淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
スカートの裏。^^;
2012年05月30日(Wed) 08:03:23
ただいまぁ~。
松田理沙は、暑さをハンカチでぬぐいながら、家のドアをあけた。
あ、おかえり・・・
母親はいつものようにせかせかと家事をしていて、手も休めずにおかえりのあいさつだけを投げてよこした。
「きょう学校の授業で、血を吸われてきちゃった~」
「あらそう。それはご苦労さま」
そんな会話がふつうに流れるほど、この街では人間と吸血鬼は平和に共存していた。
女学校は若い血液のかっこうの供給の場だったので、しばしば吸血体験が女生徒の正課として取り入れられているのだった。
今朝も体験授業があると母に言うと、「がんばっていっぱい、血を吸ってもらいなさいっ♪」と、背中をどやしつけられて送り出されたものだった。
あー、あつかった。あつかった。
ことさらわざとらしくそういうと、理沙は風呂場へ直行した。
ママ、シャワー浴びるねぇ~
シャワーを浴びた後、リンスした髪の毛をもてあぞぶようにしてとかしていると。
洗濯物を選り分けていた母親が「えっ」と声をあげ、
理沙は肩をすくめて見せた。
やっと気づいたみたい。
制服のスカートの裏地とパンティが、あの粘液にまみれているのを。
どうやらこの家でも・・・娘は母親に、秘密を持てないものらしい。
あとがき
洗濯物をみて母親が「えっ!」というところだけを、描きたかったのでした。(^^ゞ
お前の脚、いつ噛んでも太いな。
2012年05月30日(Wed) 07:30:01
隣の席でいっしょにテレビを見ていた妹の紗枝に、リョウタはふと声をかけた。
そのハイソックス・・・
え・・・?
怪訝そうにこっちを振り向いた紗枝は、自分の足許を目をやった。
学校の制服のままだった紗枝は、濃紺のスカートの下に、真っ白なハイソックスを履いている。
あー、新品だよ。いまおろしたやつ。
そう。
ちょっとだけ黙ったリョウタは、おかしいな?とふと思う。
紗枝は学校帰りだった。
制服を着替えないのに、どうしてハイソックスだけ替えたのだろう?
紗枝は兄が吸血鬼なのも知っているし、
首すじだけではなくて、ストッキングやハイソックスを履いた女の子の脚から血を吸うのが大好きだということも、兄妹のあいだでは、もうばればれになっている。
テレビつまんないからさ・・・
え・・・?
小首をかしげた紗枝は、つぎの瞬間、「きゃっ。」と悲鳴をあげた。
リョウタにいきなり、白のブラウスの腕をつかまれたからだ。
「喉渇いた。血を吸わせろ」
「ちょっとー、兄ちゃん強引だよぉー」
階下のリビングから、兄妹の声が重なり合うのを耳にして、夫婦の部屋で読書中だった母親はふと顔をあげたけれど、すぐにまた、自分の世界に戻っていった。
どうやらふたりは身体をくっつけ合うようにして階段を昇ってきて、両親の部屋の前を素通りして娘の部屋に向かうらしい。
ちょっとだけだよ。あんまりしつこいと、貧血になっちゃうからねっ。
ふてくされたように畳のうえに腹這いになる紗枝の足許に、迫った息遣いが覆いかぶさっていった。
ちゅう・・・っ。
兄貴の唇、よだれまみれだ。
紗枝は内心舌打ちしながらも、いつものように脚を伸ばしてやった。
ハイソックスのふくらはぎに、兄が唇をなすりつけやすいように。
いよいよ噛みつくときに、兄貴は生意気な憎まれ口をきいた。
お前の脚、いつ噛んでも太いな。
もうっ!
紗枝はぷんぷん怒りながら、しなやかなナイロン生地ごしに刺し込まれてくる尖った牙に、妖しく息をはずませている。
よだれのたっぷりしみ込んだハイソックスに、生温かい血潮が、ピチピチと撥ねた。
いやらしい・・・なぁ。もぅ。
紗枝の動作が緩慢になっているのは、失血のせいばかりではなかった。
吸い取った血液と引き換えに注ぎ込まれた毒液が、血管のすみずみにまでいきわたっている。
首すじも・・・いいだろ?
耳もとで小声でねだる兄に、「好きにしなよ」と言いながら。
まって、ブラウス汚したくないから。脱ぐね。
妹は兄の前、制服のブラウスをむぞうさに脱ぎ捨てていった。
ブラジャーの肩ひもが食い込む細い両肩が、小刻みに震えている。
恐怖からか、昂奮からか、まだ十代のリョウタにはわからなかったけれど。
本能のおもむくままに少女の両肩を畳の上に抑えつけると、すんなり伸びた首すじを、がりりと噛んだ。
「痛あっ!」紗枝は声をあげたがかまわず、破った皮膚の奥まで牙をうずめてゆく。
ごく、ごく、ごく、ごく・・・
ほとび散るうら若い血潮が、渇いた心をうるおしていった。
妹と身体を重ね合わせるのは、きょうが初めてというわけではない。
両親も黙認のようすなのをいいことに、リョウタは何度となくこうやって、処女の生き血を愉しんできた。
けれどもきょうは、なんだか様子が変だった。
下半身の疼きがとまらない。
ふだんなら紗枝が貧血になるほど血を吸えば、あとはスッキリしたのだが・・・
まさか・・・まさか・・・兄妹でなんて、笑わせる。
リョウタは妖しい予期を振り払ったが、振り払っても振り払っても、彼の理性は真夜中の濃霧のように見通しを昏(くら)くしていった。
おい。
え・・・?
そむけていた顔をあげた妹の唇に、リョウタは夢中で唇を重ねていった。
・・・。
・・・。
・・・。
紗枝はさすがに、泣きべそをかいていた。
太ももから伝い落ちる血を羞ずかしそうに拭いながら、
もうっ。お嫁に行けなくなっちゃったら、お兄ちゃんのせいだよっ。
振り乱した黒髪を、やけっぱちのように手で梳いている。
どう責任とってくれるの?
ブラウスが汚れるのを惜しんで、うっかり脱いだのがいけなかったのかも。
重たい後悔を裏切るように、さっきまで兄の硬い肉で突き刺されていた股間の奥が、ジンジンと、妖しい疼きを帯びている。
一生俺の性奴隷になる。
兄貴は憎たらしくも、にまっと笑った。
そんなの、もっとヤダ。
紗枝は顔をそむけたが、もう泣いてはいなかった。
紗枝、ゴメン。
兄貴が神妙に頭を下げた。
紗枝はびっくりして、「どうしたの?」って訊いたけれど。
それはむしろいけないことだったかもしれない。
たまらなくなってきた。もう一回やらせろ。
兄貴はそう言って、息荒く紗枝に覆いかぶさってきたのだから。
やああっ。やだっ。兄貴のバカっ!
紗枝は兄貴の背中をぶっ叩いて、けんめいに抗ったけれど、「一回したら何回しても同じ」という兄の言いぐさに、つい身体から力を抜いてしまい、ふたたび奪われていった。
二度目の吶喊は、おそろしいほど気持ちがよかった。
「ごはんよー」
母の声が、階下から聞こえてきた。
「おい、急げや」という兄貴に応じて、「ウン、ちょっと待って」薄暗くなった部屋のなか、紗枝がブラウスのボタンをはめるのに手間取っていると、兄貴は手を引っ張って、妹を部屋の外へと連れ出した。
やだ、ハイソックス血だらけだよっ
小声でとがめる紗枝に、
紗枝が俺の女になりましたって、ママに報告すればいいじゃん。
兄貴は相変わらず、とんでもないことを言って。
やり取りしているあいだに、階段の下まで降りてきていた。
「ほらほら、冷めちゃうわよ」
母親の貴枝は子供たちを軽く咎めながら。
息子が髪をふり乱し上気した頬を真っ赤にしているのも、
娘が着くずれしたままのブラウスのボタンを直しながら部屋に入ってきたのも、
血の撥ねた白のハイソックスの脚を隠そうとして兄の後ろに隠れようとする妹を、わざと兄貴がまえに立たせたのも、
すべてお見通しだった。
リョウタさん、あとでママの部屋にいらっしゃい。
貴枝の声はちょっとだけ、かすれていた。
息子のためにさっき穿き替えたばかりの光沢入りのストッキングが、太ももやふくらはぎをゆるやかに妖しく締めつけている。
ママ、きれいなストッキング穿いている・・・
兄貴の視線は母親の足許にくぎ付けになっているのを見て、紗枝の心のなかには、むらむらとした感情が湧いていた。
それが嫉妬という感情なのだと、彼女はじゅうぶんに理解していた。
先に二階に上がった母親を、リョウタが追いかけようとしたときに。
紗枝は兄貴の手首を痛いほど握りしめて、こう言った。
ママと終わったら、あたしの部屋に来て。
制服着て、待ってるから・・・
太い脚のほうが噛み応えがいいんだといって、紗枝の履いているハイソックスをあちこち噛み破っていった兄貴。
今夜は兄貴の好きな、ストッキングみたいに薄いやつを履いてあげようか?しゃくだけど。
紗枝は血の付いたハイソックスを脱ぎ捨ててむぞうさに洗濯機のなかに投げ込むと、母と兄のいる部屋のまえを素足で素通りして、部屋に戻っていった。
兄貴のために、装うために。
女学校の日常。
2012年05月26日(Sat) 09:40:48
毎日下校時間になると、その女学校に通う生徒のなん人かは。
白のブラウスやハイソックスに血のりをつけたまま、下校する風景に出くわします。
そう。
この女学校では、吸血鬼に血を吸われる体験が正課となっているのです。
この体験授業が組まれるのは、ほとんどの場合臨時です。
この街に棲む吸血鬼のほとんどは、もともと街の住民で。
ふだんはごくふつうの市民として暮らしているのですが、
若い女の生き血が欲しくなると、女学校にやってくるのです。
吸血を求める希望者の人数に応じて、女子生徒が呼び出しを受けます。
不公平がないよう、ほとんどの場合は出席番号順だといわれています。
けれども必ずしも、機会は平等ではありません。
かわいい女の子のいるクラスほど、吸血される機会に恵まれるからです。
そうでないクラスの担任の先生は、自分の査定に響くので、
ときには「うちのクラスの子を指名してください」と、”運動”することもあるといわれています。
たまたまかわいい子の多いクラスに属しているなどして、体験授業を受ける機会が多い場合、
血液の需給バランスにもよりますが、運の悪い(良い?)子は、週に2~3回吸血される場合があります。
体験授業には、校舎のいちばん奥にある空き教室が使用されます。
いちど体育館が使用されたこともあるのですが、
体育の授業のさいちゅうに襲われた子たちが流した血をモップがけするのが大変になって、以後は使用されなくなったといわれています。
教室のまえには大きく、
「君たちの若さが、街を救う!」
と、そらぞらしいスローガンが書かれていますが、だれも本気にはしていません。
吸血鬼たちはたいがい還暦すぎの爺さんなので、
多少エッチな意図を秘めて来校していることを、全校生徒がよく自覚しているからです。
吸血される部位は多くの場合首すじですが、それと同じくらいしばしば脚からも吸われます。
首すじを噛まれる場合血でブラウスが汚れるので、ブラウスを汚したくない子はブラジャーだけを身に着けます。
上半身はブラジャーだけでも、下半身はふだんどおりスカートを着けていて、
「かえってやらしい」と、女の子たちのあいだでは、評判がよろしくありません。
制服を脱がず汚さずに吸血を受けるには、足許から・・・というのが、いちばんいいようです。
けれどもたいがいは、いやらしい意図を秘めて来校している人たちばかりなので、
多くの場合はストッキングやハイソックスを履いたままのふくらはぎを噛みたがります。
白のハイソックスの場合血のりが目だつのですが、下校するときには履き替えることを禁止されているので、
血の撥ねたハイソックスのまま、街を歩くことになります。
ストッキングの子も、派手に破けた黒のストッキングから白い脛を露出した状態で、家路をたどることになります。
お母さん方は、帰ってきた娘の足許を見ただけでそれと察し、その日の晩ご飯はお赤飯になったりするみたいです。
たいがいの子は、出席番号順ということで無作為抽出されるのですが、
縁故のある吸血鬼は、特定の女の子を呼び出すことも可能です。
母親の不倫相手に血を吸われる子や、お祖父さんひとすじで献血する孝行娘もいます。
そういう場合には、みんな一緒に吸血される大教室ではなくて、個室が用意されます。
室内ではなにをしてもかまわないとされておりますし、
女の子たちは校則上、抵抗することを禁止されておりますので、
お嫁入り前に処女を喪う確率は、縁故吸血の場合のほうが多いと言われています。
もっとも大教室だからと言って必ずしも安全という保証はありませんので、
その場の雰囲気で真面目な処女たちが全員、凌辱を受けてしまうといったこともあるようです。
成績の優秀な良家の子女しか入学を許されない名門校なのですが・・・
さていったい、この学校では。
なん人の子が、処女のまま卒業できるのでしょうか?
卒業式の直前に前夜祭がありまして、それまで処女を通してきた子も全員、その場で犯されてしまう伝統行事がある・・・といううわさもありますが。
あくまで真偽は不明・・・ということです。
無題。
2012年05月24日(Thu) 06:27:47
自分が襲われているときは、体力テスト。
彼女の血を欲しがる相手との駆け引きは、知恵比べ。
とうとう襲われちゃったときには、ガマン大会。
覗いて愉しめるようになったら、ミスコンテスト。(違)
まだ、早すぎるだろう・・・?
2012年05月23日(Wed) 07:09:14
吸血される習慣が身について、どれくらい経った頃だろう。
その夜もぼくは、半ズボンに素足のかっこうで。
夜更け、真っ暗になった部屋の中、たんすの引き出しをあさっていた。
ぼくの一家の血を吸っている吸血鬼は、かなりの年輩者。
脚を噛んで血を吸う習慣は、犠牲になってくれる人間がうわべはふつうの日常生活を送れるよう、
首すじに咬み痕をつけさせないためだということだった。
長い靴下を履いた上から咬みつく理由だけは、とうとうわからなかったけれど・・・
彼のフェチズムを伝染(うつ)されたいまでは、その理由もなんとなく、わかるような気がしている。
当時のぼくは学生らしく、白地にラインの入ったスポーツ用のハイソックスを履いて、「小父さん」と逢っていた。
けれどもどういうわけか、その晩にかぎって・・・父がいつも穿いていっている、ストッキング地のやつをむしょうに履きたくなっていた。
―――おい。
薄明りの灯った廊下から、ひっそりとした父の声がする。
―――あ これから出かけるんだ。
行先と目的は、おたがい訊かずにわかる関係。
―――母さんもちょっと、具合悪そうだからね。男性軍ががんばらなくちゃ。
―――精の出ることだね。
そういう父も、連日の仕事との板挟みで、ちょっと疲れ気味のようだった。
―――父さんの靴下、借りるね。
初めてストッキング地のハイソックスをねだって、ちょっとドキドキした。
父はぼくのおねだりに、半秒ほど言いよどんで、それでもすぐに、返事をくれた。
―――ああ、好きにしなさい。
と。
―――けれどもまだ、早すぎはしないかい?
とは、控えめな口調でつけ加えてきたけれど・・・
大学生にもなって、半ズボン。
さすがに昼日中から、そういういでたちをとるのは、恥ずかしかったから。
わたしが彼との逢瀬に択んだ刻限は、まだ真っ暗な明け方まえの時間帯。
初めてひざ小僧の下まで引き伸ばしたストッキング地のハイソックスは、
ぬるりとした感触でわたしの脛を包んでいて、夜風をじかにすーすーと通してくるのが気持ちよかった。
―――ふふ。いい感じの舌触りだね。
そういいながら、薄手のナイロン生地ごしに舌を這わせてくる小父さんに。
―――小父さん、えっちだね。
わたしはそう、やり返して。
けれども言葉とは裏腹に、小父さんがもっと吸いやすいように、脚をぐーんと伸ばしてやっていた。
妖しい痺れをもたらす唾液に、新品のハイソックスを履いた足許を侵されながら・・・
すっかり明るくなっていた。
公園のベンチにもたれて、つい居眠りをしてしまっていた。
ふと気がつくと、薄手のナイロンハイソックスは、だらしなくくるぶしまで弛み堕ちていて。
すっかり血を抜かれた身体は、妙にけだるかった。
きょうも学校は休もう・・・
薄ぼんやりとそんなことを考えていると、傍らから車のクラクションが控えめに鳴った。
困ったやつだ。気を喪うまで熱中したんだな。
運転席の父は苦笑いしながら、手招きをしている。
ぼくはたいぎそうに靴下を引き伸ばすと、助手席に乗り込んだ。
―――ずいぶん派手にやられたな。
冷やかす父に、こたえようもないくらい。
ストッキング地のハイソックスにはあちこち、裂け目が伸びている。
あちこち咬まれたあとがまだ、ずきずきとした疼きを伴って。
ぼくは早く寝床にかえりたいと切望していた。
―――まだ・・・早すぎはしなかったかな?
まだ暗いうちぼくを見咎めたときと同じことを、父はもういちど呟いている。
家に招ばないの?
相手の正体を知ったとき、とっさに訊いた両親は、
顔見合せながら、言いにくそうに。
―――だって・・・お前が困らないかい?
そう問い返してきた。
いちど家に招いた吸血鬼は、いついかなるときにでも、家のなかに入ってこれる。
そういうルールをお互いに理解したとき。
家族三人全員が、血の提供者として振る舞うようになっていたのに。
―――まだ、早すぎるだろう・・・?
そういって、自分の靴下をちょっとだけ貸し渋った父は。
もうそれ以後はなにもいわないで、自分用に買いためた薄い靴下を噛み破らせるようになったぼくのことを、もう制止しようとはしなかった。
それからすぐのことだった。
婚約者の亜理紗さんを連れて、ぼくが小父さんに逢いに行ったのは―――
家族が四人になって初めて、父は小父さんを家に招ぶことを承知した。
専業主婦になった妻は、仲良くなった自分の姑とおなじように、
首すじにおおっぴらに咬み痕をつけて笑うようになったから。
縛り上げられてくるわネ。
2012年05月22日(Tue) 07:21:33

お気に入りのスーツもろとも、目の前で縛られた妻は。
わたしを含めた男どもの、鑑賞の対象になっている。
怒りと怯えを羞恥とを、こもごもに交えた目色に、
男どもはひどく、満悦していた。
美穂子さんの縛り姿、そそるねぇ。
構えたデジカメから発するフラッシュが、妻の縛り姿を眩く包む。
顔は写さないでくださいよ。
苦笑しながらお願いするわたしに。
わかってますヨ。紳士同盟・・・ですからな。
若いころはカメラ狂だったらしいはげ頭の親父は、はげた頭を掻き掻き、
わたしを安心させるようにわざと、妻の顔から狙いをはずしてみせた。
おなじ嗜好のものたちが。
交互に当番制で、自分の妻の縛り姿をご披露する という。いけない趣向のパーティーは。
わたしの妻でちょうど、一巡するところだった。
着衣のまま縛られているあいだはね。
身体は無事なんですよ。奥さん。
もう還暦になろうかという、いちばん頭だった白髪頭の親父が、妻に言い聞かせていた。
だって縛られたままだったら、犯すことできないでしょ?
おっぱい触るんだって、ひと苦労だよ。ほら。
おどけた手つきで胸に触れてきた掌を、妻はもう、払いのけようとはしなかった。
あなたに視られるのが、いちばん羞ずかしいわ。
縛めを解かれたあと、妻はやっとの思いでひと息ついて、そういった。
うん、だれもがやっぱり、そういうねぇ。
うちの女房のときも、そうだっけ。
口々に共感を籠める男どもに、初めて妻は警戒の色を解いて。
まぁ、みなさんのところも・・・なんですか?
悪い旦那さまばかりなんですねぇ。
どうもすみませんでした。
いちように頭を下げる男どもに、妻はかえって恐縮してしまって。
まあ・・・まあ・・・あらいやだ。そんな、恥ずかしいじゃないですか。
目のやり場に、困っているようだった。
だって・・・だって・・・みなさんうちに上り込んでくるなり、ものも言わずにわたくしのこと縛り上げるんですもの。
「縛り上げる」という言葉に、美穂子は知らず知らず、夢中になっているようだった。
専業主婦の美穂子にとって、おおぜいの男たちの視線のなかでヒロインになるということは、
絶えてなかったことだったから。
ほら、美穂子、もういいから、お茶を淹れてくれないか?
わたしの言いぐさに妻は、魔法のようにいつもの主婦に立ち返って。
はーい、すぐ支度しますね♪
スカートの裾をサッと払うと、台所へと向かっていった。
夫のわたしに視られないところでの縛りを、妻が経験するようになったのは、それから間もなくのことだった。
こんどはノーマルモードで現れた彼らの、いかにも紳士的な雰囲気のなかで、
誘われるままに、ついOKをしてしまって。
じゃああなた、わたくし、縛り上げられてきますね。あなたはお留守番♪妬きもちやいたら、駄目ですよ~。
謡うように、そういって、ショルダーバックを提げて、まるでお買い物に行くような気安さで、出かけて行った。
着衣のまま縛られるのなら、それ以上侵されることはない―――
たしかにそれは事実に、違いなかったけれど・・・
縛りをほどかれた、そのすぐあとに。
縄化粧をした素人妻にそそられた男どもの手にかかって、妻がどのような目に遭って。
そんな目に遭った妻が、それからも縛りプレイのためにいそいそと、留守宅を後にしている と。
悪友たちは親切にも、教えてくれていた。
けれどもわたしに、咎めだてをすることができただろうか?
「縛り上げられてくるわネ」
毎週のように、平日の真っ昼間にお出かけしてゆく妻の予告は、妙にウキウキしていたのだから。
なに、けっきょくは・・・おあいこなのだ。
そういうときにはだれかの奥さんが、留守宅になっているはずのわたしの家にやってきて。
ひっそりと逢瀬を遂げて、帰ってゆくのだから・・・
短文 ~堕ちてゆく若妻~
2012年05月22日(Tue) 07:10:00
おやめくださいませ。およしになって・・・
羞じらいながら堕ちてゆく妻から、目を離せなくなっていた。
黒のドレスを身にまとい、薄化粧も気高い妻は。
姑の手を借りて、妻の名誉を奪おうとした男の手で、
きっちりと束ねたはずの黒髪を、床のうえしどけなく乱されていった。
淫らな吐息に満ちた、薄闇のなか。
ふしだらにずり落ちて、しわくちゃになってたるんでゆく黒のストッキングが、女の堕落を、見せつけていた。
女は例外なく、夫以外の男に汚される。
そんなしきたりを秘めた村―――
我慢を強いられたわたしは、下半身の昂ぶりだけは、ガマンすることができなかった。
よう、威勢がいいねぇ。
傍らの親父が、わたしを冷やかした。
子供のころから、懐いていたおじさんだった。
わたしを含めて、妻にとっては三番目の男に択ばれた彼は。
すでにパンツを脱いで、むき出しにした其処を、赤黒く逆立てている。
あー、ストッキング片方、脱がされちまった。
自分のことのように悔しがる小父さんは、つぎの言葉を忘れない。
もう片方は、わしがお土産に頂戴するよ。エエだろう?
おりく
2012年05月22日(Tue) 07:00:16
はじめに!
珍しく、時代モノです。
1.
おりくは、書見をしている夫の部屋のまえ、三つ指をついて、
障子ごし、ひっそりと声をかける。
若妻だったころとおなじように、おずおずとした声色で。
お見えになりました。
庭先を、お借りいたします。
障子ごしに、肯定ととれる身じろぎを感じ取ると、
初老の妻女は白髪交じりの髪を撫でつけて、それをむぞうさに、ほどいていった。
蛇がとぐろを巻くように、するすると乱れ落ちる髪―――
女はひっそりと笑んで、夫の居間をあとにする。
2.
他国から嫁いできたおりく殿に、当家の作法を教え込むのはいかがかと思いましたが。
五十を過ぎたというのにまだうら若さを帯びた姑は、ホホ・・・と笑んだ口許を手で軽く抑えていた。
妾(わたくし)は参りますよ。ご家老様のお召しですからね。
楚々とした立ち姿をそのまま、脂ぎった家老の猿臂にゆだねてしまうのか。
おりくは白い目で、姑の後ろ姿を見送った。
間もなくおりくの相手も、この屋敷に現れるのだろう。
相手は夫の下僚である、若侍だった。
貞操を女の誉れと教え込まれてきたおりくにとって。
乱倫を極めたこの城下町の気風は、衝撃以外のなにものでもなかった。
自害をせぬかと案じて、みなで寝ずの番をしたのですよ。
おっとりと嗤う姑は、あの忌まわしい夜。
必死でもがき泣き叫ぶおりくの両腕を抑えつけて。
己の情夫であるご家老が、息子の嫁の着物をはだけていくお手伝いに、余念がないふうだった。
それ以来。
お手伝いにうかがいます。
義父にそう告げる姑に従って、ご家老の屋敷に往来する日常が待っていた。
ふすま越しの姑の、あられもないうめき声を、かしこまったまま耳にし続けて。
いいかげん、気がおかしくなりそうになったころ、
しどけない格好で寝所を出てきた姑に、抱きかかえられるようになかに入れられて。
息荒くのしかかってくる夫の上司の言うなりに、身体を開いていった。
姑は悩乱をする嫁のようすを、逐一窺いながら。
真っ赤な腰巻をふたたび、ご家老を狂わせた細い腰に、巻きつけていった。
姑が真っ赤な腰巻を着ける日は。
忌まわしい歓びが待つ日だった。
やがて。
婚礼を控えた夫の妹が、玉の操を散らした後、嫁いでいって。
そのあとを追うようにご家老は居所を移して。
姑もまた、まな娘の不行儀に、せっせと加担するようになっていた。
取り残されたおりくは、出入りの魚屋と契りを結び、
それをきっかけに出入りの町人たちをつぎつぎと敷居をまたがせて、
緋の腰巻をほどいていった。
3.
いい魚が入りましたよ。だんな様にいかがです?負けときますぜ。
威勢のいい魚屋の言いぐさに、おりくは小銭をすこしよけいにはずんでやって。
夫もまた、「精が出るな」と、魚屋をねぎらっている。
どこのお武家でもありそうな光景。
けれども夫は、すべてを心得ているようだった。
逞しい猿臂に酔った自分の妻女が、しとやかな武家装束のすき間から、白い脚をあられもなくむき出して、
組み敷いた男の言うなりに、精を吐き出されている日常を。
そういう晩には必ず、夫は激しく求めてくるのであった。
お子が生まれたあとは、ぞんぶんになさいませ。
姑は厳粛な顔つきで嫁の不行儀を赦すと。
おりく殿はしもじものものが、お好きだそうな。
たいがいに、慎まれませ。
去り際、ウフフと笑んだ横顔が、言葉を裏切っていた。
らっせい。らっせい。
きょうもシジミ売りが、威勢の良い声をあげて武家屋敷を過ぎてゆく。
シジミ売りは自分の声に耳を向けさせようとして、
時折商売となんの関係もない、他愛のない冗談をおり交ぜてゆく。
お奉行の妻女のおりくさまが、きょうも魚屋と逢い引だよ~
塀ごしに呼ばわる声におりくは頬を赤く染め、あわててシジミ売りを家にあげて、お代はいくらと問うのであった。
夫はそういうときも、知らん顔をして書見を続けていた。
4.
庭先を、お借りいたします。
そう夫に言い置いて、おりくは白足袋の足を、沓脱ぎ石におろしていった。
あれからなん年、経ったことだろう?
女の操を汚されるという、あるまじきことを。己の歓びと変えてから。
やはり同じように年老いた魚屋は、そんなおりくのしぐさを、固唾をのんで見守っていた。
庭先にひざまずいている魚屋と、おなじ高さの目線に降りると。
ふつつかですが。
おりくは雨上がりの庭先の地べたに、ひざを突いて。
着物を泥に浸しながら、女は身分ちがいの男に、頭を垂れる。
どうぞお情けを、くださいませ。
泥に堕ちよう―――
そう心得た女は、あえて夫の在宅のときを選んでは。
魚屋を相手に、衣装を泥に浸してゆく。
身分ちがいの男を、そうそう屋敷にあげることは、かなわなかったから。
はぁはぁ・・・ぜいぜい・・・
荒い吐息は、お隣のお邸まで届いているだろうか。
はだけた着物からあらわになった両肩に、かわるがわるあてがわれる唇に酔い痴れながら。
女は姑のことを、思い出していた。
いま着ているこのお召し物も、姑のものだった。
母が侵されているような気がするな。
ふと言いかけた夫が、言いかけた言葉を決まり悪げに飲み込んだことがあった。
姑も、この魚屋の相手をしたことが、あるのだろうか?
そういえば、うす紫のこの着物に袖を通すとき。
あの魚屋は昂ぶりようを変えているような気がする。
さ。ぞんぶんになさいませ。
おりくはいつか、姑の声色になって。
喉を引きつらせて首すじにかぶりつく魚屋に、われとわが身をゆだねていった。
あとがき
意味不明なお話・・・?
描きたいことが、いろいろとあり過ぎたのですよ。^^
余所から嫁いできた女 2
2012年05月22日(Tue) 06:31:34
子供たちは、学校へ。
夫は、都会の勤め先へ。
そして未央子は、ここ…夫の実家の離れにいる。
お茶室に毛の生えたほどの広さの、こぢんまりとした離れは。
この家の女たちが、吸血鬼たちとの逢う瀬に使用する、便利な空間。
そう。
未央子が此処に着いた時には、先客がいた。
着くずれをした和服に乱れ髪の兄嫁は。
ごめんなさい。先約があったので、使わせてもらったわ。
お掃除しますから、未央子さんもうすこし待ってね。
そう言い置いて、情事のあともあらわなままで、姐さんかぶりにたすき掛けをして、
部屋に残る淫猥な空気を祓うため、そそくさと離れに、取って返した。
都会育ちの彼女が、ひなびた夫の郷里に移り住んできて。
此処の風習に染まって、初めて生き血を吸われて以来。
それまでよほど、肩身が狭かったのだろうか?
夫は以前よりも活き活きと、振る舞うようになっていた。
「小父さま」が、あなたの血をご所望なのですよ。
そう、姑にきかされてから。
じっさいに血を吸われるようになるまでの、数か月。
つねに生き血を狙われているような心地がして、落ち着きが悪かったものが。
いま こうしてふたりきりで逢う関係に堕ちてみると。
どうしてあんなにも、「小父さま」を避けていたのだろう?と、
われながら不思議に思えるようにさえ、なっていた。
生命にかかわるほどの血を吸い取られて、命乞いのために操を捨てた。
公式には、そういうことになっている。
まして夫は、なにも知らないことになっている。
けれども、日常の裏で紡がれる淫らな糸は、思ったよりも濃密だった。
さいしょに声をかけられたのは、じつは夫のほうで。
子供のころから懐いて血を吸わせてあげていた「小父さま」に、妻の生き血を所望されて。
夫は一も二もなく、了解したという。
それとなく、機会を作るから。でも、無理強いはいけないよ。
彼は妻の体面も慮って、そう約束したという。
三十代の人妻の。熟した血潮を愉しまれながら。
自分のいま堕ちている境遇を、誇らしいとさえ思う未央子だった。
あ・・・あ・・・そこ・・・っ。
血を吸い取った後、本能的に訪れる衝動が。
身体の上に覆いかぶさってきた。
スカートを着けたまま、股間に突き入れられる吶喊に。
女はのけぞり、髪を振り乱す。
子供が戻ってくる前に…済ませて。。。
女の言いぐさに、男は軽く頷くと。
太もも丈のストッキングがずり落ちかけた白い脚を左右に引き裂いて。
ずぶずぶと直線的に、侵してきた。
ごめんなさい。ミチオさん。ごめんなさい・・・
夫の名前を呟くことが。情婦をよけい昂ぶらせることを知りながら。
未央子はひたすら、夫の名を呼びつづけていた。
あとがき
中途半端ですね。(^^ゞ
吸血鬼は夫と直接話をつけて。
妻は姑から言い聞かされて。
同衾したのを見届けさせられた夫は、それを一人前の村の男衆となる通過儀礼と心得ていて。
嫉妬を妖しい歓びにかえてゆく―――
穏やかな日常に秘められた、公然の情事を描いてみました。^^
余所から嫁いできた女
2012年05月22日(Tue) 05:05:52
1.
だいじょうぶ。怖くはありませんのよ。
首すじや脚を、ほんのちょっと噛まれるだけなんですもの。
ミチオも治子も。治子の旦那様になるひとも。
ええもちろんわたくしや、おとうさまも。
みんなあの方に、血を吸われているんですもの。
吸い取られる血の量だって、かわいいものよ。
ちょっぴり貧血に、なるだけの話ですから。
この土地の人間はみんな、献血なんだと割り切っておりますのよ。
ええもちろん・・・よその土地から嫁(き)た未央子さんに、無理強いするつもりはありませんのよ。
2.
薄々感じていたことだけれども。
やっぱりほんとうのことだったと知らせてくれたのは。
ほかならぬ義母のミツだった。
ころころと愉快気に、嗤(わら)いながら。
この村では人と吸血鬼とが共存しているのだと、面と向かって教えてくれたのだった。
夫のミチオはそんなこと、ひと言も彼女に告げなかった。
エエ。男のひとからは、申さないことになっているのですよ。
とくに、よその土地から嫁(き)たひとにはね。
こうして女どうし、伝え合うものなのですよ。
気心のおけない相手には、告げぬがしきたり。
あなた・・・もっとわきまえてくださいな。
わたくしが報せた・・・ということを。
姑は心地よげにそういうと。
あとはあなたの思案です。無理強いはしませんよ。くれぐれも・・・
そういって、割烹着を着けた着物姿の背を向けた。
キリリと結い上げたまだ黒い髪のすぐ下。
あらわにむき出された白い首すじにはくっきりと、赤黒い噛み痕がつけられていた。
3.
よしてッ・・・ここから出ていってくださいッ!
未央子は戸惑い、取り乱していた。
父親ほどの年配にみえるその初老の男は、未央子の声など耳に入らぬように、
広い和室の片隅に、未央子を追い詰めようとしていた。
法事の手伝いで、洋装の黒の礼服姿で訪れた親類の屋敷でのことだった―――
いつも顔を合わせている、その男は。
みんなが口裏合わすようにただ、「小父さま」とだけ、呼ばれていた。
女学校に通っている姪―――夫の長兄の娘―――さえもが、
まるでお見合い相手に逢うようにウキウキとして、
「小父さま」が家にやってくるその日には、
制服が夏ものに変わっても、決まって黒のストッキングを脚に通すのだった。
「小父さま」が来るときにかぎって。
この家の男たちはどうして、家からいなくなるのか。
みんなどうして、ストッキングの穿き替えを気にするのか。
その理由がやっとわかったとき。
和室の壁を背にした未央子は、脚に通している黒のストッキングを、噛み破られようとする直前だった。
4.
ああああああッ・・・
必死の絶叫もむなしく、未央子は畳のうえに、押し倒されてゆく。
姑も、義姉も、義妹も。そして姪さえもが。
声が届かないはずはないのに。
いつものように笑いさざめきながら、食器の片づけをしているのだった。
必死で逃れようとして、
あと一歩で部屋から出られるところで、足首をつかまれて。
ばったりと、大きな音をたてて転んだのに。
だれも助けには、来てくれなかった。
「小父さま」はうひひひひひ・・・ッと、舌なめずりをして。
黒のストッキングを履いた未央子のふくらはぎに、
脂ぎった唇を、なすりつけてきたのだった。
ちゅうっ・・・
ヒルのように吸いつけられた、唇が。
そのすき間からぬめりつけられてくる、舌が。
淡いナイロン生地越しに、淫らな唾液をしみ込ませてくる。
あきらかに・・・洋装の女が身に着けるストッキングの舌触りを、愉しんでいるのだった。
ふだんは思いつくこともなかった、「辱め」ということばが、
どす黒い衝動を伴って、未央子の胸を突き刺した。
う、ひ、ひ、ひ。
ええ舌触りじゃ。
たまの浮気もよかろう。え?え?
噛み破られたストッキングごしに触れる外気の空々しさが、
女をすこしだけ、大胆にしていた。
かすかに身じろぎをして、吸いつけられてくる唇に、うなじを差し伸べてやると。
かりり。
さっき刺し込まれたばかりの尖った異物が、じわじわと皮膚を侵してくるのだった。
ごくん、ごくん、ごくん・・・
その身をめぐる血液を、思い切りむしり取られていったあの感触が。
ひどくいとおしいものに思えてきたのは、きっと錯覚なのだ。
未央子はしいて、自分にそう言い聞かせようとしたけれど。
部屋の隅にしつらえられていた籐椅子に、じぶんから腰かけて。
にじり寄ってくる卑猥な唇に、もう片方の脚も噛ませていって。
黒のストッキングにむざんな裂け目が入るのを、
ころころと笑いこけながら、面白そうに見おろしている自分に。
未央子はなぜか、ひどく納得がいっていた。
それとなく家を離れたとみえた男どもが。
じつはひっそりと、帰宅をしていて。
どきどき感じ始めてしまっているこの初体験の場を。
ふすまのすき間。壁の小穴。
そんなあちこちから、覗き込んでいるのを。
聞き取れないほど低い声色が夫を揶揄し、
夫がくすぐったそうに、それに応じてゆくのを、未央子は聞き分けると。
いまではすっかりいとおしくなってしまった「小父さま」に求められるままに・・・
裂けたストッキングを穿いたままの両脚を、ゆっくりと開いていったのだった。
あとがき
街ん中で、黒のストッキングの女性を見かけましてね。
肉づきのむっちりとした脚が、薄黒のナイロンに、よく映えているんですよ。
それで思わず、こんなお話を妄想しまして。
今朝がたモノになりそうだ・・・っって思って、パソコンに向かったのでした。
吹く風も爽やかないまの季節。黒のストッキングが街を闊歩する、つかの間の時候でもありますねぇ。
布団のなかの戯れ
2012年05月21日(Mon) 22:04:14
少 年:いやだっ。いやだっ。まだ寝ていたいんだよっ。(>_<)
吸血鬼:そうはいかない。私のお愉しみタイムには、つきあってもらわなくちゃ。^^
少 年:あっ、ダメだよ。ダメっ!ハイソックス噛んじゃ…
吸血鬼:うふっ。これが愉しくって、やめられないのだ。ふむふむ。新しいやつをおろしたね?^^
少 年:そうだよ。まだおニューなんだよ。だから、見逃してっ。
吸血鬼:舐めるだけなら、いいだろう?キミのハイソックスは、いつもいい舌触りだからね。
少 年:あ・・・ああ。でもちょっとだけ。ちょっとだけ だからねっ。
吸血鬼:こら、そんなに脚をばたつかせないで。
少 年:だって・・・首すじ噛むんだもの・・・
吸血鬼:いい気分・・・だろう?
少 年:ああ・・・悪くはないよね。(^_^;)
吸血鬼:じゃあもうひと口。
少 年:どうぞ・・・(うなじをさしよせて、血を吸わせる)
吸血鬼:唇に着いた血を、ハイソックスにこすりつけてあげようか?^^
少 年:ちゃっ、ちゃんと何かで拭いてからにしてよっ。
吸血鬼:うふふふふふっ、もう遅い。
少 年:あー・・・(悶絶)
吸血鬼:白い生地には、バラ色のシミがよく似合うだろう?
少 年:あ・・・ああ。似合う。よく似合うよ・・・(だんだんウットリしてくる)
吸血鬼:じゃあもう片方も・・・。^^
少 年:あ・・・っ。うっ・・・。いけない。いけないったら・・・
吸血鬼:これ、いまさら嫌がるんじゃない。
少 年:だって・・・だって・・・もう八時・・・ママが起こしに来るじゃないかっ。
吸血鬼:それは好都合。^^ ママにきみのいけないとこ、しっかり視てもらわなくっちゃ。^^
少 年:だめっ!だめだったら・・・っ・・・
ちゅ―――・・・
だんだん痺れてくる感覚、抵抗できなくなっていく手足を、どうすることもできないでいるうちに。
スリッパを履いたママの足跡が、ドア越しに近づいてくる。
意識が遠くなった彼方から。
ママのびっくりした声。
吸血鬼の小父さんの、得意げな囁き。
ママの悲鳴と、じたばた抵抗する物音・・・なんかが・・・聴覚の頼りなくなった鼓膜をかすかにふるわせ続けている。
さいごに吸血鬼の囁きが、少年の心をびくん!と射すくめた。
吸血鬼:ママもいいって、言ってくれてるぞ。きみは明日から・・・わしの邸で働くのだ。
メイド姿で・・・出てお出で。^^
くり返すけれど・・・ママもいいって、言ってくれているんだぞ?^^

あとがき
その名も高き、「脚着衣画像掲示板」の管理人gauzeさまが、画像の使用許可をくださいました。^^
今回は、コラボ作品ということで、お送りいたします♪
画像のある記事はこちら。↓
http://bbs.avi.jp/bbs_th.php?kid=458489&tid=26262&mode=&br=pc&s=なお、当ブログにあるほかの画像同様、文章・画像の無断転載複製等は固くお断りいたします。
いけないお誘い
2012年05月13日(Sun) 05:46:00
公園のいちばん隅のあずま屋に、一人でお出で。
だれにも気づかれては、いけないよ。
そうそう。
服は、学校の制服にしなさい。
そのほうがふだん着よりも、オトナっぽく見えるから。
それからね。
白のハイソックスを履いてくるのだよ。
真新しいのでも、履き古しでも、構わないから。
いつも学校に履いていく、無地のやつがいいな。
そんな小父さまのお誘いのままに、貴美子はひっそりとやって来た。
いつも学校帰りに通り抜ける公園に、なぜか足音まで忍ばせて。
目のまえに現れた小父さまの息遣い。
ちょっといつもと、違っていた。
貴美子のすぐ脇に、にじり寄るようにして腰かけた、あの素早さも。
かなりいつもと、違っていた。
すぐそばにいる小父さまが、ふだんの小父さまではなくて。
獣が小父さまに化けているような。
小父さまが獣の正体をさらけ出しているような。
けれども秘密を共有するこの狭い空間にかもし出される不思議な雰囲気が。
貴美子をちょっぴり、大胆にさせていた。
いつもならちょっとしたことにでもすぐに怯えて、固まって立ちすくんでしまう貴美子なのに。
きょうの彼女は、いつになく多弁だった。
「こんなところに呼び出して、いったいなんのご用かしら・・・?」
わざとのように、小首をかしげて。
そんな姪娘の目線に応えて、小父さまは席を起って、やおら足許にかがみ込んできた。
「アッ、なにするの!?」
ちょっとだけ甲高くなった声のトーンを途切らせたのは、小父さまではなくて、貴美子じしんのほうからだった。
乙女らしい羞恥心が、そうさせたのだった。
小父さまの言いぐさは、直截的だった。
―――貴美子の脚が吸いたい。
―――ハイソックスの脚に、イタズラしたい。
―――いいよね・・・?^^
小父さまは余裕たっぷり、あくまでもイタズラっぽく、ほほ笑んでいる。
「やだわ・・・っ。あんまりひどいイタズラ、しないでね・・・」
潔癖な言葉つきとは、裏腹に。
貴美子の声は、なぜか弾みを帯びていた。
ぬる・・・っ、と這わされた、唇の下。
ふくらはぎのなだらかなカーブに沿ったハイソックスのリブが、じりじり、グネグネと、ゆがめられていった。
熱っぽく吸いついた唇が分泌する唾液が、しなやかな真新しいナイロン生地を、じわじわ、ぬるぬると、濡らしていって。
初々しい血潮の脈打つ皮膚の奥にまで、しみ込んでいった。
―――貴美子のハイソックスは、美味しいね。
―――ときどきナイショで、愉しませてくれないか?
そんないけない小父さまの誘惑に。
少女はなぜか、無言でうなずいてしまっている。
いっぱいイタズラされてしまったあと。。
少女はずり落ちたハイソックスをきちっと引き伸ばして、
素知らぬ顔で、あずま屋を離れた。
あたりはいちめんの、透きとおる風。
少女は風の彼方へと、駈け去っていった。
足許にしみ込まされた唾液のなま温かさを、振り払うようにして。
【後記】
これは、以前描いたお話の翻案です。
「あずま屋」(2011年11月3日アップ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2686.html「気がつくと、そこは秋の景色・・・」(2011年11月17日)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2672.htmlどうにも気になるプロットたちなので。^^
あっ、でも過去話へのコメント・拍手は、いまのところ皆無です。 爆
姫君
2012年05月13日(Sun) 05:31:13
白い肌を舌で舐めあげて、愛でてやっても。
たっぷりと豊かな黒髪を撫でつけて、ざわりと乱してやっても。
柔らかでたぷたぷとした乳房に掌を這わせて、くまなくまさぐりあげてやっても。
姫君は頑なに目をそむけ、不興げな視線をそむけるばかり。
翌朝。
口をつくようにして生まれた後朝(きぬぎぬ)の歌を、木の花が豊かに咲いた枝に結わえて送り届けてやったとき。
彼女はようやく愁眉を開いて、練達の筆を紙の上に走らせたという。
身体を愛でても悦ばぬ姫君は。
教養を愛でられて初めて、心を開く。
あたかも真冬の枯れ枝が、眩しく花開くようにして。
あとがき
身体だけのつきあいを頑なに忌む女というものも、じっさいには少なくないようです。
うん。やっぱりこれは描いておかないと。(^-^)
2012年05月07日(Mon) 21:53:46
ウチのお話が ですね。
よそ様のお目に留まりましてね。
そちらで、紹介されたんですよ。 画像つきで。^^
このごろたまには、私んとこも。
画像つけたお話創りもしているんですが。
これほどリキを入れてやったことは、作者の柏木にだって、ありません。
もともとは、リンクしている「新・SM小説書庫」さまのところで、お見かけして。
それが、この、「SM SHORT STORY」さまというサイトでして。
http://smshort.h.fc2.com/smmain.htmlおそるおそるお邪魔してみたら、とても素敵な画像とお話の世界でして。
やっぱりおそるおそる、コメ入れてみましたら。
じつに好意的に、迎え入れてくれたのでした。
ジャンル違いで、ご迷惑では?と思っていたのに、リンクまでしてくれまして。
そのうえこのたびは、ウチのお話を画像つきであっぷしてくださったのでした。
本文はサイトの管理人様の創意で、多少改変されております。
と、申しますか。
おおげさなたとえかもしれないですが。
ある意味小説を映画にするようなものでして、
そうなりますと当然、アレンジした人の創意工夫が重なってまいります。
択んだお話に合う絵を、探してきて。
それらの絵たちとお話とを、こんどは丹念に縒り合せなければいけませんから。
こちらが、「原作」。サイトさまは「映画」。
柏木としては、そういう解釈をしております。
もとよりこうしたことにつきましては、どこのだれでもOK、というわけではございません。
サイトの管理人であらせられる「がんこじじい」さまとは、何度もメールのやり取りのうえ、アップに至った次第です。
ぜひぜひ、こちら↓のサイトをご覧になって下さいませ。
http://smshort.h.fc2.com/smindex00.htmlhttp://smshort.h.fc2.com/smstory211.html柏木も、自分の描いたものが人様の目にどのように写るものか、興味津々で拝読させていただきました。
ちなみに原作はこちら。↓
「ポートレイト ~妻三態~」(2008年3月10日アップ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1353.html四年後のブレイクです。^^
朗報。
2012年05月07日(Mon) 21:21:26
以前弊ブログとリンクしていただいていた「秘すれば花」のくろすさんが、復帰してくださいました。
\(^o^)/
祥子さまつながりでお見えになられるようになって。
ダンディで濃いコメントを、たくさんいただきました。
時折彼の部屋を訪れると、そこは妖しくも淫らな、夢幻の世界―――
あるときは爛漫な春を。あるときは懶惰な男女のさがを。
変化にとんだ絵物語は、時間を忘れさせるに十分なものでした。
そんな彼のブログが、あるとき突然、なくなっていて、びっくりして。
すぐに愛惜の記事を描いたのを、つい先週のように憶えています。
というか、せいぜいそんなことしか、できなかった。
数年ぶりにレスを頂戴できた想いです。
想えば二回、閉鎖されたのですよね。
新しいブログのご発展、かげながら祈っております。
>くろす様
さっそくリンクを貼らせていただきました。^^
悲しんでいる当時の柏木を観たい方は、こちら↓
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1532.html
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1829.html
一歩前に。
2012年05月03日(Thu) 12:05:18
通い慣れない道を夜歩くのは、気味悪いもの―――
OLのたか子は、パンプスの足音を忍ばせるようにして、独り夜道を急ぎ歩きしていた。
定時も間近になったころ。
まだ気心の知れない上司に、無表情で呼び止められて、急な残業を命じられたのだ。
なにもことさらきょうじゅうに、仕上げる必要のなさそうな業務だった。
指示された資料をようやく作り終えると、それまでまるでたか子のことをさりげなく監視するように、自分も居残っていた上司氏は、初めて満足そうに笑いかけてきた。
外はもう、真っ暗だった。
ひたひた。
ひたひた。
背後から聞こえてくる足音の主は、姿が見えなかった。
それくらいに薄暗い街灯の行列が、陳腐に古びた街なみを、殺風景に照らしている。
たか子はなん度も振り返り、そのたびに視認できない足音の主にいら立ちながら、足を速めた。
アッ!
一瞬の出来事だった。
家並みが途切れ左右に草むらが広がる真っ暗なところにさしかかったとたん、
たか子は背後から抱きつかれ、そして正面から抱きすくめられていた。
雨あがりの路上。
息苦しいほど強く、前後から抱きすくめてくる獣たちの衣類もまた、雨水の匂いがした。
都会からきたお嬢さんだね?すまねぇが、血を分けてくんな。
悪りぃ。悪りぃな。けども、今夜じゅうに血を吸わねぇと、おらたち命がないんだ。
獣どもは、強圧的ではなかった。
むしろ懇願してくる田舎ことばが、こっけいなくらいだった。
けれどもやはり、彼らの懇願は、事情を知らないたか子を怯えさせるのにじゅうぶんだった。
かりり。
首のつけ根に突きたてられた鋭利なものが、皮膚を侵した。
同時に、足許にすがりつくようにして両膝を抑えつけていた男が、たか子のふくらはぎに唇を這わせてきた。
ゾッとするような舌の感触に、たか子が縮み上がると、
ほぼ同時に、うなじを侵してくる鋭利な異物が、たか子の皮膚の奥深く、ずぶりと食い込んできた。
あああッ!
たか子は絶叫し、もみ合い、それでも血を抜かれてゆく感覚に、無重力状態に陥ったような気分を覚えていった。
身体が重くなり、平衡感覚が喪われ、スーツ姿を横抱きにされて、草むらのなかに投げ入れられる。
そのあとどんな暴行が待ち受けているのか、大人の女ならだれでも、察しのつくことだった。
待ってください。ちょっと待って・・・!
制止する若い男の声が、のしかかる獣たちの背中ごしに、聞こえてきた。
ちょっと待ってください。そのひともしかして、初めてなんじゃないですか?こういうこと。
草むらの中に踏み込んできた青年は、獣のひとりの肩を摑まえると、彼の耳もとでそう訴えた。
彼女を放してください。代わりにボクの血をあげますから。
尻もちをついたまま、恐怖のあまり身動きもできないたか子のまえで。
青年に対する吸血が、はじまった。
青年は、近くの学校の生徒らしい。
紺の半ズボンにおなじ色のハイソックスという制服姿のまま、ふたりがかりで抱きすくめられて、
唇を吸いつけられた首すじからは、早くもおぞましい吸血の音があがっていた。
もうひとりの、たか子の脚を抑えつけていたほうのやつは、ハイソックスを履いた青年のふくらはぎに、唇を圧しつけていった。
短時間のあいだになん度も噛みつかれたたか子の足許からは、
履いていた肌色のストッキングがむざんに裂けて、すねが露出しかかっていた。
じかに外気に触れるそらぞらしさが、恐怖と屈辱を増幅させた。
それでも、身代わりになってくれたらしい青年が吸血されるのを、彼女は救い出すこともできず、立ち去るわけにもいかず、ただ茫然と眺めていた。
吸血鬼どもはようやく、満足したらしい。
解放された青年は起き上がると、まっすぐたか子のほうに駆け寄ってきた。
だいじょうぶですか?
だいじょうぶですか?
ほぼ同時に、相手を気遣う声が、闇夜の中に交錯した。
ああ、生きているんですね。わたし・・・
思わず涙が、滲んできた。
すみません。こういうこと初めてなんですよね?
青年はたか子にハンカチを差し出しながら、もう片方の手で、足許の傷口についた血を拭っていた。
ずり落ちかけたハイソックスから露出した噛み痕が、ひどくなまなましかった。
このあたりにはね、吸血の習慣があるんです。
お姉さんも、噛まれてしまいましたね?
きょうと、あした一日は、ゆっくりお休みなさい。
あした会社に行かなくても、怒られたりはしないはずですから。
そうしたら・・・気分も落ち着くと思いますから。
青年は謎めいた笑いをよぎらすと、たか子を家まで送っていくと告げていた。
翌々日のこと。
定時になると、一昨日彼女を取り返しのつかない淪落に導く結果を招く残業を命じたあの上司氏は、
いままでとは打って変わった愛想良さで、たか子に早帰りしてよろしいと告げていた。
玄関で、だれか待っているみたいだよ。ボーイフレンドができたのかな?
ご機嫌な上司氏の声を背に、たか子が事務所を出ると。
そこで待っていたのは、あの青年だった。
このあいだとおなじ、濃紺の半ズボンにおなじ色のハイソックスの制服姿だった。
いつもね、彼らに逢って血をあげるときには、新しいやつ履いてきてやるんですよ。
ときどき、ヘンなシュミのやつがいて、履き古しをねだられることもあるんですけどね。
お姉さんのストッキングも・・・新しいやつみたいですね。
めずらしくてかてか光るストッキングを穿いたたか子は、ちょっと顔を赤らめて、「ええ」とだけ答えた。
自分の喪う血液量を気遣って、いっしょに襲われてくれた青年と。
歩みをそろえる・・・ということは・・・
たか子は先日の強姦どうようの仕儀がふたたび、わが身を襲うことを予感した。
それでも彼女は、彼と肩を並べて歩くことを、やめられなかった。
傷、痛みますか?
いいえ、もうだいぶ、消えちゃったみたい。
さいしょに噛まれた痕いがいは、たいがい消えちゃうんですよ。お姉さんは脚がきれいでストッキングが似合うから、よかったですね。
ヘンなお祝いに、それでもたか子は肯いてしまっている。
皮膚の奥深く、牙がまだ埋められたままになっているような、ジンジンとした疼きが。
すでに彼女の理性を、あらかた侵蝕してしまっているのだった。
まだ明るい時間なのに。
あの獣たちは、行く手を遮るように行ったり来たりしていた。
だいじょうぶ?
いたわるような傍らのまなざしを受け止めて。
たか子は一歩、ハイヒールのつま先をすすめていった。
「噛んでもいいわ。わたしの血をどうぞ―――」
少女が魂を譲りわたすとき。
2012年05月03日(Thu) 09:42:56
大好きな小父さまに、おねだりされて。
ママにナイショで、制服姿で家を抜け出して。
待ち合わせのホテルのロビーを、嘘の名前でスルーしたとき。
あたしの顔、きっと火照っていたとおもう。
エレベーターの重たい扉が、ガクンと音をたてて。
人のおおぜいいるロビーとあたしのあいだを遮ってくれたとき。
しんそこホッとしたんだもの。
歩き慣れないホテルのじゅうたんのうえ。
新しくおろしたばかりのストッキングの、しなやかに密着してくる感触と。
腰にまとわりつくスカートの、ゆらゆらと揺れる感じが。
いつものことのはずなのに。
身体の隅々にまで、心の奥底にまで。
なぜか、妖しく沁み込んでくる。
よく来たね。
さきに着いていた小父さまは、いつものように。
あたしのことを、優しく迎え入れてくれた。
ほっとした隙に奪われた、初めての口づけに。
すっかり舞い上がっちゃったあたしは・・・
その瞬間、娼婦に早変わりした。
黒のストッキング、似合うかしら?
小父さまの好きなようにして、かまわないのよ。
あたしはわざと、片方だけ靴を脱いで。
いつも学校に履いていく、黒のストッキングの脚を見せびらかした。
ストッキングごし、吸いつけられてくる唇が。
獣みたいに滾る、熱い熱情を伝えてきて。
あたしは思わず縮み上がって、脚を引っ込めようとしたけれど。
足首をギュウッと、痛いほど握り締められて。
身じろぎひとつできずに、ストッキングの脚をいたぶり尽くされていった。
薄いナイロン生地に沁み込まされてくる、汚らしいはずの唾液が。
どうしていとおしく、想えてしまったのだろう?
そう。
あのときあたしは、たしかに娼婦になり切っていた。
おずおずと靴を脱いで。
ベッドのうえに身体を横たえるときには、さすがに緊張した。
ガチガチに固まって、ぶきっちょに身を揺すりながら。
あたしはちょっとずつお尻ずらすようにして、ふかふかのベッドのうえに身体を沈めた。
真新しいシーツの感触が、ひどく心地よかった。
小父さまはそんなあたしを、優しく見守りつづけてくれて。
あたしのことを助け起こそうとも、無理に引きずり込もうともせずに、
大人しく仰向けの姿勢になるのを、待っていてくれた。
さあ。好きにして。
このお部屋には、小父さまとあたしだけ。
だれも視てはいないわ。
無表情をつくろって、そう言い放つあたしの上に。
背広を脱いだ獣が、荒々しくのしかかってきた―――
はぁ。はぁ。
随喜の呻きに。
セィ。セィ。
はずむ息遣いで応えながら。
あっ。あっ。
戸惑いを気づかれたくなくてこらえた声が、とうとう洩れてしまう。
いやっ。そんなに強く・・・
途切れた言葉のつづきは、とうとう吐かれることはなかった。
容赦なく抉られた痛みに、あたしの瞼は濡れて。
それとおなじくらいじめじめと。
なま温かい血潮が、太ももから足首へと、伝い落ちてゆく。
いまごろママは、なにも知らないで。
晩御飯の支度をしているのだろうか。
お友達のナッちゃんやちひろは、おなじ制服を着て塾の授業を受けているころだろうか。
われにかえってふとよぎった日常が、すごくかけ離れたものに思えてきた。
このままひと晩、泊まっちゃおうかな。
エスカレートしそうになったあたしのことを、小父さまは優しくセーブしてくれて。
それは、合格祝いにとっておこうね。^^
あたしは童女みたいに素直に、「うん」と頷いてみせていた。
〇月×日。
それはあたしにとって、お誕生日のつぎに忘れられない日になった。
血ィ、吸われて来い。
2012年05月01日(Tue) 07:49:10
種原美保が下校してきたのは、ちょうど家庭訪問のさい中だった。
黒革の鞄を茶の間の隅に置くと、そのまま仕事場に向かおうとする娘を、
わたしと面接していた父親が呼び止めて。
そして、信じられないようなことを、口にしたのだった。
きょうは家の手伝いはエエから、羽根村のご隠居のとこさ行って、血ィ吸われて来い。
買い物に行って来い、というくらい、こともなげな言いかただった。
処女の生き血が三人分、要りようだて、今朝回覧が回ってきたで。
サッちゃんとゆき坊は、先に済ませたはずだから、独りで行(え)ぐんだぞ。
父親が投げるぞんざいな言いぐさを背中で聞いて。
あーうんうん。
少女のほうも平然としていて。
履いていた靴下を脱いで洗濯機に放り込むと、傍らに干してあった黒のストッキングをとりあげて、
むぞうさに脚に通してゆく。
紺のスカートの下目映く輝くふくらはぎを、薄手の黒のナイロンが、大人びた翳で染めてゆくのを、
男ふたりはしばし、じいっと視ていたが。
少女は男どもの視線など気にするそぶりもなく、
じゃ、行ってくるね。
言い捨てるとそそくさと、放り出したばかりの黒革の鞄を手に、玄関を出た。
当番といいましてな。
きょうみたいに急にまわってくることもあるんですよ。
あくまでこともなげに口にする父親に。
わたしはただ、言葉を喪っていた。
窓辺に遠く、娘たちがすれ違うのが見えた。
向こうから帰ってくるのは、サッちゃんとゆき坊と呼ばれた少女たちだろう。
塾なんだって?ずるいなー。
あっけらかんとした少女の声が、ここまで聞こえてくる。
部活で帰りの遅くなった少女はひとり、村はずれに棲む年配の吸血鬼のところに、血を吸われに行くのだろう。
二人連れの少女は左右に分かれて、美保をはさむようにすれ違いざま、
バトンタッチするように、掌どうしを触れ合せた。
こちらに向かってくる少女たちの足許をみると、真っ白なハイソックスに、赤黒いシミが散っていた。
素足で帰ってくるよ、あの子。
ストッキング噛み剥ぐの、みんな好きなんだから。いけ好かない。
そういいながらも母親は、にこやかに娘の後ろ姿を見送っている。
いったいこの村は、どうなっているのか―――
都会から転任してきたばかりのわたしがそう感じたのも、つかの間のことだった。
ひと月後、妻が生き血を吸い取られ。
血を吸われた近所の男のところに夜な夜な出かけてゆくのが習慣となって。
三月もすると。
わたしの血だけじゃ、足りないの。
そんな口実から、中学にあがったばかりの娘まで連れて、出かけるようになって。
半年たったころには、義母が。
そしてさらに半年後には、わたしの母までが。
いまでは夫婦同伴で、いかにも都会ふうの装いを、田舎の風になびかせるようになっている。
もちろんそのだれもが、脚に穿いたストッキングを、見る影もなく噛み剥がれる習慣を身に着けていた。
閉校。
2012年05月01日(Tue) 06:53:35
TJ館大が、閉校するそうですね。
現在の学生がいなくなる2016年には、なくなるそうです。
1956年に短大として開校し、2002年に4年制大学に改組されたそうです。
本体の開校は1888年なので、小中高のほうが長い伝統を持っているわけですが。
これも少子化の一側面でしょうか・・・
同学のますますの発展を、かげながら祈っております。
それにしても・・・
ここの制服は素敵ですよね?^^
(けっきょくそこかい)