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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

ご馳走になりま~す♪

2014年07月25日(Fri) 06:35:36

ソフトクリームは、いらんかねー?
顔見知りのケンタ小父さんが、あたしたちの前にぬらーっと現れたのは。
夏の陽射しがんがんと照りつける、帰り道。
あっついよね~とか言いながら歩いていたあたしたち。
「ソフトクリーム」のひと言に、もろに反応しちゃっていた。

ひんやり。ひ~んやりっ☆
えっ、いいんですかあ?ありがとう~♪
能天気なさゆりは、真っ先に小父さんに手を伸ばして。
すいません、ご馳走になります~。
優等生の道子も、礼儀正しくお辞儀をする。
あたしはちょっぴり、悪ぶって。
みんなが言うなら、しょうがないからつき合うか。って。
嬢ちゃん、いつもながら強気だねえ。
いつもあたしはこの調子だから、ケンタ小父さんは苦笑するばかり。

さっそくぱくついたソフトクリームは、炎天下のきつさを一気に和らげてくれた。
きょう現国の授業で習った「干天の慈雨」なんて一生使わないでもいいような言葉の意味が、よくわかったような気がした。

さあて・・・と。
公園のベンチに腰かけて、ソフトクリームを平らげてしまうと。
こんどは小父さんが、舌なめずりをする番だった。
嬢ちゃんがた、ご馳走になります・・って、いったよね?^^

えっ?どういう意味ですか?
優等生の道子が、とまどったようにさゆりのほうをふり返る。
あっ、だから・・・その・・・っ。
さゆりは口ごもり口ごもり、あたしのほうを見たけれど、あたしはわざと知らん顔を決め込んでいた。
窮したさゆりは、しかたがなくて。
だ、だからあ・・・こんどはあたしたち自身が、ご馳走にされちゃうの。
えーっ!
世間知らずの道子。
どうやら吸血鬼の存在はお母さんから聞かされていたみたいだけど、
目のまえのいけすかない五十親父がその片割れだとは、夢にも思っていなかったらしい。
おっさんのきょうのお目当て、間違いなくあんただよ。

しょうがないよ。ご馳走になったんだし・・・
どうやらおろしたてらしい紺のハイソックスのリブをツヤツヤさせながら。
さゆりは困ったように、あたしを見る。
道子までが救いを求めるようにあたしを見るから・・・
紺のやつだから、目だたないんじゃない?
あたしは、言ってのけてやった。

えーっ!?あたしが最初、ですかあ・・・?
おびえながら首すじをくわえられていったさゆりが。
きゃ~♪と嬉しそうな悲鳴をあげて、ブラウスに赤い飛沫を撥ねかせた。
もうー!ふたりしてあたしのこと逃げられないようにつかまえるなんて~。
道子は単に怖くてすがりついていただけ。
でもあたしは思わず「図星~♪」って、こたえてやった。
さゆりの足許ににじり寄った小父さんは、
真新しい紺のハイソのふくらはぎに、それは美味しそうに唇をすりつけていった。

道子は初めてだから、視ててあげるね。
あたしは親切ごかしに、そういって。
こんどはさゆりと二人で道子を挟みっこして、ベンチに座り直していた。

えっ・・・?えっ・・・?
戸惑う道子を両側から挟んで・・・首すじに牙がグイッとめり込むのが、ぴったりくっついた二の腕を通して伝わってきた。
道子がハイソックスのふくらはぎを吸われている時間は、さゆりの倍近くかかっていた。

好きにしてよ、もう。
小父さん、だいぶ満足したみたい。
ふたりの血を含んだ唇を、舌でぺろりと拭い去ると。
そろそろとあたしの足許にかがみ込んで・・・ハイソックスのふくらはぎに唇を吸いつけてきた。
ぬら~っとしたよだれがし沁み込んでくるのに、ため息ついて。
おなじハイソばかりで、小父さん飽きない?
あたしはしらっと、からかってみる。
飽きねえな。おたくの学校のハイソックス、わし大好きだから♪
小父さんは応えるかわり、あたしのハイソックスをもう二三度よけいに、舐め舐めしてきた。
もうっ!いやらしいっ。
蹴るまねをするあたし。身体を縮こまらせて蹴られるふりをする小父さん。
二人、仲良しなんだね・・・
道子がよけいなことをぽつりとつぶやきながら、
首すじについた血を拭ったハンカチを、丁寧に畳んだ。

あー、しまった。きょうのやつって、あたしもおニューだった。
ご丁寧にも左右かわるがわる、ふくらはぎに咬みついてきて。
痛痒い疼きでジンジンさせられちゃったあたしは、ちょっぴりお漏らししてしまっていた。

公園を出る前に、三人ともおトイレに寄ったことは、お互い話題にするのをひかえている。

暑中見舞い♪

2014年07月24日(Thu) 21:58:04

すっかり暑さ本番の地方。
ようやく梅雨明けといいながら、かなり蒸し暑くなりつつある地域。
いろんなところにお住いの事とお察しします。
でも共通項は・・・ 暑い!

そんなワケで、ちょっぴり涼しくなるような絵を描いてみました。 ^^





この画像。
以前描いた「四人の妖花たち」をモデルに描いたものです。
吸血鬼に血を吸われて目覚めてしまった若いOLが、自分の弔いに参列した友人を襲って吸血鬼にしてしまい、
さらにその子の弔いに来た残りの二人の親友も、順ぐりに・・・
喪服姿の帰り道を待ち伏せて、血を吸い取ってしまう、というお話です。

これはその実質第一話。「女友だち♪」から。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-480.html

裕美のお通夜に参列した華代が、当の裕美に追い詰められて血を吸われます。
華代の着ているブランドものの喪服を目当てに待ち伏せていた・・・という裕美は、服にもこだわりのある女吸血鬼でした。

この絵を描くときに、どうにも顔がうまくいかなくて・・・
途中経過では、いっそこんなのも、描いてみました。
こちらのほうが前の段階で描いたので、ちょっと脚が太すぎますね。 ^^;



そもそも絵柄がマンガチック過ぎるので、原作を大きく逸脱しておりますが。。。
A^^;

思いやり?

2014年07月24日(Thu) 08:08:09

勤め先から帰宅したら、妻がほかの男とセックスしていた。
かなり熱中しているみたいで・・・まゆ毛を八の字に寄せて、がんばっていた。
邪魔するのもなんだなあ・・・
視ているのもなんだなあ・・・
ちょっとだけ覗きを愉しんだ後、二人きりにしておこうと、家を出た。

暗い窓の向こう側。
ピンク色の吐息が見えそうだった。

所在無げにタバコをふかしていると。
あの。
後ろからおずおずと、声をかけられた。
はい?ってふり返ったら、さっきまで妻の上にまたがっていた男が、小さくなっている。
これ・・・奥さんから。
手にしているのはほっこりとした、さつまいも。
レンジでチンしたから、渡してくれ・・・って。

悪いですね。
いえ、こちらこそ。

男ふたりで、きまり悪そうに黙りあって。
もぐもぐとさつまいもをほおばっているわたしに、男はなにか言いたそうだった。
ああ、そういうことか。律儀な人だな。
気遣いばかり多そうな、いかにも世渡り下手そうな男の、ぶきっちょそうな作り笑顔に会釈をかえして。

つづき、どうぞ。

すすめてやった。

すんません。も少し奥さん借ります・・・

男は背中を丸めて、わたしの家に入っていった。

にわかに携帯が軽く身震いをして、着信の灯りがホタルのように闇に滲んだ。

嫌じゃなかったら、入って来てくださいな。カゼをひかないように。

はい、はい・・・
施錠された扉をあけて、リビングに上がり込む。
真上は、夫婦の寝室。
ぎしぎしときしむ微かな音は、どう考えても子守唄にはなりようがなかった。

短文。

2014年07月22日(Tue) 08:12:04

いま、こうしている間にも・・・
きみの未来の花嫁が、きみ以外のだれかに抱かれて、処女を喪う夜を迎えようとしているかもしれない・・・

男友達に逢いに行く。

2014年07月20日(Sun) 09:05:19

「亭主にね、言っちゃったんだ。出てくるときに。”男友達に逢いに行く”って。」
紗也香さんはそういうと、イタズラっぽく、くすっと笑った。
僕は仰天して、屈託なくほほ笑む紗也香さんの丸顔を、まじまじと見つめるばかり。
「だってあたしたち、友達でしょ?だからこんなこと、しているんだよね?」
紗也香さんの首すじには、咬み傷がふたつ、綺麗に並んでいる。
さっき彼女を抱きすくめたとき、僕が咬みついた痕―――そこにはまだ、吸い残した血しおが、ほんのりと滲んでいた。

見ず知らずの男に襲われて、生き血を残らず吸い尽されてしまった後。
それでも生きているということがわかって、こみ上げてくる喉の渇きに、自分がこれからどういう生きかたをしなければならないのかをわかってしまって―――そのとき真っ先に狙いをつけたのが、紗也香さんだった。
余暇を利用して参加していた、同好のサークル。
僕を含めさえない年配者がめだつそのなかで、30そこそこの紗也香さんの若さと明るさと才気とは、周囲を圧倒するものがあった。
あの生命力が欲しい―――
そんな渇望が、理性を越えて、紗也香さんの後ろ姿に知らず知らず手を伸ばしていた・・・

吸血鬼になってからも、仕事には出ていたし、サークルにも出席していた。
帰る方角がおなじ紗也香さんと僕は、寄り道をしてよくお茶をしていたけれど―――しいて変わったといえば、そこだけだった。
僕がお茶よりももっと濃い飲み物を必要としていることを知った彼女は、自分が飲むのはあきらめて、僕だけに飲ませるようになっていたから。

「友達だよ―――ね?」
紗也香さんは人懐こい笑みを泛べた顔を近寄せて、僕の顔を覗き込む。
そう。そうとしか言いようのない関係―――血を吸ったり吸われたりしているのに、僕たちは友達。
僕がゆっくりとうなずくと。
もっと吸ってもいいんだよ、と、紗也香さんは血の滴る首すじを指さした。
明日はお仕事休みだから、と、つけ加えて。
ボーダー柄のTシャツに、デニムのスカート。軽々ウェーブした茶髪をなびかせて笑う彼女には、ラフな服装もぴったり決まる。
「女子高生みたいでしょ?」
紗也香さんはそういって、黒のハイソックスの足許を、恥ずかしがってすくめた。
僕はだしぬけに彼女の足首をつかまえて、ふくらはぎを吸っていた。
厚手のナイロン生地のしなやかな感触が、僕の舌先をスッと撫でる。
「あっ、ヤラシイ・・・」
紗也香さんは口を尖らせて抗議をしたけれど、本気で怒ってはいなかった。
逢うたびにふくらはぎに咬みつく僕のために、持っていたストッキングが全部破けてしまった彼女は、代わりに履いてきたハイソックスも、おなじように愉しませてくれるつもりらしかった。

念を入れてもう片方の脚にも咬みついて、黒のハイソックスに穴をあけているあいだ。
彼女は壁に上背をもたれかけて、窓越しに外を見つめていた。
なにか見えるの?
吸い取った彼女の血を手の甲で拭いながら、僕が訊くと。
「うん・・・ダンナ見に来てる」
紗也香さんはこともなげに、そう応えた。
「外は風強いね、寒そう」
ちょっと気の毒そうに呟く紗也香さんに、僕は思わず応えていた。
「寒いから、中入ってもらおうよ」

「奥さんに、お世話になってます」
僕が小さく縮こまってやっとの思いで、そういうと。
「いえ、家内がお世話になってます」
ご主人も僕に劣らず小さくなって、似たようなことを応えてきた。
紗也香さんは笑いをこらえた顔をして、面白そうにご主人と僕とを見比べている。
あの・・・
彼女に声をかけたのは、僕のほうだった。
「・・・面白がってます?」
とたんに彼女は笑いをはじけさせた。
「なんか、お見合いみたいー。二人とも、いつもらしくないー」
開けっ広げに笑う彼女の声が、気づまりな空気を残らず、吹き飛ばしていた。

吸血鬼が結婚している女の人の血を吸うと、その・・・セックスしちゃうって聞いたんですけど・・・
ご主人は言いにくそうに、しどろもどろに切り出した。
そう、きっと彼はそれが気になって、木枯らしのなかここまでやって来たのだろう。

男友達、という以上、相手は男なのだろう。
友達、という以上、そこには敵意は含まれていないのだろう。
どういうきっかけか、妻は自分以外の男と知り合いになって、
その男は吸血鬼なのに、逢っていて。
求められるままに血を吸わせる関係になっている。
そして多分、それ以上のことも・・・・・・・・・・・・
憶測はきっとそこまで延びて、臆病な足取りを止めたに違いなかった。

たしかに、そういうしきたりになっていた。
この街に棲み着く吸血鬼は、人を殺さない。
望んだ者以外、吸血鬼になることもない。
けれどもその代価として、女たちは貞操を要求された。
処女の生き血は尊重されたが、人妻はたいがいの場合、その場で男女の関係を結ぶはめになっていた。
たいがいの人妻たちはしっかり者で、そんな目に遭ったあとでも、びっくりするほどサバサバとしていたけれど。
僕が吸血鬼になったのは―――僕を襲ったやつが、僕の血を吸いながら、僕の心の奥まで読み取ったからに違いない。
吸血鬼になって、紗也香さんの血を吸いたい。
それが僕の、心の奥底に眠っていた強い願望だったから。

すでに彼女の血を吸うようになってから、ひと月が経過していた。
妻の行動がいつもより変わったのがその時期だと、ご主人も分かっているに違いない。
そう、サークルからの帰りが目だって遅くなっていたはずだから。
血を吸われたあと、彼女は身づくろいをして、それからご主人に顔を見られてもなにも起らなかったと言い張ることができるくらい顔色が戻るまで、僕といっしょにいたのだから。

血を吸われた女性は、セックスをすると、吸血鬼の活力を受けてほんの少しだけ、顔色を取り戻す。
彼女ももちろん、それを知っていたけれど―――僕たちのあいだには、そういう関係はまだ存在していなかった。
彼女は手の届かない人、高嶺の花。
四十を過ぎて独り身の僕は、いっしょにお茶をしてもらうだけでもよかった。
血を吸うことで彼女を愛することができるのに、このうえ夫を裏切らせることまで、どうしてすることができるだろう?
この齢になって・・・僕はどこまでも潔癖だった。
きっとこんなやつだから、女たちはだれも、僕に振り向こうとはしなかったのだろう。
けれども彼女の目線は、ほかの女たちとはちょっと、違っていたのかもしれなかった。
ご主人のいるひとに、そんなことを・・・と尻込みする僕を、
吸血鬼になったくせに、遠慮深いのは変わらないんだね。
彼女は笑ってぼくをからかって―――さいごに言った。「感謝するわ」


つまり・・・その・・・貴男は家内と・・・そういう関係に・・・?
しどろもどろの質問は、回答をじれったく待ちかねるように、おろおろと続いていた。
夫の質問を遮ったのは、またしても紗也香さんだった。
「ばっかねえ」
よどみのない、はっきりとした声色だった。
「してるに決まってるじゃない」
えっ?と驚いて振り向く僕に、紗也香さんは厳しい目線を返してきた。「なにも言うな」というように。
「それを知りたくて、ここまで来たんでしょ?だったらふたりとも、男らしくはっきりしなさいよ。
 あたしとしては・・・だんなが彼氏を一発ぶんなぐって、それでおあいこにしてもらいたいんだけど。
 なんならあたしのことも、平手で叩いちゃう?」
屹っとなった横顔が、窓から洩れる陽の光を受けて凛と輝いた。

「なぐってください。たぶんそれだけじゃ、すっきりしないと思うけど」
僕はご主人のまえに進み出て、頭を垂れた。
知らず知らず、平手で叩かれてしまうかもしれない彼女とご主人の間に入った形になっていた。
ご主人は僕よりも年若で、しっかりした目鼻立ちをしていた。
見るからに頭もよく、僕よりも逞しい身体つきをしていた。
決して派手な服ではなかったが、センスの良いものをこざっぱりと着こなしている。収入もたぶん、僕よりも上。
男として、あらゆる点で、僕よりも優位に立っていた。
ただひとつ、妻を寝取られている、ということを覗いては―――
「わかりました」
ご主人はむしろ悲壮な顔をして、僕をなぐろうとするためにこぶしを握り固めた。
けれどもそのこぶしが、僕に向かって振り下ろされることはなかった。
逡巡して宙を迷ったこぶしは、振り下ろされることなく力弱く彼のひざに落ちて、力を喪った。
「残念ですが、なぐれません」
人をなぐったことがないので、と、ご主人は意外なことを言う。
たしかにスポーツで、身体は鍛えましたがね。スポーツは、相手をなぐっちゃだめなんですよ。
なるほど、と、僕は納得した。男ふたりの目線が、初めて交わりを持った。
生命力のみなぎったまなこに、自信をそがれたみじめさはない。
「お友達、そういうことで理解しましょう。わたしは先に帰りますので、あとはごゆっくり」
最後のひと言は、自分の妻に与えたものだった。

玄関までご主人を送り出した紗也香さんは、さすがにひと息ついて。
「白けちゃったかな?」
やはり面白そうに、僕の顔を覗き込んだ。
「なんであんなこと言ったの?」
「え?」
ストレートに訊きかえされると、かえってこちらのほうがしどろもどろになってしまう。
「僕とやっている・・・なんて」
「あれでいいのよ」
紗也香さんはみじかくそう応えると。
「きょうこれから・・・ほんとうにしよう」
「えっ!?」
「しちゃおうしちゃおう!逢うときだけは、あたしがあなたのお嫁さんになってあげる」
あのひとのこと気にしなくっていいのよ、うちの亭主だって、外ではもてもてなんだから。
くやしいから浮気してやるんだって、ずうっと思っていた。
親友同士みたいに仲の良い夫婦。一見二人は、そう見えたけど。
案外それは、本音だったのかもしれない。

彼女はゆっくりとTシャツを脱いで、デニムのスカートのすそを、ちょっとだけたくし上げる―――
それが合図だった。
僕は獣のように、彼女を押し倒していて。
熱い呼気をはずませ合って、互いに互いの唇を、むさぼり吸った。
紗也香さんの唇は、尋常のしつこさではなかった。
このひとが吸血鬼になったら、どんな男でもいちころだろうな―――あり得ない想像をしながらも、僕も夢中になっていた。
紗也香は僕の女。紗也香・・・紗也香・・・
甘く匂う茶髪を掻きのけながら、もはや牙で酔わせる必要のなくなった首すじに、なまの唇を這いまわらせる。
ふたりは甘い言葉を囁き交わしながら、それでも紗也香さんは時々、どきりとするような露骨な言葉を口にした。
「あなた、ごめんなさい。紗也香は別の男の性欲処理に夢中なの」
「シンジさんのお〇ん○んって、あなたのよりもおっきいの!」
「あなた、見て、見てえ・・・紗也香、乱れちゃうっ!」
窓辺にたたずむ人影を、男も女も意識しながら。
熱っぽくもしつように絡みつく視線が、ふたりの”友情”を必ずしも厭うていないことを、確かめ合いながら。
帰りが遅いと夫が気をもむ気遣いを忘れて、自分のなすべきことに熱中していった・・・