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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

【NTR注意】 「初夜権」について

2014年08月30日(Sat) 16:15:43

初夜権というものは、ぼくたちの間で決して軽い存在ではありませんでした。
だって、自分のもらうお嫁さんが、自分以外のだれかと最初に契ってしまうということですからね。
けれどもそれがこの村で育った男子が一人前になるための通過儀礼・・・とされている以上、それは避けては通れない道でもあったのです。
どうしてもそういうことを受け容れられない人は、この土地から出ていきました。
そう、まったくの過疎地ですから・・・そうでなくても去っていく人は少なくなかったのです。
けれどもぼくも両親も、生まれ育ったこの村、先祖の墓のあるこの土地を捨てるつもりはまったく、ありませんでした。

「私がだれかほかの男と抱かれるの、あなた視たいんじゃなくて?」
都会育ちの彼女のその唐突な質問に、ぼくが絶句したのはいうまでもありません。
けれども彼女の直感は鋭く、言っていることはまったく、誤っていませんでした。
ぼくはたどたどしい言葉で・・・けれどもすべてを、話してしまいました。
うちの村の人間のだれもが、ぼくのような願望の持ち主というわけではなんだ。
という、矛盾するような事実も、彼女は理解してくれました。
「うん・・・たぶんそれは、違うような気がする。あなたの村の風習とあなたの性癖とは、たぶん無関係」
断言されて傷つかないといえば、嘘になります・・・
けれども彼女はちょっとだけ考えて、呟きました。
「無関係かもしれないけれど・・・関係あるのかもしれないね」
そのうえで彼女は、言ったのでした。
「やっぱりあなたと、結婚する」


しきたりどおり、彼女は結婚前に、両親に挨拶をしにぼくの村に来ることに同意しました。
「両親まで巻き込むわけにはいかないから」という彼女は、単独でやって来ました。
都会のスーツに身を固めた見慣れない妙齢の娘に、村じゅうの視線が集まりました・・・
あのときぼくの身体をかけめぐった、独特なくすぐったさ―――それはいまにいたるまで、ぼくの行動を支配し続けているのです。

自分の許婚の純潔を、同年代の男性に与える例というのは、ぼくの村でもそんなにはない・・・ときかされていました。
たいがいが、村の長老のような人たちのものになることが多い・・・と、母からも聞かされていました。
母自身も・・・おそらくそうだったのでしょう。
ぼく自身も、狒々爺さんみたいな老人に、彼女が犯されてしまう・・・という想像に、折々昂ぶり悩まされていたのですが―――きっとぼくの心の中で、そうした儀礼に対する受け入れ態勢が、着々と作り上げられていったのでしょう―――意外にも彼女の純潔を勝ち得ることになったのは、幼馴染のKでした。

Kは家庭の事情から、一生独身でいることを余儀なくされていました。
そんなにわるいやつではないのに、村から出る前までいっしょにいたころは、「かえって切なくなるから」と、同年代の娘との交際さえ、あきらめきっていたようでした。
「しかたないんだよ。口減らしだから」
母は言いにくそうに、Kのことをそう言いました。
どうしてそんな立ち入ったことに通じているのか―――
Kは一生独身でいるかわり、一種の性的な特権を持っていて、すでに中学を出たころから、村のなかのいろいろな女性と関係を結んでいました。
彼の交際範囲に、母も含まれていた・・・というわけなのです。
とりわけ母は、Kに初めて性の手ほどきをしたという、深い関係だったのでした。

母から、Kさんにぜひ・・・といわれて、ぼくの身体を電気が駆け抜けました。
ぼくはそれまでの妄想をあっさり捨てて、言下に「それがいいね」と、呟いていたのです―――


あらかじめ言い含めていた彼女は、真っ赤なワンピースを着ていました。
場所は村はずれの草むら。
刻限はもう、日暮れどきを迎えたころでした。
気の早い秋の虫の、かしましい鳴き声が、呼び交わすように響いてくるなかで。
「悪いのう」
Kは照れたような顔をしてぼくのことを見、そして彼女には慇懃にお辞儀をしていました。

律儀でぶきっちょそうな人ね・・・だからちょっと安心したかな。
あとで彼女はそういいましたが、彼のそのあとの行動は、びっくりするほどの手際の良さでした。
「手っ取り早く・・・な」
安心しかけた彼女はびっくりして、取られた手首をとっさにかばおうとしましたが、強く羽交い絞めにしてくる力に抗いかねて、そのまま草むらの波間に、真っ赤なワンピース姿を淪(しず)めていったのでした・・・

りぃん、りぃん、りぃん・・・
ギィ。ギィ。ギィ・・・

草むらの穂先の激しい揺れが収まって、
切れ切れな悲鳴が途絶えて、
熱い息のせめぎ合いだけになると。
またぞろ虫の音が、あたりを埋め尽くしていったのでした。




「奈美絵さん、ええ身体しとるなあ」
Kが草むらから起き上がって来て、ぼくのことを眩しげに羨ましげに見あげたときに。
「手かげんしろよな」
ぼくも案外むぞうさに、そんな受け答えをしていました。

かりにも仲良しの嫁になるひとだし、いい加減にあしらうほうがかえって失礼じゃもの。
Kの言い草は筋が通っているような通っていないような・・・
けれどもふたりがぼくの目のまえで、ぼくのまだ識らない体験に熱い熱情を交わしながら耽り抜いたのは、間違いのない事実でした。
奈美絵さんはちょっと遅れて、草むらから起き上がってきました。
さすがにぼくと目を合わせるのが気まずいのか、おずおずと目線を伏せて、裂けたワンピースをどうにかしてうまく着なおそうと、しきりに気にかけていました。
「じゃ、わし行くから」
言いかけたKに、ぼくは言いました。
「ひと晩ぼくの代わりに、このひとを愛し抜いてくれないか?」
未来の花嫁を、とことん共有したい。
結婚できないKに、ぼくの嫁を嫁代わりの女として、せめて村にいるときだけでも寄り添わせてあげたい。
ぼくは想いのたけを素直に、Kと、それから奈美絵さんとに、言葉にして伝えたのでした。


翌朝―――
奈美絵さんは、まだ周囲がうす暗い刻限に、家に戻ってきました。
庭先に回って、ぼくの寝間の障子をひっそりとたたく。
それが彼女と決めた合図でした。
まんじりともできなかったぼくは、すぐに彼女の合図に気がついて、障子をあけました。
何処とも知れぬ場所から戻ってきた彼女は、真っ赤なワンピースを着もせずに抱え込んで、白い裸身を薄闇に浮かび上がらせていました。
彼女は謝罪するように深々とお辞儀をし、
ぼくもやはり謝罪するように彼女の手を取り、掌のなかでいたわるように握りしめていました。
ふたりは無言で近づき合って・・・そのまま布団のうえへと倒れ込んでいきました。

すべてを察していたらしい母は、淡々と「おめでとう」といい、
奈美絵さんはちょっと羞ずかしそうに肩をすくめ、目を伏せていました。

それ以来。
毎年夏のには、ぼくは必ず妻を伴って里帰りをします。
女の身体に飢えているはずの、幼馴染が心待ちにしているのを知りながら。

あとで聞いたところでは、子供の頃からいっしょによく遊んだカッちゃんも、三つ年上でよく面倒を見てくれたはす向かいのお兄さんも、自分の嫁をKに抱かせていました。
村一番の素封家の息子である陽次さえもが、村長の一人娘である嫁に、夜這いをかけることを許していました。
いちばんの晩婚だったぼくの彼女がいちばんさいご―――Kにとっては七人目の初夜権奪取だったということです。
「いいじゃないの」
妻はサバサバと、そういいました。
いつも毎年彼女のほうから、「今年はいつ里帰りする?」と、訊いてくるのです。
やはり最初に肌を許した男には、特別な感情が宿るものなのか―――
Kの家の納屋で転げまわるようにして抱きすくめられて、黒の礼装を藁まみれにさせながら抱かれてゆく妻。
見せつけられて悦ぶだんなに、見せつけて歓ぶ妻。お似合いね。
と、わざととげのあることを言いながら、案外逞しい男との許された情事を愉しんでくれているようなのです。
昨年生まれた娘がKの種らしい・・・ということを、こんどKに話すかどうか。
まだ決めかねているのです。





【参考】
初夜権という風習は、思ったほどは現存していないらしい。
私の見聞の範囲では、どちらかというと男子の通過儀礼はそこそこ確認されるものの、女子のそれは頻度としては圧倒的に少ないようである。

女子の初夜を獲ることのできる男性は、少なくとも年齢的には女子のそれよりもずっと上であることが多いらしい。
それはやはり、婚姻後にその女子を影響下におくことのできる時間を限られたものにしておかないとならないからかもしれないが、
一方でこうした風習の残存する地域では生まれてくる子供が女の夫の種であることにあまりこだわらない傾向もあることから、果たして本当にそうなのかは疑問である。

このお話のように、同年代の男子に許婚の処女を与えるという風習は、私の聞いた範囲内では存在しない。
したがって、すべてはフィクションであるとして愉しむことをおすすめする。
(あくまで愉しめるようであれば の話です。 ご不快な方は、スルーしてほしいので、あえてタイトルにて注意を喚起した)

なお、上記記述が基づくところの根拠については、諸般の事情からお答えすることができないことを、おことわりしておく。
すべてが創作であると考えていただいても、また差支えない。

吸血女学園  処女の血が吸いたい。 じゃ、中等部行こ。 (*^^)v

2014年08月26日(Tue) 08:03:18

やや季節はずれの設定(5月ころ?)で、ゴメンナサイ。



放課後の体育館裏は、屋内から響いてくるバレー部やバスケ部の、ダン!ダン!とボールの響く音がした。
締め切られた屋内を、うかがうことはできないけれど。
同時に中からも、こちらの様子はわからないのだった。
こんど襲うのは、バレー部の子?それともまたバスケ部にする?
んー、茶道部はもう、飽きたしなぁ。
茶道部の部員は、六人だった。
さっきまでお邪魔していた部室では、部員の全員が制服姿のまま気を喪っている。
ハイソックスに咬み痕さえ残さなければ、自分たちが血を吸われたことさえ、思い出せないでいるはずだった。
運動部の子の血って、なじむんだよね。
スポーツ少女のまゆみが、浅黒い肌をツヤツヤとさせているのは。
早帰りしたバレー部員を、早くもひとり毒牙にかけたおかげだった。
ひとり、ぽつんと佇んでいた孝子が。やおら呟いた。
処女の血が、吸いたい。
いつもあいかたの由加里が、同時に頷いていた。
じゃ、中等部行こ。




みさとちゃんっ!
かんなちゃんっ!
追い詰められて泣きべそ顔になっているのは、中等部のセーラー服姿。
もう夏服の子も増えてきたのに、珍しく肌寒い日だったからだろう。
ふたりおそろいで、まだ冬用の紺のセーラー服で。
まだ真新しい濃紺の長袖が、獲物に迫る年上の少女たちにも、眩しく映った。
―――悪いけど・・・お姉さんたちに血を分けてくれない?
いつも先頭のまゆみが、フフッと笑うと。
―――いいわよ・・・ね?
いつも落ち着いた物腰の孝子も。人のわるそうな頬笑みを浮かべていて。
―――あなたたち、駆けっこに負けたんだからね。さっ、いさぎよく・・・ガマンしよっ。
さばさばとしたスポーツ少女のまゆみは、くったくのない白い歯を見せて。
どんくさいと評判の朋子までもが、太めの脚を素早く彼女たちの背後に回り込ませていた。



えっ?えっ?・・・あああっ;;;
首筋、脇腹、二の腕・・・と。
黒髪をふり乱して思い思いに食いついてくる夏もののセーラー服に。
まだ小柄な濃紺のセーラー服姿は、呑み込まれていって。
白い袖や襟首に。
紅い飛沫を、光らせてゆく。

あたしの彼氏ね。処女の血を欲しがっているの。
あたしたちのぶんは、ほとんどあげちゃったから。
協力してもらいたいのよね・・・
ずり落ちた白のハイソックスを、ひざ下までぴっちりと伸ばしながら。
みさともかんなも、まだべそを掻いていたけれど。
どうやら顔色とともに、なにかを変えられてしまったらしくって。
首すじについた血を拭いながら。
素直にこくりと、頷いている。

【付記1】
画像については例によって、クリックして別画面にしたほうが見やすいです。(^0^)

【付記2】
吸血する側は四人で、される側は二人なのですが。
・・・描き切れませんでした。
(^^ゞ


【付記3】
下記2作品の翻案です。

「処女の血が、吸いたい」(2009.11.14あっぷ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1906.html

「処女の血が、吸いたい」「じゃ、中等部行こ」(2011.1.02)あっぷ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-2365.html


実写版:邂逅

2014年08月24日(Sun) 23:19:32

前作・邂逅にちなみまして、実写版?を作ってみました。
どんなふうにして作ったかは、ご想像に任せるとして・・・

それにしてもほんとに、このごろビジュアルに頼っているなあ・・・
もっともたんなる画像ではなくて、お話にはしてあるんですけどね。^^;

小説が紙芝居に化けたような感じでしょうかね? ^^;

ともあれまずは、はじまり、はじまり・・・




基本、前作とは独立した作品です。^^;
しいて言えば制服のルックスくらいしか、似ておりません。^^;
まったり系なのトコロだけでも柏木流だと言っていただければ、それで大いに満足であります。
(^^)

【コラボ作品】 邂逅―――吸血5夜目 晴美―――

2014年08月23日(Sat) 13:21:56

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【コラボ作品】 邂逅―――吸血5夜目 晴美――― 誕生の経緯

2014年08月23日(Sat) 13:16:59

【はじめに】
こないだね。
pixivにアカウントを作ってみたのよ。(身のほど知らずに・・・ ^^;)
載せたのはおもにココで描いたような絵たちなんですけれど。
そしたらね。
すご~くそそられる、一群の絵たちが、いたのです。
セーラー服を着た女学生が、闇夜のなかで吸血鬼に襲われて、つぎつぎと血を吸われてゆくの。
おうかがいして、作者のかたに訊ねてみたら。
「殺生は嫌いです」とのこと。
そうすると・・・共存路線? ^^
なんて考えつつも、お互いにコメのやりとりをしていたら。
8月7日にここに載せた、「頼むから」のビジュアル版に、反応してくださって。
仰るではありませんか。

お名前と私の投稿イラストへの感想の表現力の高さから、
そうじゃないかなぁと思っていましたが。
やっぱり「妖艶なる吸血」の作者先生ですね。
さっき久々にそちらに行って、同じ短編がありました。
(原文どおり)

ええ~っ?私って、有名人?(^^;)  (違)
きけば、小説はふだんあまり読まないかたなのに、私んとこには「たまに、チョクチョク」見えられていたのだとか。
「どうも私んとこのテイストと似ているなあと思っていました」と申し上げましたら、

私の投稿イラストには「柏木文学」の影響を多分に受けてるので、
まあ、自然と似てしまいますな ^^;
(これまた、原文どおり)

という、なんとも頼もしいご回答。

いや、名画なんですよ。これがじつに!
セーラー服の女学生が吸血されているという画題を持つ絵って、意外にないんですよ。
それを差し引きしても、迫られる少女たちの迫真の表情とか、
生き血を吸い取られてゆくときの、無念そうな顔つきとか、
だんだんと快感を注入されて、表情に微妙な翳りを帯びてくるところとか、
じつによく描けているんです。
吸血鬼氏が、〇スフェラトゥみたいな血の気の失せたスキンヘッドというのが、またよろしい。
(^^)

それで、思い切ってお願いしてみました。
貴男の絵に詞書をつけさせてもらえませんか?

快諾をいただけました! \(^o^)/

と、いうわけで。
いままで類例を見ない、名画&柏木ワールドのコラボ作品が生まれることとなりました。

あ。

ずいぶんと、長くなってしまいましたね。 (^^ゞ
本編は、記事を改めて掲載します。

ちなみにこの作品は、pxivにおける小生のサイトに同じ内容のものが掲載されています。
おひまでしたら、探してみてくだされ。^^

うーむ・・・

2014年08月22日(Fri) 08:04:02

テキストサイトなんですけどね。ここ。本来は・・・
今月はかなーり!絵に頼ってしまいました。(^^ゞ
ちょっと反省。

当村に初めて転入された方のための、吸血鬼応接マニュアル(附属)

2014年08月22日(Fri) 07:59:18

はじめに

かなり寝取られチックなお話です。^^;
ご注意のうえ、お読みください。^^



―――本編よりの抜粋―――
ご注意
ご家庭の状況によって、ご家族がお相手をする吸血鬼は、貴男のときとは別の者になることがあります。
貴男に選択の権利はありません。
けれども、ご家族に対する吸血鬼の欲望が成就されるのを見届ける権利ないし義務は、貴男にあります。
わが身をめぐる生き血を求めて訪れる吸血鬼を相手に、かいがいしくお相手を務めるご家族が、一人また一人と堕ちてゆく・・・
その感動のシーンを目の当たりにして、捧げる歓び・充足感をご堪能ください。


血なし鬼(=吸血鬼)の嗜好の問題で、奥様とお嬢様とが別々の血なし鬼のお相手をするケースも多々あります。
実際に奥様とお嬢様お二人の生き血を地元の男性に寄付された旦那様が、このたび本マニュアル用に手記を寄せられました。
一種独特の歓び体験をどうぞ。



わたしの生き血をつねづね差し上げるようになった無羅田様(仮名)からその申し出を受けたのは、交際が開始されてから一か月ほど経過した時分でした。
無羅田様は四十路に入ったわたしの家内にご執心で、いずれは家内をご紹介せずには済まないと予感しておりました。ところが無羅田様ご自身はそのご嗜好の関係から生娘に対する執着がなく、娘はべつの方に紹介したい―――とのことでした。むろん家族の生き血をたしなまれる方の人選についてわたしの意向は容れられないことは承知しておりましたので、わたしはただ無言でうなずくしかありませんでした。

無羅田様はわたしよりもむしろわたしの父と同年輩に近い、還暦過ぎの年代。
無羅田さまの親友とおっしゃる賭喪堕さま(仮名)は、無羅田さまよりややお若い五十代。
いずれもわたしよりずっと年上の方々でした。
賭喪堕さまは無羅田様と異なり、十代のお嬢さんばかりを狙って生き血を吸いつづけていらっしゃる方とのことでした。
お二人の関係は親密で、無羅田様が賭喪堕夫人を襲って血を吸ったり犯したりなさるいっぽうで、
賭喪堕様は無羅田様の娘さん目当てにお宅に入り込んでは生き血を愉しむ・・・そんな関係だと承りました。

ご両家の秘密をそこまで知ってしまった以上、わたしに否やはありませんでした。
わたしの職場に現れて、家内と娘の血を吸いたい、ついては娘の相手はご自身ではなく仲間にさせたい―――そう仰る無羅田様。
遅れて現れた賭喪堕様とおふたりそろったところで、わたしは「いつでもどうぞ」と申し上げてしまいました。
そうしましたら、仰るではありませんか「じゃあこれからすぐに」と。

せめて退勤時間まで待ってほしい・・・と懇願すると、職場の上司までもが「きょうは早帰りして構わないよ」と、いつもの穏やかさで声をかけてくるではありませんか。上司殿もじつはわたしの家内にご執心で、家内が堕ちたあとはお相伴をさせてもらえる―――そんな段取りになっていたようです。もっともその上司殿も、奥様を目のまえの無羅田様に食されている日常にすでに入られていましたから―――表向きの幸不幸や、損得勘定では、この村の人間関係を割り切ることは難しいようですね。


家に戻るとちょうど、娘も帰宅したばかりの制服姿―――これがきっと、賭喪堕様の狙いだったのでしょう。わたしがお二人を家族に紹介するまでもなく、無羅田様は出迎えた家内の目のまえでわたしの首すじに咬みつくと、「ちゅう~っ」っといつものように音をたてて、わたしの血を吸い取ったのです。あとで伺ったところ、「あいさつ代わりの吸血」ということでした。それで家内も娘も、見知らぬ男たちのきょうの来訪の意図をすぐに察するだろうから・・・という・
その場にへたり込んでしまったわたしの前、女性軍は「きゃ~っ!」と、華やかな悲鳴をあげていました。
はい、もちろんその場で掴まえられて・・・
無羅田様は家内の、賭喪堕様は娘の上へと、のしかかってゆかれたのです。

私の気持ちを、どうぞお察しください。
永年連れ添った家内と、手塩にかけて年頃まで育て上げた娘とを、同時に吸血されてしまうのです。
悔しさと、屈辱と―――それからはなはだお恥ずかしいのですが―――えも言われない誇らしさとが、わたしのなかでごっちゃになっていました。

誇らしさを・・・?と、おたずねですか。

はい、何と申してよろしいやら、表現しづらいのですが、しいて申し上げればそういう種類の感情ですね。
自慢の妻や娘を親友に引き合わせるときの感情―――と申し上げれば、ややそれに近いでしょうか?
すでに血を吸われる歓びを植えつけられてしまっているわたしにとって、家内や娘の生き血を賞味されることへの感情は、もはや苦痛ばかりでは語ることができなくなっていたのです。
家内も娘も、いっときの苦痛を通り過ぎれば、もはやわたしと同じ快感を得てしまうことになる。魔道に堕ちてしまったわたしと、仲間になる・・・そんな想いがよぎったのです。

ほら、貴男がお好きな脂の乗り切った人妻ですよ。
御覧ください、ピチピチとして初々しい、セーラー服の女学生ですよ。
どうぞ二人の身体から、美味しい生き血をたっぷりと、吸い取ってやってください。
家内と娘の生き血が、あなたがたのお口に合うとよろしいのですが。
どうぞこの二人にも、吸血される愉しみに目覚めさせてやって、
わたしの感性と同じものを植えつけてやってしまってください。

そんなふうに感じながら、家内が、娘が、うなじに牙を埋め込まれてゆく有様を、じーっと見守っていたのです。
咬まれるたび、あがる悲鳴―――そのたびにわたしは、自分自身が咬まれたときのあの快感を、思い出さずにはいられませんでした。
痺れるような、疼くような、あの痛痒さを―――
その感覚が人をどれほど狂わせて、理性を喪わされるのか・・・お二人の血なし鬼とわたしとは、三人で組になって、なにも識らない身体の女ふたりを、堕落させていったのでした。




一時間後―――提供可能な量の血液を吸い取られて、蒼い顔をして気絶して転がった娘のかたわらで。
妻はひぃひぃと、呻きながら・・・その日までわたししか識らなかったとあとで聞かされた身体を、ゆっくりと披(ひら)いていったのです。
遠い若い日、彼女のキスを得るためにどれほどのことをしてきたのか・・・そんな古い記憶がふと頭の隅をかすめましたが・・・
いまや黒のスカートの奥に突っ込まれた逸物を支点に、ユサユサと腰を振りはじめた家内を目の当たりにすると、守り抜いてきた貞操というものがこんなにも他愛なく汚されてゆくものなのかと、自分がしでかしたことであるのを棚に上げて、わたしは半ばあきれ、半ばぼう然となって、長年連れ添った最愛の妻がほかの男の所有物に堕ちてゆくのを見届けてしまったのでした。

ふたりが荒い吐息をせめぎ合わせながら熱い初夜の儀式を遂げているあいだ、賭喪堕様は娘の制服のスカートからにょっきり伸びた白いハイソックスのふくらはぎを、まだ意地汚くネチネチとなぶり抜いていらっしゃいました。

「お父さん、観ているなんて、ひどいわあ」
「お父さん、だめねぇ。あたくしが夢中になっちゃったのを御覧になって、粗相してたでしょう?お行儀悪いわよっ」
「父さんたら、サイテー。こんなことでキモチよくなっちゃったなんて、友達に言えないよ~」
お二人が立ち去られたあと、家内と娘にはこんなふうに、責め立てられながら・・・その日の夕餉を家族そろって頂いたのでした。
ふたりはわたしに見せつけるように、着替えもせずに・・・
家内ははだけたおっぱいを見せびらかして、破けたストッキングを履き替えもせずに、
娘は襟首に血の撥ねたセーラー服に、血のべっとりとしみ込んだハイソックスの脚を、こちらに投げだすようにして。
ふたりとも口々に、勝手なことを呟くのでした。
「母さん、父さんの前での浮気って愉しめた~?」
「うーん、キモチよくって、なにがなんだか憶えてなーい」
という具合に・・・ですね。



以来無羅田さんも賭喪堕さんも、三日にあげず我が家にお越しになります。
ひっそりと夜這いをかけてこられるときもあれば、白昼堂々と、わたしのいる前で家内を犯しにかかったり、娘の制服を脱がしにかかったり・・・それはもう、やりたい放題。
家内はこれ見よがしに、わたしを裏切る行為を愉しみ続けますし、娘はキャッキャとはしゃぎながら、受験勉強の合い間のストレス解消になるとか言って、なん着めかの制服を台無しにされてゆくのです。
わたしはといえば―――口では迷惑です、とか、わたしの家内をどうするおつもりですか!?とか、非難の言葉を口にしながら・・・でもマゾヒスティックに昂ぶってしまっている本心は、もう家内にもバレバレです。
ひたすら妻を犯される夫の役割を演じては、来客たちの満足を高める務めを果たしています。

いちどぜひ、奥様やお嬢様を、仲良しの血なし鬼さんに紹介してみることをおススメします。
きっといままでとはひと味違った家族生活を、エンジョイできると思いますよ。

株式会社◆◆ ××村事務所 主幹 藤尾真沙輝(仮名)


作者より
画像は二枚一組になっています。
各々ダウンロードして見比べると、雰囲気ががらりと変わるところをお愉しみいただけると思います。(たぶん。 笑)

当村に初めて転入された方のための、吸血鬼応接マニュアル~同村住民課 供血者受入推進室による制作裏話~

2014年08月13日(Wed) 21:53:40

8日にあっぷした前記事「当村に初めて転入された方のための、吸血鬼応接マニュアル」が、早くも4拍手をいただきました。
レスポンスの低い弊ブログとしては、出色の評価であります。 笑
せっかくですんで、このパンフレットを作製した際の裏話を入手してきました。
都会からこの村に転入してきて、短期間の間にご主人→奥さん→娘さんと吸血されたご一家に、パンフレットのモデルとして白羽の矢が立って、
パンフレットのための取材のために村役場のサプライズ訪問があり、下絵が次々と描かれた・・・という状況だったようですね。
こちらもおひまなときにでも、どうぞ。^^



お母さん:きょうも血なし鬼さん、うちに見えられるのかしら?このごろ毎晩だから、困ったわあ。
      きょうみたいにお父さんが家にいると、やっぱり気まずいしなー。

お父さん:(遠くから)どうしたあ?お客さん?ぼくのことは気を使わないでいいからね
       (ぶつぶつ言いながら、まな板と包丁を使っている。トントンという菜っ葉を切る音が規則正しい)

りぃん・・・ろぉん・・・

お母さん:
はーい、どなたあ?

村の職員:
すいませーん。私、役場の住民課・供血者受入推進室のものですが・・・

お母さん:
割烹着を脱ぎながら、はいはい。どんな御用ですか?
      (玄関口まで迎えに出て、ぎょっとする。血なし鬼のおっさんがもの欲しげあ顔をして、ニターリと笑っている)

お母さん:
あっ、はい・・・・あの・・・

村の職員:
(あくまで事務的に)えーと、三室さんのお宅ですね?
じつはうちの役場で、あらたに当村に転入してくる方向けの説明パンフレットを作っておりまして・・・
(そそくさと名刺を渡す。そのことがあたかもひとつの立派な仕事であるかのように)
おめでとうございます!見事!お宅に白羽の矢が立ったのです。

お母さん:
はあー?(けげんそうに職員と血なし鬼とを見比べる)

村の職員:
都会から当村に赴任してきて、実際に家族ぐるみで血なし鬼と良好な関係を作っておられる家族に取材をして、
パンフレットに載せるんです。
そうするとそのパンフレットを見た会社のかたが、当村の血なし鬼さんと出遭っても無用のトラブルを起こし
たりしませんし、 ご家族のみな様のこともスムーズにご紹介願えるかと・・・
ええ、プライバシイにはじゅうじゅう配慮しますので・・・
私、役場では絵の担当をしておりまして・・・それで当時の状況をイラストで再現するものですから。
ご当家に出入りを許されている血なし鬼さんにも、お越しいただいたんですよ。

小父さん:
このお役人、初枝さんとゆうなちゃんに協力してもらって、わしに血を吸われているところを絵に描きたいんだと。
      (ずばりと端的に言う)

お母さん:
えーっ!

村の職員:
(相手の反応におかまいなく)それで・・・これが下絵なんですが・・・
     (お母さん、手渡された下絵を何枚か視る。自分の描き方が気に入らないのか、口をへの字に曲げる)

お父さん:
(奥から出てきて)そうですか、ご苦労様です。せっかくですから協力しましょう。

お母さん:
あなたあ・・・っ!んもうっ!

女子生徒:
お父さんたら、サイテーっ!
      (二人、夫や父親をののしりながらも、満更でもなさそう)

ーーー数刻後ーーー

お母さん:
んもうっ!もっときれいに描いてくださいよっ。これじゃあ、まるで太っちょさんじゃないのっ。

小父さん:
まあまあ・・・肉づきのええおなご衆のほうが、ほかの血なし鬼さんらも歓びなさるだよ。

お母さん:
あのお洋服だって、すぐにクリーニング出したんですからねっ!クリーニング代だってばかにならないし・・・
(ブツブツ言いながらも、小父さんに抱きすくめられてゆく)
(さすがにお父さんのほうを気にしてチラチラ盗み見るが、お父さんは泰然としてパイプをふかしている)

村の職員:
あ、今回の分は、経費で落ちます。

お母さん:
あっ、じゃあついでに、ストッキング代もみてくれるかしら?

村の職員:
はい、それも3足ぶんみてます。

お母さん:
・・・ってことはっ。3足破かれなくっちゃならないってことねっ!?

村の職員:
はい、ご明察ということで。

お母さん:
それに、あのときのあたしの服ったら、血だらけじゃないですか~。
血なし鬼さんがお行儀悪いのが、よろしくないんだわ。

村の職員:
あるていどホラーなほうが、お客受けもいいもんで・・・血の撥ね具合とかはちょびちょび描き加えさせて
いただきます。あと、あとお色気路線を狙って、ちょっと脱いでもらえるといいんですが。

お母さん:
そんなわけにいきませんよ~。お父さんのまえでっ!

小父さん:
いつもやってることでないのさ。

お母さん:
・・・・・・。

小父さん:
ほれほれ、ご亭主があっちさ向いてるうちに、さっさと往生するだよ。

お母さん:
ち・・・ちょっとだけですよ・・・



女子生徒:
えっ、ポーズはぜんぶ同じなんですか?それで、顔つきだけ変えるんですか?

小父さん:
実際には血がハデにぶっ飛んで、えらかったんだがのお~?

女子生徒:
小父さま、止してっ!制服また汚れちゃうわっ。

小父さん:
あー、だけんど村のお役目だで、精を入れて励まんと。
それとわしにはお手当さ、つかねえべ?
せめておぜう(お嬢)の生き血だけ、役得ってことで、たんまり啜らせてくれんかのお?
(村の職員氏、はなから知らん顔を決め込んで、無表情にペンを走らせる)

女子生徒:
えー?困る!困りますぅ・・・明日試験なんですよっ。

小父さん:
とにかくとにかく!手っ取り早く始めっぺ♪
       (女子生徒を押し倒す)

女子生徒:
きゃ~、早くいろんな顔しなくっちゃ!
       (せわしなくかぶりを振りつづけるが、小父さんに首すじをがぶり!とやられてしまう)

女子生徒:
きゃ~っ!

小父さん:
ずずっ・・・ずるっ。じゅるうっ。。
絵描きさんが描いとる間、おぜう(お嬢)の生き血、ずうっと啜っててええんかのお~?

村の職員:
あー、どうぞどうぞ。たんまりやってくんなせ・・・

小父さん:
ゆっくり描いて、えぇ絵にするだぞ~。

女子生徒:
ヒー・・・(気絶)


当村に初めて転入された方のための、吸血鬼応接マニュアル

2014年08月08日(Fri) 13:41:36

―――はじめに―――

このところイタズラ描きにハマっておりまして・・・。 (^^ゞ
いつものノリのやつをビジュアル化するとどんなふうになるか・・・と思って、やってみました。
非常に稚拙な絵ばかりですが、よろしかったらお暇なときにでもどうぞ。 ^^

【付記】一部画像を追加しました。(お嬢さんの逃亡シーン)また、画像ちゅうの文字化け(場所はナイショ)を訂正しました。
(2014.8.11)




当村に初めて転入された方のための、吸血鬼応接マニュアル



きのうまで人間、きょうから吸血鬼
あなたの職場にも、そういうかたはいらっしゃいませんか・・・?



当村へご家族を帯同して赴任された株式会社◆◆様の社員各位

ようこそ、当村へお越しくださいました。
すでに貴社の人事担当者からお聞き及びのことと存じますが、
当村には吸血鬼が多数住民登録しておりますが、一般市民と同様の日常生活を送っており、人間と平和裡に共存しております。
一般市民のなかにも、献血活動を通して吸血鬼となる場合がありますが、人間だった当時の立場をそのまま引き継いで暮らしています。

彼らが必要とする血液量は年々微増を続けており、当村に居住する成人男女ではまかないきれなくなりつつある状況下、株式会社◆◆さまからは格別のご理解を賜り、当村に事務所を新設され、赴任される社員の方々およびそのご家族の皆様を、供血の対象としてご紹介賜ることとなりました。
社員の方の中でも特に、二十代から五十代までのご婦人を配偶者とされているかた、ならびに十代から二十代までのお嬢さんをお持ちのかたを対象に、当村への受け入れを積極的に推進しているところでございます。

初めて当村に赴任された社員様、ご家族のみな様が必要以上の恐怖感を抱かれないよう、このたび簡単な手引書をご用意することとなりました。なにとぞご笑覧たまわり、今後の供血生活へのご理解を深めていただきたく、改めてお願い申し上げる次第でございます。
当村における供血事業が皆々様の日常生活にスムーズに採り入れられることを、村民一同切望しております。


なお、以下のイラストは、実際に当村に赴任された貴社様の社員様ご一家の実例をモデルとして編集しておりますことを、お断りさせていただきます。



【ステップ1:赴任から相手の選定まで】

社員様はあらかじめ貴社様を経由してご家族調書(お名前、年齢、学年、顔写真、血液型、直近の身長体重、健康状態等の記載あり)をご提出いただいております。
ご家族調書をもとに、吸血鬼の側で話し合いのうえ、社員様及びご家族の方々に接するお相手を決定します。
お相手の人選は、吸血鬼の側で一方的に決定されます。おおむね社員様より年配の男性になる傾向があります。ご家族のみな様ともども、敬意をもって受け入れていただきたく存じます。

お相手が決まると、赴任された社員様へのお披露目を意図して、貴社様を介して歓迎会がご用意されます。
歓迎会では貴男様ならびにご家族の方々への吸血行為についてご依頼がありますので、快くお迎えいただくようお願いいたします。
歓迎会の席上別室に招かれますので、そこで初めての供血を体験していただきます。
あいさつ程度の、ごく少量の吸血ですので、生命には別条ありません。
もし快感を感じることができたら、お相手の方に率直にお伝えになることをお勧めします。
「気持ちよかったです」のひと言が、お相手に自信と希望を与えます。

その場で決めなければならないことは、次回逢う日取りと今後の血液提供の頻度です。頻度は慣れてくるにつれて自然に増えていきますので、最初は無理をせず週1~2回程度の供血で差し支えないでしょう。
お相手の都合とお仕事が重なる場合には、あらかじめ上司の許可を得るようにします。その際、「献血活動のため」という理由を附せば、大概優先的に配慮されます。

吸血鬼の多くは、ハイソックスやストッキングを着用した脚に好んで咬みつく習性があります。
ハイソックスは、紳士用でも可とされております。殿方の場合には特に、薄手のストッキング地のハイソックスが好まれる傾向があります。
吸血鬼と面会するときには、お相手の好みに合わせて、ストッキング地の紺か黒のハイソックスを履くと良いでしょう。(社内の売店で取り扱っております)
最初は慣れない履き心地に戸惑われるかと思います。肌になじませるため習慣的な着用をおすすめします。
お逢いするときには、いつも新しいものを着用するよう心がけてください。些細なことのようですが、新品を潔く咬み破らせることで、貴男の貢献度が評価され、信用もアップします。
最初は事情を知らない奥様が不審に思われるので、職場に履き替えを用意しておくことをおすすめします。
職場でもスラックスの下から透ける足首を見かけたら、貴男のお仲間と思っていただければおおむね正解です。





【ステップ2:ご家族の献血に協力しましょう!】

お相手のかたとの交際が順調に進んだら、ご家族の血を献血する段階に入ります。
貴男の大切なご家族に、当村での新しいパートナーを引き合わせる重要な場です。

生真面目でしっかり者の奥さまの、熟れた生き血。
活発で発育のよろしいお嬢様の、若々しさみなぎる生き血。

健康な生き血は、吸血鬼たちにとってうれしい活力の源泉となるはず。
愛するご家族を、自信をもって紹介しましょう!
ご家族の生き血を気に入っていただける、至福の瞬間・・・格別の歓びを味わってください。


このステップでの手続きは、かんたんです。

「家内を紹介しますので、わたしの家までお越しください」
「家内の生き血を差し上げますので、どこか良い場所をご指定いただけますか」

こんなひと言で、じゅうぶんです。

お申し出になるタイミングは、交際開始後、一週間から一か月程度が望ましいでしょう。
期間が短いことは、親密度が増したことを意味します。
期間が長いことは、貴男が奥様を愛するあまり、血を吸われる機会を延ばしたことを意味します。
いずれにしても、お相手は貴男の意思を良い意味でとることでしょう。


―ご注意―
ご家庭の状況によっては、ご家族のお相手として貴男のお相手とは別の吸血鬼が指名される場合もあります。
その場合は、お相手の方の指示に従ってください。
貴男がご家族のお相手候補の方にご家族を紹介する場合もありますし、お相手の方から個々のご家族に直接アプローチされる場合もあります。
その場合でも、家長である貴男には必ず連絡が行きますので、安心してなりゆきを見守ってください。



【ステップ3:奥様の献血】

お相手との交際が順調に進んだら、次に奥さまを紹介します。
紹介のし方は、ふつうのおつきあいと同じように、ごく常識的・紳士的に振舞います。
ご自宅にお招きになるもよし、外での外食も良いでしょう。
貴男の血で満ち足りている限り、吸血鬼は初対面のご婦人を見境なく襲うことはありません。取引先の方やご近所の方を紹介するように、ごくリラックスした雰囲気ですすめるとよいでしょう。




ほどほどに会話が進み、お二人(奥様と貴男のお相手)が打ち解けてきた様子がみえたら、次の段階に入ります。
ご主人が献血のお手本を見せるか、さりげなく座をはずすかします。
両方の状況を作り出すのが、最も好ましいでしょう。
ご主人の献血を奥様がもの珍しそうに観察するようでしたら・・・すべてはスムーズに進行します。
「きゃ~♪」
奥様を襲う吸血は、ご主人が先刻体験済みのものです。決して大きな危険を伴わないことは、すでにご承知済みですね?
座をはずしたご主人は、背中ごしに奥様の悲鳴を耳にして、ゾクッとすることでしょう。

ご承知の通り、吸血行為に際しては献血者のかたの生命は保障されています。また、咬まれるときの苦痛は最小限にとどめられ、むしろ快感を覚えるほうが大きいでしょう。こうした快感をもたらすのは、吸血鬼の分泌する唾液に含まれる毒液の作用によるものですが、副作用としての健康被害は現在のところ確認されていません。したがって、「無害で愉しい気分を感じることができる」といって差し支えないと思われます。
以上はご自身が体験してきた供血行為を通してお感じの事と思います。奥様を対象とした吸血行為でも同じことがいえます。したがって、安心してお相手の方に奥様と対面させてあげてください。




むしろ注意を要するのは、奥様に対して吸血を遂げたお相手と、奥様との関係です。
セックス経験のある婦人に対し吸血を行なう場合、吸血鬼と供血者との間にはほぼ例外なく、男女の関係が生じます。
長年育まれてきたご夫婦の愛情に水を差すようなことにならないよう、心がけていただきたい点があります。
① 本件が理由となっての離婚率は0%です。
吸血行為に付随する性的関係が原因となって離婚した例は、当村では報告されていません。むしろ夫婦間の愛情が高まったとの声が多く寄せられています。不倫関係が成立したからといって奥様が奪われる・・・と考えるのは、きわめて短絡的な想像であるといわれています。婚外婚は必ずしも、ご夫婦の間にすき間風をもたらすものではありません。
② 貴男だけではありません。
決して悲しい経験ととらえないでください。
当村の妻帯者のほとんどが、こうした経験を経て現在の満ち足りた夫婦関係を作り上げています。赴任先である当村において、地元出身の相談相手やお仲間が増える機会ととらえてください。
また、勤務先の事務所のみな様も、ご家族について例外なく、同じ経験をされている点も見過ごせません。奥様同士の会話の中では、彼氏の数自慢も話題になっているということです。
③ 貴男の寛大さが試される場面です。
婚外婚が行なわれる際最も気になるのは、「妻は今後、自分に対してどういう感情を持つのだろう?頼りない夫と思われるのではないだろうか?」という懸念でしょう。
その心配はありません。吸血鬼は必ず夫婦関係を良い方向に持っていくよう誘導します。奥様からはむしろ感謝されると思ってください。





奥様の身体から摂られる血液の量は、一般にご主人の時よりも多いと言われています。
女性の場合抵抗力が強いので、男性以上の血液提供が可能であるとされておりますので、大きな心配はいらないでしょう。

奥様とお相手の男性との交際の頻度は、両人の合意に基づいて決定されます。ご主人の意見は原則として通りませんが、参考にはされる場合がありますので、意見を求められた場合には率直な感想を申し述べるとよろしいでしょう。
毎日の献血は健康に影響があると言われておりますが、吸血鬼の側でも頻度については慎重に振舞う傾向がありますので、過度な心配は不要かと思われます。
むしろ逢瀬を遂げたがる奥様に対して、自制を促すことが多いことでしょう。
交際は大概、貴男の勤務時間中に行われます。ご夫婦の時間を大切にするため、ご主人の帰宅後の訪問は控えるよう指導されているためです。不意の帰宅の際には、相応の覚悟をもたれるのが望ましいでしょう。逢瀬の際は見てみぬふりが好ましいとされていますが、夫に見せつけながらその妻の肉体を支配することを好む傾向の吸血鬼もいるため、その場合にはお相手の嗜好に合わせる配慮も必要かも知れません。
帰宅後の訪問は原則として控えることとされていますが、ご主人の側でそうした交際態度を希望される場合はその限りではありません。




【ステップ4 お嬢様の献血】


吸血鬼と奥様との交際が順調に進展したあとは、最後のお目当てであるお嬢様の献血の段階に移行します。
処女の生き血がなによりのご馳走―――ということは、先刻みな様ご承知のことと思います。
身持ちの正しいお嬢様をお持ちのご家庭は、吸血鬼にとって文字通り、垂涎の的といわれております。
奥さまと相談のうえできるだけ早く、お嬢様の生き血を愉しませてあげるよう心がけてください。

お嬢様には、ご自身が吸血の対象となっていることを事前に知らせるのが望ましいとされていますが、実際にはサプライズ進呈というケースも多々あるようです。


お嬢様のご紹介は、奥様を通じてなされることが多いようです。
女の直感というものからか、紹介された相手が自分の生き血を狙っている・・・ということを、大半のお嬢様が直感すると言われております。
お父さんはなにも知らないふりをして、母娘の協調を穏やかに見守ってあげてください。





吸血行為への導入は、奥さまの役目です。お手本を示すことでお嬢様の緊張を和らげるよう努めてください。
もっとも大概の場合は、警戒心を抱いたお嬢様はたいてい、吸血される機会を避ける傾向があるようです。
年頃の乙女の羞恥心が、吸血鬼の欲情に火をつけることはお察しの通りです。
彼らは若いお嬢さんと追いかけっこをするのを愉しむ傾向があります。
当村では、あくまで視て視ぬふり・・・というのが、理解ある保護者としてのたしなみとされております。






★保護者のかたへ~ 吸血鬼と仲良くなりすぎたお嬢様への注意について




あとがき

さいごは使いまわし画像になってしまいました。(^^ゞ
字の大きさも不統一、お顔も画面によって、同一人物とは思えないくらいいろいろ・・・と課題を残しましたが、
ともあれ「村で堕ちてゆく都会の家族」モチーフの初のビジュアル化 ということで。

(画像制作時期:7月12日~8月4日 本文もほぼ同時並行)

「頼むから・・・」

2014年08月07日(Thu) 07:59:50

頼むから・・・
死の床についた彼に、家族のことを懇願された。
もちろん、引き受けないわけはなかった。
妻は、38。娘は、14。
どちらも、食べごろではないか。^^

頼むから・・・
墓場から戻って来た彼に、献血をせがまれた。
ほんのちょっとの量だというのを、信じないわけにはいかなかった。
真っ蒼になって、彼の仲間になってしまったことを。
後悔しても、はじまらない。

頼むから・・・
わたしの血だけでは、足りなかったらしい。
墓参りにくる妻と娘は、おそろいの黒ストッキング姿。
断るわけには、いかなかった。
だってわたしだって、喉が渇いているんだもの。





2009.6.6あっぷの旧作「頼むから・・・」の、挿絵を描いてみました。
旧作はこちら。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1726.html
続編はこちら。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1733.html
さらにつづきは、こちら。
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-1776.html