この街で、若いひとの血を欲しかったら。
お近くの、〇〇学園に行くことだね。
良い家の坊ちゃん嬢ちゃんが通ってる学校なんだが。
創立者が吸血鬼と懇意でね。
父兄も承諾のうえで、生徒の血を自由に吸わせてくれるようになっているんだ。
かく申すわしも、折々世話になっておるがの。。。
特定の相手のいる子は別じゃが、そうでなければ、校内なら自由に襲って構わんそうじゃ。
手っ取り早く生き血を吸いたければ、なるべく学年の若い子を狙うといいよ。^^
吸血鬼仲間のあいつに、教わるまでもなく。
俺はまっすぐに、その学園をめざしていた。
もともとこの地を訪れたのは初めてではなくて。
昔はここの住民だったのだから。
目当ての生徒は、すぐに目星をつけていた。
校門をくぐってすぐに、目に触れた子。
理由はただ、それだけのはずだった。
キリッとしたショートカットのその子の名は、片瀬まさみ。
近くにいた担任と思しき教諭から名前を訊いて、確かめておいた。
名前くらいは・・・知っておかないとなにかと不便だったから。
まさみはまるで俺を誘うように、校舎の裏手へと足を向けてゆく。
真っ赤なチェック柄のミニスカートの下は、ひざ下までたっぷりとあるグレーのハイソックス。
この学校のトレード・マークにもなっている、指定のものなんだそうだ。
俺の頃はまだ・・・たしかセーラー服だったはず。
昔の記憶を追いやるように、俺は少女の後をそれとなく、追いかける。
いまはすっかりリニューアルされた真新しい校舎は、ぴかぴか輝いてみえたけれど。
内実は・・・俺たちのような連中のための、昏い巣窟と化している。
アッ!何するのッ!?
怒り口調だった少女は、俺のただならぬ形相を見て、とっさに俺の正体を察したようだ。
た、助けてぇ・・・
すぐに涙声になって、その涙声さえもが、すぐにかき消されてゆく。
掴まえた両肩のすき間に、顎を食い込ませるようにして。
柔らかいうなじをゆっくりと、抉ってやった。
勢いよくピュッと噴きだした血潮は、生温かくピチピチとした生気を宿していた・・・

悪いね、お嬢さん。ちょっとだけ、イタズラさせてもらうからね。
俺はそういって、少女の足許に唇をさ迷わせる。
まさみの顔色に新たな怯えがよぎるのを、横目で窺いながら。
「イヤッ!よしてくださいッ!」
制服の一部であるハイソックスをなぶりものにさせまいと、まさみは脚をじたばたさせたけれど。
雨あがりにぬかるんだ地べたに抑えつけたふくらはぎに、むざむざと卑猥な唇を這わされてゆく。
たっぷりと帯びたよだれを、じわじわとしみ込まされていきながら・・・
少女はけんめいに、いやいやをくり返していた。
ウフフ・・・フフフ・・・好い味わいだね。咬み破るのは、たっぷり愉しんだあとにするからね・・・
俺の意地悪な言いぐさに返事をせずに、
少女は丈の短いスカートを抑えて、あらわになりそうな太ももをとっさに抑えつけていた。
ごく・・・ごく・・・
ちゅう・・・ちゅう・・・
小ぎれいな濃紺の制服の背中に泥をつけながら。
少女は眉をピリピリと震わせて。
圧し殺すような吸血の音に、歯を食いしばって耐えている。
その初々しさが、可愛ゆらしくて。
頬ぺたにチュッとキスをしてやった。
吸い取ったばかりのバラ色のしずくが、少女の柔らかな頬を染めた。
吸血鬼に血を吸われるのは、入学するときからわかっていたの。
だから仲良しのまゆうちゃんとは、おんなじひとに吸われようね・・・って、約束したの。
俯きがちに呟く少女は、携帯で呼びつけた親友のことを、そんなふうに紹介してくれた。
隣室には、まさみの母親が、口をあんぐりさせたまま、大の字になって気絶していた。
ブラウスとカーディガンにべっとりと付着した血のりを、少女は小気味よげに見おろしている。
鮮やか過ぎるよ。腕前。母さんなにされたのか、きっとわかってないと思う。
そのあと吸われた自分の血を、指先にちょっぴり浸して。
まさみはその指先を、チュッと含んでみた。
ほろ苦い芳香に眉をしかめながら。
あたしの血って、美味しいの?
深い瞳の上目遣いが、俺の網膜に食い入ってきた。

こんちはぁ・・・
なにも知らない親友の入れた、のんびりとした訪いに。
少女は我にかえると、「あ、まゆうちゃん?こっちこっち♪」と、牙を研いで待ち受ける俺のほうへと、親友をいざなってくる。
「きのうあたしね、血を吸われちゃった。このひとに」
「えっ?」
「だからまゆうちゃんも、あたしみたくこのひとに血を吸われるの。
血を吸われるのは同じ人にしようって、言ったよね。約束守ってね」
「えっ?・・・えっ?・・・」
「あたしがお手本、見せるから。次はまゆうちゃんの番だからね」
色白でふっくらとした顔立ちのまゆうちゃんは、ルックスどおりのおっとりとした性格らしい。。
親友が首すじを咬まれて、ウットリとなって、姿勢を崩して畳のうえに尻もちをついてしまうまで、
まゆうちゃんは、まさみとおそろいの赤のミニスカートに黒のストッキングの足許をすくませて。
がたがた震えながら、いちぶしじゅうを見守ってゆく。
いっしょに血を吸われるときには、黒のストッキングにしようね。
校則では、正装は黒のストッキングって決まっているものね。
そんな約束を守るために、まさみはまゆうに黒のストッキングを履いてきて・・・って、あらかじめ頼んでいたのだ。
さて・・・と。
まさみを気絶させてしまった俺は、まゆうのほうへと向き直る。
口許に光らせたまさみの血のりは、初体験の少女を怯えさせるにじゅうぶん過ぎるほどだった。
「ヤです。ヤだぁ・・・」
気の強いまさみでさえ、涙声だった。
ましてまゆうのほうは、なんなく俺の手に落ちていた。
牙を刺し込んだうなじの肉は、まさみのそれよりも柔らかだった。
(悪いけど、まさみの母さんの首すじが、いちばん筋張っていた。)
首すじに唇を這わせて、ふっくらとした皮膚の感触を味わいながら、トクトクと噴きこぼれてくる血潮を舌に浸す。
うら若い、ほんのりとした錆臭さが、俺を夢中にさせていた。
まゆうは大人しくその場に腰を降ろして、しつけの良い家の娘さんらしく、正座をしたまま生き血を吸われた。
吸い取られた血の量に耐えかねて、まゆうが姿勢を崩してしまうと。
俺はまゆうの真っ白なブラウスに、吸い取ったばかりの血潮をわざと、ぼとぼととしたたらせてやって。
なにをされたのかを察したまゆうが、顔をしかめたのを。
宥めるように、閉じた瞼を撫でてゆく。
悪いね。ふたりとも。
黒のストッキング、たっぷりイタズラさせてもらうからね。
破く前に、たっぷりと愉しんであげるからね。。。
さいしょにまゆうの、ふっくらとしたふくらはぎを。
それからまさみの、しなやかに引き締まった太ももを。
代わりばんこに、唇ですって、侵してゆく。
そのたびに、少女たちの足許を墨色に染めた薄手のナイロン生地は、
ブチブチ・・・ッとかすかな音をたててはじけ、鮮やかな裂け目に白い脛をあらわにしていった。
いい舌触りだ。小気味よい裂けかただ・・・
俺はひと刻、うら若い少女たちの二対の下肢と戯れて。
素足どうぜんになるまで、いたぶり抜いてしまっていた。
帰るから。
虚ろになったまゆうの声に。
うん、また明日。
返事をかえすまさみも、さすがに薄ぼんやりとした声色だった。
見るかげもなく破かれた黒のストッキングの足許を見おろして。
母さんに、なんて言い訳しようか?
ちょっと戸惑うように視線を迷わすまゆうに、
まゆうのお母さんも、この人に紹介してあげればいいじゃん。
えー?
困惑のなかに愉快な想像にくすぐったげな声色が織り交ざるのを。
まさみも俺も、共犯者の目になって確認していた。