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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

街のタウン情報――春山さん宅で『人妻狩り』が行なわれました。

2018年06月28日(Thu) 07:34:34

当村の法事に都会の奥様が招ばれるときに、決まって始まるのが「人妻狩り」です。
6月27日に行われた春山家の法事でも、「人妻狩り」が行われました。
ターゲットは春山家の三男坊のお友だちの奥様という、当村からは遠い関係のご婦人です。
もちろん、当村にこうしたしきたりがあるということは、ご夫婦ともに聞かされていません。

「法事の最中から、『人妻狩りだ』、『人妻狩りだ』・・・と村の方たちが口々にそう呟いているのが聞こえてきました。初めのうちは、なんのことかわかりませんでした。まさかうちの妻が狙われているなどとはつゆ知らず・・・ですね」
そういって苦笑するのは、晴れて奥様を村の男衆たちの性奴隷に捧げて気前の良さをみせた夫の深山さん。
遠縁の法事ということで招かれたこの村で、奥さまの翠さん(36)が、逞しい村の男衆たちの生贄にされるのをみすみす見せつけられる羽目に遭ってしまいました。
「そりゃとてもメイワクでしたよ。どうしてボクの妻がそんなことにならなきゃならないのか?って、抗議もしましたし、やめてほしいとお願いもしました。でも、断り切れなくなっていったんです」
最初はそんなふうに、奥様と村の男衆との性交を拒んだ常識的な深山さんだったのですが・・・
「いまでは後悔していません。妻がヒロインの淫らな宴を実見するという貴重な機会に恵まれたと感謝していますし、妻ともどもこの村への移住を考えています」
深山さんは都会育ちのサラリーマン。もちろん自分の妻をほかの男性たちに提供するしきたりに巻き込まれたのは初めてです。
「妻を愛していましたし、いまでも愛しています」という深山さん。
いったいこのようにひょう変することができたのは、どういうことだったのでしょうか?

「だんなさんを女装させたんですよ。このテを使うと、けっこうな確率で夫婦ともに墜とせます」
というのは、村の長老格の花地アキラさん(58)。
「じつは、わたしもこのテで堕とされちゃった旦那の1人なんですがネ」
アキラさんは、そういって照れ笑いをしました。
そう――ご自身も都会育ちの身でありながら、数年前、奥様を伴われて当村に移住、「人妻狩り」を体験したご主人なのです。
じつはアキラさんも、移住後一週間で奥様ともども堕とされてしまった1人です。
「人妻狩りに遭った奥さんのご主人は、その晩のうちに強制的に女装させられて犯されるんですが、なんだか本当の女にされた気分になって、物凄い昂奮してセックスしてしまいました。男相手に――それも全員が、妻を犯した相手でした。でもそれ以来、女として犯されることにはまってしまったんですね。その晩以来彼らと意気投合しましてね。この村に棲みついて、妻を日常的に提供するようになったのは、自然の成り行きでした。妻も男衆たちにうまいこと言い聞かされてしまって――それ以来、村で夫婦ながら調教を受けることになったんです。家内を最初に犯した長老様とはいまでも夫婦ともどもねんごろなお付き合いですし、身内の奥さん連中も、少しでも若いうちに紹介してあげようと思いました。それで、娘夫婦や弟の一家まで巻き込んだのです」
都会で暮らす身内を紹介して人妻を3人奴隷に堕とした功績?から、アキラさんは都会出身者としては異例の抜擢?長老格に収まっているのです。

アキラさんのお話はあとのお愉しみとしまして――昨夜最愛の奥様を淫らな宴のヒロインとして提供された深山さんの話に戻ります。
アキラさん曰く――
「犯した人妻のご主人は、たいがいそんなふうに、強制的に女装させちゃうんです。女装したご主人は、たったいま奥さんを犯した男衆たちに、女として犯されます。つまり、夫婦で同じペ〇スを体験するんですね。この効果はけっこう絶大です。夫は妻に対して尊敬されるように振る舞うものですが、自分自身まで女にされて犯されてしまうと、そんな薄っぺらい羞恥心というかプライドは、吹っ飛んでしまいます。特に女装に目ざめてしまうご主人の場合だと効果は絶大ですね。いままでなん人もこのテで、ご主人を味方につけています」

村の男衆の逞しい身体に代わる代わる妻を蹂躙されるのを目のまえに、自身も女の姿にされて凌辱されてゆくご主人――嵐が過ぎ去ったあと、ご夫婦は目線も合わさず、声を立てる気力もなく、しばらくは四つん這いの格好のまま、その場に座り込んでいたそうです。

「まず奥様を、別室に連れて行きました。そこではもちろん、乱交パーティーの再開です。ご主人も自分の奥様がなにをされているのか、わかっていらっしゃる。わたしもあえて否定しない。奥さんと仲良くさせてくれてありがとう――くらいは言ったかな。それから、諄々とお説教です。深山さんも、ぼくの話をさいごまで素直に聞いてくれましたよ。それで、こんなふうにお話したんです――」

「いちど打ち解けちゃうと、もう元には戻れない。奥さん男の身体を覚えてしまったからね。ご主人がいくら邪魔したところで、奥さんは男に逢いに行く。ご主人に隠れてでも逢って、抱かれてくる。そんなことで夫婦の間に秘密ができたら、却ってよくないじゃありませんか。観念して交際を認めてあげたほうが、賢明ってもんですよ」

「この時肝心なのが、『わたしも経験者ですから』って言ってあげることです。同じ経験をしたもの同士の共感がここで生まれますからね。あくまで意地を張っていたご主人も、『あなたもそうなんですか』となってしまう。それで、こちらも言うんです。『恥ずかしいけれど、妻が犯されるのを見て昂奮してしまいました。だからもう何年も、この村に棲みついてしまったんです。貴男もここにお住まいになりませんか?奥様の恥も外には洩れませんし、恥ずかしい昂奮もこの村の人たちはわかってくれますからね』――このへんが、まあとどめといったところでしょうか」

「頃合いを見はからって、奥様を連れ戻してきます。相手は皆、気心が知れていますからね。なにしろ、ぼくの妻も『人妻狩り』にかけた連中ですから――それで、夫婦で晴れてご対面です。奥様は全裸の状態で、乱れ髪、あられもない姿です。ちょっとのあいだご夫婦はお互いの視線を避けていらしたのですが、奥様のほうから、思い切って口火を切りました――『私、この方たちの愛人になります。それでもあなたの妻でいさせてもらえませんか?』たいがい女性のほうが度胸が据わっていますから、こんな極限状態でもイニシアチヴをとれるんです」
ご主人はなんと?
「エエ、もの分かりよくなっておられましたよ。ご主人はまだ、女装姿のままなんです。『きみがそうしたいのなら、仕方がないな』って、理解のあるところをお示しになりました。でも、それだけでは済まされません――」
「ぼくね、言ってやったんですよ。『ご主人、さっきの話と違うじゃありませんか?それでは奥様だけが悪者になってしまいます』お2人で仲良く暮らしていくには、ご主人が許すだけでは十分ではないのです」
では、どんなふうに?
「『ぼくの言うとおりに、仰って見て下さい――わたしもきみと同じように女になって、きみを抱いた男たちに抱かれたい。それから、きみがわたしを裏切ってほかの男のものになっていくところも見届けたい。ほかの男と昂り合ってるきみをみていると、ドキドキするんだ』――そう言って御覧なさい」
「奥様は息を詰めて、ご主人がぼくの言った科白をなぞるのを聞いておられました。無理に言わされている感じではなかったですね。ちゃんとした情感がこもっていました。これでOKなのです。そこでその場で、儀式の再開です。奥様もご主人も、いったん別々に身体を洗ってきてもらって、着替えてもらいます。奥様は自分がもってきた喪服を着せられるとき、ひどく恥かしがっていました。服を着るともとの深山夫人の気分に戻りますから、羞恥心が高まるんですね。ぼくたちのつけめもそこにあるんです。そしてご主人はもちろん、女装です。ご主人もまた、喪服を希望されました。仲間うちに服屋がいましてね――たいがいのサイズの婦人服はあつらえてくれるのです。
それでさっそく、女2人――奥様と女になったご主人と――を取り囲んで凌辱パーティーです。夜が明けるまでには、お2人の気持ちはすっかり、変わってしまっていましたよ」

深山さんは記者の取材に応えて言いました。
「さいしょはなんてことをと思ったのですが、朝になるころにはアキラさんへの感謝の念でいっぱいでした。妻もノリノリになってしまって、その日の夜には『もういちどしてもらおうよ』と、大人しい妻のほうから言い出したのです。びっくりしましたけれども、嫉妬と昂奮とで、ズキズキしてしまった自分がいました。それで、妻を連れてアキラさんの家に伺ったのです」
ちょうどアキラさんの奥様は、別の男性との逢瀬に出かけていました。そしてアキラさんはさいしょに翠さんを犯した男性のほか数名に声をかけ、ご夫婦を交えた乱交を再び、朝まで愉しんだということです。

「人妻狩り」が別名「人妻借り」と呼ばれるのは、きっとこうした村の衆とご主人との平和な関係があるからではないでしょうか。

紳士用ハイソックスと光沢ストッキング

2018年06月28日(Thu) 07:02:46

バブルのころ、OLたちは毒々しい光沢を帯びたストッキングを脚に通し、
男たちはストッキング地のハイソックスにくるぶしを染めた。
娘たちは気に入った男ができると躊躇なく処女を捨て、
男たちはそんな若い女たちを物色して、自分の嫁にしていった。

華やかな巷のネオン街の片隅にひっそりと棲みついていた吸血鬼は、
そんな女や男たちが迷い込んでくるバーのなか、自らの餌を物色した。

不思議な趣味だね。
男はそう言って、舌なめずりをくり返す吸血鬼の前、スラックスをたくし上げた。
筋肉質の彼の脛は、なよなよとした薄地のナイロンに青黒く染められていて、
その筋肉のおりなす陰影が、淫らな翳をよぎらせている。
吸血鬼はもういちど舌なめずりをすると、
自分のためにあらわにされた男の足許にかがみ込んで、
薄地の靴下のうえから、これ見よがしに舌をなすりつけてゆく。
透きとおるナイロン生地は繊細なしわを波打たせて、
男は苦笑しながら辱められてゆく自分の足許をじいっと見つめた。
ぴちゃ・・・ぴちゃ・・・
意地汚い音を立てながら男の足許は卑猥なよだれに濡れてゆき、
やがて突き立てられた牙に冒されて、薄い靴下はブチブチと鈍い音を立てながら、咬み破られていった。

女はそのかたわらに立ちすくんで、いちぶしじゅうを見守っていた。
緋色のタイトスカートの下は、肌色のストッキングに覆われていて、
薄暗い照明が照り返して、つややかな光沢を放っていた。
高貴にも淫靡にも映る輝きだった。
だらりと長く伸ばした黒髪は、肩先の張った流行のデザインの派手なスーツにしなだれかかり、
普通のOLとは思えないけばけばしい匂いの香水が、女の首すじにまとわりついていた。
男が献血を終えて、ぐったりとなってしまうと、吸血鬼は男の足許から顔をあげ、女を視た。
女は男の婚約者だったが、すでに何年も前に男以外の男性を相手に処女を捧げていた。
後ずさりするスーツ姿を抱きすくめると、吸血鬼は素早く唇を女の首すじに這わせて、カリリと咬んだ。
あっという間の出来事だった。
ちゅー・・・ちゅー・・・
女の生き血はその持ち主の体内から、小気味よい音を響かせて奪われてゆく。
彫りの深い顔だちに泛べる憂いは、若い血を辱められることへの悔い?それとも、喪われてゆく血液への哀惜?
きっとその両方なのだろう。
女は惜しみなく自らの血を捧げると、男の傍らに突っ伏した。
四つん這いになった足許に吸血鬼が這い寄って、さっき婚約者にしたのと同じように、
自分の穿いているストッキングに舌を這わせるのを、唇を噛んで見おろしていた。
吸血鬼は咎めるような女の目もはばからず、女の穿いているストッキングを波打たせ、くしゃくしゃになるまでいたぶり尽し、しまいにがぶりと喰いついて、毒々しい光沢を帯びたナイロン生地を、咬み破っていった。

女に対する行為は、もちろんそれだけでは済まされなかった。
ジャケットを脱がせ、ブラウスとスカートを戦利品にせしめてしまうと、
ブラジャーの吊り紐を引きちぎって、胸をあらわにする。
とっさに抱きかかえる細腕を虐げるように抑えつけて、あらわになった乳首を唇に含んでいった。
失血でわれを忘れた男は、自分の未来の妻と決めた女が吸血鬼の手ごめにされて犯されるのを、
女が夢中になって、腰を振りながら応えてしまってゆくのを、血走った眼で追いつづけていた。

静かになった男の足許からは、濃紺の薄地のハイソックスが引き抜かれ、
放恣に開かれた女の下肢からは、ぎらぎらと輝くストッキングがずり降ろされる。
2足の靴下を丁寧に結び合わせると、吸血鬼はそれをむぞうさにポケットに押し込んで、立ち去った。
夜明けになるとたぶん、我に返った男は起き上がり、女を抱き支えながら家路につくのだろう。
そしてふたたび、このバーのくぐり戸を押し開くのだろう。
もちろん、未来の妻である彼女を連れて。

ウチに棲む女たちは、全員網タイツです。

2018年06月28日(Thu) 06:38:18

ウチに棲んでいる女どもは、全員網タイツですよ。
母に姉、それにわたしの妻の3人です。
3人とも未亡人なので、いつも喪服で暮らしています。
喪服にはふつう、黒のストッキングを合わせます。
でもある時期から、彼女たちは3人とも、黒のストッキングを脱ぎ捨てて、網タイツになってしまったんです。

え?わたしの妻も未亡人というのはおかしい、ですって?
わたし・・・死んでいるんです。吸血鬼に血を吸われて。
表むきは病死になっているのですが、ほんとうは・・・エエ、こうしてちゃんと、生きています。
全部吸い取られた生き血を戻してもらって、半吸血鬼として暮らしているんです。
生き血を戻してもらう代わりに、妻を性奴隷として差し出しました。
妻も納得づくで、夫の仇敵に抱かれています。
毎晩のように抱かれているので、きっと愛されているのでしょう。
自分の妻が魅力的な女性として愛されていることについては、夫としては満足を感じます。

この街が吸血鬼と共存する街とは知らないで。
事業に失敗してすべてを失ったわたしは、夫婦でここに流れてきました。
そして、この街でさらにすべてを喪うことになったのです。
わたしは夜の通りでたまたま遭遇した吸血鬼――実は妻目あてで夫のわたしを待ち伏せていたのですが――に襲われて、
その場で生き血を一滴残らず、吸い取られてしまいました。
彼はわたしの血も美味しかったと言ってくれます。
それは、せっかく捧げた血液ですから、不味いと言われるよりは幸せなことだと感じます。

お通夜の晩、こんどは妻が襲われました。
喪服妻の黒ストッキング姿に、彼が魅せられてしまったからです。
借金取りから逃れて隠れ住んでいる身の上、身内は呼ぶことができませんでした。
それでも周囲のものたちは総出で妻を援けてくれていました。
弔問客を送り出してひとりになった妻のもとへ、彼はやってきました。
夕べわたしの身体から吸い取った血を、口許にあやしたままの姿で――
妻は声をあげ、抗議し、夫を返してと泣き叫び、
しまいに抱きすくめられて、わたしのときと同じように、首すじを咬まれてしまいました。
妻は夫の血を吸い取った男の喉の渇きを紛らわせるため、その身をめぐる血潮を提供させられる羽目に遭ったのです。
失血のあまり目まいを起こし、黒のストッキングのひざ小僧を床に突いてしまうともう、彼の思うままでした。
うつ伏せに横たわる妻の足許に這い寄って、ふくらはぎを、太ももを、足首を、あちこち咬んで血を吸い取っていったのです。
妻がみすみす、ストッキングをブチブチと破られながら吸血されてゆくのを、わたしはありありと記憶しています。
ひつぎの中でもわたしには意識が残っていて、
妻が彼の恋人にされてゆくいちぶしじゅうを、見届ける羽目になりました。
けれども、妻が第二の結婚を遂げるのを見届けることができたのは、いまでは得難い経験だったと感じています。

全身の血を漁り取られたわたしのために、妻は夫を生き返らせてほしいと、新しい愛人に願いました。
犯されてほかの男のモノにされてしまった後も、妻はわたしのことを愛してくれていたのです。
――ご主人が生き返ったら、ご自分の愛妻が吸血鬼相手にむざむざとむさぼられてゆく日常を見せつけられる羽目になるのだが。
彼は妻にそう警告しました。
けれども妻は、いいました。
――私を守ることのできなかった主人に、見せつけてやりたいんです。
妻は、わたしのすべてを心得ていたと感じています。

ふたたび血液を注入されて生き返ることのできたわたしは、彼の申込を受け容れて、妻を彼の愛人として提供することに同意しました。
毎日のように逢いに来て、三日に一度は妻の生き血を吸って、愉しんでゆくのです。
彼は自分が妻に逢いたいと感じたときにやって来るので、わたしの在宅中でも構わずに、我が物顔で妻に接するのです。
そういうときにわたしは、隣室から様子を窺うばかり。
立ち去ることも許されず、妻がわたしの目を気にしぃしぃ抱かれてゆくのを、強制的に見せつけられるのです。
けれども――自分の愛妻がヒロインのポルノビデオを目にすることのできる夫は、まれだと思います。
わたしは、彼が妻を愛し抜いていくことに、感謝の気持ちを感じています。

夫婦ながら奴隷になったわたしたちは、もっと血が欲しいとせがむ彼のため、姉夫婦を招ぶことにしました。
そして、密かにこの街を訪れた姉夫婦もまた、都会の生活を放棄することになるのです。
さきに義兄が生き血を吸われ、それから姉が襲われました。
義兄は薄れゆく意識と戦いながら、迷惑だ・・・迷惑だ・・・と、呟きつづけていました。

義兄と姉の弔いに、両親を招ぶことにしました。
喪服姿でかけつけた母に、彼はぞっこんになりました。
そして驚くべきことに、父に向って母への気持ちを告白し、交際を希望していると告げたのです。
いちぶしじゅうを聞かされた父は、立派でした。
娘も息子も血を吸われ、その血が気に入ったというのなら、きっと家内の血もお気に召すことだろう。
永年連れ添った妻を売り渡す気にはなれないが、きみとの交際を勧めてみよう――と応えたのです。

さいしょのうち母は、息子と娘を牙にかけた吸血鬼など、仇敵ではありませんか・・・と、父の言を肯んじなかったそうです。
けれどもすべてを支配されてしまったことは認めざるを得ず、
くり返される娘の不倫を娘婿に償わなければならないこと、
くり返される嫁の不倫を認めて、わが身で手本を示さなければならないことを自覚して、
自ら夫のために数十年秘めつづけてきた素肌を、忌むべき吸血鬼の毒牙にさらすことを決意したのです。
父が望むなら――と、さいしょは嫌々咬まれていった母でしたが・・・
ひと晩で、堕ちてしまいました。
女の操というのは、あっけないものです。
いえ、たとえ夫のいる身でも、ほかの男に捧げた操は、もうその男のものなのでしょう。
わたしは、女3人が彼の気に入ったことに、満足を感じています。
そのうち2人は血のつながった母や姉であり、もう1人は他ならぬ最愛の妻だからです。

不治の病にかかっていて、余命いくばくもないと宣告されていた父は、自ら望んで吸血鬼に首すじをゆだね、
血液を全部吸い取らせていきました。
けれども彼は、わたしが尊敬している父を、母が愛している夫を、死なせることを好みませんでした。
――きみも息子や婿どうよう、最愛の妻が辱め抜かれるのを愉しむ余生を送るがよい。
重々しくそう告げた吸血鬼の宣告に、父は神妙に聞き入っていました。
そして母のことをふり返ると、淡々と言ったのです。
「今夜からは、喪服の下に彼のお好きな網タイツを穿いておやり」
それ以来――3人の未亡人は、喪服の下に網タイツを穿くようになったのです。

かっちりとした礼装の下、網タイツに毒々しく染められた脚を連ねて、
未亡人たちは吸血鬼の邸を訪れます。
吸血鬼の正体を受けた夫たちは、自分の妻を清楚に装わせて帯同し、すすんでその欲情にゆだねるのです。
吸血鬼は彼一人のときもあれば、3人の女のために3人で待ち受けていることもありました。
いずれも彼の気の置けない仲間たちで、自分の愛するものを躊躇なく委ねることのできる間柄のようでした。
大理石の大広間のうえ、喪服を着崩れさせながら悶え始める女たち――
自宅の畳の上で悶えるその姿とはまたひと味ちがった趣があるのです。

かりに事業が成功していたら、借金が無かったら、この街を訪れることはなかったことでしょう。
けれどもわたしは、この街を訪れたことを後悔していません。
父も、義兄も、きっとそう思っていることでしょう。
もっとも義兄は、さいしょに襲われたあの夜以来、妻を襲われるたびに「迷惑だ、迷惑だ」とくり返していますが・・・

いかがですか?貴男もこの街にいらっしゃいませんか?
なにも知らない奥様を連れて・・・
貴男が奥様ともどもたどられる淪落の通が、貴男にとってもっともふさわしいと、強く感じるこのごろです。

占領された病院長の告白

2018年06月28日(Thu) 03:30:47

ウチの病院の看護婦は全員、網タイツですよ。
軽いイ〇ポなら、口で治せます。
患者さんの御要望に応じて、ふつうのパンストやテカテカ光るやつなどのオプションも用意してます。
え?ふつうのやつもなかなか・・・ですって?
患者さん、イヤラシイですね・・・。^^
案外コアなひとほど、そういう普通ものを好まれるのですよ。

エエもちろん、指名も可能です。
本人の勤務日の問題もありますが、場合によっては強制的に出勤させる場合もあります。
個室の患者様には、1時間単位で看護婦を一名、無料で提供させていただいています。
もちろん、なにをなさってもOKです。
すべて、治療行為の範囲と見なされますから――

家内だけは黒の網タイツです。院長夫人の特権で。
家内をご指名なさるときは、網タイツの色で御認識いただけますよ。
でもどうぞ、お手柔らかに・・・
わたし以外の男を識って、まだ間もない身体ですから。

夜這いと吸血鬼

2018年06月26日(Tue) 06:38:30

彼らがこの村に棲みついたのは、かれこれ数十年もまえのことだった。
いつの間にかひっそりと、村の風景にとけ込むようにして、入り込んできたのだ。
夜になると家々に忍び込んで、彼らは女たちの血を吸った。
けれども最初のうちは、それが吸血行為だとさえ思われていなかった。
この村にはもともと、夜這いの風習があった。
だから女たちはよそ者たちの侵入を、ごく当たり前のように、受け入れていったのだ。

――古くからの村の住人、安東作治の独り言――

最初にやられたのが、仁井田のうちの女房とその娘だったね。
仁井田は出稼ぎに出ていたから、夜這いの衆も入りやすかったんだ。
それと、袴田病院の院長の若奥さんも、多分同じ夜のことだった。
このあたりでは指折りの旧家で外聞を憚っているのか、院長は認めないがね。
でもやつらは3人いたし、仲間がそれぞれ女の生き血にありついてるのに一人だけ我慢するいわれはないからね。

やつらは日をおいて、またひとの家を荒らしにきた。
そのときは仁井田の母娘と、境川の女房だった。
境川のうちが狙われたのは、院長のところがガードが固くなったからだろうね。
だから、別のもんを襲ったんだ。
あの晩境川は風邪をひきこんで、家族にうつすまいと独り寝をしてたんだ。
働き者の女房が朝になっても起きてこないから様子を見に行ったら、
首すじから血を流してへらへら笑っておったものだから、
やっこさんたまげてしまって、ひきこんでいた風邪も吹き飛んでしまったそうな。
それで夜這いに来たよそ者連中が吸血鬼だと知れたんだ。

けれども村の衆はやつらを邪険にはしなかった。
人手の欲しい刈り入れどきになると、手間賃も受け取らず働いてくれておったからな。
だから女たちも分け隔てなくやつらの夜這いを受け入れたのだ。
若い女の生き血さえ吸えれば生命までは取らないことが知れてからは、
女たちのなかには自分から出かけていって、血を吸わせるものまであらわれた。
村の女の心意気を見せるんだといってな。

最初のうちは旦那が出稼ぎに行っている家の女房や後家さんが、もっぱらやつらの相手をしていた。
やがて最初に血を吸われた仁井田の家の亭主が出稼ぎから戻ってきた。
それでも仁井田の女房も娘も、亭主の目を盗んでやつらのねぐらに血を吸われに出かけていって、
吸血鬼相手に乳繰り合うていた。
このあたりでは出稼ぎに行っている間に女房や娘が夜這いを受けんのは暗黙の了解だったし、
旦那が出稼ぎから戻ったあとも女房がほかの男と乳繰り合うのもよくあることだったから、
相手が吸血鬼だということさえ除けば、どこにでもある夜這い話と変わりはなかった。
仁井田の女房の相手はここのしきたりに従って、地酒をもって仁井田のところにあいさつに出向いた。
吸血鬼とくっついた女房衆が、入れ知恵したんだろうね。
まだその時分は、村の男衆とやつらとが言葉を交わすのは、作業場の忙しいなかだけでのことだったからね。
仁井田は持ってこられた酒を飲んだが、もともと酒は弱い男だったからすぐにねぐらに入ってしまい、
あとは女房に酌をさせて夜明けまでいっしょにいさせたそうだ。
どのつまりは仁井田の亭主も女房や娘を吸血鬼の人身御供に出すことを同意したということだ。
そう言えば、その時分から、仁井田の亭主の首すじにも、咬み痕がつけられていたっけな。

それからは、旦那が家にいるのに出かけるもんまであらわれた。
旦那衆もおうようなもんで、夜這いの衆と自分の女房が乳繰り合うのを見て見ぬふりを決め込んでおった。
やつらのしていろことは、このあたりのもんに言わせると、夜這いとさして変わりはないのだよ。

うちの話かね?
ああなにせ、ほかならぬ仁井田の娘がわしの女房なんでな・・・

夕方6時以降の”少女”たち

2018年06月26日(Tue) 05:51:07

「まいちゃん、いる?」
「まいちゃ~んっ」
少女たちのひっそりとした誘い声が、夕澄真衣の家の玄関に響いた。
ギイ・・・と扉が開いて、玄関先に立つ少女たちと同じ制服を着た真衣が、怯えるように顔だけ見せた。
「来て来てっ!怖くないから!」
香坂カオルが手を振って、ひそめた声を励ますように投げてくる。
やがて玄関の扉の影から、白ブラウスの肩が、紺のハイソックスの片脚が、赤とグレーのチェック柄のプリーツスカートに包まれたお尻が見えて、少女の全貌があきらかになる。
ウィッグの黒髪はつややかだったが、その黒髪に囲われた面差しは、少女にしては強い輪郭を持っている。
「わぁ、似合ってる♪」
坂川エリカが両手を握り合わせて小躍りした。
夕澄真衣という名前は、女子の制服を身にまとったこの少年が自分に着けた、女の子の名前。
でもここではあえて、夕澄真衣という少女の名前だけを明かしておく。
玄関のポーチから小走りに折りてきた真衣は、声を潜めてはしゃぐ二人の少女と連れだって、肩を並べて歩き出した。
それまでの怯えはもはやかけらもなく、暑すぎず肌寒くもない初夏の夕暮れの街なみを、風を切るようにして歩みを進めていった。

夕澄真衣は、都会から越してきた男の子。
昔から女の子の服にあこがれを持っていて、親に隠れて女装している。
そういう少年たちの手近にある少女の服といえば、女きょうだいのそれだったりするのだが、真衣には女きょうだいはいなかった。
けれども真衣は、裕福な親からもらう潤沢なおこづかいをやりくりして、少女の服を一着、手に入れていた。
父親は会社の経営者、母親もこの街に来てからは勤めに出ていたので、学校から帰ってから夕食までの間、親の目のない時間を彼女は日常的に持っていた。
来たばかりの見知らぬ街の公園で、少女の服を着て夕涼みをしていると、
いつも人けがないと見定めて入ったはずのこの公園のなか、気配も立てずに少女が二人、
同時にベンチの両側に腰かけてきた。
「女装してるの?似合うね。あなた、3組に入った〇〇〇〇くんでしょ?」
少女の一人、香坂カオルは好奇心たっぷりの目をくりくりさせながら、真衣に訊いた。
「だいじょうぶ。あたしたち味方だから♪」
左側から囁きかけてきた坂川エリカの声は生温かい吐息となって、真衣の耳朶をほてらせた。
「この学校、女の子の服着てる男子って、多いんだよ。3組の女川さんて、じつは男子なの」
「浜口くんや鳥居くんも、よく女装して登校してくるよね」
そんなことをさもふつうのように、おおっぴらに声に出して笑いさざめく女子たちに、真衣は圧倒されたけれど、気がついたときにはもう、三人の少女の会話に興じきっていた。
「あたしの制服貸してあげる。サイズ同じくらいでしょ?予備に一着、お母さんが買ってくれてるのがあるから。学校に持っていくから、それ着て家で待ってて。あたしたち迎えに行くから」
カオルは一方的にそういうと、小指を突き出して真衣の指にからめ、強引に指切りげんまんをした。
翌日、休み時間に手提げバッグの中に入った制服のずっしりとした重みにドキドキしながら真衣は下校してきて、だれもいない部屋のなか、カオルの制服に着かえた。
女の子の、それも同級生の制服を着るという初体験の出来事に指が震えて、ブラウスのボタンをはめるのに、ひどく手間取ってしまった。
着かえが終わって、鏡を見たら、そこにはまごうことなく、少女になった自分がいた。
真衣は感動に震えた。
それから彼女たちが家に訪ねてくるまでのあいだ、どうしていたのかをよく思い出せない。
万が一、受け取らなければならない小包を携えた郵便配達がピンポンを押したりはしないか、
万が一、親たちがなにかのつごうで家に早く戻ってきたりはしないかと、
ドキドキしながら彼女たちが玄関の外から声をかけてくるのを待ち受けていた。

ドアノブをまわし、扉を開くと、そらぞらしい外気が真衣を包んだ。
解放された真衣を祝福するような、さわやかな空気感を感じながら、
真衣は踊るようにして玄関のポーチを降りる。
すぐ目の前には、おなじ制服を着た少女が二人――晴れて自分も、その仲間入りを果たしたのだ。
「行こ」「行こ」
手に手を取り合って、公園をめざす。
その公園が「お嫁に行けなくなる公園」と呼ばれつづけてきたことなど、真衣は知らなかった。

「いいこと?ベンチにはひとりひとり別々に腰かけるの。そうするとね、自分のことをいちばんだと思っている彼が、隣に座るから――あとは、そうね・・・その彼とおしゃべりしたり、とにかく絶対いいことがあるから、彼の言うとおりにするんだよ」
制服を貸してくれたカオルはまるで先生みたいな指図口調で真衣にそういったが、
真衣は自分でもびっくりするほど素直に肯きかえして、指さされたベンチへと足を運んだ。
カオルから借りた制服のブラウスが素肌にしみ込むような心地よい呪縛を伝えてくる。
まるでその呪縛に痺れてしまったように、真衣はこれから起こることをワクワクしながら待ち受けた。

気がつくと、カオルの隣にも、エリカの傍らにも、すっと音もなく、気配も立てず、男性の影が寄り添っていた。
思ったより全然年上――そう思った真衣の隣にも、父親よりももしかすると年上かもしれない男が座っていた。
男はひっそりと、それでもたしかな存在感をもって、真衣を圧倒する。
開かれた口許からは鋭利な牙がひらめき、獣臭い息をはずませながら迫って来る。
真衣は自分でもびっくりするほどもの静かに、柔らかな目線を相手にそそぐだけ。
両肩をつかまれて、ベンチの上に押し倒されて、ひらめく牙は首すじに近寄せられてくる。
じゅるっ。
隣のベンチから、異様な音が洩れた。
ふと見るとエリカがひと足早く咬まれて、首すじから血を流していた。
それからすぐにカオルの首すじからも、咬みつく音がかすかに、ズブッと洩れた。
ビュビュッと撥ねる血が、カオルのブラウスの襟首を染めた。
「やだ――またひとの制服汚すのね」
カオルはひっそりと笑い、相手の行為をこともなげに受け容れていく。
ぼう然と見つめる真衣もまた、首のつけ根に鈍痛が走るのを感じた。

ちゅう・・・ちゅう・・・ちゅう・・・
首すじに吸いつけられた唇が、さっきからもの欲しげにうごめきながら、真衣の血を吸い取ってゆく。
それでも真衣は、身じろぎひとつせずに、男の相手をつづけていた。
真衣のもの慣れないしぐさに、むしろ男は行為を感じたようだ。
吸い取ったばかりの血に濡れた唇を麻衣の唇に重ね合わせて、ファースト・キスを奪うと、
真衣の制服姿をいとおしげにギュッと抱きしめた。
相手の男が自分のことを女の子として扱って、ギュッと抱きしめてくれるのが嬉しくて、
真衣は積極的に相手のキスに応えた。
錆びたような血の匂いが鼻腔を刺したが、怖いとは感じなかった。
むしろ、冷えた男の身体がすがりついてくるのがいとおしくて、自分のぬくもりを分け与えてあげたいとさえ、本気で思っていた。
「すまないね」
「いいえ」
会話はそれだけで十分だった。
男はなん度も真衣にキスをねだり、真衣はそのたびに応えつづけた。

ふたりの少女はブラウスをはだけられていて、はぎ取られたブラジャーの下から、豊かな乳房を思い切りよくさらしている。
カオルのおっぱいはピチピチと引き締まって硬く、
エリカのそれはふんわりと白く輝き、柔らかそうだった。
真衣は彼女たちのおっぱいをきれいだと思った。
彼女たちが本物の少女であることを、羨ましく感じた。
息荒く迫って来る男のまえでおっぱいをさらすことがなにを意味しているかなど、どうでも良いことだった。
可愛いピンク色の乳首たちはもの欲しげな舌先に舐められ、火照った唇に呑み込まれる。
大またに開かれたハイソックスの脚は、たくし上げられたスカートから太ももまであらわにされて、男どもの浅黒く隆起した腰を、股間の奥へと受け容れはじめている。
少女たちが初めてではないことを、真衣は直感した。
そして少女たちの運命を自分も共有していると気づいたときにはもう、平たい胸からぽっちりと隆起している乳首を、しつように舐められてしまっていた。
真衣がその後起きあがったのは、行為のまえの一度きりだった。
「パンツ、脱ぐね」
そういって勢いよく起き上がると、真衣は潔くショーツをひと息に足首まで引き降ろし、男の手にゆだねると、再びベンチのうえに仰向けになった。
嫁入り前まで男のまえにさらしてはいけない部位をあらわにすると、なぜか度胸がついた。
自分でも経験したことがないほど烈しく逆立った一物が股間を冒しにかかったときも、これからどうなるんだろう?という好奇心しか感じなかった。
夕食まえに、それも公園のような野外で、息子が女としていたぶられているなんて知ったら母さん悲しむだろうな――と、チラと思ったけれど。
行為を中止するきっかけにはならなかった。
力まかせに突き入れられた一物が真衣の股間を抉り、抉られた股間は血を流す。
スカートの裏地に血が沁み込むのを感じたときにはさすがにあせって、
「カオル、ゴメンねっ」って、呟いていた。
自分の純潔が喪われるよりも、カオルから借りたスカートが血に濡れることのほうが重要だった。
傍らの少女ふたりはベンチのうえで、スカートのすそから太ももをあらわにして、営みに息をはずませつづけている。
ふたりの黒髪が、腰の上下動に合わせてユサユサと揺れるのをみて、「青春だなあ」とつくづく思った。
ハイソックスの脚を噛みたいとねだられたのに応えてやったり、
お〇ん〇んをしゃぶってみたいとねだられたのに応えて咥えさせてやったり、
これがきみを女にした、ぼくの宝物だよ――といわれて差し出されたものを口に含んで、根もとまで咥えてしまったり、
吐き出された精液を呑み込んでしまったとき、真衣は女になった歓びを感じていた。

これからも、自分は男として暮らしていくはず。家族の手前もあるから。
けれどもあたしはきっと、今夜の出来事を忘れない。
そして、母さんにばれてもきっと、くり返してしまう。
もしかすると母さんまで巻き込んででも、くり返しつづけてしまう。
真衣はふと、傍らで自分といっしょに犯されている少女のどちらかと、将来結婚するのだと直感した。


あとがき
このお話は一週間くらい前、途中まで描いてタイムリミットになり、今朝ほど仕上げたものです。
どこから描き継いだかはナイショですが、当初思い描いていたのより大胆に描けたような気がしています。

夕方6時以降の公園

2018年06月16日(Sat) 19:10:44

薄暗くなった街かどに「夕焼け小焼け」のチャイムが鳴ると、
公園で遊んでいた子どもたちはいっせいに、家路につく。
この街の子供たちは、お行儀が良い。
それもそのはず。
この街では、夕方6時を過ぎると、吸血鬼が出るのだから。

入れ違いに路地を行き交うのは、制服姿の女子中高生たち。
「みなみちゃん、いる?」
「みなみちゃーん」
時ならぬ若い声が、路地裏の一軒家の玄関のまえにひっそりと響く。
二人連れの少女たちは、おそろいの白いカーディガンに、
濃い赤と黒とのチェック柄のプリーツスカート。
革靴のなかにお行儀よく収まった白のハイソックスの脚が、
夕闇のなかで鮮やかに浮き上がる。
友だちの声に応じて玄関を出る少女の姿も同じ制服を着ていて、
セミロングの黒髪を揺らしてポーチを降りてくる。
三対の城のハイソックスの脚たちは、足並みをそろえて公園に向かった。

公園にはそこかしこにベンチがあって、
違う制服の子たちもひそひそ話を交し合いながら、
思い思いのベンチに腰かける。
みなみちゃんと呼ばれた少女も、
ほかの二人の少女とある間隔を取りながら、
それぞれベンチを選び腰を下ろした。

一陣のなま温かい風がひゅう~っと公園のなかを駆け抜けると、
それぞれのベンチのまえにはひとつずつ、
少女たちのまえに黒い影を立ちはだからせた。
「こんばんは」
少女たちはいつもよりちょっと遠慮がちな上目遣いをして、
自分の相手を値踏みするように見あげた。
影たちは思い思いに、
あるものは少女の足許にかがみ込んで、
ハイソックスの内ももに唇をすりつけてゆき、
あるものは少女をベンチのうえに仰向けにして、
うなじに唇を沈めてゆき、
あるももは少女をベンチのうえにうつ伏しにして、
ハイソックスのふくらはぎに唇を這わせてゆく。

ごく・・・っ。
ちゅうっ・・・
きゅううっ・・・

しのびやかな吸血の音がそこかしこであがり、
少女たちはシンとおし静まって、
刺し入れられる牙の痛痒さに歯がみしながら、
献血行為の陶酔に耽ってゆく――

6時以降の公園は、少女たちの秘密の場。
吸血鬼たちは自分のベンチにだれが座るかと胸躍らせながら、
夕刻の一陣の風を待ち焦がれる。

女房を吸血鬼に寝取られた後の、賢明な夫の行動。

2018年06月11日(Mon) 22:06:07

家に帰ったら、女房と娘の様子が変だった。
顔見知りに帰り道をつかまって、一杯気分で戻って来た俺にも、いつもとちがう様子がありありと見て取れた。
女房のやつはすまなさそうに、後ろめたそうに、
なにも言いたくなさそうに、でも言わなければいけなさそうにしていたし、
娘のほうはいつも大人しいやつなのに、それがいっそうふさぎ込んだみたいにしていて、
いつものようになにも言わないくせに、晩ご飯のあいだじゅう、俺と女房のことをチラチラと見比べていた。

娘が勉強部屋に引き取ると、女房が思い切ったように俺に話しかけてきた。
「あなた、ちょっとお話が・・・」
居間のすぐそばには、勉強部屋に通じる階段があった。
女房は娘の勉強部屋から一歩でも遠いところで話をしたかったらしくって、
夫婦の部屋へと俺のことを促した。

女房はいつも家では、スカートを穿いている。
太っちょの女房はすでに遠い昔から、ウェストのくびれとは無縁になってしまったけれど、
それでも身ぎれいにしていたいと思うからか、若いころのスカートをサイズを直して穿いていた。
改めて齢相応のものを買うよりは・・・という主婦らしいけちくささも見え隠れしていたけれど。
女房がふだんどんなかっこうをしているのか・・・などということには、
世の亭主のたいがいと同じように、俺も気にしなくなっていた。
それなのに、きょうにかぎって、
すそも腰周りもおなじにみえるほどずん胴に着こなした黄色のスカートが、
スカートの裾から覗く、ストッキングに包まれたひざ小僧が、
どことなく眩しく映った。

「ごめんなさい。ほかの男の人に抱かれてしまいました」
ふたりきりになると女房は、やおら三つ指突いて、俺のまえで深々と頭を下げた。
「どういうこと?」
思わず訊いた俺に、女房は包み隠さずすべてを話してくれた。
娘ののり子が学校帰りに吸血鬼に襲われたこと。
貧血になるまで血を吸われた後、血を吸った相手の吸血鬼に介抱されながら家に帰ってきたこと、
いつも学校に履いて行っているライン入りの靴下が血に濡れて、かわいそうだったこと、
貧血になったのり子が部屋でぶっ倒れてしまうと、吸血鬼はやおら女房につかみかかってきたこと、
「真っ赤なスカートなんか穿いていたのがいけなかったんです」
若いころの女房は派手好きで、今さら外に穿いて行けないようなスカートを後生大事に抱えていて、
家の中で穿き古していた。
そういえば、いま穿いている黄色いやつも、記憶をたどり切れないほど昔から、見覚えのあるやつだった。
ごめんなさい、ごめんなさいとひたすら頭を下げつづける女房を前に、
やつが女房を犯したのは、スカートのせいなどではないと、俺は心の中でくり返していた。


俺の帰り道を待ち伏せるようにして酒に誘ったのは、顔見知りの年配の男だった。
いつも陰気くさい顔つきをしたその男は、顔色さえもが蒼ざめていて、
周りから「大丈夫か」と声をかけられるほど弱り果てているときもあった。
それがきょうにかぎって珍しく顔色がよく、気分もよさげに俺のほうへと近づいてきて、
一杯どうですか?と誘いを投げたのだ。
二、三杯酌み交わして、ほろ酔い気分になってきたころ、年配男は思いきったように切り出した。

わしが吸血鬼なのを、だんなはご承知ですよね?
じつはわし、だんなに済まないことをしちまったんだ。
だから今夜の酒は、おごらせてくれ。
その代わり、黙って怒らないで、さいごまでわしの話を聞いてくれ。
年ごろの娘さんがいたよね?のり子ちゃんって言ったっけ。
ちょうど学校帰りに出くわして、わし、喉が渇いていたもんだから、のり子ちゃんにすがっちまったんだ。
のり子ちゃん、さいしょは怯えていたけれど、さいごは唇噛んでべそかきながら、「痛くしないでね」ってお願いされた。
なるべく痛くないように咬んだつもりだったけれど、ブラウスと靴下、汚しちまった。
それでも貧血になるまで、若い血をご馳走してくれて、
のり子ちゃん、見かけはぱっとしないけど、あ、ごめん、でも、生き血はすんごく美味かったな。
華やかで色っぽい味がした。やっぱり若い子の血はいいな。
で、貧血起こして立つのがやっとのあんばいだったから、家まで送ってやったんだ。
家ではおかみさんが、びっくりして娘を出迎えて、
のり子ちゃんも気が抜けちまったのか、制服のままぐったりとなって、
子ども部屋で尻もちついたがさいご、動けなくなって。
で、わしはおかみさんに詫びたんだ、ちっとだけ吸い過ぎたみたいだって。
そんでも、まだまだ吸い足りなかったから、ついうっかり、おかみさんの首すじまで咬んじまったんだ。
だんなは知ってるだろ?
わしらがセックスしたことのある女を咬んだ時は、することをしちまうんだって。
悪いけど、おかみさんとはそんな仲になっちまった。
家に帰ったら、おかみさんが話すようなら、聞いてやってくれ。
話さないようなら、知らんぷりをしてやってくれ。
あとね、三発までなら、わしのことなぐってくれて構わんからな。


「あの子、瘦せっぽちだから、血が足りなかったんだねきっと」
女房はふと、そんなふうに洩らした。
そう、きっとそんなところだろう。
娘から採った血だけでは足りなくて、足りない分を母親の身体から補ったのだろう。
「でもあたし、招(よ)ばれてるんだ。あのひとに。行ったらだめ?だめだよね?」
だめって言ってもらいたいのか、言ってもらいたくないのか、半々の感情を交えながら訊かれても、
亭主たるものどう応えればよいというのだろう?
どのみち結論はきまっているのだ。
女房は、俺のいないあいだに、娘と自分を襲った吸血鬼の邸に、出かけてゆく。
酒場で聞いたやつの言いぐさではないが、女房と娘の日常の変化に、俺は知らんぷりを決め込むことにした。


ウエストのくびれなどとっくになくなった腰周りに、くねずみ色のタイトスカートを穿いて、
白のブラウス、持ちつけない黒革のハンドバックに黒革のパンプス。
まるでPTAに行く時みたいな恰好をして、女房はいそいそと出かけていった。
勤めをわざと早めに切り上げた俺は、そんな女房のあとを尾(つ)けてゆく。
吸血鬼と人間とが仲良く共存しているこの街では、会社さえもこういうことには寛大だった。
「家内の素行調査で」といっただけで、上司はなにもかもわかった、という顔をして、早退届に印をついてくれたのだ。
ずん胴のスカート姿は後ろから視ても、ぱっとしない印象で、いったいこんな女をなぜ?と思いたかった。
むっちりと太いふくらはぎが、もしかしたら目あてかも知れなかった。
たしかに量だけは、血をたっぷり採れそうだったから。
けれども見慣れたはずの肌色のストッキングの脚は――なぜかいつもよりも、なまめかしく目に灼(や)きついた。
玄関に立つ女房の横顔を盗み見てはっとした。
わが妻ながら平凡な目鼻立ちが、いつもより濃い化粧におおわれている。
真っ赤に刷いた口紅をみて、女房は勝負するつもりだ、と、直感した。

閉ざされた玄関から、施錠される音は洩れなかった。
俺はふた呼吸ほど置いて、息を詰めてドアノブをまわす。ドアはしぜんに開いた。
まっすぐ伸びた廊下の向こう、鍵の手に折れた部屋から灯りが洩れている。
邸のあるじも女房も、きっとそこにいるはずだった。

恐る恐る覗き込んだリビングの真ん中に、ねずみ色のスカートの後ろ姿が立ちすくんでいた。
すでに女房を抱きすくめた吸血鬼が、ちょうど首すじを咬むところだった。
ドラキュラ映画だったら間一髪、ヒロインを救う場面だったが、
女房は金髪美人のヒロインではなかったし、
俺はただの間の抜けた寝取られ亭主に過ぎなかった。
男はむき出した牙を女房の太いうなじに突き立てて、カリリと咬んだ。
じわじわっと血が噴き出して、白いブラウスに撥ねたけれど、女房は身じろぎもしなかった。
そのまま男は力まかせに、ググっと牙を埋め込んで、女房の首すじを冒しつづけた。

ちゅ、ちゅう~っ。
あの野郎、美味そうな音を立てて、女房の血を吸いやがって。
嫉妬がむらむらと沸き起こったとき、ふと吸血鬼と目が合った。
ビクッと身体を硬直させる俺に、やつはイタズラっぽく笑いかけて、ウィンクまでして寄越す。
こんにゃろう、と、思いながらも、俺は顔をしかめてかぶりを振るばかり。
やつは許しを請うような目線を送りつつ、貧血に上体をユサッと揺らす女房のことを、手近なソファへと押し倒していった。

ねずみ色のスカートをたくし上げ、あらわになった太ももは、
もうすっかりご無沙汰になっている俺も、久々に目にしたのだけれど、
ちょっとだけよけいに肉がつき過ぎていて、ほんの少しだけだらしなくたるんでいた。

肌色のストッキングになまめかしく包まれた太ももは、血に飢えたものの目線を引き寄せて、
やつは俺の目線もいとわずに、吸い取ったばかりの血がついた唇を、チュウッと音をたてて吸いつけてゆく。

女房のやつは、わざわざ真新しいのをおろして穿いたらしい。
薄手のナイロン生地のしなやかさを愉しむように、やつはなん度も撫でつけるように太ももを吸い、ふくらはぎを吸った。
やつの唇を圧しつけられるたび、女房の脚のまわりでストッキングはふしだらによじれ、淫らな皺を波打たせてゆく。
俺はただ、魔法にかけられたように立ち尽くし、足許を辱められてゆく女房のことを見守るばかり。
やつはこれ見よがしに女房の腰を抱きかかえて、
ストッキングをしわくちゃにしながら、まるでまさぐるように唇を這わせつづけていった。

やつがとうとう牙をむき出して、おなじことをくり返し始めると、
思い思いに喰いつかれるまま、
女房の素肌をガードしていたたよりない薄手のナイロン生地は、脚の周りでブチブチとはじけていって、
ふしだらに拡がる伝線から、むき出しの素肌があらわになる。

うひひ、うひひ・・・やつは嬉しそうにほくそ笑みながら、女房のブラウスをはぎ取って、
尖った爪でブラジャーの吊り紐を断ち切ると、たわわに熟したおっぱいに唇を吸いつけ、さも美味しそうにむしゃぶりつけた。
乳首をチュルチュルと舐め味わいながら、わき腹や腰を撫でさすり、
首すじから二の腕をなぞるように撫で上げて、深々としたディープ・キッスを交わすと、
やおら下半身をあらわにして、ねずみ色のタイトスカートの奥へとさぐり入れてゆく。
女房のやつは無我夢中で、男の唇をよけようとしながらすぐにつかまえられて、
せめぎ合わされる唇に、知らず知らず唇で応えはじめてしまっていて、
ねずみ色のスカートが皺くちゃになりながらせり上げられてゆくのにも気づかない様子――
やがて、男の股間に生えた毒蛇は、女房の太ももの奥へと侵入して・・・
「ああっ~!!」
絶句する女房のうえにのしかかって、やつは我が物顔に腰をふるいながら、強引に上下動をくり返す。
「アッ、アッ、アッ、アッ・・・」
女房のやつ、焦りながらも身体の動きは正直に、無理強いな上下動に、自分の腰をぎこちなく、合わせていった。


その夜からしばらく経ったある晩のこと、俺は初めて告白を受けた酒場で、やつを前に盃を傾けていた。
あの晩、俺は先にその場を離れた。
女房を犯した後のやつと言葉を交わしてみたい気もしたけれど、
熱々なお2人さんをそのままにさせておいたほうが無粋じゃないという気がしたのだ。
目のまえで女房を犯されながら、やつに独り占めさせてしまった俺は、
もうとっくに女房の不倫の共犯者になり下がっている。
「なり下がる、なんて言いなさんな」
男はゆうゆうと酒を酌みながら俺にいった。

娘が気に入ったら、その母親がどんなものか、気になるもんだ。
のり子ちゃんは見かけはぱっとしないけど、(ひとの娘をつかまえてまだそれを言うか)
生き血の味はじつに佳い。
いつもうっとりしながら、愉しませてもらっている。
ライン入りの靴下、もう1ダースくらい破っちまったかな。
おかみさんも太っちょだけど、(ひとの女房をつかまえてそれを言うか)
生き血も美味いし、身体もいい。
あんた、おかみさんとは週になん回やってんの?
なんだ、ごぶさたなのか。もったいねぇ。
家ん中でもスカートにパンストって、いい趣味だな。
おかみさんのパンストも、もう1ダースはとっくに破ったな。
え?14足だって?あんた全部視ていたのか?

浮気の現場を残さず視ていたと告げる俺に、やつはくすぐったそうに、少し誇らしそうにして笑った。
すがすがしい笑いだと、なぜか思った。
俺も笑った。
男ふたりは、声を合わせて、笑いこけた。
笑い終えた後、気分がスッキリするくらい、腹の底から笑い合った。

あんた、本気でうちの女房に惚れたみたいだね。
いつもしんけんに女房と接してくれて、女房を夢中にさせてくれているね。
ご無沙汰にしていただんなとしては、感謝しなくちゃいけないのかもな。
俺は俺で、そこそこ遊んでいるから――あいつにはちょっと、済まない気でいたんだ。
さっきご無沙汰だと言ったけど。
さいしょに覗いたあの晩のあと、家に戻って来た女房のことを有無を言わさず押し倒してね。
物音が聞こえていたはずなのに、二階の勉強部屋は、やけにひっそりしていたっけな。
あんたがうちに来るときも、娘はいつもああしているのかい?

浮気帰りの女房を押し倒したその夜から、週になん度かはやっているんだ。
「夫婦のセックスも、たまにはいいよね」とか言いながらさ。
でもあいつ、あんたとの関係は断とうとしないんだよな。

迷惑かな?
やつは訊いた。
迷惑だね。
俺は応えた。
でも、歓迎する。
あとをつづけた俺に、やつはにんまりと笑った。
あんたのご一家を征服できて、嬉しく思う。
あんたに家族で征服されて、嬉しく思う。
やつの口真似で返してやると、「きょうはおごろうか」いつもと同じセリフを、口にした。
「けっこうだ」
俺はいつものように、やつの好意を謝絶した。
それはそれ、これはこれ。
俺の女房の貞操を、酒代なんかでごまかそうとするなよ。
あんた、本気で女房に恋をしてくれているんだから。


あとがき
前作のスピンアウトです。
どうも話が熟女のほうにエスカレートすると、ついつい熱がこもります。
このお話、今朝ほどあっぷしたつもりでいたら、あっぷできていませんでした。
改めて読み直して、再あっぷいたします。
2018.6.11 AM8:14頃脱稿

あまり美しくない少女の場合。

2018年06月11日(Mon) 04:49:26

そばかす顔に、三つ編みのおさげ。
大きくはない瞳に、特徴のない目鼻立ち。
そんな容姿の持ち主の粟井のり子は、あまり美しくない少女だった。

学校からの帰り道、喉をからからにした吸血鬼に遭ったのが運の尽き。
戸惑うばかりののり子はあれよあれよという間に公園の片隅に追い詰められていって、
頭をつかまれおとがいを仰のけられて、
首すじをガブリとやられ、白ブラウスの襟首を真っ赤な血潮で濡らしてしまっていた。

くらくらと貧血を起こすまで血を吸い取られると、
親よりも老けたカサカサの頬をした吸血鬼は少女をベンチに腰かけさせられて、
当時年ごろの少女たちの間で流行っていたライン入りのハイソックスのふくらはぎに、
にやけた唇を圧しつけられていった。
太めのグリーンのラインの上を、赤黒いシミがじわじわと拡がっていった。

個性のない容姿とかかわりなく、十四歳の少女の血は、飢えた吸血鬼の喉を心地よく潤した。
男は困り抜いている少女が戸惑いつづけるのもかまわずに、
両方のふくらはぎに代わる代わる喰いついて、
じゅるじゅる、じゅううっ・・・と、露骨な音を立てながら、少女の生き血をむさぼっていった。
けれどもこの土地に棲みつく彼らは人間に対してあまり残酷ではななったので、
ひとしきり少女の生き血を愉しんだ後は、
具合悪そうに俯くのり子のことを、学生鞄を担いながら家まで送っていった。
訪れた少女の自宅で、びっくりして娘を出迎えた母親を相手に吸い足りなかった血液を補充して、
ことのついでに、気が済むまで犯してしまうことも忘れなかったが。

それ以来、のり子は学校の行き帰りを待ち伏せる吸血鬼のため、
しばしば制服のブラウスやライン入りのソックスを血で汚した。
できの悪い少女は赤点を取りつづけ、男子にももてなかったけれど、
たぶんそれは吸血されてもされなくても、変わらない日常だったに違いない。
頭も悪く、あまり美しくなかったけれど、律儀で心の優しいところがあったので、
身体の調子がいまいちでも、「小父さん」と呼ぶ彼の喉が渇いたころと見定めると、
母親が止めるのも聞かずに、ライン入りのソックスを脚に通して、吸血鬼の待つ公園に向かうのだった。
それが「小父さん」のためにできる、精いっぱいのお洒落だと心得ていたようだった。

やがてのり子は、親の決めた相手と結婚した。
相手は同じ中学の同級生で、のり子が吸血鬼に血を吸われていることを知ったうえで結婚を承諾した。
披露宴の一週間まえ、呼び出されるままにのこのこと出かけていったのり子は、
吸血鬼の邸の奥深く、寝所に招かれて。
結婚祝いにといわれて、なん度もなん度もしつように犯された。
初めて味わう男の身体が、たんに股間を痛くするだけではなくて、たまらない快感だと思い知るほどに。

「わかってるよ、あのおっちゃんの児だろ?俺育てるからいいよ」
のり子の夫は、妻と同じくらい見映えのしない若者だったが、律儀で鷹揚な男だった。
お腹の子が自分の子ではないと知れたのに、
ひどくすまなそうな顔をして困り切った新妻を、そういってかばった。
嫁入り前も、人妻となってからも、のり子は夫に黙って吸血鬼の邸に通いつづけていたが、
のり子の夫は嫁の浮気相手のところに出かけて行って、とっくりと話し合って、
嫁が身ふたつになったらまた、逢わせてやると約束していた。
「小父さん」がただのり子の血が吸いたいだけで、自分に悪気がないのも恥をかかせたくないと思っているのも、よく心得ていて、
言ってくれれば周囲に怪しまれないように、車で送り迎えするとまで、約束して家に帰って来た。

「とんでもない嫁だ」と憤慨する母親をなだめて、
「母さんもいちど、嫁の浮気相手とよく話してみると良い」と促した。
いっしょに訪問した息子のまえ、気位の高い姑は、嫁の浮気相手に生き血を吸い取られる羽目に遭った。
「そうなるだろうと思っていたよ」
のり子の舅が苦笑しながら語りかけたのは、妻にではなく息子にだった。
気位の高い姑は、夫には黙りとおしたまま情交を重ね、
嫁や自分を目あてに吸血鬼が行き来するのを、嫁を非難するしかめ面だけはそのままに、許しつづけていた。

さいしょの息子は吸血鬼の種だったが、つぎの息子は夫婦の間の子であった。
従順な弟は、吸血鬼のお兄ちゃんが困っていると知ると、当然のことのように自分の彼女を紹介してやった。
のり子は嫁になる少女におだやかに接して、決して怖くないからお兄ちゃんのこともよろしくねと頭を下げた。

吸血鬼に生き血を吸われ、母親も、嫁ぎ先の姑も、息子の嫁さえ犯されて。
「ふつうなら家庭崩壊なのに、のり子さんだとよろずうまくいくものだね」
舅はそういって、おだやかに笑っていた。
容姿も学校の成績もぱっとしない少女は、吸血鬼に幸福を与え、周囲もあまり不幸にせずに、おだやかに齢を重ねてゆく。

「魔性の女」とは、案外こうした少女のなかに宿るのかもしれない――

白人男性に愛された妻

2018年06月04日(Mon) 07:28:19

海外旅行で泊まったホテルで、妻の美香は外人男性のトムに見初められて、
招かれた3人きりのパーティーの席、酔いつぶされたぼくの目のまえで、
トムに迫られた美香は犯されていった。
それが、ぼくたち3人のなれ初めだった。

服をはだけられながら、
スカートをたくし上げられながら、
ストッキングを引き裂かれながら、
落ち着いた色合いをしたルージュを刷いた唇を吸われながら、
きちんとセットした栗色の髪を振り乱しながら。

ぼくだけのものだったはずの乳房を、揉みくちゃにまさぐられつづけて、
唇と唇との淫靡なせめぎ合いに自分のほうから応えつづけて、
白く輝く皮膚を持った獣の臀部が沈み込んでくるのを、大胆に開いた股間の奥に迎え入れつづけて、
逞しい腰の強引な上下動に、さいしょは無理強いに、やがて積極的に、動きを合わせつづけて、
逞しい獣にのしかかられた美香は、華奢でちいさな身体の獣になって、渾身のテクニックで応えてゆく。
ぼくたちだけの秘密だったはずの、あのテクニックが、白人男性にも通用するのだと知って、
なぜかむしょうに、嬉しかった。妻を犯されている真っ最中なのに。
こうして、ぼくだけのものだったはずの美香は、めくるめく陶酔のなかに、堕ちていった――

日本人のミセスはこんなふうに、夫以外の男とも寝るのか?
トムの問いは、まじめだった。
すべての日本女性の名誉にかけて、ぼくはノーと答えた。
美香もまた、そんなことないわ、と、応えた。
そして一言、つけ加えた。
貴男のことが、好きになってしまったからよ――と。

でも、タカシのことも失いたくないの。
私にとっては優しい夫なの。
だから犯された私が応えてしまっても、許してくれるの。
さいごのところだけは少し違う――そう言いかけたけれど、うまく言葉にできなかった。
もしかすると美香のいうことは少しも違ってなくて、図星を指されたのかも知れなかった。

旅先にいる間だけの恋人関係を、ぼくが認める。
和解はそれだけで、成立した。
あなた、ゴメンね。
美香は深い瞳でぼくを見つめた。
Thank you,Taka.
彼は屈託のない目で、ぼくに感謝をしてくれた。
そして無償で捧げられた東洋人の人妻の肉体を心から愛する行為に熱中をした。
夫の目のまえであることもはばからずに。
それが、夫の好意に応える最善のやり方だといわんばかりに。

MIKAをボクの部屋で独り占めにしたい。今夜だけでもかまわないから――
彼の切実な願いを、ぼくは好意的にかなえてやった。
彼の部屋に送り出した美香は、返してくれると約束された午前2時きっかりに、ぼくの部屋に戻って来たけれど。
なにか言いたそうにもじもじするのを、ぼくはすぐに感づいていた。
もう少し、逢っていたかったんだろう?
図星を指された美香は、恥じらうように下を向いてしまった。
けれども声は、彼女が取り繕おうとした慎みを、みごとに裏切っていた。
「・・・・・・だめ?」
別れを強く惜しみながらも美香を時間どおりに帰してくれたファインプレーに、
約束の時間を朝まで延長するというファインプレーでぼくは応えた。
Thank you,Taka.
彼の心のこもった感謝は、ぼくの胸を居心地よくくすぐった。

朝を迎えると。
美香はすっかり、心のなかを入れ替えていた。
彼とぼくとが、どちらも居心地よく過ごせるように。
ぼくだけに向けてきた無邪気な視線を、美香はトムにも向けるようになって、
ぼくの尖った視線もはばからず、小娘のようにはしゃぎながら、彼の抱擁を受け容れた。
外人のまえで日本人が洋装でキメる――というだけでも、時には十分媚びにつながることを、いやでも思い知らされた。
けれどもそんな状況に、だれよりもぼく自身が、胸をズキズキと昂らせてしまっていた。
二人は笑いさざめきながら言葉を交わして、
気が向くとぼくのほうを、同意を求めるようにふり返って、
ぼくが無言のまま頷くと、手を取り合って隣の寝室のドアを開いて、
半開きのままのドアの向こう側、睦まじくまぐあい合った。
そんなふたりを、開け放たれたドアの向こう側から、ぼくはドキドキしながらのぞき見するばかりだった。
すっかり呼吸を合わせ合ったふたりは、夫の目にも似合いのカップル。
均整の取れた逞しい身体に組み敷かれたぼくの美香は、
華奢な身体に精いっぱいの熱をこめて、彼の欲情に応えてゆく。

そんなふうに、あのおとなしい美香が、夫であるぼくを平然と裏切ることが、
裏切っておいて「ゴメンね」って、嬉しそうな上目づかいでほほ笑むことが、
いつも以上にかわいくみえた。
そして逞しい肢体の持ち主の白人男性が、ぼくの愛妻を獲物に選んだことが、
一日じゅう飽きずに妻の身体を獣のように力強くむさぼり、溺れてくれることが、
ぼくにはなぜか、誇りに思えた。

まるで彼の好みに合わせるように洋装でキメて、
彼の前に出てウットリとほほ笑む美香は、
大柄な白人男性にたわむれかかられて、
華奢な身体つきにまとったブラウスをはぎ取られて、
きゃあきゃあとはしゃぎながら押し倒されてゆく。

足許にしゃぶりつけられる貪欲な唇に、
きちんと装われたストッキングを蹂躙していくことが、
逞しい手にブラウスをはぎ取られて、奴隷にされていくことが、
どうしてこんなにも、胸をズキズキさせるのだろう?

ホテルのプールサイドでは、
恋人のように寄り添う彼と美香とが佇む風景が、毎日のようにみられた。
美香はとっておきの水着を身に着けて、彼専用のファッションショーをくり広げて、
色とりどりのビキニを着けた華奢な肢体に、彼は欲情もあらわに乱れかかった。
だれもいない真夜中のプールは、
逞しい白人男性と華奢な東洋人の人妻の、痴態の場と化した。
人妻が旅先で恋に落ちて、国境や肌の色を越えたアヴァンチュールを愉しむことは、思っよりもありふれていたらしくって。
夫連れで来た女性客と単独の男性客とがプールサイドを並んで歩き、
人目がなくなったのを見はからって、目だたないようにひっそりとキスを交わすのも、
だれもいない隙に熱情もあらわに抱き合うのも、
ホテルの従業員たちは、見て見ぬふりをしてくれた。
ふたりとつかず離れずの距離を保っている夫が、彼と自分の妻との熱々な様子に不平を慣らさないのを、不思議そうに盗み見ながらも。

どこにも観光に出ないうちに、一週間が過ぎた。
けれどもぼくたち夫婦にとっては、それで十分だった。
美香は外人男性のベッドの上での優しさを。
ぼくは愛する妻をほかの男に愛し抜かれる歓びを。
しっかりお土産に持ち帰るのだから。
こんどは観光に来ると良い。
別れぎわトムはそういって、再来を期待した。
ぼくはぼくで、彼女一人でも行かせると約束をした。
出来れば二人で来てほしいな。
きみにも見せつけたいからね――と、トムはイタズラっぽくウィンクをした。
そうね、見せつけちゃいましょう――小鳥のようにさえずる妻が、心からいとおしかった。

婚前交渉(前作「結婚するのは、緋佐志とだから。」続編)

2018年06月04日(Mon) 05:52:06

「イヤ!服が皺になるじゃない!」
抑えつけられたベッドのうえ、京香は眉を顰めながらも、早くも男に首すじを吸わせてしまっている。
婚前交渉をするのに彼氏といっしょにホテルに行くのは、若い女の子のなかでは常識だった。
京香ももちろん、例外ではない。
ただし、相手が恋人ではなく彼女の生き血を欲しがる吸血鬼だということは除いて・・・の話だけれど。

緋佐志はきょうも、送り迎えをしてくれた。
ホテルの前で緋佐志の車を降りると、自分の背中に注がれる視線を痛いほど感じながら、
発育のよいふくらはぎをまっすぐに、ホテルのロビーに向けてゆく。
結納を済ませた後、なにも知らない京香の母親は娘にいった。
「お父さんは何ておっしゃるかわからないけど、結婚するんだからあとは京香の好きにしても良いと思うわ」と。
そう、たしかに「結婚するから」「好きにしている」。
ただし、「違う相手と」。
ホテルでの一夜で吸血レイプされたあと(まだ処女だけど)も、緋佐志はそれまでと変わらず優しかった。
ホテルで待っている彼と逢うと言ったときに、送り迎えをしてくれると言われたときには、耳を疑ったけれど、
卑屈な態度ではまるでなく、しつような吸血のあげく貧血にさいなまれる自分の恋人を気づかってのことだとすぐにわかった。
いま京香は、緋佐志に介抱されながら、血に濡れたブラウスの襟元を気にせずに、独り暮らしのマンションに、帰ることができるのだ。
いまあたしがしていることは、きっと不倫なんだろう。京香は思った。
そして隣でハンドルを握る恋人さえもまた、彼女の不倫の共犯者だった。


そうよ、不倫よ。ふ・り・ん♪
あの男の牙にかかって、あたしめろめろに酔わされちゃうの。
あなたを車で待たせて、密室のベッドのうえであいつに抱かれて、酔わされちゃうの。
あたしが処女でいられるのは、たんにあいつが処女の生き血が好きだから。
あいつの女になったあたしは、まだ犯されていなくて、処女のままだけど。
非処女の女よりもずうっと淫らに、ベッドのうえで乱れるの。
いまのあたしは、あいつの奴隷。
スポーツで鍛えた血液を愛でられるのが嬉しくて、つい余計に捧げてしまうの。
ひどい貧血は当然の報い。
でもあたしは眩暈と幸福感とで、くらくらしちゃうの。
あなたはあたしのことが気になって、あとを尾(つ)けて部屋のまえまでやって来て、
すぐにあいつに見つけられて、返り討ちに血を吸われちゃって、お部屋の前の廊下で寝るの。
わざと半開きにしたドアの向こう、
ベッドの上であたしたちがこれ見よがしに乱れるのを、したたかに見せつけられながら、

きみたちふたりはお似合いだって、あなたは言うの。
ぼくの京香を君に褒められて嬉しいって、あなたは言うの。
京香の若い血がきみを夢中にさせるのがぼくの希望だって、あなたは言うの。
結婚してからも京香を犯しつづけてほしいって、あなたは言うの。

京香はふふんと鼻で笑い、だいぶ離れてしまった車のほうをふり返り、これ見よがしに手を振った。
車の中からも、控えめに応えるのが見て取れた。


まっすぐホテルのロビーに向かってゆく恋人の足どりを、
緋佐志はズキズキ胸をはずませながら見送ってゆく。
突き刺されるような嫉妬に震えながら。
緋佐志に背を向けた彼女のキビキビとした足取りは、確かな意思をもって、不倫相手の待つベッドへと歩みを進めてゆく。
ひざ上丈のミニスカートから覗く健康そうな太ももを包むナイロンストッキングが、照りつける陽射しを照り返してテカテカと光り、リズミカルな足どりに合わせてよぎっていった。
あの太ももを活き活きとめぐる若い血液を、きみはたっぷりと吸い取られてしまうのか。
這わされてくる唇に、あのむっちりとした太ももを惜しげもなく吸わせて、ストッキングをブチブチ破かれながら吸血されてしまうのか。
緋佐志の心はざわざわと騒いだ。
でもそんなきみを、ぼくは止められない。
きみがぼくのことを裏切って、嬉しそうに笑いながら若い血液を吸い取られ、
ほかの男とベッドのうえで乱れるのを、ぼくは恥ずかしい昂奮を噛みしめながら、思い浮かべてしまうから・・・


部屋に入るとクリスはもろ手を挙げて迫って来て、京香をギュッと抱きすくめた。
「喉渇いているんでしょ」
京香が図星を指すと、「わかっているなら話は早い」といって、京香を勢いよくベッドのうえに投げ込んだ。
「あ!ちょっと!」
あわてる京香のうえに、クリスの逞しい胸がのしかかってきた。
うっ・・・
唇を奪われて嗅がされた、獣のような男の匂い。
「う、ちょっと・・・外に緋佐志がいるのよ」
婚約者の名前をわざと出すと、クリスはまんまと京香の手にのって、さらに責めを激しくさせた。

あれからクリスにもことわって、緋佐志ともキスを交わしたけれど、
クリスのときみたいな荒々しさはなかった。
幸福感と安心感はあったけれど、ドキドキさせるようなときめきはない。
――いいの。夫に求めるものと情夫(おとこ)に求めるものとは違う。
京香は車の中で息を詰めているであろう緋佐志を想いながら、クリスとの激しい口づけに柔らかな唇を痺れさせていった。


気がついたときには、部屋の前までたどり着いていた。
気がついたときには、京香の情夫に羽交い絞めにされて、首すじを咬まれていた。
気がついたときには、貧血の眩暈にあえぎながら、
ベッドのうえで乱れ合うふたりを前に、きみたちは似合いのカップルだと言いつづけていた。

さいしょの夜に。
「わかった、いいよ。あなたの女になる」
生き血をたっぷりと引き抜かれ、心の中身をそっくり入れ替えてしまった京香はそういって、吸血鬼の求愛を受け容れてしまった。
いつものハッキリとした口調だけが、以前の彼女と変わりなかった。
そのピチピチとした太ももを噛みたいとねだられると、ツヤツヤとした光沢を帯びたストッキングに縁どられた脚線美を、惜しげもなくさらしていって、
薄いナイロン生地を相手のよだれまみれにされながら、くしゃくしゃに皺寄せて、ずり降ろされていった。

京香は予定通り、緋佐志の花嫁になる。
京香が自分の恋人で、予定通り結婚をするといったのは。
吸血鬼の愛人として隠れ蓑が必要だったから。

吸血鬼のやつも案外お人好しで、
自分の地位を脅かしかねないはずの緋佐志を強いて排除しようとはせずに、
自分に会いに来る京香の送り迎えを、むしろ歓迎してくれていた。
やはり彼のほうも、隠れ蓑が必要だったから。


緋佐志は熱に浮かされたように、誰にともなく呟きはじめた。
君の牙には、京香の生き血がお似合いだ。
その牙を埋められて、ぼくの京香は君の腕のなかで、あんなに切ないうめき声をあげちゃっている。
ああ、ドキドキするな。ズキズキするな。
慎みなんかかなぐり捨てて、小娘みたいにはしゃいでいる京香。かわいいな。素敵だな。
君は処女の生き血が好きだっていうけれど、ほんとうは京香の生き血が好きなんだろう?
きっとぼくたちが結婚してからも、京香のことを襲うつもりだね?
ぼくはきみのことを、歓迎するよ。
ぼくの新妻を、ぜひ襲ってほしい。襲いつづけてほしい。
同じ女性を好きになったもの同士、ぼくたちは仲良くやれるはず。
不倫に耽る京香のために、ぼくは寛大な夫でい続けてあげるから・・・


あとがき
描いてみたかったこと。
結婚間近の女が吸血鬼を相手に、ボディコンスタイルに身を包んだムチムチと健康的な身体から、うら若い血を嬉々として引き抜かれてゆく様子。
恋人に送り迎えをさせながら、吸血鬼と熱い唇を交えてしまう女の、恥知らずな痴態。
キビキビとした足取りで情夫の待つ部屋へと足を向ける彼女の後ろ姿を、嫉妬にズキズキ胸をはずませながら見守る彼氏。
・・・まとめるのがたいへんでした。(笑)

結婚するのは、緋佐志とだから。

2018年06月04日(Mon) 00:19:48

ディスコのなかは、広々とした密室。
きらめく光芒の下、今夜も京香は踊り狂っている。

ムチのようにしなる腕。
激しいステップをくり出す、恰好の良い脚。
汗ばむ胸もと。火照る素肌。
ゆるいウェーブのかかった栗色のロングヘアが揺れる肩。

彼氏の緋佐志はそんな京香を遠くから、うっとり見つめる。
「遠くから見ているだけでも良いのかね?」
出し抜けに囁かれた言葉の主が、自分と同じ女をうっとり見つめるのを知っても、
緋佐志は自分でも訝しいほど、腹を立てなかった。

「彼女の京香です。この人、いま知り合ったばかり」
名前を言いかねて聞き直そうとする緋佐志をちらと見て、男はクリスと名乗った。
どう見ても日本人だけど・・・と訝る京香を「いいじゃない」と受け流し、
「そろそろ出るか?」と、いつの間にか三人の間を仕切っていた。
氷のように冷静なところを取り繕っていたけれど。
クリスは内心、昂ぶりを抑えかねていた。
ひざ上丈のタイトスカートから覗く京香の健康な太ももはピチピチと輝いていて、
ストッキングごしに桜色に透けた素肌が、悩ましかった。

クリスは言わずと知れた、深夜の女を狙うハンター。
しかしふつうのハンターとは違っていた。
生身の男と違って、冷えた身体を持ったこの男が欲したのは、
年ごろの女のうら若い血液を、干からびた自分の血管にめぐらせることだった。

2人で泊る予定のホテルに、「廊下に寝るさ」とうそぶくクリスと3人でチェックインしたが、
フロントはクリスのことを不思議がりもせずに、緋佐志にキーを渡してくれた。
通されたツインルームでちょっとのあいだ3人で飲んで、
あとはお2人さんを邪魔することなく廊下で寝る――そういう約束だった。
けれども男が約束を守る気がないことを、京香はとっくに見抜いている。
「緋佐志、だいじょうぶ?私のこと、ほかのやつに奪(と)られちゃうよ?」
なん度か言いかけたその言葉を引っ込めたのは。
案外京香も、この道の男にえも言われぬ期待を抱いてしまっていたから。

トイレに出た緋佐志が、なかなか戻ってこない。
いっしょについていったクリスが一人先に戻ってきたが、
2人きりの気まずい時間を過ごすのを嫌った京香は、ドアを開けて部屋を出た。
白のパンプスの足どりはすぐに止まり、その場に立ちすくむ。
首すじから血を流した緋佐志が、そこに倒れていた。
振り返ると、クリスの口許にバラ色のしずくが光っている。
緋佐志の胸もとに散った液体と同じ色だと見て取ると、
京香は男の正体を瞬時で察し、ダッシュでエレベーターホールに走った。
間一髪だった。
開放されていたエレベーターの扉は京香の目のまえで閉ざされ、
つぎの瞬間京香のスーツ姿は羽交い絞めになっていた。
「――ッ!」
息苦しいほど抱きすくめられた京香は、
首のつけ根のあたりに生温かい唇がヒルのように吸いつくのと、
その唇の両端から覗く尖った異物が皮膚を切り裂き、首のつけ根に疼痛を滲ませるのを感じた。
意識がスッと遠のいた。

気がつくと。
ベッドのうえにいた。
ホテルの部屋に引きずり戻されていたのだ。
気絶していたのは、数分間でしかなかっただろう。
傍らを見ると、緋佐志がベッドの傍らに尻もちをついて、放心したようにこちらに目を向けている。
京香のうえには、クリスがいて、薄笑いを泛べた唇を、ふたたび京香のうなじに這わせようとしている。
「うー、うー・・・」
京香はなん度もうなり声をあげて、首すじに迫るクリスの唇を避けようとした。
「だめ・・・だめ・・・だめえっ。あたし、緋佐志のお嫁さんになるんだからっ・・・」
痛切に叫ぶ京香を抑えつけて、男はなおも京香の身体から若い生き血を引き抜く行為を、力を弛めず続けてゆく。
「こ、殺さないで・・・」
ベッドの下から洩れる声に、男がかすかに頷くのを、京香も緋佐志も見逃さなかった。
男は少しだけ獰猛さを消して、京香の額を優しく撫でると、
「若い女の血が欲しい」とだけ、いった。
さすがに「どうぞ」とも言いかねて京香が黙っていると、
男は京香の両肩を抑えつけて自由を奪うと、再び京香の首すじを吸った。
抑えつけられ自由を奪われながら、京香は再び咬まれていった。
ズブッ・・・と食い込む牙が、今夜初めて受け容れるはずだった緋佐志の男性自身のように、京香の胸の奥を抉った。

セックスと吸血。
形は違うけれど、いま自分が体験しているのは間違いなく初体験なのだと、京香は感じた。
緋佐志の見守る目線をそれぞれに気づかいながら、ふたりはベッドのうえでせめぎ合い、
男は淫らな吸血行為をやめようとはせず、
女は忌むべき凌辱から逃れようとしてしくじりつづけていた。
緋佐志は自分の彼女が、吸血鬼相手にうら若い血液を提供しつづけて、
吸血鬼が彼女の血潮に魅了されてゆくのを、ただ息をのんで見つめつづけていた。
せめぎ合いを演じる若い女の肢体はじょじょに力を喪って、
やがて抵抗は屈従に変化してゆく。

クリスがやっと牙を引き抜いたとき、女と男は目を見開き合って、互いを見つめた。
女は上目づかいで。
男はまっすぐに見おろして。
京香は男のような口調で、いった。
「わかった、いいよ。あなたの女になる」
そして緋佐志のほうをふり返ると、
「でも結婚するのは、緋佐志とだからね」
というのを忘れなかった。

不倫の似合う女

2018年06月03日(Sun) 09:32:18

目のまえのじゅうたんのうえ、ここまで提げてきた黒い鞄が転がっている。
あたしはベッドのうえで、なん度めかの寝返りを打った。
あたしのうえには黒衣に身を包んだ男が、しがみつくようにしておおいかぶさっている。
息苦しいほどの距離感に、もうあたしは慣れ切っていた。

通学途中でこの邸に引き込まれ、初めて血を吸われた。
相手が吸血鬼だとわかったときにはもう、夢中になってしまっていた。
吸血鬼の邸に入り浸る娘を咎めに来た親たちは、娘を連れて邸を辞去するときにはもう、別人になっていた。
娘の生き血を喰らう忌まわしいはずの男と、母親はにこやかに言葉を交わし、
父親はついでにこいつもどうぞと、自分の妻を吸血鬼にすすめていた。
母親はまんざらでもなさそうな顔をしながら吸血鬼のベッドに引き入れられて、めでたく”結婚”までしてしまった。

それ以来。
家族のだれにも咎められずに、吸血鬼との逢瀬を愉しんで・・・いや、献血の奉仕に励んでいた。
彼は好んで、女の脚に咬みつく習性をもっていた。
さいしょに狙われたときには、白のハイソックスだった。
母親が吸われたときには、肌色のストッキングのふくらはぎにしつように唇を吸いつける吸血鬼を見て、
以来彼を愉しませるために、黒のストッキングを穿いて通学するようになった。

彼が落ち着いたら、家に電話しなくちゃ。
「娘は身体の具合が悪いので、きょうは学校を休ませます」
ママはきっと、そういって担任の先生をだましてくれるだろう。
あたしはお昼過ぎくらいまで、ずっと彼のお相手をする。
穿き替えてあげた二足目のストッキングにも、もう派手な裂け目がいくすじも、鮮やかに走っていた。

いまごろはホームルームか。
先生も、クラスメイトのみんなも、彼氏の嶋中くんもきっと、あたしがこんなことにうつつを抜かしているなんて、知らない――

「ずっと彼氏に黙ってるつもりか?」
吸血鬼が耳もとで、囁いて来た。
あたしは、ウン、と、応えてしまっている。
あたしがいまだに処女でいられるのは、彼が処女の生き血を好んでいるから。
あたしはきっと、彼より先に、この男に犯されるに違いない――それでもいいと、なんとなく思ってしまっている自分が怖い。
吸血鬼がふたたび、耳元に囁いて来た。
「あんたはきっと、不倫が似合いな女になることだろう。」
余計なお世話――そのひと言は、かろうじて飲み込んだ。
このひとに生意気を言うと、物凄く貧血になるまで血を吸われて、お仕置きをされるから。
そのうえで、「こんなに味わってもらえてうれしいです」なんて、心にもないことを言わされるから。


十年後。
あたしはやはり吸血鬼のお邸のベッドのうえにいた。
彼氏だった嶋中くんの苗字を名乗ることになったあたしは、専業主婦になって、
出勤していく嶋中くんをにこやかに見送ると、すぐにおめかしをして、このお邸にもぐり込む。
家に出入りするときには地味な服。そこであたしはよそ行きの派手なワンピースに着かえて、彼の寝室に入る。
そう、新婚の若妻の生き血は、一滴残らずこのひとのもの。
「やっぱりあんたは、不倫が似合いな女になったな」
耳もとで囁きほくそ笑む憎たらしい男にそっぽを向くと、
その姿勢のまま抱きすくめられて、首すじを咬まれた。
「ほどほどにしなさいよね、主人もそこにキスするんだから」
「安心しろ。家を出る時までには傷口はふさがっている」
そう、この人の咬み痕は、信じられないほど短時間で、あっという間に消えてしまう。
「あなたも、不倫が似合いの男じゃないの」
あたしがそう毒づくと、男はいった。
「だんなのまえで、お前を抱いて、思うさま愛し抜いてやりたい」と。
「それはだめ」
あたしはそういいながらも、のしかかって来る男の前、ガーターストッキングを穿いた脚を、早くも開きはじめていた。


まさかこんなに早くいなくなってしまうとはな。
嶋中くんの写真のまえ、吸血鬼は形どおり手を合わせると、寂しそうに言った。
「このひとのまえで、あたしを犯す夢がかなわなかったからでしょう?」
あたしが毒づくと、男はいった。
「でももうあんたは、自由な女だな」
男はにんまりと、嗤っていた。
「いやなやつ」
なおも毒づくあたしにあいつは迫って来て、行きもできないくらい強く、抱きすくめられた。
同時に唇も奪われていた。
身に着けた洋装のブラックフォーマルが、くしゃくしゃになった。
男の手がスカートの奥に這い込んで、ストッキングごしに太ももをいやらしく撫でまわしてくる。
ふと見ると、夫の写真が目のまえだった。
「あッ・・・このッ・・・」
男の意図をやっと察して抗うあたしを、男はなんなく抑えつけて、
夫の写真のまえで、あたしのことを犯しにかかる。
「あなた・・・あなた・・・許してえっ」
本気で許しを乞うほど、あたしは殊勝な女じゃない。
ただ、男をそそるために、わざと夫の名前を口にしながら――男の意のままに辱め抜かれていった。

だれにもほんとうのことを言わないあたし――
そんなあたしは、夫に秘密を隠し通す不倫に向いていたのかも。
「嶋中の母親を紹介してくれ」
耳もとで囁くあいつに、あたしは素直に肯いてしまっていた。

伯母の生き血を狙う甥

2018年06月03日(Sun) 09:06:34

晶恵伯母さんの血を吸いたい。
甥のケンゴがそういったと、義弟のタカヒロがわたしに告げた。
タカヒロとケンゴは、吸血鬼の親子。
もともとタカヒロはわたしの幼馴染で、年ごろになってから妹に近づいた。
色気づいてくると、こんどは母にまで近づいた。
わたしは中学にあがるまえから彼に血を吸われていたから、それがふつうだと思い込んでいた。
妹婿になったタカヒロは、わたしたちの隣に住んで、
以来日常的に、母のところに夜這いにやって来た。
色気づくと、自分より年上の女を欲しがるのは、どうやら父子で似たらしい。

妻の晶恵も、タカヒロの身体を識っている。
わたしと結納を済ませた晶恵をタカヒロが見初めて、
処女の家に生き血が欲しいとねだられたわたしは、晶恵を引き合わせてやって、
まんまと晶恵の生き血をせしめたタカヒロは、
嫁入りまえの晶恵の身体に、男の肉体を教え込んでしまっていた。
以来ふたりの関係は、途切れたり続いたり。
そこに、タカヒロの息子が色気づいて、晶恵に色目を使うようになったのだ。

晶恵はおしゃれなワンピース姿で義弟の家に招ばれていって、
帰りはわたしの運転する車内で、赤黒いまだらもように染められたワンピース姿で、あらぬことを口走っていた。
世代はくり返すらしかった。
以来ケンゴはわが家に夜這いをするようになって、
わたしは真夜中の散歩に、街をさまよった。
ケンゴよりすこしだけ年下の息子は、自分の母親が首すじを咬まれ犯されるのを、
物陰から胸をドキドキはずませながら、のぞき見するようになっていた。

どうしてそんなに協力的になれるのかって?
いちど、熟れた女の生き血の味を覚えてしまうと。
相手がそれを獲ることでどれほどの満足を得られるのかわかってしまうから。
だからわたしは、彼らが求めるときには進んで、自ら協力者になり下がってゆく。

――あの子ったら、食べ盛りなのよ。もう貧血・・・
妻はそんなふうに愚痴りながらも、今夜もこぎれいなワンピース姿で、義弟と甥のためにおめかしをする。
――伺うときにはきちんとおしゃれしなくちゃね。競争相手が多いもの。
   なにしろあの子ったら、担任の先生も同級生の女の子も、たぶらかしちゃっているんだから。
うそぶく妻の肩を抱いて、わたしは今夜もハンドルを握る。
彼らの獲物の送り迎えをするために。