淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
喪服選び。
2017年02月28日(Tue) 06:50:25
ねぇねぇ、いろんなのがあるわよ。
婦人服店の一角、それもブラックフォーマルのコーナーで、妻はウキウキしながら服選びを始める。
自分の服ではない。
夫であるわたしに、婦人もののブラックフォーマルスーツを買おうとしているのだ。
あなた、こんなのどうかしら?ブラウスにフリルがついているわよ。
それとも、こういうシンプルなのも、初めてならいいかな。
あっ、これもいいかも。腕が透けててセクシーよ。
片手間を装い、おざなりにウンウンと肯きながら、実は熱っぽい目線で服たちを見比べているわたし。
わたしの女装趣味に、妻はとても寛大だ。
女の服になじんだのは。
親しい友人である吸血鬼が妻の血を欲しがるのを抑えるために、
女の服を着て彼の相手をしたのがきっかけだった。
けっきょくわたし一人の血では足りずに、妻を襲われ征服されてしまったいま。
わたしたち夫婦は、夫婦そろって女の服を着て、彼の家へと足を向ける。
おそろいのストッキングを穿いたつま先を、若い血潮をふんだんに欲する男の家へと向ける。
そんな彼が、ひとつの提案をした。
わたしが血を吸い尽されてしまったと、わたしの身内全員に告げることを。
お式にはみなさん、黒のストッキング穿いてくるわよね?
妻が意味深なことを呟いて、自分の情夫を軽く睨んだ。
この街ではしばしばくり広げられる、吸血鬼たちのカーニバル。
偽装された弔いの場は、すぐに彼らの狩り場に変わる。
あなたも、参列しなくっちゃ。
でも、あなただってばれたらいけないわ。
女の喪服を着て、自分のおそうしきに参列するのよ。
そんなきわどい思いつきに妻は夢中になり、妻の愛人もまた、渋るわたしの背中を押した。
面白そうじゃないか、やって見せてよ。
この婦人服店に来る男性客は、意外に多い。
わたしのような寛大な夫たちが、多く住む街だから。
男性用の試着室へと妻に伴われ、狭い試着室のなか、真新しい喪服といっしょに置き去りにされる。
ワンピースの脱ぎ着は、どうしても背中に手が届かなくって、妻に手伝ってもらった。
漆黒のブラジャー、漆黒のスリップ、漆黒のショーツ。
そして、深い深い黒一色のワンピースにボレロ。
足許はもちろん、薄墨色のストッキング。
女の服を着た夫をまえに、妻は無邪気にはしゃぎながら。
いいわあ。いいわあ。とっても似合う♪
このカッコであなた、吸血されるのよ。
あのひとの牙は強烈よ。あなた、いちころで参っちゃうはずよ。
わたしの記憶では。
咬まれて、いちころに参っちゃって、妻まで紹介してしまったのは、わたしのほうのはず。
でも、そんな順番は、いまではもう、どうでもいい。
偽りの弔いの席には、兄夫婦も妹夫婦も呼んである。
もちろん、彼らのあいだの年ごろになりかけた娘たちも来るだろう。
それに、この女にとっては目の上のこぶである、自分の姑もそのひとりのはず。
しつけに厳しかった気丈な母が、全身から血をむしり取られて淫らに堕ちる光景を、わたしは目にすることになるのか。
あらぬ妄想がつぎからつぎへとわいて出て、黒の喪服に包まれたわが身は、妖しくほてり始めてくるのだった。
夫の心得。
2017年02月28日(Tue) 06:33:38
この街に棲み着く吸血鬼たちは、寛大な心の持ち主です。
狙った相手の生命を奪うことは、まずありません。
血を吸うために襲った後は、物騒な夜道を、家までエスコートしてくれます。
飲む血の量も、かなり手かげんしているはずです。
もしも奥さんがお勤め帰りの夜道を襲われて、襲った相手に伴われて戻って来たら。
奥さんの着ているブラウスがはだけたり、スカートのすそが乱れたりしているのは見て見ないふりをして。
奥さんの体調が戻ったら、今度は貴男が奥さんを連れて、彼の許に送り迎えをしてあげましょう。
狙った本人をいきなり襲うとは、かぎりません。
吸血鬼が人妻を狙うとき、まず夫のほうにアプローチしてくることもあります。
もしも奥さんに求愛されたなら、
気前よく、誘惑するチャンスを与えてやりましょう。
そして奥さんが相手の魔手に屈したなら、
いさぎよく、二人の仲を認めてやりましょう。
「わたしが家にいないときだけにしなさい」とか、
「わたしが家にいるときは、行き先をいちいち告げずにお出かけなさい」とか、
それだけ伝えれば、じゅうぶんです。
寛大なご主人には、特典が与えられます。
ふたりが仲良くしているところをのぞき見することが許されるのです。
かりにも奥さんが、吸血鬼に生き血を吸い取られるのです。
夫として、気にならないはずはありませんよね?
血を吸われてしまった後、ふたりが自然の摂理に身を任せることに、寛大になりましょう。
見返りに、奥さんがヒロインの淫らな劇場に、ただひとり招待されることが許可されます。
浮気に励む奥さんを覗くのが楽しい――なんて、いちいち言わなくてもだいじょうぶです。
貴男に覗かれているのを感じた奥さんは、いっそう貴男をそそるために、
ふたりの熱い仲を見せつけてくるでしょうから。
奥さんが自分の浮気相手に吸血鬼を選んだときは。
ご家族全員で、献血しましょう。
まだお若いお母さま。
お嫁入り前の妹さん。
年ごろになったお嬢さん。
活きの良い血液を提供できる人たちは、すぐ身近にいるではありませんか。
妻の愛人に、夫である貴男の血を求められたら、気前よく差し出してやりましょう。
その分奥さんの負担が減るし、彼が奥さんを愛する時間も、長続きするのだから。
あなたの奥さんの浮気相手が、男の血には低い関心しか示さないなら、
女の服を着て、応接しましょう。
そうすることで。
襲われる快楽に目ざめてしまった奥さんの気持ちが、いっそう伝わってくるはずだから。
いや、気の毒とも限らない。
2017年02月28日(Tue) 06:17:23
どうしても尾(つ)いていってしまう、妻の密会現場。
わたしの血をしたたかに吸って、ダウンさせたことのあるその吸血鬼は、
夫も黙認する妻の不倫相手。
今夜も喉が渇いたのか、妻のことを呼び寄せて、
ひとしきり血を吸い取ると、逆立てた股間もあらわに、妻を襲う。
二重の意味で襲われる妻は、物陰からのぞき見る夫を意識して、
わざとのように声をあげる。
「あなた・・・あなたぁ・・・ケンイチさんっ・・・許してえ」
自分の名を呼ばれることで最大の昂奮を呼び起こさせると知った妻。
その妻の演技にまんまと引っかかる、愚かな夫。
「ヘンなダンナだと思ってるでしょ?」
上目づかいで愛人を見あげる妻に、吸血鬼はいった。
そうでもないさ。
遠い昔、わしが血を吸われる番だったとき。
目のまえで妻を襲われるのを、やっぱりあんたのご亭主どののように、昂ぶりながら見遂げちまったくらいだからな。
――やつにも、いまのわたしとおなじ番だったことがあるのか。そして、相手を許したのか。
やつの身体に残っているわずかな血は、きっとわたしの血と同じ色をしているのだろう。
ふとそう思ったとき。
首すじに着けられた咬み痕がじわじわと疼き、わたしはある体験をせつじつに求めはじめる。
わたしの血は、やつの体内に吸収されたがっている。
そしてやつもまた――
妻の首すじにもういちど咬みついて、したたかに血を吸い取って気絶させると、
こちらのほうへと性急に、身を近づけてきた。
気の毒なことをした。
2017年02月28日(Tue) 06:07:26
かなりたっぷりと、血を吸ってしまった。
ご主人明日も、仕事なんだろう?
気の毒なことをした。
そういって、主人のことをしきりに気にかけるこの吸血鬼。
あたしを強引に愛人にしてしまってから、三か月後のことだった。
どうしてそんなになるまで吸ったのよ?美味しかったの?
そうじゃないけど、彼が抵抗をやめなかったんだ。ぶん殴られるのが怖くって、ついやりすぎたんだ。
ばかねぇ・・・
どちらの男に対してもそう呟いているあたしは、きっと悪い女。絶対、悪い妻。
彼は薬瓶をひと瓶、夫のために飲ませるようにと置いて行った。
翌朝、あたしに言われるままに薬を飲んだ夫は、けっこう元気を取り戻して、出勤していった。
うちの家の名前に泥を塗るやつを許すことは、とうていできないけれど。
喉が渇き過ぎたら、悪いことをするんだろう?
お前が献血して慰めてやらないと、そういうことになるんだろう?
だったらわたしが留守の時に家に招(よ)ぶか、わたしがいるときには出かけていって、献血すればいいじゃないか。
でもいちいち、わたしに断らなくていいから。
そんなこと――夫として許可するわけにいかないだろう?
まわりくどい寛大さをぶきっちょに示す夫に、あたしは妻としての最大の感謝を示す。
あとからついてきて、のぞき見する夫のまえ、ポルノ女優みたいによがってみせて、
ふたりの熱い関係を見せつけてあげることで。
お互いを気遣い合う、男ふたり。
きっとふたりは、同じような血の持ち主なのだろう。
通い合う村
2017年02月28日(Tue) 05:53:31
ある村では、家長だけが人妻に通う資格を持つという。
そして、その家の長が人妻のもとに通う夜、ほかの者がその家に住む人妻に通うことができるという。
「お宅のお父ちゃん、夕べはうちに来たんだぜ」
幼なじみの健吉にそういわれて、富美也はちょっと照れくさかった。
一家の長が夜だれかのお宅にお邪魔するというのがどういう意味なのか、もちろんよく知っているから。
そして夕べは、一家の長のいない家として、自分の妻がよその男に抱かれた夜だから。
「そっか。うちには伯父貴が遊びに来た」
富美也もさりげなく、健吉にそういった。
「そうか。お互い様みたいだな」
健吉は人ごとのようにそういうと、ひと呼吸おいてから呟いた。
「ああいうのって、つい視ちゃうよな」
「お前も?」
驚いて振り向く富美也の反応は、健吉にとって予想外だったらしい。
けれども見つめる目と目がお互いに対する共感を認め合うと、
ちょっとだけ照れくさそうに、健吉は笑った。
「うちでよかったらいつでもどうぞって、お父ちゃんに伝えといて」
どうやら富美也の父にとって、健吉の若妻はお得意先になっているらしい。
「ウン、わかった」
つとめて明るく返すと、健吉はなおも言った。
「でもさ」
「なに?」
「お前のお父ちゃんのほんとの狙いって、じつは貴和子さんなんじゃない?」
貴和子は、富美也の妻である。
そうかもしれない、と、富美也は思う。
戯れに若い嫁のお尻を触るくらい、ごくふつうの日常のように思っていたけれど。
父の貴和子に対する戯れは、執拗なところがあった。
スカートの奥に手を入れられたことも、二度や三度ではない。
それも、富美也の見ているまえでのことだった。
「今夜、貴和子が健吉のとこに泊まることになったから」
勤めから戻った富美也は、父の聞こえるところで母にそういった。
「おやまあ、急な話だねえ」
母親はなんの疑念も持たない声で、返してくる。
「あちらの冬子さんとは、昔から仲良しだもんねえ」
疑念のない声色は、それでもじゅうぶんに、耳をそばだてる夫の気配を意識していた。
そう――富美也が「開花」したのは、母がまだ若いころ夜這いを受け容れているところを目にしてしまったのがきっかけだった。
時代はくり返すんだな、と、富美也は思った。
案の定お父ちゃんは、夜になるとどこかへと、いそいそと出かけていった。
母は母で、だれかのところに電話をかけている。
久しぶりに、若い衆を呼び込むつもりらしい。
富美也は居場所のなさを感じたが、さりとて父が妻に通う図を見たいとは、さすがに思わない。
健吉はたぶん、夫婦の営みを交わすのだろう。
義父と嫁とが密通する部屋とは、部屋を隔てて。
一見なんでもないはずのひと晩が、富美也にとっては、とてもとても長かった。
あくる朝、晴れ晴れとした顔で、時間差を置いて帰宅した父と妻とを、富美也は腫れぼったい顔で出迎えていた。
以来折々、妻の貴和子は夜健吉の家に出かけるようになった。
そのあとを追うようにして、父もまた、そわそわと家を空けるようになった。
母は母で、昔なじみの若い衆を、家に引き入れるようになっていた。
「あんたも、覗きに行けばいいじゃないか」
母はあっけらかんと、息子に笑いかけてくる。
のどかな土地だ、と、改めて富美也は思う。
そのうちに。案の定。
健吉の家では、男どうしが獲物を取り替え合っていると、聞こえてきた。
もともと父は、健吉の若妻と好い仲だった。
富美也の妻の貴和子が健吉の家にしばしば泊りに行っていることは、もう近所では評判になっていたから、
貴和子と健吉の仲が取りざたされるのも、ごくしぜんな成り行きだった。
健吉はいまでは、手持無沙汰な夜を過ごすことはない。
幼なじみと新妻とが乱れ合う夜は、うぶだった健吉にとって刺激の強すぎる眺めだったが、
父と母から受け継いだ血が、それを歓びに塗り替えていくのに、そう時間はかからなかった。
健吉の父もまだ健在だったから、人妻に通う権利をもたなかった。
けれども、
夫が承知している場合は、自由に人妻と逢って構わない。
そんな便利な不文律も、この村には伝わっているのだった。
義父を迎えるため、貴和子が初めて外泊をした夜。
表むきは、健吉と貴和子が通じ合うのを、貴和子の夫が承知した――そういうことになっていたから。
ひとつ夜。
父は息子の幼なじみの若妻と、息子自身の新妻を代わる代わる抱く。
その家の若い夫は自分の妻が抱かれるのを目の当たりにしながら、自分は幼なじみの新妻に息荒く挑みかかる。
まだなんの権利も得ていないもう一人の若い夫は、けれどももっとも貴重な権利を手にしたかも知れなかった。
妻が時間差でまわされるところを、夜通したんのうする羽目になっていたから。
同じ種類の体験?
2017年02月27日(Mon) 08:03:55
お願いだから・・・お願いだから、痛くしないでね。
そう呟きながら。
キュッと目を瞑って、眉をピリピリと逆立てながら、彼女は吸血鬼に咬まれていった。
おんなじように、いまばぼくの腕のなか。
キュッと目を瞑って、眉をピリピリと逆立てながら、彼女は初めての刻を迎えようとしている。
お前のしようとしていることと、わしがいましていることと、どれほど違うというのかね?
ヤツはたしかに、そういった。
ぼくは今、ヤツの欲望を否定できない。
ヤツもきっと、彼女を征服することが、たまらなかったにちがいない。
ぼくの目の前で・・・・という、付加価値までついていたのだから。
ぼくは今、同じ本質の体験を彼女と遂げて、やっと彼に同意できるようになった。
きっと彼女は、目ざめてしまったもうひとつの歓びを求めて、彼と逢いたいとぼくにせがむのだろう。
気になるのなら、覗きに来てもかまわないから・・・と。
ぼくはたぶん、その濃い誘惑を、拒否できない。
ブログ拍手♪ 10年以上前の記事にいただきました☆
2017年02月26日(Sun) 06:26:02
一か月くらい入っていなかった、ブログ拍手。
久々に入ったなーと思って見に行ってみたら、2006年12月の記事でした。
「吸血の音洩れる夜」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-651.htmlいまでいうなら「家族で献血。」カテゴリに属するお話かも。
表現が今のものよりも凝っているような気がします。
体温や足音でいろんなコトを表現していたりとか。
そういえばこんなの昔描いたような・・・くらいの記憶は、戻ってきました。
ま 3000以上描いていますからね。 A--;
でも、お話を読んで思い浮かぶ光景は、描いたころとほとんど違いないような気がしています。
あくまでフィクションのはずなんですけどね。 (^^)
主婦の日常
2017年02月25日(Sat) 07:48:18
もう、女引退かと思っていたころなのに。
そんな私のことを”女”として遇してくれたのは、主人のお友だちの吸血鬼だった。
とっくに咬まれていた主人にいわれるまま、”進呈”されてしまった私――
セックス経験のあるご婦人を襲うとき、抱かれちゃうということまでは、主人もその時初めて知ったみたい。
んん~~・・・むむっ。
貧血で尻もちをついたままのかっこうで。
心臓の発作でも起こしたのかしら?って心配になるくらい青筋立てて、
それでもスカートの奥をまさぐられてしまっている私のことから目を離せなくなって、
とうとうしまいまで、まんまと見せつけられちゃっていた。
それ以来。
うう~ん。むむっ。
でも相手があいつだったら、まぁ仕方がないか・・・って。
浮気つきの献血訪問は、夫婦のあいだでのお約束になってしまっている。
こんなんで、良いかしら?
玄関に入ってすぐ、よそ行きに装った足許を、靴も脱がずに見せてあげる。
ああ、嬉しいね。あがんなさい。
そういわれて初めて、敷居をまたぐことを許される。
たまに・・・靴の感じが良いからと、庭先に連れていかれて咬まれたことがあるから。
あのときは。
新調したスーツのジャケットの、背中じゅうに枯れ葉がくっついて。
帰りの身づくろいが、たいへんだった。
きょうみたいに、すんなりと家にあげてもらうと。
すぐには咬みついたりせずに、お紅茶タイム。
私が紅茶好きだということは、主人に逆に教えてあげたみたい。
好みの銘柄までちゃんと抑えてくれていて、
私はしばらくのあいだ、素敵な老紳士と知的な会話のティー・タイムを愉しむ特権を与えられる。
ではそろそろ・・・と言い出すタイミングも、このごろはなんとなくだけど、わかってきた。
私はソファから起ちあがり、楚々とした足取りで、隣の日本間に向かう。
最近はいつも、彼の好みに合わせて、ストッキングは黒を穿くようになった。
肌の透けるような、なまめかしい薄い黒――
いやらしいですよね?って、念を押してあげたら。
くすぐったそうにクスッと笑い返してきたっけ。悪いひと。
いちど、法事の帰りに喪服のまま立ち寄ってみたら、すごいことになってしまった。
そのまま夜通しになっちゃって。さすがに心配した主人が迎えに来てくれて。
主人まで血を吸われて、目を回して寝そべってしまった隣で、獣のようにむさぼられてしまった。
かわいそうに、主人はかた無し――でも、自業自得よ。あのひとに私のことを襲わせて、血を吸わせちゃったのはあなただから。
日本間にうつ伏せになろうとしたら。
後ろからとつぜん、羽交い絞めにされていた。
いつの間にそんなものを用意したのか?手にしているのは荒縄だった。
慣れた手つきでするすると、私の身体に回していくと。
小鳥を罠にかけるように、ギュウウッ・・・とつよく、縛り上げられてしまった。
やだ・・・こんな趣味持ってるの?
思わず蓮っ葉な言葉遣いになって、お里が知れてしまった私のことを。
舌なめずりをしながら、眺めまわして。
ウヒヒヒヒッ・・・と、下卑た笑いを口許に含ませて、彼もまたお里の知れる行為に耽りはじめる。
薄い墨色のストッキングを通して。
ぬるぬる・・・ぬるぬると。ねばりつけられる唇と、舌。
私はひたすら、「やめて・・・よして・・・」と、くり返す。
やめてくれるわけなど、むろんない。
私自身、そんなことなど期待してない。
嫌がる女を征服したがる私の愛人のための、リップ・サービスに過ぎないのだ。
いちど主人が同席しているときに、私が「やめて、イヤよ」をくり返したとき。
「妻がいやがっている」と、間に入ってくれたけど。
あれはほんとうに、見当違い。
彼は主人に遠慮して、私を放してくれたけど――
そのあとおわびにこっそりと、主人に黙って彼を家に引き入れて。
ぐるぐる巻きにされた主人のまえ、たっぷり留飲を下げさせてあげたこともあったっけ。
「空気読めなかった罰ですからね」
そう宣告する私を前に、主人は小さくなって、
「降参、降参ですよ・・・」と、情けない声を洩らしながら、
やっぱりさいごまで、目を放さずに。
永年連れ添った妻の情事を、見届けてしまっていた。
ふくらはぎにチクリ、と、牙を突き立てられるとき。
私はえもいわれない解放感を味わう。
ブチブチとかすかな音をたてて、縦に裂け目が走るとき。
足許の薄地のナイロン生地の束縛感がほぐれてゆくのが、むしょうに小気味よかったりするから。
女って、どうしてストッキングなんか穿かなければならないのだろう?
まだ若いころ。
それが、知的な職業婦人のシンボルだったころでさえ、
反骨精神豊かな(単にお転婆なだけだった?)私は、そんなふうに抗議していた。
吸血鬼の奴隷に、すすんで堕ちたいまでは、そんなにまで忌避したストッキングを好んで穿いて、
憎ったらしい愛人のため、見せびらかして愉しませている。
主人も案外、私がストッキング姿を辱められる光景を、愉しんじゃっているみたい。
脚と首すじとに咬みついて。
五十女の生き血をしたたかに吸い取ったこの男は。
いつも目の色をかえて、私に迫る。
「主人が・・・」
「いけません・・・ッ」
たしなめたり叱りつけたりする私のことを、腕づくで抑えつけ、果たしてしまうのが。
彼はとっても、好みらしい。
その昔。
吸血鬼になってすぐのころ、さいしょに血を吸ったのが、しつけに厳しかったお母様だったのが。
このひとの好みを決めたに、違いない。
だから私は、本音も交えて、叱ってやる。罵ってやる。
ちゃんとしたレディを、面白半分に辱めるものじゃないわ!って。
2~3時間は、楽に過ぎる。
主人が家で待ちわびていても。
私は主人に気を使って早く帰ろうとは思わない。
どうしても私のことが心配になったら、そのうちに。
主人のほうから、やって来て。
あの、法事帰りの夜帰れなくなった時みたいに、
見せつけられる愉しみに、目ざめていくに違いないから。
迎えに来た主人が、付き添ってくれるか。
彼が車で送ってくれるか。
どちらにしても、私がひとりで家路をたどることはない。
夫か間男か。
かならず、どちらかのエスコートつき。
車に乗らない主人が迎えに来てくれるときは、
私は裂けたストッキングをはき替えないで、夫と歩く。
この男の女房は吸血鬼に寝取られたのよ・・・って、すれ違うひとに言いふらすため。
人を好きになると、むしょうにものをあげたくなるらしい。
主人が私をあのひとにプレゼントしたみたいに。
私は結婚前の娘と、息子の嫁までプレゼントした。
処女の生き血をあげられるのは、娘だけだったし、
息子にはちょっと、気の毒だったけど、
新婚妻の生き血は、あのひとも十二分に、たんのうしたみたい。
いまでは嫁姑仲良く連れだって、犯される順番をくじ引きして、
後釜になるほうは、先客の済むのを別室で待ち遠しく待って。
先客になるほうは、後釜の済むのを別室であくびをこらえながら待って。
お義母さま、長いんですね。
京子さんも、しつこかったようね。
お互いあけすけな悪口を言い合って、
それぞれの夫の迎えを待って、スッキリした気分で、家に帰る。
大企業に勤めてストレスたっぷりの日常を過ごす息子は、
妻と妹、それに母親までも吸血鬼に寝取られているという、情けない立場のはずなのに。
なぜかそういう立場にいることを、内心悦んでいるようだ。
父子ともども、ヘンタイだ。
親子二代だねって苦笑するヘンな父子は、それでも自分の妻に寛大で。
その寛大な夫を持ったために、私たちは堕ちて、そして愉しんでいる。
お見合い相手。
2017年02月23日(Thu) 08:03:09
そのひとをひと目見て、
グッと引き込まれるような、引力を感じた。
若い女性と接することで、そういう気分になったのは、ぼくにとっては初めてのこと。
栗色のロングヘアに包まれた、かっちりとした輪郭の細面。
細いけれども秀でた眉の下、大きな瞳が魅力的に輝いていた。
けれどもぼくを一瞬にしてひき込んだのは、そういう表むきの美しさだけではなかった。
なにか得体のしれない、独特のかもし出す雰囲気が、
寄り添うほどの親近感をもって、しなやかに柔らかく、迫って来たのだ。
さいしょの数秒だけで、このひとと結婚しても良いかな?と思えたのは。
その場がお見合いの席で、その女性――里美さんが当のお見合い相手であった以上、
これほど幸せな瞬間はなかったことになる。
父の知人のえらい人という仲人夫婦も、先方のご両親も、
どうやら頭のあがらない相手らしい仲人に、終始気を使いつづけた両親も退席して、
ふたりきりになっている――と気づいたのは、話がはずんで二時間ほども経った頃のことだった。
「もういいでしょう、私の秘密をお話しますね」
しっとりと落ち着いた口調で、里美さんはそう切り出した。
その秘密とは、もしも結婚を考えてくれるのなら、そのまえに話さなければアンフェアになることで、
ふつうなら、じゅうぶん結婚の障害になり得ることでもあるという。
危うく里美さんにひと目惚れしかかったことが、彼女に通じたというのか。
いや、それだけでは、きっとないはず。
秘密というのは、自分にとって重要な存在になるかもしれない相手と認めて、初めて打ち明けるべきもののはず。
「私、トランスジェンダーなんです」
はっきりとした口調で、さりげなく綴られた告白。
気後れすることのない語調を吐いたそのひとは、まっすぐな瞳で、ぼくのことを見つめ返してくる。
トランスジェンダー。
かつてこの女(ひと)は、男性だったという事実――
「そんなふうには、とても見えません」
思わず口走ったぼくは、坂道を転げ落ちるように言いつのろうとした。
もしもあなたがそうだとしても、そんなことはなんの障害にもならないこと。
両親がどういうか、そこだけはちょっとだけ気がかりだったけれど、
何よりも自分たちがもってきた、ほぼ無理やりの縁談だったはず。
仮に反対があったとしても、押し切るつもりがあるということ。
そのうえ、なによりも・・・
ぼくの言いたいことを彼女はさえぎるように、さらに口調を強めていた。
「もうひとつあるんです」
吸血鬼の存在って、信じますか?
いえ、ムリにお信じにならなくてもいいんです。
私、吸血鬼に血をあげつづけているんです。
相手は親よりも年上の男性・・・私、そのひとのために、女になったんです。
でも彼は、おおぜいの女性を相手にしないと、生きのびられない。
そして私は、私をたった一人と思ってくれる男性と、添い遂げたいと望んでいる・・・
どうすればいいんでしょう?私。
言いたくないことを口にせざるを得なかった人のもつ、
寂しく、恥ずかしく、後ろめたい想いをめいっぱいよぎらせて、
里美さんは身をよじらせるほどに顔つきを翳らせ、うつむいた。
あの、ひとこといいですか・・・?
こんどはぼくが、打ち明ける番だった。
ぼく、女装趣味があるんです。
物心ついたころから、女のひとの服を身に着けたいという願望があって、
母のスカートを内緒で履いているところを見つかって、物凄く叱られて、それがトラウマになって。
それでも、女装することをやめられなくって。
思い詰めた両親は、ぼくを結婚させることで、そういう世界から断ち切ろうとしているんです。
でもたぶん、ぼくにはそれができない・・・
「わかりますよ」
里美さんはもとの落ち着いたほほ笑みを取り戻し、ぼくのことを見つめている。
そして彼女は、悪魔のような囁きを、ぼくの耳の奥にこびりつかせたのだ。
――もしもこんな私とご縁を続けてくださるつもりがあるのなら。もういちど、逢っていただけませんか?
・・・・・・こんどは女の服を着て。
「まあ、素敵」
長身の里美さんは、ぼくとさして変わらない高さの目線で、柔らかな瞳を輝かせた。
服の選択にはポリシーがあったけど、メイクにはあまり自信がないぼくのことを、包み込むような優しい視線。
「女どうしとしても、お友だちになれそう」
そういう彼女とは、服の好みも似ていたのかも。
楚々とした立ち姿の里美さんは、ワインからのボウタイブラウスに、紺のロングスカート。
人前に女装姿をさらすのが初めてのぼくは、純白のボウタイブラウスに、ライトイエローのタイトスカート。
申し合せたように脚に通した黒のストッキングのつま先を並べて、行く先は仲人夫妻のお邸だった。
案に相違して、仲人夫妻は不在だった。
代わりにその邸で待ち受けていたのは、里美さんの血を吸っているという吸血鬼――
案に相違して、ごく穏やかなジェントルマンだった。
「映画に出てくるような化け物を連想していましたか?」
ご期待に添えなくてすみません、と、老紳士は快活に笑った。
ぼくの女装姿は、あるべき女性の理想像だった。
じゅうたんのうえにあお向けになって。
首すじに、そのひとの唇を受け容れたとき。
ぼくの胸の奥に棲みつづけていた理想の女性は、彼のものになっていた。
そして、女としてのぼくを捧げることに、ぼくはぼくなりの歓びをひたひたと感じていて、
そんなぼくのようすを、里美さんは目を潤ませて見つめつづけていた――
彼女と結婚します。
婚約期間は、1年――
ちょっと長いかもしれませんが、理由はわかりますよね?
貴男に、里美さんの血を処女のまま、長く愉しませてあげたいから。
そしてぼく自身も、ぼくの婚約者が貴男と密会をつづけることを、愉しんでしまいたいから・・・
婚礼の席で。
母も、姉も、妹たちも、吸血鬼の小父さまの縁類たちに、淫らなお祝いをされていった。
そうなるまえに。
母も、姉も、妹たちも、順ぐりに。
里美さんをモノにした小父さまの毒牙にかかって征服され、堕とされていたから、
父も、妹の彼氏たちも、姉婿までもが。
その状況を受け容れて、ただの男として、愉しんでいた。
幸せのるつぼ。
婚礼の最初は、タキシードだったぼくは。
お召し替えのときに、里美さんとおなじ純白のウェディングドレスに着替えていて。
誓いのキスのあと、衆目の見つめる中、里美さんと代わる代わるに、小父さまの熱い唇を首すじに受け止めていったのだった。
ホテルに消えてゆく、婚約者の後ろ姿。
2017年02月23日(Thu) 06:59:42
来月結婚するはずだった瑠美子さんが、ぼく以外の男といっしょに、ホテルのなかへと消えてゆく。
セミロングの黒髪をかすかに揺らし、淑やかな雰囲気のロングスカートを風にたなびかせて、
肌色のストッキングと白のパンプスで装った足取りは、意外なくらいまっすぐに、
ホテルのなかへと消えてゆく。
相手の男は、ぼくが幼いころから慣れ親しんだ、吸血鬼の小父さん。
「すまない、瑠美子さんの血を吸ってしまった」
絶句するぼくの前。
羞ずかしそうにうつむく瑠美子さんの前。
小父さんもちょっぴりだけすまなさそうに、表情を翳らせた。
「私は別れたくないけど・・・いまでもあなたのこと愛してるけど・・・タカシさんが厭だったら私と別れて」
そんなこと。結納も済んだ後に言われて、どう振る舞えばよいのだろう?
瑠美子さんがぼくと一生添い遂げる覚悟をしていることに変わりがないのを確かめたうえで、
ぼくは式の日取りを三か月だけ、引き伸ばすことにした。
――小父さんに少しでも長く、瑠美子さんが処女のまま血を吸わせてあげるために。
人目を忍ぶ逢瀬とはいえ、意味はふつうの男女のそれと違っている。
真っ昼間の公園で、若い娘が吸血鬼に首すじを咬まれて血を流していたら、
だれでもびっくりしてしまうだろう。
それに――小父さんは処女の生き血を最も、好んでいた。
もっとも、既婚の女性の生き血を吸うことも、ぼくははっきりと知っている――母の記憶を通して・・・
2時間後。
瑠美子さんは小父さんに伴われて、ホテルのロビーから姿を現す。
悪びれることなく、いつも淑やかな彼女らしくない、おおらかな笑いを泛べて、
活き活きとした足取りで、ぼくのほうへと歩み寄って来る。
「お待たせ。行こ」
セミロングの黒髪をふさふさと揺らし、白い歯までみせて、
瑠美子さんは何事もなかったように、ぼくに朗らかな声を向ける。
ぼくは小父さんに見せびらかすように彼女と腕を組み、
小父さんとはひと言も言葉を交わさずに、きびすを返してゆく。
朗らかに笑う瑠美子さんの横顔は、いつもと変わらないみずみずしさをたたえていたけれど。
首すじにつけられた咬み痕に浮いたかすかな血潮と、
ふくらはぎの上、ストッキングにひと筋太く走る裂け目とが、
交々に、ぼくの網膜を悩ませた。
式を挙げてしまったあと。
「きみたちには小さな子が要りようだから」
そう言い残して、小父さんはぼく達新婚夫婦のまえから姿を消した。
それから十数年、当たり障りのない日々を経て――
目許にすこしだけ小じわが浮いた瑠美子さんは、昔と変わらない黒い瞳を輝かせて、
整った目鼻だち、淑やかな振る舞いも若い日のままに、
若作りかも知れないけれどよく似合うピンクのブラウスにロングスカート。
足許を染める、グレーのストッキング。
「じゃあね」
と、いつもの無邪気な声色を残して、
初々しい装いのまま、小父さんに伴われて、ホテルのロビーへと消えてゆく。
密室のなかでくり広げられるのは、
週に2~3回はくり返される、当家と彼との間の懇親の儀式。
良妻賢母のかがみのような、一家の主婦が。
そのときだけは、娼婦に変わる。
ホテルのなかで起きたことが、夫婦の間で話題になることは、決してない。
彼について瑠美子さんが声を開くのは、
年ごろになった娘を、いつ小父さまに逢わせるか――
「真奈美の初体験は、あのひとにあげたいな。私の代わりに」
そんなことをさりげなく口にして、
どきりとして固まったぼくから、さりげなく目線をはずしてゆく。
家族ぐるみの濃い関係。 ~同級生が母さんを そのパパが妹を~
2017年02月21日(Tue) 07:15:29
同級生のナオヤくんに血を吸われ始めて半月経った頃。
きみの家に招(よ)んでとせがまれて。
家に着く前に僕のハイソックスを血だらけにしてしまったナオヤくんは、
びっくりして立ちすくむ母さんの首すじに腕を巻きつけて、咬みついていた。
その場で尻もちをついた母さんは、
ナオヤくんに脚を咬まれて、穿いていた肌色のストッキングを咬み破られていった。
ハイソックス、いっぱい買い置きしとこうね。
母さんは自分のことをモノにしちゃったナオヤくんのほうはわざと見ないで、
僕にそんなふうに告げることで、明日からの服従を誓ったのだった。
きみの母さんを、ウチのパパに逢わせたいんだ。
ナオヤくんにせがまれるまま、僕は父さんが出張に行く予定を彼に伝えて、
妹が寝入ったころを見計らって、
僕たち母子はナオヤくんとお父さんのナオジさんとを、家に招いてあげていた。
子供は視ないほうがいいよ。
ナオヤくんに諭されるまま、夫婦の寝室に引きずり込まれた母さんのことは気にしないで、
僕は新調したばかりのライン入りのハイソックスを履いた脚を、ナオヤくんに咬ませてあげていた。
ナオジさんは、ロリコンだった。
母さんのことをモノにしただけでは満足せずに、僕の妹にまで、目をつけていた。
まだ中学にあがるまえなのに。
妹の奈緒美のことを小父さんに目をつけられてしまったことが、なぜか楽しくて。
僕は父さんのいない日を、ナオヤくんにまたも教えてしまっていた。
べそを掻きながら血を吸われた奈緒美をなだめるために、
小父さんはお祝いのケーキを用意してくれていて。
機嫌を直してケーキにぱくついた奈緒美の履いているハイソックスに、もういちど舌を這わせていった。
奈緒美が小父さんにお嫁入りしたのは、それからたった三日後のことだった。
子供は視ないほうがいいよ。
母さんのときにはそういって僕のことを遮ったナオヤくんは。
その日は自分のパパが奈緒美の穿いているよそ行きのスカートをめくりあげるのを、
息をつめて見つめていた。
パパとの昔からの約束。
ボクがお嫁さんをもらうときには、先に抱かせるってことになっているから。
そういってナオヤくんは、奈緒美に対して責任を取ると告げてくれた。
十数年の刻がすぎた。
母さんとナオジさんとの仲は、意外にも父さんがすんなりと認めてくれて。
そういう楽しい会には、父さんのことも呼びなさい、って言われて。
ナオヤくん親子に心からの奉仕をする母さんのことを、
僕たち父子はふすまのすき間から、息をつめて見守る日常がやってきていた。
僕の結婚が決まったとき。
わがことのように悦んでくれたのは、ナオヤくんだった。
僕が結婚するときには、先にやらせてあげるって、約束をしていたから。
奈緒美のときに・・・もっと楽しめればよかったんだね。
ナオヤくんは僕と2人きりのとき、こっそりとそう呟いた。
まだあのころは幼かったから、パパが奈緒美を犯すのが、ちょっと以上に悔しかったんだ。
僕もナオヤくんに、告げていた。
もうすっかり大人だけど、きみが晴美さんを犯すのは、ちょっと以上に悔しいんだぜ。
首すじから血をしたたらせ、息せき切って。
はだけたブラウスのすき間から、切れたブラジャーの吊り紐と、初々しく輝くピンク色の乳首を覗かせながら。
晴美さんは僕の目の前で、ナオヤくんに犯されていった。
僕たち新婚夫婦が、吸血鬼の親子に服従を誓う、記念すべき夜だった。
自分のお嫁さんの純潔を、パパに譲ってしまったナオヤくん。
こんどは僕の花嫁から、純潔をむしり取っていくんだね。
処女をゲットするのは、楽しいかい?
相手が幼なじみの花嫁だと、さらに格別だっていうんだろう?
でも僕は、きみに彼女の純潔を捧げるのが、たまらなく慶ばしい気分なんだ。
わかってくれるかな?
でも、半分はわかっているよね?
奈緒美がきみのパパに犯された夜。
きみだって、あそこを力いっぱい、逆立てていたんだから。
ハイソックスのころ。
2017年02月21日(Tue) 07:12:48
遠い昔、男の子でもハイソックスを履いていたころのこと。
ハイソックスを履いたふくらはぎを咬まれて吸血鬼になってしまった僕は、
吸血鬼を受け容れることを決定したこの街で、いままで通り登校することを許可された。
学校で不用意にクラスの子を襲わないように、
母さんや担任の女教師、母さんよりもちょっと若い養護教諭の先生の献血つきで。
仲の良かった男子のなん人かも、献血に協力してくれた。
吸血鬼から伝染(うつ)されたハイソックス・フェチの性癖も理解してくれて、
血を吸っても良い日には、わざとハイソックスを履いてきてくれた。
でももちろん、中にはそうではない子も多かった。
「履いてあげる靴下考え中だから」――
そういって僕の吸血をえん曲に断ってきたのは、仲良しだったSくん。
さいしょは本気にして、いつあのお気に入りの、赤のラインの入ったハイソックスを履いてきてくれるのだろう?と思っていたけど、
それ以来、彼はハイソックスを学校に履いてこなくなった。
「悪いけど、キモチ悪い。ゴメンな」
そういって去っていった友だちもいた。
そのたびに声をかけてくれたのは、Kくんだった。
「気にすんな。こっち来なよ」
Kくんはいつもそういって、僕を後者の裏に呼んで。
毎日のように履いてきているハイソックスのふくらはぎを、咬ませてくれるのだった。
半ズボンの下眩しい、真っ白なハイソックスのうえから、僕は夢中になって、Kくんの足許に唇を吸いつけていった。
スポーツマンのKくんの血はいつも活き活きとしていて、心身ともに僕のことを力づけてくれた。
教室に帰るとき、Kくんはハイソックスをはき替えないで、
赤黒い血のシミをわざとそのままにしてクラスのみんなと親しんでいた。
まつ毛の長いやさ男のYくんも、僕に同情的だった。
いつも女の子みたいな、薄手のストッキングみたいなハイソックスを履いていて、
Kくんが部活に行ってしまった後、「ちょっと」と僕のことを呼び止めて、
だれもいなくなった教室で、ハイソックスの脚を咬ませてくれた。
貧血に翳る憂い顔がどことなく女ぽくて。
Yくんの血を吸っているときは。
なぜか、異性の血を吸っているときのような陶酔感を覚えていた。
年月が経って、わかったことがある。
もちろん、吸血鬼になった僕のことを不気味がった子もいたけれど。
離れていった多くの仲良したちが警戒したのは、僕に彼女を奪(と)られちゃうかも?ということだったらしいことを。
それと察したKくんは、自分の彼女を真っ先に紹介してくれた。
「処女の血が好きなんだろ?ぼくの彼女紹介してあげるよ」
みんなの前で僕にそういって周囲を驚かせたKくんは、
翌日みんなの前で、恋人の優子さんを紹介してくれた。
学校の成績が良くて快活な優子さんは、万年学級委員。
Kくんとは似合いのカップルだった。
「映画のヒロインになったみたい・・・」
優子さんは両手で恥ずかしそうに口を覆い、「きゃー」とおどけながら、僕に首すじを咬ませてくれた。
「ハイソックス汚したらママに怒られるから、きょうはゴメンね」
Kくんを含むみんなの前で堂々と吸血された優子さんはサバサバとした言葉づかいで、
僕のフェチな行動を封じていった。
翌日のこと。
Kくんはみんなのいないところに僕を呼んで、
隣の教室から呼び出していた優子さんと引き合わせ、「きょうだったらOKだから」といって、
紺のライン入りのハイソックスを履いた優子さんの脚を、僕に咬ませてくれた。
優子さんとは、二人きりで逢ったこともあるけれど。
妖しい関係には、とうとうならなかった。
Kくんとの友情が、それだけたいせつなものだったから。
そしてKくんがじつはだれよりも、僕に優子さんを奪(と)られてしまうのを心配していたから。
初めて性的な関係を結んだのは、同性のYくんだった。
女のような憂い顔の持ち主のYくんは、じつはいまでいうトランスジェンダーだった。
そんな言葉も認識もない時代、彼はずいぶん悩んだらしいけれど。
ある日のこと、彼女のできない僕のことを気遣って、
就職して家を出たお姉さんが高校生だったころの服を着て現れて。
真夜中の公園で、デートをしてくれた。
両親がYくんを家に残して結婚記念旅行に出かけた夜だった。
僕たちは初めてキスを交わし、Yくんのなまなましい呼気に触発されて獣になった僕は、
Yくんの穿いていたスカートの奥に、好奇心に満ちた掌を、荒々しくまさぐり入れていった。
意外だったのは、その後のSくんの行動だった。
「履いてきてあげる靴下考え中だから」と言いつづけていた彼は、
卒業間際になって、僕がずっと気にしていた赤のラインのハイソックスを履いてきて、
だれもいない教室で、こっそり咬ませてくれたうえ、こんど彼女を紹介してあげるとまで、約束してくれた。
期待しないで待っていたら、ほんとうに彼女を連れて家までやって来た。
彼女は、頑なな性格のSくんを和らげる力を持った少女だった。
Sくんの言うなりになって、僕に咬まれてしまうと。
「時々二人で、遊びに来るね」と、約束してくれた。
僕が過ちを犯したのは、寛大なKくんの花嫁の優子さんではなく、S夫人のほうだった。
一見頑なな彼が、ひそかに見せてくれた特殊な性癖に、僕は生涯かけて感謝することになる。
そのほかにもなん人か、奥さんや恋人を献血用にと紹介してくれた友だちがいた。
僕は彼らの血も吸っていたから、彼らの芯に意図するところを吸い出した血の味から読み取って、
彼らの連れてくる奥さんや恋人を、抱いたり抱かなかったりした。
でも――いまでもいちばん記憶に残る血の味は、
Kくんの彼女だった、優子さんのもの。
彼女への想いは、かなえられることのない淡い想いとして、いまでも僕の心の奥に秘められている。
喪服フェチ
2017年02月15日(Wed) 08:11:18
わたしの血を吸った男は、喪服フェチだった。
彼は、妻に喪服を着せたいというそれだけのため、その場でわたしの血を吸い尽す。
男の血にはフェチを感じないらしく、ごくごく事務的な、吸いかただった。
ギャーと叫んで倒れたわたしの意識は、その後も継続を強いられた。
お通夜の晩、だれもいなくなったその席で、男は妻に迫って、喪服姿を掻き抱く。
アアーッ!と叫んで倒れ伏した妻は、黒のストッキングをブチブチ咬み破られながら、ふくらはぎまで侵されていった。
その場で犯された妻は、そのまま吸血鬼の愛人に。
墓場送りになったわたしは、吸血鬼に血を吸い尽されたもののつねとして、吸血鬼として生き返る。
吸血鬼になった夫と、夫の血を吸った男の情婦になった妻。
男はわたしに妻を抱かせ、自分もわたしの目の前で、妻を相手に欲望を果たす。
しまったな。よけいなことをした。仲間を増やすのは、どうにも損だ。
男はそう愚痴りながら、わたしの同僚の妻をさらってきた。
同僚の妻は、わたしの法事のためにと、喪服姿でお寺に来ていて・・・それが運の尽きだったのだ。
なにも亭主が死ななくても、喪服を着るのは勝手だろう?
男は同僚の妻の首すじを噛んで、足許にも咬みついた。
苦痛と屈辱に震える女を目のまえに、
「抱いてもいいぞ。本当は、この女のことが気になっていたんだろう?」
男は文字通り、悪魔のささやきを口にする。
「いいのよ、あなた。想いを遂げても――」
吸血鬼の情婦になり切ってしまった妻まで、わたしのことをそそのかす。
思いを遂げたわたしのかたわらで。
ロープをぐるぐる巻きにされた同僚は、見せつけられた凌辱を目の当たりに、恥知らずな射精をくり返してしまっている。
どうやら、わたしも同僚も、隠れた喪服フェチだったらしい。
同好の男三人は、ふたりの人妻を交えて、その後も仲良くつき合いつづけた。
娘の彼氏。
2017年02月15日(Wed) 08:02:02
娘の彼氏は、気の毒だ。
彼女が吸血鬼にとりつかれてしまったばっかりに、
三日にいちどは、吸血鬼のお邸に娘を送り迎えする羽目になっている。
けれどもそんな屈辱的な状況に、彼があえて甘んじてしまっているのは、
庭先からのぞき見することを許された室内の光景に、いけない昂ぶりを覚えてしまったから。
処女の生き血を好む吸血鬼のために、
彼は娘と一線を越えることを、禁じられている。
ガマンをつづける彼が報われることは、たぶんない。
いずれ・・・よそで適当な処女を見繕うことができたあかつきには、
娘の純潔は、吸血鬼の手でむしり取られてしまうだろうから。
いや、たぶん。いや、きっと。
彼のガマンは、報われるのだ。
未来の花嫁の処女喪失シーンを、吸血鬼と共有することで。
わたしも彼の気持ちを、じゅうぶんに汲むことができている。
人にはいえない、マゾヒスティックな歓びに目ざめた同士なのだから。
娘も献血。
2017年02月15日(Wed) 07:49:02
娘が学校から、帰ってきた。
ただいまぁ・・・という張りのある声が、満ちた血潮を連想させる。
わたしも、半吸血鬼になってしまったのか。
おそらくそれくらいの貢献は、とっくに果たしているはずだ。
廊下に響くばたばたとがさつな足音が、このリビングへと近づいてくる。
両親が不埒な愉しみに耽ってしまっている、忌むべき空間に。
ドアが開かれた。
・・・・・・。
目を見張る娘。
そこには、すでに見慣れてしまった光景。
わたしは首すじから血を滴らせ、足許に伝線を走らせ、恥知らずな射精にじゅうたんを濡らしてしまっている。
妻も首すじから滴らせた血潮にワンピースを濡らし、伝線したストッキングを片方だけ穿いて、
わたし以外の男の侵入を股間に受け容れてしまっている。
靴下フェチな吸血鬼が、白いハイソックスを履いた娘の発育のよいふくらはぎに、目を留めないわけはない。
わるいね、ご主人。娘さんもいただくよ。
あれよあれよという間に、娘は学校帰りの制服姿を、抱きすくめられてゆく。
潔癖そうにひそめた眉をピリピリと震わせながら、娘もまた両親と同じように、首すじを噛まれていった。
ちゅうっ・・・
忌まわしい吸血の音が、薄暗いリビングに、陰気に響いた。
白のブラウスに血を撥ねかしながら、娘は目つきをトロンとさせて、男の吸血行為に身をゆだねる。
じゅうたんにひざを突いて四つん這いになってしまうと、
眩暈を起こした娘を男は嬉し気に見つめ、ハイソックスのふくらはぎに、唇を這わせていった。
脱がされた薄手の紳士用ハイソックスが、じゅうたんのうえにとぐろを巻いた。
脱がされた肌色のストッキングが、ふしだらにふやけたまま、そのうえに折り重なった。
真っ赤に濡れた白のハイソックスが、さらにそのうえに・・・
男は増えたコレクションを手に、我が家をあとにする。
務めを終えたわたしたちは、互いに目を背け合いながら、
何ごともなかったかのように身づくろいを済ませて、日常にもどっていった。
夫婦で献血。
2017年02月15日(Wed) 07:37:24
あはぁ~・・・うんめぇ。
男はうつ伏せになったわたしの足許から唇を離すと、うわごとのようにそう呟いた。
男の好みに合わせて穿いていた、スケスケに薄い長靴下には、くまなくよだれがしみ込まされて、
いくつもの咬み痕と伝線を走らせている。
脳天がけだるい感じ・・・でも決して不快ではなくなった無重力状態に漂いながら、
わたしはつぎの状況を克明に想像してしまう。そしてその想像は、狂うことがなかった。
ご主人、悪いね。今夜も奥さんと仲良くさせてもらうよ。
男はそう言うと、傍らのソファに腰かけて、痴態に似た吸血行為のいちぶしじゅうを見守っていた妻のほうへと振り返る。
クククククッ・・・
くぐもった嗤いに怯えた表情を浮かべた妻は、すがるような目線をこちらに向けてきたが。
血を抜かれてしまった身体は、もういうことを聞かない。
妻はわたしの見つめる前で背中越しに抱きすくめられ、羽交い絞めにされて、
首すじをがぶり!とやられてしまった。
素肌に吸いついた好色な唇は、ギラギラと劣情をたぎらせて、熟れた血潮をひたすら旨そうに吸いあげつづける。――
やがて妻は目つきをトロンとさせて、その場に突っ伏してしまった。
うふふふふっ。すべっこい靴下を穿いていなさる。
妻の穿いている肌色のストッキングに舌を這わせながら、男は満悦の笑みを浮かべ、
薄手のナイロン生地をなおもいたぶりつづける。
妻の身に着けた礼装をむざむざと辱められてゆく光景を目の当たりに、
ジリジリとした嫉妬がとろ火のようにわたしの胸を焦がしていった。
ご婦人を相手の吸血行為のあとは、濃密なセックスと相場が決まっている。
そして妻も、例外ではなかった。
嫉妬はどす黒い刺激になって、わたしは恥知らずにも、激しい射精をくり返してしまっていた。
そして妻は、そんなわたしを横目に窺いながら、これ見よがしな媚態を、あらわにしてしまっていた・・・
ちょっぴり解説。 (今朝もずいぶん、進みました。 汗)
2017年02月12日(Sun) 07:48:59
このあいだあっぷをしたかいせつが評判がよろしかったので、性懲りもなくまた書いてみます。
「むかし話」
古い民話調で公認寝取らせ話を、描いてみようと思い、キーを叩きました。
今回のキーワードは、
「勝手に通え」
ですね。ココが真っ先に思い浮かんで、制作に踏み切りました。
だいたいいつもこんなふうに、何気ない言葉のきれっぱしが創作のきっかけになることが多いんです。
「卒業間近の、仲良し三人組」
ちょっぴりぬるい、学園吸血物語です。(1月26日構想)
冒頭に、実際にキーを叩いた日付までコピペしてしまったのに今頃気づき、さっと消したのはナイショです。
(^^ゞ
楽しそうに血を吸われに行く女の子たちと、
さっきまでえらそうにまくしたてていたのに、別人のように怯えながら吸血鬼の餌食になってしまう女教師の対比を描きたかったみたいです(のかな?)
あと、4月から制服がとりどりに変わるというところも。
彼女たちが高校に進学した後は、吸血鬼としては「三度おいしい」はず。
ほんとうは。
別々の学校に進学していく三人のちょっぴり寂しい心境まで書き込めれば、そこそこいいお話になったはずなのですが・・・
「真冬のデート」
さっきまで寝床のなかにいて、ふと思い浮かんだ情景をそのまま文章にしました。
こういう流れで創作すると、出来はともかくあっぷしたあとの後味はとてもよろしゅうございます。^^
道行く人の目を気にして、履き替えたストッキングは破かないでと頼む彼女の願いを聞き入れて、
二足目は舐めるだけの寸止めにする男に、わずかな思いやりを読み取ってくれれば幸いです。
相手は親ほど齢の離れた吸血鬼なのですが、
さいごの「抱っこ」があるから、彼女も心を許すのでしょうね。
「寸止め。」
一転して、寝取られ話です。
「寸止め」という言葉。
前作でヒロインの女学生が履き替えた二足目のストッキングを吸血鬼が破らなかったシーンで使おうと思ったのですが、
どういうわけか使いそびれまして、創作のヒントになるようなそうした痕跡が消えたのでした。(笑)
スカートのなかで終わらせるのと、深く芯に突き入れてまでし遂げてしまうのとでは、やっぱり雲泥の差がありますね。
男にとっても、女にとっても。
亭主の粋な計らいに感謝のできる情婦と妻だからこそあり得る、亭主の粋な計らいでもあるようです。
も少しコミカルなタッチにすれば、なおよかったか?
どのみちこの程度のお話だったか? 苦笑
「母娘」
しょーもない前作を描いた直後とは思われないほど、一転して構想が変わりました。
ちょっとしみじみなトーンになりましたが、
娘の突きつけた「父さんのこと忘れないでくれるなら」というセリフは、後段になって本人に返ってくるんですね。
「じきに慣れるわよ」で娘が納得してしまうシーンも、自分で描いていてちょっとドキリといたしました。
^^;
「父親の独り言。 ~小悪魔 後日譚~」
3日ほど前に描いていたら出かける間際になっていて、途中でばたばたとPCを閉じたのでした。
あらかた書き終えてはいたんですが。
それを今朝、多少ニュアンスを変えてあっぷしました。
お話の冒頭にも描きましたが、先日あっぷをした「小悪魔」の後日譚です。
ヒロインの吸血少女はまず息子の血を吸って、
それから女の生き血に飢えた自分の父親に、彼の母親を取り持ちます。
こういうときに、息子と妻を吸われた男性はどういうふうになるのだろう?というのが気になってしまうのですが、
いつも通りの展開・・・ということで。
昔流行っていたストッキング地の長靴下がこのお話にも登場しますが、
家族の血を吸った男との和解のしるしに咬ませてやるシーンは、こちらのお話にも出ています。
「両刀使い。」(2016.2.4あっぷ)
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3261.html前作のほうが、ホモセクシュアルな展開になっています。
この手の靴下はほぼ絶滅してしまっていますが、
海外のサイトを見ると、その種の嗜好の持ち主を購入のターゲットにしているみたいです。やれやれ・・・
本来は、そういうことではなかったはずなのですが。。。
「互いに互いを~地方赴任者のお愉しみパーティー~」
ひと月前の下書き時点でのタイトルは、「互いに互いを」までだったのですが、
書き上げたときにタイトルの後段を思いつきました。まんまですが。 (笑)
吸血鬼の棲む街に赴任した人たちは、全員家族ぐるみで血を吸われてしまうのですが、
そうなるに至る過程で、こんなふうに皆さん、楽しく足を引っ張り合っているんですね。
サラリーマンの縮図です。(違)
今朝あっぷをした5作のうち、「真冬のデート」「寸止め」「母娘」は今朝のオリジナル、その他は過日に描いたものの翻案 ということでした。
では。
互いに互いを ~地方赴任者たちの、お愉しみパーティー~
2017年02月12日(Sun) 07:19:02
きょうは、新規に転入してきた社員夫婦を招いての、ホームパーティー。
つきあいの良い事務所長宅は地元の旧家を改造した広大なお邸で、
こういう集まりにはうってつけだ。
招かれた夫婦は、わたしよりも10歳くらい後輩の、三十代後半。
娘が一人いて、いまは転入したばかりの私立中学で、授業を受けている時分だろう。
集まったのは総勢、十数人もいるだろうか。
一同親し気に笑いさざめいてはいるものの――
なかなかどうして、この宴には裏がある。
そもそもこんなパーティーを企画するようになったのは、いつのころからか。
じつは転入者のだれもがくぐり抜ける通過儀礼なのだとわかるのは、すべてが終わったあとのこと。
げんに半年前の、わたしのときがそうだった。
この街の人たちね、吸血鬼と共存しているんですよ。
ここに来る以前から顔見知りだった同僚が、ふとそう囁くと。
一同は一瞬押し黙り、突然部屋の明かりが薄暗くなった。
首のつけ根に鈍痛を感じ、眩暈を起こして。
振り返ると隣にいた見慣れない地元の老人が、吸い取ったばかりのわたしの血を、口許にしたたらせていた。
次は妻の番だった。
失血に眩暈を起こしたわたしは、その場に尻もちを突いて、動けなくなっていた。
老人は猿(ましら)のようなすばしこさで、向かいに座っていた妻に襲いかかった。
キャッと叫んで飛びのこうとした妻は、
あろうことか左右にいたわたしの同僚二人に抑えつけられて、
わたしと同じ経緯で老人に頭を掴まれ、首すじをがぶりとやられてしまっていた。
半死半生になったわたしは、ただ抜け殻同然となってソファに横たわり、
脚を吸われた妻がストッキングを咬み破かれながら、むざむざと血を吸い取られてゆくのを、見守っているよりなかった。
そのあとは――落花狼藉である。
わたしたち夫婦を堕落させることに協力した同僚たちは、てんでに妻の上に群がって、欲望を成就させていったのだった。
相手がわたしの同僚と知った妻はけんめいに抗ったが、だれもが隙だらけの装いのなかに指を差し入れていって、かわるがわる、想いを遂げていった。
「けっこう手こずったね」
みんなは顔を見合わせて笑った。
お互いの健闘をたたえ合うような、妻の頑強さを賞賛するような、たぶん両方の意味でのくったくのない笑い。
「そう悔しがるなって。つぎに転入者が来たときには、あんたもいい想いできるんだから」
同僚の慰めは、共犯者の誘惑だった。
さいごはわたし自身が妻に覆いかぶさって、妖しく昂った熱情を、いままでになく激しく突き入れていた。
そうすることで目のまえの落花狼藉を認めてしまったわたしは、
留守宅に交代で妻を訪ねてくる同僚たちをそれ以上咎めることもなく、
夢中になってしまったことを全身で告白してしまった妻は、
わたしの態度をいいことに、それまでの貞淑妻の仮面をかなぐりすてて、日がな情痴に耽るのだった。
笑いさざめく口、口、口――
それらの口はどれもが、妻の素肌を這った口。
彼らの妻たちも数人、顔を並べていたが、それはきょうのヒロインが凌辱されている間手持無沙汰な順番待ちの解消要員。
そのなかにはむろん、妻の姿も含まれている。
一座の男たち全員の奴隷に堕ちた妻がいる。
同僚の妻たちも皆、同席している男性すべてを識っていた。わたしのことも、よく識っていた。
この街がまだ山間の寒村だったころ、夜這いの風習があったという。
だから、吸血鬼がなじみやすかったのさ。
だれかがそんなことを言っていたが、きっとそうなのだろう。
彼ら地元の者たちは彼ら同士で、互いの妻と親睦を深め合っているという。
わたしたちが同じ風習を平和裏に真似て、何が悪いというのだろう?
きょうの主賓は、地元の長老格のひとりだった。
彼は、ストッキングを穿いた都会育ちの女たちの脚を好んで辱めようとする。
その場に居合わせる都会妻たちの、ひとりを除く全員が、彼にストッキングを咬み破かれていた。
一座の男性の、やはりひとりを除く大半は、妻を最初の餌食に献上する羽目になっていたし、
あの日わたしの隣に腰かけたのも、この男だった。
彼の唇はいままでになん度、わたしたち夫婦の血をあやしたのだろう?
いまとなっては、そんな勘定は意味をなさないくらい、彼の唇はわたしたち一家の血潮をなじませてしまっている。――娘を含めて。
あの晩の出来事は、わたしたち夫婦のなかでも塗り替えられて、
わたしのほうからあの男に、妻の貞操を奪って欲しいと懇願したことになっていた。
なにも知らない初顔の奥さんは、亭主に言われるままによそ行きのスーツをきっちりと着込んできていて。
ライトイエローのタイトスカートの下からは、白のストッキングに透けたふくらはぎを、
それとは意識することなく、ジューシーに見せびらかしている。
部屋の照明を照り返してじんわりと光沢を滲ませているストッキングが、
あと数刻でむざんに咬み破られるなど、
きっと、夢にも思っていないはず。
笑いさざめく口、口、口――
それらの口がほんの一瞬、いっせいに閉ざさるとき。
あの老人は亭主にひと言囁いて・・・
そして部屋の灯りが突然、薄暗くなった。
追記
ひと月ほど前に創作、今朝改稿。
父親の独り言。 ~小悪魔 後日譚~
2017年02月12日(Sun) 07:00:58
先日あっぷした、コチラのお話の後日譚です。
「小悪魔」
http://aoi18.blog37.fc2.com/blog-entry-3395.htmlこの街に移り住んで、まだ半月足らず。
そのあいだに妻と息子は、街に棲み着く吸血鬼の手にかかって堕落させられ、その身をめぐる血液を、彼らの好餌にされていた。
わたしが大けがをしたと偽って連れ出され、その道すがら。
妻は男に、息子はその彼の娘の牙にかかって、血を啜り取られてしまったのだ。
大けがをしたのはわたしではなくて、妻と息子のほうだった。
もとより、咬まれた傷はさほどのものではない。
けれども、そのささやかな傷口からそそぎ込まれた毒液は、
彼らの理性を痺れさせて血潮を淫らな色に変え、
ふたりを淪落の蟻地獄へと、引きずり込んでいったのだった。
「あなたの奥さん、うちのパパと浮気しているみたい」
オフィスに訪ねてきたその少女は、白い目でわたしを見、唐突にそんなことを呟いていた。
長い長い黒髪の間に、一見素直そうな、大きな黒い瞳。
上品で齢以上に大人びた紺のワンピースに、白のハイソックス。
お行儀よくきちんと折り返したハイソックスの脛をきちんとそろえ、つぶらな瞳でわたしを見ていたが、
その視線は冷たく、なにかを見通そうとしているようだった。
「おじさん、うちのパパに血をあげてくれませんか」
「何を言っているんだきみは?わけのわからないことを言わずに家に帰りなさい」
いちどはそういって、峻拒してみたものの。
すでに妻も息子も奴隷になってしまったのは、白昼こっそりと帰宅したときに、たっぷり見せつけられてしまっていた。
妻はよそ行きのスーツにわざわざ着替えて、ブラウスを引き裂かれ、おっぱいをまる見えにさせながら、ひたすら首すじを吸われていたし、
息子はおどおどと、少女の言うなりになって、紺のハイソックスのふくらはぎを、じわじわと冒されてゆく。
少女だけがわたしの気配を察して、察しながらも気づかないふりをして、
そして、気づかないふりをしてあげているのよと言いたげに、ご丁寧になん度もこちらをチラチラ盗み見ながら、
息子の履いているハイソックスを、容赦なく咬み破っていったのだった。
父親のほうは、こちらのことなど眼中になく、肌色のストッキングを穿いた妻の脚に夢中になっていて、
ストッキングがしわくちゃになるほど、べろをねぶりつけさせたあげく、ブチブチと咬み破っていって、
喘ぐ妻はすっかり言いなりにされてしまっていて、ベッドのうえにあお向けに転がされると、
ストッキングを自分から片方脱いで、スカートの奥に秘めた股間を、男の侵入にゆだねていった。
「小父さんも、持っているでしょ?ストッキングみたいに薄い、紳士ものの長靴下。
あれを穿いて、パパに破らせてあげてほしいの」
ふたたび現れた少女は、やはり無表情の白い目でこちらのことを睨(ね)めあげてきて。
「降参のしるし」
そういって、クスリと笑う。
「でもね、悦んで。うちのクラスの転校生のママは、みんなパパの餌食になったけど。
あのひとがあんなに熱心につづいているの、奥さんだけだよ」
ほかの人妻たちはみんな、仲間の禿げ親父どもに分け与えちゃった・・・
黒髪の少女は、自分の母親くらいの女性たちの運命を、こともなげにそう片づけたのだ。
週に、3,4回くらいかな。
奥さんのこと、連れ歩いているの。
いつもエッチってわけじゃ、ないみたい。
大人のつきあいのことだから、詳しいことはわかんないけど。
でもね。ずうっといっしょにいるあいだ、お話ばかりしていることもあるんだって。
だんなの顔をつぶしちゃいけない。お宅の家の名誉と秘密は必ず守るって、あのひとにしては態度が殊勝なんだよね。
あくまで上から目線の少女の言いぐさは、自分の父親のことさえ「あのひと」と突き放しながらも、
そんな「あのひと」が妻にかなり真剣なことまで、淡々と伝えてきたのだった。
「降参のしるし、穿いてきてくれる?」
少女はとどめを刺すようにそういうと、黒い瞳でじいっとこちらを見返してきた。
じわり。
わたしのふくらはぎに、男の唇が吸いついたとき。
薄いナイロン生地のうえから感じる唇の熱っぽさに、どきりとした。
このひとはほんとうに、妻に執心なのだと、しんそこ実感した。
這わされた唇は容易に離されることはなく、すぐに咬もうとはしないでゆっくりと、わたしの足許をくまなく這いまわった。
ヒルのように貪欲で、妖しい唇だった。
この唇が、妻の唇を奪ったのか。
この唇が、妻の柔肌を這ったのか。
あらぬ想像が胸の奥を駆けめぐり、わたしの体内をめぐる血潮をまがまがしく染めた。
そんな想いを吸い取った血潮から感じ取ったらしい。
いつの間にか咬みついていた男は顔をあげ、わたしの顔を覗き込む。
「恥じることはありません。貴男は善い行いをなさっている」
わたしが虚ろに肯くと、男はそのままわたしの首すじに咬みついた。
ちゅうっ。
吸いあげられる血潮が、支配するされるものの体内から引き抜かれ、支配するものの喉の奥へと収められてゆく。
この牙が、息子の首すじを噛んだのか。
この牙が、息子の理性まで狂わせたのか。
吸血行為は、共同作業なのだ。セックスと同じくらいの意味で。
目ざめてしまった快感に耐えながら。
わたしはシーツがくしゃくしゃになるほど握りしめ、男の吸血にあえいでいた。
「私の胃の腑には、奥さまやご令息の血潮も満ちているんです。
家族三人仲良く、成仏なさってくださいね」
成仏という言葉はどうやら、堕落という言葉と同義語らしいと自覚しながら。
わたしは小声で「お願いします」と、呟いていた。
男がもういちど、わたしの足許にかがみ込んで。
薄地の長靴下を、思うさま咬み破ったとき。
身体の芯を突き抜けるような開放感が突き抜けて、自分が堕落したことを受け容れていた。
母娘
2017年02月12日(Sun) 06:48:46
母娘ふたり暮らしの家だった。
先に血を吸われたのは、母親のほうだった。
だいじょうぶ?母さんまで死んじゃ、ヤだよ・・・
母親似の大きな瞳を張りつめて案じる娘に、
死なされるわけじゃないみたいだから、だいじょうぶだよ。
母親は気丈に、そう応えた。
つきあいが深まるにつれ、娘は母親の情夫と顔見知りになった。
母親が男を、家に入れるようになったから。
知ってるよね?
母親は何気なく、娘に訊いた。
知ってるって、なにを・・・?
訝し気に訊き返した娘は、母親の問いの真意をすぐにさとった。
父さんのこと忘れないでくれるなら、いいよ・・・
娘はちょっとだけなにかをこらえるような顔をして、そうこたえた。
吸血鬼が娘のことを襲ったのは、それから数日経った頃だった。
どうなっちゃうのかな。
結婚を控えていた娘は、吸血鬼の求愛を受けて、戸惑っていた。
悪いよね?ゼッタイ、彼に悪いよね?
母親は、娘の恋人が薄々状況を知っていることに、気づいていた。
彼はきっと、娘の過ちで心を変えたりしないだろう――そう確信した彼女はこたえた。
彼氏のことを忘れないでいられるなら、いいんじゃないかな?
背中を押された娘はその晩、花婿ならぬ身に、愛し抜かれていった。
難しいんだね。
娘の問いに、母親はなにが?と促した。
父さんのこと忘れないでいても、できちゃうんだね。
言いたいことを知り抜いていた母親は、そっと答えた。
じきに慣れるわよ。
そっか。
娘は食べかけたパンにもうひと塗り、甘いジャムを塗りつけていった。
寸止め。
2017年02月12日(Sun) 06:35:35
いいな?寸止め・・・だぞ。
わかってる。もちろん、寸止め、だ。
男ふたりはまるで合言葉のように、寸止めと念を押し合って、
ひとりは部屋を出て、ひとりは部屋に残って、人待ち顔にソファに背中をもたれさせる。
入れ違いのように入って来たのは、この家の主婦。そして、さっき部屋を出ていった男の妻だった。
いけすかない。
男の妻は口を尖らせて男を睨み、
けれども伸びてくる猿臂を避けようともせずに、そのまま抱きすくめられてゆく。
親友の妻の首すじに牙を突き立てたとき。
男は初めて、本性をあらわにした。
あぁ~っ・・・
血を吸い取られてゆく女のか細い声に満足するかのように、
男は女をギュッと、抱きしめる。
この街に出没する吸血鬼は、血を吸った相手は必ず犯すという。
男もその例外では、なかったはず。
吸血鬼になってしまった親友に、「お前の奥さんの血が欲しい」と告白された男は、善意の持ち主だった。
「でも妻は、ほかの男には抱かれたくないと思う」
そんなふうに妻の身を案じる男に、親友は言った。
「約束する。必ず寸止めにするから」
スカートのなかにペ〇スを突っ込むまでは、赦してくれ。
そのまま吐き散らかして、太ももを濡らすまでなら、ガマンしてもらえるだろうか?と。
妻には言い含めておく、と、善意の夫は言った。
目のまえでくり広げられているのは、明らかに愛し合う男女の痴態。
善意の夫は隣室から息をつめて、情事に耽る妻と親友とを見つめつづける。
一時間後。
寸止め、だったよな?
ああもちろん、寸止めだ。
男ふたりは念を押し合うように言葉を交わし、
夫は気絶した妻をお姫様抱っこして、夫婦の寝室に連れ戻る。
我に返った妻は、今夜も強調するのだろう。
エエもちろん、寸止めだったわよ・・・と。
真冬のデート
2017年02月12日(Sun) 06:24:17
やっぱり、いやらしいよぅ。
セーラー服の少女は天を仰ぎながら、ため息交じりにそう言った。
けれども、足許にかがみ込んできた吸血鬼が、黒のストッキングのうえから唇を吸いつけてくるのを、それ以上咎めようとはしなかった。
色白の頬に、ルージュを刷いていないのにまっかな唇が、齢不相応になまめかしい。
細い眉毛を、ちょっとだけ悔しそうに逆立てて。
よだれに濡れた唇が、クチュッと音をたてて薄地のナイロン越しに圧しつけられてくるのを、
ベンチの座席の端をギュッと握りしめて、目をつぶってこらえた。
あー・・・
眩暈をこらえながら。
少女は上半身を頼りなさそうにぐらぐらと揺らつかせていた。
黒のストッキングは両脚とも、派手な裂け目を走らせてしまっている。
男はよほど、少女の履いているストッキングに執着しているらしい。
それでもまだ、好色な舌を擦りつけるのをやめようとせずに、薄地のナイロン生地をふしだらに皺寄せてゆく。
いよいよ少女の身体がバランスを喪った瞬間――
おっと。
目にもとまらぬ素早さで男は身を起こし、少女の傍らに座り込んでその身を受け止めた。
分厚い掌にがさつな手つきで髪を撫でられながら。
少女は口を尖らせて、「ばか」と言った。
連れだってたどる家路。
少女の足許はふたたび、真新しいストッキングで、隙なく染められている。
貧血が収まるまでベンチで横になっている間。
舐めるのはいいよ。でも、破かないで。
ちょっと切なげな顔をした少女の願いを容れて、男はチロチロと舌を這わせつづけていた。
はた目にはわからないけれど。
知的な墨色をした薄地のナイロン生地には、男の好色なよだれがたっぷりと、しみ込まされている。
家の玄関のまえで、男はコートの襟を立てたまま、言った。
じゃあね。
うん。
少女は濡れた瞳で、男を見あげる。
男はそんな少女のか細い肩を、優しく優しく抱きしめる。
黒マントの吸血鬼が、獲物を包み込んでしまうように、身体と身体を寄り添わせて。
少女はこの時を待っていたかのように、幸せそうにほほ笑んで、男に身をゆだねた。
木枯らしが控えめに吹き抜けるなか、ふたりはじっと佇んで、しばらくのあいだ、そうしていた。娘の帰りを待っている家族の立ち居振る舞いが、気配となって外に伝わってくる。
それはは、外でのふたりのようすを知りながら、わざと知らぬふりをしているかのようだった。
おいしかった。
男がぬけぬけと言うと、
女は白い目で男を睨みあげ、もういちど「ばか」と、言った。
けれども、玄関のドアを開けるときもういちどだけ振り向いた少女の目は、「またね」と本音を呟いている。
卒業間近の、仲良し三人組
2017年02月09日(Thu) 07:37:02
「ハイソックスに、血がついてるわよ。」
「おはよう」といいながら教室に入って来たまり子に、マミちゃんが冷やかすように声を投げた。
「ウフフ。だって、ウチ出たところで吸われてきたんだもん」
まり子はいたずらっぽく笑い、友だちを誘惑にかかる。
「校舎の裏にね、いま来てるの。あなたたちも、吸われてみない?」
「おもしろそうだね」
仲良しのマミちゃんとカナちゃんが、さっそく同調する。
幸い、三人の席は教室の後ろのほう。
「こら!待ちなさい!」
担任の京子先生の叱声を背に、三人はばたばたと教室を抜け出していった。
「もうじき卒業だからね、記念に小父さんに吸ってもらいたいんだって」
まり子はしゃあしゃあと、そんな嘘をついた。
相手の吸血鬼は三人。こちらの女の子たちも、三人。
まり子の相手以外の二人は、どっちの子を取ろうか?と、お互い探り合いの視線を交し合い、
等分に女の子たちの発育のよい身体つきに視線をからみつかせて、もの欲しげな目つきで値踏みを始めている。
いざ吸血鬼を目のまえにすると、女の子たちはすっかり、怖気づいてしまっていたけれど。
三人対三人・・・もう逃げられないと観念したらしい。
気丈なマミちゃんのほうが先に、「どっから吸うの?」と訊いてきた。
「まり子のハイソックスに血がついているのを見ただろう?」
異性のよさそうなマミちゃんを気に入ったらしい六兵衛は、さっきまでまり子の血を吸っていた甚太を見やった。
まり子の血を吸った甚太は、吸い取ったばかりのまり子の血を、まだ口許に散らしている。
「じゃあ、あたしこの小父さんにする」
マミちゃんは思い切りよくそう宣言すると、六兵衛に近寄って強引に腕を組んだ。。
「みんなね、三月に卒業したら、別れ別れなの。着る制服も、べつべつなんだよ。
マミちゃんは、セーラー服。カナちゃんはブレザー。
ほら、よく見かけるでしょ。ワンポイントのついた濃いグレーのハイソックスの学校だよ。
自動的にカナちゃんの血をゲットできることになった治平は、こけた頬を引きつらせるようにして、ククク・・・と笑う。
「こら!こんなところでなにしてるのっ!?」
京子先生がやっと追いついて三人のことを見つけたときには、女の子は三人が三人とも夢中になってしまっていた。
だれもが、白のブラウスをはだけてブラジャーの吊り紐までさらけ出し、胸を揉まれながら血を吸いあげられている。
少女たちは皆、目線を宙に迷わせ、口許からよだれを垂らしながら、気前のよい献血に励んでいたのだった。
「誰なんですか?あなたたちはっ!うちの生徒に、なにをしているの?」
いちばん気前のよかったマミちゃんの首すじから顔をあげた六兵衛が、京子先生を見返した。
京子先生の気丈な叱声は、すぐに熄(や)んだ。
「お願い・・・お願い・・・放して・・・放してください・・・っ」
京子先生は弱々しく抗議しながらも、群がら詰まって来る三人の吸血鬼を、どうすることもできないでいる。
ひとりは京子先生の首すじを、ひとりは手首を、三人めはふくらはぎに、もの欲しげな唇を擦りつけて、
女教師の生き血を夢中になって、吸いあげていた。
教え娘たちとおなじように、はだけたブラウスからはブラジャーの肩ひもが覗いていて。
ロングスカートをまさぐり上げられてあらわになった太ももは、薄茶のストッキングになまめかしく染められている。
早くもひとりが、京子先生の太ももを、好色な唇で冒しはじめていた。
まだ童顔の生徒三人の目の前で、京子先生のストッキングはブチブチと悲鳴に似た音をたてて、むざんに咬み破られてゆく。
「あたし、4月から黒のストッキング履くんだけど――きょうの先生みたいにされちゃうのかなあ」
マミちゃんはのんびりとそういって、まり子のほうを振り返る。
「そうだねー。いい眺めだねー。そこはかとなく、いやらしいし」
マミちゃんの履いていた白いハイソックスは、ストッキングのようにスケスケで、
六兵衛さんのいやらしい舌にいたぶられたあげく、縦にツツッと鮮やかな裂け目を走らせてしまっていた。
「や~ら~し~い~~~♪」
まり子は冷やかすように、照れるマミちゃんの横顔を、言葉でいたぶってゆく。
「やだっ!もうっ!」
マミちゃんは照れ隠しに、まり子のことを力任せにどやしつけた。
むかし話~鬼と新妻
2017年02月09日(Thu) 07:23:38
昔々、ある村に、凄腕の吸血鬼が棲んでいた。
かつては村人たちを吸い殺し、屍体を寺の山門の梁にぶら提げてさらしものにしたというが、真偽のほどは定かではない。
いまでも人妻や娘をかどわかしては血を吸い、生娘はそのまま家に帰したが、
人妻やすでに男を識っている女は、夜もすがら愛し抜かれて骨抜きにされ、夢見心地で家路をたどったそうな。
生娘が無傷で返されるのは、鬼が生娘の生き血を好むからだと言われていて、
その証拠にいちど吸われた娘はなん度でも、鬼に誘い出されて、村はずれにある鬼の棲み処に自分から出向いていくようになるのだった。
作治は去年、隣村から嫁をもらったばかりだった。
嫁の齢は19、鬼がこれに目をつけぬはずはない。
鬼は作治の新妻をなん度か狙ったものの、
それが白昼だったためか、女にのぼせあがって手元が狂ったものか、まだ想いを遂げ切れないでいた。
けれども鬼が嫁を汚してしまうのは時間の問題と、だれもが観念していた。
どうやら鬼は、いつにもまして真剣なようだったから。
嫁の不行儀をしつけるのは姑の役割であったけれど、
その姑にしてからが鬼にモノにされていて、もう長いご縁もあるものだから、
下手をすると姑が嫁を村のしきたりになじませるために、作治の嫁を連れ出しかねないふうだった。
作治は身体の弱い男だった。
鬼を退治して嫁を守るなど、思いもよらず(作治に限らず、そんなことのできる男はいなかった)、
とうとう思いかねて鬼の棲み処を訪ねていった。
作治は鬼に頭を下げて、自分の嫁を襲わないでくれと願ったが、
鬼はあべこべに言ったものだった。
お前の嫁に惚れてしもうた。いちどで良いから想いを遂げさせてくれまいか。
旧家の跡取りだった作治は自尊心の強い男だったので、憤然としてそれを断り、家に一歩も近寄るなと言ったものだった。
その翌日、鬼は作治の嫁をつかまえて、ひと晩かけてたっぷりと、愛し抜いたものだった。
数日後。
病弱な作治の財産を狙っていた近場の悪党どもが、こぞって何者かにひねりつぶされたと、村の者たちは噂した。
さらに数日後。
作治がふたたび、鬼の棲み処を訪ねてきた。
お前のおかげでわしの嫁は、めろめろになってしもうた。
夜な夜なお前を恋しがって、夜の営みもままならぬ。
勝手に通え。
そのかわり、わしがおらぬ昼間の間だけぢゃぞ。
そして一年後。
鬼に惑った作治の嫁は、作治と鬼とに代わる代わる愛されて、
それでも立派に作治の跡取りをもうけていた。
鬼は種なしだったので、女を犯してもその家の血すじを乱すことはしなかったのだ。
作治の家は裕福だったので、嫁は子供を下女に任せて自由に昼間は出歩いて、鬼の棲み処を訪ねていった。
「勝手に通え」と突き放したはずの作治は、嫁の後をひっそりと尾(つ)けていって。
行先を確かめるだけでは済まさずに、鬼が嫁を愛し抜いて行く様を、やはりひっそりと、見届けていくという。
見栄っ張りな作治の、さいきんの言いぐさは
「うちの嫁は身持ちが固くて、鬼に迫られても三月は操を守った」とか、
「鬼のやつ、たいがいの家の嫁はすぐに手なずけてしまうのに、
うちの嫁に限ってはそうはいかず、のぼせあがったあまりに、想いを遂げるまでになん度も仕損じたそうな」
とか抜かしてをるそうな。
きっと。
作治の跡取りが成人して嫁を迎えたあかつきには。
姑だけではなくて義父までも、鬼が跡取りの嫁の密(みそ)か夫(お)となるよう、そそのかしていくのだろう。
ちょっぴり解説。
2017年02月09日(Thu) 06:34:49
コメをいただいたのでいい気になって、あっぷした新作についてちょっとだけ。
「小悪魔」
当ブログに女吸血鬼が出現するときは、なんの前触れもなく唐突に出てくるんです。
この2年くらいは、下書きをしてからあっぷする場合が大半なのですが、
(以前はほぼ全編、入力画面にベタ打ち)
先月の女吸血鬼さんも、今朝の彼女も、下書きするのを許してくれませんでした。
同級生は吸血鬼。そして、自分のパパに僕の母さんの血を吸わせるために、僕に迫って来た――
そんなストーリーです。
同級生の男の子がMな歓びを識ってしまったのを確認するように、オトナでもなかなかできないあるロコツな儀式を行います。
そんな情景も、さらっと描いてみました。
冒頭の、「長い長い黒髪で・・・」は、とある実在の文学作品の一節に想を得て描いてみました。
「顔見知りの少女。」
じつはこのお話、1月26日にできあがっていたのです。手元のメモを見ると。
たぶん、描いているうちに仕事に出る間際になってしまって、それであっぷを見送ったのだと思います。
ほかにもいくつとなく、途中まで描いて放りっぱなしになったものが・・・ (/_・;)
いちど手を離してしまうと、なかなかあとがつづかないものなんですよ。
自分が履いているハイソックスに執着して足許にかがみ込んでくる年上の男を、「バッカみたい」と蔑むように見おろして。
それでも好き放題によだれまみれにさせておいて。
さいごにピシャリ!と平手打ち。
気の強い彼女ですが、案外優しい面もあるのかも。
潔癖なはずなのにガマンして、結局男の好きにさせてしまっているし、
貧血でふらふらになるほど、血を吸い取らせてやってもいるんです。
顔見知りの少女。
2017年02月09日(Thu) 06:25:57
女の子のハイソックスをイタズラしたいなんて・・・あなた相当、ヘンタイね。
優奈は白い目で、俺を見つめた。
血に飢えた喉がはぜるように、目の前の少女の生き血を求めていた。
いいわよ。咬ませてあげる。あたしのでよかったら――あんたみたいなヘンタイ、相手にする女の子なんていないだろうから。
ぞんざいに投げ出された、紺ハイソの脚に。
俺は無我夢中で、むしゃぶりついていた。
大人を軽蔑したい少女の仕掛けた、稚拙な罠にわざとはまって。
濃紺のハイソックスのうえから、舌をロコツに這わせると。
しなやかなナイロン生地の向こう側、しっかりと発育したふくらはぎの生硬さが伝わってくる。
強気な少女のふくらはぎは、意固地な剛(つよ)さを秘めていた。
どお?楽しい?
優奈の声が値踏みをするように、頭のうえから降りそそいでくる。
愉しいし、ありがたい。それから、小気味よい。
続けざまに、思い浮かんだ言葉をつなげると。少女はいった。
小気味よい、だけ、賛成。
大人をばかにし切った声――
あと、嬉しい。
不意に口をついて出たつづきに、少女は不意打ちを食ったように、すこし黙って。それから、いった。
ヘンタイ・・・
濃紺のハイソックスを履いた脚はそれでも引っ込められることはなく、
ピチャピチャと音をたててねぶりつく俺のワイルドな欲情に曝されるまま、よだれまみれになってゆく。
こんどはいつ逢うの?
くるぶしまでずり落ちたハイソックスをもう一度ひざ小僧のすぐ下まで引っ張り上げながら、優奈は訊いた。
また、逢ってくれるの?
もちろんよ。あなた、モテないだろうから。
こちらをふり返る頬が、失血に蒼ざめ透きとおっている。
少女から獲た血の量は、上気した頬でじゅうぶん、実感できていた。
さっきまで。あれほどカサカサに干からびていたのに――
けっこうなダメージだったはず。
じっさい少女は、自分のダメージを素直にあらわにするように、腰かけた椅子からずり落ちて、すとんと尻もちをついた。
すこしは遠慮しなさいよ。
悪りぃ。きょうのところは、無理だった。
謝る俺に、
モテないもんね。
女は念を押すようにそういって、フフッと笑う。
大人びたその冷笑に、なぜか報いてやりたくて。
俺は少女の肩を引き寄せ――唇を吸っていた。
強烈なビンタが、お返しで飛んできた。
これで、おあいこにしてあげる。じゃあまた、金曜ね。
自分のつごうを一方的に押しつけると。
少女は起ちあがり、こちらに背を向けて歩み去る。
いちども、ふり返らずに――
こんなことをほざいたら、たちまちぶっ飛ばされるだろうけど。
貧血を起こしたよろけ気味の足どりだけが、ちょっとだけ痛々しかった。
小悪魔
2017年02月09日(Thu) 06:08:09
長い長い黒髪で首を締められたら、どんな気分になるかわかりますか?
そんな一節。どこかの本で読んだはず。
その子のことを初めて見かけたときに、どうしてそんな言葉が思い浮かんだのか。いまでもよくは、わからない。
「そんなこと感じたの。あなた、直感が鋭いわね。女の子みたい」
あとになって僕の話を聞いた彼女は、そういってクスッと笑った――
僕が彼女に初めて会ったのは――もういいや、リサという本名で書いてしまおう――この街に越してきて10日ほど経ったある日のことだった。
「大変です。ご主人が大けがをされました」
父さんよりもずっと年上のその律儀そうな白髪頭の男が僕の家を訪れて、母さんにそう告げたのだ。
リサはその男の娘だといって、あとについて来たのだった。
不機嫌そうな怒り顔で、へどもどとあいさつをした僕には返事すらしないで、睨み返してきた。
おでこがまる見えになるほどひっつめたポニーテールの長い長い黒髪は、真っ白なカーディガンになまめかしく映えていた。
まだ、年ごろというには入り口の年代のはずなのに。
まだ、同じクラスの子として出会って、2週間もたっていないのに。
「早く行こ」
よそ行きのスーツに着替えるのに時間を取られた母さんと、先導役のはずの自分の父親を置いて、
リサは僕の手を取って、いきなり駆け出した。
つんのめりそうになりながらも、僕は必死であとを追った。
彼女の握力は強く、振り放すこともできないままに。
母さんの姿が見えなくなるほど走ったあと、さすがに息を切らしたリサは、「こっち」とみじかく告げると、
道を外れた生垣の向こうへと、僕のことをいざなった。
いきなり押し倒されて尻もちをつかされた僕は、「なっ、なにを・・・!?」って言ったきり、二の句をつぐことができなくなっていた。
首のつけ根のあたりに彼女の歯を感じて、身動きできなくなっていたのだ。
長い長いポニーテールは、こういうふうに使うのだと言いたげに僕の首に素早く巻かれ、
窒息しそうになった僕は、じたばたしながら結局どうすることもできずに、そのまま首を噛まれていった――
「吸血鬼だったの?きみ・・・」
無言の哂いで応えるリサの頬は、僕から吸い取った血を、まだぬらぬらさせていた。
「うちのパパに、あなたのママを襲うチャンスをあげてくれる?」
否応なしのお願いだった。
「ちょっとのあいだ、ここから覗いているだけでいいんだから」
え?
イタズラっぽく輝く黒い瞳にそそのかされるようにして、生垣の向こうの道に目をやると。
そこで母さんがたったまま、リサの父さんに噛まれているところだった。
さっき僕が、リサに噛まれていたのと、おなじように。
強く横抱きにされた母さんは、どうすることもできずに目を白黒させながら、首すじを嚙まれつづけて、
チューチュー音をたてて、血を吸われている真っ最中だった。
チャコールグレーのジャケットの肩先に、真っ白なブラウスに、吸い取られた血が点々と散っているのが、
ドキドキするほど・・・なまめかしかった。
なんで、「なまめかしい」なんて、感じてしまうんだろう?
訝しく思う僕の首すじに、リサはまたも嚙みついてきた。
「だれかが血を吸われているのを見ていると、こっちも欲しくなっちゃうんだから」
って、言いながら。
彼女はつねるような痛みを無遠慮にねじ込んできて、容赦なく僕の身体から血を吸い取っていった。
「すまないですね」
太い樹を背に追い詰められた母さんは、足許にかがみ込んでくる男をまえに、やっぱりどうすることもできないで、
しっかりとした肉づきのふくらはぎに、唇を吸いつけられてしまっていた。
脚に履いていた肌色のストッキングが、くしゃっと引きつれて、みるみるうちに破けていった。
貧血を起こした母さんがその場に尻もちをついてしまうと、リサは僕を引きずり出すようにして生垣から通りのほうへ引返して、
仰向けに倒れた母さんのすぐ傍らに僕のことを引き据えると、こんどは足許に噛みついてきた。
噛み破られたハイソックスに滲んだ血が、生温かく拡がった。
母さんの隣で僕が、リサにハイソックスの脚を噛まれていって。
僕の隣で母さんが、リサの父さんに肌色のストッキングをびりびりと破かれていって。
「こっち行きましょ」
リサは僕のことを引きずり回すようにして母さんの傍らから離すのと、
リサの父さんがまるで獣が獲物を漁るようにして、母さんのブラウスの胸を押し拡げるのとが、同時だった――
「うふ。お〇ん〇ん、勃ってるよね。たいがいの子が、そうなんだ。男の子って、面白いね」
半ズボンのうえからあてがった手をそのままベルトにかけて、僕の腰周りを引き剥ぐと、
リサは遠慮会釈なく、僕のペ〇スを咥えていった。
ためらいなどかけらもない、慣れたやり口だった。
まだ稚なげな唇が僕のペ〇スを呑み込んで、舌先が挑発するように、先端を刺激する。
思わず不覚にも。
びゅびゅびゅっっ・・・と、吐き出してしまった。彼女の口のなかで。
「行儀悪いね」
リサはしんそこ怒った顔つきで僕を睨み、それでもゴクゴクと呑み込んでしまった。
「ほら、あんたのママも、愉しんでいるわよ」
指さす方向でくり広げられる情景を、目にしたくはなかったけれど、やっぱり目を向けてしまった。
向けた目はそのままクギづけになって、唖然とした僕の横顔を面白そうに眺める視線に応えることさえ忘れていた・・・
「洋太のパパ、大好き!」
自宅のソファでくつろいだ父さんに、ソファの後ろからリサが抱きついたのは、その数日後の土曜日のこと。
僕と同じ経緯で、父さんはあの長い長いポニーテールの黒髪を、まんまと巻きつけられてしまって。
窒息寸前まで追い込まれながら、首すじを噛まれていった。
「お前、母さんを誘い出して噛ませたんだって?」
そう訊いてくる父さんの目は、怒っていなかった。
お互いにお互いの首すじにつけられた、同じサイズの歯形を見つめ合いながら。
「まあ、仕方ないか」と、うつろに笑い合ってしまっていた。
さっき、リサの父さんに連れ出された母さんは、夫婦のベッドに押し倒されて、切ない吐息を吐きつづけている。
気前よく咬み破らせてしまったストッキングは、早くも片方、脱がされていて。
花柄のフレアスカートは、齢不相応に逞しい腰の侵入を受けるままにくしゃくしゃにされて、
それを父さんはドア越しに、眩しそうに見つめている。
「よそで話しちゃ、ダメだぞ。父さんと母さんの不名誉になるからな」
目を白黒させながら、母さんの浮気現場から目を離せなくなっている父さんのことを冷やかすように、リサは言った。
「だいじょうぶよ。うちのクラスの転校生のお母さんは、みんなうちのパパが食っているから」
それ以来。
リサのパパと母さんの交際が、半ば公然と始まった。
「うちのパパ、あなたのママが気に入ったみたい。
2日に一度は連れ歩いているわ。
ほかの子のママよりも回数多いし、逢っている時間も長いみたい」
ひとをこばかにしたようにフフッと哂うリサは、つぎの瞬間悩ましい目つきで、僕に迫る――
「あなたもあたしに、噛まれてくれるわよ・・・ね・・・?」