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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

夜這い夜話

2007年12月03日(Mon) 06:03:09

りぃん・・・ろぉん・・・
我が家のインターホンが時ならぬ来客を告げたのは、真夜中。
週明けに備え、そろそろ寝もうか、と思った時分のことである。
けげんに思い玄関先に出て行くと、立っていたのはお隣のご主人。
わたしよりも十歳以上年上の彼はもう白髪交じりの頭をしていて、
それでもある大会社の重役という風格を、それとなく漂わせている。
おや。どうされましたか?こんな時間に・・・
内心の予期をあえて口にせず訊ねると。
案の定のこたえが、かえってきた。
いえ。お見えになっていらっしゃるんですよ。お客様が。
こんな夜更けに・・・ふつうの客ではあり得ない。
そうすると彼は、意味ありげにこう付け加える。
妻に御用の、お客様が・・・ね。
と。

妻を夜這われている。
口には笑みさえ浮かべながら、そう告げる彼は。
首筋にくっきりと噛み痕を浮かべるようになってから、もう何年にもなる。
なるほど。奥さん、お相手の真っ最中・・・というわけですな?
わたしもそれ以上露骨な言葉はつつしんで。
彼を家にあげた。

夫婦ながら血を吸われつづけた彼は、嗜血癖をもっている。
半吸血鬼、というやつなのだ。
彼らは吸血鬼とちがって、普通の人間として暮らし、普通に齢をとり、死んでゆく。
けれどもそのあいだはずっと、時おり取り憑かれたように、他人の生き血を求めるのである。
彼を家にあげた。
と、書いた。
訪ねてきたご近所の人を、家にあげる。
当たり前のことのようで、じつは重大な行為なのである。
吸血鬼は、招かれた家にしか、あがることができないのだ。
だから、家にあげる・・・ということは。
うちのものの血を吸ってもかまわない。
そういう、無言の意思表示になり得るのだ。
わたしのすぐ背後。いつの間にか出てきた妻は。
真っ白なスーツに着替えて、いつになく取り澄ましている。

こんどはわたしが、家から出てゆく番なのか?
否。である。
なにしろ・・・彼はダンナのまえでこれ見よがしに奥さんを抱きすくめて。
もだえる被害者から血を啜り取るのが好みなのだから。
寒い思いをしないで、いいじゃないですか。
薄っすらと笑う妻の背後。
そろり・・・と伸びた猿臂が、ブラウスの襟足に、ヘビのように巻きついてゆく。

殺害目的の吸血ではない。
お隣の奥さんを押し倒しているのも。
いま、わたしの目の前で、妻を征服しているのも。
ひとしく、慕わしげに素肌を吸い、昂ぶる柔肌をあやすようにあしらってゆく。
細めにあけたふすま越し。
見守るわたしまでもが、ひどく昂ぶりを覚えて・・・
真っ白なスカートのすそが、しどけなく乱されるのを愉しんでしまっている。
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