淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
小話 背中を掻く吸血鬼
2020年11月25日(Wed) 07:53:34
吸血鬼に血を吸われ、妻を犯された。
酔い酔いになってしまったわたしのまえで、やつは背中を掻き掻き、妻の細腰を支配していった。
「あのひと、背中を掻くんです」
妻がわたしに苦情を言った。
「犯されるのは仕方がないとして、背中など掻くのは止めて、私に集中してほしい」
というのだ。
わたしは吸血鬼に、妻の苦情を伝えた。
それ以来、彼は妻を夢中にさせ、わたしもそのありさまに夢中になった。
淫姦される家族を主題に、レトロチックに詠んでみた。
2020年11月25日(Wed) 07:38:26
声あげて他のをとこに抱かれ居る わが妻あはれわが妻いとし
ボウタイを手先巧みにほどかれし 胸もと露わに髪振り乱し
パンストを片脚脱がされ貴婦人の 装いもろとも辱められ
お願いよ、主人のまえは堪忍と 泣きむせびつつ息を喘がせ
ご主人も楽しんでるよと冷やかされ 濡れた股間に顔赤らめて
視ないでねお願い視ないで言いつづけ 堕ちゆく妻は腰を振りつつ
六畳間妻も娘も乱れ舞う ポルノ劇場と化するわが家で
妻はスーツ、娘は制服脱がされて 肩を並べて息せき切って
妻は紺、娘は黒のパンストを ひざまでおろし皺くちゃにされ
口づけを受ける作法も似通った 母娘ながらに抱(いだ)かれた夜
妻犯し狂わせたやつはうそぶいた 裸になれば女は牝さ
お二人はお似合いですと言わされた 妻を組み敷く男のまえで
知った顔に夜這いを受ける母と姉 裏切られる歓び識った夜
奪われる歓び胸に燃えさかる 妻のスカート皺くちゃにされ
操より服につく皴気にかけて 妻眉ひそむ荒く抱かれて
身勝手で手荒な抱擁受け止めて ブラウス乱す妻は恥じらう
こと果ててお疲れさまと言いかけて 妻に笑われ三人(みたり)で笑う
どうせなら主人のまえで姦(や)りたいわ 女はどこまでも残酷な生き物
ほんとうは前から彼とデキてたの 笑って告げる妻はしたたか
もういちどお似合いですと言っていた ふたりの仲を聞かされた後
貞操を失くした晩のいきさつを 語る男に妻は恥じらう
愛妻を侵される夫でいなさいと 情夫(いろ)の言うまま頷いてしまった
このごろは派手な下着を身にまとう わたしではなく彼氏のために
肌色を黒にパンスト穿き替えて 娼婦のごとく家を忍び出
腕を張りやめてやめてと叫ぶ妻 むざむざ喰われ不覚に昂り
11月20日構想
あとがき
詠んだ後なぜかあっぷをする気にならなくて一度はあっぷを見送ったのですが、
読み返してみたらまぁまぁいけてるかな・・・と思ったのであっぷしています。
順不同ですが、しいて言えば思いついた順です。
おカネで解決することは、良くないことではあるのだが・・・
2020年11月06日(Fri) 19:35:24
勤務先の事務室で。
達也は由紀也のお尻にガブリ!と食いついた。
「うう・・・っ!」
ひくくうめいて倒れる由紀也に、獣のようにのしかかって、
今度は首すじにガブリ!と食いついた。
息をのんで見守る同僚たちの目も気にせずに。
ぐいぐいと生き血を飲み漁る。
由紀也がぐったりしてしまうと、スラックスをたくし上げ、
お目当ての紺のハイソックスのふくらはぎに、ぬるぬると舌を、唇を、しゃぶりつけてゆく。
「スーツ代です」
招き入れられた由紀也の家で、達也は神妙にとり澄まして、茶封筒を差し出した。
中には5万円入っていた。
「断る!」
由紀也は断固として拒んだ。
「第一、学生のきみがこんな大金を持っているわけがないじゃないか」
「父に事情を話して叱られて、これで許してもらってこい、そうでなければ家にあげないと言われたんです」
達也は正直にそういうと、
「どうもすみませんでした」
ともう一度、神妙に頭を下げる。
由紀也は応える代わり、
「母さん、これ」
と、茶封筒を押しやっていた。
おカネを受け取った ということは。
もういちど、チャンスをもらったようなもの――それが達也の解釈だった。
夏用のスラックス一本に、5万円はかからないだろう。
とすると、5万円分の衣類の毀損を、畑川家は認めたことになる・・・
「それじゃ小父さん、まだ喉が渇いているんで・・・」
夫婦の目が、恐怖に見開いた。
「10万円で、示談にしてもらえませんか」
達也の父親の間島幸雄はそういって、茶封筒を差し出した。
既視感に苛まれながらも、由紀也はいった。
「お断りします。それでは家内に売春をさせるようなものです」
お尻を咬まれたスラックスを台無しにされた見返りに、5万円を受け取ったら。
それ相応のものをまた、奪われた。いや、相応以上に違いない。
ここでこの10万を受け取ったら、妻がどういう目に遭うかわからない――由紀也は実感としてそう思った。
「うちとしても、恥をさらすことですから、表ざたにはしません。達也君も将来のある身ですから――
ですからこれは、どうぞお収め下さい」
鄭重に、鄭重に、懇願していた。
「わかりました。やむをえませんな」
間島はどこまでも慇懃にそういって、もう一度頭を下げた。
「親にここまで頭を下げさせたんだからな」
達也の尻を軽くどやしつけて、頭を押さえつけるようにして、下げさせた。
本人も仕方なげに、お辞儀をする。
どうも、父親のいるところでは、神妙になる子らしい。
ふと気がついたのは、間島父子が辞去した後のこと。
妻の和江がいそいそと、外出の支度をしている。
喪服に網タイツ。それは最近の達也の好みな装いだった。
お金を受け取らなくても受け取っても、妻と達也が切れることはない。
「ねえ由紀也さん」
妻は改まって何かを言うとき、夫の名を口にする。
「やっぱりお金、受け取った方がよくありません?」
「どういうことだね」
追い詰められた獣のような目をしているのが、自分でも分かった。
「やぁだ、怖い顔しないでよ。
べつにお金が欲しいとか、そういうさもしい気持ちで言っているんじゃないの。
決まったお金をいただいて、きちんとけじめをつけたほうが、お互い良いと思いますのよ。
いちど、考えてみて下さらない?」
では私、行きますから――
妻はそう言って、不貞の現場へ出かけていった。
「行きます」が「逝きます」に聞こえた由紀也が、妙な昂奮のひと刻を過ごしたのは、いうまでもない。
「きみがひと月に出せるお金は、いくらくらいかね?」
達也に背中を向けて、由紀也が訊いた。
「小遣いが5千円だから、半分までかな」
「じゃあ、2千円にしようか」
「そうですね、2千円にしよう」
ふたりはにっこと笑った。
妻の貞操、ひと月2千円――
ずいぶん安い売春だと思ったが、
すじを通した和江は満足そうだった。
夫の由紀也も、満足そうだった。
あとがき
春ころに描いていた異常なシリーズですが、どういうわけかすらすらと描けます。(笑)
少年たちの会話。
2020年11月06日(Fri) 18:51:21
「最初に狙ったのは、ユッキーのほうだった」
達也は自慢そうに話し始めた。
ユッキーとは由紀也、つまり保嗣の父親のことだった。
さいきんの達也は、同級生の父親のことを、まるで友達であるかのようにそう呼び捨てにする。
これは、いくら親友でもふつうではあり得ない態度である。
「うんうん」
保嗣は興味津々、聞き入っている。
これもまた、息子としてはあり得なさそうな態度である。
達也は象げ色をした牙をむき出して、由紀也から吸い取った血がまだ滴っているかのように、その牙を舐めた。
「美味しかったの?父さんの血は」
「ああ、とても美味かった。さいきん、血の味を良くするために、タバコをやめたんだね。感心なことだよ」
「健康にもいいことだしね」
「そうそう」
達也の自慢話は続く。
「ユッキーが、奥さんの和江とふたりでいるときに、君ん家(ち)へ行ったんだ」
「それは気がつかなかったな」
父親だけではなく、母親も当然、呼び捨てである。
「和江がお茶の用意をしていて、ユッキーは独りでリビングにいたんだ」
「うんうん」
「それで、小父さん、喉渇いたんで、血をもらうねって迫ったんだ」
「父さん、嫌がったでしょう?」
「通勤のときに履いていく、あのストッキングみたいに薄い靴下が目当てで行ったんだ。
それは彼も心得ているからね。
きみっ!止めたまえっ!!って、注意されたんだ」
「でも、止めなかったんだろう」
「もちろんさ、首すじをガブリとやったら、たちまち目をまわしちゃったんだ」
「うわー、ひどいな」
「ソファからすべり落ちるようにしてじゅうたんの上に横になってくれたんで、
お目当てのあのすべすべした靴下を、舌でたっぷり愉しんだ」
「うんうん」
「よだれでぬらぬらにされるのがわかるらしくって、止めなさい、よしなさいって言ってたけど、
構わず愉しんで、それから脚にも咬みついたんだ」
「父さんの血、美味しかったの?」
「美味しかったさ。きみにわかってもらえないのが残念なくらいだよ。それから、お茶を持ってきた和江を襲った」
「父さんは、逆らわなかったの?」
「もちろんさ、だってそのまえに、ボク、ユッキーのズボンを脱がして、パンツも脱がして、
和江にしようと思ったことをして見せてあげたからね。
ユッキーに黙ってもらうには、あれが一番良いんだ」
達也は由紀也とは、すでに身体の関係を結んでいた。
どちらが入れる側にもなるほどの親密さではあったけれど、
こういうときには達也が自分の持ち物の味を、由紀也に思い知らせる役回りだったのだろう。
「和江はボクの命令で、いつもストッキングを穿いているからね」
「そうだね、毎日穿いているね」
「リビングに入って来るなり抱きついて、首すじをガブリ!とやったら、すぐにお膝を突いちゃった。
せっかくのお茶をぶちまけないようにって、そっちのほうが気になったみたい」
「さすが主婦だね」
「うん、さすが主婦だよ。それで、和江の穿いているストッキングも、隅から隅まで舐めまわした」
「母さん、嫌がったでしょう?」
「ウン、でも夫の前で恥ずかしそうにしているのが、ちょっとかわいかったな」
「父さんはどうしていたの」
「ボクのことを悔しそうに睨んでいたっけ。くすぐったかったなー」
まるで鬼畜な会話である。
けれどもふたりの少年は、どこまでも無邪気な声色で、やり取りをしていた。
「和江のストッキングも、ユッキーの靴下みたいにびりびりと咬み破いてね、
それから和江がボクの女だということを、ユッキーに思い知らせてやった」
「犯したんだね」
「そうさ、和江はボクの奴隷だから、さいしょは抵抗したけど、そのうちどうしようもなくなって、
ボクと腰の動きをひとつにして、愉しみ抜いてしまった。
”家庭が崩壊してしまいます”って言ってたけど、あれどういうことなのかな」
「崩壊どころか、ボクは母さんをきみの女にしてもらえて、良かったと思っているよ」
「ありがとう。きみのお父さんも、じつはそうらしいんだ」
「そうなの?だったら僕も安心だな」
「だって、”きみも一人前になったね”って、感心してくれたんだもの」
きっと悔し気に履いた捨て台詞に違いなかったのだけれど、
少年たちはそうはとらなかった。
そしてきっと――彼らの解釈のほうがじつは、正しいのかもしれなかった。
「そのあとね、なん度もなん度も和江のことを犯したんだ。
ユッキーはさいごまで目を離さないで、ボクたちが愛し合っているのを見ていたんだ。
そして、ボクの気が済むと、”保嗣が戻らないうちに”って、あと片づけまでしてくれたんだ」
「そうだったんだね、僕、ちっとも気がつかなかったよ」
「それに帰り際、”今度来るときは、もっと礼儀正しい子になってから来なさい”って言ってくれたんだ。
ということは、いつでも言って構わないってことだよね?」
「そうだね、やっぱりきみの母さんへの想いを、父さんにきちんと見せてあげるのが礼儀正しいってことなんだろうね」
「ボクもそう思う。また女が欲しくなったら、君ん家に行くからね。
奥さんを姦られてるときのユッキーの顔つき、すごく気に入っているんだ」
「そうなんだね、きみが愉しんでいるところ、こんどは僕も見てみたいな」
保嗣は無邪気にいった。
自分の悪友が父親の目の前で母親を犯しているところを見てみたいと――
両親がじつは息子の悪友の来訪を心待ちにしていることを、彼はどこまで理解していただろうか。
けれども彼自身もまた、母親の痴態を目の当たりにすることを心待ちにしていたのである。