淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・
「一家全滅」。
2021年01月31日(Sun) 10:27:18
うぅっ・・・!
木島孝一は吸血鬼に後ろから羽交い絞めにされて、首すじを咬まれた。
ああッ!!
孝一の妻幸枝も、べつの吸血鬼に抱きつかれて、首すじを咬まれた。
ちゅーっ。
夫婦の血は競い合うように、飢えた唇によって吸い取られていった。
やがて夫が、つづいて妻が、
じゅうたんのうえにひざを突き、
四つん這いになって、
とうとう力尽きてうつ伏せになった。
吸血の音は、しばらく絶えることが無かった。
ふたりが静かになると、吸血鬼は顔をあげて、
互いの相棒の血塗られた頬を認めて、笑みを交わした。
その笑んだ口許も、吸い取ったばかりの血潮で、生暖かく濡れていた。
ふたりは目くばせし合うと、足音を忍ばせて階段を上っていった。
階上では、兄妹の勉強部屋が、隣り合わせになっていた。
やがて半びらきになったふすま越し、
「うっ!」「キャッ!」と相次いで小さな叫び声が洩れ、
やがて静かになって、
キュウキュウという吸血の音だけが夜のしじまを支配した。
ひとりの吸血鬼の胃の腑は父親と娘の、
もうひとりの胃の腑は母親と息子の生き血で、
たっぷりと充たされていった。
「これは明らかに、吸血鬼の仕業ですな」
吸血探偵と呼ばれるその男は、ことさらしかめ面をつくりながら、
小さくなってかしこまっている駐在と第一発見者である隣家の夫婦のまえ、
重々しく断定した。
彼らの足許には、血を吸い取られて絶息した四人が、
手足をまがまがしく折り曲げたまま横たわっている。
「もはや手遅れでしょうか?」
「いいや、たまたまなのだが、血をたっぷりと蓄えている吸血鬼に心当たりがある。彼らから血を分けてもらうとしよう」
入んなさい、と、探偵が目配せすると、外からふたりの男が神妙な顔つきで入ってきた。
「これから”血戻しの儀”を執り行います。
目にすることは禁じられているので、皆、出ましょう」
探偵に促されて、第一発見者も、駐在までも吸血鬼のまえ亡骸を置き去りにして家を出た。
翌日――
「行ってきまぁす」
ふた色の若い声が、その家の玄関にこだました。
見送る両親のうち、父親のほうはすでに出勤の準備を整えて、背広姿である。
母親もまた、出かける予定でもあるのか、
PTAにでも出席するかのようなこざっぱりとしたスーツ姿である。
家族はほんの一瞬の暗黒を通り抜けた末、以前の日常が戻っていた。
「じゃあ、行ってくるからね。戸締りに気をつけて――」
孝一がそういって家を出ると、幸枝は言われた通り、中からしっかりと鍵を閉め、ドアチェーンを入念におろした。
「ご主人はご出勤か。ご苦労なことだ」
幸枝の背後から、声がした。
声の主はもう一人の相棒を伴っていた。
男たちが、自分たちに血を戻してくれた命の恩人であるとともに、
その前の晩、家族全員の血を漁り尽くした獣どもであることを、
すでにだれもが心得ている。
幸枝は哀れみを請うように媚びるようなほほ笑みを泛べた。
男ふたりが幸枝を挟み込むように前後に立ちはだかり、
背後の一人は幸枝の両肩を羽交い絞めにし、
もう一人は彼女のブラウスをむぞうさに引き裂いた。
黒のスリップ越し、豊かな胸のはざまが、物欲しげな男どもの目を惹きつけた。
はぁ、はぁ、・・・
ふぅ、ふぅ、・・・
切羽詰まった三十代主婦の息遣いが、狭いリビングに満ちていた。
スリップ越し、ストッキング越しにさんざん吸血をされた幸枝は、
スカートだけを腰に巻き、ストッキングを片方脱がされて、
四つん這いの屈従的な格好を強いられたまま、
二匹の獣の代わる代わるの吶喊を受け容れつづけていた。
いつか男どもの快感は女にも伝わり、
いまでは男女が一体となって、その行為を愉しみはじめていた。
「だんなに隠れての不貞は、楽しかろう」
「は、はい」
「だんなも文句を言えんから、余計に安心して楽しめるだろう」
「は、はい、とっても」
「娘の処女はワシがもらった」
「え、ええよろこんで・・・」
「息子の嫁の処女は、オラのもんだ」
「も、もちろんですとも・・・」
不貞を重ねた挙句、禁断の言葉まで口にさせられて、
服従の愉悦を身体の芯まで覚え込まされた幸枝は、じーんと身体を火照らせてゆく。
その陰には、観客までもがいた。
出勤したはずの孝一だった。
傍らには探偵が、付き添っていた。
妻を抱かれるところを視て逆上した夫が暴れ出さないようにするためである。
だが、木島家にかぎって、その気遣いは要らなそうだった。
木島の股間に手を触れると、ぱんぱんに勃起した一物で、ズボンがパンクしそうになっていた。
「どうですか、こたえられないでしょう・・・?」
「あ、ああ」
「はっきりご返事を聞かせてほしいですな」
「唐突な訪問でしたが、感謝しています」
「そうでしょうそうでしょう。奥さんを犯されて、嬉しいですか?」
「エエ、とても嬉しいです」
「あんたの気持ちはよくわかりますよ」
探偵はほくそ笑んで、そういった。
吸血鬼の奴隷に堕ちたこの家庭が崩壊するのも、時間の問題だろう。
しかしそれは、当事者にとって、幸せな崩壊であるはずだった。
なにしろ、探偵は自身の経験で知っていた。
彼もまた、吸血鬼に夫婦ながら襲われ、妻を犯された経験を持っていたからである。
勝利に酔っている目の前の吸血鬼どもが、一家を征服した後探偵の家の玄関を叩き、
夫のまえでの輪姦の愉悦に浸ったことを、探偵はさすがに口にしようとはしなかった。
お友だちを紹介。
2021年01月31日(Sun) 10:16:50
今度、あたしのお友だちを連れてきてあげる。
澄江はにこりともせずに、親父と少年にそういった。
折り目正しい制服姿をこのピラニアどもに投げ与えることに目を輝かせるような、
澄江はそんな少女になりつつあった。
かつて彼女の母親が、婚約者の貴志の母親を引きずり込んだときのように。
ひざから下は、真っ白なハイソックス。
腰には制服の濃紺のプリーツスカートを巻きつけていたが、
上半身は全裸。
あられもなくむき出しにした胸は
健康な小麦色に覆われて、
薄闇のなかでも豊かな輪郭をきわだたせている。
きょうは、このごろ必ずといっていいほど同行している貴志の姿はない。
彼氏には黙って、吸血癖を持ったこの獣のような親子に抱かれるために、一人でこの村に来たのだ。
婚約者の澄江を男たちに抱かせて昂る貴志に黙ってやって来るときだけが不貞なのだと、
澄江は勝手に解釈している。
「あたしって、悪魔ね」
澄江がいった。
「俺たちから見たら、天使だけどな」
親父がいった。いつになく静かな声色だった。
澄江はびっくりして、親父を見つめた。
「どうして??」
「考えてもみろよ、
お前は、血が欲しくて喉をカラカラにしていた俺たちために、
若い女の血を惜しげもなく気前よく振る舞ってくれた。
おまけに友達まで紹介してくれるという。
こんなありがたい娘がそうそうそのあたりに転がっているものか」
言われてみれば一理あると、澄江はおもった。
いまでこそ獣欲のかたまりのような親父だが、もとは気が優しい知的な紳士だったに違いない。
彼もかつて、自分の血を吸った吸血鬼に若い女の血をあてがうために、
自分の妻を引き合わせたという。
いま彼の妻はその吸血鬼の妾になって、
たまに息子に逢いに戻ってくるほかは、情夫の囲われものになっているという。
「おまけに、嫁入り前の身体で、こんなことまでしてくれるんだからな」
男は太ももをこすり合わせながらもう一度、女の股間を求めた。
筋肉とは思えないほど固く怒張した一物が、
ふっくらと柔らかな股間にもぐり込んで、さらに奥へと突き入れられてくる。
澄江は男の動きに応じて腰を動かしながら、
「これはあたしも・・・楽しいから」
口ごもりながらも、そういった。
婚約者に対する罪悪感は、とうの昔に消えていた。
貴志が変態で、自分が男どもに姦されるのを視て昂奮する男であったことは、
いったんは澄江を落胆させ、シラケさせたけれど、
いまではちがった。
変態的な性欲のとりことなって彼女の裸体に目を輝かせる貴志のまえ、
おっぱいをぷるぷる震わせながら彼氏に痴態を見せつけることが、
たまらない快感になっていた。
彼女をそんな女にしたのは、
太股の奥に食い込んでくる硬い肉棒のほかに、
素肌に射し込まれてくる魔性の牙なのだということを、
澄江ははっきり自覚していた。
澄江は彼らの欲情するままに若い血を与え、下品に啜り採らせてやっていた。
制服姿に欲情されるのにも、良くも悪くも慣れっこになっていた。
学校のみんなを裏切るような後ろめたさを覚えながらも、
彼女はあえて求められるまま、自校の制服を着て村に通うようになっていた。
高価なブレザーやスカートを汚さないように、彼らの牙は澄江の足許に向けられた。
彼らに破かれ楽しまれるために、
澄江は黒のストッキングや、今夜のような真っ白なハイソックスを脚に通して村に通うのだった。
学生らしい清楚な靴下を辱しめることに彼らは熱中し、
澄江も彼らを昂奮させることに夢中になっていた。
澄江がクラスメイトの純野郁美を村に連れてきたのは、それから1週間後の週末だった。
週末にはね、乙女が終末を迎えるの。
それが最近の澄江の口癖だった。
郁美には彼氏がいたが、まだ未経験だった。
その置かれた立場が、吸血鬼の父子を熱狂させた。
彼氏に追いつけ追い越せというのである。
郁美の彼氏である加井野比呂志は、こっそりと澄江に招ばれていた。
郁美のいいとこ、見せてあげる。
けど、手出ししたらだめよ。
彼女の親友の囁きに、比呂志は自分でも不思議なくらい素直に頷いていた。
比呂志はスポーツマンだった。
「部活のユニフォームで来て。ラインの入ったハイソックスも忘れずにね」
たまたま村の近くで行われた遠征試合の帰り、彼は仲間と別行動で、村へとやって来た。
古ぼけた家々が、都会育ちの彼には新鮮で、なん度もあたりを見回しながら、教わった家へとあがりこんだ。
「だれも出迎えたりしないから。家に入ったら居間から奥の部屋を覗いてみて。
でも、なにがあっても、部屋に入って来たらダメよ」
澄江の指示のまま、比呂志はまるで泥棒にでも入ったみたいな気分になぜか昂りを覚えながら、
いわれた通り奥の部屋を覗き込んだ。
あっ・・・と思った。
奥の部屋には制服姿の郁美と澄江が佇んでいた。
こちら側にいる澄江は、彼の息遣いが届きそうなすぐそばにいるのに、こちらには気づかないらしい。
ふたりはお互い羞ずかしそうに目線を交し合いながら、
這い寄ってくる鄙びた親父と子供のまえに、
黒のストッキングに包まれたふくらはぎを、彼らの物欲しげな視線のまえにさらしている。
向こう側の澄江は、自分の弟くらいの年恰好の少年に。
こちら側の郁美は、自分の祖父と変わらない年恰好の親父に。
もはや後じさりできないほど追い詰められた壁ぎわに立ちすくみ、
つま先立ちするほど緊張しながらも、彼らの意図を遮れずにいた。
二個の獣は各々の獲物の足許にすり寄って、
ちゅうっ・・・
と、その脛やふくらはぎに、よだれの浮いた唇をなすりつけていった。
少女たちの足許を包む黒のストッキングはいびつによじれ、波打ってゆく。
やがて獣たちの口許から尖った牙がむき出された。
黄ばんだ、不潔そうな牙だと、比呂志はおもった。
その牙たちが、澄江の柔らかそうな豊かなふくらはぎと、郁美のすらりとした脚に、食いついていった。
ぱりぱりとかすかな音をたてて、薄地のナイロン生地が破け、裂け目を拡げてゆく。
あ、うっ・・・
さいしょに郁美が、つづいて澄江が、目を瞑ったままその場に倒れ臥した。
い、郁美・・・っ!
思わず叫びそうになった比呂志は、一瞬、「部屋に入って来たらダメ」という澄江の戒めを思い出した。
けれども、そうはしていられなかった。
郁美が年かさの親父の不埒極まる欲情にまみれるなど、彼のプライドが許さなかった。
ふすまに手をかけた瞬間、彼の足許に刺すような痛みが走った。
見おろした足許に、少年がひとり、ハイソックスのうえから彼のふくらはぎにかぶりついている。
見ると、いま澄江の黒ストッキングの脚をいたぶっているはずのやつと、同じ少年だった。
ちゅうっ・・・
比呂志の足許からも、ふたりの少女たちの足許から洩れたのと同じ音があがった。
ひとをこばかにしたような、わざとらしいほどあからさまな音だった。
クラッとするような貧血が、比呂志を襲った。
「お兄ちゃんの血、美味しいね」
少年はそういうと、ニッと笑った。
口許からは、吸い取ったばかりの血を滴らせている。
そして臆面もなくもういちど、ハイソックスのうえから唇を吸いつけて、血を吸った。
こ、こいつッ!
憤激した比呂志は手にしていた鞄を少年の頭上に振り下ろそうとした。
けれども、急速に血液を喪失した彼の手から鞄は力なく離れ、少年の傍らにぱたりと落ちた。
いつの間にか比呂志は、年端もいかない少年に組み敷かれていた。
思いのほか、つよい力だった。
「だってボク、血が欲しいんだもん」
比呂志の心のなかの疑問をどうやって読み取ったのか、少年はそういうと、
兄ほどの年恰好の比呂志を組み敷いたまま、唇を首すじへと近寄せてゆく。
比呂志は腕を突っ張って幼い吸血鬼との隔たりを作ろうとしたが、むだだった。
少年の頬に散った血のりが、ぐーっと迫ってきた。
スポーツに鍛えられた活きの良い血が、キュウキュウと勢いよく吸い取られていった。
比呂志はぼうぜんとなっていた。
隣室に繰り広げられているのは、精巧な動画だった。
動画のなかに映し出された部屋のなか、
郁美はブラウスを剥ぎ取られ、ブラジャーをむしり取られ、
おさげに結った長い黒髪を振り乱しながら泣きじゃくっている。
親父は容赦なく郁美に平手打ちを食らわせると、
「えへへへへへっ。都会のお嬢さんよ、あんたはわしの、きょうの獲物ぢゃ」
と宣告すると、
嫌がる郁美の片脚からストッキングを抜き取り、ショーツを引き脱がせ、
目の前でショーツを引き裂いた。
郁美は自分のショーツが引き裂かれるのを目を背けて受け止め、
いつの間にか親父の怒張した一物をしっかりと握らされてしまっていた。
「うへへ、こいつをお見舞いしてやるんだ、その前にたっぷり可愛がってもらわんとな」
親父は怒張した一物を少女の頬にあてがい、唇をなぞり、口に含ませる。
一物に歯を当てる意地は、もはや少女には残されていなかった。
それどころか、自分のほうから大胆に、親父の一物を根元まで呑み込むと、
喉に当たるほどの怒張を舌で舐め味わうのだった。
い、郁美・・・っ!?
比呂志はことの成り行きの意外さに驚きつつも、画面から目を離せなくなっていた。
結末はおおよそ理解しながらも、受け容れられない気分だった。
けれどもいまや郁美は、男のなすがまま、
比呂志がおおよそ理解した結末をなぞるように、親父の汚辱まみれの好意に、こたえはじめてしまっている。
なによりも意外なのは、比呂志じしんの一物が鎌首をもたげ、抗いがたい昂りのまま怒張をはじめていることだった。
親父は郁美の頭を掴まえると、口の中の一物を引き抜いた。
そして、ふらふらと姿勢を崩す郁美の上に馬乗りになると、
傍らに控えていた澄江に「手伝え」と命じた。
澄江は二ッと笑って親父に応え、手早く郁美の両腕をつかまえ、畳のうえに抑えつけた。
「あ、あいつ、なんてことを・・・」
それでも親友なのか?と激しく疑問をぶつける比呂志のなかで、
澄江の純潔がとうに喪われていることは、まだ想像の埒外だった。
うふふふ・・・ふふふ・・・
親父は下卑た笑い声を口に含ませながら、郁美の細い首すじに、咬むように唇を吸いつけた。
今度は吸血ではないのだと、比呂志にもわかった。
純粋に、郁美のきめ細かい素肌を愉しんでいる。
親父は裸体となった上半身を意地汚く撫でさすり、唇では胸や首すじを賞玩し、
郁美の嫁入り前の身体を愉しみ始めたのだ。
それは、比呂志のみが権利を持つはずの行為だった。
郁美が比呂志に許したのは、キスと、制服越しに胸を触れるところまでだった。
親父は腰を巧みにすり合わせながら、郁美が唯一きちんと身に着けている制服のプリーツスカートをたくし上げてゆく。
折り目正しいプリーツがふしだらにくしゃくしゃにされるのを、比呂志は息をのんで見守った。
「・・・っ」
親父が無言の気合を籠めて、郁美の柔らかな秘部を突き刺した。
「あうっ・・・」
郁美が痛そうに顔をしかめ、身を仰け反らせる。
悔し気に唇を噛みしめ、目をしっかりと瞑っていた。
吶喊は、なん度にもわたった。
郁美の純潔は、”処刑”されたのだ・・・
敗北感と無力感とに浸されながら、比呂志は目じりに涙をため、
それでも恋人の処女喪失の現場から目を離せないでいた。
あろうことか、比呂志の怒張は限界に達し、
その場にびゅびゅ・・っと、熱液をぶちまけてしまっていた。
痛みに耐えかねて食いしばった歯が唇のすき間から覗くのを。
もうやめてといわんばかりに激しく振られたかぶりの動きに合わせおさげの黒髪がのたうつのを。
静脈の透けたおっぱいが、本人の意図を裏切ってピンク色に昂るのを。
比呂志はいつか、目で愉しんでしまっていた。
「こんどは、比呂志くんのまえでお願いします」
郁美が礼儀正しく三つ指ついて、親父にいった。
自分を汚した男を視るまなざしは、もはや尖ったものではなくて、むしろイタズラっぽく輝いていた。
さ、こんどはあなたの番よ・・・と、促されて。比呂志もいった。
「郁美の処女を味わってくれて、ありがとうございます」
少年がいった。「お兄ちゃん、男らしいね」
親父がいった。「わしもそう思う」
帰りぎわ。
郁美と親父とを首尾よく結びつけた澄江は、
手を振って見送る少年を振り返り、Vサインを送った。
吸い取られてゆく少年の生き血。
2021年01月30日(Sat) 19:25:06
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
あっっ・・・!血を吸われてるッ!!
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
やっ、やめろ・・・ッ!
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
だ、誰かッ!助けてっ!
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
・・・・・・。
あァ、旨かった。
(貴志、わずかに顔をあげる)
まだ息があるようだな。
(貴志の頭を掴まえ再び首すじに食いつく)
助けてっ!生命だけは・・・っ・・・
もう少し楽しませろ。
大人しくすれば生命だけは助けてやる。
(こんどはハイソックスの上から脚を咬む)
あ・・・う・・・っ・・・
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
ちゅうっ、ちゅうっ、ちゅうっ、
どうだ、心地よいだろう?
え・・・ァ・・・ハイ・・・
もっと吸わせろ
ハ、ハイ、どうぞ・・・
ちゅうっ、・・・ちゅうっ、・・・
ゆっくり吸うんですね。
愉しんで吸っておるからな。
ハイソックスがお好きなんですか?
ああ、男女の分け隔てなく、愉しんでおる。
わかりました・・・お好きにどうぞ。
厚意に甘えるぞ。
(貴志の履いているハイソックスをべろでなぞり、波立ててゆく)
助けてくれるって約束してくれますよね?
どうしてそんなことを訊く?
ぼく・・・貴男にもっとぼくの血を愉しんでもらいたいから、そう言っているんです。
注:貴志が生還し得たのは、前話のとおり。