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妖艶なる吸血

淫らな吸血鬼と倒錯した男女の織りなす、妖しいお伽噺・・・

服を破る男

2008年02月08日(Fri) 07:26:24

パリパリッ・・・ブチチ・・・ッ!
ブリブリブリッ・・・!
ふすまを通して聞えてくるのは、着衣の裂ける音。
服を裂かれているのは、妻。
裂いているのは、腐れ縁の悪友。
許しが出るまでは、足を踏み入れてはいけない。
その場を立ち去ることも、許されない。
ただ・・・妻が服を破られるのを、音だけ耳にさせられる。
こちらは、洋間。むこうは、畳。
薄明るい照明の下、ソファに腰かけたわたしは。
身じろぎひとつしないで、ただ生地の裂ける音に耳を澄ましている。
どんなことを、されているのか。
あらぬ想像に、胸わななかせながら。

入るがいい。
やっと、許しが出た。
おそるおそる、そうっとスライドさせたふすまのむこう。
長く伸べられたせんべい布団のシーツが、ひどく乱れている。
男は得意げに、わたしの顔に一瞥をくれて。
介抱してやるがいい。
あごをしゃくって、うながした。
布団の隅にうずくまる妻は、こちらに背中を見せて。
酷い衣擦れに、かすかに血を滲ませた皮膚をあらわにしている。
きちんとセットされた髪は、頭の後ろに束ねられたまま、
やや、遅れ毛をほつれさせてはいたものの。
乱れきってはいない。
そう。
男がするのは、服を破るという行為だけ。
キスを奪うことも。もちろん犯すこともしない。
けれども、服だけは見るかげもなく堕とされていて。
ここに来るときに着ていた花柄のワンピースは、ただのぼろ布になり果てていた。

どうだね?なかなかの裂きっぷりだろう?
男はみずからの芸術作品を眺めるように。
スリップやストッキングの切れ端を、これ見よがしに。
わたしの鼻先に、ぶら下げた。
しょうがないヤツ・・・
心からの非難を込めて、眉を曇らせると。
すまない。すまない。
声の深さは、男の謝罪が口先だけのものではないことを響かせてくる。

男はそれでも、わたしの前。
妻を我が物顔に引き据えると。
さいごに胸を覆っていたブラジャーを、チャッ、チャッ、と、手際よく引き裂いてしまった。
ナイロンの引き裂ける、小気味良いほどの音が。
鞭のように、妻の胸を横切っていった。
では、今夜はこれくらいで。
男は妻に恭しく一礼すると。
妻もいがいなくらい淑やかに、畳に手を突いて会釈をかえしてゆく。

一年間の、契約だった。
男に買われた妻は、男の言うなりになって。
性交を伴わないことだけを、ほとんど唯一の条件にして。
男の遊び相手に、身を堕とした。
若づくりにしてこい。
キリッと、装ってこい。
裂かれるからといって、手を抜いてはいけないぜ。
もう着なくなった昔の服が、たんすの底にたんと眠っているんだろう?
初めて妻の脚からストッキングを破り取ったとき。
男はわたしたち夫婦の、支配者になっていた。

いいじゃないの。若いころの服なんか、どうせもう着ないんだし。
お見合いのときに着ていた、ピンクのスーツも。
新婚旅行に着て行った、バラ色のワンピースも。
嫁入り道具のなかに含まれていた、高貴なかんじのするブラックフォーマルさえも。
妻は惜しげもなく、男の欲情に供してしまった。
女の服を、破りたい。
堕とされた女を、さらけ出してみたい。
男は妻の衣裳を裂き散らして。
どれほど、心を癒されただろうか。
昼間は慈悲深い善人とたたえられているその男は。
世間の賞賛をうけながら。
陰ではこうして、コアな情欲を充たしてゆく。
そう、知人の妻という、手の出しやすい人妻相手に。

このままの格好で、帰るのだよ。
諭すような声色に。
ぜひよろこんで、そうさせていただきます。
妻はしおらしくも、そう応えたものだった。

車で帰ろうという私の申し出を、かたくなに拒んで。
妻ははだけたワンピース姿を、夜風にさらす。
春めいた夜風は、なまめいた暖気を含んでいたが。
ほとんど素肌を隠さないいでたちは、とても寒々としていて。
闇に溶ける白い肌が、頼りなげに薄ぼんやりと、滲んでいる。

いいね?わかっているね?
ああ・・・わかっているとも。
わたしは男に命じられるまま。
車のヘッドライトを点灯させた。
徐行する車の前を歩く妻は。
落花狼藉のあとも生々しい服装のまま。
車のヘッドライトのなか、ふらふらとさまよい歩く。
ここから自宅まで、歩いて30分。
いまの彼女の足でなら、ゆうに40分以上はかかりそうだった。

一見寝静まっているかのような、近所の家々は。
今夜の儀式を、なぜか知っていて。
音をひそめて、窓を細めに開いていて。
深夜の見世物を、ひっそりと愉しんでいるらしい。
そこはかとない、人の気配が。
ためらうような、くすぐったいような吐息が。
闇に透けて、うごめいている。
密かな好奇の視線を浴びて。
まるでスポットライトを浴びた女優のように。
妻は爛れた衣裳のまま、歩きつづける。
時おりホホホ・・・と、声震わせて。


あとがき
うーん。
どうも夕べから今朝にかけて、コアです・・・。^^;
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コメント

コア・・・。
「こらー。謝るんじゃない!!!」
って、思う、さやかは・・・・
もっと、鬼畜なのであります。(笑)
by さやか
URL
2008-02-09 土 11:14:50
編集
>さやか様
いらっしゃいませ。
なかなかな、悪巧みでしょ?
キー叩いているうちにどんどん思いついていく私も、もしかしてお仲間?
そんなことないですよね~?
私んとこ、甘々ですから。
v(^^:)
by 柏木
URL
2008-02-11 月 21:18:06
編集

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