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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

乱倫な家庭。

2017年09月25日(Mon) 07:43:42

妻の美緒が着ている薄紫のスーツを身にまとい、
毒々しい光沢のよぎる黒のガーターストッキングを脚に通して、
あお向けに横たわるたたみの上、
息せき切ってのしかかってくるのは、息子のタツヤ――
太く逞しく育った茎が、志郎の臀部を犯し、さっきから熱いほとびをはじき散らしていた。

激しく交し合う息遣いだけの無言のやり取りに、
いまはなんの不自然さも感じない。
ふたりの意識は、抱き合っている相手と等分に、ふすまの向こうにも注がれていた。
妻の生き血を求め続ける吸血鬼のために、身代わりに妻の服で女装して、
生き血を吸い取られたうえに、男の身でありながら淫らな欲求にも応じていって、
けれども隣室では、息子が吸血鬼にそそのかされるまま、妻のうえにおおいかぶさっていって、
不覚にも妻は、声をあげながら応じてしまっていた。
ひとしきり行為をおえると、男ふたりは相手を取り替え合って、
妻のうえには、吸血鬼が。志郎のうえには、タツヤが。
相手選ばず息荒く、身体を重ねて迫ってきた。

犯す悦びと犯される歓び――
いま息子の胸を染めているのがその両方なのだと、気づかずにはいられない。
いっぽうで自分の胸を染めているのは、
妻を犯される歓びと、自身が犯される悦び――
息子が女装していたこのあいだとは立場が逆の行為に、
昂ぶりにむせ返りながら耽ってしまっていた。

ちょっとのスキを突かれて首すじを咬まれ、生き血を吸い取られて、
息子、妻、夫の順に狂わされて、
お互いうかつな家族だったとため息をつき合いながらも、
しかたがないね、せっかくのご縁だから大切にしようねと、
夜な夜な訪問をくり返す吸血鬼のため、それまでの枠組みを突き抜けた交わりを遂げ合うようになっていた。

父さんがだらしないから、母さんが犯されちゃうんだ。
父さんがうかつだから、ボクまで母さんとできちゃったんだ。
ふたりしておかしいから、こんなふうになるんだね――
そう囁きながら責め言葉でイカせつづけたタツヤが、唇を重ねてくるのに応じてやると、
どこで覚え込まされたのか舌まで入れてきて、からみあわせて応えてゆく。

たしかにうかつな一家にちがいなかった。
男女どちらにも長けてしまったタツヤは数年後、良家の子女である珠美と結婚した。
珠美の処女を獲る代わりに、タツヤは吸血鬼と姑との仲を取り持つことになる。
人妻好きな吸血鬼が、タツヤの嫁とその母とを餌食にするのは明白だったから、
タツヤは美母娘を堕落させる行為に、すすんで協力したのだ。
すべてが仕組まれた結納の席――
珠美の母親は結納の引き出物がわりに、夫の前で貞操を侵奪される。
前もって首すじに咬み痕をつけられた珠美の父親は吸血鬼の求愛をこころよく許して、
永年連れ添った妻との交際を
夫を愛している。だから離婚はしない。
夫がいる身のまま、愛していただけるのなら――と、珠美の母親はもっとも賢明な選択をして、娘に模範を示していた。


独りの部屋のインターホンが、明るくはずんだ音色で鳴った。
美緒が吸血鬼の邸に入り浸っているあいだ。
だれかしらが、志郎を慰めることになっていた。
あるときは、息子の嫁が。あるときは、その母親が。
妻を寝取らせた夫が独り身で暮らす家をひっそりと訪れて、夜通しの奉仕をつづけてゆく。
開いたドアの向こうに佇むのは――
妻の服で装った、タツヤだった。
「今夜は屋敷をハレムにするんだって。
お義父さんはお義母さんのことが気になる~って出かけていったけど、
じゃあ父さんを慰めるのはボクの役目だねっていって、
美緒と珠美にオーケーもらって来たんだ」
愛人にしてしまった美緒のことを「母さん」と呼ばず、呼び捨てにするのに、志郎はどきりとしたけれど。
ドアを閉めるなりタツヤの唇を自分のそれで密封するようにして、息苦しいほど熱い口づけを交し合うと、
まるで妻が帰宅したかのように夫婦の寝室に引きずり込んで、
しなやかな若い肢体ともつれあうようにして、ベッド・インしていった。
歪んだ家族が性愛に耽る夜は、今夜も長く深い――


あとがき
後日談まで入れたところで、本シリーズはいちおうの「はっぴぃ・えんど」でしょうか。
当ブログでも最も乱れた部類のお話になってしまいましたが、どういうわけか筆が進みました。
たまには、はっちゃけたお話を描きたくなるモノですナ。
(^^ゞ

靴下交換  ~第二夜~

2017年09月24日(Sun) 09:16:26

貴男のいつも勤め先に履いて行くハイソックス、履き心地がちょっといやらしい。
女のひとが履いても、見映えがしそうね。
妻の美緒がそういいながら、自分の愛用しているストッキング地のビジネスソックスをまとった脚を見おろしている。
妻が吸血鬼の相手をする前に、志郎はあらかじめすっかり血を抜かれて、部屋の隅に転がされていた。
薄ぼんやりとした視界の目の前に、ペルシャじゅうたんの幾何学模様が迫っている。
さいしょのころは、二日酔いのような不快さがあったものが、
いまではこの無重力状態がもたらす陶酔感が、たまらなくなっていた。
きっと自分が倒れてしまった後、目の前で妻と息子が支配を受けて、
唯々諾々と振る舞って志郎のことを裏切ってゆく光景に、歓びを覚えてしまって、
その歓びが失血に伴う無重力状態と二重写しになっているからなのだろう。

志郎が履いているのは、息子が初めて咬まれたときに履いていたのと同じ、真っ白なハイソックス。
先週は妻の美緒がまとい、高校時代の制服まで着込んで、犯されながらくねる脚を眩しく彩っていた。
その光景が網膜に灼(や)きついてしまった志郎は、「こんどはぼくの番だね」と妻にいい、
妻もまた「そうね。でもタツヤから借りるのは、自分でしてくださいね」と返してきた。
「タツヤのハイソックスを履いて、あのひとに会いたい」
父親としては口にするべきではないはずの振る舞いも、いまはすらすらとデキてしまう。
それがむしょうに、小気味よかった。
いままで彼のことを縛りつけてきたあらゆる束縛が断ち切られた開放感が、
彼の胸を少年のようにドキドキさせているのだった。
働き盛りの血潮は若返って、いっそう活き活きと彼の血管をかけめぐって、
淫らな鼓動をドクドクと脈打たせながら、妻の情夫の渇いた喉をうるおす機会を欲していた。

息子のタツヤが、青春の活力を生き血もろとも惜しげもなく自身の身体から抜き取らせてしまうのも、心から共感できた。
これは献血なのだ。決して堕落ではない。
志郎はそう自分に言い聞かせ、妻が奴隷のように犯され、吸血鬼の性欲のはけ口として貞操を汚されてゆくのを、歓びをもって受け入れるようになっていた。

あッ!やめてッ!
靴下破かれたら、通勤できなくなっちゃうわッ!
〇〇重役や××局長に叱られるぅ・・・
実在の夫の上司の名前まで口にしながら、半分夫になり切りながら、
足許を狙われた美緒は、夫の愛用の靴下を咬み剥がれてゆく――
片方はくしゃくしゃになって、くるぶしまでずり落ちて、
もう片方も吸われた痕跡を伝線も鮮やかに走らせながら、剥ぎ堕とされてゆく。
あらわになった脛は、淫らな血色を帯びてピンク色に輝いていた。

妻があっさりと股を割られて男の侵入を受け容れてしまうのを、
夫は息子と2人ながら見届ける羽目になった。
自分の靴下を履いたまま犯されてゆく妻――
先日男のためにビジネスソックスを脚に通して愉しませてやったその後の記憶が、志郎のなかで二重写しになっていた。
俺はこんなふうにして、男に犯されてしまったのだ――
妻のまえでくり広げてしまった異常な痴態が、まっとうだった家庭の枠組みを瞬時に変えてしまったのだけれど、
もう、後悔は感じていなかった。

息子はセックスを視るのが初めてだったらしく、自分の母親だった女の裸体を、舐めるような目線を這わせてゆく。
危険な予感が志郎の胸をよぎったが、このさい深く考えないことにした。
だって息子はいま、妻の黒の礼服を借りて女の姿になってしまっているのだから。

「どれでも好きな服を選んでいいのよ」
美緒は寛大にも、息子のまえで色とりどりの衣装で満たされたクローゼットを開け放って、
吸血鬼を迎えるときに着る服を選ばせていた。
真っ赤なワンピースやショッキングピンクのミニスカートはちょっと見ただけで、
意外にも息子が選んだのは、地味な黒の礼服だった。
伯父さんの法事にお寺に行ったとき、美緒が着ていたのが気になったのだという。
そして、ストッキングには、この種の衣装につきものの黒のストッキングを、
上ずった声でリクエストしていた。

犯され抜いた妻がその場にへたり込んで、伸びてしまうと、
男の魔手は、女の姿になったタツヤへと向けられた。
「ひっ」
タツヤは女のように声をあげ、飛びのこうとしたけれど、吸血鬼の猿臂を避けることはできなかった。
そのまま首すじを咬まれ、ひと重に巻かれた真珠のネックレスに若い血潮をしぶかせながら、
男のあくなき渇きを、自身の身体をめぐる血潮でうるおしていく。
その姿に、いつか吸血鬼と心理を同化させてしまった志郎は、
「息子が気の毒」というよりも、「やつは美味しそう」という思いで受け止めていた。
目のまえで妻を犯されることが照れくさく、誇らしいと感じてしまう志郎としては、きっとそれがもっとも自然な感情だったのだ。

ああーッ・・・
息子は悲痛なうめき声をあげてその場であおむけに倒れ、
黒のストッキングのふくらはぎに飢えた唇をくまなく当てられ、
ところどころ気まぐれに咬まれながら、ストッキングをチリチリに引きむしられてゆく。
女の衣装を身にまとい、男の欲情に奉仕する――
母さんの身代わりになりたい。
というタツヤの気持ちに嘘はないはず。
でもその裏返しに、
女になってあのひとに奉仕したい。
そんな想いも強くあることが、キスを交し合い手足を巻きつけ合って息をはずませ合うふたりをみて、いっそうひしひしと感じられた。

先週。
志郎が妻の服を着て吸血鬼と初めてのセックスを交わしたとき、
美緒はそのすぐ傍らで、乱れた制服姿で息子に組み敷かれ、制服のプリーツスカートのすそを、ふたたび乱していった。
美緒は息子のことを名前で呼び、息子も母親のことを美緒と呼んだ。
交し合う息遣い。
巻きつけ合う手足。
それらが新しい家族の関係を、志郎のまえに見せつけていたのだった。
きょうはどんな組み合わせが、待っているのだろう?
男どうしで交し合うすべは、先週たっぷりと教え込まれていた。
まだいちどしか冒されていない息子のお尻は、まだ瓜のように硬いのだろうか?
父親として持ってはならない危険な感情におののきながら、志郎もまた、罪深い欲望を抑えきれなくなっていった。


あとがき
かなり背徳的なお話になってしまいました。^^;
このお話、前作と同じ日に描き上げていたのですが、あっぷするのが時間切れになってしまいました。
今朝読み直して若干直したうえであっぷしました。

靴下交換

2017年09月20日(Wed) 07:56:34

はじめに
前々作「少年のハイソックス、お母さんのストッキング、ご主人のビジネスソックス・・・」のコメントで、
ナッシュ・ド・レーさんに、ソックス、ストッキングを交換して家族で吸われるストーリーを提案されました。
ちょっとドキドキしたので、発作的にあっぷしてみました。



父さんが通勤のときに履いている紺のハイソックス、
ふつうのおじさんが履いているやつよりずっと薄くて、ストッキングみたいなんだね。
脛が透けててちょっと恥ずかしいし、
肌触りがジワリと素肌にしみ込んで、ちょっといやらしい気分になりそう――

息子のタツヤが半ズボンの下、吸血鬼に見せびらかした足許には、
父親の志郎がいつも履いている、通勤用の薄手のハイソックス。
薄っすらとした光沢を帯びた薄手のナイロン生地が、
紳士用とは思えないくらいなまめかしく、少年のふくらはぎを妖しく染めている。

さぁ、咬んでよ。父さんにしているときみたいにさ。
しつこくいたぶっても、いいからね。
きょうは父さんの代わりに、イヤらしいハイソックスを履いて相手をしてあげる。
タツヤがそれらしく、ちょっとだけぎこちなく脚をくねらすと。
吸血鬼は目の色をかえて、若さを帯びたふくらはぎにとりついていった。
ククククククッ・・・
吸血鬼はたちまち少年の身体の自由を奪うと、みずみずしい下肢に辱めを加えてゆく。
薄手のナイロン生地のうえから、にゅるッとなすりつけられる恥知らずな唇が、
いつも以上にいやらしい。
物陰からいちぶしじゅうを窺っていた志郎は、
息子が吸血鬼を相手に娼婦のように振る舞って、
自分の愛用している靴下を凌辱させる様子に、不覚にも昂ぶりを抑えきれなくなっていた。


いつも息子が貴男に咬み破らせている白のハイソックス、
あたしもためしに、履いてみたの。
白なんて、学生のころに履いて以来だわ。
だから、古い制服を出して、着てみたの。
おばさんが女子学生のかっこをしても、はじまらないかしら?

大人の女性が女子高生の制服を着ると、
現役生とはちがった趣に、つい視線を惹きつけられる――
夫の志郎は、視られているとも知らずに吸血鬼との密会を遂げようとする妻の姿に嫉妬した。

なんだか不思議だなあ。少女のころに戻ったみたい。
妻の美緒は、自分でしかけた演出に自分で昂奮しながら、
モデルさんみたいにくるくると回って見せた。
美緒の動きに合わせて起ちあがった吸血鬼の猿臂が、まるでムチのように美緒の身体に巻きついて、
しっかりと羽交い絞めにして、抱きすくめてゆく。
あッ!制服汚れちゃうわっ。首すじ吸うのは止しにしてッ!
あたしまだ、お嫁入りまえなのよッ!!
美緒はすっかり少女になり切って、吸血鬼に襲われる乙女を演じつづける。
ククククククッ・・・
吸血鬼はにわか作りの人妻女子高生に露骨に発情して、
豊かな首すじに牙を突き立て、真っ白なブラウスにバラ色のしずくをほとばせ始めた。
ああ――ッ!
初めて襲われたとき、まだ正気だった妻は冥界に引きずり込まれるのを忌むようにして、おなじ悲鳴をあげたはずだが、
あざやかに朱を刷いた小づくりな唇から洩れるうめき声には、もっと甘美で淫らなものが混ざり込んでいた。

生き血を吸い取られて貧血を起こし、半ば意識を奪われて、じゅうたんの上に転がる――
いつもと同じ経緯で、美緒は堕ちてゆく。
うひひひひひっ。
恥知らずな唇が、白のハイソックスを履いた美緒のふくらはぎに吸いついて、
しなやかなナイロン生地に浮いたまっすぐなリブ編みをねじ曲げながら、
グニュグニュとうごめきつづける。
その唇の下、白一色の生地が赤黒いシミを拡げてゆくのに、ものの一分とかからなかったはず。
息子と妻と、ふたりながら同時に辱められる想いを、志郎は屈辱としてではなく、陶酔として受け止めはじめていた。

妻が完全に気絶してしまうと、こんどは志郎の番だった。
・・・済んだの・・・?
思わず女声になっているのは――彼自身がまとっている衣装のもつ魔力のせい。
いつも美緒がPTAのときに着ていくので見慣れている、深緑のスーツ。
首もとをふた重に取り巻く、真珠のネックレス。
淡い光沢を帯びた肌色のストッキングは、
「きっとあなたが気に入るだろうから」と、
美緒が特別に貸してくれた、それこそ結婚式のときにしか脚に通さないような華やいだもの。
そのストッキングの足許に、妻と息子の生き血に濡れた唇が、無作法に吸いつけられてゆくのを、
美緒になり切った志郎は、
「いや・・・っ・・・」
と、女になり切った声色で拒んだ。

無力な抵抗は相手の劣情を逆なでするものだと、
女になり切ることで芽ばえた本能が、初めて教えてくれた。
志郎は心の底の声に教えられるままに、
無器用に脚をくねらせて、妻の情夫が執拗に吸いつけてくる唇に、応えつづける。
さっき息子が、志郎の愛用のハイソックスを履いて、吸血鬼をもてなしたのと同じように。

女の衣装が似合うとか、似合わないとか、そんなことはもう、念頭になかった。
その身に寄り添ってくる女の衣装がもたらす奥ゆかしい支配力が、
彼の意思を麻痺させ、彼を女に変えてゆく。

おまえはもう、わしのものだ――男はいった。
ハイ、わたしはもう、あなたのもの。主人のことは裏切るだけ――女はいった。
それを物陰から、証人のように見届けながら、
妻が凌辱され征服されてゆく光景に、さいごまで見入っていた。
妻が奴隷に堕ちたときのシーンの再現なのだと自覚した志郎は、
あのときの美緒のように振る舞ってゆく。

おまえはもう、わしのものだ――男が囁いてくる。あのとき妻にそうしたように。
エエ、わたしはもう、あなたのもの。妻の裏切りが嬉しいです――女になった志郎は囁き返す。
ふとかたわらをみると、意識を取り戻した妻がじいっと、こちらを視ている。
まるで家族の淪落を見届ける証人のような目で。
志郎が頷くと、美緒も頷き返してくる。
視線を相手の男に移した志郎は、媚びを含んだ上目遣いで妻の情夫を見あげ、いった。
いっぱい、辱めてくださいね。
初めての密会のとき、妻は確かにそういったはず――
志郎の履いている光沢ストッキングは、太もも丈だった。
――パンストと違って、穿いたままできるのよ。
あのとき妻がいつかそういっていたのを、
パッケージを切っていないストッキングを手渡されるときに思い出した。
すその短めなスーツのすそがめくれあがって、あらわになった太ももを隠そうともせずに、
太ももの奥を帯のように区切るストッキングのゴムまであらわにして、
志郎は妻の情夫を自らの股間に受け容れた。

初めて体験する激しい吶喊に、さすがにしんけんなうめき声を洩らしながら、志郎は思った。
こんなに硬い、こんなに剛(つよ)いモノを刺し込まれたら、だれだって狂う・・・と。
夫のしんそこの堕落を証人のように見つめる妻の目線が、かえって小気味よかった。
きみが犯されるのを昂奮しながら視つづけたぼくのまなざしも、
きみはこんなふうに小気味よく受け止めていたのか・・・
しつようにくり返される交歓は、熱を帯び、男女の別を越えて、志郎を狂わせた。
すごい・・・すごい・・・凄いッ!
志郎は少女のように、妻と自分と(そしてたぶん息子も)を狂わせた一物に、いつか夢中で称賛を口にしていた。
恥かしいとも、悔しいとも、惨めだとも感じない。
むしろ妻が堕ちたことに共感し、
妻を辱められたことに誇りを覚え、
息子を教え込まれてしまったことにまで歓びと受け止めて、
家族ぐるみの奉仕を誓いつづけてしまうのだった。

思い出。

2017年09月15日(Fri) 07:06:01

まぁ・・・いい想い出だったかも。
修学旅行先で迷子になって、吸血鬼の棲む村にアベックで迷い込んで、
いっしょに咬まれてしまったたか子ちゃんは、そんなふうにうそぶいた。
不敵な横顔が、妙に頼もしかった。
制服のスカートの下、血に濡れた真っ白なハイソックスが、妙に眩しかった。

いい思い出ってことにしとこうよ。
新婚旅行先はどうしてもあの村だと言い張った、たか子さん。
案の定、新婚初夜は彼らにも祝われてしまった。
処女の生き血を吸い取られ、ぼくの視ている前で、初めて女にされて。
それでもたか子さんは満足そうで、
これ見よがしに、わざと悩ましい声を、ぶきっちょにあげていた。
なかばはぎ取られたよそ行きのスーツのすそから覗く太ももをよぎるストッキングの伝線が、妙にエロチックだった。

ゴメン、思い出だけじゃ、すまなかったみたい。
結婚一年で発覚した、たか子の“お里帰り”。
いちど吸血鬼に咬まれた女性は、その場所をじぶんの故郷なのだと植えつけられて、
遠く離れた街にいても、彼らの誘いを拒めなくなるという。
意思の強い彼女でさえ、例外ではなかった。
ぼくは思い切って、口にする。
夫婦で此処に住もう。きみのことを思い出にしたくないから と。
犯されるきみのあで姿を、ぼくの思い出にしても構わないから と。
ぼくにとってもエロチックで、愉しい思い出になりそうだから と。

気がつけば、周囲には、降り注ぐ拍手。
こうしてぼくは、新妻の夜這いをゆるす寛大な夫の役にハマり込んでいった。

少年のハイソックス、お母さんのストッキング、ご主人のビジネスソックス・・・

2017年09月15日(Fri) 06:22:42

あッ、何すんだよッ!?
尾上タツヤはあわてて身をすくめたが、
学校帰りの路上に立ちはだかった吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
必死の叫び声もむなしく、タツヤはたちまち地面に抑えつけられて、首すじを咬まれてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、少年の体内をめぐる若い血液は
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光った。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
うつぶせに倒れた少年の足許ににじり寄って、
こんどはハイソックスを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
タツヤの足許をぴっちりと引き締める真っ白なハイソックスのリブ編みの生地に、
赤黒いシミがじわじわと拡がっていった。

きみの血が気に入ったのだから、なん度も吸いたくなるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでもタツヤは黙って頷き、
今後は彼に咬み破らせるために毎日ハイソックスを履いて登校すると約束した。
母さんにはくれぐれも、内緒だからね。
そんなふうに囁く少年の頬は、いつか淫靡な昂ぶりに輝きを帯びていた。

タツヤが毎日好んでハイソックスを脚に通して吸血鬼に逢いに行き、
発育のよいふくらはぎを惜しげもなくさらして、
真新しいハイソックスを気前よく咬み破らせるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。


あッ、何をなさるんですッ!?
タツヤの母、尾上美緒は怯えて縮みあがったが、
息子の手引きで自宅にあがり込んできた吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
必死の叫び声もむなしく、美緒はたちまちたたみの上に抑えつけられて、首すじを咬まれてゆく。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、人妻の体内をめぐる熟れた血液は
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光った。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
うつぶせに倒れた主婦の足許ににじり寄って、
こんどはストッキングを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
美緒の足許をなまめかしく染める肌色のストッキングの生地に、
妖しい裂け目がじわじわと拡がっていった。

息子さんの血が気に入ったのだから、お母さんの血が気になるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでも美緒は黙って頷き、
今後は息子が彼に咬み破らせるためのハイソックスの買い置きをしておくと約束した。
あんたの穿くストッキングの買い置きのほうも、忘れずにな。
そんなことまで囁かれても、羞ずかしそうに俯き、頷くだけだった。
お父さんにはくれぐれも、内緒にしてくださいね。
そんなふうに囁く母親の頬は、いつか淫らな娼婦の輝きを帯びていた。

美緒が毎日好んでストッキングを脚に通して吸血鬼に逢いに行き、
肉づきたっぷりなふくらはぎを惜しげもなくさらして、
真新しいストッキングを気前よく咬み破らせるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。


うッ、何をするッ!?
美緒の夫、尾上志郎はうろたえて立ちすくんだが、
勤め帰りの自宅で妻の上におおいかぶさる吸血鬼の欲望を抑えることはできなかった。
ああああああッ・・・
随喜のうめき声をあげながら生き血を吸い取られてゆく、最愛の妻――
しかしそんな光景から志郎は目を離せなくなっていた。
恥を忘れた美緒が自分からスカートのすそを乱して、
吸血鬼の逞しい腰つきが股間に侵入するのを受け容れてしまうありさまを目の当たりにして、
マゾヒスティックな歓びに目ざめてしまったのだ。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、妻が生き血を吸い取られたあと。
志郎もまた、自分から組み敷かれていって、首すじを咬ませてしまっていた。
ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・ちゅうっ・・・
ひとをこばかにしたような吸血の音とともに、働き盛りの四十代の血液が
吸血鬼の渇いた喉をぞんぶんにうるおし、むさぼり取られる。
顔をあげた男の頬には、吸い取った血しおがテラテラと光る。
そして我が意を得たようににんまりとほくそ笑むと、
スラックスのすそを自分から引きあげてゆく志郎の足許ににじり寄って、
こんどはハイソックスを履いたふくらはぎに牙を埋め込んでいった。
くるぶしの透けた薄地のナイロン生地に、エロチックな裂け目がじわじわと拡がっていった。

奥さんや息子の血が気に入ったのだから、あんたのことが気になるのは当然だろう・・・?
吸血鬼の無茶苦茶な論法に、それでも志郎は黙って頷き、
今後は彼に咬み破らせるために毎日長めのビジネスソックスを履くと約束した。
奥さんのストッキングや息子のハイソックス代、しっかり稼いでくれよ。
そんなことまで囁かれても、困ったように俯き、頷くだけだった。
妻と息子のことを、よろしくお願いしますね。
そんなふうに囁く父親の頬は、いつか少年のようなイタズラっぽい好奇心を、恥を忘れてあらわにしていた。

志郎が妻の不倫や息子の火遊びを愉しげに黙認して、
自身もストッキングのように薄いビジネスソックスに包んだふくらはぎを差し伸べて、
潔く吸血鬼の凌辱にゆだねるようになったのは、
それから数日経ってからのことだった。

吸血鬼の支配を許し受け容れた父、母、息子の血潮は吸血鬼の体内で入り混じって渦を巻き、
欲情に満ちた彼の牙を今夜も淫靡に染めるのだった。



あとがき
少年が、人妻が、その夫までもが。
三人三様に、そしてまったく同じような経緯で餌食になってゆく――
そんなお話を、ちょっと童話調に描いてみたくなりました。

息子と2人して夫に内緒で血を吸わせる妻の行為は、
どことなく不倫や母子相姦を連想させますし、
妻子の生き血を吸い取られるのを許したうえで自身の生き血まで提供してしまう夫の行為は、
どことなく同性愛の要素をはらんでいるような気がしています。

人妻を口説く。

2017年09月04日(Mon) 05:19:02

民俗学の本みたいな描きかたで、描いてみました。^^


この村は、人妻を口説く行為に寛容である。
夫の親友がその妻を。
舅が息子の嫁を。
息子の幼なじみがその母親を。
親しい同士で口説き、夜這い逢っているという。

節操というものは大切にされていて、
村の少女たちは年ごろになる前からそうしたことを母たちから教わっているほどであるが、
同時に大切である節操を与えるということもまた、陰では奨励されているのである。
なによりも、当の母親たちが夫の親友や舅、それに息子とまで通じ合っているのだから。

人妻を見初めた男はその家に言って、その女の夫に地酒を振る舞う。
夫のほうでも相手の下心はよく心得ているが、
よほどのことがなければその地酒を飲んでひと寝入りを決め込む。
そうなる以前から間男のほうから夫に申し入れがしてあって、
夫はそれとなく、妻に言い含めておく。
相手の間男のことをことさらに褒め、
その男との関係は自分にとって大切であること、
であるから妻である貴女もまた、彼と親しくなることが務めであることを告げるのである。
それだけで妻の側もいっさいを承知して、
夫がその男を迎える日には、身なりを整えきちんとした服装で応接をする。
妻を口説かれるということは、その妻を持つ夫を称賛することだと見なされている。
だから間男は人妻を征服しても夫の名誉を傷つけようとはしないし、
夫もまた同じ女性を愛する男性として、間男の好意を容認するのである。

夫が地酒によってひと寝入りしてしまうのを見はからって、
間男は妻に言い寄り、夫婦の布団のうえで彼女を組み敷いてゆく。
さいしょのときの抵抗が長ければ長いほど称賛の対象となるが、
どこかでは必ず力を抜いて、夫の友人の好意に応え、応接しなければならない。
その夜は、妻にとっても夫にとっても、長い夜になる。

まぐわいはひと晩つづけられ、その間夫は別室にこもり時を過ごす。
なかには友人が愛妻に親しむところをかいま見て、興じるものもいるという。
友人や身内が自分の妻を犯すところを視るのは、夫の特権とされていて、
視ることを望まれた間男は、その妻をことさらに猛々しく征服し、
妻もまた気丈に振る舞いながらも、熱情をこめてまぐわいを受け容れる。

一夜が明けると夫が起きる前に間男は家から姿を消し、
妻はいつものように朝の炊事に精を出す。
もちろん、なにごともなかったように。
夫のほうも夕べのことはおくびにも出さず朝食を採り、仕事に出かけてゆく。

夫が仕事に出かけてゆくと、間男は再び戻ってきて、その妻と通じる。
そして妻を家から連れ出して自分の家に引き入れ、一日じゅうまぐわいを続ける。
まぐわいはその次の日の夜明けまでつづき、妻は間男に連れられて帰宅する。
妻の朝帰りは近所のだれもがそれを知るような刻限に行われるが、
夫が妻と間男とをこころよく迎え入れることで、周囲に二人の関係をそれとなく知らせるのである。

一週間以内にその家では近所や身内を招んでの宴が開かれ、
宴の趣旨は公にされないものも、だれもがそれを実質的な披露の宴と心得ている。
その席では夫は末席にいて、妻と間男とが上座についているからである。
このような形で認知されると、夫と間男は今まで以上に親身な関係を築き、生涯助け合うという。

お墓参りに来た、独身の姪

2017年09月02日(Sat) 08:45:10

私たちが死んだら、お墓参りに来てね。
きっとそこには、あなたに逢いたがっている墓守がいる。
その人はあなたの血を欲しがるだろうから、
そのときには私がそうしてあげたみたいに、あなたの血を吸わせてあげて。

裕福な伯母は、伯父が亡くなった翌日に逝った。
身体じゅうの血液が一滴も残されていない不思議な死に方だったが、
この街の人はだれもがなんの疑念も抱かなかったらしく、葬儀は兄夫婦の手で、鄭重に執り行われた。
その一週間後。
舞阪香苗26歳は、伯母が生前に言い残した不思議な囁きに従って、伯母夫婦の墓を訪れた。
伯母に言われるまま、黒一色のスーツに、脛の透ける薄手のストッキングという礼装に身を包んで。

そこで香苗を待ち伏せしつづけていたらしい墓守は、白髪頭の初老の男。
香苗は自分がこれからなにをされるのかを予期しながらも、礼儀正しくお辞儀をする。
男のほうも礼儀正しく挨拶を返すと、夫婦の墓に額づいて、持っていた花束を鄭重に差し出した。
二人の死を悼んでいるのは、キッと偽りのない想いなのだろうと、香苗は感じた。
周囲からは人通りが去って、香苗は男と二人きりになったのを自覚した。
墓石のまえで組み敷かれ、男はむき出した牙を香苗の首すじに、じりじりと近寄せてくる。
迫る危険に怯えるよりも。
組み敷かれた背中に当たる硬い石畳のごつごつとした感触だけが、気になりつづけていた。
荒い呼気が頬に当たり、ブラウスの襟足に忍び込む。
香苗は首のつけ根に鈍痛を帯びた刻印をつけられて、理性を妖しく漂流させた。
黒のストッキングの脚に男が卑猥な舌を這わせてくるのも、
くまなく舐め抜かれたあげく、ふくらはぎを咬まれて血を吸われるのも、
止めさせる気力はもう、残っていなかった。

もともと無気力な女だった。
高校生のころから学校に行かなくなって、伯母のつてでえた就職先も休みがちだった。
幸か不幸か強力なつてだったので、どんなに引き籠っていても会社の席はなくならなかったし、生活に困ることもなかった。
そんな安穏さがますます、香苗を引き籠らせていった。
唯一の話し相手だった伯母が、さいごに残した言葉――
それだけが、香苗を導いていたのだ。

私が死んだら、お墓参りに来てね。
そこには墓守がいて、あなたのことを待っているから。
彼は夫のつぎに大切なひと。
だから、私はあの人に、あなたのことをプレゼントするの。
服装は、自分をプレゼントするときのラッピングみたいなものよ。
そそくさとはぎ取られてしまうかも知れないけれど、
もしかしたら記念に大事に取っておいてもらえるかも。
私たちのお墓の前で、あの人と仲良くして頂戴ね。
そうすれば。
私はあなたのことを彼に、プレゼントとして差し出すけれど。
あなたにも彼という一生のお友だちを、プレゼントできたことになるわけだから。

すべては伯母の、いうとおりだった。
きっと伯母さんも、こんなふうにされたのね?
ブラウスをはぎ取られ、ストッキングをずり降ろされながら。
降りしきるキスに怯えつつも、少しずつ応えるすべを覚え込まされながら。
それが風変わりな出逢いであったとしても、
初めてのラブ・シーンを伯母のまえで遂げることに香苗は納得を覚えて、
目線を合わせてくる男にかすかに頷きかえすと、
ストッキングを片方だけ脱がされた脚を、ゆっくりと開いていった。

あなたには、生きる権利がある。

2017年09月02日(Sat) 08:18:06

あなたには、生きる権利がある。
追い詰められた女は、ひたむきな目で相手を見つめながら、そういった。
鉛色の頬に意外そうな表情を浮かべた吸血鬼は、立ち止まって女を凝視した。
冷たい目線に負けまいと、女はなおも自らのまなざしに力を込めた。
でも、私にも生きる権利を認めて。わかる・・・?

数分後。
抱きすくめられた腕のなか、女はぼう然としていた。
片方の頬には、食いつかれた瞬間撥ねた血潮で、べっとりと濡れていた。
男はひたすらクチャクチャと汚い音を立てながら、女の生き血を啜りつづける。
まだじゅうぶんに若さを秘めた中年女性の血潮に、明らかに劣情を催しているのを、
女は感じないわけにはいかなかった。
男は女をベンチに座らせると、今度はふくらはぎに咬みついた。
肌色のストッキングが破けて、縦に裂け目が拡がった。
失血で抗拒不能になった女は、屈辱的だと思いながらも、もはやどうすることもできなかった。
もう片方の脚も咬まれて、穿いていたストッキングをみすみす破らせてしまっていた。

さらに十数分後。
女はベンチの上で仰向けの姿勢で、犯されていた。
生き血をぞんぶんに愉しまれた女は、夫しか識らなかった身体に、汚れた精液を熱っぽく注ぎ込まれていった。
女はひたすら夫のことだけを想い、なにも感じまいと頑なに歯を食いしばり、
脱げて地面に転がったハイヒールを、ただひたすらに見つめつづけていた。

京野龍子(46)は、こうして貞操を喪った。


想いを遂げたあと。
吸血鬼は龍子にそのまま寄り添って、
正体不明の人影がしきりに暗躍する物騒な公園の空気から、自分の女を遮りつづけた。
そして、龍子が貧血から少し立ち直りかけると、家の近くまで送るといった。
女は黙って頷いて、男が自分の傍らを歩くのを、認めるともなく受け入れた。
はた目には、デート帰りの男女に見えなくもない・・・龍子はぼんやりとそう思ったが、
男の好意をはねつけるだけの気力は、もう残されていなかった。

玄関で出迎えた夫に、吸血鬼は手短に来意を告げた。
奥さんの血を吸わせてもらった。貧血になったので、ここまで付き添わせてもらった。と。
龍子はあとをひきとって、ありのままのことを夫に打ち明けた。
お互い、生きる権利を認め合ったの。
でも、そのあとのことは考えに入れてなかった。
この街の吸血鬼がセックス経験のある女を襲うときには、恋人同士になろうとするんだね。
それだけが、あなたに対して申し訳なくて。
でもこの人は、来週も私に逢いたがってるの。
だれかの血を吸わなければ、生きていけない人だから。
私は、吸わせてあげようと思っている。
いけない人だけど、死んでしまうのはあまりにもかわいそう。
ほかの人が襲われて同じ目に遭うのも、それはやっぱりどうかと思う。
被害が拡がるだけだものね。
あなたにだけは申し訳ないと思っているから、なにかの形で埋め合わせさせて。
この人も、あなたの名誉まで台無しにするつもりはないみたいだから。

龍子の夫は、永年連れ添った妻が短い時間のあいだに、すっかり染め変えられてしまったと感じた。
けれども、それでも妻が気丈にも理性を持ちこたえて、事態を何とか円満解決しようと心を砕いているのを、好もしく思った。
彼はじゅうぶんに妻を愛していたし、妻もまた身体を汚された後も、自分を愛しつづけているのを実感した。
あとはただ、理解ある寛容な夫となるという選択肢しか、残されていないと感じていた。
数分後。
リビングのじゅうたんのうえにあお向けになった夫は、妻と同じ経緯で男に首すじを咬ませ、献血に応じていった。
自分を襲っている男の体内で、自身の身体から吸い取られた血液が、妻の血液と交わり合うのを感じながら。
別れぎわ。
夫は打ち解けた気分で、風変わりな訪問者に話しかけた。
妻の体調がよくないときは、わたしが身代わりに妻の服を着てお相手してあげようかな。
男は白い歯をみせて、それも楽しみです、とだけ、いった。
男二人は、一人の女を介して共存することを受け容れあった。

妻の服で女装して、女になり切って献血をする。
夫は熱心に奉仕を果たしつづけた。
妻を抱かせたくない。
そんな想いが龍子の夫を公園に赴かせていたけれど。
身にまとう女の衣装が帯びる妖しい魔性が、彼を居心地よく包んだのも確かだった。
逢瀬を遂げた後、男は性欲を持て余していると夫に告げて、
つぎは妻を来させるからと、夫は約束させられた。
妻が出かけていく時、彼はひっそりと家で待ちつづけた。
さいしょの夜と同じように、スーツに泥をつけて帰宅した妻をいたわりながら、
今夜は少しだけ、ウットリしちゃったかも。
そんなふうに悪戯っぽく笑う妻を抱きしめて、そのまま夫婦の寝室へと引き込んでいった。
それ以来。
妻が逢瀬を遂げるときには、物陰から見つめる夫のしつような視線を、
吸血鬼とその情婦とは、感じないわけにはいかなかった。
吸血鬼のセックスは、性欲処理のように強引なときもあったし、
熱情をこめて寄り添いつづける甘美なときもあった。
どちらのときにも龍子は気丈に振る舞い、男の劣情を真正面から受け止めていった。
それでもときには、ほだされてしまうときもあるらしくて、
夫のまえだと知りながらも、身体を二つに折って感じていることを覚らせてしまったり、
声をあげて夫の名を呼び、二人の男を二人ながら必要以上に昂奮させてしまっていた。

十数年後、龍子の夫は病を得て亡くなった。
龍子はかねてから、吸血鬼に申し入れていた。
もしもあのひとに先立たれたら、いちどだけ未亡人の身体を抱かせてあげる。
でもそのあとは、私の血を一滴残らず吸い取って。
あのひとはやきもち妬きで、寂しがり屋。
だから早く彼のいるのところに行って、永遠に寄り添ってあげたいから。
男は言われるままに約束を果たし、
夫を弔うための黒一色のスーツを纏ったまま無言になった女を、いつまでも抱きすくめていた。
女は去りぎわに、悪戯っぽく笑っていった。
私たちには子供はいないけど、独身の姪と、既婚者の甥がいるの。
ふたりには、お墓参りに来てねって誘ってあるの。
甥っ子のほうはきっと、お嫁さんを紹介してくれると思うわ。
だから、だいじにしてあげて。