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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

田舎の朝餉

2020年12月23日(Wed) 08:16:56

澄江が朝起きてきたとき、真っ白な顔をしていた。
寝不足らしく、目は充血しきっている。
すこし遅れて寝間から出てきた貴志も、
目を真っ赤にしていた。
向かい合わせに食卓に着いた二人は、
決まり悪げに目線を合わせようともせず、
食卓に載ったごはんやみそ汁や割られていない生卵に、
あてどもなく視線をめぐらしていた。

「ふふぅん」
澄江の母はそんなふたりを見比べつつ、
面白そうに、鼻を鳴らした。
貴志の母はそこまで露骨な態度を取らなかったが、
淡々とお野菜やら干物やらを子どもたちに取り分けてやると、
自らも箸をとった。

夕べ澄江は親父の部屋に連れ込まれて、
明け方までその若いピチピチとした肢体を愉しまれていた。
年端も行かない息子のほうも、親父の部屋に忍んできて、
ふたりは獲物を分け合うけだもののように、澄江の身体にむらがっていった。
田舎の親子に代わる代わる澄江が犯されるのを、
貴志は寝間から起き出して、ふすまを細目にしてみ続け、高ぶり続けていた。

澄江はそんなときでも、制服を着ていた。
濃紺の折り目正しい正装が、唯一彼女の身分を高めてくれるかのように、
規律と品位の証しであるその服装に頼ろうとしたのだろう。
けれども、都会の高校の制服は、鄙びた村に棲むこの親子を熱狂させただけだった。
彼らは澄江が自分たちを昂奮させるために、
わざわざ制服を着てくれたのだと独り合点して、
お返しに彼女を少しでも余計に昂奮させてやろうと、
ありとあらゆる手練手管を用いて、
制服のすき間に手を入れ、
股間やおっぱいをまさぐり、
ストッキングのうえから太ももをなぞり、
ブラウスの襟首を引き締める紐リボンをほどきながら、
首すじを舌でペロペロと舐めていった。

貴志が部屋に引きずり込まれたのは、
もう明け方に近かった。
澄江は制服をほとんど剥ぎ取られてしまっていて、
腰に巻いたスカートと、片脚を脱がされた黒のストッキングだけで身を覆っていた。
親父は貴志を部屋に引きずり込むと、
「このガキ、いちぶしじゅうをすっかり見てやがったな。
 口封じに、お前もやらせてやるからな」
といいつつ、ぼう然とあお向けになっている澄江の上に、
貴志の身体を無理やり重ねていった。
あとは、自然の摂理のおもむくままだった。
相手がだれなのかもわかっていたのか、いなかったのか、
澄江は両腕で貴志を抱きしめて迎え入れ、
貴志は澄江の肩を起こすようにして、うなじを掻き抱いた。

なにをどうすればいいのかは、
いやというほど見せつけられた後だったので、
初体験のわりには戸惑いがなかった。
股間は、とうの昔から勃起していた。
それどころか、すでになん度も激しい射精をくり返していた。
けれども彼の一物は、澄江の股間に触れると、
飽くことも知らず恥知らずに膨張した。
挿入は、拍子抜けするほどするりと入った。
父子がそれだけ澄江を飼いならしてしまった証しのように思えて、
貴志はさらに激しく怒張し、熱く生々しい粘液を、澄江の体内に放射していた。

「もうひと晩、泊っていかないか?」
貴志が澄江にそう切り出したのは、
四人がそろそろ辞去しようかというタイミングだった。
澄江は一瞬目を丸くし、そしてその目を探るように貴志に向けながら、
「タカシくんは・・・それでもいいの・・・?」
と、訊いた。
「ふたりで愉しもう。小父さんやユウくんも交えてさ」
女たちは顔を見合わせ、ほっとしたように笑った。
澄江も笑った。
「いいわよ、いっぱい、嫉妬させてあげる」
ちゃぶ台の下で、澄江の隣に座っていた澄江の母が、
ハンドバックから取り出したものを娘のひざに圧しつけた。
まだ封を切っていない、通学用の黒のストッキングだった。
その数の多さに澄江は思わず「こんなに?」と声をあげ、
女ふたりは楽しげに笑い、
母と婚約者とその母親を寝取られた貴志も、面白そうに笑った。

母たちの里帰り

2020年12月20日(Sun) 21:06:21

◆◆◆
やあ、いらっしゃい。
にこやかに招き入れられたその鄙びた家屋に上がり込むとき、
ふと自分で自分を魔物の餌に与えるような気がした。
母たちや澄江が色とりどりのストッキングのつま先を古びた床板にすべらすときも、
自分からすすんで魔物の餌食になりにいくように思えてならなかった。

にこやかに笑んでいる目の前の中年男が、
脂ぎったいやらしさで母たちのストッキングの足許を盗み見るのがありありとわかったし、
その人なつこい笑みさえもがいやらしい哄笑のように思われてならなかった。
痩せこけた奥さんは無表情で、母親の後ろに隠れてこちらの四人を窺っている少年は、
母親に劣らず痩せこけていて、白目だけがひどく鮮やかに映った。
こんな田舎では、ストッキングなど穿くような婦人は皆無なのか、
少年は自分といちばん齢の近い制服姿の澄江の脚を彩る黒のストッキングを、
物珍しそうに見つめていた。

今夜、ぼくたち一行は、この家に寝泊まりすることになる。
母とぼく、それに澄江と澄江の母の四人で。
古びた家の天井の木目までもがぼくたちをあざ嗤い、
その黒ずんだ木目をぼくたちの血で染めたがっているように見えた。


◆◆◆
今年のお供物は、うちですからね。
母にそう言い渡されたのは、ひと月ほど前のことだった。
“お供物”—―それは父には内緒の母と二人だけの秘密の言葉だった。
母の実家は、吸血鬼の棲む里だった。

あなたには教えるけれど、澄江さんには内緒よ。
そういうことになっているの。
年頃の娘があわててうろたえるところを視たがるんですって。
いけすかない好みだけれど、
母さんも、孝江小母さんも、そうして初体験を済ませてきたのよ。
だからあなたも、きちんと立ち会って。
花嫁の純潔を差し出すのが、お里では最高の礼儀なんだから。

母たちがぼくと澄江を結婚させたがっているのは、なんとなく察しがついた。
澄江は女の子だから、よけいにそういうことに敏感で、
一時はぼくから離れかけたこともあったけれど、
母親に言い聞かされたのか、自分でその気になったのか、
ぼくを避けようとしたのはほんの一時のことに過ぎなかった。
最近ではむしろ、ぼくの視線を意識して、
家に遊びに来るときは、身体の線がぴっちり浮き出る服を着てきたり、
ぼくがひし形もようのハイソックスを好んでいるとどこからか伝え聞くと、
三度に一度はひし形もようのハイソックスを履いて、ぼくを外に連れ出すのだった。

澄江は健康的な肌と大きな瞳の持ち主だった。
すこし太っちょなのが玉に瑕だったけれど、
十人並み以上の器量よしではあったから、
ぼくも知らず知らず、澄江のことを憎からず思うようになっていた。

その澄江が吸血鬼に侵される――
ぼくは憤りでいっぱいになったけれども、
心の奥底のどこかで、それを嬉しがっている自分がいるのに気がついて、
自分のことながらゾッとしてしまった。
自分の好きな子が、未来の花嫁になるかもしれない女の子が襲われるというのに、
ぼくはその事実を知りながら、教えることができない――
そのうえ母は、ぼくのことまで咬ませてしまうつもりらしかった。
この村の血すじには、マゾの血が流れている。
そんな伝説がほんとうのことなのだと、改めて思い知ったのだった。


◆◆◆
だしぬけの出来事だった。
十分気を配っていたつもりだったのに。
出されたお茶に眠り薬が入っているとは思わなかった。
うたたねをしかけたぼくに、「まぁ、疲れたんだね」
と母が言ったのがおぼろげに耳には入った。
それに反応しないぼくに、母があの少年に目配せをするのまで意識にあった。
気づいた時には首すじに激痛が走り、少年の両手でぼくは羽交い絞めにされていた。
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ・・・
現実ではないかのように、ぼくの身体から血を吸い取られてゆく音が鼓膜を刺した。
そのままぼくは眩暈を起こし、畳のうえに倒れ込んでしまった。

つぎに意識がよみがえったのは、澄江の叫び声だった。
あの親父が、澄江を追いかけまわしている。
家じゅうを逃げ回りながらも、あちこちで澄江は、先回りした親父と鉢合わせした。
親父の動きは獣のように素早かったのだ。
制服の重たいスカートを翻し、発育の良いおっぱいをゆすりながら逃げる澄江は、
ステテコ一丁の親父につねに後れを取った。

澄江がぼくの倒れ込んでいる部屋に逃げ込んできた。
あと一歩で、外に逃れることができるはずだった。
ところがそのまえに、あの少年が立ちふさがった。両手を拡げて。
澄江の頬に、怒りの引きつりが走った。
「どいて頂戴!!」
澄江は少年を突きのけようとしたが、逆に腕を掴まれて引き据えられてしまった。
「いいぞ、獲物はそうして捕まえるんだ」
親父は当然、息子の味方だった。
獲物を譲った親父は、息子に指図した。
「脚を咬んでやれ。パンストなんか、破いちまえ!」

少年はつぶらな瞳で澄江をじいっと見つめた。
澄江は少年にどう接してよいのかわからず、おっかなびっくり、
それでも睨みつけるだけの気力はまだ、持ち合わせていた。
少年はそろそろと、澄江に近寄ってゆく。
澄江はじりじりと後退して、部屋の隅に追い詰められた。
薄黒いストッキングに透けた豊かなふくらはぎが、頼りなげに映る。
ぼくはひっくり返ったまま、間近でくり広げられる血の争奪戦をただ視ているよりなかった。
痩せこけた腕が伸ばされて、澄江の足首をつかまえた。
強い力だった。
澄江が振りほどこうとしたけれど、だめだった。
少年はそろそろと澄江に近づいて、足許を舐めるようにして、
黒のストッキングのうえから澄江のふくらはぎに唇を吸いつけた。
「ああああああっ!」
恐怖の混ざった悲鳴があがった。

ものの30分ほどで、澄江は吸血鬼の親子の肉奴隷にされていた。
脚を咬まれてストッキングを剥ぎ落されてゆく澄江の後ろにまわった親父が、
澄江の肩を掴まえて首すじを咬んだ。
ふたりは澄江の生き血を、がつがつとむさぼった。
ぼくはなにもできなかった。
悔しかった。
けれども、ぼくの股間はむざんなくらいに、膨張しきっていた。


◆◆◆
夜になった。
澄江は隣の部屋で、“処刑”されていた。
親父が欲情もあらわに迫っていって、
澄江の叫び声と服の裂ける音が、ひっきりなしに続いた。
庭に面した廊下に、
澄江のブラウスが、シュミーズが、ブラジャーが、ズロースまでもが投げ出され、
叫び声は涙声に変わっていった。
ほら、何しているの、ちゃんと視るんだよ。
しばらく姿を消していた母がいつの間にか戻ってきて、ぼくを促した。
ぼくはおそるおそる、隣室とこちらとを隔てているふすまを細目に開いた。

いまはスカートだけを腰に巻いて、
黒のストッキングを片方脱がされた澄江が、
息せき切った親父に迫られていた。
思った以上に豊かなおっぱいに、
澄江がもう大人なのを発見して、
ぼくは強い昂奮を覚えた。
初めて目にするあらわなおっぱいに、
見慣れた制服のスカートの取り合わせが、
よけいにぼくを昂奮させた。
視てろぉ、ぶち込んでやるからなあ。
鎌首をもたげた親父の股間が、
あんなものが澄江の股間に収まるのかと
心配になるほど逞しかった。
自分の股間を見せつけながら、
布団のように従順に組み敷かれた澄江のうえにのしかかり、
親父の尻が澄江の股間に沈み込むのを、
ぼくははっきりと見届けた。
びゅうッと撥ねた生温かい粘液が、
ぼくの太ももを染めた。


◆◆◆
都会さもどっても、おらたちのこと忘れるでねぇぞ。
親父はにんまりと笑みながら、ぼくたちに話しかけた。
憎めない笑みだと、ぼくは思った。
「また来ますね」
いつも強気な澄江が、ぼくの顔を見ぃ見ぃ、遠慮がちにそういった。
「そうだね、また来よう」
ぼくがそういうと、澄江が、
「視るだけでよかったの?」
といった。
「戻ったら二人で、とっくりと勉強せえ」
親父がいった。
「勉強」という神妙な言い草に、女たちが笑った。
健康な笑いだった。
あのとき姿を消していた母たちも、近所の助平親父どもの昼間からの夜這いを受けて、
母は肌色の、孝江小母さんはねずみ色のストッキングを引きずりおろされて、
なん度もなん度も、ぶち込まれていたのだ。
でもぼくにとっては、澄江がぶち込まれるのを視ただけで、十分すぎるほどだった。

黒のストッキングを脚から引き抜かれ、親父にせしめられた後。
澄江はリュックからひし形もようのハイソックスを取り出した。
ぼくが気絶したふりをしているのを、彼女はとうに気づいていたのだ。
そして少年を手招きすると、「ちょっとだけやらせてあげる」といったのだ。
少年はこちらに背中を向けて、
都会のお姉ちゃんのスカートを恐る恐るはぐりあげると、
すぐに父ちゃんがそうしたように、開かれた股間の奥へと腰をくっつけていった。
ひし形もようのハイソックスを履いた脛がリズミカルに足摺りするのを、
ぼくは目を真っ赤に充血させて見つめていた。
自分でヤるよりも昂奮かもって思った自分が、ちょっぴり情けなかったけれど。
ほんとうに心から、昂奮した。
だれもが“お供物”を嫌がらない理由が、やっとわかった。

来年もぼくたちは、母たちの里帰りにつき合うだろう。
祝言もきっと、この村で挙げるのだろう。
そして、純白のストッキングを穿いた花嫁を輪姦されて、
股間を淫らな粘液のシャワーでぬるぬるにしてしまうのだろう。

年下の少年吸血鬼に、彼女の血を捧げてみた。

2020年12月20日(Sun) 18:23:38

いつも学校に履いていく黒のストッキングの上に、
恵は紫のラインの入った白いハイソックスを重ね履きしていた。
その重ね履きをしたハイソックスを、丁寧にずり降ろし、
少年Aはストッキングに透けるふくらはぎに唇を近寄せる。
ぼくはだまって、恵に対する彼の仕打ちを見守るだけ。
それが、その場に居合わせるための条件になっていたから。

すでにぼくも、Aによって血をたっぷりと抜かれてしまっていた。
体操着の襟首にはどろりとした血潮が付着していて、
脛の半ばまでずり落ちたハイソックスは、
ふくらはぎのあたりをなん度も咬み破られて、やはり真っ赤に染まっている。
痛みはない。
むしろじんじんとした疼きが、心地よいくらいだった。

吸血されることに慣れてしまったぼくが回数を重ねることを、
彼女の恵は心配してくれた。
そしてなん日か経ったある日、恵のほうから言い出したのだ。
「あたしもAくんに、血をあげようかな」
「え?そんなことする必要ないよ」
ぼくはいった。
けれどもぼくは、彼女の言い分を渋々認めざるを得なかった。
「だって、彩輝(あやき)くんが血を吸い尽くされちゃったら嫌だもの」

この街の吸血鬼は、人の生き血を吸い尽くさない。
適度に吸って快感を与え、献血を習慣化させてしまうのだ。
そんなことは彼女も百も承知のはずだったけれど、
彼女を介さない濃密な関係を、
たとえ同性同士であっても女の本能が許せなかったのだろう。

「ぼくの彼女の血を吸うかい?」
おずおずと訊ねるぼくに、Aはこともなげに「ぜひ欲しい」と応えを返してきた。
きみだけだと量が足りないから助かる・・・という本音に、
ほっとしたような、彼女の血をぞんざいに扱われたような、複雑な気分になった。

それが、目のまえの光景にいたるまでの経緯だった。

ぼくはふらふらとする酩酊感を愉しみながら、
同時に彼女を吸血されるほろ苦い苦悶を愉しんでいた。
すでに彼女のふくらはぎには深々と、ぼくの皮膚をも切り裂いた牙が埋め込まれていた。
太くて尖った牙は、圧しつけられた唇に隠れて見えなかったけれど、
その唇は彼女の皮膚にヒルのように貼りついて、
キュウキュウという生々しい音を立てて、十四歳の血潮を吸い取ってゆくのだった。

ひとしきり恵の血を吸い取ると、少年Aは牙を引き抜いてひと息ついた。
「美味い?」と、ぼくが訊くと、
「旨い」と即座にこたえた。
そして、ぼくのほうなど目も合わせようともせずに、
すねの半ばまでくしゃくしゃにずり降ろしたハイソックスを、
こんどは丁寧にひざ小僧の下まで引き伸ばした。
咬み痕に、かすかに紅いシミが滲んだ。
Aはちゅるり、と、舌なめずりをすると、
そのシミを目印にするかのように、もういちど恵のふくらはぎに食いついた。
同じ年恰好の子どもが、トウモロコシにかぶりつくように、無造作に。

恵は思わず脛を引きつらせた。
けれどもAは許さなかった。
彼女の太ももを抑えつけると、なおも縫いつけるようにして、牙を埋めた。
ちゅううう・・・っ
忍びやかな吸血の音に、恵の抵抗が熄(や)んだ。

もう片方の脚にも、同じ“儀式”が執り行われた。
重ね履きをしたハイソックスを丁寧にずり降ろし、
ストッキングに透けるふくらはぎに唇を近寄せる。
吸いつけられた唇の下、淡い墨色のストッキングはぱりぱりと頼りなげに破れ、
その破れを面白がるように、Aはなおも恵の脚に喰らいつく。
ヒルのように吸いつけられた唇のすき間からは、キュウキュウという生々しい吸血の音。
恵はその音が上がるたび、
発育の良い十四歳の身体をくねらせ、悶えさせる。
みるかげもなくなるほどにストッキング破りを愉しんでしまうと、
すねの半ばまでくしゃくしゃにずり降ろしたハイソックスを、
丁寧にひざ小僧の下まで引き伸ばした。
まっしろなハイソックスに赤いシミがかすかに滲むと、
にやりと冷やかな笑みを泛べて、そのシミのうえへと唇を重ねる。
始めは咬まずに、しっかりとしたナイロン生地の舌触りを愉しむように、
なんども舌でいたぶってゆく。
太めのリブがしなやかに流れるハイソックスに唾液が沁みつけられてゆくのを見ていると、
まるでぼくもいっしょに侮辱されているような感覚が、
マゾヒスティックな歓びとなって、
ぼくの胸の奥をどす黒く蝕んでゆく。
やがてかれが我慢できずに咬みつくと、
白いハイソックスに真っ赤なシミが、じわじわ、じわじわと、拡がってゆく・・・
しっかりした性格の恵の理性さえ、侵蝕してしまうのが。
ハイソックスに拡がるシミの妖しさが、そう告げていた。

帰る道々、ぼくは恵の足許が気になってしょうがなかった。
だって彼女は、ハイソックスの重ね履きをそのまま続けていたから。
真っ白なハイソックスは、紫のラインを塗り込めるように、赤黒いシミで汚れていた。
汚された彼女を伴って歩くぼくのことを、
すれ違う街の人たちは、なにが起きたのかを察しているらしい。
からかわれているような気がする。
同情されているような気がする。
いけない男子ねぇ、と、咎められているような気がする。
いすかない男の子だねぇ、と、薄笑いされているような気がする。
じつはぼくも経験あるんだよ、という顔をして通り過ぎていく人がいる。
まるで宙を歩いているような、おぼつかない足取りになっていた。
初めて恵と2人きりで歩いた時と、同じような気分だった。

ぼくはいった。
「今度から、レッグウォーマー持って来いよ」
「レッグウォーマーは関心ないんだよね」
恵は屈託無げにこたえた。
張りのある声色に、喪われた血の量が深刻なものではないことを知り、
ぼくはちょっとだけ、安堵した。
「でもいいよ、あたしも血の着いたハイソックス履いて、アヤくんと歩く」
気がついたら、ぼくの足許も、吸い取られた血潮に濡れたままだった。