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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

復縁 ~幼馴染の妻~

2011年04月28日(Thu) 17:32:43

あたしね、徳次郎さんともう、別れられなくなっちゃった。
でもそんなの、あなただって嫌でしょう?
あなたがよくったって、お義母さんが許すわけないわ。
せっかくだったけど・・・別れましょう。

離婚してもう一年ちかくにもなるというのに、
武治は別れぎわの利枝子の言い草を、まだ憶えている。
徳次郎とはいちばん仲のいい幼馴染だったし、かげでつきあわれている分には、武治には意外なほど妻の浮気に抵抗をおぼえなかった。
徳次郎は三十を半ばこえたいまになっても独身を通しながら、顔見知りの人妻を喰うのを生きがいにしている。
武治と同様徳次郎に妻を寝取られた幼馴染はなん人となくいたのだが、
生業には人一倍精を出して、だれとも仲良くする徳次郎の憎めない性格から、
だれもが顔をしかめながらも、笑い過ごしにしているのだった。
しかし旧家の出である武治は、いままでもなにかと堅苦しい家のしきたりを強要されてきたうえに、
家つき女房であった母に、父も頭が上がらないふうだった。
まして嫁の浮気などという不祥事を、武治の母が許すわけがなかったのだ。

その後利枝子は、徳次郎と一緒になることもなく、独身のまま過ごしていた。
もともと特技だった洋裁の技術を生かして、あちらこちらから仕事をもらっているらしい。
離婚してからはいままでよりもおおっぴらに、徳次郎の家との行き来をしたり、山のなかでブラウスを脱いで戯れ合っているところを通りがかりのものに見られたり、そういうことをなかば公然にしていたが、
相手は徳次郎ばかりと限ったものでもなく、武治のべつの幼馴染や、洋裁の仕事をくれる村の顔役ともできているらしかった。
うわさを耳にするたびに胸がずきずきとするのは、村の誰もがいまでも、利枝子を武治の女房としてくうわさのたねにするからだった。
もう自分の手を離れた女が、どこのだれと寝ようが、どういう言う筋合いではないのだが。
奔放に男出入りをくり返すかつての妻に、いまでもじゅうぶん未練があったのだろう。
まるで利枝子が自分の嫁のまま、ほかの男に抱かれているような。
それも、顔見知りのだれかれとまぐわっているような。
そういう錯覚を消すことは、武治にとってほとんど不可能だったのだ。

利枝子さん、夜の公民館に出入りしているようね。
妹が何気なく、口にした言葉。
夜の公民館。
それは村の隠れた社交場。
女を抱きたい男衆。
男の身体が欲しい女たち。
既婚未婚を問わず、そのどちらもがつどって、都合のよい相手をさがす場所。
妹が利枝子を目にした ということは。
すっかり熟した身体を、彼女もまたもてあましている ということだろうか?
母のきつい目線が注がれるのに、妹は素知らぬふりを決め込んでいた。
離婚以来女の身体に触れていなかった武治が、ある晩思い切って姿をくらましたとき。
厳格な母のトメは、脳天から湯気が出るほど、怒り抜いたという。

武治と利枝子が、よりを戻した。
だれもがそういううわさを、口にするようになったとき。
頭を掻き掻き武治のまえにあらわれたのは、ほかならぬ徳次郎だった。
徳次郎と武治は、離婚の一件からも毎日のように顔を合わせ、いっしょに仕事に精を出す仲で。
武治は怨みがましいことをなにひとつ口にせず、
徳次郎もあえて、その話題には触れようとはしないでいた。
その徳次郎が、武治のまえで初めて、利枝子の名前を口にする。
お前たちやっぱり、もういちどいっしょになんねぇか?

どうして?という問いは、むしろ不要なように思われた。
自分がもとになって幼馴染が離婚までしてしまったことを、徳次郎は徳次郎なりに、悔いていたのはたしかだろう。
けれども彼にはもうひとつ、これはという事情を抱えていた。
人妻を寝取るのが好みな徳次郎にとって、利枝子が武治の妻であるほうが、よほど愉しめる というのだった。
ヌケヌケとした言い草に、さすがの武治も口をあんぐりと開けたけれど。
かつての妻がほかの男と遊び歩いていることが、
まるでいまでも彼の妻であり続けている利枝子が浮気をくり返しているような感覚で、
ひそかな昂りを覚えているということを。
彼は彼なりに、いやというほど自覚してしまっている。
復縁させたうえで、寝取り続けたい。
幼馴染のムシのよい言い草を、武治は自分でも驚くくらいあっさりと、受け容れようとしていた。

けれども・・・なぁ。
わかってるさ。お袋さんのことだろう?
そうなんだ。親父が手を焼くほどの、堅物だからな。
武治の父親は、放蕩者だった。
母親に似てもの堅く、女は妻しか識らないという息子とは、月とすっぽんだった。
所帯持ちのよい妻には十分感謝をしながらも、
浮気がばれてはいつも、妻に手酷く叱られるのを、ひどく気に病んでいた。
いい方法がある。
おい・・・まさか?
そう・・・そのまさか。
あんたの親父さんも、承伏しているんだぜ?
武治はさすがに、息を呑んだ。
人妻狙いの徳次郎が狙いをつけるほどに。
五十を過ぎても母のトメは、若妻と見まごうほどのつややかな黒髪を持っていた。

このトシで、初めてほかの男を識るとは・・・な。
白髪の下の赤ら顔をほころばせて、武治の父は面白そうに笑っている。
これで、おあいこだ。わしの道楽を笑えめぇ。
からかうような夫の口調に、トメは目を伏せるばかりだった。
そうでもするより、格好はつかなかったのだろう。
着ものの下前をはだけたトメの下には、逞しい魔羅をにょっきり突き出した徳次郎が、両腕を腰にまわして逃げられないようにつかまえていたし、
夫に抱かれることもまれになった女体は、まだじゅうぶんに若さを宿していて、彼女の理性に逆らって、活発な上下動にわれを忘れかけていたのだから。
ユサユサと揺れる黒髪の豊かさがひどくなまなましく、息子の武治さえ、目をそむけるほどの芳香を放っている。
妻に加えて、母親まで―――それも厳格で気丈なトメのような母親まで征服されてしまうという濃い関係は。
目のくらむほどのまがまがしさを、秘めていたが。
そのマガマガしさを、決して忌むべきものとばかり言いきれなくなっている武治だった。

お前ぇも不思議なやつだの。
親父は目を細めて、息子をからかっている。
わしゃ単なるおあいこだと思っているのに。
トメが黙ることで、女道楽を愉しめるというだけなのに。
お前ぇはトメがわし以外の男に抱かれているのが、愉しくってしょうがないんだな。
まー、徳次郎はお前ぇの幼馴染だ。
利枝子さんが子供を産んでくれるのなら、わしゃどちらの子でも孫としてかわいがるぞ。
父親の言い草に、不思議なくすぐったさを覚えて。
武治は徳次郎を、ふり返る。
よだれを垂らしてひっくり返り、気絶してしまった母親を、部屋の隅っこに転がした男は。
姑を貫いた逞しい一物で、いままた若い嫁を気絶させようとしている。
安心しろ。お前ぇの種は絶えても、わしの種は絶えねぇ。
だって徳次郎は、わしがあいつのお袋とまぐわってできた児なんだからな。
放蕩者らしい赤ら顔を、いっそう赤くして。
親父はそれは得意げに、笑うのだった。

輝美

2011年04月28日(Thu) 09:27:40

妻の輝美が畳に組み伏せられて、吸血鬼に血を吸われている。
ちっくしょう。吸血鬼の野郎。
チュウチュウとやけに旨そうに、吸い取ってやがる。
輝美は気に入りの薄い赤のタイトスカートを穿いたまま、わずかに脚を開いていて。
噛み破られた肌色のストッキングの裂け目から、白い脛が露出しているのが。
夫である俺の目にも、ひどく眩しい。
このまま・・・犯されてしまうのを。
凌辱されて、汚されてしまうのを。
どうして、昂りながら覗き込んでしまうのだろう?
俺の反応に、さいしょはムクレていた妻は。
いまでは夫の視線まで、愉しむようになってしまって。
ほら、そろそろ・・・これ見よがしに、腰を使いはじめる。
羞ずかしい昂りに失禁してしまった俺は。
出勤間際にまた、ズボンを履き替える羽目になる。
輝美からねだり取ったストッキングを、戦利品のようにぶら下げて、意気揚々とひきあげていく吸血鬼。
今週になってから。
いったいなん足、ねだり取られてしまったのだろう?
きょうもこれから、出勤です。
妻のストッキング代を稼ぐために。
妻と彼との、熱々なひとときを、これ以上邪魔立てしないために・・・

可愛かった。

2011年04月28日(Thu) 08:11:17

自宅に侵入してきた吸血鬼が、妻の手を引いて、寝室に引きずり込んで。
一時間後―――
一人で部屋から出て来て、
わたしの顔を見るなり、

奥さん、可愛かった。ありがとね。^^

そううそぶいて、部屋を後にする。

ベッドの上であお向けになって、白目をむいている妻は、着衣を乱されていて。
はぁはぁと荒く、肩で息をしている。
失血のせいか?と、思いきや。
イッてしまった、あとだった。

あつかましくもしゃあしゃあと、妻を犯した吸血鬼は。
自分で淹れたコーヒーカップ片手に、リビングでテレビを観ていたが。
わたしの姿をみとめると、

はい、きみの分。って。

べつのコーヒーカップを、押しやった。
ちっとも騒がずコーヒーを口にしたわたしは、男に囁いてやる。

一時間で、よかったの?w

じゃあ、もうちょっとだけ。^^;
こっけいなほどそそくさと寝室に消えた吸血鬼を横目に、
わたしはもうひと口、苦いコーヒーをすすっていた。

少年少女のハイソックス

2011年04月24日(Sun) 08:10:21

処女の血を吸いたければ、 学校に行くしかない。
そんないけない囁きに、うごかされて。
俺は学校へと道を急いだ。
もう、なん十年まえになるだろう?
この道を、半ズボンにハイソックスのいでたちで登校したのは。

校長先生は俺のことを歓待してくれて。
ひきつがれた担任の先生は、若い女性教諭だった。
俺はさっそく首筋に噛みついて、
酔い酔いになった彼女は、俺に鏡の前に連れていかれて。
バラ色の飛沫を散らしたブラウスを、それは嬉しげに眺めていた。

あてがわれた高学年の教室は、
うら若い少年少女の声で満ち溢れていた。
さいしょに目をつけたのは、最前列の席にいた、色白のおさげの女子。
ふくらはぎを噛みたいとねだったら、
えぇー?って。
ピンクに白のラインのハイソックスを隠すように、脚を折り曲げて羞じらった。
それでもさきに首筋を噛まれてしまうと。
グリーンのカーディガンについた赤黒いシミを気にしながらも。
きゃー。って。
明るい声を、はじけさせて。
足許に這い寄った俺に、わざわざ頭上から、「いいよ」って、声かけてくれた。

ピンクのハイソックスに、バラ色のシミをたっぷりと滲ませて。
さいしょの少女が、尻もちをついてしまうと。
あとはもう、とめどがなかった。
すぐ隣の、半ズボンの男子は。
仲良しだった少女が血を吸われるのを、ちょっと苛立たしそうに見つめていたけれど。
ほら、吸えよ。って。
ぶっきらぼうに、そういうと。
紺のハイソックスの脚を、自分からこちらへと、振り向けてきた。
男の子らしくきゅっと引き締まったふくらはぎが。
しっかりとしたナイロン生地に鮮やかに縦に浮いた、リブの向こう側、
突き立てた牙がズキズキと昂ぶるほどに、心地よかった。

壁ぎわにおいつめた、仲良し少女二人組。
ひとりはグレーと黒の横縞もようのハイソックス。
もうひとりは、紺と赤のひし型もようのハイソックス。
健康そうに陽灼けした丸顔に、戸惑いの笑いをうかべながら。
どちらも脚を、縮こまらせて。
性悪な小父さんを、ちょっぴり手こずらせたけれど。
さいしょに横縞もようのハイソックスが、赤黒くなって。
友だちが尻もちをついちゃったすぐ隣、
ひし型もようも、赤黒くなって。
仲良し同士、血液型もいっしょのようだね。
俺がそういって、蒼くなったふたりの顔を覗き込むと。
ばかー。って言いながら、
いかにも眠そうに、目を瞑っていった。

オトナっぽく黒のひざ上ハイソックスでキメていた、上背のある少女。
赤縁のメガネも、ゆるいウェーブのかかったふさふさとした栗色の髪も。
彼女が良い家の出のお嬢さんだとわからせてくれる。
きっと、学級委員が襲われないのは恥 とでも、思い込んでいたのだろう。
じぶんのほうから、進み出て。
差し伸べた太ももは、黒のソックスに映えて、よけいなまめかしくピチピチと輝いていた。
二度目に喰いついた、首のつけ根は柔らかくて。
ほんとうは強い怯えがあったのだと、激しく揺れる肩先がそう伝えてきた。

先生や生徒たちに手を振られて、学校を立ち去ったとき。
いったいなん人の血を、口にしたのだろう?
噛まれた子たちは、無邪気に笑いながら、
だれかが保健室から持ち出してきた、バンドエイドを配り合っていた。

かつてはあの男子のように、ハイソックスの脚を気前よく差し出していた側の俺。
あのとき、隣に座っていた黒タイツの女の子が、尻もちをついちゃうようすに、
なぜかむしょうに、腹が立って。
じぶんから脚を、差し出していたのだけれど。
あれは多分、嫉妬というやつだったのだろう。
そういえばあいつ、気絶するまえに、妙なことを洩らしていたな。
これであんたのなかで、あの子といっしょになるんだね って。
俺もたしか―――そんなことをほざいたような気がする。
一足だけお土産に引き抜いてきた、ピンクに白のラインのハイソックス。
あとであの少年の家に、送り届けてあげようか?

以下のお話についての、かいせつのようなもの。

2011年04月19日(Tue) 12:13:02

再開したと思ったら、大量あっぷになってしまいました。(^^ゞ
書きためていたものを、いっぺんにあっぷしてしまったものですから。(^^ゞ
まとまりも無さ過ぎる感じがしますので、いちおうかいせつのようなことを試みておきます。

うちはどうしても、ジャンルがまちまちで。
属性のないものをいきなり読まされると、つまらないだけだったりしますので。(^^ゞ


≪パターンその1≫
みんなで愉しんだ女・・・と思っていたら、その女がいつの間にか自分の女房に。
あのときの戯れ。じつはボクの花嫁を汚す儀式だったんだね?

すこし以前にチャットをしていただいた方からヒントをいただきまして。
最近凝るようになったパターンのお話です。
原型はもうなん年もまえに描いた、怪人ものだったと思いますが。
柏木ワールドでは、「あとから萌え」と呼ぶことにしております。^^

「卒業祝い」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2467.html
都会育ちの、それも人間なのに、妖しい特権をもらっちゃった・・・と思いきや?
脇役たちのさりげない設定も気に入っています。

「処女屋の息子」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2465.html
以前描いた「処女屋」http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2443.htmlの続編かも?
「処女屋」は、年ごろになったり結婚を控えたりする近在の娘たちの処女を、親たちや花婿の希望を受けて汚すお仕事。
そんなおいしい思いをしているはずの彼らには、隠された過去が。。。


≪パターンその2≫
ほろ苦い嫉妬。痕跡に昂る、彼女の夫や許婚者たち・・・
昂りよりも、嫉妬テイストが濃いめです。(当社比)

「許婚者の行状。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2466.html
自分との結婚を控えながら、吸血鬼のもとにひっそりと通いつづける許嫁。
情事のあとのような痕跡に、妖しい昂りを覚えて・・・

「百貨店の女」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2460.html
避けることのできないしきたりに、未来の花嫁の純潔を供する少年たちは。
初めての刻を迎える彼女の部屋の前で、コマまわしに興じることに。
田舎ちっくな百貨店の制服の描写が気に入りです。
やや長め。

「あの・・・あの・・・痛くしないで下さいね 。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2453.html
おずおずとした少女の怖がりようを、お愉しみください。^^


≪パターンその3≫
少年くんのハイソックスもの。微妙に寝取られシーンあり。

「キャプテンの足許」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2462.html
補欠の主人公くん、供血係という大切な役割をもっていたようで・・・。

「俺の妹あいつの彼女」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2461.html
ラストシーンで兄貴と彼氏につかまえられてあわてる、制服姿の妹が気に入りです。

「なんか、やめられないんだよね・・・」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2450.html
どちらかというと、まったり系。ハイソックスフェチ向けのお話です。


パターンその4
少年くんじゃないけど、紳士用のハイソックス。

「スラックスのすそを、引っ張る奴」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2469.html

「わたし、妻、娘・・・」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2468.html

「賭けをしよ。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2449.html

パターンその5
まったり♪
「おかわり」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2464.html
OLさん二名様の、まったり話です。^^
いや、三人めも?^^

「姉妹の語らい」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2463.html
ハイソックスの足許を吸血の痕で濡らしたままからかい合う、仲の良い姉妹のお話です。

「お出かけママのストッキング選び」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2451.html
パンストフェチさん向けの、まったり話です。息子目線です。

「深夜帰宅の女房殿」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2448.html
淫乱奥さんに仕切られちゃって顔見合せる夫と間男。
こういう話好きです。

「えっちな泥棒」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2447.html
ほのぼのタッチな緊縛話です。


パターンその6
彼女や奥さん、気になる女性のハイソックスを履いてみたい・・・風変りな願望に心を焦がす男たち。

「許婚の親友」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2457.html
許婚者はなぜかいちども登場しないのですが、さりげなく描き飛ばしてしまった彼女の運命は、かなり萌えかも。
(^^)
血の奴隷だって♪

「彼女のハイソックス」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2456.html

「スラックスの下」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2455.html


パターン無 ~そのほか~
パターン化できないお話ですが、異様に気合いの入っているものがそこそこあります。^^
かなり異色なお話たちかも。

「慰問団の人妻」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2458.html
吸血村で生き血を吸われながら、生きたまま帰宅を許された夫。
その夫に命じられるままに、吸血鬼と共存する村に献血に出かける妻。
遮られたカーテン越し、かつて夫の血を味わった男との交流が芽生え始めて・・・
ためらいながらも、白のストッキングの脚への凌辱を許しはじめてゆく若妻のお話です。
長編ですが、かなりおすすめです★

「喪服妻 血の饗応」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2454.html
血を吸い尽くされた夫が最終的には妻のもとに戻ってくるという展開なので、「墓場の同居人」系列ですね。
前掲の「慰問団の人妻」も、類似のタッチです。
今回あっぷのなかでは唯一、正統派ブラックフォーマル話?に仕上がりました。^^
終盤ぱっと展開する親族たちの安直ぶりも、おすすめです。^^


「武家女房 破倫絵巻」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2452.html
柏木ワールドでは、かなり異色な時代ものです。
やや唐突かもしれませんが、寝取られテイストは満載です。
テンション高めなので、引かないでください。 笑

というわけで、よろしくお愉しみください。
あ~。お話描くよりもよほど、時間を喰いました。(^^ゞ


※画像は、掲載順の一覧表です。見づらいかも?(^^ゞ

坂道で

2011年04月19日(Tue) 11:27:43



坂道の向こうから降りてきた、ほのかちゃんは。
朱色のスーツを着たお母さんといっしょだった。
きのう、お誕生日をいっしょにお祝いしたほのかちゃんは、
きょうもよそ行きのお洋服で、ばっちりきめている。
親戚の小父さまにお祝いしてもらうんだ。
楽しそうにそう話していたっけ。
赤のチェック柄のスカートの下。
真っ白だったはずのハイソックスには、赤黒いまだらもよう。
うわー!どうしたの?もしかして・・・ヤッちゃった?
駆け寄ったわたしたちは、ほのかちゃん母娘を取り囲むようにして
口々に質問を、浴びせていた。
ほのかちゃんの言っていた「小父さま」は、丘の上に棲む吸血鬼だったから。
くすぐったそうに笑いながら友だちとたわむれるほのかちゃんを、
傍らからにこにこと見守るお母さんも、
朱色のタイトスカートの下に穿いている肌色のパンストを、
ブチブチに破かれちゃっている。

ちょっぴり痛かったけどね。ヘイキだよ~。
ほのかちゃんはいつもよりすこし、蒼い顔をしていたけれど。
泣きべそをかいたあとを見られまいとして、目許をさりげなく、指で隠していた。
見せびらかされた脚は、ハイソックスがちょっぴりずり落ちていて。
なんども噛まれたんだよー。
ふくらはぎについた穴ぼこを、ちょっと得意げに自慢している。
いいなあー。つぎは、あたしの番?
ウキウキと顔を輝かせたのは、クラス一の美人のまゆみちゃん。
誕生日は来週に、迫っていた。
ピンクのアンサンブルにね、白のブラウス着て。
小父さまに噛ませてあげるハイソックスは・・・
ストッキングみたいに薄いやつ、履いてってあげるんだ♪
みんなに差をつけちゃうんだからねー。
おしゃれなまゆみちゃんは、もうその日のコーディネートまで、考えちゃっているらしい。
おさげ髪にメガネをかけたまじめな級長は、ライン入りのハイソックス。
お友だちのゆうかちゃんは、黒の縦じまの入った赤いやつ。
ふたりともちょっぴり羞ずかしそうに、帰り道にみんなのまえ。
赤黒く血のにじんだ噛み痕を、こっそり見せてくれていた。
あたしもその日が来たら・・・
お気に入りの、メッシュ柄の白いやつを履いていって、
初めて流す血を、たっぷりとしみ込ませてもらおう。

スラックスのすそを、引っ張る奴。

2011年04月19日(Tue) 09:17:33

村のかえり道は、あたりが暗い。
そのうえ、スラックスのすそを引っ張るやつまでいる。
ねぇねぇ。^^
わたしのスラックスの裾をつかんで離さなかったそいつは、
わたしの耳元で、ぬけぬけと囁いたものだった。
あんたの奥さんと、セックスしたい。
しょうがない人ですね・・・
わたしは脚を止めるとそのまま寄り道をして、なにもない公園へと足を踏み入れる。
スラックスの下には、ストッキング地のハイソックス。
そういえば彼、昼間うちの事務所に顔を出したっけ。
用事らしい用事も、なかったくせに。
ひとのスラックスの下を確認して。
今夜ならOKだよって、そういいたいやつの足首を、物色して。
果たして望みどおり、わたしのくるぶしには、妻の血に飢えた唇が這わされる。
よじれていくハイソックスを見おろしながら。
家内のパンストも、こんなふうにやられちゃうのかな?
独りごとのように、呟くと。
そうそう。^^
男は嬉しげに、相槌を打った。

えー?いらしたの・・・?
妻は両手を口で隠していたが、隠された口許が笑んでいるのに、気づかぬわたしではない。
今夜はだんな公認で、浮気できるんだぜ・・・?
さいしょの晩に、あれほど抵抗し、あれほど泣き叫んだ妻は。
いまはすっかり、吸血鬼の情婦。
じゃあ、精いっぱい抵抗するわね?
イタズラっぽい笑みを浮かべると。
あ~れ~♪
落花狼藉が、はじまった。
唇で吸われた、脛のまわり。
黒のストッキングに裂け目が走る。
やっぱりパンストは、婦人ものにかぎるようだね?
わたしは破けたハイソックスをまだ脚にまとったまま、
妻の足許に加えられる凌辱を、息を詰めて見守っている。
ああ、おいしそうだ。しんそこ、おいしそうだ。
焦がれる嫉妬は、蜜の味―――

わたし、妻、娘・・・。

2011年04月19日(Tue) 09:16:20

やってきた吸血鬼のため、ひきあげてやったスラックスの下。
ビジネス用のハイソックスごしに吸いつけられた唇は、やけにしつっこかった。
少しは、愉しめるかな―――?
わたしの問いかけに、悪友はしきりに頷きながら。
いとも愉しげに、ストッキング地のハイソックスをよじれさせていった。
ほんとうの目当ては、家内と娘の血―――
わかっていながらも、酔い酔いにされることで、わたしは自らの体面を保とうとしている。

くたりとくず折れた、ソファの下。
家内に言い寄る客人の囁きが、鼓膜を妖しくふるわせる。
ごちそうしてあげなさい。
わたしの命じるままに、家内は目を瞑り、首筋を噛まれてゆく。
長い睫毛をナーヴァスに、震わせながら。
独身男からするとね、エプロンをしたお嫁さんってあこがれなんだよね。
あいつはぬけぬけと、勝手なことをほざきながら。
腰のエプロンをめくられまいとする家内に寄り添うようにして。
早くもブラウスを、脱がせにかかる。
台所で襲われる家内を横目に、わたしは娘にあてて、携帯メールを打っている。
ママが凌辱されるのを愉しんでいるうちに、制服に着替えて待っていなさい と。
家内が台所で侵されているあいだ。
娘はいそいそと、セーラー服に着替えていった。

卒業祝い

2011年04月19日(Tue) 09:14:38


吸血鬼の男の子は卒業祝いに、好きな女性を襲う特権をもっていた。
そうして童貞を喪うことで、一人前の男になるために。
担任の若い女の先生は、毎年のように相手に選ばれていて。
秋に結婚を控えた男の先生のまえ、出席番号順にのしかかってくる教え子を相手に、
黄色い声を教室内に響かせた。
おばさんキラーな同級生は、友だちのお母さんをリクエストして。
彼の望みを好意的にかなえようとした同級生に、せがまれるまま。
きりっとしたスーツ姿で呼び出しに応じたお母さんは、
息子と夫の見守るまえで、スカートのすそをぬらぬら光らせて。
ひーひーあえいじゃっていた。
友だちの彼女を願うものも、多くって。
たいがい彼氏と彼女は、初体験を済ませた後に、彼女を目のまえで襲わせていた。

人間のボクに、その特権を許されたのは。
都会からやって来たのに、理解を深めたパパが、ママの生き血を吸わせることに同意したから。
選んだ相手は、仲良しのマサトくんの妹だった。
ほかにも希望者、いるけれど。
お前にはさいしょに、姦らせてやるよって。
マサトくんはイタズラっぽく、目くばせしてくれた。
制服のスカートのすそを乱した彼女は。
べそをかきかき、ボクの相手をしてくれて。
つぎの子の番になるまえに、汚した服をわざわざ着替えて、相手をつづけていった。
三人、四人、五人、六人・・・
美佐代ちゃんの相手は、ひきもきらない。
数年後彼女と結婚したボクは、気づくことになる。
あれは、みんなしてボクの婚約を祝って、ボクの未来の花嫁を汚す儀式だったのだと。
祝言の夜。
パパもママも愉しげに、伯父さん夫婦や従姉たちを招待して。
長年連れ添った愛妻やまな娘の操が汚される愉しみを、身内の男たちに、植えつけていった。

許婚者の行状。

2011年04月19日(Tue) 09:11:08

美しい婚約者の生き血を吸われている という状況は。
あまり気味の好いものではない。
べつに未来の花婿を裏切ってセックスをしているわけではなく、
ただの献血と割り切ってしまえばよさそうなものなのだが。
素肌をあらわにして、唇を這わされる という行為は、どうしてもつきまとうわけで。
それをかりに、家の秘められたしきたりとして割り切って受け容れたとしても。
やはりどうしても、心の落ち着かない、胸騒がしい関係だった。

彼女に会いにいったとき。
ちょうど先方を訪問し帰宅したばかりのところだったときがある。
見慣れたスーツ姿の彼女。
けれども、なにかがちがう。
ブラウスの襟首には、かすかに紅いシミが散っていて、
きちんとセットした髪が、ほんのわずかだが乱れを伴っていて、
本人の態度も、さりげなく不自然さを匂わせている。
ストッキングに走る裂け目が、鮮やかなカーヴを伴って、スカートの奥にまで這い込んでいる光景などは。
もう、芸術的としかいいようがなかった。
まして、着ているスーツが、初対面のお見合いのときのものだと気づいた日には、
お見合い当日に彼女を凌辱されてしまったかのような妖しい錯覚についむらむらとなってしまって。
不覚にも、昂ぶりを覚えてしまったほどだった。

まだ、“ご乱行”の余韻もあらわに漂わせる彼女。
いつもの淑やかで上品なわたしの婚約者とは別人物のようにみえる。
血を吸われるために、嫁入り前の肌を曝しただけではなくて・・・
不埒な妄想が、わたしの理性を毒々しく汚染していった。
そういえばいつも、人知れず招待されて。
彼女はひっそりと、出かけてゆくという。
結婚したら、止しにしますから。
云いにくそうに、そう告げる彼女。
あるいは―――
名字が変わっても、お出かけは自由だからね。
そう囁いてあげるほうが、彼女は救われるのだろうか?

処女屋の息子。

2011年04月19日(Tue) 09:09:32

それまでにもなん人となく、
父のところには年ごろの娘が、ひっそりと訪れていた。
いちどきりのひともいれば、何度か訪問をくり返すひともいた。
だれもが、狭い村のなかでは顔見知り。
けれどもだれが来たのかは、決して口外してはならないと、父からも母からも、口止めされていた。

ボクが大きくなるにつれて。
訪問客の娘たちとボクの年齢差は、じょじょに縮まっていって。
やがて、同級生の子が訪ねて来るようになった。
そのころには、ぴったりとざされたふすまの向こうで、なにが起こっているのか察しをつけていたボクは。
勉強部屋のまえを通り過ぎる見慣れた横顔を、
ちょっぴりくすぐったく、のぞき見をしていた。
申し合わせたように、セーラー服に身を包んだ彼女たちは、
ふすまの向こう、黒のストッキングを脱がされていった。

太っちょで色白のゆかりちゃんも、そのなかに含まれていた。
いつもおどおどとしていて、まるきりおぼこ娘だった彼女は、
スケスケの黒のストッキングに、太めの脛を蒼白く滲ませて、
ボクの部屋の前、ひっそりと歩みを進めていった。

いらっしゃい。
母はこっそりと手招きをすると、ふすまをそうっと細めにあけた。
すぐ目のまえで。
横たわる紺のプリーツスカートから、薄いストッキングになまめかしく染まった脚が、
戸惑うように、乱れていった。

なんどめかのときのことだった。
白のニットのカーディガンに、紺と緑のチェック柄のスカートを履いて。
寒がりなゆかりちゃんは、その日は黒のタイツを穿いていた。
視られているよ。
父にそう囁かれたゆかりちゃんは、びくっとして身を起こそうとして。
すぐに力づくで、ねじ伏せられていた。

父が妹の仲良しに手を出して、仲良し三人組を三人ながら、汚したころ。
ボクはゆかりちゃんと、結納を交わすことになっていた。
父の気に入りだった彼女は、なんども招ばれていて。
ボクは何度も、覗いていた。
あの悪戯が、じつは自分の花嫁を目のまえで汚される儀式だったのだと気づいたのは、ちょうどそのころだった。

あなたもしても、かまわないのよ。
花嫁を汚された良家のあるじは、処女を招ぶ事を許される、
ひっそりとした母の告白に、両親の過去まで垣間見させられて。
しばらくのあいだ、ボクのところには。
決まり悪げに頼みごとをしてくる幼馴染が、なん人となく現れた。
だれもがいちように、背中の後ろに庇うようにして。
はにかんで俯いた若い娘を、連れていた。

ボクがその風習を断ったのは。
いつのころだったろう?
妻となったゆかりは、それからもずっと。
父の許にかよいつづけている。
ひとの花嫁の純潔を奪うよりも。
むしろ妻の浮気心の行く先に、気をひかれるようになったころ。
母は静かにほほ笑んで、
そろそろやめどきね。
いかにもさばさばとした口調で、奥の部屋を振り返る。
かすかな声が漏れるのに。
ボクも母も、くすぐったそうに顔見合わせていた。

おかわり。

2011年04月19日(Tue) 09:06:54

そのOL風の若い女は、
黒のストッキングのふくらはぎを吸われつづけて、白目を剥いて。
うす茶のスーツ姿をのけぞらせた。
裂けたストッキングをなぞるように、ふくらはぎをいとおしげに撫でさすると。
男は牙から血をしたたらせたまま、同僚らしい連れの女に、迫っていった。
おかわり~♪ って、いいながら・・・
怯えた顔をして後ずさりしたけれど。
背中の後ろは、壁だった。
きゃあ~っ。
悲鳴がひと声。
ブラウスにはバラ色のしずくが、点々。
うなじにつけた傷痕に、嬉しげに目を細めると。
憂い顔をそむける女の足許に、すり寄って。
グレーのストッキングごし、
ちゅうっ。
さっきの女にそうしたように、唇をいやらしくすりつける。
あ・・・あ・・・あ・・・
女は白目になって、倒れ伏す。

おや。どうやらつぎのおかわりが、来たようだ。
ドア越しに近づく、ヒールの足音が。
カツンカツンと硬質な響きを、廊下に響かせる。
ふ・ふ・ふ。
こんどは黒のタイツだね?^^
どうやっていたぶろうか?
ふた色の血潮に濡れた指先を、行儀悪く口に含んで。
男は新来の女とのあいだを隔てるドアを、開け放つ―――

姉妹の語らい

2011年04月19日(Tue) 09:05:49

姉娘の足許には、ダイヤ柄のハイソックスに穴がぽつり。
妹娘の足許には、真っ白なハイソックスに紅いシミがぽつり。
ふたりそろって、なにごともなかったように。
リビングに歩みを進め、腰をおろして。
出された紅茶に、口をつけた。

生き血の代りに、お紅茶かー。
ため息をする、姉娘。
だけどちょっぴり、いい人っぽくない?
おさげ髪の垂れた方をすくめる、妹娘。
あんた、どこまでお人よしなの?相手は吸血鬼なんだよ~?
姉娘はしきりに、ハイソックスにつけられた痕をきにしいしぃ、足許を見つめている。
だってー。あたしのこと誘ったの、お姉ちゃんじゃない~。
丸顔の紅いほっぺは、まだまだ血色がいい。
あたしの血、おいしかったのかな~?
ばっかねぇ。食欲だけよ。しょ・く・よ・くっ。
姉娘はぺんっ!って軽く、妹の頭をひっぱたく。
ツヤツヤと輝いた黒髪を揺らして、きゃっ!っておどける妹娘。
ちょっぴり太めの妹娘は、お姉ちゃんよりいっぱい、血を吸われたらしい。
太めな身体をむしろ誇らしげに、ピチピチとさせている。

ねー。これからデートだよー。彼氏にばれちゃうよねー。
姉娘はそこだけは、気にしているらしかった。
だって、お姉ちゃんのことあのひとに紹介したの、彼氏でしょ?
うーん、だけどねー。嫉妬するんだー。自分で引き合わせたくせにー。
そうなんだそうなんだって、云わんばかりに。
妹娘は、大人びた態度で頷きながら応じている。
見せつけちゃえば?これ。
可愛い指先は、姉がいちばん気にしている、ダイヤ柄とははなれたところにつけられた痕。
不規則につけられた穴ぼこは、牙の太さそのままに、白い脛を滲ませていた。
やだよー。そんなことすると、夜長いんだー。
ご・ち・そ・う・さまっ♪
彼氏はまだの妹娘は、しんそこ羨ましそうに、姉を見る。
ショジョじゃなくっても、血を吸うんだね。映画とは大違い。
さいしょに穴ぼこをあけられたのがじつは吸血鬼のほうだというのは、当事者だけの秘密。

じゃあね。そろそろあたし行くわ。
姉がそわそわと、起ちあがると。
あっ、あたしもっ!そろそろ失礼するねっ!
妹も制服のスカートをひるがえして、座を起った。
キミはもう少し、ゆっくりしていかないか?
背後から伸びてきた手が、妹娘の肩をつかまえる。
あー、だめっ。お勉強しなくっちゃ・・・
しらじらしい言い訳をする妹とそそくさと立ち去ろうとする姉とは、みるみるへだたって。
じゃね~♪
軽い言葉とともに、扉がばたんと閉ざされる。
もう~。
ふくれる妹娘の、足許に。
もう片方の脚を、噛み忘れた。
男はのうのうと、ひとりごちながら。
制服の一部である白のハイソックスごし、肉づきたっぷりのふくらはぎを、冒していった。

キャプテンの足許

2011年04月19日(Tue) 09:03:30

立ち去りかけた耀生(あきお)が、公園の入り口から引き返してきた。
青地に白のラインが入った短パンに、おなじ色のストッキング。
ストッキングの折り返しには、白のラインが二本、鮮やかに横切っている。
耀生は青のストッキングの脚を、男の前に差し出すと。
吸えよ。
ぶっきら棒に、そういった。
いつも悪りぃな。
男は耀生より、だいぶ年長らしい。
白髪交じりの髪をうっとうしげに掻きあげると、耀生の足許にうずくまる。
太めのリブがすっきりと流れるストッキングの、しっかりした生地のうえに、
干からびた唇が吸いついた。
ねちっこいいたぶりをうけて、整然と流れるリブがゆがみ、ねじ曲げられてゆくのを、
耀生は口を尖らせて、見おろしている。
男の唇に、ひときわ力がこもった。
痛ッ―――
ほろ苦く引きつった唇から、耀生は白い歯をみせた。

ずるずると引き抜かれたストッキングが、男の手にぶら下げられている。
ふくらはぎの輪郭を残してふやけたようになったストッキングの、
いちばん太くなったあたりは、吸い残した血のりでべっとりと濡れていた。
いたぶり抜かれたユニフォームの一部を目の当たりにして、
こちらを見あげて来る男の頭を、耀生は「こら」とひっぱたいた。
へっへっへ。悪りぃな。
男の言い草は、いっしょだった、
好きでつき合っているじゃないんだぞ。お前が貧血で苦しんでるっていうから、気の毒でしているんだからな。
あくまで云い張る耀生を、受け流して。
ああ、心から感謝しているとも。
ちらっとだけ、殊勝な色をみせたけれど。それもつかのまのことだった。
真新しい靴下は、舌触りもいいようだ。
男はしゃあしゃあと、耀生をからかっている。
先輩にばれたら、部に対する冒とくだって怒られちゃうよ―――
ちょっと気弱げに漏らした言葉は、恐らく本音だろう。
男はちょっと気の毒そうに少年を見、やがて口を開いた。
平気だと思うぜ。
あんたのとこのキャプテン、チームのなかでだれよりも多く、俺にストッキング噛ませてくれたものな。
ええ~!?
こんどは耀生が、のけぞる番だった。

悪りぃな、キャプテン。きょうも呼びだしちゃって。練習きついんだろう?
ああ、でもひと試合終わったからな。
ぼう然と見つめている耀生のまえ。
いつも厳しいキャプテンは、むしろ落ち着いた物腰で、男に接している。
ひざ小僧の下からちょっぴりずり落ちかけたストッキングには、赤黒いシミがありありと、滲んでいた。
で、勝ったのか?負けたのか?
キャプテンは初めて悔しげな顔つきになって、負けた!叫ぶようにいった。
気の毒にな。つきあわされたんだろ?あちらの学校の祝勝会。
ああ、まあな・・・
逞しい身体をすぼめるようにして、キャプテンは云いにくそうに横を向いた。
そうして、耀生の存在にはじめて気がついたような顔をして、
この人に噛ませるの、悪くないぜ。レギュラーのやつらは相手している余裕ないから、よかったら時々頼むな。
いつもよりずっとおだやかな調子で、そういったのだった。

チームのやつの半分以上が、あいつに靴下噛ませているよ。
―――「ストッキング」というと女ものを連想するな。気色悪りぃよ。
いつもそういって厭な顔をするキャプテンは、このときも「靴下」といっていた。
夜までに最低一人は血を吸わないと、ほんとうに灰になっちまうらしいんだ。
なん年かまえ、ほんとうに灰になっちまって、
校長が坂田と松川連れて、なにやら儀式をやって生き返らせ立った。あれ本当みたいだな。
坂田と松川、そう呼び捨てにしたのは、美人で有名な若い女性教諭たちだった。
ふーん、先生たちの血も吸うのかな。
さぁ、どうかな?でもたぶん、そうなんじゃないかな。
窪島先生は、知らないんでしょ?坂田先生に手出されちゃってるの。
耀生が坂田先生の婚約者の名前を口にすると、キャプテンは笑ってこたえた。
知ってるさ。ちゃんと公認しているんじゃないかって、もっぱらの評判。
ええー!?
声をあげた耀生を封じるように、
あまりそういうこと云うなよ。うちの部のなかで、あいつに彼女の血を吸わせてやってるやつらも、けっこういるんだから。
・・・てか、それが目当てかもw
いつも笑わないキャプテンが、珍しく自嘲ぎみに、クスッと笑った。
キャプテンの彼女は確か、同じクラスの学級委員だったはず。
少しおばさんチックだけど、上品な感じが一部の男子生徒に人気を呼んでいたのだ。
あのキャプテンの恋人も、あいつの毒牙に・・・?
いけない想像が耀生の胸を、妖しく焦がした。

いつも履き古しで、悪りぃな。
キャプテンはきょうも耀生を伴って、校舎の裏手で男と逢っていた。
そうなんだよな。キャプテン倹約家だから―――
キャプテンが履いているストッキングは、練習用の白だった。
白無地のストッキングの折り返しに青のラインが二本、ちょっと色あせかかっていた。
落ちない泥がかすかに染みついた白のストッキングに、吸血鬼は早くも欲情してしまっている。
くまなくたんねんに舐めて、縦にすっきりと走るリブをねじ曲げていって、脛からずり降ろして・・・
むき出しになった脛にまで、舌を這わせながら。
キャプテン、筋肉が締まってきたね。だいぶ鍛えたようだな。
妙なほめ方に、キャプテンもさすがに戸惑いながら、
耀生が供血係引き受けてくれているからな。レギュラーの練習に身が入るようになったんだ。
そいつはなによりだ。
それよか、相手チームのやつらも、たまには襲ってくれよ。
いつもうちだけ負けるのは、たまらんからサ。
そうはいかない。あっちのチームのストッキング、派手すぎていけない。あれは悪趣味だな。
男はしんそこ、苦い顔をした。
ぜいたく云うなよ。そんなこと云ってると、うちもモデルチェンジしちまうぜ?
だめ、だめ―――
男はあくまでも、キャプテンの脚を放そうとしない。
筋肉を傷めないようにと、すこしは気を使っているのだろうか。
どこを噛もうかと、いちばんいい部位を唇で探り当てようとしている。
むき出しになった脛は、ごつごつとした筋肉によろわれていたが。
ぎらりと剥きだされた牙はその一角に、さくりと器用に刺し込まれていった。

な?俺に彼女を抱かれておいて、よかったろ?
うん?なんでそんなこと知ってるんだ?
だって・・・相手チームの祝勝会って、彼女連れてかなくちゃならないんだろう?―――犯されに。
えっ。
耀生は思わず、キャプテンをみた。
こいつにまで、聞かせるなよ・・・
部を辞められちまうじゃないか、そう言いたげだった。
あ。でもオレ、まだ彼女いないですから。
さすがにおどおどとなった口調の耀生に、男がたたみかけた。
可愛い妹がいたっけな。あと、美人のお母さんでも歓迎されるはずだね。
おいおいっ。
着飾った母や真新しい制服姿の妹に、相手チームの面々が折り重なるようにおおいかぶさってゆく。
そんな光景をつい想像して、耀生は思わず勃ってしまっている自分を恥じた。
お前も、素質ありそうだな。
二年生になったら、レギュラーだからな。しっかり練習しろよ。
それから・・・早く彼女作れ。
一年先輩のキャプテンが浮かべる共犯者の笑みは、いつになく大人びていた。

俺の妹あいつの彼女

2011年04月19日(Tue) 08:59:53

そいつは青白い横っ面を、傾けるようにして。
俺の首筋に、唇を吸いつけてきた。
男の唇がなまめかしいと思ったのは、このときが初めてだった。
思いのほかぬらぬらと柔らかい唇のすき間から。
滲むように洩れてきた、尖った牙が。
皮膚の奥まで、遠慮会釈なく食い入ってきた。
じゅわっ。
生温かい血潮が、Tシャツを染め、滴り落ちて。
短パンの下、スポーツ用のハイソックスの足許にまでほとび散った。

ちょっと待て。
尻もちをついた俺に、やつはなおも迫って来て。
御丁寧にわざわざ、ハイソックスをひざ下まできちんと引き伸ばして、
そのうえで、足許に唇を這わせてくる。
痛っ!痛っ!
噛まれるたびに、俺は声をあげ、
ハイソックスには、ぬるぬるとした血潮が、しみ込んでゆく。
すまないね。長い靴下に、目がないのだよ。男ものでも、構わない。
やつはそう呟きながら、ハイソックスごしにじわじわと唇をなすりつけてきて。
歪みかかった太めのリブに、赤黒いシミを、たんねんに広げていった。

脳みそが真っ白になるほどの失血に喘ぎながら、
俺は草地に寝転んでいて。
抵抗が緩慢になったのを、良いことに。
やつはなんどもなんども、そこかしこへと、噛みついてきた。
殺す気かよ?
俺がそう口走るほど、やつの襲撃はしつようだった。
まさか・・・愉しんでいるんだよ。オレなりに。
やつはぬけぬけと、そういうと。
またも足許に、唇を吸いつけて来る。
あんたを侮辱する気は、ないんだ。
あんたの好きなハイソックスを、オレはオレなりに好んでいるのさ。
また週末・・・ここを通りかかるときには。
きょうみたいなかっこ、して来てくれないか?
さいごの語尾は、ひどくまじめで。
手前勝手な希望のせつじつさだけが、瞳を染めていた。

向こうから、おなじチームのタケシが歩いて来る。
薄闇に透ける、彼の足許は。
俺とおなじ柄のハイソックス。そして・・・赤黒いシミ。
お前も、やられちゃったのか?
ああ、女の吸血鬼にね。
そいつはラッキーだったな。
さあ、どうかな?こんどは彼女も誘ってくれってさ。
タケシの彼女のまゆみは、俺の妹だった。
あいつの悪友で、男の吸血鬼で。処女の血を欲しがってるのがいるんだってさ。
カップルで、男ふたりを襲ったのか。
おなじ公園のなか、俺たちは黙って歩みを進めた。
おそろいのハイソックスに、赤黒いシミをつけたまま。

向こうから来た、濃紺の制服を着た妹は。
ふたりの足許を見て、何が起きたのかを察すると。
じぶんの両腕を取るふたりの男を、いぶかしげに見比べて。
あっ?そういうことなのっ!?
さすがに声をあげるはずだった。
あちらのカップルさんに、まゆみの血を分け獲りさせてやろうと。
悪友どうし、おなじことを考えていたのだから。

百貨店の女

2011年04月19日(Tue) 07:56:37

ばりっとした濃紺のスーツに、白い首周りには真っ赤なチョーカー。
つばのついた紺の帽子にも、赤い帯。
田舎の百貨店のユニフォームは、どこか垢抜けなくて、芝居がかっていた。
赤い頬っぺの受付嬢は、店頭のカウンタで声かけてきた黒マントの男の正体をすぐに察して。
支配人に呼ばれて持ち場を離れた事務所には、小股で駈けるようにして入ってきた。
ぴかぴかの緑のパンプスの音を、軽やかに響かせて。

お手柔らかにね。初めての子なんだから。
窓のほうを向いた支配人は、煙草の煙をくゆらせて。
肌色のストッキングを穿いた女の子の足許に、黒マントの客人がかがみ込むところから目線をはずす。
あっ、厭だ・・・
はずんだ女の子の声を、かいくぐるようにして。
ふくらはぎに這わされる唇が、ちゅうっ・・・と唾液をはぜる音。
きゃっ。
女の子は一瞬で、気絶していた。

手加減しろって、いったのにさ・・・
支配人は眉間に縦しわ寄せて、悪友を咎めた。
あくまでおだやかで、柔らかな口調を乱さずに。
血はやっぱり、田舎の子に限るよ。
ぬけぬけと抜かす吸血鬼をまえに、
ぜいたく者が・・・
吐き捨てるように、そっぽを向いた。
田舎の娘のストッキングは、たまらんな。もう少し、愉しませてもらうぜ。
男は支配人の言葉も待たず、ストッキングに裂け目を走らせた内ももとは反対側を、べろでなぞりはじめている。

だいじょうぶなのか?
うっそりとしたかんじの、その青年は。
百貨店のユニフォームを着替えたアケミの肩を抱こうとした。
えっ、どうってことないよ?
伸びてきた猿臂を素早くさりげなくよけながら、アケミはあっけらかんとのたまわった。
でも・・・痛いんだろ?
痺れる感じ・・・かな?
うっとりした・・・っていうのか?
う~ん・・・だったら、どうするぅ?
女は思わせぶりに、目線を夢見心地に流していった。
黒のタイツに履き替えた足取りに、緑のパンプスの響きが後追いしていく。
肩から提げたこげ茶のショルダーバックが、ゆらゆらと。
女の黒髪とおなじくらい思わせぶりに、揺れていた。

タケジは、高校のころからの同級生。
おなじ街に育った彼は、この街の翳の支配者のことを親から聞き知っていて。
時折りふらりと訪れる吸血鬼に、じぶんの恋人が生き血を飲み水代わりにされるのを、
仕方ないとは思っていた。
誘われた・・・って、きくたびに。
かすかな胸の疼きを、毒々しく感じることはあったけれど。

それでー。考えてくれた?・・・あたしのお嫁入りのこと。
うぅん。
タケジはちょっとのあいだ、口ごもる。
地元の高校生が就職先のことを口にするような言葉つきで、アケミが口にした「お嫁入り」とは。
数年後に予定された、ふたりの祝言のことでは、むろんない。
この秋にもと望まれている、きょうの客人との御縁結びにつながることだった。
街で育った娘のなかで、美人ばかりが選ばれて。
吸血鬼のお嫁にされる。
タケジの母も。アケミの叔母も。
おなじ吸血鬼の花嫁になっていた。
村の娘のだれもが例外なく迎える、吸血鬼。
たいがいが。
夜這いで済まされるのを。
選ばれた美人たちだけは、お嫁入りの形式を取る。
そんな風習に子供のころから慣れてきたタケジは、齢の離れた姉の“お嫁入り”のときですら、
お祭りに行くときみたいに、はしゃぎながら。
姉が吸血鬼とふたりきりでこもった家の離れの前庭で。
兄になるひとに、コマ遊びをせがんだものだった。

こんどはうちのタダヒコと、貴方がコマ遊びするんだね。
兄さんとコマ遊びをした話、アケミはだれからきいたのだろう?
兄嫁が初めて犯されたあの日のように。
こんどは立場が入れ替わりになって、
俺と彼女の弟とが、コマ遊びをするのだろうか。
そういえばあのとき、ヒロオ義兄さんは、得意だったはずののコマの手元を、狂わせっぱなしだったっけ。
俺、コマのやり方なんかもう、憶えちゃいないよ。
タケジはぷっとふくれて、そっぽを向いた。

いよいよその日。
まだ小学生のタダヒコにも、家のなかのただならぬ気配を感じ取ったらしい。
こいつまでコマをもつ手が、震えてやがる。
自分のコマがちっとも回らないで、すぐに地べたに意気地なく転がるのをよそに、
タダ坊のコマがすぐにへりを地面につけてしまうのが、ひどく気になっていた。
こういうときは、俺が負けなきゃいけないんだけどな・・・
とつぜん手からコマを取り落としたタケジを、タダヒコはふしんそうに見あげた。
タケジ兄さん、どうしたの?
障子の向こうから洩れたかすかな声を、稚ない義弟は聞き洩らしたらしかった。
吸血鬼に初めて女にされた許嫁は、そのつぎの日も紺の制服に身を包んで、百貨店の看板娘を演じていた。
赤いチョーカーの下、紅くつけられた痕跡を秘めながら。

十年後。
ひと昔を経ていっそう古みを増した障子のまえ。
青年になったタダヒコあいてに、タケジは数年ぶりに、コマ回しをやっている。
タダヒコのコマ遊びの相手、貴方お願いできるかな?
もうじき結婚十年になる妻のアケミは、あっけらかんとそういった。
あいつも未来の花嫁の初体験で、ジリジリしたいみたいなの。
たくまぬ言葉に、秘められた意味に。
タケジのほうが、どきりとしていた。
かつてツヤツヤと透きとおっていた血色のよい頬は、肌の滑らかさをいっそう輝かせて。
あのときとは別人みたいな、大人の色香を漂わせていることを。
本人はどれほど、気づいているのだろう?

しくじったはずみにすっ飛んだコマが、離れの縁側に跳ね返った。
アッ、いけねぇ・・・
タダヒコは頭を掻き掻き、コマを拾って。
拾いついでに障子ごしに耳を近寄せどきりと顔色をかえたのを。
大人になったタケジは、見ないふりをしていた。

新婦が白無垢のすそを紅く染めたすぐ隣室に。
古びた緑のパンプスが、ちょこんと置かれている。
パンプスのなかには、脱がされた肌色のストッキングが、ふやけたようになって押し込められている。
障子ごしにかすかに洩れる、うめき声の主は。
いまごろムチムチと熟れた生足を、ばたつかせているのだろうか?
とざされた障子のむこう。
気品を脱ぎ捨てた女がかつての情夫と睦んでいるのを、タケジはうっそりとした昂ぶりを込めた瞳で、見とおそうとした。
果てのないほど澄みとおった、蒼い空の下。
密室のなかで裸体をさらけ出す女たちに、夫や未来の花婿は昂ぶりをひた隠して、コマ遊びに興じている。

慰問団の人妻

2011年04月19日(Tue) 07:41:34

白一色の着衣に、ストッキングも白。
それが久美子たち慰問団に要求された服装だった。
慰問先は吸血鬼のいる村で、慰問の内容は血液の提供。
そんなおどろおどろしい内容の仕事を、久美子が希望したのは。
その村に出張で出かけた夫の初夫が、毒牙にかかりながらも幸い生きて戻ったことからだった。

集められた女性たちは、だれもが白一色の衣装。
陽の光に目映い彼女たちの姿を、家族たちはいちように、手を合わせる想いで見送っていた。
家族を同伴すると、その場で貞操まで要求されてしまう。
そんなまことしやかなうわさから、さいしょの訪問には同行しようとする家族はいなかったのだ。

薄暗く照明を落とした、広い病室に、一列に並んだベッド。
そのうえに、彼女たちはひとりひとり、腹ばいをさせられた。
ふくらはぎから吸血されるという説明に、だれかがひっそりと、ため息を漏らしていた。
ベッドの真上を横切るカーテンレールから垂れさがるカーテンは、
女たちの身許を明らかにさせないために、供血者の足許にうずくまるであろう彼らから、上半身の視界を遮っていた。

久美子が寝かされたのは、入口からみていちばん奥から三番目のベッドだった。
ふっかりとした布団のうえ。
居心地悪そうに身をすくめた久美子は、シーツを通して反響してくる心臓の鼓動に、かすかな慄(ふる)えをおぼえていた。
無言の行列が、病室の奥まで達して。
おそらく表情まで消しているのだろう。
訥々とした先導者の注意だけが、吸血鬼たちと女性たちの鼓膜を、通り過ぎていった。

吸血のために許された時間は、三十分。
制限時間になったら即座に、退去の号令がかかるので、厳守すること。
時間内であっても、供血者の生命に危険が生じる量を摂取することは、厳禁。
カーテンをはぐって、相手の身許をさぐることも、厳禁。
供血者は苦痛を感じた際には、枕元のブザーを押して係員を呼ぶことができる。その場合吸血行為は、無条件に中止される。
やけに窮屈ね。
血を吸われる側の久美子がひそかに同情を覚えるほど、注意の内容は微に入り細を穿っていた。

吸血鬼がそろそろと、足許にかがみこんでくる。
どんな相手なのだか、無表情に白いカーテンの向こう側は、いっさいの想像力を遮断している。
久美子は本能的に、脚をすくめて身構えた。
足首がつかまれ、薄手のストッキングがかすかによじれる。
ためらいながらの所作が急になったのは、そこからだった。
もうたまりかねた、というように、ふくらはぎに唇が吸いつけられたのだ。
夫の血を吸ったやつと、同じひとかも・・・
ありえなくはない直感に、久美子は慄えた。
ストッキングごし這わされる唇は、かさかさと干からびていた。
上下になぞるように、ゆっくりと。
かさかさの唇は、うるおいを求めてゆく。
いつ噛まれるか。いつ痛みが身体を痺れさせるのか。
そんなドキドキの、一瞬、二瞬。
けれども相手の男は、なかなか久美子の脚に噛みつこうとしなかった。
しばしのあいだ、しつようないたぶりが、ストッキングのうえから加えられたのだった。

あの。
不用意にあげた声に、久美子はしまったと思ったけれど。
自分でも不思議なくらい、よどみなくつづけていった。
お時間、限られていますのよ。そろそろ召しあがらなくても、だいじょうぶなのですか?
周りからはさかんに、ちゅうちゅう、キュウキュウと、生き血を吸いあげる不気味な音に満ちている。
女性の側からの問いかけは、自由とされていた。

男はなおも、無言だった。
かさかさだった唇は、いつか唾液を帯びて来て。
なよなよとした薄手のナイロンを、じっとりと濡らし始めていた。
久美子の穿いているストッキングがねじれてしまうほど、くまなくよだれをしみ込ませてから。
男はおもむろに、牙を突き立てる。
ふくらはぎのいちばん肉づきの佳い、柔らかそうなあたりに だった。
久美子は歯を食いしばり、枕にしがみつくようにして、初めての痛みに耐えた。
ちゅうっ・・・
耳の奥に残る、さいしょの吸血の音は。
長く彼女の記憶に残った。

ちゅうちゅう・・・
キュウキュウ・・・
ごくり。
周囲からあがる、耳ざわりだった吸血の音が。
すっかり久美子のなかで、違和感のないものになっている。
ぱりぱりと他愛なく裂けてしまった白のストッキングが、まだ足許に残っていて。
素足同然になるまで食い剥かれた脚は、淡いナイロンの緩やかな束縛のなかから抜け出して、
しなやかな素肌が、飢えた唇に、じかにあてがわれてしまっていた。
男はきょうのパートナーを、慕うようにして。
幾度も唇での愛撫をくり返したが、
ルールを守って、とうとう彼女の上半身には、いちども手をかけようとはしなかった。
おそらく、こういう場に慣れているのであろう。
せめてもの慰みにと、噛みつく前にたっぷりと、女の装いを辱めて愉しんだのにちがいない。
ほぼ的確な推測だったのに、久美子は男の行為を忌もうという気分になれなかった。
吸血鬼の毒に、冒されてしまったのだろうか。
そういえば村から戻った夫もまた、自分の血を吸ったものたちについて、いっさい非難がましいことを口にしなかった。
久美子が帰宅すると、夫は彼女を優しくねぎらい、冷えかけた身体をいたわるように、暖かいバスタオル、そして抱擁で包んでくれた。
久しぶりの夫婦らしいひと刻に久美子は陶酔し、じぶんの身体が日常を離れて女に戻ってゆくのを実感した。
次回の募集にも応じるつもりだと告げても、夫も彼女の言に異論を唱えようとはしなかった。

吸血鬼と人間とが平和裏に共存するために、つくられた関係。
人間はいくたりかの人身御供を提供し、吸血鬼どもは生命の保証と引き替えに、提供された供血者たちに群がってゆく。
見返りに与えられるのは、村に直行するマイクロバスと、迷惑料と称して支給される、少額のお金。
脚を吸われることから必然的に汚損されるストッキング代に、おつりがくるていどのものだった。
生き血を吸われることに対しては、なんらの対価も払われない。
金のために売るようで、あまり高額な対価はいただけない。
送り出す夫の側には、そう口にして。
自分の妻に身売りさせるようなことをいさぎよしとしないものが、多かった。
痛い思いをするだけの、そんな無償の行為に対してリピーターが多いのは、不思議といえば不思議だったが、
久美子自身がなんらの違和感なく、第二次の献血訪問に応じてしまっていた。

おなじかたですね?
こんどは病室の中央のベッドだったのに。
ストッキング越し這わされた唇のしつようさに、久美子はつい、声をあげてしまっていた。
ええ、どうやらそのようですね。
顔を見なくても、わかるのですか?
ええ、脚の格好とか、なんとなくの雰囲気でね。でも選り好みは本来、禁じられているんです。
若いひとにばかり、人気がいってしまうからですか。
そうとばかりは、いえませんね。
吸血鬼の言い草に、久美子はかすかな同意をおぼえた。

帰りのバスを待つあいだ。
供血者が希望すれば、自分の血を吸った相手と顔を合わせることができるのだが。
前回の帰り道。
自分の母親ほどのおばあちゃんが、自ら面会を求めていって。
母子ほども齢の離れている若い吸血鬼あいてに、ころころと笑いこけながら。
帰り道のために脚を通した肌色のストッキングを、噛み破らせてやっていた。
主人になんて、言い訳しようかしら?って、いいながら。
自分の生き血が、若い吸血鬼を魅了したことを、無邪気なまでに誇っていたのだ。
さすがに久美子にはまだ、そこまでする度胸はない。

痛くはないですか?
吸血鬼が声をひそめて、気遣う。
おなじようなやり取りが、隣でも、奥からも、囁かれているらしい。
つぶさに内容までは、聞き取れないまでも。
互いに気遣っているらしい雰囲気が、語調のはしばしから窺えた。
いいえ。
久美子は枕のうえ、かぶりを振る。
むしろ、キモチいいみたい。
くすっと笑うゆとりができたのは、相手の紳士的な声色のせいばかりではなかった。
足許からしみ込まされた毒液は、
噛まれることによる苦痛を、甘美なものへと変えていた。
遠慮なさってる?ストッキング、もっと破いてもよろしいんですよ。
久美子はわざと、つま先までピンと伸ばして、しなやかな履き心地のするナイロンストッキングを破くよう、相手にすすめていた。

つぎに来るときは、入口から三番目のベッドに寝ますね。
でも、お気づかいなく。もっと若いひともいらっしゃるみたいですから。
ほかのかたの血をお愉しみになりたいようでしたら、
どうぞご遠慮なく、べつのかたを選んでくださいね。
そういったはずなのに。
三度目の訪問で、久美子がふくらはぎに感じたのは。
やはりおなじ相手の唇だった。
月をまたがずに三度にもなる供血が効いているのか、男の唇はうるおいを帯びていて、柔らかだった。

ストッキングをイタズラされても、お叱りにならないのですね。
厭ならはじめから、応募などいたしませんわ。
どういうかたなのですか?
夫がこの地にお邪魔したのです。でも、生きて帰していただけたのです。
そうですか。まぁ、ここの住人はみだりに人をあやめませんからね。
男はよどみなく、久美子のやり取りに興じながら。
血を吸い取るやり口も、手を緩めようとはしなかった。
貪婪なまでにむさぼられた足許からは。
いままで以上にグッと薄い白のストッキングは、みるみるうちに剥ぎ堕とされている。
カーテン、開けて。
久美子はうめくように、囁いていた。

カーテンを開ける、ということは。自分の身許をあきらかにするということ。
村と都会の距離的な隔たりが、彼女の気持ちを軽くしたのだろうか。
どうやらそれだけではない。
吸血鬼が初手からみせた、親近感に。
いつか彼女も知らず知らず、応えはじめるようになっていた。
やっぱりお若いかたなのですね。
白髪をふさふさとさせた、老吸血鬼の面ざしには、想像したとおりのしみ通るような温和な笑みがあった。
思ったより齢を召しているような・・・
久美子は初対面のそんな感想を、ひそかに胸の奥へとしまい込んだ。
お齢を召していらっしゃるようにみえるのは・・・血の差し上げ方が足りないからだわ。
首筋からも、どうぞ。
久美子の口許からそんなことばが、ごくしぜんに洩れていた。
男が、いなやを言うはずはない。
くちゅっ。
なま温かいよだれがはぜた、白のブラウスの襟首に。
ぬくもりを帯びたバラ色のしずくが、つつっと撥ねた。

寄って行かれますか?
先導者が意味ありげな微笑を湛えながら、バス乗り場間近の古びた家屋を指差した。
なん人かの参加者が、すでに家屋のなかにいた。
人妻や、婚約者のいる女性も、そのなかにいたはずなのに。
パーテーションだけで区切られているという薄暗い大部屋から洩れて来る声は、
ただならぬ色香を、秘めている。
夫にわるいですから・・・
ほほ笑む久美子に、先導者も、老吸血鬼も、物足りないほど無理強いをしなかった。
代りにもう一足、履いてあげますね。黒はお嫌いかしら?
息を詰めて見守る男たちのまえ。
久美子は素足だった脚を、ピンと伸ばして。
なまめかしく、彩っていった。
次回もぜひ、いらしてください。
貴女がいらっしゃらないのであれば、私も参加を取りやめますから。
老吸血鬼の声色には、真実味がこもっていた。
ゆっくりと頷いた人妻は、妖しいまでに裂き散らされた黒のストッキングに彩られた足許を、まるで自分の脚ではないかのように、満足そうに見おろしていた。

なん回めかの供血ツアーに、見送りに来た夫の初夫が、めずらしく余所行きのなりをしている。
どうしたの?
見咎める妻にたいして、こともなげに。
いっしょについていくよ。お相手の吸血鬼氏にも、ごあいさつを言いたいからね。
え、だって・・・
言いさした久美子は、つぎのことばを飲み込んだ。
夫はなにもかも、知っているはず。わたし以上に・・・
血を吸われて戻ってきた夫はきっと、助命と引き替えに、都会妻のうら若い生き血を約束したのだろう。
売られた・・・という感覚は、もはや久美子にはなかった。
行きましょう。
吸血鬼に選ばれた女は、ゆとりをたたえた笑みを浮かべながら、夫の掌を握りしめる。
わたし・・・あなた以外の男性を、識ってしまうのよ。
妻の囁きに夫は、ゆっくりと頷いて。囁き返している。
いままでひとりを守ってくれたことに、感謝しているよ。―――わたしも彼も。
やはりあの老吸血鬼は、夫の生き血を餌食にした本人なのだ。
久美子は初めて、確信した。
夫婦で仲良く、しましょうね。あのかたと―――
賢明な妻は夫のプライドを矯めるように、行く先で強要される行為を、柔らかな言葉でくるんでいった。
妻と同行をした夫は、供血の相手に要求されるまま、妻の貞操をもねだり取られてしまう。
そんなルールを、彼が知らないはずはなかったのだから。

うぅん。・・ううん・・・
隣のベッドのうえ、ロープをぐるぐる巻きにされて転がされた初夫は、声を洩らして呻吟している。
なにしろすぐ横のベッドでは。
妻の久美子が男にねだられるまま、ブラウスの釦をはずし、おっぱいをあらわにしてしまっているのだから。
むしり取られたブラジャーは。
夫のほうへと、投げられて。
断たれたストラップが長々と、初夫の肩先に垂れていた。
はらませてしまうかもしれないよ。
男がイタズラっぽく、初夫をうかがうと。
夫婦はお互いを見やりながら、やや不揃いに声を合わせて。
どうぞ・・・
口々に、応じてゆく。
十年連れ添って子供がいないのは、わたしに原因があるのですから。
無精子症と診断された夫は、ほんとうは子供がほしかったらしい。
柔らかな襞の奥深く突き立った、淫らな肉の牙に、潔い処を踏みしだかれながら。
久美子は体内に注ぎこまれる粘液の熱さに、すべてを忘れて口走っていた。
もっと・・・もっとォ・・・

許婚の親友

2011年04月19日(Tue) 07:17:53

いちどでいいから、彼女の履いているハイソックスを、脚に通してみたいな。
ふと漏らしたひと言に、あいつは愉しげにくいついてきた。
ふん、相も変わらず変態だな。よかったらおすそ分けするぞ。
えっ、どういうことなんだ?
俺は思わず、色をなした。

あいつにヘンタイなどと、言われる筋合いはない。
なにしろあいつは吸血鬼で、自分が血を吸った女の履いている靴下をコレクションしているのだから。
憤然として向けた、問いの矛先を。
あいつは至極、余裕たっぷりに受け流す。
ああ、気が向いたら時々・・・ね。
なんて、うそぶいたものだ。

血を吸った相手の身もちさえ察してしまう。そんなあいつの習性を知りながら。
俺は訊かずには、いられなかった。
かえってきたこたえは、いうまでもない。
超やりまんみたいだぜ~?
冷やかしじゃないか・・・
げっそりとした俺を、慰めるように。
あいつはひどく、柔らかな声色で。
囁いたものだった。
貴様の許嫁も、やりまんにしちまったんだったな。
そう。春に結婚を控えた婚約者の和美さんは、
いまではあいつの、血の奴隷にされていて。
獲物を分かち合う気持ちのつよいあいつのために、
きょうもべつのだれかの相手をしているに違いなかった。

婚約者がいる身で、べつの女の靴下を気にするなんて、感心しないな。
あいつは、もっともらしく肩そびやかしながら。
それでもひと言、呟いたのだった。
まぁ・・・女の靴下を履くくらいだったら、浮気のうちには入らないだろうし。
まだかわいいものだな、和美さんのしていることに比べたら。
あぁ~っ!
ついつい、大声を出してしまった。
はじめてあいつに首すじを噛まれたときと同じくらいに。

男の血は、趣味じゃないんだ。ただ・・・喉が渇いていたんだね。
お母上の血が美味そうだとわかったのだけは、収穫だったかな。
家族どうしの血の味は、けっこう似通うものだからね。
あいつがもの欲しげに、自分の唇を撫でるとき。
俺の肉親は、ひとりまたひとりと、あいつの毒牙にかかっていった。

安心するがいい。和美さんをあんたから、しんそこ奪い取るつもりはないんだ。
あの娘はいまも、あんたの嫁になる気でいるらしいからな。
それで、気になる別の御婦人のことだが。
ほれ。
目のまえにぶら下げられたのは。
たしかに彼女が履いていた、たてじまもようのハイソックス。
黒地のしっかりとした生地に浮き上がる、大小の噛み痕は。
彼女のふくらはぎ、思ったよりも筋ばっていたな。
でも噛み心地は、抜群だ。

俺の唇の奥深く。生え初めた牙が、疼きだす。
そう、俺もひとのことを咎めることのできない半吸血鬼。
日常は人として生きて、血を求めるものたちの相手をし、
そのうえでだれかの血を求める、渇いた存在。
好きにすればいい。あした、連れて来てやろう。
なにしろあの女は、あんたの和美の親友なんだからな。

いけない恋を成就させようとしてくれているのは。
和美についての、罪滅ぼしか。
はたまたなにか、もっといやらしいことをもくろんでいるのか。
おそらくきっと・・・後者だろう。
そうわかっていながら、強く強く頷いてしまっている、いけない俺。
いまの頷きの強さはきっと、
あんたの和美を、襲わせてくれ。
あのいけない囁きのときに応じた、呪わしい頷きとおなじくらい、妖しかった。


あとがき
すこし以前に描いたものですが。
かなり中途半端ですね・・・ (^^ゞ

彼女のハイソックス

2011年04月19日(Tue) 07:12:29

デニムの半ズボンやスカートの下。
ぼくは、ライン入りのハイソックス。
彼女は、ひし形もようのハイソックス。
手をつないで目指すのは、彼の待つ緑の原っぱ。
透き通る青空と、眩しく輝く太陽の下。
昼間だって、平気だよ。きみたちがついていてくれるなら。
喉をからからにした彼は、そういいながら。
腹ばいになったぼくたちの足許に、順ぐりにかがみ込む。
彼女の足許に吸いつけられた唇に、ぼくは嫉妬を覚える。
きみというやつは、こんなにも熱く、彼女のふくらはぎも吸うんだね。
こんなに趣味悪く、彼女のハイソックスも噛み破るんだね
こんなにしつっこく、ぼくたちの若い生き血を、吸い取るんだね。

手をつないで見上げる、星空の下。
夜ならオレに、任せろよ。
彼はえらそうに、そういって。
ぼくは、彼女から借りた、ひし形もようのハイソックス。
彼女は、ぼくから借りた、紺色のハイソックス。
赤黒く濡れたひし形もようを撫でながら。
彼女が彼に制圧されて、組み伏せられて。
ぼくのハイソックスがずるずると、彼女の脛からずり落ちるのを。
胸焦がしながら、盗み見る。
ぼうっとなった理性かげで。
焙られるような焦りをおぼえていた。
目のまえで。
侵されてゆく白い素肌ごし、そそぎ込まれてゆく毒液が。
彼女の理性を淫らに変える。

申し合わせたような、黒のスーツの下。
彼女は、なまめかしく透きとおる、墨色のストッキング。
ぼくも、おなじ色あいの、薄手のハイソックス。
スラックスから覗く、女みたいに透けるぼくの足首を。
彼女はからかうように、くすっと笑う。
並んで仰向けに寝かされた,彼の邸のベッドルーム。
ズボンを脱がされて、女みたいだってからかわれながら。
彼は墨色に透けたぼくのふくらはぎを、
たんねんにくまなく舐めまわしながら、
若い血液を容赦なく、抜き取っていった。
そのほうが・・・きみもかっこがつくだろう?って、からかいながら。
身体じゅうを支配する、脱力感と。
未来の花嫁の純潔を、目のまえで汚されてしまうという屈辱と。
なにやら妖しげに、焔のようにくゆらぐ淫らな予感。
それらがごっちゃになって、ぼくはただドキドキと胸はずませながら。
彼と彼女の逢瀬を、気絶したふりしながら、盗み見る。
迫られた彼女は、あれよあれよという間にスカートをたくし上げられていって。
あのなまめかしいストッキングを、ぼくのハイソックスとおなじ丈までずり降ろされて。
身を揉んで羞じらいながら、彼のものになってゆく。

手をつないで歩いてゆく、彼の待つ草むらで。
ぼくは、とっておきの薄々な黒ストッキング。
彼女は、赤と黒の鮮やかな、しましまもようのハイソックス。
大胆なダイヤ柄に透けるぼくの脛を、そっと見て。
彼女は輝くように、笑っている。
どっちに欲情するかな?彼ったら。
あれ以来、色を深めたようにみえる、彼女の眸。
嫉妬しているのはどうやら、ぼくだけではなかったらしい。
あたしが具合のわるいとき。
あなたはあたしの身代わりに。
あたしの服着て、彼と逢って。
そういう約束に、彼のまえ。指きりげんまんをすると。
じゃ、そろそろはじめようか?鬼ごっこ。
にまにまとイタズラッぽく笑んだ、彼をみて。
きゃあ~っ!吸血鬼だわーっ。血を吸われちゃう~っ。
彼女は大仰に、声張り上げた。
だれ聞き咎めるものもいない、原っぱだった。
彼女のデニムのスカートも。
彼女から借りた、礼装用の黒のスカートも。
等しく、草切れまみれになって。
やっぱりぼくたちには、野っ原が似合うんだね。
息も絶え絶えになるほど、吸われながら。
仰向けになったまま、彼女と手を握り合っている。
おやおや、仲がよろしいのだね?
冷やかす彼に、顔窺われて。
彼女は気丈にも、ジョークで反撃をする。
そうなの。なかがいいの。って。
めくり揚げられたデニムのスカートから覗いた太ももが、
灼きつくほどの陽に映えて。
健康な若さを輝かせながら。
淫らな精液に、まみれていった。

スラックスの下。

2011年04月19日(Tue) 07:08:09

スラックスの下の足首を。
ななめもようや、ダイヤ柄。はては無地のストッキング地の靴下で染めた男たち。
ビジネスソックスがわりに脚に通すのは、自分の妻の愛用の品。
そんななりをしていることに気づいた同僚たちは。
彼に黙認することになっている。
自由な外出、直帰。
何しろ彼は、老いても盛んな地元の男衆たちに。
妻をいま手ごめにされているはずなのだから。
持ち帰られれた、妻のストッキングを。
戦利品として、見せびらかされて。
精液の白く染み付いた記念品を、おすそ分けしてもらった夫たちは。
こんどはそれを脚に通して、出勤する。
足首を染める靴下に、ヘンな白いシミがついていたとしても。
だれもが見て見ぬふりを、決め込んでいる。
この事務所に居合わせている、誰しもが。
一度や二度は、経験していることだから。

喪服妻 血の饗応

2011年04月19日(Tue) 06:46:45

法事帰りの、黒の礼服姿のまま。
組み伏せられた妻は、憤然として。
主人を帰してください!
気丈にもそう、言い放っていた。
ああ そうするよ。よろこんで、そうしてもらうから。
羽交い絞めにした手は、ゆるまなかったものの。
妻を組み伏せた吸血鬼は、ひどくしんみりと声を落としてしまっていて。
さすがの妻も、ちょっとびっくりしたようだった。

あなたたちったら、仲が良かったはずなのに・・・
声を詰まらせる妻に、なんとかしてみせるとささやく彼は。
それでいてしっかりと、妻の首筋をねだっていた。
いちどだけですよ。
目を瞑った頤(おとがい)の下。
わたしの血をむさぼり抜いたものの白髪頭が、密着するばかりにすり寄った。
じゅうっ・・・
墓場おくりになるほどまでに、わたしを陶酔させたあの忌まわしい音が。
妻の理性までも、奪っていった。

ご主人の血は、おいしかったよ。
あんたの血も、じつにいけるよ。
おなじ血液型だったんだな。
優しいだんなに、気丈な奥さん。性格は、正反対なのに。
こんどはあんたの血を、ご主人に返してやって。
かならずかならず、ここに帰らせてあげるから。
きっと、きっとですよ・・・
妻は目を瞑ったまま、男に誓約を強いていく。
ごほうびをこんなにも、前渡しするのですからね。
ああ~、愉しまれちゃうっ。わかってるんだからっ。
いつか打ち解けた声色にもどった妻は、
ごほうびなんですよ。あくまでも。
そんなふうに、相手に釘を刺しながら。
漆黒のブラウスを、ほとび滴る血しおに濡らされるのもいとわずに。
薄墨色のストッキングに透ける両脚を、そろそろとしずかに、ひらいていった。

火の気ひとつない、薄暗い和室のなか。
妻は男の好みと知りながら、漆黒の礼服に身をかため、
禁じられた逢瀬を、愉しむようになっていた。
起き上がってくるのは、初七日のあした。
それまでは、親族にもご披露めされるな。
男のいうなりに、だまってうなずきながら。
長いまつげを、震わせて。
いやらしい。黒のストッキングの味比べを、なさるのね?
義母(はは)も義妹(いもうと)も、あたしの脚より格好がよろしくてよ。
なんの。貴女の脚は、わし好み。
男はかってなことをほざきながら、
筋肉質のふくらはぎに、むちっと噛みついていった。
わたしが覗いていると、知りながら。
きのうはただ受身にほどかれていった、漆黒のブラウスのネクタイを。
妻は自分からほどいていった。
男に気に入られた白い素肌を見せびらかすために。

斜めに陽の射す、和室のなか。
妻は初めて、色ものの服に身を包む。
初七日の法事のおわったあと。
脱ぎ捨てられた漆黒の礼服は、しつようないたぶりに着崩れさせられたあとだった。
男は父娘ほども齢の離れた妻を、横抱きに抱きすくめて。
カーディガンの二の腕を、たんねんに思いやり深く、撫でさすっていた。
我がもの顔に、襟首から這い込まされそうになった手指を、油断なくつまみ上げ、
妻は彼のことを、そっと睨む。
主人が戻ってきてからですよ。
知っているくせに。
奪われたキスに、むつまじく応じるようすを。
ふすま一枚へだてた向こうから、悔しく盗み見る。
あ~、妻が堕ちてゆく。気持ちをあいつに、奪われてゆく。
そんな想いと、裏腹に。
もっとして欲しい。
知らず知らず、女の立場にたってしまっているわたしがいた。

義母(はは)が、羞ずかしがっていたじゃないですか。
わざわざ義父(ちち)のまえで、あんなになさるなんて。
義妹(いもうと)だって、困っていたじゃないですか。
ずっと御覧になっていらした、キミオさんと。
秋には結婚が、決まっていらっしゃるのよ。
少数で行われた法事のあと。
お寺の離れにある別室で、齢の順に襲われて。
―――息子さんの血と、いっしょの味がいたしますよ。
―――ほんとうに味わい深い、お若い血だ。
母はそんなふうに褒められて、吊り上げた柳眉を和らげていった。
―――兄さんもこんなふうに、気前良くしてくれたのだよ。
―――黒のストッキング、お似合いですね。
妹もそんなふうに囁かれて、白い首すじをしたたる血を、指さきにつけて舐めはじめて、
お行儀悪いわって、母にたしなめられていた。
母も妹も、そんな言い草で迫られていって。
それぞれの配偶者のまえ、黒の礼服を乱しながら。
あれよあれよとうろたえる、夫や婚約者の面前で。
綺麗に陵辱を遂げられていた。
たぶらかされていた夫たちも。
帰り際には、男どうし照れ笑いを浮かべながら。
これからも、家内をよろしく。
父は、跡取りの仇敵で妻の恋敵になったはずの男と、握手を交し合ったし、
目のまえで処女を奪うなんて、あんまりですよ。
口では抗議をしながらも、未来の義弟も寛大で。
週になん回、逢うんですか?かち合わないようにやりましょうね。
あ・・・かち合っても愉しいかな? なんて。
いい気になりすぎて、妹にお尻をひっぱたかれていた。

こうこうときらめく、灯りの下。
三人で祝う、蘇生の日。
妻はおかえりなさいといって、優しく迎え入れてくれ、
紹介するわ、妾(わたし)このかたと、お付き合いしようとおもっているの。
わたしはむろん、ふたりを祝福して。
わたしの蘇生の日を、ふたりの記念日にすることに同意していた。
密通の記念日は、あなたの命日のつぎの日よ。
妻はイタズラッぽく、ウィンクを投げてきた。
三人きりの祝いの席の、クライマックスは。
対面を守るためと称して巻かれた、ロープの締めつけに呻吟しながら。
正装した妻の、陵辱を見守る儀式。
ご主人はとても、気前が良かったのですよ。
エエ、存じていますわ。わたくしの夫ですもの。
なにしろ自分の奥さんの身体まで、親友にプレゼントしちゃうくらいですものね。
真っ赤なタイトスカートの下、てかてか光る肌色のストッキングを、剥ぎ堕とされて、羞じらう妻。
わたしと彼とは、妻の両側から唇迫らせて。
両の頬っぺに、同時にキスをする。
あとは、オトナの時間だね。
好きにしたまえ。
理解ある寛大な夫を決め込んだ、わたしの目のまえで。
ぴったりとくるブラウスに、豊な輪郭を滲ませたおっぱいを。
彼はこれ見よがしに、撫でまわしていった。

あの・・・あの・・・痛くしないで下さいね。

2011年04月19日(Tue) 06:45:32

吸血鬼の小父さんに、迫られちゃった、美奈代ちゃん。
あの・・・あの・・・痛くしないで下さいね。
えっと。えっと・・・アキオくんには、黙っていてね。
うなずく小父さんのまえ、ふと目をそらした美奈代ちゃんに、
飢えた吸血鬼は、それっとばかりに飛びついた。「
きゃあ~っ。
白い頬を伝い落ちる、可憐な涙は。
うなじに食い込む牙の痛さから?
それとも、パパやママから伝えられた血を愉しまれる悔しさから?

きょうは、血を吸うだけじゃないのね?
後ずさりをした背中には、コンクリートの壁。
あの・・・あの・・・痛くしないで下さいね。
えっと。えっと・・・アキオくんには、黙っていてね。
うなずく小父さんのまえ、ふと目をそらした美奈代ちゃんを。
小父さんは我が物顔に、抱きすくめていった。
物陰からぼくが、嫉妬に満ちた視線を送っていると、知りながら。
ひいっ。
折り目のきちんとした制服のスカートのプリーツを、くしゃくしゃにしながら。
脛を透きとおらせている、黒のストッキングを、ずりおろされながら。
少女は初めて感じる痛みに、声をしのんで堪えている。
ああああああっ。
ボクが一番のりの、はずだったのに。
新婚初夜まで、とっておくはずだったのに。
むさぼられている。むさぼられちゃっている。
たくし上げられた、制服のスカートの奥。
ストッキングの裂け目から、白い脛を露出させながら。
幼馴染の美奈代ちゃんは、女の歓びを教え込まれてちゃっていた。

きょうも、学校からの帰り道。
ボクといっしょに訪れた、あの記念すべき草むらで。
真っ白なハイソックスの脚ばたつかせながら。
いやぁ~ん、エッチー!
はしゃいだ声を、わざとのようにあげながら。
助けを求めるように、チラチラ目線を送ってきて。
木に縛りつけられたボクが、ロープの束縛感に囚われているのを、
からかうように、見つめている。
あああああああっ。
美奈代ちゃんが、犯されちゃう。
ボクの未来の花嫁なのにいっ。
ボクは精一杯、地団太踏んで。
小父さんにプレゼントする獲物の価値を、半分意地になって、強調していた。

武家女房破倫絵巻

2011年04月19日(Tue) 06:44:27

キリリと結った日本髪の下。
鶴のような気品を秘めた白いうなじを、意地強くそらした女は。
紅色もようもなまめかしい、武家の若妻の装束に身を包み、
帯にさした懐剣を、金襴の包もろともそっと引き抜いた。
悔しゅうございます。切のうございます。
羞じらう口許を、袂に隠し。
切なげに震わせる長い睫毛に、かすかな涙を秘めながら。
座り心地悪げに腰を落ち着けた褥のうえ。
女は帯を、解かれてゆく―――


庭先を視るでない。
斧寺悠之進は、父の訓えのままに、庭から目を逸らしつづけた。
庭先で犯されている母、琴の姿を視るまいとして。
半刻ほどまえ―――
父はまるで、昼餉の支度を命ずるように、淡々と。
母の琴を呼びたてた。
琴よ、琴。十造の相手をいたすがよい。
十造と呼ばれたのは。
当家に永年仕える、身分賤しい下人。
父の声に、応じるように。
へへっ!大奥様を、頂戴できますンで?
父とはさほど変わらぬ年配に見える、白髪交じりの小男は。
庭の片隅に、表向き神妙に控えながらも。
陽灼けした頬を、好色そうに赫(あか)らめた。
よい、許す。
着流しを端正に着こなした父は、そのままスッと座を起って。
息子の悠之進ひとりを居間に残して、立ち去ったのだ。
決して庭先に、目をやってはならぬ。父はいずちにおっても、そなたを視ておるぞ。
男の覚悟を強いる強い語気を、嗣子の耳の奥に吹き込んでいった。

紫の単(ひとえ)に身を包んだ母は。
畳のうえ正座する息子のまえに、懐剣をしずかに置くと。
しずしずと縁側へと歩みを進めて、つつましやかな白足袋を、沓脱ぎ石におろしていった。
雨上がりの庭先に、膝をついて。
着物のすそを、惜しげもなく濡らすと
庭先に控える十造のまえで、たったひと言、囁くように―――
ふつつかですが、おいつくしみあそばせ。
気丈な声色で、そう告げると。
きりりと結いあげた日本髪の下。
鶴のように気品高いうなじを、スッと伸ばしたまま。
武家の妻女たるものが決してゆだねてはならない淫慾の猿臂に、
われとわが身を、ゆだねていった。

落花狼藉―――
そう呼ぶべきであろうか。
十造はふだんの卑屈なまでの鄭重な物腰をかなぐり捨てて。
母を相手に、気を入れて。
汚してやろう。狂わせてやろう。
そう言わんばかりに、むやみやたらと、血からまかせに。
ぐりぐりと彫るほどに、腰を使っている。
母の身に着けた端正な着物のすそを、泥まみれになるほどに乱しながら。
着物の奥深くに秘めた白い肌を、惜しげもなく陽射しのなかに曝しながら。
縁側の上と庭先の隅の関係が、いっきょに隔たりを喪って。
どうだえ?えぇ?どうだえ?ええ心地じゃろ?え?え?
組み敷いた女に、返答を強いていた。
目もくらむような凌辱を受けながら。
端然として。顔色ひとつ変えない母を。
悠之進は不覚にも盗み見て、
袴のすそを、抑えながら。
羞ずべき昂ぶりを、必死にこらえていた。


妙どのをお連れして。御家老さまのもとに、あがります。
琴が父のまえ、頭を垂れたとき。
つややかな黒髪のなかのいくすじか、白いものが交るのを。
夫も息子も、いたわりを込めた目で、見取っている。
気をつけてゆくがよいぞ。
父がいつもの静かな声で座を起つ母を送り出すと。
ふすまの向こうから神妙に目線を落とす新妻の妙に、悠之進もまた、無言で頷いて見せた。
御家老に奪われた、初夜の床のうえ。
屈辱に耐え、噛みしめられた唇は。
いまは不義の褥のなか、嫣然とした笑みをたたえるという。

代々、御家老に捧げつづけた、女の操―――
それはいったい、いつからつづいているのかさえ、さだかではない。
少なくとも父は、母との初夜の床を、御家老に捧げ奉っていたし。
分家をなした叔父もまた、長年連れ添った妻女の操を、ためらいもなく奪わせたという。
その忌むべきしきたりを、初めて母に耳打ちされたのは。
御家老がとりもった妙との縁談が成立した夜のこと。

お気の毒とは、存じますが。
妙どのの操は、悠之進どのおひとりのものとはなりませぬ。

引き締まった頬を、いっそう引きつめて。
つとめて無表情に語る母の感情を逆立てまいとして。
初めて耳にすることどもを、悠之進はひと言洩らさず、聞き取っていった。

まずはそなたが、妙どのをお連れするのです。
御家老は悠之進どのおひとりを、帰らせようとなさいますが。
決して逆らうことなく、お随いなさいませ。
そのうえで。奥の間の庭先にまわって。
いちぶしじゅうを、見届けるのです。
何ごとが、起こりましょうとも。手出し妨げは、無用のこと。
こう申せば、御家老さまが妙どのになにをご所望なのか、御賢察になられましょうね?
かくいう母も、御家老さまに。
あの奥の間にあがるたびに、そのようにされてまいりました。
輿入れ前から、懸想されておりましたのですよ。
妙どのにはわたくしから、よく言い含めておきましょう。
気丈な妙どののこと、けなげにお勤めを果たされましょうほどに。
年端もいかぬころより、妙どののことは、妾もよく存じておりまする。
されど、いかに武家の女とはいえ、初めて喪う操に、涙することもあるのでしょう。
悠之進どのはけっして、深い穿鑿をなさいますな。
それは女にとって、もっとも酷なこと。
あくまでも武家の作法と御心得あれ。


庭先から洩れる、かすかな嗚咽―――
悠之進はみごとに、耐えきっていた。
長年顔を合わせつづけてきた下人の十造が、母を汚すところを目の当たりにすることで。
辱めに歓びを覚えるすべを体得したことを。
理性では忌みながらも。
感性では受け容れ始めてしまっていた。
袴が乱れておるぞ。
妙を家に帰して、帰宅すると。
父がさりげなく、目くばせをした。
鷲摑みにし続けたはかまには、昂ぶりのあとがありありと残されている。
袴を濡らしたようじゃな。早ぅ井戸で、洗ってくるがよい。
父もきっと、かつてそうしたのだろうと。
そしていまでも折々、そうし続けているのだろうと。
袴を洗う手に力を込めながら、悠之進は確信した。
人目を忍ぶようにして、御家老のお邸にあがる母を。
いままでも、それとは知らずに、しばしば目にしているのだから。


悠之進どの、これを―――
御家老と二人きりになった、御用部屋のなか。
禿げかかった髪をかろうじて髷に結った御家老は。
いつもの律儀そうな面ざしのまま。
改まった口調になって。
このたびはご婚儀のこと、お祝い申し上げる。
上座を起って、悠之進のまえに手を突いて。
慇懃鄭重な会釈を送ってきた。
だれにたいしても、迂遠なほどに寛容で。
物腰柔らかく、だれをも傷つけまいとする配慮を忘れぬこの善政の体現者は。
裏ではひとの妻女を汚すことで、かろうじて心の均衡を保っている―――
それを知るのは、己と父のみ。
御家老は懐から、丁寧に折りたたんだ白足袋を取出すと。
おし戴くようにして、悠之進に手渡した。
妙どののお忘れものじゃ。
そういえば。
初めて操を汚した妙どのは。
足袋を着けずに沓を穿いていた。
かたじけない、の―――
紅い目をしてしばたたかれた御家老の目には、実が込められている。
夕餉の席。
今朝の御家老の目は、紅う御座いました。
母が座をはずしたとき、父にそう告げると。
なに、女ひでりであられるのだろうよ。
父は悠然と、懐から書き付けを取出した。
「琴どの、明日辰の刻」
とだけ、かかれていた。
御役目柄見慣れた、御家老の蹟(て)であった。
そなたはなんと、お応えしたのじゃ。
父の問いに、ためらないながら。
折々お導きくださいますように そう申し上げました。
父は黙っていたが。
穏やかにたたえられた笑みは、息子の応対を是としているようだった。


妻を寝取られるなどということは、武士にあるまじきこと。
されどそこまで許すということは、最上の礼節にも通じるのだと。
悠之進は、すでに体得しきっている。
妙どのも、懸想をされたのですね。
桜見物で若夫婦を祝いたいという御家老の誘いに、妙を伴って出かけるとき。
悠之進は母に、白い歯をみせる。
御屋敷のお庭の桜。綺麗でしょうねぇ―――
母は遠いものを見遣るような目で、ほほ笑んだ。
妾が若い時分ですから、もう大昔のことですが。
お父上とごいっしょに、御家老さまに春を祝っていただいたのですよ。
桜と泥が、晴れ着のあちこちについて、あちらで召し物を着替えて戻ったものでした。
妙どのにもきっと、新しいお召し物を頂戴できますよ。
御家老さまは、それは長くて激しゅうございますものね。

お出かけママのストッキング選び

2011年04月19日(Tue) 06:41:21

吸血鬼さんは、どんなストッキングがお好みかな?

真っ白なやつかな?それとも、黒?

柄ものって、どう思う?それとも、てかてかしたのがいいのかな?

持ってるんだよ。てかてかのやつ。一足だけだけど。

パパに内緒で、穿いてあげようか?



真っ赤なワンピースのママは。

いつもよりウキウキとしちゃっていて。

上目遣いの流し目で、吸血鬼の小父さんに話しかけている。

ドレスってわけには、いかないけれど。これ、取っておきの服なんですよ。

腰をふりふり、思わせぶりな足取りで。

モデルさんみたいに、くるりと一回転まわってみたりしちゃっている。

ああああああ。

これがボクの、ママなのか?

干からびかけて痩せこけた小父さんのまえ。

輝くような白い肌。血色あふれるふくらはぎ。

ボクにだって、おいしそうにみえるもの。



仲良くなった小父さんに、好物の血をあげるようになって。

そのうちボクの血だけじゃ、足りなくなっちゃって。

そうしたらママが、声かけてきて。

知っているわよ。逢っているんでしょう・・・?

逢うたびに噛み破らせてあげている、ボクのハイソックスの代わり。

ママは肌色のパンストを、小父さんに噛ませちゃっていた。

う~ん、思ったよりは、いいかんじ♪

吸い残したバラ色の血がしたたる首筋の白さに、息子のボクまでドキドキしていた。



いいわよ。さ、噛んで♪

差し出されたママの脚。てかてか光る肌色のストッキングが、とってもいやらしい。

小父さんはためらいもなく、くちゅっと唇吸いつけて。

ぐにゅぐにゅといたぶられたストッキングは、みるみるよじれてしわを寄せる。

ああ、ふしだらな。ふしだらな。

ママがパパに内緒で、ストッキングの脚を小父さんに吸わせちゃっている。

それを覗いているボクも、やっぱり同罪?

だって、パパに言いつけるつもりなんか、さらさらないんだもの。

パパのことは、大好きだけど。それとこれとは、べつのこと。



きょうはどんなのを、穿いていこうかな?

アキオ!あんたもぼさっと見てないで、ちょっとこっちへ来なさい。

このスカートには、どれが似合う?

ダイヤ柄の黒?バックシームいりの黒?それとも無地の黒?

小父さんはどうやら、黒もお好きらしい。

じゃあきょうは・・・これ。

ボクが指差したのは、ななめもようの黒だった。



ごめんね、パパ。

小父さん、ママの血が気にいっちゃったみたい。

でもほんとうは、知っているんだ。

ほんとうはパパは、すべてわかっていて。

あとでこっそり、ママの破けたストッキングを、小父さんに手渡されているんだって。

なんか、やめられないんだよね・・・

2011年04月19日(Tue) 06:40:09

なんか、やめられないんだよね・・・

そういってマサオくんは、きょうもお気に入りのハイソックスを脚に通して。

ひざ下まできっちりと、引きあげて。

吸血鬼の待つ公園へと、出かけてゆく。

そうだね、いちど知っちゃうとね・・・

そういうボクも、マサオくんと連れだって。

いつも学校に行くときに履く紺のハイソックスを、ひざ下まで引き上げて。

肩を並べて、出かけていく。



痛~っ!いつもいつも、ひどいなぁ。

マサオくんは、非難の声をあげながら。

それでも苦笑いをして、もう片方の脚も、差し伸べてゆく。

学校に履いていけないじゃんっ。

ボクもちょっぴり、はしゃぎながら。

吸血鬼の小父さんが、紺のハイソックスに唇すべらせて。

よだれでぐしゅぐしゅにしちゃうのを、面白そうに見おろしている。

きのうこのベンチに座って、制服のスカートを抑えながら。

真新しい白のハイソックスに、赤黒いシミをつけられていった女の子たち。

お互いのガールフレンドが、小父さんに汚されて。

うっとりしちゃういちぶしじゅうを。

生垣のかげから、息を詰めて見つめたふたり。

明日はみどりちゃん、黒のストッキング履いて来るってさ。

マサオくんは思わせぶりに、そんなことを囁いて。

くすぐったそうに笑いながら、なおも唇を吸いつけて来る小父さんに。

こら。って言いながら。

男の子には珍しい、オレンジ色のハイソックスに。

綺麗なシミを、広げさせちゃっていた。

賭けをしよ。

2011年04月19日(Tue) 06:38:23

賭けをしよ。

この部屋ん中で、きみを襲うから。

うまくのがれ出られたら、ぼくの負け。

ぶっ倒れちゃったら、罰ゲームに、きみのハイソックスが真っ赤になるまで、血をもらうから。

悪友の言い草に、俺はどういうけかとても素直に、うんと頷いてしまっていた。



数分後。

もののみごとに、ぶっ倒された俺は。

スポーツ用のハイソックスに、吸われた血潮をじとじと濡らされていた。



罰ゲームは、まだつづく。

筋肉質な脚、しているんだね。つぎはきみの奥さんの、

柔らかなふくらはぎを頂戴したいな。



招ばれてやってきた、俺の女房は。

部屋のようすに、びっくりして。

あわてて逃れようとしたけれど。

すぐにつかまえられ、組み伏せられて。

うなじを噛まれ、おとなしくなって。

柔らかなふくらはぎを包む、なよなよとしたパンストを

むざんにぱりぱりと、噛み剥がれていった。

それは哀切な声を、洩らしながら。



罰ゲームは、まだつづく。

家路をたどる、俺たちは。

血だらけのハイソックスに、伝線したストッキング。

粗相をしたあとありありの短パンに、裏地に精液べっとりのフレアスカート。

そんななりで、歩かされる。

道行くひとの視線に、われとわが身を曝しながら。



罰ゲーム。罰ゲーム。

とても愉しい、罰ゲーム。

こんど賭けに誘われるのは、いったいどこの御夫婦なのだろう?

深夜帰宅の女房殿

2011年04月19日(Tue) 06:36:56

ただいまぁ~

夜更けに帰宅した女房は。

すっかり酔っ払っているみたいだった。

ふらつく足取りを、背後に控える男に抱きとめられて。

このひと、紹介するわ。お友だちの吸血鬼さん。あたし、血を吸われちゃった~。

あくまで能天気な女房は、このひとも家にあげていいかな?って、いいながら。

さっさとパンプスを脱ぎ捨ててゆく。



あーあ、あなたったら。まんまとこのひとのこと、家にあげちゃった♪

いちど家にあげるとね。いつでも出入りできるんだって。

鍵かけたって、ダメよ~。

だからあなたの留守中に、あたし家のなかで襲われちゃうんだよ~。

引っかかった引っかかった、とでも言いたげに。

つま先立ちで、跳ねまわらんばかりにして、イタズラっぽく笑う女房。

男ふたり、顔見合わせ合った吸血鬼まで、困った顔つきになっていた。



脚を噛むのが、好きなんだって。

だからほら、首すじのあとは。。。(って、うなじの傷を見せびらかして)

ほらー、ストッキング破かれちゃった♪

放恣に伸ばされた、形のよい脚のまわり。

肌色のパンストがちりちりになっていた。

エッチな眺め ですねぇ。

吸血鬼殿を、振り返って。

男ふたり、決まり悪そうに、苦笑を交わし合っていた。



シャワー浴びて来るね♪

あたしがあがってくるあいだ。

ふたりでなにか、お話してて。

お話・・・っていったって。ねえ。

男ふたりは、再び顔を見合わせて。

けれども人間と吸血鬼の語らいなんて、結論はひとつしか、ありえない。

30分後。

裸にバスタオルを巻いて現れた女房の足許に。

首筋から血を流したわたしは、ぶざまに転がっていて。

引きあげたスラックスの下、ひざ下まで伸ばしたストッキング地の長靴下を。

女ものみたいに薄いですねって、言われながら。

あちこち噛みつかれて、破かれていった。



ストッキングもう一足、サービスしてあげる約束なんだ♪

あなた、反対しないよね?

女房が脚に通していった、黒のストッキング。

喪服に黒ストッキングって、意外にやらしかったかなっ?

淑やかな装いのまま、組み敷かれていった女房は。

ああっ!

スカートの奥に忍び込まされた吶喊に。

思わず声を、あげていた。



もっと、もっと、もっとォ・・・

女房のやつ、我が家のリビングで、だんなのまえで。

破けた黒ストッキングの脚、ばたつかせながら。

エロビデオのヒロインに、なり下がっていった。

夫のわたしは、嫉妬に狂いそうになりながら。

不覚にも・・・恥ずかしいお漏らしをしてしまっている。

それくらい、女房の脚は、悩ましくって。

セックスするのと、おなじくらい。

セックスされちゃうことで、昂ぶってしまって。

男ふたりで、うちの女房の貞操を。

それは愉しく、弔っていた。



今夜もあいつが、訪ねて来る。

女房を犯しに、やってくる。

それなのになぜか、わたしは胸をずきずき、昂ぶらせていて。

先に襲われて、早く気絶しちゃってちょうだいね~。

勝手なことをのたまう女房を横目でにらんで、ちょっとふくれ面をつくりながら。

オードブルくらいには、なるだろう?って。

ストッキング地のハイソックスを、ひざ下ぴっちり、引きあげていった。

えっちな泥棒

2011年04月19日(Tue) 06:34:57

えっちな泥棒さんが、わたしのるす中やってきて。

居合わせた妻は、ぐるぐる巻きに、縛られて。

ことのついでにと、犯されていた。

それ以来。

縛られながらのセックスに目ざめた妻は。

わたしにロープを、おねだりするようになっていた。



つぐないを終えて、舞い戻ってきた泥棒さんは。

わたしのるす中、また現れて。

盗んだものは、みな返してくれたけど。

お礼をねだっていいかな?と。

ふたたび妻を、ロープでぐるぐる巻きに・・・

帰宅したわたしの目のまえで。

妻はもっともっとと、せがんでいた。



夫婦ながら、居合わせる夜も。

泥棒さんは、悪びれもせず現れて。

妻にロープを、かけてゆく。

すっかり慣れっこになった、SMごっこ。

泥棒さんは、妻の心と、貞操と。

ことのついでにわたしの理性まで、盗み取る。





あとがき

どろぼうは、犯罪です。良い子の皆さんは、絶対まねしないようにしましょうね。