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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

今夜は何をしても、かまわないのよ。

2007年09月09日(Sun) 06:22:08

魔法を演じる、マジシャンのように。
白い腕を、妖しく振るいながら。
ぱさり。ぱさり。
シーツの上に舞うように落ちてゆく、色とりどりの薄手の衣類。
細長く展べられたナイロンは、そのまま女の脚型になっている。
さいごに投げ出されたのは、細いロープ。目隠し、さるぐつわ・・・
散らばったもろもろの小道具を見おろして。
ふふっ・・・と笑んだ口許が。
いつに似ない濡れるようなルージュにきらめいている。
今夜は何をしても、かまわないのよ。
相手を振り返るそぶりは、ひどく余裕たっぷりだ。

スーツ姿の上から、ロープをぐるぐる巻きにされていって。
目隠しに、さるぐつわ。
気品ある面差しを、そうしたもろもろのもので覆い隠されて。
女はちょっと、不満そうに眉をひそめたが。
お前の目線は、怖いからな・・・
男の囁きに、ふふん・・・と相槌を打っている。
食い入るような目が怖いときと、愉しいとき。
男の気分によって、反応はそれぞれらしい。

明るい照明の下、じいいっと見つめる抗議の目線をはね返して、
覆いかぶさってきて、奪われるような凌辱をされたこともあるけれど。
怜悧にみえる黒影は、ほんとうは臆病な生き物らしかった。
なにも見えまい?なにもわかるまい?
それ、ビデオをまわすよ。
ファインダーのまえ、思うさま狂うがいい。
女の目線を逃れて大胆に響く声色に。
白い横顔が酔ったように頷いていた。

ぬるり・・・ぬるり・・・
ストッキングごし、ふくらはぎに這わされてくる唇が。
いつもよりいっそうぬめりを帯びて、熱っぽくしつようになすりつけられる。
女の気品を塗りつぶすように、そいつは臆面もなく、ヒルのように這い回る。
いじましい。
女は舌打ちをして、歯がゆげに抗議を洩らすけれど。
影にはそんな様子さえ、好もしく映るらしい。
返事のかわりに、いっそう力をこめて。
女の脚を吸うのだった。
スカートの奥に侵入した唇は。
太ももを撫でるように、舐めまわして。
かすかに光沢を帯びた女のなまめかしい装いを。
まるで凌辱するように、もてあそんでゆく。

もぅ・・・
なん足めになるだろう?
すべすべとした肌を、ナイロンごしに撫でられて。
誇り高い薄手のナイロンの装いが、卑猥なまさぐりに耐えかねたように、
ビチビチとふしだらな伝線を広げると。
男は履きかえるよう命令した。
手さぐりでつま先を探りあて、たくみに脚を通してゆくと。
ふたたびあてがわれる卑猥な唇に。
いじましい。
女は何度めか、舌打ちをする。
ストッキングの舌触りが、ヌメヌメと這わせる唇に心地よいのか。
まるで味比べをするように、たんねんに。
下品になすりつけられてくる、獣じみた唇、そして舌。
女はいつものプライドをかなぐり捨てて。
隷属するように、それでいて母のような余裕の笑みを洩らしながら。
男の欲情に、唯々諾々としたがってゆく。

破れ果てたストッキングは、床に散らばされていて。
モノトーンの床を、花びらのように彩っていた。
さいごに択ばれたのは、黒のガーターストッキング。
穿いたまま・・・姦れるな。
そんなささやきに応えるように、誘うようにくねらせた脚を。
影はいっそう熱っぽく、辱めていって。
はじめてひざを割って、腰を沈ませて。
臀部をいっそうまぐわいに慕い寄らせていった。
あぁ・・・
はじめて洩れる、随喜のうめき。
熱と翳りを帯びた女の声色は。
あるときははしたなく、声高に叫び、
あるときはねっとりと、ひくくうめいて、
反復する淫らな調べは夜明けまで、絶えることがなかった。


あとがき
今夜は何をしてもかまわない・・・
そんなふうに、囁かれたら。
どんな男性でも、きっとズキズキしてしまうはず。
心の臓を、ドクドクと轟かせて。
干からびかけた血管に、冷え切っていた血潮を滾らせて。
血の気のなくなった白面にも、かつての精悍な”男”がよみがえるはず。

たとえはた目には、いじましい欲望と映っても。
許されること。受け容れられることで。
はじめて心癒されることもあるのです。
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コメント

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by -
2007-09-09 日 21:13:20
編集
>秘密の独り言様
さ・す・がっ。(^^)/~☆
by 柏木
URL
2007-09-09 日 23:46:28
編集
とある出来事があって
こちらの記事を改めて拝見しました

月日が経って再び触れてみると
二つのお話のうちなら
こちらの気配がとても好きです

わたくしが大人になったからなのか
柏木様の唇に慣れてきたからなのか

どちらでしょうね
by 加納 祥子
URL
2017-03-28 火 08:37:29
編集
> 加納 祥子さま
懐かしいお話にコメントをいただき、ありがとうございます。
> とある出来事
が、とても気になる柏木です。

たしかこのお話も、貴女のひと言から生まれたのを。
なぜかつい先週のように鮮明に憶えている私でした。
by 柏木
URL
2017-03-31 金 07:44:42
編集

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