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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

娘の純潔。

2016年09月29日(Thu) 08:15:07

この街の風習で、娘たちは純潔を、親たちの知人相手に捧げることになっている。
みんなでやれば怖くない――
我が家で行われた儀式には、娘の友だち数名も、親たちと同年代の小父さま相手に純潔を喪っていった。
うちの娘に当たったのは、悪友の尾崎だった。
尾崎はてかてか光る禿げ頭もあらわに、娘に挑みかかってゆく。
「おおー!あんた城崎の娘かあ?すっかりおっきくなったなー」
とか、言いながら。
「ミホちゃんがわしの相手してくれるンか。ほんとに娘らしくなったなー。
 わし、女子高生抱くのが夢だったんじゃ。その夢をミホちゃんがかなえてくれるんかー」
やつは手放しで、ひとの娘ににじり寄り、親の目もかえりみず抱きすくめていった。
制服姿の娘は、紺のハイソックスの脚をばたばたさせながら、
それでもきゃあきゃあとはしゃぎながら、スカートの奥をまさぐられていった。

まったくもって、ヘンな気分だ。
妻の純潔を提供した男が、いままた娘の純潔まで、汚し抜いていくのだから・・・

発表会の帰り道

2016年09月29日(Thu) 08:08:33

「お願い!今夜は襲わないで!あたし、明日が発表会なの!」
いつものように路上の壁ぎわに追い詰められながら、優佳子は手を合わせて懇願する。
半年に一度の発表会なのだという。

優佳子の血が目当てで、週三回のレッスンのすべてを待ち伏せているその吸血鬼は。
いまはすっかり彼女の生き血に魅せられていて、
いっぽう優佳子のほうもまた、彼のことを憎からず思っているものか、
せっかくのよそ行きの服をくしゃくしゃになるほど弄ばれながらの吸血を、
うつむいて目をつむり、従順に受け容れているのだった。

懇願する少女をまえに、男はかろうじて自制して、獣じみた息遣いを、無理に抑えつけていた。
「ありがとう。ごめんなさい。お礼はきっとするから・・・」
こういうときの感謝の言葉が、往々にしてただの言い逃れになることを知りながら、
男は少女の夢を壊すことを、かろうじて控えるのだった。

逃げ去った少女と入れ違いに、視界の彼方から近寄ってくるのは、少女より少し年上の娘だった。
着ているセーラー服は、近在の高校の制服だった。
男は見境なく少女のまえに立ちはだかり、つぎの瞬間強引に抱きすくめていた。
首すじに牙を埋められた少女の叫び声が、あたりにこだました。

翌日のこと。
ご自慢のピンクのワンピースを着た優佳子は、両親に連れられて誇らしげに、教室の門を出た。
どうやら発表会は、上々の出来だったらしい。
お邸を出てすぐ、物陰に隠れている男を、優佳子は目ざとく見つけると、
両親になにごとか囁いて、跳ねるような足どりで男のほうへと歩み寄る。
「きのうはありがと。おかげで演奏うまくいったわ」
「そいつはよかった」
「お礼するわね。おニューのハイソックス、小父さんのために履いてきたのよ」
優佳子はイタズラっぽく、小父さまにウィンクをする。

向こうでは、父親の手を母親が引いて、向こうへと促していた。
「先に帰りましょ。あのひともガマンしてくれたみたいだから、きょうは二人っきりにしてあげたいの」
小父さまと手をつないで、スキップをしながら離れていく娘を見やりながら。
「大人になったわね、あの子」
母親は薄っすらと、ほほ笑んでいる。

薄闇の彼方に消えてゆく、真っ白なハイソックスに包まれた軽やかな足どりは。
一時間もしたら、小父さまに抱き支えられながら、ふらふらと後戻りしてくるのだろう。
真っ白なハイソックスの足許を、赤黒いまだら模様に彩りながら。
しつように愛された痕跡に、夫は今夜も昂るのだろうか。

まな娘を送り出す親たちの立場

2016年09月29日(Thu) 07:55:58

吸血鬼の待ち伏せする夜道と知りながら、まな娘を音楽教室に送り出していく親たちは。
たいがいが、その教室の卒業生。
女先生は、当時から今と変わらない年恰好で。
音楽だけではなく、行儀作法や教養まで、教えてくれて。
そして、上品にほほ笑みながら、送り出してくれる。
「帰り道を気をつけてね」と、いいながら。
そのあとどんなことが起きるのか。わが身にしみて知っているくせに。
なぜか――結婚をして娘ができると、やはり自分の時と同じように、娘を送り出してしまうのだった。

自分の帰り道を襲ったあの吸血鬼に、娘の成長ぶりを確かめてもらいたい。
そう公言する親もいるという。
娘たちは、かつてその母親たちがそうだったように、こぎれいに装って、教室に通う。
初めて襲われたときには泣きべそをかいていても
不思議と、「教室に行くのはイヤ」という子は、ひとりもいないという。

親たちは競わせるように、わが子にかわいい服をあてがっていく。
夜道の吸血鬼を愉しませ、もてなしてやるために。

親たちの過去

2016年09月29日(Thu) 07:48:01

「優佳子をどうしても行かせるのか?あの教室に」
父親の真純は、母親の沙織にそう問いかける。
「だってもう、あの子も年ごろじゃありませんか。
 ご近所のお嬢さんで目ぼしい子たちはみんな、あのお教室に通っているわ」
沙織は何気なく、夫の問いに応える。
音楽教室に通わせるという、ただそれだけのことが。
夫婦の会話で、深い意味を持っていた。

その昔、男の子もハイソックスを履いていた時代。
真純はその教室に通っていたから、教え子たちが帰宅の途中でなにをされるのかをよく知っていた。
気に入りのひし形もようのハイソックスを無造作に噛み剥がれていったとき。
なんともいえない小気味よさが、悪寒のように襲ってきて。
もう片方の脚も、自分から噛ませてしまっていた。
それからというものは、自分を襲いに来る吸血鬼にハイソックスの脚を愉しませるのが面白くて、教室通いをつづけていた。
沙織と出会ったのも、その教室でのことだった。
二人して、複数の吸血鬼のために献血行為をくり返して。
代わる代わる覆いかぶさってくる獣たちを相手に、うら若い血を惜しげもなく、振る舞いつづけていた。

「だからあの子も――そうさせてあげましょうよ」
妻は妖しく、フフッと笑った。
夫は仕方なさそうに、目線を宙に泳がせた。

あんなふうに悩んだ振りをして。
明日は勤めを早引けして、優佳子の帰り道を見に行くくせに――
そううそぶく沙織でさえ、まな娘の帰り道を保護者として見守ろうと、心づもりをしているのだった。

「おかえりなさい。よくがんばったわね」
お教室のレッスンで先生に褒められたあとのように、
母親はかいがいしく、帰宅した娘の身づくろいをしつづける。
真っ白なハイソックスには赤黒いシミがべっとりと貼りつき、
薄いピンクのカーディガンにも、おなじ色のしずくがあちこちに、撥ねかっていた。
べそを掻いた痕がくっきり残る目じりを隠そうとせずに、
優佳子はきっぱりと、母親に告げる。
あたし、あの教室に通うから――その代わり、きれいなお洋服をいっぱい、買って頂戴ね。

音楽教室の帰り道

2016年09月29日(Thu) 07:34:11

その音楽教室からは、約30~40分間隔で。
ひとり、またひとりと、少女が姿を現し、消えてゆく。

そうした情景を、物陰からかいま見て。
今か今かと待ちつづけている黒い影。
彼らの目当ては少女たちの白い首すじ。
ロングのスカートをたくし上げると初めておがめる、柔らかな太もも。
ハイソックスにくるまれた、肉づきたっぷりのふくらはぎ。

帰宅の途(みち)についた彼女たちの行方は、
曲がり角を曲がってすぐのところで、さえぎられて。
アッとひと声叫ぶと、少女の姿は、こんどは闇のかなたへと消えてゆく。

「エエ、そうですね。お嬢さんは7時までに帰宅させますから」
邸の女主人はそういって、受話器を置く。
置いた受話器を見おろしながら、フフッと笑う。
なにも知らない少女は、おさげ髪を揺らしながらピアノに向かいながら、
先生のほうに生真面目なまなざしを向けていた。
見あげると、時計の針はまだ5時前。
お邸と少女の自宅との間は、徒歩10分の距離だった。

「ありがとうございました。失礼します」
玄関で革靴をきちんと穿くと、少女は礼儀正しく先生にあいさつをしてから、辞去していった。
「エエ、エエ、帰り道気をつけてね」
先生はにこやかにそう応えると、少女をいたわりながら送り出す。
それから、閉ざされたドアを間近に見据え、フフッと笑う。
おニューのハイソックス、履いてきたのね。あの子・・・

窓越しに、先生の耳にだけ響く、キャーッというかすかな悲鳴。
そうよ、いまみたいに気を入れれば、楽器もいい音を出してくれるのに。
犠牲になった少女が立った今まで腰かけていたピアノの椅子に、
次の番の子が神妙に腰をおろして、先生のほうへとまなざしを注いでくる。
足許をオトナっぽく引き締める濃紺のハイソックスは、これから受ける辱めを、まったく予期していない。

よく来たわね。優佳子ちゃん。
それでは、レッスンを始めますよ・・・

ひとりごと。

2016年09月21日(Wed) 07:24:28

ふと思うときがある。
自分のなかでもっとも不純で不潔だと思っているところが、
じつはいちばん純粋な部分なのかもしれない と――

今度は妻の番・・・

2016年09月20日(Tue) 08:04:54

ひとつだけ、思惑ちがいがあった。
きょうは、妻を吸血鬼に襲わせる初めての夜――
長い夜になるはずだから、娘は祖父母のところに、預かってもらっていた。
PTAの会合に遅れまいとして、妻は早めに家を出た。
よそ行きの緑のワンピースが、永井夫人としての死に装束になるとも知らないで。
わたしはおもむろに携帯を手に取って、青山さんにメールを入れる。

「家内の典子はいま、家を出ました。緑のワンピースに肌色のストッキングです。
 後はよろしく頼みます」
「わかりました。ご主人も早くお出かけになってください。希望者は予想以上に集まりましたが、驚かないでくださいね。」
すっかりベテランのやり取りだった。
自分の妻が襲われる前、「たっぷり学習したおかげ」と、青山さんはいう。
きっと、そういうものなのだろう。
幸か不幸か、わたしは青山さんのときしか、経験がなかった。
それでもつい、指は携帯のキーをまさぐっている。
「ストッキングの色は、奥さんの時と一緒ですね。よろしくお願いします」
家内を売るという後ろめたさを、家内がヒロインのお祭りに参加する好奇心が塗り消していた。
いちどは咬まれるのを承知で訪れた街。
それが今夜だというだけ。それが不意打ちだというだけ。

思惑違いといったのは、今回は会合の「帰り」ではなくて「行き」だということ。
まだ明るいではないですか。
幸いその日は曇っていて、普段でも人通りの少ない街は、さらに人けが感じられなかった。
わたしが妻のあとをだいぶ離れて尾(つ)けていくと、
あちらから2,3人。こちらの路地から2,3人と、「お仲間」がさりげなく尾行の列に加わって、
獲物に群がる獣のように、妻のあとを尾けてゆく。
だれもが狙いは、妻ひとり。
この状況、なぜかちょっとわくわくするな。

大勢の人の輪に囲まれて。
妻は慌てふためき、なん度も輪から抜け出そうとしてそのたびにはじき返されて。
とうとう黒衣の男に後ろから羽交い絞めにされると、首すじをがぶりとやられてしまっていた。
青山夫人のときと、まったく同じ経緯だった。
妻が路上に倒れてしまうと、わたしの存在を意識した人たちは、それとなく間をあけて、視界を確保してくれている。
かなり遠くからだったけど、いちぶしじゅうを視てしまった。
妻が、緑のワンピースをくしゃくしゃにたくし上げられながら、太い肉棒を股間に突き込まれてしまうのを。
肉棒をなん度も出入りさせてしまっていくうちに、その味をしたたかに味わわされて、
とうとう自分から、腰を振りはじめてしまうのを。

夢中になった輪の中に、いつかわたし自身も交じっていた。
妻もそれと知りながら、わたし相手に金切り声をあげていた。
こんなに交付したセックスは、何年ぶりだろう?
娘が生まれてからは、こんなにおおっぴらなセックスは、なかったと思う。
自分の頭のなかのもやもやがスッと晴れたとき。
ほかのメンバーもきっと、おなじ爽快感を覚えているとわたしにもわかった。

地元のおっさんたちが代わる代わる、妻を犯してしまうと。
「お疲れさまでした」の立ち去りぎわ、そのうちひとりが妻ににじり寄って、おねだりをした。
「ストッキング、もらって行ってもいいかね?」
脱げ落ちて片方だけを脚にまとっていた妻は、ちょっとびっくりしたように、
「ああ・・・・エエ。どうぞ」
そういってあいまいに返事をすると。
ひざ小僧の下までずり落ちた肌色のストッキングを、男は手早く抜き取っていく。
慣れた手つきだった。
「だいじにしますよ。うひひ」
妻からせしめたストッキングを手にぶら提げて起ちあがると、それをむぞうさにポケットにねじ込んだ。
「じゃあわしは、スリップを」
「わし、ブラがええな」
いったん立ち去りかけた男どもは、われもわれもと妻の下着を奪ってゆく。
下着だけではなく、ワンピースまで奪われて、さすがに妻は半泣きになった。
「これを羽織って帰れ」
吸血鬼は親切にも、身にまとった黒い衣装を渡してくれた。
「こういうときのために、羽織っているのさ」
妻の貞操を奪う特権を遠慮会釈なく行使した男に、わたしは鄭重に頭を下げる。

そのあとは、もはや恒例化した「お披露目」だった。
輪姦の輪のなかに加わらなかった勤め先の同僚たちが。
妻を校庭に引きずり込んで、われもわれもと折り重なってゆく。
地面のうえで素足をばたつかせながら、それでも妻は腰の動きをひとつにしていった。
「ふつつかですが、どうぞよろしくお願いします」
妻と並んで地べたに正座をして、わたしが率先して皆に頭を下げると。
妻もわたしと並んで全裸のまま正座をして、「お願いします」と声を合わせた。

別れぎわ、なん人かが妻に、「またね」と囁いていく。
それを、「いつでもどうぞ」と見送るわたし――
わたしたち夫婦の歴史が、その夜を境に塗り替わった。
妻は今夜もいそいそと、身ぎれいにして出かけてゆく。
ハンドバックのなかに、穿き替えのパンストはなん足仕舞われているのだろう?

奥さんを襲うので、ご協力を。^^

2016年09月20日(Tue) 07:38:40

青山さんの奥さんを襲って血を吸う。協力してくれ。
そんな囁きを耳にして、わたしが素直に肯いてしまったのは。
もう、なん回も、彼に血を吸われてしまっていたから。

青山さんは、勤め先の同僚で、奥さんはしっかり者で有名だった。
この街は、吸血鬼と共存が許された場所。
そんな街の事務所に転勤してくるのは、だれもが事情を抱えた者たちだった。もちろん、わたしを含めて。
青山さんがどういう事情で此処に流れてきたのか。それはわたしも知らない。

夜まで長引いたPTAの会合の帰り道を襲う。
そんな手はずにドキドキしながら、現場に向かう。
待ち合わせ場所は、人通りの少ない路上。
学校の校舎の真裏と廃屋に挟まれた、狭い道での出来事だった。

無言で立っているだけで良い。奥さんの周りを取り囲んで、抜け出せないようにするだけだ。
奥さんのこと、知っているんだろう?それ以上の手出しはしにくいだろうからな。
ほかになん人か、協力者を頼んである。あんたの顔見知りもいると思うな――吸血鬼は、そういった。
たしかに・・・それとなく周囲に佇むのは、男ばかり。そのうち約半数が勤め先の同僚だった。
あとの半分は・・・きっと地元の人なのだろう。彼らはほとんどが、わたしよりも十も二十も上にみえる年配者だった。

来た、来た。
だれからともなく、そんな低いつぶやきが洩れる。
青山夫人は濃い紫のスーツ姿で、現場に現れた。
肌色のストッキングに包まれたふくよかな脚が、
白いエナメルのパンプスをテカテカとさせて、街灯に照らされる。

ひくっ。
奥さんは声にならないうめきをあげて、立ちすくむ。
正面には、黒づくめの衣装の吸血鬼。
改まったときにはいつも、やつはこういう恰好をする。
後ずさりしようとする退路を、数名の男たちが遮った。
――わしが何者か、きいているね?
奥さんは蛇に魅入られたカエルのよう。ただひたすらに、頷くばかり。
――わしがあんたに、なにをしたがっているか、わかってくれるね?
奥さんはまたも・・・頷いてしまった。
つぎの瞬間。
ひくぅ・・・
うたたびうめいた奥さんは、もう吸血鬼の腕のなかにいた。
黒のブラウスのえり首から覗く首すじを、たちまちガブリとやられてしまっていた。

ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
圧し殺すような吸血の音を、その場に居合わせただれもが、固唾をのんで聞き入っていた。
めいっぱい、自分の血をご馳走してしまうと。
奥さんは力なく、路上にひざを突いてしまった。
男は奥さんを抱き支えるようにして転倒の衝撃から守り、
その代わりさいごに、荒々しく路上に転がしていた。
スーツのすそから覗くふくらはぎに、男は卑猥な唇を、吸いつけてゆく。
上品に透ける肌色のストッキングが、奥さんのふくらはぎの周りで、くしゃっと引きつれを走らせていた。

あぁあぁぁぁ・・・
悲嘆にくれる奥さんをしり目に、男は足許からの吸血を重ねてゆく。
男の唇の下、ストッキングに浮いた伝線は、スカートの奥までじりじりとせりあがってゆく。
ほかの男たちは、立ちすくんだまま無言。
儀式のような厳粛な空気が、現場に流れた。
むらむらとした得体のしれない熱気だけが、あたりを支配する。

あとは、お決まりの流れだった。
奥さんは観念したように頷くと、濃い紫のジャケットを脱ぎ捨てた。
それが合図だった。
男は奥さんの肩を後ろから羽交い絞めにすると、漆黒のブラウスに手をかけて――
ベリッ・・・と、音をたてて引き裂いた。
黒のスリップもむざんに引き破られて・・・白い素肌が街灯の下にさらけ出される。
奥さんは両手で顔を覆い、あらわになった豊かな乳房を、まさぐりに委ねている。
周囲の空気に帯びた熱気が、にわかに熱度をあげていった。

男はスカートの奥に手を突っ込んで、ショーツをメリメリとむしり取ると、
奥さんの脚の爪先から抜き取って、皆に見せびらかすようにぱあっと放り投げた。
それから彼女を路上に引き倒し、がつがつと貪った。
女ひでりの浮浪者が、通りかかった貴婦人を草むらに引きずり込むときのような、荒々しさで――

片方脱げたパンプス。
ひざ小僧の下までずり落ちたストッキング。
腰に着けたままお尻が見えるほどたくし上げられた、濃い紫のタイトスカート。
首に巻いたままのネックレス。
振り乱された栗色の髪。
それらすべてが、むき出しの性欲のまえに、踏みにじられてゆく。

ふと傍らをふり返ると。
そこにいたのは、青山さんだった。
目のまえで奥さんを凌辱されてさすがに蒼ざめてはいるものの。
彼もまた、熱気を共有する一人だった。
目はギラギラと輝いていて、いちぶしじゅうを見つめていた。
永年連れ添った妻が、ひとり、またひとりと相手を変えてまぐわいつづけ、
甲斐甲斐しく守り抜いてきた貞操を、不特定多数のおおぜいに気前よく振る舞ってしまうのを。
青山家の名誉を泥まみれにさせてしまうのを。
じっとじっと、見つめていた。
昂ぶりのこもった視線は、明らかに周囲の男たちとおなじ、共犯者のものだった。

奥さんがご主人に支えられて起ちあがると。
じわりとした陰湿な空気は一変して、打って変わって和やかなものになっている。
じゃあ今夜はこれで、解散です。皆さん、お疲れさまでした。
町内会長が明朗な声色でそう告げると、
一同声を合わせて、「お疲れさまでした」と、お辞儀を交し合った。
被害者の青山夫妻ですら、皆と同じように、「お疲れさまでした」と、深々と頭を下げていた。

パンプスが片方脱げたままの奥さんは、あらわになった二の腕や脛に擦り傷をあちこち作っていたが、
気丈にもちゃんと自力で立っていた。
片方だけ残ったストッキングがひざ小僧の下までずり落ちているようすに、いやでも目が泳いでしまう。
もう片方の脚はむき出しの白さを、街灯に照らし出されていて、むざんなくらいに眩しかった。

誰もが互いにあいさつを交わしながら、散っていく。
青山夫妻に「おめでとうございます」と、鄭重に頭を下げてゆく地元の人もいた。
地元の人は全員、青山夫人を犯していた。
わたしたち勤め先同僚組も、吸血鬼に奥さんとの交接を勧められたが、
だれもがさすがに、「それはちょっと・・・」と、遠慮していた。
同僚である夫がいる前だということも、意識していた。
残ったのは、社内の同僚だけだった。

ふと見ると、校庭に通じる通用門が開けっ放しになっている。
「よかったらこのあと、どうですか?」
そう言い出したのは、なんと青山さんご本人だった。
まるで二次会に誘導するような自然さに、一同は黙って学校の敷地に入り、歩みを進める。

一同が選んだのは、校庭の隅の雑木林だった。
「ここらでいいね?」
青山さんは、奥さんをふり返る。
「いいんですか?」
奥さんは許しを請うような上目づかいをご主人に送るが、
「せっかくなんだから」
青山さんはそういって妻を諭した。
なにが「せっかく」なのだろう?けれどもたしかに、「堰を切ってしまう」としたら、いまこの時しかないのだろう。
「きみも愉しんじゃって、構わないからね」
そういう青山さんに、
「あなたも愉しそうね」
そういって、奥さんは拗ねてみせた。
だれかがだしぬけに、奥さんを後ろから抱きすくめる。
キャッ!とちいさな叫び声をあげた奥さんは、べつのだれかに両足をすくい取られた。
そのまま雑木林の奥へとかつぎ込まれた奥さんは――
居合わせた夫の同僚全員をあいてに、懇親を深めていった。

PTAの会合が終わったのは8時だったが、ことが果てたのは午前2時をまわっていた。
「マサオはだいじょうぶ?」
母親の顔に戻った奥さんは息子のことを案じたが、
「おばあちゃんが寝かしつけてくれるって」
そういうご主人に「だったらいいけど」と、言っていた。

青山夫人がその後、地元の禿げ親父さん2~3人と交際を開始したと、風のうわさにきいたのは、それからすぐのことだった。
同時に勤め先の同僚もひとりふたり、青山家に出入りするようになったという。
「こういうことは、相性だからね」
青山さんは、のんびりという。
彼自身も、同じように堕とされた同僚の妻や地元のおかみさんのところに、通うこともあるという。
「ねぐらがないときもあるからね」
青山さんはやっぱり、のんびりという。
同じのんびりとした口調で、青山さんはさらにつづけた。

今度さ、きみの奥さんを襲って血を吸うことになったから。協力してくれるよね?

こういう行事を、地元では「お祭り」と呼んでいるという。
次は、奥さんの番だから・・・きみ、もちろん協力するだろう?
なに、今度のPTAの会合のとき、奥さんが家を出たら携帯で連絡をください。
「家内が今家を出ました」というだけで、OKだから。
あとはうちの家内のときみたいに、あなたも潔く出てくるんだよ。
時間に遅れないようにね。

青山夫人を襲う誘いを受けたときにそうしたように、
わたしはまたも、素直に肯いてしまっていた・・・

学校を占拠する。

2016年09月20日(Tue) 04:55:24

20年ちかく前の夏のこと。
ぼくたちの学校は、吸血鬼の集団に占拠された。
その日はまだ夏休みの最後の週で、
監禁されたのはたまたま登校日だったぼくたちのクラスだけだった。

彼らは全部で7人。ぼくたちは先生を入れて41人。
人数でいえばずっと多かったけれど、かなうはずはなかった。
だしぬけに教室に入り込んできた彼らはまず男子を襲い、
男子全員が吸血された。
なにが起きたのかを自覚したときには、
ぼくもその場に尻もちをついて、貧血に頭を抱えていた。
ぼくの血を吸ったやつは、へらへらと笑いながら、
もう次のやつを羽交い絞めにすると、首すじに咬みついていた。

ひととおり男子が咬まれてうずくまってしまうと、次は女子の番だった。
真っ先に咬まれたのは、担任の宮浦礼子先生だった。
先生は左右から吸血鬼に挟まれるように抱きすくめられて、
空色のブラウスに血を撥ねかしながら、血を吸い取られていった。
女子たちはいっせいに悲鳴をあげたが、吸血鬼どもが威嚇するとすぐに静まった。
まるで見せしめのようにして、
先生はチュウチュウ、チュウチュウ、音をたてて生き血を吸われ、
さいごには教壇のうえに突っ伏してしまった。
それから先のことは――とても描くに耐えない情景だった。
そう、先生は7人もの吸血鬼全員に、凌辱を受けたのだった。

女子は全員顔を両手で覆って自らの視界を遮っていた。
けれどもぼくを含む男子のなん人か――あとで聞いたらほとんど全員だった――は、
貧血でへたり込んで身じろぎひとつ大儀になりながらも、
ブラウスを引き裂かれブラジャーをはぎ取られてゆく先生のようすから、目を離せなくなっていた。
いつもきりっとしていて、良くも悪くも女っぽくない先生だったが、
ブラジャーをはぎ取られて露出した胸はすごくでかかったし、
おへそを舐められてのけ反りかえるようすは、震えあがるほど厳しい先生とは裏腹の行動だった。
夏なのにきちんと穿いていた肌色のパンストをブチブチと引き裂かれるのに見入ったやつは、
その後すっかりパンストフェチになっていたし、
足の爪先から抜き取られたショッキングピンクのショーツを目に灼きつけたやつは、
その後先生の家に足しげく通って、物干しに干されている先生の下着をかっぱらおうと試みていた。
着衣を裂かれ半裸に剥かれた先生のうえに代わる代わるまたがって、
やつらが激しく腰を上下動させるのに、先生のむっちりとした腰も、少しずつ動きを合わせていった。

そのつぎは、女子の番だった。
「出席番号順に血を吸うから、名前を呼ばれた子は前に出なさい」
頭だった吸血鬼が出席簿を手にして、着席したまま怯えて動けなくなっている女子たちにおごそかに告げると、
女子たちはいっせいに悲鳴をあげた。
彼女たちの声色に、拒絶とためらいが含まれているのを見て取った吸血鬼が先生を見ると、
目いっぱい吸血された先生はふらふらになりながらも教え娘たちのほうを見て、
「生命を助けてもらうために、言われたとおりにしましょう」
まるで棒読みのような抑揚のない声で、そういった。
――私、そんなこと言ったかしら・・・?
あとでそう呟いた先生は、女子全員の信望を失いかけたが、すぐに以前よりも絶大な指導力を得ることになった。

出席番号一番の赤枝みずきは、吸血鬼二人に腕を取られ、泣きじゃくりながら隣室に消えた。
赤枝の悲鳴が切れ切れに隣の教室から洩れるのを、女子たちも、ぼくたちも、息をつめて聞いていた。
30分後、左右から抱きかかえられた赤枝が、セーラー服を破かれた胸を抑えながら教室に戻ると、
「男子は見ちゃダメッ!」
女子は口々にそういって、ぼくたちのうちの約半数は、言われたとおりに目をそむけた。
赤枝は席に戻ると突っ伏して泣き、入れ替わりに出席番号二番の伊藤竹子が立たされた。
気の強い伊藤は吸血鬼をにらみ返すと、「行くわよ」と言って、肩にかけられた手をじゃけんに振り払った。
伊藤の番が済むまえに、べつの吸血鬼二人組が女子の席に入り込んで、
怯えて口もきけなくなっている出席番号三番の卯野川奈代子を引きたててゆく。
やつらは女子の血を吸い、犯していきながらも、その態度は卑猥でも嘲るようすもなく、むしろ厳粛な雰囲気に包まれていた。
彼らにとって重要な儀式を、粛々と執り行っていく、というていだった。
そして出席番号四番の海野美奈江のまえに、つぎの吸血鬼が立ちはだかった。
海野美奈江は――ぼくの彼女だった。
女子全員の視線が、ぼくに注がれた。

彼女たちの視線は同情に満ちていたが、
ぼくがどういう態度をとるのかという好奇心も、少なからず含まれていた。
ぼくはふらりと、起ちあがった。
ほかの男子全員がまだ、失血のショックから抜けきれないで尻もちをついていたのに、
どうしてぼくだけが起てたのか、いまでも不思議なくらいだった。
吸血鬼たちの視線が、いっせいにぼくに注がれる。
ぼくはおもむろに口を開いて、自分でも予期しないことを口走っていた。

「ぼくも連れて行ってくれないか?その子はぼくの彼女なんだ。
 彼女の身代わりにぼくがもういちど血を吸われるから。それでも足りなかったら彼女のことを吸ってくれ。
 ――彼女がどうなるのか、ちゃんと見届けたいから・・・」
吸血鬼どもは、意外にふわっと、ぼくの言い分に同意する空気が流れた。
そして、ぼくの願いは受け入れられた。
「行こ」
差し出したぼくの手にすがるように、美奈江はぼくの手を取った。冷たい手だった。
彼女の手を暖めるようにして、その手をぎゅっと握りかえすと、それ以上彼女には手を触れさせずに、ぼくたちは教室を出た。

開け放たれた教室のなかでは、出席番号三番の卯野川奈代子がまだ犯されていた。
奈代子はぼくの親友の彼女だったけれど、
どうやらすでにセックスを経験していたらしい奈代子は、すでにやつらと動きをひとつにしていた。
四つん這いになって制服のスカートを履いたままお尻を犯されながら、
もう一人のやつのペ〇スを咥えてしゃぶっている。
武士の情け――それ以上は目を背けてやった。

美奈江とぼくとは、卯野川奈代子から離れたところに連れていかれて、
まずぼくが首すじを咬まれて尻もちを突かされた。
ひどいめまいがぼくを襲った。
ぼくの血を吸い取ったやつは、ぼくの顔色を覗き込んでニッと笑った。
「坊主、よくがんばったな」
やつのねぎらいは、たぶん本音だった。
ふたりは、出席番号一番の赤枝みずきを犯した連中だった。
二人ひと組みで女子を襲い、不公平にならないよう純潔を奪う役目は交互に果たすのだという。
美奈江は、赤枝みずきと仲良しだった。
身じろぎひとつできなくなったぼくの前、美奈江は自分を噛もうとする吸血鬼を恨みたっぷりに見あげながら、いった。
「みずきちゃんのことも、こんなふうに辱めたのね?」
悔し気に歯がみをする白い歯を覗かせた唇が、うなじを咬まれた瞬間引きつった。
つぎの瞬間、吸血鬼は美奈江の首すじに牙を突き立てて、根もとまで埋め込んでいった。
唇がせわしく動いて、美奈江の血を吸いあげる。
ちゅう~・・・・・・・・・・・・っ
ぼくの血で頬を濡らしたその吸血鬼は、美奈江の血を、美味そうに、それは美味そうに、吸い取っていった。
美奈江は僕の目のまえで、まつ毛を震わせながら恥辱に耐えた。
介添え役のもうひとりは、さっき赤枝みずきの処女を奪って満足したのか、あくまでわき役に徹している。
けれどもやはり嗜血癖は昂るのか、抑えつけて自由を奪った美奈江の腕に咬みついて、
ちびちびと意地汚く、血を啜りはじめていた。

それから先のことはもう、描くに耐えない。
屈辱というよりか、覚え込んでしまった昂ぶりのせいで・・・
ほかにもなん人か、同級生の彼女と教室に同行した男子がいたが、
口をそろえて言っていた。
――視てよかった。昂奮した。自分でヤるよりもよかったかも。
――言っちゃいけないことなのかもしれないけれど、彼女とセックスするよりも昂奮した・・・と。
すでに経験済みだった男子は二人いたが、幸いにも?女きょうだいがいた。
吸血鬼と彼女を通じてつながることになった彼らは二人とも、
仲良くなった吸血鬼たちに処女を経験させるために、姉や妹を呼び出していた。
もっとも――その後ひと月くらいまでのあいだに、ぼくたち全員が、相手になった吸血鬼と親交を深めていて、
姉妹や母親、なかには婚約者までも、手当たり次第に彼らに紹介して、抱かせまくっていたのだけれど。

襲撃事件は、厳重に秘密に付された。
もっとも狭い街でのことだったから、つぎの日にはうわさは街じゅうに流れてしまったけれど。
でも、だれもそのことを公然と口にするものはいなかった。
美奈江とぼくとは、襲撃事件を経験した直後に婚約した。
街に棲みついた彼らのために、ぼくは美奈江を連れて彼らの住処を訪れた。
そこでは、襲撃事件の再現ごっこを愉しむ同級生たちが、入れ代われい立ち代わり出入りしていた。
親友が赤枝みずきを伴って出てくるのにはち合わせたときは、ちょっぴり気まずかったけれど。
二人が上手くいっているのは、彼氏のまえで犯されたみずきの手を、彼がぎゅっと握りしめているのでよくわかった。

あの事件で、自分の彼女が純潔を奪われるのを視た男子は全員、そのままゴールインを果たした。
たまたま視てしまった男子もまた、純潔を汚されるのを目の当たりにしたクラスメイトと結婚したし、
街に棲みついた吸血鬼との親交も深めていった。
結局だれもが仲良くなってしまったので、学校襲撃は事件性のないものとして扱われた。
そのころにはもう、街の人間のほとんどは咬まれてしまっていて、
血を吸われる歓びに目ざめてしまっていたのだけれど。

いまでも美奈江は、時折ひとりでめかし込んで、行き先も告げずにいそいそと出かけてゆく。
年頃になった息子は、わたしが見て見ぬふりをしているのを確かめると、足音を忍ばせてそのあとを尾(つ)けてゆく。
お前も目覚めてしまったのか――そう思ったときにはもう、つき合っている彼女を連れて、住処を訪れてしまった後だった。
20年ぶりのクラス会が、間近に控えている。
会場は学校を借り切ることにした。
七人の吸血鬼は全員が招待されて、女子は全員、セーラー服を着てくることになっていた。
そう、あの日の記憶を、忠実に再現するために――


あとがき
2~3日まえから取りつかれた妄想を、文章化してみました。
展開はいつもよりややバイオレンスですが、
さいごに仲良くなってしまう結論だけはいっしょです。
荒々しく犯される彼女を見て、いままでの愛情に嫉妬というスパイスを交えてしまう。
そして事件後も、犯人たちとの平和裏な交渉・共存関係がつづいていく。
そんな様子を描いてみたかったのですが、
いつものことながら、長文化するとうまく決まらないようですね。。
(^^ゞ

よそ行きのセックス

2016年09月18日(Sun) 03:38:42

女房を、吸血鬼に寝取られてしまいましてね。

そんな深刻なことを畑中は、こともなげににこやかに告げる。

でも、家庭を壊さないことを条件に、交際を許してやることにしました。
気づいたときにはもう、完全に支配されちゃっていました。
セックスの相性が凄くいい。でも一番愛しているのはあなた。だから、別れたくない・・・
って、言い張るんですよ。
面と向かって「愛している」なんて言われたの、新婚以来じゃないかな。きっと。
それで、彼と逢うときは私が、送り迎えしてやることにしたんです。

いつもね、こぎれいなカッコして、出かけていくんですよ。あいつ。
でも帰りは、みるかげもなくよれよれです。
エエ、だって、相手が吸血鬼でしょ?
血を吸い取られて貧血にはなるし、あっちのほうもしつようならしいんです。
女房のやつ、そこがまたいいとか抜かしやがるから、困ったもんですよ。
よほど、ぞっこんなんでしょうな。
一人で歩いて帰れないから、私が迎えに行かなきゃならないんです。
私にナイショだったころは、彼が家まで送ってくれたらしいんですがね。
吸血鬼がこう、街なかにあふれるようになってからは、やっこさんもお相手が増えたらしくって。
女房の番が終わるとすぐに、べつの女が相手するんです。
ちょうどお互いのつごうが、うまくかみ合ったわけですね。

迎えに行く時はね、部屋のなかのようすを、覗いていいことになってるんです。
よそ行きの服を着てると、気分もひきたつんですかね。
家の布団のうえで義理マンセックスをやるときとは、大ちがいなんです。
私が視てるの知ってるくせに、よけいに燃えやがっていたりして。
でも、それ視て昂奮しちゃう私も私なんですけどね・・・
ともかくね、自分の女房が、まるでAV女優みたいな、よそ行きのセックスをしているんです。
よそ行きの服着てるときは、セックスもよそ行きになるんでしょうかね。
エエ、きょうもこれから、お迎えです。

そういえば、さっきから奥さんの姿をお見かけしませんね。お出かけなんですか?
え、さっき出ていった。行先も言わずに?
奥さん、最近顔色悪くありませんか?
いえね、女房のやつと入れ替わりに来ている女の人って言うのが、なんとなくあなたの奥さんと似てるんですよ。
大きな帽子を目深にかぶって、顔はヴェールで隠してるんで、なんともいえないんですけどね。
女房はそのご婦人とすれ違うたび、言うんですよ。「あの人強敵」って。
どうです?これからごいっしょして、確かめてみませんか?
よけいなお世話でしたら、とりあえず一人で行ってきますけどね。
では・・・のちほどアチラで。^^

真夜中のデート

2016年09月12日(Mon) 07:53:54

街に出没する吸血鬼は、夜な夜な乙女の生き血を求め歩く。
狙われた彼女の身代わりに、彼女の制服を着て夜歩くボクは
たちまち彼の、餌食になった。
女装に目ざめたのは、はるか前――
彼女にはいえない願望を、人知れず遂げたボクは、
乙女を襲いたいという彼の願望を、半分だけかなえてしまっていた。

彼は幸いにも、ボクを男と気づきながら。
血を吸い終わる最後まで、ボクを女の子として扱ってくれた。

それ以後は、感謝の気持ちさえこめて、彼に血を吸わせる日々――
きみの彼女を襲いたい。
いつの間にか魅入られてしまったボクは、
そんな彼のいけない願望を、ついにかなえてあげてしまう。

ボクの目のまえ、抱きすくめられて。
セーラー服のえり首の、三本走った白のラインをバラ色のしずくに浸しながら、
彼女はうっとりと、吸い取られてゆく。
その姿をうっとりと見つめるボク。
そんなボクのことを彼は、下僕としてではなく親友として遇してくれた。

きょうもボクたちは、真夜中のデートを愉しんでいる。
いつしか彼女のスカートの奥までむさぼるようになった彼は、
ためらう彼女を、花嫁修業なのだといって騙し、
たかぶるボクは、上手になってからお嫁に来てねといって背中を押した。

彼女がセックスされてしまうのをのぞき見するのは、
彼女とセックスするのと同じくらい、昂ることができるのだと知ってしまったボクは、
おそろいのセーラーの襟首並べて、
おそろいの紺のハイソックスのふくらはぎを吸わせて、
同じようにスカートをたくし上げられ、股間を侵されて、
互いに互いの痴態を見つめ合って・・・
いつしか真夜中のデートを、やめることができなくなっていく――

鞄。

2016年09月08日(Thu) 07:42:54

ただいまぁ。
下校してきたタカシの声が、見慣れたはずの家の中でうつろに響いた。
いつもの家のはずなのに、なにかが変だ。
思わず、帰ってくる家を間違えたのか?と思って
玄関の表札を見直しに後戻りしかけたくらいに、ヘンだ。
よく見てみると、敷居を上がってすぐのところに、見慣れない鞄が投げ出してある。
それはタカシがいつもそうしているように、むぞうさに置かれていて、
我が物顔に廊下の半ばを占めて通り道をふさいでいた。
見慣れない鞄だと思ったけれど、見覚えはあった。
仲良しのリョウタの持ち物だった。
さっきまで、隣の席でいっしょにいたじゃん。
そう思いながらリビングに入っていって、アッと声をあげそうになった。

リビングのすぐ隣は、両親の寝室になっている。
いつも几帳面な母の手でぴしゃりと閉ざされているその空間が、
やはりむぞうさに半開きにあれていて、
視てはならないものがやはり無造作に、いやでも視界に入り込んできた。
見慣れたこぎれいなワンピースを着た母が、
おっぱいをたわわにさらけ出して、
ストッキングを半脱ぎにされて押し倒されていた。
半ズボンを片方だけ脱いで、母の上にまたがって、
腰を上下に動かしながら、母を夢中にさせているのは、
ほかならぬ幼なじみのリョウタだった。

たいせつなふたつのものを同時に喪ったような強烈な不信感に強くかぶりを振って、
それをとっさに拭い取ったら、
あとからあらわになったもっとどす黒い衝動が、目も当てられないほど、
あたりいちめんに拡がっていた。
認めざるを得ない二人のあり得ない関係を目の当たりにに、
股間を抑えながら昂ぶりを隠せなくなっている自分がいた。
脱がされたストッキングが母の足許でふしだらに弛んでいる光景が、
網膜に灼きついて離れなくなった。

そのまま息をひそめて、親友が母の肉体を愉しむのを見守りつづけ、
パンツがびしょ濡れになるくらいに昂奮しつづけて、
でも部屋から出てきたリョウタに、声をかけずにはいられなかった。
「おい」
ほんの呟くような小声しか発することができなかったのに、
リョウタは飛び上がるほどびっくりして、
すぐにタカシの手を引いて、「来い」というと、
廊下に置きっぱなした鞄をひったくって、
お化け屋敷から逃げ出すような勢いで門の外まで二人で飛び出していた。

お前ぇ、先生に呼ばれていたからきっと、帰り遅いと思っていた。
おれだって、帰りが遅いつもりでいた。あいつ、説教長いからな。
すぐに解放されたんだ、ラッキーだったな。
まったくだよ。あいつ急に黙って、もういいから帰れって言ったんだ。
お互い意識して、さっきまで両親の部屋で起きていたことを話題から避け、
まったく無関係なことをしゃべくり合って。
しまいに話題がなくなって、核心に触れざるを得なくなった。

長くなると形勢が不利になると思ったらしい。
リョウタはひと言、
「母ちゃんにさっきのこと言うなよ。親子の関係がヘンになったら困るだろ。
 なんにも気づかなかったふりして、絶対話すんじゃないぞ。
 話したくなったら、おれに言えば相手するから」
「相手する」の意味が、男子らしい粗暴な意味ではなくて、
どうやらたまったうっぷんを晴らしてくれるという意味らしいことだけは、なんとなく伝わってきて、
タカシはちょっときまり悪げに「じゃあな」と言い、
リョウタもちょっときまり悪げに「じゃあな」と言った。


次の日も。
リョウタの鞄は、タカシの家の廊下に無造作に投げ出されていた。
タカシは母が親友に犯される場面に、きのうと同じくらいしんけんに息をつめて、見入っていた。
少なくとも、二人が合意のうえで息をはずませ合っているという状況だけは、飲み込むことができた。
母は父と自分とを裏切って、リョウタの性欲のはけ口になっていて。
リョウタは自分の母親以上に、タカシの母に懐いて発情して、
後ろから視ているタカシの目をじゅうぶん自覚しているくせに、
タカシの感情などおかまいなしに、タカシの母のワンピースの奥に、精液を吐き散らかしていた。

おい。
あお向けで大の字になった母を置いて部屋を出て、そのまま前を素通りして帰ろうとするリョウタのまえに、タカシが立ちふさがった。
タカシは無造作に置かれたリョウタの鞄を拾い上げ、
鞄。
といって、手渡した。
鞄だけは、かんべんしてくれないかな。
タカシはぶすっとひと言、そういった。
外からも見えるし、あんまり見良いもんじゃないから。
なにも意識しないで置き捨てた鞄が親友の心に与えた意外な影響に、リョウタがちょっとびっくりしたような顔をすると。
表に出て。
タカシはやはり乾いた声で、そういった。
リョウタがタカシに従って、玄関を出ると。
門の手前でタカシはリョウタに向き直り、
一発だけ、なぐらせろ。といった。
いいぞ。
リョウタは地面に足を踏ん張った。
ばちぃん!
強烈な平手打ちに目が眩んだ。
どちらかというと大人しいタカシの一撃に、リョウタはおどけて「さすがや」というと、
タカシは「これでおあいこな」とだけ、いった。
「おれのときにはさ、脱いだ背広だった」
リョウタは意外なことを口にする。
「背広?」と、タカシが問うと、
「お前の鞄」とだけ、リョウタはいった。
家に帰ると背広の上下が母親の部屋の前に脱ぎ捨てられていて、
閉ざされたふすまの向こうから、あぁ~ん・・・という声が洩れてきた。
間違いなく母の声だったのに、立ちすくんでしまって、ふすまを開けることができなかった。
ふすまを開けることができないのに、ふすまの向こうの情景が気になって気になって、気が狂いそうになった。
しんぼうにしんぼうを重ねて待ち続けて、出てきた男に言った。
せめてふすまは開けといてくれませんか?と。
出てきた男の正体にびっくりしたリョウタに、
リョウタに視られていたこと自体にびっくりしたその男は、
つぎのときからは律儀に、ふすまを半開きにしておいてくれて、
リョウタのほうも律儀に、ふたりの愉しみを妨げようとはしなかった。
タカシが感じたのと同じ不思議な昂奮を、リョウタも感じてしまっていたから。

だからお前のときには、気を使おうと思ったんだけどな。鞄だったか。
まだまだ、間男失格やな。
リョウタは笑って頭を掻いた。
タカシは「この」と言いながら、リョウタの頭を軽くどついた。
お互いのあいだに潔い空気がよぎるのを、お互いが感じていた。


それからは。
リョウタが目配せすると、タカシはリョウタより一拍遅れて学校を出、
リョウタが母を相手に行う儀式を、タカシはふすまのすき間から、息をつめて見守っていた。
母を間男されているリョウタは、タカシの気分をよくわきまえていた。
タカシが視たがるときには、ほかの予定をあと回しにしてでもタカシの家に行ったし、
タカシがほんとうに切ないときには、タカシの家に行くのを控えるようになった。
母はとっくに気づいていたようだった。
けれどもそのことを、母も息子も、口にすることはなかった。
リョウタがふつうに遊びに来たときの帰り際、母がリョウタと二人きりの時間を持つのも、
三人の間では、ごくあたりまえのことになっていた。
それでも母と息子のあいだで、そうしたことが口にのぼることはなかった。

やがてリョウタは、自分の母親の間男を連れて、タカシの家に来るようになった。
大人同士のセックスは、ふたりの少年を夢中にさせるのにじゅうぶんだった。
タカシはリョウタの家に呼ばれて、リョウタの母がその男と交わるようすを見せてもらった。
リョウタの母は美人だったし、乱れ方もひととおりではなかったけれど、
やっぱり自分の母親の時のほうが昂奮できるとひそかに思った。
ふたりの母親の間男をしたのが、ほかならぬあのがみがみ親父の先生だったことは、
ふたりをよけいに、昂奮させた。
「あいつ知能犯やな」と、リョウタがいった。
あの日、タカシを叱ろうとして教室に残し、
タカシの帰りが遅いのを見越したリョウタがタカシの家に出向くのを見極めて、
わざと中途半端な時間だけタカシを残して家に帰して、
ちょうどのっぴきならない状況のときに、帰宅するように仕向けたのだろう。
「まさかタカシの母さんまでモノにできるとは、あいつ思っていなかったみたいだけど」
リョウタはいっぱしのワルめかして、へへっと笑った。


二十年後――
ただいまぁ。
タカシが家に戻ると、家のなかは真っ暗だった。
廊下には、無造作に投げ出された通勤鞄。
あいつ、悪い癖が抜けないな――
また帰る家をまた間違えたのか。
リョウタは律儀にも、あらかじめタカシに仁義を切っていた。
きれいな嫁さんやな。こんどいっかい、ユーワクさせてくれへんか?
箱入り娘だった嫁は、おぼこだった。
もらったばかりの嫁は、そうしたことにはまったく無防備で、
リョウタのトライにあっけなく屈すると、
夫の帰りの遅い夜には、リョウタに連絡するようになっていた。
来月から単身赴任。そして、リョウタはまだ独身。
すでに三人もいる子供のうち、ひとりは間違いなくリョウタが父親だった。
帰ってくる頃には、二番目の子とうり二つの子がもうひとり、増えているかもな。
そんな想像に昂りながら、タカシはいつもの場所にいそいそと陣取っていった。

だから実家に戻りたくなかったのに。

2016年09月03日(Sat) 12:12:20

だから実家になんか、戻ってきたくなかったのに。
そういって、妻は嘆いた。
妻の実家のある村は、夜這いの風習が残っていて。
新婚妻はもちろん、村の男衆にとっては格好の餌食。
もともと見知った顔が、都会ふうのスーツなんか着込んで戻ってきたものだから、
村の衆の騒ぐまいことか・・・

なにも聞かされていなかったわたしはその晩、男衆に酒を飲まされ酔いつぶされて、
気がついたときには荒縄でぐるぐる巻きにふん縛られて、
部屋の隅っこで小さくなっているハメに陥った。
妻はもう、都会ふうのスーツを半裸に剥かれ、スカートを穿いたままお尻にモノを突き入れられて、
もう五人めの男衆を相手にしながら、ウンウンうめき声をあげていた。


だから実家になんか、戻ってきたくなかったのに。
妻は嘆いた。
いつしか妻の痴態に反応してしまったわたし――
妻におおいかぶさっていく男衆の手助けをして、ひたすら妻の脚を抑えつけていた。
あらぬ昂奮に支配されて、輪姦の渦のなかに加わって。
嵐が通り過ぎるとこんどは、も少しご縁を深め合おうと、
妻がもっとも反応していた男の家を聞き出すと、ふたり連れだって訪れていた。
もっと愉しんでもらえませんか?
わたしの申し出を、嫁入り前から妻となじんでいたらしいその男は、
顔をくしゃくしゃにして笑いながら、打ち解けてくれた。

だから実家になんか、戻ってきたくなかったのに。
妻は嘆いた。
男の下には、妻が。
わたしの下には、男の妻が。
服をはだけながら、はぁはぁと淫らな喘ぎ声を洩らしていた。
互いの妻に精を注ぎ合うことで、
兄弟のような仲間意識を深めながら、
わたしは来年もまた来ると男に約束し、
男はそんなに待てないから秋祭りにまたおいでと、誘ってくれた。

だから実家になんか、戻ってきたくなかったのに。
妻は嘆いた。
嘆いてはみせるくせに、秋祭りにはふたりで里帰りしたし、年始のあいさつでも里帰りしたし、
泊まりの出張や単身赴任、そんなとき・・・わたしの知らないところでも、時々里帰りしているらしい。

だから実家になんか、戻ってきたくなかったのに。
妻は嘆いた。
嘆きつづけて、十数年が経過した。
年頃になった娘には、まだなにも聞かせていない。
いきなりサプライズしてびっくりさせたいという、あの男のいけない誘いを好意的にかなえることにした。
なにも知らない娘は、都会の学校の制服のミニスカートのすそから、
発育の佳い太ももをむっちりとさらけ出して、
紺のハイソックスの脚を、退屈そうにぶらぶらさせている。
だいじょうぶ。この村では、退屈なんかしないはず。
ちょっと寝不足になるかもしれないけれど・・・

ぼくの純潔。 名門校のハイソックス

2016年09月03日(Sat) 06:12:13

公園に足を踏み入れた途端、しまったと思った。
この刻限だと、ここには間違いなく、吸血鬼の小父さんがぼくを待っている。
若い血潮を吸い取りたいと、喉をカラカラにひからびさせて。
気に入ってもらえたぼくの制服姿もきっと、彼の期待値のなかに含まれているのだろう。
それはもちろん、かまわない。
だって、そのためにここに、やって来たのだから。
ところが、なんと不覚だったことか、今夜にかぎって脚を通してきたのが、
大事にしている某有名校の指定もののハイソックスだったのだ。
ネットでン千円でせり落とした値段もさることながら、入手そのものが難しい品物で、
特別のときじゃないと履けない代物。もちろん、咬み破らせてしまうわけには、いかなかった。

でも、すでに公園の入り口を通り抜けてしまった後のこと。
いままでになん足、小父さんにハイソックスを履いたまま脚を吸わせて、咬み破らせてしまったことだろう?

おや、きょうはいつになく、おどおどしているね?
ぼくの怯えたようすが好ましかったのか、小父さんは我が物顔に、ぼくのことを引き寄せて、首すじを吸った。
鋭利な牙が、首のつけ根にチカリと咬み入れられてくる。
皮膚をじわじわと冒される感覚に、ぼくはゾクゾクしながら佇みつづけた。

ひとしきり、血を吸わせてあげると、ぼくはおずおずと切り出した。
  お願いがあるんだ。きょうのハイソックスは破かないで。
  めったに手に入らない、名門の女子高の指定ものなんだ。
本物の小娘みたいに手を合わさんばかりにして懇願するぼくに、吸血鬼は寛大だった。
寛大というか、同好のものの目になって、訊いてきた。
  へえ、どこの学校のやつだね?よく見せてくれないか?
ぼくはいつものようにベンチに腰かけて、そっと脚を差し伸べる。
視線を集中させられた足許が、微妙にくすぐったい。
  んふぅ・・・なるほど。学校名の頭文字がワンポイントになってるんだね。
  これはたしかに、気になる靴下だね。いくらしたんだい?
ネットで落とすのがたいへんだったこと、すんでのところ制限時間ぎりぎりでせり落としたことなどを、
ぼくも同好者の言葉で、彼に伝えていた。
彼もまた、それをくすぐったそうに、耳を傾けてくれている。

破かない代わりに、たっぷり舐めさせてあげることにした。
いつもより念入りに、しつように、彼は舌を這わせてくる。
名門女子校のハイソックスは、誇らしげな学校名のイニシャルの縫い取りもろとも、
唾液をたっぷりなすりつけられ、しみこまされて、
ふさわしくないあしらいに耐えかねるように、くしゃくしゃになってずり落ちてゆく。

凌辱される女学生――そんな言葉がふと、頭に浮かんでいた。
もちろん――名門校のハイソックスを履いたままの脚は左右に割られ、
ひどく熱っぽいやり口で、ぼくは股間を侵されていった。
お互い、よほど昂奮したときじゃないと、ここまでたどり着かないはずなのに。
その夜にかぎって、二度も三度も、ぼくの貞操はむさぼられていった。
ぼくもまた、名門校の女学生になり切って。
彼に加えられる凌辱を受け止めて、身体のすみずみにまで、恥ずかしい快感をいきわたらせていた。

三足落札したら、一足だけ破らせてあげる。
そう約束するぼくに。
この学校の子をひとり襲って、学校の購買で買わせよう。
たしか、近場にあるんだよな?
そうすればきみ、なん足でも履けるぞ。
小父さんはたちの悪そうなにたにたとした笑みを泛べながら、いけない約束をし返してきた。