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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

作者のつぶやき。

2011年01月31日(Mon) 03:11:19

ややとんでもな時間ですが。
お話が浮かんだので飛び起きて、ささっとあっぷしてみました。
”吸血”というまがまがしい行為を、加害者と被害者と双方が、まともに受けとめようとするみたいなお話です。
いつもとはちょっと、異色かも。

きのうの朝、若い女のひとと、チャットしました。^^
ちょっとびっくりだったのは、
彼女、タイトルを見ないで入ってきたんですね。
いかにも吸血鬼なノリのメッセたててたのに。 笑
ところが彼女、芸域の広いひとでして。
見事に話を合わせてくれたのでした。
ノーマルで理知的なひとに紹介するのに、はたしてふさわしい文章があっただろうか―――?
そう考えて択んだのが。
「古屋敷の女あるじ」 でした。 (^^ゞ
そりゃないだろー!!って、お叱りを受けちゃいそうですね。^^;
でもまぁ、ヘンに中途半端なものを紹介するよりは。
堂々と?ど真ん中を紹介するのがもっとも良心的なような気がして、
ついついそうしてしまったのです。

当意即妙を要求される、チャットという世界。
とっさに取る行動って、思いがけないことがあるものですねぇ。(^^ゞ
・・・と、いまあっぷしたばかりのお話と、関係のあるようなないようなコメでした。


あとがき
当意即妙って、打とうとしたら。
党委足妙ですと。(-_-;)
持ち主並みに、ボケをさらけ出してくれるPCです。
(^_^;)

・・・悔しい。

2011年01月31日(Mon) 03:04:36

・・・悔しい。
首筋に噛みついたとき、
ひと言、その少女はうめいた。
唇にしみ込んでくる血潮の暖かさにむせかえって、
しばしはものも云わないで、少女の生き血をむさぼった。
ごくりごくりと、喉を鳴らして。
飢えた本能が、和らぎをおぼえると。
少年はぎくりとして、腕に込めた力を抜いた。
少女の身のこなしは、瞋恚(しんい)をにじませていたから。

・・・すまない。
声を落とした少年のつぶやきに。
こんどは少女がびくりと身を震わせた。
吸血鬼が血を喫(す)って、いちいち謝るの?
少年はあらためて、思い知らされた。
少女の声を震わせているのは、やはり怒りだったのだと。

かりにきみの云う通りだとして。
きみはふだん、お魚を食べるだろう?
そのお魚がもし、母さん助けて とか。 ぼくを食べないで とか。
そんなふうに、声をあげたとしたら。
きみはそれ以上、箸をつけられる?
お魚がそんなこと、云うわけないじゃない。
少女の声はやはり、怒りに震えていた。
げんにそれにちかいことが、ここで起きている。
少年の声は静かだったけれど、どこか重みを取り戻していた。

ぼくはもともと、吸血鬼じゃない。
父さんの友だちに、そういう人がいて。
ある晩、家族全員が血を吸われた。
ふだんはふつうに、暮らしているけれど。
週にいちどくらい、どうしても。
人の血を口にしないではいられない身体になっちゃった。
ぼくの父さんがきみの父さんと、仲良しで。
きみの父さんから理性を盗んで、きみの家族を紹介してもらった。
どうしてもひとの血が、要りようだったから。
ぼくの父さんはきみの母さんの血も吸って、
きみをこの家に、連れてきた。
まるで、子供のために素晴らしいお土産を買ってきた父親みたいにね。

ぼくの母さんは今夜、ぼくの家族の血を吸った男のところにいる。
仲良くしてもいいんだって、父さんは笑っていた。
たぶらかされているには、違いないけれど。
たぶんそのほうが、彼は幸せなんだと思う。
奪われたのではなくて、プレゼントしたのだからって、そう思っているみたいだから。
じじつ彼のほうにしても、そうだと思い込んでいるふしがある。
おなじ女のひとを、好きになっただけだって。
・・・まがまがしいと、思うだろう?

・・・どう応えていいのか、わからないわ。
少女はけだるげにうめくと、ずっと絡み合っていた少年の腕をほどいた。
ほどかれるまでもなく、少年は自分から、身を添わせてはならないひとから、己を遠ざけている。
うちに帰るの?
そうね。帰りたい・・・でもいま帰っても。
目のまえの少年が、かりにほのかな同情を添えてくれたとしても。
少女の留守に、少年の父が、少女の母を相手に食事に耽っているのは、まちがいない。

まだ欲しいんでしょ?人の生き血を。
軽蔑するような声色に、少年はかぶりを振った。
うそ・・・
目のまえの少年の瞳は、あきらかに渇きを秘めている。
わたしを家に帰してくれたとしても、あなたはこの家からさ迷い出て。
・・・だれかを襲うにちがいない。
少女の予言が正しいのだと、少年はしずかに肯定している。

吸いなさいよ。かまわないから。
遠慮しないで。・・・少なくともいまはもう、軽蔑はしていないから。
少女は目をそむけて、すすり泣いている。
弱みを見せるだけのゆとりだけは、ようやく取り戻すことができたように。
なんて慰めたらいいのか、わからないよ。
慰めなんて、いらないから―――
せめてぼくが、そういう気分でいることだけは、わかってくれる?
わかってあげたって・・・どうにもならないんでしょう?
少年が同情を添わせてくるたびに、少女は厭わしげにそれを避けつづける。
まるで、触れてはならないものが、間近にあるように。

ねぇ。吸って。
しばしの沈黙のすえ、口を開いたのは少女だった。
あなた、善人なのね。それだけはよく、わかったわ。
だって、やることが中途半端だもの。
中途半端なひとは、だれを救うこともできないのよ。
少女の声は、すこしだけうるおいを取り戻したけれど。
含まれている毒が、消えたわけではなかった。

さあ、吸って。はやく。
布団にしみ込んでしまうくらいなら、なにかの役に立てたほうがいいわ。
だってあなた、喉が渇いたままだったら、ほかの女の子を襲うんでしょう?
それだけは我慢ならないの。
そう言いたげに少女がこぶしを握りしめるのを、触れつづけた腕が伝えてくる。
わるいね―――
仰向けの人影に、覗き込む人影が、ふたたび重ね合わされていった。

ぁあ・・・
ずっとそのままの姿勢でいたふたりのどちらかが、ため息を洩らす。
あるいは、ふたりが同時にため息したのかもしれない。
ひとりは起きあがり、ひとりはそのままの姿勢でいた。
起きあがった少年は、少女の足許に、唇を添わせてゆく。
まるで、貴婦人の足許に、接吻を重ねるようにして。
痛っ。ストッキング破ったわね。これ、学校に履いていくやつなのよ。
少女の非難は、さっきとは打って変わって、くすぐったげだった。

たぶらかされたわけじゃ、ないんだからね。
あなたが気の毒だから、つきあってあげただけ。
あなたのお父さんが、わたしの母にすることを、やっぱりわたしは受け入れられない。
せめて、なにも知らないことにさせてちょうだい。
あなたの父さんがそうしているみたいに、父が母の相手としてあなたの父さんを受け入れたとしても。
わたしはそういうの、だめだから。
云ってる意味、わかってる?
あなたにだけなら、時々逢ってあげてもいいって云っているのよ。
さいごは、察しのわるい少年を、叱るようなきつい声―――
少年はなにやら小声で、ぼそぼそと、彼女に応えていった。
それは決して、彼女ほどはっきりしたものでもなく、気のきいたあいさつを返したわけではなかったけれど。
少女はそれでじゅうぶん、満足したらしい。

結婚するかも、ね―――
寝入った少年をかたわらに、少女は独り呟いている。
少年に噛まれた脚を、さすりながら。
恋人になったばかりの男が、悪戯心のままに噛み破ったストッキングの裂け目に、
大人びたほろ苦い笑みを、滲ませてゆく。

スポーツ少年の好意

2011年01月30日(Sun) 05:47:13

やぁ、小父さん。こんちは。
きょうは小父さんの好きな、緑のハイソックス履いてきてやったよ。
ラインの入ったやつ。
試合の練習の時にいつも履いているソックスがいいなんて。
変わっているよね?小父さんも。

きょうは特別に、新しいやつおろしてきたんだ。
ママとどんな関係なのか、教えてくれるっていうからさ。
だから、ちゃんと教えてね。
もちろん、秘密は守るから。
あっ、もうハイソックス舐めてるし。(><)
なんか、いやらしいよなぁ。
よだれがぬるぬるして、キモチわるいんだけど・・・

いつからママと、付き合っているの?
えっ、結婚するまえから?
パパが紹介したんだって?
まさかぁ。 笑
でも、パパは小父さんと仲良しなんだよね?
血が欲しくて困っている小父さんのことを、パパが気の毒がって。
ママに頼んで、血を吸わせてもらったの?

そういうえばいつも、小父さんと逢うときは。
ママ、薄々のパンスト穿いていくんだよね。
小父さんはいつも、面白がって、ママのパンスト噛み破っちゃって。
なんか、いやらしい眺めだよね。
あの厳しいママが、いつも小娘みたいにおどおどしちゃって、困った顔しているぜ。
それが面白くって、覗くのやめられなくなっちゃったんだ。

ママのふくらはぎ、柔らかくって、おいしそうだね。
でも、やめたほうがいいんじゃない?
首すじ噛むときに、わざとブラウスに血を滴らせるの。
だって、小父さんの家を出たら、近所の人にばればれじゃない。
襲われて血を吸われちゃいましたって、言っているようなものだもの。
ボクのハイソックスに血のシミをつけるのと同じくらい愉しんでるのは、わかるけど。
だからママ、帰りが遅くなっちゃうんだよ。
小父さんがママを呼びだす夜は、ボクいっつも独りで晩ご飯なんだぜ。

あっ、汚したっ。(><)
そもそも噛み破っちゃったら、試合の時に履いていけないよ~
わざとずり降ろすのも、やめてほしいな~。
ちょっと待ってよ。きちんと履き直すから。
小父さん、変わっているよね。
自分で汚したりずり降ろしたりするくせに、きちんと履いているのを噛むのが好きなんだろ?
ああ、わかってるって。
リブがまっすくになるよう、きちんと履き直してあげるから。。

小父さんがママを襲うのを、パパが許しちゃっているのは、
ふたりが仲がいいからなんだろ?
ママが時々、貧血になるだけで。
パパにはなんの得も、ないんだものね。
こないだママが、こぼしていたぜ?
破けたストッキングだって、ただじゃないんだからって。
でもお金は、受取らないんだって?
好意でしていることだから、っていうけれど。気になることも言っていたっけ。
春を売っているわけじゃないんだからって。

春を売る・・・って、どういうこと?
ママの生き血を吸った後、ふたりで奥の部屋に、隠れちゃうよね?
あそこでいつも、なにをしているの?
破けたストッキングのままの後ろ姿、ちょっとドキドキするんだけど。
えっ。裏切り行為にはならないって?
純粋な好意から、プレゼントしてくれているんだって?
なんだか・・・わかるような・・・わからないような・・・

でも、約束してあげようかな。約束しちゃおうかな。
ボクに彼女ができたら、小父さんに紹介してあげるって。
ママもさいしょは、嫌がっていたのに。
いちど小父さんに逢ったら、悦んで逢いに行くようになったんだよね?
ボクの学校の女子は、セーラー服なんだ。
黒のストッキング履いている子も、いるんだぜ?
アプローチするときには、小父さんの好みも考えてあげようか。
えっ、そんなこと気にすることはない。だって?
きみの好きな子を連れてくればいいだけだから。だって?
偉そうに~。

ほんとはね、かよ子ちゃんのことが、気になってるんだ。
大人しくって、目だたないけど。
几帳面で、しっかりしているんだ。
こないだボクが練習でケガしたときも、きちんと手当てしてくれたもんな。
小父さんに舐めてもらった方が、治りは早そうだったけど。 笑
ああ、でもかよ子ちゃんを小父さんに逢わせるのって。
想像するとどういうわけか、心臓がズキズキするんだよね。
どうしてなんだろう?
あっ、ダメだよ。小父さんたらっ。
貧血になっちゃうよ~。
小父さんきょうは、やけにいやらしく噛むんだね。。。


あとがき
これ、きのうの明け方に思い浮かんで、台詞も考えていたんです。夢うつつのなかで。
ところが朝、起きられなくって、イメージがいちど、ぼやけちゃったんですね。
二日酔いで。。。(^^ゞ
ちょっとその気になったら描けるかな~?とおもっていたら、案の定。 笑
このテのお話は、なかなか理解してもらえるかたがいないんですが。
どうにもむしょうに、こだわり深くなっちゃうんですな。。。

秘密。

2011年01月29日(Sat) 05:24:47

秘密というものが、できるまで。
妻はとても、従順だった。
秘密というものが、できてから。
妻はとても、優しくなった。

短文。

2011年01月29日(Sat) 05:22:35

ストッキング地のハイソックスを、好んで脚に通す彼。
ストッキング地のハイソックスを、好んで舐めまわす俺。
彼は、無類の愛妻家。
おなじ女を、きみの知らない場所で愛そうか・・・?
そっと囁く俺に、彼はくすぐったそうに笑い返した。

薄黒の靴下の女

2011年01月28日(Fri) 05:46:35

気の強そうな色白の頬を、怒りに蒼ざめさせて。
ナーバスな細い眉を、キリキリと逆立てて。
よく輝く大きな瞳に、精いっぱいの悔しさと侮蔑を滲ませて。
ひどいじゃないの。靴下破くなんて。
齢不相応に短い丈のスカートの下。
すねの半ばまで弛み堕ちた、薄々の黒のハイソックスは。
ななめ模様を歪めたまま、むざんに噛み破かれていた。
俺の牙にしたたるのは、さっき吸い取ったばかりの彼女の血―――

じつは吸血鬼なんだ。だれかの血を吸うかもしれない。
冗談に紛らせて伝えた俺の正体を、彼女はもちろん本気にしなかったにちがいない。
どうしても喉が乾いたら、あたしをさいしょに襲ってね♪
白い歯を見せて笑う彼女は、たなびく茶髪の下、
健康な血潮をたっぷりと含んだ、あの白くて細い首すじを、うっとりするほどに輝かせていた。

黒の薄々のハイソックスに滲んだ、彼女の白い脛。
俺はもういちど、惹きこまれるようにして。
もう片方の脚を、噛んでゆく。
きゃっ!何すんのよっ!
非難を帯びた叱声が、頭上を通りすぎたけれど。
狼狽からか、失血からか。
よけようともしない脚は、俺の牙をまともに受けとめていた。
柄もののハイソックスの、ざらりとした舌触りに、つい夢中になっていて。
彼女の制止をよそに、噛んでゆく。
悪戯っ子が、してはならない悪戯を、わざと愉しむようにして。

また、噛まれたくなったら。
黒のハイソックス履いてきて。
このテのやつ、好みなんだ―――
調子に乗り過ぎた、俺の言い草に、
女は鉄火な平手打ちで応えてきた。
それでも週に、二、三日は。
彼女は脛の透ける黒のハイソックスを、履いてきてくれるようになっていた。
唇をあてた下しわくちゃになってゆく薄いナイロンは、いつも真新しくて。
たっぷり愉しむ舌触りの下、露骨なよだれを滲ませてゆく。

少しだけですよ。
いつも、ひどいじゃないのっ。
もうっ!履いてきてあげるんじゃなかったっ。
女はいまでも、俺に靴下を破かれると。
少女のように、口尖らせる。
子供たちのまえでは、よしてくださいね。
すでに三人の子持ちになった女は、苗字を俺とおなじに変えて。
きょうも子供たちを、学校に送り出すと。
わざと不機嫌そうに、ぷんぷん怒りながら。
薄手のハイソックスに、白い脛を透きとおらせている。


あとがき
愛妻讃歌・・・ですね。(^^)

父親の本音。

2011年01月27日(Thu) 07:49:10

妻を息子に抱かせるのって、どう思います?
まがまがしいと、お感じでしょう?
けれどもね。
息子が吸血鬼になって、吸い取る血にこと欠いたとき。
家内はすすんで、息子の相手をしたんです。
わたしもそれを、赦しました。
だって、肉親ですからね・・・
人と吸血鬼とに、分かれてしまったからといって。
ひとり息子を、見捨てることはできないじゃないですか。
息子の食料確保と、寂しさを紛らわせるために。
わたしは結婚して初めて、ほかの男に夫婦の寝室を譲り渡したのです。

けれどもね。
一人許してしまいますと、
前例は二つになり、三つに増えていくものなんです。
垣根の破れた後を、とりつくろうことはできませんでした。
いま、家内がベッドをともにしている男は。
ストッキング好きな変態で。
週にいちどは、やってきて。
さんざん妻の血を愉しんだ挙句、ストッキングを剥ぎ堕としていくんです。
もう・・・なん足破られてしまったでしょうか?
息子のときから感じ始めた、あの妖しいドキドキは。
いまはっきりと、わたしの理性を侵蝕してしまっているんです。


あとがき
前作で気になった、リョウタくんのお父さんの述懐・・・でしょうか?

お袋の生き血。

2011年01月27日(Thu) 07:44:11

お前の母さん、意外と美人だな。
リョウタの言い草に、思わず覗き込んだお袋の顔。
そうだろうか?たしかにきちんと化粧はしているけれど。
俺が応えずにいると、リョウタのやつはかまわずに。
じゃ、お先にいただくぜ。
さっそくお袋の首筋にがぶりと噛みついた。
ずず・・・っ。じゅるうっ。
汚らしい音を、思い切りよくたてながら。
お袋はワンピースの襟首を赤黒く浸しながら、
リョウタに吸血されていった。

あー、うまい。
女の生き血にありつくの、三日ぶりだからな~。
お袋の血のおかげですっかり顔色のよくなったリョウタのやつは、
いともせいせいとした顔つきで、俺に順番を譲ってくれた。
首筋からじゃなくても、いいんだぜ?
顔見ながらってのは、応えるだろう。
リョウタが勧めてくれたのは、ワンピースのすそからにょっきり伸びたふくらはぎ。
そのうち片方は、肌色のストッキングを派手に伝線させていた。
リョウタのやつに、ブチブチと噛み破られてしまったから。
卑猥に笑んだリョウタの唇が、ストッキングの脚に吸いついて。
他愛なく噛み破ってしまうのを。
俺は面白そうに、見守っていた。
いつも権高なお袋の品位が、本人の知らぬ間に汚されていくのが小気味良かったから。

気絶したお袋は、苦しげに息を弾ませていたけれど。
俺は構わずに、お袋の脚に唇を這わせていった。
薄手のナイロンストッキングの舌触りが、やけにすべすべしていた。
初めて噛んだふくらはぎは、しっとりと潤いを帯びていた。
けっきょく俺も、悪魔になっちまったな。
唇を濡らす生温かい液体が、喉の奥まで心地よく浸している。
身うちの血が、いちばん口に合うものさ。
いかにも経験ありげに嗤う彼は、父親の公認つきで、実の母親を自分の女にしているという。
そこまでする気は、なかったけれど。
干からびた身体の奥にいきわたるぬくもりに、
俺は生まれてはじめて、お袋の存在に感謝の情をわきたたせていた。

ブログ拍手♪

2011年01月26日(Wed) 05:28:53

やや旧作ですが、一時間ほどまえに、こちらのお話に拍手を頂きました。
「服従の愉悦~喪服妻たちの宴~」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1477.html
ありがとうございました。m(__)m
2008年の7月に描いたものですが。
たいとるがいかにも、妖しいです。
そのつぎの記事に、こんなのがありました。
「妻たちの宴 ~かいせつのようなもの~」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1478.html
なんどかくり返し描いてきたような主張(?)ですが。
まあそれなりにまとまっておりますので、ご紹介まで。

そうそう、
きのうの朝、
淫乱な嫁が貞淑な姑を堕とすのと、淫乱な姑がおぼこ娘みたいな若い嫁を因習に引きずり込むのと、どっちがえろいでしょう?みたいな話題を振ったのですが。
さっそくきのうのうちに、こちらに拍手を頂戴しました。
「嫁を淪落に堕とすとき」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2413.html
とりあえず、悪いお姑さんに一票! (^^)/
ということのようで。^^

時おり拍手を下さる読者の皆さまに、御礼をこめて―――

「お先に失礼します」

2011年01月26日(Wed) 05:20:45

そのおさげ髪の少女は、いつもセーラー服を着て。
下校途中に待ち合わせたお母さんに、付き添われていた。
病院の待合室みたいに、招び入れられた応接間。
いつもボクよりも先に、ふたりはお屋敷に来ていて。
いつもボクよりもひとつ前に、名前を呼ばれて。
「お先に失礼します」
おさげ髪を揺らして、ボクに会釈をして、部屋を出ていった。

十分、二十分・・・
少女の持ち時間は、最長で一時間。
そのあいだボクは、所在なげに。
半ズボンの下に履いてきたハイソックスを、しきりに引っ張り上げていた。
いつも一時間ちかく経ってから、ふったび姿を現した母娘は。
スカートの下、白い脛を淡く滲ませた薄手のストッキングを。
みるかげもなく、噛み破られていた。
きっと泣いたであろう目じりにだけ、狼藉の名残りを滲ませて。
少女はいつももの静かに、
「お待たせしました」
おさげ髪を揺らして、丁寧に会釈を投げてきた。

「お腹、減らしているのかなぁ」
いつになく顔蒼ざめさせた少女に、つい洩らしてしまったひと言に。
「だいじょうぶですよ」
少女は親しげな笑みで、応えてくれた。
思わず見おろした少女の脚は。
黒のストッキングを、派手に伝線させていて。
思わず
「がんばったんですね」
声を洩らしてしまうと。
「羞ずかしいです」
弾んだ笑顔が、かえってきた。

付き添いの母親が、あらわれなくなって。
おさげ髪の少女は、ボクのことを待合室で待っていてくれるようになって。
ふたり、手をつないで、家路をたどるようになっていた。
喰い剥かれたハイソックスと、ストッキングの足許を。
さいしょのうちは、お互い視ないようにしていたけれど。
そのうち気心が知れてくると。
「派手にシミつけられちゃったね」
少女は面白そうに、ボクの足許に視線を這わせて、
「あたしも、こんなにされちゃった~」
じわりとした伝線をスカートの奥まで走らせたストッキングの脚を、
おどけながら、見せびらかすようになっていた。

それからなん年、経ったのだろう?
「お先にどうぞ」
「では、行って参ります」
あのときとおなじように、礼儀正しくお辞儀をするのは。
初々しいおさげ髪とは別種の艶を放つようになった、大人びた黒髪。
わたしの苗字を名乗るようになった、かつての少女は。
落ち着き払った態度で、待合室のドアを閉める。
「やぁ、派手に破かれたもんだね」
「あなたこそ、真っ赤っ赤にされてしまいましたね」
穏やかにほほ笑み合う、大人の夫婦を。
満たされたものの視線が、鍵穴ごしに覗いている。

久しぶりの、セーラー服。

2011年01月26日(Wed) 05:07:44

セーラー服なんて、もう着ることはないとおもっていた。
女学校を卒業して、都会の大学に入学して。
しばらく離れていた、生まれ故郷の村。
久しぶりに会った母さんは、少しだけ白髪が増えていた。
ねぇ、小母さまお元気?
父さんがいないとき。
気になっていた問いを母さんに投げてみたら。
それがねぇ・・・
言いにくそうに、口を開いて。
このごろ、お友だちがいらっしゃらないんですって。
母さんが父さんに見えないように、さりげなく髪に隠した噛み痕は。
以前より少し、派手めになっていた。

さいしょに襲われたのは、まだ中学生のころだった。
通りすがりに呼びとめられて。
連れ入れられた、廃屋で。
わたしは泣きじゃくりながら、血を吸われていった。
履き慣れかけた、黒のストッキングの脚を、唇で撫でるようにあしらわれて。
ええ舌触りじゃ。なまめかしいのぉ・・・って、仰られて。
ぱりぱりと他愛なく、噛み破られて。
わたしはしゃくりあげながらも、小母さまのやり口を、受け容れていった。

なん度も、お逢いするうちに。
お願い、あした試験なの。
ごめんなさい、ほんとうに身体のようすがよくないの。
両手を合わせて、お願いすると。
仕方ないのぅ。
小母さまは、露骨に残り惜しげな顔をしながらも。
わたしのことを、見逃してくれた。
はっきり嘘だと知りながら、見逃してくれたときもあったと思う。

そんなやり取りを、重ねながら。
女学校の卒業式帰り、黒のストッキングを噛み破らせてあげながら。
春から都会に出るの。
小母さまは母から、話を聞いていたらしい。
薄っすらと寂しげに笑いながら、それでもおめとう、って、言ってくれた。

久しぶりに戻った、生まれ故郷。
一年近く、袖を通していなかったセーラー服を、身にまとって。
心もどこか、あのころに戻ったような気がした。
小母さまはきっと、目を丸くなさって。
それでも露骨に、よだれをしたたらせて。
薄黒く滲んだわたしの脚を、なぶりものになさるのだろう。
さいしょのころ、怒ったり泣いたりしていた、ふしだらなあしらいを。
いまは、薄っすらとほほ笑みながらお相手するゆとりがうまれていた。

薄いグリーンのハイソックスを履いて

2011年01月26日(Wed) 04:57:18

薄いグリーンのハイソックスを履いて、
吸血鬼の小父さんに、せがまれるまま、
よだれがたっぷり浮いた、あの薄汚い唇で。
ふくらはぎを、舐めさせちゃった。
舐めるだけだよ。噛んじゃ駄目だよ。
おろしたばかりのやつなんだから。
なんどもなんども、小父さんに。
そうくり返していたんだけど。
小父さんもにっこりとほほ笑んで、
わかった、わかった、よくわかっているよ。
たしかにそんなふうに、くり返していたんだけど。
厚手のナイロン生地ごしに、しみ込んできたあのいやらしいよだれが、
いつの間にか、ボクの皮膚を侵していって。
じわりじわりとしみ込まされた、小父さんの毒に。
ボクは上の空になっちゃって。
やっぱり噛んでもいいよって、口走っちゃって。
きみからのお願いだよね?って、念を押されて。
念を押されるままに、うわ言みたいに。
お願い・・・やっぱり噛んで。
うふふふふっ。
小父さんは、あの人の悪げな笑みをうかべて。
じゃあ、きみの望み通りにしてあげよう。^^
って。
ずるい。いつも、ずるい。ずる過ぎる。
くっきりとした、噛み痕と。
じわりと滲んだ赤黒いシミに、
ボクは口を尖らせながら。
台無しになっちゃったじゃないか・・・
形ばかり、抗議をくり返していたけれど。
せっかくだから、真っ赤になるまで。。。いいだろう。。。?
小父さんの言い草に、激しく頷いてしまっていた。
きょうもボクの負けだね。
もっともっと、噛んじゃって・・・

嫁を淪落に堕とすとき。

2011年01月25日(Tue) 08:15:31

ひとりで着付けができるのは。自慢のうちに、なるらしい。
帯をきっちりと、締め直しながら。
妾(わたし)は障子ごしに、隣室の気配をうかがった。
たったいま。
妾(わたし)の婦徳を、小気味よいほどに汚し抜いた男が。
息子の若い嫁の肉体を、愉しんでいる。
障子一枚隔てた、向こう側。
切なげな吐息が、露骨なほどに。昏(くら)い歓びを滲ませていた。

おぼこ娘のように、おずおずとしていた若い嫁は。
長襦袢を着乱したままの妾(わたし)の介添えに、素直に従って。
洋装の礼服を、一枚一枚、脱がされていった。
取り去られたジャケット、スカーフ、ブラウスと。
部屋の隅に、順々に投げ出されていって。
徐々にあらわにされてゆく、やわ肌の輝きに。
羞じらいを隠せずに、両手で顔を覆いながら。
さいごにスカートを取り去るときには、
さりげなく自分から、脚を引き抜いていった。
黒のストッキングに映えた、嫁の白い脚が。
そのときほど淫靡に映ったことはない。

当家のしきたりですからね。嫁である以上、貴女にもしたがっていただきます。
冷たく言い放ってやるつもりの、その台詞が。
なぜか昂りに、震えるようになっていた。
それでは―――
男は冷徹な処刑人のように。
むき出しになった嫁の両肩に、手をかけて。
器用に畳のうえに、まろばせていった。

あれほど大人しやかだった嫁が。
絶頂に昂って、別人のようにはしたなく身体を開いていくのを見届けて。
足音をひそめるように、廊下を歩いていくと。
母さん―――?
背中から、息子が声を投げてきた。
離れでなにが起きているのか、知らぬ息子ではないはずだった。
あちらには、お近づきになりませんように。
しっとりとした声が、意外なくらい落ち着きを取り戻していた。

ふり返ると、古びた離れはなにも起きていないようにひっそりと、庭の隅にうずくまっていた。
その昔。
まだ若妻だった妾(わたし)の理性を呑み込んでいった、あの妖怪のような古宿は。
さりげない静けさを、とりつくろいながら―――
いま、新たな獲物に満足しきっているのだろう。


あとがき
代々伝わるいけないしきたりに、若い嫁を引きずり込んだお姑さんのお話です。^^
前作のあとがき描いているうちに、「描けそうだ」と感じたので、一作を。

女房の浮気癖

2011年01月25日(Tue) 08:02:45

妻の浮気章には、ほとほと困っていましてね。
その若い旦那と知り合ったのは、とある地下街の酒場だった。
旧家の出の御曹司の、お忍びの夜遊び―――
俺はひと晩、男につきあってやった。
もちろん、俺流のやり方で。
男の血など、めったにたしなまないのだが。
この街に流れてきたばかりの俺に、選択の権利はまだなかった。
旧家の血というやつは、多かれ少なかれ、饐(す)えている。
けれども、男の首すじから唇を放したとき。
俺はすでに、はっとするものを覚えていた。
たぶん、母親の血だろう。
豊かに優れたものが、男の体内にしっかりと息づいていた。

で・・・俺にどうしろと?女房の浮気癖を治せとでも?
きみならできるよ。
育ちのよいぼんぼんらしい無責任さを、男は並びの好い白い歯にきらきらさせていた。
できるんだろう?
覗き込んでくる目つきに思わず、
図星だよ。
俺はうっかり、応えてしまっている。

若妻の浮気癖は、ぴたりとおさまった。
なにしろ女房殿は、出逢ったばかりの俺にぞっこんになって。
一も二もなく、俺のオンリーになってしまったのだから。
だんなを立てろ。そうすればたいがいのもめ事は収まるのだ。
美しいけれども思慮のなさげなその若妻は、素直さだけは持ち合わせていた。
だんなの留守宅に俺をあげて、ワインを注いで。
ことのついでに自分の体内に流れている甘い美酒まで、振る舞いながら。
女は言ったものだった。
こないだ家をあけたとき、あのひと一睡もしないで待っていたんですって。
男の心の裡に、ある種の歪んだ昂奮のあることを。
俺はとっくに、見抜いてしまっていたけれど。
この女の言い草もきっと、いくばくかの真実を含んでいるのだろう。
女はしゃあしゃあと、語りつづける。
それいらい、浮気しちゃうのかわいそうかな・・・って、思えるようになったの。
だからこれからは、あなたひとすじでイクからねっ。
あんたに座布団一枚。
そういう思いを込めて、俺は女をソファから払い落し、じゅうたんのうえに組み敷いた。

男の母親は、まだ五十そこそこだった。
女学校の時に、見合いして。十九の春に息子を産んでいた。
横暴な旦那は、すでにこの世とおさらばしていたけれど。
ひととおりでなかったはずの苦労を、顔の小じわにして刻み込むことがなかったのは。
天性の賢明さのせいなのだろう。
息子に引き合わされた俺をひと目見て。
いけないかたのようですけど・・・息子を幸せにして下さっているのでしょうね。
俺のいけない正体を、さりげなく上品な言葉でくるんでいきながら、
挨拶の接吻をするそぶりを見せた俺のため、
ほっそりとした手の甲を、差し出してくれた。
俺が久しぶりの恋に落ちたのは、その瞬間だった―――

なん回もなん回も、夫の写真にわびていた。
きっと、幸せの「し」の字も与えてくれなかったであろう夫のため。
守りとおしてきた女の操を、それはいとおしみながら。
夫婦の寝室から身勝手にも俺を締め出した若妻の、身代りにと。
いつも身に着けている黒のドレスを、妖艶に映えさせてくれたのだ。
猿臂を背中にまわした、そのときに。
吸血以外の目的で、卑猥に昂る唇を、彼女の首すじにあてたときに。
(すでに彼女は俺に献血をしてくれるようになっていた)
そして、スカートの奥に、ただれた肉剄を衝き入れた、その瞬間に。
女は不意にしゃくりあげ、身を震わせて涙ぐんだ。
その楚々とした、奥ゆかしさに。
けしからぬほど夢中になってしまった俺は、ひと晩じゅう―――
夫を弔うための清楚な装いを、汚れた粘液に浸しつづけてしまっていった。

美南子に、子供ができたらしいよ。
若旦那は嬉しげに、俺にウィンクを投げてきた。
すっかり女遊びの身についたこの男は、身重の妻を残して夜遊びに出かけていく。
たいがいにしなさいよ、お坊ちゃん。
からかうように、そういうと。
どちらの子なんだか。
そういいながら、月の計算だけはおこたりなくしたふたりとも。
子供が夫の種であることを、知っている。
ほんとうは。
この家の血を、きちんと残すには―――
俺がきみ母さんをはらませるほうが、適切だったのかもしれないな。
鼻歌交じりに遊びに出かける若旦那の背中を横目に、俺は首から提げるようになったロケットを、開いてゆく。
淑やかに透きとおるほほ笑みの主は、齢を感じさせない若々しさを、写真のなかでも誇っていた。


あとがき
そっちかい・・・な展開のお話だったかも。(^^ゞ
たいがい若い嫁のほうが淫乱で、引き止め役の姑は貞淑で。
戸惑いながら、欲情にまみれるようになっていく。そういうパターンが多いのですが。
時にはもの慣れた姑に、初々しいおぼこ娘のような新妻が巻かれてゆく みたいなお話も、愉しいかもしれませんね。
・・・と、いけないひとりごとを、ひとくさり。 笑

ファースト・キスみたいに・・・

2011年01月24日(Mon) 08:04:07

よぅ、いっしょにつきあってくれよー。
おれ一人じゃ、心細いから・・・
仲良しのアキヨに、頼み込まれて。
妹の道代ちゃんの儀式に参列するはめになっていた。
どうしてこういうときばかり、ボクは頼りにされるのだろう?
いつもは引っ込み思案なボクが、そういうときにかぎっては。
まず兄貴が、手本を見せるんだぞ。ハイソックス、ちゃんと引き伸ばして履くんだぞ って。
いつもイニシアチブを取られっ放しのアキヨにまで、えらそうに指導をしちゃっている。

ソファに腰かけた道代ちゃんは、夢見心地にほほ笑みながら。
白のカーディガンに包んだまるまるとした身体つきを、まるで子山羊のようにうずくまらせて。
真新しい白のハイソックスの眩しいふくらはぎを、所在なげにぶらぶらとさせていて。
小父さまが現われると、ばね仕掛けの人形みたいに、飛び上がって。
はにかみながら、お辞儀をして。
ふっくらとした頬を紅潮させて。
ファースト・キスを待ちうけるように、目を閉じて。
首すじに牙を、埋められていった。

あ~、ドキドキする・・・
いつも強気なアキヨが、顔に手を当てている。
失血のあまり、くらくらとなって。ソファからすべり落ちた道代ちゃんは、
じゅうたんの上に尻もちをついたまま。
あごの下しつように吸いつけられた唇に、生き血をチュウチュウとやられながら、
もう・・・ぼーっとなっちゃっていた。
観念したように、目を瞑って。
じゅうたんの上に投げ出した、白のハイソックスのふくらはぎ。
たっぷりとした肉づきに、甘えるように。
男は唇をねぶりつけて。
そして容赦なく、牙を突き刺してゆく。

旨かった。時々吸わせろよ。
口許から道代ちゃんの血をしたたらせながら、そう囁きかける吸血鬼に。
ウ・・・ウン。
アキヨはおずおずと、頷いていた。
学校帰りに、兄妹で寄り道をして。
小父さまのお屋敷からべそを掻き掻き出てくる道代ちゃんは。
お兄さんになだめられながら、
真っ白なハイソックスに、紅い血をべっとりさせたまま。
覚束ない足取りで、家路をたどる。

えっ?兄妹で、結婚するって!?
びっくりしたボクに、アキヨは頭を掻きながら。
でもね、道代とは父親が違うんだ。だから兄妹でも、かまわないんだって。
むろん、籍を入れることはかなわない。
表向き独身の兄妹のまま、ふたりはともに暮らすことになる。
父親につねられるようなものだって、そういえば道代ちゃん言っていたっけ。
あのふたり、実の父娘だからな・・・
アキヨはひっそりと、ただならないことを口にした。
どうやらあの吸血鬼は、母娘ながら、愉しむつもりらしい。

リビングのじゅうたんの上。
華やかな声あげて、芋虫みたいに転がる、母と娘。
立て膝をした、真っ白なハイソックスの脚のかたわらで。
競い合うように伸べられたお母さんの脚は、肌色のストッキングを派手に伝線させていた。

イチゴもようのハイソックス。

2011年01月24日(Mon) 07:40:18

もうー。やーだぁ・・・
押し倒されたまゆみちゃんは、うなじをぺろぺろ舐められて。
イチゴもようのハイソックスの脚を、ばたつかせながら、くすぐったそうな声をあげた。
あごの下を舐められている。
そのようすだけはなんとなく、窺えたけれども。
目にすることができるのは、ばたつかせる脚ばかり。
イチゴ柄なんて。子供の趣味だよな・・・
まゆみちゃんのことが気になってる、幼馴染のミチヒコは。
照れくさそうに、舌打ちをした。

肩をそびやかす彼氏の背後で。
きゃっ・・・
少女はひと声、叫んでいた。
イチゴもようのハイソックスの脚が、一瞬動きをとめる。
噛まれたー・・・
まるで自分が噛まれたみたいに、頭を抱えるミチヒコに。
ボクはおめでとう、って、言ってやった。
少女の生き血をすする、ちゅうちゅうという音が。
ボクたちふたりの鼓膜を、妖しく染めた。

息を詰めて見守る親族たちに混じって、特別に観覧を許されたボクたちは。
少女が大人になる瞬間を、目の当たりにさせられる。
貧血になるほど、吸血鬼に血を貪られた少女は。
蒼ざめた顔をしながら、真っ赤なチェック柄のスカートのすそを乱していった。
イチゴもようのハイソックスを履いたまま。
ふくらはぎに唇を吸いつけられるころには。
少女はすっかり、しずかになっている。

帰りがけ。
お母さんが差しかける雨傘の下、少女がべそを掻いていたのは。
股間の痛みが耐えがたかったからなのか。
お気に入りのイチゴもようのハイソックスを台無しにされたのが悲しかったのか―――
それからなん年かして、ミチヒコの奥さんになったまゆみさんは。
いまは、お気に入りのダイヤ柄のハイソックスを脚に通して、
あのときの小父さまと、逢いつづけているという。

宴席の小部屋

2011年01月24日(Mon) 06:36:48

旧正月かなにかの、お祝いの席だったと記憶している―――
親戚の男女が集まって、ホテルの大広間で会食をしていたときのこと。
ぜんぶで数十名ほども、いただろうか?
だれもが正装をしていて、まるで結婚式のような雰囲気だった。
宴たけなわのころ―――
大広間の扉が開かれて、ふらふらとさ迷うようにして入り込んできたいくたりもの男の影に。
だれもが息を呑んでいた。

おやぁ、マチ子さん。すっかり女ぶりをあげたねぇ。
赤ら顔の年配の客人は、OLをしている従姉に慣れ慣れしく声かけて、
テーブルの下にかがみ込むと。
よだれの浮いた唇を、彼女のふくらはぎに吸いつけて。
ねずみ色のストッキングを、遠慮会釈なく、噛み破ってゆく。
すぐ隣では、母をまえにもじもじとする青年を、
父はにこやかに別室に促して。
宴が果てるころようやく表に出てきた母は、ノーストッキングの脚にナマナマしい粘液を光らせていた。

宴席に隣接して、いくつか小部屋がしつらえられていて。
母が入っていったすぐ隣の小部屋のドアが、出し抜けに開かれた。
以前よりも上背の伸びたサチコちゃんは。
真っ白なカーディガンに撥ねた赤黒いシミを気にしぃしぃ、
小父さまといっしょに、小部屋から出てくると。
あの、ちょっと・・・
口ごもりながら、声かけてきた。
背中まで長く伸びた黒髪に、鮮やかに白いヘアバンド。
めっきり大人びた上背と髪の毛の艶とは、裏腹に。
もの慣れない言葉づかいは、以前のままだった。

悪いね、きみ。お嬢ちゃんだけの血じゃあ、足りなくてね・・・
みなまで言わず、もの欲しげに見つめてくる、ボクの足許は。
齢不相応な半ズボンに、濃紺のハイソックス。
冬だというのにまる出しにさらけ出した太ももは、ちょっとまえまで外気にさらされ真っ赤になっていた。
サチコちゃんのハイソックスが、まだ噛まれていないのを横目に見ながら。
ハイソックス好きなんだね。小父さん。男の脚でもかまわないの?
そんなふうにからかうだけの余裕は、なんどか噛まれるうちにしぜんと身についていた。
小父さんは口許についたサチコちゃんの血を、ボクのワイシャツになすりつけて。
困るなぁ。
ボクがいやな顔をすると、照れ笑いをした横顔を、こんどは太ももに圧しつけてくる。
痛ッ―――!
喰い込まされた牙が、皮膚に深々と、痺れるような痛みをしみ込ませてきた。
噛まれることが快感になってしまったのは、サチコちゃんもいっしょらしい。
さっきから、噛まれた首すじにしきりに手をやって、傷口をこすりながら疼きをまぎらわせている。

ひどいなぁ―――
ふくらはぎから引き抜かれた牙にしたたる血を、ボクは苦笑しながら見つめている。
そんなに美味しいの?
あぁ、まあね・・・
小父さんはハンカチで丁寧に口許を拭うと、
破れてたるみ落ちたボクのハイソックスを、器用に引きあげていった。
つぎはお嬢ちゃんの番だね―――
いつの間にか、母のいなくなったあとの席に腰かけたサチコちゃんは、
白のハイソックスでくるんだたっぷりとしたふくらはぎを、
そそのかす声に応じるように、差し伸べていった。
ボクから吸い取ったばかりの血が、サチコちゃんのハイソックスを赤黒く濡らす。
なんだか小父さま、エッチだね―――
声は、傍らで見守るボクにかけられたものだった。

代わる代わる、ふくらはぎに噛みついて。
きちんと引き伸ばされた真新しいハイソックスを、噛み破って。
吸い取った血を、なすりつける。
なんどもくり返し、かがみ込んでくる小父さんに。
ボクはたまらなくなって、貧血を訴えつづけていた―――

あのとき耳にした、囁きは。
だれもがその場の雰囲気を読んでいたのだと、告げていた。
従兄妹どうしだから、お似合いだわよねぇ。

もう、だめぇ。死んじゃいそうっ―――
密室の小部屋のなか、牙を迫らされて。
失血によろけた少女はとっさに、ボクの名前を呼んだという。
それからすぐの、ことだった。
お互いの両親がふたりをさりげなく近づけるようになったのは―――

吸血鬼さんとの結婚式

2011年01月24日(Mon) 05:45:59

さして広くない応接間には、じゅうたんの上いちめんに座布団が敷き詰められていて。
そのひとつひとつには、親戚一同が正座をして、
息を詰め、なりゆきを見守っている。
「おめでとうサチコちゃん」
ど派手な色ででかでかと描かれたプラカードを背にした少女は、
よそ行きの服を自慢げに着こなして。
お腹いっぱいになるまでほおばったケーキのクリームを、ママに口許から拭ってもらっている。
それでは―――
親戚一同の頭だった男性が、改まった口調でことばをきると。
少女は初めて困ったように、白のハイソックスの脚を、もじもじさせた。

いかにもお約束な黒衣に身を包んだ、その顔いろの悪い紳士は。
少女の両親に恭しく会釈をし、少女本人の手を取って、あたかも淑女に対するように、手の甲に接吻をする。
慣れないあしらいに、少女は噴き出しそうになるのをこらえるようにして、応じていくと。
ちょっぴり決まり悪そうに、
「よろしくね」
髪の毛を揺らして、お辞儀をした。
それを合図にするように。
では―――
年ごろになりかけた少女のふさふさとした髪を、かいくぐるようにして。
少女のうなじに、触れてゆく。
初々しくほっそりとした少女の首すじは、窓から差し込む微光に、柔らかく照らされていた。

あてがわれる唇に、少女はハッと目を見開いて、表情をこわばらせた。
ちゅうっ・・・
唇から洩れる音。すき間から滴り落ちる、バラ色のしずく―――
親戚一同が、息をひそめて見守るなか。
少女の生き血は、吸い取られてゆく。
あたりをはばからぬほど遠慮会釈なく、ごくごくと喉を鳴らしながら・・・
白のハイソックスの脚を、もじもじとさせて。
メッシュ柄のハイソックスの生地がねじ曲がるほど、脚を強く踏ん張って。
けれどもとうとうこらえ切れずに、むき出しのひざを、じゅうたんの上に突いていた。
ソファからすべり落ちたか細い肩を、めいっぱい上下させながら。
初めて知る失血の衝撃に、少女はあえぎ声を洩らしている。

サチコちゃんよかったね。気絶するまで吸ってもらえて。
親戚のお姉さんは美しくほほ笑んで、少女の頬に乱れかかった髪をかきのけてやった。
美味しく飲んでいただけて、なによりですわ。
母親らしいご婦人が、娘の危難をおっとりとした目つきで、見守っていた。
お似合いのお二人ねぇ。
まるで結婚を祝福するような声色の叔母さんも。
首すじに紅い痕を、滲ませている。
だれもが聞えよがしな祝福を、口にして。
まがまがしいはずの吸血行為を、態度で受け容れてゆく。
当の吸血鬼は、稚ない獲物に夢中になっていて、返事もしなかったけれど。

小父さま、大好物に夢中みたい。二人きりにしてあげようよ。
少女よりもひとつだけ年上で、ごく最近儀式を済ませたばかりらしい女の子は、
こましゃくれたことを言って、周囲を和ませた。
女の子にせきたてられるようにして、親類の男女も、少女の両親も、わらわらと座布団のうえから起ちあがって。
声を抑えたやり取りをさりげなく交わし合いながら、リビングから出ていった。
あとに残るのは、うっとりとして天井を見あげる少女と、露骨な吸血の音―――
あらー、ハイソックスのうえから噛まれちゃってる・・・
言いさした叔母さんの声が、鎖されるドアの音にたち切られていた。
少女の足許ににじり寄った吸血鬼は、ふくらはぎを包んでいるメッシュ柄のハイソックスを。
くすぐったそうに笑みながら噛み破っていって、少女の血潮で染めていった。

親戚の男の子のひとりとして、立ち会ったその儀式―――
あれからなん年経っても、記憶も印象も鮮明なのは。
主役の少女がいまの妻だからに違いない。
あのときは、そうなるなどとは夢にも思っていなかったけれど。
それははからずも、わたしの未来の花嫁を汚す儀式にまぎれもなかったのだった。

作者のつぶやき。

2011年01月22日(Sat) 09:37:35

夕べはね。飲み会だったんです。
それほど酔っ払ったおぼえも、なかったんですが。
明け方目が覚めた時には、酷く頭が痛くなっていましてね。
胃薬と頭痛薬飲んで、そのあいだにPCたちあげて、記事を描きました。^^
転んでもただでは起きねえ? 笑
「連れだって歩く、薄い靴下の脚、脚、脚・・・」「ブログ拍手♪」「哀切に。」までの段階です。
そのあとふたたび布団のなかに、もぐり込みまして。
夢とうつつのあいだを、行ったり来たりしていたんです。
そのあいだにも、お話のすじが浮かんできて。

吸血鬼チームに負けた人間チームが祝勝会にが呼ばれて、なんて愉しいな とか、
ハイソックスの似合う軟弱な子に、スポーツハイソックス履かせてみよう とか、
友だちの彼女を呼び止めて木陰の下で血を吸っちゃう、なんていいよなあ とか、
その彼女が制服に口紅で現われて吸血鬼を誘ったら、さらに愉しいかなあ とか、

妄想ばかりが、頭をもたげてきたんです。(^^;

なんと、あっぷしている夢まで見ていました。(^^ゞ
いえね。
あっぷしたつもりになって、目が覚めて。って。そんなことのくり返し。 苦笑
それで、ちょっとまえに復活しまして。
薬のおかげで(アブナイ? 笑)頭痛も治り、てこてこと打っていたらお話だらけになっちまいました。
でもまあ、思い浮かんだのは忘れずに描いたから、気分もスッキリ♪というところですね。

少年ものが多いときって、心身が不健全なときのような気がしてならないんですが。(^^ゞ

木陰の下で

2011年01月22日(Sat) 09:31:50

下校途中。
ぐうぜん行き合った美奈恵を、つかまえて。
悪りぃ。血を吸わせてくれ・・・って、声をかけたら。
ウン。いいよ。ナオキから聞いてるから。
彼女はあっさりと、そういって。
手近な木陰に俺のことをいざなった。
真っ白なセーラー服に吹き過ぎる風がさわやかな、初夏―――
三つ編みに結ったおさげを、吹き飛ばされそうなほどの一陣の風に。
彼女はちょっぴり、顔をしかめていた。

初めて抱きすくめた肩は、見た目よりもずっとか細くて。
けんめいに昂りを抑えようとしている息遣いは、心なしかふるえていた。
うなじに吸いつけようとする唇を、とっさに避けようとして。
すぐに体勢を立て直して、受けとめてきた。
暖かな体温が。しなやかで薄い皮膚が。その皮膚の下を脈打つ、血潮のたゆたいが。
俺を陶然と、痺れさせた。
差し出された首すじに、ググ・・・ッと牙を突き立てたとき。
ナオキ、悪りぃ。
心のなかで、幼馴染にわびていた。
彼女はナオキの許嫁だったから。

別れぎわ。
セーラー服にちょっぴり撥ねた赤黒いシミを。
美奈恵はひどく、気にかけていた。



あいつ、いい女になったな・・・
ぼそりと呟く俺に。
ナオキはなにも応えずに、さらさらと流れる微風に頬を浸していた。
ひとの彼女の生き血を、吸いやがって~。
だいぶ経ってから。ナオキはまるで冗談のように。
怨みごとを口にする。
ふり返ると、幼馴染のあいつは、冷やかすように笑っていた。

喉渇いたらさ。美奈恵の血を吸ってもいいよ。
あいつにもちゃんと、話してあるからさ。
ナオキの家とは、昔から、家族ぐるみのつきあいで。
親父はナオキの母さんの血を吸っていたし、
俺も昔から、ナオキのハイソックスをなん足も、真っ赤に染めてもて遊んでいた。
美奈恵と結納を交わしたとき。
ナオキは真っ先に、俺との関係を告げたらしい。

さいしょに声かけたとき?
むろん、ドキドキしたさ。
あいつにはそんなふうに、嘘をついたけど。
ほんとうはドキドキしているゆとりなんか、なかった。
思いつく限り、血を吸わせてくれるあてをたどっていって。
親類のだれもが、俺のために寝込んじゃって。
ナオキは真っ先に貧血で倒れ、ほかの悪友仲間もみんなぶっ倒れちゃって。
きょうじゅうにだれかの血を吸わないと、やっていけなくなる。
そういう日が、やってきても。
校内でなん度も顔を合わせた美奈恵に、俺は声をかけられなかった。
だって、親友の婚約者なんだから。
下校途中、ぐうぜん通りかかった彼女に、自分の欲求を告げたとき。
俺はぎりぎりまで抑えに抑えたもののために、しんそこ切羽詰まっていたのだった。

ガマンしないで、血を吸いなよね。
ナオキだって、いいって言ってくれているんだから。
木陰で彼女を呼び止めるのは、きょうでなん回めになるのだろう?
首すじをハンカチで拭いながら、貧血~!って。
彼女はおどけたように、叫んでいた。
あっ、制服汚したって、だいじょうぶよ。
母がね。街に出かけていって、着替えをなん着も買ってくれたから。
そう言われると、ますます汚しにくくなるじゃないか。
俺は照れ隠しに、彼女の足許にかがみ込むと。
紺のハイソックスに包まれた肉づきのよいふくらはぎに、唇をなすりつけていった。
もう~。やらしいっ。
頭上の叱声とは、裏腹に。
美奈恵は脚を心持ちくねらせて、俺が吸いやすいようにしてくれた。
上から見おろして来る、優しいまなざしは。
ずるずるとお行儀わるくずり落ちてゆくハイソックスに、きっと苦笑いを送っているのだろう。



美奈恵が口紅を、塗ってきたらさ。
キスくらいしても、いいんだぜ?
下校途中の、別れぎわ。
ナオキは大変なことを、口にした。
えっ。
あいつ、お前のこと好きになりかけてる。
それはまずいよ・・・云い募ろうとする俺に。
二番めに、おまえが好きなんだってさ。
自慢げな子供っぽい笑みが、ナオキの満面にくすぐったそうに広がっていた。
一番は、あくまでオレだよ。
そう言いたげに。
そのつぎの日のことだった。
夕映えに彩られた公園の、あのささやかな木陰に。
美奈恵が口紅を塗って、現われたのは。

あお向けに押し倒された草地に。
折り曲げて立て膝をした、白のハイソックスの脚を、
あいつは公園のどこかから、遠目に眺めているはず。
からみついてくる、嫉妬交じりの視線を、くすぐったそうにかわしながら。
俺は美奈恵とのキスに、耽っていた。
初めて交わした口づけは。
息せき切った息遣いに、昂りが昂りを呼んでいて。
しだいにエスカレートした、スカートのなかに侵入を許した手が、
パンティを引き降ろそうとするのを、
彼女の手がけんめいに、抑えていた。

カズヤさんたら、エッチなんだよ。
無邪気に笑んだ口許から白い歯を覗かせて、美奈恵がナオキをかえりみる。
血を吸いながら、押し倒すんだもん。
どきりとするようなことを、口にしながら。
彼女はひとり、背すじを伸ばして。
俺たちの半歩まえを、歩きながら。
制服のスカートの後ろを、黒革の鞄で隠してゆく。
濃紺に変わった制服の、スカートのすそから覗く脛は。
健康そうな白のハイソックスから、清楚な黒のストッキングに変わっていた。
知的な彩りのなかに秘められた、妖しさを。
俺は見逃さなかったし、ナオキもきっと気づいていたはず。

俺が一番だぜ。なにしろ花婿なんだから。
自慢げに胸を張るナオキは、俺がまだ体験していない彼女との一夜を、
上ずった声で伝えてきた。
あいつ、羞ずかしがってさー。脱がせるまで、けっこう手こずったんだ。
でも二番目は、お前ぇに譲るよ。ちょっぴり悔しいけどな。
男ふたりが肩を並べるのは、美奈恵の自宅。
二階の勉強部屋には、まだ灯りが点っている。
あいつ真夜中なのに、制服着て待ってるってさ。
お前じいっと見てたろ?黒ストッキング履いたあいつの脚。
今夜、カズヤくんに、破られちゃうんだよ~って、挑発されて。
あの公園で、ヤッちゃった・・・
照れくさそうに頭を掻いているあいつを、軽く引っぱたいて。
俺はふわりと宙を跳び、勉強部屋の窓辺に身をかがめる。
部屋の主が、窓辺の異変に気づいた気配。
庭先の人影が、ひっそりと姿を消す気配。
今夜の美奈恵は、俺のもの。

擦りガラスごしに、羞じらいが滲んできたのは、錯覚だろうか?
ナオキといっしょに初めて迎えた夜に、美奈恵が脱ぐのを、ためらったのは。
どちらに先に許すかを、もしかすると決めかねていたのかもしれないから。

軟弱な新入部員

2011年01月22日(Sat) 08:54:09

なんでお前みたいな軟弱なやつが、うちのチームにいるんだ?
ぼくがチームに入ったとき。
あいつは何度も、そういった。
スポーツのできないぼくに、真新しいユニフォームは情けないほど、似合わない。
人数合わせで入れられたわけではない。
だってぼくは、補欠だったから。

あっちのチームは、15人。うちも15人。ぴったりだね。
試合の当日、監督は。そういってキャプテンをかえりみ、白い歯を見せた。
試合はさんざんの負けだった。
出番のなかったぼくはずうっと、真新しいままのユニフォームで、ベンチを温めていた。
あしたはあちらさんの祝賀会に招ばれているからな。
監督がそういうと、みんなやれやれ・・・という顔つきをして。
それでもまんざらでもなさそうに、明日の祝勝会に着ていくためにと手渡された真新しいユニフォームを抱えて、家路についていった。

よくわかったよ。
なんでお前みたいな軟弱なやつが、うちに入ったのか。
並んでうつ伏せに寝そべりながら。
あいつはちょっぴり悔しそうに、そういった。
ユニフォームのストッキングに走る、縦のリブが。
祝賀会場に照り入る夕陽に映えて、あざやかに浮き彫りになっていて。
そのうえにねぶりつけられた、ライバル校の選手の唇が。
ちゅうちゅうと音を洩らしながら、ぼくたちの血を吸い取ってゆく。
お前の血、きっと美味しいんだな。いまのやつで、なん人め?
さあ・・・5~6人は相手したかな?貧血で、頭がくらくらしてきちゃったよ。
オレもだよ・・・
あいつはぼくの掌を握り締めると。
お互いの体温で、温めあうように。
掌を、擦り合わせてきた。
ストッキングごしに感じる、唇は。
さいしょのころのように、切実な飢えをよぎらせた性急さは消えていたけれど。
まだまだ愉しんでいる・・・そう言いたげに、しつっこかった。
放してもらえるまで、まだだいぶ時間がかかりそうだった。

試合の後の祝賀会

2011年01月22日(Sat) 08:43:22

さぁ、きょうは祝賀会だ。
キャプテンがそういうと、みんなは目が覚めたようになって。
練習に疲れの残るグランドから、のろのろと腰をあげていった。
祝賀会・・・?
ぼくが首をひねったのは、無理もないはず。
だってきのうの試合は、見事なまでの完敗だったから。
ふしぎそうな顔つきがめについたのか、チームの先輩がぼくの肩を叩いた。
ほら、ぐずぐずしていないで、着替えなくっちゃ。
更衣室に戻ってきたみんなは、泥にまみれたユニフォームを思い思いに脱いで、真新しいのに着かえてゆく。
ユニフォーム着ていくんですか?たずねるぼくに。
ああ。新しいのを一着、きみのぶんも用意してあるからね。
先輩はにこにことして、ロッカーの上に置かれたまだ袋入りのものをひとそろい、ぼくのほうへと放ってくれた。
シャワーを浴びた後の身体に、真新しい服がすがすがしかった。
みんな念入りに、短パンの下のストッキングを引きあげている。
日ごろだらしなく脛の途中までだるんで履いているあいつや、
いつもラインをひん曲げて履いているあいつまで、
まるでモデルさんにでもなったみたいに、脚をくねらせて、ひどく足許を気にしている。
どうして祝賀会なんですか?
思い切って先輩に、訊いてみたら。
意外なこたえが、かえってきた。
相手チームの、祝賀会なんだよ。
え・・・?きのうの連中と?

なんだか顔いろのわるい連中だった。
真っ赤なユニフォームを着ているものだから、顔いろのわるさがいっそう目だっていた。
そのくせ動きはすばしこく、身のこなし脚さばきは的確で、
まるでボールのほうが彼らに向かっていくかのように、彼らの身体から離れなくって、
ぼくのチームは何回も、ゴールを奪われた。
勝ってもあまり嬉しそうな顔をしないで、
試合の終わった後の整列で、冷やかな一礼をしてきびすをかえしていった。
立ち去ろうとするチームの監督に、うちの監督がなにかぼそぼそと囁くと。
彼らの表情がうって変わって明るくなって、
だいぶ離れてしまったのに、こちらをむいてばらばらとお辞儀をして、
無邪気に打ち解けた笑みを投げて来る者さえいるしまつだった。
気がつかなかった?
先輩はさっきから、ずっとにこにこしている。
あいつら、吸血鬼のチームなんだぜ。
きのうの勝利を、オレたちの血を吸って祝う気なんだ。

祝賀会の会場は、あちらの学校の教室だった。
振る舞われたオレンジジュースの代わりに、ぼくたちは全員、血を吸われた。
新入部員のぼく以外は、初めてじゃないらしい。
足許ににじり寄ってくる彼らをまえに、
鮮やかなブルーのストッキングを履いたふくらはぎを差し伸べていって、
痛っ!あんまり強く噛むなよなっ。 とか、
う~ん、目が回るっ、頭がくらくらするぅ・・・ とか、
みんな口ぐちに声をあげながら、真新しいユニフォームに血を撥ねかしていった。
こういうとき、きちっと履いてなくちゃ失礼だろう?
先輩は率先して、相手チームのキャプテンに腕を巻かれていって。
痛くないから、平気だぜ。
終始にこやかに接しながら、相手に首すじを噛まれていった。
ブルーのストッキングは、とりわけ彼らの好餌らしい。
だれもがいちように、脚を噛まれていったから。
先輩が引き合わせてくれた相手チームのメンバーに、
ちょっぴりずり落ちかけていたストッキングを引きあげると、
ぼくもおずおずと、みんなの応対の見よう見まねで、脚を差し伸べていった。

後ろから忍び寄ってきみのボールを奪ったろ?
あのとき首すじにさんざん息遣いを迫らせたの、気がつかなかった?
祝賀会開いてくれるんなら、まっさきにきみを襲おうと思っていたんだ。
ぼくにとりついたやつは、相手チームの主力選手。
こういう会、初めてみたいだね。
きみの先輩からよくいわれているから、痛くないように噛んでやるよ。
そういいながら、もうなん回めだろうか?
お目当ての首すじを、咥えられて。
シャツをめくりあげられて、わき腹を噛まれて。
むき出しの太ももも、ふくらはぎからずり落ちたストッキングにも。
たんねんに食いついてきて。
しまいには短パンごしに、ぼくのお尻に牙を喰い込ませてきた。
血に染まってゆく。ぼくの血に、すべてが染まってゆく。
薄ぼんやりとした意識のなか、彼はぼくのことを、ほかのみんなと同じように床に組み敷いていって。
荒々しく舐りつけてくる唇を、ぼくの唇へと重ねていった。
これからきみん家(ち)へ、連れてって。
まだ喉が渇いているんだ。
きみとはずうっと、仲良くしたいし。
ご家族にもオレのこと良く分かってもらって、協力してもらいたいんだ。
これからみんな、そうするんだから。
きみの先輩も、仲良しのあいつに、妹さんを噛ませているんだぜ?
家にさえ、入れてくれたら・・・
あとはオレが・・・うま~くやってやるからさ・・・
男同士の初めてのキスに、ぼくはひどくむせっ返りながら。
うわ言みたいに、くり返していた。
ウン、招待するよ。よろこんで!
いまなら母さんも姉さんも家にいるはずだから・・・

哀切に。

2011年01月22日(Sat) 05:31:43

ふた親とも血を吸われているという、その女の子は。
吸血鬼にもそこそこ、理解があって。
初めて生き血をねだられた・・・というのに。
泣きじゃくりながらも、相手をしてくれた。
追い詰められた路地裏の、コンクリートの壁ぎわに、尻もちついて。
真っ白なブラウスに、バラ色のしずくをたらたらとしたたらされて。
めくれあがった赤のチェック柄のミニスカートから、きれいな太ももをさらけ出して。
お願い。お願い。できたら殺さないで・・・って、懇願しながら。
彼女の年かっこうにしてはオトナっぽい、黒のダイヤ柄のスケスケのハイソックスに。
白い脛を、透きとおらせていて。
ハイソックスのうえから、ふくらはぎに噛みつくと。
ああぁぁぁぁぁ・・・
弱々しげなうめき声を、いっそう哀切に洩らしていた。

こんないやらしいこと、いちどかぎりでじゅうぶんだろう・・・?
耳もとでささやかれた言葉に、激しくかぶりを振って。
殺さないで。ころさないで。なんどでも、逢ってあげるから。
いちどかぎり。
その言葉の意味をはっきりと自覚している彼女は、とうとうその手には乗らないで。
小父さま、仲良くしよ。
なんどでも、逢ってあげるから。
お洋服汚れちゃっても、かまわないから。
可愛い声を、ため息交じりに洩らしながら。
哀切な懇願を、くり返す。
ダイヤ柄のハイソックス、気に入った?
もっと噛んでも、いいんだよ。
裂け目がなんだか、いやらしいね。
こんどは学校に履いていく、真っ白なやつ履いてきてあげようか?
喉が渇いているんだね。もっと吸ってもいいよ。
気の済むまで、お相手してあげるから。
だから・・・だから・・・夜になったら、おうちに帰してね・・・

ブログ拍手♪

2011年01月22日(Sat) 05:03:43

夕べの真夜中にね。
↓こちらに、拍手をいただきました。
「やっぱり、奥さんの脚から・・・」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1429.html

二年以上まえに描いたお話です。^^
いいですね。こういうバックナンバーに拍手をいただけるのって。
申し訳ないことに。
こんなお話描いたのかって、正直ほとんど忘れかけていることもあるんです。
これも、そういうお話のひとつ。
奥さんのストッキングを密かに身に着けて愛用していたご主人と。
女装するご主人の脚を、いっしょになって愉しんだ吸血鬼と。
すべてを知らされながら、愉悦の淵に堕ちてゆく奥さんと。
表現もなかなか、えろいです。
描いた刻限は、やはり朝。
このころはそこそこ、すこしは仕事も愉しかったっけ。

連れだって歩く、薄い靴下の脚、脚、脚・・・

2011年01月22日(Sat) 04:58:42

連れだって歩く、脚、脚、脚・・・
たとえそれが男の子たちの脚だったとしても。
濃紺の半ズボンに、おなじ色のハイソックス。黒のローファーとなると。
案外となかなかに、色っぽいものがありますよね?
じんわりとしたカーブを描く、ハイソックスのリブも。
ちらりと覗く、しなやかな太ももも。
血に飢えた吸血鬼が目にしたとしたら。
きっとそのなかのひとりとして、見逃すはずはありません。
いつのころか少年たちは、真冬の風にさらすように。
リブの入った厚手のハイソックスを、
脛の白さが透けて見えるストッキング地の薄いものに、履き換えていきます。
おや、君たち。ずいぶん薄い靴下穿いているんだね?寒くはないの?
道行く彼らに、あなたがそう声をかけたとします。
そうすると男の子たちは、白い頬を寄せ合うようにして、笑みを交わし合いながら。
いえね、ちょっと事情ができてしまって・・・
そうして皆まで告げずに、照れくさそうに。
ウフフ。。と笑いでごまかそうとします。
そこからさきは、あえて深入りをなさいますな。
きっと彼らはあなたのことを、人目につかない狭い路地に引き込んで。
つい夕べ、じぶんたちがそうされたように。
あなたの体内をめぐる暖かい血潮を、一滴残らず吸い取ってしまうだろうから。
ええ、もちろん。
食べざかりの年代ですからね。
あなたお一人では、すまない場合もあります。
小父さん、うちに呼んでよ。おばさんやお姉さん、それにサチコちゃんの血も飲ませてほしいな・・・って。
まるで夏の昼下がりにジュースを欲しがる子供のように、
ご家族の血まで、ぶじではすまないことになるのです。
小父さん、ゴメンね。
でも、ボクたちとおなじように、薄い靴下穿いてくれるんだったら。
おばさんや娘さんたちが吸われているあいだ、
ボクが相手をしてあげるから。
男の子じゃ、つまらないかな・・・?
さらけ出した太ももに、ストッキング地のハイソックスの脚を。
まるで女の子みたいに、しならせて。
ひそめた息を、はずませて。
あなたを悦ばせようと、するのでしょう。
あとはまぁ、お好きなように・・・
彼らといっしょに、蒼い頬で笑い合って。
つぎの犠牲者を、見つけることですな。
薄い靴下の脚を、冬風に心地よくさらしながら。

「お手伝い」

2011年01月18日(Tue) 08:16:23

「お手伝いに、行きますね~」
ワンピースのうえからエプロンを締めた母は。
いつもそんなふうに、父に声をかけて、
父は遠くの部屋から、
「ああ、行ってらっしゃい、先様によろしくな」
声だけで、呼び返してくる。
土曜日の夕方に、毎週くり返される光景だった。
なんの変哲もないことなのに。
幼心に憶えているその光景には、深い意味が隠されていた。

はじめて母を、「お手伝い」に送り出したあと。
父は、ぶすりと黙りこくっていて。
まるで女遊びに出かける亭主を見送る女房のような、
ちょっと不機嫌そうな、恨めしそうな表情を帯びていたけれど。
やがていつの間にやら、そのときがくると。
遠足の出発を気にする子供のように、そわそわとして。
オイ、約束に遅れたら失礼だぞ。
エプロンの紐をギュッと締める母のことを、せきたてるようになっていた。

「お手伝い、行って来るわね~」
「お留守番、よろしくぅ」
出かけていく妻たちの声が、ふた色になったのは。
わたしが嫁をもらってからのこと。
お手伝いの意味、わかっているな?
父の囁きに、え?って訊き返したときにはすでに、
訳知り顔の悪友から、すべてを聞かされてしまったあとだった。

うちの女房な。お袋といっしょに、手伝いに行くんだ。
行き先は竹林の向こうの、お大尽のところ。
あんなに人手のあるところに、なにを手伝いに行くんだって?
いくら人手があったって、ふとんの上のお手伝いは、そうはなり手がいないよな。
お給金はずんでくれるからねって、うちは貧乏しているからな・・・
そういいながら、良家の出である悪友が、金に不自由しているわけはない。
このあいだも外車を、買い替えたばかりじゃないか。

良い家の道楽なのだよ。
ただし、だれでも愉しめるとはかぎらない道楽だから。
おまえが愉しめるタイプかどうか、ずっと気にはなっていたんだ。
お前・・・母さんのあとをいつも、尾(つ)けていったよな?
母より先回りして、何食わぬ顔をして戻った家で。
息子が妙にスッキリとした顔をしているのを、父はつぶさに観察していた。
嫁を迎えた家の、お母さんは。
母と「お手伝い」の先が、おなじひとだった。

「お手伝い、行ってきまーす!」
張りのある若い声は、嫁のもの。
「お留守番、よろしくね~」
穏やかで優しい響きの声は、母のもの。
ふたりはおそろいで、エプロンを締めてでかけてゆく。
エプロンの下のワンピースは、家路をたどるころにはくしゃくしゃになっていて。
ワンピースの乱れを隠すはずのエプロンさえも、ただれた粘液をあやしていたりする。
穿いていったストッキングは、お約束ごとのように派手な裂け目を走らせていて、
裂け目が目だつようにと思えるくらい、法事でもないのに黒のストッキングを脚に通していくことが多かった。
肌色だって、いやらしいわよね・・・
嫁と姑で、そんな会話を交わしながら・・・

あの屋敷に棲む、老人たちは。
母や妻、義母たちを交えて、
嫁と姑の あるいは母親と娘の いけない味比べを愉しんでいる。

おまえ、また出かけるの・・・?
母のあとをいちども尾(つ)けたことのないという父は、
ふたりのあとを追うように散歩に出かけるわたしのことを、冷やかしにかかる。
ウン、ちょっと散歩にね。

村の女は、「お手伝い」
その夫たちは、「散歩」か「書斎」。
こんどの金曜日まで、あと幾晩寝ればたどり着くだろう?


あとがき
もういーくつ、寝るとー って唄、ありましたよね?^^

「お洋服代」

2011年01月18日(Tue) 07:53:09

村に棲みついてから、はや半年。
右も左もわからなかった、わたしたち夫婦のことを。
五十年配の彼は親切顔に、あちこちと引きまわしてくれた。
おかげで仕事はうまくいき、引っ込み思案な妻も土地になじんでいった。
そんな彼に、”お礼”をねだられて。
どこの家でもしていることだと、ほうぼうから聞かされて。
夫婦で顔をみあわせてしまったけれど。
十年もやもめ暮らしなんて、かわいそうだね。
どちらからともなく、そう言いだして。
尊敬すべき悪友に、最愛の妻の貞操をプレゼントした。

あなた、御免ね。
ずうっとあなただけのわたしだって、彼のまえでも誓ったの。
いちずな目線を、受け容れて。
まだ相手の男の精液で濡れているスカートのすそを、わたしはしずかに引きあげていった。
妻を抱かれる、まえの晩―――
敏子を、きみの奥さんのまま犯しつづけたい―――と。
妻の名前を呼び捨てにしながらの彼の告白に、ゆがんだ昂りをおぼえてしまったわたしは、
たぶん妻のことを、叱れない。

お洋服代だって、いわれたの。
おずおずと差し出した、のし袋には。
彼の字でくっきりと、「寸志」とかかれている。
あのひとのもちもの、寸足らずじゃなかったの?
下手な冗談に、敏子は「いやらしい」って口とがらせたけれど。
お返ししようよ、そういうわたしに、
でも・・・って、言い淀んで。
あのひと、わたしの服を破るんですよ~。
思わずずきりと胸疼かせて、見返すわたしに。
だから受取っていいでしょ?
妻の瞳は活き活きと、輝いていた。

春を売っているわけじゃないわ。
ああ、もちろん無償の好意だとも。
夫婦で意地を張り合うように、そういいながら。
妻はきょうも、「お洋服代」を受取って来る。
その昔。
男の妻も、そんなふうに。
村の長老相手に、「お洋服代」を稼いでいたという。
くり返すものだからな。
男はそう訓えてくれながら、妻を犯しつづけているけれど。
たぶんわたしは、男を見習うことはないのだろう。

誘い出された空き家の雨戸。
招いた夜の、自宅の庭先。
うめき声が洩れて来る、夫婦の寝室のまえの廊下。
どんな女の誘いよりも、濃い誘惑が。
許された他人の留守宅での情事よりも、しつように。
わたしを誘うようになっていたから。


あとがき
以前、夜這い合う風習のある村にいた男性と、言葉を交わしたことがありました。
自分が通うところで起きることよりも。
なによりも留守宅の妻がどうしているか―――そちらのほうがよほど気になるものだ。
そんなふうに、訓えていただきました。
時を経て相応の年配になったご夫婦は、いまでも仲良くお暮らしになっているということです。

お見合い写真。

2011年01月18日(Tue) 07:29:45

父さんは母さんの写真を、ユウくんに手渡して。
ボクは範子の写真を、ユウくんのパパに手渡した。
写真のなかの母さんは、ワンピースにエプロン姿でほほ笑んでいて。
セーラー服の範子は、生真面目そうにとり澄ましていた。

さ・・・こちらへどうぞ。
吸血鬼な親子は、顔見合せて。
人間の父子に、慇懃なお礼を口にする。
錠前のはずされた庭先の門から、導き入れて。
すき間をみせた雨戸を、ひとりひとりくぐり抜けるのを見届ける。

ああっ・・・
きゃあ~っ。
しのびやかな悲鳴は、たぶん隣家までも届かない。
ひと声あげて、静かになったふたつの寝室を。
ボクたちはいつまでも、見守りつづけていた。


あとがき
たぶらかされた父と息子が、母や妹の血を欲しがる吸血鬼の親子の手引きをする風景です。

真っ赤なドレスと黒の礼服

2011年01月18日(Tue) 07:14:40

ゆう子さん、いけないわ。
血を吸うかたのまえで、真っ赤なドレスなんて。
口を尖らせる姑は、夫を弔うための黒の礼服。
けれどもふたりは、知っている。
真っ赤なドレスの下、てかてかと輝く肌色のストッキングも。
漆黒のスーツの下、清楚に透きとおる黒のストッキングも。
血に飢えたものの目には、ひとしく淫靡に映える ということを。

ゆう子さん、だめじゃないのっ。そんなにいやらしい声立てちゃ・・・っ。
お義母さまこそ、そんなにふしだらに脚をじたばたさせちゃって・・・っ。
思い思いに群がってくる、複数の吸血鬼を前に。
嫁と姑とは、お互い口を尖らせながら。
夜の訪問客の欲望に、自ら正装を乱してゆく。

出ていきにくいね。
たしかにそうですね。
首すじに痕を残した、父と子は。
お互いの妻が乱れ堕ちるさまに、昂りの目を添わせてゆく。

分け前をくれるって、ほんとうですか?
さあ・・・話半分のほうが、賢明だろうね。
訝る息子に、肩をそびやかす父。
部屋から出てきた獣たちは、指先についた血を、
ふたりの唇に、しみ込ませてやった。
ま・・・たんのうしましたよ。
苦笑交じりの父子に、ひと言「すまないね」と言い捨てて。
来な。これから隣のお宅で二次会だ。
其処ではきっと、ほんとうに分け前にあずかれるだろう。
姑に兄嫁に弟の許嫁に女学生の娘。
吸われるべき血液は、たっぷりと用意されているのだから―――

真っ赤なドレスの妻

2011年01月18日(Tue) 07:07:13

きみの奥さん、今夜にかぎってどうして真っ赤なドレスを着ているの?
訪問客の質問は、愚問の類。
妻を救ってくれたことへの、ほんのお礼です。
すこしくらいなら、血を吸ってもいいんですよ。
妻も同意していますから・・・
亭主は着飾った妻を置いて、リビングから立ち去った。

さあ、奥さんを独り占めのパーティーのはじまりだ。
黄色い声をあげて逃げ回る奥さんを。
壁ぎわに追い詰めて、首すじをガブリ!
きゃあ~っ!
絹を引き裂くような悲鳴。
じゅうたんの上まろび臥す、真っ赤なドレス。
すそのめくれ上がったドレスから覗いた足許は。
薄いナイロンストッキングの、てかてかとした光沢がよぎっていく。

吸いつけた唇の下。
あらわな素肌は羞じらうようにほてりを帯びて。
かさかさに干からびた唇に、活き活きとした血潮がしみ込んでゆく。
うら若き血潮に酔い痴れる男は、羞じらい戸惑うドレス姿を抱きすくめ、
真紅のドレスを、持ち主の血潮で彩っていった。

妻に真っ赤なドレスを許す夜―――
それは、堕とされた男が吸血鬼に、服従を誓う刻。