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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

令嬢と奉公人の恋

2012年09月29日(Sat) 14:00:15

~吉郎の独り言~

ねぇ、お父さん。あの離れに棲んでいるおばあちゃんは、どういう人なの?
とっても優しいひとなのに、あそこから絶対出てきてくれないんだよね。
「遊びに来てね」ってボクが頼んでも、「はいはい、またこんどね」って言うばかり。
おばあちゃん、うちに来てくれないのかなー。

幼い声でそう問いかけてくる息子には、まだほんとうのことは話せない。
きれいな生垣で仕切られているとはいえ。
あの離れから外部に出るのは私たちの住まう本宅の敷地を通らなければならなかったし、
離れの住人は本宅を通り抜けて外界に接することは、固く禁じられていた。
いまでは本人も、あえて禁を破るような意思を、持ち合わせていないようである。
そう、その昔其処は、「座敷牢」とさえ呼ばれていた場所だった。


~初子の追憶~

「初子、甚吉のお見舞いに行ってらっしゃい」
お母様がそうおっしゃってくださったのは、秋の夕暮れのことでした。
甚吉は我が家に代々勤めている、奉公人でした。
わたくしよりもちょっとだけ年上の甚吉は、いつも身近にいて、
幼いころからわたくしのめんどうを、まるで兄のようにこまごまとみてくれていたのです。
ところがその甚吉が病になったのは、わたくしがちょうど女学校に通っている時分のことでした。
ずうっと前から体が丈夫で、風邪ひとつひいたことのない甚吉でしたのに。
幼いころから住み込みで奉公をしていた彼は、いつの間にか自分の家から通うようになっていたのですが。
かかった病のため、その家から一歩も出られなくなった・・・というのです。

女学校の制服のまま通り抜ける下町のたたずまいは、
わたくしの住まうお屋敷町とは、ひどく趣きがちがっておりました。
もとは武家屋敷だった閑静なお屋敷町ばかりを見慣れたわたくしには、
それは初体験の街歩きだったのです。
狭苦しい商店街のごみごみとしたせわしなさや、
行きかう人たちの、寒々とした貧しげな風体。
通りをすれ違う人の、人いきれさえ頬にかかりそうなほどの人ごみの息苦しさは、
さいしょのうちこそ新鮮ではあったものの、
もともと引っ込み思案で通っていたわたくしにとっては、
毒気にあてられたような眩暈さえ覚えるものでした。
ええ、幼少のころから、それはおんば日傘で過ごしてまいりましたから。

女学校の制服や黒のストッキングがもの珍しかったのか、
着物に割烹着の街のおかみさん連に、けげんそうな視線を送られながら、
通り抜けた往来の果て―――
たどり着いた甚吉の家は、長屋と呼ばれる、みるからに貧しげな集合住宅でした。
人ひとりしか通り抜けることのできない路地や、すき間風が冷たいだろう破れた戸板のたたずまいに、わたくしはまたもや、目がくらむ思いでした。
こんなところに、あの甚吉が・・・
頑健な体つきと、はたちそこそこの齢とは不似合いなくらい、老成しきったような穏やかさを湛えた甚吉は、
奉公人の身分にふさわしくないほど、知性と静寂を愛する若者だったからです。


よくわかっていたんです。
どうして甚吉が、お熱になってしまったのか。
お母様もとうぜん、女として、そこには感づいていたはずです。
どうしてあのときお母様は、あのみすぼらしい長屋住まいの甚吉のもとにわたくしを差し向けたのか。
いまでもその答えはわかりかねますし、実はとっくにわかっているような気もするのです。
お嫁に行けなくなる危険は、考えてみないわけではありませんでした。
けれども甚吉は、わたくしたちの大切な奉公人でした。
もちろん、わたくし自身にとっても・・・

革靴など踏み入れたことのなさそうな土間に佇むわたくしをみて、甚吉はびっくりして床から這いだそうとしました。
かわいそうにやせ細り、顔は別人のように、蒼ざめておりました。
自分で申すのもなんですが、あのときの甚吉にとってわたくしは、掃き溜めに鶴であり地獄に仏だったことでしょう。
恐縮しきった甚吉をわたくしは制して、お台所に立って、お水は、食べ物は・・・と、お世話を始めようとしました。
けれどもそんなことよりも、甚吉は切羽詰まった事情を、抱えておりました。
そしてわたくしも・・・嫁入り前の乙女として、その事情はとうに察しをつけていたはずでした。
お母様お仕込みのお台所仕事には、慣れきっているはずなのに。
ふるえる手許は、どこか狂いがちでした。
背後に忍び寄る男の気配を、ありありと感じていたから・・・
異変が起きたのは、それからすぐのことでした。


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まだなにも載せていないお皿がわたくしの手から落ちて床板を鳴らし、
黒のストッキングの脚をすくませたまま。
しがみつくように強く抱きすくめてくる逞しい両腕に、縛られるようになって。
だしぬけに首すじに這わされてきたなま温かい唇に、ただ声を喪っておりました。
それを承諾と受け取ったのでしょうか?
いつも声も立てないほどおとなしかった甚吉は、強引にわたくしの手を引っ張って。
痛い!わたくしがひと言叫ぶと、とっさにかばってくれるいつもの優しさを見せてくれたものの、
とうとうそのまま、さっきまで甚吉が独り寝していたせんべい布団のうえに、組み敷かれていったのです。

まるで獣が獲物を貪るような、荒々しさでした。
とっさに示した抗いは、強い力にねじ伏せられてしまいました。
気が小さくて潔癖だといわれたわたくしが、どうしてあのようなあしらいを黙って耐えることができたのか、いまでもよくわかりません。
けれどもすり合わされてくる甚吉の身体はひどく冷たく、人肌のぬくもりをせつじつに求めている・・・そのことだけは敏感に、わたくしは察知していたのです。
貞操の危機を迎えながらも。
重ね合わせられてくる冷たい膚が、わたくしにはひどくいとおしく、なんとしても暖めてあげたい・・・そんな想いさえもが、胸の奥から衝きあげてきたのです。

待って。ストッキング、脱ぐわ。破けたらおうちに帰れなくなっちゃう・・
お隣に筒抜けにならないようにと気遣ったちいさな声に、甚吉はぎくりとしたようになって。
それでも、あつくるしい息遣いをはぁはぁさせながら、わたくしの制服のスカートをたくし上げていって、
ぶきっちょなもどかしい手つきで、黒のストッキングをくしゃくしゃにずり降ろしていったのです。
清楚で大人びた足許の装いは、女学生の誇りでした。
知性と気品をたたえた衣装が、くしゃくしゃに堕とされてゆくのを目の当たりに、
わたくしはただ、息を詰めて、ことのなりゆきをみまもるばかりでした。

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はぁ・・・はぁ・・・
せぃ・・・せぃ・・・

強引に唇を重ね合わせてくる甚吉の荒い息遣いに、むせ返るように。
わたくしもまた、背すじをピンとさせたまま、彼のしぐさに応えていきました。
時折唇を避けようとしたのは、熱いくちづけの合い間の息継ぎのときばかり。
暗くなりかけた夕暮れ刻の長屋の、狭い部屋のなか。
ふたりはしばし、横になったまま。
初めて交し合う口づけに、熱中してしまっていたのでした。
ええ、そのあとすぐのことでした。
甚吉の逞しい腰つきが、グイグイとせり上がってまいりまして・・・
あとはもう・・・口にするのも、羞ずかしゅうございます・・・

その瞬間は、それは痛くって。
歯を食いしばったわたくしが涙するのを、屈辱によるものだと受け取ったのでしょう。
嵐が去った後けんめいにわたくしを慰めてくれようとする甚吉に、言ったんです。

母から聞いています。好きな人に望まれるのは、女の本望なのだと。
お気の済むままになさってくださいね。そのためにわたくし、此処に来たのですから・・・

応えは、息が詰まるほどの強い強い抱擁でした。
荒々しい腕の束縛が、兄が妹を想うような、いつもの優しい愛撫に変わるのに。
なお数刻を要したのです。
男と女になったふたりが、ふたたび体を起こしたとき。
あたりはすでに、真っ暗になっておりました。

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下町とお屋敷街の境まで、甚吉はわたくしのことを送ってくれました。
息苦しいほどおおぜいの人が行き交う通りも、晩(おそ)い刻限ともなりますと、すこしは人通りがまばらになっておりました。
それでもすれ違う人の目を避けたいわたくしを護るようにして、甚吉はその大きな体で、この界隈には場違いなわたくしの制服姿を、道行く人の視界から遮ってくれたのでした。
わたくしはわが身に起きた大きな異変にただぼう然となって、そんな甚吉の心遣いすら、目に入らないくらいでした。
あのときはただ、着つけ直した女学校の制服に乱れはないか?甚吉の体温を伝えたあのせんべい布団で組み敷かれたときの痕跡は残されていまいか?そんなことばかりを気にしておりました。

もとより、若い男女が並んで歩く・・・などということが許される時代では、ありません。
まして、お嬢様と奉公人の関係です。
そこは甚吉も、分をわきまえておりました。
繁華な通りを抜けますと、甚吉は主家に忠実な奉公人の顔に戻っていて、お嬢様のわたくしのあとを何歩も遅れてついてきて、ひっそりと護衛の役を果たしてくれました。
スカートの奥、ひりひりとした痛みとかすかな疼きを覚えながら。
わたくしはあくまで、自分の意志で歩みを進めて、
お別れの場所では、ひとにかしずかれることに慣れたしぐさで奉公人の見送りにこたえ、
彼はあくまでもお嬢様に付き従う従僕として、恭しく礼を返してきたのです。


甚吉がわたくしのお邸への奉公に戻ったのは、それからすぐのことでした。
今まで以上の精勤に、お父様の信用も上がったと、お母様を通して耳にしたときには。
まるで自分のことのようにうれしかったのです。
ある日お母様は、意味ありげな態度でわたくしのことを呼びました。
お父様と、帝劇に観劇に行ってまいります。
今夜はあなた、甚吉とふたりきりで、当家のお留守を守ってくださいね。

いちどなら、過ちで済まされるかもしれません。
けれども回を重ねてしまうことは、お嫁に行けなくなる危険を、いっそう増すことになってしまいます。
わたくしもまた、ふしだらな娘と呼ばれる不名誉を、こうむることになりかねません。
甚吉はさいしょ、そこを気遣ってくれました。
けれども、広いお邸のなか二人きりで残された男女が考えることは、やはりひとつでした。
意を決したわたくしは、汚されるのを覚悟で、もう夜だというのに女学校の制服を身にまとい、黒のストッキングのつま先で畳を踏みしめて、甚吉のまえに立ったのでした。
わたくしの制服姿を目にしたときには、甚吉のなかに残っていたわずかな理性ももう、すぐに消し飛んでしまったようです。
悪鬼のごとくわたくしに迫ってきた甚吉は、勉強部屋のたたみの上に、わたくしを荒々しく組み敷いて。
プリーツがくしゃくしゃになるほど、スカートをまくり上げて。
わたくしの脚から、黒のストッキングを、むしり取るようにして、引き破っていったのです。
あ・・・あ・・・
禁忌を破るということへの畏れは、素肌を外気にさらした時に消えてしまいました。
整然と居並ぶ調度や、お嫁に行くときに持っていくようにとあつらえられた桐の箪笥も、幾度も目のまえをよぎりましたけれど。
身体の芯を熱くしたわたくしを制することは、とうとうありませんでした。
裂かれた着衣から覗く素肌にあたるそらぞらしい外気が、えもいわれない開放感を、わたくしに感じさせてしまったのです。

それからはもう、大へん・・・
固く抱きすくめられた腕の強さに、かぎりない歓びと安らぎをおぼえながら。
娼婦という女は、このように振舞うの?と、自分でも思うくらい大胆に、わたくしは甚吉の逞しい毛脛に、破れた黒のストッキングの脚を、まきつけながら。
もっと・・・もっとなすって・・・
あらぬ声を、あげてしまっておりました。


制裁はとうぜんに、くだりました。
本来なら、奉公先の娘に不始末を犯した奉公人は、馘首。(かくしゅ)
娘は親子の縁を切られ、より身分の低い遠縁の他家に養女に出され、令嬢としての身分をいっさい奪われる。
それが当家の、しきたりでした。
けれども涙ながらに訴えるお母様にも、そして罪深い汚れた娘であるわたくしにも、
お父様はとても、寛大でした。
そう、規律ということがことのほか重んじられていた当時としては、信じがたいほどに・・・

世間体を慮って、女学校を卒業するまでは自由の身だったわたくしは、卒業式を終えるとすぐに、お邸の奥深く、離れにしつらえられた座敷牢に入れられて・・・三度のお食事を運ぶのは、あの甚吉の役目だったのです。
この世間から隔絶された、安全な空間で。
わたくしたちは昼日中から、令嬢と奉公人の昔にかえって、世間では不義と呼ばれかねない行為を、なかば公然と愉しんでいたのです。
親に隠れての行為が明るみに出た後、わたくしはむしろ、サバサバとし心境でした。
お父様お母様を裏切っているという罪悪感がわたくしをさいなみ蝕む日々が、終わりを告げたからでした。
好きな人とどうして、仲よくしてはいけないの?
それは案外と、女としてのしたたかな、開き直りだったのかもしれません。


やがてわたくしは母となり、その子を育て、物心つくころには養子にとられていったその子とは、縁続きのおば様として、絆が断たれることはありませんでした。
男子の絶えた当家の跡を継ぐために、他家から養子にやってきた。
そういう名目でわたくしのすぐ間近に戻ってきたその子が、いまではこのお屋敷のあるじとなっています。
もちろんそれは、当人も知りようのない事実のはずですが・・・いえ、それとてももう、遠い昔のこと。
あるいはとっくの昔に、すべてが暗黙裡に諒解されているのかもしれません。
いまはただ、幼い声でわたくしに懐きまとわりついてくる孫をひたすらいとおしむ日常があるばかり。

何が起きようとも、此処を出てはならぬ。
この離れを取り囲む生垣は、お前を護る盾となるのだ。
厳めしいお顔でわたくしに、そう言い渡したお父様。
その眼は優しく、笑っていました。
おまえは其処の、あるじなのだよ・・・とおっしゃるように。
その条件はこんにちもかわることなく守られて、わたくしはいま、老後の日差しを甚吉と一緒に穏やかに浴びる毎日を過ごしています。


~吉郎の独り言~
離れを大切にせよ。それが当家を譲る絶対条件である。
先代は私に、そう告げていた。
温厚な先代としては不自然なくらい、それは厳命というに近いほどの語調を帯びていた。
もとより離れに住まうおば様は、幼いころから私をかわいがってくれた人。
まるで実の母のように、優しいひとだった。
もとより、あだおろそかに扱いようがなかった。
甚吉という名の老僕は、もう何十年も、離れのおば様にそれは忠実に仕えてくれていた。
どうしたことか独身を通したので、この世からいなくなった後も、当家でめんどうをみることになっている。
彼にとってもあの離れが、ついの棲み処となるのだろう。
「甚吉」と彼のことを呼び捨てにするおば様に。
「はい、お嬢様」いまでもなんの疑問もなく、老いた横顔にそう応える老僕。
身分の違いを越えて、永年寄り添い合ってきたこの二人は、はた目にはまるで、老夫婦のようにさえ映ることがある。
こじんまりと落ち着いたたたずまいの家をめぐるあの生垣と同じように、甚吉は身を以ておば様を護っているかのようだった。
そういえばおば様はいつぞや、こんなことを言っていた。
鶴のように気高いうなじを、シャンと伸ばして。

わたくしは一生独り身でしたけど。男運はとっても、よろしかったのですよ。
吉郎といい、甚吉といい、「吉」という字に護られた男が、そばにいるのですものね・・・


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ご退院、おめでとうございます。

2012年09月28日(Fri) 07:26:40

ご退院、おめでとうございます。
病室に入ってきた白衣姿が、改まった態度で丁寧に頭を垂れた。
いつも面倒を見てくれた看護婦の樋口夕子が、退院を告げてきたのだった。
夕子は俺とおなじ年恰好。つまり四十そこそこの、一見して冴えない中年の看護婦だった。
血なし病と名づけられた俺の病に、数名の看護婦があてがわれたが。
入院以来つきっきりになってくれたのは、彼女ひとりだった。
血なし病とは、いい名前をつけてくれたものだ。
本来は、病気でもなんでもない。ただたんに、俺の正体が吸血鬼だということを隠すための、擬態にすぎなかったのだ。
俺は片っ端からこの病院の看護婦を襲い、女の生き血というやつを口にし続けていた。
量はさして、必要なかった。
食事はふつうの人間とおなじだったし、たまの発作さえ訪れなければ、正確には半吸血鬼と呼ばれる俺の正体は、だれにもわかりようがなかったから。
女の素肌を噛んで血を吸う・・・という行為をしんそこ愉しむ、一種の心の病だと診断された。
治る病では決してなかったのに、退院とはどういうことだろう?
俺は夕子に付き添われるままに退院手続きを取り、彼女の運転する車に乗って、見知らぬ街角に降りたっていた。

案内されたのは、ほかでもない夕子個人の家だった。
一戸建ての古い家は、周囲の家とは深い生垣や雑木林によって、隔絶されていた。
社会復帰するまでの間は、ここでお過ごしください。
血が欲しくなったら、いつでもお相手いたします。
そのあいだ、病院はどうするのか?と訊いてみたら、
これは治療の一環ですというこたえが、かえってきた。
いずれはここからも出て、ふつうの社会人に戻るということなのだろう。
そう、独りぼっちの世界に。

それまでのあいだは・・・
夕子は生真面目そうな地味な目鼻立ちにちょっとだけ戸惑いをよぎらせながら、
いつものように白衣のすそをたくし上げて、白のストッキングの脚を垣間見させてくれた。
渇いた俺は本能のままに夕子を押し倒し、
夕子は、厭・・・厭・・・と呟きながらも、
白のパンストにくるまれたふくらはぎを俺のいたぶりにゆだね、パンストを噛み破かれていった。

入院中、どれほどくり返されたかわからない行為。
一般家庭という風景のなかで、二人きりでそれを演じることに、ひどく刺激を感じた。
いつもより多く血を吸い取った女体は、さすがに肩で息を点き、ほつれた髪をつくろう横顔は、色を喪っていた。
こういうことで、よろしいのですよ。
女は苦しい息をはずませながら、ふたたび俺に組み敷かれていった。

俺の相手をするときには、夕子はいつも白衣姿だった。
血の着いた白衣は、手術後の看護婦のそれに紛らせて、院内のクリーニングに出してしまうのだという。
もとより一般の患者も多い病院内で、俺の存在は秘密にされていたし、接する看護婦も限られていた。
離婚歴もある冴えない四十女が、どうして俺にあてがわれたのか?
その理由はいまでもわからないし、じつはとっくにわかっているような気もする。
勤務から戻ると夕子は、家のなかでも白衣に着替えて、あの薄々に透ける純白のナイロン生地で、自らの足許を染めてゆくのだった。

あたしより、何年か長生きしても。
そのあいだたまにでいいから、思い出してくださいね。
もしそういうふうなお約束をしてくださるのなら、わたしはよろこんで、最後の一滴まで血をあげます。
苦しい息の下でそう告げてくる女の、いつしか俺は抱きついて、涙を流していた。

首尾よく社会復帰を果たした俺は、いまでは院長の紹介で、そこそこの大企業に勤めている。
時には若くて美人なOLを籠絡して、女たちの生き血に酔い痴れる日々―――
しかしそれでいて、あの古びた邸にひっそりと暮らす女のところに、通う足取りが絶えることはなかった。
いつかふたたび、いっしょに暮らすようになるのだろうか・・・?
夕子は今夜も、白衣姿で俺を出迎える。

きれいな裏地 汚れた裏地

2012年09月26日(Wed) 07:05:26

え?あたし?もうすませちゃったわよ。
吉田エイ子はいつもの野太い声で、美恵子にそういった。
だれも気づいていないかもね。あたし、出席番号がいちばんさいごだから。

来校する吸血鬼たちに処女の生き血を提供しているこの女学校では、
なんらかの理由で処女を喪失した女子生徒は、出席番号を抹消されて、席も教室のいちばん窓際に並ばされてしまうのだが。
もともと最末席で窓際に陣取っているエイ子のばあい、だれも彼女の変化に気づくことはないのであった。
もっともそれも、女子生徒の供血行為が一巡するまでのこと。
自分の順番が飛ばされることで、彼女は”大人”になっていることを、周囲に知られてしまうはずだった。

ねえ、エイ子さん。
下校の道すがら声をかけてきた青年に、エイ子は「なに?」というように、ぞんざいな態度でにらみ返す。
親たちの取り決めで婚約相手となったその青年は、いつもは傲岸だとうわさされていたけれど、
エイ子のまえではひどく、おずおずとしていた。
うわさ・・・聞いたんだけど・・・
青年が言わんとしていることを、エイ子はすぐに見抜いたらしい。
学校に来る吸血鬼のことね?なにもないわよ。ほら。
彼女はむぞうさに、制服のスカートをたくし上げる。
白のスリップのレエスの縁取りと、スカートの黒光りする裏地を、ためらいもなく曝け出して。
彼女の指し示した真新しいウールの生地には、一点の曇りもなかった。

吸血鬼どもが女学生を弄ぶと、スカートの裏側を自分の精液で白く濁らせてゆく。
きっとエイ子の許婚が耳にしたのは、そんなうわさなのだろう。
エイ子のためらいもない行動に、青年はびっくりしたらしい。
目を白黒させながら、あいさつもそこそこに、足早に立ち去っていった。
あのひとね、自分の評判だけが気になるのよ。
エイ子は不満そうに、鼻を鳴らしていたけれど。
美恵子の胸中は、ひとの結婚相手どころではなかったのだ。
ほかでもない、彼女のスカートの裏側こそ、白く濁った粘液の痕を、ありありと残していたのだから。

相手は、ほかならぬ母親の愛人だった。
あしたのあなたのお相手ね・・・
そんなふうにこっそりと、母親から打ち明けられた時の、
息がとまるほどの驚きを、美恵子はいまも忘れない。
母を汚した男が分泌する、忌まわしい体液が。
スカートの裏側と、清楚に足許を透きとおらせていた黒のストッキングとを濡らしていくのを、
彼女はだまって、耐えていた。
ごわごわになったスカートと、糸の一本一本にまで淫らな液をしみ込まされたストッキングとをまとったまま、たどる家路。
そんな家路をいくたび、美恵子はたどってきたことだろう?

処女を守ることと、引き替えに。
自分の身にまとう制服を、もてあそばれて。
身体の奥で受け止めることになるはずだった体液をまき散らされて、制服を濡らす。
そんな不文律が横行するこの学校ではむしろ、身体を許した生徒の制服のほうが、きれいな状態になっているのだった。


ただいまぁ。
いつになくくたびれた声をしている、と、美恵子は自分で思った。
はぁい。
応じる母親の声色も、どこかけだるげだった。
姿を見せない母親の背後に、男の影を感じて。
美恵子はとっさに、黒のストッキングの足許を、嫌悪にすくめていた。

どうしたの?いつもお世話になっているんでしょ?ごあいさつくらいなさい。
母親に促されて、ぶきっちょに投げた挨拶を、男は軽々と受け止めていた。
よほどご執心のようね。きょうはね、あなたのために来て下さったのよ。
娘が選ばれたことにウキウキとしている母親の態度が、いつになくいとわしい。
けれどもねっちりと注がれてくる好奇の視線にわが身を晒すことに、いっぽうではえもいえれない快感を覚えはじめた美恵子でもあった。

制服がいいのかしら。
だれに訊くともなく美恵子がぽつりと漏らすと。
あらいやだ。わざわざ家までお見えになったんだもの、着替えなさいよ。
このあいだ買ってあげたよそ行きのワンピース、あれがいいわ。
母親にそう促されて、美恵子はいかにも気がすすまないという態度で、起ちあがった。

・・・・・・まずかったかな。
・・・・・・そんなことないわよ。
・・・・・・美恵子ちゃん、嫌がってるじゃないか。
・・・・・・女の子はね、嫌そうなそぶりをするものなのよ。
・・・・・・あの子が怒ってるようなら、出直すぜ?仲良くしたいだけなんだから。

男はどうやら、ひどく遠慮しているらしい。
美恵子の脳裏になぜか、さっき行き会ったエイ子の許婚のことがよみがえった。
おそらく彼を家に招んだのは、ふたりの交際に積極的な母親のほうかららしい。
母の相手から身を守るために、制服を汚されることを許している日常。
危うい均衡はそのままにしていても、崩れるのは時間の問題だったが。
母親はあえてそれを、いますぐにでも崩そうと試みている。
共通の秘密を作ることで、不倫をおおっぴらに愉しむつもりなのか?
嫌悪のどす黒い感情が、彼女の潔癖な胸を染めた。

悪いね。
男はみじかいことばを少女に投げると、サッとにじり寄ってきた。
両肩を掴まれて、身を揉んで抗おうとしたけれど、
手慣れているらしい彼の猿臂は、少女の身をこ揺るぎもさせなかった。
むぞうさに這わされた唇が、首すじに生温かく沁みた。
いつの間にか、母親の姿はない。
美恵子がどうすることもできないでいるのをよそに、男はワンピースの背中に腕を回して。
薄い皮膚をこともなげに、カリリ・・・と噛んだ。

ぬる・・・っ
血潮の生温かさが、皮膚を這った。
すかさず男の唇が、血潮のほとびを蔽うようにとらえていく。
どうやら、血を愉しんでいるばかりではないようだった。
美恵子の気に入りの、真新しいワンピースを汚すまいと、けんめいに唇を擦りつけつづけているのだった。

その日は夕食もそこそこに、退勤してくる父親と顔を合わせるのを避けるようにして、美恵子は床についていた。
着換えの時に履き替えた、真新しい黒のストッキングは、いつものようにチリチリに噛み剥がれてしまったけれど。
いつになく従順に応対して破らせてしまったのを、美恵子自身が自覚していた。
きっといちぶしじゅうをどこからか視ていたであろう母親は、素知らぬ顔をして夕餉の支度についていた。

翌週の水曜日。
きちんと折り畳まれた美恵子の着替えのいちばん上には、真っ赤なパンティがそっと置かれていた。
母さんからのプレゼント。気に入るかな?
すでに共犯者の笑みを満面にたたえた母は、意味ありげな目配せを娘に送ってくる。
あの日以来、自分でもびっくりするくらい、反抗的な態度のとれた美恵子は、
そんな母親から目線をはずし、それでも真新しい赤のパンティを無言で足首に通していった。
帰ってくるときにはもう、一人前だね。今夜のごはんは、お赤飯にしておくね。
母親は悪戯っぽく、小手をかざして手を振って、登校していく娘を見送った。

おはよ。席隣になったね。
エイ子がいつもの野太い声で、美恵子をふり返ったのは、翌日のこと。
出席番号を抹消された少女は、はにかんだようにエイ子を見た。

婚約解消したエイ子は、いまの相手と一緒になる気だという。
吸血鬼と人間が結婚するの、ここではふつうのことなんだもの。
嫁入り前の不倫はどうやら、花婿との婚前交渉に塗り替わるらしい。
わたしのばあいは、どうなんだろう?
美恵子は反芻してみる。
十五も年上のあのひとは、筆おろしの相手は母だといっていたけれど。
そういえば父も、母とはずいぶん齢が離れていたっけ。
あるいは、おなじことがくり返されるだけなのか。
みんなが視線を向けずに美恵子を注目する教室で、先生の熱心な授業は、彼女の耳を素通りしていった。


あとがき
操を守ろうとした少女のスカートの裏地は汚れているのに、
すでに処女を喪っている少女のスカートの裏地はきれい・・・そんなあたりを描こうと思っていたのですが。
(^^ゞ
いろんなものを、盛り込みすぎましたかねぇ。
(^^ゞ

襲う兄弟 ~腕を絡める女学生たち~

2012年09月25日(Tue) 08:07:00

篤志の女学生による献血行為が、女学校で実施されます。
吸血を嗜む皆さまの多数のご来校をお待ちしております。

そんな文書が配布されたのは、つい先週のこと。
村に棲む吸血鬼にとっては、至福の招待状だった。
俊夫がその文書を手に女学校を訪れると、
クラス担任だという中年の女教師が、感情を消した表情で彼を出迎えた。
職員室の隣にしつらえられた饗応の間で、五人対五人で、それは行われた。

相手をしてくれる少女は、あらかじめ決められていた。
よりどりみどり・・・ということにすると、いさかいが生じたり、女の子が余されたりする事態が起きかねないからだった。
青沼美佐江、という名前の少女は、ほとんど初対面だった。
けれども父親のことは、良く知っていた。
俊夫の職場の同僚だったから。
職場を抜けてここにくるとき。
彼は青沼に呼び止められた。
「娘をよろしく」
彼は感情を消した声色でそう囁いて。
「どうぞご心配なく」
彼もまた、棒読み口調でそう答えたのだった。

相手の少女は、父親とすこしだけ似た面差しをしていたので、すぐに見分けがついた。
ことが始まると、少女たちは取り乱すことなく、相手に意に随いはじめたが。
一直線に進み出たとき、おさげ髪の彼女はほんのちょっぴり、怯えの色をみせた。
だいじょうぶ。
ひと言囁くと、彼女は自分が怯えをみせたことさえ恥じ入るように目を伏せて、
黒のストッキングごしに吸いつけられる唇を、だまって受けた。

少女を組み伏せたすぐ隣には、べつの小柄な少女がやはり、抑えつけられていた。
相手の男は、俊夫の弟だった。
さきに吸血鬼になった弟は、兄の血を吸い取って吸血鬼にし、それから兄嫁をさえ愉しんでいた。
お返しに・・・と、俊夫が初めて襲うことを許されたのは、弟の嫁だった。
もはや、一心同体のような兄弟だった。

弟が抑えつけている少女は、小柄だった。
きょうはあまり渇いていないから・・・そんな囁きがどれほど、少女の怯えを救っただろうか?
尚子!
自分の下にいる少女が、同級生の名前を呼んでいた。
悲痛なかすれ声だった。
その声に刺激されたように。
俊夫は牙をむき出して、少女のうなじのつけ根へと、欲情に満ちた切っ先を、埋め込んでいった。

ああっ・・・

哀切な声色に欲情して、さらにズブズブと、牙を根元まで埋め込んで。
力を込めて抑えつけた二の腕から。
制服を通して、人肌のぬくもりが伝わってきた。
ああ・・・すまないね・・・
まだ職場にいるだろう青沼のことを、俊夫は一瞬だけ想った。
けれどもそれも、つかの間だった。
同僚の長女を相手に、彼は欲情もあらわに、うら若い血潮を啜りつづけたのだった。
情け容赦なくむしり取られる血の量に、少女は絶句した。

床のうえに組み伏せた美佐江が、傍らでやはり血を吸われている少女と腕を絡めあっているのを。
尚子のうえにいる弟も、美佐江を組み伏せている俊夫自身も、自覚していた。
けれども無理に、ふたりの腕をほどこうとは、どちらも考えていなかった。
ただ、自分たちの誘惑よりも、少女たちの連帯のほうがまだ優っているのを、もどかしく感じただけだった。

ちゅうちゅう・・・
きうきう・・・
ごくりん。

露骨な音をたててむしり取られてゆく、女学生の生き血。
五人の吸血鬼は、それぞれの少女から吸い取った血潮で頬ぺたを濡らしながら、
なおも露骨な劣情を示しつづけた。

尚子と美佐江の腕が、じゃあね、というように、別れあう。
いよいよだね?
俊夫は弟と目配せし合うと、ふたりの生贄の身体を引き離すように場所を変えて、
制服のスカートを、たくし上げてゆく。

処女を喪った少女は、出席番号を抹消されて、席順もいちばん窓際に移動するのだという。
どうやら幼馴染どうしらしいこの少女たちにも、そのときが訪れたのだろうか?
なよなよとしたパンストが、少女の貞操を守るように、腰回りを蔽っている。
押しつけた一物からは、早くも白く濁った粘液がドクドクと分泌されはじめて。
女学生の足許を清楚に彩る黒のストッキングを、淫靡な彩りに塗り替えていった。


あとがき
前作を、男目線からなぞってみました。
果たしてこの少女たちは、処女のまま部屋から出られたのでしょうか?^^

すり合わされる腕。 ~密室の女学生~

2012年09月25日(Tue) 07:49:02

腕が触れ合うほど間近に、尚子がいた。
青沼美佐江はさっきから、傍らの尚子がわざとのように、自分の腕を彼女の腕にすり合せてくるのに気づいていた。

ここは、職員室からしか入ることのできない、特別な空き教室。
ここに招き入れらる女子生徒は誰もが、賓客として来校した異形のものたちに、無償の奉仕を強いられる。
そういう特別な部屋だった。
吸血鬼と人間が共存するこの村で。
女学校は、処女の生き血を提供する格好の場となっていた。
篤志の女学生による献血に、多くの賓客が順番待ちができるほど、群がりつどってくる。
少女たちは親たちからも言い含められていて、代々伝わるしきたりとして、供血行為を受け入れていた。
けれども、うら若いわが身をめぐる血潮を引き抜かれるという、不埒な劣情を帯びた行為は、
清楚・潔癖な年代である彼女たちを、ときには戦慄させずにはおかなかった。

美佐江は尚子の腕に応えるように、自分の腕を巻きつけてゆく。
血液とともに喪われた体温を、お互いに確かめ合うように。
尚子もそういう美佐江に応えるように、掌をギュッと、握り返してくる。
制服の胸元にのしかかってくる吸血鬼たちの、恥知らずな欲求に応じながら。
ふたりは絆を確かめ合うように、腕と腕とを絡めつづけた。

すがるように力を込めてきた尚子の腕が、だんだんと動きが緩慢になって、じょじょに力を喪いはじめた。
応える美佐江の腕もまた、いまではやっとの思いでひじをつつき合い掌を重ね合わせて、
なおもすがってくる腕に応えるばかりになっていた。
初々しい肢体を抱きすくめてくる吸血鬼どもは、
腕を絡めあう少女たちへの気遣いから、ふたりを無理に引き離そうとはしなかったけれど。
生暖かい血潮を真っ白なブラウスにほとばせながら、うら若い血潮を愉しみつづけることを、止めようとしない。

ああ、もういけないわ・・・
美佐江はほんのすこし、うめき声を洩らしていた。
尚子もそれに応えるように、「うぅん・・・」と、悩ましい声をあげていた。
「叱っ!」
傍らから、不覚にも声を洩らしてしまったふたりを気丈に叱ったのは、クラス委員の貴子。
しかし彼女もまた、のしかかってくる老吸血鬼の牙にうなじを食いつかれて、
処女の生き血をむしり取られているところだった。

美佐江のうえにおおいかぶさる男の体重が、身体のうえを移動するのを感じた。
じょじょにせり上がってくる逞しい身体つきが、ひざでスカートをたくし上げる。
そらぞらしい外気が股間をよぎるのを、美佐江は危険な予兆と感じ取っていた。
くくく。美佐江ちゃん、すまねぇな・・・
男は嬉しげな含み笑いをつづけながら、青沼家の総領娘の華奢な身体つきを、虐げてゆく。
セーラー服の上衣を胸までひきあげられて、おへそをまる見えにさせながら。
美佐江はなおも未練がましく、抗いつづけている。
嫁入りまえには決して受け入れてはならないものが、パンストごしにあてがわれるのを、ありありと感じた。
それはいやらしいしつようさで圧しつけられてきて、やがてじわっとなにかがはじけたようになって、
生温かくぬらぬらとした粘液を、薄手のストッキングの生地にしみ込ませてきた。

やだ・・・汚される・・・
母が洗濯物を拡げるときに、白い痕をありありとつけたパンストをそのなかに見出して。
安どのため息をするのを、美佐江は幾度となく、覗き見てしまっていた。
忌まわしい粘液は、あとからあとからドクドクと排泄されて、少女の股間を彩ってゆく。
粘液の生温かさが薄いナイロン生地を伝って、ひざ小僧の裏にまでまわると、
美佐江はもういちど、声をあげた。
こんどはクラス委員も、咎める声をあげなかった。
傍らで抑えつけられているクラス委員がすくめた足許を彩る黒のストッキングは清楚に映ったが、
スカートの中はきっと、美佐江とおなじように汚され始めているらしい。

やがてふたりは、じゃあね、というようにもういちど掌を握り合って。そして別れた。
離れ離れになった腕たちは、自分のうえにのしかかっている吸血鬼の背中に巻きついていって。
噛み破かれた黒のストッキングから露出したひざ小僧もあらわに、立て膝をしながら。
貫く快感に、身をおののかせてゆく。

少女たちのうめき声は、職員室にまで筒抜けになっているはずだったけれど。
教諭たちはだれもが、なにも起こらなかったように、息をひそめて執務に没頭していた。
窓ごしに降り注ぐ陽射しは秋の気配を帯び始めて、どこまでもおだやかだった。

襲われる青年たち

2012年09月25日(Tue) 06:24:44

暗くなりかけた木立ちの向こうから、人影がふたつ、こちらに向かってくる。
老吸血鬼は顔をあげ、ふたりが若い男子学生で、そのうちひとりが顔なじみだと認めると、
軽い会釈を投げた。
会釈を投げられたほうの青年は、礼儀正しく挨拶を返すと、連れの友人をせかすようにして、駆け寄ってきた。

待った?
いいや、そうでもないな。
ほら、履いてきてやったぜ?小父さんがまえから気にしていた、部活のときのストッキング。
ふたりの青年のひざから下は、鮮やかなブルーのストッキングに覆われていた。
沈みかけた夕陽が青年たちの足許を照らし、縦にカーブを描くリブを、ツヤツヤと浮き彫りにしている。

青年たちの足許を見つめる老人の目つきが異様に輝くのをみとめた青年は快活に笑って、
ほら見ろ、すぐにこんなふうに、目の色が変わるんだ。
自分の足許にかがみ込んでくる老人を、からかうように指差した。
ぁ・・・
足首を掴まれた青年は、掴まれたほうの脚を心持ち折り曲げて。
吸いつけられてくる唇に、応じていった・・・

ふたりならんでベンチに腰かけた青年たちの足許に、
老吸血鬼はかわるがわる唇を吸いつけていき、
圧しつけられた唇の下で、スポーツ用ストッキングの真新しい生地に、バラ色のシミが拡がっていった。
愉しいだろ?血を吸われるのって・・・
さいしょの青年に促されておずおずと脚を差し伸べた友人も、いまは酔ったような目つきになって、
首すじと足許につけられた噛み痕を、照れくさそうな顔をしながら、しきりに引っ掻いている。

たぶんきみも、やめられなくなるぜ・・・そう言いかけた青年がふと後ろを振り向くと、
自校の制服を着たべつの青年の姿を認めて、声をあげた。
小父さん!あいつをつかまえてっ。
老人の正体とふたりのクラスメイトがなにをされているのかを瞬時にさとると、
制服姿の青年はあわてて駆け出した。
けれども、若い血を獲て気力をみなぎらせた老吸血鬼の足取りのほうが、わずかにまさっていた。
あとをおいかけてきた運動着のふたりが級友の腕や肩を抑えると。
手近なベンチに力ずくで抑えつけた。

ほら、こいつのスラックス、あげてみて。
男のくせに、黒のストッキング穿いているんだぜ?
ちがう!ちがうったらっ!
どうやらスポーツ向きではないらしいクラスメイトは脚をじたばたとさせていたけれど。
まさぐりあげられたスラックスのすそから、ストッキング地の長靴下に染まった脛をあらわにされていった。
ただの男もののハイソックスだって・・・
彼の言葉が証明されたときにはもう、老吸血鬼はたくし上げたスラックスの足許に唇を這わせてしまっている。

ストッキング地の長靴下に魅せられるように吸いつけられた、老人の唇は。
薄地のナイロンをもてあそぶように、ぬるりぬるりと這わされてゆく。
噛ませてやってもいいよ、なっ?
級友ふたりに、せがまれて。
新来の青年も、うんと言わざるを得なかった。
ぱりぱりとかすかな音をたてて破けていくナイロン生地から、白い脛が露出するまで。
老人はしつように、青年の足許をいたぶり抜いてゆく。

ははは・・・
三人の明るい笑い声が、闇のなかにこだました。
ずり落ちかけた長靴下の足許に、順ぐりに唇を這わされていきながら。
ひとりは妹を。
ひとりは母親を。
もうひとりは、結婚の決まった彼女を連れてくると、老人に約束している。
さいしょに男を、襲うんだね。いけない趣味だよね?
吸血鬼の魂胆を知り抜いた青年はからかうような目をして、老いた悪友を見あげている。

クラス委員の同級生。

2012年09月23日(Sun) 06:55:15

相川さん。青沼さん。市田さん。岩橋さん。有働さん。
出席番号の1番から5番のひとは、放課後職員室に来てください。

ホームルームのおわりぎわ。
表情を消した四十代のオールドミスの担任が、事務的な口調でそう告げると。
廊下に面した一列の子たちは、顔を見合わせて肩をすくめ合っていた。

有働ユリは、正確には出席番号6番である。
先月出席番号5番の鵜飼美恵子が、来校した吸血鬼を相手に処女を喪失すると、
美恵子の出席番号は抹消され、ユリが自動的に出席番号5番に繰り上がったのだ。
生徒手帳をぱらぱらとめくって、校則をもう一度読み直す。

本校の学生は、来校してくる賓客に対して、血液を提供する義務を持つ。
賓客には礼儀正しく接し、本校の品位を貶めないように努めること。

ヘンな校則!
そう口に出して言い切れるのは、だれもがその校則を真面目に順守しているからでもあった。


セーラー服の胸リボンを揺らしながら、五人の少女は職員室に向けて廊下を歩く。
彼女たちの足許はいずれも、黒のストッキングに包まれていた。
濃淡取り交ぜた墨色の脚たちは、肉づきたっぷりだったり、発育未了だったり、すらりとしていたり。
それぞれ違う趣きを漂わせているのだが、むろん彼女たちはそんな自覚は持っていない。
真面目な彼女たちのなかでは、これから喪われる血の量で、放課後の活動が制約されてしまうということだけが、意識にあった。

ねえ、あたしたちも処女を喪失すると、美恵子みたいに出席番号抹消されちゃうのかなあ。

血液提供に熱心過ぎて処女を喪失した女子生徒は、席も窓際のほうへと移されていた。
クラス替えになってから二学期のいまになるまでに、そうした子がすでに五人、席替えをしている。
そうね。さいごに一巡すると、席が元に戻るんですって。
岩橋香苗がそういって、露骨な事実をことさら明るい口調で告げていた。
「一巡する」ということは・・・
三学期がおわるまでに、すべての生徒が処女を汚される・・・ということにほかならないのだ。
お嫁に行けなくなっちゃうよ~。
だれかがおどけて、そう応えると。
しっ。そろそろ職員室ですよ。
クラス委員の市田貴子が、一同の浮きたった雰囲気を制していた。

みなさんいろいろご事情はおありだと思いますが、
さいごまで当学園の品位をそこなわないよう振る舞いましょうね?

整った控えめな目鼻立ちに知性と気品を滲ませて、貴子はクラスメイトたちを顧みて、
彼女たちもツヤツヤとした黒髪を揺らして、うなずき合っていた。


2年A組、市田貴子ほか四名、入ります。
みんなの先頭に立った少女の声には、まるで軍隊のような凛々しさがあった。
はい、どうぞ。
さっき無表情に「血を吸われにいらっしゃい」という意味の宣告をした女教諭の声が、扉の向こうから応えた。
職員室に入ると、彼女たちはそのまま、職員室のなかにだけ扉のある部屋に通された。
五人お揃いの制服姿を並べてその部屋に入ると、彼女たちと同数の賓客たちが、いっせいに視線をそそいでくる。
女子学生たちは黒髪の頭を垂れて、礼儀正しく挨拶をすると。
彼らのほうからも、ばらばらな会釈が帰ってきた。

いいわね?
市田貴子がクラスメイトたちをふり返ると。
彼女たちもいちように、唇を引き結んで頷き返す。
貴子は濃紺のプリーツスカートのまえに手を重ね、改まった口調で言った。

さいしょにわたくしが、クラス委員としてお手本を務めさせていただきます。

おぉ。
少女の潔さに対する無言の称賛が、小部屋に満ちた。
ほんとうは出席番号1番の相川尚子が務める役なのだが、
極度にあがり性の尚子の代役を貴子がさりげなく引き受けていた。
部屋の向こう半分は、一段高い畳になっている。
革靴を脱いだ貴子のつま先が、畳になまめかしく映えた。

ひとりひとり、名前を呼ばれて。
自分の名前を呼んだ賓客のまえ、礼儀正しく一礼して。
革靴を脱いで、畳のうえにあがってゆく。
そうして思い思いにのしかかってくる吸血鬼たちのため、
あるものは狙われた首すじにまつわりついたおさげ髪をはねのけてやり、
あるものは牙の切っ先を迫らされた胸元のリボンをほどいてやり、
あるものはふくらはぎに這わされた唇が黒のストッキングにヌルヌルとよだれをなすりつけるのを、息を詰めて見守った。

あっ・・・あっ・・・あっ・・・
声の主は、だれだかわからない。
血を抜かれて気を喪っていくまえに。
少女たちは半ば開いた唇から、切なげな声を洩らしてゆく。
なかにはふたたび気がつく前に、女にされてしまう女子生徒もいる。
その事実は、出席番号が抹消されたという表現で、担任の女教諭から告げられるのだ。

貴子はそれらのなかで、気丈にも。
さいごまで意識を喪うまいと、歯を食いしばった。
彼女を組み伏せている相手の吸血鬼は、父親よりも年上の白髪頭をふりたてて。
貴子の顔色を気遣い、手加減をしてくれながらも。
それでも、自分の本能には正直で。
ぬるり・・・ぬるり・・・と、華奢な身体つきから、暖かい血潮を容赦なく、引き抜いていく。

さいごの一人が絶息して、手足をだらりと伸ばしてしまうと。
貴子は何度目か首すじに唇を這わせてくる男を相手に、目を瞑った。
女学生の品位の証しだった黒のストッキングは、ひざ小僧がむき出しになるまで、むざんに噛み剥がれてしまっていた。
  見苦しい・・・ですわよね?
囁きかける少女の声を、吸い取った生き血に和んだ男の声色が包み込んだ。
  なによりの馳走じゃよ。
貴子はそれでも恥じ入るように、ストッキングの裂け目からあらわになった脛の白さに目を落としながら。
  まだ、娘のままでいさせてくださいね。
  処女の生き血をみなさんに、愉しんでいただきたいから・・・
男はククク…と、たちの悪そうな含み笑いをすると。
  娼婦のようなおなごだな。
貴子の意図とは裏腹なことをわざと言いながら。
さいごに唇を、貴子の唇に重ねてくる。
吸い取られたばかりの血潮のほろ苦い芳香が鼻腔に満ちてむせ返る貴子のことを、
かばうように背中を撫でながら、男はもういちど、女の胸元に牙を埋めた。
気絶した少女をねぎらうように、背中を、二の腕を、かばうように撫でさすりながら・・・

学園の放課後は、妖しい欲情に彩られている。

登校まえ ~スクールストッキングを履いた姪~

2012年09月23日(Sun) 06:26:27

ブチチ・・・ッ。
あー・・・やっちゃった。
真理子は顔をしかめて、脚を通しかけた黒のストッキングを、そのままずるずるとずり降ろしていった。
どんなはずみで、なににつっかけたのか。
つま先を通して太ももまで引き上げかけたストッキングは、チリチリと裂け目を拡げていた。
もー。いっつもこうなんだから。
ぶきっちょな真理子は、ストッキングを穿くのが下手くそである。
学校に行く前急いでいるときに限って、今朝みたいにブチブチと破いてしまうのだった。

あわててパッケージの封を切った二足めを首尾よく脚に通すと、

行ってきまーす!

台所で洗い物をしている母親のほうをふり返り、それからすぐに通学鞄を手に取った。

あっ・・・!

玄関に向かおうとした真理子は、声をあげて立ちすくむ。
目のまえに現れたのは、まだパジャマ姿の叔父だった。


まだ独身である叔父は、母親の弟にあたる叔父は、一家と同居している。
どうして独身かというと・・・彼の正体は吸血鬼だったから。
処女の生き血が何よりの好物というこの不埒な叔父に、真理子は時々、自分の血を吸わせてやっている。


ねぇ!もうっ!これから学校なのッ!
頬ぺたをふくらせて真理子は叔父の胸を叩いたが、
すまない。ゴメン。
そういいながら、叔父は姪に向けた欲情を隠そうとしない。
ツヤツヤとしたおさげに結った黒髪をかいくぐるようにして、首すじに唇を吸いつけてくる。

きゃー。

廊下に響く娘の悲鳴に、

こら。静かになさい。

お母さんは優しく、たしなめただけだった。

もー。制服汚したら、どうしてくれるのよッ!

真理子は相変わらず、ふくれ面である。
すまん、すまん。
叔父は小さくなって謝りながらも、姪を姿見の前に連れて行って、「ほら平気だろ」と、襟首にさえ血が撥ねていないところを見せて安心させようとする。

あ。でも・・・

脚だけは、カンベン。

叔父はニッと笑って、姪娘のまえで手を合わせた。

えー、せっかく苦労して穿いたのにッ!

そう、叔父の目当ては、墨色のナイロンになまめかしく染まった姪のふくらはぎだったのだ。

せっかく苦労して穿いたのに。すぐ破けちゃったりするのに。

無理やり連れ込まれた、玄関脇の狭い日本間。
ブチブチ文句をぶーたれながら、それでも真理子は、たたみの上に腹ばいになっていった。

ちゅう・・・っ。
ストッキングのふくらはぎに這わせる音さえ、嬉しげだった。
そのまま叔父は、ニュルニュルと、薄手のナイロン生地をなぶるように、姪の足許を舐めまわす。

いやらしい。

口に出して呟く姪に、

もう少し辛抱な。

いいよ、少しくらいなら。
せっかく新しいやつおろしたばかりなんだから。すぐ破っちゃったらもったいないもん。

いつも悪りぃな。

叔父は気まずそうに声をかけ、姪の足許をもういちど、ぬるぬるとしたべろを這わせてゆく。


こんなことの、どこがいいんだろう?
脛の周りでよじれていく薄手のナイロンをうっとうしく感じながら、真理子は舌打ちをくり返していた。

うふふふふっ。たんのうした。

不埒な叔父は、いたぶり抜いた足許から顔をあげ、にんまり笑って。
そうしてふたたび吸いつけた唇に、力を込めた。

ぶちち・・・っ。

真理子の足許に装われた制服の一部は、むざんに裂け目を拡げていった。

あー・・・破けちゃった。

さっきと同じ言葉をくり返しながら、真理子も陶酔のなかに淪(しず)んでゆく。
機嫌のよいときには勉強まで教えてくれる仲良しの叔父は、
さっきから彼女の脚をいたぶり抜いて、ひざ小僧がまる見えになるくらい、
黒のストッキングをもう遠慮会釈なく、びりびりと噛み剥いでいった。


行ってきまーす!

ふたたび台所の母親に声をかけたとき。
真理子の足許は、白のハイソックスに輝いていた。
手間ひまかけて、もういちどストッキングを穿き直す時間は、もうなくなっていた。
始業時間が、迫っている。
どたばたと急ぎ足で玄関に立って、真理子はいつものように、黒の革靴をつっかけた。

気をつけてな。

見送る叔父に。

はい、はい。

真理子はわざとお座なりな返事をかえす。

外に向かって歩みを進め始めた後ろ姿に。叔父は人知れず「あー」とため息を漏らす。

キビキビとした足取りの、白のハイソックスには。
赤黒いシミがじんわりと、拡がり始めていた。

セーラー服と吸血鬼

2012年09月18日(Tue) 15:34:03

夜道で襲われた女学生が、「きゃー」とひと声悲鳴をあげて、路上に転がって。
路面に抑えつけられたまま、吸血鬼に首すじを噛まれてしまいます。

ちゅうちゅう・・・キュウキュウ・・・

押し殺すような、吸血の音。
ひとしきり乙女の生き血に酔いしれたあと、吸血鬼は身を起こし顔をあげます。
口許から覗く鋭利な牙には、吸い取ったばかりのバラ色の血潮がしたたり落ちて・・・


・・・というのは、ココではごく定番のお約束シーンですが。^^
彼女が死んじゃうのなら、話は別ですよ。
でも柏木のところではたいがい、この少女と吸血鬼とは気心を通じあって、なん回も逢瀬を遂げるのです。
だとしますと、血潮をあやした牙の真下にあるセーラー服はどうなるの?って、ときどきおもうのです。

ヘンな心配かもですが。
ふつうのブラウスの夏服の場合、替えのブラウスは何着か持っているにしても、
あるいは汗になることが多い夏のセーラー服の場合でも、着かえを持っているにしても、
たとえばあのかさばりそうな冬服を3着も4着ももっている・・・って、あり得ないですよね?

ましてその吸血鬼氏が、純白のリボンやら夏ものの白のセーラー服やらに血をしたたらせて悦ぶ・・・なんていうコアなやつだったとしましたら、それこそ毎週替えが必要!(>_<)
あり得ないですよね~?
(^_^;)
同級生にクリーニング屋の娘がいて、そちらが先に吸血鬼に魅入られていて…なんて濃い設定を思い浮かべたこともあるくらいです。。

これはりあるな話題ですが、その昔女子学生に対する婦女暴行事件が起きたときのこと。
証拠物件としてセーラー服を領置されてしまったその学生が学校に行けなくなって、被害者になったことがばれてしまった・・・という笑えない事件があったそうです。
やっぱり制服は、複数持っていたほうがよろしいのでしょうかね。。

フィクションの話に戻りますが、
↑ で犠牲になった少女は首すじを抑えながら帰宅、ママにすべてを打ち明けて、ママは「だれにも言っちゃダメよ」とかって、娘に口止めをしたりします。
さて、セーラー服をどうするか?
母娘で考え込んじゃう場面ですね。

いますぐデパートに走って、サイズの合う制服を調達する
とか、
近所で親しくしているおうちで、卒業したばかりの子がいる家に相談をする。
とか、
血を吸い取られて消耗している体調も心配だから、やっぱり大事を取って休ませようか。
とか、
いろんなことを考えるわけです。

一番めは、襲われる刻限を考えると、デパート閉まっちゃっている可能性が大です。
ふたつめは、そういう都合のよい関係の奥さんで口の堅いひとがいるかどうか?という問題があります。
場合によっては、娘の不始末(本人悪くないんですけど)が、世間に洩れてしまいますからね。
常識的には、さいごの案だけが採用されそうな気がします。

あっ、セーラー服ですか?
襲われた少女の親が買うのではなくて、案外いい思いした吸血鬼さんが買ってくれちゃいそうな気もするんですね。
彼はそこそこお金持ちなようですし、基本的には親切心を持ち合わせた紳士です。
近在の女学校は彼にとってはいわば”お得意先”で、処女の生き血の調達先だったりします。
彼女の先輩たちを多年にわたって籠絡しつづけているわけですね。
だから案外、そういうとき用の制服も手回しよくしっかりと用意しているような気がします。

ほんのお詫びのおしるしだから・・・
と、あとでおわびに伺った吸血鬼氏。
いえいえ、娘の血を売りものにするようで、気がすすみません・・・
と、親ごさんたち。
服代は家計に響きますぞ・・・と仰せの吸血鬼氏、
目のまえにひかえるきれいなワンピース姿にとうとうたまらなくなって、お母さんにも、ガブーッ!
え?お父さんの対応?
案外真っ先に血を吸われていて、奥さんがきゃーきゃー騒いでいる傍らで、苦笑いしながら首すじの咬まれ痕を撫でているかもしれませんな。
^^

話題がヘンなほうにそれちゃったところで、このお話はおしまい。 笑

うーむ。

2012年09月18日(Tue) 10:53:30

前作、絶好調だったのですが。
娘さんのお話を描くのに間があいちゃいまして、目下苦戦中です。
(><)

こちらによく来られる方はご承知のとおり、
柏木は”魔”の囁きで衝動的にお話を描くので、
描きたいお話があとまわしになって、
30分前まで予想もしていなかったようなお話をスッと書いてしまいます。

続編が出ないでも、焦らず?待ってみてくださいね。^^

奪(と)られた妻 ~ひとしの場合~

2012年09月16日(Sun) 07:13:10

1.

妻を売る。
そんな感覚は、微塵もありませんでした。
わたしは妻を愛しておりますし、それは結婚して十五年経った今でも、なんのためらいもなく言い切れることでした。
けれどもわたしには、果たさなければならない”約束”がありました。
相手はいちおう、生命の恩人と言えるでしょう。
わたしを狩った男とはいえ、ともかくもわたしを、生かして家に帰してくれたのだから。

それは、社命で短期出張をした、とある山里でのことだでした。
村に着くなり真っ昼間からの宴席に引き入れられたわたしは、
男ばかり二十人はいようかという見ず知らずの連中のなかの真ん中に座らせられて、
名刺の交換すら抜きにして、いきなり地酒の献酬となったのでした。
酔いが回った時には、すでに遅かったのです。
そして「遅かった」と気がついた時にはもう、脱出する糸口は、もうどこにもなかったのでした。

わしらはの、皆吸血鬼なのぢゃよ。^^

さいしょの一杯からずうっとわたしに酒を注ぎ続けたその頭だった年配男は、
好色そうな皺を満面に滲ませて、はじめてわたしに正体を告げました。
え・・・?
伝治と呼ばれるその男は、「デンさんでええ」と言いながらわたしに、身の上ばなしをさせて、
自分が42歳のサラリーマン、妻の智美はひとつ下の専業主婦、娘のひとみは14歳の中学二年生・・・と、家族のことまでぺらぺらと喋らされていたのでした。
妻と娘の年齢を訊かれたとき、相手がグッと身を乗り出してきたことに、どうしてわたしはもっと敏感ではなかったのでしょうか?
いつの間にか周囲から人はいなくなり、吸血鬼だと名乗るデンさんとわたしを遮るものは、だれ一人いませんでした。
思わず飛び退いて逃れようとしたわたしは、デンさんに後ろから羽交い締めにされ、首すじを噛まれてしまっていました。

「逃げようたぁ、エエ根性しとるな、あんた。ここには仕事で、来たんぢゃろ?」
耳もとで叱声を発したデンさんに、ワイシャツの肩先を自分の血で濡らしたわたしは、とっさに肯いてしまいました。
「す、すみません・・・でも、びっくりするじゃないですか!」
「びっくりか。びっくりはよかった・・・」
お人よしにもほどがある・・・って、お叱りを受けそうです。
自分の血を吸おうという人間に、謝ってしまったのですから。
けれどもいちど血を吸われてしまったわたしには、どうしてもそういう態度が自然なのだと、思わずにはいられなかったのです。
こんなに欲しがっている血を早く吸わせてあげようとしなかったことを、「すまないな」と思ってしまったわたしは、すでに吸血鬼の毒に脳を侵されていたのかもしれません。

デンさんはなおも傷口に唇を吸いつけて、その唇にキュウッ・・・と力を込めていきます。
傷口に痛痒い疼きを滲ませながら吸い取られてゆくわたしの血液は、この還暦すぎの男の喉を、ゴクリゴクリと露骨に鳴らしながら、いとも旨そうに飲み込まれていったのです。
「あんた、なかなか正直なところがあるな。さすがにあの会社が寄越した人間だ。逃げようとしたのはまあ、許してやるよ」
「すみません。。」
何が済まないのか自分でもよくわからないままに、わたしは謝罪の言葉に不自然な熱がこもるのを感じていました。
いまにしてみるとあれが、吸血鬼の毒がわたしの理性を侵蝕したさいしょだったのでしょう。
けっきょくその場で打ち解けた関係になったわたしは、若い女の血を欲しがるデンさんのために、最愛の妻とまな娘をこの村に連れてくることを約束してしまったのです。

「旅行ということで、どうでしょう?」
とっさにそう言ったわたしに、デンさんははっきりとかぶりを振りました。
「ここにはじめて来るおなごは、きちんとした服さ着けてなくちゃなんねぇ」
デンさんの言いぐさは、もっともでした。
「人と人でないものが仲良うなるための、大事な儀式じゃからのお」

見慣れたベージュのスーツに血を撥ねかせながら生き血を吸い取られてゆく妻―――
そんなまがまがしいはずの情景を思い浮かべて、わたしは失禁するほどの興奮を覚えてしまっていたのです。
「それじゃ、こうしましょう。ゴルフの接待のあとのパーティーに、ふたりを呼ぶ・・・というのはいかがでしょう?」
「なるほど。ゴルフかの。都会もんらしい考えぢゃ。ま、旦那の仕事先の人間と会うのなら、ええ服着てくるぢゃろうのう」
話はすぐに、まとまりました。
わたしは自分の親ほどの年かっこうの老吸血鬼に、妻と娘のうら若い血潮をプレゼントする約束をしてしまったのです。


2.

村でたった一軒のホテルは、意外にモダンな造りでした。
建てられてまだ数年という洋風のビルは、周囲のひなびた家並みのなかでは明らかに不ぞろいでしたが、
なかに入るとそこはもう、都会の世界さながらでした。
先日訪れたときに顔なじみになった農家の主婦たちも、バブルのころか?と思うほど鮮やかな色づかいのスーツやワンピースに身を固めていて、
なまりの強い言葉さえ聞きとがめられなければ、いいとこの奥さまにさえ見えたものでした。
わたしを初めて襲った時には粗末な野良着だったデンさんもまた、黒の礼服に身を固めて、慇懃な老紳士を演じていたのです。
彼が、これから血を吸おうとする妻に近寄り、物腰の柔らかい初対面の挨拶をすると、
それとは知らぬ妻の智美(41歳)は、にこやかに応対しています。
「主人が大けがをしたときに、助けていただいたそうで・・・そのせつはありがとうございました」
・・・そういうことになっていたのです。
わたしは思わず、だれにも気づかれないていどに、肩をすくめました。
「いえいえ」
老人は大仰に手を左右に振って妻の謝辞を制すると。
「なぁに、とうぜんのことをしたまでです。どうかそんなことはもう、ご放念ください」
そういってすぐに、立ち去ってしまったのでした。

妻のことが気に入らなかったのだろうか?
わたしはにわかに不安を覚えて、デンさんを廊下に探しました。
老化の片隅のガラス窓越しに、ワイングラスを手にしたデンさんは、外を眺めています。
「どうでしょう?妻はお気に召しませんでしたか?」
恐る恐るわたしが訪ねると、彼は裏腹なことを言ってきたのです。

ええおなごぢゃ。^^

その言葉にいいようもない安堵を覚えたわたしの体内には、すでにもうマゾの色に染まった血が流れていたに違いありませんでした。
「村のおなご衆に、だいぶチラチラよそ見をしておったようぢゃの。
 きょうの返礼に、いずれ、あん中のひとりやふたり、手籠めにしてもええよう、話つけてやるからの。」
イイエ。
わたしははっきりと、かぶりを振りました。
妻を襲わせる行為で、見返りを求めるつもりはなかったのです。
払う代償の大きさを考えれば、見返りなどいくらにもならない。デンさんへの好意と服従のしるしは、無償で捧げるべきものだ―――そんなふうに考えていたからです。

娘は部活の合宿で、今回は出てこれません。
そのことを詫びるとかれは、むしろそのほうが好都合だった、と言いました。
今回は、あんたの女房ひとりに集中して、うつつを抜かしたいでの・・・
好色そうな目じりの皺を、いっそうくしゃくしゃにしながら、彼は口許から牙を覗かせました。
わたしの血をそれはおいしそうに吸い取り、理性を狂わせてしまった牙を・・・
「うつつを抜かす」
老人のそんな言いぐさに、わたしはまたもいけない欲情を覚えて、
彼が妻を狩るために必要な精力を、すすんで与えていったのでした。


3.

本題に入るのは、いかにも唐突でした。
デンさんはわたしを広い立食パーティーの宴席とは別にしつらえられた、控えの小部屋に導いたのです。
わたしはラフなゴルフウェア姿。
ひし形もようのベストにベージュのハーフパンツ、ひざ小僧まである濃紺のソックスを履いていました。
好んで脚に咬みつくこの老吸血鬼は、わたしをぐるぐる巻きにして縛り上げてしまうと、
床に乱暴に転がして、濃紺のハイソックスを履いたふくらはぎを咬んだのです。

じわり・・・

なま温かい血潮が、厚手のナイロン生地に沁み込みます。
ちゅう・・・っと啜り取られた血潮に、わたしは思いを込めていました。
こうしてわたしは、このひとと一体になる。
わたしから獲た精を妻にぶつける以上、彼の劣情の半分は、わたし自身のもの。
そう、思い込もうとしたのです。
彼のほうでもそれを、歓迎している様子でした。
なんどもしつように、ふくらはぎを噛まれているうちに。
わたしはふと、妻が襲われるありさまを想像しました。
ベージュのスーツのすそから覗く、黒のストッキングに包まれた、妻のむっちりしたふくらはぎを。
デンさんはきっと、いまわたしに示しているのとおなじやり口で、
肌の透けて見える薄手のストッキングを、びりびりと噛み破っていくに違いなかったのです。

智美は、村人のひとりによって、小部屋に送り込まれてきました。
「あなた・・・っ!?」
部屋に入るなり声を上げた智美が、大きな声を尖らせるほど、わたしの取らされていた姿勢は異常だったのです。
縛られて床のうえに転がされたわたしは、ハーフパンツを脱がされていました。
しつように噛み破られたソックスは、露出した脛をあちこちに滲ませながら、片方は弛んでずり落ち、もう片方は太めのリブをねじ曲げられて、丈足らずに履かれていました。
首すじにもざっくりとした咬み痕をつけられて、ひし形もようのベストの肩先には、赤黒いシミが点々とついています。

くくくくくく・・・っ
老吸血鬼は下品な嗤いを洩らすと、妻とドアの間に立ちはだかりました。
これで、妻の退路は断たれてしまったのです。

「あっ、なにをなさるんですっ!?」
さっきまでの慇懃さはどこへやら、もの欲しげな劣情もあらわにのしかかってくる男の猿臂をかいくぐろうとして、
妻は男と揉み合いました。
老吸血鬼の前に曝された、むっちりとした肉づきの肢体、それに色白な頬に映えた黒髪が、夫のわたしの目にもひどく美味しそうに映りました。
「うへへへへへっ。わしゃ吸血鬼ぢゃ。奥方の血をいただくぞい」
「た、助けてっ!あなたあっ!だれか・・だれかいらしてくださいッ」
妻は声をあげ、外に向かって援けを求めましたが、もとよりだれも部屋に入ってはきませんでした。
たちまち抱きすくめられてしまった妻は、わたしのときとまったくおなじように・・・
後ろから羽交い締めにされたかっこうのまま、首すじをがぶり!と噛まれてしまったのです。
「あっ!う、うぅ~~~っ・・・」
念入りに化粧をした整った目鼻立ちに、苦悶の色が浮かびます。
柳眉を逆立てて・・・というのでしょう。
濃く刷いた眉をピリピリと震わせて、喰いしばった歯を薄い唇のあいだから滲ませながら。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたようなあのおぞましい吸血の音が、妻の素肌に吸いつけられた唇のすき間から、洩れてきたのです。

ああ・・・妻が・・・妻が・・・最愛の智美が・・・
とうとう、爺さんの毒牙にかけられてしまった・・・
なにもできなかった。
そんな悔恨の念が、理性の戻りかかったわたしの胸を、毒々しく浸していきます。
俺は妻を売ったのだ。
そうとまで思った時。
―――そうではない。
心の中に、べつの声が聞こえてきたのです。
まぎれもなく、いま目のまえで智美の血を愉しんでいるデンさんのものでした。
―――お前ぇは、だいじなものをわしにくれたのだ。めいっぱいの好意のしるしにな。
―――わしは、好みの獲物を目いっぱい愉しむ、それがお前ぇさまに対する、礼儀というものぢゃろう?
―――お前ぇの愛するおなごは、わしの目にもかのうた。好みがおなじなのぢゃな。色白の肌。うめぇのお・・・
さいごはもう、親しげなからかい口調でした。
目のまえで妻に絡みつきながら、わたしの心の奥にまで想いを伝えてくる。
吸血鬼という生き物には、なんと器用なことができるのでしょう?

そうなんだ。
わたしは妻を裏切ったのではない。
仲良くなったご老体に、妻の魅力を自慢したくて。ご披露に及んでいるだけなのですから。
智美には、わたしの悪友を相手に妻として供応する義務があるはず。
唐突に求められたおぞましいもてなしに、さすがに少しは戸惑いをみせたものの。
智美はその役目を見事に果たし始めているし、仲良しのデンさんも幸い、妻のうら若い生き血を気に入ってくれているようでした。
夫として、これほど至福の刻があるでしょうか・・・?

27でわたしと結婚した時、智美はまだ処女でした。
良家の箱入り娘として育った、身持ちの堅い女だったのです。
新婚初夜のホテルの一室で、痛がりながら流血をした智美―――
いま、そのときと寸分たがわぬ顔つきで、色白の頬をちょっぴり引きつらせながら、智美は初めて体験するしつような吸血に応じていったのです・・・

あの豊かな黒髪は、我が物顔にまさぐりを受けて。
あの鮮やかに刷いた唇は、もの欲しげな唇を重ねられて、揉みくちゃにされて。
あのむっちりとした太ももには、節くれだった手指とだらしなく這わされた舌に蹂躙されて・・・
わたし一人だけのものだった妻は、男のたくみなまさぐりの侵入を受けて、共有され始めていったのでした。


欲情に満ちた吸血行為の行きつく先は、やはり察していた通りでした。
―――そこは察しがよかったようぢゃな。
後刻、妻をモノにしてしまったあと、老人は冷やかすようにわたしたち夫婦を見比べてそういいました。
「わしは、どちらでもよかったのぢゃ。
  そもじが奥方を辱めてもらいたいとせがむゆえ、望みを遂げてやったまでぢゃ。
  あとは淫乱になろうが孕んでしまおうが、わしのせいではなかろう?」
「はい、もちろんあなたのせいではありません。わたしは望んで妻を堕落させていただくのですし、
  妻もきっと、あなたに感謝すると思います。
  わたしは、わたし一人のものだった妻を、貴男と共有したいのです」
そう言い切っていた、わたしでした。

キュウキュウ・・・ちぅちぅ・・・
取り乱す妻を焦らしながら、男は吸血がてらのまさぐりをやめませんでした。
むしろそれは、見慣れたベージュのスーツの奥深くに進入していって。
剥ぎ取られたブラウスからあらわになった胸もとは、ブラジャー一枚しかさえぎるものがないまでにされて。
そのブラジャーすらもが、吊り紐をかたほう、ブチリと噛み断たれてしまったのです。
執拗ないたぶりを受けて剥ぎ堕とされた黒のストッキングは、智美のひざ小僧のすぐ下までずり降ろされて。
花柄の刺繍のしてある白いショーツもまた、足首まで引きずりおろされてしまっていました。
もはや妻にも、この場でどういう応対を強いられなければならないのか、察しはついていました。

「イヤです私!主人以外の男性は、識らないのですっ」
髪を振り乱して、涙を散らしながら哀訴する妻に。
「うひひひひひっ」
男は野卑な嗤いで応えると。
「そういって誘われちゃ、断れねぇな」
貞淑であることがよけいに男をそそる・・・という初歩的なことを、妻は知りもせず、そのように曲解されたことにいっそうまなじりをあげて、妻は言いつのるのです。
「いけません!夫ひとりにしか、お許ししたくないのッ!」
けれどももう、男を止める手立ては、夫婦どちらにも残されていませんでした。
智美は床に抑えつけられて、もう何度目かの牙を、うなじに埋め込まれていったのです。
「あなた。あなたあっ・・・助けてえっ」
哀切な声色に、夫としての理性を再び目覚めさせられるかと思えば。
「主人しか・・・主人しか…識らない身体なのですよっ」
という制止の言葉が微妙にニュアンスを変えて、
「主人以外の男は、初めてなのッ!」
と、トーンを変えたことにいけない昂ぶりを覚えていたり。
わたしのなかでも、夫としての誇りと男としての劣情とが、入れ代わり立ち代わり、昂ぶりを帯びて行ったのです。

蹂躙はあっけなく、成就されました。
男は荒々しく妻のベージュのスカートをたくし上げると、逞しい腰をあの豊かな白い臀部に重ね合わせていって・・・
妻を狂わせたのです。
両手で頭を抑えられ、肉薄してくる逞しい腰に両ひざを割られて。
もはや逃げようもない姿勢のまま、智美は犯されていったのです。
その瞬間、智美は喉の底から絞り出すような呻き声を発して。
白目を剥いて、歯を食いしばりました。
「う・・・う・・・んん・・・っ・・・」
隠しても隠してもあらわになってくる愉悦を、それでも必死に押し隠そうとして。
それが虚しい努力に終わると、「ひー」とひと声あげて。
黒のストッキングが半ばはぎ取られた脚を、ただいたずらにじたばたと、摺り足していたのでした。

初めての挿入を受け入れたあと。
さすがの妻も、すこし泣いて。
けれども肩を震わせてのすすり泣きが、随喜の呻き声にかわるのに、そう長くはかかりませんでした。
「あっ、あっ、あっ、あっ・・・」
間歇的に洩れてくるみじかい叫びは、確実に愉悦を滲ませていったのです。
ああ・・・
妻との挿入行為を、わたしはありありと思い描いていました。
こすり合わせた性器が熱を帯びて擦過する、あのときの昂ぶりを。
いま、おなじ処(ところ)を、別の男のぺ〇スが通過している。我が物顔に、居座っている。
けれども男は、妻の頭を抱えながら、ユサユサ揺すった女体にしがみつき、その上にまたがりながら。
ひどく満足げなおらびを、あからさまにあげていたのです。
「うう、智美!ええおなごじゃ。ええおなごじゃあ・・・」

わたし一人だけのものだった、従順な智美・・・
それがいまでは、野良着姿の野獣のような老人をまえに、屈従を強いられている。
そしてわたしはといえば、恥ずべき歓びに打ち震えて、妻に加えられる凌辱を、ただの男として愉しみはじめてしまっている。
かれがわたしのハーフパンツを脱がしたのは、いたずらに羞恥心をあおる姿勢を強要するだけのものではなかったのです。
危うく、パンツを一着だめにするところでした。
最愛の妻が演じるポルノビデオさながらの淫らな吸血行為をまのあたりに、
歪んだ嫉妬といびつな歓びに目覚めてしまったわたしは、
熱い精液をびゅうびゅうと、股間に散らしてしまっていたのでした。

最愛の妻中嶋智美41歳は、こうしてめでたくわが悪友の手で手際よく堕とされて、吸血鬼の情婦となったのでした。

「つぎは、娘ごの番じゃな?」
好色そうに相好を崩した老人のまえ、妻もわたしも、真顔になって。
「お願い致します」
神妙に頭を下げている。
「これでひとみも、一人前になるわね?」
傍らの妻は共犯者の顔つきで、白い歯を覗かせます。
淫蕩な輝きをおびた綺麗な前歯に、引き入れられるように。
「きみはそれで、満足なのか?」
「娘にわたしがされたのとおなじ、キモチいいことをさせてあげたいのよ♪」
デンさんはさっきから相好を崩して、智美のお尻をベージュのスカートのうえから撫でさすりながら、
「娘ごは、父親似のようじゃな。血液型もおなじA型か・・・これは愉しみぢゃのう」
そういってまたも、わたしのうなじに食いついてきました。
ちゅう・・・っ
男同士・・・という趣味は、わたしにはないはずなのですが。
妻に視られながらの吸血に、なぜか強い昂ぶりを覚えてしまったのでした。

さほど長くはなかった、村での滞在中。
夫婦の身体に、代わる代わるのしかかり、吸い取った血潮をしたたらせながら。
「つぎは、娘ごの番じゃ。どうやって苛めてやろうか?いまから愉しみじゃ・・・」
老人は、くり言のようにそう、呟きつづけていたのでした。

9月15日起草 16日7;12校了。

秋まつりの予定。

2012年09月15日(Sat) 07:09:28

干からびたような細腕が、さっきからせわしなく携帯をいじっている。
もはや老女といっていいほどの年かっこうのその女は、去りかけた色香をまだ、顔の輪郭にとどめている。
白髪交じりのは見の生え際から覗く首すじは、不ぞろいに陽灼けしていて・・・
そして、夕べつけられたばかりのものらしい赤黒い咬み痕をふたつ、鮮やかに滲ませていた。

ふん。まったくうちの子らときたら・・・

なにか言いたげに口をもぐもぐさせながら、
老女は年かっこうに似ず慣れた手つきで、携帯をまさぐりつづけていた。

長男に宛てたメールには、こう書かれてあった。

今年の秋まつりは、ぜひいらっしゃい。
お隣の源治さんが、珠代さんに執心なのよ。
リョウくんは、大学で彼女出来たかしら?
梨佳も高校に入学できたから、今年は来れるよね? 母


つづいて次男宛てのメール。

今年の秋まつりは、どうするの?
瑤子さんの誕生祝い、するんだよね?
女旱(ひで)りの村の男衆5~6人声かけとくから、覚悟しなさいよ。 笑
佑香もさとみも、そろそろ男を覚えてもいい年頃だね?期待してるから。 母


それから三男宛てのメール。

今年の秋まつりは、来れるかな?
彼女はできた?
まだお付き合いが始まってなくても、村まつりに連れてお出で。
連れてさえ来たら、母さん話をまとめてあげるからね。 母


長男の返信は、速かった。

ビビッ・・・と鳴った着信音に、老女はうたた寝を中断して、
さっそくもの欲しげな手つきで、携帯をまさぐった。

家族そろって、伺います。
源治さんには、どうかお手柔らかにとお伝えください。
息子に彼女できました。
ご両親と一緒に来ると言ってくれているそうです。
梨佳は2年前のことがショックだったので今年は遠慮しましたが、
優しい人がいたら今年もお願いします。


ほほ・・・さすがに孝行息子だこと♪
老女は嬉しげに、ほほ笑んだ。
口許から覗く犬歯が、ちょっぴり尖っている。
おととし孫娘の首すじに、初めて突き立てたときのことを愉しげに思い出しながら、
彼女は指先で、犬歯の切っ先を撫でている。
肉親なら、襲って血を吸ってもいいことになっているのだった。


今年は、リョウくんで我慢しとくか。
彼女を襲われているときには、気が気じゃないだろうからね。

よからぬことを口にしながら老婆は、つづいて鳴った着信音に気を奪われた。

次男の返事―――

ご承知のとおりわたしは、今年の春から単身赴任です。
瑤子は子供たちの受験準備で忙しいし、佑香は高校受験、さとみも中学お受験の真っ最中です。
留守宅には言い含めておきますので、都会まで出てくるお人があったら、お報せください。
その際には、あまり家のなかで物音を立てないようお伝え願います。

まあ、冷たい子だこと。
老女は不平そうに頬をふくらせたが、

物音くらい、どうってことありゃしない。
女に飢えた村の衆を5、6人、入れ代わり立ち代わり送りつけてやる。
夜這い自体は容認なんだから、ご近所への顔は立つか・・・

三男の返信は、かなり遅かった。


上司の紹介で親類の娘さんとお見合い中ですが、どうも僕自身引っ込み思案のせいなのか今回もうまくいきそうにありません。村のお祭りの話をしたら興味を持ってくれたみたいで、ご一緒しましょうか?って言ってくれてはいるのですが、ご両親が娘さん想いなのでいっしょにくるといってききません。二人きりにならないとお互いの意思を確かめることは難しいと思うし、ともかくいつもご両親同伴なのでつい気を使ってしまいます。村への帰郷のことはもう少し待ってください。彼女の好意をもう少し確認できるまで待ったほうがいいように思うのです。いつも慎重すぎて婚期を逃すと、上司のかたにもお叱りを受けているのですが

改行もしないでずうっと打ち続けた文面は、世見苦しいことおびただしく、老女も顔をしかめて目を細めて文面を追った。
文章の途中で間違えて送信してしまったのか、ここで終わりなのかさえも定かでない優柔不断な文章を見て、老女は怒りに目をあげた。
やおら携帯を取り直した彼女は、直に電話をかけていた。

ばっかも―――んっ!
ぐずぐず言わんで、親もろとも、連れて来―――いっ!!!

オトナの入り口♪

2012年09月14日(Fri) 06:47:26

黒のストッキングは、オトナの入り口なのよ♪

そう言って照れながら。
制服のスカートから覗く黒ストッキングの脚をみんなに見せびらかしていた少女。
その子に目をつけた悪友にそそのかされて、夜の公園に呼び出してみた。

ふたりで待っているから・・・黒のストッキング履いてきな。

さすがに、制服ではなかったけれど。
言われたとおり、少女は黒のストッキングを履いてきた。
真っ赤なチェック柄のプリーツスカートに、薄黒のナイロンに染まった脚がよく映えていた。

手だれの悪友の毒牙にかかって。
お気に入りのストッキングを、びりびりと破かれていった少女は・・・

パパやママが起きてるうちは、おうちに帰れない。

べそを掻きながら、そういって。
街灯に照らされた、じゅうたんみたいな芝生のうえ。
ぺたんと尻もちをついていた。

夜中に時間をもて余した男と女がやることは、ひとつしかなかった。

夜が白々と、明けそめるころ。
男ふたりからもらったハンカチやタオルで、紅く濡れた太ももを拭ったあと。
オトナになってしまった少女は別れ際、約束してくれた。

黒のストッキング破りたくなったら、あたしを呼んで。
帰り道が恥ずかしくないように、こんどは履き替え、持ってくるから・・・

その少女―――いまはわたしの妻になっている。
あの晩わたしは、未来の花嫁の純潔を、悪友に譲り渡したことになるのだろうか?

婚礼前の儀式 2

2012年09月12日(Wed) 08:12:48

広い日本間の真ん中で。
わたしは荒縄で、五体をぐるぐる巻きにされて、転がされていた。
スーツのうえから、縄を巻いたのは。
これから、ひろ子を犯すと、定まった相手―――
処女喪失の営みは、花婿ならぬものに、ゆだねられることになったのだ。

縛られたわたしを挟んで、感情を消した白面で正座しているのは。
彼女の両親と、わたしの親たち―――
介添え役の村人数人も、ふた組の夫婦を挟むようにして、やはり無表情のまま胡坐をかいている。
正装した親たちとは対照的に、彼らのなりは粗末な野良着だった。


おもしろそうじゃない。

ひろ子をこの村に呼び寄せて。
ひなびた目抜き通りにただ一軒ある旅館に、彼女を泊めた晩―――
さすがに今夜は、家に帰るよ。
わたしがそう言って、帰りかけると。
あら・・・
長いまつ毛が、ふしんそうに影をひそめた。
なにも告げずに帰る・・・という選択肢もあったのに。
小首をかしげて視線を送ってくる面差しに、すべてを告げる気になっていた。


いまとなっては、なにをどう伝えたものか、言葉の端々などは記憶にもない。
とても彼女に直接訊きただす勇気など、いまでもないけれど。
村人経由で耳にしたところによると、
言葉を選んだつもりが却って、露骨に棘刺す表現になっていたという。
けれども彼女は、表情ひとつ変えないで。

聞かせてもらって、よかったわ。

いつになく正座して、神妙な面持ちですべてを聞いた後。
真顔になって、そういった。

面白そうじゃない。

そういって白い歯を覗かせた彼女の、朱の唇と白目とが。
気のせいか、淫蕩に輝いたような気がした。


間違いなく、生娘なのじゃな?
村の長老と呼ばれるその年配男は、ひろ子のおとがいをむぞうさに掴まえて、
丸ぽちゃの白い貌(かお)がよく見えるよう、荒々しくグイと仰のけた。
ひろ子は臆するふうもなく、男をまともに見返していた。
表情の消えた白い目に、男は満足げに頷くと。
天晴れなおなごを、嫁にするのう。
目じりに浮かべた好色そうな皺が、親しげに弛んでいた。

儀式は今夜の十時から。
場所は宿のあるじが案内してくれる。
親どもにはあんたから、そう伝えておいてくれ。

男はぞんざいに、そういうと。
わたしたち二人をまえに、そっけなく背中を向けて。
旅館の土間を大またにまたいで、立ち去って行った。



択ばれた場所は、村はずれの大きな寺だった。
祝言のさいも、ここが使われるという。
ぴかぴかに磨かれた濃い色の板の間に。
白のストッキングを穿いたひろ子のつま先が、寒々と映えた。
後ろにつづく母親たちは、それぞれの夫に伴われて。
彼女の母親は、肌色の。
わたしの母は、黒の。
薄い沓下に奥ゆかしく染めたふくらはぎを、しずしずと歩ませつづけていた。
老化に面した部屋々々から、好色な視線がそそがれると知りながら。
時おり露骨な気配に左右を振り返り、眉を顰めながらも。
無言であとを、尾(つ)いてくる。


幾久しく。
いくひさしく・・・

比較的ましな野良着に身を包んでいるのは、村の助役。
いつも仕事で親しくしている間柄だった。
助役が棒読みで、言葉を発すると。
ひろ子はかねて教えられたように、助役の言うがままに復唱をする。

夫婦の交わりを結ぶがために
めおとのまじわりを、むすぶがために

まず村の長老のお方の前に
まずむらのちょうろうの、おかたをまえに・・・

わが身をためらわず、開いてみせて
ががみをためらわず、ひらいてみせて

花婿となる、タカシさんのおん前にて
はなむことなる・・・

さすがにわたしの名前が出たときに、彼女はちょっとのあいだ、ためらったけれど。
凛とした透りのよい声が。
「たかしさん」のくだりを、はっきりとした声色で通り過ぎた。

逞しき男の肉を、お尻の穴に埋もれさせて
たくましきおとこのにくを、おしりのあなにうずもれさせて。

おごそかな顔つきの、両家の親たちをまえに。
経文でも祝詞でもない、卑猥な言葉を、どこまでも延々と綴らされたあと。
彼女は正座していた両膝を、わずかにずらせて、わたしのほうを振り向くと。
初めて、恋人の顔に戻っていた。

「タカシさん、ごめんなさいね」

感情の込められた低い声色で謝罪を口にすると。
ふふっ。
かすかによぎらせた微笑が、口許から白い歯を覗かせた。
今夜の儀式を告げたときとおなじ、淫蕩な色を。
朱の唇と、白い眼とによぎらせて。

相手の男の言いぐさは、もっと露骨でぞんざいだった。

「じゃあ、花嫁さんをいただくぜ。たっぷり狂わせてやっからよ」

周囲の空気がくすぐったそうに揺らぎ、村人たちはいちように、面をほころばせていた。
なれなれしく腰に腕を回された、ピンクのスーツ姿が。
淡々とした歩みを、閉ざされたふすまの向こうへと消えた。
ふすまのあいだからわずかに覗いたのは、彼女の新床にはふさわしくない、古びたせんべいぶとんだった。


あっ・・・・あっ・・・うっ・・・あうっ・・・

悲痛なうめき声が洩れるなか。
両親も村人たちも、わたしを覗くだれもが、感情を消したまま端座して。
花嫁のあられもない声に、聞き入っている。

いまごろなにを、されているのだ?
純白のブラウスの、あの百合のように清楚なリボンを、荒々しくほどかれて。
すその広がったピンクのフレアスカートのなか、節くれだった指を突っ込まれて。
白のパンストに、ふしだらな皺をよじらせながら。
あの栗色の長い髪を、ユサユサと揺らしながら。
ひそめた長いまつ毛を濡らす潤いは、涙?それとも、随喜の熱情?
ブラウスごと揉みくちゃにされてゆく、豊かなバストは。
ほんらいはわたしが、獲るはずだったもの。
わたしはどうして・・・こんなところで縛られて・・・
親たちに見つめられながら、嫉妬に身を折っているのだろう?

ああ―――ッ!
魂切るような絶叫が、ふすまの向こうから響き渡ると。
村人どもはいちように、黒やごま塩の頭を揺らがせて。
「おめでとうございまする」
親たちに対して、慇懃、丁重に最敬礼をした。

いえ、いえ。どういたしまして。

穏やかな声色で応えたのは、彼女の父親。
このたびは娘ひろ子が、けっこうなご指導を賜り、親として篤く御礼もうしあげます。

あなた。
わたしの父は、母に背広の袖を引っ張られて。
おくれまいとして、あとをつづける。

今夜の記憶は、当家の誉として、永く記憶することになるでしょう。

父のほうは多少声を上ずらせていて、渡された紙切れの棒読みになっていた。


先々週。
村人たちの魔手が、母の身に迫った夜。

あなたがそこまでの覚悟なら、母さん協力しますよ。

母は気丈にも、ほほ笑んで。
縛られた父が顔をこわばらせるまえで、自分からブラウスのボタンをはずしていった。

社会的に高い地位を得ていた父は、その晩の出来事をなかったものと見なして、
だれにも訴えず、ただ理性を喪っていたのだ・・・と、
ぶきっちょに位置づけるつもりらしい。

先週。
すべてを打ち明けられた、ひろ子の母親は。

あらぁ。娘がきれいなのは、わたくしのせいだろう?ですって。

夫のまえで村人に迫られながら、照れ笑いさえ浮かべて。
花柄のワンピースのすそを、古びたたたみのうえに乱していった。

「娘を抱きたいのだろう?それならば奥さんに、いうことをきいてもらうぞ」

弱みを握られた彼女の夫は、さすがに顔をこわばらせながら。
幾人も折り重なってくる村人どもを相手に、妻が気丈に相手を続ける有様を。
ただ目を血走らせて、見続けていたという。

翌晩のこと。
娘の不始末を詫びるおしるしに・・・と、わたしのまえで身を開いた彼女は。
白い目と朱の唇に、娘と生き写しの淫蕩さを、ありありと滲ませていた。


たしかに、生娘じゃった。

いまひろ子を犯したばかりの長老は。
あとを別の村人どもに譲り渡すと。
縛られて転がされたままのわたしの傍らに、胡坐をかいた。
まるで世間話でもするように、言ったのだった。

さすがに都会のおなごは、ええ身体しておるの。
母ご譲りの床上手になるじゃろうよ。
あすの祝言は、派手になるのう。

ひろ子の純潔を首尾よく奪い取った村の長老は。
嫉妬に身体をほてらせたわたしのことを、うちわでゆうゆうと仰ぎながら。
まるで明日の陽気でも話題にするように。
わたしに親しげに語るのだった。


親たちまでもが、村人どもに迫られて。
縛られる夫に、侵される妻。
そんな淫らな絵巻物を、わたしのまえに見せつける。

この世の終わりのようなお顔を、なさいますな。
これこそ、この世の極楽というものじゃろうて。

きっと・・・男の言う通りなのだろう。
こらえかねた股間の疼きは、どろどろと濁った白い液体になって。
自由を奪われた太ももを、じわりじわりと濡らしていった。

ひろ子はふとんの上、剥ぎ取られた衣装をまだ半ばは身に着けたまま。
わたしのまえで誇るように、息遣い荒くのしかかってくる男どもを相手に。
目にも眩しい白い肢体を、惜しげもなく拡げていったのだった。

l婚礼前の儀式

2012年09月11日(Tue) 08:07:53

村で祝言を挙げる娘たちには、嫁入り前にいちどは経験しておかなければならない儀式があるという。
それは、夜這いを受けること。
相手の男は、花婿ではなくて。
自分か嫁ぎ先の縁者の男。
すでにセックスの経験豊富な男に、女として仕込んでもらうのが。
花嫁修業の、仕上げだという。

むごいことと言われるかもしれないが。
その場には、未来の花婿も、同席する。
不謹慎な声を、彼の耳に届けないため。
娘たちは必死になって声をこらえ、
相手の男はなんとかしてよがらせてやろうと、精魂を尽くす。

ひぃ・・・ひぃ・・・はぁ・・・はぁ・・・
ふすま一枚へだてた向こう側で、荒い息をはずませる許婚を、
花婿は嫉妬に狂いながら、赦すのだという。


都会から独り、赴任してきたわたし。
秋に結婚を控えている。
せっかくだからこの村で・・・とは、勤務先のものたちの一致した意見。
なにも知らない親たちは、勤め先がそれほど仰るなら・・・と、意を傾けかけている。
先方のご両親も。田舎での結婚式に乗り気だという。
その親たちが、各週ごとに。この村を訪れる―――

口止めはまず、親ごさんからたちからじゃの。
任せておきなや。悪いようにはせんて。
双方の母親の顔写真に目の色をかえた男どもは。
すでに荒い息を、抑えかねていた・・・

えぇと、朝っぱらから・・・ (^^ゞ

2012年09月11日(Tue) 07:45:53

こんどは管理人の、ひとりごとです。(^^ゞ
いえね、さっきもひとりごとにしようと、思ったんですよ。
ところが「朝っぱらから・・・。(^^ゞ」ってたいとる描いたとたん、ひょう変したのです。 笑

出勤前の亭主の見守るなか、庭先で引きずり回されるようにして凌辱される妻。
荒々しいセックスに、男も女も、女の夫までもが、昂ぶりを感じてしまう。

超常現象ですな。 笑


今朝はどういうわけか、法事ねたで絶好調?な柏木でした。(^^ゞ

朝っぱらから・・・。(^^ゞ

2012年09月11日(Tue) 07:43:17

朝っぱらから、すまねぇな。(^^ゞ
隣家の年配親父は、今朝も妻のことを、誘いに現れる。
妻もよく心得ているらしく、朝から礼服姿。
ごはん済ませたら、お出かけになって下さいね?
申し訳なさそうな顔つきを作りながらも、いそいそと。
玄関で呼ばわる声に応じて、起っていった。
畳のうえを歩み去る爪先を、黒のパンストがなまめかしく染めていた。

だんなさん、悪りぃ。借りは返すからのお。
玄関で呼ばわる声は、情け容赦のないほど、かしましい。
自分の嫁が不名誉を蒙るのだということを、近所に宣伝しているようなものだった。
わたしは仕方なく、玄関まで妻を送り出していって。

朝から精が出ますね。

精いっぱいの皮肉を、言ってやった。
エヘヘ・・・
野良着姿の初老のおやじは、はげ頭をてかてかさせながら。
悪戯坊主のような照れ笑いをして、
それでも照れくさいのか、首すじのあたりをしきりに引っ掻いていた。

庭先、借りますでの。
とんでもない申し出を、さっきの不作法とは打って変わった、慇懃な低い声で囁くと。
そのとんでもない申し出に、わたしもつい、うなずいてしまっている。
いつもの癖で・・・

明日の朝は、礼服ですの。
夕べ妻が、遠慮がちにそういうと。
わたしはほうきを手に、夜の闇を透かすようにして、その庭先を掃き清めていた。

おやじは妻の手を引いて、庭先にまわり込み、
わたしは何事もないかのように、リビングに戻る。
食事の終わるころ、しばらく語り合っていた男女のあいだに、異変が生じる。
あれ!
妻の鋭い声。
いひひひひひいっ。
おやじのわざとらしい、卑猥な嗤い。
もう、出勤どころではなかった。

都会のおなごは、いやらしいの~!
仰々しく呼ばわる男と向い合せに。
妻は礼装のすそをひるがえして、庭先を逃げ惑う。
わたしが掃き清めた、庭先で。
男と女は、卑猥な強姦芝居を展開するのだった。

あれえっ!お許しくださいましっ!
わたしにさえ口にしたことのないような声色で。
妻ははだけたブラウスの胸元から、白い肌を朝陽に曝す。

うへへへへへっ。都会女はええ舌触りの靴下を穿いておるのお。
立ちすくむ妻の足許にかがみ込んだ男は、ハイヒールの足首を掴まえて。
黒のストッキングのふくらはぎに舌をふるいつけて、薄手のナイロン生地をくしゃくしゃにしていった。

ひいーっ!お許しをっ!
庭先に押し倒された妻は、逞しい猿臂に抱きすくめられたまま。
もう、どうすることもできないで。
裸体の恥を、さらしていった。
まくれあがったスカートの裾から、ストッキングをずり降ろされた太ももを、あらわにしながら。
ブラウスを剥ぎ取られてあらわになった乳首を、恥知らずな唇でニュルニュルと弄ばれながら。

庭に押し倒されて。
スカートをまくり上げられて。
パンストを足首まで、ずるずると降ろされていって。
むき出しになった白い腕が、野良着の背中におずおずとまわるのを、
どうしてドキドキ昂ぶりながら、見守ってしまうのだろう?
わたしにも魔物が、とり憑いているのだろうか?
自分から放胆に伸ばした脚には、片方だけ黒のストッキングがまだのこっていて。
居間でわたしの給仕をしてくれていた時とかわらないほど、白い脛を清楚に染めている。

はふ・・・はふ・・・はふぅ・・・っ
礼装の黒のスカートを着けたまま。
黒のブラジャーの吊り紐を、片方立たれた背中を、陽に曝したまま。
片方残った黒ストッキングを、皺くちゃにして。
四つん這いにされた妻は、ひたすら、腰を使っている。
闖入者のまえ、もうすっかり従順にされてしまった柔らかい裸体を、歓びに輝かせながら・・・
引き抜かれるたび、白く濁った精液が、地べたにぼとぼとと、ほとび散った。

孕んでみるかえ?なに、いやだ?なに、すぐにその気になるさ。
都会のおなごは、いやらしいからのう。
遠慮するな。すぐ孕ませてやっからよ。
元気な男の子、さずかるぞお。

いけない!いけないっ!
子どもは、主人の子をぉ・・・

妻はあられもない身を曝し、はしたない声をあげて。
ご近所にはすべて、筒抜けだった。
朝の儀式が盛り上がるほど、周囲の人たちは妻にやさしくなるという。
おなじ体験をしたもの同士だけが共有する、連帯感で。
朝っぱらから家庭のなかまで闖入してくる、こういう客は。
最高の礼儀で、もてなさなければならないことに、なっていた。

夫であるわたしの、目のまえで。
柔らかい乳房を揉みくちゃにされていって。
妻はいつしか、昂ぶっていた。
わたしも不覚にも、ズボンを濡らしてしまっていた。

男は魔物。
妻を狂わせ、わたしをさえも、奈落の底に、引きずり込んだ―――

法事の手伝い・・・

2012年09月11日(Tue) 07:22:48

村の法事には、決まって都会育ちの婦人たちが手伝いに来る。
当番制でお声がかかるらしく、いつも顔ぶれはまちまちである。
もっとも・・・べつな揺らいでの人選は、とうぜんあると思われるのだが。

法事の末席に連なる野良着姿の男どもは、そんな人妻たちにも容赦しない。
むしろそれが、お前たちが法事の手伝いに来たほんらいの目的なのだと言わんばかりの態度だった。
数人は択ばれてくる都会の人妻たちは。
夫たちの参列すら、赦されていなかった。
法事のお手伝いに行ってまいります。
それがどうやら、夫婦の会話の合い言葉になっているらしい。
男に抱かれてくる。
あからさまに、そう告げないまでも。
夫たちはいちように、
行ってらっしゃい。気をつけて・・・
そう応えるならわしになっていた。

法事の列の末席に、伏し目がちになって参列した都会妻たちは。
背後から息荒く迫った野良着の者たちに、熱く濁った息を、首すじに吹きかけられながら。
黒のスカートのうえに組み合わせた両手を、手を握られる順番さえ決められているかのように、抑えられてゆく。
なかには狎れ狎れしく肩先に腕を回して、囁きかけてくるやつさえいる。
なにを囁いているんだ?って?
これからエェことしような。極楽にイカせてやるからのぉ。
どうせそんなことを、口走られているに違いない。

手を握られた女たちは、だれひとり抵抗を試みることなく、
清楚に映えた黒のストッキングのつま先を、きちんとそろえて、
参列者たちに黙礼をして、立ち去ってゆく。
寺の敷地のすぐ隣の、納屋のなか。
キリリと装った礼装を、見るかげもなく乱されてゆくのだと、知りながら・・・
ふっくらとしたふくらはぎをなまめかしく彩る、あの黒のストッキングも。
節くれだった指をかけられて、あらけなく剥ぎ降ろされてしまうのだろうか?

誘い出される参列者たち。

2012年09月11日(Tue) 07:15:02

法事の最中に、退屈になってくると。
参列している男どもは、目引き袖引き、目配せし合いながら。
礼装のすそから覗く、黒のストッキングに包まれた脚たちの品定めをする。
喪服に白い肌は、映えるものだから。

末席に参列している、野良着姿の連中には。
とくに最優先で、女を択ぶ特権が与えられる。
この法事にゆかりの、いわくのある者たちだった。
自分の妻や娘が参列している・・・という男どもは、
たいがいの場合、きょうのおこぼれにはあずかれない。
ただ、自分の女家族が、禿鷹のような連中に咥えられ持ち去られてゆくのを、見送るばかりである。

すまねぇな。
ずっと昔には幼馴染みの兄ちゃんだった中年男が、そう言いたげに。
こちらに向かって、目を投げてくる。
勝手にしなよ。
視線を投げられた側の、礼服姿の若い男は、ほろ苦く笑いながら。
そんなふうに目を返していく。

年配男は、若い男の向かいの席で、俯きがちに参列している若い女の手の甲を抑えると。
清楚な黒のスーツに身を包んだ女は、はっとして野良着姿を見あげ、
それから見比べるように、夫のほうを見る。
夫は目を伏せたまま、僧侶の読経に聞き入っている。

おずおずと立ち上がる女は、伏し目がちに姑のほうを見、
姑は神妙な顔つきで、若い嫁の目線を読んだというように、気づかれない程度の黙礼を返す。
あんたにお辞儀したわけじゃない。
そう言いたげな邪慳な顔つきをして。
もういちど、野良着の男のほうに、目線を送る。
こんどは、さっきの顔つきとは打って変わって、媚態にも似た、それは狎れ狎れしい笑みを泛べて。
野良着男は、姑とも身に覚えのある男なのだろう。
えへへ・・・とかすかに笑い声を立てて、若い嫁の手を引っ張って本堂を出て行った。

姑のほうにも、後ろから。
卑猥な手が、伸びてくる。
漆黒のブラウスの胸もとに忍び込んだ掌は、
袖の透ける薄地のブラウスの胸を波立てながら、胸の隆起をなぞっていった。
ぁ・・・
不謹慎な声をあげてしまっても。
周囲のものは咎めの視線さえ、送ってこない。
すぐ隣に腰をおろした亭主殿さえ、知らん顔をして読経に聞き入っている。

色即是空
空即是色・・・

経文にはいったい、どんな魔力が秘められているのだろう?

静まり返った本堂には、不思議と明るい気配に満ち満ちている。

お寺の隣の納屋

2012年09月11日(Tue) 06:59:44

法事のさいちゅうは、お寺の隣の納屋は、満員になる。
墓地につづく道端にある古びた納屋のなか。
薄暗いなか、黒の礼装に身を包んだ女が三人、
野良着の年配男どもを相手に厭々をしながら、黒のストッキングをずり降ろされてゆく。

一時間後。
意気揚々と引き揚げていく男どもは、それぞれに。
モノにした女の穿いていたストッキングをぶら提げて、納屋を出て行った。
破れた墨色の薄衣は、節くれだった指につままれて、
ひらひらと風に、舞っていた。

彼らを見送った三つの人影は、墓地の参道の傍らの茂みから顔を出すと。
「うち、喪主だから仕方ない」
「うちは、本家だからしょうがない」
「わしの嫁は、どうして目ぇつけられたんかのぅ」
「こうゆう席に、柄物のストッキングなんぞ穿いてくるからよ。
 ちょっかいかけてくれと、おのれから言うてるようなものではないか?」
違いない・・・
三人は、声を合わせて笑った。

家族で献血。

2012年09月10日(Mon) 08:03:28

客間のたたみの上で。
太っちょのおばさんが、でーんと大の字になって、ぶっ倒れている。
ほかでもない、俺のお袋だった。
傍らには親父よりもちょっと年上な五十がらみのおっさんと、俺よりは五歳ほど年下の、十代はじめくらいのその息子。
親父はお袋たちとも俺ともすこし離れたところで、俺とおなじように、けだるそうに寝そべっていた。
俺がつけられたのとおなじ、寸法までぴったりな、ふた組みの噛み痕を首すじに滲ませたまま。

引っ越してきてすぐに仲良くなった、隣家の親子。
どうやらおっさんは、やもめらしくって。
奥さんを見たことは、いちどもなかった。
きょうもふたりは、いつものようにうちに遊びに来て。
お袋は留守にしてたので、代わりに俺がお茶を淹れにたった隙に、
初めて本性をあらわにして、親父の首に、噛みついていた。

げっ。
お茶碗を載せたお盆を取り落しそうになって。
あわててちゃぶ台にお盆を置いているうちに。
ふたりは俺の前後にまわっていて。
おっさんは右の首すじに。
息子はTシャツからむき出しにした二の腕に。
かぶりついてきたのだった。

ひりひりとする痛みを滲ませた傷口から、
ちゅうちゅうと、音を立てて生き血を吸い取られて。
眩暈をこらえて身体を支えているうちに。
身体が斜めになっていくにつれて、痛さや恐怖よりもくすぐったさのほうが先に立って。
横倒しに寝そべった時にはもう、けらけら笑い声を立てていた。

吸血鬼だったんですね。と、親父。
はぁ、すいません。と、おっさん。
明らかに恐縮はしているようだったけれど、悪びれる感じはなかった。
この街では吸血鬼と人間が共存している・・・って、うわさでは聞いていたけれど。
まさかお隣さんがねぇ・・・
俺までそんな、のんきな感想を漏らしちゃっていた。

家内はたぶらかされて、家出しちゃいまして。
そうだったんですね。
たまに思い出したように帰ってきては、息子の血を吸っていくんですよ。
へぇ、そうなんですか。
そのうち私や家内ばかりか、息子も血を欲しがるようになって。
かなり危ない傾向ですね。
えぇ。仕方ないので手近なご近所や親類に頼んで、血を分けてもらっているんです。
あなたがたに血を吸われた私どもも、吸血鬼になっちゃうんですか?
いや、都会のかたが血を吸われて吸血鬼になったって、聞いたことありません。
じゃあ、血を吸われっぱなしかー。なんか損な役回りですねー。

おっさんと親父とのやり取りは、どこか間が抜けていた。
大人二人の間抜けな会話を傍らで聞いていた息子くんは、
お兄ちゃんの血をもっと吸いたい、って言い出して。
しょうがないなぁ・・・って言いながら、俺はTシャツの襟首をくつろげていた。

男の血じゃ、おいしくないでしょ?と、親父。
でも、分けてもらえるだけで十分助かりますから。と、おっさん。
うちの女房や娘なら、まだ話が分かるんですが。と、親父。
実現したら、嬉しいですねぇ。と、おっさん。
はぁ、いちおう四十代人妻と、女子高生ですからな。と、親父。

おいおい、それ、誘ってないか?と思う俺は。
五つも年下の少年くんの手にかかって、齢不相応の強い力で抑えつけられて。
ずいずいと血を吸い取られて、また眩暈を起こしていた。

奥さん法事で出かけてるんですよね?と、おっさん。
ああ、よくご存知ですな、と、親父。
お宅のことは逐一筒抜けですからね、と、おっさん。
田舎は怖いですね・・・と、親父。
法事のお手伝いしているのをお見かけして、ゾクっときました。と、おっさん。
それでうちにいらしたんですか?と、親父。
まぁ・・・そんなところですよ。と、おっさん。

空き巣に来たんですがよろしいですか?って訊いてくるお人よしな泥棒に。
それならいついつにどうぞ、って答えるお人よしな主人の会話。
「お父さんいい人なんだねえ」って感心する少年くんに、
「俺の親父だからな」といったら、素直に「そうだね」と彼は言い、
頬ぺたにべっとり着いた俺の血を、手拭いで無造作に拭き取っていた。



お袋が戻ってきたのは、そんなときだった。



ひえぇぇぇぇぇぇ・・・
聞いてるこっちのほうが恐怖でのけ反りそうな悲鳴をあげて。
夫と息子が吸血されているところを目にしたお袋は、その場で気絶してぶっ倒れていた。

しょうがないね。腰を打ったんじゃないかな?と、親父。
担いましょうか?土間じゃ背中が、痛くなりますよ。と、おっさん。

血を吸ったものと吸われたものとは手を貸し合って、
太っちょなお袋の身体を、いとも重たそうに持ち上げる。

法事帰りのお袋は、黒の礼服に、薄黒のストッキング。
口を半開きにしたまま気絶していて、正直なところあんまりかっこよくなかった。

さて。どうしますか・・・
声を合わせる、男ふたり。
本人の同意を得るべきでしょうな。と、おっさん。
まぁ、寝かせたままちょっと、様子見てみましょう、と親父。
医者に診せなくていいのか?って、俺が口をはさんだら。
あとでみんなでかかるんだよ。親父は噛まれたうなじを抑えながらそういった。

一時間後。
お袋はまだ、気絶している。
そのあいだもずうっと、俺たち親子は時折唇を吸いつけてくる来客相手に、傷口を吸わせてやっていた。
待っててもらちがあきませんね。と、おっさん。
そうですね。お飲みになりますか?と、親父。
さすがに俺たちふたりでは、貧血になってきた・・・

しかめ面をしたまま仰向けになっているお袋のうえに、かがみ込んで。
黒の礼服のえり首から覗く首すじの一角に、おっさんは唇を吸いつけていった。
あ、痛うぅ・・・
かすかに首を振って、痛みをこらえるお袋に。
おっさんは獣のようにのしかかり、体重をあずけていって。
ギュウッと立て膝をした、黒のストッキングを穿いた脚は。
だらりと力を抜いて、たたみの上に投げ出された。

ちゅうちゅう・・・きゅうきゅう・・・
ひとをこばかにしたような音を立てながら、おっさんがお袋の血を吸っていると。
息子くんは目を輝かせて、鋭い声をたてていた。
「ボクも小母さんの血を吸いたい」

おっさんは顔をあげると息子を手招きして。
「いただきなさい。旨いぞ」
親父や俺のことをまるきり無視して、お袋の首すじにつけた噛み痕を、息子に明け渡すと。
自分は黒のスカートの足許に這い寄るようにして、
こんどは、薄黒いストッキングに包まれたふくらはぎに、唇を吸いつけていった。
ヒルのように這わされた唇の下。
お袋のストッキングがパチパチとかすかな音を立ててはじけ、裂け目を拡げていくのが、
むしょうに悩ましく、記憶に残った。

吸血鬼の親子を相手に、
自分でも知らないうちに、
わが身をめぐる生き血を、気前よくご馳走する羽目になったお袋は。
自分の置かれた立場を自覚しないまま、顔色を蒼ざめさせてゆく。
「母さん、きっぷがいいからね。そのうえ元気ものだから、しょうしょうのことではへこたれんよ」
親父は妙なところで、お袋自慢を口にした。
「こうしてみると、満更でもないものだねぇ」
とか、
「女房の喪服姿も、わりと捨てたもんじゃないね」
とか、
しきりに女房自慢を口にする親父に、
おっさんは馬鹿律儀にも、
「いやおきれいですよ」
とか、
「だから法事の席で目をつけたんですよ」
とか、
必ず顔をあげて応えてくる。
食べ盛りの息子くんは、とてもそんなゆとりはないようで、
ブラウスに血を撥ねかせては、めざとくそれを見た父親に、小声で叱声を飛ばされていた。
「クリーニングに出しゃ、済む話ですから」
親父の言いぐさは、ひどく寛大だった。

息子くんは、どうやら気が済んだらしい。
指先についた血を舐め舐め、いまどきの子らしくゲームに熱中し始めた。
おっさんはまだ、もの足りないらしい。
どうやら靴下が好きらしいおっさんは、
親父にねだってスラックスを引き上げてもらい、長めのビジネスソックスを噛み破ってみたり、
「部活のユニフォームのやつしかないぜ?」と念を押す俺に、
「それでけっこうですから」といって、
ラインの入ったブルーのハイソックスをわざわざ履いて、ふくらはぎを噛ませてやったりしていた。



お袋が正気に返った。


いや、正気に返った・・・というべきなのだろうか?
長すぎた昼寝から目が覚めたように、ひどく眠たげに顔をあげると、
「おや、お客さんいらしてたの?」って、親父に訊いた。
「なにされたか、わかってねぇの?」親父にそう指摘されて、
「ぁ・・・」
息子くんが血を撥ねかせたブラウスはべとべとだったし、
黒のストッキングは片脚だけ、みごとに噛み剥がれてしまっていた。
たしかな意識といっしょに、貧血までが戻ってきたらしい。
額に手を当てて、くらくらとするのをこらえていたら。
俺の足許から顔をあげたおっさんが、ふたたびにじり寄っていった。

もの欲しげな顔つきに、お袋も相手の希望を察したらしい。
「自分の血なんだから、好きにしなさい」
そういう親父に小声で、
「すみませんね・・・」
そういうと。
まだ噛まれていないもう片方の脚を、差し伸べていった。
「パンストですから。片方破けちゃったらもう穿けないのよ」
台所の椅子に腰を下ろしたお袋の足許にかがみ込んで、
おっさんは、黒のストッキングのうえからなぞるように、唇を吸いつけてくる。
そんな様子に、お袋はさすがに顔をしかめていたけれど。
圧しつけられた唇の下で、薄手のナイロンがぱりり・・・と破けてしまうと。
あとはいつもの気性そのままに、わが身をめぐる血潮を、惜しげもなくチュウチュウと飲(や)らせてしまっていた。

時々伺っても、よろしいですか?と、おっさん。
エエ、いつでもどうぞ・・・と、親父。
じゃあ喉が乾いたら、声かけますね。と、おっさん。
ハイ、ご遠慮なく・・・と、親父。
お袋は惚けたほうな顔をして、緩慢な動作で身づくろいをしていたけれど、
ふと男どものほうを、振り向いて、
ふつうに生活してるんですから、そう年中は困りますよ。
さすがに主婦らしい、クギの刺しかただった。

あ、はい・・・はい。恐縮するおっさんに、
もうお帰りになるのかしら?のんびりとした声で訊くお袋。
そうですね。さすがにそろそろ・・・座を起ちかけるおっさんに、
もうじき娘が、帰ってきますわよ。やっぱりのどかな声色のお袋。
え??
親父も俺も、ぎょっとして声をあげたけれど。
「お姉ちゃんも血を吸わせてくれるのかな?」
息子くんは、声色までもがワクワクとさせていた。

セーラー服で帰ってくるんですよ、
世間話でもするような、のんきな声色の裏に。
善意の献血に応えたい・・・という、俺たちの素朴な目論見以上のものを滲ませていた。
これから三日にいちどは、献血するのですから。
ごあいさつはいっぺんに済ませたほうが、おだやかですからね。
主婦らしくてきぱきと段取りを組むお袋に、
俺は妹の勉強部屋に布団を敷きに行ったし、
親父はがたがたと雨戸を閉めて、悲鳴が漏れないように心配りを始めている。

そんな俺たちのようすなど、目にも留めないで。
お袋はのんびりと、おっさんに話しかけている。
靴下破くのが、お好きなのね?
いけないご趣味ですわね・・・
今朝娘が出ていくときは・・・白無地のハイソックスでしたけど。
ハイソックスはお気に召さないですか?
私もストッキングがちりちりになるまで噛まれて、打ち解けることが出来ましたけど。
真っ白なハイソックスが真っ赤になるまで、血を吸ってあげたら。
あの子もあなたがたと、仲良くなれるんじゃないかしら?

成人映画館の女装子

2012年09月09日(Sun) 00:44:11

手入れの行き届いていない空調が無造作に吐き出す埃っぽい冷気に、奈子は眉をしかめた。
ここは、古びた成人映画館のエントランス。
いま奈子は、決死の想い?で、このいかがわしい空間に入り込んだばかりだった。

昔は十数軒もあったといわれる、「成人映画館」と呼ばれるいかがわしい建物は、
この街ではもう、ここ一軒を残すだけとなっていた。
まるで保護色をもった爬虫類のように、ごく目だたなくって。
古びて狭苦しいアーケード街に、なんの違和感も伴わず、それはしっくりと埋もれていた。
わずかに表通りに面した看板が、この建物のもつ不健全な役割を、いやというほど暴露していた。
あっけらかんとするほどケバケバしい、女の裸体を描いた看板たちは、
映写されるフィルムまでもが変色しているのでは?と疑わせるほどに寂れた色合いを放っていて。
健全な青少年の育成に有害と疑われるべき内容そのものまでもが、色あせてみえるほどだった。

夜の七時ころ。
恥ずかしいほどあからさまな照明に照らされたアーケード街を。
上はチェック柄のブラウス、腰にはデニムのスカートを穿いた奈子は、
スカートの広がったすそから忍び込む外気の空々しさに軽い昂奮を覚えながら、
慣れないヒールの音を、響かせていた。
奈子は、女装子。
化粧をしない顔を、マスクとメガネとで覆い隠していた。

映画館の入り口は、まるでラブホのエントランスのように。
人目を忍んで入るものをかばうように、ついたてがしつらえられていた。
まっすぐな視線を遮るついたての向こう側がどうなっているのか、
奈子の側からもわからない。
その状況が一瞬、奈子を逡巡させたけれど。
まるで誘蛾灯に引き寄せられる夜の蝶のように。
彼女は飛び込むようにして、映画館の扉を押し開いていた。

無神経にがんがんたかれた空調の冷気が、ブラウスに包まれた奈子の両肩に食い入ってくる。
受付の女性は、太った中年のおばさんだった。
おばさんは奈子の姿を認めると、それがほんとうに女なのかどうかにも、いっさい関心を払わずに、
ただぞんざいに、代金を要求した。
千円札二枚と引き換えに手渡されたおつりは、5円。
ご縁がありますように・・・というごろ合わせにしては、
おばさんの態度はそっけなさ過ぎたけれど。
二階から漏れてくる切れ切れに悩ましい声から、顔をそむけるようにして。
奈子は映写室へと入っていった。
入りぎわ。
いかにもやる気のなさそうな映写係の無表情な横顔が、ふと視界をよぎっていった。

なかは、ほぼ真っ暗の状態だった。
心優しい闇は、女の服に包まれた奈子の姿を、それは優しく抱き取っていった。
秘密をまとう身にとって、もっとも心安らぐものだった。

映画の内容なんか、憶えていない。
女装をして成人映画館に入る。
そんなことを、禁忌を侵す歓びにうち震えながら。
奈子は身体じゅうで、体感していた。
車のリクライニングシートを再利用した、独特な座席に縛りつけられたようにして。
まるで金縛りにあったように、奈子は座りつづけていた。

闇に眼が慣れてきたころ。
ひとりの男が、ス・・・ッとすり寄ってきた。
なにかを囁いたようだが、奈子には聞き取れない。
ここには女装だけをしに来るものも少なくないので、あらかじめ本人の意向を確認したかったらしい。
奈子は震える低い声で、こういったつもりだった。
「触るだけなら、いいですよ。でも強引なことは、怖いからしないでね」
舌足らずになった口許から漏れた声を、はたして男はどこまで理解してくれただろうか?

絡みついてくる腕が、下品で露骨な手つきで、奈子の二の腕を、脇腹を、太ももを、なでまわしていく。
相手の顔は、ほとんど見えなかった。
けれども、男の手は、唇は・・・奈子のことを明らかに、女として認めていた。
あたしを女として、扱ってくれている・・・
初めての体験に、奈子は言葉を喪うほど、昂ぶりを感じていた。

わずかな光が、男の風貌を通過した。
若いけれども、神経のあまりこまやかそうではない風貌にみえた。
強引に奪われそうになったキスを、手で遮ると。
遊び慣れているらしい男は、リミットを超えたのを恥じるようにして、引き下がっていった。
それとほとんど、同時だった。
あきらかに年輩とわかる男が、ゼイゼイとかすかにせき込みながら、反対側の座席に座ったのは。

老人の手つきは、明らかにさっきの若いサラリーマン風の男のそれとは、異質なものだった。
ブラウスを通してなぞるように加えられてくる掌のまさぐりは、
さっきの若い男の半分ほどの強さも感じなかったけれど。
腕に伝わる感触はじんわりと皮膚の奥までしみ込んでいって。
奈子は半ばウットリとなって、節くれだった掌の愛撫を、受け入れ始めていった。

じわり・・・じわり・・・
老い朽ちてカサカサになったツタのように絡みついてくる猿臂が、ブラウスを通して肉薄してくる。
サリサリという、衣服が衣擦れる音を耳にしながら。
奈子はほとんど溺れるようにして、行為に耽っていった。
老人が身体を密着させてきて、長い猿臂で奈子を抱きすくめたときも。
奈子はすすんで、老人の抱擁に身をゆだねていった。

ククク・・・
老人は、くぐもった声で嗤った。
いただくよ・・・そう聞こえたようだった。
奈子は無意識に、うなずいていた。
老人の唇が奈子の首すじを這い、そして力を込めて吸いつけられた。

かりり。

え・・・?
怪訝そうに顔をしかめた奈子は、つぎの瞬間、恐怖に頬を引きつらせていた。
すでにそのときには、遅かった。
毒蜘蛛が、巣に引っかかった獲物を掴まえるようにして。
老人は奈子の両腕を巧みに封じながら、飢えた牙をうなじのつけ根に埋め込んでいったのだ。

ちゅう・・・っ。

ハッとなった時には、老人は奈子の血で、喉を鳴らしていた。

まだ若さをふんだんに宿した、働き盛りの血潮が。
ヒルのようにしつように吸いついたしわだらけの唇に含まれて、老人の体内に移動していく。
恐怖と驚きは、一瞬のあいだのことだった。
傷口のうえを這い、もの欲しげに蠢く唇を。
まるで騎士の接吻を受ける王女様のように、奈子はおっとりと、受け止めていた。
生暖かい血がブラウスに滴ったけれど、もうそんなことさえ、意に介さなくなっている。

奈子の血、美味しい・・・?
じぶんでもびっくりするほど、落ち着き払った声だった。
脈打つ血潮に秘めた淫らさが、そうさせているのかもしれない。
もっと吸って。奈子のエッチな血。もっと愉しんで・・・っ。
齢のわりにがっちりと力強い猿臂に抱きすくめられたまま。
奈子は本物の女子高生よりもしおらしく、ひたすら献血行為に応じていた。

長い道のりを車で来たことも。
映画館を出たらふたたびその車に乗って、遠い我が家に帰らなければならないことも。
明日までに家に戻れなければ、長期の出張から戻ってくる妻に対して言い訳がきかなくなることも。
すべてが奈子の意識から、飛んでいた。

奈子の血、美味しい・・・?
もっと、吸って。
奈子のエッチな血を、もっと愉しんで・・・

真夜中の墓詣り

2012年09月07日(Fri) 08:02:49

ずいぶん手こずったぜ。
でもとうとう、お前の女房をモノにしてきた。
お前の女房の血は、旨いな。

わたしを吸血鬼にしたその男は、満足そうににんまり笑う。
頬にはべっとりと、生々しい血のりをあやしたままで。
ついさっきまで、妻の身体をめぐっていた血潮は、男の頬を毒々しく彩っていた。
男は頬に着いた妻の血を、指先で拭い取ると。
それをべったりと、わたしの口に含ませていた。

われ知らず、ほんとうに不覚にも。
わたしは彼の指に着いた血のりを、舐めつくしてしまっている。

こんど・・・あの女を、墓詣りに来させるからな。
もちろん、お前が目ざめる真夜中にね。
そうじゃないと、女房の顔を拝めないだろう?
そのときにはいっしょに襲って、あの女の血を山分けにしよう。

男の言いぐさに、わたしはやはり不覚にも、指切りげんまんまでしてしまっていた。

その夜。
花束を抱いて真夜中の墓詣りに現れた妻は、俺の顔を認めると観念したように目を瞑った。
黒のストッキングの足許に落ちた百合の花びらに、バラ色のしずくがしたたった。
わたしが妻を抱きしめて、当然の権利のように、うなじに咬みついているときに。
男は黒のストッキングを穿いた妻の足許を、いつまでも意地汚く、ねぶり抜いていた。

代わる代わるに相手をさせられた妻は、週にいちどは墓詣りに訪れると、約束してくれた。
そしてこんどは、中学に上がったばかりの娘も連れてくるのだと・・・
処女のうちのほうが、よろしいのでしょう・・・?
声をひそめた女は、すっかりわたしたちの共犯者になっている。

十五の誕生日。

2012年09月07日(Fri) 07:51:20

その少年とは、彼が幼いころから顔見知りだった。
なにしろ、彼の母親の血を、俺は吸っていたのだから。
ときには荒々しく組み伏せて、むしり取るようにして啜り取ってしまったあとも。
彼女はなにごとも起こらなかったようなていをつくって、まだ幼な児だった彼のことを、あやしていた。

十五になった誕生日に、彼は母親に言い含められて、俺の邸のドアをたたいた。
濃紺のジャケットにおなじ色の半ズボン、長靴下という制服姿。
改まった機会には、知人の家への訪問でも、制服を着るのがならわしだった。

小父さん、血を吸うんだろ?いいよ。僕の首すじに噛みついても・・

たいがいの子は力んだり、怯えたりするというのに。
かれは物怖じひとつしないで、自分の首のつけ根のあたりを、
イタズラっぽく笑いながら、指差していた。

ハイソックスのうえから、噛むんだって?なんだかちょっと、イヤラシイよね?

初めてつけられた傷から、かすかな血をしたたらせながらも、
少年は笑みを消さずに、ずり落ちかけた紺のハイソックスを、ひざ小僧のすぐ下にまで、引っ張り上げていた。

それ以来。
彼は学校帰りに立ち寄っては、若い生き血を飲ませてくれた。
つとめて貧血にならないように、気遣いながらも。
俺は少年の差し伸べるふくらはぎから、紺や白、黒やグリーンのハイソックスを、
遠慮会釈なく、噛み剥いでいった。

やっぱり絶対、やらしいよ。

少年は俺をからかうような笑みを浮かべながらも、ハイソックスを引っ張り上げてゆく。
ふつうなら・・・眉をしかめたり、痛そうな顔をしたり、嫌悪の情もあらわになるはずの行為なのに。
彼の前向きな態度は、ひどく気遣いに満ちていて。
彼の黒髪をいとおしげにまさぐりながら、うなじを噛んだり。
長靴下をくしゃくしゃにしながら、噛み剥いでいったり。
いけない行為ばかりを、くり返していた。

きょうのハイソックスは、妹のやつなんだぜ?
丈足らずな白のハイソックスを、いつもより惜しそうにまさぐりながら。
それでも彼は、脚を投げ出してくれていた。
こんどは本人を、連れてくるからさ・・・
乾いた声色に、うなずきながら。
あしたはその少女の十五の誕生日だと、思い出していた。

俺がその子と婚約をすると。
すっかり大人びてきていた彼は、いまさらで悪いけど・・・と前置きをして、自分にも実は婚約者ができたのだと告げてくれた。
一週間後。
少年の婚約者は、血色豊かな白い頬を初々しく笑ませながら、俺に親しげな会釈を送ってきた。
てきとうなところで、はずすからさ。
彼女に小父さんの正体を、教えてあげてくれないかな?
座をはずすとき送ってきた彼の目線は、さすがに気遣いを隠せないようだった。

なん度めか。
たたみのうえに押し倒したピンクのスーツ姿。
初めて手をまさぐり入れた、スカートの奥。
彼女の穿いていた肌色のストッキングは、太ももまでの丈だった。
そして、ショーツを着けていなかった。

彼女の花園を、万が一荒らしてしまっても。
僕には言わないでね。
花嫁は処女のまま、嫁ぐしきたりなんだよね?

少年に言われるがまま、俺は欲情のおもむくままに、まだ侵されていない花園を、荒し抜いてしまっていた。

いろんな意味で、”きょうだい”の関係になってしまった彼のところに、
俺は彼の妹婿として、同居するようになっていた。
ときにはまだ若さを宿した姑や、兄嫁が。
荒々しい性欲を処理する相方になってくれていて。
俺は以前よりもずうっと深く、気遣いながら。
女たちや、ときには彼の血を、口に含ませていった。

”吸血鬼無害化計画”
この街に棲む人間どものあいだには、そんな計画が浸透しているという。
俺はまんまと、かれらの陰謀にひっかかっていた。
女たちはきょうも、浮気を愉しむために、俺の部屋をノックする。

「お嫁に行けなくなる公園」。

2012年09月05日(Wed) 06:47:07

「お嫁に行けなくなる公園」。
公式にはふつうに、〇〇公園と呼ばれているその公園は、
僕の棲んでいるこの街の、ほぼど真ん中に位置していて。
昼間は豊かすぎるほど奥深い木立ちのために、市民の憩いの場として親しまれている。

上級生の女子生徒たちが、まことしやかに、男の子たちの耳に入れまいとして。
ひそひそ声で語りつづける、「お嫁に行けなくなる公園」。
そこには、街に棲みつく吸血鬼が、夜眠れなくなるとたむろすると言われていて。
それだのに、彼女たちのいくたりかは、そんな危険きわまりない公園で、深夜の散策を愉しんだりしている。
もちろん彼女たちは、納得ずく。
時にはセーラー服で、出かけて行って。
ほんのご愛嬌の悪戯か、ちょっとキケンな火遊びのスリルを経験するために。
吸血鬼に血を吸われる女学生を、自演してしまったりしているのだった。

この公園のうわさを、ひそひそ声で囁き合うのは。
なにも、女の子に限ったことではないらしい。
さいきんでは、ませてきた周囲の同級生の男子までもが、この公園の名前を口にする。
秋に結婚の決まった兄さんは、未来の花嫁の恵美さんをこの公園で食われちゃった・・・とうそぶいている。
照れくさそうに、それもちょっぴり、自慢げに。
彼女のできた悪友のMも、どうしても真夜中のお散歩を愉しみたいという彼女のおねだりに根負けをして。
いっしょに出歩いて、ふたりながら噛まれたと。
ユニフォームのストッキングをずり降ろして、ふくらはぎの咬み痕を見せてくれた。
彼女がおなじようにして、通学用のハイソックスを真っ赤にしてしまった・・・ということは、容易に想像できたけど。
さすがにそこまでは、語ってくれなかった。

僕の将来の結婚相手のみどりさんも。
公園の散策を経験してしまっている。
お母さんに連れられた、法事の帰り道。
進学塾の帰りに、ぐうぜんのように行き会った彼女は、
「視て」というように、自分の足許に目線をおろす。
みどりさんの履いていた白無地のハイソックスには、ところどころ血が撥ねていて。
黙ってそれを脱ぎ捨てて、僕のまえにぶら下げる華奢な手つきから、
僕は震える手つきで、それを受け取ってしまっていた。

さいきんは、母さんまでもが・・・
「お嫁に行けなくなる公園」って、知っている?
母さんもそこで、初体験済ませたのよ。
そんなことを誇らしげに、囁きかけてきた。

お前、そんなことを聞かされたのか?
びっくりして顔をあげた兄さんは。
ぜったい言うなよ・・と口止めしたうえで、こう囁いた。
それ聞いた翌週に、恵美は血を吸われるだけじゃ、なくなったんだ。

翌週が・・・怖い。
けれども、どうしてだろうか?
とても・・・愉しみにしている僕がいる。

赴任先の工場主

2012年09月04日(Tue) 07:30:10

都会の本社からその村の事務所に赴任するときに。
あらかじめ、言い渡されていることがある。

  夫人同伴で赴任すること。
  嗜血癖のある村人がいるので、夫婦ともに供血行為に協力すること。

それって・・・注射器を使った献血でしょう?それくらいならわけないですよ。
と言った人は、失格。赴任する資格も取り消しになることがある。
えっ?映画に出てくる吸血鬼みたいに、首すじから吸うのですか?
たいがいのものはそういって驚くけれど。
奥さんもそんなふうに、血を吸われちゃうんですよ。それでもよろしければ・・・
そう言われてはっきりと「否」というこたえが返ってこなければ、即赴任が決定する。

わたしの場合も、即赴任の組だった。
借金がかさんでどうにもならなくなり、高額な手当てがつくというこのポストには、なんとしてもありつきたかったのだから。
「血を吸われるっていうんだけど、いい?」
そう妻に念を押したけれど。
「そんなこと言っている場合じゃないよね?」
そういう返事が返ってくる状態だった。

赴任したわたしは、取引先の工場主に血を吸われた。
着任一週間後、お得意さんがきみの赴任祝いをしてくださるそうだ・・・上司にそういわれてついて行って。
上司はすぐにその場をはずして、工場主は自分の正体をすぐ告げてくれた。
でっぷり太った赤ら顔の工場主は、きれいな白髪をしていた。

いきなり首すじだと、シャツを汚しちまうからな。
工場主はそういうと、わたしのスラックスのすそを引き上げた。
ストッキング地のハイソックスごしに、脛を蒼白く透けている。
ハイソックスは、着任した日に手渡されたものだった。
毎日これ履いてくることになっているから。ま、制服みたいなものだから。
そういう上司も、スラックスからのぞく足首を、女みたいに透きとおらせていた。
うつ伏せにされて、いきなり唇を吸いつけられて。
自分の親くらいの年配の親父は、ふくらはぎに噛みつくまえ、
まるで女もののストッキングをもてあそぶように、
しばらくのこと、ぐにゅぐにゅと薄いナイロン生地に舌をなすりつけていた。

妻は、村の婦人会に参加させられていた。
そこで地元の女性たちと交わって、性格や相性、外貌などから供血相手と縁づけられていくという。
わたしが噛まれて数日後のことだった。
退勤後家にもどったわたしは、ちゃぶ台のうえの置手紙で、妻の帰りが遅くなることを知った。
そういえばいつになく、同僚のひとりが飯を食っていこうと、わたしを誘い出していた。
「家で用意があるから」というわたしに、
「いや、たぶんないと思うよ」 彼は涼しい顔をして、そういった。
その日が妻にとって特別な日になるのでは?わたしはすぐに察しをつけて、ふだんはたしなまないビールまで二、三杯ひっかけて、家路をたどったのだった。

小一時間ほどして、妻は戻ってきた。
まるで法事に行くような、黒の礼服姿だった。
法事のときとちがうのは、いつもよそ行きのときにはきちんとセットして出かける栗色のショート・ヘアが、ひどく乱れてぼさぼさになっていたこと。
ひざ丈のワンピースのすそから覗く足許を染める黒のナイロンストッキングが、幾筋も太い裂け目を滲ませていたことだった。
「噛まれちゃった」妻は照れ隠しに、えへへ・・・と笑う。
指差された首すじは、ショート・カットの栗色の髪の生え際にふたつ、赤黒い痕を滲ませていた。
「それから」もっといいにくそうに、妻は言う。
「最終的に、犯されてしまったんですわ」
妻はすまなさそうに、やはり照れ笑いをつづけている。

「わたし、あなたの奥さん続ける資格あるのかなぁ」と、妻。
「なにを言い出すの?それくらいのことで・・・」と、わたし。
「ほんとにそう思っている?」と、妻
「献血がエスカレートすると、そうなるらしいね」と、わたし。
「なんだ、知ってたんだ」と、妻。
「きょう、会社のやつから聞いたよ」と、わたし。
「つづいちゃうよ・・・?」探るように、妻。
「知らなかったことにする」と、目をそらしたわたし。

「抱いて」
いきなり妻は、わたしの肩に腕を回した。
抜き差しならない距離が、ふたりをすぐに、夫婦らしい結論に導いていた。
目のまえに迫った首すじに、吸い残された血が、チラチラと光っている。
わたしは思わず、妻の血を喫(す)っていた。
「もっと・・・吸って」
傷口に吸いつけた唇に力がこもり、妻の血を吸い上げた。
酸い香りが口腔のなかに満ち、わたしは吸い、なおも吸った。
あの晩工場主に吸い取られたぶんの血を補うように、貪欲に。せつじつに。
男の衝動のまま、ワンピースの奥、探り当てた場所に。
妻はパンティを穿いていなかった。

相手は工場主だと妻に告げられて、ああそうか、と得心がいった。
彼はさいしょにわたしをたぶらかして、そのうえで妻を狙ったのだ。
もとより、妻に執心を抱いたほうが、さきだったのだろう。
わたしは翌日、工場主の呼び出しに応じて、例のストッキング地の靴下を脚に通して、出かけていった。
ひなびた面相を形作っている不細工な大きなまなこは、畳のうえに抑えつけた妻に迫った目。
齢不相応に脂ぎった分厚い唇は、妻の素肌に這わされその血潮を吸い取った唇。
その唇から時折覗く舌は、妻が脚に通していた黒のストッキングを、しわくちゃになるまでもてあそんだ舌。
けれどもわたしは、そんなことはひと言も言い得ないで、求められるままに畳のうえにうつ伏せの姿勢になって、引き上げられたスラックスの下さらけ出したストッキング地の靴下のうえから、吸血を許していく。
妻が呼び出されるのは、きまってそうしたことのあった日の晩だった。

「きょうも残業・・・?」と、妻。
「ああ、そうなるね」と、わたし。
「わたしもお招きがあるの」と、妻。
「気をつけて行っておいで。先様によろしくね」と、わたし。
「抱かれちゃうかもよ」と、妻。
「目いっぱい、尽くすといいよ」と、わたし。
「愉しんじゃうかも♪」と、妻。
「そこは妬けるな」と、わたし。
「いけない奥さんね」と、妻。
「いけない旦那にお似合いかも」と、わたし。
「帰ってきたら、しようね」と、妻。
わたしはウフフ・・・と笑って、それ以上応えない。

犯されてくると、妻は罪滅ぼしのようにわたしに抱かれる。
そういう夜の営みがいつもより濃密になるのだと、彼女はいつ知ったのだろう?
借金の返済はとうに終わったというのに、わたしたち夫婦の赴任期間は、いまだに継続している。

【れびゅう】 夏休みさいごの日~若代物語

2012年09月01日(Sat) 14:58:57

珍しく連作になりましたが。
これは、2005年8月末という、7年もまえの、そしてブログを始めた初期のお話の続編なのです。
ここではあらすじと、作者のこだわりなくだりについて、ひとくさり。^^

【第1話】 「夏の終わり」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-177.html
ほんとうは彼氏が欲しいのに、いつもお高く留まっている越水若代。
夏休みの宿題の追い込みで、男の子なんか来るはずもない公園に佇んでいるときに、
思いがけず吸血鬼に目をつけられて、噛まれてしまいます。

カジュアルでもきちんとした身なりの少女が、ベンチの後ろから伸びてきた手に、白のハイソックスの足首を掴まれて。
奈落の淵に引きずり込まれるように、吸血されてしまう。
「どうして私ばっかり・・・」
という呟きに、気持ちを込めてみました。^^
どうして私ばっかり、彼氏ができないの?
どうして私ばっかり、こんな魔物に襲われてしまうの?

【第2話】 「新学期」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-176.html
構成は、おおきく3つに分かれます。

前半は、ふたたび前回の公園。
誘い出した若代の血をくり返し吸う場面です。
ふたりのやり取りを聞く限りでは、すでに二回以上は逢っていそうです。
血を吸われることへの恐怖や嫌悪感から、五分遅刻してしまった若代。
非難を込めて応対する若代は、そこを吸血鬼に突かれると、「ごめんなさい」と謝っています。
自分の生き血を吸うという不埒な企てを抱いている相手であっても、約束の時間はきちんと守らないと気が済まないみたいです。
几帳面さと案外にお人よしな性格のようです。
最初の時にはいやいや噛ませてしまったハイソックスのふくらはぎを、知らず知らず自分からあてがっていることを、彼女はどこまで気づいているのでしょうか?

中編は、新学期の教室のシーン。
笑いさざめく女学生たちのなかでは、婚約者以外の男の子とデキちゃったクラスメイトとかが、自慢話をしたりして。
スキャンダラスな叫びに包まれて、得意になったりしています。
そのなかで、若代に彼氏ができた・・・というのは、だれもが想像しなかった出来事でした。

末尾はふたたび、公園のシーン。
気のせいか、吸血されるときの着くずれが、だんだんひどくなってきています。
自分の血を吸われるということにただ嫌悪しか示さずに、いつも「今回限り」と繰り返していたのに、
ここでは「もう少しならいいわよ」と、理解のあるところをみせています。
そうしてさいごには、自分に彼ができたといっても信じてくれないクラスメイトのことを話題にして、
「信じさせてあげてくれる?」
完全に、共犯者と化しています。

【第3話】 録画をまえに~夏休みさいごの日~
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2877.html
これ以後は、本日あっぷのぶんです。

とくに3・4話は、ヒロインが初めて吸血鬼に襲われたときのビデオを見せられている・・・という話です。
襲われている自分の姿を、他人事のように愉しんでしまっている若代。
ところどころ記憶が途切れ、またつごうよく塗り替えられているみたいです。
途中からは、自分に与えられた辱めに対する嫌悪感よりも、血を吸う側の立場と同化して映像を愉しんでしまっています。

【第4話】 録画をまえに~無罪です。~
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2878.html
これも第3話と同工異曲ですが、すこし違うのは、映像のなかで吸血されているのは若代ではなく、若代のクラスメイトだというところです。
クラスメイトも若代ともども呼ばれていて、自分が襲われるシーンを、いっしょに観ています。
噛まれる瞬間のシーンでは、少女の呻きが画面と本人の口から同時に洩らされます。

映写室につぎつぎと招かれた女学生たちは、おなじ経緯をたどって血を吸われた若代のクラスメイトたち。
だれもが若代の無罪を囁き、自分がヒロインを演じる吸血鬼ドラマに見入ってしまっています。
さいしょに登場するゆかりという少女は、前作には登場しませんが、おそらくはあの女学校の教室のどこかで、若代たちの話の輪に加わっていたものと想像されます。

【第5話】 夏の終わり・後日譚~母さんの緑のストッキング~
このシリーズではいまのところ唯一、成人の女性がヒロインとなっています。
それも、若代のお母さん。
血の着いたハイソックスを履いたまま帰宅する娘を見咎めることがないものか?という密かな懸念は、ここで現実化します。
娘への吸血が日常化しつつあるのを知った彼女は吸血鬼と対決し、あえなく噛まれてしまいます。
おそらくは、後ろから抱きついてきた娘に身体の自由を奪われて、みすみす首すじを噛まれてしまったものでしょう。

お話の始まりの時点ですでに、襲われた後の状況です。
処女はあくまで吸血されるだけ、でもセックス経験者は犯されてしまう。
そんなルールが、初めてここで語られます。
第2話で、婚約者を裏切った話を同級生に次げて有頂天になったあの子もまた、身体を奪われてしまったということが、ここでさりげなく明かされます。
若代の母親もきっと、自分に対する吸血の手助けをした娘の目のまえで、犯されてしまったのでしょう。

咬み痕だらけになった緑のストッキングを吸血鬼に与え、一定の和解を試みるお母さん。
夫とのあいだに秘密を作ってまで、娘と自分の安全を確保しようとする、ある意味賢明な行動を取っています。
父親以外の男性とふしだらな行為を遂げてしまうことに対して、多くの娘は反発や嫌悪を覚えますが、
若代はもちろん違います。
「女のお手本を見せてくれた」
彼女はちょっぴり背伸びをして、こんなことを口にしています。
共犯者になることを自ら表明した娘は、母親にとっても心強い存在でしょう。
知らないうちに娘を襲われ妻まで犯されてしまったお父さんが、ちょっと哀れですけれど。

夏の終わり・後日譚~母さんの緑のストッキング~

2012年09月01日(Sat) 11:45:48

緑のストッキング、お気に召したようですね。
こんど娘といっしょに公園(こちら)に伺うときに、また穿いて来てあげようかしら?
深緑のスーツの背中やお尻についた泥をさりげなく払いながら、母さんはしきりに、きちんとセットしていた栗色の髪が乱れてしまったのを、気にかけていた。

吸血鬼のおじ様は、初めてあたしを襲った後とおなじように、母さんの身づくろいの手伝いをしてあげていた。
通りを歩いたりお家に帰ってもおかしくないように、服の背中に着いた泥を払ったり、着崩れした服を直してやったり、それはこまめに手をかけてくれるのだ。
あたしのときには、真っ白なハイソックスを足首までずり降ろして、脛に着いた血を拭ってくれて。
それでも真っ白な生地についた赤いシミが気になるってあたしが言うと、血の着いたハイソックスを引っ張るようにして脱がせて、自分のポケットにしまい込んでしまっていた。
足許を引き締めていた厚手のハイソックスがつま先から抜き取られてゆくときの、あのくすぐったい感触が、まだ忘れられない。

母さんの穿いていた緑のストッキングも、例外じゃなかった。
首すじを噛まれて血を吸い取られた母さんが、その場で尻もちをついてへたり込んでしまうと、「ああやっぱり」って思ったあたしのまえで、スーツのすそを跳ね上げて、ストッキングのうえから唇を這わせていったのだった。
ピーマン色をしているね、って、母さんをからかいながら。
ふくらはぎといわず、太ももといわず、足首といわず。
ところかまわず唇を這わせては、這わせた唇の下、薄いナイロン生地に裂け目を滲ませていったのだった。

あたしのハイソックスがそうされたように、母さんのストッキングもやっぱり、ずり降ろされていった。
ありがたく頂戴するよ。ノーストッキングのほうが、むしろ目だたないだろう?
そううそぶいたおじ様のまえ、母さんは言ったのだった。
お気に召したんですね。また穿いて来てあげようかしら。 って。

母さん、だいじょうぶ?
セックス経験者が血を吸われちゃうと、こんどは犯されちゃうんだから。
おなじ経験を共有したもの同士、共犯者みたいな連帯感で。
あたしは思ったとおりのことを、口にしている。
彼氏いがいのひととセックスしちゃった清野まゆみちゃんも、すぐつぎのときに、犯されちゃったんだもん。

だいじょうぶ。貴女の身代りになったつもりで、噛まれるから。
お父さんにはお話しできないけど・・・ね♪

母さんは悪戯っぽい視線で、あたしを横目で見た。
咎めない?って訊かれているような気がして、
素敵♪って、言い返していた。
「噛まれる」って言葉のなかに、「犯されちゃう♪」という意味も含まれているんだと、この時初めて気がついた。

お嬢さんの血も、愉しませてもらうからね。
そんなことまで抜け抜けと母さんに言ってのけるおじ様に。

ええ、ぜひお願いしますね。うちの自慢の娘ですもの。噛んでもらえて、嬉しいわ。
母さんも負けずに、言ってのけちゃっている。

お母様こそ、あたしの自慢よ。
娘の血が気に入ったあのひとに、気前よく自分の血を吸わせてあげて。
”女”のお手本まで見せてくれたんだもの。
あたしも背伸びをして、言ってのけてみた。

夏休みのさいごの日。
あたしにできた初めての彼氏は、父さんよりも年上の人。
あたしの血をあさり尽くすほど、愉しんだ挙句。
母さんのことまで、恋人にしちゃって。
あたしの純潔は、いつ散らされちゃうんだろう?
公園の出口をとおり過ぎるとき、名前も知らない夏の花が、ひらひらと花びらを落としていった。


あとがき
前作・前々作の続きです。今回は、なげーなw
ヒロインはお母さんですが、まえのお話とのつながりから、”少女”にジャンル分けしました。
彼氏以外の人とセックスしちゃったまゆみちゃんは、こちらにも登場します。チョイ役ですが。
「新学期」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-176.html
親の決めた婚約者以外に彼氏を作って、しっかり初体験してしまった、いけない少女です。
このお話によりますと、利かん気な主人公の若代に彼氏ができたのを信用できなくって、
信用させたい若代が彼を紹介したみたいです。
ほかの少女たちは、処女のまま生き血を愉しまれているようですが、
すでに処女ではないまゆみは、セックスの対象にまでされちゃっているようですね。^^;

録画をまえに ~無罪です。~

2012年09月01日(Sat) 11:20:27

映し出された画面のまえで。
おそろいのセーラー服の少女ふたりは、寄り添うように腰かけていた。
それはあの夏の日に、ふたりを襲った吸血魔の記録―――
白髪交じりの髪を振り立ててつぎつぎと少女を襲う“魔”をまえに、
少女たちはツヤツヤと輝く黒髪をふり乱しながら、欲情に満ちたその唇を、素肌に這わされてゆく・・・

えっ?えっ?若代ちゃんあのときあたしの肩つかまえていたの?
若代のクラスメイトのゆかりは、びっくりして親友の横顔を見つめた。
映し出された画面のなか。
襲いかかってくる吸血鬼を相手に、セーラー服姿のゆかりは、けんめいにいやいやをして、首すじに近寄せられてくる唇から、なんとか逃れようとしていた。
そんなゆかりの抵抗を封じ込めるように、背後から近寄った若代はゆかりの両肩を抑えつけて、おとがいに手をかけると、強引にグイと引き上げたのだ。
あ、あ~っ!
少女の叫びが、画面と本人の唇から同時に洩れて、交錯した。
画面のなかで。そして現実の目のまえで。
少女は首すじを噛まれ、生き血を吸い取られはじめていた。

先に襲われた若代のほうは、すでに吸血鬼にすっかりたぶらかされていて。
―――あたしに彼氏ができたって、だれも信用しないのよ。
吸血鬼とふたりで逢った公園で、白のハイソックが真っ赤に濡れるほど、しつような吸血を許しながら。
―――信じさせてあげてほしいの。
世にも恐ろしいことを、囁いていた。
そうして初めて連れて来られた少女が、若代の親友のゆかりだったのだ。

父親よりも齢が上の吸血鬼に迫られて、ゆかりは厭そうに顔をしかめながら、うら若い血を吸い上げられてゆく。
ゾクゾクするぅ~♪
いつも気丈で強気なはずの若代が、親友の受難のシーンを目のまえに、別人のようにはしゃいでいる。
画面のなかの若代がはしゃぎ、息を詰めて画面を見守るクラスメイトの傍らで、いまの若代もはしゃいでいた。

画面のなかで怯えきっているゆかりの前。
若代はお姉さんぶった優越感を満面に滲ませて。
自分から脚を差し伸べて、白のハイソックスのふくらはぎに、彼の唇を這わされていた。
ねっ、怖くはないでしょ?
どうやらそんなことを、話しかけているらしい。
しぶしぶ頷く親友をまえに、若代はくすぐったそうに笑いこけながら、ハイソックスのふくらはぎをあちこちと、噛ませてしまっている。

手ほどき、してくれてたんだねー。
そうよ、だってゆかりったら、すごく怖がっているんだもの。

ほら、ゆかりのハイソックスも、噛み破られちゃうんだよ。
あたしと一緒・・・
画面のなか、クラスメイトに両肩を抑えつけられたゆかりは、白のハイソックスに覆われたふくらはぎを、かわるがわる噛まれていって。
圧しつけられた唇の下、真っ白な生地にバラ色のシミをしみ込ませていった。
ほら~、見てるだけでもドキドキしちゃうでしょ?
画面に夢中になってしまった若代の傍らで。
じっさいの吸血まで体験させられる羽目になった少女は、もううわの空になって、頷きつづけていた。

若代さんは、有罪?それとも、無罪・・・?
もちろん、無罪です。
ゆかりは無表情でそう答えると。
親友のほうを振り返って、初めて笑った。
きょうのために履いてきた真っ白なハイソックスは、老吸血鬼の腕のなか。
真新しい生地には、早くも卑猥なよだれをしみ込まされて。
脚のラインに沿って流れる太めのリブも、お行儀のわるい性急さでねじ曲げられていった。

無罪です。
無罪です。
無罪だわ。

日を変えて、各々映写室に呼び入れられた少女たちは、
だれもが異口同音に、若代の無罪を主張した。
お気に入りのワンピースを。
真新しい夏用の白のセーラー服を。
露出度満点のピンクのタンクトップを。
吸い取った血潮をぼたぼたとほとび散らされて、汚されていった少女たち。
ふふ。小気味いいわね。
自分やクラスメイトの受難のシーンに白い歯をみせていた。
画面のなか、吸血鬼に迫られて悲鳴をあげ、泣きじゃくりながら、噛まれていく自分自身のありさまに、無邪気な瞳を輝かせていて。
よそ行きのブラウスやセーラー服の肩先に血が撥ねるたびに、歓声があがった。

お友達を連れてくるわ。
放映がおわると、だれもが席を起つときにそう言い残して・・・そして実際に、同級生や妹を連れて、ふたたび現れるのだった。
あなたも・・・あたしと同じ目に遭うんだよ。
イタズラっぽく笑んだ口許から、白い歯を覗かせながら・・・


あとがき
前作のつづきです。^^

このふたつのお話は、どういうわけか春先に思い浮かびまして。
けれどもあまりにも季節ちがいなので、描きかけで放置してしまっていたのです。
たまたま思い出すことができたので、ちょうどな時期にあっぷすることができました。
よかった♪よかった♪

録画をまえに ~夏休みさいごの日~

2012年09月01日(Sat) 11:02:53

薄暗く閉ざされた密室のなか。
少女は目を凝らして、映し出される録画に見入っている。
―――お前が公園で、初めて襲われたときのビデオを見てみないか?
そんないけない誘いに、つい頷いてしまっていた。

映し出された画面のなかの自分の姿を、越水若代は無心に見つめていた。
少女は公園のベンチに腰を掛けて、人待ち顔にしているのだが。
―――これじゃあ、だれも声かけないよね?
本人が笑っちゃうくらい、その顔つきはこわばっていて、目つきはとげとげしいのだった。
夏休みの最終日。
空色のTシャツにデニムのスカートというラフなスタイルで。
少女は黒髪を夕風にたなびかせていた。
とうとう彼氏ができなかった夏休みを悔やみながら、
「だれか来ないかしら?」って。
この日の夕方、若代はあてのない人待ちをしていたのだった。
―――顔つきさえなかったら、だれか男の子が声をかけてくれたかも。
けれども夏休みも最終日ともなれば、同年代の男の子たちは宿題に追われていて、ほとんど公園などに姿を見せることはないのだった。

ハイソックスだけは、見映えがしたんだ。
少女は苦笑いを、抑えきれない。
デニムのスカートからはみ出た太ももに、夕陽がツヤツヤとしたてかりをもたらしていて。
白のハイソックスにおおわれたひざから下は、日陰にかくれて薄暗い。
けれども真新しい白無地のハイソックスは、眩しいほどの存在感をもっていた。
おニューのハイソックスが、いけないおじ様を引き寄せたのね?
若代は傍らに音もなく寄り添ってきた黒い影を振り返ると、イタズラっぽく笑いながら、お尻を軽くつねっていた。

そのハイソックスの足許に。
ベンチの背後から忍び寄った影が、そう・・・っと、手を伸ばしてくる。
飢えて節くれだった指が、革靴のかかとに触れ、つま先を撫でまわし、それでも少女は気づかない。
あら、あら。あんなにされていたのに、あたしったらぜんぜん気づかなくって。
少女は自嘲交じりに、くすっと笑い、笑った口許を見られまいとして、あわてて口を片手で隠していた。

ベンチの下から伸ばされた手に、ハイソックスの足首を、いきなりがっちりとつかまれちゃって。
少女はあわてふためきながらも、抵抗らしい抵抗をすることもできないで、
まんまとふくらはぎを、噛まれちゃっている。
痛~っ。
ハイソックスごしに牙がめり込む瞬間を思い出したらしい。
少女は頭をかかえて照れながら、それでも血を吸い取られてゆく自分の姿から目を離せない。
血を吸い取られた少女はじょじょに身体を傾けていって、きちんと合わせたおひざまでもが、ふしだらに弛められてゆく。

ベンチの下からいきなり脚をつかまれた少女は、ハイソックスのふくらはぎを噛まれながらも、あわてふためいてじたばたしている。
あたし、こんなに暴れたっけー?
いまは仲良くなっている吸血鬼のおじ様を振り返ると、
蹴ったりしてたんだ。痛かったよねっ?ごめんー!
なんて、謝罪のポーズで両手を合わせちゃったりしていた。

どさり、と、ベンチのまえに倒れ臥したところまでは、たしかに記憶が残っている。
記憶が尽きたあとも、画面のなかの若代は、草地にあお向けになりながらも、激しく抵抗を続けていた。
脚をじたばたさせて、暴れて手こずらせて、
太もものあいだを膝で割られて脚を開き切ってしまうと、のしかかってくる厚い胸を隔てようと、腕を突っ張っていた。
半そでのTシャツからむき出しになった細い筋肉を、目いっぱい緊張させて。
その腕も折られてしまうと、こんどは激しくかぶりを振って、首すじを噛ませまいとした。
「がんばれ。がんばれ」
もみ合うふたつの影をまえに、若代は小声で呟いている。
どっちを応援しているんだ?
黒い影が訊くと、
どっちもよ。
若代は頬をきらきらとさせて、そう答えた。
でもどちらかというと、おじ様のほうかな♪
そう、ウキウキとした目線は、脚を抑えられ腕を折られ、うなじにかぶりつかれてゆくところを目の当たりにしながらも、「美味しそう♪」なんて、呟いてしまっているのだから。

そういえば・・・目のまえで風に吹かれる芝生の葉先が、間近に滲んで見えたっけ・・・
うつ伏せの姿勢のまま、キュッと目を閉じた少女。
少女が抵抗をやめると、吸血魔のおじ様はうなじのつけ根から牙を引き抜くと、
吸い取った血潮を少女の着ているTシャツに、容赦なくふりかけた。
そうしてふたたび舌なめずりをすると、少女の耳もとにかがみ込んでなにやら囁くと、
ふたたび若代の足許をつかまえて、ずり落ちかけたハイソックスになおも執着するように、少女の脚を噛みつづけていった。
なんて呟いたのよ?
少女が黒影をにらむと、
―――俺の勝ちだ。愉しませていただくよ。^^ って言ったのさ。
吸血鬼はぬけぬけと、そう応えている。

あーあ。やっぱりいちころだよね。
少女は半ばあきらめたような口ぶりで、画面のなかの自分に見入っている。
画面のなかの少女は、もうされ放題だったから。

真っ白なハイソックスのふくらはぎに、牙をなんども刺し入れられながら。
若代は黒い髪を揺らしながら起きあがって、ようやくのこと、ベンチに自分の身体をもたせかけている。
はぁ、はぁ・・・
ベンチにしがみつきながら、失血のために荒くなった息遣いを、けんめいに鎮めようとしているのが画面を見ていてもよくわかる。
なに話しかけたのかな、わたし・・・?
小首をかしげる彼女には、定かな記憶が残されていないらしい。
「そんなにあたしの血がおいしいの?」って訊いてきたんだ。
で、なんてこたえたの?
気に入った・・・ってこたえたら、「じゃあもっと噛ませてあげる」ってさ。
嘘ではない証拠に、若代はずり落ちかけたハイソックスをひざ小僧の真下まで引っ張り上げると、
恐る恐るではあったけれど、自分から脚を差し伸べてゆく。

こんなことしたっけな。あたしよく覚えていない。
でも、たしかにしたんだ。あたし、案外立派♪
あー、また噛まれちゃってるぅ。
画面のなかの事態が進展していくにつれて、少女の声色はいつまでも無邪気にはしゃぎ始めていた。


あとがき
ずいぶん前に描いた「夏の終わり」の続編です。
この夏とうとう彼氏のできなかった気の強い少女が、夏休みさいごの日に吸血鬼に出逢ってしまう・・・というお話です。

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