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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

タウン情報  「逆里帰り」

2019年12月26日(Thu) 07:57:42

暮れも押し詰まったこの時期になると、吸血鬼との共存が進む当地では、「逆里帰り」という現象が起こっている。

都会に住まう境康司さん(51歳、仮名)と芙実子さん(49歳、同)の姿も、その中にある。息子の孝嗣さん(27)が当地の女性と結婚し居住しているためだ。
「普通ならわたしたち夫婦が親のところに行くのですが、年末に人(吸血鬼〉の集まる当地では、血液の需要が高まるので人を呼び寄せることが奨励されます。わたしの場合は両親を呼び寄せています」と語る孝嗣さん。3年前に当地に棲むひろ子さん(22)と結婚して以来、毎年の行事になっているという。

「悪い嫁にはめられたんです」
孝嗣さんの母親、芙実子さんはそういって苦笑する。
もっとも嫁姑はむしろ仲が良く、今回の取材でもひろ子さんが甲斐甲斐しくフォローをしてくれている。
「いまとなっては記憶が不確かなんですけど――この街で吸血鬼に血を吸われると、記憶が入れ替わるそうですから――いま残されている記憶は、とても良い記憶なのです」
芙実子さんが語ることを要約すると、彼女を襲った吸血鬼は嫁であるひろ子さんの血を嫁入り前から吸っていた、長年の交際相手であるという。
「主人はいままでどおりの交際を許してくれましたけど、親族は話が別です。私、”うるさい姑に浮気を咎められる”って思ったんです」
傍らで嫁のひろ子さんは、そういって肩をすくめた。

いまの愛人に初めて襲われたのは女学生のころ。下校途中でのことだったという。
「変態なんです。脚を咬んで靴下を破くのが好きだった」
ふくらはぎを咬まれて吸血され、制服の下に履いていた白のハイソックスを汚されながらも、ひろ子さんは初めて体験する吸血の快感を、骨の髄まで味わわされてしまったという。

学校を卒業し、地元の企業に勤めるようになると、ハイソックスをストッキングに履き替えて”接待”をつづけ、2年後にはめでたく処女を卒業。
すでに、取引先として出会った孝嗣さんとの挙式を控えている時分だったという。
「未来の夫を裏切るという罪悪感はありませんでした。むしろ、処女を捧げるのはこの人で良かったと、抱かれる腕のなかで実感しました」と語るひろ子さんを、姑の芙実子さんは「ひろ子さんたら、ほんとうに悪い嫁なんですよ」と言い、おどけて小突いた。
「それで彼氏には、お義母さまを襲うことをすすめました。孝嗣さんも賛成してくれて・・・母さんが一日でもよけいに若いうちに血を味わわせてあげたいと言ってくれたんです。悪い嫁、ではなくて、悪い夫婦ですね」
ひろ子さんの傍らで妻の過去をずっと黙って聞いていた夫の孝嗣さんも、”洗脳”を受けてしまった一人である。
「花嫁の処女を別の男のひとに奪(と)られるんだと聞かされても、意外なくらいサバサバとしていました。すでにわたしもその方に血を吸われた後でしたし、ずっと処女の生き血を吸ってきたお相手である男性が芙実子の初体験の相手にふさわしいと感じたのです。初体験は、花婿のぼくから差し上げたんです」
爽やかに笑うご主人を、若妻のひろ子さんは頼もし気に見あげていた。

都会育ちのご両親を洗脳するのには、地元のほうが都合がよい――そう考えた若い二人は、結婚を控えて孝嗣さんのご両親を街に呼び寄せて一席もうけたところ、
「意外にも、父がさきに共鳴してくれました」
孝嗣さんはそう証言する。
「”母さんがはずしているうちに、まずぼくからしてもらおう”と、息子の嫁になる人の愛人に進んで首すじを咬まれて、その場でぐんなりと。父の血の味が気に入ったらしくて、怖くなるくらいゴクゴクと飲んでいましたね。ぼくの血の味と似ていたそうで・・・要は相性が良かったのでしょうね」
「妻を襲われるのに救おうとしないのは、やはり夫としてどうかと思いましたので」
長年連れ添った芙実子さんを伴って年越しに訪れた康史さんも、そう語る。
「悔しかったですよ、それは。永年守り抜いてきた操を、むざむざと夫の前で・・・」
わざと刺激的な表現を用いながら、芙実子さんは「塗り替えられた記憶」を語る。
択んだ言葉の割に印象が暗くならないのは、終始誇らしげな口調のせいなのだろう。
康史さんは、最愛の芙実子さんの血が相手の吸血鬼の気に入ったことを誇りに思っている、という。
「ええ、さいしょは首すじでした。ご主人のより柔らかですなとか言われて、私舞い上ってしまって・・・好きほうだいに、チュウチュウやられてしまいました。
靴下を破りながら脚を咬むのがお好きだそうで・・・私は気が進まなかったのですが、もうろうとなっていた主人にまで、”お望み通りかなえて差し上げなさい”と勧められて・・・」
面会した花嫁のご両親に対して失礼がないようにと装われた真新しいストッキングは、その場で吸血鬼の好色な唇を這いまわされて、見るかげもなく剥ぎ堕とされたという。
「家内、ノリノリになっちゃいましてね・・・」
そのあとを語ろうとする康史さんを「やだ」と恥ずかしがっていちどは制止した芙実子さんだったが、意を決したように口を開いた。
「エエ、お捧げしちゃいました。女の操。嫁になるひろ子さんがが純潔を捧げたというその男性に、なんですね。主人に視られていることと、嫁のお相手だということと、両方にドキドキしました。股を割られるまではあきれるほど呆気なくて・・・気がついたらもう、夢中になってあのかたにしがみついてしまっていました」
「妻の腕が嫁の相手であるその男性の背中におずおずと巻きつけられていくのをみて、これは終わったな。私は男として、家内は女として・・・と、すこしだけジンときましたね。けれども気がつくともう、わたし自身が目の前のラブ・シーンを食い入るように見入ってしまっていて。相手の男性が家内の身体に満足してくれたらしいことに、むしろ嬉しい気持ちになっていました。すでにあの時点でもう、咬まれたときに注入された毒がまわっていたんでしょうね」
吸血鬼は妻を気前よく与えてくれたご主人に感謝を告げ、
ご主人はベッドのうえでの妻に対するあしらいに、称賛を惜しまなかった。
人妻と結ばれただけではなく、その夫の友情を勝ち得ることに成功、「理想的な三角関係だと思います」と、孝嗣さんは語る。

ご両親は花嫁の愛人と握手して別れ、それ以来「逆里帰り」が続いている。
「盆と暮れの、年2回です。いまのところ。あまり頻繁にやるとキリがなくなるから――でも、近々当地に移住することを考えています。妻も積極的です。幸い蓄えもあるので、定年前にかないそうです」
長年連れ添った夫人の貞操喪失を淡々と、むしろ誇らしげに語るご主人を、芙実子さんは優しく見守っていた。

キッチン・ドリンキング  ~エプロン妻の日常~

2019年12月26日(Thu) 07:37:26

「キッチン・ドランカー」といえば、料理の最中に飲んでしまう主婦のこと。
けれども、この街での通用言葉「キッチン・ドリンキング」は、ひと味ちがう。
家事にいそしんでいる主婦が吸血鬼に襲われて、エプロン姿のまま血を吸い取られてしまうこと。
この街では、よくある出来事のひとつに過ぎない。

エプロンに血を撥ねかせて吸血されたあと。
主婦たちは例外なく、犯されてしまう。
むさぼり合った末またの再会を約したあと。
主婦たちは罪滅ぼしにと、帰宅してくる夫のため、夕食を豪勢にするという。

勤めから戻って、待ち受けていた豪勢な夕食を目にすると。
夫は自分の留守宅でなにが起きたのかを、すぐにさとる。
けれども賢明で慎重な夫たちは、決してそのことを口にはしない。
そして、賢明で大胆な妻たちは、優しく理解ある夫のため、エプロンを締めていそいそと給仕をして、
ベッドのうえでは、ネグリジェの下にセクシィな下着を身にまとう。
締めたエプロンは、昼間に重ねた情事を識っている。
身にまとわれた下着には、情夫の淫らな汗がしみ込まされている。
夫たちはそれと知りながら、ひと晩じゅう妻を愛し抜く。
俺の方がイイ男だろう?と言わんばかりに。

一夜が明けると。
エプロンを締めた主婦たちは、朝の支度を終えると、夫の運転する自家用車に、いそいそと乗り込んでゆく。
行き先は、吸血鬼の住処。
夫はそこでなにが行われるかを知りながら、マイカー出勤の途中、妻だけを邸の前におろす。
張り切ってエプロンを締めてきた主婦たちは、お料理をしない。
自らの体内をめぐる血液こそが、きょうのご馳走――
そして、貪婪な欲望のまえ、血液だけではなく、貞操までも、むさぼらせてしまう。
マイカーで送ってくれた夫たちは、もうそれ以上ハンドルを握ることはできない。
理性を奪われてしまうからだ。
近場の駐車場に車を停めると、夫たちは、わざと錠の外された扉を開いて邸のなかに入り込み、
淫らな腕から自分の妻を救い出す毅然たる義務を放棄して、ふたりの情事を目の当たりに昂りを隠せない。
そして、体調不良による欠勤の連絡を勤め先に入れると、そのまま寝室に引きずり込まれて行って、
目のまえで自分を裏切りつづける妻の痴態を、一日がかりで見せつけられる羽目に遭う。

夫を勤めに送り出すと。
妻たちは張り切って、エプロンを着ける。
きょうも一日、所帯持ちのよい主婦として家事に励むため。
きょうもこれから、訪ねてくる淫らな客人を、人妻として満足させるため。

「代わりにうちの娘を、好きにして良いからな」 拡がる”懇親”の輪。

2019年12月26日(Thu) 07:19:27

「奥さんを寝取らせてくれてありがとう。代わりにうちの娘を好きにして良いからな」
隣家の男はそういってわたしの家に上がり込み、夫婦の寝室にまっしぐらに突進した。
勤めから帰宅すると。
男は玄関先で、わたしのことを待ち構えていた。
家に入って待っていればよいものを、「ご亭主の許可なしに上がり込むわけにいかない」と、妙なところで律儀だった。
引っ越してきてわずか一週間。
妻は隣家に棲むこの男の所有物(もの)になっていた。

買い物帰りに待ち伏せされたのだという。
自宅近くの公園に引きずってゆかれ、植え込みのかげに引きずり込まれて、スカートをたくしあげられていったという。
あとで訊いたら、「都会育ちの奥さんの、ストッキングを穿いた脚に夢中になった」と、わけのわからないことを言われたという。
湧き上がる性欲を即物的に満足させるためだけでは、なかったらしい。
本気で妻のことを、気に入ったらしい。
来る日も来る日も誘われて、そのくせ事後にたどる帰り道には、重たい買い物を独りで抱えてくれたという。
ショッピングには消極的なあなたとは正反対ね、と、妻はいった。
わたしが激怒しないと見越してしまうと、妻はあっけらかんと、なんでも話して聞かせてくれた。
「夫婦のあいだで秘密を持ちたくない」というのがかねての持論だったとしても、
浮気の顛末まで、こうもあけすけに語るものなのだろうか?
当の裏切られた旦那様(わたしのこと)の目のまえで。

「不面目じゃないのよ、必ずしも」と、妻はわたしの立場を弁護する。
「じつはあの人もね、奥さんをべつの人に寝取られてるの」
えっ!?と訊き返すわたしに、「興味ある?」と上目遣いをすると、頼みもしないのに語ってくれた。
あちらのご夫婦はお見合い結婚で、地元同士の間柄だった。
親同士も良く知っている関係で、子供が大きくなるまでは、ごくふつうの仲の好い夫婦だったが、奥さんが突然浮気をするようになったという。
相手は夫婦共通の幼なじみだった。
本当は彼も奥さんのことを好きだったけれど、家の関係でどうしてもあきらめなければならなかったのだ。
結婚前にその話を聞かされた彼は、幼なじみに婚約者の純潔を譲ることにした。
祝言の前夜、2人は結ばれて、以後はきっぱりと関係を絶っていたのだが。
やがて年を経ても独身を続ける幼なじみのため、奥さんは料理を作りにしばしば家を空けるようになったという。
いまは夫も認める「通い妻」。
それでもご主人は文句もいわず、幼なじみとの恋を見守ってきたという。
ちょうどそこにおあつらえ向きに表れたのが、わたしの妻だったというわけ――

買い物帰りのワンピース姿を餌食にされた妻は、次の日はよそ行きのスーツを餌食にされ、そのまた次の日は、ブラックフォーマルを着込んで公園に連れ込まれていった。
都会ふうの装いにほれ込んだという田舎の男性のため、持っていた服を次々と、男の餌食にさせていったというわけだ。
幼なじみとのアツアツの恋を見つめてきたという男と同じように、
わたしは長年連れ添った妻と地元の男との、熱々の恋を見守らされるはめになった。

口先では「また犯された」と訴える妻。
けれどもその口調は自慢げで、嫌悪感はかけらもない。
認めてほしいのだ。いくら鈍感なわたしでも、わかった。
わたしは受話器を取ると、妻から教わった男の家の電話番号を押して、男に告げた。
「いつでもいらっしゃい、わたしがいても構わないから」
妻が後ろから甘えるように抱きついてきて、わたしたち夫婦は久しぶりに熱い夜を過ごした――

それ以来。
男はいそいそと通ってくる。
わたしがリビングにいるときは、二階にある夫婦の寝室でしてもらっていたけれど。
やがて湧き上がる関心を抑えきれなくなって、こっそりとのぞき見するようになっていた。
習慣となってしまった恥ずかしい行為を二人は咎めもせずに、
わたしが覗いていると気がつくと、これ見よがしに「あなた~許して」「主人のよりも大きいっ」と、わざとわたしをそそるようなことを口走るようになった。

「代わりにうちの娘を好きにして良い」という男の約束も、律儀に守られた。
「だんなさん、うちさ上がり込んでくれ。娘は二階の勉強部屋だ」
男は言い捨てるなり、いつも通りに夫婦の寝室に突進する。
いつもと違ったのは、着飾った妻がベッドで待ち受ける部屋のドアを開ける前、こちらを振り向いたことだ。
「きっとだぞ」
念押しされた。

行ってみないわけには、いかなくなった。
インタホンを押しても応えはなかったが、門も玄関も、施錠はされていなかった。
いたって平穏な街なのだ――不倫や近親相姦が横行しているというだけで。
玄関のドアを開けると、家には人けがなかった。
古びてはいるが穏やかで、住み心地のよさそうな気配があった。
奥さんは朝から、浮気に出かけているらしい。
浮気を続けているといっても、所帯持ちはよいときかされていたが、きっとそういうことなのだろう。
階段の上は明るく、まっすぐには見えなかったが、勉強部屋には人の気配がした。
わたしはゆっくりと、階段を踏みしめて、あがっていった。
ドアをノックすると、娘が顔を出した。
まだ稚なさの残る顔だちだった。
娘さんはわたしとは目線を合わせず、ひと言だけ「どうぞ」というと、そっけなくドアのそばから離れた。
娘さんに引き込まれるようにして、わたしは部屋に入った。
女の子の匂いのする部屋だと思った。
学校帰りらしく、まだ制服姿だった。
濃紺の地味な制服のスカートのすそから、黒のストッキングに染まった足首が見えた。
男の子が女子生徒のかっこうをしているようだ、と、ふと思った。
娘さんはショートカットで、ボーイッシュな顔立ちだった。
わたしはやおら娘さんを抱きすくめたが、抵抗はされなかった。
唇を合わせると、応えてくる。
胸をまさぐると、嫌そうに身じろぎしたが、声をあげることも、それ以上抗うこともしなかった。
わななく掌がブラウスの胸ひもをほどき、釦をひとつひとつ外して、
はぐりあげた重たいスカートの奥から、黒のストッキングをずり降ろしていった。
狭くて静かな部屋のなか。
はずんだ呼気どうしがぶつかり合い、わたしは娘さんとガチガチ歯を合わせながら、接吻を重ねた。
娘さんは身を固くしていたが、どうやら男あしらいに慣れているようだった。
自分からパンツを脱いで、ストッキングを片方脱がされた足首までずり落としていった。
娘さんはすでに、男を識っていた。

狂ったような日常が続いた。
わたしは妻を伴って男の家を訪れて、隣同士の部屋でお互いの妻と娘とをむさぼり合った。
奥さんにべつの浮気相手がいるのが、かえって好都合なくらいだった。
昼日中からくり広げる、まるでエッチなビデオのような日常に、わたしは溺れた――

「学校を出たらすぐ、この子は結婚する。あんたのことは、婿さんにも話してあるから、遠慮せずに新居に遊びにいくがええ」
男はそういって、娘さんが結婚してからも付き合うよう、わたしに勧めた。
妻との縁を切られたくない――そんな下心が透けて見えた。
それにしても。
「婿さんにも話してある」とは、どういうことか?
遊びに行くといっても、親戚づきあいで行くわけではない。
結婚を控えた若い男性が、新妻を犯されることまで承知しているとは、とても思えなかった。
けれども、男のいったとおりだった。

「あなたが比奈さんのお相手なんですね。話は比奈さんからも、お父さんからも聴いています」
その青年は爽やかに笑って、白い歯をみせた。
「どうそうちにいらしてください。このあたりでは、客人に妻を抱かせるのが、最高のもてなしなんですよ」
ひっそりとづづけられてきた永年の淫らなしきたりが、彼の中で抵抗なく身についているのを感じた。
「それとね、知っていますか?比奈さんの初体験のお相手は、ほかでもないお父さんなんですよ」
青年は、イタズラっぽく笑った。

比奈さんが結婚すると、わたしは二人の新居にいそいそと通うようになった。
お婿さんはわたしのことを歓迎してくれて、落ち着いたころを見計らって、「ちょっと出てくる」といって長時間中座するのがつねだった。
夫を送り出すと比奈さんは、セーターを脱ぎ、ブラウスを脱いで、ブラジャー一枚の胸を見せつける。
ブラジャーをほどくのは、わたしの役目だった。
スカート一枚になった新妻が、夫以外の四十男を相手に、四つん這いになって乳房を揺らす。
静かな部屋で弾ませる息遣いは、焔を帯びていた。

わたしの留守とは入れ違いに、男は妻を抱きにわたしの家に来ていた。
都会妻を隷属させて狂わせて、たっぷり2時間あまりも愛し抜いてから、浮気に出かけた妻が留守にしている隣家に帰ってゆくという。
妻もわたしも、満ち足りたひとときを過ごして、わたしの帰宅後夫婦の時間を過ごした。
都会にいるときよりも営みは頻繁で、熱いものになっていた。
人の膚を交えると、こういうことになるのか――わたしたちは、変態夫婦なのか?
ふとかすめた疑問を、男は一笑に付した。
「なにごともご縁だからな」
男はそう言うと、指先を合わせて乳首を揉むような手つきをした。
妻の肉体を支配した掌だった。
男の指の間に、妻の乳首が透けてみえるような気がしたけれど。
決して悔しさも恥ずかしさも感じなかった。

そんなに頻繁ではないけれど。
都会住まいの夫婦が、ちらほらと移り住んでくる。
そして、だれかれとなくそうした新来の夫婦に接触して、やり取りを交わし、誘惑していった。
妻も娘も、夫や息子までも、目当てにされた。
この街は両刀遣いだったから。
「器用なものだね」
あきれるわたしに、男はいった。
「ご親類がみえられたら、ぜひ紹介してほしい。悪いようにはしない」
それはお断りですね、と、わたしがいうと、
「迷惑はかけない。あんたのせいにはならない。泊る家も用意する」
しつこく迫られて、閉口した。
男は、妻のことをまた貸ししてしまったと告白した。
相手は自分の奥さんを抱かせているのとは別の、幼なじみだという。
妻から電話があって、「今夜は戻らない」という。
すべてを聞かされたわたしは、「何もかも知っている」ということを語気で伝えて、「ゆっくり楽しんできなさい」とこたえていた。
その晩わたしは、初めてこの男と寝た。
そしてひと晩がかりで、妻がなんなく堕ちてしまった理由を体感した。
「婿さんとも一度寝て、娘を満足させられる身体かどうか確かめた」という。
この街は狂っている。そう思った。
もっとも、わたしたち夫婦も、すでに狂わされていた。
兄夫婦が、泊りで遊びに来たいと連絡をよこした。
一度は断ったが、やはりどうしてもといわれた。
わたしは、兄夫婦が泊りで来ることを、男に告げた。

一か月後、やってきた兄夫婦は、楽しい夜を過ごした。
さいしょのうちは、弟夫婦と、地元で親しくなったという隣家の年配の男性と、5人で楽しく飲んでいた。
兄嫁は、都会妻らしく、洗練されたデザインのワンピース姿だった。
ひざ丈のワンピースのすそからは、ストッキングを穿いた豊かなふくらはぎが伸びていた。
男の目が獣の輝きを帯びたのを、わたしは見て見ぬふりを決め込んでいた。
夜中を過ぎると、妻が兄を誘惑して、男が兄嫁を押し倒していた。
ねじ伏せられた兄嫁が、男の手でストッキングを脱がされてゆくのを、
兄は当惑したように見つめていたけれど。
弟の前で弟の嫁を抱いてしまった後ろめたさが、すべてを封印させていた。
夜が明けると、兄は自分の妻を犯した男におはようを言い、男もてらいなく応えていた。
兄嫁は自分を犯した男の前で長い髪を揺らして、「おはようございます」と、兄よりも礼儀正しくあいさつをした。
「楽しいからもう少しいましょうよ」と告げる美しい妻に、兄は口ごもりながらも同意していた。
一週間滞在した兄夫婦は、やがてこの街に移り住んだ。
覚え込まされた快感を、兄嫁が忘れられなくなってしまったためだった。

妻の弟夫婦も、同じ経緯で餌食になった。
そしてわたしの両親も、同年代であるこの男の餌食になった。
母にはむしろ、男の娘婿のほうが、ご執心だった。
母親に大勢の浮気相手がいたというお婿さんは、母親不在の家に育ち、若い女よりもむしろ、母親世代の婦人に心を惹かれるらしかった。
母もそんなお婿さんを気の毒に思い、積極的に振る舞った。
父はなにも言わなかったが、そんな母の振舞いを不平に思っているようすはなかった。
お婿さんが提供してくれた若妻のぴちぴちした肉体に、夢中になってしまった後ろめたさもあるようだったけれど、
もしかすると、似た者親子なのかもしれなかった。
他の男相手にあえぐ妻を覗く歓びを、伝えたつもりはなかったのだけれど。

妻を食べられて、相手の娘を食べて、兄嫁を食べさせて、母までも賞味させていた。
わたし自身は、男とも、お婿さんともつながっていたし、
母も兄嫁も、男とも、お婿さんとも良い仲になっていた。
だれもがそれぞれの歓びを抱きながら、懇親の輪はいまも、拡がっている――


あとがき
しょうしょう長すぎましたね。(^^ゞ
さいしょの文句がふと浮かび、そこから速かったです。A^^;

身代わりの”生徒”たち

2019年12月23日(Mon) 07:46:20

教室の床から起きあがった少女は、やっとの思いで傍らの椅子に腰かけた。
足許を見おろすと、濃いねずみ色のハイソックスが弛んで、脛の途中までずり落ちていた。
ハイソックスには微かな破れが見て取れて、その周囲には赤黒い血の痕が滲み、いびつなまだら模様を作っている。
教室(ここ)に入るまでは、お行儀よくひざ小僧の下までぴっちりと引き伸ばされていたハイソックスは、太めのリブがいびつにねじ曲がって、なんだか自分が堕落した少女になってしまったような気がする。
少女は足許に手をやって、ハイソックスを直した。
血の痕がより、目だつようになったような気がする。
ふらふらと椅子を起って周りを見回すと、
おなじ制服の少女がまだ数名、床にうつ伏せになっていた。
そのひとりひとりの上には黒い影が覆いかぶさっていて、
その黒い影に、ある少女は首すじを、ある少女はふくらはぎを咬まれていた。
咬みついた口許からは鋭利で太い牙が覗いていて、それが若い皮膚を破り深々と刺し込まれている。
影たちは、美味そうに喉を鳴らしながら、少女たちの生き血を啜っていた。

廊下の向こうから、足音が近づいてくる。
足音の主は、複数だった。
おそろいのプリーツスカートのすその下は、
すらりとした脚にも、肉づきの良い太い脚にも、濃いねずみ色のハイソックス。
背丈も脚の太さも不揃いな一団だった。
サイズが同じものを履いているからかか、人によって微妙に丈が上下している脚たちが、
受難の教室目がけてしずしずと歩みを進めていく。

制服の一団は教室の扉の前に立ち止まると、ひと呼吸おいた。
お互いがお互いの顔を見合わせると、先頭の制服姿が教室の扉を、控えめにコンコンと軽くノックした。
教室のなかのざわざわとした雰囲気が収まると、だれかの声が改まった口調で、「どうぞ」とあがった。
扉が開かれて、廊下の一団が流れ込むように、教室に入り込む。
開かれた吸血鬼の口に少女の血液が流れ込むような、あっという間の早さだった。
まだ咬まれていないハイソックスの脚たちが、飢えを満たしきれていないものたちの好色な視線に曝される。
「どうぞ」
震えを抑えた声色に反応して、影たちはうつ伏せの少女たちのうえから起き上がる。
影たちに支配されていた少女たちは、解放されたのを直感して、キュッと閉じていた瞼を恐る恐る開いてゆく。
彼女たちの目線のかなた、新来の制服姿が自分の身代わりとなって、好色な猿臂に巻かれ、一人また一人と、教室の床に引き倒されてゆく。
振り仰いだ首すじに、投げ出された足許に、恥知らずな唇が吸いつけられていった。

「ありがとうございます、来てくれて」
椅子から起ちあがったばかりの少女が長い黒髪を揺らして、廊下から入ってきた一団にしおらしく頭を垂れる。
色白の頬に、黒くて濃い眉。長いまつ毛に、きらきらとした瞳。
見かけがよいだけではなく優等生であることを、行儀の良い物腰と胸もとの学級委員の徽章とが物語っていた。
いちどずり降ろされたハイソックスを気丈にもふたたび引き上げた足許に、
吸い取られた血潮が点々と散っていた。
しつように咬まれいたぶられながらも毅然として応じたけなげさの名残りと映る。

「だいじょうぶですよ、お疲れになったでしょう?このまままっすぐおうちへ帰ってくださいね」
新来の一団のひとりが、少女をねぎらった。
声色は十代の少女にしては太く、しっかりとした響きを帯びている。
にっこりと安どの笑いをむけた少女に笑い返す頬もやや強い輪郭をもっていて、
「彼女」たちが現役の女子中高生ではないのがひと目でわかった。

「あのひとたち、学校に来てくれて良かったね」
「ん」
安堵とともに戻ってきたほほ笑みを交し合いながら、少女たちはハンカチを取り出して、
咬み痕に滲んだ血を拭い合った。
「礼を言います」
背後から投げられた干からびた声に礼儀正しくお辞儀を返すと、お互いを庇い合いながら教室を出てゆく、。
入れ違いに入ってきた制服姿は、同じ制服を身にまとった女装者の群れ。
生徒の父兄を中心に学校が募集した、供血用の「女子生徒」たちだった。
自身の血液と引き替えに女子生徒としての存在をかち得た”彼女”たちは、誇らしげに頤を仰のけ、スカートのすそを乱しながら、吸血鬼の牙を受け容れてゆく。


あとがき
10月末ころ構想しました。
読み返すとかなり少し重複があったので、リメイクものにしては比較的直しが多かったかも。

フェイク披露宴

2019年12月22日(Sun) 09:17:32

≪犯される花嫁――フェイク披露宴の鮮烈な光景≫
「ああん!そんなの嫌です!こんなところでッ!」
純白のウェディング・ドレスを身にまとい、むらがってくる男性たちの坩堝のなか、嫌悪の情もあらわにまつ毛を震わせるのは、粟国理沙さん(24、仮名)。
しかし理沙さんの細い両腕は左右から別々の男性に羽交い絞めにされて、ドレスのすそは太ももがあらわになるまではぐりあげられてしまっている。
脚に通した太もも丈の白のストッキングが初々しく映え、淡いピンク色に昂ったひざ小僧を淫らに彩っていた。
早くも一人目の男性が、理沙さんの両脚を開いてそのすき間に腰を引き寄せ、吶喊を開始しようとする。
うろたえて歯を食いしばる理沙さん。
獣のように夢中になっておおいかぶさる男性。
理沙さんの周囲に群がっててんでに抑えつけている男性たちの目も、やはり獣のように輝いている。
太もも丈の白のストッキングの脚をばたつかせながら、理沙さんは強引な淫姦を、それから2時間にわたって強いられつづけた。

市内で一番の規模を誇る結婚式場である「しあわせホール」で行われた、「フェイク披露宴」の一場面である。

「フェイク披露宴」とは、文字どおり、本物の披露宴ではない。
本物の結婚式同様、式場スタッフと入念な打ち合わせのうえとり行われるところだけは共通だが、
その内容多くは、途中までは本物さながらの披露宴ではあるものの、
式場で花嫁や新郎新婦の母親、
姉妹をはじめとする親族の女性、
出席した若い女性たちが男性たちに輪姦を受けるという、
かなり過激なクライマックスが含まれている。

新郎新婦からその両親や親族、出席者はいずれも希望者で、時には公募されたり、欠員がある時には式場のスタッフが代役を務める。
もっとも人気が高いのは輪姦を受ける当の花嫁役。
この日の花嫁役である理沙さんは、すでに経験6度めのいわば”ベテラン”。
今回も、出席者の男性20数名を相手に、辱め抜かれる花嫁の役を「本気で(理沙さん)」演じ抜いた。
「はまっちゃったんです」
と照れ笑いする横顔は、新婚3ヶ月のまだ初々しい新妻そのものだった。

犯される花嫁を終始おどおどと見守る花婿役を務めるのは、理沙さんの実際のご主人である粟国透一郎さん(25)。
隣町から嫁いでくることになった理沙さんを友人たちに紹介したのは、挙式を一週間後に控えたある日のこと。
「その場でね、もう輪姦パーティーになっちゃったんです」
透一郎さんはこともなげにそう告白するが、泛べる苦笑に翳りはない。
「この街に嫁いでくる女性は、街の男性大勢と仲良く暮らさなければなりません。
 わが家に伝わるしきたりで、長男の嫁は夫の友人たち全員の相手をすることになっているんです」
そんな風習を理沙さんに打ち明ける勇気?のないまま、両親にあいさつに来た理沙さんを、透一郎さんは友人たちに引き合わせたという。
「みんな真顔になって、迫って来るんです。あたし、うろたえちゃって、え?え?と彼のほうを見たんですが、彼は決まり悪そうにもじもじしているだけで・・・ちょっとかわいそうでした」
そういって笑う理沙さんは、初めて体験する輪姦の渦に巻き込まれ、夢中になってセックスに応じていったという。
強引に迫られるセックスに思わず女として反応してしまった・・・と、理沙さんは告げる。
「そういう女だと見抜いて、主人も私にプロポーズしたんでしょうね」と、肩をすくめた。
「泣いちゃったんです、キツかったというよりも、むしろ感動しちゃいました」
しんどかったのは、身体だけかな。でも反応し通しでしたし、お別れするときには「またお願いします」って、言ってしまいました。
「お義母さんもいらしたんです。ええもちろん、私の隣で服を剥ぎ取られて・・・でもさすがに”またお願いします”は失言よねって、たしなめられちゃいました」
そうはいいながら、嫁と姑で肩を並べて輪姦を受け容れる経験を、フェイク披露宴のたびにともにしてくれているという。

さすがに事情を知らない花嫁のご両親は巻き込めないということで、本番の披露宴は「まともに」執り行われたが、
この街ならではの本来の”披露宴”が行われたのは、それからわずか一週間後。
参加した花婿の友人の一人は語る。
「費用はみんなで持ちました。粟国くんの花嫁をタダで頂けるんですからね。
 でも、数日前からもう、理沙さんのウェディング・ドレス姿を想像しちゃって、股のあいだが勃ってしまってしょうがなかった」
透一郎さんはいう。
「花婿役は花嫁を守らなければいけませんから、”お前らやめろ”って叫んで、制止しようとするんです。
 もちろん、だれも思いとどまることはないのですが。(苦笑)
 でもね、みんなに取り囲まれて無理やり犯される嫁の姿にこれほど昂奮できるとは思いませんでした。
 ばたつかせる白のストッキングを穿いた理沙の脚が、瞼の裏から消えないですね」
以来、月に2、3度というハイペースで、お二人は”披露宴”を開催しているという。

ほかにもこんな利用のされ方が――

≪職場結婚で≫
職場結婚を控えたカップルが、職場の男性全員を招んで開かれたフェイク・パーティー。
パーティーを立案したのは、花嫁に気があったと自ら告げる、新郎の同期。
「はじめは二人とも気が進まないようでしたが、まんざらでもなさそうだったので、強引に押し切りました」
と胸を張る幹事氏は、花嫁を最初に犯すという一番おいしい役をゲットした。
「お互いの家が別々の街なので、本物の親族を招いてこんなことはできなかったのですが・・・」
と肩をすくめる花嫁も、
「またやろうよ」と誘う花婿に、恥ずかしそうにうなずき返していた。
フェイク披露宴の相手役の男性が、花嫁のリアルな不倫相手になることも珍しくない。
「しばらく独身を楽しみますよ」
と、件の幹事氏は心から楽しげにそういいながら、
「でも、ぼくの番がまわってきたら、覚悟しないと」
と、首をすくめてみせた。

≪かなえられた結婚願望≫
「このひとと結婚したい」という密かな願望を抱く独身男性が、憧れの女性に花嫁役を依頼して行われたのが、その前の週のフェイク披露宴。
自らの願望をフェイクの形でかなえようとしたのだが。
披露宴が済んだあと、花嫁役を引き受けてくれた彼女から、「責任を取ってください」と告げられた。
「怖い顔をつくっていましたが、これじゃお嫁に行けなくなるといわれまして・・・よろこんで、責任を取ることにしました」
件の男性は嬉し気にそういって、頭を掻く。

≪脇役にもそれなりのニーズが≫
妻を犯される親族役をやりたいというご主人にせがまれて参加したというご夫婦。
「いけすかないと思ったんですが、終わった後真っ先に思ったのは、”あぁスッとした。私って意外に若いな”と」
フフっと笑う奥方は、ご主人に訊かれないよう声をひそめて告げた。
「セックスしている間になん人か、連絡先のメモをくれたんです。さっそく連絡とってみますね」
結婚前の息子がいるので、いずれ花婿の両親役にもトライしたい・・・とご夫婦は屈託なく語る。

≪全員男性≫
参加者は花嫁や花嫁の女友達役も含めて全員男性・・・というフェイク・パーティー。
同性婚をすることになった同好の同性カップルを祝うために企画したという。
着飾ったスーツのすそから、色とりどりのストッキングに淡い毛脛を滲ませて次々と席に着く女役の男性たち。
そうしたフェイクレディたちをエスコートする男性たちは、”彼女”たちの同性のパートナー。
「ここに出席している子たちはみんな、パートナーとほかの人との関係に寛容なんです。
 輪姦というようなまがまがしいことではなくて、照明を落とした式場のなかでしっとりと懇親を深める感じで愉しんでいます」
と語るのは、交際3年になる”彼女”を伴って参加した男役の参加者。


フェイク披露宴には、こんなふうに、さまざまな人間模様が隠れ潜んでいる。


あとがき
すこし、まとまりがなかったですかねーー
(^^ゞ
でも、また取り組んでみたいプロットです。^^

吸血鬼に狙われた法事

2019年12月22日(Sun) 08:18:04

「ママまで咬まれた・・・!」
間藤奈々は、半泣きになっていた。
奈々の母である七瀬は洋装のブラックフォーマル姿のまま、寺の本堂の板の間に突っ伏して、白目を剥いている。
漆黒のブラウスとアップにした黒髪の間から覗く白い首すじには、赤黒い痣がふたつ綺麗に並んでいて、
吸い残された血潮がテラテラと光っていた。
放恣に開かれた両脚は、見る影もなく咬み破られた黒のストッキングが剥がれ堕ちて、脛の白さをきわだたせている。
なによりも、少女の奈々にとって衝撃的だったのは、
めくれあがった重たいスカートのすき間から覗く太ももに、生々しい白濁した粘液が淫らにヌメっている光景だった。
「視るんじゃない」
従兄の智樹は奈々に寄り添うようにして、怯える華奢な身体を抱きすくめた。

そのささやかな法事で顔を合わせたのは、奈々とその両親、智樹とその母の5人だった。
智樹の父は、本堂にしつらえられた経机の上の写真立てに収まっている。
数年前、勤め帰りの道すがら、首すじから血を流して、謎の死を遂げていた。
智樹の父は土地の風習に従って土葬に付され、いまはこの寺の墓地の一角に眠っている。
以来、毎年の祥月命日の日に、この二つの家族は寺で顔を合わせるようになっている。

異変が起きたのは、この寺についてすぐのときだった。
最初に咬まれたのは、智樹の母、華絵だった。
寺に着いたばかりの奈々の一家の前、ひと足先に着いていた智樹が控えの間から飛び出してきたのだ。
「母さんが咬まれた・・・!」
と、血相を変えて。
智樹が小用を足している間の、ほんのつかの間の出来事だったという。
戻ってみると、母の華絵が白目を剥いて倒れていた。
洋装のブラックフォーマルに包まれた身を、畳の上にしつらえられたテーブルにもたれかけるようにして絶息している。
きょうの日に備えてきちんとセットされていた栗色の髪はひどくほつれていて、
吸血の最中抑えつけられながら、しつようにまさぐられた形跡を残していた。
脚に通された黒のストッキングは、先刻奈々の母親がそうされたように、見る影もなく咬み破られ、片脚だけ脱がされている。
どういう意図でそうされたのか、お尻がまる見えになるほどまくり上げられたスカートに散った白い粘液が、あからさまに物語っていた。

「義姉さん!」
奈々の父親の精次郎が顔色をかえて母に取りすがるのを、智樹は冷ややかに視ていた。
智樹の父なきあと、精次郎が兄嫁に言い寄って堕落させ、始終逢引きを遂げているのを、智樹はよく知っている。
そんな智樹の横顔を、奈々は見逃していなかった。
智樹の母と自分の父との間に、どんなことが起きているのかを、薄々察していたからである。
精次郎が同じように首すじから血を流してトイレの前の廊下で倒れているのを発見されたのは、その十数分後のことだった。
「早く、誰かに来てもらいましょうよ・・・!」
そういって怯えた奈々の母親の七瀬が襲われたのは、そのわずか数分後のことだった。

「智樹兄さん・・・だったのね・・・!?」
顔色をかえて立ちすくむ奈々は、早くも本堂の壁を背に追い詰められている。
半ズボンに紺のハイソックスという、十代後半の青年には不釣り合いな立ち姿が、黒のワンピース姿の奈々に、ゆっくりと迫っていった。
智樹の履いているハイソックスが片方、わずかにずり落ちて、その間に赤黒いシミがふたつ、綺麗に並んでいる。
「そう、ぼくも吸血鬼になっちゃったんだ」
ちらりと笑んだ唇のすき間から覗く白い歯に、奈々の両親から吸い取った血潮がバラ色に輝いていた。
「きみたち家族三人の血が、ぼくの中で仲良く交わる・・・想像するとゾクゾクこない?」
く、来るわけないわッ・・・
叫びかえそうとした奈々の声はかすれて、声にならなかった。

母さんとは相談づくさ。
きのう問い詰めたら、なんなくしゃべったよ。
きみの父さんとのいただけない関係。
もちろん、さいしょから、なにからなにまでわかっちゃっていたけどね。
だから、血を吸ってやったんだ。
ぼくたちはね、セックス経験のある女のひとを襲うときは、犯してしまうんだ。
母さんも、例外じゃなかった。
意外にイイ女だったな。
精次郎叔父さんがとり憑かれたのも、無理ないと思ったよ。
それできょうの法事には、約束よりも早い時間に着いて、さきに母さんを襲ったんだ。
動転したきみの父さんも、トイレに立って一人になったところを襲った。
いちころだったね。
それで、きみの目を盗んで、七瀬叔母さんのことも戴いた。
七瀬叔母さんも、いい女だね。
精次郎叔父さんは、七瀬叔母さんひとりに満足していれば良かったんだよ。
もっとも――叔父さんがまじめに生きたとしても、ぼくに襲われちゃう結果は同じだったはずだから、
うちの母さんといい思いをできただけ、ラッキーだったかな。(笑)
だいじょうぶ。
きみも含めて、だれも死なせないよ。
その代わり、順ぐりにぼくに咬まれて、血を愉しませてくれないとね。
こういうのを、愉血って呼ぶんだ。
輸血じゃなくてさ。
うふふ。
震えているの・・・?
わかるよ。怖いよね。
でも、すぐに済むから。
ちょっとだけ痛いけど、目をつぶってこらえてね。
ははは。いいじゃん。
処女を襲うときには、すぐに犯さないんだよ。
きみだって、例外じゃないのさ。

襲われることも例外ではない。
そんなふうにしか、聞こえなかった。
壁ぎわで抑えつけられた手首と肩が、痛いほどの重圧の下であえいだ。
そして首すじには、父と母の首すじに食い込んだ鋭利な牙が、ググっ・・・と食い込んできた。
ああああッ・・・
はしたないと思いながらも、悲痛な悲鳴をこらえることができなかった。

柔らかい首すじだと、智樹はおもった。
あふれ出る血潮の初々しさも、乙女の血そのものだとおもった。
腕の中の奈々は怯え切っていたけれど。
智樹は容赦なく、生え初めたばかりの牙を、根元まで埋め込んだ。
奈々の血潮がジュッ!とかすかな音をたてて、黒いワンピースの肩先に撥ねるのを、小気味よく感じた。
「美味い。まぎれもない乙女の血の味だ。きみはぼくの恋人になるんだ。いいね?」
牙を引き抜くと、怯える奈々にしたたる血潮を見せつけながら、智樹はいった。
従兄の口から発した「乙女」という言葉に、奈々ははっとすると、おずおずと、けれどもはっきりと頷いた。
そして、
「乙女・・・なんだね」
と確かめるようにいった。
智樹が頷くと、フッ・・・と嬉しげにほほ笑んで、白い歯をみせる。
「もっと・・・吸って」
さっきまで怯えていた少女は、自ら進んで吸血鬼の抱擁にわが身をゆだね、もう片方の首すじも、嬉々として咬ませていった。

脚を咬むのが好きなんだね。
じゃあ、あたしの脚も咬んで。
真っ白なハイソックスが真っ赤になるくらい、血を吸い取って頂戴。
周りの人にも、さいしょから真っ赤なハイソックスなんだって思わせたら、
帰り道も恥ずかしくないから・・・
智樹兄さんが愉しんでくれるなら、咬み破られても惜しくはないよ。
奈々の脚、そんなに咬み応えが良いの?
うれしいわあ。もっと咬んで。

うふふ・・・ふふふ・・・
住職のいないひっそりとした本堂のなか、
少女のあげるくすぐったそうな笑い声が、間断なくつづいた。

「きょうはご来訪ありがとうございました」
智樹の母の華絵が、鄭重に頭を下げる。
「イイエ、また近々お会いしましょうね」
奈々の母の七瀬が、鶴のような首を、これまた鄭重に傾けてそれに応じた。
「じゃあ。義姉さん、また」
奈々の父の精次郎も、愛人同士の目線をだれにはばかることなく交わして、華絵もそれに応えていた。
だれの首すじにも赤黒い咬み痕に血のりをあやしていたけれど。
それらはだれの目にも入らないかのように、だれもそのことに気を使っていない。
「智樹くん、寂しくなったら奈々に逢いに来てね。叔母さんも待っているから」
おとなしい七瀬のかけた言葉の裏にある意味を、居合わせた全員が察したけれど。
七瀬の夫である精次郎を含めて、だれもがそれをとがめようとはしない。

「奈々ちゃんがすっかり娘さんらしくなっていて、びっくりしました」
智樹がにこやかに、白い歯をみせる。
その歯にはまだ、吸い取られた血があやされていたが、だれもがそのことを話題にはしない。
「乙女の血って言われて、よかったね、奈々」
七瀬は娘の顔を覗き込んで、同性としての柔らかな目線をそそいだ。
「それがいちばん、嬉しかった」
笑みを輝かせる奈々は、去年までは男の子だった。
――どうしても、女子として学校に通いたい。
思いつめた表情をまえに、最初はうろたえていた両親だったが、さいごには子供の意思が通った。
吸血鬼になった従兄が自分のことをさいしょからさいごまで少女として接してくれたことに、奈々の感謝は消えない。

従兄(にい)さんには、いつか奈々の処女をあげるわね。
もし奈々が男に戻って結婚するとしたら、結婚相手の子の処女もあげるわね。

謡うように約束を交わした奈々の柔らかな声色が、後ろ姿を眩し気に見送る智樹の耳朶に、ずうっと残りつづけていた。

遭遇。

2019年12月19日(Thu) 08:03:46

街なかで、妻とすれ違った。
「あなた」と向こうから、声をかけてきた。
首すじにつけられた咬み痕が、まだほんのりと血潮をあやしていた。

連れの男性とも、軽く会釈を交わした。
妻はいつもより、若づくり。
齢も10歳以上は若く見える。
夫の前で腕を組んで通り過ぎる後ろ姿――
真っ赤なひざ上丈のタイトスカートのすそから覗くふくらはぎが、グレーのストッキングになまめかしく映える。
これからどこへ行くのか?
夫といえども、それを問うのは野暮になる。

自宅近くの商店街。
道行く人のなかには、顔見知りも多かったけれど。
だれも見とがめるものはいない。
有夫の婦人が夫以外の男性と恋に落ちることも、
吸血鬼が人妻の生き血を好んでたしなむことも、
この街ではごくありふれたこと。

「お互いが納得できるのなら、いいじゃない」
妻が抱かれているるところを初めて視てしまったときに感じた、禁断の昂り――
恥辱の記憶として口にしたことを、妻は真顔になって補ってくれた。

帰宅したわたしを待ち受けていたのは、妻からの留守番電話。
「ごめんなさい。遅くなりますので、晩ご飯はどこかで済ませてくださいね」
格好の良い脚に通されたストッキングは、いまごろ彼氏の唇になぶられて、見る影もなく剥ぎ降ろされているころだろうか。

それではわたしも、出かけよう。
妻の彼氏に覚え込まされた吸血の魅惑に、生えかけた牙が疼く。
歳の差婚をした同僚の新居。
お嬢さんが中学に入学したばかりの上司のお宅。
お母さんを紹介してくれたハイソックス少年の家。
きょうはどのお宅に、お邪魔しようか?

密会を妨げるつもりが・・・

2019年12月11日(Wed) 07:45:51

妻が吸血鬼と密会していた。
現場を押さえて懲らしめてやろうと思った俺は、妻の服を着て夫婦の寝室で男を待ち受けた。
部屋に侵入してきた男は、俺を妻と勘違いして、首すじを咬もうとした。
必死で抗ったけれど、とうとう咬まれてしまった。
やつは、俺の血をとても美味そうに飲み味わった。
そして俺は、妻の服を着たまま、女として愛されてしまった。
途中でやつは、俺の正体に気づいたけれど、
女として愛することをやめようとはしなかった。
俺は女として愛し抜かれ、そして女になり切って、愛し返していた。

妻に接するのと同じ熱意をもって、やつは女装した俺を愛し抜いた。
やつがどれほど妻に恋しているか、俺は身をもって思い知った。
そして、ふたりの仲を許してやるしかないと実感した。
夫としての俺の利害や体面よりも。
彼に想いを遂げさせてやるほうが重要だと感じた。
なによりも。
利害を超えた好意には、好意でこたえるのが良いと感じた。

妻は俺が仲間に入ることを歓迎した。
むしろ、おおっぴらに不倫を愉しむことができることを悦んでいた。
これからは競争相手ね、と、妻はイタズラっぽく笑った。
秘密の不倫からぎごちなさが生じ始めていた夫婦の関係は、すっかり修復された。
終末の夜になると。
妻も俺も、思い思いの服で装って、吸血鬼のご入来を待ち受ける。
夫婦でストッキングの脚を並べるって、面白いよね。妻はそういって白い歯をみせた。
さきに俺が征服されて、放心状態の傍らで、今度は妻を愉しまれてしまう。
妻の随喜に、堪えていたほとびが、俺の股間を生温かく濡らす。
半脱ぎにされたストッキングの居心地の悪さを感じ合いながら、
夫婦でやつの劣情を、思うままに注ぎ込まれてゆく。

妻の悦びは、俺の歓び。

2019.12.9構想 本日脱稿

売春女学校  ――ホテルで春を売るときは、黒のストッキングを穿いてゆく。――

2019年12月11日(Wed) 07:33:24

はじめに

以下の一連のお話は、6月ころに構想したものです。
そのころは長期連載をやっていたので、それ以外のお話はいったんお蔵入りに――
そんなふうに眠り続けてきたお話ですが、
同じ学校を舞台にしたお話とはいえ、どうにも不揃いな感じがして、
その後もお蔵入り状態がつづいていました。
とはいえ、どうしても忘れられないお話でもあったので、
不揃いなのを承知のうえで、あえて一括掲載してみます。
それでは、はじまり、はじまり――

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♪某女学校のドレスコード♪

ホテルで春を売るときは黒のストッキングを穿いてゆく。
それが当女子校の、ドレスコード。
そんなふしだらな生徒たちのため、
校内の購買では、薄手の黒のストッキングを常時置いている。
売れ行きは上々だとか。


♪生徒たちの囁き♪

愛菜ちゃんは朝から、黒のストッキングを履いてきた。
午後になったら授業を抜け出して、隣のホテルに春を売りに行くつもりだよ。

まじめだったゆう子ちゃんもこのごろは、
放課後になるとハイソックスを脱いで、黒のストッキングに履き替えるようになったね。
春を売る味、どこかで覚え込まされちゃったみたい。

輝美と真優のお相手は、どうやら同じ人みたい。
最初は二人とも気がついていなかったらしいけど、
いつだかはちあわせしちゃって、二人ともまとめて姦られちゃったんだって。
そういうときの順番決めるのにくじ引きしたのがくせになって、
たまーに二人連れだって教室抜けていくんだよ。
勿論、黒のストッキングに履き替えて♪


♪クラス間格差の是正について♪

入学式のときには全員、おそろいの白のハイソックスだった。
それが1学期が終わるころには、黒のストッキングを履く子がちらほらし始めた。
夏服に黒のストッキングなんて変だよね?って、照れながら。
そういう子たちは恥ずかしがるふうもなく、朝から黒のストッキングで登校してくる。

夏休みが終わるころには、
夏服に白のハイソックスの子と、黒のストッキングの子が半々くらいになっている。
奥手の子が多いクラスでは、まだほとんどが、汚れを知らない白ハイソ。
おませな発展家の多いクラスは、もぅほとんどか、足許を艶かしい墨色に染めてくる。

そういうクラスは担任の女教師までもが、率先して黒のストッキングをたしなんでいて、
彼女は教え娘たちを、自分の情夫やその悪友たちに、売り渡すバイトに励んでいる。

白ハイソの子が多いクラスの担任は、新卒の女教師だったりするのだが。
服装検査で黒のストッキングの生徒を咎めたとばっちりで、自分の純潔まで泥まみれにされる羽目に遭う。

問題の生徒の家に家庭訪問をすると言い出したら、
仲間たちがみんなで先回りをしていて、潔癖さと正義感とをもろ出しにした女教師をよってたかって組み敷いていく。
教育熱心な先生は、哀れ白い胸元とおっぱいまでももろ出しにさせられて。
淡いピンクのタイトスカートを巻いた腰を激しく振りながら。
スカートの下に穿いた純白のスリップを初めての血で染めていった。
両の瞼に滲んだ涙は、悔し涙から随きの涙に早変わりして、
3人めあたりからはもぅノリノリになっちゃって、教え娘と肩を並べて息をはずませ合っていた。

脱がされ抜き取られていった地味な肌色のストッキングの代わりに、てかてか光るハデな光沢入りのストッキングを穿いて教室に現れた先生に、生徒一同どよめいて。
時ならぬ拍手喝采にびっくりした先生は、はきなれない真っ赤なミニスカートの腰を、いつまでももじもじさせていた。
それからは。
そのクラスでも、黒のストッキングの着用率がアップしたとかしないとか。
生徒たちがホテルで稼いでくるバイト代のいくらかは、担任の先生がたの副収入になるという。


♪先生方のお小遣い稼ぎ♪

はい先生、今月のお手当て。
身に覚えのない現金入りの茶封筒を手渡されて、野田教師ははっと顔をあげた。
クラスのみんなから。
年配の女教師は意味ありげにそう囁くと、ほんの一瞬思わせ振りな笑いを口許に滲ませて、
すぐさま向こうを振り返って、こんどは、坂野先生!?とべつの同僚教師を呼び止めている。
三万八千円。
少なくはない金額だ。
これに目がくらんで教え娘たちに春売りを勧める教師があとを絶たないというのは、わかるような気がする。
受け持ちのクラスの女子生徒たちがパンツを脱いだ報酬。

では私も、このお金で教え娘を交えた乱交パーティーに着ていく服を買おう。
男たちの目をひく、大胆なスリットの入ったお水系のスーツが良いかも。
秋に結婚を控えた彼には悪いけど。
どっぷりと浸かりきってしまった情欲の密林から、いまさら強いて抜け出そうとは思わない。。
目の前にある鏡に映る、自分の姿。。
控えめな空色のジャケットとチャコールグレーのロングスカートは、教師として勤務することが決まってから買いそろえたものだった。
控えめなメイクに清楚に映えた、われながら地味めな目鼻立ち。
肩先に流れる、緩やかにウェーブのかかった、栗色の髪。
見た目はここに赴任してきたときと、さほど変わりばえはしないはずなのに。
真面目な新任教師だった数ヵ月前までとは、すっかりちがう人間に入れ替わってしまっていた。
なかにはそういう自己変革を外見でも表そうとして、
それこそ昼日中から、真っ赤なスーツとか、てかてか光るストッキングとかを身にまとう女教師もいるけれど。
でもあえて、いまのこの教師らしい外見を、変えようとは思わない。
まじめっぽい教師だからよけいにそそられる――そんな人気を大事にしたいから。


♪男子生徒の告白♪

ぼくの彼女が犯されちゃった報酬も、先生の小遣いになってるんですね?
端野君の問いに堂々と言い返す理屈など、どこにもなかった。

先生、るみ子ちゃんが男のひとと寝たお金で、服を買うの。
その服を初めて着るときに、端野君の相手をしてあげる。
言い返すようにしてそう応えたとき、きっとあたしは、娼婦のような顔つきをしていたはず。
端野君、ちょっとたじろいでいたから。

先生、婚約者いるんでしょ?そんなことしても良いの?
彼とはまだなの。それなのに先生は、もぅなん人もの男子とセックスしちゃっているし。
もぅ、まともな結婚なんて、する価値ないかもって思ってる。
ばれてもいいんだ、もぅ。

野田教師はそういって、拗ねた顔を作ってみせた。
端野君は、複雑な顔をした。

先生も結婚しなよ。ぼくもるみ子を許すから。
るみ子が先生の紹介する男の人たちの相手をしても、さいごはぼくが面倒みるから。
端野君、優しいんだね。
ふと漏らした本音に、恥ずかしそうな本音がかえってくる。
意気地がないだけかもね。。
端野君はすこしだけ、弱々しく笑った。
るみ子ちゃんがだれだかわからない男のひとに抱かれちゃって、嫌じゃないの?
嫌じゃないことはないけれど。。
端野君は言いよどんで、それから思いきったようにいった。
だれかとつるんだすぐあとにぼくと顔を合わせてもね、
るみ子はちっとも、動じないんだ。
まるでなにごともなかったように振る舞うんだ。
そんなるみ子を見ててなぜだか興奮しちゃって、それがかなり恥ずかしくって。

先生の未来のお婿さんに、ぼく同情するよ。
学校のみんなで、先生の身体をおもちゃにしちゃって。
ぼくだって、先生とこんなことしちゃって。
会話の延長はいつの間にか、職員室の隣の空き教室にもつれ込んでいて。
教え娘たちの”あがり”で買ったお水スーツを、端野君のためにふしだらに着崩れさせていた。


♪レンタル教室♪

現役の女子生徒を、教室で犯したい。
そんな大人たちの、いけない願望を果たすため。
当女子校では空き教室を貸し出している。
隣の教室では、ふつうの授業。
先生の板書するチョークの音や、生徒の英語の教科書を朗読する声が漏れるなか。
教育施設に囲まれた密室で、ふたりは情交の息をはずませる。
女子生徒は学業に励む同級生たちの声を耳にしながら、いけない遊戯に耽るスリルにドキドキして。
そんな初々しい昂りに震える少女たちのセーラー服姿に、獣たちは荒々しくのしかかる。
授業中の生徒たちも。
隣の教室でなにが行われているのか、大半の生徒が知っている。
だから、授業も上の空。。
そんな空き教室の予約は、今月いっぱい埋まっている。


♪彼女を犯される男子生徒たち♪

隣の教室で犯される彼女。
そんなシチュエーションに興奮をおぼえる男子がいる。
そういう男子と話をつけたおっさんたちは。
これ見よがしに彼氏の彼女を空き教室に引き入れてゆく。
自分の彼女を大人たちの欲望に提供したい男子と、
彼氏以外の男に興味のある女子とのカップルは、
教師たちの閻魔帳にリストアップされていて。
そんなカップルは意外に多いと、職員会議でもひそかな話題になっている。


♪卒業セレモニー♪

卒業式の謝恩会。
どこの学校でもふつうなら、卒業生の女子たちは、いつもより大人びた服装で参加する。
けれどもこの学校では、そうではない。
誰もがほとんど例外なく、いつもの制服姿で集まってくる。
水泳部の子はインナーにスク水を着込んでたりとか、
球技部の子はライン入りのハイソックスを履いていたりとか、
お金持ちの家の子は、この日のためにわざわざ制服を新調していたりとか、
そんなふうに、そこそこ個性を出す子はいるけれど。
とにかく全員が、制服姿。
だって。
この学校で現役生として、おおっぴらに制服姿で犯されるのは、
きょうがさいごのチャンスだから。

2019.6.17頃構想


あとがき
読んでわかるとおり、タイトルは「売春女学校」なのに、舞台は女子校だったり共学校になったりしています。
何日も書けて描いていると、だんだんと設定がぶれてくるんですね。^^;
そんなところも、今回はあえて描き直したりしていません。
それぞれのお話として、愉しんでいただければと思います。

ちなみにそのタイトルは、いま考えました。^^;
たいとると内容が食い違うのは、かの名画「女吸血鬼」と同じだと思ってください。



【注】
「女吸血鬼」
その昔上映された和製吸血鬼映画。
吸血鬼に美女たちが次々と襲われる映画だが、タイトルのわりに女吸血鬼が出てこないことでも有名。

ユニークな町内会。

2019年12月09日(Mon) 07:53:11

かつてこの街が吸血鬼に支配される以前、
この街では町内会が盛んだった。
男性たちは酒を持ち寄り、女性たちは料理を持ち寄って、飲み食いして楽しんでいた。

すっかりさびれたこの街であるが、いまでも町内会は、実は盛んである。
男性たちは妻を伴い、妻たちは娘たちを伴って、吸血鬼に飲み食いさせて愉しませている。

出勤間際に。

2019年12月09日(Mon) 07:40:51

「いい災難だわ、もぅ」
沙恵はわざと口を尖らせると、ベッドのうえに横たわる俺の傍らから起きあがった。
上半身裸の沙恵は、小ぶりで引き締まったおっぱいをプルンとさせると、素早くブラジャーを身に着けた。
ピンク色のタイトスカートは、勤務先の制服。
ベッドの下に脱ぎ捨てたブラウスを拾いあげて身にまとうと、ぷんぷんしながら化粧台に向かった。

半同棲している沙恵とは、近々結婚する予定。
OL姿に欲情したと出勤間際に迫られて、ベッドに投げ込まれて愉しまれてしまったのだから、
彼女のご立腹はもっともだ。
ただし、OLの制服にそそられて彼女をベッドに放り込んだのは、俺ではない。
彼女を挟んで向こう側にいた、悪友のテツだった。

テツは俺の隣の隣で身を起こすと、着替えをする沙恵のようすを面白そうに観察している。
張りつめたタイトスカートのお尻と、スカートのすそから伸びる黒のハイソックスのふくらはぎは、俺の目にも美味しそうだ。
「まあ、わかるな」と、やつはいった。
俺が彼女と半同棲していることをだ。
俺も同時に、同じことをつぶやいていた。
「まあ、わかるな」と――
俺が理解したのは、やつが彼女をモノにしたがる理由。
同じ言葉を重ね合わせて、2人はベッドのうえで爆笑した。

テツは吸血鬼だった。
中学のころから、俺の血を吸って暮らしている。
そして俺に女ができると、しきりに会いたがった。
若い女の血を吸いたいのだと思った俺は、それでも彼女を紹介してやった。
やつの正体をばらす勇気はなかったから、彼女はその場でサプライズする羽目になった。
キャーとひと声あげて気絶した沙恵にのしかかって、
やつは首すじを咬んで思いきり血を吸い、
勤め帰りの黒のハイソックスのふくらはぎを咬んで、さらに血を吸った。
相手の女を女として気に入ると、やつは女の穿いている靴下を破りたがるのだ。
俺はやつが沙恵のブラウスを脱がせてゆくのを、黙って見過ごしてやることにした。
その晩以来俺たちは、ひとりの女を共有することになった。
気絶したまま、テツに犯された沙恵は、「ひどいじゃないの」と言いながら、奇妙な三角関係になじんでいった。

沙恵が出かけてしまったあと。
俺はやつに首すじを咬ませて、血を愉しませてやった。
そのまま唇を重ね合わせて貪り合ったあと。
やつはいった。
「お前の女だから、欲しくなったんだ。本命はあくまでお前」
沙恵は2人の関係を、よく知っている。
「妬けるわねぇ」といいながら、それ以上追及してこない。
そういえば。
やつが初めて咬み破った靴下は、部活帰りの俺を初めて襲ったときの、ライン入りのハイソックスだった。

家族を吸い合う。

2019年12月09日(Mon) 07:14:10

悪友の良太が、吸血鬼に血を吸われて吸血鬼になった。
誰か一人だけ吸血鬼にできる能力を得た良太は、ぼくのことを咬んで吸血鬼にした。
2人で街を徘徊して、だれかを襲って血を吸おうとしたけれど、なかなかよいきっかけを得られなかった。
道行く大人たちはだれもが恐そうだったし、年下の子たちは襲ってはいけないような気がしたのだ。

とうとう咬む相手にあぶれたぼくたちは、途方に暮れながら夕方を迎えた。
良太は、「いっしょにうちに来て、お袋の血を吸わないか」と、ぼくを誘った。
良太のお母さんは顔見知りだったし、友達のお母さんを襲うのはちょっと抵抗があったので、しり込みをしたけれど。
お互い喉の渇きには、あらがうことができなかった。

「先に家に帰って待ってる」
という良太にいわれるままに、門限をとっくに過ぎた時間に、ぼくは良太の家のインタホンを鳴らした。
良太が出てきた。
「親父は今夜は夜勤でいないから」と、ひくい声でいった。
良太のお父さんは、良太が吸血鬼になったのも、お母さんの血を吸いたがっていることも知っていた。
息子に妻の血を吸わせるために、良太がお母さんを襲いたいときには必ず、夜勤を入れて家を空けるのだった。
忍び足で良太の家に上がり込もうとするぼくに、良太は、
「お袋はおれが先に咬んだから、もう気絶しちゃってるよ」と笑った。

良太のお母さんは、リビングであお向けになって倒れていた。
白目を剥いて、大の字になって、首すじに生々しい咬み痕をつけていた。
「よっこらしょっと」
2人で良太のお母さんを抱き上げて、ソファに移した。
ぼくは良太の咬んだ傷口に唇を吸いつけて、良太のお母さんの血を吸った。
人の生き血を吸うのは、初めての経験だった。
初めて味わうたっぷりとしたのど越しに、ぼくはすべてを忘れて夢中になった。
良太はお母さんのひざ小僧を抑えつけて、ふくらはぎをしきりに咬んでいた。
肌色のストッキングをびりびりと咬み破りながら、チュウチュウと音を立ててお母さんの血を吸い取っていた。
ぼくも負けないくらい、チュウチュウと音を立てて、良太のお母さんの血を吸いあげていた。
2人は昔から、良きライバルだった。

「お袋の生き血を、タカシと2人で吸いたかった」
良太は手の甲で血のりを拭いながら、ぼくにそういって笑った。
たいせつにしているものをタカシにあげたかったし、いっしょに歓び合いたかった――良太はそういうのだった。
タカシの前なら、恥ずかしいことをしていても笑われないからね、と、照れくさそうに口にした。
お母さんの血は美味しかったと正直にいうと、「ありがとう」と感謝してくれた。

セックス経験のある女性を獲物にしたときには、セックスもしてしまうのがこの街の吸血鬼の習性だった。
良太もためらうことなく、自分のお母さんにのしかかっていった。
少し意識が戻ってきたお母さんは、自分が息子になにをされているのかもおぼろげにわかりながらも、
ウンウンとうなりながら、スカートの奥にまさぐりを受け容れていった。

「こんどはきみの番だぜ」
良太に促されて、ぼくも良太のお母さんの上にまたがった。
セックスは初めてだったけれど、びっくりするほどスムーズにできたのは。
目のまえで良太がお手本を見せてくれたのと、母子相姦を見せつけられた異常な昂奮のおかげだった。
この晩ぼくは、良太のお母さんで、女の身体を識った。

ひとしきり嵐が過ぎ去ると、良太のお母さんは起き上がって、
「まあまあ、あとの掃除が大変じゃないの」
と言いながら、フローリングに撥ねた血や粘液を、モップ掛けし始めていた。
さっき良太やぼくに犯されながら見せた”女”の顔はきれいにしまい込んで、
きれい好きな主婦の顔つきに戻っていた。
そして、息子とその悪友が自分の血を吸ったことも、犯したことも、ひと言も咎めだてはしなかった。

「こんどはきみの番だぜ」
どこかで訊いたことのある科白を再び耳にしたのは、その三日後のことだった。
良太のお母さんの血は腹持ちが良くて、三日間ぼくたちを飢えさせないでくれたのだ。
けれどももう、限界だった。
そして、道行く人から獲物を選び出すことのできなかったぼくたちは、今度はぼくの家へと脚を向けたのだ。
幸か不幸か、ぼくの母は未亡人だった。

「礼儀正しいんだねえ」
ぼくが精いっぱいの皮肉を口にしたのは、
ひと通りことを済ませてしまった後、良太が父のお仏壇にお線香なんかあげていたから。
2人がかりで襲われた母さんは、左右の首すじから血を流して、
それから肌色のストッキングを穿いた脚にも、あちこち咬み痕をつけられていた。
めくれ上がった花柄のロングスカートのすそには、2人ぶんの精液が、べっとりと粘りついていた。
良太のお母さんを2人で襲ったとき、良太の胸の奥に根差した家族を獲物にする歓びを、なんとなく理解する事が出来た。

三日経ってぼくたちはまた良太の家に行って、良太のお母さんを襲った。
良太のお父さんはやっぱり、夜勤で家にいなかった。
今度はぼくも、良太のお母さんの首すじに咬み痕をつけさせてもらった。
そのときもやっぱり、良太はお母さんの穿いている黒のストッキングをびりびりと咬み破りながら、ふくらはぎを咬んで愉しんでいた。
そういえばぼくの母さんのときも、ねずみ色のストッキングって珍しいと言いながら、母さんの穿いているストッキングを見る影もなく剥ぎ堕としていたっけ。
良太はどうやら、ストッキングマニアらしかった。

それから三日後のこと。
つぎの獲物は、ぼくの妹だった。
良太を家に招んで、2人がかりで母さんを襲っている最中に、妹が下校してきた。
「ただいまー」
のんびりした声を残してまっすぐ勉強部屋へとあがってゆく足音を聞きつけると、
良太は、胸元の咬み痕を気にかけながらも放心状態の母さんのうえから起きあがって、
やおら後を追いかけていった。
二階からキャーという叫び声がしたけれど。
ぼくは目の色を変えて母さんの上にまたがって、
スカートの奥にびゅうびゅうと精液を穿き散らすのに夢中にjなっていた。
高本家の女ふたりは、こうして同時に吸血鬼の餌食になった。
二階の勉強部屋では長女が。
リビングでは奥さんが。
若い2人の吸血鬼の飢えた欲求を、自分たちの身体をめぐる血潮で満足させていた。

母さんが静かになったのを見届けて、二階の勉強部屋へとあがっていくと、
したたかに血を吸い取られた妹は、息も絶え絶えになっていた。
「すまん、やり過ぎた」
良太は恥ずかしそうに、頭を掻いていた。
そして、
「でも、処女の生き血ゲット♪」
といって、ピースサインを送ってきた。
ぼくも、首すじから血を流して喘いでいる妹を横目に、ピースサインを返してやった。

処女の生き血は初めてだったと正直に告げる良太を、
「お口に合ったようで良かった」と、ぼくは祝福してやった。
妹の履いている真っ白なハイソックスのふくらはぎには、赤黒い血がべっとりと着いていた。
ふくらはぎを咬んで血を吸う――そこまでキメないと、気が済まないらしかった。

「きみの母さんは?」
と訊く良太に、「静かになったよ」というと、良太は横たわる妹に毛布をさっと掛けてやると、見に行こうといってくれた。
2人で階下におりると、母さんはまだ意識がないまま、じゅうたんのうえに転がっていた。
「だめだなあ、ちゃんと介抱しないと」
そういいながら良太は、父さんと母さんの寝室に入って布団を敷き、ぼくに手伝わせ、
「よっこらしょっと」
と、母さんのことを布団の上に寝かせた。
そして額に手を当てて母さんの身体の血の無くなり具合を確かめると、
「もうちょっとしたら気がつくよ」
といってくれた。
「それまでいっしょにいてやるといいよ」
と言い残すと、再び二階にあがっていった。
また妹の血を愉しむつもりだろうと思った。
気を利かせて二人きりにしてやろうとは思ったけれど、好奇心がまさって、ぼくは足音を忍ばせて階段をあがった。

案の定彼は、妹を布団に寝かせて、時おり「だいじょうぶ?」と声をかけながら、丁寧に介抱していた。
妹は布団のうえで、かすかに頷いているようだった。
「靴下汚しちゃって、ゴメンね」
という良太に、
「母さんに買い置きしてもらうから、いい」
と、気丈な顔つきでこたえていた。
そして、良太がぬけぬけと、
「この靴下記念にもらうね」
と、自分の脚に手をかけてハイソックスを脱がそうとするのを咎めもせずに、そのまま引き抜かれていった。
そういえば。
母さんの破けたストッキングも、コレクションと称して持ち帰っていたっけと、薄ぼんやりと思い出していた。

お互いに家族の血を吸い合って、ぼくたちは懇親を深めた。
やがて妹は良太の嫁になり、ぼくも当時の同級生と結婚した。
ぼくの妻となった人は、在校生のころから、良太に血を吸われていたから、秘密を共有できる関係だった。
結婚してからも良太に血を吸わせていたので、必然的に2人は不倫の関係になった。
妹は時おり里帰りをして、ぼくに若妻の生き血を愉しませてくれた。
必然的に2人は不倫の関係になった。
兄妹の関係は、近親相姦といって忌まれるのだけれど――そんなことはもう、どうでもよかった。
ぼくは良太の嫁となった妹を抱くことで、2人への愛情を益々深めたし、
良太がぼくの妻を抱くことで、秘密の愉しみを共有する歓びを、さらに深めていった。
お互いにお互いの妻を交換し合う関係に、良太はとても満足している。
ぼくも、すごく満足している。

2019.12.8構想
2019.12.9脱稿

靴下を履き替えたのを、親友に見とがめられて。

2019年12月09日(Mon) 06:34:49

どうしたの初子ちゃん、さっき履いてたのと違う靴下履いてるわよね?
彼氏の家にでも行ってたの?独り暮らしな彼を慰めすぎちゃったとか?
表向きはみんな処女なんだから、評判落とさないように気を着けなよね。

同級生の光江に見つかっちゃったけど。
ほんとうのことは言えない。
吸血鬼に脚を咬まれてハイソックスを履き替えただなんて――

彼の箪笥のなかには、穴の開いた靴下がたくさんある。
けれどもだれもが、彼の良い加減さを咎めない。
だってそれらは、おうちに遊びに来た女子高生たちの脚を咬んだ後抜き取った、学校指定のハイソックスばかりなのだから。
そして私も、彼にコレクションをさせている女子高生の一人なのだから。

里帰りする妻。

2019年12月09日(Mon) 06:28:12

妻の実家には、乱婚の風習がある。
なにか祝い事があるときには必ずといって良いほど、そうした展開になるらしい。
わたしの結婚式のときも――そこはご想像に任せよう。

そういうわけで、妻が単独で里帰りするときには、まずそういう機会を持ったと思ってよい。
いったいどれだけの男の相手をするのか。・・・それは本人も口にしたがらないのであえて訊ねはしないのだが、
ふた桁になるのは、ほぼ間違いないだろう。
時には自分の父親や兄までも、乱婚の輪の中に加わるという。

実家から戻ってきた妻は。
平生と変わらない面持ちである。
むしろ不在の間の主婦業のブランクを埋めようと、日ごろよりも精を出して家事にいそしんでいる。
まず、模範的な妻である。
実家でなにが起きたのかを想像させるような痕跡を気振りにもみせないのは、さすがといってよい。
けれども、何度となくそういう場面に遭遇する羽目になったわたしとしては、つい想像してしまうのも無理からぬところ。
片田舎に所在する妻の実家では、里帰りしてくる女性たちの都会風の装いすらが目当てにされるという。
洗練された装いを着崩れさせてもだえる妻――
あの喘ぎ、あの昂りを目にした記憶は、いまだにさめやらない。
それとは対照的な、いつも通りに平静な妻。
そのギャップに目を見張りながら、思う。
女は怖い――と。


2019.12.7脱稿

処女の生き血に飢えている。

2019年12月09日(Mon) 06:24:08

処女の生き血が吸いたくなった。
クラスの子をおおっぴらに襲うわけにはいかないし、
遠くに棲んでいる従姉とはお正月か法事のときくらいしか顔を合わせない。
手っ取り早く処女の生き血を吸うには、妹に限る!
そう思ったとたん、隣の勉強部屋へと直行していた。
学校帰りの妹は、まだ制服姿。
濃紺のスカートのすそから覗く薄黒いストッキング姿が、妙にそそった。
抑えつけて首すじを咬んで、チュウッと吸った。
・・・・・・処女じゃなかった。
・・・・・・思いきり凹んだ。
妹は妹で、おっかない顔をして俺を見ている。
この街の吸血鬼が、処女ではない女の血を吸った後、なにをするのか知っていたから。
「・・・・・・どうするの?近親相姦になっちゃうよ?」
恐る恐る訊いてくる妹の怯えた顔が、さらにそそった。
俺は有無を言わさず、妹を組み敷いていた。

初めての感覚がどうだとか、わかったものじゃなかった。
女の子を犯すのは、初めてだったから。
妹にしたって、俺にしたって、経験豊富というわけではない。
兄を相手のセックスを、俺の両肩にしがみつくようにして、ひたすら耐えた。
「良いとか悪いとか、ぜんぜんわからなかった」
あとで妹は、俺にそう告げたものだが――正直な感想というものだろう。
それでも俺は、なん度も妹を犯していた。
昂奮したというよりも、悔しかったほうが大きかった。
そういうセックスはよくないと、そのときしんそこ思ったから。
以後セックスをするときには、自分も愉しみ相手も愉しませることにしている。

とにかく妹とは、こんなふうに期せずしてねんごろな関係になった。
お袋は二人の関係にすぐ気づいて、
「佐代子ちゃんを犯すのはよしなさい」
といって、自分が身代わりになろうとした。
二度目の近親相姦に、さすがの俺もたじろいだけど――
やはり衝動には勝てなかった。
俺はお袋の生き血を吸って、そのうえ吸血鬼の習性まで発動してしまった。
「最初のころは、乱暴なだけで良くなかったわよ」
だいぶ関係を重ねたあとでお袋がそういったのは、思いやりというものだろう。
それを言われたのは、回を重ねた末にお袋が、本気で声を洩らすようになったころのことだった。

お袋には悪かったけど、それからも妹との関係はひそかに続いた。
お互いに衝動をこらえ切れなかったからだ。
いや・・・こらえ切れなかったのは、俺のほうだけだったはず。
少なくとも最初のうちは。
「彼氏に悪いよ」
といって、妹は時々抱かれながら泣いた。
けれども一度肌を重ね合わせてしまうと、男女の関係になるものだ。
しらふのとき(吸血衝動のないとき)には、仲の好い兄妹だったし、
こういう関係になってからも、それは変わらなかった。
お袋も二人の関係が続いているのに薄々気づいていたけれど、もうなにも言わなかった。
守り通してきた操を無駄に捨てさせてしまったことを、俺はちょっぴり後悔している。
けれども初めて覚えた熟れた身体の記憶を、俺はずっと大事に抱き続けるのだろう。

親父には、ある時期正直に話した。
さすがに罪悪感もあったから、殴られてもしょうがないと思った。
けれども親父は、「自分の息子を殴れるか」といっただけだった。
殴られることで罪ほろぼしをしようとする俺の姑息さを、見抜いていたのかもしれない。
「母さんや佐代子を抱くときには、すこしだけ思い出すと良い。どちらにもちゃんとした相手がいるということを忘れるな」
と、親父は不良息子を諭した。
殴られるよりもずっと、あとを引いた。
女への衝動をそうかんたんに乗り越えられないことを親父は知っていたから、
それ以上俺が自分の妻や娘を抱くことに、とやかく口にすることはなかった。
ヘンな形だったとしても、俺がふたりを愛していたことを、わかってくれていたのかもしれない。

妹の彼氏は、じつは俺の親友だった。
学校帰りの妹を家に誘って、部屋で話しているうちにむらむらと来てしまい、人目を避けて関係をつづけていたのだという。
「処女の生き血が欲しいのなら、うちの美香なんかどうかな?」
彼は俺を咎めるどころか、むしろそういって、俺のために処女の生き血を用意しようとさえしてくれた。
美香というのは、彼の妹のことだった。
吸血鬼に妹を襲わせてくれようとした好意はとてもうれしかったけれど――
俺は真っ暗な顔をして、首を横に振った。
だって、お前の妹、処女じゃないから。
俺が女にしちゃっているから。
「一発殴ってもいい?」
そういった親友は、むしろにやにやと笑っていた。
「お互いに妹を交換して、犯し合っていたんだな」
俺たちは、声をあげて笑っていた。
彼は妹のことをまじめに考えていてくれていて、将来は結婚したいといった。
俺はむろん、大歓迎だった。
「佐代子ちゃんはいい子だし、ご両親も寂しがるだろうから、時々里帰りさせるよと彼はいった。
「そのときは、血を吸ってもいいから」
と、薄っすらと笑っていった。
「そのときには、俺覗いてもいい?」
ふたりはもう一度、声をあげて笑った。

そういうわけで、俺はまだ、処女の生き血に飢えている。
だれか、良い人知りませんか・・・?

エプロン。

2019年12月08日(Sun) 09:42:49

高校二年の秋。
つきあっていた初美は、やつの家で、制服を脱いだ。

19歳の春。
おれとのデートのかえり道、初美はやつの家で、おれがプレゼントしたワンピースを脱いだ。

22の夏。
おれとのデートをすっぽかして、初美はやつの家で、勤め帰りのスーツを脱いだ。

24歳の6月。
「ジューンブライドだね」といいながら、婚礼のあと、花嫁の控室にやつを呼び入れ、ウエディングドレスを脱がされていった。

そして32歳の冬――
買い物帰りの初美は、やつの家で・・・
「また脱いだのか!?」
露骨に作ったしかめ面に、初美は「脱いでないわ」とこたえた。
「だって・・・・・・エプロン着けたままのほうが、昂奮するって言うんだもん♪」

みだら歌

2019年12月03日(Tue) 07:51:12

吸血鬼に処女の生き血と処女を捧げた、女学生の詠んだ歌――


穢れなき 処女の生き血を あげたいわ
君への想い 余さず秘めた

泣き叫ぶ あたしのことを 押さえつけ
刺し入る牙に 奪い尽くされ

こうなって 良かったのねと 呟いた
吸った血潮に 頬染める君に

吸い取った あたしの血潮に 頬染める
憎らしい笑みに そっと手を添え

きのうまで なにも知らない 女学生
今朝は娼婦の 想い抱いて

何気なく 手に取る鞄 いままでの
真面目に通う 路思い出す

身にまとう 黒の靴下 スカートの
下に映えるも いとおしく見え

思いきり 穢れを識った この身体
制服姿が 似合わなく見え

結わえたる 胸のリボンの 色さえも
失くした血潮の 色思い出す

生真面目な 重たいスカート 腰に提げ
肩を並べる 友何も知らず

戻れない 昨日と今日の 境目の
遠き隔たり 私は非処女

膝下に 清楚に映える 脛の色
今朝は淫らに 染まるように見え

聞き流す 授業はすべて 上の空
もっと識りたい ことがあるから

美代子との 楽しい会話が 上の空
どうしたのよと 問われ戸惑う

美代ちゃんも 思い知ったら いえないわ
制服の下 秘めた疼きを

そこかしこ 肩を並べて 下校する
人影よそに 独り歩みて

他の子は 笑いさざめき 下校する
私は違う 私は違う

ドキドキと 胸を弾ませ 下校する
あたしの血潮に 飢えた男(ひと)待つ

制服が 初々しいねと からかわれ
鏡の前を 思わず見返す

きのうまでと 同じ私が そこにいた
制服を着た 真面目な姿

わなわなと 震える手つきで 脱がされる
一枚一枚 惜しげもなくて

半脱ぎの 黒靴下が 羞ずかしい
鏡の私は ふしだらな娼婦

後ろめたき 想いを噛んで 身を崩す
黒靴下を 片方脱いで

着崩した 制服姿が ふしだらで
やっぱり娼婦に 堕ちたのだと識る

ぴったりと 結び合わせた 腰と腰
知らず知らずに 息せききって

向きあった 鏡のなかで 戸惑える
少女は今日も 脱がされてゆく

入ってもだいじょうぶ?

2019年12月02日(Mon) 08:09:35

りぃん・・・ろぉん・・・

インターホンが鳴った。
怜子はハッとわれに返って顔をあげ、「いけない」と呟いた。
そして、自分の上にいる男の頬を両掌で抑えるようにして、
「主人が帰ってきた」
といった。
「そのようだね」
男はヌケヌケと囁きかえすと、自分を追いのけるようにする怜子のうえから起き上がって、
居直るようにしてベッドに腰かけた。
着乱れたブラウスの襟首を直し、めくれあがったスカートのすそを乱暴に直したけれど。
丈の短いスカートから覗く太ももには、引き剥がれたストッキングが、ふしだらな裂け目を露骨に走らせていた。

なかの事情を怜子の夫はよく心得ているらしい。
「入ってもだいじょうぶ?」
玄関からそんな声が伝わってくる。
「エエ、もちろん。おかえりなさい」
怜子は妻らしい言葉遣いに戻って、夫の鞄をかいがいしく受け取って、スーツのジャケットまで脱がせているらしい。
妻が異様に面倒見が良いときは、情事のすぐあとか、ことによると真っ最中か――
怜子の夫はそんなところまで、よく心得ていた。
「寝室、入る・・・?」
ためらいながら訊いてくる妻に、「着替えるからね」と夫は明るくこたえた。
情事のいちぶしじゅうをそのままにしたベッドが、彼の視界に入ったとき。
素早く後ろに回り込んだ情夫は、夫の首すじを咬んでいた。
アアーッ
悲鳴をあげる夫がみるみる血の気を失くしてその場に倒れるのを、怜子は息をのんで見守っている。

ハハハ・・・
オホホ・・・
ククク・・・
フフフ・・・

寝室からはひっきりなしに、自分の妻と妻の情婦との交歓の囁きが洩れてくる。
怜子の夫がわれに返ったとき、自分が寝室ではなくリビングのソファに横たえられていることに気がついた。
「夫婦の寝室では、邪魔者扱いか~」
洩らしたため息には、悲壮感も暗さもない。
怜子が初めて吸血鬼に襲われ犯されたときも、
「ものの見事に姦られちゃったみたいですね」
と、さいごにはノリノリで相手をしてしまった若い妻を咎めもせずに口にしたものだ。
まるで、球技のライバルに見事なゴールをキメられたときのような、場違いなくらい清々しい笑顔をしていた。
吸血鬼は、モノにした女の夫のことを、好ましい男だと思った。
ふたりの間には、憎しみの代わりに、同じ女を愛するもの同士の友情が生まれた。

怜子の夫は、ふと視線を奥の間に転じていた。
そこには人の気配があった。
起きあがって覗いてみると。
そこには自分の母が、あお向けになって倒れていた。
そりの合わない嫁のふしだらを咎めに来たのだろうか?
ワンピース姿の母はぼう然と白目を剥いて気絶していて、
ストッキングを片方、脱がされていた。
おそるおそるの掌が、ワンピースのすそをたくし上げていた。
いま妻の身体の奥に注ぎ込まれているのと同じ粘液が、まだぬらぬらと生々しく光っていた。
「嫁さんを姦られるよりも――母さんを姦られたほうが致命傷だったかな」
妻のみならず母親までも犯された男は、瞳に妖しい翳りを泛べ、
そして気絶している母親のうえに、息荒くのしかかっていった。
気絶していたはずの母親の肢体が身じろぎをして、脚を開き息子の背中に腕をまわすのを、
息子はなんの違和感もなく受け止めてゆく――

堕ちた病院 未亡人婦長と吸血鬼の恋・番外編

2019年12月02日(Mon) 07:48:43

はじめに
今年のまだ陽気の良かったころに描いていた、「未亡人婦長と吸血鬼の恋」シリーズの番外編です。
いま見たら、連載開始は5月23日でした。8月まで長丁場になって、その間泛んだ別のお話は、しばらくお蔵入りにしていましたっけ。
(^^ゞ


昭代の勤め先である病院の院長は、美澤という男だった。
齢のほどもわきまえず、若い女には目がないたちで、
いまだに若い看護婦を無人の病室に呼び入れては手籠めにしているという。
若い看護婦に限らず、病院の看護婦はほぼ総なめの実態――
そのなかには息子の嫁となった看護婦まで、含まれていた。
もちろん婦長をしている昭代がその標的とならないわけはなかった。

わるいことに。
彼の病院は、昭代の夫が生前務めていた会社の重要な取引先でもあった。
「ご主人の立場は私次第でどうにでも」
院長の殺し文句は、じつにわかりやすかった。
心ならずも院長の欲望に従った妻は、二度目以降はあくなき彼の欲望に屈したのだった。
昭代のなかでは、初めての不倫だったというけれど。
彼女は院長との交際を前向きにとらえて、「セックスだけではない、もっとまじめなお付き合いをしましょう」と、映画や美術館にも、自分から誘うようになった。
夫の大口の取引先との、家族ぐるみの付き合いという隠れ蓑をまとって。
昭代は夫の勤務中に、院長と示し合わせた逢引の場に、よそ行きのスーツをまとって足しげくかよった。
ふたりの仲は、もちろん秘密。
生真面目な夫を傷つけまいとする配慮を忘れずに、昭代はせっせと不倫に精を出して、夫を裏切りつづけた。
内助の功が償いになるのだろうか?と思わないことはなかったけれど。
数ある院長の情婦のなかで、もっともレディとして尊重されているという実感が、
昭代を院長との不倫から遠ざけさせなかった。

その夜の院長はいつになく、荒々しかった。
どうなすったんですか?
昭代は訊いた。
訊かなくても、こたえはわかっていたけれど。
そう、新しい女をモノにしたとき、院長はいつもこんなふうに、荒々しいのだ。
昂奮の余燼が、さめやらないのだろう。
そしてそういうときには必ずといっていいほど、昭代を相手に選ぶのだった。
相手はきっと、看護学校を出たての子――
真面目ですじの良い子だが、そういう子に限って男性経験があるものだ。
「やっぱり処女ではなかったようだ」
院長の独り言は、犯した女を咎めるものだった。
「いい気なものですね」
まるで古女房が夫の火遊びをたしなめるような口調で、昭代は応じた。

夫が亡くなったあと、昭代は吸血鬼と出逢って交際を始めた。
院長とは同時進行だった。
生真面目な昭代だったが、不倫を掛け持ちすることに、不思議と罪悪感は感じなかった。
相手だって自分の奥さんを裏切っているのだし。
吸血鬼はなん人もの人妻や娘を牙にかけているのだし。
彼女はしばしば、院長と逢ったその足で、吸血鬼のねぐらへと脚を向けるのだった。
下着とストッキングだけは、替えを用意して。

その夜の吸血鬼は、いつになく荒々しかった。
そういう時には決まって、新しい獲物をモノにしたあとのことだった。
きっと、昂奮が収まらないのだ。
どこかのだれかと似ている――と、昭代は思った。
「いま、なにを考えていた?」
「あたしのもうひとりの恋人のこと」
「俺に抱かれながら、不埒なものだ」
自分の不埒を棚に上げて、男はいった。
「そうね――でもそのひとって、あなたとよく似ているの」
きょうの獲物はどういう女(ひと)・・・?
女は訊いた。
「あんたの勤め先から出てきた、若い看護婦だ」
「看護学校出たての子ね?」
「そうかもしれんな。あろうことか、病院でセックスしたすぐあとだったようだ」
「相手は院長よ」
「たいしたことだ」
「あなたとはウマが合いそう」
「あんたの病院を、征服したい」
「またその話?」
「ああ、その話だ」
仲間がおおぜい、飢えている。なんとかしてやりたい。
俺がまだ人間だったころ、妻のことを襲わせてやったくらい、仲の良い連中なのだ、と、男はいった。
「不思議なたとえね」
昭代は笑った。
「私のことも襲わせる気?」
「俺の特別な女だといえば、犯しはしても鄭重に接するはずだ」
そうかもしれない――と、昭代はおもった。
彼らには彼らなりの礼儀やけじめがある。そんな感じが、彼の抱擁を通して伝わってくる。
「うちの病院、看護婦多いわよ。いまどきの病院は看護婦不足のところが多いんだけど」
「好色な院長に取り入ろうとする、さもしい女が多いというわけだな」
「院長の息子の若先生が、いい男なの」
「じゃあ女どもは、そっちが目当てか」
「院長のお手当てが目当てのひともいるわ」
「院長の女を横取りするには、どうすればよい」
「そんなこと、自分でお考えになったら?」
「なあに・・・」
男はほくそ笑んでいる。
もうきっと、あらかた見当はつけているのだろう。

男の狙いは、昭代にとって意外なところにあった。
院長夫人だった。
堅物で知られた、齢59にもなるそのご婦人を、男はみごとに篭絡していた。
院長夫人もまた、ためらいながらも、初めての不倫に応じていった。
地元の名士である院長は、夫人の不適切な交際を、むろん好まなかったが。
醜聞が拡がるのを恐れて、夫人と吸血鬼との交際を黙認することにした。
吸血鬼はいつものように、院長が夫人をプレゼントしてくれたのだと自分に都合よく解釈をして、娘たちの目を気にする夫人のために、しばしば夫人を病院に招いた。
院長のはからいで空けられた、病棟の一番奥の病室が、2人の濡れ場になった。
娘の目を気にしないで済むためには、むろんべつの方法もあった。
吸血鬼はためらいもなく、それを実行に移した。
病院で女たちの足許から抜き取るのは白のストッキングと相場が決まっていたはずが、
院長夫人の肌色のストッキングや、娘たちの学校帰りのハイソックスが交じるようになった。
妻の貞操や娘の純潔を台無しにされるのを横目に、院長はせっせと看護婦たちを篭絡し、愉しい夜は、ときには昼を過ごしていた。
昭代が言ったとおり、二人は似た者同士だったので、ウマが合ったらしい。
お互いはお互いの獲物に無用の口出しをせずに、まるで当番制のように、獲物を取り替え合いながら、病室のベッドを濡れ場にしていった。
院長の息子は生真面目な男で、彼のおかげで病院がもっているようなものだった。
父や新来の患者が看護婦たちや、自分の母親や妹たちまでも病室に引き込むのも、視て視ぬふりをして、本業に熱中した。
病室に引き込まれる看護婦たちのなかに、自分の妻が混じっていることは、吸血鬼が来る前から視て視ぬふりをしていたので、
若い嫁が父の親友と良い仲になることも、しいてとがめだてしようとはしなかった。

病院が吸血鬼たちの楽園と化すまでに、一箇月とかからなかった。
あとからあとから入り込んでくる吸血鬼に、院長はさすがに辟易したけれど。
病室に呼び入れられた夫人がおおぜいの吸血鬼たちに輪姦されて悦ぶところを目にしてしまうと、すぐにおとなしくなった。
その病院に勤める看護婦の頭数プラスアルファの数の女たちは、あっという間に吸血鬼と院長と共有物と化していた。
余分な人数は、院長夫人や若先生の奥さん、それに院長の娘まで含まれていえる。
若先生も娘婿も、吸い取られたばかりの血を首すじにあやしたまま、
妻たちが吸血され犯されるありさまを、ただすくみ上って見ているだけだった。

昭代も、彼の仲間のなん人かのお相手をした。
すっかり操は汚れてしまったが、いまさらどうでもいいことだった。
あのひとのために汚したというのなら、亡き夫もきっと許してくれる。
そんな確信があった。

情事を終えて帰宅した真夜中過ぎ、昭代は決まって夫の写真に手を合わせる。
「あなた、視てたでしょ?」
優しく咎める言葉つきに、夫の写真はちょっと申し訳なさそうな笑みを泛べるだけだった。


2019.7.21構想

吸血学園のPTA 2

2019年12月02日(Mon) 07:00:42

「奥さんのふしだらが許せなくなったら、いつでもわしの頬をはたいて、それから奥さんを家から追い出してくれ。」
わしが一生面倒を見るから。
PTAの会合で。
着飾ったお母さんを教室で抱いた吸血鬼が、あるご主人にそういった。
「いや、それには及びませんよ」
ご主人はにこやかにそう応えた。
10分前まで自分の妻が、目のまえの男に組み敷かれてひーひー言わされていたなど、微塵も感じさせない穏やかな物腰だった。
「惚れ直しましたから」
傍らで奥さんが、うっとりとした目でご主人を見上げる。
「私も、惚れ直しました」
「いやいや、ご馳走様・・・」
吸血鬼はやんわりと引き下がる。
夫は妻のあで姿に。
妻は夫の寛大さに。
どちらもべつべつの理由で、惚れ直してしまったらしい。
「ふしだらな奥さんに、助平なダンナだ。罰として今度は、立たされ坊主を1時間から2時間に延長してさしあげようか」
心のなかで呟いたけれど。
ご主人はきっと、もっと長い時間でも愉しんでしまうに違いない。
「子どもたちには、ナイショですよ」
別れ際も、ご主人は笑って手を振ってくれた。
まるで、ごく親しい友達との別れを惜しむように。
だいじょうぶ。
きみらの娘さんも息子さんも、まくれたスカートやずり落ちたハイソックスを直しながら、同じことを言っている。
「親には絶対、ナイショだからね♪」


あとがき
前作に触発された描きおろし。

吸血学園のPTA

2019年12月02日(Mon) 06:50:36

PTAの会合と称して、受け持ちのクラスの生徒のお母さんたちに、集まってもらった。
来校する吸血鬼たちに、人妻の生き血を振る舞うために。
集まったお母さんたちは、十数名。
みんな、特定の彼氏のいない人ばかりだった。
事前にそれと察したお母さんたちは協力的で、皆さんおめかしして出てきてくれた。
人妻を対象とした吸血行為は、たんなる採血だけでは終わらない。
思い思いのよそ行きスーツは、ブラウスのえり首を強引に押し広げられ、剥ぎ取られ、
肩先にかかるブラジャーの吊りひもを、断ち切られていった。
乱交の場と化した教室で。
色とりどりのストッキングに包まれた脚が押し開かれて、スカートを荒々しくたくし上げられてゆく。
息子や娘の机の傍らで、ストッキングを剥ぎ取られ、一人また一人と堕ちていった。

PTAの会合と称して、受け持ちのクラスのお父さんたちに、集まってもらった。
どのご主人の奥さんたちも、先日招かれた宴席で、吸血鬼たちに犯されていた。
今日は、馴れ初めの仕上げの儀式。
奥さんたちは、自分の夫が招かれているなどつゆ知らず、
このまえのように思い思いに着飾って、息子や娘の教室へとやって来た。
お酒も交え、和気あいあいとした雰囲気のなか。
輪姦ゲームがスタートした。
10年以上連れ添った妻が、いともやすやすとモノにされてゆく姿を、ただぼうぜんと見守るご主人たち――
もしも離婚されたなら、わしが後釜に居座って、母子ともに面倒をみてやるぞ。
女たちの衣装を剥いでのしかかる男どもは、そんな”男気”をみせて、女たちを安心させる。
なに、これも助平心の一端――ゆくゆくは、娘も息子までも、モノにしてしまう下心に過ぎないのだが。
引き剥がれてゆくブラウス。たくし上げられてゆくスカート。脱がされてゆくストッキング、そしてショーツ・・・
夫たちは魂を抜かれたようになって、妻たちが真昼間の情事に耽るのをただぼう然と見つめている。
教室の窓辺には、のどかな初冬の昼下がり。
引き裂かれた衣装をまとって辿る、情事を終えた帰り道・・・
まだ気の早すぎる分厚いコートが、衆目の好奇の視線から遮ってくれることだろう。
廊下で立たされ坊主のように息を詰める夫たち。
教室のなかで不倫の息を弾ませる妻たち。
外はあくまでも、のどなか景色。
体育館からは、そんな親たちの情景など夢にも思っていない者たちの、高らかな声――

一週間後。
吸血鬼の思惑通りに離婚した家庭は、ただのひとつもなかった。
夫婦そろって呼ばれたPTAの会合に。
夫も妻も、なにごともないように仲睦まじく笑み合いながら、校門をくぐって教室を訪れる。
きょうも――
礼儀正しくご婦人方の足許を包む薄地のナイロンは、唾液まみれの唇や舌をふるいつけられて、意地汚くあしらわれてしまうはず。
それでも夫たちは、何も知らない顔をして、ご婦人限りと追い出された教室の廊下から立ち去ることなく、「勃たされ」坊主を演じるはず。


あとがき
2019.6.3 構想(前半)
後半は描きおろし。

女子高生のハイソックスは、最強だ。

2019年12月02日(Mon) 06:24:37

女子高生のハイソックスは、最強だ。
こちらがなにもしなくても、男子たちが寄ってくる。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
寄ってきた男子の顔つきが、無防備になる。
そして、積極的に声をかけてきたあいつよりも、
あいつにくっついてきた男友達の、
恥ずかしくて声も出せないやつのほうがましだということを、教えてくれる。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
けれども、気になるほうの彼の勇気を奮い立たせることはできない。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
先に声をかけてきた男子に、一線を越える勇気を与えてしまう。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
強引に抑えつけられ大またを開いてしまうあたしの脚を、
気になるほうの彼は、ただぼう然と見つめていた。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
太ももから初めての血を流したまま放心していたあたしに彼が声をかけたのは。
真っ白なハイソックスに血が付きそうだったから。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
街灯に照らされた脚に、彼の目が欲情する。
そしてあたしのことを、別の暗闇の中へと、引きずり込んでゆく。

女子高生のハイソックスは、最強だ。
ひと晩でふたりも体験してしまったあたしのことを、
あの娘はまだ処女に違いないと錯覚させてくれている。


あとがき
2019.6.3構想。
衣替えしたばかりの、まだ夏服が眩しかった頃のこと。

婚前。

2019年12月01日(Sun) 10:09:25

結婚を控えた初夏のころ。
わたしは彼女とのデート中に、吸血鬼に襲われた。
先にわたしが咬まれ、身じろぎひとつできなるなるほど血を吸われた。
彼女がジュースを買いに行っているあいだの出来事だった。

彼女の戻りを待つあいだ、自分の血を吸い取った相手に、わたしはこんなふうにいったそうだ。
  いま連れだって歩いていたのは結婚を控えた彼女で、
  もしきみの気に入ったのなら紹介してあげるから、思うと存分生き血を愉しむが良い――と。
もちろん、そんな記憶はどこにもなかったが、いまではそんなことはどうでも良かった。

2人分のジュースを買って戻ってきた彼女は、身じろぎひとつできないでいるわたしの前で吸血鬼に襲われて、
わたしのときと同じように首すじを咬まれてしまった。

わたしの場合、咬まれた途端あっという間に身体じゅうの血液のあらかたを持っていかれたけれども、
彼女の番になると念がいっていた。
髪の毛を掻きのけて首すじをあらわにすると、なめらかな素肌に舌を這わせてじっくりと嘗め味わって、
それからがぶりと食いついたのだ。
悲痛な叫びをひと声あげた彼女は、しつけの良い家の出のお嬢さん育ちだったので。
もうそれ以上はしたない大声を出すのをためらいながら、
抱きすくめる吸血鬼の腕のなか、歯を食いしばって悲鳴をこらえながら、
うら若い血潮をじわりじわりと抜き取られていったのだった。
このさい泣きわめいた方が効果的だったはずだから。
吸血鬼は彼女が自分に血を吸わせてくれるためにわざと黙っているのだと、自分に都合のよい解釈をして、
彼女の生き血を啜りつづけた。

彼女が血を吸われているあいだ、
彼女が買ってきてくれた缶ジュースが芝生のうえに転がっているのを、わたしは眺めるともなく眺めていた。
なにしろ、彼女が咬まれているシーンは、濡れ場どうぜんに生々しかったからから、
とても見るに堪えなかったのだ。
というよりも。
彼女が悲痛に歯を食いしばり、悔し気にまつ毛を震わせて、
そのうちだんだんと表情が別人のようにほぐれていって、
しまいにはウットリとした顔つきをして血を吸い取られてゆくありさまに、
つい見蕩れそうになってしまっていたから――

ひとしきり彼女の血を吸うと、
男はわたしの前で彼女の唇を奪い、彼女に対する並々ならぬ執着を見せつけた。
真面目に育てられた彼女はもちろん処女で、
キスさえも、結納帰りにわたしと交わしたのが初体験だったという。
わたしの妻となった後で彼女から聞いたのだが、
キスを奪われたのはかなり決定的で、わたしの妻でありながらこのひとの奴隷になるしかないと感じてしまったらしい。
吸血鬼に言わせると。
血を吸った相手が非処女のときは、躊躇なくその場で犯すのが習性だという。
そこに夫や婚約者がいてもおかまいなしだというから、ひどい話だ。
そして、彼の言い草では、
彼女がジュースを買って戻って来るのをふたりで待つあいだ、
わたしのほうから「彼女を咬んで身持ちのほどを占ってほしい」と頼んだのだとことになっていた。
キスで済んだのは御の字ださと言いたいのだね?とわたしが問うと、そのとおりだとヌケヌケとこたえたものだ。

彼女は、吸血鬼のしつような腕のなかからなんとか抜け出すと、
芝生のうえに落ちていたジュースを手に取って、
「ジュース飲も。」
と、照れ隠しするようにいった。
その時にはわたしも、昏倒どうぜんの状態からなんとか立ち直っていたので、
「ああ、そうだね。」
と応じ、照れ隠しするように、
「吸血鬼さんも要るかな」
と水を向けた。

彼は忌々しいことに、指に着いた彼女の血を、まだ意地汚くもチビチビと嘗めていた。
彼は、いまさっききみとこのお嬢さんからたっぷりと頂戴したから、ジュースは要らないと応えた。
ジュースが欲しいと言われたら、買いに行くのはわたしだったはず――
吸血鬼を彼女とふたりきりにしてやりたいという奇妙な衝動がわたしの胸の奥を初めてかすめたのは、そのときのことだった。

3人は、だれからともなくその場に腰を下ろした。
彼女はわたしに寄り添うようにして。
吸血鬼はそれとなく察してくれて、すこし離れた場所に座った。
彼女は白い歯をみせて、
「シャツ」とだけ言って、吸血鬼のシャツが血に濡れているのを指摘した。
「あんた方もだ」
吸血鬼は即座に応え、わたしたちのシャツやブラウスのえり首を指さした。
ふたりの上着にはそれぞれ、初めての血がもともと描かれた柄のように、露骨なほどにしぶいていた。

「お二人には感謝している」
と、彼はいった。
今夜じゅうにだれかの血を吸わないと、灰になるところだったと告げてくれた。
きみたちの血は無駄に流れたのではないと言いたいらしい。
「お気づかいありがとう。」
と、わたしは冷ややかにこたえた。
未来の花嫁を目の前で咬まれたのだから、わたしが彼を冷たくあしらうのは当然なのだと思った。
そうすることでふだんのプライドを取り戻そうとする意図を彼女は賢明に読み取って、
「そんな言い方をするものじゃないわ」と、わたしをたしなめた。

「さっきのふしだらを赦してくださるのなら」
と、彼女は言葉を次いで、
「私、貴方と予定どおり結婚する」
といった。

彼女の意見に、わたしにもちろん、否やはなかった。
わたしの考えを表情で察した彼女は、もうひとつつけ加えた。
「この街に住む以上、この人これからも私の血を狙うと思う。
 でも望まれたら私、断り切れない。
 だから、決めとこ。
 生命をとらないでくれるのなら、このひとに交代で献血しよ」
それもわたしには、否やはなかった。
すでに皮膚を侵されたわたしは、体内に注ぎ込まれた淫らな毒液に理性を侵食されてしまいはじめていた。
それは彼女らも同様だった。

吸われる前と変わらない賢明さを失っていなかった彼女は、
「まだ吸い足りないのではないですか」
といい、すこしのあいだならまだお相手できますと彼に告げた。
彼は、彼女の脚から吸いたいと望んだ。
「ストッキング脱ぎますね。」
という彼女の手を押し留めると、そのまま咬みたいと、重ねて望んだ。
彼女はちょっとだけ、わたしのほうを省みたが、すぐに芝生のうえから起き上がり、
十歩ほど離れたところにあるベンチに腰掛けると、
肌色のストッキングを穿いた脚をもじもじとさせながら、どうぞといった。

吸血鬼が彼女の足許にかがみ込んで、ふくらはぎに唇を吸い着けるのを、
まだ失血から回復していないわたしは、みすみす見せつけられてしまう憂き目に遭った。
なにか、彼女の礼節を汚されるのを黙認してしまうような気がした。
事実、そのとおりだったのだが、いまでもわたしはそのとき彼らの行為を黙認したことを、あまり後悔していない。
彼女の穿いていた肌色のストッキングはみるみるうちに咬み剥がれて、健康に輝く脛を外気にさらけ出して
しまった。
それでも彼女は満足げだった。
そしてわたしも、満足していた。
彼女のうら若い生き血がだれかを悦ばすことに、歓びを覚えるようになっていたのだ。

「口づけするなら、いま奪って。」
わたしからすこしの隔たりを置いてふたたび首すじを咬まれながら、彼女は吸血鬼にそう囁いたという。
ふたりはわたしの見えない角度で唇を重ね合わせたが、
そんな気づかいにもかかわらず、二人がなにをしているのか、わたしにも察しがついていた。
わたしは二人のいるベンチにすぐに歩み寄ることを控えて、ふたりがむさぼり合うのを黙認した。
そして、ふたりが交わしあう接吻に満足し切る頃合いに、ごく控えめに、「大丈夫?」と声をかけた。
吸血鬼は彼女のうえから起きあがると、心配をかけてすまないとこたえた。
彼の口許から吸いとったばかりの血が滴って彼女のブラウスを汚しそうになったので、わたしはハンカチで彼の口許を拭ってやった。
「そろそろ行こう」
とわたしが促すと、彼女は素直に随った。
連れだって立ち去ろうとする私達を見て吸血鬼は、
「お似合いのご夫婦だと思う。」
と言ってくれた。

咬み破られたストッキングは彼の手で彼女の脚から抜き取られて、ポケットのなかにさせめられていったが、彼女もわたしも、彼のさもしいやり口を咎めようとはしなかった。
挙式を半年延期して、彼女を処女のまま吸血鬼に逢わせることを極めたのは、その翌日のことだった。

打ち解けた関係になったころ。
わたしは彼に、どこで彼女を見染めたのかと訊いた。
きみたちがこの公園に入ってきたとき道を尋ねたら、ふたりともにこやかに応じてくれたではないか、と、彼はいった。
わたしたちはどちらも、彼に道を尋ねられたことを記憶していなかった。
わざと記憶を消したからね、と、彼はイタズラっぽく片目をつぶった。

さいしょはね、
きみの彼女の装いに目がいったのだよ。
彼はいった。

夏も近いのにストッキングを穿いていたので、礼儀正しいお嬢さんなのだと最初から好印象を抱いたそうだ。
わたしにとって彼女が吸血鬼の目に留まることは、たとえそれが名誉なことであったとしても、迷惑な話だった。
少なくとも最初のうちは。
けれどもわたしたちは徐々に慣れてゆき、彼との距離を知らず知らずのうちに近寄せていった。

さらに親しくなった時、逆に彼に訊かれた。
どうして私の無礼な行為を許してくれたのか?と。
きみが彼女をたんなる欲望のはけ口として扱うのではなくて、紳士的に振る舞うからだ、と、わたしはこたえた。
そのころにはもう、彼女は嫁入り前の身を、彼に完全に捧げ抜いてしまっていた。


逢瀬を重ねる度に、芝生のうえに座る三人の距離感は変わっていった。
わたしにぴったりと寄り添って怯えていたうら若い婚約者は、3人肩を並べて座ることに同意し、
それから手を握ってくる吸血鬼に自分の手を握らせるようになっていた。
じかに素肌を吸って吸血するという行為を通して、彼女は育ちの良さに由来する潔癖な壁を融かされてゆき、
彼に血液を捧げることを悦ぶようになっていた。
わたしは3人ぶんのジュースを買いうために芝生を離れ、その間にふたりは、つかの間の逢瀬を愉しんだ。
ジュースを買うのは、彼らをふたりきりにしてやるためだった。
彼はわたしのいない間に、ストッキングを穿いた彼女の脚を咬んで、
彼女の礼装を辱めながら、思う存分血を吸い取った。
それでも彼女もわたしも、彼の振舞いに紳士らしさを見出していた。

初体験を彼に捧げたいと打ち明けたとき。
わたしはひとつだけ、顔を立てさせてほしいと望んだ。
そして――
わたしの希望として、彼女の純潔をきみにプレゼントしたいと、つぎのデートの時に告げていた。
希望はその場でかなえられた。
いつもの芝生のうえで、
彼は彼女に対して、存分に紳士的に振る舞っていった――

半年遅れで挙式を挙げた彼女とは、仲睦まじく暮らした。
さいしょの一箇月はふたりきりで過ごすが良いと、彼はわたしたちの前から姿を消した。
最初はみつきと言っていたのを、それはどうかしらと告げたのは妻のほうだった。
そしてわたしたちはちょうどひと月過ごした後、あの公園に脚を向けた。

さいしょのデートのときと、同じように。
彼女は悲鳴をあげて逃げ回り。わたしは血を抜かれた身体を横たえながら焦がれ抜いた。
息を弾ませながら口づけを交し合い、よそ行きのワンピースを惹き剥がれ、公園の外気に素肌をさらしながら、
新婚一箇月の身を、夫ならぬ身に抱きすくめられていった。
彼女はとても、満足そうだった。
わたしももちろん、満足だった。