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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

朝の風景

2007年12月10日(Mon) 06:57:35

不思議な村だった。
家族を連れて赴任して、はや三ヶ月。
そのあいだに、家族のだれもが首筋に痕をもっている。
ある朝目覚めたとき。
ふと、首のあたりが痛いなあ・・・と。
鏡を見たら、赤黒い痣のようなものが浮いていた。
あら、早いのね。
台所で働いていた妻は、お皿を拭きながら。
こちらを振り返りもせずに声をかけてきた。
アップにした髪の生え際まで、あらわにして。
どきりとするほど白い首筋には、私とおなじ、赤黒い痕。
学校、遅れちゃう。
お茶の間にばたばたと現れた子供たちは、制服のままあわただしく朝食をすませ、
行ってきまァす・・・
声だけ残して、飛び出していったけど。
刈り上げた息子の首のあたりにも。
おさげの揺れる娘のうなじにも。
おそろいのようにつけられた痕。
明るくなったでしょ?子供たち。
お友だちができたみたいよ。
薄っすらと謎めいた笑みを滲ませる妻は、
いつもと違うしんなりとした立ち居振る舞い。
きょう、あなたのお留守にお客様がお見えになるの。
お帰り、遅くなるかしら?
滲んだ笑みにエロチックなものを予感しながら。
うん・・・じゃあ少しゆっくりしてくるかな。
声が軽く上ずっていたのを、妻は気づいていただろうか。

出勤するとき。
見送ってくれた妻は、いつもより濃い化粧を刷いている。
きょう迎え入れる異性の客は。
妻にとって、それほど特別な相手なのだろうか。
思わぬなまめかしさをよぎらされて。
出がけなのに。
昂ぶりを抑えるのに、苦労した。

初めて吸血鬼に血を吸われた、あくる朝。
定かではなくなった記憶を確かなものにするために。
会社を早退けした私は、我が家の庭先に足音を忍ばせる。
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