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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

かなう

2005年10月04日(Tue) 21:41:00

私はてっきり、妻の知人だと思っていた。
妻はおなじように、私の友人だと誤解していた。
そんなふうに音もなく、さりげなく家庭のなかに忍び込んできた彼―――。

吸血鬼なんです。
貴方の血が欲しいのです。
そうせがまれて。
私は黙って、彼にうなじを差し出していた。
なぜ、そんな気分になったのだろう。
まるで催眠術にかかったみたいに、見えない糸で彼にたぐり寄せられてしまっている。
たとえそれが詐術に似たものであったとしても。
もはや快楽に身をゆだねてしまった私としては、どうでもいいことになってしまっている。
家族という大切なものを、決して喪ってしまったわけではなく、
そこには新たな絆が用意されていた。

素肌に唇を這わされて。
毒蛇のような舌をちろちろとあてがわれて。
彼はまるで恋人同士のようにして、私に身をすり寄せてきた。
同性愛というものに、格別なんの関心もいだかなかった私。
けれどもいまそれに似たものが、私を妖しい境地に彷徨わせようとしている―――。
しっかり抱き締められた腕のなかで。
崩された理性を宙に迷わせながら。
私はいつか、つぶやいていた。
生命までも、きみにプレゼントしなくちゃいけないのかね?

彼の熱くささやかな吐息が、耳朶にかかって。
鼓膜をくすぐるようにして、揺るわせた。
―――死なないで下さい。とことわに・・・
そういって彼はまた、私を熱く抱き締める。
なにが、欲しいの?
むしょうに何かを与えたくなってしまっている私に対して、
彼は悪魔のような囁きを、私の耳の奥深くに吹き込んできた。
―――奥様を、愛してしまっているのです。そう・・・あなたに対するのとおなじくらいに。
熱っぽい囁きが、決してからかいやあざけりを含まない、純な気持ちを伝えてくる。
そうだったんだね。それで、妻に近づいたのだね。
―――お許し下さい。どうか・・・貴方からこれほどのご好意を頂戴しているというのに・・・
そういって俯いて、ひたすら悔いている彼に。
―――べつだん、いけないことではないんじゃないかな?
私は心から、そうこたえている。
好きなもの同士。おなじひとを好きになった。それがあとさきになった。それだけのことじゃないか、と。

もしも許されるのなら・・・
そういう彼にせがまれるままに。
留守中の彼女の箪笥を引きあけて。
いつも彼女の脚を彩っているストッキングを脚にとおしてみる。
しっとりとした感触を帯びたつややかな光沢が、淡いすね毛におおわれた私の脚を包んでいった。
妻と一体になったような錯覚。
いや。それは錯覚ではなかったのかも。
女の衣裳を身にまとう不自然さにかすかな戸惑いを覚えつつ、
私は彼の目の前に、妻の装いを帯びた脚を差し出した。

あてがわれる唇の熱さに。
妻に対して彼のいだいた濃い情念を感じ取る。
そうか。そんなに好きだったんだね・・・ずっと、我慢していたんだね・・・
我が身につまされるような気になって、彼への同情がふつふつと湧いてくる。
不覚にも立てられた牙のために、ぴちっとはじけるような伝線がひろがる。
じりじりと破れ、堕ちてゆくナイロンの薄衣のありさまに。
妻のなれの果てを垣間見たような気分になって。
それでもやめられないでいる彼のために、好きにさせてしまっている私。
そのままに。
妻といっしょになって、まだ若さを宿している血潮を捧げつづける・・・

その晩のことだった。
妻は私になり代わって。
ブラウスを装い、スカートをまとい、脚に通したストッキングのふくらはぎを、彼にゆだねきっている。
他愛なく引き破られて、だらしなくゆるみきったストッキング。
それは、妻がもはや私のためだけの貞淑な主婦ではなくて、ふしだらな娼婦に堕ちてしまった証しのようだった。
純白のブラウスはすでに、持ち主の血潮をうけてしとどに濡れて、不規則なバラ色の水玉模様を妖しく輝やかせていた。
彼がいま吸っている脚は、素肌は、はたして彼女のものなのか。じつは私のそれなのか。
失血に目が眩み、無重力状態のような夢見心地のるつぼのなか。
妻も、私も。
とうに見境がつかなくなっている。
そんな私たちに代わる代わるのしかかり、彼は己の欲望をひたすら、成就させてゆく。
はぐり取られたスカートの奥。
妻の股間には夫ならぬ身から発散された若々しい液体に濡れていた。
私と抱き合い。妻と抱き合い。
ひとつに結ばれあった三人の影。
いったい、このような結びつきがあり得るのであろうか。
妻を共有し、夫をともにする。
濃密な触れあいに、今宵も心酔わされてゆく・・・


叶さまのサイト「再応」は、ボーイズラブの小説をテーマにしたサイトさんです。
http://saioh.suger.biz/contents/top.htm
その掲示板でおもわずもりあがった吸血鬼ねた。
私にしては異色な、ちょっとソレがかったストーリーを書いてみました。
タイトルの「かなう」は、叶さまのお名前にあやかったものです。
そのスジの方からすると、ぜんぜん物足りないだろうと思いますが・・・^^;
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