淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
妹だけは、カンベンしてね。^^;
2011年12月30日(Fri) 11:12:10
え~。妹は、カンベンですよ。。
まだ子供だし。えっちなことは、早すぎるし。
それに痩せっぽちだから、ちょっと血を吸っただけで貧血でぶっ倒れちゃうよ~
いろんな言い訳考えたけど。
どれもがひどく無力で、説得力がないような気がする。
えっちじゃないよ。血を吸うだけだよ。
それに、血を吸える相手がひとり増えれば、ほかの人の負担も軽くなるから・・・って、
小父さんはきっと、ぬけぬけとそんなふうにうそぶくに違いないから。
母さんも。そのうえ彼女まで。
週に二、三回は、小父さんのために吸血の相手をしているけれど。
どういうわけか、妹を紹介するのだけは、気がすすまない。
いやもちろん、母さんや彼女を紹介するのだって、当然気がすすまなかったんだけど。
仲良しになった吸血鬼の小父さんは。
若い女の血を、やたらと欲しがる。
それはとうぜん、そういうものなんだけど。
献血だって割り切れば、どうってことないような気がするんだけど。
ちょっとやらしいな、って思うのは。
どういうわけか、脚を咬みたがること。
いや、首すじだって、じゅうぶんイヤラシイ感じは漂うんだけど。^^;
ハイソックスで咬み痕を隠せば、ふくらはぎを咬んでも見えないだろう?
太ももだったら、生脚のときだって目だたないだろう?
小父さんはそんなふうに、言い訳するけれど。
どうも、説得力がないような気がする。
だって。
めったに身に着けないスカートのすそを、ひらひらさせて。
母さんが小父さんに逢ってきたときは。
ストッキングに走る派手な伝線が、目のやり場にこまるほどふしだらな眺めをしていたし。
彼女の時だって、さいしょに襲われた法事の席では。
薄黒いストッキングにひとすじ走る裂け目が、脛の白さをあらわにして。
べそを掻いた彼女の顔つきよりも、記憶に鮮やかだったりしているし・・・
女子高生な彼女は、ふだんは紺のハイソックスだから。
咬まれた痕を隠すことができるけれど。
妹の場合、白のハイソックスばかり履いているから。
痕を隠すどころか、にじんだ血が目だっちゃうよ。
苦しまぎれに、そんな抗弁を試みたら。
小父さんは「そりゃそうだよね」って、拍子抜けするほどあっさりと、納得してくれた。
えっ。(・0・)
そこで、納得するわけ・・・? ^^;
でもきっと。そのうちに。
言い出すような気がしている。
ストッキングの伝線よりも。
真っ白なハイソックスに撥ねるバラ色のシミ・・・って、見映えがすると思わないかね?って。
たしかにそれって・・・見映えするかもね・・・(-_-;)
夕陽のなかで。
2011年12月30日(Fri) 10:32:49
丘のむこうに沈んでゆく、夕陽のなかで。
まるで影絵のように浮びあがる人影が、ふたつ。
少女は照れながら、スカートをたくし上げて。
オレンジ色の輪郭に包まれた脚の線を、むぞうさにさらけ出す。
肉づきのしっかりした足許にかがみ込んだ男は、
両手で押し戴くように、少女のひざを撫でまわして。
紺のハイソックスを、ゆっくりと引き降ろしていって。
ひっそりと、唇を吸いつけてゆく。
なぞるようなしつようさで這いまわる唇に。
少女は髪を揺らして、照れながら。
それでも男の行為を、やめさせようとはしない。
男がひときわ強く、唇を圧しつけたとき。
咬まれた瞬間の、かすかな身じろぎが。
長く垂らした髪を、ゆらりとさせた。
そのままの静止画像が、数秒、いや、数分―――
男は唇を放すと、ふたたび少女のハイソックスを引き上げて。
謝罪をする上目づかいに、少女は「いいのよ」っていうように、
軽く手を振って、制していた。
男は起ち上がると、少女の両肩を支えるように抱いて、
唇が触れ合いそうになるきわどい瞬間を、さりげなく受け流していった。
いつもどおりの無邪気な笑いがはじけ、少女は飛び退くように男から身を離すと。
軽く小手をかざして、男に手を振った。
男がそれに応えると。
少女はきびすを返して、いちもくさんにこちらに向かって丘を駈けおりてきた。
「待った?」
ふっくらとした頬を、ちょっとだけ蒼ざめさせて。
それでも無邪気な笑みは、消えていない。
思わずキスしたい衝動を、かろうじてこらえながら。
もういちど振り返る丘のうえに、男の影はもうなかった。
「怖かったから、振り切って逃げてきちゃったー」
全速力で駈けてきた少女はまだ、肩を息で弾ませている。
半分は嘘。でも半分はほんとうなのだろう。
ボクはあいまいに頷くと、
「帰ろ」って言いながら、さりげなく彼女の足許に目をやった。
ぶきっちょに引き伸ばされた紺のハイソックスが、ちょっぴりねじれている。
しなやかなナイロン生地の向こう側。
ふたつ並んだ綺麗な咬み痕が、さりげなく隠されているはず。
「もう~。なに見てるのよ~」
彼女はふくれ面もあらわにボクに抱きついてきて、
ボクは思い切り、頬ぺたをつねられた。
「手、つなご」
差し出された掌は、ボクの掌のなか、少しずつ体温を取り戻してくる。
無邪気に突き出されたはずの掌は、ボクの掌をせつじつに握り返してくるけれど。
彼女はなにも言わずに、あしたの部活の話なんかしかけてくる。
いつもこの時間に街をゆくお豆腐屋さんが、
―――よっ、仲良さそうだね。おふたりさん。
そう言いたげにして、自転車を揺らして通り過ぎていった。
あとがき
きのうチャットでお話したときに、こんな情景を描いてみました。
記憶を頼りに、リライトしてみます。^^
あ お話し相手は、男性のかたでした。^^
妄想?現実?
2011年12月30日(Fri) 03:06:16
処女の子を狙うなら・・・やっぱり中学生じゃないとダメかな?
高校生だと、たいがい経験済みだろう?
そんなことをうそぶく小父さんに。
高校生でも、そうでもないですよ だなんて、
うっかり口をすべらせちゃったボク。
ほんとうかい?
小父さんはとつぜん、色めきたって。
処女の生き血を吸いたいんだ。きみの仲良し、紹介してくれない?
ボクのほうへと、半身を乗り出して。ぐぐぐいっと、迫ってきた。
まるで自分が咬まれそうな気がして、へきえきしたけれど。
だれがいいかな?って、とっさに想ってしまっていた。
それはちょっと・・・というボクに。
だれが心当たりかな?って、小父さんは畳み掛けてきて。
まずいよそれは・・・っていうボクに。
だいじょうぶ。ちょっぴり血を吸うだけだから。^^って、うれしそう。
まずいよ。いけないよ。
そう言いつづけながら・・・
ボクはねっとりやんわりとした蜘蛛の巣みたいな言葉の罠に、おののきながら巻かれていった。
ハイソックスの子が、多いんだろう?高校生だと、紺のやつかな。
小父さんは訳知り顔に、そういった。
目印に、黒のストッキング穿いてきてもらおうか?
きみのまえで、びりびり破きながら、脚を咬んじゃいそうだな^^
え~~~
ボクはどぎまぎするばかり。
だれがいい?きみには彼女いるのかい?心当たりは、どんな子かな?
小父さんはあくまでも、性急だった。
わたしが血を吸う。処女もいただく。
そしてその子が、キミのお嫁さんになる。
そんなのは、どうかな?
小父さんの言いぐさは、じつに勝手すぎたけど。
え―――っ!?って抗議の声をあげながら。
なぜかちょっぴりまじめに、考え始めていた。
彼女なんか、いなかったけど。
とっさにボクの頭に浮かんだのは。
ひとつ学年が下の、色白のあの子。
妹みたいに思っていながら、声ひとつかけたことはなかったけれど。
母親同士が仲が良くて。
狭い村のなか、結婚式や法事の席では、時々顔を合わせるていどの関係だった。
・・・。
・・・。
いけないいけない。
いったいボクは、なにを考えているんだろう?
彼女とはあくまで、他人同士の関係のはず。
そもそも近づきようがないし、
近々行われる法事には、彼女も来るだろうけど。
そういう席だと、制服のスカートの下は、ふだん履きの紺のハイソックスの代わりに、
もしかしたら黒のストッキングとか穿いてくるかもしれないけれど。
いったいなんていえば、彼女は小父さんにストッキングを破らせてくれるのだろう?
おっと、いけない。また余計なことを考えちゃった。
とにかく小父さんに、ヘンに気を持たせたらまずそうだから、
とにかくとにかく、ことわってしまおう。
それで・・・法事の時にうまく取り計らってくれる坊さんなんか、いないのかね?
小父さんはなおも、話題に食いついている。
いるわけないでしょう?そういうボクに。
仲良しの母さん同士、さきに帰ってもらえばいいじゃないか、という小父さん。
だけど・・・血を吸わせちゃうのって、抵抗あるなあ。
しかめ面するボクに、
覗き見すると、ドキドキするかも。^^
小父さんはあくまで、能天気。
やっぱりボクも、お嫁さんの処女を食べたいよ。
本音を漏らしてぶーたれるボクに、
自分で食べるのも、ひとに食べられて羞ずかしがる彼女を視るのも、
いちどきりしかない機会だぜ?
小父さんはあくまでも、ボクの花嫁の処女を狙っている。
さいしょのときは、戸惑う彼女の足許にかがみ込んで。
黒のストッキングごしに唇吸いつけて、
すべすべとした薄手のナイロン生地を、ぬるぬるとしたよだれをしみ込ませていって。
だいじょうぶ。いきなり犯したりはしないから。
だって、処女の生き血は繰り返し、愉しまないとね。
それに、彼女がべそ掻いちゃったら、ちゃんと家まで送り届けてあげよう。^^
なんどか処女の生き血を愉しんだあとは。
ちゃんとキミに声をかけてから、彼女のスカートのなかを、いただくことにしよう。^^
そのときはパンストよりも、ハイソックスのほうが。
股を開きやすいだろうね?^^
小父さんのあまりにも勝手な言いぐさに。
つい、その情景を思い浮かべて、ドキドキしちゃっているボク。
いけない。いけない。妄想は、ふり払わなければ!
話す姑 話さない嫁
2011年12月28日(Wed) 08:00:49
はじめてあのひとに、咬まれたのは。
嫁が”献血活動”に励みはじめてすぐのころ。
夫ともども、咬まれてしまった。
嫁の若い肉体を目当てに家に出入りするようになったあのひとは。
わたしの熟れた血も、あてにするようになっていた。
咬まれていくうちに、ジンジンとした疼きがとまらなくなって。
気がついたら夫に、きょうは献血活動に行くから・・・そういって。
嫁と連れだって、お出かけするようになっていた。
もちろん、おめかしをして。
エッチな要求があることは、察してもいたし、覚悟もしていた。
主人のまえで血を吸われているときも。
あのひとはブラウスごしに、それはいやらしいまさぐりを忍ばせてきたから。
そして、さいしょのお出かけで、なんなく操を奪われてしまっていた。
主婦相手に、遊び慣れたひとだった。
わたしは夫に話をして、それから出かけていく。
きょうも、あのひとの好みの、薄い黒のストッキングを脚に通して。
帰宅した時、足許に妖しく流れるストッキングの伝線を、
夫は見るともなしに、視るのだろう。
嫁は息子に、なにも話していません、という。
羞ずかしいらしいのだ。
そういうものなのか。
わたしが齢をとったからなのか。
嫁のほうが純なのか。
わたしが夫に正直すぎるのか。
嫁は裏表のある人間なのか。
なにも知らない息子は、きょうも愛する妻に手を振って出勤していく。
そして、息子の足音が遠ざかったのを合図に、女ふたりは着かえをはじめる・・・
迷惑です。迷惑ですっ。
2011年12月28日(Wed) 05:53:48
迷惑です。迷惑ですっ。
嫌悪もあらわに訴えつづけるわたしは、ロープでぐるぐる巻きにされていて。
いけませんっ。いけませんっ。
身を揉んで訴えつづける妻は、ごま塩頭の年配男に、ブラウスのうえから胸を揉みしだかれていて。
イヤなんですっ。見逃してくださいっ。主人がいるんですっ。
訴えれば訴えるほど、年配男は薄笑いを深め、陽に灼けたほほを皺くちゃにする。
すなないねえ。あんたのご一家ととことん仲良くなりたいんだよ。。
花嫁姿の妹を、花婿のまえで手籠めにしたその男は。
夕べは酔い酔いになってしまった父の面前で、母を犯していた。
それでも、男に悪気はないらしい。
仲良くなりたいのだ。仲良うのぉ・・・っていいながら。
さっきまで弟のまえ、彼の婚約者の純潔を、すみずみまで愉しんでいた。
若けぇ女は、たまらんのう。って、いいながら。
奥さん、もう三度目じゃろ?ええかげんに見えっぱりはやめて、堕ちなされや。
諭すように言いながら、妻のスーツの背中をなぞる掌。
指の一本一本に、卑猥な力が込められている。
歯噛みして悔しがる妻。
けれども、逢うのはこの男だけとわかっていても、彼女は美々しく装っていたし。
よだれに濡らされるとわかっているストッキングは真新しかった。
ほんとうに・・・嫌なのだろうか?
そしてほんとうに・・・迷惑なのだろうか?
スキなく装った正装から、今夜も白い素肌がさらけ出されてゆく。
人気者
2011年12月28日(Wed) 05:05:59
ひなびた村には場違いな、洗練されたスーツ姿で。
田んぼのあぜ道は歩きにくい純白のハイヒールに、かすかな泥を撥ねかせながら。
笑いさざめいて歩く妻の周りには、村じゅうの男がひしめいていて。
それはもの欲しげに、洗練されたいでたちの華奢な身体にむらがっている。
女のそばに近寄ることのできない男どもは。
わたしの周りに輪を作っていて。
やっぱりもの欲しげな視線を、ワイシャツ姿の襟首に、痛いほど注いでくる。
それもそのはず、男ばかりのこの村で。
暖かい血を宿しているのは、わたしたち夫婦だけだったから。
なにかが、入れ替わった。
2011年12月27日(Tue) 08:06:34
なにかが入れ替わってしまった。
妹の結婚式のために訪れた、初めての街で。
ふとすれ違ったあのひとに、首すじを咬まれてしまってから。
つけられた傷口から、ぬるーっと抜き出される血潮のぬくもりが。
なぜかわたしのことを、うっとりとさせて。
理性が眠りについたのは、きっとその瞬間のことだろう。
ご気分は?
気遣わしげな相手のようすに、吸い尽くされる懸念が消えていた。
いいえ、だいじょうぶですよ。よろしければ、もう少しくらいなら・・・
上ずった唇が、相手にとっては美味し過ぎる言葉を、つむいでいた。
彼はどうやら、わたしの素性を知っている。
明日は妹さんの婚礼ですな。おめでとうございます。そうささやいたから。
奥さまの婚礼の席も、もうけたいと思います。せつに。
さいごの力をこめられた「せつに」のひと言に、わたしは唯々諾々と、うなずいている。
ごめんね。お兄さん。お義姉さんまで巻き添えにしちゃって。
処女の生き血をたっぷりとたんのうされた妹は、ちょっと蒼い顔をしていたけれど。
言葉はハキハキトしていて、よどみがない。
お母さんも、とっくなの。
よどみない唇が、同宿している両親のとんでもない関係に触れてゆく。
あのお父さんがよく、お母さんのことを許したね。
いまではお母さんが、吸血鬼のお相手をするときに甲斐甲斐しく尽くすのが、お父さんには自慢みたい。
兄妹のひそひそ声は、妻に届くことはない。
婚礼の席、なにも知らない妻は、都会ふうの洗練されたスーツに身を包んでいる。
黒のストッキングに染まった足許に、男どもの視線が釘付けになっているなどとは、夢にも思わずに。
角隠しをしたまま立ち上がった、妹は、ごま塩頭の村の顔役に手を取られて、おずおずと立ち上がる。
あの小柄な体内にめぐる血液が、男どもの欲情を満たすのか?
どうじにあたりは騒がしくなって、都会の女にはひとりかふたり、村の男が寄り添っていく。
都会の殿方はみなさん、薄い靴下を穿くんだね?
街角ですれ違った、赧(あか)ら顔の男はそういって、わたしのスラックスをたくしあげる。
めいっぱい脛に引き上げた靴下のうえからあてがわれる唇に、妻は凍りついたようになっていた。
さあ、つぎは奥さまの番だね。
薄いストッキングに穴をあけてもかまわんかね?
妻の意思は二の次だった。
わたしが無表情にうなずくと、それでも妻はワインカラーのスカートを、おずおずとたくしあげてゆく―――
うちの息子は、すばしこい。
2011年12月27日(Tue) 07:06:31
怒ろうとすると、もういなくなっているほどすばしこい息子。
すばしっこいのか、間合いの取り方がいいのか、たぶんきっと両方だろう。
クラス対抗のリレーの選手にもいつも選ばれるし、体格もがっしりしている。
いま暮らしているこの街に、吸血鬼が棲んでいる。
そう耳にしても・・・息子が毒牙にかかることは、まずないだろうと信じていた。
色仕掛けに弱いのは、ちょっと気になったけれど。
人の口にのぼるのは、男の吸血鬼ばかりだったし。
いちど公園で、それらしい男に逢ったって。
振り切って走り出したら、もう追いつけなくなっていたって。
ものの50mも走ったら、もう息をはーはーさせちゃってやがんの。
息子はあっけらかんと、笑っていた。
そんな息子が、まさかの吸血体験を。
三度目に追いかけられたとき。やっぱりたったの50mではーはーしちゃった吸血鬼に。
おい、だいじょうぶかよ?息子はすぐに振り切れると確信していて。
相手の顔いろがひどく悪いのに気づいて、どきりとなって。
きょうじゅうに血を吸わないと、死んじゃうって?わかったよ・・・ちょっとでよかったら、オレの血を吸えよって。
目をつぶった息子が咬みつかれたのは、ライン入りのハイソックスを履いたままの、ふくらはぎだった。
そういえばいちど、走っていて転んだとか言って、ハイソックスに赤いシミを滲ませて帰ってきたことがあったっけ。
のんきな私。
たぶん、すばしこいうちの息子から逃れることはできない。
あいつの都合がついたらさ。
母さんのこと誘っても、いいよね・・・? (^^) 兄貴にも、ナイショだよ♪
息子の言いぐさに、だまってうなずいちゃっていた。
令夫人の代役
2011年12月27日(Tue) 06:48:03
この村に赴任してきて、はや一年が経っていた。
懇意になった村の顔役氏は、ごま塩頭に赧(あか)ら顔。
いつも悠々としている御仁である。
村で祝言が行われると、必ずのように招かれる彼。
わたしもすでに、八回ほどは招かれるようになっていた。
できたばかりの事務所のメンバーも、ほぼ全員が、何度かの祝言には招かれるようになっていた。
気になったのは。
顔役氏が同伴する令夫人が、いつも別人になっていること。
村長の息子の若奥さんが、仲人の席に、イタズラっぽい顔をしてちょこんと座ったこともあれば、
わたしといっしょに転任してきたはす向かいの上役の奥さんが、主賓席に同席したこともある。
あの、おしゃれで上品な音羽夫人までが、彼の令夫人となったときには、なぜか正直どきどきした。
令夫人が入れ替わることかね?
ああ、うちのやつは体が弱くての。
それでああやって、代役をお願いするのだよ。
幾晩にもわたってつづけられる祝言のあいだ。
仲人夫妻や主賓のご家族は、村で一軒のホテルに寝泊りをするのだが。
そういうとき、令夫人の代役とは同室で宿泊するという。
そうすると、はす向かいの上役夫人も・・・音羽夫人も・・・
思わず、どきどきした。
なに、どちらの奥方も、ご主人承知おきのうえで、お借りしているんじゃよ。
だから波風などは、たちはしないのさ・・・
さっきから。振る舞われた土地の酒が、じんじんと疼くような酔いを、体内にめぐらせていた。
そうそう。来週、校長の息子の祝言があるんじゃが。
あんたの奥さんを、令夫人役に願えないかな・・・?
気さくそうに笑いかけながら、顔役氏の目は笑っていなかった。
そういえば。
なんどとなく、妻だけが祝言に招ばれることがあった。
いうまでもなく、日帰りだったけれど。
同僚の話では、顔役氏のごく近くや下手をすると隣に座っていたという。
思わず口をついて出た言葉は、じぶんでもびっくりするほどこともなげだった。
―――どうぞ・・・お手柔らかに。^^;
ベッドのきしみ、うめき声・・・
2011年12月24日(Sat) 07:21:14
隣の部屋で、妻がほかの男とセックスしている。
断続的に響いてくるベッドのきしみが、濃い。
時折漏れてくる女のうめき声は、
妻がすっかり魂を奪われて、ノッてしまっていることを伝えてくる。
音とうめき声は、ひと晩じゅうつづいて。
さいごは一対のひそひそ声で幕を閉じる。
きっと…つぎに逢う約束まで、してしまっているのだろう。
そうやって。
もう幾晩もの刻が、過ぎているのだから。
或ご婦人の肖像画
2011年12月19日(Mon) 07:44:57
ググっているうちになんとも気になったのが、この絵。
ご婦人の足許に注目です。
黒 かもしれません。
でもここは、紫と解したいです。
こういう濃い紫色のストッキング。ほんとうに見かけなくなりました。
季節は夏 でしょうか。
ご婦人は半袖です。
それなりの年配の落ち着いた雰囲気は、ご婦人が人妻であることをにおわせています。
けれども、ライトな色のブラウスとは裏腹に、下半身の装いは濃いです。
スカートは濃紺。ストッキングもまた、なまめかしい濃紫。
健全で爽やかな上半身に、妖しく艶めかしいエロスを漂わせた下半身。
じつに、おくゆかしいですな。^^
そういうばこのご婦人、靴を履いているようです。
室内。それもソファのうえなのに。
ちょっと不思議な構図です。
いえ…絵そのものはきわめてまじめな意図で描かれているとおもうのですが。
(画像については、問題がありましたら削除します)
某展覧会に行ってきました。
2011年12月19日(Mon) 07:30:09
面白い絵がありましてね。
こちらです。
”A Walk in Andalusia 1777”
というタイトルだけだと、なんという感興もそそられないのですが。
こんなストーリーがあるそうです。
道を歩いていたカップルの女のほうに、マントで顔を隠した男が花を投げた。
花を投げられた連れの男は立腹して、マントの男に詰め寄った。
女は連れをたしなめて。
向こうにも仲間らしいマントの男が二人、顔を隠してこちらの様子を窺っている…と告げている。
そんなシーンなんです。
なんといっても、目だつのは。
男たちが穿いている、ストッキングです。
この時代の貴族は、ひざ丈のズボンの下に脛を覆う長靴下というスタイルが一般的なのですが。
それがバラの花なんかをあしらった、それは毒々しい柄ものなのです。
憤慨している男の穿いているものなどは、鮮やかなブルー。
マントの男たちは、おそろいのように、白。
いずれも長くてしなやかな脛に、ストッキングばかりが目だちます。
なんとも、妖しい魅力を秘めた絵です。
周りの男どもが、放っておかない。
2011年12月19日(Mon) 07:20:39
えっ。奥さんを離婚する ですって?
それはまた、ばかに急な話ですね。
いったいなにが、あったのですか。
そうそう。
そういえば先日、貴男のまえで強姦されたのでしたよね?
お相手は村の衆が四人…でしたっけ。
でもあれからもう、ひと月も経っているじゃありませんか。
えっ。あれから奥さん、逢い続けていたんですか?
それも、お相手をした四人全員と。
ああ、それはたぶん、きっと。
つい、キモチよくなっちゃったんでしょうな。
貴男のまえで、無理やり力づくで抑えつけられているうちに。
よくあることですよ。
うちのやつなんか、さいしょにわたしの前で姦(や)られちまったときに。
もう、スカート穿いたまま腰使っていましたからね。
お恥ずかしい。。。
ええ。よしたほうがよろしいですよ。
なるほど、奥さんを離婚するのは簡単です。
でも、そのあとがね…
貴男と別れた彼女が、そのまま住み慣れた都会に戻るとお思いですか?
まず、それはありません。この村に居ついちゃいますよ。
なぜって、周りの男どもが、放っときゃしませんから。
四人の殿方のうち、だれかひとりが。
奥さんの花婿におさまるでしょう。
そうして残り三人が。
花婿から奥さんを寝取りに、新居に忍び込むようになるでしょう。
なにしろ四人とも、奥さんの身体を識ってしまって。
真昼間から四人がかり…なんて乱痴気騒ぎをしちゃうくらいですからね。
いっそ、こうすればいかがです?
貴男は、見て見ないふりをする。
そこまでは、よろしいでしょう?
そうして出来ることなら、お勤め帰りにでも、相手の男の家に立ち寄って。
「家内をよろしく」
ひと言そういって、きびすを返してくるのです。
向こうは決して、貴男に対してやな感情はもっていません。
奥さんを通じて、貴男と仲良くなったつもりでいるんだろうから。
それでも風習に慣れない都会の夫婦ものを犯したことで、
あいつらも、びくびくしているんです。
どうなることかって。
だから、度量の大きさを示してやるんですな。
いまので効果覿面のはずですよ。
うちですか?
ええ、だれかさんに、いまのことを教わって。
言われたとおりにしたんです。
妻の浮気相手の人数が、信用のおける相談相手の数になりましたな。
きょうもうちのやつは、都会ふうのスーツで、ばっちりキメちゃって。
村の長老のおひとりのところに、通い妻をしているはずです。
さすがにえらい人に、拙宅にお越しくださいとはお願いできませんからね。
あちらがお見えになるのは、夜這いを愉しみたいときくらいでしょう。
今では…家内が村の衆に汚させる洋服代を稼ぐために働いているようなものですな。
そういう状況に…ええ、とても満足しています。
あとしばらくして、貴男の後任の人間が赴任してきたときには。
貴男もこんなふうに、その人に言えるようになっていることでしょう。
奥さんの貞操喪失。あらためて、おめでとう。
月曜の夜のカクテルバー
2011年12月12日(Mon) 08:06:24
週末に訪れたこの店に、今夜もまた来てしまった。
ここは、まりあのお気に入りのカクテルバー。
とまり木のななめ向かいには、年配のマスターがそつない様子で、グラスの手入れをしている。
不必要に話しかけるでもなく、かといってそっけなさ過ぎもせず、
その距離感が、まりあにとっては好ましい。
構ってほしいのが、女。
でもつきまとわれたくないのも、女。
このあいだ来たときは、同年代の男性といっしょだった。
とある飲み会で盛り上がったその男性は、帰ろうとするまりあを引き留めて、
ぜひ二人きりで二次会を・・・そう申し込んできたのだった。
こんなお誘い、久しぶりだわ。
そんなことないでしょう。毎晩だれとここに来ているんですか?
まさかぁ。
他愛ないやり取りを繰り返しながらも。
すぐ隣のハイチェアに腰かけてダイキリを嚥(の)んでいる男の横顔を、まりあはそっと盗み見る。
いつも一人でくるお店のなか、変わった情景を視ているような心地がした。
きょうは独り、週末の席とはわざと離れた止まり木に腰かける。
月曜の夜。けっこう遅い時間なのに、客はだれもいなかった。
独り訪れたまりあに、マスターはおや、という顔をして。
きょうはおひとりなのですね?
そんな目色を投げてきた。
ええ、ひとりですわ。。。
まりあはそっけなく目線を外して、そうこたえたつもりだった。
先週は。
おや、お連れがいらっしゃるのは珍しい。
そんな目色だったような気がする。
いつもの。
そっけなくオーダーを入れたまりあのまえに、
甘口の香りのよいカクテルがスッと差し出される。
おなじものをもう、今夜は三杯も口にしていた。
いつの間に、近寄っていたのだろう?
気配もみせずマスターがそっと差し入れてくれたのは、
ブラディ・マリー。
いぶかしげに顔をあげたまりあは、つぎの瞬間ぴくりと眉を吊り上げた。
そんなまりあの様子などお構いなく、
マスターはもう、背を向けている。
ハイチェアに伸ばした脚を、だれかにつかまれていた。
あ…
声をあげようとすると、足首を握り締めた掌が、意思を伝えてきた。
声をださないで。
うん。わかった…
不承不承にうなずいたまりあは、ふたたび柳眉を逆立てる。
ふくらはぎのあたりに、ぬるりとなま温かい感触―――
男の飢えた唇だった。
淫らな唾液を含んだ唇が、まるでヒルのように。
薄い黒のストッキングごし、ヌメヌメと這わされてくる。
じっとりとしたよだれが、淡いナイロン生地にじわじわとしみ込まされてゆく、あの忌まわしい感覚―――
股をすぼめ、縮こまろうとする脚を、しいて押し拡げ、
大胆な大股開きを強要されて、
あっ。つうっ…
思わずあげた声に、マスターはほんとうに気づかなかったのだろうか?
いい舌触りのストッキング…ですね。
かろうじて聞き取れる低い声色は、イタズラっぽさを含んでいた。
だめ。破かないで。黒だと裂け目が目だつわ。
マスターはいちぶしじゅうを窺っている。
そういう自覚が、声をあらわなものにしていたけれど。
顔をうえにあげて、そのままカクテルを愉しみなさい。
命令口調にかわった声に、まりあは従順にしたがってゆく。
おいしいカクテルね。
リンと取り澄ました声に、
ありがとうございます。
マスターは背中でこたえて、お店のドアを半開きにすると、
すき間から器用に、「準備中」の札をさげていた。
閉店時間ですが…どうぞごゆっくり。
マスター、ぐるだったのね?
まりあの無言の睨みを、マスターは軽く受け流して、お店の奥へと引っ込んでしまった。
おいしい舌だと、言ってもらいたいね。
くぐもった低い声に込められたいやらしい熱情に。
もうっ。
まりあは本気で、身を揉んで。
背後から迫る猿臂に、身動きできなくなっていった。
ぱらり。
カウンターに乱れかかる、長い髪。
うつ伏せになってよく見えないけれど。
ブラウスははだけて、襟首からはみ出したブラの吊り紐が覗いているようだった。
身体のあちこちにしつように這わされる唇が…
まりあの理性をじょじょに、崩しはじめていった。
傷口
2011年12月09日(Fri) 07:40:55
三か所、咬傷が認められますな。
初老の医師の事務的な口調が、妻に加えられた犯罪をさらけ出してくれた。
わたしは怒るよりもどういうわけか、ドキドキしてしまっていて。
どんな感じなの?
しきりに羞じらう妻を促して、ロングスカートをたくしあげてもらっていた。
ふくらはぎに、ひとつ。
両方の太ももに、ひとつずつ。
赤黒いあざがふたつ、綺麗に並んでいた。
まるでタトゥーを入れられた女のように。
妻は開き直ったような顔つきをしていて。
そんなもの視て、どうするの?
そう言いたげにしていた。
三人とも、ちがうひとみたい。
妻の言いぐさを、医師が肯定した。
痕が残るのは、さいしょの一回だけなのです。
あの。。。あなたは、吸血鬼の存在を肯定するのですか?
ためらいがちに、言い募るわたし。
医師は、しらっとした顔つきで、うなずいている。
病院の看護婦も全員、経験者ですよ。
夜中のナースステーションは、吸血鬼のたまり場ですからね。
家内も時々呼び寄せられて、相手をしています。
この街では、まぁそんなのは常識なのですよ。
だいたい昼間はふつうに暮らしていて、夜になると本性を見せるのです。
昼間に目をつけた女性に、夜になると挑むといいます。
じっさい、うちの家内の相手も、ほとんどがわたしの古くからの知人や親せきなのですよ。
あなたの奥さんのお相手も・・・たぶんあなた方ご夫婦の顔見知りのひとでしょうね。
顔見知りに妻を、日常的に犯されているなど、耐えられません。。
そういってうなだれるわたしに、妻は気遣わしげな目線を忍ばせて。
医師も気の毒そうに、わたしを見守っていたけれど。
ま・・・うまく折り合いをつけて。がんばってください。
突き放すように、妻の診察を終えた。
ほんとうに診断されたのは、むしろわたし自身のような診察だった。
くっきりとつけられた、三対の傷―――
夫婦のベッドのうえ。
そのひとつひとつに、わたしは唇を這わせていった。
熟れた柔肌が侵されることを、悦ぶようにして・・・
にかい、くらい、かな・・・?
2011年12月09日(Fri) 07:32:49
知ってるか?
この街には夜中、吸血鬼が出没するらしいって。
その時間帯洋装で歩いている女は、見境なく襲われて。
手近な公園や空き地、はては草むらに、引きずり込まれて。
首筋を咬まれちまうらしい。
失血で立っていられなくなって、尻もちを突いちゃうと。
スカートをたくし上げられてしまって。
ストッキングやハイソックスを咬み破って、脚からも血を吸うらしい。
そのあと酔い酔いになった女が、同意してしまうと。
ことのついでに、犯されちゃうらしいって。
知ってるわ。
妻は白い歯をみせて、そう応えた。
まさか・・・やられちまったわけじゃないよね?(^^;
冗談ごかしに言ったわたしに。
妻は信じられないことを、口にした。
にかい、くらい、かな・・・?
えっ。
ほんとは、もっとかも。
意地悪そうに微笑む妻が、別人にみえた。
ひさしぶりのあっぷでした。
2011年12月09日(Fri) 07:17:54
ええと、久しぶりの更新ですな。
前月に書き継いだお話が、なかなか筆が進まなくなって。
そのままブログそのものも、放置状態が続いていました。
中身は相も変わらずで。。
都会の洗練された貴婦人たちが、田舎住まいのごま塩頭の吸血鬼に迫られて、
血を吸われて犯されてしまう。
自分の妻や母が汚されるのを、夫たちは傍らで息を詰めて見守っている。
そんなお話になっちまいました。
気が向いたらまた書きますんで、よろしくでございます。m(__)m
足ぐせ
2011年12月09日(Fri) 07:14:41
じわじわと生き血を吸い取られていくとき。
母はじれったそうにして、しきりに脚で床を踏み鳴らしていた。
妹はもじもじと、足指をねじっていた。
未来の妻は、切なそうに摺り足を繰り返していた。
田舎に着任して。
その土地に棲む年配の男に、血を吸われるようになって。
もう何回も、都会の実家に招いていた。
母はすでに血を吸われることに慣れ、
父は同年輩の彼と、飲み友達になっていて。
目のまえで長年連れ添った妻が、気に入りのロングスカートのなかに、むぞうさに手を突っ込まれて。
ズロースを降ろされていくのを、息をつめて見守っていた。
ブラウスをはぎ取られて、おっぱいをまる出しにして。
女の操をむしり取られてゆくところさえ、ひと晩がかりで見届けていったのだった。
その日も、羞じらう母を、押し倒して。
齢不相応の派手なワンピース姿のまま、脚を踏み鳴らしながら、血を吸われて。
グラス片手に息を詰める父のまえ、
男の好みに合わせてたしなむようになった、太ももまでのストッキングを。
太ももを横切るゴムまで、じんわりと見せつけながら。
踏み鳴らす足の音が絶えたあと―――
忍ばせたうめき声は、妹が下校してくるまで、つづいたのだった。
吸血鬼なんか、家に連れてきて・・・
根暗でぶあいそな妹は。
白い目でわたしを、睨みつけると。
ピチピチと輝く太ももに這わされるもの欲しげな目つきを避けるように、
デニムのスカートのすそを、抑えつけていた。
お勉強、教えて下さるんですって。
取り繕うように言葉を添える母の言いぐさを、無言で黙殺しながら。
来たければ、来れば?
男にぶあいそな声を投げつけると。
白のハイソックスに履き替えた脚を、ぴ多ぴたと鳴らしながら。
二階の勉強部屋へと、あがっていった。
はしたないほどどたどたと階段を上がる足音が、そのすぐあとにつづいていった。
視てきてちょうだい。
母に目で促されたわたしも、あとにつづいた。
部屋に入ることは、許されない。
半開きになったドアの向こうから、覗き見するだけだった。
机のまえに腰かけた妹の後ろにまわって、
男はしきりに、拡げられたノートを指さしていて。
ほんとうに、勉強を教えているようすだった。
妹は幾度となく、男の言葉にうなずいて、ノートに鉛筆を走らせている。
それも、、つかの間のことだった。
男の影が背後から、白のカーディガンを着た妹の影に寄り添うようにして。
首筋に唇を、吸いつけてゆく―――
アー・・・
みじかく叫んだ妹は。
血を吸われながらも、机にしがみつくようにしていたけれど。
やがて椅子に腰かけたまま、ちょっとずつ姿勢を崩していって。
さいごに行儀悪く、たたみの上に転がった。
たたみの上に横たわる妹を。
男はまじまじと、観察をして。
やがておもむろに、ふたたび首筋に、唇を這わせていった。
きゃー。
こんどはくすぐったそうな声が、あがっていった。
机にしがみついていたときも。
たたみの上で、エビのように身体を折り曲げているいまも。
白のハイソックスのつま先のなか、足首をうねうねとねじりながら。
目をつむり歯を食いしばって、吸血に耐えていた。
ティー・カップを手に取って。
無表情を取り繕った母は、
スカートに撥ねた淫らな粘液と、ストッキングの伝線を気にしながらも。
目のまえの絨毯のうえに身を横たえた自分の娘が、
乙女の血潮を捧げるようすを、見守っていた。
父が母の時、そうしていたように。
真っ白なハイソックスには、バラ色の血がべっとりと撥ねていて。
真新しい靴下に包まれたつま先はやはり、もじもじとした足指のうねりをつづけていた。
真っ赤なチェック柄のプリーツスカートを、太ももまでたくし上げられた妹は。
自分の父親ぐらいの齢かっこうの男に組み敷かれたまま、
股ぐらを開かれて、そのうえに強引に沈み込んでくる逞しい腰に。
稚拙に動きを合わせていった。
妹が、大人になっていく―――わたしよりも先に。
その事実を目の当たりにさせられて。
まぶしいような。照れくさいような。誇らしいような。羞ずかしいような。
基本的には我が家の汚点となるはずのあしらいに、
股間がむしょうに、じりじりと疼いていた。
ひどいじゃないですか。
村での知人の結婚式に、都会から招いた婚約者は。
髪をふり乱したまま、まだ息を弾ませていた。
ここは、村でたった一軒のモダンなホテル。
知人の結婚式という名目で、呼び寄せた未来の花嫁は。
口実を設けて狭い密室で、あの忌まわしいごま塩頭と、ふたりきりにさせられて。
母や妹のときと、おなじように、不意に背後から迫られて。
華やいだクリーム色のワンピース姿を、抱きすくめられていった。
吸血される歓びに、はしたないほどあっけなく目覚めてしまった彼女は。
それでも、ワンピースのクリーム色に撥ねかったバラ色のしずくを、
しきりと気にかけていた。
しばらくは、おぼこのまんまだぞ。
妹の純潔を、あっけないほどかんたんに踏みにじった男は。
わたしの花嫁に対しては、時間をかけるつもりらしかった。
お前えはここで、観ておるんだ。あっちさ行っちまっちゃ、なんねぇぞ。
彼女さんが、気の毒だがや。
洗練された都会の装いにはおよそ不似合いな声の持ち主は。
彼女の手を引くと、そのまま隣室に引きずり込んで。
古びたせんべい布団のうえに、背中を突いてまろばせた。
白のストッキングのつま先を高々とあげてひっくり返った彼女。
きゃあっ!ひどいっ!
華やぎを隠そうともしない声色に、わたしはチカリと嫉妬を覚える。
そんなに私の血がお好き・・・?
女の問いには応えもせずに。
男はがつがつと、うら若い血を貪り啜った。
女はもう、あん・・・あん・・・って、嬉しげな声さえたてながら。
クリーム色のワンピースが赤黒いまだらもように染まるのを、厭いもせずに、相手をし始めて。
もう・・・わたしなど眼中にないかのようだった。
あくまであんたの女房のまま、ええとこだけ頂戴するんだ。
振り向いた男は意地悪そうに目を輝かせて、悪童のようにイタズラっぽく笑いかけてきて。
わたしは知らず知らず、男の言うなりに深いうなずきを返してしまっている。
首筋につけられた深い傷口が、じんじんとした疼きを秘めていた。
じんじんとした、疼き。
じんじんとした、嫉妬。
じんじんとした、えもいわれない歓び―――
たいせつなものが無造作に汚されてゆくことが、どうしてこうも、むしょうな歓びを秘めるのだろう?
わたしは、恥ずべき人間なのか?
人はだれでも、そういうマゾヒズムを心に秘めているものなのか・・・?
週末は田舎通いを始めた彼女に、いつもわたしは誘いを受ける。
都会の洗練された装いを、男のために身に着けて。
きりっとした、通勤用のスーツ。
フェミニンな、お招ばれ用のミニドレス。
ふだん用のえび茶のフレアスカートに、薄いピンクのブラウスという、何気ない装い。
それらすべてを、順ぐりに。
わざと血浸しにされながら。
彼女は摺り足を、繰り返す。
それはそれは、切なげに。
あしたは祝言という夜。
彼女の母は、彼女の父のまえ、操を奪われていった。
両親がいたわり合いながら、久しぶりの夜を貪る隣室で。
彼女は明日着るはずだった純白のスーツを装って。
わたしが息を詰めるまえ。
白のストッキングを、ずりおろされていった。
ふしだらなしわをたるませて、くしゃくしゃになってずりおろされたストッキングを、まだ脚に残したまま。
彼女の脚は、摺り足を繰り返す。
ちょうど妹が、稚ない血を太ももに散らせたように。
バラ色のしずくの輝きが、すらりとしたむき出しの太ももを、伝い落ちていく。
粗野で強引な上下動に、あらわになった白い臀部が、じょじょに動きを合わせていって。
そのあいだわたしは、
羞ずかしいような、照れくさいような。誇らしいような。
自分の身に加えられた恥辱が、どうしてこうもむしょうに悦ばしいのか。
理性の崩壊した、考えのまとまらない頭のなかで、
えもいわれない官能の歓びだけが、わたしの常識を塗り替えていった。