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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

鉦の音

2019年07月21日(Sun) 06:10:51

ちりぃーん・・・

澄んだ鉦の音がしんとしたわたしの居所に鳴り響く。
この音を耳にするとわれに返り、気持ちが落ち着いて、癒されたような気分になる。
妻はそれと知りながら、きょうも鉦を鳴らしてくれる。
傍らにいるあの男もまた、恭しくわたしの写真の前に額づいて、彼女に倣い

ちりぃーん・・・

黙々と鉦を鳴らす。
どうやらこの男がわたしにみせる敬意は、ほんものらしい。
冥界からこの世を眺めると、そんなことまでわかってしまう。

そういえば。
わたしの生前から妻と交際していた男たちも、
ここを訪れるときには神妙に鉦を鳴らして――あとはなすべきことをし遂げてゆく。

そしてこの男も・・・あろうことかわたしの写真のまえで、妻を組み敷いていこうとする。
「あ・・・いけません。さすがにここでは」
妻はいちおうの抵抗を試みるが、
首すじに這わされた唇に隠れた牙に皮膚を破られてしまうと、
喪服のブラウスの襟首の奥に、血潮のしずくを忍び込ませ、低い呻きを洩らした。
しつような吸血に熟れた生き血で応えつづけて・・・
悩ましげにまつ毛を震わせながら、血を啜り取られてゆく。

きょうは月一度の命日。
喪服を脱いだ妻は日頃は色鮮やかなワンピースで装っているが、
この日ばかりはわたしのために、黒一色の喪服を着込む。
そしてわたしの写真のまえで、吸血鬼の餌食に堕ちてゆく――

ピロー・トーク

2019年07月05日(Fri) 04:55:04

俺が劣情をあからさまにしても、いつも従順に応えてくれる昭代さんが、珍しく苦情を口にした。
遅い時間に戻ってきた昭代さんを、勤め帰りのスーツ姿のまま背後から襲って、羽交い絞めにしたときのこと。
夕暮れどきをすぎると、喉がからからになってくる。
そうすると俺は、学校帰りの加代子さんを真っ先に襲い、制服姿のまま押し倒して。
白や淡い空色のブラウスのえり首を血浸しにしながら、十代の処女の生き血に酔いしれる。
さんざん吸血を遂げて、彼女がウットリしてしまった時分に、こんどは昭代さんが帰宅してくる。
もちろん同じ経緯で、征服だ。
母娘で扱いが違うのはそれからあとのことで、昭代さんとはとうぜんのように、熱烈な情交が始まる。
苦情をいわれたのは、そのときのことだった。

「あなたはロリコンなの?」

唐突な言葉に俺は面食らい、思わず咬んでいた首すじから牙を引き抜くと、ちょっとだけ身を起こして昭代さんの顔を見た。
昭代さんも俺のことを、目線もそらさず見返してくる。
「どうして・・・?」
おろおろと俺が問うと、昭代さんはいった。
「だって、ひとの娘のことをあんなふうにしつっこく吸血するなんて・・・」
どうやら昭代さんは、加代子さんの女学生姿に夢中になってしゃぶりつく俺のことを、
ひっそりと帰宅した後しばらくのあいだ、見つめつづけていたらしい。
俺の好みに合わせて履いてくれた白のハイソックスに、両脚ともバラ色の飛沫を撥ねかしながら、
たっぷりと舌触りを愉しみ、ずり降ろしてゆくところを、
彼女は息をつめてのぞき見していたに違いない。

俺は応えた。「かも知れないな」
「あっさり白状するのね」
昭代さんは珍しく、チラと嫌悪感を表に出してこたえた。
けれども俺にはまだ先をつづける意思がある。やり取りの主導権を握りなおすために。
「けど、俺がロリコンなだけのやつだと、思うのかい?」
え・・・?
怪訝そうな顔をした昭代さんのふくらはぎに、俺はしつっこく唇を這わせた。
薄手のストッキングは、俺の好みに合わせて装ったもの。
サラサラとした触感は、退勤のとき彼女が新しいものの封を切ってわざわざ穿き替えたことを告げている。
俺は昭代さんに顔を見られまいと、ひたすら彼女の脚に熱中しながら、つぶやくようにいった。
――マザコンなのさ。

え・・・?
彼女はまたも、怪訝そうな囁きを洩らす。
けれども俺の言い草を肯定するでもなく否定するでもなく、
それでいて、足許を装う礼装に無作法なあしらいをくり返す俺のために、
ふるいつけた卑猥な唇の下に、無防備な下肢を曝しつづけていてくれた。

ひとしきり、俺が愉しむと。
「マザコン・・・だったんだ」
彼女はもういちど、つぶやいた。
その先を聞きたがっているようだった。
俺はいった。

俺がまだ真人間で、吸血鬼に日常的に血を吸わせていたころ。
家族全員が彼の支配を受け入れて、代わる代わる吸血に応じていて。
真っ先に襲われて犯されたお袋は、やがて親父のまえでもキャッキャとはしゃぎながら誘惑に応じていくようになって。
それを親父も俺も、別々のふすまのすき間から、熱っぽい目で覗きつづけていた。

俺があんたを襲うとき。
その時のことをよく、思い出すんだ。
あいつはお袋に、いまの俺がしているのと同じことをしていたんだ。
俺があんたの素肌に唇をふるいつけるとき。
ちょっぴり抗いながらも組み敷かれていくあんたを、ギュッと抱き返しながら胸や腰つきの肉づきを全身で受け止めていくとき。
俺はあんたのご主人の視線を、まるで俺がかつてお袋に注いだ視線と同じくらい、近しく感じるのだ。
あのときあいつは、こんなふうにお袋の血を愉しんでいたんだ。お袋の身体にのめり込んでいたんだ。
美味かっただろうな。愉しかっただろうな。って、思うんだ。
そしてあのときお袋を黙って差し出した親父の気持ちも、ありありとわかるようになるんだ。
親父は親友に、一番たいせつなものを与えることで、友情に報いていたのだと。
お袋はお袋で、自分がうっかり声をあげて快感を白状してしまうことを、親父が許すだけではなく愉しんでしまっていることを、
咎めながらも許し、許しながら悦んでしまっていたのだと。
だから俺は、だれも責めない。
そしてあんたのご主人も、あんたのことを責めていないし、俺のことも憎んでいない。
遠い昔と役割を入れ替わることで、俺はあんたのご主人や娘さんと、気分を同化させながら、こんな悪さをつづけているんだ。

「いったい何をしゃべっているの?」
昭代さんは呟いた。
「いいわよ、もっと吸って・・・あたし、娘の若さにちょっぴり、嫉妬していたのかも」
後半の白状は、声が決まり悪げに細くなっていた。
「嫉妬なんか、しないで良いのに」
俺は昭代さんの股間をまさぐりながら、囁いた。
彼女の秘所は、まだショーツとパンストにぴったりとガードされていた。
俺がパンストのうえから太ももを撫でまわし、それからブチブチと音を立てて引き裂くと、
今度は昭代さんが、自分のショーツを引き裂いた。
熱っぽい吶喊が、長時間つづいた――

昭代さんのご主人の霊魂が、まぐわう俺たちに熱っぽい視線を送りつづけているのを、背中にありありと感じる。
すまないね、ご主人。あんたの奥さんをもう少し、愉しませてもらうからね。
ふたりで悦びあっているところを視て、あんたも歓んでくれるのが、いまの俺には幸せだし、あんたの気持ちもよくわかっているのだから――


あとがき
ベッドのうえでの男女のやり取りのことを、”ピロー・トーク”というそうです。
そして、そのなかのいくばくかは、えてして相手への怨み言になるようです。
そうしたやり取りを交し合うのはきっと、仲が良く心が通い合っている証拠です。
柏木ワールドの世界の吸血鬼たちは、自分が襲って欲望を遂げる相手のことをただの獲物として扱うのではなく、
家族として恋人として受け止めているようです。

息子の呟き

2019年07月01日(Mon) 07:41:58

妹が高校にあがったとき。
母さんはひと周り大きい制服を、取り寄せていた。
ぼくに着せるためだった。

それは、ふたりの身代わりに吸血されるときの衣装として、用意された。
ぼくにとっては、ある意味ご褒美だったかもしれない。
幼いころから、女の子の着る洋服に、憧れていた。
恐る恐る脚に通した、母さんのストッキング。妹のハイソックス。
ドキドキしながら腰に巻いた、母さんのスカート、妹のスリップ。
でももう、そんなふうにこそこそしなくたって、かまわない。
いまはおおっぴらに、女の子の服を着て、妻の華恵を伴って実家に帰る。
妻もまた、ぼくの女装を認めてくれている。
ぼくが彼との交際を認めた見返りに――

おそろいの制服を着た妹は、さっきからぼくの足許を舐めまわしている。
ひざ小僧の下までぴっちりと引き伸ばしたハイソックスが、ひと舐めごとにずり落ちてゆくのを、
ぼくは落ち着かない思いで眺めていたけれど。
妹が楽しそうにくり返すままに、好きにいたぶらせてしまっている。
「兄さんどう思う?母さんの背徳・・・」
妹の口から「背徳」なんて言葉を聞こうとは、つい最近まで夢にも思わなかった。
「父さんは”交際”って言っているみたいだね」
「そうか、”交際”なのか・・・」
父さんは、吸血鬼と母さんとの関係を、そう呼んでいる。
たしかにふたりはいやらしい関係を結んでいて、時折ぼくも覗いて愉しんでしまっているのだけれど――
ふたりの間に流れるものに、まじめな感情が交錯しているのを、認めないわけにはいかなかった。
だからぼくは、中立を守って「お付き合い」と呼んでいた。
優しい父さんにも、義理立てしたかったから。
けれども、純潔な血をまだその身にめぐらせている加代子には、まだ早すぎるのかもしれない。

そのくせ、「背徳」という言葉に、どきりとしてしまう自分もいる。
「お義姉さまも背徳。母さんも背徳・・・」
妹が生真面目な顔をして、指折り数える背徳の数。
「ぼくの背徳。加代子の背徳」
ぼくは加代子の指をとって、もう二本、丁寧に折ってゆく。
「加代子が”背徳”って呼びたいのなら、ぼくも加代子と話すときはそう呼ぶね」
加代子はウフフと笑って、自分の表情をごまかすためにもういちどぼくの足許にかがみ込んで、脚を咬んだ。
ハイソックスのしなやかな生地に、生暖かい血潮がしみこんでゆくのが、むしょうに心地よい。
「こんど、同じクラスの子、引き入れちゃおうかな」
口許にぼくの血をあやしながら、妹は素直な顔つきで微笑んだ。
ぼくも妹と目線を合わせて微笑んで、唇と唇とを、重ね合わせていった。

血液交換会 ~獲物を取り換え合う母娘~

2019年07月01日(Mon) 07:27:39

嗜血癖にめざめた妻と娘は、息子夫婦にのしかかってゆく。
しまいには獲物を取り換え合って、
妻は息子に、
娘は嫁に、
とりついてゆく。

妻と嫁は、A型。息子と娘は、O型。そしてわたしも、O型。
嫁は娘に吸われるのに、しり込みをしていた。
「加代子ちゃんO型でしょう?良くないわ、それに、あなたまで、淫乱になっちゃうわ」
そういって抗う義姉を組み敷きながら、「少しなら大丈夫」といって、
加代子は面白そうに顔を覗き込んで、毒づいた。
「いやらしいお姉さま。あたしがあなたの血を吸うのは、兄さんを裏切った罰よ、思い知るがいいわ」
言葉は尖っていたが、口調は甘え切っていた。
そして、ワンピースの襟あしを掻きのけるようにして、がりりと噛みついていった。
「あぁああ!」
おおげさに悲鳴をあげる華恵。
聞こえよがしに音を立てて、義姉の血をすする加代子。
「あたしが結婚しても、お婿さんには手を出さないでね」
義姉の思惑をすっかり読み取った加代子は、口許を義姉から吸い取った血で濡らしながら、そういった。
そして、うっとりと見上げる義姉と、唇と唇を合わせて、交歓していった。

帰宅した母娘 ~血液交換会~

2019年07月01日(Mon) 06:25:59

ただいまぁ。
玄関口に響くのは、娘の加代子の声だった。
真っ暗だった部屋に灯りが点けられ、ほんの少しだけ疲れを滲ませた制服姿が浮かび上がる。
白のベストに淡いブルーのプリーツスカート。
ハイソックスは中学のころの真っ白から、濃いグレーに変わっている。
「母さん、まだかぁ・・・」
独りごちる加代子の背後に、黒い影がひっそりと立った。
親としては、教えてやりたい。
親友としては、黙っていたい。
そんなジレンマに陥るひと刻。
けれどもそもそも、霊魂だけになってしまったわたしには、なんの手出しもすることはできないのだが。

だしぬけに背後から羽交い絞めにされた加代子が、キャッと短い悲鳴をあげる。
羽交い絞めにした腕はツタのように伸びて、学校帰りの制服姿をあっという間に緊縛してゆく。
白い首すじに吸いつけられた唇に力がこもり、娘はもういちど、悲鳴をあげた。
――近所迷惑にならないていどに。
ちゅうっ・・・
ヒルのように這いまわる唇から、バラ色のしずくがかすかにこぼれて肩先にしたたり、
くつろげられたブラウスの襟首にシミを拡げる。
「あッ、ヒドい」
加代子はひと言呟くと、白目を剥いて脚をふらつかせた。
男は娘を抱き支えながらも、なおも容赦なく、血液を摂取しつづけた。

ただいまぁ。
玄関先に、妻の昭代の声が響く。
部屋の灯りで娘の先着を感じた声は、明らかに娘に向けられていた。
「あら、加代子はシャワー?」
応えのないのをかすかにいぶかる声とともに、妻は白の半袖のブラウスを着けた上半身を現した。
濃い紫のロングスカートを微かに揺らしながら、淡いグレーのストッキングを穿いたつま先を、
たった今惨劇の起きたリビングの床にすべらせてゆく。
立ち込めるほのかな血の香りに、母親は敏感に反応した。
「あのひとに、血をあげてるの?」
なんともおぞましい科白だが、女たちが日常的に吸血を受けるわが家では、ごくありふれた出来事になりつつある。

「あッ!」
昭代が呻いたのは、
制服姿のまま半死半生であえいでいる娘を目の当たりにしたのと、
巻きつけられた猿臂の力強さと、どちらのせいだったのだろう?
娘と同じ経緯で、母親もまた首すじを咬まれ、容赦なく生き血をむしり取られていった。
いつになく飢えていた彼は、獲物として狩った母娘を相手に、捕食行為のような吸血に耽ってゆく。

じゅうたんの上に伸べられた、二対の脚。
娘は制服のチェック柄のプリーツスカートの下に、通学用の濃いグレーのハイソックス。
母親は濃い紫のロングスカートの下に、淡いグレーのストッキング。
母娘から獲た血液で、わずかに顔色を取り戻した男は、愉しむゆとりを取り戻している。
今度はふたりが脚に通した靴下をいたぶりながら、愉しむつもりなのだ。

やつはこれ見よがしに舌なめずりをくり返したあと、
まず娘のふくらはぎにとりついた。
発育の良いふくらはぎに、ハイソックスのうえから舌を這わせ、唇を吸いつけ、牙をずぶずぶと埋め込んでゆく。
わたしの視線を十分に意識した仕打ちだった。
濃いグレーのハイソックスには、みるみる赤黒いシミが拡がった。
男はそれでも、かすかにうごめく脚を抑えつづけて、掌の下でよじれてゆくハイソックスをしわ寄せながら、吸血をつづけた。

昭代はかすかに意識を残していた。
男がもういちど、娘の首すじに唇を吸いつけて、しつような吸血に耽るのを、恨めしそうに睨んでいる。
「安心しろ、お前の血ももう少し、吸ってやるから」
あまりにも見当違いな言い草に抗弁しようとする妻もまた、グレーのストッキングの足許に、卑猥な唇の刻印を捺されてゆく――
ぴちゃ、ぴちゃ・・・
くちゃ、くちゃ・・・
几帳面な昭代は、装いを辱められることに人一倍敏感だった。
淡く透き通るストッキングによだれをしみ込まされ、
弄りまわされてしわくちゃにされ、
牙で咬み剥がれて蹂躙されてゆくのを、
悔し気に見おろしつづけていた。

「娘さんのハイソックスは、なかなか美味い。
  高校にあがって、ハイソックスの色も変わったけれど。
  ちょっと色っぽくなったんじゃないかな」
男の言い草は明らかに、妻のプライドを逆なでしていた。
「あんたのストッキングは、娘さんのより破きやすい。
  そこがまた、なんとも言えず良い」
男が口にしているのは、母娘の足許を彩るナイロン生地の強度の問題だけではない。
「あんたの下腹は緩いな」
そう言いたいのに違いない。
夫として抗議したかったが、その前に男がいった。
「わかっている。奥さんは貞操堅固だ。
  エッチな身体が敏感過ぎるだけなのだ。
  だから今夜も、あんたの前で昭代を抱く」

長い夜は、始まったばかりだった。
わたしは冒される妻の艶姿から、視線を外すことができずに立ち尽くし、
貧血から立ち直りかけた娘までもが、薄眼を開けて成り行きを見守る。
「明日もお勤めなのよ・・・」
昭代が弱々しい声色で抗議すると、
「じゃ、息子夫婦を呼べばいい」
男はぞんざいに、指図を下した。


華やいだローズブラックのワンピースの華恵の後ろには、娘と同じ制服姿。
女装姿が板についてきた息子は、学校帰りの少女に見まごうようになった。
親として悦んで良いことなのかどうか――
けれども息子は、娘に成り代わって吸血を享けることを、むしろ悦びはじめていた。

「華恵さん、ごめんなさい」
「兄さん、ゴメン」
昭代は嫁の華恵に。
加代子は兄に。
むしゃぶりついてゆく。
華恵はきゃあきゃあとはしゃぎながら、新調したワンピースを惜しげもなく血浸しにしていったし、
息子は、妹とおそろいのハイソックスの脚に妹が咬みつくのを、理解ある同級生のように見つめつづけていた。

親族同士の血液の交換会。
慢性的な貧血と引き替えに得た吸血能力を得た母娘は、身内の血液にうっとりとなって、ひたすら啜りつづけてゆく――