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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

花嫁と 弟と

2007年12月16日(Sun) 08:41:47

朝だよ。もう起きようよ。
けだるいまどろみからさめると、そこはホテルのベッド。
百合子はにこやかに私を見おろしながら、ほほ笑んでいる。
シャワーを浴びたあとらしく、頭にタオルをぐるぐる巻いていて、
その下は、夕べまでとおなじ、透きとおるように白い頬。
きのうまでは、恋人。
そして、夕べ私の妻となったひと。
けれどもそれより先に、憎たらしい弟の愛人になってしまったひと。

きのう、挙式をあげたこのホテルで、一泊して。
初夜の部屋に、入り込んできた弟は。
吸血鬼の本性むき出しに、百合子に襲いかかっていって。
制止するいとまもあらばこそ、うなじにがぶりと噛みついていた。
服に血を撥ねかして。目を回して。
振り乱された長い黒髪は、純白のシーツの上散らばるように広がった。
兄さん、悪いね。
弟はせっぱ詰まった目をして、迫ってきて。
重なり合った身体は、ギュッと強く抱きすくめられていて。
首のつけ根に滲む鈍痛に、不覚にもなにもかもを忘れていた。

分け合おうよ。
ボクは一生、吸血鬼で。日陰で生きていかなくちゃならないから。
恋愛も、結婚も、できない立場だから。
兄さんのお嫁さんと、思い切り仲良くしたい。
百合子は夢見心地の瞳を輝かせて。
かわいそうなのねって、同情して。
私はそんな百合子に、弟を慰めてやってくれと促していた。

薄暗く照明を落とした、ベッドのうえ。
シーツを乱し、百合子を狂わせているのは、私ではない。
ほんらいは。花嫁の純潔を勝ち得るのは、私であるはずなのに。
弟のぎこちない腰の動きの下、新妻は秘所に紅いものを滲ませていった。
きりりと装ったスーツ姿のそこかしこから。
白い柔肌をあらわにさらけ出して。
ゆるやかにかぶりを振りながら、堕ちてゆく。酔ってゆく。
義姉さん・・・処女だったんだね。
ごめんね、兄さん。
血を吸っているときは、言うことを聞かせる算段しか頭になくて。
処女の生き血だって、気がつかなかった。
義姉さんとの初夜は、もっとじっくり愉しむつもりだったのに。
あっけなく、散らしちゃったね。
ふたたび傷口にねぶりつけた唇は、すすり泣くようにつよく吸いはじめている。

いけないやつだな。
いけない子ねぇ。
ふたり、くすくす笑いながら。
泣き笑いしている弟をからかっていた。
お姉さん、処女だったのよ~。ケンイチさんに、あげるつもりだったのに~。
冗談ごかしに背中をひっぱたかれながら。
花嫁の処女を奪った男は、甘えるようにのしかかっていく。
ツインベッドのうえ、三人折り重なるようにして、居場所を変えて。
花嫁を代わる代わる、かわいがる。
そんな夜は、とても短かった。

さあ、あなたも早く、シャワー浴びて。
汗落としたほうが、気分いいわよ。
百合子はすっかり、女房になりきっていて。
まるで母親のように、寝ぼけまなこの私を、口やかましくせきたてる。
いい?人前に出るときは、照れたりしないでね。
シンジさんと顔あわせても、ぶったりしちゃダメよ。
わかってるって・・・
苦笑しながらシャワールームに向かう私のことを。
さらさら流れる黒髪のあいだ、優しい笑み顔が見送っている。

おめでとう。
きのうはどうも。
お疲れさま。
・・・疲れたの?^^
華やいだ声が飛び交うロビーで。
きらびやかな華燭の典の記憶がよみがえる。
弟はちょっと決まり悪げに、みんなからすこし離れてこちらを見送っている。
ホテルを出ると、まっすぐ空港に向かう。
タクシーに乗り込むとき、荷物を持ってくれた弟に。
こいつぅ。
思わず頬を、つねってやる。
百合子もイタズラっぽい瞳を輝かせて。
肩そびやかし、ヒールのつま先立てて、背伸びして。
悪い子しちゃ、ダメよ~。
なんて。だれにも聞かれない声で、耳元に囁いている。
ふたりの間のなれなれしい接近は。
肉親どうしとなったものに許されたもの・・・とだけ、周囲に映ったはず。

ふたりきりで、楽しんできてね。
戻ってきたら、ときどきボクのことも交ぜてね。
義姉さんのなかにそそぐのは。兄さんとおなじやつだから。
どちらの子ができたって、いっしょだね。
勝手なことをいいながら。すがるように百合子を見送る弟が、ふとあわれに思えて。
私はイタズラっぽく、妻をふり返ると。
ほっそりとした掌を取り上げて、弟に投げキッスを送らせた。
代わる代わる新妻を抱いた夜。
それは、兄弟のなかで忘れられない想い出となるのだろう。
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