淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
魅せられてしまったカップル
2019年08月28日(Wed) 07:23:26
変わった吸血鬼だった。
初めて咬まれたのは、彼女と一緒に公園にいるときだった。
座っていたベンチの足許に忍び寄って、先に咬まれたのはぼくのほう。
履いていたハイソックスが血だらけになるまで、気がつかなかった。
「ヒロシ、足許――!」
美奈子がそう叫んだ時にはもう、遅かった。
チュウチュウ音を立てて吸われ始めた足許の感覚は鈍く、ぼくは昏倒寸前に陥った。
駈けだした美奈子のあとを追う吸血鬼を妨げることは、もうできなかった。
どうしてぼくのことを、先に咬んだんだろう?
美味しい獲物をあと回しにしたのか?
ベンチに腰かけたまま天を仰いだぼくが、そんなことを薄ぼんやりと考えていると、
芝生のかなたから悲鳴があがった。
美奈子が咬まれたのだ。
ぼくはよろよろとよろけながら、悲鳴のあとを追った。
連れ込まれた廃屋の部屋のなか。
美奈子は首すじを咬まれ血を啜られながら、ウットリとなっていた。
まるでSМ画像でも眺めているような気分になって、
ぼくは彼女が襲われている有様を、思わず立ちすくんで見守ってしまった。
いけない!こんなことをしている場合じゃない!
ぼくは突然理性を呼び覚まされて、
「血だったらこっちにもあるぞ!」
と、吸血鬼に叫びかけた。
彼が美奈子の上から起き上がってこちらを振り向いて、ぼくのほうに歩み寄ろうとするのを見届けると、
ぼくは全速力で走った。
おとりになって、美奈子を守ろうとしたのだ。
失血で言うことをきかない手足は思うように動かなくて、
50mと走らないうちに、ぼくはつかまえられて首すじを咬まれた。
鋭い牙がずぶりと突き刺さって、皮膚が生暖かい血液に濡れた。
ぼくは立ち尽くしたまま、さらにチュウチュウと生き血を吸われた。
さいしょはおとりになって彼女を逃がすことだけを考えていた。
ところが血を啜られつづけているうちに、頭のなかが真っ白になって、考えが入れ替わっていた。
吸血される歓びに、目覚めてしまったのだ。
「もっと・・・もっと吸いたまえ」
ぼくがそう呟くと、彼は声にならない声を洩らした。
お礼を言おうとしている――と、直感した。
ぼくの履いているハイソックスがよほど気になるのか、
ぼくがその場にうつ伏してしまうと、ふたたび足許にかがみ込んで、
ハイソックスを履いた脚に、唇を吸いつけてきた。
どうやら彼は、ハイソックスフェチらしい。
ぼくと同じだ――そう直感した。
ただ、楽しみかたがちがうだけ――
「ハイソックス、好きなんだね?命を助けてくれたら、また履いてきてあげるから」
そんなことが命乞いになるのか――と思ったら、
「どんな柄のを持っている?」
と、聞いてきた。
頭の上に、人の気配がした。
残してきたぼくのことが心配になった美奈子が、舞い戻ってきたのだ。
彼女は、意外なことを口にした。
「ヒロシも愉しんじゃってるの?あたしも、血を吸われているうちに、キモチよくなっちゃった」
え?と顔をあげると、彼女は屈託なく笑っている。
首すじに撥ねた血が、なぜかとても眩しい。
「一緒に吸われよ♪」
美奈子はそういうと、
「ヒロシが済んだら、つぎはあたしね」
といって、芝生のうえに腰を下ろした。
美奈子の足許は、ツヤツヤとした光沢を帯びた肌色のストッキングに包まれている。
吸血鬼は目の色を変えて、美奈子の脚に飛びついた。
彼氏であるぼくが視ている、目のまえで――
美奈子はストッキングを咬み剥がれながら、吸血されていった。
どうやら男は、ストッキングフェチでもあるらしい。
かねてから気になっていた美奈子のストッキングの脚を彼が思うさま玩ぶありさまを、
ぼくは不覚にも、堪能し抜いてしまっていた・・・
それからのことだった。
週に一度はこの公園でデートをして、2人ながら献血を愉しむようになったのは。
2019.7.26作
いま、あっぷしたのは・・・
2019年08月28日(Wed) 04:15:57
過去の下書きの翻案です。
といっても、てにをはを直しただけですが・・・
未亡人婦長の話を連載しているときに、それ以外のプロットもつれづれに思い浮かんでいたのですが、
話が切れ切れになるのもどうか?と思ってあっぷを見送ったものが多少あります。
気が向いたら、時折あっぷします。
女子高生のハイソックスは最強だ。
2019年08月28日(Wed) 04:08:09
女子高生のハイソックスは最強だ。
こちらがなにもしなくても、男子たちが寄ってくる。
女子高生のハイソックスは最強だ。
寄ってきた男子の顔つきが、無防備になる。
そして、積極的に声をかけてきたあいつよりも、
あいつにくっついてきた男友達の、
恥ずかしくて声も出せないやつのほうがましだということを、教えてくれる。
女子高生のハイソックスは最強だ。
けれども、気になるほうの彼の勇気を奮い立たせることはできない。
女子高生のハイソックスは最強だ。
先に声をかけてきた男子に、一線を越える勇気を与えてしまう。
女子高生のハイソックスは最強だ。
強引に抑えつけられ大またを開いてしまう脚を、気になるほうの彼は、ただぼう然と見つめていた。
女子高生のハイソックスは最強だ。
太ももから初めての血を流したまま放心していたあたしに、彼が声をかけたのは。
真っ白なハイソックスに血が付きそうだったから。
女子高生のハイソックスは最強だ。
街灯に照らされた脚に、彼の目が欲情する。
そしてあたしのことを、別の暗闇の中へと、引きずり込んでゆく。
女子高生のハイソックスは最強だ。
ひと晩でふたりも体験してしまったあとなのに、
まだ処女なのだと誤解させてくれている。
2019.6.3翻案
このところ、
2019年08月28日(Wed) 03:56:55
いちど描きはじめると妙に長くなってしまって、続編まで描きかけてしまって、
ふと気がつくと途中で止まってしまっている――そんなことが続いています。
そういうのはたいがい、モノにならなくて、非公開で終わっちゃうんですよね。。
もっともいまアゲた二作は、即興で描いちゃいましたけど。
似合う・似合わない
2019年08月28日(Wed) 03:53:07
夫婦ながら生き血を吸われた夫が、吸血鬼を見て言った。
「似合うね」
もうろうとなった視界のかなた、吸い取られた妻の生き血が、口許や頬をべったりと濡らしていた。
妻の血が吸血鬼の頬に似合う・・・と告げることは、
夫が妻と吸血鬼との仲を認めたことを意味してしまう。
それと察した妻は憤然として、家から出ていく、と夫に告げた。
「似合わないね」
吸血鬼は妻に、そう告げた。
思い直した妻は、だったら見せつけてやろうと思い、自分から吸血鬼の猿臂に巻かれていった。
「似合っているわ」
妻は夫に告げた。
妻を恋するあまり、夫は妻の服を身にまとい、いちぶしじゅうを見守っていた。
夫婦が吸血鬼の夜這いを受け容れた、さいしょの夜のことだった。
呼び寄せられた”血”
2019年08月28日(Wed) 03:42:24
マゾなカップルがいた。
新婚旅行先で迷い込んだ村で、若い衆の口車に乗って村はずれの納屋に連れ込まれ、
彼氏の前で彼女がまわされてしまった。
罪滅ぼしにあてがわれた無料の宿で話し合った二人は、
お互いが昂奮してしまったことを認め合い、
彼らのたまり場に再び出かけていって、またもや彼氏の前で彼女がまわされてしまった。
それ以来毎月のように、二人はその村に出かけていって、休日を過ごすようになった。
頭だった男が提案した。
今度ご家族を村に招ばないか。
一週間タダで泊らせてやるよ。
さすがに彼氏は躊躇したけれど、
「好さそうじゃない、お義母さんとかお義姉さんとか招んじゃおうよ」と彼女はいった。
彼氏は親せきで集まったある晩、夜這いのある村に招待されているといったところ、
意外にも両親も兄夫婦も行ってみたいと言い出した。
「怖くなったら逃げれば良いじゃん」というのだ。
そして、どちらの夫婦も彼氏・彼女と同様、まるまる一週間田舎暮らしを満喫した。
頭は母も義姉も味わったあと、彼氏にいった。
「血が呼んだんだよ」と。
両親は村に転居して、驚いたことに大企業に勤めていた兄までもが、兄嫁を連れて村に移住した。
さいしょの彼氏と彼女だけが意外にも、都会に残った。
彼女の実家が、まだ残っていたからだった。
≪紹介≫未亡人婦長と吸血鬼の恋 いちおうの完結
2019年08月18日(Sun) 07:14:38
このところずっと、ひとつのプロットで描いていました。
5月23日にあっぷした「看護婦ですから。」を皮切りに3か月続いた、「未亡人婦長と吸血鬼の恋」ですが、
ここでいちおうの完結にしようと思います。
夫を亡くした婦長さんが出勤途中に吸血鬼に生き血をねだられて、律儀にも帰り道で待ち合わせて応じてゆく。
それを見つめる夫の霊は、ふたりの仲を嫉妬しつつも許してゆく。
そんなお話でしたが、娘が出てきたり、息子の嫁が出てきたり、かなり手広い話になってしまいました。
死後も意識があって、吸血鬼の情夫を妻が無防備に受け入れてゆくのを見守るだけの夫というシチュが、かなり気に入っていたので・・・
ほんとうは、夫の生前から交際していた浮気相手の妻たちが堕ちていって吸血鬼の血液供給者にされてしまう話とか、
処女の血をささげ続けた婦長の娘さんに求婚者が現れて、
それでも彼女との結婚を熱望するあまり、吸血鬼に未来の花嫁の純潔を与えたり、結婚後の不倫関係も認めたりしてしまう話とかも、少し描きためてはいたのですが。。
それらはいずれ近いうちに――ということにしておきましょう。
一連のお話は、途中の割り込みなしで、えんえんと続いておりますので、よろしければ三か月前の記事に戻って最初からお愉しみいただけると嬉しいです。
(^^)
家庭内に吸血鬼を受け容れて ~夫の独り言~
2019年08月18日(Sun) 07:00:56
わたしが亡きあとの妻は、しばらくの間貞操堅固に過ごしていた。
ほとんど公認状態だった交際中の男性たちとの交わりも控えて、
一周忌までは喪服を脱がないつもりだったようだ。
げんにわたしの生前から交際中だった、わたしの取引先の男性に誘われたときも、
「一周忌が済むまでは待ってほしい」とお断りをしていたほどだから――
そんな静かな(ある意味寂しい)日常を変えたのは、あの男だった。
この街に流れ着いたばかりで、喉をからからにした吸血鬼。
恥を知っていた彼は、理性を失う前になんとか、生き血を得ようとしていた。
彼は行きずりの妻に声をかけて生き血を欲しいとねだり、
病院の婦長として勤め先に出勤途中だった妻は、だしぬけな切望に驚きながらも、
相手の容態を顔色で察すると、帰りまで待ってほしいとこたえた。
あり得ない願いに、あり得ない応え。
けれどもさらにあり得ないことに、彼はその場で妻を襲わずに、
律儀にも夕刻まで、ひっそりと約束の公園で待ちわびていた。
ベンチでうずくまる男を見出した妻は足を止めて、
献血が必要な病人に血液を提供するような気持で、吸血に応じた。
よそ行きのストッキングを咬み破りながらの、いささかエロティックな吸血行為すら、
精神療法の一種と割り切って、受け容れていった。
それ以来、ふたりはたびたび外で逢うようになって、
ふつうなら、餌食にした人妻はその場で侵すのが彼らの流儀のはずなのに、
妻の気持ちを汲んだ彼は、そうはしなかった。
淫らな習性を持ちながら、あえてそれをあらわにしようとしなかった男に、
妻はますますの信頼を寄せた。
恥知らずにもストッキングによだれをなすりつけながら脚に咬みついてくる男を寛容にも受け入れて、
気品漂う装いをすら、慰み物として惜しげもなく提供しつづけていた。
それでも妻は、彼を自宅に招(よ)ぼうとはせず、逢瀬はもっぱら公園で遂げられていた。
いちど家に招待してしまうと、いつでも招待なしに訪れることができる。
そんな習性をも、彼は前もって妻に告げていたから――
娘までも巻き込むのは良くないと、母親らしい賢明な判断から、
彼女は全幅の信頼を置きつつある彼を、まだ家庭から遠ざけていたのだ。
彼女は人目もはばからず公園で着衣を乱して逢瀬をつづけ、
近所にはそれとなく評判が立ったが気にするそぶりをみせなかった。
未亡人だった彼女は、すべてが自由であるはずなのに。
あえて喪服を脱ごうとはせず、
わたしの生前から付き合ってきた男たちとも交わろうとせず、
ただ男への献血だけは、律儀につづけていた。
生命を維持するために必要なことだからと、自分に言い聞かせるようにして。
時には淫らな気分に堕ちてしまうこともあったけれど。
男はそれに乗じて妻の意思に反した行動をとろうとはせずに、
黒のストッキングをむしり取るという非礼をあえて許してくれる妻の態度に満足していた。
わたしがこの世からいなくなって、一年が経とうとしていた。
婦長が善意の献血を施すになってからも、かなりの日数が経っていた。
そんな妻の背中を押したのは、娘だった。
母親が自分を守るために、近所の評判を落とすのを承知で逢瀬を屋外で遂げつづけていると知った彼女は、
むしろ年ごろの娘らしい興味をあらわに、母親の恋を遠くから見守っていた。
そして、ある日思い切って切り出した。
―― 一周忌にはきちんと喪服を脱いで、けじめをつけたら?
妻はそこではじめて、自分の恋人が吸血鬼なのだと娘に告げた。
娘はさすがに大きく目を見開いて驚いたが、母親似の冷静さをもった彼女はうろたえなかった。
あたしも献血に協力してもいいよ、処女の生き血は好みなんだよね?
白い歯をみせて、静かに笑ってそういった。
妻が彼を家にあげたのは、そのすぐあとのことだった。
吸血鬼を自宅に迎え入れる――
ことのなりゆきを妻の身近でひっそりと見つづけていたわたしにとっても、
それは複雑な気分のものだった。
妻の愛人を公然とわが家に迎え入れるのだ。
たしかにわたしは、いまは亡い。
それでもはっきりと意識が残っているいま、生前と同じ嫉妬にさいなまれるのは、致し方のないところだろう。
けれどもそんな想いは、かなり早い段階で和らいでいた。
家にあがり込んだ男が真っ先にしたことは、
わたしの写真のまえで鉦を鳴らし、手を合わせることだった。
鉦を鳴らされるというのは、居心地のよいものだ。
彼はわたしの立場も気分も、よくわきまえていると、おもった。
降霊術にたけていた彼は、わたしのことを呼び出して、
妻とわたしとのあいだで、意思を疎通する機会を与えてくれた。
妻はわたしに、血をあげながら抱かれる命がけの恋なのだといった。
わたしは妻に、おめでとうと告げていた。
仲良く愛し合っているのなら、吸血鬼も人間も関係ないと告げたとき、
彼はほんの少し、嬉しそうな表情を洩らした。
まるでみられることを恥じるような、ほんのりとした笑みだった。
わたしの生前から妻が遂げていた不倫は、わたしの取引先に迫られたうえでの心ならずのものだったけれど、
避けて通れない道と観念してからは、むしろ前向きに愉しんでいたことを、
わたしはすべてを知っていたと告白したうえで、許してやった。
彼女は目を見張り、大慌てに慌てながらも否定はせずに、小娘のように恥じらって、
さいごにわたしの許しに満足の笑みを泛べた。
なにもかも知っていて澄ましているなんて。ひどいんだから、もう。
図太くも口を尖らせることも、忘れなかった。
かなり楽しんだようですよ、と真面目に告げるわたしに、吸血鬼はいった。
もっと愉しませてあげますよ――と。
妻は胸を張って、いまの恋人をわたしに紹介する。
視られても恥ずかしくない、真面目な恋だと彼女はいった。
ずっと、あなたの妻でいてあげる。
だから、この不倫の恋を認めてください。
あなたの生前に私に群がった男たちよりも、ずっと実のあるひとだから――
わたしは彼女を祝福し、我が家に貴女の情夫を悦んで迎え入れたいとこたえてやった。
嫉妬にほんの少し胸は疼いたけれど、むしろ小気味よい刺激を含んだ疼きだった。
もしもこの身にまだ血液というものが宿っているときだったら、
わたし自身も進んで自分の血を、彼の渇きを満たすために提供していたに違いないと感じていた。
わたしもきみの不倫を、かげながら愉しんでいたのだ。だから同罪なのだよと、囁いていた。
生前の不倫相手たちとはその後、妻はほとんど逢わなくなった。
彼女が彼らと逢ったのは、いまの恋人が彼らの妻の宿す生き血に興味を抱いたから。
そして、自らが彼らに抱かれている隙に、吸血鬼の情夫が彼らの妻たちに忍び寄る。
高価な礼装を濡らされ、ストッキングを咬み剥がれ、股間を貫かれて堕ちていった妻たちを見て、
男たちはわたしに加えた侮辱がわが身に降りかかるのを知った。
そしてしばらくの間は後悔に沈んだけれど、やがてわたしの気持ちの奥底に宿った歓びに、目覚めていった。
彼らは熱に浮かされたように吸血鬼に友情を誓い、自らの妻や娘、それに息子の嫁までも、血液提供者として引き合わせていったのだ。
わたしの家族ももちろん、例外ではない――
すでに結婚していた息子の嫁も、
母親を恋に走らせ自らの処女の生き血もゆだねた娘も、
こぞって彼のものとなった。
娘に求婚した青年もまた、自分の未来の花嫁と吸血鬼との恋を認めて、
新妻の股間が淫らな粘液に濡らされることを受け容れていった。
だれもが歪んだ歓びに目覚めたいまも。
妻は情夫と腕を組み、幸せそうに微笑みながら、あの公園に足を向ける。
きょうも――
ロングスカートのなか、引き破かれたストッキングのすき間から、ひざ小僧がむき出しにして帰ってくるに違いない。
冥界ルポ ~貴男の死後奥さんに恋人ができたなら~
2019年08月18日(Sun) 06:35:10
自分の死後に妻が再婚したことは受け入れざるを得ないけれども、
実際に再婚した妻のその後は目にしたくない――
ここ冥界に漂う亡夫たちにアンケートを取った結果でも,
68%の亡夫たちがこうした考え方に同意している。
さらに、「妻の再婚は不倫を見せつけられているようで苦痛」という声も、38%にのぼっている。
そんな中で、山宮猛さん(48、仮名)のケースは、レアなのかもしれない。
山宮さんが亡くなった約10か月後に、未亡人の昭代さん(44)に恋人ができた。
「いつも妻の周りを漂っていましたので、いちぶしじゅうを視る羽目になりました」
苦笑いしてそう告白しながらも、その表情は決して暗いものではない。
昭代さんのお相手は、吸血鬼だった。
そもそものの馴れ初めは、人の生き血に飢えていた彼が出勤途中の昭代さんに声をかけて、貴女の生き血を吸わせてもらいたいと懇願したのがきっかけだった。
近在の病院に婦長として勤務する昭代さんは、職業柄相手の顔色で病状を察して、勤め帰りに逢うことを約束、そのまま勤め先へと向かった。
「普通に考えれば、行きずりの吸血鬼に血を吸わせる約束をするなんて、考えられないことです。
でも家内は律儀なひとなので、これから勤務に就くという自分の都合を相手が呑んだことで、
そういう返事をしたのだと思います。
仮に彼がその場で家内を襲って家内の体調を悪化させ欠勤させるようなことをしたら、
その場限りの関係で終わったことでしょう。
家内の生真面目な職業意識を彼が尊重してくれたことが、長いお付き合いにつながったのだと思います」
生前から夫の取引先の複数の男性と不倫をくり返していたという昭代さんだったが、
彼と深い関係になるのことについては、いつになく慎重だったという。
「思ったよりも遅めでしたね。ほかの殿方のときにはその場で堕ちたと聞いていますから」
と、ご主人は生前に起きた昭代さんの不倫についても淡々と語った。
「そのときは、相手が私の大口の取引先でして。
仕事上わたしの立場が不利になるとか、そういうことをちらつかされて無理強いをされたのです。
むしろ、わたしのために堕ちたという面もあったわけで・・・
でも今回は違いました。まったくの自由恋愛でしたから・・・
もともと身持ちの堅い家内には、選択の自由があるぶん、決断に時間がかかったのだと思います」
「相手が吸血鬼だということも、むろんあったと思います。
家に招び入れることで娘が犠牲になることを気にしていたようですから・・・」
――娘さんと彼との関係は。
「意外にもですね。恋をしている本人よりも、年頃の娘のほうがむしろ好奇心旺盛でして。
彼との交際がどこまで進んでいるのか、関心を持っていました。
家内の彼氏が吸血鬼であることにもあまり偏見を持っていなかったようで、
家内が血液を提供し過ぎて気絶してしまったときには、まだ満足しきれていない彼のために
自分から血を吸い取らせていました。処女の生き血を好むことも見越した上でのことでした。
家内の貞操喪失も、じつは娘が後押ししたのです」
――彼は貴男にも礼儀正しく接したそうですね。
「家内とことに及ぶまえ、彼はわたしの写真のまえで鉦を鳴らしてくれました。
あれはとても気持ちのよいものです。
彼がわたしを尊重してくれるのがわかったので、家内をゆだねる気になりました。
ちょっぴり悔しかったのはもちろんですが――
おなじくものにされてしまうのであれば、彼のような男性こそが家内にふさわしいと感じたのです」
――ずっと御覧になっていたのですか。
「ハイ、そうするのが夫としての義務だと、なんとなく感じたものですから・・・
喪服を着崩れさせた家内のうえにのしかかった彼は、スカートをたくし上げてお尻を沈み込ませました。
たぶんわたしのときよりも、家内は愉しむことができたと思います。
ことが果てたあとの顔つきが、わたしのときとは明らかに違いましたからね(笑)」
――奥さまをモノにされた後のお気持ちは。
「好敵手にゴールを一発キメられたような、悔しいけれど爽快な気分です。
わたしの気配を察して照れくさそうにしている家内も、かわいかったです。惚れ直しました」
――お相手の彼に何かひと言・・・
「当家の名誉を汚すことを忍んでまで家内の貞操をお譲りしたのですから、
いまではむしろ二人の仲が長続きすることを祈っています」
霊界のインタビューにこたえてくれたご主人の声を、昭代さん本人に伝えたところ――
「あのひとはお人好しですからね。だれとでもすぐに、仲良くなってしまうんですよ。
あのひとの生前に私を犯した殿方たちとも、それと知りながら快く受け容れて、
さいごまで親しく交流していました。
ですからね、彼との出逢いがあのひとの生前だったとしても、
結論はそんなに変わらなかったと思うんです。
きっとあのひとのことですから、私よりも先に咬まれて仲良くなって・・・
美女の生き血が欲しいのなら、家内の血を吸わせてあげようって、
家に連れてきちゃったりしたでしょうから」
愉快そうに語る昭代さんの顔に、曇りはない。
その晴れやかな顔が、ご主人の穏やかな笑みとぴったりと重なった。
幽明境を異にしながら、夫婦そろって愉しむ未亡人の淫らな日常。
彼はもとより、ヒロインの昭代さんも寝取られ役のご主人も、かなり楽しそうだ。
さきのアンケート結果でも、
「妻がほかの男性とのセックスに耽るところを目の当たりにして愉しんでいる」
「私が家内とセックスできない分、彼が満たしてくれている。むしろ感謝してますよ」
「本当に息の合ったセックス――かりにわたしの生前であっても、あれを視てしまったら許してしまったかも」
といった意見も、少数ながら存在する。
どうやら自身の死後も妻の幸せと満足とを願う夫たちも、少なからずいるようである。