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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ブログ拍手♪♪

2013年08月21日(Wed) 21:30:44

描きかけては、やめ。描きかけては、やめ。
そんなコトがさいきん、よくつづきます。
(^^ゞ
やっぱり才能の枯渇だよ~。
と、思いを新たにするきょうこのごろです。
(^^ゞ


それはさておき、
さいきん拍手を頂戴することが多くなりました。

特定の熱心な読者のかたなのか?
どこかのサイトにいくつかの記事がひそかにリンクされていて、定期的にお客さまが来られるのか?
はたまた人間ではないなにかのシステムが、自動的にボタンを押していっているだけなのか?

いずれが真相ともわかりませんが、ともあれ、ごひいきいただきありがとうございます。
m(__)m



拍手される作品群は、

吸血鬼ものあり、女装ものあり、近親相姦ものあり、

寝取られものあり、村の因習ものあり、少年ものあり、

成人女性も登場すれば、女学生もヒロインになる。

・・・・・・。

・・・・・・。

よーするに。

ぜんぶぢゃあ、ないですかっ。 爆



そのなかでも特徴的なのは、比較的初期の、2007年から09年ころのお話が多く拍手されていることです。
ブログというものの性格上、古い記事は埋没しがちなのですが、
これはまことに、ありがたいことであります。
これをきっかけに、ひさびさに目を通したお話も、いくつとなくありました。

そのなかで「これは」と思うやつを、偏見と偏愛に満ちた目線で選んでみることにします。

「時間を超えて。  ~三十年前の新居~」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2097.html

これ、傑作ですよ。われながら。
時空のねじれと作者の脳みそのねじれとが見事に絡み合ったこの構想(どんな表現でしょうか? 笑)、
じつに秀逸です!われながら。
とくにさいごの一行、まことに「どきり!」といたします。
なにせ描いた本人がまるっきり忘れていて、思わず「どきり!」としたくらいですから。
(^^;)
今回の紹介記事の、イチオシです。
騙されたと思って、ぜひごろうじろ。
(いえ、じっさい騙されていても、責任は取りませんけど 笑)


「あたしにばかり逢っていると、死んじゃうわよ」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2190.html
たいとるがすべてを物語っているとおり、魅力的でちょいSな女吸血鬼と、ちょっと情けない男との交情を描いたもの。
これも主客が入れ替わる展開が意外です。
女吸血鬼の女心が、しっかりと息づいているお話です。


「吸血鬼、おっさんにからまれる。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2488.html
さいきんの拍手ラッシュでは珍しく新しい部類のお話。といっても、2年以上まえの記事ですが。。
おっさんの堂間声に、娘想いのペーソスが混じる、われながら不思議なお話です。
ほんとうは若先生が第二の主人公なんですが、こちらのほうはいてもいなくてもかまわないというくらい、
おっさんの存在感が他を圧倒しています。
いちばん存在感が小さかったのが、じつは吸血鬼なのでは?と思えるくらい。


「由貴子さんは、車の運転が上手である。」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1373.html
車の運転が上手な妻を持った、幸福な夫とその家族の物語です。 笑
うーん、じつに、これでもかこれでもかというくらい、愉しんで描いております。^^;


「心優しい人びと」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-456.html
嘘のような善意の持ち主である少年と妹。そのふたりの母。
ひっそりと棲んでいた彼らの意外な正体とは・・・?
三人のひっそりとしたたたずまいの裏にミステリアスなものを嗅ぎつけるのは、きっとあなただけではないはず。
(^^)




「桜色のストッキングを穿く女」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2529.html
管理人の、ひとり言です。
桜草さん、どうしているかなー・・・



どれもね、言えているのは、登場人物が生き生きとしていて、彼ら自身の声色で語っていること。
”魔”の降りかたが鮮明で、目の前で手に取るように見えていたからこそ、描けたのだと思います。
描いていた時の愉しさたっぷり、お話が逃げていかないうちに掴まえておかなきゃという息せき切った気分まで、ありありと思い出してしまいました。


さてさて、ちょいと長くなりましたので、今回はこのへんで。

グラウンド

2013年08月16日(Fri) 07:24:34

鋭く高い声がはじけると、澄んで落ち着いた声がそれに応える。
飛び交う声といっしょに、右へ左へとグラウンドを縦横に駆けめぐる少年たち。
そんなありさまを吸血鬼は、隅っこにできた木陰の一隅から見守っていた。

これじゃあ、試合が終わるまでにはどろどろになっちまうな。

少年たちの足許は例外なく、色とりどりのハイソックスが、照りつける陽射しを跳ね返していた。
ガキ大将らしい太っちょの少年はグラウンドのまん中の小高く盛り上がったてっぺんに陣取っていて、
白の半ズボンにも、おなじ色のハイソックスにも、早くも泥を撥ねかしている。
間近に陣取る良い家のお坊ちゃんらしいは赤と紺のボーダー柄のTシャツに合せるように、しましま模様のハイソックス。
不ぞろいなところが、いかにも素人くさかった。
多少まともなフォームをつくっているのは、ガキ大将くらいのものだろう。

よし!俺も仲間に入れろ!

吸血鬼は声をあげて、呼びかけていた。

ええー?

少年たちはいっせいに声のした方を振り向いて、いちように怪訝そうな声をあげる。
大人が入ってくるの?片方が有利になるじゃん。
だれもがいちように、いかにもそう言いたげな顔つきだった。

なあ、いいだろ?

少年たちと同じ顔の高さになって話しかける吸血鬼の顔色をみると、
彼らはすぐになにかを納得したらしく、
「ああ、いいよ。じゃあ小父さんは、弱いほうのチームね」
ガキ大将の相手方のチームは、いかにもひ弱そうな少年たちの集まりだった。


いかにもその他大勢という感じだな。

ひと目で見抜いたとおり、こちらのチームの子たちはいちように、冴えない感じのやつらばかりだった。
ガキ大将のチームは、選り抜きらしい。
陽灼した五分刈りの額に汗を浮かせたガキ大将を中心に、どうやら彼のパトロン的存在らしいお坊ちゃん。
それに取り巻きの腕白坊主たち。だれもが動きがキビキビとしていた。
それに比べてこちらのほうは・・・


試合は吸血鬼チームの惨敗だった。
親切な小父さんは下手のゆるいボールばかり放ったし、微妙なところでは審判役までつとめていたけれど。
必要以上に加勢することは、しなかった。
ひとり大ヒットを飛ばした少年だけが、洟をこすりこすり自慢げに顔を輝かせていた。

試合が終わるとガキ大将がみんなを整列させて、ふたつのチームは左右に分かれて礼をした。
こんなことは、仲間うちでは初めてのことだった。
三々五々帰りかける仲間を制してから、ガキ大将はあけすけに言った。

小父さん、吸血鬼なんだろう?俺たちの血が目当てで、いっしょに遊んでくれたんだろう?

ははは・・・
虚を突かれて、吸血鬼は照れくさそうに頭を掻いてしまった。
いっしょにプレイをしているうちに、そんな不埒な気分を忘れかけていたからだろう。
少年に言われて初めて、渇きが喉の手前まで、せきあげてきた。

いやな奴は帰っていいぞ。俺が帰れっていうんだから、ほんとに帰れよな。
俺とユウタは残るから。
なにもかも心得ているらしいガキ大将は、白の靴下をひざ小僧のところまで、力ずくで引っ張りあげた。

上の学校にあがったら、ハイソックス履くやつなんかいないもんな。

だれよりも目をひくしましま模様のハイソックスを履いたお坊ちゃんが真っ先に帰ってしまうのを、吸血鬼が残り惜しげに見ていると。
あいつ、身体弱いんだ。かんべんしてやってよ。おなじやつなら俺も持ってるから、今度咬ませてやるからさ。
ガキ大将はどこまでも、もの分かりがはやかった。

代わる代わる差し出される首すじに、ずり落ちかけたハイソックスを引き伸ばしたふくらはぎ。
むっちりとした肉づきがこたえられなくなって、太ももにまでおまけに咬んでしまった子も、なん人かいた。
お目当てのハイソックスは、ほとんどが泥が撥ねていたけれど。
びりびりと噛み破いてしまうとだれもが恨めしそうな声をあげて、彼の嗜虐心を満たしてくれていた。


それからは、時おり試合に顔を見せるようになった。
試合のあとは交代で小父さんの面倒をみる「小父さん係り」の人選をするルールまで、チームのなかにできあがっていた。
みんなが上の学校にあがってチームが解散しても、下級生の子があとを引き継いでいった。
上の学校にあがった子たちのなん人かは、たまに小父さんのところに顔を出して、
なかには彼女を紹介したやつもいた。
ガキ大将はなかなか彼女を連れてこないな・・・と思ったが、
卒業間近に連れてきたのは、けっこうかわいい少女だった。
優しい心を秘めたいかつい顔がわざわいしたのか、女子にはかなり、怖がられていたらしい。
彼女の首すじに牙を埋めようとする小父さんに、かつてのガキ大将はいかつい顔をして、
「吸い過ぎるなよ。あと、絶対泣かすなよ。そんなことしたらぶんなぐるからな」
おっかなびっくりなくせにおっかない声で小父さんを威嚇する彼氏のことがおかしかったのか、
少女は終始おかしそうに、くすくす笑いつづけていた。


それからなん年、経ったのだろう。
呼び交わす声と声。
はじける叫び。どよめく喚声。
すべてがあのときと、似通っていた。

グラウンドのまん中に陣取っているのは、あのときの彼と寸分変わらない真っ黒に陽灼けした少年。
傍らにひかえる色白の少年は、父親よりもさらに上品で骨細な感じがした。
もしかしたらうちの息子、貴男の種なんじゃないですかね・・・。
卒業していち早くチームを離れたかつてのお坊ちゃんは、吸血鬼の隣で観戦しながら、そんなことを囁いてくる。
声色に邪気もなければ恨めしさもない。
乾いた声でイタズラっぽく笑うと、ふたたび息子のプレイに熱中していく。

そんなことはないさ。
吸血鬼は心のなかで応えている。
エリート路線まっしぐらの果てにノイローゼになりかかった彼がどうにか復帰できた真相を知るものは、ほとんどいない。
あのときでさえめったに吸血に応じてくれなかった、神経質な彼は。
旧交が再び芽生えた後は、しばしば「ストレス解消」とか「治療」とかいいながら彼のところへやって来た。
血を吸わせてもらえるようになった婚約者を置いて海外長期出張に出たときに。
けれども吸血鬼は、ナイトでいつづけていたのだった。
帰国した彼を出迎えたときには、「彼女とは週に三発はヤッていたからな」と、いやな含み笑いを投げてやったものだけれども。
いずれわかることだろう。
あの華奢な身体つき。甲高い声。繊細な物腰に、相手を思いやる温かい心情。
どれもがきみそのものなのだから。

あのときと同じように、少年たちはみな、長い靴下に足許を彩っている。
あのときほど不ぞろいではないのは、男の子がハイソックスを履かなくなったせいなのだろう。
自分たちがプレイしているのとはちがう種目のスポーツで目にするライン入りの靴下が、
目の前を目映く交叉してゆく。
負け試合だとやはり、足許がよけいに汚れるなあ。
親父とおなじ色の真っ白を択んだ五分刈りの少年は、秀でた眉をこちらに向けた。
悪いけど、汚れるぜ。さいごまで、試合は投げないつもりだからな。
プッとふくれた顔つきが、あのガキ大将とそっくりだった。


あとがき
どういうわけか、少年ものばかりつづいていますね・・・
(--;)

歪んだ家族

2013年08月14日(Wed) 07:47:31

貴男の留守中起きた不始末をおわびします。
ユキヤと、身体の関係を結んでしまいました。
そうんです。わたし、息子と毎週セックスをしている、いけない女になってしまったんです。
母親失格、妻失格ですわ。
だからわたしを、離婚してください。
そうですね・・・あしたの晩、ユキヤに誘われているんです。
だから、その現場を抑えて下さい。
やってしまったことを見届けて、あの子がなにも言えずにいるうちに、仰って下さい。「家から出ていけ」と。

カズヒロはなにも言わずに、妻の謝罪を聴いていた。
そして、あすの晩には必ず、夫婦の寝室の廊下の前に立つとだけ、約束していた。

「お父さんが帰ってこないうちに、済まそうね」
ユキヤはすっかり、もの慣れた口調だった。
夫が長期出張から戻ったからと言って、こういう関係はそう簡単に絶てるものではなかった。
「そうね、早く済ませてしまいましょうね」
洋子はそんな答えとは裏腹に、いつになくワンピースに着替えるのに手間取っていた。

はぁ・・・はぁ・・・
ふぅ・・・ふぅ・・・
ヒッ・・・ヒッ・・・
ぜい・・・ぜい・・・

果てしなくつづく快楽の花園に、とうとう嵐は訪れなかった。
「今夜もばれずに済みそうだね」
息子の安堵の呟きに、洋子は虚ろな目をして肯いていた。


「今夜も、父さんが戻る前に済まそうね」
ユキヤは白い頬に淫靡な赤みをさしながら、フッと笑う。
「そうね。父さんにはばれないようにしなくちゃね。かわいそうじゃない」
「母さん、今夜もガーターストッキング穿いて」
「えっ」
「ストッキング穿いたまま犯されるところって、絵になるだろう・・・?」

息子は気づいていたのか?
昂ぶりのやんだ自分が寝入った後、いちぶしじゅうを見ていた人が、自分の愛人に息荒くのしかかっていくのを。
けれども洋子は、なにも気づかないふりをして、肯いている。
「そうね、着たまま犯されるのって素敵」

三人三様の昂ぶりの夜が、今宵も幕を開ける―――

母を犯される少年と妻を犯される男

2013年08月14日(Wed) 07:24:30

公園のまん中にある大きな樹の木陰に入ると、ユキヤは歩みを止めた。
上背の伸びた身体つきに、濃紺の半ズボンの制服がよく似合っていた。
おなじ色のハイソックスが、ゆるやかなカーブを描いた脚線を、キリッと引き締めている。

佇むユキヤを認めた黒い影は、少年を傍らのベンチへと導いた。

ふたりの動きは、申し合わせたように息が合っていた。
少年が、ベンチに腰をかける。
黒い影が、少年の足許にかがみ込む。
少年が、紺のハイソックスの脚を見せびらかすように差し伸べる。
黒い影が、ハイソックスをくしゃくしゃにずり降ろす。
そして、むき出しになった白いふくらはぎに唇を這わせてゆく。

赤黒く爛れた唇が、自分のふくらはぎをヌルヌルと這いまわるのを、ユキヤは肩をすくめて見おろしていた。
「やらしい。なんか、やらしい・・・」
くすぐったそうに、呟きながら。

ヒルのように醜く膨れあがった唇の両端から、尖った牙がチカリと光る。
「いいよ」
少年が臆せずそう囁くと、牙は待ちかねたように、白い皮膚に刺し込まれていった。

ズブズブと根元まで埋め込まれた牙に、少年はのけぞって白い歯をみせた。
「ぁ・・・」
喉の奥から洩らしたうめき声は、引きつったかすれ声。
男は構わずに、少年の生き血を啜りはじめた。
ジュルジュルと、汚らしい音を洩らしながら・・・

「おいしかった・・・?」
頬を心持ち蒼ざめさせながら、そう訊いた。
男はしきりに口許を拭いながら、無言で頷いた。
返事をかえすゆとりもないほどに、少年の血に魅せられたらしい。
ユキヤは男のそんなようすに、初めて満足そうな笑みを泛べた。
「週2で間に合うの?」
「ああ、血だけで生きてるわけじゃないからね」
男はやっと、口がきけるようになっていた。
「ふだんは、人間と変わらないんだって?」
「いままでどおり会社勤めだってしているよ」
「不思議だ・・・」
血を吸われると吸血鬼になっちゃうというのが通り相場なのに、
この街に巣食う吸血鬼のやり方がすこし違うということは、母親からも聞かされていた。
仲間を増やしすぎないために、血を吸われた人間は半吸血鬼にしかならなくて、
表向きはふだんどおりの生活を続けることになる彼らには、吸血衝動はたまにしか訪れないという。
もっとも、吸血鬼に血を吸われた人間が半吸血鬼になったのを身近に見たのは、目の前にいる自分の叔父が初めてだったけれど。

男が咬んだ痕が、白い皮膚にくっきりと赤黒く、ふたつ綺麗に並んでいる。
少年は惹き込まれるように、ふくらはぎにつけられた噛み痕に見入っていた。
どこか、ウットリとした目つきだった。
くるぶしまでずり降ろされたハイソックスを、左右交互にゆっくりと引き伸ばして、
両方のふくらはぎにつけられた噛み痕を、隠していった。
「母さんにばれないようにしなくちゃね」
照れ笑いを含んだ眼差しは、イタズラの共犯者を見つめる共感を帯びていた。

「週末、叔父さんの家に招ばれてるんだけど」
「ああ、母さんといっしょに来なさい」
「なにか、たくらんでる?」
「長老をふたり、お招びしている」
「じゃあ、そのひとたちが・・・?」
「きみの相手は、ぼくがする」
「もうひとりの長老は・・・?」
「女房を紹介する」
相手は、かれ自身の血を吸い尽くした男だという。
「もともとぼくを狙ったのは、女房の生き血が目当てだったらしいんだな」
そんなことのために血を全部抜かれるなんて・・・といいながら、男はあっけらかんと笑っている。
ひとりの吸血鬼に夫婦ながら血を吸い取られてしまうというまがまがしいはずの出来事を、割り切って理解しているようだった。
半吸血鬼になって変わってしまうのは、心の内面や人生観なのかもしれない。
「きみはなにも知らないふりをして、母さんといっしょにうちにくること。いいね?」
言い聞かせるような口調にユキヤは苦笑しながら、「ハイ、よくわかりました」と、おどけて応えた。

立ち去ってゆく少年の歩みを、男はいつまでも見送っていた。
濃紺のハイソックスに滲んだ血潮は、生地の色に紛れて遠目にはほとんど目だたないのを確かめるように。



あっ・・・あっ・・・あっ・・・
女ふたりは洋間のじゅうたんにワンピース姿の身を横たえながら、あえぎ声を洩らしつづけていた。
ふたりの足許にはそれぞれ、年配の男たちがごま塩頭やテカテカとした禿げ頭を覆いかぶせるようにして、唇を吸いつけている。
ユキヤの母親には、禿げ頭が。
美智夫の妻には、ごま塩頭が。
ふたりの女たちは、肌色のパンストをブチブチと咬み破られながら、じわじわ・・・チュウチュウ・・・と卑猥な音を立てながら生き血を吸い取られていった。

「いいの?奥さんのこと襲わせちゃって」
隣室で叔父とふたりになったユキヤは、白い頬にイタズラっぽい笑いを泛べた。
そんなことを言いながら、かれ自身は、母親を押し倒されてしまっていることにさほどの嫌悪感を抱いていないらしい。
卑猥な意図を帯びた年配男の猿臂がよそ行きのワンピース姿を着くずれさせてゆく有様を、時おり遠目に盗み見ては、辱められてゆく母親の受難を冷やかに愉しんでいるようだった。
「これで、きみの制服もおおっぴらに汚せるな」
美智夫はそういうと、ユキヤに目の色を変えてのしかかってゆく。
「ぁ・・・」
こういうときにユキヤがあげる圧し殺したようなうめき声が、美智夫は好きだ。
唇を這わせたのは、首すじだった。
「きみの学校では、お休みのときでも外出するときには制服を着る校則になっているんだね」
「う・・・うん・・・校則なんか、良いからさ・・・」
ユキヤの声色は、昂ぶりに震えていた。
首すじを咬ませるのは初めてだった。
自分がまるで、吸血鬼ものの映画のヒロインになったような気がした。
飢えた唇が、うなじの薄い皮膚をまさぐるのを、むしろ陶然として受け容れてゆく。

「あぁあ・・・」
母親の悲しげな声が、隣室からあがった。
「姦られちゃったみたいだね」
少年は、ほろ苦い笑みを洩らす。
「う、ううぅ~っ・・・!」
こんどはユキヤの母とはべつの声色が、悔しげな歯噛みを洩らした。
「奥さんも、犯されちゃったみたいだね」
くすぐるような囁きに、美智夫の股間が逆立つのが、着衣越しにありありとわかった。
「こ、こうふんしちゃ・・・ダメだよ・・・っ」
いつもふくらはぎに感じる痛痒い感覚が首すじをよぎり、しつような接吻がくり返される。
きゅうううううっ・・・
血を吸いあげられる勢いの強烈さに、ユキヤは眩暈を覚えていた。



「きょうの集いは、なんの名目?」
「たんなる昼食会さ」
「母さんにドレスアップさせたのは、どうして?」
「女どもは、洋服自慢をしたがるからな」
「昼食の後は、どうなるの?」
「吸血鬼の長老格がふたり、やってくる」
「そのひとたち、なにをするのかな」
「狙いはむろん、女たちさ」
「でもいいの?叔母さんまで襲われちゃって」
「そう言う約束だからな」
「どっちがどっちを襲うの?」
「ぼくの血を吸い尽くしたやつが、女房を。もうひとりが、きみの母さんを」
愚問に近いやり取りを、少年は愉しげにつづけた。
共犯者の叔父がいちぶしじゅうを語るのが、面白くて仕方ないらしい。
ふたりの問答のむこう側で、時おり切れ切れに、女たちの悲鳴がきこえる。

「美智夫夫人は、めでたく浮気女房に堕落しました」
「はい」
「うちの母さんも、立派に淫売の役を果たしました」
「はい」
ははは・・・
男ふたりは、声を合わせて笑った。
「よくできましたから、ご褒美をあげます」
ユキヤは制服の半ズボンのすそから覗く太ももを、伸びやかにさらした。
「母さんはボクが血を吸われることについて、とやかくいうことはなくなるだろうね。
 だから、きょうは太ももを咬んでもいいんだよ」
少年の太ももは、濃紺の半ズボンとハイソックスに挟まれて、なまめかしいほど白い皮膚を輝かせていた。
チクッと突き刺してくるほろ苦い痛痒さに、少年はクスッと笑い白い歯をみせた。
「あ~、たまらない・・・」
ズブズブと埋め込まれてくる尖った牙に、少年は隣室に聞こえてしまうのもはばからず、声をあげた。
「もっと咬んで。もっと酷く、ボクの肌をいたぶって・・・」
いったん引き抜かれた美智夫の牙は、もう片方の太ももへと切っ先を閃かせた。
「痛(い)ったーッ!この痛さ、た、ま、ら、な、いっ・・・」
隣室の女たちが聞き耳を立てているのが、伝わってくる。
「叔父さんほんとうは、ボクのハイソックス噛み破りたいんだろ?きょうは破らせてあげてもいいよ」
母さんと叔母さんの、記念日だからね・・・少年はそうつけ加えた。
「わざわざ叔父さんのために、新しいやつ履いてきたんだぜ?」
これ見よがしにくねらせたふくらはぎを包む学校指定のハイソックスは、真新しいリブをツヤツヤとさせている。
よだれの浮いたべろをなすりつけられると、少年は嬉しそうに、「やらしいッ!」と、声をあげた。


「・・・粗相をしたの?」
決まり悪げに問いを投げる母親に、ユキヤは平然としていた。
「叔父さんがね」
首すじを吸われているときに放出された粘液で、半ズボン濡らされちゃった、と、辺りに聞こえないように小声でつづけた。
ひそめた声色が、意図的な淫靡さをかもし出して、母親の鼓膜をついた。
「どうするの?これから・・・叔父さんとお付き合いをつづけるの?」
「ウン、そのつもり」
「身体は大丈夫なの?」
「週2でいいっていうからさ。ほんとうは毎日でも逢いたいんだけどね」
「そんなにお逢いしたら・・・あなた・・・」
「だいじょうぶ。叔父さんはボクの血を気に入っているから、吸い尽くされたりはしないと思うよ。ほんとうは全部あげちゃっても、いいんだけどね」
「お父さんの出張の間だけですよ」
「父さんが帰ってきたときには、ふたりとも吸血鬼になっちゃっていたりして」
ユキヤはどこまでも、イタズラっぽかった。

別れぎわ、叔父が囁いた言葉を、母親には知られないように反芻していた。
―――家に着いたら、母さんがワンピースを着ているうちに後ろから抱きすくめておやり。
―――ぼくがきみにしたように、首すじを吸ってみておやり。
―――それからぼくがきみにしたように、しておあげ。そうすればきっと、お口直しになると思うから。
母を犯す。
隣を歩いている女が放つ息遣いのなまなましさは、情事の直後だからだろうか?
おなじ情景を我が家で再現することに、少年はもうなんのためらいも感じてはいなかった。

少年の太ももと、母親のうなじと。

2013年08月03日(Sat) 21:43:36

制服姿で家に戻ってきた息子のタカシが、着替えもせずに紺のハイソックスだけを履き替えるのを、洋子は薄ぼんやりとした目で眺めていた。
夕べ洋子を襲った、嵐のような凌辱。あれはいったい、ほんとうに起きたことだったのか?
もしもそうだとしたら・・・
その嵐をこの家に持ち込んだのは、ほかならぬ彼女の息子だったのだ。

見知らぬ初老の紳士を連れて勉強部屋に籠り切りになった息子の様子が、気になって。
お紅茶を淹れて部屋のドアをノックしたが、返事はなかった。
思わず開けてしまった扉は、まるでパンドラの箱の扉のようだった。
彼女は、視てはならないものを視てしまったのだ。
タカシが血を吸われている・・・?
机に突っ伏した息子から顔をあげた男は、素早い身のこなしで彼女の傍らにまわり、お紅茶のお盆を受け取ると、中身をこぼさないように傍らに置いた。
「ど、どういうことですの・・・?」
怯える目線を捕らえたのは、加虐を好みとするものだけが持つ、兇暴な瞳―――
気がついた時には、両肩をがっちりと掴まれていて。
いやいやをするうなじに、鋭利なものの切っ先がカリリと突き立つのを感じた。
それがすべてだった。
身体の力が抜けるような陶酔は、いましがた息子が味わったのとおなじものなのだろうか?
畳の上に横倒しにされた洋子の目のまえにあるのは、まだ机に突っ伏したままの姿勢でいるタカシの足許―――制服の濃紺のハイソックスは半ばずり落ちて、ふくらはぎのいちばん肉づきの豊かな部位には、くっきりと浮いたふたつの痕。
今しがた自分が首すじにつけられてしまったものと、おなじ痕だった・・・

ちゅうちゅう・・・
くいっ。くいっ。
ぐびり。ごくりん。

露骨なもの音とともに、意識が遠のいてゆく。
わたしたちの血を、どれだけ吸い取るつもりなの?
どうやら、死なせるつもりはないのだけが、意識の奥まで伝わってきた。
吸血鬼は、血を吸いながら自分の意思を伝えるのか・・・
洋子はただただもうろうとなって、相手の求めるところの己の血潮を、ひたすら吸い取られてゆくしかなかった。畳のうえに、抗う力の抜けた手足をだらりとさせた姿勢のまま、ただただ無抵抗に・・・
それをいいことに、普段穿きのスカートのすそをそろそろとたくし上げられてゆくのを、もうどうすることもできなかった。
気絶したふりをしている息子が、突っ伏した腕のすき間から、チラチラ覗き見しているような気がしたのは、ほんとうにただの錯覚だったのだろうか?
あなた、あなた、ごめんなさいっ!
吶喊の瞬間には、思わず夫の名前を、口走っていた。
歯を食いしばってかぶりを振って、辱めに耐える人妻を演じたのは、つかの間のこと。
ストッキングを降ろされた彼女は、太ももを撫でる外気を空々しく感じながら、ウンウンとうめき声を洩らして、男に降伏を告げていた。
そのときの疼きが、まだ股間に滲んでいる・・・



夕風がひっそりと、老いた頬を撫でていた。
待ち合わせた公園の一隅にしつらえられたベンチに、彼はひっそりと腰を下ろしていた。
ここからなら、公園の入り口から誰が入ってきても、俯瞰できる場所。
男は赤らんだおとがいをあげ、入り口からまっすぐにこちらに向かってくる人影を捕らえていた。
濃紺のブレザーに、白のワイシャツ。半ズボンもハイソックスも、濃紺だった。
まだ少年というべき年恰好の彼は、丘のうえのベンチに求める人をみとめると無邪気に白い歯をみせて、足取りを一層軽くした。

「小父さん、待った?」
速足になって丘を昇りつめたタカシは、軽く息をはずませていた。
その生気が―――渇いてささくれ立った本能を、心地よく逆なでする。
伸ばされた猿臂に応じるように、少年は小父さんのすぐ隣に腰かけた。
「ほら、新しいやつに履き替えて来てやったよ。きょう、ママがたくさん買い置きしてくれたんだ」
少年は、ずり落ちかけたハイソックスをむぞうさに、ひざ小僧のあたりまで引っ張り上げた。
ハイソックスのゴムがピチッとかすかな音を立てて皮膚を打つ。
「ふふふ・・・」
少年はくすぐったそうに、含み笑いをする。
「よかったね。ママを仲間に引き入れといて。きょうもボクが小父さんと待ち合わせているって知りながら、行ってらっしゃい、って、送り出してくれたんだよ。まるで登校するときみたいにね」
自分が仕組んだ冒険が収めた成功に、彼は鼻高々のようだった。
いったいどこまで、昨日の仕儀を心得ているのだろう?
老人はちょっぴり訝りながらも、傍らの骨細な身体をグイと引き寄せた。
「あっ、もうっ!意地汚いんだからっ」
口では憎まれ口をたたきながらも、少年は小父さんにしんそこ参っているらしい。
首すじに突き立ててきた牙のまえに、すなおに素肌をさらすと、グイッと食い込んでくる太い牙に、「あーっ」と声を洩らしながらも、目を細めて耐えている。

「ひ、貧血ぅ・・・」
頭を抱える少年の様子にはお構いなく、老人は紺のハイソックスの足許にかがみ込んでゆく。
少年も、もはや血を与え惜しむつもりはないらしい。
陽射しを受けてツヤツヤとリブを輝かせた真新しいハイソックスのふくらはぎをすらりと伸ばして、老人の欲求に応えようとしている。
「制服のハイソックス咬み破られちゃうのってさ・・・さいしょは抵抗あったんだよ。なんだか、クラスのみんなを裏切ってるみたいな、後ろめたい気分がしてさ。でもいまは、平気。ボクの仲間は意外に多そうだし、制服汚すのって小父さん好きなんだろ?」
すこしだけ蒼ざめた頬を夕風にさらしながら、少年はうわ言のように呟きつづけた。
じじつ、彼の親友のユウタくんも、タカヤくんも、紺のハイソックスを毎週、自分の仲良しの小父さんに咬み破らせてしまっていた。

「ひとつ、訊いてもいい?」
少年の問いに、老人はかすかに頷いた。
口許に散ったうら若い血潮を、手の甲で拭いながら。
少年は苦笑しながらポケットからハンカチを取り出して、老人の手の甲を拭いた。
「ママの血を欲しがったのは、ママが女だから?やっぱり血を吸う相手って、女のひとのほうがいいのかな」
老人は即座に、一笑に付した。

なんだ、そんなことを気にしていたのか・・・
お前の母ごを襲ったのは、お前の太ももをおおっぴらに咬みたくて仕方が無かったからじゃ。
自分の息子が、太ももに咬まれた痕をつけて帰ってきて、気にしない母親はいないだろうからな。

少年は、老人の応えに満足したようだった。
「じゃあ、もう片方の脚も、咬ませてあげる」
じゅうぶん貧血になった頬をあらわにしながら、少年は老人がまだ潤いきっていないのを知っていた。
すまないね。
老人は少年の心遣いをどこまでわかっているのか、まだずり落ちていないほうのハイソックスのふくらはぎに、もの欲しげな唇をすりつけていった。



ほんとうは、女ひでりだったのだ。
性欲のはけ口になる女が、欲しかった。
たまたま自家薬籠中のものになった少年が、自分の母親を紹介してくれるというその好意に甘えて家に訪ねていったまでだった。
相手はほんとうは、だれでもよかったのだ。

息子のハイソックスを存分に濡らした唇が、その母親のストッキングを、ふしだらにあしらっていた。
女のあしらいは、みごとなものだった。
もちろんそれは、素人女性である専業主婦としての振る舞いだった。
清潔なものを汚すのが、彼の好みだったから。
彼女の示した羞じらいも、ためらいも、うろたえた表情も、見ごたえがするものだった。

「さすがはタカシくんのお母さんだ。佳い血をお持ちになっている」
ぐったりと横たわった母親に対する、吸血鬼らしいそんな賞賛を耳にしたタカシは、嬉しいような、照れくさいような、くすぐったそうな笑いを浮かべていたけれど。
じっさい母子の血の香りは、よく似通っていたのだった。
老人はタカシの目の前で、彼の母親の太ももの奥に、煮えたぎった己の欲情をどくんどくんとたっぷり吐き出した。
そうすることが、きょうの機会をセッティングしてくれたタカシにたいする、なによりの返礼だと思い込んでいるように。
彼女の腰周りに巻きついたスカートのなかに、果たしたこととはいえ。
どろどろとした粘液は、すこしはタカシの目を捕らえたに違いない。
けれどもタカシは、そのあいだずうっと、呆けたような笑みを湛えて、母親の受難をへらへらと笑いながら見過ごしにしたのだった。

女が脚に通していた、なよなよとした薄手のナイロンストッキングは、息子がしばしば破かせてくれているハイソックスのしなやかなナイロン生地と同じくらい、吸血鬼を魅了した。
代わる代わる、可愛がってやるからな。
声にならないそんな呟きが、タカシの母親に伝わったのだろうか?
気のせいか、気を喪ったはずの彼女が、かすかに頷いたような気がした。



長い長い口づけのあと―――
タカシは抑揚のない声色で、呟いた。
「今夜、ママが待ってるよ。パパ、夜遅くに帰って来るんだ」
吸血鬼はニヤニヤとほくそ笑みながら、少年に訊いた。

パパの帰りとかち合ったら、どうするのだ?

「べつにいいんじゃない?パパとも仲良くしてくれるんだったら・・・
 ママと仲良くしているところ、パパにも見せてあげるといいよ」

図星をすべて言い当てられて。
吸血鬼は気を喪った少年の黒髪を、幾度もいとおしげに撫でつづけていた。