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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

通りかかった船。

2015年04月20日(Mon) 08:24:26

街なかといっても、朝の空気は気持ちが良い。
土手のうえのウォーキングロードを独り歩いていると・・・

カサ・・・

たしかに道ばたから、もの音がした。
なだらかな下り坂の斜面になっている土手は、背の低い草に覆われている。
その一隅の、草むらの穂先のすき間から、ひざ小僧だけがのぞいていた。
白のスカートのすそが、少しだけめくれあがっている。

あわてて駆けつけると。
白のスーツを着た若い女性が、あお向けになっている。
どうやら出勤途中らしい、スーツ姿。
その足許に、黒衣の男がひとりかがみ込んでいて。
ふくらはぎに唇を吸いつけて、血を吸っていた。
クリーム色のストッキングが裂けて、むき出しの脛が朝の陽の光を柔らかく照り返していた。

ちゅーっ・・・ちゅーっ・・・
吸血の音は低く静かに、男の息遣いに合せて断続的に続いた。
女性は気を失っているのか、表情を消してひっそりとしていた。

この街に棲む吸血鬼は、人を襲っても血を吸い尽さないのがお約束になっている。
だからこんな光景は、夜昼問わず、街のあちこちで見かけていたし、
だれもが無関心を装って、そのまま通り過ぎていくのだった。

うっかり妙な場にかかわっちゃったな。
そんなことを思っていると。
男は顔をあげてこちらを見、それからおもむろに、にじり寄ってきた。
ショートパンツとウォーキングシューズのあいだは、黒のウォーキングタイツで覆われている。
男は臆面もなく、俺の太ももに唇を吸いつけてきた。
ぴちゃっ。
なま温かい唾液が、タイツごしにしみ込んでくる。

おいおい!男もののタイツなんかに、欲情してる場合じゃないんじゃないの?

さすがに俺が抗議をすると。
男はちょっとだけ顔をあげ、「それどころじゃないんだ」といって、ふたたび唇を俺の太ももに這わせてきた。

痛っ!何すんだよっ!

しんぼう・・・しんぼう・・・
男は俺の両ひざをグッと抱きすくめて動けなくすると、お尻に手を回してあやすように撫でつづけた。

ちゅーっ・・・ちゅーっ・・・

さっき若い女を相手にしきりに発していた吸血の音が、俺の血を吸い上げてゆく。
脳天がくらっと来かけたとき、男はやっと俺のことを放した。
頬に着いた血を手の甲で拭うと、こんどはふたたび女のほうへと這い寄ってゆく。

悪いが、通りかかった船だ。ちょっとのあいだ、番してくんな。

通りかかった船?そんな日本語があるのか?それ言うなら「乗りかかった船」じゃないのか?
言いかえそうとしたけれど、無駄なことだった。
男の魂胆は、見えすいていた。
吸血の相手をした女を、犯すつもりなんだろう。
セックス経験のある女は、ほとんど例外なく、吸血された後に犯されてしまうのだった。
お人好しもいいとこだと、我ながら思いながら。
ガサガサと葉擦れを起こす草むらを背に、俺は通行人が来ないかと気を配ってやっていた。

おい、人が来るぜ?

ふとそう言いかけてふり返ると。
たくし上げられたスカートからむき出しになった太もももあらわに、腰を振っているところをまともに見る羽目になった。
通りかかったのは、散歩途中の老人だった。

俺のまえにちょっとだけ立ち止まり、なにが起きているのかを察すると。

お盛んですなあ。 と。まるで時候の挨拶をするような穏やかな声色でそういった。
そのすぐあとに、 あのひと、きみの彼女さん? とまで、言われた。
いえいえ、そんな・・・といいかける俺に、みなまで言わせずに。
老人はお盛んですなあ・・・ともう一度呟いて、いままでとおなじ足取りで遠ざかっていった。

だいじょうぶですか?
吸血鬼が去った後。
俺は女を抱き起こし、スーツに着いた泥や草の葉を、いっしょになって払ってやっていた。
いい気なもので、あと始末までひとに押しつけて。
やつは意気揚々と、引き揚げていったというわけだ。

だいじょうぶです、エエ、もちろんだいじょうぶです・・・

女のひとは失血で顔を蒼ざめさせながらも、俺のまえでいたって気丈に振舞った。
むしろなにもしないで立ち去るべきだったのか?とも思ったが。
やはり彼女も、支えを必要としているらしかった。

すみません。送っていただけますか?家、すぐそこですので。
エエ、きょうはもう、勤めは休みます。私いなくても、会社はだいじょうぶなはずですから。

さいごのひと言は、ちょっとあきらめ口調になっていた。
俺は女のバッグを肩に提げて、もう片方の肩をよろけそうな歩みのために貸してやった。
生真面目な勤めぶりが、意外にずしっとくるバッグの重さに滲んでいた。

女はいいわけがましく、道々俺に語りつづけた。
じつはセックスは初めてだったのだと。
ちょうど処女の生き血を欲しがっていたあいつと行き会ったのが、運の尽きだったと。
ふつう処女は犯さないものなのにね・・・女は口を尖らせて、そういった。

それ以来。
女と俺とは時おり顔を合わせるようになって。
交際一年を経て、とうとう結婚した。

考えてみれば。
俺は未来の花嫁が襲われて血を吸われる現場に遭遇して。
彼女を犯そうとする吸血鬼に血を与えてやって。
みすみす彼女が純潔を散らしてゆくのを背にしながら、男の手助けさえしてやったのだった。
なんとも間抜けな話・・・そう思い浮かべたとき。
彼女も同じことを、想っていたようだった。

私が犯されたの知ってるくせに。そのときのこと聞くたびに、あなた昂奮してたわね?
いいこと、これからも昂奮できるわ。たっぷりと―――
新婚初夜の床のうえ。
お風呂あがりだというのに真っ白なスーツをきちんと着こなした彼女は、
黙ってカーテンを開くと、窓の外に佇む影を招き入れた。

すまないね。花嫁の純潔をいただくよ。
にんまりとほくそ笑むあいつに、俺はふたたびくり返してゆく。
男もののタイツに、欲情している場合じゃないだろう?

破けたタイツを履いたまま、大の字に伸びてしまった姿勢のまま。
ぼやけかかった視界の彼方。
彼女は嬉々として純白のスーツを凌辱されて、ストッキングを引き裂かれてゆく。

ちゅーっ・・・ちゅーっ・・・

少なくとも。
俺たちが若いうちは、やつの栄養補給の勤めを、果たす羽目になりそうだった。

三人の少年とその家族

2015年04月16日(Thu) 06:57:41

おそろいの濃紺のハイソックスに、おなじ色の半ズボン。
そんなイデタチの三人の少年たちの足取りが、ふと立ち止まる。
早いね。もう来てたの?
頭だった少年が気軽に声をかけた相手は、明るい陽射しにはそぐわない黒衣の男。
男はうっそりと起き上がり、少年たちを見比べる。
血を吸いたいんだろ。ほら、三人ともかまわないからさ。
どの少年も、しょうがねぇなあ・・・という笑みを泛べて、男が自分たちの足許ににじり寄ってくるのを見守っている。
三人三様、ハイソックスに包まれたふくらはぎは、
がっちりしていたり、むちっと肉がついていたり、すらしと細かったりしていた。

さいしょに咬まれたのが、頭だった少年。
三人のなかでもっとも筋肉質なふくらはぎに唇を這わされると。
痛ぇ!って、わざとおおげさに声をあげた。
平気なはずだ。
吸血鬼は、生真面目な男らしい。
年輩男らしいしわがれ声でそう呟くと、いちど放した唇をもういちど、少年の足許に吸いつけた。

うーんっ!
最初の少年が眩暈を起こして、その場に尻もちをついてしまうと。
男は無表情に、二人めの少年の足許にとりついた。
むちっとしたふくらはぎをいとおしむように、さいしょの少年の血をあやしたままの唇を、なすりつけてゆく。
ア・・・
喉の奥からひと声、呻きを洩らすと。
第二の少年もまた、天を仰いだ。
ごく・・・ごく・・・ごく・・・
冷酷なほど太い音を立てて、男は第二の少年の生き血で、喉を鳴らした。

仲間ふたりがへたり込んでしまうと、三人めの少年は傍らのベンチに逃げるように腰かけて、
か細いふくらはぎを、心細げに脚組みをした。
ははは、そんなに構えんでいいぞ。
男はくぐもった声で最後の獲物をなだめながら、さっきのふたりと同じように、濃紺のハイソックスの脛に唇を当てた。
さいしょに吸われた少年が、やっぱり黒森の血がいちばん美味いんだよな・・・って、
ちょっとうらやましそうに呟く。
そんなんじゃないよ・・・痩せた少年が泛べた微笑は、ひっそりとした翳を含んでいる。
ちゅう・・・ちゅう・・・
あからさまな音をあげて。
彼の血潮もたっぷりと、男の唇に含まれ、飲まれていった―――


ったく、きょうはしつっこかったなあ・・・
さいしょの少年は、独り家路をたどりながら、彼にしてはめずらしく愚痴っぽく呟いた。
しつっこかったって?
耳もとで囁かれた声に、少年はビクッと顔を振り向ける。
さっき自分の血を吸い取ったばかりの男が、すぐ後ろでほくそ笑んでいた。
おい!おい!びっくりさせんなよっ!
とっさに飛びのく少年を、男は壁ぎわに追い詰めていた。
フットワークの良いはずのスポーツ少年も、この男の身の軽さにはかなわない。
どうしたいんだよ?まだ気が済まねぇの?
むっとした顔の少年に、男は言った。
じつはお前の血が、いちばん美味かった。ほかの奴らのまえで言ったら悪いと思ってな。
だから・・・もう少し吸わせろって?
なおも睨みあげる少年に。
これから、彼女に逢うんだろ?
男は図星を、突いていた。
お前なあ・・・
口を尖らせる少年に、人の彼女にまで手を出す気かよ・・・と皆まで言わせずに、男は言った。
彼女、あんたの負担を減らしたがっていたぜ。
彼が主将を務めるチームは、ここのところ連敗だった。
主将がOKすると、みんなOKしてくれるんだもんなあ。
男の言う通りだった。
チームメイトのほとんどは彼の毒牙にかかっていて、順ぐりに血を吸われる関係になっていた。
男は自分の仲間に善意の献血者たちをまた貸ししたため、人数の割に需要は逼迫している。
おかげでチームは、連戦連敗。
二部落ちはいやだ~というのが、女子生徒たち共通の願いにまでなりつつある。

男がいうまでもなく、ふたりの背後には気づかわしそうな顔つきをした少女がひとり、佇んでいた。
濃紺のプリーツスカートの下に履いた、真っ白なハイソックスのふくらはぎに、
さっき自分がされたのと同じように、唇が吸いつけられてゆくのを。
男がチューっと唇を鳴らして、少女の血潮をムザムザと吸い上げてゆくのを。
濃紺のひもリボンをほどかれた首すじに、飢えた唇がなおもしつように這わされてゆくのを。
少年は股間の疼きの熱さを我慢しながら、見守っているしかなかった。


ったく、迷惑この上ないよなあ・・・
二人めに吸われた少年は、ハイソックスの下に隠した咬み痕をさすりながら、愚痴っていた。
たしか体重増加防止になるって言い草だった。
うっかりそれで、首すじをゆだねてしまったのが、運の尽きだった。
やつはそれ以来、彼に付きまとって――家のなかにまで勝手に入り込んでくるようになっていた。
いつだか家に呼んで血を吸わせて以来、施錠されていてすら入り込めるようになったらしかった。
迷惑この上ないって?
いきなり囁かれた小声に、少年はビクッと後ろを振り向いた。
案の定。
男はすでに部屋でずっとくつろいでいた・・・といわんばかりにリラックスして、ほくそ笑んでいる。

わかったよ。まだ吸い足りないんだろ?
少年はやけになって、ハイソックスのつま先を差し出した。
すまないね。
男は少年の気前良さを遠慮なく受け止めて、唇をチュッと吸いつける。
きょうで二足めだぜ・・・
恨みがましそうに見おろしてくる少年の目線をくすぐったそうに受け流しながら。
男は聞えよがしな音をチュウチュウたてながら、少年の血を吸った。
やっぱり血の味がいちばん良いのは、きみだね。
ほかの連中には、ナイショだぜ?
そんなうまいこと言って・・・どうせほかのやつらにも、同じこと言ってまわってるんだろ?
図星を突かれた男は、フフフ・・・と含み笑いをしながら言った。
きみの母さんの穿いている肌色のストッキングも、面白そうだよね?

母さんの血を吸うつもり!?
大きな声出すなよ。聞こえるだろ?
いや、だって、それは、だめだって!よくないよ・・・父さんだって、困るって。
うろたえる少年を制しながら、吸血鬼は言った。
お父上のことはさておいて・・・きみは母さんの血を吸われるのに、異存があるのかね?
少年は目を見張った。
きみの血が美味しいといことは、親御さんの血も美味いということになるね。
血を吸われるたびにそんなことばかり囁かれているうちに――
母も自分と同じように血を吸い取られてしまうという想像が、少年の脳裏に色濃く刷り込まれてしまっている。
異存は・・・ないけどさ・・・
じゃあ決まりだ。きみはここで息をひそめていればいい。
すっと立ち上がる男を、失血で尻もちをついた少年は止めることができなかった。
母さん、逃げて!早く・・・
彼の希望を断ち切るように、「あっ、どなた?」「な、何するんですッ!?」ドタバタッ。「きゃあ~っ!」
そんな声と物音とが、階下のリビングから聞こえてきた。

リビングに下りてゆくと、母親の血を吸い終わった男が、吸いつづけていた首すじから唇を放したところだった。
エプロンに血を滲ませたまま、母親は半死半生のていで、息を弾ませていた。
むふふふふふっ。これからがお愉しみさ。
男は母親のワンピースのすそをたくし上げると、あらわにした太ももに再び咬みついてゆく。
肌色のストッキングに包まれた太ももは、ドキッとするほどむっちりとしていた。
太ももの一角に突きたてられた牙に、母親がもういちど、悲鳴をあげた。

パリッ。ぶちぶち・・・ッ
ストッキングを破り放題に愉しみながら。男は尻もちを突いたままの少年に囁いた。
いつもすまないね。
いえ・・・
仲の良い母子だった。
招かれざる訪問客の渇きを、自分たちの身体をめぐる血で代わる代わる、癒していったのだ。
ここから先は、きみはまだ視ない方が良いな。
男はそう言ったけれど、少年にはその場を立ち去る機転も体力も、残されていなかった。
母親のワンピースのすそが、さらにたくし上げられるのを、
そして母親が自分から、ショーツをつま先までずり降ろしてしまうのを、
少年はただぼう然と、見守っていた。


ったく、昂奮で眠れやしない。
いちばん痩せた少年が恢復したのは、夕食後のことだった。
ひとの血だと思って、自分のつごう次第でむしり取るんだから・・・
夜空の窓を見あげる少年の傍らで、囁きが洩れた。
眠れないって?
え?
ビクッと振り向く少年の後ろで、男がほくそ笑んでいる。
もの欲しげな笑みを、もう少年は見慣れてしまっていた。
ボクの血が、じつはいちばん美味しかった・・・とか言うんだろう?
図星を刺された男は、まあ、そうひとをうたぐるもんじゃないと言ったけれど。
すまない。きょうはとめどがないみたいなんだ。
正直にそういって、もうパジャマに着替えてしまっている少年の足許に目線を落とした。
今夜はなにがご希望?
こないだ家に上がり込んできたときは。
父さんが視ているまえで母さんを襲って生き血を吸い取っていった。
さすがの父さんも、血を吸われてしまうとぼう然となって、最愛の女性がみすみす血を吸い取られてしまうのを、ぼう然と見守っているだけだった。
そのあとどんなことが起きたのか――視ないほうがいいと言われるままに二階の勉強部屋に引き取った彼は、目にしていない。
もちろんなにが起きたのか――理解できない年頃ではなかったけれど。

あの公園でさ。妹さんとデートする気はないかね?
え?
妹さん、きょうは遅くまで塾なんだって?お疲れ様。
要するに、塾帰りの妹の携帯に連絡を取って、公演で待ち合わせろということらしい。
この時間だ。きみも制服が望ましいな。
まるで教師みたいな口調に向かって、露骨にしかめ面を返しながらも、少年はパジャマから制服に着替えていた。

お兄ちゃん・・・
ひどい。ヒドイわっ。
ほの香の血を、こんなひとに愉しませちゃうなんて!

口先では目いっぱいの抗議をしながらも。
公園の地面に倒れ込んだ少女は、そんな非難の声すらも囁きに変えてしまっていた。
真っ白なハイソックスのふくらはぎに物欲しげにかがみ込んできた吸血鬼が、チクリとした痛みを伝えてくるのをじっと耐えながら。
崩れかけた理性を立て直そうとして、
「こんなじゃいけない。はやくやめさせないと・・・」と、意志を奮い立たせようとしたけれど。
ゴクリゴクリと音をたてて自分の血を飲み耽る男のまえに、そんな意志さえはかなく散ってしまいそうになる。

あたしの血、おいしいのかしら。
お気に入りのハイソックス、愉しんでいただいているのかしら。

いつのまにか泛んだ、そんな心の呟きにはっとなりながら。
肩先を撫でてあやしてくる兄さんは、囁いてくる。

ボクや母さんの血だって、美味しく飲んでくれているひとなんだから。
ほの香の血が、美味しくないわけがないじゃない。

そうね、安心していいのよね・・・
少女は安心しきった笑みをほんのりと泛べ、
兄はそのほほ笑みの妖しさに、ハッと息を呑んでいた。

自分の血を美味しいと褒められた少年は、母親を引き合わせ、
母親の血を吸われた少年は、妹を連れだして。
母と妹を吸われた少年は、自分の彼女さえ紹介してしまう。
そんな食物連鎖の影で、血に飢えた男はひっそりと笑う。
ただしその笑いの裏側には、ひそかな憐憫と同情、それに感謝や尊敬も湛えている。
皮膚に突きたてられる牙を通してそれらの感情を敏感に感知したものだけが、
忌み嫌うことなく己の身体から血を吸い取らせ、大切な女性たちをも共有しつづけてゆく――


あとがき
さいごの結論に書いた順序通りにすればよかったかなあと、ちょっと反省。
リベンジは逞しい順に行われるべきだろうし、
いちばん逞しい少年には彼女がいるだろうし、
妹を夜の公園に連れだす役柄は、もっとも繊細そうな痩せた少年に割り当てるのが好ましいし、
そんなことを考えながら、お話を作りました。
一部関連画像を、近々某所にあっぷするかも・・・です。乞うご期待。

【ニュータウン情報】 花嫁一人に、二人の夫――急増する”重婚式”

2015年04月11日(Sat) 17:41:08

市内最大の結婚式場、「寿ホール」で、新婦1人、新郎2人という、いっぷう変わった結婚式が行われた。
新郎は花田貴之さん(28)と熊石勝平さん(57)、新婦は貴之さんの妻、美穂子さん(26)。
(いずれも仮名)
もともと夫婦であった花田夫妻の家に、熊石さんが同居するという。
「重婚式」とよばれるこうした結婚式は、近年急増しているといわれる。
市には正式なデータは存在しないが、「寿ホール」だけでも、平成××年度以前には平均して2~3件だったものが、一昨年度は8件、昨年度は15件。今年度になってからは早くも、花田夫妻と熊石さんのケースで7件を数えている。

過疎化が進むこの街では、かねてから嫁不足が問題となっている。
特に高齢化の進む職人町では、問題は深刻だ。
「跡取りがいなければ技が絶える」という危機感のもと生まれたのが、この「重婚式」。
もともと夫婦であったカップルの奥さんと独身男性とが性交渉を持つことで、二世の誕生を期待することができるという。
もちろん当初の夫婦と独身男性との間には信頼関係や愛情関係がなければならず、普通の夫婦以上に相互の信頼や愛情が重視されるといわれている。

花田さんは三年前、仕事の関係で都会から美穂子さんを伴って転入。その年に参加した懇親パーティーで熊石さんと出会い意気投合、夫婦での交際はその三か月後にスタートした。
「最初は戸惑ったんですよ。ボクだって妻を奪われたら困りますからね」
いまではにこやかに語る花田さんにも、悩みはあった。毎晩のように繰り返される夜這いに、とうとう美穂子さんが”陥落”。
「最初はすごく強引で、暴力的で・・・ほんとうにどうしよう?って思ったのですが」
と語る美穂子さんはある時、熊石さんにこう訴える。
「主人は弱虫かもしれないですが、私にとって大切な人なんです」
「このひと言が、三人の関係を変えましたね」というのは、熊石さん。「なんとかご主人とも共存できないものか」。
熊石さんの提案した”重婚式”には、むしろ貴之さんのほうが積極的だったという。
「お互い相手を立てるというところで、和解が可能かなって思ったんです」
夫から彼を受け入れるよう説得を受けた美穂子さんも、決心を固めた。翌日の夜熊石さんが現れたとき、貴之さんは目のまえで美穂子さんと愛情行為を交わしてほしいと申し出た。
「一発・・・でしたね。はい、文字通り」美穂子さんはその夜の記憶を、あっけらかんと笑いながら回想する。
「主人、いえ、貴之が昂奮しちゃったんです。熊石もいつも以上に張り切ってくれて・・・これなら三人でやっていけるかなって感じました」
二人が愛し合うところを目の当たりにすることになった貴之さんも、最愛の妻を熊石さんと共有することに同意。
親族の一部には反対するものもあったが、二人は強引に押し切ったという。
「熊石さんが美穂子を押し倒した時の強引さに比べれば、どうということもないんですよ」
重婚式に出席した貴之さんの母美恵子さんもまた、一人息子の嫁が息子以外の男性を受け入れるというこの宴席の席上で、地元の男性に見初められ、いまでは夫の同意を得て、地元の老齢男性の”老いらくの恋”を受け入れているという。
「三人が三様に幸せになる。こういう男女関係のあり方が、もう少し公認されてもいいのではないかと思いますね」

地元でも格式の高い家では、「どちらの男性が父親なのか確定できなければ、うちの後継ぎとは認められない」というところもあるが、「子作りをするセックスをする時期を意識している重婚家族もあり、共存は可能」とする専門家もいる。
そうした家のあるじが重婚を望んだ場合には、最初の結婚で生まれた子供が大きくなった夫婦がターゲットになると言われている。
花田さんの家では、そのあたりはむしろ達観しているという。
「どちらの種だったとしても、美穂子の子供であることには変わりはない。愛情をもって育てます」
貴之さんの返事はきっぱりとしていて、むしろ清々しささえ漂わせる。

二度目の装いとなるウェディングドレス姿の花嫁と両側から支える二人の花婿は、嬉々として家路をたどった。
今は夜這いを受け入れているだけの夫たちもやがて、妻の恋人との共存をこうした形で容認する人々が、今年も多く生まれそうである。

注意:登場人物の氏名は、いずれも仮名です。

時事ねたは、やらないことにしているのですが。

2015年04月09日(Thu) 07:35:06

うーん、やな事件が起きましたね。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20150409-00000012-asahi-soci

犯罪はいけません。くれぐれも・・・

彼女の味見。

2015年04月06日(Mon) 08:01:10

この子、きみの彼女?ちょっと味見させてね~。
ハルキは涼太と由紀奈のまえに腰を下ろすとすぐに再び腰をあげて、
由紀奈の首すじに唇を近寄せた。
制止する間もなかった。
その場にへたり込んでいちぶしじゅうを見守る涼太のまえ。
由紀奈の白いうなじを咬んだハルキは、ゴクゴクと喉を鳴らして由紀奈の血をむさぼった。

遠くからさ、友達に写メしてもらったんだ~。
ハルキがふたりに見せた、携帯の画面。
抱き寄せられた由紀奈が、ハルキに咬まれている画像だった。
あんまり素敵だから、待ち受け画面にさせてもらうね♪
ハルキは邪気のかけらもない顔をして、声をあげて笑った。
あっけらかんとした笑い声に、血を吸われた由紀奈も、彼女の血を吸われた涼太も、あっけにとられていた。

由紀奈可愛いよね~。
ほら、一生けんめい献血してるって感じじゃん。
ハルキの携帯画面のなかで、由紀奈は頬をかすかに染めて、羞ずかしそうに目を瞑っている。
制服のブラウスの襟首にバラ色のしずくを撥ねかしながら神妙に俯いている様子は、
ほんとうに心から献血しているような錯覚を――涼太に植えつけていた。

涼太のやつ、案外嬉しそうじゃん~。
由紀奈に見せたのは、尻もちをついた涼太の写真。
お手々はさりげなく股間をさぐり、目つきはあきらかにぽーっとしている。
けれどもハルキはわざと、そうした露骨なことは由紀奈の前では口にしない。
彼氏の恥に目を背けてくれたことに、由紀奈はハルキに対してかすかながらも感謝を覚えた。

由紀奈、俺のハイソックス好きを心得てるみたい。
待ち受け画面は、由紀奈を襲うたびに更新になるらしかった。
こっちに向かってお尻を突きだして四つん這いの姿勢を取らされている由紀奈は。
恐る恐るこちらを振り返って、ハイソックスを履いたままのふくらはぎに咬みつくハルキを盗み見ている。
濃紺のハイソックスにきりりと引き締まったふくらはぎに、ハルキの牙を根元まで埋め込まれているのを。
じかに視たい・・・とはさすがに、涼太も口にすることはできなかった。

ねえ、ふたり・・・いつからつき合ってんの~?
ハルキはいつも、風のように現れる。
たいがいは、公園で二人きりでいるとき。
でも、肝心のところでは決して、二人の邪魔をしようとはしない。
だからふたりは、キスも済ませていたし、ペッティングも愉しんでいた。
え?ああ・・・もう半年になるかな・・・
そうね。文化祭のときからだもんね。
じゃあ、どうして最後までイッちゃわないの~?
つき合うって、要するにそういうことじゃん。
ハルキのストレートな言いかたに、二人は声も出せずに俯いた。

セックスを経験した子がハルキに襲われると、エッチまでされちゃうんだよね?
下向の時にいつも肩を並べるはずの涼太の代わりに、きょうはハルキが隣にいた。
ウン、そうだよ。それって、礼儀じゃん。
エッ!?礼儀・・・!?
びっくりしてふり向く由紀奈を、ハルキはひょうひょうとして受け流す。
綺麗なひとだなって思うから、襲う。魅力的だなって思うから、抱いてしまう。
好きになったレディへの最上の敬意の払いかたが、それだと思うね。
さいごのほうはハルキも、真顔になっている。
真顔になったハルキの横顔を、由紀奈も真顔になって、じいっと見つめていた。

覗きはよくないよ~。
ビクッとして振り向くと、そこにはハルキがいた。
イタズラっぽく笑うようすは、いつもながらに邪気がない。
さっきまで自分より20歩ほど前を由紀奈と歩いていたはずなのに、いつの間にこうなったのか?
電信柱から顔だけ出して、ふたりが連れだって四つ角を曲がって姿を消したあとも、ぼーっと見送ったままでいた。
いちどだけの約束で、由紀奈と連れだって下校する権利を譲ったはずなのに。
どうしてもふたりの様子が気になって、気がついたらあとを尾(つ)けてしまっていた。
気にしない。気にしない。彼女なんだもん、気になって当たり前だよね。

彼女、いいこと言ってたよ~。
俺ってさ、男子を識ってる女子の血を吸うときって、セックスまでしちゃうだろ?
だからさー、涼太とヤったらすぐに、俺に犯されちゃうんじゃないか?って心配してるんだ。
彼女があと一歩のところで落ちないのは、そういうわけ。
こないだ芝生のうえで、ふざけたふりをしてのしかかってみたときも。
そのまえにパンティのなかに手を入れてまさぐりながら、押し倒そうとしたときも。
必死になって拒んだ由紀奈。
もしかして・・・あいつに気があるんじゃないの?って言ったら、涼太までそんなこと言うの?って、泣かれてしまっていた。
きょうの放課後も、
「よう、たまには俺と帰らない?」
って、なんの説明もなしに声をかけたきたハルキに、「いいわよ」ってふたつ返事でついていったのも、
もしかして・・・もしかして・・・なんて。
思ってしまっていたのだった。

彼女の気持ち?さぁ~?そんなの自分で確かめたら?だってきみ、由紀奈の彼氏じゃん。
由紀奈はどう思っているんだろう?って、訊いたとき。
ハルキは珍しく、涼太のことをばかにしたような顔で見た。
自分で訊けないんだったら、俺味見しちゃおっかな~?
わざとのように挑発的に輝いたハルキの顔つきが、じつはマジなのを、涼太はいやでも気づいてしまっている。

味見しちゃっても、いいよね~?
気まずく黙りこくってしまったふたりの間に、割り込むように。
ハルキはいつもの性悪な笑みで、二人をかわるがわる見た。
彼女さ~。俺に処女の生き血を吸わせつづけてくれたくって、涼太とエッチしなかったんだってさ~。
でもそうすると、涼太は気の毒に、彼女の味見をされつづけちゃうんだよね~。
人間と吸血鬼とでは、味見の仕方が違うから、共存できなくはないんだけど。
吸血鬼だって、人間の女の子を好きになっちゃったら、エッチすることはできるんだぜ?

綺麗だなって思うから、襲う。魅力的だなって思うから、エッチしちゃう。

まえにあいつ、そんなこと言ってたっけ・・・

ハルキにとって由紀奈は、やっぱり魅力的なの?
もっちろん!
血を吸うだけじゃなくって・・・その・・・たとえば・・・女の子として・・・?
・・・言わせるなよ。
いつもおちゃらけているハルキが、珍しく真顔になった。
セックスは愛するレディへの最上の礼儀――そう言ったときとおなじ、顔つきだった。
あたし、ハルキくんとエッチする・・・
由紀奈の可愛い唇から、怖ろしい言葉がこぼれ出た。

つき合うのはもちろん、涼太くん。結婚するのも、涼太くん。だって同じ人間なんだもの。
でも、最初のエッチは、ハルキくんとする。
それから結婚してからも、ハルキくんとのエッチを優先させてあげる。
だってハルキくん、自由なように見えて、居場所がないんだもの。
こんなあたしでも・・・つき合いつづけてくれる・・・?涼太くん・・・

そのあとどうなったのか、涼太はよく思い出せない。
しどろもどろに頷いてしまって。
ハルキにおめでとうを言って。
覗きはダメだけど、今回だけは特別だよ~って、いつもの調子で言われて。
彼女なはずの由紀奈に、ハルキが用意したロープでぐるぐる巻きに縛られて。
由紀奈は器用だもんな・・・って、痛すぎないけれど身じろぎできない縛りかたに、感心してしまって。
ブラウスの釦を外してブラジャーをのぞかせた由紀奈に、ハルキが息荒くのしかかっていって。
吸血するときと、いっしょじゃん・・・って、我ながら冷静な観察をして。
すその乱れたチェック柄のプリーツスカートからはみ出した太ももが、ひどく眩しくて。
痛そうにキュッと瞑ったまぶたを縁取るまつ毛の震えに、吸血されるときといっしょじゃん・・・って、やっぱり冷静に観察しちゃって。
その瞬間歯を食いしばった由紀奈の顔に、思わずパンツを濡らしちゃって。
野郎、6回もするなんて・・・って、ここでも冷静に回数まで数えちゃって。
太ももを伝い落ちる血を舐め舐めするハルキに、好きにやらせながら、彼女のむき出しの肩にブラウスを着せかけてやって。
あたしのいちばん恥ずかしいところ視られたんだから、いっしょにしたのと同じだよ・・・って、由紀奈に妙な慰め方をされて。
それ、フォローになってないじゃん!って言ったら、
だって~、さいごのほうすっごくキモチよかったんだもん!って、プライドが跡形もなくなるようなことを言われて。
三人連れだって、青春だね・・・ってわけわかんないこと呟いて、バイバイをして。

由紀奈とはじめてセックスをしたのは、披露宴のあとの新婚初夜。
そういう肝心なときだけは、あいつ邪魔しにこないんだ。
いつもは居場所のないあいつ。
こんなときどうしてんのかな?なんて、妙に気になっていたら。
隣で寝ていた由紀奈も、おなじ想いだったみたいだけど。
それでもあいつは、さいごまで現れなかった――

出勤している留守にあいつが居座って。
新居で新妻を、精液まみれにさせているって聞いたけど。
それでも涼太は――由紀奈もハルキのことも、大切に心に抱いているのだった。

愛情。

2015年04月05日(Sun) 06:50:02

ただたんに、「喉が渇いた」と言われただけならば。
きっと断っていただろう。
わたしが彼に妻の生き血を吸うのを許したのは。
「奥さんを愛している」って、言われたからだ。
彼らといえども、愛する人の生命を奪うことはしないだろうから――

渇いた喉を抱えながら、なん人もの愛人をも抱え、かわるがわる訪う男。
最愛の妻を、彼の愛人の一人として捧げたことを。
わたしはたぶん、後悔しない。
今夜も妻は、夜だというのに着飾って。
真夜中のデートに、出かけてゆく。

3月は久々の豊作でした☆

2015年04月02日(Thu) 05:20:38

おはようございます。柏木です。
3月は久々の豊作でした。
24話かあ・・・たえて描いてないなあ。こんなにいっぱい。
2012年の9月に30話描いてるんですね。これ以来の数字です。
ずいぶんまえのことになりますが・・・そういえばこの時期には、かなりすとれすが高かったかも。
><
やっぱりお話の多さは、すとれすのバロメーターなんでしょうか?
^^;