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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

兄嫁を同伴して、乱交の宴に参加する。

2023年01月30日(Mon) 07:49:56

先生となれ初めてだいぶ経った頃。
兄が結婚しました。
お相手は、大学で知り合った都会育ちのお嬢さんです。
兄は24,義姉になる菜々恵さんも同い年でした。
僕の家では、「宴」に参加するのはもっぱら、僕の役目になっていました。
父にも兄にも、参加資格はありません。
特に父は、母の愛人が自宅に入り浸っているのに、母を寝取ったその男性と機嫌よく、酒を酌み交わしたりする人でした。
兄も、そうしたこの地域から離れたくて、いちどは家を出た人でした。
けれどもこの不景気のご時世ですから――父のあとを継ぐことになって、実家に戻ってきたのです。
もうこうなると、せっかくもらったお嫁さんは、ぼくの好餌 と言うことになります。
兄もそれを承知で、家に戻ってきたのです。

思春期のころから、母は父公認の愛人を家に囲っていました。
でもその母も、さいしょは気丈に抵抗したそうなのです。
そのありさまを密かに垣間見てしまったのが、兄だったのです。
着物をはだけながら、ふだんチラとも見せない肌身を露わにして犯されていった情景が、兄の脳裏に灼きついたのも、無理はありません。
それは兄にとって、大きなトラウマになってしまったのです。
自分の愛する女性がほかの男に蹂躙され、歓びを感じて屈従していってしまう――いつかそんな光景を自分のこととして再現しないか――兄はそんな夢想に取りつかれてしまったようでした。

「宴」の時期がめぐってきました。
結婚を控えていながら僕に処女を捧げた広野先生は、当時お婿さんと生活を始めたばかりでした。
そんなとき、兄は、「菜々恵を連れて行ってくれ」と、僕に頼み込んできたのです。
すべて言い含められていららしく、菜々恵さんは兄の後ろに黙って控えていて、羞じらうように俯いていました。
ふたりの間にまだ子供はいませんでした。
「跡継ぎの嫁をこういうことに出すのはねぇ」と、さすがの母も逡巡している様子でした。
兄は僕に言いました。
「菜々恵のことはお前に任せる。できればお前の手で、菜々恵をこの土地の女にしてやって欲しい。
 でもどうか、俺から菜々恵を奪わないで欲しい。身勝手なお願いだとは思うが、菜々恵がお前に愛されても、俺の妻のままでいて欲しいのだ」
兄の気持ちは、よくわかりました。
それに、菜々恵さんを兄嫁のまま抱き続けるという兄の提案に、そそられるものを感じました。
僕自身、菜々恵さんに惹かれていたのです。
菜々恵さんは都会のお嬢さんらしい派手さはなく、むしろ楚々としていて控えめな若妻でした。
僕の手で、兄嫁である菜々恵さんを開花させる。
なんとありがたい申し出でしょうか。
生まれてこのかた、これほど兄に感謝したことはありません。
ぼくはただ一つだけ、条件を出しました。
「菜々恵姉さんのことだけど――これからは”菜々恵”って呼び捨てにしての構わないかな」
二人は一瞬顔を見合わせ、まず菜々恵さんがちょっとだけ頷いて、それを追認するように、兄も頷き返しました。
こうして、菜々恵さん――いや菜々恵は、僕の奴隷となることが決まったのです。

「宴」の場では、相手があらかじめ決まっています。
自分が連れてきた相手をそのまま「宴」の相手にするというのは、異例でしたが。
今回はぜひそうさせてほしい――と、自分の意見を通したのです。
僕は菜々恵を、自分のものにしたかったのです。

めくるめく乱交の渦のなか。
兄からプレゼントされたスーツに身を固めた菜々恵は、僕の腕の中にいました。
ひざ丈のフレアスカートはむざんに跳ね上がり、太ももを露出させていて。
きちんと脚に通していた白のパンティストッキングは、片脚だけがかろうじて、ひざ下に弛んだまま残っていました。
白のパンストは、僕が兄のまえで、菜々恵に望んだいで立ちでした。
きょうから菜々恵は、僕の花嫁だ。
兄さんがなんと言おうと、彼女はきょう、二度目の結婚式を挙げる。
菜々恵にも、僕の気持ちは伝わっているようでした。
「家に帰ったら、兄さんのまえできみを犯すからね」
そんないけないささやきに、菜々恵は目を瞑ったまま、小さく、しかししっかりと、肯き返してくれたのでした。

担任の先生を同伴して、乱交の宴に参加する。

2023年01月30日(Mon) 07:27:14

僕が初めて街の秘宴に参加したのは、16歳のときした。
初体験は一年前のことで、相手は学校の担任の先生で、当時26歳でした。
広野令子という人でした。
同級生の間で、乱交の宴の練習と称するけしからぬ会をもった友人もいましたが、
たしかに僕は、どちらかというと少し年上の女性に関心があったように思います。
母には愛人がいて、その愛人さんは父におかまいなく我が家に入り浸りになっているありさまでしたし、
女きょうだいもいなかったので、初体験の相手に事欠いている――と耳にしたらしく、
ある日突然、「先生が相手をしてあげる」と、ぽつりと言ってくれたのです。
広野先生は都会育ちの人で、街の風習に染まっていなかったそうです。
それどころか、親の決めた縁談がすでに整っていて、翌年春に結婚を控えている――とまでいうのです。
「ほんとうにエエんですか?」
うちの母がさすがに先生を気遣ったのも、無理はありません。
けれども先生はなぜかキッパリと、「はい、春田くんに私の初めてを挙げようと思います」と言ってくれたのです。
「私の初めて」――そう、先生は処女でした。

処女と童貞では大変だろうということで、介添えがつきました。
介添えの役は、母が引き受けてくれました。
「きょうは先生じゃなくて、広野令子という一人の女として喘原くんに接します。よろしくお願いします」
広野先生はそういうと、いつも学校に着てくるこげ茶色のスーツのまま、我が家の畳のうえであお向けになりました。
先生は、パンストを穿いたままでした。こげ茶色のパンストでした。
脱がしても良いし、着たままでもかまわない――と、先生は言ってくれました。
僕は、ドキドキしながら先生の脛に触れていって――思わずパンストを引き破ってしまいました。
先生は一瞬、息をのんだようで、少しうろたえていました。
それが、僕の嗜虐心に、火を点けたのです。
母は、あお向けになった広野先生の両肩を抑えつけて、「もっと右」とか、「もっと強く」とか、僕を促しました。
さいしょのうちは、なかなかつながることができなかったのですが、
いちど入り込んでしまうと、先生は「ウッ」と小さく呻いて、それっきりシンとなってしまいました。
ひどく、あっけなかったのを覚えています。
母はふたりがつながるのを見届けると出て行ってしまい、父がいるにもかかわらず、そのまま愛人の部屋に籠ってしまいました。
でも、そのときの僕にとって、母の行方などどうでも良いことだったのです。
急いてきた呼吸を乱れ合わせて、先生と僕は、なんどもまぐわいました。
さいしょは「きつい」だけだったのが、快感になっていくのに、さほど時間はかかりませんでした。
昼過ぎから始まったのに、先生がうちを辞去したのは、もう暗くなってからのことでした。
母に促されて、僕は先生をアパートまで送っていき、そのまま泊り込んでしまったのです。
ちょうどその夜――虫が知らせたんでしょうね――先生のお婿さんになる人から、電話がかかってきました。
息をひそめている僕を傍らに、先生はいつもと変わらぬひっそりとした語り口で、
「きょうは職員会議が長引いたから帰りが遅くなった」
と言い訳をしていました。
人妻は浮気をしたときもきっと、こんなふうに虫も殺さぬ顔をして言い訳をするのだろうと思うと、
少し気分が複雑でした。
先生のお婿さんに、少しばかり同情の気持ちもわいていました。

初めて乱交の宴に出席した時にも、先生を同伴しました。
当時の僕にとっては、唯一肌を重ね合わせた異性であり、当然たいせつな人だったからです。
そのときの僕の相手は、従姉の春江さんでした。
春江さんは、隣町に嫁に行ったばかりなのに、
乱交の宴に参加するために、お婿さんに黙ってわざわざ里帰りしてきたのです。
「洋太くん(僕のこと)がすごいらしい」と、先生に聞かされて、いちど体験してみよう――と思ったそうです。

結婚を控えているのに教え子の僕を相手に処女を捨てた、広野先生。
新婚数か月の身でありながらわざわざ里帰りをして、乱交の場で操を汚した春江姉さん。
女の人のなかには、不可解な理由でわが身を男にゆだねてしまう人がいるようです。
もしかすると――堅苦しい日常、不慣れな日常で鬱積したものを、日常を引き裂いてしまうことで、忘れようとしているのかもしれません。

広野先生との交際は、先生の結婚まで続きました。
ところが先生が僕を相手に処女を捨てたことがお婿さんにバレてしまい、すぐに不縁になってしまったのです。
街に戻ってきた先生とは、僕との結婚も取りざたされたそうです。
でも先生は、「齢が違いすぎるのに、春田くんの将来を無にしたくない」と、頑としてその勧めに応じなかったそうです。
先生の不安定な立場は、半年くらいして解消しました。
お婿さんが考え直して、先生との復縁を希望したのです。
その半年のあいだ――ぼくは先生と始終逢っていました。
同じ学校にいるわけですから、教室だろうが、体育館だろうが、逢瀬の場には事欠きません。
先生もこのころには、セックスに慣れてきて、僕を十分すぎるほど、楽しませてくれたのです。
先生は、乱交の宴にも積極的に参加していました。
同伴するのは僕でしたが、主に年配の独り者の相手をしていました。
「お相手がいないのはお気の毒だから」というのが、先生の口癖でした。
そんな中での復縁でしたから、お婿さんはいろんなものを呑み込まなければなりませんでした。
処女を捧げた相手である、僕との関係。
年配者に対する性的奉仕の場となっている、「宴」との関係。
けれどもお婿さんは、そのすべてを受け容れることにしたようです。
「時々遊びにお出で」
今ではすっかり親しくなったお婿さんはそういって、同じ屋根の下、ふすまの向こうで、僕が先生を押し倒すのを、視て視ぬふりをしてくれるのでした。

母を同伴して、乱交の宴に参加する。

2023年01月30日(Mon) 06:58:08

月に一度、ぼくの町内では、秘密の集いが開かれます。
男性は必ず女性一名を同伴することが義務付けられます。
その女性は、自分にとって大切な女性であることも義務付けられます。
そして行われることは――そう、ご想像のとおりです。

ぼくの初体験の相手は、母でした。
とある法事の帰り道、黒のストッキングに包まれた母の脚が妙に気になって、
すぐに仕事に出かけて行った父と別れて帰宅したまでは良かったのですが、
母が喪服を脱ぐのを、手伝ってしまったのです。
内実は、力づくで襲ってしまった というわけです。
「なんということをするのよ!あなたって子は!?」
と叱られはしたものの、一度肌を合わせてしまった者同士は、どうしても今までのままではいられなくなります。
母はそれ以来、毎日のようにぼくの好みに合わせて黒のストッキングを穿くようになり、
パンスト破りにハマってしまった愚かな息子のために、そのたびにストッキングを惜しげもなく、破らせてくれたんです。
ぼくたちのあいだは、すぐに街のうわさになりました。
そして、父の耳にも入りました。
けれども父は寛大にも――お前も大人になったんだなと、母を抱くことを認めてくれました。
幼馴染の悪友三人を家に招んで、代わる代わる母を抱いたこともあります。
「あんたも困った子だねぇ」と苦笑いしながらも、母はよそ行きのスーツのまま、ぼくたちの精液にまみれてくれたのでした。

そんな母でしたから、こういう集いに初めて招ばれたときも、ぼくは母を連れていくことにしました。
もちろん父にも、事前に了解を取りました。
「仕方のないやつだな」と言いながら、「母さんをたいせつにするんだぞ」といって、父はぼくたちを送り出してくれました。
紫のストッキングを穿いた母の脚が、ぼくよりはいつも半歩遅れてついてくるのを、
自分の女を伴って出かけるようで、ぼくはいつも以上の満足を覚えていました。

集いの開かれる街はずれの荒れ寺には、ムンムンと人いきれがしていました。
乱交と言っても、そこにはある程度のルールがあって、自分の相手はほぼ決められているのです。
ぼくの場合は、友だちのお母さんでした。
そう――先日母を共有した仲間の一人の母親なのです。
友達のお母さん――晴美さんと呼びます――は、ぼくの好みに合わせて、黒のストッキングを穿いてきてくれました。
それがぼくたちの、目印でした。
母は、だれかあてがあるようでしたが、口ごもってとうとう教えてくれません。
自分の妻が浮気をしているのがわかっていても、浮気相手を秘されてしまうというのはこういうものかと、妙な想像をしました。

宴が最高潮に達すると、だれもがとりどりに相手を選んでいきます。
ぼくはまっすぐに、晴美さんのところに行きました。
晴美さんもぼくをみとめると、楚々とした上背のある立ち姿を、ぼくのほうへと歩み寄らせてきました。
上背があると言っても、育ち盛りのぼくにはもう、かないません。
ぼくたちはしっかりと抱き合って、受け口になった晴美さんの唇を、熱く熱く吸いました。
母以外の女性は初めてでしたが、晴美さんはぼくの手を取って、自分から胸繰りの深いワンピースの胸もとへと導いてくれました。
いつも友人のお母さんとしてしか接していなかった晴美さん――意外にエッチじゃん、と思いました。
見ると、晴美さんの息子である昭太くんが、こっちを気づかわしそうに見ています。
悪いね、というように、ぼくは昭太くんにウィンクを送ると、
昭太くんも、頼むね、というように頭を下げて、自分のパートナーになったべつのお母さんを押し倒していきました。
晴美さんのキスは生々しいほど熱く、辟易するほどしつこかったので、ぼくの中の「男」を引き出すのもあっという間のことでした。
ぼくたちはその場で折り重なって、晴美さんの深緑のスカートに精液を撥ねかしながら、
すっかり元気になった一物を、ずぶずぶと埋め込んでいきました。
片脚だけ穿いた晴美さんの黒のストッキングが弛み堕ちてゆくようすが、夢中になって腰を上下させている間もチラチラと目に入り、悩ましかったです。

母はとみると――なんと、叔父に組み敷かれていました。
紫のストッキングはどうやら、叔父の好みのようでした。
じつの姉弟なのに、乱れちゃうのか?
ぼくは嫉妬を覚えて、そのぶんを晴美さんにドクドクと注入してしまいました。
昭太くんは遠目に、ぼくたちの愛し合うようすを見ていたらしく、
「きみがあんまりお袋に入れ込むもんだから、よけいに興奮しちゃった」と言われました。
その日を機に、ぼくは晴美さんと付き合うようになったので、
昭太くんには時々、「お父さん」と呼ばれて、冷やかされたりしています。

あとから母から聞いたのですが、叔父さんとは結婚前からの関係だったそうです。
父もそれを知りながら母と結婚して、結婚後も時おり、姉弟相姦の機会をつくってあげたいたそうです。
父は、愛する妻をほかの男に寝取られることで、母への愛を確かめるタイプの男性でした。
だからきっと、母とぼくとの関係も、寛大に受け入れてくれたのでしょう、。
「お前に抱かれた日の夜は、お父さん激しいの」
翌日母はそんなことを言いながら、ぼくの手で胸からブラウスをはぎ取られていきました。

母はもしかすると、相姦の家系のひとなのかもしれません。
それがぼくに遺伝して、ぼくは母と結ばれました。
母は自分の弟とも関係を持ちましたが、初体験は実の父――ぼくの祖父に遂げてもらったそうです。
ぼくがその後、中学にあがった妹を押し倒して、入学祝いとしてセーラー服を剥ぎ取ってしまったのも、
その妹との間に生まれた娘――結婚相手との子どもということになっています――の処女をいただいてしまったのも、
母から伝えられた「血」のせいなのかもしれません。

「あなたが助平なだけよ」
と、いまでも時おりぼくのものになってくれる母は、年老いた頬に昔と変わらないえくぼを浮かべて、笑っているのですが。

一作目と二作目の、切っても切れない関係。

2023年01月30日(Mon) 04:19:26

久しぶりにあっぷできたと思ったら、がちで寝取られモノでした。。

一作目の餌食は、比較的若めのご夫婦。
まずご主人が咬まれて、それから奥さんが襲われます。
着飾ったスーツ姿、脚に通したストッキングを唇や舌で愉しまれ、血を撥ねかされたり咬み破られたり。
いつもどおりの段取りで、夫婦ながら妖しい堕落に導かれてしまいます。
妻を犯される夫。人妻をモノにした吸血鬼。
ふたりの間にはむしろ、清々しい共感が生まれ、
夫は吸血鬼が妻のことを愛人のコレクションにまんまと加えてしまったことを称賛し、
妻が吸血鬼に第二の嫁入りをすることを祝っています。

二作目の餌食は、うら若い婚約者。
処女の血を吸うだけだといって、親友の許婚を襲うのですが、
もちろん若い二人の行く先は無軌道な関係――
でも、幼いころから吸血鬼のことを知っていて、家族ぐるみですべてを受け容れている主人公は、
自分の未来の花嫁がみすみす侵蝕され寝取られてゆくのを、胸をはずませながら見届けています。
花嫁の純潔をゲットする吸血鬼と、その幼馴染の青年。
この二人の間にも、お互いを尊重し合う雰囲気がうかがわれます。

ふつうに考えて、ありえない関係ではあるものの。
まだまだこういう話(の)をいくらか、紡いでいきたいと思っています。

もしかすると。
一作目で自分の結婚式に友人夫婦を招いた人物は、二作目の花婿なのかもしれません。
婚礼の招待客も、花嫁も。
着飾った衣装もろとも辱めを受けながら、その辱めに歓びを見出し、夫や花婿ともども受け容れてゆく――
こういう街にはたぶん、争いは存在しないのかもしれません。

というわけで、とりあえずはここで、一区切り。

悪友の吸血鬼の毒牙にかかった婚約者の話

2023年01月30日(Mon) 04:06:11

はぁはぁ・・・
ふぅふぅ・・・
物陰から隠れて視ているボク。
その前で、ひと組の男女が、切なげな吐息を交わし合っている。
男のほうは、幼馴染の良作。生まれついての吸血鬼だ。
女のほうは、隣町に住むOLの初美さん。
なによりも。
初美さんはボクとの結婚を、控えていた。
親の決めた結婚相手だった。

良作が初美さんを見初めたのは、ボクが彼女を紹介するために、彼の家に連れて行ったときのこと。
良作の家は、ボクにとっては本家すじに当たり、いつもそうするのが慣わしだと聞かされていた。
ピンクのスーツ姿の初美さんが礼儀正しくお辞儀をして、辞去をつたえると。
直登はもう少し、ゆっくりしていけよと、彼はいった。
しかしそれは――とボクが腰を浮かしかけると。
直登さん大事な話があるって仰っていたわよね?と、初美さんのほうから気をきかせて、
先に失礼しますわと言って、座を起っていった。

ふたりきりになると。
良作は案の定、ボクに囁いた。
いい娘だな。きっと美味い血をもっているに違いない。
よければ味見させてくれ。オレがきみの未来の花嫁の身持ちを、確かめてやるよ。
本家には逆らえないしきたりで、結婚相手になる初美さんを連れてくるときっとそうなると、ボクは予期していた。
けれどももう、どうすることもできなかった。
母は良作の父に、嫁入り前に血を吸われていた。
姉も良作の叔父に、やはり女学校の入学祝いにと、血を吸われるようになっていた。
避けては通れない道なのだ。

処女の生き血を好む一族だった。
だから、嫁入り前の女たちは本家の者たちに自由に襲わせて、彼らの好物を気前よく振舞う――それが父の考えだった。
ボクは黙って肯くと、良作を行かせてやった。
今から出かければ、ちょうど人けのない丘のあたりで、初美さんに追いつくに違いなかった。
ボクが二人に追いついたとき。
良作はちょうど初美さんの前に立ちふさがって、強く強く抱きすくめたところだった。
こちらに背中を向けたまま、初美さんは首すじを咬まれた。
ジャケットにかすかに血が撥ねるのが、遠目にみえた。
初美さんは抵抗もままならず、ひたすら血を吸われつづけた。
そして、ひとしきり吸血されると、あっけないほどかんたんにくたりと姿勢を崩して、良作の腕に細身の身体をゆだね切っていた。

丘のてっぺんには大きな樹が植わっていて、その傍らには古びたベンチがあった。
ここでなん人もの少女が、良作の毒牙にかかり、このベンチに腰かけていた。

同級生の幸太郎の彼女は、下校途中を襲われて、
制服のプリーツスカートのすその下にかがみ込まれて、
白のハイソックスを真っ赤に染めながら14歳の生き血を吸い取られた。

従兄の志郎の婚約者は、勤め帰りのスーツ姿を襲われて、
肌色のパンストを見る影もなく咬み破られながら、
22歳のうら若い血潮を愉しまれていった。

ボクの未来の花嫁である初美さんも、その例外ではなく――
ピンクのスーツのスカートのすそを撥ね上げられて、
グレーのストッキングに包まれた太ももを、好餌にされてゆく。

裂き散らされた淡いナイロン生地が、まるでレイプのあとのように、彼女の足許にまつわりついた。

「視るのは良いが、手は出すな」
良作はボクに命じた。ボクは彼の言うとおり、すべてを遠くから見守っていた。
ボクの花嫁は、穢れなき処女の生き血を惜しげもなく吸い取らせて、若い吸血鬼の旺盛な食欲を満たしていった――

その日から。
良作と初美さんの密会が始まった。
婚約はごく儀礼的なものだった。
大人しくて真面目なボクを、初美さんは決して嫌ってはいなかったと思うけれど、深く愛されているという自覚もボクにはなかった。
人目を忍んで逢いつづける二人は、いつか吸血鬼と血液提供者の関係を越えようとしていた。
ふたりの交際が実りを結び始めてゆくのを、そ知らぬ顔をしながらも、ボクは胸わななかせて見守っていた。

初美さんの首すじには、だれの目にも明らかな吸血の痕跡が、どす黒い痣となって刻印されていたけれど。
だれもがそれを、あからさまに口にすることはなかった。
ボクがその密会の証しに気づいていることを、初美さんは薄々察していたけれど。
きょうは良作さんとお約束があるのといって、ボクとのデートを彼女が婉曲に断るのを、
ボクはやっぱり、胸を妖しく搔きむしられながらも承諾を与えてしまっていた。

結婚前なのにがんばるなあ――職場の同僚に冷やかされるほど、ボクは仕事に打ち込んだ。
そして、ボクが新居のための家産を増やすために尽力している最中に、
初美さんはよそ行きのストッキングをなん足も、彼の毒牙のための惜しげもなく愉しませ、破らせていった。
彼女の誕生日にプレゼントした純白のブラウスまでも、秘密の逢瀬の時にまとわれて。
熱情の痕跡が、放射状の真紅の飛沫となって染められて、
記念にとねだり取ったそのブラウスを、ボクは幼馴染から見せびらかされてしまっていた。

咬み破ったパンストを自分から脱いでくれと、良作が初美さんに望んだのは、挙式のひと月まえのことだった。
いつものように、良作に促されて覗く物陰から、いいわよという彼女の声を聞き取ると、
ボクは新婚生活をも、良作の手に塗り替えられるのだと察していた。
そして、そうであることに、なぜか忌まわしいという想いは少しもなく、
むしろドキドキと、胸はずませてしまっていた。

初美さんは良作を前に、咬み破られたパンストを、ゆっくりと脱いでゆく。
片方の脚だけ脱ぐと、良作は彼女の身体に手をかけて、二人は姿勢を崩していった。
彼の狙いが初美さんの首すじではなくて、股間であることも。もちろんすぐに、察しがついた。
彼は初美さんが腰に巻いたロングスカートを丁寧にたくし上げると、真っ白なショーツに守られた股間を露わにしていった。
ボクも、初めて目にする光景だった。
良作は、物陰にいるボクにも見えるように、初美さんの両脚を大きく開いてゆくと、
白のショーツのうえからおもむろに、唇を吸いつけてゆく。
初美さんはさすがに羞ずかしげに目を背けて、それでも従順に、ショーツの上からの唇の愛撫に、自分の秘所をゆだねていた。
くすぐったそうに唇を歪め、歯噛みをして。黒髪を揺らし、首を仰け反らせて。
覚えかけた妖しい快感に、耐えようとした。
良家の娘が決して冒してはならない過ちを、初美さんはむろん、きちんとわきまえていた。
「あくまで、吸うだけにしてくださいね。初めてのものはどうしても、直登さんにあげなければならないの」
声を潜めての彼女の訴えに、良作は鷹揚に了解の意を示した。
初美はほっとしたように肯くと、
きみのたいせつな処をもう少し愉しみたいという良作の申し出に随って、
身体を仰のけたまま、ショーツが濡れるに任せていった。
きっと――結婚した後は、ボクの新妻はすぐに、貞操を喪失してしまうのだろう。
けれども――もしも相手が良作だとしたら。
ボクはきっとよろこんで、新妻の貞操を彼の情欲のために捧げてしまうだろうと、もはや確信してしまっていた。

母は良作の父親に処女の血を吸われ、姉は良作の叔父にやはりそうされた。
そしてなによりも――母は嫁入り前に、良作の父に犯されていた。
姉もすでに嫁入り前に、良作の叔父と深い仲になってしまっていた。
それは、父から聞いたことだった。
もしも先方が望まれるなら、花嫁の純潔はお譲りしなければならないぞ――
実は父には、そう言い含められていた。
過去になん人もの少女の純潔を蝕んでいった彼の淫らな唾液が、ショーツを通して初美さんの身体の奥深くに浸潤してゆく。
クチュクチュ・・・チュチュッ・・・
唾液のはぜる音を忍ばせて、初美さんのスカートの奥に仕掛ける犯罪を。
ボクは息をこらして、見守るだけだった。

初美さんはなん度も、嫁入り前の股間を良作に許した。
そのたびにボクは呼び出され、自分の未来の花嫁がボクを裏切ろうとする有様を見せつけられた。
ボクに隠れてことを運びたくないのだと、良作はいった。
きっと、彼の言葉はそのまま彼の本音なんだろう。
そして、それとは裏腹に――
見せつけたい。
そんなどす黒い欲望も、彼は正直に打ち明けてくれていた。
凄く嫉妬している。
ボクの花嫁が不当に辱められるんじゃないかって、いつもハラハラしている。
ぼくがそういうと、
彼はとても満足そうに笑い返してくるのだった。

挙式を来週に控えた晩。
こんな遅くに電話が来るのかと思いつつ、ボクは良作の家の裏口にまわっていた。
深夜11時。
なのに初美さんは、良作の招きに応じている。
きょうの彼女のスカートは、真っ赤なミニスカート。
パンストは、いつもの肌色ではなくて、薄墨のようにうっすらと艶めかしい、黒のパンストだった。
「気合入ってるね」
良作がからかうと、
「やめてください」
初美さんは正直に、羞じらった。

墨色のパンストに包まれた初美さんの脚は、妖しく艶めかしく、
上品で淑やかなようにみえて、娼婦のように淫らにも映った。
健康に発育したふくらはぎを縁どって、絶妙なカーブを描くストッキングに、良作はわが物顔に、唇を吸いつけてゆく。
圧しつけられた卑猥な唇の下。
初美さんのパンストは、淫らな唾液にまみれ、ねじれ、ふしだらな皴を寄せてゆく。
激しく、しつように吸いつけられ舌を這わされてゆくうちに。
淡いナイロン生地は、凌辱に耐えかねたようにブチブチと微かな音をたてながら、裂け目を拡げていった。

まるでレイプのあとのようだった。
白い脚にまとわりついた、裂けた黒のパンストが、ひどく妖しくボクの網膜を射た。
パンストの向こう側でよく見えなかった初美さんの穿いているショーツが、例によってパンストを片脚だけ脱がされると露わになった。
初めて見る、真っ赤なショーツだった。
視てはならないものを視てしまったような気がした。
視たこともないほど薄地のショーツからは、淡い陰毛が微かに透けて見えたのだ。
「俺があの夜用に、プレゼントしたんだ」
あとで良作は、自慢げにそういった。
そんなことは、もちろんそのときのボクにはわからない。
あの淑やかな初美さんが、あんな刺激的なショーツを、ボク以外の若い男の前に曝すなんて――
良家のたしなみをきちんとわきまえていたはずの初美さんは、人目を忍んで深夜、良作に逢いに来て、
しかも真っ赤なショーツを露わにしているのだ。
「いいわよ、来て」
初美さんがそういうと、良作はおもむろに彼女の股の間に顔を突っ込んで、クチュッ・・・と音を立ててあそこを吸った。
自分の股間を吸われたような衝撃が、ボクの身体の芯を貫いた。
クチュッ、クチュッ、クチュウウッ・・・
密やかな音を忍ばせて、良作は初美さんの股間を吸いまくる。
そう、吸いまくるという表現が正しいほどに、
彼の唇は初美さんの潔い処から離れることなく密着し、吸い、また吸った。
初美さんはもう、立ってはいられずにくたくたと腰を落としてしまい、
ゆるくかぶりを振りながら、伝わってくる刺激をぞんぶんに受け止めている。

ガマンできなくなったら、途中で出てきても良い――良作には、そういわれていた。
けれどもボクは一度として、そうはしなかった。
不義の愉しみであったとしても、親友の幸せをみだりに妨げてはいけないような気がしたのだ。
ボクが思い切って部屋に入っていったのは。
彼が初美さんの股間から唇を離し、それから唇に唇を重ねて、熱い熱い接吻を交わし合い、
お互い名残を惜しむように身体を離しかけたときだった。

「直登さん・・・」
初美さんは絶句したけれど、ボクに知られているという予感を兼ねて抱いていたからか、さほどに驚いたようすはなかった。
「もっと早くに、俺の邪魔をすることもできたのにな」
良作の声色には、むしろ、「邪魔建てしないでくれて申し訳ない」という感謝の気持ちが込められていた。
身の潔白を証明しようと初美さんが身を乗り出して、徒労に終わりそうな抗弁を開始しようとしたのを、
自分でもびっくりするほど柔らかく、ボクは手で制していた。
「婚約解消はなしだぜ」
良作が悪びれずにそういうと、ボクはもちろんさ、と、こたえた。
初美さんは明らかに、ほっとした様子だった。

「どうしたいの?」
ボクが訊くと
「別れられない。別れる自信がない」
初美さんは、正直なことを告げた。
それは、ボクの心を踏みにじるような事実だったけれど。
「そうだよね」
と、ボクは同意を与えていた。
「お願いがあるんだ」
ボクは良作にいった。
「初美さんのことを、初美と呼び捨てにして欲しい」
「いまでも、そうしているよ」
良作は、悪びれずにいった。
「でも、きみから許可をもらえるのは、とても嬉しい」
彼はそう言ってくれた。
ボクは初美さんのほうを振り向いて、いった。
「花嫁の純潔は、誰に捧げたいと感じますか」
短い沈黙が、すべてを物語った。
このうえ、彼女になにかを言わせるべきではない。
ボクはそう思った。ボクを見つめる良作のまなざしも、同じ想いを告げていた。
「ぼくの花嫁の純潔を――きみにプレゼントするよ。どうか受け取って欲しい。
 ボクの前で、受け取って欲しい。今夜がボクにとっても、初夜のつもりだ――」

楽しい浮気ごっこが、すぐに始まった。
「お婿さんのまえで、裏切っちゃうのね♪」
血を吸われ慣れた初美さんは、もはや自分の白い肌に彼の接吻を拒むことはなかった。
それが飢えた接吻であれ、淫らな接吻であれ・・・
ボクは良作にしたたかに血を吸われ、身じろぎひとつできずにひっくり返った。
その目の前で、彼は初美さんに対して欲望を遂げる――
「いけないわ、いけないわ、お婿さんの前でだなんて・・・」
初美さんはさすがに羞じらい、腕を突っ張って、恋人の胸を拒もうとした。
せめてものこと、ボクに対して操を立ててくれようとする初美さんの気持ちが嬉しかった。
ショーツを良作のよだれにまみれさせ、陰毛までも濡らされてしまった彼女の純潔は、もはや良作の色に染めあげられている。
きゃあッ、きゃあッ・・・
はじける叫びをこらえかねて、彼女は身を揉んで羞じらったが、それはまるではしゃいでいるようにさえ見えた。
黒のストッキングを片方だけ脚に残したまま、初美さんは純潔を散らしていった。
初めての血が太ももにかすかに散るのが、
その血潮が良作の吐き散らした白濁した精液に上塗りされるのが、
スカートのすそ、洋服のすき間からチラついた。
何度も何度も、良作の逞しい腰が、初美さんのふっくらとした下肢にめり込んでゆく。
そのたびに初美さんはちいさく叫び、声をあげて、感動をあらわに振舞ってゆく。
「ああいけない、お嫁にいけなくなっちゃうこと私してる・・・」
初美さんは、両手で顔を覆って羞じらった。
ボクは彼女の傍らににじり寄って、しずかにその手を取り除けた。
「直登さん――?」
「きみが素敵な娘だというところを、ボクはもっと視たい。
 彼はボクの親友だ。花嫁を親友に気に入ってもらえて、ボクはとても満足している」
「直登さん・・・好き・・・」
初美さんの口から始めて、ボクを慕う言葉が洩れた。
そのひと言で、十分だった。
ボクは幼馴染の悪友のため、初美さんの両腕を抑えつけて、さらに何度も花嫁の凌辱を許していった。
「直登さん、わたくし、わたくし、この方に凌辱されているんだわッ!」
初美さんはそういって羞じらいながら、「ああッ、ああッ、ああッ!」と叫び、仰け反っていった。

未来の花嫁の純潔を、男らしく勝ち獲てくれた良作と。
当家の嫁のしきたりを忠実に果たした初美さん。
新婚初夜の床も、新居の夫婦の寝室も、きっと彼の精液に濡れてしまうだろうけれども。
ボクはとても、満足だった。
初美さんももちろん、満足だった。

妻のセカンド・ブライダル♡

2023年01月30日(Mon) 02:30:28

「好物なんだ、許せ」
男はそういって、妻の首すじに咬みついた。
そして、三十代の熟女の生き血を、妻の身体からしたたかに抜き取った。
妻は白目を剥いて悶えたが、四肢をガッチリと抑えつけられていて、ただ一方的に、血液を摂取されていった。

この街は危ないぜ――婚礼に招んでくれた親友の忠告を、無視したわけではない。
けれども妻も、「吸血鬼のいる街ですって?面白そう♪」と、自らすすんで、この危険な婚礼に帯同することを申し出たのだ。
山懐に抱かれたように蹲るこの街は、都会からはかけ離れたところにあって、
わたしたちは最低でも、二泊しなければならなかった。
そのさいしょの夜の出来事だった。

風呂あがりのわたしが、ホテルの部屋で真っ先に咬まれ、その場に昏倒すると、
脱衣所にいた妻が物音を聞きつけて、飛んできた。
夫婦ながら血を吸われるために、戻ってきたようなものだった。

都会の洋装を好むという彼らにとって、妻のスーツ姿は絶好の餌食だった。
ブラウスのうえから胸をまさぐられ、首すじを咬まれて、妻もまたほとんどわたしと同じ経緯で、その場に昏倒してしまった。
そして、彼女が再びわれに返った時にはもう、
肌色のストッキングを穿いた脚をたっぷりと、舐められ抜いてしまっていた。
新しくおろしたばかりのストッキングは、欲情を滾らせた唾液にまみれて、
みるみるうちに、淫らに濡れそぼっていった。
きっと――妻は犯されてしまうに違いない。
この街で花嫁を迎える親友は、たしかに言った――
セックス経験のある婦人を吸血の対象とするとき、彼らは生き血を餌食にした後で、性的関係まで遂げてしまうのだと・・・

さきに血を抜かれたわたしのなかに、嗜血癖が芽生えかけていた。
だから、彼が若い女の生き血に飢えていることに、同情も理解も感じ始めていた。
だからといって、その欲求の標的が妻であって、嬉しいはずはない。
けれども、鋭い牙を埋め込んで、ヒルのように這わせた唇で踏みにじるようにして妻の素肌を蹂躙されながら、
わたしはまったく、怒りというものを覚えなかった。
むしろ――活きの良い血にありつくことのできた同族を羨む気分さえ、感じ始めていた。

白い素肌にしつように吸いつけていた唇を引き離すと、
妻の身体から吸い取った血液が、口の端から微かに滴った。
わざと滴らせているのだと、はた目にもわかった。
乱れた純白のブラウスは、ボトボトとこぼれ落ちる真紅のしずくに濡れた。

妻は、かすかに意識が残っていた。
ブラウスを汚されたことに気がついたのだろう、かすかに眉をひそめて、
男と、そしてわたしの視線をも避けるようにして、目をそむけた。
それが、彼女にできる、精いっぱいの抵抗だった。

男はふたたび妻の足許にかがみ込んで、ストッキングを穿いた足許を凌辱することに熱中した。
室内の照明を照り返して淡い光沢を帯びたストッキングは、むたいに舌を這わされて、そのしなやかな舌触りを愉しまれていった。
妻は無念そうに、自分の足許を見降ろし、助けを求めるようにわたしを視た。
わたしはかすかに、かぶりを振った。
夫に引導を渡されたとさとった妻は、後ろめたそうに目を伏せると、
男が吸いやすいようにと、飢えた唇の動きに合わせて、脚の角度を変えていった。
深夜の宿を襲った吸血鬼は、こうして妻のストッキングを剥ぎ取る悦びを味わう権利をかち獲ていった。

むざんに咬み剥がれたパンストが、ハイソックスと同じ丈になって破れ堕ち、ずり降ろされてゆく。
失血のあまり身じろぎひとつできなかったのが、指先だけでもうごかせるようになったのは――
辱められてゆく妻の有様を目の当たりにして、妖しい昂ぶりと、
そして――認めたくはなかったけれど――忌むべき歓びとをおぼえ始めたからにちがいなかった。
妻は、真っ赤なショーツを穿いていた。
それは、わたしとの夫婦の夜を悦びに満たすためではなく、夫以外の男を誘うためでもむろんなく、
たんに彼女のおしゃれ心を反映したにすぎなかったのだが、男はそうはとらなかった。
「だんなさん、奥さんすっかりやる気まんまんのようだね」
冷やかすような口調はなぜか親しみが込められていて、侮辱されたような気分にはならなかった。
男の舌は、妻の真っ赤なショーツの上から圧しつけられ、しつように這わされた。
ショーツはみるみる、淫らな唾液にまみれていって、じっとりと濡れそぼり、秘められた陰毛までもが微かに透けて見え始めた。

「御覧にならないで・・・」
妻はやっとの思いで、いった。
「やす子、やす子」
わたしは思い切って、妻の名を呼んだ。
「非常事態だ。今夜にかぎり、きみはぼくの妻であることを忘れてくれたまえ」
好きに振舞ってもらって構わない――言外の意味を彼女はすぐに覚り、
そして・・・ショーツを自分の手で、引き裂いた。
ピーッと鋭い音が、部屋に響いた。

「だんなさん、すまねぇな・・・」
男はそういうと、そのむき出しの裸体を、妻の上へと重ねていった。
彼の逞しい腰が、妻の細腰に沈み込むのを、目を背けることなく見届けてしまった。
わたしよりもはるかに強靭な筋力に恵まれた腰は、ただのひと突きで、妻の狂わせた。

懊悩の夜更けだった。
朱を刷いた薄くノーブルな唇からは、絶え間なくうめき声が洩れつづけた。
さいしょのうちこそ耐え抜いた妻は、身に迫る凌辱をまえに身体を開かれていって、
ペニスのひと突きごとに反応を深め、ひと声切なげな吐息を洩らしてしまうともう、とまらなくなっていった。
吐息、吐息、吐息・・・
妻の貞操が永遠に喪われたことを、自覚せずにはいられなかった。
知らず知らず、わたしはその場で射精していた。
白く濁った粘液が客室のじゅうたんを濡らすのを、男も妻もみとめた。
どちらも、わたしを嘲ることはしなかった。
むしろ、互いに手足を絡め、身体を結びつける行為に、熱中してしまっていた。
馬乗りにのしかかられて前から犯され、
四つん這いになって後ろから奪われ、
それでも収まらない怒張を帯びた一物を、妻ははしたなくも唇に受け容れてゆく。
根元まですっぽりと咥え込んだ一物が、中で噴出したのだろう。
初めてのことにうろたえて、口許を抑えてむせ込んだ。
だいじょうぶか?と、男は妻の背中を撫でた。
妻は無言でうなずき返し、なおもペニスをねだった――わたしの前で。
足許にまとわりついたパンストはふしだらに弛みずり落ちて、
身に着けていたときには淑女だったはずの女は、もはや娼婦に堕ちてしまっていた。

わたしよりもはるかに剛(つよ)い怒張がくり返し妻の股間を冒すのを、わたしはただぼう然と見つめていた。
怒張は、妻の身体の奥から引き抜かれた後も、猛りに猛り抜いていた。
ヌラヌラとした体液でうわぐすりのように濡れそぼった一物は、
抜身の短刀が獲物を刺し貫くようなどう猛さで、なん度も妻の股間を冒しつづけた。
妻はそのあいだ、乱れた黒髪の端を口に咥えて、歯並びのよい白い歯を覗かせていた。

視ないで・・・視ないで・・・あなた視ないで・・・
妻はたしかに、そう繰り返していたはずだ。
それがいつの間にか、そうではなくなっていた。
あなた、視て、視て、視てえ・・・
腰を激しく振りながら、自分の身体を激しく求める逞しい腰の上下動にリズムを合わせながら、
彼女は頭を抑え、唇に手を当てて、随喜のうめきをこらえようとした。
こらえかねて、なん度も声を洩らした。
いい・・・いい・・・とってもイイッ!
激しくかぶりを振りながら、暴漢の男ぶりを褒め称える妻――
わたしにとって仇敵であるはずの男は、まんまと妻を手玉に取り、なんなく自分の支配下に置いてしまった。
男はなん度も妻に挑みかかり、夫だけに許されたはずの権利を不当に行使しつづけて、
妻もまたうめき声をこらえ、そしてこらえかねながら、男のあくなき欲求に、細身をしならせて応じつづけていった。


けだるい夜明けが訪れた。
わたしはぼう然として、ロビーで妻を待っていた。
男は妻を自室に略奪すると宣言し、わたしはぜひ伺いなさいと妻に促してしまっていた。
妻は乱れた髪を揺らして、わたしの許しにかすかな感謝と含羞を交えて、
男の促すままに従った。
朝6時に、ロビーで待ち合わせることになったのだ。

一睡もできずに昂ぶり疲れた身体をソファに持たれかけさせていると、
淡いピンク色のスーツをきちんと着こなした妻が、ロビーにハイヒールの足音を響かせて歩み寄ってきた。
「お待たせしました」
微かに揺れる栗色の髪は、夕べの乱れをほとんど感じさせなかった。
きこなしもいつも通り上品で、夕べあれほど淫らに舞った娼婦の気配を見事に消していた。
後ろから、男が影のように寄り添って、ついて来た。
「約束通り、奥さんをお返しするよ」
彼はそういったが、名残惜しそうにしているのが目に見えて見て取れた。
ピンクのタイトスカートの下から覗く妻の脚は、濃いめのグレーのストッキングに覆われている。
しなやかな筋肉の起伏がナイロン生地の濃淡になって反映し、いつになく艶めかしくうつった。
「式は午後1時からです。それまではお互い、暇ですな――」
男がなにを言いたいのか、すぐに察しがついた。
「家内のパンストをもう一度、破りたいんじゃないですか」
わたしは言った。
「図星――」
男はにやりと笑い、妻は損な男の尻を軽く打った。
ごく打ち解けた男女の間のしぐさだった。
「妻をすっかり、モノにされちゃったようですね・・・」
さすがにわたしは、悲し気に声のトーンを落としていた。
「ごめんなさいね、あなた。でも仰るとおり、すっかり奴隷にされてしまったわ」
「離婚は厳禁ですよ、おふたりとも」
男がたしなめた。
樋村夫人のまま妻を犯しつづけたい――そういう意味らしかった。
「午後1時まで、好きにしたまえ。旅路のロマンスだと思うことにするよ。夕べのことも、これから後のことも――」
口をついて出た言葉に、わたし自身が驚き、妻もあっけにとられた顔をした。
けれども妻は、救われたような顔になって、ここ最近みたこともないような丁寧にお辞儀をすると、
「もうしばらく、恋を愉しませてくださいね」
と、わたしに告げた。

わたしはてっきり、ふたりが男の部屋に戻るものだと思い込んでいた。
ところが、一人で寝もうとしたわたしのあとに、二人ともついて来たのには驚いた。
「わしがモノにした節子のオンナぶりを、貴方に見せつけたいのです」
男はいった。
どこまでもヌケヌケと・・・と思った。
けれどもわたしは、だれか違うものの意志に支配されたかのように、なんなく肯き返してしまっていた。
「家内はわたししか、識らない身体だったんですよ。でも今は、きみの恋の成就におめでとうというべきなのだろうな」
「負けをきれいに認める。清々しい行いですね」
彼はいった。
まんざら社交辞令ではないようだった。
「では力水をちょうだいしますよ」
彼はそういうと、わたしのスラックスのすそを引き上げた。
なにをするのだろうと思ったら、靴下の上から足首に咬みついてきた。
「靴下を破りながら吸血するのが好きでしてね・・・男女問わず」
彼はそういうと、わたしの履いていた丈が長めの靴下を咬み破り、静かな音を立てながら血を啜り始めた。
紺地に白のストライプの入った靴下はむざんに破け、啜り残された血に濡れてゆく。
「こっちも楽しむかね」
わたしが促すと、彼はもう片方の脚にも咬みついてきた。
「昨夜咬み破った家内のパンストほど、面白くはないだろう?」
「イイヤ、奥方を寝取ったご夫君の靴下を破くのは、けっこう乙な楽しみなんですよ」
「ひどい人だ」
わたしは男を軽く罵りながら、さっきから自分の神経をうっとりと痺れさせ始めていた吸血の感覚に、身をゆだね始めている。
「完全に気絶はさせませんよ。わたしは見せつけたいし、貴方も愉しみたいでしょうから――」

「きみに、わたしたち夫婦の体内に宿る血液と、妻の貞操を、改めてプレゼントしよう。
 貞操堅固な家内を見事に堕落させた腕前を認めて、きみを家内の愛人として、わたしの家庭に迎え入れたい。
 どうぞこれからも、家内を辱め、わたしの名誉を泥まみれにしてください」
わたしはそういって、笑った。
「素敵な浮気相手を見つけることができて、この旅行はとても有意義だったわ。まるでわたくしも、結婚式を挙げるみたい。
 貴方のご厚意に甘えて、遠慮なく貴方を裏切り、不倫の恋を愉しませていただくわ。
 負けを潔く認めることができる貴方に、惚れなおしましたわ」
妻も清々しそうに、笑った。
「ご結婚おめでとう」
わたしがいうと妻も、
「ありがとうございます」
と、細い首を垂れた。その首のつけ根には、彼に着けられた愛の証しがどす黒い痣となって、鮮やかに刻印されている。
「奥さんをわたしの恋人の一人に、よろこんで加えさせていただく。
 貴方の奥方を辱めるチャンスに恵まれたことは、今年で最も幸せな体験だったと告白しましょう。
 心づくしのプレゼント、嬉しくお受けいたしますよ」
彼もそういって、笑った。
三人三様、お互いをたたえ合い、愛を誓いあっていた。

薄れゆく記憶の彼方で、男は妻の唇に、唇を近寄せてゆく。
妻はうっとりとした上目遣いで、受け口をして、夫婦の血に濡れた唇を重ね合わせられてゆく。
二対の唇はお互いに強く吸い合って、結びついたように離れなかった。
ピンクのタイトスカートは腰までたくし上げられて。
グレーのストッキングはくまなく舐め抜かれ、咬み破られ、剥ぎ降ろされて。
白のブラウスはボウタイに血を撥ねかしながら、むしり取られていって。
荒い息と、昨晩よりもあからさまなうめき声。
主人よりもずっといいわ・・・という称賛と。
あなた、しっかり御覧になって・・・というふしだらな言い草と。
逞しい腰に絡め合わせた細い腰を、精いっぱいに振りながら、
妻はひたすら、堕ちてゆく。
お似合いのカップルの誕生を、わたしは自分の歓びとするしかなかった。
犯され、汚され、辱め抜かれてゆく妻の媚態を目の当たりに、わたしは恥ずかしい昂ぶりに身を委ねて、
親友よりもひと足さきに、自身の妻の「セカンド・ブライダル」を祝うことになったのだ。
新調したばかりのスーツを、花嫁衣裳の代わりにして――