FC2ブログ

妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

あ~あ。襲われちゃいましたね。^^; 目のまえで・・・

2007年12月18日(Tue) 04:46:56

コツコツコツコツ・・・
夜道に響く、ハイヒールの音に。
”影”は敏感に、聞き耳をたてた。
伸びやかな足取りは、一定のテンポを保っていて。
小気味良い大またで歩みを進めてくるのだが。
歩みの主は、夢にも思っていないはず。
あと数秒で、吸血鬼に襲われてしまうなんて。

紺のジャケットに、同じ色のタイトスカート。
歩みにまかせて揺れる黒髪は、ツヤツヤと輝いていて。
むっちり肉のついた太ももは、淡い黒のストッキングに染まっていて。
街灯を照り返して、黒光りしている。
一見、きびきびとしたキャリアウーマンだったが。
左手の薬指に光る指輪の輝きを、”影”は見落としていなかった。
今夜の獲物は、人妻のようだな。
”影”は私に、にんまり笑う。
今夜も気の毒なご主人が、またひとり・・・
さして気の毒がっていない証拠に、うふふふふっ・・・と洩らす含み笑いが得意そう。
じゃな。ここで見ていろよ。
”影”は私の肩をぽんと叩いて、サッと素早く身を翻す。

夜の散歩道で出くわした彼は、私が男だと知って、いささか興を減じたらしかったが。
着ている服のセンスに免じて、あくまで私を女としてあつかった。
そう。私は夜の女装者。
妻のタンスの抽斗から失敬してきたパンストを、むぞうさにちりちりにしながら。
なかなかいいご趣味だ。と。
軽い含み笑いに、意気投合するのは早かった。
それからは。
彼に命じられるまま、道行く女性が襲われるのを覗く日々。
私の血が気に入ったのか、もはや体内に残された血はわずか。
からからになりつつある私の身体を気づかって。
女を酔わせてしまうと、分け前に与かるのがつねだった。
あんたには、長生きしてもらわないとな。
吸血鬼にとって、人間の友だちはとても貴重なものらしい。

さいしょに目のまえで襲われたのは。
勤め帰りらしい、白のスーツの女。
目のまえに立ちふさがった黒い影に、アッと悲鳴を呑み込んで。
ハイヒールのかけっこは、数秒とつづかなかった。
そのまま、路上に押し伏せられて。
じたばたと暴れる脚によぎるストッキングの光沢が、やけになまめかしく映ったのは。
そう。女がすぐに酔わされてしまったからだった。
いちど首筋を噛まれると。どんな女でも、大人しくなってしまう。
ぐったりと、顔うつむけて。
荒い息遣いは、いつかなまめいた喘ぎにかわっている。

今夜は、寒い。
なにしろ、息が白いのだ。
それでも宿るべき家のないらしい影男は、女の生き血でその身を暖めるしかすべを識らない。
サッと身を翻した”影”は、定石どおり、女の行く手にたちふさがった。
女の白い顔が街灯に照らされて、彫りの深い目鼻だちに、驚愕の色がうかぶのが、ここからもありありと窺えた。
あれっ、なにをなさいます!
女の声はひくく、落ち着いたトーンをもっていたが。
さすがに怯えを、かくせない。
カッカッカッカッ・・・
逃げ去ろうとするヒールの音は、すぐにやんだ。
女の後ろから抱きついた”影”は、素早くうなじを吸っている。
きゃっ。
身をすくめた女の上体に、”影”の羽織った黒いマントがおおいかぶさる。
ちゅーっ・・・
あーあ。一巻の終わり。
女はそのまま、道端の草むらのなかへと拉し去られて。
がさがさ。がさがさ。
卑猥な葉ずれが、やけに耳につく。

うふふふふっ。
満足げな随喜の呻きを洩らしながら。
やつがふたたび草むらから現れたとき。
口許にべったりとついたバラ色の残滓が、街灯にテラテラと輝きを放った。
なかなか、活きのいい血だったぞ。お前もやりな。
”影”はご親切にも、私の手をとって、踏みしだかれた雑草の奥へと引き込んだ。
女は仰向けに倒れたまま、草むらのなかに身を沈め、脚だけ覗かせている。
黒のストッキングには、びちーっと伝線が走っていて。
はずんだ息に、愉悦の名残を漂わせている。
さ、遠慮なく吸いなよ。
ああ、遠慮はしませんよ。
なにしろこいつは、私の女房なのだから。
え?
”影”はちょっとびっくりしたような顔をしたけれど。
ウフフ。
じゃあますます好都合だな。たっぷりやんな。

行為の最中になって。
ようやく私の正体を知った女は。
もう・・・
口を尖らせながらも、身体の動きを合わせてくる。
お邪魔さま♪
やつは、気を遣ったつもりなのだろうか?
私が終わるまで、低く口笛を吹きながら。
さりげなくあたりを見張りつづけている。

ふたたび草むらから出てくると。
街灯を眩しそうに目を細めた妻は、ちょっと恥ずかしそうに、スーツについた泥を払っている。
こんどはふたりで、歩くんだな。
夫婦ながら、愉しんでやるから。
”影”のからかい口調に、妻は口を尖らせて。
もう・・・イヤですわ。
咎める小声が、くすぐったそうに震えていた。
草むらのなか、ふたりして妻の脚を抑えつけて。
びりびりと破き取ってしまったストッキングは、片方ずつ男どもの手のなかにある。
こんどは、うっすらテカテカの肌色にしようかしら。
主人の好み、なんですよ?
よろしいわね・・・?
妻は私を優しくにらむと。
スカートのすそについた、ぬるぬると光る粘液を。
これ見よがしに、ぬぐい取った。
前の記事
あ~あ。襲われちゃいましたね。^^; 目のまえで・・・ 2
次の記事
うわさの回覧板

コメント

コメントの投稿

(N)
(B)
(M)
(U)
(T)
(P)
(C)
管理者にだけ表示を許可する
トラックバック
http://aoi18.blog37.fc2.com/tb.php/1258-a5334a84