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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

勤務中の夫君は、ご機嫌斜めである。

2016年07月24日(Sun) 08:32:29

「また君か!ひとの仕事中に、いったいなにをしに来たというんだね!?」
勤務先のオフィスにまでのこのこと現れた老爺をみて、長谷幸雄は思わず声を荒げた。
けれども彼は、自分の投げた質問が愚問だと、改めて感じていた。
そう、この忌々しい老爺が口許からよだれを垂らしながら現れるときは――血を吸いたがっているのだ。
老爺は案の定、喉をひくひくさせながら、こたえた。
「へぇ、あんたさんの血を吸いに、うかがいやした」
「勤務中なんだ。遠慮してくれないか」
ニベもなく応えたつもりが、語尾が震えている。
「へえ、でもあんたさんしか、血を下さるアテがないもんで」
子供たちは今頃学校か・・・
老爺のために血液を提供する相手として、真っ先に家族を思い浮かべてしまったことに、
幸雄は内心、舌打ちをする。
「奥様からはさっき、いただきやした。へぇ・・・たっぷりと」
幸恵が・・・そうか・・・
こいつらが女の血を吸うとき、相手の女がセックス経験者の場合には、たっぷり犯していくという現実を、ふと思い出す。
老爺のニタニタ笑いが、実に忌々しかった。
想像のなかで、妻の幸恵が自宅のリビングで、蒼い顔をしてひっくり返っている。
忌むべき訪客のためにわざわざ着替えたワンピースには、したたかに血を撥ねかしていて。
むしり取られたストッキングを、片脚だけに残していて。
むき出しになった太ももには、淫らな粘液をぬらぬらさせていて――
あらぬ想像に股間に昂ぶりを覚えてしまうのは。
それは絶対に、あってはならない、恥ずべき事・・・
老爺は幸雄の心中を完全に見透かしているらしく、
勃った股間を覆うズボンの不自然な引きつれを、面白そうに窺っている。
チラチラと送られてくる同僚の盗み見の視線が、焦りと屈辱とを倍加した。
「ハセさん、あっちの打ち合わせテーブル、きょうは空いてるよ」
同僚の小塚がなにげなく、オフィスの隅のパーテーションに仕切られた一角を目で指した。
「きょうは」ということは、いつもは満室だったりするからだ。
打ち合わせテーブルは、このオフィスに勤める社員たちが、
男女を問わず血を吸いに来る地元の老爺や老婆たちを迎える場になっていた。
幸雄は忌々し気に、周囲に聞こえるような舌打ちをわざとすると、席を立った。

「まったく・・・あんたらは人の血をなんだと思っているんだね!?」
言葉とは裏腹に、血に飢えた老爺に脛を吸わせるため、幸雄はスラックスのすそをたくし上げている。
履いているハイソックスの口ゴムがあらわになるまで引き上げられたスラックスのすき間から、むき出しのひざ小僧が覗くと。
老爺は声にならない嘆声を洩らした。
幸雄の脛は薄地の濃紺のハイソックスが透きとおり、
淡い地毛の浮いた素肌を、女もののストッキングのように染めあげている。

ウフフ。だんな、どうしてなんでしょうねぇ。
都会の殿方が脚に通すこのテの靴下、どうしてこんなになまめかしいんでしょうねぇ。
男ものなのに、どうしてこんなにわざとらしく、テカテカ光ってるんでしょうねぇ。
老爺は嬉し気に、頬ずりせんばかりに幸雄の脚に顔を近寄せる。
とっさによけようとした脚を、足首を掴まれて抑えつけられると。
つぎの瞬間、生温かいものがふくらはぎに沁みついた。
老爺は早くも、薄地のハイソックスのうえから唇を這わせ、舌をチロチロと滲ませてきていた。
先刻妻の素肌を濡らしたに違いない淫らな唾液が、ハイソックスのうえからじっとりとしみ込んできて、
好奇心もあらわな舌が、薄いナイロン生地の舌触りを愉しみはじめていた。

あっ・・・あっ・・・あっ・・・あっ・・・
気がついたら、イスからずり落ちて尻もちをついていた。
咬み破られたハイソックスはじりじりと裂け目を拡げて、しっかり掴まえた老爺の掌の下、くしゃくしゃにされてずり落ちかけていた。
でも、それどころではなかった。
老爺は恐るべき勢いで、幸雄の血を吸いあげ続けている。
頭からスーッと血の気が引いていくのが、いやでもわかった。
こんなふうに、こんなふうに、幸恵のやつも・・・
体じゅうの血液を引き抜かれる恐怖を覚えながらも、
幸雄の脳裏からは犯されて放心している妻の想像が去らないでいた。
気がついたら失禁していたけれど、
スラックスにしみ込んだ生温かい異臭など、気にしている場合ではないようだった。

全部・・・吸い取る気なのか・・・
そうだ、幸雄がいなくなればもう、老爺と幸恵を遮る邪魔者はいなくなる。
老爺は真っ昼間から長谷の家を訪ねていって、おおっぴらに幸恵を犯すのだろう。
くらくらと眩んだ視界をかいくぐって、組み伏せた幸雄のうえにのしかかってきた老爺が息をはずませていた。

でぇじょうぶですぜ、だんな。
あんたを殺めるつもりなんぞ、これっぽっちもありゃしない。
その代わり、幸恵をあっしの自由にさせてくだせぇ。
だんなは優しいから、絶対見て見ぬふりをしてくれるって、幸恵も言ってくれてますんでねぇ。
老爺は幸雄の耳もとでそう囁くと、夫婦の血潮に濡れた牙を幸雄の首すじにあてがって、
そのままずぶりと突き入れてきた。
アーッ!
初めて幸恵が犯された夜。
老爺の忌むべき剛肉を股間に突き入れられた瞬間、妻が同じ叫び声をあげたのを。
いまさらながらに、思い出した。
血に濡れた老爺の唇が、幸雄の唇に迫ってくる。
幸雄はたまらなくなって、唇を重ねてくる老爺に、応えていった。
――しまいには、夢中になって、自分から唇を重ねていった。
妻の素肌にしつように這わされる、忌々しいはずの老爺の唇が。
結び合わされたように密着させられた幸雄の唇に、異常なくらいしっくりとなじんでいった。

あお向けの姿勢から、腹這いに転がったのは。
老爺にふくらはぎをねだられたから。
薄い靴下を履いた幸雄のふくらはぎをいたぶりたいと、そう願われて。
幸雄はなぜか、老爺の願いを好意的にかなえたい気分になっていて。
吸いつけられた唇が、薄いナイロン生地をいたぶり抜くのが、妙に小気味よくなってきて。
もっと・・・もっと・・・。
そう呟きながら。
けれども老爺が恥知らずなやり口で、幸雄の靴下を破ってしまうと。
「あんた、いい加減にしなさいよっ!」
と、弱々しい怒声をあげていた。

「いけないだろう、そんなこと!」
「ひとの靴下を破くのが、そんなに面白いのかね!?」
「まったくっ。あんたは本当に恥知らずだなっ!」
思いつく限りの叱声をあげながら。
あんたの靴下を破くのは、むしょうに愉しい。
そんなことを囁いて来る老爺のために、もう一足履き替えてやろうかとまで、思っていた。

老爺との浮気に出かけた妻が。
破けたストッキングのまま帰宅してきたのを咎めると。
とても言いにくそうに、言っていた。

だってこれ、穿き替えで持っていったやつなのよ。
二足とも、だめにしちゃったのよ。

木曜の夜の公園で。

2016年07月16日(Sat) 08:41:42

家に戻って。シャワーを浴びて。
それからもういちど、セーラー服を身にまとう。
いつもの白のソックスの代わりに、今夜は黒のストッキングを脚に通す。
まだ封を切っていないパッケージの、透明なセロテープに爪を立てて、
息をつめながら、擦りむいていって。
帯みたいに長い、なよなよとしたナイロン生地の、つま先をさぐっていって、
つま先の縫い目を、爪にあてがうようにして、
足首を包み、グンと引っ張り上げて、
肌の透ける薄地のストッキングは、ゆいの足許をみるみるうちに、大人びた色へと染めてゆく。

丈長のスカートの下、脚の輪郭をぴっちりと引き締めるナイロンの感触が。
ゆいをどこぞのお嬢さまに、変えてゆく。

「・・・行ってくる」
玄関までついてきたママ向かって、いつになく目を伏せてしまったのに、
目ざとく気づきながらも、なにも気づかないふりをして。
「気をつけてね」
ママはそう言って、ほほ笑んでくれた。
木曜の夜――それは、ゆいの家の近所に、吸血鬼が出没する夜だった。

ゆいは、吸血鬼の正体を知っている。
それは、同じクラスのテルキくん。
吸血鬼と人間の共存を目ざすこの街でも、彼の存在はやっぱり特異で、
図抜けた頭脳と体力の持ち主なのに――いや、それゆえかもしれないけれど――だれもが距離をおいていた。
木曜に吸血鬼が出没するという情報の出どころは、
部活で帰りが遅くなる、運動部の子たちだった。

やらしいんだよ、脚を咬むんだよ。
あたし、ストッキング破かれた。
あたしも。あたしも。
あれって、侮辱だよね・・・

口々にそういう彼女たちは示し合わせて、木曜の部活は休みにすると決めていた。
いつも翳のある顔をして、いつも遠慮がちに生きているテルキくん――
木曜の夜しか出没しないのは、人に迷惑のかかる吸血は週一と決めていたから。
そんな心優しいテルキくんのために、今夜の獲物になる子はもういない。

心をズキズキ、響かせながら。
おぼつかない足取りを、まれに行き交う通りすがりの人に悟られまいとして。
やっとたどり着いた、公園のまえ。
奥行きのある木立ちとか植え込みとか、身を隠す場所はいくらもあるのに。
テルキくんは独り、広場の真ん中に佇んでいて、
無防備な姿を、さらしていた。
そんな無防備なテルキくんのまえ――ゆいは無防備なセーラー服姿で、ひっそりと立つ。

テルキくんはちょっとびっくりしたように目を見開いて、「田沼さんか」とひと言呟く。
「木曜の夜だよ」って、警告するように、もういちど呟く。

わかっているの。
だから来たの。

低い囁きは、自分でもびっくりするくらいに、震えもよどみもなかった。

こっちへ。
テルキくんが公園の片隅の、木立ちの奥の、こんなところにベンチなんかあったんだ・・・と思うほど奥にゆいをいざなったのは。
ゆいに恥をかかせるのを避けるためだと、あとで気づいた。
ゆいをベンチに座らせると、
黒のストッキングを履いたゆいの足許に、テルキくんはひっそりとかがみ込んでくる。
薄地のナイロン生地ごしに吹きつける、かすかな息遣いの生ぐささに、
ゆいは思わず、ひざ小僧を閉じていた。
ぴちゃ・・・
男のひとのなまの唇を。
ストッキングをじわっと濡らす唾液の生温かさで、つぶさに感じ取ってしまっていた・・・

なよなよとした薄地のナイロンが、いびつによじれ、引きつれていって、
でも、
ゆいのひざ小僧を抑えつける強い掌が。
くり返しなすりつけられてくる、熱い唇が。
逃げられないようにと、プリーツスカートの腰まわりに巻きついた、もういっぽうの腕が。
謝罪と感謝とを、くり返してくる。

だれかが言った。
ストッキングを咬み破くなんて、侮辱だわ。
果たしてそうだったのだろうか?
熱い唇のすき間から、尖った牙がチロチロと滲んできて。
とうとう我慢を耐えかねたように、牙という名の硬い異物が、ゆいのふくらはぎに埋め込まれる。
薄いストッキングが、パチパチと音をたてて、はじけていった。
ほんとうにこれは、侮辱なのだろうか?
通学用のストッキングをよだれまみれにされて、ひざ小僧が覗くまで咬み破られてしまうのは
たしかに羞ずかしかったけど・・・でも侮辱は感じなかった。
テルキくんは謝罪と愛情をこめて、ゆいの履いているストッキングを、みるかげもなく裂き散らしていった。

ひ・ん・け・つ。。。
身体を支えることができなくなったゆいは、「ゴメン」といって、ベンチのうえで姿勢を崩す。
身体を入れ替えるようにして。
ゆいの足許にずっとかがみ込んでいたテルキくんが、ゆいの上におおいかぶさってくる。
街灯に照らされたテルキくんの頬には、ゆいから吸い取った血潮が、べっとりと貼りついていた。
「ホラーだね」
思わず呟いたゆいに、
「そっか・・・?」
返って来た相槌は、いつものままのテルキくんだった。
「ゆいの血、美味しい?」
「・・・」
自分をうまく表現できないテルキくん。
いまは、黙って頷く力の強さに、満足を感じておこう。

ゆいは息をつめ、それから囁いた。
「首すじ、咬んでもいいよ」

貧血なんだろう?
だいじょうぶ。
顔色蒼いぜ?
だいじょうぶ。
家のひと、心配してないか?
だいじょうぶ。

まるで、テルキくんのお姉さんでもなったみたい。
しばらくためらっていたテルキくんは、やはり渇いていたのか・・・自分の本能に身をゆだねていった。
首のつけ根にチクリと走る、かすかな痛み――
セーラー服のえり首が汚れないよう、テルキくんはゆいの首すじに唇を密着させて、
チュウチュウと音をたてながら、ゆいの血を大事に大事に、啜り取っていった。

木曜の部活は、もうないの。
でも代わりにゆいが、公園に来てあげる。
あなたの好きな、黒のストッキングを履いて――あなたの欲望のおもむくままに、裂き散らさせてあげる。
潔癖で気の小さいお嬢さまは、あなたの渇きを処女の生き血で癒してあげる。
あお向けになったまま見あげる今夜の月は、ひどく蒼白く澄み渡っていた。


あとがき
前作に寄せられたコメントに触発されて、サクッと描いてしまいました。(^^)

クラス委員のストッキング

2016年07月12日(Tue) 07:49:42

あなたが吸血鬼だということは、みんな知っています。
でもだからといって、クラスの女子を見境なく襲うのは、よして下さい。
まして、ストッキングを破くなんて侮辱だわ。

放課後の、だれもいない教室で。
瀬藤敏恵は白い頬を引きつらせ、テルヤとまともに向き合っていた。
セーラー服の胸に誇らし気に輝くクラス委員の徽章が、彼女にそう言わせているかのようだった。
相談を受けたのは、きのうのこと。
親友の遥香がこっそりとやってきて、声を忍ばせて囁いたのだ。

知ってる?黒森くんって吸血鬼なんだよね?
クラスの女の子、出席番号順に襲っているんだよ。
きのうは私、学校帰りに待ち伏せされて、公園で咬まれちゃった・・・

有無を言わさず連れ込んで、力づくでベンチに座らせると、
足許にかがみ込んできて、黒のストッキングをぶちぶちと咬み破りながら、血を吸った――というのだ。

それだけではない。
今朝クラスメイトたちに聞いてみると、あの子も咬まれていたし、この子も襲われていた。
たしかに――瀬藤敏恵よりも若い出席番号の子は、全員が咬まれていた。
自分よりも後の子たちは、まだなにも気づかずにいるらしい。
はやく何とかしないと。
クラス委員としての責任感が、彼女を起ちあがらせた。

真っ先に相談した担任の谷森先生の反応は、とても冷ややかだった。
ほかの先生方も・・・だれもかれもが、頼りにならなかった。
だったら私が――そう思い詰めた敏恵は、「黒森くん、放課後ちょっといい?」
真向いで対峙する決心をしたのだった。

テルヤは言った。
彼女みたいに澄んだ声色も、責任感と矜持に満ちた語気も、彼には備わっていなかった。
後ろめたい立場をかろうじて許されて生き延びている。
そんな卑屈な孤独感が、全身を取り巻いていた。

たしかに悪いとは思っているよ。
でも快楽でやっているわけじゃない。
1日ひとりは襲わないと、僕ダメなんだ。
家族が相手してくれるけど、もうギリギリなんだ。
育ち盛りで、飲みたい血の量も増えちゃったしね。

敏恵はぐっと詰まった。
テルヤはなおも淡々と語った。

ストッキングを破くのも、よくないことだと思っているよ。
でも、口で謝っても女の子って、なかなか許してはくれないよね?
一応、理由がないわけじゃないんだ。
ふつうは首すじを咬むんだけど、
相手が血を吸われることに慣れてないと、血が撥ねて制服汚すだろ?
そのほうが、高くつくんじゃないのか?
だから、スカートを汚さないふくらはぎを咬んでいるんだ。
ストッキングを脱がせるわけには、いかないだろ?
流れた血は、靴を汚す前に舐め取るから、被害は最小限で済む。そう思ったんだ。
それに、たしなみのある女の子はみんな、ストッキングの履き替え持ち歩いているみたいだしな。

いちおう、一理はあるかな・・・
言いあぐねてしまった敏恵に、テルヤは一歩進んでいた。そう、いつものように――

ところで瀬藤さん。瀬藤さんも黒のストッキング、似合うんだね。
さっきから俺、じりじりしてるんだけど・・・

自分の足許が狙われている。吸血鬼の視線をクギづけにされている。
ここはだれもいない、放課後の教室――
敏恵は、いまさらながら、自分の置かれている立場に気がついた。

調子に乗って襲いかかってくるのかと思ったら。

頼むから。

そういってテルヤは、手を合わせて懇願していた。
しまり屋で潔癖なクラス委員は、頬をふくらませ、口を尖らせながらも、こたえた。

じゃあ、どうぞ。

机をいくつかつなげたうえに、腹這いになって、足許をくつろげてやる。
さっきまでクラスメイト達が教科書やノートを広げていたスチールの机は、無表情にぴかぴかとしていて、
寝心地の悪さをセーラー服ごしに、ごつごつと伝えてくる。
薄地のナイロン生地ごしに、テルヤの呼気を振りかけられて、
それまでの矜持もどこへやら、怯えを感じた敏恵はビクッと身じろぎをする。

掴まれる足首。
スカートのうえから抑えつけられる太もも。
吸いつけられた唇は、まっすぐに咬み入れようとはせずに、
ストッキングのうえから、敏恵の脚周りを、なぞるように這いまわる。
まるで敏恵の履いているストッキングの舌触りを、念入りに愉しむようにして。

イヤだ!イヤだっ!快楽じゃないのっ!!
敏恵は抗議したけれど、もう遅い。
返事の代わりに少年は、よだれをたっぷりとなすりつけてきた。
汚される・・・
悔しさに歯がみをしながら、敏恵はテルヤの牙を受け容れた。
ストッキングを咬み破られながら、ジュルジュルと汚い音をたてて血を啜られる。
屈辱を伴う献血行為に、敏恵は、侮辱だわ、侮辱だわ・・・と呟きながら、身をゆだねていった・・・


瀬藤さん、放課後ちょっといいかな。
テルヤのさりげない誘いに、敏恵は頬をふくらませ、口を尖らせながら、ぶっきら棒にこたえる。
わかった。
すこし離れたところで談笑している敏恵の親友たちがこっちをチラチラと窺い、意味ありげにうなづき合うのを、
敏恵は見てみぬふりを決め込んだ。
みんな知っていたんだ。
いずれ敏恵が狙われるのを。
生真面目でプライドの高い、潔癖なクラス委員。
そんな彼女が、ちょっぴりイヤラしい初体験を、すこしでも穏やかに迎えることができるように。
みんなは口々に、「迷惑なのよ。迷惑なのよ」と、彼女をあおって”場”をつくり上げた。
ふたりの”出逢い”がうまくいったと伝わったとき。
クラス全体に、安どの空気が流れたという。
いまでは、一、二を争う献血量を誇る敏恵。
「だって、かわいそうじゃない」
そういって自己弁護する敏恵に、だれもが逆らわなかった。

みんなの前で咬むのはやめなさいよ。
恥掻きたくないから・・・

敏恵の精いっぱいの突っ張りを、テルヤはしなやかに受け流す。
だいじょぶだろ、あんたいつもストッキングの穿き替え用意しているんだからな。