、客人を迎えるときの服装まで指定して来たのだ。
日ごろ奥さんの身なりには、まったく無頓着だったのに。
黒のストッキングが、好き・・・?
ふしんそうに小首をかしげるしず江の足許に、出し抜けにぬらりと生温かいものが這わされた。
軟体動物のような感触に、しず江がきゃっ、と、声をあげると。
いつの間にかしず江の足許ににじり寄っていた客人は、ツタが木の幹に絡まるように、
しず江の身体に添ってわが身をせり上げると、上半身まで羽交い絞めにしていった。
首のつけ根に圧しつけられた堅い異物が、皮膚を突き破る。
ブラウスの襟首とエプロンに、赤黒いほとびが散るのをかんじて、しず江は思わず声をあげる。
ひいいいいっ・・・

二階の勉強部屋。
母に見つからないように帰宅した娘は、うつろな瞳にうすら笑いを浮かべていた。
首すじにはくっきりと、ふたつ並んだ赤黒い痕―――
いま母がつけられているであろうのとおなじ痕を、指先でなぶりながら。
吸い残された血がついた指先を、お行儀悪くチュッと吸った。

一杯食わされちゃったね、父さん・・・
全くだよな。
招かれた村の衆が、にやにやと笑うなか。
父と子は苦笑を交わし合っている。
にやにや笑いの主たちに、悪意はなかった。
やっとあんたらも、身うちになってくれたのだな。
そういう打ち解けた雰囲気が、リビングのなかを明るくしている。
息子の青のハイソックスにも。
珍しくハーフパンツ姿の父親の、濃紺のストッキング地のハイソックスにも。
持ち主たちの血で、濡れた輝きを帯びていて。
お料理を持ち運んで来るしず江の髪は、寝乱れたようにほつれを残している。
京子までもが、セーラー服の襟首を赤黒く汚したまま、クラスメイトのなかにまじって、無邪気に笑いこけていた。
村に棲みつく以上は、村のしきたりのなかに入らないと。
吸血鬼はそのために、女にあぶれた役を演じて、
妻や娘は、なにも知らないふりを演じて、
夫や弟に、手引きをさせて。
襲われる淑女を、演じたのだ。
愉しくなりそうだから、まあいいか。
お父さんが能天気に、ほほ笑むと。
ウン、面白そうだもんね。
息子も白い歯をみせて、応えていた。


あとがき
ほとんど・・・男子の吸血話になっちゃいましたね。 苦笑

リンク元URL。

2010年11月03日(Wed) 08:31:13

アクセス解析のなかで、こんなのがでてきますよね。
ページ順で解析してみると、上位にカテゴリのページがいくつか出て参ります。
やっぱりこういうところに出てくるものって、よく視られているということなのかなぁ。
10月のベスト5は、こんな感じです(カテゴリページのみ列挙)
1位 近親
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-15.html
2位 母と娘
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-26.html
3位 女装
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-16.html
4位 少女
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-11.html
5位 人妻
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-14.html

ちなみに9月は、
1位 母と娘
2位 連作:連れ込み宿
3位 人妻
4位 女装
5位 ご近所

さらにちなみに8月は、
1位 近親
2位 柏木家の物語 妻と母
3位 女装
4位 人妻
5位 母と娘

それとちなみに7月は、
1位 人妻
2位 母と娘
3位 少女
4位 写真館 緑華堂
5位 妖しい学園

ついでにちなみに6月は、
・・・出ない。 爆

「母と娘」「人妻」は、毎月登場しています。
「人妻」は、記事数が断トツでトップです。
(きょう現在で311、2位の「近親」が192)
記事数との相関性がそんなにないことは、「母と娘」が41なのでよくわかります。
どんなに内容が濃いのでしょう???>「母と娘」。
個人的に意外だったのが、「女装」がニアピン(7月のみ登場せず)だったこと。
このテのかたも、御覧下さっているのですね。
なんとなく、ウレしいです。(*^_^*)

ブログ拍手♪

2010年11月03日(Wed) 08:01:23

まんねりなパターンが定着してしまったためか、このごろすっかりコメをいただくことがなくなりました。
大笑
それでも時折、拍手は入っていることが♪
―――陰ながらのご支援、ありがとうございます。(*^_^*)

それはさておき。
最近拍手をいただいたのは、
スクールストッキングを履いた姪
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1169.html

スクールストッキングを履いた姪 2
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1273.html

スクールストッキングを履いた姪 3
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1274.html

なんと、三連発でした。(^0^)
三回も。
スクールストッキングを履いた姪
って、打っちゃいました。(^^ゞ
このお話、たいとるですぐにまるわかりなのですが。 笑
制服姿で遊びに来た仲良しの姪に、叔父さま(ママの弟)が迫っちゃうお話なのです。
さいしょのお話を描いたのが平成19年の9月。
2以降を描いたのがおなじ年の12月30日。
だいぶ日にちが、離れています。
どういうキーワードで入られたのでしょうね?
やっぱり、「スクールストッキング」で入ったのかな。^^
三つも拍手を入れてくれたということは、多少は気に入ってもらえた ということなのでしょう。

このお話の第一話で、ヒロインの少女の名前が多佳子となっています。
第三話ではじめて、姉がいることがわかりまして、
第四話で姉の名前が礼子だということがわかります。
で、第五話になると、はじめて叔父さまの名前が明かされます。
ちなみによく読むとわかりますように、お話のつじつまが微妙に合っておりません。^^;
そういうのってやっぱり、落ち着かないですか?ごめんなさい。
ひとつひとつが、同一のストーリーのような。ぜんぜんちがうお話のような。
そんな感じでいいのかな と、個人的には思っておりマス。
どうぞお見限りなく、よろしうに。m(__)m

そうそう。
「スクールストッキングを・・・」を読んで下さった方のキーワードを知りたくて、アクセス解析さがしてみたら。
肝心のキーワードには出くわさなかったのですが、代わりにもの凄い検索ワードが。
ずばり。
「男に組み敷かれ凌辱の限りを尽くされている妻」
わぉ~!(昂奮の叫び)
こんな素晴らしいキーワードに引っかかるお話なんてあるのか?
と思ったら、出ていましたよ。うち。
だいぶあとのほうですが。
自慢すべきか、恥ずべきか・・・
↓こちらです。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-category-22.html
お時間がうーんとあるかたは、キーワードがどんなふうに隠れているかお試しあれ。^^

事務所の窓辺

2010年11月02日(Tue) 08:13:25

頬杖をついた、事務所の窓辺。
良さんが黒の礼服姿の女を連れて、通りを歩いてくる。
礼服姿の主は、わたしの妻。
わたしだけの妻だった女。
きちんと着こなした、黒の礼服に。
短めのスカートのすそからは、にょっきりと覗く黒ストッキングの脚。
平たいパンプスに縁取られた足首が、陽の光を受けて眩しく輝いている。
ふたりは道をはずれて、草むらへと脚を踏み入れる。
ちょうど、わたしの窓辺のまん前に。
背の高い草のなか、身を淪(しず)めたふたつの影。
黒のストッキングの脚だけが、時折草陰からにょっきりとあらわれて。
じたばたと、立てひざをしたり、放恣に伸びたり。
生きている躍動の歓びを、伝えてくる。
わざとこれ見がしにするのは、村の男衆の愉しみのひとつ。
そういえばこのあいだは、同僚の奥さんが。
男衆を三人も連れてやって来て、応接間をひと部屋、借り切っていった。
夫の勤務する、すぐとなりの部屋で。
悩ましい声が、洩れてきた。

だれもが知らん顔を決め込む、事務所のなか。
昼下がりの情事は淫らに、長々とつづけられる。